[
板情報
|
カテゴリランキング
]
したらばTOP
■掲示板に戻る■
全部
1-100
最新50
|
1-
101-
201-
301-
この機能を使うにはJavaScriptを有効にしてください
|
SRPGバトルロワイヤル8
1
:
◆j893VYBPfU
:2011/02/16(水) 00:57:31 ID:TzbLndQo
ルールなどは
>>2
-
詳しくはまとめwikiをどうぞ。
【まとめwiki】
ttp://www36.atwiki.jp/srpgbr/
【したらば】(作品の修正スレ・仮投下スレ・死者スレなどはこちら)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/14091/
【過去スレ】
SRPGバトルロワイアル企画スレ
ttp://game12.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1164191107/
SRPGバトルロワイヤル1
ttp://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1178981646/
SRPGバトルロワイヤル2
ttp://game14.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1193849696/
SRPGバトルロワイヤル3
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1205662859/
SRPGバトルロワイヤル4
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/gamesrpg/1224581120/
SRPGバトルロワイヤル5
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1248313700/
SRPGバトルロワイヤル6
ttp://namidame.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1262002256/
SRPGバトルロワイヤル7
ttp://yuzuru.2ch.net/test/read.cgi/mitemite/1281581561
2
:
源罪な名無しさん
:2011/02/16(水) 00:58:24 ID:TzbLndQo
ルール
■重要項目
・死んだキャラを生き返らせるのは禁止
・原則的に主催者を動かすのは禁止
・いきなり自殺させる等、それまでのストーリーを無視した行動をとらせるのは禁止
・致命的な矛盾があるものはNG
■マップ
ttp://www36.atwiki.jp/srpgbr/?plugin=ref&serial=1で固定。
マップは8*8の64エリア。
■支給品
参加者の武器防具は没収。
共通の支給品
〔地図、食料(二日分)、飲料水(ペットボトル二本)、時計、方位磁石、参加者名簿〕
と、アイテムがランダムに二つ支給される。
【ランダムアイテム関連】
武器とアイテムが一つずつ支給される。 著しくバランスを崩すようなものは禁止。
各キャラの最初の作者が支給品の説明を書くのが望ましい。
・意志を持つ武器について
自発的な行動は喋ることしかできない。
自力での行動、攻撃は不可。
装備することによる所持者への能力付加は、特に制限されない。
・生物について
単体攻撃のみで、『制限』に反さなければ良い。
■制限
特殊能力は全般的に消耗が激しくなる。弱い魔法も連発は相当消耗。
蘇生・即死・時間移動・遠距離瞬間移動・地形が変化するほどの大規模魔法(天変地異)は不可。
状態異常系魔法や技は効果、成功率の低下。
【首輪関連】
ゲーム開始前からプレイヤーは首輪が装着されている。
外そうとすると爆発。会場から一定以上はなれても爆発する。
二四時間の間に死亡キャラがいない場合、全員の首輪が爆発する。
【召喚関連】
一度に一体しか出せない。
一度能力を使ったら消える。
一度出したらしばらくは召喚できない。
【回復関連】
浅い傷・打撲→傷は直せるが血は戻らないし痛みもそう消えない
深い傷・骨折→回復魔法が得意ならなんとか塞いだり接合したりできるが完治はしない
千切れる・複雑骨折→直せない
状態異常回復魔法は制限なし。
【ゾンビ生成】
生成には数時間必要な上、一度に作って操れるのは一体だけ。
作ったゾンビが消滅するまで次のゾンビを生成できない。
ゾンビは、頭を潰すか聖なる能力で浄化すれば倒せる。
3
:
源罪な名無しさん
:2011/02/16(水) 00:58:54 ID:TzbLndQo
■初期装備
服(普段着)のみ。小道具無し。
義手など身体と一体化している物は可。
ただし、内蔵武器・能力などは全て没収&使用禁止。
■放送
放送内容は死亡者、禁止エリアの発表。
放送は一日二回、6:00、18:00に行う。
【禁止エリア】
侵入すると首輪が爆発して死亡する。
定時放送で連絡し、三箇所を指定する。指定されたエリアは放送の一時間後に禁止エリアとなる。
■作品投下
一度ID有りトリップ有りの状態で投下を宣言。その後、宣言時のトリップを用い、必ずsageで投稿。
トリップのないもの、宣言のない作品は無効となる。
また、SSの最後に以下のテンプレを書くこと。
【エリア/現在地/何日目・時刻】
【○○○@○○○○○】
[状態]:
[装備]:
[道具]:
[思考]:
例
【E-2/城内/一日目・未明】
【ビラク@紋章の謎】
[状態]:左腕に切り傷(処置済み)頭部に軽い打撲、永久ヘイスト、バサークの杖による混乱
[装備]:エクスカリバー@FFT
[道具]:拡声器、支給品一式
[思考]1:うほっ!いいおとこ
2:殺 ら な い か?
