やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです【10輌目】 - 1506511204

1： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 20:20:04 ID:Yp41p5.k: 　　　　　　　 ┏━　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　━┓
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　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　　　. 　　￣|┃
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　r　{　　　　　　,　　 ,　　　＼　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r‐==≦　　　 /　 ,　　　　　 /　　　}　　　＼､
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―┬‐‐[　　　　　　　　　　　] ＿　　　i|　　 |　　　 |　　 ,　　　 ,　　l　 i|　　　　 ,　＼
＿｜　|　二二二二二二二__ｌ　 |＿　 |　　 |　　　 |　　　,　　　ﾊ　 il　 i|　　　　　,　　 }
[＿　　＿＿＿＿＿＿＿|＿　　　＿|　　　　 ,　　　　|＿__八　　i| ｉ}＿,|＿,!　　　　，　　 ,
　　|　 | [ニニニニニニニﾆ]ｌ　　|/￣ヽ , 　　，　　　i|x==ミ　',　 |　,ｘ==ミk 　　　 ,　　　,
￣　￣　　　　　　　　 |　　||　　|　, 　　，　　《んﾊ　＼| 　んﾊ》　　 /　　 ,
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|　　||　　 |　 ,　　，　　ﾊ以シ　　　　　以シｌ　　　//{　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　,　从　从　　　　　　　　　　 |　　 / {ﾊ∧/{
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 | 　 ‘，　，　入　　　 ' 　　　　 | 　 /! ∨///|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　 , 　八　 | 　　 ´ ｀　　ィ　|ｉ　/ |i /〈＜
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　ｌ〉　 l ヽ i　　　　　　ィi〔ﾆ{　i| ‰ i!//∧　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|ゝ‐≦　　 | 〈ﾊ｜　＼　　 {=爪二二ﾊｉ|　　｜///　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　　 |ｉ　＼!　　 |　　/　/笊|　　　ｉ|　　｜／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　　 |＿___|　　 |ﾆ=≧≦{}} =‐=≦!|　　｜≧s。ｉ|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　__　　　イ二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニﾆ,≧s
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|/　ヽ　{二二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニニニﾆl

このお話は、やる夫、やらない夫、三浦　あずさがのんびりと各駅停車の電車で

鉄道唱歌の歌をなぞる旅をしながら、色々な人たちと出会ったり別れたりする

バイオレンスとかアクションとかとまったく無縁なだらぼの系のお話です。

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695： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:45:40 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i　　　　　　　「言い方はちょっと引っ掛かるけど、否定できないところが」
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

　　　　　　　　　　　　,ﾍ
　　　　　　　　　　　 /:ｒ､`ｖ‐‐--　､
　　　　　　　　　　,イ| |　} }　　　　　ヽ
　　　　　　　　／　　| | /| |/ ＼　　　　＼
　　　　　　 /　　　,ｲ | ミY彡ミト､　　　　＼
　　　　　.　/　　　/ り　　　　　　　ヽ　　　ハ
　　　　　 /　　　/　 i　　　　　　　　　ヽ　　　ﾊ
　　　　　. 　　　{　　　　　　　　　　　　 ∨　　ﾊ　　　　　　　「すみません、お兄ちゃん口が悪いって
　　　　. i　　　:|　　__,ｨ　　　　　 `ｰ‐-- }　　　|
　　　　. |　　　 :レ'´　　　　　　　､＿ .,　|　　　|　　　　　　　　　　　　皆さんによくいわれるものですから……」
　　　　. ∨　　 :|　_＿彡.　　　　　￣　 |　　　|
　　　　.　∨ 　∧　￣　　　　　　　 |　　:,ｲ
　　　　　　|　　 ∧　　　　　　`　　　　　ﾉ　 / :|
　　　　　　|　　　∧　　　　 _ 　‐-　　　/ﾊ／　 |
　　　　　　|　　　　＞　　　　　　　　／　　　　 |
　　　　　　|　　　　　 ;ｒ＞　.　　, イｰｧ､　　　　:|
　　　　　　|　　　　　〉ト､_＿＿, イ　{　　　　 :|
　　　　　　|　　　　　 _}　　　　　　　　.人　　　　|
　　　　　　|　　　_,ｨ'´　　　　　　　　　　　`ｰ- ､ |
　　　　　　|　,ィ´　　　　　　　　　　　　　　　　　`T`､
　　　　　ﾚ´ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　､

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696： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:46:02 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「口が悪くて悪うございましたけどね、別に俺だけが言ってる事じゃねえんだよ。

　　　　　　　　　さて、それはともかく近年まではcosmetic（化粧）の語源は、

　　　　　　　　　　ローマ帝国に存在した有名な化粧品商人Cosmisだともいわれてたな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ______
　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 __,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : :｀ ‐-､
　　　　　　　　　　　　　　 |　U　　（___人__）‐-─≦／ : : : : : : : : : : : : : 丶、
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:. : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : }
　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　 ..ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　．=彳: '､ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : :､ : i: : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　ｘ＜ : : : / : : ｉ　　　/:::ヽ　V : :ヽ: : : : :ヽ : : : : : .:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　, -‐'´: : : : : : <: : : ∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_ : : : : ｉ: .:.:.:.:.:.:.:.:.＞'´　　　　　　「ただ最近は、ギリシャ語のKosmetikos（装飾に長けた）が
　　　 /: : : : : : : : : : : : >' : : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : l: : : : :!:.:.:.:＞''ﾞ´
　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : Υ : : : : l　　 l::::::i　 !: : : : :/: : : : ｉ.:／　　　　　　　　　　　　　　　語源だと結論付けられてるがね」
　　　　ゝ: : : i : : : : : : : Ｖ: : : : :l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :f´
　　　ｊ : : : : i: : : : : : : : :ヽ : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./: : : : : l

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”美しくなりたい”それは女にとって何よりも強い欲望であり悲願でもある。
古今東西を問わない。美しいということだけで、女の幸福が得られた時代は言うまでもなく、個性美が尊ばれる今日だって同じこと。

”美容”の二字は何にも代えがたい重さで女たちを捉えて離さない。

美しく生まれついたものはさらにその美しさを磨き、不幸にして醜く生まれてきたものはなおさらのこと、美しくなるためには全てをかけて
痛ましいまでの努力を惜しまない。だから化粧は女たちにとって最大最高の関心ごとである。　　　　　　　　　　　　　　　　　　【京おんな】
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697： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:46:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　__＿___
　　　　　　　　　　　　____〃　　-‐…‐-　　丶ヽ
　　　　　　　　　／　／　　　　　　　　　＼＼　　　　　「この文章には頷かざるを得ないであります」
　　　　　　／　./.　　 /　 /　　　　　　　　＼＼
.　　　　　　〃　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　/（／/ ′....　|　 |...　　　| .　　/　　 ! 　 >）ヽ
　　　　　 {辷〉｀ヽ{..　　　|　 |　|　　 | l　/|　　　 |　/　〈 /
　　　　　丶〉　〉　　　|,ﾊ,|　|　　| |/__|　　　|　＼／
　　　　　　　　＼／　∨..　代フ. N∨ |弋フ　　 /　|＼､
　　　　　　 xく／ :|.　　ﾄ　　　　　　　　ｲ　 /..|＼　＼〕
　　　　　　　 <／.　人ﾊ从､　　　　　　／∧/.　| i|¨¨¨´
　　　　　　　　　　ｰ/ |　　　 |, ＼　‐　／}} |　　　 |八
　　　　　　　　　 /　 |　　　| ヽ___　　xく〈 |　　　 |‐-ミ
.　　　　　　　　 /, ¨¨|　　　 |,//　》《　　》....|....　|　　ヽ
　　　　　　　　 / {....　|　　　 | 《／|:i:|＼_/:|　|....　| 　　|＼
　　　　　／/　{. 　 |　　　| 　　 V.　　　|　|､　 |　　 /　　＼

　　　　　　　　　　　　「否定できないわね」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　 ,. .- ‐ -. . .,.　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､..　　　　_／: : : :∠.:}L:＞､＼
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ.　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊﾞ: : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ　　　　　「ええ、まぁ」
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハﾞ: : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i...今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆﾍ: : :|..`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ) ｲ: : :|.ﾞ:.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐イ:|: : ﾘ: //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/ ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ　　 |: : : ﾙ/　-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'.　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼｀＞ム : ﾊ　　　　　　＼＼　{〉┴､
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､......〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,ﾞ_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|...ﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　　 i. . . .ヽ..lノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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698：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:46:45 ID:XeSfx.W.: 男にはこのへん理解しがたいとこがあるよな……
699： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:46:54 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さ、女性陣にご納得いただけたところで、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そんな化粧に関する重要なアイテムだった『白粉』と『紅』について、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　これから見ていくことにしよう」
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　　　　　　　　（こういうところ見てるとこいつがなんでモテるのか
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　　　　さっぱりわからねーお）
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　 u. |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

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700： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:47:53 ID:bMttHh86: 　　　　　「まずは白粉についてだ。

　　　　　　　白粉というのは、顔や首筋に塗る白い化粧品で、

　　　　　　　　　鉄道唱歌で謳われている白粉の現物は厳密にはすでに存在していないといっていい」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',::::::|: : : : : : : : : : | : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|

━┓
┏┛　　　　　⌒
・　　　＿＿_⌒　　　　　　　　　　　　　　　　　　「でも、鉄道唱歌で歌われているということは、
　　　／　―　乂＿＿＿_　　　　━┓
　　／ノ　　(●／　　 ―　＼　　┏┛　　　　　　　　　明治時代には土産物として有名だったってことだお？」
.　｜　(●) 　 | 　　 (●)　ヽ＼　・
.　｜　　（__ﾉl　　（⌒　　(●) |
.　│　　　　〉　　￣ヽ__）　 |
　　＼＿＿／´　　　　　 _＿_／
　　　　　 /|　　　　　　ヽ
　　　　 | |　　　　　　　　 |

.
701： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:48:24 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そうだな、あとでも話すが、

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　昔ながらの白粉が滅んだのは昭和に入ってからのことだ」
　　　　　　　　　　　　　 /ﾉ　ヽ､_　　＼
　　　　　　　　　（ ●）（ ●）　　 |
　　　　　　　　　　　　　 | （人__）　　　 .|
　　　　　　　　　　　　　 |　⌒ ´　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 i　　　　　　 i
　　　　　　　　　　　　.　.|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　.　丶　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　／.>＿　　　 /::::::i:::ヽ._
.　　　　　 _ ,,､-ｰ／ !// ー　ﾍ￣/:::::::::l:::::::::::｀:ｰ:.､
　　　　　　,´:::::::::::::く::::::::/　i　 / 　ヽ::::::::::!:::::::::::::::::::ゝヽ.
　　　　/::｛::::::::::::::::＞:i 　 l7i　　　/:＼:／::/:::／::::::::::::::::i
　　　　,'::::::i::::::::::／::::::l　 /;;;;l　　/::::::::〉:::::/／::::::::::::::::::::::!
　　　 /:::;::::∨:::::l::::::::::i　/;;;;;;l.　/::::::::/:::::/:::::::::::::::::::::::::::/
　　　/::::ヽ:::::〉:::::l:::::::::l /;;;;;;;;l. /::::::／;;;;;;i:::i::::::::::;;;;::::::::::::::>
　　　 <::::::::::ソi::::::::l:::::::::li;;;;;;;;;;;l/::／,､;;,､;;:l!::l_／´:::::::::::::::: ｿ
　　　 !:::::::ゝへ､;;;::::!::::::」--‐‐'''""ﾞﾞ｀ヾゞＭソ／::;;;;:::::::::::::::::l
　　　）::::::ゝ彳´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾍノ／´￣::::::::::::::::::::l
　　 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／ﾍへ￣::::￣:::::::::::::::::::::/
　　 l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／´::::::::::::::::＼::::::::::::::::::::::::::/
　　 l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::／´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、白粉というものの歴史が
　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,　_　　　　　　　　　更新されるということはもうないのね」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.: : :´: : : : : : : :｀: . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ: : : : : ; : : : : : : : : : : ｀ .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: ,: ィ: : ／/∧: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ｨ7: : : :／　/:ハ: :i: : : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' ´ ﾉｨ: : ; く　 /'　　i: :|: : : : : : : :: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　 ' /／,､　 ∨ 　　 |: |: : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　＿. . . ､-― . . ￣ . ト､　　,ｲ ! 込,　 ',　　　 |:.|: : :i: : : : : : : : : :,'
　　 ,. . .r. .´. . . . . . .i. . . . . . . . ..|　ﾍ　ﾘ　ｰﾟ'　　　　ヽ ∨i: :ﾘ: : : : : : : : :/
　　i. . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . . .ハ　 ∨ 　　　　　　≧､ヽﾑ: !: : : : : : : :/
　人. . . . . . . . . . .ノ＿＿＿__人　'　､ﾊ　　 ´ 　　　入ヽi: :|: : : : : : , '
／　ヽ､. . . . . ｰ. ´. . . . . ｀. .ー‐'―／: :ﾍ　､　　　　　'ｰﾟ´ }:ﾘﾚ´ﾌ: ／
　　　　　｀　＜. ., r‐.-. ､. . . /. . .／:／＞ >　 `　　　　　 _､_ﾚ_ ノ'´
　　　　　　　　/. . .ヽ.ー. --=＝.７._._._≧'ー｀＝r‐=‐ : : : ＞´
　　　　　　　 i. . . . . . . . . . . .≧´7/i_r/.r＞: ´,: :_:＞＜三､　 ,､
　　　　　　　 !. . . . . . .／.￣. . . . . - =＝＜. ´.-.-.-.-≧､三y三ム
　　　　　　／. . . . . ./. . . . .ヽ.ｰ. ´. . . . . . ,､. . . . . . . . . 7ﾆ,'三ﾆ/
ー-､　 ,／. . . . . .／.o. . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . ../三三ﾔ
､　　 >＜. . . . ／ . . . . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . .ﾌ三三/
ﾆ＼/. . . . ＼/o. . . . . . . . . . . . . . . ..／. . . . . . . . .／三三/
三ﾆ＼. . . . . .＼. . . . . . . . . . . . . ／. . . . . . . . ..／三三ｱ
三三ﾆ＼. . . . /. .＞. ､. . . . . ..／. . . . . . . . . ／三三／

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702： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:49:09 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　　「今後の歴史に関しては、そういうことだな」
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「どうせ白粉の歴史の話が今から始まるんでありますな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二二二≧s。
　　　　　　　　　　　　　　　　／/二＞^ﾏ-----＞^}　 _
　　　　　　　　　　　　　　 /　/＞ ´　　　　　　　 |/　＼
　　　　　　　　　　　　　　 , /´,　　　 /　　　　　 |　　　〈≧s。__
　　　　　　　　　　　　 // /|　　　　,　 l　　　　　　| ヽ　　 ,　　　 }
　　　　　　　　　 // / i|　　　,　　|　　l 　　 i|　 }　　 ,
　　　　　　　　　 / 〈　 |　　　 l　　|　　|　　　/　 ,　　 ,　　　 ,
　　　　　　　　　　　 /　　＼,　　 ┼―-　｜　 ,____/　　 ,　　 /
　　　　　　　　　　　 ∨　　　〉7　 ,x笊示从　 /　 /　　 ,　　 /
　　　　　　　　　　　 /∨ 　/,/　　　込ｼ　ｌ／笊ｱ　　 ,　　/
　　　　　　　　　　ィi〔7,ﾍ /,/ {　　ｌ　　　／　ゞ'//　　 ,　　′
　　　　　　　　　　 ∨//＞⌒ 八　　|　　　 '　　〈/　　/　 /
　　　　　　　　　 /⌒　　 |　　|∨｜＼　｀　　　/ 　 /{
　　　　　　　 ,　　　　　|　　|/∨!―,≧≦ 　 ,　／八/
　　　　　　　　　 /　　　　　i|　　|二V__/f }≧s。/／ |
　　　　　　 /　　　｡s≦,|　　|二二二ニﾆﾆ／　　|
　　　　　　　　/　　 /二ﾆﾆ,|　　|二二二二ニﾆ∧　 |
　　　　　　 /　　　{二ニﾆ,|　　|二ニﾆ,＞一┬‐ﾐ,　|
.　　　　　　　　　 ∨二二|　　|二／　|　　 i|　　＼
　　　　　　/　　　　 ∨二ﾆ|　　|／＼-i|----/　――＜
　　　　 /　　　　　 f--､ニ|　　|　／⌒　　　　｀　　　ヽ
.　　　　 /　　　　　 /| |_l∧_|　　| /　　　　　　　　　　　　　　',
　　　　/　　　　　 / i| |_l 　 |　　|/＿　　　　　　　　　　　ﾊ
　　　 ,　　　　　r {　 Lハ_/ |　　|//,∧　　　　　　　　　　　 /　}
　　 ,　　　　　/_　　　{＞　i|　　|ﾏ//∧　　　　　　　　　　ｲ　,〈
　　 , 　　　　　{/ ∨^ 　　 i|　　|////,'}　　　＞‐‐‐‐r＜　　/ /
　　,　　　　　 | 　 {　　　 i|　　|￣￣/ ¨¨¨　　　　 | 　 }i / /

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703：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:49:20 ID:XeSfx.W.: 大昔は鉛だかなんだか有害なもの使ってたんだっけ？
704： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:49:33 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「よくわかってるじゃないか、

　　　　　　　　　　　　それじゃ、ホライゾンの言葉通り、白粉の歴史を簡単に見ていくことにしよう」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｿ　　)　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {-'￣　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}｀｀　　 __/_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｨ : :／;;;/＞´ : : : : : : : ／ : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_／ :ﾚ:/;;;／ : : : : : : : : : :|:/ : : :, - :｀{
　　　　　　　　　　,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
　　　　　　　　／ : : : : : : :＼/ : : : :i :./ : : : : : : : : : : : : : : : .:.(, ‐'´. : : : :j
　　　　　　／ : : : : : : : : : : :＼､ : :|./ : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.} : : : : : : !
　　　　　,-'´,' : : : : : : : ､ : : : : :＼､fZ二--- :､_:_:_:_: :`－､ : :.:.ヽ.:_,､ : : : !
　　　／ : : : : : : : : : : :)ヽ h : : : :｀キ-- : : : : : : : : `＝-､ヽ.:.:.f-‐‐‐＝ :i

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|　　　　　　　　　「はーい」
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
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　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
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　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
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　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

.
705： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:49:48 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　「とはいえ、白い粉や液を肌に塗るという発想自体には、
　　　　　　 ─- 、
　　　　　/　　　　ヽ　　　　　　　　さっき少し話に上がったようにどこが発祥ということはないだろう」
　　　　　|　　　　　 |
　　　　　|　　　　　 |
　　　　　|　　　ｭﾆﾆヽ､
　　　　　ヽ/ : : : : ＼:＼
　　　　　 i : : : : : : : ﾍ :.ヽ
　　　　　　 ', : : : : : : : : ', : :'.,
　　　　　　　', : : : :.＼ : i : : :.'.,
.　　　　　　 i:', : : : : : ヽﾄ､ : : :',
.　　　　　　　iﾊ : : : : : : |: ', : : :.',
　　　　　　　ﾘ.:i: : : : : : :! : : : : : ﾄ､
　　　　　　 i : !: : : : : : :|: : : : : : i:.',
　　　　　 i : :i: : : : : : :|: : : : : : | :.',
　　　　　 i : :r : : : : :丿 : : : : : | : :',
　　　　　 ,' :.7 : : : : : / : : : : : : |: : :i
　　　　 / :/ : : : : : / : : : : : : : i : : i

　　　　　　　　　　　　／￣￣￣＼　ﾎｼﾞﾎｼﾞ
　　　　　　　　　　　／　―　　　―　＼
　　　　　　　　　／　（●）　（●）　　＼
　　　　　　　　　 |　　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　「まー、たしかに」
　　　　　　　　　＼　　ｍj |⌒´ 　　　／
　　　　　　　　　　　　〈＿_ﾉ
　　　　　　　　　　　　ノ　ﾉ

.
706： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:50:07 ID:bMttHh86: 　　　　　　「もしも誰かが起源を主張しようとすることがあった場合、

　　　　　　　　その試みはおそらく徒労に終わることだろうな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

/　　＞/=:／‐=ニ=:/: : ∧:/|:ヽ
「￣: : /:.／ : : : : ／/: :/ ⌒1:l: :.i
: : : ::/／: .:/: : ／ ./: /　　　|:ｌ＜ﾄ
i: : : :ｌ// :/:.:／‐-/／、　　ﾉ:ﾊ: 「:i
ｌ: :i´,ｸ/:/:／ｆ'7うﾊ　　　　,〃 |:i :| :l
!: :|〈/:/　　　弋ソ　　　　_, へﾄ:|: !ﾘ
ﾊ:.V:/┐ 　　　　　　ｨら7/i:ﾊ:|
: l: : :∨　　　　　　　　ゞｿ/ ﾚ'
: :!: : : i　丶　　丶、　' ／
:.∧: : :ﾄ、　＼　　 ,　イ
ﾉ　ﾍ : |　＼/ `７|: : :{
ミヽ l: :|７/⌒イﾐ !: : |
/　 }|: :l／ﾐｒ‐く j l: : ト　　　　　　　　　　　　　　　「まぁ、なかなか雲をつかむような話だものね」
　　l: :|　くイ＾ト　ﾍ: | |
　　 l: !　　《　ヽヾﾍ:ｌ L
∨　ﾚ_　-￢　` ヾ、「ﾆ＼
｜く　, イ　＼　ヾ　トー∧
｜　 Y ヽ、＼ﾉ　　]}oL_ 」_ｊ
∧:i:.. ゝー'¨´　　.:.:.::ll:.　　,'
ヽ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ﾉｌ:.:.:.:ノ
　〉:.:.:.:＞-　-　＝イ廴,ｲ
｜:.:￣　　￣　　　 ]}ﾆﾊ
｜:: 　　　　　　　　キ/ |

