レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 その4
-
● 日本のパソコン、特にホビーパソコンの歴史を紹介するスレッドです
ホビー向けでなくても、結果的にホビー目的で使われたパソコンを含みます
● おおむね時系列順に、各機種の特徴や有名なゲームの紹介などしていきます
● マイナー機種にもいろいろ触れる予定ですが、どの機種を紹介するか、
またその分量については、作者の主観によるものとさせていただきます
● あれこれ調べてから書いているつもりですが、
調査不足によりあいまいなままにしている部分もあります
思い込み・勘違い・予断をすべて排除できているという保証もありません
● このスレッドに投下した内容は、一部画像を補うなどして
自分のブログにまとめて上げています
ttp://tiny-p.cocolog-nifty.com/
●過去スレ
・やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
http://jbbs.shitaraba.net/otaku/12973/storage/1363942205.html
・やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 その2
http://jbbs.shitaraba.net/otaku/12973/storage/1379235246.html
・やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史 その3
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12973/1396166915/
-
●書籍
富田倫生「パソコン創世記」(TBSブリタニカ)
田原総一朗、富田倫生「田原総一朗の新・パソコンウォーズ」(日本ソフトバンク)
安田寿明「マイ・コンピュータ入門」(講談社)
大内淳義「マイコン入門」(廣済堂出版)
矢田光治「マイコンが使えるまで」(誠文堂新光社)
RAM「マイクロコンピュータ総合カタログ'79」「同'81」(廣済堂出版)
RAM「パーソナルコンピュータ総合カタログ'83」(廣済堂出版)
電波新聞社「電子工業年鑑1983」「同1984」「同1991」「同1992」(電波新聞社)
日本電子工業振興協会「日本の電子計算機1988」「同1989」「同1991」「同1992」「同1993」(日本電子工業振興協会)
高野稔「BUBCOM80 BASIC文法」(アスキー出版)
アスキー出版局テクライト「新版PC‐9800シリーズテクニカルデータブック」(アスキー)
アスキーテクライト「PC-9800シリーズテクニカルデータブック製品情報編」「同BIOS・DEVICE編」「同MULTIMEDIA編」
(アスキー)
千葉憲昭「FM TOWNSテクニカルデータブック 改訂2版」(アスキー)
Microsoft Corporation(アスキーテクライト訳)「Microsoft Windows95 ハードウェアデザインガイド」(アスキー)
アスキー書籍編集部「MSXマガジン永久保存版」「同2」「同3」(アスキー)
アスキー書籍編集部「蘇るPC-9801伝説永久保存版」「同第2弾」(アスキー)
アスキー書籍編集部「蘇るPC-8801伝説永久保存版」(アスキー)
アスキー書籍編集部「みんながコレで燃えた!NEC8ビットパソコンPC-8001・PC-6001永久保存版」(アスキー)
戸川隼人「FM-11 BASIC」(サイエンス社)
阪井末幸「FM‐Techknow FM‐7シリーズテクニカルノウハウ」(ビー・エヌ・エヌ)
BNN第2企画部「MZ-2800コンプリートガイドブック」(ビー・エヌ・エヌ)
BNN第2企画部「PC-88VAテクニカルマニュアル」(ビー・エヌ・エヌ)
SE編集部「僕らのパソコン10年史」(翔泳社)
SE編集部「僕らのパソコン30年史」(翔泳社)
コミケット「パソコン同人ソフトカタログ」(久保書店)
ザ・コンピュータ編集部「パソコンヒット商品物語」(日本ソフトバンク)
桑野雅彦「Inside X68000」(ソフトバンク)
BEEPs「X68/040turbo」(ソフトバンク)
PCオープン・アーキテクチャー推進協議会「OADGテクニカル・リファレンス(ハードウェア)」
(PCオープン・アーキテクチャー推進協議会)
テクノメディア「EPSON PCシステムガイド」(クリエイトクルーズ)
メディアワークス東京攻略マップ編集部「東京攻略マップ'96」「同'97」「同通販スペシャル」「同'98」(メディアワークス)
宮本直毅「エロゲー文化研究概論」
神戸新聞出版センター、電通「神戸ポートアイランド博覧会公式記録」(神戸ポートアイランド博覧会協会)
関口和一「パソコン革命の旗手たち」(日本経済新聞社)
滝田誠一郎「孫正義 インターネット財閥経営」(実業之日本社)
トム佐藤「マイクロソフト戦記」(新潮社)
森川嘉一郎「趣都の誕生 萌える都市アキハバラ」(幻冬舎)
佐々木俊尚「ニコニコ動画が未来を作る」(アスキー・メディアワークス)
●同人誌
H.Kawaguchi「PC-9821 A-MATEの本(続資料編)」(笛を吹く男)
E-SaPa編集部「蘇るEPSON PC伝説」(EPSON98サービス機構)
-
一点訂正です。
>>552
誤> 宮本直毅「エロゲー文化研究概論」
正> 宮本直毅「エロゲー文化研究概論」(総合科学出版)
-
●ウェブページ
※リンクを含めて紹介しようと思いましたが、NGワード判定されるため、
この項目はブログにてご覧ください。
《謝辞》(順不同、敬称略)
●調査協力・写真提供
TAJI http://www.hardoff.net/
しおんパパ http://sions-papa.blogspot.jp/
loderun http://loderun.blog.so-net.ne.jp/
●応援イラスト
清涼銀河 http://www.pixiv.net/member.php?id=165067
●その他
ココログ、したらば掲示板、Twitter等にてコメントをいただいたすべての方々
ご支援、ご声援本当にありがとうございました!
.
-
乙でした。
タブレットで艦これも、ホビーパソコンの形なのかねえw
-
というわけで2年間にわたりまして続けてまいりました「やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史」、
いろいろ書ききれなかったこと、書けなかったこともありますが、これにて完結です。
もしかしたら番外編などを書くこともあるかもしれませんが、具体的なネタが今あるわけではありません。
いつかまた、お目にかかることがございましたら、その際はよろしくお願いします。
改めて、ありがとうございました。
-
超大作乙
-
おつかれさん!
8bit時代が懐かしいや。
-
おつおつおん
ビジネス的理由で消えていった中にも未来を変えられる可能性があったものがいくつもあったんだろうなあ……
ともあれあらためて完結乙カレー
-
おつ〜
途中いろいろ懐かしすぎて思わずノスタルジーに浸ってしまうスレでした。
-
iMac(初代)は、PowerBookG3(ノートMac)とほぼ共通のCPUボード使ってたりとか
CDドライブがノート用だったりとか、かなりノートMacとの共通点が多いんだよな
-
完結乙!!!!!
いやー、70年代生まれのおっさんには懐かし面白い作品でした
子供の頃はほんの数年前がセピア色した遠い昔のように感じてたけど
この年になると20年前の90年代半ばが最近のように感じるw
-
長い間お疲れ様でした。
実際にはホビーにしか使われなくても「何でもできる」パソコンが残った感じですね。
まぁ長年の積み重ねで「タブレット」が有効に使えるようになったので、形を変えて
ホビーパソコンは今後も続いていくんでしょうね。
しかし個人的にHPがせっかく過去にCompaq(とDEC)を買収したのに、その遺産
(個人的にはDHUやARMADAなどの優秀なモバイルパソコン)をまったく昇華
できてないのに腹が立ちますが。(HP自体も95年頃はomnibook600とか面白い
製品を出してたんですけどね)
IBMのTP110とかOlivettiのQuaderno4/33とかプレWindows95の群雄割拠の時代
のほうが個性のある、それ自体に遊び心のあるPCが多かった気がします。
Macですら無個性になりつつある現在、売れてるのはさらに無個性なスマホとか
ちょっと寂しいですね。
-
おつでしたー
なんというか、試行錯誤の末に「なんでもできる」に行き着いた結果無個性になってしまったんだろうか
でも性能の恐竜的進化はまだ続いてるしその先にいろんな道が開けそう
-
乙かれさまでした
凄まじい量の参考文献ですね
昔は性能アップといえばCPUのクロック周波数をひたすら上げるだけ
結局2000年代半ば頃には消費電力の限界が来て
その後はマルチコアによる分散効率化の時代になって今に至る
それもいずれ限界が来るだろうし
その後はいよいよ量子コンピューターの出番かなあ
-
おつおつ
パソコンがAT互換機とMacにほぼ集約されたところでおしまいですか。
2000年代前半になると、オフィス事務用のマシンでも
DVDが見られて、音が出るゲームも軽いものならできて、
となるので、これ以上続けても代わり映えがしないマシンばかりですしね。
ずっと、いつでも読み返せるようにしておきたい作品です。
-
インターネットの普及と進化で、ハードウェアよりもソフトウェアに
見るべきところがシフトしたからなあ。
コンシューマゲーム機もゲームソフトメーカーがPS3/4で遊べるゲームを
PCで出すのは当たり前になってしまったし。
パソコンでやるホビーとなると、艦これとエロゲー、激重3Dゲーム、
PCによる録画編集あたりが今のメインかな?
-
>>565
量子コンピュータ化しようと、光速の限界に近づいてるからなぁ。
性能的にはもはや頭打ちなんじゃないかと思う。
量子コンピュータで計算力が増大しても、メモリからの転送速度に限界があって、
データが届かなかったり。
-
過去から現在まで見渡すと、ホビーパソコンと一口に言っても、意味合いが変わってきたんだよね。
昔はPC自体がホビーだった。
それをいじること自体が遊びになった。
現在はPCでできることがホビーになってる。
昔はPCでの創作といえばプログラムだったが、今では音像映像など様々ある。
懐かしくふりかえるのは、PC自体がホビーであって楽しみだったからかな。
-
乙です。
プログラミングの敷居が昔と比べて遙かに高くなったとは思います。
ですがMSXやX68の公式エミュレータとかあるし、
SmallBasicとか探せば色々簡単なのが見つかるのも事実ですね。
-
乙でした
-
雑誌の廃刊のあたり購入し続けていた者としてはしみじみとくるものがありました。
参考文献をまとめてくださってるのも素直にありがたいです。
長期連載おつかれさまです、面白かったです。
-
>548,549
当時、黒プレイステーションとかGAME BASIC for SEGA SATURNといった
ゲーム機で動くプログラムを作るといった需要はニッチとはいえ確かにあったねえ
-
完結乙でした
リアルタイムだと最新技術の進化なんだけど
まとめて追いかけると栄枯盛衰の激しさが凄いな
-
完結乙です
>>570
ハードの進化に応じてプログラムも進化していくからね
世の中のニーズに応える形で数学や物理が進歩していくのと同じ
例えば、今じゃ中学で学ぶ「速度」は17世紀に発見された概念だから
乱暴な例えをすると、400年前の世界最高の数学者と
今の子供が同じ位置にいるようなもの
プログラマーだって30年前と今じゃ要求されるスキルが違う
当時の天才たちが必死で編み出した手法を初仕事でいきなりやらされる
それを土台にしてさらに高度な要求に応え、それをまた後輩に伝える
-
とはいえ、たとえばこれから野球やろうかなって人にいきなり150キロの速球打てといっても無理なわけで
それなりの踏み台みたいなのが用意されてればいいのにねとは思う
公式にプログラミング環境が添付されてたというとハイパーカードあたりが最後かな
TOWNSにもTownsGearとかあったのでどれが最後とかいう話じゃなく時期的に。
あの時期でももうソフト自分で組もうって人は割合的にそんなにいなかった気はするが
-
完結乙
Windowsにも公式にWSHとかJavascriptとか付いてきてるけどな
-
>>577
WSHやMSHTAでアプリは作れるけど、ハイパーカードと違って
HTMLやJavaScript、VBScriptの知識が要求されるからねえ。
やっぱり機能は制限されててもある程度簡単にそこそこの物が作れる
オーサリングツールが標準で一つぐらいあってもいい気はするかな。
-
草の根アプリ開発者がAndroidやMacに流れてるようだし、
アプリの数は力!なWindowsも受けるんかな。
-
乙でした
-
<お茶ーっ!>
-
<お茶ーっ!>
-
??
