■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■
やる夫で学ぶ柳生一族(やる夫板Ⅱ版10)
-
_,........_ _ ........、_
_..彡゙'ゞ7‐">、 ..r彡゙'マ冖 コ 、
ノ l |’ |^'、 `{゙lヽ、 _/ f | ./│ `l Yゝ
___,,......-''´ ゙′ "'′ "ニ.. ゝ、......../ ゙゙ ‐′ `’ ゙ー......,,___
__....一''""` __..-tニ亠''"´ `"''ー-..__
_..-‐"´ __..rfフ''"` "''ゝ、、
_..r'" ___,,..........----;jメ‐" ___............---:ェュ―-rっ--r┬―-----........__ "'- 、
..ィ二....--‐冖 ̄ ̄ 〈"l ,,..二....--‐‐'''''' アナ ''< '、 't '、 L1 ヘ '、 _r''ン ̄"`^'''''っ--....ニゝ、
 ̄⌒ ヽヽ ` ̄ / ノ′ \>、 ヘ_ヘ_ 'l ヘ ヘ_ヽ _..<ン′ _/ ノ  ̄′
ヘ ゝ ,ノ / `ヽニゝ、_ 'l ゙ 、 l、1 ゝヘ_..-''ニr''´ _r' /
`くヽ、 ,,ノ ノ′ `ー ニ心 ゙'くニ┬‐' エ辷"′ _ノ'ン′
`‐こコレ‐ン'´ ´ ゙ヽこ'<二 \ っ __..-‐彡''´
_..-‐彡‐"亠こー 、 `゙コtニ ここニ 二‐''"
__-‐ニ一'"´ ゙ヽ ゙' 、 ヘニゝ ゙゙'匸゙‐-__
''く..r''´ ヘ-′ ゙'-フ `ー..r┘
このスレは、「柳生新陰流」を担った剣豪の一族「柳生一族」を
史実をベースとしつつ、適当にエピソードを盛り込んでいく形で紹介するスレの
やる夫Ⅱ版10スレ目でアリマス。
【前スレ:やる夫で学ぶ柳生一族(やる夫板Ⅱ版9)】
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12973/1370184429/
-
■ 基本、史実ベースではありますが、史実においても意見が分かれていたり、
当方の知識不足などにより、若干の創作が入ることもありますので、
「大体こんなもん」程度に捉えて頂ければ重畳ー。
■ 次回の投下告知については、現スレで行います。
最近は土曜の夜にしております。
【現スレ:やる夫で学ぶ柳生一族(やる夫板Ⅱ版10)】
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12973/1395393089/
■ 以下、過去のまとめを載せて頂いてるサイト様です。
ありがとうございます。
【『やる夫で学ぶ柳生一族』まとめ】
ttp://yagyuo.g.hatena.ne.jp/inugamikoubouathangul/
【やる夫+まとめ -戦国系- 「やる夫で学ぶ柳生一族 まとめ」(※55話以降)】
ttp://yromtm1059.blog117.fc2.com/blog-entry-328.html
【多元 - 「やる夫で学ぶ柳生一族 まとめ」(※現在54話まで)】
ttp://tagenmatome.blogspot.com/2009/07/blog-post_06.html
【やる夫観察日記-「柳生」】(※19話まで。現在サイト消滅)
ttp://yaruokansatu.blog44.fc2.com/?q=%CC%F8%C0%B8
■ あと、以下は>>1が別にやっていたスレであり、こちらもご覧頂ければ重畳ー。
【多元 - 「やる夫で紹介する歴史伝奇 まとめ」
ttp://tagenmatome.blogspot.com/2009/06/blog-post_9780.html
【やる夫短編集 阿修羅編-「やる夫で紹介する歴史伝奇」】
魔岩伝説 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-3203.html
魔界転生 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-4180.html
【やる夫短編集 阿修羅編-「やる夫で紹介する武芸者列伝」】
男谷精一郎 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-3898.html
上泉信綱 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-5056.html
■ 姉妹スレ(というかなんというか形容しがたいが、無関係じゃないのは確かなスレ)
【朝鮮伝奇小説家・荒山徹を語るスレ9】
ttp://awabi.2ch.net/test/read.cgi/korea/1326129643/l50
-
立乙
宮本武蔵、現代に復活!(バキ脳)
このまま他の剣豪も蘇らせて、死刑囚編みたいに現代格闘家たちと甲賀忍法帳やってくれねえかなあw
-
立乙。
>>3
(お、剣豪3か?)
-
スレ立て乙です。
旧暦三月二十一日は十兵衛の命日でしたな。
-
どもどもです。
相変わらず時間があってもどうにもならぬ有様ですいませぬ。
こりゃ下手すりゃ次の更新が4月の第2週とかになりそうで、うむむ。
なんとも申し訳ない。
刃牙道>
個人的には自衛隊漫画をやってほしかったなーと思いつつ、
これ、次回からどうすんだろという意味で気になるところ。
あと、烈先生のボクシング編も終わらせて欲しいで砂。
十兵衛の命日>
おお、そういえば。
しかし、この話を今年中に書けるのか、
今から不安になってきてなんともはや。
-
まー、リアル優先は致し方無く。
気長に頑張ってくださいまし。
投票はながもんに一票。
-
どもどもです。
今晩と明日、何事もなければ、時間はできるので、
後は当方が書けるかどうかというところであり、
目標だけは3/30(日)の21時に持とうと思うところ。
なかなかなんともはや。
>>7
投票了解ー。
そーいや長門は結局手に入れずじまいになりそうであるなあと思ったり。
-
どもどもです。
明日からの仕事の絡みで今日はやっぱ無理に。
しかも来週は京都に戻るので、更新不可確定であり、どうにもこうにも。
一年も1/4が過ぎたのに、全然更新できないので途方に暮れます喃。
なんとも申し訳なし。
-
どんまい。
気長に待っております。
-
どもどもです。
土曜出勤で帰って寝て起きたら日曜夕方でげんにょりと。
なんかもう毎週が投下無理の報告ばかりで、
むしろ投下する時だけ告知した方がいいんじゃないかと思ったりもするも、
それは書き込みが一切ない状態が長く続いて、ますますお寂し山と化すので
やはり告知だけはこまめにしようと思う所存。
てなわけで今日も無理ゲです。申し訳なし。
あともう2.5話分、進められれば、それなりに区切り感もあるんですが喃。
むう。
-
どもどもです。
今日は休みで、明日も多分大丈夫そうな気がしますが、さてどうなることやら。
なんとか更新できるようなら、明日(4/20)の夜21時の投下を目指したいものですが。
ううむ。
あと、間が開いたので現行の次回解説役投票状況も。
【その67解説役投票経過】
4票 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱)、庚夕子(黄昏乙女×アムネジア)
2票 : 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱)
1票 : クロエ・ルメール(ガールフレンド(仮))、桂ヒナギク(ハヤテのごとく!)
ではではー。
-
がんばです。
そしてながもんに一票。
-
了解、お待ちしてますわ。
-
了解でーす
では夕子さんに一票
-
うーむ、どうにか手に付き始めたのはいいものの、
まだ10レス程度しか書けてないので、もうちょいお待ちを。
とりあえず、23時になったら、分量は問わず投下する所存ー。
-
…もう30分だけお待ちをば。
-
なんとかまとまりました。
あんまり量はないので恐縮ですが、では、始めます。
-
|:::::::/::::/⌒V///}::/ l/:::::::::::::/
|:::::/:::/ へ、ゝ _,ノ' \ |:::::::l::::/
::::/::::; ハ V- _ >、 !::::: |:::{__,
::/::::::{ 〈 j| - _ /: / \V::::`フ´ …久しぶりの更新よ。
:'::::::::::\ /: ,' /7/厂´ 相変わらず全然進んでないのは許して頂戴。
::::::::::::::::::` ーヵ /n l /´{':/
::::::::::::::::::::::::/ | U 〈 ∪ V 「
:::::::::::::::::::::/ ! 丶- ' |
::::::::::::::::/ ヽ /厂
-
そして年が明けての寛永二十年(1943)三月、
品川・東海寺…
,.,-‐'´''`´''`´```丶. _
_ ,.,イ `'i
,.ィ´ ,ィ'`´'' ィ'`´'' 、 `'丶.
(( ィ'`´''`´` 、_ヘ
`i, _i'´.r==ィ=‐イ.,.,ー‐<´ `i `'' i
ゞ. r=rl ‐ l i __ rl A , l _/`ir'ヽiソ
,>‐ュr 、,ヘー'´l i  ̄  ̄ i´ l H‐-k'´i._
<ソ-‐イl / ,. __i_i ___.l r=ュ._,ュ.j l i´`i_
,ir‐i´_ ,.,-‐''"i k' >ヘ ,,. l l. j i ̄`' '´`iヘ.
,ィi l l l i / l .l i .l l>'i lヘ. ,ィ、l i i‐、
,,'i i l _rュ l l__l __.l l ,r=、!__.r‐ュ.l i i iヘ l i ∧
,r-イ __l ,イ l二l i  ̄,,. ̄ ,,、 l l i l  ̄,`' i´ `l.,_ ∧
l / `r`  ̄,rュi l! l / ヘ ,i' ヘ l l l l i l _l i`'iへ.
,ュ/`=i .l ,'T, i ニli l i Y l l. Y l i l l l i l _ l i i .i ヘ.
r=' 7l ,l l i ;._!ニ!,‐-.iHェェェHェェェK二lェェH仁niニヽ / / i i i li、
. l i_ _l ,!,-‐''"~へー =<〈 _<l_li__ヘヘ_il二l二i ,'丿 // // ,ィ`丶/l i_ l_i i,
. ト,.l _i>-、<>l><>>'´; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; `'丶. <l!>l<>l><lヘ l
l./ `ヘ._.i `<> </; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . ヘ / <i<> <>.<./
`ヽ. ir `>、<>/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . ヘ,'<>、< _k ili /
`''ー ,.,_ 二 > l; ; ; ; ; ; ; ; ; ; 東海寺 . . . . . . . . . . . l < 二 _,.,-‐'"
 ̄ ̄ ̄∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;.. . . . . . . . . . . . . . . . . / ̄ ̄ ̄
∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . , '
ヽ.; ; ; ; ; ; ; ; ; . . . . . . . . . . . . . . /
`丶.: : : : : : : : : : : : : : : : >'´
`' <三三三二>'´
-
______________________________
______________________________
::::::| | ||_||_||_||_||_||_||
..::::::| | || ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| ̄||
. . .:.:::::|l i| ||==||==||==||==||==||==||
::::::| | ||_||_||_||_||_||_||
..::::::| | || ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| ̄|| ̄||
. . .:.:::::|l i| ||==||==||==||==||==||==||
:::::::::::::::::| |________________.....|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
;;;;;;;;;;;;;;;;;|;i |三二三 ニニニ三 ニニニ三 ニニ三.ニニ 三||_________
,rn / ̄ ̄\
r「l l h. / ⌒ ⌒. \
| 、. !j | ( ⌒) (⌒) | おお、和尚!
ゝ .f, | (__人__) | 但馬、今、戻ったぞ。
| | | ` ⌒ ´ |
,」 L_ | .| そちらも息災そうでなによりじゃ。
ヾー‐'| ヽ ./
| じ_,,ゝ (,_
\ ´ `ー--一- `ヽ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | フン、年甲斐もなくツヤツヤしおって。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 湯治が効いたようだな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ 少しは楽になったか?
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
湯治から戻ってきた宗矩は、沢庵和尚のところへ挨拶に訪れていた。
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ⌒)(⌒) うむ、久々に気楽に過ごせたわい。
| (__人__) 正月は故郷で過ごせたし、有り難い話じゃ。
| ` ⌒´ノ
,| } 家の方も、特に何事もなかったようじゃし、
/ ヽ } ..和尚にも世話をかけたの。
く く ヽ ノ
\ `' く
ヽ、 |
| |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', ほう。
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 湯治の帰りに柳生庄へ寄ったか。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 確か、最後に入ったのが十年前(寛永十年)だったか。
/ / |::::::| │ `---´:;/ | |ヽ ..正月を過ごしたとなると…下手をすると
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ ..石舟斎殿存命の頃になるのか?
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
『玉栄拾遺』の記述によると、この年(寛永二十年)の正月を、
宗矩は柳生庄で過ごしていたという。
-
__
/ _ノ\
/ (一) …そうじゃな。
| (__人) もう何年前になるのか、分からぬほど
| l 昔の事になるのう…。
. | |
. ヽ ノ まあ、陣屋の表門について、
ヽ / 年寄衆からお尋ねもあったしの。
/ ヽ そちらの検分のため、という名目じゃが、
| | 災い転じてなんとやら、というところじゃの。
|. |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | .昨今は奢侈を戒める方向で
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 御政道が進んでおるからな、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 元惣目付のお前へは、より厳しい声が出るのは仕方あるまい。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ まあ、終わりよければ全てよし、というところか。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
この頃、柳生家では、所領である柳生庄に陣屋を新築していたが、
表門の造作が派手ではないかという風聞が立ち、年寄から宗矩に尋問もあったため、
これを簡素に作り変え、竹の枝折門に変えたという記録が『玉栄拾遺』に残っている。
-
/ ̄ ̄\
/_ノ `⌒ \
_ .| (● ) (⌒ ) .| ま、そういうことじゃな。
| ! | (__人___) |
| ! | ` ⌒ ´ .| やはり故郷は良いぞ、和尚。
| ! ,.-,| | わしがおらぬ間、和尚には世話をかけたし、
._,ノ ┴、/ ,/ .| / .和尚も湯治てがら、故郷に戻られては如何かな?
.r `二ヽ ) i ヽ / .わしが上様に取り成すでな。
.| ー、〉 / 〉 <
.| r_,j j / ̄ '' ̄ ⌒ヽ
.| ) ノ/ { ィ, }
ノ ,/ | |{ |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | …そうだな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| それも悪くはない。
/ / |::::::| │ `---´:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
.rニYニヽ
|レ / j | (…それが、おそらく
!!_ イ } | 俺の最後の帰郷になるであろうからな…)
゙- '´ ,、 /j j
-''´ ,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
__ii__ | | ルリ-ト、|州リ | .|
イi j | | |,
` , イ | | | |
ノ } | |
/ | |
// / |
. // / ',|
/ / l |
/ i / ヽ
ん-ト、 | |'
ヽ/ / | | l
ヽ / | | レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| / ̄| j
', { |. |
',__,r' } .| j
', | |`丶、r'
', | | j
-
: : : : ト ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
/ : : : :..:| \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
. /: : : : : :/: : :.:j ,.斗ヘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
′: : : :.:′: :.孑'y==ミk:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.____
i : : : : : : ::::::::/ j_迅)ィ彡!:i::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::iニニ
あれ? ... |:..:.|::::::::::::::: / 三¨¨ l|::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::|=/
江戸に戻ってきたのはいいけど |:::::|:::::::::i::::/ l|::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::|/ニ
柳生庄にも寄ってたの? |:::::|:::::::::|:〈 l| i::::l::::::::::::::::l ::::::::::|::::::::::::::;=ニ
|:::::|:::::::::|::i丶 l| |::::|::::|::::::::::l::::::::::::|::::::::::::/ニ二
|:::::|:::::::::|::| ---- .リ |::::|::::|::::::::::l::::::::::::|:::::::::/ニ二
:::::|:::::::::l八 |::::|::::|:::::::::::::::::::::/! ::::/ニニ二
Vil!::::::::|:::::::.. | :/::::|::::: /::/|:::/ィ|/=ニ二/
Ⅵ 、:: |:::::::::::ヽ / |/ | ::|::::/::/ :|/=ニニニニ/ニニ
∨:::::|::::::::::ーr―< ,ノイ::/l:::ハ/ /ニ二二/ニニニ
∨::ト:::::l∨レニ/__////イ..l/:/ィニニニ二/ニニニニニ
∨} リニ二//////.∧: :/=ニニ二/ニニニニニニニ
, "´ ̄ ̄ ̄` 、
/. : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/: : : : : :」: : : : : : : : : : : : : : : : ', そうね。
,: : : : /´|: : : l: : : : : : : : : : :_: ハ 『玉栄拾遺』によると、
| : : / |: : : |: : : : : : : : 、:_:ノ.: :|
| : / !:、: :ヽ: : : : \: : `フ: : ! 「寛永二十年癸未年、公柳生邑ニ居玉フ。
l : | ヽ\: :\ニ=-‐¬「:: : :l 臣按、「福智院旧記」云、中坊長兵衛殿ニテ正月廿五日、
N | ,二ニ=、 `T^ノff__ノハ| : : :/ 柳生但馬殿能興行アリ。
ヽ \/ff__ノ} riく 丶 ゞ= '_ノ: : :/ 因幡狂歌、柳生殿小太刀テカゝル礼儀ヲハ中坊ニテオサメトゝムル」
`Tヘ ゞ='_,ノ 〉 /: : /!
丶ハ、 ,: : : ':.| とあるから、少なくとも寛永二十年の正月後半頃、
`'ゝ. ^ ⌒ /: : /: :| 柳生庄に留まっていたというのは間違いなさそうね。
l: ::`> _//.: : :|: : |
|: : : :_} / : : : !: : |
|: : :/\./|: : : :|: :|
/:/ /ハ |: : : :|>、:.
__ -‐'´ | //∧ j: : : : :! 丶 ___
| | 〃{/l / : : : : | / |
-
/ : : : : : :/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヘ
/: : : : : :/: : : : : : ; -‐ ヘ: : : : : : : : : : : :ハ
,: : : / : /: : : : : / |: : : : : : : : : :{、:_:ノ}
|: : r、: / : : : / |: : : :|: : : : : :ゝミ彡イ
|: : |/ハ!: : : / |: : : :l.: : : : :\:_:_ノ まあ、家光から正式な帰国の許しを得たわけじゃないから
',: : V/ヘ : / ',ハ: : :\: : : : : :フ | あくまで立ち寄り程度だったのかもしれないけど、
',: ::r\_)/ - ――‐-ヽ\: :ィ≦ニテ´: :/ .それでも、数十年ぶりの故郷での正月は、感慨深かったでしょうね。
V:{ ヘ`\ y‐f テミメヽ \/fトィンノ: : /
',ハ ヽ {ヘ弋升ン (}´ ̄ `¨´イ : / ついでに言えば、宗矩が行った湯治先について、
',: \ ヽ `¨´ ノ |` /: :/
',: : :`ニ\  ̄ / : / 「湯治のついでに柳生庄に寄れるとすれば、
',: : : : : ::}\ ィ_ァ /: : / ..関東ではなく上方の温泉だったのでは?」
',: : : : /{ 丶 //: : : '
}: : : / \ `Tニ{: :/ : : : ! という推測も成り立つから、
/ :/ 丶 _ノ V : : : : | 行き先が有馬温泉の可能性が上がったとも言えるわね。
-‐ "´{ /ヽ /: : : : :| ̄ ̄
. -‐━--
/:::::::::::≠=‐----:......... __
^ヘ:::::::::::::::::::::::::::ヽ :.______
///} / ー----― \ )
/:::::::::::/ 八/ } \
:::::::::::: }/.......\// ../≧=--r-‐ヘ\ 丶
そういえば、正月に故郷に居られるなんて (} :::::::::::::: ::::::::::::^ー /}/:::::::::/}:::::::::::. } }
宗矩にとっては、随分久しぶりになるのか。 . :....:::::::::::::::: ::::::::::::∠... /ハ:::::::/ 」::::::::::::
.. : ::::::::::::::::::::::::::/ ̄〕/^ }//≦.]::::::::/}
それで久々の故郷でやったのが .:::::::::::::::::::::::::勹瓜㌃ヾ/ r ㌻Y : :/ ;
能興行というのは宗矩らしいけど。 ..... /:::::::::::::::::: :: { { :: //′
_/}八::::::: \: : \ _/ /::〈/′
{r弖三三二ニ=- _ _ __,, ..:::::小:\
. ┌┷=ニ二三三三二ニ=- _/::::::{ { } ヽ
√ ̄ \三三三三三三三人
-
,. -ー…‐- 、
/.::::::::::::::::::::::::::::\
/::::/{::::::::::::::::::::::::::::::ヽ あと、この前年(寛永十九年)にできたばかりだったのが、
,'::::/ ‘:::::{::::::{::::::::、:::::::ハ 現代の柳生庄(奈良県奈良市柳生町)に遺跡が残る柳生陣屋ね。
|:::;'-―-ヽ:{\{\:::::>:::::| 坪数千三百七十四坪(4542㎡)とあるから、甲子園のグラウンドの1/3程度よ。
〈`Y´ ̄`ヽ /´ ̄`ヾT::::::| 以降、何度か改築があったけど、最期までこの陣屋が
N!ィ=ミ }ー{ ィ=ミ !::::::;' .本領における柳生家の本屋敷になるわ。
い、__ ノ, ヽ _'_'.ノ::::/
|:ーゝ、 丶-- ' ,.イ::::/ ..この新築の陣屋を検分する、というのも
|:::ヽ:::ヽフT フフ〔へ::::/ .立ち寄った理由の一つだったかもしれないわね。
/::::/ \:::\∧/く| V 従来の屋敷と違い、大名の格式の屋敷な訳だから、気合も入ってたでしょうし。
/::::::{^ヽ ヽ::::|、//l ヽ.
,:::::/::.、 ',l::::|0 /yー ヽ/_,,.. ..,,_
|::::l|::::ハ V__厶ィ¬、ノ {(..::::::::..)}))
|::::l|::/∧ } _」.ノ┘ >、 ̄ ノく
乂乂 ヽ _,. '´ .ヽ.`三´ノ
/\_,/
{:::/
/
/:::::::::::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: V
. /:::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
//|:::::::::::::::::::::::::::::/:::/::::::::::/:::::j:::::::::::::::::::::::Ⅴ::::::: ヽ
でも、『玉栄拾遺』によると、 . 〃 .|:::::::::::::::::::::::::::::/::: イ::/::/ヽ:::::::::::::::::::::::Ⅴ:::::::::::V
.. i! /::::::::::::::::::::::::: /::/ ./:/::/ ` ::::::::::::::::::::!::::::::::l:::i
「表門ヲ造作ノ時、其事夥布風聞アルノ由、 V:::::::::::::::ィ::::::::: ハ/ /:/::/ ヽ:::::::::::i:::!::::::::::l:::|
時ノ老中ヨリ宗矩公エ尋問アリ。 .... l::::::::://::::::::::/'―-- |::::/{ --―― .}::::::::::!::|:::::::::::::::!
故ニ其作事ヲ薄クシ竹ノ枝折門トス」 .. |:::/ニl:::::::: / ーtテ‐'iハ{ ーtテー ,ハ::::::/:::|、::::::::::/
.. //ニニ/:::::: /{  ̄  ̄ l:::/:::: |ニ`;、:/
とあるから、1回作り直しが入っているのか。 / l=ニ/:::::: /ニ\ , ./|;ハ::: |ニ/ \
.. イ .V=|:::::::/ニニニニ=- _ _ -=ニニニニニ }::::|イ ヽ
やはり、まだこの時期でも、 /i V|,从{ニ=- _ニニニニニニニニニニニ_/ニニニ,j/ iハ
大名の陣屋や城の立て替えについては、.... ′ \ニニニニニニ=-ニニニニニニニニ/ニニニニ/| i ||
制限が厳しかったんだな。 ...... i ∧ l. \ニニニ\ニニニニニニニ=-'ニニニニ./ニ/ .| / .|
. /| ∧ |. \ニニニニ=―‐ '´ニニニニ ,イニ=./ | ./ |
/ .| ∧ l. ` =ニニニニニニニニニニ/ /ニニ/ .| / .|\
-
その後、江戸への帰着の挨拶回りも終わり、
宗矩は再び日常へと戻っていった。
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;!゙`''〜^〜ァrr-'゙`'´''ラヘ;;;!
|;;;| ノリ ミ;;;|
_ゞ;! ー- ..,,_ ,,.-‐'''' ミ;リ .ははは、やはりお前と和尚が揃っていると、
!ヘl;| ,.=≡=、` ,´ィ,.=≡=、「ヽ 話がしやすくていいな!
!(,ヘ! '" |:::.` ,ドリ
ヾ、! !; ,レソ お前に相談したいことは色々あるんだぜ?
`| ^'='^ ム'′
.ト ヽ二二二フ .,イ
i| \ === ,イ.:|
/ i| ゙、\ ; /リ.:;!:::\、_
゙! ゙、 `ー─''゙:::;:'::::|::::::::::\
゙、 :::/::::::|::::::
`ヽ、 ゙、 ./ .| ,-、、
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒
| ( ⌒)(⌒) 勿体無いお言葉にございます。
| u .(__人__)
| `⌒´ノ
| }
ヽ }
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
三月十四日、東海寺への家光の御成に従い、
同月二十二日には、家光が柳生家下屋敷に立ち寄るなど、
将軍家側近としての生活が再開している。
-
/;;;;;!゙`''〜^〜ァrr--'゙`'~´''ラヘ;;;;;;;;;;;!
|;;;;;;l 从リ |;;;;;;;;;;|
.|;;;/ ヽ |;;;;;;;;;| 但馬、あの家の件だが…。
|:::|∠ニ'==ァ 、====ニゝ〉;;;;;;|
/ | '´.旬`ヽ :::::´ 旬`丶 |/⌒.l
| r| `  ̄´'"l ` ` ̄´ ´ ト`l.|
l l .l l > /\
.ヽヽl .' / /|. \
.`/| ヽ ^,.- 、 ,.-、 l-'´ .| ',-,,_
_ -‐.../ ヽ -=ニニ| | | ヽ/ . | ∨ "''-,,
_,-‐ " / lヽ ー-|― | .ヽ―| /ヽ ∨ "'
,,、-‐ ''"´,,、-‐ ''" . ./ | . \ l_ |/|_| |.、| .∨
/ /_,-‐ " / |. /⌒',--|. | / | / / ∨
./ l / | ./⌒/ .\|_∨ .し `/| ∨
,,、-‐ ''"´ .l,,、-‐――――-‐''"`"''ー-l. lヽ._.,  ̄ `,' l ∨
 ̄ ̄ ̄ ̄ ´  ̄ ̄ヽ__ ヽ__| ̄ ̄ ̄) .,'./ / ̄
 ̄ ̄ヽ \ . ̄/⌒l ̄ ̄´ `―――|/ / _,,
 ̄ ̄ l . ヽ | / ̄´/ `ヽ、 .|―――― ´ー'"
,,,-'´`ヽ、_____,.,-, l |―´ |ヽ-.´) l /
,,-‐''"´ l | .マ ..l / \ | ,,.-'´
`― ´ `lー――´"'' 、
\ ヽ | `ヽ、
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー) そうですな。
. | (__人__) 神君様御墨付の法を犯したとは言え、
| ` ⌒´ノ 既に本人も所領返上を申し出て謹慎しておりますし…
. | nl^l^l
. ヽ | ノ
ヽ ヽ く
/ ヽ \
例えば、寛永二十年五月十二日に柳生屋敷に家光が立ち寄ったのだが…
-
その翌週、会津加藤家の改易が公開されている。
_,, -―――――-、
_, -" `ー、_
/ \
/ r――、 ノ
ノ / \ __ l´
/ __ / ___ ヽ /ニヽ ヽ
| / ヽ / 、_,\ `Yー 、ヽ l
| l r.ソイ / ._ ー、 o、\ 、 ノ ノ | /
| | |( / `'" ´ ̄|||i`` ┘ ソ __ | /
/ ヽヽイ fー。、` |/ 五年ぶりに出番だと思ったらこの扱いだよ!
/ / ゝ, ヽ`ー'/
| l / ノ/ −ノ l
レレ"/ l. / ̄ー、ヽ /
./ '、 l|::::::::::::「/ /
/ '、 ヽ、::::/ /
/`ヽ/ヽ、 '、 _ ̄ /
___/;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、ヽ、 、  ̄ /
;;;;;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、ヽ_ `ーr、_/
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;r;;〉 `ー、__/__
加藤式部少輔明成
(かとう しきぶしょうゆう あきなり)
この加藤家のお家騒動である「会津騒動」については、
以前(その18:ttp://tagenmatome.blogspot.jp/2009/09/18.html)にも述べたので詳細は略する。
(あと、Y十MのAAが見つからなくてどうしたものやら)
-
-'´ ̄ ̄ ̄ ゙ '- 、
.r´' ヽ
.( ,nヾ、_、_、__、- l 会津二十三万石に加えて、
π r .! .飛び地の五万石もあるから、
(| ‐‐-、 ,.-‐‐ F-、j 合わせれば水戸家と大差な石高になるな。
.! i ∂!
i 、____, .!- ' 兄上…もとい上様も随分と僕を
.(二ヽ、_ `=´ _,ノ二二) 買ってくれたものだ。
/ Y '|| (_ヮョヮ_〉> ヽ \
,´ i || >',〉llll〈/< 〓〓 .l ',
l l ll \',.ll.// 万万 l l
、 .l ll V ' ○○ l ノ
-,' ll ',- '
lニニニニニ::[三]ニニニニニニニニニL
/ ‐-、 -‐‐ \
\ /
゙--------------------´
| l |
l____l____.l
/i _,......|......,_ i\
 ̄ ̄ ̄  ̄  ̄  ̄ ̄ ̄
保科肥後守正之
(ほしな ひごのかみ まさゆき)
そして加藤家の後には、家光の実弟である保科正行が入った。
幕末に(色々な意味で)名を上げる事になる会津松平家の誕生である。
-
,ィ!´ ̄``i''ー─- 、、、,,_
イ三二二ニニニゞ ( j〉 」´ ̄ ̄``ー-、ヽ .,.:,..:.. .,.:,..:..
... ,... ``ー─'"´  ̄ ̄ ̄ ̄
,ィゞ .,.:,..:.. .,.:,..:.. ... ,...
ー====- ー====-
... ,... .,.:,..:.. ... ,... .,.:,..:..
_, -─‐- 、ー‐-、ー-、 ;: ;:;: :;:;: ; ; ,ィゞ
,イ、,r'⌒ヾ ヽ ヾ ``''ー- -、-‐''"´ヽ;;: :;:; ;:; :;:; ;: . .,.:,..:..
,r/ (::;;:;:;;/ー-、 j `, _ /ィ´ ;:; :; ;:; : ;: ,ィゞ
ヽ 「i''ー'"´ ,r-‐'ー''''"´ ̄
,ィ!´ ̄``i''ー─- 、、、,,_
イ三二二ニニニゞ ( j〉 」´ ̄ ̄``ー-、ヽ .,.:,..:.. .,.:,..:..
... ,... ``ー─'"´  ̄ ̄ ̄ ̄
,ィゞ .,.:,..:.. .,.:,..:.. ... ,...
ー====- ー====-
... ,... .,.:,..:.. ... ,... .,.:,..:..
_, -─‐- 、ー‐-、ー-、 ;: ;:;: :;:;: ; ; ,ィゞ
,イ、,r'⌒ヾ ヽ ヾ ``''ー- -、-‐''"´ヽ;;: :;:; ;:; :;:; ;: . .,.:,..:..
,r/ (::;;:;:;;/ー-、 j `, _ /ィ´ ;:; :; ;:; : ;: ,.-'''"-─ `ー,--─'''''''''''i-、,,
ヽ 「i''ー'"´ ,r-‐'ー''''"´ ̄
また、寛永末の頃は、「寛永の大飢饉」と呼ばれる大規模な飢饉が発生。
それに伴い、都市では治安の悪化も発生しており、家光の頭を悩ませていた。
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 島原の件も落着し、
| ( ー)(ー) 御世継の事も解決したとはいえ、
. | u (__人__) 世に問題の種は尽きまじ、か…。
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= )
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;)
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | …そういうものだ。
//イ / /::::、 '´ ` '|| | ほれ、行くぞ。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
宗矩や沢庵は、実際に政務を執る年寄衆とは別に、
家光個人の相談役として、これらへの対処に悩む家光を支えていたものと思われる。
-
∧ ,. ::::´:::::::::::::::::::`ヾ_
|::| /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
|::|/:::::::::::::::::::::::::::/ 7ヽ::::::::::.
. 」 L:::::::::::::::::::::::/メ、/ V::::::::i
..`V⌒!:::::::::::ィぅx / ⌒V:::::::| 今回はここまで。
/ヽノ \::/ V)ソ` rぅ、 j:::::::| …次でこの話が終わらなかったら、削ごうか?
:ハ::ヽ ヽxxx `㍉':::::: |
. | ヽ::ハ ヽ - 、 xxノ::八:!
V ト--- r イ/ .リ
} |`r一-{ヽ
| ノ ヽ. | ∧
| 〈 |〓| > ヘ
. }. \/_j/ } ヘ
/ニニニ======ニ{__」
/ニニニニニニニニム _j
`7 ⌒Y Y⌒Y´
ムニニj ト--|
. ムニマ |ニニ!
ムニマ .|ニ{ .... __ __¨ ./
に二} .に二} . ._) _) \
-
てなとこで今回は終了です。
こんな時間までお付き合いくださりありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
毎度ながら分量が少なくて、なんともはやですが、とにかく投下できたので
個人的にはやれやれと。
さて、次回で終わらなかったら削がれるかも知れぬ訳ですが、
今のペースで考えると、次で終わるのはちと厳しそうであり、
なかなか話が進まなくてすいませぬ。
次から漸く前スレ最後の予告シーン辺りの話になる見込みなのですが。
あと、会津騒動の話とかどえらく久しぶりにしました喃。
前のがもう5年前とか、時間が経つのは早いもので砂。
Y十MのAAも見つからず、ナントモカントモ。
ともあれ、どうにかやって行く所存であり、
気長にお付き合い頂けましたら幸いでアリマス。
よろしゅうですー。
最後に、次回の解説役投票経過をば。
【その67解説役投票経過】
5票 : 庚夕子(黄昏乙女×アムネジア)
4票 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱)
3票 : 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱)
1票 : クロエ・ルメール(ガールフレンド(仮))、桂ヒナギク(ハヤテのごとく!)
ではではー。
-
乙ですっ!
-
乙でした
aaないのか……
-
どもどもです。
さて、世間ではGW開始ですが、当方は4末終了目処の案件が、
GW明けまで延びたので、微妙極まりないスケジュールに。
休めないってほどでもないけど、11連休とか無理ゲです喃。
むう。
で、更新ですが、なんとか今週も成功すればいいなあと思いつつ、
目標は毎度のように明日(4/27)21時からにしたいところ。
今回で最後まで行ければいいのですが、さてはて。
それではではー。
-
どもどもです。
なかなかどうにもならぬままに日曜は過ぎ、気がつけばこの時間であり、
そして全然書き溜まってないという有様。
申し訳なし。
理想を言えば火曜日に、
そこまでいかずとも、せめて連休中に一度は更新したいものなのですが…むう。
ではでは。
-
>>1乙であります。
リアルをお大事に〜。
所で話は替わるとして、話を見返す為に多元のまとめサイトに行ったのですが、
まとめが島原で止まってるのはともかく、そこに表示されてる
柳生一族家系図が未来に生きてる進化を遂げてるん(宗冬関連)ですが、
こういうのってまとめサイトさんに直で言った方が良いのですかね?
-
>>41
おお、言われて気づいたり。
まあ、話に未登場のキャラがいるといっても、
未読の人からすれば、そもそも宗矩や十兵衛、兵庫助や厳包も未登場ではある訳で、
その意味では、それほど問題ではないかなあと思うところ。
目次ページのみですしね。
それに、多元さんのところも更新されなくなって久しいですし。
-
この頃はスレがエタるどころか
まとめサイトがエタるのも珍しくなくなってきたよなぁ。
時代の流れかねぇ?
-
やる夫スレが始まってもう五年以上はたつしなあ
古参の作者もまとめ管理人もそりゃ生活環境も変わるだろうし
-
連休頭から読み始めて。5年分追いつきました。面白かったです!
こから楽しみに読ませてもらいまーす
-
どもどもです。
さて、4連休に入り、せめてこの間に1回くらいは更新したいところ。
目標は明日の21時ですが、後ろにずれたらすいませぬ。
よろしゅうですー。
やる夫スレ>
うちのスレも、初期の盛り上がり(徳川スレとか)の後、
色々出てきたスレのひとつってところだった筈ですが、
現行の歴史スレの中だと、最古参になってしまったので、
時間の流れるのは早いなあと。
なんとか最後までまとめてもらえるうちに完結させたいものでアリマス。
>>45
これはありがたや。
最近は更新ペースがダダ落ちでさっぱりな有様ですが、
気長にお付き合い頂けましたら幸いです。
-
どもどもです。
今日がダメでも明日がある、明日が駄目でも明後日がある、
などと考える時点で、既に駄目スパイラルなのですが、
それも今なら許されるんだよ、そう、4連休ならね!とかいう具合に
今更の脳内ジョブスがなんか言ってますが、とりあえずまだ書けてないので、
投下の目処が立ったらまた告知しまする。
すいませぬ。
-
明日があるさ明日がある スレの読者には夢がある
いつかきっと いつかきっと かなってくれるだろう
-
どもどもです。
どうやら23時くらいには投下できそうです。
今回で66話の最後まで進める見込みでアリマス。
よろしければー。
-
よっしゃー!
まってまっせー!
-
どもどもです。
お待たせしましたが、それでは今から投下します。
-
,.ィ:::::::::::::::::::::...、
/::::::::::::::::::::::::::::::::\
,.::::::::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::',
/::::/:::::/::::::/::::::::ハ:::::::::::::::::.
,:::::/:::::/:::/i::::i:::/__':::::::::::::::::
i:::::':::::::;ィzzx|::::j/ xzz::::::i::::::::| 今回で「その66」は終わりよ。
j::::i::::::::,杙_ツj/ "マソ::::::ト::::::|
,::::::ハ:::∧ , /:::/ィ:::::; …削がずに済みそうね。
{::::{:::::::i::ハ _ _ ー=彡::::/
乂:マ:::>''"´ ̄ ̄ ̄ ≧zく
__}´ /`ー- __ ツ
/ ハ 、 / __ ∠
∠__/ .}、  ̄ __/,..ィ´ }
,,.ノ> ≦zz ー//乂 / 、
>"Y´ -=≠ / ./ / i ∨
> "´ .ノi ′ .{ ./ / アハ. V
,.ィ ´ / .ハ { j /..イー ''i! ', ∨
./ / > ''´/ ゝ .. i! / {____j , i. ∨
/ /´ .ハ i }} .′ i ∧ | ∨
/ / i \. , .i |′.', j. ∨
./ ′ { ゝ ,′ i! | , .∧
{ { 乂/___/ || { .. -―- .、 / } i!
:. i i! .!i T´ i | {- ´ ノ__, |
ヽ 乂_,ィ .i{ || j__j_,.ィ_j .ハ r--/ .|
`  ̄ ̄ /|! i! / ムヽ ∨./ __ノ
ヽi! / i ./ /. \ / .イ´
,.r=./ { { / / .i~V /
{{ .ムT≧zz--zz≦´}}´ レ′ /
ゞji_jj__{{__}}___jj..ィ ⌒ヽ /:::::{_
____________{{________ / iゝイ::::::::::::::i
_/__/__/__/__/__/__/__/ ノ/ ハ- 、::::::(___))
/ ./ /:::/´ { { ア ..' ム { { ムァ__ソi  ̄ ̄i!>x
/ ./ j::/ニ {{≧x _ヾ} 乂 { L` ̄:::::::::::| | >x
./ ./ ,ソ `ヽ\} `¨´ヾミ::::::::::! .| >x
/ ./ /ニ{ニ}ミx、. \|ミニニニ ===¨ | |
./__ / .ム、 ヾ\ i、 .| |
\ \ .i\\. \\| `''ー――― .! |
-
さて、こうして寛永二十年も半ばを過ぎた七月、
江戸城は珍しい客を出迎えることになった。
!:::::::::::::::::::::::| |:::::::::`‐-、:::! |::::::::::::::::::::::|
|:::::::::::::::::::::::l |:::::::::::::::::::::::| . !:::::::::::::::::::::l
i:::::::::::::::::::::::l !:::::::::::::::::::::::l |::::::::::::::::::::,r'
l::::::::::::::::::::::! |::::::::::::::::::::::| .. l:::::::::::::::::::i
/:::::::::::::::::::| !::::::::::::::::::::l ,.!弌='ィ,::::::::::::|
/_::::::::::::::::::::! |:::::::::::::::::::| 、==ft (,! !、_,r'
ヽ、:::、:::::::::l i:::::::::::::::::::! _,r'´ ̄ ゙i゙ッ,r'´ニi;;;:::
、ヽ、ヾ、:::| |:::::::::::::::::::|、 . (゛'‐‐ー゙_、,r'´;;;::::
:::\::\:::ノ l::::::::::`ー==!  ̄ ̄ ̄
ヽ、:::ヽ:::! ヽ::::::::::::::::::::| ザッ…
/`ヽ__/ i:::::::::::::::::::l
 ̄´ ̄ j;;::: |::::::::::,ィ'=弌!、
¨ ̄´ ヽ_ノ !ノ tf==、;;:::
iニ`ヽ〃/  ̄`ヽ_;;:::
`ヽ、_゙ー‐‐'");;:::
/ ̄ ̄\ '_
/ ⌒ ⌒\ 、
| (●) (●)|
. | (__人__) .| (おっ、到着したか…)
| `⌒´ |
. | }
. ヽ .}
ヽ ノ
/ }
| |
| |
-
/ `丶 .,_,. \--:、ッィイ-――ぅ_:.:.:.:.:.:.:.:.:',
/ __,..> ´ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`ヾ:.:.:.:.:.,
.′ 〈 \ \:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.}:.:.:.:.:.′
, ム ヽ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〈:.:.:.:.:.:.:,
| -=ア | / \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∨:.:.:.:.:,
| / ,. --一'⌒ヽ -―\‐-:.:.:.,,_:.:.∨:.:.:.:!
/. .::| ´  ̄__,ヽ:.:.:.\ ´:.:.:.:.:,ノ;,__`ヽ:.:.`:.:|:.:.:.:.:! ふむ。
ノ: : : | <_,亥-冫'" ヾ:.:..ヽ亥,_>:.:.:.:.|:.:.:.:小 出迎え、恐縮に存ずる。
ヾr 、! ` |:. `ヽ:.:.!__:.:/
| ,.、:, |:.:. .:.:/-:.:.| 朝鮮国国王よりの使者として、
| .:.:.ハ ; |:.:.:. .:.:/l:.:.:. | 日本国大君への御目通りを願いたい。
\:.`:, :^:.:.:^:.:: .:.:/ノ:.:./
\l ,, _____,,..ュ .:.:/:.:/
\ ` ̄ .:.:イ'フ
|\ ー―‐ .:/!/
|.:.:.丶 .:/ :.:.!
| .:.:.:.\ .:/ :.:.:.:.:|
| .:.:.:.:.:.丶__/ :.:.:.:.:.:.:.:!
r―┴────┐r―───┴┐
|ニニニニニニニニニニ! |ニニニニニニニニ.|
|ニニニニニニニニニニVニニニニニニニニ|__
,,ィニニニニニニニニニニニ|ニニニニニニニニニニニニヽ
正使・尹順之
(イン・ジュンシ)
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒
| ( ●)(●) 御使者殿、遠路よくぞ参られた。
| (__人__) ささ、お進みくだされ。
| ` ⌒´)
| }
ヽ }
> ノ
/ \ /て⊃
| ィ |\ `´ ゞ _三}
| | | \__/.
寛永二十年七月十八日、世子である家綱誕生の祝賀の為、朝鮮国よりの通信使が江戸城へ入城。
宗矩は、安藤重長、井上政重と共に、彼らを出迎える役目を受けていた。
(なお、宗矩は前回(寛永十三年)の通信使来訪の際も、同じ役を務めている)
【徳川実紀・寛永二十年七月十八日】
「朝鮮国信使聘礼行はる。よて信使は辰刻本誓寺の旅館を出て、路中音楽を奏し、その国書を先に立てまうのぼる。
(中略) 安藤右京進重長、柳生但馬守宗矩、井上筑後守政重は玄関まで出てこれをむかへ(後略)」
-
- ‐= ‐ 、
, イ ヽ ヽ
/ _,− 、_ i 「ヽ
ノ -―=',.‐''" ゙ヘ、_/__ ゙ l
/ '、 ,ノ ヽ ´ ゙lヽ>
┌ '" ノ .,' __ ` , ' !イ
彳..__ ‐ 、'冫 r_二 =ヾ._j .' |.! , ^ 、
ヽ //ヽ ゙ 丶ゝ-´_ユ`ゝ `/_=- ! ヽ \ ……………(ジーッ)
礀i l.ソ_ ヽ !´ユ`'/ , ‐> ‐`ヽ、
ヽ,゙ 丶i ! ! l 丶..ィ‐ 、l i
| |ゝ ! ′ / l l/ン' ̄'' 、ヽ
| /' ::'.、  ̄゛''ー 、 / i 丶< /  ̄二'、
_ l' │ ::\ ^ , ′ ! !:::l 〈 ri"` リ
/.:.:.:| │ ::\ / ! :::::l ノ ` ' i l
l:.:.:.:''‐...ヘ ::::丶___../ 丶 ノ !│
,/丿:.:.:.:.:.:.:.:.゛ー 、_ :::::::::/ゞ冫 ヽ 礀 / il\
_....-‐''.:.:.:./ゝ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.^'- ,/:.:.:.:.:l- 、 i人 −//// 〉、
_,,..-‐''"´.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!.:.:ヽ,,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.::/:.:.:.:`''ー-....__ ./- .、_ ./////,、.:.\
l''"´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i.:.:.:.:.^ー-..__:.:.:.:.:.:.:.:.|.:.:./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.///∟..////<\\/ \
\.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ̄:.゙'''l/く/ 、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.|//i_////:.:.:.:.:\丶, '/:.:.:ヽ
//i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ,,:.:.:.:.:.:.:.:|//|//| :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.V/////:.:.:.:.:.:.:.:.::/ /ヽ \:.:.:.ゝ
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) | ………?
. | u.(__人__) .| 御使者殿、それがしに何か?
r、 | . `⌒´ |
,.く\\r、 ヽ ノ
\\\ヽ} ヽ /
rヽ ` ヽ / ァ'´ヽ
└'`{ . \.| / i
ヽ、._ ヽ、_,r' .|
`ヽ、 /' |
`'ー'´
-
___
, < ̄ `ヽ
/ :.
/ \ `ヽ ヽ
7 > /⌒¨`´ヾゝ、} i! }
/ ./ __〉 `~´ヽ
ヽ /  ̄/ }/ |
∨ /⌒ヽ ! ≧__ i / _i
酛〈 〈i }/ ヾニ=‐-ヽ/ ≦}
',、ム__ヽ 〃Ⅵ7 うむ。
}ヽ { 貴殿の顔を見ていると、
|: : ̄| =‐-+ .何故か「魔岩」とか「妖術」とかいう単語が脳に浮かんだのだが…。
|: : : :ヽ.. _ / .どういうことであろうな?
|_ : :へ ´  ̄/
「:i:i:i:i≧=ニ_へ.  ̄ /
}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧>‐--
}i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:∨//
/.i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i|
/.i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:i:ヽ
/ ̄ ̄\
/ \
| |
. | | …御使者殿。
| |
. | }
. ヽ }
ヽニニニニノ 、_
/::::::::::::::::::::: ̄`ー
ヽ:::::::::::::::::::::::ーt-.._:
ヽ::::::::::::::::::::::::i
-
―――――――――――― ――――――――――――
/ ...-――-.. \ / ...-――-.. \
/ /::::::::::::::::::::::::::::ヽ \ / /::::::::::::::::::::::::::::ヽ \
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
| {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} | | {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} |
| {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} | | {:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} |
| :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::' | | :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::' | 魔岩も妖術も存在しない。
\ \:::::::::::::::::::::::::::/ / \ \:::::::::::::::::::::::::::/ / 勿論、朝鮮柳生もだ。
\ ――― / \ ――― / イイネ?
/ | \
/ || \ 「アッハイ」
/ || ヽ
| ハ |
| / ', |
| / , |
| / ', |
\ / \ / . ╋━━━━━━━━━━━━━╋
\_______/ \_______/ . ┃ ──そういうことになった ┃
_ --―――――――-- _ .. ╋━━━━━━━━━━━━━╋
/ \
-
通信使は東照宮に参拝するなどした後、八月六日には江戸を出立し、帰国。
次に来るのは12年後の明暦元年(1655)である。
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: | なんか色々ヤバいフラグが立ちかけた気がするが、
. |::::::::::: u | 無事に済んで何よりじゃわい。
|:::::::::::::: | ....,:::´, .
. |:::::::::::::: } ....:::,, ..
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ .
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: .
/:::::::::::: く ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´
なお、東照宮に参拝した通信使が、謎の妖術に基づく儀式をかましたかどうかは不明である。
-
そして、この通信使の来訪が無事に済んだことで、
もう一人、胸を撫で下ろしている人物がいた。
, - - === 、_
,rf´: : : : : : : : : : :`ヽ
/∧}: : : : : : : : : : : : : i
イ:{: :<Y>: : : : : : : : : : : |
弋: : } i {: : : : ∧: : : : : : …祝賀の使者も無事に帰った。
`ヽj_i_|: :.:..:/.: : : : : : ::i 若君様(竹千代)も、もう三歳。
|::|:|: : : : : : : : /: : :: 日々、健やかに成長しておられるわ。
|:Y: : : : : : : :V: : : : :ヽ
Ⅳ: : : : : : : : }: : : : }ヽ} . それに、弟君の亀松様も無事に生まれて、
.イ Yヽ、::ト、: : ル'リ人j お夏が懐妊したのもわかったし…。
f´ | || : : : : : : : : : : : : || |ヽ
/ | || : : : : : : : : : : : : || | }
f´ | || : : : : : : : : : : : : || | `ヽ
/. | ||三三三三三三刈:| \
{ _/´{ ` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ テ ̄ヽ }
. ∨ { 〉 /. , イ /
', `、.〈. 〉 f´ /
∨ }/辷iiヘ二二ii少 从___ イ
`ーテ'∧: : : : : : : : : : : ',ヽf´
廴 〉: i : : : : : : : : ヽ: :}〉
/: : : : i: : : : : : : : : : :', ',
-
_ -===- _ __
: ´:::::::::::::::::::::::::::::::::::`¨´:::::::`ヽ
/::::::::::/:>=====<::、:::::::::::::ヘ
,:'::::::::::/ '´ ___ ヘ::::::::::、∧
_ _/__'::::::/ ,. =ニ ̄:::::::::::::::::: ̄ニ=ト、 V:::::::::T==-L_
/ /'.../:::::::'´::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V::::::::', 〉
ヽ/ /.゙:::::::::::::::::/{:::::::::::::::::::::::::::::',:::::::::::::::::::V::::::::! ハ
/ / i::::::::::::::::::i V:::::::::\:::::::::::::ヘ::::::::::::::::::V::::::i r' i
ゝー‐{.、|::::::::::::::::::;-ーV::::ト、:::::ト、:::::::::ハヽ::::/ : |:|::::::::::::} 八
/::/ /:::::::::::::::{从:::ハ \{ \:::::}ー--∨:::: |:|:::::::::::::::(⌒ヽ
/::/ /i:::::::::::::::::| 斗芋ミ. \ )ノ ‐- Ⅴ::: !:!::::::::: |:::::\ これでやっと、
/::/ ∧::::::::::::::::::K 戈ぅノゞ ヽ 斗芋ミ。.∨::|:|:::::::::::i:::::::::::\ 私も肩の荷が下ろせるわね…。
. /::/ / ::|:::::::::::::: :爪 戈ぅノゞl\トト、\::ヽ::::::::::::::\
/::: {/ :::::|::::::::::::::::::::::ゝ jl ) }:::::\:::::::\::::::::::::i
. /:/ :l:::::::|::::::::::::{:::::: ∧ .:. 八_ノ:::::::::::\::::::丶:::::::ヽ
{( i:::::::ト::::::::::::';::::::::∧ ,乍:::::::::::::::::::::::\::::::\::ノ
人:::::! ヽ:::::::'.:::::::::::ヽ ` _- ‐ .イ::::::::::::|:::::::::::l::::::::::\:::::::}
ヽ{ \: \::::::\\ 。イ::::|::::::::::: |:::::::::::i:::::::::::::: \ノ
ィ ‐ 7`ヽ \::::::::く` ーr ´::::::::::: i:::::::::::::i\::::::lヽ.:::::::: i:::::}
. , ; : ァ‐ 7 ¨丁: : : : : | \::::::\ l\::::::::::: ト ::::::::::|:::::\{ \::::lヽリ
. --: : : : : : : : : : :: : : : : :j ヾ⌒` ト. }ヽ.:::: i \::::|:::::|:|:|ヽ. )ノ
ト: ∨∧:.: : : : : : : :. :. :.: :》 儿 :ト. \{ )j : ///: : :}
l ゚; :∨∧:.: : : : : : :. :.: : / } { i: : : : : : : :.′///: : :/
l ゚ : ∨∧:: : : : : : : : : ′ | : : : : : : : : ///: : :/|
}/ ゚;.:.∨∧: : : : : : : : | . -──- . | : : : : : : : ///: : :/.人
/ ゚; :.∨∧: : : : : : : |:´: : : : :_:_:_:_: : : : `: | : : : : : : ///: : :/ ヽ、
}/ ヽ: ∨∧: : : : : : { ´ ` | : : : : : ///: : :/ }
お福(春日局)
家光の乳母にして大奥の支配者、「春日局」ことお福である。
-
正確な時期は不明だが、
通信使来訪と入れ替わりになるように、お福は病に倒れたという。
\::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::|::/:::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::ヽ _,,:::-‐''::::::::-'''"::::::::::\ ゙''-、::::::
ヽ:::::::::::::::::/::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::_.. =`-ー'┬┬'":::::::::::::::::::::::::::::::`-, \:
..''ー ..、 .ヽ:::::::::/::::::::::::::: /:::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::_::/ .,ノヽ:::::::::::::::::::::::::::_,,.. -ー'':ヽ
`''-、 \:/::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::::ヽ il.ll /::::::::ヽ:::::::,..ir‐'"゙_::::::::::::::::::::::ヽ
. \ /:::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::/ |::::| /:::::::::::::_..≪/:::::::/:::::::::::::::::::::::::::ヽ
ヽ::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::/:::::::: ノ゛ !::::! ./::::::,..-'" /::l::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
ヽ:::::!:::::::::::::::::::::::::::/::::::/ .ヽ:ヽ /::/ /:::::::!:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
l│:::::::::::::::::::, ''/:::::/ u ヽ:::! .l.〃 ./:::::::.,.. |l::::::::::::.,i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
リ::::::::::::::::::/ │:::i′ .h'! iく ./:::::/ /::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:l
.,,, l:::::::::::::::/ !:/ /:/ ./:::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::! 気が抜けたら、一気に来たわね。
`'ー、、 l:::::::::::/ !/ メ´ /::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::::! …まあ、もう六十四だものね、私も。
`'-..、 .!:::::::l | l::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::│
`'- 、_ |::::::| ,,..、 l::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::|
~゙''''!- ..,,_ .' !、,,! .゛ l:::::/::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::!
`'、 ,.. /:/::::::::::::::::::::l::::::::::::::::/:::::::::::.,-:::::::!
,| --、 il!'} l .〃::::::::::::::::::::::│::::::/:::::::::::::::/:::::::::/
,/゛ .\ }::.! .l ./::::::::::::::::::::::::::::_l ‐"::::::::::::::::/::::::::/ _.
/ ,..┴、 l:_:lr'"::::::::::::::::::._,, ;;l'"│:::::::::::::::,/::::::::::/ /::::
,..‐" . / .\ ''!モ-k-―ー''''"´::::, '":::::::!:::::::._/゛:::::::::::/ , /:::::::::::
,.. ‐'´ ,, ‐" >、 .!i:::i/::::::::::::::::/:::::::::::::iン‐″::::::::::::::ィ゙ ‐'゛:::::::::::::::::
-
当然、これを聞いた家光が黙っている筈もなく、医者が派遣され、
また、家光自身もお福を見舞いに来たのだが…。
_ -───- _
, '´ `ヽ
/ \
/ ヽ
/ __, ィ_,-ァ__,, ,,、 , 、,,__ -ァ-=彡ヘ ヽ
' 「 ´ {ハi′ } l
| | u. | |
| ! :;:;:;:;:;:;:;:;:; | |
| │ :;:;:;:;i:l;:{;:i;:;:;:; 〈 !
| |/ノ二__‐──',ノ:i:::l:ヾニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ
/⌒!| =彳 o ゙ヽ ミ ::::::::: ミ , '´ o `ヾ | i/ ヽ ! お福、聞いたぞ。
! ハ!| ー‐‐ ' i ! `' '' " ||ヽ l | 薬を飲まぬとはどういうことだ?
| | /ヽ! '''"゙゛ | ゛゙`''' |ヽ i !
ヽ { | ! |ノ /
ヽ | _ ,、 u. ! , ′
\ ! '-゙ ‐ ゙ レ'
`! /
ヽ ゙  ̄  ̄ ` / |
|\ ー ─‐ , ′ !
| \ / |
_ -‐┤ ゙、 \ / ! l |`ーr─- _
_ -‐ '" / | ゙、 ヽ ____ '´ '│ ! | ゙''‐- 、,_
/:.:.:.:.:.:.//:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\{:.:.:.:.:.:、:.\
/:.:.:/:.:.:.:.:':.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:V:.:.:.:.「 ̄メ
/「 〉:.:.:.:./:.:{:.:. イ:.:.:.:.:.:.:、:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.|\_ハ
. /У /:.:.:.:./:.:. |:./ {:.:.!、:.:.:.:.\:.:.:.:.:.:|:.:.:.:. { /:.:.:.\
':.{__/:.:.:.:.:.i:.:.:/_ノⅥ ヽ:.:.、:_j_:_:!_:.:.:.:.∨ヽ:.:.:.:.:ヽ
i:.:刈:.:.:.:.:.:.!:..ィ==ミ'、ヽ \‐≦ミ、 :}:.:.:.:.:.:.| ∨:.:.:.:.゚,
l/ /{:.:.:.:.:.:.l..{{ んハ rぉ ヾ: ::.:.:.:.:.:.!釗 }:.:.:.:.:.:.: あいつら、黙ってなさいって言ったのに…。
《/ /:.:.:.:.:.:.{ ` マ沙 比リ ”゙:.:.:.:.:.:Ⅳイ:.:.:.:.i:.:.:i これじゃ台無しじゃないのよ。
/:.∨:l:.:.:.:.:. ハ -‐ , ‐- 釗i:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.::|:.:.:!
/:.:.:/|:从:.:.:.:.圦 |:.l:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:.:.:.|:.:メ
. ,:.:.:./: l:.:.:.\:. 、 u. /. l:.:.:.:.:|:.:.:.:.:i:.:.:.|ハ
. ,:.:.:/:.:. !:.:.:.:.:.|:.:.:.゙\ ´ ̄ ` イ/:l:.:.:.:.从:.:.:.l:.:.:.|! }
. i:./__..゙:.:.:.:. !:.:.i:.:゙/:`ト. .ィ. ":/:.:j:.:.:/:.:.:l:.:. l:.:.:.li .ノ
. |´ヾト: : :`く\__/:.:.:.l. ` -- ´ .':( ̄`'<ヽ. :/|:.:ノ!:.:./
/. ヾト : : : : : : Vハ_ノ 〈:.:.:.ヱ>、 `〈ー-、...《:イ
ノ. ヾト: : : : : :.Vハ_ 7ノ _ `ヾl ヽ
/ ヾト.: : : : :.VΛ ` ー/:.`´〕 .} .| |
これに対し、お福は処方された薬を頑として飲まなかったという。
-
これを不審に思った家光がお福を問い詰めると…
>'´ ,':/::/::::::::/:::/|:::::|:::::::::::::::::::::V:::::::::::::ハ:::::::ハ〕iト ' 、
. ( / //:::::/::::::::/:::/ |:::::!::::::::::::::::::::::∨::::::::::::|::::::::::::', `丶
}' .//:::::::l::::::::::|::,′ i::::|∨::|:::::::::::::::i V::::::::::|::::::::::::::',ヽ /
Y、{:i::::::::::!:::::::/|:i ノ!:::| ',::!:::::::::::::::| ':::::::/}::|::::::::::::| }'
,' {:!::|::::::::::{::::::,' {:! ̄ 丶:::i ',i ヽ::::::::::ト- i::::/ j/|:::::::::::::! ,.イi
,'i {:|:::|:::::::::::::::::| ∟_-、:',! \ \:::i_,. }:/=ミ、}:::::::::::::i {ヽ{
,'::| }'j:::i::::',::::::',:::Yi/ ィc:示 ヽ /ィ芯ヽヽY::::::::::::::| Ⅵi, …上様、14年前、
,::::/ ,'::::Ⅵ:ヽ::::ト、丶 ト、:::ハ} ト、::::ハ} }'::::/:::::::::::| |. }', 疱瘡にかかったことは覚えてる…?
. i::/L_{::::,':::::::::\:、 ゝ- ' ゝ- '::ムィ:::::::::::::::| L」::,
. l::i |:::::|:::!:::::::::::::::::', j. /::::/:|:::::| }:| ',:',
|:| .l:::::|:::!::::::::::::::::::i', u. 厶イ:: : |:::└':::| }:i
|:| i::::|:::i:::::::::::::::::::人. ‐-_.-‐ 人::::::::::::|:::::::: : | |:|
|:| ∨:,:::',::::::::::::::::::::::::>、 イ:::,':::::::::: :|:::::::: : | |:|
|:! V:::::',:::::::::::::::::::::::__:::ト:. ;::イL=、::i:::::::::::::从::::::::リ リ
. ',! \:::ト、:::::::::::::i、{ / !::::::>--::<::::::,': :./: :}::::::::::/::::::::/ ′
, -=ニ\ \:::::::::!./ } \::::::::::::::::::::::{::::::|: /::::::/: :>'- _
/ / \:::|{ / ヽ:::::::::::::::::::::::: |/:::/: : : : : : : : : : : :\
_,,..-―――‐-..,,_
,..-''"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`''-、 て
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ そ
/::::,..へ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::/ `^〜ァrr,.、_,,..-ァ=彡ヘ:::::::::::::::::',
/::::/ ,リ|} ヾ::::::::::::::i
. l::::/ ,ィ圭fx.、 i::::::::::::::l
/´.l ´ ̄ヾミメ、 _,,,.、 |::::::::::::,'
| h.| '、・)`ヽ`` ィf斗芸圭斗ゝ .l::::::::::/ お、おう。
| リ|  ̄ ‐' ヾ ′、´・)`ヽ ,'´`.y' 勿論、覚えているが………あっ!
/::ヽ_| .::} `  ̄ .,'/、/
. _,,..从リリ,| ..:::/ i //ノ/
r''" / ./ l ヾ_ツ U /_//、
_../ // ', , - ..,,_ /::::::/ `''-..,,_
_,,..-'" / / ', ヽ.__ ) ./i从リ `"''‐-..,,_
/ / .\ // .| ∧ `ヽ
. / l \ < ./ | ∧ ∧
/ | | \__ ..< / .| ∧ ∧
. / .| | / | .∧ ∧
/ | l / .| ∧ ∧
-
___ _
-‐''"´ ̄ ` `''ヽ=、
,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
r(:::::::::::::::::,、_ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゞ, rr〜ヅ ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::
フハ u. ミ::::::::::::::::::::::::::::::
. l ヒ¬‐- ..,,,__.〈:::::::::::::::::::::::::::::: まさかお前、
〉゙゙`'''T::jナ ̄ .ヽ::::::,ィ ,、ヽ::::::: あの時の誓いを守って…!?
. / ,.‐'" }:::/ /ヽ ハ:::::::
/.. "´ 2ノ/ l:::::
. ヽ.ニ,` U __/ :l::::
. 'ーr_‐; J ィ l:::
〈.. /:{ ヽ
`} ι /:: ! i
丶、,、. イ:::::: !
.  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄:.`:...、
.ィ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
/:.:.:.:.:.: --─…… ミ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ
,:':.:.:.:.:./ ___ ___ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:゚,
/:.:.:.:.:.厶イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\}:.:.:.:.、:.:.:.:.:l
. __/:.:.:.:.:./:.:.:.:{!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.f´ ̄`7
/ ィ:.:.:.:.:.:.':.:.:.:/ハ:.:.:}:.:.:.:.、:.:.:.:.:|:.:.:.:. !:.:.:.:.:.V \ハ
∨ :|:.:.:.:.:.:|:.:‐┼一}:ハ:.:.:.:!ヽー┼─:.|:.:.:.:.:.:ト、_ノ.:.:. そういうことよ。
. { |:.:.:.:.:.:.:.:.:. ===ミ \:ト X===ミ:.:.:.:.:.:.|V |ヾ:
ヽハ :.:.:.:.:.: {ハ示kト 乍示T!:.:.:.:.: |:. |:.:.、\ 神仏に誓って、上様の病が治ったなら、
' ∧:{:.:.:l:.:.:.:|.込ツ 込ツ !:.:.:.:.: |:.:.:、|:.:.:l i 私がその誓いを破る訳にはいかないでしょ?
|/| トヘ:.:.|:.:.:.:| , , , 、 , , , |:.:.:.:.:.:|:.:.:.}|:.:.:| |
|: | l:.:. 从:.:.八 u |:.:.:.:.:.:l:.:.:/|:.:.:| .′ それを知ったら、上様はきっと気に病むから、
.ハ |/:.:.:.:.:.:}:.:.:込、 t─…ァ ィ|:.:.:.:.:.从:Lj:.:/イ 黙ってろって言ったのに、あいつらったら…。
{ lト、:.:.:.:.小、:.:.{父ト  ̄ ≦:.仆:.:.:./:.:.:.:,:.:/:.:.:!
. V八:.}〉:.:. !:.:.\》:.:.:.:.:.:.`丁 《/ 乂〕iト--/:.:.:.:.:イ
. \:.:.:ト、:.:ハ:.:.:.:.ィi〔ハ }: : : :厶:イ:/i/ヽ
ヾl V-‐=≦: : :i , : : : : : : : /i// ゚,
イ:i:i: : : : : : : :| -──‐ /: : : : : : :./i// .}
|:.i:i:i: : : : : : : :| ニニニ/: : : : : : :./i/// ,
ハ:i:ハ: : : : : : : |´ ./: : : : : : :./i//′ {
14年前の寛永六年(1629)、家光26歳の時、疱瘡(天然痘)に掛かった際、
お福は、「家光の病が治るなら、自分はこの先一生薬を飲まない」と誓い、神仏に家光の治癒を願ったという。
(その24後編:http://tagenmatome.blogspot.jp/2009/09/24_28.html)
即ち、薬を飲まないのは、その誓いの為であるという訳である。
-
/..:::::::::::::::::::::::::::..ヽ、
(,、:::::::::::_::::_,、::::::::::::::..゙:、
.l `リ ´ }::::::::::::::::::i
._ 、__,、 〈:::::::_::::::::::| 何を馬鹿な事を…!
!) ヘラヾ´ ゙! /ベ!::::::| 既にもうあれから14年も経った。
.ソ ``` i ソ,iノノ::::::| 流石にもう時効だろう…!
ヽ,- u .シ_,イ、:::::l
i==- イ ヾヘ なあ、お福、頼む。
, ゝ. ̄ _,.ィ i 俺の事を思うなら、この薬を飲んでくれ。
, ´ ゙'ーイシ″ , ほら、飲ませてやるから、口を開けるんだ…!
/ 、 \ヾ /
i ` \,メ--─
ハ. y /
/ i ミ
__ __ _
. _ , '"´ ,. _ ___`丶、
/ ` / /´-‐ァー-ヽ \
. / /下7 ..///.:.::/ .:.:ト、 ヽ
/ └イ_j/ .://;へ、/!.:.::/:.}ヽ ',
,' ///!l .::j.:lイ仔くヽ/,.イ,.ム:.', l
, '〈/f`| l ::l`' ゞゾ '´ rャjノ::.l:. | 上様、駄目よ。
| l:l :!:{、| l ::| u. マソハ: |:: | 誓いを破る訳にはいかないし、
| l:l::i个| l ::l! .l⌒ヽ′} .:}:.l:: l .そんなの、もったいないわ…。
| lハ:l::{::', ::::{、 ヽ.ノ /.:/::.l:: l
l !:|:::',::',::ヽ:::ヽ\._ /.:/::::/l::;! 「そんなこと言うな!
. ',::{:{、:::ヽ\:\;ゝ `「:フ´!::::/;:::/ 〃 頼む、飲んでくれ、お福っ…!」
. ヾハj>''´ ヽ ト、_..上くイ::::{ {::{/
/⌒ヽ、\ ` \-ー ̄\ヾ
/ ヽ \\ \´ ̄`ヽ、
しかし、それで納得する家光ではなく、どうか薬を飲んでくれとお福に懇願するが、
お福は頑として首を振らない。
-
終いには、自ら薬を飲ませようとする家光に根負けして、薬を飲んだのだが…
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:./.:.:.:.:.// >、
.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:./.:.:.:.:./ /.:.:.|\
.:.:.:.:.:.:.:.:./.:.:.:./.:.:!.:.:.; /`ヽ.:.:!.:.:.:
.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:./.:.:.:.!.:.:.i /:/ }.:∧.:.:!
.:.:.:.:.:./.:.:.:.:.l.:.:.:.:.l.:.:.:!/.:.:/‐- //__,∨| …もう、仕方ないわね!
.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:|.:.:.:.:.l.:.:.:!.:.:/ //-、 {.:i
.:.:./.:.:.:.:l.:.:∧.:.:.:.l.:.:.:!.:/ /'、__、_乂__
.:/.:.:.:.:.:.「 ̄∧.:.:.:.:.::l/ / ``゙゙` l クイッ…
.:.:.:.:.:.:.:.:| フ´\.:.:.:| 〈
.:.:.:.:.:.:.:.:l// / 介ト:i ノ_________
.:.:.:.:.:/.:.:.:./ /i〈 リ:リ. 〉丶.,__.゙,..-‐_''つ.:_:_:ノ
.:.:.:./.:.:.:./ /八 /:/ { └./ ィ'___:゙_/〉
.:.:/.:.:.:.〈 // }7:/―- _ノ.. / ___, ','
:/.:.:.:.:.:.:// /// //´ ̄ { ____,,,,-‐'
.:.:.:./ ̄l/ヽ/' /.:/ ,r'"~`丶 '¨ /_
.:/ /\- //.:/ / ヽ、一'
∧ ∨l:/ y′'゙´¨ヽ / j
l ∧--ヘ/ / \,' _ノ
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;! '~ "~ `i||i" '' `ヘ;;;!
|;;;| ヽ` u ミ;;;|
_ゞ;!,-;;;;;;;"フノ ヾ`;;;ヽ 、ミ;リ
!ヘl;|.,,_==-、く` ,>゙-== 、「ヽ やれやれ…。
!(,ヘ!  ̄'" |ミ.' ̄" , ドリ やっと飲んでくれたか…。
ヾ、! !ミ ,レソ
`| ^'='^ ム'′ お前にはまだまだ長生きしてもらいたいんだ。
. ト、 、,.-‐ 、,, /| 養生してくれよ?
i| \ ' ニ イ.:|
,イi| ゙、\ ( /リ.:;ト、
ノ :.:i| ゙、 `ー─''゙:::;:'::::::!:::\
-
,:':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.://:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、
. /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: _:__:.:.:.:.:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: / ハ:.:.:.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.: !
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./ ォ'' /:.:.:. ィ:.:.:.:.:.: /、 /}:.:.:.:.:.:.:.}::.:.|
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:._l イ/ /:.:.:.:.:.:|:.:.:.:/ \,,/:.:/:.:.:./.:.:.:.!
:.:.:.:.:.:.:. ´ }ム/ 釗:.:.:.:.:.:|:/ \ 厶イ:.:.:./:.:.:}:.:|
:.:.:.:/ ィ:/Vー‐‐|:.:.:.:.:.:.:| ィ汽ト |:.:.:.:.::イ.:.:./:.:′ (ゴメンね、上様。
:.:.〈__/:.:./ { :|:.:.:.:.:.:.:| ゝヒy'_ /:.:.:.:.:.: /}:/ 誓いを破って、上様に万が一のことがあっては
:.:.:.:.:.:.:.: / ハ ! :.:.:.:.:.:| 乂_イ ′ 神君様に顔向けできないから…)
:.:.:.:.:.:.:.〈 /:.:.:ゝ __|:.:.:.:.:.:.:| 〉
:.:.:.:.:.:.:.:.:V :.:.:.:/ |:.:.:.:.:.:.:| イ|
:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:/ :|:.:.:.:.:.:.:| _, イ:.:.:l:|
:.:.从:.:.:.: イ ィ|:.:.:.:.:.:.:| ゝJイ:.:l:.:.:.|:| …ペッ
 ̄` 、 / 从:.:.:.:.:.:.ト--ィi〔:.:.:.:.:.:l:.:.:.lリ
: : : : : \ ハ:\ヽ:.:.:.:.l |:.:.:.:.:.:.:八:.:/
: : : : : : : :ヽ V: : 〕iト:.:.| !:.:.:.:.:.イ }:′
: : : : : : : : : :V⌒ヽ: : :i:iⅣ |:.:./
iト: : : : : : : : :.ト---|: : i:i: | j:ィ
:ヾiト : : : : : : : Y--:|: : i:i: |
\:ヾiト: : : : : : i |: : i:i: |
ヽ: ヾiト: : : :.| |: : i:i: }
\: ヾiト: :! rn|: : i:i/
お福は、家光にはわからぬよう、こっそりとその薬を吐き出し、最後まで誓いを守ったという。
-
, ----‐ 二二ニ 丶 、
/ / _, ----ミァ、 \
/ / /‐'´ ヾコ
/ rー- / l j 、ヽ ヽ ヽヽ\
,' ヾ /7 ,' l .ハ`トム、\ X. |く l
,' /L| | lレ ,ィ≠ミヽ ` ' .ムヽ } |ヽ! (それじゃあ、上様…いえ、竹千代様…!
.! , //| l | | ` ト:::リ ヒ:}l !丿 }ヽ\ どうか、元気でね!!)
|│ // | l | |  ̄ , ´| | |/ | | V
|│ V | | | | iー‐‐, } .| | V!
| .l Ll ! |. L_/ , ´| |│|ヽ !
| ! i ! ! ト 、 /| | ! ハl ヾ
| ハ ! | .! i .|ゝ 二 ¨i′ レ'^リ
_ ____,.. レ'=ニ| ,l ! ハ ノリ 、ヽ.\ `T;、
_,. -‐' ` ‐- v-' ゙´ ̄ `、 | /レ Y`、 ヽヽ \/、`ー,‐- ..,,_
_,,..-‐'´ ‐-、 ヽレ' `、 `,丶_ \- 、 l |L__ ` ‐- 、
~~ ̄ ` 丶 、 ヽ ゝ、 ー--、ヽ .} jl/、`l -――‐`=―-- ,,..._
_..,,,,.___ `丶、 `, 丶 ̄~`‐--、_ノ_ ,ノ、 `` ‐- 、_
, -― ' ´ ̄~~¨ ー--ィ-ュ 、_`‐-y_ `、___/ ,┴-、l、 `、
,-‐'゙´ / <、ヽ、 ̄弋__ `< `\ ̄ ̄< 、~¨ }`}‐-、
,‐'´ `‐-、 `‐--、.弋 、 \_,,.-┬- \ ` 丶 、 ノ ) } `l
, -'" `‐-、__ゝ、 `‐-、 | \ } `丶 __,-‐´-‐´ノ ト、
\ ` ‐-- 、,.._ ,′ 丶j `_..,,ゝ__'-‐´/
∠  ̄丶、/ '-‐''´/ ク /
/ _..,,,.. ` i '´´ //
/ __,.-‐<'''゙´ , 7丶ヽ、 `'
{ _,,...-<___ `丶、/ `ヽl
,,-‐孑'´: : : : : : : : :、 `丶、 `` i `、
/l: : : : : : : : : : : : : : : :',: : : : `==┬‐ '゙ ´
/ : : l: : : : : : : : : : : : : : : : 丶: : : : : : : `、
__/: : : : l: : : : : : : : : : : l: : : : : : : \: : : : : : : \
/´/: :l: : : :l: : : : : : : : : : : l: : : : : : : : : ヽ : : : : : : : \― -- 、
_,.-‐'´ ,': : :l: : : :l: : : : : : : : : : : l: : : : : : : : : : : \: : : : : : : : : : : : : ̄`‐- 、
, -'"´ ,-/: : : :',: : : :l: : : : : : : : : : : ヽ: : : : : : : : : : : `ヽ: : : : : : : `ヽ : : : : : : ,`ゝ
/ハ //./: : : : : `, : : l: : : : : : : : : : : : \: : : : : : : : : : : `、: : : : : : : : `ゝ : :/ ./
-
こうして…
. /:;r´;;;/::::;r''´_;;;;Y´::::::‐-、`ヾ、::::`ヽ;;;;;;;ヽ
'::::::::;r''゙:::::;;:-'''´ `ヾ 、:ヾ\::ヽヘ;;;; \
:::::/:;;-''´ ゙ヾl、:::ヽ::゙ヽヾ;;;ヘ. ....、
::/;/´ _,,..--7''´ ̄`ヾ''- 、. |::::::ヽ:::::゙;l;;;;;;;ヘ. "! "L......、
/ _,,-'7::::::::::/::::::::i:::::::::ヽ::::::`ヽ、 |:::::::::l:::::::;;l::;;;;;ヘ. ..ェ;ヒ’ ..rゥ'ヒ′
/ :;イ:::::::::::/::::::i::::|::::::::::丶:::::::::::ヽ.|:::::::::|::::::;;;l;;;;;;;ヘ. _..-┘ ニゝ-(__
'::/::::::/|::::::::::λ:::::::|::::|:::::::::::::ヘ:::::::::::::::|::::::::::|:::::;;;;|;;;;;;;;ヘ __ニ フ '―'''エ__フ
:/:::::/ |::::::::::::| |::::::::|:::::l::::::::::::::::l:::::::::::::|::::::::::,r''ヾ、l;;;;;;l;;;;l 'ゞ一ト /``⊂ゝ、
|::::::| .|:::::::::::| l::::::::|:::::ヘ:::::::::::::|l:::::::::::|::::::::::/lヾ: ヾ;;;;;;|;;;;| _/ _'ーコニ「 _ ゛ゝ、__
|:::::|,,_ .|::::::::::| l::::::::ト::::丶::::::::::|.l::::;;:-|‐''':::/ |ヽ. ヘ;;;;|;;;;| ,..彡'│ 辷コ { ゙ゝ---┘
'|::::| `゙ト:l、::::|. 丶:::::lヾ:;、ヽ:::_;;:r'|´:|::;|::::::::l. ト、l ヽ;|;;;;;| '' ̄ │ 「--ノ |
ヘ:::|. _,, ヾ:、:::ト、. \:::l ヽ,X´:::::|.|:ノリ,|::::::::゙lヽ、 | ゙|'´|`;;;|;;;ト;| 丶广"ゝ丿
|.ヾ|r´.二ミト、:| ゙ \::、 へ >、,,ィ=二ミ.、::::,|r‐、 |;;;| |;;;;l;;;;| |l
ヽ〈r1::o;;;;;;;`ヾヽ ヾ ',イl´;o;;;;;;;;;;lヾ〉::ト ゙ } |;;;| |;;|;;;;;| |:l __,,..---、
ヾ.ヾ.l::;;;゜;;;;;;::| .l::;;;;;゜;;;;;;;l:/'::::| ',:ノ |:└┘|;;;;;| .|:l :{''''>‐‐''''1 |
:::ヾ ゝ´)::''ノ' ゙´)::::''ノ:::::::::::}ノ;| |;;;;;;;/ |;;;;l |::l | ! _ ! |
|::::ヘ ,.r'1''''´ `゙'''/::l:::::::::::|;;;;;`''´;;;;/,,_ |;;l リ | '七ニ..ゞ卜│
、:::/ ノ /:::|::::::::::|;;;;;;;;;;|;;;;/=‐-..,ニ=,,ニニ=..、 .| | .| |
::/ .∧ .,,_ `´ _,,.. /:;イ:::::::::/;;;;;;;;/l;;;/゙ヽ.、_`゙''‐--‐'' ゙ヽ、 | ヽ--‐-││
/ '-‐゙丶、 {゙゙''''i''''゙゙l ,,/:::/::::::://;;;;;;//;;/: : :,r'´;;r'''‐- 、ノ'',´_゙''_´ ゝ/'' ̄"\ 丿
ヾ、;;ヾ‐- ,,゙_‐-‐゙.,,.-''./:::/::::::::;イ;;;;;/,.:/ /:::/´ / `,ヽ、/ヾ::::`゙''‐-  ̄
''゙´`゙ ヽ;;ヽ ヾ''''´ ./:;/:イ:::::/i;;;;/ /:::/ / / \::ヾ::::::::::::
_,,,,,,_ ヽ::ヘ ヽ ゙-/ '//ノ;;;/ .|;;| /::/ / ./ /::::::::::::::
_,,,,,_ `゙ヽ. ,r }.l:| ゙ ノ'.-/' /;;/ l;;l /::/ / ./ /:::::::::::::::
_:::::::`:ヽ、゙''.ィ'ノ1 ' `゙''''゙´ ,/' /,イ. ヾ、 /::/ / /. //::::::::::::::::::
`゙ヾ 、:::ヽ/ |` ヽ、,,_ ,,-ン' .| ./::/ ./ / ./ ./:::::::::::::::::::::
''‐-,,,,,,_ ゙ヽ| ト、 ´ ,, イ /::/ / / ,,.-''´ ./:::::::::::::::::::::::::
. l''´ ゙'∧, | ゙ヽ、,,_,,-'',´ | /:::/ / ',/´ ./:::::::::::::::::::::::::::;
/ / | | .l / l /:::/ / /,,..,,__ ,,.-''´:::::::::::::::::::::::::://
/ ,イ. | ∨ .| / /::::/ ./ / ∧ /´;;;_::::::::::::::::::::::::;/-‐
''゙ λ:ヘ. | | ./ ./:::/ ./ / ,/ ゙'''゙´ ,/ ̄ ̄ヽ,.-''ヽ.
. ,ィ{丶::ヘ. | _,,..ヘ、_/ /:::/ / イ | ./
././. ヾ丶ヘ |lllrlll'゙>ll' /::/ / ././ | //
寛永二十年(1643)九月十四日、「大奥の支配者」と呼ばれ、
将軍家光から絶大なる信頼と愛慕を受けた乳母、「春日局」ことお福は世を去った。
享年64歳。
-
____
,..-''´:::::::::::::::::::::::::"''-、
r(::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
ゞ/"''〜^ァrr-''"゙`"ヽ:::::::::::::::∨
i ノリ }:::::::::::::::::i
|∠≡=ァ =≡三ゞヽ:::::::::::::::!
| ´ゞ'-`〉 ´ゞ'-` .i::::::::::::::; お福……ッ!!
|. 〈::._ i l::::,-、::;
! _,,....,,_ u |/ /::!
ヘ f ,.-‐-、ヽ _/:::;′
ヘ {:;.-―-/ i从!
,..-iヘ ` ニ ´ / |
>  ̄ <_ __ / i::ヘ / l
> `ヽ ̄ / /.i:::::`ー┴‐< / .|ヽ
/ i / / !::::::::::::::: / ./l \
/ i ,.-'"´ / ヽ::::: /| \
_,,.. -' i | \ ,-、/ i i / ! \
'"´ `"''-..,,_ \ i .| >‐' l_ | l \ ∧
‐-..,,_ \ ヽ i ! 、‐''"´ |  ̄"''-..,,_ ヽ \ ∧
`''-..,,_ i ; ∨ | `ヽ _____∨ .∧
`''-、 ! / ∨ l ヽ '´ ∨ヽ ∧
\ ./. ∨ | i | ヽ/
‐- ..,,__ ,イ ∨ .| | | \
_____二=-..,,__// ∨ | | | ヽ
,..-,‐''"´へ ∨ ∧ .| l /
_,,..-''´/. ヘ ∨ .∧ | ./ /
その死に、家光が大いに嘆き悲しんだのは言うまでもない。
既に保科正之以外に肉親がいない家光にとって、
ある意味、肉親以上であった彼女の存在は替え難いものであったであろう。
-
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_|
| |徳| .|_|
| |川| .|_|
| |実| .|_|
| |紀| .|_|
|.  ̄ .|_|
| |_|
|________.|_|
└───────┘
徳川実紀・寛永二十年九月十六日、彼女が亡くなったことについての記事に曰く、
『当代むまれさせたまひし時に御乳母となされ、御幼稚の時より忠だちて二心なくつかへければ、頼母しき者に思召れ。
(中略)公御痘なやみ給ひしとき、おのが身をもてかはらん事を山王の社に祈願せし文は今も官蔵に傳へたり』
『此局世にありし間は諸家より証人とて奉る女子などの事はみな一人にて沙汰し、
交替のときはみづから対面して其事あつかひ、またときどきは勤仕奉る近臣等を一同に饗し、
みづから其席にのぞみ、忠勤のさまども若き人々には教諭せし事どもありしをみるに、
□女にはすぐれて豪來の性質なりとはしらる』 (※ □は字不明箇所)
とある通り、家光の乳母であることの他、女性ながら官僚としても傑出した人物であったのは間違いない。
-
また、そんな彼女が亡くなったことで、変化を余儀なくされた世界があった。
_,,,.......,,,_
_,.-ッ≦―:::::::::::::::::::::::::::`:ー、
,..r::´:/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::ヽ
,.r:::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ:::::::::ヽ
,イ:::::::::::{少‐"´ ̄`^<::::::::ヽ:::::::::::::::!:::::::::::',
,イ::::::::::::/^ \:、:::ヘ:::::、:::::i:::::::::ヘ:',
r:::/::::// 1:!、::::i:::::}::::::!:::::::::::!::,
l:::i::::::i::i , - ¨了ヘ:::ト、::i::::::i:::::::::::i:ハ
i::!::::::ヘ:!__ / ソ !ツ i::|:::::::}:::::::::::}:::! うーん…ハルにゃんが亡くなった今、
t:从::::iヾ `゙ ,.ィf斤本ヾ}:;!:::::::i=ェ;::::::i:::i 大奥をまとめる中心もなくなったさっ…!
f !::::ハ. t弋り!}"|::!:::::::::ト、 }::::::!:::!
! ヾ_:::ヽ , ちエン 1j:::::::::tイソ:i::::i:::::i 今、大奥をまとめられる存在があるとすれば、
`iムゞ=r'''" 、 リ:::::::::::|´:::::|::::!::::i この私しか…γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄γ
|::::ハ f;:::::::::::::!::::::::|::::i:::::! l 何を言っている? l
f:::::::::ゝ r 、 _ _ |i::::::::::i::|:::::::::!::::i:::::} .ヽ、________/
i:::::::::::↑-、_. | ! ,.イ::::::::::j::!:::::::::|:::::|:::::i
j::::::::::::::|::::i:::|i l !、._,,. -´ f:::::::::::リ:iト、::::::;!:::::|:::::|
,{:::::::::::i:::|:::::|::!'! ,!;:r^! , -=、::::::::::;'::j: : ヽ:!:::::::l:::::|
f:::::::::::j::::|:::::!_/ .,!. / /:::::::::;':::,': : : : :`-、|:::::|
祖心尼(おなあ)
そう、大奥である。
お福が差配する事が当然のものとして運営されていたこの世界は、
彼女の逝去によって、初めての世代交代を迎えることとなった。
-
そして、お福亡き後、大奥の新たな支配者となったのは…
 ̄ ‐- 、 /ソ y... __ ゙'、`, /丶 /゙、_ ヽ \ 丶..‐__ノ `i i 丶
..__ , `L, ,' i´6i ゙! _ Y `'''''/'"゙゛= ゙、  ̄ く  ̄ ̄ 7-、
\ ゝ', \__`,'-' 丿、 /____ ''゙! \ ..____,___ ノ ゙
> 丶゙ 、_入....ィ ゙, 、 , :、:ヾ`;゙;‐;、-、i: /一 i i ,' `ヽ、ヽ\
´..__ \ /ー| i: i!:ノi:!ii:i!i:i:iii::!ii、:゙:i、i:i"‐ ニ!_', ', 、
. 、 ! ` .._ \/_ Y ‖:i/:‖‖==、,i ‖ '〃三:,: i /\ /| /゙i
l !ヘ ̄ /ヘ‐-..,,__、,i:i:ii!:iY-=ヾ 〃 //-=ニ二、 y 、 i \ \、_ハノ ヽ、|/ |ノ (,ハ_、//
/ i ゞ>ー/..__ミ/:r‐`:-、:i:!ii‖" i! i! "´/-ミ三 '゙ヘ 7 \)' '(
ヽ |..___ ミ ミ、ヘ:!:.fr,!ii:i `゙ `゙ /〃__/-、< !..._ィ、 / \
i , lミ !、r=-..ミヘ:ヘ:ヘ!、iミニ=, /"_彡彡"ノノ/ /、_i.丶ヘ /ヽ,) (,,r'
゙、 、_!、゙、゙: ー-、 \\\ ! /くヾ) ‖三!:、!iミ、`ニ 7. / / これより大奥は、 (
, i lミ iミ:__: : :.` ゙ ー=ニニ、` /ゝ:_彡 /_ ,.:彡 、ミ、、\ //ヽ ,r'
l l゙、 , ハ フ ト-三: : :.:. ヾ_ /!.___... < `´lミ:i \─ ─ _) この於万が差配する!! (_
\/-rハヾ:彡:ヾ===≧==------.、 ' ハミ;i .i∧/ ゙、 ,) (,
. /\ヾハ、ー 彡ノヽ彡''´ゞ 彡' ,,' ,:丶 !ミ∧゙ /∧゙、 /-、 、-\
', ` ヘ ゙ ミ:ミ: ":゙,ー--r‐''" :.:丶 .: ; /i 、!:ノ厶 ゙ハ1 ゙、 /ヘ '" ヘ
、 、 l丶 `t"ニ':\':.:.:. :.:!.:ヽ_..'_..r:" / l i:,,''ーヘ ゙.∧ / //7/ヘ /l ト、 |\、 /\ /\゙i゙、
.`、 `、 l 丶 :l_丶゙、i ゙;丶. -..._..r=彡' / l i{ヾ ヘ 1 / V | ,l ヽ| V ゙i
..--゙--- '---__、 V.!i、\、゙:゙;:ー-.._ _,,".: ! ゙、_ i l \i
) ⊂ , :-=': : : :`゙'''i- !i ', ',''"゙、彡ヘ `゙ー--‐'': : : ,' ゙''‐--..__
,r ',>/ i: : : : : : : : i: : ヾ ', ', ̄ ̄:゙-i: : : : : i : : : . i. . .
於万
-‐ '´ ̄ ̄`ヽ、
/ /" `ヽ ヽ \
//, '/ ヽハ 、 ヽ
\xAD堯 \xB7 {_{ノ `ヽリ| l │ i|
レ!小l○ ○ 从 |、i| にょろーーーーーーーーーっっ!?
ヽ|l⊃ 、_,、_, ⊂⊃ |ノ│
/⌒ヽ__|ヘ ゝ._) j /⌒i !
\ /:::::| l>,、 __, イァ/ /│
. /:::::/| | ヾ:::|三/::{ヘ、__∧ |
`ヽ< | | ヾ∨:::/ヾ:::彡' |
家光の愛妾、於万であったという。
一説には、家光より「春日同様」に奥向きを取り締まることを命じられたからともいうが、
実権はお福の姪、おなあが持っていたとする説もあり、詳細は不明。
-
> ´  ̄ ̄ .
. ´ ` . フフフ…美しさは兵器!>
/ / \
.‘ . ゜ / . \ にょろろーーーーっ!?>
/ / / > ´ .ト{ ! .
/ /_ -=≦ > ´__ / }人 |
′ ̄./ ̄ ̄ . 斗/ /}/}` ハ ,′ ‘
,′ / / /./ / /イ /}/ l|ミ/| .'.
,′ / ./ / ,x仁芹ミ / // .リ /.ハ ハ
' ./ / } ./ .《 {::rし} / / ,zミx}/! .ト、}
/ .′ ./|八 乂ソ// ハし} }}从 .}、 ! ! …一応、ボク、将軍家世子の母親なんだけど、
/ /{ ./ lハ .{. `¨/ 弋ソ // ハ } この手の話でガン無視されるってどうなのかなあ…。
/_ . イ i| /ゝ{__ヾ! 丶 ` /イ .′j.′
 ̄ // / l| ./ ヽ u イ |./ /
/ {人 l| ハ }.\ -=ニ _、 / ./|′
| ヽ.从 {人 ,、ノ. ` . イ ./
\∨! `У > > . <} / ./
_〈 .人 |.ィ⌒\ > 〈彡イ/} /
. ´二二彡\////\ ./}ハ ノ/
/ /´\ ィヽ///.∧ ハl| ∧xイ
′ / X´ ∨//∧ {{ lト、ハ/\ .
.| .{ /. \. ∨///\ || l| Vハ //\ > .
.| .| ,′ ヽ. ∨/>イ/トl! .人ハ/=≦z_ ハ
お楽
/::/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
,イ:::!: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
. /:::::::| : /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .
/::::::::::! /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :.
. /::::::::::::{/:|: : : : : : : : : : : ::ノ: : : : : : : : : : : : : l
,::::::::::::::::::::: : : : : : : : : : :/: : }: : :/: : : l!: : : : ::!
/::::::::::::::/}ハ : : : : /: ::/: : : /: : /: : : :リ: : : : : |
. /´^}:::::::::K {:ヽ: : : :/ /: : : : /}/ /: : : :/::|: : : : ::| まあ、御台所様(鷹司孝子)ですら、
. |:::::::::ト 弋リ∨:/}/}/xr=ミイ:/:/: : /:::::!: : : : :: 事実上、幽閉状態になってるからねえ…。
. }∨:::{ ' 弋:ン /:/: : /r 、: : : : ::
∨:、 .: //: : / リ }: : : :/ : 元はと言えば、私達は下級武士や町人の娘だし、
}::ハ ` /: /__ ノ: : : /: ::| .経験もないのに、大奥を差配しろって方が無理だよ。
|:::∧ , _ }/イ::::::::/: : : :/:|: : |
|:::::::::... ` イ l::::::/: : : :/::::|: : |
, -|::::::::::::::...、_ ..:::< .|:::/: : : :/:::::::!: : |
. / . .|::::/>= ∧ _., -彡 7: : : :/::::::::::!: : |
/. . ./::/∧. /. /Y /´ ./: : : /:::::::::::::l: : :|
. /. . ./::/ >/ ./ ./ } ./: : : ∧:::::::::::::|: : :|
/. . ./r―<ヘ/ ./ .厂 .ノ イ: : : :/ ∨:::::::::|: : :|
お玉(後の桂昌院 )
…ともあれ、こうして、一人の人物の死によって、時代が変わっていったのである。
-
/ :/l: : :l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : :|
,' :/ : : :|: : : : : : : :l: : : : : : :|: : : : :|
l: :l ',: : ',: : :l: : : : :\:_:_:_:_ |: : : : :|
|: :| ',: :卜、:\: : : :\ :/.:| : : : / こうして、大奥の支配者と呼ばれた女傑、
l: :l ,ニ \ゝァテ云示 Y´: : /: : : :l| .春日局ことお福は、その生涯を閉じたの。
`トキヘん)- { 弋rン/: : : / : : : : |
丶 :_ ー/ 丶- -‐/: : : / : : : : : | 幕政において家光を支えたのが年寄衆なら、
八 /: : : / : : : : : : | .私的な部分…特に「家」の部分を支えたのが
\ ー- /: : : 〃: : : : : : :丶 .彼女だと言えるわね。
\_ /: : : /´|: : : : : : : : : :\
/: : : ://!: : : : : : : : : : : :\
_∠: -‐≠"´ /: : : : : : : : : : :\: :
l ̄ - 、 /:/: : : : : : : : : : : : 丶
| \ l :l: : : : : : : : : : : : : : : :
| ', | :| : : : : : : : : : : : : : : :
| ' |:| : : : : :!: : : : : : : : : :
/ , | :| :| : : : : :| : : : : : : : : : :
/ / | :| :| : : : : :| : : : : : : : : : :
.... /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::/::::::::::::::|::::::::::::::::ハ
.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:::::::/::: /::::::::::::: ∧:::::::::::::::::::|
|::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::/:::::/:::::::/::: /:| ::::::::::::; ∨/:::::::::::::
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::/__/::/ | :::::::: / l:::::::::::::::::|
|::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::| : /::::/}/ ̄> :::::: / ,x─ |::::::::::::::: |
そうすると、お福が . |::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::|:::::xf芹汽弌、 |::::::/ィ抖ik, |:::::::::::::::::|
「肩の荷が下りた」と感じたのは. ::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::: |:::::::::|:::{ ゞ゙ン_,, :::::/ r'゙'ノ ,ノ`|::::|:::::::::: |
やはり男児が複数生まれて、. |:::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::|::{ /:::/ ` { |::::|:::::::::: |
徳川宗家断絶の心配が ... ::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::: |:::::::::|:{ /::: 爪 ::::::::::::: |
大きく減ったから? . |:::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::: |:::::::::|{ // - ノ ム|::::::::::::::::: |
::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::| / ∧:|::::::::::::|:::::
. \ ::: |::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::| -=こァ .イ::::::|::::::::::/}:: |
\「\::::::::::::::::::::::: |:::::::::ト、 ー゚ ,.: : |::::::::::::::: ′}/
\ X::::::{\:::::::|:::::::::| ` イ::/:::| :::::| :: / ,/
/.....\{ \:{\::::| ≧= -f′/ l:::|::::/l:::/
/.......... \__ \ /.. \|__/|/|:/ :j/
ィ〈................  ̄〕 /....... ∧} j′
-
. -―‐--―- 、
/ \
' \
/ ィ ヽ
/ / | l ',
, / | | | l
| r 、 / '、 卜、ヽ\ |
| \\ / -―=、\ | =\\\
∨ \)' / 、_ 二、ヽ ト_ ニィT广` その辺りは、>>1の見立てだけどね。
V /ニ〈ー{`Y {::rしi }ー{ トr| 〉 でも、男児誕生のために一番骨折っていたのは
酛 ハ \ ー' 丿 卜 ニ イ 間違いなく彼女だったでしょうし、
| 丶-丶.  ̄ ̄ ' /| .寛永二十年の時点で、既に男児二人、
| : : : : l\ _ イ : | .もう一人の懐妊も判明(後の徳川綱重)してるから、
| : : : : | 丶 ´ // : :/ その辺りの責任感は、概ね解消されたんじゃないかしら。
| : : :/ヽ /`T´∨ : :/
| .:/| X ,/ /: : :/、 彼女、苦労したもの…。
_」ノ/ | /ハ / /: : :/ \
r ´ ヽ. | 〃l| l| './ : : : | 丶- 、
| / |《_,八j| 〃: : : : | / |
| ヽ 〈 ∨ |,/ : : : : : | / |
| ∨ \ | /l: : : : : : :| / |
,.::::::::::::::::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V
/:::::::::::::::::::::::::::::::::,':::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: V
. /:::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
//|:::::::::::::::::::::::::::::/:::/::::::::::/:::::j:::::::::::::::::::::::Ⅴ::::::: ヽ
. 〃 .|:::::::::::::::::::::::::::::/::: イ::/::/ヽ:::::::::::::::::::::::Ⅴ:::::::::::V
…その苦労の半分以上は、 i! /::::::::::::::::::::::::: /::/ ./:/::/ ` ::::::::::::::::::::!::::::::::l:::i
家光が衆道をやめてれば、割と早めに . V:::::::::::::::ィ::::::::: ハ/ /:/::/ u. ヽ:::::::::::i:::!::::::::::l:::|
解決してたんじゃないかって気もするけど、 l::::::::://::::::::::/'―-- |::::/{ --―― .}::::::::::!::|:::::::::::::::!
その辺り、どうなの。... .|:::/ニl:::::::: / ーtテ‐'iハ{ ーtテー ,ハ::::::/:::|、::::::::::/
//ニニ/:::::: /{  ̄  ̄ l:::/:::: |ニ`;、:/
/ l=ニ/:::::: /ニ\ , ./|;ハ::: |ニ/ \
イ .V=|:::::::/ニニニニ=- _ _ -=ニニニニニ }::::|イ ヽ
/i V|,从{ニ=- _ニニニニニニニニニニニ_/ニニニ,j/ iハ
. ′ \ニニニニニニ=-ニニニニニニニニ/ニニニニ/| i ||
i ∧ l. \ニニニ\ニニニニニニニ=-'ニニニニ./ニ/ .| / .|
-
{ ハ:::l::| |j u ',:::',::::::::::::::| ヽ:::::::ヽ\::::::\:::::::::::::_ノ:::::::::::|
∨ハ:l::| - 、_ ',:::',::::::::::::| u \::::::\ _:::::::\ ̄.::::l::::::::::::;
V ヘ:! y'´ _ `≧x |::::}::::::::::::', _,. ≦二ニ=-‐、T¨´:::::|::::::::::;'
ヾ ヘ{{ーf个 ¬=ァ㌣ヽ|:::ハ:::::::::::',‐' 人 _,. イノ} }}´:::::::|::::::::/ 人がいい話で〆ようとしてるのに、
',` ハ ヘ Vニ千ソノ ` l:/-‐ \::::::', Vニ千ソン/^::::::::/::::::/ そういう事を言うのは感心しないわね…。
ヽ.人 ` ¨¨ ´ ノハ `t¬、_ ` ¨¨ ´ ' ::::::::::/::::::;
\'丶 _ _,ノ ' 丶 _ _, /:::::::::::/::::::/ とにかく家光を女体開眼に持ち込んで、
',::ヘ  ̄ |  ̄ u /:::::::::::::l::::::;' 世子がちゃんと生まれたんだから、
',:::',\ u /:::::::::::::::|::::::| 彼女は自分の仕事を果たして、亡くなったのよ。
',:::',::::\ ,、 _ /:::::::::::::::::|::::::|
;:::l ::::::::\ ` /|::::::::::::::::::|::::::| これから先は、次の世代の人たちの仕事よ。
|:::| l:::::::::::::丶、 . ´ |::::::::::::::::::|::::::|
|:::| |:::::::::::::::::} ≧ァーァ≦ |::::::::::::::::::|::::::|
::::::::::::::::::::::::::::::::::::....
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
::::::::::::::::::/::::::::∧::::::::::::.`、
:::::::::::::::/::::::::/ |::::|:::::::::::゙、
まあ、それもそうね。 ..::::::::::::/::_::斗-―|:::|::::::x :::.',
家光が衆道家なのも(俗説を除けば)、 :::::::::/'~::::/ __ |::|::::::|ヽ:::::|
別に彼女のせいではないし。 ..:::::::::|::::::斗=≠=ー::|::::::| ヤ:|
:::::::::|:::::/ {:::| |:|::::::| |::|
さて、それじゃあ次の話に .....:::::::::|:::::| i:リ |:ト、:ノ .|:|
移ろうか。 ...::::::::::|::::| ` |:| ゙:,' |:|
::::::::λ::| ソ ,: .リ
:::::::::| |::| /
:::::::/ .|:| z; ァ /
::::/. ソ  ̄ /
:/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄〉
-
春日局という、大きな影響力を持つ人物が亡くなって、僅か半月後の九月末、
今度は別の方面で、幕府における一つの頂点を担った人物が、病に倒れた。
,. -┴- 、
、/__:__ヽ
、ifミッ''"tiツハミL、 …私も、ここまでのようですね。
{!、 _ ,"弋彡イソ
tぇ:,ィtiッ レ!ヽーァ='´ ̄ ̄`` ー- 、___
__, -‐<`` <´ ̄ ̄ヽ!_ぅ_ー,、 ; / ノ ,r'⌒!
( . : : : :`丶、`丶、 `ヾニ´jィ'´/ . : .: /: : :/
`丶、_: : : : : : : 丶、_ 二ニキ`兀7´ . : : : .:_,.ッ'": : :/
`ヽ、: : : : : :|:l: : : : :|: :j/_,. -―――┬----- イ: : : : : /
` ー--{: '、: : :ノ:'´l丁 : : : : : : : : :jl、:. : : : : :.ヽ_: :/
l: : ',: : :| j少 : : : : : : : : ::}:ヽ: : : : : : : :ヽ
l: : : l `-イ!、_ : : : : : : : : : :.:.:t,: : : : : : : : _〉
,': : : :.'、__lニ ニl__:_:_:_:_r‐ '´ ̄`ヾ: :, ‐'´ ̄: ヽ
/: : : : 8!: |:.. l」 : : : : :\: : : : : : ヾ:、‐: ミ_: : :',-、
/ ミ、_:_: : :j!:.. : : : : : : :ヽ: : : : : : ヽ:-=: : : : :',:ノ
/_、ヾニ=-:.ノ|:.:.. : : : : : : : :.ヽ: : : : : : :\: ',
/_; ー-: : :ノノ`「厂 ̄: ̄: ̄ヾ~´丶: : : : : ヽ、 ',
. / _ン : :// l ! 8 : : : : : : :ヽ: : ヽ ヽ、
/ . : :/ノ !.l o 丶、 丶. ヽ ヽ、
,..L_ . : :/イ r 、',', o _,. \ヽ
ry′_,ィ`>‐ァ'´ , 、_、ヾ',ヽ。 ヽヽ
{!ノ´ し'′/ l '、 丶. `ー!。、 .: ', 丶
{ 、丶、 l 。 ヽ .: .:', ヽ.
/ 丶. ` ノ。 丶 .: _ノ/ヽ ヽ、
南光坊天海
(なんこうぼう てんかい)
幕府の宗教政策に多大な影響力を持ち、
家康・秀忠・家光と三代に渡って帰依を受けた当代随一の僧、南光坊天海こと天海大僧正である。
-
___ _
-‐''"´ ̄ ` `''ヽ=、
,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
r(:::::::::::::::::,、_ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゞ, rr〜ヅ ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::
フハ u. ミ::::::::::::::::::::::::::::::
. l ヒ¬‐- ..,,,__.〈:::::::::::::::::::::::::::::: 僧正…。
〉゙゙`'''T::jナ ̄ .ヽ::::::,ィ ,、ヽ::::::: お福が亡くなってすぐだというのに、
. / ,.‐'" }:::/ /ヽ ハ::::::: そなたまで亡くなっては、俺はどうすればいいんだ…!
/.. "´ 2ノ/ l:::::
. ヽ.ニ,` __/ :l:::: .ほら、この薬を飲むんだ。
. 'ーr_‐; J ィ l::: あと、願いがあればなんでもいうがいい。
〈.. /:{ ヽ
`} /:: ! i
丶、,、. イ:::::: !
,,,ノニミ=ミ-、、 何を仰います、上様。
.∩「)') /=7 ̄ ̄〜7)、、 この老人一人がこの世を去ったところで、
n._|_{|_||_| |彡二フ''"~^^"`}.)) 上様を支える者は、いくらでもおりますぞ。
ヽー` },r'フ ,へノノ 、、 ,, }ノ ,、-ーっ
{ ' ̄ ( ノ―-〉} ! イ迯 '〈ョ{ _ノ 二ニフ
ヽ .∧ ヾ i フ,” j`〈 ,,,/ ,/
ノ^~} {ー=7、 \ イー=='/ー---、,,,,、_,-ー〜' ̄ ̄! ̄)ー-ー―――;;「{'" ∠ニ 、
ノ | ヽー フ ヽ \. \___二}' ヽ ヾ } // / --- ー―-{ ヾフー--ーー'
| |_,,,ノ" 入 \ ミニ/ { ヽ } } / / /  ̄ ̄ {―"
ノ| └―''''` } 、 \ \ V''""ヽ レ /// / |
/| 入ゝ ヽ ヾ `旦 ヽ V / / ,,,,,-―ーー"" ̄
| { ノレ ノノヽ 〉 \ \ 〉 }//,,,-ー'''"
| |人ー―'''" ノ ヽ_| ヽ 〉 ヽ } //
| | |ヽ ,ー< | } }∩ } |
| | | ’ | '| .} <○、} |
| | | ノ 〉 | |() 〉 `<) {
ヽ { | / ` | | ^ヽ 〈 |
り | | | `ー'| |
九月二十九日には家光自ら見舞いに訪れ、自ら薬を飲ませるなどしている。
春日局が亡くなって僅か半月であることも、家光にこのように行動させた一因であろう。
-
_,. -―,.、
_,. '" .:. ヽト-、_
_,. -'´ .: 丶、_ ``ー_ッ'" ̄`丶、
_, '´ 〃 >ー'""丶ソ ` ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:......:.`ヽ、
,. " 丶.: "":. /彳ニ=彡'ヾミ、.:.:.:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ
/ . '.:.:.:.:.:.:.:. 、,l /r'',二,_,.、ti} .:.:.:.:.、 l ただ、この老人の願いをお聞き頂けるなら、
l :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.v':,(ヾ'、r。ュ;;t,。ッf7:.._.:.:ノ 、ヽ. l| l 神君様の御威光が更に高まるようにお計らい頂くことと、
{ .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. し! `゙ラ、_)゙´l|':.:.:.:.:.:.:.:z、 _ ヽ ,トシr' 諸国の牢人たちに、何卒慈悲を賜りたく…。
'、 .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.,. - /,ヘ '卞= 'ライ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:} 丶 :.:./
ヽ .: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:{ヽ` ー-彡イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ-、 / :./
l:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.|:.:>‐。‐f´:.|:.:.:.:.,、_:.:.:ヾ"' _,ィ":.:.l
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}/:.:|。:.:|:.:.:|:i:.:.:. t::.ヾ::. .:.:.:.:.:.:.:/
`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:{。:.:.!:.:ノ:l:.:. r- ニ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./
'、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:|:.:.从__|/:.:.l:.:.、ヾ:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/
ヽ、:.:.:.:.:.: /:.:.:ヽノ「l:.:|:.:.:.:',:.:.:.、___,,. ィ"
/`丶、:.:,イ:.:.:.'、;.:.:.lニ ニl!:.:.:.:.',:/ |:.:..... ',
!:.:.:.:.:.:`´:ト-、_',:.:.:.:l」:.:L_ノ:. ノ!:.:.:.:..... 」
「 ̄ ̄``l:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄`T'ー:.'"´ L.:-‐.:'´..l
,,..-''"::::::::::::::::::::::::`"''-.,,_
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::"''-.、
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
. /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::}
,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ `゙"''‐-..,,_:::::::::::::ノ
. i:::::::::::::::::::::__:::::::::::::::::/ ノノリリ
.. l::::::::::::::::::/, 、ヽ::::,.‐‐' ‐-、 |
|::::::::::::::::,'/=//::/ __\ .|
i::::::::::::::::iヽ/ i::/ ヽ_tソiヽ _j …わかった。
',::::::::::::::| } .レ , -― ./:/ どちらも、間違いなく取り計らおう。
i::::::::/` u.; ',i
. ,'ヾツ | ; .',
. i ヽ ` r‐'
.. | | \ ー―-、l
. /| .| \ ヽ  ̄/´
/ .| .| `''-..,,_ _/
_,,.-'" i /  ̄{ヽ
_ ヾ / \_
 ̄"''‐ `ヽ
しかし、死期を悟った天海は、自らの最後の願いを家光に告げ、その取り計らいを願ったのみであった。
-
その翌月の十月二日、身を清め、経文を唱えた後、居並ぶ弟子達に向かってこう言った。
,,,ノニミ=ミ-、、 今、百余年の修行を終え、
.∩「)') /=7 ̄ ̄〜7)、、 仏界に進むのですが、
n._|_{|_||_| |彡二フ''"~^^"`}.)) 何もかも全て自然に見えます…。
ヽー` },r'フ ,へノノ 、、 ,, }ノ ,、-ーっ
{ ' ̄ ( ノ―-〉} ! イ迯 '〈ョ{ _ノ 二ニフ
ヽ .∧ ヾ i フ,” j`〈 ,,,/ ,/
ノ^~} {ー=7、 \ イー=='/ー---、,,,,、_,-ー〜' ̄ ̄! ̄)ー-ー―――;;「{'" ∠ニ 、
ノ | ヽー フ ヽ \. \___二}' ヽ ヾ } // / --- ー―-{ ヾフー--ーー'
| |_,,,ノ" 入 \ ミニ/ { ヽ } } / / /  ̄ ̄ {―"
ノ| └―''''` } 、 \ \ V''""ヽ レ /// / |
/| 入ゝ ヽ ヾ `旦 ヽ V / / ,,,,,-―ーー"" ̄
| { ノレ ノノヽ 〉 \ \ 〉 }//,,,-ー'''"
| |人ー―'''" ノ ヽ_| ヽ 〉 ヽ } //
| | |ヽ ,ー< | } }∩ } |
| | | ’ | '| .} <○、} |
| | | ノ 〉 | |() 〉 `<) {
ヽ { | / ` | | ^ヽ 〈 |
り | | | `ー'| |
その後、弟子達一人一人に別れを告げていったという。
-
そして…
ノ } :::::::::::::::::::: | :::::::::::::::::::::::::: |
/ :::::::::::::::::::::: | ::::::::::::::::::::::::::::: |
// / ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
. //:::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',|
/ / :::::::::::l :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
/ i :::::::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ
ん-ト、 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: | :::::::::::::::::::::::::: |'
ヽ/::::::::::: /::::::::::: | :::::::::::| ::::::::::::::: ::::::::::: l
ヽ / ::::::::::: |::::::::::: | ::::::::::::::: レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| ::::::: / ̄|:::::::::::::::j
',:::::::::::{ |. :::::::::::|
',__,r' } .| :::::::::::j ザッ
', | |`丶、r'
', | | j
-
_,. -―,.、
_,. '" .:. ヽト-、_
_,. -'´ .: 丶、_ ``ー_ッ'" ̄`丶、
_, '´ 〃 >ー'""丶ソ ` ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:......:.`ヽ、
,. " 丶.: "":. /彳ニ=彡'ヾミ、.:.:.:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ
/ . '.:.:.:.:.:.:.:. 、,l /r'',二,_,.、ti} .:.:.:.:.、 l
l :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.v':,(ヾ'、r。ュ;;t,。ッf7:.._.:.:ノ 、ヽ. l| l
{ .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. し! `゙ラ、_)゙´l|':.:.:.:.:.:.:.:z、 _ ヽ ,トシr' おお…貴方も来てくれましたか。
'、 .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.,. - /,ヘ '卞= 'ライ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:} 丶 :.:./ これはありがたいことです。
ヽ .: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:{ヽ` ー-彡イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ-、 / :./
l:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.|:.:>‐。‐f´:.|:.:.:.:.,、_:.:.:ヾ"' _,ィ":.:.l
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}/:.:|。:.:|:.:.:|:i:.:.:. t::.ヾ::. .:.:.:.:.:.:.:/
`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:{。:.:.!:.:ノ:l:.:. r- ニ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./
'、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:|:.:.从__|/:.:.l:.:.、ヾ:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/
ヽ、:.:.:.:.:.: /:.:.:ヽノ「l:.:|:.:.:.:',:.:.:.、___,,. ィ"
/`丶、:.:,イ:.:.:.'、;.:.:.lニ ニl!:.:.:.:.',:/ |:.:..... ',
!:.:.:.:.:.:`´:ト-、_',:.:.:.:l」:.:L_ノ:. ノ!:.:.:.:..... 」
「 ̄ ̄``l:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄`T'ー:.'"´ L.:-‐.:'´..l
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | …いかにも、最期ですからな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
_,. -―,.、
_,. '" .:. ヽト-、_
_,. -'´ .: 丶、_ ``ー_ッ'" ̄`丶、
_, '´ 〃 >ー'""丶ソ ` ̄ ̄:.:.:.:.:.:.:.:......:.`ヽ、
,. " 丶.: "":. /彳ニ=彡'ヾミ、.:.:.:.:.:.:.: :.:.:.:.:.:.:.:.. ヽ
/ . '.:.:.:.:.:.:.:. 、,l /r'',二,_,.、ti} .:.:.:.:.、 l なに、出会いの縁はここだけに限りません。
l :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.v':,(ヾ'、r。ュ;;t,。ッf7:.._.:.:ノ 、ヽ. l| l さらに浄土で再会したいものですな。
{ .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. し! `゙ラ、_)゙´l|':.:.:.:.:.:.:.:z、 _ ヽ ,トシr'
'、 .: :.:.:.:.:.:.:.:.:.,. - /,ヘ '卞= 'ライ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:} 丶 :.:./ では、沢庵殿…。
ヽ .: .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:{ヽ` ー-彡イ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ノ-、 / :./
l:. .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{:.:.:.:.|:.:>‐。‐f´:.|:.:.:.:.,、_:.:.:ヾ"' _,ィ":.:.l
l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.}/:.:|。:.:|:.:.:|:i:.:.:. t::.ヾ::. .:.:.:.:.:.:.:/
`ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./|:.:.:{。:.:.!:.:ノ:l:.:. r- ニ..:.:.:.:.:.:.:.:.:./
'、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /:.:|:.:.从__|/:.:.l:.:.、ヾ:.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/
ヽ、:.:.:.:.:.: /:.:.:ヽノ「l:.:|:.:.:.:',:.:.:.、___,,. ィ"
/`丶、:.:,イ:.:.:.'、;.:.:.lニ ニl!:.:.:.:.',:/ |:.:..... ',
!:.:.:.:.:.:`´:ト-、_',:.:.:.:l」:.:L_ノ:. ノ!:.:.:.:..... 」
「 ̄ ̄``l:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄`T'ー:.'"´ L.:-‐.:'´..l
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` '|| | 僧正…。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ヾ、ー、,
/ ト、ー、
/ ノ ノ / ゝヽ、
ノ ,,r´ -ミ'‐"´´ 、 `、`、
/ ,_ソ /, ' r"´´´ ヾ ヘヽ
ノ , __丿/´ __,,,,,,,,,,,ゞー'' | ヽ
/ イ / ̄ i ヽ
ノ 丿丿 〈 i
リ , ' ,' , -ー‐-----''''""´ ヽ |
ノ 丿 :::. :' ヽ i
,--、、、 ,' ヽi ゝ, Y⌒',
|i ヽ 、、、ヽ ___, 、_,i ヾ, _,,,,-‐t、、__ /r / ごきげんよう。
'、' ヽ ,〃"でヅ''ゝ、i |彳´ゞ┘ニ=. | /
ヾ i;, `゙ゝニ==彡';; いミ三ニ"´ | /
ヘ ゞ `゙ー‐'''" :. ヾ  ̄`゙ヽ |丿
ヽ ヽ ,,r 、;: ' ヾ、 |
ゝ、_, / ヽ、_' : )ヽ |
ヘ / `゙゙ー-‐"´ \ |
ヽ i; ___,,i_i,,__,, 丿 ノ ノ
\ '; `゙=ー'ー'ー'ー'一"´ |i / /
\ i; `゙゙゙゙゙゙゙゙゙゙""´ ;: ノノ
ヽ `ー,一" ノ/
\ ノ'
`ヽ /
`゙ー、____________,,/
天海は最期に、
「今、こうして死に臨むが、もし自分に恩を返したいと思うことがあれば、一層学道に励めばよい。
現世の出会いの縁はここだけに限らない。更に浄土で再会したいものだ」
と言い残して、十月二日の夕方、入寂したという。
正確な年齢は不明だが、享年108歳といい、後に「慈眼大師」の号を追贈された。
-
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;!゙`''〜^〜ァrr-'゙`'´''ラヘ;;;!
|;;;| ノリ ミ;;;|
_ゞ;! r─-- 、 ,rェ--- 、ミ;リ
!ヘl;| =ェ::ェ::::::::,ィ:::ェ::ェ= 「ヽ …そうか。
!(,ヘ! :::::|:::: ,ドリ 僧正も入寂されたか。
ヾ、! !; ,レソ
`| ^'='^ ム'′ この一月にも足らぬ間で
,rト、 ー- ─-: /| 大切な人間が二人も去ってしまうとはな…。
_../ i| \ === ,イ.:ト、
/ i| ゙、\ ; /リ.:;!:::\、_
゙! ゙、 `ー─''゙:::;:'::::|::::::::::\
゙、 :::/::::::|::::::
`ヽ、 ゙、 ./ .| ,-、、
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | …時の流れとはそういうものです。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
_ -───- _
, '´ `ヽ
/ \
/ ヽ
/ __, ィ_,-ァ__,, ,,、 , 、,,__ -ァ-=彡ヘ ヽ
' 「 ´ {ハi′ } l
| | | |
| ! | |
| │ 〈 !
| |/ノ二__‐──ァ ヽニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ
/⌒!| =彳o。ト ̄ヽ '´ !o_シ`ヾ | i/ ヽ ! 和尚。
! ハ!| ー─ ' i ! `' '' " ||ヽ l |
| | /ヽ! | |ヽ i ! 僧正が世を去った今、宗門のことで、
ヽ { | ! |ノ / 俺が頼りにするのは和尚だけだ。
ヽ | _ ,、 ! , ′
\ ! '-゙ ‐ ゙ レ' どうか、頼むぞ。
`! /
ヽ ゙  ̄  ̄ ` / |
|\ ー ─‐ , ′ !
| \ / |
_ -‐┤ ゙、 \ / ! l |`ーr─- _
_ -‐ '" / | ゙、 ヽ ____ '´ '│ ! | ゙''‐- 、,_
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` '|| | ……俺に出来る限りであれば。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
, "´ ̄ ̄ ̄` 、
/. : : : : : : : : : : : : : \
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ
/: : : : : :」: : : : : : : : : : : : : : : : ',
,: : : : /´|: : : l: : : : : : : : : : :_: ハ
| : : / |: : : |: : : : : : : : 、:_:ノ.: :|
| : / !:、: :ヽ: : : : \: : `フ: : !
l : | ヽ\: :\ニ=-‐¬「:: : :l こうして、春日局が亡くなった寛永二十年九月十四日から僅か半月、
N | ,二ニ=、 `T^ノff__ノハ| : : :/ 十月二日に天海僧正が亡くなったの。
ヽ \/ff__ノ} riく 丶 ゞ= '_ノ: : :/
`Tヘ ゞ='_,ノ 〉 /: : /! 享年については、本文中で挙げた108歳説の他、
丶ハ、 ,: : : ':.| 130歳説、116歳説もあって、どれが正しいとも言いづらいから、
`'ゝ. ^ ⌒ /: : /: :| とりあえず、「非常に長寿だった」程度で止めておくのが無難かしら。
l: ::`> _//.: : :|: : |
|: : : :_} / : : : !: : | 幕府創成期から宗教政策に携わった僧のうち、
|: : :/\./|: : : :|: :| 金地院崇伝と共にトップを張っていた大物の一人ね。
/:/ /ハ |: : : :|>、:.
