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【ガーネット】「柘榴石の心(グラナート・クオーレ)」【クロウ】

1 ◆LglPwiPLEw:2009/10/31(土) 10:53:25 ID:6AP6NM8.
やるしかねえ……

414第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/05/09(月) 21:41:43 ID:HhFLQcLgO
チレストロ「テヤァァァァァァァァァ!!」

ズガアァァァン!

ゼブラート「ぐまッ!」


強烈なかかと落としが、ゼブラートの頭部に炸裂した。


ゼブラート(ボ・・・“ボードの裏に・・・貼りついてやがった”・・・とは・・・) ガクッ


応報部隊)ゼブラート/スタンド名『サーフズ・アップ』 →再起不能。



チレストロ「・・・」 クラッ

イザベラ「チレストロさん!」

イザベラが足を引きずりながら近づいた。

イザベラ「今すぐ“繭”を・・・」


チレストロ「待ってッ!」


イザベラ「!」 ビクッ

チレストロの剣幕に、イザベラは思わず立ち止まった。

───彼女は、イザベラが見たことのないほど真剣な表情をしていた。
まるで自分より強大な敵に、決死の覚悟で立ち向かうときのような・・・


??「・・・チレストロ」

不意に男の声がチレストロの名を呼んだ。
彼はイザベラから見てチレストロの奥に、いつの間にか存在していたのだ。


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


チレストロはゆっくりと男のほうを向いた。
さながら恐怖を隠しているかのような苦笑いに、その顔をひきつらせながら。

415第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/05/09(月) 21:42:06 ID:HhFLQcLgO
??「・・・チレストロ」

その男は再びチレストロの名を言った。


チレストロ「あら、久しぶりね・・・今日は連れと一緒じゃあないの?」

??「君が“裏切った”って・・・教祖もブルーノも知ってるよ。
  僕も知ってるよ。だからちょっと会いにきたの」

男がチレストロを指差しながら言った。
見た目こそ青年だが、その口調はまだあどけない少年そのものだった。


チレストロ「イザベラ・・・今すぐ逃げて・・・
    この男は“ヤバい”・・・!」

イザベラ「・・・!」


チレストロ「ハァ-・・・ハァ-・・・」

チレストロの呼吸が、明らかに早くなっているのが分かった。

怪我のせいだろうか・・・


チレストロ「まさか貴方が来るとはね・・・そんなに皆に恨まれてたってことかしら・・・ねぇ、“アッズーロ”!」

アッズーロ「・・・・・・」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ・・・

416 ◆LglPwiPLEw:2011/05/09(月) 21:47:33 ID:HhFLQcLgO
けふは此処まで。

次こそリモーネさん(←誰?)のスタンド出るよ!
アイディアが湧かなくてつらいけど!

417 ◆R0wKkjl1to:2011/05/09(月) 22:37:21 ID:3aN3xm2EO
いやあぁあああああああ〜!
格好いいチレストロにも死亡フラグがぁああぁ〜ッ!!
圧倒的不利ッ!2対1ッ!!

どうなってしまうのでしょう・・・?早く・・・続き・・・を・・・!

更新乙ですッ!

418名無しのスタンド使い:2011/05/10(火) 12:59:21 ID:E3pIdiJc0
乙!
ゼブラートさんの「ぐまっ!」になぜか笑ってしまったww

419 ◆LglPwiPLEw:2011/05/23(月) 19:44:24 ID:0gU.UBHcO
ジョジョリオンの震災ネタについて、各所で少々物議を醸している様子ですが、
被災した私から言わせてもらうと(本当に個人の意見ですが)実はちょっと“安心した”感じがしました。

というのも、フィクションとはいえ同郷の人物が被災したという設定のおかげで「あぁ、こいつらもアレを経験して今があるんだなぁ」という親近感みたいなのが湧いたのです。
また、このような作品に震災が登場したことで、これが震災の「永遠の記念」になり、後世に伝えられる手段になると思いました。

私の場合、親しい人を亡くすようなことがなかったのでこういう感情にとどまっているのでしょうが、
間違いなく荒木先生は何らかのメッセージを込めて(伏線かもしれないし)描いているのでしょうから、頭から糾弾する必要はないと思います。

長文失礼しました。返事はいりません、ただの独り言のチラ裏です。

ガネクロ執筆に戻りま〜す 誰か面白いバトル書く秘訣教えて

420名無しのスタンド使い:2011/05/23(月) 21:38:01 ID:lwNYxf.QO
ガネクロさんは、「友情と壁」とか「真理そして影」とか「繭玉の心」とか登場キャラが精神的に成長する話が凄い面白いから
リモーネさんの過去を掘り下げて精神的に成長する話を作るといいよ!

421第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 22:54:16 ID:UZ.1SgakO
*  *


その青年───ブルーノは、信じられないほど俺と趣味が一致した。
クラシック音楽のこと、映画のこと、サッカーのことなど・・・

俺たちはソファーに座って向かい合いながら、ありとあらゆることについて会話をしていた。


彼は時々、俺に対して質問もしてきた。


ブルーノ「白い絵の具と黒い絵の具をよォ、同じ量だけ混ぜたら“何色”になると思う?」

それらは一見、かなり奇妙な質問だった。


ロッソ「灰色・・・ですか?」

俺がそう答えると、ブルーノは「だろうな」という感じに目を瞑って言った。

ブルーノ「違うんだなァ〜〜、答えは『白と黒を混ぜた色』だ。
    っつーのはさ、元から『灰色』だったやつと、混ざって初めて『灰色』になったやつじゃあ違うんだよ。
    まぁ、そんなこと誰も気にしねぇけどな」


特に意味のない回答。

しかし、俺の心にはその問答が印象に残った。


時には話がループすることもあった。

二回目に音楽の話をしたとき、彼は昔ピアニストを目指していたことがあると分かった。


ブルーノ「オレにはさ〜、夢があるんだ」

ロッソ「なんですか? それは」

422第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 22:55:46 ID:UZ.1SgakO
ブルーノ「オレの『相棒』によ、ヴァイオリンが弾ける奴がいるんだ。
    そいつにガルネリウスのヴァイオリンを買ってやりてぇ」


ロッソ「・・・」

窓の外を見るブルーノの瞳はまっすぐだった。


ガルネリウス───通称ガルネリは、ヴァイオリン三大銘器の中でも特に入手が困難と言われている代物だ(もちろん他の二つも超がつくほど高価だが)。

それほどブルーノは、その『相棒』に絶大な信頼を寄せているのだろう。


ブルーノ「そいつのヴァイオリンと一緒によ、ベートーヴェンの『クロイツェル・ソナタ』を演奏すんのが夢なんだ」

ロッソ「叶うと・・・いいですね」

俺もブルーノと同じように、窓の外を見た。
そこにはコンクリートの壁があるだけだった。
朝の日差しが、そのコンクリートを上から金色に染めていた。


ブルーノ「レオナルド・ダ・ヴィンチっているだろ?」

ブルーノがまた新たな話を始めた。

ブルーノ「アイツがガキの頃にさ、絵の師匠がいたんだ。ヴェロッキオって奴なんだけどさ。
    そいつ、自分よりレオナルドの絵が上手いからって、それ以来絵ェ描かなくなったんだってよ。知ってた?」


聞いたことがあるような無いような話だったが、俺は首を横に振った。

423第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 22:56:39 ID:UZ.1SgakO
ブルーノ「オレはさァ〜〜、そのヴェロッキオって奴、画家失格だと思うんだよね。
    絵なんて描き手の個性でナンボじゃねぇか。“上手い下手”の概念なんて無ぇ。プロなら自分の信念貫けっつ〜の」

ロッソ「・・・」

わざわざ同意の返事をするまでもないと思った。


───その時、扉の外で物音がした。
それに続いて、男の声が廊下から聞こえた。

??「ブルーノ、準備はできているのか?」


するとブルーノは幻滅したような表情をして、溜め息をついた。

ブルーノ「うっせージジイ! 一人でやれ!!」

ブルーノは廊下の人物に向かって大声を上げる。

??「何を言っている。今更になって逃げるつもりか」

ガチャ


廊下の人物がドアノブを動かした。

ブルーノ「ちょ・・・開けんなクソ野郎がッ!」

ブルーノが慌てて立ち上がる。


ズオォォォア!!


ロッソ「!」

その瞬間、俺は見た。
ブルーノの体から離れて現れた、「人の形をした異形の存在」を。


ロッソ(『スタンド』・・・!)


ツカツカツカ
バ ン !

ブルーノは扉まで“歩いて”近づき、ドアを閉めて押さえつけた。
今のように“歩いて”近づいたら、ドアは完全に開かれるはずのタイミングだった。

424第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 22:57:26 ID:UZ.1SgakO
??「・・・なぜ入らせない?」

廊下の人物が凄みを効かせてブルーノに尋ねた。


ブルーノ「オレは一人でやれって言ってんのォ〜! オレらはテメェの道具じゃねぇんだよ!」

??「どういうつもりだ・・・それほどまでにアッズーロとの時間が大事かッ!!」


俺は頭が真っ白になっていた。

ブルーノの『スタンド』を見た途端、急に“夢”から“現実”へと引き戻されたようだった。

敵の罠、恐怖、破壊音、ビアンコの死体・・・


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


??「『ジョルノ・ジョバァーナ』が来るまであと僅かなんだッ! なんとしても・・・奴だけは倒さなければならないッ!」


ミシ・・・ ミシ・・・

ブルーノ「あ・・・ヤベ・・・」


ブルーノが押さえているドアが、きしんだような音をたてる。
それと同時に、ドアの形がどんどん歪んでいくのがハッキリと見えた。


メギッ・・・ メシャメシャメシャ!
バギャアァッ!!


枠から押し出されたように、ドアが完全に破壊された。


??「ブルーノ・・・」

そこに現れたのは、神父のようにおごそかな格好をした、背の低い壮年の男だった。

425第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 22:58:12 ID:UZ.1SgakO
ブルーノ「テメェなぁ・・・」


ブルーノは、男から俺を隠すような位置に立ちはだかった。

ブルーノ「お偉いさんだからって調子乗ってんじゃあねぇぞ? 大して偉くもないくせによォ!」


??「・・・」

ブルーノ「・・・・・・」


ガンッ!

突如、自動車が家屋にぶつかったような衝撃音が響いた。

俺の位置からはよく見えないが、恐らく二人とも『スタンド』を出して打ち合ったのだろう。


ロッソ「ハァ-・・・ハァ-・・・!」

俺は正気ではいられなかった。
二人の発する“殺気”も尋常ではなかった。


俺はようやく知ったのだ。
ここが、真の「教団本部」だということを・・・

そうでなかったら、ここの前でビアンコが死んでいるはずがない。

今まで、ブルーノのお陰で夢見心地だった俺は・・・
現実に“引き戻された”というより、“突き落とされた”ような感覚だった・・・


ロッソ(逃げなければ・・・!)

そう理性が告げたが、身体が動かない。
俺はソファーに腰掛けたまま、石にされたように硬直していた。


ブルーノ「・・・ヘヘッ、今の一発、どっちが先にいったんかなァ!」

??「ここまで来て、お前を殺さねばならぬのか・・・ブルーノ」

426第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 22:59:05 ID:UZ.1SgakO
その後、二人は30秒ほど睨み合った。


やがてブルーノは肩を落とし、腕を組みながら言った。

ブルーノ「・・・わ〜ったよ。まぁいいや、ジジイのやることにもう少しだけ手伝いしてやっから・・・」


ブルーノは俺に振り返って言った。

ブルーノ「・・・オレはもう行くわ。じゃあな、楽しかったよ」


そう言い残して、早足で部屋を出ていってしまった。


??「・・・」

ロッソ「・・・」


必然的に、俺と男が残された。
男は、驚いたような顔で俺を見ていた。


??「アッズーロ・・・“ではなかったのか”・・・お前は・・・」


何も説明されなくても、俺にはおおよそ予測ができた。

この男が、何百人ものギャングを殺した「教団」の教祖、『スカルラット大司教』だ。


*  *


ビュン!

ヴェルデ「くっ!」

背後の“柱”から、鞭とも剣ともとれない物体が攻撃してきた。

俺は前転してそれをかわすが、それはなおも刀身を伸ばして攻撃を続けてくる。

グオォォ!

ヴェルデ「!」


バチン!

リモーネ「大丈夫かヴェルデ!」

ヴェルデ「リモーネ!」


間一髪のところで、リモーネのスタンドが“柱”の物体を断ち切ってくれた。

427第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:00:13 ID:UZ.1SgakO
俺たちは今、応報部隊の(恐らく)最後となる敵二人と戦っている。

その片割れは───「裏切り者」だ。


「裏切り者」スカッコは中庭の真ん中に突っ立ったままで動かない。
まるで俺たちの様子を窺うことを楽しんでいるかのようだ。

もう一人の敵(パンテーラという女)は、中庭をぐるりと囲む“柱”の外に立っている。
どうやら奴のスタンドは「柱を操る能力」らしく、“柱”を自在に変形させて外側から俺たちを襲っていた。


逃げ場の無い俺たちは、例えるなら中庭という“リング”の中でスカッコと戦わされている状況だった。


とはいえ、こちらは五人ものスタンド使いが揃っている。そうそう負けはしない。

・・・そうタカをくくっていたのは、俺の悪い癖だと後に知ることになるとは・・・


ビオンド「『タイプ:ワイルド』ォ!!」

スカッコ「・・・」ニヤリ

ガキン!


