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【オリスタ】メゾン・ド・スタンドは埋まらない【SS】

68第2話 ◆PprwU3zDn2:2016/09/08(木) 22:44:02 ID:Gg47xBXU0
管理人は天の顔に1週間前には無かったおかしなものが出来ていることに気付いた。
右目の下に猫に引っ掻かれたような十数本の縦線があったのだ。
しかしよく見ると引っ掻き傷にしては色が黒過ぎる。しかも線は定規で書いたかのように
綺麗な直線になっており、一つとして曲がってはいなかった。……これは傷ではない。

荷物を持つ時に汚れたのかしらとハンカチで拭こうとしたが、線は全く消えなかった。
強めに拭くと段々と肌が赤くなってしまったので中断する。汚れでも無い。

管理人はこの縦線に見覚えがあった。普段買い物している時に必ず目にしている物。
太さのそれぞれ違う縦線の下に小さく13ケタの数字があり、特別な機械で読み取ると
商品の値段が表示されることでお馴染みの……


「これ……『バーコード』だわ!藤鳥くんの目の下にバーコードが!!」


「どうしたんですか管理人さん、天の顔なんか見つめちゃ……ってああ!思い出した!」

天の顔をじっと見つめる管理人に咲良は天のある『愚行』を思い出した。
天に近寄ると持っていた箱で天の頭を思い切り引っぱたいた。

「管理人さんも天を叱ってよ!このバカ、来週入社式なのに目の下にタトゥーなんか入れたのよ!」

「まあ……じゃあこのバーコード、刺青なの?何でまたバーコードなんか?」

「痛てて……相変わらず怒りっぽいぜ咲良はよ。まあ『リスペクト』ッスよ、
このイカしたバーコード顔に対する俺なりのね」

天は小声でそういうと自身の横にスタンドを発現させた。顔に大きくバーコードが描かれた
ロボット型のスタンドがチュミミーンと高い声を発する。

「流石に顔全体にタトゥーを入れる訳にはいかないので少々小さくなりました。本当は左目の下に
QRコードのタトゥーを入れるつもりだったんスけどね、咲良に猛反対されちゃって」

「あらあら……藤鳥くんって行動力あるわよねぇ、思い立ったが吉日を地で行くというか」

管理人が関心しているとすかさず咲良が反論に入る。

「単に後先を考えて無いだけですよ!去年も就活中だってのに髪を緑に染めちゃったんですから!」

「まあ!藤鳥くんってばロックね!見てみたかったわ緑髪の藤鳥くん」

「面接官へ印象を与える狙いがあったんスよ。十社ほど落ちたから元に戻したけど」

「単に非常識な就活生を落としただけよこのアンポンタン!さあ部屋に行くわよ!!」

咲良は天の耳を引っ張るとアパートの方へと引き摺っていった。
天は痛がりながらも渋々従う。「ではまた」と管理人に別れを告げその場を去った。


騒動を見ていた匠が口を開く。

「……結構真面目な方だと思っていましたけど、かなり奔放なのですね藤鳥くんは。
これならアパートの皆さんとも仲良くなれそうだ……ねえ『皆さん』?」

匠はアパートの方を見た。部屋の扉から、廊下から、階段から、屋上から……
アパートの様々な場所から幾多の人影が見える。人影の視線は匠の方に向けられていた。
まるで先程まで匠の側いた新たな住人を観察するかのようであった。


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