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ニコニコ動画バトルロワイアルγsm3

1名無しさん:2013/04/07(日) 12:38:07 ID:6NYUY/JY0
春です。



本日はニコニコ動画バトルロワイアルに 御アクセス頂き、 ありがとうございます。



ここはニコニコ動画の人気キャラを用いてバトルロワイヤルをするというリレー小説のスレッドです。
大変申し訳ありませんが、 この企画はフィクションであり実在の団体・人物等とはまったく関係ありません。
ルールさえ守っていただければ誰でも参加可能です。



またの御アクセスをお待ちしております。

wiki ttp://www34.atwiki.jp/niconico3nd/
前スレ ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14759/1336579927/
したらば ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15395/

633レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:08:44 ID:BMwVZHXA0

ここでまた海東はもう一つ異変に気がついた。
零し跡の側には再生機があるのだが、よくみるとDVDが差さったままなのだ。
そしてそれに接続されているテレビも電源がはいっている。
入り口に面した四人の居る部屋にもテレビはあったがあちらは電源が切れていた。

「だれかが、ここにいたんですかね。」

そういうことになる。
何のDVDかはわからないが興味を持ったので取り敢えず再生してみた。


〜真夏の夜の淫夢〜

第四章「昏睡レイプ!野獣と化した先輩」


テレビに映像が映し出され、そのようなテロップが流れた後二人の男が映し出される。


「ん〜。いい時には結構いくね」

「う〜ん・・・」

「結構楽だった?」

「こ↑こ↓」

「へぇ〜、すっごい大きい・・・」

ガチャン!ゴドンッ!
乱暴な音を立てて映像の扉が開く。

「入って、どうぞ

「おじゃましまーす」

ギィー、ガッタン!
閉まり音も何所か乱暴である。

「いいよ上がって」

「あっ・・・」

「こっちも大きいっすね〜・・・」

「まずウチさぁ、屋上、あんだけど・・・焼いてかない?」



(クッソ汚いし長いので少し中略)

(なお、この間海東は普通にホモビに見入っていた模様)



「これ以上やると気持ちよくなっちゃう。もういいよ。ヤバイヤバイ」

「喉渇いた・・・喉渇かない?」

「あー、喉渇きましたね」

「何か飲み物持ってくる。ちょっと待ってて」

「はい」



何か嫌な予感がしてきた。
テロップの時点で疑わしかったがこれはもしやただの同性愛者向けのAVではないのか。

634レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:09:40 ID:BMwVZHXA0




「ああ、気持ちイイ・・・。」

「イイよぉ・・・ハァ、ハァ・・・・アアッー、アッ、ンアッー、ンッ・・・ォゥ、ォウ」

「オォン!アォン! ハァ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ、アッ・・・」

「アアッー!ハァハァ、イキすぎィ!イクゥ、イクイクゥ・・・」

「ンアッー!」

「ウン、ウン、ウン、ウン、フン、ウン、ウン、ウン」

「ウンッ!ウンッ!ウンッ!ンッ!・・」

「イキそ・・・」

「いいよ、来いよ!胸にかけて!胸に!」

「アッー、胸にかけて、アッー!・・・ファッ!?」


〜二人は幸せなキスをして終了







ーー結局最後まで見てしまった。

「私の知る写真館には、こんなDVDはなかったはずだが・・・」

この床の零れ跡の正体も何となく理解できた。
これは恐らく映像にも映されていた体液という事になる。
余り想像したくないが、何者かがここでこれを見ながら自慰行為に耽っていたのだろう。
だからといって床を汚染したまま放置するのはいかがな物か。


心のどこかで無駄な時間を過ごしたと思う一方で気がかりなものが一つあった。
あの役者の中で遠野という人物を襲った男は田所と呼ばれていたのだ。


『野獣先輩…いや田所と言った方が良いか』

ここで海東は記憶を巡らせる。
第2回放送のたしかそのような死亡者が呼ばれていた。
田所と言った方が良いか、という呼び方をする事はつまりその呼び名が本来あるべき名である事を示す筈だ。
名字だけなら偶々という可能性もあり得るが、先ほどのテロップには「野獣と化した先輩」表示されていた。
これを略すれば参加者名簿にも記載されている「野獣先輩」となる。
憶測の域を出ないが偶然にしては奇妙な一致である。

もしこれが実際の参加者の情報であるならば他にも、参加者の情報を知る事ができる物もあるかもしれない。
ステルスマーダーとして行動する自分にはこれほど有益な物は無いだろう。

「いいヒントだ 感動的だな」


といった理由で海東は早速再生機とテレビ回りの引き出しなどを漁ってみた。




& & &

635レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:10:47 ID:BMwVZHXA0




「飯の味に関しては流石にどうしようも無いか」

またしてもケンが不満を漏らす。

ムラクモはもうこんなキチガイに一々心の中でつっかかるのは面倒なのでやめる事にした。

「呑むが良い、オレンジジュースだ」

「腹の足しにはなるだろう」

割り切ったような表情で早苗がオレンジジュースに変えた水をデイバックから取り出しケンに差し出す。

あの女の事なのだから毒など入ってはいないだろうが、警戒に越した事は無い。
実際に毒がはいっていたにしてもこうして渡してしまえばキチガイも処理できるのだから一石二鳥だ。

ケンにジュースを取り出した後、ムラクモも食料品を取り出して口に運ぶ。
凡人というものはいつも周囲に流されてばかりでまったくもって芯が無い。
流石に自分もここで周りに合わせて食べておかなければこの女に妙な情をかけられてしまうだろう。
それは正直言って癪に障るのでそういう庇護念はしばらくはこのキチガイに向けてもらいたい。




『首輪の話だが、どうなった?』

食事時が一段落した所でムラクモ支給品のメモに書いた文字をケンに見せる。
所謂筆談である。
これで首輪に盗聴機能があったとしても大丈夫な筈だ。

「あ、わりぃ、ちょっと飯食った跡だからさ、食休み、休ませて」

素っ気ない返事とともにケンは寝込んでしまった。
同時にムラクモは、手に青筋を浮かべながらメモ用紙を握りつぶした。



「おや、星君どうしたんですか?」

早苗が問いかける。
その目線の先にはその場を離れようとする星君の姿があった。

「うん、気になる事があったんでちょっとこの館を調べてみたいと思ったんだDA」

そう答えると海東とは別の部屋に入っていった。


運のいい事もある物である。
海道や星君とも分断できた事だしさっさと首輪の話を聞き出したら、いっそ早苗ごとこのキチガイを殺してしまおうかとムラクモは考えていたが、ふと思いとどまった。

海東という男、おそらくは黒と見て間違いないだろうが何故こんな無力そうな女を殺さないでいるのか。
このキチガイと違って首輪の解除の話みたいな有益な情報も持っていない。
自らの手を汚したくないにしても自分が見ていない間に何時でも殺せたはずである。
何か生かす理由が?



ムラクモが自らへ問いかける。

636レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:11:36 ID:BMwVZHXA0

そして、その答えが出るのは比較的早かった。



ーなるほど、そういう事か。

確かに、生かしておいて得策かもしれない。
これからも、たくさんの仲間を引き入れるのならば。
あの男、実際何を考えているかは審らかではない。
が、スタンスとしては自らの手を汚さずこのゲームに乗る。
これが一番早苗を生かす理由を含めてしっくりくるという物だ。

早苗を生かす理由。
推測に過ぎないが海東はあの女を自分の潔白のシンボルにしたいのではないのか。
まず第一印象の時点で海東を心から信頼できるような人間はそう多くはないだろう。
だが早苗はそんな海東に憧れの念すら抱いている様だ。
早苗という女ははっきり言って頭の程度はそれほど高くなく、疑う事すら知らない。
騙すのもさほど難い事ではないだろう。
信頼されている人間が居れば、それだけでその人物の信頼性を大きく引き上げる事になる。

東風谷早苗、考えてみればこれほど良い駒もなかなかないというものである。
精々自分もそれに肖らせてもらうとしよう。


…ガチャリ。

「!」



「すまない、ここにスカートを履いた少年が来なかったか…あっ!」





⌘ ⌘ ⌘






「うん、気になる事があったんでちょっとこの館を調べてみたいと思ったんだDA」

少し面倒な事になった。
星君はそう思う一方で丁度いい余裕ができたかもしれないと感じた。

海東という男は元々ここに住んでいたような素振りは無いのにこの光写真館を知っていた。
あの男が何か特別なのか、それてもこの施設に何か彼に知り得る要素があるのか。
本来なら自分が彼に詰め寄るのが一番手っ取り早い話である。

だがあの男の表情が、星君にそれを躊躇わせた。

637レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:12:37 ID:BMwVZHXA0

              /. : /⌒ヽ ∨,.≦三==:.、ヽ. \
             ,.イ. : /∠⌒ヽヽ_彡' ⌒ヽ`ヽ ヽ ':, ヽ
            //.:: /: :/´ ⌒` ー '´    ヽミ、 ',  :. :丶
        //.:: /: :/ .: .              ヽミ、 ', :. : .丶
       〃.: : .: :〃 .: .            ',ミ;、 :. :. : . ヽ
       〃.:: : .: .:i| :.: .            ミハ :. ヽ. : . ヽ
       ,' .: : : : : :儿_,.-='≧:.    .;≦三ニ:.ヽ'ミ人. :. . ヽ、._ ',_
     、i .: : : : : ;レ'イ'´_,..,_`ヽ.   .:  _,..,_ `ヾ\:.≧==ニ二 > 、
     ヽ._彡.: : : リ ;'_イ'じノヘ ';:. . : ∠じリ>.、_ \≧==ニ ='⌒ヽ  
     ._,.イ.:: : ノ.: .:`¨¨⌒ ;:':; . : ::. . .::⌒     :乂 ー-=彡ヘ ':.   
     ≧=ー .:彳.:: .:      ,' .:; .: :  .:: .      .:从':.、: : .ヽ、)′ 
     三:._彡'.::从:: .:    .イ:::;'  .:   , 、: .      :|lヽヽ`:.、: . 〉  
     /.:/.: ;厂ヘ.: : :. / `'ヘ、_ , -:'  \     :リ ヽ \`:.、
      乂 .:: :人__八 : .′ _,..,_    _,,..、 〉    从_ .ノヽ冫〉
      ヽ: ;' .: : : :∧  : <L.T^Y^レイ:/     .:////イ′
       ヽ\ : :/. :ト、 .   \`'┴ イ/   . :,イ|// . : : :/
        \|l : : :ノ| ';.丶   `¨¨ ´   , : , '  |/, : : ; ;'
            〃: :〈│: '; .ヽ: .        ,.:' :/  .:|八: :ノノ
          八:、;ゝノ: : : : . ヽ、: : . ._.; .;' : : '   . : |、彡'
            ` 爪: : : : : : : : : : : : : :      . : ;ハ、
            ,イ│\: : : : : .            . :/  |:.\


↑常にこんな顔をしているのだ。怪しすぎる。
何だあのいかにもうさんくささの漂う貼り付けたようなにやつき方は。
まるで『私は何か企んでいます』と書いてあるような物だ。
元々人間なんてハナから信用していないが、あの顔はその不信感に一段と磨きがかかっている。
今はこうして穏健派を装って居る以上、今あの男が本音を吐くとは思いがたい。
何か都合の悪い事でも聞かれれば適当な嘘を吐いて自分たちを混乱させてくるだろう。
できるだけ、海東に依存するのは控える。
そして、解決できる謎は自分で解決していく。

そう思ったが故の、この館の探索行動であった。

考えてみればこの人間の集まりで利用できそうな者は少ない。
ムラクモといっていた少年だが彼も少し妙だ。
海東程露骨ではないがあの目つき、産まれもって身に付いているにしては鋭すぎる。
それは非力な少年の眼というよりは獲物が隙を見せる瞬間をじっと待ち続ける蛇のそれに近い。
仕草や歩き方も気になる事がある。
背丈からしてだいたい年齢は10にも満たないであろうが、それにしては隙がない。
常に周囲に気を配り続けており、後ろに立っていても見られているような気分だった。
結果的に見れば、恐らく何らかの訓練を受けていると見て間違いない。
悟られない程度には警戒しておくべきだろう。



そんな事を考えながら星君が入った海東とは別の部屋。
少し広いが物置きの様だ。
棚にはDVDやらBDやらが仕舞われており、下の方には今では珍しいVHSなどが所狭しと敷き詰められている。
床に置かれたカゴを見るとフィルムが入っていた。
星君は直感的に匂うと思い、DVDやらBDやらがはいった棚の方から気になる物が無いか探した。


「…?」

638レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:13:27 ID:BMwVZHXA0

見つけた。気になる物を。

[人造昆虫 カブトボーグ V×V]とパッケージに書かれたDVD。
問題はそのパッケージイラストである。
さっき自分が戦っていた人間ーーケンというらしいーーがこのパッケージイラストに写っている人物のそれではないか。
ケンという奴はこうして人間達の間でメディアにもよく顔をみせているのか。
となるとこの殺し合いに参加させられる人間は一定の世間への知名度を参加者の判断基準にしているのだろうか。
だがそれなら何故自分が参加させられている?
美少年の転校生という芝居書きの元で泉研に近づく予定はあったが、テレビに出た覚えは無い。
仮にそんな事をしたらかえって動きにくくなる。
自分はジュラル星人の中でも単体で見ればかなりの強さを持つエリートとと自他ともに認めている以上、そんな事をする理由も無い。
何はともあれ、内容も含めて後ほどケンに聞いてみる事にしよう。
そうして人造昆虫 カブトボーグ V×VのDVDをデイバックに入れる。
ついでに同じ物もいくつかあったのでそれも纏めていれておいた。

デイバックにDVDを入れた後、軽く外の様子を確認し、見ている人間が無い事を確かめた。
その上で星君は物置き探しを再開する。
今度は先ほどの棚とは違う棚を漁ってみた。
見るとこちらの棚の上には妙な物がある。
透明のケースの中に入れられた精巧な人形のようだ。
大きさは8センチから15センチ程であり、どれも綺麗に並べられている。

ここでまた一つ、気がかりな物を見かけた。
ケース内に並べられた人形の内の一体だが、それが早苗とか言う女の容姿と一致する。
緑の髪、白い装束、青い袴、どれをとっても大きさ以外は本人と瓜二つだ。
彼女もまた精巧な玩具が作られる程、人間共の間で著名な存在なのだろうか。
逆の考え方もある。
彼女らがこのような作品を模した服装を着ているとしたら。
となると海東も何かの人物の模倣をしているのだろうか、その割にはただのフォーマルな服で見分けがつきにくいが。

これも機会があれば早苗に聞いてみる。
早苗という人間は海東やムラクモと違って表情や目つきに一切曇りが無い。
根っからの正直者で今も穏健派として動いている。
あの女なら嘘を吐く事は無いだろう。実際駒として利用できそうだ。
早苗の人形をデイバックに入れ、星君は再び棚の中を探す。

こちらにもDVDやBDが入っている様だが、ちらほらゲームソフトの類いも見られる。

…[Fate/Zero]

…[日常]

…[DEAD RISING]

…[HUNTER×HUNTER]

…[探偵オペラ ミルキィホームズ]

…[THE IDOLM@STER]

…[チャージマン研]

!?

ハッと気付いたような顔で[チャージマン研]のDVDを見つめ直す。
星君が驚くのも無理は無い。
何故か、理由はそのDVDのパッケージイラストにあった。
見間違えようが無い。それは自らの宿敵である泉研が大きく写し出されているのだ。
何故研がここに。否、やはりと言うべきなのだろうか。



…ガチャリ。

639レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:15:19 ID:BMwVZHXA0

「!」

物音。
同時に星君は部屋の扉の方に目を向けるが、異常や変化は無い。
ここではない別の部屋からの物音の様だ。恐らく入り口の広間からだろう。
扉の向こうから声が漏れる。

「…すまない、ここにスカートを履いた少年が…」


誰かが来た。
どうせ人間だろうが口ぶりからして襲撃が目的ではないだろう。
取り敢えず目欲しい物はそれなり見つけた事だし探索はもう切り上げても良い。
DVDをデイバックに入れ、来訪者を確認するために星君は部屋を出た。





♩  ♩  ♩





「ヴォー…」

結局こんな日暮れまで探してしまったが、未だ音沙汰はない。
麗華達と別れてから三、四時間は経っただろうか。
遊星はどこか施設に居るのかもしれないと踏んで道中ホテルや王宮も見て回っていた。
だが両方とも蛻の殻であった。
建物を見ても半壊しており、安全は保証できそうにない。
皆ここを拠点にしている可能性は低いだろう。

そういった事情の中遊星が地図で見つけたのは光写真館と呼ばれる場所であった。
写真館と言うと美術館や博物館のような施設のイメージが沸く。
人が落ちつける場所かと言われると微妙だがそういった場所にも医務室の類はあるだろう。



「ここが…光写真館…」

今、遊星の目の前にある建物こそ光写真館である。
外見としては民家が二つくっついたくらいの大きさに少し洒落の利いた外装が施されている様だ。
一見床屋のようにも見えるそれは美術館や博物館のような施設のイメージを持っていた遊星を意外に思わせた。
それなりに急いでここに来たつもりだが時計を見るともう5時15分を回っている。
次の放送はここで聞く事になりそうだ。

窓から光が漏れている。
中には人が居ると見て間違いないだろう。
遊星はDホイールから降り、入り口のドアを開ける。



「すまない、ここにスカートを履いた少年が来なかったか…あっ!」




「誰…ですか?」

東風谷早苗が素っ気なく返した。

まずい、順番が逆になってしまった。自己紹介を先にしておくべきだった。
とは言え、自分が探し求めていた人間を見つけ出す事ができたのは大きな成果である。


当のスカートをはいた少年、ムラクモにも自分の事は覚えてくれていた。
恐らく、表情からしても確実にスカートを履かせられた事をまだ怒ってはいる様だが。
ムラクモの事は権兵衛が言っていた早苗達が見つけてくれた。
今生きているかはわからないが彼には感謝しておかなくてはなるまい。
早苗達は今参加者達を味方につけ大きな集団になっている。
自分が協力しない理由は無い。

640レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:16:22 ID:BMwVZHXA0


現在遊星は早苗達の中に溶け込み、情報交換を進めていた。
今までであった人物、自分の居た世界の話、この会場に対する推測。
恐らく教えても問題ないだろうと判断した範囲まで遊星は話した。

情報交換の中で泉研には気をつけてほしいと星君に教えられた。
話からして朝方出会った黄色の少年の事だろう。
確かにあれは正義の味方という割には容赦がないというか、キチガイ染みた様子だった。
やはり殺し合いに乗っていたのか。

教えても問題ないだろうという範囲を選択する、砕いていえば全部教えない事であるが端から見ればそれは妙かもしれない。
別に遊星は早苗を疑っているわけではなかった。

問題は自分がこの館に入りしばらくして部屋から出てきた男ー海東純一というらしいーだ。

『海東には気をつけてください。明確な根拠があるわけはありませんが……あの男は怪しいです」

遊星は記憶を掘り起こす。
昼頃出会った権兵衛が自分との別れ際に聞かされたセリフである。

(海東純一か…確かに怪しいな…)

いわれてみれば確かに怪しい所がある。
早苗の憧れる人物だというが…



        __ ,.,.,. -‐==ミ            x==‐- .,.,., __
       /.:.:.:.:.::::::::::::::::::::::::}         {::::::::::::::::::::::::.:.:.`ヽ
.      /''"´ ̄ ̄   ```: .、      〃´´´     ̄ ̄`ヽ
     /    _, ==ミ     ::ヽ           , ==ミ,_      ヽ
        〃_xく(:::じ::)`ヽ   .:::       ,ィ (:::じ::)`ヾx_
        ^ニ二二ニ''^ ノ .::}      ^ニニ二二ニ´
          ⌒>‐--   彡 .::|      ヾ..   --‐<⌒
        /           .:::|                   ヽ
                    .::::|  i
               /^ヽ.:::::|  i    ヽ
                 {  〃 .:       }
           /   ー-、      .-‐ ''     \
              /       ヽ. __ ,ノ          ヽ
          {           、_              }
             ::__.:.:.:.:.:.:.:.J.:.:.:.:.:.:.:.__;:
             ヽ i^Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y^i .ノ
                    \!._{__|__}_.!/
                      、:::::::::::::::::::::::::::,
                    `二二二二´



↑常にこんな引きつったような笑顔をした人間を信じろと言う方が難ではないのか。
雰囲気からして、少年少女達を纏める冷静な大人、と言った印象を受けるがそれには表情が場違いである。
人は見かけによらないとは言うが、初対面の人間には正直第一印象でしか判断できない。
権兵衛もまた同じ気持ちであったのだろう。


一応本来の海東はこんな朝から晩までオリジナル笑顔を振りまくような人間ではないのだが。
このバトルロワイアル会場はニコニコ動画バトルロワイアルであるという事を忘れてはならない。
奇妙なハサンダンスが強化されていたアサシン同様、知らぬ間にニーサンにもニコニコ補正がかかっているのだ。
こんなうさんくさい表情に本人が気づかないのも、その補正の一環である。

641レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:17:40 ID:BMwVZHXA0







情報交換を一通り終えた後、遊星は本題に入った。
いつの間にかケンも起きている。
ちなみに遊星のデイバックから顔だけ出していた淫夢くんは今、早苗の膝の上で可愛がられている所だ。

「その動物、なんて種類かわかるか?」

その言葉に合わせて遊星は話し合いの間に予め書いておいたメモを見せる。

【突然で悪いが早苗以外は静かに各自で筆記用具を用意してほしい】

それを見て一同はおもむろに筆記用具を取り出す。
少しだけ、早苗は遅れて取り出しながらこたえる。

「え、えっとなんでしょうか…リスザルかキツネザルか…アイアイにも見えますね」

【やはり盗聴機能?】

ムラクモが最初にメモに書いてみせた。

「生き物には、詳しい人はいないのか?」

【はい、まずはコレを見てほしい】

そう書いて、遊星はまたメモを渡す。
それは昼頃権兵衛達にみせたメモであった。
一同がそれぞれ回し読みしていく。


彼らのメモに対する反応は多種多様。
だが、大局としては勝治がここまで放送で呼ばれる事への納得であった。


皆がメモを回し読みしている間も遊星はメモに綴る。
遊星は以外と字は丁寧に書く方であった。

【とりあえずここで放送がおわったら勝治の首



ガタンッ!






