やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです【10輌目】 - 1506511204

1： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 20:20:04 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
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　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐==≦　　　 /　 ,　　　　　 /　　　}　　　＼､
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―┬‐‐[　　　　　　　　　　　] ＿　　　i|　　 |　　　 |　　 ,　　　 ,　　l　 i|　　　　 ,　＼
＿｜　|　二二二二二二二__ｌ　 |＿　 |　　 |　　　 |　　　,　　　ﾊ　 il　 i|　　　　　,　　 }
[＿　　＿＿＿＿＿＿＿|＿　　　＿|　　　　 ,　　　　|＿__八　　i| ｉ}＿,|＿,!　　　　，　　 ,
　　|　 | [ニニニニニニニﾆ]ｌ　　|/￣ヽ , 　　，　　　i|x==ミ　',　 |　,ｘ==ミk 　　　 ,　　　,
￣　￣　　　　　　　　 |　　||　　|　, 　　，　　《んﾊ　＼| 　んﾊ》　　 /　　 ,
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|　　||　　 |　 ,　　，　　ﾊ以シ　　　　　以シｌ　　　//{　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　,　从　从　　　　　　　　　　 |　　 / {ﾊ∧/{
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 | 　 ‘，　，　入　　　 ' 　　　　 | 　 /! ∨///|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　 , 　八　 | 　　 ´ ｀　　ィ　|ｉ　/ |i /〈＜
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　ｌ〉　 l ヽ i　　　　　　ィi〔ﾆ{　i| ‰ i!//∧　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|ゝ‐≦　　 | 〈ﾊ｜　＼　　 {=爪二二ﾊｉ|　　｜///　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　　 |ｉ　＼!　　 |　　/　/笊|　　　ｉ|　　｜／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　　 |＿___|　　 |ﾆ=≧≦{}} =‐=≦!|　　｜≧s。ｉ|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　__　　　イ二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニﾆ,≧s
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|/　ヽ　{二二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニニニﾆl

このお話は、やる夫、やらない夫、三浦　あずさがのんびりと各駅停車の電車で

鉄道唱歌の歌をなぞる旅をしながら、色々な人たちと出会ったり別れたりする

バイオレンスとかアクションとかとまったく無縁なだらぼの系のお話です。

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878： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:19 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|　　　　　　「ご苦労であります」
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-─- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　ノL　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / (＿＿ ⌒　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::) ヽ::::::::　　 i 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (_人＿）　　 U 　 |　　　　　　　　　　「ぶんなぐるぞてめえら」
　　　　　　　　　　　　　　 r,、　　　 '、　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　}　}　　　　 |```　　　　 j 　 |、
　　　　　　　　　　　　　　　　}　}　　　　　| 、　　　　／／　 >‐、
　　　　　　　　　　　　　　　　}　レ-､_　　｀-＝ﾆ　７／　／ : : :｀ヽ_
　　　　　　　　　　 r´} ／／　}　　　 /}､__／　 / : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 }　　　　{丿_,. ＜〉ﾄ､::Λ　/ : : : : : : : : : : : : : 、
　　　　　　　　　　　　　　　}　　　　} : : : : : / /::::i　y : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　}　　　丿 : : : : | /::::::| / : : : : : : : : : : : : : : : : : :

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879： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:36 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ま、ともかくだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　品太天皇というのは応神天皇のことなので、

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　これはその当時揖保郡の山に紅の花が咲いていたということだな」
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　u.　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､　　　　　　　　　　　　　　　　「阿爲というのが紅花のことなのね？」
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
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　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
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　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

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880： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:58 ID:bMttHh86: 　　　「そう、阿爲は藍。

　　　　　ベニバナの古和名に紅藍という名があったということはさっき言っただろう？」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
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　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

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　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |　　　　　　「jud」
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

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881：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:07:15 ID:XeSfx.W.: ハットリ違いでござる
882： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:07:22 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「また、古事記の仁徳天皇の時代の記録の中に、紅に染められた紐のことが記されている」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
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　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　其臣服著紅紐青摺衣、故、水潦拂紅紐、青皆變紅色

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883： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:00 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　「仁徳天皇は五世紀ごろ、推古天皇は七世紀ごろの帝でいらっしゃるので、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　当然ながら仁徳天皇のほうが早いのね」

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　「そういうことだな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)　　　　　　　　　　　　　　曇徴が持ってきたのはあくまでも『画材としての』
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　紅だったととらえるべきだろう。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　ともあれその後、奈良時代に至ると、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　先ほど紹介した『久禮奈以』などの名称で
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､　　　　　　　　　　　　　　　多くの歌に詠まれるようになっている」
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

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884： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これはつまり、奈良の都の近辺や、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　歌人が好んで居を構えるような身近な場所で

　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　紅花栽培が盛んにおこなわれていたということの証左だといえるだろう」
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　,.　-‐　‐- . . 、
　　　　　　　　　　／: : : : : : :＼: : :.＼
　　　　　　　　　 /:/: ://⌒|:ﾄ、: ヽ: : : ﾍ
　　　　　　　　　i/: :// 　　l:l　＼: :V: : l
　　　　　　　　　/: ∧!≧ 　ﾘ ≦ ヾ:ﾘ:i: |
　　　　　　　　　ｲ∧代ﾉ　　　代ﾉ　}ﾉ:/:!
　　　　　　　　　　　!　　'　　　　　 7 ）:!
　　　　　　　　　　　＼　「_ﾉ　　 , イ:/:l
　　　　　　　　　　　　　|ヽ　_, ィ /: /: :|
　　　　　　　　　　　　　|: :| レ-=l :{ |: :|
　　　　　　　　　　　 -‐|: /天|／l: | ￣ミ＼　　　　　　　　　「いろんなところで紅花が作られていたって考えてよさそうね」
　　　　　　　　　　「　　ﾚ　/　　　ﾘ　　　ﾅ⌒ｌ
　　　　　　　　　 i |/＿　〃　┌―‐┐/　　｜
　　　l' ⌒ 'l　　　|/┬┤{{　　「￢￢∨　　　l
　　　|-―-|　　　{ｌ　|　」 ||　　 |　|　|」ヽ　　　|ｌ
　　　,ゝ- ｲ　　　|ヽ￣_　 || ヽ _￣　_　 i　　　|
　　　{ ニミ、　 l　ﾍ　　　||　　　　　　∧　　 |
　　　ゝ'ｴ`　ト、|　　|　　-||―　　　　/　| i　　l
　　　　＼ //　|Tヽ/　　 ||　　　　ｲ、　|}　　 |
　　　　 ∨　　/〃/-┐　||　　　┌―{　ｌ　　　|
　　　　　 ⌒V　 /―/ 　 ll　　　　ト┬Ⅵ　　　|
　　　　　　　￣// /　　 ||　　　　|　|　ﾘ＿＿ l
　　　　　　　　// ./　　　||　　　　L⊥ 」l　　　|
　　　　　　　　「￣　　　ﾊ|　　　　　　　｜　　｜
　　　　　　　　|　　　　/:::||　　　　　　　｜　　 |

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885： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:50 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　くれないの　はなにしあれば　ころもでに

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そめつけもちて　ゆくべくなおもほゆ

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　　　　　「この歌は、紅花の畑をみて目の前に咲いている紅花で

　　　　　　　　自分の衣を染めたいと思った、という心情をうたったものだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　「つまり、紅花が広く染め物に用いられていることを示している。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　また同時に、紅を用いた染め物が
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,　　　　　いかに憧れられたかということもな」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

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886： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:16 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　くれなひの　やしほのころも　あさなさな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　けがるとはすれと　いやめつらしき

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　　　　　　　　　　「またこの歌に歌われている『やしほのころも』というのは『八鹽の衣』のことだ」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
　　　　　　　　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　　　　　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　　　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣｀-ｰ‐'"

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887： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:37 ID:bMttHh86: 　　　　「八鹽の『鹽』とは染汁に浸して染めることで、八の数字はその染める回数を表している」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
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　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

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　　　　　　 | 　　　⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／　　　　　　　　　「つまり、八鹽の衣は、八回染めた衣だってことかお」
　　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ
　　　　　　　| 　ヽ＿＿　　　　　＿　',
　　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿
　　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ
　　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　　 ∧　|　　　 |＿_／　　 /
　　　　　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　（＿＿）　､＿＿）

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888： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:53 ID:bMttHh86: 　　　「そういうことだな、繰り返し染めることでより濃く染め付けることができるわけだ」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
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　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
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　　　　ｆ` ｒ-‐─‐ ‐....､
　　　 ,ｨヽヾ:::::..＿.::::::::....ヽ
　　 /..::::::∧∨,　-‐ ヽ.:::::::...＼
　 /....::::::::レ}ﾉ　　　　　ヽ:::::::.....
　i.....::::::::::|　　　　　　,. -‐ Y:::..ヽ
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　| ...::::::::::i　, '´　　　　'´　゛ ∨::.|
　::....::::::::::Y´　, =､　　　　　　∨..ﾄ､　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、この時代にも濃淡のついた色の衣があったのねぇ」
　 .∨...:::::∧. ´　　　　　'　　　 }::::|..ヽ
　　 ∨..:::::::::ヽ　　　　.__ 　'　　/N.......∧
　　　`Y......:::::::::ゝ.　　　　　　ム-､::::....∧
　　　　|..::ヾ..:::::::::＞‐----ィ__ﾉ. {:::::::::...∧
　　 .　 |..:::::::::::＞ {` i￣i￣i￣i　i Ｌ＿,､_∧
　　　 |.:::::::::::::::::_,}　i　 i　 i　 i　ヽ　　ﾄ､`ヽ
　　　　 |...::::::::::,イ´_　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ
　　　 .|...::::::/　　 `Y　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ八　＼
　　　　 .|...::::i　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　＼
　　　　 |....八　　　　　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ.　＼

.
889： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「手間と費用がうなぎのぼりだろうがそういうことだろ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　紅の用途としては、ほかには今回の眼目である化粧にも用いられていたし、
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)　　　　　　また萬葉集などをみるからに、観賞としても大いに愛されていた」
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【萬葉集の観賞用植物】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　　櫻花、梅の花、馬酔木の花、杜若、紫陽花、花橘、尾花、朝顔、萩の花、
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　女郎花、鶏頭、萩の葉、紅葉、撫子、からあゐなどなどがあります。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　からあゐは『韓の藍』のことです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　韓から渡ってきた藍→呉の藍→くれない、ということで紅花のことになります。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
890： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:30 ID:bMttHh86: 　　　　「また、本草綱目に記載されているところによれば、

　　　　　　紅花の花や種には有用な薬効があり、薬用としても紅花の価値は大きかったらしい」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　　イ⌒丶.　　　　　＼////ﾊ＼
　　　　　　　　　 /＾ヾ|　　　　　　　､　　｀マ//ﾄ､　ヽ
　　　　 _,.　-‐／　 / |　　　　　ｉ　　　ヽ　　｀Ｔ爪　 :.　　　　　　　　　　「紅花有能でありますな」
.　　　「　く′　 :i|｜　　　　　ｉ}　 .:.　ﾊ　　　ｉ| :|/》　 ::.
　　　　　 i　　　:i|ⅰ　　　　. :{{　: :}: .　|　　ｉ| :|//》　 ::.
　　　　　',　　i　　　i|ⅱ 　　 : : :}､: :_ｊＬ {_|　　ｉ| :ｌ　 /》　:::
　　　　　　 i　　　|八 _　　　: :爪 /i} ∧|　　ｉ|/　　 /》 :::
　　　　 }ｉ　　i　　才＾ヽﾄ　　　: :ｋ七Ｔ六ﾄ､　　ｉ|　/　//　::{
.　　　　　{{ i 　 ,　 ‘ｋ七圦ヽ.　: :|　V匕ﾉi}'/ 　ｉ|　　//　　:|
　　　　　 Wﾍ　 ',　　:.　Vヒi}　､: :{　 ‘冖1l:i　　ﾘｃ //,、　 :|
.　　　　　 }} 人　::.　　:. ､¨´　　＼, 　　川　 /_∠∧∧　 |
.　　　　 {{　　ヽ ::.　　',ゝ　′　　　／ﾘ'　 /　/、 ∧_}　 l
.　　　　　 }}　　　 ', ＼　V丶. ｀　　 ,.ｨ7　ｲ　 ′＼＼＼
　　　　八　　　 }　 }ト＼　＞　イフ／l |:　ﾄ（　　＼_〉∧
　　　　　　　＼　ﾉ／}} 　｀丶　　斗n升}｜　 l　∟Ｌ _　　丶
　　　　　　／´　 ″ .:|　 }と7　ﾑｌj　Ｌ|　　|　|　　　｀　 .　＼
　　　　　　　　 /,'　,.ｲ|　.:　.′、　　⌒|　　| ｜　　　　　ヽ　＼
　　　　　　　　　　 //: / /:| :/ .′ 　　　 ,|　　|　|　　　　　 }: .　　＼
　　　　　　　 //:　ｉ./ .:|/_厶ﾍrﾋ'⌒TT^! 　ｌ＾i|７、　　　 } : : .　丶＼
　　　　　　　　　//: :　l'　 / //∧从　人{八　 Ⅶ'　} 　　　 i} : : : . 　＼＼

.
891： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:54 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　「その後、平安時代に入って、貴族文化が成熟してくると、
　　／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼　　　　　それに伴って紅花の需要は爆発的に増える」
. |　　（●）（●）|
. |　　　（＿人_）│
　| 　　｀ ⌒´　 |
　 | 　　　　　 |
.　ヽ　　　　　　/
　　ヽ　　　　/
　　　,7:./h::ﾌ<
　　 |::::.ヽi:::.ｿ|
　　 |:::::::::.｀´.:|

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l　　　　　　　「まぁ、服とかめっちゃ染めるでしょうしねえ」
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ　　　　　　　　　「西陣織の原型も出来てくるわけですからねぇ」
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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892： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:13 ID:bMttHh86: 　　　　　　「さてそうなると、都周辺で栽培するだけではとても紅花の供給が間に合わない」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　/　　:|　　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　ヽ　≧o｡
　　　　　　 ,′　/｜　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　　{
　　　　　　:.　　/　:!　　　　 |:　　　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　 ′
　　　　　　f　 /　/l　　　　 :|:　　　 |　　 |　　　　 /　　 :|　　　　 !　　/
　　　　　　|／　〈 :{:　　　　 | ――‐┼‐､｜　　　 :/＿_ 　 }　　　 /　 /
　　　　　 {{　　ﾍ!:　　　　　㌣斧芋羽ﾐ　/!　　　 xzzzx　 /　　　 /　 /
　　　　　 : Ⅶ　　ﾟ，　　　　:ゝにf//(_　　 :|:　　/ん//} //: 　　 /　 /　　　　　　　「残当」
　　　　　: 　Ⅷ　　　ﾟ。　　　 | 乂//ツ　　:|: 　/ に/(　 ,′　　 /　 /
　　　　 / 　 Ⅵ　　 } ﾟ，　　　:|　　　　　人／　｀¨¨~ / 　　 /　 /
　　　 /　 / ∨{//// ﾟ。　　 :!:　　　　　　　 ,　　　 / 　　 /　 /
　　　 / ％77/‐=≦{ 　，　　ﾟ＼　　　　　　　　ｲ　　 /　 /
　　　／//////／＿___ ﾟ，　　ﾟ，＼　　　　｀　　　 /　　　％　　′
　　　∨///＞f//////{　ﾟ。　ﾟ，/:＞　　　　＜ /　　　ｲ　　:/
　　 / ゝ‐≦　:{//////ｉ　　，　ﾟ，///:＞＜≧o/　　／ ! 　 /
　　,′　　　 ≧=‐ミｔ､!　　ﾟ，　ﾟ，//{――///　イ　 {　 /
　 /　‐=≦: : : : : : : : : : ﾟ。　　ﾟ。　:}:. ＼／ゝ-,′/ :!: 　ｉ: /
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　{: : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧　　}ヾ:／:.:.:.:.:/￣|　　｜￣＼

.
893： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:32 ID:bMttHh86: 　　　　　　「なのでこの時期になると、