『タイプ:ワイルド』のストレートを、スカッコの『ネイキッド・アームズ』があっさりと受け止める。


ビオンド「ソイヤソイヤソイヤソイヤソイヤ━━━━!!」

ズガガガガガガガガガガ!!


間髪入れずに、ビオンドはラッシュで攻勢をかけた。


スカッコ「・・・フヒヒヒヒ!」

428第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:02:49 ID:UZ.1SgakO
ラッシュを受け止めながら、スカッコは不気味な笑い声をあげた。


ミスタ「ビオンド! 危ねぇッ!」

ミスタが急に声を張った。

ビオンド「・・・!」


スカッコ「ぐあ」カパッ

! !


スカッコが口を開けると・・・
そこからは、ピストルの銃口が顔を出していたのだ。


ビオンド「げッ!」

ド ン ! !


ビオンドが身を引くより先に、ピストルの音と閃光が発生していた。

リモーネ「ビオンドォォ━━━━━ッ!!」


ビオンド「ッッッてぇェ━━━!! このクソが!!」

ビオンドは無事だ。

スカッコが口から放った弾丸は、スタンドのパンチに当たって奇跡的に軌道をずらされ、ビオンドのこめかみを掠めたようだ。


スカッコ「カッカッカ!」

ビオンド「テメェ・・・取り込んだ武器に身体を変化させられんのかッ!」

リモーネ「迂闊に近づくこともできないとは・・・」


アラゴスタ「コノォォ━━━━━━!!」

バシ バシィ!!


アラゴスタの『スターフライヤー59』が“柱”の攻撃を防いでいる。
防ぎつつ、次第にパンテーラの所まで接近していった。

“柱”に近づくほどに、お互いの攻撃は勢いを増していく。
それはもはや、俺にはほとんど視認できないほどのスピードになっていた。

429第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:04:12 ID:UZ.1SgakO
アラゴスタ「コノコノコノコノコノコノコノコノコノコノコノコノ!!」

パンテーラ「・・・」


あと一歩で、パンテーラの隠れている柱を破壊できるという場所まできた・・・

アラゴスタ「コノコノコノコノ・・・うわッ!」

ドバァッ!

いきなりアラゴスタは、“何者か”によって真後ろへ弾き飛ばされた。

「!」

パンテーラ「・・・フン」


ペロ・・・ ペロォ・・・

“柱”から上半身だけ、長い舌を伸ばしたパンテーラのスタンドが発現していた。


アラゴスタ「つ・・・」

パンテーラ「ガキが・・・とっとと私の前から消えろッ!」

シュシュシュシュシュ!!


“柱”から大量に伸びた武器たちが、一斉にアラゴスタを狙った。

ヴェルデ「アラゴスタッ!!」

アラゴスタ「大丈夫・・・“あそこまで『宇宙空間』ができたからいいんだ”・・・『ワームホール』!!」

SF59『!』 ブォォン!


『スターフライヤー』がその場でパンチを繰り出すと・・・

バガアァァァァァ!!

パンテーラ「!」


轟音を立てて、先ほど破壊できなかった柱が崩れていった。
よく見ると、『スターフライヤー』の“腕だけ”が柱近くの“宇宙”から突き出していた。

430第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:05:43 ID:UZ.1SgakO
アラゴスタを襲う武器も、柱とともにボロボロに粉砕されていた。


パンテーラ「・・・!」ワナ ワナ

スカッコ「へぇ〜、やるじゃんこの子供」

パンテーラ「・・・このチビ猿がァァァッ!」

怒りの形相を湛えたパンテーラが、別の柱の影へ走った。

ミスタ「よくやったぜ! 鉄壁の“柱”に穴を開けただけでも随分ちげーッ!」


パンテーラ「何やってるんだスカッコ━━━ッ!! 早く殺れ━━━━ッ!!」

スカッコ「あーあー、せっかくのおカオが台無しじゃん。後からシワが増えっぞ。
   ・・・どれ、じゃあそろそろ本気だすかァ!」 バッ!


ジャキ-ン!

「!?」


スカッコが服を脱ぐと、彼の身体から大量の銃身が四方八方に現れた。

スカッコ「とっくの昔に取り込んでたんだよ、たくさんの武器をなァァァ!!」

リモーネ「まずいッ! ガードしろ!」


ズバババババババババババ!!

アラゴスタ「うわぁぁッ!」


朝の空気をぶち壊す爆音とともに、無数の鉛弾が中庭じゅうに撒き散らされた。

俺はもう何も考えられなくなっていた。
攻撃を防ぐ手立てがない、“足手まとい”の俺は、もうここで死ぬんだ・・・


しかし不思議なことに、俺の体に弾丸が当たらなかった。

431第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:07:25 ID:UZ.1SgakO
リモーネ「ぬおぉぉぉぉぉ!!」

ヴェルデ「・・・!」


リモーネが、雄叫びを上げながら俺を弾丸から守っていた。
自分の防御を薄くしてまで・・・

ヴェルデ「やめろリモーネ! これではいずれお前に当たるぞ!」

リモーネ「ダメだ! お前がいなければ・・・」

シュルン!

ヴェルデ「!」


今度は後方から、“柱”から武器や触手が伸びてきた。
それらが俺たちの身体に強く絡みつく。

パンテーラ「『センテンスト』ォォ! 全員バラバラに引き裂けェェェ!!」


ビュン!

リモーネ「くぅッ!」

スカッコの弾が一発、リモーネの身体を通っていった。


ヴェルデ「リモーネェ!!」

ダン! ダン!

とっさに拳銃を取り出して“柱”を撃ったが、相手には全く効いていない。
それどころか、出した拳銃がスカッコに引きつけられてしまった。

ヴェルデ「・・・くそッ!!」


シュルッ!

その時、“柱”から伸びた触手が痙攣したように動いた。

パンテーラ「ひっぎゃあぁぁぁ!!」

そしてパンテーラの悲鳴。


スカッコ「おい、どうした?」

スカッコが掃射を中断した。
彼の周りには、無数の薬莢が転がっていた。

パンテーラ「首・・・首を撃たれたァァァッ!!」


ミスタ「・・・テメェが撃ったんだぜ、スカッコ! 」

スカッコ「え?」

432第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:09:44 ID:UZ.1SgakO
S・P『イェーイ!』


ミスタのスタンド『セックス・ピストルズ』が三体、小躍りしながら喜んでいた。

ミスタ「“鉄壁に穴が開いただけで随分ちげー”って言っただろ?
   テメェの弾、俺が使わせてもらったぜ。アラゴスタがブッ壊してくれた柱から防御網を抜けてなァ!」

パンテーラ「ハァー・・・ハァー・・・ド畜生がァァァ!!」

スカッコ「あーらら」


リモーネ「ハァー ハァー」

ヴェルデ「大丈夫かリモーネ!」

リモーネ「大丈夫だ・・・なんとか“数秒以内”に収まった・・・」

リモーネの身体にあったはずの銃創がすっかり消えていた。

リモーネ「俺のスタンド・・・『ザ・ウェイオブ・フィスト』は、殴った場所の状態を“数秒”戻せるんだ。
   具体的に何秒くらいまでOKなのかは、俺でも分からんがな・・・」

ヴェルデ「・・・」


スカッコ「ったく、しぶとすぎだぜアンタら! 大人しく蜂の巣になってほしーんですけど!」

ビオンド「・・・ヘッ、テメェには分かんねーと思うがな、ギャングってのはこうじゃなきゃならんのよ。
    内臓とび出ようが、片足吹っ飛ぼうが、命尽きるまで闘うのがギャングなんだよ!」


スカッコ「ふーん・・・じゃあその通りになるまでやってみろ!」

ズババババババババパバババ!!

433第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:11:11 ID:UZ.1SgakO
スカッコが再び乱射を始めた。


S・P『ワーッ! ミンナ守レーッ!』

ミスタ「・・・ッくそ! 弾切れってモンがねーのか!」

ビオンド「早くしねぇと・・・俺たちがやられるッ!」


ヴェルデ「・・・」

カチン


アラゴスタ「誰か・・・アイツを止めて・・・」

ブシュン!

アラゴスタ「うわぁッ!」

アラゴスタの肩を銃弾が掠めた。


スカッコ「フヒヒヒヒ! 全員肉の塊になるまで撃ちまくってやらぁ!」

パンテーラ「ちょっとスカッコ! 私がどうなってもいいのかッ!」

スカッコ「うるせー、どうせお前なんか初めから仲間じゃあねーんだ・・・ん?」

コロ・・・コロ・・・


スカッコの足元に、小さな金属の塊が転がってきた。

スカッコ「・・・これってまさか・・・」


ヴェルデ「“武器を吸収”するんだったら・・・その“爆発”まで吸収できるかな?
    ピンを抜いてから爆発までのタイミングなら、俺は心得てるぜ」

そう、それは俺が投げた「手榴弾」だ。
吸収される寸前で爆発するように、間隔を開けて投げた。


ダアァァ━━━━━ン!!

轟音と白煙。
それと同時に、戦場のようだった機銃の音が無くなった。


ヴェルデ「・・・」

リモーネ「・・・チッ!」

434第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:13:55 ID:UZ.1SgakO
スカッコ「・・・ヒヒヒヒヒヒ!」


・・・効いていない。
爆発の衝撃をモロに受けているはずが、奴は全くの無傷だった。

スカッコ「残念だったなァァァ! 『ネイキッド・アームズ』は武器の攻撃だったら何でも吸収できるッ!
   手榴弾の爆発でもオッケーなのよ!」

ミスタ「・・・」

ビオンド「つ・・・強ぇ」

アラゴスタ「ハアー ハアー・・・」


よく見ると、既にみんな負傷していた。
ミスタもビオンドもリモーネも・・・
弾が直撃していなくても、所々を掠っていったようだった。

・・・無傷なのは、俺一人だ。

なんでだ。
真っ先に死ぬのは、俺じゃあないのか?

なんで俺だけがピンピンしているんだ?


ミスタ「! “柱”から来るぞォッ!」

シュルン! シュルルルル!

スカッコ「俺からもいくぞォッ! ってかァ━━━━ッ!!」

ズババババババババババババ!!


リモーネ「『ザ・ウェイオブ・フィスト』!」

ビオンド「『タイプ:ワイルド』!」

アラゴスタ「コノ━━━━ッ!!」


各々のスタンドが、全霊をかけて拳を打ちこんでいる。
ミスタの『セックス・ピストルズ』でさえ、銃弾を打ち返して攻撃を防いでいるのだ。

俺は・・・なぜこんなに無力なんだ?

なぜリモーネは・・・みんなは、こんな俺を守ってくれるんだ?


俺が「生きる意味」は・・・

435第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:15:02 ID:UZ.1SgakO
トサッ


その時、リモーネのポケットから何かが落下した。

リモーネ「ヴェルデ! それを拾ってくれ! そいつはビオンドが作った『破壊のグローブ』だッ!」


ビオンドの能力───『タイプ:ワイルド』は、物体の「状態」を「グローブ」にして取り出すことができる。
そのグローブで殴れば、「状態」を別の物体に発生させることができるのだ。

ただ、そのグローブは“スタンドに着けることはできない”という短所がある。
ビオンドは恐らく、この「最終兵器」ともいえるグローブを、体術に長けるリモーネに託していたのだろう。


ヴェルデ「・・・」

リモーネ「ヴェルデ! 早く!」


俺はグローブを拾った。
そして少しだけそれを眺めると、自分の手にそれを装着した。


リモーネ「ヴェルデ・・・何をしている・・・! ・・・ヴェ、ヴェルデェェェ!!」



スカッコ「あぁー快感ッ! 男どもが使ってた銃も取り込んで、完全に俺は無敵だぜェー!!
   ほぉーらお前ら、ラッシュのペースが落ちてきてるぞ! そろそろ犠牲者がでるかなぁー?」

その時スカッコは、二本の刀が飛んでくるのを見た。

片方は長くて美しい日本刀、もう片方は血の付いた短刀だった。

436第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:16:37 ID:UZ.1SgakO
スカッコ「ん、なんだありゃ?」

二本とも、スカッコには見覚えのない武器だった。


スカッコ(あいつはヴェルデのもんか? こりゃラッキー! 『剣』が手に入りゃ、近距離でも無敵になれるぜ・・・)

次の瞬間、スカッコはその刀の「異常」に気づいたのだった。

スカッコ(なんだあれ・・・日本刀のツカに、“なんか付いてやがる”・・・)



ヴェルデ「ハアー・・・ ハアー・・・」

リモーネ「ヴェルデ━━━━ッ!!」

リモーネがこんなに驚いているのだから・・・スカッコは“もっと驚くに違いない”。

当然だろうな。だってあの刀にゃ───
『切り落とした俺の手が握られたままなんだから』。



ピタ ピタッ
ドバァァァ!