「誰か居るんじゃなイカ!」


物音。そして同時に放たれる声。
遊星含めた一同が二人目の入り口の訪問者へ再び目を向ける。



「どうした!?」

思わず遊星が訊く。

642レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:19:43 ID:BMwVZHXA0
声の主は奇妙な青髪の少女であった。
早苗もその姿を見て遊星に続いて反応する。

「あらかわいい、お名前は何でしょう?」

「あ、イカ娘でゲソ!」

青髪の少女は早苗の問いかけに対しイカ娘と名乗った。




イカ娘が言うに元は街に向かう予定だったが通行ルートでここを見つけ、明かりが付いていたから様子を見に来たらしい。
こんな一人で歩いていてよく誰にも襲われなかったものだ。

そしてイカ娘は今まで出会ったあかりや襲撃者の事、南の海の家れもんの事、自分も持ち物の事を包み隠さず話した。
出会った時点でまだ彼らが味方どうか確定していないのに自分の手の内を明かしてしまった辺り、いかにしてイカ娘が追いつめられているかが伺える。
そこに遊星達が疑う余地はなかった。


「で、君のさっき首輪を回収したといっていたな。それを見せてくれないか?」

「わかったゲソ」

話も一区切りついた所で遊星の提案にイカ娘が答える。
本来なら壊れているはずの勝治の首輪で解析してみたかったが、無人の首輪なら尚安全だ。
これならもし爆発機能だけは作動していたとしても、人が死ぬ事は無い。

「ありがとう」

早速遊星はデイバックから工具を取り出し、イカ娘から受け渡された首輪の解析を始めた。





♯ ♯ ♯





(((こいつは使えそうだ)))

星君、ムラクモ、海東の三人の中では無駄に洗練された無駄の無い無駄なハーモニーが発生していた。

星君としては自らの警戒対象たるムラクモや海東もこいつを利用する気だろうと考えていた。
それにしても奇妙な髪だ。
先ほどの遊星は頭に蟹でも乗っけているのかと思いきやその蟹と一体化したような髪型であったのだ。
そしてこのイカ娘もイカと一体化したような髪型をしている。
まさか二人は人間ではないのだろうか。
もしそうなら協力をあおげるかもしれない。
特に遊星は利用価値が高いだろう。



「みんな!見てくれ!」

唐突に遊星の声が響く。
見ると遊星はやはりメモを皆に見せた。

643レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:20:51 ID:BMwVZHXA0




『早速イカ娘の持ってきた首輪を解析してみた

 だが思ったよりかなり簡単な構造

 さっき見せたメモのように勝治のが壊れていたとしても十分納得いくレベルに

 この首輪の正確な機能もわかった

 まず爆弾とそれを起動する装置(以下爆破起動装置と書く)

 この装置は恐らく主催者側が任意で起動する事もできるのだろう。

 禁止エリアに入った際に警告するスピーカー 全て自動音声の様だ

 次に動きを感知する装置 これは参加者の生死を知る為の物だろう

 ついでにこれが一定以上の強い力を感知するとさっきの爆破起動装置に働きかけるようになっている様だ

 そして盗聴機能 これはみんなも薄々感づいていたと思う

 さらに位置情報機能もついていた 爆破起動装置とも接続さされていた事から禁止エリアと同期をとる為の物であるようだ。

 ここまで書いたがこの割に首輪の分解や解析などの行為に反応して爆発するような対策プログラムは付いてなかった

 結論を言ってしまえば爆弾の調達はともかくこのレベルなら自分でも作れるような物体だ

 つまり、みんなの首輪は自分なら解除できる』



皆がメモを読み終わる頃、遊星はもう一つの物を皆に渡した。
取り外した遊星の首輪である。

「おお!すげーじゃん!ほんとにく…」

首輪の解除という事実に興奮しうっかり声を出そうとするケンの口をムラクモが押さえる。
反対の手で「よくやった」と書いたメモを遊星に見せる。

「ああ」

と、言うわけで早速遊星は一同の首輪の解除に取りかかった。
最後に海東の首輪も解除した後で丁度第3回放送の時間となった。






〒 〒 〒






「ふむ、やはりこの首輪が原因だった様だ」

644レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:21:44 ID:BMwVZHXA0

光写真館のトイレで星君が呟く。
しかしそれは参加者としては「星君」だが皆の知る「星君」ではない
星君は首輪を解除された事で急に体が軽くなった気がしたのだ。
もしやと思いトイレに入り、変身を解除してみた。
すると即座に手足が細長くなり、肌は赤黒く変色し、着衣は霧散し。
星君はいわば本来の姿、ジュラル星人のそれに戻った。

しかし、今はこの姿で行動するメリットは無い。
少なくとも早苗や遊星を生かしておく必要がある間は。
そして十秒と経たず、星君は元の少年の姿に戻り、トイレから出た。

(それにしても海東は何を…)

参加者の中に潜り込む中で避けては通れない海東の存在。
このまま行けば確実に隙を見て誰かを殺すはずだ。
とは言え、誰を殺すかはかなり見極めた上で行うだろう。
早苗は海東の事を大分信用している様だし、遊星も首輪を解除する技術があるのだから早々に捨てるとは考えがたい。
そうなれば、自分かムラクモかイカ娘か。
自分をが狙われる事似関しては遊星と接点を深めていけば奴はそう簡単に手出しはできないはずだ。
その線で行けば遊星に探されていた人間の様だしムラクモも殺害対象から外れるか。
それなら問題はイカ娘かー

そうだ。
一人忘れていた。
ケンという奴の存在を。
あいつはキチガイだ、泉研と同様に。
名前が同じなのはそういう繋がりがあるのだろうかと問いたくなるレベルに。
いくら上辺で仲間を集めると言ってもキチガイまで欲する事は無いだろう。
何よりケンと自分は海東が来るまで殺し合っていた関係だ。十分亀裂が生まれる原因にもなる。
そもそも自分が彼を生かす理由も首輪を解除できるかもしれないという話に付いてきただけだ、奴も同じ考えである可能性は低くない。
総じて、海東にとってイカ娘以上に殺すメリットと殺さないデメリットが大きい。

わかったぞ。
海東はケンを殺す気だ。

自分としてはそれに反対する理由も無いし、むしろ有り難い。
このゲームで問われている事は「一番殺したのは誰か」ではなく「最後まで生きのこったのは誰か」である。
無理に点数を稼ぐ必要は無い。
それに海東の真意を探れるきっかけになるかもしれない。
思い通りに事が進めば、人はつい気が緩みやすくなる物だ。

ならば泳がせてみるか。







‡ ‡ ‡

645レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:22:41 ID:BMwVZHXA0







 …まあ気張って早く殺しあうんだな。
 それと忘れるところだったが、禁止エリアの指定だ。

 19時にD-2 20時にD-3 21時にG-2 22時にG-3 23時にG-4 24時にF-3だ

 そういうことだ。精々がんばるんだな』

同時に西から爆音が押し寄せる。
それきり、放送は聞こえなくなった。

(ディケイドが死にましたか…意外ですね…)

海東は最後の順番で遊星に首輪を解除してもらった。
そして外し終わった直後で放送の時間となった。
解除した首輪は遊星が何かに使えるかもとデイバックに入れた。


「なるほど、そういう事だったか…」

解除した首輪を前に遊星が呟く。

「落ち着いて下さい、遊星さん」

「まあここら辺の事は読めてたようなものでした」

「彼らはハナから首輪に拘束力を期待していなかった。という事ですね」

「悔しいが…そういうことだ」

(この男はもう用済みではありますが…まだこの技術を利用する機会は十分にあるでしょう)

(しかし、このキチガイは…完全に不要ですね。殺しても問題ないでしょう)

海東はケンを見る。
首輪を解除した事でまだ浮かれている様だ。
考えながら、遊星と話を続ける。

(先ほど訊いた限りではあのリュウセイの仲間のようですね…)

(友人を山車にすればこいつを誘き出して殺す事もできるでしょうが…)

(不動遊星…少しばかり邪魔ですね)

この不動遊星という男、先ほどから常にこちらを視界に入れている。
端から見ればそういった嗜好の人間にもみえる。
ちょうどあのAVの野獣と化した田所とやらの目もあんな感じだった。
だがそうではないだろう。
自分の事をかなり警戒している様だ。
これでは少し動きにくい。



「遊星さん、たなびたい事があるんだ」

不意に遊星に向けられた声は、星君からだった。
当然ながら遊星が答える。

「何か用があるのか?」

「うん、ちょっと来てほしいんDA」

646レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:26:21 ID:BMwVZHXA0

「わかった、できれば早くしてくれ」

そういって星君と遊星は先ほど星君が調べた物置きに入っていった。

珍しい事もある物だ。
だがこのチャンスを逃さない手は無いだろう。
幸い早苗とイカ娘はあの獣に夢中だ。

手招くようにケンに声をかける。

「ケンくん、ちょっと訊いても良いかな?」

「ん、なんだおっさん?」

「まあついてきてほしい、リュウセイ君の事について君からいろいろ訊きたくてね」



そういって海東は目立たないようにケンを館から連れ出した。

電磁サイリウムを後ろ手に持ちながら。



「で、リュウセイがどうかしたn…」








(腹パン)

強烈な痛みがケンの腹部を襲う。
それが海東の拳によって行われた。と知った時にはもう遅かった。

頭が痛い。否、痛いを通り越した何か。

ー何かで叩かれている。

ーヤバい、ーこのままじゃ死ー


「てめっ…!」

ケンはそれでももがく。

だが。










【竜昇ケン@人造昆虫カブトボーグ V×V 死亡】








(思ったより手こずりましたね…)

647レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:27:15 ID:BMwVZHXA0

今はもう「ケン」ではなく「死体」に成り果てたそれを抱かえ、海東は心の中で呟いた。

(ブレイブバックルの制限が解けていないようなのは困った所ですね…)

首輪とは別に課せられているのか、ブレイブバックルの制限が解けた様子は無い。
とは言え変身しては目立つ可能性があるので解けたとしてもここでは使わなかったであろうが。
変身して殺すのではなく、豚の屠殺のようにケンの頭に電磁サイリウムを叩き付けて殺す事になった。
結果としては十分良い方だろう。
返り血も付かないので大分怪しまれにくい。



(どのみち此処にはもう未練は無いですし、ここから動いてしまえば死体は見つからないでしょう)

そう思い、ケンの死体は裏の草むらにでも隠す事にした。
落ち葉の山を掘り返して遺体を置き、その上に枯れ葉や枯れ草を積み上げる。
これで遠目にはわからないだろう。
我ながら完璧



「見てしまったぞ」





…ではなかったようだ。

厄介な事になった、が。

「そう敵意を向けなくて良い、むしろお前の判断は正しい」

「そいつが本当に首輪を解除できたかは最早どうでも良い事だからな」

「私はあなたを殺そうと考えている所なのに…妙に友好的ですね」

「当然だ…今お前を失うのは少々惜しい気がしてな」

「私の部下になれ。見逃してやる」

これは交渉という物だろうか。
だが海東は目的の為なら手段を選ばない人間である。そこに恥も外聞も無い。

「参りましたね…」





「…いいでしょう」

故に交渉は成立した。
そしてムラクモはフン、と小さく笑いを漏らした。


やはりこうするだろう、とムラクモの予想は当たっていた。
キチガイには何か特別な力がある。
などという憶測を付けてこのケンというキチガイに興味を持ち、殺さず様子を見ていた。
だが遊星の手によって首輪が外されてしまった以上この男は不要。
最も首輪が無くても主催側は参加者をいつでも殺せるとわかった以上遊星の助力も徒労に終わってはいるのだが。



§ § §

648レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:28:24 ID:BMwVZHXA0



(まずい…海東から目を離してしまった)

星君との話を終えた遊星は急いで広間の部屋に戻る。

しかし、そこに海東の姿は居ない。
そしてケンとムラクモの姿も無かった。

(遅かった!)

「海東は何所に行った!?」

「えっ…そういえばいませんね、何所へ行ったのでしょう?」

「クソッ!」

遊星は舌打ちし、入り口の扉を開けようとする。
ノブに手をかけようとした瞬間、逆側にノブがひねられ扉が開く。
つまりそれは、向こう側の人物が遊星より先にドアを開けたという事。

「遊星さん、ケン君が…!」

ドアを開けたのは海東であった。

「ケン君が…だと、お前」

遊星は怒りをあらわにする。
こうも速く動いてくるとは思わなかった。

「ケンがリュウセイの所へ行くと言って、一人で何所かへ行ってしまったんです」

「それは本当なんだろうな」

遊星は疑ってかかる。

「念のため此処の辺りを調べさせてもらっても良いか?」

「そう疑うな、この男は間違っていない」

いつの間にか海東の隣に居たムラクモが会話に割って入る。

「俺も見た。北の方に走っていくケンをな」

「そうか…」

「だが何故止めなかった?」

「止めたられたならこんなに騒いでないだろう」

再びムラクモは答える。

「実際ケンは一人で突っ走るような奴だしね」

星君も会話に加わる。
一応納得したのか、遊星は口を閉じる。

「…わかった、北の方に向かったんだな?」

「はい」

間を置いて遊星が振り向く。

「みんな、ケンがリュウセイって人の所に勝手に行ってしまったらしい」

「探しにいきたいが此処で別れると危険だと思う。だから一緒についてきてくれないか」

「大丈夫だ、問題ないゲソ」

イカ娘が遊星の呼びかけに応える。

「よし、じゃあ準備ができたら行くぞ」


こうして陰謀渦巻く一行は見事遊星らの籠絡に成功した。
星君、ムラクモ、そして海東の真意は何なのか。
それを皆が知るのはそう遠くない未来であろう。

649レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:30:19 ID:BMwVZHXA0



【H-04 光写真館前/1日目・夜】



【海東純一@仮面ライダーディケイド】
[状態]:( ^U^)申し訳ございません、このような健康体で。首輪解除
[装備]:グレイブバックル@仮面ライダーディケイド、電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER
[道具]:基本支給品(一食分消費)、電光戦車@エヌアイン完全世界、外部AI@MUGEN
   AT-4@魔法少女まどか☆マギカ、権兵衛の書置き(偽)
[思考・状況]
基本:優勝して、元の世界を支配する。
 0:取り敢えずここを離れる。
 1:街にでも向かってみましょうか
 2:表向きは対主催として振る舞い、集団の中に潜む。
 3:早苗達と行動を共にする。 特に遊星は生かしておいて損はない
 4:ノーリスクで殺人が可能な武器が欲しい。
 5:グレイブバックルの制限は首輪とは別にかけられている様だが…。
 6:ディケイドは死んだか…
 7:AIを搭載した電光戦車は切り札。
※「ディエンドの世界」編終了後からの参戦
※鬼柳とさやかを死んだと思っています。
※大変胡散臭い表情をしていますが、本人はそれに気付いていません。
※グレイブバックルは一度使うと2時間使用不可になります。
※電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER、AT-4@魔法少女まどか☆マギカを早苗から譲り受けました
※早苗のことは別の世界の仮面ライダー住民だと思っています。
※権兵衛の書置きを偽造する為、支給品のどれかの説明書の端を破り取ったようです。
※ブレイブバックルの制限は支給品として独立してかけられている為解けていません


【東風谷早苗@守矢一家コスプレ劇場】
[状態]軽傷、霊力消費(小) 首輪解除
[装備]無し
[道具]基本支給品 (一食分消費)
    VGカード『幸運の運び手エポナ』@カードファイト!!ヴァンガード、権兵衛の考察メモ
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
0:ケン君を追いかけないと
1:権兵衛を追って光写真館に向かう。
2:ムラクモを守りたい。
3:海東さんはさすが仮面ライダーだ!
4:北東から見えたあの光は……?
5:守矢の巫女として信仰を集める。
6:博麗神社は後で改めて訪れたい。
7:権兵衛さん…
8: \  /
9: ●  ● この会場では常識に囚われてはいけないのですね!
10:" ▽ "
11:ケン君は更正させなきゃ(使命感)
※権兵衛が光写真館に向かったものと思っています。
※海東を正義の仮面ライダーだと信じて疑っていません。
※ムラクモはただのミリオタの少年だと思ってます。


【ムラクモ@アカツキ電光戦記】
[状態]:貧血、疲労(中)、ダメージ(中)、右足に刺し傷(処置済)、身体が十二歳程になっています 首輪解除
[装備]: 六〇式電光被服@アカツキ電光戦記、十六夜咲夜のスカート
[道具]:基本支給品(一食分消費)、マッド博士の整形マシーン、ポラロイドカメラ、
[思考・状況]
基本:主催も含めて皆殺し。
1:早苗はいつか絶対に殺すが利用できるなら生かす。
2:海東を警戒しつつも一時的に協力。
3:無力な少年を装い彼らと行動を共にして隙を見て支給品を奪い殺す。
4:怪我の回復にも専念する。
5:早苗を利用すればオリーブオイルを入手できるかもしれない。
6:もこみちざまあwwwwwwwwwwwww
※海東が自分の思惑を見抜いていると思っています
※権兵衛の考察メモを読みました。
※早苗が現人神である事、奇跡を起こす程度の能力の一部を知りました。

650レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:31:08 ID:BMwVZHXA0



【星君@チャージマン研!】
[状態]:右手に野獣先輩のアレが付着
[装備]:金属バット@現実 、キリン装備@モンスターハンター、地の石@仮面ライダーディケイド、首輪解除
[道具]:基本支給品(一食分消費)、双子シグナーカードセット@遊戯王5D's、謎の白い液体@THE 世界遺産、王宮内で手に入れた食料と武器、フランクのカメラ@デッドライジング、
   射命丸のカメラ(30/30)@東方Project、士のカメラ(30/30)@仮面ライダーディケイド、
   射影機(30/30)@零〜zero〜、カメラのバッテリー@現実×2、十四式フィルム(30/30)@零〜zero〜×2、フィルム@現実(30/30)×3
   カブドボーグとチャ-ジマン研のDVD、早苗のフィギュア
[思考・状況]基本思考:母星や仲間のために殺し合いに乗る。
0:海東の目的を知る為、敢えて泳がせてみる。
1:チャージマン研は最優先で抹殺する。
2:チャージマン研、アルセーヌ(名前は知らない)を警戒(特にチャージマン研)。
3:これから毎日、不意討ちしようぜ!
4:遊星とイカ娘は人間なのだろうか。
※参戦時期は不明ですが精神病院の事は知らないようです。
※遊星に何を頼んだかは後の人にご一任します。


【イカ娘@侵略!イカ娘(イカ娘の侵略実績のご紹介)】
【状態】】疲労(小)、深い悲しみ、殺人者への怒り、強い決意、首輪解除
【装備】いつもの服(少し破けてる。あかりの血で汚れている。)
【道具】ヴェルタースオリジナル×1、ポケットに入るだけの食料品(すぐ食べれるような物)、地図
    毘沙門天の槍、ドーピングコンソメスープ×2本@魔人探偵脳噛ネウロ、ATTACK RIDEてれびくん@仮面ライダーディケイド
    観葉植物くん@真夏の夜の淫夢、DMカードセット(氷結界の龍ブリューナク、グングニール、トリシューラ)@遊戯王DT
【思考・状況】
基本:殺し合いを止め、主催を打倒する
1:他の参加者と協力する
2:あかり……
3:どうやってれもんをここに持ってきたんだろう?
※E-09にあかりのバックが放置されています。
※海の家れもんを自分の世界から何らかの技術で持ち出された物と考えています。
※ポケットに入るだけの食料品はデイバックに入れました。
※首輪探知機は見落としました。


【不動遊星@遊戯王5D's】
[状態]:疲労(小)、主催者達に怒り、首輪解除
[装備]:デルタイーグル@遊戯王5D's(操縦中)
[道具]:基本支給品、サイバーZ一号のベルト@真夏の夜の淫夢関連、レッド・デーモンズ・ドラゴン@遊戯王5D's(二日目午前まで使用不可)
ライダーズカード一式@仮面ライダーディケイド、沈黙の騎士ギャラティン@カードファイト!! ヴァンガード
大量の玩具@現実、玩具を弄る為の工具@現実、武器になりそうな物@現実(包丁や鋸など)、鬼柳のハーモニカ@遊戯王5D's
解除した首輪×7、分解した首輪
[思考・状況]基本思考:殺し合いの打破
1:ケンのもとへ向かう。
2:海東純一を警戒。先程の爆発との関連も考慮
3:ありがとウサギ…
4:首輪の構造の簡素さに疑問。
5:自分のカード達や仲間を探す。
6:勝治を攻撃した誰かに警戒。
7:許せ、少年
※勝治が今までしてきたことを聞きました。ただし、アルセーヌを覗き見してたことは聞いてません。
 また、田所(野獣先輩)が勝治に一服盛ったと思っています。
 また、ケンが生きてると言う勝治の説に疑心的です。
※勝治の首輪には不具合が起きていると推測しています。
※主催側に何か不都合な事が起きていると推測しています。
※権兵衛からリュウセイと少年(ムラクモ)の現状、危険人物の話を聞きました
※麗華達と情報交換しました。
※この会場が人工的に作られた物では無いかと考えています。


【淫夢くん@真夏の夜の淫夢】
[状態]:疲労(微小)
[思考]:基本思考:ヴォー・・・
0:ヴォー・・・
1:ヴォー・・・・
2:ヴォー・・・・・
3:ヴォー・・・・・・

651レ陰謀クルーズ ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:32:06 ID:BMwVZHXA0











: : :











海東がミスを犯していたのだろうか。
もしそうなら海東がもっと入念に首をおるなど処置をしておけば良かった話である。

だがそうだったにしても、死ぬ死ぬ詐欺とは簡単には破れない物である。
しかし本来ならケンには死ぬ死ぬ詐欺は余り起こっていない。
首輪の解除による制限の無力化か、それともニコニコ補正か。

