したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

【オリスタ】Change a gear,Change THE WORLD【SS】

41 ◆gdafg2vSzc:2016/08/04(木) 15:22:22 ID:EPjEem/Y0
>>40
 洵子のただならぬ様子の声が聞こえ。

 沙枝は、ベッドの横のテーブルに置いてあった眼鏡をかけ。

 部屋を出て、慌てて階段を降りていく。

 階段を下りてすぐ、正面に見える玄関――そこで。

「さ、沙枝ちゃん! 来ちゃダメ!」

 沙枝の姿を見て、大声を上げる洵子、と。


――ビシィ。

「――え!?」

 洵子の身体に、一瞬。

 いびつな格子状に、青白い光が走ったように見えた刹那。

「ひ、ひいぃ!?」

 驚く沙枝の前で、その体が、バラバラになり、崩れ落ちる。

 そして、その後から。

「……くふっ、くふ、邪魔者は消えてもらうんだな」

 野暮ったい長袖の服と、だぼっとしたズボンを身に着けた。

 右目の下に大きな黒子のある男が現れる。

「ひ、あ、あなた……だ、誰!?」

「ボクぅ? あ、ボク、滑川(なめかわ)って言うんだな」

 くふくふ、と、いやらしげな笑いを浮かべながら、足元に散らばった「もの」を蹴飛ばす滑川。

(え……?)

 滑川が蹴飛ばし、足元に散らばった「もの」に沙枝の目が向く。

 それは……幼児向けのジグソーパズルのように、一片が大きなパズルのピースであり。

 バラバラになったピースに、目や口や、洵子が来ていた服の柄が見えていた。

「な、なんなの!? おばさんをどうしたの!?」

「くふっ、怖がる事は無いんだな、樹野、沙枝ちゃぁん」

「な――ど、どうして、私の名前を!?」

 腰を抜かしそうになりながらも、階段を、少しずつ後退りして上り、逃げようとする沙枝。 

「くふっ。だって、ボク、沙枝ちゃんみたいな可愛い子が、好きなんだな」

 笑いながら、土足で廊下に踏み出す滑川。

「でも、ボク、みんなに気持ち悪いって言われるんだ。だからずっと、写真を撮って眺める事しか出来なかったんだな」

「写真って――まさか!」

 沙枝の脳裏に、数日前に聞いた不審者の事がよぎる。

「でもぉ、ボクは……力を得たんだな。その力で、ボクは……くふふ、くふっ」

 指を気味悪くわきわきと動かしながら、また一歩、ずい、と沙枝に迫る滑川。

「沙枝ちゃんみたいな、可愛い子をコレクションして、た、楽しんでやるんだなぁー」

「や、い、嫌ぁ! こ、来ないで!」

 訳の分からない事を交える滑川に背を向け、自分の部屋に駆け込むと。

「くふふっ、逃げても無駄なんだなぁ」

 迫り来る滑川の足音に震えながら、部屋の鍵をかける沙枝。

「開けるんだな、沙枝ちゃぁん!」

 ドンドンドン!

 滑川が乱暴にドアを叩く音を背中に聞きながら。

 テーブルに置いてあったスマホを取り、電話で警察に連絡しようとすが。

「……そんな!?」

 3日前から充電を忘れていたせいで、スマホのバッテリーが切れている事に気付く沙枝。

「だ、誰か!! 誰か助けて!」

 仕方なく、部屋の窓を開け、外に大声で叫ぶ沙枝――


「さーん、にーい、いーちぃ」 

「――!?」

 その背後。
 
 ドア越しに、楽しげにカウントダウンする滑川の声が聞こえ。


「ぜーろぉ」


 沙枝が振り向くのと同時に、カウントが終わり。

「え、ええっ……!?」

――ビシィ。
 
 ドアに、先の洵子の時と同じように。

 格子状……ジグソーパズルの切れ目のように青白い光が走り。

「だから言ったんだな。逃げても無駄だって」

 ぼごぉ。

 ドアの上部に穴が開き、パズルのピースのようにドアの破片が落ち。

「沙ぁ〜枝ぇ〜ちゃぁぁ〜ん」

「ひ、ひいいぃ!」

 その穴に、滑川が顔を突っ込み。

 沙枝に対し、舌を出して舐めるような仕草をしながら、いやらしげな笑いを浮かべる。


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板