スカッコ「ぬぉあぁぁぁぁ━━━━!?」

スカッコの身体が「破壊」され、鮮血が飛び散った。


パンテーラ「スカッコ!?」

スカッコ「刀に“手”がついてやがった! グローブみてーなモンを着けた・・・ぎゃあぁぁぁ━━━━━!!」


ヴェルデ「武器を“引き寄せる”能力がかえって命取りだったようだな。まぁ、ビオンドがいなければ手段は無かったが・・・」
ビオンド「・・・!」


短刀で切り落とした俺の手は、既にリモーネのスタンドで元通りになっていた。

437第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:17:55 ID:UZ.1SgakO
ミスタ「ヴェルデ・・・大した根性だぜテメェーッ!」

ヴェルデ「・・・フッ」

上司から誉められるのは久しぶりだった。


スカッコ「・・・がっ」

スカッコはもう虫の息だ。
あと数分もせずに事切れるだろう。


アラゴスタ「これで残るは・・・」

ビオンド「メガネ女・・・テメェだけだぜ」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


パンテーラ「・・・・・・
    絶対に・・・『教祖様』の所には行かせないッ!!」

シュビビビ!!


大量の触手が周囲の“柱”から発生し、俺たちに襲いかかった。

ミスタ「ヴェルデ、リボルバーはあるか?」

ヴェルデ「はい!」

俺はリボルバーを取り出し、ミスタに投げて渡した。

ミスタ「スカッコが死んだからには、思う存分『武器』が使えるってもんだぜ!」

ダン! ダン!

S・P『イィィ━━━ッハァ━━━!』


ヴェルデ「『ウェポンズ・ベッド』!!」

バラララララララ!


ミスタの言った通り、俺も存分にマシンガンを撃ちまくった。


パンテーラ「絶対にィィィ! 絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に
    絶対に行かせないィィィ━━━━ッ!!」

438第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:19:24 ID:UZ.1SgakO
屋敷の中庭に、スタンドの拳と、触手と、銃弾がいくつも交錯した。

しかしその中で、俺たちは確実にパンテーラを追い込んでいた。


パンテーラ「うおぉぉぉぉぉぉぉ!!」


触手は撃ち落とされ、柱には穴が開き、スタンドも傷ついていく。

パンテーラ「畜生めがあァァァ━━━!!」


ところが、ここで俺はふと“ある違和感”を感じた。

ヴェルデ「・・・?」

ヴェルデ(弾が真っ直ぐ飛んでいかないぞ・・・)


ミスタ「ハッ! ヴェルデ!!」

バンッ!!


ヴェルデ「・・・・・・」


背後から銃声が聞こえた・・・
その時には、俺は地面に倒れ伏していた。


スカッコ「まだ俺はァァァ━━━、死んじゃあいねぇぜェェェ━━━ッ!!」


ビオンド「ヴェルデェェ━━━━!!」

アラゴスタ「ヴェルデさあああん!!」


俺はスカッコに、背後から後頭部を撃たれていたのだ。

ヴェルデ「・・・」


スカッコ・・・まだ生きていたとは・・・
弾が微妙に奴に引きつけられたから、真っ直ぐ飛ばなかったのか・・・


ヤバい。既に目の前は真っ白だ。
今からリモーネやビオンドがスタンドを使っても、もう手遅れかもしれない。

439第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:20:40 ID:UZ.1SgakO
しかし・・・“こんな最期も悪くない”。
一介のギャングとして、盛大に大暴れしてから死ねるんだから。

スカッコを殺しきれなかったのが心残りだが、あとはみんなが収めてくれるだろう。




───『ロベルト! こんな物騒なもんはとっとと捨てちまえ!』

『・・・うん、わかった』

───“武器”を捨てるのはつらいが・・・

『なぁヴェルデ〜、サバゲーしようぜ〜』

『おぅ!』

───俺には“友”ができた。

『うわっ、くそ! やられた!』

『あたりめーだ! よそ見してただろ!』

『はははははは!』


───こんな人生もアリだった。
   それに、親殺しの罪を背負うこともなかったんだ。

───う〜ん、そうするとこっちのほうが良かったかもしれない。
   でもどうだろう、ギャングの道も悪くはなかった。
   そう考えると、「人生の選択肢」ってもんは意外と重要な意味を成さないものだなぁ。


『おいヴェルデ』

───お前は・・・ビアンコ・・・
   そうか、“お前も”なんだな。

『まぁな・・・しかし俺だってよォ、最後まで粘ったんだぜ。教祖の目をぶっ潰してやったりな』

───なるほど、お互いよくやったな。

440第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:22:21 ID:UZ.1SgakO
『なぁヴェルデ、一緒に飲みに行かねーか? お前からいろいろ話を聞きてぇんだ』

───“話”?

『約束しただろ? 戦いが終わったら“武器についていくらでも語ってやる”って』

───あぁ、確かに言ったな、トラックの中でな。

『いや〜俺はあれが楽しみでさァ〜! ずっと帰りたかったんだよ!』


ビアンコは喜んでいた。

───わかった、そこまで期待してたなら語ってやる、何十時間でもな!

『ひょ〜! 来ると思ったぜ! じゃあ今から・・・』


カッ!


ドオォォォォォォォォ!!



ヴェルデ「!」



凄まじい光と爆音が、俺の意識を掻き乱した。




ヴェルデ「・・・」


ドシャッ ドシャッ

地面に何かが落ちる音。


アラゴスタ「『スターフライヤー』・・・“宇宙”の中を『星間物質』で満たした!」

アラゴスタの声だ。


アラゴスタ「『星間物質』の主な構成要素は“水素”! 詳しい説明は省くけど、“水素”が空気と混じって火がついたらどうなるか・・・分かるよね?」


目が光に慣れてきたとき・・・
今しがた近くに落ちた物が見えた。


ヴェルデ「・・・!」

・・・それは、スカッコの鼻から上だけの頭と右腕であった。

441第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:24:54 ID:UZ.1SgakO
ビオンド「撃つときの発火を利用したか・・・さすがのスカッコもアレにはひとたまりもないわな」

ビオンドが近くにいる。


俺は“柱”のほうを向いた。
そこでは、頭に小さな穴を開けたパンテーラが目を開いたまま死んでいた。


リモーネ「ヴェルデ! 気がついたか!」

ビオンド「おぉ、おぉッ!」

ミスタ「ヴェルデ!」

アラゴスタ「ヴェルデさん!」


みんな嬉しそうな顔をしている。

───“生きていた”のか・・・俺は・・・


ビオンド「おめーの怪我を『グローブ』にして取り出しても起きなかったからよォ〜、ダメかと思ったぜェェ!」

アラゴスタ「よかった・・・うぅ、大丈夫だよ、倒したよ・・・二人とも」

アラゴスタは涙ぐんでさえいた。


だが、俺は素直に喜べなかった。

ヴェルデ「・・・」


ミスタ「もーし、ボスどうっすか? こっちは片付きました。多少ケガしたが死人はナシっす」

ミスタが無線でボスに連絡した。

だが、返ってきたボスの返事は・・・


ジョルノ『なんということだ・・・たった今発見した・・・“遺体”を・・・“ビアンコの・・・亡骸を”!』


 ! ! 


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド



ヴェルデ「・・・ビアンコ」

442第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:26:35 ID:UZ.1SgakO
思い返した。
夢の中での、ビアンコとのやりとりを。

───ビアンコ、すまんな。
   “あの話”は、もう少し待っていてくれ。



リモーネ「やはり、あの後・・・」

ビオンド「・・・くッ!」


アラゴスタ「うそ・・そんな・・・」

アラゴスタはショックのあまりか、涙も出さずに立ち尽くしていた。


ミスタ「おいお前ら! 忘れたとは言わせねぇぜ。『死して屍拾う者なし』、これがギャングの常識だ」

そうだ、今は仲間の死を悼む余裕はない・・・

ミスタ「・・・俺にもよ、過去に死んでいった仲間は何人もいる。
   そのたびに・・・何度その“屍を拾ってやりたい”と思ったことか・・・」

ヴェルデ「ミスタ・・・さん」


ミスタの表情は、被り物に隠れて見えなかった。


アラゴスタ「う・・・うっ、ううぅぅ・・・」

とうとう、アラゴスタは大粒の涙を流しだした。

そうだ、お前は泣いてもいい。
なぜならまだ12歳なのだから。


俺は立ち上がり、アラゴスタに歩み寄った。

アラゴスタ「うわあぁぁああぁ!!」

彼は大声で泣きながら、俺にしがみついた。



アラゴスタが泣き止んだ後、俺たちは直ちにボスの元へ向かった。

443 ◆LglPwiPLEw:2011/06/01(水) 23:27:21 ID:UZ.1SgakO
今日はここまで。
しかし14話長すぎる…ヤバい、前後編に分ければよかった……
まぁWikiに載せるときに編集し直せば(ry


初登場スタンド

No.3250 【スタンド名】ザ・ウェイオブ・フィスト
考案者:ID:XUxTY8o0
絵:ID:Fj9S9.DO(マックさん)
あんまり活躍させられなくてスマン。ラスボス戦でも使うから安心して


次回はアッズーロvsチレストロなんじゃ

444名無しのスタンド使い:2011/06/01(水) 23:31:46 ID:Dp2Ar2n60
うおおおお乙ー!
やばいもうなにがヤバイって鳥肌やばい展開やばい熱くてヤバイ
続きが気になるうううう!

445 ◆U4eKfayJzA:2011/06/01(水) 23:42:50 ID:pzvVsIss0
ヴェルデか漢だ……。回復役がいないとできないやり口ですな。
そしてアラゴスタには酷な話だわ、仲間の死と自身の殺人は、12歳にはキツいだろうな……。
乙でした!

446 ◆R0wKkjl1to:2011/06/01(水) 23:45:03 ID:lBWPwLokO
更新乙ですッ!

戦いは熱いし、ヴェルデさん死ななくて良かった!!良かった・・・けど
ビアンコさんが目の前から急にヴェルデさんが消えてしまって(゚Д゚ )… ってなってるのを想像してしまった

447名無しのスタンド使い:2011/06/03(金) 13:13:06 ID:eD8e2DKA0
ヴェルデさんの人間性好きだなー
いろんな人の活躍も見られたし楽しかった!
次回も気になるゥゥ

448 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:29:57 ID:p1cYdNM2O
【おさらい】

Q1.ロッソたちは今なにしてるの?
A.新興宗教の本部にカチ込みだよ! ギャングを皆殺しにしようとしてるヤバい宗教だよ!


Q2.誰が今どこにいるの?
A.ロッソ →本部の部屋の中。教祖とバッタリ遭遇中。
 ビアンコ →死んだ。
 ジョルノ →ロッソの所へ向かってる。まもなく到着?
 ミスタ、ヴェルデ、アラゴスタ、リモーネ、ビオンド →ジョルノの所へ向かってる。
 イザベラ、チレストロ →大聖堂前の広場。アッー!ズーロと遭遇中。 ←いまここ


Q3.作者は今までなにしてたの?
A.PCしたりとか音楽聴いてばっかりいた。


それではスタートッ!

449 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:31:26 ID:p1cYdNM2O
*  *


チレストロ「ハァー、ハァー・・・」

アッズーロ「・・・」

コツン コツン


一歩一歩、アッズーロはチレストロに接近していった。

イザベラ「・・・!」


イザベラはどうすることもできない。

深く切り裂かれたチレストロの身体を今すぐ治療したかったが、彼女からは「来るな」と忠告されてしまった。


アッズーロ「・・・」

ユラァ・・・


アッズーロの周囲に陽炎のようなオーラが立ち上り、次第にそれが一カ所に固まっていく。


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


アッズーロ「チレストロ・・・しんでもらうよ」

アッズーロが右手の指をチレストロに向けた・・・


シュン!

アッズーロ「!」

それよりも速く、チレストロは地を滑ってアッズーロの横に移動した。


チレストロ「テヤアァァァァァァァッ!!」

まばたきよりも速く、チレストロはパンチを繰り出した。



アッズーロ「・・・」

チレストロ「・・・く」

・・・チレストロは、アッズーロまであと数センチの距離で拳を止めていた。
いや、“止められていた”。


グオォォォ!
バキイィィィッ!


チレストロ「があぁぁッ!」

イザベラ「チレストロさんッ!」

450 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:31:55 ID:p1cYdNM2O
アッズーロのスタンドのパンチが、彼女の顔を正面から捉えた。


ドサン!

チレストロ「ぐ・・・かぁッ!」


余りのむごさに、イザベラは顔を下に向けた。

イザベラ「うっ・・・」


コツン コツン

アッズーロが再びチレストロへ近づいていく。

アッズーロ「君が死ぬまで、続けてあげるから」


イザベラ「もうやめてェェェ━━━ッ!!」

シュルシュルシュルシュル!

