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ニコニコ動画バトルロワイアルγsm3

1名無しさん:2013/04/07(日) 12:38:07 ID:6NYUY/JY0
春です。



本日はニコニコ動画バトルロワイアルに 御アクセス頂き、 ありがとうございます。



ここはニコニコ動画の人気キャラを用いてバトルロワイヤルをするというリレー小説のスレッドです。
大変申し訳ありませんが、 この企画はフィクションであり実在の団体・人物等とはまったく関係ありません。
ルールさえ守っていただければ誰でも参加可能です。



またの御アクセスをお待ちしております。

wiki ttp://www34.atwiki.jp/niconico3nd/
前スレ ttp://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/14759/1336579927/
したらば ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15395/

212AU王に挑んだウサギ ◆FTrPA9Zlak:2013/08/08(木) 23:28:38 ID:4ppXThjg0

そういえば、僕たちは何のために生まれたんだったっけな?
そうだ、日本で起こったとある災害にも決して屈せず、沢山の人の心に息吹き続ける「絆」を呼び起こす、魔法の呪文。
僕たちはそんな呪文の中から誕生したのだ。

だから、負けることがあろうと、死ぬことがあろうと。
どんな相手であっても決して屈してはいけないのだ。
相手が神だろうと、英雄の中の王であろうと。

何者にも屈しないその姿こそが、人々の生きる力たりえるのだから。

胸に刺さったゲイ・ボウを引き抜く。
激痛と同時に大量の血が流れる。

ああ、この痛みも僕にとっての罰なのかもしれない。
皆に希望を振りまく使命を忘れて、己のために殺し合いに乗り人を殺した僕への。
だから、最後くらいはこうして自分の役割を果たそう。
金ぴかの王に、せめて一矢報いよう。

距離は数メートル。
だが胸の、足の痛みさえ我慢できれば一瞬で詰められる距離。
伊達にウサギのモチーフはもっていないのだから。

一秒。
距離を詰め、槍を振り上げる。
血が口元までせり上がり、足の筋肉が嫌な音を立てた。

―――危ない!

叫び声が聞こえる。
金ぴかが驚く顔が見える。
あの門からの攻撃にタイムラグがあることは知っている。
だから、届く。

―――ザシュッ

金ぴかの右腕が宙に舞い上がる。
狙ったのは体だったが、かわされてしまったみたいだ。

返しの蹴りで、体が地面に叩きつけられた。
槍は目の前に転がる。
拾おうとしたところで、目前でそれを拾い上げた、怒りを露にした金ぴか。

213AU王に挑んだウサギ ◆FTrPA9Zlak:2013/08/08(木) 23:29:45 ID:4ppXThjg0
ああ、ここまでなんだな。
僕はそう思った。

その黄色い槍が、首を撥ねる軌道で振りかざされた。

僕は、結局この男には勝てなかった。
それでも、僕なりに頑張って、大きな脅威に屈せずに戦い続けた。

例え僕が殺しあいに乗った人殺しという罪人だったとしても。
それだけは。

(―――誇ってもいいよね、みんな)

【ありがとウサギ@あいさつの魔法 死亡】



【D-09 森林/一日目・昼】


【グレーテル@よもやま四方山】
【状態】軽度の火傷、打撲、疲労(小)、血塗れ
【装備】ボロ服
【道具】ディーノの基本支給品一式、ポッチャマ@ポケモン
    浜口優かも×3@学校で配られたDVDがひどい件、剣(石)@Minecraft、アサシンの首輪
【思考・状況】
基本:出来れば死にたくない
0:どうしよう……
1:ギルガメッシュに着いていく
2:愉悦…
3:自分のデイバックを回収する
※モンスターボール(ポッチャマ)が壊れたため、引っ込めることができません
※ギルガメッシュと情報交換をしました
※会場からの脱出は諦めました


【ギルガメッシュ@Fate/stay night】
[状態]:打撲 、右腕欠損、疲労(小)、怒り
[装備]:王の財宝@Fate/stay night(空)、天の鎖@Fate/stay night、 必滅の黄薔薇(ゲイ・ボウ)@Fate/Zero
[道具]:基本支給品一式、作業台@Minecraft、ランダム品(0〜1)
[思考・状況]
基本行動方針:気の向くままに行動する。
0:おのれ…!
1:主催者を殺し王の財宝を取り戻す。
2:ポッチャマに興味。グレーテルはポッチャマのおまけ。
3:男(木原)は今度遭ったら殺す。
4:ヒトラーと情報交換を行う?
※自身にかけられている身体能力の制限に気が付きました。
※殺し合いの参加者が別の世界から呼ばれていると考えています。
※アカツキ電光戦記と総統閣下シリーズ、よもやま四方山の世界を知りました。
※ギルガメッシュがこの先どこへ向かうかは次の書き手さんにお任せします。
※放送と戦闘が被りました。しかし案外聞いている可能性もあります

214AU王に挑んだウサギ ◆FTrPA9Zlak:2013/08/08(木) 23:30:29 ID:4ppXThjg0
【総統閣下@総統閣下シリーズ】
[状態]:疲労(大)、左肩負傷
[装備]:出刃包丁@現実、キー・オブ・ザ・グッド・テイスト@人造昆虫カブトボーグV×V
[道具]:基本支給品一式、大量のマンガと本、カイジの地下王国豪遊セット(ポテチ、チーちく、肉じゃが、ビール×4)@逆境無頼カイジ 破戒録編
[思考・状況]
基本行動方針:生きて祖国に帰り可能であるのなら二次元に行く。打倒主催。
0:他の参加者を求め、北のドーム球場へ向かう。
1:情報収集。首輪の解析
2:主催者どもは必ず倒すが、具体的な作戦及び行動方針はこれから考える。
3:クリーパーを失うのは惜しかった…
4:メイトリックスと譲治を警戒……?
5:青鬼とレーザー、およびそれを発射した「何か」を警戒。
6:本に出てきたキャラやギルガメッシュが参加者……? あとでギルガメッシュから話を聞いてみるか。
[備考]
※出典はあくまで総統閣下シリーズ、現実や最後の十二日間での真面目な独裁者ではありません
※サブカル知識も豊富ですが、なんらかの制限がかけられている可能性があります
※ギルガメッシュ他、数人の参加者について情報を得ました。
※アカツキ電光戦記の世界を知りました。
※別の世界から呼ばれたのだとギルガメッシュから聞きましたが半信半疑です。
 ただし、本や考察を通して考えが変わりつつあるようです。
※総統閣下のノートには今まで見聞きした事のまとめや考察が数ページにわたって書いてあります。
※クリーパーの説明書を読みました。
※総統閣下の持ち出した本やマンガの詳細は次の方にお任せします。ただしDVDやBDは持ち出していません。
※過去に読んだ「HUNTER×HUNTER」を思い出しました

※ウォーロック@ストライクウィッチーズは大破しました。

215 ◆FTrPA9Zlak:2013/08/08(木) 23:31:09 ID:4ppXThjg0
投下終了です
もしおかしなところがあれば指摘お願いします

216 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:25:16 ID:VtA5GVn60
投下乙です
ありがとウサギは良い線行ったのになあ南無
もっとギルが慢心していればワンチャンだったな
自分も何度か書かせて貰ったけど心理描写とかが入って良マーダーだった
最後は少し報われたのかな

自分も投下します

217反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:26:12 ID:VtA5GVn60
「ちっ、ベネ……何つったけか? 気にいらねェ放送しやがって!」

地を抉り、爆風と轟音を巻き起こし突き進むそれはミサイルと言うにはあまりにも荒々しく機械味がない。
ならば、怒りをもって進むそれはただの人間だと言うのか?

否。

ただの人間じゃない。されど人ならざるモノでもない。
それは、その男の名はカズマ。明確な抵抗の意思、反逆の眼。はぐれ者、反逆者―トリズナー―。
何事をも粉砕し叩き壊す破壊の拳シェルブリットを掲げ、カズマは今自らとはあまり縁の無い学校へと進んでいた。
ケイネスと別れてから一時間かそこら、悪くないペースだ。
途中放送が始まったせいで足を止めてしまったが、それを考慮してもこの調子ならアカツキ達を先回りして学校に行けるだろう。

「……あれは、何?」

そのカズマから数キロ先、サーニャのレーダーはカズマの存在を感じ取った。
マミを感知した時と変わらず調子が悪かったレーダーだが、これほど豪快に爆音を上げながら駆けて来る相手を感知出来ない程ではないらしい。
とはいえ、その速度は生身の人間が出しているとは思えない程桁違い。ものの数分もあれば、すぐにここへ辿り着くだろう。
生憎とこの場には隠れるものも無いし、このままでは鉢合わせは免れない。

「どうしましょう? ここから離れますか」

サーニャは横のまどかとほむらへ問いかける。
ほむらは口を閉じたままだが、対照的にまどかはすぐに口を開く。

「離れて間に合うの? サーニャさん」
「そうですね……。この進行方向のまま進んでくれればともかく、私達が離れた方向に来られれば……」
「まどか、相手は殺し合いに乗っているとは限らないし接触してみるn「ほむらちゃんは黙っててくれない?」

嫌な眼光。上手くサーニャは表現できないが彼女はそういう風に感じた。
ほむらを見るまどかのあの眼、非常に嫌悪感が沸く。言ってしまえば、胸糞が悪くなると言った所か。
とても友達に向ける視線じゃない。何で友達にあんなモノを向けられるのだろう。

(私なんて、もう……)

脳裏に過ぎる一人の少女。

(……エイラ)

とても大事な大切な少女。
でも、もう会えない。もう喋れない。もう触れない。もう見れない。
なのに、なのにこの女は、生きてるのに、触れるのに、喋れるのに、何でこんな……。

218反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:26:44 ID:VtA5GVn60

――ニャさ――

サーn――





「――サーニャさん!?」

ふと我に返る。
心配そうに顔を覗き込み、呼びかけを続けるまどかの声。

「ご、ごめんなさい」

やはり外には出さないようにしていたが、エイラの死は相当響いてきている。
このままではいけないと思うが、色々吐き出すタイミングを見失ってしまった。
それに、まずは先に対処しなければならない事がある。

そうだ、こちらに向かってくる進行者の対処を――

「あっ? ガキ、女か」

しまったと言う暇も無い。件の進行者は既にこちらを見つけていたのだから。
やってしまった。エイラが死んだ事への影響がと言い訳も出来ない。

「下がってまどか!」

まどかの前に立ちまるでナイトの様に立ちはだかるほむら。
少し遅れてから戦闘の態勢を取るサーニャ。

「穏やかじゃねえな。たくっお前らなんかとやり合う気はねえよ」

カズマはシェルブリットの手を腰に当てつつ生身の左手で頭を掻く。
そして気だるそうに三人を見た。

「ふーん、でも信用できないなぁ。お兄さんが私たちに危害を加えないって証拠が欲しいんだけど」

まどかの要求はもっともだ。
カズマも見ず知らずの奴が、いきなり何もしないと言って来たところでそうホイホイ信じない。
そう考え、背負っていたディバックをまどか達の方へ投げ捨てる。次に右腕のアルターを解き生身へと戻した。

「っで? これでいいのかよ」
「まあ、一応は信じてみよっかな」

一先ずの邂逅は穏やかに済んだと見るべきか。
ほむらとサーニャも警戒は解き友好的な態度にはなってきた。

(とっとと学校に行きたいところだが、そういやケイネスの奴に他の連中に会ったら、あの青色の奴の事を話とけって言われてたんだったな)

カズマは学校に行くまでは、多少は時間があるだろうとも思い、適当に話でもしてみる事にした。

219反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:27:18 ID:VtA5GVn60



「――そっかお兄さんも大変だったんだね」
「うんざん♪うんざん♪」

結果的に言えば、カズマから得た情報は当たりの部類だった。
アンリエット、フランク、ケイネスという殺し合い否定派の参加者。
まどかの目的は生還する事だ。
場合によっては殺し合いにも乗るが、もし彼らが殺し合いからの脱出に対して有効な策を見出せているのであればそれに乗るのも良い。
少なくとも接触する価値はあるということだ。

そして青鬼という化け物の存在。これも貴重だ。
神出鬼没の異形の存在、殺した相手を同種へと変える脅威の増殖能力。
初見ならば、危うく命を落としていてもおかしくは無かった。

「それからお兄さん他には会ってないの? 例えば青い髪の女の子で「おい」ん?」

更に情報を引き出そうとするまどかを無視してカズマは威嚇するように声をあげた。
その先には今まで沈黙を守り、まどかとカズマの様子を伺っていたほむらの姿があった。

「なんでそんな目してやがる? 何なんだてめえは」
「!? 何……?」
「気にいらねえな。何か、お前奴隷みたいだな」

ああ、気に入らない。
ただあの目、あの眼、平伏す奴隷みたいだ。
強い奴が弱い奴から奪って弱い奴は強い奴に従う。だから、ああいう目はそう珍しいわけじゃない。

「けどなあ」

不味いと静止に入ったサーニャを押しのけ、カズマはほむらの胸倉を掴み上げる。

「さっきからこちらの、まどかの顔色ばかり伺いやがって……。何か言いたい事があんだろうが! 
 だったらはっきりしやがれ! 何に気を使ってやがる?」

傍から見ればただの狂人や癇癪持ちにしか見えない。
カズマの言っている事は筋が通っているようで通っていないような。
元々カズマは頭が悪い。何かを表現したり伝えたりするのは下手糞だ。だから、このような怒鳴り声になってしまった。
だから大抵は耳を貸さずに、適当に受け流そうと考える。
少なくとも暁美ほむらはそう考えていた。胸に少し苦いものを感じつつも。

220反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:27:54 ID:VtA5GVn60

(うっざいなあ)

しかし、だ。まどかは違った。
あのラミエルさえも恐れた邪悪の塊はまったく別の事を思っていた。

(殺しちゃおっか、この人)

邪悪だからこそ人の善意には気づけやすいのかも知れない。
あのカズマの怒鳴りは、遠回りなお節介である事に薄々まどかは気付いていた。
何を、どう伝えたいのかはともかくとしてだ。まどかにとってはほむらに良くない影響を及ぼす可能性が高い。
これが妙な影響を受けて手駒を失うどころか敵に回りなんてしたら冗談じゃない。

(そろそろ、頃合だね)

情報もそれなりに引き出した。もう始末しても良いだろう。
サーニャの手前殺しは避けたかったが、さっきの第二回放送から様子がおかしい。
あのエイラとかいうのが死んだせいで動揺しているのか。
これ以上足を引っ張られるのは御免だし、ここで一緒に始末するのも悪くない。
雲山も面倒だが始末する。
元々、あまりこちらを良くは思っていなかったのは薄々感じていた。
それでも「うんざん♪」としか喋れないので放っておいても良いかとも思ったがこの際だ。

まどかの手から輝く光の矢。
眩い閃光が奔るのと同時に迸る赤い液体。

「嘘っ?」

抉れ分解される地面、変換された虹色の粒子。
それらを右腕に集めアルターを構成したのはカズマ。
その腕には、まどかの放った矢を受けた跡が残っていた。

「アルター使いか!?」
「……アルター? 何それ?」

地面に倒れ付しているのはサーニャただ一人。
面倒な事になった。このカズマという男、思いの外戦い慣れていて不意打ちにも即座に対応してみせた。

(本当は二人まとめて殺すつもりだったのに……!)

