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新西尾維新バトルロワイアルpart6
255
:
不死鳥(腐屍鳥)
◆wUZst.K6uE
:2013/12/07(土) 12:41:09 ID:BCnupaGE0
奇しくも最初にこの場所を訪れたもうひとりの男、時宮時刻と同様の問題を、鳳凰は今抱えているのだった。
もっとも時宮時刻が失っていたのは片腕だけだったし、疲労も出血の量も今の鳳凰とは比べ物にならなかっただろうが。
「我は……死なぬ」
生気の失せた身体で、鳳凰はそれでも生き残るために気力を絞る。
何か――何か食べるものはないのか。
以前に訪れた際、ここの貯蔵庫は調べてある。食料の備蓄はあったが、どれも凍りついていてすぐに食べられるようなものではなかった。
このままでは、失血で意識を失うのも時間の問題かもしれない。
せめて、失った血を元に戻さねば。
この体に、血を補給できるようなものを何か。
何でもいい、血肉にさえなれば。
血肉になるようなものが、何かあれば――――
血?
肉?
...
血肉。
「――――ああ」
――あるではないか、目の前に。
一刹那ほどの躊躇もなく。
鳳凰は目の前に横たわる否定姫の亡骸に飛び付き、それに齧り付く。
歯で皮膚を食い破り、その下の肉を貪るように啜り上げ。
骨も臓物も一緒くたに咀嚼し、飲み下す。
その姿はさながら、死肉を啄む禿鷹のようで。
神の鳥、鳳凰の名にふさわしい振る舞いなど一切なく。
ただ生きるために。
喰らい尽くす。
◇ ◇
「前に来たときには、わざわざ武器を調達する必要などないと思っていたのだがな――」
『食事』を終えた鳳凰は、レストランの中で使えそうなものを探しながら思案する。
思案の中身は、主催者による定時放送について。
人心地つき冷静さを幾分取り戻したことで、移動の途中で聞いた放送の内容を反芻するだけの余裕を得ていた。
移動中は放送に思いを巡らす余裕もなかったが、内容だけはしっかりと記憶している。
当然、彼の知り合いである左右田右衛門左衛門の死についても認識している。
「…………死んだか」
短く感想を漏らす。余計な言葉は不要とでもいうかのように。
実際、それ以外に何を思えばいいのかわからなかった。
鳳凰にとって右衛門左衛門は、否定姫の腹心という点では危険視してはいたが、仇敵というわけではない。向こうにとってもそれは同じだろう。
鑢七花やとがめがかつて刀を奪い合った間柄でしかないように、右衛門左衛門も、かつて親友だったというだけのこと。
それ以外の何物でもない。
ただ、誰があの男を殺したかのかは若干気になるところではある。
知ったところで何をするというわけでもないし、何かをする理由もないのだが。
ともあれ、今は感傷に浸っている場合でもない。
考えるべきは、これから何を為すかだ。今後の動向について、鳳凰は思考を巡らせる。
頭の中に地図を展開し、発表された禁止エリアの場所に印をつける。自分がさっきまでいたF-8は、すでに禁止エリアになっているのだろう。時間が少しずれていたら危ういところだった。
それから、他の参加者にどう接していくかの問題。不本意ではあるが、これからはより慎重に、保身を優先して接触していく必要がある。
まずひとつは、まだ生き残っている同胞のひとり、真庭蝙蝠を見つけ出して合流すること。
単独行動を常とするのが真庭のしのびの特徴ではあるが、自分がここまで力を削がれてしまった以上、なりふり構ってはいられない。
忍法記録辿りをもってしても、今までの道中で蝙蝠の痕跡すら発見できていない、杳として知れないのが現状ではあるが……
逆に接触しないよう気を付けるべきは、右衛門左衛門亡き今では鑢七花が筆頭だろう。
今は同盟を結んでいるが、それは互いの実力が拮抗していてこそ成り立っているようなものだ。鳳凰の現状が知れたら、同盟破棄はもとよりその場で斬り捨てられてもおかしくはない。
頭の足りないように見える男だが、あの奇策士とおよそ一年間行動を共にした実績がある剣士。そのくらいの計算は働くはずだ。
そして最後は言うまでもなく、あの少年の動向を捕捉すること。
自分の両腕と片足を刈り取った、あの憎き少年。
『櫃内様刻』――自ら名乗ってはいなかったが、図書館で首輪探知機に表示されていたあの名前が、おそらくあの少年の名前だろう。
あの少年だけは、決して捨て置くことはできない。必ず見つけ出し、自分を生かしたまま去ったことを後悔させてやらねばならない。
手足をもがれ、地を舐めさせられたこの屈辱は、万倍にして返してやらねばならない。
自らの手をもってして、必ず。
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