ただ、はっきり言えるのは写真館の裏にはまだ小さな命の灯火が残っているという事である。



【竜昇ケン@人造昆虫カブトボーグ V×V 生存確認】



【H-04 光写真館裏/1日目・夜】



【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグ V×V】
[状態]:疑心暗鬼 激しい怒り、天才、 奥義チャイナクック・マーベラス・満漢全席を取得、早苗に惚れた 、疲労(小)、首輪解除、意識不明
[装備]:エレクトリカル・スピードワゴン@人造昆虫カブトボーグ V×V
[道具]:なし
[思考・状況] 基本:皆、俺に着いていけないのでボコボコにする。
0:あのニヤついたおっさんは殺す。
1:色んな奴をボコボコにして天野河リュウセイを誘き出す!
2:さっきのオッサン達もボコボコにする。
3:早苗は可愛いし、変な生き物や男じゃなさそうだから一緒に居てもいいかな。
4:あのムラクモって奴もカツミ並みにスカート似合ってたな。
※松岡勝治が死んだと思っています
※正気に戻りましたが、錯乱しています
※この会場にいる女は全員、男か謎の生物が化けたものと思っています、ただし若干都合の良い解釈もするようです
※幾多の激戦を潜り抜けた事により、チャイナクック・マーベラス・満漢全席を取得しました。
※彼の言ってる事は全て妄言です。
※生きてました。

652 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/02(木) 21:33:44 ID:BMwVZHXA0
投下終わりになります
長くなったので>>640までを前編、>>641からを後編でお願いします

653名無しさん:2015/04/02(木) 23:06:54 ID:4W0Bv0cs0
投下乙

うわあ・・・
盛り上がってみりました

654名無しさん:2015/04/02(木) 23:18:05 ID:Zg9kHjMA0
投下乙です
華麗なまでのマーダー達の結束
これもう(どっちが対主催か)わかんねえな

655 ◆K.6zmCzCcE:2015/04/03(金) 15:33:20 ID:vrE2MDPs0
投下します

656 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:33:46 ID:vrE2MDPs0
なんか変になりましたがもう一度

657 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:34:09 ID:vrE2MDPs0
いけますね
じゃあ投下します

658首輪解除×脱出×ぼっち ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:35:01 ID:vrE2MDPs0
「くそっ!」

メイトリックスが思いっきり壁に拳を叩きつけ叫ぶ。
第三回放送で呼ばれた仲間、門矢士。
まどか達に襲撃され分断された後、もっと別の場所を探し再会できれば彼は死ななかったかもしれない。
あるいはフランクと合流した時、早くに二手に分かれていれば、いや船に向かうときフランクに士のことを伝えていれば。
もっとも、メイトリックスもあの短時間に様々な事があった。主にケン絡みで。
エスポワールも禁止エリア指定され時間がなく一杯一杯なのもある。

だが二回放送でイーノックの名前を呼ばれた時に、もっと最悪の事態を考えられたのではないか。
メイトリックスの中でそんな疑念が生まれる。

「メイトリックス、気持ちは分からないでもない。
 だが……」
「分かってる。こういうことは戦場でもよくあった」

流石は軍人というべきか。
後悔や動揺はしたものの、すぐさまやるべき事を理解し切り替える。
だからこそ彼は優秀な兵士として、ここまで生き延びてきたのだろうとケイネスは思った。

「ところで、あの少女の事だが」

【首輪と会場について、いくつか気付いたことがある】

何気ない会話に紛れ、一枚のメモをケイネスはメイトリックスに渡す。
頷きながらメイトリックスも会話を続けながらケイネスのメモに目線を落とした。

【首輪は解除可能かもしれない】

「ああ、いつの間にか居なくなっていたが」
「変な機器を触られる前に、探しておいた方が良いかもしれない」

そのままケイネスのメモが綴られ、首輪の内部構造などの詳細がメイトリックスに伝えられる。
ケイネス曰く水銀を首輪内に忍び込ませ、内部を探ったところ科学的な技術が多いことが分かった。
魔術的なものは、魔力などの参加者に制限を掛ける部分のみ。それ以外はいたって神秘の欠片もない。

【だが、私はその手の知識が皆無だ。君の知識を借りたい】
【分かった。この内部構造なら、地雷の撤去の要領で可能な筈だ。
 先ずは―――】

再び首輪に水銀が忍び込み、メイトリックスの指示に従い。首輪の爆弾の無力化及び解除を始めた。


数分後、分解された二つの首輪が転がり、ケイネスとメイトリックスの二人は筆談を止めていた。

659首輪解除×脱出×ぼっち ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:35:27 ID:vrE2MDPs0

「何とか、取れたが。しかし随分思い切ったことをしたな。
 そのスライムみたいなのを忍び込ませても、首輪が爆発しないと確信でもあったのか?」
「いや、私も賭けだった。だが少し心当たりが出来てね。
 あの三回放送だ。
 わざわざ首輪の爆破からエリアの爆破に切り替えた辺り
 こいつを外した参加者か、あるいは元々首輪に大した期待を奴らはしていないかのどっちかだと思った。
 どちらにせよ。試してみる価値はあるだろう?」
「なるほどな。これでエスポワールで脱出……したいところだが」
「無理だろうな」

しかし首輪が取れて一段落付いたのものの、主催はこの会場をいつでも爆破出来るという事に変わりはない。
恐らくエスポワールで脱出しようとした瞬間、そのエリア一帯は炎上するはず。
二人はそれを理解していたのか、首輪の解除でもそう喜びの色は見せなかった。

「エリア爆破もそうだが、何より結界が厄介だ」
「結界? またファンタジーな」
「エスポワールから、海の向こうを見て確信した。あれは上手く見せてるが。あの先はハリボテだ。見えない壁に包まれている。
 この島から出ることは不可能だ。その結界を破らなければ」
「でも、お前は心当たりがあるんじゃないかのか? さっきの言いぶりでは」

ケイネスは少し間を置き、辺りを警戒してから静かに口を開いた。

「この場は一時期、異界になっていた」
「イカイ? なんだそりゃ」
「説明すると長くなるが、大雑把にいえば世界が浸食されたとでも言おうか。
 ともかくこの島がちょっとおかしくなっていたと思えばいい。
 ほら、やかましいサイレンの音だの。色々心当たりがあるだろう?」

思い返せば気にする暇がなかったが、確かにこの島は何かがおかしかった期間があった。
それは確信に変わる前に元の世界に戻ってしまったが。

「その原因は“神”が居たからだ」
「神? そりゃ随分と大袈裟な」
「私も便宜上もっとも当てはまりそうな言葉で、そう呼んでいるだけだ。どちらかと言えば邪神の類だろう。
 幸いな事に、その神はこの場がお気に召さなかったらしい。大した害も残さず帰って行った」
「待て? 帰った、だと? それは」
「結界を破り、次元を超えたのだ。
 その時の歪がまだ残っているとしたら? 次元の裂け目が残っているとしたら?」

メイトリックスは高ぶる感情が抑えきれなくなってくる。
脱出困難に見えた会場に、抜け穴があるのだとすればジェニーの奪還にも繋がる。

「だが、問題が二つ。歪はあるが我々が通るには些か小さいものだ。 
 結界に自己修復機能がある。これが曲者で完全にではないがほぼ修復しかけている。
 事実私も、エスポワールに乗ってじっくりと見えない壁を観察しなければ、気付けなかった。
 何か、強力なエネルギーをぶつけてやらなければ、穴はこじ開けられない。
 もう一つ、仮に穴をこじ開けても、主催本部の座標を固定しなければならない。
 そのまま、飛び込めば次元の裂け目の中で迷子だ。下手をすればその神の世界にも繋がりかねん」

強力なエネルギー。
メイトリックスに一つ心当たりがある。
バックからセイバーのカードを取り出すと、ケイネスにセイバーが放ったエクスカリバーの事を話した。
ケイネスもカードから、あのセイバーが召喚されることに驚いていたが、話を聞き何やらブツブツと考え込む。

660首輪解除×脱出×ぼっち ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:36:16 ID:vrE2MDPs0

「いけるかもしれない。
 君の言ったそのビームを放つ剣が、もしあの聖剣ならば……だが一度召喚して確認しなければ」
「おい、召喚と言っても一度出したら半日は使えないんだぞ?」
「話を聞く限り、それはカードの魔力切れによるものだ。私が補給してやれば、すぐとは言わずとも数時間で使用可能になると思う。
 多分、現界時間も伸ばせる」
「分かった。ともかく、カードはお前に渡しておく。
 こいつは召喚した奴に従うらしい。くれぐれも気を付けてくれ」

エネルギーに関しては解決出来るかもしれないが、問題は座標だ。
こればかりは、メイトリックスには完全にお手上げでケイネスに任せるしかない。

「次の放送で、奴らの声が何処から発せられているか逆探知し、そこから座標を導き出してみようと思う」
「大丈夫か?」
「君は気づいていないかもしれないが、ここの放送は全て魔術的なもので行われている。
 ならば、奴らのいる座標のヒントになるかもしれない。
 それに幸い、この結界の自己修復機能のおかげで、パッと見は完璧だ。
 奴らはこのことに、気づいていない。座標のことまでは思いつかないはずだ。
 まず君に因縁のある連中は全員、神秘関連に気付ける筈がないし
 バックに控えているような連中は、直接会場を見に来るわけではないからなおさらだ。
 あの神の存在は奴らにとっても、イレギュラーだったと考えるべきだろう。
 だが、時間の経過と共に気づかれる可能性は高くはなる。早めに座標は特定しなければ」

そう言うとケイネスは何やら胡散くそうな礼装を作り始めていた。
魔術にからきしなメイトリックスだが、それが逆探知用の装置なのだろうという事は何となくだが理解できる。
それからさらに地図を眺め、しばらくそれと睨めっこしていると思えば顔を上げ声をあげた。

「よし、メイトリックス。F-5だ。
 神が居たのはあの辺りだと思う。なら次元の穴はそこにある。そこへ向かおう」
「分かった。船はヨコハマ埠頭に止めようと思うが良いか?」
「ああ、構わない」

「そうそう忘れるところだったが、あの少女の首輪も外してやらなければ」
「そうだな、探して来よう」

661首輪解除×脱出×ぼっち ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:36:34 ID:vrE2MDPs0

【D-01/1日目・夜 船内・操舵室】

【ケイネス・エルメロイ・アーチボルト@Fate/Zero】
[状態]:疲労(大) 魔力消費(中) 令呪残り二画、首輪解除
[装備]:メタルまゆしぃ@Fate/Zero(ケイネスの礼装をCv.花澤香菜にしてみた)、 ヒラリマント@ドラえもん、君島の車@スクライド
[道具]:基本支給品×4(食料×1)、アカツキのディバック、ジャックのデイバック
   ブック・オブ・ジエンド@BLEACH、グリーフシード@魔法少女まどか☆マギカ 
   ハリボテエレジー(破損状態、濡れてる)@JAPAN WORLD CUP
   乖離剣・エア@Fate/stay night、セイバーのカード@遊戯王なのはMAD
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の打倒。
0:F-5へ向かう。次の放送で主催の位置を逆探知する。
1:松岡勝治と会う、
2:不動遊星、鬼柳京介を捜索。
3:ランサーの魔力は誰が・・・?
4:ギルガメッシュ、アサシン、ラミエル、グレーテルを警戒。
5:化け物(青鬼)を警戒。
6:このゲームは聖杯戦争と関連している・・・?
7:あの少女と一緒に居た丸い生き物は何だったんだろうか。
8:結界の歪をこじ開けるのにセイバーを利用する。
9:あとで祐子の首輪も外してやる。
※車内でメイトリックスとの情報交換を軽く済ませました。
※青い滴り跡については軽く気に留めている程度です。
※会場にの結界に歪があることに気付きました。主催側はまだ気づいていません。
※会場からの脱出、主催本部に乗り込むには。強力なエネルギーと座標の正確な特定が必要です。

【ジョン・メイトリックス@コマンドー】
[状態]:ダメージ(中)、疲労(中)、首輪解除
[装備]:GUN鬼の銃@MUSASHI-GUN道-
[道具]: 基本支給品、ラットの爆弾×3@探偵オペラミルキィホームズ、氷剣ユキアネサ@BLAZBLUE
    宝塔(罅が入っている)@東方Project
    世界樹の巫女 エレイン@カードファイト!! ヴァンガード、確認済み支給品1
[思考・状況]
基本思考:娘を助け出し、殺し合いをぶっ潰す。
0:岸まで船を動かす。 その後、F-5へ
1:士、イーノック……
2:鹿目まどかとはいずれ決着をつける。
3:あの2人(一人と一匹?)を探す
[備考]
※参戦時期は原作終了後。
※GUN鬼の銃に触れましたが元々能力制限されておらず潜在能力が底上げされている状態です。
※車内でケイネスとの情報交換を軽く済ませました。

662首輪解除×脱出×ぼっち ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:37:02 ID:vrE2MDPs0





「え? ここ何処?」

その頃、ゆっこは変な部屋に迷い込み。でかい人形に遭遇し。
気付けば、まったく見覚えのない空間に放り出されていた。



「あれ? どこ行ったでゲス?」

そして地味にバリカンはその部屋に入っていなかったので、彼女はまたぼっちに戻った。



【???/1日目・夜】


【相生祐子@日常】
[状態]:疲労(軽微)、死への恐怖とそれに伴う悲しみ(若干克服)、若干希望を持ちつつある。ぼっち逆戻り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、一本満足バー×28inファミマの袋@アサヒフードアンドヘルスケア、
バトルロワイアルガイドブック@ニコロワγ
スポンジボブ@ハッキョーセット、でかいきんのたま@ポケットモンスターBW
キチガイレコード@チャージマン研!
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない
0:えっ…何ここは…(ドン引き)
1:船内を探索。
2:研君を探しに行きますか
3:危険地帯…恐るべし…!
4:もっといい道具が欲しかった
5:研君の そこにシビれる 憧れる
6:なのちゃんに続く新しいロボットの知り合いができて嬉しい
7:………死にたくないよ
8:またボッチだよ……
※ジュラル星人と研の関係、泉家の家族構成を簡単に知りました。
※精神がわずかに不安定になっている可能性があります。
※民家の地下でニコニコ危険地帯を発見しました


【D-01/1日目・夜 船内・操舵室】

【バリカン@チャージマン研!】※意思持ち支給品
[状態]良好、首輪なし、愛称で呼ぶ程度にはゆっこを信頼
[思考]
基本行動方針:ゆっこと一緒に研を探す。見つけたら保護してもらう。
0:ゆっこ何処行っちゃったんだろう。
1:何か胡散臭そうな船でゲス
2:ゆっこと行動。
3:終わったらゆっこがジュラル星人の存在を知らない事について話し合う
※機能に何らかの制限が課せられているかもしれません。
※ゆっこの交友関係を軽く知りました。
※星君を警戒対象に入れてないのは、彼がジュラルであることを知らないからです
※参戦時期は最終回よりも前のどこか。魔王については面識があるか見たことはあります

663 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:37:35 ID:vrE2MDPs0
投下終了です

664 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/03(金) 15:51:27 ID:vrE2MDPs0
すいません>>662はこっちにすり替えで
間違えて把握して書いてた部分を投下してしまいました

「え? ここ何処?」

その頃、ゆっこは変な部屋に迷い込んでいた。
人形に囲まれた、エスポワールにはまったく不釣り合いな部屋だ。

「あれ、バリカンも居ない……」

そして地味にバリカンはその部屋に入っていなかったので、彼女はまたぼっちに戻ってしまった。

「ちょっと、鍵も開かない……あれ?」

何か背後から気配がする。
そんな気がした。そうだ気のせいだろう。
ともかくゆっこは部屋から出る方法を探し始めた。



【青い部屋/1日目・夜】


【相生祐子@日常】
[状態]:疲労(軽微)、死への恐怖とそれに伴う悲しみ(若干克服)、若干希望を持ちつつある。ぼっち逆戻り
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、一本満足バー×28inファミマの袋@アサヒフードアンドヘルスケア、
バトルロワイアルガイドブック@ニコロワγ
スポンジボブ@ハッキョーセット、でかいきんのたま@ポケットモンスターBW
キチガイレコード@チャージマン研!
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない
0:えっ…何ここは…(ドン引き)
1:船内を探索。
2:研君を探しに行きますか
3:危険地帯…恐るべし…!
4:もっといい道具が欲しかった
5:研君の そこにシビれる 憧れる
6:なのちゃんに続く新しいロボットの知り合いができて嬉しい
7:………死にたくないよ
8:またボッチだよ……
※ジュラル星人と研の関係、泉家の家族構成を簡単に知りました。
※精神がわずかに不安定になっている可能性があります。
※民家の地下でニコニコ危険地帯を発見しました


【D-01/1日目・夜 船内】

【バリカン@チャージマン研!】※意思持ち支給品
[状態]良好、首輪なし、愛称で呼ぶ程度にはゆっこを信頼
[思考]
基本行動方針:ゆっこと一緒に研を探す。見つけたら保護してもらう。
0:ゆっこ何処行っちゃったんだろう。
1:何か胡散臭そうな船でゲス
2:ゆっこと行動。
3:終わったらゆっこがジュラル星人の存在を知らない事について話し合う
※機能に何らかの制限が課せられているかもしれません。
※ゆっこの交友関係を軽く知りました。
※星君を警戒対象に入れてないのは、彼がジュラルであることを知らないからです
※参戦時期は最終回よりも前のどこか。魔王については面識があるか見たことはあります

665名無しさん:2015/04/03(金) 21:22:19 ID:SViDrqxs0
投下乙です

666名無しさん:2015/04/04(土) 22:48:09 ID:YkjQ7OhY0
投下乙
ゆっこェ……

667 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/06(月) 16:06:04 ID:T5Dmc71A0
投下します

668サーニャ・リベンジャー ◆FbzPVNOXDo:2015/04/06(月) 16:06:53 ID:T5Dmc71A0
「ロックオン、死んだのか」

耳障りな三回放送を聞き、フランクはロックオンの名に反応する。
一番最初に出会った参加者の一人であり、一番最初にフランクをこの場で裏切った参加者だ。
今更、死んだところで何の感傷も沸かないが、だが同情くらいはしてやろうと思う。
少なくとも、この殺し合いに巻き込まれた点では被害者の一人だ。
誰に殺されたのか知らない為、仇なんかは取れっこないが主催者を奴の分までぶっ飛ばしてやるぐらいはしてやるつもりにはなった。

「知り合いか?」
「まあ、少しな。だがろくな顔見知りじゃないが」

ランサーが気遣ってくれる様子だが、フランクは気にするなと言いたげな顔で首を横に振る。
それよりも今はケンを探すのが先だ。あんなキチガイを放って置く訳にはいかない。

「……誰、か」

ふと前から誰かが走ってきている。
暗くなってきたため、顔が良く見えない。もしかしたらケンかもしれないと二人はその人影を凝視する。
するとそのシルエットが段々と鮮明になりはっきりする。

「あれは」
「ケン、ではないな」

それはケンのような肥満気味なだらしない体格ではなくむしろ逆。
細身ながら、出るとこは出て引っ込むところは引っ込んでいる。
男のみならず女でさえも、見取れるような可愛らしい顔。
ケンのようなふざけたキチガイとは正反対の、美少女が顔を恐怖に歪ませ走っている。
ランサーとフランクはそれが誰かに襲撃され、命からがら逃げてきた参加者だと判断、二人も急いで駆け寄った。

「大丈夫か君?」
「あの、私……」
「安心してくれ。騎士道に誓い、我々は殺し合いには断じて乗っていない」

少女は走ったためか、極度の緊張のためか息が荒れ、呂律が上手く回っていないながらもサーニャと名乗る。
そして先ほど襲われたケンシロウというヘルメットの男の事を話した。

「ケンシロウか、わざわざ名を名乗ってまで殺しまわるとは、余程腕に自信があると見えるな」
「それよりも、よく君一人で逃げ切れたな」

フランクの何気ない質問にサーニャは一瞬固まった。
そう彼女はカズマの事に関しては何も話していない。
罪悪感からの逃避からか、自分のせいで要らぬ怪我を負わせ、そのまま放って置いたことを知られたくなかったのか。
口に出す気にはなれなかった。

669サーニャ・リベンジャー ◆FbzPVNOXDo:2015/04/06(月) 16:07:56 ID:T5Dmc71A0

「私、一応軍人…ですから」
「軍人? まだこんなに幼いじゃないか」

フランクは首をかしげる。
ランサーはあまり気にしていない様子だが、フランクからすればこんな可愛らしい軍人なんて見たこともない。歳も幼すぎる。

(これも平行世界って奴か? だとしたら、ろくな世界じゃないな)

女子供が軍人として戦うなど、あまり治安の良くない世界なのかもしれない。
あまり気分が良くないが、フランクはそれを振り払う。今はそんな事を気にしている暇はない。

「しかし学校か。俺も直接見たわけではないが、設備は揃っていそうな場所をそんな輩に陣取られては厄介だな」
「はい、それにあの周辺には透明な殺人鬼も居るらしくて」
「透明? まさか麗華が言ってたやつじゃないか?」
「不味いな。ケンもそうだが、殺し合いに反対している者たちが傷を癒そうとしているところへ、そんな連中が集まっているのだとしたら」

ランサーは舌打ちをする。
次か次へと殺し合いの火種が転がり込むこの状況。
主催者が意図しているのかと疑わずにはいられない。

「フランク、俺はそのケンシロウとやらと透明の殺人鬼を倒しに行こうと思う。
 お前はサーニャと一緒にケンを探してくれ」
「おい一人で大丈夫なのか?」
「駄目、一人じゃ絶対駄目!!」

一人で戦場へ向かおうとするランサーへサーニャが大声をあげ引き止める。

「みんなで、みんなで行った方が絶対に良いです」
「だが」
「一人で相手を出来る様な人じゃないんです。特に透明の殺人鬼は何人も殺してます!」

確かに腕は自信があるが、そうまで言われると考えてしまう。
強く引き止められ少し考え込んだ後、渋々ランサーはそれを承諾した。

「分かった。みんなで行こう。
 幸いここに居る者は全員、腕に覚えが少なからずあるらしいからな。
 事実、君も俺の黒子を遮断している辺り、かなりの魔術師らしい。後方支援は任せた」
「はい。私もウィッチの端くれです。足は引っ張りません」

二人のやり取りを見ながら、フランクは何か引っかかっていた。
最初あれだけ混乱していたサーニャが、透明の殺人鬼の話をして、それを倒すといった瞬間人が変わったかのようになった。
そんな風にフランクには感じ取れた。
フランクがゾンビ騒動の最中に助けた、怯えた被害者が銃を渡した瞬間、調子に乗り始めた事もあったので言うほど気にはならなかったが。

(俺とランサーが居ることで自信が付いたって事か?)



