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アニメキャラ・バトルロワイアル3rd Part21

563rd / 天使にふれたよ ◆ANI3oprwOY:2015/03/16(月) 02:25:24 ID:fxNQ5zpc

世界が、逆転している。


「―――」


上は下になり、左は右と化した。
喜悦は哀切に堕ち、枯渇は飽和し、光は闇となった。
光が視界を埋め尽くしている。
意識は無意識となり、思考を埋め尽くす感情の方向性が定まらぬまま形にならなず。

―――呆然と、空を見ていた。
仰向けに倒れたまま、展示場の吹き抜け、その更に先を。
黒き嶺上は枯れ落ち、伽藍の洞の底の底から、装飾された夜空に浮かぶ、光を見つめている。

光を見続ける彼は、何を思うのか。
きっと何も思わない。何も、思えない。
既に、彼の意識は停止しているのだから。


「――――――a」


雑音が鳴っている。


「――――a―――――a」


心臓を破壊されて生きていられる命など無い。
ならば今、彼を稼働させるものは何か。
彼の燃料として駆け巡るモノは―――

―――ドクン、ドクン、と。
在り得ぬ鼓動の音が鳴る。
真っ赤な槍に刺し穿たれたはずの左胸。

不可思議な光景だった。
仰向けに倒れたままの彼の、一方通行の右胸に突き刺さっている槍が、ゆっくりとその色を変えていく。
鮮やかな紅が、塗りつぶされていく。

おぞましく、穢れた黒へ。
とっくに変調していた一方通行の心臓に侵食されるが如く、穂先から駆け上がるように染め上がる。

一方通行の鼓動とシンクロするように、展示場内で力を失っていた汚泥が、再び胎動を始めた。
黒聖杯。
言峰綺礼、そして宮永咲という依代を失ったそれは消滅の危機を前に、縋るモノを求めた。
この世全ての悪。
悪性の聖杯。叶える願いを寄越せ。
その意味を、その価値を、生まれてきた理由を寄越せと。

過去幾度、拒否されたか知れない殺戮の器。
此度も無為に消えていく運命を告げられた有象無象の汚れ達が、縋るように群がる。
沈静化し徐々に消えゆく定めだった汚泥のすべてが、彼へ寄り集まっていた。
言峰綺礼が最後に勝者と定めた存在へ。死して尚、何かを諦められない器へと。


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