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パラレルワールド・バトルロワイアル part2
245
:
私の光が全てを照らすわ
◆Vj6e1anjAc
:2011/12/24(土) 20:29:47 ID:ifjirkO6
◆
(どうにも、解せん……)
びゅん、と音を立てながら。
魔剣グラムを振り回し、漆黒のセイバーが思考する。
敵の戦力は合計2体。
浮遊する球体を操る、魔術師と思しき白い女と、コートの男が操る紫の魔物だ。
「ニドキング! だいちのちから、続けてシャドークローをぶつけろ!」
厳つい男の声に応じて、紫の魔物が叫びを上げる。
刹那、ニドキングなるそれの雄叫びに呼応し、足元を鋭い衝撃が襲った。
轟、と伝わるのは地震――否、文字通り大地から迫る衝撃波だ。
振動、波動、そして瓦礫。
灰色のアスファルトを粉砕しながら、下方から炸裂する衝撃がセイバーを煽る。
「チッ!」
ここに来て彼女は、彼が下した、追撃の命令の意図を察知した。
舞い上がる瓦礫を掻き分けて、ニドキングが突撃を仕掛けてきたのだ。
漆黒のオーラを纏った爪撃を、黄金の剣を振り上げ、迎撃。
足場が安定しない。姿勢がままならず、力が入らない。
なるほど、パワーやスピードだけでなく、心的余裕すら奪い取る有用なコンボだ。
故に英霊アーサー王は、らしからぬ強引な回避手段を取る。
切っ先からこちらも暗黒を発し、裂音と共に相手を吹き飛ばす。
ゆらゆらと金髪をはためかせながら、セイバーは着地するニドキングを見据えた。
(パワーではこちらが勝っている……手数は豊富なようだが、決して押しきれない相手ではない)
魔物に下した評価が、それだ。
小柄な割に獰猛な容姿を持った紫の魔獣は、その外見特徴同様、非常に攻撃的な性質を有している。
コンクリートをも粉砕する技の威力、見かけによらぬ俊敏な身のこなし、どちらもなかなかに強力だ。
しかしそのどちらもが、一兵卒からの観点によるものである。
元より己も鈍重なスピードはともかく、パワーではセイバーが上回っていた。
故に相手の攻撃を恐れず、積極的に踏み込めば圧倒できる――
「――させないわ」
という目論見を潰すのが、もう一方の存在だ。
冷やかな女の声と共に、5つの影が飛来する。
反射的にそれを見定め、バックステップで回避を取った。
先ほどまで具足のあった場所が、銀の球体によって破砕された。
(そうだな……警戒すべきは、こちらの敵だ)
崩れた構えを立て直し、その双眸で敵を見据える。
宝石のごとき球体を操る、全身白一色の魔術師――先ほど相対を宣言した、白い少女だ。
こちらもニドキング同様、セイバーの剣を退けるにはパワーに欠ける。
どころか、魔物の背後に立ったまま、前に切りこんでこないということは、耐久力もさほどではないのだろう。
しかし、こちらが攻めあぐねている原因は、むしろこの女の方にあった。
(こちらの動きを予測しているのか?)
思考と共に、剣を振るう。
ニドキングが黒の剣先をかわし、その影から球体が襲いかかる。
これをグラムをもって弾き返せば、死角から攻め込んでくるのはニドキングの爪だ。
そして攻撃のタイミングも角度も、男に女が告げ口していた。
こちらが攻められて困る箇所を、正確に察知し、指摘したのだ。
(……違うな。単純な計算では、ここまで偶然が続くはずもない)
影を纏う剛腕の一撃を、身を反らしてかわしながら、否定した。
既にこのように対処された回数は、悠に10回を超えている。
単純に相手の考えを推測していただけでは、これほどの的中率には至らない。
こちらの考える最善手と、相手が推測する最善手が、必ずしも一致するとは限らないのだ。
相手が読み違えるか、あるいは、こちらが悪手を打ちでもしたら、予測は真実との乖離を起こす。
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