__ -‐'´ | //∧ j: : : : :! 丶 ___
| | 〃{/l / : : : : | / |
.... /: : : : :.|: : : : : : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
: : : : ト ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
/ : : : :..:| \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
. /: : : : : :/: : :.:j ,.斗ヘ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
春日局に続いて、 . ′: : : :.:′: :.孑'y==ミk:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::._____
また一人、相談のできる相手が i : : : : : : ::::::::/ j_迅)ィ彡!:i::::::::::::::::::::::::i:::::::::::::::::::::::::::iニニニヽ----
なくなったのか…。 ... |:..:.|::::::::::::::: / 三¨¨ l|::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::|=/ニニハニニ
.... |:::::|:::::::::i::::/ l|::::::::::::::::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::|/ニニニニ}ニニ
家光は堪えたでしょうね。 . |:::::|:::::::::|:〈 l| i::::l::::::::::::::::l ::::::::::|::::::::::::::;=ニニ二/ニニ
|:::::|:::::::::|::i丶 l| |::::|::::|::::::::::l::::::::::::|::::::::::::/ニ二二/ニニニ
|:::::|:::::::::|::| r ニニニヽ リ |::::|::::|::::::::::l::::::::::::|:::::::::/ニ二二/ニニ二
:::::|:::::::::l八 ゝ- ´ ̄ |::::|::::|:::::::::::::::::::::/! ::::/ニニ二/ニニニニ
Vil!::::::::|:::::::.. | :/::::|::::: /::/|:::/ィ|/=ニ二/ニニニニニ
Ⅵ 、:: |:::::::::::ヽ / |/ | ::|::::/::/ :|/=ニニニニ/ニニニニニニ
∨:::::|::::::::::ーr―< ,ノイ::/l:::ハ/ /ニ二二/ニニニニニニニニ
∨::ト:::::l∨レニ/__////イ..l/:/ィニニニ二/ニニニニニニニニニ
-
|
/l
//
_, -― '.:∠._
, '´. : : : : : : : : : : : :` .、 /| そうね。
/: : : ; -‐、: : : : : : : : : : : :`フノ :| .それに、幕府の宗教政策に於いて、
/: : : :/ |: :l: :\: : : : :  ̄´ : : / .大きな影響力を持っていた天海の穴を埋め得る人物は、
/: : / !:.l\:_:`:¬ァ: : : : : / この時、一人しかいなかったのだけど…。
,' : / ー- \ヽ-‐ ̄ヽ: : : : ∠⊥,
|: / \ 丶-----イ …問題は、その人物、というか沢庵和尚に、
|: | /´  ̄「 ̄`v―v'´ ̄ ̄ 「`ヽ|: : :| ..まるでやる気がなかったということかしらね。
|: | { ノ } { ノ |: : :|
.... -‐━--
/:::::::::::≠=‐----:......... __
^ヘ:::::::::::::::::::::::::::ヽ :.______
///} / ー----― \ )
…まあ、和尚のやる気のなさは、 . /:::::::::::/ 八/ } \
今に始まったことじゃないから。 .... :::::::::::: }/.......\// ../≧=--r-‐ヘ\ 丶
.... (} :::::::::::::: ::::::::::::^ー /}/:::::::::/}:::::::::::. } }
それに、この頃には、 . :....:::::::::::::::: ::::::::::::∠... /ハ:::::::/ 」::::::::::::
寺院諸法度や寺請制度をはじめ、 .. : ::::::::::::::::::::::::::/ ̄〕/^ }//≦.]::::::::/}
幕府による宗教政策は、 . :::::::::::::::::::::::::勹瓜㌃ヾ/ r ㌻Y : :/ ;
概ね土台が固まっていたから、 . /:::::::::::::::::: :: { { :: //′
天海や崇伝のように . _/}八::::::: \: : \ _/ /::〈/′
傑出した才覚を持った人物でなくとも、 {r弖三三二ニ=- _ _ __,, ..:::::小:\
維持・運用できるようになっていたから . ┌┷=ニ二三三三二ニ=- _/::::::{ { } ヽ
深刻な問題にはならなかったんだし。...... √ ̄ \三三三三三三三人
√ ≪⌒\ -=ニ二三三三 /
, /ヘ }} 〈 \ ′}三三三 イ
-
|{ \:./ | : : |: : : l: : : ヽ: : : :\l_
|:\ ) | : : |、: : ト、: : : :\:_:_:/
|:.:/`( -―――- ヽ : l-\|‐丶--イ: : / そうね。
l:〈ヘ ',゙Y´  ̄ ̄ ̄ `ヽ __`7´  ̄ ̄ `7: :/ .なんにせよ、天海僧正も、
',:ハ ',{ `ゞァ=一' rノ ' l ` ー=='/: :/ 自分の役目を果たし終えて、
'; :\ ,\_ __/ l ヽ _ /: :/ .亡くなった一人、というところね。
; : : :`ヘ | /: :/
|: : : : : :ヽ __ _ ,〃: :/ あと、天海が貫主を勤めた寛永寺は、
|: : : : : : : :\ ` ´ //: : / 弟子である公海が継いで、
|: : : : : : : : : | 丶 /: :/: : :/ 更にその跡を守澄法親王が継ぎ、
/ : : : : : : :/{ >< |ヘ.:/: : :/:| 以後は「輪王寺宮」と称されることになる
/: : : : : :/ l \ / ,: : : /: :| 代々親王が貫主を勤める寺になっているわね。
/: : : :// | \ / /.: : :;(: :|
/ -‐ / | x少x./.: : : :lヽ`丶.
_ -‐ ´ / | //小./ : : : : l \ ` - _
l ヽ. / | // l| /: : : : : :| \  ̄ ̄,1
| \ / | // l|;': : : : : : :| 〉 /|
| | \ ∨〈 〃: : : : : : : | / l |
... __
...:´::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::/}::::::::::,、::ヽ
伝奇的には、 ...... ′::::: /メ/}::::/-}:::ハ
この後も生き続けたり、 .. |::::::::::::芯゙` /ィ矛.}::::::i
何百年かくらいして . |:::::::::::| , }::::::|
復活するパターンも多いけどね。 N:::::::::! γ⌒\/}/
... `ヾ::iミ=/ヽ ヽ
「伝奇から離れなさいっての」 . /ヽ: : i`ヾi ⌒}y'⌒}
{くヽ:':,.:.レ_,l___ ノ_`¨´
}: ´: : ':, :{: : : :ヽ /}、
V : : : ∨: : : :/LZ} }
-
そして更に時は過ぎ、年が明けての、
寛永二十一年(1644)六月末…
|l______________| |
./|:::::: | / \ | |:二二二二:|
.//|:::::: | |二二二 | | |:::::::::::|:::::::::::|
.//. .|:::::: | |l| 寂 |l| | |:::::::::::|:::::::::::|
.// |:::::: | |l| 滅 |l| | |:::::::::::|:::::::::::|
/|/ |:::::: | |l| 為 |l| | |:::::::::::|:::::::::::|
//| |:::::: | |l| 楽 |l| | |:::::::ll::|::ll:::::::|
//. .| |:::::: | |二二二 | | |:::::::::::|:::::::::::|
// | |:::::: | 0 0 γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
/ | |:::::: | | で… |
| |:::::: |____ _ ____ 乂_________ノ
| 艸 ::|::::::/ __)''( _ | |:二二二二:|
| 0: :::: 艸 ::|/ /_(~~~)_/ :| | 。|。 |
:0 |::::艸:::: ::: | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | |
| ::::: ::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
:: 艸 ::|::艸:: /
:::::艸:::: | /
:: 艸 :: |/
:艸::: /
/
/
/
-
_.. -= ' ´  ̄ ` - .,_
,r'",,;; ,;;;; ,,;;; ,;;;;;;;;;;,,ヽ、
/ ;;;, ,, ,,,,,;;;;;;;;;;;;;; _ ;;;;;, ヽ
./;; r- ...,__ ,.. -y ヽ  ̄`i ;;;;;;,,ヽ,
,i ;;; l / ノ ~l;'~ l ;;;;;;;;;; i
i ;;;; i __, ...、 ! ,.- ., ___ .v ;;;;;;;; l
!, ;; i'-,- '''ヾヽ ~`r' ー=-~` i r- 、i
ヽ、i 'rーu-,i l t'~"uー,. l,lr' ll お前も暇だねえ。
i, i ヽ、_,/,i ヽ, -'" リ j i 引退した老いぼれを
i l :::. ..:::: ,/ .わざわざ見舞いに来るなんて。
l i_ ヽ ..:::::: r'"-.,_
i ..,__ _ _、 ::::::::: i ヾ\~"ヽ
,._,-'"-' ~`二 '" :::::: ,y ,i ヽ,
~_.ヽ '' ..::: ,-'" i /i
_,.-=' /, ヽ、 ,.-' ,' ,r ,y l
- '" / i l丶,-ヽ- ='" ,' / ,' i
土井大炊頭利勝
(どい おおいのかみ としかつ)
/ ̄ ̄\
/ \ /\
| ( ●)(●) 何を仰います。
| (__人__) .大炊頭様は、今も大老として
| `⌒´ノ 公儀に重きを置かれるお方ではないですか。
| }
ヽ }
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
この頃、大老・土井利勝は病(中風という)のため、自邸にて療養していたという。
-
/::::::::;ィ'´| | | | | `ー-,:::::::ハ
,':::::::::/ !__ ! | | | し |::::::::|
|::::::::リ -‐>‐-、 ̄r' }ー‐-、 ゛ !::::::::|
i::::::/ f'´ ̄ if }::/ ! ∠`ヽ`ヽ |:::::::::|
|::::f \__ /" ヽ `tr`r ヽ:::::リ
/ヽ,! 、ー | ヽ__,.ノ }::::;' 大老ったってねぇ…。
{ ハj ヽ ,. -_ j `ー i:::;' 要は名ばかりの職だからね。
i 八 ! ィ 「 ̄i _ f´ヽ まあ、讃岐(酒井忠勝)みたいに、
ヽ i ヽ_ / r' ヽ ! .幼少時からの上様の側近ってなら、
`ー| , ―-- ., _ / リ また話は別なんだろうけど、さ。
! ,_ ` 、 // /
ト、 ` ` , /ー' ああ、そういや琉球からの使者、
| ヽ i 特に問題なさそう?
| ヽ , <f'
_,. <i `ー- !,_ / |、
/ ` 、  ̄` / ヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) ええ。
. | (__人__) 無事に上様への挨拶も済み、
| ` ⌒´ノ 来月には日光山へお連れする予定です。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ mm
/  ̄ ̄ ̄ つノ
| | ̄ ̄ ̄
なお、余談ではあるが、この年の六月、琉球よりの使者として
二王子が家光に挨拶をするため江戸に来ている。
この時も、宗矩は両王子を出迎える役を勤めている。
-
三三三三三> 、
三三三三三三三\
三三三三三三三三ヽ
三三三三三三三三 ハ
三三三三三>-‐,三ニi
7ー-r-―ヽ´ i三ニ|
i ', |三ニ! ふーん。
', ! ヽⅣヽ
==ヽ l ゝ=ア=、=- Yiヽ'`>. ., …ああ、そういえば、
‐tr,}:: !:: '、―irァ |yリ. . . . . .`>. .., 明国が相当まずいことになってるみたいだねえ。
`-´, |::. -`ー' ,イ' /_._._._. . . . . . . . .>、 下手すると、こっちに火の粉が飛んでくるかもしれないが、
,' !::::: / f7イ._. . . `.ー.‐.‐.-.,_/ そういう時に限って、火遊びをしたがる連中も出るもんだよ。
' _ .l:::: !' 「. .`.ー.‐.‐.-..,_._./
`ー_´_ , / | . . . . . . . . . . / / 俺の言いたいこと、わかる?
 ̄ -ァ‐、 / ,: . . . . . . . . . / /
,ィ{, i_! // /. . . . . . . . . .//
ヽ/!」 ) ',/ /,ィ /. . . . . . . . . ./' /
/ ̄ ̄\
/ \i||i/
| ( ○)(○) ………ははっ!
| u. (__人__)
| u. `⌒´ノ (やはり怖い御方じゃ…。
| } おそらく、「火遊び」をしたがる御仁の名前も、
ヽ } .目星をつけておられるのじゃろうな…)
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
この年の三月、北京陥落によって明は滅亡したものの、以後、南明による抵抗が長く続く。
この時、南明より日本に出兵を求める「日本乞師」の使者が来訪している。
(これを行ったうちの一人が、俗に言う「国姓爺」こと鄭成功である)
-
/三三三三三>=、三三三三三三三三\
{三三三,ィ ´ }三三三三三三三三三ヽ
,イーラ" i l三三三三三三三三三 ∧
/ j { _ゝ__ !、三三三三三三三三三 ∧
{ ィニヘ `ラ=fニ、― ヽ \三三三三三三三三三}
r /ヽ "/__ \ ` \三三三三三三三三!
∨― } 、  ̄ラ `i三三三三三三三リ ま、伊豆(松平信綱)や豊後(阿部忠秋)もいるし、
,イ j!′ ゝ _ jレ {三ニ/二ヽ三三/ あんまり心配はしてないけど、さ。
/ `y′ ` }ニ/ く ヽ }三 /
! / _ /〃〃" ` ノ l り三/
l ヽ>、ノ / " ( -‐' /三/
i ` _,ィく三/
! _ l l三:/
l l、 ヽ , / ∨{
l 、二 / ヾ
j ` _, イ _L、_
{ i _ ,. < _,. -‐,. <///∧
ヽ { _,. < _,. -‐ ,. <////////∧
`ー―< _,. -‐ ,. </////////////∧
なお、この「日本乞師」について、幕閣による協議はあったものの、
結局、幕府は出兵しない方針で決着する。
【徳川実紀:正保三年十月十六日】
『御座所にて酒井讃岐守忠勝、松平伊豆守信綱、阿部豊後守忠秋、阿部対馬守重次をめして議せらるるむねあり。
明國より平戸一官書簡を奉り、援兵を請ふことによりてなりとぞ。(この平戸一官とよびしは鄭芝龍(成功の父)が事なり)』
【同年十月二十日】
『これよりさき一官援兵を請て、書簡をささぐといへども、その仔細いぶかしけなれば、長崎へ御使をたてられ、
一官が書簡持來りし使に、其事状をくはしくただし問れんとせられしに、こたび長崎より注進に、
韃靼福州を攻とり明主既に□し、一官も韃靼に降参したるよしなり。彌さならんには、
援兵を遣はされんよしもなければ、この議をとどめらるる旨、老臣仰を諸大名に傳ふ』(※□は文字が出せず)
-
_,. ri!´i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!i!ミミミヽ
r'´!i!i!i!i!i!i!i!i!i≧、ー'´ ̄!ミミミミヽ
ゝ!i≧r=rf´ ̄ ヽ .|ミミミミミハ
{クリ f/ {! ___!'_ !ミミミミミミ',
iⅣ _," ゝ≧V=、` \ミミミミミi
Ⅵ´7`ヽ :::イi ̄ ̄! ヽミミミニi| まあ、俺達みたいな年寄りが何時までも居座ってちゃ、
ヽイf ̄} ヽ__/ ∨ ムヽ 若いのが育たないよ。
| 'ーイ ー r ´ ヽ} i お福殿も、天海僧正も去ったんだ。
{ ´| _,.ニ ! r/ / 次は俺の番…ってとこさ。
', `ー ` _´,/
i _ ,. -―=ヤ ’ i | いささか遅過ぎたかもしれないが、
! `ー ´_ ̄ イ | その分、次の世代が育ったのを見る事が出来たし、
ヽ  ̄ /,リ ! 安心しておさらばできるってね。
', / ! |
!、 ! ,. ≦ ノ .i
≧ー ´ ̄三 彡 ____ヤi
| ̄二`7@ヽ /-\ r‐,ト、
r==r‐f´| ヽ,// ヽ, / \ヽハ `ーf=ヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー)
. | (__人__) 大炊様…。
| u. ` ⌒´ノ
. | nl^l^l
. ヽ | ノ
ヽ ヽ く
/ ヽ \
-
,, -―――
〃:::〃::::::;;、:::::::::::ヽ
Yア( ̄ {_:::彡::::|
{{;ィ..::ャ=ミ ヽ::r:、| …他人事じゃないって、わかるよね?
代・} 弋・フ / ^}リ
';::.:L .::: { r〈
';t‐ェェタ イ >、_
i:::二 / // \
`ー</ /o\ \
rヘo// ̄ ̄:.::\∧
∨//.::.::.::.::.::.::.::.::.ヽハ
/7ロ::.::.::.::.::.::.::.::.::.::.} _}
{ |圦:.::.::.:.::.::.::.::.::.::.::「 |
V |.:}ヽ.::.::.::.::.::.::.::.::. く|
{ノ:ノ ハ.::.::.::.::.::.::.::.::.::.}
Ⅳ ∧.::.::.::.::.::.::.::.::.:}
}リ / 〈.::.::.::.::.::.::.::.::.::}
くく 〔.::.::.::.::.::.::.::.::.:{
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: |
. |::::::::::: | ……………ええ、勿論。
|:::::::::::::: |
. |:::::::::::::: }
. ヽ:::::::::::::: }
ヽ:::::::::: ノ
/:::::::::::: く
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――――
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)
-
,......-―-............,_
,. <::::::::::::::::::::::::::::::::::::>‐-..、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
f::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ_
i:::::::::::::::::::::::::::::::r' ̄ ̄ ヽr―、く´ヽヽ
!::::::::::::::::::::::::::::::| !リ ' ! リ !
. |:::::::::::::::::::::::::::::::! ' L_!
!:::/´ヽ::::::::::::/ ,. ィ二く ̄ /∨ こう言っちゃなんだが、
∨ } ゝヽ,! ̄ f‐tr‐ラ:: f´フ .うちの倅(利隆)は、あんまり出来は良くないからね。
ゝヽ { `ー ' i´! あいつに御公儀の役に立つのを期待するのは無理だわ。
,.ィt´! !ゝ-, ヽ , !/ せいぜい、家を潰さないようにしてくれれば十分だよ。
/./. |∧ヽ | ! ーr‐i r' ̄ヽ
/. . i. . ',三ヽ' !、 _ _ェv'ニノ__ ゝ-、 念のため三男と四男には、一万石ずつ分けて、
/. . . . .ト. .∧三:\ \ ´ ー r'`ヽ―/" ,. ' ヽ 一番下のにも五千石やることにしたけどさ。
. /. . . . . .i ヽ. ∧三ニ\ ` 、 j ! ヽ ゝ / ,. L,
/. . . . . . .|. . ',. . .ヽ三三>、 >、ー‐'r': : | レ r ´ i
. / . . . . . . . . . ∧. . .∧三三ニ:`ーハ: :ヽ/: : : :ゝ ーく_,.≦ リ
/ . . . . . . . . . . . ∧. . . .ヽ三三三三: : :i: : : : /: :>‐、 イ
. /. . . . . . . . . . . . . . .ヽ. . . ∧三三三:ハ: :ヽ : /: : : /ト、`ー )!\
/. . . . . . . . . . . . . . . . . .\. . .ヽ三三三i: : :i: : : V´: : :|:.:.`ー':.:リ: : :\
/ ̄ ̄\
/ __ノ ヽ
| ( ●) ) 十六万石から、二万五千石を分地…
.| (__人) いや、新たに大名家を二家と、旗本家一家を立てられると。
| rつ
.| ((三)
ヽ ( <
ヽ /∧ ∨
∠ /⌒ ∧ ヽ
( \ / / ___)
|\ '' /|
| \_/ |
-
/ ̄ ̄ ̄ ! ,.イ_(: : : : : : : : : :≧、
! / ̄`ー' '´,クヘヘ ̄ ̄ 7: : : : : : : ヽ
,' ,' // ' ヽ /: : : : : : : : : i
! '、 . / '´`ヽ ゝ: : : : : : : : :リ 親が子供にしてやれるのは、
ヽ ヽ, ハー・ヲ f: : : : : : : : / 本人の才覚次第で働けるところまで
/ ノ . /.`ー' ム'´ヽ: : : : / .道を作ってやることくらいさ。
{ く. { / ノ: : : /
,> > . iTTTエユ ーく: : : :/ どんなに才覚があっても、
i ,' ,、_, 、 | ̄ ´ ゝ: ノ それを振るえる場に立てなきゃ意味ないからね。
; i r=!く ヽ `ー- .,_, へ´ ヽ
'ー・"`ヘ' \_,. -‐ 7/ }、 ヽ
./ ̄ ̄\
./ \
| ー ‐ i
| ( ●) ( ●) …………。
| (__人__)
| `⌒´i
ヽ. ノ
ヽ ノ
.> <
| |
| |
なお、この後、土井家は本家を継いだ嫡男・利隆は暗愚のため、押込めの目に遭うが、
分知された兄弟のうち、四男の利房は立身し、最終的に四万石の老中にまでなる。
-
, -‐―- 、 , -― - 、 , - ― - 、
/:: :: :: \ヽヽ、 r'´::::::::::::::::::::::::ヽ、 //:: :: :: :: :: ::ヽ
.|:: :: :: :: :: ::ヽ、:: ヽ、 ./::l´,ゝ-┌、‐´`i:::l ,-/:: i:/::/⌒:: :: :: ::|
ヾ:: :: :: :: :: l:|Y⌒ 、`‐l:::ノ_,---ヽ--、__ヾ:l-'´:: l:: /::l '´:: :: :: :: :: :/ ま、他人事に思えなかったから、さ。
ヾ:: :: :: :: ::l::ヾ:: :: |:: ::l::i f・ソ,. 、f・.>`):|:: :: :: 〉レ´:: :: :: :: :: :: ::/ ちょっとお節介だったかもしれないけど、
l:: :: :: :: ::|:: ∧:: ::l:: ::ilト、 ` , ` レi:::::::::::Sレ‐i:: :: :: :: :: :::/ これを参考にするかどうかは、お前さんに任せるよ。
ヾ:::lヽ:: ::|::l:: ::`ヾ_ヾi ! ゙ ‐' /レソ;;-っ´:: :: |:: i:: :: :/:: :/
l::|;;l:: ::|:::!:: :: :/:.ヾ=l r┐ /__,/´ヽ:: :: ::l::|:: ::/:: :/ … じゃ、ぼちぼち休むから、
ヾ!::l:: ::|:: :: ::/:. :.,,>》ヽ、. i ./-‐| ヾ、 ヽ;; :: |::l:: /:: :/ .そろそろ切り上げさせてもらっていいかな?
ヾ|:: ::l:: :::/:. :.ヽ'´:.i`ヽソZ二Zゞ,ノ!:. :. v:. :ヽ:: l::|::/:: /
i:: :::l:: /:. :. :. :.ロ:∧‐、_ヾ::/ `‐/l:ロ:. :. :. :ヾ!::l::l:: /
l:: :::|::/:. :. :. :. :./ ` /::l / l:. :. :. :. :. iノ:l::/
ヾ;: :レiヽ、:. :. :.〈 ./::::l ´ ,-└:. :. :., -|、::/
∨ lO) `ヽ _ ` ヽ.」:::;;;レ' ´ _, -―lol:.Y
i:. /「ヽ:. :. ;._ >‐'´_ , -―´ l:. :. :. :./l:. :.|
/ ̄ ̄\
/ \ /\
| ( ●)(●) ははっ!
| (__人__) 大炊様も、何卒御自愛を…!
| `⌒´ノ
| } 「うん、じゃあねー」
ヽ }
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
-
_
,/´:::::::`ヽ、
/::::::::::: ,. -‐ - 、_
/:::::::: ,,.-':;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:`ヽ ,,..-
/::::::: 〃"つ,'ヾ、_:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;`ヽ /´:::::::
/::::::::: /,,、{、 `ヾ、:;:;:;:;:;:;:;:;:`ヽ/ :::::::::::::
/:::::::: ,.ノ ,. 、ヾ:、 〉:;:;:;:;:;:;:;/ :::::::::::::::::::: …ま、やるこたぁやったんだ。
/:::: ,..-'´ ' /'ヽl l::! /:;:;:;:;:;:;/ :::::::::::::::::::::::::: もういいよなあ。
/ /: 〈_ ー ´ ゙ /:;:;:;:;:;:/ ::::::::::::::::::::::::::::::::
/ /:: / }:;:;:;:;/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 神君様、大御所様、
,〃::::::: }-、 ノ:;/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 遅くなりましたが、甚三郎、そちらに参ります。
,〃:::::::: / r'´ ,.〃´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/:::::,// /::/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/::: /::: ( ,、 ,./::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/: /:::::::: __〕、/ノ\,,..-‐'"':::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/: /::,,.-="´ー"-'r‐v´:::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,..-┴'"二,、_,,ノ=ーフ:{:::::i ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
この後、寛永二十一年七月十日、大老・土井利勝死去。
享年72歳。
初代家康以来、三代に渡って幕政に関わり続けた最後の大物が、
遂にこの世を去ったのである…。
-
|{ \:./ | : : |: : : l: : : ヽ: : : :\l_
|:\ ) | : : |、: : ト、: : : :\:_:_:/
|:.:/`( -―――- ヽ : l-\|‐丶--イ: : /
l:〈ヘ ',゙Y´  ̄ ̄ ̄ `ヽ __`7´  ̄ ̄ `7: :/
',:ハ ',{ `ゞァ=一' rノ ' l ` ー=='/: :/ 春日局、天海僧正に続いて、
'; :\ ,\_ __/ l ヽ _ /: :/ この頃、亡くなった最後の大物が、この土井利勝よ。
; : : :`ヘ | /: :/
|: : : : : :ヽ __ _ ,〃: :/ 利勝と同世代の人物で、
|: : : : : : : :\ ` ´ //: : / 中央の幕政に重きを置いていた人達は
|: : : : : : : : : | 丶 /: :/: : :/ 皆、他界してしまっているから、
/ : : : : : : :/{ >< |ヘ.:/: : :/:| 彼だけが一人取り残されていた形になるけど、
/: : : : : :/ l \ / ,: : : /: :| 今、ようやく彼も舞台を退いたというわけね。
/: : : :// | \ / /.: : :;(: :|
/ -‐ / | x少x./.: : : :lヽ`丶.
_ -‐ ´ / | //小./ : : : : l \ ` -
.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /:::::::/::: /::::::::::::: ∧:::::::::::::::::::|
|::::::::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::/:::::/:::::::/::: /:| ::::::::::::; ∨/:::::::::::::
|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::::/__/::/ | :::::::: / l:::::::::::::::::|
|::::::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::| : /::::/}/ ̄> :::::: / ,x─ |::::::::::::::: |
|::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::|:::::xf芹汽弌、 |::::::/ィ抖ik, |:::::::::::::::::|
幕府創成期から、その場に立ち合い、. ::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::: |:::::::::|:::{ ゞ゙ン_,, :::::/ r'゙'ノ ,ノ`|::::|:::::::::: |
その土台を固めた人達が、 . |:::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::|::{ /:::/ ` { |::::|:::::::::: |
次々に亡くなっていってるわね…。 ...... ::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::: |:::::::::|:{ /::: 爪 ::::::::::::: |
..... |:::::::::::::::::::::::::::: |:::::::::::: |:::::::::|{ // - ノ ム|::::::::::::::::: |
これも「時代の流れ」ということかしら。 .... ::::::::::::::::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::| / ∧:|::::::::::::|:::::
..... \ ::: |::::::::::::::::|:::::::::::: |:::::::::| -=こァ .イ::::::|::::::::::/}:: |
「そうね」 ... \「\::::::::::::::::::::::: |:::::::::ト、 ー゚ ,.: : |::::::::::::::: ′}/
\ X::::::{\:::::::|:::::::::| ` イ::/:::| :::::| :: / ,/
/.....\{ \:{\::::| ≧= -f′/ l:::|::::/l:::/
/.......... \__ \ /.. \|__/|/|:/ :j/
ィ〈................  ̄〕 /....... ∧} j′
-
/ ..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ ..::::::::{::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ :::::::/|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
l :::::::/ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: 春日局や天海僧正と違うのは、
| :::::; |::::::l::::::::l:::::::::\::`ニZ 幕政においては、彼は半引退状態で、
l:l::::l !::::::',:::::::ヽ::::::::::.\ ノ 松平伊豆守をはじめ、次の世代の年寄達が
v:::| 、_ 八::::::ヽ::::::::\‐ァ≦ノ 既に幕政を担っていたという点かしら。
(ヽYrfr刈\:::::>ィケfく__ノ} ]-
{ヘ.弋_ンヘ―〈、 ゞ= イノ : そういう意味では、既に世代交代が済んでいて、
ヽ :. _ノ:. 丶 -‐l/::::: 彼が亡くなることによる影響というのは
\ } /::::::: 大奥や宗教面でのものと比べれば、
丶 ー - 〃:::::/ あまり大きくはなかったかもしれないけど、
、__,//::::::/_, それでも、彼ほどの人物が亡くなるのは、
/...::::::∠ やはり一つの区切りといった感があるわね。
/::::::/
/:::/
/∠ -――‐-
... <;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;≧ュ.,
/;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;>、
/;:;:;:;:;:;: /:;:;:;:;:;:;/;:;:;:;:;:;: !;:;:;:;:;:!;:;:;:;:;:;:∧
γ;:;:;:;:;:;:;:;:;:/;:;:;:;:;:;イ;:;:;:;:;:;:;:;:;/;:;:;:;:;:;|;:;:;:;:;:;:;;:;:;ヽ
,/;イ〃;:;:;:;:; j!;:;:;:;:;/:;:;:;:;:;:;:;:; イ;:;:;:;:;:;;j!;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::ハ
〃 /;:;:;:;:;:;:;:;:|;:;:;:;:/;:;:;:;:;:;/ ./;:;:;:;:;:;:;i!;:;:;:;:;λ:;:;:;:;:;∧
{' 〃;:;:;:;:;:;:;:;:;酛;:j!;:;:;γ /;:;:;:;:;:;:;::i!;:;:;:;:/ !:;:;:;:;:;:;∧
現代でいえば、イメージ的には ..... i!;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:酛!:;:;:;/ i!;:;:;:;:;:;:;イ;:;:;: / !;:;:;:;:;:;:;:;ハ
中曽根元総理辺りになるのかしら? ∧;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:v!;:;/ー -i;:;:;:;/ !;:;:ナ' "´ i!;:;:;:;:;;:;:;:;:;!
... ∧v;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}';:;;! ,ハ;イ /;:イ __,,. |;:;:;:;:;;:;:;:;: !
しかし、最後の宗矩への話は、 .... 〃 〉;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;j!;:;:i 〒:イ'::テ /;:' て::::フ !;:;:;:;:ト:;:;:;:;|
また随分と示唆的だったわね…。 .. i;! ,〃;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;i;:;:;j!/¨¨´ ,ィ;: イ ¨´ |;:;:;:;:;! };:;: |
. i:{/;:;:;イ;:;:;:;:;:;:;:;:;:;i;:;:八 ー=彡;' .;:;:;:;:;ハハ;:;:j!
ハ:v;イ i!;:;:;:;:;:;:;:;:;:;|;:; i! " /;:;:;:;:j iソ
ハ:;:ゞ、 j!;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;v;ハヽ _ イ;:;:;:;:/ '
{;:;:;{ /;:;:;∧;:!;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: >、 ´ .,イ;:ハ;:;:/
ヾミ、イ; ィ}ニソハ从ソハミ、≧ュ.三三三三 ≧ュ、/
ー=彡 'ヽ , < \ニニニニニニニニニニニ∧>
-
/ : : : : :_}: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : . l
〃 : : :/ /: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : | 『幕府創成期から働いていて、家光が頼りとし、
/ | : : :/ /: /: : : : : : : : : : : :、:_:ノレ1: : : : | 一つの世界において頂点に立っている人物』
/ / | : :/ /: /|: : : :|: : : : : : : :、:_:_:ノ:/: /: : :|
/ -{| ',: :l |: , |: : : :|: : : : :{: : : : : :/ :/: : : :| という点では、宗矩も彼らと同類だもの。
/ ヽ.∧:| ',:! l: : : :|ヽ: : : :ヽ-‐ ´: : : |: : : :| 兵法の世界においては、宗矩は完全に別格の存在として
ヽ \ヾ ,≧|-、\:r:ァ≦二 :_: :フ: : : : :!: : : : | 圧倒的な権威を持っていた訳だし、
ヽ 〈ヽゞ==l- 、トゞ===≠イ : : : : : |: : : : l\ .実際、家光の代の将軍家兵法指南は宗矩一人だけなんだから。
lヽ _ '| ヽ _,ノ', : : : : : ',: : : :.ヽ: \
V ノ |ヘ j  ̄ ハ : : : : : :ヽ: : : : : : : 丶. ____
/ /-‐\` ー- /八: : : : : : :\: : : : : : : : : : : : : : : : : `丶
/ / 丶 _ . イ /\: : : : : : :\_ : : : : : : : : 、―- 、: : \
/ / | / >=く ヽ: : : : : : : ヽ `> 、: : : :\ \: : \
/ ' | / 〃l ハヽ ∧: : : : : : : :ヽ/ |: : : : : :\ \: : ヽ
/ / l / /〃 // ', ',. / ',: : : : : : : : :\ | : : : : : : : \ 丶: :丶
/ / 」 / {{_// ノ 八/ }: : : : : : : : : : :ヽ.| : : : : : : : : : :ヽ \: :ヽ
...... /.:.:.:.:/.:./:.:/.:./ : .:ハ:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:.:.\
.. /:.:.:.:./.:./:.:/:.:/ : :./:.:i!:.:.:.:.:.:.:.i! .:.:.:.:.:.:..
. ′ .:/.:./:.:/.:./ : ,:イ:.:.ハ:.:.:.:.:.:八:.:ヽ :.:.:.:..
i.:.:i:.:i:.:.:i: :i.:.:.i.ーl‐l-lミ i:.:.:.:./,. -‐:.:i:.:.:.:.:.:\
| :.l.:.i.:.:.|: :l.:.:.i: 抖ャ芹ミ |: :./ャf斥ミ:.:i: : i:i i⌒ヽ
| :.l.:.i.:.:.|: :l.:.:.i:i゙ヒzヅ |:.; Vソノ! :i: : i:i |
そして、跡継ぎを決めるに際し、 ..... | :.l.:.i.:.:.|: :l:.:.:i从 j/ , l:!:i: : i:i |
すんなりとは決めがたい、という点も... | :.l.:.i:.:.:|: :l.:.:.i:l 八i: : i:i |
同じ、ということね。 人 l.:.i:.:.:|: :l.:.:.人 ( ソ /:.:i:.:ヽ从j
...... \i:.:.:|: :l.:.:.i.:.:.、 イ:.:.:i!:.:/
じゃあ、土井利勝の示唆を受けて、 ...... \ト、i.:.:.i!.:.:.:.\ __≧=く:从ハル'
宗矩がどう動くか、見ていきましょうか。 \ルハヘ(⌒ヽ 二 ̄ ̄ ̄} ハ
{_二ニ=‐ -=ニ二 __}___, / l___
. __ ノ、 ̄ ̄ ̄\二ニ=- } _ ノ ノ ノ
, ´ ̄` 、丶 ∧ ー=ニノ´ ー=彡 /
-
そして、土井利勝の死から暫く後、柳生家上屋敷…。
(二二二ニ/二二ニ/二|二二ヽ二ヽ二ニニ)
//_/__//_/__//_/| |ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__| |_ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽ
二二二ニ/二二ニ/二二二//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
//_/__//_/__//_/__///_/_//_/__//_/_ | |___ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//_| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|__|_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
○====○====○====○===.| |││││││││││││││││|| .||===○===○===○===○===○
| |││││││││││││││││|| .||
| |┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴|| 柳 ||
| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|| 生 ||
___________| |││││││││││││││││|| ||____________
\/\/\/\/\/\| |││││││││││││││││|| ||\/\/\/\/\/\/
/\/\/\/\/\/| |││││││││││││││││| ̄ ̄|/\/\/\/\/\/\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄``````````````````````````````` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
 ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄
|| || ||
|| || ||
|| || ||
|| || ||
||_____||_____||
||_____||_____|| <ドタドタドタ
||O ※※※※||※※※※※||
||※※※※※||※※※※※||
____||※※※※※||※※※※※|| ____
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄\
/ \
| .\ / |
| (−)(−) | (…この柳生家を遺す為に、
| (__人__) | 如何に手を打つか、か…)
. ヽ `⌒´ ノ
´ ヽ ノヽ
/´ `\ サラサラ…
/ / l l .___
__l l_¶______/_/__/ ヽ
\, ´-'ヽ  ̄| ̄ ̄ ̄ ̄| l二二二二l
ヾ_ノ | '''' ' | l二二二二l
| −−− .| '''..-- | l二二二二l:::..
| ..'' | ''-. ,|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
|┃三 ガラッ
|┃ ____
|┃/⌒ ⌒\ 父上!
|┃(⌒) (⌒) \ 朗報!朗報ですお!
───|┃:⌒(__人__)⌒:::::\ お聞き下さいお!!
|┃ |r┬-| |⌒)
|┃ `ー'ォ //
(⌒ヽ・ ・ ̄ /
|┃ノ /
|┃ つ <
|┃ (::)(::) ヽ
|┃/ > )
|┃ (__)
__
/::::::::::::\
/ __ノ::::ヽ …なんじゃ一体。
| (;;;;;;)::::)
.| ::(;;;人) (こやつに全てを継がせる…のか?)
| :::::::::rつ .
.| :::::::((三)
ヽ ::::::::::(::::<
ヽ ::::::::::/∧::::∨
∠::::::::::::/⌒ ∧:::ヽ
(:::::\ /:::::::/;;;;;;;;;;)
|\::::::::::::/|
|:::::\_/:::::|
-
_____
/ \
/ \
/ \, ,/ \ おるいに!
/ /´ `ヽ /´ `ヽ \ おるいに子ができたんですお!
/ ( ● l l ● ) \ 二人目ですお!
| ヽ_ _ノ ヽ_ _ノ u. |
| ''"⌒'( i )'⌒"' |
\ `┌,─'^ー,,-┤ /
\ `ー -- -一' /
/ \
/ ̄ ̄ヽ; ヽ
(「 `rノ |
ヽ ノ i |
i´ ̄ ̄`i l |
て
/ ̄ ̄\ そ
/ _,⌒ ⌒_
| ( ○) (○) なんじゃと!?
| U (___人__)
.| __ノ__
| _/ ___\ヽ_
、 '-/____ヽ |
ノ 、 ._'-〈 、ヽ |
,´ ヽノ} |
/ { /
./ / / {
-
____
/⌒ ⌒\ どうも最近、おるいの調子が悪いというので、
。o(゜>) (<゜)o 。 .今日、医者に見せてみたところ、
/::::::⌒(__人__)⌒::::: \ .懐妊していたとのことでしたお!
| |r┬-| | て
\ `ー'´ /( `´) そ お松(十兵衛の長女)が出来て以来、
/ \ノ ノミ 頑張った甲斐があったってもんですお!
|\ \・ ・ \____ノ
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) | ううむ、ここ最近、忙しかったから
. | u.(__人__) .| 気づかなんだが…また随分励みおったな。
r、 | `⌒´. |
,.く\\r、 ヽ ノ
\\\ヽ} ヽ /
rヽ ` ヽ / ァ'´ヽ
└'`{ . \.| / i
ヽ、._ ヽ、_,r' .|
`ヽ、 /' |
`'ー'´
-
/ ̄ ̄\
/ \ ____ そりゃあもう、
|:::::: | / \ この一本を取るのに、
. |:::::::::::U | / へ 、/` \ 何回夜の立ち合いをしたことか…!
|:::::::::::::: |/ <で)> <で)> \ .…聞きますかお?
. |:::::::::::::: } | (__人__) |
. ヽ:::::::::::::: } \ `ー‐´ ∩ _/ 「いらねえっての」
ヽ:::::::::: ノ | Ε__〉、\ グッ
/:::::::::::: く | | ヽ__)
-―――――|:::::::::::::::: \-―┴┴――───┴─────
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ \
| ( ⌒)(⌒) | まあ、なんにせよ、めでたいの。
. | (__人__) | これで今度こそ男子が生まれてくれれば、
| \_) | 言うことないんじゃがのう…。
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
___
/ \
/ \ まったくですお…。
/ \ , , / \ こればっかりは生まれてみるまでわかりませんお。
| (ー) (ー) |
\ u. (__人__) ,/ 神仏への祈願は勿論として、
ノ ` ⌒´ \ 他にもすがれるものがあるならば、藁にもすがりたい思いですお。
/´ _i⌒i⌒i⌒i┐ ヽ
| l ( l / / / l
l l ヽ /
-
___
/ \ キリッ
/ \ , , /\ そういえば父上!
/ (●) (●) \ 去年来た朝鮮国よりの使者より、あれこれ話を聞いた者がいるそうですお!
| (__人__) | 何か頼みになりそうなものがあれば、試してみたいものですお!
\ ` ⌒ ´ ,/
. /⌒〜" ̄, ̄ ̄〆⌒,ニつ …そう!例えば妖術とか!
| ,___゙___、rヾイソ⊃
| `l ̄
. | |
/ ̄三\
/;;;; _ノ 三 \
|;;;;;;; ( ○)(○) おいばかやめろ。
. |;;;;; (__人__)
|;;; ` ⌒´ノ
. |;;;; }
. ヽ;;; }
ヽ;;;l ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)
-
ィ、_
フォォォォォォォォオ ,、,〉ヾ`^,
,ィ⌒,> `ト、_ヽ,〈 ,、
ト _〆トュ |ゝ '| rー' ノ
/ゝ イ´ / ̄ ̄\ | | イ E゛} そんなもんに頼ったら、
/ / / ノ \ \ | | / ゝEメ ロクなことにならないからな?
〈 l _ ノ) | (○)(○) | / ト / / 頼るなよ?絶対に頼るなよ?
r‐──〆⌒l | (__人__) | 》 〉 / / 大事なことだから二回言ったからな!
| 、 〈_ ノ | . `⌒´ ノ / / / /
,、 \  ̄\ | } / / / /
/ ̄_,〈 \ `ト ヽ } ,/ / ,、
|ィ^´ィ`-ュ `ヽ _ィト、_ _ノ _r´ 、 / l`l、イ /,l
ト、_イ´ ̄ /⌒`゛ ー 、 ,,ー ´/ | / ヽ、___ ___ィ' ヽ "/|l
` ̄ ̄ ̄ _,イ ′ / ` 「 〉 /
/´l^ト´ ゝ_,イ\ / ´| 、 __ ;___i /
{、ゝl_l_`⊃ー ヽ| ヽ / ./ ̄ ̄ `⌒
`"~ | | ,ィ^l、
____ | | ──ィ'〆~ヽ
/ \ _ゝ_/
/:::::::::::::: \ ` ̄
/::::::::::::::::::::::: u \
|::::::::::::::::::::::::::::::::: | わ、わかりましたお…!
\:::::::::::::::::::::::::::::::: ,/
ノ \
-
|┃
|┃ ____
|┃/⌒ ⌒\
|┃(⌒) (⌒) \ では、おるいが心配なので、
───|┃:⌒(__人__)⌒:::::\ 失礼しますお!
|┃ |r┬-| |⌒)
|┃ `ー'ォ //
(⌒ヽ・ ・ ̄ /
|┃ノ /
|┃ つ <
|┃ (::)(::) ヽ
|┃/ > )
|┃ (__)
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) うむ。
| (__人__) まあ、あまり騒がぬようにしてやれ。
| `⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃ 「勿論ですお!」
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
-
 ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄
|| || ||
|| || ||
|| || ||
|| || ||
||_____||_____||
||_____||_____|| <ドタドタドタ
||O ※※※※||※※※※※||
||※※※※※||※※※※※||
____||※※※※※||※※※※※|| ____
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( −)(−) …だから騒ぐなと言うておるのに。
.| (__人__)_ まったく、仕様のない奴じゃな…。
| u. `⌒´. ̄
.| ノ
ヽ .,ノ )/´二⊃
> /"/ '‐、ニ⊃ スッ
./⌒ヽ l ´ヽ〉〆ヽ
( ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ
.\ / / { /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ .___
| (●)(−) ( ⊂⊃ )
. | (__人__) ホワッ ̄ ̄ …まあ、今度こそ、
| ( ( ノ 男子が生まれるのかもしれぬ…。
.l^l^ln ⌒ }
. ヽ L } ∩ ノ)━・ それまでは、
ゝ ノ ノ / _ノ´ 「これ」を出すのは待つとするかの。
/ / \/ |
/ / ' |
. / / |ヽ__ノ ___
______________/ ヽ
|. ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄| l二二二二l
| | '''' ' | l二二二二l
| −−− .| '''..-- | l二二二二l:::..
| ..'' | ''-. ,|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
/⌒ソ/⌒ヽ、
. / // ..\ ._,
/ // .`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 /i
/ // \,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .| ...................................
/ // | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/ // | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. / // 京極主膳正殿 .| ::::::::::::::: :::::::::::::::
/ // . | ::::::::::::::: 我ながら、 :::::::::::::::
/ // .| ::::::::::::::: 甘いものよなあ… :::::::::::::::
./ // 柳生但馬守 | ::::::::::::::: :::::::::::::::
/ // | ::::::::::::::: :::::::::::::::
ッ芝ヾシ⌒ヽ、 | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.ヾニジ \ ._,.イ⌒ヽ | ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 . | ...................................
.\,. _., 、 . .リ
⌒´ \._,ノ
-
o ο 。
゚ ° O
O 。
◯ o °。 o
o
゚ ゜。 ◯
。 ゚ ° 。°。
O °。
o ο 。 ° o
── そして、この年の十二月十六日、
後光明天皇の即位に伴い、改元が行われ、
新たな元号は「正保」と定められた。
こうして、時代を支えた人物が去るのを見届けるように
彼らが生きた「寛永」という時代もまた、過ぎ去っていったのである ──
ο O
。° 。 ゜ ゚゜ o
o ゜
O 。
◯ ゚°
゜ o ο O
o
゚ 。 O
-
\ヽ, ,、
`''|/ノ . \ヽ, ,、
.| \ヽ, ,、 ...... `''|/ノ
_ | `''|/ノ .|
\`ヽ、| .| .. _ |
\, V" _ | . \`ヽ、|
`L,,_ \`ヽ、| . \, V"
|ヽ、) ,、 \, V" .... `L,,_
/ ヽYノ `L,,_ ...... |ヽ、) ,、
/ r''ヽ、.| |ヽ、) ,、 / ヽYノ
| `ー-ヽ|ヮ / ヽYノ . / r''ヽ、.|
| `| / r''ヽ、.| | `ー-ヽ|ヮ
|. | | `ー-ヽ|ヮ ...... | `|
ヽ、 | | `| |. |
/ ̄ ̄\ |. | .... ヽ、 |
/ _ノ ヽ_ \ ヽ、 | / ̄ ̄\
| (≡)(≡) .l ヽ____ノ .. /_ノ ' ヽ_ .\
. | (__人__) | /_ノ ' ヽ_\ .... /(≡) (≡) ヽ
| ` ⌒´ | /(≡) (≡)\ ...... .| (__人__) |
. | } /::::::⌒(__人__)⌒::::: \ .| |r┬‐| |
. ヽ } | |r┬-| | ヽ `ー ´ /
ヽ ノ \ `ー'´ / . / ヽ .ノヽ
┼ヽ -|r‐、. レ |
d⌒) ./| _ノ __ノ
【やる夫で学ぶ柳生一族(その66)「去りゆく人々」】 完
-
【やる夫で学ぶ柳生一族(その66) 新規登場人物一覧】
六丸(幼少時) ......: ハス太(這いよれ!ニャル子さん)
尹順之 : ケイネス・エルメロイ・アーチボルト(Fate/Zero)
解説役(その66)その1 : ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)
解説役(その66)その2 : 月影ゆり(ハートキャッチプリキュア)
-
てな訳で、「その66」はこれで終了でアリマス。
本日も遅くまでお付き合いくださり、ありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
連休ということで、どうにか66話目の最後まで持ち込めて、ほっと一息。
ちなみに、寛永二十一年として表記している1644年ですが、
年末とはいえ、改元がなされている都合上、実紀などでは「正保元年」として
表記されているので、その辺はご注意をば。
寛永表記なのは演出の都合上でアリマス。
(まあ、同時代的に考えれば、これはこれで間違ってる訳でもないのですけど)
なんにせよ、本文中でも書いた通り、この寛永末、
創成期から土台を固める時代までの間に働いた重鎮が連続して亡くなってる上に、
ちょうど寛永という時代自体も改元されているので、
なかなか象徴的な時期であるなあと思うところ。
これであと、家光が相談できる年上の側近って、酒井忠勝を除くと、
何気に宗矩と沢庵和尚くらいになるのですが、
その辺りについては、この後の2話(67と68)でじっくりとやる所存ー。
なお、和尚が天海のところに、
宗矩が土井利勝のところに出向いてるのは演出で、
実際の記録にはないのですが、まあ、有り得ない話でもないかな、というところで。
最近、更新ペースがガタ落ち状態で恐縮ですが、
最後までやる方針なのは別に変わってないので、
申し訳ないながらも、気長にお付き合い頂けましたら幸いでアリマス。
さて、それでは次回解説役の投票結果をば。
【その67解説役投票結果】
5票 : 庚夕子(黄昏乙女×アムネジア)
4票 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱)
3票 : 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱)
1票 : クロエ・ルメール(ガールフレンド(仮))、桂ヒナギク(ハヤテのごとく!)
というわけで、次回は庚夕子と、9回目の佐々木さんで砂。
おお、もう1回解説役になったら2桁ですよ>佐々木
次回は沢庵和尚メイン回になる予定でアリマス。
それではではー。
-
乙ー
天海に柳生に朝鮮ときたら仕方ない>伝奇脳
-
お疲れ様でした
言いようのない寂しさ
同時に十兵衛の明るさが逆に救いにならない……
>おお、もう1回解説役になったら2桁ですよ>佐々木
こんなに愛されるスレが他にあるかしらん
-
これより前の年に死亡してる人物も含めて家光的には辛そうだな
乙
-
おつでした
-
おつー。
一区切りですねえ。
十兵衛も、色々なんともはや。
-
乙!
-
乙でした
今回亡くなった三人は長寿の部類なので仕方がないでしょう
しかし、三人ともある意味戦国より過酷な初期幕政で、
よく失脚せずに役割を全うできたなあと
そして、十兵衛殿、ノッカラ……いや、なんでもござらぬ
-
実際の話伝奇伝奇と馬鹿にしてはいるが
朝鮮妖術を使えば史実に残らぬ形で
柳生無双が行われる可能性も無いとは言えないのではないか?(白目)
-
どもどもです。
先週は連休のお陰もあってどうにか更新できたので、
今週も更新できればいいなあと思う所存。
一応、目標はいつも通り明日(5/11)の21時投下を目指す方向で。
今度は「その67」であり、沢庵和尚、最後のメイン回でアリマス。
よろしければー。
-
どもどもです。
目標時間が来たものの、なかなかうまく行かず。
いつもの事と言えばそれまでですが、すいませぬ。
とはいえ、和尚がこれで退場と思うと、なかなか悩ましいところ。
回想で出るくらいはあるかもですけど。
むう。
もうちょい書いてみて、投下できる目処が立ったら、また告知しまする。
ではでは。
-
はーい、気長に待ってます
-
どもどもです。
先週は連休だったのに失敗して、なんともはやであり、
今週も果たしてどうなるやらというところですが、
目標だけはいつもの5/18(日)の21時に持とうと思うところ。
毎度ながらスットコですが、よろしゅうですー。
ではでは。
-
どもどもです。
今回は珍しく21時前に一区切り付いたので、今から投下しまする。
まあ、あんまり量はないのですが、よろしゅうですー。
タイトルは「やる夫で学ぶ柳生一族(その67)」で。
では、始めます。
-
このスレは、「柳生新陰流」を担った剣豪の一族「柳生一族」を
史実をベースとしつつ、適当にエピソードを盛り込んでいく形で紹介するスレです。
【今回のメイン柳生 : 柳生但馬守宗矩(やぎゅう たじまのかみ むねのり)
柳生十兵衛三厳(やぎゅう じゅうべえ みつよし)
柳生主膳宗冬(やぎゅう しゅぜん むねふゆ)】
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(●)(●) | 大和柳生藩初代藩主にして柳生家の当主、
. | (__人__) | そして徳川将軍家剣術指南役、柳生但馬守宗矩だろ。
| `⌒´ | ) ;;;;). 常識的に考えて…。
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
,ヘ
____ / /
/\ /\ / /
/( ⌒) (⌒)\/ / 柳生家の嫡男、柳生十兵衛三厳だお!
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\ /
| |r┬-| |
\ ` ー'´ /
/ \
/ \
/ /\ ヽ
/ \ ノ
U ヽ ノ
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒\
/ (⌒) (⌒)ヽ 柳生家の三男、柳生主膳宗冬です。
.| (__人__) |
.| `⌒´ |
ヽ /
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
-
■ 基本、史実ベースではありますが、史実においても意見が分かれていたり、
当方の知識不足などにより、若干の創作が入ることもありますので、
「大体こんなもん」程度に捉えて頂ければ重畳ー。
■ 次回の投下告知については、現スレで行います。
最近は土曜の夜にしております。
【現スレ:やる夫で学ぶ柳生一族(やる夫板Ⅱ版10)】
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12973/1395393089/
■ 以下、過去のまとめを載せて頂いてるサイト様です。
ありがとうございます。
【『やる夫で学ぶ柳生一族』まとめ】
ttp://yagyuo.g.hatena.ne.jp/inugamikoubouathangul/
【やる夫+まとめ -戦国系- 「やる夫で学ぶ柳生一族 まとめ」(※55話以降)】
ttp://yromtm1059.blog117.fc2.com/blog-entry-328.html
【多元 - 「やる夫で学ぶ柳生一族 まとめ」(※現在54話まで)】
ttp://tagenmatome.blogspot.com/2009/07/blog-post_06.html
【やる夫観察日記-「柳生」】(※19話まで)
ttp://yaruokansatu.blog44.fc2.com/?q=%CC%F8%C0%B8
■ あと、以下は>>1が別にやっていたスレであり、こちらもご覧頂ければ重畳ー。
【多元 - 「やる夫で紹介する歴史伝奇 まとめ」
ttp://tagenmatome.blogspot.com/2009/06/blog-post_9780.html
【やる夫短編集 阿修羅編-「やる夫で紹介する歴史伝奇」】
魔岩伝説 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-3203.html
魔界転生 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-4180.html
【やる夫短編集 阿修羅編-「やる夫で紹介する武芸者列伝」】
男谷精一郎 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-3898.html
上泉信綱 : ttp://mukankei151.blog47.fc2.com/blog-entry-5056.html
■前回
【やる夫で学ぶ柳生一族(その66)】
http://jbbs.shitaraba.net/otaku/12973/storage/1370184429.html
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12973/1395393089/19-121
では、はじめます。
-
【>>1からのお願いコーナー】
毎度お馴染み、今回も次回(その68)の解説役を投票で決めたく。
ルールは以下の通りでアリマス。
・ 支援の際、以下の条件を満たすキャラについて名前なりAAなりを挙げて頂いた後、
集計を行い、投票数が最も多かったキャラを次回の解説役にする。
(例:支援。○○(キャラ名)とかでOK。作品名もあると更に吉) ※一応、1人1票でお願いします。
【条件】
・ 女性キャラ。または外観が女性のキャラ(女装美少年込み)
・ AAが複数ある(できれば20行以下のバストアップAAが3種類以上があると嬉しい)
既出キャラ有りなので長門なり翠星石なりも投票数次第で再登場可でアリマス。
でもできれば作中の登場人物に割り振り済みのキャラはややこしいのでご勘弁をば。
ちなみに、票が同数のキャラが複数いた場合、恐縮ですが、その中から>>1が使いやすいキャラを
選ばせていただく所存(AAの使い勝手がいいとか、そのキャラを知ってるとか)。
あと、解説役の相方は>>1が適当にチョイスします。
よろしゅうですー。
【過去、投票で決まった解説役-1】
その13 : マシロくん(舞-乙HiME) ......その32 : 閻魔あい(地獄少女)
その14 : 渡良瀬準(はぴねす!). .. : 輪入道・骨女・一目連・山童・きくり(地獄少女)
その15 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) .その33 : ドロッセル(ファイヤボール)
その16 : 綾崎ハーマイオニー(ハヤテのごとく!). .. .: ゲデヒトニス(ファイヤボール)&AA色々
その17 : 宮小路瑞穂(乙女はお姉さまに恋してる) ..その34 : ゆの(ひだまりスケッチ)
その18 : 菊地真(THE IDOLM@STER) .... .: 宮子・ヒロ・沙英・吉野家先生(ひだまりスケッチ)
その19 : 木下秀吉(バカとテストと召喚獣). ....その35 : 山口如月(GA 芸術家アートデザインクラス)
その20 : ドリィ&グラァ(うたわれるもの) .. 大道雅 (GA 芸術科アートデザインクラス)
その21 : 祇堂鞠也(まりあ†ほりっく). .その36 : 田中井律(けいおん!)
その22 : 大佛はずむ(かしまし) ...... 秋山澪(けいおん!)
その23 : マコ(みなみけ). ....その37 : イカ娘(侵略!イカ娘)
その24 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※2回目. ..... 諌山黄泉(喰霊-零-)
その25 : 渡良瀬準(はぴねす!) ※2回目 その38 : なし
. : シモン(下妻市非公式マスコット) ..その39 : 羽衣狐(ぬらりひょんの孫)
その26 : 藤岡ハルヒ(桜蘭高校ホスト部) .... 三浦あずさ(THE IDOLM@STER)
. : 須王環(桜蘭高校ホスト部) ......その40 : 神代マヤ(世紀末オカルト学院)
その27 : 宮小路瑞穂(乙女はお姉さまに恋してる) ※2回目 ケンシロウ(北斗の拳)
. : 菊地真(THE IDOLM@STER) ※2回目 ..その41 : インデックス&上条当麻(とある魔術の禁書目録)
その28 : ティエリア・アーデ(機動戦士ガンダム00) .. ナージャ・アップルフィールド(明日のナージャ)
その29 : 草薙素子(攻殻機動隊) .その42 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※4回目.
. : タチコマ(攻殻機動隊) ...... 渡良瀬準(はぴねす!) ※4回目
その30 : 渡良瀬準(はぴねす!) ※3回目 ......その43 : ラミア・ラヴレス(スーパーロボット大戦)
. : 木下秀吉(バカとテストと召喚獣) ※2回目 ... ゆっくり霊夢&魔理沙(東方Project)
その31 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※3回目 .その44 : 嵐山歩鳥(それでも町は廻っている)
. : レベッカ宮本(ぱにぽに) ..... 辰野トシ子(それでも町は廻っている)
-
【過去、投票で決まった解説役-2(今回含む)】
その45 : イカ娘(侵略!イカ娘) ※2回目 ..... その66 : ミカサ・アッカーマン(進撃の巨人)
キュウべえ(魔法少女まどか☆マギカ) 月影ゆり(ハートキャッチプリキュア)
その46 : 来海えりか(ハートキャッチプリキュア) . その67 : 庚夕子(黄昏乙女×アムネジア)
花咲つぼみ(ハートキャッチプリキュア) . 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※9回目
その47 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※5回目 .
泉こなた(らき☆すた)
その48 : 秋月涼(THE IDOLM@STER DearlyStars) .
秋月律子(THE IDOLM@STER) ......
その49 : 泉野明(機動警察パトレイバー) ....
シャーロック・シェリンフォード(ミルキィホームズ)
その50 : 佐倉杏子(魔法少女まどか☆マギカ) ..
巴マミ(魔法少女まどか☆マギカ) ....
その51 : セシリア・オルコット(インフィニット・ストラトス)
やらない夫 ....
その52 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※6回目 .
キョン子(涼宮ハルヒの憂鬱@二次創作) .
その53 : ヘンゼル(BLACK LAGOON) .
グレーテル(BLACK LAGOON)
その54 : イカ娘(侵略!イカ娘) ※3回目 .....
インデックス(とある魔術の禁書目録) ※2回目
その55 : ドラゴンキッド(TIGER&BUNNY)
暁美ほむら(魔法少女まどか☆マギカ) ...
その56 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※7回目 .
セイバー(Fate/stay night) ..
その57 : ニャル子(這い寄れ!ニャル子さん) .....
柳生九兵衛(銀魂) .
その58 : 比良坂初音(アトラク=ナクア) ...
綾崎ハーマイオニー(ハヤテのごとく!) ※2回目 .
その59 : 邪神モッコス(ゼノサーガフィギュア) ......
柏崎星奈(僕は友達が少ない) ......
その60 : 長門有希(涼宮ハルヒの憂鬱) ※2回目 ...
綾波レイ(新世紀エヴァンゲリオン) ..
その61 : みどろさん(涅槃姫みどろ) .....
輿水幸子(アイドルマスター シンデレラガールズ) .
その62 : 藤乃静留(舞-HIME) .
赤セイバー(Fate Extra)
その63 : ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール(ゼロの使い魔)
タバサ(ゼロの使い魔)
その64 : イカ娘(侵略!イカ娘) ※4回目
オリオトライ・真喜子(境界線上のホライゾン)
その65 : 佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱) ※8回目
八雲紫(東方)
外伝6 : 中野梓(けいおん!)
-
【正保元年(1644)時の柳生一族系譜】
大膳長永
:
<柳生家>
:
├─────┐
柳生永珍 中坊源専
:
├─────┐
家厳 重厳
| (七郎左衛門)
| (松吟庵)
├───────────────────────────────────────────┐
宗厳 .妹
(新左衛門) .【江戸柳生】 |
(石舟斎) .(大和柳生藩) <幸徳井家>
├───┬───┬────┬───────┐ |
厳勝 久斎 徳斎 宗章 宗矩 友景
(新次郎) (五郎右衛門). (又右衛門) .|
| (但馬守) |
| 【尾張柳生】 | |
├────┬────┬────┐ ├─────┬─────┬─────┐ .|
純厳 利厳. 妹 厳倚 三厳 友矩 宗冬 .六丸 友種
(久三郎) (兵庫助). (権右衛門) .(十兵衛) .(左門) .(主膳)
| (幼名:七郎) .(刑部少輔) (幼名:又十郎)
|
├────┬────┐
.清厳 .利方 厳包
.(新左衛門) (茂左衛門) .(七郎兵衛)
-
【第1部(その1〜11)のあらすじ】
時は戦国、乱世の時代。
大和国柳生庄の領主、柳生新左衛門宗厳は、上泉伊勢守秀綱創始の新陰流の正統を継ぎ、
後に名を石舟斎とあらため、その剣名を天下に上げた。
しかし、長男新次郎厳勝の不具廃嫡、豊臣家による所領の没収、
新次郎の長男、久三郎純厳の死など、柳生家に辛く重い苦難が襲い掛かる。
だが、徳川家康の招きに応じ、「無刀取り」を以って家康に指南を請われた際、
末子・又右衛門宗矩を推挙したことで、再び柳生家にも光が差す。
その後、関が原の戦にて徳川家に味方したことにより、柳生家は旧領を回復、
更に家康が幕府を開いたことで、宗矩が将軍家剣術指南役となり、
柳生家、そして柳生家の新陰流…「柳生新陰流」は、一気に繁栄の路を進む。
そして、柳生家の家督を宗矩に、新陰流の正統を兵庫助に継がせた石舟斎は、
慶長六年(1611)、78年の生涯に幕を閉じたのであった…。
【第2部前編(その12〜24)のあらすじ】
石舟斎の死後、宗矩は正式に家督を継ぎ、新たなる柳生家の当主となった。
またその翌年、柳生庄にて宗矩に待望の嫡男・七郎…後の柳生十兵衛三厳が誕生する。
そして、大坂の陣による豊臣家の滅亡、一代の英傑・徳川家康の死を以って、
戦国の世は完全に終りを告げ、新たな時代「江戸時代」が始まる。
その新しき世において、柳生家は将軍家指南役となった宗矩の「江戸柳生」、
尾張徳川家指南役となった兵庫助の「尾張柳生」の二家に分かれ、
宗矩は「坂崎事件」を解決するなど、剣術指南の枠を超えた才を発揮し、柳生家を発展させ、
兵庫助は新たな時代の剣、「直立たる身」の工夫を編み出し、新陰流を発展させる。
その後、時は寛永・三代将軍家光の世に移り、尾張においては後の柳生連也斎厳包こと新六が誕生、
江戸においては十兵衛が小姓を致仕するなどがあったが、その末に、遂に宗矩が諸大夫成を遂げる。
「柳生但馬守宗矩」がここに誕生したのである。
【第2部後編(その25〜66)のあらすじ】
晴れて但馬守となった宗矩だが、知己の禅僧・沢庵が紫衣事件で罪に問われ、
また自身も主君家光より難題を出されるなど、次々と苦難が立ちふさがる。
だが、大御所・秀忠の逝去によって赦免された沢庵より
「剣禅一致」を説いた「不動智神妙録」を受けた宗矩は、
真の大将の剣、『活人剣・治国平天下の剣』を確立することに成功、
これを家光に教授し、信任を確かなものにする。
そして、宗矩の惣目付就任、柳生藩一万石の大名への立身や、
柳生新陰流の全国への広がり、嫡男十兵衛の赦免など好事が続き、
途中、江戸時代最大の一揆「島原の乱」の発生や、次男刑部少輔友矩の夭折など、
暗い影がないわけではなかったが、剣才に溢れた末子・七郎兵衛厳包を得た
尾張柳生家も含め、柳生一族は繁栄の絶頂を謳歌していた。
しかし、その繁栄が続く中、寛永という時代が終わりを迎え、
いよいよ、柳生一族にも次の世代への移り変わりが近づきつつある時、
彼らと最も縁の深い老僧にも、最期の時が訪れようとしていた…。
-
時は少し戻り、
寛永十八年(1641)正月二十四日。
_
__ -=  ̄
__ -=  ̄ __ -=\
__ -=  ̄ __ -=  ̄ \
´ __ -=  ̄ \
__ -=  ̄ \
\
\
. -=  ̄ヽ..
_/ 、__,.:z≦三>
ノ__z≦三 >''
<{{_ { ` .ノ サラサラ…
` ̄ ''< {
_ _ ヽ ノ ヽ
__./_ }_}}⌒i `  ̄ \
./ / / i´`.! .ィ, __ -=  ̄
/=/~ i ~ ,: ~ { / .L} __ -=  ̄
この年、69歳になる沢庵和尚は、ある手紙を書いている。
-
手紙の宛先は、細川家家臣・波多中庵宛てである。
/⌒ソ/⌒ヽ、
. / // ..\ ._,
/ // .`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 /i
/ // \,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // |
/ // |
. / // 中庵老へ .|
/ // . |
/ // .|
./ // . |
/ // |
ッ芝ヾシ⌒ヽ、 宗彭より |
.ヾニジ \ ._,.イ⌒ヽ |
`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 . |
.\,. _., 、 . .リ
⌒´ \._,ノ
手紙の内容は、自分の近況や去年、国へ戻った細川忠利の話題、
また年末に内意が伝えられた大徳寺・妙心寺の寺法旧復についての話が主だが、
その中に、気になる一文がある。
【波多中庵宛の手紙(抜粋)】 ・ .・ .・ .・ .・ .・ .・ .・ ・ .・ .・ .・
「老希ニ近事三百六十日ニテ候。死後ノ事毛頭不思、末法之法三十年前ニ見限候間、
相続之事不思、寺之事次テ何ト可成ト云事不存、遺像遺言心ニナシ
(中略)禅師号国師号無望無、其外一事モ無所望」
(意訳)
『来年には七十になるが、死後については何も考えていない。
この末世の仏法は三十年前に見限っている。
(法統の)相続や寺のことなども何も言うことはない。
遺像や遺言などもどうでもよい。禅師号や国師号も要らぬ
望むような事など何もない』
-
この年は、沢庵和尚が、その後半生を賭けて力を尽くした
大徳寺の寺法旧復が遂に成った年であり、この手紙の中でも、それは述べられている。
.rニYニヽ
|レ / j |
!!_ イ } | ……………。
゙- '´ ,、 /j j
-''´ ,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
__ii__ | | ルリ-ト、|州リ | .|
イi j | | |,
` , イ | | | |
ノ } | |
/ | |
// / |
. // / ',|
/ / l |
/ i / ヽ
ん-ト、 | |'
ヽ/ / | | l
ヽ / | | レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| / ̄| j
', { |. |
',__,r' } .| j
', | |`丶、r'
', | | j
沢庵宗彭
.(たくあん そうほう)
にも関わらず、同じ手紙の中で「末法之法三十年前ニ見限候」と述べた
この当代随一の禅僧の心境はどのようなものであったのだろうか…。
-
┌──────┐
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
│::::::::::::::::::::::::::::::::│
└──────┘
┌───┐
│::::::::::::::::│
│::::::::::::::::│
└───┘
┌─┐
│ :: │
└─┘
┌┐
└┘
□
・
-
寛永二十年(1643)の仲秋(旧暦八月十五日)、東海寺…。
,.,-‐'´''`´''`´```丶. _
_ ,.,イ `'i
,.ィ´ ,ィ'`´'' ィ'`´'' 、 `'丶.
(( ィ'`´''`´` 、_ヘ
`i, _i'´.r==ィ=‐イ.,.,ー‐<´ `i `'' i
ゞ. r=rl ‐ l i __ rl A , l _/`ir'ヽiソ
,>‐ュr 、,ヘー'´l i  ̄  ̄ i´ l H‐-k'´i._
<ソ-‐イl / ,. __i_i ___.l r=ュ._,ュ.j l i´`i_
,ir‐i´_ ,.,-‐''"i k' >ヘ ,,. l l. j i ̄`' '´`iヘ.
,ィi l l l i / l .l i .l l>'i lヘ. ,ィ、l i i‐、
,,'i i l _rュ l l__l __.l l ,r=、!__.r‐ュ.l i i iヘ l i ∧
,r-イ __l ,イ l二l i  ̄,,. ̄ ,,、 l l i l  ̄,`' i´ `l.,_ ∧
l / `r`  ̄,rュi l! l / ヘ ,i' ヘ l l l l i l _l i`'iへ.
,ュ/`=i .l ,'T, i ニli l i Y l l. Y l i l l l i l _ l i i .i ヘ.
r=' 7l ,l l i ;._!ニ!,‐-.iHェェェHェェェK二lェェH仁niニヽ / / i i i li、
. l i_ _l ,!,-‐''"~へー =<〈 _<l_li__ヘヘ_il二l二i ,'丿 // // ,ィ`丶/l i_ l_i i,
. ト,.l _i>-、<>l><>>'´; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; `'丶. <l!>l<>l><lヘ l
l./ `ヘ._.i `<> </; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . ヘ / <i<> <>.<./
`ヽ. ir `>、<>/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . ヘ,'<>、< _k ili /
`''ー ,.,_ 二 > l; ; ; ; ; ; ; ; ; ; 東海寺 . . . . . . . . . . . l < 二 _,.,-‐'"
 ̄ ̄ ̄∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;.. . . . . . . . . . . . . . . . . / ̄ ̄ ̄
∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . , '
ヽ.; ; ; ; ; ; ; ; ; . . . . . . . . . . . . . . /
`丶.: : : : : : : : : : : : : : : : >'´
`' <三三三二>'´
-
『東海和尚紀年録』(または『沢庵大和尚行状』)によると、
この日、家光が東海寺にやってきて、しばし山亭にて仲秋の月を楽しんだという。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::γ'"~~"'丶::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,i' :::: ';:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::! :::: :::..... l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;,-~""";;;'''-;;;;__::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、:::: :: ,ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::(,.,;.,〜-ー''''~ ̄:::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ーー'"::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
''''-,,、__:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,,,,:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
-ー'""::::::::::::::::::::::::::::::::::::,;´""'';,, ,,,`,-;;ー,,,,,__,;:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'''''-ー''"""''-ーー''~:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,,-"""~"''- ,, ,,,,,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ミミミ:::::::::::::::::::
::::::::::::;;:::;:;;::;;:::::::::::::::::,,, -'" ; ; ;,,-''" ~"''- ,,,,_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ::::ミミ::::::
__,,,, -(;);)(;);;)--'''""~ ; ; ; ;~'''-- ,,,,,,,, -'''''"ミミ~'⌒ヽ ,,,::ヽ::
(;,(;,(;,(;,) ; ; ; ; ; ; ; ; , , , ⌒ヽ ⌒ヽ; ⌒
,. -‐-─-- 、
. / `ー、
〃 i,
r' ィ=ゝー-、-、、r=‐ヮォ.〈
! :l ,リ|} |. }
. {. | ′ | }
レ-、{∠ニ'==ァ 、==ニゞ<
!∩|.}. '"旬゙` ./''旬 ` f^| …いい月だな、和尚。
l(( ゙′` ̄'" f::` ̄ |l.|
. ヽ.ヽ {:. lリ
. }.iーi ^ r' ,'
!| ヽ. ー===- /
. /} \ ー‐ ,イ
__/ ‖ . ヽ、_!__/:::|\
/i |! i :;::;:::::::ト、 ヽー-
徳川家光
.(とくがわ いえみつ)
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 左様ですな。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
-
久々遭遇!
-
.: .: .: :::::::::::::. :. :. :. :. . :.: .: .: .:::::::::::: .: .: .:. :. :. :::::::::::::::.:
ヾミミミミy彡'′ . :. :. :.:::. :. :. :. :.::::::. :.::::
ヾミミミミミy彡 ``ji彡: .:. :. :. :. ::::::::::::::::::::: .: .:. :. :. :::::. :. :. :.
``ji'´ ji´. :. :. :. ::::::::::::::::::. :. :. :. :. :. :. ::::::::: .: .: .:. :.
ヾミミミミミ斗彡彡 〃 ヾミミミミミy彡
. :;:;..,"'`',:'':'`::;: ``j!´ _〃彡彡 ``ji'´
ニニニニニニ,', ,'ニニニニニニニニニニニニニニニ,;;;;, ヾミミミミミ斗彡彡
'',,.:;:;''.:.::.:;';;;V'',,.:;:;''.:.::.:;';;;'',,.:;:;''.:.;;;'',,.:;:;:;';;;;;,',_,,.. .-‐ '''""~~""'‐- 、、 . :;;: ;.: :;``j!´;:;:;;;:;:;;;:; :;;
;;.::..〃'.::,';;;;,'.;;.::..,,''::.:.;;.::..,,'',,''.:'',;;;'',,.:;''.,';;;;;;;;;;', .: .:. :. :. :. :. :. :. :.: .: .: .: .``ヽ、 .::;:;..,"'`',:'':;;;:;:;;:;;;:;;:;;;:;;:;;:;;:;;:;
'`',:'':'`::;:;..,"ヾヽ、(_)~゙~゙(_)::::l!(_)~゙~゙~゙~゙(_)~゙´ .: .: .: .: .: .: .: .: .: .:. ,. -‐ ── ─── ─── ─‐- 、;;;;:;:;;:;:;;;:;:;;:;:;;:;;:;:;:;:;;;:;
;;;:.'`',:'':'`::;:;..,".:.ヾ) ‐ -i::.:.:.:i|_ -_ - - _il |;;;;;,:'':、. :. :. :. :. :.: .:,. イ ,. -‐r‐rr ────‐rr‐rrァ- ‐-、、、`ヽ . :;:;..,"'`',:'':'`::;:
;;;:'`',:'':'`'`',:'':'`ぐ_ - _‐i::.:.:.:i|_ -_ - - _il |;;;;;;;;;;:'`ヾヽ .. イ.,. イL」.::::.:::i|::i|:i| r'´r'´r'´r'´ i|:i|:i|. r'r'.i|i|i|i|i|. :;:;..,"'`',:'':'`'`',:'':'`
;;;;;;:'`',:'':'`'`',:'':`::ヾヽーrーーrーーrーrキ7;;;;;;;;;;;;:'`ヾヽ..イ..ji::i|::i|::::.::::.i|::i|:i|.::::::::..:t'´ r'´:i|:i|:i|,,,..,,,..i|i|i|i|i|. ..,"'`',:'':'`',:'':'`',:;;;;;;;
;;;;キ::jキ:::::::...::'`',:'':`::ヾヽ.:.:.:.:.:.|.:.:.:.:.:|.:.:.:|:1;;;;;;;;;;;;;;;;;;'':'`'`',:'':'`',,j|::i|.:::::.:::i|::i|:i|::::::.:::::::.:::::.:::::i|:i|:i|.:::::.:::::.::',,"'`',:'':'`',:'':'`',:'':';;;;;;;;;;;;;
;;;;;';Vノ.:::::lj!.::::`',:'':'`'ノノ;;;;;;;;;;;:;:;:.:.:.,, .:.:'',, .:.:'',, .:.、;;;;;;;;;;;;;;;',:'':'`'`',゙゙.:.:.:.:.:.`゙゙゙゙゙.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`゙゙゙゙.:.:.:.:.:.:.:.:."'`',:'':'`',:'':'`',:;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
;;;;;;;ij!,,, .._jjレノ:'`',:'':ノノ;;;ニニiiニニニiiニニiニニiニニiニニii! `',:'':'`',:'':'`'`',:'':、. :. :.: .: .:. :. :. :. :.: .: .: .:. :. :. :. :. :. :. :,,,,.州州洲'`キrキ''キキ
;;;;;;;ij!::.::::〃:'`',:'':'`'`',:'':`::、;;;;;;;;;;;;;;;;;;.:.:.. ,, .:.:'',, .:.:'',, .:.:'':.:.、`',:'':'`',:'':',: - - _ ‐ _ ,,,.州州洲>キ'''´キ'''´-‐'''"
::::::::::.:.::〃;;;;:::.:..:.:.、,, .:.:'',, .:.:'',, .:.:'',, .:.:'',, .、ニニiニニiニニiニニii!┼┼' '゙゙ - _‐ - .._ ‐,,,.州州洲r'"´ ,, .:.:.:. ,::
::::..:::::..:::::.``ヽ、;;;;;::.:.:.:..、ニiニニiニニiニニiニニii! _ - _ - .. ‐ _ - .. _ ‐. ,,.州州洲r'"´ ,r'"´ ,, .:.:.:. ,, '' ,, ::
::::...:::::...:::::....:::::..``ヽ、;;;;:.:.:.、゙゙゙ """゙゙゙゙"""´_- _ .. - ,,,.州州洲iニニiニニiニニiフ´ ,, .:.:.:. ,, '' ,, .,, '' ,,
----‐---ー---‐'''´¨¨¨´ _ - ‐ ‐ .. ‐ _ .. ‐ _ ‐ - _`゙゙iニニiニニiニニiニニi,, '' ,, .:.:,, '' ,,,, '' ,,,, ''
‐ - ‐ _ - `` ー----------
その後、夜が更けても家光は帰らず、更に池上の小亭に場所を移した。
沢庵もそれに従う。
-
.\ ./ヽ /
| ...::::::| /゙l゙,,,,.i..l
| ...::::::| ;;;;;;;ij!,,, .._jjレノ:'`',:'':ノノ;;; -,./ !._、,! ゙l_ i! `',:'':'`',:'':'`'`',:'':、. :. :.: .: .:. :. :. :. :.: .: .: .:. :. :. :. :. :. :. :,,,,.州州洲'`
| ...::::::| ;;;;;;;ij!::.::::〃:'`',:'':'`'`',:'':`::、; l:'i, |.ゝ.! ヽ/:'',, .:.:'',, .:.:'':.:.、`',:'':'`',:'':',: ,,,.州州洲>キ'''´キ
| ...::::::| ::::::::::.:.::〃;;;;:::.:..:.:.、,, .:.:'',, .:.:'',, .:.:'',, .:.:'',, .、ニニiニニiニニiニニii!┼┼' '゙゙ .州州洲r'"´
| ...::::::| ::::..:::::..:::::.``ヽ、;;;;;::.:.:.:..、ニiニニiニニiニニiニニii! ,.州州洲r'"´ ,r'"´ ,, .:.:.
| ...::::::| ::::...:::::...:::::....:::::..``ヽ、;;;;:.:.:.、゙゙゙ """゙゙゙゙""" ,,,.州州洲iニニiニニiニニiフ´ ,, .:.:.:. ,, '
| ...::::::| ----‐---ー---‐'''´¨¨¨´ `゙゙iニニiニニiニニiニニi,, '' ,, .:.:,, ''
| ...::::::| 。 。 。 。 `` ー-----
| ...::::::| !!..--‐‐‐|| ||‐‐‐---!!
| ...::::::|┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬ || :|| .┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬ || :|| ┬┬┬┬
| ...::::::|┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼┼ || :||__,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,_____ _ || :|| ┼┼┼┼
. ,.z≦i圭圭圭圭圭i≧x、
,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭ミメ、
,イ圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭圭ミ、
. ,佳ツ"ゞ〜⌒゙'~ヾfff'"~`=´リソヾ圭i
i圭} ノリ {圭|
!圭| 'ノ {圭l
,ィヾ|| 三三三ミ ,ィ三三三..{圭!
i r‐ || '´它ヽ f´ '"它 ヽ if ヽ おお、和尚。
| {ff || `二 - .i::: - 二´ .|ヾ. } 万年石は相変わらずだな。
ヽヽ !! !:: |) ./
\| ;,, .!// まあ、だから万年石というのだろうが。
! ゞif''" ,'ノ
|、 ー-- -一 /
/|. ヽ、 、___, /|
/ | l\ / \
| ! \ ! /:::::::::::::::\_
ヽ ヽ `¨¨¨¨¨´::::::::::::::::::::::::::
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 左様ですな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
余談であるが、この東海寺内の池には島があり、
そこになんとも言えぬ形状の幽石があったという。
ィ―;―、
//――:ヘ
,イ. / ニニニニ :ヘ
/ / ――――:.ヘ
,-、 / /___. .___:ヘ , ‐、
l \ / /, ―、/ ヘ, ―、\ヘ / l
゙l " `, ー, -,- ' ; ;ヽ― " ヘ ― '; ; ゙ -、- 、‐ 、´ l
l 、, ゙ / / : : `i´ /´゙ヽ `i´ : : ヽ ヽ ヽ. l
ヽヽ / / ,: : l ィ――、 l : : ヽ ヽ ヽ /
ヽ ヽ , , ,; : l\二二/l : : : ヽ/ /
ヽ / ; ,; :. : ___._ / / ヽ ハ /
/ ,; ,' : :. ヽ三三 イ / : :. :. ハ
/ ,; ,' :: ::.. ヽ‐‐ ' / : :: :: ハ
/ :' :: ::. ,:.____./ : :: :: ハ
/ ,:' ,:: :: :. :::::::::::::::: :: :: :: :: ハ
謎の幽石
(; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ノ |; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
、_); ; |`ー-´ || !、``´ |; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
``´ | ||、 ` |; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
.| |、ヽ- \; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;
.| \ , , , , //////// \; ; ; ; ; ; ;/ \; ; ; ;
| ////////////´´´ ヾ; ; ; ; / _ ヾ; ; ;
|//////// / ̄ ̄illllliヽ |; ; ; ;/ / i |; ;
!、 ,-──、 lli,,il! |; ; ;/ 人_ |; ;
\ lli,,il | _二二二 |; ; | | _ ` |; ; なかなか面白い形をした石じゃないの。
`、 ー-.| ´ |; ;/ ヽ i /; ; どうだ、お前達。
!  ̄| ` / | /; ; ; この石の名前がわかるか?
! | /; ; ; ;
| ! / / /; ; ; ; ; ; 思うように言って構わんぞ。
| ! 、 __ / |__/ |; ; ; ; ; ; ;
. | ! ヽ_/ | ヾ ヾ; ;
| ! |
|、 ヽ _____,- / エヘン、エヘン >
|i、 `、 ヽー-‐-‐´ /
!i、 ヽ ____, /
!ヽ、 `、  ̄ ̄ ̄ / /
\\ \ / /
この年の三月十四日、これを見つけた家光は、この石をなんと呼ぶのか、思うように答えてみよ、と、
侍していた近臣たちに命じたところ…
-
∨
/ ̄ ̄丶 ̄ ̄ヽ
(/ヽノヽ丿\ノヽ/
!^ ⌒ |∴: | 「万・年・石ーーーーーーっ!!」 ×3
と・ ・ |∴: |
(_,へ_ 9∴ノ
ゝ、_ __ソ
,⊂○⊃_
/ /'/ヽ`ヽ \
/ ∨ ∨ \
| ∧ |
| ( | > /
ヽ__| |____/__/|
d__//_|_|_||_b ヽ
//__|_|_|_ヽ |
/ |___|__人__|___| ヽ
/ | | | | ヽ
< | | | | \
小堀遠江守政一
(こぼり とおとうみのかみ まさかず)
その場にいた小堀遠州こと小堀政一が、「万年石」と三度石に向かって呼びかけた。
-
すると…。
ィ―;―、
//―|―:ヘ ズッ…!
,イ. / ニニ|ニニ :ヘ
/ / ――|――:.ヘ
,-、 / /___. | .___:ヘ , ‐、
l \ / /, ―、/. | ヘ, ―、\ヘ / l
゙l " `, ー, -,- ' ; ;ヽ― " | ヘ ― '; ; ゙ -、- 、‐ 、´ l
l 、, ゙ / / : : `i´ /´|゙ヽ `i´ : : ヽ ヽ ヽ. l
ヽヽ / / ,: : l ィ―|―、 l : : ヽ ヽ ヽ /
ヽ ヽ , , ,; : l\二|二/l : : : ヽ/ /
ヽ / ; ,; :. : _ | _ / / ヽ ハ /
/ ,; ,' : :. ヽ三|三 イ / : :. :. ハ
/ ,; ,' :: ::.. ヽ‐|‐ ' / : :: :: ハ
/ :' :: ::. ,:.__|__./ : :: :: ハ
/ ,:' ,:: :: :. ::::::: | :::::: :: :: :: :: ハ
-
ィ―; ;―、
//―| |―:ヘ スゴゴゴゴゴ…!
,イ. / ニニ| |ニニ :ヘ
/ / ――| |――:.ヘ
,-、 / /___. | | .___:ヘ , ‐、
l \ / /, ―、/. | | ヘ, ―、\ヘ / l
゙l " `, ー, -,- ' ; ;ヽ― " | | ヘ ― '; ; ゙ -、- 、‐ 、´ l
l 、, ゙ / / : : `i´ /´| |゙ヽ `i´ : : ヽ ヽ ヽ. l
ヽヽ / / ,: : l ィ―| |―、 l : : ヽ ヽ ヽ /
ヽ ヽ , , ,; : l\二| |二/l : : : ヽ/ /
ヽ / ; ,; :. : _ | | _ / / ヽ ハ /
/ ,; ,' : :. ヽ三| |三 イ / : :. :. ハ
/ ,; ,' :: ::.. ヽ‐| |‐ ' / : :: :: ハ
/ :' :: ::. ,:.__| |__./ : :: :: ハ
/ ,:' ,:: :: :. ::::::: | | :::::: :: :: :: :: ハ
-
/ ! . /
ぃ、 / l / ..
l, `'、 /-、 l-" /
l .\ / ゛ ヽ ! / /
ヽ ゙' 、./ ,,,. ,ヽ _..-'" `''ヽ″
ヽ ./ / .!゙r‐ー" / \
,,ヽ / ./ │ !ー--.| `
/ .`/ / ._,!彡―ー,i'′ ジャキーン!
/ .|.;―/゙/ /ニ¬''゙.|
/ .|、-'ヽヽ/ `! l ,/
/ |.! ! ,二....、 | .! . /
/ .! l ! .l' ̄ミ''゙l ! | / /
/ .| .!| l―ー'″|│ ./ /
/ .l゙ l.l ./ ゙゙゙l-. .|._ ! / '゛
/ │ .|./ ''''/ ./ .| │
/ l ._r'"'''./ ./ / ! l
_..‐l, |/゛ .l゙ ゙'く._ノ゙./ .! .|
,,/´ l、 .i/ | / .! .l
,..-'" . l, .八__.l./ ._,,.. -''' l l
___,,,,.... -ー'" _,,,,.. -ト ./ .../'' ゙ / l l
.- ....,,,,,、 .,,,.... -ー'''''"゙´ / ./,/ / l l
.、 / / ./ ! /
`''-、_ / / / _,,, ー'T /
. ゙二 、 / ./ー― ナ""´ / /
.... -‐'"゙´ \ ./ ./ ./ ./ /
.\, .l. / / ./ ./ /
万年石も、これに答えて、三度点頭した(うなづいた)という。
-
υ
/⌒丶 ⌒` ヽ
(_/(_/し\ノヽゝノ
|^ ⌒ |∴∵:| ホラ、石も答えました。
|. . |∵∴:| やっぱり万年石ですよ。
c ∂∵:|
(_ ヽ∵/
ヽ__ /
||
_,,.、、、、、.,,_
/.:::::::::::::::::::..`ヽ、
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::. '、
| :::::::::::::::::::::::::::::::::,ヘ{ツ
| ::::::::::::::::::::::::,ィゥ ノ j ( )
|::::::::::::::::::::::( |.! ;{
.|::::::::::::::::::rリ`l,〉 j}゙
}:::::::::::::::ノ゙ l /.
,xァ''ー'゙'` '、 /
/ ー`¨`''''ー-- 、」゙'′_
''^ーァ 、_____  ̄ /
`>'、, '''"´ ̄ ̄_二ヽ、
/ / ヽ
,' , / ゙、
l / __ !
l, l く,_ 、 |
-
..¬-│
i゙ ミ ゙ヽ
.{ ‐ イ、
.\.'′ /:ヽ 、 〟 ,
l `'<´::::::::ヽ'"''、 \ ./ .! /
.ヽ―- 、 ::::: !".| ._./゙l゙,,,,.i..l ラァァァイッ!
`'ヽ .` |-,./ !._、,! ゙l__
`'、- l:'i, |.ゝ.! ヽ/_
,!:::::::.\| ` !., .l..' , ' フ
l.:_::::::::_..-、::::::! |`''"
ヾ`゙/" | .`/ /ヽ-、
/ !ニ!.__´/ ''i/´ ゙i ::::,!
/::::i'::::,,:::::::::`'.ヽ-゙--"
/:::::/:::::,!:::::::::::!::.!`'''"
ノ:‐'/ ″::--:::: :″
l ̄ /.//.----" ヽヽ
l ̄ ./.// \、 .ヾ、
l ̄ //./ ゙ 、 .゙ ゙、
_.ィ......//./ ヽ ,, ‐゙ヽ
/ ::::::// ;l″ 〔::::::::、ヽ
,/::::::::.//": ! !::::::::::::、ヽ
/ :::::::::/./ :./ l.:::::::::::::、ヽ
/ ::::::::::/./ :::/ l:::::::::::::ヽ`、
/ :::::::::::/./ :::/ l:::::::::::::::ヽ.ヽ
/ ::::::::::::/./ :::./ l::::::::::::::::ヽ ヽ
.i"::::::::::::/ /:::::./ l:::::::::::::::ヽ ヽ
. /::::::::::::/ /::::::./ ゝ::::::::::::: ヽ ヽ
【命名:万年石】
___ _
-‐''"´ ̄ ` `''ヽ=、
,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
r(:::::::::::::::::,、_ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゞ, rr〜ヅ ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::
フハ ミ::::::::::::::::::::::::::::::
. l __,,. -─¬,〈:::::::::::::::::::::::::::::: ………じゃあ、万年石で。
〉゙゙`'''ニ二 ̄ ヽ::::::,ィ ,、ヽ:::::::
. / "" U }:::/ /ヽ ハ::::::: (なんか動いたり叫んだりしてる気もするけど、
/.. "´ 2ノ/ l::::: 気のせいだ。うん、そうだ)
. ヽ.ニ,` __/ :l::::
. 'ーr‐- .ィ l:::
〈.. /:{ ヽ
`} /:: ! i
丶、,、. イ:::::: !
これを以って、家光はこの石を「万年石」と呼ぶように決め、
和尚にも「万年石の記」を書くように頼んだという。
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ああ、そういえば万年石の記でしたな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | これで。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ つ ttp://www.youtube.com/watch?v=kYYOaHd5Rxs
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、 (※ 実際にはちゃんと和尚が書いたものあり)
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;! '~ "~ `i||i" '' `ヘ;;;!
|;;;| ヽ` u ミ;;;| いや和尚、その子門真人とコロムビアゆりかご会が歌いそうな
_ゞ;!,-;;;;;;;"フノ ヾ`;;;ヽ 、ミ;リ 記はどうかと思うのだが。
!ヘl;|.,,_==-、く` ,>゙-== 、「ヽ
!(,ヘ!  ̄'" |ミ.' ̄" , ドリ 「では、超者の方がお好みで?」
ヾ、! !ミ ,レソ
`| ^'='^ ム'′ 違う、そうじゃない。
. ト、 、,.-‐ 、,, /|
i| \ ' ニ イ.:|
,イi| ゙、\ ( /リ.:;ト、
ノ :.:i| ゙、 `ー─''゙:::;:'::::::!:::\
-
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
r(::::::i゙`''〜^〜ァrr-'゙`~'´''ラ'ヘ::::::::::::::ヘ
ゞ!::/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノリ ミ:::::::::::::ヘ
iリ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;! ,ィf三三三 }::::::::::::::i そもそも、俺が今日来たのは、
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;,,, .l::::::::::::::l その件ではなくてだな…
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;''' |::::::__::::|
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; !:/ ハ::! 「ではこちらで?」 つ ttp://www.youtube.com/watch?v=jJFbwAMK_rg
};;;;;;;;;;;;;;;'ミー'~' 〈 }'
l;;;;;;;;;;;;;;;;;;r__ U /´-/ そろそろそこから 離 れ な い か。
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;>`ヽ 人ノ
\;;;;;;;;;;;;;;;;{ 、 /|:/
\;;;;;;;;;;{ / .|′
\;;;;;`ヽ .;<;' |
|;;;l¨¨¨¨¨´ .|ヽ、
_/|;;;ヽ .l: :∧ー..,,_
_,,.-''"/: /;;;;;;;| / /: : :∧: : : :"''-..,,_
_,,..-''"´: : :/: :/;;;;;;;;;;/ / / : : : :∧: : : : : : : : \
-
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
{::::::::::::__, ィ_,-ァ __ ,,,,、、,, __ -ァ-=彡ヘ:::::::::::::::::::::::::',
`ヽ::::/ リijk| lミ::::::::::::::::::::::::::',
.レ′ ,!トゝ、 !ミ:::::::::::::::::::::::::::|
| !ミ::::::::::::::::::::::::::::|
| くミ::::::::::::::::::::::::::::| 和尚。
|二二二l ゞニ二二二二ゝ ヽ::::::::::::::::::::::::::::| 俺が何を言わんとしているか
ヽ. '´ |.U.l '´ |.U.j`丶 |:::::::/`ヽ:::::::::::| わかっているから、韜晦しているのか?
| ー`‐ | ー---‐ .|::::::| /、 |:::::::::|
| ,' .|:::::|l 、 ./:::::::::| …和尚らしくもない。
| ,' .{:::::|.| ノ/:::::::::::|
| ./ 、 从|. /:::::::::::::|
| ゝ、r‐ |:::::::::::::::|
', ' .|::::::::::::::|
', =ニニニニ=-‐ 从:::::::::::::|
.ヽ _ ./ . 从::::::|
\ / _从|____,
\ / _,,-ー'''´ |
\ l ./ .,,- ´ .|
ー┬ '´ _,,-'''´ .|
. |_,,-''' . .__,,,,, -‐‐‐ ''""~ ̄ ̄ ̄ `゙'‐ 、
/ _,,-'ー'''ー--.,,,,_ `
./ ,,-ー'''´ `゙'‐ 、
./, '´ `ヽ
_,,-ー'''´ `ヽ
.rニYニヽ
/ j |
イ } | (ピクリ)
/j j
,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
| | ルリ-ト、|州リ | .|
-
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;!゙`''〜^〜ァrr-'゙`'´''ラヘ;;;!
|;;;| ノリ ミ;;;|
_ゞ;! r─-- 、 ,rェ--- 、ミ;リ 和尚、そなたの察している通りだ。
!ヘl;|. ぐ世!゙`` ,ィ '"世ン 「ヽ
!(,ヘ!  ̄'" |:::.`  ̄ ,ドリ 俺が今日、ここに来たのはな、
ヾ、! !; ,レソ 和尚の嗣法について、話をするためなんだよ。
`| ^'='^ ム'′
,rト、 ー- ─-: /|
_../ i| \ === ,イ.:ト、
/ i| ゙、\ ; /リ.:;!:::\、_
゙! ゙、 `ー─''゙:::;:'::::|::::::::::\
゙、 :::/::::::|::::::
`ヽ、 ゙、 ./ .| ,-、、
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | …やはりそうでしたか。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
___ _
-‐''"´ ̄ ` `''ヽ=、
,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
r(:::::::::::::::::,、_ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゞ, rr〜ヅ ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::
フハ ミ:::::::::::::::::::::::::::::: 和尚も今年で七十一歳だ。
. l __,,. -─¬,〈:::::::::::::::::::::::::::::: そして、大徳寺の長老というだけに留まらず、
〉゙゙`'''Tjフ ̄ ヽ::::::,ィ ,、ヽ::::::: 当代随一の禅僧だと俺は思っている。
. / ,.‐'" }:::/ /ヽ ハ::::::: 他の連中も同じ想いだろう。
/.. "´ 2ノ/ l:::::
. ヽ.ニ,` __/ :l:::: その和尚が、何故未だに
. 'ーr_‐; .ィ l::: 法統を継ぐ弟子を決めていないのだ?
〈.. /:{ ヽ
`} /:: ! i
丶、,、. イ:::::: !
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | …………。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
_______
. .::´:::::::::::::::::::::::::::::`:. .
/.:.::;v‐-=,;::::::::::::::::::::::::::::`:..、
{イ::{/ } `ト、:::::::::::::::::::::::::::\
Xゝ /.::::::::::::::::::::::::::::::::i
ノ 仁ニニ=、 /.:::::::::::::::::::::::::::::::::::l
/ ーfュ_, `ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::l 和尚からすれば、
/ ノ.::; - 、::::::::::::::::::::; 修行の足りぬ弟子だったとしても、
ヽ、 |:::;/ /^ 〉::::::::::::::::,′ 僅かでも悟りを得た者がいるなら、
___j'_ N{ ノ/::::::::::::::::/ .その者に和尚の法を継がせてやってはどうだ。
ノi ''―――r=、 、__ ..イ::::::::::::::::/
( .::i 〉 ノ´ ヽ:::::::::::/ ..現に、十兵衛の奴が、但馬に印可を得るための伝書を出して、
) .:::. / / }ヘル{ こっぴどく叱られた時、和尚は助けてやったのだろう?
( .:.::j(O) 、____ . . : / .ィ二} 同じ事を、自分の弟子にもしてはやれないのか?
\∠二二{ { / / 人
/| | / ヽ . ´ \
 ̄ ̄`ヽ | く > ´ -‐=二三\
 ̄`ヽ { ├-, > / / `ヽ ∧
 ̄`ヽ }'― ' / {/ / -┼…=ミ ハ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | …………。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`ヽ
r(::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
ヾ: : ゞ, rr〜〜〜ィ、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',
} .:. フハ ミ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l
ノ .:; l∠ニニニゝ ミ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| .例えば、仏陀からすれば、(その跡を継いだ)迦葉ですら、
{. .:. } Tj ̄ ヽ::::::::::,.--.、::::::::::::::::::l 名馬の尾に付いた蠅のようなものかもしれん。
.ヾ. ..; /  ̄ |::::::://⌒l.l::::::::::::::::::,'
、:...:.:...... ( |::::::| ) .//::::::::::::::::/ しかし、それでも仏法は綿々と受け継がれ、
.`" ̄`ヾ:. ー },,,/. し' /::::::::::::::::/ .海を渡り、この日本まで伝わってきた。
ヾ==〉-.、 /ヽ-'l::::::::::::::::::l そして、多くの民を救ってきたのだ…。
) / ヽ、::::::::::|
丶 _,,..-''" / ヾヾヾヾ
` ̄l /_,,.-''"´ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
>‐''"´ ____ |
__∠_,,..-''"´  ̄''―-ヽ
_,,-''" ヽ ――‐-⊥、
/ '., ヽ \
/ ', | ヽ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | …………。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
,イ;:;:;' ノ' ヾ ゞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
{;:;:;! '::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. ' 乂.! ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
. : ヾト、 ___ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::
. ,: ,ィf伝三ニニ==、 ヽ:::::::::::::::::::' ⌒ヽ
ヽ`""´___ ,. '::::::::::::::::'( ' ヽ なあ、和尚…。
. :. ' ーt テ'" ':::::::::::' 〉 ヽ 俺は、和尚の法が受け継がれずに、
,:' / \ '::::::' ノ !.;' .失われてしまうのが惜しいんだ。
,: ./ ` ':::: ' ./::
: / ヾ! 、 イ::::: どうかわかってくれないか。
:. ( ; { ;:::::
: ,.ー- ._ ' 彡:
. { .f ヽ / ;:;
::. 乂.._..、 - ' イ :.
.: _ -‐ ´_,. -―'--- 、 ,..:::::::: :.
. f"_ -‐ ´ l { ) ,..::::::::::::::: ヽ
ー- -‐  ̄ ヽ ,...:::::::::::::::::::::
乂 _ ノ / ヽ /
ヽ ̄ { ) 、 /'
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | …このような一介の僧に過分の御言葉、
//イ / /::::、 '´ ` '|| | 勿体無く思います。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ 上様の御言葉、有難く…。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
家光からの「法嗣の弟子を決めて、和尚の法を継がせて欲しい」という願いに対し、
和尚は、家光の思いやりに感謝の言葉のみを返したという。
【『東海和尚紀年録』(または『沢庵大和尚行状』)】
『時に大樹(家光)、師に謂って云く。和尚法齢既に老いたり。然るに未だ嗣法の弟子あるを聞かず。
疑うらくはこれ会裡機に契う者なきか。
我意(おも)えらく、大亀の世尊(迦葉)に於けるは又猶蠅の驥尾に附すが如し。
然り而して其の法的相承今日に至り、群生利海を蒙る。是れ豈に霊山密付の謂いに非ずや。
今疇室の徒、纔に悟徹底者を見れば、須らく許可し以って後世に伝うべし。
今夕禅扉を叩くは只此の一事を諭さんが為なり。師、謹んで台命の切なるところを謝す』
-
| i! i| } __ノ |
! | ! ./ /⌒ヽ |
ヽ. | ! ’ /___} i ギュッ
\__j | ./ /.: : : : :.:| {__
ヽ_| / /: : : : : : ノ /: : : > 、 …そうか。
<\、__i /: : : : : :.:/ /: : : : : : : : \ では、和尚、今日はここまでだ。
/: : : : : : `¨| }⌒ト: : :./ ./: _: : : : : : : : : .:\
//.:.: : : : : :.:<| メ:.ノ ∧/ ___/: : : : : ヽ: : : : : : : : : :\
. : :/: : : : : /: : : :! ’ { / /_: : : : : : : : :\: : : : : : : : :、\ 「…ははっ」
./: :/: : : : :./ : : : : : 、 ヽ 八 / /.:.: : : :: : : : : : : :.\: : : : : : : ∨:,
′,: : : : : : : : : : : :.ハ. ∨=彡}ゝ=彡: : : : : : : : \: : : : :∨: : : : : : }: :}
: : : : : : : : :{ : :r===、: :.∨`ヽ. } {: : : : : : : : : : : : : : : \: : : }: : : : : : :i: :.|
i: :|: : : : : : i: : {、___乂.:.:.:∨__j / 乂: : : : : : : : : : : : : : : : :∨: i : : : : : : |: :.|
|: :|: : : : : :∧: ∨ ∧ :ヾゞ=彡""__ノ: : : : ;;:;:;:;:;:;::;:;:: : : : : : :.∨: : : : : : : |: :.i
: :、: : : : : :.∧: ∨ ∧ : ゞ=彡´ : : : : : : : : ;:;:;:;:;:;:;:;:;: : : : : : : }: : : : : : : /: /
∨:}: : : : : : : \∨___∧.:. : : : : : : : : : : :.: :./`ヽ ̄ ̄ ̄ ̄∨:.: : : :.::.:/: /
.}: :、.: : : : : : : :.:\  ̄}}} ̄}}〉;:;:;:;:;:;/ }____/.:.: : : : :.:/: /
\:\: : : : : : : : :.\=-____/ ;:;:;:/ /: : : : :_: -‐.:.: : : : : :./: /
ヽ: \: : : : : : : : : >: : . . _≦二__/{_: : <.:.: : : : : : : : :./: /
\: : 、: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : /: :/
ヽ: :.、: : <: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : >: : : : //
≦\: : : : : :< :_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:>: : : : : : /:/
’≦: : : :< :_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_:_ :> : : : ≧ ’
’ ≦: : : : : : : : : : : : : : : : :≧ ’
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
そして、家光が寺を出た後、
集まった弟子達に向かい、和尚はこう言った。
_.. -―'''''''―-- ..,,_
,/ `゙''-、
,/ _..-'''''―- ..、 \
/ .,/ \ .ヽ
. / / ヽ . ト、._人,.ヘ.__人_,.イ_,.ィ
/ ./ 夢 ヽ 、j`‐' ‘ーィ
/ ./ , .l, - ' L_
./ ,i!゙',、 _ノ.l/j ) いいか!! (
! .,'―‐`-lii、 . ,,rl┴''''ー l! ´) 貴様らにはっきり (
./ i!'-、 .!ゝ . '.l、 / .!′ ,..''7 ) 言ってやる!! .(_
./ ./ 'イ''ニ=rirr,'|./ .ヽ`-`-`-''',/゙l ) (
/ .l゙ " ゙′ l ⌒)-、 ,. 、 〈
. / ! ,.| ′ ヽ/⌒'^´ヽ'⌒ヽ「
.'" !ヽ y i;;;;;;、 'i, ../ ;:;l ..l゙‐'′
|;:.! ,/,' .,,r;;ニッiiiiiiiiiiiiii;;;;r、 .l', .!;:;:;:.! .ヽ
|;:;:;:! .// i',{ .iー'''''''''''''ー'i i!|i ,!} l;:;:;:;l l
|;:;:;:| .{ ! ./ ゙" !" l',./;,! l;:;:;:.! /\ /| /゙i !
!;:;:;:.! ヾイ.,..-ー'''''''''''―- ..,..!!./ |;:;:;:| \ \、_ハノ ヽ、|/ |ノ (,ハ_、//
!;:;:;:;.! /,ii/ l;,ii;| .l;:;:;/ \)' '(
l;:;:;:;:;| .l;| } !,!:l" /;:;:/ / \
l゙'-,;:;| !| .l :l".! │;,イ ヽ,) (,,r'
!、 `'', │ ! l,i,'-/ / 俺は、俺の法を \
i,',',iiiii、\ .! . ! .r',゙.l'''7 ヽ ,r'
., .l', .リ、\.l レ'.l- l!.│ _) 誰かに継がせる気などねえっ!! (_
. l, .!l 、 l`-',/、 ,i;;;;,','" l_./、 ,) (,
l、',l \ l ',`'リー .... イ゛ !., '"/.i', 、 /-、 、-\
l l, .,!`′ .`-,! ! .! ! ,ノ゛ // .l .|, /ヘ '" ヘ.|,
! ,'i l ゙゙''ヘ..,|_ ._l..-'" .′ ', .l ! . / //7/ヘ /l ト、 |\、 /\ /\゙il ゙',
.l ! l./  ̄゛ l" !/ / V | ,l ヽ| V ゙i゛ ',
´ ′
【『東海和尚紀年録』(または『沢庵大和尚行状』)】
『師退きて門人に語りて云く。
台命、太だ重しと雖(いえど)も、老僧更に児孫相続の心なし』
-
トv'Z -‐z__ノ!_
. ,.'ニ.V _,-─ ,==、、く`
,. /ァ'┴' ゞ !,.-`ニヽ、トl、:. ,
rュ. .:{_ '' ヾ 、_カ-‐'¨ ̄フヽ`'|::: ,.、 ←ショックを受けて動かなくなった弟子
、 ,ェr<`iァ'^´ 〃 lヽ ミ ∧!::: .´
ゞ'-''ス. ゛=、、、、 " _/ノf:::: ~
r_;. ::Y ''/_, ゝァナ=ニ、 メノ::: ` ;.
_ ::\,!ィ'TV =ー-、_メ:::: r、
゙ ::,ィl l. レト,ミ _/L `ヽ::: ._´
;. :ゞLレ':: \ `ー’,ィァト.:: ,.