「げほっ……! ま、まどか……さん?」

「ああ、サーニャさん殺しといてね? ほむらちゃん」

事態が理解できない。
今まで友好的な関係を築いていたサーニャとカズマに対してまどかはいきなり弓を引いた。
カズマは辛うじて防いだが、サーニャは腹部を貫かれ即死とまでは言わずとも致命傷に変わりは無い。
こんな事に意味はあるのか? どうして殺さなければならないのか?

221反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:28:42 ID:VtA5GVn60

(いえ、まどかの事だから何か考えがあるのよ。そうよ私は余計な事を考えなくて良い)

「うんざん! うんざん!!(やはりか、あのまどかという娘、かなりきな臭かったが道理で……)」

ほむらからサーニャを庇うように雲山が立ちふさがる。
舌打ちをしほむらはパッチを着けトキへと姿を変える。

「うんざん! うんざん!! うんざん!!!(ほむらよ。お主ならば分かっているだろう? あのまどかの本性が……)」
「五月蝿い五月蝿い!!」

激突するトキと雲山の拳。互いに互いが己が肉体を武器として戦うもの同士、力は互角。
だが、そのトキの中身はまったくの別の戦闘スタイルであるほむらでである為、戦況は些か雲山が有利。

「う、うんざん!?」

トキの拳から離れ後方へ吹っ飛ばされたのは意外にも雲山。
驚きに満ちた顔をしつつも空中で体勢を立て直し、今度は拳を巨大化させトキへと殴りかかる。

「!?」

雲山の頬に衝撃が走り殴り飛ばされる。
ほむトキはいつのまにかあの拳をかわし、雲山の死角へと入り込み逆に雲山へと拳を叩き込んでいた。

(何か小細工をしているようだが……果たして……)

ここに来てから雲山は「うんざん」以外は話せなくなったり、異様に幅まった行動範囲と様々な制限を受けてきた。
ならば身体能力にも制限が掛けられていてもおかしくはない。
だが、それを考慮しても雲山がこうもあっさり弄ばれるのは妙だ。
恐らくは何らかの異能を駆使しているのだろう。
心当たりと言えば、紅魔館のメイドのような時を止める程度の能力と似たようなものか。

「うんざん!!(早くあのサーニャという娘を手当てしなければならぬというのに)」

222反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:29:14 ID:VtA5GVn60




「衝撃のファーストブリット!!!」

右肩の三本の羽の内一つが消し飛び、そこから噴射される虹色の粒子に勢いを乗せカズマは拳を振るう。
「わわっ」とわざとらしく声を上げながらまどかは体を逸らしかわす。

「ちょこまかしやがって!!」

そのままカズマは拳を振り切り勢いにのせたまま、足を軸に回転しまどかへと再び拳の標準を合わせる。
二本目の羽が消え噴射される粒子。

「撃滅のセカンドブリット!!!」

消えかけた勢いが増しまどかへと迫る。
元から大した距離は開いていない。拳がまどかへと触れ殴り抜けるのに時間は掛からない。

「ほむらちゃん!!」
「あァ!?」

雲山の戦闘から離脱し、ほむらはサーニャのディバックからマスケット銃を取り出すとまどかへと投げる。
カズマとまどかの間を遮るように突っ込んで来たマスケット銃をまどかが掴む。

「ティロ――」

ヤバイ。
マスケット銃が、巨大な砲弾を放つかのような大砲の姿に変わる。
その銃口から輝く光。直感で分かる、あれはとんでもないエネルギーの塊。
全身という全身の毛穴が開くような悪寒、カズマの中の何かが警告を鳴らす。

だが――

「――フィナーレ!!!!!」
「それが、どうしたああああああああああああああ!!!!!!!」

退く? かわす? 
無理だ。そんなもの間に合わない。
ならば防ぐ?
馬鹿な、どうあれを受けろというのか。

故にカズマの取った行動は。否、元よりそれ以外を取る気など更々無い。

「うおおおおおォォォォォォォ!!!!!!

真正面からぶつかり、打ち砕く。
今まで、何時だってそうしてきた。そしてこれからもそうする。

カズマの身の丈の数倍以上あるビルでさえ、簡単に粉砕するシェルブリット第一形態。
対するは幾つもの魔女を屠ってきた必殺の技、ティロ・フィナーレ。

激突した二つの力(パワー)。
思わず目を瞑りたくなる程の閃光、大地は抉れ、うねりを上げ。その余波だけで木々を薙ぎ倒すかも分からない。
どちらも威力は申し分なく、どちらも劣っているとは言い難い。

223反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:29:49 ID:VtA5GVn60

「の、野郎ォ……!!」

だがカズマは焦っていた。
一見、両者は拮抗しているようにも見えるがそれは違う。

『このエリアは禁止エリアに指定されています。三十秒以内に退避してください。首輪が爆発します』

初動。
僅かにシェルブリットの方の初動が遅れ後退してしまった。
ただそれだけ、普段ならば大して気にしない。それほど不利になるような事でも無い。

そう、今足を踏み入れてしまった場所が禁止エリアでないのなら。

三十秒。たった一分にも満たない時間でカズマは戦況を逆転し、禁止エリアから脱出しなければならない。

「抹殺のラストブリット!!!!!!」

セカンドブリットの粒子噴射が終了し掛けたところで間髪入れずラストブリットを放ち、勢いを付けティロ・フィナーレを押しのけようと試みる。
だが足りない、それだけでは。
無常にも文字通り最後の弾、ラストブリットを使っても事態は好転しない。

ならば、もっとだ。もっともっと勢いを威力を上げぶん殴ればいい。

「輝け……もっともっと輝け!」

たったの三発しかない弾丸。
弾丸を打ち切った銃は、リロードしなければ戦いを続行する事は出来ない。
カズマも同じ。リロードだ、リロードを行う
それもただのリロードじゃない。進化させた反逆の拳、三発などという小賢しい制限も無い無限の弾丸。
光り輝く黄金の拳。手に入れた力、シェルブリット第二形態を!

「何ィ!?」

だが、右腕を中心として輝く光は突如消滅し、新たに再構成したアルターは煙のように消え行く。

「くそっどうなって! 輝けよおい! 輝きやがれえええええええええ!!!!」

制限。
カズマは、この場にいる参加者の中ではかなりの高位の実力者に入る。
それを考慮され、彼には第二形態以降の使用を封じる制限を強いた。
そのカズマを戒める首輪に、そのような仕掛けが施されていた。

『残り十秒』

「ま、だだァァァァ!!!!!」

細かい理屈はどうだっていい。
取りあえず使えないものに用は無い。ただともかくぶち抜くだけだ。

224反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:30:31 ID:VtA5GVn60

『残り五秒』

そんなカズマを嘲笑うかのように淡々と死の秒読みは進む。

「倒れるかよ……倒れるとしても――」

『残り零秒』





ボンッ




カズマの頭を隠すほど大きな爆発に反し、その音は驚くくらい軽い。
とても人の命を奪うようなものとは思えない。
そのまま、ティロ・フィナーレは残った首から下を飲み込み、そのすぐ後ろにあった複数の木々を薙ぎ倒し消えた。
巻き上げられた土や砂が煙のように視界を遮る。
まどかはカズマの死を確信しマスケット銃を下げた。

終わった。反逆者の物語はそこで――

――死ぬのが怖いわけじゃない。
――何もせずに死ぬのが怖い。
――なんの証も立てないまま、朽ち果てるのは……。

男は散った。何の証も立てれないまま、ただ無常に、ただ無残に男は死んだ。





「うん、ざん?」
「カ、ズマさん……」

唖然とする雲山とサーニャ。
止められなかった。まどかの暴挙を人の死を。
後悔と自負の念が湧き上がるのと同時に、怒りの念がこみ上げてくる。

「さーてと、後はサーニャさんと雲山だね」
「なんで、こんな……」

マスケット銃を向けるまどかへサーニャは倒れたままの体勢で睨みながら問う。

「嫌だなあ。そんなザマで睨まれても迫力無いよ? ウェヒヒ。
 役に立つなら生かしておいても良かったんだけど、エイラちゃんって子が死んでからサーニャさん凄い動揺してるんだもん。
 一々面倒臭いいんだよね。ケアっていうか励ますの、だから足手まといになる前に、ウザかったカズマさんと一緒に死んでもらおうと思って。
 雲山はついでだね。ウェヒヒ、ごめんね」

カズマを屠った時のように、銃口に魔力が溜まり光り輝く。
雲山もせめてサーニャは助けようとするも、ほむトキに阻まれ間に合わない。

225反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:31:04 ID:VtA5GVn60

「まあ安心してよ。さっきのよりは魔力抑えてるから威力はそんなに無いけど、苦しまないように即死させてあげるから」

ああ――死ぬのか。
こんな、こんな場所で。
殺し合いを止めるどころか、エイラの仇すらも討てず、挙句の果てにこんな危険な参加者を野放しにしたまま。

「い、やだ……」

自然と声が零れた。
腐っても軍人。こんな声を上げないようにと堪えていたが限界が来たのか。

「私、は」
「もう、往生際が悪いなあ」

それとも、それはサーニャの出来る限りの明確な――

「死にたくない!!!!」









「――シェルブリットバーストォォォ!!!!!!!」





反逆の決意だったのか。
それに答えるように男は咆哮をあげる。
死にすら反逆した男が今、再び激動を開始する。


「なんで……そんな……」

金色の光を纏いシェルブリット第二形態を掲げる男は、紛れも無くカズマ。
でも何故、先の爆発で死ななければおかしい筈だ。

簡単な事だ。
首輪が爆発したという事はつまり首輪はその瞬間外れ、参加者に駆ける制限は消えるという事になる。
ならば話は単純極まりない。カズマの首を吹き飛ばさんとする爆発そのものをアルター化させてしまえばいい。
無理? 不可能? そんな事は関係ない。カズマの中には出来る、出来ないじゃなく、やるという選択肢しかないのだから。
主催者すらも想定外だったこの方法、だが成功した。いや反逆した、この死の首輪から。

「この、ティロ……」
「遅いんだよ!!!」

僅かな間、今度はまどかの初動が遅れた。
ティロ・フィナーレが放たれるよりも速くシェルブリットが、唯一無二のカズマの自慢の拳が叩き込まれた。
砕け散るマスケット銃、爆音と共に血反吐を吐き吹き飛ぶまどか。
だが僅かに衝撃を外された。

「もう一丁ォ!」

拳を引きもう一度シェルブリットバーストを放とうと構える。

「なっ?」

しかし次の瞬間にはまどかの姿は消え、ほむトキの腕の中で抱かれていた。
速いとかいう次元じゃない。下手をすれば、あの最速の男クーガーでさえも追いつけない移動速度。
もっとも、それだけで怖気づくカズマじゃない。さっさと追撃しようと拳を突き出すが、またも消えた。
姿を視認した時には数メートル先、更に数時間置き消え、またもっと先へと移動する。
気づけば、その姿は遥か先へと消えていった。

226反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:31:37 ID:VtA5GVn60

「逃がしちまったか」

舌打ちをするが、無駄な追い討ちも面倒だ思いすぐに思考を切り替える。

「おい姉ちゃん無事か?」
「そ、それなりには……」
「待ってろ。すぐに病院……はねえけど。……ああ、そうだ学校なら手当てする道具もあんだろ」

確か、保健室だか職員室学校には怪我の手当てをする場所があるらしい事をカズマは何処からか聞いていた。
丁度そこへ向かう途中だったし、ついでにサーニャを連れてっても問題は無いだろう。