イチゴジャムの話があったような気がしたが別のスレと間違えたのかな?
-
Mac用の日本語FEPか何かで似た名前のはあったような
-
完結してから訂正というのたいへんお恥ずかしい話ですが、
第2話の「pasona-1(ぱそなワン)」のくだりを以下のように訂正します。
※訂正後
-----------
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ、.\ 一方4月には、国際データ機器が
| (●)(●) |
/ ̄ ̄ ̄ 丶人__). | 「pasona-1(ぱそなワン)」を発売しているだろ。
/ \ ._|_____
, --'、 / `〉 RAMは16キロバイトで398,000円、
/ ⌒ ) / /
,′ ノ / / ディスプレイやカセットテープレコーダーを
l T´ .._ ./ r'´ ̄ヽ
ヽ ノ ./丶、 / (  ̄ l セットにすると498,000円だった。
`'ー'´ | .`'ー'――┬― --、/ _.ノ
●pasona-1
┏━━━━━━┳━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
┃ CPU ..┃8080A 2MHz ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ ROM ...┃2KB(モニター等)+α(CG-ROM) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ RAM ┃16KB(拡張ボックス経由で最大48KB)+2KB(V-RAM等) ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ 表示(文字) ..┃64文字×16行・モノクロ ※カナ使用不可 ┃
┃ (グラフィック) ┃128×32ドット・モノクロ ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃ サウンド .┃不明 ┃
┠──────╂────────────────────────────────┨
┃外部記憶装置┃カセットテープレコーダー(300bps、オプションまたは市販品を使用) .┃
┃ ┃8インチフロッピーディスクドライブ(オプション) ┃
┗━━━━━━┻━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
___
/ \
/ _ノ '' 'ー \ ちょっとビミョーな気がする値段だお。
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、 \ ,.:┐ これらのうち、ベーシックマスターは、BASICをROMで搭載している。
.( ●)( ●) ..| / |
(__人__) .|./ / ようやく、ケース入り完成品でしかもBASICがすぐ使えるパソコンが、
i⌒ ´ .r-、 |/ /
{ ヽ, ',. .,/ :/', 日本からも登場したということになるだろ。
.ヽ .| l_/_, -‐、',
.ヽ . | / , --'i|
/ { V , --ヘ
| ヽ L| r= |
-----------
(ここまで)
当初、pasona-1の広告でメモリーについて「BASIC8Kバイト、ユーザ用8Kバイト」などとあったため、
BASICをROMで備えているものとしてスペック表や本文を作成しましたが、今回新たに参照した資料により、
上記文面は、16キロバイトのRAMに8キロバイトのBASICを読み込んで利用する状態を指していると判断しました。
他の部分も、より信憑性が高いと判断した内容にしています。
申し訳ありませんでした。
-
>>583
IchigoJam、こちらのことですね→ ttp://ichigojam.net/
BASICが使えるということで気にはなっておりましたが、本文では触れておりません。
-
>>586
ですです、1500円のBASICパソコン(笑
-
ご無沙汰しております。
ブログのほうで、第34話以前の製品スペック表に価格を追加していましたが、
その作業中に第26話で誤りを発見したので訂正します。
PC-9801EX4の価格を「488,800円」としていましたが、
「488,000円」が正しい価格です。たいへん申し訳ありませんでした。
-
訂正乙
待ってたら新作何か出てきたりしますか
-
>>589
ありがとうございます。
現段階で手をつけているわけではないのですが、
豆知識的な番外編のネタがありそうかも? という感じではあります。
いつ出せるとかが申し上げられる段階ではありません。すみません。
-
なんか手のひらサイズのパソコンが話題になってるねえ
せめてUSBが3.0ならなあ・・・
-
第16話で触れた、科学万博の「ジャンボトロン」でのゲーム大会について、
開催時期を「7月末」としていましたが、「8月」に訂正します。
「ロードランナー」をジャンボトロンに映したイベントが7月に開催されたという
情報があったことから、これがゲーム大会だと思っていたのですが、
資料を改めて確認したところ、大々的に広告を打って参加者を募集した大会は
8月の開催だったことがわかりました。申し訳ありませんでした。
-
続けざまでお恥ずかしいのですが、
第14話で紹介した「ぴゅう太マークII」のスペック表の以下の部分を訂正します。
訂正前:
> ●ぴゅう太マークII(TP1007)
(中略)
> ┃ ROM ...┃20KB(BASIC、グラフィックツール等)+α(ROMカートリッジ) ┃
訂正後:
> ┃ ROM ...┃32KB(BASIC、グラフィックツール等)+α(ROMカートリッジ) ┃
ぴゅう太マークIIでは、ぴゅう太からROMの内容のサイズが変更されているという情報を見落としておりました。
申し訳ありません。
-
完結後も訂正を続ける投稿者の鑑
-
ご無沙汰しております。
本日21時ごろより、久々の番外編を投下予定です。
番外編ということでもあり、予告編はありませんが、よろしくお願いします。
-
おう、待ってました!
-
時間になりましたので、投下開始します。
-
/||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::|| || ガチャ
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ̄ ̄\ ||
|:::::::::::::::|| ノ ヽ_\ みんな、元気だったかお?
|:::::::::::::::||●) (●) \
|:::::::::::::::|| (_人_) | 「やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史」、4ヶ月ぶりの番外編だお。
|:::::::::::::::||___ /
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
|:::::::::::::::||/ ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ この4ヶ月の間も、X68000のデザインを復刻したパソコンケースの試作品が
(●)(● ) |
(__人__) | 公開されたり( ttp://galapagosstore.com/web/catalog/sharp/event/ )、
'、`⌒ ´ |
{ | 電波新聞社の季刊誌「電子工作マガジン」内に「マイコンベーシック
{ /
ゝ /⌒丶_ マガジン」のコーナーが登場したりと、世の中はいろいろ動いているだろ。
⊆〜、__/ l | l゙⌒'i
{三';ゝン __"_ノ| | | | | ただ今回の番外編は、こういう最近の話題というわけではない。
`ーー´ _____l /⌒ ̄` )_| |
ii⌒'./⌒ ̄ /´ ̄ゝゝ、く ̄ ̄ ̄ ̄ |
||. | ィ_| y |. l |
|| | | | |.|. | |
|| |__| |___| | |
|l_(゙___{__(゙__)___|._______|
____
/ \
/ ⌒ ⌒\ そしたら、どんな話なんだお。
/ ( ●) ( ●)ヽ
l ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒´ /
/ ヽ
-
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \ 中の人は、このシリーズの連載を始めるにあたって、いろいろな
(●)(● ) |
(__人___) | 資料を見ていっただろ。その中で、古いパソコンにまつわる資料の中には、
| |
| .| 後の視点で見た場合に、うっかりすると勘違いを起こしそうな点が
ヽ 、 ,イ
/ヽ,ー- ト、 いくつかあることに気がついた。そのためそれらについては、
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... 特に注意を払いながら調べを進めることになった。
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\ いろいろ苦労してたわけだお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |
__( ⌒-ィ⌒ヽ、 /⌒` '⌒ )__
`ー-ゝィソノー‐ヾy_ノー"
/ ̄ ̄ \ -、_
_,ノ ヽ、__ / / ,〉、 もっとも、隅々まで注意が行き届いたかどうかは中の人本人には
(=)(= )/ ´/ /)
(__人_) { , ' ´,/ 判断が難しいし、実際にあとから訂正を入れたところもあるだろ。
'、`⌒ ´ V __, <´
| 〈´/::::Λ ともかく、もしこのシリーズをきっかけに、実際に古いパソコンの資料を
| ヤ::::::::::::::Λ
`ュ`ー─ー V::::::::::::::Λ 探したり読んだりしてみるなら、ここには注意してほしいという点を、
/ム _ , -./V::::::::::::::Λ、
_,. -/:/:::ハ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vヘ 中の人の経験からいくつか紹介しようというのが、今回の番外編だ。
//./.:::/:::l y .::::::/::::i::::::::::::::::::.∨}
j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::i::::::::::::::::::::レ;
i :::r :〈 ::::i::::::::レ .::::::::::::::::::::〉、:::::::::::::::::ノ
_ _ ___
/ ) ) )/ \ /\
{ ⊂)(●) (●) \ じゃあ、さっそく始めるとするお!!
| / ///(__人__)/// \
! ! `Y⌒y'´ |
| l ゙ー ′ ,/
| ヽ ー‐ ィ
| / |
| 〆ヽ/
| ヾ_ノ
-
────────────────────────────────────────
/ ̄ ̄\
/ ─ ─\ やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
| (●)(●)|
____. .| (__人__) | 番外編
/ \ ` ⌒´ ノ
/ ─ ─\ .} 「資料の盆踊り」
/ (●) (●) \ }
| (__人__) | ノ.ヽ
/ ∩ノ ⊃ /∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |/ _ノ | |
.\ “ /__| | /__| |
\ /___ //___ /
────────────────────────────────────────
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ さて、さっきのX68000型ケースの話で、シャープの電子書籍ストア
| ( 一)(●)
| (__人__) 「ガラパゴスストア」のリンクを紹介しただろ。このストアでは、
| `⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃ シャープが古いパソコン等のカタログを公開していたが、最近になって、
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉 NECがそこにカタログを提供する動きが出てきている。
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
,、 「l /)
| !,l |//.、
`、 (゙)} ___
l. ィ''´ /⌒ ⌒ \
| | /(⌒) (⌒ ) \ もっといろんな会社から、たくさんのカタログが公開されるとうれしいお。
| |/:::⌒(__人__.)⌒::: \
ヽ | |,┬‐ | |
\.\ `ー ´ /
\ __ ヽ
ヽ (____/
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ \ こういったカタログでは、パソコンの性能がスペック表やさまざまな
| ( ●)(●) |
. | (__人__) | 売り文句で紹介されている。ただ、あくまで一般論としての話だが、
| \_) |
. | } 企業間の競争が激しくなるにつれ、できるだけ高性能であるという
. ヽ }
ヽ ノ アピール効果を狙った表現や数値を使うケースも出てきただろ。
/ く
___
/ \
/ \ , , / \ さすがにウソを書いてるわけじゃないにしても、
/ (●) (●) \
| (__人__) | そういうところには、注意して読む必要があるってわけかお。
\ ` ⌒ ´ ,/
ノ \
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒ 例えばまず、CPUの動作周波数だな。外部から入力されたクロックを分周する、
| ( ●) (●)
| (___人__) つまりクロック周波数の何分の一かが内部の動作周波数となるという仕様の
.| ` ⌒´ノ
| | CPUがあるだろ。FM-8やFM-7、ぴゅう太などのCPUはこのタイプだ。
人、 |
_,/(:::::ヽ、 __ ,_ ノ そしてFM-7のカタログを見ると、外部クロックの周波数が記載されている。
― ''"::::::::::\ ::::::::::::::::::7、_ ______
、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.../´ ヽ、,,,__ノ
:...ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ ヽ、 } ̄)
::::::...ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ' 、 ヽ .ノ  ̄
:::::::::...:ヽ;;;;;:::::::::\::::::::::/( r_ノ|
:::::::::::::::....ヽ;;;;;;::::::::::/⌒ヽ::::ヽ、y-ィ´|;;;;|
;;;;::::::::::::::::丿ヽ;;;;/....:::::::;;;;;;;;;;::);;;::::::::::|;;;;|
___
/⌒ ⌒\
(● ) (● ) \ 486DX2とかオーバードライブプロセッサとかの、
. (ニ~`ヽ、 /:::⌒(__人__)⌒::::: \
(((_⊂>ヽ| |r┬-| | ちょうど反対ってわけだお。
. \ \ `ー'´ /
. ゝ-| ヽ
ヽ \
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 「やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史」では、機種間の比較を容易に
| ( ●)(●)
| (__人__) するために、スペック表にはわかる範囲でCPU内部の動作周波数を
| ` ⌒´ノ
. | } 記載するようにした。とはいえ、第9話などでPC-8801を取り上げた際に
. ヽ }
ヽ (\ ノ、 触れたように、機種によってはCPUの処理が停止する条件やタイミングがある。
/ \\く} j
| 〈 ̄ ゙ヽ ヽ その点は、さすがにスペック表には書くのが難しいだろ。
| .に }
| (___,ノ
_. -─‐-
/ ─ \
/ / (● ) \ CPUの設計が違えば、同じ周波数でも処理速度が
/ ( ●) 、_) ⊂ヾ、
| (__ノ |E ) コリコリ 違うっていう話だったし、違うパソコンを比較するなら、
ヽ _ノゝ ヽ
>  ̄ ` ノ そのあたりも考える必要があるわけかお。
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ 他に挙げられるのが、フロッピーディスクの記録容量だな。
| .( ●)(●)
| (___人__) 1980年代に入るころまでは、日本ではフロッピーディスクドライブは
| ノ
. .| | まだまだ価格が高く、完全に実用向けの機器と考えられていたこともあって、
. 人、 |
,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ 2台組で販売されることが非常に多かった。1台がOSやアプリケーションソフトの
ー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、 起動用、もう1台はデータ記録用というのが、想定される利用形態だっただろ。
:::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_
::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ
::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
____
/⌒ ⌒\
/(⌒) (⌒) \ どうせ高いお金を出さないと買えないんだから、
/ ::⌒(__人__)⌒::: \
| |::::::| ,---、 値段よりは使い勝手重視ってとこかお。
\ `ー' しE |
/ l、E ノ
/ | |
( 丶- 、 ヽ_/
`ー、_ノ
-
__
/ _ノ\
/. (●), そしてこういった2台組の製品では、仕様として、それぞれの
| (__ノ、)
. | | ドライブに1枚ずつディスクを入れた際の記録容量、つまりディスク2枚分を
. ヽ |
ヽ ノ 記載するということが少なくなかった。この場合でも、スペック表では
ヽ (
> ヘ ドライブ1台あたりの数値を2倍していることを注記していたりするが、
| |
| | 広告などでスペースに限りがあると、その注記が抜ける場合があっただろ。
____
/⌒ ⌒\
(ヽ /( ●) (●)\ /) ひとつの資料だけだと、
(((i ):::::: ⌒(__人__)⌒::::\ ( i)))
/∠ | |r┬-| |_ゝ\ そこらへんに気付かないかもしれないわけだお。
(___ `ー'´ ____ )
| /
| /
| r /
ヽ ヽ/
>__ノ;:::......
