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【オリスタ】Change a gear,Change THE WORLD【SS】

100 ◆gdafg2vSzc:2017/05/25(木) 17:07:33 ID:Yfvuf9OE0
【6 夜回りに行こう】

 数日後、昼。

 海鳴高校、食堂。


「くわああぁ〜」

 食事を終えた汀が大欠伸をかまし。

「こら、みっともないでしょ」

 沙枝が呆れ顔でたしなる。


……裏舞台での事の加速など、自分達が狙われている事も知る由もなく。

 汀達は、一応普通の高校生活を送っていた。


「聞いたわよ、また授業中に居眠りしてたって?」

「仕方ないじゃんかよー」

 沙枝の言葉に悪びれる様子もなく、頭を掻き毟る汀。

「昨日の夜の火事、ウチの近くでよ……」

「あ、そうだったんだ。じゃあ大変だったんじゃない?」

「そーそーそー、分かってくれるか、ルイ。消防車のサイレンで目ぇ覚めるし明け方までうるさくてよぉ。寝れないっての」

「ああー、それじゃ仕方ないよ」

 同情するように頷いて、沙枝の方に目を向けるルイだが。

「まぁ昨日は仕方ないにしても、普段から夜更かししてるみたいじゃない」

「ぎく」

「え……」

 沙枝の冷たい視線と指摘に、笑いつつも顔をこわばらせる汀。

「し、仕方ないんだよ。だって買ったばかりの『オリスタ★オールスターズ』の新作が面白すぎて」

「結局ゲームやってんじゃない……まったく。ちょっとは早く寝なさいよ?」

「ま、まぁ……あんまりやりすぎも良くないよ。それにしても……最近多いよね、火事」

「ああ……」

 ルイがぽつりと呟いた言葉に、汀と沙枝が頷きつつ、顔を曇らせる。


……10日ほど前から。

 南風市内で、相次いで火災が発生していた。

 夜であること以外にその時間帯は決まっておらず。

 火災の対象となっているのは一戸建ての家屋やアパート、駐車場に停められた車など様々であったが。

 消防の、そして汀達の聞き及ぶ話ではいずれも『放火』の可能性が高く。

 恐らくは同一人物の犯行であろう、という事であった。


「放火か……物騒だよな」

「うん。僕の家でも母さんとか怖がってるし」

 これまでの火災において、まだ死者が出ていないのがせめてもの救いではあるが。

「なんか腹立つよな、こういうの」

 ぱん、と自らの左の掌を拳で打ち、怒りを見せる汀。

「……汀君、雨月君。まさかとは思うけど、その犯人……『スタンド使い』って事はないよね?」

「あ? ああ、どうなんだろうな」

「確証はないよね……」

 不安げに言った沙枝の言葉に反応するものの、確かめる手段はなく。 

 首を傾げるしかない汀とルイ。

「けれど、放ってはおけないよね」

「まー、捕まえるなりして確かめるしか手はないだろうけどなぁ……」

 飲みかけのバナナオ・レの紙パックに手を伸ばし、残りを一気に飲み干し。

「夜中だろ……俺はともかくルイや沙枝は流石に派手に出歩き回るのもなぁ」

 くしゃ、と手の中で握り潰しながら、苦笑する。

「ああ、確かにね」
 
「私は洵子おばさんに気付かれなければ大丈夫かもしれないけど……」

「僕もなんか理由付けがあれば、まだいけるかも知れないけど……抜け出しちゃおうかな」

 良いアイデアもなく、困り顔で向き合う3人、と。


「ふふふふふ、話は聞かせてもらった! ッスよー」

「うわ!? ああ、沼か」

 汀の背後から、沼田が笑みを浮かべて現れた。


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