【ギュスタヴ@FFT 死亡】
【残り50人】
時間表記
未明:0〜2
黎明:2〜4
早朝:4〜6
朝:6〜8
午前:8〜10
昼:10〜12
日中:12〜14
午後:14〜16
夕方:16〜18
夜:18〜20
夜中:20〜22
深夜:22〜24
ゲーム開始時刻は06:00
4
:
源罪な名無しさん
:2011/02/16(水) 00:59:32 ID:TzbLndQo
■参加者リスト
6/6【ファイアーエムブレム 暁の女神】
○アイク/○ミカヤ/○サナキ/○漆黒の騎士/○シノン/○ネサラ
6/6【ファイアーエムブレム 紋章の謎】
○マルス/○チキ/○シーダ/○オグマ/○ハーディン/○ナバール
6/6【サモンナイト3】
○アティ/○ベルフラウ/○アズリア/○ソノラ/○イスラ/○ビジュ
6/6【サモンナイト2】
○マグナ/○レシィ/○パッフェル/○ネスティ/○ルヴァイド/○アメル
7/7【ファイナルファンタジータクティクス】
○ラムザ/○アグリアス/○アルガス/○ムスタディオ/○ガフガリオン/○アルマ/○ウィーグラフ
6/6【魔界戦記ディスガイア】
○ラハール/○フロン/○中ボス/○エトナ/○ゴードン/○カーチス
7/7【ティアリングサーガ】
○リュナン/○ホームズ/○レンツェンハイマー/○ティーエ/○リチャード/○カトリ/○オイゲン
7/7【タクティクスオウガ】
○デニム/○カチュア/○タルタロス/○ヴァイス/○ハミルトン/○オリビア/○ニバス
【51名】
現在の参加者の状況は>1のwikiをご参照ください。
■あらすじサイト
【ファイアーエムブレム 暁の女神】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/827.html
【ファイアーエムブレム 紋章の謎】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/290.html
【サモンナイト2】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/277.html
【サモンナイト3】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/132.html
【FINAL FANTASY TACTICS】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/514.html
【魔界戦記ディスガイア】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/652.html
【ティアリングサーガ】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/474.html
【タクティクスオウガ】
ttp://www8.atwiki.jp/storyteller/pages/125.html
ゲリラ投下は原則認めません。
とはいえ、トリップ付きで予約して即投下なら可という形で。
予約の期間は二週間までで、延長を申請すれば一週間延長可能。
ただし、二回までしか延長は出来ないという形とします。
それ以降の同じ予約は無効ですが、他に予約が入っていなかった場合のみ、
ゲリラ投下を特別に認めます。
5
:
◆imaTwclStk
:2011/02/23(水) 12:48:34 ID:???
アイクで予約します。
6
:
源罪な名無しさん
:2011/02/23(水) 16:24:19 ID:???
キター!
7
:
◆j893VYBPfU
:2011/03/07(月) 09:55:40 ID:???
