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アニメキャラ・バトルロワイアル4th part4

1名無しさん:2017/03/05(日) 07:40:57 ID:ngLuRqqY0
ここはアニメキャラクターでバトルロワイアルを行うリレーSS企画です。
企画の性質上、キャラの死亡や流血等、残酷な内容を含みます。閲覧の際には十分ご注意ください。

したらば
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17204/

避難所
ttp://jbbs.shitaraba.net/otaku/17220/

地図
ttp://imgur.com/wm3q2BI

チャット
ttp://anirowa4.chatx2.whocares.jp/

【参加者名簿】

0/7【Fate/Zero】
×衛宮切嗣/×セイバー/×言峰綺礼/×ランサー/×雨生龍之介/×キャスター/ ×間桐雁夜
2/7【銀魂】
×坂田銀時/×志村新八/×神楽/×土方十四郎/○桂小太郎/×長谷川泰三/ ○神威
3/6【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
○空条承太郎/×花京院典明/×ジャン=ピエール・ポルナレフ/×ホル・ホース/ ○ヴァニラ・アイス/○DIO
2/6 【神撃のバハムート GENESIS】
×ファバロ・レオーネ/×カイザル・リドファルド/×リタ/×ジャンヌ・ダルク/○アザゼル/○ラヴァレイ
1/5 【ご注文はうさぎですか?】
×保登心愛/×香風智乃/○天々座理世/×宇治松千夜/×桐間紗路
2/5【デュラララ!!】
○セルティ・ストゥルルソン/×園原杏里/×折原臨也/○平和島静雄/×ヴァローナ
1/5【ラブライブ!】
×高坂穂乃果/×南ことり/×矢澤にこ/ ○絢瀬絵里/×東條希
1/5 【結城友奈は勇者である】
×結城友奈/×東郷美森/×犬吠埼風/×犬吠埼樹/ ○三好夏凜
2/5【キルラキル】
○纏流子/○鬼龍院皐月/×満艦飾マコ/×蟇郡苛/×針目縫
0/4【グラップラー刃牙】
×範馬刃牙/×ジャック・ハンマー/×範馬勇次郎/×本部以蔵
2/4【selector infected WIXOSS】
○小湊るう子/×紅林遊月/×蒼井晶/○浦添伊緒奈
0/3【咲-Saki- 全国編】
×宮永咲/×神代小蒔/×池田華菜
1/3 【魔法少女リリカルなのはViVid】
×高町ヴィヴィオ/×アインハルト・ストラトス/○コロナ・ティミル
2/3 【のんのんびより】
○宮内れんげ/○一条蛍/ ×越谷小鞠
1/2 【グリザイアの果実シリーズ】
○風見雄二/×入巣蒔菜
20/70

2名無しさん:2017/03/05(日) 07:41:51 ID:ngLuRqqY0
前スレ
ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/14759/1455272657/

A:基本ルール
 全員で殺し合いをしてもらい、最後まで生き残った一名が優勝者となる。
 優勝者はどんな願いも叶える事ができる。
 参加者間でのやりとりに反則はない。
 ゲーム開始時、参加者は会場内にランダムで配置される。
 プレイヤー全員が死亡した場合、ゲームオーバー(勝者なし)となる。
 ゲーム開始から72時間経過した場合も勝者なしゲームオーバー(参加者全員死亡)となる。


B:スタート時の持ち物について
 全ての参加者には騎士の手甲に似た幅広の腕輪が嵌められている。
 腕輪には特殊な力を持つ白のカード1枚がはめ込まれている。
 それとは別の特殊な力を持つ黒のカードが1〜3枚、赤のカードが1枚、青のカードが1枚支給される。
 他のパロロワでいうところの首輪とデイパックに相当する。

 プレイヤーがあらかじめ所有していた武器、装備品、所持品は大小に関わらず全て没収
 武器にならない衣服、帽子などは持ち込みを許される。
 もし、それらが武器の類なら代わりに同デザインの普通の衣服等を着せられる。支給品扱いではない。