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ またフロッピーディスクについては、アンフォーマット容量と
| ( ●)(●)
. | (__人__) フォーマット後の容量の違いにも注意が必要だろ。フロッピーディスクは、
| ` ⌒´ノ
. l^l^ln } 磁気ヘッドが直径方向に動いて同心円状にデータを記録するものだが、
. ヽ L }
ゝ ノ ノ この同心円状の記録領域をトラックと呼ぶ。例えば1980年ごろに
/ / \
/ / \ 使われていた5インチのディスクは、片面あたり35〜40トラックだった。
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
___
/ー ー \ /'⌒ヽ
(● ) (● ) \ ./ ヘ ヽ 陸上競技のトラックと、
/ (__人__) \ / ヽ ヽ_
| `⌒ ´ | | \___〉 おんなじような感じかお。
ヽ /⌒i /. │
\/. ,r'._ ,,r'⌒ \ |
/ //ー\| \ .| __
i ^ /. (, ,| | ,r'゛
ゝ、__,〆 . ヽ i.._、,r' ヽ,/ |
\. |\ ゙i |
\ ヽ \._、,/
\ ゙ヽ
ヽ ^ゝ
\_|
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \ そしてごく一部の例外を除くと、単位時間あたりのディスクの回転数と、
.| ( ●)(<) |
| (__人__) │ データの転送速度は、トラックが外周か内周かには関係なく一定だろ。
.| `⌒ ´ |
| | このため、単位時間あたりのデータ転送量をディスクの回転数で割ると、
ヽ /
ヽ / 1トラックあたりの理論上のデータ量がわかる。これに、ディスク1枚あたりの
〉-r:::┬〈、
/Λ 〉.:〈 7//\ トラック数をかけて得られるのが、アンフォーマット容量と呼ばれるものだ。
////V::::::V/////\
./////∧::://///////}
/////// ∨/////////{
____
/^ ⌒ \
(へ) (へ ) \ 理論上のってことは、実際にはそこまでの容量はないわけかお。
/⌒(__人_)⌒:::::: \
| ヽvwwノ |
\ `'ー' /
/ ̄ ̄ ̄ヽ
/ ヽ その通りだ。トラック単位でデータを記録するのは、あまりに大ざっぱで
| _,ノ ヽ、_ |
| (●)(●) | 効率が悪いので、通常は256バイトとか512バイトなどの容量でトラックを
| (__人__) |
ヽ. ノ 細分化した「セクター」を単位として記録している。フォーマット後の容量は、
.> く
/ ヽ カリカリ 1セクターのデータ量に1トラックあたりのセクター数をかけ、これに
_/((┃))____i |
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄(,_,ノ \ ディスク1枚あたりのトラック数をかけて得られる数値だろ。
/ /_______ヽ.. \
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____
r、/ ⌒ ⌒ \
|.l1 (● ) (● )ヽ ディスク1枚あたりのトラック数は変わらないっぽいから、
.|^ ) (__人__) |
.ノ ソ、_ ヽノ _/ ̄`! 1セクターのデータ量×セクター数の数字と、
/ イ イ7 _/
{__/\ ヽ { 1トラックあたりの理論上のデータ量の差が問題ってわけかお。
-
/ ̄ ̄\
/ __ノ ヽ うむ。ディスクの回転ムラなどを考慮して、セクターとセクターの間は
| ( ●) )
.| (__人) ある程度余裕を持たせなければならない。またほとんどのフロッピーディスクは、
| rつ
.| ((三) トラック1周の先頭は物理的に検出する一方、各セクターの開始位置は
ヽ ( <
ヽ /∧ ∨ 記録内容から判別するようになっている。この判別に必要なデータを、
∠ /⌒ ∧ ヽ
( \ / / ___) トラックの中にあらかじめ仕込んでおかなければならないだろ。
|\ '' /|
| \_/ |
____
/_ノ ヽ_\
/(● )(● )\ けっこう細かい約束があるもんだお。
/ :::::⌒(__人__)⌒::::::\
| ) ) |
\ `ー' /
/ ̄ ̄\
/ノ ヽ、_ \ PC-8800シリーズやX1、FM-7などの5インチ両面倍密度の
. ( ●)( ●) |
|(人__) | フロッピーディスクは、よく「320キロバイト」と呼ばれていたが、
| ⌒ ´ |
. | | これはフォーマット後の容量で、アンフォーマット容量では
. ヽ /
ヽ / 500キロバイトとなる。ユーザーから見ると、アンフォーマット容量の
,t:.ヤ、..::::<
|i::レ´::::::::.| 6割から7割程度しか、データの記録には使えないというわけだろ。
i´.:::::::::::::::|
/ ̄ ̄ ̄\
../ _, 、_. \ そりゃまたずいぶん差があるお。
/ (● ) (● ) \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
〆~\ /ヽ
/:::;;;、:::::::i::ヽ`介´/::::i::::::::::ヽ
<:::::::::::<|:::::::l::::ヽ| | i::::::7;;;;;;:l::::}
. \::::::::\:::::\;;;i,,/:/:::::::::i:::::{
-
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \ 部品としてのフロッピーディスクドライブのスペック表には、アンフォーマット容量が
(⊃ ( ●)(●)
| (__人__) 記載される。一方パソコン本体や周辺機器のカタログでは、アンフォーマット
| ` ⌒´ノ
| } \ 容量での記載は主流ではないが、5インチや3.5インチの両面倍密度倍トラックの
/ヽ } \
/ ヽ、____ノ ) ドライブは、アンフォーマット容量が1,000キロバイトのため、これを使用した
/ . | _/
| / ̄ ̄(_) 機種の中には、1メガバイトのドライブを採用と宣伝したものもあるだろ。
\ \ /| JJJ (
\ / /⊂_)
___
/(●)^ ヽ\
/ (_ (●) \ 「メガ」っていう言葉のすごそうな感じを利用したかったわけだお。
/ Y ヾ__)⌒::: ヾ
i ヾ⌒ノ ノ
\ ー /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ さて、5インチよりもサイズの小さなディスクは、さらに別の注意点がある。
| ( ●))
. | (__ノ_) まず3インチのフロッピーディスクについてだが、片面仕様のドライブでは、
| `⌒ノ
. | } ディスクを裏返して使用できる仕組みになっているということを、
. ヽ }
ヽ ノ 第10話で説明しただろ。このため片面ドライブでも、ドライブ1台あたりの
.> <
| | 記録容量として、両面分にあたる数値が記載されていることがある。
| |
____
/ノ ヽ、_\
(●) (● ) \ 中の人も、ソードのM5用のディスクドライブの仕様を間違えて、
/⌒(__人__)⌒::::::::\
| |r┬-| | 訂正を出してたお。
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ ヽ /
\_,,ノ| 、_ノ
-
____ ミ
/ 〜\
/ ノ (●)\ 一方3.5インチのフロッピーディスクは、ソニーが最初に開発した時点で、
| (./) ⌒)ヽ
\ (__ノ,.<))/;、 ディスクの仕様が片面あたり70トラックになっていただろ。
\ / / '‐、>
`\__l ´ヽ〉 このため、SMC-70用のフロッピーディスクなど初期のものは、
,ノヽ、ノ __人〉
, /'"|::::_/ヽ. /:::::ヅ!:゙、-、_ 5インチのディスクで言うと片面倍密度倍トラックに相当するにも
''":::::::::::/´∨/`ー'〉 7:..ヽヽ:.:|:::::゙'ー、
::::::::::::y′.: ',ゝ、_/::\:.:.:| |.イ:::::::::|:::! かかわらず、倍トラックという表現がされていない場合がある。
::::::::/: ://: : : :|::::::::ヽ::|/:i::::::::::::i::|
____
/ \
/ ─ ─ \ うーん、これは確かにまぎらわしいお。
/ -=・=- -=・=- \
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ さてここまでは、主にカタログに出てくるような仕様にまつわる部分の
| (●)(●) |
| (__人__) | 話だったが、次は、カタログには現れにくい部分についての注意点を
.| ` ⌒´ .}
.| .} 紹介することにしよう。まずは、パソコンの「発売日」についてだろ。
ヽ . }
___._,r、 Yヽ ノトj そもそも、中の人がこの「やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史」を書いた
/`ヽ_j'、_ノ ̄l!'´ヾ- 、_`_¨ 」、
∧ ,ノ Yヽ l ヽ 7ヽ~ヘヽ.、 きっかけのひとつは、いくつかの機種の発売日を調べたことだった。
/-'´「 ヽ ヽj_. l ト、 /〃ハ | ヽ `ヾ 、_
r'´, イ ヽ、 `,__,ィ、__)| l ヾヽ∧'〃ノ゙ヽl ヽ ヽj`ヽ
/ '´ ト、 Yrイ ∧l ', ヽ Tヘ', l _..ノ l j ',
,′ .}、二ィ } / l ヽ ', |、、ヘ. | \ / }. ヘ
i トz'_ノ,イ | ',. ', l、ヽヘ | | j/ l
____
/ \
/ ─ ─ \ でも、Windows95とかがブームになった頃ならともかく、それより前の時代に、
/ (●) (●) \
| (__人__) | 発売日に全国一斉にパソコンが買えたかどうかは、はっきりしなさそうだお。
\ ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
-
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ 確かに、厳密に何月何日というのは、多くの場合は書類上や記録上の
(―)(― ) |
(__人__) | 建前になってしまうから、一部の例外を除いて、トリビア以上の意味は
(`⌒ ´ |
.l^l^ln | 薄いかもしれない。しかし出来事の前後関係を整理するうえでは、
.ヽ L ノ
ゝ ノ ノ せめて何年何月というあたりまでは、明らかにしておきたいところだろ。
/ / ヽ
/ / |
____
/,r ^(●)\
/ (●) _) \ そういうことなら、わからなくはないお。
/ :::⌒(__/ Y ',
l (. ⌒ソ l
\ ー /
/ ̄ ̄\
/ ヽ_ .\ そして、出来事の前後関係の観点から注意が必要なのは、発売日の意味が
( ●)( ●) |
(__人__) | 場合によって異なるというところだろ。一般的な話で言うと、消費者が店頭で
l` ⌒´ |
{ | 買って持ち帰る商品では、発売日というと、地方の事情はさておき、おおむね
{ /
_. -: ´Λ _.へ` 、 その日に販売店に行けば買えるという理解でよさそうだ。しかし大型製品や、
r<: : : : /:|: :、  ̄r' \ :\_
/: : :l : : : : : :\`IエL>、 >ヘ::Λ 法人向けの品では、受注を開始する日を発売日とするケースもある。
|: : : ト、: : : : : : : : : : : : : `ー/ : : V |
〈: : : :::: _ -¬--―-、: : く:r 、: : : V }
/: : :_ン´: : : : \ ,___, ィ ): : :`く : : : ヘ|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ヽ三/) ))
__ ( i)))
/⌒ ⌒\ \
/( ●) (●)\ ) じゃあ、パソコンはどうだったんだお。
./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\
| (⌒)|r┬-| |
,┌、-、!.~〈`ー´/ _/
| | | | __ヽ、 /
レレ'、ノ‐´  ̄〉 |
`ー---‐一' ̄
-
/ ̄ ̄ \
_,ノ ヽ、,_ \ 1980年代までの新聞報道を見た限り、パソコン業界でこのあたりの
(●)(● ) |
(__人___) | 使い方が統一されていたとは言えないだろ。大雑把にまとめると、
'、`⌒ ´ u |
| | 1)「発表日が先行。発売日=出荷開始日」
ヽ 、 イ 2)「発表日=発売日。出荷開始日は後日」
ィヽ-ー ≦ノ7
_, 、 -― ''"....:::::::::::::::::::::::::::ト、 の2パターンのどちらかになるケースが多かったと言える。
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::........--、
丿.:::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r::::: {