~ ,. ,:ュ. `ヽニj/l |/::
_ .. ,、 :l !レ'::: ,. "
`’ `´ ~
_ r '"_ ̄_、,~-=、,
/ _ -:": : :\: : : :\ て
/ /: : : : _,,ll}lll,,,,,__: : :| そ
/ |l,_: _,,,lllllll'''~ ~''''llllllllllll|
/ /::::lli,,illllllll'_'-─'リ ̄レ`ェ-._ヽ_` うわっ、和尚様。
/ /:::::/''''_-"レィ辷ェヽ`'''ヽリ_ミ:`ェ、 なんですかこれ!?
| ./::::/ //-‐-リ ` '  ̄ヽリレリ_ 弟子の方々が死屍累々ですよ!
ヽi:::/o/[レ r ‐ 、 r'''ヽ /レリ
\/! !リリ !. (::) 、 (:) ! .i、 「知らん。
ノi !! ,,, ~ ` ,, i .お前、適当に片付けておけ」
/;;;;!ヽ ヽ u. i
/;;;;;;;;;;`‐-‐\ z== / えー!?
|;;;;;;;;;;;;;;;;;_;;;::\ _/,
 ̄ ̄ r┤!_r-`==- ̄ ' ─---、
人トイ` _,, ヽ
寺の小僧
-
.rニYニヽ
|レ / j |
!!_ イ } | …俺の法は、俺が始末を着ける。
゙- '´ ,、 /j j
-''´ ,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
__ii__ | | ルリ-ト、|州リ | .|
イi j | | |,
` , イ | | | |
ノ } | |
/ | |
// / |
. // / ',|
/ / l |
/ i / ヽ
ん-ト、 | |'
ヽ/ / | | l
ヽ / | | レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| / ̄| j
', { |. |
',__,r' } .| j
', | |`丶、r'
', | | j
結局、この時の家光の頼みでは、
和尚の決意を動かすことはできなかったのである…。
-
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
.′.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
::::: ::::::|:::::|:::::::: :::::::::: |::: ::::|::::::::::|::::.
i::::: ::::::|:::::|::::::::i|::::::::: |│|::|::::::::::|::::i
|::::: ::::::|_|┼-__||__|┼L|」 ::::::|::::| 今日はここまで!
|:::::|::::::i┬‐┬ ┬‐┬::::::::|::::| .今回は私の出番がなかったけど、
|:::::|i:::::|弋 丿 弋 丿.:::::八 :| .次回は多分、解説が入るから、その時、よろしくねー!
|::::八:::辷 _}:::::/ノ:::::|
|:::::::::`T ⌒Tた:::::::| ´ )
|::::::::: 八 ―― ァ 八ニ:::::::| / / / )
|:::::::::::::::::... . . イニニニ:::::::| ./ / /
|::::::::. -―j ≧≦ | \ニニニ :::::|/ 〈_,/ /
|::/.:.:.:.:.:.∧ ∨.:.丶ニ:::_厂 ̄ノ厂∨
く\:.:.:.:.:.:/∧ \ |:.:.:.:.:.:.:.:フ { く/〈
/.:.:.:\\:.:.:.:./∧___ _j|:.:.:.:.:.:.:.| く_,ヘ〉
/.:.:.:.:.:.:.:.: \\ .:./∧ |:.:.:.:.:. 八 / __ __¨ ./
.′.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.\\:/∧ |:.:.:.//} 〈| . _) _) \
-
乙でした。柳生御一行出番なし…?
-
乙でした。
禅僧らしいといえばらしいのかしらん。
-
てなとこで今回は終了でアリマス。
久々の21時からの投下でしたが、お付き合いありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
来週もこの調子で21時に投下できればよいのですが。
さて、今回は予告通り、沢庵和尚メインの話になりますが、
「禅僧としての沢庵」「師としての沢庵」が大きなポイントになるかなと。
今まで、主に宗矩や十兵衛との絡みの都合上、そちらから見た和尚というのが多かった訳ですが、
今回は、最期の時を迎えようとする和尚が、自分の法統について、どのように考えたか、という話をしようかなと。
無論、この時期の柳生一族についても色々ネタがあるので、そちらも同時並行に語っていく所存ー。
(今回は出番がなくてアレでしたが)
あと、今回はちょうど21時前に区切れそうだったので、
解説まで進まなかったのですが、次は解説から始まるかもで砂。
あと、次回(その68)の解説役についても投票よろしゅうですー。
それではでは。
-
乙でした。
「俺の法なぞ飲み干して、自分のもので上書きしてみせろ」
って、ハッパがけだと思うけどなあ。
-
乙です
一休さんも
「俺の真似なんぞするな、する奴は破門だ!」
と言い切って死んだんで、突き詰めた禅僧ってそういうものなのかねえ
-
要は「俺(の法)にすら拘ってはいけない」という事なんでしょう。
「僕らを超えて、別れを超えて、悲しみを超えて、心を超えて、
命を超えて、時さえ超えて、永遠に続けていくんだろう」な感じなんでしょうな〜。
ここの武蔵さんなら「超え尽くせ!」「相手に超えさせつつも『足りぬ』師匠であれ」とか言いそうな感じ。
-
乙です!
-
どもどもです。
先週はどうにか更新できたので、今週も何とかしたいところ。
このペースでも、このまま維持できれば、
なんとか今年中に本編は終われそうですし喃。
なお外伝とエピローグと総括は別の模様。
という訳で、目標は常に変わらぬ日曜(5/25)の21時に持つ所存。
遅れたとしても、地上波のガンダムUCが始まる前には終わらせたいところ。
ではではー。
-
> なんとか今年中に本編は終われそうですし喃
マジッスカ!
期待して待ってます!
でもこのペースで今年中って事は、十兵衛で本編は終わりですか?
連也斎もやるのかな?
-
>>178
先の展開をあんまり書くのもナンですが、
とりあえず、連也斎こと厳包については本編で最後までやる所存なのでご安心をば。
慶安御前試合とか色々ネタはありますしね。
-
紫セイバーに一票。
-
どもどもです。
本日の投下ですが、いけるかな、と思ったら、やっぱ駄目でした、という
いつものパターンであり、すいませぬ。
せめてというのもなんですが、今朝方こんなの作ったのでよろしければー。
【世間における柳生宗矩のイメージの変遷】
http://togetter.com/li/671505
いずれ外伝でも考察含めて言及する予定ですが、
まずは見た目のインパクトというところからネタにしてみたり。
しかし、来週は何とかしたいところ。
それではではー。
-
おっつおっつ残念無念また今度。
次回をお待ちしておりますです。
-
星宮ケイトに一票
-
どもどもです。
先週駄目だったので、今週はどーにかしたいところ。
予定は毎度のように日曜(6/1)の21時で。
しかし、ここ数日で急に暑くなってきた感じで砂。
まあ、明日で6月ですから当然かもですが。
あと、次回(その68)解説役投票の途中経過は以下の通り。
【その68解説役投票経過】
1票:ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)、星宮ケイト(謀略のズヴィズダー)
それではではー。
-
待ってまーす
解説にはアナザーブラッドに一票
-
お待ちしております。
解説はジャンヌで。
-
どもどもです。
まだだいぶ掛かりそうですが、今回は投下したいので、
一区切り付いたら投下する所存ー。
多分12時は過ぎるので、明日にでも見て頂ければー。
すいませぬ。
-
うーい、頑張って下さいー。
-
(アカン)
どーにもうまくいかんので今日はもう無理そう。
申し訳なし。
-
柳生の英霊たちよ>>1に力を与えたまえ
-
*ただし石川賢版
-
どもどもです。
とうとう梅雨入りであり、買い物するにも難儀な有様ですが、
皆様いかがお過ごしでしょうか。
なお、当方の脳内では下記の歌の3番がエンドレス大絶賛中の模様。
http://www.youtube.com/watch?v=2b4BmxpCzoA
なにはともあれ、既に2週穴が空いてるので、
毎度ながらではありますが、どーにか頑張りたいところ。
目標だけは日曜(6/8)の21時にしたいところなのですが、さてはて。
あと、解説役は現状こんな感じで。
【その68解説役投票経過】
2票:ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)
1票:星宮ケイト(謀略のズヴィズダー)、アナザーブラッド(デモンベイン)
それではではー。
-
ジャンヌに一票。
-
なんか先週も同じこと書いた気がしますが、
もうちょい書いたら投下する所存。
せめて和尚の帰郷編が一区切りつくまではなんとか。
まだいくらか掛かりそうなので、すいませぬ。
-
お待たせしました。
長々掛かりましたが、どーにかまとまったので今から投下します。
あまり分量が無いので申し訳ないのですけど。
では、始めます。
-
_____
...:.:.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`.:.:...
.:.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`.:.、
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\
.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:ヽ
/,:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.: 丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、.:.:.
/:i:.:.:i:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.、:.:.:. ハ:.:i お久しぶり。
/:':l:.:.:.l:.:i:.:!:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:. ト、:.:.:.:.:.:.!:.:.i:.:.:.:.i:.:.:.:.i:.:l 2週連続で更新失敗したけど、
ハi:.:l:.:.:ハ-:.、!:.:.:.:.:.:.l:.:.:./ ヽ:.:.:.:.l:.:.:l:.:.:.:.i!:.:.:.:l:.:! .今週はなんとかなったみたいだよ?
,. .-、l:.:.!:.:,ィfz、ヾ:.:.:.i:.:!:≠ー、_ ',:.: l:.:.:l:.:.:.:.l:l:.:.:.:l:.l
./: : : : l:.ヾ:l .r':心ヽ:.:ハ'.:/.ィfェ、 !:./:.:.:':.i:.:.:l:.l、:.:.lリ 僕たちの出番はまだみたいだけどね。
/: : :ヽ : : 、 、! 弋ソ` ヾ }:´ r'し小 !:':.:./:.:ハ:.:.l:.l 、:.lー 、_ くっくっ。
/: : : ‐:-ヽ : 、ハ , ' 弋zン '/:.:.,:':.:/ }l:.:.!:l .l:.!: : : : :\
/: : : : : : : : : :`ヽ ゝ 、_ イ /_'‐从:.:.:l/:': : : :,: : : :ヽ
/: : : :__: : : -': :―: : :`ー‐ `´ー:- ― -: ´: : : ヽ_ヽ:!:__ _:ノ:- ‐:-:、`、
/: : ´ : ´: : : : :, : : :´: : : : : : : : : : : : : : _: : : : ´`: : 、: : : : : : : : :  ̄` : : : ヽ
. /:,: :': : : : :,: : :´: : : : : : : : : : : : :_ : -,: :´: : : : : : : : : : :` : : 、 : : : : : : : : : : : `、
ヽ : : : : : ´: : : : : : : : : : :_: : = '´: : : ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : ` : 、: : : : : : : : : :ヽ
\: : : : ___: : _=ニ: :´ : ノ ヽ __: : :=ー― --: : : : :___: : : : :`: :、: : : : : :_ノ
 ̄  ̄  ̄  ̄  ̄ ´
-
さて、家光による嗣法についての心配から年が明け、
寛永二十一年/正保元年(1645)三月、沢庵は家光に願い出て、
湯治の為、故郷但馬出石へ帰ることを許された。
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;! '~ "~ `i||i" '' `ヘ;;;!
|;;;| ヽ` u ミ;;;|
_ゞ;!,-;;;;;;;"フノ ヾ`;;;ヽ 、ミ;リ . なるべく早めに帰ってきてくれよ、和尚。
!ヘl;|.,,_==-、く` ,>゙-== 、「ヽ
!(,ヘ!  ̄'" |ミ.' ̄" , ドリ 僧正(天海)が世を去った今、
ヾ、! !ミ ,レソ 和尚がいないと、宗門の相談ができる相手に
`| ^'='^ ム'′ 困るしな…。
. ト、 、,.-‐ 、,, /|
i| \ ' ニ イ.:|
,イi| ゙、\ ( /リ.:;ト、
ノ :.:i| ゙、 `ー─''゙:::;:'::::::!:::\
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | まあ、善処はしますが、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 俺にとっても、これが最後の帰郷になるかもしれませんからな。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 多少の遅れは御寛恕下さい。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
___ _
...-‐''"´ ̄ ` `''ヽ=、
,.‐''"´:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
r(:::::::::::::::::,、_ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゞ, rr〜ヅ ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::::
フハ 〈:::::::::::::::::::::::::::::::::::
l ヾ圭圭圭ミ ヽ:::::,.-、::::::::::::::::::: 不吉な事を言わないでくれ、和尚。
. 〉 7ツ_` |::/,=、∨::::::::::::::: お福も僧正も亡くなったところで、和尚にまで
/ "''''''''' i .ノリヽ))|::::::::::::::::: そんな事を言われたら、ますます不安になるじゃないの。
. / u ,.-' /::::::::::::::::::
ヽニ、 lー‐'ヽ:::::::::::::::/ 頼むぞ、和尚。
. 'ーr‐- .ィ l:::
〈.. /:{ ヽ
`} /:: ! i
丶、,、. イ:::::: !
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | …わかりました。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
.rニYニヽ
|レ / j | …お福殿も僧正も、
!!_ イ } | 己が成すべき事を果たして亡くなったのだ。
゙- '´ ,、 /j j
-''´ ,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、 なら、俺はどうだろうな…?
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
__ii__ | | ルリ-ト、|州リ | .|
イi j | | |,
` , イ | | | |
ノ } | |
/ | |
// / |
. // / ',|
/ / l |
/ i / ヽ
ん-ト、 | |'
ヽ/ / | | l
ヽ / | | レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| / ̄| j
', { |. |
',__,r' } .| j
', | |`丶、r'
', | | j
許可を得た沢庵は、早速三月九日に江戸を出立した。
-
そして、その月末には京都に辿り着いていたものと思われる。
(三月二十二日に近江から小出吉英宛に手紙を出している)
|
ll
!l
_ ,,..._ ト{ .,,___ 、..,__,,.
"´::ヾ::゙゙;`>''´ ̄`ゝ、__ `:;、;;`::ゞ:;゙
::´;;::=::;;::ヾ芥芥芥l壬{ ,;''´;'::;; =、::;;゙ _,,....._
''´;;ヽ:::;゙=<゙二二二\_,「「゙ニニニニニニ7´::;''::゙!::、:_'^:ヾ';"::゙;;ヽ::
、ゞ;;::''゙::;;、::`゙;芥芥lア''´j | ゙:;`ヾ;;`゙:=::丶::;''::,;''゙:::;:゙
::`':;;::''´::`゙''=;,テテテニ´_______゙ゞ、::ゞ:;;_`丶::゙':;;::='::;'
_゙´::i::`;;'"::゙:_::゙;,┴┴弌竺竺竺竺竺竺竺;''::;::;;:::'':;;::ゞ:;;'゙::_::'
::`j':!::゙;;._::::;;::"゙ヾ‐;;.. -'┴┴┴┴┴┴┴ゞ;;::"!゙!;;::ヾ、l !'´::゙;
'';;:: i⌒;;::`゙i:;ー:''´゙;;===n==n===rn===n=゙;;::ヾ!:l::`:=::'゙:i::''´;;
ゞ;l;;'゙::''゙;;..:゙i::;;.:゙::;;' i i i l丁丁! ̄丁l ̄丁「 i:´:;''゙:iヾ::ヾj;il゙;;::;'::
::';;!:..;''::ヾ;;''";;)'´「「入「j_辷j_辷ヒ|_辷ゴ_辷ゞ;;ゞ,:========、
T゙j''i"i´´ |l|´ニニl:l幵;; ̄ ̄/フ三三三「l ̄;゙j::゙}______{
`゙::''"":⌒゙''=::"゙゙ヾ゙''"ア7"二二二二二二l:|i{:「゙l`TTニニTT´
厂厂厂厂厂厂厂「l/ r―――――――|jl{jー{';;|_L二」_|::
京に着いてからは大徳寺に入り、
知己の人物へ挨拶回りをしていたようである。
-
四月七日には後水尾上皇に召され、仙洞御所へ参じている。
|\ヽ、 __
| ヽ、 \ ─ /__.)─ 、
\ヽ \ / __ \ _
┘ / ̄ ヽ/ /───ヽ\ \ / ̄ \
\// //__108.__ノヽ\ │ / / / ヽ、 |
|l | |l M I Z U l | | |_ | | | | 和尚。
\ _|、ニ______ノノ | ̄ \ ノノ / 紫衣問題の一件が解決して以来、
/ フ| /ニ--、 \/ .ずっと会いたかったでよ。
>‐--ニニニニニ‐ ̄l | | / /、 | \
/ | | | || | | | |. | | | / | | | \ よー頑張ってくりゃーした。
/ \ヽ、_ノノ_ヽ、 // | | | |ヽ// ヽ、
/ / |二/二\─''" / \─''/ / |
/ / /  ̄ \ | | / / / / |
| | |‐‐、ヽ |‐_/─/ / / |
| | |\ヽ | | /── / / | |
|__| l\ニノ \\ / / | |
/ | |_/ニ─l‐‐l---ニ / / | _─/、
後水尾上皇
(ごみずのおじょうこう)
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 過分の御言葉ですな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| あれは俺がやりたいからやっただけです。
/ / |::::::| │ `---´:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
|\ヽ、 __
| ヽ、 \ ─ /__.)─ 、
\ヽ \ / __ \ _
┘ / ̄ ヽ/ /───ヽ\ \ / ̄ \
\// //__108.__ノヽ\ │ / / / ヽ、 | しかしよー、和尚。
|l | |l M I Z U l | | |_ | | | | ちーと聞いたんだが、
\ _|、ニ______ノノ | ̄ \ ノノ / 和尚に嗣法の弟子がおらんのは本当きゃ?
/ フ| /ニ--、 \/
>‐--ニニニニニ‐ ̄l | | / /、 | \ もし本当なら、勿体無いことだでよ、
/ | | | || | | | |. | | | / | | | \ よさそうな弟子を選んで、和尚の法統を残してくりゃーせ。
/ \ヽ、_ノノ_ヽ、 // | | | |ヽ// ヽ、
/ / |二/二\─''" / \─''/ / |
/ / /  ̄ \ | | / / / / |
| | |‐‐、ヽ |‐_/─/ / / |
| | |\ヽ | | /── / / | |
|__| l\ニノ \\ / / | |
/ | |_/ニ─l‐‐l---ニ / / | _─/、
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` '|| | …勿体無い御言葉。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
また、この時、上皇からも嗣法の件を問われたが、
沢庵はこれに対し、ただ拝謝して退いたという。
【『東海和尚紀年録』(または『沢庵大和尚行状』)】
『上皇師を召し、詔して曰く。
「夫れ正法は相続し難くして泯絶し易し。朕聞く、和尚児孫を断絶せんと欲すと。
朕常に是を以て恨みと為す。門徒の中発明なる者を撰び大法を付属し、
当に群生の為め世に行わしむべし」
師奏対聖慮に悖らず、拝謝して退く』
-
なお、沢庵が嗣法の弟子を作らない件について、
弟子であった一絲文守がこのように批判している。
/ ,. -―‐--⌒ヽ
, ′v' ,. -‐ ⌒ :.y`ヽ
/ ,.-/ /イ:._;.;.:.:.. 辷. ぃ
/ 〃ク i'_,ヒ,^Yイ:___,ノ,小:.. }.}
,. '"´...:,. '/.:.:リ'心ハ. V_:.`¨´.;.:.:.}:.ノノ
i'ヽ / ./_∠.、:.:.:_/ ` 'ー辷幺.:.:j:j/ 師匠は弟子を選り好みし過ぎなのよ!
、 \ _,ノ_∠ム-、ヽ:.ヽ'/ | 、/ ヾタワケ"/ 才能がある者を選るんじゃなくて、
\ ヽ __,,.. 〔__:./心 ヾい:'. }: }\ 、(_ン ´ /`¨:/ .ちゃんと弟子を育てるのが宗匠の務めでしょ!
,イ¨ヽ \ー<´ 、.. '. }:}::};〉 !:::: ヽ>‐--‐::'´/:.:.:;
/´/ .:::〉`:::. >¬; ` } `¨.., =.く:::. 〉'ヲ/::r‐''"´ // 師匠が真面目に指導すれば、
r1 〈 ::Y_::::::;イ /ヽ:. ...:.:::::::∟:__;.イ{. .}jヘ ヾバ^ーr、:.r-‐r ′ .どんなバカでも一端の禅僧になれるんだから、
! { ヽ____)/:::^ _,イ_:::::::_;.イT::::ー‐' 「 `‐′ヽ }}. ::Y ;ム':.:.:/ 手を掛けてあげなさいよ!
ヽ`ー‐r':::_; -‐'二 -' . ̄:.:'´!::|___,,.. 、 ! \ ::L_ ヽ:{
` ̄´¨´ ,. '´ .:.:.:.:/:.:.:.:|::;{ :... ヘ 、 `{ }}./Tノ
( :.:.:.:.':.:.:.:.:.:.l::i :. ヽ ヽ ,.‐ぃ{.{.7
ヽ :.:.{:.:!:.:.:.:リ::| 丶.... 丶 \ {、Y,.}i|┤
. :.:.!:l:.:.:./:::ハ. ` ー-:_::::::\::`.ー、マリリ_}
_,ハ. .:.:.|j:.:.:.:∨ .::ヾr'ィ^:ー-=彳
/´.:.:.:′:.:.:j:.:.:._/ _ j:{:::ヽ::__;;. <{
、:.:.:.:.:.:.:.:r':./⌒ 、`ヽ. /ノ::::::/,.-―-ぃ
}:.:.:.:.; '´ // :::/´::::::::::ヽ 丶
.ゝ'´ ,. -┐ // .:/::::::::::::::::::::ヘ. }
,. ´ j'广¨´ // :∧ヽ:::::::::::::::::::} /
,. ´ :..../´ /'´ .::;ハ:. ぃ:::::::::::::://
/ ;ム:´ /' r'7 /ー'::. } }::::::::::〈〈.
/ /'´.}::. /' ノ'´√辷._彡':::::::::::::} }!
/ /' .:ノ: `′ j{ /\\::::::__:::/ リ
一絲文守
(いっしもんじゅ/いっしぶんしゅ)
【「一絲語録」より】
『師、已に壇越の堅請に随つて一方の伽藍に董□(※とうり)す。持法の具其れ備はり、
持法の資其れ饒なり。何が故ぞ槌払の下全く□子(※のっす)に乏しき哉。
料るに夫れ賢を選び器を択ぶの然らしむるか。
馬骨を棄てずして駿馬を得るは宗匠偉度の常なり。
仰ぎ望むらくは賢不肖を問はず、先づ収録を賜へ。
若し其れ親しく炉鞴に投じ、妙密の鉗槌に当り得ば、
頑銅鈍鉄□(※すみやか)に宝器と化すること豈難事ならんや』
(※ □部分は漢字が出なかった箇所)
-
/
__ ___/
, ‐'´::::, -‐、/'`フ'、´ ̄
/::::_,;;/‐- 、|i, へ`ヽヽ,
/::::/:/‐'フ'7ーi〈 l:::::`i::!
/:::::/::/ / // i i |:::::::::::!
l:::::::i::/-'‐、' /! ! | l:::::::::::::l
i::::::::l:l Y(ヽ!//__ノ_! ,!:/::::::::::l ふーん。
l::i::::i::iト`ー' ュ-、ヘy/:::::::::::i それって、自分が沢庵殿の法嗣になれなかったことの恨み節?
∧!::::ト、i r 、!_ノヒ!イ::::::::::/
, ヘ /::::!:::::! i`、 ー- 、_ ,/ i::::::::::/i
// l ', /, -‐i、l! ヽ、ヽ -―<´ l:::::::/::::|
/ l ヽ`ーr' ´ i;:! 7'7´イ i i:::::/::::::::l
l i' ン:7 、 \ (○)! l l/::ノ,〉:::::::::!
l | /:, -' `ヽ、 r−、`i_二_ノi'l l`i ∧:::::::::::i
〉 !::/ 〉、ヽ_ ノ lヽ/l`l |'/ ';:::::::::::ヽ
愚堂東寔
.(ぐどう とうしょく)
/ .././. / ..! ヽ. ヽ `廴ァヽ
′ ..|..!:....:i:.. ..:|:. ヽ i.. i ヽ ハ
i .!.|:. ..:|:.{:.. ....:{:. |. . .. .:i、:|.|. ト、.. .:{:.. ヽ! '.
| ...::....:.{十:.:A:.ト:|:... ..:.l..:..:|,斗ト:.ヒヽ..「\:...}
| ...:.ヽ∧{ V≧{ミヽ:...:.トト:} r_七≦ミⅥ:ハノ { いやねぇ、師匠。
/.ヽ l ...:...:l ,ア7ぅ:心`ヾ\{ ′ 7´トィ::心 》|:.... ハ 私は貴方の法を継いだんだから。
{:::.. { /| ..l:小{ ビ:zヅ ゞ==く、|. ヽ
l::.:: ∨ ...Ⅵ ^'¨^ ´ . |:... \ . .ま、かつての弟子からの諫言ってやつよ。
V:::..∨ ! ...| : |:.... | ヽ
∨::..Ⅵ ヽ.{ 、,. !:.... . 丶.
∧::.. ヽ .. }〉=i . --- 、 .{:.... l 、 .
/_.ム::.:..:ヽ... ...V..:..:〃 〈 ノ ,小:... | ヽ. '.
r― 、 _i´.::..:ヽ}::.:..:..\ /:..:..,∧ ` -- ´ .イ:.:!:ハ:.. |:... ト. i
\:..:.`ー.、 /´::V::.::.Vイ:..:..:..: ヽ.ノ:..:.,.∧:.:i 、 ー ' /:.:{:.:|:.:.::.:.. {:.... .\ヽ
` ミ:..:.. ̄{::.::.::.∨.::.ヘ::.. .:..:::.:,./:..:..:i { :..:.l \ イ {:.:.:.Ⅵ:.:.:丶.. ヽ:..... ヽ 丶、
`ヾ、_,ヘ::.::.:ヽ::.::.}:..:..:.::/..:..:..:..:{::|.:..| ` .__ . ´ |{:.:.:..|:...:...:...、 V:.... . ヽ.
〈:.::.:\::.::〉ノ..:.::.:/..:..:..:..:..:l:.| ..:.| __ _,jヘ、:.:.{:.:...:.... :.. V:... i } '.
V::..:...`¨....:.::/::′..:..:..:..:.:}:.} :..「 ̄ ̄  ̄:..¨¨ {:rヘ.ト.、:.ヽ:..:..... :.. :.... }| !|
ヽ::..:. ..:...::..:..::..:..:..:..:..:..:/∧:..L: ------ :._:..:..:〉}:0)ノ.ヽ:..ヽ:...... i:.. ト、 ||
{.\..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..//:..:}:..:}  ̄ヽ辷メ、:.丶{:\:..... } |..ヽ }ノ
なお、『紀年録』では、後水尾上皇はこの一絲を沢庵の法嗣にしたかったのではないか、と述べているが、
この時、既に一絲は妙心寺の愚堂東寔の法嗣であったため、これは筆者の推測と思われる。
-
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '.
| / ネ ロ '. } l ……フン。
, - ―<! { |,ル } i! {⌒ヽ
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 /:::::
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ }:::::::
, -/ / } rく ーー /ハ i! .|ヾ:、 ノ } ノ:::::::
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ / /::::::/
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´ /::::::/; /
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧ .!:::::/; /ゝ
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ ノ/; /ゝ
/// `ー-‐ 7´ムイ: `ヽ ! |ヽ`ハ///`// |/////'>´\/ ´
. //////////// {: : : : } i! ト、} } 〉/イ/イ ,ィヘ .l/: :r‐/XXX >
この一絲からの諫言に対し、沢庵が返答を返したかどうかは不明である。
だが、返答の有無はどうあれ、
将軍に続き、上皇や元弟子からも法統の存続について、
願いや忠告を受けたにも関わらず、沢庵の心は変わらなかったことは事実である。
-
その後、沢庵は堺に向かい、
自身が再興した南宗寺山内にある祥雲庵(祥雲寺)に入って、
のんびりと過ごしていたのだが…。
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、−ゝ イ.-.ノ| | .多少、客も来るが、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 江戸や京に比べれば随分と静かなものよ。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、 コツコツ>
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | …誰だ?
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| | 和尚様、今、よろしいでしょうか? >
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ ゝ________________,ノ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | まあ、とりあえず入ってこい。
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/:.:./レ 7/{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\_
/:.:.:.:./ 〃/:.:.:.:.:.:.:.:..|:.:.∨~^^´\-:.:.:.:.\xAD\xF4
___, ノイ:.:.:/イ/V:.:./:.:.:|:.:.:.:|ハ:.:| V≠=寸
/:.:.:.:.:./:.:.:.:.|:./lV:.::|、:.:.:| l:| ____ W::::/
/::ィ:.:.:.:.l:.:.:孑|::|廾|:代、:.::| '~|´_- ` |::::|
/´ /:.:.:.:.|:.:.:.|! |/_ 二ヘ! ヽ::| ´イ升テ=、 z. |::/‐、 やっ、どーも。
|ハ::|:.:|/l::| 〃{ヒっ┘ `^─'′ .|'f;^:. ! ご無沙汰しております。
l !:N:|イ¨| | l:::ノj:/
`| l{{<∧ { 、 |^;:./
\ {:〉 ______、 j_/
`ー ヽ 弋二 ̄ 二ノ /!
,-‐|\  ̄ ̄_ ̄ ,.'::ト、_
/:::::::| \ / ..::|:::::::ヽ
/ ::::i| ` ー ─ '' :|!:::: :::',
/ ::i} {!:: .:'、
_/ Vヽ / V '、
_ -‐'´ ト、 |:.:`、 ./ | /!. \_
,,.、 -‐ ''"´ .::|:: ヽ |::. `、 ,′ / /:::|::.. ヽ`丶、
´ ::::|::::::.} |::.:. 〉 .〈/ ̄/ /::::::|:::::... \ `丶、
飛脚
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ○ゝ イ○ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | お前か!
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
. /: : : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:::.:.:.:',
/: : : : : : : : : : : ::.:.:.:....:.:.:.:.:.:.:.:',
//: : : : : : : : : :.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.',
/|::!: : : : : : :./: :./}.:rヘ:.} ̄¨''ミ:.:..:} そう露骨に驚かなくてもいいでしょう?
|八: : : :|: /|: :/ .|:| .}:| ',:.:斥 十年前、和尚様に書状を持ってきた時も、
|从: :|斗抃ト、|! /, -‐─Ⅴ } 場所はここでしたね。
! {Ⅵ 艾テ / 艾テ ! /
ヽ } i r‐'、 今じゃ将軍家の師僧として、
/.|ヘ 」 / .| 乂 天下随一の禅僧っていうんですから、
イ | 、 ` ー─ イ | ' , いやはや、大したもんですねえ。
, ’ | > _ イ/ ! ' ,
. ,イ | \ / . >、
. ,ハ ! rそ厶 ′ ,ハ
. / . ' / ∨// \ / .
/ '. V }//{ V ,
. / .' |//| | ./ ',
/ ', |//| i|/ .
. / .', |//| }| ',
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | フン、そのような評価など、煩わしいだけだ。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | あの時(※)、お前らに根負けせずに、ここに留まっておれば、
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 心置きなく一禅僧として過ごせておったわ。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ …で、今回は何の用だ?
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
※ その34(3)参照 : http://tagenmatome.blogspot.jp/2010/05/343.html
-
ファイヤーボンバーのピンクさんの弟子か銀河の妖精w
-
______
/:::::::::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::::::::::::::::::::::.:::\
/ :::::::::::::::.::::::::/::::,── 、::\
/::::::::::::i::::::|:::: /:_/ ヽ:.:}
′ ::::::: |:::: |:::/ |:/ヽ '⌒ヽi:j そりゃあ飛脚は
. | :::::::::::: |:::: |:/ =ニミ =ミ {′ 荷を運ぶのが仕事ですから。
. i:::::: ::::::::|:::: |′ ゝ i
ヽ::::::(⌒Y .r=::::、 ,′ ハイ、これ。
\:: \ 、:::_ノ / 江戸の上様からの御内書ですよー♪
\:::::T^丶 /
`r┴- Tニ´
_ >{ \/ }
´ \ /\_厂 \
/ \_,/〉 〈 }
{ ヽ { } ./ ̄ ̄ ̄ ̄ .7
; / | | ∨ /
} ∨. | | ∨ /
| │ .|,. -‐/ /
l/| ̄ ゙̄`ト| / └―っ /
. T| 「 / ニノ /
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、−ゝ イ−ノ| | ━━┓┃┃
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | ┃ ━━━━━━━━
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| ┃ ┃┃┃
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ .┛
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /! ゝ'゚ ≦ 三 ゚。 ゚
/ / / ! \| | |。≧ 三 ==-
, / / / |┐ \ -ァ, ≧=- 。
/ /イ | ハ! |==、  ̄イレ,、 >三
, ' / イ 川ハ、o | `≦`Vヾ ヾ ≧
/ 人 リヾ `ー、 。゚ /。・イハ 、、 `ミ 。〉
-
_,, iー' .、 '、. ..'-, .'、 . _..
_.. イ'".ヽ .ヽ. \ .ヽ. \.ヽ. ..,,, -''"゛
,,, ィ'''"`'、 ヽ ヽ .ヽ ヽ ヽ,,..ノ‐'゙´
._..y‐''゙ヽ. .ヽ .ヽ ヽ _> |-.. ┴´
._.. -'," ヽ ヽ ヽ .ヽ./ ~ _,,二ー 、
."`',. ヽ ヽ .ヽ .l./ ゛ ./´ `'-.\
.ヽ .ヽ ヽ._,, ;;ゞ゛ ./ : 夢 ヽ ',
、 .ヽ . ..lr‐'"´/ / .l, ~''" .! .!
.ヽ._.. ゙‐'゙゛ ,./ /',''''''!ly、 ._.イ│ だから!
: '''´ ./ ,- ,/'''''゙‐'t;;',', ,i,'!!~゙゙} .| 何で一介の飛脚の筈のお前が
././ / ゙‐''゙⌒.! ', 上様の御内書を持ってくるのだーっ!!
,,i,'イ゛ /.l .、 _ | .l
/ .,/ノ ,' l゙ l.l .,,―`-ニ. ., .,.. l ヽ
.,/イ ,' l l ',l゙,.. - ,,..,!.il! l ./ \
.\, .,''゙,! l l ,i'/ッ._,,,,,, .゙!/│ ! .゙y
.`'-,,"." l'、 .!.l l .,!.l ゙l .l',゙ll゙ i____,,,..-'"゛.ヽ..,,,_
.`'ー、,、 / ゙' l .゙" .',.| !/.|"!/ `''
`゙'ー、、 .! .\ .! !..,_, . 〃 /
`'-',,_ ___;;,,.. --┴''''''¨'ー、、
 ̄ ̄ `'-、,
`''ー ..,,,,,,,,.. ‐'
_..ノ:イ:::::::/:::::::::::::::::::| `ミ:::::::::::::::::::∧
/::::::/ :::::: /:::i:i:::|、、____ ミ:::::::::::::::::::::ハ
/::::::/::::::::!厶斗|:::|イ ,,,,___ ` `Y:::::::::::::::::::/
/:::/!::!::::升!ハ!八i イんバ゙〉 j::::/ん`V いやあ…。
. // |:从:{ ィ行ハ 辷ソ └〈 い.:) 〉 ホラ、そこは「演出」ってモンですよ。
′ iハハ 弋ソj イ ノ /
i ! i ノ しイ::/ 「演出にも程があるわー!
'. ヾ:.. ___, r<::/ ええい貸せっ!」
、 r ニニ二二ノ ノ ',
ヽ `ー‐−―′ / 〉、、
ヽ `¨ / .>´ ヽ
ヽ、 ..イ ..> ´ \
(`ヽ `ヾ ̄ / /` ー―― ---- ...、
(`ヾ (`ヽ / ヽ iヽ. /ヽ / >、
( ヽ ヽ ヽ ヽ __| ヘ ヽ. Y ヽ :! i/ ヽ / / ヽ
. Y ', i i j、ニ二 ̄/ | ', | l i..i :i l / ',
l l i Y:..ヽヽ / ! > .:j __! l l :l li‐、 / ;
l l j 人 ', ', / //く i ̄/! i:i :l ll l i / i
j l j ノ } i :i j:::Y⌒Y l .:l:l :l il l !:./ / !
. { ノ 丿 j :j ,/:::::i i ! .:lj :l ll l |// l
-
六月のある日、堺の沢庵和尚のところに
上様からの御内書が届きますた・・・
_____
/ ヽ____//
/ / /
/ / /
/ / /
/ / /
/ / /
/ / /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| |
| |
/  ̄ ̄ ̄ ̄ /_____
/ ワレ フマン /ヽ__//
/ / / /
/ クガツニハ カエレ ./ / /
/ ____ / / /
/ ./ / /
/ イエミツ / / /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/ / /
-
_.. -―'''''''―-- ..,,_
,/ `゙''-、
,/ _..-'''''―- ..、 \
/ .,/ \ .ヽ
. / / ヽ .ヽ
/ ./ 夢 ヽ ヽ
/ ./ , .l, .',
./ ,i!゙',、 _ノ.l/j ! \_人人∧从人_∧_人_从_//
! .,'―‐`-lii、 . ,,rl┴''''ー l! l, ) >
./ i!'-、 .!ゝ . '.l、 / .!′ ,..''7 .ヽ < なんだこれはっ!? >
./ ./ 'イ''ニ=rirr,'|./ .ヽ`-`-`-''',/゙l l < (
/ .l゙ " ゙′ l l. /^Y ̄∨∨^Y^Y^YY^Y^
. / ! ,.| ., ヽ.
.'" !ヽ y i;;;;;;、 'i, ../ ;:;l ..l゙‐'′
|;:.! ,/,' .,,r;;ニッiiiiiiiiiiiiii;;;;r、 .l', .!;:;:;:.! .ヽ
|;:;:;:! .// i',{ .iー'''''''''''''ー'i i!|i ,!} l;:;:;:;l l γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
|;:;:;:| .{ ! ./ ゙" !" l',./;,! l;:;:;:.! ! | ですから上様からの御内書ですってば >
!;:;:;:.! ヾイ.,..-ー'''''''''''―- ..,..!!./ |;:;:;:| ゝ__________________,ノ
!;:;:;:;.! /,ii/ l;,ii;| .l;:;:;/
l;:;:;:;:;| .l;| } !,!:l" /;:;:/
l゙'-,;:;| !| .l :l".! │;,イ \人_从人__从_从人__从人_人从ノ/
!、 `'', │ ! l,i,'-/ > <
i,',',iiiii、\ .! . ! .r',゙.l'''7 > わかっとるわ畜生! <
., .l', .リ、\.l レ'.l- l!.│ > <
. l, .!l 、 l`-',/、 ,i;;;;,','" l_./、 /Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒⌒YW⌒WY\
l、',l \ l ',`'リー .... イ゛ !., '"/.i', 、
l l, .,!`′ .`-,! ! .! ! ,ノ゛ // .l .|, .|,
! ,'i l ゙゙''ヘ..,|_ ._l..-'" .′ ', .l ! . l ゙',
.l ! l./  ̄゛ l" !/゛ ',
´ ′
六月中旬頃、江戸から家光の御内書が届き、
そこには「九月頃までには江戸に帰って来るように」という命が記されていた。
【正保元年六月二十四日の小出吉英宛の書状】
『先日御内書参候。江戸にて如御意被成候。九月時分早々可罷下之旨ニ候。
庵室一段静かに御座候て、江戸の事忘却申し候へば、
又、御内書の御文言見申し候へば、驚く様に罷り成り候』
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ○ゝ イ○ノ| | まったく、貴様が来るとロクなことがない!
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | どうせ但馬の奴も承知であろうから、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| もし遅れたら上様に取り成しをしてくれと伝えてこい!
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ あと戻る前に荷造り手伝え!
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
_ ___ _
. _ _,./:.:.:.: ヽ''.:.::.:.:.:.:.:.:.::.:.\ _
. /ィ:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:\
/:.:.:/⌒¨¨¨ヾ.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:..::.:',
. {:.:i.:./-‐- 、 }.:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.:.::.:.:.', 荷造り代は別料金になっております。
. レ'レ'i ァ=、 ヽ:.::.:.:.:.:.::.:.:.:.::.:.:.:.:i
. , ノ じ Ⅵ⌒Y::.:.:.:.:.:::.:.:} \_人_人∧从_人_∧_人_从_//
ヽ ツ./::.:.:.:.:.:::.:, ' ) >
}__ ,、_/::.:.:.:.:.:./ < うるせえ!但馬にツケとけ!>
r'' j Ⅴ:/ < (
{ ./ Y /^Y ̄∨∨^Y^Y^^YY^Y^Y^^Y^
`ー─-、 _|_
i _ ,< V 毎度ありー。
,< j、
_| ,< \
/:.:| ,< { ヽ
. /_.:.ハ ./ }. V
. /.:./ , ' -┴- 、 V
/.:.:/ i / ,'\ ',
/.:.:/ | / i \ i
-
これは沢庵も流石に無視するわけにも行かず、比較的すぐ後に堺を発ち、
その月の二十日には、故郷である但馬出石にある雲龍院に到着した。
.rニYニヽ
|レ / j | …まったく、忙しない話だ。
!!_ イ } | せっかく江戸の事など忘れておったというのに…。
゙- '´ ,、 /j j
-''´ ,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
__ii__ | | ルリ-ト、|州リ | .|
イi j | | |,
` , イ | | | |
ノ } | |
/ | |
// / |
. // / ',|
/ / l |
/ i / ヽ
ん-ト、 | |'
ヽ/ / | | l
ヽ / | | レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| / ̄| j
', { |. |
',__,r' } .| j
', | |`丶、r'
', | | j
-
_..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
/ `'‐、
/ `'、
/ ゙l,
/ !
| . ___、 |
l ., ‐'"゛ '''''''、 |
l . / l |
,' / . 、 ! !
/ / 、 .,! |
/ ./ l ,! |
/ .l :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ! l゙ …だが、急かされたとはいえ、
./ !.ゞ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l゙ ! また生きているうちに、故郷に帰り着けた…。
./ |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ !
./ .! ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;l | まるで浦島のような有様だが、
./ .r .! :::::::::::::::::::::::::::'::} l それでも、「僕」を知っている人が、
.-'´ . l l、 .、 i ..,,、 | l .まだここにはいる…。
/ .!', .!、 `―" ! 、 !
! }.l l-二― ......,,.. | | .|
.| .l l .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,! ! |
.l │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./ ! |
! !.〈,,, ゙'-..____,,..-'"l゙ /
! /.、 `''-,,. ,..l゙ ./
', .,' `'、 `''" ̄ ̄ .,! /
-
故郷出石では、実弟の秋庭半兵衛や姉などをはじめ、
懐かしい人々と旧交を温めることができた。
_,,,----、_
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
、 .l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`、
'ゝ、 .l丿 ̄ ̄`"''!;;;;;;|
゙' 、 _|/:廿ゝr 廿 、l / 兄ちゃん、久しぶり!
`<ゝ_ _ '{リ "/ "^ ''{i|.
、 │;;;;'ゝ、 .| .. ム廴 _j┘
'''ヽ_../;;;;;;;;;;;;;;;゙'ゝ;ゝ_ ヘニン__/
' '、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/|r `二´r|,,__
、 ゙ 、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;'、 ‐’ 1;;;;`''''‐- 、
′ ゙'┐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ー-テ~~′;;;;;;;;;;;;;`'、
ヘ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
|;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
秋庭半兵衛
(あきば はんべえ)
_______
_,.-'"::::::::::::::::::::::::::::`‐、
. /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ム
. _/:::::::::::::/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー-、_:::ム
i:::::::::::::::/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ゙i::::}
|:::::::::/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: }:::リ
r‐、:/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l::/
/f゙i リ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: .l:l …うん、久しぶりだね。
| { ::::::::::::::::::::::::::::::: l ::::::::::::: f゙i 半兵衛くんも元気だった?
ヽ l! :::::::::::::::::::::: l ::::::::::: fj/
ゝ1 ¨ -' l/ 「おう!元気だよ!
l -、===-、__ / 姉ちゃんも八十一だけど、まだ元気だし!」
. \ ヽ二ニ=" /
lヽ、 `ー‐ / そうかあ…!
l `ヽ、 / 体調のいい日を選んで、姉さんにも挨拶しなきゃね。
_ / ` ー‐ "|
___,.-'" `ヽ、 l__
:::::\::\ >、 j `ヽ
:::::::::::\::\ /::ヘ ', / / }`ー、
これが、既に幼名すら定かではない秋庭綱典の息子が、
家族と過ごした最後の時間となった。
-
そして、既に家光からの期限である九月を過ぎ、
十月に入ったある日…。
_.. -―'''''''―-- ..,,_
,/ `゙''-、
,/ _..-'''''―- ..、 \
/ .,/ \ .ヽ
. / / ヽ .ヽ
/ ./ 夢 ヽ ヽ
/ ./ ┃゙ , .l, .',
./ ,i!゙',、 .‖キュッ _ノ.l/j !
-
_.. -ー'''''''―-..,,,
/゛ `゙''ー ..,,,,,,__、 \ \、_ハノ
,i'゙,,....,,,、 ,,,,.....,,..二T" ヽ\).',..、
i./ `''、 `'';;;;;;i、 /
,!l 夢> i'i|.゙l , `'- ヽ,)
l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、 ) ) さあ、今からお望み通り、
!l,,_ l / '´ ...} /`ヽ
.',_/ / ! /..l_) 江戸に戻ってくれるわー!!
l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ / .l,)
l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\ _,,,,.............../ ! /-、
リ',、 .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ / .,.‐', l .,ソ/ヘ '"
'!|.l. / .゛', ;;l" / ., / l, .', // //7/ヘ /l ト、 |\
_,.l,', ;;,'-'./ ゙./ _,,,/ ! ..l ,ゞ゛ ___,/ _____V__ | l ヽ|
,./ '" ゙''" / , ''"'''"| / .l l .l./
i'" ./ ./ / ., '~', .l ! / ;',
_..-'"゙゙フ'./ / ,/ ./', .', .l /;:;:;:;:;:|
/゛ イ゛,/./ ,/ ,,-', .l .', _ '";:;:;:;:;:;:;:;:;| .、 ,
, ',゛i!〃゛ / ., ''.l ', .l ,,ミ'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',゙''-、、 ゙',ゝ、,.l,
,..┴-iフ" ./ ._‐{ . ! ', ._ノ'l丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| `''' !./ -',、`′
/ / .// l ', .,ゞ゛ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: ! . ゙'- `'
/ . / .,,/゙l゙ .! .l ._ソ" .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !
/ ., ''l'7 ! ヽ,,,,','"| ',;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}
./ .,-{..,i,' | ′ .l_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;!
: '.l.,,i'゙.l |i./ .ヽ .',,'',、 .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
..ィ ! ', ',`'、. _,,,',. ゙リ..,,,_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
', l l..,ノ'´ `'-、 .,,...../ ゙'イ;:;:;:;:; ゙゙̄''゙‐' ..、;:;:;:;:;:;:;:;!
.l .!/ `'-,, \,ノ゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
.,','----.... ......,,,,,_、 `'く、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.!
. ゛―----........,,,,_、 .`゙''''ー-ミ;;ッ、,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.!
------ ....,,__ .`゙"'― ..,,、.゙/゙'''-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l゙
ー''''''''''''―-..,,_ ゙゙゙̄"'''ー ,,, ./゛ `''ー ..,,,_;:;: /
`゙'''‐ ~
沢庵は故郷である出石を出立したのである…。
-
_ _
.. /: : :/: ::::::`ヽ
. /: : : /: : : : ::::::::::::\
|: : : : : :::::::::::: :::::::::::::: はい、今回はここまで。
|:::;i: : : ::::::::::::i:ハ::::::::::: .あと、さっき決めたらしいけど、
j::,ヘ: : :ヽ:::、:::{メ}::ィ:::::| この>>1は、今回の話が終わった後、
/:人 i:: ::ァテぅヽ fjハ:j 沢庵和尚についての補足編を入れるつもりなんだって。
/: : / ヾ{ `¨ , ノヘ.
. /: : / 、 ー- 'ィ ノ それでなくても年内完結を諦めたのに、
/ :/\ ::. >イヽr彡 この調子だと、どうなっちゃうのかしらね?
:´: : : : : \ :/: :: |:::::|::::〈
:`ヽ: : : : ::::\ 、./:::人:::::`ヽ
: : : >zzzzzz≧rfチ:八::::::: :}
ヽ: : :::::::`ヽ::::::{{::ヽ:>-<> -'ヽ
Y: : =彡:::\::ヾ/:::::/`¨`ヽ
、_j: :\: :/:: /⌒:::::::::ハ/⌒ヽヘ
:::人: : :ヽ、: : : ::::::::ン´: {: : : : : :ヽ- 、
`ーv― 7:\: :::/i: :|:.人: : . . : : : : : ´ヽ
ヽ」: 〈: :|: `: : : !: {: :>-、: :_,..: 、: : : : :`ー --z 、
ヽ--ヽ: :\: \: /:::: : : :ヽ `¨` ー-:::::ノr‐=ミx
ヽ: : :ヽ: :{{:::::::: : : : :::\ `ヽ=< ノj
~⌒ヽ=ヘへ:へ:: : : ::::::\ ` ̄
ヽ/ `ヽ:: : : : : :ヽ .
` ー- : : : ヽ .
ヽ: : : > 、
i`ヽ'<):`ヽ __ __¨ ./
`¨` =tr彡 ._) _) \
-
てなとこで、今回は終了でアリマス。
今回もお付き合いくださりありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
2週間更新失敗した割に、また分量少なめで恐縮ですが、
どうにか帰郷編は一区切り付いたのでやれやれ。
次は、和尚が江戸に戻ったところから始まる見込みでアリマス
あと、上にも書いた通り、元々はこの話の中で、
和尚に関する物事は一通り全部終わらせるつもりでしたが、
ちと分量が多くなりそうなので、和尚個人についての話は、
この話が終わった後、補足編としようかなと。
ここを逃すと、なかなか機会もありませんし。
最後に、現状の解説役投票経過をば。
【その68解説役投票経過】
3票:ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)
1票:星宮ケイト(謀略のズヴィズダー)、アナザーブラッド(デモンベイン)
それではではー。
-
おつ!
遂に和尚も逝くか・・・・
にしても、最後の最後までつくづくロックなお人だw
特別編期待してマスです。
-
ジャックや社長の流れが絶えるのは
確かにちょっともったいないよなぁ・・・
-
乙乙
最近自宅だと規制されてて書き込みもできやしない。
今のうちに毎度恒例佐々木さん(涼宮ハルヒの憂鬱)にいっぴょ
しかし本当に沢庵和尚、ロックなお人や。
一休さんと語り合ったら、すごく意見があうか、
つかみ合いの喧嘩になるかどっちかだなw
-
ジャンヌに一票。
-
おつでした
宗教系だからケロちゃん(諏訪の土着神)だけど、
ほぼ確実に異教の神か教祖か手先になってしまう違和感w
諏訪大社スレとかないかなー(ねぇよ
-
ごめんなさい書き込むスレ間違えた……
投下お疲れ様です
和尚そろそろ逝くか……
-
どもどもです。
最近、また仕事が不穏な感じになってきつつあるので、
微妙であるなあと思いつつも、書けるうちは書きたいものだと思うところ。
書ける状態でもこの有様だというのに。
てな訳で、目標としては、いつも通り日曜(6/15)の21時投下でアリマス。
次回は和尚が江戸に戻ってからの、この頃の柳生家の話になるかなと。
あと、解説役投票経過はこんな感じ。
【その68解説役投票経過】
4票:ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)
1票:星宮ケイト(謀略のズヴィズダー)、アナザーブラッド(デモンベイン)、佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱)
それではではー。
-
>嗣法
この辺は禅に傾倒してないと判らない思考なのですが
本来禅僧は自分の居た痕跡すらも残したくないんですよ
弟子に墓を残すのも禁じることもしばしば
-
そういうもんなのか。
そんな宗教というか哲学というかが、
よくもまあ現代まで残ったもんだとむしろそう思うわw
-
そこらは矛盾だよね
嗣法のために紫衣事件起こしたんだしw
でも、自分の後継者は育てないという
本来寺とか形ある物に囚われないのが禅だけど、
寺の再建・再興は熱心にするw
禅の機微は門外漢にはわからないですわ
-
どもどもです。
相変わらずさっぱり書けぬ上、なかなかなんともしがたい塩梅のため、
今週も失敗であり、すいませぬ。
せめて夏が終わるまでには何とか一段落したいところなのですが。
ではではー。
-
夏が始まる前にではなくて?
-
「禅」という大元があるから、法嗣なんて関係ねぇ!!
良いからお前らさっさと悟れ!
ってだけで、和尚の場合「法嗣とかもうどうでも良いです、好きにして」
状態なのかもしれん。
-
どもどもです。
先週は失敗したので、今週はどうにかなったらいいなあと思うところ。
目標だけは日曜(6/22)の21時でアリマス。さあどうなる。
>>234
この和尚の話だけでなく、宗矩が亡くなる第2部完までのことなので、
今のペースだと、夏が終わるまでにそれが済めばいいなーと。
和尚の話だけなら、上手く行けば夏前に終わるかもですが。
それではではー。
-
ジャンヌゥゥゥゥゥゥゥゥーーーー
-
どもどもです。
毎度ながらさっぱりなのですが、とりあえず書けるところまで書いて、
一区切り付いたら投下してみようかと思うところ。
何時になるやらというところですが、一応、投下できるなら告知はしまする。
申し訳なし。
-
諒承〜お待ち申す
-
そう言うこともあります。
乙。
http://a-draw.com/src/a-draw.com_13794.jpg
-
気が付けばいつの間にか6月も終わりであり、
来週には7月だというのに、なんか風邪っぽいのですが、なんだこれ。
まあ、それはともかく、先週も失敗こいたせいで、
6月の更新が全然ダメダメであり、
もうどう考えても今年中に最後まで行ける見込みないなあとしょんぼり。
>>240の絵じゃないけど、ビール飲んで寝てしまったもんかしらんと思いつつも、
なんか脳内でスピルバンのOPが流れてるので、
予定だけは明日(6/29)の21時からにしようと思う所存。
うひー。
それではでは。
-
タイムリミット♪タイムリミット♪タイムリミットは近い♪
タイムリミット♪タイムリミット♪タイムリミットはち〜か〜い〜♪
まぁなんです、どんまい。
何だったら適当に史実並べてやるやら漫才してるだけでもいいんです。
書けないときは、手抜きしてでも描く!
これ意外に有効。
-
どもどもです。
昨日、ネタで書いたものの、お中元で届いたハムが賞味期限近かったので
一緒に届いたビールをつまみにし、サタデーナイトフィーバーで、すーやすーや。
つまりまたダメだったのであり、気分はもうあしゅら男爵。
お許し下さい。
>>242
「節子、それメタルダーや!しかもEDや!」
それはともかく、エディターすら立ち上げられてないってのは
我ながらなんともはやであり、ダメ臭溢れる趣でアリマス。
うむむむ。
ではではー。
-
どもどもです。
とうとう前の投下から1ヶ月経ってしまったのでどうしたものかと思案中。
まあ、投下すればいいだけの話なのですが、なんともはや。
とりあえず予定だけは7/6(日)の21時に持つものの、
実現確率については、まあ、その。
ではではー。
-
・・・まぁなんだ、どんまい。
解説で取りあえず赤王ちゃま一票。
-
完成してから投下予告してほしい
土曜日の投下宣言までに完成してなかったら日曜投下無しでいいじゃん
誰も怒んないし、下手に希望をもたせるのはやめちくり
-
難しい問題なんだよな〜。
>>246
自分としてはいつものスタイルで良いと思うし、
>>246は「希望持たせるのはやめろ」って言うけど、
>>246が勝手に希望持っただけだろう?作者は悪くないぞ?
どう投下しようが>>1さんの一存なのだから。
それが気に入らないならやる夫スレに向いてないよ。
-
どもどもです。
結局、今回も毎度ながら更新できずに終わってしまい、申し訳なし。
むう。
なお、最近の更新失敗の連続で、御懸念頂いてる件については、
要は当方が予告通りに更新していれば済む話なので、重ねて申し訳ないところ。
すみませぬ。
ただ、ここ最近の当方は、「告知したし、書かねば」という縛りを入れて、
尚且つ、現状の有様なので、これが「できてから投下」となると、
何時まで経っても仕上がらないので、ご迷惑承知ながら、告知は告知で続けたく。
(現状、既にそうじゃないかと言われてると、ぐうの音も出ませんが…)
その上での話ですが、何時になったら終わるやらという有様なものの、
少なくとも、エタらせる気だけは毛頭ないので、そこだけは信じて頂けますと重畳。
本編も9割がた消化してますので、残り1割+α、どうにか完結させる所存ですので、
これだけローペースでいうのも恐縮ながら、お付き合い頂けましたら幸いです。
それではではー。
-
ガンバレー
-
マッテルー
-
なるほど、告知を信じて勝手に楽しみにしてた私があほうでしたね。
こいつはうっかりでした。
-
きみはいちいち捨て台詞をはいて自分が勝ったことにしないと死んでしまう人なのかね。
こいつはうっかりしてた。
-
>>251
自分があほうだとわかってんならそんな下らないことを
誇示すんなや
あぁそうか あほうか
こいつはうっかりしていた。
-
どもどもです。
昨日が休出で告知漏れしてましたが、やはり今週もどーにもならず。
自分で言うのもなんですが、なかなかうまく行きません喃。
すいませぬ。
-
把握ー御身お大事に
-
どもどもです。
告知が遅れましたけど、うまく行けば今晩、
ダメそうなら明日に投下できたらいいなあと。
時間は両方とも21時を目処にしつつといったところで。
自分で言ってちゃ世話もない話ですが、
なんとかしたいところ。
-
どもども。
こんな時間帯の投下というのも相当にアレですが、
下手に延ばしてもいいことはなさげなので、レッツ投下でアリマス。
では、はじめます。
-
_ _
_r‐ ´Y ` ` r― 、_
_r{ r' ゝ l ハ、>、
」ィ: : ̄` ̄ ̄`: ヽr{ ハ: : \
/: : : : : : : : : : : : : :/ハ / ヽ: : : ヽ
/ /: : : : : /: : : : : /: : : ∨/ }: : : ハ
_,. ィ: /: : : : : /: : : : : /}リ: : : : ハ _ハ: : : : l
{ j{'/: `ト:、: / : : : / j{: : :j!: :l: r ´ ノ: : : : !}
く´ !:/ i: :オヽ: `ー=―‐f : /:}: リ└―リ: : : l : i 1ヵ月半ぶりの更新だよ。
ゝィク{/ : l/fてぅ ′´xィf示zム: ,イ: : : :/: : : :}: l:! なのに、まだ今回で完結しないんだ。
,イ / i{: i/: :l {zリ " ヒzりアノ r、 : /: : : }: ト: :!
,. -‐ 二 ィ/ , くyヽ: :| 、 ー"ソ:' : :ノィ ⌒`ヽノ : トハ …どうしたものだろうね。
r /´ / ,、 ′ l:j!: :人 /: :/ ∨!{ヾ
ヽf' / / ヽ {l: : : : ヽ fヽ / イ / }′`
. / / ∧ Ⅵ: ト: : :> _ r ´, -ー-、 /′ _, ハ
i_{ ./ ヽ ゝリ ゝー'Y´/ /////// >く }
/ l /∨//////////////ヽ_ / \
/ , ィ´}j / y/////////////////`iヽ ヽ
ー、 j ´//∧ //{//////////////////! リ ノ
Y^Y´ / / ハ //j′/////////////////l レ′
. l/∧ / / j ヽ′ハ////////////////// !/
_!/_,. ヽ ′ { ∨//ハ//////////////´ ̄/7
ヽ /入_ `イ///∧/////////// ´///∧
}、 / ′/ ーr ' !/////`ー== v ´ ////////∧
j∧/ / / |///// |////∧////////////\
{//7ー,{ / !/ /////////// \/////////// ヽ
∨////ヽ、_ |///////////////ヽ/////////// ∧、
∨//j  ̄{`′//////////////`r<///////////ヽ
`ー ! ∨/////////////f / / 入//////////
{ ∨////////////l/ / ノ////////////
i ∨///////////| ////////////////
ゝr= _/`=ー――― イ ////////////////
Ⅵ三 二 ニニ =  ̄ ////////////////
-
正保元年(1645)、十一月二十日。
江戸品川、東海寺──
,.,-‐'´''`´''`´```丶. _
_ ,.,イ `'i
,.ィ´ ,ィ'`´'' ィ'`´'' 、 `'丶.
(( ィ'`´''`´` 、_ヘ
`i, _i'´.r==ィ=‐イ.,.,ー‐<´ `i `'' i
ゞ. r=rl ‐ l i __ rl A , l _/`ir'ヽiソ
,>‐ュr 、,ヘー'´l i  ̄  ̄ i´ l H‐-k'´i._
<ソ-‐イl / ,. __i_i ___.l r=ュ._,ュ.j l i´`i_
,ir‐i´_ ,.,-‐''"i k' >ヘ ,,. l l. j i ̄`' '´`iヘ.
,ィi l l l i / l .l i .l l>'i lヘ. ,ィ、l i i‐、
,,'i i l _rュ l l__l __.l l ,r=、!__.r‐ュ.l i i iヘ l i ∧
,r-イ __l ,イ l二l i  ̄,,. ̄ ,,、 l l i l  ̄,`' i´ `l.,_ ∧
l / `r`  ̄,rュi l! l / ヘ ,i' ヘ l l l l i l _l i`'iへ.
,ュ/`=i .l ,'T, i ニli l i Y l l. Y l i l l l i l _ l i i .i ヘ.
r=' 7l ,l l i ;._!ニ!,‐-.iHェェェHェェェK二lェェH仁niニヽ / / i i i li、
. l i_ _l ,!,-‐''"~へー =<〈 _<l_li__ヘヘ_il二l二i ,'丿 // // ,ィ`丶/l i_ l_i i,
. ト,.l _i>-、<>l><>>'´; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; `'丶. <l!>l<>l><lヘ l
l./ `ヘ._.i `<> </; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . ヘ / <i<> <>.<./
`ヽ. ir `>、<>/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . ヘ,'<>、< _k ili /
`''ー ,.,_ 二 > l; ; ; ; ; ; ; ; ; ; 東海寺 . . . . . . . . . . . l < 二 _,.,-‐'"
 ̄ ̄ ̄∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;.. . . . . . . . . . . . . . . . . / ̄ ̄ ̄
∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . , '
ヽ.; ; ; ; ; ; ; ; ; . . . . . . . . . . . . . . /
`丶.: : : : : : : : : : : : : : : : >'´
`' <三三三二>'´
-
┼─┼─┨: | | | | | |li |┠─┼─┼─┨ | \
┼─┼─┨ :| | i :| : ; | | : ; | |┠─┼─┼─┨ | \
┼─┼─┨ . | | (O) | | | | i l |┠─┼─┼─┨ | \
┼─┼─┨:ニニエニニエニニエニニエニニエニニエニニエニニエニ:┠─┼─┼─┨ | \
┼─┼─┨ ┠─┼─┼─┨ |
┷━┷━┫________________┣━┷━┷━┫ |
┃/../_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/┃ ┃ |
━━━━┛,,.;;;/ ̄ ̄\.. .. . ,...,,,, ,,,,,... ┗━━━━━┛─
/ _ノ ヽ、.\
| (●)(●) .|
! (__人__) | 和尚。
, っ `⌒´ | .体の具合の方はどうじゃ?
/ ミ) /
./ ノゝ /
i レ'´ ヽ
| |/| | |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | うむ、ようやくマシになってきたな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | これなら、明日の登城はどうにかなりそうだ。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
十一月七日、沢庵は東海寺へ帰着した。
しかし、体調不良が続き、家光への帰参の挨拶が、まだ延び延びになっていた。
-
_,,、....... --........,,,
,/゙,.. -―ー ,, `'''-、、
/ / 、,,, .`'-、 \ \_人_人∧从_//
/ / .ll夢i_、 u. .ヽ. ..ヽ ) >
/ . / u. ." ,i"< .ヽ < ゲホッ!! >
/ . i',, ,, ;;ソー'''ッ', \ < (
,' l;:;:,゙;;iii- 、 ,i.l二rミ';;./ i', `ー /^Y ̄∨ ̄Y^ \人_人,_从人_人人/
. ! ,!;|,'..,;{゙l_,/./ .`''T゙゙´ii||." .| ) ゴホッ!! (
! .!゙"  ̄゛ ′ u. ,...! /⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒ヘ
.,! .! u. _,,,,,. /´;:;:|
.l゙ .l'ー、 .、 ゙‐'ニ>-, .l .|;:;:;:;:|
.l .|;:;:', !', /ニ',;;二ニコ;.l.,l} .!;:;:;:;:} 咳が止まらん…!
.! !;:;:.! .',゙ゞ゙'";:;:;:;:;:;:`゙;:;:;〈. :!;:;:;:;:l゙
| .l;:;: l l';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_,,;:l''、.l !;:;:;:;|
| .!;:;:;',.|;:l',;:./''''''"゛ `| l;! .|;:;:;:;|
.| .l;:;: ! l}',′ │ ゙l .l;:;:,i|
.! . l;:;:;l │ヽ ._,,,./ ゛ .l./ .!
| .',-.l ′ `゙´ / !
l l \、 u. . ,/ !
.,! .l `''ー----‐'´ l
.! ! ゙
! ."
.|
____
-=ニ"`' , , ' " ,," '
______\ ` , , ' '-ー ̄二=-
∠二__ ~` ""'ー、
, - ~ ヽ
, ' , , ヽ
/ /, ' `,
i/ / /| 'i
,' , /:i /:i |:::| |', |
i /i /' /::::| |::::i |::uヽi::`,`ヽ |
i/ i/ i /ー-ヒ--`|u|--エ--ー\ ___ | 和尚、体に気をつけてくれよ…。
i i/|二ニ=ニ~ 二=ニニニ,:::| |─i`. \ 無理せず、治るまではここ(大津)に逗留してくれ。
.,|ヽ_゚_./:::::"ヽ_゚_, イ/:|.|─| | |`┬ー-
/ | ==:/:::u::: u ~/':::|.|ニノノ | |ー--
__;;-ー''"~~.λu:/:::::::_::i /'::::u::|.|ー' / |
__;;-ー''"~'/| .| (_,- u ::u:::::/| || |
| !i .| <__ __-ー''ー:-:::/::| |.| |
.| | .|x--二_____:::::/:::::| ./ .| .|
| |/~ニ二\\ 'i/::::: | | | .|
.| ,r┴'---, ̄\', |::u | |. | |
| </ ̄ ̄\こつ i / .,| .| |
!-ーC' ̄ ̄`こつ | / /!/,/ \ .|
| ̄ ̄ヽ、 | / /| - ` , |
板倉周防守重宗
(いたくら すおうのかみ しげむね)
先月、国許を出た沢庵であったが、大津に着いた辺りで咳が出始め、
そこで五・六日間、薬を飲み逗留をしていた。
それを聞いた京都所司代・板倉重宗も大津まで見舞いに訪れたという。
-
.rニYニヽ
/ j | …体調が戻らん。
イ } |
/j j 今日もパスで。
,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
.| | ルリ-ト、|州リ | .|
j | | |,
イ::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
. /:/::ll:::::::::::ィ::ハ::::::::::::::::::::::::::::'.
厶l:::::lレ:::::V〃 \::::::::::::::::::::::::l
|l:::::::::::::::〃 |ト、:::::::::::::::::::|
|l::l::::l:::l::廴 、_||_ \::::::::::::::! またですか。
|l::l::::l:::りrrァ┐ |lr_rぇl:l::l/^lハ これでパス4でございますね。
|l::l::::l::| } リ |:l::| ノj
jハj::::l::| |:l::し′
ハ::::l::ト、 `´ jノV
ハ::l::ハ}\ ニニ.' /W
W ,リ l\ / {
_ノ| ア´ _ノ\_ __
ア)yし'- ニニィ三=|三ア三三三\
/ニ7^}:ア´/// /三ニレ'´三三三三=.ヽ.
. ___∠三=/ /::|/////三ニ/三三三三三三= l
/三三三 〈三/ /:::::|///三三/三三三三三三三= |
/三ニr====='=./ /::::::::l/三`==┐三三三三三三三= j
. /三三|三三≡/ /::::::/三三三三|三三三三三三三=./
/三三=|三三=/ /:::/三三三三/三三三三三三三=/
. |三三ニ |三三/ //三三三三/三三三三三三三ニ=/
中根壱岐守正盛
(なかね いきのかみ まさもり)
その後も道中で咳が再発しては休みつつ、
ようやく十一月七日に江戸へ帰着したものの、体調不良が収まらず、今に至るのである。
なお、その間、家光から繰り返し上使が訪れ、
「いつ戻るのだ」「いつ登城するのだ」と矢のような催促があったという。
その結果、ようやく大丈夫そうだということで、十一月二十一日に登城が決まったのである。
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 - ゝ イ -.ノ| | 俺としては、御城へ上がるよりも、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | お前の屋敷で挨拶できれば楽だったんだがな。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ もう一日早く着けば、どうにかなったのだが。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) まあ、そこは仕方なかろう。
| (__人__) 明日はわしの他、永井殿、小堀殿が付き添うでな。
| `⌒´ノ 具合が悪ければ、すぐ言ってくれい。
| ,.<))/´二⊃
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
ちなみに当初の予定では、十一月五日に家光が柳生家下屋敷に御成するので、
そのタイミングで沢庵も来て挨拶するように、という話だったのだが、
和尚の到着が遅れたため、家光側も調整したものの、間に合わなかったようである。
-
そして翌二十一日、江戸城──
}k
ノ;'l{
_ノ;人'、
}、、__,. -'',r'/p、ヾ、
,}”ー--、."ニー--゙'ゝ ゙'‐、__,、ャ,
,、 /;;,rlT=イ__~ ̄~^~^''ー‐---、.y"
,irこ;;;},|i || ~||~゙ ''l!tー-n-;t{;/
,j r'i!_、_}-二 ニニ゛‐-,k!i、,、、」|__,|トッ
、_ ヤ{/iコ};,^;;,,,;;;,‐,-,=ノ,ム=_-__ーネ{´,
,};コニニ/7r'|”~,__,゛,/ノ 。 \~^~^”””'ヤ
i!;;;;;;;;;;;、i!__| ,i-!;'"/,r'^v^‐、\iコ~|レ=i、
,}`ー';;;;;;;;;;;;;;;}r‐''”_,.-''/ [iillIII}}}] 、゛\i!、;;;;i、
/,Eャッririririrnm;y、^,、ニニ ー_ー‐-ー' ゛\,;;;i{、_ ,.ィ
/,r"=|、__  ̄~””””””'''''''ー,rk':;firiririnnm;y^~三ニ;:ニ'}
,/,r"=/|::::.. ̄~゛゛``''';::::::::::::ー‐,ノ,ム-.,, 、.、.゛,.___゛~^~゛^i;/
,、 /,r"=/,;l,,,::::i::::|iillIIIIIIIIII|||:::::;7/,r' ``i、:::.iヘ::::::::. ̄~''''''':|
. ォ}仁二Vェ^仁 ̄~"""゛””””''ー/,r'" .,・、 `\[iillIIIII|||]:::::::::::| ,
i!;;;;;;;;;;;/イ'^トー‐-ニニ二、こ,.-'" ,r' ,.-ー{ }ー、`、\"^"^"^"^゛''ー'}
,il;;;;;;;;;;;;;:^^i'|::::::::::::... ,. -''"_, -'/―‐‐`´ ―`i、゛、\゛^゛""ー'r/
i l;;;;;;;;;;;;;;;;;;,'|::::i,,. -''^_,,.-''′/' ,;iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiilllll `i、` 、゙-、:::::::::|;it======r'7
_r,=ーヲー",,:;;;;;;'7rイ~,. -'''~,._-_''~´..::::::|iillIIIIIIIIII|||||||||}.:::::゙'‐、 ` 、゙''-、:|;;;`i、;;;;;;;;;;;;~ヽ、
〕{ュョiririririrm;;;;;~_,n、 ̄__二;;;,,  ̄~゛゛゛'''''',,;;;;;;;;;ー―‐---`ゝ、` -、~ヾ,,;;ヽ、;、;,._;;_;;_,,'‐、
../,r'ーl~~~^~_,.,r'%%r===%%''ュ.,_"‐^"‐''=fhifhicifcifriririririyr'g'y'ng'y''ngmgigpmgwwiV} `''‐、._
/,r'=r|::::::::,r7=-ー''^`ー"^ -、_=フ:::::::::::: ..................._________ ~"””””””””””””|”””riririririnfzmir'7
ゞ゛ヾ゛;:"゛ゞ"'';;,r';";;ヾ、:::::::::|::::::i####lllllllllllliiiiii;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ̄ "''''' ::::::::::::::::::::::::::::|”””””””ヽ、””””"
ヾ、ハ,;;^",,;;;;;,r''^"::;''"",r'::::::::|、::::||iiiiilllllllllIIIIIIIIII||||||||||||||||||||:::::::::::|llllliii|::::::::::::::::::::::|^~^~^~'i~"
ヾゞ,、;:,,y''''7''""""'';;'':::::::::::::|;;`ヽ;、_,、::;;;;;”””””””””””'''''''''..::;;;:::::;!!!!!iil::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::|
::ヾ、,,;;;ハ;''"""'''';;::''"""''r,、hhhhhhm}{メfタfタfチfツfヨfヨfヨfヨfモfヨfルfルffルfル%%$%$%$$ユ:::::::::::|
''"゛;;;;:::"''',,《;;;;''ヾ、,;""~~^~^~^~^~|^`‐'___`ー'___`ー'__`'ー' ``ー' ``ー' ``ー' ``ー'`-ー'"::::::::::::::|
ヾ;;;,,ゞ,r'"";;,," .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|~^r'_ノ`i~,k'_~T"v~「^j,Tニソニi`ウニ{''T;ニj7{ヘ""""""""
;;'ヾ,r";r'ヾ'";:" ;;;;;;;;;i:::::::::::::::::::::::::::::|´)、_}ーv'´ヽ^{~フ〜v_~ゝく,ノ~i´_K´メv_~Kトー{_{、ヽ、j、_}~ス、
;;;''ゞ;;;,i^'',、lll||||||||||||:::::::::::::::::::::::::::::|r'_ノ`i~,k'_~T"v~「^j,´)、_}ーv'ケ^〜v__ゝ;く,ノ~i_jヘヽv~「^j´)、
;;',;ヾ;ヾ;、;;;'''゛iil||||||||l::::::::::::::::::::::::::::;|シ、_}~ス、く,ノ~i´_K´ナv^ーヌ_ヽ^{~フv7_,r`}フ〜vレン、ヽフv_,r`}ヽ
Il"^ヾ、,rーir;======i、ーy'-;ーkー┐,}イ_,レ´i~,;k'_~メv^-チ_ツゝく,ノ~v^j,´)、_}ゝク-ヽヽノiス´ヽ^{、
;;|,-r‐'y';_rllr======V´)、_}ーv'´ヽil~シ'_ノ`i~,k'_~T"v~「^j,´)、_}ーv'ケ^‐スj〜シ'_ノ`iへヽ}v'ケ^〜v、
-
,..-一ー''゙゙ ̄~゙'''ー- ..、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;. \
.,i";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.;;;ヽ
.|丶;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;.!
l丶;;;;;;;/!マダ゙'''!゙'V┐;;;ii―=i,xri-、;;ヽ
|;;;;;;;;;;;,! ゙゙.!;lリ .!;;; !
|;;;;;;;;;│ !′ .!;;.l'
.l;; ∴/ィ,ニ'';;;;;;;;,y. .uェ;;ijニニニ以
]/'.l.| '゙.l,,ノ゛ ." l ノ" .l、.! 和尚、久しいな。
,!゙ .川 `゙゙゙'ー .!‘'' ̄´ .l l 随分と具合が良くなかったと聞くが、大丈夫か?
ヽ ゝ | !.|l゙
.'Lヽ , l゙/
l'ァ.l `..'" .|’
.リ ヽ .ー===- /
/'゙i .ヽ ....... .,┤
/゛ .i′ \ / ; |`'、
._..-''ア ll l .\、 ." .,/;;;;;;;;l.l \
` .. l゙ .!| ..l .`゙゙´ ;.,;;;;;;;| ! .゙ぐ- ..,,_
.″/ | .i .l ! ! .゛ | ヽ.`‐  ̄'''ー ..、
.l゙ ! ..,|___.l ′ l゛ _...l ヽ .― ,,,, `''-、.
./ .|,,,  ゙゙̄^" ...,,, .,r'" ̄ .,,〕 ヽ `''ー..,、
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ようやく落ち着いた、といったところですな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | まあ、俺も歳ですから、そろそろ無理がきかぬように
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| なってきたということでしょう。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
この日、宗矩たちに付き添われ、江戸城本丸に登城した沢庵は、
家光に帰参の挨拶を行った。
-
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;! '~ "~ `i||i" '' `ヘ;;;!
|;;;| ヽ` u ミ;;;|
_ゞ;!,-;;;;;;;"フノ ヾ`;;;ヽ 、ミ;リ ううむ…散々催促しておいて言うのもなんだが、
!ヘl;|.,,_==-、く` ,>゙-== 、「ヽ 和尚、養生してくれよ?
!(,ヘ!  ̄'" |ミ.' ̄" , ドリ
ヾ、! !ミ ,レソ 俺も今後はあまり無理をかけぬようにするからな。
`| ^'='^ ム'′
. ト、 、,.-‐ 、,, /|
i| \ ' ニ イ.:|
,イi| ゙、\ ( /リ.:;ト、
ノ :.:i| ゙、 `ー─''゙:::;:'::::::!:::\
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` '|| | …有り難き御言葉でございます。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
r( ,、_ /
ゞ, rr〜ヅ´ ミ ,'.
フハ _ ミ {. よし!
. |_.. -'_"-'´\ r'⌒ヽ { じゃあ、これから歓待するから、
゙i`'''Tjフ } ミトー } l 二之丸に行こうじゃないの。
,' ,.‐'" { {い) / ノ_
,' ゞ゙ f クァ ―`‐- 、.._,、-'´
〈.、,.. ,.‐'´ `' 、``丶、
)__.. -ァ /
Y´_ ./ \ \\
゙i゙ { \ \\
丶、,、イ \ \\
{ \ \\
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u. 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 - ゝ イ -.ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | ……畏まりました。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ (だから但馬の屋敷の方が楽だったんだがな…。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ こりゃ今日は夜まで戻れんか)
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
挨拶が済んだ後は、二之丸へ向かい、
その日は丸一日、家光自らにもてなされたという。
【正保元年十一月二十八日の小出吉英宛の手紙(抜粋)】
『去廿一日ニ登城仕候。御本丸にて御対面御禮申上候。其後直ニ二之丸へ参候へとて、二之丸へ参候。
(中略)朝四に登城申し、くれくれニ二之丸退出仕候』
-
その後…
_,.-'"´ 三ミ、ー-、;;
;;/ / ィ /⌒`⌒ヽ\;
/ / / / u. 夢 .ヽヽ
;/ ./ イ´^ー、 ,.. 、)、 ',;;
, ' / / //ヽ、−ゝ イ−ノ| |
//イ / /::::、 '´ `ii||||/ |; …ううむ、体調が戻らぬ。
/ /イ / |::::::| / _┗' u. イ 、|;
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ;;
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | u. ./! ! |;;
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、;
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、;;
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉;
/ ̄ ̄\
/ \
| u . |
. | | すまん和尚。
| u. ノ 流石に上様と二人きりのところに、
. | } 口を挟めんかったわい。
. ヽ }
ヽ ノ
/ く
| \
| |ヽ、二⌒)、
挨拶の後、暫くの間、和尚の体調は快復し切らず、
翌年正月二十日まで体調不良が続いたという。
【正保二年四月二十六日の小出吉英宛の手紙(抜粋)】
『極月より正廿日相煩申、漸本腹仕候。自分俄ニ腹痛仕、吐逆無正體御座候。
(中略)漸く快気、当月朔日登城仕候』
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | .まあ、あまり気に病むな。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 俺も今年で七十三。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 体調は悪いくらいで普通であろう。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 貴様とて老いを感じた事が
/ / / ! \| | u. ./! ! | ないわけでもあるまい?
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー) …まあ、のう。
. | (__人__) わしとて再来年には喜寿(77歳)じゃからな。
| u. ` ⌒´ノ 体に衰えを感じぬとは言わぬよ。
. | nl^l^l
. ヽ | ノ
ヽ ヽ く
/ ヽ \
正保二年(1645)、この年、沢庵は73歳、宗矩は75歳になっている。
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚.ノ| |
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | なんにせよ、当面は養生に努める。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| その間の上様への取り成しは頼むぞ。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) うむ、任せてくれい。
| (__人__) では、くれぐれも気をつけてな。
| `⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃ 「おう」
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
-
__
/ _ノ\
/ (一)
(( | (__人) …しかし、歳か。
| l 体の衰えは自然のものであるから仕方ないにせよ、
. | | 兵法者としての心だけは、衰えさせるわけにはいかぬのう…。
. ヽ ノ
ヽ / 床に着く時間の方が長くなった時すら、
/ ヽ 「西江水」を編み出された父上を鑑とせねばな。
| |
|. |
-
それから暫くして、正保二年三月十日──
(二二二ニ/二二ニ/二|二二ヽ二ヽ二ニニ)
//_/__//_/__//_/| |ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__| |_ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽ
二二二ニ/二二ニ/二二二//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
//_/__//_/__//_/__///_/_//_/__//_/_ | |___ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//_| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|__|_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
○====○====○====○===.| |││││││││││││││││|| .||===○===○===○===○===○
| |││││││││││││││││|| .||
| |┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴|| 柳 ||
| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|| 生 ||
___________| |││││││││││││││││|| ||____________
\/\/\/\/\/\| |││││││││││││││││|| ||\/\/\/\/\/\/
/\/\/\/\/\/| |││││││││││││││││| ̄ ̄|/\/\/\/\/\/\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄``````````````````````````````` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
;";ヾ; ;" ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞゞ; ;ゞ ;" " ; ヾ ;ゞ; ;ゞ ;" ";ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ
ヾ;ソ ヾ; ;ゞ "ヾゞ; ;ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ; ;ゞ ;" "ゞ;ゞ ;" "ゞ ; ; ヾ ;ゞ
"; ;ヾ; ;ヾ; ;メヾ "ゞ ;ヾ ;ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ;" "ゞ";ヾ ; ヾ ;ゞ; ;ゞ ;ゞ ;" "ゞ
;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ;ヾ ; ;";ヾ; ;"/" ; ;ヾ ;ヾ; ヾ ; ヾ ;ゞ; ;ゞ ;" ";ゞ ; ;ヾ
" ;ヾ ; ;";ヾ; ;"/" ; ;ヾ ;ヾ;ヾ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ " ;ヾ ; ;";ヾゝゝ" ;ヾゞ
,." ;ヾ ; ;";ヾ; ;"/" ; ;ヾ ;ヾ;ヾ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ " ;ヾ ; ;";ヾゝゝ" ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ;
ゞ:ヾゞ゛;ヾ;ゞ ',;:ゞヾゞ;ゞヾ.: ;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; :ヾゞヾ., .ゞヾゞ;ゞヾ;ゞゞ;ゞ
,,ヾ ;"; " "; ;ヾ; ;ヾ; ;ヾ " ;ヾ; ;ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ "ゞ;ゞ `
; ;ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞ" ;ヾ ; ;";ヾ; ;"/" ; ;ヾ ;ヾ "" ゛;";
" ;ヾヾ ; ;";ヾ; ;" ; ; ; ゞ ; ;ヾ ; ; ヾ ;ゞゞ; ;ゞ ;" "ゞ ; ;"/" ヾ ;ゞ ;" "ゞ ;
ゞヾ;\\" ,,.ゞヾ::ゞヾゞ:ヾ ゞ:.y.ノゞ ; ;ヾ ; ;ゞ ;" "ゞ; ; ; ゞ゛; ;ゞゞ
ゞヾゞ;ゞゞヾゞ;ゞiiiiii;;;;::::: イ. ;ヾ ;ゞ ;" "ゞ ; ; ; ゞ ;" "ゞ";ヾ; ヾ
ゞヾ ; ;" ; ; ;; ;"iiiiii;;;;;::::: :)_/ヽ,.ゞ:,,ヾゞヾゞ__;::/
ゞヾゞ;\\iiiiii;;;;::::: :|;:/ヾ; ;ゞ "ゝゞ ; ;`
" ;゛ ; ;" ; ;ゞ "|iiiiii;;;;::: : |:/ ヾゞ
ヾ |iiiii;;;;;::::: ::|
` |iiiiiiii;;;;;;::: :| `
` ,|i;iiiiiii;;;;;;::: :| `
/ ̄ ̄\
/ _ノ\
| (⌒) おう、もう満開になったか。
. | (___ノ) ひと風吹けば、さぞ見事な桜吹雪が舞うのであろうな…。
| ´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
/ ヽ
この年の旧暦三月十日は、新暦に置き換えれば四月六日になる。
柳生家の庭にも植わっていた桜も、恐らく満開だったであろう。
宗矩は庭に出て、一心に桜に見入っていた。
-
::;;ヽヽ:;;;ヽヾゞ;::;:; ヾ; ;.:ゞ;"ゞ ;;;;;ヾ゛ミゞ;;゙;:ヾ; ;ヾ)
⌒ゞ;ゞゞ;ヾゞ;ゞヾゞ;;;,.ヾゞヾ;::;:; ヾ;;ミ; :.ヾヾ;::;:ゞ _ ` :
ゞ;ゞ゚ ゞ; ヾ ; ; ヾゝヾゞ。゙;;;ゞ;;:::゛;;ゞ; ;ヾ;゛; ヾ
ゞゞ::;;ゝ;;゛ゝ;::;:ヾヾ:/;;゚::;;ヾゝ;;;::;:゙ヽヽゞ;;ゞゞ ` ` .
;;''ヾ;;ゞ;;ゝゞ;;ミミ::ヾヾヽ;;;ゞ;;ソ;;゛:.:;;.ゝ
ゝ;;ゞ::ヽ;;゚ヽヾ::;;ソィ;;ヽヾゞ ' .
::(,ゝ;;ゞ:::ヾゞ::ソ;;ミ` 'ー ` ,
:!i::{
ヾヾ゚;;ヽ':;;ミミヾ;ヾヾヽ:.,
;;ヽ::;ヽ::;:ヽ::ヽミ;ゝ;;;::;:ヽヾツ;.:.. ´ ` . ザワッ…
;';;ゝヽ:::;: ;;), ' ヾゝ'::ゞ;;゛;::ヽ;;ッ 、 . . . ´ ` .
⌒;;ヾヾゝヾゞ:;;⌒ヾ;';;ゝヽ::ヾ;;ゝ;;ソィ,, . . ` .
;; ::;:;;ヾゝ;;ヽ;.::ヽ; ;:⌒ヽ゛ ヽ ;::ミヽヾ;;ゞ。.:, ' , '
;ゝ /;;ゞヽ::ゞ;;;゛::ゞ:ゞ::;"ゞ ; ; ;ゞ゛ ゛:: ;;ソ . `
ii:::..ヽ;; ::;:;;ヾゝ;;ヽ;.::ヽ;;ゝヽ;; ::;:;;ヾゝ;;ヽ;.ヽミ;;ン ´ `
;;|:ヾゞ;;::; ;;ヾゝ:.:.゛;; ;:ゝゝヾ::⌒ミ゛;;⌒;;;;へ゛;;::;::;;ヾゝ ;;゛ン;., ` ` ,
ヾ|i ゝ;` ; ;;゛::ヾゞ;;::゚;;/;: ; ; ;ゞ::;::: ;;::⌒ヾ゚;;ヽ':;;ミ゛..゛:: ;;ソゝゞ,;.,, (丶
::;::,゛ゞ.ヾ;ツヽヾ;;ゝゞ:ヾゞ;;::ゝ;::ヽ;;ゝヽ::;: ゞ;ゞ゚ ゞ; ヾ ; ; ヾゝヾゞ。゙;;;ゞ `
;;|i ;;;ヾ(;;ヾヾゝ;:;::ヽ;;ゝ;` ;ゝゞ; ;;ヾヾゝ;;ゞ:ゞ::ゞ;;/.::⌒;;ヾ::;:;;ヽ::;ヽ)゛::).;、 , - ' i)
|i;:;;;i:ii;;.;;; ;ゝ;;).:ゞ:,゛ゞ.ヾ;: ; ;ヾ;;;ヽヾ.ヾ;;;ヾゞ;;;,.ヾゞヾ::;:; ヾ;;ミ;:.ヾヾ:ゞ 、
イ-=' ̄¨ー、;ィr==`゙ "ゞ ; ;"/" ヾ ;ゞ ;" " ~ , 、
__、===≧=ィ'イ⌒゙ ` 、 、 ,
、r-''ー' ̄-‐'´` ` . 、 ,
:
. ´
-
,... ノ⌒)
/( ~''''"
〈ヽ {:::::::) ト、
´ ゙'''" lノ
,/,ニ''ッ‐
ノ::::′ l
'―ー''"
/゙'l ノヽ
ヽ/ (::::::ヽ ヒュウ……ッッ
ヽノ
,... ノ⌒)
/( ~''''"
〈ヽ {:::::::) ト、
´ ゙'''" lノ
,/,ニ''ッ‐
ノ::::′ l
'―ー''"
/゙'l ノヽ
ヽ/ (::::::ヽ
ヽノ
-
(ヽ三/) ))
( i)))
/ ̄ ̄\ \
/ _ノ \ )
| ( >)(<) おう、見事じゃ…!
. | ///(__人__) 美しいのう……!
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ }
ヽ ノ
⊂ヽ γ く
i !l ノ ノ |
⊂cノ´| |
-
` '
、 ノヾ ' ピキンッ!
)ヽ/ ヽ、ノ|ノ´
――---―z_------- ―== ニ ニ二 二ニ ニ ==――---―z______
) (
, '´⌒`Y´⌒` 、
, \
.
-
, | て
,,..イ | そ
l _,,,...イ´ | |
ヽ、ヽ __,,..-t''"´:::::::::::| l |
| ヽ:::::::::::::ノ / .| ………………………ッ!?
ヽ、  ̄ / |
` |
|
|
ヽ |
| |
.人 / |
-
∧_∧
( ´・ω・) ?
( つ と )
と_)_)
/ ̄ ̄\
// \ つ
(● ) | クルリ
(__) |
( ´ |
. { |
{ ノ
ヽ ノ
ノ⌒ ヽ
/ |
不意に、宗矩は桜吹雪を観るのを止めると、周囲を素早く見回した。
周りには、後ろに控えた小姓が一人いるのみである。
-
, |
,,..イ |
l _,,,...イ´ | |
ヽ、ヽ __,,..-t''"´:::::::::::| l |
| ヽ:::::::::::::ノ / .|
ヽ、  ̄ / | ………………………。
` |
|
u. |
ヽ |
| |
.人 / |
周りに何者もいない事を確認すると、
宗矩は表情を険しくしたまま、屋敷内へと戻り、部屋に閉じ篭ってしまった。
-
 ゙̄''ー-、.._ _,,-―'" ̄
|| ゙̄''ー-、______________,,-―'" ̄
二.二二二二i===||________,| | | |
|| ||;; | | | ̄ ̄__i__ ̄ ̄| |―┬―┬―┬―| | |\
|| ||;; | | | | |: | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | \
|| ||;; | | | | |: | |. i i | | | |
|| ||;; |_| | |_|: | | (_;;). | | | |
|| ||/ /| | | | ̄ ̄ ̄| ̄''''――| | | |
|| ||/ /三.三.三.三三|_|―――|゚____,|_| \ |
|| || / \ \|
|| ||' \
//|| / \
//|| /
// / ̄ ̄\
/ / \
. | |
. | │ …………。
| |
. | |
. ヽ /
ヽ /
. > <_
. ( 、`)
| i
|
|
| ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| \ |
|\ │ 殿…。
| ̄\ ∪ | 先ほどから尋常ならざるご様子ですが、
| / ..何か御懸念がございますでしょうか…?
| ̄ ̄ ̄ \
(⌒ー─' )
山中忠兵衛
(やまなかちゅうべえ)
宗矩が部屋に篭ってずっと思案しているのを訝り、
ついに用人の一人が、宗矩に尋ねた。
-
,, -─- 、._
/ ヽ
| u .|
| ヽ、 / .| うむ…。
| (−)(−) | 実はの…先ほど、桜を観ておった時、
| (__人__) | .一瞬、殺気のようなものを感じたのじゃ。
ヽ `⌒´ ノ
/ ∩ノ ⊃ ヽ,
{ / _ノ }
| / / ィ |
´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ / \ 丶
│ /\ .| 殺気、ですと…?
| / ̄ ̄\ u. |
\ /
-
,, -─- 、._
/ ヽ
| u |
| ヽ、i||i/ .| じゃが、周囲を見ても、
| (−)(−) .| いるのはいつもと変わらぬ小姓が一人のみ。
| (__人__) |
ヽ `⌒´ ノ で、あれば、わしは、
/ ∩ノ ⊃ ヽ, ありもせぬ殺気を感じたということになる…。
{ / _ノ }
| / / ィ |
´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ / \ 丶
│ /\ .| ………。
| / ̄ ̄\ u. |
\ /
-
________
/) / .) \
/ ./::/ ./:::/ ) \ 我が兵法の要諦は、平常心にあり。
l .l/ // ∠___ | ならば、殺気を感じることを誤ったということは、
l / / / _、,,.ノ | .兵法者として致命のことじゃ。
r /___) |
/ / | じゃが、同時に、わしは先ほどの殺気が
/ ノ u. | 誤りであったとも思えぬ。
{ jヽ / 故に、わしは先程から迷いに沈んでおるのじゃ…。
.| i > 人_
| |/  ̄ ヽ
.| | ィ ヽ
_____
/ \
/ / \ ヽ
| u . /ヽ | 左様でございましたか。
| / ̄丶 .| しかし、これは如何にするべきか…。
/ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | | \人_人,_从人_人_人,_从,人/
.\ “ /__| | ) 申し訳ございません!(
\ /___ / /⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒ヘ
宗矩が、先程からの悩みを用人に打ち明けたところ、
不意に、後ろから声が響いた。
-
∧__,,∧
(´・ω・`) 実は、その殺気の主は…私なのです!
(つ と)
`u―u´
、__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__人__,
_) (_
_) ナ ゝ ナ ゝ / ナ_`` -─;ァ l7 l7 (_
_) ⊂ナヽ °°°° ⊂ナヽ /'^し / 、_ つ (__  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ o o (_
) (
⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒Y⌒
.
/ , ,ィ ハ i、 、 ! /''⌒ヽ-─‐- 、 、ー'´ \ .イ , ,ィ ハ i 、 |
/イ ,ィ/l/ |/ リuヽlヽト、 | ゝ ,、.___, \ > , ! | ,ィ/l/ l/ uハlヽトiヽ. |
イ /r >r;ヘj=:r‐=r;<ヽ│ 「 ./ u \ | ≧ , ,ィ/ハヽ\ | |/゙>r;ヘ '-‐ァr;j<`K
r、H ┴'rj h ‘┴ }'|ト、 |./ ヽ | 1 イ/./ ! lvヾ,.ゞ、 ! .ry ┴ 〉 └'‐ :|rリ
!t||u`ー-‐ベ!` ` ー-‐' ルリ r|´゙>n-、ヽ-rj='^vヽ _レ「゙f.:jヽ ーT'f.:j'7`h |t|. ヾi丶 u レ'
ヾl. fニニニヽ u/‐' :|r| ー "j `ー ′ h゙リ {t|!v ̄" } ` ̄ !リ ヾl u iニニニヽ /|
ト、 ヽ. ノ u,イl. ヾ! v ヾ__ v イ‐' ヾl ヾ_ v ./' ト、 、__丿u ,イ ト、
,.| : \ `ニ´ / ; ト、 ト.、u L_ フ , ' |. ト、u ヾー `> /.|. ,| ::\ / ; / \
-‐''7 {' :: ` ー ' ,; ゝ:l`ー- ⊥:`ヽ. __ / ,' | | :\  ̄ /,' ト、_ /〈 :: ` ー ' ,'/ 「
/ \ :: , '/ :| `'''ー- 、 , ' '>-,、.._ノ :: `ー ' /,.イ \:: / |
/ \ / | | ヽ-‐'´ _,.ヘ< _:: _,. イ/ | ,.へ、 /´\ |
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ○)(○)
. | U (__人__) お前らこそ誰だよ!?
| |r┬-|
. | ι `ー'´} いや、それより、それはどういうことなのじゃ?
. ヽ u }
ヽ ノ
/ く \
| \ \
| |ヽ、二⌒)、
その声の主は、先程の小姓であった。
-
一体どういうことかと宗矩が訳を問うてみたところ…。
ヘ /|
/  ̄ ̄ ヽ 先程、殿が桜を眺めておられた時、
/ \ あまりに夢中になっておられましたので、
l ○ ○ l}
l (_人__) U / 「今、この時なら、この私でも
\ / 天下の名人たる殿に一太刀入れられるのではないか?」
/¨¨ヽ <
l / \ …と、考えてしまったのです。
丶 \
| \
__
/::::::::::::\
/ __ノ::::ヽ
| (;;;;;;)::::)
.| ::(;;;人) 成程、そうであったか…。
| :::::::::rつ
.| :::::::((三)
ヽ ::::::::::(::::<
ヽ ::::::::::/∧::::∨
∠::::::::::::/⌒ ∧:::ヽ
(:::::\ /:::::::/;;;;;;;;;;)
|\::::::::::::/|
|:::::\_/:::::|
先程、宗矩が桜に夢中で、無防備に見えた際、
今、斬りつけてみればどうか、と考えてしまった事を小姓は告白した。
-
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
| / \ ヽ この慮外者め!
| ノ( /\. | そのようなことを考えるなど、許せぬ!
| ⌒ /  ̄ヽ |
\ /l!| ! 殿、この者、如何いたしましょう?
/ \ |i
/ ヽ !l ヽi
( 丶- 、 しE |そ
`ー、_ノ Σ l、E ノ <
レY^V^ヽl
/ ̄ ̄\
/_ノ `⌒ \
_ .| (● ) (⌒ ) .| これ、そう責めるな。
| ! | (__人___) | この者がそのように思うたのも、
| ! | ` ⌒ ´ .| わしの油断というものじゃ。
| ! ,.-,| |
._,ノ ┴、/ ,/ .| / 小姓よ、よくぞ正直に申した。
.r `二ヽ ) i ヽ / 褒めてつかわす。
.| ー、〉 / 〉 <
.| r_,j j / ̄ '' ̄ ⌒
.| ) ノ/ { ィ, }
ノ ,/ | |{ |
∧_∧
(;´・ω`) お、お咎めされないので?
(U_U )
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ⌒)(⌒) うむ、これでわしの迷いは消えたのじゃからな。
.| (__人__)_ 咎めなどせぬ。
| `⌒´. ̄
.| ノ 今後も励むが良いぞ。
ヽ .,ノ )/´二⊃
> /"/ '‐、ニ⊃
./⌒ヽ l ´ヽ〉〆ヽ
( ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ
.\ / / { /
∧_∧
(;´・ω`) あ、ありがとうございます!
(U_U )
宗矩は、己が感じた殺気が気のせいではなかったことが分かると、
途端に表情が明るくなり、その小姓もお咎めなしで済ませた。
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ( ;;;;(
| ( ─)(─ ) ;;;;) 我が剣、未だ老いず…。
| (__人__) /;;/ それがわかったのじゃ。
. | ノ l;;,´
| ∩ ノ)━・' わしが礼を言いたいくらいじゃわい。
/ / _ノ´
(. \ / ./ │
\ “ /___| |
. \/ ___ /
「我が剣、未だ老いず」
それを悟った宗矩の顔には、わずかな笑みが浮かんでいたという…。
-
,.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
|::::::::::::::::::::|::::::::|::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::|
|::::: |:::::::::::i|::::::::|:::::::::i| ::::::::::::::i| :::: /|::::i}::::::::::::/::::::|
あら、出番ね。. |::::: |:::::::::::iト、:::∧ :::::i| ::::::::::::::i|::: / i|儿|:::::::::/i} ::: |
今まで解説なしのままで、 .. |:::::∧ :::::::i|f斧テァュ、|i州i从iレ|ィfテ秀ァ介 ::/ ア ::: |
長々と続いていたから、 . |:::::::::::、 ::::i| `¨¨´ `¨¨´/::::::/_/、 :::: |
いつになったら出番が来るかと思ったけど、 ......__ノ-=≦7ァ、::::、 :i /::::::/‐=乂≧=‐ _
やっと出番が来たわね。 .二二二| \( i 少f'´ }二二二二二
二二二| \ イ /二二二二二
そうそう、ところでわたし、幽霊なんだけど、 二二二} 、 ` _ ' / イ二二二二二二
あなた、その辺り大丈夫? ...二二二ム _ イ /二二二二二i/
二二二二:.、 /二二二二ニ//
二二二二二:.、 /二二二二/i:i/ニ
\二二二二二:.、 、 / /二二二二/i:i:i:/ニニ
____
r ニ=ー: : : : : : : : : > 、
, -=j: ´: : : _,.: : : : <: : : : >.、 _
/,ィ/⌒: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : 二ニイ _,ィ
l:{/: : : : : : : : : : : : : : : : : : > 、: : : : : : ` ̄: : <
,j∨: : : : : : : : : ト: : : : : : : : : : : :ヽ: : : : : : : : : : 、ヽ ああ、その辺りは気にしなくていいよ。
///: : : : : : : : : :| \: :ゝ_、: : : : ハノ: : : : : : : : :\ヽ 人外の存在と一緒に解説をするのは初めてじゃないからね。
//ィ ′ : : : : : : ハ: ! / ̄`ヽ:.ー: : l : : : : : : : : : : : ヽ .僕も随分馴れたものだと思うよ。
. /八 ∨: : : : : : 乂: : l ィf。示ハ: V,へ: : : : : : : : : : :ハヽ
{! l |: : {: : 斗匕ーノ-ゝ "乂ぅリ i:l ハ´ !: : : ハ、: : :ヽ: i じゃあ、早速だけど、本題に移ろうか。
` ,′ i: ト:ゝ: :乂ィテ:ハ " ノi: :ハ イ: : : 八:ハ:!ヽ∨ まずはこの宗矩の逸話についてからだ。
/ 、 ィハ:..ヽ:.ーゞ 乂ソ , 'ノ:: : l: !: : /ノ リ }′`
>く ーy: j: : : : i\: ミ=- _ , ,イノイ: : :/ ´
::::::::::>l: ハ: : : : l: : l`: : ゝ _ / 彡イ
:::::::::::::∧:{ ゝ=-!: : : : : l: :トミ ー l´_,イ´ ト、
:/:::::::::/` ゝ: ヒ_, ーゞーr yf /::::ハ
::::::::::::/  ̄__/jーti _,./:::::::::/::ト、
:::::::::/ /:::::/::,ィ:i:i/ー/::::::::::::/::::::::::\
::::::/ _, ィ ̄:::::/:::,ィ /:i:ij イ:::::::::::::::/::::/"_::::ヽ_
:::::〉_,ィー=く::::::::::::::::/:::,ィ レ:/ /::::::::::::::::/::::/:::::::::::::::::::ハ
-
l ::::::::::::::::::::::::::::::: i|:::::::| ::::::::::::::i|::|:::::::i::i| :::::::::::::::::: |:::::::::i
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|儿:::::|ノ|::::|:::::::::::::::i|:::::::::|
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|/}:__ノ_ |- :、 :::::::::::i|:::::::::|
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|∧ | :::::::::::::ノ ,ィf,仭秀 》::::::::::::i|㍉ ::|
この逸話、結構有名だけど、 |:::::|:::::::|:::::::∧__}iノ__i| ̄¨¨´ ゞ孑'' イ :::::::::::::i| i}:::::|
実際のところはどうなの? .. |:::::|:::::::|:::::::|i ,ィf テ秀ァ /:::::::::::::::/ / ::::|
|:::::|:::::::|:::::::|i `ゞ `≠’ //'::::::::::::/_/ ::::: |
|::::,|:::::::|:::::::∧ } /___ノイ:::::::::::::::::
ノイ |:::::::|:::::::|:::゚'。 ヽ r‐、 /}::::::::::::::::::::.
|:::::::|_儿}::::::::::. r‐、 r‐、,'ー'} _/ ,::::::::::::::::::::::゚*。
|_/ i|:::::::::::::\ i`゛i V_ノ ,' /_/},:::::::::::::::.::::::::::::::::゚'*。
i|::::::::::::::::::゚*。i | ' { イ , :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
i|::::::::::::::::r、_::::i l‐-{ iア ,' ハi:::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚'*。
,r‐―‐i入::::::::::::::{ノ }^゙i 、i i ' , |:/ ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/ / / ハ
. / .:/ / / 〃ヽ i |
/ .:/〃 __// // //,′ ヽ ! i | 幾つか調べてみたけど、
..///7,′ ´「 7`ヽ/ .i .://ム-‐‐‐',ハ|、 | 恐らく『撃剣叢談』が初出だと思われるね。
!| i |/ |/j/! !:i .:.//'′ !ハ「 | |
!| i ! ィ斧ミメノノ | // ,ィf云ミメ、」 | ! 柳生家関係の書物や伝書に記載はなさそうだし、
八 i i i i i j !ノ::::} ノ / {ノ:::;::} Y| ト、 i 話としても出来過ぎているから、
. ハ. |ハj ヘ |仆乂::ノ / 弋::::ソ ノ ! ! ハ ! 信憑性としては逸話以上のものではないね。
r‐ 、 'j ,ハ| :i ハ j_ノ ',
ヽ ヽ ./ 从 ' i ! / | | ハ ただ、観世左近との逸話などもそうだけど、
ハ V / / ヘ. 、 _, 从. / | !:ト、 ', 「隠れた殺気や僅かな油断なども見逃さない達人」
| | ./ /! i \ .イ i !/ヘ i j i | ヽ というのが、.世間における宗矩のイメージとして
|/ __\/´`! | i i ヽ. .イ ノ ノノノ | i ! !ハハ! ) 当時定着していたと伺える材料にはなるかな。
ノ/ `i \/ヽハハハヘi`ヽー 七升厶イ/j八八八ハj
/´ -─┐|、___) )ハ / { さて、それじゃ次の話に移ろうか。
/´ ,. }ノ:: } ,.-‐''て _」 \ _」\
{ イーノ:: V ̄´ .ゝー‐''"´ ノ  ̄ノ ゝ.、
\ `ヽ:::. } / 〈 ー 、 _____ 〈 ノハ
-
そして、満開だった桜が散り、暫くした頃…。
 ゙̄''ー-、.._ _,,-―'" ̄
|| ゙̄''ー-、______________,,-―'" ̄
二.二二二二i===||________,| | | |
|| ||;; | | | ̄ ̄__i__ ̄ ̄| |―┬―┬―┬―| | |\
|| ||;; | | | | |: | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | \
|| ||;; | | | | |: | |. i i | | | |
|| ||;; |_| | |_|: | | (_;;). | | | |
|| ||/ /| | | | ̄ ̄ ̄| ̄''''――| | | |
|| ||/ /三.三.三.三三|_|―――|゚____,|_| \ |
|| || / \ \|
|| ||' \
//|| / \
//|| / ./ ̄ ̄\
// ./ _ノ \
/ ..... | ( ○)(○)
. | U (__人__) 何、友景が…?
| |r┬-| ) ;;;;)
. | ι `ー'´} .) ;;;;)
. ヽ u } /;;/
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
____
/ \
/ / \ ヽ はっ。
| /\ | 幸徳井友景様、三月十日に御逝去と
ヽ / ̄\ / 京より知らせが参りました。
,,.....イ.\ /
: | '; \_____ ノ.| ヽ 、
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
朝廷にて陰陽頭を勤めていた従兄弟、幸徳井友景の訃報が届いた。
-
x - ─ z 、
,. z=イ ヘ
イ .YMヘ ヘ
l ィ i i リリ ̄ ヤリリ ヘ l! いや、但馬守様程ではないにせよ、
{ .ノイイ.イ` ≠イソ. ノ .一介の神人の家に生まれた身としては、
ー≦斗イzi!´ ̄`YY´ ̄`iイ=z 私もなかなか立身した方でしょ?
Y .i jl ヘ _ ノ .、 _.ノヤ}
ヘ _ z ゝイl! r - ァ 込ン、 息子(友種)も既に従五位下・漏刻博士に任じられてますし、
Y .{! j!、 ヽ / /イハリ 安心して逝けますねぇ。
. ゝ z.込ソj ヘ ¨ イ込ン._
≦≧z´ ̄r 、≒r > <z≧Yイ,:::ヘ´ ̄ ><
. ::::::::::::::::::ヘ.∧::::xz._ jイ::::::ヘ` ≠=イ
::::::/:::::::::::::: ',7ハz≠y、 ̄ ¨´::::::::::::〉 0
:::/:::::::::::-:-::ヤ/////,ヘ:::::::::::> イz、 _ ,. 斗
イ:::::: ̄:::_ ,: zj/////.ハ’_ >"><:::::::::::::
:::> " ´ ヽ ,'/////.j!ー ¨  ̄.j.○.レヘ:::::
_.//////7´ \∧フ! /ヘ
ヘ ,. ィ .V/////7 _ .j、Y
/ゝ / /、ヘ // j!  ̄ ー .i ,.ィzzz
:::::::ヘ ヘ >.7o j//////
::::::/:ヘ >ー ’z{二二二≒z ノ/////
幸徳井友景
(こうとくい ともかげ)
友景が亡くなったのは、正保二年三月十日。
ただ、その前日である三月九日に正五位上に叙任されていることを見ると、
実際にはそれより少し前に亡くなっていたのかもしれない。
享年63歳であった。
なお、崇徳上皇の手で半魔族になってるから、もしかしてまだ生きてるんじゃね?
とか思っても、それはまた別の世界の物語である。
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;)
| (─)(─) /;;/ (…そういえばあの日、わしが感じたのは、
. | (__人__) l;;,´ .殺気だけではなかったような気がするのう…)
| `∩_ノ)━・'
. | |_ノ (もしや、あれは友景が世を去る気配を
/ヽ | |_ 感じたということであろうか…?)
| \_/ ノ ヽ
\ /_| |
| \ / _/
´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
/ / \ 丶
│ /\ .| …殿?
| / ̄ ̄\ |
\ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー) …なんでもない。
. | (__人__) 幸徳井家には弔問の使者を出しておくように。
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) あそこは嫡男も既に成長しておるし、
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) 特に問題もなかろう。
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
____
/ \
/ / \ ヽ
| /\ | はっ
ヽ / ̄\ /
,,.....イ.\ /
: | '; \_____ ノ.| ヽ 、
| \/゙(__)\,| i |
> ヽ. ハ | ||
-
その後の幸徳井家であるが…
ノ::::::::::::::弋_,ノ:::::::::::::丶
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l ,/
/:::::::::::::::::::::::,ヘ::::::::::::::::::::::::::::::ヽ _,/i
lヽ /::::::::爪─ヘ:::::i─ヽ::::::::iヘ:::::::::::::::::::::::::/
l:::::`'::::::/l i レ─\!─‐\:::i'-ゝ::::::::::::::::::/
\::::,-‐、N;ソ ,ィ一'' ヽ! ヾ::::::::::/ 父上が亡くなった翌年の正保三年七月六日、
Y,へ/,/ i. 、_,,, ゝ_ \:::::\ 39歳で従五位上・陰陽頭に任じられて、
{ l( // ! "" ` ̄´ , ヾ、、/ ` ̄ ̄ 明暦四年六月九日に51歳で亡くなるまで、勤め続けたのさ。
ヽノ/ / _ -ゝ /ソ
_/ / /ト い  ̄丶_ /´ 最終的に従四位下まで上ったんだぜ?
. 、-‐ "´ ,イ ./:::!.丶 丶. ‐-ヲ/
\ ,ク ./ `.l 丶、 `‐‐ '"ノ
ゝ/ /. l '';;丶_,/l
_ -─、─ ` 、 / . r‐┴'‐─一Y'‐‐一ヘ _ ,, -─"`τ´ヘ
/丶 -‐ヽ v'─┴ - | _, ‐ ト´,,,,;;;;;;;;;;;;;;;;,, `i⌒F丶
幸徳井友種
(こうとくい ともたね)
/ ,: i `ヽ、
./ ,; ,: / ,:'´ / / i ヾ、
/ , ./i / / /j // / /l ! 、`;ヽ
,! / ,// l ,/ ∠_/' / / ノ / | /| ! い
| .| f‐| | /i /'"_}∠ニミ! // // | | ヘ i
/j |/,c{ /| /' レ.シラぐ^゙ヽレ'レ' =f/=、 | ;ヘ |ヾ で、孫である僕が、万治四年一月十一日に
./ヘ_|`',=| ,!∧! (__ノ ,.<ヘヽ l 'ト l ! ` 14歳で陰陽頭を継ぎました。
'/T"i`i ヽ| ! ! `ー'' f__ノ .)'/! ! |レ 従四位下に上がったのも、32歳のことです。
-∧ `v/>、」i|.| _ ヽ`ーく./ i ,l ’
\ ∨/_/!ト ´ i /!/ …ここまでは良かったんですけどねえ。
ヽ \`∨`'ヽ =ニァ ' / / j'
丶 \\ \ ー /i /
ヽ ン >、__\ _ __ __∠ノ)ヾ'
、 \ / /`ー; | ア,='フア'"-f i、
\_ `y、/ | .レ'/フ./ / / ノ、
__ ̄l  ̄`ー‐-=ニ彡/ /'´ -'ヌヽ ヽ
 ̄`> / ス='"´ i | `
幸徳井友傳
(こうとくい ともすけ)
友景の後は、嫡男である友種が継ぎ、
更にその後を、友景から見れば嫡孫にあたる友傳が継ぎ、
幸徳井家は順調であるかのように思われたのだが…。
-
|ヽ | _/ ‐ 、 ヽ / / | /
.| ヽ|, -'" ', ヽ / / |/
| \ } / / / }ヽ
〉 l\ _/ / / /, イ /
| 、 | ` < l ‐' / / / / /
l_` ヽ リ _// | L 友傳君…。
ヽ 、 、i { } i 〈_,. -‐ヒァ ¬/7 ̄< | } そもそも、陰陽頭の職は、
_>i゙ーf冖 ヒッゝ ー-{‐‐〈ヽ_____∠ノ= ̄ l レ' 我が土御門家が勤めてきたもの。
/_, -‐l=ヽ=- ‐ '| `ヽ、_ __<二 /. |イ/
, -‐'´ |/ / イ L__ _  ̄ / レ' 本来の姿に戻るのが
ニフ´ _, -‐'´ゝ | | ` ー- 、_ / ´| 正しい在り方だとは思わんかね?
, -‐' ´ -- \ /゙|  ̄ヽ┬- 、 __ / |
-‐ 、 ヽ ll! | __ jノ / l _,ィ/
ヽ 、 \j、 ` ー─ ' ´ , イ ヽ | ´/
ー \ \ヽ\__ _,. -─__‐/ || /
\ ヘヽ ヽニ二 -─‐ ' |l / }
__, ィ‐\ ヽ_ノ ヽ ヽ、____ / _|_ / /
` ー一' /j ヽ、_ ノ / ヽ ヽ/ ./\
`ー─ ' ´ /|ヽ /  ̄ / \ ヽi / ヽ // }
/ l \/ /`ヽ__ ヽ l ヽ / ゝ. // , ク /
土御門泰福
(つちみかど やすとみ)
寛文十年(1670)、土御門泰福から陰陽頭を巡る相論を挑まれるも、
これを退け続けたのだが、天和二年(1682)十二月十三日に友傳が35歳で急死。
その子の友親が若年であるということで、陰陽頭の地位を土御門家に奪還されてしまう。
-
,
//
∧'∧´/|-/| / /
/、 .| .| |- | / /
/ (`_/_(ヽ―‐7 /:| / /
/、 ノ /`l-‐‐/ / /:::| / /
/:::::ヽ 、'ヽ,-- ' ´ |ヽ|::::'7 /、 _ /l 土御門家こそがッ!