.
707： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:50:28 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「正直言えばあんまり起源を主張すること自体に意味を感じないであります」

　　　　　　　/　　　　　 /　　　 |　　　　　|　　　　 ≧o｡.＿＿
　　　　　 /　　　　　 /　　　　　|　　　　　|　　ヽ　　　　　　　 }
　　　　　 /{　　　　　 f/　{　　　 :|　　　　　|　　　 i　　　 |　　 i
　　　　　:　!　　　　　 | 　:ｉ　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　 //:{　　　　　 : 　 |　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　〉 /!　　　　 {:　丁￣￣:!　　　　 /￣｀ヽ:|　　　　:|　　 |
.　　　/ 〈 :l　　　　　 i: x斧芋苅ﾐ　　　ｲ斧芋ミ}　　　　 }　　 !
　　　/　　＼　　　　 |〈に{//}( ｜　　/:　い//( /　　　 ,′　 :
　　 ,'　　　　:＼　　 |:　Vこ)ツ :}:　　/　　V^)ツ }　　　/　　　:
　　 Ⅵ　　　　ﾍ　　 {　＼　　 i　／　､　　　　 i:　　/　　　/
　　　Ⅵ　　　　　}　　ﾟ。　〉　　／　　　　　　　八　 /}　　 /}
　　　ト　　 //:i: 　　＼¨　　　　 ‐‐　　　　ｲ　　://i:　 / ,′
　　　 { ＼__//∧　　　 l＼　　　　　　　 . 　 }　　// }　/ /
　　　　i　　 {￣|　＼　　　{rｧ＞　　　　 ∠z　 :i　 ///,' /イ
　　　　:　 /77 {　　 l＼　ﾟ。////≧ ≦///{　 :　/: : /:/≧o｡、
　　　 /　////:ｉ　　 |//＼ ‘，/　{r― 〈―‐ｉ　{: /: :.:〈/: : : : : : ミ
　　 /　∨///}　　 }/// ∧ i{ ／　　　∨　{　:./: : : : : : : : : : : : : :ﾟ。
　　.′　 ∨/ i　　 i　　 /:　／　　／　ゝ‐:　　{: : : : : : : : : : : : : : :.ﾟ，
　　/　　 {_/:.:.l　　 :-:／＼＿_／　　　　∨!　 i: : : : : : : : : : : : : : :.:_＼
　 /　　　 /: : :.}　　 /　　　 /　　　　　　 |　 : : : : : : : : : : : : : : : :{ 　＼
. /　　　 /: : : / 　 /　　　 /　　　　　　　　　|　 |: : : : : : : : : : : : : ／　　　＼
/　　　 /: : : /　　/　　　 /　　　　　　　　 :|　 |: : : : : : : : : : : :./:　　　　　／:＼
　　　 /: : : /　／　　　　､　／　　　　　 |　 |　＼ : : : : : : :./　　　　／: : : :
.　　 /: : : : ％　　　　　／　　　　　　 |　 |　　＼: : : : :/　　　　 /: : : : : : :

　　　　　　　　　　　　　　　　　 ( ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＼＼
　　　　　　　　　　　　　　 <＿＿　＼　＼　　　　　　　　　　「同感だ。何にせよ化粧は洋の東西を問わずに
　　　　　　　　　　　　／<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/
　　　　　　　　　　 .／　 └--ﾐヽ、＼　-　＼　|　　　　　　　　盛んにおこなわれていたし、肌の白さが美しさという価値基準があれば
.　　　　　　　　　, '′　⌒ヽ,__ﾉ丶　　-　　　　　〉
　　　　　　　　 /　　（ ● >､　､( ＼　　　　　 !　　　　　　　　　　当然そのための化粧品は存在したことだろう」
　　　　　　　　/　　 ,　`'''"　　 _,　＼_ヽ　　　　　{
　　　　　　　./ 　　{ 　　,　　（＼）、ﾍ　　　　　 > 、
　　　　　　　| 　　　ゝ-イ　　　`''"　./　＼　　∠／ヽヘ
　　　　 ,.-／| 　　　ゞﾆ>一′　 .／　　　＼(⌒)　　ﾉ　＼
　　／ |　＼ヽ　　　　　　　 .／　　　　　　.ヾ、　／　　　＼
￣<　　 !　　`＼　　　　　　／＿＿＿　　　　＼／＼(
＿＼　 !　　　 > ー-- イ　＼_　　　￣￣＼_＼
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　　　∠　　　　　　ノ）ヽ、
　　　　　　＼　/⌒＼　〉　　￣　/　　　　　　 /　>＼
　　　　　　　＼　い　/　　　　 /　　　　　　 /／ノ
　　　　　　　　　＼　/　　　　 /　　　　　　 / ／￣
708： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:50:53 ID:bMttHh86: 　　　　　　「それはまぁ、何とかしたいと思うところではあるわね」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
　　　　　　　　　　　　　 ,. .- ‐ -. . .,　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､.　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ....../: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　ﾑ: : 〃　',　ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ/: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :/: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　　ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　ヽﾍﾆ./: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
　　　　　　 |: ハ'u　　　　　　　　ﾊ)/: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　ｨ‐/: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
　　　　　　　　 i:.ト　 ´　　　　　 i:/: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　　　　　　 y: : ＞ _, ｨ.　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
　　　　　　　　　 /: :ﾍ: : : :r !､.　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　　　　　　　 {: : : ﾙ,:.＜＼.　/:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼.　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､.　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !　　　　　　　　　「色白の肌というのは、
　　　　　＞: ´: :|　　　　　　　////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　　　／ｯ: : : :」. . . . .i...　　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l　　　　　　　　　　　　　やっぱり憧れますものねぇ」
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|.　　 //////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　　　 ´ 　　　 |. . . . .∨..　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)　　　　　　　　　　　　　　　　　　「まぁ人種的な壁は超えられないけどなぁ」
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

.
709： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:51:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「十八世紀ごろの欧州では、肌を白くするために砒素入りのウエハースを食べていた、

　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　というような話もあるくらいで、重要視されるとなると
　　　　　　／〉 _ノ　ヽ､_ ＼
　　　　／／' （ ―）（― ）　|　　　　　　　　　とことんまでやりたがるようだしな」
　　　 ./　/／〉　（__人__）　│
　　　 .ｌ　 ´ イ| 　｀⌒ ´　　|
　　　 .ｌ　　ｉY 　　　　　 |
　　　./　　ﾊ !　　　　　　　/
　　 ./　　/　 ' ヽ　　　　 /
　　ｌ　　　／　　.〉-r:::┬〈、
　__「ー‐1 　.／Λ 〉.:〈 7//＼
　ｉ//7777|／////V::::::V/////＼
　|//////|//////∧::://///////}
　|//////| ///////∨/////////{

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼　　　　　　　　　　「砒素って」
　　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　／　　　　ー‐　　　　＼

.
710： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:51:27 ID:bMttHh86: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ﾊｰｒ―-､ヽ　＿＿
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::!:::',　　ヽ〉　　 (
: : : : : : : : : : : : :´厂｀|:::::',　　　　　て
:::::::::::|:::::::::::::::::::::/,ｚ､│::::l
::::::::: l:::::::::::::::::::/〃∥|::::::|
:::::::::::!::::::::::::::::/ ∥ j! !::l:::|
:::::::::::|:::::::::::: /　ヾ=' ∨: |
:::::::::∧l::::::::/ 　　　 /:::::|　　　　　　　　　「え」
:::::::/:/ﾘ､::|:{　　（ゝ／;ｲ::/
::::::::/＿.ヽN＿_／|:::/ |/
::://: : : :￣ｽ　　 |/
／ヾ: : ＿/: :＼＿
ヽ: : : : : : : : : : ヾﾘ＼

　　　　　　　　　　　　　　 .｡＜/＜二≧s。_
　　　　　　　　　　　　　／ゝ＜　　　　 }＜ﾆ＼
.　　　　　　　＿__／　 /　ｌ　　　　 ,　＼　＞｡.
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　　,　　　　八　　}　　　}_
　　　　　　　　　|　 |　　 i|　八　　 ,　 }　ｉ|　　　| |　　　　　　　　「それは効果があったでありますか？」
　　　　　　　　　|　 |　　 i|,　‐ ∧　/ -/ミｔ､,　　　,
.　　　　　　　　 ,　 ,　　 ,x芹笊 ∨　 ,ｨぅ笊}　　 ,　}
　　　　　　　　　，　，　ゝ乂ソ　　　乂ソ/ 　 /
　　　　　　　　　　', 八　　 ,^¨^　　,　　^¨^ ,　　/ 　 }
　　　　　　　　　ﾄ　　､分　　　。　　　/　ｨ∧77,
　　　　　　　　　　 V‘，＼{　　　　　　　/ ／ !/∧〈 ,
　　　　　　　　　 /　〈ﾍ {　 |　　{≧=≦},／|　 {∨,/
　　　　　　　 /　　 ^　　|　}/　/ ∨∧　　 i|　^　 ∧
　　　　　　 ,　　 ‐=ﾆ二,　/=‐‐{_}‐=≦ﾊ　 {≧=‐　　,
　　　　　　　 /　/二二二/ /二二二二二∧ ∨二二ﾊ
　　　　　 /　 {ニ二二/ /´ 　 ) {　　/ 7　∨ ,二ニﾆ,}　,
.　　　　　　　　ﾏ二二/ /‐=/爪(廴　～‐=∧ ∨二ニ,　，
　　　　　 /　　　_∨^ 〃 ‐‐,/⌒^ﾏ}r＜　　　　ヽ‘＜ﾆ/
　　　　 ,　　／／{　 /ィi　　{　　 /　　ヽ　　　 ∨〈　　〉　 ‘，
　　　　　 __) /　　' /{　廴ゝ　 ,　　　　〉　　　 }　∨/ ^ヽ　 ,
　　　 / /　 ∨　　 ,　V　　　ヽ　＼　／⌒^}　ﾉ,　 ∨ 　 / 　、
.　　 /　 )⌒/ ＼ / / ,　　　　/ 　　ヽ　　ｉ}イ　}　　∨^　}　　 ,
.　　　　＼〈　　 / /　{ 　　 ,′　　　ﾊ---,/　　i|　　 ,＿/　　　 ,

.
711： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:51:51 ID:bMttHh86: 　　　　　「あったようだぞ。血中の赤血球が砒素によって減少することで、

　　　　　　　　　　肌の色が白くなったらしい」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）
　　　　　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　 |　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　　　ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
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　　　　＿＿＿_
　　　／　　　　＼
　／　　 ─　　 ― ヽ
／　　（ ●）　（ ●）'
|　　　　（__人__）　　|　　　　　　　　　　　　　　「それダメなやつじゃん」
＼　　　　｀ ⌒´ 　,／
／　　　　　　ー‐　　ヽ

.
712： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:52:21 ID:bMttHh86: 　　　「ことほど左様に執着される対象となる『白い肌』、そのために用いられる『白粉』という化粧品、

　　　　　その白粉を記した中で最古の記録は、おそらく中華の晋代の『博物志』だと思われる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |　　　　　　　　　　　「『紂焼鉛作粉謂之胡粉』
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　つまり紂王は鉛を焼いて粉を作った、この粉を胡粉という」
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【紂王】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　　いろいろな悪行の伝説があるために『義を残（そこ）ない、善を損なうを紂と曰う』ということで
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　『紂王』と呼ばれた殷王朝最後の王様です。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　姓・諱は『子受』諡号は『帝辛』といいますが、これらの名前はすべて後世につけられたそうです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ　　　妲己という女性に溺れ、酒池肉林の語源になった人で、封神演義にも出てきます。
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
713： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:52:53 ID:bMttHh86: 　　　　　「また、明代の『事物起源』では『周文王時女人始傳鉛粉』と書かれてる。

　　　　　　　殷の紂王は鉛を焼いて粉を作り、文王の時代にそれを女官が化粧品として使い、

　　　　　　　　　　始皇帝の女官のことごとくはこの白粉をつけていたという流れができる」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
.　　　　　　　　　　　　　　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　.　　　　 ●）(● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　　　 l|　Ｙ:‘,
.　　　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　、　 }　 }: : ，　　　　　　　　　　　「だいたいどれくらいの時代の話になるのかしら？」
.　　　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　ﾋｿ｀　　ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　んﾒ/　ｊ!
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　　　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　　、　　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　　ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　トミ¨了､:ヽ　　　　　〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　｀Ｙ､ｲ: i |　　　　小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　ﾞリい;ヽ＿　　　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　　　八　　　ヽ　＼ゞミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　　ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝてｲ
.　　　|: |{ {　　 :.　　　　　　{´　　　　　　ゞ'　　　＼　　_　イ
　　　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　ヽＫ
　　八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　　　　　 .i　　　 } .:.:.ヽ
.　　　丶ゝ　ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
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714： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:53:29 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
.　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　|（__人___）　　 |
.　　　　　　 |　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　「紂王が生きてた時代はだいたい紀元前千百年ごろ、
.　　　　　　 i　　　　　　 |
.　　　　　　　ヽ　、　　　. {　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　文王はそれよりやや遅れて産まれたがほぼ同時代の人物だ。
　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　始皇帝はぐっと時代が下がって紀元前二百五十九年に生まれた」
　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
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　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【文王】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　姓・諱は『姫昌』といいます。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　周王朝の創始者武王のお父様で、紂王の元臣下でした。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}　　太公望という人物を見出し殷王朝を打倒した人物とされています。
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
715： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:53:52 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　＿＿＿
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　／　　⌒ 　　⌒＼
. 　　　／　　　（ ●）　（ ●）＼
　　　　　| 　　　⌒（__人__）⌒　|　　　　　　　　　「八百年から九百年後に途絶えずに
.　　　　＼　　　　　｀ ⌒´ 　／
　　　　 /⌒　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　むしろ広まってるということは需要が大きかったってことかお」
.　　　 | 　ヽ＿＿　　　　　＿　',
　　　　 :､＿　　　　）　（￣＿丿
　　　　 | 　／￣｀ｉ　　／￣　｀ｉ
　　　　 |　　　　　　| 　　 , 　　　|
　　　　∧　|　　　 |＿_／　　 /
.　　　　｀ーヽ＿ | 　 | 　＿／
.　　　　　　（＿＿）　､＿＿）

　　　　　　　　　　　 ‐=――ﾆ=‐
　　　　　　　　　　ィi〔//{　　　＞｡./ ＼__
　　　　　　　　／//}＞'i　　　　 l　ヽ／＜ヽ　　　　　　　　　　　　　「jud、ですが需要があったとしても、
　　　　　 r‐=≦/　 {　　|　　　 |　　　　＼
　　　　　 |　 {　　　ｉ　　|　　　 |　　　 l　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　当時は鉛自体が貴重であったでしょうから
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　 |　　　 |　　　〈
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　八　　 !　　 / /ヽ　　　　　　　　　　　　　　　結局はえらい人しか使えなかったはずであります」
　　　　　 |　 {　　丁￣{　　　 /￣￣　}　　/ /　/
　　　　　 { { ‘，　　,x笊うﾐ　 /,ｨ斧丐/　 / /　/
　　　　　 {{ ',　，　ゝVツ　ヽ/ 　 Vツ/　:/ /　/
　　　　　 }}　ﾟ。＼_＼　　　　　　〈/ / /　/|
　　　　　 l!　　＼ {　＼　　 '　　　／ /　乂ｨ｜
　　　　　 |　　 //|　 |　へ　 ^　,ィ /／　}//ﾍ :|
　　　　　 |:　　{/,'|　 |//{ﾆ≧≦ﾆ}77{ 　:|///} |
　　　　　 |　ィi〔｜　{///ヽﾆ／ ///{　 :|///} |
　　　　　 |/ニﾆﾆ|　 i ⌒＼ｉ:ｉ／ゝ< i　 :|=:＞｡!
　　　　　 {ニニﾆ:|　/　　　 T　　　　:l　 :|ニニ:}
　　　　　 iニﾆﾆ:／　　　　 |　　　　　＼|ニニ:ｉ
　　　　　{::ニ::/ 　　　　 :|　　　　　ﾏﾆﾆ:}
　　　　　 Ⅵ /――――――=‐　＿＿ ∨=:〈
　　　　 :=:{///////////}//////////77/ /
.　　　　　 l}八//////////,'i//////////,'八,′
.　　　　　 |Ⅵﾍ/////////人////////イ__/ |
.　　　　　 | ﾏ=:∧≧=‐‐=≦≧=‐‐=≦ニ=:,'　|
.　　　　　 |: Ⅵ=:∧￣T¨¨　lゝ‐=≦//ﾆ二:.　 |
.　　　　　 |　∨二:∨/}　　 :.　　 {/:/二二/　｜
.　　　　　 |:　 ∨二∧i　　 l　　ｉ /ニニ:/ 　 :|
.　　　　　 |　　 ∨ニ∧　　　　 /ニニ:/__　　|

.
716：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:53:54 ID:XeSfx.W.: 化粧だけでなく古代中国の毒との密接さは色々とおっかなすぎます
717： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:54:22 ID:bMttHh86: 　　　　「一応古代ギリシャの爛熟期には先ほど出てきた紂王の白粉と同じようなものが

　　　　　　　化粧品として使われていることは伝わってる。

　　　　　　　　ただし、ギリシャ人自体はほかの民族とは違いそれほど化粧に熱心でなかったので、

　　　　　　　　　　　用いていたのはおもに高級娼婦だったらしいが」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　_,ノ　ヽ､__ 　＼　　　　　r~
　　　　　　　　　　　　　　　　(⌒ ) (⌒ )　　_,-|、　　　;'
　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　r' l　|.lヽ　 r'
　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　 l　i　| lニﾆ;:
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 l　l, | l ﾉ__　_
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　/　　　/ｨ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　 _　＜/ヽ__､_r'´　　　／/　　 /　　ヽ
　　　　　　　　 __ ,.　＜　　/ ／}　人　　　r y　　　　　　　 ',
　　　　　　　r´　　　　　　 j∧∧　/〈'--:´　Λ　　　　　　　l
　　　　　　/　　　　　　　　　ヽ:ヽ__〉ﾊ　　　 / ∨　　　　　　l
　　　　／　　　　Y　　　　　　　｀√:V ﾑ___＜　　＼　　　＼ !
　　／　　＼　i　　　　　　　　〉::::| ∧　　　　　 ∨　　　　〉
／　　　　　　＼i　　　　　　　　 i::::::|　∧　　　　　　ﾊ　　　　|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{　　　　　　　　　「ギリシャにあるんだったらローマとかエジプトにも
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ　　　　　　　　　　　　　存在してそうでありますな」
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|

　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ＼
　　　　/: : : : : : : : : : : : : : : : 　 .、
　　　 / : :ト、へ : : : : : : .　イ. . :i
　　 ,'　 i: |￣ヾ＼: ::i : : :|: : |: : :.!
　　ｌ:|: : |: |　　ﾘ　＼:| : : ﾄ: ::l: : :l
　　 |:|: : !:イ´_　　'￣___ヾ !ヾ:^l : |
　　 |:ﾊ: l: :代ｿ　　　'てｿ7:| ｆﾘﾉ: :|
　　　　!:!:∧// ,　　/／/ ﾘ-ｲ:|: :ｌ
　　　　ﾚ' 　＼　　 _　　／ヽ|:ﾄ、| ＿　　　　　　　　　　　　　　　　　「さっきの殷王朝みたいに年代を特定できる記録が
　　　　　　　　`r「「l、イ　　 l:i　　　／ヽ、
　　　　　　　「 !　`　i/　　　ｌl:l 　／　　 i　　　　　　　　　　　　　　　　残っている例のほうがむしろ稀有というべきなのかしら」
　　　　　　　∧　　　/　＿/|:!／ /　　　 |
　　　　　　　|∧　　 ∨　　|／i { /　　　　|
　　　　　　 / |∧ 　　',　　 | ||　/　　　　 !
　　　　　　l　/　∧　 ∨　/| ll∠　　　　 ,
　　　　　　L/　{l　ﾍ　 ∨ ,| |/　＼　　/

.
718： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:54:42 ID:bMttHh86: 　　　　　「まぁ間違いなくあったんだろうな。

　　　　　　ことにローマ人はギリシャ人とは違って男も女も化粧しまくりだったらしいし」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　ノ　　　ヽ
　　　　　　　　　　　 | 　（●）（●） |
　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）｜
　　　　　　　　　　　 |　　｀ ⌒´ 　 |
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　 }
　　　　　　　　　 __,, -ヽ　　　　　ノ　-､
　　　　　　　 /⌒ヽ　 |　＼＞<ﾍl　ヽ　＼
　　　　　　 {:::　　 l　＼　ヽ };;{ | 　 | i　 }
　　　　　　　 {:::::..　〈;;,, 　ヽ　V;;;}ﾉ　　l彡ヽ
　　　_,,.-‐''" |::::::::　ヽ--､＼ >--'⌒ヽ::.　 }
　　　||　|_,,.ィ'|::::.....　　 }_,,.-‐''"~ヽ_,,.-し'::　　）_,
　　　||　|　||　!::　　　/　　　　 .::ﾉ::::::::::.　　ノ
　　　||　|　|| _ヽ,,　.;:::　　 _,,.-‐''"ー''--''￣
　　 _,,. -‐''"　　｀ｰ---''"

