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やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです【10輌目】

1： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 20:20:04 ID:Yp41p5.k




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　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　 　 　. 　　 ￣|┃
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　　　　　　┃|＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿|┃
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／^＜7　　　　 　 /⌒＞⌒ﾏ＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　r　{　　　　　　,　　 ,　　　＼　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 r‐==≦　　　 /　 ,　　　　　 /　　　}　　 　 ＼､
　　　　　＿＿＿＿＿＿＿_ 　 　 　 　 |　　 |　 　 　 |　　 ,　 　 　 /　　　｜　　　 　 }､
―┬‐‐[　　　　　　　　　　　] ＿　　 　i|　　 |　 　 　 |　 　 ,　　　 ,　 　l　 i|　　 　 　 ,　＼
＿｜　|　二二二二二二二__ｌ　 |＿ 　 |　　 |　 　 　 |　　　,　　　ﾊ 　 il　 i|　　　　　,　 　 }
[＿　　＿＿＿＿＿＿＿|＿　　　＿|　　　　 ,　　　　|＿__八　　i| ｉ}＿,|＿,!　　　 　，　　 ,
　　|　 | [ニニニニニニニﾆ]ｌ　　|/￣ヽ , 　　，　　　i|x==ミ　',　 |　,ｘ==ミk 　 　 　 ,　　　,
￣　￣ 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　||　 　|　, 　　，　　 《 ん ﾊ 　＼| 　 ん ﾊ 》 　 　 /　 　 ,
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|　　||　　 |　 ,　　 ，　　ﾊ 以シ　　　　　以シ ｌ　　　//{　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　,　 从 　 从　　　　　　　　　 　 |　　 / {ﾊ∧/{
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 | 　 ‘， 　 ，　入　　 　 ' 　 　 　 　 | 　 /! ∨///|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　 , 　八 　 | 　 　 ´ ｀ 　 　 ィ　|ｉ　/ |i /〈＜
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　ｌ 〉　 l ヽ i　　　　　　 ィi〔ﾆ{　i| ‰ i!//∧　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|ゝ‐≦　 　 | 〈ﾊ｜　＼　 　 {=爪二二ﾊ ｉ|　　｜///　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　 　 |ｉ　＼!　　 |　　/　/笊|　　 　ｉ|　　｜／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　 　 |＿___|　　 |ﾆ=≧≦{}} =‐=≦!|　　｜≧s。 ｉ|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　__　　　イ二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニﾆ,≧s
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|/　 ヽ　{二二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニニニﾆl

このお話は、やる夫、やらない夫、三浦　あずさがのんびりと各駅停車の電車で

鉄道唱歌の歌をなぞる旅をしながら、色々な人たちと出会ったり別れたりする

バイオレンスとかアクションとかとまったく無縁なだらぼの系のお話です。



.
826： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:43:14 ID:bMttHh86



　　　　　　「このように、この地方では遥か昔から水銀をほっていたわけだが、

　　　　　　　　　　　大和朝廷の勢力下に収まるまではその用途は極めて限られていた」


　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　 　 　 ⌒　ヽ､_　 　　＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●）(● ）　　 　 |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （_人＿)　　　　｜
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　 　　 |　　　　 　 　 |　　　　　　　　　　「国内では呪術などに使用する程度で、
　　　　　　　　　　　　　　 　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　 　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ　　　　　　　　　　　その多くを大陸に輸出していたものと思われる」
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　 　 　 　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　 　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　 　 　 　　　　 ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　 　 　 　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i



　　　　 　 　 　 　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　 　 .||　 ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　 　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　 　 |: :./: /: :// /'　　 　 　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　 　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　 　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　 　 　 　 　 ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た ｀∧: ﾄ､: :|　　　　　　　　　　「大和朝廷って、今の皇室の原型だったかしら？
　　　　　　　　　 ﾚ |:./ ' 弋歹 　 　 　 　 　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　 　 　 　 　 　 ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾊ:レ'!'　　　　　　　　　　　　　　　その前は別の支配者がいたということね」
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　 　 　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　 　 　 　 　 |:', : : : ＼　　　　　　　　 ／/: :./: !
　　　　　　　　 　 　 |:ﾍ: : : : ',: i＞ ､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　 　 　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞ ､　｀≧､
　　 　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　 ／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |


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827：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:43:19 ID:XeSfx.W.
ある意味神秘的かもしれんが

828： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:43:43 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　「弥生時代にはこの地には大陸の丹越あたりからの渡来人が

　　　　　　　　　　　　　　　　　暮らしていたと考えられてる」


。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。



　　　　　　　　　　『あら、なんだかここ素敵ポイントみたい』

　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 -=‐--　､
　　　　　　　　　　　　　 　 ´　　　　　　　　｀ー　､
　　　　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　ヽ　 　 (｀Y´)　　　　【天照大神】
　　　　　 　 　 　 　 '　　　　,ｲ　　 　 ﾊ　 　 　 　 　 ',　 　 ヽ´
　　　　　　　　 　 /　　 　 /　!　　　 ′',　 i　　 　 　 i
.　　　 　 　 　 　 ′　　-/‐ │　　/‐- ､.　ｌ　　　　 　 ,.-' ´￣｀ｰ ､
.　　　　　　　 　 !（ Y　 /　　 i 　 / 　 　 ∨　! 　 　 ,.'　　　　　　　 ＼
.　　　　　　　 　 ! (_i　iﾉ ｉ| 　 i　/　　 ｉi 　 ヽ!i 　 　 '　　　　 ヽ　 　 　 ヽ､
　　 　 ┌‐―-圦　ゝ､i　!! 　 ﾚ′　　ｉ|　　　ﾘ...　　l　　　　　人　　　　　 !
.　　　　 ＼　　ヽ ｀ヽ i′,,,　　　 　 　 　 　 /　/......!　　　　　ハ､ヽ　　　 i
　　　 　 　 ＼ 　 ＼.込　　　　　 　 　 '''　/　/´）.ﾞi　　　ﾉ∠ - ､｀ー､､　|
. 　 yr‐‐-―=ヽ.　　＼r＞､._｀´ 　 　 　 .斗-ｦ´.....!　　ミｲﾆ'つ　 ﾊﾆﾗ）ﾘ
　 /　＼___ 　 　 Ｘ　　 ゝ、　「¨1 r‐三.ﾞ　／....　　l　ハ　i　　　　 !　 / ｲ
　 ＼ 　 ＼￣￣￣｀十ｰ¨ｰ└三=ｒ‐┴ ┴i.〃....　ﾘ　 ヾヽ=ソ　 _'　ﾉ /
　　　＼　　＼　　　　i＿＿＿｣ 　 !＿＿___i ｀. ｒ　 !　ﾉ　　i　ヽ _ ／ｲi
.　 　 　 ＼　　＼　 　 i　 　　ｦ===.!　　　　〉ｉ　ヽイ　　　　!　　 !　 ｲ ソ
　　　 x=二X＿丿 　 人　　　! 　　 '.　　　/i}ｉ.....　i　　　_ ﾉ;;;;;;;;;;;i_ ﾊｰ'
.　 　 乂!　　 　 　 　 ゝ､＿_ノ .::　 　ゝ､_丿　!. 　 レ≦;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;≧ｰ-､　　　　　　　　『じゃ、ここに鎮座しますか』
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　 ﾞﾞ'';;';;';;''"　　 ;;;ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 i;;;;;;　　　　　 　 ;;;;;　　 　 ヽ!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 !;;;;;;　　　　　　　 ;;;;;　　　　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 !;;;;;;　ｲ ､ 　 　 　 ;;;;;　 ､ _ ィ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 i　　　ﾄ.　　､ 　 ノ ;;;;　　 i　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 !　 　 ! ヽ　　　　　 ;;;;　　!　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　|　　' ,　　　　;;;;　　i　 |　　　　　　【倭姫命】
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l　　　l 　 　 :　　　　;;;;　　',　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　 　 i　　　ﾉ　　　　;;;;　　 V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l　　　!　　,.'　　　　　;;;;　　　'､

是神風伊勢國 則常世之浪重浪歸國也 傍國可怜國也 欲居是國

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ


　　　　　　　　　　　　　　　「倭姫命が五十鈴川の畔に天照大神を鎮座させ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　伊勢神宮を作った時、事実上この地は大和朝廷の勢力下になったと考えていいだろう」



.

829： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:44:17 ID:bMttHh86



　　　　　　　　 　 ／￣￣＼　　　　　　　　　　「ちなみに、伊勢神宮ができたのは六世紀ごろだという説もあるが、
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)　　　　　　　　　　　　そのあたりの詮索は本筋から外れすぎるうえに泥沼なのが
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　u.　 　　　_.ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　目に見えてるので、ここは伊勢神宮の内宮の公式見解
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　『垂仁二十六年』が伊勢神宮のはじまりとしておく」
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|



　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼　　　　　　　　　　「そのあたりの議論をしたい人はよそでお願いしますだお」
　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／　　　　　　　　　　　　　　「すまんな」
　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼


.

830： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:44:48 ID:bMttHh86


　　　　　　「ともかく、この丹生の地で採掘される水銀の国内需要が爆発的に広がったきっかけは仏教の伝来だ」




。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。


　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ系圭I圭I圭ﾄ、
　　　　　　　　 　 　 　 ,ｨ}升圭圭圭圭圭圭へ
　　　　　　　　　　　　ｨ}升圭圭圭圭圭圭圭圭ﾄ、
　　　　　　　　　　　.ｨ圭圭圭圭圭圭圭圭圭I圭ﾊ
　　　　　　　　　　　|圭/≡＝＝＝ー＝＝＝≡ﾍｦ
　　　　　　　　　　ヘ|iｦ　　　　　　 　 　 　 　 　 ﾏﾍ
　　　　　　　　　i　万ｦ　　　　　　　○　 　 　 　ﾘﾍ|
　　　　　　　　　|　i iｦ　￢-　_　_　　 _,.　-　-　 !　!
　　　　　　　　　 i　J　　ﾍ弋ｯ ヾ ゝ　'´弋ｯ,´´　! !
　　　　　　　　　　i　　　　`─　'　　l　　`─ '　 ! !
　　　　　　　　　　i　　i　　　　　　　l 　 　 　 　 ! !
　　　　 　 　 　 　 i　　i　 　 　 　 《　 ,　　　　 .! !
　　　　　　　　　　 t　 ト　　　　＿二＿　　　/ /
　　　　　　　　／￣入┤＼　　　`─ '　　　/_/
　　　　　 /￣/　　　i　|　　::::＞　＿　　＜:＼　＼_　_
　　　 　r-┤│ 　 │　|　　　::::::::_　─　─　､　　　＼＼ヽ　_　_
　r─　/　/　/　　│　│　　／,.´-　´　￣　＿丶　　ヽ　　　　　丶
　　　/　　'　'　　　 | 　　| ／　　`　─　￣　　＿` ヽ　､
　　/　　　///　　　ﾘ ／ 　　　　´　,　ｨ　￣　　丶　 ヽ i 　i
　 /　　　///　　　／　　　　　　'､=　　-　　´　`フ　 　 ',　i
　　　　　　　　　 /　　　　　　　　　　´,.　ｨ　￣　　丶　 .ヽi
　　||　　　|　　 /　　　　　　　　,.　-　 /￣丶_ `　　　　　∧
　　　　　　 　 /　　　　　　＞ ',　 　　/ 　　│ `､ 　　　　　∧　　　　　　　　　【立川のパンチの方】
　 　 　 　 　 /　　　　　／　　　', 　 /　　　│　　､ 　　　　　∧
　　 　 　 　 /　　　 　 / 入　　　　/　　　　/　　! ',　　　　　　∧

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



　　　　　　　　　　　 「仏教伝来後の日本では、奈良の飛鳥を中心としておびただしい数の寺院、

　　　　　　　　　　　　　 そして仏像が作られるが、材木の防腐剤として、

　　　　　　　　　　　　　　　 また仏像の金メッキの接着剤として水銀が用いられる」


.

831：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:45:07 ID:XeSfx.W.
ええんやで

そのへん語り始めると収拾つかないしね……

832： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:45:18 ID:bMttHh86



　　　　　　　「そのころになると、軽粉の薬品としての利用価値も認知され、

　　　　　　　　　　　　　丹生での水銀の生産は大いににぎわうことになる」



。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ系圭ﾄ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ}≧＝＝へ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｨ圭圭圭圭圭圭＼
　　　　　　　　　　　　　 　 ,ｨ升圭圭圭圭圭圭圭ﾊ
　　　　　　　　　　 　 　 　 {圭!/´　0　　 ／　｀ﾏ//ﾊ　　　　　　　　　『偶像崇拝禁止してたんだけどなぁ』
　　　　　　　　　　　　　 　 |/ﾏ ＼_　　X..こ.　　 ﾏヲ}
　　　　　　　　　　　　　　　|/{ こ＞:　 　´￣｀　 .ﾘ　|
　　　　　　　　　　　　　ニ. Ⅵ ⌒´ :!　　 ￣´U　/ノ|
　　　　　　　　　　　 二.　　 N　　　:|_　 　 　 　 i 　 |
　　　　　　　　　　 ≧ﾆ　 　 |∧　　 r‐‐ﾍ　　.／!　 l|＼
　　　　　 　 　 　 　 ／　　　|　i{＼　ー‐'　／: :人__ﾉ::::::＼
　　　　　　　　　　 　 ／// 人ノ: : :＞r-＜: ／: : :〉:::::__／{
　　　　　　　　　　　　　　 〈:::::::＼/: : .!: : : :i{: :/:./::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　　　　　　　 /＼::::::::＼: |: : : :l|/／!:::::::::::::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　／＼:::＼:::::::::＼: : :l|　　|::::::::::::::::::::::::::

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



　　　　　　　　　 「ゴールドラッシュならぬ水銀ラッシュかお」



.

833： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:46:05 ID:bMttHh86




　　　　　　　　　　　　 　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 ｀,　　　　　　　　　　　 「水銀を算出する丹生の横を、川俣川（現在の櫛田川）が流れている。
　　　　　　　　　　 ｌ　 　 　 　 　 　 　 i
　　　　　　　　　　 | 　 　　_＿　ﾉ　___ 〉　　　　　　　　　　　　 その川を十五キロほど下ったところに射和という集落があった」
　　 　 　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー ､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　 ヽ i/,j////∧､_＿
　 ／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　 　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
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.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【 射和 】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　 「いざわ」と読みます。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　　　 現在の三重県松阪市射和町になります。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　 　 　 　 |＿＿{
. 　 　 　 　 ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa


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834： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:46:33 ID:bMttHh86


　　　　　　「丹生で採れた水銀は川俣川の流れをくだってこの射和に運ばれ、ここで加工を施されて軽粉が生まれる」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「というのは、この射和には、水銀加工に欠かせない
　　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _r-,　　　　　ある種の鉱物が豊かに存在していたからだ」
　 　 　 　 　 　 　 　 　 （●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　 　 　 (__人＿）　　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 |　| |　|　| |
　　　　　　 　 　 　 　 　 '､｀⌒ ´　 　 　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　 　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　 　 　 ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　 ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　 　 ／ ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　 　 ／ : : : ゞﾆ二彡
　　　 　 　 　 　 　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　 　 　 　 　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　 　 　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　 ／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣ ｀-ｰ‐'"





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　＜////////＞ ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　////////　‐-　､////＞､
　　　　　　　　　　　　　　　　,ヘ　　/////////////////＼//// ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　＼///////////////////＼////ﾊ　　　　　　　　　　　　「ある種の鉱物？」
　　　　　　　　　　　　　　　　|　 ////ヽ＼　{⌒＞‐- ､////////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　|　i//////,ヘ ﾚ´　　　 　＞ ､./////////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ {//////レ´　　　　　/´　 ﾆ≧､.///////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　|//////|　　　　　　　 　 ｲ弋 ヾ ＼//////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　|//////|　　, -　　　　　　　ヾノ　 .∨/////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　 八/////i　/　　ﾆ　　　　　　　　　　 ∨/////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　.　 ∨////∨　/弋 ヽ　　　　　　　　 　ﾏ/////ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨///ﾊ　 ヾ `ｰ'　　　´ 　　　　　　 }//////∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨////＞　　　　　　 　 　　　　　/ﾘ///|///∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　八//////ゞ_ヽ　　　　　⌒　　　/　 |//ﾉ///ｒ‐=‐-ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ノ ￣　　ｱ ヘ　＿　＿　／.　　N/　￣　７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨　　 　 ´`ヘ///////＼　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　;,ｲ　} --‐=ｖ'´　 }　　　　 　／/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　/　　　　　/　し　{ 　Y　　　　　　　 ／　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　7　　＼　`ゝ　　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i　　　　 ｿ ／　　　ヽ彡　　＞　　　＜


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835： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:47:01 ID:bMttHh86



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釜の高さ三尺、四辺に切り石を以て地面を五六寸ほども築き上げ置きその上に釜を築くなり
釜のうちにも切り石を敷き、左右に柱のごとき長き石を竪に置く、これは木をその上に横たえ火の焚きやすきためなり
だいたい火焚き様瓦を焼く釜のごとし。最初釜の奥の方より焚きつくべし。

この鍋の中に差し渡し一寸五歩くらいの穴を作るなり。
この穴を作るは灰吹きのごとき口の差し渡し一寸五歩くらいの竹を長さ七寸ほどに拵え
鍋の中に立ち置き、その四辺を赤土の少し子まりあるに塩を入れざるものにて詰めおきその竹を抜き取れば穴となる
この穴のうちに赤土の子まりなきもの一升、塩三合、右の通合せたるもの一大匙つつ入れるべし。

その上に水銀掛目五分を入れる、水銀はこの形のごときものを竹にて拵え鍋の口まで子まり少なき赤土を入れるなり
二十四の鍋に土や木の器を蓋にする炭消壺のごとき焼きなり。
右のごとく惣て拵え立て　焼くなり。
薪四貫目を度とす。
火の焚き方最初奥の方より焚き付け、万辺に火の回るを第一とす、瓦を焼く法のごとし、一日に二遍は焼けるものなり

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　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　 ＼
　 　 　 　 　 　 （●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　 　 　 　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　「これは江戸期ごろの軽粉製造の行程の一部だが、
　 　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　 この中にある『赤土』と書かれているのがそれだ」
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　 　「r'、　　　　 ／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　 Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　 ＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|


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836： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:47:34 ID:bMttHh86



　　　　　「射和町の東北にある小高い山、その名を『朱中山』というが、

　　　　　　この山はもともとは『砂赤山』と書いて『スナアカヤマ』と呼ばれていたという」


　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜　　　　　　　　　　　　「この山の土はその名の通り赤く、この赤い土が
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´　　　　　　　　　　　　　　　水銀から軽粉を作るのに欠かせない原料となっていた。
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_　　　　　　　　　　　　　　ちなみに水銀加工の際は『実土』という符丁で呼ばれていた」
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '




.　　　　　　　　 　　　　 　　-── -　 _　　　　　　　　　　　　「川を下ったところに加工に重要な材料があるなんて、
..　　　　　　　　 　　　 :'"::::::::::::::::::::::::::::::: 丶､
..　　　　　　　　　 ／/:::::::::::xヘﾍ＼::::＼::::::::::＼　　　　　　　　　　　いい具合ね」
..　 　 　 　 　 　 /:::/:::::::::::/'⌒⌒' :丶:::::＼::::::::::ヽ
...　　　　　　　　,':::/::::/:::::/　　　　 l:|　＼::::丶 :::::::'.
.　　 　 　 　 　 ::::/::::/::: /　　 　 　 !|　　 ヽ:::: ＼::::l
　　　　　 　 　 |::,'::::/l::::,' -―　　　 ﾘ-―‐-':;:::::: ヽ|
　　　　　　　　 V:::/:::!/|　　-　　　　　‐　　　';::ヽ::::';
.　　　　　　　　/::/::: |:N　_＿　　　　　ｨ==-、 }::い :|
.　　　　　　　　|::ﾊ/＾{:|〃´⌒`　　　　　　　,,　ﾊ|∧:l
　　 　 　 　 　 |,'ハ（小.　''　　 　 '　　　　　　ｰ/　 ';!
　　 　 　 　 　 |! 　`､:ｰﾍ、 　 　 v　ｧ　　　 ｲ:,′　j|
　　　　　　　　　　　 ＼:::l＞ _　　　　　, イ/:::i
.　　　　　　　　　　　 　';:::|::::r|＞ ｰ '´|::Ⅳ:::::|
r-､　　　　　 　 　 　 　.|:::L:八　　　　|/│::::|
.＼＼　　 fﾍ-―t―ｪェ|:::|<＼＼　／/;>|::::::l＞､
.　 ＼ヽ__ |│ﾍ　 ￣￣.j::∧＼>ｨ介ﾄ<;/∧::::|丶､辷>､_
.　　 /'´ヘl│　'､　　　 .|/　ヽ{￣{{_}￣}/　ヽ:|　　 　 /　|
　　 {　ヘ'.} ∨　∨　　./　　　`7/{{ﾍ匕.　　 丶　　 /　│


.

837： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:48:02 ID:bMttHh86



　　　　　　　　「そうだな、その丹生と射和のコンビネーションで、生み出される軽粉は

　　　　　　　　　　　　　質、量ともにもっともすぐれており、他を寄せ付けなかった」


。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　／":::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ ､　　＼_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣"￣:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::λ　　 '､＼
　　　　　　　　　　　　　　_ , -‐^ヽ､ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ λ　　 ヽﾍ､___
　　　　　　　　　　　　　 /＿_::射和＼:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /./::ヽ､　　 ｿ l＿二ー､
　　　　　　　　　　　　 /__{ }-‐ヽ､:::::::::::::::::::::::::::::::::::::￣"‐､:::::::::_,-､ ∠／:::::::::,ゝｰ'／::::::::::::r__ー､
　　　　　　　　　　　　 |.-‐{ }"´, i|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::＼"ﾞ　　｀ｰ─ｰ'ﾞ _,／／￣⌒ー'　　{__|
　　　　　　　　　　　.　 | --{ }'´_-||　r-＝"二二￣"ヽ:::::::::::::::＼　　　　　　(__ノ　　　　　　　　　　　＿　 /し'i 　/⌒i
　　　　　　　　 　　　 　ゝ-ー‐‐"￣　" 　｀}　　￣ヽ　/::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　　　　,r'⌒''"´　 ｊ /　　/i　|　/ ,..-､
　　　　　　　　　　　 ／　　　　 ＿＿＿　　l､_＝,／::＼::::::::::::::::::::::＼　　　　　　　　　　　/　　　　　,く（　　 { l　| /´l,､_ノ
　　　　　　　 ,　-‐ '"　　　　／:::::::::::::::::::＼　:￣:::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::＼_　 　 　 　 　 　/　　,, 　 ,ｲ　l|　　/　i'　'´_,,、
　　　 　 ／　__､‐-〃/iー､|:::::::::::::::::::::::::::::ヽ　　::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::| }＿　　　　 　 /　／/　/ ｌ　ｌ|　_｣　し''´　」
　　　／　／　　　　　　　 ヘ::::::::::::::::::::::::::::::|　　ヽ:::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::| |:::::::＼ 　 　 / ／ /　/　l　lレ′|　 ,,.-''´
　　/ ,-‐ "　　丹生　 　/ﾘﾚ＼:::::::::::::::::_ -‐ '"￣"''､,:::::::|::::::::::::::::::::::::::l　|::::::::::::＼_- "′./　 ヽ　レ､ゝ　 |　.|
　 ,-/　　　　　　　　/ }　匸二l〜〜／　　　　　　　　　＼}＼:::::::::::::::::::i　|'⌒｀／"　　　./　ハ　ヽ､　　　..l､_ﾉ
／ /　　　　　　　　 {　l| _ -‐/　二/_　　　　　　　　　 ／/　　＼:::::::::::/ /　 　 　 　 　 /　/　 ヽ　{
　ﾑィ　　_　 　　 _.　｀-'l/ /ｰ′'"ヽ　ヽ__＿＿___ , -, '／　　　　 ＼::/. / 　 　 　 　 　 l　/　 　 ヽ-'
:.:.:.:⌒￣ ﾝ‐‐"ｿヘ _rヽ ｀ﾜ　＿ __ iー-　 ＿ -‐、"　　　　　　　　 / /　　　　　　_ ｰ　ﾚ′─／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.;.:.:.:-‐─ﾍ　ー'ー‐'"　　　　　　　　　　　　　　　　　／／_,-‐ー""´'　 ＼　　　　ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　　　　　　　＼ 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／／〈　　　　　　　　　　＼　　　 ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:/　　　　　　　　　　 l 　　　　　　　　　　　　＿　 -‐ "／　　 ﾍ＼ 　　　　　　 　 　 ＼ 　　 i
:.:.:.:.:.:/　　　　　　　　　　　 '⌒＼　　 ＿￣ー─-─ "~￣　　　　　 ﾍ　＼
:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　　　　　　　　ヽr´　 ￣ ‐- -rー‐-､ー‐-- ､　 　 ﾍ　　＼
:.:.:.:.:.:|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　}　　　＿" ） 　 ﾍ　　　＼
:.:.:.:.:.:.:＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}__ノ=ーi_i二 ／ 　 　 ﾍ　　　　＼
:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀ ー─^ ､__　　　　　　　　　　　　　　　／|　　'ー‐‐｀　　　　 　　ﾍ　　　　　＼
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:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／＿＞　　　　　　 ｀ー '^￣￣　　　　 |　　　　　　　　　　 　　　}　　　　　　 ＼
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ

.

838： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:48:24 ID:bMttHh86


　　　　　「だが、伊勢白粉の最盛期は室町時代で、その後、江戸時代に入ると流通は乏しくなっている」


　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　 （＝）（＝ ）／　´／ /)
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （__人＿） {　 　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　 　 　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　 　 　 | 　 　 　 ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　 　 　 　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　 　 　　 　 ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　 　 　 　 　 　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/



　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ
　　　　　　　 　　 　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `
　　　　　　　 　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　 　 　 　 ／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､　　　　　　　　「あら〜、どうしたのかしら？」
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　 　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　 　 　 　 　 　 　 i: : ;;;: : : : : : :;|
　　　　 |:　 : .: :.: : : :∥.　 |　　　　　　　　　　 |: : ;;;: : : : : : ;|
　　　　 {:　　: : : .:::{: {　＿　　　　　　　,　-＝-} il:;;;;l : : : : : |
　　 　　i:　　: : : : .i: :i'´　￣ `　　　 　 　 　 　 ﾘ.| :;;l: : : : : :;i
　　　　 |:　　: : : : l: :|.　　　_　 　 　 　 　 　 　 　 |:;;l : : : : : ;i
　　 　　i:　　: : :;;;;i: l　 ｨ三､`　　　　　'´ ,ｨ＝ﾐ､　ﾘ}: : : : : : i|
　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏 　 }　　 　　　 　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
　　 　,: : 　　 : :;;;i ;;i{　夊歹　　 　 　　　　ﾏ夊　}｝ |: : : : l |;;|
　 　 /: : :;;;;l : : :;;;;.|i 　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : l :|;|
.　　 {: : : ;;;;;l : : :;;;;|　 _　　　　　　　i〉 　 　 　 　 　 ﾑ: : : l : i|
.　　 |: : : :;;;;l : : :;;;;ﾄ､ | .） 　　　　 　 　 　 　 　 　 ./: : : /ﾋ=‐- ､_
. ,イﾁﾄ､￣仏: : :;;;;;| `i　i　　　 　 　 　 　 　 　 　 / }: : ∥　　 ／ ﾐ､
/　　　 ム　 {: : : ;;:|　{　 ､　 　　-‐　､　 　　　／ 　|: /　　／ 　 　 ﾑ
　　　　　 ﾑ. |: : : :;;|　ヽ､ ＼ 　 　 　 　 　 ,ｨｆ´|　　 |/　　/　　　 　　 }
　　　　　　　 iﾙi: : ﾘ､　　　　丶､ 　_ 　,ｨ彡 } ∥　　'　　/　　　　　　 .{
　　　　 　 　 　 乂　 ＼　　　　　`ﾞY'´　　 / /　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　 　 i'"´　/ /　　　　/　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　　　　｝⌒ 　 　i 　 / /　　　　ﾑ　　　　　 　　ﾉi


.

839： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:48:48 ID:bMttHh86



　　　　「この水銀白粉、今解説した通り、その原料の産出のほとんどを伊勢の国に頼っていた」


　　　　　　　　　　　　 　 　 　／￣￣ ＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　__ノ　｀⌒　　 ＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （●).（● )　　　 |　　　　　　　　　　「江戸時代に入るころにはその水銀がほぼ枯渇し、
　　　　　　　　　　 　 　 　 （__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　 　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　原料の水銀を輸入に頼らざるを得なくなったんだ」
　　　　　　　　　　　　　/　　二 ヽ､`,┘ 　 ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　 ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　 　 　 　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'　　　　　　　「そうなると当然のように丹生も射和も衰退していく」
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　 　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　 　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|


　　　　　　　　　　　　///// 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　 　 　 {_
　　　　　　　　 　 　 / ∨^{ 　 　 　 　 　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　 　 　 　 　 　 /　/　｜　　 　 　 　 f　　￢-ミ,　|　 　 　 /　　　　 }　,
.　　　　　 　 　 　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。 ｜ 　 　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　 　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　 　 　 　 /　/　　　　　　∨ﾍ　 　 |　|乂i少 　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　 　 /　 {＼　 　 　 　 ∨ﾊ 　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　 　 }　　　　　　「ナウルかな？」
.　 　 　 　 　 /　　 ＼＼　 　 　 //,∧　ｉ|　|　　 　 　 　 　 vﾘ}/,　,　 　 /
　　　　　 　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　 　 __　　 从/　　 /
.　　 　 　 /　　/　　／///|⌒∧^　　 　ｉ|　　 　 　 　 ゝ '　 % ,/　　,/
　　　 　 /　　ア777///＞|　　∧　　 　 | ＼　　　　　　　　　/　　,/
.　　　　/　 ／/////／　 i|　　 ,∧ 　 　i|＿ ＼　　　　／}　/
. 　 　 /　　∨///／　　　i|　　　 ∧　　 |//}＿ ≧=‐く　 } / 　 /
　　　/　　　≧=≦　 　 　 |　　　　∧ 　 |⌒}二_}　　　　 i}/ 　 /
　　 /,　γ=====―　　＿,|　　　　i|∧　i|￣}二{{　　　　 /{
　　,　　/二二ニニニニニl 　 　 　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　 　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　 　 　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　 　 　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
/　　　|二二ニニニニニﾆl　 　 　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼


.

840：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:48:59 ID:omUs3vOM
丹生に射和、ご近所なのに知らない歴史ばかりだわ、１様流石

841： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:49:09 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「ただ、幸いにも水銀を加工する技術は逸失しなかったので、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 加工は相変わらず伊勢国で行われた。
　　　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　⌒´　 ⌒　　　　　　　 だから『伊勢白粉』の名は失われなかったんだろうな」
.　　　　　　　　　　 ｜　 　( ⌒) (.⌒)
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　 　 |　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　 　|
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
　　　　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　 　 　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ　　　　　　　　　　　　　 「伊勢白粉は結局戦後までその存在を維持し続けたぞ」
　　　　 　 　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |



　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿＿
　　　 　 　 　 　 　 ／ 　 　　　＼
　　　 　 　 　 　 ／ 　　⌒ 　　⌒＼
　　　　　　 　 ／　　　（ ●）　（ ●）＼　　　　　　　　　　「お？それなら鉛白粉よりは長生きしたのかお」
　　　 　 　 　 | 　 　 　⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／
　 　 　 　 　 /⌒　　　　　　　　 　 ヽ
　　　　　　　| 　 ヽ＿＿　　　　　＿　',
　 　 　 　 　 :､＿　 　　　） 　（￣ ＿丿
　 　 　 　 　 | 　 ／ ￣｀ｉ　　／￣ 　｀ｉ
　 　 　 　 　 |　　　　　　| 　 　 , 　　　|
　　 　 　 　 ∧　|　　 　 |＿_／ 　 　 /
　　　　　　　　｀ーヽ ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　（＿＿） 　､＿＿）



.

842： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:49:33 ID:bMttHh86



。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。


.　　 　 　 　 　 ┌─────┐
.　　 　 　 　 　 │　 　 　 　 　 │　　　　「水銀採れたで〜、買ってクレメンス」
.　　 　 　 　 　 │　　大陸.....　│
.　　 　 　 　 　 │　 　 　 　 　 │
.　　 　 　 　 　 └─────┘
　　　　　　　　　　　　　↓
.　　 　 　 　 　 ┌─────────┐
.　　 　 　 　 　 │　 　 　 　 　 　 　 　 　 │
.　　 　 　 　 　 │　たぶん大阪とか　　 │　　　「船で到着したから京に送るやで〜」
.　　 　 　 　 　 │　 　 　 　 　 　 　 　 　 │
.　　 　 　 　 　 └─────────┘
　　　　　　　　　　　　　↓
.　 　 　 　 　 ┌─────┐
.　 　 　 　 　 │　 　 　 　 　 │　　　　　　　　　「これはお高うつきますわー」
.　 　 　 　 　 │　　　京...　　│
.　 　 　 　 　 │　 　 　 　 　 │.. .←───┐
.　 　 　 　 　 └─────┘.　　　　　 　 │
　　　　　　　　　　　　　↓　　　　　　　　　（加工）
..　　　　┌────────┐　 　 　 　 │
..　　　　│　 　 　 　 　 　 　 　 ├────┘
..　　　　│　　　射和.　　　　　 │
..　　　　│　 　 　 　 　 　 　 　 │
..　　　　└────────┘



〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ


　　　　　　　　　「丹生で水銀が採れなくなったあとは、輸入された水銀が京に届けられ、

　　　　　　　　　　　　　　　京から伊勢に送られ、加工されて再び京に戻ってくるという流れとなっていた」



.

843： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:50:04 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　/"',　　　　　 , r,'
　　　 　 　 　 　 　 　 / ∧;　　　　／,〃
　　　　　　　　　 ,. -y ./　',!￣　‐'‐-ﾑ
　 　 　 　 　 ／: : : {　i'　 ,y: : : : : : : : ＞,
　 　 　 　 ,ｲ: : : : : :i　{／: : :／: : : : :/:ﾍ:､:ヽ
　　　　　/: : : : : : : 'v': : :/:/: : : : : : ｲ:'ハ:':,:ﾍ　　　　　　　　　　　　　「それだけ輸送されたら、確かにお値段が高くなりそうねぇ」
　　　　 ,': : : : : : : : /: :.:/:/: : :./: : :,ｲ:/　'i: :i:.ﾊ
　 　 　 |: : : : : : i: /: :.:/:/: : :./:/'メ-i/ 　 |从: :,
　 　 　 |: : : : : : |i:|: :./:ｲ: : :./://　,」 ≧' ,ﾘﾊ: :,'
　　　　 |: :i: : : :.:||!:‐ｲﾄ{: : :ｲ:// 'ﾍﾊﾋ　　ﾉ　ﾙ'
　 　 　 ∨|: : : : |{ r'　},|: / i/'　　 　｀'　　'､　'
　　　　 ﾊ:.|: : : : ト､ヽ､ |/　'　　　　　　　　 /
　　　　　,∨i: : : |: :<┬ 人 　 　 　 　 ,､7 /
　　　　　 |i:ﾘ: : : !: :.∨　　 ｀ ､　　 　 ｰ' /
　　　　　 |: i: : : ﾊ: :く＞. ､　　r｀=‐ - _/
　　　　　 |:/: : : : ﾄ: : ヽ. .,_二｀^i
　　 　 　 ﾚ: : : :r'｀>､: : :∨＿|ii..|
　　　　　/: : : /. . /∧: : : ヽ. . .rﾍ､,
　 　 　 /: : : /. . //　 >､: : :ハｰ'､i<
.　　　 /: : : /. . . : :＞ｰ . ヽ: :∧. |||ﾊ
　　　/: ｲ: :i. . . .＜. . . .ﾄ. . ..ヽ: ﾍ.|||!!､
.　　/:/: : : |. /. . . . . . ..|ﾍ. . . .∨}. . ..ﾍ
　　i:,ｲ: : : :|/. . . . . . . . |. ﾄ. . . ﾊ,'. . . . .>r､
　　ﾚ|: : : : '. . . . . . . . ...|. ∧. /. !. . . ／. ｡. >
　　' |: : : : {'. . . . . . . . ..!. . .∨. . /／. . .／ﾊヽ
　　 '|: : : : V. . . . . . . . . . . . |. ../　ヽ.／ヽ. . . .!



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ⌒´ ヽ､,＿　 ＼　　　　　　　　　　「だが、需要はあった。
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 （●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （_人___）　　　　|　　　　　　　　　　　公家や御所の上層の人々に用いられていたために
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　{　　　　　　　　　　　　別名を『御所白粉』とも呼ばれるようになった」
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 !､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　{ｬ＜ : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　「r'、　　　　 ／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 } r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {　い､{　 Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|


.

844： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:50:33 ID:bMttHh86



　　　「さて、今ヴィルケさんが言った通りこうなった伊勢白粉、とてもじゃないが庶民の手に届くものじゃない」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 　　 （___人__）　　　　　　　　　 「その価格もさることながら、そもそも品が市中に出回らない。
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,.|　　　　　 　　|　　　　　　　　　　　 この伊勢白粉を手に入れられる機会はごく限られており、
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／　　　　　　　　　　　　　 　民衆おいてはその手段は通常『伊勢詣り』しかなかった」
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、 ／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　 ＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼



　　 _,.｡s≦　　 　 /　　 　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　 ＼
　 l　　 　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　 　 ＼
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　 　 |　　　　|　　　| 八　　　　 　 ﾊ 　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |　　　　　　　　　「イセマイリ？」
　 l　| 　 八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　 　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　 　 ｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈 ｈ//(　 　､,' 　　　ｈ//(　//　 　 　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　 ， 乂^少 　 　 　 　 乂^少 /　 　 　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　 　 ， 　 ∧　　　　　　 　 　 　 　 　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　 人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　 父　　 　 　 ‐　　　　　 父 　 　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　 ＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　 　 ',
. 　/　 　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　 ／　　∨/∧　　　　,
　/　 　 　 ∨|ｉ 　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　 　 　 　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　 　 　 　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　 　 　 　 ，


.

845： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:51:01 ID:bMttHh86


　　　　　　「ほらホライゾン、前に話に出てきた『イセジングウ』への巡礼のことよ」



。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　_, <ヽj~ﾚ'V｀>ﾆ,ｰ- ､
　　　　　　　　　　　　　　,.<ヽｊ~ﾚ'>o > o ´<ﾆﾆ=,ﾐ=ｰ''´￣￣｀ ':ｰ -.､
　　　　　　　　　　　　 , '　 ,> o ﾆﾌ^-ﾞi_jヽXﾞ〜´　 ｀ヽ: : : . . . . . . . . .ヽ
　　　　　　　　　　　 _/-ー=≠＝=ー〜'´　 　 　 　 〉､ ＼::.. : : : . . . . . i
　　　　　　　　　　／::_i'⌒)/　　/　　　／/ ,／　 ／　 ヽ ﾍ:::.. : : : . . . . i
　　　　　　　 　 /::::〃γ'く|　　 |　/ ／,ｨ'／　 ／　| ,|　 　 i::::::. : : : : . /
　　　　　　　　/::: : {{,ｨ廴ノl 　　|/／'/／ / ／　_　|/| ./　 i::::::::／: . ./
　　　　 　 　 /:: ;ｒｰｲ-､ハj,i 　i |/ｔﾃ示､/／ 　 __｀ﾒ j,/ / ,i:::;／: . ／
　　　　　　　i: : i　 　 　 ｀ヽﾍ, i |　ﾋ'り　　　　 ﾏﾐx､ ﾘ /　/:. : : ／ヽ
　　　 　 　 _弋,ヾ三ﾆx、　λ､リ　〃'　　　, 　fﾀり /ｨ'ﾞ ノ::. : : 〈　　 )
　　　　　_/ ￣｀＼─ ノヾ,　ﾞ'i弋　　　 ､　　　 __∠彡:´::::: : : . .ﾉ　 /
　　　 　辷≧､　　 i'´:::::::::},／　| ＞ ､　｀´,イ´　　￣｀ヽ:. :　／　／
　　 　 　 ｀ﾞﾞｰヽ 　 |~'7ｰ'ﾞiｰ-t┘:: :: :: l｀i'ﾞ　_,,-ｯ=ﾆﾐｪｯ'ー'´ ／
　, -一- ､,__,ｨﾀ| _ノ /　 　|. . 弋、　 :: -'}ｨ仁≠---、　 /／
/, -ｰ'´￣⌒ヾﾐ'´　 i 　 　 ﾞi . . . ｀r-辷r'ｆ´　　 __,,,,,,,｀i,/´
ﾐx、　 　 　 　 　 　 | 　 　 i | rγYﾞ'r'ﾌｰﾍ,ｲ三i　｀ﾞ7´
　　　　　　　　　　　| 　　　ﾞi|r'ﾌん'｀ﾞ´ ｀〜乂二ﾐ￣｀i
　　　　　　　　　　　i　 　 　 ﾄん'´. . . . . . . .｀'i｀~ i　,/
　 　 　 　 　 　 　　 i　　　　 | | . . . . . . . . . i. .i . .ン｀:
　　　　　　　　　　　 i　',　 　 |.|　.:::.. .....:::: . i. . . .. . .丿
　 　 　 　 　 　 　 　 ﾞi　',　　 ﾄ| ::::::::::: ::.　 / . ..:::: イ　　＿_
　　　　　　　　　　　　ﾞi.　', 　 ||.:ゝ:::: ::..　/⌒'r〜=- '"´ 　　｀ヽ
　　　　　　　　　　 　 ,ｲ,　　　 |:: ::: : .／(, ＞'"´　／ 　 　 　 　i'"´｀ヽ
　　　　 　 　 　 　 　 {　 ｀ 　 /:::: ./⌒＞'´　　 ／　　　 　:..　/　　 　 ﾞi
　　　　　　　 　 　 　 i　　　 /: ／(''"´　　 　 /　　　　 　 :::;/ 　　　　 ﾉ
　　　　 　 　 　 　 　 |　　 /／/´ ) 　 　 　 /　　　　　　 ./　　　　　:/
　　　　 　 　 　 　 　 | 　 /´ /, イ　　　　 /　　　　　　 ,/　　　　　 /
　　　　　　　　　　　/　 /. ./'~/ 　　　　 /　　　　　　 /　　　　　 /
　　　　　　　　　 　 i　/. . iﾞ　　｀ヽ,　　 /　　　 　 　./　　　　　 /