　　　　　　　　各国からの貢物の一項目として紅花が定められることになる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　 _,.｡s≦　　　 /　　　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　＼　　　　　　　　　「なるほど、人に作らせるわけでありますな」
　 l　　　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　＼
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　　 |　　　　|　　　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　　 |　　　　|　　　| 八　　　　　ﾊ　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |
　 l　| 　八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　　｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈ｈ//(　　､,' 　　　ｈ//(　//　　　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　，乂^少　　　　乂^少 /　　　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　　，　 ∧　　　　　　　　　　　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　父　　　　 ‐　　　　　父　　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　　 ',
. 　/　　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　／　　∨/∧　　　　,
　/　　　 ∨|ｉ　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　　　　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　　　　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　　　　，

.
894： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:49 ID:bMttHh86: 　　　　　　「言い方は悪いが大体そういうことだ。

　　　　　　　延喜式によればこの時代、律令制で制定されている六十八の国のうち、

　　　　　　　　二十四国が紅を朝廷への貢物として生産していた記録がある」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

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895： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:07 ID:bMttHh86: 　　　　　「この生産国とかこまごまとみていくと面白いことも結構あるんだが、このあたりもさらっとスルーしよう」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　
　　　　 |　　　　|　　　　 |　　　　 l　　　　　|　　　　　　　 |　　　　　 |　　　　　「毎度いつものことでありますな」
　　　　　　　 |　　　　 |　　　　 l　　　　　|　　　　　　　 |　　　　　 |､
.　　　　ｌ　　　i|　　　　 | 　　　 ,　　　 i|　　　ｌ　　 i|　　　　　 ,　＼
　　　　　,　　　｜　　　 |　 |　　八　　　　|　　　 |　　 i|　　　　　 ,　　 }
　　　　 ,　　 i|　　　　 |　 |　　　　, 　　 i|　　　 |　　 i|　　　　　,　　　,
　　　　　　　 {　　　　 |　丁￣￣　，　　 ! ￣￣丁¨^　,　　　　　′
　　　　　，　　 ,　　　　{　,x笊云ミ　，　 |　 ,ィfぅ笊ﾐ　}　　　　 /　　 ,
　　　　　　,　　　 ,　　　〈　)//沁　　,　　l　　 )//沁〉　　　 /　　　ﾊ
　　　　　　　　　，　　 ∧乂^)少　　 ',　 |　　乂^)少　 /　　 /　　　 ,　,
　　　　　'，　　'，　　 ∧　　　　　　ヽ |　　　　　/ ／　　 ,　　　　, 　，
.　　　　　 '，　　 ,　　　八　　　　　　,　｀　　　　ノイ　　　 //　　 /
　　　　　　　　{ヽ　八　　　 {　　　　　 _　　　　　／　　　/{ﾊ　　 /　　 ∧
　　　　　　　　|　‘， {‘，　八　　　　　　　　ィ　/　　／ |{/77 /　　 / ∧
.　　　　　　　　 ', l　 , 　 ∧　　〕ト　　　ィi〔=| /　／　i|///∧ 　　 / ∧
　　　　　　　 ,　　　}/| 　ヽ　 ∧　　)ニ≧≦ニニ|　／|　　　|ﾏィ/,∧ 　　 /　 ,
　　　　　　　　　　 | 　 | ＼　}　 /　　/^∨　　 }∧　!　　 | ∨///
　　　　　　　　　　 | 　 |　　＼‐廴　/{{ }},∨　 /ニﾆ|　　　|　∨,/　　　　　 ∧
　　　　 /　 ‐=ﾆ二| 　 |二二二二ニ乂ﾉ二二ニﾆﾆ|　　　|二二二ﾆ=‐　　 / ∧
　　　　 ,/ニニニニ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二二ニニﾆﾆﾊ　 / ∧
.　　　　 /{二ニニﾆﾆ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二ニニニニニ} 　 / ∧

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896： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:30 ID:bMttHh86: 　　　　「平安期前期にわたって紅花の生産量は順調に増えていたようで、

　　　　　　鎌倉時代に至っては国内需要をまかなうのみならず、

　　　　　　　　　国外への輸出なども行っていた記録がみられる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

.　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　. ': : : : : : ／::::ｒ､:::::ヽ: : : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　「水銀のほうも、輸出してたってお話があったわよね～」
.　　　 /: : : : : : :/´￣´　￣｀ヽ: : : : : : : : : : : : : : : :',
　　　 /: : : : : : :/　　　　　　　 ';. : : : : : : : : : : : : : : :i
　　 ,': : : : : : :/＿_　　　　　 '; : : : : : : : : : : : : : : |
　　 ,: : : : : : :/´ ￣｀　　　＿_.i: : : : : : : : : : : : : : :l
　　 ! : : : : : ;' ,ｨ芋示　　　 ´￣｀|: : : : : : : : : : : : : : |
　　 i: : : : : :ｉｲハ心ｊ　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :!｀　｀¨ﾞ　　　　ｨ≧ｚ､|: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :l! 　　 ,　　　　￣ヾｊ.: : : : : : ;ｨ!┐ : : : :!
　　 l : : : : : ﾊ　　　　　　　　　 |: : : : : :/ ﾘ/: : : : : !
　　 |: ﾊ: : : :ｌ∧　　､　＿,　　　 j : : : : /ｰ:'ﾞ: : : : : :.|
　　 |/　'; : : |　l:＼　　　　　　 //! : : /:.: : : : : : : : :|
　　　　ヽ: :|　| : : ヽ､　　　　イ:/ j: :.∧: : : : : : : : :.:|
　　　　　ヽ|　l: : : : :_｢　　 //>/／: : ＞― ､: :/:.:|
　　　　　　　 l : : :__ﾄー―イ／　 > '´　　　 ∨.; :|
　　　　　　　ﾉ:ｒ‐ｲ/^j￣／　／　　　　　 ∨: |
　　／￣￣ 7　 |｀¨ﾞ／　／　　　 {　　　　 l : |

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897： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:48 ID:bMttHh86: 　　　　　　「おお、貿易大国でありますか」

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　,′　,′　＼　　　　　　ｉ ,x斧芋芋ミｔ､　　　　 /＿　　 {　　　　 } 　　　 /
./　　/　　　　＼　　　　　 :ゝに///:刈　ｌ　　　:/　　 7 　:ｉ　　　　　:.　　　 /
　　 /　　　　　　　ﾍ　　　　 {　| V///:Ⅳ　｜　　 /芹笊ﾐ　　}　　　　 /　　　　/
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　 ∨　　　＼　　 //{　　　 |　{　　　　　　 i／　　込ｼ :{: /　　　　/　　　　/
. 　 ∨　　　　ヽ f//:i　　　 |　ヽ　　　　　　　 ,　　　　∧　　　 /　　　　/
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　/　／//　　　　　　＼　　i　　　　　　　　　　　　　ｲ　　　 /　　　　/
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　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
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　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　u.　　　　_.ﾉ
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　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
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898： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:02 ID:bMttHh86: 　　「しかしその盛況な紅花栽培も室町時代に差し掛かってくると徐々に衰えてくる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　 U　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!　　　　　　「あら」
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

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899： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　「原因は朝廷や幕府の求心力の低下により、

　　　　　　　　　貢物である紅花の量が少なくなってきたことではないかといわれている」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
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900： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:40 ID:bMttHh86: 　　　　　「さらに応仁の乱が京の町を焼きつくし、

　　　　　　　　　各地の有力者が下剋上の気風を隠そうとしなくなるに至って

　　　　　　　　　　　　　紅花の衰微はいよいよ深刻なものとなっていく」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　 ,..-''"´ 　　　　　｀''-,,
　　　 .／　　　　　　　　　　　　　＼
　　 ./　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　/　　＿＿＿　　　　　＿＿＿＿　　 ',　　　　　　　　　　「ま、下克上の流れの中でバカ真面目に
　 ,'　　＿＿＿_　　　　＿＿＿_　　 ',
　 l　　 l ●　　 l　　　　 .l ●　　 l　　　 l　　　　　　　　　　　　　貢物送り続けるやつはいねーお」
　 l　　ヽ､＿ノ　　　　　　ヽ､＿ノ　　 .l
　 ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'
　　',　　　　　（＿_人＿＿）　　　　　　/
　　ヽ、　　　　　└――┘　　　　／
　　　 ._｀''-..,,_　　　￣￣　　　 _,,..-''"_
,..-''"´　　　　　　　　　　　　　　　　｀"''-..、

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901： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「そうした流れの中、鎌倉時代には輸出していたほどの紅花を、

　　　　　　　　　　　　　　　　　今度は逆に外国から輸入しなければならないほどになった」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　 |　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　 i　　　　　　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、、___　　　|
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　「すがすがしいほど盛者必衰」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　―　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　(● )　　ﾍ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（⌒ 　 (● ) ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　￣｀､__）　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, へ、　　　＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　１　 |

.
902： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:34 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　「一時は紅の製造方法すら忘れられかけていたほどだったが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戦乱の世が収まって、また運が向き始める」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !　　　　　　　　　　　「江戸時代に入って大いに復興することになったんだ」
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|　　　　　　　　　　　「おお」
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

.
903： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:52 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その復興のきっかけとなったのは、
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ　　　　　　　大陸からの帰化人呂一貫という人物が家康の侍医となったことだといわれている」
　　　　　　　　　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　|　　｀ ⌒´ 　 |
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　,　--───-　､
　　　　／　　 / ⌒ヽ./⌒ヽ＼
　　　/ 　　,　-{　　/ ﾊヽ　 } ､ヽ
　　/　　／　　ゝ _ ノ, ‐ヽ-' 　＼ヽ
　 /　‐┼──-　　ゝノ　 - ‐一!|‐
　 |　　 l.､,　-一　　　　|　　ｰ─- ｌL_
　 |　　／＼.／　　　|　　ｰ-.／ !
　､　'　l.　／＼＿　　|　＿／　/＼
　　ヽ　Ｘ　　　　￣￣　　　／
　　 /､二二二二二二二二く　　　　　　　　　　　　　　【毎度おなじみ徳川　家康】
　　/　　　　／　　( 〒)＼　ヽ
　　!　　/　 /　　　　　　　 } 　 !

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
904：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:15:21 ID:XeSfx.W.: おひさです家康様
905： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:15:26 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「三代将軍家光の時代には出羽国最上と

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　陸奥国信夫から優良な紅が産出されるようになった」

　　　　　　　　　　 ,,..-――-..,,_
　　　　　 .,,-''´　　　　　　　｀ヽ
　　　　　／　　　　　　　　　　　　ヽ
.　　　　　,'　　　　　　　　　　　　 ',
. 　　　 l　　　　　　　　　　　　　 ',
.　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　 l
.　　　　 l 、　　./　　　　　　　　　 |
　　　　　{__ヽ　〈　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　「元禄に至って六か国で紅花の栽培が盛んとなり、
.　　　　ヽ｀tj、ヽ‐イひ"７　　　　　 |
　　　　　 l ｀´）　　｀￣　　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　　天明以降明治に至るまで十二か国で行われることとなった」
　　　　　　 ',　/　　　　　、　　　　　　 ',￣ヽ
　　　　　　 .ヽ{　ヽ、　　　l　　　　　 |　　　.', 　 ',-.､
　　　　　　＼-' ｀"''‐''′　　　　 l　　　　l　　',　ヽ
　　　　 .,.-''　 }ヽ-‐　　　　　　　/　　　 /　　 .}　　＼
　　　　..／　　　 |　　　　　　 /　　　 /　　 ./　　　　｀''-..,,_　　　　　　　　　「ことに出羽国最上の紅花の品質は素晴らしく、
　　　 l´　　　　　l　　　　　／　　　 /　　 ,'　　　　　　　　　｀''-､
　　 ./　　　　　/ ヽ.__l＿＿／　 _,,-''"´　　　.l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『最上紅花』と世の人々に讃えられた」
. 　 /　　　　/__　　　｀ヽ、　　 <-､　　　　.l　　　　　　　　　　　 __
　 /　　　　　 |　＼　　 /ヽ、　ヽ＼　　　.l　　　　　　　　／
. /　　＼　 |　／＼　.,'　　 ',　　',　.l＼　　 |　　　　　　　　　 /
　　　　＼レ'　　　.〉 l｀ヽ、 l　,.-| .|　＼　|　　　　　　 /
|　　　　　　 | 　　／　.|　　ヽ_ノ /　l　　　ヽl　　　　|
|　　　　　　 |　　　ヽ　　l　　./ ／　.l　　　　　　 |
.|　　　　　 |　　　　＼ヽ　/.<　　　.|　　　　　　　 |

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906： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:15:55 ID:bMttHh86: 　　「一度死にかけた紅花の栽培が再び盛んになった大きな理由の一つとして、

　　　　　　　八代将軍吉宗が各地の殖産興業を大いに推奨したことがあげられる」

　　　　　　　「暴れん坊将軍だお」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡sー-==＝ﾆ=ｰ-=ｰs｡,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ . ` ､_
　　　　　　　　　　　　　　／￣ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　. ⌒ ､
　　　　　　　　　　　　　 iﾐ　彡　ミ　ﾐ. ﾉ､ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐミﾐ)
　　　　　　　　　　　　　ノﾐ　彡　ミ　ﾞr′(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐミﾐ`ー‐‐､
　　　　　　　　　　　　/ﾐ　彡　ミ　ﾐ. `， /ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.彡ﾑ
　　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　.ノ (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　ﾞﾉ
　　　　　　　　　　　 /ﾐ　彡　ミ..ﾞi!⌒ﾆ，　( ｨﾆ=-⌒__>ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミﾞ `i
　　　　　　　　　　　廴ﾐ　彡　ミ.i!ﾊﾁ(ﾘ　 ( 行心沙ﾉﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ.ﾞ`，
　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミﾞi! 　 /　　　　　　 rﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐミﾞ/
　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ..i!　/　　　　　　　〉ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐﾐ‐- ｡，
　　　　　　　　　 i⌒ﾐ　彡　ミ　ﾐ　i! ‘ ‐-‐'　　　　　)ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ﾐ i
　　　　　　　　　 `，ﾐ　彡　ミ　ﾐ　.i!　 `＝==‐ 　 (⌒ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ﾐ }
　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡i!　　￣　　　 /(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡ミﾐ(
　　　　　　　　　 /ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡...i!　　　　／ (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミﾐ.)
　　　　　　　　　マﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡...` ┬ ‐ '　　 /(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミﾐ}
　　　　　　　　　 /´ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.l　　　 /　〉ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡彡,ﾉ
　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ／l　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　彡i
　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ. ミ／　 }　　　　　 `ｰ／⌒ｰ‐--´'iﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡.)
　　　　　　　　　{ﾐ　彡　ミ　ﾐ. ミ／　　,/ﾘ　　　＞ '´　　　　　　ｫﾐ　彡　ミ　ﾐ　.　ﾑ
　　　　　　　　　 >ﾐ　彡　ミ..ﾞ／　　　/ ,'　＞ '´　　　　　　　／　ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡.}
　　　　　　　　　(ﾐ　彡ミﾞ／　　　　/ ﾉ '´　　　　　　　　　／　　ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ　　ﾉ
　　　　　　　　　＼ﾐ　ﾞ／___　　／/／　　　　　　　　　／　　　　　　ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ . }
　　　　　　　　　　　`ﾒ'´(　,.ﾆ='　,/'　ﾑ　　　　　／　　　　　,.-‐-､ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ.)
　　　　　　　　　　　　　i ´　　,／　　　ﾏ` ､　　／　　　 , ‐ ´　　　　`ﾑﾐ　彡　ミ. ﾉ　　　　　　　　　【徳川　吉宗】
　　　　　　　　　　　 ∧ ,／　　　　　　ﾏ `,　,／　　　 /　　　　　　　　　`，ﾐ彡r '
　　　　　　　　 /　/　　　　＞ ' ´　　　v′　　　 / 　　　　　 ,　　 ’ ﾐ <′

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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907： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:16:15 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「諸藩において、各国の国産品の保護奨励に力を注ぎ、