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「某風呂漫画のローマ人も化粧してたのかお」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／─　　 ─　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／（●）　（●）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　（__人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　 '､＿＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |＿＿＼　 “　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼＿＿＿＼_／

.
719： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:55:01 ID:bMttHh86: 　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　「さて、この調子で洋の東西を問わずに話をしていたら
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃　　　　　　　　　　　　　いつまでたっても終わらないのでここからは
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉　　　　　　　　　　　　　　　　日本における白粉の歴史に絞って進めていくことにする」
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,.｡s≦}
　　　　　　　　　　　　　　　　　_,.｡s≦　　　　 |--r ,
　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　 /　　　l 　　 |　 | ＼＿＿
　　　　　　　　　　　　　　ｌ　　ｌ　　　 |　　　i|　 |　　ヽ　　l
　　　　　　　　　　　 /| 　　 |　　　 |　　八 i|　　 |
　　　　　　　　　　 .//|　　　ｉ|　― ┼　 ,/――　　 |　 ,
　　　　　　　　　　　　〈　ヽ　　　,x笊示ﾊ　/ ,ｨ笊ﾐ　　 ,　 ′
　　　　　　　　　　　 ∨ }ﾊ　　ゝVツ　 V 　Vツ/　 /　/
　　　　　　　　　　　　 , ＼/,〉　 l　　　　 '　　　 }　 ,　 ,′
　　　　　　　　　　　　　　＼　八　　 r ,　　ｨ　/　/{　　　　　　　　　　　　　　「jud」
　　　　　　　　　　　　 /　／/＼　＞　　　　　　/／　/　,
　　　　　　　　　 /　 ∨//|i ＼〉{ﾆ≧=≦ ／　| /} 　，
　　　　　　　　　　　/　　　ゝ /　　 /＿_|笊∧　　｜〈
　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ,'　　 /＞＜≧=‐‘，　ﾏミｔ､　‘，
.　　　　　　　 /　　 fﾆ=!/ 　 ,/_}_　　 }}　　 }i∨　∨ﾆ,}
　　　　　　　　　　　 |二/　　ィi〔　　≧=‐‐=≦＞｡.∨=! 　 ,
　　　　　　　　 / 　　 i|ニ{　/　　　　　　　　　　　　　ﾏ,/　　，

　　　　　　　　　　　　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　　　　　　　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　　　　　　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽヽ|　　　　　　　　　　　　　　「はーい」
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　　　　　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､｀　　　　 |: : : :|. /
.　　　　　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　　＿‐‐､/|: : : :|
　　　　　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　　　ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　　　　 /: : /::::/:/!: : :.l/　　　　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　　　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　／!　!:::::::l://
.　　　 /:/　　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　　 /:ｲ　　　　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／
.　　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼　　 !
.　 ////ﾊ　　　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l
　//////∧ 　　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ

.
720： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:55:24 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）　　　　　　　　「日本における最初の白粉の記録は日本書紀のうち、
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　雄略天皇七年（462）のものになる」
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　二_ｷ|:l: :!　　　　　　　　　「紀元前の記録があることを考えると
　　　　　 {:.{:.ｲ　r=＝、　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　、　///　ﾚｊｿ　　　　　　　　　　　　　結構遅い気もするけど、気のせいなのよねぇ。
　　　　　　ﾚヽﾍ　　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼　`¨´　／:.:.|:.l　　　　　　　　　　　　　　　　1600年前だもの」
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　　　　 |l　o　　　　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　　　∥　　　　　ノ　　l

.
721： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:55:43 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「朝廷の臣である吉備上道臣田狭が自分の妻の美しさについてのろけを言ったという記録だな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
吉備上道臣田狹侍於殿側。盛稱稚媛於朋友曰。天下麗人莫若吾婦。

茂矣綽矣。諸好備矣。曄矣温矣。種相足矣。鉛花弗御。蘭澤無加。曠世罕儔。當時獨秀者也。天皇傾耳。遥聽而心悦焉。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　　　　　　　　　　　　「惚気か」

　　　　　　　　　　 __　-ーー-　_
　　　　　　 _ｨ≦ィ¨厂 Tへ¨≦7　　　　　＿＿＿_
　　　　　　厂/　　　　　　i　　￣vヽ...　　　／　　　　＼
　　　　　　　 /　/ 　 {　　ﾄ　トミ　V　〉....／　─　　 ─　＼　　　　　　　　「リア充死ねお」
　　　　　/　/　/ ﾙvﾍ　　ﾘ )‐iヽ　　} /|／　（●）　（●）　＼
　　　 ,'ィ　　 {/ 下:j V ﾘ下::Ｔ } 　; / i 　　　（__人__）　　　 |
　　　 { i　{ 　 i 　`¨　　　`¨¨　i　/,'ノ{..＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　　　八　从 ""　 __　 "" _,j /》　人..　ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　　　 /rゝ　个...――..≦7　ﾚ〈》　　，....　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　　　　 `叭　|r7へ::(⌒ｰｌ　个>　　　 ’ﾞ／　r─--⊃、　|
　　　 /　　/　}　ｌ　ゝﾌ::〉7　ｌ　 {ヾ　　　　ハ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

.
722： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:56:22 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）　　　　　　　「ここに出てきている『鉛花弗御』というのが鉛白粉だ。
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜　　　　　　　　　　ちなみに読み方は”いろもつくろはず”となる」
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　＼　／　 |　　　　　　　｡s≦三三≧s。　　 ∧
　　　／　　 | 　　　　｡s≦ﾆ=‐　　　　　`寸=＼　 ∧
　　 /　＼　 i| 　　,ィi〔ﾆ=‐　＿　　　　　　　　マ=}　　}
. 　/　　l　＼ｉ! ／ﾆ／　 γ　　　ミｔ､　　　　　 },/ 　 i|
　　　　 |　　　,/ﾆ／　　　f　　　＿_　ヽ　　　　 }　　 i|
　　　　 |　　　i{/从　　　　　　f//,ハ　( 　　　 |　　 i|　　　　　　　　「これのどこをどうやれば『いろもつくろはず』になるのかと。
　　　　 |　　　　　　　　ぃ　ﾏ///}　　 }　　　 |　　 i}
　　　　|　　　　　　　　マ　ゝ‐≦ 　 %　　　,|　　八　　　　　　　　　漢字とはここまで根性悪い読み方をさせるでありますか」
　　　　 |　　　　　　　　　　｀＜　　　ノ　／ア|ｉ　　/ ｌ
　　　　 |　　　　　　　　　　　　　￣　ィi〔=‐　｜　,/　|
＼　　　| 　　　　　　　　＿ィi〔=‐　　　 |　,/　｜
　＼　｜　　　　　　　　　 {=‐　　　　　　 i| ‰　 :.
　　ヽ |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　ｌ
.　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |

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723： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:56:56 ID:bMttHh86: 　　　　「その後、持統天皇のころに『戊戌賜沙門観成　”あしぎぬ”十五匹綿卅屯布五十端美其所造鉛粉』との記録がある」

　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　__ノ　｀⌒　　＼
　　　　　　　　　　（●).（● )　　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　u.　|
　　　　　　　　　　　　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二ヽ､`,┘ 　ﾄ、_____　　　　　　　　　　　「”あしぎぬ”の字が表示できねえ」
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　　　　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
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　　　　　　　　　　　　　,ィ　／ﾍ::::iﾆ`=､　_
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　　　　　　　　/:::::::::.//／ヾミ∨彡∨:::::::::::∧:::::::　　　　　　　　　「こればっかりはしょうがないですよねぇ」
　　　　　　.　 /:::::::::::/　　　　　　　　 .∨:::::::::::::∧:::i
　　　　　　　/:::::::::./　　　　　　　　　　.∨:::::::::::::∧::l
　　　　　 .i:::::::::::ト‐-- '　　　　　　　　.∨:::::::::::::::|:.}
　　　　　　 |:::::::::.| ｒtｪs､　　　　､.　　　　}::::::::::::::::::|il
　　　　　　 l:::::::::.l. 　辷　　　　　　￣`ヽ |::::::::::::::::::||　　　　　　　　　　　「糸偏に、『施』の字のつくりを書いてあしぎぬの字になります」
　　　　　　 ∨::::.|　　　　　　　　'´气ミ､│::::::::::::::::il
　　　　　　 /:::::::l.　　　　　　　　ヾノ仆.::::::::::::::::/
　　　　 /:::::::::ﾍ　　　`　　　　　　　/::::::::::::::::::ｲ
　　　　　/:::::::::::::.∧　 ´` ‐-､　　　 /::::::::::::／::::.|
　　　.　/::::::::::::::::::.ｒヽ　　　　　　　,ｨ'::::::::.／:::::::::::|
　　　　:::::::::::::::::::::.`Y　＞-　＜　 /::::::イ::::::::::::::::::|
　　　 i::::::::::::::::::::::::|　|　|　|　|　彡Y‐-､::_ __::::::::::|
　　　　|,　ｨ=　￣イ　/　|　|　 |　| 　　/´ 　　　ヽ::|
　　 /　　/　/ 　/　/　.|　|　　| 　| 　.{　　　　　　＼
　 /　　./／　 /　 /　 /　 |　　|　| 　.|　　　　　　　＼
. /　 .／　/　/　 /　　/　　|　　|　 |　|　＼　　　　　　＼

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724： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:57:21 ID:bMttHh86: 　　　　　　「観成という僧が鉛粉の白粉を作ったということで”あしぎぬ”や綿、布を賜り、褒められたという話だな」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
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.　　ﾊ////////////////////////ハ
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.　　ハ//////////////////////////}ハ
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.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【あしぎぬ】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|　　　太めの糸で織られた絹布です。
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　”悪し絹”が語源とされています。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
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azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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725： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:58:01 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼　　　　　　　　　　「そういや持統天皇は女帝だったかお」
　　　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
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　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |
　　　　　　　　＼　　　｀⌒´ 　　　,／
　　　　　　　　　／_∩　　ー‐　　　　＼
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　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　し'
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　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|　　　　　　　　「女帝なら、綺麗な化粧品作る人には褒美をあげるわよね」
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
726： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:58:25 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「このことから、律令時代から、白粉が日本においても作られていたことがわかる。

　　　　　.　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　そしてその白粉は昭和に入るまで、千四百年近く用いられた」
　　　　　　　　　 . ／　ノ　　＼＼
　　　　　　　　　　|　（●）（●）.　|
　　　　　　　　　.　|　　（__人__） /ヽ　　 ./´}
　　　　　　　　　　 |　　｀ ⌒´　{ 　{ 　 /　/
　　　　　　　　　.　ヽ　　　　　ﾊ　 L/　/
　　　　　　　　＿＿ヽ　　　　 /__.〉　　　ん-､
　　　　　　／ :　　: :介.〈::::〉.介.〃＿_　 /　, ヽ
　　　　　　 | : : : : ::〈　｢｀{::::}　!　{　＿__）{_ /　,ﾊ
　　　　　　 | : : : : : /: |　{::::}　!: :l :＼__, -､. ￣_/:ヽ
　　　　　　 | : : :　〈: :│ {::::l　|: : 〉 : :ヾヽ　Ｚﾝ: : : :｝

　　　／: : : : : : : : : : : ／ : : : : : : : : : : : : : ＼
.　　　 /: : : : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　　　/: : : : : : :|: : :／: : : : ／: : ://: :.／｀i: ﾍ: |: : :ﾑ
　　 /: : : : : : : |:／/: : : ／: : : .ｲ/: :/ " '^^' ,|:.|: : : ﾊ
　　 i: : : : : : : /: :/: : : /: : : ／ /:／　　　　　|:|: : : : ﾑ
　　 ! : : : : : /: :/: : : :ｲ: :／　 // 　　　　 ,∧: : : : : ',
　　 |: : : :,ｲr ∨: :／/: /_　　/'　　　　　　　/　|: :|: : i: :|
　　 |: : // ノ/:.／' /／　｀ﾅ‐-　　　　 /　 .|: :|: : |: |
　　 |: : {'　r/／　 /'　　　　　　ヽ｀　　　 /　　 |: :|: :.|:.ｲ
　　 |: : ﾍ∨' }　　　　='ゝ､　　　　　　　　≧ ､」:ｲ: : |:ﾙ|
　　ﾄ: : : :'ｰ-､　　　　　　ﾞ＝'､　　　　　　　　ﾚﾘ: ｲ:/ﾘ
　　 |∨: : : : 从　　　　　　　　　　　　,､__　／ﾘ'|/'|/　　　　　　　　　「つい最近……でもないのよね」
　　 | ∨:: : :.V　､　　　　　　　　　　　　￣7 '|/ ﾉ　'
　　 |: :ﾄ: : : : !　　　　　､　　　 j　　　/　 '
　　 |: :ﾍ: : : : ﾄ　　' ､　　　｀ｧ　　／
　　/: :ハ: : : :ﾊ＼　＼　　　_　,　イ
　./:／. iﾊ: : : : ﾄ､.＼ _/｀ ≦ |: : : : |
／＝７>､}: : : :}　>. ﾊﾍ　 />,|: : : :.|
　　／／. .|: : : |./. /､.ﾍ. .ﾊ≧|: : : :|､
.／／. . . . |: : :.|.／≧＝=＝=,|: : : |ｰi.ヽ
／ . . . . . . |: : :|. . 込三∧､ﾆ/| : : |. .|. .i
. . . ﾊ. . i. . |: :.:|. . . . .〃. ﾊﾍ､. |: : | . | . |
. . . . .∨|. . |: /. . . . . {{. . .ヽ＼.ﾍ: |. ..|. . z

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727： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:58:41 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　 ,.へ　　＿
　　　　　　　　　　　　　／⌒/ヽ._}_／: : : :＼
　　　　　　　　　　　／: : : /: : : : : : : : : : : : :＼　　　　　　　　「八十年位前になりますね～」
　　　　　　　　 /: : : : : :./⌒ヽ／⌒ヽ: : : : :ヽ
　　　　　　　　　　/ : : : : : /￣｀~｀´⌒´~ヽ : : : : ヽ.
　　　　　　　　 //Wﾚ: : /　　　　　　　　 '; : : : : : ',
.　　　　　　　 ,': : : : : : /==―- 　　 -―=='; : : : : : ',
　　　　　　　　/:/ : : : : :i　＿_　　　　　＿　 '; : : : : : i
　　　　　　 /:/: : : : : : lｨ行示｀　　　 ´ﾈ示ｆﾄ: : : : : :l
　　　　　 ,':.,': : : : : : 〈!弋辺　　　　　匕りj: : : : l :│
　　　. 　　 l: :{: : : : : :i: :|　　　　 .　　　　 l: : : : l: : !
　　　. 　　 |: :i!: : : : : Ｎ|　　　　　　　　　　　|: : : :.j : :!
　　　.　　　 |: :ﾊ: : : : :ﾄ､ゝ　　 rｧ: : : : :ｙ　　 j : : : / : |
　　　　　 |: リ:'; : : :.ﾄｒ＼. 　｀　ー　´　　/:| : :./ｲ: :!
　　　　　 ∨: :∧: : |:|:::::::ヽ、 .へ　　　.ｨ':::::|: :/　|: :|
　　　　　　 /: :/ ∧: :|:|::::::_｣〉'　へ ). : : :l::::: |:/　 .!:./
　　　　　 /: :/ / ∧:j::／／　／／ヽ: : :ﾄ､:::lｲ　　ﾚﾞ
　　.　　　/／ :/: : : ｒ<　〈　　　　ノス〉､　}＼!
　　　　 /: :r＜￣￣＼＼}　　イ､_人_ } 　!　＼

　　　　　　　　／　￣￣￣￣￣＼
　　　　　　／　　　　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　　　　＼
　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　「歴史やってると過去に対する感覚がめちゃくちゃになるお」
　　／. 　　　―― 、　　　, 、―― 　　　＼
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l
　 ..|.　　　　（　● ）　ﾉヽ　　（ ●　）　　　　 |
　　|.　　　　 ´"''",　　　　　"''"´ 　　　　 l
.　　＼. 　　　　（　　　 j　　　）　　　　　／
　　　　＼　　　　｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　　／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼

.
728：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 20:59:01 ID:XeSfx.W.: 古代の文化圏がおかしすぎるだけなんや……
729： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:59:06 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_
.　　　　　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ
. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
.　　　　　| !　i:::::l　　　　ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ＿ノ　　　　　　　　　「日本における白粉というのは、この鉛粉のものだけになるの？」
.　　　　　　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈
.　　　　　　 l::::::::l　ﾉ　　　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　　　　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　　 l:::::::///::::::::::: !:|
.　　　　　　　ヽ:::!:::i. 、　　ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|
　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
.　　　　　　　　　　　 l::i:::::!　　 /:::::::／:!::/:::l
　　　　　　　　　　 _,.r-j/:::/　　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',
　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l
.　　　　　　〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|
.　　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|
.　　　　　ヽ:.:〉ー――ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.:: l::.::.::.::.::.::l:::::::::i
　　　　　　 lヽヽ.ﾟ:｡:+ﾟ:*:|::.::.::.::.::.::.::.: l::.::.::.::.::.::l:::::::::j
.　　　　　　j::ヽヽ_*ﾟ_+｡ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.::l::.::.::.::.::.::l::::::::/

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　｜　　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　 |　　　　　　_.ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「いや。鉛粉以外の白粉も存在していた。
　　　　　　　　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽヽ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　まず、平安時代には糯米を粉にした白粉が
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　　　　／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　　ﾄ､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　あることが延喜式などに記されているな」
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　　　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　　　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|

.
730： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:59:36 ID:bMttHh86: 　　　　　「江戸時代にも、糯米を用いた白粉は存在していたが、

　　　　　　　　　　　鉛粉の白粉に比べてノリが悪く、粗悪な品だとみなされていたようだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

　　　　　　　　　　　 ‐=――ﾆ=‐
　　　　　　　　　　ィi〔//{　　　＞｡./ ＼__
　　　　　　　　／//}＞'i　　　　 l　ヽ／＜ヽ
　　　　　 r‐=≦/　 {　　|　　　 |　　　　＼
　　　　　 |　 {　　　ｉ　　|　　　 |　　　 l　　ヽ
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　 |　　　 |　　　〈
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　　八　　 !　　 / /ヽ
　　　　　 |　 {　　丁￣{　　　 /￣￣　}　　/ /　/　　　　　　　　　　　　　「残当」
　　　　　 { { ‘，　　,x笊うﾐ　 /,ｨ斧丐/　 / /　/
　　　　　 {{ ',　，　ゝVツ　ヽ/ 　 Vツ/　:/ /　/
　　　　　 }}　ﾟ。＼_＼　　　　　　〈/ / /　/|
　　　　　 l!　　＼ {　＼　　 '　　　／ /　乂ｨ｜
　　　　　 |　　 //|　 |　へ　 ^　,ィ /／　}//ﾍ :|
　　　　　 |:　　{/,'|　 |//{ﾆ≧≦ﾆ}77{ 　:|///} |
　　　　　 |　ィi〔｜　{///ヽﾆ／ ///{　 :|///} |
　　　　　 |/ニﾆﾆ|　 i ⌒＼ｉ:ｉ／ゝ< i　 :|=:＞｡!
　　　　　 {ニニﾆ:|　/　　　 T　　　　:l　 :|ニニ:}
　　　　　 iニﾆﾆ:／　　　　 |　　　　　＼|ニニ:ｉ
　　　　　{::ニ::/ 　　　　 :|　　　　　ﾏﾆﾆ:}
　　　　　 Ⅵ /――――――=‐　＿＿ ∨=:〈
　　　　 :=:{///////////}//////////77/ /
.　　　　　 l}八//////////,'i//////////,'八,′
.　　　　　 |Ⅵﾍ/////////人////////イ__/ |
.　　　　　 | ﾏ=:∧≧=‐‐=≦≧=‐‐=≦ニ=:,'　|
.　　　　　 |: Ⅵ=:∧￣T¨¨　lゝ‐=≦//ﾆ二:.　 |
.　　　　　 |　∨二:∨/}　　 :.　　 {/:/二二/　｜
.　　　　　 |:　 ∨二∧i　　 l　　ｉ /ニニ:/ 　 :|
.　　　　　 |　　 ∨ニ∧　　　　 /ニニ:/__　　|

.
731： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 20:59:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　⌒　⌒
.　　　　　　　｜　　 ( ●) (●)
　　　　　　｜　　　（___人__）　　　　　　　　「そしてもう一種類、水銀を原料にした白粉もある」
　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　_,イ　ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　,.　-─‐-´ 　 l　　ヽ,＼__､_ﾉ7
/´　　　　　　　 :i 　　ハﾍ､;;ヽト、
. : .　　　　　　　　:i　　　ﾊ〉:.;〈ヽ＼､_
, : : . ＼　　　　　　:L_＿　 v;;;;ﾍ ' ,＜. ヽ
. : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
!: :　　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　.´: : : .　 ' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
: : : : .　　.γイ: .　　　　　　 ' .,　 ':;;:|　 l、__j.|