アルマで予約します。
8
:
◆imaTwclStk
:2011/03/07(月) 23:20:13 ID:???
すいません、アイク延長しますorz
9
:
源罪な名無しさん
:2011/03/14(月) 12:32:05 ID:???
執筆どころかロワ楽しむ以前の状況なんで、生存報告入っていいですか?
とりあえず、いーち。
10
:
源罪な名無しさん
:2011/03/15(火) 22:52:06 ID:???
読み手だけど乗っておこうか
2
11
:
源罪な名無しさん
:2011/03/16(水) 22:02:01 ID:???
サーン!
12
:
◆j893VYBPfU
:2011/03/21(月) 23:56:07 ID:???
アルマを延長します。申し訳ない。
13
:
源罪な名無しさん
:2011/03/22(火) 00:30:17 ID:ONin1zj2
よーん
14
:
源罪な名無しさん
:2011/03/23(水) 11:42:53 ID:???
ひさびさにビーニャが更新されているな。
15
:
源罪な名無しさん
:2011/03/24(木) 19:59:37 ID:???
そういやビーニャもそうだけど、パッフェルさんの茨の君時代の事後描写のSSとか、
結構生々しいの扱う事多いよな?お花畑なようでいて、脇道はどす黒い。
ネスやミニス関連も育ての親がまっとうだったからもったようなものだし。
アティてんてーの「はじめてのさつじん」とか、SSでやらないかな?
16
:
源罪な名無しさん
:2011/03/26(土) 13:51:02 ID:???
「血みどろ地獄の上に咲いてるお花畑の上でキャッキャウフフ」だったっけ?
シナリオが大団円大好きな露悪趣味だからそうなった
17
:
源罪な名無しさん
:2011/03/26(土) 15:10:55 ID:???
大団円好きの露悪趣味…。
シティムーンの事か…。
シティムーンの事かあぁー!!
18
:
◆imaTwclStk
:2011/03/26(土) 15:36:14 ID:???
すいません、暫く執筆出来る状況ではないので
アイク破棄します。
何とか生きてました。
19
:
源罪な名無しさん
:2011/03/26(土) 17:18:45 ID:???
ご無事でなによりです!
作品は、また時間が出来たときにでも。
20
:
◆j893VYBPfU
:2011/03/28(月) 12:04:17 ID:???
アルマをもう一週延長します。
間に合うかな?
21
:
源罪な名無しさん
:2011/04/01(金) 14:08:50 ID:???
4月1日か…。
折角のエイプリルフールなのにネタがないな。
ついにあの暗黒騎士団ロスローリアンの面々がロワに主催側として参戦!
違うな、なんか違う。
22
:
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:31:49 ID:???
では、お待たせしました。アルマを投下します。
23
:
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:32:46 ID:???
逃げなきゃ。
逃げなきゃ。
速く、逃げなきゃ。
私はがくがくと震えが止まらない膝に鞭打って、平原を南へと駆け続けていた。
口が、肺が意識とは別に動いて空気を求め続け、そのまま胸が潰れそうになる。
息が苦しい。
両脚も重い。
でも、逃げなきゃならない。
――絶対に。
そうしなけりゃ、あのタルタロスっておじさんが追って来るだろうから。
今の非力な私なんかじゃ、誰にも太刀撃ちなんて出来やしないから。
従えた竜達は、もういない。
飛び道具もなくなっちゃった。
手元に残っているのは、頼りない手斧と折れ曲がった細身の剣だけ。
でも、こんなんじゃたとえ丸腰でも、カトリの良い人にすら勝てないだろう。
私はかよわい女の子でしかないのだから。体力なんて、元々ない。
それに、私は戦う為の訓練なんて、何一つ受けていない素人なんだから。
そして、周囲は敵だらけで利用出来そうな人なんかも全然見当たらない。
このままじゃ、私はラムザ兄さんの役になんて立てない。
むしろあのおじさんみたいなのに捕まれば、足手纏いにすらなってしまう。
24
:
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:33:21 ID:???