　　　　　　　　　　　　ことに四木三草は重要資源であるとして極力その増産を図った」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡-‐＜⌒ﾆ＝ー‐- ，
　　　　　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.ﾞ)　　　　　　　　『徳川より愛をこめて』
　　　　　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡ミ)`Vミ)，
　　　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡ﾞ-zx､_V/ 　　　, ､,‐, ､
　　　　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. ﾐﾉｮﾁﾑ　　　 / ,' / /')
　　　　　　　　　　　　ｨ’ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. <　　　 ...ゝ /`),/ / ,' /,/
　　　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. ミノ　 ` ='!　 i! (/　　,/'ﾞ）　,､
　　　　　　　　　　　r ’ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. <＜　　　i　　!　 ',　　/ /／,ｨ’)
　　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ. 斗圦ミﾉ､,/,｀`='’　 (~ヾ_i　/ ﾉ'ﾞ /　/ う
　　　　　　　　　`ーﾐ　彡　ミ　ﾐﾞﾑ: : : :`ﾏi!j`=ﾆ_　　　 ): :⌒i　　　ｨ' ,ｨ´
　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ミﾐ八ミﾑ,: : :.'ﾏｭ-‐=' 　　/: : :.ﾏ-ｎ_n　　{
　　　　　　　　　 =‐ﾐ　彡ﾐﾞi从ﾆ｀Yﾑ: : : :ﾏう　　　/: : : : :.}: : : :)_ｪ､}
　　　　　　　　 (　彡　ミ　彡.} 丶(　气ゝ: : :.气　　 /: : : : :./: : : : : : :.)
　　　　　　　　　`‐ｧﾐ仍彡ノ ',: : ゝ: :ゞｿ: : : : '.) 　,/: : : :,／.: : : :. :. :.r’
　　　　　　　　 /圦/气ﾐ) : : ',: : : : :.)′: : : : ',／: : :.／: : : : : : /⌒’
　　　　　　　　　/: :`气，ﾏ): : : :', : : : : : : : : : : : ',: :_／.: : : :. :. :./
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. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　農産物の中でも重要視された茶、桑、楮、漆の四木、
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　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　それと紅花、麻、藍の三草を総称した呼び名です。
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908：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:16:25 ID:XeSfx.W.: 吉宗様はそのへんは上手いことやってるのにね
909： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:16:45 ID:bMttHh86: 　　　　「吉宗はそのほかの政策として染色技術の古法についての研究を行わせ、古来よりの諸々の技術を復活させた」

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　　　　　　　　　　　　　　　　　Ｙ　ノ　ヽ　　ゝ 'i　　　ﾉ　　￣"　　　l%ﾑi!　　　/Y 厶ヽ )
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　　　　　　　　　　　　　　　　气　i 〉'´　　 (　　乂　　l ξh,　　 ` ｰ-"fｰ /ﾑ　　　) ⌒Y ｨ'=‐xイ气
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　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ　　　　j　＞' 〉　　／　 l!　　　＼　　　,ノ /　/　 (　　∧ ,｡s＜　ﾏ　,)
　　　　　　　　　　　　　　　从　＞ ' ｲ　从ゝ　　ノ　　l l　　　　　二´｡sf　从` ｰ - = ﾆ弍 ⌒Y 〈
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　　　　　　　　　　　　 r'　,.｡-‐　　　 r=‐-＜_ '"´ 　ノ　　l! /　　　／(　　｀Y /　　　　　　　　ﾊ　 Y
　　　　　　　　　　　　 !　　-‐イ　　/　 x‐-=イ　　( `＜　 i!　　　／　　ゝ　　ノi　　　　　　　　ﾊ　 jﾄ、
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　　　　　　　　　　 ‘ 　　 Y´ 　　 /　　ノ r' 　 (　　　 ,　l　　　　ﾑ　　 Y´　　 /　　　　　　　/　⌒' )
　　　　　　　　　　 ‘　彡　 {　 .,_ ノ` ｨf´　　　ヽ　示　　:l　l!　　　　ﾑ、　ゝ　　 /　　　　　　　 / Ｙ　／
　　　　　　　 /　　　/ l　　ﾑゝ　　　　　　圦　 ::l　 l　　　　ノ〈　　气ﾐ/　　　　　　　 / ソ ´
　　　　　　　　 (　　　 `　l　　　ﾑ　〉'´／　j　/气(　 ::l　 l!　 ,.ｨf{=／, 　　 /　　　　　　 /　i
　　　　　　　　ゝ　从　 l　　　ﾑ　ヽ(　／　　)　　　 ::l　(ﾐイニ／　 ∨　 Y　　　　　　 /　 i!
　　　　　　　　　　　寸　　　l　　　ﾑ　 Y　　　 j 　　 . :l　 tﾆ／　　 .∨ ，　　　　　　　/　　 l
　　　　　　　　　　　气　 l　　　ﾑ　`ｰｧ　人　　 . ::l!ヽ l!　　　　　‘v　　　　　 /　　　l!
　　　　　　　　　　　　　　 `ミ l　　　ﾑ　　´气ｆ∧ー‐‐'´l!　 l!　　　　　　 ∨　　　　　 /　　　 i!

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910： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:17:22 ID:bMttHh86: 　　　　　「友禅染などが江戸時代中期に開花を見た要因の一つとして、

　　　　　　　　　　　　　　　この吉宗の古色蒼然たる技術の復興があげられるだろうな」

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,。｡- ､-‐=‐､｡。,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐= i'　i　　 `　　　　　`ｰ‐､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( , ｨ　 )i　`ーﾆ⌒' ,-=　　 j　⌒',
　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'´　 /　( " (　气　) )_,. 。｡-=､　ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾏ ,j i! =≦二>-r　(　　　ゝ　⌒' ､ﾉ⌒'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ﾉ　　孑" ﾏノ　j )⌒ ﾉ　　　　)-､　⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　ｲ ,イ/ ﾉ　 (iゝ　　 j_, )-ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　 ` =，_ ,　　乂　ノ(　`ｰ-､　￣) (　⌒´￣
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 Y´　　　/( ( r/⌒j ノi _, ﾊ- ､ｰ- =
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,'　　イ　 ,' i! , ＜(( `ｰ=ﾆ⌒',､＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ-‐'，　 j　(ﾏ_ >=ﾆi f⌒￣）ｵ=‐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　((j( i　　j　 >i' ( r'　)ゝ､　ﾉ　) ) )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾉﾏ ,j ,.ｨ(　　ﾏﾉ　jﾉｘ j r' ゝ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ノ彡' ﾏ'´,ｨfｧ/r'　 ,｡s≦=‐､ﾏ　(
　　　　　　　　　　　　　　　／／／　x´ｨ彡　/ｉx)/二二二二ヽゝ(
　　　　　　　　　　　　　　　　　／ / / ﾏ,.x j彡'" . /xｉxilﾆﾆﾆﾆﾆ二二ﾑミ
　　　　　　　　　　　　　　　／　 j ,/ ノ //　　　 /iｘｉ/i!ﾆﾆﾆﾆ二二二ﾑ )
　　　　　　　　　　　　／　　ﾉ⌒)／/　　,ｨ'/iｘｉ/_i!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二ﾑゞ
　　　　　　　　　　 Y　　／,. イ ( /　／=/iｘｉ/ミi!ﾆﾆﾆﾆ二二二二ﾑr
　　　　　　　　　　　　〉｡。ｨ'　　　/ｨ彡'"=/iｘｉ/ミ八二iﾆﾆﾆﾆ二二二ﾑ
　　　　　　　　　　　　 jミ三リ　　 /彡'"三/ｉxｉxi!ニェヽ i!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二j!
　　　　　　　　　　 j⌒'ｰ'i　　 /_l三三ﾆ7ｉxｉxi!二二二i!ﾆﾆﾆﾆ二二二j!
　　　　　　　　　　　　j 　　 l　 /二lﾆﾆﾆ=7ｉxｉxi!ニニニﾆlﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二l
　　　　　　　　　　 j　　　 l /ﾆェl!三三7ｉxｉxi!ニニニニlﾆﾆﾆﾆ二二二l
　　　　　　　　　　　 j　　　 l',二二lﾆﾆ=i!xixixj二二二二lﾆﾆﾆﾆ二二二l
　　　　　　　　　 j 　　　 lﾑニェlﾆェi!xixixj!二二二二lﾆﾆﾆﾆ二二二l

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911： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:17:47 ID:bMttHh86: 　　　　　　「それと重ねて、かつて平安時代がそうであったように、

　　　　　　　　　　　世情が安定してくると、人々は当然のように奢侈に走るようになる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) (.⌒)
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　「江戸と京都の富豪の女房が清水寺で衣装比べを行った、
　　　　　　　　　　　 |　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　などと言う話も伝わっている」
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
　　　　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　　　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　　　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |

　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i　　　　　　　　　　「まぁ当然よね」
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

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912： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:18:09 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　「まぁ、それが行き過ぎて何度も幕府から奢侈禁止のお達しが出てしまうわけだが」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　|　　　　　　　　‘，　　　　　　　　　斗ｬ七允　　　　　　 / 　 }
　　　　　　　　|　　　　　　　　　∨　　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　/　　 }
　　　　　　　　|i　　　　 jI斗ｬ=∨　　　　　　/　,jＩ斗劣ミ　　　　　　　 /
　　　　　　　　| 　 z七さ＾　　　　ﾊ　　　　/ ,ｲ//,刋 }/ }　　　　　 ,　　　 ,
　　　　　　　　|　　　＼ {＿_　　 { ‘，　　 / 　h//(　　 i|　　　　　 /　　 /
､　　　　　　 |　　,ｨf斥爪刋ミ　|　‘，　　 ′　込z少　　从　　　　 /　　 /
. ＼　　　　 | ‰笊////(　　ヽ!　　} 　 /　　　¨¨^´ 　 %　　　　 /　　　/
. ＼＼　　　 { ﾏ( ぃ乂/ﾉ爿　　　 | 　,′　　　　　　 ,　　　　 /　　 ,/　　　　　　　　　　「贅沢禁止でありますか。
.　　＼＼　　　‘，　乂⌒少´　　　　　|／　　　　　　从　　　 /　　 ,/
.　　　＼〉,　　　，　　　　　　　　　　 ,　　　　人　　　 / 　　 ,′　　　　　　　　　　　　　守られてたでありますか？」
　　　　 }/}　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 /
　　　＿|/!　　　　∧　　　　　　　　 t ﾕ　　　　 /　　　,/ 　　 /
　　 l///,'|　　　　ﾏ>　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　／{　　　/
＜-,l///,'| ＼　　　 ∨=≧s｡.,_　　　　　　　　　　　/ 　 ,／　 |　　 /
　　≧=‐く　i|＼　　　∨二二二≧s｡.,＿／　　　 , 　／　　　| 　,/
　　　　　　　 |　＼　　,∨　 |ﾆ=,|　 |i　　　　　　 / ／　　　 i|　/

.
913： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:18:26 ID:bMttHh86: 　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　　＼　　　　　　　　　　「いやいや何度も出てるっていうところがすでにそのお達しが守られてないってことだお？」
　／　　─　　 ─＼
／　　‐=・=‐　‐=・= ＼
|　　　　（__人__）　　 |
＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ,／

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　|　　｀ ⌒´ 　 |　　　　　　　　　　　　「やる夫君、大ピンポン」
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

.
914：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:19:11 ID:XeSfx.W.: 「教会によって禁じられていた」と同義語ですね
915： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:19:14 ID:bMttHh86: 　　　　　　「さて、そんな時代の紅花栽培はどうなっているかというと」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|　　　　　　　　　　　「庶民階級には紅や染め物を禁じ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,　　　　　　質素倹約を強いているものの、
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/　　　　　　　『紅』という高価な有用作物の栽培については
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{　　　　　　　　　一貫してこれを奨励している」
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

　 |　　　l　　　　ｌ　　ｌ　　　　　　　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　',
　 |　　　|　　　 |　　|　　 {　　　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |
　 |　　　|　　　 |　　|　　 ∨ 　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　 ‘，
　 |　　　|　　　 |　　|: 　　 ∨　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　「そらそうよ」
　 |　　　|　　　 |　丁￣￣　∨　　　｜￣￣丁 =‐}　　　　　 //}　:　　}
　 {　　 {　　　{　㌢芯云ミ ‘，　　 | /芹芋丐ﾐ､|　　　　ィi〔／　 }　　 :
　八　　 ',　/　　:　ゝ比//(　　＼　　|　 K{//}Ⅳ/:　　　//
.　　∨　 ∨ /　 ',　:{ 乂)こｼ　　　＼｜ :乂)こ少　|:　　//　　　/　}　　　‘，
　　　∨　 ∨ /　ヽｉ　｀¨¨^´ 　　　＼　｀^¨¨¨´　!　　}/廴__／　 /
.　　　 ∨　 ∨ /　八　　　　 ,　　　　　　　 |　　{////　　 /　　　　　∧
　　　　＼　∨:/　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　 | ∨ ｀''＜zzz/^}　　　 / ∧
　　　　　　＼ ∨　　　＼　　　　-　　　　　　　　　 |　∨　　　　///ヽ　　　　/ ∧
　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　　　　　　／｡s≦|　　　　 //////〉　　　 / ∧
　　　　　　　　　^ ＼　　　　ｌ　 .　　　　ィi〔二ニﾆ:|　　　　　/ ＼//,/　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　 | ＼　　 ! 　 ≧≦ﾆﾆrﾏ二二二|　　　　 /　　ゝ '
　　　　　　　　　　 |　　ヽ　:|　　ィi}二ﾆ:|　　　　　 |　　　 ,′
　　　　　　　　　‐= |　　　＼ニニ:/ニニ|　　　　　 |: 　　/＼
　　　　　　 /二ニﾆ|　　 /二二二ニニニゝ≦ニニ:|　　 /　　 ≧=‐　､
　　　　 /二二二| 　 /=:≧=‐ニニ:r -----ニニ:|: 　/二二ニニニﾆヽ

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916： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:19:45 ID:bMttHh86: 　　　　　「俺が使うからお前ら作れってのもなんだかなって感じはするお」

　　　　　／￣￣￣＼
　　　　／／　　＼＼
　　／　（●）　（●）　＼
　　 |　　　　（__人__）　　　　|
　　＼　　　｀ ⌒´　　　／
　　／　　　　　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ま、世間なんてそんなもんだろ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､'ーｰ´ 　 'J　|　　　　　　　「ともかくこうした調子で、紅花増産推奨の流れは明治時代に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {　　　　　　　　　『唐紅』『洋紅』と呼ばれる輸入品が
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -ｰ´. : l : .＼　ｲ::::ﾊヽ{`、　　　　　　　　日本に訪れるまで変わることはなかった」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
　　　　　　　　　　　　　　　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____
　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
　　　　　　　　　　　　,' : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r'　　　､ヽ .ﾉ : :|
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |　　　　r_ノ.: : : |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |へ-‐´ : : : :| : :!
　　　　　　　　　　　　　ｉ : : :: : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:ゞｿ: : : : : : : : | : :|
　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|

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917： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「紅花の歴史について軽く流してきたわけだが、

　　　　　　　　　　　　　　　ここで日本で最も著名な紅花の産地、最上地方における紅花の事情を簡単に見ていこう」

　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 |　　　　　　　　「先ほども少しふれた『最上紅花』だ」
　　　　　　　　　　　　　　 |　｀ーﾞ　　丶__　-　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　( ⌒ )　　( ⌒ )　　|
　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｗW　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 _,ﾉ　　|
　　　　　　　　　　　　　　　!　　ゝ__ゝ‐ ´　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　7￣｀> ‐―　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　ぃ　　　　 /　　/　　　　　｀T.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　〉ﾊ　　　人　V´ ￣￣　　 l.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　,. ｲ / ,.ｲ .i l/　／／ﾄ､/ ,　-─‐　　 l::::::::',
　　　　　　　　　　,.　. : : : : //／/ヽV ／／　l: : :〈　　　　　　 jﾄ､:.:.::',
　　　　　　　　 /: : : : : : ://: : :/　「￣`7　　l: : : :(´￣￣　　ﾉl　ヽ:.:ヽ