ランサーが透明の殺人鬼を倒しに行くと聞いたとき、これは使えるとサーニャは思った。
あのケンシロウもそうだが透明の殺人鬼も、サーニャ一人の手には余るが前線で戦う騎士が居れば話は別だ。
自分が後方支援に回れば、そう勝てない相手でもないとサーニャは考える。

(待ってて、エイラ。仇は絶対に討つから)

今まで恐怖、錯乱に襲われていた少女は一転し復讐の憎悪に燃えていた。
カズマの消息が気になるが、それは後回しでもいい。それにあんなおかしい人にはもう関わりたくない。
それよりも、今は復讐だ。誰に先を越されるか分からない。焦りすら沸いてくる。

(どんな手を使ってでも、その殺人鬼は殺す。何を利用してでも……。
 だからごめんなさい。ランサーさん、フランクさん)

罪悪感は沸かない。
ランサーもフランクもカズマのような、おかしい人たちの仲間だとサーニャは思い込んでいた。
剣と槍を得意げに持った青年、血の付いた鉈を持った腕っ節の強そうな男。
そんな凶器を持った人たちは、おかしい人たちに決まっている、と。

思えばここはおかしい人達が多い。まどかもほむらもマミだって襲ってきた。
ここはそういう場所なのかもしれない。そうサーニャは思えてきていた。

だから、そんな人たちは利用してしまえば良い。
おかしい人たちにはおかしい人たち同士、潰しあってもらえばそれで良い。
その後、残った善良な参加者達とここから脱出すれば良いだけだ。

(待っててねエイラ、すぐだからすぐに―――)

670サーニャ・リベンジャー ◆FbzPVNOXDo:2015/04/06(月) 16:08:21 ID:T5Dmc71A0


【E-03/1日目・夜】


【フランク・ウェスト@デッドライジング】
[状態]:疲労(小) 弐度の火傷(小) チートコード発動
[装備]:ナイトの防具一式@FF11、ハイリアの盾@ゼルダの伝説、富竹のカメラ@ひぐらしのなく頃に、鋸@School Days
[道具]:イワークの分含めた基本支給品、林檎@Bad_Apple!!、
太鼓@1歳から100歳までの100人が順番に太鼓を叩いて行くムービー、チートコード@GTA SA、血塗れの私服、医療道具一式@ニコロワγ、イワークの首輪
ミックスジュース(青、白、緑)×6@デットライジング
[思考・状況]基本思考:殺し合いには乗らない。生還する
1:ケンも探すが、一旦ケンシロウ(ジャギ)と透明の殺人鬼の討伐を優先。
2:情報と協力者を集める。
3:一応、イワークの首輪を持ってきたが……
4:ミキサーが欲しい…
5:この娘(サーニャ)、大丈夫だろうか。
※参戦時期は、少なくともショッピングモールからの脱出前からです
※ミルキィホームズ、スクライド世界の話を聞きましたが半信半疑です。
※ケイネスと情報交換しました。
※水中で息が無限に続くようになりました。ただし本人は気づいていません。


【ランサー@Fate/Zero】
[状態]:疲労(中)、頬にかすり傷
[装備]:ゲイ・ボルグ@Fate/stay night、プラシドの剣@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品、シーザー・カエサル・エンペラー@人造昆虫カブトボーグ V×V
   グレーテルの基本支給品一式、コンビニ弁当、スター(二日目早朝まで使用不可)@マリオシリーズ、北米化パッチ
   ディケイドライバー@仮面ライダーディケイド(2時間使用不可)、ライダーカード一式@仮面ライダーディケイド
   ライダーカード(スペランカー)@ニコニコワールド、ライダーカード(イーノック)
   其為右手@真夏の夜の淫夢(残り使用回数7回)、
[思考・状況]基本:殺し合いには乗らず主催を討ち取る。
1:ケンも探すが、一旦ケンシロウ(ジャギ)と透明の殺人鬼の討伐を優先。
2:まどかの証言は嘘かまどかの誤解ではないのか?
3:ケイネスとの合流後、まどか達を説得する。
4:あの鎧のデザインいいな…
※まどかの証言はもうほとんど信じていません。
※参戦時期は不明ですが少なくともセイバーと戦った後です。

【サーニャ・V・リトヴャク@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康、魔力消費(微) 、精神的な落ち込み、腹部に重傷、精神的ショック(大)、錯乱
[装備]:★Rock Cannon@ブラック★ロックシューター、黒猫のゴスロリ服@俺の妹がこんなに可愛いわけがない
[道具]:メントスコーラ(空)@コーラを開けるとメントスが落ちるトラップの作り方、
    DMカード『スターダスト・ドラゴン』@遊戯王5D's (自身をリリースし破壊を無効化したあと帰還する効果で夜中に再び使用可能)
[思考・状況]:殺し合いには乗らずゲームを打破する
1、エイラの仇を討つ。その為にランサーとフランクを利用。
2、ストライカーユニットとフリーガーハマーが有れば入手したい
3、殺し合いに乗ってない参加者が居れば合流したい
4、まどか達を警戒
5、エイラを殺したのは……
7、おかしい人たちには潰しあってもらいたい
8、カズマの消息が気になる
※DMカード『スターダスト・ドラゴン』@遊戯王5D'sは自身効果により消えたので、短時間で復帰します。
ただし復帰前と後の時間を合わせ、一定時間で消滅しその後半日使用不可です。
それ以外は普通のDMカードと同じです。

671 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/06(月) 16:08:59 ID:T5Dmc71A0
投下終了です

672名無しさん:2015/04/06(月) 22:43:19 ID:dmAbXa4c0
投下乙
これはサーニャがかき乱してくれそうな予感

673名無しさん:2015/04/08(水) 22:20:45 ID:hUrZeNKw0
投下乙です
相変わらず復讐目的のキャラは厄介だな

674 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:17:04 ID:IFhDCkRI0
投下します

675ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:18:16 ID:IFhDCkRI0
「フムフム、透明の殺人鬼。それに味方の勝治くんやリュウセイくん。
 色々情報ありがとうでゲソ」
「いや俺も味方が出来るのは心強い」

デルタイーグルを走らせながら、遊星とイカ娘は出来る限りの情報交換を交わしていた。
といっても、ろくに参加者に会えなかったイカ娘に、遊星が今まで起きた事柄を教えるという形だったが。
何はともあれ、危険人物、味方になるはずの者、警戒すべき対象。全ての認識を遊星とイカ娘は共通することとなる。

「居ないな。ケン、一体何処へ」
「海東の言ってたことは、本当なんでゲソ?」
「……あの少年が擁護してた以上、ほぼ間違いはないと思うが」

実際はムラクモと海東、更に星君も加え全員が口裏を合わせていたのだが、遊星に気づく術はない。
今はただ海東の言うとおりに、ケンの行方を捜すことしか出来なかった。

「辺りも暗くなっている。
 もしかしたら、何処かで見落とした可能性もある。一度、光写真館に戻った方が良いかも知れない」
「そうでゲソね」

ケンも気になるが、海東の胡散臭さも相当気になる。
何よりあの場には海東を除けば、クッソ汚い害獣と女子供しかいない。
遊星の目が離れている隙に、何をしでかすか分からない。
ここは一度、元の場所へ戻るべきと遊星がデルタイーグルを止めた時、そのライトが数人の人影を照らした。

「おい、何だあの修正テープみたいなバイクは?」
「あの蟹頭は人間のものじゃない。ジュラル星人に組する宇宙人かもしれない!」
「待ちなさい二人とも、勝手な行動は」
「あれって……遊星さん、遊星さんですよね!?」

勝治の言っていたリュウセイの特徴に当て嵌まる少年が一人。
星君の言っていた泉研なる危険な少年が一人。
露出過度で目のやり場に困るおっぱいが一人。
そして、勝治のジャンバーを羽織った以外、ほぼ全裸の見覚えのある少女が一人。

「シャーロックか!?」
「はい、遊星さん!」

どうやら様子を見る限り、シャーロックはリュウセイと合流できたようだ。
一先ず安堵の息が遊星から漏れた。

「だが、そのジャンバーは……」
「その、透明の人に襲われて、物理的に食べられるところだったのを勝治くんが助けてくれて……でも」
「まさか」

あの三回放送は間違っていなかったということなのか。
遊星の心中に重い衝撃が走った。

「そうか……俺がもっと早く着ていれば」
「そんなこと、遊星さんが悪いんじゃありません」

そんな二人の会話を見て、シャーロックの知り合いと判断したアルセーヌとリュウセイは警戒を解いたが、研はそうもいかず変装していた。
アルファガンを構え遊星へと突きつける。

「なんでゲソ? その銃は?」
「黙れ! お前たちはジュラル星人の仲間だな!」
「それはこちらの台詞だ。お前は危険だと星君から聞いた」
「なんだって!?」

星君という名に研は強い関心を示す。
間違いない。あのジュラル星人の星君だ。ということはこいつらはやはりジュラル星人。
今、ここで葬っておかねば大変な事になる。

676ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:19:28 ID:IFhDCkRI0

「おい研! 銃を下ろせよ!」
「リュウセイくん、騙されちゃ駄目だ。星君はね、ジュラル星人で危険人物なんだよ。
 そんな奴の仲間なんて、信用できない」
「待ってください研くん。遊星さんは悪い人じゃありません。
 もしそんな悪い人なら、私が最初に会った時に殺されてますし、勝治くんともずっと一緒に行動してたんですよ?
「いや、もしかしたらその勝治くん自体、ジュラル星人の成り代わりかもしれない。
 考えても見れば、放送で何度も呼ばれるなんて異常だよ」
「異常なのは、お前の頭だ!」

アルセーヌは遊星を怪訝そうに見つめる。
シャーロックの証言ならば、そう危険な人物ではないはずだ。
しかし、研の言う星君という危険人物と関わっているのも事実。

「分かりましたわ。ともかく彼らの無実をなんとか証明する方法から考えましょう。
 研くん。何かジュラル星人の判別方法はありませんの?」
「……奴らは鏡に映らない。あとはアルファガンで撃てば大体、正体を現す」
「アルファガンは却下ですけど、手鏡なら私の支給品にありますよ!」

シャーロックが手鏡を取り出し遊星とイカ娘を映す。
そこには紛れもなく、左右反転した遊星とイカ娘があった。
研は渋々アルファガンを降ろし、遊星たちは胸を撫で下ろした。

「でもよ。遊星さん、研が殺し合いに乗ったってのは多分嘘だぜ。
 俺もずっと行動してたけど、そんな様子じゃない」
「そうですわね。それには私も同意ですわ」
「なら、星君が嘘を吐いてるって事なのか?
 だとすれば、あいつはまさか」

リュウセイやアルセーヌの話を信じれば星君が嘘を話したことになる。
当然、その理由はもう考えるまでもない。

「待て、ケンに会わなかったか? 放送で呼ばれてたが、リュウセイの友人のケンも生きていたんだ。
 あいつはお前を探すと言って、飛び出したと海東に聞いたんだ」
「海東さんに? 
 でもケンなんて見てもないぜ。
 というか、生きてたのかあいつ。しぶとい奴だぜ」

憎まれ口を叩きながらも、何処か嬉しそうな表情をリュウセイは見せた。
だがそれも一瞬ですぐさま疑問の色に変わる。

「いきなり言われても、信じてもらえないかもしれないが、実は俺は権兵衛から海東を警戒するよう言われていたんだ。
 そして、さっき海東と早苗、少年……名前はムラクモと言うらしいが。後は星君、ケンに出会った。
 その時に、海東と星君、ムラクモはケンはリュウセイを探しに出て行ったと口を合わせていた。
 だがもし、星君が殺し合いに乗っていたのなら……」
「ちょっと待って、ムラクモだって!? そいつも危険だ!」

研が再び叫び、またジュラル星人かと呆れかけるが、予想外なことに飛び出たのは速水もこみちの名前だった。
もこみちがオリーブオイルで首輪を外し、そこでムラクモと戦闘になったこと、その際なんらかの要因で幼い容姿になってしまったこと。
何より、ムラクモが殺し合いに乗った危険な思想を持つ参加者だということを、研はもこみちから聞いたままに説明する。

「あのオリーブ男の言うことを信じるのかよ」
「そうですよ。あれこそキチガイです」

もこみちと交戦経験のあるリュウセイとシャーロックは当然、怪訝そうな顔をした。
だが、逆にまともだったもこみちとの交流があったアルセーヌは、その話にはある程度信憑性があるのではないかと考える。

677ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:20:17 ID:IFhDCkRI0
 
「一旦、話を整理しましょう。
 まず遊星さんは、権兵衛さんとやらから海東という人物が危険だと聞いた。
 ですが、シャーロック達の話では海東は仮面ライダーという正義の味方らしい。
 更に、星君、ムラクモなる子供達も研君の話では危険らしい」

「海東さんが危ない奴だって!? 良く分からないけど仮面ライダーはいい奴なんじゃないのか?」

アルセーヌの話を聞きリュウセイが頭を抱える。
一体何が正しくて、何が間違っているのかまるで分からない。
もう面倒なので、全員ぶっとばせば良いのではないかとすら思えてくる。

「ここは最悪のケースを考えた方が良いかも知れませんわ。
 研君も遊星さんも、二人の話が本当であった場合。つまり三人とも殺し合いに乗ったと仮定すると……ケンくんは恐らく―――」

それは最悪のシナリオだった。
殺し合いに乗った三人が口裏を合わせる理由などそう多くはない。
リュウセイもそれを察し、力なく顔を俯かせた。

「まだですわ。そんな中に早苗さんという女性が一人で居る。
 今、彼女はこの島の中で最も危ない場所に居ると言っても、過言ではありません」
「不味いでゲソ! 早く戻った方が良いんじゃなイカ!?」

何処までの話が本当なのかはまだ定かではないが。
少なくとも早苗が危ないということだけは、この場にいる全員がはっきりと理解できた。

「とにかく、早く光写真館に戻ろう!
 あそこから離れていたとしても、あの人数じゃそう遠くへは行っていないはず」
「遊星さん、私は構いませんから。この子達を」

遊星がデルタイーグルに跨る。
この場でもっとも速く移動できるバイクだが、生憎と大人と更に子供数人を乗せることは出来ない。
それを察したアルセーヌが子供たちを乗せて先に行くよう促す。

「ちょっ、苦しいで、ゲソ……」
「速く出して下さい。遊星、さん…苦しい」
「なんてキツさなんだ、おのれよくもこんなキチガイバイクを……!」

シャーロック、イカ娘、研が遊星の後ろに無理やり乗り込むがあまりのきつさに窒息しそうだった。
もう安全など知ったことではない乗り方に、遊星は不安を覚えたが今はどうしようもない。
そんななかリュウセイは一人、バイクにも乗らず別の方を向く。

678ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:23:39 ID:IFhDCkRI0

「リュウセイ、乗らないのか?」
「悪い、先行っててくれ」

その面持ちは真剣そのものだ。
何かあったのかと聞こうとした瞬間、黄色いカブトムシが飛来しリュウセイがトムキャットで弾く。
そのカブトムシは地面へと着地し、その車輪を回転させながら小さい砂煙を巻き起こす。

リュウセイは目線で遊星たちに行けと合図する。
それを見た遊星たちは戸惑いつつも頷いた。
遊星がデルタイーグルを発進させ、アルセーヌが駆け出す。
そして、遊星達が去ったその直後。

「やるな。リュウセイ」
「生きてたのか、ケン!」

黄色いカブトムシが跳ね、その主の手へと帰って行く。
そう龍昇ケン。その人の手へ。

死んだ筈のケンが生きていた。
そのことに喜びは感じたが様子がおかしいことにリュウセイは気づく。
目は血走り、顔は凶悪な表情に歪んでいる。
明らかにまともじゃない。何かが外れ狂っている。そんな様だ。

「俺を殺しかけた海東の仲間のお前達も、全員殺し合いに乗ってるんだろ?
 天才の俺には分かってるんだぜリュウセイ?」
「何だと?」
「ぜってえ許せねえぜ。早苗以外全員皆殺しだ」
「待て、俺たちは殺し合いには乗っていない!」
「嘘だ!!」

リュウセイは何か話が食い違っていると誤解を解こうと訳を話そうとする。
だが頑なにケンは話を聞き入れない。
雛見沢症候群と同じ症状である。
自前で発症するのか(困惑)、これもうわかんねえな。

「殺してやる……そして早苗と結婚する!!」
「訳分からないが、良いぜ? 好きにしろ。ただし―――俺にボーグバトルで勝てたらな!!」
「良いだろう! 俺が勝ったらリュウセイ、お前は死に早苗は俺の嫁だ!!」
「ああ、勝てたら早苗だろうが、何だろうがくれてやる。
 ただし俺が勝ったら早苗は諦めて大人しくしてろ!」

たまたま都合よくあったボーグ台で二人は向かい合い、使用するカブトボーグをかざす。

「チャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションバトル!」
「チャージ三回、フリーエントリー、ノーオプションバトル!」

ルールの復唱を終え、横のチャージ台にカブトボーグの後輪を擦り付けチャージを行う。
ボーグバトルにてチャージは非常に重要だ。その試合中のエネルギー源はここでしか補充できない。
よってこのチャージを疎かにした者は必然的に敗北者となる。
当然、彼らはそのことを知っている。故にそのチャージに対する素振りを常に怠らず、実践では咆哮をあげ全力でチャージをする。

「チャージイン!」
「チャージイン!」

そしてフィールトへカブトボーグを投げ込むチャージイン。
これもまた非常に重要だ。このチャージインをミスればそれだけで即敗北に繋がる。
幸い両者とも良いチャージインだ。
二体のカブトボーグは勢い良く走り、そして火花を散らした。





―――――

679ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:24:21 ID:IFhDCkRI0






海東に襲われてからしばらく経ってケンは何とか息を吹き返した。
辺りはもう真っ暗で、不気味に木々や草が生い茂るのみ、落ち着いた光写真館からの落差が激しい。
ケンは頭を擦りながら、海東に襲われ意識を失うまでの事を思い出す。

「あの、おっさんゆるさねえ!!」

こんなことになってるのに、誰も探しに来ないのは恐らく全員グルなのだろう。
海東もさることながら蟹頭もイカもムラクモも星君も淫夢くんも。
更にそんな海東と知り合いらしいリュウセイもグルに違いない。ケンはそう考える。

「待ってろ、早苗……みんなぶっ殺して助け出してやるからな!!」

早苗さんは別なのか(困惑)
この人頭おかしい(小声)

しかしそう意気込んだものの、海東の周りには流石に人数が多い。
何かしら、味方が必要になる。
ケンは光写真館へは直接行かず、敢えてその周辺をうろついてみる事にする。

「ねえ、誰か居るみたいだよ」

しばらくして、女の子と声と一緒に何人かの人影が見えてくる。
あれだけの人数で行動しているということは、殺し合いには反対派であることに間違いない。
上手く誘導すれば、海東達を倒しに行ってくれることは間違いないだろう。

「助けてくれ! 殺し合いに乗った海東ってのに襲われたんだ!!」





まどかはその話を聞いた時、笑みを抑えるのが大変だった。
ケンという少年が話す海東とその取り巻きが殺し合いに乗っているという話。
実にタイミングが良い。この無力な少年を襲った危険人物の討伐という名目で、堂々と殺しが行える。
話を聞く限り、まどかに課せられたハンデ分の人数は優に殺せるはずだ。

「こんな子を…絶対に許せない」

話を聞いていたさやかは既に怒りで周りが見えていなさそうな様子だ。
乗せるのは簡単だ。
もちろん、ほむらも自分の命令一つで簡単に動いてくれる。

「みんな、そんな殺し合いに乗った人たちなんて許せないよね。やっつけにいきましょうよ!」
「分かってる。そんな事許せない」
「……ええ」

わざとらしく愛らしい声をあげながらまどかは呼びかける。
ほむらは静かに頷き、さやかは力強くそれに答える。

「ちょっと待て、本当にそんな場所に行く気?」
「そうだ。わしもそんな連中と戦うのはごめんだ」

乗り気な様子じゃない麗華や閣下が気になるが、まあ別に居ても居なくてもそう変わらない。
どちらにしろ、さやかとほむらはまどかに従う気満々なのだから。

「そろそろ飽いてきたところだ。少し付き合ってやっても良い」

予想外なのはギルガメッシュが以外にその事に反発しなかったことだ。
だが、これで戦力は十分すぎるほど揃った。連中の討伐に不備はないだろう。

「麗華、来たくないならそれでもいいよ。世話になったねありがとう」
「さやか……?」
「私は魔法少女として、弱い人たちを守らなきゃいけないから」

言いたいことだけ伝えると麗華の話などまるで聞かずさやかは駆け出した。
追おうにも、その速度は人のそれではない。何より麗華にはもう追う気が失せてきていた。

680ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:24:48 ID:IFhDCkRI0

(そうか、私が居なくても大丈夫か)

何かと面倒を見たがもう平気らしい。
あれならほっといても良いだろう。

「じゃあ、私はあんた達とここでお別れね。悪いけど一々喧嘩ふっかける趣味はないから。
 私は船の方に行ってみるわ」
「待ってくれ、わしも気になってたんだ。一緒に行かないか?」

おっさんが待ってましたと言わんとばかりに、息を荒げながら迫ってくるさまに一瞬引く。
でも同行者が居てくれるというのは悪いことではない。
とはいえ、おっさん十代の女子という絵面的にはあれだが。

「分かった。麗華さんたちは船に行くんだね?
 グレーテルちゃんは良いの? こっちは危険だと思うけど」
「いえ、私は……皆さんと一緒で」
「そう」

ついでに一番使えなさそうなグレーテルも押し付けておきたかったが、そうもいかないらしい。
まあ海魔の餌ぐらいにはなるだろう。

「ところでおっさん、支給品を寄越せよ」
「お前人のモノを…!」

話が纏まりかけたところでケンが閣下のバッグを強奪し勝手に中身を漁る。
自分も武器補充しないと不味いと考えたのだろう。
強奪は基本。
すると中から見知った黄色のカブトボーグを見つけた。

「おお、俺のキー・オブ・ザ・グッド・テイスト!」
「いやわしのだ」
「うるせえ!」

(腹パン)