アッズーロ「?」


『シルキー・スムース』の“糸”がアッズーロに向かって飛んでいった。


アッズーロ「・・・」

アッズーロは飛んでくる糸の先端を指差すと、その指をまったく別の方向へ向けた。

“カキン”


イザベラ「・・・!」

すると、糸はまるで明後日の方向に、“アッズーロの指した方角に”軌道を変えて飛んでいってしまった。



チレストロ「イザベラ・・・早く逃げるのよ・・・
    この男の能力は『あらゆるモノの方向を指で操作する』こと!
    コイツに指でさされたら・・・逃げることはできないッ!
    名前は・・・『エクスターミネーター』・・・」


アッズーロ「・・・」

右腕に皇帝の冠のような装飾をもったアッズーロのスタンドが、彼の傍に佇んでいた。

451第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:32:59 ID:p1cYdNM2O
チレストロ「早く・・・逃げて・・・」

イザベラ「・・・!」


チレストロ「逃げろッ!!」

イザベラ「・・・」


ダッ

チレストロに怒鳴られ、とうとうイザベラは走り出してしまった。



チレストロ「ハァー・・・ ハァー・・・アッズーロ・・・」

チレストロが震える足で立ち上がった。

チレストロ「アンタの・・・アンタの“右腕”さえ封じれば・・・スタンドは、完全に無力・・・」


アッズーロ「・・・」

チレストロ「・・・」

シュバッ!


またもや、アッズーロの指より速くチレストロが動いた。


チレストロ「右腕は・・・“ぶった斬る”ッ!!」

チレストロが手刀を構え、アッズーロに向けて振り下ろした。

ビュン!

チレストロ「!」


“外した”。
いや、アッズーロがその場から消えていたのだ。


チレストロ「ハッ!」

次の瞬間、まったく見当違いの方向からアッズーロが攻撃してきた。

アッズーロ「・・・」グオォォ!

ツルン

アッズーロ「?」


チレストロ「ハァー・・・ハァー・・・」

チレストロは身体の摩擦力を「最小」にして、攻撃を“滑らせる”ことに成功した。


チレストロ「その動き・・・アンタのスタンド能力のおかげなのかしら・・・?」

452第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:33:56 ID:p1cYdNM2O
アッズーロ「・・・わかんない。僕はただ“地面”を動かしてるだけ」


その言葉から、チレストロは彼の能力を解明した。

チレストロ「なるほど・・・“地面”を起点にしてベクトルを操作すれば、『自分を移動させることができる』のね・・・それも凄いスピードで」


しかし、謎が解けたところで「対策」をしなければ意味はない。


『エクスターミネーター』の弱点を突く方法はただ一つ───「右腕を封じること」。
ただのそれだけだ。

ところが、そのための「手段」が見つからない。
アッズーロが『アーケイディア』の滑走よりも速く動けると判明した現在において、どうやって彼の腕を封じられよう。


チレストロ(でも大丈夫・・・コイツはスタンドは強くても、闘いの作法はよく知らない。
    動きで翻弄すれば、きっと勝ち目はあるわ・・・)


バッ!


みたびチレストロが動く。

彼女はとにかく、アッズーロの死角を取ることを心掛けた。


奴の指でさされたら最期───

チレストロ(今度こそ・・・)

一気に───


カチッ

チレストロ「!」


動けない。

ブオォォ!

チレストロ「あぅッ!」


チレストロの身体が流れるように動かされ、アッズーロの目の前に移動した。

453第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:35:05 ID:p1cYdNM2O
チレストロ(間に合わなかった・・・!)


アッズーロ「・・・」

チレストロ「・・・!」

ガシッ!

チレストロ「ぐあッ!」


身体を固定した状態で、『エクスターミネーター』の手がチレストロの首を鷲掴みにした。

アッズーロ「もういいよね? さよならする準備・・・できたよね?」

ギイィィィ!

チレストロ「ぐあァァァッ!」


『エクスターミネーター』は首を引きちぎらんばかりのパワーで彼女を絞めあげた。



チレストロ(終わった・・・)


死ぬのは怖くない。

殺し屋たるもの、何時でも自分が殺られるという覚悟はできていて当たり前だからだ。


しかし───この「哀愁」は何だ?

相手を殺せなかった悔しさなのか?
私はこの程度で未練を抱えるほどの人間だったのか?

いや違う。この「哀愁」はもっと“大きなもの”だ。


彼女がそう思ったとき、頭の中に一人の人物が浮かんできた。


チレストロ(ロッソ・・・)


そうだ、アイツだ。

彼のスタンドに殴られたとき、自分を大切にする「自愛」の感情を植えつけられたのだ。


つまり、いま感じているこの「哀愁」は・・・
自分の人生の終わりを受け入れられない「惜別」の感情なのか・・・

454第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:35:46 ID:p1cYdNM2O
チレストロ(フ・・・余計なことをしてくれたものね・・・)


「自愛」の感情がなければ、思い切って楽に死ねたのに・・・

本当にあの子は・・・“優しすぎる”・・・



シュルシュルシュル!

チレストロ「ハッ!」

アッズーロ「・・・」

突如、白く太い“糸”がアッズーロの身体に巻きついた。


イザベラ「・・・!」

物陰に隠れていたイザベラが、少し遠くから“糸”を放っていたのだ。


ツルッ!

アッズーロ「・・・あ」

アッズーロが力を緩めた隙をついて、チレストロは「摩擦」を小さくして拘束から逃れた。


アッズーロ「・・・」

ブチン!


アッズーロはけだるそうにイザベラのほうを向き、手刀で“糸”を断ち切った。


イザベラ「・・・」

チレストロ「・・・ハァー・・・ハァー、
    どうして・・・どうして逃げないのよ・・・貴女のためを思って言ったのに・・・どうしてッ!」


イザベラ「うるさいッ!!」


チレストロ「・・・!」

予想外のイザベラの怒声に、チレストロは思わず怯んだ。


イザベラ「だったら、“どうしてあなたは逃げないんですか”ッ!
    逃げられるのに、どうして“諦めるんですか”ッ!」

チレストロ「・・・」

455第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:36:42 ID:p1cYdNM2O
チレストロは何も言えなかった。


イザベラ「わかってますよ・・・“死にたくない”んでしょう? その人に“敵うはずない”んでしょう?
    だったら潔く逃げましょうよ・・・無理して闘うほうが、よっぽどカッコ悪いですッ!」


チレストロ「・・・・・・ぐ」


なんとかしてイザベラに反論したかった。

彼女の言い分を受け入れるなんて、殺し屋としての面子に関わる愚行だ。


しかし・・・反論の言葉が思い浮かばなかった。
色々な意味で、チレストロは泣きたくなった。


アッズーロ「おはなしはそれで終わり?」

目の前の悪魔が、小さな声で言った。


チレストロ「・・・えぇ、おしまいよ・・・貴方も、私もね!」 グン!


一度アッズーロとの距離をとり、別の方向へ滑り出した。


アッズーロ「はあぁ〜〜〜、何回やればいいんだろう・・・」

チレストロを目で追う気力もないアッズーロは、懲りずに突っ込んでくる気配を指でさした。


チレストロ「“かかったわね”」

アッズーロ「?」


アッズーロは気づいた。
自分が指したものが、“チレストロではなかった”ことに。


チレストロ「変な男は、“同じ変な男を指さして笑ってるのが似合うわ”」

456第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:37:34 ID:p1cYdNM2O
“ゼブラート”。

アッズーロは、近くで伸びたままだった“応報部隊のゼブラート”を指さしていた。

出しっぱなしだったサーフボード型のスタンドがチレストロに動かされ、アッズーロに突進してきたのだ。


そして───チレストロは別の方角からアッズーロを襲うッ!


アッズーロ「・・・!」

チレストロ「遅いッ!」


彼の指が動くよりも速く、チレストロは低く跳び上がり・・・



チレストロ「イヤアァァァァァ━━━━━━ッ!!」

ドガアァァァ!!


アッズーロに全霊の跳び蹴りを食らわせた。


アッズーロ「ぶが!」

ドシャアァッ!


アッズーロはとてつもない勢いで吹き飛ばされ、遥か遠くで倒れた。



チレストロ「ハァー、ハァー・・・
    所詮は薬漬けで知恵をなくした男よ・・・ちょろいわね、フフッ」

グラァ

ドサン!


ゆっくりと、チレストロは地面に倒れた。


イザベラ「チレストロさん・・・!」


イザベラが全力で駆け寄る。
彼女は既に多くの涙を流していた。

意識の有無を確かめることもせず、『シルキー・スムース』の糸でチレストロの全身を包み込んだ。


イザベラ「ごめん・・・なさい・・・私・・・酷いこと・・・言っちゃって・・・」

457第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:38:10 ID:p1cYdNM2O
泣きながら、彼女は純白の繭を強く抱きしめた。


イザベラ「チレストロさんには信念があるのに・・・それを踏みにじるようなこと・・・
    グズッ、本当に・・・」


アッズーロ「“ごめんなさい”?」

イザベラ「・・・!!!」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド



悪魔はまだ寝ていなかった。

彼はイザベラの真後ろに、いつの間にやら高速移動していた。


イザベラ「あなた・・・まだ・・・!」


ギュウゥン!!

イザベラ「ひゃあぁッ!!」


“指”でさされたイザベラは、打ち上げ花火よりも速く上空へ持ち上げられた。

そして30mくらいの場所で、空中に縛りつけられるように静止した。


アッズーロ「きみたちさァ〜、僕のこと馬鹿にしてるよねぇ・・・」

アッズーロは口から血を流しながらも、獣のような眼光でイザベラを見ていた。


アッズーロ「ブルーノにはきみたちを好きにしていいって言われた・・・だからぐちゃぐちゃにしてブッ殺すんだ・・・」


イザベラ「・・・そうですか。私も、死ぬ覚悟はできてます。ここに来るときからずっと・・・
    でも、“今は死ぬべき時じゃあないんです”」

458第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:38:55 ID:p1cYdNM2O
ズルルルルルル!

アッズーロ「!?」


イザベラの言葉とともに、アッズーロの周囲から大量の“糸”が一斉に集まってきた。


イザベラ「万が一のために張っておいたんです・・・『シルキー・スムース』の繭糸の、『半径20mの結界』を・・・
    あなたを中心にして、いつでも動きを止められるように・・・」


アッズーロ「・・・!」 サッ

アッズーロはイザベラをさしていた指を離し、四方八方から迫る糸を止めようとした。


イザベラ「無駄ですよ・・・“全方位から向かってくる糸が、あなたの指で動かせるはずがありません”。逃げようとしてもダメです」

落下しながら、イザベラは語りかけているのか独り言なのかわからない口調で言った。


そして───

イザベラ「『シルキー・スムース』!」

シュビビビビビビ!
ボフッ


猛スピードで自分の身体に“糸”を巻きつけ、それをクッション代わりにして着地した。



アッズーロ「う・・・うっ」

イザベラが見ると、アッズーロは“糸”に雁字搦めにされて倒れていた。
右手も胴体に密着しており、もはや彼の能力で逃げ出すことはできない状態だった。

彼は目を見開き、口喧嘩に負けた子供のように泣いていた。

459第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:39:31 ID:p1cYdNM2O
アッズーロ「うがあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!! こんのクソがァァァァァァァ!!」

イザベラ「・・・」


広場全体を震わせるような絶叫をあげながら、アッズーロが泣きわめく。
イザベラはそれを見て、少し気の毒な気持ちになった。


彼がどんな人間かは知らないが・・・

きっと、長くつらい思いをしてきた人に違いない。


イザベラは暴れまわる彼にそっと近づいた。

いつ襲いかかってくるかわからない恐怖も少しあったが、それでも彼女は前に進んだ。


アッズーロ「・・・!!」

イザベラ「・・・」


急に暴れるのをやめたアッズーロが、驚いたような目でイザベラを見つめた。


泣きわめいた後で目は赤くなっていたが、その瞳は美しく澄んでいた。
まるで少年のような瞳で、アラゴスタを彷彿とさせた。


イザベラ「あの・・・」

アッズーロ「・・・きっ・・・来てくれたんだ」


イザベラ「・・・え?」


アッズーロ「あ・・・ふは・・・はっははははははは!

    アハハハハハハハハハハ! イヒャアハッハハハハハ! ぶひゃあぁはっおけかくきかはははははははぃッフォ━━━━━━━━━!!

    Va' mio Dioォォォォォ(僕の神様)!!」

460第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:40:06 ID:p1cYdNM2O
イザベラ「・・・!」


凄まじい恐怖がイザベラを襲った。

今まで赤子のように泣いていた男が、今度は笑っている。


イザベラはその場に固まってしまった。


アッズーロ「───ォォォォォォォォォォッホッホ━━━ゥ!!
    ティ・アモ・“ブルーノ”ォォォォォ!!」



イザベラ「・・・え」


背後に気配を感じて、イザベラは振り返った。


イザベラ「・・・な・・・」


後ろを見て、彼女は初めて気づいた。
アッズーロは“後ろにいる人物を見て騒いでいたことに”。


───イザベラの背後には、見覚えのない金髪の青年がいた。


彼は仮面を被ったスマートな出で立ちの『スタンド』を出し・・・



チレストロの入っている“繭”を、その腕をもって貫いていた。



イザベラ「・・・い」



“繭”からは紅い鮮血が溢れ、純白の繭をじっとりと染めていた。


ブルーノ「フン・・・」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ




イザベラ「いやああああああああああああああああああ!!」

461 ◆LglPwiPLEw:2011/07/25(月) 22:48:30 ID:p1cYdNM2O
ここまでです

ジョジョリオン読んでたらジャジャジュジュの続きを書きたくて仕方がないッ!
でもこれを終わらせるまでは書かないと約束したのでやりませんが

いつ頃終わるか……さぁな、俺にもようわからん。


新登場スタンド

No.2087
【スタンド名】エクスターミネーター
考案者:ID:yeOf+8H70
絵:ID:tdNA28nR0


ありがとうございました!