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



　　　　　　　　　　　　　　 「おお、なるほど。さっきも出てきたでありますな」



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846：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:51:13 ID:XeSfx.W.
加工貿易……？

847： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:51:22 ID:bMttHh86


　　　「その通り。江戸時代の庶民の多くにとっては一生に一度の憧れ、それが伊勢詣りだった」


　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '



　　　　　　　　　　　　　　 .｡＜/＜二≧s。_
　　　　　　　　　　　　　／ゝ＜　　　　 }＜ﾆ＼
.　　　　 　 　 　 ＿__／　 /　 ｌ　　　　 ,　 ＼　＞｡.
　　　　　　　　　|　 |　 　 i|　　,　　　　八　　}　　　}_
　　　　　　　　　|　 |　 　 i|　 八　 　 ,　 }　 ｉ|　　　| |
　　　　　　　　　|　 |　 　 i|,　‐ ∧　/ -/ミｔ､,　　　,　　　　　　　　　「聖地巡礼みたいなもんでありますか」
.　　　　　　　 　 ,　 ,　 　 ,x芹笊 ∨　 ,ｨぅ笊}　　 ,　}
　　　　　　　　　 ，　，　 ゝ乂ソ　　 　 乂ソ/ 　 /
　　　　　　　　　　', 八　　 ,^¨^　　,　　^¨^ ,　　/ 　 }
　　　　　　　 　 　 ﾄ　　､ 分　 　　。　　　/　 ｨ∧77,
　　　　　　　　　　 V‘， ＼{　　　　　　　/ ／ !/∧〈 ,
　　　　　　　　　 /　〈ﾍ {　 |　　{≧=≦},／|　 {∨,/
　　　　 　 　 　 /　　 ^　 　|　}/　/ ∨∧　　 i|　^　 ∧
　　 　 　 　 　 ,　　 ‐=ﾆ二,　/=‐‐{_}‐=≦ﾊ　 {≧=‐　　,
　　　　　　　 /　/二二二/ /二二二二二∧ ∨二二ﾊ
　　 　 　 　 /　 {ニ二二/ /´ 　 ) {　　/ 7　∨ ,二ニﾆ,}　,
.　　　　　　　 　 ﾏ二二/ /‐=/爪(廴　〜‐=∧ ∨二ニ,　 ，
　　　　　 /　　　_∨^ 〃 ‐‐,/⌒^ﾏ}r＜　　　　ヽ‘＜ﾆ/
　　　 　 ,　　／／{　 /ィi　　{　　 /　 　 ヽ　　　 ∨〈　　〉　 ‘，
　　　　 　 __) /　　' /{　 廴 ゝ　 ,　　　 　 〉　　　 }　∨/ ^ヽ　 ,
　　　 / /　 ∨　　 ,　V　　　ヽ 　 ＼　 ／⌒^}　 ﾉ,　 ∨ 　 / 　 、
.　　 /　 )⌒/ ＼ / / ,　　　　/ 　 　 ヽ 　 　 ｉ}イ　}　　∨^　}　　 ,
.　　　　 ＼〈　　 / /　{ 　 　 ,′　　 　 ﾊ---,/　　i|　 　 ,＿/　　　 ,


.

848： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:52:15 ID:bMttHh86


　　　　　「ムスリムのメッカ参りとかにくらべればかーなーりゆるゆるだけどまぁそう思ってくれてかまわない」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ ￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 （⌒）（⌒ ） 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 （__人___）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､'ーｰ´ 　 'J　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -ｰ´. : l : .＼　 ｲ::::ﾊヽ{`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____
　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,' : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r'　　　､ ヽ .ﾉ : :|
　　　　　　　　　　　　　　 ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |　　　　r_ノ.: : : |
　　　　　　　　　　　　　　 ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |へ-‐´ : : : :| : :!
　　　　　　　　　　 　 　 　 ｉ : : :: : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:ゞｿ: : : : : : : : | : :|
　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　 　 　＼　　　　　　　　　　「むしろ精進落としがメインまであるお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　　─　 　 ─＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ 　　 （●） 　（●） ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　 　　 　 （__人__）　 　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 ∩ノ ⊃　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 (　 ＼　／ ＿ノ　|　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　“　　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＼ ／＿＿＿ ／


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849：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:52:24 ID:omUs3vOM
お伊勢サミットがあったのも、もう遠い昔のことのよう

850： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:52:40 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　「江戸時代にはすでに品薄になっていた伊勢白粉については

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いろいろと面白い、興味深いエピソードもあるが、ここは割愛しておこう」


　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　 ｜　 　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　 ｜ 　　　（___人__）
　　 　 　 　 　 　 　 |　　　 　 　 　 ﾉ　　　　　　　　　　　　「一つ付記しておくなら『白粉としての』水銀白粉は、
　　　　　　　　 　 　 i　　　　　 　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、 、___　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　比較的生産が容易な鉛白粉に大部分とってかわられた、というくらいだな」
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　 丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　 ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　 　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿
.　　　　　　　 　 　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　 　 　 　 　 _／: : : :∠.:}L:＞､ ＼
.　　 　 　 　 ／: /: : : /===､ ヽ: :ヽ
　 　 　 　 ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ 　ム: :ヽ
.　　　 　 /: : : : :|: : : :! `　 　 　 5､i : ヽ
.　 　 　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　 　 　 　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　 ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　 　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |　　　　　　　　　　　「京白粉も鉛白粉ですものね〜」
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　 　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　 　 ￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　 　 　 　 　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　 　 〉ｒ＜　￣｀弋に).､ ヽ
.　 　 　 　 　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ


.

851： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:53:07 ID:bMttHh86



　　　　　「さてこの伊勢白粉の終焉の時は昭和二十八年」


　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　　　　「軽粉製造業の宮田吉兵衛氏が原料難のために
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉　　　　　　　　　　　　　 釜の火を落としたのを最後に、
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_　　　　　　　　　　　　 千五百年以上の歴史をもつ伊勢白粉は姿を消した」
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|


　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　 　 　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,　　　　　　　　　　「こういう話はやっぱり、なんだかさみしいものがあるわね」
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　 　 　 　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣ ｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　 ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　 ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　 ｲ心 ｀　　　　　^' 仍ﾊ ｀ ﾑ 〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀ 乂歹　　　　 　 　 ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　 　 　 　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　 　 　 　 〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　 　 r -‐､ 　 　 ／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　 　￣ 　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .


.

852： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:53:40 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、　　　　　　　　　「残り、残すことの難しさは感じるな。
　　　　　　　　　　　　　　 （＝）（＝ ）／　´／ /)
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （__人＿） {　 　 , ' ´,/　　　　　　　　　　　　消えてしまえばそれはもう永遠の闇の中だが」
　　　　　　　　　　 　 　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　 　 　 | 　 　 　 ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　 　 　 　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ　　　　　　　 「ただ、この伊勢白粉の製造装置や技術資料は、
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;　　　　　　　　　射和町の『まちかど博物館』において身近に見ることができるそうだ」
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　 　 　　 　 ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　 　 　 　 　 　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/



　　　　 　 　 　 　 ／三三三三三≧ｭ､　　:/　/　　 　 l
　　　　　　　　　 /,ｨ三＞''´ 　 ,ィ ⌒＜三:/　/　　　　｜
　　　　　　　　 ／　}三{ 　　 ‰　　ィ示ﾐ /　/ﾆ≧、　 :|　　　　　　 　 　 　 　 /
　　　　 　 　 　 　 /∧} 　 〃　 ／////}/ イ ＼(K　　 |　　　　 　 　 　 　 　 /|
　　　 　 l　 　 　 // ∧ 　ff: 　////// ∠_/　　　　　　|:　　　 　 　 　 ＿＿/ :|　　　　　　　　　「そういう感慨にふけってるところ
　　　 　 |:　 　 　{j　 　 　 {{　八/////(＿　　　　　 　 :|　　　　 　／ 　 　 /　 }
　　　 　 |　 　 　 |　　　　 乂　　^¨¨´　Ⅳ　 　 　 　 　 |　　　　　　 ｘ==ミ/　 /　　　　　　　　　　　悪いですが質問であります」
　　　 　 |　 　 　 |　 　　≧ｭ､｀＜zzzz少　　　　　　　　|　　 　 　 γ }笊ﾍ　/
　　　 　 |　 　 　 |　 　　　 ｀''＜≧ｭ､　　　　　　　　　　|　　　　　んノ刋 }}
　　　 　 |　 　 　 |　　　　　　　　　^¨¨｀　　　　　 　 　 :|　 　 ／ た/(_　/
　　　 　 |　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 ／　φ/Ⅳ /
　　　 　 {　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　　　ゞ-ｨ /
.　　　　八　　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ^¨¨´ /
　 　 　 |　∨　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　 /
　 　 　 |　 ∨　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ‰　 ／
　 　 　 |　　∨　 |　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　 ／


.

853： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:54:01 ID:bMttHh86




　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　「おう、なんだ？」
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「先ほどからの話によれば伊勢白粉自体には毒性は

　　　　　l　　　 /　　　　　 /　　　|　　　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　 |////＼　　　　　　ほとんどないということでありますが、
　　　　　|　　　:{　　 　 　 /　　　｜　　　 　 |　 　 |　 　l　 |　　　　　　 |/////∧
　　　　　|　　　:|　　　　　'　 　 　 |　　　　　 |　 　 |　　 l　 |　　　　　　 | ∨/∧　.　　　　　加工途中に悪影響を受けたりはしないでありますか」
　　　　　|　　　:|　　　　 f　　　　 :|　　　　　 |　 　 |　　 l　 |　　　　　　 |　∨/∧　',
　　　　　| ｌ 　 ｜　　　　|　　　　八 　 　 　 :|　 　 |　　 l　 |　　　　　　 |:　 ∨/∧
　　　　　{ l　　｜　　　　|　　 |　　∧　　 　斗ｔ允 ﾅ￣/ ミ:|　　　　　　 |　　 ∨　,　 .
　　　　　{ l　　｜　　　　|― 十―{　＼　 　 |　ィて芯笊ミ !　　　 　 　 |　　　} 　 , ∧
　　　　　{ ｌ　　 |　　　　｜　,x==ミi　　 ヽ　　/ ん///}刋 ﾏ}　　　　 　 :| 　 　〉 　 ,
　　　　　} l　　｜　　　　|: ㌢ん:刋　　 　＼ |　K乂/ﾉⅣ /　　 　 　 ___|ィi〔　　　　,　 {
　　　　　} l　　｜　　　　|: ゝ hしリ　　 　 　＼ 乂 )こ少　} |　　　 ///　　 　 　 　 : 　 ，
　　　　　}八 　 !　　　　 |　ﾊ_ゞ= ' 　 　 　 　 　 ｀^¨¨^´　:| |:　 　///　　　　 　 　 ∧
　　　　. /　 ', 八　　 　八: ∧　　　 ,　　　　 　 　 　 　 　 } }　　///　　　 　 　 　 ／　∧
　　　　　　　 ﾟ， ﾟ，　 　　＼∧　　　　　　　　　　　　　 　 | |　 //〈___　　　　　 ／　　/ ∧
　　　　. 　 　 　 　∨　　　　^∧　　　　　　　　　　　　　　 !/　∨////　　　 ／　 　 　 / ∧
　　　　.　 　 　 ∨　＼　 　 　从　　　 こ　　　 　 　 　 　 /　　 ｀''＜≧s ／　∧　 　 　 / ∧
　　　　　　　　　 ',　　个､　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　　 /⌒ ///＞〈　　　 　 / ∧
　　　　　　　　　　}　　:}　 ＼　 　 　 ＼　　 　 　 　 ィi〔/ 　 　 　 ／ 　 //////∧ 　 　 　 / ∧
　　　　　　　　　　l　　/　　 ∧　　　 　 ＼__　｡s≦　　/:　　 　／　 　 / ∨////∧　　　 　 / ∧
　　　　　　　　　　|:　/　　 //∧ 　 　 　 / 　 }ニ=〈^:/　　　／/　 　 / 　 ∨////∧　　　 　 / ∧
　　　　　　　　　　| /　　　{/// ﾟ。　　　/　　 }}ニﾆ∨　　／ :/　　　/ 　 　 ∨///／　　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　|,′　　 ｉ// |　‘，　 .　 　 /}ニニ/　／　 /　　　/ニ≧s。ゝ＜　　 　 　 　 　 / ∧
　　　　　　　　　 /　　　　 {/　|　　}　/　ィi〔 /二ﾆ/／‐==:/　　　/二二ニニニ≧=‐‐＜　 　 　 / ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　ィi〔ニ二二二／ニﾆﾆ:/　　　/二二二ニニニニニﾆﾆ＼ 　 　 / ∧


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854：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:54:35 ID:XeSfx.W.
タタラ場「ﾊﾊｯ」
855： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:55:26 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　「なんだお前、今日は闇担当か」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「それは……あったらしいな。

　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼ -、_　　　　　　　　　前述の宮田氏は、明治時代より四十年の長きに亘り白粉の製造を行ったが、
　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ　ヽ､__ u. /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　 （＝）（＝ ）／　´／ /)　　　　　　　　 水銀中毒のために手が震え、年齢よりはるかに老けて見えたという」
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （__人＿） {　 　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　 　 　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　 　 　 | 　 　 　 ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　 　 　 　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
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　　 _,.｡s≦　　 　 /　　 　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　 ＼
　 l　　 　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　 　 ＼
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　 　 |　　　　|　　　| 八　　　　 　 ﾊ 　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |
　 l　| 　 八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　 　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　 　 ｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈 ｈ//(　 　､,' 　　　ｈ//(　//　 　 　 ,|　｜　　　　　　　　「逃れられないさだめでありますか」
　 |　 ‘，　　 ,　　　 ， 乂^少 　 　 　 　 乂^少 /　 　 　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　 　 ， 　 ∧　　　　　　 　 　 　 　 　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　 人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　 父　　 　 　 ‐　　　　　 父 　 　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　 ＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　 　 ',
. 　/　 　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　 ／　　∨/∧　　　　,
　/　 　 　 ∨|ｉ 　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　 　 　 　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　 　 　 　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　 　 　 　 ，


.

856： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:55:56 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　「これは、平城京の仏像建立の際の話なんだが、

　　　　　　　　　　　　　盧舎那仏の金メッキを施すのに使われた水銀の量は一万八千トンといわれている」



　　　　　　　　　　　　 　 　 　／￣￣ ＼　　　　　　　　　　　　「鍍金の方法は金アマルガム鍍金法。
　　　　　　　　 　 　 　 　 　__ノ　｀⌒　　 ＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （●).（● )　　　 |　　　　　　　　　　　　これは簡単に言えば金と水銀の化合物を表面に塗り付け、
　　　　　　　　　　 　 　 　 （__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　 　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　　　　その後水銀を蒸発させて行う鍍金法だ」
　　　　　　　　　　　　　/　　二 ヽ､`,┘ 　 ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　 ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　 　 　 　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　 　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　 　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|



　　　　　 ／: : : : : ,r,,､ｬ : : ヽ : : : : ﾊ
　　　　 /: :/: : :/:/　 'ﾍハ: : : :＼: : : ﾍ
.　　 　 {: :/: : :// 　 　 || 　ヽ: : : ﾍ: i: : ',
　　　　|:/: : :.ｲ/　　　　||　　 ﾍ: : : ∨: :ﾘ
　　　 /:.ｲ: :,ｲ/　　　　 .||　　　 ﾑ:ﾄ: ∨:.i
　 　 /:'ｨi: :/」_≧､_, 　 ,､L-ｯ≦､ ∨: i: :|　　　　　　　　　　　　　「水銀を蒸発させて……って」
　 　 i/ ｲ: ハ 爿ﾘ｀　　　 '　ぅり｀7〉ﾍ:∨
　　　'　',|/ﾑ　 ｰ'　　　 　 　 ｀´　/'ノﾉﾄ､
　　　　　 ｰﾊ　　　　 '　 　 　 　,/=': 7/
　　　　　　 }: ヽ　 　 -‐- 　 　,ｲ/: :/:{
　　 　 　 　 !: : :＞ ､　　　／|: /: :,ｲ: |
　　　　　 　 |: : : :ハ ｀　´　 ﾉy: : /: : |
　　　　　　　|: : :/. .,ﾍ　　／. .i: : ﾄ､ : |
　　　　　　,-| : /|. ∧〉=ﾍ. ／|: :/ゞ､｀ ､
　　,-､≦´ -|:./. |. 〉/乂乂. 〉|:./. .≧　　＞､


.

857： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:56:17 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「水銀が蒸発して人体にとって猛毒である有機水銀になり

　　　　　　　.／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　多くの仏士や作業員がもがき苦しんで死んでいったらしい」
　　　　　 .／ 　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　 |　 　　　（ ―）　 λ　　 ヽ
　　　 ,ﾍ__|　　　 　　（__人）　　ヽ　　',
　 __,/　　　｀ ＜　 　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢　　　　　　　　　　　　「それにとどまらず、水銀の毒は平城京に大いに広がり、
／---‐――--.､ゝ＼　 ノ　　　」-‐＞ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l　　　　　　　　　　　　　奈良の都はさながら地獄絵図となった」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　 ヽ.　　,　, .!
.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　 ヽ　　　　 l｀ / / /!
:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!　　　　　　　　　　　　　「以下の文章は養老律令の文章だ」
.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼ ＜　　　'　l


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

『このころ聞く。諸国の役民、造都に疲れ奔亡するもの多し。禁ずといえどもやまず』

『諸国の役民、郷に還るの日、食粮絶え乏しく多く道路に飢える。溝壑に転填するもの其類少なからず。和同五正月』

『宮闕に近くして臭い悪しき物を焼き及び哭声を通ずるを得ざれ』

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


.

858：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:56:41 ID:XeSfx.W.
ヤバい

859：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:58:05 ID:XeSfx.W.
救世のために造る大仏で大量死というこの皮肉

860： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:58:33 ID:bMttHh86


　　　　　　　　「今も存在するのかはわからないが、紀伊半島をめぐる国道四十二号線ができるまでは、

　　　　　　　　　　　　水銀加工を行っていた射和の近くに普通の墓地とは別に、小さな共同墓地があったという」



　　　　　　　　　　　　 　 　 　／￣￣ ＼
　　　　　　　　 　 　 　 　 　__ノ　｀⌒　　 ＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 （__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　 　　　, =二ニﾆヽ､　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　「その墓地の呼び名は――『子三昧』であったという」
　　　　　　　　　　　　　/　　二 ヽ､`,┘ 　 ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　 ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　 　 　 　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　 　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　 　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　 　 ─　＼　　　　　　　「ヒエッ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　|　 　 　 （__人__）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　 　ー‐　　　　＼



.

861： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:59:10 ID:bMttHh86


　　　　　「まぁこれくらいにしとこう。このスレに闇は求められてないだろ常識的に考えて」


　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　 ／ ￣ ￣＼
　　　　　　　　　　　／　　　 　 　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　 　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　 （ ー）ヽ ヽ
　　　　　　　　　　 ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　 ｀⌒（⌒_　　 ＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　 ＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノ ヽ ヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　 ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |



　 　 　 ／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　 　 　 　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　 ｀ ﾅ‐-　　 　 　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　 ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　 ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　 ／ﾘ'|/'|/
　　 | ∨:: : :.V　､　u.　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　 　 　 　 　 ､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　 　 ｀ ｧ 　 　 ／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼ 　 ＼　　　_　,　イ　　　　　　　　　　「あまり聞いて心楽しくなる話にはならなさそうだし、それでいいわよ」
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／ ＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z


.

862： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:59:32 ID:bMttHh86



　　　　　　「鉛といい水銀といい、こうしてみると白粉には健康被害が付きまとったなぁ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「それじゃ白粉の話はこれで終了ということで、
　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　 ／　　　 ＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　　　／　 　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__　　　　　　　　次はもう一つの化粧品『紅』について話をしていこうか」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　 　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　 　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ 　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　 ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　 ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　 　 　 ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿
　　　　　　　　　　.　　　　　　　 　 　 ,. 　 -―ﾚーヽ
　　　　　　　　　　.　　 　 　 　 　 _／: : : :∠.:}L:＞､ ＼
　　　　　　　　　　.　　 　 　 　 ／: /: : : /===､ ヽ: :ヽ
　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ 　ム: :ヽ
　　　　　　　　　　.　　　 　 /: : : : :|: : : :! `　 　 　 5､i : ヽ
　　　　　　　　　　.　 　 　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　 　 　 　 '　{: : :.ヽ
　　　　　　　　　　....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　 ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
　　　　　　　　　　. 　 　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　　　　　　　　　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
　　　　　　　　　　.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　 　 √｢i/ |:.:|
　　　　　　　　　　..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/　　　　　　　　　　　「はーい、切り替えていきましょう〜」
　　　　　　　　　　.../: : : /!　　 　 ￣＼＼ミ二ﾖ:::|
　　　　　　　　　　..ﾞ: : : /:.|　 　 　 　 　＼＼　{〉┴､
　　　　　　　　　　.　　　　　　 　 〉ｒ＜　￣｀弋に).､ ヽ
　　　　　　　　　　.　 　 　 　 　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ


.

863： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:59:56 ID:bMttHh86


　　　　　　「白粉が美白のための化粧品だとすると、

　　　　　　　　　　　この紅は顔を飾り立てるための化粧品だといえるだろう」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 　　 （___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　「ツタンカーメンのミイラも紅をつけてたというらしいから、
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,.|　　　　　 　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　　おそらくもっとも古くから施されている化粧のうちの一種なんだろうな」
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、 ／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　 ＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼




　　　　　　　　　　 イ ⌒＼
　　　　　　　　　/::::／⌒＼＼
　　　　　　　 　 {:::/　　　　 }:::}
　　　　　　　　　V　　　 　　}:/
　　　　　　 　　 -─━==-イ ￣￣￣::::::::.､
　　　　　 ／::::::::::::::::::::/＼::::::／{::::::::::::::::::::::＼
.　 　 　 /::::::::::::::::::::: /¨¨¨¨¨¨¨¨!::::::::::::::::::::＼＼
　　　　/:::::/::::::::::/::/　　　　　　 |::::::∧:::::::::::::::::::,:.　　　　　　　 「私も小さいころ、オシロイバナの花で
　　 　 .:::::/:::::::::/{:::{⌒　　 　 　 ∨:/⌒＼::::::: |:::|::.
. 　 　 |:::/:::::::::::: 八{　- 　 　 　 ‐∨　　}:::::::|::::|:::|:::.　　　　　　　　 お化粧ごっこをしてましたからね〜」
. 　 　 |::l::::::::::::::::|,／{⌒ヽ　 　 /{¨⌒ミ=､:::::|::::|V:::::.
. 　 　 |::| :::::::: |:::l{ 　 )//|　　 　 )////}　}::::::::::::|::::::i
.　　　 V!::::::::八::{ 　,乂ツ　　　 乂＿汐ノ::/:::/:::::::: |
..　　　　|:::::::::::::V　　　　 　'　　　　　　　/}::::/::::::::::::|
..　　 　 乂:::::::::::{＼　　　「￣￣}　　　　 ｲ::/::::::::::::: |
　　　　　 |｀ ＜_{:::个　＿　＿ノ ＿_ イ::／:::::::::::::::: |
　　　　　(￣＼::::::::::::::::::＿[_l l　l ]_:::::::´::::::／))::::::: |
　　　　　 ＼(　ヽ::::::::／/　/ 　 }　 |￣ l:: /　/:::::::::::|
　　　　　 |:::::} 　 }／(　{　 ′　 }　 | |　∨　/:::::::::::: !
　　　　　 |:::::|　 / 　 }　}　l　　 ﾉ　 l∧　{　.′ ::::::::::|
　　　　　 |:::::乂_ ／/　　　　　　　〈::::::＼/:::::::::::::::::||


.

864： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:00:22 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　 ＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　 ／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　 ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ 、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　 二_ｷ|:l: :!
　　　 　　 {:.{:.ｲ　r=＝、 　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　　　 　 、　　　　ﾚｊｿ
　　　 　　　 ﾚヽﾍ　 　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼ 　`¨´　／:.:.|:.l　　　　　　　　　「天然素材を使用しやすい身近なお化粧よね」
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　 ／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ 、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　 「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　 ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　 　 　 　 |l　o　　　 　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　 ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　 　　∥　　　 　　ノ 　　l


　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 ／　　　⌒　⌒
.　　　 　　　 　 ｜　 　 ( ⌒) (⌒)
　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　 ｀ ⌒´ﾉ
　　 　 　 　 　 　 |　　　　　 　　|
　　　 　 　　 　　人､ 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　「そんな紅もまた、京の都における代表的なお土産だった」
　　　　　　　_,イ　ﾄ､ヽ 、 __ ,_ ノ
　,.　-─‐-´ 　 l　　ヽ,＼__､_ﾉ7
/´　　　　　　　 :i 　　ハﾍ､;;ヽト、
. : .　　　　　　　　:i　　　ﾊ 〉:.;〈ヽ ＼､_
, : : . ＼　　　　　　:L_＿　 v;;;;ﾍ ' ,＜. ヽ
. : : : .　ヽ: .　　　　　 く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
!: :　　　　、: : : : 　　　 ヽ 　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　.´: : : .　 ' : : :　　　　　 ＼ 　 '';;;::|　 ,|　__| |
: : : : .　　.γイ: .　　　　　　 ' .,　 ':;;:|　 l、__j.|


.

865： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:01:07 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　 ／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .　　　　　　　　　「ほかの地域でも名物になっていてよさそうな気はするけどね」
　　　　 　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／ ｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　 　 　 l|　Ｙ:‘,
.　　 　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　 、　 }　 }: : ，
.　　 　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽ ﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　 ﾋｿ ｀　 　 ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　 んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　 　 　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　 　 、 　 　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　 　 ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　 Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　 ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　 　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　 トミ¨了､:ヽ 　　　　 　 〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　 ｀Ｙ､ｲ: i |　　 　 　 小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　 ﾞリい;ヽ ＿　　 　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　 　 　 八　　　ヽ 　 ＼ゞ ミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　 　 ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝ て ｲ
.　　　|: |{ {　 　 :.　　　　　　{´　 　 　 　 　 　 ゞ'　　　 ＼　　_　イ
　　 　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ヽ Ｋ
　 　 八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　 　 　 　 　 .i　　 　 } .:.:.ヽ
.　　 　 丶ゝ　 ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　 丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　 　 　 ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　 〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　／_ノ　 ｀⌒　＼　　　　　　　　　「まぁそういう意見もでてくるだろうけど、
　　　　　 　 　 　 　 _　　　 　 　 　 　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　 　|　　　　　　　　　　 とりあえずは先にこの紅についての
　　　　 　 　 　 　 ｜ !　　　　　　　　|　 ｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　 日本における歴史を簡単に見ておこう」
　　　　　　 　 　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　 　 　 ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　 ﾄ
　　　　　　 　 　 |　 ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　 ／i＼,,,,_
　　　 　 　 　 　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／ 　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　 　 　 　 　 | 　 ）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　 ／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　 　 ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く 　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　 　 　 　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }


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866： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:01:27 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦}
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.｡s≦　　　　 |--r ,
　　　　　　　　　　　　　　 ィi〔　 /　　　l 　 　 |　 | ＼ ＿＿
　　　　　　　　　　　　　　ｌ 　 　 ｌ　　　 |　　　i|　 |　　ヽ　　l
　　　　　　　 　 　 　 　 /| 　 　 |　　　 |　 　 八 i|　 　 |
　　　　　　 　 　 　 　 .//|　　　ｉ|　― ┼　 ,/――　　 |　 ,
　　　　　　　　　　　　〈　ヽ　　　,x笊示ﾊ　/ ,ｨ笊ﾐ　　 ,　 ′
　　　　　　　　 　 　 　 ∨ }ﾊ　　ゝVツ　 V 　Vツ/　 /　/
　　　　　　　　　　　 　 , ＼/,〉　 l　　 　　 '　　　 }　 ,　 ,′
　　　　　　　　　　　　　 　 ＼ 　八 　 　 r ,　 　 ｨ　/　/{
　　　　　　　　　　　　 /　／/＼　＞　　　　　　/／　/　,
　　　　 　 　 　 　 　 /　 ∨//|i ＼〉{ﾆ≧=≦ ／　| /} 　 ，
　　　　　　　　　　　/　　　ゝ /　　 /＿_|笊∧　　｜〈　　　　　　　　　　　「jud」
　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ,'　　 /＞＜≧=‐‘，　ﾏミｔ､　‘，
.　　　 　 　 　 　 /　　 fﾆ=!/ 　 ,/_}_　　 }}　　 }i∨　∨ﾆ,}
　　　　　　 　 　 　　　 |二/　　ィi〔　　≧=‐‐=≦＞｡.∨=! 　 ,
　　　　　　　　 / 　 　 i|ニ{　/　 　　　　　　　　　　　　ﾏ,/　　 ，
　　　　　　　　　　_　 ィi〔 i|　{　　　　　　　　　　　　　　}　ヽ



　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　 「日本の文化の特徴として、大陸から様々なモノが渡ってきて
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　それを発展させるというテンプレがあるのはもう十分承知のことと思うが、
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、　　　　　　　　　　　　この紅についても、おそらくはそうであろうと考えられる」
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '



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867： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:01:57 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　 ＼
　 　 　 　 　 　 （●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　 　 　 　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　 「日本で作られてきた紅の原料、
　 　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　それは学名は和名で『べにばな』漢名で『紅藍花』
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　 ……いわゆる紅花だ」
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　 　「r'、　　　　 ／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　 Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　 ＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

一體植物学上により観た紅花は菊科に属してをり、耐冬性を有する二年生草本の耕作植物で
よく成長した茎の高さは三四尺くらいであるが、特に肥えたものは五尺にも及ぶことがある。

葉は二寸から四五寸くらいまで伸び、色は黄緑色を呈し、その辺縁に鋸葉を有し、狗骨葉に似ていて、互生する。

茎も葉もともに硬質で、尖刺を有している。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　【倭名類聚抄】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


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868： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:02:14 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「古い時代の呼び名は、和名類聚抄によれば『紅藍』と呼ばれていたとされ、
.　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　 . ／　,ノ　　＼ Y⌒i　 　__　　　　　　　　　 萬葉集では『久禮奈以』古今集では『末摘花』と記されている」
　　　　　|　 （●）（●） | 　| 　./　.)
　　　　.　|　　（__人__） .|　 |　/　./
　　　　　 |　　 ｀ ⌒´　ﾘ　 i_/　./
　　　　.　 ヽ　　　　 ／　　,｀弋ヽ
　　　＿＿ ヽ　　- γ⌒ヽ　Ｙ´ ,｀ヽ
　 ／ :　　: :介〈　　`ｰ ､く　 〈::...ノＶヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ ､　｀ヾ＿/　//:|
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|



　　　　　　　　 　 　 　 　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　 　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　 　 　 　 　 　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽ ヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　 　 　 　 　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､ ｀　　　 　 |: : : :|. /
.　 　 　 　 　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　 　 ＿‐‐､/|: : : :|
　　 　 　 　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　 　 　 ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　 　 　 　 /: : /::::/:/!: : :.l/　 　 　 　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　 　 　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　 ／!　!:::::::l://
.　 　 　 /:/　 　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　 　 /:ｲ　 　 　 　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　 　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／　　　　　　　　　　　「『紅藍』は『くれあい』いいのかしら」
　　 // /!　　 　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼ 　　 !
.　 ////ﾊ　　 　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　 　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ


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869： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:02:56 ID:bMttHh86

　　　　　_　　
　　　　　| ) /.y )_　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　| |/./ / )　　　 　 ／_,ノ　ヽ､,_ ＼
. 　　　　 ,j /./,/ / 　 　 　 | （●） （● ）　.|
　 　　　 y ´,/　r ).　 　 　 |　（__人___）　　|
　　　　　', 　　　}/ 　 　 　 |　　　　　　　　|
　　　　　.j　　　 j.　　 　 　 |　　 　　　 　 |
　　　　jく、　　r.　　　　　 　|　　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　「また、和名類聚抄では次のような文章も記されている」
　　　 ∧;､｀ヽ≧　　　　　　,ｨヽ　 _,__　 ｲﾄ、
　　　/∨/7ゝｲv'´｀¨ﾆ=ﾆ7 1`‐-.,___ ,.." 八､_
　　 / ;厂////::ヽ;////////ﾍ　　ハ　　ﾊ////７ァｧｭ、　　　　　　　　　「頬に塗る化粧などに用いる紅粉のことを閉邇（べに）とよび、
. 　 /::::j/////:::::::};////////∧ ∧::∧,///////////ﾊ
　/::::::{;////:::::::::j;'/////////∧/:::::∨////////////}　　　　　　　　　　　その閉邇の原料は呉藍であると記しているわけだ」
. ﾑ;、:;///〈::::::::::::ﾚ//////////∧:::::∧//////＼///ｲ
. ∨ヽ;////∨:::://///////////∧∧//////777'///|
　∨//////∨ｧ'/////////////////////////////|
　　｀¨¨´￣｀´ ∨////////////////////////////.|
　　　　　　　　　∨///////////////////////////|

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

紅粉
釋名云紅（和名　閉邇）赤也、染使赤所以以著頬也
紅藍
辨色立成云紅藍（久禮乃　阿井）呉藍同上本朝式云紅花俗用之

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　 　 　 　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　 　 　 ｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　 　 ＿_　　ｉ: : : : : : ',
　 　 　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　 　 、　 　 　 　 ｀ |: : : : : : :.',
　 　 　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　 　 　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　 ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　 　 　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　 ｀¨¨´ 　 　 　 辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　 　 　 ､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　 　 　 ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　 　 　 　 　 　 　 　 j: : : : : /│/
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　 　 ､　　　　　　　 /: : : : :/　j/
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　 　￣´　　 〃:/: :,:ｲ　　　　　　　　　　　「末摘花というのは源氏物語に出てくる
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　 　 　 　 　 ／/:/: :/: |
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､ 　 　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |　　　　　　　　　　　　　　　ヒロインの名前にもなってますよねぇ」
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔ く: : : l: : : : l/ : : :|
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　 ﾉ　j　　|　　l　 !　 ﾄ､__|_:_:_:__: : : :


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870： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:03:20 ID:bMttHh86


　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　「末摘花、第六帖だな」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

まづ、居丈の高く、を背長に見えたまふに、「さればよ」と、胸つぶれぬ。

うちつぎて、あなかたはと見ゆるものは、鼻なりけり。ふと目ぞとまる。

普賢菩薩の乗物とおぼゆ。あさましう高うのびらかに、
先の方すこし垂りて色づきたること、ことのほかにうたてあり。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【末摘花の君】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　皇族である常陸親王の忘れ形見の姫君です。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　決して美しいとは言えない目鼻立ちだったようですが、その純真さと誠実で光源氏の妻として
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　 生涯かかわりを持つことになる方です。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　 そのお鼻は長く、鼻先が赤く色づいていたことから
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　鼻先に紅を付けたようだということで『末摘花』と名されました。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　 　 　 　 |＿＿{　　　　　　なつかしきいろともなしになににこの
. 　 　 　 　 ﾋﾖ＾ﾋﾖ　　　　　　すえつむはなをそてにふれけむ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa


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871： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:03:41 ID:bMttHh86


　　　「一説によれば、この紅花は推古天皇の御代に渡ってきた

　　　　高麗の僧曇徴が紙、墨、絵の具の製法とともに紅花を携えてきた、とされているが」

　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　「紅花自体はそれ以前から日本での栽培がおこなわれていて、
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　 　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　その用途は主に衣服の染色に用いられていたと考えられる」
　　　　　　　　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



　　　　　// ヽ ヽ　　　, -‐　　- ､
　　　 　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　 　＼//////:ヽ　
　　　　 　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　 　　 　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　 　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i　　　　　　　　　「それじゃ、紅花はいつごろに日本に来たのかしら」
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　 弋ﾘ　仆//////|∧
　　 　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　 　 ､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　 　　|///////..∧
　　　　　 　 ＼//ｒ-､　 　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フ ｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　 　 　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ 　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　 　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　 ヽ　 ＼//|


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872： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:04:00 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　 　　 　 　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　 　　;　 　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　 　､ 　 　 ｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　 　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　 　　　　 丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　 　　 ｝　　）
.　　　　 　 　 '. 　 　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　 　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣　　　　　　　　　　 「応神天皇の御世、西暦でいえば300年ごろ、
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿　　　　　　　　　　　大陸から阿知使主たちが日本に渡来してきたころだと思われる」
.　　　////////////////////ヽ
　 　 ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　 ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ
.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【 阿知使主 】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　 『あちのおみ』と読みます。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　後漢の霊帝の曾孫と言われています。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　 　 　 　 |＿＿{
. 　 　 　 　 ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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873： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:04:22 ID:bMttHh86



　　　　　「応神天皇は阿知使主の渡来を受け入れたが、その後親子ともどもを呉に派遣して織子を求める」




。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　 　 O　　　 　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　| 　./ /　./　　　　 　 　 　 /¨＼
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　|　 {　{　/　　　　　　　　　　　　 Y
　　　　　　　　　　　　　　　 rヽ `ﾆﾆﾆﾆ≧ 从弋　 ﾆﾆﾆﾆﾆ彡　　 | |ヽ.　|
　　　　　　　　　　　　　　　 |ﾑ　￣￣￣`　|　|　⌒ヾ:￣￣　　　 | | h　）.|
　　　　　　　　　　　　　　　 |圦　　　　　　 |　|　　　　　　　　　 丿|　 　 /
　　　　　　　　　　　　　　　 i 小､　　　　　 |　|　　　　　　　　／　　 　 /
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 弋　　＼ 　 　 ′　　 Y　　　　 / 　 　 |..ノ人
　　　　　　　　　　　　　　　　　｀T　　Y　.弋__　／　 　 　 /　　　　|　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 込 |　　　　　　　　　　 {　　　　 |. |
　　　　　　　　　　　　　　　　 ＞|　 ∧　　　-──-　　　|　　 　 /　|
　　　　　　　　　　　　　 ＜　　　|　　∧　　　 ≡≡　　　　　　＜　　|
　　　　　　　　　　 ／　　　　　　| 　 { ∧　　　 　 　 　 　 ／　 　 　 |　　　　　　　　　【 阿知使主 】
　　　　　　　　　／　　　　　　　 |　　|　∧　　　　　　　／　　　　　　|
　　　　　　　 ／　　　　　　　　　|　　　　圦＿＿＿ ／　　　　　　　ﾉ

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ





　　　　　　　 「はたせるかなその応神天皇の望み通り、

　　　　　　　　　　 織縫に長けた工人が染色なども含めた織物の技術を携えて、日本に来たわけだ」


.

874： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:04:52 ID:bMttHh86



　　　　　　「紅花が日本に入ってきたのもそのころだろう。

　　　　　　　染色を施すための様々な原料を持ってきたその中に、

　　　　　　　　ことさら紅がなかったということは考えにくいからな」


　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　 　 　 ⌒　ヽ､_　 　　＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●）(● ）　　 　 |　　　　　　　　　 「そうなれば、染色原料としての紅だけではなく
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （_人＿)　　　　｜
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　｜　　　　　　　　　　　その元となる紅花やその種子も持ってきたと考えるほうが妥当だろ」
　　　　　　　　　　　　　 　　 |　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　 　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　 　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　 　 　 　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　 　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　 　 　 　　　　 ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　 　 　 　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i



　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　「まー、また『その紅花とかいうの持ってこいや』って
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼　　　　　　　　　　　　　　言われたらやべーし、それはわかるお」
　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼


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875： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:05:12 ID:bMttHh86


　　　「余談だが、このとき大陸からやってきた織工たちは『呉服（くれはとり）』と呼ばれ、

　　　　　　のちの服部一族の祖であるとされる」


。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。



　　　　　　　　　　ＳＣＯＲＥ　　　　　　　　　　　　　ＨＩＧＨ　　ＳＣＯＲＥ　　　　　　　　　　　LEFT
　　 ＿ ↓＿_＿＿＿_５２３０_＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿２００００＿＿＿＿＿＿＿__　　　 ２
　　 | ノ。ヽ.||三,.ノ、|| ､方 ||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||（└）０８６
　　 | ＼／ ||≡,ﾉZ, || /＾ヽ||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　　　||　 P ： ７
￣￣￣￣￣￣￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣ |￣￣￣￣￣￣￣
　　　　　　　　　　 ￣￣|￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|￣￣
　　　　／ ヽ,.ヽ　　　　　 ￣￣￣|￣￣|￣|￣|￣￣￣￣￣ |￣|￣|;;￣ |￣￣￣　　　 　　　　 ／ヽ,.､
　　　　i　　　　 ヽ　　　　　　　＿,|;;;　　|､...|＿|＿＿＿＿＿_|＿|､...|;; 　 |＿　　　　　　　　　　/　　　　ヽ,
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八八八八八八八八八八八..|　 X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X__,X,...X|八八八八八八八八八八八
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　　　　　　　　　　　　　　　　└―――――――――l()() 〉〉 ‐――――┘
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ｰ--'f-、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ･=＝　　 　ﾋ|‐‐‐ |ｺ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　.>_ﾊ_<

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



.

876： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:05:35 ID:bMttHh86


　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　「播磨風土記に、揖保郡阿為山の項が設けられているが、
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　　　　　　 その中にこのような記述がある」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　品太天皇之世紅草生於此山故號阿爲山

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━


.

877： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:05:55 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼　　　　　　　　　　　　「訳して（命令口調）」
　　　　　　　 　 ／ 　 （●） 　（●） 　＼
　 　 　 　 　 　 |　 　 　 （__人__）　　 　 |
　　　　　　　 　 ＼　 　　 ｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　 　 ／　　　 　ー‐　　　　＼


　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､__ 」L＼
　　　　　 　 　 　 　 　 　 (＝ ) (＝ ) ⌒_,-|、
　　　　　　　　 ,'⌒　＿　（__人___）　　r' l ｜lヽ
　　 　 　 　 　 ヽ＿ノ　　 '､｀ ⌒´　　 }　}　l ﾚ }　　　　　　　　　　　　　「品太天皇の御世、この山において紅草が生えていた。
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　 　　 j　|,｜l ﾉ__　_
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　/　　　 /ｨ : : : : ヽ　　　　　　　　　　　　　　　ゆえに阿爲と號する」
　　 　 　 　 　 　 　 　 _／:.`ｭ'ﾆニr´　　　／ : : : : : : : ヽ
　　 　　　　 　　__ ,.＜ : : : :{/:::ﾊ人　　　rノ∨ : : ／: : : :',
　　　　　　　／: : : : : : : : : ｸ:::〈´∧'--:´" : :.∨.:/＿／ : :l
　　　　　　/ : : : : : : : : : : /::::::i /:.∧ : : : : : : :∨ : : : : : : :l
　　　　／ : : : : : :Y : : : : :|:::::::y : : :∧ : : : : : : :∨ : : : ＼ !
　　／ : : : :＼ : : :i : : : : : |:::::/: : : : :∧ : : : : : : : ＼ : : : : :〉
／ : : : : : : : : :＼ :i : : : : : |:/: : : : : : :.∧ : : : : : : : :ﾊ : : : :|


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878： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:19 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　 ィi〔二＞ ィi〔　　 　 {ミ
　　　　　　　　　　 　 　 .　 f＞''´ /　　　　 　 　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　 　 ,　　　 　 　 　 ,　　　ヽ ￣}
　　　　　　　　　　 　 , 　 /!　 　 l　　　　|　 　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　 　 　 , 　 / {　　　|　　 　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　 　 　 　 , 　 /　{　　　l ￣￣ ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|　　　　　　「ご苦労であります」
　　　　　　　 　 　 f 　 {　 ＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　 　 　 　 ∨ 　 ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉 　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　 　 ∨ //} ,　　　　 V　 ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　 ，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　 ／/∧ 　,　　　 ｀ 　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　 　 　 　 { / ／|
　　　　　　 　 , 　　 　 ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　 　／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　 　 ＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　 ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　 　 　 　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　 ＼二,ｌ　，
.　　　 　 /　 　 　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ 〜〜 ……＜}｜
　　　　 ,　 　 　 　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　 ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　 　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　 ／　　　从 　　　　　　　　　　　　　　　 }
　 　 /　　　　 -〈　　　　 　 ゝ　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ^}　 ‘，



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　-─- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　 　 ノL　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 / (＿＿ ⌒　　 ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/::) ヽ::::::::　　 i 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 (_人＿） 　　 U 　 |　　　　　　　　　　「ぶんなぐるぞてめえら」
　　　　　　　　　　　 　 　 　 r,、　 　 　 '、　 　 　 　 　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　}　}　　　 　 |```　　　 　 j 　 |、
　　　　　　　　　　　　　　　　}　}　　　　　| 、　　　　／／　 >‐、
　　　　　　　　　　　　　　　　}　レ-､_　　 ｀-＝ﾆ　７／　／ : : :｀ヽ_
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 r´} ／／　}　　　 /}､__／　 / : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 }　　　　{丿_,. ＜〉ﾄ､::Λ　/ : : : : : : : : : : : : : 、
　　　　　　　　　　　　　　　}　　　　} : : : : : / /::::i　y : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　　　　　}　　　 丿 : : : : | /::::::| / : : : : : : : : : : : : : : : : : :


.

879： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:36 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ま、ともかくだ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　品太天皇というのは応神天皇のことなので、

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼　　　　　　 これはその当時揖保郡の山に紅の花が咲いていたということだな」
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　u.　　　　　､'
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '



　　　　　// ヽ ヽ　　　, -‐　　- ､　　　　　　　　　　　　　　　　「阿爲というのが紅花のことなのね？」
　　　 　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　 　＼//////:ヽ　
　　　　 　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　 　　 　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　 　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　 弋ﾘ　仆//////|∧
　　 　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　 　 ､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　 　　|///////..∧
　　　　　 　 ＼//ｒ-､　 　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フ ｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　 　 　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ 　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　 　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　 ヽ　 ＼//|


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880： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:06:58 ID:bMttHh86



　　　「そう、阿爲は藍。

　　　　　ベニバナの古和名に紅藍という名があったということはさっき言っただろう？」


　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　 ＼
　 　 　 　 　 　 （●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　 　 　 　 '､　　　　　　 │
　 　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　 　「r'、　　　　 ／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　 Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　 ＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|



　　 _,.｡s≦　　 　 /　　 　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　 ＼
　 l　　 　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　 　 ＼
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　 　 |　　　　|　　　| 八　　　　 　 ﾊ 　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |　　　　　　「jud」
　 l　| 　 八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　 　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　 　 ｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈 ｈ//(　 　､,' 　　　ｈ//(　//　 　 　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　 ， 乂^少 　 　 　 　 乂^少 /　 　 　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　 　 ， 　 ∧　　　　　　 　 　 　 　 　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　 人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　 父　　 　 　 ‐　　　　　 父 　 　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　 ＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　 　 ',
. 　/　 　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　 ／　　∨/∧　　　　,
　/　 　 　 ∨|ｉ 　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　 　 　 　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　 　 　 　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　 　 　 　 ，



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881：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:07:15 ID:XeSfx.W.
ハットリ違いでござる

882： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:07:22 ID:bMttHh86



　　　　　　　　「また、古事記の仁徳天皇の時代の記録の中に、紅に染められた紐のことが記されている」


　　　　　　　　　　　　 　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 ｀,
　　　　　　　　　　 ｌ　 　 　 　 　 　 　 i
　　　　　　　　　　 | 　 　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　 　 　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー ､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　 ヽ i/,j////∧､_＿
　 ／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　 　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　 ＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー ､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　　　其臣服著紅紐青摺衣、故、水潦拂紅紐、青皆變紅色

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883： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:00 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　 「仁徳天皇は五世紀ごろ、推古天皇は七世紀ごろの帝でいらっしゃるので、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 当然ながら仁徳天皇のほうが早いのね」


　　　　　　　　 　 　 　 　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　 　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　 　 　 　 　 　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽ ヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　 　 　 　 　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､ ｀　　　 　 |: : : :|. /
.　 　 　 　 　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　 　 ＿‐‐､/|: : : :|
　　 　 　 　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　 　 　 ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　 　 　 　 /: : /::::/:/!: : :.l/　 　 　 　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　 　 　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　 ／!　!:::::::l://
.　 　 　 /:/　 　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　 　 /:ｲ　 　 　 　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　 　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　 　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼ 　　 !
.　 ////ﾊ　　 　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　 　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼　　　　　　　　　　　　　　　「そういうことだな。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｜　 　( ⌒) ( ⌒)　　　　　　　　　　　　　　 曇徴が持ってきたのはあくまでも『画材としての』
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｜ 　　 （___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　 紅だったととらえるべきだろう。
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　　人､ 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　ともあれその後、奈良時代に至ると、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イ ﾄ､ ヽ 、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　 ＼__､_ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　　先ほど紹介した『久禮奈以』などの名称で
　　　　　　　　　　　 ／ 　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　 ｀<´.〉:.;〈ヽ ＼､　　　　　　　　　　　　　　　 多くの歌に詠まれるようになっている」
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼ 　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　 く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　 、: : : : 　　　 ヽ 　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　 ＼ 　 '';;;::|　 ,|　__| |
　 　 　 　 　 　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　 ｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／ ／: : : : : : . .　　　　　 ｀､ ｀':'}　 |　 |!



.

884： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:27 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「これはつまり、奈良の都の近辺や、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 歌人が好んで居を構えるような身近な場所で

　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼　　　　　　 紅花栽培が盛んにおこなわれていたということの証左だといえるだろう」
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼



　　　　　　　　　　　　,.　-‐　‐- . . 、
　　　　　　　　　　 ／: : : : : : :＼: : :.＼
　　　　　　　　　 /:/: ://⌒|:ﾄ、: ヽ: : : ﾍ
　　　　　　　 　　i/: :// 　　l:l　＼: :V: : l
　　　　　　　　　/: ∧!≧ 　 ﾘ ≦ ヾ:ﾘ:i: |
　　　　　　　　　ｲ∧代ﾉ　　　代ﾉ　}ﾉ:/:!
　　　　　　　　　　　!　 　'　　　　　 7 ）:!
　　　　　　　　　　　 ＼　「_ﾉ　　 , イ:/:l
　　　　　　　　　　　　　|ヽ　_, ィ /: /: :|
　　　　　　　　　　　　　|: :| レ-=l :{ |: :|
　　　　　　　　　　　 -‐|: /天|／l: | ￣ミ＼　　　　　　　　　「いろんなところで紅花が作られていたって考えてよさそうね」
　　　　　　　　　　「　　ﾚ　/　　　ﾘ　　　ﾅ⌒ｌ
　　　　　　　　　 i |/＿　〃　┌―‐┐/　　｜
　　　l' ⌒ 'l　　　|/┬┤{{　　 「￢￢∨　　　l
　　　|-―-|　　　{ｌ　|　」 ||　　 |　|　|」ヽ　　　|ｌ
　　　,ゝ- ｲ　　　|ヽ￣_　 || ヽ _￣　_　 i　 　　|
　　　{ ニミ 、　 l　ﾍ　　　||　　　　　　∧　 　 |
　　　ゝ'ｴ`　ト、|　　|　　-||―　　　　/　| i　　l
　　　　＼ //　|Tヽ/　 　 ||　　　　 ｲ、　|}　　 |
　　　　 ∨　　/〃/-┐　||　　　┌―{　ｌ　　　|
　　　　　 ⌒V　 /―/ 　 ll　　　　ト┬Ⅵ　　　|
　　　　　　　 ￣// /　　 ||　　　　|　|　ﾘ＿＿ l
　　　　　　　　// ./　　　||　　　 　L⊥ 」l　　　|
　　　　　　　　「￣　　　ﾊ|　　　　　　　 ｜　　｜
　　　　　　　　|　　　　/:::||　　　　　　 　｜　　 |


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885： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:08:50 ID:bMttHh86



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　　　くれないの　はなにしあれば　ころもでに

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そめつけもちて　ゆくべくなおもほゆ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━



　　　　　 「この歌は、紅花の畑をみて目の前に咲いている紅花で

　　　　　　　　 自分の衣を染めたいと思った、という心情をうたったものだ」



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼ 　　　　　　　　　 「つまり、紅花が広く染め物に用いられていることを示している。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　 また同時に、紅を用いた染め物が
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人＿）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　'､`-ｰ-′ 　 　 | 　 　 　 . -,　　　　　いかに憧れられたかということもな」
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　``　　 　 　 |　　　　/　/
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　 ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　 〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　 　 　 　 ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　 　 　 　 　 　 　 　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i


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886： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:16 ID:bMttHh86


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　　　くれなひの　やしほのころも　あさなさな

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　けがるとはすれと　いやめつらしき

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　　　　　　　　　　「またこの歌に歌われている『やしほのころも』というのは『八鹽の衣』のことだ」


　　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣￣ ＼
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　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　 　 ／ ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　 　 ／ : : : ゞﾆ二彡
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　　 　 　 　 　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
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887： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:37 ID:bMttHh86


　　　　「八鹽の『鹽』とは染汁に浸して染めることで、八の数字はその染める回数を表している」



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　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
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　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
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　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼



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　　　 　 　 　 　 ／ 　　⌒ 　　⌒＼
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　　　　　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／　　　　　　　　　「つまり、八鹽の衣は、八回染めた衣だってことかお」
　 　 　 　 　 /⌒　　　　　　　　 　 ヽ
　　　　　　　| 　 ヽ＿＿　　　　　＿　',
　 　 　 　 　 :､＿　 　　　） 　（￣ ＿丿
　 　 　 　 　 | 　 ／ ￣｀ｉ　　／￣ 　｀ｉ
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　　 　 　 　 ∧　|　　 　 |＿_／ 　 　 /
　　　　　　　　｀ーヽ ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　（＿＿） 　､＿＿）


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888： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:09:53 ID:bMttHh86


　　　「そういうことだな、繰り返し染めることでより濃く染め付けることができるわけだ」


　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '



　　　　 ｆ` ｒ-‐─‐ ‐....､
　　　 ,ｨヽ ヾ:::::..＿.::::::::....ヽ
　　 /..::::::∧∨,　-‐ ヽ.:::::::...＼
　 /....::::::::レ}ﾉ　　　　　 ヽ:::::::.....
　i.....::::::::::|　　 　　 　　,. -‐ Y:::..ヽ
　|....:::::::::::|　　　　　　　　___､∨::...}
　| ...::::::::::i　, '´　 　　　'´　 ゛ ∨::.|
　::....::::::::::Y´　, =､ 　　　 　　　∨..ﾄ､　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、この時代にも濃淡のついた色の衣があったのねぇ」
　 .∨...:::::∧. ´　　　　　'　　 　 }::::|..ヽ
　　 ∨..:::::::::ヽ　　　　.__ 　'　　/N.......∧
　　　`Y......:::::::::ゝ.　　　　　　ム-､::::....∧
　　　　|..::ヾ..:::::::::＞‐----ィ__ﾉ. {:::::::::...∧
　　 .　 |..:::::::::::＞ {` i￣i￣i￣i　i Ｌ＿,､_∧
　 　 　 |.:::::::::::::::::_,}　i　 i　 i　 i　ヽ　　ﾄ､`ヽ
　　　　 |...::::::::::,イ´_　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ
　 　 　 .|...::::::/　　 `Y　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ 八　 ＼
　　　　 .|...::::i　　　　 ＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ 　＼
　　　 　 |....八　　　　 　＼　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ　ヽ.　＼


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889： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:11 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「手間と費用がうなぎのぼりだろうがそういうことだろ。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼　　　　　　　 紅の用途としては、ほかには今回の眼目である化粧にも用いられていたし、
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　( ●) （●)　　　　　　 また萬葉集などをみるからに、観賞としても大いに愛されていた」
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 　　 （___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,.|　　　　　 　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、 ／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
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　 ＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【萬葉集の観賞用植物】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　　櫻花、梅の花、馬酔木の花、杜若、紫陽花、花橘、尾花、朝顔、萩の花、
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　女郎花、鶏頭、萩の葉、紅葉、撫子、からあゐなどなどがあります。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　 からあゐは『韓の藍』のことです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　　韓から渡ってきた藍→呉の藍→くれない、ということで紅花のことになります。
. 　 　 　 　 |＿＿{
. 　 　 　 　 ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa


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890： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:30 ID:bMttHh86


　　　　「また、本草綱目に記載されているところによれば、

　　　　　　紅花の花や種には有用な薬効があり、薬用としても紅花の価値は大きかったらしい」


　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　／_ノ　 ｀⌒　＼
　　　　　 　 　 　 　 _　　　 　 　 　 　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　 　|
　　　　 　 　 　 　 ｜ !　　　　　　　　|　 ｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　 　 　 ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　 ﾄ
　　　　　　 　 　 |　 ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　 ／i＼,,,,_
　　　 　 　 　 　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／ 　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　 　 　 　 　 | 　 ）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　 ／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　 　 ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く 　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　 　 　 　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }



　　　　　　　　　　　 イ⌒丶.　　　　 　 ＼////ﾊ ＼
　　　　　　　　　 /＾ヾ|　　　　　 　 　 ､　　｀マ//ﾄ､　ヽ
　　　　 _,.　-‐／　 / |　　　　 　 ｉ　　　ヽ　　 ｀ Ｔ爪 　 :.　　　　　　　　　　「紅花有能でありますな」
.　　 　 「 　 く′　 :i|｜　　　　　ｉ}　 .:.　 ﾊ　　　ｉ| :|/》　 ::.
　 　 　 　 　 i　　　:i|ⅰ　　　　. :{{　: :}: .　|　 　 ｉ| :|//》　 ::.
　　　　　',　　i　　　i|ⅱ 　 　 : : :}､: :_ｊＬ {_|　 　 ｉ| :ｌ　 /》　:::
　　　 　 　 　 i　　　|八 _　　　: :爪 /i} ∧|　 　 ｉ|/　　 /》 :::
　　 　 　 }ｉ　　i　　才＾ヽﾄ　　　: :ｋ七Ｔ六ﾄ､　　ｉ|　/　//　::{
.　　　　　{{ i 　 ,　 ‘ｋ七圦ヽ.　: :|　V匕ﾉi}'/ 　 ｉ|　　//　　:|
　　　　　 Wﾍ　 ',　　:.　Vヒi}　､: :{　 ‘冖1l:i　　 ﾘｃ //,、　 :|
.　　　　　 }} 人　::.　　:. ､¨´　　＼, 　 　 川 　 /_∠∧∧　 |
.　　 　 　 {{　　 ヽ ::.　　',ゝ　′　　　 ／ ﾘ'　 /　/、 ∧_}　 l
.　　　　　 }}　　 　 ', ＼　V丶. ｀ 　 　 ,.ｨ7　 ｲ　 ′＼ ＼＼
　　 　 　 八　　 　 }　 }ト ＼　＞　 イフ ／l |:　ﾄ（　　＼_〉∧
　　　　　　　＼ 　 ﾉ／}} 　 ｀丶　　斗n升}｜　 l　∟Ｌ _　　 丶
　 　 　 　 　 　 ／´　 ″ .:|　 }と7　ﾑｌj　 Ｌ|　　|　|　　　｀　 .　 ＼
　　 　 　 　 　 　 　 /,'　,.ｲ|　.:　.′、　　⌒|　　| ｜　　　　　 ヽ　 ＼
　　　　　　　　　　 //: / /:| :/ .′ 　 　 　 ,|　　|　|　　 　 　 　 }: .　　＼
　　 　 　 　 　 　 //:　ｉ./ .:|/_厶ﾍrﾋ'⌒TT^! 　 ｌ＾i|７、 　 　 　 } : : .　丶＼
　　　　　　　　　//: :　l'　 / //∧从　 人{八 　 Ⅶ'　} 　 　 　 i} : : : . 　 ＼＼


.

891： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:10:54 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　「その後、平安時代に入って、貴族文化が成熟してくると、
　　 ／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼　　　　　それに伴って紅花の需要は爆発的に増える」
. |　　 （●）（●）|
. |　　　（＿人_）│
　| 　 　 ｀ ⌒´　 |
　 | 　 　 　 　 　 |
.　 ヽ　　　　　　/
　　 ヽ　 　　　/
　　　,7:./h::ﾌ<
　 　 |::::.ヽi:::.ｿ|
　 　 |:::::::::.｀´.:|


　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾ ヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　 ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィ ｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　 　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　 　 　 　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　 　　 辷ﾟノ/l:.:.:./ l　　　　　　　「まぁ、服とかめっちゃ染めるでしょうしねえ」
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　 　　　　 ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　 　 , ー,　　　　/ 　 l/
　 ヽ ヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ 　　／　 　 !
　　 ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　 ヽ、_　 ー:.:.!
　　　 ヽ´　　　 ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　 ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　 ）.:.:｀ ' - ∧ つ ヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､ 　ヾ.:､　　　ヽ ヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　 ｀ゞ　　ヾ　　　 ヽ　　｀ヽ､


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿
.　　　　　　　 　 　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　 　 　 　 　 _／: : : :∠.:}L:＞､ ＼
.　　 　 　 　 ／: /: : : /===､ ヽ: :ヽ
　 　 　 　 ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ 　ム: :ヽ
.　　　 　 /: : : : :|: : : :! `　 　 　 5､i : ヽ
.　 　 　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　 　 　 　 '　{: : :.ヽ　　　　　　　　　「西陣織の原型も出来てくるわけですからねぇ」
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　 ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　 　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　 　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　 　 ￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　 　 　 　 　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　 　 〉ｒ＜　￣｀弋に).､ ヽ
.　 　 　 　 　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ


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892： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:13 ID:bMttHh86



　　　　　　「さてそうなると、都周辺で栽培するだけではとても紅花の供給が間に合わない」


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ ヽ､,__　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （_人___） 　 　　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／-‐ 　 ｀i ､ ＿__,.　イ i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {/´､　　 　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　 しrヽ　　　　V:::Λ　 ／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　 　 　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　 　 　 　 　 　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ



　　　　　　　/　 　:|　　　　　 |:　 　 　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　 ヽ　≧o｡
　　　　　　 ,′　/｜　　　 　 |:　 　 　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　　{
　　　　　　:.　　/　:!　　 　 　 |:　 　 　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　 　 ′
　　　　　　f　 /　/l　　 　 　 :|:　 　 　 |　　 |　　　 　 /　 　 :|　　　　 !　　/
　　　　　　|／　〈 :{:　　 　 　 | ――‐┼‐､｜　　　 :/＿_ 　 }　　 　 /　 /
　　　　 　 {{　 　 ﾍ!:　　　　　㌣斧芋羽ﾐ　/!　　　 xzzzx　 /　　　 /　 /
　　　　　 : Ⅶ　 　 ﾟ，　　　　:ゝにf//(_　　 :|:　　/ん//} //: 　 　 /　 /　　　　　　　「残当」
　　　　　: 　Ⅷ　　　ﾟ。　　 　 | 乂//ツ　 　:|: 　/ に/(　 ,′　　 /　 /
　　　　 / 　 Ⅵ　　 } ﾟ，　　　:|　　 　 　 　 人／　｀¨¨~ / 　 　 /　 /
　　 　 /　 / ∨{//// ﾟ。　　 :!:　　　　 　 　 　 ,　 　　 / 　 　 /　 /
　　　 / ％77/‐=≦{ 　 ，　　ﾟ＼　　 　 　 　 　 　 　 ｲ 　 　 /　 /
　　　／//////／＿___ ﾟ，　　ﾟ，＼　　　　 ｀　　　 /　　　％　　′
　　　∨///＞f//////{　ﾟ。 　 ﾟ，/:＞　　　　 ＜ /　　　ｲ　　:/
　　 / ゝ‐≦　:{//////ｉ　　， 　 ﾟ，///:＞＜≧o/　　／ ! 　 /
　　,′　 　 　 ≧=‐ミｔ､!　　 ﾟ，　 ﾟ，//{――///　 イ 　 {　 /
　 /　‐=≦: : : : : : : : : : ﾟ。　　ﾟ。　:}:. ＼／ ゝ-,′/ :!: 　 ｉ: /
　f: : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾟ，　　 ﾟ，ｉ:.:.:./:.:.:.:.:} 〈／　 :　　 {/
　{: : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧　 　}ヾ:／:.:.:.:.:/￣|　　｜￣＼



