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206金色の彼に花束を  ◆1yqnHVqBO6:2011/07/27(水) 02:15:09 ID:MgNh.C8k

「ディマ・ブルク!!」

再度、術を高らかに読み上げると杉村は魔本を
キャンチョメに放り、走る。

その前を行くのは8体のキャンチョメの分身。
だがそれは全てはっきりと実体を持っており。
身を呈して杉村を茨から守る。

走る。走る。
茨の与えるダメージが大きくなろうとも
杉村は決して足を止めない。

3歩。
筋肉がちぎれかける音がその耳に聞こえても
進んだ距離はまだそれだけ。

だが止まってはいない。
四歩目、五歩目。
さらに、さらに!

「くっ……ううおぉ!!」

視界は既に棘の鞭が作った傷と血で埋まっている。
何も見えない。

それでも杉村は駆ける。賭ける!
少女が己の絶望に抗っているからこそ
自分たちは死なずにいられるのだと信じる。

あらゆる物を砕く茨が杉村達を破壊できないはずがない。
生身はそれほど強いものではない。

ならば、答えはきっと。
少女が懸命に傷つけまいとしているからだと
杉村とキャンチョメは信じる。
ガッシュはそう信じただろうと信じる。

目を閉じ。
あらゆる痛みが五感を叩いても、
杉村はただ前を見て。

閉じた瞼の先にも宝石のように尊く美しく輝くような光にむけて。
ただ前へ、両手を伸ばして――

手を伸ばし、脚を動かし。
全身で海を掻きわける。
ガッシュ・ベルが命を救うために炎の海に飛び込んでいったように。

そして、ついにソレを掴む。
守ってくれていたはずのキャンチョメの分身は全て消え。
剥き出しの攻撃が手加減なしかのように襲いかかる。

爪が剥がれ、体中が押し潰されるように悲鳴をあげる。
そして、その光が杉村の内にと直接触れて。
感情が濁流のように流れこむ。


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