r :::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`,::::i
/.:::::::::::::::::::::::!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',::i
/.:::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V
____
/⌒ ⌒\
/( >) (<)\ 発表と発売と出荷開始が全部同じ日っていうのは、
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| /| | | | | | そんなに多くなかったわけかお。
\ (、`ー―'´, /
 ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄\
-、 / ヽ、_ \ この中で、2)のパターンが目立ったのが富士通だ。FM-8は1981年5月に
/ / (●)(● ) |
| , (__人__) | 発表され、同時に発売したため、さまざまな文献で「1981年5月発売」と
l | (`⌒ ´ |
┌―} l . { | なっているが、その5月の時点では出荷はされていない。報道を総合すると、
┌‐| lノ 〉 { ノ
「1( ̄ `ヽ / ヽ ノ―┐ ソフトの開発や不具合の検証のために限られた数を販売店に出したのが
.└イ ̄フ { 小 ´ / l
l 〈 ノー- 、 /」、__ム | └i 7月ごろ。一般向けの出荷は、8月末ないし9月に始まったとみられるだろ。
ゝ _ノ /\ / / r┐! l \
| / |' //⌒Vー'| 厂\ \
\ r'´ ,// l / / \ \
. ` <. __/// / / / / /
.. ____
/ ― -\
.. / (●) (●) 8月末に一般向け出荷が始まったとしても、3ヶ月くらい間が開いてるわけかお。
/ (__人__) \
| ` ⌒´ |
. \ /
. ノ \
/´ ヽ
-
. / ̄ ̄\
/ノ ヽ、_ \ 富士通はFM-7とFM-11も、1982年11月に発表と同時に発売したが、
. (●)(● ) |
. (人__) | この際、出荷は12月、FM-11の一部モデルは翌年1月とも発表している。
|⌒´ |
. | / しかしこれも、出荷がいつかという情報が抜け落ちて、11月発売という
. ヽ /
. ヽ. / 記述だけが文献に残っていることがあるようだろ。
,-‐)__, /⌒l
. /;─ー〉》 /l
. (_ンー‐-,r'´ . |
| |
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\ 富士通は、大型コンピューターで実績があるところって話だったお。
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\
| | そっちの流儀に合わせたってことなんかお。
\ /
. _______
/ \,-、__
/_,ノ `⌒ ヽ.,__ ヽ かもしれん。他には東芝が、パソピアの初代機を1981年9月末に発表し、
| (● ) (● ) ,.! ┴-'、
| (___人___) 〉-‐‐´ l 10月初頭に発売していて、この際新聞に全面広告を出すほどの
.| u 〉--‐´ l
| iヽソ l 大がかりな宣伝を行ったが、出荷開始は翌年1月だっただろ。
Λ ∧`;" '、
__,. ィ仏 ___、___ ィ_ノヘヽ、 _,.‐ー、_
_,. -= ''' .:::::::}:::::::::::::::::::::::/::::::::>´..:::::::.. ヽ`.、
ノ´ ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〈 :::::::::::::::...\::ヽ
/ ...:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::', ::::::::::::::::::.. ヽ:}
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ 発売されたって、ユーザーの手に渡らなきゃ、絵に描いた餅だお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| | 発売日と同じかそれ以上に、出荷時期にも要注目ってわけだお。
\____`ー'´____/
(( ( つ ヽ、
〉 とノ ) ))
(__ノ^(_)
-
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ もっとも第7話で触れたPC-8801のように、発売・出荷を開始したものの、
(●)(● ) |
(__人__) | 部品の供給不足でしばらく出荷数が限られたなんていうケースもある。
( |
. { | そういう動向にも、注意を払う必要があるにはあるだろ。
⊂ ヽ∩ く
| '、_ \ / )
| |_\ “ ./
ヽ、 __\_/
____
/⌒ ⌒\
/( ―) (―)\ まあ、それが問題になるのは人気機種の証拠っていう気もするお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |++++| 」_ キラッ |
\ `ー''´ l /
/ ̄ ̄\
/ 〉 _ノ ヽ、_ \ さてもうひとつ、発売日とはまた違った意味で面倒なのが、パソコンが
/ /' ( ―)(― ) |
./ //〉 (__人__) │ 何台販売されたか、何台出荷されたかという情報だ。というのも、
.l ´ イ| `⌒ ´ |
.l iY | これは何かと他と比較され、また興味を引きやすい話題のせいか、
./ ハ ! /
./ / ' ヽ / 関係者の話でも、誇張されていることが少なくないためだろ。
l / .〉-r:::┬〈、
__「 ー‐1 ./Λ 〉.:〈 7//\
i//7777|/////V::::::V/////\
|//////|//////∧::://///////}
|//////| ///////∨/////////{
____
/⌒ ⌒\ ホジホジ
/( ●) (●)\ 時間が経ってからの話だと、わざとじゃなくても、別の数字と
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\
| mj |ー'´ | ごっちゃになって勘違いをしたままになってるなんてのもありそうだお。
\ 〈__ノ /
ノ ノ
-
/ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ 例えば、さっき話題に出た、1982年発売のソードのM5についてだ。2000年に
(●)(● ) |
(__人__) | 刊行の滝田誠一郎氏の著書「ゲーム大国ニッポン 神々の興亡」に、ソードの
(`⌒ ´ |
. { | 創業者の椎名堯慶氏にM5についてインタビューしたくだりがある。そこでは、
{ ノ
ヽ ノ 「ものすごく売れました。初年度で10万台売った。コンピュータが年間10万台
ノ7i:7、/]ヽ
/.:i..:::ソ/.::.ヽ 売れるなんて、それこそ当時は誰も思っていなかった」と語られているだろ。
____
/ \
/ ⌒ ⌒ \ ファミコンより前の発売ってことを考えたら、なかなか景気のいい話だお。
/ (●) (<) \
| (__人__) |
\ `⌒´ ,/
/_∩ ー‐ \
(____) |、 \
/ ̄ ̄\
⌒´ ヽ、,_ \ ところがだ。1983年10月、ソードがM5発売から丸1年後に、後継機である
(●)(●.) |
(_人___) | M5プロとM5ジュニアを発表したときには、M5のそれまでの出荷台数は
'、 │
} { 3万台と報道されているだろ。発行元が異なる複数の媒体で同じ数字が
!、______ .ィ-ート、
V/:::::::::::::::::ヽ 出ているので、プレスリリースにそのように記載されていると見るのが妥当だ。
{::::::::::::::::::::::::::::::.、
/ー-:::::::::::::::::::::::::::::::,
「r'、 /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,
} r'、 ヘ、 /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
i/ ム、} .{ i:::::::::::::::::::::::::V:::::::::::::::::::::: |
{ い、{ Y::::::::::::::::\::::V:::::::::::::::::::: |
\ ヽ {|V.::::::::::::::: \V:::::::::::::::::: |
\ ノ|:.V.::::::::::::::::::::::〉.:::::::::::::::::|
_____
/ \
/ ⌒ ⌒ \ 10万台と3万台じゃ、誤差というには相当違うお。
/ ( ●) (● ) \
| (__人__) | でもM5って、タカラに「ゲームパソコン」って名前でOEM供給
\ 凵 /
/ \ されたんじゃなかったかお。そっちを足したらどうなるんだお。
-
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ、.\ 第10話で少し触れたが、1983年3月末時点での日経新聞の
| (●)(●) |
| (__人__) | 調査では、M5が22,000台、ゲームパソコンが12,000台となっていた。
___|__`⌒ ´ |
, --'、 / 丿 この数字から、10月までのタカラの販売分を推測してみると、
/ ⌒ ). / <
,′ ノ / /三三三三丑 15,000台を超えたかどうか、よくて2万台というところだろ。
l T´ ..___/ // r'´ ̄ヽ
ヽ ノ ./丶 // (  ̄ l 両方あわせても、椎名氏の言う10万台とはまだ相当開きがある。
`'ー'´ | //_____/ _.ノ
___
/ \
/ _ノ '' 'ー \ そうなんかお。
/ (●) (●) \
| (__人__) | 海外モデルはないんかお。
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、.\ 欧州などに出荷していたのは確かで、その分とタカラの分をあわせて
| (●)(●) .|
! (__人__) | 約10万台だったという可能性もなくはない。ただ広告に有名タレントを
, っ `⌒´ |
/ ミ) / 起用するなど、欧州での主戦場だったイギリスでも、販売開始は1983年の
./ ノゝ /
i レ'´ ヽ 中ごろからで、しかもあまり販売が好調とは言えなかったようだろ。
| |/| | |
____
/ \
. / \ 日本での発売から丸1年のときに、イギリスでは販売期間が
. / /) ノ ' ヽ、 \
| / .イ '(ー) (ー) u| 半年くらいってことかお。他の国も同じくらいの期間だったとすると、
. /,'才.ミ). (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \ その間に5万台近く売ったかどうかは、なかなか微妙そうだお。
/\ ヽ ヽ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ、\ 「ゲーム大国ニッポン 神々の興亡」は、日本のビデオゲームに関わった
| (●)(●) |
. | (__人__) .| 多数の人々にインタビューを行っていて、それ自体は意義深いものだ。
| ` ⌒´ ノ
. r─一'´ ̄`<ヽ } しかしそこに記されている関係者の発言を、すんなりそのまま受け取って
. `ー‐ァ , ) , -'~⌒ヽ、
ノ {. ,ヘ ,l. ゝ、_ .'ヽ). よいかどうかは、また別の問題になるというわけだろ。
. /, 、 _ /. | . ', . .. .ヽ、
(/ / // / / ...| ...|\..\\ \_)
/ // / / . . \_\_)、_)
ー' {_/ノ ."´
___
/ \
/ \ , , /\ 他の資料と、いろいろ突き合わせることも必要ってわけだお。
/ (●) (●) \
| (__人__) |
\ `_⌒_´___ __
. /´ ⌒` ̄ , ´ `ヽ
| _゙___、ィ`_,ルリ
| イ´ ̄ l ^_ '
. | |´ヾ`i
/ ̄ ̄ \
⌒ `'⌒ \ 今回は、こんなところだな。
|(⌒.) (⌒ ) |
|(__人___) | また、中の人が番外編を思いついたら、お会いすることもあるだろ。
| |
i |
ヽ 、 . {
-≦'ト、ーー- ´ ハ、
/: : : : √ヽ、∠´//. :ゝ、
/i : : : : /「::::/\ /. : : : : : : :.>、
iV: : : :/ /:::/ /. : : : : : : : : : : : .\
i.| : : ,' /:::::,' .:´. : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ .____
| ( ⌒)(⌒)/⌒ ⌒\ それじゃ、次の機会までバイバイだお!