　　　　　　　　／三三三三三≧ｭ､　　:/　/　　　 l
　　　　　　　　　 /,ｨ三＞''´ 　 ,ィ ⌒＜三:/　/　　　　｜
　　　　　　　　／　}三{ 　　 ‰　　ィ示ﾐ /　/ﾆ≧、　 :|　　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　 /∧} 　〃　／////}/ イ＼(K　　 |　　　　　　　　　 /|
　　　　 l　　　 // ∧ 　ff: 　////// ∠_/　　　　　　|:　　　　　　＿＿/ :|
　　　　 |:　　　{j　　　 {{　八/////(＿　　　　　　 :|　　　　　／　　 /　 }　　　　　　　　　　　「水銀でありますか」
　　　　 |　　　 |　　　　乂　　^¨¨´　Ⅳ　　　　　 |　　　　　　ｘ==ミ/　 /
　　　　 |　　　 |　　　≧ｭ､｀＜zzzz少　　　　　　　　|　　　　 γ }笊ﾍ　/
　　　　 |　　　 |　　　　｀''＜≧ｭ､　　　　　　　　　　|　　　　　んノ刋 }}
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　^¨¨｀　　　　　　　 :|　　／た/(_　/
　　　　 |　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　／　φ/Ⅳ /
　　　　 {　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |／　　　ゞ-ｨ /
.　　　　八　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ^¨¨´ /
　　　 |　∨　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 /
　　　 |　 ∨　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ‰　／
　　　 |　　∨　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　／

.
732： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:00:19 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「おう、水銀だ。

　　　　　　　　　　　　そのほかにも突っ込んで調べれば

　　　　　　　　　　　　　いろいろ植物性の白粉とかあるのかもしれないが、

　　　　　　　　　　　　　　日本における白粉の代表格はだいたいこの三つということになるだろう」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _r-,
　　　　　　　　　（●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　　　 (__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　|　| |
　　　　　　　　　　　 '､｀⌒ ´　　　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　　／ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　　／ : : : ゞﾆ二彡
　　　　　　　　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　　　　　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　　　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣｀-ｰ‐'"

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┌─────────────┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　..〇鉛白粉（鉱物性）.　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　..〇水銀白粉（鉱物性）.　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　..〇糯米白粉（植物性）.　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　 │
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　└─────────────┘

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733：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:00:59 ID:XeSfx.W.: 鉛といい水銀といいなんでこう物騒なことになるのか
734： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:01:19 ID:bMttHh86: 　　　　「その中でも現代において過去の『白粉』という言葉がさすのは

　　　　　　　　　鉛粉製と水銀製の二種類だと思っておいていいだろう」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|　　　　　　　　　　「和名抄に曰く『之路岐毛能（しろきもの）』と
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>　　　　　　　　　　　　『波布邇（はふに）』がそれで、
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　　　　　　　　前者が水銀白粉で後者が鉛白粉の名称になる」
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【和名抄】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　　　　正式には和名類聚抄（わみょうるいじゅしょう）という、平安時代の事典です。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
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.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
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azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

.
735： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:01:46 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「波布邇に関して、錫の粉と混同して『一名を胡粉である』としている古書も一部あるが、

　　　　　　　　　　これは今日においては明確に誤りだといっていいだろう」

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　｜　　 ( ○) (○）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__　　　　　　　　　　　「とはいえ、鉛の古名が錫であったことを考えると
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |　　　　　　　　　　『その時代には』それで正しかったってことになるんだが。
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､　　　　　　　　　　この辺りは多少ややこしい」
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
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　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l　　　　　　　　「時代と共に定義が変わってしまったわけね」
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
736： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:02:25 ID:bMttHh86: 　　　　　「それで、今回見ていく京白粉なんだが、

　　　　　　これは波布邇、つまり鉛白粉のこととなる」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　　「この鉛白粉、基本的な作り方というのはごく簡単で、
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　　やろうと思えばご家庭でも作れたりする」
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|ヽ／|＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿　　　　　　 |_＿＞
　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ、　_ノ＼
　　　　　　　　　　　　　　　／　（○）　（○）＼
　　　　　　　　　　　　　　／　　　（___人__）　　..＼
　　　　　　　　　　　　　　|　　u　　ﾉ　　　ヽ,　　　|　　　　　　　　　　　「マジでっ！？」
　　　　　　　　　　　　　　.＼　　　（/⌒ﾉ´ﾌ　 .／
　　　　　　　　　　　　　　 .　.>　　 .￣￣´　　<.

.
737： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:02:49 ID:bMttHh86: 　　　　　　「マジ、その作り方の基本は、鉛の塊を酢にぶっこむ。

　　　　　　　　そして待つ。以上」

　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　丶
　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　 |　｀ーﾞ　　丶__　-　　|
　　　　　　　　　　　　　　 |　( ⌒ )　　( ⌒ )　　|
　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｗW　|
　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 _,ﾉ　　|
　　　　　　　　　　　　　　　!　　ゝ__ゝ‐ ´　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　7￣｀> ‐―　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　〉　ぃ　　　　 /　　/　　　　　｀T.:ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　 /l　　〉ﾊ　　　人　V´ ￣￣　　 l.:.:.:.',
　　　　　　　　　　　　　　,. ｲ / ,.ｲ .i l/　／／ﾄ､/ ,　-─‐　　 l::::::::',
　　　　　　　　　　,.　. : : : : //／/ヽV ／／　l: : :〈　　　　　　 jﾄ､:.:.::',
　　　　　　　　 /: : : : : : ://: : :/　「￣`7　　l: : : :(´￣￣　　ﾉl　ヽ:.:ヽ

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

鉛を薄く片にし酢にて蒸して採る。数度蒸し獲れば鉛漸々に減ず　　【重修本草綱目啓蒙】

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

　　　　 f¨¨¨ア　　　/　　　 |　　　　　　/　　　＼　　＼
　　　　　　 l　　　 ′　　　|　　　　 /　　　　　}　　　　､
　　　　ｌ　　｜　　 ,　　　　｜　　　 ,　　　　　 |　　　　　＼
　　　　|　　｜　　 ,　 /　　　,　　　　/　　　　　　,　　　　　　 /
　　　　|　　｜　　 {斗ｬ允― ,　　　/ ＿＿　　/　　　　　　/{
　　　　|　　｜　　 | ｉ|　　/　八　 /　}　　/ ミｔ､　　　　 /　,
　　　 ,　　i|　　　|　,x笊示ﾐ　,　,'　　イ云笊x　　　　 / 　i}
　　　 { 　 i|　　　|i〈 hr (　　　V 　　ぃし(　 )〉　　　　／　 ,
　　　　 , 　 ,　　　{　ゞ= '　　　　　　ゞ==ｼ /　　　／　　 /　　　　　　　　　　「雑ぅ！」
　　　　，　,　　叭　　　　 ,　　　　　　　　/　　　//{　　 /{
　　　　　， ‘，　八　　　　　　　　 /　　　 {///7 /　,
　　　　　　 ,　　,　　　　　　　｀　　　　 /　　／i{///ア
　　　　　　 ‘，八　 {　l　.　　　　　　　 / 　／　∧⌒',　　　,
　　　　　　　＼{∧ l　|　＼　　　ィi〔=,/ ／/　 //∧　〉　　，
　　　　　　〈// } ＼i!　　 /爪ニﾊ,　/ｨ　 ,　　{∨//7∧
　　　　　　/ 　^　,　　/ﾆﾆ〈 ,//笊ﾆ{／　 /! 　 |i ∨///∧
　　　　　 //二ﾆ/　 /ニニﾆﾆ{ {} }ﾆ≧≦ﾆ|　　|≧s。/,／　　　‘，
.　　　　 {二=/　 /ニニニニニニニニニ|　　|二ﾆﾆ≧s。
　　　　/　 |二/　 /⌒⌒TT⌒‐=ﾆニニﾆﾆ|　　|二ニニﾆﾆｉ　　　＼
　　　 /　　|〉/　 /{　　　 | ｌ　　　 /i　　　 i|　　|二ニニﾆﾆ|　　　　＼
　　 ,　　　{/ ,／― ＜　i! !　　 /　! ＿___ i|　　| /＼二二_|　　　　　　＼

.
738： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:03:13 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「もう少し詳しく説明すると、酸の腐食を受けない器に酢酸……食用酢で構わない……を入れ、

　　　　　　　　その中央に鉛の棒を立てる」

　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　（⌒ ）（⌒）
　　　　　　　 |　　　　（__人__）
　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜￣: :｀: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :/: :rｰ弋､: : : : :'; :.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : !: :/　　ヽ＼: : : :' ; :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! / : : ! /　　　　 l!　ヽ '; :.! :l　　　　　　　　　　「ふむふむ、それから？」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: : /ﾊl-－　　　T ￣ヽ! !: :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : i l´.j ＿　　　 ,＝= .人 :l
　　　　　　　　　　, -－-､_　　　　l: ;ｲ:l　'"⌒`　　　 ::::::: レﾉl
　　　　　　　　　r'´ﾉ､　　l !　　　 jﾊl lﾍ ::::::::　　 '　　　 /'´ l
　　　　　　　　　（'ノ7 _ .r　l　　　　　｀Tヽ、　　ｰ　'　／ : : !
　　　　　　　　　 Y￣) ７　/　　　　　　 l : : ＞-,　_ イ/ : : ノ＿
　　　　　　　　　　ヽ、　　 L_ 　　　　　 !: : /-,! イ´./ ;イ_ イ　ヽ
　　　　　　　　　　　ヽ　／　!　　　　　/l: :/に大ﾆ}/:/　 /　　　 !
　　　　　　　　　　　 / ﾝ　　 !　　　ﾉ7// -' ノl!_V:/ l　/　　　 /
　　　　　　　　　　　 !'　　　　 l 　／/ j/　／ / __!/フ /　　　 /
　　　　　　　　　　　ヽ、　　 ! /　 !　|　l! 　 l　! j!　!./　　　 /
　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ／ﾉ´　　',_ﾘ .l!c　ヽ!__lノ./ 　　 /
　　　　　　　　　　　　　　V_ノ　　　　|　　l!.　　　　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ハ　 l!　　　　 /　／　 !
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /　 l　 l!c　　　/／　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　./　　 !　l!　　　ノ　　　ﾉl

.
739： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:03:57 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　 |　　　（⌒ ）（⌒）　　　　　　　　　　　　　　「以上だ」
　　　　　　　 |　　　　（__人__）
　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ
　　　　　　　　|　　　　　　　 }
　　　　　　　　ヽ　　　　　ﾍミ|
　　　　　　　　／,`　、` -`,--` ,
　　＿＿,---/;;;;;`　　`-,-/ニﾆ |
　/;;;;;::::、:::::::::|、_ ,＞、 /::l,_l･　,<、__
ノ;;;;;;;;;;;;:::|::::::::::＜:::::::ヽ``l::::|　　|`l,::::ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;:::::|:::::::::::::ヽ:::::::＼|:::|`-‐'/::ヽ::::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;:::::::::::::::::::-、:::`;:ヽ;-';;;;;:::ヽ::l
;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;:::::::::::::::::::::`、;`l;;;;;8;;;;;::::`ヽ
;;;;;;;;;;;;/、;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::;`l;;;|;;;;;;;;;;;::::: `l|、
;;;;;/'　 `,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::|;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::l
;;;く　　　';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::;;;;;;;l;;;;;;;;;;;;;;;;;;/

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜￣: :｀: : :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :/: :rｰ弋､: : : : :'; :.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : !: :/　　ヽ＼: : : :' ; :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ! / : : ! /　　　　 l!　ヽ '; :.! :l　　　　　　　　　　「オイオイオイ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V: : /ﾊl-－　　　T ￣ヽ! !: :!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　l: : i l´.j ＿　　　 ,＝= .人 :l
　　　　　　　　　　, -－-､_　　　　l: ;ｲ:l　'"⌒`　　　 ::::::: レﾉl
　　　　　　　　　r'´ﾉ､　　l !　　　 jﾊl lﾍ ::::::::　　 '　　　 /'´ l
　　　　　　　　　（'ノ7 _ .r　l　　　　　｀Tヽ、　　ｰ　'　／ : : !
　　　　　　　　　 Y￣) ７　/　　　　　　 l : : ＞-,　_ イ/ : : ノ＿
　　　　　　　　　　ヽ、　　 L_ 　　　　　 !: : /-,! イ´./ ;イ_ イ　ヽ
　　　　　　　　　　　ヽ　／　!　　　　　/l: :/に大ﾆ}/:/　 /　　　 !
　　　　　　　　　　　 / ﾝ　　 !　　　ﾉ7// -' ノl!_V:/ l　/　　　 /
　　　　　　　　　　　 !'　　　　 l 　／/ j/　／ / __!/フ /　　　 /
　　　　　　　　　　　ヽ、　　 ! /　 !　|　l! 　 l　! j!　!./　　　 /
　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ／ﾉ´　　',_ﾘ .l!c　ヽ!__lノ./ 　　 /
　　　　　　　　　　　　　　V_ノ　　　　|　　l!.　　　　 /　　　 /
　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　　　ハ　 l!　　　　 /　／　 !
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 /　 l　 l!c　　　/／　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　./　　 !　l!　　　ノ　　　ﾉl

.
740： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:04:26 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「この状態で数日放置しておくと鉛の棒の、

　　　　　　　　　　　酢酸に浸されていない、露出して空気に触れている部分に白い粉が吹いてくる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

　　　　　　　　ﾞ,ヽ
　　　　　　　　 }ヽ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ　　　　　　　　　「あら、酢酸に浸された箇所じゃないのね」
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　　　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　｀　　　　　　｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{
　　　　　　　　ﾊ　 'iヽ　　　　　　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　　　　　　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　､＿_　　､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　　　　'/ﾆ/　　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　　｀'　　　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　　　　　　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　　　　　　ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ノ. . . . . . . . . >. . .

.
741： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:04:50 ID:bMttHh86: 　　　　　　「あぁ、その白い粉が白粉の原料となり、

　　　　　　　　　水で溶いたり、あるいは植物油で溶いたりして化粧品として用いたわけだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 -―-､＿　＿.／⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 : : : : : : : : :ヽ: ヾ／:ヽ. 　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : ;.へ: : :／: : : : :＼　　}　　　　　「本当にお手軽に作れたのねぇ……」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : : : : : ／:::::::::∨／::ヽ: : : : :ヽ　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / :/: : : : : :./´ ￣￣｀´￣｀ヽ'; : : : : :V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: /WV: /: /-≠z､　　　　　　 '; : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : : : : : /　　　　　　　　z=､　'; : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ; : : : : : : : Z≧ｚ､、　　　　　ヽ i: : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ: : : : : : :'刃Xﾁ　　　　　 ≧､　　 l: : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 l: : i: : : : :ﾒﾆﾝﾞ　　　　　　ﾈ六ミ、.l: : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: ::|: : : l: 厂　　　　　匕少ハ l : : : : : l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |: ::|: : : l: l　　　　　' 　　　｀¨´　ﾉ∧: : : : j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 j Vl : : :ﾊ:ｌ　　　　　　　　　　ムｲ: : : ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : :!: : :i　ヽ　　　　、　　　　　　 / / |: /: : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : |: : :|〉.　　　（:Y}　　　　 ,.へ /ｰ'|/: : /ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/: : : ∧: :l∧＼　　　　　　　 ,.ｲ　＿ヽ.: : : :/: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : //∧:|/ﾍ　 ` 　 __ 　イﾚｲ´＿　 }: : /: : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : ////ﾍ|//ﾄ､　 .:::::::::::::/　　Y´　　　ｊ: :/: : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: : : /////r―' {ﾄ､ヽ.　:::::::::{　　｀¨´ ／: : : : : : |

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742： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:05:28 ID:bMttHh86: 　　　　　　「質を問わなければ、だがな」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　「この白粉の組成は炭酸鉛（ＰｂＣＯ３）で、
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i　　　　　　　　　　　　　　鉛（Ｐｂ）と酢酸（ＣＨ３ＣＯＯＨ）が反応してできたものだ」
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
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　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　　　　　　　 /: : : :./´￣｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　　　　ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　 ,'.: : : : ;'z＝　　　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　　　 ,': : : : :;'　　　　　　　　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　　　　　　　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　　　　　　　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　　ﾄ芥〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'　　　　　　「やっぱりご家庭では、高い品質のものは
　　　　　　　　　　　　 l! |: : ::::::.　　 ,　　　｀¨ｒー､! !ヽ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　 l: :::::::::}､　　　　　　｀7 ﾉ j　〉〉::::::::::::|　　　　　　　　　つくれなかったわけなのねぇ」
　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿／　　　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　　　　　　ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　　　　　　　　　　 /　V　　ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　　　　　 }
　　　　　　　　　　　　　　　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　／!__／: : | ! ! /　　　　　 /: :|

.
743： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:06:03 ID:bMttHh86: 　　　「この反応の特殊性は酢酸が蒸気の時に初めて反応がおこることにある」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 i 　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 l　、__,ィ、　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 V　ﾍ _ノ-､　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､丿_ ,.　　　 /}　／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ヽ、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　　　　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､:
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._// : :
　ヽ}､ .i　 { r-､　　人ｭ､　　　　　　　 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'､: : : : 〉二ﾆ／ : : :
　　　⌒}､└i　'トィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
　　　　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :

　　　　　　::::::::::::::::::::::::::::::＼
　　　　　　　　::::::::::i:::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　::::::ｉl:::::::::::::::::::::::ヽ
　　　　　　　　　　 l !:::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　　　　　　　　 l l::::::::::::::::::::::::::::ｌ
　　　　　／⌒｀　 l l::::::::::::::::::::::::::::ｌ::
　　　　　　　＿,,∠l ト､＿＿::::::::::::::ｌ;　　　　　　　　　　　「酢酸蒸気でしか反応が起こらないから
　ﾉヽ　（￣￣｀弋! lフ'￣:::::::::::::::::::ｌ
　　　　　　　　　　 l l::::::::::::::::::::::::::::::l　　　　　　　　　　　　お酢に浸されてる部分は変化しないってことかお」
　　　　　　　　　　 .!l:::::::::::::::::::::::::::::/
　　　　　　　　､,,,､::ｉl::::::::::::::::::::::::::::/
　Ｊ　　　　　.....::::l:: 　　　:::::::::::::::::/
　　ゝ､,,,,,,,;;;;;;;;;ノ　　　　　::::::::::::::/

.
744： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:06:27 ID:bMttHh86: 　　　　「その通り。そしてもう一つの特殊性は

　　　　　『この反応は表面だけにとどまらず内部までいくらでも進んでいく』というものだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
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　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l　　　　　　　「それはどういうこと？」
　　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　　　　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　　　辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　　　　　ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　　 , ー,　　　　/ 　 l/
　ヽヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ　　／　　 !
　　ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　ヽ、_　ー:.:.!
　　　ヽ´　　　ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　）.:.:｀ ' - ∧ つヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､　ヾ.:､　　　ヽヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　｀ゞ　　ヾ　　　ヽ　　｀ヽ､

.
745： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:06:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「酸化反応の多くは物質の表面に組成された酸化物質が

　　　　　　　　　　内部の保護膜的な役割を果たし、その結果、ある程度で酸化反応を押しとどめる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.: : :´: : : : : : : :｀: . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 , イ: : : : : ; : : : : : : : : : : ｀ .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／: ,: ィ: : ／/∧: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／,ｨ7: : : :／　/:ハ: :i: : : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' ´ ﾉｨ: : ; く　 /'　　i: :|: : : : : : : :: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　 ' /／,､　 ∨ 　　 |: |: : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　＿. . . ､-― . . ￣ . ト､　　,ｲ ! 込,　 ',　　　 |:.|: : :i: : : : : : : : : :,'
　　 ,. . .r. .´. . . . . . .i. . . . . . . . ..|　ﾍ　ﾘ　ｰﾟ'　　　　ヽ ∨i: :ﾘ: : : : : : : : :/
　　i. . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . . .ハ　 ∨ 　　　　　　≧､ヽﾑ: !: : : : : : : :/
　人. . . . . . . . . . .ノ＿＿＿__人　'　､ﾊ　　 ´ 　　　入ヽi: :|: : : : : : , '
／　ヽ､. . . . . ｰ. ´. . . . . ｀. .ー‐'―／: :ﾍ　､　　　　　'ｰﾟ´ }:ﾘﾚ´ﾌ: ／
　　　　　｀　＜. ., r‐.-. ､. . . /. . .／:／＞ >　 `　　　　　 _､_ﾚ_ ノ'´
　　　　　　　　/. . .ヽ.ー. --=＝.７._._._≧'ー｀＝r‐=‐ : : : ＞´　　　　　　　　　「炭酸鉛はそうじゃなく、表面よりもさらに中心部まで
　　　　　　　 i. . . . . . . . . . . .≧´7/i_r/.r＞: ´,: :_:＞＜三､　 ,､
　　　　　　　 !. . . . . . .／.￣. . . . . - =＝＜. ´.-.-.-.-≧､三y三ム　　　　　　　　　酸化がどこまでも進んでいくということ？」
　　　　　　／. . . . . ./. . . . .ヽ.ｰ. ´. . . . . . ,､. . . . . . . . . 7ﾆ,'三ﾆ/
ー-､　 ,／. . . . . .／.o. . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . ../三三ﾔ