海東にやられたのと同じように閣下に叩き込み閣下が腹を抱える。

「こいつは貰っていくぜ。あと早苗だけは殺し合いに乗っていないからな? 殺すなよ!!」
「ま、待て。ところでお前、その首輪どうやって……」

痛む腹を抑えながら閣下が疑問を口にする。
それはこの場にいる全員が抱いていたものだが、こいつはろくでもない答えしか返さなかった。

「適当に考えといて!」

そのまま嵐のようにケンは去っていく。
ろくでもないキチガイだったと閣下は思った。今時の子供はどうかしていると。

「チクショーめ!!」

閣下の悔しげな叫びが夜空に響いた。

681ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:25:03 ID:IFhDCkRI0

【F-2/一日目・夜中】

【総統閣下@総統閣下シリーズ】
[状態]:疲労(大)、左肩負傷 、まどか達を警戒
[装備]:出刃包丁@現実
[道具]:基本支給品一式、大量のマンガと本、カイジの地下王国豪遊セット(ポテチ、チーちく、肉じゃが、ビール×4)@逆境無頼カイジ 破戒録編
[思考・状況]
基本行動方針:生きて祖国に帰り可能であるのなら二次元に行く。打倒主催。
0:麗華と共に船に向かう。
1:情報収集。首輪の解析
2:主催者どもは必ず倒すが、具体的な作戦及び行動方針はこれから考える。
3:クリーパーを失うのは惜しかった…
4:メイトリックスと譲治を警戒……?
5:青鬼とレーザー、およびそれを発射した「何か」を警戒。
6:まどかに違和感と何処かで見た既知感。
7:船に居るケイネスと会えればギルガメッシュの言う結界や首輪に関して意見を貰う。
[備考]
※出典はあくまで総統閣下シリーズ、現実や最後の十二日間での真面目な独裁者ではありません
※サブカル知識も豊富ですが、なんらかの制限がかけられている可能性があります
※ギルガメッシュ他、数人の参加者について情報を得ました。
※アカツキ電光戦記の世界を知りました。
※別の世界から呼ばれた事がほぼ確信に変わっています
※総統閣下のノートには今まで見聞きした事のまとめや考察が数ページにわたって書いてあります。
※クリーパーの説明書を読みました。
※総統閣下の持ち出した本やマンガの詳細は次の方にお任せします。ただしDVDやBDは持ち出していません。
※過去に読んだ「HUNTER×HUNTER」を思い出しました
※メイトリックス、士、カズマ、サーニャが殺し合いに乗ったと聞かされましたが何処まで信じてるか不明です。
※一応ケンの話を聞きました。

【東豪寺麗華@MMDDFF】
[状態]:健康
[装備]:エクスカリバー@Fate/Zero
[道具]:基本支給品、DMカードセット(デモンズ・チェーン@遊戯王5D's)
[思考・状況]
基本:生存優先、主催は殺す
0:もうさやかは放っといても良いだろうし船に行く
1:とりあえず積極的に人と会い情報を集める。
2:幽香の奴、死んだのか。
3:水色髪の男(さやか)はもう他人。
4:レア様とはいずれ決着をつけるつもりだったけど……。
5:まどかに何か嫌悪感?
6:メイトリックスは殺し合いに乗っているかどうかも船に行って確認してみる
※制限はほとんどされてません。
※遊星、フランク達と情報交換しました。


―――――

682ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:25:21 ID:IFhDCkRI0





「死ね、リュウセイ!!!」
「くっこいつ!!」

リュウセイとケンの戦いはリュウセイの劣勢だった。
ケンの言う通り、その自称天才は伊達じゃない。
チャージ、チャージイン、ボーグのキレ、速度、パワー。全てが断トツに跳ね上がっている。
トムキャット・レッド・ビートルにキー・オブ・ザ・グッド・テイストの体当たりが突き刺さった。
フィ―ルド外に押し出されまいと辛うじて、トムキャット・レッド・ビートルは踏ん張る。

「何だぁ? おめえ弱くなっちまったかぁ?」
「なんだと!?」
「いや、俺が強くなりすぎたのかもな。―――キー・オブ・ザ・グッド・テイスト!!」

押される力が緩んだかと思えば、キー・オブ・ザ・グッド・テイストはトムキャット・レッド・ビートルから距離を取り始めた。

「何の真似だ!?」
「ここで倒しちゃ面白くない。俺が如何に天才なのか教えてやる」

するとケンはエレクトリカル・スピードワゴンを取り出し、チャージするとトムキャット・レッド・ビートルへとチャージインをした。

「何!?」
「教えてやる! 天才の俺の手に掛かれば、二体のカブトボーグの操作も自由自在だ!!」

二体の華麗な連携を取りトムキャット・レッド・ビートルを追いつめる。
トムキャット・レッド・ビートルがエレクトリカル・スピードワゴンの背後を取ったかと思えば
キー・オブ・ザ・グッド・テイストが更にその後ろを取り追撃する。
そのキー・オブ・ザ・グッド・テイストの隙を突き、真横から突撃を喰らわせるとエレクトリカル・スピードワゴンの角に受け止められる。

「ちくしょう! かわせトムキャット・レッド・ビートル!!」
「無駄無駄! 天才の俺に勝てるわけないんだよ!!!」

多分、凡人でも二対一なら強いと思うんですけど(名推理)

流石のリュウセイも防戦一方だ。
まるで勝機が見えてこない。
普通の二対一ならば相手のその連携を崩せばいい。
つまり仲違いさせ揉めている間に倒せばいいが、相手はケン一人である以上、それは不可能。

(どうする……。何か、何か手はないのか)

リュウセイは戦況を観察し、今までに見たケンの言動を頭の中で思い返す。
弱点とは思わぬところで、相手が口にしているものだ。
何か相手の脆い部分、何でもいい。リュウセイの頭が高速で回転し続ける。

「お前、早苗と結婚するとかどうとか言ってたよな?」
「あ? それがどうした? 俺たちは結ばれるんだよ!!」

冗談はよしてくれ(タメ口)

683ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:25:45 ID:IFhDCkRI0

「俺は早苗と結婚する! そして―――夜のシークレットバトルをするんだ!!
 聞け! これが俺たちの新婚初夜だ!!



ケン『お前のことが好きだったんだよ!』

早苗『え、何それは…(ドン引き)』

ケン『暴れんなよ……暴れんなよ……』

早苗『う、羽毛…(気絶)』スタンガンバチッ

ケン『この辺がセクシー……エロいっ!』

ケン『もっと舌使ってホラ』

ケン『ちょっと歯あたんよー』

ケン『こいつ玉とか舐め出しましたよ、やっぱ好きなんすねえ』

早苗『アン!アン!アン!アン!アン!アン!アン!アン!アン!アッーンン!!(高音)』

ケン『イキ過ぎィ!イクイクイク……』

ケン『いいよ来いよ!胸にかけて、胸に!』

ケン『ンアッー!(野獣の咆哮)』

ケン『早苗のお尻の皴は2いt「お前、変な妄想しすぎだろ! レッドレッド・メテオバースト!!!」「何!?」


その妄想に気を取られた瞬間、エレクトリカル・スピードワゴンが弾き飛ばされ場外まで吹っ飛んでいった。

「何しやがるてめえ!」
「これで一対一だな」
「嵌めやがったなぁ!!」

ハメてたのはケンなんだよなあ。
そんなことは置いといてケンは怒りを抑え、笑い出した。

「フフフ、馬鹿な奴だ。これでお前は苦しんで死ぬ羽目になるんだからな?」
「何だと?」
「奥義チャイナクック・マーベラス・満漢全席」
「一体なんだそれは?」
「お前にも破る事は出来ない。それはさも恐ろしい究極の必殺技なんだ!
 この技は三日三晩、あらゆる必殺技を叩き込むという恐ろしい無敵の技。
 こいつを使えばお前は確実に死ぬ。
 三日三晩もこんな殺し合いの場で打ち続けられないから使わないがな」

それは脅しではないことがはっきりとリュウセイには伝わった。
そのチャイナクックなんちゃらは間違いなく今まで味わった中でも最強の必殺技だ。
だが―――

684ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:26:41 ID:IFhDCkRI0

「……出せよ」
「何?」
「出せよ。その満漢なんとかってのを。お前は結婚するんだろ? 早苗と!
 なら、前が早苗に相応しい男かどうか、俺が試してやる!!」
「し、しかし……」
「ケン、本当はお前、俺に負けるのが怖いんじゃないのか?」

リュウセイの挑発にケンに残っていた僅かな理性が弾け飛ぶ。

「……後悔するなよ。チャイナクック・マーベラス・満漢全席、三日三晩分の攻撃を全てこの一撃に込めてやる!!」
「来い! 全て受け切ってやる!!」

黄色い閃光がトムキャット・レッド・ビートルをリュウセイをエリア一帯を包み込む。
本来の正史で辿る筈だったチャイナクック・マーベラス・満漢全席とはまた違う。
その三日三晩分の威力が込められたチャイナクック・マーベラス・満漢全席はエリアの半分を消し飛ばした。

閃光が止み、土煙と共に立っているのは龍昇ケン。そしてキー・オブ・ザ・グッド・テイストのみ。

「……それだけか?」

いやもう一人と一体が立っていた。
天野河リュウセイとトムキャット・レッド・ビートルが。

「そ、そんな馬鹿な……」
「いい加減、目を覚ませケン。
 早苗はお前と結婚する気なんか更々ないし。まず無理だ」
「なんで、なんでそんなことが言えるんだよ!!」
「何故なら、お前は見た目が太っていて女性受けが悪い!」
「ギクッ」
「勝治みたいに話術も、甘いマスクもない!!」
「ぐわあ!」
「成績が悪い!」
「ごわっ!」
「屁が臭い!」
「づあああ!」
「口も臭い!」
「あがあがががあ!!」
「妹の方が賢い!」
「あややややややあああああ!!」
「お前の家のラーメンだって不味い!!」
「どうわあああああああああああ!!!」

「そして何よりも、俺に負けたお前は天才でもなんでもない。
 天才になったつもりの底なしの大馬鹿野郎だからだよおおおおおおお!!!!!」
「そうだったのかああああああああああ!!!!!」

「行け、俺のトムキャット・レッド・ビートル!
 アルティメット・レッドアウト・ゴールデンマキシマム・バーニング!!!」

勝敗は―――着いた。


ケンは死んだ。
あのボーグバトルの余波に巻き込まれ命を落としてしまったのだ。
だがリュウセイは泣かない。
ケンはボーグバトルで死ねたのだ。ボーガーとして本望だった筈だ。
確証はないがそうである筈だ。それここなら警察に捕まる心配もない。
全部、主催者に責任を押しつけてやればいい。

「ケン……。お前は大事な事を勘違いしていたんだ。
 愛っていうのは、そいつを愛することを愛っていうんだ……。
 だけど、お前が愛していたのは早苗じゃない。早苗を好きなお前を愛していだけなんだ」

物言わぬ死体になったケンにそう言い。
リュウセイはフィ―ルド外に飛ばされたキー・オブ・ザ・グッド・テイスト、エレクトリカル・スピードワゴンを拾う。
そして光写真館へと急いだ。

「待ってろ。みんな」



【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグV×V】死亡

685ニコロワγ流星群(前編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:26:56 ID:IFhDCkRI0
【F-3/一日目・夜中】


【天野河リュウセイ@人造昆虫カブトボーグV×V】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、左肩に刺し傷、オリーブオイル臭い、強い怒りと決意、首輪解除
[装備]: トムキャット・レッド・ビートル@人造昆虫カブトボーグV×V
[道具]:基本支給品、スコップ@現実、ノートパソコン@現地調達、USBメモリー@ニコロワγ
    キー・オブ・ザ・グッド・テイスト、エレクトリカル・スピードワゴン@人造昆虫カブトボーグV×V      
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、主催者を叩き潰す。
0:光写真館へ急ぐ。
1:もこみち死んだのか。
2:勝治、ケン、権兵衛…… 。
3:早苗達と合流。
4:研やシャーロックはユーチューバーなのか?
※ニコニコ動画の存在を知りました。今のところニコニコで把握した動画はチャー研、ミルキィ関連だけです。
※海東、ムラクモ、星君が危険人物と聞きました。





―――――

686ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:27:33 ID:IFhDCkRI0






「光写真館にいつまで居ても始まりません。ここは市街地の方へ行ってみませんか?」

海東の提案に反対するものは誰もいなかった。
星君、ムラクモは元より、早苗もケンやリュウセイ達と合流するには、人の多い場所の方が良いと思い賛同する。
よって四人は準備を済ませ、そして光写真館を発とうしたその時だった。

「問題かも大変かもヤバイかも♪問題かも大変かもヤバイかも♪」

三羽のやかましい鴨が窓を破り光写真館へと飛び込んできた。

「え? 鴨、一体どうし―――」

その鴨たちは口調とは裏腹に、非常に怯えた助けを求める顔をしているように早苗には見えた。
鴨たちの体が膨れ上がり、破裂する。
爆弾を仕込まれていたのかとムラクモが警戒するが、それは爆弾などという兵器ではなかった。
人でもなければ獣でもない。鴨たちの体を食い破り出てきたのは、海魔。
触手をうねらせ海魔達は海東たちへと襲い掛かる。

「ウェイ!」
「電光機関解放!」

星君は金属バットで、ムラクモは電光機関を使い海魔達に応戦していく。
だが、いくらいそう階級は低いといえども、金属バットごときでは海魔はそう簡単には倒せず
ムラクモは本来の力を出し切れず防戦一方。
早苗も弾幕を撃ち援護するが三体も相手では不利だ。

「仕方ありませんね。―――変身」

グレイブバックルから、四角いカードのようなビジョンが飛び出すと、それは海魔の触手を弾く。
海東は走ってそのビジョンを潜り抜ける。
潜り抜けたその先には、海東純一ではなく仮面ライダーグレイブの姿があった。
形成は逆転。いわば怪物退治のスペシャリストである仮面ライダーが相手では如何に海魔でも手も足も出ない。

「試してあげよう。お前たちの力を」
「ウェヒヒヒ、じゃあ試されてあげる」

グレイブのボディに衝撃が走る。
見れば目の前にはフリフリした衣装に身を包んだ少女と、同じくフリフリの衣装を着た見覚えのある男がいた。

「これは一体どういうことでしょう?」
「あんたが海東でしょ? ケン君を襲ったというのは分かってるんだから!」
「何?」

続けざまにフリフリ衣装を着た男、さやかは剣を振るいグレイブへと斬りかかる。
しかし初撃では不覚を取ったが、二撃目からはそうもいかない。
さやかの剣撃を同じく剣の形をした「グレイブラウザー」で受け止めた。

(あの男は殺したはずだ。それにこの姿、剣はあの少女の……どういうことだ?)
「ああああああああ!!!」
「くっ」

海魔とは比べ物にならない強さだ。
更にまどかも後方から援護し二対一の状況。
海魔にまで手が回る状況ではない。

「皆さん、何とか撤退して……ぐわっ」
「海東さん!」

早苗も海東の援護に向かおうとするが海魔に遮られる。
何より、早苗には一つ引っかかる事があつた。

『ケン君を襲ったというのは分かってるんだから!』

あの乱入者は何故ケンのことを知っていたのか。
その言葉が本当ならばケンは……。

(いえ、それよりもまずはこの場を何とかしないと!)

687ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:28:04 ID:IFhDCkRI0
海魔に苦戦しながら星君、ムラクモは舌打ちをする。
間違いない。海東はしくじった。
あのフリフリ衣装の男の言っていたことから、推測すればすぐに分かる。
事態が事態だからか、問い詰めこそしていないが、早苗も既に勘付いていてもおかしくない。
ならばもう、早苗には用はない。海東がクロだと分かればどっち道、自分たちもかなり怪しまれる。
あの時、遊星にケンが飛び出して行った事を信じさせるために、口裏さえ合わせなければと後悔するがもう遅い。
今は、どんな手を使ってでも生還することが優先だ。

(ムラクモ、分かってるだろ?)
(ああ、癪に障るがここは撤退が一番だ)

幸い、自分たちの相手は海魔だけだ。
その動きには規則性が少なからずあり、人間並の知能を持った相手との戦闘に比べれば逃走は図りやすい。

「僕の動きに合わせろ」
「良いだろう」

もう何度目になるか分からない海魔の触手の攻撃。
星君が思いっきりバットを振りかざし触手を払う。
そして触手が払われ、ガードが手薄になった本体へムラクモの拳が突き刺さる。
電光機関の力を借りた拳は海魔を突き抜け、気色の悪い体液を撒き散らしながら貫通した。

「よし! 今だ!」

仲間が一体殺され僅かに海魔達が狼狽えたその隙に星君とムラクモは全力で駆け逃走を図る。
だが、その足元に光線が発射された。
この光線には見覚えがある。忘れるはずもない、星君の仲間を何人も葬り去ってきたあの憎き怨敵のもの。

「見つけたぞ! 星君!」
「チャージマン研か!」

最悪のタイミングで最悪の奴が現れた。
星君はそんな自分の運の悪さに呆れてしまった。

「早苗、無事か!? それになんだこの騒ぎは!?」
「遊星さん!」

研に遅れてデルタイーグルから飛び降りる遊星。
もうかつての光写真館は面影もなく、無残に戦闘の余波で破壊されている。

「さやか? あれはさやかか!」
「え? 何で遊星さんが!」

(腹パン)

「があっ!?」

別の方向へ気を取られているさやかにグレイブは腹パンを食らわせる。
たまらず、さやかは吹っ飛ばされた。
更にまどかが放つ弓矢をグレイブラウザーで弾きながら下がる。

688ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:28:25 ID:IFhDCkRI0

「ご無事でしたか、遊星さん」

姿形が変わっているが、声でそれが海東だと遊星は判断した。
これが仮面ライダーとやらの姿なのかもしれない。

「何がどうなっているんだ一体?」
「彼女らが、襲ってきたんです」
「でも、あの男の人、ケン君がどうこうって……」
「なんだって?」

遊星と早苗の疑いの目は海東へと向く。
さてどうしたものか。

「これには事情があります」
「信用できないな。お前、本当はケンをどうしたんだ?」

その疑いは確信に近い。
少なくとも遊星は海東が、どう言おうと信じる気は更々なさそうだ。

(困りましたね。身を潜めるつもりでしたが……)

大幅に計画がずれてしまった。
こんな事なら、もっとよくケンの死を確認すべきだったかもしれない。
完全に自分のミスだ。

「死んで貰うしかないな。お前ら全員」
「お前、何を―――」

その声は今までとは全く違う、背筋が凍りそうなほど冷たい声。
海東はティバックへと手を伸ばす。
何かすると気付いた遊星が止めようとするが、足で腹パンされ吹っ飛ばされる。

「こ、のおおおおおおお!!!」

先ほど腹パンを喰らったさやかが痛覚を遮断し、痛む体を無理やり動かす。
ともかく事情は分からないが、海東を止めた方が良いことだけは分かった。
手放した剣を再構築し、そのまま海東へと剣を振りかざす。

だが、その時

「案外、思ったよりも私は人望が厚かったようですね」

仮面の下で海東は笑っていた。



―――――

689ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:28:46 ID:IFhDCkRI0




デルタイーグルで光写真館に辿り着いた時、もうすでにその場は戦場になっていた。
真っ先に研が飛び降り、その宿敵を見つけると一目散に駆けて行く。
続いて遊星が降り、イカ娘にシャーロックを頼むと言って早苗の元へ走る。
こうして光写真館の外で、二人は遊星たちを待つこととなった。

「貴方たちも彼らの仲間ね」

少女の声が響く。
いや、少女というよりその姿は異様な程の大男で、その肉体は丸太のように太い。
声だけが少女だ。
更に犬耳を生やした少女にバイクスーツを着た男。
犬耳はともかく男の方もかなり厄介だとイカ娘は覚る。

「一体、何でゲソ?」
「悪いけど、邪魔してもらっては困るの」

少女、ほむトキが駆けその剛腕をイカ娘へと放つ。
イカ娘は触手を盾代わりに、それを受け止めながらも衝撃を殺しきれず後退。
狙い撃つかのようにバイクスーツの男、ギルガメッシュの投擲した石がイカ娘の足を貫通する。

「げ、ゲソ!」

痛みで頭が真っ白になるイカ娘に止めを刺そうと、ほむトキが手刀を刺すがイカ娘は辛うじて回避。
ほむらはギルガメッシュへ一瞥し石を投擲するよう合図を送る。
だがギルガメッシュは退屈そうに欠伸をしているだけだった。

「何をしているの!? こいつらがまどかの邪魔にならないように殺さないと!!」
「飽きた。そんなすぐに殺しては、あまり面白味がない。
 そんなイカ一匹、お前一人で仕留めろ。少し我を楽しませるが良い」
「何、馬鹿な事を……!!」
「おいグレーテル、 ヨツンヴァインになれ。あくしろ」
「え?」

ギルガメッシュは横でオドオドするグレーテルをヨツンヴァインにし、その背に座り込むと酒を取り出しのんびり飲み始める。
完全に見物モードへと入っていた。
ほむらは舌打ちをしいずれ殺してやると心の中で毒づく。
逆にイカ娘はチャンスだと、あの気紛れな王様に感謝した。

(シャーロック、悪いけど私一人じゃ限界があるでゲソ。
 誰か応援を呼んでくれなイカ?)
(分かりました。すぐ遊星さんか海東さんに知らせてきます)


イカ娘がシャーロックに耳打ちをしそれに答え、急いで応援を呼びに走るシャーロック。
ほむらは行かせまいと、手を伸ばすがその先をイカ娘の触手が遮った。

「邪魔を、するなああああ!」
「こっちの台詞でゲソ!」



―――――

690ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:29:06 ID:IFhDCkRI0



鈍い感触がさやかの手に流れる。
それは何かを斬った時の感触だ。特に魔女の体や触手なんかを斬った時に近い。
ただ違うのは、赤い鮮血がさやかの顔を濡らし、一人の少女が苦痛に染まった顔をさやかに見せている。
それだけだった。

「ぁあっ……」

声が上手く出ない。
自分は、何をしでかしたのか理解するまでに時間がかかる。

「シャーロック!!」

遊星の叫びが頭の中に響き渡る。

ああ、そうか。私は……。

海東の手から、血に染まったシャーロック・シェリンフォ―ドが手放された。
もう声を出す力もないのかその小さな体はぴくぴくと震え、その眼はどうしてと訴えているようだ。
その表情が、さらにさやかの心を抉る。

「良い剣だ。感動的だな」

さやかは溜まらず膝を付き、顔を俯かせる。
海東に斬りかかった時、海東はイカ娘の応援に来るよう伝えに来たシャーロックを掴み盾にした。
さやかはその攻撃を止めることができず、その何の罪のない少女を斬り殺した。