「うんざん♪うんざん」
「あっ? 何言ってんだおっさん」

良く分からないが、この雲のじいさんも敵でもないようだし連れて行く事にする。
サーニャを丁寧に抱き上げると、カズマの右肩にある三枚の羽のかわりに、新たに生えたプロペラが回転する。
プロペラの回転に合わせカズマの体が浮上していき、一定の高度まで浮くと前方へとミサイルのように加速した。
その後ろを雲山が追う。

目的地の学校へはもう少しだ。

【E-5/1日目・日中】

【カズマ@スクライド】
[状態]:ダメージ(小)、疲労(中)、激しい怒り、首周りに少し焦げ跡、首輪解除
[装備]:不明
[道具]:基本支給品一式、ケイネスのメモ、ランダム品0〜1
[思考・状況]
基本:気に入らない奴はとにかくぶん殴るが、あのせこい男(サリー)の言いなりになるつもりはない。
0:取りあえず、この姉ちゃん(サーニャ)を学校で手当てしとく。
1:このバトルロワイアルとやらを破壊するためにも、せこい男(サリー)の思い通りにさせない。
2:男声の女(譲治)とフランクを撃った男(ロックオン)、野獣先輩を警戒。場合によってはぶちのめす。
3:雛子、響、アカツキ(名前を知らない)にケイネスのメモを渡す為、学校に向かう。
4:ケイネスに言われたので、化け物については一応気を付けておく。
5:まどかは次会ったらぶちのめす。ほむらのまどかへの態度が気に入らない。
※ミルキィホームズとデッドライジングの世界を聞きましたが、何処まで覚えてるか不明です。
※少なくとも参戦時期は君島死亡後です。
※ケイネスのメモには、ケイネスが立てた青鬼増殖の仮説。
 それと雛子、響、アカツキの名前が書かれています。

【サーニャ・V・リトヴャク@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康、魔力消費(微) 、精神的な落ち込み、腹部に重傷
[装備]:★Rock Cannon@ブラック★ロックシューター、黒猫のゴスロリ服@俺の妹がこんなに可愛いわけがない
[道具]:メントスコーラ(空)@コーラを開けるとメントスが落ちるトラップの作り方、
    DMカード『スターダスト・ドラゴン』@遊戯王5D's
[思考・状況]:殺し合いには乗らずゲームを打破する
1、カズマと行動する?
2、知り合いが居れば合流する
3、ストライカーユニットとフリーガーハマーが有れば入手したい
4、殺し合いに乗ってない参加者が居れば合流したい
5、まどか達を警戒

227反逆 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:32:44 ID:VtA5GVn60






「まどか、まどか!!」

未だ自分の腕の中で眠るまどかへとほむらは呼びかける。
さほど重症でも無いが、衝撃を逃しきれず意識を失ってしまっているのだろう。
そんなに心配する程の事でもないのだが、病的なまでのまどかへの思い故にほむらの不安は尽きない。
何処か休める場所だ。そこで休息を取りまどかの回復を待つ。

「あの、男……!」

カズマとかいったか。
まどかをこんな目に……。必ず殺す。

殺意を膨らませつつ、ふと思い返す。

(そういえば、あの男の首輪が爆破した瞬間、爆破物が虹色の粒子に変わっていたわね……)

ほむらはカズマが首輪を外す瞬間を僅かながら目撃した。
先の激情から一転、冷静に思考を巡らせる。
あのカズマの能力は分からないが、彼のように首輪を爆破させた時その爆破をどうにか防ぐ事が出来れば。

脳裏を過ぎったのは秘孔という漢字二文字。
例えば首輪が爆破した瞬間、トキの体を利用し秘孔を突き、体を強化させ爆破に耐える。

可能ではないか?
実際は爆破のタイミングや秘孔を突く者の技量にも掛かってくるが、不可能ではない筈だ。
とはいえ、ほむらは世紀末魔法少女パッチの説明書で北斗神拳や秘孔について知ったばかり。
まだ現実的とは言えないが、一筋の光明が差し込んだのは確かだ。
ある意味カズマには礼を言っても良いかもしれない。

「まどか、貴女は私が守ってみせるから絶対に今度こそ……」




【E-6/1日目・日中】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ(クズなまどかシリーズ)】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、気絶
[装備]:ソウルジェム 、螺湮城教本@Fate/Zero
[道具]:基本支給品一式×2、キングクリムゾン(残り3回)@ニコニコ動画、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:ゲームからの生還
0:……。
1:ほむらちゃんと一緒に行動。あまり役に立たないようなら捨てる。
2:利用できる者は利用し、邪魔になる者は殺す。士、メイトリックスはいずれ殺す。
3:行動に出る際はパッチを利用してなるべく自分の悪評が広がることはないように動く。
4:海魔召喚のための餌も探す
※クズなまどかVS逆襲の魔法少女スーパーさやかちゃん【前編】直後の参戦です。
※さやかの体が鬼柳京介になっているのを知りました。
※螺湮城教本は制限により海魔の現界、術者の魔力補給、本体のダメージ修復等の同時運用は出来ません。
※制限として海魔の最大同時現界数は五体までしか出せません、また能力も下方修正されています。
※AV動画オールスターセットの動物はもう残っていません


【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、マドカァー 、ヤンデレ状態、ほむトキ
[装備]:ソウルジェム、バルメM78(36/40)@コマンドー、ストライカーユニット@ストライクウィッチーズ、世紀末魔法少女パッチ@MUGEN
[道具]:基本支給品一式、キャベツ@夜明け前より瑠璃色な 〜Crescent Love〜、ランダム支給品0〜1
[思考・状況]
基本思考:まどかに全てを捧げる。
0:休めるところを探しまどかの回復をまつ。
1:何があってもまどかを守る。
2:どんなことをしてもまどかに認めてもらう。
3:もう役立たずだなんて言われたくない。
4:まどかに危険を及ぼしうるものは全て排除する。
5:北斗神拳を使い秘孔を突けば首輪が外れるんじゃ。
6:何か大切なことを忘れている気がする。







【巴マミ@魔法少女まどか☆マギカ】粉砕

228 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/09(金) 04:36:18 ID:VtA5GVn60
投下終了です
首輪解除に関してまだ早いなど色々意見もあると思うのでご指摘待ってます

229 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 06:42:18 ID:IEwy2B0k0
プラシド、日本鬼子、巡音ルカ、我那覇響、四条雛子、アカツキ予約します

230名無しさん:2013/08/09(金) 08:15:20 ID:16lsqq/I0
いくらカズマといえど禁止エリアの首輪爆発で死亡を
回避するのはバトロワの根本を否定してるような気が…

何はともあれ投下乙です

231名無しさん:2013/08/09(金) 08:15:59 ID:RFQvtXi60
投下お疲れ様です
>AU王に挑んだウサギ
答えを求めるありがとウサギも心のどこかで負けるとわかっていたかもしれない
最強のサーヴァントに挑んだのだから、この結果はもはや当然と言えよう
ただ、最後の一矢報いたことで救われたみたいで何より。結局ギルガメッシュの最大の敵は慢心なんだよなぁ

>反逆
またしても圧倒的力の前に惨劇不可避……かと思いきや……
まさか耐え切る方法があっただなんて……! 押され気味だった対主催側が反旗を翻す!
まどかサイドも同じように耐える術を見つけるけれど、果たしてどうなる!? 今後の展開!

232名無しさん:2013/08/09(金) 11:01:54 ID:3u3.XDWo0
お二人とも乙です
首輪解除は確かに強引かもしれませんが・・・対主催の主力が激減してしまうのは避けたい所です

心配なのはほむらちゃんですね
ウェヒヒの呪縛から逃れるのが難しくなった上、秘孔で首輪解除に臨む無茶っぷり。かなり冷静さを欠いている様にも見えます
それは柳の下のドジョウですよほむほむ・・・

233名無しさん:2013/08/09(金) 15:02:47 ID:XF6.Rd920
おお、投下来てた
投下乙です

まさかウサギがここまでやるとはあw あのCMのイメージからなんて…w
我様は慢心あるからこういう役どころが似合う似合うw

ん……強引だがそれでもなんていうかこういうのも悪くないと思うぞ
変化球だから他の書き手次第もあるが俺はいいかなあ
さて、首輪が解除されたカズマとその仲間、そしてそれに影響されたまどかサイド…
果たしてどうなる?

234 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:40:57 ID:IEwy2B0k0
短いですが投下します

235 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:41:39 ID:IEwy2B0k0

「くっ…やはり死んだか…」

「宙さん…」

「プラシド…」

放送を聞いた3人は死亡者や禁止エリアをメモしつつ彼の死に対する反応を露にする。

プラシド達3人は当初南へ向かっていたが、合流したアカツキ達から聞いた病院の青鬼の危険性、学校へ向かうという目的のもと、道を引き返していた。


「それにしても妙だな…」

「ああ」

プラシドとアカツキは放送に対して疑問に思った。
前回同様、同じ名前を二回呼ばれている参加者がいるのだ。
その名は青鬼。

そして松岡勝治という名前もなぜかまた呼ばれていた。
それも取って付けたかのように。

「青鬼はお前が倒したと言っていたな」

「ああ、確かに倒したはずだ」



「いや、まさか_」

アカツキは記憶を巡らせる。
最初に青鬼に出会ったのは早朝のF-08付近。
そして自分はその力を前に撤退を余儀なくされた。

逃走を続け、館から病院にたどりつく。
探索をあらかた終え、施設の地下に踏み入れようとした所で再びあの青鬼に遭遇した。
そこで自分は奴を閉鎖病棟に誘い出し、閉じ込めた。
その後で食事のためエレベーターで1階に向かった。
そこには_青鬼がいた。
腕を犠牲に電工機関を利用して辛くもその場を脱した後、空腹で倒れる。
そして二人に出会う。

ここで一つの可能性に気づく。
青鬼が2体以上存在していたという可能性。
常識的に考えればF-08付近と病院で出会った青鬼は探索していた時間を考えれば追いついてもおかしくはない。
しかし、閉鎖病棟に閉じ込めたにもかかわらず数分足らずで脱出し、階段から1階におりてエレベーターの前で待ち構えることなど普通はできるはずが無い。
つまり青鬼は2体以上存在し、その内一体はまだ閉鎖病棟に閉じ込められており、偶々近くにいたもう一体の青鬼が自分に襲いかかった。
一体はケイネス・エルメロイ・アーチボルトが倒した。
残りの1体はまだ閉じ込められているか、それとも脱出したか…

しかし、この仮説にはもう一つ辻褄が合わない所がある。
参加者欄には青鬼の名は一つしか無い。

だが、最悪の形とはいえ辻褄の合う考え方が一つある。

「あいつらは、_繁殖あるいは増殖をしているかもしれない」

あんな異形が何体にも増えている事など想像したくもないが一番考えられるのはこの説だ。

いつのまにか、彼の体は再び震えていた。


「松岡勝治…一体何者なんだ…」

プラシドはその名を口ずさむ。
アカツキの言う通り青鬼同様、この参加者も増殖の能力を持っているとすれば注意が必要かもしれない。

236 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:42:36 ID:IEwy2B0k0



*  *  *



「ん?お前が持っているのはなんだ」

距離にして1エリア半ほど進んだ所でアカツキが隣の席から発せられるほのかに甘い匂いに気づく。

「『蒸かした芋』さ〜
デイバックに丁度頃合いの物があったから!つい!」

「何故だ…
何故今……芋を食べだした?」

「さっき支給品を調べたらでてきて…
冷めてしまっては元も子もないしー…
今食べるべきだと判断したから」

「…!?

イヤ…わからないな
何故貴様は芋があるならもっと早く言わなかった?」


「え?」

「そいつをよこせ!早く」

アカツキが響のデイバックに手を伸ばす。

「さっきも食料食べたばっかじゃないかー!」

響きが一瞬デイバックをアカツキから遠ざけようとするが、仕方なくデイバックを開け、芋を取り出す。
アカツキは青鬼のデイバックの食料を既に車内で食べ尽くしていたがそれで収まるアカツキの腹の虫ではなく、響の芋を次々に奪い取る。
芋の量は意外に多く、腹持ちのよい物なので8割ほど食べた所でアカツキの食欲は収まった。

「やっと満腹だ」

「すごい食欲ですね…」

さりげなく芋を手に取りながら鬼子が言う。

「あー!さりげなくとるなんてずるいぞー!」

「呑気な物ね…」

ルカが呟く。
その顔には微かな笑みが戻っていた。

響の中の絶望も今は影を潜めている。

237 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:43:10 ID:IEwy2B0k0



    +    +    +



「そういえば、3人の支給品を確認してないな」

「何?あんたまた人の支給品をかっさらう気なの?」

ルカが毒づく。

「この状態でそれができると思うか?」

プラシドが自分の体を小突く。
ちぎれた半身を見下すようにルカが言う。

「そうね…いい気味よ」

「おい貴様…!」

「まあまあ落ち着いてください二人とも…」

鬼子が二人をなだめる。

さっきまで鬼子はルカの運転の所為でグロッキーだったのだが、雛子の運転は安定しており、おかげでなんとか鬼子は回復していた

「取り敢えず支給品を確認して見覚えのある物や使えこなせそうな物があれば譲り合うなどすれば
戦力や団結力も大幅に上がるはずです」

鬼子の話は至極正論である。
二人はばつの悪い顔をしながらもデイバックを取り出す(プラシドの方は鬼子に手伝ってもらった)
それにあわせて鬼子と3人はデイバックを取り出す(同じく運転中の雛子の方はアカツキがデイバックを取り出した)