462名無しのスタンド使い:2011/07/26(火) 03:57:32 ID:cyyx/6I20
更新乙です!
再登場した時からそんな気はしたけど、チレストロ……

463名無しのスタンド使い:2011/07/30(土) 19:10:43 ID:t4GlccvUO
乙です!
チレストロの最期は何か複雑な心境で読んでました…。
次回も楽しみにしてます!

464名無しのスタンド使い:2011/07/30(土) 20:14:23 ID:1IAJsuKc0
ああ最近チレストロ描いただけあって愛着が・・・
チレストロォォォォォォ
イザベラも絶体絶命じゃないかああ

465 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:37:57 ID:MBEhUBmk0
おまたせしております。

ほんの僅かですが更新します。

466第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:39:12 ID:MBEhUBmk0
*   *


スカルラット「なるほどー、では君はスタンドを最近になって出せるようになったのだね?」

ロッソ「・・・はい」


夜が明ける。

それなのに、外は妙に静かだった。

ネアポリスなら、市場の人たちが朝早くからせわしく働いているのに・・・
ミラノの朝は、いつもこんなものなのだろうか?



それよりも───

俺は目の前の存在に、まったく気が抜けなかった。


「スカルラット大司教」。

多くのギャングを影で殺し、壊滅させてきた、吐き気をもよおすほど邪悪な宗教団体の教祖だ。


そんな彼と、俺は“教団本部の中で出会ってしまった”。
俺はもはや袋の鼠も同然、いつ殺されてもおかしくない状況だった。


いざとなれば、『ガーネット・クロウ』で殴りかかることもできようが・・・

彼は間違いなく「スタンド使い」。
しかも、同じスタンド使いのブルーノを手下にしているほどだ。


まず、俺には勝てる自信がなかった。



それなのに・・・


それなのに、だ。

なぜ、“教祖(コイツ)は俺に気さくに話しかけているんだ”?


俺を油断させて、隙をみて殺すつもりなのか?

467第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:40:17 ID:MBEhUBmk0
彼は、俺がジョルノたちの味方であることを知っているはずである。


だとしたら・・・
“俺はどうしたらいいんだ”?


───いや、大丈夫だ。

ジョルノのてんとう虫は既に放してある。
じきにジョルノが俺のもとに来てくれる“はずだ”。

そうすれば、こんなちっぽけな年寄りの教祖なんかあっさりと倒してくれる“はずだ”・・・



俺はひたすら、心の中で祈っていた。



スカルラット「そうだな・・・君に聞いておきたいことがある」

教祖は片目に眼帯をしていた。
つい最近怪我をしたような様子だが、今の俺にはそんなこと関係ない。

教祖が何やら質問を持ちだしてきたからだ。


ロッソ「・・・・・・なんでしょう」


スカルラット「君は、『善』と『偽善』の違いは、なんだと思うかね?」

ロッソ「・・・・・・」


俺は一旦、祈ることをやめた。


『善』と『偽善』・・・

前に考えたことがある。
そのときに、一応の答えは出ていた。


俺はなけなしの勇気をもって、教祖の質問に答えた。

ロッソ「自らの気持ちから行うのが『善』。他人との関係から行うのが『偽善』じゃあないですか?
   『偽善』だって悪くないとは思いますけどね・・・」


教祖は腕組みをし、目をつむって沈黙した。


スカルラット「う〜ん・・・」

教祖は、実に紳士的な唸り方をした。

そのあとで、俺に向かって言った。

468第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:40:53 ID:MBEhUBmk0
スカルラット「間違いではない。それも立派な価値観だ。だが、私の考えを聞いてみてくれないか?

    私の考えは凄くシンプルだ。真の『善』とは『行動すること』なのだよ」


ロッソ「・・・・・・『行動』」


スカルラット「わかるかい? 口先やうわべだけで終わらせるんじゃあなくて、きちんと『行動』で示すこと、これが『善』なのだ。
    よくいるだろう? 言うことは一丁前だが、自分じゃあちっとも動かないヤツ。ああいうのを『偽善』というんだ。
    そして『悪』とは、なんの興味も関心も抱かない人間のことなのだ。どうだい?」


ロッソ「・・・・・・」


スカルラット「どんなことでもいい。味方を裏切ってもいい。私のように反社会的な行為でもいい。
    なんでも『実行』に移す。それは『正義』でなくても『善』なんだ」


ロッソ「・・・でも・・・・・・
   でも、すべての人間たちがみな自分の思う通りに動いたら、世の中が滅茶苦茶になりますよ」


スカルラット「確かにそうだ。私の理論の通りに人々が行動したら、世界は争いで溢れるだろう。

    しかし、“その混沌の時代を乗り越えた先に”・・・真の人間の理想郷ができていると私は信じている。
    そこは、神が満足なさる『楽園』なんだ。

    私たちは未来の子孫たちのために、常に『行動』していなければならないのだよ」

469第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:41:50 ID:MBEhUBmk0
ロッソ「・・・・・・」


彼は一体・・・
“いい人”なのか? “悪い人”なのか?


混乱してきた。


教祖の言い分も、なんだか簡にして要を得ている気がする。

だが、それでも人を殺していいものか・・・


スカルラット「言っておきたいのは、それだけだよ。
    君とはもう会うことはないだろう・・・帰りなさい」

ロッソ「・・・え?」


俺は思わず声をあげた。


スカルラット「君がジョルノ・ジョバァーナと手を結んだことは見逃してあげよう。君には帰る場所・・・ネアポリスがある。
    これから先、世の中がおかしなことになっても、自分の信じた道を歩みなさい」

ロッソ「・・・・・・」


教祖は窓際に立ち、ゆっくりと角度を変えるオレンジ色の朝日を眺めていた。


教祖が俺を見逃してくれた理由は、皆目見当がつかない。

本当に逃してくれるのであれば、俺は自由の身だ。
もう刺客に怯えることなく、日常を過ごすことができる。

たぶん、イザベラやアラゴスタも(生きていれば)免罪となるのだろう。


しかし・・・

今の俺の感情は違った。



“自分の信じた道を歩め”?

───わかりました。あなたが言うのならそうしましょう。



俺は足音をたてずに、静かに前へ歩いた。

彼の元へは、僅か3歩でたどり着いた。


そして『ガーネット・クロウ』を出現させ・・・

“一気に”!!


ビュン!!


ロッソ「!?」



教祖の頭を破壊しようとした『ガーネット・クロウ』のパンチが・・・外れた?


馬鹿な、教祖は1cmも動いていないのに・・・
まるで、“相手までの距離が足りなかったように”攻撃をスカされた・・・!

470第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:42:32 ID:MBEhUBmk0
スカルラット「・・・・・・」

ロッソ「・・・!」


教祖は俺のほうを振り向いた。

俺はすぐさま教祖との距離を取る。


スカルラット「やはり・・・君はそうするか・・・」

教祖の表情は、何かの宗教画のような寂しげなものだった。


ロッソ「あ・・・あなたのやっていることは間違いだ。自分の正義のために人を殺していいはずがない!
   ・・・あなたは報いを受けなければならないんだッ!」


目の前の老人から来るプレッシャーに、次第に俺の中へ“恐怖”が舞い戻ってくる。


スカルラット「・・・フフ、フフフ・・・そうか・・・ならば仕方がないな。
    私の“善”をもって・・・君を葬ろう!」


バシュウッ!


ロッソ「!」

強いオーラの発生と共に、教祖がスタンドを解き放った。


スカルラット「私の『聖痕(スティグマータ)』の恐怖をじっくり味わいなさい・・・」


ロッソ「・・・」

金と黒のカラーリングの、シンプルな人型スタンド。
ソイツは、言葉にも表せないほど恐ろしい能力を秘めているということが一目で分かった。


ロッソ「ハァー・・・ハァー・・・」

ドクッ  ドクッ

心臓の鼓動が、急激に早くなってきた。



スカルラット「・・・“来たようだね”。ようやく」

ロッソ「・・・?」


ジョルノ「ロッソ!」


ロッソ「ハッ!」



ついに、来た。

部屋の入り口に立つジョルノ・ジョバァーナの姿は、外で煌めいている朝日よりも輝いて見えた。


ロッソ「ジョルノさん!」


スカルラット「とうとう来たか・・・」

471第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:43:11 ID:MBEhUBmk0
俺は思わず、ジョルノの元へ駆け寄った。
やはり俺は、誰かがいなければ何もできない人間だ・・・


ジョルノ「怪我はないか?」

ロッソ「大丈夫です!」

ジョルノ「ならばいい・・・“ついに、この時が来た”・・・」


ジョルノは教祖を睨んだ。
対する教祖は、真顔とも澄まし顔ともつかない表情で俺たちを見ていた。


スカルラット「ロッソ君・・・キミはできれば“生かしておきたかった”。私の記憶が、キミをそうさせるのを望んでいたんだ」

ロッソ「?」


“記憶”?
意味がわからない・・・

俺は過去にこの男に会っていたとでもいうのだろうか?
そんなはずはない。


スカルラット「だが、この期に及んでそんなことはできなくなった。ジョルノ・ジョバァーナ共々、死んでもらう」


ジョルノ「お前がギャングを殺してきた理由は何だ? 復讐なのか?」


スカルラット「目的は2つある・・・ひとつは、私の内縁の妻だったローザを殺したギャングどもを残滅させるため・・・
    そしてもうひとつは───ジョルノ・ジョバァーナ、“お前をおびき寄せるためだ”」


ジョルノ「なにッ!?」

ロッソ「!?」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド


予想を超えた教祖の発言に、俺たちの身体は一瞬だけ硬直した。

472第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:43:52 ID:MBEhUBmk0
スカルラット「私がスタンドを身につけたとき・・・それは妻が殺された瞬間だった。
    その時、スタンドが私に囁いた。『我ニ“矢”ヲ授ケヨ』と」


ロッソ「・・・“矢”?」

ジョルノ「・・・・・・」


スカルラット「後になって私は悟った。
    この人智を超える存在が示した“矢”とやらを見つければ、この腐敗した世界を変えられるのではないか、と!」


ジョルノ「・・・それで、教団を作り出して探し回らせた、ということか」

ロッソ「・・・??」


“矢”とは何だ?
一体なんの話なんだ?


スカルラット「さぁジョルノ・ジョバァーナ、私に“矢”を渡すのだ・・・」


ズオォォォ・・・
ド ゥ ッ!


ロッソ「うっ・・・!」

教祖のスタンドが強烈なオーラを発した。
まるで、「恐怖」が空気を波のように伝わって俺の身体を突き抜けたようだ。



ジョルノ「そんなことは不可能だ・・・この『レクイエム』の力がある限り・・・お前は勝てない!」


ブシュウ!
ビリ・・・

ロッソ「!」

今度はすぐ隣から、電気のような波紋が襲ってきた。


ロッソ「・・・!」


その波紋の主は・・・

黄金に輝く身体。
彫刻のような肉体。
大きく見開いた目。

まるで現代美術のように、激しい『意志』を感じさせるスタンドが立っていた。

473第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:44:22 ID:MBEhUBmk0
スカルラット「それが・・・噂に聞く『ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム』か・・・」


教祖の顔が、少し引きつったように見えた。


ジョルノ「私に対する攻撃の意志は、この『レクイエム』によって“ゼロ”に戻る。
    お前に勝ち目はない。“終わりのない終わり”を味わいたくなければ、今すぐ降参しろ」

スカルラット「・・・フ、フフ」


教祖が苦しい笑いを漏らした。

俺には、教祖の様子が急に弱腰になったように見えた。

いや、それとも・・・
“何かを躊躇しているのか”・・・?


コッ コッ コッ


ジョルノが絨毯の張られた床を一歩ずつ歩き始めた。


スカルラット「フフフ・・・まったくギャングとはつくづく愚かなものよ・・・この『スティグマータ』の恐怖を味わいたいとは・・・」

ジョルノ「まだ間に合う。スタンドをしまえ」


スカルラット「やかましいッ! とっとと“矢”を取り出して渡すんだゴミクズがァ!!」


教祖がいきなり声を張り上げた。
その表情は、怒りよりも「焦り」が滲み出ているようだった。


ジョルノ「数百人もの同業者の仇・・・ここで討つことになるか・・・」


スカルラット「おいブルーノ!! おらんか、ブルーノォォ!!」

教祖が屋敷内のどこかに向かって叫ぶ。


・・・・・・


ブルーノからの返事は返ってこなかった。

474第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:45:09 ID:MBEhUBmk0
ジョルノ「無駄なんだ、何もかも・・・
    無駄・・・無駄・・・無駄ァァァァ━━━━━!!」


ジョルノのスタンドが、教祖の頭に必殺の一撃を叩き込む!