C:【4種類のカード】
白:マスターカード
  腕輪に嵌まっているカード。
  地図ナビ、時計、名簿、脱落者の確認、点灯などいろいろ行えるカード型端末。
  死んだり主催に刃向かったりしたら、このカードの中に魂が封印されて喋ったり動いたりできなくなる。
  基本腕輪から取り外せないが、死んで魂がカードに封じられた後に剥がれ落ちる。
  物理破壊不可。

※基本的に主催は意思持ち支給品の生殺与奪権も参加者同様に握っている。


黒:ランダムカード
  つまりランダム支給品。出したものをカードに収納できる。
  それぞれ武器や道具とかのアイテムが収納されている。
  一回出してからカードに再収納すると効果欄が浮かび上がって詳細が確認可能。

※支給品枠についての注意
【キルラキル】【結城友奈は勇者である】【なのはvivid】【Fate/Zero】の
制服、スマホ、デバイス、宝具の本人支給は可。
ただし、本人に支給する場合はそれだけで支給品枠を全て使うものとする
(デバイス等を本人以外のキャラに支給する場合は、支給品ひと枠分として扱っても可。
 その代わり初登場話で他の参加者から、本人装備を奪う、譲り受けるような展開での入手は禁止)

赤:フードカード 
青:ウォーターカード
 赤は食料、青は飲料。任意のものが出せる。1回につき1人前までで、10回まで。
 一度出したものは元には戻せない。

3名無しさん:2017/03/05(日) 07:42:50 ID:ngLuRqqY0
D:【侵入禁止エリアについて】
放送で主催者が指定したエリアが侵入禁止エリアとなる。
放送度に禁止エリアは計3マス指定される。
参加者が禁止エリアに入って一定以上の時間が経てば、魂が引き剥がされ死亡する。
意思持ち支給品も状況次第で同じように処理される可能性あり。
禁止エリアは最後の1名以下になるまで解除されない


E:放送と時間表記について
0:00、6:00、12:00、18:00
以上の時間に運営者が侵入禁止エリア、死亡者、残り人数の発表を行う。
禁止エリアは放送度に計3マス指定される。

※本編は0:00スタート。


F:状態表
  SSの最後につける状態表は下記の形式で

【(エリア)/(場所や施設の名前)/(日数と時間帯)】
 【(キャラ名)@(作品名)】
 [状態]:
 [服装]:(身に着けている防具や服類、書く必要がない場合はなくてもOK)
 [装備]:(手に持っている武器など)
 [道具]:腕輪と白カード、赤カード(10/10)、青カード(10/10)
     黒カード:(収納した支給品)
     (黒カードに収納していない初期配布の白、黒、赤、青カード以外の所持品)
 [思考・行動]
基本方針:
   1:
   2:
 [備考]
  ※(状態や思考以外の事項)

・時間帯の表記について
 状態表に書く時間帯は、下記の表から当てはめる。

 深夜:0〜2時 / 黎明:2〜4時 / 早朝:4〜6時 / 朝:6〜8時 / 午前:8〜10時 / 昼:10〜12時
 日中:12〜14時 / 午後:14〜16時 / 夕方:16〜18時 / 夜:18〜20時 / 夜中:20〜22時 / 真夜中:22〜24時


・死亡したキャラが出た場合は以下の通りに表記する
【参加者名@作品名】死亡
残り○○名

4名無しさん:2017/03/05(日) 07:44:26 ID:ngLuRqqY0
G:一律制限案
バランスブレイカーとなる身体能力及び戦闘能力は制限される。
基本はアニロワシリーズ基準で(他のロワも参考にした方がいいかも)。
ギャグ描写の誇大解釈は無しの方向で。細かい所は書き手任せ。
対象:キルキラルのキャラ、結城友奈は勇者であるのキャラ(変身後)
   JOJOのスタンド、Fate/Zeroの英霊達など。