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893： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:32 ID:bMttHh86


　　　　　　「なのでこの時期になると、

　　　　　　　　各国からの貢物の一項目として紅花が定められることになる」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 　　 （___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,.|　　　　　 　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、 ／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　 ＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼



　　 _,.｡s≦　　 　 /　　 　 |　　　　　　 |　　　　　 ,　 ＼　　　　　　　　　「なるほど、人に作らせるわけでありますな」
　 l　　 　 |　　　　l　　　　 |　　　　　　 |　　　　　 |　 　 ＼
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　　　　 |　　　　 }､
　 l　　 　 |　　　　|　 　 　 |　　　　　　 |　　 l　　 i|　　　　 | 　､
　 l　　 　 |　　　　|　　　| 八　　　　 　 ﾊ 　 l　　 i|　　　　 | 　 |
　 l　|　　｜　　　 |　　　|　　，　　　　/　li　ﾊ　　 | 　　　　| 　 |
　 l　| 　 八　　　｜　 ,孑宀八　　　/　丁/￢ -- 　　　　 } 　 |
　 l　|　　　，　 　 |　　,ィf笊ミ､ , 　/　　ｨfぅ笊㍉ i}　　　　 　 ｜
　 l 八　　 ‘，　　‘，〈 ｈ//(　 　､,' 　　　ｈ//(　//　 　 　 ,|　｜
　 |　 ‘，　　 ,　　　 ， 乂^少 　 　 　 　 乂^少 /　 　 　 /,|　｜
　 |i　　ﾊ　 　 ， 　 ∧　　　　　　 　 　 　 　 　 {　　　　 ∧/7,∧
　 |i　　{,ﾊ　　 ‘，　 人　　　　　　 '　　　　　　｜　　　 ∧,∨,′ ，
　 |　　ﾊ,∧　　　,　　 父　　 　 　 ‐　　　　　 父 　 　 ,ﾍ∧V 　　，
　 |i　/　^　，　　‘，　 {　　　　　　　　　　　　 /　　　///V
. 八,/　　 //ヽ　　 ＼｜　　 |=＞　　＜=|　 ,　　　／∨/∧　　 　 ',
. 　/　 　 ∨/, ＼　{　＼　　/ﾆ/7爪〈ヽﾆﾊ/ 　 ／　　∨/∧　　　　,
　/　 　 　 ∨|ｉ 　＼　　　 /‐≦/ﾆﾆ∧　 /　／ |　　　| ⌒
./ 　 　 　 　 i|　　 | ＿___〈　　,/二ニ∧,/／≧s。　　 |　　　　　　　 ‘，
′　 　 　 　 i|　　 |二ニニニニﾆ{{}}二二二ニﾆ|　　　|　　　　 　 　 　 ，


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894： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:11:49 ID:bMttHh86


　　　　　　「言い方は悪いが大体そういうことだ。

　　　　　　　延喜式によればこの時代、律令制で制定されている六十八の国のうち、

　　　　　　　　二十四国が紅を朝廷への貢物として生産していた記録がある」



　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　／_ノ　 ｀⌒　＼
　　　　　 　 　 　 　 _　　　 　 　 　 　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　 　|
　　　　 　 　 　 　 ｜ !　　　　　　　　|　 ｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　 　 　 ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　 ﾄ
　　　　　　 　 　 |　 ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　 ／i＼,,,,_
　　　 　 　 　 　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／ 　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　 　 　 　 　 | 　 ）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　 ／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　 　 ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く 　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　 　 　 　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }



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895： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:07 ID:bMttHh86


　　　　　「この生産国とかこまごまとみていくと面白いことも結構あるんだが、このあたりもさらっとスルーしよう」


　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !


　
　　　　 |　　　　|　　　　 |　　　　 l　　　　　|　　　　　　　 |　　　　 　 |　　　　　「毎度いつものことでありますな」
　　　　 　 　 　 |　　　　 |　　　　 l　　　　　|　　　　　　　 |　　　　 　 |､
.　　　　 ｌ　　 　i|　　　　 | 　 　 　 ,　 　 　 i|　　 　 ｌ　 　 i|　　　　 　 ,　＼
　　　　　,　　　｜　　 　 |　 |　　 八　　　　|　　 　 |　 　 i|　　　　　 ,　 　 }
　　 　 　 ,　 　 i|　　　　 |　 |　　　　, 　 　 i|　　 　 |　 　 i|　　　　　,　　　,
　　　　 　 　 　 {　　　　 |　丁￣￣　，　　 ! ￣￣丁¨^　,　　　　　′
　　　　　 ，　 　 ,　　　　{　,x笊云ミ　， 　 |　 ,ィfぅ笊ﾐ　}　　　　 /　 　 ,
　　　　　　,　　　 ,　 　 　 〈　)//沁　　,　　l　 　 )//沁〉　 　 　 /　　　ﾊ
　　　　　　　　 　 ，　 　 ∧乂^)少　　 ',　 |　　乂^)少　 /　　 /　　　 ,　,
　 　 　 　 　'，　　'，　 　 ∧　　　　　　 ヽ |　　　　　/ ／　　 ,　　　　, 　 ，
.　 　 　 　 　 '，　　 ,　　　八　　　　　　,　｀　　　　ノイ　　　 //　 　 /
　　　　　　　　{ヽ　八　　　 {　　　 　 　 _　　　　 　 ／　　　/{ﾊ　　 /　　 ∧
　　　　　　　　|　‘， {‘，　八　　　 　 　 　 　 　 ィ　/　　／ |{/77 /　　 / ∧
.　　　　 　 　 　 　 ', l　 , 　 ∧　　 〕ト　　　 ィi〔=| /　 ／ 　i|///∧ 　 　 / ∧
　　　　　　　 ,　　　}/| 　ヽ　 ∧　　)ニ≧≦ニニ|　／|　　　|ﾏィ/,∧ 　 　 /　 ,
　　　　　　　 　 　 　 | 　 | ＼　}　 /　　/^∨　　 }∧　!　 　 | ∨///
　　　　　　　 　 　 　 | 　 |　　＼‐廴　/{{ }},∨　 /ニﾆ|　　　|　∨,/　　　 　 　 ∧
　 　 　 　 /　 ‐=ﾆ二| 　 |二二二二ニ乂ﾉ二二ニﾆﾆ|　　　|二二二ﾆ=‐　　 / ∧
　　 　 　 ,/ニニニニ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二二ニニﾆﾆﾊ　 / ∧
.　　　　 /{二ニニﾆﾆ| 　 |ニニニニニニニニニニﾆﾆ|　　　|二ニニニニニ} 　 / ∧



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896： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:30 ID:bMttHh86


　　　　「平安期前期にわたって紅花の生産量は順調に増えていたようで、

　　　　　　鎌倉時代に至っては国内需要をまかなうのみならず、

　　　　　　　　　国外への輸出なども行っていた記録がみられる」

　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



.　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　. ': : : : : : ／::::ｒ､:::::ヽ: : : : : : : : : : : : : : : ヽ　　　　　　　　　「水銀のほうも、輸出してたってお話があったわよね〜」
.　　 　 /: : : : : : :/´￣´　￣｀ヽ: : : : : : : : : : : : : : : :',
　　　 /: : : : : : :/　　　　　　 　 ';. : : : : : : : : : : : : : : :i
　 　 ,': : : : : : :/＿_　 　 　 　 　 '; : : : : : : : : : : : : : : |
　　 ,: : : : : : :/´ ￣｀ 　 　 　 ＿_.i: : : : : : : : : : : : : : :l
　　 ! : : : : : ;' ,ｨ芋示　　 　 ´￣｀|: : : : : : : : : : : : : : |
　　 i: : : : : :ｉｲハ心ｊ　　　　　　　 |: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :!｀　 ｀¨ﾞ　　　　ｨ≧ｚ､|: : : : : : : : : : : : : : |
　　 |: : : : : :l! 　 　 ,　　　 　 ￣ヾｊ.: : : : : : ;ｨ!┐ : : : :!
　　 l : : : : : ﾊ　　　　　　 　 　 　 |: : : : : :/ ﾘ/: : : : : !
　　 |: ﾊ: : : :ｌ∧　　 ､　＿,　　 　 j : : : : /ｰ:'ﾞ: : : : : :.|
　　 |/　'; : : |　l:＼　　　　 　 　 //! : : /:.: : : : : : : : :|
　　　 　 ヽ: :|　| : : ヽ､　　　　イ:/ j: :.∧: : : : : : : : :.:|
　　　　 　 ヽ|　l: : : : :_｢ 　 　 //>/／: : ＞― ､: :/:.:|
　　　　　 　 　 l : : :__ﾄー―イ／　 > '´　 　 　 ∨.; :|
　　　　　　 　 ﾉ:ｒ‐ｲ/^j￣ ／　 ／　 　 　 　 　 ∨: |
　 　 ／ ￣￣ 7　 |｀¨ﾞ ／　 ／　　 　 {　　 　 　 l : |



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897： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:12:48 ID:bMttHh86


　　　　　　「おお、貿易大国でありますか」


　　　　/　　/　 /　　　　　　　　/　　　　　　|　　　　　　 　 /　}　　　 ＼ ＞｡.＿＿_
　　　 / 　 /:　/　　　　　　　　/　/　　 / 　 |:　　　　　 　 /　 :i　　　　　 }　　　　　 }
　 　 / 　 /　/　 　 　 　 　 　 {: /　　 /　　 :!　　　　　　 /　　 :　　 　 　 ｉ　　 　 　 {
.　　/　　/　/{　　　　　　　 　 ｉ/ ＿_/　　　 | 　　　　　 /　　　}　　 　 　 |　　 　 　 }
　 /　　/　 :{ i　　　　 　 　 　 {　 　/　 ＞｡. {:　　　　　/　　　 :.　　 　 　 {　　 　 　 }
　,′　,′　 ＼　　 　 　 　 　 ｉ ,x斧芋芋ミｔ､　　　　 /＿　 　 {　　 　 　 } 　 　 　 /
./　　/　　　 　 ＼　　　 　 　 :ゝに///:刈　 ｌ　　 　:/　　 7 　:ｉ　　　　　:.　 　 　 /
　　 /　　　　　　　ﾍ　　　 　 {　| V///:Ⅳ　｜　　 /芹笊ﾐ　　}　　　　 /　　　　/
. 　/　　＼　　　　 }/}　　 　 :ｉ　| ｀¨冖＜　　{　 ／　Kじう/　/　　　　/　　　　/
　 ∨　　　＼　　 //{　 　 　 |　{　　　　　 　 i／　　 込ｼ :{: /　　　　/　　　　/
. 　 ∨　　　　ヽ f//:i　 　 　 |　ヽ　　　　　 　 　 ,　　　　∧　 　 　 /　　　　/
　　　＼　　　　 }//:/　/　　 {＼___〉　　　 　 　 　 　 　 ∧　　 　 :/　　　　/
　　／　＼＿ ∠:／ ∨　　　}　　　　　　　 f　 )　　　　八　　　　/　　　　/
　/　 ／//　　　　　　 ＼　　i　　　　　　　　　　　　　ｲ 　 　 　 /　　　　/
. 〉＜//:/　　　　　　　 / |＼:|　　　　　　　　　　　　　{:　　　 ／　　　　/
/////:/　　　　　　　 /　:!ｧｧ＼ 　＞｡.　　　　／　 ｌ　i　　 ／{　　　　 /
/////{　　　　 　 　 //} :|//////≧=‐ ＞＜　 ＿:|　}　／　 ｉ:　　 　/
//／/}:　　　 　 　 ///i ≧=‐{__|/////}　} .｡＜//}　／　　　:　　 ／
//／ :ｉ　　　　 　 / ＼:|i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:＼//‐=≦ ＼//:ｉ　　　　　 {　／|



　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　u.　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_　　　　　　　　　「大国かどうかはわからないけどな」
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|



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898： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:02 ID:bMttHh86


　　「しかしその盛況な紅花栽培も室町時代に差し掛かってくると徐々に衰えてくる」


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ ヽ､,__　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （_人___） 　 U　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／-‐ 　 ｀i ､ ＿__,.　イ i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {/´､　　 　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　 しrヽ　　　　V:::Λ　 ／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　 　 　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　 　 　 　 　 　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ



　　　　 　 　 　 　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　 　 .||　 ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　 　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　 　 |: :./: /: :// /'　　 　 　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!　　　　　　「あら」
　　　　　　　 　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　 　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　 　 　 　 　 ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た ｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　 ﾚ |:./ ' 弋歹 　 　 　 　 　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　 　 　 　 　 　 ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　 　 　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　 　 　 　 　 |:', : : : ＼　　　　　　　　 ／/: :./: !
　　　　　　　　 　 　 |:ﾍ: : : : ',: i＞ ､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　 　 　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞ ､　｀≧､
　　 　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　 ／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |


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899： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:20 ID:bMttHh86



　　　　　　「原因は朝廷や幕府の求心力の低下により、

　　　　　　　　　貢物である紅花の量が少なくなってきたことではないかといわれている」


　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



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900： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:13:40 ID:bMttHh86



　　　　　「さらに応仁の乱が京の町を焼きつくし、

　　　　　　　　　各地の有力者が下剋上の気風を隠そうとしなくなるに至って

　　　　　　　　　　　　　紅花の衰微はいよいよ深刻なものとなっていく」


　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼


　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　 ,..-''"´ 　 　 　 　 　 ｀''-,,
　　　 .／　　　　　　　　　　　 　 　 ＼
　　 ./　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ
　　/　　＿＿＿　　　　　＿＿＿＿　　 ',　　　　　　　　　　「ま、下克上の流れの中でバカ真面目に
　 ,'　　 ＿＿＿_　 　 　 　 ＿＿＿_　 　 ',
　 l　　 l ●　　 l　　 　 　 .l ●　　 l　　　 l　　　　　　　　　　　　　貢物送り続けるやつはいねーお」
　 l　　 ヽ､＿ ノ　　　　　　ヽ､＿ ノ 　 　 .l
　 ',　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,'
　　',　　　 　 　（＿_人＿＿）　　　　　　/
　　 ヽ、　　　　　└――┘　　 　 　 ／
　　　 ._｀''-..,,_　　　￣￣　　　 _,,..-''"_
,..-''"´　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｀"''-..、



.

901： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:03 ID:bMttHh86



　　　　　　　　「そうした流れの中、鎌倉時代には輸出していたほどの紅花を、

　　　　　　　　　　　　　　　　　今度は逆に外国から輸入しなければならないほどになった」


　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　 ｜　 　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　 ｜ 　　　（___人__）
　　 　 　 　 　 　 　 |　　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　 　 　 i　　　　　 　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、 、___　　　|
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　 丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　 ｲ::::ﾄlヽ
/ : : : : : :ヽ : : : :ﾉ : : : : : v' l:::::l､ :l＞､、　　　　　　　　　　　 rｰｰｰｰｰ,__
: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
: : : : : : : : :l : : : : : : : : :､ : :｀､::::::ｌ : : : : :l : :l　　　　 　　　 √ ／..　　.:}_)
: : : : : : : : l : : : : : : : : : :｀､ : ｀､::,' : : : : :l: : :l　　　　　　_ /　　}:...　　..::{_)
: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_　　　　　　　　　　「すがすがしいほど盛者必衰」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　　―　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　　(● )　　ﾍ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（⌒ 　 (● ) ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾍ　　　 ￣｀､__）　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　 　 　 　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, へ、　 　 　 ＿／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　 　 　 　 ＾ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　１ 　 |


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902： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:34 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　「一時は紅の製造方法すら忘れられかけていたほどだったが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　戦乱の世が収まって、また運が向き始める」

　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　 　　＿＿＼ ＼
　　　　　　　　　　　 　　　 <＿＿　＼　＼
　　　　　　　　　　　　 ／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　 　　 .／　 └--ﾐ ヽ、＼　-　＼　|
.　　　　　　 　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　 　 /　　（ ● >､　 ､( ＼ 　 　　　　 !　　　　　　　　　　　「江戸時代に入って大いに復興することになったんだ」
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　 　{ 　　,　　 （ ＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ 　　　`''"　./　＼ 　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　 ゞﾆ>一′　 .／　　　 ＼(⌒)　　 ﾉ　＼
　　 ／ |　＼ヽ 　　　　　 　　 .／ 　　　　　　.ヾ、　／　　　 ＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／ ＼(
＿ ＼ 　 !　　　 > ー-- イ　 ＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　 ノ）ヽ、
　　　　　　 ＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　 　 ＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　 ＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　 ィi〔二＞ ィi〔　　 　 {ミ
　　　　　　　　　　 　 　 .　 f＞''´ /　　　　 　 　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　 　 ,　　　 　 　 　 ,　　　ヽ ￣}
　　　　　　　　　　 　 , 　 /!　 　 l　　　　|　 　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　 　 　 , 　 / {　　　|　　 　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　 　 　 　 , 　 /　{　　　l ￣￣ ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　 　 　 f 　 {　 ＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　 　 　 　 ∨ 　 ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉 　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　 　 ∨ //} ,　　　　 V　 ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　 ，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　 ／/∧ 　,　　　 ｀ 　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　 　 　 　 { / ／|　　　　　　　　　　　 「おお」
　　　　　　 　 , 　　 　 ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　 　／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　 　 ＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　 ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　 　 　 　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　 ＼二,ｌ　，
.　　　 　 /　 　 　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ 〜〜 ……＜}｜
　　　　 ,　 　 　 　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　 ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　 　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　 ／　　　从 　　　　　　　　　　　　　　　 }
　 　 /　　　　 -〈　　　　 　 ゝ　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ^}　 ‘，


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903： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:14:52 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その復興のきっかけとなったのは、
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　 　　／　ノ　　 　 ヽ　　　　　　　大陸からの帰化人呂一貫という人物が家康の侍医となったことだといわれている」
　　　　　　　　 　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__） ｜
　　　　　　　　　　 　|　　 ｀ ⌒´ 　 |
　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　 　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　 　 　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　 　 　 {:::　　 l　 ＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡 ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　 ヽ--､ ＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　 　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。



　　　　　　,　--───-　 ､
　　　　／ 　　 / ⌒ヽ./⌒ヽ＼
　　　/ 　　,　-{　　/ ﾊヽ　 } ､ ヽ
　　/　　／　　ゝ _ ノ, ‐ヽ-' 　＼ヽ
　 /　‐┼──-　 　ゝ ノ　 - ‐一!|‐
　 |　　 l.､,　-一　　　　|　　ｰ─- ｌL_
　 |　　／ ＼.／　 　 　|　　ｰ-.／ !
　 ､　'　l.　／＼＿　 　|　＿／　/＼
　　ヽ　 Ｘ　　 　 　 ￣￣　　　／
　　 /､二二二二二二二二 く　　　　　　　　　　　　　　【毎度おなじみ徳川　家康】
　　/　　 　 　／　　( 〒)＼　ヽ
　　!　　/　 /　　　　　　 　 } 　 !