　　　　　 /|!　　　　　　|　/　 |　　|　　　　　　|　｀ヽ　　　.! ￣ヽ
　　　　　/Y　　　　　　 ! .!　　|　　|　　　　　　 !　　.|　　　 |　　　!
　　　　/　,|　　　　　　 | ﾊ　 ,|.|　 |ヽ/ /　　　 ,! |　i |　　　 |　　　 !
　　　 /　/|　　　　　　 ||__!＿|_ヽ__!_ | /　　　/　|　| |　　　 | 　　 .!
　　　/　〈,.|　　　　　　 | |,.ヽ=r=ヾ|　!ｲ　　 ./|__/i　!.|　　　 | 　 |　|　　　　　　「話が長くなるのはそういうとこやぞであります」
　　 ,'　　　＼､__　　　/ィi////cﾐヽ　 |　　/-_|ﾒ_|,A |　　　 .!　 ,!　|
　　,'　､　　　ヽ::ヽ　　 !| 弋辻り　　　|　/ ,.ｲ///ヽ!|　　　 .!　/|　|
　 ,'　　｀ヽ､ヽﾉ::::､ | ヾ |｀￣￣｀　　 | /　弋りc'| |　　　 ,!　,! | .!
　 ! ｀ヾ､　 _ 「:::::::::::::!! | i|　　　　　　　´ 　,　ゞ＝! !/.!　　/　/　| .!
　 |　　|ヾ､-'´::::::::／ヽ! |'､　　　　　　　　　　　　//i |　 /　/ 　! .|
　,!　　|:.:.:/ T-イ　　　　 | ヽ　　　　　--　　　　//　!　 /　/　　| .|
../　　/.:/　 /i　ヽ　　　　|ヽ　　　　　　　　　 ,ｲ/ 　　./　/　　 !/
'　　 !:.:|'ノ/iii|　　ヽ　　　､＼　　　　　　／ /　　 /　/
'　　//iiii/iiiiii,|　　　ヽ　　　ミミヽ､　　イ　　/ 　　 /　/
　　/iiii/iiiiiiiii|!　　　　,}､　　ヾ|三ミi｀ i　|　 /　　ｲ　/
　/iiiii/iiiiiiｲ /　　　　/ ＼　　ヾ三ﾐ|!　|　! /　　/ !|　|
,/　ヾﾐiイ //　　　　/￣￣ヽ　ヾ三|!　|　V　／　 !ヽ!
' 　　　 / //　　　 / !　!　!　!＼ヾﾐ!　 | /／　　 !|

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918： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:36 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まず、最上地方で栽培されていた紅花には主に三種類あった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これらはもとは一種類の植物だったが、
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼　　　　　培養された種の出来具合で区別されていたらしい」
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ　　　　　　　　　　「種の出来具合ということは」
　　　　　　　　　　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `
　　　　　　　　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　　　　／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　　　　　　　 i: : ;;;: : : : : : :;|
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　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏　 }　　　　　　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
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919： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:55 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ　　　　　　　　「品種改良とか、そうしたこととは関係なかったわけね」
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|　　　　　　　　　「そういうことだな。以下がその三種のかんたんな説明になる」
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
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アザミボタン：全体的におおぶりで葉っぱのとげが鋭い。紅花の原料となる花弁は最も多いが
花を摘むときにとげが指に刺さり摘みにくいために、多くの人が避ける。

オホシメボタン：花弁の数は多いもののアザミボタンよりは少ない。ただ、肥料などの量がすくなくとも
よく育つために多くの紅花農家はこの花を育てる。

コシメボタン：三種の中で最も小ぶりな紅花。そのため摘み取れる花弁の量は少なく、ほかの二種と比して
作付面積に対しての収穫量が少ない。ただし、この紅花の花弁が最も色鮮やかな紅になる。

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.
920： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:10 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿　　　　　　　　　「なるほど、どれにも一長一短があるみたいね～」
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「オホシメボタンがバランス的に好まれてたようでありますな」

　　　　　/　　　　　　　　　∨　　　　　　 |　 jI斗ｬ==―一,
　　　　 f 　　　　　　　 ∨　　　　 i|　　 /|　　　　 |
　　　　｜　　　　　　　　 ,斗匕　　　 i|　 ,/ i|　,jＩ斗ぁ劣ミ　　　}　　　　　　ィi〔
　　　　｜　　　　　　　　／　　∨　　　　i|　/　/　h////}泌}〉　　/　　　　ィi〔
　　　　｜　　　　　　　　　 ,jＩ斗ミ　　 | /／　　 ,)//ﾉⅣ/　 ,/　　　///
　　　　｜　　　　　　　ﾊ＼r爪/,'刈　　　:/　　　　ゞ‐=≦ /　 / 　　,///＿＿
　　　　｜　　　　　 ∧ ゝ　,)/刋　　　l　　　　　　 /　 /　　　,////////
　　　　｜　　　　　　　 ∧　乂^,少＼　｜　　　　　　　, 　／　　　 ////////
　　　　｜　　　　　　　　　,　¨^　　'　＼!　　　　　 /イ　　　〈//////77777
　　　/ｉ|　　　　　　　　　 ∧　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　≧=――‐=≦
.　　 /　:.　　　　　　　　　　 ∧　　　　　 __　　　　　 ,
　　/　　l　　　　　　　　　 / 入　　　　　　　　　　　 /
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.　　　　 | 　　　　　 ,　　　　　　　　　＼　　 ,'

.
921： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:30 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「まず、紅花の種の採取だが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　これは紅花の花弁を摘み取って二週間もすると種子が熟し、それに伴って茎や葉が枯れる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿　　　　　　　　　　　「そうなった紅花から種を抜き取って、よい種を選み取る」
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　　　／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',　　　　　　　「社長がアイドル候補生を
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!　　　　　　　　　　　町でみつけるようなものね～」
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

.
922： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:45 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これを乾燥させて煤煙が当たる場所を保管場所として三年間寝かせる」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､　　　　　　　　「三年も？それには何か意味があるの？」
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
923：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:22:04 ID:XeSfx.W.: その社長は特殊すぎるから（白目）
924： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:10 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あぁ、種を取った翌年にその種を蒔くと、その勢いが強すぎて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　花を咲かす栄養まで茎や葉の成長に使われてしまう上に、
　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､　　　　　『まくり病』という病気にかかりやすい、とされている」
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ　　　　　　　　「このまくり病にかかると紅花はほとんど花弁をつけないようになる。
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　しかも恐ろしい伝染力で一夜のうちに一面の紅花に感染したそうだ」
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

　　　　　　 _,,..-―――‐-..,,_
　　　　　 ,,-''´　　　　　　　｀ヽ
.　　　　／　　　　　u　　　　　　　 u ヽ、
.　　　/| | | | |　-..,,_　　　　 u　　＿_　 '.,
　　 /| | | | | | 　　｀ﾞ''‐' ′　ヽ-'"　　　 ',
　　,'| | | | |.|≡=-.,,_　 .三三三　_,,..-=≡　 ',
　　l.| | | | | |　　．｀ﾞ　.三三 "´　．　　　 l
　　|.| | | | | |＝==＝≡ 三三 ≡＝==＝　　|　　　　　　　　　　「そりゃ商売あがったりだお」
. 　 ',　 u　| |　　　 /　　　　　　ヽ　　　　 .l
.　　ヽ　　　　　　 { 　　 ,.、　　　}　　　　 ,'
　　　＼　　　　　　ゝ-ィ´　｀"j-.'′ u 　 ,.'
　　　　｀'',-..,, 　　　 |.r-‐''" 　　 ,,..-''
　　　　　 /　　｀ﾞ"''―‐.U――― ''"´ヽ
　　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

.
925： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:37 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「逆に四年目の種子となるともう生命力が弱弱しくなって、
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_　　　　　　　　葉茎のみならず花まで小ぶりになってしまう。
　　　　　　　　　　｜　　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）　　　　　　　　　そんなわけで三年目の種を『蒔前』とよび、最適としたということだ」
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

　　　　　　　　　_
　　　　　　　／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::　　　　　　　　　　　　　「デビューは早すぎても遅すぎてもダメってことね～」
　　　　　　　ﾘ/:::::|　　'´　　￣`　.＼::::::::::::::::::＼､
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　　　　　　＼::::::::::::::::::}:::､
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　　　　　　 ∨::::::::::::::::::::ｉ
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|:::.:l
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　　辷 j １::/::::.:::::::|::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　 N:::::::::.:::::|:::::::ﾊ
　　　　　　八:::::∧　　　　丶　　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　＼:::∧　　　　.，　､　　　　レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ 　　　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　〉/　ｯ　i `i-､　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　 i　　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　　　|　　　∨ '´/i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　　|　　　　　/ :i : : :i : : :i : : :|::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　　_ ｲ　　　　ノi : :i : : :i : : :i : : :` ‐ - ､::::::::::::::::::::::＼
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926： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「さて、種の蒔き方のもろもろとか、種を蒔いたあと芽が出て花が咲くまでも

　　　　　　　　　　　当然様々な手入れがあるわけだがそれは省略して、紅花摘みに一気にいってしまおう」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
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　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　「三分クッキングのノリだお」
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／　　（●）　（●）＼
|　　　　（__人__）　　 |
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(　＼　／＿ノ　|　 |
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927： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:23:35 ID:bMttHh86: 　　　　　　「最上地方における紅花の摘みごろは半夏生から、土用にかけて。

　　　　　　　その最適とされる日はその地方によって時期がずれていた」

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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【半夏生と土用】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　半夏生（はんげしょう）は夏至から十一日目の日です。太陽暦で言えば七月二日あたりになります。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　七十二候の一つで、山形地方の紅花はこの日あたりから紅花の花が咲き始めたそうです。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　土用は、ここでは夏の土用をさします。立秋の前の十八日間です。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　最上地方の中でも北部や川西の地域の紅花の開花はこの時期からです。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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928： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:23:59 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「紅花の花弁はまずは金色に咲き、その後紅色に色を変えていくんだが、
　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、　　　　　　　　　　　この金色から紅に移り行く途中に素早く摘んでしまわなければならない」
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ　　　　　　　　　　　「紅色になってしまってからじゃなくって？」
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
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929： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:24:24 ID:bMttHh86: 「あぁ、『本草六種耕種法』という農業書に、このように書かれている」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
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　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
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　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

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黄色なる花開て朝露を帯びたるを摘むべし。
紅花を摘み取るべきの候といふと其能満開にして反り返り其中三片紅色になりたるを時として摘み取るべし。

なんとなればその花既に反り返るといえどもただ黄色なるのみにして
一片も紅ならざるを摘みたるは臙脂少なし、また過半黄色になるまでも摘み取らざる時は
また臙脂の出ること大に減ずるものなり。

所謂其花眞黄色なるが反り返って其中三片紅になりたる時は
臙脂の十分にその花に充満したる候なり。

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930： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:24:43 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-、
　　　　　　　　　　　　　　　＿__./.,. i　　　　　　　　　　　　　「紅花を赤くするこの臙脂というのが、
　　　　　　　　　　　　　,,;;''"::::::/:/‐ 'r‐- 、
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::i::/::i　..::::、.:`:、　　　　　　　　　　　　　紅の原料になるのに重要なものなのね～」
　　　　　　　　　　／.::::::::::::／ i/`‐ｖ';;;;; i.::::::::ヽ.
　　　　　　　　　/.::::::::::::／　　　　　　　`i .:::::::::i
　　　　　　　　/.::::::::::./_＿_,　　　　　　　│.::::::::i
　　　　　　　　i.::::::::::::i '　　　　　　 _　　　 i .:::::::::i
　　　　　　　　│.:::::::::i-‐‐‐、　　　｀ヽ、i .:::::::::i
　　　　　　　　/i.::::i::::i.::::::::.　　　　 -‐-.、ﾉ ::::::::::i
　　　　　　　./::::i.:::i:::i　　　　 t　　 ::::::::. /.:::::::::/
　　　　　　 ./:::::::i::`:ヽ.　　 r‐--、　　 /::::::.／
　　　　　　/::::::::::ヽi:;;;_ヽ,.　`ー‐´　,,./;/;;／i
　　　　　./::::::::::::::::│i`ー`r‐=＝f、/／.::::: i
　　　　 /:::::::;;;;;＿丿 i _.,;ー---,/./´　.::::::: i
　　　 ,;'-‐‐'│ .i　　i,;´ ,;--‐´‐yヽ＿__.:::::: i
　　　/ 　　 i　 i　　i,´　,,;‐;'ニ二;　i　 i`ヽ:: i
　　 │　　 i　 i　 / i　　.'',-‐‐-y'　i　 i　　ヽ
　　 │ 　 .i　./　/ ./　　 /　　 /i　　i　i.　　│
　　 │　　i　/　 .i／　　 i　　　 i ヽ　 i　i　│
　　.│　　i　i　／　　　.ﾉ i 　　´ヽ　.i　 i　i │
　　│　　.ヽ／　　　／i .｀ヽ.　　＼i　i　.ﾉ │
　 .│　　／　　　／　.i 　 i ＼　　　＼/　 │
　 │ ／　　　.／i　　 i　 i　　i＼　　　＼. │
　　i/　　　　／i　i　　 i　 i　　i　i＼　　　＼i

.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　ノ　　＼＼
　　　　　|　（●）（●）.　|
　　　　.　|　　（__人__） /ヽ　　 ./´}　　　　　　　　　　　　　「そういうことだな。
　　　　　 |　　｀ ⌒´　{ 　{ 　 /　/
　　　　.　ヽ　　　　　ﾊ　 L/　/　　　　　　　　　　　　　　そしてその臙脂が最も効率よく花とともに摘み取れるのが
　　　＿＿ヽ　　　　 /__.〉　　　ん-､
　／ :　　: :介.〈::::〉.介.〃＿_　 /　, ヽ　　　　　　　　　　　　『花弁三枚くらいが紅になった』タイミングだというわけだ」
　 | : : : : ::〈　｢｀{::::}　!　{　＿__）{_ /　,ﾊ
　 | : : : : : /: |　{::::}　!: :l :＼__, -､. ￣_/:ヽ
　 | : : :　〈: :│ {::::l　|: : 〉 : :ヾヽ　Ｚﾝ: : : :｝

.
931： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:25:07 ID:bMttHh86: 　　　　　「紅花には、葉にも茎にもがくにもたくさんのとげがあって、

　　　　　　　これを日中に摘もうとすると指先を痛めるばかりか摘み取ること自体がうまくいかない」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
....::::::...::::　::::.:....::::::....::::.　.::::::::::..::::. ..:::::::::::::::::....:::::::::....　::::　:::::... .::::::...::::..::::::::::....::::::::....::
.. .. . ...　.::::..　.　.　.::　:　:..　.　...　:::　:::..　... .. .. . ...　...　..::. .. .　..　.　..　.:::::　::　:.　...　.:::::
....::::::........　.　.:....::::::........　.　.::::::... .... ..::::::::::::::::....::::::........　.　　　.:::::... . ::::... .... ..::::::::::::::::....::
.. .　. . ...　.:::　:..　.　.　　.::　:　:..　.　...　:::　　:::..　... .. ..　..　..::. .. .　..　.　　..　　.::　..　.:::
..　.　. . ...　.::　　:..　.　.　　.::　:　:..　.　　::　:　　:　::..　... .. ..　..　..　::. .. .　..　.　　　..　　.::
.　.　　..　.　. . ...　.　　:.. . ...　..　.　　.　　.:　:　:　:.　.. .. ..　..　.　.　　::　:　... .. 　　　..　　.