H:〈キャラ個人の特殊能力について〉
バランスブレイカーなるくらい便利すぎるもの、厄介なもの、制限が難しいものは禁止。
蘇生、洗脳、再生、時間操作能力を持った参加者や支給品には何らかの制限を加える。
Fate/Zeroの魔術などは大半は使用できなくなる。物理攻撃不可能な参加者にも攻撃は可能になる。
ただし、能力を削除する事によってキャラの魅力が激減するなら議論。
腕輪や白のカードへの安易な干渉ができる能力などは原則禁止。
細かい所は書き手任せ。


I:{洗脳系能力の扱いについて}
本来の能力と比べて効果を減衰させるか、あるいは2時間単位で解除される仕様にする。
洗脳系アイテムは所持者が同意するか、廃人にならない限りは乗っ取り不可に。
乗っ取っても2時間単位で洗脳は解除されるので、その都度能力を行使する必要あり。
洗脳能力はそれをメインにしているキャラや支給品のみが行使できる(要議論?)。


J:『支給品の制限について』
支給品も参加者と同等にその効力が制限される。
言語能力、一般人と同等以上の戦闘力を持つ意思持ち支給品は、所持者(主)から遠く離れる事ができない。
有用であればあるほど、離れられる距離は短くなる。場合によっては更に制限がつく可能性も。
行動範囲外に入ればどうなるかは議論か書き手任せ。

宝具や勇者用スマホなど、一般人が通常なら扱えないアイテムも当ロワでは特に大きなリスク無く大体使用可能。
ただし、その効果は力量にもよるが本来の所有者のと比べ大きく落ちる。細かいところは書き手任せ。
本来の所有者やそれに近い実力者が使えば制限下であるものの充分力を発揮できる。

5名無しさん:2017/03/05(日) 07:45:13 ID:ngLuRqqY0
K:作品別の参加者・支給品の制限

【Fate/Zero】
・マスターの令呪は没収
・サーヴァントの霊体化禁止

【ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース】
・スタンドは可視化、物理干渉を受ける
・ヴァニラ・アイスの暗黒空間に腕輪を飲み込むことは出来ない

【結城友奈は勇者である】
・精霊の防御能力にはなんらかの制限を加える。
・スマホに精霊を2体以上付けるのは禁止。
 ただし、本人支給をした場合は、そのキャラの参戦時期の時の精霊の数になる。
・NARUKO(勇者専用アプリ)の勇者の位置表示機能は使用不可。

【selector infected WIXOSS】
・ウリスとイオナ(ユキ)は『浦添伊緒奈』の、ユヅキと花代は『紅林遊月』の中身が誰であるか判明するまで支給不可。
・カードバトルを作中で行う場合、バトルの直前および途中でのリレーは可能な限り避ける。
 (ウィクロスはTCGアニメですが作中でのゲーム描写が曖昧な部分があり、カードゲームパートによる企画停滞を避ける為)

※議論及び、話の進行によって、今後各作品の支給品、能力等の問題は当ルールテンプレとは別に『制限まとめ』として今後編集していく予定です。
 詳しくは ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/17220/1435887783/325- で。

6名無しさん:2017/03/05(日) 07:46:22 ID:ngLuRqqY0
L:【予約について】
キャラ被りを避ける、執筆期間を取りたいという場合にはまず予約にて書きたいキャラの予約を行う。
予約はトリップを付け、その作品に登場するキャラの名前を書く。
キャラの名前はフルネームでも苗字だけでも構わない。そのキャラだと分かるように書く。

予約及び本投下条件は、リレーする作品の投下から36時間以上が経過し、尚且つ通しになっていること。
要修正の作品は修正作業が完了し、最初の本投下から36時間以上経過すれば予約できるが、
問題が残っている場合は最悪破棄され予約も無効となるので、リレーする作品は改めてよく確認すること。

自己リレーは絶対という訳ではないが、リレー企画の体裁上は予約する場合は自己リレーと予め言っておく事。
序盤はできるだけ避ける事。

また再予約する際は周囲の、他書き手の同意を得た上で再予約と宣言して予約すること。


M:【予約期間について】
予約をした場合、予約期間は3作以上書いた人は7日間、延長宣言があればさらに7日延長可能。
2作以下の人は延長なしの7日間。ただし予約は任意で強制ではない。
予約が期限切れした場合、無連絡のままオーバーしたら1日待ち
それで投下が無ければその次の日に予約可能。

