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やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです【10輌目】

1： ◆zbB4e8kEV6：2017/09/27(水) 20:20:04 ID:Yp41p5.k




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　　　　　　┃|￣　　　　　　　やるやらあずさが出会ったり別れたりするそうです　 　 　. 　　 ￣|┃
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 r‐==≦　　　 /　 ,　　　　　 /　　　}　　 　 ＼､
　　　　　＿＿＿＿＿＿＿_ 　 　 　 　 |　　 |　 　 　 |　　 ,　 　 　 /　　　｜　　　 　 }､
―┬‐‐[　　　　　　　　　　　] ＿　　 　i|　　 |　 　 　 |　 　 ,　　　 ,　 　l　 i|　　 　 　 ,　＼
＿｜　|　二二二二二二二__ｌ　 |＿ 　 |　　 |　 　 　 |　　　,　　　ﾊ 　 il　 i|　　　　　,　 　 }
[＿　　＿＿＿＿＿＿＿|＿　　　＿|　　　　 ,　　　　|＿__八　　i| ｉ}＿,|＿,!　　　 　，　　 ,
　　|　 | [ニニニニニニニﾆ]ｌ　　|/￣ヽ , 　　，　　　i|x==ミ　',　 |　,ｘ==ミk 　 　 　 ,　　　,
￣　￣ 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　||　 　|　, 　　，　　 《 ん ﾊ 　＼| 　 ん ﾊ 》 　 　 /　 　 ,
￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣￣|　　||　　 |　 ,　　 ，　　ﾊ 以シ　　　　　以シ ｌ　　　//{　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　,　 从 　 从　　　　　　　　　 　 |　　 / {ﾊ∧/{
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 | 　 ‘， 　 ，　入　　 　 ' 　 　 　 　 | 　 /! ∨///|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　 , 　八 　 | 　 　 ´ ｀ 　 　 ィ　|ｉ　/ |i /〈＜
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　||　　 |　　　ｌ 〉　 l ヽ i　　　　　　 ィi〔ﾆ{　i| ‰ i!//∧　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|ゝ‐≦　 　 | 〈ﾊ｜　＼　 　 {=爪二二ﾊ ｉ|　　｜///　 i|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　 　 |ｉ　＼!　　 |　　/　/笊|　　 　ｉ|　　｜／　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|i　　　　 　 |＿___|　　 |ﾆ=≧≦{}} =‐=≦!|　　｜≧s。 ｉ|
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|　__　　　イ二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニﾆ,≧s
　　　　　　　　　　　　　　　　|　　|/　 ヽ　{二二ﾆﾆ|　　 |二ニニニニニﾆﾆ|　　｜二ニニニﾆl

このお話は、やる夫、やらない夫、三浦　あずさがのんびりと各駅停車の電車で

鉄道唱歌の歌をなぞる旅をしながら、色々な人たちと出会ったり別れたりする

バイオレンスとかアクションとかとまったく無縁なだらぼの系のお話です。



.
521： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:19:15 ID:7AXrt/uY



　　　　「何百年もかけて洗練されてきた作業内容に無駄があるわけないだろ常識的に考えて」


　　　　　　　　 　 　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 ｀,
　　　　　　　　　　 ｌ　 　 　 　 　 　 　 i
　　　　　　　　　 　| 　 ＿＿ ノ　 　　 ）
　　 　 　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー ､
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　 ／///////,ｲ/∧　　　　 ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　 「まずは生地の裏から、
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////　　　　　　　　　　　 そして表に地入れ液を塗って地入れは完了だ」
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　 ＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー ､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼

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522： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:19:36 ID:7AXrt/uY


┌─────┐
│　 　 　 　 　 │
│　..挿し.　 　 │
│　 　 　 　 　 │
└─────┘



　　　　　　　「そうすると、次は手描友禅の花形である『挿し』の作業だ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ノ　 '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜ 　 (⌒ ) (⌒ ).i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜ 　　（___人__） i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　 　 　 ﾉ
　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　 　 　 |
　　_. }　}　　 r 、　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿　　　　　　 ∧､ 　　　　　　|
　 iハi　i　　 {　'､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／. . . . . .｀ -.. _,. イﾄ､ ヽ､, ____,__ ノ
　 }　}-､i、　 ゝ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ . : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　＼、　___〈
　.ヽ/ .ﾊ,_￣{、　　｀､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　　 ｨ´:::.V、
　　 i　ﾘ　)　ｉ ヽ,　　i､、____　　　　　　　　　　　　　 　 ／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,√〉:.;〈 r .ヽ＿,.
　　 ヽ,}　{-､　ﾆ-、　ヾヽ .: :｀ﾆ=-- 、＿ 　　　　　 ／ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧}::::::',} : : : : : .`､
　　　　｀ -､_　　　　ﾉ｀} } : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ=-､＜ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧:::::::', : : : : : : .ヽ
　　　　　　　　｀ ＜､__ﾉﾉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ : : : : : : : : : :＞、: : : : : : : : : : : : : : : : ∧:::::',: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　｀ﾆ彡" : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧:::', : : : : : : :.r
　　　　　　　　　　　　¨ｰ=ﾆ二､_ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :Λ::} : : : : : : :.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨｀-- 、＿ : : : : : : : ＞' ´　 　 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　ー　´　　　　　　　　} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i




　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「まずは配色をイメージしながら染料や胡粉などで『色』をつくる」



.

523： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:19:59 ID:7AXrt/uY



　　　　「下絵をもとに色見本を見ながら、一色一色作っていく。

　　　　　この時、気を付けることは色本の色を頭で合わせて、

　　　　　　染料の数を少なくして、多くの色を使わないようにすることだそうだ」


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　⌒ 　⌒　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （⌒）（⌒ ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人＿）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 '､`-ｰ-′ 　 　 | 　 　 　 . -,
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　``　　 　 　 |　　　　/　/
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　 ｨ { r 、　/　/
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 `ｭ`ｰ─ｰ ´_ノﾄ}　}／,`〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ ,. - ／ :./ﾘ ,/ ／ヽ{
　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,. -:::／:/:::ﾊ　／ : :/ :.ﾉ　)(_／ ヽヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　／/ : ／ : /:::l　y : : : / : : }　　 >-<　} : :i
　　　　　　　　　　　　　　 j : : : : :> :./:::::l ./ : : : :i : : :Λ　/　　 / : :∧
　　　　　　　　　　　　　　i : r : : 〈 : i::::::::ﾚ : : : : : : : : : :〉､_　　 〈ﾘV. :Λ
　　　　　　　　　 　 　 　 ｉ : | : : : :', :i::::::/ : : : : : : : : : :.乂｀ﾆﾆ彡´:.V. : ',
　　　 　 　 　 　 　 　 　 | : | : : : : ', :i::/ : : : : : : : : : : : Λ : : : : : : : :V. :.i


　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＿＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　 　　　＼
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／ 　　⌒ 　　⌒＼
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　（ ●）　（ ●）＼
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 　 　⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /⌒　　　　　　　　 　 ヽ　　　　　　　「あー、色をたくさん使うと色が濁って見えるからかお。
　　　　　　　　 　 　 　 　 | 　 ヽ＿＿　　　　　＿　',
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 :､＿　 　　　） 　（￣ ＿丿　　　　　　　 そのあたりはフィギアの塗装とかも同じだお」
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　 ／ ￣｀ｉ　　／￣ 　｀ｉ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　| 　 　 , 　　　|
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ∧　|　　 　 |＿_／ 　 　 /
　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀ーヽ ＿ | 　 | 　＿／
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 （＿＿） 　､＿＿）



.

524： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:20:20 ID:7AXrt/uY



　　　　　「そうして用意した色を、用途に合わせた様々な筆で塗っていく。これが『挿し』の作業だ」




　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼



　　　　　　　　　「薄い色から濃い色へ、という風に塗りの作業を進めていくのが基本なんだが、

　　　　　　　　　　　これもさっきやる夫が言ってたフィギアとかの塗装に通じるものがあるな」



.

525： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:20:41 ID:7AXrt/uY



　　　　　「で、この作業は、染料を塗る生地の下に熱源を置いて、

　　　　　　　染料を塗った部分を乾燥させながら手早く、正確に進めていく」



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ ヽ､,__　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （_人___） 　 　　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／-‐ 　 ｀i ､ ＿__,.　イ i　　　　　　　　「この『挿し』の作業の中で、ぼかしなんかも入れていくぞ」
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {/´､　　 　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　 しrヽ　　　　V:::Λ　 ／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　 　 　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　 　 　 　 　 　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ


.

526： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:21:02 ID:7AXrt/uY

┌─────┐
│　 　 　 　 　 │
│　..蒸し.　 　 │
│　 　 　 　 　 │
└─────┘


　　　　　　　　 　 　 　 ￣　　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　 　 　 　 ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ　　　　　　　　　　「挿した色を蒸して染料を定着させる工程だな」
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/　　　　　　　　　　　　　　　「この蒸しによって、
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´　　　　　　　　　　　　　　　　　 挿し友禅された染料液を定着させるとともに、
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　染料の発色を促す」
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./


.

527： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:21:23 ID:7AXrt/uY



┌───────┐
│　 　 　 　 　 　 　 │
│　..伏糊置き　　　│
│　 　 　 　 　 　 　 │
└───────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. 〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　.:;. ~
　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　 ヽ　. .;
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 ,　　}.||＿　　　　　　　　　　　　　　　　「蒸しが終わったら再び糊置きだ。
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　__,.ノ　ｿ /.||_. .＼
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　（●　　/￣ ＼y .＼　　　　　　　　　　　　　　　今度の糊置きは伏せ糊置きという。
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 r　　 ﾉ/.／￣　　　.ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 |　 　 　 　 ｀-ｰ´{/ﾐ／　　　　　ﾍ　　　　　　　　　　　　　　地色を染める前に、模様部分に色が入ることを防ぐ目的で、
　　　　　　　 　 　 　 　 |　 } 　 　 　 　 ´ ｛./　ﾍ 　 　 　　ﾊ
　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　 '丶　　 　 　 　 ヽ__).＼　　　　 _.ﾄ､__　　　　　　　　　　　　 糸目の縁などに細かく糊を置いていく」
　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 ＼ ｀ - 、 __＿j丿　　　　ヽﾊ／＞ｰ弌┐
　　　　　　　　　　　　　r二ニ＝=- 、,__ _「　　　　　　　7／ : : : : : : ',
　　　　　　　　　　　　/ : : : : : :＞、　λ::;;}＞- 、　　〈 : : : : : : : :.∧
　　　　　 　 　 　 　 /＿／.: : : : : .＼{ ヽ:::ヽ :.＼＞ ､_∨ : : : : : : :.∧
　　　　　　　　　 ／_____、: : : : : : : : . ＼ヽ:::::ヽ :.＼: :.:.∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : . ＼ヽ::::ヽ : :＼:..∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :＼ : : : : : : : :. ＼'､:::::. : : .∨∧ : : : : : : : :∧
　　　 　 　 / : :.:.:.:.:.: : : : : : : : .V: .:.:.: : : : : : . ｀､:::::::. : : V:∧ : : : : : .:.:.:.∧
　　　　　　У : : : : .:.:.:.: : : : .:.:.: : : :.:.:.:. : : : : : : ｀､::::::: : : ',::.∨ : : : : .:.:.: :∧
　　　　／´￣¨¨. : . .＼ : .:.:.:.:.:. ﾉ: :.:.:.:.:. : : : : : : ∧::::::i : :|:::ﾊ : : : : : :.:.:.:.:.: }
　　／ : : : : : : : : : : :.＼::.} .:.:.∠: : .:.:.:.:.:.:.:. : : : : : ∧::::} : :|.:::::.. : : : :.:.:.:.:.:. /
／ : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨八: : :.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : Λ::i : :|--＜.:.:.:.:.:.:. ／
: : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : __／.:.:.:＼:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : V : :|　　　 ￣¨¨
: : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:. : : :ィ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : : :|
: : : : : :.:.:.:.:...＼: : ／　＼ : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : |
: : : : : : : :.:.:.:.:...∨　　　 ∨ : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : |


.

528： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:21:42 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　 　　 　 　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　 　　;　 　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　 　､ 　 　 ｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　 　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　 　　　　 丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　 　　 ｝　　）
.　　　　 　 　 '. 　 　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　 　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　　　　「糸目への伏せ糊が終わったら
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　　　　　　次はすでに染色されている模様部分への糊置きだ」
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　 　 ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　 ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ


　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　 ／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　 　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／ ｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　 　 　 l|　Ｙ:‘,
.　　 　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　 、　 }　 }: : ，
.　　 　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽ ﾘ　从ﾊ:　　　　　　　　「もう染まってるところに染料がしみ込んだら
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　 ﾋｿ ｀　 　 ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　 んﾒ/　ｊ!　　　　　　　　　　　困るものね」
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　 　 　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　 　 、 　 　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　 　 ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　 Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　 ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　 　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　 トミ¨了､:ヽ 　　　　 　 〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　 ｀Ｙ､ｲ: i |　　 　 　 小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　 ﾞリい;ヽ ＿　　 　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　 　 　 八　　　ヽ 　 ＼ゞ ミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　 　 ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝ て ｲ
.　　　|: |{ {　 　 :.　　　　　　{´　 　 　 　 　 　 ゞ'　　　 ＼　　_　イ
　　 　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ヽ Ｋ
　 　 八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　 　 　 　 　 .i　　 　 } .:.:.ヽ
.　　 　 丶ゝ　 ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　 丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　 　 　 ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　 〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/


.

529： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:22:04 ID:7AXrt/uY



　　　　「糊を塗り終えたら泡抜きだ。

　　　　　　　糊を塗った部分に空気が入って気泡にならないように、棕櫚の刷毛などで表面を撫でていく」




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　, ――-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 　 　 .:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 /　＿＿ 　 　 .::|　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ,.-､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ∨ 　 　 ヽ ....:::/　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _,.､／:∠＿
　　＿＿_, - ､　　　　　　　　　　　　 __,. -――＜二二二＞≦――-,､　　　　　　　　　　　,. ‐'´::::ヽ:.:.:.:.:二ﾆヽ
　ﾞーｧ:.:.:|::::::::｀` ―- ､、　　　　_r:'Ti::､:::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::::::::::::::::::::::/:ﾊ、　　　　　　　,. ‐'´:::::::::::::::::|‐--―一'
　／:_,:.:.,|::::::::::::::::::::::::::::｀`ｰ-‐'´:::::::ヾ', '、::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::://:ｨ::｀＞―‐-- ‐'´::::::::::::::::::,. - '
　'-´一'´`ー- ､、:::::::::::::::::::::::::::::::｀丶:ヾ}｝:::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::/:'ｼ':／::::::::::::::::::::::::::::::::,. ‐ '´
　　　　　　　　　 ｀` ‐- ､_::::::::::_,. -‐`｀^ヾ::::::::::::::::::::〈:::::::::::::::::::::::::fr‐ '＜-_::::::::::::::::::::_,. ‐'´
　　　　　　　　　　　　　　 ｀￣　　　　　 /:::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::〈　　　　 `'-一''"´



　　　　　　　　　　　 「気泡ができてしまうと、そこに染料が入り込んで

　　　　　　　　　　　　 染ムラの原因になったりするので、仕上がりの出来如何にかかわるぞ」


.

530： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:22:22 ID:7AXrt/uY


┌─────┐
│　 　 　 　 　 │
│　..引染...　　│
│　 　 　 　 　 │
└─────┘


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「次に.引染。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 生地に地色を染める工程だ。

　　　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼　　　　　　　　 広範囲を染めるので染はじめと染終わりで
　　　　　　　　　　　 ／　　⌒´　 ⌒
.　　　　　　　　　　 ｜　 　( ⌒) (.⌒)　　　　　　　　　染料の濃度が変わる可能性がある」
　　　　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　　　　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　 　 |　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　j､_ 　　　　 　|
　　　　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r＜　　　　　　　　　　　「それによる故障を防ぐために、
　　　　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ
　　　　　　　　/ .:::/.:.:.: : : : : : : :.:.::..＼　　　　　　　　　　 仕立てる時に隣り合わせになる部分をあらかじめ縫い合わせて、
　　　　 　 　 ,' .::::/.:.: : : : : : :.／ ⌒ 、ヽ
　　　　 　 　 i .::.::.::.:. : : : : :　.:.:.:.:.:::::...ヽ:.',　　　　　　　　　　染料の濃度のギャップが仕立てに影響を与えないようにする。
　　　　　　　 i ::::.::.::.::.:.: : :/ .:.:.:.:.:.:.:.::::::: }::
　　　　　　　 i ::::::.::.::.:.:.:.:/ .:.:.:.:.::::::::::::: ,.:: i
　　　　　　　 ', :::::::::::::::く .::::::::::::::::／:::〈:::: |



　　　　　　　　　　　　　　-
　　　　　　 　／ : : :⌒ : : : : :＼
　　 　 　 　 ' : ,-‐ ヽ : : : :／: : :`
　　　　　 .' :. / : : :./＼ : : : : : : :∨ヽ
　　　　　: : :/ : : : :||ﾐ` ∨彡'. : : :∨::}　　　　　　　　　　「隣り合った箇所の色に濃淡がついてたら
　　　　　i / : : : :/ |i 　　　　ヽ : : :∨:|
　　　　　| : : : : ::　 |　 　　　 　'. : :::.} :|　　　　　　　　　　　　ちょっと困りますものねぇ」
　　　　　| : : : : :i＿＿,　　ー-_‐ヾ: :.| :|
　　　　　| :i : : :ﾚrｪｯ　　　　ｲf ≧ : .:| :|
　　　　　|.八 : :{` ｰ´　　　　 ￣　.| :.|. :i
　　　　　i :::::. 　ﾄ､　　 　 '　　　　 | : | ::|
　　　　　| : : :ﾊ ＼　　 r　‐, 　 ／i: ::| ::|
　　　　　: : : : : :＼ ＞　￣　／＼| : :|: |
　　　　.' : : : : : : :,/ミ　　`　　彡 ∨ : : |
　　　 / : : :彡 '´|i＼　　`三'　　./ |i|　 ` 　､
.　　 / : : :{　　　|i| 　＼三三三/　 |i|　　　　 i
　　/: : : :.|　､.　 |i|　　　　　　　　　.|i| . /　　 .|
　 .' : : : : :|　 ヽ/　＼ ＿＿＿＿／. ∨／　　|
　 { : : : : :.|　 /　 ○　￣￣￣￣　○ ＼ .　　|


.

531： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:22:40 ID:7AXrt/uY

┌───────┐
│　 　 　 　 　 　 　 │
│　..蒸し・水元　　 │
│　 　 　 　 　 　 　 │
└───────┘


.　　　 　 　 ／￣￣＼
　　　　 . ／　,ノ　　＼ Y⌒i　 　__
　　　　　|　 （●）（●） | 　| 　./　.)
　　　　.　|　　（__人__） .|　 |　/　./　　　　　　　　　　「引染を終え、乾燥させた生地を再び蒸して、染料を定着させる。
　　　　　 |　　 ｀ ⌒´　ﾘ　 i_/　./
　　　　.　 ヽ　　　　 ／　　,｀弋ヽ　　　　　　　　　　　　　100度前後の蒸しを二回ほど基本行うが、
　　　＿＿ ヽ　　- γ⌒ヽ　Ｙ´ ,｀ヽ
　 ／ :　　: :介〈　　`ｰ ､く　 〈::...ノＶヽ　　　　　　　　　　　その品によって蒸しの回数や温度、時間などは調整を要する」
　 | : : : : ::〈　｢｀ヽ_ｰ ､　｀ヾ＿/　//:|
　 | : : : : : /: |　{::::}　ﾌ-､｀ｰ┴‐- │
　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :`ー‐一′ ::|



　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /: : : :./´￣ ｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　 　 　 　 ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　 　 ,'.: : : : ;'z＝　 　 　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　 　 　 ,': : : : :;'　　　　　 　 　 　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　 　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j　　　　　「どの程度の蒸しが一番いいのか、
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　 　 ﾄ芥 〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l! |: : ::::::.　　 ,　　 　 ｀¨ｒー､! !ヽ ､/ ::::::::::!　　　　　　　　経験がものをいうみたいですね」
　　　　　　　　　　　　　 　 　 l: :::::::::}､　　　　 　 　 ｀7 ﾉ j　〉 〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿ ／　　 　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　 　 ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　V　 　 ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　 ／!__／: : | ! ! /　　　　 　 /: :|



.

532： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:23:09 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「そのあとは、水洗いを行う。これを『水元』という。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 この水元が不十分であった場合、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 ⌒　 ⌒　　　　　　　　 布の表面に不純物が付着したままの状態となり、
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｜　 　( ⌒) ( ⌒)
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ｜ 　　 （___人__）i　　　　　　　風合いを損ねる」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 　　人､ 　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_,イ ﾄ､ ヽ 、 __ ,_ ノ
　　　　　　　　　　　　　,.　-─‐-´ 　｀, へ　 ＼__､_ﾊ
　　　　　　　　　　　 ／ 　　　　　　　 :i 　ハ､　イ;;ヽト、
　　　　　　　　　　　ﾄ⌒　　　　　　　　:i　　 ｀<´.〉:.;〈ヽ ＼､
　　　　　　　　　　 /　, : . ＼ 　　　　　 :L_＿　｀v;;;;ﾍ ' ,＜ヽ
　　　　　　　　　　ﾉ　l : : : .　ヽ: .　　　　　 く　　　'';;;;;ﾍ l　｀l　｀-、
　　　　　　　　　　i　　!: :　　　 、: : : : 　　　 ヽ 　　'';;;;ﾍi 　 i　　r i
　　　　　　　　　 /　　　´: : :　　' : : :　　　　　 ＼ 　 '';;;::|　 ,|　__| |
　 　 　 　 　 　 /　　　　: : 　　γイ: .　　　　　　 ｀､　 ':;;:|　 l、__j.|
　　　　　　　　/　　　　　／ ／: : : : : : . .　　　　　 ｀､ ｀':'}　 |　 |!



.　　　　　　 /: : : : : : : : :／: : : : : : : : : : : : : : : : :.:/: : : : : ヽ
.　 　 　 　 /: : : : : : : ／: : : : : : : : : : : : : : : : : : :/: : : : : : 、:ヽ
　　　　　 /: : : : : : :./: : : : : : : : : : : : : :∠≦≧､ﾄｨ‐､: : : : :＼:',
　　　　　,: : : : : : : /: : : : : : : : : : : : ／　　 　 　 ｀⌒ヽ: : : : : :ヽ
　　　　 ,': : : : : : :,': : : : : : : : : : :.:／￣￣｀　 　 ＿_　　ｉ: : : : : : ',
　 　 　 i: : : : : : :,: : : : : : : : : : : /　　 　 、　 　 　 　 ｀ |: : : : : : :.',
　 　 　 |: : : : : : i: : : : : : : : : : :/,.ィ５Zｚ､　　　　 -‐ 　 |: : : : : : : :|
　 　 　 |: : : : : : |: : : : : : : : : :/〈　いしﾘ　　　　 ｨｚｚｘ　!: : : : : : : :|
　 　 　 |: : : : : : |: :ｲ : : : : : : l　　 ｀¨¨´ 　 　 　 辷ﾘｊ }': : : : : : : : |
　　　　 |: : : : : :.ﾚ: :l: : : : : : : |　　　　　　 　 　 ､｀¨¨ﾞｲ : : : : : ,ｲ: :!
　 　 　 ｊ: : : : : : : : :|: :ﾄ.: : : : :|　　 　 　 　 　 　 　 　 j: : : : : /│/
.　　　 /: : : : /: : : ∧ |:.ヽ : : :|　　 　 ､　　　　　　　 /: : : : :/　j/　　　　　　　 「昔はこの水元の作業を鴨川の流れで行っていて、
　　　/: : : : /: : :.:/:ハj: : ヽ: : |　　　　　 　￣´　　 〃:/: :,:ｲ
.　　/: : : : /: : : / : :/: : : : l＼j＼　　 　 　 　 　 ／/:/: :/: |　　　　　　　　　　　　 色とりどりの友禅の反物が鴨川の流れに
　 /: : : :.:/: : : /: : /: : : : :_|＿＿_ >､ 　 　 ,　.イ: :/ｲ|: /: : |
. /: : : :.:/ : : :/: : /:_:_:_:_:_}　| 　 |　　|　Ｔ く: : : l: : : : l/ : : :|　　　　　　　　　　　　　 そよいでいる様子は、京の一つの風物詩だったんですよ」
/: : : : ／￣￣￣ヽ／　 ﾉ　j　　|　　l　 !　 ﾄ､__|_:_:_:__: : : :


.

533： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:23:25 ID:7AXrt/uY


┌─────────┐
│　 　 　 　 　 　 　 　 　 │
│　..上張り・上ゆのし.....│
│　 　 　 　 　 　 　 　 　 │
└─────────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「水元まで終わって生地が乾燥したら、再び湯のしを行う。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　前にやったのが『下湯のし』で、今回のが『上湯のし』だ」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 _,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　( ●) （●)
　　　　　　　　　　　　　　　　 .|　 　　 （___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　　ﾉ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 _,.|　　　　　 　　|
　　　　　　　 , --、―― ＜ / |ヽ　　　　　　丿
　　　　　　/ : : : : :ヽ : : : : :/ : :|　＼ __ _ ／
　　　　　/. : : : : : : :| : : : く: : : :|、 ／=|´| :| .＼
　　　　/ : : : : : : : : : : : : : :＞ : | ｀'|::::/|/:,┘ : . ヽ
　　　ノ : : : : : : : : :/ : : : : ヽ : : |　 |:::| / : :> : : : : :丶
　　/.: : : : : : : : : ;' : : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
　/ : : : : :-、 : :/. : : : : : : : : :Λ:|'::::::ﾉ: :/_ : : : / : : : .丶
/ : : : : : : : :`::、 : : : : : : : : : : : ',:|:::/／. : :￣;/ : : : : : : . ＼
＼ : : : : : : : : :.＼ : : : : : : : : : : : /‐' : : : : : /ヽ､: : : : : : : : .ヽ
　 ＼ : : : : : : : : : ＼.:./ : : : : : : : : : : : : : :;'　　＼ : : : : : : : : . ＼



　　　 　 　 　 　 　 ﾞ,ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 }ヽ ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　 ／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　 ／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　 　 　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　 ｀　　　　　　 ｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{　　　　　　　　　 「湯のしを行う目的は下湯のしと同様、
　　　　　　　　 ﾊ　 'iヽ　　　 　 　 　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　 　 　 　 　 　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|　　　　　　　　　　　　しわを伸ばし、幅や長さを整えるためなのね」
　　　　　　　　　　 ､＿_　　 ､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　 ／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／ ／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー ＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 ／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　 く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　 　 　 　'/ﾆ/　 　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　 　 ｀'　　 　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　 　 　 　 　 　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .
　　　　　　　　　　　　　　ヽ_ ノ. . . . . . . . . >. . .


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534： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:23:43 ID:7AXrt/uY



┌────────────────────────┐
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │
│　..彩色・絞り加工・金加工・縫紋刺繍・色抜き・紋上絵 . 　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │
│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 │
└────────────────────────┘

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　 「この辺りは、必要に応じて行う作業で必ずやるってことじゃない。
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　染め上がった生地に施す装飾だな」
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '



.

535： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:24:04 ID:7AXrt/uY


┌───────┐
│　 　 　 　 　 　 　 │
│　..上絵羽縫...　　│
│　 　 　 　 　 　 　 │
└───────┘

　　　　　　　　　　　　　　　　 「ここまでの作業で染色、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 装飾を終えた生地を、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 実際に着物の形に仕立ててみる工程だ」


　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_　　　　　　　／⌒＼
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）　 　 　 　 /　 　 ＿×￣￣｀ｰ 、
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）..　　　　　{ 　 ／: : : : : : : : : : : :.ヽ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'.　 　 　 　 　 /: : : :,.へ:/:＼ : : : : : '.,
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜.　　　　　　 /: : : :/＾｀｀´ ⌒ヽ.: : : : : ,
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|　　 　 　 　 ,': : : :.;' 　 　 　 　 ヽ : : : : ',
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´.　　　　　　 {: : : : ｌ´￣´　 ｀￣｀i: : : : : :',
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、　　　　 　 }: : : :.ｌ=＝　 　 ＝=ｌ.: : : : : :i　　　　　　「実際仕立て上げられたときに
　　　 　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_...　　　|: : : : !　　　　　　　ｊｲ: : : : : l
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼. 　 l:ﾄl : 八"　　　　　"ﾉ:!: : : : : ｌ　　　　　　　　 故障などがないか確認するんですよ〜」
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,　ﾘ Ｖ:::::::ヽ、｀ ´　ィ:::ｉ:ｌ: : : : : l
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }..　　〉: : l:::::::}　 . : :l::::|:l : : : : :.!
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',..ﾞｒrｰ､_j＞<　 : : :厂リ>ー‐ｙrｰ､
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,r. //　＜　　 ﾟ･ﾛ･ﾟ　／ ／／/ 　 ヽ
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣. _{ 　 ＼__＞ｚ―‐＜ ＜　　 　 彡人
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　|　　＞ー　‐ｚ＞二＞ニ二 ＿_　 ,ｲ
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､.　ヒ二ニニ 　 ＞ィ＝== ―┬―〒 |
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : :/:l￣｢￣￣´　. :　 　 　 　 !　　 j: :ヽ



　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾ ヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　 ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィ ｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　 　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　 　 　 　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　 　　 辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　 　　　　 ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　 　 , ー,　　　　/ 　 l/　　　　　　　　　　　　「仕上がり一歩手前のチェックね」
　 ヽ ヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ 　　／　 　 !
　　 ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　 ヽ、_　 ー:.:.!
　　　 ヽ´　　　 ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　 ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　 ）.:.:｀ ' - ∧ つ ヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､ 　ヾ.:､　　　ヽ ヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　 ｀ゞ　　ヾ　　　 ヽ　　｀ヽ､



.

536： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:24:37 ID:7AXrt/uY


┌─────┐
│　 　 　 　 　 │
│　..補正...　　│
│　 　 　 　 　 │
└─────┘



　　　「ここまでの製作過程でもし故障が見つかった場合、

　　　　　補正を行うことになる」


　　　　　　　　　　　　 ／￣￣￣＼
　　　　　　　　　　　／　　　 　 _ノ　ヽ
　　　　　　　　（（　 |　　　　　 （ ●） |　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　|　　　 　 　 （__人）.　　　／ 　 　 　 ＼
　　　　　　　　　　　|　　　　　　　 ⌒ﾉ.　　／　　 ─　　 ─＼　　　　　　　　　「やっぱどっかへんなとことか
　　　　　　　　　　　ヽ　　　　　　　　}　 ／　 　 （● ）　（● ）＼
　　　　　　　　＿　　 >　　　　　 　 } 　 |　　　 　 　 （__人__）　　|　　　　　　　　　　でてくるもんなのかお」
　　　　　　　　　 ￣￣`　　　 ､＿_ﾉ　　 ＼　　　　　 ｀ ⌒´　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　￣`'‐- 、　　 >　　　　　ー‐　 <
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ　/　　　　　 ／￣彡ﾐヽ、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 V　　　 ヽ　/　　/　ヽ　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　 　 Ｙ　　/　　 |　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　 入　　 　 ヽ　　　　　ノ　　　 ヽ ノ



　　　　　　　　 　 　 　 ‐=――ﾆ=‐
　　　　　　　　　　ィi〔//{　　　＞｡./ ＼__
　　　　　　　　 ／//}＞'i　　　　 l　ヽ／＜ヽ
　　　　　 r‐=≦/　 {　　|　 　 　 |　　　 　 ＼
　　　　　 |　 {　　　 ｉ　　|　 　 　 |　　　 l　 　 ヽ
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　 　 　 |　　　 |　　　〈
　　　　　 |　 |　　　 |　　|　　 　 八　 　 !　　 / /ヽ
　　　　　 |　 {　 　 丁￣{　　　 /￣￣　}　　/ /　/
　　　　　 { { ‘，　　,x笊うﾐ 　 /,ｨ斧丐/　 / /　/
　　　　　 {{ ',　 ，　ゝVツ　ヽ/ 　 Vツ/　:/ /　/
　　　　　 }}　ﾟ。 ＼_＼　　　 　 　 　 〈/ / /　/|　　　　　　　　　　　　「まぁモノづくりしてればそういうのは避けられないであります」
　　　　　 l!　　＼ {　＼ 　 　 '　　　／ /　乂ｨ｜
　　　　　 |　　 //|　 |　へ　 ^　,ィ /／　}//ﾍ :|
　　　　　 |:　　{/,'|　 |//{ﾆ≧≦ﾆ}77{ 　:|///} |
　　　　　 |　 ィi〔｜　{///ヽﾆ／ ///{　 :|///} |
　　　　　 |/ニﾆﾆ|　 i ⌒＼ｉ:ｉ／ ゝ< i　 :|=:＞｡!
　　　　　 {ニニﾆ:|　/　　　 T　　　　:l　 :|ニニ:}
　　　　　 iニﾆﾆ:／ 　　　　 |　　　　　＼|ニニ:ｉ
　　　　 　{::ニ::/ 　 　 　 　 :|　　 　 　 　 ﾏﾆﾆ:}
　　　　　 Ⅵ /――――――=‐　 ＿＿ ∨=:〈　　　　　　　　　　　　「昔作ったAAとかもう作り直したくてしょうがないらしいであります」
　 　 　 　 :=:{///////////}//////////77/ /
.　　　　　 l}八//////////,'i//////////,'八,′
.　　　　　 |Ⅵﾍ/////////人////////イ__/ |
.　　　　　 | ﾏ=:∧≧=‐‐=≦≧=‐‐=≦ニ=:,'　|
.　　　　　 |: Ⅵ=:∧￣T¨¨　lゝ‐=≦//ﾆ二:.　 |　　　　　　　　　　　　「誤字脱字とかあっても仕方ないんだ」
.　　　　　 |　∨二:∨/}　　 :.　　 {/:/二二/　｜
.　　　　　 |:　 ∨二∧i　 　 l　　 ｉ /ニニ:/ 　 :|
.　　　　　 |　　 ∨ニ∧　　 　 　 /ニニ:/__　　|


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537： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:25:08 ID:7AXrt/uY


┌─────┐
│　 　 　 　 　 │
│　..製品...　　│
│　 　 　 　 　 │
└─────┘


　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　　「補正をすませて、ようやく完成だ。お疲れさまでした」
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼



　　　　　　　　 　 　 　 　 ,　 -―‐:ｖ:―- .､
.　　　　　　　　　 　 　 ／: : : : : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　　　 　 /: : : : : : : : : : : : : ＜: : :>、
　　 　 　 　 　 　 　 /: : : : : : ／: : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　 /: : : : : ／: : : : : : : : :∠ｚ:∠二二､＼
　　 　 　 　 　 　 /: : : : ／: : : : : : ;ｨ :／　　　ヽ: : : ヽ ヽ|
　　　　　　　　　/: : :／/: : :/: : :∠//_　　　　　 !: : : :l　 l
　　 　 　 　 　 /: : ハ{/: : :/: :.忽７/､ ｀　　　 　 |: : : :|. /
.　 　 　 　 　 /: : /::::/: : : : : :仡ﾀ　　 　 ＿‐‐､/|: : : :|
　　 　 　 　 /: : /::::/: : : : :.:/,,, 　 　 　 ｨ歹ﾌﾞ,:':::l: : : :j
.　 　 　 　 /: : /::::/:/!: : :.l/　 　 　 　 '　,,, イ::::: | :/l/
　　 　 　 /:,.―く:〈:/:｣: : :/ ヽ　`　- 　 ／!　!:::::::l://
.　 　 　 /:/　 　 ~＼ |: /ﾄ､＿>ｰ―:＜: :/ /::::::::j'
　　 　 /:ｲ　 　 　 　 .|/ jl、〈〉ﾄ､::::::::::/:/ /:::::／　　　　　　　　　 「お疲れさまでした。
.　 　 // l　　　　ｊ　　　＼ヽ__｣　}>''⌒ヽ/:／
　　 // /!　　 　 {　,.-―代{⌒}ｲ＼ 　　 !　　　　　　　　　　　　　　　ここまで来るのにたくさんの職人さんたちが
.　 ////ﾊ　　 　 ∨: : : : : :｀¨¨´: : :ヽ{.　l
　/////∧　　　　|)）: : : : : : : :ヽ: : : :.＼l　　　　　　　　　　　　　　　　かかわってるんですよね〜」
　//////∧ 　 　 |)）: : : : : : : : j: : : : : : ヽ
　///////∧.　　 |_::::::::::::::::::...ｲ::::::::::.:.:.:.::ﾉ
　////////∧. 　 !)）ー‐:＞'⌒ ＜:::::r‐iﾞ



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538： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:25:27 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　「以上が手描き友禅の大まかな作業工程だ。

　　　　　　　　　　　　　続いて型友禅だが、この型友禅というのは防染を型紙によって行うことで、

　　　　　　　　　　　　　　挿し友禅のような手間を短縮させることに成功した技法だな」


　　　　　　　　 　 　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 ｀,
　　　　　　　　　　 ｌ　 　 　 　 　 　 　 i
　　　　　　　　　 　| 　 ＿＿ ノ　 　　 ）
　　 　 　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー ､
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　 ／///////,ｲ/∧　　　　 ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶
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//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
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／////777777＞ xv////////＠jー ､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「マスキングテープ山盛りでフィキサチーフ吹きまくりってことかお」
　　　　　　　 ／.:￣￣￣￣￣ .＼
　　　　 　 ／: : :　　 　 　 　 　 　 ＼
　 　 　 ／: : : :　　　　　　　　　　　　＼　　　　　十
　 　 ／: : : : : :　　　　　　　　　　 　 　 ＼.　 　 　 　 　 |　　　　*
　 ／ : : : : : : :.:.:.:.:　　_　　　　　　　　_ 　 ＼.　　 　 ＿人＿
　|:::: : : : : : : : :.:.::.:.:´⌒＼,, ;、､､／⌒｀　 　l　　 　 ￣｀Y´￣
　|:: : : : : : : : :.:::::;;（　● ）　ﾉヽ　（　● ）;;:: | 　 　 　 　 |
　|:: : :: : : : : : : : : : :´"''",　　　 　 　"''"´　 l
　＼ :.: : : : : : : : . . . . （　　　 j　　　 ）　　／　　　＋
　 　＼:::: : : : : : ::.:.:.:.:.:.｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′／
　 ／´￣￣｀ﾞ'ー､:;:;:;:;:;:;:;_:_: : : : : : : :イ
　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ｀ヽﾉ


.

539： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:26:18 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　「その成り立ちは比較的新しく、型友禅の中で最も有名な写し友禅は、

　　　　　　　　　　　　　明治時代の職人、広瀬治助が編み出した技法になる」



。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。




　　　　　　　　　　　　 　 ,ﾉ |､　,ﾊ　{　ｌ{　　,ｲ　 /　l| ,ィｆ___,ノ）
　　　　　　　　　　 　 ／｢|　| ノ |　＼__ ＼| ｌ|,ノﾊ　ｊ/ /　　,ｨ／|
.　　　　　 　 　 　 　 j　　|　l|＼ｌ|　　 ￣ヽl| ﾘ /ｊ ∨ /　／ ｌ|　ｌ|
　　　　　　 　 　 　 ∧　 l{　lﾄ､ |r‐一'⌒ヽj/ /＿ﾉ /厂 ｌ|　 { ,人
　 　 　 　 　 　 　 〈　i{ |　Ｖ＾ﾞ'ヽ| ｌ　 /ﾄn /／ ｌﾄ‐く/ 　 ﾘ 　 ） ｊ }
　　　　　　　　　 　 Ｖヽ|　ｒ'　__　＼ ｌ{ |＾~　''"}ﾘ 　}|　／　／／/
　　　 　 　 　 　 　 __V |l｢,.ｨｆ芥ﾄn､ ＼{　　　厶--┴一ｧ' ／//
　　 　 　 　 　 　 / __ ∨　＿　　ヾ　　　　 　 _,ィｆｶ､　彡′／
　　　　　　　　　 i / ｊ｝ |　 rｰﾃ=ﾐ、　　 　 　 '"￣ヾ'　Ｙ´ /
　　　　　　　 　 人 ＼_,|　 ヽ乂ｔｿ ﾝ　　　　,ｨﾃ=ﾐ_,　　ｊ／
.　　　　　　　 　 　 ＼__|　　　　　 　 , -､　､乂ｔﾂﾉ 　 'K^ 〉
　　　　　　　　　　　　　|　　　　　　　 　 　 　 　 　 /_ﾉ,ﾉ/
　　　　 　 　 　 　 　 　 '，　　　　　＿　　　　　　 /＿／
　　　　　　 　 __.｡ -ｧ ￣ ＼　　　く⌒ヽ　 　 　 , ′
　　　　　　／/　／　／//|/ヽ　　 ｀こ´　 　 ／
　　　　 ／'// , ′ /////,|// ＼　 　 　 イ/∧ ＼
.　　 　 !// / / 　 /'////∧///〉｀７´/〉////∧　 ＼
.　　 　 |//,|　 　 ////////＼//// 〈/__/ ///∧　}　＼
. 　 　 人/ |│　///////////（__）￣//////// i　|　 l/!
　 　 〈///∧|　///////////////////////// | ｌ|　 |/|　　　　　　　【広瀬　治助】
..　　　}//// ∨///////////////////////// l ﾘ　 |'/
. 　 　 |///// i/////////////////////////,/　　／
.　　　 |///// |//////////（__）////////// / /／



〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ



　　　「明治のはじめに、化学染料が海外から輸入された。

　　　　　当時、染色業界では従来の植物性の染色剤よりも鮮明な色彩の化学染料に驚きはしたものの、

　　　　　　化学染料を用いた染色技術を全く持たなかった」


.

540： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:26:56 ID:7AXrt/uY


　　　　「従来の方法で化学染料を用いてみると、化学染料は常温で簡単に染色が出来ることがわかった。

　　　　　　　　だが、その方法を用いて化学染料で染色を行った布の染色は不十分で、

　　　　　　　　　　　色落ちなどがひどく、非常に評判が悪かった」

。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。




　　　　　　　　　　　　　　　『い、色落ちしているじゃないかっ！

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　このままじゃ使い物にならないよぉ〜ッ！』

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／{⌒Y^Yﾂﾍ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /{/{_人　ﾉ　/　ハ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾉ ==ｧ（_f⌒}ノヽ/.ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　//＼_　　r=ﾐ∨ }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　∨〉 〈_e_ U_e_〉u}く
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {∧U　　 ^ 　 U }ﾘ}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　人∧u　(三_) u ﾉノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　ー' ／}_r── ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 }≧F}ﾆﾉ≧ミ＼ヽ＼＿___
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ二二ニニﾆﾆ＼ﾆﾆ}ニニ＼_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／-{二二ﾆx＜´￣￣＼l|ﾆﾆ／⌒＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆニ{ニﾆ／ oニニニニﾆ}￣∨ニニ∧
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 ∨ﾆﾆ{-／ニニ o二二ニﾆ}　　 ＼ﾆニ人
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 人ﾆﾆVニニニニニニニニ）　　　 ＼二 }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾆﾆﾆﾆ八ニニニニニニﾆﾆ｀＞　..,　〈｀¨´}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 /ニニﾆﾉ 　＼ニニニﾆoニニニニニ}　 ｀¨´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 {ニニ／　　　 }ニニニニニニニﾆﾆ.ノ


〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ


　　　　　　　　　　　　「この化学染料による染色業の混乱は明治十年頃まで続く」


.

541： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:27:22 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　 「前回出てきた槇原正直が、京都振興の一環として舎密局などを立ち上げて

　　　　　　　　　　　 化学染料の使い方や性質などを研究したりもしてる」



。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『第二代京都府知事だぜ』

　　　　　　　　　　　　　　　　/,ク::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　 .／::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;ｨ:::::／l::::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　　/::::::::::::::::::::::::::::::;::::::::／/:／　　,::::::::::::
　　　　　　　　　　　　　　 _レ::::::::::::::::::::::／_￣´　 / ⌒ ヽ ヽ;::::::::
　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::::::::::::::::/ﾚ/　 ｀　　　,　 　 　 , .＼:_
　　　　　　　　　　　　　　　 ＼::::::::::/　,　　　 l　　　.∩　　 i　　l::
　　　　　　　　　　　　　　　　　＼::::ヽ　、　∩, ,、　　ー　 ´　　:|::
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヾ二ヽ　　　　｀′　　＿＿　　 V　　　　　　　　　　【槇原　正直】
　　　　　　　　　　　　　 i^,　　　　　￣ l　 　＿　 -　　　　　ヽ ./|
　　　　　　　　　　　　.　.l　l　　　　　　 ゝ　 、　　 　＿.　-= .ﾉ,　|
　　　　　　　　　　　　、 .l　l　　　 　　　　＼ヽ＿＿＿　＞'"＿__|
　　　　　　　　　　　　.ヽ」　ヽ＿　　　　　　 ｀＞　_　-　　 / l
　　　　　　　　　　　　＼_,,r-一 _⌒ヽ＿＿__/ヽ　.|　　　./　i!
　　　　　　　　　　　　　「_ ヽ￣ T　　l　　　/　ｨヽ !　　 /　 .i!
　　　　　　　　　　　　.f´　＼」　 !　　l　　./／　　.i!.＿/　　 |_／
　　　　　　　　　　　　. ヽー一′、　 l　　´　　　/　O
　　　　　　　　　　　　　 l＼　　　　　.」
　　　　　　　　　　　　　 l　 ＼　　　　j
〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ




　　　　　　　　「この混乱の中『紺屋』といわれる紺色の染め物の専業集団は、

　　　　　　　　　　化学染料を用いた型付染色法にたどり着き、現在の写し友禅の基礎を作った」



.

542： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:28:18 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　「この写し友禅を作った紺屋が、広瀬治助ということだ」


。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。

　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣≧ｘ
　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 ￣}
　　　　　　　　　　　　　￣￣￣￣＼ |＿
.　　　　 　 　 　 　 ＼ｰ────==ミ　 ）＿＿,ノ＼
　　 ﾄ　 　 　 |＼￣￣＼　　　＿＿ 　 ＼　　　　　　ヽ
　　 |ｌ ＼　　 |＼ ￣￣￣￣￣￣＼ヽ.　 |￣｀ヽ　　　∧
　　_|　　 ＼__|　 ＼　ｰ-　一'⌒　 /{│　|＼　 }| ｊﾘ 　 /
　　＼＼ 　 ヽ!　　 ｉ＼＿＿__　　 { l|│ 人　} ノ （　ｌ /
. 　 　 ＼＼　 |　　 ＼ ＼＿_ ＼　　＼ヽ ''"｀＾￣＾⌒
　　 /￣ ﾟ， ＼＼　　 ＼＿___￣￣｀ヽ　　し　　　 　 ﾊ
.　 /／￣‘，　 ＼ヽ＿＿__,ｚ=-─一'　　　　　　　　,州n
　 ￣￣￣ ∨　}　　＼__／　 ,∠三　　　　　　 　 rｆ汐^'ﾟ，
　　＼　　　 |　 l__　　　　　 /ｰ= 　 　 し 　 　 　 }ﾘ/　 ,　　　　　　　　　　　『そうか、この化学染料と澱粉、それに
.　　 __＼＿ ＼＿＿＿＿_/￣ﾉ　　　　　　ﾉ}ノ　u　 ｆ⌒´
　　‘｡　　/二二＼ 　 -‐==彡'　/王ニﾆ彡'　　J　　_込ｊハ　　　　　　　　　　　これを混ぜれば……っ！いけるぞ』
.　 　 ＼/　　　　＼＿　 ,ｚ≠　 {ﾚ' 　 _xｨｆ⌒　 　 　 '⌒ヽ　ﾟ.
　　 　 /'⌒ヽ　＼　￣_/　（　Ｕ　 　 ﾉ　　込ﾘ/　　　　　　　 ｡
　　　 ﾉ＿_／＼　 r‐‐＜ﾆ彡 　 }　ｌ　 ＼__／／　 　 --､　 ！
　　'⌒ヽ　　-──|　r┬‐､￣　 し'　　　　／　U 　/ｰ一ﾍ　 |
　　　　　＼__／了ﾊ. ｌ│（ ト　　　 　 　 　 　 　 　 {　 　 〈 {　|　 　 ,へ、　 ｘ┬─‐､
　　　　 　 　 　 ﾉ /∧_ ＼＞─ ､　　　 し　　　　　ﾄ----ク　| 　 /　　 Ｙｰ{__l＿＿ﾘ
　　　　　　　　///////｀ー‐一'＾＼　　　　 　 　 　 ー一'__ﾉ |　　＼__,ノ　 / {　　 } ）
.　　　　　　　////////∧/////＼_≧‐-　　＿＿＿　　　／　 　 /　　　 {__ﾉｰ一く
.　　　　　 ／//////////＼///// / 〉//////////＼￣　　　　 ＼　 ＿　{＿＿__}
　　　　∠////////////// ＼_//〈_/////////|////　 　 　 　 　 /7　　ｆ´　　 ﾉ ）
　　　//￣￣＼///////////////////＿__///|///　　　　 　 　 /〈　　 ‘ｰ─ｧ‐'
　　　＼//////＼///////////￣￣／　 /___/,|///〉　　　　　__/＼＼＿__／|
　　　//＼////// ヽ//////// 　 ／　　 /　　ヽ|///__　　/￣//＼　＼/////
　　　////＼//////∨/////　　　　　　　　ﾉ ／ヽ///|￣}///////＼__￣￣{
　　　//////ヽ /////∨///　　　　　　　／　　　////,|/////////////￣//

〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ o。。o ﾟ〇ﾟ


　　　　　　　　　　　　　　　　　「この写し友禅、当初は『紛い友禅』と呼ばれていたが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　今日の友禅染の隆盛は写し友禅の開発によって可能になった

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　量産によるところが大きいのは間違いない」


.

543： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:28:34 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「それじゃ、型友禅の大まかな作業工程を見ていくぞ」

┌────────┐
│　..構想・図案..　　　│ 　 　 　 　 　 　 {.!
└────────┘.　　　　　 　 /´´ h
┌──────┐　　　　　　　　　　{　　 ﾉ. 　 　 　 　 ,　-‐-
│　..下のし.　 　 │.　　　　 　 　 　 ﾉ⌒ｙ'　　　 .　 　 / 　 　　　 ヽ
└──────┘.　　　　　 　 　 ':.:.:.:.i:{.　　　 　 　 ′ 　　　　　 |
┌──────┐　　　　　　　　 ':.:.:.:.:|',　　　　　 　|　　　　　　　|
│　..地張り.　 　 │　　　　　　　　,:.:.:.:.: | }　　　　　　.{　　　　　　/　　　　　　　　　「とはいえ、一部の工程以外は
└──────┘.　　　　 　 　 ,:.:.:.:.:.人､､__　 /ﾆ=-ヽ　i　　　 {
┌──────┐　 　 　 　 　 弋:.:.//:.:.:.:.:.:.⌒ヽ:.:.:.:.〕iト=ﾆ二二､　　　　　　　　　　　　手描き友禅とかなり似通っているんで、
│　..型紙彫刻.....│.　　　　　　 　 　 ≧s｡:.:.＼ヽ､}:.:.:.:.:.:.:.:.:.}￣￣ノ ≧s｡
└──────┘　　 　 　 　 　 　 　 　 〕ｈ､:.: ﾉ:.:.:.-=ﾆヽ!:.:.:./ﾆﾆ=-ヽ:.:.:.ヽ　　　　　　　　　　違ってるとこだけ触ってみることにする」
┌─────┐　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ,∧＿ノ-=ﾆニﾆ〕ニニﾆ=-!:.:./:.}
│　..配色...　　│　　　　　　　　　　　　　　 　 Ⅵ-=ﾆニニニﾆ!ニニﾆ=-}ノ{:.:,
└─────┘　　　　　　　　　　　　　　　　 Ⅵ-=ﾆニニニ !ニニﾆ=-!//:.:,
┌───────┐　　 　 　 　 　 　 　 　 　 )ﾉ-=ﾆニニニ〕ニﾆﾆ=-}//:.:.:,
│　..色合わせ...　　│　　　　　　　　　　　　 　 /:.-=ﾆニニﾆﾆ!ﾆﾆﾆ=- !/,:.:.:.:.,
└───────┘　　　　　　　　 　 　 　 ,:.:.:.:.-=ﾆニニニiニﾆﾆ=- !'/,:.:.:.:.,
┌──────┐ 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /:.:.:.:.-=ﾆニニニiニニﾆ=-〕 '/,:.:.:.:,
│　..型置き　　　│　　　　　　　　 　 　 　 /:.:.:.:.-=ﾆニニﾆﾆiニニﾆﾆ=-､.'/,:.:.:.i
└──────┘　　　　　　　　　　　　/:.:.:.／i-=ニニニﾆiニニニﾆ=-Ⅵ/,:.:.}
┌──────┐　　　　　　　 　 　 　 乂:///}-=ﾆニニニ!ニニﾆﾆﾆ=-',}/,:.:.:!
│　..地染め...　　│　　　　　 　 　 　 　 　 　 ￣〕-=ﾆニニﾆ!ニニニﾆ=-ノ}!/,:.:.}
└──────┘　　　　　　　　　　　　　　　　!///‐=ﾆ二!二ﾆﾆ=- ≦　７⌒ヽ
┌───────┐　　　　 　 　 　 　 　 　 　 '///////∥//////// ,.八 /´ ヽ
│　..蒸し・水洗い....│　　　　　　　　　　　　　　　'///////, .∨/////// ヽ ヾ〈}リ
└───────┘　　　　　　　　　 　 　 　 　 '//////.,　 .∨///////, ∨::ﾉ
┌──────┐　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }/////.7　 　 ' ///////,　Ⅵ
│　..上のし.　 　 │　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }/////,　　　　 ∨///// ,　｀'
└──────┘　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }/////i　　　　　∨/////〕
┌─────┐　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 }/////}　 　 　 　 '//////!
│　..補正...　　│　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '/////i　 　 　 　 }//////}
└─────┘　　　　　　　　　　　　　　　　　　'/////〕　　 　 　 '///// 7
┌─────┐　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 {/////〕　　　　　 !/////7
│　..加工...　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　'////.7　 　 　 　 {////.7
└─────┘　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 '///.7　　　 　 　 !////,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 }///.!　　　 　 　 }////i


.

544： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:28:58 ID:7AXrt/uY


　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「手描友禅との違いは、
　 　 　 　 　 |. 　 ＿＿
　 　 　 　 　 |. ／　 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　 各種の糊置きの代わりに型紙を使用するために
　 　 　 　 　 |/　ノ　　　　
　 　 　 　 　 | 　 ┃　┃　}　　　　　　　　　　　　　　　型紙彫刻などが入っていることだな」
　 　 　 　 　 |⊂⊃　,　,⊂⊃
　 　 　 　 　 |　　 ｀⌒´　 }.　　 /^）
　 　 　 　 　 |　 　 　 ＿_/＿／ ノ
　 　 　 　 　 |　 　 ／　　　　　　＼
　 　 　 　 　 |｀　 / 　 ⌒　　　⌒　ヽ
　 　 　 　 　 |　 /　　 ┃ 　 　 ┃
　 　 　 　 　 |　 { ⊂⊃（　　,　 ）⊂⊃}
　 　 　 　 　 |　 ＼　 　 ｀¨⌒¨ 　 　 /
　 　 　 　 　 |　 ／　　　　　　　＿／
　 　 　 　 　 | ´　　　 　 　 /　　　|
　 　 　 　 　 |ーイ.　　　　/　.／　}
　 　 　 　 　 |　/　 　 　 （_／
　 　 　 　 　 |　　　　　　　　 　 　 |　　　　　　　　　　　「型紙ってのはさっきもいってたマスキングのことかお」
　 　 　 　 　 |　|　　　　　　　　　　|
　 　 　 　 　 |　|.　　 　 　 　 　 　 !
　 　 　 　 　 |　}　　　　　＿＿　 /
　 　 　 　 　 | （_/￣￣｀¨　└∨＿
　 　 　 　 　 |、/////////////////）
　 　 　 　 　 |　￣￣￣￣￣￣￣￣
￣￣￣￣￣


.

545： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:29:16 ID:7AXrt/uY


　　　　 　 　 　 　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　 　 .||　 ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　 　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　 　 |: :./: /: :// /'　　 　 　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!　　　　　　　　　「順繰りにマスキングしていって染料を塗り付けるわけね」
　　　　　　　 　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　 　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　 　 　 　 　 ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た ｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　 ﾚ |:./ ' 弋歹 　 　 　 　 　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　 　 　 　 　 　 ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　 　 　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　 　 　 　 　 |:', : : : ＼　　　　　　　　 ／/: :./: !　　　　　　　　　　　「手描き友禅に比べてみたら
　　　　　　　　 　 　 |:ﾍ: : : : ',: i＞ ､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!　　　　　　　　　　　　　たしかにずいぶんと簡略化されてるわね」
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　 　 　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞ ､　｀≧､
　　 　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　 ／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |



　 　 　 　 . ／⌒￣￣￣￣X⌒＼
　　　　　／　　 　 ＿＿ 　/　＼ 　)
.　　 　 /　　　__／:::::::::::::>ﾄｰ､　}
　　　 / 　 .／:/:::::::/:::∠ｌ/ヽ::::V
.　 　 { 　 /:／!::::::┼チ　 ｀ヽl:::ト､
　　　 .＼{:/::: |::::::::|匁^ 　　^|:::|　Ｙ「￣￣￣￣⌒＼
　 　 ／｢:/:／|::::::::l　　 　 ｆﾘﾊ:ﾊ　l |　　　　　 　 　 /
　 ∠／://::::::|:::::: |　　､_ '　ﾙ:厂⌒＞ｒｒ──＜ノ/
　　..〈///:/:::::|:::::::ト　 　 イ:::::厂￣く. |:|　　　　／
.　　　〈/:/:::∠!::::::Ｆ<チ＜〉ｨ〈. 　 　　ヾ＼r＜｢
.　　　〈::＞'ﾞ　 ヽ:::ﾄ､ヽ::r-{:::::〉〉 ､　　　 ∨::::::/
　　　../￣⌒　　リ　} l::>┤::{ { ＼> 　 　 ＼/　　　　　　　「糊を伏せる手間とかがなくなってますし、
　　　..!　　　　　∨ ´￣￣ヽ:リ､　　　　 　 | |
　　　..l　/ 　 　 /　 　 　 　 | |::|ヽ ＼　 　 | |　　　　　　　　　 刷毛や筆で染料を塗りつけていくことができますからね」
　　　 ∨　　 　 |/　　　　　 | |::| .ﾊ.　 ヽ　 j j
　　 ／　 　 　 / 　 　 　 　 | |::|/|:.|＿／V /
. 　 {. 　 　 　 /-──- ､ 　| |::l　|:ｊ＿／厂
　　 ＼＿＿└＜￣ Ｔヽ＼| |::|　|:.:.:.:〉::::〉
　　　...ヾー-ミﾆﾆ＞┘　〉-┤|.　|:.:./:::::ﾉL、
　　　　}　　 .:.::|::/ 　 ミ7＝=|::l=-ﾚヘ∨::::リ、
　 　 　| 　　 .:.j/ 　　V 　 　.|::|　 ト､::::＼::|/:ト､
　　 　 i　 　 .:./　　　〈. 　 　 |::l　 ヽ ｀┬＜::::}:人
　　　..「´　 .:/　　　　 ヽ　　 |::L､　 |　 ＼:::V:ﾉ/::!
　　　 |　　　|　 　 　 　 ヽ.　 ｀ｰ､ヽ !　 　 ゝV/:::ﾘ
　　　 |　　　|　　　　　 　 Ｙ＾ヽ　|::| |　 　 　 ヽ=ｲ、
　　　 ﾄ､＿ｲ!　　　　　　　|::::::|　|::| |　　　　　{::::リヽ
　　　..〉─‐{|.　　　　　 　 |:::: l　|::| |　　　　　 〉:::::::::〉
　　　 !　　i ||.　　　　　 　 |:::::l　|::| | 　 　 　 //::::::/
.　　　ヽ､_､J| 　 　 　 　　 |::: l　|::| |　 　 (_ノ::::::::::{
　　　　　　 ..| 　 　 　 　　 l:::/ /://　　　　ｲ:|:::::::::ﾄ､
.　　 　 　 　 |　　　　i　　　｢´/:/ {　　　 　 |::|::::l::::ヽ



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546： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:29:45 ID:7AXrt/uY


　　　「それでも型紙を切る手順は相当面倒臭そうであります」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿＞ミ　　　　　　　 ＿
　　　　　　 　 　 　 　 　 _,.｡s≦二ﾆ=‐　　　　≧s。　｡s≦ 　 }
　　　　　　　　　　　 ィi〔 |二ﾆ=‐　　　　 /　　　　　　　　　　 ,
　　　　　　　　　　〃　　ｉ|=,! 　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　廴
　　 　 　 　 　 　 　 　 ／　| 　　　　　 ,　　　　　 |　　　　　 /　}
　　　　　　　　/　　 ／　 　| 　　　　　f　　　　　 i| 　 　 　 /　 乂
　　　　　　　 /　　,/　 　 /i|　　　　　｜　/　 　 ｜　　　 /} 　 ∧ ＼
　　　　　 　 　 　 /　　　 ＼　　　　　｜,/￢-ミ., | 　 　 /　,　 　 } 　 }
　　　　　　 /　　/　　　　 　＼　 　 　 ,x笊芥ミｔ､}　　 ,/　 i}　　 ,
.　　　　　 /　 　 ∨　　　　　　ﾊ　　　ゝ hr:(　 　 |i　／ ヽ ｉ} 　 /　 /
. 　 　 　 /　 　 　 ∨　　　　　 }}　　　|　乂少　　,／　笊ﾐ ,'　 /　 /
　　　　 /　 　 　 　 ∨　　　 r/,}　　　l　 　 　 　 　 　 h( /　 /　 /
　 　　　　　　　　　　 ｱ、____,{/,'|　 　 ｌ　 　 　 　 　 　 vﾘ,　 ,′ /
　　　/　　　　　　ィi〔　　|∧ ⌒　　　 |　 　 　 　 　 　 ' 从 /　 /
　　 ,　　　　　　ア‐==≦| 　, 　 　 　 i| 　 　 　 　 ､ 　 / { /　 ,′
.　 /　　　｡s≦,'//////,'|　∧　 　 　 |　　　 　 　 　 ‰ Ⅳ
　/　　　 ∨,'////,'＞''´i|　　 ＼　 　 |i　　 　 　 　 /　　/　/
./　　　　　∨＞''´　　　 |　　 　il＼　 !二≧=―く /　　/　/
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　　　 　 　γ二ニニﾆﾆ,| 　　　i|≧s。 }=,}__　ｉ| ,' ／
.　　　　　　{二二ニニニ| 　　　i|二ニﾆﾆ,{{{}　 ／
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|＜ ⌒ミｔ､く廴|_
.　　　　　　|二二ニニニ| 　　　i|　　　　 　 }}　　 ミｔ､　_
　　　 　 　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|　　 ＿＿_,}}　　　　 Y　＼
　　　 　 　 ‐=ﾆﾆﾆニ二,| 　　　i|ィi〔　　　　　〕iト　　 i}　 　)K
　　 　 　 　 〈∨{ ∧二ﾆ| 　　　i|　　　　　　　　　　 〕iト　 /　 ﾊ
　 　 　 　 　 ∨, __∧二!| 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　 〕iト }
　　　 　 　 　／ 　 　 　 | 　　　i|　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ＼


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ ヽ､,__　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （●)（● ）　　　 |　　　　　　　　　　　　「そりゃそうだけどな。
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （_人___） 　 U　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　それでも型紙があれば同様の型友禅が
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／-‐ 　 ｀i ､ ＿__,.　イ i　　　　　　　　　　　　　　　　　作成できるという利点があるからな」
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {/´､　　 　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　 しrヽ　　　　V:::Λ　 ／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　 　 　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }　　　　　　　「型友禅の種類の説明については
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　 　 　 　 　 　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j　　　　　　　　　こちらも時間の都合上割愛させてもらうぞ」
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ

.

547： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:29:57 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「さて、型友禅、手描き友禅。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　いずれも多くの工程と専業職人がいる以上、
　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_　　　　　　　　　　　 それをまとめる総責任者が必要になってくる」
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



. . . . . . . . . . . . . . .ヽ
. . . . . . . . . . . . 人'ヽﾍ
. . . .＿,. ｪ ― --ｧAﾍ,ム-‐-. .,
＞ ´／: : : : : :.／"ﾍ:ﾄ,:≧,ヽ: : : ヽ
: : :/: : : : : : ／　　　|:|　　ﾊﾄヽ: : : ﾄﾊ,
: :/: : : : : ,ｲ/　　　　|:|　　　',ﾄ:ﾊ: ヽ: :､ﾍ
:/: : : ::フ7ｲ―‐--　|:|　　＿i|ﾑ: ∨,: : ',ﾄ',
': : : :/'　'　 ＿,　 　 i;'　　　 /￣ト,: :ﾄ: :ﾊﾘ
: : :≦ィ元ﾊ气｀　　 '　　　　=_　∨i: :∧:',
　∧､弋::::::ﾊ　｀　 　 　 　 仍ｶヽ ﾄ|: 'i　,:}
イ 　 　 ｀ー'　　　　　　 　 壮ﾘ ﾘ,'从:|　ﾘ
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ｀,´　i　ﾊﾘ　'
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 '　　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　,
､　　　　　 　 　 　 　 ｀　　´　　/　　　　　　　　　　　　　「それはそうでしょうね」
: :i　､　　　　　　　　　 　 　 　 /
ﾍ:| 　 ヽ　　　 　 　 　 　 　 ／
: ヽ　　　　｀　 ､　　　　　／
: : : ＼≦　　　　≧. ―,'
.´.｀.ヽ≧､三三三＝､: ﾍ
. . . . . . ｀ヽ: ≦三三ﾆﾊﾍヽ
. . . . . . . . . .ヽ:､＜三三,.ヽ＞､
. . . . . . . . . . .ﾊ: ヽ. .＞ｭ｣＞ｰ '＞ ､
. . . . . . . . . . ..ハ: ﾍ. . . . .｀. .ｰ. ､. . .＞ｰ､
. . . . . . . . . . . . . ﾄ: ﾊ . . . . . . . ⊂⊃｀. ヽ｀ー. -. .,_
. . . . . . . . . . . . . .ﾊ: :' , . . . . . . . . . . . . . .ﾊ. . . . . . .｀ヽ
. . . . . . . . . . . . . . . ハ:ﾍ. . . . . . . . . . . . . . ', . . . . . . . . ',
. . . . . . . . . . . . . . . .|.∧:}. . . . . . . . . . . . . .,'. . . . . . . . . .i
. . . . . . . . . . . . . . . .|. . i,'. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .'
. . . . . . . . . . . . . . . .|. . ﾘ. . . . . . . . . .○. . . . . . . . . . . /


.

548： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:30:29 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　　「その作業のまとめ役、責任者は友禅の業界で『染匠』あるいは『悉皆』と呼ばれている」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　 　 　　 i 　　　　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 l　 、__,ィ、　　　　　 ＼
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 V　 ﾍ _ノ-､　　　　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　｀ゝ 、___ノ　　　　}　　　＞、＿　　　__
　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､丿_ ,.　　 　 /}　 ／/ : :/. : 二ﾆ{　｀ﾏ:ヽ　,.- ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ｀ヽ 、　　/;:' ,.ｲ / : : :i : : : :.｛¨V　 ＼:Y　 /
　　　　　　__　　　　　　　　　　 　 　 　　　 `-ｭ＜ｨ＜／ ,ｨ'"´ : : : : ∧　＼　 ∧　{
　　　　　 (　｀､　　　　　　　　　　　　　　 _／イr;;;;;/У: :｀ヽ､ : : : :i {　' ､　　ヽ　 ｀ﾄ､
　 r-、　　ヽ ∧､　　　　　　　　　　　　　{ : :ﾉ/〉-{／ : :／ : : : : : :i :〉、　ヽ　　　　',ﾊ
　 } r-、　　〉、　ヽ　　　　　　　　　　　　｀､| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ｨ:(　＼　_ヽノ　　}:ﾊ
　 } }　 {_／　{　　 {、　　　　　　　　　　　}λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ﾍ　 . : : : :　　r）､:
　 } }　 {r-､　,'⌒　　',　　　　　　　　　　/:'〈:'|;/ :.／ : : : : : : : : : : :V: :.｀ヽ : : : : ._// : :
　 ヽ}､ .i　 { r-､　　 人ｭ､　　　　　　　 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'､: : : : 〉二ﾆ／ : : :
　　　⌒}､└i　'ト ィ　ﾉﾉ:.｀ヽ､　　　　 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
　　 　 　 ⌒--へ　 // : : : : ＼　　 r'´｀.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
　　　　　　　　 ',ヽﾆノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :



　　　　　　　　　　「そして悉皆の役割は、それぞれの分野作業に卓越した技術者の力量を、

　　　　　　　　　　　　一枚の反物にいかんなく発揮させるための監督であるにとどまらない」


.

549： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:30:45 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「現代の悉皆は、染め物の商品企画ｌ、

　　　　　　　　　　 ／￣￣＼　　　　　　　 マーケティング、関連業者への支払いなどの
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　 ＼
　 　 　 　 　 　 （●)（●.)　　　 |　　　　　　　金融調節といった役割も担わなければならない」
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　 　 　 　 '､　　　　　　 │
　 　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　 　「r'、　　　　 ／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　 Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　 ＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|



　　　　　　　　　　 ﾊ::.v ´: ; :ィ: : : : : : /: ／　　　〃　 i: :ﾄ: : : : ∨
　　　　　　　　　　　>:'ィ : : /: : : : : ,イ／　 　 　 '/　　,':.ﾊ: : : : : ',
　　　　　　　　　　/',ｲ: : : :,': : : : ム/, '　　　　　/　 　,':'　 i: : : ﾄ,:.i
ｬ､　　　　　　　 ,ｨ': :,': : : :.i: : : ｲ'　/' ≧ｰ-　__/,,　 ､_/ﾑ -i: : :ハﾘ
　｀≧ ｰ - ‐ イ: : : i: : : :ｲ|: :/^'　 ｨ ´て下｀v'　　　 7ｨ示､': : ,'　ﾘ
ﾆニ二:-:‐:‐:‐:-: : ﾑ: : : 'v:./ゝ　　 ゛ ﾋ心' 　 　 　 　 仍 从:./　 '
ァ: : : : : : : : : : :／: !: : : : |,ﾍ_　　　　 'ｰ'　　　　　　　'-' ﾘ:／
: : : : : : : : : :／: : : :i: : : : :' : ﾊﾍ　　　　　　　　　　,　　 /ｲ
: : : : , : : ≦:_:_:_:_,:rﾍ: : : : : :ﾊﾍ ' ､　　　　　＿　　　　　, '　　　　　　　　　　　「マネジメントの能力が要求されるのね」
＞:´: ,r‐≦ ､ヽ￣　 ∨:ﾍ: : : :',. '.､　 ,　　 （＿_ｱ　　 ／ヽ
: : : /. . . . . . . . ＼ヽ　∨:',: : :.∧. .｀ ､＞. 、 　 ,　＜',. . . .)
: : /. . . . . . . .ｬ. . ..＼｀ ハﾍ: : : : ',iiiiiii^ﾍ三｀イ: : : : :.i. . ./
: i'. . ＞. .´. . . . . . . . .ヽ Vﾍ,: : : : ﾊ７ハ､ｰ-<ﾊ: : : : :'. r'
＞. ´. . . . . . . . . . . . . . ∨. ..∨: : : <. .|.iii,ﾊ ∨ﾍ: : : i. ハ
. . . . . . . . . . . . . . . . . . .ﾊ. . . ﾊ: : : |. . ﾘiii. ',. . /i: : :,'/. . {


.
550： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:31:13 ID:7AXrt/uY


　　　　「その通りだ。しかし、ただ、マネジメントが出来ればそれで足るということではない。

　　　　　　友禅染に関するあらゆる知識と知恵、経験を持っていないと、

　　　　　　　　　専門家たちの調整役にはなりえない」


　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　 _,ノ　ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　 　 （●）（● ）　 　 |
　　　　　　　　　　　　 　 （__人___）　　 　 |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　　 　 　 ｜　　　　　　 ｜
　　　　　　　　　　　　　　　|　, 　　　 ／_.{
　　　　　　　　　　　　　　　｀ｧﾆニ＜／／〉、＿_　__
　　　　　　　　　　　　　　 ,./ /＼　 ／ : : : : : : ＞ : :＼
　　　　　　　　　　　　_／ /|ｲ:::::/∨. : : :l: : : : : : : : : : :.丶
　　　　　　　　　　／. : : : :| ./｀Y / : : : 」: : : /: : : : : : : : }
　　　　　　　　　,´ : :/: : : :| ｉ::::::|/ : :／: : : ／: : : : : : : : :|
　　　　　　　 　 { : :/. : : : :|/:::::/ : : : : : : : | : : : : : : : : : ,'
　　　　　　　　/ : :,' : : : : : |::::/ : : : : : r---く´ニ＼: ヽ:ﾉ
　　　　　　　､'ｰr,_| : : : : : :|:/ : : : : :_/二ヽ　V: : : : ｀ :´
　　　　　 ／ :.／￣＞＜ :./ : : : : :/ 二 ヽ_」┘: : : ∨}
　　　　 / : : :ム　/ : : : :￣￣￣￣~ﾞ''-ゝ.」: : : : : ∨ :}
　　　　{ : : : : : :＼､ : : : : : : : : : : : : : : : :＼. : : :∨ : :l
　　　　ヽ: : : : : : : :￣"＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／ : : :{



　　　　　// ヽ ヽ　　　, -‐　　- ､
　　　 　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　 　＼//////:ヽ　
　　　　 　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y　　　　　　　　　　　　「そりゃそうですよねぇ、本当に大変そうだわ」
　 　　 　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　 　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　 弋ﾘ　仆//////|∧
　　 　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　 　 ､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　 　　|///////..∧
　　　　　 　 ＼//ｒ-､　 　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フ ｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　 　 　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ 　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　 　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　 ヽ　 ＼//|


.

551： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:31:27 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「さて、それじゃここまでざっくりと友禅のことを見てきたわけだが。

　　　　　　　　　　　　 　 　 　／￣￣ ＼　　　　　　　不十分な箇所があるのは申し訳ないがここらで切り上げて、
　　　　　　　　 　 　 　 　 　__ノ　｀⌒　　 ＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （●).（● )　　　 |　　　　　　続いて京以外の友禅を簡単に紹介しておこう」
　　　　　　　　　　 　 　 　 （__人___）　　　　|
　　　　　　　　　　　 　　　, =二ニﾆヽ､　　 |
　　　　　　　　　　　　　/　　二 ヽ､`,┘ 　 ﾄ、_____
　　　　　　　　　　　　 /　　　-､ }、j┘　 ｲ// : : : .｀' ｰ- 、
　　　　　　　 　 　 　 /　　　 /{_/ニニ,´＞/ : : : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　　 _/＿__　ノ : 「r{::::ﾍ　 / : : : : : : : : : : : : : : '､
　　　　　　　　　 / : : : : :ヾﾐ : :.i　r:::',　y : : : : : : : : : :/ : : : : : :'
　　　　　　　　　 : : : : : : : :/ : : ｉ .i:::::i ,i : : : : : : : : : r : : : : : : : :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : / : : : :i i::::::ｉi: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　 　,' : : : : : : : ハ : : : :',i::::::ii : : : : : : : : : :.| : : : : : :／|
　　　　　 　 ,' : : : : : : : /. :ﾊ : : : :',:::::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|
　　　　　　/ : : : : : : :./ :/　V: : : : ',:::|: : : : : : : : : : :| : : : : : : : :|



　　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　ヾ ヾ:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　　/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 　ヾ　ヾ:.:.:.:.:.:.ﾞ､
　　　　　　 /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／|/　　　　ヽ　 ヾ.:.:.:.:.:.:ﾞ
　　　　　　 i.:.:.:.:.:.:.:.:.:./'''/'''''''''',,,,　　l　,,,,ヾ:.:.:.:.:.:.:ﾞ､
　　　　　　 l.:.:.:,_.:.:.:/ィ ｆ::ﾑヽ　　　　!　　'''ヾ.:.:.:.:|.:l
　 　　　　　!.:.:/ |.:./ 弋こCﾉ　　　　! ｆ:ﾆヽヾ､.:.:.!l.i
　　 　 　 　 l.:(　|/! 　, , , ,　　　 　　 辷ﾟノ/l:.:.:./ l
_ 、　　　　　!.:.:ヽ! _、　　 　　　　 ゝ , , , ,/　l.:/ !
ヽ、ヽ　　 l｀i l.:.:.:｀|::..i、　 　 , ー,　　　　/ 　 l/　　　　　　　　　　　「あら、ほかにも種類があるの？」
　 ヽ ヽ /｀ｙ^y^ゝ.:|:::| ヽ　　{　ノ 　　／　 　 !
　　 ヽ y / /　く-´.l_:l_ 　 ヽ、_　 ー:.:.!
　　　 ヽ´　　　 ヽ.:.｀、｀　ー__/_ヾ:.:.:.:ヽ______
　　　　 ヽ　　　　ヽ.:.:､｀ヘ /　/　ヾ.:.:.:.ﾞ､　　ー､
　　　　　 >、　　　 ）.:.:｀ ' - ∧ つ ヾ.:.:.:ﾞ､　　　ヽ
　　　／_／ト-、　/ヾ.:.:.､し #^ ゞ､　　ヾ.:.､　　　ヽー
　　 /　　 /　　｀V　　ヾ.ヽ #　　｀ゞ､ 　ヾ.:､　　　ヽ ヽ
　　 l　　　l　　　　＼　　ヾ#　　　 ｀ゞ　　ヾ　　　 ヽ　　｀ヽ､

552： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:31:54 ID:7AXrt/uY


　　　　　　「いや、友禅と名乗ってはいるが別に友禅斎がかかわってたわけじゃない。

　　　　　　　　　友禅染の流行を受けて、各地でその様式の踏襲、もしくは模倣が行われたんだ」


　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「先ほどの京都染色文化協会さんに倣えば、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　『曲線的で簡略化された動植物、器物、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　風景などの模様を表現する日本独自の染色技法』
　　　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　><￣￣ ヽ　　　　 　　　　の類は友禅と呼べるということでしょうか」
.　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 ＼　　　＼
　　　 　 　 /　　　　　　　　　　. : : : : : : : : : . 　／　　　　　＼　　　＼
.　　 　 　 /　　　 　 　 　 . . : : : : :-―＝＝―/､＿＿＿　　　＼　　　）
　　　 　 .'　　　　　 . : ／:＞: : : : : : : : ／ヽ: /: : : : : : : : :',. 　 　 }
.　　 　 .' 　 　 　 . : : : ／: : : : : : : : :∠:ｚ､ｚ､{／Z､ヽ: : : : :',　　 /
　　　　i　　　　 . : : ／:/: : : : : : : : /　　　　　　 　 ヽl : : : : ',.　/、
　　 　 |　　　 . : : :/: :/: : : : : : : : / ＿_　　　　　　　 |: : : : : ∨､:|
　　　　l　　 . : : :./: :/ : : : : l:/: :/´￣￣｀　　　　　＿| : : : : : :',　＼
.　　 　 '.　　: : :./: : : : : : : : l : /　　　 、　　　　 　 　 |: : : : : :│　　＼
.　　　　 ヽ　: : :|: : :|/: : : : : l:/,彡五ヽ　 　 　 　 'ニ　|: : : : : : |: .　 ／
　　　　 　 ｀ー┤: :j: : : : : : :|/　心jﾘ　　　　　　糸＾ヽ|: : : : : : |: : く
.　　 　 　 　 　 ∨/:_j : : : : :ト　込ｸ　　　　 　 んﾘ　ﾉ}:ﾄ!: : : : ﾊ　. :こ＞､
　　　　　 　 　 /:/:/ |: : : : : |　　　　　 　 　 　 ｀¨　 ,ｲ:|:|: : : /l |: : : : : ／
.　　　　 　 　 /:/:/7ｲ: : : : : |　　　　　　　　 ' 　 　 / ! N:.: :/ :リ: : : ／
　　　　　　　/:.:{:ハ/|: : : : : :|､　　　 　 　 　 　 　 /: :|/ |: /＼: : :／
.　　　　　　/: : : : //|.: : : : : l l＼　　　ｒ'ｱ　　　／_:_:_∠|/　　}／
.　　 　 　 /: : /: :{/ :|ﾊ: : : : | | 　＼　　　　.ｨ:くｒ'ﾞ::::::::::::／
　　　 　 /: : /: : : : :./∧ﾄ. : |￣￣≧辷イ:::ﾉ:::::}:::::::::／
.　　 　 /: : /＞-―<≧::ｌ::ヽｊ＼::::::::::::::::::ｰ'ﾞ::::::八ｰ'ﾞ ＼
.　　 ／ : ／ 　 　 　 ヽ ＼::::::::::＼::::::::::::::::::::ノ::::::>､　　＼
.　／: :.イ　　　　　　　 ヽ　＼::::::::::＞―-::::::::::::::::／＼
./: : : : : !　 　 　 　 　 　 ｌ 　 l＼::::::::::::::::::::::／￣ ヽ 　 ヽ
: : : : : : :|　 　 　 　 　 　 | 　 l　 ｀ ￣￣￣´　 　 　 ） 　 }


.

553： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:32:10 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）　　　　　　　　　 「まずは江戸における友禅。
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|　　　　　　　　　　　　京の友禅とは違って、作業工程のほとんどを一人の職人が行う」
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　─　 　 ─　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ 　 （●） 　（●）　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　 　 　 （__人__）　 　　 |　　　　　　　　　「それは大変そうだお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＼　 　　 ｀ ⌒´ 　　 ,／
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 r､　　　 　r､／　　　　　　　　　　ヘ
　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽヾ　三　|:l1　　　　　　　　 　　　　ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼>ヽ/ |｀ ｝　　　　　　　　　 　　|　|
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ﾍ　lノ `'ｿ 　　　　　　　 　　　　|　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /´　 /　　　　　　　　　　　　 |.　|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼. ｨ 　　　　　　 　 　 　 　　|　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 |　　　　　　　 　 　 　 　 | 　|


.

554： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:32:24 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「江戸の友禅は全体的に地味目で、

　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼ -、_　　　　　　　　　　黒色が主体になった、落ち着いた図柄が特徴だ」
　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ　ヽ､__ 　 /　/ ,〉、
　　　　　　　　　　　　　　 （＝）（＝ ）／　´／ /)
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 （__人＿） {　 　 , ' ´,/
　　　　　　　　　　 　 　　　'､`⌒ ´　 V　__, ＜´
　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　　　　〈´／::::Λ
　　　　　　　　　　　　 　 　 | 　 　 　 ﾔ::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 `ｭ`ｰ─ｰ V::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　　　　　 /ﾑ _ , -.／V::::::::::::::Λ、
　　　　　　　 　 　 　 _,. -／:/:::ﾊ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vﾍ
　　　　　　　　　　／/.／.:::/:::l　y .::::::/::::ｉ::::::::::::::::::.∨}
　　　　　　　　　 j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::ｉ::::::::::::::::::::ﾚ;
　　　　　　　　　i :::r :〈 ::::i::::::::ﾚ .::::::::::::::::::::〉､:::::::::::::::::ﾉ
　　　 　 　　 　 ｉ :::| :::::'., :i::::::/.:::::::::::::::::::::::::::`::-==::イ
　 　 　 　 　 　 | :::| ::::::::', :i::/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,-、
　　　　　　　　　　　　　　 　 ＿__./.,. i
　　　　　　　　　　　 　　,,;;''"::::::/:/‐ 'r‐- 、
　　　　　　　　　　　　／::::::::::::::i::/::i　..::::、.:`:、
　　　　　　　　 　　／.::::::::::::／ i/`‐ｖ';;;;; i.::::::::ヽ.
　　　　　　　　 　/.::::::::::::／　　　　　　 　`i .:::::::::i
　　　　　 　 　　/.::::::::::./_＿_,　　　　　　　│.::::::::i　　　　　　　　「黒はその当時、江戸の人たちに人気があったんですよね〜」
　　　　　　　 　i.::::::::::::i '　　　　　　 _　　　 i .:::::::::i
　　　　　　　　│.:::::::::i-‐‐‐、　 　 　 ｀ヽ、i .:::::::::i
　　　　　　　　/i.::::i::::i.::::::::.　　　　 -‐-.、ﾉ ::::::::::i
　　　　　　　./::::i.:::i:::i　　　　 t　　 ::::::::. /.:::::::::/
　　　　　　 ./:::::::i::`:ヽ.　　 r‐--、　 　 /::::::.／
　　　　　　/::::::::::ヽi:;;;_ヽ,.　`ー‐´　,,./;/;;／i
　　　　　./::::::::::::::::│i`ー`r‐=＝f、/／.::::: i
　　　　 /:::::::;;;;;＿丿 i _.,;ー---,/./´　.::::::: i
　　　 ,;'-‐‐'│ .i　　i,;´ ,;--‐´‐yヽ＿__.:::::: i
　　　/ 　 　 i　 i　　i,´　,,;‐;'ニ二;　i　 i`ヽ:: i
　　 │　 　 i　 i　 / i　　.'',-‐‐-y'　i　 i　　ヽ
　　 │ 　 .i　./　/ ./　　 /　　 /i　　i　i.　　│
　　 │　　i　/　 .i／　　 i　　　 i ヽ 　 i　i　│
　　.│　　i　i　／　　　.ﾉ i 　　´ヽ　.i　 i　i │
　　│　　.ヽ／　　　／i .｀ヽ.　　 ＼i　i　.ﾉ │
　 .│　　／　　　 ／　.i 　 i ＼　　　＼/　 │
　 │ ／　　 　.／i　　 i　 i　　i＼　　　＼. │
　　i/　　　　／i　i　　 i　 i　　i　i＼　　　 ＼i


.

555： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:32:50 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　「その成り立ちは文化文政のころだ。

　　　　　　　　　　　力をつけてきた商人をはじめとした町人好みにより、

　　　　　　　　　　　　　　『粋』と『渋み』が重視されている」



　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　⌒´ ヽ､,＿　 ＼
　 　 　 　 　 　 （●)（●.)　　　 |
　　　　　　　　　（_人___）　　　　|
　　　　　 　 　 　 '､　　　　　　 │　　　　　　　　　　　　　　　　　　「現在では東京友禅というが、
　 　 　 　 　 　 　 }　　　　　　　{
　　　　　　　　　　!､______　.ィ-ｰﾄ、　　　　　　　　　　　　　　　　　　 この名称は戦後、文化財保護委員会により
　　　　　　　　　　　　V／_:_ｭ:-:-: ヽ
　　　　　　　　　　　 {ｬ＜ : : : : : : : : :.　　　　　　　　　　　　　　　　　　つけられた名称だ」
　　　　　　　　　　　／ｰ-、: : : : : : : : : :'.,
　 　「r'、　　　　 ／ : : : : :｀､ : : : : : : : : :'.,
　　　} r'、　ﾍ､ / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
　　　i/ ム､} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
　　　{　い､{　 Ｙ : : : : : .＼ : V: : : : : : : : |
　　　＼　　ヽ　{|V : : : : : : ＼V: : : : : : : :|
　　　　 ＼　　ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|

.

556： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:33:19 ID:7AXrt/uY

　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）　　　　　　　　　　「次は名古屋友禅。
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'　　　　　　　　　　　 こちらも江戸の友禅と同じく色数を少なく抑え、
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|　　　　　　　　　　　　　　落ち着いた調子の染め物となっている」
　　　　　　　 .__　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　 　　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
　　　　 .{ : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '



　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_　　　　　　　　　　　　　　　　　「名古屋でも作ってんのかお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　＼
　　　　　　　　　　　　　　　 ／─　 　 ─　　＼
　　　　　　　　　　　　　　／ （●） 　（●）　　　＼
　　　　　　　　　　　　　　|　 　 （__人__）　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　＼　　 ⊂ ヽ∩　　　　 <
　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |　 '､＿ ＼　／　 )
　　　　　　　　　　　　　　　 |　 |＿＿＼　 “　 ／
　　　　　　　　　　　　　　　　＼ ＿＿＿＼_／

.

557： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:33:34 ID:7AXrt/uY




　　　　　　「名古屋友禅の始まりは享保十五年（1730）で、

　　　　　　　　時の藩主徳川宗春の命で、殖産の振興のためにはじめられた」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　( ●) (●）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　　　（___人__）
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 __／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 / : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



　　　　　　「少ない色数ではあるが、単色をぼかしに用いて、色彩の変化をもたらしたり

　　　　　　　『トロ引黒染』や『三ッ引黒染』などの特徴的な黒色を用いるなど豪華な京の友禅とはまた違った味わいがある」



.

558： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:33:48 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　「名古屋友禅も江戸と同じく、ほとんどの工程を一人の職人が行ってるぞ」


　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　／_ノ　 ｀⌒　＼
　　　　　 　 　 　 　 _　　　 　 　 　 　| （● ) （⌒ ）　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　　　　　　　|　（__人___）　 　|
　　　　 　 　 　 　 ｜ !　　　　　　　　|　 ｀ ⌒ ´　　　.|
　　　　　　 　 　 　 |　!　　 ,.-,　　　　|　　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 _,ﾉ ┴、/ ,/ 　 　 　 ヽ　　　　　　　r
　　　　　　　　　 r　`二ヽ ） i　　　　　　ヽ _ ､___, 　 ﾄ
　　　　　　 　 　 |　 ー、〉 /　　　　 _,,,,ﾉr　 `　　 ／i＼,,,,_
　　　 　 　 　 　 |　　r_,j　j__,,.. r''''"/::;|　＼`'／ 　 ,'::;;;r;;;;;;;;;;;;:: r ‐-、
　　　 　 　 　 　 | 　 ）　ﾉ ::::::::;;;;;;;/::;;;;|　 ／＼　　/::;;; l;;;;;;;;;;:: ::;;;;;;;:: ヽ
　　　　　　　 　 ﾉﾆ-､　,/::;;|:::;;;;;;;;;＞::;;|／(::::ﾉ ＼/::;;;く;;;;;;;;;;;;:: i::;;;;;;;;;;;:: }
　　　　　　　√..:::;;; ヽ､〉;:;;|::::;;;;;;;;{ ::;;;;;|　 "::く 　/:::;;;;/;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;:. ノ }
　 　 　 　 /..:::::;;;;;;;;;;;;;;;〉;;;;|::::;;;;;;;;;:{ ::;;;;|　|:::::::| /:::;;;:/;;;;;;;;;;;;;:: |::;;;;;;;;;;;;;;;;:: }



　　　　　　　　　　//⌒ゝ＜ l　　　　　　　　}＜=＞ヽ∧
　　　　　　　 　 ノ/　　/　　｜　　　　　　　,　　　　　 ＼､
　 ‐====≦_.｡s≦　　/　 　 i|　　　　　　　/　　　　　　　＼
　 }　　　　 { 　 　 　 /　　　 i|　　 　 　 　 ,　　　　　 }　　　 ＞｡.
　 }　　　　 |　　　　 ,　　　　｜　 　 　 　 ,　　　　 　 |　　　　 　 }
　 }　　　　 |　　　　,　 l　　　i|　 　 　 　 /　　 ｌ　 　 i|　　　　　　,　　　　　　　「だから色数を抑える必要があるでありますか」
　　，　　　i|　　 　 {　 |　 　 i|　　　　　/|　 　 |　 　 i|　　　　 　 }‘，
.　　　　　　|　　 　 |　 |　　 八　　　　/　　 　 |　 　 i|　　　　　 ,　 }
　　 ,　　　｜　　　ｉ|　 |------ ､　　 {　l----廴 ＿,　 　 　 　 ,　 }
　 　 ，　 　,　 　　 |´ i|　　　　|　ヽ　 |　|　　 /　 　 } ｀　　　　 ,}
　 　 ﾊ　　　,　　　　㌢笊芋示　　 ＼! ｉ| ,ｨf芋笊ﾐx　　 　 　 /,}　 }
　 　 {∧　 　,　　 　 ゝ ぃ//(　　　　　　{/ ぃ//(　/ 　 　 　 ,′,　 }
　　　{,'∧ 　 　 　 　 ,　乂)少　 　 　 　 　 乂)少 ,　　　 　 / }/}　 }
　　　{/li∧　　 　 　 ∧　　　　　　　　　　　　　　,′ 　 　 /,} }/}　 !
　　　v { /ﾊ　 ‘，　 　i{　　 　 　 　 ,　　　　　　 ,　 　 　 ‰!} ∨ﾊ_}
　　 　 ﾏ,/　，　‘，　 父　　 　　　,　､　　　　　/　　　／ ∧}　∨,/
　　　　 7　 　 ,　八　　 ,　 　 　 　 　 　 　 　 /　　／l/∧__}　　V{
　　　　 ,　　　〈, }　 ＼　', 　 }＞　 　 　 ＜{ , 　 ／　 !///∧　　 l
　　　 　 　 　 //}　　　ヽ , 　|二=≧≦=二|/ ／|　　 |∨//∧
　　　　l　 　 ///!　　 !ｉ　＼/　 /r ,∨　　 ／､ ｜ 　 |i ∨//∧　　,
　　　　 　 　 ＼_|　　 |　｡s〈　 /_{{}}=∨　　　 ｱ_|　　 |　 ∨_／
　　　 ,　　　 ____,|　　 |二ニニﾆ,乂}二ニニニニ|　　 |二ﾆ=‐
　　　/γニニニ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |ニニニﾆﾆヽ　，
　　 ,　 {二二ﾆﾆ|　　 |ニニニニニニニニニﾆﾆ|　　 |二ニニニニ}　 ,
. 　/　 i|二二ﾆﾆ|　　 |　} {　　　　7/　 　 ヽ‐==,|　　 |二ニニニニ| 　 ,


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559： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:34:06 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　「で、最後に加賀の友禅なんだが、これがちょっと問題でな」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／ 　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　　（ ―）　 λ　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　 　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀ ＜　 　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／---‐――--.､ゝ＼　 ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　 ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　 ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼ ＜　　　'　l


　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　 　 　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　 　 　 　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣ ｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ　　　　　　　　　　　　「問題？」
　　　 ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　 ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　 ｲ心 ｀　　　　　^' 仍ﾊ ｀ ﾑ 〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀ 乂歹　　　　 　 　 ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　 　 　 　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　 　 　 　 〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　 　 r -‐､ 　 　 ／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　 　￣ 　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .


.

560： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:34:24 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　「あぁ、加賀友禅の品質に問題があるわけじゃないぞ？

　　　　　　　　　　　　　　　　他の友禅染とは一線を画した武家好みと称され、評価も高い」、



　　　　　　　　　　　／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　 ⌒　｀'⌒　　＼
　　 　 　 　 　 　 |(●.) (● )　　 |
　　　　　　　　　　|（__人___）　 　 |
　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　 　　 |
　 　 　 　 　 　 　 i　　　 　 　 　 |
　　　　 　 　 　 　 ヽ 　、 　　　. {
　　　　　　　　 -≦'ﾄ､ｰｰ-　´　ハ、
　　　　　　／: : : : √ヽ、∠´／／. :ゝ、
　　　　　/i : : : : /「::::/＼ ／. : : : : : : :.＞、
　　　　 iV: : : :/ /:::/　 ／. : : : : : : : : : : : .＼
　　　　 ｉ.| : : ,' /:::::,'　.:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
　　　　 ｉi: : : i/::::::::i /. : : : : : : : : : : : :／ : : : : :',
　　　　 ;.: : : r::::::::γ: : : : : : : : : : : :./ : : : : : : : :
　　　　 i : : : i::::::::/: : : : : : : : : : : : : : : : :ﾉ : : : :i
　　　　 i : : : i:::::/ : : : : : : : : : : : : :.l : : / : : : : :i
　　　　 ' : : : i:/: : : : : : : : : : : : : : :ﾊ :/. : : : : : :i
　　　　 | : : :./ : : : : : : : : : : : : :／ :Y.. : : : : : : :i
　　　　 | : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.|: : : : : : : : :i



　　　　　// ヽ ヽ　　　, -‐　　- ､
　　　 　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ ヽ
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　 　＼//////:ヽ　
　　　　 　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y　　　　　　　　　　　「個人的には加賀友禅は、女が着るなら
　 　　 　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　 　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i　　　　　　　　　　　　　ある程度お年を召した方でないと、
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　 弋ﾘ　仆//////|∧
　　 　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧　　　　　　　　　　　　　　貫禄負けしてしまいそうな気がするんですよねえ」
　　　　.　∨//∧`ｰ'　 　 ､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　 　　|///////..∧
　　　　　 　 ＼//ｒ-､　 　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フ ｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　 　 　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ 　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　 　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　 ヽ　 ＼//|


.

561： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:34:47 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　「加賀友禅の特徴は、ほかの友禅染よりも写実性の高い柄だな」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　__,ノ　 '⌒ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜ 　 (⌒ ) (⌒ ).i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｜ 　　（___人__） i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　 　 　 ﾉ
　　　 __　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　 　 　 |
　　_. }　}　　 r 、　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿　　　　　　 ∧､ 　　　　　　|
　 iハi　i　　 {　'､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／. . . . . .｀ -.. _,. イﾄ､ ヽ､, ____,__ ノ
　 }　}-､i、　 ゝ　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ . : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　＼、　___〈
　.ヽ/ .ﾊ,_￣{、　　｀､　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ　　 ｨ´:::.V、
　　 i　ﾘ　)　ｉ ヽ,　　i､、____　　　　　　　　　　　　　 　 ／. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,√〉:.;〈 r .ヽ＿,.
　　 ヽ,}　{-､　ﾆ-、　ヾヽ .: :｀ﾆ=-- 、＿ 　　　　　 ／ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧}::::::',} : : : : : .`､
　　　　｀ -､_　　　　ﾉ｀} } : : : : : : : : : : : : ｀ﾆ=-､＜ . : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧:::::::', : : : : : : .ヽ
　　　　　　　　｀ ＜､__ﾉﾉ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.ヽ : : : : : : : : : :＞、: : : : : : : : : : : : : : : : ∧:::::',: : : : : : : : }
　　　　　　　　　　｀ﾆ彡" : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞< : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .∧:::', : : : : : : :.r
　　　　　　　　　　　　¨ｰ=ﾆ二､_ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :＞ ´ 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :Λ::} : : : : : : :.}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　¨｀-- 、＿ : : : : : : : ＞' ´　 　 　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : : : : : : : i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ｀　ー　´　　　　　　　　} : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : i


　　　　　　　　　 「また本家の京の友禅の特徴である金糸銀糸や

　　　　　　　　　　　　　 刺繍をもちいることはほとんどなく、派手さには重きを置かぬ質実の気品が見える」



.

562： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:35:10 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　「じゃあ、なにが問題か、というとだ」



　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ　　　　　　　　　「京の友禅は言うまでもなく本家本元の友禅だ。
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !　　　　　　　　　　　江戸と名古屋は各地でその友禅をもとにはじめられたにすぎないし、
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_　　　　　　　　　　それを自認してもいるだろう」
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !


　　　　　　　　　 ／: : ｨ: ´ﾊ: : : ﾍ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
　 　 　 　 　 　 /:/: :/　 ヽ:.∧: : ﾊ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　 　 /:/: :/　　　 ＼ﾍ: : :',: : : :i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :}
　 　 　 　 　 /:/: :/　　_,_ 　　ヽ:∨: ﾏ: : |: : : : : i: : i: : : : : : : : : : : : :i
　　　　　　 /:ｲ: : i　〃´　　　　 ∨ﾏ:',: : |: : : : : |: :.|: : : : : : : : : : : : :|
　 　 　 　 ,'ｲ/: : :r"　 , ｲ≧､　　 ヽﾄ:ﾊ: ﾘ: rヽ: /: :ｲ: : : : : : : : : : : : !
　　　　 　 !ﾙｲ: : i 　 ,ｲﾘゎ ﾉ　　　 'ﾊﾙ:/:/ﾍﾊ: : ｲ: : : : : : : : : : : : :,'
　　　 　 　|'ﾚﾄ:.ﾄﾊ　　乂ﾉ　　　　　 'ハi:./ r,　|: :./: : : : : : : : : : : :./
　　　　　　' ! 'ﾍ: :.}　　　´　 　 　 　 　 'ﾚ　　/: :/: : : : : : : : : : : : ;'
　　　　　　　　　Y　　　　　　　　　　　　' r／: :,ｲ: : : : : : : : : : : : ;
　　 　 　 　 　 　 ,　　　　　 　 　 　 　 　 ﾜ: : :/|: : : : : : : : : : : : ,
　　　　　　　　　　,　　　　　　　　　　　／: :ノﾉ |: : : : : : : : : : : :;'
　　　　　　　　　　 ヽ　- ´　　 　 　 ／≦←―'|: : : : : : : : : : : ,
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ　　　　r―‐'￣. . . ｀.､. {: : : : : : : : : : :.{
　　　　 　 　 　 　 　 　 ＼ 　 ｲ. . .´. . . . . . . i.ﾊ: : : : : : : : : : :.!　　　　　 「えぇ、今までの流れからそういうふうに解釈しているわ」
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ｀_イｸ. . . . . . . . . . ;. ﾍ: : : : : : : : : :.|
　　　　　　　　　　　　　　　ｲ./. . . . . . . . . . . .i. . ',: : : : : : : : : :i
　　　　　　　　　　　　　　r. /. . . . . . . . . . . . .'. . .i: : : : : : : : : ﾊ
　　　　　　　　　　　　　　ﾚ'. . . . . . . . . . . . . .!. . . }: : : : : : : : : :',
　　　　　　　　　　　　　,ｲ. . . . . . . . . . . . . . .i. . . ..|: : : : : : : : : .ﾍ
　　　　　　　　　　　 ／/. . . . . . . . . . . . . . ,'.ｸ. . . |: : : : : : : : : : ﾊ
　　　　　　　　　　／: /. . . . . . . . . . . . . . /.'. . . . .|: : : : : : : : : : : i
　　　 　 　 　 　 /: : /. . . . . . . . . . . . . ／. . . . . ...|: : : : : : : : : : : ﾄ,
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563： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:35:36 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　_,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　 ｜　 　 ( ●) (●）
　　　　　　　　　　 ｜ 　　　（___人__）　　　　　　　　　　「ところが加賀友禅は多少スタンスが違っていてな」
　　 　 　 　 　 　 　 |　　　 　 　 　 ﾉ
　　　　　　　　 　 　 i　　　　　 　　|
　　　　　　　　　_.. ｨヽ、 、___　　　|
　　 , ￢;;-ｰ=≦} : ヽ　 丶__ ___r-´
　/ : :ヽ : : : : : : :| : : :＼　 ｲ::::ﾄlヽ
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: : : : : : : : : : : : : : ＼ : : : ｀､ :::::l, :l : : : : :ヽ.　　　　　　　　　 }／ )　　.{__)
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: : : : : : ｲ´ : : : : : : : : : : : :`､ : V : : : : : :| : :ﾄ､　　　／:rj　　ｲ:...　　..;.:}ﾉ
: : : : : ∧ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :l : : :ヽ_,／ : : {{ 、　ﾙﾆ二ﾆ=r
: : : : /　.V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : :／: : : : : ﾊ　ィｧｰ´
: : : /　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : :/: : : : : : : : ゞ才
: :＼　　　 V : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : : : : : : : : :／´
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

いわゆる加賀御国染と呼ばれる兼房染や色絵・色絵紋の繊細な技法が確立されたことから、
加賀友禅は現在の道を歩み始めました。

正徳２年（1712）京都の町で人気の扇絵師であった「宮崎友禅斎」が金沢の御用紺屋棟取の「太郎田屋」に身を寄せ、
斬新なデザインの模様染を次々と創案。

その傑出した能力で友禅糊の技術を定着させるなど、加賀友禅の発展に大きく寄与しました。

【 協同組合 加賀染振興協会公式サイトより　】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII



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564： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:35:55 ID:7AXrt/uY


　　「おや、加賀では友禅斎が加賀友禅を興したというスタンスでありますか」


　　　　　_{　　　　　　　ｌ　 　 　 　 ｌ　　　　　/　　　 　 |　　　　　 |　 　 |　 |
　　　　/ :ｉ　　　　　　　|　　|　　　 |　　　　 /　　　 　　|　　　　　 |　 　 |　 |
　　　　{　:.　　　　　 　 |　　|＿＿｜ 　 　 /＿＿___　 :|　　　　　 }　 　 |　 |
　　　　i　 {　　　　　　 :|´　:| 　/ 八　　　/　　　 /　｀ :}　　　　　/　　　}　/
　　 　 {　　:.　/　　　　:| ,x芹云ミｔ､ﾟ，　/　 /斧芋笊 ,′　　　 /　　　八,′
　　 　 .　　 ∨ / 　 　 :{ゝにじ(　 　 ヽ/:　　 にじう /′　　　 /　　　/
　 　 　 ∨　 ∨ /　　 ∧: 乂^)シ　　　　　　 乂)シ//　 　 　 .′ 　 /
　　　　 ∧　/ ∨　　:/ ∧＼　 　　　　　　　　　　//}　　　　/　 　 /
　　 　 /　∨　　＼ 　 / ∧　〉　　 　 　, 　 　 　 〈/ｨ　 　 ／　 　 /|
.　　　/　　 Ⅵ＿//ヽ　/ 　＼　　　 　r ,　　　　　 / 　 ／{　　　 /｜
.　　 /　　　 ＼////∧　　　{_　.　　　 　 　 　 　 /　／　 :　　　 　 |
　　　　　　　　/＜//　＼　 :i/}{二＞　 _ イ=|/7/／　　　|　 ／ 　 |
　 /　　　　　///// |　　 ＼ } {＜/7二=〈}二!__／ | 　 　 |／ 　 　 |
. /　　　　　　＼//　:　　　 | ヽ}i:i:ｉ＞｡. ィi〔i:i:i:i:i}ー:| 　 　 |＿＿_　 |
,′　 　 　 ＿＿ ‐= | 　 　 |　/i:i:i:ｉ／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:ｉi　 :| 　 　 |二ﾆﾆヽ |
　　　　 /二二二ﾆﾆ| 　 　 | /≧s。i:i:i:i:i:i:i:i:i:／ ＼| 　 　 |ニニニl |
　　 　 /二ニニニﾆ:| 　 　 |,′　　 ＞｡.＞''´ 　 　 ﾏ　　 :|ニニニ| |
　　　 f二二ニニﾆﾆ|　　　/　　　　　　 |　　　　　　 ＼　｜二ﾆﾆ:| |
　　　｜二ニニニニ|　　 /　　　　　　　|　　　　　 　 　ヽ |ニニニ| |



　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　 ヽ､_ 　　＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （●）（● ）　　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 （__人＿）　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'､｀⌒ ´　 　U　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽr｀ｰ- -=´　i､
　　　　　　　　　　　　　　　　 __,. ＜.ﾑヽ 、､____／ヽ__　　　　　　　　　　　「あぁ、もろにそう言ってる」
　　　　　　　　　　　　_, ､＜¨ : : : : :l : :.ヽ　 ∧::〈ヽi :、ヽ、
　　　　　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :|＿ : :∨　|:;Λ | : :､ : ＞、
　　　　　　　　　　丿 : : : : : :i: : : : : : :／ : ∧　|::Λ |＼> : : : ｀,
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :| : : : : : : ＼ : :.∧ |:::::| | : :ヽ : : : :,i
　　　　　　　　　. i : : : : : : : :! : : : : : : : : ＼ : :ヽ|:::::|| : :/ : : : :i :|
　　　　　　　　　/: : : : : : : : :| : : : : : : : : : : :＼ : '.,:::| : /: : : : :| :i
　　　　　　　　,' : : : : : : : : :丿 : : : : : : : : : : : : ＼::V :/ : : : : :l : !
　　　　　　__/_: : : : : : : : : : / : : : : : : : : : : : : : : : :ﾚ: : : : : : : i : |
　　　　／　　　｀ヽ,:_:_: : : :.Λ.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ,' : !
　　　（__.ィ´ヽ,ム、〉、:ヽУ　V. : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.i : : !
　 　 　 / ゝ/　/ 7-､Ｙ :,′　 ∨ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :| : : |
　　　　ヽ／　/　/ /'Y:ｿ　　 　 }.: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | : : !


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565： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:36:11 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　, .　, _
　　　　　　　　　,r ,､　,. r ´: : : : : : : :｀: : ..､　　 ,. ‐ﾞ"7
　　　　　　　　　! ,' > ヽ: : : : : : : : , : : : : : : >く　´'ﾌ/
　　　　　　　　　},/　　ヽ>: : : :/: /"'ﾍ:ﾄ: : : :ﾍ ',　,〃
　　　　　　　 　 ∧　　/ｲ: : :./: /　　,ﾊ:ﾊ: : : : ヽｸ
　　　　　　　　 i': :',', /: ｨ: : ,ｲ:/　 　 　 ',ﾄ､: : : : :',
　　　　　　　　 |: : : y:ｲ': :/」ﾑ __ 　 　 , ﾄｰ,A: : ﾄﾊ
　　　　　　　　 ',: : /':/´:7　i'__　 　 　 -」ﾄ､ﾍﾙ:ﾘ',ﾘ
　　　　 　 　 　 ',: :!/:i: /ィてﾊ｀　　 　 'ﾋ::ﾘ ' 〉ﾙ| '
　　　　　　　　　∨r´|/　'弋り　　　　　｀´　,ﾘ　'!　　　　　　　　　　「で、それは本当のことなの？」
　　　　　　　　　 ',ﾊ, !､　　　　　　　　'　　　,'
　　　　　　　 　 　∨:iｰ.-. ､　　　　-‐ '　,､ｲ
　　　　　　 　 　 　 ',:'ﾍ: : : :i＞ ., 　 _,.ィﾍ､'ｰ--､
　　　　　　　　　　　∨ﾑ : : ﾋ ､　｀〔ﾊ: :r_´ソヽ　 ＼
　　　 　 　 　 　 　 /. . .7.｀.ヽ:.､≧ハ≧ﾍ‐､｀' 　 　 ヽ
　　　　　　　　　　/. . ./. . . . .＼｀: ｰ-､. . '.､: ー,　　 !
　　　　　　　　　 ｲ. . . . . . . . . ,_ ＼: :ヽゝ. .∨7＼　 ﾄｰ,､
　　　　　　　 ／,人. . .',. . . . . . .￣￣ﾊk. ヽ. y. . . ＞Lヽﾍ
　 　 　 　 ／ｨr: : :ﾊ. . .､＼. . . . . . . . . .＼.∨. . . . . . . ｀ハ



　　　　　　　　　　　　　　________
　　　　　　　　　　　／)　/ .)　　＼
　　　　　　　　　　 / ./::/ ./:::／ ） ＼　　　　　　　　　　　「あんまりこういうことは言いたくないが
　　　　　　　　　　 l　.l/　/／ ∠___　|
　　　　　 　　　　　l　/ ／ ／ _､,,.ノ　|.　　　　　　　　　　　 限りなく黒に近い」
　　　　　　　　　　r　　　　 　/___)　　|
　　　　　　　　　 /　　　　　/　　　　 |
　　　　　　　　　/　　　　 ノ　　　　 /
　　　　　　 _∠⌒ヽ　　j 'i, _、___ ｨ／|＼____
　　　　　／ ...::::;;;:::ヽV;;;;l　フiiiiく　　/.:;;:l;;;;;:::´´''' ､､､ _
　　　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;:: 〉;;;;;:l／ iiiii ＼/.:;;;::l;;;;;;;;;;;;;::::::::..... i::..＼
　／ ...:::::;;;;;;;;;;;;;;;;:: /;;;;;;;;:::ヽ llllll　/..::;;;;::l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::: l;;;;;;:: l



　　　　　　　　　　　　///// 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　 　 　 {_
　　　　　　　　 　 　 / ∨^{ 　 　 　 　 　 /__　　　　　|　　　　　/　≧=‐―,
　　　 　 　 　 　 　 /　/　｜　　 　 　 　 f　　￢-ミ,　|　 　 　 /　　　　 }　,
.　　　　　 　 　 　 /　/　 /|　　　　　　　 |,x笊≧s。 ｜ 　 　,/　}　　　/　 }
　　　　　　　　　 /　/　　≧s｡.,_　　　 　 |〈( h//(　｀ }　　　ムﾐi|　　 /
　　　　 　 　 　 /　/　　　　　　∨ﾍ　 　 |　|乂i少 　 | 　／l /　|ｉ　 /
.　　　　　　 　 /　 {＼　 　 　 　 ∨ﾊ 　 i|　|　 ¨^　　i|／　笊ﾐ i|　 ,　 　 }　　　　　　　　　「おお……もう」
.　 　 　 　 　 /　　 ＼＼　 　 　 //,∧　ｉ|　|　　 　 　 　 　 vﾘ}/,　,　 　 /
　　　　　 　 /　　　／,＼＼　＿)///,'}　入i{　　　　　　　　、 }　 /　　 /
.　　　　　　/　　／　　／＞////＞''”　 |　＼　　　 　 __　　 从/　　 /
.　　 　 　 /　　/　　／///|⌒∧^　　 　ｉ|　　 　 　 　 ゝ '　 % ,/　　,/
　　　 　 /　　ア777///＞|　　∧　　 　 | ＼　　　　　　　　　/　　,/
.　　　　/　 ／/////／　 i|　　 ,∧ 　 　i|＿ ＼　　　　／}　/
. 　 　 /　　∨///／　　　i|　　　 ∧　　 |//}＿ ≧=‐く　 } / 　 /
　　　/　　　≧=≦　 　 　 |　　　　∧ 　 |⌒}二_}　　　　 i}/ 　 /
　　 /,　γ=====―　　＿,|　　　　i|∧　i|￣}二{{　　　　 /{
　　,　　/二二ニニニニニl 　 　 　| ∧ ｉ|　 }={ﾊ ,　　　 　i|　/
.　/　 ,/二二二ニニニﾆﾆl　 　 　 |=,∧i|二=,乂ﾊ　　　　 |‰
. /　　i{二二ニニニニニﾆl　 　 　 |二=Ⅵ二二二二ﾊ　　|
/　　　|二二ニニニニニﾆl　 　 　 |⌒〈^⌒　　　⌒廴ﾍ　i|＼


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566： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:36:30 ID:7AXrt/uY



　　　　「でっけー看板あげてるところがそれはまずいんじゃねーかお」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　 ヽ、＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／（ ●） 　（●）.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　（__人__）　　u. ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　|ｎi 7　　 ｀ ⌒´　　　　.　|ｎ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l^l | | ｌ ,/)　　　　　　U 　l^l.| | /）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ', U ! ﾚ' /　　　　　　.　.　| U ﾚ'/／)
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {　　　 〈　　　　　　　　　ﾉ　　　 ／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i,　　 　."⊃　　　　ｒニ 　　　 /
　　　　　　　　　　　 　 　 　 "'""⌒´　　　　　　　`''""''''



　　　　　　　　　　　　　　,　-‐―　‐- 、
.　　　　　　 　 　 　 　 ／　　　　u　　　ヽ
.　　　　 　 　 　 　 ＿'　　u　　　　　　　　i
　　　　 　 　 　 < ＿　＼　　　　　　　　　 i　　　　　　　　 「友禅斎の生涯の足跡が
　 　 　 　 　 <＿＿　＼　＼　　　　　u　 i
.　　　　　　<＿＿　＼　＼　ﾍ /⌒/　　./　　　　　　　　　　　ほとんど詳らかになっていないことも
　　　　　　 └--ﾐ ヽ、＼　-　＼　|　　./
　　　　 　 　 /　　 丶　　- 　 　 　 〉／　　　　　　　　　　　　　 一つの原因なんだけどな」
　　　　 ,.-／| 　 　 ( ＼　　　u　　!
　　 ／ |　＼ヽ 　　 ＼_ヽ　　　　　{
￣<　　 !　　`＼　　　、ﾍ　　　u　..> 、
＿ ＼ 　 !　　　 > ー-- イ＼　　.∠／ヽヘ
!　￣￣　ヽ　／{　　)＼　|　..＼(⌒)　　 ﾉ　＼
　　　　　　 ＼　/⌒＼　〉　　　ヾ、　／　 　 　＼
　　　　　　 　 ＼　い　/　　　　＼／ ＼(
　　　　　　　　　 ＼　/　　　　 /　＼

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567：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 00:37:14 ID:VHNovTTQ
あかんやん……

568： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:38:25 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　「……さて、こっからがまたややこしい話になるんだが」


　　　　　　　　　　　　　　「加賀友禅サイドでは『まず加賀友禅があり京での友禅の活躍は

　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀友禅を下敷きにしている』という主張だ」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　　　　　　 ヽ　　　　　　「加賀の染屋で修業をした友禅が京都で
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　Ｕ　　 　 　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　　　　　｜　　　　　　　　　　加賀友禅の技で成功した、って言ってる」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 |　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 !　 　 　 ,. -ｰ┴ 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ｀ヽ_ｨ≦.:.:-.:.:.:.:.┴、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ,ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.:..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. 〉
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∨.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.｀
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:r {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 i .:.:￣＼.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | .:.:.:.:.:.:.:＼. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 | .:.:.:.:.:.:.:.:.:. |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / .:.:.:.:.:.:.:.:.: ﾉ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|.:i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ｲ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 / .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|

.

569： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:38:51 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「で、先ほども言ったけど、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　友禅染は技術自体には革新的なものはない。
　　　　　　　 ／´￣￣ ￣￣｀＼
　　　　　　／: : : :　　　　　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　　 すべて友禅染誕生以前に存在した技術や技法だ」
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　 　 　 　 　 　 　 　 :|
　　　　　| : :u : : : : : .,　　 　 　 　 　 :|
　　　　　|:: : : :＿ ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|
　　　　　|::::;;;（　 ●） ﾉヽ （　● ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　 　 　 　"''"´　:l
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　 ） 　 ./
　　 ＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　 　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　 　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　 　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　 ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　 　 　 ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈 　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿ ￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|



　　　　 　 　 　 　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　 　 .||　 ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　 　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　 　 |: :./: /: :// /'　　 　 　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　 　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　 　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　 　 　 　 　 ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た ｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　 ﾚ |:./ ' 弋歹 　 　 　 　 　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　 　 　 　 　 　 ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　 　 　ー‐　　　　　 /: : /:|　　　　　　　「ええ、確かに聞いたわ。
　　　　　 　 　 　 　 |:', : : : ＼　　　　　　　　 ／/: :./: !
　　　　　　　　 　 　 |:ﾍ: : : : ',: i＞ ､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|　　　　　　　　　 ユウゼンサイはその技術や技法の集大成として、
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|　　　　　　　　　　　それまでにない大胆な構図の染め物を作ったのだと」
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　 　 　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞ ､　｀≧､
　　 　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　 ／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |


.
570： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:39:24 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　 　　 　 　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　 　　;　 　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　 　､ 　 　 ｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　 　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　 　　　　 丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　 　　 ｝　　）
.　　　　 　 　 '. 　 　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　 　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　 「当然、加賀においてもそれは当てはまる。
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　 お国染、加賀染と呼ばれる染め物技術が既に存在してた」
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ
　 　 ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　 ﾊ////////////////////////ハ　　　　　　　　　　「これは糸目糊置防染法、手描き友禅と同様の手法だな」
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ




　　　　　　 ,, -‐‐‐‐‐‐‐-- ､
　　　　 ／　　　　　　　　　　＼
　　　／　　　　──　　　─‐　＼
　　/ 　 　 　 　( ● )　　　(●)　　';　　　　　　　　　　「えーっとそれじゃ京と同じく、友禅斎が――
　/'　　　　　　　　 ／ 　　　＼　　　';
/ 　 　 　 　 　 　 （　　　人　　） 　　i　　　　　　　　　　　　　ってのは図柄だけって意味じゃないかお？」
| 　 　 　 　　　　　 ｀'''''ﾞ´ 　｀'ﾞ´　　　!
'、　 　 　 　 　 　　　　　 　　　　　／
　＼ 　 　　　　　　　　　　　　　　<
　／￣ﾞﾞ'''‐‐‐-----　　　　　　　　＼


.

571： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:39:52 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　　　「それならば話はまだわかる、同時期に存在していた加賀染と友禅染を区別していればな」


|
|　　　　　　　　　　　　　　「ところが加賀さんサイドではそれまで存在した技法と『加賀友禅』の区別をしていない」
|￣￣＼
| _ノ　＼＼
|（●）（●)i
|.（__人__） i
| .｀ ⌒´　|.￣￣＼
|　.　.　　ﾉ_ノ 　ヽ､.＼　　　　　　　　　　　　「もにょっとする話だお」
|.　.　　/　（●） （●）ヽ
|　　 　ヽ　（__人__）'　　i
|　　　　 |　　｀⌒´　 ／
IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

今はやる菅笠の袖も加賀染　うちより見事なは衣通姫のもよう　　　　　　【 源氏ひいなかた 】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII



.

572： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:40:20 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　 「加賀がそうするのには、なにか根拠があるの？」



　　　　　　　　　　　　 　,. .- ‐ -. . .,
　　　 　 　 　 　 　 ,＜: : : : : : : ﾍ: : : ＞､
　　 　 　 　 　 　 /: :rハ"'ヽ:ﾍ: : :ﾊ: : : : : ヽ
　 　 　 　 　 　 ﾑ: : 〃　',　 ヽﾊ: : :ﾄ: : :ヽ: :.ﾊ
　　　　　　　　,' ,: : :ｲ　　 ゝ-‐ﾍﾊ: : ,ﾍ: : ',: :ハ
　　　　　　　 /,ｲ : ﾑL　 　 ｲぅﾘ｀ハ: マ: : i: : :i
　　　　　　　 '　|: ﾊｨﾊ　　　 'ｰ'　　 ヽﾍﾆﾍ: : :|
　 　 　 　 　 　 |: ハ'u　　　　　　　　 ﾊ) ｲ: : :|
　　　　　　　　　' 　ﾊ　｀ ,_　　　　　 ｨ‐イ:|: : ﾘ
　　　 　 　 　 　 　 i:.ト　 ´　　　　　 i: : : :|: :/
　　　　　　 　 　 　 y: : ＞ _, ｨ 　 　 |: : : ﾙ/
　　　　　　　 　 　 /: :ﾍ: : : :r !､ . 　 |: : : ﾚ'
　　　　　　　　 　 {: : : ﾙ,:.＜＼ ｀＞ム : ﾊ
　　　　　　　　　r=ﾍ: : ﾊ´.＼. ..＼ﾍr､_ﾑ: ﾍ=､
　　　　　　_,. - ｲ. . . ゝ､'､. . . ＞ -y ,i ｀L､:ﾍ. i｀,
　　　　　＞: ´: :|. . . . . . . . .￣￣∧　　　 {. . .ﾍ.|
　　 　 ／ｯ: : : :」. . . . .i. . . . . . . /　! 　 　 i. . . .ヽ
　　　 7／ﾌ-‐' .|. . . . .|. . . . . . .「 ／ヽ　 /. . . . . ',
　　　 ´ 　 　 　 |. . . . .∨. . . . ／. . . . ∨. . . . . ./


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ ヽ､,__　　 ＼　　　　　　　「あぁ、加賀のそもそもの主張は
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （_人___） 　 U　 |　　　　　　　　　　『友禅斎は加賀で生まれて加賀染を学んでから京で友禅染を興して、
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　晩年生まれ故郷の金沢にもどってそこで没した』
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／-‐ 　 ｀i ､ ＿__,.　イ i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {/´､　　 　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ　　　　　　　　　　　　　　　というものだ」
　　　　　　　　　　　　　　　　 しrヽ　　　　V:::Λ　 ／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　 　 　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　 　 　 　 　 　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ


.

573： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:40:59 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　「友禅斎さんの生涯はほとんどわかってないんですよね？」


　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　 ,　＜////////＞ ､
　　　　　　　　　　////////　‐-　､////＞､
　　　　,ヘ　　/////////////////＼//// ＼
　　 　 |　　＼///////////////////＼////ﾊ
　　　　|　 ////ヽ＼　{⌒＞‐- ､////////////∧
　　　　|　i//////,ヘ ﾚ´　　　 　＞ ､./////////∧
　　　　ﾘ {//////レ´　　　　　/´　 ﾆ≧､.///////∧
　　　　　|//////|　　　　　　　 　 ｲ弋 ヾ ＼//////∧
　　　　　|//////|　　, -　　　　　　　ヾノ　 .∨/////∧
　　　　 八/////i　/　　ﾆ　　　　　　　　　　 ∨/////∧
　　　　.　 ∨////∨　/弋 ヽ　　　　　　　　 　ﾏ/////ハ
　　　　　 　∨///ﾊ　 ヾ `ｰ'　　　´ 　　　　　　 }//////∧
　　　　　　　∨////＞　　　　　　 　 　　　　　/ﾘ///|///∧
　　　　　　　八//////ゞ_ヽ　　　　　⌒　　　/　 |//ﾉ///ｒ‐=‐-ノ
　　　　　　　 　∨ノ ￣　　ｱ ヘ　＿　＿　／.　　N/　￣　７
　　　　　　　　　∨　　 　 ´`ヘ///////＼　　　　　　　　/
　　　　　　　　　/　　　　　;,ｲ　} --‐=ｖ'´　 }　　　　 　／/
　　　　　　　.　/　　　　　/　し　{ 　Y　　　　　　　 ／　/
　　　　　　　 /　　　　　/　　　　7　　＼　`ゝ　　　　／
　　　　　 　　i　　　　 ｿ ／　　　ヽ彡　　＞　　　＜



　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|　　　　　　　　　　　 「うん。はっきりしているのは、
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,　　　　　　　　　　　扇絵師として知恩院近くに暮らしていたということ、
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|　　　　　　　　　　　　人生の、いずれかの時期に出家をしたということくらいだ」
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|


.

574： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:41:17 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「幼名も本名も出身地も確定していない、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ただ名に関しては祇園社の絵馬の記録から
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　 　 　 ⌒　ヽ､_　 　　＼　　　　　　　日置徳右衛門清親ではないか、という説が有力だ」
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●）(● ）　　 　 |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （_人＿)　　　　｜
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　 　　 |　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　 　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　 　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、
　　　　　　　 　 　 　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　 　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　 　 　 　　　　 ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　 　 　 　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i



.　　 　 　 ﾄ､　　　　　　　　　　　 　 ﾟ｡. .、
　　　　　　. .＼　　　　 .　 -‐━‐-ミ ﾟ. . ＼
　　　　　　 . . . ＼ .......................................｝. . . .
　　　　　　　. . ／..........................................＼__ﾉ....＼
　　　　　　　.......................ﾄ､.........＼...................................
.　 　 　 　 /................/l....|　　...........ﾟ｡ ................................
　　 　 　 /................/　....|　　 ＼.......ﾟ...........＼ ................
　　　　　′..../.......′ |...|　　　__丶 ................ ﾟ｡..............|
.　 　 　 ......../........___　|...|　 ´ 　 　 ＼{、..... |..................|
　　　　 ....../.....´｛　 　 ､{　 　 　 ≫=ミ ＼...|＼〉..........|　　　　　　　「え、それじゃ宮崎友禅斎というのは？」
　　　　 |.. ′.... ｛ ｘ=ミ　＼ 　　″ト{:::心. }ハ |^ ........|
　　　　 |..｛l......... 《 ト{:ﾊ　　　　　　Ｖこﾂﾉ′....|ぅ｝......|
　　　　 |..八 ... ハ　vツ　　　　　　 , , , ,　　｝..|ノ........
　　　　 |′　..｛........　' '　 ′　　　　　　　 . ｝..|......... ′
　　　　　　　　И..人　　 　 　 _　　　 　 ｲ. ｝..|.........
　　　　　　　　　 　 个...　　 ´　　 　 ／ ｛. ｝.ﾉ.......｛
　　　　　　　　　　　 |.......＞　 _ .　 　　__」................｛
　　　　　　　　　　　 |.....|.........r‐L.　 ´　　 ＼ ....... ｛
　　　　　　　　　　　 |...∧....ノハ　　　／::::::::::.........｛
　　　　　　　　　　　 |/ ／x介ｘ.ﾟ｡_／:::／⌒⌒ヽ..｛
　　　　　　　　　　　 | ｛　《_ﾊ_}}　/:::::/　　　　 　 .｛



.

575： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:41:44 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　「創作上の仮名、ペンネームみたいなもんだろ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 .／ 　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　 　　　（ ―）　 λ　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,ﾍ__|　　　 　　（__人）　　ヽ　　',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 __,/　　　｀ ＜　 　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／---‐――--.､ゝ＼　 ノ　　　」-‐＞ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　 ヽ.　　,　, .!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　 ヽ　　　　 l｀ / / /!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼ ＜　　　'　l


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「友禅ひいながたに宮崎ってでてくるんだよ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　特に異説がないのでおおむねはそれに従ってる」



IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

宮崎氏友禅といふ人有りて絵にたくみなる事いふ斗りなく
古風のいやしからぬをふくみて今様の香車なる物数奇にかなひ　　　【友禅ひいながた】

IIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIIII

　　　　　　　/　　　　　 /　 　 　 |　　　　　|　　　　 ≧o｡.＿＿
　　　 　 　 /　　　　　 /　　　　　|　　　　　|　　 ヽ　　　　　　　 }
　　　　　 /{　　　　　 f/　{　　　 :|　　　　　|　　　 i　 　 　 |　　 i
　　　　　:　!　　　　　 | 　:ｉ　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　 //:{　　　　　 : 　 |　　　 :|　　　　　|　　　 |　　　　:|　　 |
　　　　 〉 /!　　 　 　 {:　丁￣￣:!　　　　 /￣｀ヽ:|　　　　:|　　 |
.　　 　/ 〈 :l　　　　　 i: x斧芋苅ﾐ　　 　 ｲ斧芋ミ}　　　　 }　　 !
　　　/　　＼　　　 　 |〈に{//}( ｜　 　/:　い//( /　　　 ,′　 :
　　 ,'　　　　:＼ 　 　 |:　Vこ)ツ :}:　　/　　V^)ツ }　　　/　　　:
　　 Ⅵ　　　 　 ﾍ　　 {　＼ 　 　 i　／　､　　　　 i:　 　/　　　/　　　　　　　　　　　「jud」
　　　Ⅵ　　　　　}　　 ﾟ。　 〉　　 ／　　　　　　　八　 /}　　 /}
　　 　 ト　 　 //:i: 　 　＼¨　　 　 　 ‐‐　　　　ｲ　　://i:　 / ,′
　　 　 { ＼__//∧　 　 　 l＼　　　　　　 　 . 　 }　　// }　/ /
　　　　i　　 {￣|　＼　　　{rｧ＞　　　 　 ∠z　 :i　 ///,' /イ
　　　　:　 /77 {　　 l＼　 ﾟ。////≧ ≦///{　 :　/: : /:/≧o｡、
　　　 /　////:ｉ　　 |//＼ ‘，/　{r― 〈―‐ｉ　{: /: :.:〈/: : : : : : ミ
　 　 /　∨///}　　 }/// ∧ i{ ／　　　∨　{　:./: : : : : : : : : : : : : :ﾟ。
　 　.′　 ∨/ i　　 i　　 /:　／　　／　 ゝ‐:　　{: : : : : : : : : : : : : : :.ﾟ，
　　/　 　 {_/:.:.l　　 :-:／ ＼＿_／　　　　∨!　 i: : : : : : : : : : : : : : :.:_＼
　 /　　　 /: : :.}　　 /　　　 /　　 　 　 　 　 |　 : : : : : : : : : : : : : : : :{ 　 ＼
. /　　　 /: : : / 　 /　　　 /　　　　　　　　　|　 |: : : : : : : : : : : : : ／　　 　 ＼



.

576： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:42:06 ID:7AXrt/uY


　　　　　「ウィキ先生のほうでは出身地は金沢って断定してるお？」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　.　　　＿_＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 /　 ー　　ー　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 | （ ●）　 （●）|　　　　　　　　　「あー、それなぁ……」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣￣＼ 　 　 　 　 　 | 　 （__人__） 　i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　／　─　 　 ─ ＼　　　　　　 | 　　 ｀⌒´　　i
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／　 （●） 　（●）　 ＼.　　　　　i 　 　 　 　 　 i
　　　　　　　　　　　　　　　　 |　　　　（__人__）　　　　|　　　　　! 　　　　　 　 !
　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼　　　 ｀ ⌒´　　　　／ 　 　 　 ヽ.＿　　 __.ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　 ／ 　 　 　　　　 　 　 ＼　　　　 ／　　ヽ,.ノ　　＼



.

577： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:42:17 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　　「その先生は時々平気でスカタンぶっこくからな……、ほれ、出典入ってないし」


　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|


　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／　／: : : : :.ヽｌ: : : : : : : : ::::::::::::::::ヽ.
　　　　　　　　　　　　　　　 / 　./ : : : :/＾ヽ: }／＼: : : : :::::::::::::::::::::':,
　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /: : : :./´￣ ｀´￣＼: : : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　　　 /: : : : ;'　　　 　 　 　 ヽ: : : :::::::::::::::::::::::',
　　　　　　　　　　　　　　 　 ,'.: : : : ;'z＝　 　 　 ≠=､i : : :::::::::::::::::::::::::i
　　　　　　　　　　　　 　 　 ,': : : : :;'　　　　　 　 　 　 l: : :::::::::::::::::::::::::::!
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i: :/: : ;{ ｨ示ミ　 　　,≧=､ｊ ::::::::::::::::::::::::::::::j
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |/l: : :ハ｀弋ﾀ　　 　 ﾄ芥 〉::fﾞﾄ､::::::::/:::::::::;'　　　　　　　　　「あら、ほんとうだわ〜」
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 l! |: : ::::::.　　 ,　　 　 ｀¨ｒー､! !ヽ ､/ ::::::::::!
　　　　　　　　　　　　　 　 　 l: :::::::::}､　　　　 　 　 ｀7 ﾉ j　〉 〉::::::::::::|
　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ::::i:::| l＼　　ｒ､　　／ ,　/ / /:::::::::::::::|
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ヽ::ﾄ:ヽ!:::::ヽ.＿ ／　　 　 ,.∠＿＿:::::::!
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ!　ｿ::::::::::::;ｲ　　 ,. ィ:/＾ﾄ<: : :／::::: |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,ｲー┬‐/ !　　 l:::::/　ﾉ: ﾄ＜ｒ―‐┴､
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 /　 　 ヽ/: :|　　 l∠／: : :j／　　　　　',
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 /　V　 　 ヽ┤ 　 |:_:_:_: :／　 　 　 　 　 }
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /　 /　　　　　|　　 lハ下ヽ.j　　　　　　 /:!
　　　　　　　　　　　　　　　　/　 /　　　　 ／!__／: : | ! ! /　　　　 　 /: :|


.

578： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:42:49 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　　　　　　　　　　　 「この件に限らず、ウィキペディアを鵜呑みにしてはいけない（戒め）

　　　　　　　　　　　　　　　　　　 いや、便利ではあるんで、使い方の問題なんだけどな。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 来歴不明とか冒頭で言ってるくせに金沢の生まれって断定してるのはさすがにどうかと思う」


　　　　　　　.／￣￣＼
　　　　　 .／ 　　　 _ノ ⊂_ ‐-' ＜
　　　　　 |　 　　　（ ―）　 λ　　 ヽ
　　　 ,ﾍ__|　　　 　　（__人）　　ヽ　　',
　 __,/　　　｀ ＜　 　　⌒ﾉ　　. ｒ'-‐￢
／---‐――--.､ゝ＼　 ノ　　　」-‐＞ヽ
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.／⌒ヽ. ´_ノ　　　/　 ´　　 l
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:／　／´ ｀ヽ　　　　 ヽ.　　,　, .!
.:.:.:.:.:.:.:.:／　／　　　　 ヽ　　　　 l｀ / / /!
:.:.:.:.:.／　 ./　　　　＿ __ヽ-､　　 !/. ,'　l　!
.:.:.:.:.:l　＿十''''''''""　　　　　＼ ＜　　　'　l



　　　　 　 　 　 　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　 　 .||　 ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　 　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　 　 |: :./: /: :// /'　　 　 　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　 　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　 　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!
　　　 　 　 　 　 ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た ｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　 ﾚ |:./ ' 弋歹 　 　 　 　 　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　 　 　 　 　 　 ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　 　 　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　 　 　 　 　 |:', : : : ＼　　　　　　　　 ／/: :./: !　　　　　　　　　　　　　「まぁよくあることよね。
　　　　　　　　 　 　 |:ﾍ: : : : ',: i＞ ､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!　　　　　　　　　　　　　　　 個人が無責任に編集できる特性からくる脆弱性」
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　 　 　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞ ､　｀≧､
　　 　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　 ／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |

.

579： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:43:16 ID:7AXrt/uY


　　　　「その辺の問題は野生の賢者たちにお任せして次にいくであります」



　　　　　　　/　 　:|　　　　　 |:　 　 　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　 ヽ　≧o｡
　　　　　　 ,′　/｜　　　 　 |:　 　 　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　　　{
　　　　　　:.　　/　:!　　 　 　 |:　 　 　 |　　 |　　　　　 |　　　|　　　　 |　 　 ′
　　　　　　f　 /　/l　　 　 　 :|:　 　 　 |　　 |　　　 　 /　 　 :|　　　　 !　　/
　　　　　　|／　〈 :{:　　 　 　 | ――‐┼‐､｜　　　 :/＿_ 　 }　　 　 /　 /
　　　　 　 {{　 　 ﾍ!:　　　　　㌣斧芋羽ﾐ　/!　　　 xzzzx　 /　　　 /　 /
　　　　　 : Ⅶ　 　 ﾟ，　　　　:ゝにf//(_　　 :|:　　/ん//} //: 　 　 /　 /
　　　　　: 　Ⅷ　　　ﾟ。　　 　 | 乂//ツ　 　:|: 　/ に/(　 ,′　　 /　 /
　　　　 / 　 Ⅵ　　 } ﾟ，　　　:|　　 　 　 　 人／　｀¨¨~ / 　 　 /　 /
　　 　 /　 / ∨{//// ﾟ。　　 :!:　　　　 　 　 　 ,　 　　 / 　 　 /　 /
　　　 / ％77/‐=≦{ 　 ，　　ﾟ＼　　 　 　 　 　 　 　 ｲ 　 　 /　 /
　　　／//////／＿___ ﾟ，　　ﾟ，＼　　　　 ｀　　　 /　　　％　　′
　　　∨///＞f//////{　ﾟ。 　 ﾟ，/:＞　　　　 ＜ /　　　ｲ　　:/
　　 / ゝ‐≦　:{//////ｉ　　， 　 ﾟ，///:＞＜≧o/　　／ ! 　 /
　　,′　 　 　 ≧=‐ミｔ､!　　 ﾟ，　 ﾟ，//{――///　 イ 　 {　 /
　 /　‐=≦: : : : : : : : : : ﾟ。　　ﾟ。　:}:. ＼／ ゝ-,′/ :!: 　 ｉ: /
　f: : : : : : : : : : : : : : : : : :ﾟ，　　 ﾟ，ｉ:.:.:./:.:.:.:.:} 〈／　 :　　 {/
　{: : : : : : : : : : : : : : : : : :.∧　 　}ヾ:／:.:.:.:.:/￣|　　｜￣＼



　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　_ノ　ヽ､__ 　 ＼　　　　　　　　　　　　　　「そうだな。とりあえず友禅斎がどこの出であるか、
　　　　　 　 　 　 　 　 　 (＝ ) (＝ )　　_,-|、
　　　　　　　　 ,'⌒　＿　（__人___）　　r' l ｜lヽ　　　　　　　　　　　　　 というのは『わからない』としておくのが正しい姿勢だろうよ」
　　 　 　 　 　 ヽ＿ノ　　 '､｀ ⌒´　　 }　}　l ﾚ }
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　 　　 j　|,｜l ﾉ__　_
　　　　　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　/　　　 /ｨ : : : : ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 　 _／:.`ｭ'ﾆニr´　　　／ : : : : : : : ヽ
　　 　　　　 　　__ ,.＜ : : : :{/:::ﾊ人　　　rノ∨ : : ／: : : :',
　　　　　　　／: : : : : : : : : ｸ:::〈´∧'--:´" : :.∨.:/＿／ : :l
　　　　　　/ : : : : : : : : : : /::::::i /:.∧ : : : : : : :∨ : : : : : : :l
　　　　／ : : : : : :Y : : : : :|:::::::y : : :∧ : : : : : : :∨ : : : ＼ !
　　／ : : : :＼ : : :i : : : : : |:::::/: : : : :∧ : : : : : : : ＼ : : : : :〉
／ : : : : : : : : :＼ :i : : : : : |:/: : : : : : :.∧ : : : : : : : :ﾊ : : : :|

.

580： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:43:49 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　「ちなみに大正九年（1920）に発見された『花の屑』という手記によれば、

　　　　　　　　　　　　　　　　友禅斎は元文元年（1736）六月十七日夜九時に金沢の木町鳥居キハで享年八十三歳で亡くなったとされるが、

　　　　　　　　　　　　　　　　やっぱりこれの信憑性も疑わしい」


　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|



　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　 　 　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　 　 　 　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣ ｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　 ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　 ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ　　　　　　　　　　　　　 「というと？」
　　　 i:./ ｲ: :∧　 ｲ心 ｀　　　　　^' 仍ﾊ ｀ ﾑ 〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀ 乂歹　　　　 　 　 ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　 　 　 　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　 　 　 　 〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　 　 r -‐､ 　 　 ／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　 　￣ 　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .


.

581： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:44:20 ID:7AXrt/uY


　　　　「この『花の屑』は『方円日記』という手記を映し書きしたもので、

　　　　　　　　　その方円日記の筆者の桜井梅室は明和六年（1769）に生まれた人だ」


　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　 　 　 ⌒　ヽ､_　 　　＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●）(● ）　　 　 |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （_人＿)　　　　｜
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　｜
　　　　　　　　　　　　　 　　 |　　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　 　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_　　　　　　　　　　　「友禅斎の没年で元文元年説をとるとしても、
　　　　　　　　　　　　　　 　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
　　　　　　　　　　　　　　／/Y:::ﾊ､￣／...:::::::::::...＞、　　　　　　　　　　友禅斎没後三十三年に桜井梅室はようよう生まれてきたわけだ」
　　　　　　　 　 　 　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　 　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
　　　 　 　 　　　　 ｉ :::Λ::::', ::i:::::/ .::／::::::::::::::V..::::::::::::::::::::ｲ',
　　　　　　 　 　 　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i



　　　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　><￣￣ ヽ
.　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 ＼　　　＼
　　　 　 　 /　　　　　　　　　　. : : : : : : : : : . 　／　　　　　＼　　　＼
.　　 　 　 /　　　 　 　 　 . . : : : : :-―＝＝―/､＿＿＿　　　＼　　　）
　　　 　 .'　　　　　 . : ／:＞: : : : : : : : ／ヽ: /: : : : : : : : :',. 　 　 }
.　　 　 .' 　 　 　 . : : : ／: : : : : : : : :∠:ｚ､ｚ､{／Z､ヽ: : : : :',　　 /
　　　　i　　　　 . : : ／:/: : : : : : : : /　　　　　　 　 ヽl : : : : ',.　/、
　　 　 |　　　 . : : :/: :/: : : : : : : : / ＿_　　　　　　　 |: : : : : ∨､:|　　　　　　　　「直接の接点はないわけなんですね」
　　　　l　　 . : : :./: :/ : : : : l:/: :/´￣￣｀　　　　　＿| : : : : : :',　＼
.　　 　 '.　　: : :./: : : : : : : : l : /　　　 、　　　　 　 　 |: : : : : :│　　＼
.　　　　 ヽ　: : :|: : :|/: : : : : l:/,彡五ヽ　 　 　 　 'ニ　|: : : : : : |: .　 ／
　　　　 　 ｀ー┤: :j: : : : : : :|/　心jﾘ　　　　　　糸＾ヽ|: : : : : : |: : く
.　　 　 　 　 　 ∨/:_j : : : : :ト　込ｸ　　　　 　 んﾘ　ﾉ}:ﾄ!: : : : ﾊ　. :こ＞､
　　　　　 　 　 /:/:/ |: : : : : |　　　　　 　 　 　 ｀¨　 ,ｲ:|:|: : : /l |: : : : : ／
.　　　　 　 　 /:/:/7ｲ: : : : : |　　　　　　　　 ' 　 　 / ! N:.: :/ :リ: : : ／
　　　　　　　/:.:{:ハ/|: : : : : :|､　　　 　 　 　 　 　 /: :|/ |: /＼: : :／
.　　　　　　/: : : : //|.: : : : : l l＼　　　ｒ'ｱ　　　／_:_:_∠|/　　}／
.　　 　 　 /: : /: :{/ :|ﾊ: : : : | | 　＼　　　　.ｨ:くｒ'ﾞ::::::::::::／
　　　 　 /: : /: : : : :./∧ﾄ. : |￣￣≧辷イ:::ﾉ:::::}:::::::::／
.　　 　 /: : /＞-―<≧::ｌ::ヽｊ＼::::::::::::::::::ｰ'ﾞ::::::八ｰ'ﾞ ＼
.　　 ／ : ／ 　 　 　 ヽ ＼::::::::::＼::::::::::::::::::::ノ::::::>､　　＼
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./: : : : : !　 　 　 　 　 　 ｌ 　 l＼::::::::::::::::::::::／￣ ヽ 　 ヽ
: : : : : : :|　 　 　 　 　 　 | 　 l　 ｀ ￣￣￣´　 　 　 ） 　 }


.

582： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:44:46 ID:7AXrt/uY


　　　　　　「桜井梅室が友禅を知る人にその話を聞いた、と考えるべきだろうな」



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ヽ､__　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ノ'ﾍ_ﾉ　　　　}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ｿ　　)　　　 ,'
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 {-'￣　 　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 }｀｀　　 __/_{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ﾄ=ｭﾍ￣　-‐≧‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ＿..ノrﾉ　У´ : : : : : : : : :`、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｨ : :／;;;/＞´ : : : : : : : ／ : : }
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／/:/;;;;;／ .: : : : : : : : :/ : : , - 〈
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 _／ :ﾚ:/;;;／ : : : : : : : : : :|:/ : : :, - :｀{
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,.. ‐- ､　　　__、＜ヽ :ノ i／ : : : : : : : : : :ヽL{.._／ _,. : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／ : : : : : : :＼/ : : : :i :./ : : : : : : : : : : : : : : : .:.(, ‐'´. : : : :j
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ : : : : : : : : : : :＼､ : :|./ : : : : : : : : : : : : : : : : :.:.:.} : : : : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ,-'´,' : : : : : : : ､ : : : : :＼､fZ二--- :､_:_:_:_: :`－､ : :.:.ヽ.:_,､ : : : !
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／ : : : : : : : : : : :)ヽ h : : : :｀キ-- : : : : : : : : `＝-､ヽ.:.:.f-‐‐‐＝ :i



　　　　　　　　　「たとえば、友禅斎が生きていた時代に残されていた記事や記録をもとに書かれてるものだとして

　　　　　　　　　　その原典が明らかになれば信憑性は増すだろうが、現在のところそうしたものは存在しない」



.

583： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:45:07 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「結局のところは主に京出生説と金沢出生説があると、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　そういう感じでとらえておくほうが公正な姿勢を保てると思う」


　　　　　　　　 　 　 　 ￣　　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　 　 　 　 ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　「友禅斎の墓がソースって可能性もあるが
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　 ……まぁそれは後で話をするか」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./


.

584： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:46:20 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　　　 「ともかく、加賀染は天和三年（1683）四月の『御染物直談帖』に見え、

　　　　　　　　　　　　　　　　 友禅染はさっきも言ったがその四年後の貞享四年（1687）の

　　　　　　　　　　　　　　　　 源氏ひいながたに見え始める」



　　　　　　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　　　　　 ,　'　　　　　　　　' ､
　　　　　　　　, '　　　　　　 　　 　 　 ' .
　　　　　　　 ,'　　　　　　　　 　　;　 　 `
　　　　　　　,'　　　　　 ;　　　　 　､ 　 　 ｝
.　　　　　　 |　　　　　〈　 　＿...::::: )　___ ′
.　　　　　　 |　　　　　　; f　(:::)　ヾ( （:::）
.　　　　　　 |　　　　　　　 　　　　 丶　　{
　　　　　　　'.　　　　　　　;　　 　　 ｝　　）
.　　　　 　 　 '. 　 　　　　　`ｰ--　´`ｰy'
　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　 　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　　　「これを見ると、加賀染は友禅染よりも早い段階で
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　　　 その技法が成立しており、加賀染＝加賀友禅であるという説を
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　　　 否定する材料になる」
　 　 ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　 ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ


.

585： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:47:15 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　 「そもそも加賀染とは、加賀に古くから存在していた染絵染書のことを

　　　　　　　　 他国の人間が呼ぶ時の呼称――加賀の人たちは『お国染』といった――であり、

　　　　　　　　 のちには無地染めに模様を施したもののことごとくを加賀染というようになったんだ」



　　　　　　　　　　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　 　 　 　 　 　 　 　 ⌒　ヽ､__ 　　＼　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 _r-,
　 　 　 　 　 　 　 　 　 （●）（● ）　　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 r-, {　|　ﾄ、
　　　　　　　　　　 　 　 (__人＿）　　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　　 　 |　| |　|　| |
　　　　　　 　 　 　 　 　 '､｀⌒ ´　 　 　.|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 |　| |　ｉ　! |
　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　│　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　}　r´ ｿ　ﾄ i
　　　　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　,{、　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 /　 　 ´,. ´ﾉ
　　　　　　　　　　　 　 　 ヽr｀ｰ- -=" ／:.>y- 、 __ ,.__　　　　　　　　　　　　 ﾍ{　　　 ´ ／
　　　　　　　　　　　　　　　 r〕,_,. -‐／ : ./ : : : : : : :/. : :ヽ　　　　　　　 　 ／ ﾊﾄ､　　_./
　　　　　　　　　　　　　__／/:::::Λ/ : : : /. : : : : : :/ : : : : :.｀=,.へ_ 　 　 ／ : : : ゞﾆ二彡
　　　 　 　 　 　 　,.-< : : : :}:::::ｙ' / : : :__{: : : : : : / : : : : :／.. : : : :７√ : : : : : : : : : :.／
　　 　 　 　 　 r´ : : : : :「: :/:::::i / : : : :＞ : : : : ,' : : : : :i : : :i: : : ::i / : : : : : : : : : .／
　　　　　 　 　 } : :, : : : i :/:::::::i/ : : .／ : : : : : : ', : : : :i:: : : :i: : : : :', : : : : : : : : ／
　　　　　　　　ﾌ :.ｉ : : : :i/::::::::/ : .／ : : : : : : : : :.', : : i:::ﾍ : :i::.. : : ::. : : : : : : ／
　　　　　　　 ／ :ｉ : : : :i:::::::::/:.／ : : : : : : : : : : : : , : : : : : : : : : : :,-､ : : : ／
　　　　　　　i : : :ｉ : : : :i:::::::,' :/ : : : : : : : : : : : : : : =- y-ｰ ´¨￣ ｀-ｰ‐'"



　　　　　　　　　　　　　　　 「だから加賀染＝加賀友禅であるという主張であれば

　　　　　　　　　　　　　　　　 友禅斎が京において友禅染を確立する前に加賀において

　　　　　　　　　　　　　　　　　 お国染を発明していなければならないはずだ」


.

586： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:47:51 ID:7AXrt/uY



　　　　「もう一つ、加賀サイドでは『正徳二年に前田家に招かれて加賀に入った』と明記してるが

　　　　　　　　こちらも裏付けになる史料は明確にされてない」



　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .-─ ｰ- 、 　 　 　 　 　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　 ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,　　　　　　　　　　 ＼　　　　 ( ￣｀ ー'- ､
　　　　　　　　　　　　　 　 　 |　　 　＿,.ノ、　,ヽ､,__|　　　　rへ、____　　 'ヽ
　　　　　　　　　　　　＞┴、 |　　　 （　●）　（ ●).|　　　　{　　｀､ 、ヽ__,. ┴、
　　　　　　　　　　　/　{　　〉 l　 　 　 ｀　 ´　､｀ ､´ |　 　 　 ヽ　　i　〉'　　　　ヽ
　　　　　　　　　　 /　　 ＞{ .|　　　　 ,′　 ﾉ､　 }　|　　　 　 |　　l／　　, -ー '´ ｀､
　　　　　　　　　　j　　 　 /　 |　　　　｀tﾆ"__, ﾕ′ !　　　　　|　 ﾉ　 　/　 　＿　　}
　　　　　　 　 ノ ´　 　　/　　　へ 　 　 　 -ｰ- 　 ,　　　　 　'､ 人_,.ィ　　/::::... x､ {
　　　　/⌒ン　　　　　ノ　　 /　　|ﾍ､　　　　 　　 ,　　 　 　 　 ﾔ　　 ゝ-ィ／ 　 　 i
─ --/　/　　　　　／　 　 /　　 ;　 }　　　　　　 丿　　　　　　　{　　 　 ,ﾗ 　 　 　 {_
::::::::::ｲ　　.:...　 　 r'´ 　 　 /　　　j　 |ト､￣￣￣ﾉ ､　 　　　　　　＼　　 i　　　　　ﾄミヽ＿
:::::::::::l　..: :: :::..　 　 　 　 /　　　 ; 　ﾘ　　7ｲ´:::::::｀VL　　　　　　　　｀ヽ　　　　　　 j　}:::::. ＼
::::::::::::| : :: :: :: :: :: :.　　　　　　　　　 |ゝ 」 ｀ヽ:::::::/ 　λｰ-､_　　　　　 ｀‐ｧ､　 　 ./..::ﾘ:::::::::
:::::::::::::! :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: .. 　.. ..　.,ﾉ　　　 ﾉ:::::::::ヽ　　 i:::::::ヽ｀ー─-､＿〈 ::ヽ､_/:::::/::::::::::
:::::::フ/　:: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ::.イ ∧ 　 ｲ::::::::::::::::.| 　 |::::::::::::ﾉ::::::::::::::::::::::ト､　:::::／:::::::::::
:::::/r'　.: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: :: ／::::::　∧　 |::::::::::::::::::| 　.|::::::::::::::::ゝ:::::::::::::::::::＼￣:::::::::::::::::::::
::::l:::| ..: :: :: :: :: :: :: :: :: :: , 　'´ :::::::::::　∧　i:::::::::::::::::::| 　|::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::＼　:::::::::::::::::::::::



　　　　　　　　　 「そのうえ、その年は大雪干害暴風大風などの災害が相次ぎ、

　　　　　　　　　　　　　秋を待つまでもなく凶作であることが以前から予測できていたというような年だった」



.

587： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:48:27 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「実際、その年は加賀藩領内には農民騒動が相次ぎ、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　天災が被害を後押ししていた。

　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼　　　　　　　　　　 この年起こった農民騒動の代表的な出来事が『大西村騒動』だ」
　　　　　　　　　　　 　 　 ⌒　ヽ､_　 　　＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ●）(● ）　　 　 |
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 （_人＿)　　　　｜
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　　　　　　　　　　　　　　 　 | ､　　　　　.ｨﾊ､_
　　　　　　　　　　　　　　 　 ≧ｭ─ｰ ´　／.......ヽ
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　　　　　　　 　 　 　 ,.＜..::/:r〉:::li　`y .:::::::/::::::::::::::::::..ヽ、
　　　　　　　　　　　/.::::::::/:::｛,'::::|i　 / .:::::::/::::::::::::::::::::::::::∧
　　　　　　　　　 　 j ::::::::::> :.{::::::l　/ .:::＜:::::::::::::/..::::::::::::::Λ
　　　　　　　　　　　i :::、:::〈 :::i::::::ﾚ .:::::::／::::::::::i:::::::::::::::::::::::::}
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　　　　　　 　 　 　 | :::::Λ:::::', :i::/ .::::::::::::::::::::::V..:::::::::::::::::::::ﾊ:i



￣￣　l　　　　　　/　　　　 |　　　　| 　　　　＼　　　　　＼
　　 　 |　　 　 　 /　　　　　|　　　　| 　　　　　∧　　　　　 }
　　 　 |　　　 　 f　 |　 　　 |　　　　| 　 　 　 /　}　　　　　 l__
　　 　 |　　　　　|　 |　　 　 |　　　　| 　 　 |　 　 l　　　　　 l　ヽ
　　 　 |　　　　　|　 | 　 　 ｜　　 　| 　 　 |　 　 |　　 　 　 |　 l　　　　　　　　　　「えらいことになってやがるであります」
　　 　 |　　　　　|　 |＿_　　{　　　　| ＿＿|＿　 |　　 　 　 }　 l
|　　　｜　　　　 |　　　　ミ八 　 　 :| 　 　 |　 　 |　　 　 　 }　 |
{　　　｜　　　　 |㌢芯云丐ﾐ＼ 　 :|　/芯云丐ミ 　 　 　 ,′ }l
‘， 　 :|　　　　　|ゝ ｈr//刋　　ヽ　: 　 ｈr//刋 /　　　　/　 /{{
　　　　{　　　　　{　{乂)こ少　　　＼{:　乂)こ少　　　　 ∧__　ⅱ
　　∨八 　 　 　 ', i　　　　　　　　　　　　　　//　　　 ∧////
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　　　 ∨ / ヽ　 　　＼}　　　　　　 　 　 　 〈//　　　/　 }/＼} / ∧
　　　　∨　　 〉､　 ∧　.　　　　 -　　　　 　 /　　／ 　 /}///ﾍ / ∧
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　　　　　 ∨///∧/　:}　＿　ヘ _ ｡＜ﾆﾆ/／/ 　 　 /_∨＼///ﾍ/ ∧
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.　　　　 ////＞/　　/　　//ｉ:ｉ{ﾆ＞＜:/　/　　　 /＿__/＿_ 　 }　　　/ ∧
.　　 　 ,' ￣ア /　　/7777/ｉ:ｉ／i:i:i:i:i:ｉ:{　/　　　 ///////////ﾍ___ 　 / ∧
　　　 /　 イ__/　　/=:∨,/i／i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:∨ 　 　 ///≧=‐ニニﾆﾆ二:ミｔ､/ ∧
.　 　/　 {二:/　　/ﾆ/／＼i:i:i:i:i:i:i:i:ｉ:／/ 　 　 /二二二ニニニニニﾆニ',/ ∧


.

588： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:49:27 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　「藩への訴えを無視された農民たちが肝煎りの家を打ち壊した騒動で、

　　　　　　　　　　　　　　加賀藩の奉行まで出てきて鎮圧に当たった。

　　　　　　　　　　　　　　　この大西村騒動の話は加賀藩の池村家蔵の『無題雑記』や

　　　　　　　　　　　　　　　　佐伯家蔵の『古記抜書』などにその様子が記されている」



　　　　　　　　　　　　　　　 ――　､
　　　　 　 　 　 　 ／ 〉 ´　　　　　　＼
　 　 　 　 　 　 ／ ／'　 __ ノ 　 ゝ.__　ヽ
　　　　　　 　 /　/／〉　 ( ー)　(ー )　 ｌ　　　　　　　　　「こうした不安定な社会情勢の中で友禅斎が招かれたという主張されて、
　　　 　 　 　 ｌ　 ´ イｌ　　 (___人___)　　ｌ
.　　　　　　　 ｌ　 　 ｉYｌ　 　 ｀ ⌒ ´　　 ｌ　　　　　　　　　　　裏付けがないときたら信憑性はさらに低くなるだろ」
.　　　　　　　/　　 ﾊ !.!　　　　　　　 　 !
.　　　 　 　 /　　/　 ' ヽ 　 　 　 　 　 /
　　　　　　 ｌ　　　／/ ､ゝ　　　　　　 ／ ヽ_
　　　 　 ´｀ ー‐ '｀./　　｀ー､　　,－´　　/ 　 ＼
.　　　　 ｉ　　　 　 ｉｉ　　 / ｀:.ｉ 　 ｉ´ヽ.　 /　　 　 ｀　 ､　　　　　　　　　「仮に事実だとしたら前田家の正気を疑うぞ」
. 　 　 , 'ｌ　　　　　ｌ.!　 /　　 ｌ 　 !　ﾊ　/　　　　　　　 ＼
　 　 / ,:|　　　　　| ヽ/　　　!＿'　　 V　　 　 　 ,　 ,　 　 ヽ
.　　/ / ｌ　　　　　|　　　　 /:.:.:.:ヽ　　　　　　　/　/　 ／　 ｉ
.　　!/　 !　　　 　 ｌ＼.　　 ｉ:.:.:.:.:.:.ｉ　　　　　 ／　/　 /　　　ｌ
　　/　　　　　　　 !　 ヽ.　 !:.:.:.:.:. !　 　 　 ´　　 !　 /　　 　 !



.

589： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:49:58 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　／　　　　 {///‐≦ 　 　 　 |　　　　　　　　 }＿＿_
　　　　　　/　　　　　 ///{ 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　 ｉ 　 　 {
　　 　 　 /　　　　　 /　/ ｉ　　　　 　 　 :|　　　 :|　　　　 } 　 　 ｉ
　　　　　　　　　 　 /　/　{ 　 　 　 　 　 |　　　 :|　　　　{　　　 :
　　　　,'　　　　　 :/　/　 :ｉ　　　　 　 　 :|　　　 :|　　　 /　　　 {
　　 　 :　　　　　 /:　〈　　|　　　　　　　 :|　　　 :|　 　 /　　　　}
　　 　 ｌ　　　　　f　　 　 ＞｡.　　　　　　 | --- ､}　　 ,′　 　 /
　　 　 |　　　　　{: 　 　 　 　 ＞｡.　　 　 |,x笊､ :　　/　　　　/
　　 　 |　　　　　＼　　 ＼　　　}/ﾑ　　 :|ゝぅ}　:{ ／ /　 　 ,′
　　 　 |　 　　　　　ヽ　　　＼ f///:}　　 |:　ﾏ{　〈　 /　 　 /
　　 　 |　　　　　　 　 〉＜　 ／//:/　　 :|　　　　ヽ/　 　 /
　　 　 |　　　　 　 ／ |　　≧=‐=≦　 　 |:　　　　/　　 ／
　　 　 |　　　 .｡＜ゝ＜　　 　 |　∨　 　 :. 　　- /　 ／
　　 　 |　｡＜///////|　　 　:|＼:∨　　 {　　,ｨ　／
　　 　 |　∨////＞＜! 　 　 :|//}∧　　 i _/: ／
　　 　 |　 ゝ‐=≦///,'|　　　 :|///＞｡.　:{: ／
　　 　 |　 {//　　￣￣|　　　 :|∨＼///ﾍ/　　　　　　　　　　　　　　　　「不作や打ちこわしをよそに
　　　／二二二二＞ :|　　　 :|ｉ:ｉ}i:i:ｉヽ///}
　　/二二ニニニニニ|　　　 :| /i:i:i:i:i}＼/＼　　　　　　　　　　　　　　　　 京から有名な染職人呼んで藩主ニッコニコでありますか」
　 /二二二ニニニﾆﾆ|　　　 :|＼i:i:ｉ∧イ{ﾆﾆﾍ
　f二ニニニニニニニ|　　　 :|　　 ヽ ＼i二二}
　ｌ二二ニニニニニニ|　　　 :|　　　 ﾟ， ﾏ二ﾆｉ
　|二二二二二二ニ/:|　　　 :|　　　　 ＜ ﾏ＜!
　|二二二二ﾆﾆﾆﾆ//:! 　 　 :|　　　　　　ミｔ､　＞｡.
　|二二二二ﾆﾆ／‐=｜　 　 :|　　　　　　　　 ＼　　＼



　 　 　 　 　 　 ／　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　 　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,
　　　　　　　 ′　　　 ー―一　　　　ー―一　′
　 　 　 　 　 |:　　　 ━━━━i:!::!:i::!:━━━　:|
　 　 　 　 　 |　　　 :　 　 ・ 　 .i:!::!:i::! 　　・　 　:|　　　　　　　　　　「まぁ時代劇に出てくるような
　 　 　 　 　 |:　　　 `i:!￢冖:!´i:!::!:i::!:`!:i￢:!´　:}
　　　　　　　 　 　 　 u　 　 （＿__人__ ）　　　　′　　　　　　　　　　　　　　絵にかいたようなバカ殿に近そうだお」
　　　　　　　　＼ 　 　 u　　　（＿ ﾉ　　 　 ,／
　　　　　　　　 　 ＞ 　　 　＿＿＿_ 　　ｨく
　　　　　　　　　′　　　　　ー -一　　　　　ヽ
　　　　 　　 　/　　i　　 　 　 　 　 　 　 　 ｆ 　：
　　　　　 　　｛　　 |　　 　 　 　 　 　 　 　 |:　 |


.

590： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:50:24 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　「で、もうひとつ加賀サイドが友禅斎との関りを主張する根拠の一つとして『友禅斎の墓』とされるものがある」


　　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　／　　__,ノ　'ヽ､_
　　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
.　　　　　　　　　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　　 　 　 |　 　　└ー '´ﾉ
　　　　　　　　　　　 |　　　　　⌒　|　　　　　　 　　　　　, ｧァ┐
　　　　　　　　 　 　 i ヽ　　　　　　|　　 　 　 　 ┌､　　///./ ７
　　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、　_ |　l ／//./' /
　　　　　　　　　　 _ﾉ >-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７ ﾉ　/　ヽ_/' /
　　　　　　　　__／ :}Λ:::√ У: : :/ : : : : : : / /／　 ／　丿
　　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : |　　/　　／
　　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : ﾍ　 {　　ｲ
　　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : :「ﾑ ＿_厶┐
　　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : :i : : |｀ ー一一'|
　　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : :V : :| : : : : : : : |
　　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : :r : :|.: : : : : : : |



　　　　　　　　　　　 . . . . .--. . . .
　　　　　　　　 . :´: : : : : : : : : : : : :ミ: . .
　　　　　　 ／. : : : : : : : : : : :／: : : : : : :｀. .
　　　　 　 . : : : : : : : : : : : : : : : : : :／ ｀ヾ: : ヽ
.　　　　 /. : : : : /:|: : : : : :/: : :/: ; 　　　　;.ヽ: ﾊ
　　　　 ' : : : : : : :.l: : : : :/: : : : :/ 　 　 　 l|　Ｙ:‘,
.　　 　 i : : : : : |: ;　 : : /ｨ: : :// ―　 、　 }　 }: : ，
.　　 　 | : : : : : :/ ｒヽY:./!: :// 丁圷ﾐ. ヽ ﾘ　从ﾊ:
　　　　 : : : : : :|{ 　 ;.ﾊ/｜:,/　　 ﾋｿ ｀　 　 ｲ{.:ﾘ i}
　　　　ﾊ: : : : :.|乂　　′{ /{　　　　　　　 んﾒ/　ｊ!　　　　　　　　　　　　　「お墓？」
　　　　　: :.:.: :.:.:.:.:.:｀¨{　 '′　　　　 　 　 ‘ｧﾉ'
　　　　　i :.:.:.:.八:.:.: : :込、　　 　 、 　 　 /
　　　　　} : :.:.|.:小:.:. :∧个 .　　　　　　,.
　　　　　| : :.:.}:.:.|:.ゝ:.: :‘,ゝ　≧ .　　／
　　　 　 ｊ :.:.:.:|:.:.|:/|＼: : ヽ　 Ｙｰ｀ﾁ:{　　　　　　　　　　　　　　___
　　　　 ,' .:.:}: |: :|: ﾘ　 ヽ:.:　　 |　_{廴ゝ- ､　　　　　　 　 '"´
.　　　 /.:.:.:ﾘ:.:.:ｲ:}'　　｀ } : i.　 トミ¨了､:ヽ 　　　　 　 〈
　　　 ′.:.:.:.://:/　　 ` | : } ｀　　 ｀Ｙ､ｲ: i |　　 　 　 小.
.　　　i .:.|:.:.:.i/:/'　　　　|: '′　，　 ﾞリい;ヽ ＿　　 　 } 乂　　　__
.　　　|.:.:{γ: ‘ 　 　 　 八　　　ヽ 　 ＼ゞ ミ≧ｰ　．八　ゝﾞアー
.　　　} .:./:/　 :.　　　　　　　　 　 ゝ　´　　｀ヽバ　　ヽ}ヽ　ゝ て ｲ
.　　　|: |{ {　 　 :.　　　　　　{´　 　 　 　 　 　 ゞ'　　　 ＼　　_　イ
　　 　 :{: :|　　　　ヽ　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ 　 　 ヽ Ｋ
　 　 八ゝ{　　　　　　 .:.:.:. 　 }　　　　　 　 　 　 　 .i　　 　 } .:.:.ヽ
.　　 　 丶ゝ　 ヽ　　　＼.:.　 i : : . .　　　　　　. . : :ﾘ　. . : :八:.:::. 〉
　　　　　　　}　 :.:...　　　 丶 :{ : : : : : : : : : : : : : : /. : : : :/.:.:.　 /
　　　　　　 /　　 :.:.:.｀　 　 　 ゝ :.:.:.:.:.:.....　　 .:.:../. : .:.:.:ｲ.:.:.　 /
.　　　　　 〈　　　　:.:.:.:.:..　　　　ヽ .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.. ' . : :.:.{.:.:.:.:.　/


.

591： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:50:58 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、　　　　　　　　　　「あぁ、金沢市の曹洞宗の寺院、祥雲山龍国寺にあるぞ」
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|




　　　　　// ヽ ヽ　　　, -‐　　- ､
　　　 　 | i　　＞　`Y´////////＼ヽ
　　　　　|:i　///,ヘ　∨ ＼///////＼ヽ
　　　　　|i ////　　〉-‐'´⌒ヽ///////＼ ヽ　　　　　　　　　　 「お墓があるということは、
　　　　　ﾚ'///　／　　　　　 　＼//////:ヽ　
　　　　 　///:ﾚ' 　　　　　　　　 __＼//////Y　　　　　　　　　　　　やっぱりご縁はあったんじゃないかしら？」
　 　　 　////{　　　　　　　　／　￣ Y/////|∧
　　　 　 i///:| 　 _＿　　　　　,ｲ丐`ヽi/////|//i
　　　　　|//∧ / ,.= ､.　　　　 弋ﾘ　仆//////|∧
　　 　. 　|///∧ 仍ﾊ.　　　　　　　　　N/////|/∧
　　　　.　∨//∧`ｰ'　 　 ､　　　　　　　|////N//∧
　　　　　　∨//∧　　　　　　 ._　　 　　|///////..∧
　　　　　 　 ＼//ｒ-､　 　　'´　　　　　　 ////////∧
　　　　　　　　 `Yゝ ,'Y⌒ヽｰｒ､　　　　 /／///////∧
　　　　　　　　　 |::i´　 (_ ノ_丿 }-‐ 　 / ＿////////∧
　　　　　　　　　 |::.|　　入フ ｰ iＴＴＴＴＴＴ 7////////∧
　　　　　　　　　 |/|　　　　　 / |　|　|　|　| {/////////∧
　　　　　　　　　 |//〉　　　　/　|　|　|　|　|八/////////∧
　　　　　　　　,ｨ'￣/　　　 /　|　|　|　|　|　|　| `ｰ　､ ////∧
　　　　　　　/　　/　 　 　/　|　 | 　|　 | 　|　 |　ヽ 　ヽ////}
　　　　　.　 {　 ./　　 　 /　 |　 |　 |　　| 　|　　|　 ヽ　 ＼//|



.

592： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:51:10 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　「本物だったらな」


　　　　　　　　　　　　 /　　　 ､__,,..-''..-､ヽ　　　　./　 　 　 　 　 /:::::｀ヽヽ　　　　 　 ヽ、
　　　　　　　　　　　. /　　 ,　　　/.{::::::::::} .l　　　 /_,,-''´　　　 l　l::::::::::::ﾉ .'　　　　　　　 '.,
　　　　　　　　　　　. l _,,.-' -.､　 ヽヽ-‐'　　　　 ,'　　　 ‐.､　　ヽ._｀¨¨´　 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　「なにそれこわい」
　　　　　　　　　　　. l. /:::::ヽ .l　　　　　 ｀ヽ　　 l　/:::::::ヽ l　　 　 　 ｀ヽ　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　l ヽ::::ノ　　　　　 　 　 } 　 / ヽ._::::ノ '　　　　　　　l　　　　　　　　　 /
　　　　　　　　　　　　ヽ._　/　　　、　　　　ノ　　ヽ._　　 / 　 　 ､　　 ／　　 　 　 　 　 ／
　　　　　　　　　　　　　i　 l　　 　 l-―‐''´　　　 ',.　 　 l　　　　ﾉ ¨¨´　　　　　.,..-''"´ヽ｀"''-..,,
　　　　　　　　　　　　　.',　ヽ..,,__ノ　　　　　 　 ／',　　　ヽ-‐''"　　　　　 　 .／　　　／　　　　　｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　 .ヽ　　,.--..,,_　　 　 ／　　',　　　　　 ,.-''"￣ ヽ　 ./　　　／
　　　　　　　　　　　　　　　＼｀ヽ　　 ヽ__／　　 ／ ヽ.　　　　｀ヽ　　　 ｀ｰ'　　　 {
　　　　　　　　　　　　　　　　 ＼ ヽ　　　　　　　ヽ　　 ｀　　　　　ヽ　　　　　　 　 ヽ



.

593： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:52:23 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「そう言うということは、疑わしい事情があるわけね」
　　　　　　　　　　　　 ＿＿
　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　 ／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　 ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ 、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　 二_ｷ|:l: :!
　　　 　　 {:.{:.ｲ　r=＝、 　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　 、　///　ﾚｊｿ
　　　 　　　 ﾚヽﾍ　 　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼ 　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　 ／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ 、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　 「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　 ﾘ　　　/ヽ
　　　　 |　ヽ　　 　 　 　 |l　o　　　 　 ∨　 l
　　　　 |　　∨_ oニ] 　∥　　 [__ o__」 | i　|
　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　 ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　 　　∥　　　 　　ノ 　　l



　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／_,ﾉ　ヽ､,__ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| (●.) (● ) 　 |
　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 | （__人___）　U |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　 　　　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　|　　　　　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ヽ 　 、　　　. {　　　　　　　　 「あぁ。この墓が発見されたのは明治期、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　√ヽｰｰ-　´/ i､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／ヽ　 ＼　､　　 ﾉ∧　　　　　　　　 友禅斎の墓であるとされたのが大正時代なんだが、
　　　　　　　　　　　　　　　 　 , . ＜　　 ﾊ　厂iヽ　　 }∧ }
　　　　　　　　　　　　　　　／　　　　　　 ∨ヽ::ヽ{-ﾆ/〉 V ＞.､　　　　　　　 ほとんど無縁仏のようなありさまで発見されてる」
　　　　　　　　　　　　　 r ´　　　　　　　　　　 ｀∨::::::}/　　　　 ヽ
　　　　　　　　　　　　　ﾉ　　　V　　　　　　 　 　　〉:::〈　　　　　　｀,
　　　　　　　　 　 　 　 i　　　　 、　／　　　　　　 |::::::|　　　　　ｉﾉ r
　　　　　　　　　　　　／　 　 　 '　　　 　 　 　　　|::::::|　　　　 」　 |
　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　 V　　　　　　　　|::::::|　　　　 l:　 i
　　　　　　　　　　　/　　　　 　　ｲ　　　　　　　　 |::::::|　　　　 |　 |
　　　　 　 　 　 　 / 　 ＿／　　/　　　　　　　 　 |::::::|　　　　 j　 i
　　　　　　　　　　}／　　 　 　 /i　＼　　 　 　 　 |::::::| 　　　 .:　 !
　　　　　　 　 　　.′　　⌒丶 {　}　　`､ 　　　　　|::::::|　　　　i　 |
　　　　　　　　　　i 　 　／ ￣｀i　i　　　〉 　　　　 |::::::|　　／ {　 {
　　　　　　　　　　!　　　　　　　i　i　　/　 　 　 　 |::::::|　/　　 ;.＼i
　　　　　　　　 　　V　　　　　　 ', i　　　　　 　 　 |::::::|　 　 　 i　 |



.

594： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:53:08 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　「それに加え、墓が完成したのちに、何者かが手を加えた痕跡がみられる」


　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜　　　　　　　　　　　　「さらに、その友禅斎の墓なる墓石の研究にあたった人物が
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´　　　　　　　　　　　　　　 『墓に手を加えた人間を知っている』という
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　　 　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_　　　　　　　　　　　 地元民の証言を得たが、これはこれで具体的な名前が出てないから
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,　　　　　　　　　　　参考意見程度だな」
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／_ノ　 ヽ、＼
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／（ ●） 　（●）.＼
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　　（__人__）　　u. ＼　　　　　　　　　　　「うわぁ」
　　　　　　　　　　　　　　　　|ｎi 7　　 ｀ ⌒´　　　　.　|ｎ
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 l^l | | ｌ ,/)　　　　　　U 　l^l.| | /）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ', U ! ﾚ' /　　　　　　.　.　| U ﾚ'/／)
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 {　　　 〈　　　　　　　　　ﾉ　　　 ／
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 i,　　 　."⊃　　　　ｒニ 　　　 /
　　　　　　　　　　　 　 　 　 "'""⌒´　　　　　　　`''""''''


.

595： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:53:48 ID:7AXrt/uY



　　　「ともあれ、かなりの部分が破損、風化しているこの墓石に刻まれたことを

　　　　最大限尊重するとすればこの『友禅斎の墓』というのは

　　　　　　　宝暦八年（1758）に作られたものということになる」


　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　／　　 _ノ　　＼
　　　　　　　　　　|　　　 （ ●）（●）
　　　　　　　　　　|　　　　 （__人__）
　 　 　 　 　　　　 |　　　　　｀ ⌒´ﾉ
　 　 　 　 　 　　　 |　　　　　　 　 }
　 　 　 　 　　　 　 ヽ　　　　　 　 }
　　　　　　　　　　　 ヽ､.,＿＿ __ノ
　　　_, ､ -― ''"::l:::::::＼ｰ-..,ノ,､.ﾞ,i ､
　　/;;;;;;::ﾞ:':､::::::::::::|＿:::;､>､_　l|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
　丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::／:::::::＼ﾞ'' ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::＼::::::::::＼ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::＼:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::＼:::::ﾞ､|||:::/::::::::::|:::




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「えーっと、ユウゼンサイが亡くなったとされるのが1736年だから……」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　_　,　_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,.: : :´: : : : : : : :｀: . .,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 , イ: : : : : ; : : : : : : : : : : ｀ .､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ／: ,: ィ: : ／/∧: : : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／,ｨ7: : : :／　/:ハ: :i: : : : : : : : : : : ﾑ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　' ´ ﾉｨ: : ; く 　 /'　　i: :|: : : : : : : :: : : : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　_　　　 ' /／,､ 　 ∨ 　 　 |: |: : : : : : : : : : : : :|
　　　　　　　＿. . . ､-― . . ￣ . ト ､　　,ｲ ! 込,　 ',　　　 |:.|: : :i: : : : : : : : : :,'
　　 ,. . .r. .´. . . . . . .i. . . . . . . . ..|　 ﾍ　 ﾘ　 ｰﾟ'　　　　ヽ ∨i: :ﾘ: : : : : : : : :/
　　i. . . . . . . . . . . . .|. . . . . . . . .ハ 　 ∨ 　　　　　　≧､ ヽﾑ: !: : : : : : : :/
　 人. . . . . . . . . . .ノ＿＿＿__人　'　､ ﾊ　　 ´ 　 　 　 入ヽi: :|: : : : : : , '
／　 ヽ､. . . . . ｰ. ´. . . . . ｀. .ー‐'―／: :ﾍ　 ､　　　　　'ｰﾟ´ }:ﾘﾚ´ﾌ: ／
　　　　　｀　＜. ., r‐.-. ､. . . /. . .／:／＞ >　 `　　　　　 _､_ﾚ_ ノ'´
　　　　　　　　/. . .ヽ.ー. --=＝.７._._._≧'ー ｀＝r‐=‐ : : : ＞´
　　　　　　　 i. . . . . . . . . . . .≧´7/i_r/.r＞: ´,: :_:＞ ＜三､　 ,､
　　　　　　　 !. . . . . . .／.￣. . . . . - =＝＜. ´.-.-.-.-≧､三y三ム
　　　　　　／. . . . . ./. . . . .ヽ.ｰ. ´. . . . . . ,､. . . . . . . . . 7ﾆ,'三ﾆ/
ー-､　 ,／. . . . . .／.o. . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . ../三三ﾔ
､　　 >＜. . . . ／ . . . . . . . . . . . . . . . . /. . . . . . . . . .ﾌ三三/
ﾆ＼/. . . . ＼/o. . . . . . . . . . . . . . . ..／. . . . . . . . .／三三/
三ﾆ＼. . . . . .＼. . . . . . . . . . . . . ／. . . . . . . . ..／三三ｱ
三三ﾆ＼. . . . /. .＞. ､. . . . . ..／. . . . . . . . . ／三三／


.

596： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:54:54 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　「死んでから二十二年墓なしでほったらかしでありますか」


　　　　　　　　//二ﾆ=‐　　　　　　 |　　　　　　 |＜⌒＼
　 　 　 　 　 　 {=‐　　　　＿　　　 i|　　　　　　 |　 ,　 　 ≧s｡.,_
　　　　　　 / ィi〔　　　　 /　　　　　|　　　　　　 }　 ‘，　　　　}　}
　　　　 　 / {　　　　 　 /　　 　 　 i| 　 　 　 　 从　 ﾊ　　 　 |　|
.　 　 　 　f/i{　 　 　 　 {　 　 　l 　 |　　　　　 /　l　　 ｉ　　 　i|　|
　　　　　 ｱ i|　 　 　 　 |　 　 　l 　 |　　　 　 , 　｜ 　ｉ|　　 　i|　|
　　　　 ｧ　( |　 　 　 　 |　　 　 l 　 |i　　 　 /　　i|　　ｉ|　　　 i}　}
.　　　 /　 ∧　　　　 　 li　―‐┼‐｜､　　,/　斗ぅ尤 ,　　 　 从,
　　　 {　 　 ∧ 　 　 　 i|　 ≫ｧ==ｬミ　　 / }　 ≫ｧ=ｬ　　　 /　,
　　　 {i 　 　 ∧　 　 　 |　〈 hr//(　| 　 /　} /h/(　 }　　　/　/
. 　 　 ∨　　　∧　 　　i|　　乂z少 ｉ|　,/ 　 / 乂少/　　 /　/
　　　　∧　　__}/}　　　 |i 　{　　　　i|／　　　　　　/　　 /　/
　　　 / ∧　{//,'|　　 　{ 　 ＼　　　 　　　 '　　　/　　 /　/
.　 　/　 /＜///,!　　　 ＼⌒^　　　　r　ｭ　　 　〈ｨ 　,/　/
　　/　 ‰//≧=‐＼　　　 ＼＞　　　　　　　 ／/　　′/
　 / ／//////〉　　 ＼　　　 ＼≧s。　　ィi〔　/　 ‰l /
. /　∨'///,'／|　　　　 ＼　　　ﾊ|ニﾆ爪　　 ,/ ／　 ,/
/　　 ∨/／　｜　　　　｜＼　　 }=笊 ∧ 　 ／　　　l
　　　　 ^　　　i| 　 　 　 i|　　＼　|={{}} 　 ｱミｔ､ 　 　 |



　　　　　　　　　　　　　　 ／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　／　 ＼　 　 ＼
　　　　　　　　　　　 .（●）（● ） 　u.　|　　　　　　　　　「あー、二人には要領を得ないと思うけど、
　　　　　　　　　　　　（__人__） 　u　 　|
　　　　　　　　　　　　.(｀⌒ ´　　　　　|　　　　　　　　　　　肯定的にとらえるなら、これについては二十三回忌の法要の時に
　　　　　　　　　　　　 { 　 　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　{ 　 　　　u.　/　　　　　　　　　　　　　建立された可能性を考えるべきだな」
.　　 　 　 　 　 　　＿＿＼　　　　 /ﾘ 厂`'‐- .._
　　　　　　　　　／ :　　: :介ｰz＜__｣// |: : : : : : :ヽ
　　　　　　　 　 | : : : : ::〈　｢｀乂/ 　/ 丿: : : : : : : |
　　　　　　　　　| : : : : : /: |　{::::}　/ `7: : : : : : : :│
.　　　　 　 　 　 | : : :　〈: :│ {::::l /. :/. : : : : : : : : |



.

597： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:55:08 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿
　　　　　　　　　　　　　-───＜_　　｀ヽ
　　　　　　 　　 ,　´　　　 　　　　 　 ＼ 　ﾉ
　　　　　　　　/　/　　 ／三｀Y三＼　 ＼　　　　　　　　　「ですね」
　　　　　　　 ,'　 ′ 　/／´ 　　 ｀ヾ|　 ヽ|
　　　　 　 　 |　 , 　　 |'＿_,ノ　　`ｰ┤　| |
　 　 　 　 　 |　 | 　　 | 　＿- 　 ,ﾆ､{ |　| |
　　　　　　　 ',　| 　｜ﾚ'´　 ｀　 　　,,V　ﾊ|
　　　　　　 　 |　',　 Ν''　　 ＿_　 　ﾉ /
　　　　　　　　|　 ＼|_`ﾆ=r ｀ﾆ´ｒ＜_V|
　　　　　　 　 | 　/´ |　ﾚﾍ　　/V |　ヽ|


　　　 　|　　|　　　|　　 ./　　　　　|.|　 ＼　＼　　　 　ヾ ヽ.|
　　　　/　　|　　　|　　/　　　 　 　|.|　　　＼　＼ 　　　 |＼|
　　　　| 　 .|　　 ﾊ　 /. 　 　 　　　|.!　　　　 ＼　＼　　 |入ヾ、
　　　　|　/ |　 　|::|./ー―-、...........||:::::::´￣￣ V　 ヽ　 |　 |　ヽ
　　　　|/|　|　　/:::|ｋｒ---ﾄ、:::::::::::::::::::::ィ----ハ　　| 　|　ﾉ
　　　　　 V　　,':::::!|ﾊヽ____,,!:::::::::::::::::::::::ゝ____ﾉ::: V　| 　|ノ
　　　　　　|　　|ヽ　:::::::::::::::　´　　　　｀::::::::::::::::::　|V,'　 |::|　　　　　　　「なにそれ」
　 　 　 　 .|　　|.ハ　　　　　　　　　　　　　　　　　/ 　 .|::|
　　　　　　 ',　 |:　∧　　　　　　　!　　　　　　　／|　　 .|::|
　　　　　　　Vヾ　　|丶、　　　　　.　　　　　 ／:::::|　　 .|::|
　　　　　　　 　 | 　 |:::::::＞ 、　　　　 　,　イ:::::::::::|　　 .|::|
　　　　　　　 　 |　　|::::::::::::::|　｀　-　´　 　:lー＝ |　　 .|::|


　　 ／/＼＿。s＜/{￣￣｀`＞s。////｀ヽ　＿＿｀ヽ
　 ///γ=､///＞ ´i　　　　　　　 ｀`ﾆ=-､/////////＼
. //.／　　　　　　　 ',　　　　　　　　　　　　　　､￣￣＼/＼
/.／　　 　.f　　　 　 .',　　　　　　　　i　　　　　　 ,　　　 ＼/
´ . 　 　 　 |　　　　　 .',　　　　　　　 |　　　　　　 i　　　　　｀
.　　　　　　|　　　　　　.',　　　　　　 .,　　　　　　 .|
.　　　　　　|　　| 　 　 ./',　　　　　　,　　　　 .| 　 |
.　　　　　　|　./|　 　 /　.',　　　　　, ∨　　　,　　.|
.　　　　　　|_/__l＿_./　　 ',　　　　.,　_∨＿_,∨ . |　　　　　　　　　　　　　「わけわからんであります」
.　　 　 　 ´l' 　 |　./　　　 .',　　　 , ´　.∨　/￣｀ヽ
.　　　　　　|　　.Ⅳ　　　　　',　　 .,　　　 ∨'　　Ⅵ
.　　　　,ｨzz≠＝＝＝ァ　　 ',　　,　,ｨ≠＝＝＝ミx､
,　　　 ´{　 |_)　　　　 |　　　　',　,　　 ._)　　　　　|| ﾉ　　　　/
.',　　　　　 |i 　 　 　 .|　 　 　 ヾ　　　i　　　　　 .||　　　　 /
. ',　　　　　.乂＿＿.ノ:::::::::::::::::::::::::::::::乂＿＿_ ノ.| 　 　 ./
.　 ,　　　　.|　　.....:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.....　 ,　　　 /,　 /
ヽ ､　,..　　.|　　　::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::　　,　　　/―イ ,
//// ＼　 |　　　　　　　　 ／＼　　　　　　　　,　　 ./i/// ー
/////|　ヽ.{＞s。.　　　　　￣￣　　　　　 。s.,　　／ .|/////
￣￣/　　 ｀　|　　 ﾆ=-　　 ＿＿　　 -=ﾆ　 ,　.／ 　 .|￣￣
´///　　　　./　　　／: : ＼////／: : ＼　 ⌒´　　 　 ﾏ/∧

.

598： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:55:33 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　「でも、二十三回忌で墓石をたてるかお？普通」


　　　　　　　　　　 　 　 ＿＿＿_
　　　　　　　　　　 　 ／　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　 ／　　 ⌒　　 ⌒＼
　　　　　　　 　 ／　　　（ ●）　（ ●）ヽ
　 　 　 　 　 　 l　 　 　 ⌒（__人__）⌒　|
　　　　　　　 　 ＼　　　　　｀ ⌒´ 　 ／
　　　　　　　 　 ／　　　　 　 　 　 　 ヽ



　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　 ／　　 _,.ノ　 ヽ､_
　　　　　　　　　 　 ｜　 　 ( ○) (○）
　　　　　　　　　　　｜ U　　（___人__）
　　　　　　　　　　　 .|　　　　　　　__ﾉ__
　　　　　　　　　　　　|　　　　 _／ ___＼ヽ_　　　　　　　　　　 「俺は本チャンの墓じゃなくて、記念碑的なもんだと思ってたんだが、
　 　 　 　　 　　 　　 人､ 　　'-／____ ヽ　 |
　 　 　　 　 　　 _,／(　ヽ､　 __'-〈 、 ヽ　　|　　　　　　　　　　　　この寺の住職の話では『記念碑的なものではない』らしい。
　　　_, ､ -― ''" :l : :.＼　 ヽ,､.ﾞ,/ヽﾉ}　　　ﾄ､
　　/. : : : : : : : : : :|＿: :.ヽ､ ∧:::〈ヽﾄ{　　　〈j)、　　　　　　　　　　　墓の形式が『僧侶用の墓石』のもので蓮辨型墓石というんだと」
　丿: : : : : : : : : : : : ／: : :.∨ |:::::', |: ゞニﾆ彡〉,
. i : : : : : : : : |: : : : : ＼ : : : `､|::::::|,|:〈: : : : : : : ∧
/. : : : : : : : : !: : : : : : : ＼ : : :.'､:::::| : 〈: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : : |: : : : : : : : : ＼: : :'.,:::|: ;∧: : : : : : : ∧
: : : : : : : : : 丿: : : : : : : : : : :.＼: :V:./-∧: : : : : : : : v
: : : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : ﾚ : : : ∧: : : : : : : :}


.

599： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:58:33 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　 ／　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　　　　　><￣￣ ヽ
.　　　　　　　／　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ／ 　 ＼　　　＼
　　　 　 　 /　　　　　　　　　　. : : : : : : : : : . 　／　　　　　＼　　　＼
.　　 　 　 /　　　 　 　 　 . . : : : : :-―＝＝―/､＿＿＿　　　＼　　　）
　　　 　 .'　　　　　 . : ／:＞: : : : : : : : ／ヽ: /: : : : : : : : :',. 　 　 }
.　　 　 .' 　 　 　 . : : : ／: : : : : : : : :∠:ｚ､ｚ､{／Z､ヽ: : : : :',　　 /
　　　　i　　　　 . : : ／:/: : : : : : : : /　　　　　　 　 ヽl : : : : ',.　/、　　　　　　　　　　 「それじゃ、友禅斎さんは
　　 　 |　　　 . : : :/: :/: : : : : : : : / ＿_　　　　　　　 |: : : : : ∨､:|
　　　　l　　 . : : :./: :/ : : : : l:/: :/´￣￣｀　　　　　＿| : : : : : :',　＼　　　　　　　　　　 やっぱりこのお寺に葬られているということ、
.　　 　 '.　　: : :./: : : : : : : : l : /　　　 、　　　　 　 　 |: : : : : :│　　＼
.　　　　 ヽ　: : :|: : :|/: : : : : l:/,彡五ヽ　 　 　 　 'ニ　|: : : : : : |: .　 ／　　　　　　　　　　なのかしら？」
　　　　 　 ｀ー┤: :j: : : : : : :|/　心jﾘ　　　　　　糸＾ヽ|: : : : : : |: : く
.　　 　 　 　 　 ∨/:_j : : : : :ト　込ｸ　　　　 　 んﾘ　ﾉ}:ﾄ!: : : : ﾊ　. :こ＞､
　　　　　 　 　 /:/:/ |: : : : : |　　　　　 　 　 　 ｀¨　 ,ｲ:|:|: : : /l |: : : : : ／
.　　　　 　 　 /:/:/7ｲ: : : : : |　　　　　　　　 ' 　 　 / ! N:.: :/ :リ: : : ／
　　　　　　　/:.:{:ハ/|: : : : : :|､　　　 　 　 　 　 　 /: :|/ |: /＼: : :／
.　　　　　　/: : : : //|.: : : : : l l＼　　　ｒ'ｱ　　　／_:_:_∠|/　　}／
.　　 　 　 /: : /: :{/ :|ﾊ: : : : | | 　＼　　　　.ｨ:くｒ'ﾞ::::::::::::／
　　　 　 /: : /: : : : :./∧ﾄ. : |￣￣≧辷イ:::ﾉ:::::}:::::::::／
.　　 　 /: : /＞-―<≧::ｌ::ヽｊ＼::::::::::::::::::ｰ'ﾞ::::::八ｰ'ﾞ ＼
.　　 ／ : ／ 　 　 　 ヽ ＼::::::::::＼::::::::::::::::::::ノ::::::>､　　＼
.　／: :.イ　　　　　　　 ヽ　＼::::::::::＞―-::::::::::::::::／＼
./: : : : : !　 　 　 　 　 　 ｌ 　 l＼::::::::::::::::::::::／￣ ヽ 　 ヽ
: : : : : : :|　 　 　 　 　 　 | 　 l　 ｀ ￣￣￣´　 　 　 ） 　 }


　　　　　　　　 　 　　　　-――-
　　　　　　　　　　　／　　　　　　　＼　　　　　　　　　　　　　　　 「大正九年の『友禅の募蹟を確認した始末』では
　　　　　　　　　　 /　 　 　 　 　 　 ｀,
　　　　　　　　　　 ｌ　 　 　 　 　 　 　 i　　　　　　　　　　　　　　　　　『墓石簿には、戒名も墓主も不詳』とされてるようだな。
　　　　　　　　　 　| 　 ＿＿ ノ　 　　 ）
　　 　 　 _ ―ヘz7i　　(　●）　　( ●）∧､ー ､　　　　　　　　　　　　 ただ、この龍国寺の過去帳には
　　　, ＜/////∧i　　　　（　　ﾉ　ヽ　i/,j////∧､_＿
　 ／///////,ｲ/∧　　　　 ｰ'　ｰ ´ ∧/ﾍ//////////j丶　　　　　　 『友禅斉自超上座　施主　太郎田屋　月牌』と記載があるそうだ」
／/////////jZ/_∧.　　　　　　　 ∧//Z////////X///∧
//////////＞＜/∧､　　　　　　∧/＞＜V////zZ///∧.i
/////////,∧V///∧ﾍ､＿_＿_,.ｲ/////,∧///∧V/////,|
//////////∧V///∧ ／V//＼/////∧///,f/////////
///////////∧V///∧　/てゝ,ｊ////,∧///∧////////|
/////////i,//∧V///∧////∧///∧////j/////////|{
////////＼///∧＼//∧//∧//／/////∧/////////>　　　　　　　「ならじゃあ二十三回忌までは友禅の墓ってどこにあったの？
///////////////∧.＼/∧∧,／///////／/////ZZ/<
.V/////＞ x/////////∧Y∧////////j///////////　　　　　　　　　　　　建て替えたの？って話になってくるしなぁ」
　V／／ヘー---------------､V//////,ヘー/////{
　 ∨/////////////////////V¨ 7､＿///ヘー/////
　　∨////////////////////f　./　　　ヽ/////////
　 ＿V///////////////////j　 {　　　　　＼/////_＿__
／////777777＞ xv////////＠jー ､　　　　ﾍ7777//∧＼
//////////////7777777777777///i　　　　　i/////////,＼


.

600： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:59:02 ID:7AXrt/uY



　　　　　　「つまりどういうことだってばよ」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　／￣￣＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 _ノ　　ヽ、 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿＿_　　　 　 　 　 　 （●）（● ）　 　 l
　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 ／　　 　 　 ＼.　 　 　 　 　 （__人＿）　　 　 |　　　　　 「少なくとも、この墓が間違いなく
　　　　　　　　　　　　.　　 　 　 ／　　 ―　　　―＼.　　　 　 　 ヽ⌒ ´　　　 　 l
　　　　　　　　　　　　　　　　／　　 　 （●）　 （●） ＼　　　　　　{　　 　 　 　 /　　　　　　　友禅斎の墓であるとは断定できないが、
　　　　　　　　　　　　.　　　 |　　　　　 　（__人__）　　　| 　 　 　 　 ヽ　　　　　/
　　　　　　　　　　　　　　　　＼.　　　　　 ｀ ⌒´　　 ／.　　　 　 　 /　　　 　 ｀ヽ　　　　　　　 完全に否定されるだけの材料にも欠ける」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　>　　　　　　　　　 <.　　　　 　 　 /. <⌒ <)))＼ ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　 　 ／(((> ⌒>　l　 　 　 　 　 ヽ＿ヽ､_＿_ ,ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　ｌ.　　　 ＿＿＿／＿ﾉ.　　　 　 　 , ─l.　　　　　 |- ､
　　　　　　　　　　　　.　　　 　 ｌ.　 　 　 ー‐⌒ヽ⌒ヽ　　　　　　ｌ　 ／⌒￣￣￣　 ｌ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ､.　　　　　 　 |＿ノ　　　　　　 `/ 　 , ─―──´
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ￣￣￣`ー ′　　　　　　　　 `ー ′


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「ちなみに太郎田屋というのは、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 友禅と縁が深い『とされている』金沢の染物屋だ」


.

601： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:59:22 ID:7AXrt/uY



.　　 　 　 ﾄ､　　　　　　　　　　　 　 ﾟ｡. .、
　　　　　　. .＼　　　　 .　 -‐━‐-ミ ﾟ. . ＼
　　　　　　 . . . ＼ .......................................｝. . . .
　　　　　　　. . ／..........................................＼__ﾉ....＼
　　　　　　　.......................ﾄ､.........＼...................................
.　 　 　 　 /................/l....|　　...........ﾟ｡ ................................
　　 　 　 /................/　....|　　 ＼.......ﾟ...........＼ ................
　　　　　′..../.......′ |...|　　　__丶 ................ ﾟ｡..............|
.　 　 　 ......../........___　|...|　 ´ 　 　 ＼{、..... |..................|
　　　　 ....../.....´｛　 　 ､{　 　 　 ≫=ミ ＼...|＼〉..........|
　　　　 |.. ′.... ｛ ｘ=ミ　＼ 　　″ト{:::心. }ハ |^ ........|
　　　　 |..｛l......... 《 ト{:ﾊ　　　　　　Ｖこﾂﾉ′....|ぅ｝......|　　　　　　　　　「真相は闇の中か」
　　　　 |..八 ... ハ　vツ　　　　　　 , , , ,　　｝..|ノ........
　　　　 |′　..｛........　' '　 ′　　　　　　　 . ｝..|......... ′
　　　　　　　　И..人　　 　 　 _　　　 　 ｲ. ｝..|.........
　　　　　　　　　 　 个...　　 ´　　 　 ／ ｛. ｝.ﾉ.......｛
　　　　　　　　　　　 |.......＞　 _ .　 　　__」................｛
　　　　　　　　　　　 |.....|.........r‐L.　 ´　　 ＼ ....... ｛
　　　　　　　　　　　 |...∧....ノハ　　　／::::::::::.........｛
　　　　　　　　　　　 |/ ／x介ｘ.ﾟ｡_／:::／⌒⌒ヽ..｛
　　　　　　　　　　　 | ｛　《_ﾊ_}}　/:::::/　　　　 　 .｛


.　　　　 　 　 　 ／　 　 　 　 {///／　.｡＜　　 }
　　　　　　　　 /　　　　　　／// ￣　　　　　　　――――.
　　　 　 　 　 /　　　　　／　 /{　　　　　　　 /　　　　　　　 }
.　　 　 　 　 /　　　　　/　　 / :.　　/　　　　/　　　　　　　 /､
　　　　　　 /　　　 　 /　　 / {:　　/　　 　 /　 　 {:　　 　 /　 }
　　　　 　 /　　　 　 /　　　ヽi 　 / 　　 　/　　　 i: 　 　 / 　 {
　　　　　 　　　　　 /　　　 　 ＼/　　 　 /　　 　 }　　　/　　 :
　　　　　 }　　　　　∨　　　　 　 ＼　　 /　＼　　i　　 /　 　 }
　　 　 　 }　　　　　　＼　　　　 }//}　　{　 /　＼ ｌ:　 /　 　:/
　　　 　 /　　　　　‐= { ＼　　f///i　　:i 〈＼ :/　 ／　 　 /
.　　 　 / ___ ‐=≦＿__:! 　 ＼//＞´　　{/: ^ /〈／/　 　 /
　　　 /　{/////////｜　　　}　　　　 {/　　 　 〉/　　　/
.　 　/　　!//≧=‐‐=　|　　　 i∨　　　:ｉ:　r , ／/}　　／
　　/　　 /77///////:!　　　 | Ⅵ　　 :{　 ／: / :i ／　　　　　　　　　　　「じっちゃんはいつも一人であります」
.　/　　　{/// ≧=‐//:|　　　｜∧　　 :i／　 / ／
　′　.｡o≦二＞｡.　　:|　　　｜ ∧　　:} /／
/　 /二二二二二=ﾍ:｜　　　|　　}＼　i/
　 /二二二二二二二:|　　　｜ /___/二ヽ
　f二二二二二二二/:|　　　｜〈　∨ ∨=i
　i二二二ニニニニ/:｜　　　|　∨　ﾏ　＼
　}二二二二二ﾆﾆ/ /:|　　　｜　ミｔ､　＜　ﾟ，
　i二二二二ﾆﾆﾆ/／ :!　　　 |　　　　 ＼ 　 ＼
　|二二二二ﾆﾆ/777 :|　　　｜　　　　　 ＼　　ヽ


.

602： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 00:59:53 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　　 　 　 　 ￣　　 ､　　　　　　　　　　「俺が加賀友禅＝加賀染に否定的な理由をもう一つ上げてみると」
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　 　 　 　 ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　　　　　　 「これまで見てきた
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /　　　　　　　　　　　　　『江戸友禅』『名古屋友禅』『加賀友禅』といった呼称が、
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　 『明治以降になってはじめて』登場するという点だな」
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./



　　　　 　 　 　 　 /: : : : :／: : : : : : :,､: ,,､: : : : : : : : : :ヽ
　　　　　　　　　 /: : : :／: : : : :/: ／ " ||"ﾍ: : : : : : ﾊ: : ',
　　　　　　　　　i: : :i:./: : : : : :ｲ／　 　 .||　 ヽ : : : : : ﾍ: : }
　　　　　　　 　 |: : :ﾚ: : : :/:〃/　　　　 ||　　 ' ,:ﾊ: : : : ∨:|
　　　　　　　 　 |: :./: /: :// /'　　 　 　 ||　　　ﾊ: :i : ﾄ: :∨!
　　　　　　　 　 |: /: /:才ｰ/―‐-　　　_|L -―‐ﾑ:ト: ﾊ: :V
　　　　　　　　　∨:ｲ: :ﾑ_＿_=､‐　　 　 |! -,=＿__ﾑ!: :|::',: :!　　　　　　　　　　　「えっ」
　　　 　 　 　 　 ｲ:/!: /灯ﾘて､｀　　　　,'　'乍た ｀∧: ﾄ､: :|
　　　　　　　　　 ﾚ |:./ ' 弋歹 　 　 　 　 　 'ﾋ汐　' 从!ui:/
　　 　 　 　 　 　 ヽ|/ﾑ　　　　　　　　　　　　 　 　 ﾊ:レ'!'
　　　　　　　　　　　}ヽﾊ　　　　　　　'　　　　　　　/´':/
　　　　　　　　　　　ﾍ: : ヽ　　 　 　ー‐　　　　　 /: : /:|
　　　　　 　 　 　 　 |:', : : : ＼　　　　　　　　 ／/: :./: !
　　　　　　　　 　 　 |:ﾍ: : : : ',: i＞ ､ _ ,　＜:´: /: ::./: :|
　　　　　　　　　　　 |::∧: : : ﾊ｣　　　　　　|､:./: : :ｲ: :.!
　　　　　　,r ＝≦'ー―ﾑ: : : :',.≧ ､___　≦ Y: : : :ﾊ: :|
　　　　　/. . . . . . ヽー＝ﾊ: : : Kク. ﾉiiヽ.<ﾍ.{: : : ﾑ: : |
　 　 　 /. . . . . . ＼ﾊ. . . .∧: : |. ../≧≦､. ..|: : :ｲ　｀ ! ､
　　　　{. . . . . . . . . . ヽL. . |.∨:|. ﾑ7∧ﾋへイ: :/. ｀＞ ､　｀≧､
　　 　 {. ／. . . . . . . . ＼∨. ﾍ: !. ./i{ |ﾊiヽ. .|: /. . . . . . . ｀´. /∧
　　　 ／. . . . . . . . . . . . .＼. ∧|./iii|. ||.ﾍii>.|/. . . . . . . .i. . ./ . . i
　　 / . . . . . . . . . . . . . . . . ﾍ. .'!. . . . .||. . . ..'. . . . . . . . . ∨. . . . |


.

603： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:00:10 ID:7AXrt/uY




　　　　　　「メイジって西暦に直すと？」


　　　　　　　　　　　　 /　　　　 ／　　　　　　 ￣￣￣／　　　 　 | ⌒＼
　　　　　　　 　 　 　 /　　　　 /　　　　　　　,　　　 　 {　　　　　　|　　　 ＼
　　 　 　 　 　 　 　 /　　　　 ｲ　　　　　 　 /／　　　 :.　　　　　　|　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　 /　　　 ／ }　　　　　　 //　　　　　l　　　　　　:.　 }:　　　＼＼
　　　　　 　 　 　 /　 　／　　i　　　　　　//　　　|　　:|　　　　　　{　 ｉ　　　　 }
　　　　　　　　　　　 ／　　 / !　　　　　 :./ |　　 :|　　:|　　　　 　 :.　 }　　　　.:　 　 }
　　　 　 　 　 　 　 / 　 　 / :}　　 　 　 :/　:　 　 |　　:|　　　　　/　　:.　　　 /　 　 /
　　　　　　　　/　　{　　　∧ :i　　　　　/ 　:l　 　 |　　:|　　　　 /　　 :.　 　 /　 　 /
　　　 　 　 　 　 　 i　　 / ∧:. 　 　 　 {＿__!＿__:|　　:|:　　　 /　　 /　 　 /　 　 /
　　　　　　 /　　/:｜　　 / ∧ 　 　 　 ｉ　 八　　 !　　: 　 　 ム斗 /　 　:/　 　 /
　　 　 　 r‐=≦乂_|:　 　　/　}　 　 　 ::. /　 ＼　|　 八　　:/　/　/　 　/　　　/
　　　　　 {//////,'|:　　　　//　 /　　:l /ミZZZｧ ! / 　ヽ／__/／/　　/　　　/
　　　　　 i≧=‐‐=≦　　{///　∨ /　 {,′　　　　i/　 ／ ¨¨/　 /　　/　　　/
　　　 　 /　/　　　 ///＞｡.〉:　 ∨ / :i　　 　 　 /　　　 　 ｲ: ／ 　 /　　　/
.　　　　/　/　　　////{///:|:　　 ∨ /: 　 　 　 　 　 　'　　／　 　:/　　　/
. 　 　 /　/　　　///／≧o.:|　　　 ∨ {/＼　　　　｀ ＜ 　 {　　 　/ !　　/
　　　/　/　 ‐=ﾆ二二＞｡.　!　　　　∨!＼/＞＜/ﾐ　|　 　:i　 　 /　{　 /
　　‐=ﾆ二二二二二二二ヽｌ　　　　 Ⅵi:i:ｉ＼/////} !　　 :!　　/ 　 i :/
/二二二二二二二二二ﾆﾆ|　　　　　{:i:i:i:i:i:ｉ:＼///｜　　:i　 /　　 ｌ:/



　　　　　　　　　_＿_　_　
　　 　 　 ,　'　　　　　　　｀丶、
　　　　, '　　　　　　　　 　 ─ ＼
.　　　/　　　　 ─　 ｕ　 　(●) 　＼　　　　　　　　　　　　　「1868年からの四十五年間だお」
　　 /　　　　　(●)　,　　 ヽ ////　‘，
　　,'　　　　　////　'､_ノ-ｲ 　 　 　 ｜
　　!　　u　　　 　 　 　 ￣　　 　 u　 .l
　　',　 　 u　　　 　 　 　 　 　 　 　 ./



.

604： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:00:23 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　　　　「それまでは何て呼ばれてたの？」


　　　 　 　 　 　 　 ﾞ,ヽ
　　 　 　 　 　 　 　 }ヽ ＼
　　　　　　　　　　　{ し）__>― ｀ー―‐-- ､　　　,ｫ_
　　　　　　　　　　 _」´: : : : : : : : : : : : : : : : ＞ ´　{
　　　　　　　　 ／: : : : : :,:,:,ｨ: : : : : : : : : : :く　 ／/
　　　　　　　／ｨ: : ／／"　7/"ﾍ: i: : : : : : : r' ,;' ハ
　　　　　　' ／: :ｨ:: :へ　　 i:.!　　i: !: : : : : : : ∨,': :.ﾊ
　　　　　　/:／/:.ﾑ､,､ ヽ　 |:|　_」: ﾄ: : : : : : : :ﾚ: : : :',
　　 　 　 //　 i/ / 仍　　　ゝ´　ﾚ｀ﾄ:､: ﾘ : : : : : : : : }
　　　　　 '　　 { /　て'　　　 ´ ｀７ヾ,|: : ｲ: : : : : : : : :.!
　　　　　　　　'/　　　　　　　　匕｡ﾉ>: :/: : : : : : : : : |
　　　　　　　　 ',　 ｀　　　　　　 ｀´　|:/ｰ､: : : : : : : :{
　　　　　　　　 ﾊ　 'iヽ　　　 　 　 　 '　7ﾉ: : : : : : : |
　　 　 　 　 　 　 ',　'ｰ　　　　　　　_^／: : : : : : : : :|
　　　　　　　　　　 ､＿_　　 ､　´　＜: 7: : : : : : : : :ﾊ
　　　　　　　　　 ／ｨ ´／≧＝￣≧ /:ｲ : : : : : : : : ﾍ
　　　　　　　　 /／ ／７´￣｀ｰ. ´. ./: /|: : : : : : : : : : :＼
　　　　　　　　 ' 　 {'´/. .=.-. . . . .､/: :i. |: : : : : : : : : : : : : ー ＿＿_
　　　　　　　 _ =＝=,ﾊ. . . . . . . . . {: : |. .i: : : : : : : : : : : : : : : : : : : -
　　　　　　　}＞ ≧三;}. . . . . . . . .ﾊ: ﾊ. ﾍ : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 ／三三ハヽ. . . . . . . .ヽ: ヽ. ､: : : : : : : : : : : : : : : : :
　　　　　　　 >三ﾆ/ 　 |__入. . . . . . . ＼: ー'‐: : : : : : -=
　　　　　　 く/,/ﾆ/　　 |. . . .ヽ. . . . . . . . ー―――､-
　　　 　 　 　'/ﾆ/　 　 r. .´.{. . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼. .
　　　　　　 　 ｀'　　 　 |. . . . ､. . . ＼. . . . . . . . . . . . . . ＼
　　　　　 　 　 　 　 　 |. . ､. . .ヽ. . . .＼. . . . . . .
　　　　　 　 　 　 　 　 ヽ. .ヽ. . /.ﾊ. . . ..＼. . . . .



　　　 ／￣￣＼
　　／　　 _ノ　　＼
　　|　　　 （ 一）（●）　　　　　　　　　　　 「普通に全部ひっくるめて『友禅』だよ。
　　|　　　　 （__人__）
　　 |　　　　　｀⌒´ﾉ　　　　　　　　　　　　　江戸だ名古屋だとはわざわざいう必要ないし」
　　 |　　　,.<))／´二⊃
　 　ヽ　/ ／　 '‐､ﾆ⊃
　　　ヽ､ｌ　　　　´ヽ〉
''"::l:::::::/　　　 __人〉
:::::::::|_/ヽ. 　 /|||||ﾞ!:ﾞ､-､_
:::::::/´∨/`ｰ'〉ﾞ||i l＼>::::ﾞ'ｰ､
:::ｙ′.: ',ゝ､_/ヽ.||||i|::::ヽ::::::|:::!
／: :／/: : : :|:::ヽ|||||:::::/::::::::i::|


.

605： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:00:44 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　　　　　　　 「ちなみに、明治五年（1872）には、前年の京都博覧会の大成功を受けて

　　　　　　　　　　　　　　　 金沢市兼六園において『金沢博覧会』という企画が開催されているわけだが」



　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／￣￣＼
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ／　　　,ノ　ヽ､_
　　　　　　　　　　　 　 | 　 　（ ●）（●）
　　　　　　　　　　　　　| 　 　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　､'
　　 　 　 　 　 　 　 　 ｜ 　　　　　　｜
　　　　　　　 　 　 　 　 }._＼ 　　　 ,　|
.　　　　　　　 __　_＿ ,.〈＼＼＞ニﾆｧ´
　　　　 　 ／: : ＜ : : : : : : ＼ 　／ﾞｉ ﾞｉ、
　　　 　 , ' .: : : : : : : : : : :l: : : .∨',:::::ﾄ|ﾞｉ ＼_
.　　　　 { : : : : : : : :ﾞｉ : : :」 : : ::', Y´ﾞｉ. |: : : : .＼
　　　 　 |: : : : : : : : :＼ : : :＼ : ',|::::::ｉ |: : : : ',: : ｀,
　　　　　', : : : : : : : : : | : : : : : : :.',:::::ﾞｉ|: : : : . ',: : }
　　 　 　 (,:／:／ニ｀ﾝ---r : : : : : ',::::| : : : : : ',: : ',
　 　 　 　 ｀: ´ : : : :V　,r'二ヽ_: : : : :',:|: : : : : : ',_,rｰ'､
　　　　　　 {∨ : : :└」_,r' 二 ヽ: : : : ',|.: ＞＜￣＼.: ＼
　　　　　　 {: ∨ : : : : :」.ゝ-''ﾞ~￣￣￣￣: : : : ﾞｉ　ム: : : ' ,
　　 　 　 　 l: : ∨: : : .／: : : : : : : : : : : : : : : : ､／: : : : : : }
　　　　　 　 }: : : ＼ : : : : : : : : : : : : : : : ／゛￣: : : : : : : :, '


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 -―─-　、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ／　　　　 　 　 ＼　　　　　　　　「この時期日本中で博覧会が開催されてるんだお」
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ′ 　─　 　 ─ 　　,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 i　　（ ●）　 （● ）　 ｉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　　 　 (__人__)　 　　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ､　　　　　　　　 　 ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 ⊂⌒ヽ　 ＞　　　　　　 ＜_/⌒つ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼　丶′　　　　 　 　 　 　 7
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ＼ ノ　　　　 　 　 　 ﾄ､_/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ′　　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i　　　　　　　　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 乂　　　　　　　　 ｲ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 |　/ー―一 、　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 し′　　　　　､_ｊ


.

606： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:01:00 ID:7AXrt/uY


　　　　　　　　　「この金沢博覧会での出品目録に『加賀友禅』というものは見当たらない」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ─- 、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　/　　　　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　　 |
　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　ｭﾆﾆヽ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ヽ/ : : : : ＼:＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 i : : : : : : : ﾍ :.ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ', : : : : : : : : ', : :'.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　', : : : :.＼ : i : : :.'.,
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　 　 i:', : : : : : ヽﾄ､ : : :',
　　　　　　　　　　　　　.　　　　　　　iﾊ : : : : : : |: ', : : :.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ﾘ.:i: : : : : : :! : : : : : ﾄ､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i : !: : : : : : :|: : : : : : i:.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i : :i: : : : : : :|: : : : : : | :.',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　i : :r : : : : :丿 : : : : : | : :',
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,' :.7 : : : : : / : : : : : : |: : :i
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　/ :/ : : : : : / : : : : : : : i : : i



　　　 　 　 　 　 　 　 ＿＿　　　 ＿_
　　　　 　 　 　 ＿,:': : : : : : :＞/＜⌒＼
　　　　　　 ,. : ´: : :／: : : : : : /: ⌒ヽ 　 ＼
.　　　　　 /: : : : :/ : : : : ,.へ/､へ: : : ヽ　　ヽ
.　　　 　 ,': : : : :/ : : : : /´￣＾￣｀ヽ: : : ヽ
　　　　　l: : : : / : : : : /　　 　 　 　 ';. : : : ':,
　　　 　 l: : : : l: : : : :├‐==≦　 ≧z!: : : :ﾄ:}
　　　 　 !: : : : l: : : : : l六ｵミ　 　徐､V: : :|.||　　　　　　　　　　「えっ」
.　　　　 l: : : :/ｌ: : : : :.伐り　　　 .ﾋﾘｊ ｊ.: : :|.ﾘ
.　 　 　 ｌ: : : {(.|: : : :ﾄ:|　　　　 　 , 　/: : : |
.　 　 　 !/ : :ヽ|: : : :| ヽ　　 　 　 　 j: : : i:|
.　　 　 / : : : :人!: :│ 　　＝ｰ 　／| : :/l:!
　　　 /: : :/:/: :人 : l　　 ､ __ .イ.:|　|: / .ﾘ
　 　 ,': : :/―‐<＿ヽゝ===ﾄ､: : ! :|　ﾚﾞ
　 　 ! : ,'　　 　 　 ＼ ＼ ／)ヽ‐┴ ､
.　　 | : {　　 ＼ 　 　 ヽr' ／／)､. 　 i
.　　 | :∧　　　 ヽ.　 ／|.　　／,ｨ )､　|
.　　 !:/: :ヽ　　　　Y　　|　　　ﾉえ 〉ヽ|


.

607： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:01:49 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「お国染はきっちり出てるぞ。羽二重絹加賀国染、出品者は能久平、とされてる」



　　　　　　　　 　 　 　 ￣　　 ､
　 　 　 　 　 　 ´　　　　　　　　＼
　　　　　／　　　　　　　　　 　 　 ヽ
　 　 　 /　　　　　　　　　 　 　 　 ノヾ
　　　　'　　　　　　　　　　　　ー ´　　ヽ
　　　 l　　　　　　　　　　　　　　/ .,.....､ヽ
.　　　l　　　　　　　　　　　　　　l　{::::::}　l
.　 　 l　　　　　　　　　　　　　　冫.ー　く
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 l　　　　ﾉ!
　　　l　　　　　　　　　　　　　　 ｀ー‐ f ｒ'
　　　l　　　　　　　　　　　　　　　　　 ﾉ'
　　　!　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 /
　　 ,'　　　　　　　　　　　　 　 　 　 /
￣　｀ー -　　　　　　　　　　 　 　 /
　　　　　　　 ｀　 ､　　　　　　　　/
:.:.:.:.:.:...　　　　　　　　､　 　 　 ／
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..　　　　　　.:.:ヽ _　´
ー-　:.:.:.:.:.:.:.:..　　　..:.:.:.:.:.:ヽ
　　　 ｀　､:.:.:.:.:.:.:...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　　､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.＼
　　　　　　　..:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
　　　　　　..:.:.:.:.:.:.:.｀:.:､:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./


　　　　　　　　 ／　￣￣￣￣￣ ＼
　　　　　 　 ／　　　　　　　　　　 　 ＼　　　　　　　　　　「いうほど重要な産業ならおひざ元の博覧会でお披露目されないとか
　　　　　 ／　　　　　　　 　 　 　 　 　 ＼
　　　　／　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　　　　　　　　　　ちょっとありえなくねーかお」
　　 ／. 　 　 　 ´￣` 、　　　, 、＿＿ 　　　＼
　　|　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 l
　 ..|.　　 　 　 （　 ●）　ﾉヽ　　（　● ）　　　　　|
　　|.　 　 　 　 ´"''",　　　 　 　"''"´ 　 　 　 　 l
.　　＼. 　 　 　 　 （　　　 j　　　 ）　　　　 　 ／
　　　　＼　　　 　 ｀ｰ-‐'´｀ｰ-‐'′　　 　 ／
　　　　／ヽ　　　　　　　　　　　　　　　イ＼
　　 ／　　　　　　　｀`ｰ- -‐'"´　　　　　 　 ＼
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　＼


.

608： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:02:24 ID:7AXrt/uY


　　　　「こういった調子で、加賀染と友禅斎を結び付けようとするための根拠は

　　　　　　万事非常に乏しいと考えているんだが……実はそのこと自体は別にいいと俺は思ってたりする」


　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ ヽ､,__　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （_人___） 　 U　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／-‐ 　 ｀i ､ ＿__,.　イ i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {/´､　　 　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　 しrヽ　　　　V:::Λ　 ／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　 　 　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　 　 　 　 　 　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ



　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「いいの？」
　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ＿
.　　　　　　　 　 　 ,. 　 -―ﾚーヽ
.　　 　 　 　 　 _／: : : :∠.:}L:＞､ ＼
.　　 　 　 　 ／: /: : : /===､ ヽ: :ヽ
　 　 　 　 ｒ': : : :i: : : :{ｲてｊヽ 　ム: :ヽ
.　　　 　 /: : : : :|: : : :! `　 　 　 5､i : ヽ
.　 　 　 ,': :.:.ｨ今|: : :N　 　 　 　 '　{: : :.ヽ
....　　　,': : :./`ｒｲ: : :|　　　　　 ｃ　 j: :ﾄ､: 〉
. 　 　 ,': : :/: :.j∧: : |、　　　　　　/: :.| ｊ/
　　　/: : /: : //∧: :|::::::::::............./;ｲ: |
.　　/: : : : : ///ｊ∧: |　　 　 √｢i/ |:.:|
..　/: : : /―-＜厂ヽト､　　　|:::|.　 |/
.../: : : /!　　 　 ￣＼＼ミ二ﾖ:::|
..ﾞ: : : /:.|　 　 　 　 　＼＼　{〉┴､
.　　　　　　 　 〉ｒ＜　￣｀弋に).､ ヽ
.　 　 　 　 　 /_]彡': : : : : : :｀¨ヾ:＼}
　　　　　　　　ﾆﾄ､ : : : : : : : : : : }: : :＼
　　　　　　　　ﾆlノ::::::......:.:.::.:.:.:.:人.: : : :ｊ



.

609： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:02:40 ID:7AXrt/uY




　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 「あぁ、染め物屋は別に歴史学者じゃない。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 史料などに基づかない、願望や憶測で物を語っても別にいいんじゃないかな」
　　　　　　　　 　 ／￣￣＼
　　　　　　　　 ／　　_ノ´　ヽ、
.　　　　　　　 ｜　 　( ●) (●)
　　　　　　　　｜　　　（___人__）
　 　 　 　 　 　 |　　　 　　　_.ﾉ
　　　　　　　 　 |　　　　　_/__ﾞヽ_
　　　　　　　　　j､_　　　 (〈_ｒ- ヽ ヽ、
　　　　　　　 √::::::...｀ミｭ､r'､〈｀ヽ､　|
　 　 　 　 ／.::7￣￣. : : .:.:.ヽ_ヽ　 　ﾄ､
　　　　　/ .:::/.:::::::::::::::::::::::::::::..＼Yｰ‐ソ,
　 　 　 ,' .::::/.::::::::::::::::::::／ ⌒ 、ヽ,:::::::::|
　 　 　 i .:::::::::::::::::::::::.　::::::::::::::..ヽ::.',::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::/ .:::::::::::::.::::: }::::;::::::::|
　　　　 i ::::::::::::::::::::::l .::::::::::::::::::::: ,.:: i::::::::|
　　　　 ', :::::::::::::::::::::;i .::::ヽ::::::::::::::l_:::|:::::::|



　　　　　　　　　　/7 //:　/　/　 /　　 !　　　 ヽ
　　　　　　　　　./《　《:::: /　/　 /　　　|　　　　　＼
　　　　　　　　 /　:V　ヽ/　.;　.＿:|__|　 /　　:/　　 /
.　　　　　　　 /　, 　V/ﾑ 　　 .ﾊ| |乂 ﾌ| 　 /:|　 .Λ
　　　　　　　/ 　 . ／ﾏ彡!　　 抃7スV |　./ト|　 |　| ）
.　　　　　　/　　 ｒ--z　　|　　ﾊ |`¨　 .人/r≠ミ 　.ノ
　　　　　　　　　ﾑﾏiii}　　| 　 | .i|.　　　 '　炊ﾂ　ﾊ |
　　　／　　 〃　ﾏ//　:乂　.人__　 , -、　 イﾚ^!.ノ
　 ／　　　./　　　　 〈7八 -ﾉ^⌒　 `　　 ,ｲ:|.　.; |
　　／　 乂　　　:/ /ﾉﾆ =ミｚｚ.込..__　 ＜ | | ノ| |
フ'　　　　　　　 :( /ノ//廴三{　}三.}　|　| .|　　.リ　　　　　　　　　　　　「願望……なんか文句きそうでありますな」
　 ／　　／　r==ﾆ⌒ミ////ヽ////へ　:! :!: : :＼
／　　／　　 {////　　/ヽ　////////V人＼: :　＼
　　／　　　　}/////　/^V}/＼.//////V＜)-＼:.　＼
フ　　　　　　 V///ノ^! VこV　 フ////Λ　 ＼:.:＼: . ＼
　 /　　　/　　.V/Λ_ノ////Λ　ﾉ/////: V　　): : :＼:.　＼
. /　　　　 （~⌒V////＞-=ﾆ{丁ミ>///　/〉　/ヽ: : : 　　＼＼
/　　　　　　こ)　V//<~　＼ノ∨乂//<_ノ/ .ノ　/,: : : : :ヽ　 ＼＼
　　　　　　 (　 /⌒<⌒V　 ﾑ　（　　　　廴_.|}　 .( |: : : : :　　　　） ＼
　/　　　　　 /`~:厂k!⌒}r~　 `ﾏ　= ﾆ彡　小ｚ＿7==--、　 　:/＼
　　　　 /|　/　 /: ::小／V^ヽ ノ　　　　　/////////　　＼　:/　　＼
　　　 :/ :|　　:/ . : : | `ー!_　/　　　　 .／/////////　　　 ）/
　　　/　 |　 /　: : : :|　　　⌒　 　 ／/////////////////V＼
　　:/　　:!.ノ . . : ::::::|＼|　　　　／ ノ////ヽ/////////////V/＼
　 /　　／　. . : : : : :レ人＿_／フ///////!}//////////////V//＼


.

610： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:03:07 ID:7AXrt/uY





　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「前に言ってた『司馬遼は小説家だからあれでいいんだよ』って感じかお」
　 　 　 　 　 |
　 　 　 　 　 |. 　 ＿＿
　 　 　 　 　 |. ／　 　 ＼
　 　 　 　 　 |/　ノ　　　　
　 　 　 　 　 | 　 ┃　┃　}
　 　 　 　 　 |⊂⊃　,　,⊂⊃
　 　 　 　 　 |　　 ｀⌒´　 }.　　 /^）
　 　 　 　 　 |　 　 　 ＿_/＿／ ノ
　 　 　 　 　 |　 　 ／　　　　　　＼
　 　 　 　 　 |｀　 / 　 ⌒　　　⌒　ヽ
　 　 　 　 　 |　 /　　 ┃ 　 　 ┃
　 　 　 　 　 |　 { ⊂⊃（　　,　 ）⊂⊃}　　　　　　　　　　「あぁ、講談師の講談と同じで小説家が小説書いて何が悪いんだよって話だ。
　 　 　 　 　 |　 ＼　 　 ｀¨⌒¨ 　 　 /
　 　 　 　 　 |　 ／　　　　　　　＿／　　　　　　　　　　　　　　　染屋も小説家も、歴史的なことに関する
　 　 　 　 　 | ´　　　 　 　 /　　　|
　 　 　 　 　 |ーイ.　　　　/　.／　}　　　　　　　　　　　　　　　　　正確性や信憑性に責任を負う必要はないよ」
　 　 　 　 　 |　/　 　 　 （_／
　 　 　 　 　 |　　　　　　　　 　 　 |
　 　 　 　 　 |　|　　　　　　　　　　|
　 　 　 　 　 |　|.　　 　 　 　 　 　 !　　　　　　　　　　　　　　　　　「一切の批判なくあれが史実に基づいていると考えるのは
　 　 　 　 　 |　}　　　　　＿＿　 /
　 　 　 　 　 | （_/￣￣｀¨　└∨＿　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　もはや受け手の知性の問題だ」
　 　 　 　 　 |、/////////////////）
　 　 　 　 　 |　￣￣￣￣￣￣￣￣
￣￣￣￣￣


.　　　(⌒ヽｒ‐ｙ―-､azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa
.　　　　/＾ヽ:::::⌒:ヽ:ヽ　　あずサポート【 講談師 】
. ×　 /:::/＾'~＾ヽ:::::::|::|
.┼ 　.|::├　　‐-|::::::|::|
. ×　.|::::l=　　=z|::::::|::|　　　　　川柳に『講談師　見てきたような　嘘をいい』というのがあります
.　　　ヽ!ﾄ､_ヮ "ﾉ::ﾉﾘ::{
　　　　　|:ﾉ冂 l＾!:::::::::ヽ
....　　　(||ノL⊂人:::::ﾄ､:}
.　　　　 ’ﾚｲ￣￣ﾚﾝ　ﾘ
. 　 　 　 　 |＿＿{
. 　 　 　 　 ﾋﾖ＾ﾋﾖ
azusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusazusa



.

611： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:03:35 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　「加賀に必要なのも、友禅本人とのかかわりあいの事実なんかではなくて、

　　　　　　　　　　　　　　結局『加賀友禅』というブランドなわけだしな」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　______
　　　　　　　　　　 　 　 　 　　　　　 ／　　　 ＼-一ヽ､　＿_ｒ‐- ､
　　　　　　　 　 　 　 　 　 　　　　／　 　__,ノ　ヽ､_,７　　　　7 } : : : :＼__
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　 （ ─)（─)/｀ ‐　　/ /: : : : : : : : : :｀ '' ‐-､_
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　U　　（___人__）‐-─≦／.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　|　　　　 ｀ ⌒´ﾉ　　　　└‐-､__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　| 　 　 　 　 　 | 　　　　　　　　　｀ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :}
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ト､　　　　　 　|　　　　　　　__,. -＜｀丶､.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ハ､.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:ｒ´
　　　　　　　　　　　　 　 _ ,.-=〈:.:'､`ヽ、___ 　ﾍヽ:.＼: : : : : ､: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:／
　　　　　　　　　　　 _＜ : : : : ∧ :ヽ　　 /:::ヽ 　Vヽ:ﾊ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.／
　　　　　　　 , -‐ '´: : : : : : : : : : :∧､　∧::::::∧ l: : ＜:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_ｒ'´
　　 　 　 　 /: : : : : : : : : : : : : ／: : l Ｖ　 !::::{　｀!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_､-‐''ﾞ´
　　　　　　 ｆ : : ヽ : : : : : : : ／ : : : : l　　 l::::::i　 l: : : : : /. : : :!.:.:.:／
　　　　　　 ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l　　｛::::::i　!: : : : /: : : : :l／
　　　 　 　 ｊ : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ﾞ､　!:::::::ｉ l: : : :./ : : : : :!



　　　　　　　　　　　　 ﾏﾊ　　　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　　　　　ﾏﾊ　　　　　　　　　　 |
　　　　　　　　　　 　 　 ∨} 　 |　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　ｉ | 　 |　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　 | 　 　 i|
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　 |　 /　 ,
　　　　　　　　　　　　　　| | 　 |　　|　/　/ 　 ,
　　　　　　　　　　　　　　| l―┼‐ミ /　/　　/
　　　　　　　　　　　　　　| ∧ ≫ｧミ　 /　　/
　　　　　　　　　　　　　　|　　 ゝ )}}i　/　　/　　　　　　　　　　　「ぶっちゃけすぎぃ！」
　　　　　　　　　　　　　　|　　 }} h}}i /　　/
　　　　　　　　　　　　　　|　＿}} {ﾘ /}i 　/
　　　 　 　 　 |　 　 　 　 |　{//,l　^＼　/
　　　 　 　 　 |　 　 　 　 |／/,/　　　 〉
　　　 　 　 　 |　 　 　 　 |＞＜　　　/
　　　 　 　 　 |　 　 　 　 |　 　|　_　/
　　　 　 　 　 |　 　 　 　 |　 　| 　 /
　　　 　 　 　 |　 　 　 　 |　　 l　 /
　　　 　 　 　 |　 　 　 　 |＼　|＜
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |　 ＼
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |二二ﾆ=‐
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |ニニニニニヽ
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |二二ニニﾆﾆﾊ
|　　　　　　　 |　 　 　 　 |ニニニニニニ}


.

612： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:06:43 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　「だってそうとしか思えねえだろ」


　　　　　　　　　　　　　　　　　「友禅と縁が深いと『されている』太郎田屋も染屋ではあるが、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　加賀友禅云々というのであればその染屋の太郎田屋に、

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　立役者であるはずの友禅斎本人についてもっとなにか残っててしかるべきだろ」



　　　　　　　 ／´￣￣ ￣￣｀＼.　　　　　　　　　　　　「別に太郎田屋の係累が絶えたわけでもないのに、だ」
　　　　　　／: : : :　　　　　 　 　 ＼
　　　　　/: : : : :　　　　　　　　　　　'.,
　　　　　|: : : :　　 　 　 　 　 　 　 　 :|　　　　　　　　　　　　　　「先ほどの墓石を除けば太郎田屋の四代目と友禅が
　　　　　| : :u : : : : : .,　　 　 　 　 　 :|
　　　　　|:: : : :＿ ノ゛,, ;、､､ '"ヽ_　　:|　　　　　　　　　　　　　　　　『染絵掛幅『紫式部石山に月を賞する図』を共作
　　　　　|::::;;;（　 ●） ﾉヽ （　● ） ;;:::|
　　　　　|: : : ´"''", 　 　 　 　"''"´　:l　　　　　　　　　　　　　　　　”したのではないか”という話がある程度だ」
　　　　　 ',: : . . （　　　 j　　　 ） 　 ./
　　 ＿／二Ｌ___: :.｀ｰ-‐´｀ｰ-‐′　/ハｰ､＿_
　／: : r':|　r'￣二ﾕ　　　　　　　 　./ : ',: :: :: :＼＿_
　: : : : | .|　|　/ 　) ｀)　　 　　　　 ./| : :.ﾍ: :: :: :: :: :: :＼＿_
　: : : : |.ﾉ. ﾉ /　　⌒ヽ＿　　 　／. |: : : :ﾍ: :: :: : : : : : : : .ハ
　: :: :: :＼　　　　　　　　 ヽ- ´ 　 .|: :､ : : ＼: :: :: : .i i: :/: ::ﾍ
　: :: :: : l: ｀ー┬-､　 　 　 ト､.　　/: :: :＼／: : : : {. ﾚ /: :: : ﾍ
　 : : ┐|: :: :: :: :＼）　 ７ ./iii入／|: :: :: :: :＼: :: :: :Ｖ /: :: :: :: :}
　: : イ .|__/ ,へ/⌒＼　./iiii〈 　 /! : : : : : ::/: :: :: : Ｖ: :: :,ｲ: : :!
　イノ : : / /: :: :＼＿ ￣＼ii｝　　|: :: :: :: :/----: : .| ／ノ: :: :|



.

613： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:07:51 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　　 「前田家に招かれて加賀に入った職人が、

　　　　　　　　　　 加賀友禅を発展させたというのであれば、

　　　　　　　　　　　 その死後の扱いが無縁仏同然なのも違和感ありすぎる」


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ,. 〜
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ノ
　　　　　　　　　　　　　　　　　＿＿　　　　　　.:;. ~
　　　　　　　　　　　　　　 ／　　　　　　 ヽ　. .;
　　　　　　　　　　　　　 /　　　　　　　 ,　　}.||＿
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　__,.ノ　ｿ /.||_. .＼
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　（●　　/￣ ＼y .＼　　　　　　　　　　　　「しかも太郎田屋は加賀サイドの言い分では
　　　　　　　　　　　　　 |　　　　　 r　　 ﾉ/.／￣　　　.ヽ
　　　　　　　　　　 　 　 |　 　 　 　 ｀-ｰ´{/ﾐ／　　　　　ﾍ　　　　　　　　　　　加賀藩御用紺屋棟取という、軽くない立場にある。
　　　　　　　 　 　 　 　 |　 } 　 　 　 　 ´ ｛./　ﾍ 　 　 　　ﾊ
　　　　 　 　 　 　 　 　 | 　 '丶　　 　 　 　 ヽ__).＼　　　　 _.ﾄ､__　　　　　　　 そこに身を寄せて『発展に尽くした』人物への扱いにしては
　 　 　 　 　 　 　 　 　 |　 ＼ ｀ - 、 __＿j丿　　　　ヽﾊ／＞ｰ弌┐
　　　　　　　　　　　　　r二ニ＝=- 、,__ _「　　　　　　　7／ : : : : : : ',　　　　　　情がなさすぎるだろ、常識的に考えて」
　　　　　　　　　　　　/ : : : : : :＞、　λ::;;}＞- 、　　〈 : : : : : : : :.∧
　　　　　 　 　 　 　 /＿／.: : : : : .＼{ ヽ:::ヽ :.＼＞ ､_∨ : : : : : : :.∧
　　　　　　　　　 ／_____、: : : : : : : : . ＼ヽ:::::ヽ :.＼: :.:.∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　　／ : : : : : : : : : : : : : : : : . ＼ヽ::::ヽ : :＼:..∧ : : : : : : : :∧
　　　　　　　/ : : : : : : : : : : :＼ : : : : : : : :. ＼'､:::::. : : .∨∧ : : : : : : : :∧
　　　 　 　 / : :.:.:.:.:.: : : : : : : : .V: .:.:.: : : : : : . ｀､:::::::. : : V:∧ : : : : : .:.:.:.∧
　　　　　　У : : : : .:.:.:.: : : : .:.:.: : : :.:.:.:. : : : : : : ｀､::::::: : : ',::.∨ : : : : .:.:.: :∧
　　　　／´￣¨¨. : . .＼ : .:.:.:.:.:. ﾉ: :.:.:.:.:. : : : : : : ∧::::::i : :|:::ﾊ : : : : : :.:.:.:.:.: }
　　／ : : : : : : : : : : :.＼::.} .:.:.∠: : .:.:.:.:.:.:.:. : : : : : ∧::::} : :|.:::::.. : : : :.:.:.:.:.:. /
／ : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨八: : :.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : Λ::i : :|--＜.:.:.:.:.:.:. ／
: : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : __／.:.:.:＼:.:.:.:.:.:: : : : : : : : : : : : V : :|　　　 ￣¨¨
: : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:. : : :ィ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : : :|
: : : : : :.:.:.:.:...＼: : ／　＼ : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : |
: : : : : : : :.:.:.:.:...∨　　　 ∨ : .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. : : : : : : : : : : : : |



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614： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:09:25 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　「友禅斎が曹洞宗の僧籍にあったから虚名を得てしまうことに配慮したのか？」


　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|　　　　　　　　　　　「そうであるなら加賀友禅なんて名前つけるとか、一貫性がなさすぎるだろ」
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼



　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　 　 　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　 　 　 　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'　　　　　　　　　　　「いやー、ドイツ人だからよくわかんないです（すっとぼけ）」
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣ ｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　 ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　 ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　 ｲ心 ｀　　　　　^' 仍ﾊ ｀ ﾑ 〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀ 乂歹　　　　 　 　 ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　 　 　 　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　 　 　 　 〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　 　 r -‐､ 　 　 ／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　 　￣ 　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .


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615：名前なんて無いだろ常識的に考えて：2018/04/01(日) 01:09:28 ID:Iyhc/rYo
こまけえことはいいんだよ！

616： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:10:04 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　「友禅斎が曹洞宗の僧籍にあったから、僧が虚名を得てしまうことに配慮したのか？」


　　　　　　　　　　　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　／　　__,ノ　｀⌒
　　　　　　　　　　|　　　( ●) (●）
　 　 　 　 　 　 　 | 　　　（___人__）
　　　　　　　 　 　 |.　 　 　` ⌒´ﾉ
　　　　　　　　　　 |　　　　　 　　|　　　　　　　　　　　「そうであるなら加賀友禅なんて名前つけるとか、一貫性がなさすぎるだろ」
　　　　　　　 　 　 iヽ 　　　　　　|
　　　　　　　　　　 }､ `＞ ｰ-´-くヽ- 、___、
　　　　　　　　　 _ﾊ,>-ｰ＜￣／ :/ :: : : : : .７¨. ヽ
　　　　　　　__／ :}Λ::√ У: : :./ : : : : : : / : : : : ＼
　　　　,.-< : : : : :i /::::「 ／ :< : : : : : : : : / : : : : : : ∧
　　　r´ : : : : :「: i/::::::i / .: : : 〉 : : : : : : : : : : : ／/: : .ヽ
　 　 } : :, : : : i :./:::::::i/ .: : :／ : : : : : : : : : : :/ : : : : : : . ＼
　　 f : :ｉ : : : :i ,':::::::/ : : ／ : : : : : : : : : : i :/:,: : : : : : : : : : .ヽ
　　/ : :ｉ : : : :ｉ i::::;::,' : :./ : : : : : : : : : : : : :V: {: : : : : : : : : : : : .＼
　/: : : :ｉ : : : :i i:::::,' : :/ : : : : : : : : : : : : : : :rヽ: : : : : : : : : : : : : : .＼



　　　 !: : i:/: : : : :/:/ 　 　 　 'ﾊ　　　∨ﾍ: : : :i:ﾄ: :.:|: :,
　　　 ∨ｲ: : : : :/:ﾑ　 　 　 　 'ﾊ　　　 ∨',: : :ﾊ:ヽ: |: :;'　　　　　　　　　　　「いやー、ドイツ人だからよくわかんないです（すっとぼけ）」
　　　　>: :ｲ: : :7:/　￣ ｀'　　　 ',｀ー―‐-､: : : :ハ!:|i:ﾘ
　　　 ｲ: /ｨ: : /i'L -示､　　　　 ヽｰ=-､_　ヽﾄ: : i: :ﾘ:ｲ
　　　 i:./ ｲ: :∧　 ｲ心 ｀　　　　　^' 仍ﾊ ｀ ﾑ 〉:ﾄ､i: ﾊ
　　　 |ハ |:.∧ ｀ 乂歹　　　　 　 　 ﾋ歹　ﾉ　ハ;' ト┴. -. _
　　　 ' 　 '|:'､ﾍ　　　　　　　　　　　 　 　 　 /' ノ'ﾉ＝＝=== ﾆ､＞.､
　　　　 , ｨ:!';;;iﾊ　　　　　　　i,　　　　　　　 ,'_／/　 　 　 　 〃/. . . ヽ
　,-ｒ ≦ " |;;;;ﾊ::'､　　　　　　　　　　　　　,. ﾊ: :.L＿＿＿_〃/. . . . . .
　{. |i´　　,ﾊ;;;;;;', : ヽ　　 　 r -‐､ 　 　 ／. .i: : 7.￣.￣.￣ ./. . . . . . .
. }. ﾄー＝‐ﾍ;;;;;ﾊ: : : i＞　 　￣ 　, ィ. ´./^v! : i. . . . . . . . /. . . . . . . .
. |. iヽ. . . . . .∨;;i: : : ﾄ　ヽ.＞ｰ＜へ . /∨ｲ: :ﾘ. . . . . . . /. . . . ／. . .
. !. ﾊﾍ. . . . . .∨;| : : |. >､/. ﾍﾆﾆK∧ﾍ/ . |: :,'. . . . . . . i. . . ／. . . . .
.{. . ﾍ. .∨. . . . ヽ|: : :|;ﾍ.∧三/∧ﾋﾐへ､ /.|: ;. . . . . . . .|. . '. . . . . . . .
ﾍ. . . ' ,. ヽ. . . . . |: :.:|;;;;;ヽ . /:/.||ﾍ:ﾊ. . ｀: :|:i. . . . . . . . ',. . . . . . . . . .


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617： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:10:42 ID:7AXrt/uY



　　　　　　　「実際明治期に入ってからしばらくは染色業界はそうとうきつい状況だったらしいからな。

　　　　　　　　『加賀友禅』の名前を作ってそういう『宣伝』を打ったとしても十分に心情は理解できる」



　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 ／￣￣ ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 _,ノ ヽ､,__　　 ＼
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 （●)（● ）　　　 |
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 （_人___） 　 U　 |
　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 　 　 '､　　　　　　　│
　　　　　　　　　　　　　　　　　 <二ニヽ　　　　　　　 |
　　　　　　 　 　 　 　 　 　 　 ／-‐ 　 ｀i ､ ＿__,.　イ i
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 {/´､　　 　 ',┐__＞ｰﾒ ┴ｭ
　　　　　　　　　　　　　　　　 しrヽ　　　　V:::Λ　 ／ : : :＞、_
　　　　　　　　　　　　　　 　 　 ,.＜ﾊ､_／￣ V　∨ : : / : : : : :_＞-.､
　　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 「 : : : :〈 : : : : : : ヽ/ : : :/ : : : ／: : : : : `、
　　　　　　　　　　　　 　 　 /. : : : : ∧ : : : : : : :ヽ : : : : : :/ : : : : : : : : }
　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 / y : : : : : Λ : : : : : : : ＼ : : / : : : : : : : : : }
　　　　　　 　 　 　 　 　 / : :.i : : : : : : Λ : : : : : : : : :ヽ:ﾉ／ : : : : : : : :j
　　　　　　　　　　　　　ﾉ. : : :| : : : : : : :.∧ : : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : :ｨ




　　　　　　　　　　　　「繰り返して言うが、染屋が歴史的事実に関する考証の責任があるわけじゃない、

　　　　　　　　　　　　　　　　　だからそれは全然かまわない」



.

618： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:11:35 ID:7AXrt/uY



　　「だが一つ、俺が眉をしかめたくなるのは、加賀に入ってきた『色絵』を発展させ、連綿と受け継ぎ、

　　　　『お国染』などの誇るに足る技術に昇華したことを、

　　　　ブランド力のために友禅斎一人の功績にしてしまおうとしてるんじゃないのかって点だ」



　　　　　　　　　　　　 　 　 　, - ────── - ､ 、
　　　　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　 　 　ヽ
　　　　　　　　　　　　　／　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　　 　 ＼
　　　　 　 　 　 　 　 ／　　　　　　　　　　　　　　　 　　　　　 ＼
　　　　　　　　　　　/　_＿ノ　　`､　　　＿　　　 　 　 　 　 　 　 l
　　　　　　　　　　 /／::::ヽ　　　　 /´ 　,:::::｀ヽ.　　 　 　 　 　 　 |.
　　　　　　　 　 　 l　　{:::::::i　　　　　　　{:::::::::::i　　 　 　 　 　 　 |
　　　　　　　　 　　|ヽ　　ノ　　　ヾ ヽ、..　　_　　　　　　 　 　 　 |
　　　　　　　　 　,'⌒／´　　 　 　 　　　ヾ'⌒　 　　　　　　　　　|
　　　　　　　　　 |　l　　　 j　　　　　　 　ﾉ′　　 　　　　　　　 　l
　　　　　 　 　 　 l　`ー-'´｀`ｰ---─ '″　　　　　U　 　 　 　 /
　　　　　　　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 /
　　　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ｲ
　　 　 　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　　/ l
　　　　　 　 　 　 　 |　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　'　 |
　　　　　　　　　　　 |　　　　　　　　　　　　　　　　 　 ,.　 　　|
　　　　　 　 　 　 　 ゞ　　　　　　　　　　　　　　 　 ／　　　　 |
　　　　 　 　 　 　 　 ヽ`　　　　　　　　　　　 　 ／　　､ﾉ　　　ﾄ ､.._
　 　 　 　 　 　 　 　 　 ＼　　 　 _＿ , _,_　-‐ ｲ　　　／　 　 　ﾄ､:.:.:`::-..,,_
　　　　　　　　　　　 　 　 ,`ー--- --ｰｰ　 　 /　　 ､′　　　／ﾞ.:::.:.:.:.:.:.: . ＼
　　　　　　　　　　　 　 ／..::.:.:.:.:|　ﾄ　　　　　 /′ ; ′　 　／...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:...＼
　　　　　　　　　　　 ／´.:.:.:.:.:.:.:.l、 　 　 　 　 ／´ 　　　／...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ＼
　　　　　　　　　　／.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l　　　　 , '′　　　 ,／...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..: . ＼


.

619： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:13:20 ID:7AXrt/uY



　　　　「もしそうなんだとしたらいただけないにもほどがある。

　　　　　　　　　　しかも現状を見る限り、その路線に全乗っかり」



　　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 　 .-─ ｰ- 、 　 　 　 　 　 v　　',
　　　　　　　　　　　　　 　 　 　 ／　　　　　　 ヽ、　　　　　　_ゝ、　ヽ
　　　 　 　 　 　 　 　 　 　 　 ,　　　　　　　　　　 ＼　　　　 ( ￣｀ ー'- ､
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:::::::::.⌒ "　　　　　　　..ﾉ
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620： ◆zbB4e8kEV6：2018/04/01(日) 01:13:41 ID:7AXrt/uY



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　　　　　　　　 } 　ﾑ　　　　　　　⌒　ノ
　　　　　　＿_ﾉ　 　　＼　　　　　　　/
　　　　　　}////｀　＜　｀: ..　　　　.,'　　　　　　　　　「変なことは言ってないだろ。
　　　　　 /_/////////｀＜ｒ'´￣
.　　　　 //////｀/＜///////ﾊ　　　　　　　　　　　　 歴史に対して真摯になる必要は全くないけど、
　　　　///////////,｀/＜// 丿
.　　　////////////////////ヽ　　　　　　　　　　　　 染屋だったら染め物に対しては誠実でいろよってだけだ」
　 　 ﾑ///////////////////// ｀ヽ
.　　 ﾊ////////////////////////ハ
　　 {///////////////////////////}、
　　 |///////////////////////////iﾑ
.　　ハ//////////////////////////}ハ



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　　　　　　　　　, ィ´: : : : : : : : ヽ、
　　　　　　　 ／: :/:/ﾆVi:ﾄ、=＼ﾆ＼
　　　　　　 /ﾆ/７/　　　l:|　＼: :ヽ:.:ﾍ
　　　　　　 ﾚ': : i::l　　　 i:l　　　ﾍ: :i: :|
　　　　　　 i/:./:!:l　　　 }:ﾄ 、　 }:ﾊ:!: i
　　　　　　/:./Aﾘ‐ｚ'´ 　ﾘ　 二_ｷ|:l: :!　　　　　　　　　　　「まぁ……発言の過激さを除くなら理解はできますけどね」
　　　 　　 {:.{:.ｲ　r=＝、 　 '~￣` |:|'^i
　　　　　　ﾚ|〈ﾊ　///　 、　///　ﾚｊｿ
　　　 　　　 ﾚヽﾍ　 　　-‐┐ 　 /:!::|
　　　　　　　　 |: : ＼ 　`¨´　／:.:.|:.l
　　　　　　　　 |: : i: |:`ト - イヽ: : |:.|
　　　　　　　　 |: : |/^＼　 ／ `Ⅵ :!
　　　　　　　___| : ﾊ　<> M　<>/ l:.ﾄ 、
　　　　　_ィ´／|: ,' ∨三V三∨　i:.ﾄ -`> 、
　　　　 「　　　 |/　　 L/i|ヾ」　　 ﾘ　　　/ヽ
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　　　　 |　　 {| |　|　|　　|ｌ　　　|　|　| |ﾊ l　|
　　　　 |　　 i| |　|　| 　 ∥　　 |　|　| |　l}　|
　　　　 |　　 ﾍﾑ-‐┘　 |l　o　　￣`ヽ / 　|
　　　　 |　　　ヽ、　 　　∥　　　 　　ノ 　　l


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