「だが無意味だ」

海東はティバックからソレを取り出した。
支給品としてはあまりにも規格外のソレを。

「私はお前に感謝しているんだ。私はお前のおかげでコイツを取り出せた。今度は私がお前を救ってあげよう」

ただし死という形でな。そう海東は心の中で付け加える。
物理法則を無視し、飛び出してきたのは巨大な戦車だ。
光写真館をその大きさで内部から破壊しながら、その戦車は光線を無差別に放つ。
壁はもちろん、天井も床も光写真館という建物そのものが光線により瓦礫と化し、降り注ぐ。

「早苗、こっちだ!」
「はい!」

光写真館から脱出しようと早苗の手を引こうとする遊星とその手を握ろうとする早苗。

(腹パン)

「うっ……」

しかし、その早苗の腹部に強い衝撃が走り、遊星の手を握る前に意識が飛ぶ。
早苗の腹にパンチ叩き込んだ海東は、ぐったりと倒れた早苗を海東が抱き抱えた。

「海東、何の真似だ!」
「申し訳ございません、このような誘拐で」

追おうとする遊星だが瓦礫と戦車に阻まれ進むことができない。
海東はそのまま姿を消してしまった。

「くそっ」

何とか光写真館が崩れる前に飛び出せた遊星。
イカ娘と戦っていたほむらが、手を止め驚愕の表情で遊星と光写真館を見る。
ただ一人、ギルガメッシュは笑いながら楽しそうに酒を飲み、グレーテルは椅子のままだったが。

「な、何でゲソ? ただごとじゃないじゃなイカ?」
「まどか、まどかああああああああああ!!」

叫びながらほむらは倒壊した光写真館の瓦礫に飛び込んでいく。
もし、あの下にまどかが生き埋めになっていたのだとしたら? そうだ早く掘り出さなければ。
まどかは寂しがり屋だ一人になんてさせておけない、早く助けなければ。
ほむらにまともな思考はなく、焦りとまどかを失う恐怖心だけがほむらを突き動かす。

「戦車は。……消えている?」

691ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:29:40 ID:IFhDCkRI0

瓦礫の山から海東の取り出した戦車は姿を消していた。
恐らく、全員殺せたと考えた海東が再びティバックに入れ持ち去ったのかもしれない。

「シャーロック……」

ほむらの横で、同じように瓦礫を退け遊星はシャーロックを探す。
イカ娘も遅れて触手で手伝う。
あの出血量では助かっていないだろうが。それでも死体だけはちゃんと埋葬してやりたかった。

「あまり、面白い見世物ではなかったな」

落胆した様子でギルガメッシュは呟く。
あの巨大な戦車が現れたまでは盛り上がったが、それ以降はろくに面白味がまるでない。
そんな瓦礫を掘るだけでは、まったく娯楽にもならない。
何より、もっと期待していたものが見れないのが実に腹正しい。
こうなれば自分が盛り上げてやろうとギルガメッシュは考える。
ついでに、首輪のない蟹頭に聞きたいこともある。やっとギルガメッシュその重い腰を浮かせた。

「……何?」

その瞬間、胸に空洞が出来ていた。

「ぐ、まさ、か……」

ピンク色の矢のような物が奔りギルガメッシュの胸を貫く。
そこまでグレーテルは理解できた。
だが、その後。胸の空洞から触手が生え始めたという現象に、既知感と驚愕が入れ混じった感覚を感じる。
海東達を襲撃する際、ティバックの中で騒いでいた浜口優かもをまどかに無理やりひったくられ、海魔にされたときと同じ光景。

「貴様、よもやそこま、ガ――!!!???」

英雄王の肉体は完全に食い尽くされた。

「ほむらちゃん、そいつら殺すから手伝って!」

まどかの声が聞こえる。
上空からだ。
瓦礫の下ではなく上空にまどかは浮いていた。
とうの昔に、あの倒壊から逃れていたのだ。

「まどか!」
「ウェヒヒヒ、参加者を媒介にした海魔はかなり強いと思うよ?」

まどかは確かに支給品よりも参加者を媒介にした海魔物非常い強力だ。
その大きさも先の戦車の倍はある。
まどかは知る由もないが、ギルガメッシュの魂は並のサーヴァント以上のもの。
ゆえに、ここまでの海魔を生み出してしまった。

もしギルガメッシュがまどかに興味を示さなければ、こんな目には合わなかった。
もしギルガメッシュが、最初からやる気があればあんな矢などかわせていたかもしれない。
何にせよ、この殺し合いの英雄王の物語はここで終わってしまった。




【ギルガメッシュ@Fate/stay night】 死亡

692ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:30:21 ID:IFhDCkRI0
海魔はその巨体を以てして遊星たちを押しつぶそうとする。
僅かに動いただけで足元にはクレーターのような窪み、島中に轟きそうな地響き。
ただの人間の遊星はもちろん、イカ娘でもあんなものに潰されては一たまりもない。
遊星はデルタイーグルに飛び乗り、イカ娘は自前の身体能力で回避し海魔から距離を取る。

「まずい。どうすればいい!?」

その海魔を倒すには、あまりにも遊星たちには装備が無さすぎる。
せめて、リュウセイ、アルセーヌ、研が居れば話は別だが。
今この場で戦えるのは遊星とイカ娘しかいない。研は光写真館の倒壊から姿を見失っている。

「何か弱点があれば」

海魔、そして上空からのまどかの弓矢を避けながら遊星は推察していく。
まずあの海魔はイカのようなタコのような姿をしている。
ならば、炎に弱いのではないか? だが試そうにも、あんな巨体を燃やし尽くす程の炎なんて調達できない。
レッド・デーモンズ・ドラゴンが使えるのならあるいは。
だがそのレッド・デーモンズ・ドラゴンも使用制限により今は召喚できない。

「まどかに命を差し出しなさい!!」
「しまっ―――」

デルタイーグルに強い衝撃が走り、デルタ―グルがクラッシュする。
勢いに乗せられたまま遊星は放り出され地面を転がる。

「逃げるでゲソ!」

イカ娘が大声で遊星に叫ぶ。
遊星が吹っ飛ばされた先にはあの海魔が迫ってきていた。
体を強く打ち付けた為か、逃げようにも体が思うようにいかない。
救出に向かおうするイカ娘だが、ほむらの巨体が遮る。

「俺は気にするな、お前一人で逃げるんだイカ娘!!」

この場で遊星が死ねば残りはイカ娘ただ一人だけだ。
イカ娘と殺し合いに乗った二人、そしてこの化け物。どうなるかは考えるまでもない。
ならばせめてイカ娘だけでもの逃げて、リュウセイ、アルセーヌと合流した方が良い。
遊星は覚悟を決め、目を閉じた。

「なんで……」

まどかの乾いた声が、その場に居た全員の心境だった。
結果として海魔が遊星を殺すことはなかった。
その動きを無理やりに引き留められ繰りそうに呻いている。

693ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:31:02 ID:IFhDCkRI0

「遊、星さん……」
「シャーロック!?」

瓦礫が浮遊し退けられていく。
手も使わず軽々とそんなことを行える人物などただ一人しかいない。
シャーロック・シェリンフォード、ただ一人だけだ。

「トイズ、戻った……みたい、です……」

もっともその命は尽きかけている。 
さやかに斬られた傷は未だに血を吹き続け、口からは何度もせき込みながら血を吐いている。
おそらくは、このトイズの使用の負担も重なっているのかもしれない。

「シャーロック! やめろ!!」
「遊星、さん……私が止めている内に……」

逃げろと言いたかったのか。
けれども、傷口の激痛からかそれは紡げない。
残った最後の力を振り絞り、自分のディバックを遊星へと投げる。
この中には、権兵衛の残したメモが入っている重要なファクターだ。遊星に渡すことで何かあるかもしれない。

最後にまた大きく血を吐く。
その時、シャーロックの中で何かが途切れたような気がした。
何か大事な命に直結する何かが。




――――権兵衛さん、早苗さん、リュウセイくん、勝治くん、遊星さん
    
    ごめんなさい。みんなが支えてくれたけど私は死んでしまうみたいです。本当にごめんなさい。
    でもリュウセイくん、早苗さん、遊星さんならきっとこんな殺し合い壊してくれるよね。


――――ネロ、エリーさん、コーデリアさん、アンリエット会長。
    
    ミルキィホームズの事はお願いします。みんななら大丈夫だと思うから。 


――――小林先生。
    
    私、先生みたいな探偵にちょっとでも近づけたのかな……。




【シャーロック・シェリンフォード@探偵オペラミルキィホームズ】 死亡

694ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:31:46 ID:IFhDCkRI0




「あーあ、あの屑ガキほんと邪魔だったなあ。死んでせーせしたけど」

海魔の動きが戻っていく。
シャーロックのサイコキネシスの拘束が緩み、再びその身は自由となった。
早く逃げなければ踏みつぶされるだろう。
だが、そんな事はどうでも良かった。
今あの女は何と言った? 

「屑だと……?」

屑と確かに屑と言っていた。

海魔が迫る。だが関係ない。
遊星はそこに立ち尽くし、まどかを睨む。

「屑でしょ? あんなガキ」

悪びれる様子もなくまどかはあざ笑う。

「クズ、クズ、クズ。ウェヒヒヒ、何度でも言ってあげる」

「何度も何度も屑とばかり…他に言葉を知らないのか?」

シャーロックとは決して長い付き合いだった訳じゃない。
通算すれば数時間も一緒にいないかもしれない。
だが彼女の強い意志と、その信念は痛いほどに伝わる。そんな誇り高い少女を侮辱されたまま、終われる訳がない。

「お前なんかにシャーロックを貶されてたまるか!!」

シャーロックのディバックが投げられたとき、確かに感じていた。
確証はないが確信はある。この中に切り札が入っていると。
ディバックを開け、取り出せたのは二枚のカード。

(シューティング・スター・ドラゴン、駄目だ。今は使う事が出来ない。だが―――)

非常に強力なカードだがそれ単体では使用できない。
スターダストドラゴンの強化形態でもある為、そのスターダストドラゴンがなければ召喚不可能だ。
だがもう一枚は違う。

「集いし願いが新たな速度の地平へ誘いざなう。
 光さす道となれ! シンクロ召喚! 希望の力、シンクロチューナー、フォーミュラ・シンクロン!」

遊星の口上に導かれるようにカードの絵柄が実体化しモンスターが現れた。

695ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:32:20 ID:IFhDCkRI0

「そんな雑魚で私の海魔が倒せるわけないじゃん」

まどかは鼻で笑う。
フォーミュラ・シンクロンは凛々しい目をしながらもその姿は小柄でミニカーのようだ。
どう見ても海魔に勝てる様子はない。

「それはどうかな?」

フォーミュラ・シンクロンがその召喚に成功した時、カードを一枚引くことができる。
麗華からレッド・デーモンズ・ドラゴンを譲り受けたとき
カードが実体化することを聞いていた遊星はモンスターの効果もある程度再現されると考えていた。
その考えは当たっていた。

本来ならばシンクロ召喚に成功した時限定だが、それはこの殺し合いにおいて実体化もシンクロ召喚として扱われる。
支給品として出す際、主催側が施した特殊な裁定だ。
そしてそのカードは本来のデュエルならばデッキ(山札)から引くことになるが、この殺し合いにデッキは存在しない。
故に、そのカードは支給品の予備軍よりランダムの使用者の元へと送られるシステムになっていた。

遊星の手に新たなカードが握られる。


「俺の引いたカードは―――死者蘇生!!」

参加者は蘇らせることが出来ないが、墓地に送られたモンスターを蘇らせる強力なカード。

「蘇らせるのは―――」

再び、王者の鼓動が今ここに列をなす。
天地鳴動の力を纏い、そのドラゴンは墓地より舞い戻る。

「レッド・デーモンズ・ドラゴン!」

王者の咆哮だけでその海魔は怯む。
格が明らかに違う。本能的に海魔は理解していた。
これは自分よりも上の食物連鎖の頂点に位置するのだと。
今、殺される側に居るのはこの自分自身なのだと。

「ちょっと、何よ……何で動かないの!!」

こんな、こんなところであんな訳の分からないドラゴンに邪魔されてたまるか。
もうこんな化け物には頼らない。自分自身で遊星を殺す。
まどかは上空から遊星へと急下降し弓矢を向ける。

「お前の魂、借りるぞジャック。―――灼熱のクリムゾン・ヘルフレア!!」

レッド・デーモンズ・ドラゴンから放たれる灼熱のブレス。

「駄目、逃げてまどか!!」

ほむらの叫びも空しく、その灼熱はまどかを包み込む。

「熱い、熱い、熱い熱い熱い熱い熱い!! ほむ、らちゃ……」
「待っててまどか私が……!!」

海魔は蒸発し、まどかの悲鳴が炎に飲まれる。
ほむらはなりふり構わず炎に飛び込み。
それが遊星が見た二人の最後の姿だった




―――――

696ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:32:42 ID:IFhDCkRI0





「どうやら、勝敗は着いたようですね」

海東は光写真館のあった場所に現れた海魔とドラゴンの戦いを離れた場所から見届けていた。
自分の戦車も大概だが、あの二体の生物も中々に厄介だ。
おそらく海魔はまどか、ドラゴンは遊星のものだろう。
早急に対策を練った方がいいかもしれない。

「とはいえ、私のグレイブバックルや電光戦車のように、使用制限を掛けられている可能性は十分にある。
 あまり気を取られるほどでもないかもしれません」

それよりも、と海東は早苗へと視線を戻す。
彼女の扱いを考えなければならない。
もう、どう言い繕っても自分を信じはしない。
そもそも仮面ライダーというだけで、早苗が無条件で信じ込んでくれたのが奇跡に近かったかもしれない。
世の中には色々なライダーが居る。
その力をイライラ発散の為に使うものや。
ライダーの力楽しみだけで使う、薄汚いオルフェノクという怪人の仲間がいると風の噂で聞いたこともある。
どの道、自分は疑われていただろうと海東は開き直った。

「か、海東さん! あなた一体……!?」
「おや、もう目が覚めました」

これは意外だったと言わんばかりに海東は言う。
きちんとした拘束をする前に、目覚めるとは思いもよらなかった。
思った以上に、体がタフなのかもしれない。

(腹パン) バチィ

「いい目覚めだ。感動的だな。だが無意味だ」

腹に一撃お見舞いし、電磁サイリウムで止め。
ケンを殺しきれなかったことから、そう殺傷力は高くないのだろう。
早苗は再び気絶した。

「この電磁サイリウムは、早苗さんが私を信頼し譲ってくれたものでしたね。皮肉なものだ」

感情が篭っていない声で淡々と述べ海東は早苗の拘束を始めた。
もちろん猿轡も忘れない。
そして早苗のディバックの中身を確認し、それらを自分のディバックに移す。
空になった早苗のディバックに早苗そのものを入れ、そのディバックも自分のディバックへと入れた。

「貴方は人質になって頂きます」

グレイブバックルと電光戦車の力は一時的に失われ、仲間という利用できる駒がない以上。
海東には修羅場を切り抜けるカードが必要になる。
それが早苗だった。

697ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:33:18 ID:IFhDCkRI0

「遊星が追ってきたとしても、あるいは他の連中が私を殺し合いに乗っていると知らされているとしても、早苗を盾に使えばそう手出しはできない」

しかし、ある意味このの切り札は、海東が追い詰められている事を示している。
海東はもし自分を知らない参加者と遭遇すれば、無害な参加者を装うつもりだ。
とはいえ既に殺し合いの参加者は半数を切った。
あの場に居た連中の数、更にあの場には居なかったがあの場に居た誰かと面識のある参加者。
そこまで考えると、完全に騙せる人間は殆ど居ない。

「私も追い詰められましたか。だがこれで逆にやりやすくなったとも考えるべきか」

元々、優勝を狙っていた以上殺し合いに乗った参加者がこれ以上戦力を増大させるのは避けたいところだった。
むしろさっさと潰しあって欲しいぐらいだ。
集団に紛れながら、海東はそのことに焦りと憤りを感じていたのも事実。
かえって、堂々と参加者を殺せる立場はそう悪くはないかもしれない。

「あの首輪を外した時は、あのまま主催を倒しても良いかと思いましたが。
 やはり逆らうのは、危険すぎますからね」

ティバッグを担ぎ何処へ向かうか思案する。
出来れば共闘者が欲しい。生きていれば、星君やムラクモと合流できればすべきだろうか。
だが、一度犯したミスでこちらへの信頼は下がっている可能性は高い。
役に立たないと殺される可能性も高い。慎重に接触すべきか。


「とにかく、今は遊星に会わないことを祈りましょう」

698ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:33:45 ID:IFhDCkRI0
【H-05/1日目・夜中】



【海東純一@仮面ライダーディケイド】
[状態]:( ^U^)申し訳ございません、このような健康体で。首輪解除
[装備]:グレイブバックル@仮面ライダーディケイド(二時間変身不可)、電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER
[道具]:基本支給品(一食分消費)、電光戦車@エヌアイン完全世界、外部AI@MUGEN(4時間使用不可)
   AT-4@魔法少女まどか☆マギカ、権兵衛の書置き(偽)
    VGカード『幸運の運び手エポナ』@カードファイト!!ヴァンガード、権兵衛の考察メモ
    早苗の基本支給品 (一食分消費)
[思考・状況]
基本:優勝して、元の世界を支配する。
0:取り敢えずここを離れる。
1:表向きは対主催と偽りたいが、恐らく人数的に完全に騙せないので殺しまわる事も算段に入れる
2:早苗はいざとなったときの人質兼盾。
3:何処に向かうかは検討中。遊星たちとは会いたくない
4:ノーリスクで殺人が可能な武器が欲しい。
5:星君、ムラクモとの合流すべきか? 念のために警戒はする。
6:グレイブバックルの制限は首輪とは別にかけられている様だが…。
7:ディケイドは死んだか…
8:AIを搭載した電光戦車は切り札。
※「ディエンドの世界」編終了後からの参戦
※鬼柳とさやかを死んだと思っています。
※大変胡散臭い表情をしていますが、本人はそれに気付いていません。
※グレイブバックルは一度使うと2時間使用不可になります。
※電磁サイリウム@COBRA THE IDOLM@STER、AT-4@魔法少女まどか☆マギカを早苗から譲り受けました
※早苗のことは別の世界の仮面ライダー住民だと思っています。
※権兵衛の書置きを偽造する為、支給品のどれかの説明書の端を破り取ったようです。
※ブレイブバックルの制限は支給品として独立してかけられている為解けていません



【東風谷早苗@守矢一家コスプレ劇場】
[状態]軽傷、霊力消費(小) 首輪解除、腹部に(腹パン)の痛み、気絶 海東のバックの中で拘束中
[装備]無し
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:殺し合いには乗らない。
0:……
1:海東さんは……。
2:ムラクモを守りたい。
3:ケンくんはもしかして……。
4:北東から見えたあの光は……?
5:守矢の巫女として信仰を集める。
6:博麗神社は後で改めて訪れたい。
7:権兵衛さん…
8: \  /
9: ●  ● この会場では常識に囚われてはいけないのですね!
10:" ▽ "
※海東を危険人物だと認識しました。
※ムラクモはただのミリオタの少年だと思ってます。




―――――

699ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:34:09 ID:IFhDCkRI0



「倒壊に巻き込まれるのは二回目だ」

自嘲気味にムラクモが吐き捨てる。
同様に星君も大きいため息を漏らしていた。
光写真館倒壊時、なんとか二人は瓦礫に混じり研の追跡を撒く事に成功していた。
とはいえ、やはり二回も生き埋めにされかけるのは良い気分ではない。
ムラクモは複雑な心境だった。

「チャージマンから逃げられたんだし結果オーライさ」

互いに殺し合いに乗ってると分かったムラクモは、星君と共闘関係を結ぶことにした。
やはり、この弱体化した体で一人で殺しあうのに無理があると考えたからだ。
それに対し星君も同意見で制限は解けたが、残り三十人近くと一人で戦うのはごめんだった。

「どうする? また他の参加者を騙し紛れるか?」
「いや、チャージマン研が僕らの悪評をばら撒くに違いない。
 何より、海東のミスで遊星たちは、僕らが海東と口裏を合わせたことを疑っているのも辛い。
 奴の巻き添えで僕らも疑われているはずDA」
「では殺しまわるか?」
「それもナンセンスDA。
 もっと利用できるものは利用しなきゃ」

星君が凶悪な笑みを浮かべる。
そこには、人の情というものがまるでない。
全く別の生命体と話しているようだとムラクモは感じた。

「私が、私が……殺したの……?」

フリフリ衣装を着た男がこちらへ走ってくる。
星君はそれを鼻で笑う。
とても都合が良い。あれは駒になると言いたげに。

「ねえ、提案があるんだちょっと」

静かに冷たく、だがはっきりと聞こえる声で星君は言葉を紡ぐ。

「君の間違いは、全てやり直せる」
「……え?」

その言葉は美樹さやかにとって何よりの救いだった。



「そう、みんな生き返らせてしまえばいいんDA」



ムラクモもまたさやかに気づかれぬよう、その無表情な顔に笑みを浮かべた。

700ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:34:26 ID:IFhDCkRI0
【G-4/一日目・夜中】


【ムラクモ@アカツキ電光戦記】
[状態]:貧血、疲労(中)、ダメージ(中)、右足に刺し傷(処置済)、身体が十二歳程になっています 首輪解除
[装備]: 六〇式電光被服@アカツキ電光戦記、十六夜咲夜のスカート
[道具]:基本支給品(一食分消費)、マッド博士の整形マシーン、ポラロイドカメラ、
[思考・状況]
基本:主催も含めて皆殺し。
1:星君と一先ず組む。
2:海東とは合流すべきか、だが……。
3:無力な少年を装うのは難しいか。
4:怪我の回復にも専念する。
5:オリーブオイルはもう要らないか
6:もこみちざまあwwwwwwwwwwwww
7:早苗はいずれ殺す。
※権兵衛の考察メモを読みました。
※早苗が現人神である事、奇跡を起こす程度の能力の一部を知りました。


