>>31 Male
(夕暮れ時―…。平穏な時間は終わりを告げ、代わりにロクでもない連中が動き出す時間。おそらく自分もそいつらに含まれているのだろうー…そうぼんやりと思う。錆びて今にも崩れ落ちそうなフェンスに寄りかかりながら、段々と茜色から暗闇へと変わりゆく空を見上げていた。と、ふいに下の方で響く足音が。自分が現在いる屋上の建物の真下は、それこそ強盗といった表にはでられない人間が通る路地だ。どんなヤツかと見下ろせば、見知った顔が。黒く染められた髪に、だぼついた白衣をまとった年端もいかぬ少年―…自分が所属するTUBEの研究者であり、自分にとっては少し特殊な人物はウイルスの発明者という身分も忘れているのか、ひとりでのんきに裏路地を歩いている。何をしているんだ、と気になって急いで屋上を後にし追いかけて。ほんの少し息を荒げながらあたりを見回し、寂れた公園にいるのを発見する。どうしたのか、と微笑むその姿はどこかあいつに似ていて――。それでもそいつよりもどことなく間が抜けた笑顔の少年をあきれたように見つめて、)
そっちこそ何やってんだぁ?オマエ、図体がちいせぇんだから…フラフラしてるとロクな目に遭わねえぞ
>>31 Male
別に。その問い、一言一句お前に返す。
(頬や首筋、脚。晒された肌を撫でるように吹き抜けていく風は少しの冷たさを含んでいる。空は晴れているのか曇っているのか、太陽は今この世界を照らしているのか、既に沈んでいるのか。耳障りな鴉の声を遠くに聞きながらも明確な判断はつけられず――かと言ってそれを嘆く理由も端から無く、珍しく武器も抜かぬまま何の気配も感じられない空間を歩いていた。最早その類の獣と同等かそれ以上と囁かれる聴力は、こうして静かであればある程鋭く研ぎ澄まされる。だからだろう、不意に投げ掛けられた問いをしっかりと聞き取れたのは。そうして一つ分かった事がある。普通に生まれた身なら、恐らく当たり前だろう事。周囲を探りながら偶然立ち寄った此処が、俗に〝公園〟と呼ばれる場所である事。何か用、とは言われても当然用など有る筈も無い。それをそのまま声に乗せ淡々と、相変わらずの無表情で紡いでいき)