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オリロワアース

445CORE PRIDE ◇aKPs1fzI9A:2015/10/25(日) 01:19:32 ID:yU85qQho0

「さぁね〜。俺様わかんなぁーい。名探偵でも連れてこいよってなっ」

そんな陽太の疑問を差し置いて、ツバキはへらへらと笑いながらバックから双眼鏡やら、薬品やらなんやらを並べていく。
先程寄った理科室で回収してきたものだろうか。陽太は周囲の敵の有無ばかり気を使っていたのでこういった物は忘れていた。
ツバキは双眼鏡を手に取り、椅子から立ち上がると西の窓際へと行き、そこからの風景を覗いた。

「生物の田邊の机の中にあったんだぜ!教師に対するボートク?ってやつか…おっ。こりゃおもしれえ」
「どうした!」

誰か見つけたのか、と思い陽太はツバキへと駆け寄る。
ツバキはわざとらしそうに、「ほへー」と言いながら、望遠鏡を覗き続ける。

「ヘロヘロの女の子が歩いてきてるぜ、しかも…こっちに!くははっ!よく見れば『戦姫たちの夜に』の雨谷いのりじゃん!コスプレかよっ」
「…!いのり!?」

雨谷いのり。結城陽太の弟子仲間の一人で、ともに修行していた仲間だ。
世界渡航に巻き込まれてからは行方も知れなかったが、まさかこの殺し合いに巻き込まれていたとは。

驚くツバキから半ば強引に双眼鏡を取り、覗く。
確かにいのりだった。しかし怪我でもしたのだろう。数箇所の出血と、脇腹を抑えながら苦痛の表情で歩くその姿は、間違いなく危険な状態だった。


「あれ?知り合い?作者どころか媒体も違くね?あんたら 」
「知り合いも何も…俺の弟子仲間の一人だ!なんであんな姿に…っ!」

いのりは強かった。
それでこそ師匠からも毎日のように褒められていたし、彼女としてもヒーローに対して誇りがあった。
そのいのりがあそこまでぼろぼろになったのにはきっと訳があるはずだ。
陽太も知らぬ、敵が。
双眼鏡をツバキに突き返し、陽太はおもむろに出入り口のドアへと走り、その引手に手をかけようとした。


「どこ行くんだよ」

ツバキが、先程までのふざけた様な喋り方ではなく、冷静に、しかしどこか調子が抜けたように尋ねた。
もちろんツバキも、陽太の行き先など知っている。
しかし、この《打ち切りくん》の物語を知っていた。だからこそ、ここで一応、止めておく必要があった。

物語の中で結城陽太は正義感が強い熱血漢だった。
だからこそ、仲間や無実の人々が痛い目にあったり傷つけられたりすれば頭に血が上ったようになり、「彼らを助けるため」の行動をする。
しかしひっくり返せば「正義感が彼の理性を抑圧してしまう」ことになり得る。
故に「サンライズ」の話の中ではその正義感が彼を単独的な行動へと度々追いやったためかファンからの批判に晒されてしまい、打ち切りの原因の一つとなったのだった。


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