｡.:;,:; ,:: .., ,..;,:: .:.　｡.,:; ..;;: ..,, ;..,, ..,,　..,　,, .., ,..;,:: .:.　｡,:; ,::　 .., ,..;,:: ..;;: ..,, ;..,, ..:.::　 .., ,..;,
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:.:ﾞ,o｡(@)o0;、,`:'.:o｡o:'"'.:@｡.:;,`:;(@)｡(@)o,`:'.:.::oﾟ.,｡o;:;,':,:,｡o｡(@)oﾟ;.,:;:,0｡o.: '.:.｡o ;;:;,`:;,
:(＠).:ﾞ,:;｡(@)oﾟ,｡o｡(@)oﾟ,"'.:.:;,｡(@)oﾟ`:;,`:'.:o｡o:'.; (@)∴@:.:;,`:;,':,:;.,:;.:(＠):o: '.:.:∴@:.:;,`
o ;@｡(@);; ∴o｡oﾟ｡oﾟ@ ;; o(＠)｡,゜.; ∴@;; oﾟ.,｡(＠)｡o ;; ﾟ:,0｡o ﾟ(＠)'.:oﾟ.,｡;;`(＠):o｡o:'
｡oﾟ@ ;; o(＠)｡,,0｡o ;; ∴o｡ﾟ(＠)'.:oﾟ.,｡o ;@｡(@)oﾟ;;`゜(＠)｡o ;; ﾟ:(＠):o｡o:'.; ∴@;; oﾟ.,｡
0｡(＠)o ;; ∴@ o(＠) (＠)(＠)｡o:'.; o(＠)ﾟ:. o; o(＠)｡,(@)oﾟ:(＠):(＠)o0｡ﾟ(＠)o ;; ∴　　　　　　※これはどうみても紅畑じゃないなぁ
(＠)o ;;.; o(＠)ﾟ:. o ∴@ o(＠) (＠)｡,(@)oﾟ:(＠)(＠)｡o:'.; o(＠)ﾟ:. o; o(＠)｡,(@)oﾟ:(＠):
｡oﾟ@(＠)o0｡ﾟ(＠)o ;; ∴(＠)o0｡ﾟ@(＠)｡,(@)oﾟ:(＠)(＠)｡o:0｡(＠)o ;; ∴o(＠) (＠)(＠
(＠)(＠)｡o;;.;@(＠)｡,(@)oﾟ:(＠) o(＠)ﾟ:. o0｡ﾟ(＠)o (＠)o ;; o(＠) o:0｡(＠)o(＠),(@)o
ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃ヽ|〃ヽ|ヽ|〃ヽ|〃

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　「そうであるからして、紅花の花を摘む作業はとげが朝露に湿り、軟らかなうちに摘み取ってしまわなければならない。

　　　　　　　これは最上地方に限らず、紅花摘みの基本だ」

.
932： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:25:34 ID:bMttHh86: 　　　「朝日の出るころから四ツ時まで、と記してあるから、おおむね朝十時までに摘み取りの作業を終わらせるわけだ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　「紅花摘みについて書かれている書物には黎明より日の出まで、と書いてある本も多いが、
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　　　結局は棘に悩まされずに紅花を摘むのが肝要なのであって、
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　そういうことを考えれば朝露が消える十時ごろまで、
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７　　　　　というのが実際のタイムリミットになるんだろうな」
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
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　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
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　　　　　　　　　　　　///// 　　　　　 /　　　　　　　　　　 {_
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　　　　　　　　 /　/　｜　　　　　 f　　￢-ミ,　|　　　 /　　　　 }　,　　　　　　　　　「やれるとこまででありますな」
.　　　　　　　　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。｜　　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　　　　 /　/　　　　　　∨ﾍ　　 |　|乂i少　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　　 /　 {＼　　　　 ∨ﾊ　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　　 }
.　　　　　 /　　＼＼　　　 //,∧　ｉ|　|　　　　　　 vﾘ}/,　,　　 /
　　　　　　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　　 __　　从/　　 /
.　　　　 /　　/　　／///|⌒∧^　　　ｉ|　　　　　ゝ '　 % ,/　　,/
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　　,　　/二二ニニニニニl 　　　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　　　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　　　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
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933： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:25:53 ID:bMttHh86: 　　　　　　「ただ、摘み取りの日に小雨でも降っているようであれば終日摘めたという話もあるぞ」

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :　. : : : : .,　　　　　　 :|
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　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　「あぁ、なるほど。雨でも露でも濡れることには変わりないわね」
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

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934： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:26:15 ID:bMttHh86: 　　　　「夜も明けないうちから家族や下男下女はもとより、

　　　　　　　相当な大店の旦那まで籠を背負い、紅花の摘み取りに走り回ったというからその多忙さは類を見ない」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　『うおー紅花摘みじゃー』

　／.:::::::::::::::::::::::::::::::､::::､::､.´／／´　ヾﾐ､＿: : : : : : : :｀:ヽ
／....../.........,............,'......ヽ...ヽ:.ﾞ､,".:´ ／l!i:., ,ィ |: : : : : : : : : i:}
/....../..........,'.........,ｲ...........ヾ.....､.∨,/_､'´ﾞ"}:.:.:! l:＿_,厶二二ﾆー､-―-､-､
::::::/:::::::::::;:::::::::/:::::::::::::i::::}:::::i'ヽ!/ /7=,-ﾞ，:l lゞ:.,'ﾊﾄ「_`ｲ;ｨ:i:i二＞三ﾐｨﾄ､>､
:::::;:::::::::::i:;::､i:://i:'|:;､::::j::::i::､:l/{i'￣´_ 〉y′ｉ.|`r'´/ﾆ┐ﾞ'〉r'ﾊﾆ=-ﾐﾞ,.-､_､j,ｿ;
::::{::::::::::::l::...i:`≧ﾐ斗::ｨ〉::ﾉ::ﾊ:! l!'/=y,/:.:.:.;ﾘﾊ, `/〈/ﾊ==，!,'",ﾆﾒ　＞｡ｧ'{f
::i::ヽ::::::i::Vj:〃 (),`｀ｿ<ｿ:::/､j'　/`l!/ｲ:.:.ノﾘヽ!　' "'/ﾉ_// ﾞ､,{ﾍﾐヽ　ﾞ´ <, ｿ
:::､:::ﾄ､:::､::＼　ｰ"　　'´ｲ::{／i>ﾐ彡ﾍｲ'´|､ .! |　　,ｲ`ｰ ′ﾉｲ`iﾍ　､/{=ﾃﾌ}
ヽ:::人ﾞ)`｀ﾞ‐ `　/=＝ｨﾉヽﾉ} ＼　}　j;;;;;ヽヽﾉ-　_ノ;;`i´￣｀ヽ＾　ｰ､ﾞ_`三'ﾉ
／ｿ､::}ﾞﾍ　　　/　ヾ;//イ¨〉ﾍ　ヽ!､ﾉ;;;;;;／　　イノ;;;;;}　　　 `ｰ`-―-'､＞―‐--
{　　ヾ､　｀＞ゞﾆ彡'｀ヽ:.:i;;;;|　＜i_ `／　　　/;;;;;;;;;;;;;ｉ　　　／ヽ　　/´
l　　　　＼　　／´ヽ.　　ﾞ.:|;;;|　「....」'´　　　 /;／７┐;}_,ゝ､　　　　´　　　　　　,. -　　　　　　　　　　『摘め―死ぬ気で摘めー』
＞ｲ＾ヽ.__　ヽｲ　　／ヽ. ノﾍ;;|　 /)　　　／rヘi´/ ７､'´￣`llーr―r┬rt‐‐ ´
":. ' .／ "L/`|）〈__⌒`　〃`ヽ },ﾊ.　　／;;;;〈｀ｰ`ゝ'ノﾉ;';';'Y;';||;';'j:.:.:.|;';ヾiく;';';＼
　 ."　／´_ ）７' ／　　／´　　｀ヽ.〉／;;;;;;;／`7､＿/;';';';';';'};'||/;{:.:.:ﾉ;';';';ｉ|;'};';'イ
　　　´　/ｰ' r'／　／　　　　　∠｀ヽ_ ／　. '　／;';';';'／ |;';'||;';'f＝ﾞi;';';'||;'}′|＿
　　　ノ　　 |'　　／､　　　　　/　ヽ／　　　／ﾍ;';';／　　};';'||;';'|:.:.:.:|;';';||;'}　´

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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935： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:26:39 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　「摘み取りが終わったと思ったら息をつく暇もなく紅の仲買人が訪れる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　,　,　.．-――-=ミ｀)ｨ,
　　　　　　　 .ｨ{(〃´　　　　　　　　彡ｲ）
　　　　　　　,.｀≡''　　　　） )）） ) )､ ¨ヽ
　　　　　　/　 ,.ィ　　}） )ｰ'=くﾑｲｨj;）}　 }
　　　　　 ∨ｲ {´ミｒ'¨´ "〃　｀:ヽ,ﾞぐr'"
　　　　　　ヾ{´l {i_ﾞ　r'　_,_　　 1} `ｿ'
　　　　　　　｀7ﾞ>ｧゞﾐ r 〉ﾆﾆ､ｰｲﾉﾘ
　　　　　　　　`ｰｧ,(从 {トｬｰ_-;ｧ7ﾊ）　　　　　　　　　　　【とても善良な紅の仲買人】
　　　　　　　　_/　ｒ'　｀ゝ､｀¨ r''¨´
　　　　　_ ..ィ７　 {　　 { ヾ:ｰ''’
　　　 r'¨ヾ,'/ﾑ-‐ミx　ｊ　 {ヽ._
　　 /　ヾ. }'////∧｀ゝV⌒/! }
　　j　　ヾ!/////,}　;' j///ﾘ i!
　バヽ:、ﾞ1/////j　;' j!/// ;ﾊ、
　ﾑ､　　ヾ }/////ﾊ. ' j!//ﾊ "ｲ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

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936： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:27:04 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「この収穫の時期、摘みたての紅花の仕入れのためにおびただしい人がこの地域を訪れ、

　　　　　　　　　　　　　　最上地方は大いににぎわったそうだ」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　ヽﾉ　}　　　　　　 .}　｀´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　 /　　　　　 ‘.　　　.{
＿＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_>=ミ､ _ノ　　　　　　　　ヽ_,　ィ
_　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r- ､　　　　／￣￣｀ヽ　　　＿　　　　 __ >イ´:
_>　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ'　 {　　　./::::::::::::::::::::/　 __＞:.:.｀ー'￣＜ヽ::::::
ヽ　　　＿⊥　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿_　　＞^＼　/:::::::::::::::::／　ア:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ｧヽ::
　`ーイ／￣｀ヽ　　　r-､　　　　　　　　　　__r､　　　 , ＜:.:.:.:.:ヽ　＼:::::::7::::::::::::::::::/　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ　ヽ
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この杭より七日町と云軒数九十七軒此町紅花時分の最中は市場を立て、京都より紅華仲買の旅人下りて売買仕る
他国の衆は知らぬ其時分は男も女も狂人のごとく姿を崩しいつ櫛の歯いれたる儘やら赤裸に成何か一か月の儲けか
一年中の暮らしとなりぬこと故前後を争い親兄弟の見境も有らばこそ我劣らじと買ふことなり昼夜の境なく賑わひ申すなり

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【山形風流松木枕】

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937： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:27:33 ID:bMttHh86: 　　　　　「生花として仲買人の手に渡った紅花は、

　　　　　　そのまま各地におくられることもあったが、干花に加工されて運ばれることが多かった」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
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　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
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.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{　　　　　　「そしてこの干花を作る工程でも随分と人が動き、様々に賑々しかったらしい」
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
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　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /　　　　　　　　　　　「にぎやかで結構なことでありますな」
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__
　　　　　　　　　　 {二ニﾆﾆｧ　　/　 i＿_γ　⌒　　ヽ廴
　　　　　　 /　　　　　∨ニニﾆ}　　,.ィi〔　　　　　　　　　ﾊ　(_
.　　　　　　/　　　　　 /∨ニニｧ　 / 　　　　　　　　 }/　}
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938： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:27:55 ID:bMttHh86: 　　　　　「詳しい手順は省略するが、紅花の花弁を加工して『紅餅』と呼ばれるものを作り、

　　　　　　　　この紅餅を乾燥させて干花とするんだが」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
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　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
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　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
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　　　　　　　／: : ＼:|: :／: : : : : : : :ヽ.
　　　　　／ : : : ;.へｊ:へ : : : : : ヽ: : : ヽ
　　　　　　/ : : : : /―'^^ーヽ : : : : : ヽ: : : ',　　　　　　　　　　「紅餅っていうのもきれいな名前ね～」
　　　　 ,' : : : : /　　　　　ヽ : : : : : ',: : : ',
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　　　　ｌ : : : ﾚ价芯　　　徐ﾐ|: : : : : :| : : :|
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939： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:28:15 ID:bMttHh86: 　　　　　「この紅餅を乾燥させるについても、とても人手が足らず大変な騒動になる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

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￣/─∠xxx=￢⌒￣￣￣￣￣,縱絲 ∠:::::::::∠＿／_} 乂(⌒)======＝＝＝≠＝＝＝j愀愀===彡'⌒'''''''''"´.:.:.:.:.:j洲j洲j洲j洲
_厶斗笊;';';';';';';'）:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,:;.:,,xX絲絲∠二二／＿＿/.:.:(⌒※⌒)_,.､ -ｰ￢冖二二二7'"^~`ﾟ"~^`゛~'''ｰｰｰｰー￢''"'"'"'"'"'"'"'"'"
¨¨´γ⌒;';';';';';';)ｰｰｰｰｰｰｰ朱朱朱朱￢￢冖冖'''""""""｀(＿)´.: .: .: .: .:,;''"´　　　ノ,:'"⌒Ｙ''"´⌒''"´⌒''"´⌒''"´⌒''"´⌒''"´⌒
''"" 乂;';'ノ⌒ヽ,､､ . . . . : : : : : : : : : : : : : : .: .: .: .: .: .: .: <⌒ヽ||／⌒>-　'′　　　　Ｙ,;'"⌒乂　ｖｖｖ　　. . : : : :, :, :, ｗｗ　:,　:,　:　ｖｉｖ
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〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　　　「空き地、路傍、畦、河原など、筵が敷けるあらゆるところに筵が敷かれ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　その上に乾燥させるべき紅餅が乗せられる」

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940： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:28:45 ID:bMttHh86: 　　　　　「そして乾燥させるためには当然片面だけを日にさらしておくわけにはいかないので、

　　　　　　　　　花餅をひっくり返さなければならない」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　　　「そらそうだお」
　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ　　　　　　　　　　　　「そらそう（仮に一万個紅花を筵に敷けば）なれば
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}　　　　　　　　　　そう（一万個同じようにひっくり返さなければならない）なるよ」
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

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941： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:29:04 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「ここでちょっと面白いエピソードがあってな、

　　　　　　　そのひっくり返す人手がとても足りない場合、紅花の筵の隅に一文銭をおいておくこともあったらしい」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣　￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ _,ノ　　ヽ､,_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　(⌒ )　(⌒ )　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　（___人____）　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i,　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　r- ､　　　　　　,.-‐　‐-､,,＿,,..-'"ﾄ　 _ , __ 　ｲﾍ､　　　　＿ . -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　＼　　　/::::::::::::::::::::::::::／::;;;;| ヽ､　 ,, ／　i;;;;;ヽ￣￣:::::::::::::::::::::　　　　　__
　　　　　　　　　　　{ ヽ!ﾞヽ. __､　-l｀ヽ ::::::::::::::::::::::::／:::::::::;i　 rゝ"､　　　 !;;::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::i　 __ 　|　.| r ‐j　
.　　　　　　　　　　　|　 |　 ll　 Y´ l　 !----､　 :::::::＼::::／! , '!::::::::∧ 　 /::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::: _´| f 　|__|　 |_|　 |__
.　　　　　　　　　　　ヽ､ﾞ､　||　 |　 |　 |　　‐- ヽ::::::::／:::::::|/　};:::::{　 .V/i:､::::＼::::〉:::::::::::::::::::: f　 |-|　 |　| 　|.|　 |___ )
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞヽ| 　``"ﾍ　ヽ　　　 !､:::ヽ::::::::::l　 i:::::::i 　 /:::::::::::::::::〉::::::::::::r'ﾞ￣ |　 | .j 　| ｿ　 .|'　 /￣
　　　　　　　　　　　　　　　 `ー'‐―､_　　　　 /)）ヽ､::::::::::i　|:::::::::|　/:::::::::::::::/::::::::::rr|　　 r'ﾞ　 |'´　 /´　／ ,／

　　　　　　　　　　　　　,. .- ‐ -. . .,
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､　　　　　　　　　　　　　「イチモンセン？」
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./

