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中学生バトルロワイアル part6

2177th Direction 〜わたしたちの■■■部〜  ◆j1I31zelYA:2014/05/14(水) 23:20:34 ID:xbfq8oaU0

それなのに。
とどめとなる一撃は、なかなか振ってこなかった。
不思議がって、そろそろと瞼を持ち上げる。

仰向けになった視界には、夕日を逆光にした悪魔がいた。
輪郭は陽の陰りですこしぼやけているけれど、それでもその顔ぐらいは判別できる。

表情には歯ぎしりがあり、眼光には充血があり。
眉には、苦悶があった。

ぼんやりした思考をどうにか回して、どうしてだろうと考える。
そして、もしかして自分の体の上に、覆いかぶさるように『旗』があるせいかもと閃いた。
これを取り返すために追ってきたなら取り上げればいいし、
これを見ることが気いらないなら奪って引き裂けばいいのに、
苦悶する相手がどちらも選んでいないからだ。
喉は枯れているけれど、声はまだ出る。
だから結衣は、自分を殺す相手に向かって質問していた。

「これ……取り返して、どうするの?」

逆ギレでとどめを刺されるかなと思ったけれど、相手は答えてくれた。
捨て台詞のように。

「――捨てるさ」

苦々しげな声。
不自然に吊り上がった口元。
デジャヴがあった。
誰かと重なる表情。どこかで触れた感情。
そもそもこいつはなんで怒ったんだろうとか、どうして殺そうとしてるんだろうとか。
とりとめない疑問が湧き上がって、そう言えば『やり直すために七原を殺そうとしている』とか正義日記に書かれていたっけと思い出す。

そして、理解した。

(なんだ…………同じか)

つまり、放送後の船見結衣が選ぼうとして選べなかったことを、こいつは選んだ。
竜宮レナがいなければ歩いていた道を、こいつは歩いてきたらしい。


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