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本投下用スレ

28夕夜の靄:2011/03/04(金) 07:32:44 ID:LJOMlZi60

「知ってるんだろう?
 君は苦しみ、痛み、悲しみに満ちている。
 今の君を形作っているのはそれだ……
 側にいるだけで、ようく君の心の闇はよぉくわかってたよ。
 仲間との絆が、苦しみを、痛みを、悲しみを生み出す。
 これこそまさに、世界のあるべき姿だ」
『避け――』

呆然としていたあたいの体を、目の前の機械から放たれた電撃が打つ。
電撃を遮るように目の前で何か障壁が作られたけれど……
それでも痺れた体が、地面に崩れ落ちていく。
完全に暗転した視界に、草を踏みしめる音が響いてくる。

「君は何もない。
 痛み、苦しみ、悲しみから逃れようと、失ったものを理由にして動いている。
 ――でも、それ自体はそれでいいんだ」

がしり、と。
機械的な何かに頭を掴まれた、感触。

「目をそらさずに、向き合うんだ。
 痛み、苦しみ、悲しみこそ愛。世界を覆うべきもの。
 それに向きあえば、君は本当の君の願いに気づき、叶えられる。
 どんな手段を選んででも帰ればいい。
 友の蘇生のために数多の命を犠牲にすればいい。
 その過程で発生する痛みも、苦しみも、悲しみも、
 全て君の大切な者と共有すればいい。受渡し合えばいい。
 共にいなければ、愛は成り立たないんだから」
『――――』

もう、ユベルの発言しか、聞き取れない。
顔が持ち上げられる。
目を開けば、魔導アーマーの上で悪魔が笑っている。
甘美な誘惑を、続けている。

「君はまだ、愛しあうことができる。
 方法は違えども資格はある。
 思い出すんだ、君にとって大切な友の顔を。
 全て取り戻せばいい……君の愛を!」

受け入れろと。
脳内に響く、囁くような声。
気づけば、あたいはユベルに、手を伸ばし――


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