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942： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:29:23 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　「金だが、まぁ、ごく少額の、小遣い銭程度だな」
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　 f¨¨¨ア　　　/　　　 |　　　　　　/　　　＼　　＼
　　　　　　 l　　　 ′　　　|　　　　 /　　　　　}　　　　､　　　　　　　「お金でありますか？
　　　　ｌ　　｜　　 ,　　　　｜　　　 ,　　　　　 |　　　　　＼
　　　　|　　｜　　 ,　 /　　　,　　　　/　　　　　　,　　　　　　 /　　　　　　　ではそのイチモンセンは
　　　　|　　｜　　 {斗ｬ允― ,　　　/ ＿＿　　/　　　　　　/{
　　　　|　　｜　　 | ｉ|　　/　八　 /　}　　/ ミｔ､　　　　 /　,　　　　　　　　いったい何のために置かれるものでありますか」
　　　 ,　　i|　　　|　,x笊示ﾐ　,　,'　　イ云笊x　　　　 / 　i}
　　　 { 　 i|　　　|i〈 hr (　　　V 　　ぃし(　 )〉　　　　／　 ,
　　　　 , 　 ,　　　{　ゞ= '　　　　　　ゞ==ｼ /　　　／　　 /
　　　　，　,　　叭　　　　 ,　　　　　　　　/　　　//{　　 /{
　　　　　， ‘，　八　　　　　　　　 /　　　 {///7 /　,
　　　　　　 ,　　,　　　　　　　｀　　　　 /　　／i{///ア
　　　　　　 ‘，八　 {　l　.　　　　　　　 / 　／　∧⌒',　　　,
　　　　　　　＼{∧ l　|　＼　　　ィi〔=,/ ／/　 //∧　〉　　，
　　　　　　〈// } ＼i!　　 /爪ニﾊ,　/ｨ　 ,　　{∨//7∧
　　　　　　/ 　^　,　　/ﾆﾆ〈 ,//笊ﾆ{／　 /! 　 |i ∨///∧
　　　　　 //二ﾆ/　 /ニニﾆﾆ{ {} }ﾆ≧≦ﾆ|　　|≧s。/,／　　　‘，
.　　　　 {二=/　 /ニニニニニニニニニ|　　|二ﾆﾆ≧s。
　　　　/　 |二/　 /⌒⌒TT⌒‐=ﾆニニﾆﾆ|　　|二ニニﾆﾆｉ　　　＼
　　　 /　　|〉/　 /{　　　 | ｌ　　　 /i　　　 i|　　|二ニニﾆﾆ|　　　　＼
　　 ,　　　{/ ,／― ＜　i! !　　 /　! ＿___ i|　　| /＼二二_|　　　　　　＼

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943： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:29:49 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その一文銭、旅人や通行人がその花筵に乗っている花餅の裏返しをしてくれたら

　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　駄賃として持って行ってよいということだったらしい」
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　「のんきな話ねえ。
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi　　　　　　　　　イチモンセンだけ持っていかれそうな気はするけど」
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
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　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

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944： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:30:14 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「まぁそういうことは絶対になかったとは言うつもりはないが、

　　　　　　　　　こうした記録が残っているということは正しく目的を達成できていた証拠だろうよ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 -｀　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ´ 　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
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　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
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　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
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　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　「今だって野菜の無人販売とかありますものねぇ」
　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
.　　　　　　{: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
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945： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:30:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「こうして仲買人に買い集められた紅花は干花に加工され、

　　　　　　　　　　　京、大阪、江戸の紅問屋、あるいはそのほかの地方の紅商人に運ばれていくことになる」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　,ｨ　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ
　　/ {! __/, ｨ　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　ﾍ
　　ヽ.__　／　　　　　　 {!　　　　　　　　　　　 i
　　ィ≦"　 /　 i　　i　　　　ヾ:､._＿_,ノ　 ,　　　　　}
　〃´　　　/ 　,ｲ　ヾ:､　 :､ __ ｀¨フｰｧ一'　__　　 ;ﾉi､
. {　　　／　　ｨ !:､　　 `ヾ辷彡' ,彡､　{　 γｨ-ヽ =彡 }
. 廴,.ｨ"　　／ヽヾミ=-彡'´,ｨ／丶、ヾ;ヽ､{ /ヾ: ト､_,ノ
　Y´/　　ｲ　i´ ｀ヾ:ミｭヽ　;ｲミ辷彡　 `　ヾ　 / ﾑ　｀ヽ
　弋ヾ.　爪ｷ　斗ﾓt ｲ　　￣´`¨丶　_,ｲ_ノ / ｀ヾ　 }
　　 `ｰ≧={≡:､　´"'/{ﾐ）　　　､　　ﾞ　　ト.ィ:､　　N ﾉ
　　　　ヽ.　ヽ､ｿ　　　 {!　　　イ二)ヽ　 /ヾ;　爪　ﾉｿ
　　　　　 `ｰｧ'ﾍ、　　ﾑ廴,ノ,ィ´　　　}　ｲ　ｿﾉｨくノｲ
　　　　　　 {　　ｲ`丶 i ｀ゞ-'_＿,イﾞゝj} ﾑ才i´　　＼
　　　　　ヾ _{廴_ヾ:ﾐ:､ゞー一彡ヾ,ｲ　　j　　　　ヾ:.､ _＿
　　　　　　　　￣　¨７｀ヽミ._ ￣　　/ / 　 /　　　　　　Ⅵ////７…‐-:､
　　　　　　　　_.．/　　　 `ｰｔ=彡 ,′　,′　 ,ィ≡≡=ゝ//// /　　,.ィ;＼
　　　　　,．ｭ≦//ﾑ匕⌒≧ｭ､ヽ　 i 　 /　 _ノ　|/////////ｲ ,′ 〃´　　ヽ

　　　　　　　　　【紅花からクレムリンまで仕入れる商売人の鑑】

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
946： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:31:06 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「この紅餅、大手の買い取り先といえばやはり問屋だった。

　　　　　　　　　江戸、大阪、京などに多くは集中した問屋だったが、

　　　　　　　　　　　その中でも規模と数が最も大きかったのは京都のそれだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r r┌,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} l .l .l　r 7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r 、　i_i .L.ﾚ´/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 'ヽ､Y　　r' γ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 !､⌒ { 　ﾄﾏ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿__　　　　　　　ヽ___‐‐ ｿ.: :ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼　　　　　　　〈ン´ : : : .＼
　　_,.-ｰ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　l　　　　　　　＼ : : : : : : :＼
　〉＼＼＼　 .-,　　　　　　　　　　　　　　　　　　 (_ﾉ､__）　　　 i　　　　　　　　　ヽ : : : : : : : ヽ
　＼＼ '´⌒∨ /　　　　　　　　　　　　　　　　　　　} '--´　　　 .'　　　　　　　　　　〉 : : : : : : : :ヽ.
　　　ヽ.　ｨ　　丿　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､_、__　　 ,ｨ'　　　,.ｒ‐-､_,､__,,..-´‐' i＼ : : : : : : ｊ
　　　　ヽ_　　rクヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　〕_____｀,.‐ｨ'｀ヽ‐ｲ : :/ :/ : : : : : : : :N:ヽ : : : ／
　　　　　　〉彡´. : : ＼　　　　　　　　　　　　_____,,.-‐ｨ'!´「ヽ／. : : :／ : :/ :/ : : : : : : : : : :＞-‐'"
　　　　　　ヽ : : : : : : :＼　　　　　　　　　／i : : : : :/／ｿ　/. : : ／ : : :/／ : : : : : ,. -‐ '´
　　　　　　　＼ : : : : : : ＼　　　　　　 ,ｨ' :/ : : :,.ｲ':::::/　/. : ／ : :l : : i/ : : : ＞`´
　　　　　　　　＼ : : : :ﾆ= :ヽ､,ﾍ--ｲ´〃/ : : : /:::::/／ :／ : : : : ヽ : : :＞´
　　　　　　　　　　　ヽ : :／/ : : : : : :／ : / : : : /:::::／ : : : : : : : : : : :ヽ:/
　　　　　　　　　　　　ヽ.　 : : : : : : : : : : :,' : : : :ｉ::::,' : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞ--‐‐ー-- 　ｲ : : : : :ｉ/ : : : : : : : : : : : : : : ｿ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :!
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.
947： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:31:27 ID:bMttHh86: 　　　　「日本最高級の紅花のである『最上紅花』の価格は、

　　　　　　京の紅問屋の言いなりに近いありさまだったようだ」

　　／￣￣＼
　／　　　 _ノ＼
　|　　　　（ ●））
　|　　　　　（__ﾉ_）　　　　　　　　　＿＿＿_
.　|　　　　　　｀⌒ﾉ　　　　　　　　　　／　　　　　＼
　 |　　　　　　　　}　　　　　　　　　　　⌒　　⌒　　　 .＼
　ヽ　　　　　 }　　　　　　　　　（●）　（●）　　　　　＼　　　　　　「下請けいじめがはかどるお」
　　ヽ　　　　ノ　　　　　　　　 |（__人＿）　　　　　　　|
　　　　>　　　 <　　　　 ∩／)　　　　　＼ヽ＿ノ　　　　／
　　　 /.　　　ヽ　　 /　　く　　　　　　/　ー‐　　　　　　　ヽ
　　　 |　　　ヽ　　＼／　 _ ノ　　　　　/　　　　　　　　　　　｀
　　　 |　　　ヽ　　　／

.
948： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:31:51 ID:bMttHh86: 　　　　「ただ、これは紅に限らず、問屋というシステムが普く含む弊害であったわけで、

　　　　　　　　各監督機関もそれなりに存在していた」

　　　　　　　／´￣￣￣￣｀＼.
　　　　　　／: : : :　　　　　　　＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　　　　　　　　 :|
　　　　　| : :u : : : : : .,　　　　　　 :|
　　　　　|:: : : :＿ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●）ﾉヽ（　● ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　　　　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　）　 ./
　　＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_　　　　　　　　　「けどまぁ、話がずれすぎるから割愛な」
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　　　ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|

.
949：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:32:07 ID:XeSfx.W.: 商売人つええ……
950： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:34:08 ID:bMttHh86: 　　　　　「各地に運ばれた紅の原料は各地で紅として加工され、様々な用途に用いられることになる」

　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾞ
　　　　 i!､　　　　　　　　　　　　　　　 i
　　　 |! ＼　　　i!　　　　　　　　　　　|
　　　　 ! ､＿ヽ　人､__,x≦_　　　　　|
　　　　 ,:　￣ﾐﾍ !,彳¨弋_ソ )　　　　 |
　　　　 |　　　 i　｀¨ ゛ '';:.:': .　　　　 !　　　　　　　　　「就中、京に渡った紅の多くは染色の材料として用いられる。
　　　　ハ (　　 !　　　　､　: :;　　　　　,
　　　ｒ‐ ﾍー　ゝ　＿__.ﾉ, ゛ 7　　　ﾘ　!　　　　　　　　　　　そしてそのほかに化粧品、すなわち京紅に加工され、
　　人　　｀　､- ､｀　　 i!　 l　　 .ｲ/
　　　　ハ　　　｀ -.､　　 | 　 } ／ / 　{　　　　_　　　　　　　　人々の手に渡っていくわけだ」
　　　 l　　　　　　　￣　　 |´　/　 ≠´ ￣~　|
　　　　}　　　　　　　　　　　　i!　ﾑイ　　　　　　/
.　　　 {　　　　　　　　　　　ｊ ´　　　　　　　 /
　　　）　　　　　　　　　 /　　　　 _　-―-｀ 7　　　　　　　　　　　「紅による化粧は、江戸中期ごろまでは白粉に配合し、
　　　　ヽ_　　　　　　　 /　　　　〃　　　　　 {
　　　　｀ヽ　　　　　 /　　　　´　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　ほほ紅などに使用することがメインだったらしい、
　　　　 ,､　｀l _　--　_　i!　　／　　　　　　　｀ヽ
.　　　 /　｀ ¨´　　　　　｀ｰ≠　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　江戸中期になってから口紅やアイラインに
　　　　　　　　　　　　　 i!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　紅を施すようになったそうだ」

.
951： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:34:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　「最上紅花が仲買と問屋の手を経て京に至り、京において紅が作られ、

　　　　　　　　その紅が京における著名な土産物になる、こういう流れがあったわけだな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　　　　「食紅なんかに使われもしたけど、まぁ割合としては小さいだろうな」
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:　　　　　　　　　　「なるほど」
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉

.
952： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:34:51 ID:bMttHh86: 　　　　「ちなみに、多くの原料の生産者がそうであるように、

　　　　　最上地方の人たちの多くは京紅とは縁のない生活であり、

　　　　　　　自分たちが育てた紅花がどのように使われるかを知らなかったという」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼　　　　　　　　　「あぁ……」
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}　　　　　　　　「西陣織の帯を織る女性が自分では一度も
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ　　　　　　　　　　　　　　　西陣織の帯を巻いたことがない、という話もありましたねぇ」
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　　　　 j: : : i:|
.　　　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　　 ! : ,'　　　　＼＼／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　＼　　ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　ヽ.　／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ〉ヽ|

.
953： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:35:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　「ファッキン格差社会」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ　　　　　　　「それはまぁ横に置いておくとして、
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　紅花や干花が運ばれる過程でも様々に経済活動が行われることを考えれば、
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !　　　　　　　　　その影響力というのは軽視すべからざるものがあったといえるだろう」
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

.
954： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:35:31 ID:bMttHh86: 　　　　　「京紅は、デリケートな頬や唇に施される化粧品であるわけだが、

　　　　　その秘伝の製法のためか、色艶よく、肌が荒れず、落ちにくい流れにくいと大変な評判だった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

: : : ', : : : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : :/: :
: : : :.', : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : :/: : :
: : : : :ヽ: : : :',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　j　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,: : : : : : ／: : : :
: : : : : : ＼: : ',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : :
: : : : : : : ', ＼:',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,: : : : ／: : : : : : : :
: : : : : : : :.',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : :／: : /: : : : : : :
: : : : : : : : :',　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: :／: : : :/ : : : : : : :
: : : : : : : : : ',ﾍ　　　　　　　　　　　　　　　 . : :_: ´｀: :´｀ :_: : .　　　　　　　　　　　　 /／/: : : :./ : : : : : : : :
: : ',: : : : : : : ',ﾊ　　　　　　　　　　　 -=ﾆ　＿｀__´＿　ﾆ=-　　　　　　　　　　／　 /: : : :./.: : : : : : : : :
: : : ，: : : : : : ', ﾍ　　　　　　　　　　　　　　｀'' : : : : : : : っ ''´　　　　　　　　　　　　 ./: : : : /.: : : : : : : : : :
: : : : ＼: : : : : :',/ヽ　　　　　　　　　　　　｀ ¨¨¨ ´　　　　　　　　　　　　　　ｨ,: : : : / : : : : : : : : : : :
: : : : : : :＼: : : : ',／＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／': : : .ｨ.: : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : :＼: : :..,//// ,　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／./: : ／: : : : : : : : : : : : : : :
: : : : : : : : : ', ＼: :V////＞ .　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　イ///: ／/: : : : : : : : : : : : : /: :
: : : : : : : : : :.',//＼V//////,ﾊ＞.　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　..＜　ﾊ//／//: : : : : : : : : : : : : /: : :
: :', : : : : : : : :.∨//＼//////.ﾑ　　＞ ..　　　　　　　　　　　 .. ＜　　 .ﾑ//////: : : : : : : : : : : : . ｲ: : /
: : ',＼: : : : : : : ﾏ､//////////ﾊ　　　　＞..　　　　　　　　.. ＜　　　　　ﾑ/////,: : : : : : : : : : : ／/: : :/
: : :.',　＼: : : : : :.',　`''＜//////,i　　　　　　　＞　__　＜　　　　　　　　 i//r＜./: : : : : : : : : :／　/: :／

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

　　　　　　　　　　「そうした品質の面からも、京紅というのは土産物の定番として喜ばれたということだろう」

.
955： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:36:02 ID:bMttHh86: 　　　　　「さて、先ほども少し話をしたが、日本における紅花栽培が本格的な、

