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新西尾維新バトルロワイアルpart6

48×××××&×××××――「あ」から始まる愛コトバ  ◆xR8DbSLW.w:2013/08/06(火) 20:11:04 ID:03.Kayr.0


「愛を忘れてはならない、と私は思う」

双識は目の前の妖怪のような少女に説いた。
大袈裟に手振り羽振り加えて心底楽しそうに、少女・江迎に接近する。
江迎は驚愕の表情を浮かべて、臨戦態勢をとった。
針金細工のような男が場にそぐわない笑顔で接近してきたら女性としては誰だって警戒するだろうが、
この場合、江迎の警戒の意味は少し事情が違う。

「生きている限り人間は誰かを愛する。私は生きることは愛することだと考えているのだよ。
 その辺りきみはどうだろう。まだまだ未熟な可愛い弟なんかには否定されてしまうそうだけどね」

愛情のこもったその瞳が江迎にとって――拒絶の対象だった。
『愛』と無縁の彼女にとって、
そして信頼できると思った球磨川にさえ裏切られた彼女にとって、有体に言えば嫉妬の対象である。
めらり、と。
燃えるような、やきもち。
ぐじゅり、と。
心が腐っていくような――嫉妬。
負の感情がふつふつと煮えたぎり、燃えあがる。

「愛なくしては人間は語れない。うふふ、そうだね。
 きみは『週刊少年ジャンプ』を知ってるかな。あれが掲げるのは『友情・努力・勝利』の三本柱だ。
 そしてその三本とも――愛を起源に、愛を養分として少しずつ進歩していく」

双識は茜色の空をバックに悠長に歩く。
七七七は先の虚刀流との一戦において損失してしまったが、確かに彼は武器となりうるものを所有している。
だが、逆に言うなれば、それは『ただ武器を持っているだけ』という事実に過ぎない。
この異様な――目の前に映る下半分が腐敗物である光景を前に、
余裕綽々と構えていられるほど、彼はそれらしい凶器を持ち合わせていない。

「いやなに、安心したまえ。私は信頼と言う言葉の美しさをつい先ほど思い知ってね。
 如何にしてこの美しさを伝えようか、悩んで四苦八苦しているのさ」

ふむ、と零す。
構えている彼女――臨戦態勢、といっても肉弾戦も得意でない江迎にとってはただの心の準備の問題だが。
まあそれはさておき、そんな彼女を頭から爪の先まで凝視して、観察して、診察する。

江迎からしたら立場がない。
今更――いや最初から不思議としていたが、これほどまでに時間が経過して、改めて疑問へ昇華する。
何故こいつは、零崎双識は、腐りきらない!
そんな江迎の戸惑いの瞳を意に介さず、むしろ相反するように目を輝かせ――。

「さあ! ポツンと突っ立っているきみ! 自己紹介をしあおうじゃないか!
 私と愛をはぐくみあい、今生きていることを、主催陣どもに見せつけようじゃないか!」

江迎の警戒を無為に返すかのように、
何時の間にやら零崎双識は、江迎の間合いへと這入り込んでいる!


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