   ~      ~      ~




「___それからこの大量の武器、殺し合いに乗っている側からすれば大当たりな品でしょうね

それと司馬宙の_」

そういってルカはまだ確認していない司馬宙の最後の支給品を取り出す。


それは人形のような物だった。

「はずれか?」

「説明書によると《ふなっしー》って名前らしいわ」

プラシドが人形を見つめる。
なんだか不気味である。特に目が完全に薬物中毒者のソレだ。
ルカは無言でふなっしーをデイバックの奥底へしまった。

238 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:43:40 ID:IEwy2B0k0


     ~~(中略)~~


「…次は雛子のデイバックだな」

プラシドが器用にデイバックを開ける。
基本支給品を取り出し、次にランダム支給品を取り出す。

「これは…」

プラシドが少し苦労して取り出したのは金属のパイプであった。
なんとかそれをを車内に立てかけ、説明書を取り出す。

「ただの鉄パイプのようだ、はずれだな」

「何度も何度もはずれとばかり…あんたは他の言葉を知らないの?」

「そうは言うが武器なんてお前の支給品でほとんど賄えてしまうだろう」

「そ…それはそうかもしれないけど…」

「それよりもう一つの支給品だ」

プラシドが再びデイバックをまさぐる。
すると急にプラシドが動きを止めた。

「……」

「どうしたの?早く出しなさいよ」

「カードだ…」

プラシドが支給品を取り出す。
そのカードには不思議な紋章が描かれていた。

「RUM−リミテッド・バリアンズ・フォース…」

「ちょっとあんた!!!また人の支給品を奪う気!?」

ルカがカードを取り上げようと手を出す。
プラシドはカードを奪われまいと上半身だけで動き回る。

「ちょっと!だしなさい!」

「あっ!貴様!HA☆NA☆SE!」

「二人ともこんな所で暴れないでください!」

「お前らおちつけ!」

アカツキと鬼子が二人を押さえる。

「あのー…私は別にカードを武器にしているわけではありませんので…よろしければあげてもかまいませんが…」

雛子はミラー越しに話す。

「いいのか?」

「はい」

239 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:44:51 ID:IEwy2B0k0

「ふぅん、感謝する」

プラシドは雛子の支給品を元に戻し、そのカードを自分のデイバックにしまう。

「人から貴重な支給品もらってるのにいい気な物ね」

「フン、貴様の物でもないだろうに

何故止めようとした?」

「なによ!!「だから落ち着いてください」」


「二人とも仲がいいですね」

「は!?な、何言ってるの!!どんな見方したらこんな奴なんかと!!!」

「グホォァ!何故俺が叩かれる!」

「あ!ちょっとやめてください!」

「だからやめろって!」

オッデセイの運転が大きく蛇行する。
アカツキがルカをおさえるもしばらく暴走は続きそうだ。


「うっ…また気分が…」

「え?ちょっとここで吐くのはさすがにやめ「ゴボボーッ!」」







【C-06 道路/1日目・早朝】

【プラシド@遊戯王5D's】
[状態]:上半身のみ、希望の番人化
[装備]:アノニムの二丁拳銃 弾数(5/6、6/6)(一丁のみ腰に差している)@アカツキ電光戦記
[道具]:基本支給品一式、インヴェルズ・ギラファ@遊戯王、 希望王セット@遊☆戯☆王ZEXAL、RUM−リミテッド・バリアンズ・フォース@遊☆戯☆王ZEXAL
[思考・状況]
基本行動方針:絶望の未来を変える
0:アカツキ達と情報交換。
1:気に食わないが戦力になりそうな不動遊星を探す。
2:愛用のDホイールと剣が欲しい。
3:不動遊星との決着は保留。
4:下半身♂を直したい。
5:宙……。
※シンクロの代わりとなるエクシーズに注目しています。
※歴史を改変しシンクロ時代の今をエクシーズの時代に変えようと思っています。
※ルカ達の話の食い違いについては一応思考中・・
※RUMと希望王セットのカードは一度使うと6時間使用できません。
※NO.の精神汚染は本ロワでは無効です。

240 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:45:41 ID:IEwy2B0k0

【日本鬼子@日本鬼子ぷろじぇくと】
[状態]:健康、嘔吐
[装備]:白楼剣@東方Project
[道具]:基本支給品一式、儀式の人クリスマスパーティーセット@儀式の人シリーズ
[思考・状況]
基本思考:殺生無しに争いを鎮める方法を探したい
0:プラシドさんが目覚めて良かった
1:心を鬼に囚われた人を白楼剣で斬り、迷いから解放する
2:極力殺生はしたくないが、いざというときは……
3:また気持ち悪くなってきた…

【アカツキ@アカツキ電光戦記】
[状態]:疲労(中)、左腕に大きな噛み傷(応急処置済み)、満腹、かすり傷
[装備]:試作型電光機関@アカツキ電光戦記、阪本さんのスカーフ@日常、軍服(手で持っている)
[道具]:こんなところの閉鎖病室の鍵の束@チャージマン研!、銃火器予備弾薬セット@オリジナル、青鬼のデイバック(食料全て消費)
[思考・状況]
基本行動方針:殺しあうつもりは無い。
0:プラシド達と情報交換。
1:「不動遊星」とを探しに学校へ向かう。
2:メイトリックスを探し主催の事を聞きだす。
3:こんなところの地下が少し気になる。
4:すっかり満足(胃袋的な意味で)
5:二人の素性を聞きたい。
6:ケイネスの動向が少し気になる。
7:全身タイツを警戒。
※総統閣下シリーズの世界を知りました。
※別の世界から呼ばれたのだとギルガメッシュから聞きました。ほぼ確定だと考えています。
※第一放送を聞き逃しましが、情報交換の中で内容はほぼ把握しました。
※青鬼が3体以上いる可能性も視野に入れています

【四条雛子@MUGEN】
[状態]:健康
[装備]:ホンダのオデッセイ(ボディーに大量のヘコミとキズ、車内はゲロ臭い)@課金騎兵モバマス予告集
[道具]:基本支給品一式(一食消費、水残り70%)、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本行動方針:真剣勝負を堪能する。相撲に勧誘する。
0:プラシド達と情報交換。
1:学校へ向かう。
2:「鬼柳京介」と「不動遊星」、ついでに強者を探す。
3:響を守り、一緒に相撲をする。
4:アサシンとの決着をつける。
5:余裕があればアカツキの腕をちゃんと治療したい。
6:また会えたらケイネスとも勝負したい。
7:お芋食べたいな…
※MUGENのアカツキと面識があります。その他にも何人かとは面識があるかもしれません。
 具体的に誰を知っているかは後の人におまかせします。
※響の素性を簡単に聞きました。
※アカツキが二人に介抱されるまで何をしてきたか把握しました。
※アカツキから、参加者は異世界から集められたと聞かされました。
 彼ほどではありませんがそう考えています。

241 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:46:56 ID:IEwy2B0k0

【我那覇響@アイドルマスター(アニメ)】
[状態]:軽い打撲、死への恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品一式(一食消費、水少量消費)、ディエンドライバーとライダーカード(ディエンド)@仮面ライダーディケイド、
 蒸かした芋(8割ほど消費)
[思考・状況]
基本行動方針:生きて帰る。
1:アカツキと雛子に着いていく。
2:雛子に守ってもらう代わりに一緒に相撲をする。
3:何で自分の周りは超人だらけなんだ〜!?
4:プロデューサーやアイドルのみんなに会いたい。
5:別の世界……なんかすっごいさ〜
6:ディエンドライバーは絶対に使いたくない。戦いたくない!
7:でも万が一の時は……。
※参戦時期はアニメ15話終了時からです。
※雛子の素性を簡単に聞きました。
※雛子を頼りにする事で死への恐怖を薄れさせています。
※アカツキが二人に介抱されるまで何をしてきたか把握しました。
※アカツキから、参加者は異世界から集められたと聞かされました。
 彼ほどではありませんがそう考えています。

【巡音ルカ@VOCALOID】
[状態]:健康
[装備]:大口径拳銃@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、プラシドの下半身@遊戯王5D's、モンスターボール(バッフロン)
    もしかしてオラオラですかーッ!?@未来ガジェット研究所、ふなっしー@現実
[思考・状況]
基本思考:歌い続けるために生きる
0:響を警戒
1:鬼子に協力する
2:絶望には呑まれない
3:雛子の運転技術に少し嫉妬


【蒸かした芋@進撃の巨人】
サシャ・ブラウスが入団式の最中に調理場からかっぱらってきた物
教官に「貴様…何をやっている」と言われようが気にせず芋を食べ続け、
「なぜ今芋を食べだした」と聴かれれば「冷めてしまっては元も子もないので…今食べるべきだと判断しました」と答え、
教官が簡潔に「なぜ貴様は芋を食べた?」と問えば「それは…何故人は芋を食べるのか?という話でしょうか?」と未来的すぎる答えを出し、
同期の間で彼女に「芋女」というあだ名を定着させたいわくのある物である。

【ふなっしー@現実】
船橋市と名産の梨をモチーフにしたご当地キャラ。
何を考えているのかよく分からないような表情をしていながら、キメちゃってるとしか思えない震えっぱなしの動きや荒ぶる跳躍力を見せるギャップが人気の秘訣らしい。
ちなみにtwitterや二コニコのアカウントも持っている。

【鉄パイプ@コマンドー】
メイトリックスがベネットの胸に突き刺した物。

【RUM−リミテッド・バリアンズ・フォース@遊☆戯☆王ZEXAL】
通常魔法
自分フィールド上のランク4以下のモンスターエクシーズ1体を選択して発動する。
選択したモンスターエクシーズよりもランクが1つ高い「C」と名のついたモンスターエクシーズ1体を、
自分のエクストラデッキから、選択したモンスターの上に重ねてエクシーズ召喚できる。

リミテッド(限定された)の意味通り、RUM−バリアンズ・フォースに比べて大きく能力が制限されている。
もちろんこのカードによってホープをランクアップさせる事は可能。
真月が「共にバリアンに立ち向かう」という約束と共に遊馬に渡したカードであったが…。

242名無しさん:2013/08/09(金) 22:48:24 ID:IEwy2B0k0
薄い内容ですが投下終了です
タイトルは「増殖するA、飛翔するP -お芋を貪るイェーガー-」です

243 ◆k5V1srvipM:2013/08/09(金) 22:49:47 ID:IEwy2B0k0
書き忘れましたが大きな問題点等あればご指摘ください

244名無しさん:2013/08/09(金) 23:20:01 ID:RFQvtXi60
投下お疲れ様です
支給品色々と濃すぎィ!!
とりあえずアカツキさんがやっと満腹になって良かった
鬼子、もうこれは車にトラウマが出来たな……(確信)

245 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/10(土) 05:07:13 ID:34TwDdNo0
投下します

246槍兵の奇妙な四角関係とケンのパーフェクトにころわ教室:2013/08/10(土) 05:08:55 ID:34TwDdNo0
「ゲイ――ジャルグ!!!!」
「チャイナクック・マーベラス・チャーハン! バージョン! エレクトリカル・スピードワゴン!!!!」

あらゆる魔法を打ち破る槍と、何か背後に青色の(恐らく機体が別の物なせいだろうが)食欲が失せるチャーハンを出現させながら、突き進むカブトボーグ。
二つの激突は僅かな拮抗の末、崩れる。
一瞬にして、チャージが切れたかのように吹っ飛ばされ転がり落ちる、エレクトリカル・スピードワゴン。
これが破魔の紅薔薇(ゲイ・ジャルグ) の力。良く分からない理屈が働き、ボーグが発揮するパワーも魔法として認識し打ち消す。

「変な槍使いやがって!」
「人間は、皆死ね!!!」

焦って、エレクトリカル・スピードワゴンを回収するケンに、キルリアは追撃の槍を放る。
崩れた体勢ながらも、ケンは転ぶように前へ回避し、槍は服を掠めただけで済んだ。
出来れば、すぐさまボーグを叩き付けてやりたいところだが、そうもいかない。
破魔の紅薔薇により、チャージを打ち消されたエレクトリカル・スピードワゴンは、再度チャージをしなければならないが、その時間をキルリアは与えてくれない。
この戦いで、キルリアもボーグの力がチャージによって生み出されるモノだと、気付いたのだろう。

「死ね!死ね!死ね!」

乱雑に振り回される槍。
それは、本来の担い手であるディムルッドであれば、瞬時に槍筋を見切れるくらい遅く、予測の立てやすいもの。
しかし、ケンにとっては違う。かわせない事も無いが、流石にボーグ無しで応戦も出来ない。
このままでは、ジリ貧で確実にケンの方がスタミナ切れを起こし、槍の餌食になる。

「――まあ、チャージ無しでもボーグは使えるんだけどさ」
「え?」

光り輝く閃光。
それが、後に爆破を誘うものだと気付いた時には、既にキルリアは吹っ飛び、地面に叩き付けられていた。
別に、カブトボーグはノーチャージでも、使用することは出来る。
素人ならともかく、ケン程のボーガーならば並みのボーグを蹴散らす位の威力も見込める。

「フッ、勝ったぜ」

勝利の笑みを浮かべ、ケンはエレクトリカル・スピードワゴンを天高く掲げる。
キルリアは、すぐさま立ち上がろうともがくが、体を強く打ちすぎたのか上手く動いてくれない。
頼みの破魔の紅薔薇も、爆発で吹き飛ばされた時に手放してしまい、今はケンの近くにある。