　　　　　　　　　　そして不可逆的な没落を迎えるのは明治時代の初期だ」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
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　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ
　　　　　　　　　　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `　　　　　　　　　　「海外からの輸入品に押されたんでしたっけ？」
　　　　　　　　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　　　　／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　　　　　　　 i: : ;;;: : : : : : :;|
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　　　　 {:　　: : : .:::{: {　＿　　　　　　　,　-＝-} il:;;;;l : : : : : |
　　　　i:　　: : : : .i: :i'´　￣ `　　　　　　　ﾘ.| :;;l: : : : : :;i
　　　　 |:　　: : : : l: :|.　　　_　　　　　　　　 |:;;l : : : : : ;i
　　　　i:　　: : :;;;;i: l　ｨ三､`　　　　　'´ ,ｨ＝ﾐ､　ﾘ}: : : : : : i|
　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏　 }　　　　　　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
　　　,: : 　　 : :;;;i ;;i{　夊歹　　　　　　　ﾏ夊　}｝ |: : : : l |;;|
　　 /: : :;;;;l : : :;;;;.|i 　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : l :|;|
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. ,イﾁﾄ､￣仏: : :;;;;;| `i　i　　　　　　　　　　 / }: : ∥　　／ﾐ､
/　　　ム　 {: : : ;;:|　{　､　　　-‐　､　　　　／　|: /　　／　　ﾑ
　　　　　ﾑ. |: : : :;;|　ヽ､＼　　　　　 ,ｨｆ´|　　 |/　　/　　　　　 }
　　　　　　　 iﾙi: : ﾘ､　　　　丶､　_ 　,ｨ彡 } ∥　　'　　/　　　　　　 .{
　　　　　　　乂　＼　　　　　`ﾞY'´　　 / /　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　＼　　　　 i'"´　/ /　　　　/　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　　　　｝⌒ 　　i 　 / /　　　　ﾑ　　　　　　　ﾉi

.
956： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:36:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「そうだな。国産のものに比べてはるかに廉価な『唐紅』と、

　　　　　　　　　　化学染料である『洋紅』が入ってきた」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_,ﾉ　ヽ､,__ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| (●.) (● ) 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | （__人___）　U |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |　　　　　「特に洋紅の影響は大きく、それまでの染料とは比べ物にならないほど
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　、　　　. {　　　　　　　　　簡単に染色ができ、発色も鮮やかだった」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　√ヽｰｰ-　´/ i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　＼　､　　ﾉ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 , . ＜　　ﾊ　厂iヽ　　 }∧ }
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ∨ヽ::ヽ{-ﾆ/〉 V ＞.､
　　　　　　　　　　　　　 r ´　　　　　　　　　　｀∨::::::}/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　V　　　　　　　　　〉:::〈　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　　 i　　　　、　／　　　　　　 |::::::|　　　　　ｉﾉ r
　　　　　　　　　　　　／　　　 '　　　　　　　　|::::::|　　　　」　 |
　　　　　　　　　　 /　　　　　　 V　　　　　　　　|::::::|　　　　 l:　 i
　　　　　　　　　　　/　　　　　　ｲ　　　　　　　　 |::::::|　　　　 |　 |
　　　　　　　　 / 　＿／　　/　　　　　　　　 |::::::|　　　　 j　 i
　　　　　　　　　　}／　　　　 /i　＼　　　　　 |::::::| 　　　 .:　 !
　　　　　　　　　.′　　⌒丶 {　}　　`､　　　　　|::::::|　　　　i　 |
　　　　　　　　　　i 　　／￣｀i　i　　　〉　　　　 |::::::|　　／ {　 {
　　　　　　　　　　!　　　　　　　i　i　　/　　　　 |::::::|　/　　 ;.＼i
　　　　　　　　　　V　　　　　　 ', i　　　　　　　 |::::::|　　　 i　 |

.
957： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:36:43 ID:bMttHh86: 　　　　　「最も、前回の友禅染の時にも話をした通り、

　　　　　　最初は洋紅に対するノウハウがなかったのですぐに問題点が続出したわけであるが、

　　　　　　　それでも染色の段階で、染料として紅よりも洋紅が選択されることは多かったことだろう」

　　　　　　　　　　　　　　「問題がたくさん出てきたのに？」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　_|　　＼__|　＼　ｰ-　一'⌒　 /{│　|＼　 }| ｊﾘ　 /
　　＼＼　ヽ!　　ｉ＼＿＿__　　 { l|│ 人　} ノ（　ｌ /
. 　　＼＼　 |　　＼＼＿_ ＼　　＼ヽ ''"｀＾￣＾⌒
　　 /￣ﾟ，＼＼　　＼＿___￣￣｀ヽ　　し　　　　ﾊ
.　 /／￣‘，　＼ヽ＿＿__,ｚ=-─一'　　　　　　　　,州n
　￣￣￣ ∨　}　　＼__／　 ,∠三　　　　　　　 rｆ汐^'ﾟ，
　　＼　　　 |　 l__　　　　　 /ｰ= 　　し　　　 }ﾘ/　 ,　
.　　 __＼＿＼＿＿＿＿_/￣ﾉ　　　　　　ﾉ}ノ　u　ｆ⌒´
　　‘｡　　/二二＼　 -‐==彡'　/王ニﾆ彡'　　J　　_込ｊハ
.　　＼/　　　　＼＿　 ,ｚ≠　 {ﾚ' 　 _xｨｆ⌒　　　 '⌒ヽ　ﾟ.
　　　 /'⌒ヽ　＼　￣_/　（　Ｕ　　ﾉ　　込ﾘ/　　　　　　　｡
　　　ﾉ＿_／＼　 r‐‐＜ﾆ彡　 }　ｌ　＼__／／　　 --､　！　　　　　　　　　　　【広瀬　治助】
　　'⌒ヽ　　-──|　r┬‐､￣　し'　　　　／　U 　/ｰ一ﾍ　 |
　　　　　＼__／了ﾊ. ｌ│（ト　　　　　　　　　 {　　〈 {　|　　 ,へ、　ｘ┬─‐､
　　　　　　　ﾉ /∧_ ＼＞─ ､　　　し　　　　　ﾄ----ク　| 　 /　　Ｙｰ{__l＿＿ﾘ
　　　　　　　　///////｀ー‐一'＾＼　　　　　　　ー一'__ﾉ |　　＼__,ノ　 / {　　 } ）
.　　　　　　　////////∧/////＼_≧‐-　　＿＿＿　　　／　　 /　　　 {__ﾉｰ一く
.　　　　　／//////////＼///// / 〉//////////＼￣　　　　＼　＿　{＿＿__}
　　　　∠////////////// ＼_//〈_/////////|////　　　　　 /7　　ｆ´　　ﾉ）
　　　//￣￣＼///////////////////＿__///|///　　　　　　 /〈　　 ‘ｰ─ｧ‐'
　　　＼//////＼///////////￣￣／　 /___/,|///〉　　　　　__/＼＼＿__／|
　　　//＼////// ヽ//////// 　／　　 /　　ヽ|///__　　/￣//＼　＼/////
　　　////＼//////∨/////　　　　　　　　ﾉ／ヽ///|￣}///////＼__￣￣{
　　　//////ヽ /////∨///　　　　　　　／　　　////,|/////////////￣//
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.
958： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:37:09 ID:bMttHh86: 　　　「意地の悪い言い方をすれば洋紅の混乱は消費者に渡った段階で発覚するものだからな。

　　　　　染め手の染料選びでは何も問題ないわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

..　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|　　　　　　　　　　「うわぁ」
.　　＼　　　　　　　　　／
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

.
959： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:37:42 ID:bMttHh86: 　　　　　「こうした背景の中での国内紅花産業の没落の勢いは恐ろしいほどで、

　　　　　　　　明治三年にはすでに多くの紅花農家の暮らしが立ち行かないほどになっていた」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　「先ほど見た最上地方もそのあおりを受け、
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　かつての隆盛はもはや影をひそめてしまう。
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|　　　　　　　　　　紅花農家の記録自体が明治八年を境に
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,　　　　　　　　　ほとんど見られなくなってしまうというありさまになった」
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　　　　＼
　　　　／　　 _ノ　ヽへ＼　　　　　　　　　　　　　　　　「うわぁ、十年もたなかったのかお」
　　／　　　（ ―）　（―）ヽ
　　 .l　 .u 　 ⌒（__人__）⌒　|
　　＼　　　　　｀ ⌒r'.二ヽ<
　　／　　　　　　ｉ＾Yﾞ r─ ゝ、
　　/　　　,　　　　　ヽ._Ｈﾞｆﾞﾆ、|
　　{　　　{　　　　　＼｀7ｰ┘!

.
960： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:38:08 ID:bMttHh86: 　　　　「とはいえ、染料としての用途はほとんど滅びてしまったとはいえ、

　　　　　　　名高い京紅の原料となるべく、紅花は規模を小さくしながらも生産されつづけたわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

　　　　　／￣￣￣＼　　　　　　　　　　「そうして細々とながらまだ残ってるというわけかお」
　　　　／／　　＼＼
　　／　（●）　（●）　＼
　　 |　　　　（__人__）　　　　|
　　＼　　　｀ ⌒´　　　／
　　／　　　　　　　　＼

.
961： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:38:40 ID:bMttHh86: 　　　「まぁな、そもそもこうした紅は、水に溶いて適度な濃度にしてからつける、

　　　　　というもんだから、現代広く流通しているリップ型のルージュなどと比べて、手間が多い。

　　　　　　　一般的には嗜好品だと捉えたほうがいいだろうな」

　　　　　_　　
　　　　　| ) /.y )_　　　　　　／￣￣＼
　　　　　| |/./ / )　　　　／_,ノ　ヽ､,_ ＼
. 　　　　 ,j /./,/ / 　　　 | （●）（● ）　.|
　　　　 y ´,/　r ).　　　 |　（__人___）　　|
　　　　　', 　　　}/ 　　　 |　　　　　　　　|
　　　　　.j　　　 j.　　　　 |　　　　　　 |
　　　　jく、　　r.　　　　　　|　　　　　 |
　　　 ∧;､｀ヽ≧　　　　　　,ｨヽ　 _,__　ｲﾄ、
　　　/∨/7ゝｲv'´｀¨ﾆ=ﾆ7 1`‐-.,___ ,.." 八､_
　　 / ;厂////::ヽ;////////ﾍ　　ハ　　ﾊ////７ァｧｭ、
.　 /::::j/////:::::::};////////∧ ∧::∧,///////////ﾊ
　/::::::{;////:::::::::j;'/////////∧/:::::∨////////////}
. ﾑ;、:;///〈::::::::::::ﾚ//////////∧:::::∧//////＼///ｲ
. ∨ヽ;////∨:::://///////////∧∧//////777'///|
　∨//////∨ｧ'/////////////////////////////|
　　｀¨¨´￣｀´ ∨////////////////////////////.|
　　　　　　　　　∨///////////////////////////|

　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　-‐/ｨ }
　　　　　　　　／:::::::::::::// Y'⌒　､　　　　　　　　　　「手軽さだけを考えてもやっぱり
　　　　　　　　　,　"::::::::::::::,:ｲ'"} ／ヽ　　＼
　　　　　　　　　'::::::::::::::::／　{　　⌒丶!::::::::::..　　　　　　　　　　現在のお化粧品は、進化してますものねぇ」
.　　　　　　 /::::::::::::::／　　 |　　　　　ﾏ::::::::::.
　　　　　　　∥::::::::::/　　　 ,　　　　　　 i:::::::::::::i
　　　　　　　i::::::::::::.' `ニ､'´　　　､　　　}::::::::::::}
.　　　　　　　{::::::::::{ 〈 {:::ｿﾞ　　　　, ミｰ　i:::::::::::ﾘ
　　　　　　　}:::::::::i　　　　　　　　ﾑ:ｼ〉.':::::::::∥
.　　　　　　/i:::::::::i　　　　　,　　　　　/:::::::::::/
　　　　　　/::::|::::::ﾑ　　　, 　_　　　　/:::::::::::ｲ
　　　　 /:::::::i:::::::::..､　　 ‐- '　　　/:::::::::::::::|
.　　　　 /:::::::::::{　r‐=i丶　_　　...:イ::::::::::::::::::|
　　　　/.::::::::::::::::::｝　i`ｰ‐-‐‐ ´ 7::::::::::::::::::::|
　　　/::::_r‐‐-‐ｲ　 }　i_　!　_ /｛:::::::::::::::::::::|
　　 ,　'´　i　｝ }　}　.／　　-‐ ﾏ　ﾞｰｫ､::::::::|
. 　 ′ 　/ / /　,' /　　-‐‐‐-､｝､　 i　` ､::i
　 i　　　i / /.　 ' i　　　　─- .Y　i　　{　　ﾞ
..　!　　　} y'　./　| 　イ⌒ｰ'´/.　 {　　i　　　i
　 }　　x'´　./ 　.!　　 !　　　/　､.　､　ﾑ　　 |
　,' 　∥ {　｛／　　ｲ　　｛　　ﾞ.　｝ .i;　　{
..,'　　'!　ﾞ､, '.　　　 /八.　　　ﾏ.　}　,'　,'　　 i
　　　゛x '　　　　, ' |　ﾑ　　　＼　 /　　　|
　　／　　　　/　 i　 |　i.､.　　　Y　　　l
　 .'　　　　　,.ｲ |　 |　 |　|ﾑ　　　　ﾏ　　　i

.
962： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:39:04 ID:bMttHh86: 　　　　　　「個人的には手軽さだけでは味気ないと思うんだが……、まぁ理解はできるな」

　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　　　　　／〉 ´　　　　　　＼
　　　　　　／／'　 __ ノ　ゝ.__　ヽ
　　　　　　　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　ｌ　　　　　　　　「ともかく、京紅のことはこれまでだ。
　　　　　　ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　ｌ　　ｉYｌ　　｀ ⌒ ´　　ｌ　　　　　　　　　　　前半戦の最後として、文化十年（1813）に出版された
.　　　　　　　/　　ﾊ !.!　　　　　　　　 !
.　　　　　 /　　/　 ' ヽ　　　　　 /　　　　　　　　　　　　　『都風俗化粧傳』の冒頭文の一部を紹介しよう」
　　　　　　ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　／ヽ_
　　　　 ´｀ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　＼
.　　　　ｉ　　　　ｉｉ　　 / ｀:.ｉ　ｉ´ヽ.　 /　　　｀　､
. 　　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　ｌ　 !　ﾊ　/　　　　　　　＼
　　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　　　 ,　 ,　　ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　／　ｉ
.　　!/　 !　　　　ｌ＼.　　ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　　　 ´　　 !　 /　　　 !