M-2:【作品修正のルール追記】
期日をオーバーする修正はなるべく避けること。

N:【作品投下のルール】
予約なしで作品を投下する場合、騙り等により起こる混乱等を防ぐためにトリップ推奨。
作品に自信がない場合は仮投下スレで仮投下することも推奨。

N-2:【仮投下のルール】
期限は本投下の予約期間と同じ。
修正も期限などは本投下と同様に2日間。

O:【作品修正のルール】
投下した作品に問題があり、投下から36時間以内に問題点を指摘された場合は修正要求される可能性あり。
期限は修正要求から最大2日間。それまでに間に合わなければ破棄。
投下から36時間以内に指摘がなければ通しになるが、問題点が企画の進行に阻害が出るくらい大きければ、
時間が経っても修正要求される。もし作者が修正に応じなければ審議で今後の対応を決定。

7名無しさん:2017/03/05(日) 07:47:15 ID:ngLuRqqY0
※トリップの付け方
書き込みページの名前欄に#を入れて、#の後に任意の文字を入れて投稿すれば
◆mAuG2RWWgのようにスレッドに表示されます。
#の後に個人情報などリアルに関わる文字を入れるのは止めた方がいいです。
認証後、トリップ被りや成りすましを避けるためにも、事前にテストスレなどを利用して
出たトリップをグーグルなどで検索して確認する事をお勧めします 。
P:書き手の注意点
・荒らし目的の行為、又は通す事によって企画の停滞・崩壊を招きかねない内容の作品の投下は禁止。
 (これまでの話や原典の設定とは大きく矛盾するSS投下や、無理がありすぎる展開の話、
  複数の書き手がリレーを放棄する内容のSS投下など)

・一度死亡が確定したキャラの復活は禁止。
・大勢の参加者の動きを制限し過ぎる話の投下や、新規キャラの途中参加は程度によっては審議の対象。

・時間軸を遡った話の投下の禁止。
 話と話の間にキャラの位置等の状態が突然変わっている等こうした矛盾を解決する為に、
 他人に辻褄合わせとして空白時間の描写を依頼するのは禁止。
 こうした時間軸等の矛盾が発生しないよう初めから注意すること。

・中途半端な書きかけ状態の作品投下は基本禁止。
 但し、長編を期間を置いてに分割して投下する場合はこの限りではない。
・無理して体を壊さない。

・リレー小説である事を念頭に置き、皆で一つの物語を創っていると常に自覚すること。
・ご都合主義過ぎる、または特定のキャラを贔屓しすぎる展開に走らないように注意すること。

・残酷表現及び性的描写に関しては原則的にそれぞれの作者の裁量に委ねる。
 但し後者については行為中の詳細な描写は禁止。

・各作品の末尾には状態表を必ず記載する。
 作品内での死亡キャラの確認表示も忘れずに。


Q:読み手の注意点
・煽り、必要以上の叩きなど荒らしに繋がる行為は厳禁。
・各作品、キャラのファンはスレの雰囲気を読み、言動には常に注意すること。
 不本意な展開になったから暴れるのは駄目。 
・仮投下された作品への指摘は本投下前に行うこと。
・書き手にも生活があるので急かすのは程々に。書き手が書きやすい雰囲気を作るのも大事。

8名無しさん:2017/03/05(日) 07:49:01 ID:ngLuRqqY0
以上です。

9 ◆NiwQmtZOLQ:2017/03/10(金) 00:02:13 ID:tAoZ4bek0
遅くなりましたが、スレ立て乙です。

一応こちらでも。
議論スレにてチャット開催の提案をさせていただきました。反応をいただければ幸いです

10 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:19:12 ID:FjK6RFpc0
今から本投下を始めます。