247槍兵の奇妙な四角関係とケンのパーフェクトにころわ教室:2013/08/10(土) 05:09:28 ID:34TwDdNo0

「止め――「何をしている、ケン!」

もう駄目かと、目を瞑ったその瞬間。
救いは来た。
人並みはずれた体裁きで、ケンを組み伏せキルリアの窮地を救った美青年。
右目の泣き黒子が、とても印象に残る男の名はランサー。

「離せよ! あいつが悪いんだぞ!!」
「いや、俺は最初から見ていたが、お前が悪い」
「見てたんなら、助けろよ!!」

組み伏せられ、地に顔を着けながらも喚くケンに当身を食らわせ気絶させると、ランサーはキルリアの方へと向き直る。

「お怪我は? 大丈夫ですか」
「は、はい///」

キルリアの目に入ってきたのは、愛の黒子。
彼と対峙した女性は、彼に強烈な恋愛感情を抱く。それは、キルリアも例外ではない。
ケンが聞けば欲しがりそうな能力であるが、それを快く思わない者も居た。

(あの尻軽女め、やっぱり僕の睨んだ通りか)

未だ気絶したフリをしながら、星君は心の中で舌打ちをする。
キルリアの人間を恨む気持ちは、突発的なものだとは分かっていたが、こうも心変わりが激しいとは。
下手をすれば、自分を裏切り襲い掛かってくる可能性もある。

「何よ、この女! ランサー!!!」

そして星君以外にも、この事態を快く思わない者が声を荒げた。
まどか、ほむら、マミという友よりもランサーを取った女、キュウべえ☆どもえ!である。
キュウべえは、気に入らなかった。ランサーは、自分のモノだというのにこの泥棒猫ときたら。

「何ですか貴女! 彼女面しちゃって!!」

それはキルリアも同じだ。
人の初恋に、いきなり現われた無粋な邪魔者。
なんとしても、排除したいところだ。

248槍兵の奇妙な四角関係とケンのパーフェクトにころわ教室:2013/08/10(土) 05:11:18 ID:34TwDdNo0

そんな二人が、激突するのに時間は掛からなかった。

口を開けば、出るわ出るわ罵声の数々。
その可愛らしい容姿から、どうやってそんな汚い言葉を生み出せているのか。
何だか、妙な事になってしまったと、頭を悩ませるランサー。

「あら、いい男じゃない! でもね、アンタ達みたいなビッチには勿体無いわよ!!!」

何処からやってきたのか、男色ディーノも口論に加わり、ランサー争奪戦は熾烈を極めた。
今まで、何度か女性絡みで碌な目に合わなかった事は少なくないが、こんなのは初めてだ。

その疑問も、当然ではある。
ようは理性の問題だ。
人間に愛の黒子が効いても、ある程度は理性を保つ事が出来て行動を抑制出来る。
だが、今愛の黒子の虜になっているのは、キュウべえという畜生に擬人化したとはいえ所詮は獣のキルリア。
発情すれば、理性などかなぐり捨て本能のまま動く。
愛の黒子の効き目が、いつもと違うのも無理は無い。




あとホモは知らん。
ホモだしね? うん。



まあそんなこんなで今、奇妙な四角関係が生まれてしまった訳だ。




ゴキャリッ


肉が歪み、骨が砕けた鈍い音。
キルリアから、その音が鳴っているとランサーが気付いた時には既に遅い。
ディーノの腕から、キルリアが人形の様に崩れ落ち、ただの肉塊になっていた。
そのまま、続けさまにキュウべえの顔面に蹴りをぶち込み、顔面から頭に至るまで爪先で抉り殺す。
宙を舞ったキュウべえの死体は、血と肉片を撒き散らしながら、二、三度地面を転がっていくと、もう二度と動かなくなった。

「貴様ァ! 何をしている!!」
「何って? これは、そういうゲームでしょ。悪いけど私は、このアナル♂ロワイアルに勝利しなきゃならないのよ。
 だから、フフッ穿らせて貰うわよ? 貴方の、アナルをねええええええ!!!」

奇妙な四角関係も長くは続かない。
ディーノによって、二つの小さな命は無残に奪われ、そして新たな闘争の幕が開こうとしていた。



【キルリア@ポケットモンスター】死亡
【キュゥべえ@魔法少女ほむ☆どもえ!】死亡

249槍兵の奇妙な四角関係とケンのパーフェクトにころわ教室:2013/08/10(土) 05:11:51 ID:34TwDdNo0



【H-04/1日目・日中】

【ランサー@Fate/Zero】
[状態]:疲労(中)、頬にかすり傷
[装備]:ハイリアの盾、プラシドの剣@遊戯王5D's
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本:殺し合いには乗らず主催を討ち取る。
0:ディーノを倒す。
1:ケイネスを探す。
2:ケン……生きてたのか。
3:メイトリックス、門矢士(名前を知らない)を警戒。
4:タドコロ……すまない。
※参戦時期は不明ですが少なくともセイバーと戦った後です。

【男色ディーノ@DDTプロレスリング】
[状態]:ダメージ(小、尻穴だけ重傷)、疲労(中)、男の体を触りたい、舐めまわしたい、いれたい。
[装備]:シーザー・カエサル・エンペラー@人造昆虫カブトボーグ V×V
[道具]:グレーテルの基本支給品一式、コンビニ弁当、スター(ちょっと匂う。24時間使用不可)@マリオシリーズ
    北米化パッチ
[思考・状況]
基本思考:アナル♂ロワイアルの優勝者となる。
0:ランサーを掘る♂
1:襲撃者に備えつつ、いい男を探しに行く。
2:ギルガメッシュは必ず掘りグレーテルは殺す。
3:カズマとケイネスも掘りたい。
4:青鬼を警戒。出来れば、誰かに倒されていて欲しい。
5:ヨシヒコ……。

250槍兵の奇妙な四角関係とケンのパーフェクトにころわ教室:2013/08/10(土) 05:12:24 ID:34TwDdNo0









「フン、ホモの相手なんか御免だ」

ランサーとディーノが互いに気を取られている隙に、その場から離脱した星君は心底嫌悪しきった声で呟いた。
まったくもって、ホモというのは理解できない人種だ。種族を増やさない性行為に、何の意味があるというのか。
だが、ある案も浮かんだ。地球人を同性愛者だらけにし、子孫を根絶やしにするという恐るべき計画が。
この殺し合いから抜け出せた後、早速その計画を提案してみる事にしよう。

「もっとも、その前に殺し合いから抜け出せないとだな」

そう言い、手にある一つの石を握っていった。
地の石だ。キルリアが持っていた物だが、どさくさに紛れ盗み出すことに成功した。
どうやら、己が肉体に絶対の自信でもあったのか、ディーノは他者の荷物を奪うという事に、あまり拘っていなかった事が吉と出た。
この石を使って更なる強化を図り、いずれはあのチャージマン研も……。

「っと、その前に」

星君を追う様に飛び出した人影。
それは龍昇ケン、その人の者だった。

「あのガチムチ共も、ランサーもどいつもこいつも……。俺ばかり、こんな目に……。
 そ、そうか……。俺が天才だから、思い返せば――」



『はあはあ……この殺し合い……俺は果たして生き残れるのか?』
『ふっ、良く来たな龍昇ケン』
激戦を潜り抜け、消耗しきったケンの前に現われたのは、中国風の衣装に身を包んだ女性。
『あ、アンタは……』
『言わずとも、分かっておる』




「――そうだ、俺は数々の激戦を勝ち抜き、今や天才となった!
 俺を騙していたのは、奴らが俺に着いて来れないからだ……。
 皆、俺に着いて行けずに……皆、離れていくんだ。……なんて事だ、これが天才の孤独なさだめと言う奴なのか?」

「……いや、意味が分からない」

「ああ、そうだろうな。今や、この俺を理解出来るのは同じ天才である、天野河リュウセイただ一人!
 それ以外は全て前座だ。皆、ぶっ倒してアイツを誘き出してやる! 元々、これはそういうゲームなんだからな!!!」

ケンは己が武器、エレクトリカル・スピードワゴンを構え、星君を見据える。

「先ずは、お前から血祭りに上げてやる!!! 
 俺が、この殺し合いの末に編み出した奥義、チャイナクック・マーベラス・満漢全席でな!!!!!」

「丁度良い。この、地の石とやらの力を試してみるか」

251槍兵の奇妙な四角関係とケンのパーフェクトにころわ教室:2013/08/10(土) 05:12:57 ID:34TwDdNo0


【G-04/1日目・日中】

【龍昇ケン@人造昆虫カブトボーグ V×V】
[状態]:疑心暗鬼 激しい怒り、天才、 奥義チャイナクック・マーベラス・満漢全席を取得
[装備]:エレクトリカル・スピードワゴン@人造昆虫カブトボーグ V×V
[道具]:なし
[思考・状況] 基本:皆、俺に着いていけないのでボコボコにする。
0:星君をぶっ倒す。
1:色んな奴をボコボコにして天野河リュウセイを誘き出す!
2:さっきのオッサン達もボコボコにする。
※松岡勝治が死んだと思っています
※正気に戻りましたが、錯乱しています
※この会場にいる女は全員、男か謎の生物が化けたものと思っています
※幾多の激戦を潜り抜けた事により、チャイナクック・マーベラス・満漢全席を取得しました。
 何時の間に? 中国衣装の女って? 知らんな。

 【星君@チャージマン研!】
[状態]:右手に野獣先輩のアレが付着
[装備]:金属バット@現実 、キリン装備@モンスターハンター、地の石@仮面ライダーディケイド
[道具]:基本支給品、双子シグナーカードセット@遊戯王5D's、謎の白い液体@THE 世界遺産、王宮内で手に入れた食料と武器、フランクのカメラ@デッドライジング、
射命丸のカメラ(30/30)@東方Project、士のカメラ(30/30)@仮面ライダーディケイド、射影機(30/30)@零〜zero〜、カメラのバッテリー@現実×2、十四式フィルム(30/30)@零〜zero〜×2、フィルム@現実(30/30)×3
[思考・状況]基本思考:母星や仲間のために殺し合いに乗る。
0:ケンを倒す。
1:キルリアを利用。使いないようなら石を奪う。
2:チャージマン研は最優先で抹殺する。
3:チャージマン研、アルセーヌ(名前は知らない)を警戒(特にチャージマン研)。
4:これから毎日、不意討ちしようぜ!
※参戦時期は不明。あとの人にお任せします。
※制限により姿は星君のままです。
※ジュラル星人には感情が無いので、キルリアは感情を読み取る事が出来ません。
※キルリアのコレまでの経緯を聞きました

252 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/10(土) 05:13:30 ID:34TwDdNo0
投下終了です

253名無しさん:2013/08/10(土) 05:56:10 ID:zv1ePa9g0
ここに来て投下祭りになってうれしいばかり

254名無しさん:2013/08/10(土) 10:06:40 ID:Bce7x//Io
これはルカがデレる(確信)

255名無しさん:2013/08/10(土) 10:18:30 ID:e2de2H0I0
投下乙です
これだからホモは怖い(震え)

256名無しさん:2013/08/10(土) 15:52:02 ID:Vp2I0uzE0
投下乙です

ちょ、おまwwwww

257 ◆k5V1srvipM:2013/08/11(日) 08:44:52 ID:vdb865M20
ケイネス、ちびアサシン、青鬼を予約します

258名無しさん:2013/08/11(日) 10:44:16 ID:cMHMIguI0
俺は今、恐ろしい想像をしてしまっている…
◆k5V1srvipM氏はもしかして複鳥使って自己リレーしてた人?
その人とのSSと比べていくつか共通点があるから…
それが俺の勘違いで別人なら良いんだが、無関係だと証明出来る手段って無いかな?

259名無しさん:2013/08/11(日) 11:51:03 ID:vlenC0wI0
議論スレあたりで提案しようと思ってたけど先に言われてしまった
過去に問題起こした人も書き手ができてしまう今のシステムのまま続けてもらうのはまずい
無関係だと証明できるのはしたらば管理人さんだけだろうから、管理人さんにお願いして見てもらうしかないか?
◆k5V1srvipM氏が潔白なら申し訳ないけれど

260名無しさん:2013/08/11(日) 18:43:41 ID:03qxUOKUo
さすがに文章が似てるってのはこじつけなんじゃないかな…あんまり疑うのもなぁ…

261名無しさん:2013/08/11(日) 18:46:30 ID:v3Tg4Ruc0
でも支給品のチョイスやタイトル名もあの人に似てるし

262名無しさん:2013/08/12(月) 01:00:06 ID:qkvPaybU0
共通点その1、東方好き
例 にとり無双の為にアルセーヌをあっけなく殺す 過去のSSもアルセーヌの設定もろくに把握してなかった模様
複鳥の人はレミリアを殺したゴンさんをあっけなく殺そうとした。支給品枠で東方キャラを出そうとした等

共通点その2、遊戯王好き
例 遊戯王のカードを支給品として出している
複鳥の人も遊戯王のカードを何度も支給品で出している。しかも別人を装って
複数の書き手が出しているように見せかけてSSを通そうとしていた

共通点その3、SSの書き方
例 描写がすごくあっさりと終わっている 投下のテンポが速い でも修正要求の対応はすごく遅い
複鳥の人も内容の短いSSを短期間で大量に投下している。それだけ速筆なのに修正要求の対応は遅い
遅いだけではなく要求を無視してwikiに乗せる行為もやらかした

ちょっと共通点多いな ◆k5V1srvipM氏としても疑いは晴らしたいだろうし
ちゃんと解決するまで投下は後回しにした方がいいんじゃないかな

263名無しさん:2013/08/12(月) 01:24:48 ID:GopIE/Lo0
問題起こした人もこっそりと再参加できる環境をそのままにしておくことが一番まずい

264名無しさん:2013/08/12(月) 14:35:57 ID:N0J5RXz20
予約はしたらばのみってことでいいんじゃない?
◆k5V1srvipM氏は管理人に連絡して規制解除してもらえばいいと思うけど

265 ◆k5V1srvipM:2013/08/12(月) 17:14:13 ID:.PJcqI3c0
ご迷惑をおかけして申し訳ありません
今別端末でしたらばに書き込めるのでこれから予約はそちらで行います

266名無しさん:2013/08/12(月) 17:21:35 ID:aUXc/B2Q0
別端末なんか使わないで管理人さんに規制解いて貰いなよ
それともわざわざ別端末使わなきゃならない理由でもあんの?
だって巻き込まれ規制なんでしょ?
調べて貰えばすぐに身の潔白は証明出来るじゃん

267名無しさん:2013/08/12(月) 18:01:33 ID:pFdvknqc0
カズマみたいな首輪解除って他のロワでの前例はあったっけ?