・・・・・・



ジョルノ「・・・なに・・・!」


ロッソ「!」


攻撃が“外れた”?

俺がやったときと同じだ・・・!



スカルラット「本当に・・・“これ”をやるのは気が狂いそうになるよ・・・嫌な思い出を掘り起こしてしまうからね・・・
    しかし・・・私が君たちに勝つには、“これ”を使うしか方法がないんだ・・・」

教祖が頭に手をあて、少しだけ虚ろな目で言った・・・


ロッソ「!?」


その時、俺はヤバいことに気付いてしまった・・・


“俺とジョルノの距離が、どんどん遠くなっていく”!?


それだけではない。

“この部屋そのものが、どんどん広く、大きくなっていく”ように感じていた。

ズゥゥゥオォォ!!


スカルラット「私がブルーノを呼んだのは彼に助けてもらうためではない・・・“彼が近くにいないのを確かめるためだ”・・・
    あやつまで犠牲になるのは困るからね・・・」


それはまるで、俺たちのいる“空間自体”がどんどん拡大していくような・・・


教祖までもが、段々と大きくなっていく。

空間の巨大化についていけないのは、俺とジョルノだけだ。


スカルラット「ようこそ、我が『聖痕(スティグマータ)』の世界へ・・・」


ジョルノ「・・・これは!」

ロッソ「俺たち・・・」


“小さくなっていく”ッ!!


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ

475 ◆LglPwiPLEw:2011/08/29(月) 18:50:24 ID:MBEhUBmk0
ここまでです

スティグマータは超解釈に超解釈を施した全く別の能力になっているので期待しないでください。
案師の方には本当に申し訳なく思います。あらかじめここでお詫びしておきます。


使用した(する)スタンド

No.440 【スタンド名】スティグマータ
考案者:ID:9P6vDHaYO
絵:ID:FCDdPIs50

476名無しのスタンド使い:2011/08/29(月) 19:58:12 ID:OYX2PlDk0
更新乙です!
14話タイトルってボスのスタンド名まんまだったのか……気づかなかった
これから語られていくのでしょうがボスの過去も気になりますね!

477名無しのスタンド使い:2011/08/29(月) 20:15:37 ID:E5HPvVSY0
乙です!
ついに教祖のスタンドが来たか
ロッソとジョルノが負ける筈がない。なのにこの不安な気持ちは何なんだ…

次も更新楽しみにしてます!!

478 ◆U4eKfayJzA:2011/09/10(土) 22:27:41 ID:a9FmAlDE0
スティグマータがどういう風に超解釈されたのか……。
ジョルノとロッソがいてなお激闘になりそうでわくわくする。乙です!

479 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:50:02 ID:LFRNuDEc0
ガネクロ、はっじまっるよ〜!

前回のあらすじ:ロッソとジョルノが縮みはじめた。

480第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:50:38 ID:LFRNuDEc0
ジョルノ「・・・ッ! これはッ!」


間違いない。

俺たちの身体は、どんどん“縮んでいっている”。

本棚も、ソファーも、ピアノも。
俺たちの周りの調度品が、もれなく巨大化していくのだ。


ロッソ「・・・!」 ダッ


何も考えず、ジョルノのところへ走った。


俺は、心底恐怖していた。

何が起こっているんだ!?
これが教祖の能力なのか?

このまま小さくなっていったら、俺はどうなるんだ?


ダメだ、俺は独りではとことんネガティブになる。

頼れる人物がそばにいないと何もできない。



ロッソ「・・・!!」


しかし───


どんなに走っても、ジョルノのもとへ“たどり着けなかった”。

俺たちが小さくなるスピードのほうが、走る速さに勝っているのだ。



スカルラット「恐らく君たちは・・・今、自分が“小さくなっている”と感じているだろう?」

巨大化する教祖が、俺たちを見下ろしながら言った。


スカルラット「それは間違いなんだ・・・答えは逆。“こちらが巨大化しているのだ”」


ジョルノ「・・・なんだって?」



ロッソ「ハァー ハァー・・・」

俺の中の“恐怖”までもが止まることなく膨張していく。

481第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:51:21 ID:LFRNuDEc0
スカルラット「『スティグマータ』の能力は、相手が触れている物を巨大化させること・・・
    君たちは生きている。それゆえ『世界』に触れているのだ」


ジョルノ「・・・それは、つまり・・・!」


スカルラット「『世界』中のあらゆるものが、“巨大化”しているのだよ。君たちを除いてね。
    もっとも、そのことを知っているのは、この部屋にいる私たちだけだがね・・・」


ジョルノ「・・・」 ロッソ「・・・!!」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド



そんな・・・
そんな馬鹿なことがあってたまるか・・・!


この『世界』すべてを巨大化?

ありえない。スケールがでかすぎる。

だいたい、そんなことをしたら物理法則が乱れるじゃあないか・・・


だが・・・

俺たちがこの場で遭遇している事象からして、そう考えるしかないのか?


だったら・・・

ロッソ「俺たちはどうなるんだァァッ!」



スカルラット「君たちはこの世界から見て、相対的に縮んでいく。無限にね。
    そして・・・君たちはやがて、量子の世界に消えてゆくのだ」


ロッソ「・・・ハァー・・・ハァー!」


嘘だ・・・
俺たちはこの世界から、“逃げられない”のか?

482第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:51:55 ID:LFRNuDEc0
消滅するのか? 俺たちは。

ダニやノミより小さくなって・・・
分子や原子と同じサイズになって・・・


ここで・・・終わるのか?



スカルラット「ジョルノ・・・早く“矢”を出すのだ。消えてなくならないうちにな」


ジョルノ「なるほど・・・我々が自然消滅するまで待つということか・・・『レクイエム』は直接攻撃しか“ゼロ”にできない。
    しかし・・・これまでの闘いを制してきた我々を舐めては困るな」



BZZZZZZZZZZZZZ・・・


スカルラット「む?」


今や虫のような大きさになった俺の上空を、何かが音を立てて飛んでいた。


ジョルノ「ここに来る前に、生物を一匹だけ造りだしておいたのだ」


ブオォォォォォ!・・・


ロッソ「!」


飛んでいた“何か”は、強い風を起こしながら俺の近くに着陸した。

それは───蜂だった。



ジョルノ「ロッソ! それに乗れ! 『ガーネット・クロウ』ならばそいつを操れる!
    そして教祖の“感情”を操作するんだッ!」


ロッソ「・・・なッ」


耳を疑った。


“俺がやるのか?”

ジョルノならば、なんでもやってくれるんじゃあ・・・なかったのか?

483第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:52:36 ID:LFRNuDEc0
ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス』で造る生物も小さくなっている! 今や僕の力ではどうすることもできない!
    あとは“君に任せる”ッ! 教祖に・・・『ガーネット・クロウ』で触れるだけでいいんだ!」


ロッソ「・・・!」

俺は、今まで味わったことがないほどのプレッシャーを受けていた。
動揺しすぎて卒倒しそうだった。


そうこうしている間にも、『世界』はどんどん大きくなっていく。


ジョルノ「早く! 時間がないッ!!」

ロッソ「!」


ジョルノが叫ぶと、俺は背中を押されたように走り出した。

蜂の背にまたがったとき、俺は精神の中に異質な物が入りこんでくるような感覚を味わった。


ロッソ「・・・! いくぞッ・・・『ガーネット・クロウ』!」

心の整理もつかないまま、とにかく俺は蜂に対して命令する。


ブオォォォォォ!!


羽音を轟かせ、一匹の蜂が飛び立った。



スカルラット「無駄な足掻きだ・・・」


指一本でも奴に触れて、感情を操るだけ・・・それなのに・・・

スカルラット「・・・」

ブォォン!

ロッソ「くッ!」


教祖のスタンドが、ネズミ一匹の力も持っていない俺に対して拳を振るってきた。

爆風のようなパンチの風圧に耐え、俺は必死に蜂を操る。


スカルラット「ロッソ、怖いのか? 恐れることはない。君は死んだら必ずや楽園に行けるぞ」

教祖はまるで子供を慰めるように言った。


ロッソ「違うッ! 俺は死ぬのが怖いんじゃあない!
   俺は・・・・・・俺は・・・!」

ジョルノ「・・・・・・」


そこから言葉が出なかった。


俺は、なぜ“こんな所でこんなことをしているのか”。
なぜ“教祖の野望を阻止しようとしているのか”。


明確な答えが、浮かんでこなかったのだ。


スカルラット「落ち着くのだ。もう一度言うぞ、恐れることはない。このまま消滅すれば、苦しまずにあの世へ行けるんだ」

ロッソ「・・・!」


違う。
間違っている。

恐怖はもういいんだ。俺は吹っ切れたんだ。

しかし、“安心できない”。
安心して、教祖に立ち向かうことができないのだ。

484第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:53:07 ID:LFRNuDEc0
それは、俺に「信念」がないからなのか。
確固たる「信念」がないから、俺はこの期に及んで迷っているのか。


───たぶん、そうだろう。


俺は昔から優柔不断だった。

「決定」してしまうのがなんだかとても怖くて、いつもギリギリまで迷っていた。
進路も、人間関係も、店で買うCDすらも。

そのツケが、今ここで回ってきているんだ。



スカルラット「・・・ふん」

ズババババババババ!!

ロッソ「うぅッ!」


教祖のスタンドが、無慈悲なほどのラッシュを浴びせてくる。

それは俺を攻撃するためではなく、俺を風で振り落とすか、恐怖を煽るためにやっているみたいだ。


もう時間がない。

・・・ダメだ、もう無理だ。
俺はこれ以上、教祖に近づけない。


ごめん・・・イザベラ、アラゴスタ、ヴェルデ、それにビアンコ。

そして───ジョルノ・ジョバァーナ・・・。



スカルラット「いい加減にするんだぞジョルノ・ジョバァーナ、“矢”を取り出せッ!!」

ラッシュしながら、教祖が激しくジョルノに言いかかる。


ジョルノ「・・・まだ気づかないのか・・・スカルラット」

スカルラット「・・・何にだッ!?」


ジョルノ「私は・・・“矢”など持っていない」

スカルラット「な・・・!」


ロッソ「!?」

485第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:53:54 ID:LFRNuDEc0
ジョルノの言葉に、俺も教祖も驚かされた。


スカルラット「・・・ならばどこにあるッ! 早く言え!! 言わなければ貴様の仲間を全員なぶり殺しにして・・・」


ジョルノ「やれやれ・・・教祖ともあろう者がこれほど鈍感だとはな・・・
    “さっきから目の前にあるじゃあないか”」


ロッソ「・・・?」

俺にはジョルノの言っている意味が分からなかった。


スカルラット「馬鹿な・・・まさか・・・」

教祖はラッシュをやめ、俺と蜂を見つめていた。


ジョルノ「ずっと見えているだろう? お前が撃ち落そうとしている“それ”を・・・」


ロッソ「!!」


俺は、教祖に遅れてようやく“答え”に気がついた。


ジョルノ「ロッソが乗っているその“蜂”・・・私が矢の“柄”の部分に生命を与えて造ったものだ。
    そしてそいつの“針”の部分が・・・他でもない、お前が求めていた“鏃(やじり)”だ」


スカルラット「ぬ・・・ッ!」

ロッソ「・・・」


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



俺が乗っているのが、特別な力を持っている“矢”だと・・・



ジョルノ「“矢”は人間を選ぶ・・・そして“矢”の化身である蜂はロッソに従っている。どういうことか分かるかな?」

486第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:54:35 ID:LFRNuDEc0
スカルラット「・・・!」


ジョルノ「“矢”はロッソのほうに味方してるってことさ。お前になかなか近づこうとしないからな」

ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ


スカルラット「・・・こ・・・こんなことが・・・!」


教祖の顔は、もはや初対面のときとは別物になっていた。

青筋が浮き出、顔の皺が何倍にも増え、汗が滝のように流れていた。
しかし、その目はどこか寂しげに見えた。


スカルラット「あるわけがないんだアアァァァァ━━━━━━!!
    クワアァァァァアアァァァァ!!」

教祖のスタンドが全霊を懸けたパンチを打ち込んできた。
今度は、間違いなく俺を叩き潰そうとしていた。


だが───



シュン


スカルラット「ァア・・・ッ!?」


教祖は俺を“見失い”、動揺した様子を見せる。

ロッソ「・・・」 ブゥ〜


スカルラット「! そこかァ━━━ッ!!」

ロッソ「・・・」 ブン!