/:::::::::::::::::::| /l ヽ、/,、:|:::〈 _/:/:/:::::/ 陰陽道の宗家なのだァーーーッッ!!
/::::::::::::::::::::::| /:::::| ヽ'_ヽ>::::::,、/ ̄/
/::::::::::::::::::::::::| /:::::::ヽ </://-、ヽ(:ヽ>:::/>
|:::::::::::::::::::::::::::| __/:::=:::::::`:::::::::::::ヽ、/::/l〈(ヽ、`ヽvlヽ::/、 ____ /l
|::::::::::::::::::::::/::::::::/::::::,-,:::,、_n-―― 、:::::::|l::ヽ-、` -'/:/:::ヽ':::::::::::::::::::::::::::ヽ- ‐ ´:::::::|
|:::://´ヽ::::::::::/::::::::ー/ `` ヽ:::ノl ,ヽ、 ー'::::::/ο,:::::/、:::lヽヽ>:::::::::::/::::::ヽ
ヽ' /::::::::::ヽ:::/::::::::/ '-` / ´  ̄ ̄ ̄`ヽ、::::ヽ'::/_ノ:`´::::::::::::/:::::::::::::ヽ
`|:::::::::::::::\:::::::/ /> / <l ヽ::::::::::::::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::ヽ
\:::::::::::::::ヽ::/ _ / __ |:::::::::::::::::::::/::::::::__:::::::_l、
` - 、:::::::| '-' ´ __ / 、 _` ‐` |::::::::::::::::/::::::/::::::::::::::`´:::::::::::::ヽ
/:| , - ' ´ / ヽ ヽヽ | 、:::::::/::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ、_
/::::7´ _/ \ ヽ 、 `´ | /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,- ,‐::::::::::
|::::::| '  ̄ /  ̄ヽ、 ヽ、 ヽ' ノ::ヽ .|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::::::::
|::0/ / 〉 、_ , -― '::::::::::::ヽヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::∧,-
|:/ / /:,-,::l::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::::::::::| ヽ_
/ / /::::::'-'::::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/` ヽ 、:::::::::::::::::::::::::| |:::::::::::::::::::゛`
l ' /:::::::::::::::o:|:::::::::::::::::::::::::::::::/  ̄ ̄ ̄ ` ヽV::::::::::::::::::::::::
/ ―三=- /:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::- ― ' |:::::::::::::::::::::::::
// / /::::::::::::::::::::::::::::::/ ´ |::::::::::::::::::::::::
// | /:::::::::::::::::::::::::// ヽ::::::::::::::::::::
/:| | /::::::::__::::::::l`l \:::::::::::::::
|::| | /:::::/::::::::::::::::::::ヽ ヽ:::::::::
(土御門泰福・陰陽頭形態)
おまけに、元禄二年(1699)には土御門家を陰陽道宗家とし、
それに従うように誓約させられる羽目になり、以後、幸徳井家は陰陽助として勤めることになったという。
-
/∧}:::i::::::::::::::::::::|i::::.:.:.:.:.:./}.:/.:.:/}:.i.:.:.:.:.:.:.:.:.:}.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}
/.::::::}|::::|::::::::::::::::::::|l:::::::::::::トf::/::::/ :.}:::.:.:.:.:.:.:/}.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
イ::::::::::::i::::|:::::::::::::::::::八:::::::::::|ノリ\:{ //!::::::::::::::{ j:.:.:.:.j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
あら。 /,ノ::::::::::::::::::::::ハ::::::::::::::::{灯芋芥ぅ、} リj//}:::::::::::::::j/:/.:/}:::::::.:.:.::::./
結局、孫の代までは繁栄が続いたけど、 _ ∠ィ::::::::::::::::::::::::::/:{ ゚。:::::::::{ 圦ゞ少r= ヾ/ //:::::::/八イ|丁/:::::::::::::::/
それ以降はパッとしないまま終わった、 / `ヽ::::::::::::::::彡:/ :j : .| 。:ト::ハ.\ `¨¨`` ノ-::ィィ芹莎㍉゚:::::::::::::: ′
ってことかしら。 / `ー===彡 j{. : . :, リ ゞヘ / ゞ=夕_ノ/::::::::::::::.{
.′ \`ー==='′: . :′ :′ ¨¨´r彡:::::::::::/i:|:.
ちょっと残念ね。 / | \ : . : . : :.  ̄/}ィ:::::::::/ l| }
. /{ :. 丶 . : . : . : . 丶 ` ー ′ /: . : .|::イi::{ 乂
::::| \ ` ‐- ., : . :\ ⌒− .. ´: . : . : . : ..リ ′
//:::::. ,. . . . . . . . . . . . .\. . .\___,. ´: . : . : . : . : . / /
_____
...:.:.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`.:.:...
.:.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`.:.、
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\ ま、仕方ないさ。
.':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:ヽ ずっと繁栄し続けることの方が珍しいんだ。
/,:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.: 丶:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、.:.:.
/:i:.:.:i:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.、:.:.:. ハ:.:i 実際、土御門家にしても、明治になると、
/:':l:.:.:.l:.:i:.:!:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:. ト、:.:.:.:.:.:.!:.:.i:.:.:.:.i:.:.:.:.i:.:l 当主の急逝と後継が幼少であることに乗じて、
ハi:.:l:.:.:ハ-:.、!:.:.:.:.:.:.l:.:.:./ ヽ:.:.:.:.l:.:.:l:.:.:.:.i!:.:.:.:l:.:! .陰陽寮を解体され、それまで担っていた職分を
,. .-、l:.:.!:.:,ィfz、ヾ:.:.:.i:.:!:≠ー、_ ',:.: l:.:.:l:.:.:.:.l:l:.:.:.:l:.l . .他部署に移管されてしまうんだから、
./: : : : l:.ヾ:l .r':心ヽ:.:ハ'.:/.ィfェ、 !:./:.:.:':.i:.:.:l:.l、:.:.lリ .「歴史は繰り返す」ってところだね。
/: : :ヽ : : 、 、! 弋ソ` ヾ }:´ r'し小 !:':.:./:.:ハ:.:.l:.l 、:.lー 、_
/: : : ‐:-ヽ : 、ハ , ' 弋zン '/:.:.,:':.:/ }l:.:.!:l .l:.!: : : : :\
/: : : : : : : : : :`ヽ ゝ 、_ イ /_'‐从:.:.:l/:': : : :,: : : :ヽ
/: : : :__: : : -': :―: : :`ー‐ `´ー:- ― -: ´: : : ヽ_ヽ:!:__ _:ノ:- ‐:-:、`、
/: : ´ : ´: : : : :, : : :´: : : : : : : : : : : : : : _: : : : ´`: : 、: : : : : : : : :  ̄` : : : ヽ
-
, <: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ
,r : ´: : :/:.:/: : {: r、: : : : : : : : : : ヽ: : \
/ : /: : :!:./: : : :l: ト八: : : : : : : : : : : \: :\
. /: :/{: : : : l/: : : : ハ: ! \: : : : : : : : : : :ヽ: : ヽ
/: : : ′ : : j!: : : : : !: :l ゝ : : : : : : : : : : l: : : :\
′ : i! : l: : ′: : : : j j!i ," ̄ \: : : : : : : : : ! : ヽ 、:\ ちなみに余談だが、
,: i: : : l: : : : 斗―- イ/,j 彳示ヾァ 、: : : : : l: : : :\\ .少し前に映画になった「天地明察」では、
!: ! : : : : : :´j:/ムメjノ乂 '乂。:::::i ' j: ハ: : !: : : : : :\ この幸徳井家と土御門家の争いが一部入っているね。
Ⅶ : l: : : : : :イ乍:::::ハ ヾー′ /イ: l: ハ: : : : : : : ヽ .まあ、それがメインの話ではないけど。
Ⅵ: l乂: :∨:ハ ぅz;リ ノ _ノ´/: :i: ! l: : : :l{ : ヽ
ゝ: : : : : 乂 " ,: : : : :Y: : : : :ト,: : そういえば、映画では友傳が、
/: : : : : : : : `ー _ = - 、 !: : : : :j : : : : i ヽ: 「宮栖川友麿」という謎の改名をされていたけど、
. /: : /j: : : : : : ∧ V j !: : : : ;′: リ: j ∨ あれはなんだったんだろうね。
.. /: : /イ: : : : : : : : :ヽ ` ー_ ′ ,ィ: : : :/: : /从 `ヽ
,′:/ {: : : : : : : : : : : : :> ., /人: /:. l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
, : : ' i: : : : :l{ : : : : : : : : : : : : `r= イ/ ∨ .:.: jl:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
l: / !{: : : :ハ: : : : : : : : : : : :/{! / /:. /{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
i:{ lト : : i ヽ: ト: : : : : :/⌒>!ヽ /:.:.:.:.:ヽ!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
{! ヽ\ ! ヽV ̄ ̄>/ f ヽ} ′:.:.:.:.:ム:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
` /:./:.:/:.{l/ l ハ/:.:.:.:.:/l l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/:. l:.:.:}:.:. i{ j―v /, :.:. イ_|__{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
... /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
.′.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
::::: ::::::|:::::|:::::::: :::::::::: |::: ::::|::::::::::|::::.
i::::: ::::::|:::::|::::::::i|::::::::: |│|::|::::::::::|::::i
|::::: ::::::|_|┼-__||__|┼L|」 ::::::|::::|
あと、あの話の主役の渋川春海とは |:::::|::::::i┬‐┬ ┬‐┬::::::::|::::|
柳生家もほんの少しだけ縁があるのよね。 |:::::|i:::::|弋 丿 弋 丿.:::::八 :|
それはまた後での紹介になるけど。. |::::八:::辷 _}:::::/ノ:::::|
... |:::::::::`T ⌒Tた:::::::| ´ )
それじゃ、話を戻しましょうか。 |::::::::: 八 ―― ァ 八ニ:::::::| / / / )
|:::::::::::::::::... . . イニニニ:::::::| ./ / /
|::::::::. -―j ≧≦ | \ニニニ :::::|/ 〈_,/ /
|::/.:.:.:.:.:.∧ ∨.:.丶ニ:::_厂 ̄ノ厂∨
く\:.:.:.:.:.:/∧ \ |:.:.:.:.:.:.:.:フ { く/〈
-
丶 ヽ | /
ヽ 丶 | /
\ ..:::´::.::.....:..:..:..:..:..:..:. l .〈丶
ゝ、 /:.:..:...:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..` ー=≠ 彡:..:..:\
` ー.:..:..:..:..:..:...:..:..:..:..:..:.:::::..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:...
/..:..:..:..:..:..:.:.:..:..:.:.:..:.:ハ:::::::::::::iト::::::::..:..:..:..::::..:..:.:..
′..:..:..:..:..:.:::::::::::::::::::| |:::i::::::::i|_|::ハ::::::::::::::i:::::::...: という訳で、まだ続くわよ。
.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |:::|::::::::リリ }::::::::::::::::|^ヽ:..| この話が完結するまで、あと2・3話ってところかしら。
ト:::::::::::::::::::ハ::::::::::::i|リ.r匕}::/_ィ |:::::::::::::::::,__ }!|
| ゚::::::::::::::::|斗::::::::N \ /ィ圻i炒 ,::::::::::::::::ハ :.| …夏が終わるまでに終わるのかしらね、これ。
| ゚,::::::::::イ| ゝ-{ 宀^~/::::::{::::::/.: /:. ト、
| ゚。:::::::.l」 灯莢ミ 〃〃イ::::::/ ̄___,ノ:::::..:.| 。
乂 }:::::::::::. ^宀^´ | 厂 }│:::::::.j:..| ゚:,
|ハ :::::::::.. 〃〃 } _ / |::::::..:.i:..| 。
リ }::八:::::::. /)ヽ / :::::..:./.:.{ ゚:,
リ _}ル/ / ー__ ´ / /::::...:ハ:..:.。__ ゚。
γ´ / / 丶 / }.:::::::../ 丶
r=-≠ー ´ / > ._ ィ /::..:..::′ ’,
___,,,.......γ´ 、 ヽ ヽ j γ : : : : 工: : /:::::.: / V
,. '"´...::::::::::::::::/ ヽ Y } 〉 ゞ = ≦ -=彡:::彡 / :.
/ /..:::::::::::::::::/ イ j ,' ム 、 丶 γ´ 、′ l
/..:::::::::ィ:::::::::/ /¨´ ¨ ´ --. ヽ \ |
/.::::::::::::::r===ム ノ _. イ / 、 / ヽ l
.::::::::: /V  ̄ |. / / ', .:
.:::::/.::::: l | ,′ ′ ____ :. ∧
/.::::::::::人 _ :{ l/ \ .: /////////乂. ∧
.::::::::::/.:::::::7 ¨¨¨ .T }/////\. | ///////////Ⅳ ∧
.:::::/.::::::::::/ | ∧///////\ :. ////////////// ∧_ミ
/.:::::::/V. | / ’,///////\ , //////////////// ハ Y
.::::::/ V | ∧. 丶////////\.乂////////////// / 厂≧=-ュ _
:/ .′ l. ∧ ヾ/////////ノ >//////////イ 从////r== ミ<、 .__ __¨ ./
.: ,' .′ `¨¨¨¨¨´ 丶/////////////l ハ///// |: : : : : : : :.、 ._) _) \
-
予約します
http://www.xkopi.com
http://www.purse98.com
-
乙です!
-
どもどもです。
投下できたらいいなあと毎度毎度言ってるにもかかわらず、
なかなか延び延びになってしまった挙句、
したらしたでこんな時間という有様ですいませぬ。
今、見て頂いている方々、お疲れ様です&ありがとうございます>ALL
さて、今回は江戸に和尚が戻ってきてからの話でアリマス。
ついでに宗矩の逸話の紹介編であり、荒山世界の最終兵器こと幸徳井(柳生)友景の
最後の物語といったところでアリマス。
で、気が付いたら、何気にこの「その67」が完結するまで
最低でもあと2回は必要で、分量的にも、これからまだ掛かるので、
ここまでを「その67・前編」、次回からを「その67・後編」ということにすればよかったなーと
今更ながら思ったので、ここまでを前編、次からは後編ということにしまする。
さて、次は十兵衛の第二子誕生に関する話や、
最近クローン&口寄せで大復活した剣豪についての話などになるかなと。
しかし、板垣先生は個々からどうするつもりなんでしょうかね…。
最期に、次回の解説役投票経過をば。
【その68解説役投票経過】
4票:ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)
1票:星宮ケイト(謀略のズヴィズダー)、アナザーブラッド(デモンベイン)、
佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱)、赤セイバー(Fate/EXTRA)
次回は来週に投下できるようにしたいものでアリマス。
それではではー。
-
暑い中乙でした。
佐々木=サンカワイイヤッター
どうしても友景さんは、魔界に帰ったとかウサギに乗って月へ行ったとか、
友種は朝鮮妖術ゲフンゲフンとか、色々変な方向に想像が暴走してしまう。
あとふと、殺気の逸話は、気に病んでる宗矩を気遣った供の者が、
余計な気を利かせて「殿を斬ろうと」とか言い繕ったのかなとか思ったりもしました。
-
乙です
いよいよムネリン世代も落日が近いような気配ですなあ
>>305
いや、流石に当時の世情で「殿を切ろうと」というのが追従になるのは有り得ないでしょw
本人が追い腹切るつもりならともかく、ムネリンが許しても他の家臣や次の代になったらどうなるか
「あの時お前は父上を切ろうとしたな」で切腹やら放逐されてもおかしくない時代なので
-
乙
-
どもどもです。
昨日が休出で、相変わらず進むのか進まんのかよくわからん有様ですが、
間に合ったら本日21時投下にしたいなあと思うところ。
毎度ながらロクでもない告知の仕方で申し訳なし。
ではー。
-
乙です。
うちの大学のOBが柳生新陰流の宗家だったので驚きました。
本を書いていてその宣伝を兼ねて大学で講演会を行うと言っていたので行きましたよ。
-
お待ちしてまーす。
-
どもどもです。
どーにか行けるかと思ったのですけど、ダメでした。
すいませぬ。
>>309
本の宣伝を兼ねて、ということは耕一先生でしょうか。
ちょい前の新潮45で小野派一刀流の笹森先生と対談されてて、
面白いセッティングするなあと思ったものでアリマス。
-
どもどもです。
どうにもこうにも暑くて溶けますが、皆さんお元気でしょうか。
仕事が一段落しつつあるので、うまく行けば明日は投下できるかなと。
目標は毎度のように日曜(8/3)21時ということで。
なるたけ何とかしようとは思いますので、よろしゅうですー。
-
うーい、がんばです。
-
どもどもです。
現状、一応ひと区切りのところまでは書けましたが、
だいぶ短めなので、もうちょい書けるだけ書いてから投下しようかと。
なので、また2時とか3時とかのかなり遅くなっての投下になりそうです。
すいませぬ。
-
おつー。
明日の朝にでも読ませて頂きますわー。
wktkwktk
-
どもどもです。
どうにか次の区切りのところから、もう一つ次の区切りまで進んだものの、
もうこの時間なので、ちと明日に回します。
幸い、概ね出来てるので、明日の24時投下でまず大丈夫かなと。
(残業で帰ったら1時とかでない限り)
すいませぬが、よろしゅうですー。
-
どもどもです。
延び延びになってしまいましたが、どうにか一区切りまで書けたので、
今から投下しまする。
あと、長くなり過ぎたので、
前回までを「前編」、今回からは「後編」ということでお願いします。
では、始めます。
-
/:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:\
.:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:.:::::::::..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:..:...
/..:..:..:..:..:..:.::..:..:..:.:.:..:.:ハ:::::::::::::iト:::..:::::::..:..:..:..::::..:..:.:..
′..:..:..:..:..:.:::::::::::::::::::::| |:::i::::::::i|_|::ハ::::::::::::::::::i:::::::...: ここからは「その67(後編)」よ。
.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |:::|::::::::リ リ }::::::::::::::::::|^ヽ:..|
ト:::::::::::::::::::::ハ::::::::::::i|リ.r匕}::/ _,.ィ |:::::::::::::::::,__ }!| 予定より分量が増えまくったから、
| ゚::::::::::::::::::|斗::::::::N \ /ィ圻i炒 ,::::::::::::::::ハ :.| 急遽前後編扱いにすることにしたんですって。
| ゚,::::::::::::イ| ゝ-{ 宀^~/::::::{::::::/.: /:. ト、 というわけで、前回までが「その67(前編)」、
| ゚。:::::::::.l」 灯莢ミ イ::::::/ ̄___,ノ:::::..:.| 。 ここからが後編という訳ね。
乂 }:::::::::::::. ^宀^´ | 厂 }│:::::::.j:..| ゚:,
|ハ::::::::::::.. } _ / |::::::..:.i:..| 。 それじゃ、始めるわよ。
リ }::八:::::::.、 ヽ / :::::..:./.:.{ ゚:,
リ }ル' 人 ー__ ´ / /::::...:ハ:..:.。 ゚。
/ .::::::::::丶 / .:::::::../ |__..゚。 !
//:::::::::::::::::::::> __ ィ /::..:..:.′ィ }::..\ i!
/ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/~} /:::::..:/ \:::}___j{
___,,,...... --===彡'::::::::::::::::::::::::::::::::::::-=彳/.:-=彡:::彡 -=≦ア>
,. '"´...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ィi´}...:::::::::::::::==- / // -=≦ニニ\
/ /..:::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::::::::::::::::/ニj/::::::::ィ⌒丶 / ///二ニニニニニニニヽ
/..:::::::::ィ::::::::::::::::/:::::::::/:::::::::::::::::{ニニ/::::/ { 、ソ ァ′ ///ニニニニニニニニ|
-
死ぬ命があれば、産まれる命もある。
友景の死から幾日か後──
/\ /| /゙i
\ \、_ハノ ヽ、|/ |ノ (,ハ_、//
\)' '(
/ \
ヽ,) (,,r'
/ 士ヽ ニヒ ゛ . .七_ || \
ヽ 〈ノ ). (__ や (乂 ) ・ .・ ,r'
_) (
/-、 、-\
/ヘ '" ヘ
/ //7/ヘ /l ト、 |\、 /\ /\゙i ト、._人,.ヘ.__人_,.イ_,.ィ
/ V | ,l ヽ| V ゙i j`‐' ‘ーィ
、- ' L_
_ ) .く
) 士ヽ ニヒ ゛ 七_ ||(
´) 〈ノ ). (__ .や (乂 ) .・ .・.(
) (_
) (
⌒)-、 ,. 、 〈
′ ヽ/⌒'^´ヽ'⌒ヽ「
.
-
て
/ ̄ ̄\ そ .....::::::::::...r‐ ' ノ.
/ \........::::::::_ ) (_
|::::::: : |.....:::(⊂ニニ⊃)
.|::::::::::::: u. |....: ::::`二⊃ノ この声…生まれたか!
|::::::::::::: |..: :::: ((  ̄
.|::::::::::::::: } [l、
ヽ } /,ィつ
/ ヽ . ノ .,∠∠Z'_つ
/ ''⌒ヽ ./ .r─-'-っ
.| ( / } ./ ):::厂 ´
| / .// .ト /
|___ て
| \ そ
| ,ノ \ 十兵衛にも聞こえましたお!
| ( ●)u \ あれは赤子の泣き声ですお!
|人__) |
|⌒´ /
(⌒ー─' )
-
____
/ \
/ _ノ ヽ__.u .\ 父上…!
/ (○)!i!i(○) \ 見に行っちゃ駄目ですかお?
| (__人__) u |
.\ )t-ツ / きっと今度こそ男子だと思うんですお!
/ ⌒´ \
\_(__) i\(__) ソワソワ
| |
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_
| (●)(●) これ、落ち着かぬか。
. | (__人__)
| `⌒´ノ ) ;;;;) 側でそのようにしておっては、
. | } .) ;;;;) おるいのお産にも差し障りがあろうと
. ヽ } /;;/ .お藤にも言われたであろうが。
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・' もう少し待てば、知らせも来よう。
( \ /|_ノ ヽ それまでじっとしておれ。
. \ "" /_ノ | トトトト…>
\ /___/
-
|┃ ┃|
|┃ ∧∧ ...... ┃| 御殿様、若様!
|┃ (*゚ー゚) .三┃| 若奥様、無事に御出産されました!
|┃ ノ つつ ┃|
|┃ 〜( ノ ...三┃| ガラッ.
|┃ (/(/ . 三┃|
____
/ \
/ \ / \ よ、よし!
/ (●)i!i!(●) \ では、産まれた子は、どちらだお!?
| u , (__人__) |
\ .`⌒´ 〆ヽ 早く教えるお!!
/ ヾ_ノ
/rー、 |
/,ノヾ ,> | /
ヽヽ〆| .|
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ\ ) ;;;;)
| ( ─) (─)/;;/
. | (__人__) l;;, ………。
| u. ∩ ノ)━・'
. | / ノ´ }
. ヽ / / }
ヽ/ / ノ
/ ヽ
-
l´`ヽ、 /l
| .:::>>―< <::!
| ´ ` |
∨ ',
| u 〇 | ………その、それは…。
、 * ワ ノ
.>―- _ _ -<
/ ` 、`ー‐':ー' ヽ.
. / /: : : : : : : ', |
/ /. : : : : : : : ノ !
____
/ノ ヽ、_\
/( ○). (○)\ ……………!
/ (__人__) \
| u .` ⌒´ |
\ / '
/´ イ′
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー) ……………そうか。
. | . (__人__) 女子であったか。
| `⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) 「…はい」
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;)
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
-
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: | 御苦労。
. |::::::::::: | おるいのところに戻り、世話を頼む。
|:::::::::::::: | .
. |:::::::::::::: } ....:::,, ..
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ .
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: .
/:::::::::::: く ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´
l´`ヽ、 /l
| .:::>>―< <::!
| ´ ` |
∨ ',
| u − | …畏まりました。
、 * -- ノ では、失礼します。
.>―- _ _ -<
/ ` 、`ー‐':ー' ヽ.
. / /: : : : : : : ', |
/ /. : : : : : : : ノ !
-
_,. -‐''"´ ̄```' ‐ .、._
_,. -‐''"´ `゙''ー-..,,
--―---- `''ー 、
`ヽ 、
/ 二二、 `':.、
/ | {::::`ヽ\ ` 、 ま、また女子…?
/ ヽ::::::::} 〉 ゙ 、 今度こそ、男子だと、
/´ ヽ `ー' / | この十兵衛の後継ぎだと信じてたのに…!
/-、ヽ 三 ." ̄ |
. |{:::::::::ヽ 、 ゛' |
. | \::::::ノ/ ヽ `ヽ /
lr‐、_,/ " .`ヽ ノ /
lT~ " , , ) _,.-‐'' /
| | ;;; ( / `''"/ /
| | ;;; ゞ、_,.-‐''/_,-‐"^ヾ /
| | ″ | | `ー-/
| | | | /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
.|:::::: (● ) ) …十兵衛。
. |::::::::::: (__人) 気を落とすでない。
|:::::::::::::: `⌒´ノ .そのような面で赤子の前に出るつもりか。
. |:::::::::::::: } ....:::,, ..
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ .
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: .
/:::::::::::: く ,ふ´..
|:::::::::::::::: \ ノ::ノ
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;)
| (−)(−)/;;/ お松が産まれた時、
| (__人__)l;;,´| おるいの前で露骨に落胆しおったから
| ./´ニト━・' .l 今回はこうして別室で待つことにしたわけじゃが…正解じゃったの。
| .l _ニソ }
/ヽ、_ノ / これが最後という訳でもあるまい。
__/ / ノ__ 気を落ち着けたら、おるいを労わってやれい。
/ / / `ヽ.
/´ ./ ,. ヽ.
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
-─‐──‐-、
/ \ わ、わかりましたお…。
/ ; ヽ
l U l
| , 、 ; |⌒´⌒`ヽ、
!、 _ノ" "ヽ、__ ∪ \
ヽ ((●) (●) ):: /⌒゛` l:
/ヽ~゜(__人___)~__ ,ノ| , |
/ /` ⌒ ´ | | , !
/ / | `ー-,,,|" |___,ノ |
/ / | | | ,lー─- 、
, --‐-ー、_/ l ,| | ,/ ) )
く / / ァ- ,ノ \ノ^ノ^/⌒ヽ.j\ /^ー-‐'
`ー' ー´ ̄ (_イ_,イ、_,ィ'´__/  ̄
-
|┃
|┃
|┃
|┃
____ |┃
/ \ |┃
/ _ノ ヽ__\ |┃ では、父上。
/ (● ) (● ).\ |┃ 失礼しますお…。
| u (__人__) | |┃
.\ ,/ |┃
ノ \ |┃
| \ |┃
| |ヽ、二⌒)|┃
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_
| (●)(●)
. | (__人__) うむ。
| `⌒´ノ ) ;;;;) くれぐれも気をつけるのだぞ。
. | } .) ;;;;)
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
-
 ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|| ̄ ̄ ̄ ̄
|| || ||
|| || ||
|| || || =
|| || || パタン
||_____||_____||
||_____||_____|| 三
||O ※※※※||※※※※ O||
||※※※※※||※※※※※||
____||※※※※※||※※※※※|| ____
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;)
| (─)(─) /;;/
. | (__人__) l;;,´ ………。
| `∩_ノ)━・'
. | |_ノ
/ヽ | |_
| \_/ ノ ヽ
\ /_| |
| \ / _/
-
, -───-= 、
{:.:.. ヽ / \
ヽ..:.⌒ヽ、、 ノ / \
`ー⌒ヾ( / ヽ
_.,..::::..ノ.:)i ',
.:.:::"´....:.:.:.:..:′l 、 l
.i;;;;;:"´ l _ノ'′i|||ii`、 |
\\ ,. -‐'fフ i .(− ) "ー-- / …これはもう、わしが手を取って、
\\r‐´r‐、 l (− ) / 孫に剣を教えてやることは、
ノ \\」 .l; j / 望めぬかもしれぬのう…。
i _ _ .) ,'‐' ヽ-‐'"ヽ. ) /
! `{ ノ:.:. j -ー-`ーー-- /、 如何ともし難いが…口惜しいものじゃ。
| ー ― 、}:.:.:.:.:. ヘヾ \,r'⌒ヽ /ノ.:.\
l ,.-r /.:.:.:.:.:.:. iヘ (´ `) /.:.:.:.:.:.:.\
/i! 〕〈.:.:.:.:.:.:.: /`i -=- ゝ,__,ノ´/.:.:.:.:.:.:.:.:.:..\
-
r<: : :  ̄: `丶
-<: : : : : : : : : : : : : : \
r≦: : : : : : : : : : :_: : : : : : : : :\
.′: : : : : : : : : : : ⌒)ノ: : ヽ : : : : : : ヘ
i/: : : : : : : : : : : : /: : : : : }: : : : : : : : '.
l〃:/ : : : : : : : : : : : : : : : / : : 、: : : : : :!
{: :/: :/i : : : : : / : ノ: : : /lヽ : :ヽ : : : : l
Y : :{⊥ハ : : / /--ノノ 八: ヽ:__ ヽ: : j …あなた。
ヽ从T卞、\{ 笊示x \/´l: : :Y 申し訳ございません。
! 上シ. 上シ u. j リ : /
'. ノ i|| oイ: : / 今度こそ男子だ、後継ぎだと、
. ヽ u .| :ノ:/ あれほど心待ちにされていたのに…。
\ ‐- . ′!≦ニ二三三三i
\ ,. ィ |:\  ̄ ¨ ヽ′
ノ:千! ト、:丶
(: : :r┤ __,丿 i : : 冫
〉:丿广 ̄ / |.: :く
おるい
____
/_ノ ヽ、\
/( ●) (●).\ いいんだお。
/ (__人__) u. \ 今はゆっくりと体を休めるんだお。
|ni 7 ` ⌒´ . |n これが最後の子って訳じゃないんだし…。
l^l | | l ,/) U l^l.| | /)
', U ! レ' / . . | U レ'//)
{ 〈 ノ /
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
-
_,,..,,,,_
. ▼ ,' 3 `ヽーっ バブー
▲ * ⊃ ⌒_つ
`'ー---‐'''''"
十兵衛の次女「竹」
___
/ ⌒ ⌒\
/ (⌒) (⌒)\ それに、娘なら娘で可愛いものだお。
/ ///(__人__)///\ 姉が「松」だから…この子は「竹」にするお!
| u. `Y⌒y'´ |
\ ゙ー ′ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
/ rー'ゝ 〆ヽ
/,ノヾ ,> ヾ_ノ,|
| ヽ〆 |´ |
. . . .-|{`く: : \ =ミ
,. : :´ : : : : : {{/ ヽ: : :ヽ: :` : .
rーァ…: :'": : : : : : : : : :^⌒ヽ}: : : : : : : : : ヽ
) r=ミ : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :. (…それだと、次の子も娘になりそうじゃのう…)
ヽ{ /: : : : : : : : : : : : : : : : :、 : : : : : : : : : : : : :.
, ^: : : : : :.|.: : : : :i: : : : : : : '; : : : : : : : : : : : : :. /: /
. ′: : : : :.:/|: : : : :.|:.:i: : :|: : : |: : : : : : : : : :i : : : \ /: /
i:.: : : :|.: :, ! : : : : |:.:|: : :|: : : |: : '; : : : : : : | : : : : : `: . . ___,..: : :.:/
|:!:.: :.:.|: :.|八: : : : :|斗-‐|: : :ハ:.:.|.: : : : : :.:|: : : : : : : : : : :ー――<_
. 从: : : | 斗- \: : :|L|ノ x=≠ミⅥ: : : : : : :|: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :
ヽ : | x≠ミ  ̄ 〃んィ:心. |: : : : : : :|{: : : : : : : : : : : : : : : : : _:_:_彡
i: Ⅵ{{ ト:心 乂こ:ソ, |: : : : : : 八: : : : : : : : : ー< ̄_
|: : : : . 乂zソ ^^´ |: : : : :.:/_ー―<: ̄: : : ̄`ヽ  ̄ ̄`
|.: : : : : . ^´ , u. |.: :.: :.:/ } >=ミ : : : \
|: : : : :.∧ , |: : : :/ / / ‘,.: : : : :.
|: : : : :′ ー イ : : / ,/ : : : i: : |
|: : : : i `ト _ イヽ,: : :/イ / i : : | : :|{
| : : : :| | /: : / i| ′ i : : | : 八
|: : : : | 、 ⌒ヽ. / : :/, i| i / , Ⅵ:/
|: :.: :.:| 丶. /: : /、 i| | / / |:/
. |: : : :.| \ ,: :.:∧ \ i| < / ,
. | : : : | Ⅵ: :.i ', r―‐、 } , i
お藤
こうして、十兵衛の二人目の娘が産まれたのである。
-
その夜…
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::_/\/\_:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::\ / ...:: :........ ... . .....:::... ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::< 主膳! > .. ...:: :.... .... ....:::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::/ \... ....:::::.. ...─- 、 .. .. ...:::.. ... ....:::::... ...:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::...::: ̄|/\/\/ ./ ヽ ..:: :.... ...:::.. ... ....:::::... ..::::::::::::::::::::::::
::::::::::::.. ...: :.... .::::..... ...:::.. l ..... ...:::.. ... ....: ::::... .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::.:::.........: ::... ... ヽ / .. ... ...:::.. ... ....:::::... ...: :..::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::. :. .:::::: ::.... .::::..... ` ー--‐' .... ...:::.. ... ....:::::......:: :::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ...:::.. .... ... .. .: .. ..: .:::.. ..._/\/\/\/|_::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. .:::::: ::.... .::::..... . :: :.. . ... :. .::::: ::...\ /:::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::< いるかお >:::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::< 主膳!? >:::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_/ \___
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/\ ̄|/\/\/\/ ̄_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::\_\_\_\_\_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::::::::::::::\_\_\_\_\_\_
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (●) (●)ヽ …どうされました、兄上?
.| u. (__人__) |
.| `⌒´ | (あー、やっぱり来られたか)
ヽ /
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
. \ /___ /
____
/ \
/ _ノi||iヽ、_\ …どうされましたも何もないお!
/ ;;;(◎)::::::(◎)ヽ 主膳、一杯付き合えお!!
| ///.(__人__)//´|
/ ∩ ノ) / ヒック
( \ / _ノ´. く ,、jーi
.\ " / ト、 ヽソ ⊆)
\ / ( |酒⊂リ
|_とン
-
/ ̄ ̄\
/ u. ノ \
/ ( ●)ヽ 大丈夫ですか、兄上。
.| (__人_) 普段と比べても、もう随分飲んでおられるようですが…。
.| u .`⌒ノ
ヽ ./
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ }
/:::\:::/::\. | | 大丈夫だお!
/ <◎>::::::<◎>\ ! ! ホラ、さっさと準備するお!
/ ::::://(__人__)//:::::\| l
| |!!il|!|!l| | / 「はぁ…まあ、わかりました」
\ |ェェェェ| //
/ __ /
(___) /
.ノ ヽ
| 酒 |
|___|
-
ぅぃ〜… ‥ヒック
ヒクッ…
…ヒック ./´ ̄ ̄ ̄  ̄ ヽ
/ \
/::::: \ …だから、誰も悪くないってことくらい、
_______ + /::::::::: u. ヽ 十兵衛にだって分かってるんだお?
|i:¨ ̄ ,、  ̄¨.: i |::::::::::: | でも、女子じゃ十兵衛の後継にできないお?
|i: /ヘ:\ :i| _ |::.:. : : ,,ノ:..:ヾ、 u. | 同年代の同輩の中には、もう倅が出仕を
.|i:〈`_、/´_`>.、 :i| ,.r:;'三ヽ:: :: . ー'"´ ,,、 ー‐‐,, /`、 始めてるのだっているのに…グチグチ
|ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:":::::::::::\;;。(ー一) (ー一)。;:;:. /::::: ヽ
|i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──〜 、(___人___,)"⌒;;::/::|:::::〆::\
|i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::.. " ニニヽ、⌒ij~";_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐
::::::`ー―――‐一´ ̄~  ̄  ̄
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (−) (−)ヽ .そうですねえ…。
.| (__人__) | とはいえ、こればっかりは、どうにも…
.| u. `⌒´ |
. ヽ nl^l^l (今回はいつもにも増して愚痴っぽいなあ…)
/ ヽ | ノ
. / ヽ く
-
____
/;;;::::::::::::::::  ̄ ヽ
/:::: ,,ノ:..:ヾ、 \ 大体、十兵衛はもう来年には不惑(40歳)だお?
/;;;;;ー'"´ ,,、 ー‐‐,, \ こんな有様で「不惑(マドワズ)」ってどう言うことだお?
_______ + /;;;;;( (;;;;;) );;;;;;;;;;;((;;;;;) ) ヽ
|i:¨ ̄ ,、  ̄¨.: i |;;;;;;;;;;;;;;:::::::::: | もし、このまま女子しか生まれなかったら
|i: /ヘ:\ :i| _ |;;;;;;;;;;::::::: (___人___,) u | .柳生家はどうなるんだお…?
.|i:〈`_、/´_`>.、 :i| ,.r:;'三ヽ:;;;;;;;;;;;;;;; ヽ、⌒ij~" /`、 そう思うと、いてもたってもいられなくなるお…!
|ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:";;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;; 。;: /::::: ヽ
|i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──〜 、;;;;;;;;;;:::::::;;;;;"⌒;;::/::|:::::〆::\
|i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::.. " ニニヽ;;;;;::::;;;;;;;_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐
::::::`ー―――‐一´ ̄~  ̄  ̄
. / ̄ ̄\
./ _ノ ヽ、.\ 兄上、落ち着いてください。
/ (●) (●) ヽ ”まだ”三十九じゃないですか。
.| (__人__) u |
.| `⌒´ |. 私など、父上が四十五の時の子ですよ?
ヽ / この先、まだ子ができる機会はありますよ。
|ni 7 ノヽ n
l^l | | l ,/) l^l.| | /)
', U ! レ' / . . | U レ'//)
{ 〈 ノ /
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
-
ぅぃ〜… ‥ヒック
/ ̄ ̄ ̄\ ヒクッ…
…ヒック / _ノ ,、ヽ、_\
/ ;;;(ー)::::::(ー);;\ そうは言うけど、
| :;:,~(__人__)";:: | 父上もお爺様も、最初から男子が出来てるお?
\、 `⌒′ .,/ .なのに十兵衛は二回連続女子だし…ブツブツ
/ヾ イ" く __
/⌒ヽ \ ,、jーi
. |\ \. ト、 ヽソ ⊆) __
| \_/⌒ヽ/⌒\( |酒⊂リ jーi
| ,/ ,. \i' \|_とン ノ空I
| 人 \ \ | 瓶 |
\__/__\,〆⌒)_〆⌒) |___|
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (ー) (ー)ヽ あー、もう。
.| (__人__) | 娘とはいえ、実子がいるだけいいじゃないですか。
.| u (_/ | 私なんか、子供以前にそもそも嫁自体いないんですよ?
ヽ / もう三十一なのに…。
/ ヽ ノヽ
正保二年(1645)のこの時点で、十兵衛は39歳、宗冬は31歳である。
-
/ ̄ ̄\
/::::::: \
/::::::::: ヽ
.|::::::::::: | 私は三男ですし、幸い、御役は頂けてますから、
.|::::::::::::: | 将来的に分家を立てることになるんでしょうけど、
ヽ:::::::::::::: / まだ父上からそういうお話は出てませんし、
/::ヽ::::::::::: ノ そうこう言ってる間に三十路越えですよ…ブツブツ
/:::: く⌒)=
|::::: \ jーi トプトプ…
|:::: ヽ、二⌒)
____
/;;;::::::::::::::::  ̄ ヽ
/:::: ,,ノ:..:ヾ、 \
/;;;;;ー'"´ ,,、 ー‐‐,, \
_______ + /;;;;;( (;;;;;) );;;;;;;;;;;((;;;;;) ) ヽ ………主膳?
|i:¨ ̄ ,、  ̄¨.: i |;;;;;;;;;;;;;;:::::::::: u |
|i: /ヘ:\ :i| _ |;;;;;;;;;;::::::: (___人___,) |
.|i:〈`_、/´_`>.、 :i| ,.r:;'三ヽ:;;;;;;;;;;;;;;; ヽ、⌒ij~" /`、
|ii~~'、;'´`,'~,;~~~~:i|;イ:;:";;;;;;;;;;;\;;;;;;;;;;;;;;; 。;: /::::: ヽ
|i`::;:':::::;::;:'::::::::::;.:i|`。⌒/7, -──〜 、;;;;;;;;;;:::::::;;;;;"⌒;;::/::|:::::〆::\
|i::::::;:':::::::::::::::::::::::i| ::::://,::::.. " ニニヽ;;;;;::::;;;;;;;_ ィ /:::::::|:::::〃::: : ヽ
─|`ー=====一 | ::::::|_|;;、:::.__y-ニニ'ー-ァ ゚‐─'───┴────── ‐
::::::`ー―――‐一´ ̄~  ̄  ̄
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_.\ 大体、何がそんなに不満なんです?
./ (−) (−) ヽ. .この柳生家の嫡男で、剣の腕は一門随一で、
. | (__人__) | 正室は美人でいい人だし、娘だって可愛いじゃないですか。
. | /// |r┬ |./// | それに引き換え、私は腕はイマイチで禄だって三百石で
.|γ⌒=/⌒ヽ .| .この歳で一人身だし…グチグチ
/ .( ^=/ / /
| / ,(⌒ヽ/ ノヽ ゴクゴク
ヽ_ノ ー ' .ヽ
____
/_ノ ヽ、\
/(●) (● ).\ しゅ、主膳?
/ (__人__) u \ その、いつもより飲む量が多くないかお?
n|i 7 ` ⌒´ n| .もうちょっと控えた方が…。
l^l | | l ,/) U l^l.| | /)
', U ! レ' / ー‐ | U レ'//)
{ 〈 ノ /
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
-
ノ L
⌒ ̄ ̄ ̄\
/ \.i||i./\
/. (○) (○)ヽ 飲もうって行ったのは兄上でしょうが!
.| /// (__人__)//| 私だってねえ、言いたいことはあるんですよ!
.| `|::::::| .|
ヽ .l;;;;;;l / .l!| !
ヽ `ー' .ノヽ |i
/ `ー' \ |i
/ ヽ !l ヽi
( 丶- 、 しE |そ ドンッ!!
`ー、_ノ \xAD堯\xA1l、E ノ <
.ノ ヽ レY^V^ヽl
| 酒 |
|___|
___
/:::: u ::::::::\
/ ○ 三 ○:: \ う わ ぁ
/::u: (__人__) :::::::\ (しゅ、主膳が出来上がってるお…!)
| ヽ |┼┼| / u |
\ `――'´ /
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\
-
,-‐-、
|. | ング
ング | 酒 |
| .|
/ ̄⌒) (⌒ ̄\ング
/ ,. ^‐'_ヽ /__ー^ 、 \ 兄上、飲まないなら、
/ // ̄ ` ⌒ ´ ̄\\ \ これ、頂きますからね!(グビグビ
( < | | .ノ )
\ \| .|/ /
ング \ \ / /
ング
___
/ \
/ u . \ い、いかんお。
/ ノ.i||iヽ、_ \ このままじゃマズい気がするお…!
| ( ◎) (◎ ). u. | で、でも、どうすれば…?
\ l^l^ln__人__) / \ヽ l|l|l|/
/ヽ L⌒ ´ \ /
ゝ ノ 二 十兵衛… 二
// \
// l|l|l|lヽ\
-
\ヽ l|l|l|/
\ /
二 十兵衛… 二
// \
// l|l|l|lヽ\ \ヽ l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|/
\ /
二 十兵衛よ、よく聞くのだ… 二
____ // \
/ \!?? // l|l|l|l|l|l|l|l|l|l|lヽ\
/ u ノ \
/ u (●) \ な、なんだお?
| (__人__)| この声は…!?
\ u .` ⌒/
ノ \
/´ ヽ
-
...................................
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: …男は時々何をしても、 :::::::::::::::
::::::::::::::: まったく駄目だという時があるのだ。 :::::::::::::::
::::::::::::::: やればやるだけおかしくなるだけで、 :::::::::::::::
::::::::::::::: することなすこと無駄な努力…。 :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::l l
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: レ
{: : : : : : : : : : : : : : : : : : ,: : ,: : : :. /
l: : : : : : : : : : : : : : : : : : : ソノ: ム: : : :. ソ
/⌒} {: : : : : : : : : : : : : : : : :>ノク≦ l: : : : : ノ、
./:.:.:.:.:.l l: : : : : : :/ : : : : : : ,x'.:./.{弋ツ >}: : : : : : ハ- 、 ...................................
{:.:.:.:.:.:.l ソ: : : : :,': :/: : :/:.:/i ix´  ̄ ノノ: : : : : :}'' ハ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
l:.:.:.:.:.:.i ノ:,' : : : :i : i : :/ゝ-/ .lゝ-≒≦: : : : : : / ヘ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,,, -- 、}:.:.:.:.:.:lノ'' {: : : : : : :i :: :ハ´ ''__) ,,x=¨ノ: > ''´ ヘ ::::::::::::::: :::::::::::::::
:.:.:.:.:}:.\:.:.:.:ハ<´l: : : : : : : ,'.: ∧ ー ‐' _,,≦< ::::::::::::::: そういう時、男はな、酒でも飲んで :::::::::::::::
:.:_:,,-==丶:.:.:.:}ヽヽ ): : : : : : : : ,,}ヘ フ´ニ、 ::::::::::::::: ひっくり返ってればいいんだ…! :::::::::::::::
´:.:.:.:.:.:.:.}:.:}:.:.:.l:.:.:.ソ:ノ/: : : :レリ:.`=iゝ//:.:.ハヘ ,, - ニ::::::::::::::: :::::::::::::::
:.:.:._,,> ''゙ヽ:ノ}:.:.''´:.ノ レ'ソ { }:.:.:.:}//:.:.:.:.:ヘヘ //´:.:.:.:.:.:. ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
''´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}:.:{:.:.:.:.:.:.:.:.\\ ヽ,//:.:.:.:.:.:.:.ハヘ //:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:.:.:.:.:.:> ''´ヽ:.}:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:> ''´'':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘヘ、 / '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ...................................
'''':.´:.:.:.:.:.:.:.:リ:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{ {´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\二 ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:,,>´:ノ:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヘ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ > 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/:.:}:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧ > 、:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
____
/ノ ヽ、_\
/( ○)}liil{(○)\ 誰だオメー!?
/ (__人__) \ でも、今の十兵衛には魅力的過ぎる言葉で困るお!
| ヽ |!!il|!|!l| / | .ああっ、流されてしまいたいおっ!!
\ |ェェェェ| /
-
。 ゚。
((,.)´)´)´))
|~U~゚ ̄.|゚o
____ .「ニ| u | O
/ \.i||i./ \ ., っΞl!. | …という訳で主膳!
/( ◎) (◎)\ / i L| ____ .| こうなったらトコトン飲むことにするお!
/ ::///(__人__)./// \/ ノ . ̄''──┘
| |r┬-| | / ちょうどここに!
\ ` ー'´ // あまってた芋酒があるし!
/ __ /
(___) /
/ ̄ ̄\ 。 ゚。
/ \.i||i./ \ ((,.)´)´)´)) 兄上!
| (◎) (◎) ヽ |~U~゚ ̄.|゚o .幻覚を端折って説明するのは反則ですよ!
| .///.(__人__)//| 「ニ| u | O なんか未来名言のような気もするし!
| `⌒´ | ,っΞl!. |
/ // i L| ____ .| でも、トコトン飲むのは賛成です!
/ ヽ __ ノ. ノ. ̄''──┘ こうなったら、ひっくり返るまで飲みましょう!
/ ( ) /
( / ノ ./ 「おう、受けて立ってやるお!
.\__/ じゃあ、いくお!せーの…!」
.
-
r 、
,..-‐ '' '' ¨ ゙ ゙  ̄ ゙ ¨'' - . ヽ、゙ヽ
,.< , ,ィ .ヽ ヽ .ヽ、
/ ー-一''"´ ,ィ彡f,ィ"´: : . ヽ .} ヽ、
/ ,ィ彡彡f゙. : : : : : : ゙; ,' }
.,' . i ㍉彡".‘ : : : : : } ,/ .}
{ ,l ¨゙''=、 ,!' ,'
{ / ,, ,ィ’、 / '
', ,ノ ,ィ彡x! r‐'"ゝ' \ /
.', . ,ィ彡彡"、 ,イ、ゝ" \
. ', 彡彡''"´ `¨ヽ< ゙i
', ". : : : : : .\ ノ
', : : : : : ゙ー-‐''"
'、 : : : /\ /| /゙i
ヽ \ \、_ハノ ヽ、|/ |ノ (,ハ_、//
\ / \)' '(
`==-==ィ' / \
r- ._ _.< ヽ,) (,,r'
゙ヽ、 ¨''‐-‐''" / 十ノ-- 十 不、 l l \
` ._ _ . ヽ 日 二フ /|∨| ヽ | | ,r'
` ‐- '' ¨ _) .十(___ | | ・ ・ (_
,) (,
/-、 、-\
,. ───────‐ 、 /ヘ '" ヘ
/ u. \ /////7/ヘ /l ト、 |\、 /\ /\゙i
. ./ __ __ \/// / V | ,l ヽ| V ゙i
//// / \ / \ \
//// , 、 , 、 ヽ
/ / / ̄\\ // ̄\\ u. |
/ | |. ◎ .| | | |. ◎ | | |///
| \ \_// \\_// |///
//| , | 、 |
.///| ////// | | | /////|
| \__/\__/ |
| ┬─'^ー┬' |
| u. .|/⌒i⌒、| |///
丶 !、__,! ////
///\ /
/// ./ \
-
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...:::... ...:: :........ ... . .....:::... ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::.:::.. ....... .....:: .. ...:: :.... .... ....:::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..:::.. ... ....:::::... ...─- 、 .. .. ...:::.. ... ....:::::... ...:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::...::: .........:::: :...... / ヽ ..:: :.... ...:::.. ... ....:::::... ..::::::::::::::::::::::::
::::::::::::.. ...: :.... .::::..... ...:::.. l ..... ...:::.. ... ....: ::::... .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::.:::.........: ::... ... ヽ / .. ... ...:::.. ... ....:::::... ...: :..::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::. :. .:::::: ::.... .::::..... ` ー--‐' .... ...:::.. ... ....:::::......:: :::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ...:::.. .... ... .. .: .. ..: .:::.. ... :. .:::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. .:::::: ::.... .::::..... . :: :.. . ... :. .::::: ::.... .::::..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ウヒョー!/:::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ハハハ…!/:::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::____________
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/\_\_\_\_\_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::\_\_\_\_\_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::::::::::::::\_\_\_\_\_\_
その夜、柳生家下屋敷の宗冬の居室から、
灯りが消えることはなかったという…。
-
.::::::::::::::::::::::::::::::::::i|::::::::::::::::::::::::i|::|:::::::i::i::::::::::::::::::::::::::::::::.
l ::::::::::::::::::::::::::::::: i|:::::::| ::::::::::::::i|::|:::::::i::i| :::::::::::::::::: |:::::::::i
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|儿:::::|ノ|::::|:::::::::::::::i|:::::::::|
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|/}:__ノ_ |- :、 :::::::::::i|:::::::::|
あ、この時、十兵衛に .|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|∧ | :::::::::::::ノ ,ィf,仭秀 》::::::::::::i|㍉ ::|
二人目の子が生まれたんだ。 |:::::|:::::::|:::::::∧__}iノ__i| ̄¨¨´ ゞ孑'' イ :::::::::::::i| i}:::::|
|:::::|:::::::|:::::::|i ,ィf テ秀ァ /:::::::::::::::/ / ::::|
|:::::|:::::::|:::::::|i `ゞ `≠’ //'::::::::::::/_/ ::::: |
|::::,|:::::::|:::::::∧ } /___ノイ:::::::::::::::::
ノイ |:::::::|:::::::|:::゚'。 ヽ r‐、 /}::::::::::::::::::::.
|:::::::|_儿}::::::::::. r‐、 r‐、,'ー'} _/ ,::::::::::::::::::::::゚*。
|_/ i|:::::::::::::\ i`゛i V_ノ ,' /_/},:::::::::::::::.::::::::::::::::゚'*。
i|::::::::::::::::::゚*。i | ' { イ , :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
i|::::::::::::::::r、_::::i l‐-{ iア ,' ハi:::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚'*。
,r‐―‐i入::::::::::::::{ノ }^゙i 、i i ' , |:/ ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
,. '´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`...、
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:..、
. , ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.ヽ、
/:.:/:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:i.:.:.:.:.:ヽ:.:.ヽ、
. j:./:,:.:.:.:i:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:i:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:ハ
/ ':/:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.i:.:.:.:.∧:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:ハ
/l i:.i:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.,' |:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.∧ まあ、正確な出生日が不明だから、
. / l:.: l!:.:.:.:. !:!:.:.:!:.:∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:/―ト:.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:.ト:.l 嫁いだ相手の年齢から「大体この頃じゃなかろうか」という
/ |:.:.:lト、:.:.:!:!7丁:!:.ハ:.:.:.:.:.:.: /i:., ' ,iリ.:.:.:.:.:.i:.!.:.i:.i:.:l >>1の推測だけどね。
. / .|:.:.:l:!∨:.从 ,ィァ==ミ∧:.:.:.:.//ィ云示 ル!.:.:.:.:.,':.:!:.:i:.:!リ
l ∨:l:i.:∨:.:.l rし.::::ハ ヽ/ .rし.:::ハ l:.:.:.:/:.:/.:.:i:.l この時点での十兵衛の子は、
| ∨リ.:.:∨ハ V.:::::゚ノ ヽ:::゚ソ イ.:.:,/:.:,':.::.:.l:入 二人とも娘だね。
ヽ ./ Ⅵ:.:.:.リヘ、 ゝ .ハ,/:. /:.:.:.:.:!ゝ:.ヽ、
. / へ 从:.:/ Yヽ、 、_ ァ . イ:.:/Vl/:.:/'l:.:| ヽ `\
/ / \! | ≧ー -≦\ !/ 丶/,〝 |/
〈 ノ ヽ | У /、 \ _ヽ ′
. Y 〉 | ゝ、, |/\ \ !
| | / /ο|' .| 冫 \__> |
|. /∠_/ / ∨.\ |
-
/∧}:::i::::::::::::::::::::|i::::.:.:.:.:.:./}.:/.:.:/}:.i.:.:.:.:.:.:.:.:.:}.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:}
/.::::::}|::::|::::::::::::::::::::|l:::::::::::::トf::/::::/ :.}:::.:.:.:.:.:.:/}.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:
イ::::::::::::i::::|:::::::::::::::::::八:::::::::::|ノリ\:{ //!::::::::::::::{ j:.:.:.:.j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./
/,ノ::::::::::::::::::::::ハ::::::::::::::::{灯芋芥ぅ、} リj//}:::::::::::::::j/:/.:/}:::::::.:.:.::::./
でも、いくら娘だからって、 . _ ∠ィ::::::::::::::::::::::::::/:{ ゚。:::::::::{ 圦ゞ少r= ヾ/ //:::::::/八イ|丁/:::::::::::::::/
ここまで荒れなくてもいいんじゃない? ./ `ヽ::::::::::::::::彡:/ :j : .| 。:ト::ハ.\ `¨¨`` ノ-::ィィ芹莎㍉゚:::::::::::::: ′
ちょっと感じ悪いわ。 / `ー===彡 j{. : . :, リ ゞヘ / ゞ=夕_ノ/::::::::::::::.{
.′ \`ー==='′: . :′ :′ ¨¨´r彡:::::::::::/i:|:.
/ | \ : . : . : :.  ̄/}ィ:::::::::/ l| }
. /{ :. 丶 . : . : . : . 丶 ` ー ′ /: . : .|::イi::{ 乂
::::| \ ` ‐- ., : . :\ ⌒− .. ´: . : . : . : ..リ ′
//:::::. ,. . . . . . . . . . . . .\. . .\___,. ´: . : . : . : . : . / /
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ヘ
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
/:.:.:.:.:.:.:.:.:. : :l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ハ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l
/:.:.:.:.:.: :ト、l: : :ト、:.:.l:.:.:.: : :/ ',:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. :l
l:.:.: l:.:.: :|,│ : | ノ:.:.:. : :/ヽ :.:.:. :、:.:.:.:.:.:.:.:.:. :|
|:.:. :|:.:. :ヘ.:l:斗匕 ヘ:. : :/ `ーⅥ:.:. : :|:.:.:.:.: : :| まあ、この辺りについては、
l:.:. :l:.:.:.:ハ! ハ:.:/ ',:.:.:.:|!:.:.:.:.:.:.:| 「生まれた子が娘だったから、宗冬を巻き込んで飲みまくった」
:.:.:.ヽ:.|ヽ l ィ=ミ } ィ=ミ 〉:.〃:.:.:.:.:. :| なんて記録がある訳ではないから、演出に過ぎないんだけどね。
i:.:.:.:.:ヾ:r: l /:/イ:.:.:.:.: : :l|
|:.:.:.:.:.:.:.ゝヘ , /}:' /!:.:.:.:.:.:.:从 ただ、他の記録を調べたところ、
/.:ィ :|:.:.:l:.:.|:.ヽ. 、 , /:. :/: |:.:.: :|!:.:ト ヘ この件と繋がりがあるかもしれない話があったんでね。
/' ハハ:.l:|!: l:.:.:.:.:..、 イ:. :/:. :从/:ハ:.:l `\ という訳で、次はその話に行こうか。
}ヘ|乂:.: . ´> < `|:.:ハ:/ /イ .}/
..:.:´〉 |/ 〈`:.:.:.:.... '
...:.:.´:.:. :〈 − 、 , − 〉:.:.:.:.:.:.:.`ヽ
/:.:.:.:.:.:.:.:.:. :ヽ 〈:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヘ
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.〈 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ
-
その翌朝、東海寺──
,.,-‐'´''`´''`´```丶. _
_ ,.,イ `'i
,.ィ´ ,ィ'`´'' ィ'`´'' 、 `'丶.
(( ィ'`´''`´` 、_ヘ
`i, _i'´.r==ィ=‐イ.,.,ー‐<´ `i `'' i .人人人人人
ゞ. r=rl ‐ l i __ rl A , l _/`ir'ヽiソ < >
,>‐ュr 、,ヘー'´l i  ̄  ̄ i´ l H‐-k'´i._ < .和尚様! >
<ソ-‐イl / ,. __i_i ___.l r=ュ._,ュ.j l i´`i_ < >
,ir‐i´_ ,.,-‐''"i k' >ヘ ,,. l l. j i ̄`' '´`i Y`Y`Y`Y`Y`.
,ィi l l l i / l .l i .l l>'i lヘ. ,ィ、l i i‐、
,,'i i l _rュ l l__l __.l l ,r=、!__.r‐ュ.l i i iヘ l i ∧
,r-イ __l ,イ l二l i  ̄,,. ̄ ,,、 l l i l  ̄,`' i´ `l.,_ ∧
l / `r`  ̄,rュi l! l / ヘ ,i' ヘ l l l l i l _l i`'iへ. 人人人人人人
,ュ/`=i .l ,'T, i ニli l i Y l l. Y l i l l l i l _ l i i .i< >
r=' 7l ,l l i ;._!ニ!,‐-.iHェェェHェェェK二lェェH仁niニヽ / / i i i< .和尚様ー! >
. l i_ _l ,!,-‐''"~へー =<〈 _<l_li__ヘヘ_il二l二i ,'丿 // // ,ィ`丶/l i_ l< >
. ト,.l _i>-、<>l><>>'´; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; `'丶. <l!>l<>l><Y`Y`Y`Y`Y`Y`.
l./ `ヘ._.i `<> </; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . ヘ / <i<> <>.<./
`ヽ. ir `>、<>/; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . ヘ,'<>、< _k ili /
`''ー ,.,_ 二 > l; ; ; ; ; ; ; ; ; ; 東海寺 . . . . . . . . . . . l < 二 _,.,-‐'"
 ̄ ̄ ̄∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;.. . . . . . . . . . . . . . . . . / ̄ ̄ ̄
∨; ; ; ; ; ; ; ; ; ; ;. . . . . . . . . . . . . . . . , '
ヽ.; ; ; ; ; ; ; ; ; . . . . . . . . . . . . . . /
`丶.: : : : : : : : : : : : : : : : >'´
`' <三三三二>'´
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | なんだ、騒々しい。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
、 _,. -‐‐ '''''''' ‐‐-- .,l,_
,.r '´ ヽ
./ ,.,.,.,.,., l
/ :;:;:; _,,..,,__ l、 和尚様!
l、 ,.r '´ ` '‐- ., ._ ヽ その、十兵衛様が来られたのですが、
i / ,.r-'',ハ''''' --''''''‐‐-- ' () .| .随分酔っておられるようで、
ヽ',/´::// ヽ`'',.`r‐'‐-..,,,:| |`'::''‐ 寺僧の方々に絡んで、芋酒を飲め飲めと…!
/ ':::::,:/_,,....,, '''´'r'':, .| |/`i:::l`
ヽ/ |:::l '",rヽ , `‐' ,.,. .|‐| .|::ミ
´ヽヽ. ゞ' 、 '´'´ .l-l ./:レ
. '、', u. .//,.‐,‐'  ̄ '!‐'''  ̄'''
. ', r_‐. ./∧ヽ,!r'´  ̄ `'ヽ- 、
.'' ヽ、 ./ ./ ,. ‐、__./ _,l
,.r-‐''´ `'' 、' ‐ .,___,.. ‐'" , '/ -‐‐''´ `ヽ、
./ ,.-‐''''''‐- .,`''''''''' i,.l./ ,..---ノ,.''
./ / '',. -‐‐'' ''´ ̄ ‐'´,.-‐'
| / / ,. -‐ '´
l / ./ ,. -‐'´
寺の小僧
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 .-ゝ イ -ノ| | …馬鹿野郎が。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| わかった。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ すぐに行ってやるから、お前は先に行け。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
, -‐''''"´ ̄``ヽ、
/ _ ヽ
/  ̄ ̄ {
l _ィニニア二二二ニヽ、j._
| 0Lj/-‐-レノ ノ_ヽ:::`ヽ
レ:r、/ イ゚テ ピト`|::| はい!
l:lヘ '" ,j '"/ノ じゃあ、すぐ伝えてきます!
ヽヽ、 u. r‐-, /'
lヽ、  ̄ /
_,r┴‐-`v´-‐j-、__
/ ̄/:.:.:.:| ̄ ̄`T ̄´|:.:.:.:l´ `ヽ
-
=東海寺境内=
,. ‐''´ `'ヽ、
/ ヽ、
/ _,,.......,,,_ ヽ
./ ,.r '´;;;;;;;;;,. ,;;;;iヽ、',
l /,.r'/.-‐'"/;/ ヽ ',
| r ",,,..,´_ ´ ,.-‐.、.l l
| .| ´. ,.-=、 ´,=‐、 .l .|
| | ‐" ・., ! ' ・ .!‐l, .| じゅ、十兵衛様。
| l´ `'‐ ' .lヽ'''´ ',.| いけませんぜ。
| .ヽ、 _,. 〉 / | 俺だってこう見えて僧なんですから…!
| l u. ./ .|
|. l _,,;;= =;;,, .l .|
| l / l
r-─ 'l ___ ./ 〉__
_,. -‐ '"´ 'l =ニ--ニ= l ./ i..,,,_
_,.-‐'´ ヽ 'l、 ''' .ノ `''‐- .,__
_,. -‐'´ 、 ヽ、 `'''' ´  ̄ ̄,.r l`''‐- 、
-'' ‐‐ 、 ヽ、, `''‐- 、___,. -‐'´ /::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::`'ヽ、 `'‐- 、 /::::::::::::::::::::ヽ
東海寺の掃除坊主
,. -─────────‐- .、
// ̄ ̄\ / ̄ ̄\\
/ \
/ :::::::::::::::::::::::::::::::: \
/ / / ̄\\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::// ̄\\ \ ん〜?
/ | |. ┃ .| | ::::;;;;;;;;;;;;;::::| |. ┃ .| | \ .つまり、この十兵衛の酒が飲めないと
/ \ \_// :::::::::::::::::: \\_// \ そう言う訳かお?
/ ../ ̄ ̄\ / ::|:: \ / ̄ ̄\.. \
/ ::::: | | | ::::: ヽ 芋堀り坊主だってなら、
| | | | | 芋酒の一杯くらい飲んでみたっていい筈だお?
| \__/\__/ | .ほれ、ぐぐっと一杯…。
| | | |
| |r─‐┬──、| |
ヽ |/ | | /
\ \ / /
\  ̄ ̄ ̄ ̄ /
-
.
, ../', .
.、、 ..,'.', ./ .| ,,
.ヽ\ ..、'ー、_ ../<~ヽ,..、__//
ヽ ミ、_ノ) .`:_,,ノ ..'` ヽ'
..1 ./'' ´`、__,,,,, ..rー'ニ=く、
| / ,,。 .ヽ‐・" .`~´、____,)
_,,ノ,.' ノ ..,、__,.,,。‐‐ ..ヽ
`ヽ.´ー‐''フ´ r'ー'~´..__,,,a ..iェェェ´'ー,
..| /´ ,, ||\ __|j~j ..|f、 r´
ノ,'_,,ョ,〆j .|'~~ ____ ~ `.)i/
.<´.~ ..| ..|.i゙゙゙ー‐、_ヽ、_//|
`、__ `゙゙エ・´ '、`ー‐'~ . ̄..`'ヽ、
)~ ヽ、 ,,,,,,,,,、 .\_,・‐ェ~' ノ.j,'
./ .〉、_ `i ix´~ヾ゙/_,,,。´ェ'´
.c' ,/.,| `ー' ..__,,,,‐',・'ー'・ー、、(
..,i /.'´ゝェュ ../、‐゙゙゚´,,,. ,,,Jjヽ、
..| /./´ / ..ノノヽニ〆,*´~‐´_,・‐
..| |/‐、 / ///.´、____ノ゙' ̄ヽ`。
..i´ `j,i ..r´ ..//..|、. ..,,ノ..ノ
..ゝ__/,゙/~、__ノ/,。‐、エェニニニニニミv'、'
''´ .| /´ ヽ ../ `\ヽ
|./ ヽ/ `'`
`' ..'
.
-
_.. -ー'''''''―-..,,,
/゛ `゙''ー ..,,,,,,__、 \ \、_ハノ
,i'゙,,....,,,、 ,,,,.....,,..二T" ヽ\).',..、
i./ `''、 `'';;;;;;i、 / 十兵衛ッ!
,!l 夢> i'i|.゙l , `'- ヽ,) 俺の歌を聞くがよいわー!!
l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、 ) ) .
!l,,_ l / '´ ...} /`ヽ 『芋酒は 芋掘僧にくれもせで
.',_/ / ! /..l_) つるをたたさぬ 人はなんしよよ』ッッ!
l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ / .l,)
l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\ _,,,,.............../ ! /-、
リ',、 .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ / .,.‐', l .,ソ/ヘ '"
'!|.l. / .゛', ;;l" / ., / l, .', // //7/ヘ /l ト、 |\/l ト、 |\
_,.l,', ;;,'-'./ ゙./ _,,,/ ! ..l ,ゞ゛ ___,/ _____V__ | l ヽ| | l ヽ|
,./ '" ゙''" / , ''"'''"| / .l l .l./
i'" ./ ./ / ., '~', .l ! / ;',
_..-'"゙゙フ'./ / ,/ ./', .', .l /;:;:;:;:;:|
/゛ イ゛,/./ ,/ ,,-', .l .', _ '";:;:;:;:;:;:;:;:;| .、 ,
, ',゛i!〃゛ / ., ''.l ', .l ,,ミ'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',゙''-、、 ゙',ゝ、,.l,
,..┴-iフ" ./ ._‐{ . ! ', ._ノ'l丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| `''' !./ -',、`′
/ / .// l ', .,ゞ゛ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: ! . ゙'- `'
/ . / .,,/゙l゙ .! .l ._ソ" .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !
/ ., ''l'7 ! ヽ,,,,','"| ',;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}
./ .,-{..,i,' | ′ .l_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;!
: '.l.,,i'゙.l |i./ .ヽ .',,'',、 .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
..ィ ! ', ',`'、. _,,,',. ゙リ..,,,_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
', l l..,ノ'´ `'-、 .,,...../ ゙'イ;:;:;:;:; ゙゙̄''゙‐' ..、;:;:;:;:;:;:;:;!
.l .!/ `'-,, \,ノ゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
.,','----.... ......,,,,,_、 `'く、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.!
. ゛―----........,,,,_、 .`゙''''ー-ミ;;ッ、,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.!
------ ....,,__ .`゙"'― ..,,、.゙/゙'''-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l゙
ー''''''''''''―-..,,_ ゙゙゙̄"'''ー ,,, ./゛ `''ー ..,,,_;:;: /
`゙'''‐ ~
-
_.. -―'''''''―-- ..,,_
,/ `゙''-、
,/ _..-'''''―- ..、 \
/ .,/ \ .ヽ
. / / ヽ .ヽ
/ ./ 夢 ヽ ヽ
/ ./ , .l, .',
./ ,i!゙',、 _ノ.l/j !
! .,'―‐`-lii、 . ,,rl┴''''ー l! l,
./ i!'-、 .!ゝ . '.l、 / .!′ ,..''7 .ヽ /\ /| /゙i
./ ./ 'イ''ニ=rirr,'|./ .ヽ`-`-`-''',/゙l \ \、_ハノ ヽ、|/ |ノ (,ハ人_人、//l
/ .l゙ " ゙′ l \)' '( l.
. / ! ,.| . / 続けていくぞコラァッ! \,
.'" !ヽ y i;;;;;;、 'i, ../ ;:;l ヽ,) (,,r'
|;:.! ,/,' .,,r;;ニッiiiiiiiiiiiiii;;;;r、 .l', .!;:;:;:.! / 『いも酒を のめばいもせの中よくて \
|;:;:;:! .// i',{ .iー'''''''''''''ー'i i!|i ,!} l;:;:;:;l ヽ ぬかごをうむと 云はまことか』ッッ!! r'
|;:;:;:| .{ ! ./ ゙" !" l',./;,! l;:;:;:.! _) (
!;:;:;:.! ヾイ.,..-ー'''''''''''―- ..,..!!./ |;:;:;:| ,) /ヘ '" ヘ (,
!;:;:;:;.! /,ii/ l;,ii;| .l;:;:;/ /-/ //7/ヘ /l ト、 |\、 /\ /\゙i\
l;:;:;:;:;| .l;| } !,!:l" /;:;:/ / V | ,l ヽ| V ゙i
l゙'-,;:;| !| .l :l".! │;,イ
!、 `'', │ ! l,i,'-/
i,',',iiiii、\ .! . ! .r',゙.l'''7
., .l', .リ、\.l レ'.l- l!.│
. l, .!l 、 l`-',/、 ,i;;;;,','" l_./、
l、',l \ l ',`'リー .... イ゛ !., '"/.i', 、
l l, .,!`′ .`-,! ! .! ! ,ノ゛ // .l .|, .|,
! ,'i l ゙゙''ヘ..,|_ ._l..-'" .′ ', .l ! . l ゙',
.l ! l./  ̄゛ l" !/゛ ',
´ ′
-
____
/ \
/ ─ ─\
/ (○) (○) \ …………………………へ?
| u. (__人__) |
/ |!!il|!|!l| /
|ェェェェ|
,. '"´三二二三`ヽ
/,ィ彡'"´ ̄  ̄ ``ヾミヽ
/ / 夢 ', ヽ
/ /::( ノ:::) ヽ
/ /く´‘`ヽ ',从,' ∠‘``', ヽ
/ ハ´ ̄`フ.:;;;;;:: ヽ ̄`フ', ヽ
/ / ,, ,, ', \ \、_ハノ
/ /::、 / .;;;;;;' ヽ /::ト、 ヽ\).',..、
./ //:::::::; l /⌒ー一⌒ヽl ;:::::ト、V . /
/ // 1:::::; V.:ViiiiiiiiiiiiiViiV ;:::::ト、V ヽ,) 今の二首、意味がわかるかッ!
/ // ./.l:::::;. /l /´  ̄ ̄`ヽ ;_ ___ノ) ) .
/ // / l::::; l | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ;::: ̄\ `ヽ . どうだ十兵衛ッ!!
/ // / 1::; | |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ;::! i i _) .
. / // / / l:::;. |WWWWWW! /1 | | .l,)
/ // / / .|ヾ、 L二二二ニノ / | | | /-、ヘ '"
. / // / / |(__ノ\ /xxxxxヽ/ /! ! ! .,ソ/ //7/ヘ /l ト、 |\
. // / / ノ ', l}}}}}}}}}}}}} /| | | | / / V | l ヽ|
// / / ハ:::::::::.\ V´ ̄`Vく/ l | | |
. // / / l >.-、/ ヽ ヽ | | ! !
// / / |/ / \) l/ | |
.// / / V 〉 '"´ ``ヽ). | !
/ / 〈 '"´ ``ヽ) l/
-
/ ̄ ̄\
/ .u \ あ…ありのまま 今 起こった事を話すお!
/ ヽ ノ u \
/´| fト、_{ル{,ィ'eラ, | 『東海寺で寺内の連中に酒を勧めてたら
/' \ .(__人__)⌒` / 和尚が短歌を詠み始めた』
,゙ / )ヽ(,`⌒ ´ / ヾ、
|/_/ /  ̄ ̄ ̄ ヽ な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
// 二二二7 __ `ヽ 十兵衛も何をされたのかわからなかったお…!
/'´r -―一ァ‐゙T´ '"´ -‐ \
/ // 广¨´ /' ´ ̄`ヽ ⌒ヽ
ノ ' / ノ `ー- 、___ ヽ }
_/`丶 /  ̄`ー-- {. イ
/ー--- 、 _ ,...... -ヽ
| 〈
} 厂 _,... -└ フ
| .ノ,.-'´ ._,,,yr彡
{ ◎=∠,.-ー'´从从ミミ
,i' ̄ ̄`` ノソ^ ,. -ーノノノミ .いや、別に難しくないんじゃないでしょうか?
i iへ/ 0 〈 ちゃんと答えないと和尚様に叱られるんじゃ…。
゙i |δ .u. ″ ゝ
`'リv , >-、 ,.-,ノ
,´´''l;|,__ `-、_,.フ ,,,,_
゙<| ̄| `-、_,.-´| ̄ ノ\
-
r 、
,..-‐ '' '' ¨ ゙ ゙  ̄ ゙ ¨'' - . ヽ、゙ヽ
,.< , ,ィ .ヽ ヽ .ヽ、 なぁ〜に言ってんだお小僧!
/ ー-一''"´ ,ィ彡f,ィ"´: : . ヽ .} ヽ、 それに、唐突に出てきて何を仰るかと思えば、
/ ,ィ彡彡f゙. : : : : : : ゙; ,' } .和尚様も冗談が過ぎますお!
.,' . i ㍉彡".‘ : : : : : } ,/ .}
{ ,l ¨゙''=、 ,!' ,' 御出家の方々とはいえ、
{ / ,, ,ィ’、 / ' 芋酒を飲んだらどうするかなんて、
', ,ノ ,ィ彡x! r‐'"ゝ' \ / .男なら誰だってご存じの筈ですお!
.', . ,ィ彡彡"、 ,イ、ゝ" \
. ', 彡彡''"´ `¨ヽ< ゙i
', ". : : : : : .\ ノ
', : : : : : ゙ー-‐''"
'、 : : :
ヽ
\ /
`==-==ィ'
r- ._ _.<
゙ヽ、 ¨''‐-‐''"
` ._ _ .
` ‐- '' ¨
-
+ ____ + 。 ゚。
+ /⌒ ⌒\ + (,.)´)´)´))
//・\ ./・\\. |~U~゚ ̄|゚o もし知らないって言うなら、芋酒飲みながら、
. + /::::::⌒(__人__)⌒::::::\ .「ニ|:/::u ::::| O この十兵衛がとっくりと聞かせてやりますお!!
| トェェェイ |. { | |
+ \ `ー'´ / i.L|______| + あ、なんなら十兵衛の奢りで
_|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_ 吉原にでも連れてってやろうかお?
ヽ -┬―┬- <
ヽ .|ニ| ̄|ニ| /_ ──┐ ヽ| |ヽ ム ヒ | |
|___| / ̄ / /. | ̄| ̄ 月 ヒ | |
ノ |___| _ノ \ / | ノ \ ノ L_い o
'((/'" ヽl'ヽ( ヾ ヽ ヽ _
-''''‐-_ ノ (-l , (-) ゙i, ∩,) == |/ //⌒ l l \ヽ l|l|l|l|ll|l|l/
/__ \_<,__ ノ ∪ノ ( ) l(-) (- ) ヽ l \ /
|´> -''丶/__,、_ \ | 〉⌒/⌒/ _ ) 〈 /_ `.u l´ 二 う わ あ … 二
| (-) (-) |l ヽノ u. ; / /(_ ̄ヽ_ヽ,, 、、 /___ // \
|_.〈、 _ ||;, ,,,, '' / ノ ⌒ ヽ/ l lニコ /( \ // l|l|l|l|l|ll|l\
_( /\ リl ''''''''''''''' / ( へ /ヽ | / 、__/ l/(lヽ |\_ヾ
ヽlr==っl/ l / )(0l (O )| | (〈 ⌒ヾ ⌒
| ヽ____/ ( / `- ' l | ヽ_ ゞl (-) (- )
____/| /^(__,, )、__u .| ヽ__ /ヽ| /.
| | ((l ヽ=っ l/ | | ヽ u
ヽ____ノ|/ (_,_ ノ l | ヽ
/ ヽ__ | ヽ 二二)
ヽ__ノ
その他寺で働く皆さん
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、. 。ゝ イ 。ノ| | フン。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | では、その芋酒を飲んで、貴様はどうだったのだ?
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| そのようになるまで飲みに飲んだ理由を言ってみろ。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____ て
/ u \ そ
/ / \\ そ、それは…。
/ し (○) (○) \
| ∪ (__人__) J |
\ u `⌒´ /
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 答えられまい。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | なら、これ以上醜態を晒す前に、俺の部屋に来い。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| .迎えが来るか、酒が抜けるまで、洗いざらい吐き出させて、
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ その後、説教してくれるわ。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
___
/ .u \
/((○)) ((○))\
/⌒)⌒)⌒).:::: (__人__) l_j :::\ /⌒)⌒)⌒)
| / / / |r┬-| | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒) U .| | | / ゝ :::::::::::/
| ノ | | | \ / ) /
ヽ / └ー.┘ ヽ / /
-
それから少しして…
, -‐''''"´ ̄``ヽ、
/ _ ヽ
/  ̄ ̄ {
l _ィニニア二二二ニヽ、j._
| 0Lj/-‐-レノ ノ_ヽ:::`ヽ 和尚様。
レ:r、/ イ゚テ ピト`|::| 柳生主膳様がお見えになられましたが…。
l:lヘ '" ,j '"/ノ
ヽヽ、 u. r‐-, /'
lヽ、  ̄ /
_,r┴‐-`v´-‐j-、__
/ ̄/:.:.:.:| ̄ ̄`T ̄´|:.:.:.:l´ `ヽ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、. 。ゝ イ 。ノ| | おう、通せ。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| よかったな、十兵衛。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ 三刻ちょっとで迎えが来たぞ?
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄ ̄\
/ ─ ─ \ もうおさけはのみませんお
/ <○> <○> \ のまないったらのまないんだお
| (__人__) | .いもざけなんてぜんぶポイーで(ブツブツ
\ `⌒J´ /
/ \
-
/ ̄ ̄\
/ u. ノ \
/ ( ●)ヽ 和尚様。
.| (__人_) このたびは兄が御迷惑を…。
.| u .`⌒ノ
ヽ ./
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | フン、気にするな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | こやつの酒や但馬の能に、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| つける薬がないことなど、とうの昔からわかっとる。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ ほれ、さっさと屋敷に連れて戻るがいい。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 「ありがとうございます」
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '.
| / ネ ロ '. } l そういえば、貴様はどうともないのか?
, - ―<! { |,ル } i! {⌒ヽ 昨晩、十兵衛と随分飲んだそうではないか。
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ }
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ /
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\ はあ。
/ (−) (−)ヽ 実は、途中で我に返りまして、これ以上はまずいなと、
.| (__人__) | .適当なところで酔い潰れた振りをして、寝たのです。
.| u. `⌒´ |
. ヽ nl^l^l で、起きたら兄の姿が見えず、
/ ヽ | ノ 小者に聞くと、東海寺へ行ったというので、慌てて参りました。
. / ヽ く
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | …そうか。
//イ / /::::、 '´ ` '|| | 貴様は、腕前に於いては兄に及ばぬが、
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| .そういう自制の効くところは、紛れもない美点だ。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ そこは大事にせよ。
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
/ \
/ ヽ
.| / ─ | …肝に銘じます。
| u (ー) (ー) | では、これにて。
ヽ (__人__) /
/ ヽ ` ⌒´ノヽ 兄上、お掴まりください。
./ / ∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | | ワ、ワカッタオー>
.\ “ /__| |
. \ /___ /
-
そして、その夜…
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...:::... ...:: :........ ... . .....:::... ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::.:::.. ....... .....:: .. ...:: :.... .... ....:::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..:::.. ... ....:::::... ...─- 、 .. .. ...:::.. ... ....:::::... ...:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::...::: .........:::: :...... / ヽ ..:: :.... ...:::.. ... ....:::::... ..::::::::::::::::::::::::
::::::::::::.. ...: :.... .::::..... ...:::.. l ..... ...:::.. ... ....: ::::... .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::.:::.........: ::... ... ヽ / .. ... ...:::.. ... ....:::::... ...: :..::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::. :. .:::::: ::.... .::::..... ` ー--‐' .... ...:::.. ... ....:::::......:: :::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ...:::.. .... ... .. .: .. ..: .:::.. ... :. .:::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. .:::::: ::.... .::::..... . :: :.. . ... :. .::::: ::.... .::::..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::____________
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/\_\_\_\_\_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::\_\_\_\_\_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::::::::::::::\_\_\_\_\_\_
-
 ゙̄''ー-、.._ _,,-―'" ̄
|| ゙̄''ー-、______________,,-―'" ̄
二.二二二二i===||________,| | | |
|| ||;; | | | ̄ ̄__i__ ̄ ̄| |―┬―┬―┬―| | |\
|| ||;; | | | | |: | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | \
|| ||;; | | | | |: | |. i i | | | |
|| ||;; |_| | |_|: | | (_;;). | | | |
|| ||/ /| | | | ̄ ̄ ̄| ̄''''――| | | |
|| ||/ /三.三.三.三三|_|―――|゚____,|_| \ |
|| || / \ \|
|| ||' \
//|| / \
//|| /
// / ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ ..... / _ノヽ_\ ) ;;;;)
| (─)(─) /;;/
. | (__人__) l;;,´ …今朝の事、大体わかった。
| u. `∩_ノ)━・' 主膳、手間を掛けたな。
. | |_ノ
/ヽ | |_ 和尚にも世話を掛けた。
| \_/ ノ ヽ 後で詫びを入れねばのう…。
\ / .| |
| \ / ._/
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ
/ (●)(●) いえ、私も兄上が来られた時点で、
.| (__人__) もう少しお諌めしておけば…。
.| u .`⌒´|
ヽ /
/ ヽ ノ
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー) それができれば上々じゃが、状況を考えれば仕方あるまい。
. | u (__人__) まあ、和尚のところへ向かったのが、
| `⌒´ノ ,r'゛ヾ .あ奴の最後の理性といったところかの。
.l^l^ln } `‐= )
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) 十兵衛には当面酒を控えるように申し付けた。
ゝ ノ ノ .) ;;;;) …どこまで守れるか期待はできぬがな。
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
/ ̄ ̄\
/ \
/ ヽ
.| / ─ | まあ、下手すると、
| u (ー) (ー) | 明日にでも飲んでそうですよね。
ヽ (__人__) /
/ ヽ ` ⌒´ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
. \ /___ /
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(●)(●) | で、あ奴の話はここまでじゃ。
. | (__人__) | 主膳、次はお前の話になる。
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
/ ̄ ̄\ '_
/ _ノ ヽ_\
/ (●) (●)ヽ 私の話、ですか?
.| (__人__) |
.| `⌒´ |
ヽ /
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
. \ /___ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ( ;;;;(
| (● )(- ) ) ;;;;)
| (__人__) /;;/ 「三十過ぎても一人身」
. | ノ l;;,´ 「分家の話もない」
| ∩ ノ)━・'
/ / _ノ´ …珍しく愚痴ったそうではないか。
(. \ / ./ │
\ “ /___| |
. \/ ___ /
/ ̄ ̄\
/::::::: / ヽ
/::::::::: (○)(○)
.|::::::u::: (__人__) そ、それは…、その…っ!?
.|::::::::::::: |r┬| |
ヽ::::u::::::: `ー'./ (あ、兄上えええええっ!!)
/::ヽ::::::::::: ノ
/:::: く
|::::: \
|:::: ヽ、二⌒)
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;)
| (─)(─) /;;/ 説教の最中じゃったが、十兵衛の奴が、
. | (__人__) l;;,´ 「主膳が随分不遇なので、なんとか考えてほしい」と申しおってな。
| `∩_ノ)━・'
. | |_ノ …まあ、あのような奴じゃが、兄として
/ヽ | |_ 最低限の自覚はあるということじゃろう。
| \_/ ノ ヽ
\ /_| |
| \ / _/
/ ̄ ̄\
/ u. ノ \
/ ( ●)ヽ …そ、そうですか。
.| (__人_) そのようなことを、兄上が…。
.| u .`⌒ノ
ヽ ./
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
-
| 理想を言えば、わしが隠居し、
\ | あ奴に家督を譲るのに合わせて、
/`゙''―‐┬ | .お前に分家を立てさせる方向で行きたかったのじゃが…。
| 、_ l ..|
ヽ 丿 | 此度の事で改めて分かったと思うが、
| あ奴はどうにも不安じゃ。
l\ とてもではないが、やはり隠居などできぬ。
l u. ,' \
人 丿 / \
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (ー) (ー)ヽ …あー。
.| (__人__) | まあ、そうですね。
.| u (_/ |
ヽ /
/ ヽ ノヽ
-
/ ̄ ̄\
/ \
|:::::: | さりとて、わしももう七十五。
. |::::::::::: | この先、そう長くなかろう。
|:::::::::::::: | ....,:::´, .
. |:::::::::::::: } ....:::,, .. …今回の孫も娘じゃった。
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ . 最早、父上のように、直接わしが
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: . 孫の手を取って剣を教えてやることは…望めまい。
/:::::::::::: く ,ふ´..
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´
/ ̄ ̄\
/ u. ノ \
/ ( ●)ヽ ………父上。
.| (__人_)
.| u .`⌒ノ
ヽ ./
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
-
/ ̄ ̄\
/ .\, 、/\ _,, 故に、わしの兵法を次に伝えるには、
| (●) (●) .| l;l どうしても十兵衛が要る。
. | (__人__) .| _,_,|,|_, .今のところ、わしを除けば、腕前において
| `⌒´ |, ト-=y 丶 一門であ奴を上回る者はおらぬからな。
. | } ヽ `i, ̄‐^l
. ヽ } ヾ~ ` i, 我が柳生家は兵法を以て立つ家じゃ。
ヽ ノ _ ヽ、 ;i, 三代に渡って御引立を受け、この身は諸侯の列に並んだが、
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i, そこを忘れてはならぬ。
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i,
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l
,y`;,,__ ,i /ii' / r-/| l l
_/^,,, ヘ l /iil / l"v' y } l
v=4⌒ヽ、 j --,,,if /iii| ,, 〈-ヘ_,、 <、 / i|
ヽ, ,, i、 _,,tv /iiiii ム、 / / ヽ、ヽ、_x--ー‐- 、
__,,,l ii Yi___,lk / }iiiiil ヘ __,,,,,,___/ `x'"^ ,,,,, \
^ ̄⌒ヽ ヘ、 ,ノiiiii|、__,,,y,,_,,,/ ヽ、 ,/ ,,,-‐‐ `',, ヘ,、
,,,_ \ ヽ `>- liiiiiiil ¬">-− ヽ ヽ i i/ _,, / } i
"- ,, } / /iiiiiiil / l l l lK ^~' / |
\ーヾ /iiiiiiiil / i i | |i`'ヽーミ_/ /
/ ̄ ̄\
/ \ ./
/ (●)(●)
.| (__人__) …ははっ。
.| u .`⌒´|
ヽ /
/ ヽ ノ
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;) さればこそ、主膳よ。
| (●)(●) /;;/ お前には十兵衛を支えてもらわねばならぬ。
. | (__人__) l;;,´
| `∩_ノ)━・' じゃから、心配せずとも、
. | |_ノ いずれお前には分家を立てさせる。
/ヽ | |_ 無論、相応の格でな。
| \_/ ノ ヽ
|\ /_| | …なんとか理想的な方向で進めたいと思うておった故に、
| \ / _/ .その辺りをはっきりさせず、不安にさせたのは悪かったの。
/ ̄ ̄~\
/ / ⌒\ い、いえ…!
/ (●) (●)ヽ そのお言葉が聞けただけで有難きことでございます!
.| (__人__) |
.| U (_/´ .| (よ、よかったー!)
ヽ /
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
. \ /___ /
-
/ ̄ ̄\
/ .⌒ ⌒
| (● )(−) 嫁の方も心配するな。
. | (__人__) 分家させた後、その家格相応の相手を
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ 迎える予定じゃ。
.l^l^ln } `‐= )
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) とにかく、十兵衛がああである以上、
ゝ ノ ノ .) ;;;;) お前にはしっかりとしてもらわねば困るしの。
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
/ ̄ ̄~\
/ ⌒ ⌒\ .やった!私にもようやく嫁が!
/ (●) (●)ヽ できれば乳の大きい娘がいいな!!
.| '゚~(__人__)~ |
.| |r┬-| .| (ありがとうございます、父上!
ヽ `ー―' ./ 主膳、柳生家のため、ますます尽力致します!)
/ ヽ ノヽ
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(○)(○) |
. | (__人__) | ……………………。
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
/ ̄ ̄~\
/ ⌒ ⌒\
/ (○) (○)ヽ ……………………あ。
.| (__人__) |
.| (_/´ .|
ヽ /
/ ヽ ノヽ
-
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...:::... ...:: :........ ... . .....:::... ...::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::.:::.. ....... .....:: .. ...:: :.... .... ....:::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..:::.. ... ....:::::... ...─- 、 .. .. ...:::.. ... ....:::::... ...:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::...::: .........:::: :...... / ヽ ..:: :.... ...:::.. ... ....:::::... ..::::::::::::::::::::::::
::::::::::::.. ...: :.... .::::..... ...:::.. l ..... ...:::.. ... ....: ::::... .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::.:::.........: ::... ... ヽ / .. ... ...:::.. ... ....:::::... ...: :..::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::. :. .:::::: ::.... .::::..... ` ー--‐' .... ...:::.. ... ....:::::......:: :::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ...:::.. .... ... .. .: .. ..: .:::.. ... :. .:::::: ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. .:::::: ::.... .::::..... . :: :.. . ... :. .::::: ::.... .::::..::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\バカモーン!/::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ギニャー!/::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::____________
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/\_\_\_\_\_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::\_\_\_\_\_\_
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::://:::::::::::::::::::\_\_\_\_\_\_
かくして、次の世代の気配を見せながら、
日々は少しずつ過ぎていくのである…。
-
.′::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚
i :::::::::::::::::::::::::::::/!:::::::::::::::::::::::::::/:::::::::::::j::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: }
|:::::::::::::::::::::::::::::i| |i::::::::::::::::::::::::/ j::::::::::/}:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.|
ええと…。 |:::::::::::::::::::::::::::::i| |i:::::::::::::::::::::イ /:::::::::/厶:j:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.|
『十兵衛が酔っ払って東海寺に来て、 ゚:::::::::::::::::「┬‐ュ≧=--―…__,.斗匕’ ー‐'^j:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
僧に絡んで酒を飲ませようとしたら . ゝ:_:_:_:_;ハ |///| Τニ=‐┬‐ /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..|
沢庵和尚に怒られた』って…マジ? .. / :::::::| |///| |/////.′/イ.:::::::::::::::::::::∧::::::::::::::::::..!
′:::::::| ゝ/ノ |///// / :::::::::::::::::::/ !:::::::::::::::::│
/..:::::::::::| /::/::/:: ー‐ ′ / :::::::::::::::::::/ j!:::::::::::::::::.|
. / ::::::::::::::| /::/::/:: / :::::::::::::::::::/ イ::::::::::::::::::│
ー―――:、 / ::::::::::::::::::://:::::::::::::::::::::::. l
} 、 r 、 ´ ̄ ̄ ア::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. l
/:::::\ { ヽ ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. l
. / ::::::::::::\  ̄ / |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::│
_ -  ̄` ー
/ \
, ' ,、 、 ヽ うん。
/ / ,ィ ィ/ ヽ ! | ヽ 冗談みたいな話だけど、まず本当なんだ、これ。
,' l , -‐-x i / イ-─リハ l ヘ ', 当時の沢庵和尚の手紙に、
i l ァ≠、/ ィニテ!/ l ! 和尚が呼んだ短歌二首と共に、
,'.| ゝトヘヒノ , ゞ-ィ fヽ | l 十兵衛の言動がバッチリ載ってるんだよね。
! ! ヽ_', _ __ | f ' i i
{ ト ヽ、 ,イィ/ ィ i l,' まあ、この出来事があった正確な日付は不明だけど、
トゝヽヘ_、-、_` t - イ /!ィハ/ソ まず、この頃(正保二年春)にあったと見ていいと思う。
r z' ,k-、
_ ┬ ヘ 只 /`7-、
/ ', ', ヽ/ ヽ' / / \
二 ̄\_ j`ヽ ヽ 丶 / / j ヽ /⌒二つ
/ )、 ' ヽ ヽ , ' , ' ム { /{ `ー
, , / 弋ミミ} \\ _// |彡 V \
,/ / / ヘ 7 \ / ,' .! / 厂
_/^´ | V Y / {_/ /
ヽ } } | ! {/ /
-
/⌒ソ/⌒ヽ、
. / // ..\ ._,
/ // .`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 /i
/ // \,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // |
/ // |
. / // 小出大和守殿宛 .|
/ // . |
/ // .|
./ // . |
/ // 東海寺 沢庵 |
ッ芝ヾシ⌒ヽ、 |
.ヾニジ \ ._,.イ⌒ヽ |
`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 . |
.\,. _., 、 . .リ
⌒´ \._,ノ
【正保二年四月二十六日の小出吉英宛書状(一部抜粋)】(※)
『柳生十兵衛にて、寒き朝、芋酒を先皆々へ興へくれ候て、我々には時儀も無御座候間、
「芋酒は芋掘僧にくれもせでつるをたたさぬ人はなんしよよ」と申。
又同「いも酒をのめばいもせの中よくてぬかごをうむと云はまことか」と二首をよみ申候へば、
大笑い仕り候て、まことかとは御出家の方々は、存無事とよく聞き申候とて、わめき被申候』
※「沢庵和尚書簡集」では正保元年と記載されているが、
上記抜粋箇所以外の記述内容(家綱元服など)を踏まえると、正保二年が正しい。
-
,,-‐…‐-
う わ あ。 /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
... /:.:.:.:.:.:i:.:|.:.|:.i:.:.i:.:.:.:.
これは…ちょっとドン引くなあ…。 {:.i:.i:.i:.:.|:.:|:.:|:.|:斗:.:.::::.
... 「ii||ii||ii||ii||ii|=‐‐''" ・ ]:.:.::::::.
しかもこの和尚の短歌も、 「iii||iii||ii||ii||ii||ii||iii||ii||ii||ii||ii|三三≧=ソ7y:::::.
随分とまた…いいの、こういうの? ....「i||ii||ii||ii||iiii||iii||ii||ii||ii||ii||iii||ii||ii||ii||ii|ニニニニニニニ彡::::::.
|ii||ii||ii||ii||iiii||iii||ii||ii||ii||ii||iii||ii||ii||ii||ii|ニニニニニニニニム:::::::..
|ii||ii||ii||ii||iiii||iii||ii||ii||ii||ii||iii||ii||ii||ii||ii|ニニニニニニニニム::::::::..
´  ̄ ̄ ̄ ` 丶、
/ 、
., ' \
/ \
./ ヽ
∧ ヽ ヽ
/ '. '. } '.
| i ∧ i ハ u .i いいか悪いかで聞かれてもねえ…。
! _|,. '^ヘ‐ 、, | 、.l」i|,、., | | ほら、和尚はああいう人だから。
'. | 八\ ト、 | i| |
∧ 八x行うミ \ . 行テY| / ちなみにこの二首のうち、
ヽ {\ 《 {:::::r'| \/ |:::リ ∧ / ' 「いも酒をのめば〜」の方は、
| 八_|` ー-ゝゞ= ' , ` 八i/ | 『後撰夷曲集』にも和尚の作として載ってるね。
| | | ,
! i 八 ι / | あと、文中に「(十兵衛が)酔っ払って」とは書いてないけど
八 |ヽ ∧ \丶._ ^⌒/ ハ 人 八 言動を読んだ限りだと、どう見ても酔っ払いだね、これ。
\| ∨ ヽ八ト-‐' ∧ハ ̄l;/,ハ/ }/ ヽ 和尚に咎められた後も、大笑いしてるし。
/ / .下手したら柳生屋敷から酔って歩いて来たのかも。
∠二 _ {
/ `ヽ '.
./ \___\
/ \ ヽ
-
. _ _
.. /: : :/: ::::::`ヽ
. /: : : /: : : : ::::::::::::\
|: : : : : :::::::::::: ::::::::::::::
|:::;i: : : ::::::::::::i:ハ:::::::::::
j::,ヘ: : :ヽ:::、:::{メ}::ィ:::::|
…ところでさ、この短歌、 . /:人 i:: ::ァテぅヽ fjハ:j
どういう意味なのかな〜? . /: : / ヾ{ `¨ , ノヘ.
.. /: : / 、 ー- 'ィ ノ
ねえ、知ってるんでしょ? / :/\ ::. >イヽr彡
教えてよ〜(ニヤニヤ :´: : : : : \ :/: :: |:::::|::::〈
:`ヽ: : : : ::::\ 、./:::人:::::`ヽ
: : : >zzzzzz≧rfチ:八::::::: :}
ヽ: : :::::::`ヽ::::::{{::ヽ:>-<> -'ヽ
- ―‐ -
, ´ ` 、
/ ヽ
/´ l ハ
/ ! ヽ ヽ …君、なかなか意地が悪いね。
/ / j、 ハ ハ 仮にもうら若き乙女である僕に、わかっていて、
′ i / ,/ \ | ∧ .そういう話の解説をさせようなんて。
l { j! / / / ヽ l !ハ …まあ、いいけどさ。
i |! /i / イ ノ -―- ∨リ l l
| ヽ l{ 斗匕ノ /i/ _ r=ェ、 y′ i| ト, さっきの二首だけど、まず大前提として、
lj! ト、{X=r示く / " "乂り` ハ l l ハ 「芋酒」が何か、という説明が要るんだけど、
|イ {ヽ! バ 乂ぃ ゛ー′り j i ト l 要するに、これは…その…「精力剤」なんだよね。
! l l {、∧ ,′ リ イ /ハ,ノ その、「アレ」をするための。
j{ j{、 ,ハ ′ u i ソ ノlイル
,{ lゝ ヽrゞ, > ., ヽニ ア ィ /´ノノ i′ 詳しいことは、「芋酒」で検索すれば出てくるけど、
iハ iゞしヽ! ` `t - イ ,j /´ ここでいう芋は、山芋のことでね。
ゞ , _,、 lj /イ ,、 .酒に擂った山芋を混ぜて燗にしたものが「芋酒」という訳さ。
__rユシー- ´! / |ー- ,/ ! .山芋というのは、強精作用があると昔から言うからね。
,ィ ´ v′_ i _ j `ー _
/ 、 ぃ ` / fi `ヽ
i rj{ /j / / !
-
,...::::'::::´:..:..:..:..:..:..:..:`:..:..:...、
/::..:..:..:..:..:..:..:..:..|:..:..:..:、:..:..:..:..:.`:...、
/:..:..:..:../:..:..:..:..: : 人:..:..:..:ヽ:..:..:..:..:..:..:..\ で、まあ、「そういう酒」を、
/:..:..:..:..:. /:..:..:..:../:.../ ヽ..:..:..:..i:..:..:..|:..:..:..:..:..ヽ 飲酒や女犯を禁じられている僧に飲ませようという時点で、
. /:..:..:..:..:. /:..:..:..:../:.../ .u V:..:..:|:..:..: |:..:..:..:..:..:..ハ 十兵衛も大概絡み酒な訳だけど、
/:..:..:..:./:./:..:..:..:../:.../ _V ._|:..:..: |:..:..:..:..:..:...:.ハ .そこに和尚が、
. /:..:..:|:..:.|:..||:..:..:..:/:.../ -'  ̄ V:.|ハ:..:从:..:..:..:..:..:..:.ハ
∧:..:. |_ _|_:||:.//:/ _,,-= -、 >八i:..//:..:..:..:..:..:..:..:.i 「勃たせちゃダメな奴に芋酒やってどうすんだバーカ」(大意)
乂:.:.イ|:..:.ハ/. 〃 イ:テ:::::rj.ア/:..:..|/:.:/ ̄ヽ:..:..:...:. | 「それ飲んだらアレの時いい感じになって子供できるってホントか?」(大意)
i:..:ゝ:..:ヾ:.|=ミ 弋ソ /:..:..:..:..:/ ⌒} .i:..:..:..:..:.l
. |:..:..:.\:Ⅵハ:::トj i:..:..:..:..// / .ノ:..:..:、:..:..| と、かました訳だから、もうgdgdだよね。
. |:..:..:..:..:..i ゞソ 、 ///. |:..:..:..:../_ /:..:..:..:.ハ:..:.| そりゃ十兵衛も、
|:..:..:..:..:..ハ/// ._ ィ |:..:..:..:∧:..:../:..:..:./:..八リ
. |:..:..:.i:..:..:ハ ヽ _..ノ .u |:..:.. /ハ:..:.i:l:..:..:.イ:../ 「ホントか?って知らない訳ねーだろ!」
ハ:..:..:l:..:..:..:..ヽ i:..:.:.{. i:..:.l:..:// i:/
八:..: ト:..:.:i:..:..:..:\ /ハ:..:.:{ V:.|:// ´ .とか大笑いするよね。
ヽ | ハ:.|ヽ:..:..:..ト:> 、 _ ィ、 ヽ:.| V/∧ …正直、この大意は>>1の超訳だから、
l:| .ヾ| \: |八ノハソ } ` /:::::::::\ .短歌に詳しい人が見たら、別の意味になるかもしれないけど、
` .`' /ノ ./:::::::::::::::::::::\ とりあえず、概ねの解釈はこんな感じだと思うよ。
/:/ /::::::::::::::::::::::::::::::::
ィ====─==./:::::::::::::::::::::::::::::::::::::: …ホラ、もう、ここまでで勘弁してよ。
ノ :/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
-
...... _, -‐::::::::::‐- ,_
。*:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚'*。
。゜::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚*
。::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚。
゜:::::::::i :::::::::::: |::::::::::: |:::::|::::::::::|::::::::::。
。:::::::::::|:::::/i::|:::|::::::::::: |:::::|:::::::::i|::::::::: :
ハイ、お疲れ様〜(ニヤニヤ :|:::::::::::|i::i|ii|::|:::|::::::::::: |:::::|:::::::::i|:::::::::::|
...... |i|:::::::::::|i__|ii|儿」:::::::::::ノ:::∧从ii|:::::::::::|
でもま、アレよね。...... |i|:::::::::::|z=- 、  ̄ノイ⌒ /:::::::|::i|
多分これ、和尚も十兵衛が |∧::::::::| , -=ミ/::::::::::|::i|
どうして荒れてるのかわかった上で、 .|::::::\::| / :::::::::∧i|
こういう戯れ歌を詠んだんでしょうね。 |::::::::∧| } /ノノrイ :::: |
|:::::::::::::::.:、 、 /::::::::::::::::::|
|::::::::::::::::::::::.、  ̄ ,.::::::::::::::::::::::::: |
|ノ|:::::::::::::::::::::}≧=‐-≦{_::::::::::::::::::::::::::|
, -= ≠亠=====‐イ 八、_::::::::::::::::|
/二∧二二二二ニ} |二二二二=7― 、
´  ̄ ̄ ̄ ` 丶、
/ 、
., ' \
/ \ …後で一発くらい殴っていい?
./ ヽ
∧ ヽ ヽ 「ヤダ」
/ '. '. } '.
| i ∧ i ハ i ホントいい性格してるよね、君。
! _|,. -‐ヘ一' .ト、」」i|_ | |
'. | 八\ ト、 | i| | まあ、それはともかく、
∧ 八x行うミ \ . 行テY| / .今まで和尚から何度も酒の注意をされてる筈の十兵衛が、
ヽ {\ 《 {:::::r'| \/ |:::リ ∧ / 酔っ払って和尚のところに来るような事態の原因は何か、と考えたところ、
| 八_|` ー-ゝゞ= ' , ` ,,,,八i/ 歌の内容や時期からして、おそらく、十兵衛の子供関連じゃないかと
| | | '''' , >>1が推測して、繋げてみたのが、今回の一連の流れなんだよね。
! i 八 )一 /
八 |ヽ ∧ \丶 __/ ハ 「(今度こそ嫡男だと)信じて待っていた赤子が、また娘だった」
\| ∨ ヽ八ト-‐' ∧ハ/l/ハ/ 「だから、十兵衛は飲みに飲んだ結果、東海寺に酒持って乱入した」
./ /
∠二 _ { …で、それを察した和尚が、
/ `ヽ '. 「お前が荒れてるのは”それ”が原因だろう?」と歌って諌めた、という訳だね。
./ \___\ 十兵衛の芋酒も、そのためのものだと考えれば、一応辻褄は合うし。
/ \ ヽ
-
│: : ′ i : : : :N__j/ i| :// . :/ . : : : : : : : : : : : : :.
,.| : : i / | : : : :i「'⌒刈/〈 . :/. : : : / . : : : : : : : : :i
./ | : : |{_ | : : : :| `'く,ノ Y ∨/. : : : // . : : : : : : : : :|
…>>1の推測混じりとはいえ、 . ...′| : :! | : : : :| \/ //. : : : : :/. : . : ,′
こうして見ると、随分と人間臭い話よね。 /. : .i| : : :|`T\i|: :Ν __ 〈/|: / ∧// /. :/
./. : :..||: : :│ \| /^ \__j∧/ . : ∨. :,′
生まれた子が男(後継)じゃなかったから ./. : : : .|l: : : :| _ ,′ `冖ケ . : : : : : .′
自棄酒飲んで、愚痴を言いに /. : : : :│: : :│ ,. 、 ´ /. : : : : : : /
和尚のところに行ったら、 /. : : : : : :|: : : : | :, 〈__ У --ァ.i|: : : : :∧.′
戯れ歌交じりに説教された、って。 ...: : : : : : : : l: : :l: :| 、 . イ}八 : : :/
/. : : : : : : : :ノ. : :|: :| \_,,. -‐= : : : : |: : : |\{
__、--――‐-ミ. : : : : : : : :j : , /.:.:.:.:.\: : : :i│: : :|
/^ 、 \:.:.:.:.:..... . \\___,// ∧:.:.:.:.:.:.:.:.>┴┬r---ミ
.′:..`:.:.:.:.\:.:.:.:.:..... . . .\___/ 〈 |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. .釗|:.:.:.:.:.:.:.
___
. -='´:::::::::::::: `::...、
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::. \
. /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::... \
/:::........./.....................}......ヽ.........:::::::ヽ
. /:::/::::::::::::::::::: /:::::::::::::::::∧::::::::::::::::::. 逆に言えば、
. ':::::::::::::::::i::::::: /イ:::: /:::/ ';:::::::::}:::::::', それだけ十兵衛が和尚の事を
.::::::::::::::::::|::: /' |:: // ⌒|:::::::::::::::: | 頼りにしてる証拠だとも言えるけどね。
i:::{::::::::::::∧/ }:/´ ィ f示}イ::∧:::::::|
|::::::::::::::::iィ f示 乂t リ }/::::iヽ:::: 実際、これが本当だとすれば、
|::::: \::::|乂t リ |::::: |イ:::::. よっぽど相手の事を信頼してなきゃ
|::::::::: {ヽ{ ′ /:::::::::::::::::{ こんな愚痴を話そうだなんて思わないよ。
|::::ハ:::::::个:.、 /ヽ一' .イ:::::::://}∧
}イ }\ト{ V≧/  ̄} <}/イ}イ´ 尤も、それを和尚が
/  ̄} ̄ {:′ 他人宛ての手紙に書いてるってのがアレだけど、
i 7 \ .まあ、寺の人間なら皆知ってただろうし、ノーカン…かな。
. _, r7-/| ′ \ _rx _ .この手紙の記述以外で、この件について記述した史料はないから、
/ }マr{^ゝ==イ丶 r‐一 r「7 \ .然程大事にはならなかったみたいだしね。
ヽ マ:ハ :} r「7´ / ^ヽ
i \/′ {____,r「7´ }
| / -=7 ⅩⅩⅩⅩ {′/ /
| / /ⅩⅩⅩⅩⅩ{ }
| ./ /=ー―――‐={ { {
-
...... .::::::::::::::::::::::::::::::::::i|::::::::::::::::::::::::i|::|:::::::i::i::::::::::::::::::::::::::::::::.
l ::::::::::::::::::::::::::::::: i|:::::::| ::::::::::::::i|::|:::::::i::i| :::::::::::::::::: |:::::::::i
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|儿:::::|ノ|::::|:::::::::::::::i|:::::::::|
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|/}:__ノ_ |- :、 :::::::::::i|:::::::::|
..|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|∧ | :::::::::::::ノ ,ィf,仭秀 》::::::::::::i|㍉ ::|
|:::::|:::::::|:::::::∧__}iノ__i| ̄¨¨´ ゞ孑'' イ :::::::::::::i| i}:::::|
ちなみに、宗冬の分家の話と、 |:::::|:::::::|:::::::|i ,ィf テ秀ァ /:::::::::::::::/ / ::::|
嫁取りについてはどうなの? ..... |:::::|:::::::|:::::::|i `ゞ `≠’ //'::::::::::::/_/ ::::: |
...... |::::,|:::::::|:::::::∧ } /___ノイ:::::::::::::::::
ていうか、この人、 ノイ |:::::::|:::::::|:::゚'。 ヽ r‐、 /}::::::::::::::::::::.
まだ独身だったの? . |:::::::|_儿}::::::::::. r‐、 r‐、,'ー'} _/ ,::::::::::::::::::::::゚*。
|_/ i|:::::::::::::\ i`゛i V_ノ ,' /_/},:::::::::::::::.::::::::::::::::゚'*。
i|::::::::::::::::::゚*。i | ' { イ , :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
i|::::::::::::::::r、_::::i l‐-{ iア ,' ハi:::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚'*。
,r‐―‐i入::::::::::::::{ノ }^゙i 、i i ' , |:/ ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
_ -  ̄` ー
/ \
, ' ,、 、 ヽ そりゃ、まだ自分の家を立ててないから
/ / ,ィ ィ/ ヽ ! | ヽ 嫁取りは難しいだろうね。
,' l , -‐-x i / イ-─リハ l ヘ ',
i l ァ≠、/ ィニテ!/ l ! この時期の宗冬は、
,'.| ゝトヘヒノ , ゞ-ィ fヽ | l .柳生家の三男(※)という形のまま、
! ! ヽ_', _ __ | f ' i i .書院番として働いてるわけだけど、
{ ト ヽ、 ,イィ/ ィ i l,' .まあ、宗矩の方も、
トゝヽヘ_、-、_` t - イ /!ィハ/ソ .分家させる方向で考えていただろうさ。
r z' ,k-、
_ ┬ ヘ 只 /`7-、 十兵衛があの有様だから、自分が亡くなった後の
/ ', ', ヽ/ ヽ' / / \ .本家を支える存在として期待していただろうし。
二 ̄\_ j`ヽ ヽ 丶 / / j ヽ /⌒二つ
/ )、 ' ヽ ヽ , ' , ' ム { /{ `ー まあ、その辺りについては、
, , / 弋ミミ} \\ _// |彡 V \ 次回(その68)で話すことになると思うよ。
,/ / / ヘ 7 \ / ,' .! / 厂 .それじゃ、話を戻そうか。
_/^´ | V Y / {_/ /
ヽ } } | ! {/ / (※友矩が死んでるので実質は次男)
-
さて、それからまた幾日か経ち、
正保二年閏五月六日、柳生家下屋敷…。
(:;:〃::;;;)
g _,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,:;::;;(:;〃:;;::〃:;;″
,ノ,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;丿:;〃:;;::〃:;;″''',
,,,,,,,,,,,,ノ゙,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;,ノ;:;(:;:;;::〃:;;″,);::〃
,',',',',ノlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll:;(:;〃:;;::〃:;;″ :;;::〃
 ̄ ̄ ̄l: ,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,ヾ:〃:;;:〃:;;;:〃:;;)
| 丿,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,,丿il″.゙:;ソ'l:;;::〃,:;;;:〃:;;)
| .l|l l:〃:;):; l ⌒ | |ヽヽ
,,,,,,,,,,,,,,,,|゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚l|l''''''''''''''''''l :〃 ;),, l゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚|゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚゚| ;丿:;〃
l:l'''l |:::::::::::::::::l|l | ̄| _ l:;:〃:;;). . |::::::::::::::::::::::|::::::::l| ̄l|: ,:.;,丿;;;:〃:;;)
l:l,,,l |:::::::::::::::::l|l |_|:| : |:l: /~~゙ヽ' |::::::::::::::::::::::|::::::::l|柳l| ”ー、,,,,,_
l:l,,,l |:::::::::::::::::l|l : ::.l: ヽ;;:;丿,,,,-' |::::::::::::::::::::::|::::::::l|生l|.,l: `゚‐
""""|:::::::::::::::::l|l ._,,,,,,,,,,,,、lr''''''゙゙゙~ |::::::::::::::::::::::|:::;;;,.l| l|゙` ,'''゙゚゙"ヽ
.llllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll,!'''゙゚゙"ヽl| l| *i,,,'l_ :;:;::゙:;
: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : .'l_ :;:;::゙:;|l" ̄:;:ヽ `─"'
`─"' ヽ_,,丿 .,.,:;;.,;
-
___ _
-‐''"´ ̄ ` `''ヽ=、
,.‐''"´::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
r(:::::::::::::::::,、_ィ::::::::::::::::::::::::::::::::::
ゞ, rr〜ヅ ミ:::::::::::::::::::::::::::::::::
フハ ミ::::::::::::::::::::::::::::::
. l __,,. -─¬,〈:::::::::::::::::::::::::::::: …またなのか?
〉゙゙`'''ニ二 ̄ ヽ::::::,ィ ,、ヽ::::::: もうちょっと先に延ばせぬのか?