. | (__人__) .(●) ( ●)\
| ` ⌒ノ ⌒(__人__)⌒:::::\
. ヽ } . |r┬-| . |
.ゝ_,. ノ____`ー'´___./
-(___.)-(__)___.)─(___)─
やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
番外編
「資料の盆踊り」 おわり
.
-
今回の投下は以上です。
本編の補足のような内容ですが、何かの参考になれば幸いです。
-
乙っぱい
-
wikipediaでも10万になっててそれより前の別出典まで付いてる・・・
一つ検証するだけでも大変そうなのにこれだけの量をよくまとめたもんだ
-
任天堂の社長、岩田聡社長が7月11日に亡くなったとのことです。
ttp://www.nintendo.co.jp/ir/pdf/2015/150713.pdf
本シリーズでもたびたび取り上げましたとおり、
HAL研究所にあって開発を主導した岩田氏は、ファミコンのみならず、
日本のパソコンゲームの黎明期をもさまざまな形で盛り立てた、
立役者の一角を占める存在だったことは間違いありません。
また世界屈指の企業の社長となっても、ご自身の原点とも言える
コンピューターとゲームが好きな青年としての心を持ち続け、
さまざまな人々にデジタルゲームの楽しさを伝えようと
奮闘してこられました。
その道のりもまだ半ば、ご無念はいかばかりかと推し量りつつ、
謹んでご冥福をお祈り申し上げます。
-
<お茶ーっ!>
-
こちらでは暑い日が続いておりますが、
第9話のPC-9801のBASICに関する説明を一部訂正します。
※訂正前
/ ̄ ̄\
/ __,ノ ヽ、_ そうしてマイクロソフトの手を借りずに完成したPC-9801用のBASICだが、
| (● ) (● )
| (___人__)i セーブしたデータの形式をN-BASICやN88-BASICに合わせたことについては、
. | ノ
| | マイクロソフトとアスキーに了解を得ることにした。この際に、西和彦氏の要求を
. 人、 |
. _,/(:::::ヽ、 __ ,_ ノ 受け入れて金銭的補償を行うとともに、BASIC起動画面の著作権表記に、
― ''"...:::::::\ ::::::::::::::::::7、
、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..-、_ NECとマイクロソフトの両方の社名を入れることになっただろ。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙'ー、
※訂正後
/ ̄ ̄\
/ __,ノ ヽ、_ そうしてマイクロソフトの手を借りずに完成したPC-9801用のBASICだが、
| (● ) (● )
| (___人__)i セーブしたデータの形式をN-BASICやN88-BASICに合わせたことについては、
. | ノ
| | マイクロソフトとアスキーに了解を得ることにした。この際に、西和彦氏の要求を
. 人、 |
. _,/(:::::ヽ、 __ ,_ ノ 受け入れて金銭的補償を行うことになり、また後には、BASICの起動画面に、
― ''"...:::::::\ ::::::::::::::::::7、
、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..-、_ NECとマイクロソフトの両方の社名を著作権者として表示するようになっただろ。
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙'ー、
初代PC-9801のN88-BASIC(86)(バージョン1.0)の起動画面には、
そもそも著作権表記がなかったという点を見落としておりましたので、
この点を考慮した説明に変更しました。申し訳ありませんでした。
-
ttps://twitter.com/BEEP_akihabara/status/630619927662080000
なんでパイオニアのMSX1がこんなに残ってんの・・・(驚愕
-
>>621
こんな古い商品は、まだ日本にあるのです。たぶん。
というところでしょうか^^;
さて、この場を借りて次回予告。
短い番外編を、明日の21時頃より投下予定です。
よろしくお願いします。
-
時間になりましたので、投下始めます。
-
|┃
ガラッ. |┃
|┃ ノ// ./ ̄ ̄ ̄ \
|┃三 / \ / \ お久しぶりだお。
|┃ / (●) (●) \
|┃ | (__人__) | 今日は、本編の参考資料になってる本を読んでて、
|┃三 \ ` ⌒´ /
|┃三 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ \ ちょっと聞きたいことがあったんで出てきたお。
/ ̄ ̄\
/ ヽ、__ .\ なかなかいい心がけだろ、常識的に考えて。
(⌒)(⌒ ) |
(__人___) | で、どういう質問だ?
l`⌒ ´ |
| |
| 、 _,.ーへ
_. -: ::::ヽ__「 v、___
__,. <::::::::::::::∧:::二〈 、 ∨:::::\
/:::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::ヽ_〉、 -ー、:::::∧
/::::::::::::::ト、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー/ ::::::::>:、::ハ
〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::::::::v::、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Λ::::::::::::::::::::::::ヽ|
┌─────────────────────────────────┐
│一方、シャープと並んでいち早くパソコンを発売したのが日立製作所であった。...│
│(中略)「これからは家庭にもコンピューターが入る」と主張した家電部門が、 .....│
│NECに先行して78年秋に8ビットパソコンの「ベーシックマスター・レベル1」を ...│
│発売した。実は「パーソナルコンピューター」という言葉を日本で最初に .│
│大々的に使ったのは日立である。(「パソコン革命の旗手たち」p.74) .│
└─────────────────────────────────┘
___
/ \
/ ノ \ \ ここには、日立が日本で最初にパーソナルコンピューターって言葉を
/ (●) (●) \
.| u. (__人__) | __ 大々的に使ったと書いてあるお。でも確か、ベーシックマスターよりも前に、
\ ` ⌒/ ̄ ̄⌒/⌒ /
(⌒ / / / 他の会社からもいくつかパソコンっぽいのが出てたんじゃなかったかお。
i\ \ ,(つ / ⊂)
| \ y(つ__./,__⊆) そういうのは、「パーソナルコンピューター」って名乗らなかったんかお?
| ヽ_ノ |
-
./ ̄ ̄\
/ ヽ、_ \ ふむ。それは、1999年に日経新聞夕刊で連載された記事をまとめた
( (● ) |
(人__) | 関口和一氏の著書、「パソコン革命の旗手たち」だな。
.r-ヽ |
(三) | | じゃあ今回は、そのあたりについて、ちょっと説明するだろ。
.> ノ /
./二/ ヽ /
//// へ>个/ <
.|////ヽ /\///)
 ̄ ̄ |\/////|
────────────────────────────────────────
/ ̄ ̄\
/ ─ ─\ やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
| (●)(●)|
____. .| (__人__) | 番外編
/ \ ` ⌒´ ノ
/ ─ ─\ .} 「“パーソナルコンピューター”の夜明け」
/ (●) (●) \ }
| (__人__) | ノ.ヽ
/ ∩ノ ⊃ /∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |/ _ノ | |
.\ “ /__| | /__| |
\ /___ //___ /
────────────────────────────────────────
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ さて、先に結論から言ってしまうと、「パーソナルコンピューター」という言葉を
| ( ●)(●)
. | (__人__) 日本で最初に大々的に使ったのは日立である、という主張そのものは、
| ` ⌒´ノ
. | } 「大々的に」というところの解釈が問題になるとは思うが、おおむね正しいだろ。
. ヽ }
_/⌒ヽ ィ おそらく、関口氏が日立の関係者を取材した際にこういった話が出てきて、
i'⌒゙l | l \__ィ〜っ
| |. | | ト、_"__冫く;'三} 興味深いトリビアとして取り入れたものだと考えられる。
| | ( " ̄⌒ヽ、 |____`ー‐"
|.  ̄ ̄ ̄ ̄|ソノノ ̄`ヽ ̄⌒ヽ.'⌒lソ
| l .| y |_ィ | .||
| | .|.| | | | ||
| | |___| |__| ||
|_______.|___(__゙)__{___゙)_||
____
/ \
/⌒ ⌒ \ ほー、そこは正しいんかお。
/( ・ ) ( ・ ) \
| (__ |
\ _l /
/ ー \
-
./ ̄ ̄\
./ _ノ ⊂_ ‐-' < ただし、別の問題がある。というのもこれは、初代ベーシックマスターに
| ( ―) λ ヽ
,ヘ__| (__人) ヽ ', まつわる話ではないだろ。この点を関口氏が勘違いしたのか、
__,/ ` < ⌒ノ . r'-‐¬
/---‐――--.、ゝ\ ノ 」-‐>ヽ それとも日立の関係者がそもそも勘違いしていたのかは不明だがな。
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./⌒ヽ. ´_ノ / ´ l
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/ /´ `ヽ ヽ. , , .!
.:.:.:.:.:.:.:.:/ / ヽ l` / / /!
:.:.:.:.:./ ./ _ __ヽ-、 !/. ,' l !
.:.:.:.:.:l _十''''''''"" \ < ' l
____
/_ノ ヽ、\
/(●) (● ).\ えっ!? そうなんかお。さっきのところを読んでて、ベーシックマスターと
/ (__人__) u \
n|i 7 ` ⌒´ n| 関係ない話とは全然思えなかったお。これをうっかり他の文章の
l^l | | l ,/) U l^l.| | /)
', U ! レ' / ー‐ | U レ'//) 参考にしちゃったら、話がみんなおかしくなるんじゃないかお。
{ 〈 ノ /
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ´ ⌒ レベル3の発表までは、日立はベーシックマスターをもっぱら「日立マイクロ
. | ( ●) (●)
| (___人__) コンピューター」という名称を冠して宣伝してきた。パンフレットなどの現物は
.| ノ
j | 確認できていないので、その中でパーソナルコンピューターという言葉を
..ノヽ、 , ノ _
、一一´:::::::::::::≧ーー"7 i' Y 一切使っていないと断言することはできないが、少なくともレベル2IIまでの
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、 i l _
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、 | lフ ト、 日立の広告においては、まず目にしない語句だったことは間違いない。
:::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i/ ,.イ 丿
:::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ィ
:::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ィ
:: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 `チ
___
/(●)^ ヽ\
/ (_ (●) \ その時点では、「マイクロコンピューター」のほうが
/ Y ヾ__)⌒::: ヾ
i ヾ⌒ノ ノ 通りがよかったっていうのは、ありそうだお。
\ ー /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ その一方、第2話で取り上げた日本企業の製品の中で、
| ( ●)(●)
. | (__人__) 「コスモターミナルD」や「ぱそなワン」の広告には、
| ` ⌒´ノ
. | } パーソナルコンピューターという言葉を大きく掲げたものもあるだろ。
. ヽ }
ヽ ノ
.> <
| |
| |
____ ━┓
/ ― \ ┏┛
/ (● ) ヘ\ ・ やっぱりそうだったんかお。
| (⌒ (● ) |
ヘ  ̄`、__) | そしたら、日立が言ってるのはいったいいつの話なんだお?
