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変身ロワイアルその6

129White page(前編) ◆gry038wOvE:2014/08/22(金) 21:30:48 ID:KyLliesc0
 彼女たちはここですぐに泣きやむ必要はない。泣き止むのを待って、それから行けばいい。
 しかし、零はそれを待つきはなかった。連絡が取れない現状、冴島邸の面々は心配しているかもしれない。幸いにも冴島邸はここからそう遠くないので、零の単独行動時間も短く済むだろう。

「あ、ああ……だが」
「二人は頼んだ。俺は一人の方が慣れてるし、何とかなる」

 良牙は出かかった言葉を仕舞い込み、「わかった」と返事をした。
 零は、何の気なしに、背中を向けたまま片腕挙げて、気障に去った。
 彼とて、急ぐのだろう。
 いや、急いでもらわなければ困る。

 良牙がいる場所に残されたのは、泣きすすぐ少女と、それをあやす少女。──良牙は物憂げに彼女たちを見つめていた。

(償おうとすれば、何度だってやり直せる……そう信じたいよな)

 たとえ、ここまであかねがどんな罪を重ねていたとしても。
 良牙は、あかねにこの少女の如く償おうという意思があるならば、ここにいる全員さえも敵に回してあかねを守ろうという気持ちがある。それはあかねを一人の女性として恋し、友人としても十二分に好きな相手だったからだ。
 乱馬への恩義でもある。


 しかし────。


 運命は、良牙が思っている以上の残酷を強いる時もある。







 涼村暁たち一行が冴島邸辿り着くまで、さほど時間はかからなかった。
 道中、苦難や障害は無く、ただエンジンを蒸してそこまで車両を走らせただけであった。
 リクシンキ、そして仮面ライダーアクセルの二機は、それぞれ涼村暁とレイジングハート・エクセリオンを載せて到着する。
 おおよそ、残り二時間が差し迫ったほどだった。
 あの後、あそこで少しでもヴィヴィオに関する何かが残されていないかと探っていたものの、それらしい物は一切見当たらなかった。

「────さて」

 仮面ライダーアクセルは装甲を解除し、再度、石堀光彦に姿を変えた。
 一行が辿り着いた冴島邸。
 連絡の通りならば、既にこの場には沖一也、左翔太郎、血祭ドウコク、外道シンケンレッドの四名がいるはずである。
 石堀という男は、この瞬間も胸を躍らせていた。引きつった笑みが思わず漏れる。
 携帯電話を通した連絡ではなく、石堀自身が持つ超常的な力のお蔭で飛び込んだビッグニュース。

「遂に来たか……」

 ああ、思ったよりも短かった。
 光が一人の女性の元に渡ったのである。



『────蒼乃美希』



 いかにも、多人数のパーティの中で目立たない、ごくごく普通の少女であるが、その実態はプリキュアの一人であり、新たなる光の継承者である。よもや、石堀がこの瞬間、裏切りのシナリオを組み立てたとは知らず、新たな光の継承を希望的にとらえている事だろう。

 姫矢准、千樹憐、佐倉杏子──そんなデュナミストたちでは駄目だった。彼らは絶望を知りすぎている。


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