【星君@チャージマン研!】
[状態]:疲労(中)、首輪解除
[装備]:金属バット@現実 、キリン装備@モンスターハンター、地の石@仮面ライダーディケイド
[道具]:基本支給品(一食分消費)、双子シグナーカードセット@遊戯王5D's、謎の白い液体@THE 世界遺産、王宮内で手に入れた食料と武器、フランクのカメラ@デッドライジング、
   射命丸のカメラ(30/30)@東方Project、士のカメラ(30/30)@仮面ライダーディケイド、
   射影機(30/30)@零〜zero〜、カメラのバッテリー@現実×2、十四式フィルム(30/30)@零〜zero〜×2、フィルム@現実(30/30)×3
   カブドボーグとチャ-ジマン研のDVD、早苗のフィギュア
[思考・状況]基本思考:母星や仲間のために殺し合いに乗る。
1:チャージマン研は最優先で抹殺する。
2:チャージマン研、遊星達、アルセーヌ(名前は知らない)を警戒(特にチャージマン研)。
3:これから毎日、不意討ちしようぜ!
4:さやかや他の参加者を利用し殺し合いを進める。
※参戦時期は不明ですが精神病院の事は知らないようです。



【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:鬼柳京介の肉体。まどかに発情、戸惑い 、混乱、精神的ショック(大)、シャロを殺した罪悪感
[装備]:さやかのソウルジェム(濁り:大)@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、「スピード・ウォリアー」のカード@遊戯王OCG、
    「くず鉄のかかし」のカード@遊戯王OCG、「???」のカード@遊戯王OCG、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合いをぶち壊して鬼柳の分まで満足する。
1:私が殺したの……?
2:みんな生き返らせる……?
※ショウさんの話を聞く直前からの参戦。
※肉体は鬼柳京介のものになっています。
※第一放送を聞き逃しました。
※遊星、フランク達と情報交換しました。
※まどか達と情報交換(嘘を含む)しました。




―――――

701ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:35:07 ID:IFhDCkRI0





アルセーヌの到着はあまりにも遅すぎた。
遊星の乗るデルタイーグルの到着から、数分ほどの遅れであることは
その足で走ってきたことから考えて、常人には真似できない恐るべき速力なのは間違いない。
けれども、全ては後の祭りだった。アルセーヌは当事者であることは出来なかった。

「シャーロック……」

その小さな亡骸を見て、アルセーヌは体に力が抜けていくのが感じた。
自らの宿敵であり、そして可愛い後輩でもあるシャーロックの死。
考えたこともなかった。ミルキィホームズの誰かが、シャーロックが死ぬなど。
何処かで期待していた。いや思い込んでいた。
いずれアルセーヌとトイズを取り戻したミルキィホームズが、その因縁にケリをつける決戦で対峙するのだと。
こんな、こんな幕切れなどある訳がないと。

「すまない。俺がもっと海東を警戒していれば……」

遊星はアルセーヌ不在時に起きた全ての事を話した。
直接殺したのはさやかだが、実質的に殺したのは他でもない海東純一だということ。
そして、シャーロック・シェリンフォードは遊星達を助けるために、最後まで戦い続けたことを。

「頑張ったわね。シャーロック」

マスクを外し、髪を下ろす。
今は、この時だけはアルセーヌではなく、アンリエット・ミステールとして。
シャーロックの亡骸を一度だけ優しく撫でた。

「あれ、一体何がどうなって……シャーロックちゃん!?」

瓦礫を押しのけ泉研が這い出てくる。

「研、生きていたのか……」
「何とか、さっきまでは意識を失ってたんだけど……。
 それよりもシャーロックちゃんが、何てことだ!」

拳を強く握り締める。
自分が意識を失っていた内に一人の少女の命を失わせてしまった。
ヒーローとしてあるまじき失態。悔しさと後悔に身を震わせる。

「星君め許さないぞ!」
「違う。海東が」
「星君!!」

「……待て。ムラクモと星君は何処だ?」

そういえばと遊星は辺りを見渡す。
あの二人の姿が何処にも見えない。まさか瓦礫の下に埋まったままなのか。

「あの二人は逃げたよ。はっきりと僕は見たんだ。
 追いかけて、滅ぼしてやらないと」
「逃げた?」
「間違いない。あの二人は殺し合いに乗っている!」

研の決め付けっぷりはどうかと思うが、確かにあの二人もそうとう怪しくなってきている。
警戒するに越したことはないだろう。

702ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:35:36 ID:IFhDCkRI0

そういえばと遊星は辺りを見渡す。
あの二人の姿が何処にも見えない。まさか瓦礫の下に埋まったままなのか。

「あの二人は逃げたよ。はっきりと僕は見たんだ。
 追いかけて、滅ぼしてやらないと」
「逃げた?」
「間違いない。あの二人は殺し合いに乗っている!」

研の決め付けっぷりはどうかと思うが、確かにあの二人もそうとう怪しくなってきている。
警戒するに越したことはないだろう。

「だが、あいつらの前に海東だ。
 さやかも気になるが、あいつは早苗を攫った。何をするか分からない」
「いや、星君を抹殺するのが先だよ。ジュラル星人を生かしていいことなんて一つもないんDA!」

星君を早く追いたい研と早苗の救出したい遊星。
肝心なところで意見が食い違ってしまう。

「いえ私も遊星さんの意見に賛成ですわね」
「そんな、でも……。
 分かったよ。じゃあ僕一人でも星君を倒して見せるさ!」
「待つんだ! 一人じゃ危険だ」

そう言うと研は星君を追うために駆け出した。
追おうとする遊星だが、変装した研とは身体能力が桁違いの上、早苗のこともある為、深追いできない。

「遊星、研のことは私に任せるでゲソ」
「イカ娘!?」

それを察したイカ娘が研の後を追う。

「大丈夫か二人とも……」
「あの二人もかなりの実力者です。大丈夫でしょう」

不安はあるがそれだけにかまっている場合じゃない。
遊星は転倒したデルタイーグルを立て直し、異常がないのを確認し始める。

「リュウセイはどうする? ここにくるまで待つか?」
「いえ、それでは遅すぎます。それまで早苗さんと言う人が無事である保障もありません」
「そうだな。あいつには悪いが、ここは早苗の方を優先しよう」

デルターイーグルを触りながら遊星はひとつ気に掛かっていた。
海東はアルセーヌにとってシャーロックの仇に当たる存在だ。
果たして、彼女は冷静でいられるかということ。そして、狡猾な海東がそれに気づかないかということ。
だが自分一人の戦力では、海東に勝てそうもないのも分かっている。
今はアルセーヌに頼るしかない。

「大丈夫か? その……」
「私は冷静ですわ」
「そう、か」

それでも聞かずにはいられなかった。
もっとも全てを言い切る前に悟られてしまったが。

「良し、何処にも不調はない。いけるぞ」
「では行きましょうか」

デルタイーグルにエンジンを掛け遊星とアルセーヌが乗り込む。
デルタイーグルのエンジン音がH-04に響き渡った。

703ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:36:10 ID:IFhDCkRI0
【H-04 光写真館跡/1日目・夜中】

【不動遊星@遊戯王5D's】
[状態]:疲労(小)、主催者達に怒り、首輪解除
[装備]:デルタイーグル@遊戯王5D's(操縦中)
[道具]:基本支給品、サイバーZ一号のベルト@真夏の夜の淫夢関連、レッド・デーモンズ・ドラゴン@遊戯王5D's(二日目午前まで使用不可)
ライダーズカード一式@仮面ライダーディケイド、沈黙の騎士ギャラティン@カードファイト!! ヴァンガード
大量の玩具@現実、玩具を弄る為の工具@現実、武器になりそうな物@現実(包丁や鋸など)、鬼柳のハーモニカ@遊戯王5D's
解除した首輪×7、分解した首輪、シャロの基本基本支給品、手鏡@現実、権兵衛のメモを再現しいくつか書き足したもの
  フォーミュラ・シンクロン(二日目朝まで使用不可)&シューティング・スター・ドラゴン@遊戯王5D's
DMカード死者蘇生@遊戯王デュエルモンスターズ(二日目夜中まで使用不可)
[思考・状況]基本思考:殺し合いの打破
1:海東を追い早苗を奪還する。
2:星君、ムラクモを警戒。
3:ありがとウサギ…
4:首輪の構造の簡素さに疑問。
5:自分のカード達や仲間を探す。
6:勝治を攻撃した誰かに警戒。
7:ケン、やはり……
8:さやか、大丈夫なのか……
※勝治が今までしてきたことを聞きました。ただし、アルセーヌを覗き見してたことは聞いてません。
 また、田所(野獣先輩)が勝治に一服盛ったと思っています。
※勝治の首輪には不具合が起きていると推測しています。
※主催側に何か不都合な事が起きていると推測しています。
※権兵衛からリュウセイと少年(ムラクモ)の現状、危険人物の話を聞きました
※麗華達と情報交換しました。
※この会場が人工的に作られた物では無いかと考えています。
※フォーミュラ・シンクロンは制限で一度使うと12時間使用不可能です。
※死者蘇生は制限で一度使うと24時間は使えません。


【アルセーヌ(アンリエット・ミステール)@探偵オペラミルキィホームズ】
[状態]:健康、アルセーヌの怪盗服 、首輪解除 、冷静?
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品、ランダム品×1、 シャロの探偵服@探偵オペラミルキィホームズ
[思考・状況]基本思考:殺し合いを壊し主催から願いを叶える方法を盗み出す。
0:海東を追い、倒す。
1:施設を巡り調査する。
2:アルセーヌとして行動するが、協力者を集める。
3:男声の女(譲治)とロックオンを警戒。
4:自分の推測が正しいか確かめる為、情報を集める。
5:黒幕は神……そんなわけないですわね。
6:会場からの脱出を模索。
7:会場の強度に疑問、本当に地球なのか?
8:シャーロック……
※デッドライジング、スクライド世界の話を聞きましたが半信半疑です。
※有野、もこみち達と情報交換しました。
※首輪解除でトイズの制限が解けました。


【H-04/1日目・夜中】

【泉研@チャージマン研!】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)
[装備]:スペクトルアロー(ランダム品3つ扱い)@チャージマン研! 首輪解除
[道具]:基本支給品、ランダム品無し
[思考・状況]基本思考:主催者及びジュラル星人、殺し合いに乗ったキチガイ参加者を全て滅ぼす!
0:星君を追い、倒す。
1:ありがとウサギ(名前を知らない)、ムラクモを倒す(特にムラクモの計画は必ず阻止する!)。
2:間違いない。黒幕はジュラル星人だ!
3:頭の中に爆弾が! ……ない。
4:ジュラル星人め許さないぞ!
※自分の勘が外れているのをジュラル星人の仕業だと断定しました。(真相は不明)
※首輪解除により、変装制限が解けました。




【死者蘇生@遊戯王デュエルモンスターズ】
使用不能になったモンスターカード一体を召喚できる。
参加者は復活できない。

704ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:36:31 ID:IFhDCkRI0
研を追うイカ娘。
だがその道中に行き倒れている少女を見つけた。

「この娘、あの偉そうな奴に椅子にされてたでゲソ……」

事情は分からないが、あんな扱いをされていたのは間違いなく被害者だろう。
保護するべきだと、イカ娘は思った。
イカ娘はこの娘を背負うと研の追跡を再開した。



【H-04/1日目・夜中】

【イカ娘@侵略!イカ娘(イカ娘の侵略実績のご紹介)】
【状態】】疲労(小)、深い悲しみ、殺人者への怒り、強い決意、首輪解除
【装備】いつもの服(少し破けてる。あかりの血で汚れている。)
【道具】ヴェルタースオリジナル×1、ポケットに入るだけの食料品(すぐ食べれるような物)、地図
    毘沙門天の槍、ドーピングコンソメスープ×2本@魔人探偵脳噛ネウロ、ATTACK RIDEてれびくん@仮面ライダーディケイド
    観葉植物くん@真夏の夜の淫夢、DMカードセット(氷結界の龍ブリューナク、グングニール、トリシューラ)@遊戯王DT
【思考・状況】
基本:殺し合いを止め、主催を打倒する
0:研を追いかける
1:他の参加者と協力する
2:あかり……
3:どうやってれもんをここに持ってきたんだろう?
※E-09にあかりのバックが放置されています。
※海の家れもんを自分の世界から何らかの技術で持ち出された物と考えています。
※ポケットに入るだけの食料品はデイバックに入れました。
※首輪探知機は見落としました。


【グレーテル@よもやま四方山】
【状態】軽度の火傷、打撲、疲労(小)、血塗れ、迷い、気絶
【装備】ボロ服
【道具】ディーノの基本支給品一式、ポッチャマ@ポケモン
    剣(石)@Minecraft、アサシンの首輪
【思考・状況】
基本:出来れば死にたくない
1:……
2:愉悦…
3:自分のデイバックを回収する
4:私は……
※モンスターボール(ポッチャマ)が壊れたため、引っ込めることができません
※ギルガメッシュと情報交換をしました
※会場からの脱出は諦めました





―――――

705ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:36:57 ID:IFhDCkRI0


「し、死ぬかと思った……!!」


【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグV×V】生存


ケンは奇跡的に生きていた。
息を吹き返し安堵の息を漏らしながらケンは思い返す。
リュウセイの容赦のない攻撃を。

「リュウセイのやつめ。友達にあんなことを最低だぞ!」

最初に負けた奴が死ぬとか言い出したのこいつなんだよなぁ。

ともかくケンは怒りに身を任せ、この殺し合いから脱出したら警察に通報してやろうと考えた。

「あり?」

腹から腕が生えていた。
遅れて激痛が走り、叫びそうになるが声がでないことに気づく。
何かが首に噛み付いている。気づいたときには息も出来ない。


「ほら、まどか。頑張ってこいつの首を食いちぎって? 
 そうすれば二人殺した事になるんだよ」
「も、む、ひぃ。こおおひて」
「ほら、噛まないと。痛いい痛いよ?」

ケンの首に齧りついているのは四肢のないピンク髪の女の子だった。
そいつは殺してくれと悲願する。
けれども胸を貫いた女声の大男がその芋虫みたいなピンク髪の女の体を突いた瞬間、叫び声をあげ噛む力が強くなった。

「チャー、ハン……」

完全に止めを刺されたケン。
最後に思い浮かべたのはチャーハン。
死ぬ前にまた一度食いたかった。





【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグV×V】マジで死亡

706ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:37:23 ID:IFhDCkRI0





「もおやらよおお。こおひえ、ほうあひゃん」

呂律が上手く回らない。
全身に火傷をおったせいか。
四肢が欠損している。あの豪華に焼き尽くされたせいだ。
もう死にたい。でも殺してくれない。

「安心して、まどかと私はずっと一緒だから」

四肢のない芋虫のようになったまどかをほむらはぎゅっと抱きしめる。
もう二度と離すものかと。あなたは私の大事な人だからと。

あの時、レッド・デーモンズ・ドラゴンの攻撃からまどかを救い出したほむらだったが。
その惨状は悲惨すぎるものだった。
もう風前の灯、死ぬのは時間の問題だった。

だがほむらはそこで以前の首輪の解除を思いつく。
参加者の力が首輪で制限されていたのは分かっていた。ならば、それを外し生命力を底上げすればあるいは。
まどかにとっての不幸と、ほむらにとっての幸福はそこから始まる。
パッチを付け秘孔を突き肉体の強化、首輪を引きちぎる。
結果、ほむらは首輪を外してしまったのだ。

そして魔法少女はソウルジェムを砕かない限り死なない。
さらに絶望によって起こる魔女化も、螺湮城教本により魔力が供給され続け起きることもない。
つまり鹿目まどかは永遠にこの芋虫のような肉体で生き続けることとなってしまった。



「愛してるわ。まどか」


まどかの頬に口付けをする。
もうずっと二人っきりだ。自分の邪魔をする者は全て殺す。
その愛こそ全てだった。

707ニコロワγ流星群(後編) ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:37:48 ID:IFhDCkRI0
【F-3/一日目・夜中】


【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(大)、マドカァー 、ヤンデレ状態、首輪解除
[装備]:ソウルジェム、バルメM78(36/40)@コマンドー、ストライカーユニット@ストライクウィッチーズ、世紀末魔法少女パッチ@MUGEN、鹿目まどか
    螺湮城教本@Fate/Zero(まどかに魔力供給)
[道具]:基本支給品一式×4、キャベツ@夜明け前より瑠璃色な 〜Crescent Love〜、ランダム支給品0〜4
    キングクリムゾン(残り3回)@ニコニコ動画、タイム風呂敷@ドラえもん
    十六夜咲夜のナイフ×3、イカ娘の支給品(ランダム品1〜3)
    ゴンさんのデイバック(ヴェルタースオリジナル一袋@現実、スタングレネード×5@現実、コンコン@JAPAN_WORLD_CUP
    キャラ改変パッチ@MUGEN),ウィンチェスターライフル(1/7)@うみねこのなく頃に
[思考・状況]
基本思考:まどかとずっと一緒に居続ける。邪魔するものは全員殺す。
1:何があってもまどかを守る。
2:まどか愛してる。ずっと一緒よ。
3:まどかに危険を及ぼしうるものは全て排除する。
4:まどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどかまどか

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ(クズなまどかシリーズ)】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(重傷)、四肢欠損、芋虫、呂律が回らない、全身大火傷、絶望、ほむらの装備、首輪解除
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:ゲームからの生還
1:殺して……
※螺湮城教本は制限により海魔の現界、術者の魔力補給、本体のダメージ修復等の同時運用は出来ません。
※制限として海魔の最大同時現界数は五体までしか出せません、また能力も下方修正されています。
※永続的な魔力供給により魔女化できません。

708 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:38:53 ID:IFhDCkRI0
投下終了です

ぬわああん疲れたもおおおおおおん

709 ◆FbzPVNOXDo:2015/04/09(木) 16:41:45 ID:IFhDCkRI0
>>707
すいません
まどかのソウルジェム消えてました

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ(クズなまどかシリーズ)】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(重傷)、四肢欠損、芋虫、呂律が回らない、全身大火傷、絶望、ほむらの装備、首輪解除
[装備]:ソウルジェム
[道具]:なし
[思考・状況]
基本:ゲームからの生還
1:殺して……
※螺湮城教本は制限により海魔の現界、術者の魔力補給、本体のダメージ修復等の同時運用は出来ません。
※制限として海魔の最大同時現界数は五体までしか出せません、また能力も下方修正されています。
※永続的な魔力供給により魔女化できません。

710名無しさん:2015/04/09(木) 17:49:02 ID:oCBPpDCs0
投下乙
予約の時点で波乱は予想出来たが
、ここまでとは……

まず、リュウセイvsケンの原作さながらのボーグバトル
バトルそっちのけで精神攻撃に走るリュウセイさんといい本当に氏のボーグ愛が光る闘いだった

そして、写真館の混戦
芋虫と化したまどか、完全に墜ちたほむら、これまた闇落ちフラグが立ったさやかとまどマギ勢の悲惨っぷりが……
AUOはやっぱり慢心には勝てなかったか……


話は変わりますが、祝☆投下数50作突破!おめでとうございます!
今のニコロワγは氏が引っ張っていると言っても過言ではない
本当に投下乙です!

711名無しさん:2015/04/09(木) 18:01:20 ID:.S8jsypY0
水を差すようで悪いんだけど淫夢くんは何所へ?
多分早苗のデイバックの中辺りが考えられるけど

712名無しさん:2015/04/09(木) 19:30:40 ID:R7i8YyOo0
ガラス

713名無しさん:2015/04/09(木) 22:06:52 ID:QPLFgO7s0
投下乙です

リュウセイさんがリュウセイさんらしくて良かった。ケンは死ぬ死ぬ詐欺発動せずようやく死んだぜ
シャロはよく頑張ったよ、蟹さんも格好良くていいゾ〜これ
まどかはとうとう悪行のツケを払う時が来たってハッキリ分かんだね

714名無しさん:2015/04/10(金) 00:16:21 ID:3QtfbE1E0
各々が全力で戦ってるのに慢心で死んだAUOは恥ずかしくないの?(嘲笑)

715 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:37:11 ID:riY5ofZg0
遅れましたが投下します

716 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:38:42 ID:riY5ofZg0



河城にとりは急いでいた。

理由は先ほどの定時放送にある。

まず死者の放送で聞き知った名が呼ばれてないのは幸運であった。
だが本題は禁止エリアにある。
今時分が居るエリアは恐らくE-03、2時間後に禁止エリアに指定されている、
しかも何故か今回からエリアごと爆発する仕様になった様だ。
こうなっては首輪を解除できても意味は無い。
とにかく早く此処から離れなくてはならない。

しかし、この移動方向というのが厄介であった。
南には先ほどの危ない男が、北には厄介な少年が、西は此処より一足早く禁止エリアとなり、東にはヘルメットがまだうろついているかもしれない。
出会わなければどうという事は無いのだがこちらの損傷が小さくない以上当然接触は避けたい。

その上ヘルメットやあの肉付きの良くて美味しそうな女は光学迷彩で見えないにもかかわらず気配でこちらの存在に気がついていた。
つまり光学迷彩があれば安心というわけでもない。
こうなると隠密行動は決して簡単とはいえなくなる。

加えて「ゲーム」が始まってから20時間が経とうとしている。
既に参加者は半分を切り、その分殺し合いに乗った者が大きく動いている事になる。
恐らく、非力で襲いやすい人間のいくつかもそれらの牙にかかってしまったのだろう。

もっと早くから積極的に動いておけば良かった。
そうは思っても全ては後の祭り。
自分にできる事はせめて今をより良い未来に繋げていく事だけ。




(でも何所に行けば良いかなぁ…)

北や西は学校を避けるとしてもヨコハマ埠頭という場所も一応見てはおきたい所があるがそれ以外に目欲しいところは余り無い。
何より埠頭は禁止エリアになるD-02を迂回して通るとどうしてもE-02の街に近づいてしまう。
南へ行くだけならE-03を通れば良いかもしれないが。
ただ街の方も一応調べてはおきたいので次の放送の時間の頃には向かっておく事にした。

閉ざされた世界、幻想郷の住人であるにとりは必然的に現実世界の知識に疎い。
故に、施設に対する固定的な認識は人間のそれと異なる。
例えば幻想郷には海が無いため、にとりは埠頭の名前こそ文献などで見る機会はあるかもしれないが実際に目にした事は無い。
施設が人より面識が狭く、身を休めそうな施設が何所なのかはわからない。
だがそういった場所で人間が潜み、身を休めている可能性は十分に考えられる。

まず最寄りのMOCO'sキッチン収録スタジオという場所はすぐ禁止エリアに指定されてしまうので論外。
同様の理由でアザディスタン王宮、冬樹市ハイアットホテルも却下。
そうなれば残っているのは少し遠いがこの木なんの木、ロイドの店、光写真館である。