. / "" U }:::/ /ヽ ハ:::::::
/.. "´ 2ノ/ l:::::
. ヽ.ニ,` __/ :l::::
. 'ーr‐- .ィ l:::
〈.. /:{ ヽ
`} /:: ! i
丶、,、. イ:::::: !
/ ̄ ̄\
/ ._ノ ヽ、_
| ( ⌒)(⌒) まことに申し訳ござりませぬが、
| (__人__) 何卒、お願い致したく…。
| u. `⌒´ノ
| }
ヽ }
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
実紀に「六日、柳生但馬守宗矩が別業にならせたまふ」とあり、
この日、家光が柳生家下屋敷に立ち寄りしていたという。
-
そして、その二日後の閏五月八日、
江戸城にて…。
}k
ノ;'l{
_ノ;人'、
}、、__,. -'',r'/p、ヾ、
,}”ー--、."ニー--゙'ゝ ゙'‐、__,、ャ,
,、 /;;,rlT=イ__~ ̄~^~^''ー‐---、.y"
,irこ;;;},|i || ~||~゙ ''l!tー-n-;t{;/
,j r'i!_、_}-二 ニニ゛‐-,k!i、,、、」|__,|トッ
、_ ヤ{/iコ};,^;;,,,;;;,‐,-,=ノ,ム=_-__ーネ{´,
,};コニニ/7r'|”~,__,゛,/ノ 。 \~^~^”””'ヤ
i!;;;;;;;;;;;、i!__| ,i-!;'"/,r'^v^‐、\iコ~|レ=i、
,}`ー';;;;;;;;;;;;;;;}r‐''”_,.-''/ [iillIII}}}] 、゛\i!、;;;;i、
/,Eャッririririrnm;y、^,、ニニ ー_ー‐-ー' ゛\,;;;i{、_ ,.ィ
/,r"=|、__  ̄~””””””'''''''ー,rk':;firiririnnm;y^~三ニ;:ニ'}
,/,r"=/|::::.. ̄~゛゛``''';::::::::::::ー‐,ノ,ム-.,, 、.、.゛,.___゛~^~゛^i;/
,、 /,r"=/,;l,,,::::i::::|iillIIIIIIIIII|||:::::;7/,r' ``i、:::.iヘ::::::::. ̄~''''''':|
. ォ}仁二Vェ^仁 ̄~"""゛””””''ー/,r'" .,・、 `\[iillIIIII|||]:::::::::::| ,
i!;;;;;;;;;;;/イ'^トー‐-ニニ二、こ,.-'" ,r' ,.-ー{ }ー、`、\"^"^"^"^゛''ー'}
,il;;;;;;;;;;;;;:^^i'|::::::::::::... ,. -''"_, -'/―‐‐`´ ―`i、゛、\゛^゛""ー'r/
i l;;;;;;;;;;;;;;;;;;,'|::::i,,. -''^_,,.-''′/' ,;iiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiiilllll `i、` 、゙-、:::::::::|;it======r'7
_r,=ーヲー",,:;;;;;;'7rイ~,. -'''~,._-_''~´..::::::|iillIIIIIIIIII|||||||||}.:::::゙'‐、 ` 、゙''-、:|;;;`i、;;;;;;;;;;;;~ヽ、
〕{ュョiririririrm;;;;;~_,n、 ̄__二;;;,,  ̄~゛゛゛'''''',,;;;;;;;;;ー―‐---`ゝ、` -、~ヾ,,;;ヽ、;、;,._;;_;;_,,'‐、
../,r'ーl~~~^~_,.,r'%%r===%%''ュ.,_"‐^"‐''=fhifhicifcifriririririyr'g'y'ng'y''ngmgigpmgwwiV} `''‐、._
/,r'=r|::::::::,r7=-ー''^`ー"^ -、_=フ:::::::::::: ..................._________ ~"””””””””””””|”””riririririnfzmir'7
ゞ゛ヾ゛;:"゛ゞ"'';;,r';";;ヾ、:::::::::|::::::i####lllllllllllliiiiii;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ̄ "''''' ::::::::::::::::::::::::::::|”””””””ヽ、””””"
ヾ、ハ,;;^",,;;;;;,r''^"::;''"",r'::::::::|、::::||iiiiilllllllllIIIIIIIIII||||||||||||||||||||:::::::::::|llllliii|::::::::::::::::::::::|^~^~^~'i~"
ヾゞ,、;:,,y''''7''""""'';;'':::::::::::::|;;`ヽ;、_,、::;;;;;”””””””””””'''''''''..::;;;:::::;!!!!!iil::::::::::::::::::::::|::::::::::::::::|
::ヾ、,,;;;ハ;''"""'''';;::''"""''r,、hhhhhhm}{メfタfタfチfツfヨfヨfヨfヨfモfヨfルfルffルfル%%$%$%$$ユ:::::::::::|
''"゛;;;;:::"''',,《;;;;''ヾ、,;""~~^~^~^~^~|^`‐'___`ー'___`ー'__`'ー' ``ー' ``ー' ``ー' ``ー'`-ー'"::::::::::::::|
ヾ;;;,,ゞ,r'"";;,," .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|~^r'_ノ`i~,k'_~T"v~「^j,Tニソニi`ウニ{''T;ニj7{ヘ""""""""
;;'ヾ,r";r'ヾ'";:" ;;;;;;;;;i:::::::::::::::::::::::::::::|´)、_}ーv'´ヽ^{~フ〜v_~ゝく,ノ~i´_K´メv_~Kトー{_{、ヽ、j、_}~ス、
;;;''ゞ;;;,i^'',、lll||||||||||||:::::::::::::::::::::::::::::|r'_ノ`i~,k'_~T"v~「^j,´)、_}ーv'ケ^〜v__ゝ;く,ノ~i_jヘヽv~「^j´)、
;;',;ヾ;ヾ;、;;;'''゛iil||||||||l::::::::::::::::::::::::::::;|シ、_}~ス、く,ノ~i´_K´ナv^ーヌ_ヽ^{~フv7_,r`}フ〜vレン、ヽフv_,r`}ヽ
Il"^ヾ、,rーir;======i、ーy'-;ーkー┐,}イ_,レ´i~,;k'_~メv^-チ_ツゝく,ノ~v^j,´)、_}ゝク-ヽヽノiス´ヽ^{、
;;|,-r‐'y';_rllr======V´)、_}ーv'´ヽil~シ'_ノ`i~,k'_~T"v~「^j,´)、_}ーv'ケ^‐スj〜シ'_ノ`iへヽ}v'ケ^〜v、
-
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;! '~ "~ `i||i" '' `ヘ;;;!
|;;;| ヽ` u ミ;;;| 仕方ない、暇を許す。
_ゞ;!,-;;;;;;;"フノ ヾ`;;;ヽ 、ミ;リ
!ヘl;|.,,_==-、く` ,>゙-== 、「ヽ …その前に、せめて少しくらい
!(,ヘ!  ̄'" |ミ.' ̄" , ドリ 相談に乗っていってくれよ?
ヾ、! !ミ ,レソ
`| ^'='^ ム'′
. ト、 、,.-‐ 、,, /|
i| \ ' ニ イ.:|
,イi| ゙、\ ( /リ.:;ト、
ノ :.:i| ゙、 `ー─''゙:::;:'::::::!:::\
/⌒`"⌒ヽ、
/,, / ̄ ̄ ̄\
/,//:: \ 有難きお言葉にござります。
;/⌒'":::.. |⌒ヽ 勿論、この但馬が御役に立ちますならば、なんなりと…。
/ /、:::::... |ヽ_ \
__( ⌒ー-ィ⌒ヽ、 /⌒`ー'⌒ )
━━━`ー──ゝィソノ-ヾy_ノー─━━
この日、実紀に「八日、柳生但馬守宗矩就封のいとま給はり」とあり、
宗矩は、所領である柳生庄へと戻る許しを家光から得ている。
-
.________________________________
|| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|| <………!……?
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.《》 ||| 《》..:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|| <………………。
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:|||.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:||
||_______________|||_______________||
. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【家光と密談中の宗矩】
なお、実紀ではこの後、「御密談数刻に及ぶ」と続くのだが、
二人がどのような話をしたかは、記述がなく、不明である。
ともあれ、宗矩は元和元年(1615)以来、
30年ぶりに正式に所領へ戻ることを許されたのである…。
-
乙でしたー
-
おつー。
メンテに巻き込まれたか。
にしても、キャプテンハーロックは不意打ちだったwww
気に入ったのか>>1さんw
-
アオイホノオ面白いもんなあw
著作権とか大変そうだけどwwwww
-
なんぞしたらばのメンテが入って、途中で投下が途切れました。
というわけで、>>391の続きをば。
-
│: : ′ i : : : :N__j/ i| :// . :/ . : : : : : : : : : : : : :.
,.| : : i / | : : : :i「'⌒刈/〈 . :/. : : : / . : : : : : : : : :i
/ | : : |{_ | : : : :| `'く,ノ Y ∨/. : : : // . : : : : : : : : :|
あら? .′| : :! | : : : :| \/ //. : : : : :/. : . : ,′
宗矩って、ついこの前にも ./. : i| : : :|`T\i|: :Ν __ 〈/|: / ∧// /. :/
柳生庄に戻ってなかった? /. : : ||: : :│ \| /^ \__j∧/ . : ∨. :,′
/. : : : |l: : : :| _ ,′ `冖ケ . : : : : : .′
/. : : : :│: : :│ ,. 、 ´ /. : : : : : : /
/. : : : : : :|: : : : | :, 〈__ У --ァ.i|: : : : :∧.′
.: : : : : : : : l: : :l: :| 、 . イ}八 : : :/
/. : : : : : : : :ノ. : :|: :| \_,,. -‐= : : : : |: : : |\{
__、--――‐-ミ. : : : : : : : :j : , /.:.:.:.:.\: : : :i│: : :|
/^ 、 \:.:.:.:.:..... . \\___,// ∧:.:.:.:.:.:.:.:.>┴┬r---ミ
|ヽ|l:.:.:.:/|:l:.:.:.:.:.:..|:.,rー'''゙¨ヽ、:.:.:.:.|:.:.:.:|:.:.:.|:.:|
|/ l\/ l/|:.:.:.:l:.|!´ l:.:.:.:.:|:.:.:.:l!:.:.:|:.:|
|_/|/ ヽ、|:.:.:.!/ /:.:.:.:.:.|:.:.:.:.l:.:.:.|:.:| まあ、そうなんだけど、
|`ヽミ l:.:.:./ _,,,.. -ー/li.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:| 去年のも含めて、今まではいずれも
|ィト,/` l,/´ l:/|`:.:.:./:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:| 別の用のついでの立ち寄りだったからね。
|ソ,/ ___ ' i:.:.:.:/:.:.:.:.:.:|:.:.:.|:.:| 実は、宗矩が正式に所領に戻るのは、
|` ./,、 ̄`_ヽ|:./l:.:.:.:.:./:.:.:.:|:.:| 大坂の陣以来のことなんだよ。
| ,ト!(:.:rテ'/ ´ /:.:.:.:./:.:.:.:.:.:l:.:|
| ' ヾニ_ / /'ノl:.:.:/:l:.:.:.:.:.:.|:.:| というか、所領に戻るためだけで許しを得たのだと、
/iヽ ヽ 、_ ,/_' -‐':.:.:|:.:.:.:.:.:|:.:l 家督相続以来、これが初めてになるのかも…。
ヽ` \  ̄ ィ‐':.:.|:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.|:/
l`ヾ、 l--──‐─‐.' ´:.:.:.:.:.:|:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.l/ 「なにそれこわい」
_'、 \. |イ:./l/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,:.:.:.:.ノ:.:.:/l/:.:.:.:.:./'
l l \ `'i Y |:.:/ノ_ -‐!/l:./l:.:.:/ /:.:.:.:./l
〉、 ヽ | \ ` ´ レ i/ il_/
-
.. /.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.\
/.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ
.′.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.
::::: ::::::|:::::|:::::::: :::::::::: |::: ::::|::::::::::|::::.
そういえば、 .... i::::: ::::::|:::::|::::::::i|::::::::: |│|::|::::::::::|::::i
この「御密談」って ...... |::::: ::::::|_|┼-__||__|┼L|」 ::::::|::::|
何相談したのかしら? .... |:::::|::::::i┬‐┬ ┬‐┬::::::::|::::|
.. |:::::|i:::::|弋 丿 弋 丿.:::::八 :|
数刻ってことは、 |::::八:::辷 _}:::::/ノ:::::|
2時間前後ってところだから |:::::::::`T ⌒Tた:::::::|
それなりの話はできるわよね。 |::::::::: 八 ―― ァ 八ニ:::::::|
|:::::::::::::::::... . . イニニニ:::::::|
将軍と二人きりで |::::::::. -―j ≧≦ | \ニニニ :::::|
2時間の密談、ねえ…。 |::/.:.:.:.:.:.∧ ∨.:.丶ニ:::_
く\:.:.:.:.:.:/∧ \ |:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.
. /: : : : : : : : : : : : : : : : `ヽ
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : :ミヽ\
/: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : ミヽ\
/: : : /: : : : :| : : :.:/: : : : : : : : : : : : : : : : :ヽ 残念ながら不明だよ。
/: : : / : : : : : }: : :./ヽ: : : : : : : : : : : : : : : : : :', わざわざ「御密談数刻に及ぶ」とあるから、
/: : : /: / |: : :_/: : / _\ : : : : : : : ヽ: : : : : : : ', 柳生家の事だけじゃないと思うけど。
. /: : : : |: :| 十7:/ :.:/ ⌒ヽヽ¬‐- : : : | : : : : : : : ',
′:/: : |: :|: :|/}/l/ _\\: : : : : |: : : : : : : : :ヽ こういう記述が史料上にちょくちょくあるから、
|: :/|: : : ヽlヽ| -ー ´了ミぇ、:ハ: : : : L: : : : : : : : : :', 「柳生公儀隠密説」とか出るんだろうね。
|: :l |: : : : : ,ィァァァ 弋zツノ : : :|: : :k う: : : : : : : : :',
|: :l | : : : : |´´´ ,  ̄`` |:l: :|: : ム /: : : : : : ∧: } さて、それじゃ次に移ろうか。
. ヽ| ヽ: : : : |:ハ ′ __ ノ/:./: :// : : :| : : / }: | 宗矩も帰る準備が整ったようだしね。
\ハ|:ハ:l\ ー- 一 ヽ:/:./: :/: : |: : : / : / レ′
. |: ∧Ν lヽ. < : : : イイ: /|: : /:./
. ヽ{ ヽ{ T: :ア  ̄ 人|:/ |/|/
/ヽノ _ / ハ{
_ イ ∧/ヽ ヽト
-
そして、宗矩出立の日…。
/ ̄ ̄\
/ __ノ ヽ
| ( ●) ) では、十兵衛、主膳。
.| (__人) 留守を頼むぞ。
| rつ
.| ((三) おそらく、戻るのは
ヽ ( < 来年の年明け以降になるであろうが…。
ヽ /∧ ∨
∠ /⌒ ∧ ヽ
( \ / / ___)
|\ '' /|
| \_/ |
____
/ \
/ _ノ ヽへ\ わかりましたお。
/ ( ―) (―) ヽ
.l .u ⌒(__人__)⌒ | (この間の事があるから気まずいお…)
\ ` ⌒r'.二ヽ<
/ i^Y゙ r─ ゝ、
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、|
{ { \`7ー┘!
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒\
/ (⌒) (⌒)ヽ どうかごゆるりと。
.| (__人__) |
.| `⌒´ |
ヽ /
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
-
秀忠「表向きのことは土井に、内々のことは柳生に」
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 和尚も迷惑を掛けて済まぬが、
. | (__人__). rm、 こやつらを頼む。
| u. `⌒´ノr川 ||
. | },.! ノ' 特に十兵衛は、和尚がおらねば、
. ヽ r / .| 何をしでかすかわからぬからのう…。
ヽ ノノ ノ
/ / ./
| /
| i´
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | まあ、その程度の迷惑はいつものことだ。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 気にするな。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ …だが、できれば早めに帰ってこい。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` '|| | …俺の体がどこまで持つか
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 知れたものではないからな。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
て
/ ̄ ̄\ そ
/ _,.ノ ヽ、_
| ( ○) (○) 縁起でもないことを言わんでくれ。
| U (___人__) 面倒を頼んでおいてなんじゃが、
.| __ノ__ .なるべく無理はせんでくれよ。
| _/ ___\ヽ_
、 '-/____ヽ |
ノ 、 ._'-〈 、ヽ |
,´ ヽノ} |
/ { /
./ / / {
-
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \
(⊃ ( ●)(●) 六丸のことでの相談もあるでな。
| (__人__) 戻ったら、六丸を連れて東海寺に行くぞ。
| ` ⌒´ノ
| } \ 先方からの返事は来ておったかの?
/ヽ } \
/ ヽ、____ノ )
/ . | _/
| / ̄ ̄(_)
\ \ /| JJJ (
\ / /⊂_)
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、. 。ゝ イ 。ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | おう。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 前に大徳寺に戻った際、話は通してある。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ 心配はいらん。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) |
. | (__人__) │ そうか…。
| `⌒´ |
. | | ではな、和尚。
. ヽ / .くれぐれも自愛してくれよ。
ヽ /
> <
| |
| |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | うむ。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 貴様も達者でおれ。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
人 ./゙i
\ \、_ハノ ヽノ ヽ,ハ、//
\)' '(
∠ 殿の御出立ーっ! (
.) ,r'
/ヘ '" ヘ
/ //7/\、 /\ /\゙i \__人_人从_人_人从/
/ V ゙i _) (__
) 駕籠を出せいっ! (
 ̄ ̄) ( ̄ ̄
/⌒Y⌒Y⌒⌒Y⌒Y⌒Y⌒\
_n_n_00 ...
└i_n┌' [][]「l
く丿 くノ _n_n_00
└i_n┌' [][]「l
く丿 くノ _n_n_00
└i_n┌' [][]「l
く丿 くノ O O O
こうして、宗矩は故郷へ…柳生庄へ戻っていった。
-
.rニYニヽ
|レ / j |
!!_ イ } |
゙- '´ ,、 /j j
-''´ ,r'´ ̄`゙} j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
__ii__ | | ルリ-ト、|州リ | .|
イi j | | |,
` , イ | | | |
ノ } | |
/ | |
// / |
. // / ',|
/ / l |
/ i / ヽ
ん-ト、 | |'
ヽ/ / | | l
ヽ / | | レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄| / ̄| j
', { |. |
',__,r' } .| j
', | |`丶、r'
', | | j
── そしてこれが、宗矩と沢庵の、最後の別れとなったのである。
-
__,.ィ个ーx、
_r=彡_〃´ ̄`ヾ三^ーnへ_, 、
_ノz=彡´  ̄`¨¨ミV}
rイ多 _. -――-ミx ヾ:x_
/: /:/: : : : : : : : : i: : : : : : : :. `くハ
. /: : /: :/: : : :/: : : : : :/: }、: : :': : : : : ヽ.. ‘ハ
/: : /: :/: /: :/: : : : : :/: / ヽ : i : : : : : :. }:{
. /: : /: :/ : j: :/: : : : :,イ}: / '; : l: : ': :' : :ノ |:ハ
/: : :′:l{: : i!: ′: : : / j / Ⅶ: : :i : !: : '. .゙ヾハ さて、今回はここまで。
. /: : : l: : :!l: :j_l_j!:__:/ /′ - ―':f ト: }: :l: : :i:. }:ハ
': : :/: : : :li: ´!Ⅳ: : :/` ノ' _,}' Ⅶ : l : : } /ーヘ 現状の予定通りに行けば、
′: ': : : : :{i : l }lェム、., ィェf示゛ァ: i: : : ! :`ヽハ 次で、この「その67」も終わる予定だよ。
,: : : l: : : : : Ⅵ:k{ う:::::fハ ' う::::::リ 'リ: j : : j . ゝ-' /
.. , : : ィ!: :l: : : : lヽ` 乂zり ー゚‐ ′ !イ: : : i{ :}丁¨ …予定通りに行けば、の話だけど。
!: :/ i!: : i: : : : トハ , ノl: : : : j{ Κヽ
. l: :′l:i{: : ,: : : :l:.ーヽ /:i: : : :ハ____,xリヽ\
. iハ{ !ハ: :l , : : i:.:.:.:.:.:.、 ` ´ ,イ:.:j: : j/:.:jl:.  ̄
{ 'i ,: , ∨: {!:.::.:.:.:.:> 、 , イ!:.:.:ン: :/:ルl:ノ
.. { ヽ、 ヽハヽ}ハル八j..ヒ!ヘ, イz . lノイ: ノ}ノ リ`丶
/. ´〃 }レ'_二ニ[]二ミヽ:.:.:.:xイ// .イ ̄`丶
,イ {{ .L‘三斗xヾ二>':.:.〃/.// 〃 ヽ
ハ! }} V{ア/八!ヾ、{:::x彳/ .{:{ .イ ‘
} {{ .|| Y /彡' `ヽ} }イ:/ V!} ‘
l ゞx }}_ .| | | |イ ハ/ ‘
! アXイ Lj |/ ‘イ ハ
! Yア 、 , ヘ /! :! .__ __¨ ./
‘. γ /´ ‘. { :| ._) _) \
-
てなとこで今回は終了です。
今回もお付き合いありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
どうにか投下できたと思ったら、したらばのメンテで中断という
微妙な感じになってしまいましたが、全部投下できてやれやれ。
今回、大分長くなってしまったので、思わず前後編に分割ゴー。
予定通りに行けば、次で和尚の入寂なのですが、
そもそも予定通りに行かずにこの有様なので、
次で終わってなかったら、まあその時はその時という事で。
あと、今回紹介した十兵衛が酔っぱらって東海寺に乱入した一件ですが、
二人目の娘の件は別にしても、子作り(後継)関連で何かあったのかなという疑念はありま砂。
芋酒ってのは作中でも書いた通り、アレの時に使える精力剤扱いですし、
そんなもんをわざわざ持って乱入した挙句、和尚がそっち絡みの短歌詠みだすとか、
「子作り関連で十兵衛に何かあったんじゃないかな?」と思わせるには十分なネタで砂。
「実は三人目が出来たけど、流産してしまい、それが男子だったと判明」とかでも、
十兵衛が大荒れになってもおかしくはないかもなと。
ま、結局は想像に過ぎませんが。
ともあれ、なんとか来週も投下したいと思う所存ー。
8/17,24は夏休みで実家に帰るので、多分投下できないでしょうし。
では、最後に次回解説役投票経過を。
【その68解説役投票経過】
4票:ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)
1票:星宮ケイト(謀略のズヴィズダー)、アナザーブラッド(デモンベイン)、
佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱)、赤セイバー(Fate/EXTRA)
まあ、前と一緒で砂。
それではではー。
-
おつー。
では赤王様に一票。
ジャンヌと赤ちゃまのコンビを見てみたいw
-
乙
御密談気になるねえ
そして和尚……
-
乙乙
和尚もそろそろですか。
寂しくなるなあ
-
乙。密談の内容ないし影響ってどっか記録ないのかな〜w
-
どもどもです。
来週にはお盆であり、当方8/15から里帰りなので、
8/17,8/24は投下できなさそうです。
なので、できれば明日(8/10)は投下したいなあと思うところ。
理想は21時ですが、さてどうなることかと。
ではではー。
-
どうも今日はどう足掻いてもダメそうであり、すいませぬ。
今週どうにかできればいいのですが。
ううむ。
-
大切なのは『完結に向かおうとする意志』だと思っている。
向かおうとする意志さえあれば、いつかは辿り着くわけだからね・・・
と言う訳で、無理しない程度に気長にガンバですわ。
-
把握です
そして話しは変わるが今月の十でいきなり魔界衆が一人やられたんだが
1年くらい戦うまで時間かかってあれって、原作もあんなもんなのか?
-
山田風太郎の魔界転生はすごくあっさり死ぬ
-
マジか、石川賢版しか読んでないからあまりのあっさりぷりに驚いたんだよね
サンキュー
-
映画でも結構ばっさばっさ死んでた気が
-
まあぶっちゃけ宗矩と武蔵以外は添え物だからな……
荒木とは勝負をつけられずに、
十兵衛が義仙に名前を変えてからもう一度勝負があるのだが、
それは躇錯剣がからむのでげふんげふん(重度の荒山脳)
-
どもどもです。
先週・先々週が確定無理だったのもあって、3週間ぶりの書き込みであり、
間が開いてしまって恐縮でアリマス。
明日で夏も終わりなので、できれば当方もどうにか区切りを付けたいところ。
来週にはとうとうこのスレも6年目に入ってしまう有様ですし…。
という訳で、なんとか明日21時に投下したいものだなあと思うところ。
よろしゅうですー。
-
了解です
6年目か
-
ドンマイ、おお、ドンマイ。
-
こんな時間ですが、結局どうにもならず、すいませぬ。
こう進まないと、我ながら当方に暮れるところであり、
先に進む意志は変わらずあるものの、意思だけあっても意味ねえのであり、
なんとも申し訳なし。
なんか方策を考えねばですか喃。
むう…。
-
あんまり気に病まないでくださいー
-
どもどもです。
都合により、明日・明後日は家にいないため、今回は確定で無理です。
ちょうど丸6年目なので、なんとかしたかったのですが。
すいませぬ。
-
どんまいー。
大事なのは完成に近づく意志(ry
-
了解で―す
-
この一週間で、遡れる限りさかのぼって一気に読んだよ
おもしろいね。
-
どもどもです。
先週でちょうど丸6年なので、なんとかしたかったものの、
どうにもならん都合でしたので、今週は何とかしたいところ。
ひとまず、いつも通り明日(9/14)の21時を目標にしつつ、
ダメだった場合は翌日に切り替えていくというスタンスでやってみる所存です。
それではではー。
>>428
ありがとうございます。
いつになったら終わるやらですが、お付き合い頂けましたら重畳ー。
-
現在、やっと武蔵の話が終わるかなーという塩梅であり、
今日中はまず無理そうですが、この調子で行けば、明日はどうにか投下できそうです。
すみませぬが、よろしゅうですー。
-
わかりました
-
お待たせしました。
それでは今から投下します。
タイトルは「やる夫で学ぶ柳生一族(その67・後編)」で。
では、始めます。
-
_____
_,. < ̄: : : : : : : : `: : : : > 、
/: : : : : : : : : : : : : : : `: : : : : : : : `ー 、
,./: : : : : : : ;イ: : : :_,. ==v――: 、: : : : : : : \
/: : : : : : : :/: : : : : : : : : : : : ヽ: : : : ヽ: : : : : : : :ヽ
/: : : : : : :/: : : : : : : : : : :/: : : :ハ: : : : : :',: : : : : : : : ',
/: : : : : / : : : : :/: : : : ノ: : : : : :j!: : : : : ハ : : : : : : : : ,
i: : : : /:、 : : : /: : ,. イ": ノ: : : : : i}: : : : : : :}: : : : : : : : ハ
. ,イ: : : :/: : : ヽ/:, ィ: : : : : :/{: :i: : : : j : : : : : : l: : : : : : : : : :i
. /: l: : : /: : _,:_彳^/:/: ̄: メ 、!: :l: : : :,′: : : : : :l: : : : : : : : : :l 投下が止まっている間に、
/: : : j!: : i : : : : }ヾv': ィ' : : / {:`ト、: リ: : : : : : ;イ : : : : : : : : : i とうとう丸6年目を過ぎてしまったけど、
. /: : : : :/!: : : ィ: f: :!i:::}レ: ,.イムrミ、_ Ⅵ! : メ、: : : : : :/}: : : : : : : : :i: :l 今回、ようやく「その67」が終わるよ。
/: : : : : : / |: : : !{: ト: :ハv′ ´ て::::示ァr/: : : : : : :/: i: : : : : : l: : !: :!
/ : : : ゝ : : : : ハ: : :lヽ:{: ト / 弋:::zぅ y゛: : : : : : イ、:リ: : : : : : j: : ヽj それじゃあ、始めようか。
. /イ: : :,r": j{ : : 八: : i : `: l /: : : : : : :ハ l: : : : : : :リ: : : :ト,
/'{: : :/{:/: :{!: : :lィハ: : l : : :∧ 、, / : / : /ニ、</: : : : : j! : : : : ハ
," l : / l:{ : rl: : : ハ{: : i: : : : : ヽ ' ̄ ー=<_: イ: : :/」/>ー: : : : :/リ: }i: : : :ト ',
{ ,:f Ⅵ l Ⅵ: l {ヽ: ト: : :l`ト:∧__ ヽ ̄: : :_/ /ニ二フr: ´:/ : r: : :ル}: : : : lヽ}
i '{ ヽ:{ ヽ: ト ` \ト:{ }ヘ: { l: :  ̄:ヽ彳´ /≧ーィ>_: イ{: ゝ: 从: : : : ノ ハ
` ` ヽ \ ヽ` j ヽ' j:/{ i:r ゝ ´ /:.:.:>':.:.:.:/: : ノノ ノ: : ィリ / }
` ′ / ´ /:.:.:/:.:./>‐-:.へノ ´ }'
jl /:.:.:.:/:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`i
ノi /:.:.:.:f:.:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\:.:.:.:.!
l/ ! ,イ:.:.:.:.:.l:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:.L,
|/ノ´ j:.:.:.:.:.:.|:.:.f:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ハ
j/! /i:.:.:.:.:.:.:!:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.:.:.:.:i
//i / !:.:.:.:.:./:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:.:.:.、:.!
f//´ ∧:.:.:./:.:.:.:.{:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.∧
l/ /l:.:.:K:.:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.ヽ:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧
/ / !:.:.:ヽ ̄!:.:.:.:.:.:.\:.:.j:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧
j / !:.:.:.:ハ:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:∧
-
ここで少し時は戻る。
宗矩が帰郷する一月前の正保二年五月十九日。
_、,,、,,_
、ィ=彡ミミヽ、
〈,巛ハヾヘミr、
_丿ソ/リlヘヾヽy〉 ………。
フノりノノll.iノソノ》,
__彡リ)));ノノハ//リ'ヽ__
/´;;;;;;;;::::..《" 〉巛l 《lリノハ::::::;;;;;;;:::\
/;;;;;;;;;;;;;;;,,,:::::::` ':::::ヾソノヽ:::::::::;;;::;;;;;;;;;;;;ヽ.
l;;r-=レ;;;;;;;;::::::::::::::::::::::'::::::::::::::::::;;;;;;;;;:;;;_:::l
i__,_/;;;;;;;;;;;:::::::::::::/;;:ヽ:::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;l___`i
/ / l;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::: ::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;/` , \
.//〉 l、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;イ:: 〉 l
| _ノヽ,ミ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノヽ j /
( _ノ,イ 〈;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ゝ- ヽノ)
ヽ-" │(;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j /´ j` /
ヽ │ `);;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ l / ノ
肥後熊本にて、一人の男がその生涯を閉じようとしていた。
-
( 〉三彡ミミ刈//ノイ{{//川ヘミ川|彡ヲ刈三ヾー'
>ャッv彡三彡ミミゞゞ{{{ヘ{≧ミミ刈}〃川彡彡}!}三≧≠⌒
{! >ミミ三三≧ミミ>ミミミミ川川彡彡彡三彡≦三ミミ≧xイ_,r
_ `y∧/彡≧ミミ/ ゛ヾリ〃´ "シ≦ミ≦三≧ミ<
/,≧x=>ミ三三彡゛ "彡ミ≧彡三ミト-
,ム三ミX三三≧イ _, -=一'{ .r=- 、 }三ツ彡彳´ ゛ミ、
{;'´ ̄7>ミ三彡彡! ,r'´ ̄ ヽミミ 、 l 川√ ゛>ヽ ソ三≦ミミ、 ゞ、_ノ どうやら、ここらが潮時のようだな。
,!_,〃,f彡三彡彳 ヽ、ニ二 _ヾミミッ | r彡"_ 二ニ ヶ レ⌒)ミミミゝ
,f"ヽ_//〃ァ7ハ 八 >- ィハY 、l Y ≦ -イ },ノ/三ミシ彡≠、
{、_ム彡"ヘ//彡"三ハ_ノ ゝ、 _ノ l l ヽ、 ノf_/三ミミツ
,x三ミ=-=彡≦三彡f { )ヽ / , 、 \ ,r´ イハミミⅦ!{ _ノ
,r≧三彡7/彡ヲ ゝ { 〉 ゝ--< ハ ,ノ Vルミリゞ=≦、
_,ル′ //彳彡イ ∧.( ノ二 ー' 二ヽ {ノ ノ トミ三≠≦ミミッ'⌒
,イ/彡イ川i! ヽ入 ̄`ー. ̄.一' ̄ / / ドミ三三ミミ≦、
ノ ル1{ リ彡! ヾ ,r'  ̄ `ヽ 〃 |ミ三ミミ≦、__ ヾ!
_,ム斗イ 八 .,r'⌒ヽ/ { } / \γY⌒ヽ .厂`ヾー-<⌒ヽ
.//////// / ヽ.(´ `) ゝ ー 一 7 ( ノ )ヘ 〉/////>
<///////// ノ ハゝ,___,ノ´ ゝ、_ノ ゝ ./////////∧
宮本(新免)武蔵玄真
(みやもと(しんめん) むさし げんしん/はるのぶ)
_、 、_ ゙ii, u. ハ;;;i i:::::::::::::::::::::::::::::::::::ミ
"`ヽ、ro゙''、、 ゙|i, i i||| .ノバi;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i,
~ヽ、~゙ヽイi illi,,, i 'ノi,、-ーナノ i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ,
、_ ヽ- i ノ ,iiir'''ii ノ i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;リ;;;;リ ;;;;i
ミミ==、,_ / / ヽ、,,__,, i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ ノ ノ'ノ
`''''''''~~'''ヽ、 i ゙i-rー'b'''ー、_ .ノ;;;;;;;;;;ハ;;;;;;;;;;i ノ
.ヾ、 ニ./ 、゙'''''''ヾ、iミ /;;;;;;ノ ノ;;;ノハ;;;゙i 先生…ッ!
u ..>-ー=''' iミ i ミ゙ . ,イ;;;;;/ ノ::/ ノノ
.( __、_ i='''ヾi / i彡 ,彡'' ノ
゙ヽ'' ヽ ノ i) / ,彡' ノ
ー'''__,,,,=--ー-、,___ ' ̄ u . ノノ i ii''
.('''''''~~~ ̄~'f-、,,,,~'ヽ /イ i .i
.\f-=エエエ-、"''゙-ェ i ///i i .i
.`ー-、,,,,,,゙'''~゙'ヽ )ノ /;;;;;;;;ミ ゙ミ、
.寺尾求馬助信行
(てらお もとめのすけ のぶゆき)
寛永十七年(1640)、熊本に来て以来、武蔵は細川家の客分として過ごしていた。
この地で新たに門弟となった者たちに兵法を教授しつつ、特に不自由なく暮らしていたが、
寛永二十一年、病に倒れ、以後、療養生活を送っていた。
-
´ ̄ ̄`弋ミ三ィ彡三ミ、ヾ、V゙YⅥ彡三三ミ芍彡'ィ彡
-―-≧=━圭孑彡三ミヾ\゙:.゙}ハ'〃´≦ミ三彡'/尨
>メ二>=ミ三三彡三ミ、ヾヽ!'彡三三ミ、:...彡'ィノソ
__ ノ´-∠ニメ彡三斗彡三ミ、:.ヾ:.、:У,彡三≠-ヾ≦彡ノと
―'´、__ノ彡ィ彡三ミゞ-、ミ、ヾリソ豸'´ `ヾ:彡三、三彡"
‐━=ニ三≧ライ彡ゞ-、ヽ 、 ̄´/,∠ ,..ィ ヾ三≧≦〆′
, -===、ニ彡イ尨′、.ヾィバ !v {,ィ<,_,、_ `ヾ三ミ三 .そう嘆くもんじゃねぇ。
/フメ三彡ム/,ィニニ彡ハ:゙ :}''´`≧≦,=.‐ゞミ ミ≧ヾメ まあ…悪くねぇ人生だったさ。
,.-、__/,ィ'≧三ヾミ:{ ' -=ニ弍冫} ,::::::`ー二≦¨"、:.:. ゞァ‐ミミ
,-=ニ二彡'ク彡三;ム} -‐=‐.:'::_ノミ、::::::.`ー━―-、:.:./,イ〉 |ミ あばよ。
,.-━、__ェァオ彡イニィ{〉{ ィ',.ィ: :,イ__,ィ、`゙)::.、:. ⊂ニ、::.:.ヽ!}_)} {ゞ
ー=二 _ノイメ√彡{〈゙ト,〈: : _`ィ::::二..__:. `ー__:. ヾ:: }yノ /ミ、
〃 ̄`ー" _メ≦ィソ彡、j!'.ィ、_ノィ―`´―メ、ヽ__,,,})/.:: /、_ノヾ.ヽ
,ィ━‐-、{ , -=、 ノ{´/ノ{リ从'ハ`ヾくえ二ニニ二ゞ>';//:/.:: :|ミ、ヾ、
;i;i;i;i;i;i;i;i;i>ミ `ー}ナ´_ノ'!メ'/ ::ヘ ゙ヽ-━━‐-イ::::/.:.:/イ:::: : ::┃、}ソミ
;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i\___ー彡ヘ,′ ::‘,: : : : : : : : : ::::/..〃::::: : : : :┃リ、ハ
;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i`;i;i;i;i;i>-、ノ{ ::.‘,: : : : : : : ::ノ;イ;;:::::: :: : : : ┃从ヘ
;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i/´-' ゙、 :::::;;>= __.イ ;;;::::::: :: : : : ┃トミ、
;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i/、 ゙、 ::::;;;ハ;;;:::::: / .;;;;;:::::::: :: : : : ┃ミニ
;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i,′`、 :.、 :::;;;! ::::::;;/ .;;;;;;::::::::::: :: : : : .┃〃ヾ
;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;〃 ヾ:. .:::.! :::;;;! :::;;,′.;;;;;;:::::::::::::: :: : : : ノ、′)'
;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i;i/.::::.、ヾ. ヾ::::::} ::::;;| ::;/ .;;;;;;::::::::::::::: :: : :/ヾi;`━、k
正保二年五月十九日、宮本武蔵死去。享年62歳。
戒名は「新免武蔵玄信二天居士」(または「新免武蔵居士」)
後世、(実際にそうであったかどうかはともかく)「二刀流の剣士」として広く世に知られ、
剣豪の代名詞とも言える名を遺した人物であった。
-
γ二ヽヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;ヽ.__
(;;,);;)ll .l;;;;;;[>−∩_]仆;;;;;;;;;;;l l))
ゞ二ソノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ;;;;;;;;;;;ノノ
γ二ヽヽγ二ヽヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ;;;;;;;;;;;;;;ヽ.__
(;;,);;)ll .(;;,);;)ll .l;;;;;;[>−∩_]仆;;;;;;;;;;;l l))
ゞ二ソノ;ゞ二ソノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノノ;;;;;;;;;;;ノノ
『五輪書(と呼ばれるものの草稿)』
/:/,r'´ /__ )::',::',:::',
:// ,r'r='´、/::l:::'::::::::',
':i!__,,.::.=====ー- ...,,_ /ィ')ヽ _/:::::|::::::::::::|
:l| __,,.. --、`゙丶、`', iベ='´i::::::::::::::::',::::!
:!_,.-=''" ア´`ヾヽ ` ! |:::::::::!::::::::i:リ
:!''ゞ、,,,,,.... ゞ-''´ ', !::::::,':::::::::::!!
' ', ,'::,:':::::::::::::::l!
', ,', ':::::::::::::::::/ .ふむ…折角頂いた先生の書だ。
,. --ヽ,'::::::::::::::::::::/ 如何に草稿とはいえ、このままにしておくのは勿体無い。
__ )::::::::::::::,:' .体裁を整え、伝書として成り立つようにするか。
' 、r゙'ーr'::::::::::::/
、 l、 ,'--‐''"´
,. -''"`ー'/ ,'
,. ;'´=''ニイ-! ,'、
r'´r‐--―'''´,,..!、 ,' \、
` ー― ―''"__ノ/ヽ ヾ丶、
、 `゙'''ー "´ ,' ヽ ヽ `ヽ、
丶、 ,' ', ヽ `丶
寺尾孫之允勝信
(てらお まごのじょう かつのぶ)
なお、死去する七日前の五月十二日、門弟である寺尾孫之允(先に出ていた求馬助の兄)に対し、
自身の兵法についてまとめた書の草稿を与えたという。
孫之允はこの草稿を伝書として体裁を整え、自系統の後継者へ相伝していった。
これが、現代において『五輪書』と称される伝書の元である。
(この他、「独行道」と題した書も合わせて贈ったとされるが、真偽が怪しい部分あり)
そして、「二天一流」と称されることになる武蔵の兵法は、
この寺尾孫之允と、その弟である求馬助のそれぞれが引き継ぎ、肥後を中心に広まって、現在に至る。
(また、二天一流以前に名乗っていた円明流も、尾張や播磨などで伝えられている)
-
,. .―- ._
/:..:..:、:.__、__`ヽ、
/:..:..:..:..ヘ __ -`'ハ
_ノ:..:r.、!:..:r' _、'へ> x _j ああ、武蔵殿〜。
フ.:;:..:..:}^j:..:.{ `"^' itフ デカルチャーだよ、成仏も。
{/{:;イ::いヘ:ぃ , -‐ ._〉ハ
ソ'从 〈 { '/´ ̄〃^′
_,,ノ¨〈. ! ヽ`ー=ァ/ __
,. . :'"¨¨´: :{:.:.:.:.:.ヽ ! `ー-,ィ′ i'´/,.ヘ , 、
. /: : : : : : : : : : 、 : :.:.:. \ ri′!、 V' { r<^ヽ! }`ト、
/: : : : : : : : : : : : : ヽ: : : :\ヽ 厶!: : i:\_ `¨^い、 リ ノ ノ7
. /: : : : : : : : : : : : : : : :ヽ: : : : ヽ\ !|: : l: : :`ヽ. ‘、 `゙<'ーヘ、
. / : : : : : : :\: : : : : : : : : :、: : : : :\' !: :|: : : : :ヽ ヽ ノ `jヽ.tぅ
/:. : : : : : : : : :ヽ : : : : : : : : ヽ: : : : : : ' : : l: : : : : : :} 亅 1
. ,:.:. : : : : : : : : : : :', :.:. : : : : : : :\ : : 厶-、 |: : : : :! : ヘ , -l !
/:.:.: : : : `丶、:.:..: : ト、:.:.:.. : : : : : : : / /´゙ト.): : : : ; : : _冫: :| '.
/i:.:.:. : : : : : : : :\:_{_j_ゝ-、:. : : : _ノ ´ ! 〉 : |.:,' : ://: : :.l i
,:...i:.:.:. : : :.:.:.:.:.:/´: : : : :厶-‐ '´ '_, /} ヘ/: :/:/: : : :.| |
:...:.i:.:.:.:.:.:.:.:.:/: : : : : : : / ´ _/ .|i:.:,' /: : : : : ! !
:...:..i:.:.:._;. :'´: : : : : : : : / ,ィ7¨¨´ ̄ ; ...:..l.|:{.:.:.:.: : : :.:.:i. i ハ
:...:...:、/、: : : : .:.:.:.:.:.;.ヘ;′ /:.j.′ /.:...:...j:..!:.:.:r-‐:、 : .:| {':.:}
i:...:...:..;...`:ー'¨¨ ̄´:...{ /:}:../:....: /:...:...:.,':...:'^´:....:...}:.:.:.:!--‐:':.:.ノ
. 大淵玄弘
(だいえん げんこう)
その後、武蔵の葬儀は肥後熊本の泰勝院(泰勝寺)にて行われ、一旦この地で葬られた。
この際、引導を渡したのは、武蔵と交流があったという泰勝院住持・大淵和尚だったという。
なお、武蔵の伝承で名前のよく上がる春山和尚は、この大淵和尚の法嗣である。
-
// ヽ / \\
// ,ィ } }' ,/ \\
/,r=彡三ミ{ ,}ハ / ,、_. ヽ ,
ム'´ __㍉V } j! ノ' j三≧、 ハ
l /´ ヽヾミ、 /'〈 f' ,z≦彡'´ ㍉,.' } l
〉 ー≦二r‐ミゝヾy ャ V彡'_ぇ_⌒ ヽ ヾi〈 |
,  ̄彡 У/ /≠ ,へぃ ≧ 、__, リ ,! マッタク、アノ親父殿ハ
/^{、 /" ィ⌒ヽ ( ヽ¨  ̄ }/ 最期まで手間ヲ掛ケサセテクレルゼ。
ハヽ}入 ( rヘ , ぅ )、 ハ ,〃
Y^y' ノ) >ーく ヽ 〃⌒, .マア、ソレデモ倅トシテハ
Ⅵ ,r /,r―-、⌒) _, イ/ハ,! .ヤルコトハ、ヤッテヤンネェトナ。
ゝ、{ ゝ-一彡二、 ̄`v 〈 , ´{ _, イノ´ノ
/ ∧ >- '´-― 、ヽ ̄`ー一 ) イ У,ィ' /
ム=一'彡' / ヾ / / ∠ ノ^ゝイ
/´,r'´二 ィ´ }! } イ'´ ハ
'{ { f′ { ノ' 〉、 / |:. / , , -=ニ二二
ニ≧z 、_ ___ノ/ ノ,〉, 、 イ \ こ)、 |::. ,::. ト、 _ ___ _, ≦ニニニニニ
ニニニニ/ニニ/ / ' / , - ,イ い >- <_ ノ、 ,ル' { ~ヽニニニ> '´ ̄ ̄
ニニニ ,/ニニ/ イノ ′/ ハ、 ' , - _ \、_ , -―-_、ゝ―ー‐ - 一<
<二二仁ヲ'/ イ ' / ヽ / ヽ、 - , -ー ヽ、_
/ { { リ / K′ }ト、
ー‐−-v / / , -―く ヽ '″ }__ __
゙ヽ い'´ 入 ノ´ ̄  ̄` ー―-
人 , ,ト、ー―‐ 一',r‐y 、 ∠ __ ー- 、__
_____ V_ ゝ、 __ノニ≧ー―‐-<二リ`ー -ャ≦二二ニニニ ――- ___
ニニニニニニ二ニ=ニ二ニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニニ= -
宮本伊織貞次
(みやもと いおり さだつぐ)
しかし、その後、養子であり、現小笠原家の家老でもある伊織の手により、
武蔵の遺骸は小倉に移葬されたようである。
そして、墓の代わりに建てられたものが、
現在も福岡の手向山にある「小倉碑文」と呼ばれる石碑であり、
ここに記された武蔵の事跡が、後に「本朝武芸小伝」で紹介され、武蔵の名声を高めることになる。
-
,..-'''" ̄"''-,,;,,
./ ;;;;彡
.;{;,,; (,.;;;- ;;;;;;;:彡
ミ;;}ァ'〉 ィ=- ,イ;;;ミ
ミ;;( ム ,;;;_ソ;;ミ
____イ"'ゞ=- ,;/;;;ミヽ,
i''"~:::::::::::::::;;ゝ,,,,,...-'' ヽ'i | 'ヽ-'''"" ̄ ̄""'''フ
ト.::::::::::::::::::;;/i l |オ __../ / |;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::/::i
| i::::::::ヽ:::::;;l .| l | '" / / |;;;;;;:::::::::::::::::::::::::/::::::}
|::|::::::::::i::::;;;| | l.ゝ ./ / ,|;;;;;;;::::::::::::::::::::::/t.,:::ノ
.!:|:::::::::!::::;;;| l.ヽ / / /.|;;;;;;;::::::::::::::::::::/ \
.|::\:::|:::::;;;| ゝ ヽ/ / .l;;;;;;;:::::::::::::::/ 'i
ゝ/ヽ|::::::;;;l '''/ ./ |;;;;;;:::::::::::::/ l
/ |:::::::;;;| ./ ./ |;;;;;;:::::::::::/ノ .|
( |::::::::;;;|/ / l;;;;;;::::::::::l./ ./
i .|::::::::::;;;l ./ /__;;:::::::::y ./
| |:::::::::::;;;|/ __ /ゝ ヽ:/ /ヽ,
.| |::::::::::::;;;| ノソ''-:::,_,/ / i
| ヽ:::::::::::;;;| ~7''-..,,/ / |
.|,.=.,ゝ=(("'≡D)==彡:::/ ./ .|
/ /::::::::;;;"ア ゞ l;;;;:::::::ゝ-....,,, / l
( i::::::::::::;;;;/ |;;;;;:::/ ./___ソ、 /
(⌒|::::::::;;;;;;;i. |;;;;/,..., ,」:::ゝ ゝ,,____,,.ノ
/''/{::::::;;;;;;;;|| .l//''":::::::::::'-..,,__,,..ノ、
/ / ゝ==-'"~ //=--..,,,,____:::::\\i\\
./ / / .//| \\,\\
/ / l | // l |\\ ゝ,ゝ、
./ / | | // .| l' \\ ''-'
/ / .| // ! l \\
./ / .| // | |. \\
/ / | ̄ | i | .i ゞ ゞ,
./ / .| |. l. | .l "'-'
/ / .| | l | ノ
./ / i .|. |. | イ
/ / l | | .| ./ |
./ / .l .|. ! l i / l
/ / | |. l | | i i
.ノ.ノ | |. | | l. し l
 ̄ .| | _| l i
| iと'____ i l
l "つ .!.
.| " ̄"'''-....,,,,,_ ゝ.,
lと二二ゝ-..,,,,,...--'''''"" ̄ ̄/"''--.....,,,,,__,,...-'
_,,,...ノ ) / __ソ
彡 _,,...--'' ノ ,.'"
 ̄ 彡ソ''
即ち、「兵法天下無双」 と ──
-
l ::::::::::::::::::::::::::::::: i|:::::::| ::::::::::::::i|::|:::::::i::i| :::::::::::::::::: |:::::::::i
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|儿:::::|ノ|::::|:::::::::::::::i|:::::::::|
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|/}:__ノ_ |- :、 :::::::::::i|:::::::::|
あれ? . |:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|∧ | :::::::::::::ノ ,ィf,仭秀 》::::::::::::i|㍉ ::|
これで武蔵は終わりなの? . . |:::::|:::::::|:::::::∧__}iノ__i| ̄¨¨´ ゞ孑'' イ :::::::::::::i| i}:::::|
|:::::|:::::::|:::::::|i ,ィf テ秀ァ /:::::::::::::::/ / ::::|
随分とあっさりね。 . |:::::|:::::::|:::::::|i `ゞ `≠’ //'::::::::::::/_/ ::::: |
兵庫助や細川忠利との絡みの時は、 |::::,|:::::::|:::::::∧ } /___ノイ:::::::::::::::::
結構長く尺取ってたのに。 . ノイ |:::::::|:::::::|:::゚'。 ヽ r‐、 /}::::::::::::::::::::.
.|:::::::|_儿}::::::::::. r‐、 r‐、,'ー'} _/ ,::::::::::::::::::::::゚*。
.|_/ i|:::::::::::::\ i`゛i V_ノ ,' /_/},:::::::::::::::.::::::::::::::::゚'*。
i|::::::::::::::::::゚*。i | ' { イ , :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
i|::::::::::::::::r、_::::i l‐-{ iア ,' ハi:::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚'*。
,r‐―‐i入::::::::::::::{ノ }^゙i 、i i ' , |:/ ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.`:..、
. , ':.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヽ.:.ヽ、
/:.:/:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:ヽ:.:.:ヽ:.:.:.:.:.:i.:.:.:.:.:ヽ:.:.ヽ、
. j:./:,:.:.:.:i:.:.:.:.:.l:.:.:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.:.:i:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.:.:.:i:.:.: ハ まあ、これはあくまで柳生一族の話だからね。
/ ':/:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.i:.:.:.:.∧:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.: ハ 柳生と関係のない武蔵の話については、
/l i:.i:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.l:.:.:.,' |:.:.:.:.:.:.:l:.:.:.:.:.∧ いつか誰かが武蔵スレを立ち上げた時に
. / l:.: l!:.:.:.:. !:!:.:.:!:.:∧:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.,':.:.:/―ト:.:.:.:.:.:.:ト:.:.:.:.ト:.l 紹介してくれるのを待つといいんじゃないかな?
/ |:.:.:lト、:.:.:!:!7丁:!:.ハ:.:.:.:.:.:.: /i:., ' ,iリ.:.:.:.:.:.i:.!.:.i:.i:.:l
. / .|:.:.:l:!∨:.从 ,ィァ==ミ∧:.:.:.:.//ィ云示 ル!.:.:.:.:.,':.:!:.:i:.:!リ 正直なところ、武蔵の晩年は、
l ∨:l:i.:∨:.:.l rし.::::ハ ヽ/ .rし.:::ハ l:.:.:.:/:.:/.:.:i:.l 逸話や伝承が多い上に、内容が食い違ってたりするから、
| ∨リ.:.:∨ハ V.:::::゚ノ ヽ:::゚ソ イ.:.:,/:.:,':.::.:.l:入 .それをいちいち説明しようとすると、武蔵が死ぬ話だけで
ヽ _... ;;Ⅵ:.:.:.リヘ、 ゝ .ハ,/:. /:.:.:.:.:!ゝ:.ヽ、 .1話使っちゃうからね。
. /;;;;;;;;;从:.:/;;;;;;;Yヽ、 、_ ァ . イ:.:/Vl/:.:/'l:.:| ヽ `\
.. 〈;;;;;;;;;/;;;;;;;;! ;;;;;;;《 ≧ー -≦ \!/ 丶/,〝 |/ 「なにそれこわい」
. ∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;《 ー ‐ ' 》;;;;;;;;;;;;ヽ ′
. ∨;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;《 》;;;;;;;;;;;;;;;;;;l
-
. ,.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
|::::::::::::::::::::|::::::::|::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::|
|::::: |:::::::::::i|::::::::|:::::::::i| ::::::::::::::i| :::: /|::::i}::::::::::::/::::::|
しかし、享年62歳か…。 .... |::::: |:::::::::::iト、:::∧ :::::i| ::::::::::::::i|::: / i|儿|:::::::::/i} ::: |
同じ年(正保二年)で宗矩が75歳だから、13歳年下なのね。 |:::::∧ :::::::i|f斧テァュ、|i州i从iレ|ィfテ秀ァ介 ::/ ア ::: |
還暦は越えてるから、早過ぎる、とまでは言わないけど、 . |:::::::::::、 ::::i| `¨¨´ `¨¨´/::::::/_/、 :::: |
結構早く死んでるのね。 ...__ノ-=≦7ァ、::::、 :i /::::::/‐=乂≧=‐ _
二二二| \( i 少f'´ }二二二二二
二二二| \ イ /二二二二二
二二二} 、 − / イ二二二二二二
二二二ム _ イ /二二二二二i/
-──-
, '"´ `丶、
/ \
/ ヽ
, ' ',
. / ', 本文中でも書いたけど、
// / ./ ハ 前年(寛永二十一年)の時点で病気になってたらしいからね。
. // l: ,' / l .具体的な病名は不明だけど、「丹治峯均筆記」の記述などから
ハ ! / | | 胃癌だったのではないか、という考察もあるよ。
| | _l」⊥.、| -‐‐,イ‐- ...,,|
| !.! ヽ/l // .| / ちなみに、当時、武蔵の面倒を見ていた長岡家と、
', .{イ示ヽ', ./ ィfテミメ、 ! / .伊織との間で交わされていた書状によると、
', ヽ .ハ ヤ:::} ヽ/ rテ:::::} 》ノ /} / 熊本城下を離れていた武蔵に、
. l \/ ヽ ゞ'' 弋zシ/ _./! ,' .それじゃ治療に困るから戻って欲しい、と言われても
. | 八 ヽ  ̄l レ' | なかなか首を縦に振らなかった、なんて記録が残ってるね。
ヽ 、 _. ,' .,' |
/ \ / r/ヽ / ハ ,'
. 厶イ八 ハ ハハ /-‐´ イ≦ ´ / / V /l .ハ ',
,ヽ! .\, イ ^ ‐---- 、 イノ/ ヽ/ j/ ヾ、
| ヽ, ´ ^ヽ‐--r > ヽ
| ヽ, \./ / ヽ
| ヽー────‐、 ∨} _,,,... -‐ 、
| / \\,.. ./ ヽ
-
/..:..:..:..:..:..:.::..:..:..:.:.:..:.:ハ:::::::::::::iト:::..:::::::..:..:..:..::::..:..:.:..
′..:..:..:..:..:.:::::::::::::::::::::| |:::i::::::::i|_|::ハ::::::::::::::::::i:::::::...:
.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |:::|::::::::リ リ }::::::::::::::::::|^ヽ:..|
ト:::::::::::::::::::::ハ::::::::::::i|リ.r匕}::/ _,.ィ |:::::::::::::::::,__ }!|
| ゚::::::::::::::::::|斗::::::::N \ /ィ圻i炒 ,::::::::::::::::ハ :.|
ところで、『五輪書』の解説は | ゚,::::::::::::イ| ゝ-{ 宀^~/::::::{::::::/.: /:. ト、
やらないの? | ゚。:::::::::.l」 灯莢ミ イ::::::/ ̄___,ノ:::::..:.| 。
乂 }:::::::::::::. ^宀^´ | 厂 }│:::::::.j:..| ゚:,
|ハ::::::::::::.. } _ / |::::::..:.i:..| 。
リ }::八:::::::.、 ヽ / :::::..:./.:.{ ゚:,
リ }ル' 人 ー__ ´ / /::::...:ハ:..:.。 ゚。
/ .::::::::::丶 / .:::::::../ |__..゚。 !
//:::::::::::::::::::::> __ ィ /::..:..:.′ィ }::..\ i!
/ィ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/~} /:::::..:/ \:::}___j{
/::..:..:..:..:..:..:..:..:..|:..:..:..:、:..:..:..:..:.`:...、
/:..:..:..:../:..:..:..:..: : 人:..:..:..:ヽ:..:..:..:..:..:..:..\
/:..:..:..:..:. /:..:..:..:../:.../ ヽ..:..:..:..i:..:..:..|:..:..:..:..:..ヽ
. /:..:..:..:..:. /:..:..:..:../:.../ V:..:..:|:..:..: |:..:..:..:..:..:..ハ 「8年目」なんて不吉な単語が
/:..:..:..:./:./:..:..:..:../:.../ _V ._|:..:..: |:..:..:..:..:..:...:.ハ >>1の脳に浮かぶから勘弁してください、だってさ。
. /:..:..:|:..:.|:..||:..:..:..:/:.../ -'  ̄ V:.|ハ:..:从:..:..:..:..:..:..:.ハ
∧:..:. |_ _|_:||:.//:/ _,,-= -、 >八i:..//:..:..:..:..:..:..:..:.i ただ、何も語らないのも勿体無いから、
乂:.:.イ|:..:.ハ/. 〃 イ:テ:::::rj.ア/:..:..|/:.:/ ̄ヽ:..:..:...:. | この話と和尚の補足編が終わった後、追加として、
i:..:ゝ:..:ヾ:.|=ミ 弋ソ /:..:..:..:..:/ ⌒} .i:..:..:..:..:.l
. |:..:..:.\:Ⅵハ:::トj i:..:..:..:..// / .ノ:..:..:、:..:..| .・ >>1から見た武蔵像
. |:..:..:..:..:..i ゞソ 、 |:..:..:..:../_ /:..:..:..:.ハ:..:.| ・ 宗矩と武蔵の比較論
|:..:..:..:..:..ハ _ ィ |:..:..:..:∧:..:../:..:..:./:..八リ
. |:..:..:.i:..:..:ハ ヽ _..ノ |:..:.. /ハ:..:.i:l:..:..:.イ:../ 辺りをやるそうだよ。
ハ:..:..:l:..:..:..:..ヽ i:..:.:.{. i:..:.l:..:// i:/ 五輪書については、そこでいくらかは
八:..: ト:..:.:i:..:..:..:\ /ハ:..:.:{ V:.|:// ´ .語ることになるだろうね。
ヽ | ハ:.|ヽ:..:..:..ト:> 、 _ ィ、 ヽ:.| V/∧
l:| .ヾ| \: |八ノハソ } ` /:::::::::\ さて、それじゃ話を本編に戻そうか。
` .`' /ノ ./:::::::::::::::::::::\
/:/ /::::::::::::::::::::::::::::::::
ィ====─==./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
-
やる夫界のこち亀!
-
さて、沢庵和尚の話に戻る。
_________
「:! 三三三三三三三 「:!
| | : ::::::::::: | |
| | : ::::::::::: | |
| | : ::::::::::: | |
| | : ::::::::::: | |
| | : ::::::::::: | |
| | : ::::::::::: | |
| | : ::::::::::: | |
| | .::::::::::: | |
| | .:::::::::: . | |
| | | |
| | | |
| | .,. '  ̄ `ヽ | |
| | / ', | |
| | ! 、 l .| |
| | 、 ,' | |
| | ヽ . _ .. ' .| |
| | | |
| | | |
| | | |
| | 三三三三三三三 | |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
【一円相図】
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | では、これを南宗寺に届けてくれ。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | この円相を以って、俺の寿容(肖像)とすると伝えよ。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ 「はっ」
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
武蔵の死去と同時期になる五月七日、沢庵は画工に円相図を描かせ、
これに自ら一点を加えて寿容とし、賛語を書いたものを二軸用意した。
この二軸は、一つは東海寺に残し、もう一つは堺の南宗寺に送らせた。
-
そして…
,iー..
/ /
/ /
/ /
/ /
/ . / 「…俗家之葬紀也、法中強不為之而已」と…。
/ . /
/ /
/ . / サラサラ…
/ /
/ . / -''''^゙''''ー-.._
, ‐'./ ,i゙.、 .. `゙'ー ,,,
,/ У ./ .|______l,,..-'゛ .`'''ー ..,,,,、
/ , ‐‐'~´
! ( !
l ./丶、___._.ノ┬―-、.. ;;ン'
.゙/ ./ ヽ .,,゙_''く |''ー .._
/ .,/ゝ⊥_,l‐、.( 八. | . ̄^゙''''''"゛
l./ `''、 l_)ー'ーー- ..,,___, _,,..
’  ̄ ̄
./:::::::::
./:::::
/::::::
./:::::
/:::::
/,:::::
――――――――――――――――-ヾ:::
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | …遺戒もこれでよし。
//イ / /::::、 '´ ` '|| | さて、後は、最期が何時来るか、か。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ .できれば、但馬の奴が
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 戻ってきてからの方がいいのだがな。
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
しかし、その年の十一月末…
_,.-'"´ 三ミ、ー-、 て
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\ そ \人_人,_从人_人/
/ / / / u 夢 | ヽ ) ゲホッ! (
/ / イ´^ー、 .i||i ,.. 、)、 ', /⌒Y⌒Y⌒Y⌒ヘ
, ' / / //ヽ、○ゝ イ−ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' u.,イ 、| \_人__从_/
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ ) .>
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ < ゴホッ!>
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | < (
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 /^YY^^Y^
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ 、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
、 _,. -‐‐ '''''''' ‐‐-- .,l,_
,.r '´ ヽ て
./ ,.,.,.,.,., l そ
/ :;:;:; _,,..,,__ l、
l、 ,.r '´ ` '‐- ., ._ ヽ
i / ,.r-'',ハ''''' --''''''‐‐-- ' () .|
ヽ',/´::// ヽ`'',.`r‐'‐-..,,,:| |`'::''‐ お、和尚様!
/ ':::::,:/_,,....,, '''´'r'':, .| |/`i:::l` だ、大丈夫ですかっ!?
ヽ/ |:::l '",rヽ , `‐' ,.,. .|‐| .|::ミ
´ヽヽ. ゞ' 、 '´'´ .l-l ./:レ 「こ、小僧か…。
. '、', u. .//,.‐,‐'  ̄ '!‐'''  ̄''' すまぬが、誰か呼んできてくれ…」
. ', r_‐. ./∧ヽ,!r'´  ̄ `'ヽ- 、
.'' ヽ、 ./ ./ ,. ‐、__./ _,l わ、わかりました!!
,.r-‐''´ `'' 、' ‐ .,___,.. ‐'" , '/ -‐‐''´ `ヽ、
./ ,.-‐''''''‐- .,`''''''''' i,.l./ ,..---ノ,.''
./ / '',. -‐‐'' ''´ ̄ ‐'´,.-‐'
| / / ,. -‐ '´
l / ./ ,. -‐'´
十一月二十九日、沢庵は再び病気になり、
十二月に入って、ますます病状は悪化したという。
-
,,..-''"::::::::::::::::::::::::`"''-.,,_
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::"''-.、
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
. /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::}
,'::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ `゙"''‐-..,,_:::::::::::::ノ
. i:::::::::::::::::::::__:::::::::::::::::/ u. ノノリリ
.. l::::::::::::::::::/, 、ヽ::::,.‐‐' ‐-、 |
|::::::::::::::::,'/=//::/ __\ .|
i::::::::::::::::iヽ/ i::/ ヽ_tソiヽ _j
',::::::::::::::| } .レ , -― ./:/ …和尚の病が重い、か。
i::::::::/` .u ; ',i できれば俺自ら見舞いに行きたいが、
. ,'ヾツ | ; .', .和尚に気を使わせて、却って悪化してはいかん。
. i ヽ ` r‐'
.. | | \ ー―-、l 但馬がいてくれれば話が早いのだが、
. /| .| \ ヽ  ̄/´ 江戸にいないのではな…伊豆、頼まれてくれるか?
/ .| .| `''-..,,_ _/
_,,.-'" i /  ̄{ヽ
_ ヾ / \_
 ̄"''‐ `ヽ
/ ,r l i! ハ ヾ;;;;;;;;;;;l ヾ;;;i!;;l
/ / l l! 川 _,lriナ卅''ア ゙i;;ll;;l
/ / l l!'゙´ ト;;;;_ェ土リ、l;;ll;;l
/ l リ ハイ:::::}゙ン ヾjリ
イ l l /,! / l;;`Tヲ´ /,ヘ
リ l l! ,! l / l;;;;;;;;l ,リ′\ 承知しました。
j ィi ノ/ ,イ // |;;;;;;;l f' ,> では、行って参ります。
ll / ,! /,f ハ// |;;;;;;;! l イ´
リ〃!/イl /゙Y/i! |;;;;;l! _,,._,〉
!/i/〃ll / 〃 !;;;ノ ー ''´ ,,j
レリ//ハLイ`i ! l;;/ |
川'ノ ▽ fil! `丶!;ト;;-;ァ::,,_,ノ
▽‐- i、 _▽ l;! ,ィイj
/ 7ヽ、、 jLf/ ▽
松平伊豆守信綱
(まつだいら いずのかみ のぶつな)
十二月十日、沢庵の病状が重い事を聞いた家光は、
自身の代わりに、松平信綱を使者として和尚の見舞いへと遣わしている。
-
そして…
,r=、ミミテ^ヽー- 、、
/;;;;;;,ヘ;゙y;;;;;;;ヽ ` \ヽ
/;;;rチ=i;;r、;ィfrヽミ、 ヽヽ
f;r ,;/´ l;l ヾ、,;ヽ ゙i ぃ i
l;;;;;\‐-、i! ,r‐ヽ;;;;;l` i i川
l;;;;;lィroミ'l! ィfo;テ;;;l l lilリハ 上様。
!l;;;;!`゙''"iヽ ^゙''"!;;;ハ! l川__ 伊豆、只今戻りました。
/ハ;;;ト、 / l;;/,イi トjlV
l7 l;;liiヽ.`_,,_ ,j;lノl!リハi7
jLr'ァヽ` ", ィ7!! l'"'′
V `' リ`リi´::' ▽ >-、_
/f^ヽァ''"´ / ,/~
,.ゝ/ i l,,.ィ'",:ァ/:::
/7V ,! l",, ='/::::::::
//:::l/ ハ l,,ィァ"_:▽-‐
, ィニ´::〈v::f ,; fリ ,l/`´:::::,r:'"
::::::::::::::::::,、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヾ
:::::::::::::::i' `"~´''""゙~゛゙^'ヾミ;,゙"ー;;;;;"゙''''ヾ;i
:::::::::::::::| ' ;!゙ {,
:::::::::::::::| u i
:::::::::::::::| |
⌒ヽ.:::::} ∠二二三三='' ∠二二=
´'ハ i:: | '´て"アヾ´ i"てj"ヾ,′ おう、御苦労であった。
.r‐ノ レ'  ̄ ̄ | ´ ̄ l
.{ i、 l | …で、お前から見て、
、 ` | | 和尚の様態はどうであった?
ヽ、 `i ,-、 ノ l
:::| ` ー, ´ ,'
/ 、 ,,.- -‐─ 、 /
ヘ _____ /
ヘ `~"´ /
', > /
', ≫... _ '
', .:.:.:.: T<
', .::.:.| " ‐- ,
 ̄" ‐-
-
ノ / / /:::: .::: .:::: .::::::/ `丶、 ,!::/ ',::::: ::. ::::::::|
// ,/::: .: .: __.:::/ 、_ ヽ, /::/ ,. -‐lT:: : ::::::::l
イ / /.:: .: .:',テイミ,=、丶、 /:://.:.:.: l : : :::l
/ ,イ: 、ャ、 `''" .:ノ`ヽ、ヾッ /://, -― l::. ::::l
ノ / ,'.: .:/ヾミ:=≦´ ゙' // ,ィti7'"ブミl:::. ::l
ノ ,,'.: .:./ `~゙゙" ''' " ,// l{ミ=彡' ,ィj:::: ,!
ア /,!: : .: .::::/ ,ィシ' ,' `==彳ハ!:::: ,' …長くはありませぬな。
/ ,':. .: .: .:::/ ,/´ l /.:.l:::: :,' 医者の見立てもそうですが、
i l::::::::::::::/ / l / /l:::: ,' 何より、和尚ご自身が生に執着しておられませぬ。
'、,l::::::::::::/ / l ///!:::: .: .:/ おそらく、今日明日のお命でしょう。
l::::::::::/ ノ l / /イ!::: .:.::/
,l:::::::::/ _j ,イノ ,':::..::::/ お聞きになりたいことがあるなら、
l:::::::/ 、 ''"´ ,イ/ ,.イ::::::::/ お早めにされた方がよろしいかと。
l:::::/ヽ、 `` =、- 、___,, ,.イ / //::::::/
!:::,' \ `` ―一 '",イ ー--//:::/
ヽj::::l \ 丶、 _ ,. `メミ三三 ⌒^)、
. /::,ヘ、 丶、 ふ ぅ ... // / /フヽ- '-'
_ -───- _
, '´ `ヽ
/ \
/ ヽ
/ __, ィ_,-ァ__,, ,,、 , 、,,__ -ァ-=彡ヘ ヽ
' 「 ´ {ハi′ } l
| | u. | |
| ! :;:;:;:;:;:;:;:;:; | |
| │ :;:;:;:;i:l;:{;:i;:;:;:; 〈 !
| |/ノ二__‐──',ノ:i:::l:ヾニニ二二二ヾ } ,'⌒ヽ
/⌒!| =彳 o ゙ヽ ミ ::::::::: ミ , '´ o `ヾ | i/ ヽ ! ………そう、か。
! ハ!| ー‐‐ ' i ! `' '' " ||ヽ l |
| | /ヽ! '''"゙゛ | ゛゙`''' |ヽ i !
ヽ { | ! |ノ /
ヽ | _ ,、 u. ! , ′
\ ! '-゙ ‐ ゙ レ'
`! /
ヽ ゙  ̄  ̄ ` / |
|\ ー ─‐ , ′ !
| \ / |
_ -‐┤ ゙、 \ / ! l |`ーr─- _
_ -‐ '" / | ゙、 ヽ ____ '´ '│ ! | ゙''‐- 、,_
-
__
,.-''";;;;;;;;;;``'ヽ、
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
/;;;;、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;、
,!;;;!゙`''〜^〜ァrr-'゙`'´''ラヘ;;;!
|;;;| u. ノリ ミ;;;|
_ゞ;! r─-- 、 rェ----、ミ;リ
!ヘl;|. ぐ世!゙`` ,ィ '"世ン 「ヽ では壱岐。
!(,ヘ!  ̄'" |:::.`  ̄ ,ドリ 今から行って、和尚に
ヾ、! !; ,レソ .何か望みがあるなら、遠慮せずに申すよう伝えよ。
`| ^'='^ ム'′
.ト、. -‐‐ ‐‐- /|
_../ i| \ === ,イ.:ト、
/ i| ゙、\ ; /リ.:;!:::\、_
゙! ゙、 `ー─''゙:::;:'::::|::::::::::\
゙、 :::/::::::|::::::
`ヽ、 ゙、 ./ .| ,-、、
イ::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
. /:/::ll:::::::::::ィ::ハ::::::::::::::::::::::::::::'.
厶l:::::lレ:::::V〃 \::::::::::::::::::::::::l
|l:::::::::::::::〃 |ト、:::::::::::::::::::|
|l::l::::l:::l::廴 、_||_ \::::::::::::::!
|l::l::::l:::りrrァ┐ |lr_rぇl:l::l/^lハ はっ…。
|l::l::::l::| } リ |:l::| ノj
jハj::::l::| |:l::し′
ハ::::l::ト、 `´ jノV
ハ::l::ハ}\ ニニ.' /W
W ,リ l\ / {
_ノ| ア´ _ノ\_ __
ア)yし'- ニニィ三=|三ア三三三\
/ニ7^}:ア´/// /三ニレ'´三三三三=.ヽ.
. ___∠三=/ /::|/////三ニ/三三三三三三= l
/三三三 〈三/ /:::::|///三三/三三三三三三三= |
/三ニr====='=./ /::::::::l/三`==┐三三三三三三三= j
. /三三|三三≡/ /::::::/三三三三|三三三三三三三=./
/三三=|三三=/ /:::/三三三三/三三三三三三三=/
. |三三ニ |三三/ //三三三三/三三三三三三三ニ=/
松平信綱の見舞いにより、沢庵の命が長くない事を知った家光は、
今度は中根正盛を遣わし、何か望みがないか問わせた。
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、. 。ゝ .イ 。ノ| |
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 勿体無いことだ。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| ならば、こちらを上様にお願いしたい。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | u. ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/: : : : : : : :ハ:{ \: : :\:.`ヽ: : :\
/,: : : : : : /. |:| .厶: ヽ:.\: .\: : ハ
/. : : : : :{:!≦ ! ≦ーハ: : :\:.ヽ : \(
|: i: : : :豺|rァ乂 くt云尓: : : : : : :{ヾ:
|: |: i |从;リ i `ヽ ハ: :|: : Nハ:\
乂: |从 ,|! ri: :|: !::! `ヾ:.
i{ |: |ハ __ //:ハ}::! | ) お任せ下さい。
ハ乂!:::厶 ´ー‐ '´ .イ/ハ(ハ:::| では、早速…。
( !/ハ}\ .:'._|'イ:( |:|
ハ . \≫-- イへ厂. 7 |:|
. /.\ . \;;;;/ 〉._/:ハ.ノ:N
イ.:::::::::::}`ー-=彳>.::´::::{::::::iノノ
:::::::::::::/ゞミ:. ̄.:::ハ::::_:::彡'!::::::}-.、
:::::::::::; ∨::::::::/ !:::::.∨:.\
:::::::::::i ゞ:_::_{ ;:::::::::.∨::::.\
これを聞いた沢庵は、東海寺のこととして、
「山門仏殿を営建すること」
「寺後の山路を殿して永く往還を絶つこと」
「門外の人家を移し、遠く火災を避けること」
この三条を侍僧に命じて記させ、家光に願ったという。
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | …戻られたか。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | あの三条については問題はあるまい。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ では……貴様ら、入ってくるがいい。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | u. ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
==| l l||===||===||===||===| | | て
| l l|| || || || | | | そ
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | | ガタッ
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
二二| l |||二二二二二二二二二二二二二:|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
二二|_l_||l二二二二二二二二二二二二二二|/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
ガラッ
.____
/ \
/ u ノ ヽ_\
/ (−) (−) | …和尚様。
| (__人__) .| どうして十兵衛たちがいると…?
\ `⌒´ /
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (−) (−)ヽ 申し訳ございません。
.| (__人__) | しかしながら、此度ばかりはと伝え聞きまして…。
.| u. `⌒´ |
. ヽ nl^l^l
/ ヽ | ノ
. / ヽ く
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚.ノ| |
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | フン、わからいでか。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| それより、近くにこい。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ 声を出すのも一苦労なのでな。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 「「は、ははっ…」」
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚.ノ| | …十兵衛。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 貴様は、兵法の腕に於いては、
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 但馬にも劣らぬ域に達しておるだろう。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ .だが、それに慢心してはいかん。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | u. ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
___
/ \
iニーヽ /─ ─ \ も、勿論ですお…!
iニ_  ̄ ̄/(●) (●) \ 今後も、 弛まず稽古に励みますお。
⊂ノ ̄ ̄| (__人__) u |
⊂ ヽ∩ `ー´ _/
'、_ \ )
\ \ / /|
|\ ヽ / |
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚.ノ| | 貴様に今更兵法の事で注意などするものか。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 但馬が亡くなれば、貴様は柳生家を継ぐのだ。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| そのためにこそ、慢心をするなと言っておるのだ。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ.
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ . 家中の者達が、貴様の厳しさに怯えておるのに
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | .気づいておらぬのか?
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____
/ u \
/ / \\ …そ、それは……。
/ し (○) (○) \
| ∪ (__人__) J |
\ u `⌒´ /
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 今後は腹を立てても、ぐっと堪忍せよ。
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | 気持ちが高ぶってもすぐに怒鳴りつけるでない。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 下人であろうとすぐに手を上げるな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ 人の上に立つというのは、
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 腕前さえ立てばよいというものではないのだ。
/ / / ! \| | u. ./! ! | 慈悲と寛容を心がけよ…よいな?
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
:::::::::::::/ ̄ ̄∨ ̄ ̄\ ::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::| / ̄ ̄ ̄\ |:::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::__|/ _ノ ヽ、_ \|__:::::::::::::::: わ、わかりましたお…!
::::::::::::::/ / ((>)) ((<)) \ \::::::::::::::::
:::::::::::::::::| | o゚ (__人__) ゚o| |::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::(⊥_⊥)\___`⌒´__/(⊥_⊥):::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
-
和尚の額の夢の字がまぶしく見えるぜ・・・!
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚.ノ| |
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 主膳…。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| まず、貴様は但馬や十兵衛と比べれば、腕は劣るし、
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ 外向けにもパッとせぬ…それはわかっておるか?
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | u. ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (−) (−)ヽ …重々承知しております。
.| (__人__) | ですので、非才の身ではありますが、
.| u. `⌒´ | できる限りに働き、兄上をお支えする所存です。
. ヽ nl^l^l
/ ヽ | ノ
. / ヽ く
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u. 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ならばよし。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 己の非才を自覚し、その分限で尽力する事を
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 続けられるなら、貴様に心配は要らぬ。
/ / |::::::| │ `---´:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / u. ;|/ | |\ 貴様が自分で思うておる以上に、
/ / / ! \| | ./! ! | .周りは、貴様のことを買っておるのだぞ?
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\ て
/ _ノ ヽ そ
/ (○)(○)
.| u. (__人__) ええっ…?
.| |r┬| | そんな、まさか…。
ヽ `ー'./
/ ヽ ノ
/ く
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', .無論、慢心はいかん。
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚.ノ| | だが、卑屈にもなるな。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| |
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| .忘れるな。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ 貴様とて、天下の名人たる但馬の倅なのだからな。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ .その名に恥じぬよう心掛けよ。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
/ \ / \
/ (●) (●)ヽ は、はい…!
.| u (__人__) |
.| `⌒´ |
ヽ u. /
/ ヽ ノヽ
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ わかっておると思うが、
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 貴様らに但馬の真似は無理だ。
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | 今の柳生家があるのは、一重に但馬あってのこと。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | あ奴が死ねば、きっと面倒があるだろう。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ . その時、平常心を保ち、軽挙妄動だけはするな。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 兄弟力を合わせ、己の分限で家と流儀を残すことを第一に心得よ。
/ / / ! \| | u. ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、 …よいな?
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
.____
/ \
/ \ ./ ..\
/ (●) (●) | わ、わかりましたお…!
| u. (__人__) .|
\ `⌒´ /
/ ⌒ヽ '´(
/ ,_ \ \/\ \
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
/ ̄ ̄\
./ \ ./.\
/ (●) (●)ヽ 承知致しました…!
.| u (__人__) |
.| `⌒´ |
/ヽ /
/ ⌒ヽ .'´(
/ ,_ \ \/\ .\
と___)_ヽ_つ_;_ヾ_つ.;.
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚.ノ| | …俺から貴様らに言ってやれることは、この程度だ。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | できれば、但馬の奴にも一言言ってやりたかったが、
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| あ奴が戻ってくるまで、この世に残るのは無理だろうしな。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ まあ、先に行く、とだけ伝えておいてくれ。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \ 和尚様…ッ!
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
> / )ヽ <
( \ / __ハ ) / )
\ ゙ /ヽ ゙ /
\_/ \_/
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | …では、下がれ。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | 二人とも、達者でな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | u. ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \ ………ははっ!
/ /⌒) ⌒゚o \
| / /(__人__) |
\/ / ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ \.i||i./\
/ (>) (<)ヽ ………失礼致します…!
.| 。'゚~(__人__)~ |
.| o `⌒´。 |
ヽ . /
/ ヽ .ノヽ
/ .ヾ
-
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | |
| l l|| || || || | | |
==| l l||===||===||===||===| | | パタン
| l l|| || || || | | |
二二| l |||二二二二二二二二二二二二二:|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
.:.:.:..: | l |||.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.|| | |
二二|_l_||l二二二二二二二二二二二二二二|/
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | 最後の最後まで、世話も焼ける奴らだったな。
//イ / /::::、 '´ `ii|||/| | だが、それも、もう終わりか…。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | u. ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
...................................
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: ── 最早、未練はない ── :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
...................................
.
-
...................................
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: ── 最早、未練はない ── :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
...................................
そして、翌日の十二月十一日、寅の刻(午前4時頃)…
人人人人
< >
< 和尚様! >
< >
Y`Y``Y`Y`l'ヽ( ヾ ヽ ヽ _
-''''‐-_ ノ (0l , (0) ゙i, ∩,) == |/ //⌒ l l\人_从人_从_从人从从ノ
/__ \_<,__ ノ ∪ノ ( ) l(0) (0 ) ヽ l > <
|´> -''丶/__,、_ \ | 〉⌒/⌒/ _ ) 〈 /_ `.u l´ > 辞世の偈を…! <
| (0) (0) |l -- u. ; / /(_ ̄ヽ_ヽ,, 、、 /_> <
|_.〈、 _ ||;, ,,,, '' / ノ ⌒ ヽ/ l lニコ /( /Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒Y\
_( /\ リl ''''''''''''''' / ( へ /ヽ | / 、__/ l/(lヽ |\_ヾ
ヽlr==っl/ l / )(0l (O )| | (〈 ⌒ヾ ⌒
| ヽ____/ ( / `- ' l | ヽ_ ゞl (0) (0 )
____/| /^(__,, )、__u .| ヽ__ /ヽ| /.
| | ((l ヽ=っ l/ | | ヽ u
ヽ____ノ|/ (_,_ ノ l | ヽ
/ ヽ__ | ヽ 二二)
ヽ__ノ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / /::::::u::::夢::::::::| ヽ
/ / イ´^ー、:::::::::::,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゝ イ ノ| |
//イ / /::::::u:::: '´:::::::` ̄'|| | ……………。
/ /イ / |::::::| / _┗' :::: イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / :::::::::::::;|/ | |\
/ / / ! \| | :::::::u::: ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
いよいよ最期の時が近づき、
それを察した弟子達が、沢庵に辞世の偈を求めたが、
沢庵は、ただ手を振るのみで、頷かない。
.
-
>>468はミスなので>>470に差し替え。
-
そして、翌日の十二月十一日、寅の刻(午前4時頃)…
人人人人
< >
< 和尚様! >
< >
Y`Y``Y`Y`l'ヽ( ヾ ヽ ヽ _
-''''‐-_ ノ (0l , (0) ゙i, ∩,) == |/ //⌒ l l\人_从人_从_从人从从ノ
/__ \_<,__ ノ ∪ノ ( ) l(0) (0 ) ヽ l > <
|´> -''丶/__,、_ \ | 〉⌒/⌒/ _ ) 〈 /_ `.u l´ > 辞世の偈を…! <
| (0) (0) |l -- u. ; / /(_ ̄ヽ_ヽ,, 、、 /_> <
|_.〈、 _ ||;, ,,,, '' / ノ ⌒ ヽ/ l lニコ /( /Y⌒YW⌒Y⌒WW⌒Y\
_( /\ リl ''''''''''''''' / ( へ /ヽ | / 、__/ l/(lヽ |\_ヾ
ヽlr==っl/ l / )(0l (O )| | (〈 ⌒ヾ ⌒
| ヽ____/ ( / `- ' l | ヽ_ ゞl (0) (0 )
____/| /^(__,, )、__u .| ヽ__ /ヽ| /.
| | ((l ヽ=っ l/ | | ヽ u
ヽ____ノ|/ (_,_ ノ l | ヽ
/ ヽ__ | ヽ 二二)
ヽ__ノ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / /::::::u::::夢::::::::| ヽ
/ / イ´^ー、:::::::::::,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゝ イ ノ| |
//イ / /::::::u:::: '´:::::::` ̄'|| | ……………。
/ /イ / |::::::| / _┗' :::: イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / :::::::::::::;|/ | |\
/ / / ! \| | :::::::u::: ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
いよいよ最期の時が近づき、
それを察した弟子達が、沢庵に辞世の偈を求めたが、
沢庵は、ただ手を振るのみで、頷かない。
-
それでも、と弟子達が更に強く求めたため、沢庵は筆を取ると…
,iー..
/ /;
/ /;;
.;/ /;
/ /;
/ . /
;/ . /;
/ /; ブル…ブル…
. ;/ . /
/ /;:
/ . / -''''^゙''''ー-.._;:
, ‐'./ ,i゙.、 .. `゙'ー ,,,;:
,/ У ./ .|______l,,..-'゛ .`'''ー ..,,,,、
/ , ‐‐'~´ u u
! ( !
l ./丶、___._.ノ┬―-、.. ;;ン';: u
.゙/ ./ ヽ .,,゙_''く |''ー .._
/ .,/ゝ⊥_,l‐、.( 八. | . ̄^゙''''''"゛
l./ `''、 l_)ー'ーー- ..,,___, _,,..
’  ̄ ̄;:
-
___、
ノ ヽ
丿 '、
/ |
v 、 丿 丿
l `ヽ、 _____ / ム....---........__
/ ゙一''"´  ̄´ `ヽ
亅 一‐‐'1 _−‐‐''‐‐ー-....../
..r''´ _/ ノ /
_..‐'´ ,,....、 /´ ノ _..ノ
-=エ_..___../ ヽ.._../ ノ ∠ --――‐-....__
_,,..-‐''''′ ......----....、 `'' 、
....-┐ ,,r‐"´ _..ょ ヽ _/ ゝ
l′ { ∠ゝ、 !'''" ノ′ '、 ,,y二 __ 丿
| ヽ ヽ ヘ..‐′ `丁`"゙゙゛`'''ー'/゙''
ゝ '、 ..-┘ __..ー'′
\、 `''、 \ ,,......-‐'''ニ_,,......--――‐‐-......,,__
゛‐‐''′ ゛ ニ --‐''"´ ___............__ ``ー 、
..‐" ̄r _,,..-‐'"´ ,,....-‐广 ̄ `"^‐- 、 `' 、
,,r''′ ぇ....-‐'''"´ ..r‐" _..r'" ゙̄'、 __....../ ヽ
イ ./ヘ、 ,,......--‐" ,,-''´ 〔__ -=.―‐-......,, .′
│ イ  ̄" / `゙ヽ、 ゙--一''′
ヽ .| /'´ .__ 丶
\__,,,,′ ヘ ___-‐'" ノ /
゙' 、..r''´ ノ /
_....‐'''''''''‐'′ r′
丶、 〈
> ゝ
/ _....-‐'"´
_..r‐´ /
,,..r‐'´ ,,..r‐'´
_.-‐'" _,,..x、____..ァ'"
..  ̄" ̄ `´
.
-
_,,-ー-ーー-ー-ー-ー
_,, _,,-ー''""~
_,,-ー''',ー'' '"~~`
/ ,,-''" _,,-''
/ / ,,-''" , ...........
. / / / _,,-ー'''"}::::::::::::::::::.............
/ / / .::ヽ,,-''":.:.:..::.:.:.:..};;:::::::::::....... ノ
/ /::... /.:: .:::::/ー-,,_.::..:.::..:.}ノ .::::::_,,-'ー-''
/:::... / .::/. . : : : ~"' 'ノ ..::::::,,-'.::::
/ ゝ /ヽ ,,_ /. . : : : : / ヽ.::::/...::::::
/ ノ / ノ ..:ノ.: : : : : /::. ..::/.::::::
} -' 'ー''" .:/.::: /,,r、 ..:./.::::::::: パタ…ン…
"''ー "''ー-''~...::: { .( `ヽ .:.:/.::::::
ヽ .ヽ、_,,ノ.....:::::
`''ー''
「夢」と大きく一文字書き、続けて
.『百年三万六千日
弥勒観音幾是非
是亦夢非亦夢
弥勒夢観音亦夢
仏云応作如是観矣
沢庵埜老卒援筆』
と書き切ると、そこで筆を投げ──世を去った。
-
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '.
| / 夢 . '. } l
, - ―<! { } i! {⌒ヽ
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 /:::::
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ }:::::::
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ } ノ:::::::
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ / /::::::/
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´ /::::::/; /
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧ .!:::::/; /ゝ
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ ノ/; /ゝ
/// `ー-‐ 7´ムイ: `ヽ ! |ヽ`ハ///`// |/////'>´\/ ´
. //////////// {: : : : } i! ト、} } 〉/イ/イ ,ィヘ .l/: :r‐/XXX >
//////// '//八 ヽ、:.ノ ハ/リ,〈ノ/〈///ムイ//} ,ノ: :_>-、XXrvへ
. /////////∧//|::`:<:.:.:.:.:人'ニゝ//,イ {//////7' : : ゞヽ、_`Y ) )
'//////// ' :: 〉/!:::::::::::`¨´:::::::::::i!:|:://:}::}//////:: ::/ヾ ン ゝ
l//////// :: : //,ト、:::::::::::::::::::::::::::i!::!{::|::ノイ'//////XX(`'ヽィ´ ,ヘノ
|////// ' :: : ///}::{ > .::::::::::::::ノ.イ:}ノ':::イ'////XXXX/` ' ̄ `
|/////〈 :: :: /// |ミヽ:::::::::`ー::イ:/::レ::::::////XXXX/::|
∨'///∧ :: ////ト、:`: ̄ ̄>:イ:::::::::::///XXXX/}:: ::|
. } ////∧7///八: :ヽ:::::::,::'::O:::i!:::::::: '/XXXX///| :: :!
∧/////∧/////ヽ、:ハ /O:::::::::i!:::::/XXXX/////| :: :|
/:: ∨////,∧//ム. -―<:::::::::> /XXXX/`ヽ'///! :: :!
/:: :: ハ/////∧/: : : : : : : :`: :´:/XXXX//////\/| :: :|
:: :: :: :| |//> ´人: : : : : : : : :/\XXX/,/////////\: ::{
:: :: :: ,' ,<´> ´ `ゝ、: : : : >、XXXX<//////////////\!
:: :: :/ /:: { _ r ヘ: : /XXXX_/ヽ、____//////\
:: ::/ /:: ::.! __r ´ r 、ヽXXX/: . : . : . : . : . : > ´///////,ヽ
:: / / > し´ ヽ ヽ_ー'/ 〉: :>: . : . : . : .> ´////////////∧
:>. :´ : : : : : : : ゝ ヾ:、_ノ、/:/ . : . : : ィ´,///\////////////ハ
: : : : : : : : : : : : : \\、ニゝ/: . : > ´:ノ///////\//////////, ^ヽ
: : : : : : : : : : : : : : : \\/: _ : イ> ´,///////// :: \ ///////〃`ヾ:、
: : : : : : : : : : : : : : : : : / ̄ : : /´//////////// :: :: :: ::ヽ/////.i! `ヾ、
: : : : : : : : : : : : : : : /o : : : : ////////////// :: :: :: :: :: | 〉/// i! ハ
正保二年十二月十一日、沢庵宗彭、入寂。
世寿七十三、法蟖五十七。
「当代随一の禅僧」と呼ばれ、将軍家の帰依まで受けたが、
その心は最後まで一介の禅僧たらんとした人物であった。
自身の遺戒により、諡号は長らくなしのままであったが、
三百回忌となる昭和一九(1944)年、「普光国師」の号が諡された。
-
l ::::::::::::::::::::::::::::::: i|:::::::| ::::::::::::::i|::|:::::::i::i| :::::::::::::::::: |:::::::::i
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|儿:::::|ノ|::::|:::::::::::::::i|:::::::::|
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|:::::::| ::::::::::::::i|/}:__ノ_ |- :、 :::::::::::i|:::::::::|
|:::::|:::::::|:::::::::|:::::::::i|∧ | :::::::::::::ノ ,ィf,仭秀 》::::::::::::i|㍉ ::|
これが、沢庵和尚の最期かぁ…。 .. |:::::|:::::::|:::::::∧__}iノ__i| ̄¨¨´ ゞ孑'' イ :::::::::::::i| i}:::::|
いかにも和尚らしい最期だったわね。 . |:::::|:::::::|:::::::|i ,ィf テ秀ァ /:::::::::::::::/ / ::::|
... |:::::|:::::::|:::::::|i `ゞ `≠’ //'::::::::::::/_/ ::::: |
最期に十兵衛と宗冬が訪ねてきたのも |::::,|:::::::|:::::::∧ } /___ノイ:::::::::::::::::
史実なのかしら? ノイ |:::::::|:::::::|:::゚'。 ヽ r‐、 /}::::::::::::::::::::.
|:::::::|_儿}::::::::::. r‐、 r‐、,'ー'} _/ ,::::::::::::::::::::::゚*。
|_/ i|:::::::::::::\ i`゛i V_ノ ,' /_/},:::::::::::::::.::::::::::::::::゚'*。
i|::::::::::::::::::゚*。i | ' { イ , :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、
i|::::::::::::::::r、_::::i l‐-{ iア ,' ハi:::::::::_::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゚'*。
,r‐―‐i入::::::::::::::{ノ }^゙i 、i i ' , |:/ ノ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
_____
...:.:.:.:´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`.:.:.:...
/:.:.:./:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:.:.、:.:.:.\
.:':.:.: /:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\:.:.:.ヽ
/,:.:.:.:/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.、:.:.:.:.:.:.:.:丶:.:.:.:.
//:.:.: ':.:.:.:.:.:.:.: ,:.:.:.:. i:.ヽ:.:.:、:.:.:.:ヽ:.:.ヽ.:.:.',
.':':.:.:. i:.:.:.:.:.:.:.:./:.:.:.:.イ:.:.ハ:.:.:、:.:.:.:.i:.:.:.::.:.:.:! いや、これ自体は>>1の創作だよ。
il:.:.:..:.l:.:.:.:,:.:.:イ:.:.:.:/ :. / ヽ:.:.::.:.:.l:.:.:.:i:.:.:.l .ただ、和尚が発病してから亡くなるまで10日以上あるし、
!l:.i:.:.┼≠:メ/:.:.:.:' /‐'― - ヽ:!:.:.!:.:.:.:l:.:.: l 東海寺と柳生家下屋敷の近さを考えれば、
.:.l:l:.:.:.:!//_ ':.:/ /: ' __ `ト、:l:.i:.:.!:.:.:.:! .十兵衛や宗冬が見舞いに行った可能性は十分あるかな。
.':':ll:ゝ:.ハイ´{うト、/´ イ´トイ心x.、:.!:ハ:.ハ:.:.:.l
.':':.:.!:.:.:ヽ.:. Vソ r:し'ノ'´:./ ! }:l:.:.:.! 実際、亡くなる前日の十二月十日に、江雪宗立(江月の弟子)が来て、
/:':.:.:i:.:.:.:.:.ハ `¨´ , ` ー ´ /:/ ./ノ:.!:i:.:.i これの相手をしたという記録もあるから、
/:.':. /l:.,:.:..:.入ヽ /:':`ー:´:.:.,!ハ:.:.l .亡くなる前日まで、和尚の意識はハッキリしていたようだしね。
. {:.ハ:! |ハ:.:从ハ:.:>、 ` ´ .イ:.:.:从ノ:.:〃 }:.'
!' ヽ ` ー `ー > _ < /:.:.:イ_ ハハ' /´
_ /| ' ´ i: : }
/: :  ̄: イl / : : ヽ
/: : : : : : /. ! . ': : : : : : `ー.-、
-
.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
|::::::::::::::::::::|::::::::|::::::::::::::::::::::::::::|::::::::::|:::::::::::::::::::::::::::|
|::::: |:::::::::::i|::::::::|:::::::::i| ::::::::::::::i| :::: /|::::i}::::::::::::/::::::|
|::::: |:::::::::::iト、:::∧ :::::i| ::::::::::::::i|::: / i|儿|:::::::::/i} ::: |
それにしても、最後の言葉が、 ... |:::::∧ :::::::i|f斧テァュ、|i州i从iレ|ィfテ秀ァ介 ::/ ア ::: |
. |:::::::::::、 ::::i| `¨¨´ `¨¨´/::::::/_/、 :::: |
「夢」 .....__ノ-=≦7ァ、::::、 :i /::::::/‐=乂≧=‐ _
.二二二| \( i 少f'´ }二二二二二
の一字というのは、 ..二二二| \ イ /二二二二二
どういう意図があったのかしらね? .二二二} 、 ` _ ' / イ二二二二二二
.二二二ム _ イ /二二二二二i/
今回の話の冒頭で、 ...二二二二:.、 /二二二二ニ//
随分と虚無的な手紙を書いていたけど、 二二二二二:.、 /二二二二/i:i/ニ
それとも絡むものだったのかしら? ....\二二二二二:.、 、 / /二二二二/i:i:i:/ニニ
、i:i:\二二二二二:.、 ' ,.::..:′ /二二二二/i:i:i:i/二ニ
ニ、:i:i:i:≧ _二二二:.、 ∨ ,.:二二二二_イi:i:i:i:/二二ニ
二\i:i:i:i:i:i:i:i:i:≧ _二ム :i /二二少'´:i:i:i:i:i:i/二二二ニ
. - ―― -. .
´ . . . : : : : : : . . .`. .、
/ . . . : : : : : : : : : : : : : : ヾ:.:.:.ヽ _ イ
/ . . . : : : : : : : : : : : : : : : : :/:.:.:.:.:.:.:.:.:<
. イ . . . : : : : : : : :‐: : : : : : :イ/ィ:.:.:.:.:i:.:.:.:.:.\`\
⌒ー=≠ . . . : : :. :. :./: : : : : : :.:/〃:.:.:.:.:.:.:ハ: :.:i:.:.:.:ヽ
メ 〃 . . : : :. :. :./´:7 /: : : : :/: :.:.:/:.: ィ:./_|:.:/:.i:.i:.:.:..
/ . . . : : : :. :. :. :. :.:{:.{ : :.イ:./:.:.:.:ノィ ノィ フイ:小ハ:|`ヽ それについては、
八 . :i : i i:. :. :. :. :. :. ヾ:./:.|/:.:.:i: :.:/ ィf磷ミ、ノ' ノ' ノ' この後、紹介する沢庵和尚の遺戒にも絡むから
)イ :ハ |:. :. i:. :. :. :. :ノ':. :. f ヾ:.:八 ヽ rし' ! もう少し待ってもらえるかな。
ヽ{ }ハ:. :小:. :. :. :. :. :. :.ハノ:/: i.| ゝ ヽ
' }/ ヾ:. :. :. :. : //: :. :.:.ハ| ' 和尚が最後に到達した境地が
{' jハN:. :ヽ:i: : : ィ ノ' ー ァ' どのようなものかは、それと合わせると、
ヽイ }:乂 ィ::... _.′ .話がし易くなるからね。
/ /
/ l
_//`ー、 :.
〈: :/: : :ヽ:ー :._
//: : : : : : ∨:〉 ヽ〉
-
さて、沢庵の遺戒であるが、これは死に際し、前もって自筆の遺戒が用意されていた。
その内容は以下の十六条となっている。
/⌒ソ/⌒ヽ、
. / // ..\ ._,
/ // .`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 /i
/ // \,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // |
/ // |
. / // 老僧遺戒之条々 |
/ // . .(一個目〜八個目) . |
/ // .|
./ // . |
/ // |
ッ芝ヾシ⌒ヽ、 |
.ヾニジ \ ._,.イ⌒ヽ |
`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 . |
.\,. _., 、 . .リ
⌒´ \._,ノ
一、我に嗣法の弟子無し。
老僧の身後、若し万一我が弟子を称する者これ有るに於ては、是れ法賊なり。官に報じ大罪に処すべし。
一、我に嗣法の弟子無し。
則ち誰が主と成りて賓礼を受くべき有らんや。自他宗共に諷経のため来臨有るべし。
当寺の首祖一人門外に出、理を遂げ、これを奉還すべし。請じて内に入れるべからず。
一、老僧存命中、衣鉢を先師の塔に還す。則ち只の黒衣の一懶衲なり。
一、我が身後、紫衣画像を掛くべからず。一円相を以って真に代へる者なり。華燭炉、意に任すべし。
一、鉢盂供具、一切備ふべからず。
一、志有る者、香合を袖し以て只一□を焼くべし。是れ其人の志なり、我事に関はるにあらず。(※ □は「火主」)
一、香典と称し、相応の携有るべし。芥子と雖も、許しこれを収納有るべからず。
理を遂げ即時に是を返し進むべし。法中俗家皆件の如し。
一、我が身後、禅師号を受くべからず。
(続く)
-
(続き)
/⌒ソ/⌒ヽ、
. / // ..\ ._,
/ // .`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 /i
/ // \,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // |
/ // |
. / // 老僧遺戒之条々 |
/ // . (九個目〜十六個目) |
/ // .|
./ // . |
/ // |
ッ芝ヾシ⌒ヽ、 |
.ヾニジ \ ._,.イ⌒ヽ |
`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 . |
.\,. _., 、 . .リ
⌒´ \._,ノ
一、本寺祖堂入牌の儀、是を致さず。若し万一自己の志を遂げんと欲する者これを営むこと有るべし。
ひそかに彼の牌を取り焼却すべし。此の人尤も志我に懇ろの人たるべし。
一、本山在寺の諸長老遷化の時、必ず一山の施斎有り。我、本寺を退き身を荒蕩に捨つ。
本寺の経営都てこれを知らず。施斎必ずこれを致すべからず。兼ねての所存なり。今日の思ひにあらず。
一、連年、人有りて予の真を写し、讃を請ふ。各一語を加へ返す。
是れ結縁のため人の志を助けんのみ。
一、僧人として道号を望む。是れ又、結縁のためこれを授く。俗家の男女も亦同じ。
右結縁の一法なり。嗣法人の号と雲泥の異なり。
若し万一、道号真賛の語を以て印可と称す者これ有るべし。官に啓し以て罪を行なふべし。
一、老僧の身相、烟となすべからず。夜中ひそかに担ひ持ち去り、
人の知らざる野外に於て深く地を掘りこれを埋め、芝草を以てこれに蓋すべし。
塚形になすべからず。平地の如くせしむべし。是れ他日、尋ねることを得ざらしめんと欲するなり。
我左右に侍す二三子、再び其の所を詣づべからず。
一、我が息すでに絶ぬ。則ち夜に於ては速かに野外に送るべし。若し又昼ならば、則ち死と称ずして密かに夜を待ちこれを送るべし。
僧としては、晃玖二人の外は送り行くべからず。送り去り帰り来りて後、一衆の香拝珍重なり。
大悲呪と雖も、机前に於てこれを誦ずべからず。
一、寺中寺外、石塔を立つべからず。先師春浦和尚の偈に曰く、
『本身に舎利無し、臭骨一堆の灰、地を掘つて深く埋む処、青山点埃を絶す』と。これ思ひこれを念へ。
一、年忌と称し殊に経営を致さず。只月忌の思ひを遠忌となすべし。尤も心頭を掛くべからず。
或は五十日を過ぎて後の弔慰は、俗家の葬紀なり。法中強ひてこれをなすべからざるのみ。
-
「我に嗣法の弟子無し」という言葉は、既に家光や後水尾上皇から法嗣を決めることを望まれた際、
既にその意志がない旨を返しているため、弟子達もわかってはいたと思われるが、この場合、他の遺戒が問題である。
『客が来たら理由を告げて帰ってもらえ』
『供物はするな。香典も受け取るな。道号も受けるな』
『御斎はするな。位牌も祀るな。線香を上げるくらいは許す』
『遺体は火葬せず、野外のどこかに埋めて、わからないようにしろ』
『というか、いつ死んだと知られないようにしろ。塔とかも立てるな。年忌もするな』
『あと、また言うけど、俺の法嗣とか言う奴が出たら、そいつは嘘吐きの糞野郎なので、 御公儀に知らせて大罪人としてもらえ』
実質、『葬式をするな。墓も作るな』と言っているも同然の内容である。
流石に、残された弟子達は困った。
'((/'" ヽl'ヽ( ヾ ヽ ヽ _
-''''‐-_ ノ (-l , (-) ゙i, ∩,) == |/ //⌒ l l \ヽ l|l|l|l|ll|l|l/
/__ \_<,__ ノ ∪ノ ( ) l(-) (- ) ヽ l \ /
|´> -''丶/__,、_ \ | 〉⌒/⌒/ _ ) 〈 /_ `.u l´ 二 ……どうしよう 二
| (-) (-) |l ヽノ u. ; / /(_ ̄ヽ_ヽ,, 、、 /___ // \
|_.〈、 _ ||;, ,,,, '' / ノ ⌒ ヽ/ l lニコ /( \ // l|l|l|l|l|ll|l\
_( /\ リl ''''''''''''''' / ( へ /ヽ | / 、__/ l/(lヽ |\_ヾ
ヽlr==っl/ l / )(0l (O )| | (〈 ⌒ヾ ⌒
| ヽ____/ ( / `- ' l | ヽ_ ゞl (-) (- )
____/| /^(__,, )、__u .| ヽ__ /ヽ| /.
| | ((l ヽ=っ l/ | | ヽ u
ヽ____ノ|/ (_,_ ノ l | ヽ
/ ヽ__ | ヽ 二二)
ヽ__ノ
-
_,,.、、、、、.,,_
/.:::::::::::::::::::..`ヽ、
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::. '、
| :::::::::::::::::::::::::::::::::,ヘ{ツ
| ::::::::::::::::::::::::,ィゥ ノ j 和尚のために、
|::::::::::::::::::::::( |.! ;{ 東海寺で法会をしてやりたかったが…
.|::::::::::::::::::rリ`l,〉 j}゙ 和尚自身の遺戒とあっては、諦めるしかないか。
}:::::::::::::::ノ゙ l /.
,xァ''ー'゙'` '、 /
/ ー`¨`''''ー-- 、」゙'′_
''^ーァ 、_____  ̄ /
`>'、, '''"´ ̄ ̄_二ヽ、
/ / ヽ
,' , / ゙、
l / __ !
l, l く,_ 、 |
事実、この遺戒を聞いた家光は、
一度は東海寺にて執り行うように命じた、沢庵のための法会を取り止めさせたという。
-
とはいえ、沢庵の弟子たちも、
流石に何もしないわけには行かない、と思ったらしい。
,. ‐''´ `'ヽ、
/ ヽ、
/ _,,.......,,,_ ヽ
./ ,.r '´;;;;;;;;;,. ,;;;;iヽ、',
l /,.r'/.-‐'"/;/ ヽ ',
| r ",,,..,´_ ´ ,.-‐.、.l l
| .| ´. ,.-=、 ´,=‐、 .l .| 流石に墓無しってのはなあ…。
| | ‐" -., ! ' - .!‐l, .| …要は、塚を作ったり、石塔を立てたりしなけりゃいいんだろ。
| l´ `'‐ ' .lヽ'''´ ',.|
| .ヽ、 _,. 〉 / | .じゃあ…これでどうだ?
| l u. ./ .|
|. l _,,;;= =;;,, .l .|
| l / l
r-─ 'l ___ ./ 〉__
_,. -‐ '"´ 'l =ニ--ニ= l ./ i..,,,_
_,.-‐'´ ヽ 'l、 ''' .ノ `''‐- .,__
_,. -‐'´ 、 ヽ、 `'''' ´  ̄ ̄,.r l`''‐- 、
-'' ‐‐ 、 ヽ、, `''‐- 、___,. -‐'´ /::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::`'ヽ、 `'‐- 、 /::::::::::::::::::::ヽ
沢庵の遺戒の「文章」に反さない限りで、せめて墓だけは作ろうとした結果…
-
:::::::::::::::::wwiii::::::::....... ;;ゝ ろ:::: ::::::: WwwW'":::::::::::::::::wwi
iiiiiγ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ≦::: :::iiiiwwiiiiiiiw;;;;;;:::::::...... ゝiiiiiWWWiiii;;;;;
::: | …いいのかなあ…これ。 |:::::::`Ww、iiii\`WiiiiiWWW;;;;;;;::::き:::\\ :iレW
^'`'乂___________ノ;;;: iiWwiiiiiiWwili: lノノリリリiiiiiWk'^'`'|川 :i|/リ
|川 :i| wwiiiiw::::::,,r''::::y'ww w`'^`-|i: :iiレ' .|i: l川|wW-'^"` |川 :i| w
|川 :i|^'w|川k'w^ii/'"´WWW WW .|i: :ii| |i: l川| |:ii| |川 :i|^'w|川k
|川 :i| |川 |l:i| |i:| |:| .|i: :ii| |i: l川| |:ii| |川 :i| |川
|川 :i| |川 |l:i|`''^`|i:|^`^''^`^`^`''`'|i: :iiγ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
|川 :i| |川 |l:i| ~^~^ |i: :ii| …仕方ないだろ、もう。 |
|川 :i| |川 ''"''''' !|i: :ii|乂___________ノ
|川 :i| `~~~^. . wi゙|i: :ii| |i: l川| |レ ' . |川 :i| `~~~^.
|川 :i|ww ll ._ . `~~~^ !i: l川| .|| |川 :i|ww ll
WWWiii||wW ヽ!l/ |i: ll川|ii||/WWWiii|W ヽ!l/
|レ' wiiWWWiii||wW |レ' wiiWWWiii||
wwwiiiiw .|| / ̄ ̄ ̄ ̄ヾ: ,,,,,,,
/´\::; /\ ,,,... Wiii||wW """,,,,,
∧ >―-へ〈 .:::', wWll||Www
/::.; :.;"`7 \:.:/:ヽ
_、-ー'`~───/ \|_|~`'ー-、_ ,,,,,,,
,r'´  ̄ ̄三三三 ̄ __`ヽ
|\>―-へ _>  ̄|
| ヽ_______/ | ,,,,,,,
| |
. ゛'''-- ,,,,,,,,___________,,,,,,, --'''"
このようになった。(参考写真: ttp://skysoft.jpn.com/gallery/tokyo/20120303-23.html )
塚や石碑ではなく、平地に自然石を積むものであれば、
例えその周りを墓らしい体裁に整えたとしても、文言上の事だけで言えば、
一応、遺戒には反していない…という理屈で、沢庵の墓は、このようになったのである。
(なお、体裁を整えたのは小掘遠州という)
そして、今もこの沢庵の墓は、品川にある東海寺の敷地内に現存するのである。
-
,,-‐…‐-
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ヽ
『塚とか石塔とか建ててないからOKっスよね? .... /:.:.:.:.:.:i:.:|.:.|:.i:.:.i:.:.:.:.
自然石積んで墓にするな、とは書いてないし!』 . {:.i:.i:.i:.:.|:.:|:.:|:.|:斗:.:.::::.
ii||ii||ii||ii||ii|=‐‐''" ・ ]:.:.::::::.
…こういうのって、「屁理屈」って言うんじゃないの。 iii||ii||ii||ii||ii|三三≧=ソ7y:::::.
そもそも「わからないようにしろ」って言ってるんだし。......iii||ii||ii||ii||ii|ニニニニニニニ彡::::::.
なんていうか、一番和尚が嫌う話のような気が…。 .iii||ii||ii||ii||ii|ニニニニニニニニム:::::::..
iii||ii||ii||ii||ii|ニニニニニニニニム::::::::..
,...::::'::::´:..:..:..:..:..:..:..:`:..:..:...、
/::..:..:..:..:..:..:..:..:..|:..:..:..:、:..:..:..:..:.`:...、
/:..:..:..:../:..:..:..:..: : 人:..:..:..:ヽ:..:..:..:..:..:..:..\
/:..:..:..:..:. /:..:..:..:../:.../ ヽ..:..:..:..i:..:..:..|:..:..:..:..:..ヽ
. /:..:..:..:..:. /:..:..:..:../:.../ V:..:..:|:..:..: |:..:..:..:..:..:..ハ ”だから”法を嗣がせてもらえなかった、
/:..:..:..:./:./:..:..:..:../:.../ _V ._|:..:..: |:..:..:..:..:..:...:.ハ という見方もできるかもね。
. /:..:..:|:..:.|:..||:..:..:..:/:.../ -'  ̄ V:.|ハ:..:从:..:..:..:..:..:..:.ハ
∧:..:. |_ _|_:||:.//:/ _,,-= -、 >八i:..//:..:..:..:..:..:..:..:.i まあ、それはさておき、
乂:.:.イ|:..:.ハ/. 〃 イ:テ:::::rj.ア/:..:..|/:.:/ ̄ヽ:..:..:...:. | この遺戒を見ればわかる通り、
i:..:ゝ:..:ヾ:.|=ミ 弋ソ /:..:..:..:..:/ ⌒} .i:..:..:..:..:.l 和尚は、高位の僧としてではなく、
. |:..:..:.\:?ハ:::トj i:..:..:..:..// / .ノ:..:..:、:..:..| .一介の名もなき僧として死ぬ事を望んでいたようだね。
. |:..:..:..:..:..i ゞソ 、 |:..:..:..:../_ /:..:..:..:.ハ:..:.|
|:..:..:..:..:..ハ _ ィ |:..:..:..:∧:..:../:..:..:./:..八リ この遺戒にはないけど、
. |:..:..:.i:..:..:ハ ヽ _..ノ |:..:.. /ハ:..:.i:l:..:..:.イ:../ 「東海和尚紀年録」によると、
ハ:..:..:l:..:..:..:..ヽ i:..:.:.{. i:..:.l:..:// i:/ 「年譜行状を筆作することなかれ」という遺訓も
八:..: ト:..:.:i:..:..:..:\ /ハ:..:.:{ V:.|:// ´ あったようだし。
ヽ | ハ:.|ヽ:..:..:..ト:> 、 _ ィ、 ヽ:.| V/∧
l:| .ヾ| \: |八ノハソ } ` /:::::::::\
` .`' /ノ ./:::::::::::::::::::::\
/:/ /::::::::::::::::::::::::::::::::
ィ====─==./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ノ :/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
-
_ ....... _ _
. : ´: : : : : : :`´: : : :.`ヽ.
/.:.: : : : : : : : : !: : `ヽ: : : ヘ.
/://: : : : : : : : :.:.从: : i: i: :.:.:.:.ヘ. .そして、何故和尚がそのような思想に至ったかは、
/://:.:.:///:.:.:.:.:.// ヾ: | :|!i:.:.:.:.:.ハ この時期の和尚の記述と合わせて検討することで、
||:.!: :i:|ハ:i:.:/: ://ー─ト!.:|!|:!:.:.:.i:.:i 少しは推測が出来るんじゃないかと思うんだ。
! i:.|:i:.!厂Ⅳ.:/ ィテミ、Ⅳ/从!:.:.li:.i!