ヽ |
./∩ノ ⊃ _/
/./ _,) `丶
(___/ 1 |
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \ 実は、初代ベーシックマスター発表よりもさらに約10年さかのぼる。
.| ( ●)(<) |
| (__人__) │ 1969年2月、日立がこの頃に言う超小型電子計算機「ハイタック10」を
.| `⌒ ´ |
| | 発表した際に、パーソナルコンピューターという呼びかたを用いた記事が
ヽ /
ヽ / 複数の媒体に出ているだろ。そこから考えれば、プレスリリースにも
〉-r:::┬〈、
/Λ 〉.:〈 7//\ この言葉が使われていたと考えるのが妥当だ。
////V::::::V/////\
./////∧::://///////}
/////// ∨/////////{
____
, ヘー‐- 、 /ヽ / \
-‐ノ .ヘー‐-ィ /(●.) (● )ヽ 1969年の2月っていうと、
''"//ヽー、 ノ ./:::⌒(__人__)⌒::::::ヽ
//^\ ヾ-、.| |r┬-| | 大阪の日本万国博覧会まであと1年ちょっとってところかお。
,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)\ `ー'´ /
/ <^_,.イ `r‐'゙ ::::ヽー‐-..、 ,..-‐|、
\___,/| ! ::::::l、:.:.:.:.:.ヽ /:.:.:.:.| \
-
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ うむ。人類を月に送り込んだあのアポロ宇宙船も、
| ( ●) (●)
.| (___人__) 月面への着陸まではまだあと一歩のところ。前年末に、アポロ8号が
| ノ
_,.| | 史上初の有人月周回飛行を達成して、ブームが盛り上がっていた頃だろ。
.―― < / |ヽ 丿
:ヽ : : : : :/ : :| \ __ _ /
: :| : : : く: : : :|、 /=|´| :| .\
: : : : : : :> : | `'|::::/|/:,┘ : . ヽ
:/ : : : : ヽ : : | |:::| / : :> : : : : :丶
:.: : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
: : : : : : : : :Λ:|'::::::ノ: :/_ : : : / : : : .丶
====丶
/ ヾ
/《 ─ ─ 》 ヽ 日本の子供たちにとってみりゃ、どでかいイベントが月着陸と万博のふたつ、
| || (●) (●) }}.∩}
| 《 (__人__) 》.∪| 立て続けに予定されて、期待が膨らみまくってたところかお。
/\ミ==⊂ ヽ ∩三彡 /\
(_,ト___ '、_,, \イ乂 )
{ i | ト ;;;,,. \ / ̄"/
( " ̄ ̄i ̄ ̄\, ' " /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ そしてハイタック10の発表から半年ほどの間に、富士通の「ファコムR」、
| ( 一)(●)
| (__人__) 沖電気の「オキタック4300」、松下通信工業の「MACC-7/S」といった
| `⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃ 超小型電算機が、相次いで発表されただろ。オキタック4300とMACC-7/Sに
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉 ついては、「パーソナルコンピューター」と銘打った広告や記事も出ている。
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
(( (ヽ三/) (ヽ三/) ))
(((i ) ___( i)))
/ /⌒ ⌒\ \
( /( ●) (●)\ ) 1970年代に入る前に、パーソナルコンピューターが
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| | 続々登場してたってわけかお。
\ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ もちろんこれらは、第2話で説明した「パーソナルコンピューター」の
| ( ●)(●)
. | (__人__). rm、 定義のうち、「法人が導入して個人が占有するコンピューター」であって、
| ` ⌒´ノr川 ||
. | }.,! ノ' 一般個人が購入して所有するようなものとはとても言えないだろ。
. ヽ }モニカ
ヽ ノソ.:.::.:/ 例えばハイタック10は、基本システムで495万円。2010年代に換算すると、
/:::::.、ヘヤ/.:.../
|:::::::::..`´.:.:.:/ おおよそ1,500万円から2,500万円くらいに相当する。
|:::::::::::.:::::.i´
____ ━━┓┃┃
/ \ ┃ ━━━━━━━━
/ u \≦ 三 ゚。 ゚ ┃ ┃┃┃
/ \ 三 ==- ┛
| u | ≧=- 。
\ / >三 。゚ ・ ゚
。゚ /。・イハ 、
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_ \ ちなみにもう少し低価格なものとして、汎用性の低いいわゆるプログラム電卓も
| (●) (●) |
| (__人__) | 既にあっただろ。1967年5月には日本オリベッティが、外部からプログラムを
| `⌒´ |
| } 読み込めるプログラム電卓のはしりと言える「プログラマ101」の輸入販売を
ヽ .}
__,_,,.ヽ_ ノー- 、 159万円で始めているし、1年後の1968年5月、「セイコー」ブランドを擁する
ハ / V又イ ::::〉::::::i:
} ヽ 〈 l |;;|ノ /::::::::::i -,,_ 服部時計店が、プログラマ101の対抗機種「S-300」を695,000円で発表した。
r iY'ノ.;; }::ヽ l|;;| /::::i::::::::}‐ | ||
.|| | ノ:::: }:::::::\|;;;レ'ー'' ⌒.:::: ヽ | ||
.|| | {,,;;;; .:::: ヽー---ケト、, へ、:::: | ||
―──.::::::::::::ノ.:::/ / 彡}――─────
" ̄`゙゙ ''ー-、'ー----'
____
/ \
/ _ノ ヽ__ .\ どっちにしろ高いけど、S-300だったら、
/ (○)!i!i(○) \
| (__人__) u | 今で言う300万円くらいにはなんとか収まりそうってとこかお。
.\ )t-ツ /
/ ⌒´ \
\_(__) i\(__)
| |
-
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、 ただ、各々の広告を見ると、プログラマ101は「卓上コンピューター」、
| ( ●)( / .\` 、 . // /
. | (__人/ \ヽ、,.// ../ S-300は「デスクトップコンピューター」と銘打っていて、パーソナル
| ` / ``77 /
. ヽ / / / / コンピューターという呼び方はちょっと見当たらないだろ。
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./
/./ r-、 ヽ ∨,ノ /
|. \ 〈\.\,〉 `, f
| . \ (ヽ ヽ `.. |
| .\ \ ノ
____
/ ⌒ ⌒ \
./( ―) ( ●) \ 逆に言ったら、この頃はコンピューターを机の上に置けること自体が
/::⌒(_人_)⌒::::: |
| ー .| すごいことだったわけだお。
\ /
/ ̄ ̄\
. _ノ,、 \_ \ さてハイタック10の話に戻ると、この製品は「パーソナル・コンピュータ」を
( ●)( ●) |
(__人__) | うたった大型広告が何度も新聞に掲載されたのが特筆されるだろ。
(`⌒ ´ |
{ | 経済紙の日経新聞とはいえ、いわゆる全国紙で、1969年末までの
{ /
ヾ / 10ヶ月ほどの間だけで少なくとも3回、広告が載っている。
ソgヘ二ニ=7⌒ ̄"⌒ ̄〆"⌒ニつ
∧ii/ oィ/" 〃 (乙ノ≠^ソノ
/ .|//= ゝー─〜゙─‐゙〜'´
l |。 `~/
/ |。 /
/ソ |。 (
/ リ∠\____ニゝ
____
/ ⌒ \
) (● ) \ それはなかなか熱心な宣伝ぶりだお。
(__人__) ⌒::: ヽ
||、‐┬| |
ヽ‐ー’ /
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ \ 製品発表時の新聞記事だけでなく、新聞広告も含めてこれだけ繰り返し
| (● )(● )
|. (__人__) パーソナルコンピューターという言葉をアピールした製品は、1967年5月以降の
| ` ⌒´l
| } 日経新聞を調べる限り、ハイタック10以前には見当たらなかった。ゆえに、
| _ }
,l( ゙) ,ノ ) この語句を日本で最初に大々的に使ったのは日立であるという主張は、
|/ |`ー一" |
ヽ / ヽ ノ 新聞紙上で繰り返し使ったという意味では、おおむね正しいというわけだろ。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
,、 「l /)
| !,l |//.、
`、 (゙)} ___
l. ィ''´ /⌒ ⌒ \
| | /(⌒) (⌒ ) \ 広告を何度も打てるのは大企業ならではって感じもするけど、
| |/:::⌒(__人__.)⌒::: \
ヽ | |,┬‐ | | とりあえず、納得だお。
\.\ `ー ´ /
\ __ ヽ
ヽ (____/
__
/ _ノ\
/ (一) もっとも、ハイタック10のようなクラスのコンピューターを指す
| (__人)
| l 呼び名は、結局「ミニコンピューター」が有力になっていくだろ。
. | |
. ヽ ノ
ヽ /
/ ヽ
| |
|. |
♪ ♪
/ ̄ ̄ ̄\
/⌒) ─ ─ \
/ / (●) (●) \ /⌒) どうしてそうなったんだお?
.( ヽ (__人__) | //
\ ` ⌒´ //
| /
♪ | |
l⌒ヽ _ノ ♪
| r ` )
(_ノ  ̄ ̄/ /
( _)
-
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ まずは、アメリカで既にミニコンピューターという呼び方が
| ( ●) (●)
.| (___人__) 広まっていたということが挙げられそうだろ。この分野で最初に商業的
| ノ
.| | 成功を収めたとされるDECの「PDP-8」は、登場から2年後の1967年頃には、
人 丿
/⌒ \ __ _ / そう呼ばれ始めていたようだ。富士通は日経新聞に、ファコムRの広告を
/ \
./ 人 ./ ヽ ハイタック10よりも先に出し、「わが国最初のミニコンピュータ」とうたった。
〈 < / \ \
____
// \\
/( ●) (●) \ ハイタック10がミニコンピューターを名乗らなかったから、
/::::::⌒ 、_! ⌒::::: \
| 'ー三-' | 日本初をうたっても大丈夫って考えたんかお。
\ /
/ ̄ ̄ \
/ __,ノ `⌒ またこのクラスのコンピューターが、機器組み込みという、
| ( ●) (●)
. | (___人__) コンピューターの比較的新しい利用法に頻繁に活用されたことも、
|. ` ⌒´ノ
| | 影響していそうだろ。これらは中核部分だけなら机に載る程度の大きさで、
iヽ |
}:::.`> ー-´-くヽ- 、___、 しかも電源や温度などの動作条件が比較的ゆるかったからな。
_/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 7¨:.ヽ
__/.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/.::::::::::\
<:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::∧
___
/ ヽ、_ \
/(● ) (● ) \ 別の機械に入れて使われるようだと、
/:::⌒(__人__)⌒::::: \
| l^l^lnー'´ | パーソナルっていう言葉のイメージとは離れちゃう感じかお。
\ヽ L /
ゝ ノ
/ /
-
____ ミ
/ 〜\
/ ノ (●)\ それに、ミニコンピューターのほうが略称が作りやすかったのは
| (./) ⌒)ヽ
\ (__ノ,.<))/;、 間違いないだろ。実際1970年に入ると、日立自身がハイタック10の
\ / / '‐、>
`\__l ´ヽ〉 広告で「ミニ・コン」という略称を使うようになり、逆に「パーソナル・
,ノヽ、ノ __人〉
, /'"|::::_/ヽ. /:::::ヅ!:゙、-、_ コンピュータ」という呼び方は目立たなくなってしまった。
''":::::::::::/´∨/`ー'〉 7:..ヽヽ:.:|:::::゙'ー、
::::::::::::y′.: ',ゝ、_/::\:.:.:| |.イ:::::::::|:::!
