>>61 White rabbit
(月が綺麗だったため思わず外へ出てしまった。そのまま上層街へ来ていたようで、月の儚げな光を掻き消す騒々しい明かりで今自分がどこにいるのか分かった。ああどうしてここへ来てしまったのだろうか。ため息をついて引き返そうとしたその時、視界にひらりと白い物が掠めた。目で追うとそれは白い服を着た人間だ。ーー知っている。いつだったか写真か何かで見た。目立つ格好とそれでもなお捕まらないことが凄いと思い数多い怪盗の中で“知っている者”に加えていた。あれはきっと“白兎”だ。雰囲気に惹かれたのだろうか、気づいたら彼を追っていた。足に自慢のある己ですらやっとなほど彼は兎のように軽やかで。思い切って飛び込んで運よくマントを掴み)
白兎ー…だ!