乂ハ!ィ笊/ 込リ Ⅳ:.:!Ⅵ:.:!| i! なので、この件については、
!:.:.:|Ⅵ ヒリ ´^` j://ノ:'|:.:!|八 .この後の補足編で述べるとして、
/:/: |::ハ ヽ_, ///.:/ :!: !|:.:.:.ヽ、 .それじゃあ、本編最後の段落に移るとしようか。
/:/ :i |:i!::::ゝ. ` ´ ///イ:.:./:.八:.:.:.:ハ
/イハNハ八ヘ>- イ///ー/イリ才⌒Y
ノ ∨ 丿 >⌒Yoイ≪丈´ ̄∠ ̄`ヽ
__ __ ____ ィ斥¨⌒ヾイ≪≠ /⌒ `ヽノ
__ノ_ ` くУ  ̄ ¬ノ}三二ニ≧冂てしイ≠ニ二二ソ、、
. ⌒ ̄ ̄ ̄ ( }{ ノ⌒≠`ヾ∠ソ 八 二ニ=ー - 、
/ { /ー __) }{ 「 ̄/て不く__ て ̄ ` 、、 /:〉 ヽ
∠イ :j / ( _,从、、 |..ノへ/厶、、ノ⌒ヽ /`ヽ /:/ \
/// / ヽ <∠/ `ー―-{ ハ ∨ ヘ ヽ / Vノ ,ィつテ≠k、
///ノ ∨ ∧∨ ヽ \ / >≠/ / i!、
i// ∨ ∧∨、、ヽ___j ハ/ / !| ヽ
Y////////////! . ´ \ ,/ i |/
∨//////////> ´ . ・ ヾへ __/⌒
∨>''"´`ヾ:./ __..<´
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: / 人 ヽ.:.:.:.:>...
/ !:.:.:.:.:.:.:.:.: / .YYYYへ>.:.:.:.:.:.:.:.:.:`>...
/:.:.i.:.:.:.:.:.:.:.:.: Vィj j j j_/〉ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:./:`>..、
/:.:.:.:!.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:` ̄ ̄ ´:.:.: :\.:.:.:.:.:.:.:.:./:.:/:.:/:イ`>
-
さて、このように沢庵和尚の事跡は、その遺戒が、
このまま守られれば、今より遥かに不明瞭になっていたであろうと思われる。
, ---――――--- 、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
|:::::厂 ̄ ̄''''ー――‐一''''' ̄ ̄|:::::|
. |::::::| |:::::::|
|::::::::| l:::::::::|
|::::/ ― \:::::|
|:::| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::::| __
/^Y::| ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`|::::|/,,ヘ フッ…。
| 久|:::|:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::::|/こ'| 「年譜行状を筆作することなかれ」だと…?
!.イ|≡::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::≡|ヽ |
l く|彡 l|| ミ|_ノ /
ヽ_|彡/ l||| l 〕 ヽミ|_ノ
|<// ~`ー''~ 、 ヽヾ>'|
|:::`<// ー=====一''´ ヽヾ>':: |
| :l::::`< `―――‐'′ >'::::::| |
| l::::::::::\ /:::::::::: l |
/ l :::::::::::::::`ー――''::::::::::: l \
だが、和尚の死から5年後の慶安三年(1650)、それを破った男がいた。
-
--―――-- 、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ v V v V v V v V v V v
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ > 二〃 フ | <
|::::厂 ̄'''ー――一'' ̄ ̄|:::::| . > ノ へ |ヽ <
|:::| |::::| < _. / | <
|:/ ____ /______ヽ:| > |_| ー―― /| .・ <
/^''Yニ -=ニ・ニ>卅彡ナナナ ニY''ヘ > <
| 久|ニ ー'´| `ー ニ|/ヘ| ハ 八 ハ 八 ハ 八 ハ 八 ハ
!.イ|ニ l| ニ|ヽ |
ヽ_|彡/ l|、_l 〕 ヽミ|_ノ そんな遺戒、
|`<// v======v ヽヾ>| .この俺の目には映らねェなァーッ!
|:::::`<// ヽ___/ ヾ>'::::| 俺にあるもの!
| :l:::::::`< `――‐'′>'::::|:: | それは…和尚の行状録執筆だァーーッ!!
| l ::::::::::\__/::::::: l |
/ l ::::::::::::::::::::::::::::::: l \
武野宗朝
(たけの そうちょう)
沢庵の弟子の一人、武野宗朝である。
茶人として知られる武野紹鴎の孫で、後に還俗し、武野安斎と名乗るこの人物は、
「和尚の道風がこのまま忘れ去られるのは耐え難い」として、
遺戒で禁じられた和尚の行状録を執筆したのである。
-
,. ‐''´ `'ヽ、
/ ヽ、
/ _,,.......,,,_ ヽ
./ ,.r '´;;;;;;;;;,. ,;;;;iヽ、',
l /,.r'/.-‐'"/;/ ヽ ',
| r ",,,..,´_ ´ ,.-‐.、.l l
| .| ´. ,.-=、 ´,=‐、 .l .|
| | ‐" ・, ! ' ・ .!‐l, .| おい!
| l´ `'‐ ' .lヽ'''´ ',.| 和尚は「自分の年譜行状を作るな」と仰っただろう!
| .ヽ、 _,. 〉 / | 弟子であるお前が、師の遺戒を破ってどうする!
| l u. ./ .|
|. l _,,;;= =;;,, .l .|
| l / l
r-─ 'l ___ ./ 〉__
_,. -‐ '"´ 'l =ニ--ニ= l ./ i..,,,_
_,.-‐'´ ヽ 'l、 ''' .ノ `''‐- .,__
_,. -‐'´ 、 ヽ、 `'''' ´  ̄ ̄,.r l`''‐- 、
-'' ‐‐ 、 ヽ、, `''‐- 、___,. -‐'´ /::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::`'ヽ、 `'‐- 、 /::::::::::::::::::::ヽ
, ---――――--- 、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
|:::::厂 ̄ ̄''''ー――‐一''''' ̄ ̄|:::::|
. |::::::| |:::::::|
|::::::::| l:::::::::|
|::::/ ― \:::::|
|:::| ,,-‐---―-、三三r‐‐--―-、 |::::| __
/^Y::| -=ニ・ニ>キサナ彡ナナナ' `|::::|/,,ヘ 和尚の遺戒…?
| 久|:::| ー''´|| `ー |::::|/こ'| ククク…。
!.イ|≡ l| ≡|ヽ |
l く|彡 l|| ミ|_ノ /
ヽ_|彡/ l||| l 〕 ヽミ|_ノ
|<// ~`ー''~ 、 ヽヾ>'|
|:::`<// ー=====一''´ ヽヾ>':: |
| :l::::`< `―――‐'′ >'::::::| |
| l::::::::::\ /:::::::::: l |
/ l :::::::::::::::`ー――''::::::::::: l \
当然、これを見咎めた他の沢庵の弟子が、
宗朝に「お前のやったことは師匠の遺戒を破ることだ」と批判したのだが…。
-
--―――-- 、
/::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ v V v V v V v V v V v
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\ > 二〃 フ | <
|::::厂 ̄'''ー――一'' ̄ ̄|:::::| . > ノ へ |ヽ <
|:::| |::::| < _. / | <
|:/ ____ /______ヽ:| > |_| ー―― /| .・ <
/^''Yニ -=ニ・ニ>卅彡ナナナ ニY''ヘ > <
| 久|ニ ー'´| `ー ニ|/ヘ| ハ 八 ハ 八 ハ 八 ハ 八 ハ
!.イ|ニ l| ニ|ヽ |
ヽ_|彡/ l|、_l 〕 ヽミ|_ノ そんなものァ、この東海寺の
|`<// v======v ヽヾ>| 一寺の家訓に過ぎねェー!
|:::::`<// ヽ___/ ヾ>'::::| そのために、和尚の道風を遺さないのは、
| :l:::::::`< `――‐'′>'::::|:: | 天下の為にならねェってんだよォーッ!
| l ::::::::::\__/::::::: l |
/ l ::::::::::::::::::::::::::::::: l \
,. ‐''´ `'ヽ、
/ ヽ、
/ _,,.......,,,_ ヽ
./ ,.r '´;;;;;;;;;,. ,;;;;iヽ、',
l /,.r'/.-‐'"/;/ ヽ ',
| r ",,,..,´_ ´ ,.-‐.、.l l
| .| ´. ,.-=、 ´,=‐、 .l .|
| | ‐" -., ! ' - .!‐l, .|
| l´ `'‐ ' .lヽ'''´ ',.| …そ、そうか。
| .ヽ、 _,. 〉 / | 天下の為じゃあ、仕方ないかな…。
| l u. ./ .|
|. l _,,;;= =;;,, .l .| (正直、俺達も遺せるものなら、
| l / l 遺したかったし…まあいいか)
r-─ 'l ___ ./ 〉__
_,. -‐ '"´ 'l =ニ--ニ= l ./ i..,,,_
_,.-‐'´ ヽ 'l、 ''' .ノ `''‐- .,__
_,. -‐'´ 、 ヽ、 `'''' ´  ̄ ̄,.r l`''‐- 、
-'' ‐‐ 、 ヽ、, `''‐- 、___,. -‐'´ /::::::::::::::ヽ
::::::::::::::::`'ヽ、 `'‐- 、 /::::::::::::::::::::ヽ
これに対し、宗朝は、
「和尚の遺戒は、この東海寺の家訓であるが、和尚は天下の師である。
一寺の家訓の為に、天下の道標を失うわけにはいかない」
と言い返したという。
【東海和尚紀年録】
『余嘗て師の行状を撰す。然れども時事遺逸多きを以て重ねて『紀年録』一巻を編む。
時に師の門人余を責めて曰く、師の遺戒数条。其の中に年譜行状を筆作すること莫れの一条あり。
今子師の遺戒を犯す。皆是れ東海の家訓なり。
(中略)
蓋し以て師は天下の耆宿なり。豈に東海の一家訓を守る為に、永く天下後世の標模を廃せんや』
-
/\
/. \
V. \
i \、__
斗‐''"¨ ̄ ̄`ヽ{ //、_
{、 ヽ /' ゝ>
{ミヽ \ // // ヽ
ヘ: ヽ \ ':/// ´_彡}
ヘ:. :', \ {,//, /'"´
ヘ :':, _ -=====ミヽ|./ /'
ヘ :::':,、/´ _,. -====ミゞ斗}
ヘ ::彡'/´ `¨¨¨´
こうして宗朝によって執筆されたものが、
『沢庵大和尚行状』『東海和尚紀年録』であり、
これに、後世の沼田藩士・工藤行広が著した『万松祖録』を加えての三冊の書によって、
和尚の年譜行状は世に残り、広く知られることになったのである…。
-
そして…
(二二二ニ/二二ニ/二|二二ヽ二ヽ二ニニ)
//_/__//_/__//_/| |ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__| |_ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽ
二二二ニ/二二ニ/二二二//_/__//_/__//_/_| |__ヽ_ヽヽ__ヽヽ_ヽヽヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ二二ヽ
//_/__//_/__//_/__///_/_//_/__//_/_ | |___ヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//○====○====○======.○=====○===○===○===○ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
//_/__//_/__//_/__//_| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|__|_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ_ヽヽ
○====○====○====○===.| |││││││││││││││││|| .||===○===○===○===○===○
| |││││││││││││││││|| .||
| |┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴┴|| 柳 ||
| |┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬┬|| 生 ||
___________| |││││││││││││││││|| ||____________
\/\/\/\/\/\| |││││││││││││││││|| ||\/\/\/\/\/\/
/\/\/\/\/\/| |││││││││││││││││| ̄ ̄|/\/\/\/\/\/\
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄``````````````````````````````` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
| | | | |:::| |:::| | |:| |:|:| |:|
| | | | |:::| |:::| | |:| |:|:| |:|
| | | | ヾ@ノ |:::| |:::| | |:| O |:|:| O |:|
| | | | (ヾ/,ノ) |:::| |:::| | |:| |:|:| |:|
| | | | ミ)Y´ノ |:::|___|:::| | |:| |:|:| |:|
| | | | i ̄ l |;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;| | |:| |:|:| |:|
| | | |__| .::|______ | |:| |:|:| |:|
| | |/´ └‐┘ | |:| |:|:| |:|
| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |:|_______,|:|:|_______,|:|
| |,.' ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|_|───────┴───────|_
/ ̄
/ ̄ ̄\
/ u. ノ \
/ ( ●)ヽ 兄上、父上に和尚様入寂の件、
.| (__人_) お知らせせずともよろしいのですか?
.| u .`⌒ノ
ヽ ./
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
. \ /___ /
/ ̄ ̄ ̄\
/ _, 、_ \
/ (●) (●) \ …今は、まだ止めておくお。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
/ ー‐ \
-
____
/ \
. / \ この事を知ったなら、父上は予定を切り上げて、
. / /) ノ ' ヽ、 \ 江戸に戻って来られるかもしれないお。
| / .イ '(ー) (ー) u|
. /,'才.ミ). (__人__) / でも、そうなれば、
. | ≧シ' ` ⌒´ \ せっかくの故郷で正月を過ごす機会が消えてしまうお。
/\ ヽ ヽ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (−) (−)ヽ …そうですね。
.| (__人__) | 下手をすれば、これが最後の…。
.| u. `⌒´ |
. ヽ nl^l^l
/ ヽ | ノ
. / ヽ く
-
____
/ \
/ -‐´ `ー\ そういうことだお。
/ (●) (●)\ どうせ江戸に戻れば、否応なしに
| (__人__) | .知らざるを得ない話だお。
\ ` ⌒´ /
> ー‐ < なら、せめて、この正月は
. / / ̄彡ミヽ、 心安らかに過ごして頂きたいお。
/ ヽ / / ヽ ヽ
ヽ. Y / | |
ヽ ノ ヽ ノ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (●) (●)ヽ わかりました。
.| (__人__) | 家中の者達には、
.| `⌒´ | せめて正月が過ぎるまでは、
ヽ / 父上にこの報を伝えぬように言いましょう。
/ ヽ ノヽ
./ / ∩ノ ⊃| |
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
. \ /___ /
-
___
/ \
/ \ 頼むお。
/ ノ ヽ、_ \ .柳生庄には、十兵衛から代官に手紙を書いておくお。
| ( −) (− ). | あいつなら、うまく差配してくれる筈だお。
\ l^l^ln__人__) /
/ヽ L⌒ ´
ゝ ノ
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_\
/ (−) (−)ヽ そうですねぇ…。
.| (__人__) | ただ、人の口には戸は立てられませんから、
.| u. `⌒´ | 何かの拍子で知られるかもしれませんし…難しいですね。
. ヽ nl^l^l
/ ヽ | ノ 「まったくだお…」
. / ヽ く
-
____
/ \
/ ノ ヽ、_.\ .じゃあ、十兵衛は代官宛に手紙を書くから、
/ (●) (●) \ お前は、家中の者達にこの件を伝えておいてくれお。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ_
/ 、 、 〆ヾ ̄ `i
/ / ゙ lヾ_ ,|ヽ─ヘ
/ /l `、´/ ヽ
/ / ヽ ,____ ` ,ヽ ヽ
-─ヽ イ_ ヽ /  ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ Y ゝ‐-、
( _i _i_ト、__) ヽ、___⊥____ノ 「___ノ
/ ̄ ̄\
/ ノ \
/ ( ●)ヽ わかりました。
.| (__人_) では…。
.| .`⌒ノ
ヽ ./
/ ヽ ノヽ
/ ヾ
-
ブーム君出るか?!w
-
<パタン
____
/::: \
/:::::::::: \ ………和尚様…。
/:::::::::: \
|::::::::::::::: |
/⌒::::::::: ⌒ヽ/
./:::::::::::: \
/:::::::::::::: \ ヽ
-
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
/. : : : : : 丶 ` ´ ノ ヽ ::::::::::::::::::::::::::::::::::
/. : : : : : lr‐、_,‐´ / ヽ :::::::::::::::::::::::::::::::
./. : : : : : l.T~ . !、 人ノ :::::::::::::::::::::::::::::::
/. : : : : : | | `.` ニ二-- i ::::::::::::::::::::::::::
/. : : : : : | | l ::::::::::::::::::::::::
,'. : : : : : : | | / :::::::::::::::::::
i : : : : : : : U /
::::::::::::::::::::::::::::::::: i : : : : : : : /
::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ', : : : : : : : /
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ', : : : : : : : / 最後のお言葉、
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ、: : : : : : . / 十兵衛、決して忘れませぬお…。
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ、:_: : : : . /
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: `¨i : : : : : ヽ
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...
-
.
...................................
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: 慢心せず、慈悲と寛容を心掛け… :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
...................................
...................................
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: 兄弟力を合わせて :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::: やってみせますお… :::::::::::::::
::::::::::::::: :::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
...................................
.
-
.rニYニヽ
/:::::::::::: j |
イ::::::::::::::::::} |
/j::::::::::::::::::::j
,r'´ ̄`゙}::::::::::::::::j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、 -イl;|`--l一〈
.::::::: |:::::::ルリ-ト、|州リ:::::::|:::::::.|
j:::::::| ::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::::|,
., イ:::::::|::::::::::::::::::| ::::::::::::::::::|:::: |
ノ }:::::::::::::::::::::::::::| :::::::::::::::::::::::::: |
/ :::::::::::::::::::::::::::::::::::| ::::::::::::::::::::::::::::: |
//:::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
. //:::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::',|
/ / :::::::::::l :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |
/ i :::::::/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
ん-ト、 :::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| ::::::::::::::::::::::::::::: |'
ヽ/::::::::::: /:::::::::::::::|:::::::::::::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l
ヽ:::::::::::/::::::::::::::::::|:::::::::::::::|:::::::::::::::::: レ-、 /
`-- ´--、__ |___|__ _| `丶{
 ̄|::::::::::: / ̄|:::::::::::::::j
',:::::::::::{ |.:::::::::::::|
',__,r' } .| :::::::::::j
',:::::::::| |`丶、r' ┼ヽ -|r‐、. レ |
',:::::::| |:::::::::j d⌒) ./| _ノ __ノ
【やる夫で学ぶ柳生一族(その67・後編)「沢庵和尚入寂」】 完
-
【やる夫で学ぶ柳生一族(その67) 新規登場人物一覧】
愚堂東寔 ....: ミレーヌ・ジーナス(マクロス7)
秋庭半兵衛 ......: 根岸俊彦(デトロイト・メタル・シティ)
幸徳井友傳 ......: キッス(冒険王ビィト)
土御門泰福 ......: グリニテ(冒険王ビィト)
寺尾孫之允勝信 .: 鎬紅葉(グラップラー刃牙)
寺尾求馬助信行 .: 鎬昂昇(グラップラー刃牙)
大淵玄弘 ....: 徳川喜一郎(マクロスF)
武野宗朝 ....: サイクロプス(無頼男-ブレーメン-)
解説役(その67) その1 : 庚夕子(黄昏乙女×アムネジア)
-
乙!
-
乙。巨星堕つ…
まぁお墓と史書の件は、師弟ともども禅問答で散々機転を利かす事を修練したんだろうから仕方ないね。
-
乙でした
快僧が入寂しましたねえ
まあ、記録を残すことは良いんじゃないですかね
それが権威になったり人を縛ったりしなければ
-
てなとこで、今回で「その67」は終わりです。
今回もお付き合いありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
3連休ということで、一日余分にあったとはいえ、久々に21時に投下できてホッとしました。
先週でとうとう丸6年目になってしまい、
なのにまだ和尚入寂は終わらないし、宗矩もまだ生きてるしで、
一体何時になったら終わるのかという有様ですが、
どうにかまたひとつ話が進んだので、やれやれと。
で、今回、遂にメインキャラの一人、沢庵和尚が入寂しました。
まあ、この後の補足編で和尚についての解説を行うので、
まだもうちょいだけ話は続くのですが、本筋の話としては、これで出番は終わりとなります。
本格的に登場したのが、09年7月の「その25(中)」からなので、もう5年になるんですな。
うはあ。(顔出しだけなら08年9月の「その4」でも出てはいますが)
宗矩と絡む人物のうち、重要度では家光と双璧となるこの人物、
当方も柳生一族のことを調べるまでは、大して知識もなかったのですが、
調べてみると、これがなかなか面白い人物だということで、
思わず、スレでもあれこれ書いた結果、下手すりゃ十兵衛より出番多いんじゃないかという有様に。
いや、おそるべしおそるべし。
あと、殆ど同じ時期に武蔵が死んでるので、
こっちも何も書かないわけにも行かず、結果、この「その67」は結構な分量になってしまいました喃。
この後、和尚の話をしたら、武蔵のついての話もすることにしたので、
果たして「その68」に取り掛かれるのは何時になることやらと。
ともあれ、補足が間に入るとはいえ、
次の「その68」で、この柳生一族の物語は大きな区切りを迎えることになるので、
なんとか今年中にはいけるように頑張りたいものです。
では、最期に「その68」の解説役投票の結果発表をば。
【その68解説役投票結果】
4票 : ジャンヌ・ダルク(Fate/Apocrypha)
2票 : 赤セイバー(Fate/EXTRA)
1票 : 星宮ケイト(謀略のズヴィズダー)、アナザーブラッド(デモンベイン)、
佐々木(涼宮ハルヒの憂鬱)
というわけで、次回はジャンヌと赤王様の、セイバー顔コンビで砂。
それではでは。
-
乙です
クラウザー和尚がとうとう……
寂しくなるねえ
ともあれ6年目突入おめでとうです
-
まさにたくあん石
-
乙
-
乙でした
ロックと言われる中自分に厳しい人でしたな
-
信頼してた和尚の死は家光にとってはつらいだろうな
乙
-
乙でした!
-
乙乙
墓を建てるなとか、最後まで一僧侶たらんとしてた生き様がまさにロックでした。
-
乙でした
「夢」とというやつは禅語としてとらえた場合
「後に何も残さない、何にもとらわれることのない」心境の事でして
まさにロックな言葉です
「是(ぜ)もまた夢、非もまた夢」の処が禅僧沢庵のエッセンスなのでしょう
-
どもどもです。
先週は土日月と三連休だったのに、今週は中途に一日空いて
ちょっとしょんぼり気味でありま砂。
さて、次回については予告通り、その67の補足編である
「沢庵和尚、晩年の境地」についての考察回になります。
まあ、晩年以外のことにも触れることになりそうなので、
「沢庵和尚評」といったところにもなりそうですが。
とりあえず、目標だけは明日の21時を目指したく思うところですが、さてはて。
それではではー。
-
了解ですー
-
どもどもです。
薄々予想はしてましたが、やはり今日は無理そうであり、すいませぬ。
うまくいけば火曜に出せるかもですが、ダメそうだと来週以降になるかなーと。
毎度ながら申し訳なし。
何とか今年中に第2部ラスト(宗矩死去)まで行きたいところですが、
どうなることやらと。
それではではー。
-
時代小説の鈴木英治が「柳生左門」!!
http://urx.nu/cj2o
(アマゾンのページ)
時代小説の中でも、ミステリー色が強い人だから伝奇力というか
1の言うところの「柳生力」にはあまり期待はしていないが
デビューが桶狭間の戦いがテーマだったり、
その後も、たまに備中高松城の籠城中に起こった殺人事件や
八百屋の成り上がり物だったりと、挑戦的な題材を選ぶ事もある人なので
最近の時代小説では、メジャー過ぎてあまり出番のない「柳生」を、どう扱うかは楽しみ
-
どもどもです。
月末ですし、今週はどうにかしたいところ。
目標はいつものように日曜の21時にしつつ、頑張る所存でアリマス。
>>517
情報ありがとうございます。
あらすじを見た感じ、「友矩の死の真相」みたいな話にも繋がりそうで砂。
鈴木先生の作品は未読なのですが、10/7は本屋に行ってみるですよ。
-
(いい意味で)期待せずに楽しみに待ってるから無理なくドゾー
-
どもどもです。
結局、今週も相変わらずどうにもならず、
せめて隔週程度には更新ペースを持ち込みたいところなのですけど、
なんともすいませぬ。
気がつけば、今年も残り1/4なので砂。
日の長さもいつの間にやら結構短くなってきてますし、
ほんと、時間が経つのは早いものでアリマス。
ではでは。
-
どどんまい!
-
黄門さまで柳生がでてきたけどさあどうなる
……かませくさいよなあ
-
主人公が柳生の剣士たち強くなさそう。と伏線張っているから
まぁ単純なかませにはならないとは思うよ
徳弘正也はそういうところはかけるとは思う…が、実際不安はある
サンデーのムシブギョーとは違うと思いたい
-
どもどもです。
Gのレコンギスタで富野節を堪能し、来週が楽しみである今日この頃、
とりあえず今週どうにかなったらいいなあと思いつつ、
明日(10/5)の21時を目標にしたいところ。
黄門さま>
お試し版1話を読んでみましたが、なるほど、こういう話かーと。
グランドジャンプの方はまだ読んでないのですが、
名高い柳生の剣士ですらこうなのか、になるのか、
実際強いけど無残な話になるのか、気になるところで砂。
-
>>517で紹介した手前「柳生左門 雷獣狩り」買って読んでみたよ
駿河で見つかった4つの首無し死体とか
出だしは良かったが・・・後は大ネタばかり詰め込み過ぎで消化不足でした。
兵庫助が出てくるのに、宗矩出てこないとか
本来なら3巻ぐらいのボリュームでやるべき作品だったのかも
あえて良かった探しするなら、十兵衛の剣豪感ぐらいかなぁ
1には正直スマンかったとしか言えねえ
-
どもどもです。
なんかもう予告のペースもグダグダになってきてしまっており、
申し訳ないのですが、なんとかなれば明日の21時に投下できればなと。
まあ、台風も来てるので、明日は家から出ることもなさそうですし。
>>525
いえいえ。
当方も読みましたが、最期が最期なだけに、
創作でも割と不遇な目に遭う友矩が、割と救われてたので、
それだけでもよかったなーと思うところ。
宗矩が出番レスだったのはちと残念でしたが、悪くはなかったかなーと。
ありがとうございました。
-
把握ー台風は歓迎しづらいですが
当スレの一刻も早い完結のためには受け入れましょうぞ
-
把握
雷獣狩りは「柳生ものかー」とタイトルだけで手に取ってしまった。
明日にでも読んでしまおう。
-
ヤンマガのトロピカル侍って漫画で剣豪ランクが下だったので出版社に賄賂を贈ったり八百長で勝つ宗矩・・・
ギャグ漫画だからしょうがないんだけどちょっと悲しくなる流派も柳生新陰流じゃなくて柳生新金流になってるし
-
どもどもです。
相変わらず21時は駄目であり、多分今回では最後まで行かないのですが、
今日投下できないと、ますます延び延びになるので、今日は意地でも投下する所存。
ただ、夜3時とか4時とかになりそうなので、明日にでも見て頂ければ、
すいませぬ。
>>529
ほー、こんなのもあるんで砂。
まあ、役回りとしては比較的ありがちなパターンなので、「ああ、またか」という感じで砂。
話中に出てくる「剣豪ランク」が、もし知名度ランキングと合ってたらお笑いですが。
-
本当に予告通り、4時前とかになってしまって
なんてこったという有様ですが、とにかくできたので
今から投下しまする。
今回は、予告通り「その67(補足編)」ということで。
では、始めます。
-
. -―- .
/ ヽ
// ', 前から随分間が空いちまったけど、
| { _____ | ようやっと投下できたぜ!
(⌒ヽ7´ ``ヒニ¨ヽ
ヽ、..二二二二二二二. - ‐''′
| '"\、、,,./ ̄゛ | ._ _
| ( ●)Y´(● ) | , -'′ `¨¨´ ̄`ヽ、
| `'''7、,. 、 ⌒ u ..| { \
| (_人__) ,イ ゝ、ー`――-'- ∠,_ ノ
| 「匸匸匚| '"|.| ./ ⌒  ̄ ̄ ⌒ ヽ でも、今回ですら
, ヘー‐- 、 l | /^''⌒| | | / (_●)!i!i(● ) } 完結できてない有様だお!
-‐ノ .ヘー‐-ィ ヽ !‐}__,..ノ || , -‐|:::⌒(__人_)⌒:::::: | 正直、スマンカッタ。
''"//ヽー、 ノヽ∧ `ー一'´ / |′ .人. |r┬-/ u. ./ー- ..._
//^\ ヾ-、 :| ハ  ̄ / ノ |. { |ヽ、 `ー'´ ,イ | `ヽ
,ノ ヽ,_ ヽノヽ_)ノ:l 'ーー<. / |. ヽヽ.ヽ.  ̄ /ノ ノ
/ <^_,.イ `r‐'゙ :::ヽ \ `丶、 |、 \\'ー--‐''"//
\___,/| ! ::::::l、 \ \| \ \ヽ / ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \
. | ( ●)(● ) | .…という訳で、やっとではあるが、
. | (__人__) │ 本編で語りきれなかった
| .`⌒´ .|
. | | 「沢庵和尚について」
. ヽ /
ヽ / をテーマに話をしようと思う。
> <
| |
| |
____
/ \
/ ─ ─\ ぶっちゃけ、本編冒頭で、
/ (●) (●) \ 思わせぶりな振りをしておいて、全部書こうとしたら、
| (__人__) | .解説が本編より伸びそうになったから、
./ ∩ノ ⊃ / .急遽補足編として放り込んだ、と。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| | 「そういうことは言わなくていいんだよ」
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) ま、その辺を差し置いても、
| (__人__) 沢庵和尚は「柳生一族の歴史」の中でも、
| `⌒´ノ .かなり深く関わってきた人物の一人だからな。
| ,.<))/´二⊃
ヽ / / '‐、ニ⊃ どっちにしても、和尚に関しては
ヽ、l ´ヽ〉 単独の話をするつもりではあったよ。
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
____
/_ノ ヽ\
/ ( ●) (●)、 まあ、その辺の事情はそこまででいいから、
/::::::::⌒(__人__)⌒\ 今回、具体的にどんな話をするか、教えてほしいお。
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
-
| そうだな。
/ ̄ ̄\ 今回やるのは、大体この辺りになる。
/ _ノ \.
| ( ●)(●) ....・ 「仏法を見限った」発言
. | ::::::⌒(__人__) .・ 法嗣を持たなかった理由
| ` ⌒´ノ .・ 最後の境地
. | }. 。 ・ 柳生一族と沢庵和尚
. ヽ } / ...・ 和尚の評価-禅僧・沢庵
ヽ ノ ./
/ lヽ介/lヽ、 ,rE)
. | | ~ヾ/~ |. ソ◇'
| | ゚| |\/____E[]ヨ___________
_ | | ゚| |__
|\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
|\\ ⌒ ⌒ 甘 \
| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
____
/ \
/ ─ ─\ あと、剣術に対し、和尚が与えた影響については、
/ (●) (●) \ 前の不動智神妙録についての話で、ある程度解説してるので、
| (__人__) | .それについては、そちらを見てくださいお。
/ ∩ノ ⊃ // ∩ノ ⊃
( \ / _ノ \/ _ノ
.\ “ / . \ “ / 【外伝その3・後編4「活人剣・治国平天下の剣、その礎2(沢庵・不動智神妙録)」】
\ / /\/ http://tagenmatome.blogspot.jp/2009/11/blog-post_29.html
\ \
\ \ \
> > >
/ / /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) それじゃ、早速1つ目から行こうか。
| (__人__)
| `⌒´) ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
| } ..... ┃ その1.: 「仏法を見限った」発言について ..┃
ヽ } .. ╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
> ノ
/ \ /て⊃
| ィ |\ `´ ゞ _三}
| | | \__/.
____
/ \
/ ノ ヽ.\ 「その67」の冒頭に出た、和尚の手紙にある
/ (●) (●) \ 「末法之法三十年前ニ見限候間」のことだおね。
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ / …和尚らしくもなく、随分と投げやりな感じだお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
.r⌒i
| |‐‐-----==--‐‐''''"´`゙゙'i
| | |
.| | 波多中庵殿 |
| | |
|r⌒' 沢庵 |
゙'ゝ-‐‐--===‐‐‐-------┘
【寛永十八年正月の波多中庵宛の手紙(抜粋)】
「老希ニ近事三百六十日ニテ候。死後ノ事毛頭不思、末法之法三十年前ニ見限候間、
相続之事不思、寺之事次テ何ト可成ト云事不存、遺像遺言心ニナシ
(中略)禅師号国師号無望無、其外一事モ無所望」
(意訳)
『来年には七十になるが、死後については何も考えていない。
この末世の仏法は三十年前に見限っている。
(法統の)相続や寺のことなども何も言うことはない。
遺像や遺言などもどうでもよい。禅師号や国師号も要らぬ
望むような事など何もない』
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ、\
| (●)(●) | そして、その手紙より後に、
. | (__人__) .| 更にこんな話が出ている。
| . '´n`' .ノ
.ヽ . | | } 「師の印を得てより後、今已に四十年」とある通りなら、
ヽ.. ノ .ュノ .印可を得た32歳から40年後の72歳になるから、
/ { ..ニj、 正保元年前後の最晩年の言葉になる。
|. | "ツ \
|. | .l |ヽ、二⌒)
【万松語録(巻の一)】
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| .『予、薙染(ちせん)の後、志を立て参禅学道し、師に於て授記し、
| ._ .|_| 一に篆を本寺に見、正しく簾前の紫を賜はる。
| |万| . |_| 人これを見、好き人天師と誤り想ふなり。元来ただ名字の羅漢なるのみ。
| |松| . |_| 師の印を得てより後、今已に四十年、一則の話頭を以って人に示す。
| |語| .|_| 其れ正知見を得る者、一箇もまた無し。
| |録| .|_| 今より五十年の命在るも、住を以って来を推すに、恐らくは済度の頼むべき無し。
|.  ̄ .|_| 若し済度を除かば、即ち渡世の活計と成る。豈(あに)愧はぢ)ざらんや。
|. .|_| 以故す、今予、仏法を棄てて唱へず(中略)
|________.|_| 今の世上、得法を称する者太だ多し。
└─────── 古を以てこれを見るに、即ち多くは是れ相似底の消息なり。
似は即ち似にして是れ即ち未だ是ならず。
未だ是ならざる法を以て人を度さば是れ人を度するにあらず。
却つて人を暗坑に陥らさん』
____
/ \
/ \ …ますます陰鬱な感じになってるお。
/ _ノ ::::::: ゝ、 \ 「今予、仏法を棄てて唱へず」って、
| (○) (○) u | どうしてそこまで言っちゃったんだお?
\ (__人__) ,/
/ `⌒´ \
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ、\ そのヒントと思われる記述が、この手紙にある。
| (●)(●) | 正保二年四月の和尚の手紙だ。
. | (__人__) .|
| .`⌒´ .ノ
. r─一'´ ̄`<ヽ }
. `ー‐ァ , ) , -'~⌒ヽ、
ノ {. ,ヘ ,l. ゝ、_ .'ヽ).
. /, 、 _ /. | . ', . .. .ヽ、
(/ / // / / ...| ...|\..\\ \_)
/ // / / . . \_\_)、_)
ー' {_/ノ ."´
/⌒ソ/⌒ヽ、
. / // ..\ ._,
/ // .`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 /i
/ // \,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // |
/ // |
. / // 小出吉英殿 .|
/ // . |
/ // .|
./ // . |
/ // |
ッ芝ヾシ⌒ヽ、 沢庵 |
.ヾニジ \ ._,.イ⌒ヽ |
`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 . |
.\,. _., 、 . .リ
⌒´ \._,ノ
【正保二年四月二十六日、小出吉英宛の手紙(抜粋)】
「何と精を尽くし申し候ても、紫野の仏法、今の世には用に立ち申さず候間、
.成り次第にして置かせらるべく由申し候へ共、止め申さず候。
.人を引導など仕り候ことは、浄土宗も一向宗の衆も仕り候間、
.よき仕手にさせて、一分心をすまして、物の本のきれをものぞきて居らるるが、
.自分の利益たるべく候由申す儀に候」
(意訳)
『自分がどう頑張ったところで、今の紫野(大徳寺)の仏法は、今の世には無用なものである。
.この後は最早成り行き次第であろうと言いはしたが、それを止める気もない。
.葬式なら、浄土宗でも一向宗でもできるのだから、そのようなことは向いている者に任せ、
.心を澄ませ、読書に励むことが、自分にとって良いことであろう』
-
____
/ \
/ -‐´ `ー\ …正保二年といえば、
/ (●) (●)\ 前年に上方に帰郷して、戻ってきた後だおね。
| u (__人__) |
\ ` ⌒´ / 「紫野の仏法、今の世には用に立ち申さず候」って、
> ー‐ < 和尚から見た大徳寺は、そんなに堕落していたのかお?
. / / ̄彡ミヽ、
/ ヽ / / ヽ ヽ
ヽ. Y / | |
ヽ ノ ヽ ノ
_____
/ .r┐ヽ「|
/ r-、 | .| ./ l l゙l
. / .__,ノヽ ゙、_,ノ '-' .|,,/ | .いや、これについては、
| (●)ヽ ノ ´/ 大徳寺が堕落していたとか、
| 〉 〈_,,.-、 そういう話とはまた違うようなんだ。
.| (__人{ .r''´
.| ´ ⌒| _,.-i'´ 「どういうことだお?」
. .{ l-‐'''''''ーl }
{ . |´ ̄ ̄``l }
{ .| |.}
-
(⊃ ̄ ̄\
(⊃ _ノ \
(⊃ ( ●)(●) そもそも、和尚が幕府と関わるようになったのは、
| (__人__) 紫衣事件が発端なのは覚えてるな?
| ` ⌒´ノ
| } \ その原因である元和元年に出た「大徳寺諸法度」なんだが、
/ヽ } \ 実のところ、あの法度そのものはまだ続いてるんだよ。
/ ヽ、____ノ )
/ . | _/
| / ̄ ̄(_)
\ \ /| JJJ (
\ / /⊂_)
___ て
/ \ そ
/ノ \ u. \ えっ?
/ (●) (●) \ あれって和尚の嘆願が通って、
| (__人__) u. | 寛永十八年に家光が撤回したはずだお!?
\ u.` ⌒´ / (その62:http://yromtm1059.blog117.fc2.com/blog-entry-418.html)
ノ \
/´ ヽ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \ 違う違う。
.| ( ●)(● ) | .家光が撤回…というか、
.| (__人__) │ .厳密に言うと大幅緩和したのは、あくまで
| `⌒´ |
.| | 「出世入院に関する条目(第二条)だけ」
r、 r、ヽ /
ヽヾ 三 |:l1.ヽ / 大徳寺法度が全部で五ヵ条あったのを
\>ヽ |` } > < 忘れたのか?
ヘ lノ `'ソ ヽ
/´ /,1 | |
\ ノ .| | |
____
/ u \
/ \ /\ そ、そういえば、
/ し (○) (○) \ .他にもあったような…。
| ∪ (__人__) J |
\ u `⌒´ /
/⌒ソ/⌒ヽ、
. / // ..\ ._,
/ // .`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 /i
/ // \,. _..ノ .|
. / // ⌒´ .|
/ // ◎ 大徳寺5つの誓い ◎ |
/ // |
. / // ひとつ、寺法はきちんと守ること .|
/ // . ひとつ、無闇矢鱈に出世入院させないこと |
/ // .ひとつ、新しい院をやたら建てないこと |
./ // ひとつ、寺領はきちんとまとめること |
/ // .ひとつ、諸院の塔主は輪番を守ること |
ッ芝ヾシ⌒ヽ、 |
.ヾニジ \ ._,.イ⌒ヽ |
`ヽ,.._,ィ''´ `'ー- 、 . |
.\,. _., 、 . .リ
⌒´ \._,ノ
大徳寺諸法度(超訳)
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) .つまり、「出世入院に関する条目」こそ
| (__人__) ある程度緩和されたものの、残る四条目、
| `⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃ ・ 寺法の遵守
ヽ / / '‐、ニ⊃ ・ 無許可で新寺を立てる事の禁止
ヽ、l ´ヽ〉 ・ 寺領の確認、及び記録・管理を徹底
,-/ __人〉 ・ 各寺の住持は相応しい者による輪番とする
/ ./. / \
| / / i \ これらはそのままなんだな。
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
____
/ \
/ \ …でも、非現実的だった出世入院の条目(※)と比べれば、
/ _ノ ::::::: ゝ、 \ まだ理解できる内容だお。
| (○) (○) u | これが残ることが、さっきの和尚の言葉にどう繋がるんだお?
\ (__人__) ,/
/ `⌒´ \
※大徳寺諸法度、二条目原文
『一、参禅修業、就善知識三十年、費綿密公夫、千七百則話頭了畢之上、
遍歴諸老門、普途請益、真諦俗諦成就、出世衆望之時、以諸知識之連署、
於被言上者、開堂人院可許可、近年猥申降論帖、或僧臘不高、或修行未熟之衆、
依令出世、匪啻汚官寺、蒙衆人嘲者、甚違干仏制、向後有其企者、永可追却其身事』
【非現実的な箇所】
”参禅修業、就善知識三十年、費綿密公夫、千七百則話頭了畢之上、遍歴諸老門”
↓
意訳 : 参禅の修行は、善知識(師僧)に三十年就いて修行し、千七百の公案を解き、
更に諸師について修行をし…
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( −)(−) …やる夫。
.| (__人__)_ .内容どうこうではなく、幕府によって、ここまで管理されることを
| `⌒´. ̄ 寺社が受け入れざるを得ないこと自体、
.| ノ 本来、寺社からすれば、受け入れがたいことなんだよ。
ヽ .,ノ )/´二⊃
> /"/ '‐、ニ⊃ キンッ 江戸時代以前の寺社ってのは、
./⌒ヽ l ´ヽ〉〆ヽ .武士とも朝廷とも違う、独立した勢力だった訳だからな。
( ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ
.\ / / { /
_____
/ ― \
/ノ ( ●) \ んー…。
. | ( ●) ⌒) | 一向一揆とかあったけど、ああいう感じかお?
. | (__ノ ̄ /
. | /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ―)(―) シュポ …………。
.| (__人__) チリチリチリ……
| .,ノ )/´二⊃
人 /"/ '‐、ニ⊃
./ ヽ l ´ヽ〉〆ヽ
( ⌒ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ
.\ / / { /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ―)(―) , 、
.| (__人__) ふぅーッ ,´ ( ⌒ヽ )
| `-=━・ --==≡三三 ( ( ) ) )
.| ノ ヽ `ー ノノ
ヽ .,ノ )/´二⊃ ヽ_- ノ
> /"/ '‐、ニ⊃ キンッ
./⌒ヽ l ´ヽ〉〆ヽ
( ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ
.\ / / { /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ .___
| ( ー)(●) ( ⊂⊃ ) まあ、わかりやすい例としてはそうだが、
. | (__人__) ホワッ ̄ ̄ .あれはかなり極端なもんだ。
| ( ( ノ
.l^l^ln ⌒ } ともかく、中世以前の寺社勢力というのは、
. ヽ L } ∩ ノ)━・ 自前の所領と、それを支える武力も持ち、
ゝ ノ ノ / _ノ´ 更に表向きの政治に対する権威や影響力に加え、
/ / \/ | .宗教的権威まで持ち合わせた勢力なんだぞ。
/ / ' | .武士からすれば、始末に負えないなんてもんじゃない。
. / / |ヽ__ノ
ヽ__ノ
____
/ \
/ u ノ \
/ u (●) \ そ、そんなに寺社が凄いなら、
| (__人__)| どうして幕府に従うことになったんだお?
\ u .` ⌒/
ノ \
/´ ヽ
-
/ ;;;;;;;;;;ヽ
/ ;;;;;;;;;;;;;、 そりゃお前。
| ノ \ ;;;;;;;;;;|
|( ●) (●) ;;;;;;;;;l 「 力 ず く で 叩 き 潰 さ れ た か ら 」だよ。
| (__人__) ;;;;;;;;il
| ` ⌒´ ; ;;;;;;;.;;;;;ヽ 叡山焼き討ち、石山合戦、紀州征伐…。
! ;;;;;;/i;;;;;;;;ヽ、 戦国時代、寺社勢力がどれだけ派手に武士と戦して、
\ ;;//;;;;;;;;;i;;;;;;ヽ、_ .そして徹底的に敗れたか、調べればわかることだろ。
/)  ̄ ̄;l; ;;;;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`‐-、
_ / :/ |;;;; /;;;;;;/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;; ヽ、
ノヾ `‐-" l , -‐"i /;;;ノ;;;;;;;/;;;;;;,-‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙ヽ,
ノヽ | / .ヽ!;;:/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;li
l , :l / , ;/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ
( ヽノ .i i; ;l ,, ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|
ヽ、 \l/_,-‐ 、:;| :;\,,-‐;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/
ヽ、i \i;;;;;:));| ;;;;;;;;;/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;‐、;;;;;;;;;;/
\ \´);;| ;;;;;;;/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\;;;;
____
/ \
/ \
/ \ あー…。
| \ ,_ | そういやそうだったお…。
/ u ∩ノ ⊃―)/
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;)
| (●)(●)/;;/ そして、江戸幕府が、
| (__人__)l;;,´| .そんな勢力が復活するのを黙って見ている訳もなく、
| ./´ニト━・' .l .有力寺社に対し、個々に法度を繰り出し、
| .l _ニソ } .幕府の支配体制に取り込むように仕掛けた。
/ヽ、_ノ /
__/ / ノ__ いわゆる「寺社諸法度」であり、
/ / / `ヽ. そのひとつがさっきの「大徳寺法度」なわけだ。
/´ ./ ,. ヽ.
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
____
/ \
/ _ノ ヽへ\ つまり、かつて武士と対等か、それ以上の勢力だった寺社が、
/ ( ―) (―) ヽ 武士との戦いに敗れて、言うことを聞かざるを得なくなった、
.l .u ⌒(__人__)⌒ | ということかお?
\ ` ⌒r'.二ヽ<
/ i^Y゙ r─ ゝ、 「そういう訳だ」
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、|
{ { \`7ー┘!
-
____
/_ノ ヽ、\
/( ●) (●).\ で、でもやらない夫。
/ (__人__) u. \ そうだとしても、そこで沢庵和尚が
|ni 7 ` ⌒´ . |n 仏法を見限る発言をしたことにどう繋がるんだお?
l^l | | l ,/) U l^l.| | /)
', U ! レ' / . . | U レ'//) 正直、和尚は寺社勢力の勢力が強かったとしても、
{ 〈 ノ / 態度としては同じだったんじゃないかと思うお。
..i, ."⊃ rニ /
."'""⌒´ `''""''''
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ( ;;;;(
| ( ─)(● ) ;;;;) まあ、和尚個人としては、
| (__人__) /;;/ 寺社の勢力が強かろうが弱かろうが、
. | ノ l;;,´ そこは気にしなかっただろうさ。
| ∩ ノ)━・'
/ / _ノ´ 問題は、幕府という「外部の勢力」によって、
(. \ / ./ │ 「寺社の独立性が損なわれた」ことにある。
\ “ /___| |
. \/ ___ /
-
___
/)/ノ ' ヽ、\
/ .イ '(●) .(●)\ …どういうことだお?
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /
_, -‐
_, -‐  ̄ ‐=ニ=-
/ ̄ ̄ ̄\ _, -‐  ̄‐=ニ二ニ=- _, -‐  ̄
/ ヽ ,〜'_, -‐  ̄`ー-----― '
/ 丶 _,〜'_ッ'-
| _ノ ( ●) .厂
i ( ●) ! .⊃ 寺社…というか仏教勢力というのは、
| (__人_) /〉 当たり前だが、その基本となる法は「仏法」になる。
/∧ ,.<))/´二//⊃ これに対し、朝廷や武士の法は「王法」といい、
/ : | ヽ / / '‐、二ニ⊃` .それぞれ別個のものとして存在していたんだ。
, -‐'´: : : : :l 丶l ´ヽ〉: : : : \
/: : : : : : : : :| /_/ __人〉|: : : : :| そして、僧たちからすれば、
「ヾ: : : : : : : : : :l_/:_/ヽ. /´ | : : : : :| 守るべきはあくまで「仏法」であり、
〈\ : : : : : : : :,、: :/´∨/`ー'〉 |_| |: : : : :| 世俗の法である「王法」は尊重こそすれ、
!: : :ミヽ: : :/ `y′.: ',ゝ、_/ l: : : : : :| それに縛られることは決して良しとするものではない訳だ。
! ⌒ヽ: : : :.ヾ/: ://: : : :| l: : : : : :|
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ しかし、この法度によって…
| ( ●)(●) .いや、この法度を受け入れざるを得なくなったことで、
. | (__人__) 寺社の法(仏法)は、世俗の法(王法)の下に
| ` ⌒´ノ 位置付けられることになってしまった。
. | . }
. ヽ } ( つまり、
_ヽ ノ`ヽ、_ )
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 【 王法 > 仏法 】
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁 となってしまった訳だな。
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
/ `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
____
/:::::::::: u\
/:::::::::⌒ 三. ⌒\ …それを覆そうにも、
/:::::::::: ( ○)三(○)\ 武力はもうないし、所領だって
|::::::::::::::::⌒(__人__)⌒ | .散々に削られちゃってるから…
\:::::::::: ` ⌒´ ,/.
ノ::::::::::u \ これ、詰 ん で な く ね?
. /:::::::::::::::: u
|::::::::::::: l u
ヽ::::::: -一ー_~、⌒)^
ヽ::::::::___,ノγ
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) そういう訳だ。
| (●)(●)/;;/ ここまでの話と、和尚の来歴を踏まえて考えると、
| (__人__)l;;,´| 「見限候」「棄てて唱へず」「用に立ち申さず」という
| ./´ニト━・' .l 一連の和尚の言葉に、ひとつの意味を見出せる。
| .l _ニソ } つまり…
/ヽ、_ノ /
__/ / ノ__ 「和尚は、仏法(寺社)の復権のために抗ったが、
/ / / `ヽ. 大勢を覆しきることはできず、遂には諦めた」
/´ ./ ,. ヽ.
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
____
/ \
/ \ そして、王法(幕府)に屈した仏法(寺社)を、
/ \ 「見限った」という訳かお…。
| \ ,_ |
/ u ∩ノ ⊃―)/ .世間的な意味で堕落しているからではなく、
( \ / _ノ | | .寺社が幕府に屈して、抗えもしなくなったことが、
.\ “ /__| | .和尚にとって決定的だった…ということかお。
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\ .........::::::::::...r‐ ' ノ.
/ \........::::::::_ ) (_
|::::::: : |.....:::(⊂ニニ⊃) まあ、あくまで>>1の解釈だがな。
.|::::::::::::: |....: ::::`二⊃ノ ただ、和尚が紫衣事件で幕府に抗ったのも、
|::::::::::::: |..: :::: ((  ̄ .出世入院の条件なんて瑣末なことでなく、
.|::::::::::::::: } [l、
ヽ } /,ィつ 「世俗権力が、宗教の枠内の事に踏み入ってきた」
/ ヽ . ノ .,∠∠Z'_つ
/ ''⌒ヽ ./ .r─-'-っ .ことに対しての、仏法者としての矜持故だったと
.| ( / } ./ ):::厂 ´ .見ることができるんじゃないかと思う。
| / .// .ト /
____
/ \
/ -‐´ `ー\ 元々、和尚自身、
/ (−) (−)\ 権勢欲なんて全くない人だし、
| u. (__人__) .| 紫衣事件の時も隠棲していたのに、わざわざ出てきたのも、
\ ` ⌒´ / 「仏法の独立性を守るため」と考えれば、納得ではあるお。
> ー‐ <
. / / ̄彡ミヽ、 それが、必死の思いで抗ったのに、寺社勢力全体が
/ ヽ / / ヽ ヽ 「もう、幕府に従うしかないよね…」という空気だったとすれば…
ヽ. Y / | | 和尚の失望もわかる気がするお。
ヽ ノ ヽ ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(ー) …俺に聞くなよ。
. | u. (__人__)
| ` ⌒´ノ
. | }
. ヽ } / ̄ ̄ ̄\
ヽ ノ / ⌒ ⌒ \
i⌒\ ,__(‐- 、 / u (ー) ::::(ー)ヽ というわけで、今回はここまでだけど、
l \ 巛ー─;\ | :::⌒(__人_)⌒:l この補足編、この調子だといつ終わるんだお?
| `ヽ-‐ーく_) \ `  ̄´ /
. | l i⌒\、___ ィヽ
| | .l \ 巛ー゙‐;\
リー──‐‐t____. | ヽ-‐≠ー '′
l " ~ ̄ ̄⌒ヽ`ヽ.|゙ ̄ ̄⌒ヽ ̄ヽ
───`ー───ソ | |┴‐─-r |i' |───────┐
| | | |,_|, __| |,
|_、| __|. (´_)゙_) |,、;──‐─────‐───────‐─
l'___)__) ,゜ '≒~゚ ⌒ ~ " ~  ̄ ー 〜
; °。 ;从ヾー~ 〜"~ 〜
゚ ° 。 ゜ ` 。 '、从;_゚ノ'〜~ 〜´⌒ ´〜
); ;゚ 。 ; 从 、 ,j ´ヾ。'~〜〆";、〜ッ)ヾ
ソ 人´; ノ'〜、~ ソ 〆´( ゞ 〜 、〜 〜' ⌒ ー
〆〜ヾ、゜〜 ヾ 〜´ " ,゚ __ __¨ ./
リ' 〜ー 〜' ソ〜 ー〜 ._) _) \
-
てなとこで今回は終了です。
こんな時間での投下で恐縮極まりなしですが、
もし見ておられる方がおられたらお疲れさまでした&ありがとうございます。
3連休でもようやっとこれってのが、我ながら忸怩たるものがありますが、
とうにかく更新失敗を止めることはできたので、
次回以降、更新速度を上げていきたいなーと思うところ。
次回は、和尚が法嗣を作らなかった件についての話から
再開する予定でアリマス。
よろしければー。
-
乙です。
でも、仏法が王法に屈しなかったらそれはタリバンやイスラム国なわけで、
この件に関しては幕府の肩を持ちたいですなあ。
つか、日本の仏教は最初から国家仏教、僧侶は公務員でしたので、
なにをか言わんやと。
-
乙ー
他スレだけど武士にとって仏教がどんだけめんどくさいかはやる夫鎌倉幕府でもかなりやってたなー
-
乙乙
めんどくさい所ではありますなあ。
一番純粋で権勢欲のない人が、
「精神的な自立性」保つために、「寺社の権利よこせやおう」
みたいに見られるポジにたたねばいかんというのも、
70過ぎて心身ともにしんどかったと思うなあ
-
乙!
何百年も続いてきた「常識」が覆される時に
不利益を受ける側にいて、しかもバリバリの関係者として立ち合うってのは
どんな人でもキツいだろうなぁ
-
おつ
-
王法の下で苦しむ大衆の心を救うのが仏法(かなり大乗的)だとするなら、
上だ下だとこねくり回す自体がなんか色々と違う気もするけどな。
-
2年ぶりくらいにきました。スレ主さんもお元気なようで重畳〜
現代日本に例えると、クラブの深夜営業規制に反感はあるけど、
それをどうにかしようとすると政治やら公安と現実的なやり取りが
必要。みたいな感じか。なんとも表現者とは相性の良くない実務。
自分は規制を容認する考えの人間ですが、現世権力と渡り合って
一定の結果を出した和尚は素晴らしいと思う。
-
もっと分かりやすいたとえがあるぞ
2chの運営を警察がやるようになる
-
乙でした
>>555
それを言ったら、バチカンだって同じではあるんだけどね
-
>>561-562
全然違うだろ
それ以前は2chが日本の法律の下になかったみたいなものだ
中世の仏教について疎すぎる
>>563
バチカンの人間がイタリアで犯罪起こしたら当然イタリアの法律で裁かれるし、
それに大してバチカンは異を唱えない
仏法が王法の上にあるってのは、俗世の法と仏法が対立したら俗世の法が間違ってるって事なんだから
比較対象はタリバンとかイスラム国だよ
-
徳川幕府が日本を宗教的に消毒しきったお陰で明治以降の近代化とか
現在宗教絡みの紛争から一歩引いたとこにいられるんだなぁ。
宗教家からしたらたまったもんじゃないんだろうけど。
-
そのかし妙な宗教が明治から……
-
変な宗教出ても国が自由に処分出来たから別にそういう意味では怖くも何ともない
大本教の事件なんかはむしろ宗教弾圧と言ってもいい
翻ってこの時代は、本編でやったみたいに松岳紹長が贋作こしらえて騙しても、
大徳寺内の処分で終わって国が裁けなかったくらい寺社の独自性が強かった
今なら宗教法人が美術品の贋作作って総理騙したら当然詐欺罪として国の司法で裁かれる
(この処分は大徳寺が行った物で、京都所司代などが行った物ではない
寺社奉行ができてからはこういう案件は当然寺社奉行が扱う)
ttp://yagyuo.g.hatena.ne.jp/inugamikoubouathangul/20060113/1240222000
こちらは駒澤大の沢庵に関する公開講演 沢庵の禅の世界
ttp://repo.komazawa-u.ac.jp/opac/repository/all/17638/jbs035-05.pdf
-
いやいや、それで実質一度滅びたじゃん日本w
-
>>568
すまん、それ、誰が言ってる学説?
妙な宗教のお陰で日本が一度滅びたなんて聞いて事が無いんだが
参考文献付けて教えてくれないか?
-
つ国家神道
-
「滅びる」などの言葉を安易に使うのは関心しないな
国家神道自体も戦後の自虐史観では否定的であっても
当時の日本をまとめるための手段としては適切であったわけで。
あ、「結果的に○○というダメ事態に繋がったから、元はといえば〜」とか言うのは
「なら地球誕生がすべての根源」的な馬鹿理論だからな。
-
柳生と関係ない話でヒートアップするのやめれ。
歴史雑談で1年365日、そのての話で醜く争いあってるんだから、
そっち帰れよ
-
> 松岳紹長が贋作こしらえて騙しても
そんなエピソードあったっけ?と思ったら、もう4年前の話か。
ググっても沢庵和尚の関連エピソードとしてしか出て来ないなw
-
どもどもです。
先週はどうにか更新できたので、何とか続けていければいいなあと。
更新できるようなら、いつものように明日の21時目標ということで。
よろしゅうですー。
-
がんばー。
先日、ふと石川魔界転生とせがわ魔界転生を読み比べてみたんですよ。
・・・石川先生、やっぱりフリーダムに描いてるなと再認識w
まぁせがわ版もある意味フリーダムではありますが・・・
宗リンとか宗リンとか宗リンとかな!
-
どもどもです。
またぞろこんな時間で恐縮ですが、どうにか一区切りついたので、
2時から続きを投下しまする。
予告通り、和尚が法嗣を持たなかった件についての話になります。
よろしゅうですー。
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ、_ \
| ( ●)(● ) | さて、和尚の「仏法を見限り」発言について、和尚が見限ったという「仏法」は、
| (__人__) │ 仏教の教義そのものというより、王法、即ち世俗権力と対比しての仏法、
| `⌒ ´ | 即ち、寺社勢力のことではないか、という推測を踏まえた上で、2つ目の話題に移ろう。
| |
ヽ /
ヽ 人
⊂てヽ / ヽ
{三_ ィ `´ /| ィ |
.\__/ | | |
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
┃ その2 : 和尚が法嗣を持たなかった理由 .┃
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ }
/⌒ ⌒\ | | 2つ目の話。
/( ●) (●)\ ! ! 「和尚は何故法嗣を作らなかったか?」ということだおね。
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l
| |r┬-| | /
\ ` ー'´ //
/ __ /
(___) /
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ まず、この話については、前提として、
| (●)(●) |
. | (__人__) .| 「禅宗に於いては師資相承が重視された」
r、 | `⌒´. |
,.く\\r、 ヽ ノ ということを踏まえておく必要がある。
\\\ヽ} ヽ / 師資相承ってのは、弟子を一人前に育て上げ、
rヽ ` ヽ / ァ'´ヽ .その弟子に印可を授ける形で、
└'`{ . \.| / i .教えを後に伝えていく、という継承方法だ。
ヽ、._ ヽ、_,r' .|
`ヽ、 /' |
`'ー'´
___
/⌒ ⌒\ つまり、教えを後に伝えたければ、
./(ー) (ー)\ 印可を与えられるだけの弟子を育てろ、ってことだおね。
/::::::⌒(__人__)⌒:::::.\ で、その教えを継いだ弟子が「法嗣」ってわけかお?
.| |r┬-| |
\ `ー'´ /.. 「そういうことだ」
rー'""l, 'l, / .| ||/`>、 .
./ | 'l, / .|./》/ ∧.
./ , | ヽ ヽ,、/.@ / 《l,l / ヽ
/ 、,ヽ|/ ヾ。ツ`' 「ゞ / /《ヾ /゙ヽ
./ ///l`゙'゙ー-'" / // ノ// //`l.
.,|. /// | |___,,,ノ≡≡ツノ//_,,-‐'"".l
| /// /| /二=‐'"´´/ /`゙゙'ー-、,_.l
|/// / | /|三="´ / //"´´゙'ー、|
.///ノ ノ ノ ノ‐-二‐'"´ ノ/r=、,_ー-、_|.
-
>―― .
> \
./ V 更に言えば、ここで伝える「教え」は、
| V 単に経典などの文字や言葉による知識だけを指すのではなく、
V 師である自分自身の禅風…言うなれば人格も含めたものになる。
| 〈ヽ____, V 教えの外に別して伝えるもの…「教外別伝」という訳だ。
{/ ( ●)/ i V
Y Y=( )´ : } V だからこそ、この法の教えの流れである「法統」は、
丶イ 、 __) ', / V>、_ .僧にとっては血脈のようなものであり、また法嗣も子の様なものだと言える。
し´ ', // /: :\ 和尚も師匠である一凍から、「跨竈児(親勝りの子)」などの表現をされている。
: \ /', // /: : : : :}へ .
: ヽ ‐ | ', // |: : .〈: : : \
: // ,’ { ’ ,/ / ,’: : ): : : : :\
>', //,’ { / / ’/’’: : : : : : : : : : :
/: : : :>・ ・ | {/ / ./: : : : : : : i: : : : : : :
|: : : / / |/ / /: : : : : : : /: : : : : : :
ノ: : / / .| / /: : : : : : : : : : : : : : : :
___
/ \
/ ノ \ \ …でも、和尚は、
/ (●) (●) \ その法嗣を持つことを拒否したお。
.| u. (__人__) | __ .弟子はいたけど、彼らに法を継がせなかったんだお。
\ ` ⌒/ ̄ ̄⌒/⌒ /
(⌒ /紀念録./ ./ 【「東海和尚紀年録」寛永二十年の記述】
i\ \ ,(つ / ⊂) 『師退きて門人に語りて云く。
| \ y(つ__./,__⊆) . 台命、太だ重しと雖(いえど)も、老僧更に児孫相続の心なし』
| ヽ_ノ |
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ああ、そうだ。
| ( ●)(●) つまり、この法嗣についての話を裏返すと、
| (__人__)
| `⌒´ノ 「法嗣を持たないことには、
| } ..自分の教えを後世に遺せない」
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) …いや、和尚の場合、弟子もいて、
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 家光や後水尾上皇にも請われたにも関わらず、
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) 自ら法嗣を作らないと明言したのだから、
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉| 「自分の教えを後世に”遺さない”」
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i ! ことを選択したということになる。
調べてみたら、禅宗において、
____ この法嗣を持ち、教えを伝えることは、
/ \ とても重要視されてたってあるお。
/ -‐´ `ー\
/ (●) (●)\ 「(法を)断絶せしむること莫れ」(阿難/禅宗第二祖)
| (__人__) | 「(法を伝えないのは)仏種を断ずる罪」(懐奘/日本曹洞宗第二祖)
\ ` ⌒´ /
> ー‐ < とまで言ってる僧もいたし、
. / / ̄彡ミヽ、 事実、家光や後水尾上皇も強く懇望してるんだから、
/ ヽ / / ヽ ヽ .かなり重要視されてたのは間違いないお。
ヽ. Y / | |
ヽ ノ ヽ ノ なのに、どうして和尚は法嗣を作らなかったんだお…?
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ .ヽ、\ 話が最初の設問に戻ったな。
| (●)(●) | で、ここからが推測になる。
. | (__人__) .|
| ` ⌒´ ノ まず、単純に考えられるのは、
. r─一'´ ̄`<ヽ }
. `ー‐ァ , ) , -'~⌒ヽ、 「法嗣にできる程の弟子がいなかった」
ノ {. ,ヘ ,l. ゝ、_ .'ヽ).
. /, 、 _ /. | . ', . .. .ヽ、 というところだな。
(/ / // / / ...| ...|\..\\ \_) 家光の懇望を見ても、和尚が法嗣と
/ // / / . . \_\_)、_) 認められる弟子がいないことが問題であるように読める。
ー' {_/ノ ."´
/\
/. \ 【『東海和尚紀年録』】
V. \ 『時に大樹(家光)、師に謂って云く。
i \、__ .和尚法齢既に老いたり。然るに未だ嗣法の弟子あるを聞かず。
斗‐''"¨ ̄ ̄`ヽ{ //、_ 疑うらくはこれ会裡機に契う者なきか。
{、 ヽ /' ゝ> 我意(おも)えらく、大亀の世尊(迦葉)に於けるは又猶蠅の驥尾に附すが如し。
{ミヽ \ // // ヽ 然り而して其の法的相承今日に至り、群生利海を蒙る。
ヘ: ヽ \ ':/// ´_彡} .是れ豈に霊山密付の謂いに非ずや。
ヘ:. :', \ {,//, /'"´ .今疇室の徒、纔に悟徹底者を見れば、須らく許可し以って後世に伝うべし』
ヘ :':, _ -=====ミヽ|./ /'
ヘ :::':,、/´ _,. -====ミゞ斗}
ヘ ::彡'/´ `¨¨¨´
____
/ \ 「和尚の目から見れば未熟かもしれないが、
/ _ノ ヽ、_.\ .和尚の法を伝えるためにも、少しでも見込みがあれば、
/ (●) (●) \ その者に印可を与えて、法嗣としてほしい」
| (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ / …確かに、ここを読むと、
( \ / _ノ | | 和尚の認定基準が厳し過ぎるのが、
.\ “ /__| | 印可の弟子がいないことの理由のように見えるお。
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( −)(−)
. | u. (__人__) . あと、かつての弟子であった一絲から、
| `⌒´ノ こんな批判も出ているな。
. | } __
\ } / ̄ ̄⌒/⌒ ./
(⌒\ / / /
i\ \ ,(つ / ⊂)
.| \ y(つ /,__⊆)
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 【「一絲語録」より】
| ._. .|_| 『師、已に壇越の堅請に随つて一方の伽藍に董□(※とうり)す。持法の具其れ備はり、
| |一| . |_| 持法の資其れ饒なり。何が故ぞ槌払の下全く□子(※のっす)に乏しき哉。
| |絲| . |_| 料るに夫れ賢を選び器を択ぶの然らしむるか。
| |語| .|_| .馬骨を棄てずして駿馬を得るは宗匠偉度の常なり。
| |録| .|_| .仰ぎ望むらくは賢不肖を問はず、先づ収録を賜へ。
|.  ̄ .|_| .若し其れ親しく炉鞴に投じ、妙密の鉗槌に当り得ば、
|________.|_| .頑銅鈍鉄□(※すみやか)に宝器と化すること豈難事ならんや』
└─────── (※ □部分は漢字が出なかった箇所)
____
/ \
/ \ 「既に環境が整っているにも関わらず、弟子が少ないのは
/ \ それは師が選り好みしているからではないか。
| \ ,_ | 今からでも遅くないから、きちんと育ててやれば、
/ u ∩ノ ⊃―)/ .誰であれ、きっと立派な禅僧となれるであろう」
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| | …こりゃ随分手厳しいお。
\ /___ /
-
____
/ _ノ ヽ_\ しかし、やらない夫。
. / (ー) (ー)\ この懇望や批判を踏まえると、和尚に嗣法の弟子がいないのは、
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ 「和尚の認定基準が厳し過ぎる」か、
ヽ L |r┬-| | 「和尚が弟子をきちんと育てていなかった」かのどちらかで、
ゝ ノ `ー‐' / どっちにしても、和尚自身にも原因があるようにも見えるお。
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \ 確かに、そういう面はあるだろうな。
(●)(● ) | 実際、和尚自身、弟子を育てようとはしたが、
(__人___) | .「正知見を得る者」、即ち、印可を出せるだけの者が
| u | 出なかったと書いている。
| .|
ヽ 、 ,イ ただ、「今予、仏法を棄てて唱へず」という言葉は、
/ヽ,ー- ト、 直接的な文章としては、そちらに掛かっていることからして、
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__ 和尚なりに力を入れてはいたとは思う。
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... でなければ、弟子が育たなかったことで、ここまで言わないだろ。
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【万松語録(巻の一)】
| |万| . |_| .『師の印を得てより後、今已に四十年、一則の話頭を以って人に示す。
| |松| . |_| 其れ正知見を得る者、一箇もまた無し。
| |語| .|_| 今より五十年の命在るも、住を以って来を推すに、恐らくは済度の頼むべき無し。
| |録| .|_| 若し済度を除かば、即ち渡世の活計と成る。豈(あに)愧はぢ)ざらんや。
|.  ̄ .|_| 以故す、今予、仏法を棄てて唱へず』
|. .|_|
|________.|_|
└───────
-
_____
/ .r┐ヽ「|
/ r-、 | .| ./ l l゙l しかしな…和尚の他の言葉を読んでると、
. / .__,ノヽ ゙、_,ノ '-' .|,,/ | 和尚が嗣法を望まなかったのは、
| (−)ヽ ノ ´/ どうもそれ以外の要素の方が大きいように思えるんだな。
| 〉 〈_,,.-、
.| (__人{ .r''´ 言ってしまえば、
.| ´ ⌒| _,.-i'´ それなりの実力の弟子がいたとしても、
. .{ u. l-‐'''''''ーl } 法を継がさなかった可能性があるんだ。
{ . |´ ̄ ̄``l }
{ .| |.}
____
/ \
/ u ノ \
/ u (●) \ …つまり、和尚が自分の意思で、
| (__人__)| 自分の法を遺さないと決めたってことかお?
\ u .` ⌒/
ノ \
/´ ヽ
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) ああ。
| (●)(●)/;;/ 簡単に言えば、
| (__人__)l;;,´|
| ./´ニト━・' .l 「当時の仏法(寺社)が、王法(幕府)に対して無力であった失望から
| .l _ニソ } 自分のものも含め、当代の仏法そのものを遺すに値しないと考えたのではないか」
/ヽ、_ノ /
__/ / ノ__ というところだな。
/ / / `ヽ. 例えば、さっきの「万松語録」の文章は、
/´ ./ ,. ヽ. 更にこのように続いている。
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【万松語録(巻の一)】
| |万| . |_| .『今の世上、得法を称する者太だ多し。
| |松| . |_| 古を以てこれを見るに、即ち多くは是れ相似底の消息なり。
| |語| .|_| 似は即ち似にして是れ即ち未だ是ならず。
| |録| .|_| 未だ是ならざる法を以て人を度さば是れ人を度するにあらず。
|.  ̄ .|_| 却つて人を暗坑に陥らさん』
|. .|_|
|________.|_|
└───────
____
/ \ 「今の世では、法を得たと称しても、その実、そうでない者が多い。
/ _ノ ヽへ\ そのような者が法を説いても、人を救うどころか、
/ ( ―) (●) ヽ 却って暗い穴に落とし込むようなものだ」
.l .u ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒r'.二ヽ< …”だから、このような法なら遺さぬ方がよい”って訳かお。
/ i^Y゙ r─ ゝ、 でも、これって嗣法の弟子が育てなかったことを嘆く文章の続きだお。
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、| これだけなら、あくまで良い弟子が育たなかった失意が先にあって、
{ { \`7ー┘! そこから出た言葉だっていう見方もできるお?
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;) いや、元々、和尚は
/ _ノヽ_\ ) ;;;;)
| (─)(─) /;;/ 「沙門の言行正しきときは、即ち権威とても恐れなし」(東海夜話)
. | (__人__) l;;,´
| `∩_ノ)━・' と述べている通り、当代の仏法についても、
. | |_ノ それが正しいものだとした上での発言をしている。
/ヽ | |_
| \_/ ノ ヽ しかし、紫衣事件に端を発する寺社の混乱と、
\ /_| | 幕府への従属を選んだ姿を見て、仏法に対する言葉が
| \ / _/ 変わっていくんだ。
_____
/ ヽ____//
/ / / 【寛永十二年九月二十四日の宗矩宛の手紙(抜粋)】
/ / / 『上意をいやとは、いかなるはちひらき坊主にても、
/ / / 申されざる儀に候』
/ / /
/ / /
/ / /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
____
/ \ ああ、これ、
/ _ノ ヽ、_.\ 江戸に上がって来るようにっていう家光からの命令について
/ (●) (●) \ 宗矩に相談も兼ねて出した手紙かお。
| (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ / …随分トーンが変わってきてるお。
( \ / _ノ | | 「乞食僧ですら、将軍の命令には嫌とは言えない」って
.\ “ /__| | 沢庵和尚の言葉とは思えないお。
\ /___ / 確かにこの後、和尚はかなり渋ったとはいえ、上府してる訳だし…。
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ そして、その失望は、
| ( ー)(ー) 最終的には当代の仏法の否定に繋がっていく。
. | (__人__) 正保二年の小出吉英宛の手紙でも、
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) 「何と精を尽くし申し候ても、
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) .紫野の仏法、今の世には用に立ち申さず候間」
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/ と書いている通りだ、
/ / \ .l;;,´ つまり、弟子が育たなかったこととは別に、
. / / |ヽ、二⌒)━・' .当代の仏法自体を無用と断じた訳だな。
ヽ__ノ
____
/ \ まとめると、こういうことかお?
/ _ノ ヽへ\
/ ( ―) (―) ヽ .・「印可を授けられるだけの弟子が遂に出なかった」
.l .u ⌒(__人__)⌒ | ・「当代の仏法に遺すべき価値を見出せなくなった」
\ ` ⌒r'.二ヽ<
/ i^Y゙ r─ ゝ、 この二つが合わさって、法嗣を持たない…。
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、| 即ち、自身の法を遺さないと決めた、と。
{ { \`7ー┘!
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;)
| (●)(●) /;;/ …あるいは、和尚からすれば、
. | (__人__) l;;,´ 「法を”継がせる”」という考え自体、
| `∩_ノ)━・' .おかしいものだと考えていたのかもしれん。
. | |_ノ
/ヽ | |_ 実際、こんな言葉もあるんだ。
| \_/ ノ ヽ
|\ /_| |
| \ / _/
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【東海夜話】
| |東| . |_| .『法は其れ嗣ぐべからず、嗣ぐべきは法に非ず。
| |海| . |_| 法は其れ断ずべからず。断ずべくは法に非ず。
| |夜| .|_| (中略)法は自ら無始無終なり。
| |話| .|_| 断続なし。只仏出て即ち法顕はる』
|.  ̄ .|_|
|. .|_|
|________.|_|
└───────
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【碧巌九十偈「禅」】
| |碧| . |_| .『末法の禅流、禅を以て授受せんと擬るに、禅授くべからず。
| |巌| . |_| 的的西天二十八世、授に似て授に非ず。
| |九| .|_| 東土二三、伝に似て伝ならず。
| |十| .|_| ただ弟子心了し、師有りてこれを証明するのみ。
| |偈| .|_| 若し証明の師無きは以て我れ是れ禅を得、道を得ると道(い)え。
|.  ̄ .|_| しかるにみだりに口を開けば則ち抜舌罪遁るべからず』
|________.|_|
└───────
-―─- 、
/ \
′ ノ ' ヽ、 , これは…
i ( ●) (● ) i
| (__人__) | 『法とは、授けるとか嗣がせるというものではなく、
、 .´⌒` .ノ .自ら悟るべきもので、師はその悟りを証明するに過ぎない』
> r、. r、<
/ ─| 1 悟 l |ー ヽ ということかお?
( _ ノ り 乂 _,ノ
.  ̄′ l 「そういうことだな」
. i |
乂 イ
| /ー―一 、 |
し′ 、_j
-
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \ この発言を踏まえて考えてみると、
(●)(● ) | 和尚の「法嗣を持たない」という発言には、
(__人___) | 別の解釈が出てくる。
| u |
| .| 『法(悟り)は自ら顕れるものだ』
ヽ 、 ,イ
/ヽ,ー- ト、 であれば、無用のものである「当代の法」などを
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__ 教える必要も、継がせる必要もない、ということになる。
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... 真の法なら、自ら顕れる筈…という訳だな。
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
つまり、
____
/ \ 「法嗣がいようがいまいが、
/ ─ ─ \ 真の法とは関係のないことなのだから、
/ -=・=- -=・=- \ . どうでもいい」
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ / ということかお?
それはそれで、また極端な…。
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( −)(−) まあな。
| (__人__)
| `⌒´ノ しかし、ここで出た概念、
| } つまり、「当代の法」とは関わりなく顕れる「真の法」という考え方は、
ヽ } ( 他のことにも絡んできそうだから、覚えておいてくれ。
_ヽ ノ`ヽ、_ )
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( ひとまず、和尚の法嗣に関しては、
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) こんなところだな。
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
___
/)/ノ ' ヽ、\ わかったお。
/ .イ '(●) .(●)\ じゃあ、次の話に移ろうかお。
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` |
. \ ヽ /
-
__ 今回はここまでだろ。
/ \ 相変わらず進みが遅くて申し訳ないだろ。
/ ノ ヽ__ . 常識的に考えて…。
|(―) (― ) l /  ̄ ̄ \
l (_人_) u.| /ノ ヽ__ \ この和尚についての補足の次にある
l `⌒´ | /(―) (― ) \ 武蔵についての補足も含めて、
、 / |. (_人_) u | なんとか今年中には終わらせたいですお…。
> < \ `⌒ ´ ,/
/ l / ヽ
. / l ,/ / .! / l ,/ / i
(_) (__ ノ | (_) (__ ノ l
/ / __ノ / / ___ ,ノ .__ __¨ ./
!、_!、____つ !、___!、_____つ ._) _) \
-
てなとこで、今回は終了でアリマス。
お付き合いありがとうございました&お疲れさまです>ALL
いつもにも増して短い上に、説明ばかりで恐縮ではあるますが、
とにかく続けて投下はできたので、どうにか次もまた繋いでいきたいところ。
できれば、今年中に第二部(その68まで)完結に持ち込めれば
理想的なのですが。
次回は、和尚の最後の境地に関しての話になります。
今回や前回の話もリンクするので、また説明が伸びそうですが、
お付き合い頂けましたら重畳でアリマス。
それではではー。
-
「法とは自ら悟るべきもので、師はその悟りを証明するに過ぎない]
禅で言う法は法律とは違うんで、知識じゃなく経験なんです。なので書物で知るんじゃなくて自分で体験しろって事なのです。
オレンジを知るのにオレンジの成分を調べるんじゃなくてオレンジをほお張れ噛み砕け味わえです。
「真の法」を体験出来たら没後何年経ってようが和尚の嗣子になれるのです。
-
おつ。
>>593
あー、何かでそんなの聞いた事があるなあ。
「書を捨てよ、街へ出よう」っつーとちょっと違うだろうけど。
-
和尚の考えは判るんですけど
「君の真の法の悟りとやらは、いったいどこの誰が保証してくれるのだね」
てことにもなりますな。ちょっと自由すぎ。
誰もオレの真似なんかできないって自負のような。挑発にも見えたり。
-
悟りに保証を求めると言うか、その2者を結びつける発想がある次元だと、
関係ないっつーかそもそも悟りなんか考えんなレベルなんじゃないかな。
↑が挑発的に見えるかも知れんけど。
-
いやあ、素人からすると、魔境ってのもあるし、それがほんとうに本物の悟りなのかをどう確認して保障するのかってのは重要だと思うのだけど
-
宗門も俗世間と係る限りは、和尚みたいな有名人の保証があると物事運びやすい。
同じこと説いても、沢庵から印可受けた僧と、そうでない僧では説得力が違う。
ついでにギャラも違ってくるw
そういうの嫌だったんだろうけど、凡な後続には厳しい去り方だね。
-
「保証がなきゃその道で修行したくない」とか
悟る気あんのか御前わ
って感覚なんじゃないかね当時は
-
>>599
それ、ズレてない?
悟れる保障があるかどうか、でなくて、当人が悟りだと思っているものが本物の悟りなのかどうかをどう判定するか?という話でしょ
-
そりゃどっかの掲示板みたいに
「あなたが悟りだと思ったものが悟りです(ただし他人の同意を得られるとは限りません)」
じゃないの?
-
「百の悟りの後は百の迷い」は共通認識なんじゃないのかな?
-
そうすると、悟りが他人の同意を得られるかどうかは
テクニックの問題になってくる。演出とここちよい謎理論、屁理屈。
江原なんとかいうデブと同じだよね。
宗教ってそういうサービス業といえばそうだけどさ。
-
どもどもです。
久々の16時間睡眠で気がついたら夜の有様。
投下については、いつものように明日の21時を目標にしつつ、
そこから遅れたら、できたところで投下という塩梅で。
明日で和尚の補足編をラストまで進められればいいのですが。
よろしゅうですー。
あと、別件ですが、来週末には大刀剣市があるので、
ご興味がある方は行ってみると吉ですよ。吉。
【大刀剣市14'】 ttp://www.zentosho.com/daitokenichi/
-
ここで癒されて
http://hptop.jp/so-kairaku/
-
修羅の刻 寛永御前試合編を20年振りに読んでみましたが
宗矩とかそんな扱い悪く感じなかった。まあいつものこと。
家光の扱いが酷すぎw漏らすし。
-
了承〜投下を楽しみにしてます
-
どもどもです。
今回は投下できるだけのところまで進めず失敗であり、すいませぬ。
来週は三連休なので、多分どうにかなるかなと。
よろしゅうですー。
-
ケツの穴にマヨネーズ詰めて待つ
-
>>609
??「オレが本当の精神統一のやり方を教えてやる」
-
どもどもです。
先週は失敗しましたが、今週は3連休なのでどうにかしたいところ。
一応目標は日曜21時にしつつ、ダメなら書けたところで投下という塩梅で。
よろしゅうですー。
-
待機
-
どもどもです。
結局、昨日は間に合わずにすいませぬ。
どうにか一区切りまでは進みましたが、なんか眠くて頭が回らなくなりつつあるので、
本日は変則で19時半から投下しようかと。
よろしゅうですー。
-
では始めます。
次のコマから、前の続きになります。
-
╋━━━━━━━━━━━━━╋
┃ その3 :.最期の境地について..┃
╋━━━━━━━━━━━━━╋
/ ̄ ̄ \ (
/ _,.ノ `⌒ ノノ
| ( =)(=)(,ヽ、 (( さて、1と2を踏まえると、晩年の和尚は、
.| U (___人__) ,r__i____ ノ
| √丶丶丶┬─'" 「当時の仏法(寺社)を見限り、
| | ) j .また、自身の仏法(禅風)についても、嗣法を認めなかった」
.人、 ヽ´ /
_,/::ヽ、.,ヽ., __ ( r という、かなり厳しい判断を下していたことになる訳だが…。
_, 、 -― ''"::::::::::::\::::::ー-- く / ⌒ヽニ-、
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/....., ̄ v,;,ヽ
丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;( ;;;;:::::::::::... ',;;;;|
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ :;;;;;;:::::::::.. ',;;i
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::!;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
____
/ \
─ ─ \ では、そんな和尚の最期の境地は、
(ー) ( ー) \ どんなものだったか、というのを推測してみるお。
| (_人__) |
\` ⌒´ /
/ ー‐ / ,>"'-、
// / ヽ/ / ヽ
/ | !/ / i
./ /!/ / |
,.{ l./ ./ ノ ヽ
/ ヽ、 /_____,,...--' ヽ
/ ゝ-- , ,----、 i
,..--....,,,_,,.-( .(~ ~) 丿....,,,____,,,..-' ,..-‐-., J
( ゝllllゝ.,_,彡ミ,_,.ノllllllllllllllllllllll/ i
ヽ ヽlll/lllllllllllllllllllllllllllll/ミ/ ,/
ゝ \llllllllllllllllllllllllll// ,...-'
-
._
/′ ヽ
/ │
.、 丿 〉
,' ゝ、 ____ / ⊥..............,,_
/ ゙‐'''"´  ̄ `''、
..ノ _/'' ̄〉 / ̄ ̄`''‐---'′
_..‐′ ..-'′ ,' /
......ィ‐ _ _l"^ゝ_ 丿 ,' _r;;こ............,,__
⌒ ̄ ̄´  ̄` ....-‐′ ................、 `゙'' 、
,,-‐'、 _..r‐'´ _,,..-、 ゙r / ヘ、
! │ 一‐'、 (´ / 丶..rに.... 、_ _,/
! ヘ ゝ ''′ _,,′ ´′
\ ゙ゝ、''、 __..--''''' __..................,,___
`ー‐‐ `''' 彡-‐''''' 二 ...._...._ `゛''ー 、
,,r'' ̄1 _,,..-‐''" _,,..-:」 ニ´ `゛''ー 、 ゙\
ノ'´ ∫‐''''"´ ,,/ ン'''´ │ _,,_....一′ 〉
| ./ ゙ー--‐''''''" _r‐´ ーー-.. ` ̄´ ` `''''ー、 __../
ヘ 丿 / ` 、 ´
丶___ノ | __..‐‐'ワ _┘
` ゙-..‐'´ / /′
..‐'" ̄"´ /′
`ゝ 丶
/ __,,..-┘
_..-'" /
_....‐" _..r'''´
.._r匕 ..---....-‐"
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(●)(●) | まず、「最期の境地」について、
. | (__人__) | .一番の参考となるのは、辞世の偈である
| `⌒´ | ) ;;;;) この「夢」の一字だな。
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ ____
. \ "" /_ノ | / \
\ /___/ / ⌒三 ⌒ \ 「夢」といえば…
/ (○) 三(○) \ やはり「夢じゃ夢じゃ。夢じゃ夢じゃ夢じゃ…!」(by萬屋錦之介)かお?
| ::::⌒(__人__)⌒::::: |
\ |r┬-| /
/ `ー'" .ト _ \
<三三三三三三| |(___)
|\  ̄ ̄ レ/
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ンな訳ねーだろ。
| ( ●)(●) ていうか、こないだ新文芸坐の時代劇映画祭で
. | (__人__) 魔界転生や十兵衛暗殺剣と一緒に公開されてたな>柳生一族の陰謀
| ` ⌒´ノ
. | } ミ ピコッ
. ヽ } ミ /\ ,☆____
ヽ ノ \ \ / \
/ く \. /\/ ─ ─ \ 久しぶりに件のシーンだけ観直そうかと思ったら、
| `ー一⌒) / (●) (●) \ 気が付いたら最初から全部観てました。
| i´ ̄ ̄ ̄ \ | (__人__) | いやーやっぱすげーおアレ。
\_ ` ⌒´ /
/ \
-
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \
(●)(● ) | まあ、それはともかく、
(__人___) | ここで言う「夢」は、おそらく金剛般若経の一説(※)、
| | 「夢幻泡影」を踏まえたものだと思われる。
| .|
ヽ 、 ,イ ※「一切有為法 如夢幻泡影 如露亦如雷 応作如是観」
/ヽ,ー- ト、 (一切有為法は、夢、幻、泡、影のごとく、露のごとく、また雷のごとし。
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__ .応(まさ)に是(かく)のごとき観(かん)を作(な)すべし)
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:....
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
____
/ \
/ ─ ─\ ”この世のあらゆる物事は、
/ (●) (一) \ 夢幻のように儚く、移ろいやすいものと観よ”
| (__人__) |
\ `_⌒ ´ / ということかお。
. ノ.,.,.,.,.,.,.,/ )ヽ.,.,.,く
(;:;:;:\;:;:/|_ノi );:;:;:;:) 「そういうことだ。
. |;:;:;:;:゙;:;:;:;:;:|;:;:;:|;:;:;:;:;:;:/ そして、”故に、そのようなものへの執着を捨てよ”という話になる」
\_;:;:;:;:;:;:;|;:;:;:|;:;:;:;:::ノ
-
______
/ \ 心底どうでもいいけど、
/ ─ ─\ 昔、そんなタイトルのエロゲがあったおね>「夢幻泡影」
/ (●) (●) \
| (__人__) | _|_________
\ ` ⌒´ ,/ | | |
___/ \ | | |
| | / , | | PC98 .|
| | / ./ | | |
| | | ⌒ ーnnn |_|___________|
 ̄ \__、("二) ̄ ̄ ̄l二二l二二 _|_|__|_
__
/::::::::::::\
/ __ノ::::ヽ
| (;;;;;;)::::) いきなり話を超俗っぽくするなよ。
.| ::(;;;人) しかし、あれの発売当時(1995年)に生まれた子が、
| :::::::::rつ 今じゃエロゲができる齢になってるとか、PC98も遠くなりにけりだな…。
.| :::::::((三)
ヽ ::::::::::(::::< …いや、だから俺まで脱線してどうする。
ヽ ::::::::::/∧::::∨ ほら、話戻すぞ。
∠::::::::::::/⌒ ∧:::ヽ
(:::::\ /:::::::/;;;;;;;;;;) 「わかったお」
|\::::::::::::/|
|:::::\_/:::::|
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_
| (●)(●) で、大書された「夢」の一字の横に付記されたのが、これだ。
. | (__人__)
| `⌒´ノ ) ;;;;) .『百年三万六千日
. | } .) ;;;;) .弥勒観音幾是非
. ヽ } /;;/ 是亦夢非亦夢
ヽ ノ .l;;,´ .弥勒夢観音亦夢
. / ∩ ノ)━・' .仏云応作如是観矣
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ | 沢庵埜老卒援筆』
\ /___/
____
/ \
/ ─ ─\ 「仏曰く、
/ (●) (●) \ ”是もまた夢、非ざるものもまた夢、
| (__人__) | 弥勒も夢、観音もまた夢である”
\ ⊂ ヽ∩ < このように観るべし」
| | '、_ \ / )
| |__\ “ / ってとこかお。
\ ___\_/
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ\ ) ;;;;) 大体そんなもんだな。
| (●)(●) /;;/ この一文をそのまま解せば、
. | (__人__) l;;,´
| `∩_ノ)━・' 「あらゆるものは”夢”である」
. | |_ノ
/ヽ | |_ .というところになる。
| \_/ ノ ヽ 大書された「夢」とほぼ同じ意味だな。
|\ /_| |
| \ / _/
/ ̄ ̄ ̄\
/ / \ \ …ということは、和尚は最期に、
/ (●) (●) \
| (__人__) | ”この世一切の執着”から離れた境地に至った、
\ ` ⌒´ /
/ \ ということかお?
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ …そういう解釈もあるんだが、
| ( ー)(ー) 1と2で推測した和尚の心境を踏まえると、
. | (__人__) それだけでは済まない部分もあるように思えるんだよな。
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) 端的に言えば、この偈には
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) 「絶望」と「情」のふたつも含まれているように感じるんだ。
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
___
/ \
/ u \ 「絶望」と「情」…。
/ ノ ヽ、_ \ その内訳は何なんだお?
| ( ●) (● ). |
\ l^l^ln__人__) /
/ヽ L⌒ ´
ゝ ノ
-
/ ̄ ̄\ まあ、ここまで話が進んだなら、、
/ _ノ \ 「絶望」については、細かく語るまでもないな。
| ( ー)(ー)
| (__人__) 紫衣事件に象徴されるように、
| u. `⌒´ノ 幕府(王法)に対して、仏法の独立性を守るべく奮闘した和尚が
| } .最後の帰郷時に見たものは、幕府に屈服した大徳寺の姿だった。
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) それを見た和尚が、江戸に戻った後に書いた
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 「仏法を棄てて唱へず」という一文と合わせると、
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) この「夢」という偈は、
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉| 「己のやったことは全て無であった」
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i ! という和尚の絶望も含んだものではないか…ということだな。
_-─―─- 、._
,-"´ ゝ \
/ ヽ
/ ::::/::::::::\::ヽ この件については、あくまで>>1の推測ではあるけど、
| u / ヽ `::::´ /`ヽ 晩年の和尚の言動を踏まえると、
l ( −ノ::::::::::ヽ−.;l .あり得ないとは言い切れないのが結構キツいお。
` 、 (__人_) .;/
`ー,、_ /゚
/ `''ー─‐─''"´\o
-
____
/ \
. / \ で、やらない夫。
. / /) ノ ' ヽ、 \ もうひとつの「情」というのは一体なんだお?
| / .イ '(●) (ー) u|
. /,'才.ミ). (__人__) / …少しは絶望が薄れるものなのかお?
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ .⌒ ⌒ ) ;;;;)
| (─)(─) /;;/
. | (__人__) l;;,´ まあ、そうだな。
| `∩_ノ)━・' ポイントは、これが「請われて書いた」ものだということにある。
. | |_ノ .つまり、「自分の心境を語る以外の面もあるのではないか」ということだ。
/ヽ | |_
| \_/ ノ ヽ 「どういうことだお?」
\ /_| |
| \ / _/
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ .⌒.\ _,, 忘れたのか?
.| (●) (●) .| l;l この偈は、本来なら書くつもりもなかったものを、
. | (__人__) .| _,_,|,|_, 弟子たちに請われて、仕方なしに書いたものなんだぜ。
| `⌒´ |, ト-=y 丶
. | } ヽ `i, ̄‐^l .つまり、和尚から弟子たちに対する
. ヽ } ヾ~ ` i, 「最後の教え」という面も持ってる訳だ。
ヽ ノ _ ヽ、 ;i,
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i, 「お前ら、仕方がないから最後に一言言ってやる」
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i, という訳だな。
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l
,y`;,,__ ,i /ii' / r-/| l l
_/^,,, ヘ l /iil / l"v' y } l
v=4⌒ヽ、 j --,,,if /iii| ,, 〈-ヘ_,、 <、 / i|
ヽ, ,, i、 _,,tv /iiiii ム、 / / ヽ、ヽ、_x--ー‐- 、
__,,,l ii Yi___,lk / }iiiiil ヘ __,,,,,,___/ `x'"^ ,,,,, \
^ ̄⌒ヽ ヘ、 ,ノiiiii|、__,,,y,,_,,,/ ヽ、 ,/ ,,,-‐‐ `',, ヘ,、
,,,_ \ ヽ `>- liiiiiiil ¬">-− ヽ ヽ i i/ _,, / } i
"- ,, } / /iiiiiiil / l l l lK ^~' / |
\ーヾ /iiiiiiiil / i i | |i`'ヽーミ_/ /
_____
/ \
/ ⌒ ⌒\ …そういえば、元々和尚は
/ ( ・ ) ( ・ )\ 黙って入寂する筈だって話だったおね。
| __) |
\ l_ /
/ ‐' \
-
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ、.\ そうだ。
| (●)(●) | その上で、和尚が残した例の遺戒も踏まえると、
/ ̄ ̄ ̄ 丶人__). |
/ \ ._|_____ .「お前ら。
, --'、 / `〉 あらゆるものは夢だ、夢。
/ ⌒ ) / / .執着なんてするもんじゃない。
,′ ノ / / だから、俺が死んでも引きずるな」
l T´ .._ ./ r'´ ̄ヽ
ヽ ノ ./丶、 / (  ̄ l という解釈もできるんじゃないか…という訳だ。
`'ー'´ | .`'ー'――┬― --、/ _.ノ
____
/ \
/ ─ ─\ そういえば、遺戒でも散々
/ (●) (●) \ 「自分は一禅僧に過ぎないから、そう扱え」と言ってたおね。
| u (__人__) |
/ ∩ノ ⊃ / 超約すれば、
( \ / _ノ | | 「俺が死んだからって、
.\ “ /__| | いつまでもメソメソするんじゃねーぞお前ら!」という感じかお?
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) ああ、そんな感じだな。
| (__人__) 法を嗣がせる訳ではないが、
| `⌒´ノ .それでも弟子として沢庵なりに指導をし、
| } .今、枕元で最後の言葉を懇願している…。
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) 「仕方ねえな、こいつら」
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) という、「情」から、
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁 師として最後の言葉をかけてやったとしても、
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉| おかしくはないのでは、ということだな。
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
____
/ ⌒ ^\
/ ( ●) (●) だから、「情」という訳かお。
/ ::::::⌒(_人__)⌒ヽ 確かに、その意図があったとするなら…
| |r┬-| | .少しは救われる気がするお。
\ `ー'´ /
-
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \ まあ、今までの話をまとめると、
(●).(● ) |. 「和尚の最期の境地」としてありそうなものは、
(__人___) .|
'、 | 1 : 一切の執着からの解放
| | . 2 : 己の無力さを振り返った絶望
,. -ーー| /レ、 .3 : 弟子たちへの情
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ この辺りかな。
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ 1と2が矛盾しているようにも見えるが、
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ . これは、あり得そうに思えたものを挙げているせいで起こる
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j .「食い違い」と思ってくれ。
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: /
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: /
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: /
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /
____
/_ノ ヽ\
/ ( ●) (●)、 正直、「和尚の最期の境地」なんて、
/::::::::⌒(__人__)⌒\ 正確なところは誰にもわからない訳だし、
| |r┬-| | あくまでこれは、「辞世の偈を元に>>1が推測したもの」ということで
\ `ー'´ / ご容赦してほしいお。
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
-
/ ̄ ̄\ …短くて申し訳ないが、
/ ヽ、_ \ 今回はここまでだ…すまぬ…すまぬ…。
(ー)(ー ) .|
(__人__) |
(,`⌒ ´ |´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
. { | ヽ\__
____.,{ / \__)_
(____`ヽ_(  ̄ ゙̄ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ、 )
 ̄ ̄ ̄  ̄ ̄ ̄
なんかもう眠くて眠くて…。
___ 勘弁してくださいお…zzz…
/ \
´ ヽ,-、, ‐ 、
l !ー \
! ― ― ___ __\,‐‐-、
> (=) (=) ヽ ヾzソ ) __ __¨ ./
( _ (__人_) _ノ  ̄ ̄ ̄  ̄ ̄  ̄ _) _) \
-
てなとこで今回は終了です。
本日もお疲れさまでした&ありがとうございました>ALL
で、予定より1日過ぎた上に、この短さですいませぬ。
今回で和尚の補足編は終わるかと思ってたのですが…。
次こそは最後まで進めたいところ。
それではではー。
-
……いい夢見ろよ
-
さあ今夜も夢精にいそしむとするか…
-
>>623はこちらに差し替えをばー。
/ ̄ ̄\ まあ、ここまで話が進んだなら、、
/ _ノ \ 「絶望」については、細かく語るまでもないな。
| ( ー)(ー)
| (__人__) 紫衣事件に象徴されるように、
| u. `⌒´ノ 幕府(王法)に対して、寺社(仏法)の独立性を守るべく奮闘した和尚が
| } .最後の帰郷時、京で見たものは、幕府に屈服した寺社の姿だった。
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) それを見た和尚が、江戸に戻った後に書いた
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 「紫野の仏法、今の世には用に立ち申さず候」という一文と合わせると、
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) この「夢」という偈は、
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉| 「己のやったことは全て無であった」
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i ! という和尚の絶望も含んだものではないか…ということだな。
_-─―─- 、._
,-"´ ゝ \
/ ヽ
/ ::::/::::::::\::ヽ この件については、あくまで>>1の推測ではあるけど、
| u / ヽ `::::´ /`ヽ 晩年の和尚の言動を踏まえると、
l ( −ノ::::::::::ヽ−.;l .あり得ないとは言い切れないのが結構キツいお。
` 、 (__人_) .;/
`ー,、_ /゚
/ `''ー─‐─''"´\o
-
お疲れ様でする
毎度リアルタイムは見れないけど
楽しみにしてるので無理なく頑張ってください
-
>>630
乙です。3連休なの忘れてて来ないかーと思ってました。
ちなみに>>523だが、正直すまんかった
かませですらなかった。乱世ならありなんだろうが
-
どもどもです。
今週は休出やらでバタバタしてたので、難しそうです。
まあ、普段でも更新できるかできないか微妙な有様なのですが…。
すみませぬ。
なお、「黄門さま」における柳生については、
どの辺がおかしいか説明しようとすると、最初からの話になるので
なんかもう面倒になり、「お前がそう思うなら(ry」状態で砂。
なんともはや。
ではではー。
-
おつかれさまですのー
素人にやられる柳生剣士って当時(水戸黄門)でありえるの?
(実戦ないからレベル下がってるとか、そもそも裏柳生してるから素人に負けるわけないだろうとか)
-
漫画は読んでいませんが、水戸黄門の時代(元禄)というと宗冬さえ故人な訳で
流派の高名さと実力にギャップが出始めていてもおかしくはない……のかな?
それ以上に権力者や成功者をdisって溜飲を下げる「ありがちな痛快話」ってだけ
という気もするけど。
-
ビッグネームだからこそフィクションで咬ませの定番になるわけで、まさに有名税。
大昔の野球マンガで長嶋や王が少年投手に三振食らってたのと同じ。はっきり言えば荒唐無稽。
軟式のウレタン剣なら1文〜ってマンガですから考証するだけ無粋かと。
-
この本はどうでしょ?
『七人の侍』の名場面で説く“柳生流”剣術の根本原理。〜前田英樹・著『剣の法』〜
ttp://number.bunshun.jp/articles/-/821965
近世剣術「新陰流」の術理から見えた、刀に込めた日本人の思想とは?
『剣の法』 (前田英樹 著)
ttp://gekkan.bunshun.jp/articles/-/1042
-
何気に将軍ご指南(宗矩系)の柳生新陰流が一番活躍する大物時代劇は暴れん坊将軍
-
豪将タグスキーも新陰流だったな
-
柳生新陰流が一番活躍してる漫画って「剣豪ゼロ」じゃないの?(すっとぼけ
装甲車ぶった切るわビルぶった切るわ宇宙戦艦輪切りにするわ、
「拙者は強くなる! 柳生新陰流が大銀河連邦を叩き潰してくれるわ!」とかもう無駄に熱いw
-
どもどもです。
今週も相変わらず休出の上に、人と会うことになりそうなので、無理ゲです。
なお、来週は実家に戻る都合上、これまた更新できそうに無いため、
次は最速で11/30になるかなーと。
相変わらずの有様ですいませぬ。
創作世界の柳生>
この辺、いずれ外伝でまとめて話をしたいなーと思うところ。
まあ、本編が終わってからの予定なので、だいぶ後になりそうですが、
お待ちいただければー。
剣の法>
時間が無くて通しでは読んでませんが、出た時、ちょっと目を通したですよ。
柳生系の新陰流が世間に与えた思想上の影響、というのは、
前に家伝書の話を書いた時にもちょっとしたのですけど、
いずれこれも総括編でやりたいところで砂。
-
沢庵の思いも分からんでもないけど…
政治の視点として仏教を見たら独立性とかは皆無に見えるだろうさ。
江戸時代にだって仏教を絶やすまいとした僧侶はいっぱい居るし…。
外からじゃないと見えないものもあるけど、内からじゃないと見えないものあるわけで。
外に出て勝手に外から見て勝手に絶望した自業自得としか思えない。
-
難しいところだが、
沢庵は内から外に出たわけで、
内に居続けた人たちよりは見識は広いと思うでよ
それに寺社の独立性とか言えば聞こえはいいけど、
独立自治区だったのが、幕府の傘下にならざるを得なかった
ってただの生臭い流れについて
「あぁもう逆らうの無理ぽ。徳川組の系列になるしかないわ」って意味での「絶望」で
仏法に関する話で絶望したって解釈で感じるものとは
ちょっと印象が変わる。
-
あ、今週は里帰り中なのか
-
どもどもです。
先週は検査兼帰省で休み確定状態でしたが、今週は戻ってきましたので、
いつものように日曜(11/30)の21時の投下目指して着手したいところ。
というか、もう今年もあと1ヶ月なので、なんとか区切りのいいところまで
進めたいものでアリマス。
ではではー。
-
どもどもです。
結局、今週も投下できるほども書けず仕舞いであり、申し訳なし。
今年は投下できる機会が、実質あと3回(12/7,14,21)なので、
それで和尚の補足編の残りと、武蔵の補足編を終わらせて、
年明けからその68をしたいところなのですが、どうにもなんとも。むむむ。
すいませぬ。
-
深夜にお疲れ様でありんす
健康第一で。
-
まあ12月は忙しいですから……
-
まぁリアル優先はしゃーなし。
少しずつでも前に進んできてるんですから、がんばです。
-
どもどもです。
先週が失敗で、状況的にも差が無いものの、
何とか更新したいなあと思うところである今日この頃。
とりあえず目標だけは日曜(12/7)21時に持つ所存でアリマス。
なんとかしたいものです喃…。
ではでは。
-
どもどもです。
なんか今回もダメであり、どうにもすいませぬ。
下のAAの人とかも出す予定なのですけど、いつになったらまとまるのかという塩梅で、申し訳なし。
せめて今月中(というか今年中)には投下したいのですが…むう。
.ィ .ィ
!、 / ! //
,ィ ! '., / !/ /
i:::,.-ァ マ .、! ヾ´./ / . ィ
i/:::;'.,.-ァ ヾ .ィ i、 / ''´/
{:ソ::::レ:::;',.--、 ィチゞiソムミ.、'. /
ヾ::::::::::::r "´ 、___ {:::::/ ィュミァヾミij_.::} 吾輩の出番はいつになるのだーっ!?
';:::::::::' __,.イ/i ヾ::::| _`_ !、`{:::/!
}::::::::!. ''  ̄  ̄ `ヽマ! {,ニ) ル' |::/ !
,r ー‐.、ー .、 ハ `¨ ..イ! レ' ! ∧ .ィ
/ ', ;:.ヽ. / 三´_ ', / /≧、`ヾi
j、______ ,.イ´:.:.:.:.ゝ. __ノ `゙ヾ´ } \
ハ:::::' ,}:.:.:.:.:.:.:.ヾ{ '; .:ゝ=ー ´
{:::::::' __,.イ:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ ! ヾ}ト、 ,.-
!:::::' ̄ ,}::.:.:.:.:.:./ ゝ . __. ィ个ー- イ:.:.:.} rァ', ヽ
i::::' __,.イ:.:.:.:./  ̄ ̄ ヘ .ヘ i:.:.:.:'ァー,-- ァ=-., _,.ィ <、r .}
';::' ̄ ノ:.:/ ヽ ,.ィヾ´ `ヾ/ ` ハ:.:.:/ ; ' { { ヽ イ
ヾ、r ´  ̄ \ >ゞ´ マ ! {:.:.:.{. ! { ヽ ゝ ´
`マミ:.、 } | ,! ̄ ゝ--`― '' ´
ノ ≧ヾ::.、 ! ! /ハ
/三三ミ:.、  ̄`ヾ, -− 、 `ヽ
/ /` トト{{{{{' rャ ィッ )-ァハ
/ // ,.-=、¨`ヽ mn/ //,ハ
ムー- ニ二 / ィ/ i{ハ≧三三く{ ヾ、
ムー- /:.:.:マ i! __) }トハ
} /- ―'' ´:.:.:.:.:.:.マ !! ̄ ̄ } 八 ',
ハ/.:.:.:.:.:i!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..} !| ! -―={ ´::.:.:ヽ.',
/.:.:.:.:.:.:.:.:.!i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| | ヽ.  ̄} !:.:.:.:.:.:.:',
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! i. !ヽ. i !:.:.:.:.:.:.:.',
,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| | ';:::\ リ:||:.:.:.:.:.:.:.:',
,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! i }:::::::`¨´::::||:.:.:.:.:.:.:ィ!:i
,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| | .!:::::::::::::::::::||:.:.:.:.:./ }:.:!
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! i ';:::::::::::::::::::!i:.:.:.:./ /:.:.|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i゙''、\.:.:.:.:.:.:.:.:; ,' .}::::::::::::::::::||:.//.!.:.:!
,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i::::/\\.:.:.:.:// ゝ::::::::::::::::|レ/! !i:.:.:|
/:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i:/ ヽ / .{::::::::::::::::::::::::::::} | !:.:.!
????
来週と再来週しか今年はもうチャンスが無いので、
なんとかこの補足編だけでも終わらせねば…。
ではでは。
-
どどんまい。
まぁ、ちょっと無理してでもやっちゃいたくなりますわなw
とはいえ冬ですので、お体にはお気を付けて。
-
どもどもです。
明日は急遽外出することになったので更新はなしに。
これでもう、今年完結できるかどうかは12/21に掛かってしまった訳で、
我ながら大丈夫かコレと思うも、最早なるようになるしかないなーと。
すいませぬ。
しかし、最近やたら冷えま砂。
明日は雪が降るかもという話ですし、皆様もご自愛をば。
ではでは。
-
こりゃあもうハバネロ汁をすすりながら待つしかないな…
あったまるでー
-
どもどもです。
ようやくどうにか書き始められたので、おそらく今晩は投下できそうかなと。
ただし、時間が21時に間に合うかどうかは不明気味で、
あと、補足編が今回で終わるかどうかは微妙な感じであるなあと。
毎度ながらな有様ではありますが、
仕上がったら投下しますので、よろしゅうですー。
-
こんにちは
http://1su.net/gyh7
http://1su.net/gyh9
http://1su.net/gyhA
http://1su.net/gyhC
-
気長に待つのは慣れてますよー
-
ワキ毛抜きながら待ってます
-
どもどもです。
結局、今回も最後まで行かず、大した分量もないのですが、
一応、一区切りは出来たので投下しまする。
では、始めます。
-
…結局、延びに延びまくって、
/ ̄ ̄\ この年最後でようやく更新で申し訳ないだろ…。
./ _ノ ヽ、_ \ . ____
.. | (−)(−) | / \
. . | (__人__) .│ ./ _ノ ヽ、_ \ 来年こそはもう少しなんとかしたいお…。
| u. `⌒´ | / (−) (−) \ じゃあ、始めるお。
. | | | (__人__) u. .|
. ヽ / \ .`⌒´ ./
ヽ / > く.
/ く.[ニニニニニニニニニニニニ`.ニニ´ニニ]ゝ ヽ
| ヽ、二/ 〈〉 〈〉 ヽ__,ノ l
. | / 〈〉 ヽ |
| / 〈〉 〈〉 〈〉 ヽ /
ヽ、_ヾ-‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐ゞ___/
-
╋━━━━━━━━━━━━━╋
┃ その4 :.柳生一族と沢庵和尚 ┃
╋━━━━━━━━━━━━━╋
/ ̄ ̄\
/ ─ ─ \
| .(●)(●) | さて、次は少し話題を変えて、
. | (__人__) | 柳生一族と沢庵和尚についての話にしようか。
| `⌒´ | ) ;;;;) ポイントとしては、
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/ .・ 柳生一族から見た沢庵和尚
ヽ ノ .l;;,´ ・ 沢庵和尚から見た柳生一族
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ この2点になるな。
. \ "" /_ノ |
\ /___/
____
/ \
/ _ノ ヽ まあ、その2点なのはいいとして、
/ ( ●) (●)' , -―ーっ 「柳生一族」と言っても、そもそも史実の柳生家で
| (__人__) | ( ゝ彡 ̄ 和尚と絡みがあるのは宗矩と十兵衛くらいじゃないのかお?
\ ` ⌒´ /゙| ̄'|
/⌒丶、 ー‐ ' .|, |
__/ ノ \__ィ ´ー‐イ' | ∫
| | / / r_____ ∬
| | / / |i ┌‐┐
| | ( 〆⌒'――──―r─≒、.((| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄└‐┘ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
-
/ ̄ ̄\
⌒ ⌒ \
(●)(● ) | まあ、確かに代表格はその二人だが、
(__人___) | .実は宗冬にも色々と教授していたらしい。
| |
| .| いずれ紹介するつもりだが、
ヽ 、 ,イ 宗冬の手による伝書『宗冬兵法聞書』には、
/ヽ,ー- ト、 和尚からの教えが載ってるんだ。
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:....
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
___ '_
/ \
/ ─ ─ \ .お、ホントだお。
/ (●) (●) \ 寛永九年前後の話が中心だから、
.| (__人__) | __ .宗冬がまだ十代の頃の話かお。
\ ` ⌒/ ̄ ̄⌒/⌒ /
(⌒ / 史料/ 柳生 ./ 結構数も多いし、
i\ \ ,(つ 新陰 / 流 ⊂) .「無心」についての教示が載ってたりと、
| \ y(つ__./,__⊆) 宗冬も相応に和尚と付き合いがあったということかお?
| ヽ_ノ |
| |_
ヽ、___  ̄ ヽ ヽ
と_______ノ_ノ
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ ⌒ ⌒ ) ;;;;) そうだな。
| (●)(●) /;;/ そして、寛永九年頃と言えば、
. | (__人__) l;;,´ 和尚が上山から江戸に戻ってきた頃だから、
| `∩_ノ)━・' .まだ十兵衛は柳生庄で蟄居中だ。
. | |_ノ
/ヽ | |_ むしろ、宗冬の方が、十兵衛より先に
| \_/ ノ ヽ 和尚と知己を得ていたと言えるな。
\ /_| |
| \ / _/
____
/ \ …言われてみれば確かにそうだお。
/⌒ ⌒ \
/( ・ ) ( ・ ) \ それを踏まえると、記録はないとはいえ、
| (__ | 当時江戸にいた友矩も、和尚と付き合いがあった可能性が
\ _l / あるかもしれない訳かお。
/ ー \
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ (( あと、上の三人だけではなく、
-、 .| (● ) (● ) | ノ' 一番下の六丸もな。
ヤ ', | (___人___) .| ,i'
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::. 和尚が亡くなった正保二年の時点で、
', j / / .| ____/./ もう六丸も数えで11歳なんだぜ?