.
746： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:07:20 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そういうことだ。
　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼　　　　　　　　　おそらく鉛が白粉の原料として選ばれたのも、
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|　　　　　　　　　この性質を利用すればほかの鉱物よりも、
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{　　　　　　　　　　　同量の原料でより多くの白粉を生産できることと無関係じゃないだろう」
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　／⌒＼
　　　　　　　　　　　 /　　＿×￣￣｀ｰ、
　　　　　　　　　　　　　 { 　／: : : : : : : : : : : :.ヽ　　　　　　　　　　「同じだけ材料を用意するなら、
　　　　　　　　　　　　　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　　　　　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,　　　　　　　　　　　　　　よりたくさん白粉が取れるほうが、いいですものね～」
　　　　　　　　　　 ,': : : :.;' 　　　　ヽ : : : : ',
.　　　　　　　　　　　 {: : : : ｌ´￣´　｀￣｀i: : : : : :',
　　　　　　　　　　　 }: : : :.ｌ=＝　　＝=ｌ.: : : : : :i
　　　　　　　　　　 |: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
　　　　　　　　　　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ
　　　　　　　　　　　ﾘＶ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
　　　　　　　　　　　　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　　　　　　　　　　　ｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　　　　　　　　　　 //　＜　　ﾟ･ﾛ･ﾟ　／／／/ 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　_{ 　＼__＞ｚ―‐＜＜　　　彡人
　　　　　　　　　　　　 |　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二＿_　 ,ｲ
　　　　　　　　　　　　ヒ二ニニ　＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　　　　　　 /:l￣｢￣￣´　. :　　　　 !　　 j: :ヽ

.
747： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:07:41 ID:bMttHh86: 　　　　　　「前述した殷末期の白粉もこの炭酸鉛で、古代ローマなどでも時代や地域を超えて愛用されまくった」

　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　　　　　「この鉛白粉は欧州の富裕層や売春婦の間で
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二千年にも及ぶロングセラーとなっており、
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ　　　　　　　　　　　　品質の上で最高とされていたのは英国製のものだったらしい」
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　　 /　　/＞''”　 /　　　　　　　　　　　|　　 ', 　 ≧s｡.,_
　　　　　　 /　/￣　　　 ,′　　　　　　　　　　｜　　 ,　　　＼　≧=‐,
　　　　　　　　/　 i{　　　　　/　 |　　　　　　　　　　 |　　　，　　　 }　　　，
　　　　　　　 ,　 /7　　　　　ｌ　　|　　　 |　　　　　 i|　　　 ,　　　 i|
　　　　　　　　 // l　　　　　|　　|　　　 |　　　　从　　ｉ|　　　　 |　　 l
　　　　　　　f / 〈｜　　　 |　　|＿＿_｜_　　　　/＿_　　 }　　　　 |　　 |
　　　　　〃　＼　　　　 |　´i|　　　 |　　　 /　　　｀　, 　　　 |　　 |
　　　　　　 /　　　　＼　　　|　,x笊云ミｔ､　　　 / ,斗笊ﾐ　,　　　　从　ｉ|
　　　　　〈　　　　ｌﾊ　　 ,〈　ぃ//(　 |　　　/ 　h//(　〉,　　　　/
　　　　　〈　　　　/,'ﾊ　　，　乂^)少｜　／　　乂)少 /　　　 /　　　 ,
.　　　　　 / ∨　　〈//∧ 　，　　　　 |／　　　　　 / 　　 /　　　 /
　　　　　 /　　∨　〉///,}　　　　　　　　　　　　　　从　　 /　　　 /
　　　　　　　／＼///＞'　　∧　　　　　　 _ ｀　　　人　　 /　　　 /
　　　　 /　　{　／77| ＼　　 ∧､　　　　　　　ィ /　　 /　　　 /　　　　　　　　　　　　「ほほう、ブリカス、小癪であります」
　　　 ,　　ア7////!|　　＼　　∧≧s。　　　　　　 ,　　／} 　　／
. 　　/ 　〈/////／i|　　　ヽ　∧二ニ≧=≦　　 / ／　｜／|
　　 /　　　 ,//,／　ｉ|　　　 |　＼ ∧　　}ﾆf^ﾊ　　 ,／　　 |‰　|
. 　/　　　ゝ'　　　 i|　　　 |　/, ＼ｉ}　ｉ}笊, ∧　　　|　　 |　　 |
　/　　　　　　　 |　　　 |イ二ﾆ=‐＜ {{}}乂_＼　i|　　 |　　 |
.　　　　　　 ‐=ﾆ二|　　　 |二ニニニニ乂二ニニﾆ|　　 |＿_｜
/　　　　　 /ニニニﾆ|　　　 |二二ニニニ｀_´ニニﾆﾆ|　　 |ニﾆﾆ,ヽ
　　　　 ,二二二二|　　　 |二二二ニニニニニニﾆ|　　 |二ニニ,}
.　　　　　 {二二二二|　　　|ﾆﾆ,／⌒Y　　　 Y　　 |　　 |二ニニ,|

.
748： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:08:08 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　／　　　　　 ⌒　　　　　⌒　＼　　　　　　　　「フランスとイギリスどっちが嫌いだお？」
　　　　　　　　　　／　　　　　／　｀ヽ　　 /´　｀ヽ＼
　　　　　　　　／　　　　（　　 ● l　　 l　　 ● |　ヽ
　　　　　　 |　　　　　　　ヽ_ 　_ノ　　ヽ_ 　 _ノ　　 |
　　　　　　 |　　　　　　 ´￣｀（　　 i　　） ´￣｀　 |
　　　　　　　　＼　　　　　　　　　　ー‐ ＾ー　　　　　／
　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　　ｰ一　　　／
　　　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ

　　　　　　　　|　　　　　　　　‘，　　　　　　　　　斗ｬ七允　　　　　　 / 　 }
　　　　　　　　|　　　　　　　　　∨　　　　　　 /　　　　　 |　　　　　　　　/　　 }
　　　　　　　　|i　　　　 jI斗ｬ=∨　　　　　　/　,jＩ斗劣ミ　　　　　　　 /
　　　　　　　　| 　 z七さ＾　　　　ﾊ　　　　/ ,ｲ//,刋 }/ }　　　　　 ,　　　 ,
　　　　　　　　|　　　＼ {＿_　　 { ‘，　　 / 　h//(　　 i|　　　　　 /　　 /　　　　　　「どっちも死ねであります」
､　　　　　　 |　　,ｨf斥爪刋ミ　|　‘，　　 ′　込z少　　从　　　　 /　　 /
. ＼　　　　 | ‰笊////(　　ヽ!　　} 　 /　　　¨¨^´ 　 %　　　　 /　　　/
. ＼＼　　　 { ﾏ( ぃ乂/ﾉ爿　　　 | 　,′　　　　　　 ,　　　　 /　　 ,/
.　　＼＼　　　‘，　乂⌒少´　　　　　|／　　　　　　从　　　 /　　 ,/
.　　　＼〉,　　　，　　　　　　　　　　 ,　　　　人　　　 / 　　 ,′
　　　　 }/}　　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 / 　　 /
　　　＿|/!　　　　∧　　　　　　　　 t ﾕ　　　　 /　　　,/ 　　 /
　　 l///,'|　　　　ﾏ>　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　／{　　　/
＜-,l///,'| ＼　　　 ∨=≧s｡.,_　　　　　　　　　　　/ 　 ,／　 |　　 /
　　≧=‐く　i|＼　　　∨二二二≧s｡.,＿／　　　 , 　／　　　| 　,/
　　　　　　　 |　＼　　,∨　 |ﾆ=,|　 |i　　　　　　 / ／　　　 i|　/

　　／￣￣＼
　／　　ノ　ヽ､＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あー、話をつづけるぞ」
. |　　（●）（●）|
. |　　　（＿人_）│
　| 　　｀ ⌒´　 |
　 | 　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「鉛白粉その品質の決め手は温度管理にあったようで、
.　ヽ　　　　　　/
　　ヽ　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　その点で英国産の白粉は非常にきめ細かい上物ができたらしい」
　　　,7:./h::ﾌ<
　　 |::::.ヽi:::.ｿ|
　　 |:::::::::.｀´.:|

.
749： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:08:39 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「日本においては、この白粉づくりには
　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒　　　　　　　　　対馬産の鉛が原料として最上とされていて、
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　唐土と呼ばれる輸入鉛がこれに続く」
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V　　　　　　　「輸入ものより国産品のほうが質がいいのね」
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
750：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:09:11 ID:XeSfx.W.: ヨーロッパのお国事情は複雑っすね（白目）
751： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:09:47 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そして時は流れて江戸時代慶長年間、堺の銭屋宗安という人物が、
　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼　　　　　　　明国の白粉の製法を模倣して『銭屋白粉』を作った」
　　　　　　　 |(⌒.) (⌒ )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　　 |
　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　 i　　　　　　 |
　　　　　　　　ヽ　、　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、　　　　　　　　　　　「悪いがここでは製法はオミットするぞ」
　　　　　/i : : : : /「::::/＼／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i

　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　|　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　　　　　「銭屋とかいう火の玉ストレートなネーミング、嫌いじゃねえお」
　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　 /⌒ヽ　　ー‐ 　　ｨヽ
　　　/ 　　　　,⊆ニ_ヽ、　 |
　　　/　　／　r─--⊃、　|
　　　|　ヽ,.ｲ　　｀二ﾆﾆうヽ.　|

.
752： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:10:22 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それを追いかけるように小西清兵衛もまた
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒　　　　　　　　『小西白粉』を作り、戦乱を終えた人々の装いを
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i　　　　　　　　大いに盛り立てた」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ―――ミｔ､
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔　　　　‐=ﾆ二ﾆ=‐
　　　　　　　　　　　　　　/　　　 ‐=ﾆ／　　　　　}/⌒≧s｡.,_
　　　　　　　　　　　　　　　　f二,／　〉　　　　　i|　　　　ヽ　}
　　　　　　　　　　　 %　　ィi〔　　 /　　　　　　 |　 }　　　}　,
　　　　　　　　　　　　 }　　 {　　　　{　　　　 |　　i|　 |　　　|　,
　　　　　　　　　　　　　　/{　　　 i|　　　 |　斗ｬ允　　从,
　　　　　　　　　　　　l　 / ∧ 　　 |　,斗ｬ　!　 , ｨ笊} 　 / /　　　　　　　　「追いかけるようにというか追っかけでありますな」
　　　　　　　　　　　 ∨ ∧　　 :.　,x笊ﾐ |　,'　vシ,　/ /
　　　　　　　　　　 l　　 ∨　}ﾍ　∧ ゝvｼ　,/　　从 / /
　　　　　　　　　　　　　〉ｧｧｧ} 　∧{　　　　 ' /　/ /
　　　　　　　　　　　 ,　　／≧=‐ﾍ　入　　　　　从{
　　　　　　　　　　／///／　 r＼　＼{≧く　{ /__
　　　　　　　　　 /　 ∨/／　　_,|　 ≧s。〉∧　 ∨=ﾊ
　　　　　　　 /　　 ⌒　　／ﾆ,}　　}__/ﾆﾆ∧　 ∨ﾆ|
　　　　　　　　　　　　　　 ‐=ﾆ二ｱ　　,二≧=‐/＼ ,∨,|
　　　　　　　　/　　　　/二二ﾆﾆｧ　 f-〈　　 }　　＼ヽ}__
　　　　　　　　　　 {二ニﾆﾆｧ　　/　 i＿_γ　⌒　　ヽ廴
　　　　　　 /　　　　　∨ニニﾆ}　　,.ィi〔　　　　　　　　　ﾊ　(_
.　　　　　　/　　　　　 /∨ニニｧ　 / 　　　　　　　　 }/　}
　　　　　　　　　 /　 ∨／ } 　 {　　　　　　　　　　 ‰　ゝ,
　　　　　/　　　　 /　　　f　　|　　|　　　　　　　　　　ィi〔 |／　 }
　　　　　　　　 ,　　　__)k　i|　　ﾄ　　　　　ィi〔　　il　 i|＿__∧
　　　 /　　 /　　 ,　　 /　　ヽ|　　|/≧=‐=≦　 /　　 }　｜ / 　 }
　　　,　　　f　　　 i　　 i　　　 :.　　|　　　　＼ ,/　　 i|　 | 〈　　 |
　　 /　　 i|　　　 |　　∧ 　　 l　　|　　　　　 y　　　 |　 | ∧ 　i|
. 　/　　　 |　　　 |　　 l　T宀 i|　　|　　　　　 /　　　 |＿|　 ^ﾊ
　/　　　 i|　　　 |　　 |／^∨ｉ|　　|　　　　 {　　　　　　　　 },} }
./　　　　 |　　　 |　　 |　　ｉ} i|　　|　　　　　/　　　　　　　　 }＜

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753： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:10:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「江戸時代に入って、鉛白を作る釜は京、大阪、伊勢などに多く作られたが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　この中で最も品質に優れていたのが京白粉だったとされている」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　｀⌒　＼
　　　　　　　　　 _　　　　　　　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　　　　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　　|
　　　　　　　　｜ !　　　　　　　　|　｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　　　　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　　　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　　　ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　ﾄ
　　　　　　　　 |　ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　／i＼,,,,_
　　　　　　　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　　　　　 | 　）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　　ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　　　　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }

.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
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　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　　　｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　　＿_　　ｉ: : : : : : ',　　　　　　　　「そのあたりは長い歴史がモノを言ってるんでしょうね～」
　　　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　　、　　　　｀ |: : : : : : :.',
　　　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　　　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　｀¨¨´ 　　　辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
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754： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:11:11 ID:bMttHh86: 　　　　「作り手は各々自らの白粉に商品名をつけ、シェアを奪い合い、

　　　　　　　　　つぶしたりつぶされたりとごく自然な市場原理が働いていたようだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _,ノヽ､,__　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（_人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　／-‐ 　｀i ､＿__,.　イ i
　　　　　　　　　　　　 {/´､　　　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　しrヽ　　　　V:::Λ　／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　　　　　　　　　「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　　　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　　　　　　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ
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およそ白粉は釜本ところどころにありといへども洛陽の製には及ばず。故に京白粉と称す　　　【雍州府史】

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755： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:11:32 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、各地方の産の白粉間で京製品が最も良いと格付けが済んだら、
　　　　　　　　　　　　　　　_____
　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　　　次はその京の中でのシェアの奪い合いとなるわけだが」
　　　　　　　　　　　／　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　| 　　　_,.ノ '(ゞ､_|
　　　　　　　　　　　.|　　　（ー）ヽヽ
　　　　　　　　　　ノ| U 　　（___人_＼＼__
　　　　　　 ____-‐./l l|、　　　｀⌒（⌒_　　＼
　　　 ,,-=ﾆ_::::::､::l ::::! ヽ. 　　　　　し「、　　　＼
　　 / ::::::::::: ヽ::::::)::::::|　｀ヽ.　___´ノヽヽ、..,,____i_
　　i :::::::::::::::::: ヽく::::::::ヽ　 / ￣ lヽl:::::〉::::Y________l_
　　l :::::::::::::::::::::: ヽ:::y:::::ヽ/､＿_l 　!:: /::::| ::::::::::::::: |
　　 ! :::::::::::::::::::::::: l::::＼::::ヽ　l　ヽ.l::: l::::: | ::::::::::::::: |
　　ヽ :::::::::::::::::::::::: ヽ:::＼::::ヽl　　l!::: l:::: | ::::::::::::::: |

　　　　　　　 ,.-、
. 　　　　　／ﾞ(_ )､　　　＿＿＿
.　　　　（ _ノ"　i 　　／　　　＼
　　　　　ゝ、　〈　　／　 ―　　 ― ＼　　　　　　　　　「うーんこの長く苦しい戦い」
　　　　　 ,〃ﾍ　ﾄ／　　（ ●）　（ ●）ヽ
　　　　 7　,　弋　│　　　　　（__人__）　　 |
　　　　　ｉ！　　＼＼　　　　し′ 　　/
　　　　　ヽゝ､　　 .＞　　　　　　　　　_／
.　　　　　｀＞｀- ,_ 　 ,.-､　　　　　　　＼
. 　　　　〈　　　￣　´) 　　　　| 　ﾊ
　　　　　ゝ--― -､__.ノ　　　　 |>　　!
　　　　　　　　　　｜　　　　／｀''"　_／
　　　　　　　　　　 | 　　　　　 `く__, ｨ"

.
756： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:11:58 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「都での土産に必ず選ばれた京白粉、それを売り出す名代の店が

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　都大路に軒を並べ大いににぎわった。
.　　　　　／￣￣＼
　　　　 . ／　,ノ　　＼ Y⌒i　　__　　　　　　　元禄十六年には十六の店が京白粉の名店として名前を挙げられている」
　　　　　|　（●）（●） | 　| 　./　.)
　　　　.　|　　（__人__） .|　 |　/　./
　　　　　 |　　｀ ⌒´　ﾘ　 i_/　./
　　　　.　ヽ　　　　／　　,｀弋ヽ
　　　＿＿ヽ　　- γ⌒ヽ　Ｙ´ ,｀ヽ
　／ :　　: :介〈　　`ｰ､く　〈::...ノＶヽ
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ､　｀ヾ＿/　//:|
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|

　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　／⌒ヽ　＿,.r‐＜＼::ヾ⌒ヽ、_
.　　　　　 / /￣＞｀／⌒::::::::＼:｀ヽ:＼:::::::＼
　　　　　 / /　 /:::::ｒ、:::::::.:.:.:.:.:.:::弋;;_ヾ::）:::::::::ヽ
. 　　　　 i　!　 ,'::::ヽ}::＼:::::ヽ::::::::::::::::（::::Ｙ:）、::::::':,
.　　　　　| i　 ,':::r'｀~´~｀＼::::ヽ:::::::::::::::Ｙ:ヽ::ﾉ!::::::::i
.　　　　　| !　i:::::l　　　　ヽ:::ヽ:::::::::::::ＹＶ〈∧::::::|>ー､
.　　　　　l !　|:::::!　　　　z==-i:::::l:::::::::::i:::ト<::ヽ）::::}　　 {
.　　　　　|!　 !:::::Ｙミ、　 ,乍ﾖ!::::i:::::::::::|:::l i }::〈:ヽｲ＿ノ
.　　　　　　 !:::::::!.{fｊ　　　ゞｿ::;ｲ:::::::::::l:::jYﾉ＼ヾ::〉´〈　　　　　　　　　「ということは少なくともそれよりたくさん白粉の店はあったんでしょうね」
.　　　　　　 l::::::::l　ﾉ　　　 }'　l::::::::::::::::!´:::::::::Ｙヽ_ノ
.　　　　　　　 ';:::::::', ｀　　　　 !:::::::::/;ｲ:::::::::::i::ﾄノ
.　　　　　　　　ヽ::::ヽ、ｰ ' 　　 l:::::::///::::::::::: !:|
.　　　　　　　ヽ:::!:::i. 、　　ﾉ:／i//:::::::::::/:|:|
　　　　　　　　　　ヽ!V　 }ＴＴ「 ´　　/ :::::::::/::::!:l
.　　　　　　　　　　　 l::i:::::!　　 /:::::::／:!::/:::l
　　　　　　　　　　 _,.r-j/:::/　　 ,':::::::/_＞-､:::::',
　　　　　　　　／/／::／　 ´　,'::::::/::.::.::.::.::. ヽ::',
　　　　　　　　 //／:∠>ｭ<ｦ==/!::::::i::.::.::.::.::.::.:　i:::i
　　　　　　　　ｉ／／*ﾟ〈∧〉:ﾟ／::.i:::::::!::.::.::.::.::.::.::. l:::l
.　　　　　　〃´＿ﾟ:｡:*:ﾟ｡／::.::.::.V::::|::.::.::.::.::.::.::. j:::|
　　　　　　 /::{ﾟ:+｡:*ﾟ:｡:+./::.::.::.::.::.:ヽ::!::.::.::.::.::.::.::/::::|
.　　　　　 {:.::.i｡:*ﾟ:+｡:*ﾟ:!::.::.::.::.::.::.::.リj::.::.::.::.::.::,':::::::|
.　　　　　ヽ:.:〉ー――ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.:: l::.::.::.::.::.::l:::::::::i
　　　　　　 lヽヽ.ﾟ:｡:+ﾟ:*:|::.::.::.::.::.::.::.: l::.::.::.::.::.::l:::::::::j
.　　　　　　j::ヽヽ_*ﾟ_+｡ﾟ|::.::.::.::.::.::.::.::l::.::.::.::.::.::l::::::::/
.　　　　　　/::.::.}::}+｡:*ﾟ:+|::.::.::.::.::.::.::.:l.::.::.::.::.::.:|::::::/
. 　　　　　,'::.::.::.|::|｡:*ﾟ:+｡|::.::.::.::.::.::.::,'::.::.::.::.::.::.!:::/
　　　　　 i::.::.::.::|::ト-'^ｰ-!::.::.::.::.::.::/::.::.::.::.::.::.:ﾄ（
　　　　　│:::.::.::|:l.+｡:*ﾟ:+|::.::.::.: ／::.::.::.::.::.::.::∧
.　　　　　 l::.::.::.::|:!ﾟ｡+｡:*ﾟ|::.::.／::.::.::.::.::.::.::.／::.:ヽ

