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オリロワアース

339それはそれとしてハンバーグが美味い ◆5Nom8feq1g:2015/07/05(日) 12:55:38 ID:DI5rAcGg0
 


「――――しまった、食べ過ぎて動けない」

 ヘイス・アーゴイルはデパート最上階の休憩ゾーンで、
 大きくなったお腹をさすりながら添えつけのふわふわソファーに寝転がって天井を仰いだ。
 もうお腹いっぱいである。
 お腹いっぱいすぎてはち切れそうなくらい食べてしまった。
 思えばここ数年、武器屋の仕事で忙しく、まともな料理を食べられていなかった。

 アースFでの料理の水準はそう高くない。
 城にはお抱えの料理人がおり、アースRで言うならイタリアやフランスで出てくるような洒落た料理、
 あるいは中世ファンタジーでよく見るような料理が出てくるところもあるが、
 下等民の食事は芋のスープや森の獣、低級モンスターの可食部を調理して食べるのがほとんど。
 レトルト食や保存食の概念も存在しないため、
 十年も貧民街で暮らせば食事の楽しさなどと言う概念とはお別れするのが当たり前の世界だ。

 そんな胃袋ににアースR式の、
 マニュアル化され一定の味が保障された様々な料理群を叩きこめばどうなるか。

「幸せすぎる……どこの『異世界』だか知らないが、この世界は滅ぶべきではない……」

 こうなるのである。
 ヘイス・アーゴイルは自らの世界を憎んではいるが他の世界まで憎んでいるわけではない。
 長く生きている自分が知らぬ料理があったことから『異世界』の存在を自分の中で確かなものにしたアーゴイルは、
 ハンバーグが食べれる世界は滅ぶべきではないと強く思ったのだった。

 でもそうなるとますますサン・ジェルミが憎いな。

「こんな素晴らしい世界の民を殺し合いに巻き込んで、一体何を企んで……おえっぷ。
 ああ、でもとりあえずそれを考えるのは、もう少し休んでから、この建物を全部回ってからにするかな……」

 デパートの階数表示を見ながらヘイスは顔をほころばせる。
 そこにはまだまだヘイスの知らない色んな店があるようで、楽しみが止まらなかった。
 殺し合い<素晴らしき異文化交流。
 憎しみに染まっているはずの心はあっさりと楽しそうなほうに流されてしまっていた。

 しかしそれも詮無きことかな。
 本人も自覚してはいないが、時の流れというものは人の憎しみをも容易く流し、小さくしていく。
 世界を滅ぼすのを目標に武器を作って売り続けていたこの男の憎しみも、客に感謝されたり、
 売り上げの上下に悲喜したり、隣の店の看板娘と交流したりするうちに、実際少しずつ丸くなっていたのだから。

「これも情報収集……情報収集だから仕方ない……」

 親父腹をさすりつつ幸せそうな顔で脱力するヘイス・アーゴイル。
 彼が本気を出すのは、もう少し後のことになりそうであった。


【E-5/デパート6F/1日目/早朝】

【ヘイス・アーゴイル@アースF(ファンタジー)】
[状態]:健康、満腹
[服装]:店主服
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、不明支給品1~3
[思考]
基本:殺し合いをつぶす
1:『ハンバーグが食べれる世界』は滅ぶべきではないな
2:デパートを探索
3:ほかの『異世界』も確認しなければ
4:協力するなら『異世界』の住人と
5:自分のチームの優勝は断固として阻止する
[備考]
※サン・ジェルミ伯爵が主催者側にいる可能性が高いと考えています
※異世界が存在し、チームは世界ごとに分けられている可能性があると考えています


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