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 和尚の話も幾らかは理解できる年頃だろう。
l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` {
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
____
/─ ─\ …まあ、六丸の後のことを考えると、
/( ●) (●)\. 和尚から何かしらの教授があってもおかしくはないおね。
/ (__人__) \
| | .なんだかんだで江戸柳生家って
/ ∩ノ ⊃ / .一家揃って和尚と付き合いがありそうだってことかお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\ (
/ _,.ノ `⌒ ノノ
| ( ●)(●)(,ヽ、 (( それについては、見方を変えれば、
.| (___人__) ,r__i____ ノ 「沢庵和尚と関わりがあったのは江戸柳生家のみ」とも言えるな。
| √丶丶丶┬─'"
| | ) j 尾張柳生家の方は、沢庵和尚のこと自体は知っていたようだが、
.人、 ヽ´ / .直接の交流があったことを示す史料は見当たらない。
_,/::ヽ、.,ヽ., __ ( r 更に言えば、石舟斎と和尚の関わりについても同様だ。
_, 、 -― ''"::::::::::::\::::::ー-- く / ⌒ヽニ-、
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/....., ̄ v,;,ヽ
丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;( ;;;;:::::::::::... ',;;;;|
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ :;;;;;;:::::::::.. ',;;i
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
____
/〜〜〜 \
/ ―〜〜― \ 石舟斎と和尚の関係については、
/ (●) (●) \ 吉川英治「宮本武蔵」(&「バガボンド」)の影響がありそうだお。
| ( ((__人__)) ) | まあ、面識がある可能性は否定しないけど、おそらくは無い、というところかお。
\ `⌒´ ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ 「そうだな」
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(●)(●) | で、その上で本題に入るが、
. | (__人__) | まず、「柳生一族から見た沢庵和尚」というのは、
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;) 1 : 面白いし頼りにもなるが面倒なところもある友人
. ヽ } /;;/ .2 : 頼りになる先生
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・' この辺りといったところか。
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
___
/ ヽ、_ \
/(● ) (● ) \ 1は宗矩、2は十兵衛たちから見た和尚といったところかお。
/:::⌒(__人__)⌒::::: \ えらく気安い印象だお。
| l^l^lnー'´ | .仮にも当代随一と称された禅僧なのに。
\ヽ L /
ゝ ノ
/ /
-
/ ̄ ̄\ まあ、宗矩からすれば
/ ⌒ ⌒ 和尚が大悟する前からの付き合いだし、
| ( ー)(●) 十兵衛たちから見ても、東海寺ができるまでの間、
. | (__人__) .2年以上、屋敷で同居していた人だからな。
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) 実際、『昔飛衛という者あり』を、
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) 最初、宗矩に焼き捨てるように言われた際、
ゝ ノ ノ .) ;;;;) 十兵衛は真っ先に和尚に相談しに行ったりしてるし、
/ / \ ./;;/ かなり気安い関係だったのは間違いないだろう。
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
____
/_ノ ヽ\ 十兵衛や宗冬からすれば、
/ ( ●) (●)、 一緒に住んでて、困ったことがあったら助けてくれる
/::::::::⌒(__人__)⌒\ 頼りになる先生、ってとこかお。
| |r┬-| |
\ `ー'´ / …なんだか藤子作品の
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ 「不思議な同居人」みたいだお。
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
-
/ ̄ ̄\
/ .⌒ ⌒
| (● )(●) ノ' そして、「和尚から見た柳生一族」は、
| (___人__) rニi ,i'
| ` ⌒´ノ .| レ..;::. 1 : 厄介事を頼んでくることもあるが頼りにもなる友人
| |_,-‐、l// 2 : 色々手間の掛かる小僧っ子ども
人、 厂丶,丶, v´j
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ こんなところだな。
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 1は宗矩、2は十兵衛たちへの評価ってところだ。
/:::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ;;:::::: ) .本編でも紹介してる通り、和尚も歯に衣着せぬ物言いをしてるし、
丿::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;:::| .気の置けない間柄という認識だっただろうな。
i ;;::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;〈 ;;;;:::::::::::... ',;;i
/ ;;;;:::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
____
/ \ 柳生家から見た評価の向きを
/ ─ ─\ そのまま戻したような感じだお。
/ (●) (●) \
| (__人__) | 「そうだな。
/ ∩ノ ⊃ // ∩ノ ⊃ 概ね、それで合ってると思う」
( \ / _ノ \/ _ノ
.\ “ / . \ “ /
\ / /\/
\ \
\ \ \
> > >
/ / /
-
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \ ただ、そういう付き合いとは別に、
(●).(● ) |. .柳生家からすれば、和尚の深い知見は、
(__人___) .| .自家の兵法の完成度を高めるために必須だったし、
'、 | .和尚の幅広い交友関係は、友誼を結ぶに損の無いものだった。
| |
,. -ーー| /レ、 柳生一族にとって、沢庵和尚との付き合いは、
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._ .損得に基づいた面もあったという訳だ。
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: /
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: /
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: /
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /
____
/ _ノ ヽ_\ まあ、その点では、和尚にとっても、将軍家側近である宗矩との縁は
. / (ー) (ー)\ 大徳寺寺法の復旧を目指すために必要だったから、お互い様と言えるお。
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ .実際、宗矩経由で家光への取り成しを頼んでる記述もあるし。
ヽ L |r┬-| |
ゝ ノ `ー‐' / 私人としてではなく、「柳生家当主」と「大徳寺長老」としての付き合いも
/ / \ 宗矩と和尚の間にはあった、ということだおね。
/ / \ お互い、立場のある身だから当然だけど。
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ\ ) ;;;;) お互いの付き合いがなければ、
| ( ─) (─)/;;/ 家伝書の内容は今と違うものになっていた可能性があるし、
. | (__人__) l;;, 大徳寺の法も旧に復せずに終わったかもしれない。
| ∩ ノ)━・'
. | / ノ´ } つまり、互いの目的を達成するという点において、
. ヽ / / } 柳生家と和尚は「WIN-WIN」の関係だった、とも言えるな。
ヽ/ / ノ
/ ヽ
-―─- 、
/ \
′ ⌒ ⌒ , そういうことだおね。
i ( ●) (― ) i 尤も、これは宗矩と和尚の両方に言えることだけど、
| (__人__) | そういう付き合いの中で、
、 ノ
⊂⌒ヽ > <_/⌒つ 「まさか、こいつとこんな付き合いをすることになるとはなぁ…」
\ 丶′ 7
\ ノ ト、_/ という感慨もあったとは思うお?
. ′ |
. i |
乂 イ
| /ー―一 、 |
し′ 、_j
-
/ ̄ ̄ \ -、_
_,ノ ヽ、__ / / ,〉、
(⌒)(⌒ )/ ´/ /) まあ、それはそうだな。
(__人_) { , ' ´,/ 二人が知り合ったのは、おそらく関が原以前の大徳寺だから、
'、`⌒ ´ V __, <´ 宗矩は家康に召抱えられたばかりの二百石の軽輩、
| 〈´/::::Λ 和尚も出石の宗鏡寺から京に上がってきたばかりの修行中の身だ。
| ヤ::::::::::::::Λ
`ュ`ー─ー V::::::::::::::Λ まさか、後にどちらも当代随一の評価を得て、
/ム _ , -./V::::::::::::::Λ、 将軍家の側近になるような相手とは思わなかっただろうな。
_,. -/:/===/´..::/i:::::::::::::::::::Vヘ. .お互い、昔を思い出して苦笑しあったりしていたかもしれんな。
//./.::::{ | :::::/::::i::::::::::::::::::.∨}
j ::::::::>.:::::::l |::::::::::::::i::::::::::::::::::::レ;
i :::r :〈 ::::::::i |::::::::::::::::〉、:::::::::::::::::ノ
i :::| :::::'., ::::i {:::::::::::::::::::::`::-==::イ
| :::| ::::::::',::::i ',:::::::::::::::::::::::::::::::::::/
___
/_ノ '' 'ー\ それを踏まえると、柳生家と沢庵和尚の関係の根本にあったのは、
/ ( ⌒) ( ⌒)\ やはり、「宗矩と和尚の個人的な友情」だった、というとこかお。
/ :::::⌒(__人__)⌒::::\
| `'ーnl^l^l | 「だな」
\ l っ/
( ゝ
i \
-
…結局、今回も終わらなかったお。
____ / ̄ ̄ ̄\
/ \ / ノ ヽ、. .ヽ
/ ─ ─ \ / (●)(●) l …ラストチャンスは火曜日(12/23)に持ち越しだな。
/ (○) (○) \ | (__人__) |
| し (__人__) | _{ }
/ ` ̄´ ∪ \/ _, ⊂二二)
| i ヽ、_ヽl | |
└二二⊃ l ∪ | |
| ,、___, ノ | ,、 |
ヽ_二コ/ / ヽ / \ / __ __¨ ./
_____/__/´ __ヽノ__`´ _) _) \
-
乙がんばw
-
どもどもです。
毎度ながら短いですが、とにかく更新しないと始まらないのでレッツ投下であり、
明後日のラストチャンスに賭けるしかないなーという塩梅ですが、
ともあれお付き合いありがとうございます&お疲れ様です>ALL
ほぼ2ヶ月ぶりの更新がこれってのも
忸怩たるものがありますが、次回こそこの補足の最終項になるので、
無事に明後日更新して、なんとか区切りよく年を越したいなと思うところ。
よろしゅうですー。
ではでは。
-
スランプだったり進まない時は
とにかく表に出すことで歩みを刻み続けるのも手ですし
乙でした
-
思えばもう7年目なんですね。
長く楽しませていただいています。ありがとうございます。
-
乙乙
年末年始は、なんか気ばかり急いて仕事は進まずといいますし。
-
今日どうにかできれば、と思ってたのですが、
やはり、なかなかなんともならず。
すみませぬ。
12/27には里帰りなので、それまでに
もし残りが仕上がれば、どっかのタイミングで投下したいのですが、
多分ダメそうなので、間に合ったらラッキーくらいで見て頂ければ重畳ー。
それではでは。
-
たくあんかじって次回を待つとしよう
-
思えばもう7年目なんですね。
長く楽しませていただいています。ありがとうございます。
-
どもどもです。
随分と遅くなってしまいましたが、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
というか、今年こそ完結させたいものです喃…。
さて、去年は仕上がりきらなかった和尚の話を。
毎度の日曜(1/11)の21時に間に合ったら投下したいなーと思うところ。
それがダメだったら月曜に延ばす感じで。
ではではー。
-
がんば、がんば、ガンバと仲間たちです
-
どもどもです。
それでは今から投下します。
-
___ノ L どうにか投下が間に合ったお!
/\ / ⌒. この調子で今年こそ本編を完結させるんだお!
/ ̄ ̄\ / (●) (●) \
/ _ノ \ / (__人__) \
| ( ●)(●) | |::::::| | …エピローグと総括はどうすんだよ。
. | U (__人__) \ l;;;;;;l / l!| ! 分量的に考えて…。
| ` ⌒´ノ / `ー´ \ |i
. | } / ヽ !l ヽi
. ヽ } ( 丶- 、 しE |そ ドンッ!!
ヽ ノ ̄ `ー、_ノ ̄ ̄ ̄ \xAD堯\xA1l、E ノ <
/ く.\ レY^V^ヽl"
| \ \ \
| |ヽ、二⌒) \
-
╋━━━━━━━━━━━━━━━━╋
┃. その5 : 和尚の評価−禅僧・沢庵 .┃
╋━━━━━━━━━━━━━━━━╋
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ \ _,, さて、柳生家と和尚の関わりについての話も済んだし、
.| (●) (●) .| l;l いよいよ最後の話として、
. | (__人__) .| _,_,|,|_,
| `⌒´ |, ト-=y 丶 「歴史上の人物としての沢庵和尚の評価」
. | } ヽ `i, ̄‐^l
. ヽ } ヾ~ ` i, .について進めようか。
ヽ ノ _ ヽ、 ;i,
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i,
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i,
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l
,y`;,,__ ,i /ii' / r-/| l l
_/^,,, ヘ l /iil / l"v' y } l
v=4⌒ヽ、 j --,,,if /iii| ,, 〈-ヘ_,、 <、 / i|
ヽ, ,, i、 _,,tv /iiiii ム、 / / ヽ、ヽ、_x--ー‐- 、
__,,,l ii Yi___,lk / }iiiiil ヘ __,,,,,,___/ `x'"^ ,,,,, \
^ ̄⌒ヽ ヘ、 ,ノiiiii|、__,,,y,,_,,,/ ヽ、 ,/ ,,,-‐‐ `',, ヘ,、
,,,_ \ ヽ `>- liiiiiiil ¬">-− ヽ ヽ i i/ _,, / } i
"- ,, } / /iiiiiiil / l l l lK ^~' / |
\ーヾ /iiiiiiiil / i i | |i`'ヽーミ_/ /
歴史上の人物としての沢庵和尚の評価…。
_____
/ ─ ─\ 【江戸時代初期、幕府の法度に敢然と立ち向かい、
/ (●) (●)\ 遂には将軍の帰依を受け、寺法復旧を勝ち取った名僧】
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \
ヽ L |r┬-| | .【禅の視点から兵法を説いたことで、
ゝ ノ `ー‐' / ”剣禅一致”の概念を生み出した傑僧】
/ / \
/ / \ パッと思いつくとすればこんな所かお?
. / / -一'''''''ー-、. あと、逸話レベルでいいなら「沢庵漬けの発明者」とか。
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ \ そうだな。
| .(●)(●) | 和尚が紹介される場合、大体はその辺りになる。
. | (__人__) | 少し変えて、人物評的な所で言うと、
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;) 【厳しい修行の末、融通無碍の境地に達した孤高の僧】
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´ 【名声や富を寄せ付けず、
. / ∩ ノ)━・' あくまで一禅僧として生きようとした清貧の僧】
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ | というところだな。
\ /___/
____
/_ノ ヽ\
/ ( ●) (●)、 今までの本スレで紹介した通りだお。
/::::::::⌒(__人__)⌒\ 特に付け加えることはないおね。
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) だがな…「歴史の流れ」を踏まえた上で評価すると、
| (__人__) また別の見方もできるんじゃないかと思うんだ。
.| .`⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
_____ ━┓
/ ― \ ┏┛
/ノ ( ●) \ ・ 「歴史の流れ」…かお?
. | ( ●) ⌒) |
. | (__ノ ̄ /
. | /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ ヽ、_
| ( ●) (●) ああ。
| (___人__) まず、和尚が生きた時代は、丁度中世と近世の境い目であり、
.| ` ⌒´ノ それは日本の仏教史においても、大きな変革点となる時だった。
| |
.|、 _r十、 中世において、世俗権力とは異なる独自の権力・権威を持っていた仏教は、
[::.ヽ、 __rく_} _i .} .しかし、近世に入り、江戸幕府という世俗権力の支配体制下に組み込まれていった。
_, 、-一 :::"\ :::::::::} _i _l _i .} これは既に話したことだから、わかるな?
/ .:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::} _l i_ i. {:.. ヽ__
/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} _jノ`~゛ t:::::/:::::..\ __
.i :::::::::::::::::、.::::::::::::::::::::::::::::} ゙i -‐.i.,-‐、::::::::::::::.. \_
i ::::::::::::::::::: i:::::::::::::::::::::::::::i ヽ ⌒,; ‐'::::::::::::::::::::::::.. `::...、
l ::::::::::::j:::::: i:::::::::::::::::::::_ノソ } /:::i:::::/::/::::::::::::::::::::::.. `ヽ
l ::::::::/::::::::::::::::::::::::::/.:::゙i::\__ rl ´::::: i::´::::::::::::::::::::::::::/::::::::: l
l :::::/::::::::::::ソ:::::::,/::::::::::::::::::::ー,´:::::::: l>ーーー-、r-‐:'::::´::::::: l
____
/ \
/ ─ ─\ 「寺院諸法度」に象徴される
/ (●) (●) \ 幕府による寺社の統制ということだお。
| (__人__) | .まあ、それに対して立ち上がったのが、
./ ∩ノ ⊃ / .沢庵和尚なんだから、そりゃわかるお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\
rヽ / ノ \ \
i ! | (●)(●) | そうだ。
r;r‐r/ | | (__人__) | そして、その点で言えば、
〈_L (`ヽ .} | `⌒´ ノ 沢庵和尚は旧来の仏教の側に立って、
l` ( ``/ . | } 「変革を拒んだ人物」とも言えるんだな。
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ィ ヽ
____ て
/ u \ そ
/ \ /\ そ、そう言われてみれば…確かに。
/ (○) (○). \
| u (__人__) |
\ `⌒´ /
-
___
/ \
/ u .\ 「剣禅一致」の概念を作り出した一人だから、、
/ ノ ヽ、_ \ なんとなく革新的な人物、という印象があったけど、
| ( ●) (● ). | 確かに、僧として見た場合、和尚は一貫して「旧来の仏教」の側に立ってたお…。
\ l^l^ln__人__) /
/ヽ L⌒ ´
ゝ ノ
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \ 武道史上においては、
(●)(● ) | 大きな変革となった「剣禅一致」の概念も、
(__人___) | 和尚からすれば、あくまで、宗矩に請われて
| u | 「禅的な面から兵法を説いた」ものに過ぎないからな。
| .|
ヽ 、 ,イ 和尚自身の禅は、これによって
/ヽ,ー- ト、 特に変わってないんだから、
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__ 禅僧としての和尚のスタンスに
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.... 「剣禅一致」は殆ど影響して無いんだよ。
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
-
/ ̄ ̄\
/ __,ノ ヽ、_ ただ、念のために言っておくが、
| (● ) (● ) 従来の仏教を守ろうとした側…敢えて「守旧派」と言うが、
| (___人__)i 彼らを「発展」を拒んだと批判するのは筋違いだ。
| ノ
| | それは、現代までの歴史を知っていて、
人、 | 現代の仏教のあり方にどちらかといえば肯定的であった場合、
_,/(:::::ヽ、 __ ,_ ノ 成り立つ話であって、当時、生きていた人物にとっては、
_, 、 -― ''"...:::::::\ ::::::::::::::::::7、 先がどうなるかわからない変革…むしろ、
/.;;;;;::゙:':、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..-、_ 既存の体制を覆すような幕府のやり方に、
丿;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::゙'ー、 反発を覚える方が多かった、と見るのが妥当だろう。
r ;;;;;;;;;;;;;;;;:::::|::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:: !
/ ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i:: | その意味では、和尚は、「孤高の僧」というより、
/ ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:: i 「当時の仏教界における多数派の代弁者」だったとも言えるな。
/ ,;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:'''丿;;;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l:: !
___
/)/ノ ' ヽ、\ でも、崇伝や天海なんかは、幕府寄りのスタンスを取ってたし、
/ .イ '(●) .(●)\ 和尚のいた大徳寺でも、幕府に従った方がいいとする派閥もあった筈だお?
. /,'才.ミ). (__人__) \
. | ≧シ' ´ ⌒` | その辺りはどうなるお?
. \ ヽ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ そりゃお前、「理想と現実は一致するとは限らない」ってだけの話だよ。
| ( −)(−) 例えば、俺たちだって税金なんか上がってほしくないけど、
.| (__人__)_ 現実問題、税率が上がったなら、おとなしく払うしかないだろ?
| `⌒´. ̄
.| ノ 前にも書いたが、本音では幾ら嫌だろうが、力関係では
ヽ .,ノ )/´二⊃ 幕府が圧倒的に上だから、寺社も従わざるを得ないって話さ。
> /"/ '‐、ニ⊃ キンッ .かつては、これを跳ね返せるだけの武力や経済力が寺社にもあったが、
./⌒ヽ l ´ヽ〉〆ヽ 戦国時代を経て、そういう力はほぼ奪われてしまったからな。
( ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ .抵抗の仕様も無い訳だ。
.\ / / { /
____ あー、そういうことかお…。
. '" U `丶、 どうせ逆らっても無駄なら、おとなしく従って、
/ \ \ 少しでもマシな条件を得ようとしたor痛い目を見るのを避けた、と。
/ `¨″ `'ー'" ̄`
{ 三三 三三 } 「まあ、そうだな。
'. J / あと、崇伝や天海については、仏教勢力内の政治闘争で、
\ u ゙'ー'^'ー'゙ / .幕府の力を後ろ盾にするために協力した、という面もあるな」
`¨7  ̄ ‘,
/ ‘, …生臭い話だお。
-
/ ̄ ̄\ そして、その結果、
/ _ノ \ 日本における仏教は、世俗権力の体制化に組み込まれ、
|:::::: (● ) ) 従来の独立性を失った。
. |::::::::::: (__人)
|:::::::::::::: `⌒´ノ ....,:::´, . 和尚のやった大徳寺寺法の旧復にしたところで、
. |:::::::::::::: } ....:::,, .. 「幕府の許容範囲で」という大枠があってのものだし、
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ . 和尚の死後、19年後の寛文五年(1665)には「諸宗寺院法度」が出され、
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: . .幕府による宗教統制は、より強固なものになったしな。
/:::::::::::: く ,ふ´..
|:::::::::::::::: \ ノ::ノ その意味では、和尚の行動は、あくまで「抵抗」に過ぎず、
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´ 大勢を覆すことはできなかった、と言える。
_-─―─- 、._
,-"´ \ つまり、歴史の流れを踏まえた上で言えば、
/ ヽ 沢庵和尚は「敗者」だった、という訳かお…。
/ _/::::::\_ヽ
| :::::::::::::: ヽ 「まあ、和尚一人に責があるわけでも無いし、
l u ( ●)::::::::::( ●) .そもそも勝ち負けを言うような話ではないのだが、
` 、 (__人_) / ”代弁者”として矢面に立っている分、
`ー,、_ / そう見なされる部分はあるかもしれんな」
/ `''ー─‐─''"´\
-
/ ̄ ̄\ .中世から近世へと移り変わる江戸初期に於いて、
/ \ 仏教に限らず、様々な分野で変遷が起こった。
|:::::: | その中には、兵法だって含まれる。
. |::::::::::: |
|:::::::::::::: | ....,:::´, そんな中、宗矩は、和尚の助力を得て、
. |:::::::::::::: } ....:::,, .. .近世に対応した兵法思想の確立に成功したが、
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ . 和尚自身は仏教において、近世への対応を目指すのではなく、
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: . あくまで変革を拒み、結果として敗れた、というのは、
/:::::::::::: く ,ふ´.. .ある種、皮肉めいたものがあるな。
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ――
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´
____
/ \
/ \ …鏡に映った姿のようだおね。
/ \
| \ ,_ | その意味では、和尚は、
/ u ∩ノ ⊃―)/ もう一つの宗矩のあり得た姿なのかもしれんお。
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ (( まあ、その辺りについては、【その1】【その2】で書いた通りで、
-、 .| (● ) (● ) | ノ' 結果として、当時の仏教界に失望した和尚は、
ヤ ', | (___人___) .| ,i' .宗門や法統などを振り捨て、自分の禅を第一にするようになる。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::. 正保二年四月に小出吉英に宛てた手紙の通り、
', j / / .| ____/./
.ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 「一分心をすまして、物の本のきれをものぞきて居らるるが、
l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` { 自分の利益たるべく候由申す儀に候」
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\ というわけだ。
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
____
/_ノ ヽ、\
/( ●) (●).\ うーん…気持ちはわからなくも無いけど、
/ (__人__) u. \ 一人の僧としてはともかく、大徳寺長老の座に位置する師僧…、
|ni 7 ` ⌒´ . |n 人の上に立ち、教え導く立場の身として見た場合、
l^l | | l ,/) U l^l.| | /) . 和尚のスタンスは決して褒められたものじゃないと思うお。
', U ! レ' / . . | U レ'//)
{ 〈 ノ / 「実際、説得や批判もされてるしな。
..i, ."⊃ rニ / 問題がなければ、そんなものは起きない訳だし」
."'""⌒´ `''""''''
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ー)(●)
. | (__人__) ただ、この辺りについて調べてみたところ、
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ どうも和尚のスタンスには、理想…とまでいかなくとも、
.l^l^ln } `‐= ) 参考にしていた人物がいるんじゃないかって気がするんだよな。
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;)
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
_____
/ ― \
/ノ ( ●) \ 和尚が参考にした人物?
. | ( ●) ⌒) |
. | (__ノ ̄ / …誰だお?
. | /
\_ ⊂ヽ∩\ 「それはな──」
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
-
.ィ .ィ
!、 / ! //
,ィ ! '., / !/ /
i:::,.-ァ マ .、! ヾ´./ / . ィ
i/:::;'.,.-ァ ヾ .ィ i、 / ''´/
{:ソ::::レ:::;',.--、 ィチゞiソムミ.、'. /
ヾ::::::::::::r "´ 、___ {:::::/ ィュミァヾミij_.::} 吾輩は一介の僧であーーーるっ!!
';:::::::::' __,.イ/i ヾ::::| _`_ !、`{:::/!
}::::::::!. ''  ̄  ̄ `ヽマ! {,ニ) ル' |::/ !
,r ー‐.、ー .、 ハ `¨ ..イ! レ' ! ∧ .ィ
/ ', ;:.ヽ. / 三´_ ', / /≧、`ヾi
.j、______ ,.イ´:.:.:.:.ゝ. __ノ `゙ヾ´ } \
ハ:::::' ,}:.:.:.:.:.:.:.ヾ{ '; .:ゝ=ー ´
{:::::::' __,.イ:.:.:.:.:.:.:.:/ ヽ ! ヾ}ト、 ,.-
!:::::' ̄ ,}::.:.:.:.:.:./ ゝ . __. ィ个ー- イ:.:.:.} rァ', ヽ
i::::' __,.イ:.:.:.:./  ̄ ̄ ヘ .ヘ i:.:.:.:'ァー,-- ァ=-., _,.ィ <、r .}
';::' ̄ ノ:.:/ ヽ ,.ィヾ´ `ヾ/ ` ハ:.:.:/ ; ' { { ヽ イ
ヾ、r ´  ̄ \ >ゞ´ マ ! {:.:.:.{. ! { ヽ ゝ ´
`マミ:.、 } | ,! ̄ ゝ--`― '' ´
ノ ≧ヾ::.、 ! ! /ハ
/三三ミ:.、  ̄`ヾ, -− 、 `ヽ
/ /` トト{{{{{' rャ ィッ )-ァハ ...................................
/ // ,.-=、¨`ヽ mn/ //,ハ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
.ムー- ニ二 / ィ/ i{ハ≧三三く{ ヾ、 ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
ムー- /:.:.:マ i! __) }トハ ::::::::::::::: :::::::::::::::
} /- ―'' ´:.:.:.:.:.:.マ !! ̄ ̄ } 八 ', ::::::::::::::: 一休宗純… :::::::::::::::
ハ/.:.:.:.:.:i!:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:..} !| ! -―={ ´::.:.:ヽ.',::::::::::::::: :::::::::::::::
/.:.:.:.:.:.:.:.:.!i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| | ヽ.  ̄} !:.:.:.:.:.:.:', ::::::::::::::: いわゆる「一休さん」だよ。 :::::::::::::::
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! i. !ヽ. i !:.:.:.:.:.:.:.', ::::::::::::::: :::::::::::::::
,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| | ';:::\ リ:||:.:.:.:.:.:.:.:', ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! i }:::::::`¨´::::||:.:.:.:.:.:.:ィ!:i ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
,:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.!i.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| | .!:::::::::::::::::::||:.:.:.:.:./ }:.:! ...................................
./.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!ト、.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.! i ';:::::::::::::::::::!i:.:.:.:./ /:.:.|
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:!i゙''、\.:.:.:.:.:.:.:.:; ,' .}::::::::::::::::::||:.//.!.:.:!
一休宗純
(いっきゅう そうじゅん)
-
____
/ _ノ \
/ ( ●)}|)_ えー!?
/ :::::⌒ (_ノ、) 一休って…あの一休さんかお!?
| u. |┬‐'
| |_|___
\ `ー‐'ノ
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \ そうだよ。
(●).(● ) |. 時代は違えど、一休和尚も大徳寺の長老だぜ?
(__人___) .| .沢庵和尚からすれば、先達にあたる人物だ。
'、 |
| | 関わりで言えば、元和四年から一年ほど、
,. -ーー| /レ、 一休和尚が再建した山城の妙勝寺(俗に言う一休寺)に滞在したり、
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._ 寛永十九年の日蓮宗と浄土宗の宗論判定の際に説いた、
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ 「分けのぼる 麓の道はかはれども 同じ雲居の月を見るかな」
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j って言葉があるけど、あれも一休和尚の言葉が元になってるからな。
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: /
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: / (※「わけのほる ふもとの道はおほけれと おなし高ねの月をこそみれ」
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: / ⇒一休の著作『骸骨』に収録)
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /
-
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒ .禅風そのものは違うが、
| (● )(●) ノ' 世間から高く評価されつつも、一定の距離を置き、
| (___人__) rニi ,i' 印可や法嗣を否定しつつも、後世に教えを遺した一休和尚の姿は
| ` ⌒´ノ .| レ..;::. 沢庵和尚にとっても参考になったんじゃないかと思う。
| |_,-‐、l//
人、 厂丶,丶, v´j 和尚は諡号を受けるな、年譜を書くなと言ったが、
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ 既に書いた著作については、特に破棄を指示していない。
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 栄誉はいらぬし、自身の後継などにも頓着しないが、
/:::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ;;:::::: ) 仏法は別、といったところか。
丿::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;:::|
i ;;::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;〈 ;;;;:::::::::::... ',;;i 実際、和尚の著作って結構多いからな。
/ ;;;;:::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ }
/⌒ ⌒\ | | つまり、法統や年譜による記録に頼ること無く、
/( ●) (●)\ ! ! 説いた教えが真の仏法に適うなら、それは残る筈だとして、
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l 己の禅の是非をそこに問うた、といったところかお?
| |r┬-| | /
\ ` ー'´ // 「そうだな。
/ __ / 尤も、その辺りはあくまで>>1の私見だが」
(___) /
-
___
,,.-''"´ ` .、
/ ヽ
./ ',
l l その点で言えば、
/ l 400年経った今も残る和尚の声望を見れば、
〈`ヽ、 | 和尚の禅は是とされたと考えていいんじゃないかな。
|ミ=-  ̄ ̄`ヽ /
l ミ=-‐ .′ 尤も、宗矩個人に説いた筈の
l/ ヽ ,' 「不動智神妙録」が代表的な教えとして知られるとは
( __ 人 ) { 流石の和尚も想像してなかったかもしれんが。
/ // )ニ=''´ ./ .|
ツ二二二/ ./__ ./ |
/ / /''"__,ノ ′ .|
/ / / /,.-''")_ _,,-''´ / ヽ__
,' /'´,,..-''´| / _ \/`ヽ、
_ ´l / ./ | ´ / / \
,,..-''" | .l ./ / イ / / \
____
/ \ あれ、思いっきり宗矩個人宛だおよね。
. / \ 最後とか完全に私信だし…「教え」に含めていいのかお?
. / /) ノ ' ヽ、 \
| / .イ '=・= =・= u| .「まあ、”日用禅”を説いた和尚からすれば、
/,'才.ミ) (__人__) / あれも教えであることは違いないから、別に問題は無いんだがな」
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
-
/ ̄ ̄\ まあ、「和尚の評価」についての話は、
/ _ノ \ 大体こんなところか。
| ( ー)(ー)
. | (__人__) ・ 幕府に抗った気骨の禅僧
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ ・ 剣禅一致を説いた傑僧
.l^l^ln } `‐= )
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) という一般的な評価の裏に、
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/ ・ 歴史における「敗者」
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・' .という面もあった、というところだな。
ヽ__ノ
____
/ \ 「時代の変革に立ち向かったが、敗れ去った無念の人」
/ u ノ \
/ u (●) \ というところかお。
| (__人__)| 世間的には将軍家の帰依まで受けて、
\ u .` ⌒/ 国師号の話もあった程なのに、和尚自身の認識では、
ノ \ 「一番守りたかったものを守れなかった」ということだおね…。
/´ ヽ
-
/ ̄ ̄\ 主観と客観で、
/ \ 「成功」の基準が違うのはよくあることさ。
|:::::: | .外から見れば成功者に見える和尚の地位も、
. |::::::::::: | ..本人の認識からすれば、
|:::::::::::::: | ....,:::´, .
. |:::::::::::::: } ....:::,, .. 「余計な名声ばかり上がるくせに、
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ . ..肝心の仏法(の独立性)を守りきれなかった」
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: .
/:::::::::::: く ,ふ´.. という絶望の檻だったと言える。
-―――――|:::::::::::::::: \ -―,――ノ::ノ―― だからこそ、法統の断絶や、
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´ あの最後の遺戒の境地に至ったんだろうな…。
____
/ \
/ _ノ ヽへ\
/ ( ―) (―) ヽ …………。
.l .u ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒r'.二ヽ<
/ i^Y゙ r─ ゝ、
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、|
{ { \`7ー┘!
-
╋━━━━━╋
┃ .最後に. ┃
╋━━━━━╋
さて、随分長く掛かってしまったが、
それじゃあ最後にまとめと行こうか。 ■ 沢庵和尚の評価 ■
| 【仏教の面から】
/ ̄ ̄\ ⇒ 仏教が世俗権力の下に組み込まれたようとした時、
/ _ノ \. 正面から抗った気骨の僧。
| ( ●)(●)
. | ⌒(__人__) 【武道の面から】
| `⌒´ノ ⇒ 「剣禅一致」を説き、兵法に新たな道を開いた人。
. | }. 。
. ヽ } / 【柳生家から見て】
ヽ ノ ./ ⇒ 友であり、師でもある近しい人物。
/ lヽ介/lヽ、 ,rE)
. | | ~ヾ/~ |. ソ◇' 【本人の内面(※推測)】
| | ゚| |\/ ⇒ 晩年の失望の中、一縷の望みをかけた無念の人。
_ | | ゚| |______E[]ヨ____________________________
|\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
|\\ ⌒ ⌒ 甘 \
| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
/ ̄ ̄ ̄\
/ / \ \ .今更ながら、柳生家と縁の深いお人だったおね。
/ (●) (●) \ 沢庵和尚がいなかったら、どうなっていたのかお…?
| (__人__) |
\ `⌒´ /
/ \
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) …まず、柳生家の歴史は変わっていただろうな。
| (__人__) それに、武道思想の面で見ても、和尚の教示がなければ、
| `⌒´ノ 今あるものとはまた違ったものになっていた可能性が高い。
| ,.<))/´二⊃ 「剣禅一致」なんて言葉も生まれなかったかもしれん。
ヽ / / '‐、ニ⊃
ヽ、l ´ヽ〉 反面、和尚本来の領分である仏教の面においては、
,-/ __人〉 若干の差異はあっても、大きな違いはなかっただろうな。
/ ./. / \ .その辺りは既に話した通りだ。
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
____
/ \
/ \ …なんか本業に満足できてないのに、
/ U _ノ ヽ_ \ 他人の手伝いでやった副業が大当たりして、
| (一)|lil|(ー) | そっちの評価の方が高い、みたいな感じだお。
/ ∩ノ ⊃_) /
( \ / _ノ | | こんなこと言ったら怒られるかもしれないけど。
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
___
/:::::::::::::::::ヽ ____
/ :::::::::./ ̄ ̄ \____ ,. --ー.....:::::::::::::::::::.. \ …さあ、どうだろうな。
/ :::::::::: ⌒´ ヽ、,_ \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: i
.| :::::::::::(⌒).(⌒ ) |::::::::::::::::::γ:::::::::::::::::::: ノ 和尚のことだから、
| ::::::::::::(__人___) |:::::::,. -ーy::::::::::::::::::::: / 即座に機転の利いた返しをして、
| :::::::::::/::'、 | ̄ _/::::::::::::::::::::: / .こちらをギャフンと言わせるかも知れないぜ?
.| :::::::/::::: | | /...::::::::::::::::::::: /
| :::::::::::::/| /レ-,.イ:::::/:::::::::::::::::: / なんせ、「伶牙利舌漢」と言われた和尚だからな。
i:/:::::::::::: ヽ__、____,. "//::ノ.:::::/:::::::::::::::: j 歴史上の評価がどうだろうが、
r:::::::::::::::::::「二二二 ::::::::::/::::::ノ::: 、:::: // 俺たちみたいな凡骨が及ぶような人じゃないのは確かだろ。
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/:::r
____
/ \
. / \
. / /) ノ ' ヽ、 \ …違いないお。
| / .イ '(⌒) (⌒) u|
. /,'才.ミ). (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
-
…まあ、和尚についての補足はこんなところだな。
去年の10月に始めて、今まで掛かるとは>>1も想定してなかったが、
とにかくまとまってやれやれだ。
沢庵和尚の教えについてより知りたい人は、
このスレの中で紹介している「不動智神妙録」や「太阿記」以外にも、
色々な著作があるから、それを追うのもいいかもな。
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ ____
| ( ●)(●) /─ ─ .\ 一番まとまってるのは、
. | (__人__) /(●) (●) \ 「沢庵和尚全集」なんだけど、
| ` ⌒´ノ / (__人__) .\ 絶版の上に、古本も結構な値段がするから、
. | } | .`⌒´. | 借りられるなら図書館を探すのがいいと思うお。
ヽ } \ ー― /
ヽ ノ > \ 【沢庵和尚全集】
/ く.[ニニニニニニニニニニニニ`.ニニ´ニニ]ゝ ヽ ttp://www.kinokuniya.co.jp/f/dsg-01-9784820579656
| ヽ、二/ 〈〉 〈〉 ヽ__,ノ l
. | / 〈〉 ヽ |
| / 〈〉 〈〉 〈〉 ヽ /
ヽ、_ヾ-‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐ゞ___/
-
それじゃあ、和尚についての補足はここまでだ。
次は武蔵についての話をするので、
また気長に付き合ってもらえたら嬉しいだろ。
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ .\ . ____
.. | ( ⌒)(⌒ ) .| / \ 次はなるべく早めに
. . | (__人__) │ / ⌒ ⌒ .\ 終わらせたいと思うお。
| `⌒´ | / (⌒) (⌒) \ 今年もよろしくお願いしますお。
. | | | (__人__) u. .|
. ヽ / \ .`⌒´ /
ヽ / > .く.
/ く.[ニニニニニニニニニニニニ`.ニニ´ニニ]ゝ ヽ
| ヽ、二/ 〈〉 〈〉 ヽ__,ノ l
. | / 〈〉 ヽ |
| / 〈〉 〈〉 〈〉 ヽ /
ヽ、_ヾ-‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐ゞ___/
-
_.. -ー'''''''―-..,,,
/゛ `゙''ー ..,,,,,,__、 ∧
,i'゙,,....,,,、 ,,,,.\. | ; `、 /
i./ `''、 \ ., ノV `¨¨´{ _,, /
,!l 夢> i'i|.゙l , \ \ ー---‐‐ ー‐ /
l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、 `、\ __) /
!l,,_ l / '´ ...} `、`¨´ /
.',_/ / ! `、 またいつの日か、 {
l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ .`、 オレが降臨する時を 二ニ=-
l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\ _,,,,.............../ ! } .待つがよいわー!! /
リ',、 .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ / .,.‐', l } {
'!|.l. / .゛', ;;l" / ., / l, .',; その時まで、 `、
_,.l,', ;;,'-'./ ゙./ _,,,/ ! ..l / …さらばだー!! .`、
,./ '" ゙''" / , ''"'''"| / .l l .l./ __ `、
i'" ./ ./ / ., '~', .l ! / ;//⌒i _二__ \
_..-'"゙゙フ'./ / ,/ ./', .', .l /;:;:;:/ | /  ̄⌒
/゛ イ゛,/./ ,/ ,,-', .l .', _ '";:;:;:;:;:;:;:;:;| _] -‐==‐- 、 'ハ ;
, ',゛i!〃゛ / ., ''.l ', .l ,,ミ'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',゙''-// \/ `、{
,..┴-iフ" ./ ._‐{ . ! ', ._ノ'l丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| ´ `''' !./ -',、`′
/ / .// l ', .,ゞ゛ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: ! . ゙'- `'
/ . / .,,/゙l゙ .! .l ._ソ" .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !
/ ., ''l'7 ! ヽ,,,,','"| ',;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}
./ .,-{..,i,' | ′ .l_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;!
: '.l.,,i'゙.l |i./ .ヽ .',,'',、 .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
..ィ ! ', ',`'、. _,,,',. ゙リ..,,,_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
', l l..,ノ'´ `'-、 .,,...../ ゙'イ;:;:;:;:; ゙゙̄''゙‐' ..、;:;:;:;:;:;:;:;!
.l .!/ `'-,, \,ノ゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
.,','----.... ......,,,,,_、 `'く、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.!
. ゛―----........,,,,_、 .`゙''''ー-ミ;;ッ、,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.!
------ ....,,__ .`゙"'― ..,,、.゙/゙'''-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l゙
ー''''''''''''―-..,,_ ゙゙゙̄"'''ー ,,, ./゛ `''ー ..,,,_;:;: /
`゙'''‐ ~
【やる夫で学ぶ柳生一族(その67補足):「沢庵和尚についての補足」】 完
-
どもどもです。
今回もお付き合いありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
年明け早々遅延は避けたいなーと思いつつも、
三連休でようやくだったので、こりゃ今年も先が思いやられる趣ですが、
皆様如何お過ごしでしょうか。
さて、ようやく沢庵和尚の補足編も終わりでアリマス。
1回で終わらせるはずが、随分と掛かってしまい我ながら参りましたが、
どうにか最後まではいけたので、やれやれと。
和尚については、補足編内部でも語った通り、
世間での評価とは別に、晩年の境地については。
結構しんどい思いをしてたのではなかろうかなー、という印象が
史料を読んでると出てきたので、その辺、補足してみようというのが
この補足篇の発端でしたが、いざ書いてみると、
想像以上に暗い感じになってしまい、うーんこのと。
この辺、また別に調べてみても面白いかもなーと思うところ。
さて、次は予告してた通り、武蔵についての話をしようかと。
まあ、武蔵本人について全部書くとキリがないので、
・ >>1から見た武蔵像
・ 宗矩と武蔵の比較論
このあたりに絞って書こうかなと。
できれば1回で終わらせたいものですが、さてどうなるやらと。
それでは、今年もよろしゅうです。
ではではー。
-
乙でした
多面的に和尚を纏めてあったと思います
まあ、大徳寺の先輩から詐欺師出した時点で仏法の独立とか言ってもなあとは思いますが、
そこらは大学の自治と似たような物なのかな、とも思います
-
乙乙
2ch不安定だからこっちに貼り付いてた
-
そういや漬物の話はどうなってるんだ
-
乙です!
-
>>715
沢庵漬けの話って結構前にやってなかったっけ?
-
乙乙
やっぱりなんというか奥深い人であった
-
どもどもです。
ようやく沢庵和尚の話が一段落したのでほっとしつつ、
明日もまた21時目標にしつつ、投下できたらいいなあと。
内容としては、予告通り、再びの補足編で、今度は武蔵の話になります。
よろしければー。
>>715
漬物の話というと、沢庵漬けのことでしょうか?
それについては、その62で書いてますので、そちらをば。
【その62:紫衣問題解決】
ttp://yromtm1059.blog117.fc2.com/blog-entry-418.html
まあ、あまりはっきりしない逸話なので、軽く触れた程度の話ですけど。
-
どもどもです。
なんかもう毎度の有様ですが、上手くいかず、今日も断念であり、すいませぬ。
代わりというには微妙ですが、こないだまとめたのがあるので、そちらをば。
【刀剣知名度ランキング(刀剣乱舞対応版)】
http://togetter.com/li/770909
こないだ始まった刀剣乱舞に釣られて、
名の知られた刀剣128本の検索ヒット数を調べて、いつものようにランキングしてみました。
ついでに画像検索結果も貼ってあるので、何ヶ月かした後、
またやってみて比較するのも面白いかもで砂。
あと、今年の剣豪知名度ランキング(第5回)もボチボチやる予定なので、
その時はその時でまた告知しまする。
それではではー。
-
俺の師匠の愛刀はまだ例のゲームには侵食されてないようでよかった…… といいつつ、ラノベの人物らしき絵が画像検索だとちらほらとw
いや、剣を習ってたわけじゃないんだけどなw
-
某軍人 俺 生きてるのに ニホンのアニメで女体化している・・・お前ら 遺言でアニメに出さないで下さいと書くのを忘れるなよ
-
本人「Wow! グラマラスじゃないか!」って割と喜んでたそうだがw
-
確かお孫さんで「祖父で四回抜いた」とか言った剛の者もいたはずw
-
どもどもです。
刀剣乱舞は、こりゃ春には画像検索結果がえらいことになってそうであるなあと思いつつ、
今年の大刀剣市がどうなることやらと、ひやひやしてたり。
まあ、それはともかく、先週失敗したので、
明日はどうにか投下したいなあと思うところ。
時間はいつも通り21時開始を目指したいところですが、さてはて。
それではではー。
-
待ってまーす
-
どもどもです。
今、まだ書いてますが、投下自体は何とかなりそうなので、
何時くらいになるかはわかりませんが、できたら投下する感じで。
すみませぬ。
-
うーす
ニコ動でも見ながら待つ
-
随分遅くなりましたが、どうにか一区切り付いたので、今から投下しまする。
タイトルは「やる夫で学ぶ柳生一族(その67・補足編2)」で。
では始めます。
-
,..-'''" ̄"''-,,;,,
./ ;;;;彡
.;{;,,; (,.;;;- ;;;;;;;:彡
ミ;;}ァ'〉 ィ=- ,イ;;;ミ
ミ;;( ム ,;;;_ソ;;ミ ┌────────┐
____イ"'ゞ=- ,;/;;;ミヽ, .....│ ミヤモト・マサシ. │
i''"~:::::::::::::::;;ゝ,,,,,...-'' ヽ'i | 'ヽ-'''"" ̄ ̄""'''フ └────────┘
ト.::::::::::::::::::;;/i l |オ __../ / |;;;;;:::::::::::::::::::::::::::::/::i
| i::::::::ヽ:::::;;l .| l | '" / / |;;;;;;:::::::::::::::::::::::::/::::::}
|::|::::::::::i::::;;;| | l.ゝ ./ / ,|;;;;;;;::::::::::::::::::::::/t.,:::ノ ┌────────────────────┐
.!:|:::::::::!::::;;;| l.ヽ / / /.|;;;;;;;::::::::::::::::::::/ \ .....│彼こそは、平安時代の日本の哲学剣士であり、 │
.|::\:::|:::::;;;| ゝ ヽ/ / .l;;;;;;;:::::::::::::::/ 'i .│様々なコトワザを残した人物である。 │
ゝ/ヽ|::::::;;;l '''/ ./ |;;;;;;:::::::::::::/ l ....│ │
/ |:::::::;;;| ./ ./ |;;;;;;:::::::::::/ノ .| │ 「調子に乗っている奴から負ける」 ..│
( |::::::::;;;|/ / l;;;;;;::::::::::l./ ./ │ 「弱ってきたらさらに棒で叩く」 .│
i .|::::::::::;;;l ./ /__;;:::::::::y ./ │ 「強い敵は落とし穴に落とせ」 .....│
| |:::::::::::;;;|/ __ /ゝ ヽ:/ /ヽ, .│ 「狂人の真似をしたら実際狂人」 ..│
.| |::::::::::::;;;| ノソ''-:::,_,/ / i ...│ 「急ぐと死ぬ」 │
| ヽ:::::::::::;;;| ~7''-..,,/ / | │ │
.|,.=.,ゝ=(("'≡D)==彡:::/ ./ .| .│など、彼が残したコトワザは、 .│
/ /::::::::;;;"ア ゞ l;;;;:::::::ゝ-....,,, / l .....│現代にも長く受け継がれている。 .│
( i::::::::::::;;;;/ |;;;;;:::/ ./___ソ、 / .└────────────────────┘
(⌒|::::::::;;;;;;;i. |;;;;/,..., ,」:::ゝ ゝ,,____,,.ノ
/''/{::::::;;;;;;;;|| .l//''":::::::::::'-..,,__,,..ノ、
/ / ゝ==-'"~ //=--..,,,,____:::::\\i\\ ┌───────────────────┐
./ / / .//| \\,\\ . │ 今回は、そんなマサシのことを紹介しよう。.. │
/ / l | // l |\\ ゝ,ゝ、 └───────────────────┘
./ / | | // .| l' \\ ''-'
/ / .| // ! l \\
./ / .| // | |. \\
/ / | ̄ | i | .i ゞ ゞ,
-
_,, iー' .、 '、. ..'-, .'、 . 、 ノ, /{ / /
_.. イ'".ヽ .ヽ. \ .ヽ. \.ヽ. ..,,, -''"゛ `、\ / {/ { ,. ゙/ /′
,,, ィ'''"`'、 ヽ ヽ .ヽ ヽ ヽ,,..ノ‐'゙´ `、 ー--‐ ー--‐ / / ,:′
._..y‐''゙ヽ. .ヽ .ヽ ヽ _> |-.. ┴´ ^. /.
._.. -'," ヽ ヽ ヽ .ヽ./ ~ _,,二ー 、 } ′
."`',. ヽ ヽ .ヽ .l./ ゛ ./´ `'-.\ ノ i{.
.ヽ .ヽ ヽ._,, ;;ゞ゛ ./ : 殺 ヽ ', / 乂____,,
、 .ヽ . ..lr‐'"´/ / .l, ~''" .! .! ---‐ '′ /
.ヽ._.. ゙‐'゙゛ ,./ /',''''''!ly、 ._.イ│ \ ザッケンナコラー!! /
: '''´ ./ ,- ,/'''''゙‐'t;;',', ,i,'!!~゙゙} .| . ハ /
././ / ゙‐''゙⌒.! ', } スッゾオラー!! ,:
,,i,'イ゛ /.l .、 _ | .l } {
/ .,/ノ ,' l゙ l.l .,,―`-ニ. ., .,.. l . / `、
.,/イ ,' l l ',l゙,.. - ,,..,!.il! l ./ \ / \
.\, .,''゙,! l l ,i'/ッ._,,,,,, .゙!/│ ! . /,. -‐  ̄} ___ { ̄ ̄ ̄
.`'-,,"." l'、 .!.l l .,!.l ゙l .l',゙ll゙ i____,,,..-'"゛.ヽ..,,,_ | ___ / \、
.`'ー、,、 / ゙' l .゙" .',.| !/.|"!/ `'' / ,. -=ニ \ / \
`゙'ー、、 .! .\ .! !..,_, . 〃 / . /,/ \ /
`'-',,_ ___;;,,.. --┴''''''¨'ー、、
 ̄ ̄ `'-、,
`''ー ..,,,,,,,,.. ‐'
-
___ て ア、アイエエエエエエエッ!?
/ .u \ そ オショウ?オショウナンデ!?
/((○)) ((○))\
/⌒)⌒)⌒).:::: (__人__) l_j :::\ /⌒)⌒)⌒)
| / / / |r┬-| | (⌒)/ / / //
| :::::::::::(⌒) U .| | | / ゝ :::::::::::/
| ノ | | | \ / ) /
ヽ / └ー.┘ ヽ / /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ○)(○) なんでアンタが出てくるんだよ!?
. | U (__人__) っていうかミヤモト・マサシってどういうことだよ!?
| |r┬-| あとやる夫!お前もノリを合わせるんじゃねえ!!
. | ι `ー'´}
. ヽ u } おいもうツッコミが追いつかねえだろ!!
ヽ ノ
/ く \
| \ \
| |ヽ、二⌒)、
-
_,,、....... --........,,,
,/゙,.. -―ー ,, `'''-、、
/ / 、,,, .`'-、 \
/ / .ll殺i_、 .ヽ. ..ヽ
/ . / " ,i"< .ヽ
/ . i',, ,, ;;ソー'''ッ', \
,' l;:;:,゙;;iii- 、 ,i.l二rミ';;./ i', `ー 騒ぐな馬鹿者!!
. ! ,!;|,'..,;{゙l_,/./ .`''T゙゙´ " .|
! .!゙"  ̄゛ ′ ,...! そもそも今回の俺は沢庵和尚ではない!!
.,! .! _,,,,,. /´;:;:| 地獄からの使者!ヨハネ・クラウザー?世だっ!!
.l゙ .l'ー、 .、 ゙‐'ニ>-, .l .|;:;:;:;:|
.l .|;:;:', !', /ニ',;;二ニコ;.l.,l} .!;:;:;:;:}
.! !;:;:.! .',゙ゞ゙'";:;:;:;:;:;:`゙;:;:;〈. :!;:;:;:;:l゙
| .l;:;: l l';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_,,;:l''、.l !;:;:;:;|
| .!;:;:;',.|;:l',;:./''''''"゛ `| l;! .|;:;:;:;|
.| .l;:;: ! l}',′ │ ゙l .l;:;:,i|
.! . l;:;:;l │ヽ ._,,,./ ゛ .l./ .!
| .',-.l ′ `゙´ / !
l l \、 . ,/ !
.,! .l `''ー----‐'´ l
.! ! ゙
! ."
. ./ ̄ ̄\
_ノ ヽ、 \ あ、よく見たら額の字が「殺」になってる…。
(○)(○ ) | .___
(__人__) u . |/ー ー .\
.ヽ`⌒´ ./(○ )) (○ ))\ そんな細かいところに気づいてんじゃねーお。
{ / (__人__)) \ っていうか、「地獄からの使者」って、それ東映版蜘蛛男じゃ…。
ヽ | )r┬リ u. . |
ン \ .`⌒´ / 「おめーも人のこと言えねーだろJK」
i´ . ン \
| . / \
-
,. '"´三二二三`ヽ
/,ィ彡'"´ ̄  ̄ ``ヾミヽ
/ / 殺 ', ヽ
/ /::( ノ:::) ヽ
/ /く´‘`ヽ ',从,' ∠‘``', ヽ
/ ハ´ ̄`フ.:;;;;;:: ヽ ̄`フ', ヽ
/ / ,, ,, ', \ \、_ハノ
/ /::、 / .;;;;;;' ヽ /::ト、 ヽ\).',..、
./ //:::::::; l /⌒ー一⌒ヽl ;:::::ト、V . /
/ // 1:::::; V.:ViiiiiiiiiiiiiViiV ;:::::ト、V ヽ,) 今回はマサシ…もとい、武蔵の補足篇なのだろうが!!
/ // ./.l:::::;. /l /´  ̄ ̄`ヽ ;_ ___ノ) )
/ // / l::::; l | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ;::: ̄\ `ヽ その師匠である沢庵和尚を演った俺が
/ // / 1::; | |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ;::! i i _) . ここに出るのに何の不都合がある!!
. / // / / l:::;. |WWWWWW! /1 | | .l,)
/ // / / .|ヾ、 L二二二ニノ / | | | /-、
. / // / / |(__ノ\ /xxxxxヽ/ /! ! ! .,ソ/ヘ '"
. // / / ノ ', l}}}}}}}}}}}}} /| | | | / //7/ヘ /l ト、 |\
// / / ハ:::::::::.\ V´ ̄`Vく/ l | | | / V | l ヽ|
. // / / l >.-、/ ヽ ヽ | | ! !
// / / |/ / \) l/ | |
.// / / V 〉 '"´ ``ヽ). | !
/ / 〈 '"´ ``ヽ) l/
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) | いやだってそれ、吉川英治版じゃねえか!
. | u.(__人__) .| 吉川先生本人だって、あれは創作だって言ってるし…。
r、 | . `⌒´ .|
,.く\\r、 ヽ ノ 【「随筆・宮本武蔵」より】
\\\ヽ} ヽ / 『武蔵と沢庵との交渉は、まったく僕の創作で、文献には見当たらない』
rヽ ` ヽ / ァ'´ヽ
└'`{ . \.| / i
ヽ、._ ヽ、_,r' .|
`ヽ、 /' |
`'ー'´
____
/ノ ヽ、_\ r ⌒j
/( ○)}liil{(○)\ / / ああもう、いいから、さっさと帰ってくださいお!
/ (__人__) \/ / / ) こないだの本編で沢庵和尚の話は済んだんだから、
| |i|||||||i| / / / / 回想以外はもうアンタの出番ないお!!
\ |ェェェェ| / '` ´ /
r´ (⌒'ー―- イ′ ´廴
/ > 、 ヽ _  ̄ ̄ ̄)
/ -、 } (  ̄¨´
/ ヽ._ __ \
` --‐'´ `゙' 、_.)
-
_.. -ー'''''''―-..,,,
/゛ `゙''ー ..,,,,,,__、 \ \、_ハノ
,i'゙,,....,,,、 ,,,,.....,,..二T" ヽ\).',..、
i./ `''、 `'';;;;;;i、 /
,!l 殺> i'i|.゙l , `'- ヽ,) やかましい!!
l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、 ) ) . いいから、さっさと武蔵の話を始めろ!!
!l,,_ l / '´ ...} /`ヽ
.',_/ / ! /..l_) どうしてもやらないというなら、
l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ / .l,) この場で貴様らをSATSUGAIしてくれるわー!!
l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\ _,,,,.............../ ! /-、
リ',、 .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ / .,.‐', l .,ソ/ヘ '"
'!|.l. / .゛', ;;l" / ., / l, .', // //7/ヘ /l ト、 |\
_,.l,', ;;,'-'./ ゙./ _,,,/ ! ..l ,ゞ゛ ___,/ _____V__ | l ヽ|
,./ '" ゙''" / , ''"'''"| / .l l .l./
i'" ./ ./ / ., '~', .l ! / ;',
_..-'"゙゙フ'./ / ,/ ./', .', .l /;:;:;:;:;:|
/゛ イ゛,/./ ,/ ,,-', .l .', _ '";:;:;:;:;:;:;:;:;| .、 ,
, ',゛i!〃゛ / ., ''.l ', .l ,,ミ'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',゙''-、、 ゙',ゝ、,.l,
,..┴-iフ" ./ ._‐{ . ! ', ._ノ'l丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| `''' !./ -',、`′
/ / .// l ', .,ゞ゛ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: ! . ゙'- `'
/ . / .,,/゙l゙ .! .l ._ソ" .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !
/ ., ''l'7 ! ヽ,,,,','"| ',;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}
./ .,-{..,i,' | ′ .l_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;!
: '.l.,,i'゙.l |i./ .ヽ .',,'',、 .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
..ィ ! ', ',`'、. _,,,',. ゙リ..,,,_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
', l l..,ノ'´ `'-、 .,,...../ ゙'イ;:;:;:;:; ゙゙̄''゙‐' ..、;:;:;:;:;:;:;:;!
.l .!/ `'-,, \,ノ゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
.,','----.... ......,,,,,_、 `'く、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.!
. ゛―----........,,,,_、 .`゙''''ー-ミ;;ッ、,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.!
------ ....,,__ .`゙"'― ..,,、.゙/゙'''-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l゙
ー''''''''''''―-..,,_ ゙゙゙̄"'''ー ,,, ./゛ `''ー ..,,,_;:;: /
`゙'''‐ ~
__
/ \ …あー、ダメだこりゃ
/ ノ ヽ__ `
|(―) (― ) l /  ̄ ̄ \
l (_人_) u.| /ノ ヽ__ \ しょーがねーお。
l `⌒´ | /(―) (― ) \ SASTUGAIされるのもアレだし、
、 / |. (_人_) u | じゃあ、今回は3人でやろうかお?
> < \ `⌒ ´ ,/
/ l / ヽ
. / l ,/ / .! / l ,/ / i
(_) (__ ノ | (_) (__ ノ l
/ / __ノ / / ___ ,ノ
!、_!、____つ !、___!、_____つ
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | フン、わかればいいのだ。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | わかれば。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ `---´:;/ | |ヽ では、俺が聞き役に回るから、
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 貴様らが説明をしていくがいい。
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| (●)(●) | いきなり段取らないでくれよ、もう。
. | u.(__人__) .|
r、 | `⌒´ .| まあ、その形式の方がスムーズに行くから、
,.く\\r、 ヽ ノ それでいいけど。
\\\ヽ} ヽ /
rヽ ` ヽ / ァ'´ヽ
└'`{ . \.| / i
ヽ、._ ヽ、_,r' .|
`ヽ、 /' |
`'ー'´
____
/ \
/ ─ ─ \ (もしかして、単に暇だから来ただけなのかお?この人)
/ -=・=- -=・=- \
| (__人__) U |
\ `⌒´ /
-
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \
(●)(● ) | さて、それじゃあ今回、話をするのは、
(__人___) | 前にも書いた通り、
| u |
| .| ・ >>1から見た武蔵像
ヽ 、 ,イ ・ 宗矩と武蔵の兵法観比較
/ヽ,ー- ト、
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__ この二つになる。
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:....
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | ほう、沢庵の時と比べて、随分絞ってきたな。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 何故だ?
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
____
/ _ノ ヽ_\ メインキャラの一人だった和尚と、
. / .(ー) (ー)\ それなりに出番があったとはいえ、あくまでゲストの武蔵じゃ、
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ 本編中の言及量が全然違うお。
ヽ L |r┬-| | 元々、武蔵と柳生一族の関わりは、かなり曖昧だし。
ゝ ノ `ー‐' /
/ / \ 大体、和尚並に詳細な話をしようと思ったら、
/ / \ それこそ「五輪書」の解説から始める必要があるし、
. / / -一'''''''ー-、. .流石にそこまではやってらんねーお。
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( 一)(●) 今の>>1のペースでそんなものをやったら、
| u. (__人__) 冗談抜きでいつ終わるかわかったもんじゃないしな。
| `⌒´ノ
| ,.<))/´二⊃ とはいえ、何も書かないのも勿体ないから、
ヽ / / '‐、ニ⊃ ポイントになるところは紹介しよう、というところさ。
ヽ、l ´ヽ〉
,-/ __人〉
/ ./. / \
| / / i \
|" / | > )
ヽ/ とヽ /
| そ ノ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | なるほどな。
//イ / /::::、 '´ ` '|| | まあ、いずれ誰かが「やる夫で学ぶ宮本武蔵」を
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| やってくれるのを期待する、というところか。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 「そういうことだな。
/ / / ! \| | ./! ! | じゃあ、始めるぞ」
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
╋━━━━━━━━━━╋
┃ .>>1から見た武蔵像. ┃
╋━━━━━━━━━━╋
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ´ ⌒
. | ( ●) (●) まず、結論から先に言うと、
| (___人__)
.| ノ 「遅れて生まれてきた武芸者」
j |
..ノヽ、 , ノ _ というのが、>>1の武蔵観だ。
,. ー、一一´:::::::::::::≧ーー"7 i' Y
. / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、 i l _
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、 | lフ ト、
.::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i/ ,.イ 丿
:::::::::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ィ
:::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ィ
:::::)::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 `チ
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '. ほう。
| / ネ.π '. } l それは、江戸期の剣豪に対してよく言われる、
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ 「もし戦国時代に生まれていれば、
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \ もっと出世できただろうに」とかいう話か?
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ }
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ /
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
-
/ ̄ ̄\
/ ヽ_ .\
( ●)( ●) | いや、これは出世云々はまた違う話だ。
(__人__) | そもそも、武蔵に出世欲があったかどうか怪しいしな。
l` ⌒´ |
{ |
{ /
_. -: ´Λ _.へ` 、
r<: : : : /:|: :、  ̄r' \ :\_
/: : :l : : : : : :\`IエL>、 >ヘ::Λ
|: : : ト、: : : : : : : : : : : : : `ー/ : : V |
〈: : : :::: _ -¬-−―-、: : く:r 、: : : V }
/: : :_ン´: : : : \ ,___, ィ ): : :`く : : : ヘ|
-―─- 、
/ \ 創作でよくある
′ ⌒ ⌒ ,
i ( ―) (― ) i 「立身出世を目指すも、結局、挫折する武蔵」
| (__人__) |
、 ノ というのは、後世の産物だお。
⊂⌒ヽ > <_/⌒つ そういう風に武蔵を描いている逸話もあるけど、
\ 丶′ 7 本編で紹介した史料ベースの武蔵は、そういうキャラじゃなかった筈だお。
\ ノ ト、_/
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 確かに、本編での武蔵は、特に生活には困った様子はなかったし、
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 今ひとつ名声欲も感じられんかったしな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| まあ、それはいいとして、
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ 何故、「遅れて生まれてきた」となるのだ?
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
rヽ / ノ \ \ うん。
i ! | (●)(●) | つまりな、
r;r‐r/ | | (__人__) |
〈_L (`ヽ .} | `⌒´ ノ 「武蔵の志向は、
l` ( ``/ . | } .戦国時代の武芸者のそれに近い」
ヽ l . ヽ }
|,. l /⌒ ー‐ ィ ヽ ということなんだ。
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | ふむ、そりゃどういう意味だ?
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
_⌒ ⌒ \
(●)(● ) | 順を追って説明しよう。
(__人___) |
| | まず、武蔵が生きていた時代は、
| .| 戦国時代の末期から江戸時代の前期だ。
ヽ 、 ,イ 日本史で言えば、中世から近世への過渡期になる。
/ヽ,ー- ト、
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:....
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
____
/ \
/ ─ ─ \ 成人した頃には、
/ (●) (●) \ 既に戦国時代は終わりかけだった、というとこだお。
| (__人__) |
\ ` ⌒´ ,/ その意味では、武蔵は戦国時代の人物というより、
/⌒ヽ ー‐ ィヽ .江戸時代前期の人物とした方が妥当な訳だお。
/ ,⊆ニ_ヽ、 |
/ / r─--⊃、 |
| ヽ,.イ `二ニニうヽ. |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', まあ、宗矩より10歳以上年下だからな。
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | そりゃそうだろう。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
__
/ ヽ
/ __,.ノ 、 そして、近世に入り、世の中が落ち着いたことで、
| ( ●)( 兵法がその効果を発揮できる機会が減った。
| (__ノ`,
| ン′ その結果、兵法者は、
_ノ `、 7 芸(技術)を売りものにして歩く「芸道者」としてよりも、
,イ:. ヽ、<ヽ,、___ ノ .家に仕える「武士」としての生き方を選ぶものが増える。
,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
/..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、 .正確に言えば、仕えた家の中で、
. { :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_ その芸を活かして働くというものだから、
'| ::::::::::::::::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ .芸を捨てた訳ではなく、優先順位が入れ替わった、という話なんだが。
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ
ト、:::/ / ̄`` ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ
`,ヘ ´:::::::::::::::::. ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rー'、
}:,∨ :::::::::::::::::: ト、:::::::::::::::::::::::::>< ̄\::..\
. }:::∨::::::::::::::::、-''゙~ ̄ ̄ ̄ ̄:::::::::...\ ム:::::ヽ
l::::∨ :::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,.、/...:::::::::ヽ}
{::::::\,::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/" ̄:::::::::::::::::::::::::ノ
____
/ \ まあ、これは武芸者に限った話でも無いけど、
/ _ノ ヽへ\ 戦が続くことで「とにかく腕が立つものがほしい」という
/ ( ―) (―) ヽ 売り手市場の状態から、戦が無くなったことで、
.l .u ⌒(__人__)⌒ | 「今、家中にいる者で回していく」という買い手市場の状態になったから、
\ ` ⌒r'.二ヽ< 技術だけで仕官するのは難しくなった訳だお。
/ i^Y゙ r─ ゝ、
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、| 幾ら芸が凄くても、その芸が必要になる場がないんじゃ
{ { \`7ー┘! .大名家だって召抱えるのは躊躇するお。
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u. 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | 世間の景気が良く、仕事があるうちは、
//イ / /::::、 '´ ` '|| | 技術さえあれば転職もできるし、フリーでもやっていけるが、
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| .不況になれば、そう簡単にはいかん、ということだな。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 世知辛いのう。
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ ヽ、_
| ( ●) (●) だが、そういう風潮の中、
| (___人__) 武蔵は仕官せず、敢えて芸道者として生きた。
.| ` ⌒´ノ
| | .本編での武蔵の話を追えば分かるが、
.|、 _r十、 仕官しようと思えば、おそらくできたであろう状況で、
[::.ヽ、 __rく_} _i .} それを選ばなかった訳だ。
_, 、-一 :::"\ :::::::::} _i _l _i .}
/ .:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::} _l i_ i. {ヽ
/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} _jノ`~゛ t::.j
.i :::::::::::::::::、.::::::::::::::::::::::::::::} ゙i -‐.i.,-‐、
i ::::::::::::::::::: i:::::::::::::::::::::::::::i ヽ ⌒,; ‐'′
l ::::::::::::j:::::: i:::::::::::::::::::::_ノソ } /:::i
l ::::::::/::::::::::::::::::::::::::/.:::゙i::\__ rl ´::::: i
l :::::/::::::::::::ソ:::::::,/::::::::::::::::::::ー,´:::::::: l
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '. 待遇が気に入らなかった、ということではないのか?
| / ネ.π '. } l 同時代史料にはないが、後代の史料では、
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ 自身が望む待遇が得られなかったので辞退した、
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \ という話がいくつかあるだろうが。
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ }
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ /
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
-
___
(⊃ \ それは逆に言えば、
(⊃ _ノ ヽ、_ \
(⊃ (ー) (ー) u.\ 「一次史料に武蔵が仕官を望んだことを示す記録は無い」
/| (__人__) |
/ \____` ⌒´ / という話でもあるお。
( \ それに、その手の「仕官を辞退した」って話は、概ね身内の伝書が出典だから、
\_ | \ 「敢えて仕官を選ばなかった先師(武蔵)は凄い」という
ヽ| ト、 ヽ 賞賛のために書かれた話と考えた方が妥当だと思うお。
ヽ | > )
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 史料で言えば、『丹治峯均筆記』の
. | u. (__人__) 「将軍家からの召し出しを断った」話辺りが初出なんだろうが、
| ` ⌒´ノ 正直、シチュエーションに無理があるからなあ…。
. | } 書かれた時代も、享保十二年(1727)だから、武蔵の死後80年以上後だし。
. ヽ }
ヽ ノ それ以外だと、『尾張公徳川氏系譜』にある
i⌒\ ,__(‐- 徳川義直からの仕官の奨めを断った話があるが、
l \ 巛ー─;\ 理由として挙げられる「千石(あるいは三千石)を望んだので断られた」という話は
| `ヽ-‐ーく_) .系譜内には記述の無い後付の話だし…。
. | l
/\ ※【「丹治峯均筆記」より】
/. \ 『武州兵法、將軍家達上聞、可被召出御沙汰アリトイヘ共、
V. \ 柳生但馬守殿、御師範トシテ常住御前ニ侍席セラル。
i \、__ .武州、柳生ガ下ニ立ン事ヲ忌テ、
斗‐''"¨ ̄ ̄`ヽ{ //、_ 「若年ヨリ仕官ノ望ナク、髪剃ズ、爪トラズ、法外ノ有様也。
{、 ヽ /' ゝ> 御免ヲ奉蒙度」旨達テ御斷申上ラル。兵法御覧ノ御沙汰モ有之トイヘ共、
{ミヽ \ // // ヽ 「柳生ヲ御尊敬被成カラハ、我兵法備台覧トモ無益」トテ、
ヘ: ヽ \ ':/// ´_彡} 是モ御斷被申上。但州モ曽テ吹擧ナカリシトカヤ』
ヘ:. :', \ {,//, /'"´
ヘ :':, _ -=====ミヽ|./ /' ※【「尾張公徳川氏系譜」より】
ヘ :::':,、/´ _,. -====ミゞ斗} 『天下無双の達人宮本武蔵至る。卿これが武芸を見て曰く、
ヘ ::彡'/´ `¨¨¨´ 凡骨に非ず、妙紳に入る。これに仕を勧む。肯かず。客遇し、留る三年』
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', だとすれば、
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 武蔵は何のために仕官を断ったのだ?
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\
_ノ ヽ、_ \
(●)(● ) | まあ、理由について書いた史料も無いから、
(__人___) | あくまで推測に過ぎないが、敢えて言えば、
| |
| .| 「兵法に集中したかったから」
ヽ 、 ,イ
/ヽ,ー- ト じゃないかな、と思うんだ。
_, 、 -─ '".:.ヽ:.:.\__ /ノ ト、__ 例えば、五輪書の冒頭の記述が挙げられると思う。
__ ,. ー 、...:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:....
\ r 、 _ \:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::'ー、
} }/ ) V::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::\
/:ゝ/ ./ __ V ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:.:.:.\
}:::::ゝ ソ ,Y i::::::/::::::\:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:.:.:.:. \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【『五輪書』-地の巻】
| |五| . |_| 『我、三十を越えて、跡をおもひみるに、
| |輪| . |_| 兵法至極してかつにはあらず。
| |書| .|_| おのづから道の器用有りて、天理をはなれざる故か。
|.  ̄ .|_| 又は他流の兵法不足なる所にや。
|. .|_| 其後なほもふかき道理を得んと、
|. .|_| 朝鍛夕錬して見れば、おのづから兵法の道にあふ事、
|________.|_| 我五十歳の比也』
└───────
-
____
/ \ 武蔵30歳の頃と言えば、慶長十八年(1613)だお。
/ ─ ─\ そこから50歳になるまでの20年が過ぎれば、寛永十年(1633)だお。
/ (●) (●) \
| (__人__) | ________ その頃の武蔵は、故郷の播磨を拠点にし、
\ ` ⌒´ ,/ // ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ / .そこに転封してきた本多家や小笠原家に近づくものの、
___/ \ // / 仕官はせず、客分扱いで過ごしているお。
| | / , ヽ // /
| | / ./ // /
| | | ⌒ ーnnn . _____//_,_,______,_,_/
 ̄ \__、("二) .`――――-((」II.IIニニニニニニエ!
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) そして、本多家にせよ、小笠原家にせよ、それぞれ武蔵の養子を召抱えてるし、
.| (__人__)_ 小笠原家に入った伊織に至っては、20歳で家老にまでなってる訳だから、
| `⌒´. ̄ その養父である武蔵の評価が低かったとは思えないだろ。
.| ノ 常識的に考えて。
ヽ .,ノ )/´二⊃
> /"/ '‐、ニ⊃ キンッ 本編でも書いたけど、望めば相応の格で仕官できただろうな。
./⌒ヽ l ´ヽ〉〆ヽ
( ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ
.\ / / { /
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', ふむ…。
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | では、その間、武蔵はどうやって生活していたのだ?
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | .兵法が役立つ機会は減った、とさっき言っていたではないか。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ .___ ああ。
| ( ー)(●) ( ⊂⊃ ) 確かに、兵法が直接的に役立つ機会は減ったが、
. | (__人__) ホワッ ̄ ̄ .同時に、武士はあくまで武士だから、
| ( ( ノ 戦があろうがなかろうが、常に戦えるように備えておく必要はある。
.l^l^ln ⌒ }
. ヽ L } ∩ ノ)━・ だから、「兵法を教授する方の需要」はそれなりにあったのさ。
ゝ ノ ノ / _ノ´ 実際、家中の兵法指南役が目立ち始めるのも江戸初期からだしな。
/ / \/ |
/ / ' |
. / / |ヽ__ノ
ヽ__ノ
____
/_ノ ヽ\ この時点で、武蔵は吉岡一門との戦いなどを経て、
/ ( ●) (●)、 兵法者としての名声を確立していたお。
/::::::::⌒(__人__)⌒\ だから、自身の兵法修行の傍ら、
| |r┬-| | .希望者に兵法教授をすることで、
\ `ー'´ / 日々の糧を得ていたのだろう、ということだお。
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ / ついでに言えば、仕官した養子たちも
\_,,ノ |、_ノ 養父である武蔵を援助しただろうし。
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | 不況でも技術が確かなら、
//イ / /::::、 '´ ` '|| | 食っていける程度の仕事は取れる、ということか。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒
| (● )(●) ノ' そして、最初の話に戻るが、この武蔵の行動は、
| (___人__) rニi ,i' 武蔵より前の世代となる上泉伊勢守や塚原卜伝のそれと重なるんだ。
| ` ⌒´ノ .| レ..;::.
| |_,-‐、l// 「武士ではあるものの、芸道者としてのスタンスを重視した」
人、 厂丶,丶, v´j
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ という生き方だな。
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 二人とも、それぞれ主持ちの武将ではあったが、
/:::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ;;:::::: ) 廻国での兵法教授の旅を繰り返すなど、
丿::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;:::| その軸足は芸道者の側にあった。
i ;;::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;〈 ;;;;:::::::::::... ',;;i
/ ;;;;:::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
-―─- 、
/ \
′ ─ ─ , 伊勢守だと、主家の長野家が滅んだ後、武田信玄に仕官を望まれたけど、
i ( ●) (● ) i 兵法教授の旅に出たいから、ということで断った逸話があるお。
| (__人__) |
、 ノ まあ、これは『甲陽軍鑑』が出展だから若干微妙だけど、
⊂⌒ヽ > <_/⌒つ 実際、再仕官した様子もないし、家督を譲ってからは、
\ 丶′ 7 兵法修行と教授に専念していたのは間違いないと思うお。
\ ノ ト、_/
. ′ |
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '.
| / ネ.π '. } l 特定の家には仕えず、
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ 兵法を第一にして、それで糧を得る、という訳か。
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 その意味では、確かに武蔵の生き方は
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ 武士というより芸道者の…その生き方が許された
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ } .戦国期の兵法者のものに近いか。
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ /
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´ 「そういうことだな」
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
-
/ ̄ ̄ \ (
/ ⌒´ ⌒ ノノ 「諸国を廻って腕を磨き、名のある武芸者と立ち合って勝利し、
| ( ●)(●)(,ヽ、 (( 名を上げて、大名や武将の知己を得て、
.| (___人__) r__i____ ノ 自流派を立ち上げ、門弟に教授する」
| √丶丶丶┬─'"'
| | ) j この武蔵の生き方は、戦国期の兵法者の典型のひとつだ。
.人、 ヽ´ ,/
_,/::ヽ、.,ヽ., __ ( r 江戸時代の兵法者だと、
_, 、 -一 ''"::::::::::::\::::::::ー-- r / ⌒ヽニ- 、. .これに「その名声を以って仕官する」が入るわけだが、
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/....., ̄ v,;,ヽ 武蔵にはそれが無かった。
丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;( ;;;;:::::::::::... ',;;;;| .というか、元々望んでいないというべきか。
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ :;;;;;;:::::::::.. ',;;i
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
_,,、....... --........,,,
,/゙,.. -―ー ,, `'''-、、
/ / 、,,, .`'-、 \
/ / .ll殺i_、 .ヽ. ..ヽ
/ . / " ,i"< .ヽ
/ . i',, ,, ;;ソー'''ッ', \
,' l;:;:,゙;;iii- 、 ,i.l二rミ';;./ i', `ー ふむ…ちなみに、仮に武蔵が
. ! ,!;|,'..,;{゙l_,/./ .`''T゙゙´ " .| 戦国時代に生まれていたとすれば、
! .!゙"  ̄゛ ′ ,...! 今以上に成功できたと思うか?
.,! .! _,,,,,. /´;:;:|
.l゙ .l'ー、 .、 ゙‐'ニ>-, .l .|;:;:;:;:|
.l .|;:;:', !', /ニ',;;二ニコ;.l.,l} .!;:;:;:;:}
.! !;:;:.! .',゙ゞ゙'";:;:;:;:;:;:`゙;:;:;〈. :!;:;:;:;:l゙
| .l;:;: l l';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_,,;:l''、.l !;:;:;:;|
| .!;:;:;',.|;:l',;:./''''''"゛ `| l;! .|;:;:;:;|
.| .l;:;: ! l}',′ │ ゙l .l;:;:,i|
.! . l;:;:;l │ヽ ._,,,./ ゛ .l./ .!
| .',-.l ′ `゙´ / !
l l \、 . ,/ !
.,! .l `''ー----‐'´ l
.! ! ゙
! ."
.|
_____
/ ― \ それはなんとも言えないと思うお。
/ノ ( ●) \ 芸道者としての成功は、どんな相手に打ち勝ったか、というのが影響するし、
. | ( ●) ⌒) | .やはりその辺りは時代や状況次第としか言えないんじゃないかお?
. | (__ノ ̄ /
. | / .まあ、本人の志向を考えると、
\_ ⊂ヽ∩\ 武士/武将として立身出世する、というのはなさそうな気もするけど。
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ ((
-、 .| (● ) (● ) | ノ' そうだな。
ヤ ', | (___人___) .| ,i' ただ、後世の評判や名声はともかく、
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::. 武蔵本人のあり方は、然程変わらないんじゃないかと思うぜ。
', j / / .| ____/./
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 師匠の存在も希薄だから、新免家に養子に入らなかったとしても、
l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` { 武蔵の兵法に大きな違いが出るかどうか微妙だし。
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
_..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
/ `'‐、
/ `'、
/ ゙l,
/ !
| . ___、 |
l ., ‐'"゛ '''''''、 |
l . / l |
,' / . 、 ! !
/ / 、 l.殺´! .,! |
/ ./ l .f゙'‐.,i', ,! | つまり、(世間的に)成功しようが失敗しようが、
/ .l ゙l \ ! l゙ 武蔵は武蔵、ということか?
./ !.ゞ \ .ヽ l゙ !
./ | .`ッ', .,r‐/ ! 「そういうことだな」
./ .! ゛ ./;:;:;l |
./ .r .! ゙‐''''} l 「そういうことだお」
.-'´ . l l、 .、 i ..,,、 | l
/ .!', .!、 `―" ! 、 !
! }.l l-二― ......,,.. | | .|
.| .l l .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,! ! |
.l │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./ ! |
! !.〈,,, ゙'-..____,,..-'"l゙ /
! /.、 `''-,,. ,..l゙ ./
', .,' `'、 `''" ̄ ̄ .,! /
! .i', ゙'y. .._.. ! /
| ./ ヽ ゙',゙'---ッ'" ! /
| / ..l. ..l, / .l ./ ─────━━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
l ,i', l .li′ .! ./ ...... ┃
// \ .! ! l ./ .. ┃ そういうことになった。
〃 ヽ. ! ! :! . / .. ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━─────
-
,. '"´三二二三`ヽ
/,ィ彡'"´ ̄  ̄ ``ヾミヽ
/ / 夢 ', ヽ
/ /::( ノ:::) ヽ
/ /く´‘`ヽ ',从,' ∠‘``', ヽ
/ ハ´ ̄`フ.:;;;;;:: ヽ ̄`フ', ヽ
/ / ,, ,, ', \ \、_ハノ
/ /::、 / .;;;;;;' ヽ /::ト、 ヽ\).',..、
./ //:::::::; l /⌒ー一⌒ヽl ;:::::ト、V . /
/ // 1:::::; V.:ViiiiiiiiiiiiiViiV ;:::::ト、V ヽ,) 今宵はここまでだー!!
/ // ./.l:::::;. /l /´  ̄ ̄`ヽ ;_ ___ノ) ) .
/ // / l::::; l | .:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:| ;::: ̄\ `ヽ . .次の降臨を
/ // / 1::; | |.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.| ;::! i i _) . 楽しみに待つが良いわー!!
. / // / / l:::;. |WWWWWW! /1 | | .l,)
/ // / / .|ヾ、 L二二二ニノ / | | | /-、
. / // / / |(__ノ\ /xxxxxヽ/ /! ! ! .,ソ/ヘ '"
. // / / ノ ', l}}}}}}}}}}}}} /| | | | / //7/ヘ /l ト、 |\
// / / ハ:::::::::.\ V´ ̄`Vく/ l | | | / V | l ヽ|
. // / / l >.-、/ ヽ ヽ | | ! !
// / / |/ / \) l/ | |
.// / / V 〉 '"´ ``ヽ). | ! __ __¨ ./
/ / 〈 '"´ ``ヽ) l/ . ._) _) \
-
投下乙です。
もちっと進めて欲しかったですが、続きは次の楽しみということで。
あと、「やる夫で学ぶ宮本武蔵」は、その、今の仕事が一段落したら、その…(遠い目
-
てなとこで今回はここまで。
お付き合いありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
今回の話については、本編で書いてた話と被るので、
あまり目新しいところはないかもしれませんが、
次の「宗矩と武蔵の兵法観の比較」の前置き、というものなので、
その辺を込みで見て頂ければ幸いでアリマス。
随分遅くなってしまって恐縮ではありますが、
とにかく投下できてやれやれと。
また次も来週に投下できればいいのですが。
それではではー。
-
乙でした
武蔵はよくあそこまで語り継がれる存在になったものだ
-
乙でした
まあ本人の反射神経とか筋力とか、
他とは頭ひとつ違ってたんだろうなあ。
イチローとか吉田ニキみたいに。
-
乙です
>>756
武蔵は芸術家としても一流なのが凄いと思ったり
多分、兵法がダメでも画業だけで食って行けたと思う
「兵法の利にまかせて諸芸・諸能の道となせば、万事において、我に師匠なし」
と言ってるんで本人は兵法の応用のつもりだったのかも知れないけど
政治家・官僚兼剣術家のむねりんとは別のベクトルで異才の剣術家だなあと
-
絵とか刀の鍔の意匠でも、
柳生兵庫と作品褒めあったりしてたのあったね。
やっぱりものすごく目がよくて、
立体を把握する能力も高かったんだと思うな
-
もう一世代前に生まれていれば、神泉伊勢守に挑んで、あっさり死んでいたりするかもしれないわけだし…
-
ほんとに武蔵ってオーガみたいなタイプだったんじゃないかと思う
超人的な身体能力と闘争本能で戦うタイプだから「技なんていらねえよ」とか言えちゃうという
-
「武蔵の剣は武蔵一人の物」ってのは後世の創作なんだろうけど、
何となく頷いちゃうようなものは確かにあるからなあw
乙っしたー。
-
自分ではなく養子を家老に仕立て上げているのは、出世に伴う責任は
なんとしても回避したい武蔵が考えたプランなのかなと思ったり。
家を興して大きくする方向は志向して無いですね。早々に諦めたのかも。
-
>>761
二天一流は、4大古流(影流、神道流、念流、中条流)のいずれの系譜も引かないですしね
-
乙です
武蔵はムネリンと違って家とか親の代からの門弟達とか
背負うものがあまり無いからなぁ
そのぶん自由闊達でいられる強みがあるのかもね
-
まあ、宗矩のほうが武芸者の中で確実に異端だしな。
-
あそこまで実務能力がある武芸者・元武芸者のほうが珍しいんだよな
-
実務能力があったらそっちで出世しちゃうからなw
-
でも、この後の時代は武芸者を相談役としても重視しなくなるからなあ
むねりんポジは猿楽師(間部詮房)や学者(荻生徂徠、新井白石)にシフトしていく
文治政治のニーズからして当然だろうけど
そういう意味では宗矩は時代の産物だよね
-
御伽衆も段々消滅していくんだっけか
宗矩の出世は時流にうまく乗れたのもあるだろうな
-
どもどもです。
さて、今回なのですが、来週親がこっちに来る都合上、
今日明日で部屋をあれこれ片付けねばならず、投下がちと難しそうです。
すいませぬ。
代わりと言っては何ですが、
今年の分の剣豪知名度ランキングを作ったので、
後でまとめたらこちらでも告知するですよ。
よろしゅうですー。
ではでは。
-
了解
>>768
初期までは乱世のなごりがあったから、武芸者の旅で得た武の知識に価値があった
だんだん泰平の世になってきたから学者や思想家の知識が必要とされてきた、ということかね
むねりんの場合、泰平の世で使える人材を上が欲しがっていて、
なおかつ学問や思想が未発達だったころの狭間の時代を生きていたから、というのもあったんだろうな
-
了解です
>>771
どちらかというと、剣術が占めていた地位を学問や能に奪われて(護身の必要性も薄れて)
相談役ポジもそっち出身の人材にシフトしたんじゃないかと
文治政治にはそれに相応しい思想が必要で、それが剣術ベースの活人剣・治国平天下より
さらに一歩平時寄りになったと言えるのかも
実際儒学の思想を取り込んだ剣術より、本物の儒学の方がそっちの本家な訳で
例えば、丁度むねりんの門弟があちこちの大名に召し抱えられたように、
儒学者があちこちの大名に召し抱えられる例が増えてくる
(熊沢蕃山・岡山藩、雨森芳洲・対馬藩、室鳩巣・幕府、祇園南海・紀州藩……etc)
-
で、段々学問が発展してくると儒学から蘭学や国学といった学問に推移してくる、と
-
そうそう、儒学から経世家(海保青陵・村田清風の師匠筋、山片蟠桃・商人ながら仙台藩の立て直し)、
という経済思想家、実務家が出て、幕末は蘭学家・国学家に移り変わっていく
その時その時でやはり必要とされる相談役・ブレーンの傾向は違うんだろうなあと
-
明治維新になると、慶応の卒業生とかがブレーンとして引っ張りだこになるんだよな
当時はほんとに英語から経済論まで叩き込むエリート養成校だったわけだし
-
どもどもです。
些か遅くなってしまいましたが、
今年の分の剣豪知名度ランキングが出来ましたので、公開をば。
【2015年版(第5回)剣豪知名度ランキング 】
http://togetter.com/li/777371
今回は画像検索結果も付けたver.で、
あと、年代別やら流派別やらに加え、細かいネタをいくつか足してみたので、
お楽しみ頂ければ幸いでアリマス。
今週はこれに時間食ったのと、これから部屋の片付けという有様ですが、
来週は予定通り、「宗矩と武蔵の兵法観の比較」を書きたいなと。
よろしゅうですー。
-
そういや十兵衛が女な作品ってどこまでさかのぼるんだろうな
十兵衛ちゃんくらいかと思ってたが、ハレンチ学園にも柳生十兵衛ってのがいたようだ(当然女)
-
あれはあだ名だけどな>ハレンチ学園
案外江戸時代の講談か何かに女体化ネタがあっても驚かないw
-
学問に関しても、ちょっとずつ時代の流れに従って推移していっているのが面白いね
新井白石みたいな西洋学問を冷静に見れる儒者が出て、次に青木昆陽みたいに蘭学をかじる儒者が出て、
杉田玄白みたいにオランダ語を翻訳しようとする医者が出る、と
-
そのへんは暴れん坊将軍の功績だよな。
青木さんが蘭学に手を染めたのもあの人の命令だし、
医学とか種類限定とはいえ、洋書の輸入を許可したのもあの人だ。
割と保守的なイメージあるんだけど、そう言う面もあるんだよな、暴れん坊将軍。
-
あのころから蘭学とかやってるわりに、なんで幕末ごろあんなでっかい差がついちゃったのか
いや、このスレの話題じゃないのはわかってるスマン
-
>>781
清とかロマノフ朝ロシアもそうだったけど、中央政権というのは変化を嫌がるから
特に西洋の近代化は市民の台頭とセットだから、封建体制の江戸幕府や清・ロシアには受け入れがたいねん
-
まあ、情報得ただけで自分とこで蒸気船作ったり(佐賀)、
アームストロング砲作ったりと天辺の知識レベルはあったんだよ
ただ、それを大量生産するのは必要性と社会体制が整ってないとダメ
社会全体のレベルが高くないと
-
たしか外国公使の報告で
「火器と蒸気機関以外はヨーロッパと遜色ない」
みたいなこと言ったとか
逆に言えば、その二つの遅れが当時は致命的だったということだが
-
>>784
外国公使は当時の日本の政治システムの奇々怪々さを知らなかったから、そこら辺は割り引いてみないといけないと思う
-
>>784
蒸気機関で動かす各種産業機械もないわけだし、機械文明を基準に考えれば致命的な差だよね
せいぜい「野蛮人ではない」って程度の話なような気もする
-
というか産業革命が起こった時点でどう頑張ろうが周回遅れは確定だしなぁ
-
それを思えばよくここまで追いついたよな
-
>>781
オランダ文化が常時入ってくる肥前はそのおかげで幕末最強クラスの藩だったぞ
-
>>789
単に入ってくるだけなら唐津とか他にもある
-
どもどもです。
先週は剣豪知名度ランキングの方をやってましたが、
今週はあらためてこっちに手を付けようかと。
とりあえず、目標を明日の21時にしつつ、頑張る所存であります。
よろしければー。
-
がんばがばー
-
どもどもです。
結局今日は駄目模様であり、申し訳なし。
今週は水曜が祝日なので、更新できたらいいなあとは思うものの、
今の有様だと微妙なので、なんともはや。
もしできる見込みがあったら告知するという塩梅で。
すみませぬー。
-
どもどもです。
結局水曜もどうにもならんかったので、目標はいつも通り明日の日曜21時ということに。
どうも心許ない塩梅ですが、なんとかしたいなあと思うところ。
また投下できる見込みなりが立ったら告知しまする。
ではではー。
-
うす
-
お待たせしました。
では、今から始めます。
-
どうにか投下できたが、
/ ̄ ̄\ すまん、今回も完結しないんだ。
/ _ノ ヽ、_ \ . ____
.. | ( -)(- ) | / \ なんとか次には完結させたいお…。
. . | (__人__) │ / _ノ ヽ、..\
| `⌒´ | / (-) (-) \ とりあえず、今回は、
. | | | (__人__) u .| 前回の補足と、次回への繋ぎ、といったところですお。
. ヽ / \ .`⌒´ / じゃあ、始めますお。
ヽ / > く.
/ く.[ニニニニニニニニニニニニ`.ニニ´ニニ]ゝ ヽ
| ヽ、二/ 〈〉 〈〉 ヽ__,ノ l
. | / 〈〉 ヽ |
| / 〈〉 〈〉 〈〉 ヽ /
ヽ、_ヾ-‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐‐--‐ゞ___/
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ .⌒. \
| .(●)(●) | さて、話を再開するが、
. | (__人__) | これからの話をする前に、改めて武蔵の生涯をまとめてみると、
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;) .・ 兵法者として功名を上げ、高い評価を得ていた。
. ヽ } /;;/ ・ 仕官することはなかったが、複数の大名家から客分として相応に遇された。
ヽ ノ .l;;,´ .・ 兵法以外にも、画や書、工芸などに手を出し、そちらでも評価を得ている。
. / ∩ ノ)━・' ・ 妻を持たず、実子もいないが、養子を複数取り、特に伊織は若くして家老にまで出世した。
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ | こんなところになるな。
\ /___/
____
/ \ で、遺言とも言える『独行道』の記述である、
/ _ノ ヽ、_.\
/ (●) (●) \ 「我事において後悔をせず」
| (__人__) | .「善悪に他をねたむ心なし」
/ ∩ノ ⊃ / 「自他共にうらみかこつ心なし」
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| | 辺りを、武蔵の本音として踏まえるとすれば、
\ /___ / 同時代史料から読み取れる「宮本武蔵」という人物は…
-
f⌒ミ`ニキ'"三三ミミヽヽ`il))メナ彡ナシノノフイく,ノ三ノr=ヽ' .γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
ー=、 ゙ゝ'彡≫三≡ミ゙i`i l l lノ,r'リノッシノ彡ノノシ/F三ノニト | 『自分が好きなことを、 .|
´~ゝ-ゝ<リ彡ノノ三ミミミfi l lゝi ノノノノニ彡三彡彡jノヨ'ノ巛ミ>'"二ヽ| .好きなようにやれる環境が若いうちにできたので、 |
^`ー三くj〃彡三≡ヾ.ゝt t )l ン"´ ゙ヽ、iミ彡ノシ人ミ三彡ニ=- | そのまま死ぬまで好きなように過ごした芸道の人』 .|
、,:r''7ヘ又彡シ,r/'"~`゙゙゙`'二ニ:;、_,,.,., `゙゙ヾミミ三彡ブ>∈ニ乂_____________________ノ
,'ニキ王彡彡彡;,fノ -=,=< l /,∠(_,.,.,、 ゙iミ彡彡三ノ∠ニ_
、_,r=''7ヽ≡彡三彡'" '''"~,r''') `' ゙i f‐-:,ニィ=、ヽ トミミミ三≫にニニ、ヽ
=〃ーヽヽfrミ三f'f ,,r;;ニ彡'´ `ヽ, ノ ノ.'・'´ ̄ i,ミ三ヽフ<7、,.r--=、 γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
`ー=''"~`ヾミ》彡/'イ (:ノZニr・ゞ i f `"_,,二ニヽ┤ミミY人ノリへ,,.=、 | …というところになるかな。 |
,,ノ-r'彡〃:┤ ,,..,.  ̄",:' ,r j t`ヽ,、_,ニニヽ`t三彡彡メ>ノ、_`''" 乂____________ノ
,r''>=‐ナ〃フノノ:゙i'',r'',.=‐,'".ノ(_rゝ_ノ'" ,.,..,.、_´~) l ) )ミミ彡==、、
`~ f 、__,>ヲr7ノF彡 i ( r=''" _,.,.,.,.,.,.,.:ィ",.,-、=、,フ イ ノミヘ三≡,.,、 ゙ヽ
ゞ、_彡ナ7ノシノfr(ゝ、tヽ /,r‐―一 '"_,.,.,、ノノ^iフ′ l`ヾミr十=、``ヽ、)
'"~フフr/ノミヽソ l' ゙i〈〈(ヽノ'ー''"^´ ~`ヲ^i ,ノ :,ヾ''ー--==:、
ニf‐ナ''チ,r=ゝノ、 ゙い''^',,.ィrー'='ーメ/ ,' ,/′':, i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、
( ,r''サ;;;;;;;;;;;,ィ 、.゙ヽ、゙tヾ、ー=''"゙゙~´,ノ ,' / : ノ,ヾ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\,,_
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/人 ':, `ヽ、 `゙゙゙゙´~´ ̄ / ,:' / l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`゙゙`'''ヽ、,,
,,ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;t ''"゙t ゙;, `ヽ. / ,:' /` /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
,.:ィ'''"~´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;゙ゝノ\ ゙ヽ ヽ、 _ノ ,' '^,,.ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
,:r'´;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽノヽ、、、 ヾ `''''''"´/ ,' ,.:ィ ''";;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
. /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、 ヽ / r''"/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;
-
____
, ´ `ヽ、
/ ゙\
,/゙ ...::::l::l:::::.... u ゙i
,/' -==='::::::::::::::゙===- i …誰だお、こいつに「不遇の剣豪」とかいうイメージつけた奴。
i! γ ヽ U |
i i , ! J l どう見ても人生勝ち組です。
i! i`ー'`ー‐i´ ,i' 本当にありがとうございました。
゙i、  ̄二二 ̄ u ,/'
ヽ、 /゙
/ ヽ
/ \
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、. 。ゝ イ 。ノ| | まったくだ。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | なんでこんな好き勝手三昧に生きた奴が、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 「無念の人」みたいな扱いをされておるのだ。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) そう、そこだ。
| (__人__)
| `⌒´ノ
| }
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
_____ ━┓
/ ─ \ ┏┛
/ (● ) \\ ・
| (⌒ (● ) |
|  ̄弋_) | そこ?
\ /
> ⊂ヽ∩ <
/" (,_ \. |
.| / \__ノ
-
__
/ ヽ
/ \ 実際、同時代の史料を追う限り、
i \ 武蔵の生涯にこれといった不満は伺えない。
l 、__,ィ、 \ 無論、何の不満もなかった、という訳でもなかろうが、
V ヘ _ノ-、 \ 当時の武芸者全体で見れば、
`ゝ 、___ノ } >、_ __ .相当恵まれた人生を送ったと見て間違いないだろう。
'、丿_ ,. /} // : :/. : 二ニ{ `マ:ヽ ,.- 、
`ヽ 、 /;:' ,.イ / : : :i : : : :.{¨V \:Y / そんな武蔵が、何故、”後の時代になる程”、
__ `-ュ<ィ</ ,ィ'"´ : : : : ∧ \ ∧ { 「不遇の人」「無念の人」扱いされることが
( `、 _/イr;;;;;/У: :`ヽ、 : : : :i { ' 、 ヽ `ト、 ..多くなっていったか…わかるか?
r-、 ヽ ∧、 { : :ノ/〉-{/ : :/ : : : : : :i :〉、 ヽ ',ハ
} r-、 〉、 ヽ `、| :i,';;;;/ : : :/ : : : : : : : ィ:( \ _ヽノ }:ハ
} } {_/ { {、 }λ:|;;;;/ : : /. : : : : : : : : : : ヘ . : : : : r)、:
} } {r-、 ,'⌒ ', /:'〈:'|;/ :./ : : : : : : : : : : :V: :.`ヽ : : : : ._// : :
ヽ}、 .i { r-、 人ュ、 /:λ',:r :./ : : : : : : : : : : : : : :'、: : : : 〉二ニ/ : : :
⌒}、└i 'ト ィ ノノ:.`ヽ、 /. :} : :i : ,' : : : : : : : : : : : : : : : : ヽ : :{-´ : : : : : :
⌒--へ // : : : : \ r'´`.i : : Y : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : V : : : : : : :
',ヽニノ : : : : : : : :ヽ人ミヾ', : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :V : } : : : : : : :
___
/ \
/ ─ ─ \ ぶっちゃけ司馬遼先生のせいじゃないのかお?
/ (●) (●) \ あと、直木三十五の「武蔵非名人説」も影響ありそう。
.| (__人__) | __
\ ` ⌒/ ̄ ̄⌒/⌒ / 【真説宮本武蔵(司馬遼太郎)】
(⌒ / / / www.amazon.co.jp/dp/4062753715
i\ \ ,(つ / ⊂)
| \ y(つ__./,__⊆)
| ヽ_ノ |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | まあ、影響力があったのは確かだろうが、それだけでもなかろう、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | その話にしても、完全な創作という訳ではなく、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| あくまで元になった逸話があってのものだからな。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ 『丹治峯均筆記』や『兵法先師伝記』、
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | 『武公伝』、『二天記』、『昔咄』辺りを見ても、
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 武蔵が仕官に失敗する話は出てくるから、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、 論ずるとすればそこからだろう。
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) いずれにせよ、それらは全て、
. | (__人__) 「武蔵の死後に書かれたもの」という点では共通している。
| ` ⌒´ノ 即ち、ある程度俯瞰した位置から武蔵を眺めている訳で、
. | . } .武蔵が「不遇」「無念」だというのは、「全体から見て」そう判断した、と言える。
. ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) つまり、「何か」と比較して、武蔵は「不遇」だという訳だな。
_/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
, -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
/ `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
____
/ \
. / \
. / /) ノ ' ヽ、 \ …あー、そういうことかお。
| / .イ '=・= =・= u|
/,'才.ミ) (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | …ああ、わかった、わかった。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | そういうことだな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
.
γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| そう── .|
乂______ノ
,__ , _ 、 _, .._ 、
_....j|lllll_|lllll_|lョ__ _j|lll|l|llll|:ョ 、
__uョllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll亡uョllllllllllllllllllllllllョllllllllllllllllョョu_
_ullllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllF]lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllョ_
,,,ョlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll〔ョlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllL_
 ̄ ̄ ̄’ ̄ ̄lll ̄ ̄”'lテ ̄"匸 二 ̄""'lllll_ ̄lllll"、lllll" ̄_]ll厂゙゙"ア''llllllll'、
゙゙ゞlll_ _____llll′"lllllL_ `゙lllllj リlr 'lllll!_ョll厂 __llll广
__;]lllllテllll′ ゙゙''lllllョj ]lllllョェ__,三ニ_jllll广′
ulll广 ゙lllll ´~~~~`lllll~~゙lllllニ
~~ ゙゙
γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| 柳生の存在だよ |
乂__________ノ
.
-
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、 実際、武蔵が仕官を目指したが、できなかった、
| ( ●)( / .\` 、 . // / あるいは、仕官の話があったが、沙汰止みになった、という逸話には、
. | (__人/ \ヽ、,.// ../ 結構な割合で柳生家が絡んでくる。
| ` / ``77 /
. ヽ / / / / 『二天記』での逸話は、元本である『武公伝』に出てこないし、
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./ 『丹治峯均筆記』の記述は>>745で既に挙げてるから端折るけど、
/./ r-、 ヽ ∨,ノ / .『兵法先師伝記』と『昔咄』だとこんな具合になるな。
|. \ 〈\.\,〉 `, f
| . \ (ヽ ヽ `.. |
| .\ \ ノ
..【兵法先師伝記】
/\ 「先師ノ兵法、天下ニ顯レ、公儀ヘモ上達シ、家光公ノ御師範タルベシトテ、
/. \ 江戸へ被召シ事アリシニ、柳生但馬守宗矩申上ラレケルハ、
V. \ ...... 武藏ト申者ハ、兵法ノ上手ニ候得共、異相ナル者ニテ、
i \、__ 将軍家ノ御師範タルベキ者ニアラズトノ事ナリシカバ、其沙汰止ミケル。
斗‐''"¨ ̄ ̄`ヽ{ //、_ (略)
{、 ヽ /' ゝ> . 兵法ノ御沙汰モナカリシカバ、御暇申上テ又諸國ヲ廻ラレケル」
{ミヽ \ // // ヽ
ヘ: ヽ \ ':/// ´_彡} 【昔咄】
ヘ:. :', \ {,//, /'"´ .「宮本武蔵御かゝへなかりしかば、帰りは木曽路を経て何方へやらん行きしが、
ヘ :':, _ -=====ミヽ|./ /' ... 岐岨の御領分を見て、同伴の人へ語りしは、今度なごやへ入ると仕合をせず、
ヘ :::':,、/´ _,. -====ミゞ斗} ..... あたまから柳生が弟子になりて尾張殿に仕へん事を、
ヘ ::彡'/´ `¨¨¨´ . 無分別にて大兵法を遣ひ、損しぬ。生涯の残念也といひし由。
.. 胸中にいかなる工夫か有りし、いぶかしゝとなん」
-
でかすぎる成功者2人+αか。
-
____
/ _ノ ヽ_\ ご丁寧に江戸と尾張両方かお…。
. / .(ー) (ー)\ その他だと、『丹治峯均筆記』にある黒田家での召抱えの話くらいだけど、
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ あっちは言い出した本人(黒田忠之)が取り止めたから、
ヽ L |r┬-| | 実質、武蔵の仕官の邪魔をする役は柳生家ばかりになるのかお。
ゝ ノ `ー‐' /
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 仕方あるまい。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | いずれの文献にせよ、「武蔵は細川家で相応に遇された」ことは
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 記述しておるのだから、「それ以上の待遇」となれば、
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ .それこそ上は柳生家くらいしかあるまいよ。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
尾張柳生の場合は江戸柳生とは状況が違うんだけどねえ
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;) まあ、なんにせよ、
| (●)(●) /;;/ 「武蔵が不遇だ」という話は、
. | (__人__) l;;,´ 「柳生(=宗矩)と比較して」という言葉が前に付く訳だ。
| `∩_ノ)━・'
. | |_ノ つまり、「武蔵は天下一である」という前提があって、
/ヽ | |_ そこから発生する「じゃあ何故柳生より待遇が悪いのか」という問いが
| \_/ ノ ヽ .「武蔵不遇説」の発端というところになるな。
|\ /_| |
| \ / _/
____
/ノ ヽ、_\
(●) (● ) \ 無茶苦茶言ってるお。
/⌒(__人__)⌒ \ .そもそも大名の宗矩と牢人の武蔵を比較するのが変だお。
| ) ) u. | 企業の年商と芸術家の年収を比較するのがおかしいのと一緒だお。
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ ヽ /
\_,,ノ| 、_ノ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | その比較が通るなら、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | そもそも宗矩に限らず、誰と比べても構わん訳だからな。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 宗矩どころか、家光と比べて「不遇だ」と言い張るのもアリだ。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ 馬鹿馬鹿しいにも程がある。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ そうだな。
| ( ●)(●) 本来、武蔵の待遇を評するに、
| (__人__) 宗矩を引き合いに出すのは筋が通らない。
| `⌒´ノ .そもそもの身分が違う訳だからな。
| }
ヽ } ( しかし、逸話を見ても分かる通り、
_ヽ ノ`ヽ、_ ) 武蔵の評価について、宗矩に代表される柳生家が
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 引き合いに出されることは珍しくない。
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) .それこそ、その「身分の違い」が肌で理解できていたであろう
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁 江戸時代の頃からな。
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ | 何故だと思う?
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 何故かって、お前、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | そりゃ決まってるだろ。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
___
(⊃ \
(⊃ _ノ ヽ、_ \ 「柳生」の名が、「大名」である以上に、
(⊃ (ー) (ー) u.\ 「別の意味」を持ってるから…だお?
/| (__人__) |
/ \____` ⌒´ /
( \
\_ | \
ヽ| ト、 ヽ
ヽ | > )
-
/ ̄ ̄\
⌒´ ヽ、,_ \
(●)(●.) | そう。
(_人___) | 宗矩と武蔵、この二人は、大名や牢人といった身分以前に、
'、 │ 同じ時代を生きた「武芸者」だからだ。
} {
!、______ .ィ-ート、 それも、二人ともが日本の武道史全体で見ても、
V/_:_ュ:-:-: ヽ .トップクラスの名声と影響を残した、な。
{ャ< : : : : : : : : :.
/ー-、: : : : : : : : : :'.,
「r'、 / : : : : :`、 : : : : : : : : :'.,
} r'、 ヘ、 / : : : : : : : : : : : : : : : : : : i
i/ ム、} .{ i : : : : : : : : : V : : : : : : : : |
{ い、{ Y : : : : : .\ : V: : : : : : : : |
\ ヽ {|V : : : : : : \V: : : : : : : :|
\ ノ|:.V: : : : : : : : :〉 : : : : : : :|
____
/ _ノ ヽ_\
. / .(ー) (●)\ だから、本来比較される筈のない二人が比較されて、
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ その結果、「不遇の剣豪・宮本武蔵」というおかしな像が生まれた、という訳かお。
ヽ L |r┬-| |
ゝ ノ `ー‐' /
/ / \
/ / \
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ\ ) ;;;;)
| ( ─) (─)/;;/ .そういう訳だ。
. | (__人__) l;;, .実際、宗矩の待遇が語られる際、
| ∩ ノ)━・' 「剣豪の身で大名の列に並んだ」という形容がされるが、
. | / ノ´ } .これも、柳生家が元々大和柳生庄の領主であることや、
. ヽ / / } 若い頃からの旗本であること以前に、
ヽ/ / ノ .宗矩がまず「武芸者」として見られている、という証左だからな。
/ \
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '.
| / ネ.π '. } l .そして、「同じ武芸者だから」という一点で比較を始めれば、
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ これだけ対照的な二人はおらんからな。
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 それが同じ時代に生きていて、
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ 二人して有名人とあれば、尚更だ。
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ } .
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ /
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
____
/ \
/ ─ ─\ 片や将軍家指南役の大名で、
/ (─) (─) \ .当時最大流派の宗家の男。
| u. (__人__) | ___________
\ ` ⌒´ ,/ | | | . 片や生涯誰にも仕えず、師も持たず、
___/ \ | | | 諸国を巡った末、独力で一流を立てた男。
| | / , | | |
| | / ./ | | | …こんな漫画みたいにキャラが立った組み合わせ、
| | | ⌒ ーnnn |_|___________| 比較するなっていう方が無理だお…。
 ̄ \__、("二) ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ _|_|__|_
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ だから、本来比べて語るべきではない二人も、
| .(●)(●) | 一点だけ、比較が妥当な点がある。
. | (__人__) |
| `⌒´ | ) ;;;;) それは兵法だ。
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/ 武芸者(兵法者)であるという一点を以て
ヽ ノ .l;;,´ 二人が同じ存在だというのであれば、
. / ∩ ノ)━・' やはり、二人の兵法を比較するのが一番妥当だろう。
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 兵法比較だと?
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | まさかとは思うが、強さ比較なんぞするつもりじゃなかろうな。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| さもなくば流派の比較でもするつもりか?
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
. / ̄ ̄ ̄\
. / ノ ' ヽ、 \ 一応、二人の強さ比較と言えば、『渡辺幸庵対話』の
/ '=・= =・= . ヽ 「但馬にくらへ候てハ、碁にて云バ井目も武藏強し」ってのがあるけど、
| (__人__) u. | まあ、あれは、ねえ…。
\ `⌒´ __,/
. / \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Y ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
(,,) | (,,)
| | |
-
, -- 、
. / ヽ
| ─ ─ 今更、そんな無意味な比較をする訳ないだろ。
l -- --| 常識的に考えて…。
| u (__人__)
| i というか、よりにもよって幸庵対話とか、
rー} ヽ / あれは>>1が宗矩贔屓というのを割り引いても、
ノ... \゙  ̄「ー.、 .そもそも幸庵の存在自体からしておかしいからな…。
,ィ´ \ ,イヽ 弋 ,ヘ 仮にも史料準拠で話すって言ってる場で、あんなもん使う訳ないだろjk。
,,イ V 〈:::::〉 Vー、 そこまで馬鹿になる気はねーぞ、俺は。
/ l::::! l
. / l::::l !
/ .!:::::l .|
_..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
/ `'‐、
/ `'、
/ ゙l,
/ !
| . ___、 |
l ., ‐'"゛ '''''''、 |
l . / l |
,' / . 、 ! ! その割には、
/ / 、 l.殺´! .,! | 結構引用する人間は未だにいるがな。
/ ./ l .f゙'‐.,i', ,! |
/ .l ゙l \ ! l゙
./ !.ゞ \ .ヽ l゙ ! 「まあ、ネタとしては面白いからな。
./ | .`ッ', .,r‐/ ! .宗矩からすればいい迷惑だろうが」
./ .! ゛ ./;:;:;l |
./ .r .! ゙‐''''} l
.-'´ . l l、 .、 i ..,,、 | l
/ .!', .!、 `―" ! 、 !
! }.l l-二― ......,,.. | | .|
.| .l l .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,! ! |
.l │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./ ! |
! !.〈,,, ゙'-..____,,..-'"l゙ /
! /.、 `''-,,. ,..l゙ ./
', .,' `'、 `''" ̄ ̄ .,! /
-
そもそも武蔵の強さってそれこそオーガみたいに超人的なフィジカルと闘争本能が源だから、比較とかできないと思う……
-
/ ̄ ̄\
/ .⌒ ⌒.\ _,,
| (●) (●) .| l;l まあ、話を戻せば、これからやるのは、
. | (__人__) .| _,_,|,|_, 冒頭でも書いた通り、「二人の兵法観の比較」だ。
| `⌒´ |, ト-=y 丶
. | } ヽ `i, ̄‐^l 柳生宗矩と宮本武蔵…。
. ヽ } ヾ~ ` i, この二人の兵法思想の精髄である
ヽ ノ _ ヽ、 ;i, 『兵法家伝書』『五輪書』を見比べ、
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i, 宗矩と武蔵の「兵法観」を比較しようという訳だ。
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i .こっちは何せ、本人の文章だから使うには申し分ないしな。
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i,
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l
,y`;,,__ ,i /ii' / r-/| l l
_/^,,, ヘ l /iil / l"v' y } l
v=4⌒ヽ、 j --,,,if /iii| ,, 〈-ヘ_,、 <、 / i|
ヽ, ,, i、 _,,tv /iiiii ム、 / / ヽ、ヽ、_x--ー‐- 、
__,,,l ii Yi___,lk / }iiiiil ヘ __,,,,,,___/ `x'"^ ,,,,, \
^ ̄⌒ヽ ヘ、 ,ノiiiii|、__,,,y,,_,,,/ ヽ、 ,/ ,,,-‐‐ `',, ヘ,、
,,,_ \ ヽ `>- liiiiiiil ¬">-- ヽ ヽ i i/ _,, / } i
"- ,, } / /iiiiiiil / l l l lK ^~' / |
\ーヾ /iiiiiiiil / i i | |i`'ヽーミ_/ /
____
/ \
. / \
. / /) ノ ' ヽ、 \ …一応確認するけど、次から
| / .イ '=・= =・= u| 「やっぱ前提として五輪書の解説が要るから、
/,'才.ミ) (__人__) / 今の話は一旦止めて、五輪書解説篇をやるよ!」とか言い出さないおね?
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / u 殺 | ヽ
/ / イ^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ○ゝ イ○ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | やめろ(迫真)
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
______
/ \-一ヽ、 __r‐- 、
/ __,ノ ヽ、_,7 7 } : : : :\__
| ( ─)(─)/` ‐ / /: : : : : : : : : :` '' ‐-、_ やんねーよ、そんなこわいこと。
| U (___人__)‐-─≦/.:.:.:.:.: : : : : : : : : : : : : :丶、 絶対(本編が)年内に終わらなくなるだろjk。
| ` ⌒´ノ └‐-、__:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : : : : : ヽ
| | `ヽ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : : : :} まあ、随時引用はするし、
ト、 | __,. -<`丶、.:.:.:.:.:.:.:.:.: : : : :/ 解説も入れるが、せいぜいその程度だ。
ハ、.,ヽ., ___ ,__ノ--─一⌒V : : : : : : : : : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:r´ .それに、比較するのはあくまで
_ ,.-=〈:.:'、`ヽ、___ ヘヽ:.\: : : : : 、: : i:: : : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:.:/ 伝書から読み取れる「兵法観」で、
_< : : : : ∧ :ヽ /:::ヽ Vヽ:ハ : : : : :ヽ: : : : : : : : : :.:.:.:.:.:.:./ 家伝書と五輪書そのものの比較じゃないからな?
, -‐ '´: : : : : : : : : : :∧、 ∧::::::∧ l: : <:_: : : : :i: : : : : : .:.:.:.:.:.:.:.:_r'´
/: : : : : : : : : : : : : /: : l V !::::{ `!: : : : : : l: : : i:: : : .:.:.:_、-‐''゙´
f : : ヽ : : : : : : : / : : : : l l::::::i l: : : : : /. : : :!.:.:.:/
ゝ: : : i: : : : : : :〈: : : : : : : l {::::::i !: : : : /: : : : :l/
j : : : : i: : : : : : : ヽ: : : : : : ゙、 !:::::::i l: : : :./ : : : : :!
/)
///)
/,.=゙''"/
/ i f ,.r='"-‐'つ____
/ / _,.-‐'~/⌒ ⌒\ なら一安心だお!