.
757： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:12:25 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「この十六の店舗、どうやらいずれもどこかの国の国司の役目の名をつけていたらしい。

　　　　　　　　　　　その国のお抱えの店であることを示していたんだろうな」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　「そしてこれらの名店はいずれも御所の近くに店を構えており、
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　　　　　　　　それがまたブランド力として大いに有利に働いたようだ」
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |
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例）車屋町夷川上ル上村河内、富小路姉小路神田山城、烏丸夷川井上長門

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758： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:12:47 ID:bMttHh86: 　　　「これらの名店の品は、もちろん御所の女官のご用達になっていただろうし、そのことは大いに宣伝になる。

　　　　　ただし、身分の高い人々は鉛白粉を用いなかったんだがな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ノ　 '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　 (⌒ ) (⌒ ).i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__） i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　ﾉ
　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　　　　 |
　　_. }　}　　 r 、　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　 ∧､　　　　　　|
　 iハi　i　　 {　'､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／. . . . . .｀ -.. _,. イﾄ､ヽ､, ____,__ ノ
　 }　}-､i、　ゝ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　＼、　___〈
　.ヽ/ .ﾊ,_￣{、　　｀､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　　ｨ´:::.V、
　　 i　ﾘ　)　ｉヽ,　　i､、____　　　　　　　　　　　　　　／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,√〉:.;〈 r .ヽ＿,.
　　ヽ,}　{-､　ﾆ-、　ヾヽ .: :｀ﾆ=-- 、＿　　　　　／ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧}::::::',} : : : : : .`､
　　　　｀ -､_　　　　ﾉ｀} } : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ=-､＜ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧:::::::', : : : : : : .ヽ
　　　　　　　　｀＜､__ﾉﾉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ : : : : : : : : : :＞、: : : : : : : : : : : : : : : : ∧:::::',: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　｀ﾆ彡" : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧:::', : : : : : : :.r
　　　　　　　　　　　　¨ｰ=ﾆ二､_ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :Λ::} : : : : : : :.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨｀-- 、＿ : : : : : : : ＞' ´　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀　ー　´　　　　　　　　} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　─　　　─＼　　　　　　　　　「今でも皇室関係で露出した品は大人気になったりするそうだお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　（__人__）　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　 ∩ノ ⊃　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(　＼　／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　.＼　“　　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／

.
759： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:13:12 ID:bMttHh86: 　　　　「やがてこの京白粉の中でもどうやらランクが出来上がり、

　　　　　主に三段階の品質に分けられるようになる」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|　　　　　　　　　　　　「上が生白粉、中が舞台白粉、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,　　　　　　　　下が唐土（もろこしのつち）とランキングされる」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

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極く細末の宜しきを生白粉という。その次を舞台香という―芝居役者の使うおしろいなり―。
その次を唐の土という。安き白粉也。　【都風俗化粧傳】

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　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　　　 |　　 |　　　|　　　　　　　　　　|　　　　　|　　　|
　|　　　　　　 l ´｜￣ | ￣八｀　　　　　　 ´i| ￣￣　 7ミ　 ,
　 ,　　　　 il　 i|　　 |　　　　，　　　　　　 /　　　 /　　　,
　，　　　　　ｉl　 i|　―|　――　,　　　　　　　/　―― / ―　 ,　　　　　　 /
　　，　　　　 ,ィ笊芋芋云ミｔ､，　　　　 ,　,ｨ爪芋芋笊ミ､　　　　　　　 //
.　　，　　　　〈(　h {////(　　　　，　　　 /　　h {////(　　)〉　　　　 ,///
　　 ∨　　　　＼乂⌒^)Z少　　　　､　　 ,　　乂⌒^)Z少／　　　　　　/〈//　　　　　　　　　　　　「土扱いは草はえるでありますな」
　　　 ∨ 　　 ∧　^¨¨¨¨^´　　　　　＼　/　　　｀^¨¨¨¨^ /　　　　　　 /　∨/
　　　　 ,　　　　∧　　　　　　　　　　　　＼　　　　　　　　 ,　　　　　 ,　　ﾏ/
､　　　，　　 ∧　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,　　　　　 /
　，　　 |　，　　入　　　　　　　　　 '　　　　　　　　 /　　　　 /￣',
　〉　　i|　　，　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　 ,　∧ ∧
. /　〉　i|　　，　　|　　　　　　　　　 ´ ｀　　　　　　　 /　　　　／　 |!∧ ∧
/　/,/，|　　　ヽ　ｉ|　　　〕ト　　　　　　　ィｉ　　/　　　 ,　　　 |/,∧_∧
/7///Ⅵ　　　＼,　　　　 |二＞　　　　　＜二|i　/　　　／　　　 |//////
//////,|i　　　　　 |　　　　/‐=ﾆ二≧=≦二ﾆ=‐',　　　／　　　　　 |//////
/////,/|i　　　　　 |　ィi〔/　　 /　/ニﾆ,∨∧　/ 　／|　　　　　　　|∨////
////,/ i|i　　　　　 |/　　　　 ,/　/二二ﾆ∨∧　／　｜　　　　　　 |i ∨//

.
760： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:13:32 ID:bMttHh86: 　　　　「こうなってくると、やがて白粉自身も利便性を求め様々に変わりだし、いろいろな形をとりはじめる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　　　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　　　　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　「変わってくる、というと」
　　　ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　ｲ心｀　　　　　^' 仍ﾊ｀ﾑ〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀乂歹　　　　　　ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　　　　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　　　　〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　　 r -‐､　　／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　　￣　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .

.
761： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:13:57 ID:bMttHh86: 　　　「白粉の塊を水に溶かして用いる『かたまり白粉』だけではなく、

　　　　　　　　あらかじめ液状に溶かれた『水白粉』、

　　　　　　　　　固形ではあるが、水分をやや含んだ『練白粉』、粉末状の『粉白粉』などが誕生したんだ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 r ´二ニフ、
　　　　　　　　　　　　　　　 _ 　　/　 '´,. 二ノ⌒
　　　　　　　　　＿＿_.-‐'´ `-i/　　γ_)⌒）（⌒)
　　　　_,.＜￣￣　　 : : : : : : : : l　　 r/´（___人__）
　 _,.＜　　　　 : : : : : : : : : : : : :l l__ノ　　｀ ⌒´ﾉ
　l,,　　　　 : : : : : : : : : : : : : : :ﾉﾉ　|　　　　　　　|
　l; : : : : : : : : : : :-─＜二二´　　ﾄ　　　　　　 |
　＼ : : :￣`'''''´ノ : : : :l`-, : :`-＜ヽヽ,　-ｰｰr´
　　　＼ : : : : :'´ : : : : : l : :l :＼`-‐ヽ　ゝ--< lヽ、
　　　　　＼ : : : : : : : : : : : l : : :＜ : : :∨∧::〈ヽ: :､>＞、
　　　　　　　`‐,_ : : : : : : : :l : : : : :ヽ : : ∨ |:Λ | : :ヽ : : :ト-､
　　　　　　　　　 `-, : : : : :l : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::| l : : :/ : : : : : ,
　　　　　　　　　　　＼ : :ノ: : : : : : : : : ＼ : .､:::|,| : / : : : :l.: : {
　　　　　　　　　　　　 V: : : : : : : : : : : : : :ヽ: ',::ｌl: / : : : : :l : ∧
　　　　　　　　　　　　　V: : : : : : : : : : : : : : :ヽ:V : : : : : : :l : :.∧

　 |　　　l　　　　ｌ　　ｌ　　　　　　　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　',
　 |　　　|　　　 |　　|　　 {　　　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |
　 |　　　|　　　 |　　|　　 ∨ 　　　 :|　　　　|　　 |　　　　　　 |　 |　 ‘，　　　　　　　　　　「なるほど、そういうことでありますか」
　 |　　　|　　　 |　　|: 　　 ∨　　　 |　　　　|　　 |　　　　　　 |
　 |　　　|　　　 |　丁￣￣　∨　　　｜￣￣丁 =‐}　　　　　 //}　:　　}
　 {　　 {　　　{　㌢芯云ミ ‘，　　 | /芹芋丐ﾐ､|　　　　ィi〔／　 }　　 :
　八　　 ',　/　　:　ゝ比//(　　＼　　|　 K{//}Ⅳ/:　　　//
.　　∨　 ∨ /　 ',　:{ 乂)こｼ　　　＼｜ :乂)こ少　|:　　//　　　/　}　　　‘，
　　　∨　 ∨ /　ヽｉ　｀¨¨^´ 　　　＼　｀^¨¨¨´　!　　}/廴__／　 /
.　　　 ∨　 ∨ /　八　　　　 ,　　　　　　　 |　　{////　　 /　　　　　∧
　　　　＼　∨:/　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　 | ∨ ｀''＜zzz/^}　　　 / ∧
　　　　　　＼ ∨　　　＼　　　　-　　　　　　　　　 |　∨　　　　///ヽ　　　　/ ∧
　　　　　　　＼ヽ　　　　　　　　　　　　／｡s≦|　　　　 //////〉　　　 / ∧
　　　　　　　　　^ ＼　　　　ｌ　 .　　　　ィi〔二ニﾆ:|　　　　　/ ＼//,/　　　　 / ∧
　　　　　　　　　　 | ＼　　 ! 　 ≧≦ﾆﾆrﾏ二二二|　　　　 /　　ゝ '
　　　　　　　　　　 |　　ヽ　:|　　ィi}二ﾆ:|　　　　　 |　　　 ,′
　　　　　　　　　‐= |　　　＼ニニ:/ニニ|　　　　　 |: 　　/＼
　　　　　　 /二ニﾆ|　　 /二二二ニニニゝ≦ニニ:|　　 /　　 ≧=‐　､
　　　　 /二二二| 　 /=:≧=‐ニニ:r -----ニニ:|: 　/二二ニニニﾆヽ

.
762： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:14:17 ID:bMttHh86: 　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ　　　　　　　　　「それじゃ、私たちが今使ってるファンデーションなんかは
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　　　　　　　　　　粉白粉の子孫、という感じになるのかしらね」
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
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　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　 ⌒　 ⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　｜　　（___人__）i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ　　　　　　　　　　「素材なんかの違いはあるけど、そう考えてもいいんじゃないかな？」
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　｀<´.〉:.;〈ヽ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
　　　　　　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／／: : : : : : . .　　　　　｀､｀':'}　 |　 |!

.
763： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:14:34 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「で、さらに紙白粉というのも出てくる。

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　たぶんこれは白粉付きの油とり紙で、
　　　　　　　　　　　 -｀　⌒　ヽ､_　　　＼
　　　　　　　　　　 ´ 　 ●）(● ）　　　 |　　　　　　　崩れた化粧の応急的な補修工事に使われてたんだろうな」
　　　　　　　　　　（_人＿)　　　　｜
　　　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　　　　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　　　　　　　ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　　　　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i

　　／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　　.f　　　　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　＼/
´ . 　　　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|
.　　　　　　|　　| 　　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |　　　　　　　　　　　　　　「補修工事いうなや」
.　　　　　　|　./|　　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |
.　　　　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　　　 .|　　　ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　｀　|　　ﾆ=-　　＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　　ﾏ/∧

.
764： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:15:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　「塊白粉はおいておいて、水白粉、粉白粉、練白粉の三種類には

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　鉱物性の原料と植物性の原料がもちいられていて、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　粉白粉は植物性の原料が多く、練白粉と水白粉は鉱物性のものが多かった」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　「今日から考えれば植物性の原料が多いほうが、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　　　　体に対しては害が少ないと理解できているわけだが、
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,　　　　　　　　　　　　　　　　　いかんせん植物性は鉱物性に比べて白粉の
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |　　　　　　　　　　　　　　　　　　ノビやノリがよくないという欠点があった」
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　-‐/ｨ }
　　　　　　　　／:::::::::::::// Y'⌒　､
　　　　　　　　　,　"::::::::::::::,:ｲ'"} ／ヽ　　＼
　　　　　　　　　'::::::::::::::::／　{　　⌒丶!::::::::::..
.　　　　　　 /::::::::::::::／　　 |　　　　　ﾏ::::::::::.　　　　　　　　　　　　　　　「あら～」
　　　　　　　∥::::::::::/　　　 ,　　　　　　 i:::::::::::::i
　　　　　　　i::::::::::::.' `ニ､'´　　　､　　　}::::::::::::}
.　　　　　　　{::::::::::{ 〈 {:::ｿﾞ　　　　, ミｰ　i:::::::::::ﾘ
　　　　　　　}:::::::::i　　　　　　　　ﾑ:ｼ〉.':::::::::∥
.　　　　　　/i:::::::::i　　　　　,　　　　　/:::::::::::/
　　　　　　/::::|::::::ﾑ　　　, 　_　　　　/:::::::::::ｲ
　　　　 /:::::::i:::::::::..､　　 ‐- '　　　/:::::::::::::::|
.　　　　 /:::::::::::{　r‐=i丶　_　　...:イ::::::::::::::::::|
　　　　/.::::::::::::::::::｝　i`ｰ‐-‐‐ ´ 7::::::::::::::::::::|
　　　/::::_r‐‐-‐ｲ　 }　i_　!　_ /｛:::::::::::::::::::::|
　　 ,　'´　i　｝ }　}　.／　　-‐ ﾏ　ﾞｰｫ､::::::::|
. 　 ′ 　/ / /　,' /　　-‐‐‐-､｝､　 i　` ､::i
　 i　　　i / /.　 ' i　　　　─- .Y　i　　{　　ﾞ
..　!　　　} y'　./　| 　イ⌒ｰ'´/.　 {　　i　　　i
　 }　　x'´　./ 　.!　　 !　　　/　､.　､　ﾑ　　 |
　,' 　∥ {　｛／　　ｲ　　｛　　ﾞ.　｝ .i;　　{
..,'　　'!　ﾞ､, '.　　　 /八.　　　ﾏ.　}　,'　,'　　 i
　　　゛x '　　　　, ' |　ﾑ　　　＼　 /　　　|
　　／　　　　/　 i　 |　i.､.　　　Y　　　l
　 .'　　　　　,.ｲ |　 |　 |　|ﾑ　　　　ﾏ　　　i

.
765： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:15:22 ID:bMttHh86: 　　「それだったら……健康被害とかを知らなければ鉱物性のものを使うわよねぇ」

　　　　　 /: : /: : : : :./ : : : : : : : : : /　　　　 /,　　　　　{: : : : : :∧
.　　　　 / : :/: : : /.:/ : : : : : : ／: /　　　　 //　　　　　 }: : : : : : ∧
　　　　　　.: : ;: : : :/.:/: : : : : :／_/_/_　　　　// 　　　　 {: : : : : : :.∧
　　　　 : : : : : :/.:/|: :七¨￣　 {/　￣¨　‐ /～'´ 　　　 }.: : : :. :. :. :.
　　　　　 |: : :|: :/.:/:::|: : : :/ _, 孑ァ歩＜　 /　　　ヾ､＿　ⅥV:. :. :|: : :
　　　　　 |: : :|:.j :/:::::| : : /￣{ 　ん::::c}　∨　　　　　＿　｀ヽ| |:: : : |: : :|
　　　　　 |.: :.И/＜::|.:.:./　 ∧　{ {::://　　　　　ァ云＜　| |:: : : |∨:|
.　　　　 : : : :/_ノ:、|: ,' 　　　｀¨ ´　　　　　　　　ん:: } 豕∧:: :. } .Ⅵ
.　　　　 : : :{　 /:./V　　　　　　　　　　　　　　　　 {ｰ' / //　.}: : / 　 |
.　　　　　 : : :|　{.: .ヽ|　　　　　　　　　　　　　｀¨ 　 ,　　.|: /.　ﾍ|
.　　　　　　V: :＼｀ー'　　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　　　　　 .|/
　　　　　　｝: : : ｀ー= 、　　　　　　　　　　　　　　　　　 ′
.　　　　　　｝:.Ｖ: : :∧::::Y:..､　　　　γ⌒　ーy 　　　ﾉ
　　　　　　　｝: :Ｖ.: :.∧:::|. . ＼　　｀　　一 ′　　イ
.　　　　　　 V: ::V.: :.∧:|. . .. ..＞　　　　　　＜|　　　〃Y＞　 ⌒ヽ
　　　　　　　　∨ ::V: : ∧＜. . . . . . ＞　_.　＜::.:. :.|.　　 |. /　　／⌒＼
　　　-──､─-==V.: :.∧: : :.＞｡. . . . ト｡::::::::::: :. :|.　　 !/　／´ 　 , へ_＼
／　　　　　＼　　 ∨ : ∧　: :. .: :｀ヽ､|: : :＞。: 小　　 |｀´ | 　／　　　 }
　　　　　　　　＼　 ∨ : ∧　　　: : :/ }: : : : /∧ : ∧￣|　　|　/　　/￣￣）

　　　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　.｡＜}
　　　　　　　　　　　　　‐=≦　　/ ¨¨¨¨／　　　 i　__
　　　　　　　　　　.｡＜　　　　 /　　　 }　　　　　}　　＼
　　　　　　　　 ,《//　　　　　 :/　　　　:.　　　　ｉ　　　＞｡.
.　　　　　　 / //　　　　　 :/　 /　 / }　　　　 }　、　　＼ ≧=―‐
　　　　　　　/ //f　　　　　 :.　 /　 /　:.　　　　 /　 }　　　　ヽ　　　}
　　　　　　 / ///!　　　　 {__廴_:/__　|:　　　 /　　:.　　　　　}　　 :i
　　　　 / /　/{　　　　 i,x芹ミｔ､ /: 　　 /　 l　}　　　　　ｉ
.　　　　 / f　 / ｉ:　　　　　㌣にじ(_　 :}　　 /云ミｔ､i　　　　 .: 　　 {
　　　　/　:{　＞｡.　　　　 { | 乂こｼ　 :　　/ んう㍉　　　　 /　　 /　　　　　　　　　　「jud。鉱物性一択であります」
　　　 / 　ｉ　　　 ∧　　　:i｜｀¨¨´　　} ／　乂ｼ /:　　　　/　　 /
.　　　/　　 {　＼　/∧　　 { :!:　　　／　'　｀¨^/　　　　 /　　 /
.　　 /　　　＼　 7//:〉　ｉﾟ。　　　　　　 ∧　　　 /　　　/
　　/　　　　　＼:/／ﾟ. 　 :|＼＼　　　こ　　 // 　　 /　　　/
.　/　　　　／　} ¨　　＼｜　　　　　　　／/　　　 /　　　/
　′　　　〉/77/　　　 / { ＼　　　　　　／　/　　／|　　　/
/　　　〈////　　　 /　}////ｧｧ＞＜　__ /　／　 :　　 /
　　　　　∨//　　　/　/≧o｡、//___}　／//}:／　　　} 　 /
　　　　　　 /　　　/ ／i:i:i:i:i／i:i:i:i:i:ｉ:ｉ:＼///i 　　　 i ／
　　r====:/　　　/ } ＼ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ}￣:|　　 |　　　|
　 /二二/　　　//　　　｀＜i:i:i:i:i＞'"´　ﾏ {　　 |二ミｔ､
. /二二/　　　//　　　　　　　￣}　　　　　マ　　｜二二
/二二/　　／　　　　　　｀ Y ´　　　　￣ミｔ､二二ﾟ。

.
766： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:16:18 ID:bMttHh86: 　　　　　「で、バリエーション豊かになった白粉は、当然ながら商品名も様々に誕生した。

　　　　　　　　現在でも伝え聞かれる名もある一方で、おそらく数限りなく消え去ってったのだろう」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　巛.4゛＼
　　　　　　　　　　　　　　　　＿　　⊂￣　ヽ,,
　　　　　　　　　　　　　　　O(((<ヽ　　 ~゛.-=ニニi　　　　　　　　　　　「丁子香、蘭の露、菊の露、京の水、油の香などと
　　　　　　　　　　　　　　　.＼^（ .|_,,,,....,,,,_|　　 .|
　　　　　　　　　　　　　,,.. -=彡￣　　　 .|　　　.|,,丶　　　　　　　　　　　　　いろいろな商品名があったが、
　　　　　　　　　　　／　／.　　　　　　　　|　　　 | ＼＼
　　　　　　　　　　／/ _/ 　_,,...,,_,. ..,,＿＿,」、　　 |　＼　＼　　　　　　　　　　そのネーミングにも、人気を得るためのキーワードがあった」
　　　　　　　　 .／y' 　> ／　　/　ノ　　　　!＼.　　|　　 Yコl二i
　　　　　　　　/」 / .／._（　　ノ　　　　　　　　　　 .|　　　! .　ヽ!
　　　　　　　 /　イ .i￣　＼、＿＿＿＿＿,,... -ー''　　　 |　＼i
　　／￣￣＼ |　ヽ、　　　　　,,,,.. ー-＜＿,,...　　　　　 |　　　|
　　 {　　　　　　＼ノ　～彡='^゛　　　　　i＼　　　　　　 .| 　　 |
　　 {　,ー、　　　　ヽ　　　　　　　　　　 |　゛ヾ　　　　. |　　　|
　　（￣人￣）　　　　 }　　　　　　　　　 L,,_　　　　　 .|　　 .|
　　（●）（●）　　　|　　　　　　　　　　|゛ー-= 、　　|　　.|
　　　ヽ　　　　／　　　　　　　　　　　.!　　　　!~゛～　　. |
　　　　　＼＿＿／　　　　　　.　　　　　ヾ　　　 !　　　　　.|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 !　　　　 .|