::::::::/: ://: : : :|::::::::ヽ::|/:i::::::::::::i::|
_. -─‐-
/ ─ \
/ / (● ) \ 日立は、呼び方の点では
/ ( ●) 、_) ⊂ヾ、
| (__ノ |E ) コリコリ ちょっと流れを作れなかった感じかお。
ヽ _ノゝ ヽ
>  ̄ ` ノ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ もっとも、後に登場する「アルテア8800」や、草創期のソードが作っていた
| ( ⌒)(⌒)
| (__人__) 「SMP80/20」などがそうであるように、マイクロプロセッサーを使った
| ` ⌒´ノ
ン } 初期のコンピューターは、これらのミニコンピューターの流れをくんでいるだろ。
/⌒ヽ、 _ノ
/ ノ \__ィ ´ その意味でハイタック10は、日本のパソコンの始まりを、さらにさかのぼった
/ / '|
( y | 源流の位置にあるとは言えるだろうな。今回は、こんなところとしようか。
\ \ |
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ .____
| ( ⌒)(⌒)/⌒ ⌒\ それじゃ、またの機会までバイバイだお!
. | (__人__) .(●) ( ●)\
| ` ⌒ノ ⌒(__人__)⌒:::::\
. ヽ } . |r┬-| . |
.ゝ_,. ノ____`ー'´___./
-(___.)-(__)___.)─(___)─
やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
番外編
「“パーソナルコンピューター”の夜明け」 おわり
※本稿は、 OGAWA, Tadashi さん https://twitter.com/ogawa_tter の
https://twitter.com/ogawa_tter/status/617350880292143104
からの一連のツイートを参考にさせていただきました。
-
短い内容ですが、今回の投下は以上です。
ここのところ、1980年代前後のパソコンにまつわるイベントがいろいろ開かれていますが、
そのたびごとにいろいろ新しい発見がありますね。
これからの動きも楽しみです。
-
乙です
黎明期だから仕方ないが呼び名もいろいろあってややこしいのう…
-
HITACにはお世話になった
学生のころの実習で使っただけなんだが、他人のような気はしない
-
先日の番外編のための調査の中で得られた情報に基づき、
第8話で触れたNHK教育テレビの「コンピューター講座」に関する説明を一部変更します。
※変更前
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ 実は教育テレビでは、学生向けに大型コンピューターのFORTRANなどを
| ( ●) (●)
.| (___人__) 扱った「コンピューター講座」という番組が、1969年から数年間あっただろ。
| ノ
_,.| | しかしそのときとは違い、コンピューターが身近になってきていただけあって、
.―― < / |ヽ 丿
:ヽ : : : : :/ : :| \ __ _ / 「マイコン入門」のテキストはかなりの売れ行きを見せた。
: :| : : : く: : : :|、 /=|´| :| .\
: : : : : : :> : | `'|::::/|/:,┘ : . ヽ
:/ : : : : ヽ : : | |:::| / : :> : : : : :丶
:.: : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
: : : : : : : : :Λ:|'::::::ノ: :/_ : : : / : : : .丶
※変更後
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ 実は教育テレビでは、社会人や学生向けに大型コンピューターの
| ( ●) (●)
.| (___人__) FORTRANなどを扱った「コンピューター講座」という番組が、
| ノ
_,.| | 1969年から数年間あっただろ。しかしそのときとは違い、コンピューターが
.―― < / |ヽ 丿
:ヽ : : : : :/ : :| \ __ _ / 実際に家庭に入り込むようになってきただけに、「マイコン入門」の視聴者は
: :| : : : く: : : :|、 /=|´| :| .\
: : : : : : :> : | `'|::::/|/:,┘ : . ヽ より低い年齢層にも広がったようだ。またテキストの売れ行きも好調だった。
:/ : : : : ヽ : : | |:::| / : :> : : : : :丶
:.: : : : : : :∧: :| /::::|/: :/ : : : :/ : : : |
: : : : : : : : :Λ:|'::::::ノ: :/_ : : : / : : : .丶
少なくとも番組開始時点では、視聴者層は社会人が中心だったようです。
申し訳ありませんでした。
-
明日11月3日は、日本ファルコムの「ザナドゥ」で最初に発売されたX1用の発売30周年の日ですが、
その前にひとつ、第18話について訂正します。
※訂正前
_____
/ .r┐ヽ「| そしてこれらの中でも、「ドラゴンスレイヤーII」のサブタイトルが付けられた
/ r-、 | .| ./ l l゙l
. / .__,ノヽ ゙、_,ノ '-' .|,,/ | アクションRPG「ザナドゥ」は、発売後わずか半年ほどの間に公称40万本を
| (●)ヽ ノ ´/
| 〉 〈_,,.-、 出荷したとされる。この頃には「ロードランナー」をはじめ、日本国内向けの
.| (__人{ .r''´
.| ´ ⌒| _,.-i'´ パソコンゲームでも累計で10万本の桁に乗せるものは出ていたが、
. .{ l-‐'''''''ーl }
{ . |´ ̄ ̄``l } 半年で40万というのは、史上空前の記録と言われているだろ。
{ .| |.}
※訂正後
_____
/ .r┐ヽ「| そしてこれらの中でも、「ドラゴンスレイヤーII」のサブタイトルが付けられた
/ r-、 | .| ./ l l゙l
. / .__,ノヽ ゙、_,ノ '-' .|,,/ | アクションRPG「ザナドゥ」は、発売後わずか半年ほどの間に公称12万本、
| (●)ヽ ノ ´/
| 〉 〈_,,.-、 最終的に40万本を出荷したとされる。この頃には「ロードランナー」をはじめ、
.| (__人{ .r''´
.| ´ ⌒| _,.-i'´ 日本国内向けのパソコンゲームでも累計で10万本の桁に乗せるものは
. .{ l-‐'''''''ーl }
{ . |´ ̄ ̄``l } 出ていたが、40万というのは、史上空前の記録と言われているだろ。
{ .| |.}
改めて情報を確認したところ、発売後半年ほどの雑誌インタビューで12万本という発言が
出ていることがわかりました。申し訳ありませんでした。
-
まめな修正乙
続編待ってるぜ
-
>>639
ありがとうございます。
実は新しい番外編の完成がわりと近い状態です。
ただ、前回よりもさらに本編との乖離が大きい感じもするのですが……。
今しばらくお待ちください。
-
というわけで本日21時より、新しい番外編を投下予定です。
今回はなんと昭和30年代まで話がさかのぼる事態に!?
ご期待ください。
-
時間になりましたので、投下始めます。
-
/||ミ
/ ::::||
/:::::::::::||____
|:::::::::::::::|| || ガチャ
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ||
|:::::::::::::::|| ̄ ̄\ ||
|:::::::::::::::|| ノ ヽ_\ 呼ばれて飛び出てジャジャジャジャ〜ンだお。
|:::::::::::::::||●) (●) \
|:::::::::::::::|| (_人_) | で、今回の番外編は何の話なんだお。
|:::::::::::::::||___ /
|::::::::::::::(_____ノ´||
|::::::::::::::(_ノ / . . . ||
|:::::::::::::::||/ ||
|:::::::::::::::|| ||
\:::::::::::|| ̄ ̄ ̄ ̄
\ ::::||
\||
/ ̄ ̄\
/ ヽ、__ .\ かなり唐突ではあるが、今回の話に大きく関係する人物の一人が、
(⌒)(⌒ ) |
(__人___) | ドクター中松こと中松義郎氏だ。東京都知事選に何度も出馬して、
l`⌒ ´ |
| | ユニークな言動を披露したりしているので、その名前は、
| 、 _,.ーへ
_. -: ::::ヽ__「 v、___ 多くの人がおそらく一度くらいは聞いたことがあるだろ。
__,. <::::::::::::::∧:::二〈 、 ∨:::::\
/:::::::ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::ヽ_〉、 -ー、:::::∧
/::::::::::::::ト、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ー/ ::::::::>:、::ハ
〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::く::::::::::::::::::::::::v::、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::Λ::::::::::::::::::::::::ヽ|
____
/__.))ノヽ
.|ミ.l _ ._ i.) 「フロッピーディスクはわしが発明した」って言ってる人だお。
(^'ミ/.´・ .〈・ リ
.しi r、_) |
| `ニニ' /
ノ `ー―i´
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \ 中松氏がフロッピーディスクを発明したと主張していることについては、
(●)(● ) |
(__人___) | 「と学会」の著書として1995年に発行された「トンデモ本の世界」でも
| |
| .| 取り上げられているだろ。この本自体がかなり人気になったことに加え、
ヽ 、 ,イ
/ヽ,ー- ト、 中松氏の主張を過去の著書などと比較してシニカルに検証している
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... こともあり、比較的知られている記事ではないかと思われる。
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
-
____
/ \
/ ─ ─ \ んーと確か、昭和20年代にフロッピーディスクを発明したっていう話だけど、
/ (●) (●) \
| (__人__) | 実際には「ナカビゾン」っていう名前のものだったとか、そのナカビゾンも
\ ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ フロッピーディスクとはだいぶかけ離れてるとか、そういう記事だったかお。
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
/ ̄ ̄\
rヽ / ノ \ \ うむ。またこの本や、これ以前からのと学会の活動の影響もあってか、
i ! | (●)(●) |
r;r‐r/ | | (__人__) | 中松氏の著書や主張の検証は他にもいろいろ行われている。
〈_L (`ヽ .} | ` ⌒´ ノ
l` ( ``/ . | } インターネットでもその一部を見ることができるだろ。
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ィ ヽ
____
/_ノ ヽ_\
/( ●)( ●)\ ウィキペディアにもあれこれ書いてあるみたいだお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| ( ( |
\ `ー' /
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、 \ ただ、「ナカビゾン」については、どういうものかの説明が意外に
( ●)( ●) |
(__人__) | ../} まちまちだろ。そこでその特許の実態や、当時の新聞や雑誌での
_ ヽ`⌒ ´ | / / __
(^ヽ{ ヽ { ./ / . / .ノ 取り上げられかたを、中の人が調べてみたところ、かなり複雑で
( ̄ ヽ ヽ i ヽ / 厶- ´ /
. (二 ヽ i i |,r‐i ノ. ヽ / / 興味深い事情を抱えていることがわかった。そしてこれらは、
ヽ / ノ / r一'´ ー 、  ̄ ̄ ̄)
i { イ―イ / .`ー―. 、__ .〈 ̄ ̄ 「シート式磁気録音機」と呼ばれる機器の盛衰と大きく関わっている。
ヽ. `ー '/ / /\ \
`ー '  ̄ ̄! | ヽノ
____
/⌒ ⌒\
/( >) (<)\ それで、今回はそこらへんの話をするってことかお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| /| | | | | | フロッピーディスクの話かと思ったら、ずいぶんあさってのほうに行った感じだお。
\ (、`ー―'´, /
 ̄ ̄ ̄
-
/ ̄ ̄ \ -、_
_,ノ ヽ、__ / / ,〉、 ま、そう言われるのも仕方のないところではあるが、
(=)(= )/ ´/ /)
(__人_) { , ' ´,/ ともかく始めるとするだろ。
'、`⌒ ´ V __, <´
| 〈´/::::Λ
| ヤ::::::::::::::Λ