11有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:20:46 ID:FjK6RFpc0

「持っていかないんですか?」
「あ?」

平和島静雄は支給品であり同行者であるエルドラから問いかけられる。
蛍を立たせた静雄は先程落命した紅林遊月に手早く土砂を被せその場を立ち去ろうと考えていた。
彼が問いの意味を理解整理するのに時間がかかった。
もう一人の同行者一条蛍が先に理解し発言する。
エルドラのカードをかざし現場を見せているのは彼女。

「……お姉さんのカードを」
「……ああ」

静雄が後悔に曇らされた頭で問いの意味を咀嚼するのに少々時間がかかるのは仕方のない事。
彼は遊月が所持していた支給品を手早く回収していく。死体漁りに嫌悪を感じながら。
アドバイスをしたエルドラに少々ながら嫌気を持ち、思わず顔をちらりと見る。

「……」

彼女は渋面で遺体を中心に周囲を観察している。僅かに顔を伏せながら。
静雄はその様子をみて、恥を感じながら作業を続行する。
エルドラは半ば放心している蛍に聞こえるように呟いた。

「紅林遊月……」
「……っ」

蛍は思い出した。18時間近く前に会った"お姉さん"の名前を。
遊月にコーヒーを運んでた時に互いに軽く自己紹介した事を。
遊月がすぐ喫茶店から去った事もあり、これまで蛍は彼女の動向をあまり意識できていなかった。
まさかこんな形で再会するなんて……。蛍は絶句せざるを得ない。
自身を庇い命を落とした人はこれで2人目。

「……あ、静雄さん。そのつけ爪も支給品かと。」

静雄は遺体の指に着けられている、指輪のようなものに手を触れる。

「カードに戻して」

静雄は車をカードに収納したのと同じように念じた。
指輪はどこかに落ちていた黒カードに収納され静雄の手に渡る。
静雄は全ての支給品を回収したのを確認し、地面を音を立てないように掘り上げようする。

「エルドラさん?」

その行為を止めたのは蛍の疑問の声だった。

「……」
「……白カードか」

エルドラは頷く。静雄は遊月の腕輪から剥がれ落ちたカードを拾う。
血液が付着していたが他のカード同様に染みていない。
軽く振るうと血液は飛び散り、血糊は剥がれ落ちた。
カードを見ると生前の遊月の顔がある。その絵をエルドラにも見せた。
エルドラは顔を落胆したかのようにうつむかせ、目を瞑った。

12有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:21:07 ID:FjK6RFpc0

静雄は無言で遺体の近くの地面を蹴り上げ、地面の土を遺体へと被せていく。
極力音を出さないように。本当は手厚く埋葬したかったが時間がない。
付近に殺人者いる可能性があり、先程の発砲音を聞きつけてここに来るかも知れなかったから。
僅かな時間で遺体は土に隠れた。
3人はその場を去ろうとする、静雄の顔は西を向いている。
蛍は――リゼさんは?と口に出そうとする。
智乃の大事な仲間の1人で静雄に対し殺意を向け、やがて蛍にも敵意を向けた天々座理世。
過失とはいえ遊月を殺し東方面へ立ち去った少女。
静雄にしてみれば初対面から敵意を向けられた事もあり好印象を持ちようがないが、
蛍にしてみれば、良好な関係を築けていた智乃と親しかったリゼは未だに気がかりである。

「……」

考えを察したのだろうエルドラは非難めいた眼差しこそしなかったが、肯定しているとは言えない表情を蛍に向けた。
蛍はリゼの静雄への誤解を解きたかった。だが全身全霊をかけたと言ってもいい説得は通じず、より敵意を膨らませたに過ぎなかった。
説得を切り上げその場を立ち去れば少なくとも遊月さんは死ななかったのだろうか?
蛍は湧き起こる後悔と無力感を抱えながら静雄に声をかけた。

「……。平和島さんどこに?」
「城に行こうと思ったけどよ……エルドラ、向こう魔力とやらが弾けて危険なんだよな」
「今は収まっていると思いますけど、ところであの城には行ったことあるんですか?」
「いや、ねえ」
「休憩場所として選ぶにゃどうかとは思いますね。それに山に入ったら迷いそうな気がしますし」