　　　　　　　　　　　　　　　　　::::::￣￣::::::::::　、
　　　　　　　　　　　　　 ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::丶
　　　　　　　　　　　;´::::::::::::::::::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　／:::::／:::::::::::::::::／ヾﾍ＼::::::::::::＼:::::::::ヽ
　　　　　　　　 /::ﾆ/=－:::::::::::/　　　　ヾヽ::::::-=丶ﾆニi
　　　　　　　　;::::::::::::/::::::::::::::ﾉ　　　　 ||　＼::::::::::ヾ:::i、i
　　　　　　　 i::::://:::::::::::i　/　　　　　　　 ||　　ヽ:::::::::::::::|::::ｌ
　　　　　　　 |:::/::::::/:::/i ﾉ　　　　　　||　　　V丶:::::::|::::|
　　　　　　　 |/::::::/:::::７|ﾉ￣丶　　　　　ﾅ ― 、 !:::::i::::::|::::|
　　　　　　　〉:::::/i:::::/z|"ニ、　　　　　ﾉ　＿　ヾ:::|::::::i:::|
　　　　　　　i:::::/｀ｌ:::〈　| ｆ::ｃヾ　　　　　　彡,==z,、V|::::::ｌ ;　　　　　　　「あら、なんだか気になるタイトルね」
　　　　　　　|:ｲ !´|:;l ゛ゞﾆノ　　　　　　　　 | l:::c｀ｿﾞ〉|、:::|:
　　　　　　　|ハヾ|:ﾊ　　｀　　　　　　　丶=´　 / :|ﾊ:::|
　　　　　　　　　Vヾ∧　　　　　　　、　　　　　　　/イ:|/ﾊ:|
　　　　　　　　　ヾ:::｀ヽ　　　　　　　　　　　　　　/_／:::∧!
　　　　　　　　　　 V::::::丶　　　　｀　´　　　　.ノ/::::::::/ 　|
　　　　　　　　　　　V::::::::::丶、　　　　　　　´:::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 |:::::::::::ｙ=| ｀　ー　イﾄ、:::::::::::::::/
　　　　　　　　　　　 l::::::| /　＼　　　　丿＼:::::::::;
　　　　　　　　　　　ゝ:::::Y´｀丶＼　／　ﾍ　|::::::;、
　　　　　　　　／´｀´|:::::ﾄ、／　/|　|ヾ　くﾉ |:::::ト　＼
　　　　　　　／　　／ |::::|　ｒ ´｀ヾﾌ´＼　　 :|::::|＼　　＼
　　　　　／ヾ／　　|:::ﾄソヾ／介＼ノ＼ノ|:::ｌ　　＼／｀ー,、

.
963： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:39:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「この都風俗化粧傳というのは『実に婦女子のためには千金にもかえがたき秘蔵の書』と呼ばれて、

　　　　　　　　　　　化粧のしかた、美容の保ち方、果てはきれいになるためのまじないなどが

　　　　　　　　　　　　　上中下と分けられ紹介されている書だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣

　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　 ............................／:::::::
　　　　　　...........:::::::::::／::::::::　─　　　ヽ_
　　　 ...................:::::／:::::::::::: （ ○）　（＜）　　　　　　　　　「おおう、女性陣の目が野獣の眼光になったお」
　　　　　　　　　　 |::::::::::U:::::::　（__人__）
　　　　　　　　　　　＼::::::::::::::::::..｀ ⌒´
　　　　　　　......::::::::ノ::::::::::::

.
964： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:39:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「索引から内容をちょっと抜き出せば

　　　　　　　　　　　『顔の色を白うし光沢を出だし肌膚をこまかにし美人とする薬の方』

　　　　　　　　　　　『目の大きなるを小さく見する伝』

　　　　　　　　　　　『目の小さきを大きく見する伝』……その他多数だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　「なんかそれって……今でも女向け雑誌で
　　　　　　　　　　／　　　＼
　　　　　　　　／　-‐''　｀ﾞ'ｰ　＼　　　　　　　　　　　　　　　特集組まれてるような内容じゃねえかお」
　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　／￣￣ |　　　（__人__）　　　　| ._ｒ､　　　　　 _ｒ､
_／　　　　　＼　　　´ヽ＿/ `　　／ｒﾄ､ヽ＼　　　　ｒﾄ､ヽ＼
　　　　　　　　　ー‐　　　　　ヽヽヽ＼三ヽヽヽ＼
　　ｙ　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽヽヽ　〉　　ヽヽヽ　〉　　　　　「しかもあらゆる年代むけで」
　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　 ├　　　/　三　├　　　/
　　|　　　　　　　　　　　　　　　（　　 <　　　　（　　 <
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ　　ヽ　　　　ゝ　　ヽ

.
965： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:40:22 ID:bMttHh86: 　　　　　「おんなじことを何百年も何千年もやってきたんだよ、人類は、いや、女は。まぁとりあえず冒頭文行くぞ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣　￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ _,ノ　　ヽ､,_ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　(⌒ )　(⌒ )　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.|　（___人____）　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　 .|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'i,　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　r- ､　　　　　　,.-‐　‐-､,,＿,,..-'"ﾄ　 _ , __ 　ｲﾍ､　　　　＿ . -‐ ､
　　　　　　　　　　　　　　ヽ､　＼　　　/::::::::::::::::::::::::::／::;;;;| ヽ､　 ,, ／　i;;;;;ヽ￣￣:::::::::::::::::::::　　　　　__
　　　　　　　　　　　{ ヽ!ﾞヽ. __､　-l｀ヽ ::::::::::::::::::::::::／:::::::::;i　 rゝ"､　　　 !;;::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::i　 __ 　|　.| r ‐j　
.　　　　　　　　　　　|　 |　 ll　 Y´ l　 !----､　 :::::::＼::::／! , '!::::::::∧ 　 /::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::: _´| f 　|__|　 |_|　 |__
.　　　　　　　　　　　ヽ､ﾞ､　||　 |　 |　 |　　‐- ヽ::::::::／:::::::|/　};:::::{　 .V/i:､::::＼::::〉:::::::::::::::::::: f　 |-|　 |　| 　|.|　 |___ )
　　　　　　　　　　　　　｀ﾞヽ| 　``"ﾍ　ヽ　　　 !､:::ヽ::::::::::l　 i:::::::i 　 /:::::::::::::::::〉::::::::::::r'ﾞ￣ |　 | .j 　| ｿ　 .|'　 /￣
　　　　　　　　　　　　　　　 `ー'‐―､_　　　　 /)）ヽ､::::::::::i　|:::::::::|　/:::::::::::::::/::::::::::rr|　　 r'ﾞ　 |'´　 /´　／ ,／

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ　　　　　　　　　　「それでは後半に続きますね～」
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |　　　　　　むぅ
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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夫、本朝は中華諸蛮国にすぐれて婦女子の貞操正しく、姿容夭艶と美しきは、我が御国の風土、余の国にまさりたる功と謂べきなり。

中にも都会の地は、人の言語爽やかに優しく身体の動静より眉造り紅粉の粧い、
いとこまやかに、桃を欺き李に賽る美質と謂いつつべし。

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966： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:40:37 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

中にも都の地は、婦女子の容貌自ら紅粉の色を仮粧ずして、嬋娟とかおよく、窈窕とたおやかなるが上、紅粉の化粧巧手なるが故に
都女郎都風俗とて専ら賞慕う。そもそも同じ天地の間に生を得て、少しの風土は変わりありとも、都会の地に限りて
美人を生ざしめ給い、鄙僻地なりとて醜女を生しめ給うにあらず。

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..　　　　　　＿＿＿_
　　　　　／　―　　-＼
.　　.　／　（●）　（●）
　　／　　　　（__人__）　＼　　　　　　　　「なんか穏やかじゃなさそうな文面だお。
　　|　　　　　　｀ ⌒´　　　|
.　　＼　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　なんて書いてあんだお」
.　　　ノ　　　　　　　　　＼
　／´　　　　　　　　　　　ヽ

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼　　　　　　　　　　　　「都の女は化けるのがうまいんであって、都に美人ばっかり産まれて
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）　　　　　　　　　　　　　　　　田舎にはブスしか産まれてないってわけじゃない、って話だ」
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

.
967：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:41:03 ID:XeSfx.W.: 今も昔も変わりませんなあ
968： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:41:05 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

都会の地の婦人は、其顔に応ずる化粧を施し、身格好に合う衣類を着するが故に醜き女も美質見ゆるものなり。

また鄙僻地の婦人は生質容色妖艶とも、紅粉の化粧悪しくして其面皃に応ぜず。

衣類に奇羅を飾り、数百金を費やしたりとも、模様・地色の好み、其人に合わず、衣服の着様そろわず、身の動静のつきづきしきがゆえ
あたら美質も醜く見ゆるものなれば、紅粉の仮粧、身の動静の巧手不巧手によるがゆえなり。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　「これも同じようなことだな、ただ、もう少し突っ込んで
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´　　　　　　　　　　　　　　『都の女は自分にあった身だしなみをするからブスでもそれなりに美しく見える、
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_　　　　　　　　　　　　　　田舎の女は美人でも自分に合わない格好をするから醜く見える』
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }　　　　　　　　　　　　そういう風に多少具体的に言ってる」
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　／　　 ─　　 ― ヽ
　　　　　　／　　（ ●）　（ ●）'　　　　　　　　　　　「やらない夫、言い方」
　　　　　　|　　　　（__人__）　　|
　　　　　　＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
　　　　　　／　　　　　　ー‐　　ヽ

.
969： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:41:44 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |　　　　　　　　　　「田舎の女が都にすんで一二年もすれば
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　たちまち美人にみえるようになって、良縁にもめぐまれるようになる。
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　だがこれは都に住んだから低い鼻が高くなったわけでも
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　背が伸びたわけでもなく、自分にあった化粧や
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,　　　　　　　　　　　　　　見せ方を理解するようになるからだ、ってことだな」
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

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其一つを謂わんに、僻地の婦人、都会の地に出て一とせ二年住みなれて古郷へかえればにわかに容色よく見え
都女郎になりたりと人こぞって賞美、媒介をたのみ赤縄をもとめ、はからざる立身出世する人世に多し。

これ都へ出たりとて、低き鼻の高うなり、短き脊の長うなりたるにはあらねど、紅粉の仮粧、容の動静にて
低き鼻を高うみせ短き背を長う見する伝を知るが故なり。

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　　　　|　　|　　　|　　 ./　　　　　|.|　＼　＼　　　　ヾヽ.|
　　　　/　　|　　　|　　/　　　　　|.|　　　＼　＼　　　 |＼|
　　　　| 　 .|　　ﾊ　 /. 　　　　　|.!　　　　＼　＼　　 |入ヾ、
　　　　|　/ |　　|::|./ー―-、...........||:::::::´￣￣ V　ヽ　 |　 |　ヽ
　　　　|/|　|　　/:::|ｋｒ---ﾄ、:::::::::::::::::::::ィ----ハ　　| 　|　ﾉ
　　　　　 V　　,':::::!|ﾊヽ____,,!:::::::::::::::::::::::ゝ____ﾉ::: V　| 　|ノ
　　　　　　|　　|ヽ　:::::::::::::::　´　　　　｀::::::::::::::::::　|V,'　 |::|　　　　　　　　　　「言い方」
　　　　 .|　　|.ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 .|::|
　　　　　　 ',　 |:　∧　　　　　　　!　　　　　　　／|　　 .|::|
　　　　　　　Vヾ　　|丶、　　　　　.　　　　　／:::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 | 　 |:::::::＞、　　　　　,　イ:::::::::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 |　　|::::::::::::::|　｀　-　´　　:lー＝ |　　 .|::|

.
970： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:42:15 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　「で、この書を読めば化粧の仕方や身だしなみの整え方、
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|　　　　　　　　　　　　　有益なまじないまですべてがわかる、というセールストークに
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　続くわけだ。買うかい？」
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　　　//⌒ゝ＜ l　　　　　　　　}＜=＞ヽ∧
　　　　　　　　ノ/　　/　　｜　　　　　　　,　　　　　＼､
　 ‐====≦_.｡s≦　　/　　 i|　　　　　　　/　　　　　　　＼
　 }　　　　 { 　　　 /　　　 i|　　　　　 ,　　　　　 }　　　＞｡.
　 }　　　　 |　　　　 ,　　　　｜　　　　 ,　　　　　 |　　　　　 }
　 }　　　　 |　　　　,　 l　　　i|　　　　 /　　ｌ　　 i|　　　　　　,
　　，　　　i|　　　 {　 |　　 i|　　　　　/|　　 |　　 i|　　　　　 }‘，
.　　　　　　|　　　 |　 |　　八　　　　/　　　 |　　 i|　　　　　 ,　 }
　　 ,　　　｜　　　ｉ|　 |------ ､　　 {　l----廴＿,　　　　 ,　 }
　　，　　,　　　 |´ i|　　　　|　ヽ　 |　|　　 /　　 } ｀　　　　 ,}　　　　　　　　　　　「言葉の暴力ともいうべきセールストークでありますが
　　ﾊ　　　,　　　　㌢笊芋示　　＼! ｉ| ,ｨf芋笊ﾐx　　　　 /,}　 }
　　 {∧　　,　　　ゝぃ//(　　　　　　{/ ぃ//(　/ 　　　 ,′,　 }　　　　　　　　　　　　　　つい買ってしまいそうな気もするであります」
　　　{,'∧ 　　　　 ,　乂)少　　　　　乂)少 ,　　　　 / }/}　 }
　　　{/li∧　　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　,′ 　　 /,} }/}　 !
　　　v { /ﾊ　 ‘，　　i{　　　　　 ,　　　　u.　 ,　　　 ‰!} ∨ﾊ_}
　　　ﾏ,/　，　‘，　父　　　　　,　､　　　　　/　　　／ ∧}　∨,/
　　　　 7　　 ,　八　　 ,　　　　　　　　 /　　／l/∧__}　　V{
　　　　 ,　　　〈, }　＼　', 　 }＞　　　＜{ , 　／　 !///∧　　 l
　　　　　　 //}　　　ヽ , 　|二=≧≦=二|/ ／|　　 |∨//∧
　　　　l　　 ///!　　 !ｉ　＼/　 /r ,∨　　／､｜　 |i ∨//∧　　,　　　　　　　　　　　　　「ということで前半は終了であります」
　　　　　　＼_|　　 |　｡s〈　 /_{{}}=∨　　　ｱ_|　　 |　 ∨_／
　　　 ,　　　 ____,|　　 |二ニニﾆ,乂}二ニニニニ|　　 |二ﾆ=‐
　　　/γニニニ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |ニニニﾆﾆヽ　，
　　 ,　 {二二ﾆﾆ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |二ニニニニ}　 ,
. 　/　 i|二二ﾆﾆ|　　 |　} {　　　　7/　　ヽ‐==,|　　 |二ニニニニ| 　 ,

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971： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:42:35 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
　　　　　　　┏┛|￣　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　￣|┗┓
　　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
　　　　　　　┃|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　　　　　　　　 |┃
　　　　　　　┃|＿.　　　　EP：53　ドイツもこいつもフランスも好き勝手言いやがって　　　　.＿|┃
　　　　　　　┗┓|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿|┏┛
　　　　　　　　 ┗━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┛

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～京都駅～

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　～解説篇　前編終了～

　　　　　　　　　／: : ｨ: ´ﾊ: : : ﾍ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　 /:/: :/　ヽ:.∧: : ﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　 /:/: :/　　　＼ﾍ: : :',: : : :i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}
　　　　　 /:/: :/　　_,_ 　　ヽ:∨: ﾏ: : |: : : : : i: : i: : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　 /:ｲ: : i　〃´　　　　 ∨ﾏ:',: : |: : : : : |: :.|: : : : : : : : : : : : :|
　　　　 ,'ｲ/: : :r"　 , ｲ≧､　　ヽﾄ:ﾊ: ﾘ: rヽ: /: :ｲ: : : : : : : : : : : : !
　　　　　 !ﾙｲ: : i 　 ,ｲﾘゎﾉ　　　 'ﾊﾙ:/:/ﾍﾊ: : ｲ: : : : : : : : : : : : :,'
　　　　　|'ﾚﾄ:.ﾄﾊ　　乂ﾉ　　　　　 'ハi:./ r,　|: :./: : : : : : : : : : : :./
　　　　　　' ! 'ﾍ: :.}　　　´　　　　　 'ﾚ　　/: :/: : : : : : : : : : : : ;'
　　　　　　　　　Y　　　　　　　　　　　　' r／: :,ｲ: : : : : : : : : : : : ;
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　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　　　／: :ノﾉ |: : : : : : : : : : : :;'
　　　　　　　　　　ヽ　- ´　　　　／≦←―'|: : : : : : : : : : : ,
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　　　　　　　　　　　｀_イｸ. . . . . . . . . . ;. ﾍ: : : : : : : : : :.|
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　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'. . . . . . . . . . . . . .!. . . }: : : : : : : : : :',
　　　　　　　　　　　　　,ｲ. . . . . . . . . . . . . . .i. . . ..|: : : : : : : : : .ﾍ
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972： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:44:15 ID:bMttHh86: いったん中断します。
続きは次スレで行います。

たぶん日付が変わってからの再開になりますのでお待ちになるのもあれかなぁ。

http://bbs.yaruyomi.com/test/read.cgi/ban/1543403093/
973：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:44:50 ID:XeSfx.W.: 乙でした！
974： ◆zbB4e8kEV6：2019/04/21(日) 19:59:50 ID:c9/ToAQE: なんとか4/23未明に投下できそうな気がしています。
975：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 04:07:40 ID:BUwPrS6k: 菅谷晴大茨城
976：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 04:10:45 ID:BUwPrS6k: 酒寄健一
@46nogama
某大型車系ﾃﾞｨｰﾗｰに勤務の不良中年活動家ですf^_^; 以前はｲﾝﾌﾟﾚｯｻWRXを乗り継ぎｽﾊﾞﾘｽﾄでしたが突然のﾗﾝｸﾙ77に代替えでトヨタ党への移籍(；∇；)/~~ ﾗﾝｸﾙの荷室には常時ｷｬﾝﾌﾟ道具満載状態であります
茨城県桜川市
977：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2021/12/21(火) 10:13:47 ID:BUwPrS6k: Kei@FightersKing
@Fighters_King_
KOFASにおいてギルド FightersKingのギルドマスターをしています！KOFASをプレイされてる方を中心に広く交流できればと思ってます。よろしくお願いします！ギルドご加入希望の方はご連絡を☆