268名無しさん:2013/08/12(月) 22:09:46 ID:3PexDbeU0
今回は良いとしても、ほむほむまで解除しちゃえたら流石にまずいと思う

269名無しさん:2013/08/12(月) 22:25:32 ID:Wz0LwKRg0
もこみちがオリーブで首輪外した時点で……

270名無しさん:2013/08/12(月) 23:19:23 ID:mt4yrxoo0
今亡き戦隊ロワでリオが首輪爆発と同時に幻獣王になって無事ってのがあったね

271名無しさん:2013/08/12(月) 23:29:32 ID:aWd3Q/rE0
アサシンも青鬼も首輪ないし、外しやすすぎて逆に裏がありそうな気がしてくる

272名無しさん:2013/08/13(火) 04:28:00 ID:cbZbABrU0
そういえばマミさんが銃になってたけど首輪はどうなってたんだろう
やっぱり銃身に巻き付けられてたのか

273名無しさん:2013/08/14(水) 15:27:10 ID:rtDqqc/M0
外れてるだろ流石に

274名無しさん:2013/08/14(水) 19:23:13 ID:2IoFCnBk0
さすがに名無しの意見は参考程度だな
同じ書き手から物言い付いたら改めて審議だろうけど名無しの言い分は無効だろう

275 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/15(木) 03:28:51 ID:Hrbrfklw0
投下します

276幕間 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/15(木) 03:29:31 ID:Hrbrfklw0



『先ずは死亡者の発表からだな。

 ジャック・アトラス……』


何だ? 何を言っているんだ。
鬼柳に続いて、お前まで……。
そうか、鬼柳と同じく上手く奴等を誤魔化せたんだな。
それか勝治みたいに、何故か名前を呼ばれたんだろう?
なあ? そうだろう? ジャック……。




「とうとう、残るチームサティスファクションのメンバーは、俺とクロウだけになってしまったぞ……」

生きていて欲しい。でも、それは殆ど有り得ない事だ。
分かってはいる。分かってはいるのに。
そう言えば、先の放送で勝治もまた呼ばれていた。心配だ、恐らくあいつは生きていると思うが……。
……こんな事をしている場合じゃないな。今は権兵衛の言っていた早苗、海東を探すのが先だ。
泣くのは、その後で良い。

止めていた、デルタイーグルのハンドルに手を掛け、アクセルを踏む。
エンジン音が鳴ったのを確認し、機体の調子を確かめる。

権兵衛達と別れてから数分、放送で足止めを食ったがそれでもまだ早苗達は、そう遠くには行っていない筈。

「なん、だ……?」

自然と頬を暖かい物が伝った。
涙だ、俺は今泣いているのか?
駄目だ、視界がかすんで……でも現実なのか?
嘘だろ……いや当然の事なのかも知れないな。
なんたってあいつは、俺達のチームサティスファクションのリーダー)



鬼柳京介なんだからな。


俺は馬鹿だ。一時でも、奴が本気で死んだだなんて思うなんて。
あいつが死ぬものか、一回死んでもまた蘇ったような男だ。
まったく、こんな顔見られては笑われてしまうな。
腕の裾で涙を拭うが、どうにも止まりそうに無い。
あまりこんなみっともない姿、見せたくは無かったがしょうがないか。
今は、あいつが生きていた事を喜ぼう。

277幕間 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/15(木) 03:30:04 ID:Hrbrfklw0

「鬼柳、生きてたんだな」

言ってやりたい事は沢山あったのに、意外と口っていうものは多くを言わせてくれないらしい。
まあいいさ。俺は、まだこいつと話せるんだ。まだこいつは生きてるんだ。
何でも良い。俺はもう一回、鬼柳と話せるのが嬉しいんだ。
だから、だから鬼柳。


「え?」


――早く、何か言ってくれよ。

何で、お前はそんな顔してるんだ。
頼む、何か言ってくれ鬼柳。


「もう止めなよ。蟹頭の兄ちゃん。
 薄々、分かってんだろ? そいつはあんたの知り合いじゃない」
「麗華……」
「悪いけど、さやか。あんたの事説明するから」

さやか……?
何、言ってるんだ。こいつは、どう見ても鬼柳だ。
鬼柳京介だろ。

「こいつ学校でさ……」

止めろ、やめろ、ヤメロ。
喋るな、もう喋るな。
嘘だ、嘘だ、嘘だ。
だってこいつは……俺の仲間は……。


「そういう訳、悪いけどここに居るのは美樹さやか。
 鬼柳京介って人とは別人」

死んだのか……あいつが?

「ごめんなさい……」
「良い……お前が悪いわけじゃない」
「で、でも……体はこの通りありますし、もしかしたら」
「おい、さやか」
「だから、その……」
「少し、黙っててくれ」

分かっていた事じゃないか。
鬼柳は死んだんだ。
俺は、ただ何も出来ずにあいつを死なせてしまった。
何て無力なんだ。
俺は友一人禄に守れない、俺は弱い、俺は……


――ゆ、う

何だ。

――う、せい

この声は。

――遊、s

違う、声だけじゃない。これは鼓動?

――遊星!


右腕に浮かぶのは消えた筈の赤き龍の痣、輝く赤い龍の頭(ドラゴンヘッド)の閃光。
同時に流れてくるのは熱き鼓動。

(共鳴している? 何処だ? この鼓動は何処から)

「え、え? 私のバックなんで赤く光ってんの?」
「それをこっちへ渡すんだ!」
「ちょっ」

麗華から無理やりバックを引ったくり中身を漁ると、あった。
忘れるわけが無い。今は亡きジャックの魂。

「レッド・デーモンズ・ドラゴン……」

お前なのかジャック。
こんな俺と、戦ってくれるのか。レッド・デーモンズ・ドラゴン。
輝いていた痣は再び消え、共鳴していたレッド・デーモンズ・ドラゴンはその脈動を止めた。

278幕間 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/15(木) 03:30:36 ID:Hrbrfklw0

(呆けてた俺に渇を入れてくれたのか? ジャック……)

「大丈夫ですか?」

心配そうにさやかが俺の顔を覗き込んでくる。

「大丈夫だ、それよりこのカード……」
「ああ、欲しかったらやるよ。別に無くても困らないしな。
 ただそのカードは、一度使っちまってるから一日使えないから」

どうやら、この場ではDMカードは決闘盤無しでも実体化するらしい。
もっとも制限が課せられ、レッド・デーモンズ・ドラゴンは一度使うと24時間使用不可になるようだが。

「色々、世話になった。
 俺はもう行くが、もし早苗、海東という人物に出会ったら……」

麗華とさやかに俺は早苗達の特徴を教え、もし出会ったのなら海東に気をつけろという皆を伝えた。
そして、二人も水を欲しがるという、謎の危険人物の情報を教えてくれた。

「遊星さんも、気をつけてください。特に透明の敵には」
「分かってる」
「あっそうだ。これ、鬼柳さんの服に入っていたハーモニカ……」

さやかの手から差し出されたのは、紛れも無い鬼柳のハーモニカだ。
俺はそれを受け取った。
多分、さやかが持っていても苦しいだけだろうし、これは俺が持っていた方が良い。

「俺はもう行く。
 お前達も気を付けてな」

そう言い、俺は再びデルタイーグルに跨りアクセルを踏んだ。



【F-2/一日目・日中】

【不動遊星@遊戯王5D's】
[状態]:疲労(小)、主催者達に怒り
[装備]:デルタイーグル@遊戯王5D's(操縦中)
[道具]:基本支給品、サイバーZ一号のベルト@真夏の夜の淫夢関連、レッド・デーモンズ・ドラゴン@遊戯王5D's(二日目午前まで使用不可)
ライダーズカード一式@仮面ライダーディケイド、沈黙の騎士ギャラティン@カードファイト!! ヴァンガード
大量の玩具@現実、玩具を弄る為の工具@現実、武器になりそうな物@現実(包丁や鋸など)、鬼柳のハーモニカ@遊戯王5D's
[思考・状況]基本思考:殺し合いの打破
1:少年のもとへ向かう。
2:海東純一を警戒。
3:ありがとウサギを止める。
4:先ずは首輪を解除する。
5:自分のカード達や仲間を探す。
6:田所に対する怒り、警戒。勝治を攻撃した誰かにも注意。
7:許せ、少年
※勝治が今までしてきたことを聞きました。ただし、アルセーヌを覗き見してたことは聞いてません。
 また、田所(野獣先輩)が勝治に一服盛ったと思っています。
 また、ケンが生きてると言う勝治の説に疑心的です。
※勝治の首輪には不具合が起きていると推測しています。
※主催側に何か不都合な事が起きていると推測しています。
※権兵衛からリュウセイと少年(ムラクモ)の現状、危険人物の話を聞きました
※麗華達と情報交換しました。

【東豪寺麗華@MMDDFF】
[状態]:健康
[装備]:エクスカリバー@Fate/Zero
[道具]:基本支給品、DMカードセット(デモンズ・チェーン@遊戯王5D's)
[思考・状況]
1:生き残って主催者をブチ殺す。
2:幽香の奴、死んだのか。
3:水色髪の男(さやか)はほっとけない。
4:レア様とはいずれ決着をつけるつもりだったけど……。
※制限はほとんどされてません。
※遊星と情報交換しました。

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:鬼柳京介の肉体。
[装備]:さやかのソウルジェム(濁り:大)@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、「スピード・ウォリアー」のカード(4時間使用不可)@遊戯王OCG、
    「くず鉄のかかし」のカード(4時間使用不可)@遊戯王OCG、「???」のカード@遊戯王OCG、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合いには乗らない。
 1:謎の戦車を警戒。
※ショウさんの話を聞く直前からの参戦。
※肉体は鬼柳京介のものになっています。
※第一放送を聞き逃しました。
※遊星と情報交換しました。

279 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/15(木) 03:31:09 ID:Hrbrfklw0
投下終了です

280名無しさん:2013/08/15(木) 20:49:12 ID:5RdObaxU0
乙です
でもなんか遊星のキャラに違和感を感じるなあ
止めろ(中略)俺の仲間は……みたいな台詞回しとかあまりいわないと思うな

281 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/15(木) 21:48:06 ID:Hrbrfklw0
ありがとうございます
指摘されてみればそうですね
修正してきます

282名無しさん:2013/08/16(金) 00:54:18 ID:sGoUeYQY0
投下&修正乙です

283名無しさん:2013/08/16(金) 07:06:16 ID:5H/3taso0
投下おつおつ
たしかに違和感というか遊星が豆腐メンタルすぎる気がするな
身近な仲間だったアンチノミーが死んだ時もここまで心折れるってことは無かったし

284 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/16(金) 17:53:46 ID:SfRyLeUY0
修正版投下します

285幕間 修正版 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/16(金) 17:55:24 ID:SfRyLeUY0



『先ずは死亡者の発表からだな。

 ジャック・アトラス……』


友であり、ライバルであった誇り高きキング。ジャック・アトラス。
第二回放送で告げられたのは、彼の死だった。



「とうとう、残るチームサティスファクションのメンバーは、俺とクロウだけになってしまったぞ……」


未だに実感が沸かない。
あの男がそう簡単に死ぬはずが無いと、心の何処かで思っているのかもしれない。

「ジャック……」

結局、鬼柳とジャック。二人の最期すら、看取ってやれなかった。
そう言えば、先の放送で勝治もまた呼ばれていた。――恐らく勝治は生きていると思うが……。
……こんな事をしている場合じゃない。今は権兵衛の言っていた早苗、海東を探すのが先だ。
涙を流すのは、その後で良い。

(すまない二人共……)

止めていた、デルタイーグルのハンドルに手を掛け、アクセルを踏む。
エンジン音が鳴ったのを確認し、機体の調子を確かめる。

権兵衛達と別れてから数分、放送で足止めを食ったがそれでもまだ早苗達は、そう遠くには行っていない筈。

「なん、だ……?」

銀色の長髪に、黒のロングコート。
遊星と同じように顔に刻まれたマーカー。
その容姿は、あまりもあの男と良く似ていた。


「鬼柳……?」



まさか、生きていたというのか?
だが、一回死んでもまた蘇ったような男だ。
ここでもまた、似たような事があったとしてもおかしくは無い。
そう思うと一時でも、鬼柳が本気で死んだだなんて思っていた事が馬鹿らしくなる。

「……鬼柳、生きてたんだな」

言ってやりたい事は沢山あったのに、意外と口というものは多くを言わせてくれないらしい。
まあ今は、鬼柳が生きていた事を喜ぼう。そう思った。

286幕間 修正版 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/16(金) 17:56:01 ID:SfRyLeUY0




「え?」


だから、鬼柳の挙動不審な対応には出鼻を挫かれた。

「どうしたんだ? お前らしくない。それよりも、放送で呼ばれてたが何があったんだ?」
「あ、その……」

おかしい。
殺し合いの場とはいえ、旧友同士が再会したというのに、この妙に余所余所しい反応は何だ?