どうすればいい?
どうすればいいの、アルマ?
力が、
力が欲しい。
ラムザ兄さんを守ってあげられるだけの力が。
そして、邪魔者達をみんな殺せるだけの力が。
邪な暴力だって構わない。
私を捧げたって構わない。
聖天使の力だって、むしろ望むところ。
私は、ラムザ兄さんの為にこうしているのだから。
私自身の犠牲だなんて、どうって事ないんだから。
――私はただ、その一念だけを想い。
度重なる全力疾走に悲鳴を上げる身体を無視して。
ただひたすらに、南へと駆け続けていた。
◇ ◇ ◇
私はよたよたと、ただひたすらに歩き続け。
――ふと、気が付けば。
前方の視界に、舗装された街道が見え始め。
避難場所になりそうなE−2の城に向かうには、
少々南へ行き過ぎてしまっている事に気付いた。
25
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:34:34 ID:???
行き過ぎちゃった。また、戻らなきゃ…。
でも、それって更に走らなきゃいけないよね?
もっと、疲れちゃうな…。
…そう考えてしまったのが、一つの切っ掛けとなり。
忘却していた疲労を、一気に思い出してしまった為に。
これまでツケにし続けていた、休息という名の疲労の返済を、
その身体に一度に請求されてしまい。
私の身体が、ついに意志に反して。
唐突にその脚が崩れ、お尻が地に吸いつき。
ただこの肺と口が荒々しく空気を貪り続け。
それ以外の一切の行動を、身体が拒絶した。
指一本、動かない。
煌々と夜空を照らす月の光に、街道沿いの開けた視界。
私は今、あまりにも発見され易い位置にいる上に。
指一本動かす事はおろか、
口一つ利く事もできない。
今、誰かに捕まればひとたまりもないだろう。
――もしかして、私…。こんなところで終わっちゃうのかな?
一度はこの世界(ころしあい)のルールすら動かし、
あのヴォルマルフすら手玉に取り、ディエルゴすら動かしたというのに。
彼の手下に「誰よりも多く人を殺したと貢献者」と褒められた程なのに。
26
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:35:28 ID:???
――これが、この程度が…。私の限界だって、そう言うの?
そう考えると、酷く悲しく、情けなく。
私は、はあはあと荒い息ばかり吐くひ弱な身体をもどかしく思い。
ただ一つ自由になる意識のみで、悔し涙を流した。
私が皆と同じ位置に立てるのは、ただひとつ。
ラムザ兄さんを生かしたいという、この想いの強さだけ。
私は、全然大したことはない。そんな事は、誰よりもよく知っている。
恐らくこのゲームの参加者の中で言えば、多分私は最も弱いのだろう。
そして、それは最も私自身の事で許せなかった事であり。
今もなお、許し難いものでもある。
そんなのは、ラムザ兄さんの足手纏いにしかならないのだから。
弱くなければ、あの時ヴォルマルフに捕まる事も決してなかったのだから。
弱いという事は、足手纏いという事は。厄介者だという言う事なんだ。
あのヴォルマルフの息子のように扱われても、仕方がないことなんだ。
ダイスダーグ兄さんだってそう。家族だからって、許される事はない。
ただ殺されるだけなら構わない。
この生命、捧げたって構わない。
でも、兄さん虫ケラのように扱われ、忘れ去られてしまうのだけは嫌。
私は兄さんに愛され、必要とされる人間でありたい。
――だからこそ、私は強くなりたかった。
そして、ラムザ兄さんの役に立ちたかった。
でも、ここまでが女である私の限界…。
27
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:37:24 ID:???
いっそ、体力のある男に生まれたかった。
せめて、アグリアスさんみたいに騎士の訓練さえ受けておきたかった。
そうだったら…。
――ラムザ兄さんを、最後まで守ってあげられるのに…。
溢れる涙で、視界がぼやけ始める。
滲む私の目にかろうじて映るものは、
天上と地平にキラキラと輝く星ぐらいのもの。
普段ならその綺麗さに感動するだろうけど、
今はそんな余裕は――。
地平の、『星』?