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



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904：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:15:21 ID:XeSfx.W.
おひさです家康様

905： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:15:26 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「三代将軍家光の時代には出羽国最上と

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　陸奥国信夫から優良な紅が産出されるようになった」


　　　　　　　　　　 ,,..-――-..,,_
　 　 　 　 　 .,,-''´　　　　　　　 ｀ヽ
　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　 ヽ
.　　　　　,'　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ',
. 　 　 　 l　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ',
.　　　 　 |　　　　　　　　　　　　　 　 　 l
.　　　 　 l 、　　./　　　 　 　 　 　 　 　 |
　　　　　{__ヽ　〈　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　「元禄に至って六か国で紅花の栽培が盛んとなり、
.　　　 　 ヽ｀tj、ヽ‐イひ"７　 　 　 　 　 |
　　　 　 　 l ｀´）　　 ｀￣　　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　　 天明以降明治に至るまで十二か国で行われることとなった」
　　　　　　 ',　/　　　　　、　　 　 　 　 　 ',￣ヽ
　　　　　　 .ヽ{　ヽ、　　　l　　　　　 |　　　.', 　 ',-.､
　　　 　 　 　 ＼-' ｀"''‐''′　　　　 l　　　　l　　',　 ヽ
　 　 　 　 .,.-''　 }ヽ-‐　　　　　　　/　　　 /　　 .}　　 ＼
　　　　..／　　　 |　 　 　 　 　 　 /　　　 /　　 ./　　　　 ｀''-..,,_　　　　　　　　　「ことに出羽国最上の紅花の品質は素晴らしく、
　　　 l´　　　　　l　 　 　 　 　 ／　　　 /　 　 ,'　　　　　　　　　｀''-､
　　 ./　　　　　/ ヽ.__l＿＿ ／　 _,,-''"´　　　.l　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『最上紅花』と世の人々に讃えられた」
. 　 /　　 　 　/__　　　｀ヽ、　　 <-､　 　 　 　.l　　　　　　　　　　 　 __
　 /　　　　　 |　 ＼ 　 　 /ヽ、　ヽ ＼　 　 　.l　　　　 　 　 　 　 ／
. /　 　 ＼ 　 |　 ／＼　.,'　　 ',　　',　.l＼　　 |　　　　　　　　　 /
　 　 　 　 ＼ レ'　　　.〉 l｀ヽ、 l　,.-| .|　 ＼　|　 　 　 　 　 　 /
|　　　　　 　 | 　 　 ／　.|　　ヽ_ノ /　l　　　ヽl　　　　|
|　　　　　 　 |　　　ヽ　　l　　./ ／ 　.l　 　 　 　 　 　 |
.|　　 　 　 　 |　　　　＼ ヽ　/.<　　　.|　　　　 　 　 　 |


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906： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:15:55 ID:bMttHh86


　　「一度死にかけた紅花の栽培が再び盛んになった大きな理由の一つとして、

　　　　　　　八代将軍吉宗が各地の殖産興業を大いに推奨したことがあげられる」


　　　　　　　「暴れん坊将軍だお」


。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡sー-==＝ﾆ=ｰ-=ｰs｡,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ . ` ､_
　　　　　　　　　　　　　　／￣ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　. ⌒ ､
　　　　　　　　　　　　 　 iﾐ　彡　ミ　ﾐ. ﾉ､ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ ミ ﾐ)
　　　　　　　　　　　　　ノﾐ　彡　ミ　ﾞr′(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ ミ ﾐ`ー‐‐､
　　　　　　　　　　　　/ﾐ　彡　ミ　ﾐ. `， /ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.彡ﾑ
　　　　　　　　　　 　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　.ノ (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　ﾞﾉ
　　　　　　　　　　　 /ﾐ　彡　ミ..ﾞi!⌒ﾆ，　( ｨﾆ=-⌒__>ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ ﾞ `i
　　　　　　　　　　　 廴ﾐ　彡　ミ.i!ﾊﾁ(ﾘ　 ( 行心沙 ﾉﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ.ﾞ`，
　　　　　　　　　　　 ／ﾐ　彡　ミﾞi! 　 /　　　　　　 rﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ ミ ﾞ/
　　　　　　　　　 　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ..i!　/　　　　　　　 〉ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ ﾐ‐- ｡ ，
　　　　　　　　　 i⌒ﾐ　彡　ミ　ﾐ　i! ‘ ‐-‐'　　　　　)ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ﾐ i
　　　　　　　　　 `，ﾐ　彡　ミ　ﾐ　.i!　 `＝==‐ 　 (⌒ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ﾐ }
　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡i!　　￣　　　 /(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡 ミ ﾐ(
　　　　　　　　　 /ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡...i!　　　 　 ／ (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ ﾐ.)
　　　　　　　　　 マﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡...` ┬ ‐ '　　 /(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ ﾐ}
　　　　　　　　　 /´ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.l　 　 　 /　〉ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡 彡,ﾉ
　　　　　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ／l　　　　　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　彡i
　　　　　　　　　 ／ﾐ　彡　ミ　ﾐ. ミ／ 　 }　　　　　 `ｰ／⌒ｰ‐--´'iﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡.)
　　　　　　　　　{ﾐ　彡　ミ　ﾐ. ミ／　　,/ﾘ　　　＞ '´　　　 　 　 　 ｫﾐ　彡　ミ　ﾐ　.　ﾑ
　　　　　　　　　 >ﾐ　彡　ミ..ﾞ／　　　/ ,'　＞ '´　　　　　 　 　 ／　ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡.}
　　　　　　　　　(ﾐ　彡 ミﾞ／　　　　/ ﾉ '´　　　　　　　　　 ／ 　 　 ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ　　ﾉ
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　　　　　　　　　　　`ﾒ'´(　,.ﾆ='　,/'　ﾑ 　 　 　 　 　 ／　　　　　,.-‐-､ﾑﾐ　彡　ミ　ﾐ.)
　　　　　　　　　　　　　i ´　　,／　　　 ﾏ` ､ 　 　 ／　　　 , ‐ ´　　　　`ﾑﾐ　彡　ミ. ﾉ　　　　　　　　　【徳川　吉宗】
　　　　　　　　　 　 　 ∧ ,／　　　　　　 ﾏ `,　,／　　　 /　　　　　　　　　`，ﾐ 彡r '
　 　 　 　 　 　 　 　 /　/　　　　＞ ' ´　　　v′　　　 / 　 　 　 　 　 ,　 　 ’ ﾐ <′

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ


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907： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:16:15 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　 「諸藩において、各国の国産品の保護奨励に力を注ぎ、

　　　　　　　　　　　　 ことに四木三草は重要資源であるとして極力その増産を図った」


。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　　　　　　　　　　　　　　　,｡-‐＜⌒ﾆ＝ー‐- ，
　　　　　　　　　　　　　　　 ／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡　ミ.ﾞ)　　　　　　　　『徳川より愛をこめて』
　　　　　　　　　　　　　 　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡 ミ)`Vミ)，
　　　　　　　　　　　　　 ／ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡ﾞ-zx､_V/ 　 　 　, ､,‐, ､
　　　　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. ﾐ ﾉ ｮﾁ ﾑ　 　 　 / ,' / /')
　　　　　　　　　　　　 ｨ’ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. <　　　 ...ゝ /`),/ / ,' /,/
　　　　　　　　　　 　 (ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. ミノ 　 ` ='!　 i! (/　 　,/'ﾞ）　,､
　　　　　　　　　　　r ’ﾐ　彡　ミ　ﾐ　彡. <＜　　　i　　!　 ',　　/ /／,ｨ’)
　　　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ﾐ. 斗圦ミﾉ､,/,｀`='’　 (~ヾ_i　/ ﾉ'ﾞ /　/ う
　　　　　　　　　`ーﾐ　彡　ミ　ﾐﾞﾑ: : : :`ﾏi!j`=ﾆ_　　 　 ): :⌒i　　　 ｨ' ,ｨ´
　　　　　　　　　(ﾐ　彡　ミ　ミﾐ八ミﾑ,: : :.'ﾏｭ-‐=' 　 　/: : :.ﾏ-ｎ_n　　{
　　　　　　　　　 =‐ﾐ　彡 ﾐ ﾞi从ﾆ ｀Yﾑ: : : :ﾏう 　　　/: : : : :.}: : : :)_ｪ､}
　　　　　　　　 (　彡　ミ　彡.} 丶(　气ゝ: : :.气　 　 /: : : : :./: : : : : : :.)
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.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート　【 四木三草　】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　農産物の中でも重要視された茶、桑、楮、漆の四木、
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　 それと紅花、麻、藍の三草を総称した呼び名です。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
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. 　 　 　 　 ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa


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908：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:16:25 ID:XeSfx.W.
吉宗様はそのへんは上手いことやってるのにね

909： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:16:45 ID:bMttHh86


　　　　「吉宗はそのほかの政策として染色技術の古法についての研究を行わせ、古来よりの諸々の技術を復活させた」



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,ｨf´　　 ｀"""ヽr=‐-｡,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,。｡- ┴　　 ／ 　⌒'x(　　　⌒rゞ,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Y´　　x　　 　 ノ　　　 　　　　⌒'x ﾑ _≠ん＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , !　　,ｨ-‐= ﾆ ﾉ　i　l　 Y/　　　' x　⌒'　ヽ γ气
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ,f　乂　,　-‐= '"　ｲ　 l　i! 从ヽ⌒, ﾉ )　　)　j　　　ゝ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.。f‐=ﾆ Y´,｡s=ﾆ,＿ ,ﾉ　ｲノ　j)Y ヽ/　 /　 r'/ ゝ￣ヽ(
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i ｨ ´　 , j　/　　　　　=イ三≧=-ﾉノゝ　 ヽ ＼ ‐-x ` , j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ゝf' x　/　　 〉　l　　　ゞj%乍辷ﾊ　) Ysｘ j ﾉ 　 ヽ )　jノ〈
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 Ｙ　ノ　 ヽ　　 ゝ 'i　　　ﾉ　　￣"　　　l%ﾑi!　　　/Y 厶 ヽ )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　r'⌒"'从　　　ゝ　　　lY ( 个x,　　　 ,ｘ｡., 」　ﾉｰ-彡　ﾄ-ｘ　)ｰ= ' x
　　　　　　　　　　　　　　　　　 (　　/　　⌒　f　　　　ソ (ﾏ　Y　 ,＿　`ｰ"　/　　ゝミ’　ｲ=x￣ヽ气)
　　　　　　　　　　　　　　　 　 气　i 〉'´　 　 (　　乂　　l ξh,　　 ` ｰ-"fｰ /ﾑ　　　) ⌒Y ｨ'=‐xイ气
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. ゝ-‐'　 从　f　　　　　　l　　 ヽ　　　　　　/ 〉ﾑ　　/　　ノ　　 ヽ‐- x'
　　　　　　　　　　　　　　　 ,ｲ　　　　j　＞' 〉　 　 ／　 l!　　 　＼　　　,ノ /　/　 (　　∧ ,｡s＜　ﾏ　,)
　　　　　　　　　　　　　　　从　＞ ' ｲ　 从ゝ　　 ノ　　l l　　　　　 二´｡sf　 从` ｰ - = ﾆ 弍 ⌒Y 〈
　　　　　　　　 　 　 　 　 /　,'　(　f´ヽ　　 (　　 　 _　ソ i!　　 ／´　　　　　ノミ ヽ　　　　　　,ヾｰ= ゝ,
　　　　　　　　　　 　 　 ノ　ゝ　/　　 f ,.。｡‐=‐‐ つ ',　　l!　,/　　　　　＞'´ヽ　)ソ　　 　 　 　 ﾊ ヽ　 )
　　　　　　　　　　　　 r'　,.｡-‐　　　 r=‐-＜_ '"´ 　ノ　　l! /　　 　 ／(　　 ｀Y /　　　　　　　　ﾊ　 Y
　　　　　　　　　　　　 !　　-‐イ　　/　 x‐-=イ　　( `＜　 i!　　　／　　ゝ　　ノi　　　　　　 　 　 ﾊ　 jﾄ、
　　　　　　　　　 　 　 )　　　　(　ノ　　j x=‐x ゝ　 ヽ-　乂l　　　　l　　i　 　 /　j　　 　 　 　 　 　 j /ヽ )
　　　　　　　　　　　 /　　〉　 ,／　 　 ﾉ　　 /　　　ﾉ 　 ,　 l　　　　l　 乂　　ゝ (　 /　　　　　　　 / ヽ气
　　　　　　　　　 　 ‘ 　 　 Y´ 　 　 /　　 ノ r' 　 (　　　 ,　l　　　　ﾑ　　 Y´　 　 /　　　　　　 　/　⌒' )
　　　　　　　　　　 ‘　彡　 {　 .,_ ノ` ｨf´　　　ヽ　示　　:l　l!　　　　 ﾑ、　ゝ　　 /　　　　　　　 / Ｙ　／
　 　 　 　 　 　 　 /　　　/ l　 　 ﾑ ゝ　　　　　　 圦 　 ::l　 l　　　　ノ 〈　　气ﾐ/　　　　　　　 / ソ ´
　　　　　 　 　 　 (　　　 `　l　　　ﾑ　 〉'´／　j　/气(　 ::l　 l!　 ,.ｨf{=／, 　 　 /　　　　 　 　 /　i
　　　　 　 　 　 　 ゝ　 从　 l　　　ﾑ　ヽ(　／　　)　　　 ::l　(ﾐイニ／　 ∨　 Y　　　　 　 　 /　 i!
　　　　　　　　　　　 寸　　　l　　　 ﾑ　 Y　　 　 j 　 　 . :l　 tﾆ／ 　 　 .∨ ，　　　　　　　/　　 l
　　　　　　　 　 　 　 　气 　 l　　 　 ﾑ　`ｰ ｧ　人　 　 . ::l!ヽ l!　　　 　 　‘v　 　 　 　 　 /　　　l!
　　　　　　　　　　　　　　 `ミ l　 　 　 ﾑ　　´气ｆ∧ー‐‐'´l!　 l!　　　　　 　 ∨　　　　　 /　　 　 i!

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



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910： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:17:22 ID:bMttHh86


　　　　　「友禅染などが江戸時代中期に開花を見た要因の一つとして、

　　　　　　　　　　　　　　　この吉宗の古色蒼然たる技術の復興があげられるだろうな」



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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,。｡- ､-‐=‐､｡。,_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＞‐= i'　i　 　 `　　　　　`ｰ‐､
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　　　　　　　　　　　　　　　　　 r'´　 /　( " (　 气　) )_,. 。｡-=､　ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾏ ,j i! =≦二>-r　(　　　ゝ　⌒' ､ ﾉ⌒'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　ﾉ　　孑" ﾏ ノ　j )⌒ ﾉ　　　　)-､　⌒
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 Y´　　　/( ( r/⌒j ノi _, ﾊ- ､ｰ- =
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ゝ-‐'， 　 j　(ﾏ_ >=ﾆi f⌒￣） ｵ=‐
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ノ彡' ﾏ'´,ｨfｧ/r'　 ,｡s≦=‐､ﾏ　(
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／／／　x´ｨ彡　/ｉx)/二二二二ヽゝ(
　　　　　　　　　　　　　　　　　／ / / ﾏ,.x j彡'" . /xｉxilﾆﾆﾆﾆﾆ二二ﾑミ
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　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　 ﾉ⌒)／/　 　,ｨ'/iｘｉ/_i!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆﾆ二ﾑゞ
　　　　　 　 　 　 　 　 Y　　 ／,. イ ( /　 ／=/iｘｉ/ミi!ﾆﾆﾆﾆ二二二二ﾑr
　　　　　　　　　　　 　 〉｡。ｨ'　 　 　/ｨ彡'"=/iｘｉ/ミ八二iﾆﾆﾆﾆ二二二ﾑ
　　　　　　　　　　　　 jミ三リ　 　 /彡'"三/ｉxｉxi!ニェヽ i!ﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二j!
　　　　　　 　 　 　 　 j⌒'ｰ'i　　 /_l三三ﾆ7ｉxｉxi!二二二i!ﾆﾆﾆﾆ二二二j!
　　　　　　　　　　　　j 　 　 l　 /二lﾆﾆﾆ=7ｉxｉxi!ニニニﾆlﾆﾆﾆﾆﾆﾆニ二l
　　　　　　　 　 　 　 j　　 　 l /ﾆェl!三三7ｉxｉxi!ニニニニlﾆﾆﾆﾆ二二二l
　　　　　　　　　　　 j　 　 　 l',二二lﾆﾆ=i!xixixj二二二二lﾆﾆﾆﾆ二二二l
　　　　　 　 　 　 　 j 　 　 　 lﾑニェlﾆェi!xixixj!二二二二lﾆﾆﾆﾆ二二二l

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



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911： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:17:47 ID:bMttHh86


　　　　　　「それと重ねて、かつて平安時代がそうであったように、

　　　　　　　　　　　世情が安定してくると、人々は当然のように奢侈に走るようになる」


　　　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　　　　　 ｜　 　( ⌒) (.⌒)
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　　ﾉ　　　　　　　　　　「江戸と京都の富豪の女房が清水寺で衣装比べを行った、
　　　　　　　　　　 　 |　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　 　|　　　　　　　　　　　　　　　　　などと言う話も伝わっている」
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜
　　　　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼
　　　　 　 　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　 　 　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |



　　　　　　　　　　　　 ＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　 ／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　 ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ 、　 }:ﾊ:!: i　　　　　　　　　　「まぁ当然よね」
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　 二_ｷ|:l: :!
　　　 　　 {:.{:.ｲ　r=＝、 　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　 、　///　ﾚｊｿ
　　　 　　　 ﾚヽﾍ　 　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼ 　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　 ／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ 、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　 「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　 ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　 　 　 　 |l　o　　　 　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　 ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　 　　∥　　　 　　ノ 　　l

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912： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:18:09 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　「まぁ、それが行き過ぎて何度も幕府から奢侈禁止のお達しが出てしまうわけだが」


　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　 　 　 ⌒　ヽ､_　 　　＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●）(● ）　　 　 |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （_人＿)　　　　｜
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　 　　 |　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　 　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　 　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　 　 　 　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　 　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　 　 　 　　　　 ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　 　 　 　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i



　　　　　　　　|　　　　　　　　‘，　　　　　　　　　斗ｬ七允 　 　 　 　 　 　 / 　 }
　　　　　　　　|　　　　　　　　　∨　　　　 　 　 /　　　　　 |　　　　　　　　/　　 }
　　　　　　　　|i　 　 　 　 jI斗ｬ=∨　　　　　　/　,jＩ斗劣ミ　　　　　　 　 /
　　　　　　　　| 　 z七さ＾　　　　 ﾊ　 　 　 　/ ,ｲ//,刋 }/ }　　 　 　 　 ,　　　 ,
　　　　　　　　|　　 　＼ {＿_　　 { ‘， 　 　 / 　h//(　 　 i|　　　 　 　 /　 　 /
､　　　　 　 　 |　　,ｨf斥爪刋 ミ　|　‘，　　 ′　込z少　　从　　　 　 /　 　 /
. ＼　 　 　 　 | ‰笊////(　　 ヽ!　　} 　 /　　　¨¨^´ 　 %　　 　 　 /　　　/
. ＼＼　 　 　 { ﾏ( ぃ乂/ﾉ爿 　 　 　 | 　,′　　　　　　 ,　 　 　 　 /　 　 ,/　　　　　　　　　　「贅沢禁止でありますか。
.　　＼＼　　　‘，　乂⌒少´　　　　　|／　　 　 　 　 　从　 　 　 /　 　 ,/
.　　　 ＼〉,　　　 ，　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,　　　 　 人　 　 　 / 　 　 ,′　　　　　　　　　　　　　守られてたでありますか？」
　　　　 }/}　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 / 　 　 /
　　　＿|/!　　　　∧　　 　 　 　 　 　 　 t ﾕ　　 　 　 /　 　　,/ 　 　 /
　　 l///,'|　　 　 　 ﾏ>　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　　　／{　　　/
＜-,l///,'| ＼　 　　 ∨=≧s｡.,_　　　　　　　　　　　/ 　 ,／　 |　　 /
　　≧=‐く 　i|＼　　　∨二二二≧s｡.,＿／　　　 , 　 ／　　　| 　,/
　　　　　　　 |　 ＼　　,∨　 |ﾆ=,|　 |i　　　　　　 / ／　 　 　 i|　/


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913： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:18:26 ID:bMttHh86

　　　　 ＿＿＿_
　　　／　　　　　＼　　　　　　　　　　「いやいや何度も出てるっていうところがすでにそのお達しが守られてないってことだお？」
　 ／　　─　 　 ─＼
／ 　　‐=・=‐　‐=・= ＼
|　 　　 　 （__人__）　 　 |
＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ,／



　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　 　　／　ノ　　 　 ヽ
　　　　　　　　 　　　| 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__） ｜
　　　　　　　　　　 　|　　 ｀ ⌒´ 　 |　　　　　　　　　　　　「やる夫君、大ピンポン」
　　　　　　　　　　　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　 　　　__,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　 　 　/⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼ .
　　　　 　 　 {:::　　 l　 ＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡 ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　 ヽ--､ ＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　 　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"


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914：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:19:11 ID:XeSfx.W.
「教会によって禁じられていた」と同義語ですね

915： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:19:14 ID:bMttHh86



　　　　　　「さて、そんな時代の紅花栽培はどうなっているかというと」


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼ 　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　　（⌒）（⌒ ）　　　|　　　　　　　　　　　「庶民階級には紅や染め物を禁じ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人＿）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　　'､`-ｰ-′ 　 　 | 　 　 　 . -,　　　　　　 質素倹約を強いているものの、
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　``　　 　 　 |　　　　/　/
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　 ｨ { r 、　/　/　　　　　　　『紅』という高価な有用作物の栽培については
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{　　　　　　　　　 一貫してこれを奨励している」
　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　 〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　 　 　 　 ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　 　 　 　 　 　 　 　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i



　 |　　　l　　　　ｌ　　ｌ　　　　　　　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　',
　 |　　　|　　 　 |　　|　 　 {　　　　 　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |
　 |　　　|　　 　 |　　|　 　 ∨ 　 　 　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　 ‘，
　 |　　　|　　 　 |　　|: 　 　 ∨　 　 　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　「そらそうよ」
　 |　　　|　　 　 |　 丁￣￣　∨　　　｜￣￣丁 =‐}　　　　 　 //}　:　 　}
　 {　 　 {　 　 　{　 ㌢芯云ミ ‘，　 　 | /芹芋丐ﾐ､|　　　　ィi〔／　 }　　 :
　八　　 ',　/　　:　ゝ 比//(　　 ＼　　|　 K{//}Ⅳ/:　　　//
.　　∨　 ∨ /　 ',　:{ 乂)こｼ　　　 ＼｜ :乂)こ少　|:　　//　 　　/　}　　　‘，
　　　∨　 ∨ /　ヽ ｉ　｀¨¨^´ 　 　 　 ＼　｀^¨¨¨´　!　　}/廴__／　 /
.　　　 ∨　 ∨ /　 八　 　 　 　 ,　 　 　 　 　 　 　 |　　{////　　 /　　　　　∧
　　　　 ＼ 　∨:/　　ﾍ　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | ∨ ｀''＜zzz/^}　 　 　 / ∧
　　　　　　＼ ∨　　 　＼　　　　-　　　　　　　　　 |　∨　　　　///ヽ　　　　/ ∧
　　　　　　　 ＼ヽ　　　　　　　　 　 　 　 　 ／｡s≦|　 　 　 　 //////〉　　　 / ∧
　　　　　　　　　^ ＼　　　　ｌ　 .　　　 　 ィi〔二ニﾆ:|　　　　　/ ＼//,/　　　 　 / ∧
　　　　　　　　　 　 | ＼　　 ! 　 ≧≦ﾆﾆrﾏ二二二|　　　　 /　　 ゝ '
　　　　　　　　　 　 |　　ヽ　:|　　 ィi}二ﾆ:|　　　　　 |　　 　 ,′
　　　　　　　　　‐= |　　　 ＼ニニ:/ニニ|　　　　　 |: 　 　/＼
　　　　　　 /二ニﾆ|　　 /二二二ニニニゝ≦ニニ:|　　 /　　 ≧=‐　､
　 　 　 　 /二二二| 　 /=:≧=‐ニニ:r -----ニニ:|: 　/二二ニニニﾆヽ


.

916： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:19:45 ID:bMttHh86


　　　　　「俺が使うからお前ら作れってのもなんだかなって感じはするお」


　　 　　　／￣￣￣＼
　　　　／ ／ 　 　 ＼ ＼
　　 ／　 （●） 　（●）　 ＼
　　 |　　　　（__人__）　　　　|
　　 ＼　　　 ｀ ⌒´　 　　／
　　 ／ 　 　 　　　　 　 　 ＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「ま、世間なんてそんなもんだろ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ ￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 （⌒）（⌒ ） 　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 （__人___）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､'ーｰ´ 　 'J　|　　　　　　　「ともかくこうした調子で、紅花増産推奨の流れは明治時代に
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {　　　　　　　　　 『唐紅』『洋紅』と呼ばれる輸入品が
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -ｰ´. : l : .＼　 ｲ::::ﾊヽ{`、　　　　　　　　日本に訪れるまで変わることはなかった」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____
　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　　　　　　　　　　　　 　/ : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
　　　　 　 　 　 　 　 　　　,' : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r'　　　､ ヽ .ﾉ : :|
　　　　　　　　　　　　　　 ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |　　　　r_ノ.: : : |
　　　　　　　　　　　　 　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |へ-‐´ : : : :| : :!
　　　　　　　　　 　 　 　 　ｉ : : :: : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:ゞｿ: : : : : : : : | : :|
　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|


.

917： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:03 ID:bMttHh86


　　　　　　　「紅花の歴史について軽く流してきたわけだが、

　　　　　　　　　　　　　　　ここで日本で最も著名な紅花の産地、最上地方における紅花の事情を簡単に見ていこう」



　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　 丶
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　 　 　 　 　 　 ヽ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　「先ほども少しふれた『最上紅花』だ」
　　　　　　　　　　　　　　 |　｀ーﾞ　　丶__　-　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　( ⌒ )　　( ⌒ )　　|
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 　 　 　 ｗW　|
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　 　 　 　 _,ﾉ　　|
　　　　　　　　　　　　　　　!　　ゝ__ゝ‐ ´　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　　　　　7￣｀> ‐―　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　ぃ　　　　 /　　/　　　　　 ｀T.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　〉ﾊ　　　人 　V´ ￣￣　　 l.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　,. ｲ / ,.ｲ .i l/　／／ﾄ､/ ,　-─‐　　 l::::::::',
　　　　　　　　　　,.　. : : : : //／/ヽV ／／　l: : :〈　　　　　　 jﾄ､:.:.::',
　　　　　　　　 /: : : : : : ://: : :/　「￣`7　　l: : : :(´￣￣　　ﾉl　 ヽ:.:ヽ




　　　　　 /|!　　　　　　|　/　 |　　|　　　 　　 　|　｀ヽ　　　.! ￣ ヽ
　　　　　/Y　　　　　　 ! .!　　|　　|　　　　　 　 !　　.|　　　 |　 　　!
　　　　/　,|　　　　　　 | ﾊ　 ,|.|　 |ヽ/ /　　　 ,! |　i |　　　 |　　　 !
　　　 /　/|　　　　　　 ||__!＿|_ヽ__!_ | /　　　/　|　| |　　　 | 　　 .!
　　　/　〈,.|　　　　　　 | |,.ヽ=r=ヾ|　!ｲ　　 ./|__/i　!.|　　　 | 　 |　|　　　　　　「話が長くなるのはそういうとこやぞであります」
　　 ,'　　　＼､__　　　/ィi////cﾐヽ　 |　　/-_|ﾒ_|,A |　　　 .!　 ,!　|
　　,'　､　　　 ヽ::ヽ　　 !| 弋辻り　　　|　/ ,.ｲ///ヽ!|　　　 .!　/|　|
　 ,'　　 ｀ヽ､ ヽﾉ::::､ | ヾ |｀￣￣｀　　 | /　 弋りc'| |　　　 ,!　,! | .!
　 ! ｀ヾ､　 _ 「:::::::::::::!! | i|　　　　　　　´ 　,　ゞ＝! !/.!　　/　/　| .!
　 |　　|ヾ､-'´::::::::／ ヽ! |'､　　　　　　　　　　　　//i |　 /　/ 　! .|
　,!　　|:.:.:/ T-イ　　　　 | ヽ　　　　　--　　　　//　!　 /　/　　| .|
../　　/.:/　 /i　 ヽ　　　　|ヽ　　　　　　　　　 ,ｲ/ 　　./　/　　 !/
'　 　 !:.:|'ノ/iii|　　 ヽ　　 　､ ＼　　　　　　／ /　 　 /　/
'　　//iiii/iiiiii,|　　　ヽ　　　 ミミヽ､　　 イ　　/ 　　 /　/
　　/iiii/iiiiiiiii|!　　　　,}､　　 ヾ|三ミi｀ i　|　 /　　 ｲ　/
　/iiiii/iiiiiiｲ /　　　　/ ＼　　ヾ三ﾐ|!　|　! /　　/ !|　|
,/　ヾﾐiイ //　　　　/￣￣ヽ　ヾ三|!　|　V　／　 !ヽ!
' 　　　 / //　　　 / !　!　!　!＼ ヾﾐ!　 | /／　　 !|


.

918： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:36 ID:bMttHh86


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「まず、最上地方で栽培されていた紅花には主に三種類あった。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 これらはもとは一種類の植物だったが、
　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　 ＼　　　　　 培養された種の出来具合で区別されていたらしい」
　 　 　 　 　 　 （●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　 　 　 　 '､　　　　　　 │
　 　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　 　「r'、　　　　 ／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　 Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　 ＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|



　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　　　　_
　　　　　　　　　　　　,イ: : : : _　､,: : : : : : : : ﾐ　　　　　　　　　　「種の出来具合ということは」
　　　　　　　 　　 　´: : : : : :/ ヽ: : : : : : : : : : : : `
　　　　　　　 　／: : : : : : : /: ﾊ: : : : : : : ￣: : : ヾ: : : ､
　　 　 　 　 ／: : : : : : : : ::| /ミ､: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : ､
　　　　　　,: : : /: : : : : : : .{:{　　 `Y"／　ヽ: : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　/: : : : : : : : :;;;;;;/:|:|. ⌒`､}'"´⌒丶∨: : : : : : : : : ;i
.　　　　 ′: /: : : : :;;;;;;;仏|{　　　　　　　　　 ∨: ;;;: : : : : : ::|
　　　 　' :　 : : : : :.;;;;;∥　{i　 　 　 　 　 　 　 i: : ;;;: : : : : : :;|
　　　　 |:　 : .: :.: : : :∥.　 |　　　　　　　　　　 |: : ;;;: : : : : : ;|
　　　　 {:　　: : : .:::{: {　＿　　　　　　　,　-＝-} il:;;;;l : : : : : |
　　 　　i:　　: : : : .i: :i'´　￣ `　　　 　 　 　 　 ﾘ.| :;;l: : : : : :;i
　　　　 |:　　: : : : l: :|.　　　_　 　 　 　 　 　 　 　 |:;;l : : : : : ;i
　　 　　i:　　: : :;;;;i: l　 ｨ三､`　　　　　'´ ,ｨ＝ﾐ､　ﾘ}: : : : : : i|
　　　　八　: : ;;;; i |:k'仏 　 }　　 　　　 　 iし　}ヾ､. }: : : : : |;;l
　　 　,: : 　　 : :;;;i ;;i{　夊歹　　 　 　　　　ﾏ夊　}｝ |: : : : l |;;|
　 　 /: : :;;;;l : : :;;;;.|i 　　　　　　　　　　　　　　　　　i: : : : l :|;|
.　　 {: : : ;;;;;l : : :;;;;|　 _　　　　　　　i〉 　 　 　 　 　 ﾑ: : : l : i|
.　　 |: : : :;;;;l : : :;;;;ﾄ､ | .） 　　　　 　 　 　 　 　 　 ./: : : /ﾋ=‐- ､_
. ,イﾁﾄ､￣仏: : :;;;;;| `i　i　　　 　 　 　 　 　 　 　 / }: : ∥　　 ／ ﾐ､
/　　　 ム　 {: : : ;;:|　{　 ､　 　　-‐　､　 　　　／ 　|: /　　／ 　 　 ﾑ
　　　　　 ﾑ. |: : : :;;|　ヽ､ ＼ 　 　 　 　 　 ,ｨｆ´|　　 |/　　/　　　 　　 }
　　　　　　　 iﾙi: : ﾘ､　　　　丶､ 　_ 　,ｨ彡 } ∥　　'　　/　　　　　　 .{
　　　　 　 　 　 乂　 ＼　　　　　`ﾞY'´　　 / /　　　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　 　 i'"´　/ /　　　　/　　　　　　　 ∥
　　　　　　　　　　　　　　　｝⌒ 　 　i 　 / /　　　　ﾑ　　　　　 　　ﾉi

.

919： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:20:55 ID:bMttHh86


　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿
.　　　　　　　 　 　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　 　 　 　 　 _／: : : :∠.:}L:＞､ ＼
.　　 　 　 　 ／: /: : : /===､ ヽ: :ヽ
　 　 　 　 ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ 　ム: :ヽ
.　　　 　 /: : : : :|: : : :! `　 　 　 5､i : ヽ　　　　　　　　「品種改良とか、そうしたこととは関係なかったわけね」
.　 　 　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　 　 　 　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　 ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　 　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　 　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　 　 ￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　 　 　 　 　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　 　 〉ｒ＜　￣｀弋に).､ ヽ
.　 　 　 　 　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ


　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　／_ノ　 ｀⌒　＼
　　　　　 　 　 　 　 _　　　 　 　 　 　| （● ) （⌒ ）　.|　　　　　　　　　「そういうことだな。以下がその三種のかんたんな説明になる」
　　　　　　 　 　 　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　 　|
　　　　 　 　 　 　 ｜ !　　　　　　　　|　 ｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　 　 　 ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　 ﾄ
　　　　　　 　 　 |　 ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　 ／i＼,,,,_
　　　 　 　 　 　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／ 　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　 　 　 　 　 | 　 ）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　 ／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　 　 ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く 　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　 　 　 　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

アザミボタン：全体的におおぶりで葉っぱのとげが鋭い。紅花の原料となる花弁は最も多いが
花を摘むときにとげが指に刺さり摘みにくいために、多くの人が避ける。

オホシメボタン：花弁の数は多いもののアザミボタンよりは少ない。ただ、肥料などの量がすくなくとも
よく育つために多くの紅花農家はこの花を育てる。

コシメボタン：三種の中で最も小ぶりな紅花。そのため摘み取れる花弁の量は少なく、ほかの二種と比して
作付面積に対しての収穫量が少ない。ただし、この紅花の花弁が最も色鮮やかな紅になる。

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.

920： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:10 ID:bMttHh86


　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ,.へ　　 ＿　　　　　　　　　「なるほど、どれにも一長一短があるみたいね〜」
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　 ／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼
　　　 　 　 　 　 　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　 　 　 //Wﾚ: : /　　　　　　　 　 '; : : : : : ',
.　　　　　 　 　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　 ＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　 　 　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　 　 　 　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　 匕りj: : : : l :│
　　　. 　 　 l: :{: : : : : :i: :|　　 　 　 .　　 　 　 l: : : : l: : !
　　　. 　 　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　 　 　 　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　 ｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　 　 　 　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　 　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　 　 　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　 　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､ 　}＼!
　　　 　 /: :r＜￣￣＼＼}　　 イ､_人_ } 　!　 ＼



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「オホシメボタンがバランス的に好まれてたようでありますな」


　　　　　/　　　　　　　　　∨　　　　　　 |　 jI斗ｬ==―一,
　　　　 f 　 　 　 　 　 　 　 ∨　　 　 　 i|　　 /|　　 　 　 |
　　　　｜　　　　 　 　 　 　 ,斗匕　　　 i|　 ,/ i|　,jＩ斗ぁ劣ミ　　　}　　　　　　 ィi〔
　　　　｜　　　　　　　　／　　∨　　　　i|　/　/　h////}泌}〉　　/　　　　ィi〔
　　　　｜　　　　　　 　 　 　 ,jＩ斗ミ　 　 | /／　 　 ,)//ﾉⅣ/　 ,/　　　///
　　　　｜　　　　　　　ﾊ＼r爪/,'刈　　　:/　　　　 ゞ‐=≦ /　 / 　 　,///＿＿
　　　　｜　 　 　 　 　 ∧ ゝ　,)/刋　　　l　 　 　 　 　 　 /　 /　　　,////////
　　　　｜　　　　　　 　 ∧　乂^,少＼　｜　　　　　　　, 　／　　　 ////////
　　　　｜　　　　　　　　 　,　¨^　 　'　＼!　　 　 　 　 /イ 　 　 　 〈//////77777
　 　　/ｉ|　　　　　　　　 　 ∧　　　　　　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　≧=――‐=≦
.　　 /　:.　　　　　　　　　　 ∧　　　　　 __　　　 　 　 ,
　　/　　l　　　　　　　　 　 / 入　　　　　　　　　　　 /
　 /　　｜　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　 　 　 　 　 /
. /　　　i|　 　 　 　 　 　 /　　　　　＼　　 　 　 　 /
/　　　　|　　 　 　 　 　 ,′　　　　　　＼ 　 　 　 ,′
.　　　　 | 　 　 　 　 　 ,　　　　　　　　　 ＼　 　 ,'


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921： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:30 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　「まず、紅花の種の採取だが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　これは紅花の花弁を摘み取って二週間もすると種子が熟し、それに伴って茎や葉が枯れる」



　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿　　　　　　　　　　　「そうなった紅花から種を抜き取って、よい種を選み取る」
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /: : : :./´￣ ｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　 　 　 　 ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',　　　　　　　「社長がアイドル候補生を
　　　　　　　　　　　　　　 　 ,'.: : : : ;'z＝　 　 　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　 　 　 ,': : : : :;'　　　　　 　 　 　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!　　　　　　　　　　　町でみつけるようなものね〜」
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　 　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　 　 ﾄ芥 〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l! |: : ::::::.　　 ,　　 　 ｀¨ｒー､! !ヽ ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　 　 　 l: :::::::::}､　　　　 　 　 ｀7 ﾉ j　〉 〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿ ／　　 　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　 　 ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　V　 　 ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　 ／!__／: : | ! ! /　　　　 　 /: :|



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922： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:21:45 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これを乾燥させて煤煙が当たる場所を保管場所として三年間寝かせる」

　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|




　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾ ヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　 ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､　　　　　　　　「三年も？それには何か意味があるの？」
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィ ｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　 　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　 　 　 　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　 　　 辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　 　　　　 ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　 　 , ー,　　　　/ 　 l/
　 ヽ ヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ 　　／　 　 !
　　 ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　 ヽ、_　 ー:.:.!
　　　 ヽ´　　　 ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　 ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　 ）.:.:｀ ' - ∧ つ ヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､ 　ヾ.:､　　　ヽ ヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　 ｀ゞ　　ヾ　　　 ヽ　　｀ヽ､


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923：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 22:22:04 ID:XeSfx.W.
その社長は特殊すぎるから（白目）

924： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:10 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あぁ、種を取った翌年にその種を蒔くと、その勢いが強すぎて

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　花を咲かす栄養まで茎や葉の成長に使われてしまう上に、
　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､　　　　　 『まくり病』という病気にかかりやすい、とされている」
　　　　　　　　, '　　　　　　 　　 　 　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　 　　;　 　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　 　､ 　 　 ｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　 　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　 　　　　 丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　 　　 ｝　　）
.　　　　 　 　 '. 　 　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ　　　　　　　　「このまくり病にかかると紅花はほとんど花弁をつけないようになる。
　　　　　　＿_ﾉ　 　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　 しかも恐ろしい伝染力で一夜のうちに一面の紅花に感染したそうだ」
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　 　 ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　 ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ



　 　 　 　 　 　 _,,..-―――‐-..,,_
　　　　 　 ,,-''´　 　 　 　 　 　 　 ｀ヽ
.　　　　／　　　　　u　　　　　 　 　 u ヽ、
.　　　/| | | | |　-..,,_　　 　 　 u　　 ＿_　 '.,
　　 /| | | | | | 　 　 ｀ﾞ''‐' ′　ヽ-'"　 　 　 ',
　　,'| | | | |.|≡=-.,,_　 .三三三　_,,..-=≡　 ',
　　l.| | | | | |　　 ． ｀ﾞ　.三三 "´　 ．　　 　 l
　　|.| | | | | |＝==＝≡ 三三 ≡＝==＝　　|　　　　　　　　　　「そりゃ商売あがったりだお」
. 　 ',　 u　| |　　 　 /　　　　 　　ヽ　　　 　 .l
.　　ヽ　　　　 　 　 { 　 　 ,.、　　　}　　　　 ,'
　　　 ＼　　　　　　ゝ-ィ´　｀"j-.'′ u 　 ,.'
　　　 　 ｀'',-..,, 　 　 　 |.r-‐''" 　 　 ,,..-''
　　　　　 /　　｀ﾞ"''―‐.U――― ''"´ヽ
　　　　 ./　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ
　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ



.

925： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 22:22:37 ID:bMttHh86



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「逆に四年目の種子となるともう生命力が弱弱しくなって、
　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　 _,.ノ　 ヽ､_　　　　　　　　葉茎のみならず花まで小ぶりになってしまう。
　　　　　　　　　 　 ｜　 　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）　　　　　　　　　そんなわけで三年目の種を『蒔前』とよび、最適としたということだ」
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　 　 　 　　 　　 　　 人､ 　　'-／____ ヽ　 |
　 　 　　 　 　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈 、 ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　 ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}



　　　　　　　　　_
　　　　　　　 ／ __ ＼　　　,　-　　､__
　　　　　　　i::::/　 ＞::ヽイ:::::::::::::::::::::::`､‐::､
　　　　　　　|::|　／ _:::::::i´`ヽ::::::::::::::::::::::＼::＼
　　　　　　　|:l /::::/　＼:l__　　　＼::::::::::::::::::＼:::　　　　　　　　　　　　　「デビューは早すぎても遅すぎてもダメってことね〜」
　　　　　　　ﾘ/:::::|　 　'´　　 ￣`　.＼::::::::::::::::::＼､
　　　　　　　 {:::::::|, '´ 　 　 　 　 　 　 ＼::::::::::::::::::}:::､
　　　　　　.　|:::::::|　　　　　　 　　　　 　 ∨::::::::::::::::::::ｉ
　　　　　　　|::::::::|　　　　　　 　 '´￣ _`.､}:::::::::::::::::i::.::|
　　　　　　　|:::::::::| , '´　　　　　　'´して`ｙ:::::::::::::::::|:::.:l
　　　　　　　i::::::::::|',イむ　　　　 　 辷 j １::/::::.:::::::|::::ﾊ
　　.　　　　　{:::::::::{丶弋ﾉ　　　　　　　　 N:::::::::.:::::|:::::::ﾊ
　　　　　 　 八:::::∧　　 　　丶　 　　　　　|:::::::::::/::::::::::ﾊ
　　　　　　　　 ＼:::∧　　　　.，　､　　　　 レ:::::/:::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　＼:i`ヽ, -‐､_ 　　　　　　/:／::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　 　　 〉/　ｯ　i `i-､　　／/:::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊ
　　　　　　　　　　.　 i　 　し´iﾉ_ﾉ }＿ _ __ ﾚ ´: ｝:::::::::::::::::::::::ﾊ
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