「……温泉方面に行こうと思う。途中に家の幾つかはあるだろ」
「どうしてですか?」
「服の替えが必要だろ」

静雄は蛍の今の姿を見て断言した。
蛍はそれに納得し、静雄の顔を見て思わず息を飲んだ。
静雄の眉間には皺が刻まれていたから。さっきの発言はリゼへの追跡はもうしないと言ってるのも同義。
蛍は未練を持ちつつもその考えを否定できないでいた。
今のリゼは不可思議な力を持つ銃を所持している、あれで撃たれたら誰も無事でいられる保証はないと蛍が判断してしまう代物。
蛍は彼には聞こえないようにそっと溜息をついた。

「わかりました」

諦めざるを得なかった。
静雄と蛍は立ち去るべく、その前に遊月の遺体がある場所に謝罪の言葉を掛けようとする。
それを遮るようにエルドラは遊月の白カードに向かって一言呟いた。

「ごめん」

真摯さが込められたその言葉を耳にし、2人は黙って遺体から背を向ける。紅林遊月はここにいないから。
2人は真に報いるべき行動を優先する為に足早に西に向かい林に入った。

「……」
「……」
「道路照明灯はあるんですかね?」

殺人者との接触を避け為に林中を歩く2人に掛けられたのは、陰鬱な空気を振り払うようなエルドラの気楽そうな声だった。
静雄は蟇郡苛と出会う前後の記憶を思い起こす。
エリアFからEにかけての照明はいくつか怒りにまかせて破壊してしまったが、HからGにかけての照明には手を付けていない。

13有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:21:26 ID:FjK6RFpc0

さっきコシュタ・バワーを運転していた時は急いでいた事も道路でなく草原を走っていたが、
もし照明灯がある道路なら、ライトがない車でもさっきよりは速度を出せるだろう。
静雄は蛍に顔を向ける、彼女は虚ろな目をしていた。

「……」
「蛍ちゃん、大丈夫か?」
「……えっ、ハイ」
「……」

さっきの遊月の件が辛くない訳がない。
現に静雄とエルドラさえショックを受けているのに、まだ小学生の蛍の負担が小さい筈がないのだ。
静雄は足の向きを南へ変え、方針を2人に伝える。少女達はそれに同意し彼に続いた。

林を抜け草原を抜けた先には少々ながらも照明に照らされた道路が見える。
他参加者の姿は見えない。東には相変わらず煙が立ち上っているが延焼が拡大しているようには見えない。
今がチャンスとばかり静雄は急いで漆黒の車 コシュタ・バワーを現出させる。
蛍は静雄に続く前に尻に手を当てるが返り血が掛かっていない事を確認するやそのまま乗車する。
温泉街に向う3人の行動を止めるものはなかった。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

半日前、H-5の海岸にて。

衛宮切嗣に関する情報をどうしようかと考えていた折原臨也。

「折原さん」

そんな彼に一条蛍はジュースを手に立ち上がり声をかけた。

「ジュースありがとうございました」
「ああ良いんだよ」

臨也は笑みを浮かべつつ、ぺこりと頭を下げる蛍を愉しげ見るや、切嗣についての情報の提供を保留とする事にした。
わざわざ情報屋としての禁忌を侵さなくても、同様の効果が期待できる面白い反応が見られる方法を思いついたから。

「蛍ちゃん、ちょっと悪いことを訊くけど、君はもし殺し合いに乗った危険なヤツにあったらどうする?」
「え、それは?」
「無理に答えなくてもいいよ、これから俺がするのはそういった危険を乗り越える為の作戦さ」

蛍の表情が引き締められたものに変わった。
彼女は臨也の今後の計画――主に危険人物と遭遇した場合の対策について、相槌や短い返事を交えながら懸命に記憶していく。
臨也は暗に静雄への悪評が混じった作戦を聞く蛍の様子に胸中でほくそ笑む。
いくつかの対応手段を伝え終わった臨也は最後に緊急時の連絡方法について蛍に伝えた。