私は手の甲で涙を拭い、それを確認する為に前方をしっかりと見据える。
よおく目を凝らして見れば。その輝きには、覚えがあるような気がする。
そう、例えるなら。
切ないような。
悲しいような。
何かを泣いて訴えかけてくるような。
そんな小さく儚げな、蛍灯のような。
これから消えゆく、仄かな輝き。
――これは…、まさかッ?!
もし、“アレ”がそうだったとしたら?
もう、ぐずぐずなんてしていられない!
私の求めているものは、もしかすればすぐ傍にあるのかもしれないのだから!
28
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:38:44 ID:???
そう思うと、力にほんの少しだけ力が漲り。
未だにがたがたと笑い続ける膝を踏ん張り、
私はよろめきながら再び前へと駆け始めた。
◇ ◇ ◇
そして。
想像通りのものは、目の前にあった。
二つの死体と共に。
一つは見覚えのある綺麗な女騎士の死体。
一つは見知らぬ羽根付きの女の子の死体。
女騎士――。アグリアスさんは、背後から首の骨が折られあらぬ方向を向き。
女の子――。聖天使の出来そこないに見えるそれは、胸の辺りを刺し貫かれ。
二人はもつれ合うように、抱き合うようにして倒れていた。
流石に、支給品なんかは持ち去られているようだ。
女の子の死体の傍にある、変な小振りの鉄の杖なんかを除いて。
見た所、二人が争って決着が付いた所に後ろから不意討ちを受けて、
アグリアスさんも倒されたように見えるけど…。
まあ、それについてはどうでもいいかな?
重要なのは、二つだけ。
アグリアスさんが死に、その魂の欠片がクリスタルに宿ったままだという事。
そして、二人の死体には首輪がまだ付いたままだという事。
29
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:39:49 ID:???
つまり、私は。
二人を活用して、私はまだラムザ兄さんの役に立てるんだ…。
私は、この『天の恵み』としか言いようのない幸運を理解すると。
私はただ、嬉しくなって。胸に喩えようがない喜びが込み上げて。
喜びの余り、涙を流した。
私は、頬を拭うと喜び勇んでクリスタルを毟り取り――。
「クリスタルよ、私にラムザ兄さんを守るだけの力を!力をちょうだい!!」
たった一つの強い願いを、私はクリスタルにかけ。
アグリアスさんの魂の欠片は、祈りに応えて力を託し、消えた。
私が彼女にどうするつもりでいたか、それを理解する事もなく。
条件反射的に、ただラムザ兄さんの妹とその思いを信じて。
そして、私に力と記憶が宿る。
アグリアスさんの鍛えた技が。
アグリアスさんが、最後に見た光景が。
私は彼女達の不用心さに、ついつい哂ってしまう。
――なんだ、あの黒騎士のおじさんが二人を殺しちゃったのね?
その事だけは感謝してあげる。
そのおかげでクリスタルが得られ、参加者が二人も減った訳だから。
でも、アグリアスさんにはこのまま汚名を着てもらおうかな?
その方が、「ゲームに乗った人間の方が多い」と思わせる事が出来るわけだし。
ラムザ兄さんはそんなアグリアスさんを見て、悲しむのかもしれないけど…。
30
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:41:03 ID:???
ま、別にいいわよね?