教祖の攻撃と同時に、俺は蜂を“ある位置”まで飛ばす。すると・・・


スカルラット「! なにィッ! “なぜ消えた”ッ!?」


教祖の視界から、俺が“不意に消える”。

そして教祖が見失っている間に、俺は教祖へ真っ直ぐ飛んでいった。


あと僅かな距離だ。

大丈夫。“勝つ術はあった”。
たった今、俺はそれを見つけた。

487第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:55:17 ID:LFRNuDEc0
ジョルノ「・・・なるほど・・・」


スカルラット「ハァー、ハァー、どういうことだ! 私に触れるんじゃあないッ!
    “蜂”だけをよこせェッ!」


混乱した教祖は、ところ構わず無茶苦茶にラッシュを繰り出す。

しかし、その拳が俺に触れることはなかった。




───『盲点』。

俺が狙ったのは教祖のそれだ。


人間の網膜には、脳へ繋がる視神経の束が密集する部分がある。
その部分は光を感じとることができず、そこに映ったものは見えない。

普段の人間は、両目でものを見ることで、それぞれの盲点を補完しあうのだが・・・

理由は分からないが、彼は“右目に眼帯をしていた”。
つまり、彼の視界には盲点という「死角」が存在していたのだ。

もし彼が今、眼帯をしていなかったら・・・

俺が攻撃する方法はなかったと思う。



スカルラット「・・・ッ! ジョルノ・ジョバァーナアアアアァァ!! こうなったら貴様を踏み潰してくれるゥゥゥ!!」

教祖が魔王のような形相で、もはやアリよりも小さなジョルノに迫った。


ジョルノ「・・・」


スカルラット「WRRRRRAAAAAAAAAAAA━━━━━━!!」





・・・・・・





ロッソ「“勝った”。触れましたよ」


スカルラット「・・・」


教祖の顔から、まるで風船の空気が抜けたように表情が消えた。

488第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:55:48 ID:LFRNuDEc0
ロッソ「『ガーネット・クロウ』。あなたの『志気』を限界まで低くした。
   あなたはもう何もやる気が起きません」


スカルラット「・・・」 ガクン

ズヒュ!

ロッソ「!」 ジョルノ「!」


教祖が膝をつくと同時に、「世界」のサイズが元通りになった。



スカルラット「・・・なぜ」


顔面蒼白の教祖が、すきま風のような微かな声で呟いた。


スカルラット「“矢”は私を選んでくれないのだ・・・『スティグマータ』が“矢”を欲しているのではなかったのか・・・?」


BZZZZZZZZZZZZZ・・・


教祖を嘲笑うように、“矢”を持った蜂は部屋の中を飛び回っていた。


ジョルノ「理由は私にも分からない。“矢”とスタンドの関係にはまだ謎が多いからな」

ジョルノは今までと全く変わらない姿勢で教祖を見下ろしている。


ロッソ「・・・“矢”というものが何なのか俺は知りませんが・・・
   少なくともあなたが所有すべきものではないと思いますよ・・・教祖さん」


スカルラット「・・・っく・・・何を偉そうに・・・」


教祖の声は震えていた。
怒りを抑えているようでもあったし、泣いているようでもあった。


スカルラット「こんなことのために・・・私は今まで何をしてきた・・・?
    イカレた信者どもを集めて、殺しをさせて・・・」

489第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:56:24 ID:LFRNuDEc0
ジョルノ「・・・・・・」

ロッソ「・・・・・・」



しばらく静寂があった。

蜂は、部屋のカーテンにとまったまま動かなかった。



スカルラット「・・・さぁ、殺すがいい」

教祖が静かに言った。


スカルラット「もはや私の希望は尽きた・・・地獄で永遠の後悔をすることになろう」


ロッソ「・・・諦めきれませんか?」

俺が一言、教祖に尋ねた。


スカルラット「・・・当たり前だ。私には犯してきた罪が多すぎる・・・
    そして、罪を重ねてまで行動してきた結果がこの有り様・・・死んでも悔やみきれぬよ・・・」


教祖のその言葉を聞くと、俺は窓辺の蜂を見た。

それに気づいたように、蜂はこちらに螺旋を描きながら飛んで近づいてくる。



ロッソ「それでしたら・・・」


BZZZZZZZZZZZZZ・・・


スカルラット「・・・?」



ジョルノ「・・・ロッソ・・・何を考えている?」


ロッソ「この人は、何も知らない多くの人を利用して、多くの人を殺した・・・確かにそれは許されないことです。
   でも教祖さんは“真実”を求めて行動しました。自らの信念をもって・・・
   そういう意味で、俺は教祖さんを尊敬しています」

俺は教祖を見ながらそう言った。

490第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:57:17 ID:LFRNuDEc0
ジョルノ「・・・忠告しておくが、“君が考えていること”はやめておくべきだと僕は思う」

ロッソ「・・・」


ジョルノ「本当に“何が起こるか分からない”んだ。手のつけられない事態に陥る可能性もある・・・」


ロッソ「・・・本当に些細な理由なんです。あなたには受け入れられないかもしれない・・・」

ジョルノ「?」


ロッソ「なぜあなたが来るまで、俺が無傷だったか分かりますか?
   ・・・教祖さんは初め、俺を見逃してくれたんですよ」


スカルラット「・・・・・・」


ジョルノ「・・・どういうことだ?」

ロッソ「理由は俺にも分かりません。しかし、彼の心の中には“何か”がある。黒い悪の意志ではない“何か”が・・・
   俺は、その『可能性』を信じたいんです」


スカルラット「ロッソ・・・何を言っているのか分からないのだが・・・何をする気だ?」

教祖が訝しげに俺を見る。


ロッソ「“試してみましょう”。あなたの望んだことを」



ブスッ


スカルラット「!!」



蜂の尻から出た“針”が、教祖の首に突き刺さった。


ジョルノ「・・・」


スカルラット「ぬおおおおおおおおおお!!」

即座に教祖は絶叫し、のた打ちまわった。


屠られゆく哀れな鶏のように、床の上を転がる。

491第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:57:57 ID:LFRNuDEc0
スカルラット「あぎゃあああァァァァァ!!」


グオォォォォ!

苦しむ教祖の身体から、『スティグマータ』が姿を現した。


ジョルノ「・・・気をつけろ!」


スカルラット「おおおおおああああああああ!!」

ビシ ビシ


ジョルノ「・・・!」

ロッソ「これは・・・!」


『スティグマータ』の首筋から、放射状にヒビが広がっていく。

まるで雛が生まれてきそうな卵のように・・・


ジョルノ「『レクイエム化』だと・・・!? コイツは“矢”に認められていないのではないのか・・・?」



スカルラット「ご・・・ぐ、ぐ・・・ウゲッ!」

教祖はいきなり、血とともに何か“丸いもの”を吐き出した。

ボドッ


ロッソ「!」


それは、紅く染まった目玉だった。

瞳の部分は、人為的に作られたような傷がつけられていて、それが十字架の形を成していた。


『ワタシノ・・・“役目”ハ・・・』

突然、女性の声が聞こえた。
───教祖の『スティグマータ』の声だった。


スカルラット「がはッ・・・!!」


教祖が驚いたようにスタンドを見上げる。

彼の眼帯からは、どくどくと血が溢れていた。
まさか・・・今吐き出した“目”は・・・


『コレデ“終了”・・・コレデ救ワレル・・・』

スカルラット「ロ・・・」

492第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:58:42 ID:LFRNuDEc0
教祖は片目から涙を流している。
今までの苦しみようが嘘のようだ。

その表情は喜びに満ちていて、世界のすべてを肯定したかのようだった。


スカルラット「ローザ・・・ッ!」


パラ  パラ

卵の殻が内側から割られるように、『スティグマータ』の外部が次第に崩れていく。

それと同時に、『スティグマータ』は床に落ちた教祖の目を拾い上げた。


『コノ“聖痕”モ・・・今ヲモッテ役目ヲ終エタ・・・アトハ私トトモニ・・・』



ジョルノ「これは・・・」


崩れゆく『スティグマータ』の内部は、空洞だった。


ジョルノ「レクイエム・・・“ではない”・・・単純にスタンドが崩壊しているんだ!」


『・・・私トトモニ塵ニナルダケ・・・コレハ“運命”。コレガ“結果”・・・』


俺はこのスタンドの言葉が何を意味しているのか分からなかった。
たぶんジョルノも理解できていないだろう。


『サア行キマショウ、スカルラッティ。アナタガ求メタ“神ニ満タサレタ世界”ヘ・・・』


スカルラット「おぉ・・・おおぉぉぉぉ〜〜〜・・・」


教祖は赤子のように泣きじゃくっていた。

そして『スティグマータ』は、教祖の眼帯をゆっくりと外す。
その片目は、光をも吸い込みそうな空洞になっていた。

493第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 22:59:16 ID:LFRNuDEc0
そして・・・


ギュルギュルギュルギュルギュル!


ジョルノ・ロッソ「!」


『スティグマータ』はその空洞の中に、吸い込まれるように入っていく。


スカルラット「ぐぶぅ!」


その瞬間、教祖の身体が風船のように一気に膨らんだ。

そして間髪入れず・・・


ドバアァァァン!!

教祖は爆弾のように炸裂し、粉々になった。



ロッソ「・・・!」




シュウゥゥ・・・




───いつの間にか、朝の静寂が戻っていた。


塵一つ残さず、教祖は爆散した。



ロッソ「・・・」 ジョルノ「・・・」


俺もジョルノも、お互い放心状態に近かった。




先に喋ったのはジョルノだった。


ジョルノ「・・・ロッソ、君に謝っておきたいことがある」

ロッソ「・・・?」


ジョルノ「僕はさっき“やめたほうがいい”と言った・・・教祖に“矢”を刺すのは・・・
    しかしどうやら・・・“君の選択は正解だったようだ”。僕は無駄なことを言ってしまったようだ・・・すまない」


ロッソ「・・・」


急に謝られても、俺はどうしたらいいか分からなかった。


ジョルノ「教祖は“救われた”んだ。それだけは確実に言える。
    もし君が“矢”を刺さなかったら・・・僕が教祖を・・・“永遠に殺し続けなければならなかった”・・・」


ロッソ「・・・・・・」


俺は、激しい闘いの余韻が抜けないまま言葉を紡いだ。

ロッソ「これで“終わった”んですね・・・」


ジョルノ「・・・いや」


ロッソ「?」


俺はジョルノを見た。
どういうわけか、彼は不安げな顔をしている。

494第14話 緋色の聖痕 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 23:00:02 ID:LFRNuDEc0
ロッソ「どうかしましたか・・・?」


ジョルノ「ロッソ・・・“蜂”がどこに行ったか分かるか・・・?」

ロッソ「!」


そういえば。

さっきまで部屋の中を縦横無尽に飛んでいた蜂が、いなくなっている。

俺やジョルノの命令の届かない範囲に行ってしまったのだ。


ロッソ「今すぐ探しに行かないと・・・!」

ジョルノ「もちろん。しかし・・・」


ジョルノの表情は堅かった。
今まで見たことがないほどにだ。

その表情につられて、俺の不安がまた増大していく。


ジョルノ「『ゴールド・エクスペリエンス』で作られた生物は、所持者のところへ戻るはずなんだ。
    それなのに、蜂は僕たちのところに帰ってこない・・・これは・・・」

ロッソ「・・・・・・!」


ジョルノ「“矢”が、新たな所持者となりうる者を見つけた可能性が高い・・・ッ!」

ロッソ「!」


ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド ド



ダッ!

俺たちは、すぐさま建物の外へ走りだした。




教祖・スカルラット/スタンド名『スティグマータ』 → “矢”のパワーを受けたスタンドによって消滅。

to be continued...

495 ◆LglPwiPLEw:2011/10/18(火) 23:01:22 ID:LFRNuDEc0
長かった14話、ついに終了です。
次の15話が最終回になります。

今回登場した「盲点」について知りたい方は↓のリンクに行ってみるといいと思います。
ttp://labaq.com/archives/51014471.html

教祖については、なんだかうやむやな感じで死なせてしまいましたが、番外編を書く機会があればそちらで彼の過去について述べたいと思っています。


そしてですね・・・すでに嫌な予感がしている人も多いと思いますが、ガーネット・クロウ、進化いたします。
このことは連載初頭くらいから考えてました。決して切羽詰まった状況になったのではありません。

次スレが立ちましたら、このスレに投下しようと思います。その際は転載をお願いします。


というわけで・・・お待たせして大変申し訳ありませんでした。
次回も細切れの投下になると思いますが・・・気長にお待ちください。

496名無しのスタンド使い:2011/10/18(火) 23:04:00 ID:PgDU4NcY0
(教祖に)勝った!グラナート・クオーレか・・・んじゃないッ!?まだ続くのか!しかし完結も近いようだなッ!
そしてやはり来るのかスタンド進化・・・!wktk,wktkァ!

497 ◆79EFR1u8EY:2011/10/18(火) 23:22:52 ID:H1H2YuDY0
教祖を倒してもまだ終わらない・・・・・・
蜂が向かうのは・・・・・・


wktkがとまらにゃーい!

498名無しのスタンド使い:2011/10/18(火) 23:30:29 ID:DCHqDsz2O
更新乙でし!
ビアンコさん最期の抵抗がこれの伏線だったとは……

とうとう来てしまった最終回、どうなるのか楽しみにしてますっ!

499 ◆LglPwiPLEw:2011/10/21(金) 23:34:25 ID:3NUAWKrs0
お疲れ様です。新スレがきたので成長案を投下します

【スタンド名】ガーネット・クロウズ・ノクターン(紅い烏の夜想曲)
【本体】ボスになったジョルノに命を救われた少年。
【タイプ】??
【特徴】『ガーネット・クロウ』の特徴だった宝石の心臓がなくなり、大きな穴になっている。
    顔は頭から垂れ下がった布で隠され、全体的に東洋チックな雰囲気。
【能力】??