「×××-××××-××××ですか?」
「そう。紙に書き写すのは危険だからちょっとキツいけど我慢して覚えて」


教えられた番号は臨也のスマートフォンの電話番号。
もし何らかのトラブルで2人が離れ離れになった場合における連携手段。

「わかりました」

蛍は臨也の細やかな気遣いに感謝した。

14有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:21:46 ID:FjK6RFpc0

「いいんだよ。さ、行こうか」

臨也にとっては片手間的な手段の一つに過ぎない事を知らないまま。
彼の残酷さをその時は知らないまま。

----------------------------------------------------------------------------------------------------

「ハンドルを大きく右に切って〜」

車は危なげなくカーブし先に温泉がある道へ移行する。
ラビットハウスを目指していた頃より上手く運転できるようにはなっていると静雄は思った。
とりあえず危機を脱した事もあり少々なりともリラックスできたのも大きいようだ。

「……詳しいな」
「適当です、テヘ」
「おい」

静雄は冗談と受け取る事にした。

「……」

蛍は乗車して数分後に眠っており、運転のサポートはエルドラが行っている。
ルリグカードは前窓の内側に立てかけていた。

「手紙、れんげちゃんの手に渡ってるといいですね」
「ああ」

静雄とエルドラは分校から出発する前、蛍からある相談を持ちかけられていた。
電話番号の情報を残して良いのでしょうか?と。
悪意ある参加者から情報を利用されるのを恐れたのだろう。
静雄は悪用されるのを想定して考えればいいと受託し、エルドラも少し考えた後に「いいんじゃないですかね」と答えた。

「建物が見えて来たっすよ」
「……」

車は林に挟まれた車道に入る。身近な建物の近くに駐車すべく減速してゆく。
温泉へは目と鼻の先だが、まず蛍の衣服の替えを入手しなければならない。
車は停車する。急ではないが多少揺れて。

「う……ん」

その衝撃で蛍は目覚めた。静雄はバツが悪そうに目を細めた。

車を降りてから3人は今後どうするかぽつぽつと相談を始める。
蛍はまずルリグカードを極力出した状態にできるようカードホルダーを作りたいと提案した。
エルドラと会話しやすいように。正直、静雄と2人だけでは相談相手が少ないと思ったからだ。
それに対してエルドラは「頼みますよ」と答える。
家の玄関が見えた。静雄はこいつの分はどうするんだとばかりに胸ポケットに入れたルリグカードを出して見せた。
カードには仰向けに寝た少女が映し出されている。パーマがかった水色髪をした少女――青のルリグ ピルルク。

放心してルリグに気づけなかった蛍は目を丸くしてカードを見、エルドラは観察するようにピルルクを凝視した。
そして納得したように手を打って、訴えかけるような顔を静雄へ向ける。

「知り合いなのか?」

15有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:22:14 ID:FjK6RFpc0

「だいぶ前にこの子とバトルをした事がありましてね」
「……セレクターバトルの方だよな?」

殺し合いの方を想像し険のある声で問いてしまう。
エルドラは気にせず続けた。

「ええ。そん時は私が勝ちましたが。まさかここで出遭うとは」
「どういう人だったんですか?」
「ルリグにしては愛想のない子でしたねえ」

人物像については解らないという事か。
静雄はそう解釈しピルルクをポケットに戻した。

「その人の、セレクターさんはここにはいないんですか?」
「……さあ?」

実はエルドラは確信が持てる程ではないが、ピルルクの元セレクターについて予想を付けていた。
蒼井晶。現ルリグ ミルルン以前に使役していた青ルリグがいただろう事を。
赤のルリグ ユヅキ達の交流を通じて。はぐらかしたのはわざわざ蛍に負担をかけたくないとの判断だった。