　　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　　／　　　_ノ　ヽ､_.＼　　　　　　　　　　「1970年代のタカトクとかクローバーのロボットアニメを
　　　　　　　　／　　（●）　（●）＼
　　　　　　　　|　　u. 　（__人__）　　 |　　　　　　　　　　　　　思い起こさせる話だお」
　　　　　　　　/　　　　 ∩ノ ⊃　　／
　　　　　　　　(　＼　／＿ノ　|　 |
　　　　　　　　.＼　“　　／＿＿|　 |
　　　　　　　　　　＼／＿＿＿／

.
767： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:16:42 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿　　　　　　　　　「お兄ちゃん、そのキーワードというのは？」
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「その時々の人気の役者の名前がそれだ。
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼　　　　　　　　　　　これのもっともわかりやすい例は元祖上村吉弥で、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |　　　　　　　　　　　　自ら木屋町四条で『上場吉弥白粉』の看板を出して白粉を売り、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/　　　　　　　これが大当たりしたということだ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【上村吉弥】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　現代でも名跡を受け継がれている歌舞伎役者さんです。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{　　　　初代上村吉弥さんは十七世紀中ごろに女形として活躍し、一世を風靡しました。
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　帯の結び方のひとつ、吉弥結びはこの方がきっかけで流行したものです。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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768：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:16:54 ID:XeSfx.W.: また懐かしいロボットを
769： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:17:03 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　／　　　⌒　⌒
.　　　　　　　｜　　 ( ⌒) (⌒)　　　　　　　　　「あとはやはり、御所関連をにおわせるネーミングも多かったようだ
　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　　　　　　 |　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　『御所お上り白粉』とかな」
　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　人､　　　　　 |
　　　　　　　_,イ　ﾄ､ヽ、 __ ,_ ノ
　,.　-─‐-´ 　 l　　ヽ,＼__､_ﾉ7
/´　　　　　　　 :i 　　ハﾍ､;;ヽト、
. : .　　　　　　　　:i　　　ﾊ〉:.;〈ヽ＼､_
, : : . ＼　　　　　　:L_＿　 v;;;;ﾍ ' ,＜. ヽ
. : : : .　ヽ: .　　　　　く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
!: :　　　　、: : : : 　　　ヽ　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　.´: : : .　 ' : : :　　　　　＼　 '';;;::|　 ,|　__| |
: : : : .　　.γイ: .　　　　　　 ' .,　 ':;;:|　 l、__j.|

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　ィi〔二＞ィi〔　　　 {ミ　　　　　　　　「ロイヤルパワーでありますな」
　　　　　　　　　　　　 .　 f＞''´ /　　　　　　 }　＼__
　　　　　　　　　　　　 /　 /　　 ,　　　　　　 ,　　　ヽ￣}
　　　　　　　　　　　 , 　 /!　　 l　　　　|　　 /　 l　　 |　 i|
　　　　　　　　　　 , 　 / {　　　|　　　 |　　 ,　　ｉl　　 |　 i|
　　　　　　　　　 , 　 /　{　　　l ￣￣ヽ　 ,′　 !　　i|　 i|
　　　　　　　　　 f 　 {　＼　㌢笊芥　|　 /云ミ }　　,　　,
　　　　　　　　　　　 ∨ 　ヽゝ V少　　 / ｈ刋〉　/ 　 /
　　　　　　　　　　, 　　 ∨ //} ,　　　　 V　ゞ ' ,　 / 　 ,
　　　　　　　　　，　　　　ア＜∧　　　　'　　　/　 / 　 /
　　　　　　　　　　　　　／/∧ 　,　　　｀　　仏 /{　／
　　　　　　　　 /　　　 ///／　， ≧　　　　 { / ／|
　　　　　　　 , 　　　ゝ＜|　　|＼{^}≧≦|　　／
　　　　　　　　　　　 |　　|＿_/_{{}}ﾉﾊ　　 |　　 |
　　　　　　　/　　　　　＞|　　|二二,ｖﾉ=＞　ｉ|
　　　　　　 /　　　 /二ニﾆ|　　|二ﾆ=‐‐=ﾆﾆ=ﾊ!＞｡. ‘，
　　　　 /　　　　{二ﾆﾆﾆ|　　|　　 {　　　 Y　＼二,ｌ　，
.　　　　 /　　　 i|二ニニ|　ィi〔⌒^ ～～ ……＜}｜
　　　　 ,　　　　 |二=,/　|/　　　　　　　　　　　　　ヽ　‘，
　　　　　　　　　　 {　ア､　f 　　　　　　　　　　　　　　 ‘，　 ,
　　　 /　　　　　／　　　从　　　　　　　　　　　　　　　 }
　　 /　　　　 -〈　　　　　ゝ　　　　　　　　　　　　　　ﾉ^}　 ‘，

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770： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:17:27 ID:bMttHh86: ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

あてらの娘時分のことどすかいな。こおつと……、あれはなんていいましたかいなぁ、そうそう丁子香どす。
”かくし化粧に丁子香”いうて流行りましてな。水白粉ですがな。普段はそれをつけましたわ。
そしてお祭りやお盆やいうて厚化粧するときには生白粉を使いました。
五分角の塊でそれを水で溶いてぬるんどす。
四条の麩屋町に下村さんという古いお店がありました、そこへ行ったらお化粧品は何でもそろてました。
フタ茶碗を持って”かたねり”を買いに行ったこともおしたえ。

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　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　　　　　　　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　「それと、その当時世間で評判の高い遊女の名前も商品名としてよく用いられたらしい」
　　　　　　　　　 |.　　　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　　　|
　　　　　　　　　 iヽ　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼

.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【かくし化粧】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　目立たない程度のお化粧のことです、今でいうナチュラルメイクでしょうか。
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ　　　　水白粉はどうやらこってりとした厚化粧に用いるものではなかったようですね。
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　　　　 |＿＿{
. 　　　　ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa

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771： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:18:00 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「これは大阪の話になるが、大阪の白粉仲間が幕府より

　　　　　　　　　　／￣￣＼　　　　　　　　公認許可を受けたのは安永十年（1781）であり、
　　　　　　　　　／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　　 | 　　（ ●）（●）　　　　　　　その許可株数は七十六であったとされてる」
　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　 | 　　　　　　　､'
　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　 }._＼　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　　／: : ＜ : : : : : : ＼　／ﾞｉﾞｉ、
　　　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　　　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　　　　｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　　　　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '

　　　　　// ヽヽ　　　, -‐　　- ､
　　　　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　　＼//////:ヽ　
　　　　　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y
　　　　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧　　　　　　　　「それじゃ、大阪には一番多くて七十六の白粉屋さんがいた、ということ？」
　　　　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　弋ﾘ　仆//////|∧
　　　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　　､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　　　|///////..∧
　　　　　　＼//ｒ-､　　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　　　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　ヽ　＼//|

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772： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:18:24 ID:bMttHh86: 　　　　「公的な許可を得ないモグリに対しては当然敏感で、

　　　　　　　　また仕置きも相当きつかったらしいから、そう考えてもいいかな」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　（ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　　　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　　　　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　　　ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!

　　　　　　　　　　　＿＿＿_
　　　　　　　　　　／　　　　＼
　　　　　　　　／　─　　 ─　＼
　　　　　　　／　（●）　（●）　＼
　　　　　　　 |　　　（__人__）　　　 |　　　　　　　　　　「まー、それでも目をくらましてたやつはいたかもしんねーお」
　　　　　　　＼　　　｀ ⌒´ 　　 ,／
　　　　　　r､／　　　　　　　　　　＼r 、
　　　　　　 |:l1　　　　　　　　　　　　l;l:|
　　　　　/|｀｝　　　　　　　　　　　｛ ´|ヽ
　　　　ノ `'ｿ　　　　　　　　　　　ゝ' `ヽ、
　　　　/´　 /　　　　　　　　　　　　ヽ、　ヽ
　　　　＼. ｨ　　　　　　　　　　　　个‐´
　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　 |

.
773： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:19:47 ID:bMttHh86: 　　　　「だが、白粉業界は発展しても、高級品の水銀白粉はいうに及ばず、この鉛白粉も、

　　　　　　なかなか庶民の手に届くことはなく、多くは伸びの悪い、植物性の白粉を使っていた」

　 /　　　､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　　　　　 /:::::｀ヽヽ　　　　　ヽ、
. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,　　　　　　　「それでも化粧品に金かけられるだけマシって見方もできそうだお」
. l _,,.-' -.､　ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　　　　　　　 i
. l. /:::::ヽ .l　　　　　｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　　　｀ヽ　　　　　　　　　 |
　l ヽ::::ノ　　　　　　　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /
　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　　､　　／　　　　　　／
　　i　 l　　　 l-―‐''´　　　 ',.　　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　　／',　　　ヽ-‐''"　　　　　　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　 .ヽ　　,.--..,,_　　　／　　',　　　　　 ,.-''"￣ヽ　 ./　　　／
　　　＼｀ヽ　　ヽ__／　　／ヽ.　　　　｀ヽ　　　｀ｰ'　　　 {
　　　　　＼ヽ　　　　　　　ヽ　　｀　　　　　ヽ　　　　　　　ヽ

.
774： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:20:08 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「そうしたわけで京からの土産として白粉は重宝し、

　　　　　　　　　およそ女性のいる所帯に持っていけば必ず喜ばれる品であるとされていた」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人＿）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､`-ｰ-′ 　　 | 　　　 . -,
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　``　　　　 |　　　　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　　　　ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　　　　　　　　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　-───＜_　　｀ヽ
　　　　　　　　 ,　´　　　　　　　　＼　ﾉ　　　　　　　　　「鉄道唱歌に歌われてたのにも、そんな背景があったわけなのねぇ」
　　　　　　　　/　/　　／三｀Y三＼　＼
　　　　　　　 ,'　 ′ 　/／´ 　　｀ヾ|　ヽ|
　　　　　　 |　 , 　　 |'＿_,ノ　　`ｰ┤　| |
　　　　　 |　 | 　　 | 　＿- 　 ,ﾆ､{ |　| |
　　　　　　　 ',　| 　｜ﾚ'´　｀　　　,,V　ﾊ|
　　　　　　　 |　',　 Ν''　　＿_　　ﾉ /
　　　　　　　　|　＼|_`ﾆ=r ｀ﾆ´ｒ＜_V|
　　　　　　　 | 　/´ |　ﾚﾍ　　/V |　ヽ|

.
775： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:20:27 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、京白粉はこうしたように江戸時代全期間に亘って大いに栄えるが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　二十世紀前後に急速にその市場を縮小していくことになる」

　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　（●）（● ）　　 |
　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　｜　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{

　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　 ,　＜////////＞､
　　　　　　　　　　////////　‐-　､////＞､
　　　　,ヘ　　/////////////////＼//// ＼
　　　 |　　＼///////////////////＼////ﾊ
　　　　|　 ////ヽ＼　{⌒＞‐- ､////////////∧
　　　　|　i//////,ヘﾚ´　　　　＞､./////////∧
　　　　ﾘ {//////レ´　　　　　/´　ﾆ≧､.///////∧　　　　　　　　　　　「明治維新前後でガラッと変わるものは
　　　　　|//////|　　　　　　　　ｲ弋ヾ＼//////∧
　　　　　|//////|　　, -　　　　　　　ヾノ　 .∨/////∧　　　　　　　　　　　　このスレでも何度も出てきましたよねぇ」
　　　　八/////i　/　　ﾆ　　　　　　　　　　 ∨/////∧
　　　　.　 ∨////∨　/弋ヽ　　　　　　　　　ﾏ/////ハ
　　　　　　∨///ﾊ　ヾ `ｰ'　　　´ 　　　　　　 }//////∧
　　　　　　　∨////＞　　　　　　　　　　　　/ﾘ///|///∧
　　　　　　　八//////ゞ_ヽ　　　　　⌒　　　/　 |//ﾉ///ｒ‐=‐-ノ
　　　　　　　　∨ノ￣　　ｱヘ　＿　＿　／.　　N/　￣　７
　　　　　　　　　∨　　　 ´`ヘ///////＼　　　　　　　　/
　　　　　　　　　/　　　　　;,ｲ　} --‐=ｖ'´　 }　　　　　／/
　　　　　　　.　/　　　　　/　し　{ 　Y　　　　　　　／　/
　　　　　　　 /　　　　　/　　　　7　　＼　`ゝ　　　　／
　　　　　　　i　　　　ｿ／　　　ヽ彡　　＞　　　＜

.
776： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:20:56 ID:bMttHh86: 　　　「いや、今までとはちょっと違う。

　　　　　　　この鉛白粉の衰退に関していえば、明治以降の海外からの

　　　　　　　　カルチャーショックが原因というわけではなく、鉛の毒性が周知されてきた、というのが最大の原因だからな」

　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　＼
　　　　　　（●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　　　　 '､　　　　　　 │
　　　　　　　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　　「r'、　　　　／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

　　　　　　　　　　ｲ
　　　　　　　　　　　　/ !　　　　　／!
　　　　　　　　　　 _ /　|＿　　／　 i
　　　　　　　／: i , .」: : : :｀＞　､/
　　　　　　　　/: : ／:／: : : :／"',ﾊ:ヽ
　　　　　　　 ': : : : :./:/:/:／　　,ハﾄハ
　　　　　　　i: : : : :/:/:ｲ/　　　　,'　」ﾑﾊ
　　　　　 ,: : : :,':ｲ: ﾑ-‐_ﾆ　 / ´,ﾆ､ﾊ!
　　　　　　　 ',: : :r'ｲ< !弋ﾘ　｀　　ﾚ゜ﾙ'
　　　　　　 ,ﾊ: !､ゝ'　　　　　　　'　i'　　　　　　　　　　「逆に言えばそれまでは知られていなかったわけね」
　　　　　　 |ハ: : ｀i　､　　　- ‐／
　　　　　　 |: : : : rへ _　 =　_／
　　　　　　 |: : :_ｨ'､. . r‐≧ﾍ
　　　　　　　 r＜／. . .＜_/ﾑﾍ｀ｔ
　　　　　　　,'. . . . . .ﾊ. . . __. .ト､. !,
　　 r――‐ｲ. . . . . . . ',. .=､_ﾔﾍ.｡ﾍ､
　　 '､::::::::::::,'. . . . . . /,´. . ＜・≧ヽ.ヽゝ
　　　＼:::::ｲ. . . . . /. {. . . . ﾊ. ﾍ. ヽﾊ. ﾚ,
　　　　 ' y. . . . . ∧. .;. . . . . ー. .´. /｡.ﾌ
　　　　ﾊ. . . . . Yﾚ,. ﾊ. . . . . . . . ./. /
　　　　　{/. . . . . ..ﾘ∧. . . . . . . . . . }.ﾊ
　　　　　Y. . . . . ..ﾊ　,}. .;. . . . . . . . i . ',
　　　　　 L-‐ﾆﾆﾆﾐﾚ'. .,'. . . . . . . . .{. . i
　　　　　　F-――.ﾍ＿＿＿＿. . . .i. . ',
　　　　　　i. . . . . . . ﾊ. . ｡. . . .i|. . . .ﾊ. .ﾊ
　　　　　 !. . . . . . . ..ﾏーr==ｲ. . . . .i. .f"
　　　　　　 |. . . . . . . . i. ./. . . i. . . . . |. .||
　　　　　　 'ｨ‐r―‐ｔ=ｰ'/. . . .i|. . . . ...|. .!|

.
777： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:21:11 ID:bMttHh86: 　　　　　　「一つ質問であります」

￣￣　l　　　　　　/　　　　 |　　　　| 　　　　＼　　　　　＼
　　　 |　　　　 /　　　　　|　　　　| 　　　　　∧　　　　　 }
　　　 |　　　　 f　 |　　　 |　　　　| 　　　 /　}　　　　　 l__
　　　 |　　　　　|　 |　　　 |　　　　| 　　 |　　 l　　　　　 l　ヽ
　　　 |　　　　　|　 | 　　｜　　　| 　　 |　　 |　　　　 |　 l
　　　 |　　　　　|　 |＿_　　{　　　　| ＿＿|＿　 |　　　　 }　 l
|　　　｜　　　　 |　　　　ミ八　　 :| 　　 |　　 |　　　　 }　 |
{　　　｜　　　　 |㌢芯云丐ﾐ＼　 :|　/芯云丐ミ　　　 ,′ }l
‘，　 :|　　　　　|ゝｈr//刋　　ヽ　: 　ｈr//刋 /　　　　/　 /{{
　　　　{　　　　　{　{乂)こ少　　　＼{:　乂)こ少　　　　 ∧__　ⅱ
　　∨八　　　 ', i　　　　　　　　　　　　　　//　　　 ∧////
.　　 ∨　＼　　八＼　　　　　 ,　　　　　　//} 　　 /∨,/＜　∧
　　　 ∨ / ヽ　　　＼}　　　　　　　　　〈//　　　/　 }/＼} / ∧
　　　　∨　　〉､　 ∧　.　　　　 -　　　　　 /　　／　 /}///ﾍ / ∧
.　　　　∨　//∧/ ∧　　　　　　　　ィi /　／　　　//}////ﾍ / ∧
　　　　　 ∨///∧/　:}　＿　ヘ _ ｡＜ﾆﾆ/／/ 　　 /_∨＼///ﾍ/ ∧
.　　　　　　〉////∧　:!/　　／{ニニニ／　/ 　　 /　　≧s。,// / ∧
　　　　　 /////// ＼|　　 /＿:}　　　　/　/　　　 /　　 /　　　}￣　/ ∧
.　　　　 ////＞/　　/　　//ｉ:ｉ{ﾆ＞＜:/　/　　　 /＿__/＿_ 　 }　　　/ ∧
.　　　 ,' ￣ア /　　/7777/ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:ｉ:{　/　　　 ///////////ﾍ___ 　 / ∧
　　　 /　イ__/　　/=:∨,/i／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:∨ 　　 ///≧=‐ニニﾆﾆ二:ミｔ､/ ∧
.　　/　 {二:/　　/ﾆ/／＼i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:／/ 　　 /二二二ニニニニニﾆニ',/ ∧

　　　／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　（一）（●）
　　|　　　　（__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ
　　 |　　　,.<))／´二⊃　　　　　　　　　　　　　　　　　「ん？なんだ？」
　　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|

　　　　　　　　　　　　,　-―――-､
　　　　　　　　　　　／　　　__　　　　ヽ、
　　　　　　　　　　/´　　　/´ ●　　　 __　ヽ　　　　　　　　　　「赤ちゃんのつくり方かお？」
　　　　　　　　　 /　　　　ゝ....ノ　　 /´● 　ヽ
　　　　　　　　　{　　　　　　 r　　　　ゝ- ′　　ヽ
　　　　　　　　ゝ　　　　　`ｒ-ｲ＿,)　　　　 |
　　　　　　　／　＼　　　　|r┬ｙ′　　　　/
　　　　　／　　　　`　､_　　　`ー'　　　＿／
　　　　　l　　　　　　　　`ー――‐-T´
　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　j

.
778： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:21:34 ID:bMttHh86: 　　　　＿＿＿_
　　　／,:' /,';;;}:　＼
..　／_, ｡ｨ' li:.､ヒァ' ＼　　　　　　　　　　　　「前が見えねえ」
／ ⌒';,ﾞi, ri:.:i .::' メ、＼
|　　　　,:' /,';;;}:.ヾ:.　　 |
＼　　　　　' {;!ﾞ'　　／

.　　　　　　　　　　　　　／..........／::::::::::::::::::;:　'",....'...丶...｀丶、｛
　　　　　　　　　　　 /.......广７::::::／＞'" .....'′ ..........l................≧=‐- ､
.　　　　　　　　　　 /......./:::::::::／...../..................................|..＼........................|
　　　　　　　　　　　　......./::_彡'′..../／.., . .....{..................| . ....l..............l.......|
　　　　　　　　　　 l......f′ ........... ′ ../.........｛ ................| .......| . .........| .....|
　　　　　　　　　 | ../} .................ｌ7.../............ハ .............| . .....|.............| ...！
　　　　　　　　 |./ ｛ .................|ｉ....|........l....}.....} ..,........|..ﾊ.._.| ...........l.......;
　　　　　　　　　 i|{ 　{i..................|ｉ....|........l....}.../../........仄｢}./.............;...}...{
　　　　　　　　八　 ':.................ｌi _｣､ .._厂}/}./........ｘｬｆ折^; ..............ﾊ..{
　　　　　　　　　／;::'ﾍ　　､.............＼抖ｬｆ折^ ﾊ......./ん'ﾝ//...........//　 .;
　　　　　　　　 `'く__;:xﾍ,　　`＼.........≪ｆてﾉﾉ　　 }／　¨´ 仏:′...// 　 }.}
　　　　　　　　 }√::::::､＼__l::|ｉ............{ ¨´　　　′ 、　 /../...... ':〈　　 .:′　　　　「鉛の害が知られていないということであっても、
　　　　　　　 /′:::::::::＼l＿|ﾄ..........｛`　　　　　,. 　／../...／.xくﾍ, //
　　　　　　　　　/..|:::::::::::::::::::}...川::＼.....个:　 _　　／|..../／八.{::::::::>く　　　　　　　　　それまでも鉛で体を壊した人はいたはずであります。
.　　　　　　　　/.....| :::::::::::::::::}/..八::::::＼｛:::([l):::ﾏ´l／|./....../::::､_;／:::::::::.,
　　　　　　　 /.......ｉ|::::::::::r ､:/../ ::::::::::::::::＼::::::::::¨´ ::！.......{::::::::::::::::::::::::::|　　　　　　　　　　そのへんはどう認知されていたでありますか」
　　　　　　　..........八..........> '..√V^　、::::::::::::::::::::::::::::八.......ｌ::/:::::::::::::::::::::|;
　　　　　／......ｆ⌒' }=‐-‐ｧ./＼ {　　　＼ｒ…‐-　__::::::::::; ....|」:::::::::::::::::::::::ｌi
　　　／..........ﾉ　　｝‐=ｧ'./　　＾'ｰ-　 _{{　　　　／￣＾∧..l,ﾊ:::::::::::::::::::::八
.　　,.../.........（_　　　ヘ（{..;′　　　　　　　⌒ ｰ 'く _＿,,厶ﾊ.ｉ| | ::::::::::::::::::′...、
　 / /.............｛⌒'く　　Ｖ{　　　　　　　　　　　　　　　　　 l..| |::::::::::::::::/〉.........＼