「蟹頭の兄ちゃん。
 その、さ。……そいつはあんたの知り合いじゃない」

鬼柳の連れだろうか。
横に居た少女が、遊星と鬼柳の会話に割り込んでくる。

「麗華……」
「悪いけど、さやか。あんたの事説明するから」

さやか……?
遊星の背筋に嫌な悪寒が走る。

「こいつ学校でさ……」



麗華という少女の語った内容は、衝撃的なものだった。
その悲惨さは、話だけで聞けば何処ぞのスプラッタB級ホラー映画のような、陳腐ささえ感じられる。

「そういう訳、悪いけどここに居るのは美樹さやか。
 鬼柳京介って人とは別人」

鬼柳を殺した、謎の化け物。
そのまま身体を文字通り、バラバラに解体された少女、美樹さやか。
何が起きたのか、さやかの意識が死んだ筈の鬼柳へと移ってしまうという、イレギュラーな事態。

「ごめんなさい……」

鬼柳の体で、さやかは遊星に頭を下げる。

「良い……お前が悪いわけじゃない」
「で、でも……」
「おい、さやか」

何もさやかに悪いことなど無い。
遊星も麗華も分かっている事なのに、さやかは謝り続ける。

「頭を上げてくれ、さやか」
「遊星さん……」
「確かにあいつは、鬼柳は死んだ。でも、それでも多分あいつは、さやかを助けられて満足したと思うんだ」

最初に出会った時の反応から、さやかは遊星が鬼柳の親友だという事は薄々気付いていた。
だからこそ、恨まれてもおかしくない。いや恨まれて当然とすら思っていた。

「なのに、殺した本人はともかく、俺がさやかを恨むなんてお門違いだ」
「でも私が居なければ、私と会ってなかったら、こんな事にはならなかったかもしれない……」
「そればかりは、分からない。過去は変えられない、後ろを振り返ってばかりじゃ何も出来ない。
 さやか、もしお前が本当にあいつの死に責任を抱いているというのなら、他にやる事があるんじゃないのか?」

「え」と驚くさやかに遊星は一瞬笑みを浮かべる。

「こんな殺し合いをぶち壊して、鬼柳の分まで満足する」
「満、足……?」
「そうだ、満足するんだ。
 鬼柳は俺達が、こんな場所で呆けてる事なんか望んじゃいない」

勇気付けられる。絶望に包まれたさやかに中に、一筋の光明が差し込んでくる。
でも、所詮は遊星が自分の為に言ってくれた――本当に鬼柳(彼)は自分の事を許してくれたのか?

「なんで、そんな事が分かるんですか!? 本当は私の事を恨んでるかもしれないじゃないですか!!!」

遊星の優しさが辛くて、それでいて自分は許されてはいけないんだと思って。
さやかは叫んだ。

「分かるさ。
 ――俺の俺達、チームサティスファクションのリーダーが、そんな事を思う筈が無い」

何も言い返せなかった。
遊星は優しさから、さやかを励まそうとしているんじゃない。
本当にそう思っていて、友を最期まで信じているからこそ、言っているのだと。

「良いの、かな。……私なんかが満足しちゃって」
「構わない。むしろ、するんだ。
 それに主催側の技術なら、さやかの体を元に戻す事も出来るかもしれない。
 奴らの技術をぶん取って、満足してやろう!」

287幕間 修正版 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/16(金) 17:58:15 ID:SfRyLeUY0



(満足って一体……?)

麗華は内心、満足って何なんだ? と思いつつも、さやかが落ち着いた事にほっとする。

(まったく、私もセンチになったな。……って何だ?)
 
――ゆ、う

鼓動?

――う、せい

なんだろうか。
麗華のバッグで、何やらもぞもぞしている物があるようだが

――遊、s

違う、鼓動とだけじゃなく声も聞こえる。

――遊星!


遊星の右腕に浮かぶ消えた筈の赤き龍の痣、輝く赤い龍の頭(ドラゴンヘッド)の閃光。
同時に流れてくるのは熱き王者の鼓動。

(共鳴している? 何処だ? この鼓動は何処から)

「え、え? 私のバックなんで赤く光ってんの?」

同時に麗華のバックも輝き始める。
まさか中にまだ確認していない、変なアイテムでも入っているのだろうか。

「それをこっちへ渡すんだ!」
「ちょっ」

遊星は麗華から無理やりバックを引ったくり、中身を漁ると、あった。
忘れるわけが無い。今は亡きジャックの魂。

「レッド・デーモンズ・ドラゴン。……お前なのか、ジャック?」

輝いていた痣は再び消え共鳴していた、レッド・デーモンズ・ドラゴンはその脈動を止めた。

「大丈夫ですか?」

心配そうにさやかが遊星の顔を覗き込んでくる。

「大丈夫だ、それよりこのカード……」
「ああ、なんか良くわかんないけど、欲しかったらやるよ。別に無くても困らないしな。
 ただそのカードは、一度使っちまってるから一日使えないから」

どうやら、この場ではDMカードは決闘盤無しでも実体化するらしい。
レッド・デーモンズ・ドラゴンも一度使用した為、24時間使用不可になっているようだ。

「そうか、ありがとう。世話になった。
 俺はもう行くが、もし早苗、海東という人物に出会ったら……」

麗華とさやかに俺は早苗達の特徴を教え、もし出会ったのなら海東に気をつけろという皆を伝えた。
そして、二人も水を欲しがるという、謎の危険人物の情報を遊星に教えてくれた。

「遊星さんも、気をつけてください。特に透明の敵には」
「分かってる」
「あっそうだ。これ、鬼柳さんの服に入っていたハーモニカ……」

さやかの手から差し出されたのは、紛れも無い鬼柳のハーモニカだ。

「鬼柳の……ありがとう、さやか」

一瞬、悲しそうな顔を浮かべて遊星はそれを受け取った。

「くれぐれも、お前達も気を付けてな」

そう言い、遊星は再びデルタイーグルに跨りアクセルを踏んだ。

288幕間 修正版 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/16(金) 17:58:47 ID:SfRyLeUY0



【F-2/一日目・日中】

【不動遊星@遊戯王5D's】
[状態]:疲労(小)、主催者達に怒り
[装備]:デルタイーグル@遊戯王5D's(操縦中)
[道具]:基本支給品、サイバーZ一号のベルト@真夏の夜の淫夢関連、レッド・デーモンズ・ドラゴン@遊戯王5D's(二日目午前まで使用不可)
ライダーズカード一式@仮面ライダーディケイド、沈黙の騎士ギャラティン@カードファイト!! ヴァンガード
大量の玩具@現実、玩具を弄る為の工具@現実、武器になりそうな物@現実(包丁や鋸など)、鬼柳のハーモニカ@遊戯王5D's
[思考・状況]基本思考:殺し合いの打破
1:少年のもとへ向かう。
2:海東純一を警戒。
3:ありがとウサギを止める。
4:先ずは首輪を解除する。
5:自分のカード達や仲間を探す。
6:勝治を攻撃した誰かに警戒。
7:許せ、少年
※勝治が今までしてきたことを聞きました。ただし、アルセーヌを覗き見してたことは聞いてません。
 また、田所(野獣先輩)が勝治に一服盛ったと思っています。
 また、ケンが生きてると言う勝治の説に疑心的です。
※勝治の首輪には不具合が起きていると推測しています。
※主催側に何か不都合な事が起きていると推測しています。
※権兵衛からリュウセイと少年(ムラクモ)の現状、危険人物の話を聞きました
※麗華達と情報交換しました。

【東豪寺麗華@MMDDFF】
[状態]:健康
[装備]:エクスカリバー@Fate/Zero
[道具]:基本支給品、DMカードセット(デモンズ・チェーン@遊戯王5D's)
[思考・状況]
1:生き残って主催者をブチ殺す。
2:幽香の奴、死んだのか。
3:水色髪の男(さやか)はほっとけない。
4:レア様とはいずれ決着をつけるつもりだったけど……。
※制限はほとんどされてません。
※遊星と情報交換しました。

【美樹さやか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:鬼柳京介の肉体。
[装備]:さやかのソウルジェム(濁り:大)@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品、「スピード・ウォリアー」のカード(4時間使用不可)@遊戯王OCG、
    「くず鉄のかかし」のカード(4時間使用不可)@遊戯王OCG、「???」のカード@遊戯王OCG、不明支給品0〜1
[思考・状況]
基本:殺し合いをぶち壊して鬼柳の分まで満足する。
 1:謎の戦車を警戒。
※ショウさんの話を聞く直前からの参戦。
※肉体は鬼柳京介のものになっています。
※第一放送を聞き逃しました。
※遊星と情報交換しました。

289 ◆FbzPVNOXDo:2013/08/16(金) 17:59:19 ID:SfRyLeUY0
投下終了です

290名無しさん:2013/08/17(土) 07:21:03 ID:5FeuMG2U0
問題点も解決されてるし乙なんだけど仮投下スレでやらないの?

291名無しさん:2013/08/17(土) 08:50:40 ID:cUcJSCNg0
乙どす

292名無しさん:2013/08/17(土) 09:23:09 ID:OFTPfmzs0
別に本スレでもいいだろ
修正乙です

293名無しさん:2013/08/19(月) 05:55:22 ID:L0k6WTOM0
wiki落ちた?

294名無しさん:2013/08/19(月) 06:15:50 ID:.bagBZOA0
え、落ちてないけど

295名無しさん:2013/09/22(日) 11:45:17 ID:4QzUrm/kO
そぉい!

296名無しさん:2013/09/22(日) 13:47:08 ID:1/bL9vUU0
あら西野くん、まだ早いですよ

297 ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:31:54 ID:Sm092yKc0
久々に投下します

298最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:33:11 ID:Sm092yKc0
「中々良いペースで減ってるじゃねえか」

第二回放送を聞きジャギは笑みを浮かべる。
どうやら、自分以外にも積極的に殺し合いをしている者は少なくはないらしい。
殺し合いに反対する参加者に下手に徒党を組まれるよりは遥かにましだ。

「さて、どうするか」

疲労が取れたのを確認し、ジャギは前方の獲物を確認する。
数は六人、男二人、女四人。
その内一人は上半身だけ、死体だろうか。
車種までは分からないが、車に乗ってこちらに向かってきている。

(流石にあの人数は面倒だな)

連中がこちらに気付き、車を停車させる。
中から金髪の少女と軍服を着た男が降りてきた。
常人だけならともかく、この二人は相当な使い手。まず一度に相手するのは得策ではない。

「私達は殺し合いには乗っていません」
「うむ、出来れば争いは避けたいが」

相手側に殺意は無い。少なくとも今は。
ならば、今回はそれに乗っかるのも手か。

「ああ、俺も争う気はねえな」

勿論嘘だ。
獲物を欺き隙を見せたところを一気に狩る。
それが彼の立てた作戦、単純極まりないが厄介な事この上ない。

「どうやら敵意は無いらしいな」
「そうですわね。響さん――」

警戒を解き、二人組みは車の中の仲間に呼びかけ始めた。
どうやらファーストコンタクトは悪くないらしい。
正直、あからさまな世紀末フッションにヘルメットと見れば誰でも怪しむものだが、生憎とこの二人が色々ずれてたのも要因だろう。

299最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:33:44 ID:Sm092yKc0



その後、自己紹介から始まり今までの情報の交換、危険人物など平穏なコミュニケーションが行われた。
無論ジャギは今までに自分が戦ったリュウセイ、研を危険人物だと教えるなど嘘も混じっているが。

(青色の巨人、か。覚えておくか、いずれ殺してやるがな)

「二人組みの子供か……信じがたいが」
「ああ、俺もそれで騙された。くれぐれも気をつけろよ」

情報の入手も上手くいった。
完全に気を許しているわけでも無いが、それでも隙は徐々に見せ始めている。
何時殺すか、あるいはこのまま誤った情報を流し他の参加者と潰し合わせるのも悪くは無い。

「あァ?」

だからだろう。

「どうし――」

アカツキの背後。
生い茂る木々、茶と緑の自然しかない空間に現われた青色の異物。
その巨体を歩み寄せ、口を開きニタリと笑う“ソレ”。
かつて感じた。そして今尚、アカツキの心を蝕む存在。

「くっ……」

何時から居たのか。如何にしてこの近距離まで気配を消したのか。
浮かぶ疑問は尽きず、そして思考する間もなく身体は回避運動を行う。
だが、驚愕はその回避運動を僅かながら遅らせた。
時間にして一秒も無かったかもしれない。しかし、この場面に置いてこれは致命的過ぎる。

――間に合わない。
闇に包まれ覆われる視界。生暖く気色の悪い吐息。
感じる全てが不快で、そして恐怖で満たされていく。

血が、舞う。

頭を失った体は力を無くし、重力に従い崩れ落ちる。
残ったのは首から上が無い無残な死体。

「雛、子……?」

頭部を噛み千切られた際に地へと落ちた雛子の金髪だけだった。

あの一瞬、雛子はアカツキを跳ね飛ばし青鬼に喰われた。
まるで悪い夢のようだ。
淡々と起こっては過ぎていった事態に理解が追いつかない。

「アカツキさん!」


鬼子の叱咤。
アカツキの意識は再び覚醒し事態を無理やり認識させた。

300最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:34:16 ID:Sm092yKc0

「ここは私が何とかしてみせます……ですから早く逃げて!」
「待て、お前一人では……」
「私の命は既に一度、ある人の犠牲により救われました……。今度は私が……」

止めたかった。
戦力的に考えてもアカツキがここに留まるべきなのは明白だ。

(何故、震えが止まらないんだ……!)