破壊力-なし スピード-なし   射程距離-なし
持続力-なし 精密動作性-なし 成長性-なし



あと10日で二周年か・・・

500名無しのスタンド使い:2011/10/25(火) 15:31:53 ID:4Z59vMiAO
ガネクロ進化きたあああ
能力が楽しみすぐる

次回最終回!期待してます!

501 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:11:11 ID:qHHmGwAA0
ちょこっと更新しちゃおうかな〜

502第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:12:12 ID:qHHmGwAA0
───アッズーロは、ローマ市内の裕福な家庭に生まれた。


その家は音楽一家で、彼は幼いときから様々な音楽教育を受けていた。

どんな楽器であろうと技術を吸収してしまう彼を、人々は『天才』と呼んだ。


とりわけ、彼が得意としていたのはヴァイオリンである。


その実力は、あらゆる大会で一等をかっさらい、メディアから取材を受けるほどだった。

こういった境遇に対し、彼は心から幸せだと自覚し、日々を送っていた。


自分自身が今“幸せ”だと実感できること。
人間にとって、これ以上の幸福があるだろうか。



アッズーロが音楽高校に入った後も、その名声で大いに優待された。


“楽器と一体化している”
“手慣らしにパガニーニの『カプリッチョ』など余裕”
“師範が逆にレッスンされている”

などという噂も立てられた。


その上、彼は人懐っこく、誰からも愛される性格であった。

しかも、音楽以外についても博学で、特に物理学は大学卒業レベルと同等。
ルックスもイケメンだ。


当然のように、異性からはモテた。
女性の扱いが苦手だったので、積極的な交際には至らなかったが。



これだけでも分かる通り、彼の人生は、間違いなく成功一直線だった。

誰もが羨むほどの、最高の人生を歩む予定だった。



ところが────

503第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:12:53 ID:qHHmGwAA0
ここで一つ、例え話をしよう。


ヴァイオリンの弦というものは、ある時、何の前触れもなしに“バチン!”と千切れることがある。
これは本当にいつ起きるか分からない現象であり、本番中に突然という可能性も十分にあるのだ。

このことは、どんなヴァイオリンの達人であろうと予測ができないらしい。



そして、アッズーロの身に起こった“不幸”は・・・まさしく、このヴァイオリンの弦のような、突然の出来事だった。



ある日、アッズーロが下校しようとしていると、友人が何人か彼のもとにやってきた。

友人たちは、彼をバスケに誘った。
アッズーロは快く誘いに乗り、彼らについていった。


───このとき、アッズーロの“弦”は音をたてて千切れたのだ。


一同は、普段学生たちがバスケをしている路地裏に来た。


・・・そこは想像を絶する“無法地帯”と化していた。

まず、男がひとり白目をむいて倒れていた。
でたらめな操り人形のように地面で蠢く女がいた。
奇声をあげながら壁に頭を叩きつける男がいた。


全員が一目で理解した。

こいつらは“薬中”だ。


普段の路地裏はいつの間にか、ドラッグによって人格を破壊されたゴロツキたちの集会場と化していたのだ。

504第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:13:44 ID:qHHmGwAA0
『・・・ハッ!』

戦慄を覚えた仲間たちは、アッズーロが気付かないうちに逃げてしまっていた。


『ちょ・・・!』

アッズーロは焦りながらも、迷わず逃げようとした。

だが・・・


ガシッ

『!』

何かに背中を掴まれ、逃げることができなかった。


「誰かと思ったらアッズーロじゃねぇかよォォ〜〜〜。なァ、お前も一緒にやろうぜェ〜〜〜」

『ッ!!』


振り返って、アッズーロは驚愕した。

アッズーロを掴んだ者の正体は、“彼の一番の親友”だったのだ。


(馬鹿な! お前がなんでここにッ!)


ほんの2日間、会っていなかっただけなのに・・・
親友は、まるで何年も薬をやっているかのようにトリップしていた。

目の焦点は完全にズレており、口からは涎が流れている。
その手には、小さく細い注射器が握られていた。


『い・・・嫌だ・・・』

「そんなこと言わずによォォ〜〜〜、マジで気持ちいいからさァ〜〜〜」

『うわああああぁぁぁっ!!』


親友だったものに力任せに引っ張られ、アッズーロは思わず悲鳴をあげた。

他の薬中たちも、何も言わずにアッズーロを押さえつけた。


「へへっ、く、クケキェキェキェ!」 トントン

505第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:15:55 ID:qHHmGwAA0
液体に満たされた注射器を指で叩き、かつての親友は不気味に笑った。


腕を捲られる。



『やめろオオオオォォ━━━━━!!!』




───その日以来、アッズーロの人生は変わってしまった。

“終わってしまった”と言っても、言い過ぎではないかもしれない。



先に述べておくと、この事件は友人たちが仕組んだ罠であった。

彼らは、あまりに良く出来すぎているアッズーロを普段から妬んでいたのだ。


そして、アッズーロに最も親しい友に薬を手渡して・・・



彼らはアッズーロを一人残して去った後、すぐに警察へ通報した。


・・・大騒動にならないはずがなかった。

天才と称された優等生の、まさかまさかの愚行・失態。

学校の信用は地に堕ち、莫大な借金を抱え、2年後には経営者が変わった。
家庭では、アッズーロの父親の会社が倒産し、母親と祖父が鬱病になり、叔母は自殺した。
すでに契約していた大手レコード会社の株は大暴落し、音楽業界の経済状態はしばらく不安定になった。


そんなことがあっても、アッズーロは一切気にならなかった。

“薬”があったからだ。


美しい色彩の幻覚と、激しすぎる高揚感以外に、彼は何も欲することはなくなった。


彼が拘置所に入れられている間も、彼が頼めばなぜか、まるで喫茶店で水を注文するように薬が出てきた。


一体どういうことか。

この謎の背後には、当時すでに恐るべき勢力に成長していた“ある集団”の影があった・・・



??「あの男に目をつけたのはなぜですか? ボス」

??「“矢”を持っているポルポが“何か強い力”を感じたらしい・・・それはヴァイオリンの才能を持つ少年が発している力だと・・・
  もしかすれば、強力な『スタンド』にまつわる力を秘めているのかもしれないんだ。
  だから今のうちに、こちら側につけておこうと思ってな・・・あのガキどもに薬を持たせたのは正解だった」


??「しかし・・・まだ彼が何者かも分からないのにいいんですか? “うちの薬”でジャンキーにしてまで・・・」

??「・・・今の我々には“絶対的な力”がまだない。どんなに金をつぎ込もうとも得られない“力”が・・・
  それを得られる可能性が1%でもあるならば、彼が犠牲になっても致し方ない」


??「・・・・・・」

??「安心しろドッピオ。“絶対的な力”と言えど、オレたちに勝るには至らない。
  いずれ、この『キング・クリムゾン』の力が・・・すべてを完璧な方向へ導くだろう・・・!」

506第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:16:53 ID:qHHmGwAA0
*   *


アッズーロ「クク・・・クフッ・・・」


彼はまだ笑っていた。

絶対の信頼を寄せるブルーノが来てくれて、笑いが止まらなかった。


イザベラ「・・・!」 ガク

イザベラは、あたかも魂を奪われたような表情で崩れ落ちる。


“敵がもう一人”・・・

しかも、そいつは頼りになるはずだったチレストロを真っ先に始末した。


当たり前といえば当たり前だ。
彼女は裏切り者だったのだから。


だが・・・
こんな突然の別れ、イザベラには受け入れられなかった。


そして何よりも・・・

自分の命も、もはやここまでという状況なのだ。

絶望しないほうがおかしい。



ブルーノ「お前の仲間のさァー、ロッソってヤツと話してたんだよ、さっきまで」

金髪の男は、自分の行いをまるで気にしていない様子で話し始めた。


ブルーノ「いいヤツだな、アイツ。オレと趣味が一致してるし。
    久しぶりにざっくばらんに話できたよ」

アッズーロ「ブルーノ〜僕はァ〜〜〜?」


背後の悪魔が、自分を忘れてほしくないというような言い方で言った。


ブルーノ「あぁあぁ、“お前以外の人間で”って意味だよ。お前とはいっつも心開いて話してるだろ?」

507第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:17:32 ID:qHHmGwAA0
歩き出したブルーノはイザベラの横を通り過ぎ、アッズーロに近寄った。

アッズーロは糸に縛られたまま、まるで乳児のようにはしゃいでいた。


スパッ

ブルーノ「ほらよ」


ブルーノのスタンドが、『シルキー・スムース』の糸をあっさりと切り落とした。


アッズーロ「ブルーノ!」

すかさずアッズーロはブルーノに飛びついた。

ブルーノはそれを拒むことなく、片腕を彼の肩に回した。


ブルーノ「まったくよォー、チレストロみてーなヤツ一人に苦戦すんじゃねーよ!」

アッズーロ「仕方ないよ、あいつのせいなんだよ! あいつの“糸”が邪魔するんだ!」


イザベラ「・・・」


アッズーロ「あーなんだかムカついてきた。とっとと消していい?」

ブルーノ「落ち着けって。まだ“目標”は達成してないんだぜ?」


───逃げられなかった。

いや、“逃げても無駄だ”ということしか彼女の頭にはなかった。


アッズーロ「いや、ほんとに嫌いだよ。僕のこと馬鹿にしてるよ、こいつ」

バキィッ!



その一発で、イザベラの意識は吹っ飛んだ。




*   *


アラゴスタは、遠くで上げられたイザベラの悲鳴を聞き逃さなかった。

アラゴスタ「!」

508第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:18:03 ID:qHHmGwAA0
ビオンド「どうした?」


アラゴスタ「イザベラ・・・」

ミスタ「なに?」


アラゴスタ「聞こえた・・・イザベラの声だ!」

リモーネ「空耳じゃあ・・・ないのか?」

アラゴスタ「そんなわけない・・・今ハッキリ聞こえたよ、悲鳴が!」


  ・・・!!


ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ



ヴェルデ「・・・くっ」


全員の不安が増幅する。

チレストロに一応助けられたとはいえ、イザベラは完全に逃げ切れたわけではない。
場合によっては、彼女もビアンコのように・・・


ミスタ「・・・よし、いくぞお前ら! おい小僧、どっから聞こえた?」

ヴェルデ「ミスタさん・・・」


ヴェルデにとって、僅かばかりの葛藤だった。

部下として指示通りにボスのほうへ向かうか、仲間としてイザベラのほうへ行くか・・・
後者を採るなら、今ここで上司に反論しなければならない。


しかし、そんな葛藤はほんの一瞬で無意味なものになった。


リモーネ「ハッ! ・・・あれは!」

リモーネが、遠くから走ってくる人影を2つ確認した。


ビオンド「ボス!」

アラゴスタ「ロッソ!」


ヴェルデ「・・・!」


リモーネ「ご無事でしたか!」

509第15話 夜想曲 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:18:54 ID:qHHmGwAA0
ジョルノ「大丈夫だ・・・」

ミスタ「結局・・・どうだったんスか?」


ロッソ「・・・」

ジョルノ「教祖は、消滅した。“矢”の力を無理に取り込んだせいか・・・
    しかし、まだ闘いは終わっていない・・・“矢”が新しい所有者を見つけたようだ・・・」


リモーネ「しょ・・・」

ミスタ「所有者!?」


アラゴスタ「ど・・・どういうこと?」

アラゴスタには、ジョルノとロッソの表情を見ただけで事の深刻さを予感できた。


ジョルノ「スタンドに新しい力を与える“矢”。それを蜂に変えたら、向こうの方角へ飛んでいったんだ。
    詳しくは知りえないが、何か恐るべき事態になりそうなんだ・・・」


ビオンド「なんだよそれ・・・」

アラゴスタ「あっちって・・・イザベラの悲鳴が聞こえたほうだ!」


ロッソ「なにッ・・・! イザベラが!?」

ロッソの顔が、ますます強い不安感に塗り替えられた。


ジョルノ「時間がない・・・行くぞ!」

ミスタ「了解!」


考えるまでもなく、彼らの足は動いた。


向かう方向はミラノ・ドゥオーモ広場。


各々がそれぞれの“運命”に決着をつける場所である。

510 ◆LglPwiPLEw:2011/11/14(月) 23:21:41 ID:qHHmGwAA0
ここまでです。

最終話は回想っていうか過去の話がメインになりそう……
ラストバトルは結構あっさり決着するかもしれない。

511名無しのスタンド使い:2011/11/15(火) 12:16:42 ID:UQ58pE7k0
おっつううう
もう終わってしまうのか……
早く読みたい気持ちと終わってほしくない気持ちが葛藤中や!!

512名無しのスタンド使い:2011/11/15(火) 13:11:16 ID:9MMDrOt60
更新乙です!
まさかの下駄が衝撃的だった進化案の登場がたのしみでならないでし

513名無しのスタンド使い:2012/10/26(金) 09:27:44 ID:9qiKcsM60
ツヅキマダー?


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