`ュ`ー─ー V::::::::::::::Λ
/ム _ , -./V::::::::::::::Λ、
_,. -/:/:::ハ ,/´..::/i:::::::::::::::::::Vヘ
//./.:::/:::l y .::::::/::::i::::::::::::::::::.∨}
j ::::::::>.:::/:::::l ./ .::::::::::::::::i::::::::::::::::::::レ;
i :::r :〈 ::::i::::::::レ .::::::::::::::::::::〉、:::::::::::::::::ノ
────────────────────────────────────────
/ ̄ ̄\
/ ─ ─\ やる夫と学ぶホビーパソコンの歴史
| (●)(●)|
____. .| (__人__) | 番外編
/ \ ` ⌒´ ノ
/ ─ ─\ .} 「シート式磁気録音機と
/ (●) (●) \ }
| (__人__) | ノ.ヽ ドクター中松の誕生」
/ ∩ノ ⊃ /∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |/ _ノ | |
.\ “ /__| | /__| |
\ /___ //___ /
────────────────────────────────────────
※本稿で説明している特許関連の法律や制度は、現在のものとは異なる場合があります。
-
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、 さてまず、「シート式磁気録音機」の元祖と言えるのが「シンクロリーダー」だ。
| ( ●)( / .\` 、 . // /
. | (__人/ \ヽ、,.// ../ シンクロリーダーは、日本での磁気テープの開発で先駆的な役割を果たした
| ` / ``77 /
. ヽ / / / / 東京工業大学の星野教授が、独自の着想から研究を進め、昭和32年、
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./
/./ r-、 ヽ ∨,ノ / つまり1957年に試作機を発表したものだろ。紙に書いてある内容を読みつつ
|. \ 〈\.\,〉 `, f
| . \ (ヽ ヽ `.. | それと関連した音声を再生することから、教授は「聴読機」とも呼んでいた。
| .\ \ ノ
____
/ ⌒ ⌒ \
./( ―) ( ●) \ 音とシンクロして読む機械ってわけだお。
/::⌒(_人_)⌒::::: |
| ー .|
\ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ シンクロリーダーはこの着想を実現するために、紙の裏面に磁性体を
| ( ●)( ●)
| (__人__) 塗布または接着し、紙を一切動かさずに再生ヘッドが磁性面を走査する
| `⌒ ´l
| } 仕組みになっている。そして、1枚の紙に対して音声をできるだけ無駄なく記録し、
ヽ }
ゝ 丿 これを途切れずに再生するため、なかなか面白い手法をとっただろ。
____( ̄ ̄ / ̄ ̄/´ ̄/_
i⌒ゝ、 ヽ ヽ. / / ⊂) i⌒ゝ、
i;;;;;;;;;;|__ L人  ̄ ̄`´ ̄ ノ__i;;;;;;;;;;|
____
/⌒ ⌒\
/( ●) (●)\ 具体的には、どうしたんだお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| |
\____`ー'´____/
(( ( つ ヽ、
〉 とノ ) ))
(__ノ^(_)
-
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、 \ ,.:┐ 機械に装備された円盤の外周部分に3個のヘッドが等間隔に配置され、
.( ●)( ●) ..| / |
(__人__) .|./ / 水平よりやや角度をつけて置かれた紙の下を、この円盤が回転しながら
i⌒ ´ .r-、 |/ /
{ ヽ, ',. .,/ :/', 奥から手前に移動する。紙の磁性面の実際の記録エリアは、3個のヘッドを
.ヽ .| l_/_, -‐、',
.ヽ . | / , --'i| 結んだ正三角形の一辺と同じ幅になっていて、これにより、1個のヘッドが
/ { V , --ヘ
| ヽ L| r= | 記録エリアを外れると同時に、次のヘッドが記録エリアに入るだろ。
====丶
/ ヾ
./ ⌒ ⌒ 》 ヽ トリプルヘッドってわけだお。
/ (●) (● ) }}. ∩|
| ⌒(__人__)⌒ 》 ∪| なんだかどっかの怪獣みたいな響きだお。
\ミ三| ̄|三三彡 /
ノ卜 _兀 _ イヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、\ こうして、録音の際には円弧状のトラックが奥から手前に
| (●) (●).|
. | (__(⌒.) | 次々と形成される。再生する場合にもこれと同様に、3個のヘッドが
| `/ / (⌒)
. ヽ / / ./ / 円弧状のトラックを同じ方向に次々となぞっていくというわけだろ。
ヽ/ // /
/ こ二二⌒) なお、ヘッドと磁性面の密着度を上げるため、記録紙は
| \
| |ヽ .\ 丈夫で平らな透明板の蓋の下に敷くという形になっていた。
(.__)
,ヘ
____ / /
/\ /\ / /
/( ⌒) (⌒)\/ / 紙を横に置いたら、
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /
| |r┬-| | [))))))))]みたいな形のトラックになってるわけかお。
\ ` ー'´ /
/ \
/ \
/ /\ ヽ
| ./ \ ノ
U ヽ ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ このシンクロリーダーが発表されたとき、後にカセットテープとして一般化する、
| ( ●)(●)
.| (__人__) オランダのフィリップスの「コンパクトカセット」はまだ登場していなかっただろ。
| ` ⌒´ノ
. | } __ 持ち運びにも何かと手間のかかるオープンリールの磁気テープに対し、
ヽ / ̄ ̄⌒/⌒ /
(⌒ ヽ / / / シンクロリーダーでは、シンクロシートと名づけられた記録紙は、本や雑誌に
. \ \ ,(つ / ⊂)
| \ y(つ__./,__⊆) 綴じ込むこともできれば、何枚かを折って郵送しても問題ないとされた。
| ヽ_ノ |
/ ̄ ̄ ̄\
/ \ 文字通り、「声の出る手紙」かお。
/ ─ ─ ヽ
| (●) (●) |
\ (__人__) __,/
/ ` ⌒´ \
_/((┃))______i | キュッキュッ
.. / /ヽ,,⌒)  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄(,,ノ \
/ /_________ヽ.. \
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(ヽ三/) ))
( i)))
/ ̄ ̄\ \
/ _ノ \ ) 星野教授がすでにさまざまなマスコミに登場する名士だったこともあり、
| ( >)(<)
. | ///(__人__) 科学雑誌、無線技術誌、教育研究誌などにも教授が記事を寄稿。
| ` ⌒´ノ
. | } 新聞でも、「声のメモ用紙」としての利用はもちろんのこと、
. ヽ }
ヽ ノ 「声の出る本」「音の出る新聞」の実現も遠くないとも紹介され、
⊂ヽ γ く
i !l ノ ノ | ちょっとしたブームを巻き起こしただろ。
⊂cノ´| |
___
/ ⌒ ⌒\
/ (⌒) (⌒) \ そういわれると確かに、なかなか夢のある感じがするお。
/ ///(__人__)/// \
| `Y⌒y'´ | 見方によっちゃ、原始的なマルチメディアって言えなくもなさそうだお。
\ ゙ー ′ ,/
/ヽ ー‐ ィ⌒ヽ
rー'ゝ 〆ヽ .)
ノヾ ,> ヾ_ノ,ヽ}
ヽ ヽ| ヽ_ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ このシンクロリーダーにほれ込んだのが、星野氏の趣味のカメラを通じて
| ( ⌒)(⌒)
| (__人__) 親交の深かった、今のキヤノン、このときのキヤノンカメラの御手洗社長だ。
| ` ⌒´ノ
ン } 星野教授をはじめ東京工業大学と深いつながりを持つ、東京電気化学工業、
/⌒ヽ、 _ノ
/ ノ \__ィ ´ 今のTDKとの3者共同で製品化を進めることになった。この件の正式発表前から、
/ / '|
( y | キヤノンの株価が大きく上がるなどといった動きさえあったほどだろ。
\ \ |
____
/ \
/ ⌒ ⌒ \ いわゆる青田買いだお。
/ (⌒) (⌒) \l⌒l
| (__人__) |`''|
\ ` ⌒´ _/ /
/
/ ̄ ̄\
. _ノ,、 \_ \ ところが昭和33年、つまり1958年2月に、このシンクロリーダーについて
( ●)( ●) |
(__人__) | 「自分の持つ特許に完全に抵触している」と主張する人物が現れた。
(`⌒ ´ |
{ | それこそが、このとき第一物産原子力室に勤務していた中松義郎氏だろ。
{ /
ヾ / なお第一物産は、戦後の財閥解体で誕生した旧三井物産系の商社で、
ソgヘ二ニ=7⌒ ̄"⌒ ̄〆"⌒ニつ
∧ii/ oィ/" 〃 (乙ノ≠^ソノ この後1959年、「大合同」と呼ばれる合併によって現在の三井物産になる。
/ .|//= ゝー─〜゙─‐゙〜'´
l |。 `~/
/ |。 /
/ソ |。 (
/ リ∠\____ニゝ
___
/⌒ ⌒\
(● ) (● ) \ まさに「異議あり!」ってわけかお。
. (ニ~`ヽ、 /:::⌒(__人__)⌒::::: \
(((_⊂>ヽ| |r┬-| |
. \ \ `ー'´ /
. ゝ-| ヽ
ヽ \
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 中松氏はそもそもは自ら進んで現れたわけではなく、このころに第一物産の
| ( ●)(●)
. | (__人__) 株価が上がった原因として、過去にも出ていた大合同の話が再燃したことに加え、
| ` ⌒´ノ
. l^l^ln } 証券関係者の間で「第一物産がシンクロリーダーの権利を得た」などといった
. ヽ L }
ゝ ノ ノ 噂が出たと取りざたされ、そこから脚光を浴びたという形になっているだろ。
/ / \
/ / \ この流れについてはまた後で触れるが、先に中松氏の特許を見ていくことにしよう。
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
____
/_ノ ' ヽ_\
/(≡) (≡)\ つったって、その特許がナカビゾンってのは見え見えだお。
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
/ ̄ ̄\
. ./ _ノ ヽ そのとおりだ。ただ、このころの記事では「ナカビソーン」「ナカビ・ソーン」
| ( ●) (●)
| (__人__) ∫ 「ナカ・ビソーン」「ナカビゾーン」などさまざまな表記が見られる。ここでは、
| `⌒´ノ ∬
. ヽ } | ̄| 1952年に特許となったものについては、「ナカビソーン」と呼ぶことにするだろ。
ヽ ノ |_|)
____/ イー┘ | なお登録された特許そのものの名称は、「重色レコード」と
| | / / ___/
| | / / | 「積紙式完全自動連奏蓄音器」というものになっている。
| | (  ̄ ̄ ̄⌒ヽ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
____
/ \
/⌒ ⌒ \ なかなかいかつい名前だお。
/( ・ ) ( ・ ) \
| (__ |
\ _l /
/ ー \
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ 幸いにして2015年の現在では、特許番号や出願番号などがわかれば、
. | ( ⌒) (⌒)
. | (___人__) インターネット上の「特許情報プラットフォーム」で、その明細を示す
| ` ⌒´ノ
. | | 公告特許広報を見ることができるだろ。今回は、左上の「特許・実用新案」から
人、 |
_,イ ト、ヽ 、 __ ,_ ノ 「特許・実用新案番号照会」を選び、「種別」を「特許出願番号」として、
─-´ l ヽ,\__、_ノ7
:i ハヘ、;;ヽト、 「S26-1266 S25-12151」と入れればいい。
:i ハ 〉:.;〈ヽ \、_
\ :L__ v;;;;ヘ ' ,<. ヽ ttps://www.j-platpat.inpit.go.jp/
ヽ: . く '';;;;;ヘ l `l `-、
____
/⌒ ⌒\ ホジホジ
/( ●) (●)\ うーん。古い字が多くて全体的に読みづらいし、「積紙式
/::::::⌒(__人__)⌒:::::\
| mj |ー'´ | 完全自動連奏蓄音器」のほうは、説明が長くてちょっとわかりにくいお。
\ 〈__ノ /
ノ ノ
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 確かにな。そこで、両方の特許広報の「特許請求の範囲」の全文と、
| ( ●)(●)
. | (__人__) そのほかの部分で重要と考えられる部分を以下に抜き出してみただろ。
| ` ⌒´ノ
. | } なお、いわゆる旧字については適宜新字に変更してある。
. ヽ }
ヽ ノ
/::::::..ヘヤ:>.
|::::::::::...:.ソ.:|
|:::::::::::.::::::::|
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板