「ルリグなんて何十人もいますからね、そんなにレアじゃないっスよ」
「一体、何を考えてんだあのアマ」

静雄は明言こそされなかったものの、ルリグが元人間なのを薄々は感づいている。
エルドラの説明と会話からそれは推測できた。そもそもエルドラに隠す気がほとんどないのも原因だったが。
静雄は繭の更なる非道から来る怒りに不快げに歯ぎしりし、何とか衝動を堪らえながら戸に手をかける。
戸は開き3人は中に入り、程なくしてタンスがある和室へと入った。

照明は豆電球のみに留め、蛍は白カードの照明を頼りに遠慮がちにタンスの中を物色している。
静雄はスマートフォンを机に置いた。スイッチが入っている。
エルドラとのちょっとした質疑応答を交えながら、静雄はチャットの画面を見続ける。

I:『一番目のMと、五番目のD。今夜、地下闘技場で話がある』


「D……」

静雄の脳裏に連想される頭文字Dの人物はただ1人。
臨也との最期の会話で存在が示唆された、肉の芽という洗脳能力を使う危険人物 DIO。
チャット機能による頭文字の方則を知らない静雄でもその一文には意識をせざるを得なかった。
発言者Mについては正体に想像が付かなかったが、少なくともDIOは北西の方に行くだろうという想像はできた。
突如、透き通ったような声が聞こえた。

「DIOですか……」

それは探索が終わった蛍の声。彼女の手には手帳や衣服や下着が抱えられている。

「知っているのか?」
「承太郎さんから聞きましたから」

蛍ははっきりそう答えると、今度は居心地が悪そうに視線を落とした。

「?」
「その……着替えをしたいので」

16有為転変 ◆WqZH3L6gH6:2017/03/23(木) 00:22:33 ID:FjK6RFpc0


彼女の服に付着した血は既に固まっているが、とてもじゃないが他者に見せられる姿ではない。
静雄は失念していた自分を恥じつつエルドラを手に立ち上がり、彼女を隣室へと促した。

「……」


数分後、蛍が着替えをしている部屋の前に静雄が立っている。
待機する静雄に対しエルドラは小さな声で言う。

「静雄さん、繭に対してこれからする事伝えるんですか?」
「!」

ピルルクとの会話を聞いていたのかと静雄はバツが悪そうに顔を歪ませる。
エルドラは神妙な顔で続ける。

「繭を倒すって言うなら、今のうちに蛍ちゃんに伝えた方がいい」
「……」

静雄がここに来て蛍に自らの主張を告げなかったのにはいくつか理由がある。
自分たちを安全な場所に避難させる必要があって言い出せなかったのが一番大きい。
だがそれとそう変わらないくらい大きな原因もあった。

それは蛍の信念を挫けば、これからの行動に支障をきたすくらい衰弱する可能性が見えたから。
通用こそしなかったが、リゼを説得する際に蛍からは強い信念が感じられた。
ただの小学生を超える説得を発言できるほどに。その強さを否定するような事は静雄には気が進まなかった。
両者はしばし黙り、沈黙が訪れる。また口火を切ったのはエルドラであった。

「こんな状況だし……いつ敵が襲撃して話し合いができなくなるかも知れない」

そう冷然と現実を告げる。

「……!」

静雄は蟇郡の事を思い出し葛藤する。もう果たせない約束を意識して。
白服の怪物に圧倒された事実からくる無力感も意識して。
また訪れるは沈黙の時間。静雄は思考の海に落ち発言できない。
ルリグは訴えかけるようにゆっくりと呟いた。

「……私はやるべき時に必要な事を伝えられなかった」
「!」


静雄はトーンを落としたルリグの声を聞き、目を見開く。
これ以上発言させるわけには行かないと静雄は思った。
それは自己保身や現実逃避の防止からくる不快の念からではない。
エルドラが深い後悔を抱えているからこそ、それ以上に年長者として彼女に負担を強いる訳には行かなかった。
ここに来て伝わった。未熟な大人でも静雄は今すべきことが解る。
力なんて関係ない、越谷小鞠の死を最も悲しみ怒った外部の"人間"として彼は決断する。

「――」
「そうする」

エルドラが次の句を告げる前に、静雄は力強く頷いた。


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