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【オリスタ】Change a gear,Change THE WORLD【SS】

10 ◆gdafg2vSzc:2016/06/30(木) 17:53:28 ID:b03YRWrE0
>>9
 それ、は。


 汀と、チェンジ・イン・パワーの間に、片膝をつくような格好で現れた。

 交差させた腕でその攻撃を止める、黒っぽい、ロボットのように無表情な顔をした人型の存在。

 腹部や肩、さらには関節部には歯車やネジのような物が見え。

 動きに合わせ、ギャリギャリと小さく音を立てて動いていた。

「な、なんだよてめぇ〜!? スタンド出せるんじゃんかよぉ〜! マジ凹むぜぇ〜!」

「うるせぇよ、この馬鹿!」

 長濱が頭を抱え、絶叫するのに怒りを覚え。

 殴ってやろうか、そう汀が思った刹那――ギャアン!

「ふおぉ!?」

 汀のスタンドが、チェンジ・イン・パワーに拳を放つ。

「こ、この野郎! やってやれぇ! チェンジ・イン・パワー!」

 その攻撃を咄嗟に捌き、拳の打ちあいを展開する、2体のスタンド。

「ぐ、は、早い! くっそぉ!」

 パワーはほぼ互角、しかし、汀のスタンドの攻撃のスピードが早く。

 長濱の顔に、焦りが浮かぶ。


 その一方。

(すげぇな……これ)

 現れた自分のスタンドを動かし、戦わせながら。

(俺が思う通りに、いや、思う前に動いてくれやがる。なんていうか、体の一部みたいだな)

 自分や長濱に与えられた力……スタンドの凄さに感心していた。

「く、うらぁあ!」

 カウンター気味に放たれた、チェンジ・イン・パワーの攻撃を己のスタンドで受け止めながら。

(まだよう分からん事も多いが、分かってきた事もあるな)

 汀は、その性質を次第に、自分でも驚くほど冷静に分析していく。

(このスタンドって奴はスタンドを使える奴にしか見えない)

 攻防の最中にも拘らず、ちら、と背後を見る汀。

 後では、沼田が未だに困惑した様子で汀を見ていた。

「なに余所見してんだよぉ!」

(そして)

 長濱の怒号と共に、チェンジ・イン・パワーが放つ回し蹴りを。

 自分のスタンドの両腕で受け止めさせる汀――同時に自分の腕にも感じる、蹴りの衝撃。

(そして、スタンドが食らったダメージはそれを操る奴にも行く……なら!)

「うあぁ!?」

 チェンジ・イン・パワーの足を掴みながら反対の足に足払いを放ち、その体勢を崩させ。

「だりゃぁあ!」 

 隙の出来た相手のボディに、汀のスタンドの拳が放たれ。

「ぐぶぅ!」

 攻撃がヒットすると同時に、チェンジ・イン・パワーがよろよろと後退し。

「おっと、逃げるな!」

「ぐ、ぶ、ぐふぅ!」

 汀のスタンドの追撃が更にチェンジ・イン・パワーのボディを捉え、吹き飛ばし。

「ぐ……な、なんだよ、凹むわ……スタンド使えるんじゃんかよ……」

 長濱が腹を抑えてうずくまる。

「いや、俺も正直よう分からんわ。スタンドだっけか? 今初めて出した、てか出て来た」

「ふっざけんな……初めて出して、それだけ操れるわけが……」

「俺さぁ、ゲームとか家電とか、説明書見ない派なんだよ。それでもそこそこ上手くできるし、コイツも同じ事じゃねぇの?」

「なんだそれ……ワケ分からんわ……」

「それか、お前の要領が悪いだけだったんじゃねぇの? さぁて」

 腕を振り回しながら、己のスタンドと共に、うずくまったままの長濱に近づく汀。

「二度と俺や他の連中に手出しできないよう、ボコらせてもらうかね」

「……ボコる? ボコるねぇ……あ、は、あははははははは!」


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