怖い。
どうしようもなくあの存在が恐ろしい。
戦意どころか無謀な戦いに臨む仲間を止める事すらできない程に。

「ひ、ひな……なんで、雛子……? 雛子雛子雛子!?」
「ちっ」

虚ろな目で雛子だったものへ近づこうとする響をアカツキは無理やり抱き寄せ担ぎ上げた。
肩の上で暴れる響を制し、上半身だけのプラシドを拾い上げる。

「逃げるぞ!!」

全速力で駆け出した。




「ハァ……ハァ……ここまでくれば大丈夫か?」

半ば放心状態の響を下ろし自身も腰を下ろす。
無我夢中で走った。ここに来たなかで全速力かもしれない。

「鬼子……」

あの場で誰かが残るのは間違った選択じゃなかった。
だが問題は誰が残るかだ。
考えなくても分かる。
鬼子よりも、適任者が居た。
アカツキならば、青鬼と対峙しても生還できる可能性は高い。

「くっ……自分は……」

未だに体が震えている。
止まらない。

「おいアカツキ……ルカは何処だ?」
「何?」

ルカ……。
居ない。何処に?

プラシドの呼びかけでアカツキは更なる異常に気付いた。
ジャギと会ってから、口数は多くはなかったが確かに先までは居たはず。

「不味い、連れ戻さなければ危険だ」

逸れたとすれば、青鬼に遭遇した場所からここまで逃げてきた道中になる。
一先ず来た道を戻り、ルカを捜索を行うべきか。

「!? かわせアカツキ!!」

プラシドの叱咤と同時に五体の一部の感触が消えた。
激痛と溢れ出す流血。

301最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:34:48 ID:Sm092yKc0

「ぁあ……」

小さく呻き声を上げ、だがそれでも戦闘の体勢に切り替え襲撃者に視線を移すのは、流石アカツキといったところか。

「ちっ一撃で殺してやろうと思ったんだがな」

血の付いた刃物を振るい血を払うジャギ。

「何の、つもりだ……?」
「見て分からないかよ。乗ってるんだよ、このケンシロウは殺し合いにな!
 数が多くて厄介だと思ったが、いい具合に分かれてくれてラッキーだぜ」

間髪入れず横薙ぎに刃物が迫り、アカツキがいなそうとしたところで止まる。

フェイント。
本命はアカツキの右脇腹を狙った回し蹴り。
右腕を失った事によりガードも出来ず、そのまま衝撃を受け地面を無様に転がる。
即座に残った左腕で立ち上がり体勢を整えようとするも、眼前にはジャギの膝蹴りが迫り顔面にめり込み背中から倒れ付す。
 
「大した事はねえな。少しは骨のある奴だと思ったんだがな」

状況はこちらが押されている。
とすればせめて仲間だけでも逃がすべきだ。

「に、逃げろ……響! プラシドを連れて逃げろ!!」
「む、無理だ……」

雛子へ闘争を促すが彼女は聞き入れてくれない。

「怖いんだ……。雛子も鬼子も居なくなってアカツキまで……」

震える手で銃。
ディエンドライバーを構え響はジャギへと構える。

「止めろ、お前の勝てる相手じゃない!」
「それを貸せ響! 下半身は無いがお前よりは上手く使える筈だ!!」

死への恐怖から正常な判断が出来ないというのもあるだろう。
だが――その目には強い意志が感じられた。
決して、それは正しい行動とはいえない勇気ではなく無謀なこと。
だとしても、今この瞬間響きの眼には強い意思、恐怖へと抗う勇気があった。

302最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:35:21 ID:Sm092yKc0

(自分は……一体何をしていたんだ……?)

銃を強く握り決して手放そうとしない響を見てアカツキは自然と笑いが込み上げてきた。
まるで、今までの自分が馬鹿らしくなってくる。

――あの青色の巨人に会ってから自分は何をしていた?
――何を震えていたのだろう。
――あんな少女ですら、戦いを決意している最中自分は……なんと無様な事か。

「止めろ、響」

静かに、そして先までとは違う意思と決意に満ちたその声は、初めて響の耳に届いた。

「自分は帝国軍人。このような賊に負けなどしない」

何も恐れる必要など無い。
あの巨人もヘルメットの男も、全て倒すだけだ。
恐怖などで止まるわけにはいかない。自分にはまだすべき事がある。為さねばならない事もある。
救わなければならない仲間がいる。

「行け響。自分はこんなところで止まるつもりは無い」

強者に平伏す豚は再び戦士としての覚醒を果たす。
その背中は無言の圧力と安堵感が伝わってくる。

「言うじゃねえか、面白ェ」

ジャギはヘルメットの下で静かに、笑う。
それは嬉しさ。
本人すら気付き得ない場所で漢として求めているのかもしれない。
戦うに値する強者に。
ジャギは気付かない。この場に来てから徐々に変わりつつある何かに。

「響は――行ったか」

プラシドを連れこの場を去った響を確認し、アカツキは残った左拳を握り込む。
長くは戦えそうに無い。不意を突かれ片腕を失ったツケがここで回ってきた。
出血は多い。意識を保てるのはあと僅かか。

303最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:35:53 ID:Sm092yKc0

「一撃で決めさせて貰うぞ」

故に取った行動は一撃必殺。
初撃で勝負を決め、腕の手当てをし意識を繋ぎとめ響を追う。
アカツキが立てたのはシンプルな予定。

「電光機関――開放……!」

全ての電気エネルギーを左拳に込める。
傷が痛むが気にする暇は無い。
並々ならぬ膨大な力にジャギも一歩後ずさる。

「まだ、そんなもんを隠してやがったか……」

対するジャギは腰を僅かに引き手を携える。
闘気を全身に纏わせアカツキを睨む。
誇り高き帝国軍人に対し、最大の敬意を払うために。
以前のジャギであれば思いもしなかった行動に。

「歯を……」
「南斗――」

アカツキが駆け出し、ジャギは僅かにバックステップをし助走を付ける。

「食いしばれ!!」
「邪狼撃!!」

拳と貫手。電撃と闘気。
両者の奥義が交差し交わり。

静寂が支配する。

ジャギの貫手に使った右腕の皮膚が裂け鮮血が散る。

「すまない……響」

胸部に赤黒い穴を空けアカツキは倒れた。

「クソがっ……」

力なく垂れた右腕を纏っていたジャケットで巻きつけ止血する。
応急処置もいいところだ。何処か落ち着ける場所で治療に専念する必要があるか。
アカツキのディバックを拾い上げ自分のディバックへ放り込むとジャギはその場を後にした。
その顔は、だが何処か満ちているようにも見えた。

304最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:36:26 ID:Sm092yKc0


【C-05 /1日目・日中】


【ジャギ@北斗の拳】
[状態]:疲労(大)、ダメージ(大)、全身に爆発によるダメージ×2、QMZの力の目覚め、原因不明の苛立ち、右腕に裂け傷(止血済み)
[装備]:魔法戦士の衣装一式@QMZ
[道具]:基本支給品一式、音の出るフリスピー@ミツバチ(遊助)、アカツキのディバック
    日本酒一升、刃物×2(全て違う種類、そこそこ大きい)
[思考・状況]
基本思考:ケンシロウの名を騙ってゲームに乗る
0:ケンシロウも気になるが、コソコソ見てた奴(譲治)も気になる。
1:参加者を探し、殺す。
2:銃火器がほしい。ガトリングとか。
3:襲撃者(にとり)は確実に殺す。
4:自分をコケにした女と犬(早苗と権兵衛)は許さない。
5:研、リュウセイ(名前を知らない)は次会ったら殺す。
6:奇跡の部屋にある新鮮な血に疑問。
7:右腕の治療と青鬼を警戒。

305最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:36:59 ID:Sm092yKc0









「アカツキ……」
「心配するな響、奴は強い。恐らくこの俺をも凌ぐやも知れないほどにな」

プラシドを連れジャギから逃げ延びた響。
アカツキの事も気になるが、プラシドの言った事をアカツキの言葉を信じて、待つしか今は出来ない。
辺りを見渡し、ここが何処か確認する。
あの青色の巨人と鉢合わせは勘弁だ。

「響、あの車……」

何かを見つけたのか、小脇に抱えられたプラシドが指差す。
その先には見覚えがある車が一台あった。
ホンダのオデッセイだ。自分達が散々乗り回して来た車、忘れるわけが無い。

「何でこんなところに……」
「ルカか鬼子が乗って、ここまで来たのかもしれないな」

そっとドアノブに手を掛ける。

……揺れている。僅かにだが車体が振動している事に響は気づいた。

ガチャっとドアを開ける。

「!?」

ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

「ルカ……?」

車内に居たのは紛れも無く巡音ルカその人だった。
違いがあるとすれば、少なくとも逸れる以前はまだ生気があったのに比べ
今は顔面蒼白、体は絶えず震えを繰り返し異常なほどに見開いた眼でこちらを見てくる。

306最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:37:31 ID:Sm092yKc0

「何だ? 何があった!」

ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ

まるで話にならない。これではマナーモードだ。

「!? お、鬼子!!」

その時、木々の向こうから見覚えのある着物姿が見えてきた。
特徴的な和服、長い黒髪に鬼の角。
間違いない、日本鬼子。

「ぶ、無事だったんだな……」

鬼子の安否を確認し、ほっと一息着いた。
プラシドを助手席に置き、自分は外に出て鬼子を見つめる。
雛子以外は誰も死んでいなかった。
良かった。本当に良かったと心の中で何度も呟き続ける。
気付けば安堵からか、涙まで出始めていた。

「……」

それを心配してか鬼子が響へ近寄ってくる。
響は涙を拭い笑顔を作ると。

「大丈夫、大丈夫だぞ……」

そうだ泣いてる暇なんか無い。
鬼子が生きていたんだ。なのに鬼子をここで心配させてどうする。
アカツキだって生きてる。今は泣くような事は無いのだから……。

「ルカ! 貴様何をしている!!!」

車のエンジン音。最早止まることなど考えていない異常な加速。
ただその場から離れる為だけの運転に響は呆然とする。

「え?」

ニヤリと笑う。
黒い髪に鬼の角を生やした


















「助、け――」







ブルーベリー色の巨人は。








【アカツキ@アカツキ電光戦記】死亡
【四条雛子@MUGEN】死亡
【日本鬼子@日本鬼子ぷろじぇくと】死亡
【我那覇響@アイドルマスター(アニメ)】死亡

307最悪の脚本(マッドスプリクト) ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:38:03 ID:Sm092yKc0



【D-05 /1日目・日中】


【プラシド@遊戯王5D's】
[状態]:上半身のみ、希望の番人化
[装備]:アノニムの二丁拳銃 弾数(5/6、6/6)(一丁のみ腰に差している)@アカツキ電光戦記
[道具]:基本支給品一式、インヴェルズ・ギラファ@遊戯王、 希望王セット@遊☆戯☆王ZEXAL、RUM−リミテッド・バリアンズ・フォース@遊☆戯☆王ZEXAL
[思考・状況]
基本行動方針:絶望の未来を変える
0:ルカ……? 響は?
1:気に食わないが戦力になりそうな不動遊星を探す。
2:愛用のDホイールと剣が欲しい。
3:不動遊星との決着は保留。
4:下半身♂を直したい。
5:宙……。
※シンクロの代わりとなるエクシーズに注目しています。
※歴史を改変しシンクロ時代の今をエクシーズの時代に変えようと思っています。
※ルカ達の話の食い違いについては一応思考中・・
※RUMと希望王セットのカードは一度使うと6時間使用できません。
※NO.の精神汚染は本ロワでは無効です。

【巡音ルカ@VOCALOID】
[状態]:健康、ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
[装備]:大口径拳銃@魔法少女まどか☆マギカ
[道具]:基本支給品一式、プラシドの下半身@遊戯王5D's、モンスターボール(バッフロン)
    もしかしてオラオラですかーッ!?@未来ガジェット研究所、ふなっしー@現実
[思考・状況]
基本思考:歌い続けるために生きる
1:???


【C-05 /1日目・日中】

【青鬼@青鬼】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???


【D-04 /1日目・日中】

【青鬼B@青鬼】
[状態]健康、日本鬼子の肉体
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本思考:???
1:???

※雛子、響も青鬼化するかは不明です。

308 ◆FbzPVNOXDo:2013/10/26(土) 03:38:36 ID:Sm092yKc0
投下終了です

309名無しさん:2013/10/26(土) 11:02:30 ID:7/nghS4MO
投下乙ですー。

310名無しさん:2013/10/26(土) 11:14:18 ID:NJu//Iu.0
投下乙です

もう全部青鬼一人でいいんじゃないかなと思い始めてきた

311名無しさん:2013/10/26(土) 12:32:59 ID:k9JWqVMY0
投下乙

だけど青鬼は食った人物から新しい青鬼を生み出すって感じで、食った相手を見た目そのまま青鬼にするわけじゃなかったはず
日中だしすぐ近くに行くまで気づかないってことはないと思う


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