館だとか店だとかいうものには一応聞き覚えがある。
館と言うとあの吸血金の姉妹が居るという紅魔館。
店と言えば香霖という男の経営する香霖堂を思い出す。
木に関しては一本松や一本杉のようなシンンボルマークめいた存在なのだろうか。
だとすれば行く価値があるのはロイドの店か光写真館の二つになる。
とちらにしても此処から禁止エリアの端を通り抜けながら向かえばあの化け物と鉢合わせする事は無いだろう。


(それにしても何でまたあの人間は呼ばれてるんだろう…)

にとりはふと先刻戦闘する事になった少年の事を思い出す。
途中乱入してきたもう一人の少年は確かにあの美味しくなさそうな奴を勝治とよんでいた。
おそらく参加者の名簿からして松岡勝治の事なのだろう。
だが松岡勝治という名前は奇妙な形で聞き覚えがある。
一度目の定時放送で何故か二回も名前を呼ばれ、二回目、そして先ほどの三回目の定時放送でも一回ずつ呼ばれていた。
一回目の連続呼びぐらいであれば手違いで片がつく話だが流石に三回も四回も呼ばれては誰だって違和感を覚える。
放送機器の故障、運営の確認ミス、原因はいくらでも考えられる。
だが状況からすれば、やはり主催とやらが意識的に行っているのではないか。
だがそうだとしたら何故そんな事をする必要があるのか。
問題の趣向が少し変わってくるが、もしかすると実際に勝治は死んでいるのかもしれない。
そしてその度に蘇生する。いわばほぼ不死身の存在。
突飛な考え方ではあるがこれならあの勝治の容姿にも説明がつく。
不健康で不味そうな顔立ちもあれが吸血鬼やゾンビの類いだとすれば合点が行くという物。
少なくとも人間でないのはほぼ確実であろう。光学迷彩も効いていなかった。
だがそれで良いのだろうか。
あれだけ主催者は殺し合えと言わんばかりの姿勢をとっているのに関わらず不死身の存在を参加者に入れている。
そんなチート同然の存在を何故許しているのか。

717新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:40:05 ID:riY5ofZg0


よくよく考えてみれば勝治は意外と重要な協力者になれたのかもしれない。
食欲に負けて彼らと敵対などしなければもう少し有利に事が運べたのかもしれないのだが。
これも今考えた所でやはり手遅れである。
もうしばらくは隠密行動を強いられるだろう。




- -




「!?」

一人夜の森を駆け抜けるリュウセイは驚嘆した。
遠方から何かが崩れ落ちるような轟音が響き渡る。
恐らく光写真館の方角からであろう。

ケンとの熾烈な戦いの後、辛くも勝利したリュウセイ。
そして大幅に遅れながらもアルセーヌや遊星達の後を追わんとした矢先の出来事である。

嫌な予感しかしない。
せめて自分が辿り着く頃には手遅れ、という事になっていなければ良いのだが。

正直言って自分としてはこんなことは考えたくない物である。
だが、アルセーヌが言っていたように自分も常に最悪の事態を考えておいた方が良い。
ケンも、勝治も、今はもう居ない。
自分にはもう心から頼れる人間などいないのだ。

例えばもし、彼らが死んでいたら。
あるいは散り散りになってしまったら。
自分は何所へ向かえば良いか。
彼らに何を伝えれば良いのか。


そして、自分が本当に死んでしまったら。


何を伝えるべきなのか。


つい、そんな事を考えてしまった。
人は死という概念に囚われるとつい深くのめり込んでしまう。
多くの宗教家や哲学者がそうであったように。
リュウセイもそんなボーガー哲学の世界に足を踏み入れてしまった。
そしてこういった深い思索は周囲への注意を殺し、視界を狭くする。
故に


「ッ!」


否。
しかしと言うべきか、リュウセイは不意打ちを見切った。




「ファッ!?(驚愕)」


にとりはついそんな声を漏らしそうになった。




にとりが施設に向かう途中で単独行動している人間を見かけたのはこの上無い不幸中の幸いであった。
それが黄色と茶の髪をを持った幼子。
さっきの本物の妖怪じみた生命力の少年の会話から察するにあれがリュウセイなのだろう。
出会った事のある者ならある程度隙の作りようはあるというもの。
それに自分の技が有効な相手だとわかるのも有り難い。
あの会話の流れからして彼には自分の光学迷彩が通常通り発動していたからである。
この機会をみすみす逃す手が何所にあろうか。

718新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:41:09 ID:riY5ofZg0


(…やるなら今しかないよね)


獲物を見据えたにとりは再びユキアネサを構え、走るリュウセイの足音に合わせて歩み寄る。

半歩ずつ、半歩ずつ、そしてまた一歩。
風の動きにも等しく聞こえるほど自然な足取りで。


あと5メートル。

まだリュウセイは気がつかない。

にとりはリュウセイとさらに距離を縮める。



あと4メートル。

まだリュウセイは気がつかない。
にとりはリュウセイとさらに距離を縮める。
にとりの顔が歪む。

ハヤク、ハヤクタベタイ。

ーだが、ここでバレては戦闘は避けられない。
そうなってはさすがに人間とはいえ自分の命が危ない。
此処は我慢と言わんばかりに表情をぐっと引き締める。



あと3メートル。

まだリュウセイは気がつかない。

にとりはリュウセイとさらに距離を縮める。

息遣いが聞こえぬようにそっと息を止める。



あと2メートル。

まだリュウセイは気がつかない。

にとりはリュウセイとさらに距離を縮める。



あとすこしで1メートル。

まだリュウセイは気がつかない。

今なら襲える。

そう思い、にとりがユキアネサの刀身を斜め上段に挙げる。

後は斬りつけるだけ。


だから、それを振り下ろす。


それで、この命を頂く。


振り下ろされたその刃は。




「!?」

719新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:42:24 ID:riY5ofZg0




その細い首を、リュウセイの首を、

かき切らなかった。


「ファッ!?」


にとりは困惑した。


理由は不意打ちが失敗した事ではなく。

また始めから自分の存在がリュウセイに気付かれていた事でもなかった。


何故?
一つ、それはにとりの攻撃が空振った事。
そして二つ、"自分の攻撃は空振ったのにも関わらず"リュウセイは背後からの攻撃を受け止めた事。
つまり、にとりはリュウセイを襲ったが、別のそれがリュウセイを先に襲ったのである。



ーー「それ」は



ーー青かった。



「危ねーな!何だお前」

咄嗟にトムキャット・レッド・ビートルを取り出し、青い腕を弾いた。


「闇討ちするヤツが最強になっちまったら世も末だぜ!」

リュウセイの襲撃者に対する反撃の言葉。
その言葉は、にとりに向けられた物ではない。
そのリュウセイの眼前にあるのは、

ブルーベリーみたいな色の青いツナギを着たいい男であった。


「YA☆RA☆NAI☆KA」

(やらないか)



そんな声が聞こえてきそうな程に、いい男だった。

「YA☆RA☆NAI☆KA」



その男は不気味な程ただの一言の言葉も発さず、じっくりと舐めるようにリュウセイを見ていた。
負けじとリュウセイも対抗してにらみ返す。
暫し静寂が続く。


その静寂はリュウセイによって破られる。


「おまえは…まさか、マンソン!?」


人違いなんだよなぁ…



だがリュウセイの見たその鬼の貌は阿部さんのそれではなく、かつて共に戦った仲間。

720新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:43:24 ID:riY5ofZg0


そう、シドニー・マンソンのものであった。


それはリュウセイの幻覚であろうか。
実際ケンとの戦いの消耗は決して小さくなく、疲れからそういったことが起こっていても大異は無い。
だが、そのリュウセイの目はしっかりと目の前の敵に焦点を合わせていた。



「マンソン!?俺たちは仲間じゃなかったのか?」

リュウセイが問う。
マンソンは応えない。

「くそっ… なんで… なんでこんな事になっちまったんだ!」


リュウセイは困惑を露にする。
だがマンソンは沈黙を続ける。


シドニー・マンソン。
嘗ての自分の仲間であり勝治やケンらと共に「いつもの四人」として悪の組織ビッグバン・オーガニゼーションに立ち向かった掛け替えの無い存在。
そんな仲間が何故自分にボーグを向けているのか。

いつの間にか鬼のその手には一つのボーグが握られていた。
彼の愛機である緑色のクワガタボーグ、「ハウリング・ロデオ・ドライブ」
嘗て共に戦った仲間として、忘れようの無い物である。

本来の阿部鬼はただ野性的に男を襲うだけの存在なのだが、このクワガタボーグを手にした事によって鬼にも知能が芽生え始めていた。
ボーガー補正とは凄まじい物である。


「…いや、違う…当然なんだな」

何かを悟ったような表情。
それはリュウセイの心の中の動かぬ決意。(端から見れば謎会話だが)

「…勝治も、ケンも、みんな今はもう居ない」

「…マンソン、俺はもう一人でも…迷わない!」

常に最悪のパターンを想定して行動する。
例えば仲間が敵になった時でも。
リュウセイの決意は揺らがない。
マンソンはその言葉に対し、一瞬だけ目を伏せた。
それが自らの行いを恥じての事なのか、或は自分の意志に敬意を払っての事なのかはリュウセイに知る由はなかったが。


「…あくしろよ」


「ボーグバトルだよ!俺にはもう余り時間はないんだ!」


「俺には頼りたい奴はいない、でも頼られるのは上等なんだ!」


それを聞き入れたのか、マンソンは歩き出した。
偶然設置されていたボーグ台に向けて。
続いてリュウセイも相手側の場所に立ち、お互いに愛機を掲げる。

一体この島にボーグ台は何個あるんですかねぇ…
この島、なんか呪われてんじゃないの?




「チャージ3回、フリーエントリー、ノーオプションバトル!」

リュウセイが高らかに宣言する

「チャージ3回、フリーエントリー、ノーオプションバトル!」

流石にこの時だけはマンソンもルールの復唱をした。
その声は当然ながら良い男のそれではあるのだが、リュウセイは気づいていない。

721新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:44:50 ID:riY5ofZg0

「うおおおおおおおおおお!!!!」

二人がチャージホイールを回す。
三回のチャージはボーグバトルにおいて最も良く使われる形式だ。
そのチャージの力が強すぎても、弱すぎてもいけないのだ。
だがマンソンもリュウセイもそんなミスをする事はまずない。
リュウセイとて、生まれながらにしてのボーガーである。
伊達に出生後間もない頃、産婦人科の先生を相手に初ボーグバトルを申し込んではいない。
マンソンもまた天才ピアニストでもあり、その才能を惜しげもなく発揮した戦闘スタイルの持ち主。



「チャージイン!!」

そして、フィールドへボーグを同時に投擲する。

放たれたボーグは直線、時に奇妙な弧を描き、或は規則的に曲がり、フィールドを駆け巡る。
そして機械の角と顎が激しく衝突し、(何故か)火花を散らす。
その姿こそ、正にボーグバトルである。



「マンソン!」


そう簡単に倒せる相手ではない。
リュウセイは相手に反撃を与えないように常に攻撃の手を緩めないように戦うが、それでもマンソンはどこかで隙を見つけてバランスに揺さぶりをかけてくる。
こちらが攻めているはずなのに、いつの間にか攻められている。
攻められるたびにどうしても攻撃の手が緩み、そのペースはやがて頻繁になっていく。

(いつものリズムだ!リズムを忘れるな!)

マンソンはこんな状況でもいつものリズムを忘れていない。
リュウセイもマンソンから教えられたいつものリズムは覚えているはずだった。
だがさっきのケンとの戦いによる疲労やダメージ、先ほどの異変による不安や焦り。
それら単体では微々たる物だが、積もり積もった結果としてリュウセイのいつものリズムを乱す元になっていた。

さすがは自称ではない天才ピアニストと言った所だろう。
自分はこうしてチャージやスピード、小回りに僅かな乱れを作ってしまった。
それは力だけではどうにもならない致命的な戦力差を生み出す要因になっていた。



「お前のいつものリズム、完璧だな!」


「だけど、リズムが乱れたからといって、勝ち負けが全部決まるわけじゃない!」



例え乱れてもリズムは絶対に忘れない。
そして勝負を決めるのはリズムじゃない。



自分のーー



「行っけぇ!!!俺のトムキャット・レッド・ビートル!!!」



       V

722新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:47:12 ID:riY5ofZg0


そのとき、何かが光った気がした。
実際にはトムキャット・レッド・ビートルが金色に光っていた。



その姿こそトムキャット・レッド・ビートルの強化体。

「「トムキャット・レッド・ビートルV」」であった。


…本来ならばそこらへんの謎ショップに売っていた物なのだが。




突如として起こったリュウセイのカブトボーグの進化。
だが、それでもマンソンはいつものリズムを崩さない。
その中でマンソンのリズムはフィナーレを迎えようとしていた。

突然、マンソンがピアノを弾きだす。
必殺技の時間である。
類稀なマンソンのピアノの才能を生かしたあの技。



「グランピアノ・ヒーリング・フォルテッシモ!」



リュウセイはもう揺るがない。
トムキャット・レッド・ビートルVが光を増した。

「行くぞマンソン!」

「スーパー・ゴールデンマキシマム・バーニング!!!!」




              _.。ャぁて丕刀フ7ゎ。._
           ,.ィ炙ヲ㌍≠┴⇒弍j込ス>。
.        ,ィ升ヲナ'´           `゙'<弖心、
.        ;夕フア´                \ホi心.
       んfiУ                ▽ij∧
       从j'Y                   ∨iハ
.       斤W                      ㌣い
     |友カ        謎メーター       }ソ川
.       い叭                   仄ガ
.     Wi从                  从ノリ
.      ∀t△                 ∧fリ/
       ゙マじへ、             /リiУ
        \夊i㌧、_             ,.イ!刋/
         `マ才i[[≧ェ。。.。。っ夭テ少'゚
           `゚'' ミ芝玉竺壬云=‐'´




「行っけぇぇぇぇぇええ!!!」



トムキャット・レッド・ビートルVが紅のオーラをより厚く纏う。
爆風とも言える風がフィールドに吹き荒れる。
その衝撃は凄まじく、周囲の木を数本幹から折り曲げた。


旋律はかき消され、グランピアノ・ヒーリング・フォルテッシモのエネルギーをハウリング・ロデオ・ドライブごと弾き返した。
マンソンもその風に耐えきれず、数十メートル程吹き飛ばされた。




ーー

ーーー


勝敗はついた。

戦いが終わったからなのか、既にトムキャット・レッド・ビートルは元の姿に戻っていた。

723新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:48:26 ID:riY5ofZg0



「流石に…疲れたぜ…」

軽く息を吐き、トムキャット・レッド・ビートルを回収する。
早く光写真館に行かなくては。




そう思い、踵を返そうとした。

「ん?」


背中から腹部にかけての部位に違和感を感じた。
見ると腹になにか金属が刺さっていた。
何故か痛みは感じなかった。
代わりに全身を一瞬にして凍り付かせてしまいそうな程の寒気がリュウセイを覆った。
後から刺された、そう思った時には手遅れで。



「…やっと人間を捕まえられたよ」

「特段美味しそうじゃ無いけど食べられるうちに食べておかないとね」

リュウセイの腹を貫いたのは、にとりのユキアネサであった。

にとりの不意打ちが失敗した後、リュウセイとやらが知り合いらしい乱入者と突然謎バトルを繰り広げた際には完全に置いてけぼりになっていた。
だが諦めたというわけではない。
幸い、リュウセイはまだ自分には気付いていない。
ならばまだ隙を狙う機会はあるだろう。
人間の隙として一番多いのは戦いの後。
勝者でも敗者でも戦いが終わったと思えば必然的に気が緩む。
そう思い、にとりはこの謎バトルが一区切りつくまで待っていた。

それが何とか功を奏した様だ。

さてこれをどう調理しようか。
他の参加者に見つかっては厄介なのでできるだけ早くできる調理法が良い。
まあでも取り敢えずは生で頂いた方が良いだろう。






にとりはやっとまともな食べ物が手に入ったという高揚感からか気が緩んでいた。
にとりは妖怪だが欲しい物が手に入れば浮かれるのは人間と同じである。
紫やレミリアのような位の高い妖怪であればそうではなかったかもしれないが。



故に「それ」ににとりが気が付く事はなかった。

「え?」

にとりが最初に感じたのは背中の違和感であった。
遅れてやってくる尋常ならざる痛みによってそれが不意打ちだと知覚した瞬間、にとりは命を壊された。

心臓を握りつぶされた。
にとりにはそれを理解する事はできなかった。
正確にはその暇がなかったのかもしれないが。


「…あっ…」



ーーー此処で私、終わっちゃうのかな?


ーーーこんな事になるなら食欲を我慢して人間と本当に仲良くしてれば良かったかな。


ーーーでも、もう遅いんだよね。

724新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:49:32 ID:riY5ofZg0


自分にできる事はせめて今をより良い未来に繋げていく事だけ。
しかしそれもできなかった。

不意打ちばかりしてきた妖怪は、鬼に不意打ちを喰らいその生を終えた。
皮肉ではあるが、それもまたバトルロワイアルである。


【河城にとり@きゅうり味のゆっくりしていってね!!! 死亡】




- -




下手人たる鬼はその手に付いた女の血をさも恨めしそうに拭い払った。
その表情は、正に悪鬼羅刹の如く。
反対の手で既に事切れたにとりの頭を掴み、乱雑に投げ捨てる。

リュウセイの体からユキアネサが抜けたが、血は吹き出さなかった。
ユキアネサの魔力により傷口が凍り付き、出血がおさえられたのだ


(マンソン…?)

体温が奪われ意識が薄らいでゆく。
崩れ落ちるリュウセイの体をマンソンが支える。
その顔は既に鬼から優しさで包み込んでくれそうな雄々しくも慈悲深い父の顔になっていた。
舐めるようにマンソンはリュウセイの体をさする。


リュウセイにとってそれは一瞬、介抱だと思っていた。
だがその手が下半身に向かっていくにつれ、自分の大切な何かへの危機を感じた。

リュウセイその真意を知ったとき、既にリュウセイのズボンは下ろされ、そして服は乱され、




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    ,lll'      ''   ,,lll'                  ll
  ,,,,lll''         ,,,,ll''              ,,,
 ''''''           llll''''




【天野河リュウセイ@人造昆虫カブトボーグV×V GAME ♂VER】


此処まで述べるのが遅れてしまったが、何故この鬼が阿部鬼へと姿を変えていたのか。
理由は単純である。
見た目や思考まで殆ど同じな同名の参加者が居ては当然変化に欠ける。
その分、参加者の個性が失われ面白みが薄れてしまう。
それに同じ名前で同じ姿では参加者だけでなく、主催側まで混乱する原因となるからだ
こうした理由から青鬼の外見はいい男になった。
なおあくまで外見的な部分を弄っただけなので体の構造は青鬼と大差無い。

ともあれ性欲を満たした鬼は、また新たな男を求めて放浪を始めた。

725新にとり計画 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:54:04 ID:riY5ofZg0





【F-04/一日目・夜中】



【天野河リュウセイ@人造昆虫カブトボーグV×V】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、左肩と背中に刺し傷、オリーブオイル臭い、強い怒りと決意、首輪解除、肛門裂傷、仮死状態
[装備]: トムキャット・レッド・ビートル@人造昆虫カブトボーグV×V
[道具]:基本支給品、スコップ@現実、ノートパソコン@現地調達、USBメモリー@ニコロワγ
    キー・オブ・ザ・グッド・テイスト、エレクトリカル・スピードワゴン@人造昆虫カブトボーグV×V      
[思考・状況]
基本:殺し合いを止め、主催者を叩き潰す。
0:たいせつなものをうばわれた。
1:光写真館へ急ぐ。
2:もこみち死んだのか。
3:勝治、ケン、権兵衛…… 。
4:早苗達と合流。
5:研やシャーロックはユーチューバーなのか?
※ニコニコ動画の存在を知りました。今のところニコニコで把握した動画はチャー研、ミルキィ関連だけです。
※海東、ムラクモ、星君が危険人物と聞きました。
※またしても生きてました。
※幸い刺し傷は急所を外したようですが長く放置すれば命に関わるでしょう。
※光学迷彩スーツ@東方Project、氷輪丸@BLEACH
デイバック(基本支給品×2(食料少し消費) お米@現地調達品、きゅうり@現地調達品、刀剣@現地調達
工具一式@現地調達、改造半田鏝@現地調達、肉焼きセット@モンスターハンターシリーズ)が付近に落ちています。

【阿部鬼@阿部鬼】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]基本支給品、不明支給品0〜2、ハウリング・ロデオ・ドライブ
[思考・状況]
基本思考:???
1:すまない、ホモ以外はかえってくれないか!
※増殖♂能力は削除されています。
※男性を見かけると襲い♂ますが、女性には基本的に興味を示しません。
※ただし自身の補食(意味深)を妨害された場合は女性であっても殺害対象となり得ます。
※基本的に言葉は発しないようです。


【支給品解説】
「ハウリング・ロデオ・ドライブ@人造昆虫カブトボーグV×V」
いつもの四人としてリュウセイとともに活躍したシドニー・マンソンの愛機。
緑のカラーリングをメインとしたクワガタボーグである。
必殺技は「グランピアノ・ヒーリング・フォルテッシモ」





ーで、マンソンって誰だよ。

726 ◆J/0wGHN.4E:2015/04/12(日) 16:56:53 ID:riY5ofZg0
投下終了です
Fbz氏も偉大すぎるほどに乙

727名無しさん:2015/04/12(日) 22:01:53 ID:dvMUvhRc0
投下乙です
流石に出展も違う別キャラ出すのはどうかと思います
何故阿部鬼になったのかの理由も、はっきり言って無茶苦茶

728名無しさん:2015/04/12(日) 22:17:28 ID:HU6jbFM.0
投下乙と言っておきながら文句を言うのか(困惑)

729名無しさん:2015/04/13(月) 03:40:58 ID:5CwCrtvo0
投下乙
個人的にはこっちでもいいけどな

730名無しさん:2015/04/14(火) 20:57:30 ID:zIOAUAm.0
投下乙
グレーだが悪くないと思うぞ

731名無しさん:2015/04/15(水) 23:39:01 ID:1XLVfnLE0
乙です
青鬼と阿部さんが合わさって最強に見える

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