以前から少々仲が良すぎたから、ちょうど良い薬になるかも。
ラムザ兄さんは、アグリアスさんよりも私を見て欲しいから。
ラムザ兄さんにも「信頼出来る仲間だなんて何処にもいないんだ」って
思ってくれた方が都合がいいし。兄さんの同行者は、殺し辛くなるから。
私は、兄さんの事から気持ちを切り替えると。
ごく『自然な動作』で、折れ曲がったレイピアの腹を手で摘まみ、
力任せに逆方向に曲げ戻してから。
細身の剣を、ゆらりと大上段に構え――。
「天の願いを胸に刻んで心頭減却! 聖光爆裂破!」
頭に浮かんだ言葉を紡ぎ出し、体が覚えた感覚を模倣して。
その心身の奥底に“先程”染み付いた聖剣技を、試し撃つ。
二人の首筋へに、剣閃が駆け抜け。
まとめて、その首が転がり落ちる。
そこには何の手応えもなく、それが当然と言わんばかりに。
私が強くなったという事実を、世界がそれを認めた。
腕力は上がってないが、身体に無駄な力が入らなくなった。
身体の使い方が良くなったので、疲れにくくもなるだろう。
――そう、私は強くなったのだ。今、ここで。
これで、もう私は弱さを嘆く必要なんてない。
ただ、その心身に起こった事実を認めてしまうと…。
31
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:41:46 ID:???
「はは、はははははっ…。」
知らずに、可笑しさが込み上げる。
笑いの声が、勝手に口から洩れる。
なんだ、こんなにあっさり身に付いちゃうものだなんて。
なんだ、こんなにあっさり強くなれちゃうものだなんて。
――死者の魂が宿ったクリスタルの力を継承すれば、強くなる。
そんな当たり前の事。ずっと前から知ってはいたんだけれど。
――何よ、なんなのよ、それ?
「アハハハハハ!!!!アハハハハハハハハハハハハハハッ!!!!」
今まで無力さを涙が出るほど嘆いてた私自身が、
ホント、馬鹿みたいじゃないのよ?
そう考えるとただ可笑しくて、可笑しくて。
私は息を吸うのが難しくなるまで。
ただ自分の弱さと愚かさを、ひたすらに哂い続けた。
私、アグリアスさんの強さには憧れていたんだけど、
こんな事なら、もっと早く殺しとくべきだったかな?
そうすれば、彼女の代わりにラムザ兄さんの役に立って見せたのに…。
ラムザ兄さんの信用を、アグリアスさん以上に受け取る事が出来たのに…。
――ホント、残念…。
私は気を取り直すと、眼の前にある邪魔な生首達をまとめて蹴飛ばし。
二人の胴体から落ちた首輪を拾う。
32
:
Harvest Dance
◆j893VYBPfU
:2011/04/02(土) 21:42:26 ID:???
とっくに死んでいた為か、血が噴き出すような事はなかった。
私は漏れ出して首輪と剣に付着した血を、アグリアスさんの裾で拭き。
念の為に傍に落ちてある妙な小振りの杖と共に、デイバックにしまう。
輝きを失ったクリスタルは、ブーツの踵で踏み砕いた。
こんなものは、今更持っていてももう役には立たないのだから。
彼女はもうラムザ兄さんの思い出にすら、残ってほしくなんかない。
死人はもう厄介者であり、邪魔者でしかないのだから。
そうして、私は手に入れたものを確かめ終えると。
効果の切れたマバリアを、もう一度かけ直してから。
茶色い棒付きの飴を一つ噛み砕いて疲れを癒し、急ぎその場を後にした。
こんな所で休息していると、誰に発見されるか知れたものじゃないから。
◇ ◇ ◇
収穫はあった。これ以上ないものが。
強さも手に入った。邪魔者達を片づけちゃうだけのものが。
私はまだまだ、ラムザ兄さんの役に立てるんだ。
そう考えると、嬉しくて嬉しくて。
私は知らずに、スキップを踏むようにその場を駆けていた。
軽やかに、舞うように。心より喜びながら。
あのヴォルマルフをやりこめ、ディエルゴを動かした時以上に。
私の心は弾んでいた。
新着レスの表示
名前:
E-mail
(省略可)
:
※書き込む際の注意事項は
こちら
※画像アップローダーは
こちら
(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)
スマートフォン版
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板