　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　 _,.ノ　ヽ､_　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「あー、そこ突っ込んじゃう？」
　　　　　　　　　　｜　　 ( ○) (○）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_
　　　　　　　　　人､　　'-／____ ヽ　 |
　　　　　　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈、ヽ　　|
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}

.
779： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:21:59 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　_ .. -‐=.＝.=‐-
　　　　　　　　　　´∠二二二二二二ﾆ=- .._
　　　　　　　.／／⌒ . . . . . . . . ／ヽ. . . . =‐- 、
　　　　　 _/／. .. . . . ／.. . . . . . . . . .:.. . . . . . . .ヽ
　　　／〃. .. . . . .〃 . . . . . . . . . . . }. . . . :.. . . . :　　　　　　　　「そらそうよであります」
　　　 {//{. . . . . . . .{ . . . . . . . | . . . . ﾊ:.. . . .}. . . . }
..　　 ∧ ∧. . . . . . .l. . /!. . . . .!. . . . ′}. . . .}. . . . }
　　 /. .∨∧. . . . . .l ./｜ | . . | . . ./ /ハ. . ′. . ..;
　 . /. . . .∨∧ . . . ..l/ニ!ﾆl. ./'|. . / / 厂| / . . . . ′
　 /. . ./ . .∨∧. . . .l扞于ミ/　| ./l/扞于ﾄ . . . . /}
. /. . ./ . . . :∨::} . . .|込　ﾘ/　 .|/　込::ﾘ | . . .//. }
/. . ./ . . . . ./∨. . . .!"¨¨　　　　　 ¨¨゛　| . .//. .ﾉ
. . ./ . . . . ./ 八 . . . | 　　　　　　　ﾉ| .//／
. ./ . . . . ./ く:::/＼. .|ﾆ=‐-＿二_　 . .イ:::|/´
./ . . . . ./ . . . . . . .ヽ! ´::::＼　Ｘノヽ . . ヾl＼
. . . . . . ′. . . . . . /:::::::::r‐f T T T T Y. . . . ..＼
. . . . . ; . . . . . . .../:::::ｒｆ〃￣￣￣￣　ヽ、 . . . . .ヽ
. . . . . l . . . . . 厂厂｀Y　　　　　　　ノ }ト. . . . . . . :.

　　　　　　　　　　　　　　________　　　　　　　　　　　　「先ほども触れたように、この鉛白粉というのは、
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／）＼　　　　　　　　　　　ごく普通の暮らしをする女性の手にはなかなか届かない」
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　 l　/ ／／ _､,,.ノ　|
　　　　　　　　　　r　　　　　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |
　　　　　　　　　/　　　　ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____　　　　　　　　　　　　　　　　「宮中の女官や役者、芸妓や遊女といった、
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼　　　　　　　　限られた人々しか常用しないし、常用できないわけだ」
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

.
780： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:22:16 ID:bMttHh86: 　　　　　「そういった情勢の中では、鉛白粉による鉛害をこうむり、

　　　　　　　　中毒症状を起こした人たちは、乱暴な話だが一種の『職業病』のように捉えられていた」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
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///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
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　　　　|　　|　　　|　　 ./　　　　　|.|　＼　＼　　　　ヾヽ.|
　　　　/　　|　　　|　　/　　　　　|.|　　　＼　＼　　　 |＼|
　　　　| 　 .|　　ﾊ　 /. 　　　　　|.!　　　　＼　＼　　 |入ヾ、
　　　　|　/ |　　|::|./ー―-、...........||:::::::´￣￣ V　ヽ　 |　 |　ヽ　　　　　　　　「あぁ……、そういう感じで認知されてたわけね」
　　　　|/|　|　　/:::|ｋｒ---ﾄ、:::::::::::::::::::::ィ----ハ　　| 　|　ﾉ
　　　　　 V　　,':::::!|ﾊヽ____,,!:::::::::::::::::::::::ゝ____ﾉ::: V　| 　|ノ
　　　　　　|　　|ヽ　:::::::::::::::　´　　　　｀::::::::::::::::::　|V,'　 |::|
　　　　 .|　　|.ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 .|::|
　　　　　　 ',　 |:　∧　　　　　　　!　　　　　u.　／|　　 .|::|
　　　　　　　Vヾ　　|丶、　　　　　.　　　　　／:::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 | 　 |:::::::＞、　　　　　,　イ:::::::::::|　　 .|::|
　　　　　　　　 |　　|::::::::::::::|　｀　-　´　　:lー＝ |　　 .|::|

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781：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:22:39 ID:XeSfx.W.: 限られた人、ねぇ……
782： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:23:18 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　「それに、宮中の女官の病が外の語り草になるわけでないし、

　　　　　　　　　　　　役者や遊女たちはもともと一般人の理解の範囲外での生活を行っているのが当たり前だったので、

　　　　　　　　　　　　　普通の人々は白粉と病を結び付けて考えはしないだろうな」

　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼ -、_
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　（＝）（＝）／　´／ /)
　　　　　　　　　　　（__人＿） {　　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　　　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　 | 　　　ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　　　　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
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　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,　　　　　　　　　　「あくまでも『閉じた別世界での出来事』でしか
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||　　　　　　　　　　　　　　なかったというわけね～、ちょっと怖いわ」
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　　　　 j: : : i:|
.　　　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　　 ! : ,'　　　　＼＼／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　＼　　ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　ヽ.　／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ〉ヽ|

.
783： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:23:41 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼　　　　　　　　　「でも、お金持ちの方だったら
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ　　　　　　　　　　　　　　白粉を常用する人もいるでしょう？」
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|　　　　　　　　　　　　　　　　「そういう方たちはどうなるのかしら」
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　( ●) （●)　　　　　　　　　　「何かの毒にあたった以上のことはわからないだろうな」
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　 _,.|　　　　　　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿　　　　　　　　　　　　　　「そしておそらく、母親からの鉛害のせいで、
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、／=|´| :| .＼　　　　　　　　　　　　　　　　　新生児に異常があった場合には……」
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼

.
784： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:24:06 ID:bMttHh86: |
|
|￣￣＼
| _ノ　＼＼　　　　　　　　　　　　　　　　「サンバのリズムで首コキャかお？」
|（●）（●)i
|.（__人__） i
| .｀ ⌒´　|.￣￣＼
|　.　.　　ﾉ_ノ　ヽ､.＼　　　　　　　　　　　　　　　「まぁ、産婆さんの役割ってそういうものだし」
|.　.　　/　（●）（●）ヽ
|　　　ヽ　（__人__）'　　i
|　　　　 |　　｀⌒´　／　　　　　　　　　　　　　　　　　　「闇ふけえお」

.
785： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:24:52 ID:bMttHh86: 　　／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　　.f　　　　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　＼/
´ . 　　　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|　　　　　　　　　　　　　　　「二重の意味で笑えねえであります」
.　　　　　　|　　| 　　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |
.　　　　　　|　./|　　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |
.　　　　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　　　 .|　　　ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　｀　|　　ﾆ=-　　＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　　ﾏ/∧

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　'ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（⌒）（⌒ ）　　 |　　　　　　　　　　「そのへんの事情は西欧だって変わらないぜ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（__人___）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 '､'ーｰ´ 　 'J　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　.ｨ {　　　　　　　　　　　「ともかくだ、明治になると身分制度が一応除かれ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_`ｭ`ｰー___´_ノ',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_, ､ -ｰ´. : l : .＼　ｲ::::ﾊヽ{`、　　　　　　　　　　　以前よりは日常的に白粉をつける夫人も増えてきた」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/. : : : : : : : : i : : :.∨´〉::::::V: : ､＞、
　　　　　　　　　　　　　　　　　丿 : : : : : : i : : : :／ :｀､ ',::::::: l : : > : : : -、
　　　　　　　　　　　　　　　 r : : : : : : : :| : : :＼ : : :｀､',:::::::| : :.ヽ : : : : ',
　　　　　　　　　　　　　　　 / : : : : : : : : i : : : : :ヽ : : ヽ',:::::| : : /:_:_:_:i;;⊥____
　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :丿: : : : : : ヽ : : ヽ::|／´　ヽ､,,______ノ
　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : :/: : : : : : : : : :ヽ ::／　　　ヽ､ }___）
　　　　　　　　　　　　,' : : : : : : : ヽム二ﾆ - ´¨￣｢ r'　　　､ヽ .ﾉ : :|
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |　　　　r_ノ.: : : |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | |へ-‐´ : : : :| : :!
　　　　　　　　　　　　　ｉ : : :: : : : : : : : : : : : : :_:_:_:_:_:ゞｿ: : : : : : : : | : :|
　　　　　　　　　　　　　　　ゝ:_:_:_:_二ﾆ=-:::´ ¨ : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :|

.
786： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:25:19 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そしてそうなると、鉛中毒の症状が女性自身に、
　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼　　　　　　　　　また、その乳飲み子に現れたという訴えが多発した」
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／）＼
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　　　　　　 l　/ ／／ _､,,.ノ　|
　　　　　　　　　　r　　　　　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |　　　　　　　　　　　　　「母の乳房の白粉が乳飲み子の口から摂取され、鉛中毒となったと考えられる」
　　　　　　　　　/　　　　ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l

　　　　　　　　　／　　　　　＼: : :|　!: 、　　｀ー‐ ..:.:.　　＼:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : :
　　　　　　　／　　　　　　⌒ヽヾ:.i　i:.:.:＼＞'⌒ヽ:.:.｀ヽ: : : : ＼:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＞'´
.　　　　　　／　　／　　　／　　＼{　{＞》''`ー‐‐-＼:.:.:.＼: :..: :.｀ ‐ : :.:.:.:.:. :イ.:.:.:.:...＜
.　　　　　 { 　　（　　／／￣入ヽ V/　　　　　　ｒ‐-.....､｀ヽ:.ｰ‐-＜´: : . . . ..＿
.　　　　　 |　ヾ:::::ﾐ）　 .:{　　 ,ニ、 i　 lX　　　　　　　　 Y,ヘﾔミ.､ヽ::.､　　｀ー‐ｒ― ７⌒
　　　　　　 !:　 ::::::/　　::|　　/::　ゝ'　 !　＼　　　　　　　!!　 {{:::!!:ヾｖ/ﾊ　　　　 !ヽ :（　　　　　　　　　　　「なるほど……」
　　　　　　　|　::::::/　　八　ヽ　（　　　　　　＼　　　　　　　　ｒ'::ﾘ::::ハヾ:::.. 　　 !:.:.:.: :＼
　　　　　　　|　:::/　　　　＼＼ﾉ　　　　　　　ヽ　　　　　　＼::_/　　ヽ.ノ　　|:.:.: : : : :＼
　　　　　　　| ::/　　i　　　　　＼　　　　　　u.　　　　　　　　　　　　　　　　 |:.:i:.:. : : : : :＼
　　　　　　　|/　,:::　ﾍ　　　　　　＼　　　　　　　＿　　　　　　　　　　　　　　 _＿ｊ:人: : : : : : : :
　　　　　／:.ノ:人　ヽ.　　　　　　 Y⌒ヽ　. ´　　　｀ヽ　　　　　　　　　　　ｒ≪´/:.:.:.:.＼: : : : : :
　　　,.. : :´: :く　　　｀　　ミﾐ、　　　　　／､　　　　　　　　　　　　　　　　 {ﾟ/.》'_:_:_:.:.:.:. ＼: : : :
.　　（: : : : : : : : . . .　　　　　`＜　　／´ 　＼　　　　　　　　　　　　　　 ∨´　　｀ヽ:.:.:.:＼　　　　　　　　　「きつい話だわ」
.ー一｀ミ: :_: : : : : : ..、　　　　　｀　＜:.:ヽ＿　　ヽ　　　　　　　　　　　　ノ＿ __
::::::::::::::::::::::＼＞ﾄ､: : : : : ..　　　　　　　｀ヘ:.:.｀＞---: : : : : : : : : :ニﾆ=ー-　,′　　｀ヽ
:::::::::::::::::::::::::::}::::ヾく｀ー-ｘ､: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＜´　｀ヽ　　 /｀ヽ
:::::::::::::::::::::::::::|::::::::ヽ}::::::::::＼ヾ: : : : : :￣｀: : ...: : : : : ::＜´￣￣　｀ヽ　　 .ｲノ⌒ヽ
:::::::::::::::::::::::::::li:::::::::::j::::::::::::::::＼｀ー―――――--､: : : :｀ヽ、　　　　／ :ﾄ､　　ﾊ
:::::::::::::::::::::::::::||＼::::::::::::::::::::::::::::＼　　　　　 ,　　　　ヽ: : : : :.ヽ.　　／:j 　j

.
787： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:25:47 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　「これらの小児病は『所謂脳膜炎』という奇妙な診断を下されていて、

　　　　　　　　　　　　　　母親の白粉との因果関係は明治中ごろまで解き明かされることがなかった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（ ―）　 λ　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀＜　　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／---‐――--.､ゝ＼　ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼＜　　　'　l

　　　　　 |　　　　　　^　　　　　｀＜///∧　　　ミｔ､
　　　　ィi〔|　　　　　　ヽ　　　　　　　^ﾏ/∧　　　　　＼
　 r　　　　 |　　　　　　　ﾟ，　　　　　　　}//,}
　 |　　　 :|　　　　　　　　 .　　　　　　　i￣ ∧　　　　　　ﾟ。
　 |　　 l 　 |　　　　　　　　 :. 　　　　 |　　 ∧
　 |　　 l 　 |　　　　　　　| 　 l　　　　　 :| ∨　∧　　　　　　 }　　　　　　　　　　「鉛に害があるということ自体
　 |　　 l 　 |　　　　　　　| 　 |　　　　 :|　 }:　 ∧
　 |　　 l 　 {　　　　　‐=┼‐ :!　　　　　　|／　　:∧　　　　　 l　　　　　　　　　　　　　　知られていないのでは当然でありますか」
　 |　　 |　　＼　　　　ィ云ミｔ　　　　　／　　　　 ∧
　 {　　 |　　　＼　　l　{じﾘ/｜　　／　　　／　　／　　　　ｌ
　 :　　｜　　　　＼ }　^¨´　:|　　 //}　／　　／＼　 l　　　 |
　 ‘，　:　　　　　／＼　　　 | 　 /////} 　／＼　＼ !
　　ﾟ。 l　　 ',　ヽ　　　　　 :| 　ゝ‐=≦ア　/// ＼　∧　　　 l
　　八∧ 　　　　＼-　　　 }　　　 /　　 ∧////ヘ__{
　　　　　‘，　 ‘，　　 .　　　/ 　　 :/　　 /=}　＼/////＼　　　:
　　　　 ‘，　 ‘，　ゝ＜,′　　:/　　　/ﾆﾍ＿__:＼/////〉　　　。
　　　　　　　＼ :{ ∨　 {　/　　　 /　　　////////ﾊ　＼_／
.　　　　　　　＼＼　i /　　／　　　://////////}
　　　　　　　　　　　　ヽ〈　／//　　 /二￣ ∨//,i　　　　　 ',　　　＼
　　　　　　　　　　　　 / イzzz/　ィi〔ニﾆﾆ:＞｡.}///　　　　　＼　　　　＼
　　　　　　　　　 /∧ }　 / 〃二二二ニニニヽ　　　　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　ｱ^:/ /二ニニニニニニニ}　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　 /　　/　/　{二ニニニニニニﾆﾆi

.
788： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:26:12 ID:bMttHh86: 　　　　　　　「その状況が変わるのは、明治の中頃まで時を待つことになる」

　　　　　　　　　　　　　 -――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　　　　　　｀,
　　　　　　　　　　ｌ　　　　　　　 i
　　　　　　　　　　 | 　　　_＿　ﾉ　___ 〉
　　　　 _ ―ヘz7i　　　f´で`　√ぜ {..　､ー､
　　　, ＜/////∧i　　　　/　　 }　ヽ i/,j////∧､_＿
　／///////,ｲ/∧　　　ヽ､___/､__ノ/../ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　⌒　 ∧./Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧.＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|　　　　　　　　「鉛白粉の害が一般に知れ渡るようになったきっかけは
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>　　　　　　　　　おそらくは明治二十年頃の、
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　　　　　ある天覧芝居ということになるのだろう」
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼
789：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:26:21 ID:XeSfx.W.: 死人にクチナシ
790： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:26:45 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「当時五代目中村歌右衛門が、井上馨邸での天覧芝居の時、突然左右の手に震えが来た」

　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　　　　　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　　　;　　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　　､　　｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　　　　　丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　　　｝　　）
.　　　　　　 '. 　　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　「舞台を降りた後も度々その震えは現れ、
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　　いったい何の病気であるかということが全く分からなかった」
　　ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ

.
791： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:27:28 ID:bMttHh86: 　　　　　「その後、何度も診療を受けた結果、医師よりこの症状が鉛中毒であるという診断を受け、

　　　　　　　　　新聞などを介してこれが世に広まった」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .-─ ｰ- 、　　　　　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　　　　　　　　　　 ,　　　　　　　　　　＼　　　　 ( ￣｀ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　（　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　　　｀　 ´　､｀､´ |　　　ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　＞{ .|　　　　 ,′　ﾉ､　 }　|　　　　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　ﾉ　　/　　＿　　}
　　　　　　　ノ ´　　　/　　　へ　　　 -ｰ- 　 ,　　　　　'､人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　　　 ,　　　　　ﾔ　　ゝ-ィ／　　 i
─ --/　/　　　　　／　　 /　　 ;　 }　　　　　　丿　　　　　　　{　　　 ,ﾗ　　　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　　 r'´ 　　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ､　　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　　　　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ」｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　｀‐ｧ､　　 ./..::ﾘ:::::::::
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::

　　　　　　　　　　　　「江戸時代にも、名優と呼ばれた沢村田之助が病のために

　　　　　　　　　　　　　四肢を切断する出来事があったが、今日になって考えればこれも鉛中毒だったんだろう」

　　　　　　　　　　　　＿
.　　　　　　　　　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　　　　　 _／: : : :∠.:}L:＞､＼
.　　　　　／: /: : : /===､ヽ: :ヽ
　　　　ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ　ム: :ヽ
.　　　　 /: : : : :|: : : :! `　　　 5､i : ヽ
.　　　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　　　　 '　{: : :.ヽ　　　　　　　　　　　　「ちなみに具体的な鉛中毒についてはここでお話するよりも
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/　　　　　　　　　　　　　　　　　ネットや文献で情報を得ていただいたほうが間違いないと思います」
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　　￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　　　　　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　　〉ｒ＜　￣｀弋に).､ヽ
.　　　　　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ

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792： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:27:48 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　「明治後期、鉛による健康被害が一般にも知られるようになったが、

　　　　　　　　　　　それでも白い肌にかける女の執ｎ……情熱はすさまじかったと見え、

　　　　　　　　　　　　　鉄道唱歌ができたころにも京白粉はやはり京都の土産物の代表であったようだ」

　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　 |　　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　 i ヽ　　　　　　|　　　　　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |

　　　　　　　　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　　 .||　ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　　 |: :./: /: :// /'　　　　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　　　　　ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　ﾚ |:./ ' 弋歹　　　　　 'ﾋ汐　' 从!ui:/　　　　　　　　　　　「うーん、今はいろいろな化粧品の種類があるけれど……」
　　　　　　　ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　　　ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　u.　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　　　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　　　　　 |:', : : : ＼　　　　　　　　／/: :./: !
　　　　　　　　　　 |:ﾍ: : : : ',: i＞､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　　　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞､　｀≧､
　　　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.
793： ◆zbB4e8kEV6：2018/11/28(水) 21:28:09 ID:bMttHh86: 　　　　　　　　　＿＿　　　＿_
　　　　　　　＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ　＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ　　　　　　　　　　「ほかにお化粧品の選択肢がないということであれば」
.　　　　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　　　　 ';. : : : ':,
　　　　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　　徐､V: : :|.||
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊｊ.: : :|.ﾘ
.　　　ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　　 , 　/: : : |
.　　　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　　　　 j: : : i:|
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　　　 /: : :/:/: :人 : l　　､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
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　　　　　 |: 　ﾏ{　　)///刈ﾏﾐ: /:　　　　／　　　　　　 /　　　　　　　　　「jud、ホライゾンも使うかもしれないであります」
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794：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/11/28(水) 21:28:28 ID:XeSfx.W.: こわい……