>>61 Alice
(背筋がぞっとするようなその違和感のある姿。どう見ても10代かよくいって20代前半の娘だ。青白い顔は不遜なセリフと共に歪んだ様な凄艶な笑みを浮かべる。ありふれた娘の姿は浸み付いた血の匂いとどす黒く変色したのだろう血潮で変色し、その可憐だったはずの姿は原形をとどめていない。しかも頭部に撒かれた包帯で片目を覆い、片手は袖口から全く見えていない…。そして、ギラリと月の光を帯びて光る手斧。物騒なモノを使うじゃないか。…脇から留め具を外して抜き出した愛用のサバイバルナイフは、磨き上げた刃先を不気味に月光に煌めかせながら、右手に当たり前のように馴染んでいる。構えて身構える俺の背後から、部下のアサルトライフルのカートリッジ装着音が聞こえた。こら、お前ら、俺の獲物を横取りすんじゃねーぞ。チラッと視線を送った部下は、それを合図と誤解したのか、いきなりダンっと引き金を引く。振り向けば、ヒラヒラするカーディガンの袖をそのままに、斧を振り上げ襲い掛かってくる相手の胸に、真っ直ぐに放たれた銃弾が見え、どうせ躱されるだろうと思いつつ、腹立ちまぎれに思わず部下に向け声を上げ、相手へと向かって楽しげな笑みを浮かべ走り出した。)
コンの野郎、ちったあ俺に楽しませろよ。手え出すなって、言っただろーが!
お嬢ちゃんも軍人を舐めんじゃねーぞ、俺たちはお前たちを“狩る”ことに、躊躇いなんか持ち合わしちゃいねーからな。