/ ,i ,二ニ⊃( ●). (●)\ じゃあ、次から早速始めるとするお!
/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
,イ「ト、 ,!,!| |r┬-|
/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ /
.rニYニヽ
//_殺_ j | (”今の時点で既に延びてるだろうが”とは
イ t` !_,` } | 言わぬが花なのであろうな…)
/j ト -. レj
,r'´ ̄`゙} |二二j l|rニ二ト、
〉─7-'´l|jト、`}-イl;|`--l一〈
-
_,, iー' .、 '、. ..'-, .'、 . _..
_.. イ'".ヽ .ヽ. \ .ヽ. \.ヽ. ..,,, -''"゛
,,, ィ'''"`'、 ヽ ヽ .ヽ ヽ ヽ,,..ノ‐'゙´ \.
._..y‐''゙ヽ. .ヽ .ヽ ヽ _> |-.. ┴´ \ .,
._.. -'," ヽ ヽ ヽ .ヽ./ ~ _,,二ー 、 .\. \
."`',. ヽ ヽ .ヽ .l./ ゛ ./´ `'-.\ `、\ __)
.ヽ .ヽ ヽ._,, ;;ゞ゛ ./ : 殺 ヽ ', . `、`¨´
、 .ヽ . ..lr‐'"´/ / .l, ~''" .! .! . `、 という訳で、今宵はここまでじゃー!
.ヽ._.. ゙‐'゙゛ ,./ /',''''''!ly、 ._.イ│ `、
: '''´ ./ ,- ,/'''''゙‐'t;;',', ,i,'!!~゙゙} .| } 次こそ最後まで進むことを
././ / ゙‐''゙⌒.! ', . } 祈りながら待つが良いわー!!
,,i,'イ゛ /.l .、 _ | .l . ;
/ .,/ノ ,' l゙ l.l .,,―`-ニ. ., .,.. l ヽ /
.,/イ ,' l l ',l゙,.. - ,,..,!.il! l ./ \ . ./ __
.\, .,''゙,! l l ,i'/ッ._,,,,,, .゙!/│ ! .゙y //⌒i
.`'-,,"." l'、 .!.l l .,!.l ゙l .l',゙ll゙ i____,,,..-'"゛.ヽ / |
.`'ー、,、 / ゙' l .゙" .',.| !/.|"!/ _] -‐==‐- 、 'ハ ; `''
`゙'ー、、 .! .\ .! !..,_, . 〃 / // \/ `、{
`'-',,_ ___;;,,.. --┴''''''¨'ー、、 ´
 ̄ ̄ `'-、, __ __¨ ./
`''ー ..,,,,,,,,.. ‐' ._) _) \
-
てなとこで、今回も終了です。
本日もお付き合いありがとうございました&お疲れ様でした>ALL
今回は言うなれば、「武蔵不遇説について」というところでしょうか。
結論から言えば、「こいつのどこが不遇なのか。問い詰めたい。小一時間ほど(ry」と
古典的なネタを振りたくなるくらいの人生エンジョイっぷりなのですが、
理由を推測してみると、まあ、やっぱ柳生というか、宗矩が出てくる訳で、
他の流派でも何かというと引き合いに出されるところを見てると、
/:: ..::::::::::\三
|::: ::::..... 三 く .立 何 あ 時
__ /:::i :::::\::::::::::::::::::三 る ち 度 な 空
::::::\:三二ニ=‐-‐=ニ´:::::', ::::::::::::\::::::::::::三 と は │ た を
::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::`:::‐-三 い .だ. | は 超
、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::三 う か 我 一 え
. \:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::三 の っ 々 体 て
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::三 だ て の
. \ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::三. !! 前
\ \::::::::::::::::::::::::::::::::::',:::::::::::::::::::::::三 に
. \ \r─<:::::::::::::::::',::::::::::::::::>三
\. ! `` ‐=ニ_>'´ 〃川川川川川川川川川
i :.:.:.:.:.:.:.:.:.:.: ,. '"´ ヾミ=‐--
| " ̄ :.:.:.:.‐-:.:.:.:.: ‐ '" マミ __
i ─- :.:.:.:.:.:.:..  ̄ ̄ ` マミー
‐- / `ヾ、::::::.: '" _,.xz=ニ三ヽ ヾミz
_{羊ミ:=x.,,_ :.:.:.:.:、 :.: /:.: ,.x≦ア_'" ̄ -─=ニ
.〈ヾ、 ≫-=≧x :.', /::.,.x≦>'"て iii )>‐=ニ }ミ
∨:ハ ニ ヽ-ゞ┴ヾ>=彳< ニ三 ̄ ̄ /ミ ` jミ
_ ‘,マ! '′ :.:.:.:::::/{:.:.:.i \:.:... jミ
-‐  ̄ Ⅵ .:.::::::〈 !:.:.:! ヾ ─--
‘, .:.:.:::::::::} |:.:.:l ,. 、 川ト
‘, :.:.:.:::く./'" __〉:.. 从ヾ
/ iハ :.:.::/::`ー<::: ´ ⌒ ー、 ア\
/ !ル>、:.:.:ノ /:.:.:.:.:.::i:、、、 ヾ ミー、 ハ川 \
/ }ハ川Y(( 〃 :.彡'^ヾトトトトゞ、 ji }i ル レ i \
ヾ川川川川川川〃ハ ハ'" ::::.:.:.: `゙゙iルノ ヾ、〈 ゞ
三 三〈〈ハ 《 >─.─┬r:<:. Yヾ }ハi i、
三 ダ ノ 三 j〃Y:::.:.:Y : jl ヽ ! リ j! jj \ } }i
三 三 ノ:.:.:.:.: j ヾ ' \川
三 ム .ス 三 '" :.:.:.:.:.: . \
三 三 :.:.:.:.:.:.:. ji 彡
三 ス ト .三 /:.:.:.:.:.:. .:' ノ从Y
三 三//:.:.:.:.:/ / Y Y〈ゞ´
三 !!! ラ 三八:.:.// / i i . i ! j从从
三 三从 i i i!i ハ l i/ 从{ /
〃川川川川川川゙ヾ 从ハハ〉} { 《 Y{ 八jイ //イ'´ /::::::
/:.:.:.:.:.:.:.:.:./:::::::::::::::::::::Y从从ヾi从{イノリハルノ /::::::::::::
なんかもう、こんな感じの扱いじゃのう、と思うこと然り。
「それも柳生但馬守って奴のしわざなんだ」と草加が囁く有様ですよ。
ホント井上脚本は地獄だぜ。フゥハハハーハァー。
-
なんかこの辺の他所の逸話でいいように使われてる有様を見ると、
当方の脳内宗矩がこのAAのように、
______ 仕 な
r〃〃〃 f7⌒ろ)
l∥∥∥ || f灯 業 ん
|∥∥∥ || | |
|儿儿儿._」∟⊥厶 か で
〔__o____o_≦ト、
. 「⌒ヽノ ヽ|l __ ヽ よ も
|ヘ、 rノ¬、 l「r,ヽ i
. l ー| `ー' ||、_八 | : 俺
l │ ll 〃V
、{`―-ヽ ,〃 〃 \ の
__\ rテ ノ´ 〃 / ー- 、
. ,ィ(⊆≧リ≦⊇)〃 / rク\
. / | ̄r少}¨ ̄〃 / /′ ヽ
〃 l | l| | l| 〃 / / └ヽ
/ ⅵ l |l | |l/″ / ! 厂 \
く, Y ! l」fレト! / | / 1
丿 | | 丿} じ’ / | / |
/ l | `¨ / レ′ |
と愚痴ってる姿が浮かんでくるような塩梅ですが、
それはともかく、武蔵が不遇云々は別としても、
宗矩と武蔵ってのは、文中でも書いた通り、かなり対照的な人物なので、
比較したくなるのも無理はない
(実際、武道研究でも宗矩と武蔵を比較するのは割とありますし)
ホント、史実の癖に、漫画みたいなキャラ立てしてるなーと。
ほとんどコレ(↓)のノリですよ。
-
ヽ >― __> | || | ||V ヽ:::| |::/ レイ /
弋_ /::::> || | ||| ヾ / | ||| / /
、 ヘ:;:;:;>――":;:;:;< ノ || |\ | / | |||/ /:;:;
∧ ヘ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;< / / | \|/ | ||| | ||| ム:;:;:;:;:;
ヘ ヘ:;:;:;:;:;< <´ <´ |! ゙~`ヽ´ ̄ ̄| || | |||´ ̄ ̄
∧ ヘ< / / / |  ̄>――
∧ ヘ彡 イ |||| | lllllll ィ全`ヽ、 、 _ イ ____ ミ 行くぞ但馬!
ヘ ∧ ヘ:;:;:;:| ||||人 ||||| |弋l>-<H\ ヾ|レ'__ム―テ〃フ/ >ミ カードをドロー!
イヘ ∧ ヘ:;:;|/~ィ ヘ| ||\|乂二二 | ` ~~ ´ん´彡シ //ラ/ ノ 「兵法二天一流」をセット!
/ヘ ∧/ /´ ヘヘ | ~` l ム二二_///<:;:;
:::::::::ヘ ∧く ヘヘ .レ'| !} /_/:;:;:;:;:;:;:;
/彡.:ヘ γV ヘ.ヘ |> | ´ /:;:;:;><
ヘ ヘ `ゝ」 ヘ ヘ.ヘレ !ヽ、 ' ̄ ̄' ィ ":;:;< ̄/::/
 ̄VV ヽ-J ヘ.ヘ| \ </ < /::/
VV ヘ寸=_>―< | /:::/
VV ヘ∧:::rァ: ̄|「| ̄ ̄リ イ::/
VV .ヘ∧:~:::::::| ||:::::::::::T>__」::::|
VV ヘ∧ニ/ト=┘ ヘ ><:::::::::
VV 〉>>イ /ヽ、. /:::::::::::>:::
武蔵
,.=、
/ \/ \
/ ヽ
/ / ヽ
/ / ,'/ `、
/ / // ! | i | ヘ. /:\ 来るがいい武蔵!
\ 〈〈. !.! :| l i 、 / /::::;;;:::\ この俺の「新陰流」を超えられるのならな!
\ハ トl_ | 、 、 `、、 ,=. / /::;.:;;;;;;;;:::::/
{ ヘ代ミェ、 ヽ ト≧、Ⅳァ}' /::/ノ};;;;;:: /
ハ_ミ、j  ̄ j\|`=' イ,' / _ ,.、 /::/ ,/;;::: /
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 丶、 ヘヘ ∨ヘ 丶 ィイ/‐  ̄/ ハ ヽ ,X ,/::::: /
| \ Ⅵ V|_ヽ  ̄ / | / / } ,}/ /ヘ_:/
| ,r==-、 ヽ._〉i Ⅴ三ト、_ィチニニチ / /// ,.' ,. ──‐_ァ
| /三三三三>、 `i !__!三三三三三!___,/-───‐┐ / ノ ¨´ ,/´ ̄
ハ /三三三三三三>、 | O /三三ニト、:::::::::;≫ O ! :l / ー──‐_ァ
ヘ. {三三三三三三三L.l ,ィ〈三三三ヨ:|:::::/ / j _r''"´ ̄
ヘ ∨三三三/´ ̄_イ) キュV:三三コ:N′ O/ ,. ァ′ /
/ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\/三三ゝ/¨.キュV:三三!:!」 _,.=7" { ,/
\イ ̄ヘ三三了 ィチ/ ,/ _ムヘキュV三コ:E| ,. ‐'7O f 弋. , イ
└ 、  ̄ ̄ヘ_{r=ヘ(__,.イ rァ' ^>キュV:ヨ」チァ''" { 廴__ ,>',. -── 、
_>‐ ' "´_,ィ7了ニノ ,.=' / ノ´/了Of 廴_,...:< ̄l<´ ̄ ̄ ̄`
/ ,.<´ ハ.{不イェチェイ三/ ! { ,.-'"〉:::::::ヽ.スミュ、
宗矩
-
まあ、この辺のネタはともかく、次回は本文でも書いた通り、
伝書から読み取れる宗矩と武蔵の兵法観の比較をば。
まあ、技法にまで入る込むとキリがないので、
「二人が兵法をどのように考えていたか」というのを軸に書いていこうかと。
なんとか来週に書ければいいなあとは思うので、なるたけ頑張る所存です。
それではではー。
-
乙でした。
じゃあ、米村脚本は煉獄ですか?
-
乙
ただ、楽しんでいるからって挫折や諦めや屈託がなかったとは言えないしねえ
-
乙でした。
五輪書風の巻が>>1さんを手招きしているように見えるのは、幻覚ですよね?
-
乙
-
乙でした
柳生と比較するなら上泉さんの方が筋だよね
武蔵なら伊東さんの方が
-
>>827
上泉さんの弟子の疋田さんに「悪し」やられちゃってるからねえ…。
これだけでもう格付け決定的な部分ができちゃったし。
武蔵は柳生の中でも最強格の連中と立ち会ってないからな。
-
乙でした
まぁ武蔵と宗矩が同時代に生きてたってんだからそりゃあ絡ませたくもなるよね
というか史実でももっと絡めばよかったのに
-
乙
-
乙です
-
今更だけど乙です。
しかし、武蔵の強さを超人的なフィジカル云々とか言ってる人、まだいるんだな…。
-
自分が知ってるけど知らないのはおかしい扱いはどうなんだ?
-
身体的能力じゃなかったんだ。
念力でも使ってたん?目からビーム?
-
この
美少年→クソ役に立たないクズの
鮮やかな対比w
-
ごめん超誤爆
-
どもどもです。
先週はどうにか投下できましたし、明日も何とかなればいいなあと思うところ。
目標は毎度のように明日の21時を目指しつつ、頑張ってみる所存でアリマス。
ではではー。
あと、ついでといってはなんですが、
こないだやった刀剣知名度ランキングから1ヶ月経ったので、
「(刀剣乱舞が始まって)1ヶ月でどの程度、影響があったか」を調べるべく、
もう一回調べてみたり。
【第2回・刀剣知名度ランキング(刀剣乱舞対応版) 】
http://togetter.com/li/784653
先月と今月での画像検索結果を比較してみたり、
Pixivでのタグ数を調べてみたりと、色々やってみましたが、
結論だけ言うと、
「刀剣乱舞すげえ」
としか。
実装された刀剣の検索ヒット数が、先月と比べて平均26.6倍とか、
知らない人が見たら、一体何が起きたの、というレベル。
出てない刀剣(で調べたもの)は平均1.3倍とかなのに。
おそるべし。
-
最近柳生を好きになってこちらにたどりついたのですが
情報の凄さに圧倒されてます。
少しずつ読ませていただきます。
十兵衛の月の抄がどのようなものかよくわからなかったので
こちらの解説でわかってよかったです。
更新楽しみにしています。
-
山岡荘八さんの「柳生宗矩」を読んだら眩しすぎたぜ。
-
どもどもです。
結局今日も失敗であり、すみませぬ。
気が付けば来週で2月も終わりなので、そこまでにはなんとか仕上げて、
3月から本編再開、4月までに第二部終了まで行きたいなーと思うところですが、ううむ、ううむ。
なんとかぼちぼちやっていく所存ー。
>>838
ありがとうございます。
結構量があるので恐縮ですが、楽しんで頂けたなら幸いでアリマス。
今後ともよろしゅうですー。
-
2月が終わるね
剣術といえば今月にあった第38回 日本古武道演武大会
珍しく新陰流着ていなかったそうで
起倒流と柳生心眼流は演武したらしいけれど
1さんの兵法書解説ですか
「不動智神妙録」を引っさげて沢庵和尚がアップを始めるようです…
-
どもどもです。
急遽友人から連絡が入り、明日、出かけることになったので、今週は投下なしでアリマス。
いつものことじゃねえかと言われると、ぐうの音も出ませぬが、すみませぬ。
まあ、代わりというほどでもないですが、
こないだちょっと話したネタをまとめたのでご紹介をば。
【戦国期の剣術は本当に「介者剣術」だったのか?】
http://togetter.com/li/786768
元はるろ剣の飛天御剣流を史実ベースで解釈してみようという
お遊びネタのまとめからの派生なのですが、
「戦国期の剣術は鎧着用を前提にした介者剣術」と言われてる話について、
知り合いの人たちとあれこれ話してみたり。
今んとこ、どうもあの話は微妙っぽいなあという風に思ってますが、
もうちょい調べてみてもいいかもで砂。
それではではー。
-
乙です。
関連した話の、「一子相伝」ってねーよ、伝承者死んだら終わりじゃん、
というのは紫衣事件も思い出すし、Fateの聖杯戦争ねーよ、にも繋がって楽しかったです。
一子相伝の魔術師が聖杯戦争なんかやったら家絶えるだろ、という話で、
成る程と思った記憶があります。
やはり戦争と一子相伝の相性は悪いんですねえ。
-
戦争でなくても、小さいコミュで一子相伝は弊害のが大きいよ
どこどこ王家の秘伝儀式とか
天皇陛下の神事とか
そのレベルでないとダメ
-
どもどもです。
そろそろこの補足編も完結させて、次に行きたいなあと思うので、
どうにか明日(3/8)は21時に投下で来たらいいなあと思うところ。
何とか書ければいいのですが。
ではではー。
-
どもどもです。
なんかもう今こんな感じ。
-― ̄ ̄ ` ―-- _
, ´ ......... . . , ~  ̄" ー _ ブッブー
_/...........::::::::::::::::: : : :/ ,r:::::::::::.:::::::::.:: :::.........` 、 ブーン
, ´ : ::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::::: : ,ヘ ::::::::::::::::::::::: : ヽ キキー
,/:::;;;;;;;| : ::::::::::::::::::::::::::::::/ /::::::::::::::::::: ● ::::::::::::::::: : : :,/
と,-‐ ´ ̄: ::::::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::r(:::::::::`'::::::::::::::::::::::く
(´__ : : :;;:::::::::::::::::::::::::::/ /:::::::::::`(::::::::: ,ヘ:::::::::::::::::::::: ヽ
 ̄ ̄`ヾ_::::::::::::::::::::::し ::::::::::::::::::::::: :●::::::::::::::::::::::: : : :_>
,_ \:::::_| ̄ ̄ |_::::::::::::::: `' __:::::::::-‐ ´
(__  ̄~" | | )) ̄
 ̄◎ ̄◎ ̄
大筋はできてるのに、いざ文章に書き起こしてみると、
どうも上手くいかぬ塩梅で、結局気づけばこの時間であり、うーんこの。
なんともすみませぬ…。
-
なむなむ。
こればかりはノリの問題ですしねえ。
たっぷりお休み下さいとしかいいようがないですわ。
-
これも物書きのサガか…
-
どもどもです。
ますますペースが微妙になってきつつありますが、
せめて投下しようという意思だけは持ち続けなければ、
たちまちスレは闇に飲まれるので、いつも通りの日曜21時に投下したいという
表明だけはせねばならぬのであり、諦めがスレを殺すのです。
まあ、要するになんとかなったら投下するので、
なるたけ頑張ります、という塩梅です。
毎度こんな有様ですみませぬが、よろしゅうですー。
ではでは。
-
お待たせしました。
では、始めます。
-
[二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二]
|| ,.' ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;::;;;,;,..''""゙ ||
|| /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::,:;;:'""'''''''' ||
||\ ,. ' ::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ,,,......,,,,,;:;''" .. .:.. . ::... ..|| 「1ヶ月ぶりの再開だお…」
||::: : ' , , '゙ ::::::::::::::::::::::,,_,,,..;''""''''" . .. .. . .. . . ||
||,.,;:/  ̄ ̄\,,,,,_____,,,,... ''" .,,,;:;;:;,,,..;:.;:;;:;;::''"" :.:.. .. .. . ,,.,,....,.,.|| 「…ああ。
||/ ヽ;:;;,..,,.,.,:;;:'""'''''''' . :.. . :. .. . :.:.. .. ,,...;:;:;;:''""'''"";:;.:;;'' || ところで、明日も花粉がキツそうだな」
|||:::::: |. .:. . . . . .. .. . :. ......,,,,__...,,;:;'''""'''';;;.......,,,,...;: """''''''''"''''"'||
|||::::::::::: | ./ ̄ ̄ ̄ \.. . . ;;;;;;;;;;;''''''"""'''"""" ""''''''''':::::.....|| 「やらない夫、現実逃避はいけないお。
||.|:::::::::::::: .| ./:::::::::::::::: \ "';:,.__, ""''''''''':::::......"""''''''"""'''' .,.,;:;:;:,.,..|| ”大切なのは『完結に向かおうとする意志』”だって
|| |:::::::::::::: |/:::::::::::::::: \. """"'''''':::::::::;;;;,,,,,....._ ""'" || ジョジョ5部のお巡りさんだって言ってるお」
|| ヽ::::::::::::: ||:::::::::::::::::::::::: | ::::;;;;;;;;;,,,,..... ...,,:;;:;,,,..;:.;:;;:;;::'' ||
|| ヽ:::::::::: ノ .\:::::::::::::::: / .. ... . .. . || 「…そうだな。
|| /:::::::::::: く (⌒ :::::::::::::::: ⌒ヽ . . . . . .: . || では、今回も始めさせてもらうとするか」
[ニ二|:::::::::::::: |二二| ::::::::::::: | 二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二二]
. |:::::::::::::| |. | ::::::::::::::: |
-
╋━━━━━━━━━━━━╋
┃ 宗矩と武蔵の兵法観比較...┃
╋━━━━━━━━━━━━╋
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、 という訳で、これから宗矩と武蔵の兵法観の比較を始める。
| ( ●)( / .\` 、 . // / 前述の通り、用いるのは、
. | (__人/ \ヽ、,.// ../
| ` / ``77 / 『兵法家伝書』
. ヽ / .兵法家伝書 / / / .『五輪書』
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./
/./ r-、 ヽ ∨,ノ / .この二冊をベースとする。
|. \ 〈\.\,〉 `, f .あと、場合によっては『月之抄』など他の伝書から
| . \ (ヽ ヽ `.. | 引用することもあるかもしれんな。
| .\ \ ノ
___
/ \
/ ─ ─ \ 随分間が空いたけど、ようやくだお…。
/ (─) (─) \ じゃあ。早速始めるお。
.| u. (__人__) | __
\ `⌒/ ̄ ̄⌒/⌒ /
(⌒ /五輪書./ /
i\ \ ,(つ / ⊂)
| \ y(つ__./,__⊆)
| ヽ_ノ |
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ´ ⌒ まず最初に言うと、
. | ( ●) (●) .「技術」としての兵法に対する認識は、
| (___人__) 宗矩と武蔵に、そう大きな違いはなかったものと思われる。
.| ノ
j |
..ノヽ、 , ノ _
,. ー、一一´:::::::::::::≧ーー"7 i' Y
. / .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.`-、 i l _
/ .:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. >-、 | lフ ト、
.::::::::::::::::: !::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ i/ ,.イ 丿
:::::::::::::::::: l::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::. v:: l / i'r ´,.ィ
:::::::::::::::::: l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::: l j 丿r´,.ィ
:::::)::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |::: 八 `チ
___
/ \ _
/ \ / \ // そうかお?
/ (●) (●) ヽ // 無刀を根本とした宗矩と、
| (__人__) |// .二刀を主張した武蔵とでは、
\ `⌒´ // 随分違うように見えるお?
/ ー‐ <ヽ/
|\ \__γ⌒)´、
| \____/゛| \π
| |\[Λ])
| | / /
| | / /
/ // /
/ へ____// /
| /L__) / /
\_ _| У
(____)
-
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒
| ( ●)(●) __ それは、これから話す兵法観に属する話だ。
.| (___人__) / .i それに、それぞれそう主張したことは事実でも、
| ` ⌒´ノ | レ/| 宗矩が無刀で戦うことを是とした訳でもないし、
| |_,-‐、l//. 武蔵にしても、重視したのは二刀で戦うことじゃない。
.人、 厂丶,丶, v´j
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ ここで言うのは、
_, 、 -一 ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 「剣を振るう際、心がけるべき事」という
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ;;;;;;; ) もっと直接的な話だ。
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;;;|
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;〈 ;;;;::::::::::... ',;;i
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\::::;;;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::::. ',
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ああ、「戦う時のポイント」みたいなものか。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 「そういうこと」
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\ 二人の話の共通点を具体的に挙げると、以下の点になる。
/ ノ ヽ、.\ 見ての通り、どれも基本となる部分ばかりだ。
| (●)(●) | まとめると、
| (__人__) |
___|__`⌒ ´ | 『常日頃の状態・心のまま戦えるのが最上で、
, --'、 / 丿 相手の心や拍子を読んで、その時々に応じた太刀を出せ』
/ ⌒ ).家伝書 / <
,′ ノ / /三三三三丑 というところだな。
l T´ ..___/ // r'´ ̄ヽ 「常在戦場」といえばそうだが、
ヽ ノ ./丶 // 五輪書(  ̄ l むしろ日常のまま戦えるようにあれ、という感じか。
`'ー'´ | //_____/ _.ノ
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
【兵法家伝書と五輪書における「剣を振るって戦う際の要点」(共通点)】
1:戦うに際し、特別に気を張ったり、力んだりするな。
常日頃の心で戦えるようになれ。
2:動きについても同じで、普段通りの動きを心がけろ。
3:構や太刀筋に捉われ過ぎるな。
基本をしっかり覚えて、そこから応用していけ。
4:相手の動きをよく見て、相手の心を読み、色々仕掛けろ。
5:拍子をよく読め。
敵を拍子に乗らせず、己も乗らないようにせよ。
6:こだわりは捨てろ。
その場その場で即座に判断して動け。
╋━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━╋
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、. 。ゝ イ 。ノ| | それぞれ引用するとの辺りだな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 一応、補足しておくと、
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ ここで引用した箇所は、あくまで抜粋に過ぎん。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ 詳細が気になるなら、本文を読むのを勧めるぞ。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1:戦うに際し、特別に気を張ったり、力んだりするな。
.常日頃の心で戦えるようになれ。
【兵法家伝書】
『何もなす事なき常の心にて、よろづをする時、よろづの事、難なくするするとゆく也』(殺人刀)
【五輪書】
『兵法の道において、心の持ちやうは、常の心に替る事なかれ』(水之巻)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2:動きについても同じで、普段通りの動きを心がけろ。
【兵法家伝書】
『歩みは、早きもあしく、遅きもあしゝ。常のごとくするすると何となき歩みよし』(活人剣)
【五輪書】
『惣而兵法の身において、常の身を兵法の身とし、兵法の身を常の身とする事肝要也』(水之巻)
『足づかひは、ことによりて大小・遅速はありとも、常にあゆむがごとし』(水之巻)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
3:構や太刀筋に捉われ過ぎるな。
基本をしっかり覚えて、そこから応用していけ。
【兵法家伝書】
『三学九ヶなどと云ふは、大体を云ふ也。
此道をよく得てより、太刀の数を云ふべからず』(進履橋)
【五輪書】
『構はありて、構はなきといふ利也。
先ず太刀をとっては、いづれにしてなりとも、敵をきるといふ心也』(水之巻)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-
___
/ \ どちらかというと、
/ ─ ─ \ 家伝書は「自分自身の心の鍛錬」に、
/ (●) (●) \ 五輪書は「時々の状況への対処」に、
.| (__人__) | __ .それぞれ多めに文章を割いてるけど、
\ ` ⌒/ ̄ ̄⌒/⌒ / .もう一方も蔑ろにしてる訳でもないお。
(⌒ / / /
i\ \ ,(つ / ⊂) …確かに、実際に剣を振るって戦う際の要点だけで言えば、
| \ y(つ__./,__⊆) 言ってる内容はかなり似通ってるお。
| ヽ_ノ |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
4:相手の動きをよく見て、相手の心を読み、色々仕掛けろ。
【兵法家伝書】
『わが心のうちに油断もなく、敵のうごき、はたらきを見て、
様々に表裏をしかけ、敵の機を見るを、策を帷幄の中に運らすと心得べし』(進履橋)
【五輪書】
『戦の場において、敵の心を計り、我が兵法の智力を以て、
敵の心をそここことなし、とのかうのと思はせ、おそしはやしと思はせ、
敵うろめく心になる拍子を得て、慥に勝つ所を弁ゆる事也』(火之巻)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
5:拍子をよく読め。敵を拍子に乗らせず、己も乗らないようにせよ。
【兵法家伝書】
『敵の太刀のつかひにくき様に打つべし。
つくるもこすも、無拍子にうつべし。惣別のる拍子は悪しき也』(殺人刀)
【五輪書】
『敵の拍子に随ひ、いそぐ時、静かなる時の、身の位を得て、たらず、あまらず、
足のしどろになきやうにあるべき也。大分の兵法にしても、足をはこぶ事肝要也。
其故は、敵の心をしらず、むさとはやくかゝれば、拍子ちがひ、勝ちがたきもの也』(風之巻)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
6:こだわりは捨てろ。その場その場で即座に判断して動け。
【兵法家伝書】
『心が一所にとどまりたらば、兵法にまくべき也。転ずる所に残りたらば、散々也』(活人剣)
【五輪書】
『惣而、太刀にても、手にても、ゐつくといふ事をきらふ。
ゐつくは、しぬる手也。ゐつかざるは、いきる手也』(火之巻)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
-
要は平常心で臨機応変に、技にこだわらずに動けと
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 無論、完全に同じ訳でもないし、
| ( ●)(●) 「無刀之巻」のように家伝書にしかない記述もあれば、
.| (__人__)_ 「風之巻」の他流批判のように五輪書にしかない記述もある。
| `⌒´. ̄ だが、先ほど挙げた共通する部分を否定するものじゃない。
.| ノ
ヽ .,ノ )/´二⊃ ここから見て、兵法者としての宗矩と武蔵は、
> /"/ '‐、ニ⊃ キンッ 実際に剣を以って戦う際の要点については、
./⌒ヽ l ´ヽ〉〆ヽ かなり近い知見を持っていたと考えていいと思う。
( ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ
.\ / / { /
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', というより、一流に達した兵法者であれば、
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 概ねこの知見で共通していたのではないか?
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| |
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| それを文章に書き起こし、後世に遺したことが、
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ .二人の特異な点であって、内容だけで言えば、
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ かなり普遍性の高い話ではあるしな。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ .まあな。
| ( ―)(―) シュポ .ただ、情報の共有化が進み、統合・整理された近現代でなら、
.| (__人__) チリチリチリ…… 二人の認識が普遍性の高いものだと理解ができるが、
| .,ノ )/´二⊃ 当時は、そこまで情報が共有化されていた訳でもない分、
人 /"/ '‐、ニ⊃ .個人の知見が大きなウェイトを占めていただろうからな…。
./ ヽ l ´ヽ〉〆ヽ
( ⌒ヽ/ __人〉ヾ_ノ,ゞ それなりに名声を得ていた武芸者でも、
.\ / / { / 宗矩や武蔵と異なる知見を持った者も結構いたのかもしれん。
____
/_ノ ヽ\
/ ( ●) (●)、 五輪書の「風之巻」なんか、
/::::::::⌒(__人__)⌒\ そういう他流に対する批判の章だお?
| |r┬-| | それ以外でも、武蔵はかなり他流に対して批判的だし、
\ `ー'´ / そうだった可能性も結構あると思うお。
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ .___
| ( ー)(●) ( ⊂⊃ ) かもしれんが、その辺りは推測にしかならないから、
. | (__人__) ホワッ ̄ ̄ ここで止めておいて、本題に戻ろう。
| ( ( ノ
.l^l^ln ⌒ } さて、ここまで二人の認識の共通点を挙げたが、
. ヽ L } ∩ ノ)━・ 実は一点、二人が全く逆の事を説いている箇所がある。
ゝ ノ ノ / _ノ´ それも、かなり根本の部分でだ。
/ / \/ |
/ / ' |
. / / |ヽ__ノ
ヽ__ノ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ほう。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | ここまで共通点を挙げておいて、ひっくり返すか。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| .そりゃ一体なんだ?
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ _,ノ `⌒ ) ;;;;) ここだよ。
| .( ●)(●) /;;/ 「構」の意義についてだ。
. | (___人__) l;;,´
| `-=━・ 【兵法家伝書】
.| | 『惣別かまへは敵にきられぬ用心なり。
人、 | 城郭をかまへ、堀をほり、敵をよせぬ心持也。
,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ .敵をきるにはあらず』(進履橋)
,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
/..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、 .【五輪書】
.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. \、_ 『構五つにわかるといへども、皆人をきらん為也』(水之巻)
::::::::::.\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ヽ
:::::::::::::...ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...ヘ、 宗矩は構を「切られぬ為のものだ」としているのに対し、
:::::::::::::::::...ヽ::::::、-─────- 、_,. --──ー、 .武蔵は構を「人を切るためのものだ」と明言している。
::::::::::::::::::::::::::::// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー´ ̄ ̄ ̄ ̄/ 宗矩は、重ねて「敵をきるにはあらず」とまで言ってるんだから、
:::::::::::::::::::::::::// / / / この点については、二人の認識はまさしく正反対だと言える。
:::::::::::::::::_//__ ./ / /l _
:::::::::::::::{ _____ `ヽ / / /:::.l / /
::ー::::::{ _____}`'ー'´ ./ / // ~""''' ‐- ...,,__/ /
:::::::::/ _____} ./ / // // /
、::::/ ____} / / // // ,/´)
:::::/ ̄ ̄ ̄ヽ ./ / // // L,.-'´}
/ ヽ─-、./ /,.ー// // ,.-'´ ./
l ヽ:::::::::::::::::::// // / ̄ ̄ ̄ヽ
ヽ::::::::::::::// //,./ ヽ
ヽ::::::::// ,.</ l
ヽ ̄~""''' ‐- ...,,__< // /
-
. / ̄ ̄ ̄\
. /─ ─ \ …確かに、見間違いようがないくらい正反対だお。
/ (●) (●) ヽ なんで、さっき紹介しなかったんだお?
| (__人__) u. |
\ `⌒ ´ __,/
. / \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Y ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
(,,) | (,,)
| | |
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 理由としては二つある。
| (__人__) 一つは、構の「意義」については正反対だが、
| `⌒´ノ 具体的な構え方そのものには、それほど大きな違いがなさそうだということ。
| } そして、もう一つは、この違いが
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) 「二人の兵法観の違いに直結する箇所だから」だ。
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) つまり、二人の兵法観について話をするのに、
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁 ちょうどいい導入になるからだよ。
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
-
_..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
/ `'‐、
/ `'、
/ ゙l,
/ !
| . ___、 |
l ., ‐'"゛ '''''''、 |
l . / l |
,' / . 、 ! ! なるほど…。
/ / 、 l.殺´! .,! | この「構」を「兵法」に置き換えたとすれば、
/ ./ l .f゙'‐.,i', ,! | 二人の主張の違いが、より明確に浮き上がってくるな。
/ .l ゙l \ ! l゙
./ !.ゞ \ .ヽ l゙ ! 「斬られぬ」ことを重視する宗矩、
./ | .`ッ', .,r‐/ ! 「斬る」ことを重視する武蔵、
./ .! ゛ ./;:;:;l |
./ .r .! ゙‐''''} l これは確かに兵法観の違いと言えるな。
.-'´ . l l、 .、 i ..,,、 | l
/ .!', .!、 `―" ! 、 ! …で、違うのはこれだけではあるまい。
! }.l l-二― ......,,.. | | .| そろそろ本題に入ってはどうだ?
.| .l l .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,! ! |
.l │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./ ! |
! !.〈,,, ゙'-..____,,..-'"l゙ /
! /.、 `''-,,. ,..l゙ ./
', .,' `'、 `''" ̄ ̄ .,! /
! .i', ゙'y. .._.. ! /
| ./ ヽ ゙',゙'---ッ'" ! /
| / ..l. ..l, / .l ./
l ,i', l .li′ .! ./
// \ .! ! l ./
〃 ヽ. ! ! :! . /
l′ ヽ| .l | ./
.゛ ! ! /
l′
-
, -───-= 、
{:.:.. ヽ / \
ヽ..:.⌒ヽ、、 ノ / \
`ー⌒ヾ( / ヽ おう。
_.,..::::..ノ.:)i ', .前置きが少し長くなったが、ここからが本番だ。
.:.:::"´....:.:.:.:..:′l 、 l 伝書から読み取れる「兵法観」…即ち、
.i;;;;;:"´ l _ノ'′ `、 |
\\ ,. -‐'fフ i .(● ) "ー-- / 「兵法とは何か」
\\r‐´r‐、 l (● ) / 「何のために兵法を用いるのか」
ノ \\」 .l; j /
i _ _ .) ,'‐' ヽ-‐'"ヽ. ) / という、兵法の意義や目的について、
! `{ ノ:.:. j ` ー-`ー-一'′ /、 宗矩と武蔵の、それぞれの認識と、
| ー ― 、}:.:.:.:.:. ヘヾ \,r'⌒ヽ /ノ.:.\ そこに至った経緯について、話していくとしよう。
l ,.-r /.:.:.:.:.:.:. iヘ (´ `) /.:.:.:.:.:.:.\
/i! 〕〈.:.:.:.:.:.:.: /`i -=- ゝ,__,ノ´/.:.:.:.:.:.:.:.:.:..\
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒.\ _,, まず、「兵法家伝書」「五輪書」では、
| (●) (●) .| l;l
. | (__人__) .| _,_,|,|_, 「兵法とは何か」
| `⌒´ |, ト-=y 丶 「何のために兵法を用いるのか」
. | } ヽ `i, ̄‐^l
. ヽ } ヾ~ ` i, この二点について、それぞれ以下のように述べられている。
ヽ ノ _ ヽ、 ;i,
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i, 【兵法とは何か】
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i .兵法家伝書 : 本来使われない方が良いもの(=不祥の器)だが、
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i, 悪を殺し、人を活かすために必要になるもの
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、 五輪書 : 武士が修めるべきもの
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l 【何のために兵法を用いるのか】
,y`;,,__ ,i /ii' / r-/| l l 兵法家伝書 : 治国平天下のため
_/^,,, ヘ l /iil / l"v' y } l 五輪書 : 戦いに勝ち、名を上げ、身を立てるため
v=4⌒ヽ、 j --,,,if /iii| ,, 〈-ヘ_,、 <、 / i|
ヽ, ,, i、 _,,tv /iiiii ム、 / / ヽ、ヽ、_x--ー‐- 、
__,,,l ii Yi___,lk / }iiiiil ヘ __,,,,,,___/ `x'"^ ,,,,, \
^ ̄⌒ヽ ヘ、 ,ノiiiii|、__,,,y,,_,,,/ ヽ、 ,/ ,,,-‐‐ `',, ヘ,、
,,,_ \ ヽ `>- liiiiiiil ¬">-- ヽ ヽ i i/ _,, / } i
"- ,, } / /iiiiiiil / l l l lK ^~' / |
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【兵法家伝書】
| |兵| . |_| 『弓矢・太刀・長刀、是を兵を云ひ、是を不吉不祥の器也といへり。
| |法| . |_| 其故は、天道は物をいかす道なるに、却而ころす事をとるは、実に不祥の器也』(殺人刀)
| |家| .|_| 『兵法は人をきるとばかりおもふは、ひがごと也。人をきるにはあらず、悪をころす也。
| |伝| .|_| 一人の悪をころして、万人をいかすはかりごと也』(殺人刀)
| |書| .|_| 『乱れたる世には、故なき者多く死する也。乱れたる世を治めむ為に、
|.  ̄ .|_| 殺人刀を用ゐて、已に治まる時は、殺人刀即ち活人剣ならずや』(活人剣)
|________.|_|
└───────
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【五輪書】
| |五| . |_| 『夫兵法といふ事、武家の法なり。将たるものは、とりわき此法をおこなひ、
| |輪| . |_| 卒たるものも、此道を知るべき事也』(地之巻)
| |書| .|_| 『武士の兵法をおこなふ道は、何事においても人にすぐるゝ所を本とし、
|.  ̄ .|_| 或は一身の切合にかち、或は数人の戦に勝ち、
|. .|_| 主君の為、我が身の為、名をあげ身をたてんと思ふ。是、兵法の徳をもつてなり』(地之巻)
|. .|_|
|________.|_|
└───────
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | こうして比較すると、全然違うな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 技法的な面では結構共通する部分があったが、
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| .兵法を用いる際の思想では、ここまで違いが出るか。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____
/ \
/ .ノ ' ヽ、\ (兵法を)使わずに済むならその方がいい、という宗矩と、
/ (●) (●) \ 武士ならば勝つために兵法を修めるべきだ、とする武蔵、
| (__人__) | .なんだってここまで違うんだお?
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
> ・''"´ ̄ ̄ ̄`゙'''<
.,。イ´ `メ、
, イ ゙メ、
,イ ':,
.,イ ―――''" ゙''――――‐ ':, この違いの理由となった事項は色々ある。
,イ ':, それはこれから説明するさ。
. | / ヽ ./ ヽ |
. | .l______l l________l .| …だが、その前に念を押して言うが、今回の話は、
. | .', 夊三ソ / ', 夊三三ソ l ..| 二人の兵法観のどちらが正しいとか、間違っているとか、
. | .ゝ イ ゝ、 / .| そういう話をするつもりは毛頭ない。
. | |
. | ,' ヽ | 創作などで描かれがちな、
. | .l l .l |
. | .ゝ、__人___ノ | ”「活人剣」「政治の剣」の宗矩VS「殺人剣」「実戦の剣」の武蔵”
. | /../ |
. | ./../ | という対立イメージを一旦離れ、
. | /../ | .実際の二人が、どのような兵法観を持ち、
', /../ .ィ彡 ̄ミヽ 彡三ミミヽ .,:' .また、何故その兵法観を持つに至ったかを推論するのが、今回の話だ。
\ ./../ ,ィ彡'⌒ヾ ヾ、 _ ,.イ
.ヽ .ミ三彡' `ー ' ./ その結果、読み手が感じる是非は、個々人が判断する事だから、
>、____________/ この話で、どちらが正しいとか優れているとかいう結論を出すことはない。
/ ,' ', \ そこは了承しておいてくれ。
/ .,' .______、
/ ,' .| .ShortHope | ':,
/ .,' r┴―、________|_',
.,' .: / __∠_ ( ヽ
,' .l 。イ .__) ( ̄
-
/ ̄ ̄\
./ _ノ ヽ、_ \ …てなとこでスマン。
| ( ─)(─ ) | 今日はここまでだ。 ____
| (__人__) │ / \ やっと本題の話に入ったのに、
.| `⌒´ | / _ノ ヽ、_ .\ また途切れて申し訳ないお。
| | / (─) (─) \
ヽ / | (__人__) | 次こそ最後まで進めたいお…。
. __人 _ノ \ `⌒´ ,/
. / ,' ̄'''ー⌒)(⌒ー '''  ̄) ..( ̄ ''' ー⌒) /⌒ー''' ̄ \
./ ヽ、__ー^ -´ ゙ッー゙i ー´ ) ) .( ( `ー /ー〃 ゞ- ^ー__ノ } ) )
. / ヽ ヽ / | | 〃 / i从 / {
./ ミ ヽ ヽ | .| ./ / / / ゞ
..( ( ( ヽ、⌒)⌒ノ ゝ⌒) 乂 (⌒_ノ ) ) )
. ヽ ッ |  ̄  ̄ | ヾ /
. ヒョコ ヒョコ \ | | | | / ヒョコ ヒョコ
.|⌒─ー 人 〉 | /| ー─⌒|
.u ─,,,_/ | | | | \_,,,─ u
| ヽ ノ | __ __¨ ./
 ̄ ̄  ̄ ̄ ._) _) \
-
いいところでおわったー!
乙でした。
-
てなとこで今回はここまでです。
今回もお付き合いありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
また最後まで行けなかったのは残念&恐縮ですが、
最後まで書こうとすると、また朝まで粘った挙句、駄目ーという展開になりそうだったので、
ひとまず現時点で投下できる分だけでも、という塩梅でアリマス。
すみませぬ。
次から始まる宗矩と武蔵の兵法思想の違いについての話は、
あれこれ引用しつつ書いていくことになるので、
また文章量が増えそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。
それではではー。
-
乙でした。
「斬られたら一族が終わる」柳生と、「斬って成り上がらなければ話にならぬ」所からは
スタートした武蔵の差ですかねぇ。
-
戦国の武芸と治世の武芸か
-
お忙しい中、乙でした。
-
乙
-
おつでしたー
-
おつです!
-
「落ち着け、相手を見ろ、拘るな」は現代でもよく見られる基本であり奥義的な物だけど
それが江戸初期に書かれているのが面白い
乙
-
乙でした
-
おつです。
「やっぱ前提として五輪書の解説が要るから、五輪書解説篇をやるよ!」という展開を期待したいところですが……
それにしても、兵法の徳、って言葉がおもしろい。同時代に、「兵法の徳」って言い回しは、一般的だったんだろうか。
武蔵からすれば、殺人刀と活人剣って言葉を使い分ける必要性が、まったく感じられなかったのかな、なんて思う
-
「落ち着け、相手を見ろ、拘るな」と同じような事は格闘家のヒクソングレイシーも言ってたな
-
乙ー
こうして見ると戦いの心構え的なものは江戸時代から変わってないのかって思いますな
-
人間のほうは特に進化してないからなあ。戦闘機その他文明の利器に乗ってれば話は別かもしれんけど
-
今はむしろ、人を殺すことに対する抵抗感をどう取り除くか、
戦争が終わった後、どうやって社会に復帰させるかとか、そっち方面だね
刀法や技のバックボーンとしての心法は銃と集団戦で補える
素人でも銃を持ったら人が殺せるから活人剣系の心法の方が重要
もちろん、SWATの狙撃部隊とか、失敗が許されない技が必要とされてるようなところでは、
技のバックボーンとしての心法が必要とされるんだろうけど、それは少数だと思う
-
どもどもです。
先週はどうにか投下できたので、今週も続けたいところですが、さてはて。
一応本日21時を目標にしつつ、なるたけ今日のうちに投下できたらいいなあと思うところ。
よろしゅうですー。
-
チビチビとでも前に進み続けるなら、それが勝利なんだぜということで待機。
-
この時期は忙しいしな
-
どもどもです。
結局、今回は駄目でした。申し訳なし。
再来週(4/5)は検査のため、更新できないのが確定なので、
来週でなんとか区切りよく終わらせたいところではアリマス。
すみませぬ。
-
投げられたクナイを刀で縦に切り裂くぐらい造作ない連中のことだからな(違)
-
話事態はもういつものバキ、どうせ途中で飽きる、
に尽きるが、
あの武蔵の容貌については、板垣先生スマッシュヒットかましたなあ、
という感じだなあ>バキ武蔵
-
武蔵のあの容貌の元ネタって多分ライオンだよな
堤城平のサメの目をした小男っていう発想もそうだが
強そうなキャラデザインについてのインスピレーションはやっぱり天才だと思うわ
-
乙でした。
兵法が「兵(つまり戦う者=武士)としての法」が武蔵、
「兵を扱う(将としての)法」が宗矩、というように見えますな。
-
どもどもです。
先週失敗して、来週は無理なので、今週でどうにかしたいところ。
目標は毎度のように日曜(3/29)の21時で。
上手いこと投下できたら、ぼちぼちこのスレも埋まるかなーというとこなので、
次の話は次スレからになるかもで砂。
では、よろしゅうですー。
-
前後に二時間をとる光画部時間は世間の常識待ち
-
どもどもです。
光画部時間を遥かにぶっちぎる6時間オーバーですが、
あれこれやった挙句、結局、区切りの悪過ぎるところで歩詰まりしてしまい、
まとまりきらず、今週も、
/\
. ∵ ./ ./|
_, ,_゚ ∴\//
(ノ゚Д゚)ノ |/
/ /
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
この有様です。すいませぬ。
おまけに来週は確定無理なので、次は早くて再来週になり、
尚更に申し訳ない限り。ぬぬぬ。
-
まぁ気楽に待ってる
-
どもどもです。
直前告知と言うか、告知漏れになってしまってすみませぬ。
今、書いてはいるのですが、投下できるほど進むかというと微妙そうなので、
今日も投下無理そうです。
毎度の事とはいえ、すみませぬ…。
-
書き続けられてるのなら楽しみ楽しみ
-
どもどもです。
前の更新から1ヶ月経ってしまったので、明日こそ何とかしたいところ。
ついでにこのスレも程よく埋めて、次の話を次スレで始めたいで砂。
ともあれ、毎度のように明日の21時を目標にしつつ、頑張ってみまする。
ではでは。
-
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
| .(やっと)..再開します |
|_________|
, ノ 、 、 ||
. l(● ●)| ||
. | (_人_) | || - - 、
. ヽ ノつ||/ (● ●)ヽ
■ □ ■ □ ■ □ / ソ ⊂ゝ(_人_) ノ □ ■ □ ■ □ ■ □ ■
|| .| ヽ ヽ
. (| | | |)
.し J ..し J
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
.
-
/ ̄ ̄\
/ ⌒ ⌒ \
| .(●)(●) | さて、兵法の技法的な面では大きな違いはないように見えた二人が、
. | (__人__) | 何故、兵法の運用に際しては、真逆と言っていい考え方になっているのか。
| .`⌒´. | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;) 理由として挙げられる要素は2つあると思う。
. ヽ } /;;/
ヽ ノ .l;;,´ ・ 伝書が書かれた際の「状況」
. / ∩ ノ)━・' ・ 宗矩と武蔵、二人の「経歴」
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 「状況」と「経歴」か。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 確かに、二人を取り巻く状況や経歴は
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 随分違うが、ここまで極端な差が付く程なのか?
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ (( ああ、これだけ違いが出るのも無理はない程度にな。
. -、 .| (● ) (● ) | ノ' まず、「状況」の方から説明をしていこうか。
ヤ ', .| (___人___) .| ,i'
i. l .,.-、 .| ` ⌒ ´ .| .::. 【それぞれの伝書が書かれた際の状況】
.', j / / .| ____/./
ノ_..ヽ-、′,' .', (____././ニ`、 ・兵法家伝書
.l .___ ヽノ. __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` { ⇒ 主君(家光)の求めに応じて執筆。
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _ .記述に際し、沢庵和尚の助言を求めた。
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ ・五輪書
./ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l .⇒ 己の兵法を後世に遺さんとして執筆。
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l .特定の誰か宛てではなく、基本独力。
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '. 主君に求められて書いた宗矩と、
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '. 自分が書きたかったから書いた武蔵、というところか。
| / ネ.π '. } l
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ 一応、「地之巻」では、
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 『今世の中に、兵法の道慥(たしか)にわきまへたるといふ武士なし』
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ } . という記述があるが、老人が
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ / 「わしの若い頃に比べて最近の若い奴は…」と言い出すのは
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´ いつの時代も、どこの地域でもあることだからな。
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧ それも執筆を後押しする一因だったかもしれんが、
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ .根本的には、「自分の兵法を後に遺したい」という欲求が
/// `ー-‐ 7´ムイ: `ヽ ! |ヽ`ハ///`// |/////'> 五輪書執筆の動機だったのだろうな。
____
/ \ あと、五輪書執筆時の武蔵は、あくまで客分だから、
/ ⌒ ⌒ あまり「武士たるものはこうあるべき」みたいな「べき論」は
/ ( ●) (●)' ∫ 表に出しづらい部分もあったんじゃないかお?
| (__人__) | ∬ 丁重に扱われてるとは言え、結局は細川家にとって部外者なんだし。
\ ` ⌒´ .| ̄|
____/ ー‐ '-|_|) その辺で言うと、形見分けの時、五輪書の草稿を、
| | / / __/ 藩の世話役の寺尾求馬助じゃなくて、寺尾孫之允に渡したのも、
| | / / | .孫之允が牢人だったから、という見方ができるかもしれないお。
| | (  ̄ ̄ ̄⌒ヽ
-
__
/ ヽ
/ __,.ノ 、
| ( ●)( 宗矩にしても、
| (__ノ`, 自身の兵法思想を後世に遺したい、という欲求があったのは、
| ン′ 家伝書の記述(※1)を見ても間違いないんだが、
_ノ `、 7 この時期に書いた理由としては、
,イ:. ヽ、<ヽ,、___ ノ やはり、「主君に求められたから」というのが大きいわな。
,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7
/..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: く'、 まあ、将軍家の兵法指南役なんだから、当たり前だが。
. { :::::::::::::::::::::.ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. 、_
'| ::::::::::::::::::::::..`、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::..`ヽ
'| ::::::::::::::::::::::::::::i_::::::::::::::::::::::::::::::::::::.ヽ::ゝ ※1:「殺人刀」
ト、:::/ / ̄`` ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!:::::::.ヽ 『今此三巻にしるすは、家を出でざる書也。
`,ヘ ´:::::::::::::::::. ハ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::_,rー'、 しかあれど、道は秘するにあらず。
}:,∨ :::::::::::::::::: ト、:::::::::::::::::::::::::>< ̄\::..\ 秘するは、しらせむが為也。
. }:::∨::::::::::::::::、-''゙~ ̄ ̄ ̄ ̄:::::::::...\ ム:::::ヽ .しらせざれば、書なきに同じ。子孫よく之を思へ』
_,,..-―‐-..,,_
,,-''" `ヽ、
/ l| \
/ U .ヽ あの時の家光の催促の手紙(※2)は、
,' l ヽ ほとんど脅迫に近い内容だったし、
l ____l ヽ-―‐tイ''"´ ',‐-、 .あそこで家伝書にある兵法を説かなかったら、
,-''"| `′ `′ .〃 .lヽ .'., 柳生家がどうなるか分かったもんじゃないから、しょうがないお…。
| l'´.', ≡≡/ ヽ≡≡彡 ,' ヽヽ_
/ | .'., ( .,、 ) / ./ ヽ、 実際、青山忠俊みたいに、家光の勘気を蒙って
/ \ ヽ、 ` ̄ ´ `  ̄´ / / _,,..-' 改易食らった人間もいるんだし。
{ `''-‐"ヽ-..,,__ __./ ̄ ̄´ .,,..イ ∨
/.T ‐-..__ _.ヽ ̄ ̄ ̄/,..-――‐'" / ∨
※2:寛永六年〜九年頃のものと見られる家光からの書状(以下、抜粋)
『此うへにても、へいほう申しあけぬについてはたしましんしうのとほり、やうにもたつましきと思ひ候。
是程兵法しうしんの所を但馬よくしり、其上にてもなりしだいとおもはば、
いままでのねんごろも水になるとおもふべし。此一ツ書之通をゑとくし、ためを思ひ、
しんしつにへいほう、ねんを入申あくるにおいては、たじま儀はゆふにおよばづ、
左門其ほかの子供まて但馬はてたるのちにも、しょさいすべからず』
(訳)『これを読んだ上で、まだ兵法をちゃんと教えないのなら、お前は役立たずである。
これほど熱心に稽古している余のことを知った上で、なお今まで通りにするなら、
今まで大切にしてやったことは全てなかったことになると思え。
しかし、この書にある余の思いを知り、真実に心を込めて兵法を教えてくれるなら、
お前は言うに及ばず、左門や他の子供も、お前が死んだ後も大切にしてやるぞ』
※この家光の手紙は長いので全文は以下参照
【やる夫で学ぶ柳生一族 その27(解説)】
http://tagenmatome.blogspot.jp/2009/10/27_11.html
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | さっきの話、別の言い方をすれば、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 伝書を書く際の「状況」について、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ ・ 人間関係や家の事などを気にする必要があった宗矩
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\. ・ そういうものをほぼ気にする必要が無かった武蔵
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 こういう分け方もできる訳だな。
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \ そうだな。
(●).(● ) |. そして、だからこそ家伝書には、内容とは別に、
(__人___) .| 「それを書くことによって起こる影響」という要素もあるんだ。
'、 |
| | これは、「後世への影響」などの類ではなく、
,. -ーー| /レ、 .より直接的な「宗矩が家伝書を書いた目的」というものだな。
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._ .具体的に挙げると、この辺りになる。
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ 【宗矩が兵法家伝書を書いた目的】
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ 1 : 柳生家/江戸柳生系新陰流の安泰・発展
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j 2 : 沢庵和尚の推挙
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: / .3 : 家光の教化
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: /
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: / 無論、 前提として、「自分の兵法を後世に遺す」という目的もある訳だが、
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: / わざわざ伝書としてこの時期に書く目的となると、こうなるな。
____
/ \
/ ─ ─\ その辺りは、正式な意味で主家を持たず、
/ (●) (●) \ 「客分」「隠居」といった立ち位置で組織に接した武蔵にはない要素だおね。
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ / ぶっちゃけ、仮に五輪書が完成しなかったとしても、
( \ / _ノ | | .それで誰かが困るような事はなかっただろうし。
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
/ ̄ ̄ \ (
/ _,.ノ `⌒ ノノ まあな。
| ( =)(=)(,ヽ、 (( で、今挙げた3つの項目のうち、
.| U (___人__) ,r__i____ ノ 「1:柳生家/江戸柳生系新陰流の安泰・発展」については、そのままだな。
| √丶丶丶┬─'"
| | ) j 家光は自分の兵法の腕が上がらないことにかなり焦れていたし、
.人、 ヽ´ / この頃だと、十兵衛の謹慎もまだ続いていた。
_,/::ヽ、.,ヽ., __ ( r .そこに、あんな手紙が出されたとあっては、そりゃ対処はいるだろう。
_, 、 -― ''"::::::::::::\::::::ー-- く / ⌒ヽニ-、 宗矩はここで家光を説き伏せ、納得させる必要があった。
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/....., ̄ v,;,ヽ
丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;( ;;;;:::::::::::... ',;;;;| …まあ、結果を見れば大成功だった訳だが、
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ :;;;;;;:::::::::.. ',;;i 書いてた当時の宗矩からすれば、冷や冷やものだっただろうな。
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::!;;;;;;;;;;::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | もし家光の納得が得られず、勘気を蒙ることがあれば、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 下手すれば家は改易、流派も大打撃を受ける可能性があっただろうからな。
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| そりゃそうだろう。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ 栄光と破滅、どちらに転ぶかの瀬戸際だった訳だ。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ まったくだ。
| ( ●)(●) そして、次の目的である「2:沢庵和尚の推挙」については、
. | .(__人__) 若干、>>1の推測が混じる話ではあるが、
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) 『家伝書に沢庵の教えを引用したのは、
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) .家光に沢庵の存在をアピールする為』
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/ という面があったんじゃないかと思うんだ。
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
_____
/ ― \ アピール、かお?
/ノ ( ●) \ 徳川実紀にも宗矩が兵法上達にかこつけて、
. | ( ●) ⌒) | .家光に沢庵和尚の赦免を訴えた話(※)があるけど、
. | (__ノ ̄ / .あれとはまた別なのかお?
. | /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
※ 「徳川実紀」正保3年5月28日
『宗矩いまは聞えべき法はみなつきぬ。この上は御心にてをのづからその妙をば得させ給ふべし。
ただし宗矩若かりしとき禅僧にちなみ、悟道の要旨を聞いて頓に道にすすみたりと覚えし事の候ひしと申しければ、
さらば其の僧めせとて仰せられしに、済家の一派宗峰の遠孫沢庵宗彭を薦挙したり』
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ ヽ_
| (●)(●) その逸話と今回の話の根っ子は一緒だよ。
. | (__人__) 宗矩は、家光の相談役として、沢庵和尚の推挙を考えていたと思われる訳だが、
| `⌒´ノ ) ;;;;) そのためには、まず家光に、和尚への興味を持ってもらう必要があった。
. | } .) ;;;;)
. ヽ } /;;/ だから、兵法にかこつけて、
ヽ ノ .l;;,´ 家光に和尚の存在をアピールした訳で、
. / ∩ ノ)━・' それが逸話という形で出たのが、実紀の記述であり、
( \ /|_ノ ヽ .伝書として出ているのが、家伝書での記述ということだな。
. \ "" /_ノ |
\ /___/
r‐ 、
iゝ::j __
Y⌒ヽ \ ., ≦´ :ミ¨¨ミ::.、
八 __ .>--‐==ミ ;.
i⌒V::::〉 .ィ--‐‐ ' ,x: __;j≦: : 、 :.
.八. `Y-‐=< / // `ヽ:ハ 家伝書での記述だと、この辺りか。
( __`¨´乙::ノ イ ;イ ;/ 、 殺 i |
ト`^ ´て^リ 彡' ' /ヾ≧.、 L.k.| | 『法の師の示しをうけて爰に記す者也』(殺人刀)
|::::ー-==イ|-‐ー=彡′ ; ,ハ、  ̄.´ f ̄ 从| 『さる智識の示されける、兵法におもひあて、爰に記し置く者也』(活人剣)
|:::::::::::::::::八__三_ ;彡'//∧ .、_ノ , j′ |
l:::::::::::::::::::::::⌒ヽ ` ≪///∧ .ニニ ./ : :.リ 確かに、『不動智神妙録』とも共通する箇所について、
∧:::::::::::::::::::::::::::::::\ \しヘヽ、.......ィ′.: ′ 自身の独創ではなく、師僧による教示があったことを明示しているな。
';:::::::::::::::::::::::::::::::::::\ ヽ. てt`¨: : :/ 、--‐‐===‐<
゙ 、:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ i:\ 彡イ///,ハ ⌒ヽ、 ヽ だが、個人名を避ける記述をしているのは何故だ?
\:::::::::::::::::::::::::::::::: >r'':::::::::.. `ヽ/ソ''"¨´ .\ ..',
/ ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::| 弋:::::::. ';::.. `ヽ ',\ ',
/ ∧:::::::::::::::::::::::::ノ `ヾj 弋:::. ', '、:::\}
, ´ / ∧:::::::::::::::::,. く 、 `ヽ: i ∨:::'
.///,∧‐--‐ ' .\ ';\ `::. | .i'.
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ ((
-、 .| (● ) (● ) | ノ' そいつは、当時、和尚が赦免された直後だったことへの配慮と、
ヤ ', | (___人___) .| ,i' 家光にアピールする上でのテクニックが半々ってところだと思う。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::.
', j / / .| ____/./ 赦免されたとはいえ、まだそれほど日も経ってないから、
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 直接名を挙げると、「幕府に歯向かった者を推挙するとは何事!」と
. l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` { .崇伝辺りから批判される危険もあり得ただろうし、
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _ 同時に、個人名をわざとぼかす事で、家光の興味を引く、という
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\ テクニックとしても使った、というところだな。
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
___
/ \ ああ、個人名をわざとぼかすことで、
/ ─ ─ \
/ (●)(●) \ 「但馬。この”法の師”とは何者だ?」
| (__人__) |
>  ̄` < と家光の方から尋ねさせて、
/ ー‐ \ 直接和尚の事を言上できるようにした訳かお。
/ 、 ,.-―、 |
| | / 、 ヽ | | これなら、そのまま名前を挙げるより家光の意識に残りやすいし、
,ヽ. / 人 !i l |..、-―´⌒. | 批判に対しても、「上様からのお尋ねであった故…」と
_____|_\ /_|::rYロ::| ___/___ .言い訳も立つって訳だおね。
`ー´ .|::`^゙´:|
 ̄ ̄ …この辺りのやり方は流石だお。
⊂ニ⊃
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ある意味、会話における兵法の応用だな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 誘いをかけて、家光に太刀(問い)を出させ、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| そこを越して、打つ(自分の言いたいことを話す)訳だ。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ 結果、宗矩の目論見通り、沢庵が家光の師僧となったことまで踏まえると、
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | .家伝書で説いた内容の実践とも言えるな。
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ ノ ヽ /\'ー、 ,, ..,、 そして、「3 : 家光の教化」だが…こいつはちとややこしい。
| ( ●)( / .\` 、 . // /
. | (__人/ \ヽ、,.// ../ 家伝書(の兵法)を家光に示す事で、
| ` / ``77 /
. ヽ / / / / ”「大将(に相応しい兵法)とはこういうものだ」と家光に教示する”
ヽ.. / fヽ、/ / , -,./
/./ r-、 ヽ ∨,ノ / というのが家伝書を書いた目的のひとつだった、という話で、
|. \ 〈\.\,〉 `, f .これ自体は、そもそも家伝書が家光に向けたものであることを踏まえれば、
| . \ (ヽ ヽ `.. | 当然の話なんだが、「では、どの程度影響があったか?」となると、
| .\ \ ノ .幅が広がり過ぎるから、なんとも言いづらいんだな。
_____ ━┓
/ ― \ ┏┛
/ノ ( ●) \ ・ どういうことだお?
. | ( ●) ⌒) | 実際、家光は家伝書で示された兵法で
. | (__ノ ̄ / .納得した訳だから、それでいいんじゃないかお?
. | /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ _ノ ヽ\ ) ;;;;) まあ、そりゃそうだが、
| ( ─) (─)/;;/ それだと「1」だけ挙げれば事足りるからな。
. | (__人__) l;;,
| ∩ ノ)━・' ここでわざわざ分けたのは、
. | / ノ´ } 「柳生家と自流派を守るだけではなく、将軍としての家光を教え導く」
. ヽ / / } という目的があったんじゃないか、という話なんだよ。
ヽ/ / ノ
/ ヽ
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ふむ…その論拠はなんだ?
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 理由も無しに思いついた訳ではあるまい。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒ ああ。
| (● )(●) ノ' 家伝書は、その前提となる序盤に、
| (___人__) rニi ,i'
| ` ⌒´ノ .| レ..;::. ・こういうことは誤りであるからいけない
| |_,-‐、l// ・こういうことにならぬよう気をつけるべきである
人、 厂丶,丶, v´j
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ という「否定」の文言から入る話が目立つ。
_, 、 -― ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 そもそも最初から「兵は不祥の器なり」と入るくらいだしな。
/:::::::::::::、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ;;:::::: )
丿::::::::::::::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;:::| …で、これなんだが、家伝書の文中で否定している事項は、
i ;;::::::::::::::::::|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;〈 ;;;;:::::::::::... ',;;i 「宗矩から見た”家光が”改めるべき点/注意するべき点」
/ ;;;;:::::::::::::::::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\::::;;;;;;;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ', だったのではないか、と思うんだ。
. / ̄ ̄ ̄\ 言われてみると、該当する話は、
. /─ ─ \ 家光個人に限定される話が多いような…。
/ (●) (●) ヽ
| (__人__) u. | 『刀二つにてつかふ兵法は、負くるも一人、勝つも一人のみ也。
\ `⌒ ´ __,/ 是はいとちいさき兵法也』(殺人刀)
. / \
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄Y ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| あたりは有名だけど、その後での文章の方が、
(,,) | (,,) より家光個人に宛てた内容(※)だお。
| | |
※【「殺人刀」より】
『受領・国司・代官・地頭の、私ありて、下のなやみとなる事、尤も亡国の端也。
此機をよく見て、彼受領・国司・代官・地頭の私に、国を滅ぼされぬ謀、
是立相の兵法に手字種利剣の有無を見るがごとし』
『君の左右に佞人ありて、上にむかふ時は道ある風情をなし、下をみる時は目をいからかす。
此人に手をつかねざれば、よき事をあしきに申しなし、罪なき者はくるしみ、罪ある者は却而ほこる。
此機を見る事、手字種利剣よりも大切也』
『ちかく左右につかふまつる者も、君の臣也、とをくつかふる者も、同じく君の臣也。
親疎くばくぞや。君の御為には、手のごとく足のごとし。足とをしとて手にことならんや。
(略) とおきもめぐみの外ならぬ様にあらまほし。是よく機を見るにあれば、即ち兵法也』
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 思い出して欲しいが、
| (__人__) この家伝書が書かれた寛永九年という年は、大御所・秀忠が亡くなり、
| `⌒´ノ 将軍家光による専制が始まる時期だった。
| }
ヽ } ( そして、当時の家光の在り方と、今後の統治に対し、
_ヽ ノ`ヽ、_ ) 宗矩なりに危惧した結果、伝書という形で、
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 家光に諫言したのではないか、という訳だな。
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) だからこそ、この時期に伝書を出した理由(目的)の一つに
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁 .挙げられるのではないか、という話に繋がるんだ。
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
___
∠三 / 三`ヽ
/三三 | 三三 ヘ ふむ…。
/ ,''"´ ̄ ̄`ヽ`l ヘ .言われてみれば、直接的ではないにせよ、
/ ,' ! ヘ 家光への諫言と読める部分もあるか。
,′l∨_ 殺 _ ∨i !ヘ
∧ |ヾ ・ゝ ハ∠・丿|| | ヘ しかし、これを諫言と見ることができるにせよ、
_,.-‐─‐-气 / |ィ  ̄ | ィ|| ! ヾ\ それを家光がどう受け止めたか、という問題もあろう。
/::::::::::::::::::::::::::::::弋l| ∧ | //| |ヾヾ\ .それについては、どうだ?
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |/| | .ト──イ |//| |ヾハ-‐二ニニニ弋
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| l | ヽ  ̄ ./l/ | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
``-圦::::::::::::::::::::::::| | | / >―< | .! |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ
/ 介ー==∠| |√≡≡≡≡≡≡ ll | \二二二二二二二>
/ / l |!  ̄‐‐- 乂 -‐‐ l |l ヽヾ |
| .| | | \ \ | l | | !
-
_ ______
l i / \ そうだな。
l l_./ _,ノ ヽ、,_\ .これを諫言としてみた場合、
l/ ニヽ( ●) ( ●) .| 家光がどのような返答を返したか、それについては不明だし、
l / y 「'i___人___) | 家光の以後の行動に具体的にどう影響したかは、
l <、.l | あまりに他の要因が多過ぎるので明確には言えないが…
', ',/ |
j ノ ,/'|、 『吾天下統御の道は宗矩に学びたり』
_∠⌒ヽ j 'i, __ , __ ィ/::L___
/ ...::::::::::ヽVヽ::::::::::::::::::::::::::/:::..´''' 、、、 _ という実紀の一文を見るに、
/ ...:::::::::::::::::::: 〉::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... i::..\ 宗矩の言が、統治者としての家光の思想に、
/ .:::::::::::::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: l::::::: l .影響を与えていた事自体は確かと見ていいだろうさ。
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', つまり、宗矩が家伝書を書いた目的と考えられる
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 1 : 柳生家/江戸柳生系新陰流の安泰・発展
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 2 : 沢庵和尚の推挙
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ 3 : 家光の教化
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | これらは全て達成できた、という訳か。
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 「後世に自分の兵法を遺す」については、言わずもがなだしな。
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、 大したものだ。
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____
/ \
/ ─ ─\ …大した話なのはいいけど、
/ ‐=・=‐ ‐=・= \ 話が伸び過ぎて、もう家伝書解説篇の追記みたいになってきたお。
| u. (__人__) | そろそろ、話を戻さねーかお?
\ `⌒´ ,/
.ノ \
-
/ ̄ ̄\
, __ノ ヽ、,_ \. あー…確かに、ちょっと話が脇に逸れちまったかもな。
/(⌒)(⌒ ) .| でも、一応、ここから繋がるんだぜ?
/ (__人___) .u |
. /`ヽ、 _|` ⌒´ | 今、話した通り、宗矩の『兵法家伝書』は
/:::::::::::\r´| | 基本、「将軍・徳川家光」に対して宛てられた伝書だ。
/::::::::::::::::::::> ヽ イ 必然的に、そこで説かれる兵法は「大将(統治者)が修めるべき兵法」になる。
/::::::::::::::::/-__「ヽー'ーー"/7一 -..、
./::::::::::::::::/::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.、::ヽ これに対し、武蔵が『五輪書』で語りかけている相手は、
/:::::::::::::::::l:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: ヽ:::::、 「不特定多数の武士」…もう少し絞って言えば「実際に戦場で戦う武士」だ。
./:::::::::::::::::::iヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::| だから、そこで説かれる兵法は「戦場働きをする武士の兵法」となる。
':::::::::::::::::::::l:::::::、::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i:::::|
\::::::::::::::/::::_,,-ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::!::: | 二人の兵法の運用についての違いは、ここに起因する訳だ。
.ヽ∠-''" ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::|
`:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: |:::::!
!:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::|:::::!
____
/_ノ ヽ\ 並べると、こういうことかお。
/ ( ●) (●)、
/::::::::⌒(__人__)⌒\ 【それぞれの伝書(兵法)が想定した相手】
| |r┬-| | ・ 兵法家伝書 : 大将(徳川家光)
\ `ー'´ / ・ 五輪書 .: 不特定多数の武士
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ / …家伝書がニッチなんてレベルじゃねー有様で草生やすしかねーおw
\_,,ノ |、_ノ
___
∠三 / 三`ヽ
/三三 | 三三 ヘ
/ ,''"´ ̄ ̄`ヽ`l ヘ
/ ,' ! ヘ …むしろ、内容が合致する方がおかしいだろう。
,′l∨_ 殺 _ ∨i !ヘ これは。
∧ |ヾ -ゝ ハ∠-丿|| | ヘ
_,.-‐─‐-气 / |ィ  ̄ | ィ|| ! ヾ\
/::::::::::::::::::::::::::::::弋l| ∧ | //| |ヾヾ\
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |/| | .ト──イ |//| |ヾハ-‐二ニニニ弋
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| l | ヽ  ̄ /l/ | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
``-圦::::::::::::::::::::::::| | | / >―< | .! |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ
/ 介ー==∠| |√≡≡≡≡≡≡ ll | \二二二二二二二>
/ / l |!  ̄‐‐- 乂 -‐‐ l |l ヽヾ |
| .| | | \ \ | l | | !
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ ((
-、 .| (● ) (● ) | ノ' この時点で全然違う内容になるのも無理はない訳だが、
ヤ ', | (___人___) .| ,i' 実はもう一つ、大きな違いがある。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::.
', j / / .| ____/./ それは、「太平の世」と「戦乱の世」、
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 どちらを兵法を説く上で基準としているか、ということだ。
. l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` {
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
___
/ \ その辺りは、読めば一目瞭然だお。
/ ─ ─ \ 家伝書は「太平の世」を、五輪書は「戦乱の世」を基準にしてるお。
/ (●) (●) \ .
.| (__人__) | __ 【それぞれの伝書が基準とする世界】
\ ` ⌒/ ̄ ̄⌒/⌒ / ・ 兵法家伝書 : 太平の世
(⌒ / / / .・ 五輪書 : 戦乱の世
i\ \ ,(つ / ⊂)
| \ y(つ__./,__⊆)
| ヽ_ノ |
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 家伝書が、『兵は不祥の器也』と説くのも、
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 「兵を用いずとも治まっている天下」があるのが前提だからな。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | .だからこそ、『天下を乱す”悪”を殺すことで「殺人刀」が「活人剣」となる』という
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| .理屈が成り立つ訳だ。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ それに対し、五輪書は
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | 『一身の切合にかち、或は数人の戦に勝ち、
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 主君の為、我が身の為、名をあげ身をたてん』と説く通り、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、 戦いが発生し、そこで活用することを前提にしているな。
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) そうだな。
| (__人__) ただ、軸をどちらに置いているにせよ、どちらも
| `⌒´ノ もう片方の(家伝書なら戦乱の、五輪書なら太平の)世の中を
| } 無視している訳じゃないことは覚えておいてくれ。
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) 実際、五輪書は、
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( 『今世の中に、兵法の道慥にわきまへたるといふ武士なし』と
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) 今が戦のない時代であることを踏まえて書いている訳だしな。
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | ふむ…この違いは、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | やはり、宗矩と武蔵の立場の違いに起因するのか?
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄ \ (
/ ⌒´ ⌒ ノノ そりゃそうだ。
| ( ●)(●)(,ヽ、 (( 片や、その太平の世を統治する幕府の一員である宗矩、
.| (___人__) r__i____ ノ 片や、一兵法者という立場を維持し続けた武蔵、
| √丶丶丶┬─'"' 同じ視点で物を書け、という方が無理な話だ。
| | ) j
.人、 ヽ´ ,/ 「立場の違い」
_,/::ヽ、.,ヽ., __ ( r
_, 、 -一 ''"::::::::::::\::::::::ー-- r / ⌒ヽニ- 、. .これも宗矩と武蔵、二人が伝書を書いた際の「状況」の違いだな。
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/....., ̄ v,;,ヽ …だが、同時にこれは、二人の「経歴」の違い故とも言える。
丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;( ;;;;:::::::::::... ',;;;;|
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ :;;;;;;:::::::::.. ',;;i
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '.
| / ネ.π '. } l …ほう。
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ } .
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ /
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
____
/ \
/ ─ ─\ 経歴というと、二人の出身とか、
/ (●) (●) \ どこに仕えたとか、そういう話かお?
| (__人__) |
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| (● )(ー) それもあるが、それだけじゃないな。
. | (__人__) 言ってみれば、二人の「人生」の違いってやつだ。
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) 「状況」が、伝書を書いた時点での話だとすれば、
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;) 「経歴」は、そこに至るまでの人生の話になる。
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/ これを全部語ろうとすると洒落にならないから、
/ / \ .l;;,´ 要点をまとめて挙げていくぞ。
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
____
/ \
/ ─ ─ \ .当たり前だお。
/ -=・=- -=・=- \ フルでやったら、いつ終わるか分かったもんじゃねーお。
| (__人__) U |
\ .`⌒´ /
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 夢 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、-ゝ イ-ノ| | そもそも本編で十分書いてるだろうが。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | ほれ、さっさとその要点を挙げるがいい。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ 「おう」
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄.∧
| で、ここでまた止まるのかお… .(__;)
乂______________ノ
γ. ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
l すまぬ…すまぬ… |
ヽ_________,ノ / Τ ̄`ヽ
,.・ ’ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄”¨ ・ . / /゙Υ ̄ .i
`¨¨}__ ̄ ̄_( ̄ ̄ ̄) ̄ ̄_{¨¨¨¨´ .ノ 、 、 / / | ̄ .|
i |/,「 ̄V∧ .l/l ̄`V∧ - -、 巡-巡}-l / / .|____ |
| 㨨 ・, ,|/,|___V∧________|/| V∧. (- -)ヽ (人__) |― 、 / / | ̄ .|
| | .ト、/ ̄ ̄└┘ V∧ ̄ ̄|/| ̄`ーV∧ (人__) ノ┌┐ヽ ノ≧_\__ / / .|____ |
| | .||~|| || !‐┐________lV∧____,|/|________V∧ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄´ .i ̄二ニ=ーイ / l ̄ |
_|_/゙| .||l!|| || ! ̄ | V∧ |'!. V∧ ̄ ̄ ̄ ̄i ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |______________j____!_ { |
|__} |--‐|l‐-― | | V∧ |/| V∧ .l .| ̄ ̄ ̄,.…─=ニ ̄ ̄ ̄! ̄ ノ
| ヽ| .||l!|| || ! | ..V∧_|/| ニニニニミ V∧、 .l .| ¨¨¨¨¨¨_ _二ニ=‐´
| | .||、||_||__| |'´ V∧|/| .V∧` . ! _l二ニ=― `辷厂≡ミ
| | 八廴______!____|ー|..∨∧|……… .. .V∧ ` .! _二ニ=‐ ¨ ̄ {{(o)}}
| 乂__ .’  ̄ ̄ ̄|´ | ̄  ̄ /Τ ̄` ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ゙̄ヽ∧______厂 ゞ=″
| l___!__/ (´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`)____}
.. !  ̄} ̄ ̄{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ __ __¨ ./
Τ ̄Τ ._) _) \
-
てなとこで今回は終了です。
本日もお付き合いありがとうございます&お疲れ様でした>ALL
今回、家伝書の話になったところで、えらく伸びてしまい、
あれこれひねくった結果、どうにか今の形に収めて、どうにか投下となりました。
実を言えば、前の解説篇(外伝その3)を書いた後、
「上山にいる和尚から宗矩に宛てた書状」がヤフオクで出品されたのを発見し、
もう画像は消えてますが、うっすら読める文章を読んだ限り、
「やくそくの」と読めるような一文があったので、
寛永九年以前から宗矩から和尚に不動智の執筆依頼があったんじゃないのかとか、
そうすると、不動智神妙録→兵法家伝書の流れは、
当初から宗矩の計画通りという推測の裏付けにもなるかなーというとこで、
その辺であれこれ書いてたら、思いっきり話が脱線してしまい、伸びに伸びた挙句、
「よく考えたら、あんまり家伝書と五輪書の比較には関係ないな」と思い至り、
その辺をガッツリ削ったという塩梅であり、お恥ずかしや。
なお、件の出品はこれで、当方も気になったのですが、
流石に落札価格が40万オーバーでは手が出ないなーというとこで断念しました。
ううむぬ。
【江戸期 『 沢庵宗彭 書簡(柳生宗矩宛) 』 古筆家鑑定 古文書】
http://aucview.aucfan.com/yahoo/k178402519/
寛永九年五月のものと思われるので、
赦免が成立し、江戸に向けて出立する前の手紙のようで砂。
ああ、気になる。
さて、余談が長くなりましたが、
次は宗矩と武蔵の「経歴」の比較をし、どの辺りが二人の兵法観の違いに繋がるのか、
そして、違う部分について、更に追記した上で、まとめていこうかと思うところ。
できればこのスレで、区切りよく終わらせたいところなのですが…。
それではではー。
-
乙
-
おっつおつ。
何だかんだで武蔵って、凄く気楽に人生送ってたんじゃなかろうかw
幕府の中枢近くでお家を背負って綱渡りしてたムネリンに比べると、凄く幸せな人生だなあと思ってしまうw
-
乙
武蔵が気楽だったとは思わないなあ
公務員とくらべて民間は〜みたいな話だしそれは
-
乙
-
乙
気楽とまでは言わないが、自分やごく身近な者の事だけ考えてればいい
いわば自由業の身と、将軍家に対しては家臣だけど江戸柳生に関しては長
つまり上下双方に加えて同輩にまで気を配らなければならない立場では
やはり責任の重さや神経の使い方が全然違うと思うよ
-
>>925
違う、というのならそのとおりだと思いますが、どちらかが上だ下だというのは違うだろう、と言っているのですが
-
どっちが上かは価値観の問題だが、どっちをやりたいかといわれたらどっちもやだなあw
-
乙
正直家光には仕えたくないでござるw
-
なんでそんなに慇懃無礼な喧嘩腰でつっかかってくるんだろう
言っちゃなんだが何百年も前のお話なのに
-
ID:El7X/JYw0は宮本伊織、はっきりわかんだね
-
乙
花の慶次の
一見悩みそうもない生き物こそ、深く悩むものだと(ry
みたいなもんかもねー>武蔵
-
<お茶ーっ!>
-
一時期の「天下一の剣を持ちながら、天下一の剣の指南として遇されず、
無念とともに九州のへき地で死亡した宮本武蔵」像からは、
最近ちょっと違う感じになりつつはあるのかね>武蔵の後半生
細川藩からある程度扶持をもらって、伊織とかある程度の伝手もあって、
経済的には十分な中、
心静かに探究の人生を終えたとかそんな感じで。
-
一時期というか、魔界転生の頃には既にそんなイメージだったわけだしなあ。
ヘタすると戦後はほとんどそうだったんじゃね?
吉川武蔵は巌流島で終わってるから、その後の不遇?の日々に関してはノータッチだし。
-
内容忘れたが、「それからの武蔵」っていう小説がある。たしか作者も別だけど
-
あんまり出来の良くない活劇だね「それからの武蔵」
松山主水出たりするけど、基本ヒロインは酷い目に遭う
ただ、マイナーなんでイメージの形成にはあまり役に立ってないと思う
基本的にイメージは膾炙したフィクションに左右されるからねえ
吉岡流が染物やってたとか殆ど知られてないだろうし
-
薬だか医者だか副業にしてた流派はどこだっけ?
-
ホスピタル騎士団だな
-
剣豪と薬というと、土方の実家が石田散薬売ってたことくらいしか知らない
-
浪人の山田浅衛門は薬を売ってたが
-
どもどもです。
先週はどうにか更新できたので、今週もうどうにかできたらいいなあと思うところ。
明日投下できたなら、いつも通り21時を目指しつつ、頑張る所存ー。
次こそ完結させたいです喃…。
>>937
剣士と医者と言えば、念流の友松偽庵が目医者だったりしますが、
流派でとなると、剣術よりも柔術の方になるかもですね。
医術とまでは言いませんが、楊心流の活法とか割と知られてますし。
-
どもどもです。
どうにも上手くいかないので、今日も断念で。
すみませぬ。
ただ、来週はGWであるので、おそらくなんとかなると思うので、
5/2〜5/6のどこかのタイミングに、書き上げられた時点で
告知&投下という形でさせて頂きまする。
ではー。
-
<お茶ーっ!>
-
どもどもです。
結局、GW中で仕上がらず、投下が遅れてしまい、申し訳ないです。
ただ、一応通しで書けたので、この後、手直しがサクサク済めば、
明日の21時に投下できるかなと。
駄目でも、明日中でどうにか投下する所存。
大体全部投下したら、スレがちょうど埋まるくらいなので、
投下が済んだら、次スレ立てまする。
それではではー。
-
うーす
-
どもどもです。
21時ちょうど投下のつもりでしたが、
先に次スレを立てておこうと思いますので、少々お待ちをば。
(NGワード規制で2レス目が弾かれまくってるので…)
そっちが済み次第、投下します。
-
お待たせしました。
では、投下します。
-
_.. -ー'''''''―-..,,,
/゛ `゙''ー ..,,,,,,__、 \ \、_ハノ
,i'゙,,....,,,、 ,,,,.....,,..二T" ヽ\).',..、
i./ `''、 `'';;;;;;i、 /
,!l 殺> i'i|.゙l , `'- ヽ,) さあ、続きだ!
l:|.`.゛ ./´゙7i}゙'、 ) )
!l,,_ l / '´ ...} /`ヽ 今回こそ、
.',_/ / ! /..l_) KANKETSUせよ!!
l ._i、 ,、ヽ !;:;:;ヽ / .l,) KANKETSUせよ!!
l. i-'" ゙',/ l;:;:;:;:;\ _,,,,.............../ ! /-、
リ',、 .l゙''、|;:;:;:;:;,ノ゙ / .,.‐', l .,ソ/ヘ '"
'!|.l. / .゛', ;;l" / ., / l, .', // //7/ヘ /l ト、 |\
_,.l,', ;;,'-'./ ゙./ _,,,/ ! ..l ,ゞ゛ ___,/ _____V__ | l ヽ|
,./ '" ゙''" / , ''"'''"| / .l l .l./
i'" ./ ./ / ., '~', .l ! / ;',
_..-'"゙゙フ'./ / ,/ ./', .', .l /;:;:;:;:;:|
/゛ イ゛,/./ ,/ ,,-', .l .', _ '";:;:;:;:;:;:;:;:;| .、 ,
, ',゛i!〃゛ / ., ''.l ', .l ,,ミ'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:',゙''-、、 ゙',ゝ、,.l,
,..┴-iフ" ./ ._‐{ . ! ', ._ノ'l丶;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;| `''' !./ -',、`′
/ / .// l ', .,ゞ゛ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: ! . ゙'- `'
/ . / .,,/゙l゙ .! .l ._ソ" .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;: !
/ ., ''l'7 ! ヽ,,,,','"| ',;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:}
./ .,-{..,i,' | ′ .l_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;!
: '.l.,,i'゙.l |i./ .ヽ .',,'',、 .l;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
..ィ ! ', ',`'、. _,,,',. ゙リ..,,,_ !;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:l
', l l..,ノ'´ `'-、 .,,...../ ゙'イ;:;:;:;:; ゙゙̄''゙‐' ..、;:;:;:;:;:;:;:;!
.l .!/ `'-,, \,ノ゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:!
.,','----.... ......,,,,,_、 `'く、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;.!
. ゛―----........,,,,_、 .`゙''''ー-ミ;;ッ、,;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:.!
------ ....,,__ .`゙"'― ..,,、.゙/゙'''-、、;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;l゙
ー''''''''''''―-..,,_ ゙゙゙̄"'''ー ,,, ./゛ `''ー ..,,,_;:;: /
`゙'''‐ ~
-
γ【やらない夫】 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| さて、二人の「経歴」を、 .|
| 簡単にまとめるとこうなる。 |
乂____________.ノ
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
| ( ●)(●) 【柳生宗矩の経歴】
| (__人__) . ・大和国の土豪・柳生宗厳(石舟斎)の五男として誕生。
| ` ⌒´ノ .. ・24歳で徳川家に仕官して以来、一貫して幕臣として働き、最終的に大名となる。
| }. . ・31歳で将軍家兵法指南役となり、最期まで勤め続ける。
ヽ } . ・流派は新陰流(柳生新陰流)。師は父である石舟斎。
ヽ、.,__ __ノ . ・自流派(江戸柳生)を御流儀として確立。宗家として多数の門弟を育てる。.
_, 、 -― ''"::l:::::::\ー-..,ノ,、.゙,i 、 . ・一兵法者として立ち合いの勝負を行った記録はなし。
/;;;;;;::゙:':、::::::::::::|_:::;、>、_ l|||||゙!:゙、-、_ ・76歳で死去。子は四男二女。跡継は嫡男の十兵衛(家督・流派共に)
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::/:::::::\゙'' ゙||i l\>::::゙'ー、
. i;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|::::::::::::::\::::::::::\ .||||i|::::ヽ::::::|:::!
/;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;!:::::::::::::::::::\:::::::::ヽ|||||:::::/::::::::i:::|
;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|;;;;:::::::::::::::::::::::\:::::゙、|||:::/::::::::::|:::
_、,,、,,_
、ィ=彡ミミヽ、
〈,巛ハヾヘミr、 【宮本武蔵の経歴】
_丿ソ/リlヘヾヽy〉 .・本人曰く播磨国出身。父親は不明。義父は新免無二とされる。
フノりノノll.iノソノ》, .・生涯仕官はしなかった。ただし一時雇い/客分となった家は複数あり。
__彡リ)));ノノハ//リ'ヽ__ ...・特定の家で指南役に就いたという記録はない。
/´;;;;;;;;::::..《" 〉巛l 《lリノハ::::::;;;;;;;:::\ ・流派は自らが開いた二天一流。師は無しと称する
/;;;;;;;;;;;;;;;,,,:::::::` ':::::ヾソノヽ:::::::::;;;::;;;;;;;;;;;;ヽ. ......・各地で兵法を教授して廻る。門弟多し。
l;;r-=レ;;;;;;;;::::::::::::::::::::::'::::::::::::::::::;;;;;;;;;:;;;_:::l ・13歳の時以来、29歳までに60余回立ち合い勝負をし、不敗と称する。
i__,_/;;;;;;;;;;;:::::::::::::/;;:ヽ:::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;;l___`i .・62歳で死去。実子は無し。家督は養子の伊織が継ぎ、流派は弟子達が各々継いだ。
/ / l;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::::::: ::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;;;;;;;/` , \
.//〉 l、;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;イ:: 〉 l
| _ノヽ,ミ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノヽ j /
( _ノ,イ 〈;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ゝ- ヽノ)
ヽ-" │(;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;j /´ j` /
ヽ │ `);;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ノ l / ノ
γ【クラウザー】 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
| …今更ながら、ほぼ正反対だな。 |
乂_______________ノ
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(●)(●) | まあな。
. | (__人__) | で、ここで注目したいのは、二人の経歴のうち、
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;) .【宗矩】:一兵法者として立ち合いの勝負を行った記録はなし。
. ヽ } /;;/ 【武蔵】:13歳の時以来、29歳までに60余回立ち合い勝負をし、不敗と称する。
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・' この点についてだ。
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ 武蔵の立ち合いについては
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 自筆である五輪書の記述が出典であるから、
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 全て事実とまでは確言できんが、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | . 少なくとも、数多くの立ち合いを行い、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| . 勝って生き延びてきたことは間違いないであろうな。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ それだけの実績がなければ、牢人の武蔵が、
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | .複数の大名家で、相応に遇される筈もなかろうし。
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____
/ \
/ ─ ─\ 宗矩も、仕合の逸話はいくつかあるけど、
/ (●) (●) \ 「生死を掛けた立ち合い勝負」と言うのは、
| (__人__) | 少なくとも今のところ、記録にはないお。
./ ∩ノ ⊃ /
( \ / _ノ | |
.\ “ /__| |
\ /___ /
-
/ ̄ ̄ \ (
/ ⌒´ ⌒ ノノ まあ、そういうことだ。
| ( ●)(●)(,ヽ、 (( で、武蔵の兵法観については、
.| (___人__) r__i____ ノ この点が大きな影響を与えていると考えられる。
| √丶丶丶┬─'"'
| | ) j さっき、武蔵の立ち合いの経歴について、
.人、 ヽ´ ,/ 「全て事実かどうかは確言できない」とクラウザーは言ったが、
_,/::ヽ、.,ヽ., __ ( r むしろ俺は、
_, 、 -一 ''"::::::::::::\::::::::ー-- r / ⌒ヽニ- 、.
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/....., ̄ v,;,ヽ 「武蔵は、その生涯において敗北した事はなかった」
丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;( ;;;;:::::::::::... ',;;;;|
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ :;;;;;;:::::::::.. ',;;i からこそ、五輪書はあの内容になったと思うんだ。
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ',
_____ ━┓
/ ― \ ┏┛
/ノ ( ●) \ ・ どういうことだお?
. | ( ●) ⌒) |
. | (__ノ ̄ /
. | /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
-
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \
(●).(● ) |. うん。
(__人___) .| 武蔵は、経歴にある通り、
'、 | その生涯において主取りをしたことがない。
| | .即ち、「主家に仕える」ことではなく、
,. -ーー| /レ、 「己の腕前で対価を得る」ことで生きてきた訳だ。
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ そして、「地之巻」で述懐している通り(※)、
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ 武蔵が拠り所としたのは、常に「兵法」だった。
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j ※【五輪書】
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: / 「兵法の利にまかせて、諸芸・諸能の道となせば、
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: / 万事において、我に師匠なし」(地之巻)
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: /
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 別の言い方をすれば、
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 『人生に降りかかった問題を、
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 全て兵法、及びそこで得た感覚・経験で解決した』
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ というところか。
/ / / ! \| | ./! ! |
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _,.ノ `⌒
| ( ●)(●) __ ノ' 少なくとも、武蔵は自分の身の回りで起きた事について、
.| (___人__) / .i .i´' .「兵法を使って解決できなかったことはなかった」んだろう。
| ` ⌒´ノ | レ/;;: .そしてそれが、兵法に対する強い自信・信頼に繋がったと思われる。
| |_,-‐、l//.
.人、 厂丶,丶, v´j 五輪書全篇に跨る兵法への肯定感は、
_,/( ヽ、.,ヽ., ___,く_ソ __ノ この武蔵自身の「兵法に対する強い自信・信頼」が元になっていると
_, 、 -一 ''"::::::::::::\:::::::::::::::::::::( <"ニ‐-、 考えていいと思う。
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::r /⌒ヽ;;;;;;; )
丿;;;;;;;;;;;:::::i::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;V/..... ̄ ',;;;;|
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;;:|;;;::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;;〈 ;;;;::::::::::... ',;;i
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;:::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::\::::;;;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::::. ',
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', これが通俗的な
, ' / / //ヽ、-ゝ イ- ノ| | 「仕官を望んだが果たせなかった武蔵」が書いたなら、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 「幾ら兵法の腕が立ってもどうにもならない」という空気が
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| ..どこかしら五輪書内に伺えそうなものだが、
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ 史実の武蔵は、そもそも仕官を望んだ様子がないからな…。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\
/ / / ! \| | ./! ! | むしろ、「兵法で対応できないことには興味がない」という風情すらあるな。
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
____
/ \ 無論、「人生で一切失敗した事がない」訳ではなかっただろうけど、
. / \
. / /) ノ ' ヽ、 \ 「生涯に於いて、肝心な場面では大体どうにかできた」
| / .イ '=・= =・= u| .「その際、役に立ったのはいつも兵法だった」
/,'才.ミ) (__人__) /
. | ≧シ' ` ⌒´ \ というところかお。
/\ ヽ ヽ
-
/ ̄ ̄\ そうだな。
/ _ノ \ 「地之巻」の記述(※)にある通り、
| ( ●)(●) 自分の心のままに書いた結果、あの内容になったのだから、
| (__人__)
| `⌒´ノ 「まず武士にとって肝心なのは勝つことで、
| } .それは兵法を修めていれば、大体どうにかなる」
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ ) というのが、武蔵の認識だったと考えていいだろう。
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,) ※【五輪書】
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁 .『今此書を作るといへども、仏法儒道の古語をもからず、
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉| 軍記軍法の古きことをももちひず、此一流の見たて、実の心を顕はす事、
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ | 天道と観世音を鏡として、十月十日の夜、寅の一てんに、
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i ! .筆をとつて書初むるもの也』(地之巻冒頭)
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '. …なるほど。
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '. この考え方が適応される武士といえば、
| / ネ.π '. } l 確かに
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \ 「兵法を用いて勝ちを得る事で、功名を挙げられる武士」
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 ⇒戦場働きをする武士
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ } . になるな。
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ / 武蔵自身の経歴を踏まえれば、まず頭に浮かぶとすれば、
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´ やはり彼らであっただろうしな。
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
∩_
〈〈〈 ヽ
____ 〈⊃ } 自分自身、兵法でどうにかなったし、
/⌒ ⌒\ | | 今まで見てきた武士たちを振り返っても、
/( ●) (●)\ ! ! 兵法さえ出来ていれば、あいつらも勝てただろうに、という気持ちが
/ :::::⌒(__人__)⌒:::::\| l 武蔵の兵法観の下地になった…という訳かお。
| |r┬-| | /
\ ` ー'´ // 「そういうことだな」
/ __ /
(___) /
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;) 武蔵が想定していた武士の中には、
| (─)(─) /;;/ おそらく、浪人も含まれていただろうし、
. | (__人__) l;;,´ そういう人間は、戦の際に戦って勝たなければ、
| `∩_ノ)━・' そもそも生きていくことすら危うかっただろうな。
. | |_ノ
/ヽ | |_ 武蔵の、まず勝つことを最優先とする言は、
| \_/ ノ ヽ そういう人間の実感を踏まえた言葉と言えると思うぜ。
\ /_| |
| \ / _/
⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_
r―――――――‐、
>、!!! _,,〃-‐ '''l≡≡| 勝ちもせず生きようとすることが
. / ヾミ-== l ≡ | そもそも論外なのだ…!
〈ヾ.、 r==- /_ ≡| (略)
た。〉 "=。ラ .|F|≡| 今、武士(オマエラ)が成すべきことは
|` 7 ‐-‐ |F| ミト ただ勝つこと…。勝つことだ…!
| l ,, 、 リノ ミ.| \_
.-―! l`====ヽ .|\ ミ| |  ̄
/\ ≡ _ ! \| |
. / `ァ-‐ '' "´ /| |
壇上で兵法を語る武蔵(イメージ図))
⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_ノ⌒丶、_
о
____ 。
/ \
. / \
. / /) ノ ' ヽ、 \ なんかそこを強調されると、
| / .イ '=・= =・= u| どっかのカジノ船で説教かました
/,'才.ミ) (__人__) / .オッサンみたいな絵面が浮かんでくるお…。
. | ≧シ' ` ⌒´ \
/\ ヽ ヽ
-
(ヽ三/) ))
__ ( i)))
/⌒ ⌒\ \
/( ●) (●)\ ) じゃあ、宗矩の場合はどうなのかお?
./:::::: ⌒(__人__)⌒::::\
| (⌒)|r┬-| |
,┌、-、!.~〈`ー´/ _/
| | | | __ヽ、 /
レレ'、ノ‐´  ̄〉 |
`ー---‐一' ̄
/ ̄ ̄\ 宗矩に関しては、
/ _,.ノ ヽ、_ 立ち合いの勝ち負け以前に、武蔵と大きく違う点がある。
| ( ●) (●) .それは、
| (___人__)
.| ` ⌒´ノ 「世の中、兵法ではどうにもならない問題があることを
| | 実感として理解していた」
.|、 _r十、
[::.ヽ、 __rく_} _i .} あるいは、
_, 、-一 :::"\ :::::::::} _i _l _i .}
/ .:.:.:.:::::::::::::::::::::::::::::::::} _l i_ i. {:.. ヽ__ 「兵法の限界を知っていた」
/ ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} _jノ`~゛ t:::::/:::::..\ __
.i :::::::::::::::::、.::::::::::::::::::::::::::::} ゙i -‐.i.,-‐、::::::::::::::.. \_ ということだ。
i ::::::::::::::::::: i:::::::::::::::::::::::::::i ヽ ⌒,; ‐'::::::::::::::::::::::::.. `::...、
l ::::::::::::j:::::: i:::::::::::::::::::::_ノソ } /:::i:::::/::/::::::::::::::::::::::.. `ヽ
l ::::::::/::::::::::::::::::::::::::/.:::゙i::\__ rl ´::::: i::´::::::::::::::::::::::::::/::::::::: l
l :::::/::::::::::::ソ:::::::,/::::::::::::::::::::ー,´:::::::: l>ーーー-、r-‐:'::::´::::::: l
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ (( 本編でも散々書いている通り、宗矩の身の回りには、
-、 .| (● ) (● ) | ノ' 「いくら兵法の腕が立っても、どうにもならない事」が
ヤ ', | (___人___) .| ,i' 身近に存在していた。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::.
', j / / .| ____/./ そもそも親である石舟斎からして所領をなくしてるし、
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 倅である十兵衛にしても、その実例のようなものだからな。
. l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` {
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _ それに、身内な例以外にも、
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\ 戦では活躍できても、戦がなくなった世では、
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ 冷や飯を食わされる形になった武功派の武士たちを
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l .数多く見ていただろう。
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
_-─―─- 、._
,-"´ \ 単なる武士ならともかく、石舟斎も十兵衛も、
/ ヽ 達人と呼んで差し支えない腕前の持ち主だったのが、
/ _/::::::\_ヽ フォローの余地のないところだお。
| :::::::::::::: ヽ
l u ( ●)::::::::::( ●) 実際、石舟斎も、兵法の無力と、
` 、 (__人_) / それでもそれに頼る己を自嘲する歌(※)を残している訳だし。
`ー,、_ /
/ `''ー─‐─''"´\ ※【石舟斎兵法百首】
「世をわたる わざのなきゆへ 兵法を かくれがとのみ たのむ身ぞうき」
___
∠三 / 三`ヽ
/三三 | 三三 ヘ 大将が兵法を修めるのは護身のため、という面もあるが、
/ ,''"´ ̄ ̄`ヽ`l ヘ 度が過ぎれば対応しきれなくなるからな。
/ ,' ! ヘ
,′l∨_ 殺 _ ∨i !ヘ 現に足利義輝、北畠具教は
∧ |ヾ -ゝ ハ∠-丿|| | ヘ 卜伝直門として名を挙げられる程度には兵法を修めていたが、
_,.-‐─‐-气 / |ィ  ̄ | ィ|| ! ヾ\ 二人とも多勢に無勢で殺されている。
/::::::::::::::::::::::::::::::弋l| ∧ | //| |ヾヾ\
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |/| | .ト──イ |//| |ヾハ-‐二ニニニ弋 「無意味ではないが、それで大丈夫な訳でもない」
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| l | ヽ  ̄ /l/ | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
``-圦::::::::::::::::::::::::| | | / >―< | .! |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ まあ、認識としてはこんなところか。
/ 介ー==∠| |√≡≡≡≡≡≡ ll | \二二二二二二二>
/ / l |!  ̄‐‐- 乂 -‐‐ l |l ヽヾ |
| .| | | \ \ | l | | !
-
.―――― ,
/ \ そういう実例を多数知っているが故に、
| | 宗矩は嫌でも兵法の限界を痛感せざるを得なかった訳だ。
| | そんな状況で、立ち合いの勝負に価値を見出せる筈もない。
| ゝ,_,ノ ゝ,.__ノ| 宗矩に立ち合いの記録がないのは、早めに仕官が出来たのに加え、
| (● ) (● )| その辺りの達観が大きいだろうな。
} ( 人 )
_ノ ゝ `ー ´ `ー´ そして何より、
ノ.:`.:,' ヽ ´ ` / 自身が天下を治める幕府の一員であるが故に、
.<\.:.:.:.:` _ ゝ ,___, 'ヽ、 .武蔵の言う「兵法で勝ちを得て、名を上げる」状況…、
,_<.:.:.:.:.:.:.:.:\.:.:.:.:/{( ノ ハ.:.:`ー、 .即ち、戦が起きること自体が「統治の失敗」となる以上、
/.:.:.:.:.:.:.:メ.:.:.:.:.:.:.:.\/ ゝ >.:.:──── 、__,_, .直接的な兵法を振るう事に否定的にならざるを得ない。
/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:>,.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:{ /ヽ _______ \ヽ,、
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ; ` 、.:.:.:.:.:/ヽ.:.:.:.:ヽ´ __\ ヘ | '.'. 自分が身を置く「太平の世の大将(統治者)」の世界に於いて
|.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:\.:/.:.:.:.:.:.:ヽ.:.:.:.:> `ヽ ノ `{ i ii 兵法…特に立ち合いの兵法の価値が低いことと
ゝ.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.::.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:j ̄.:.:.:.:.:.:.:ヾ ヽ / ./ .{.! .常に向き合うことになっていた訳だ。
ヽ_.:_:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:゙ヽ ヘ イゝ_ij.|
ゝ.:,_ノ.::.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:` ´
\::.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:´j
\f.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:ノ
r‐ 、
iゝ::j __
Y⌒ヽ \ ., ≦´ :ミ¨¨ミ::.、
八 __ .>--‐==ミ ;.
i⌒V::::〉 .ィ--‐‐ ' ,x: __;j≦: : 、 :.
.八. `Y-‐=< / // `ヽ:ハ ふむ…宗矩の経歴が、武蔵のそれとこれだけ異なれば、
( __`¨´乙::ノ イ ;イ ;/ 、 殺 i | 兵法観の違いを生むのも、無理はないか。
ト`^ ´て^リ 彡' ' /ヾ≧.、 L.k.| |
|::::ー-==イ|-‐ー=彡′ ; ,ハ、  ̄.´ f ̄ 从| 尤も、武蔵に限らず、宗矩と同じ立ち位置で
|:::::::::::::::::八__三_ ;彡'//∧ .、_ノ , j′ | 物を見ることが出来た兵法者など、同時代にはおらん訳だが。
l:::::::::::::::::::::::⌒ヽ ` ≪///∧ .ニニ ./ : :.リ
∧:::::::::::::::::::::::::::::::\ \しヘヽ、.......ィ′.: ′
';:::::::::::::::::::::::::::::::::::\ ヽ. てt`¨: : :/ 、--‐‐===‐<
゙ 、:::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ i:\ 彡イ///,ハ ⌒ヽ、 ヽ
\:::::::::::::::::::::::::::::::: >r'':::::::::.. `ヽ/ソ''"¨´ .\ ..',
/ ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::| 弋:::::::. ';::.. `ヽ ',\ ',
/ ∧:::::::::::::::::::::::::ノ `ヾj 弋:::. ', '、:::\}
, ´ / ∧:::::::::::::::::,. く 、 `ヽ: i ∨:::'
.///,∧‐--‐ ' .\ ';\ `::. | .i'.
-
/ ̄ ̄\
/ .\, 、/\ _,, これが、単なる大身旗本の身であれば、
.| (●) (●) .| l;l 「兵法など大して役に立たぬ」と切り捨てることもできたんだろうが、
. | (__人__) .| _,_,|,|_, 宗矩は「将軍家兵法指南役」という立場があった。
| `⌒´ |, ト-=y 丶 .その立場で、「兵法は役に立たない」と言う事は、自己否定に等しい。
. | } ヽ `i, ̄‐^l
. ヽ } ヾ~ ` i, 正直、宗矩自身もかなりの葛藤があったと思うが、
ヽ ノ _ ヽ、 ;i, そんな中、家光からの例の要求が来る。
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i, そこで発生した、
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i, ・ 主君(家光)は兵法の上達を望んでいる
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、 ・ しかし、大将にとって兵法は然程必要ではないし、
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、 .今のまま教えても、よくない結果にしかならない。
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l
,y`;,,__ ,i /ii' / r-/| l l という一種矛盾した状況において、止揚が発生し、
_/^,,, ヘ l /iil / l"v' y } l 「太平の世に於ける大将のための兵法」…
v=4⌒ヽ、 j --,,,if /iii| ,, 〈-ヘ_,、 <、 / i| 即ち、「治国平天下の剣」が生まれた訳だ。
ヽ, ,, i、 _,,tv /iiiii ム、 / / ヽ、ヽ、_x--ー‐- 、
__,,,l ii Yi___,lk / }iiiiil ヘ __,,,,,,___/ `x'"^ ,,,,, \
^ ̄⌒ヽ ヘ、 ,ノiiiii|、__,,,y,,_,,,/ ヽ、 ,/ ,,,-‐‐ `',, ヘ,、
,,,_ \ ヽ `>- liiiiiiil ¬">-- ヽ ヽ i i/ _,, / } i
"- ,, } / /iiiiiiil / l l l lK ^~' / |
\ーヾ /iiiiiiiil / i i | |i`'ヽーミ_/ /
____ 家伝書の冒頭で、
/ \
/ ⌒ ⌒ \ 『兵は不祥の器なり。天道此を悪む。
/ (●) (●) \ .止むことを獲ずして此を用ゐる。是れ天道也』
.| :::⌒(__人__)⌒::: | __
\ `ー' / ̄ ̄⌒/⌒ / という老子の言葉を引用して、
(⌒\ / 兵法 / / まず兵法の否定から始めるけど、
i\ \ ,(つ家伝書/ ⊂) そこから、兵法の新しい在り様を説くことで、
.| \ y(つ /,__⊆) 最終的に兵法の肯定に至るのは、それを反映してのことだおね。
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ .___
| ( ー)(●) ( ⊂⊃ ) あと、宗矩が勝ちに拘らず…というか、
. | (__人__) ホワッ ̄ ̄ 勝負自体に否定的であることと、
| ( ( ノ .武蔵が勝ちに拘ることについて、もうひとつの見方がある。
.l^l^ln ⌒ }
. ヽ L } ∩ ノ)━・ なあ、やる夫。
ゝ ノ ノ / _ノ´ そもそも論になるが、武士は何のために「勝つ」んだ?
/ / \/ |
/ / ' |
. / / |ヽ__ノ
ヽ__ノ
_____
/ ― \
/ノ ( ●) \ そりゃ立ち合いや戦で生き残ったり、手柄を上げて、身を立てるためだお。
. | ( ●) ⌒) | 武蔵が言ってる通りだお。
. | (__ノ ̄ /
. | /
\_ ⊂ヽ∩\
/´ (,_ \.\
. | / \_ノ
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \
| .(●)(●) |
. | (__人__) | そうだな。
| `⌒´ | ) ;;;;)
. | | .) ;;;;) で、その上での話になるんだが…
. ヽ } /;;/ 家光の場合、それはどうなると思う?
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・'
( \ /|_ノ ヽ
. \ "" /_ノ |
\ /___/
____
/ \
/三_',!`zx二 \ 家光の、場合…?
/ ´ー¨‐` ´ー¨‐'' \ ええと……。
| u (__人__) |
\ ´ニニ` ,/
/⌒ヽ ー‐ ィヽ
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ ああ、なるほど。
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 武蔵の言う「兵法の目的」である、
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 『一身の切合にかち、或は数人の戦に勝ち、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 主君の為、我身の為、名をあげ身をたてん』
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ というのは、あくまで一般の武士の話であって、
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | 現に「天下の主」である家光は例外になるのか。
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \
(●).(● ) |. そういうことだ。
(__人___) .| 宗矩が、立ち合いの勝敗を小さいものとし、
'、 | そのような兵法を振るうことの否定から話を始めたのは、
| | 「現に治まっている天下の主」である家光に説いた兵法だからだ。
,. -ーー| /レ、
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._ 『一人勝ちて天下かち、一人負けて天下まく。
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ 是大なる兵法也』
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ という家伝書の記述は、一般の武士からすれば、
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j 「そんなこと言われても…」となるだろうが、
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: / 相手が家光である以上、むしろこれが正しいんだ。
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: /
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: /
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /
-
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;) 一般の武士にとって、戦は「起こるもの」であって、
| (●)(●)/;;/ だからこそ武蔵も、「何時にても、役にたつやうに稽古し」と書いている訳だが、
| (__人__)l;;,´| 家光(或いはもう少し範囲を広げて将軍・大名)の場合、戦は「起こすもの」でもあるんだな。
| ./´ニト━・' .l つまり、戦を起こすかどうかの意思決定の主体な訳だ。
| .l _ニソ }
/ヽ、_ノ / だからこそ、家伝書冒頭の「兵は不祥の器也」という言葉に意味が出てくる。
__/ / ノ__ .前提として、家光は今現在、天下を支配しているのだから、
/ / / `ヽ. .勝ち負けで言えば、最初から勝っているも同然なんだ。
/´ ./ ,. ヽ. そんな人間が自ら戦での功を求めるのは、望ましいとは言えんわな。
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
____
/ \
/ ─ ─\ 望まず起きてしまった戦の場合…、
/ (●) (●) \ .幕府が想定していたのは大名の反乱というところだろうけど、
| (__人__) | その場合、戦いは対等の戦いではなく、「討伐」「鎮圧」「成敗」になるし、
./ ∩ノ ⊃ / そうやって「乱れたる世を治める」ことは、それこそ「活人剣」の理屈になる訳かお。
( \ / _ノ | | .そもそも、格下の存在を討つ訳だから、自ら手を下す訳でもないし。
.\ “ /__| |
\ /___ /
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '. 現実に起きたのは、キリシタン一揆である島原の乱だったがな。
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '.
| / ネ.π '. } l あと、何気に見落とせんのは、
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ 正保二年にあった明からの日本乞師か。
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \ 結果的に断ったが、もし、あれを「功名を上げんがため」に受けていたら、
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 朝鮮出兵の二の舞どころじゃない結果になっていたかもしれん。
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ 下手をすれば、隆盛期の清と正面から戦う羽目になる訳だからな。
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ }
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ / 戦って勝ちを得ようとすることは、大将に関して言えば、
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´ 必ずしもいい結果に繋がるとは限らん訳か。
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧ ましてや、既に天下が既に治まっているのなら、尚更だ。
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
-
/ ̄ ̄\ ) ;;;;)
/ _ノヽ_\ ) ;;;;) さっきも言ったが、
| (●)(●) /;;/ 一般の武士の視点では、戦は「起こってしまうもの」なのだから、
. | (__人__) l;;,´ 起きたら後は存分に働くだけのことになるし、そこに疑問を抱くこともない。
| `∩_ノ)━・' そもそも意思決定の主体じゃないんだからな。
. | |_ノ あるとすれば、参陣するか否か程度だ。
/ヽ | |_
| \_/ ノ ヽ そういう、実際に戦場に立つ武士であれば、
|\ /_| | 勝ちを目指し、手柄を得る事に否などある筈がない。
| \ / _/
____
/_ノ ヽ\
/ ( ●) (●)、 だから、一般の武士の視点が基準である武蔵は、
/::::::::⌒(__人__)⌒\ 「勝つ」ことを第一にしている訳かお。
| |r┬-| |
\ `ー'´ /
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
___
∠三 / 三`ヽ
/三三 | 三三 ヘ まあ、勝たんと話が進まんからな。
/ ,''"´ ̄ ̄`ヽ`l ヘ
/ ,' ! ヘ 『武者は犬ともいへ、畜生ともいへ、
,′l∨_ 殺 _ ∨i !ヘ .勝つことが本にて候』(朝倉宗滴話記)
∧ |ヾ -ゝ ハ∠-丿|| | ヘ
_,.-‐─‐-气 / |ィ  ̄ | ィ|| ! ヾ\ と述べている先人もおるのだし。
/::::::::::::::::::::::::::::::弋l| ∧ | //| |ヾヾ\
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |/| | .ト──イ |//| |ヾハ-‐二ニニニ弋 「武蔵の志向は戦国期の武芸者に近い」
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| l | ヽ  ̄ /l/ | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ という話があったが、.これはその裏付けの一つと
``-圦::::::::::::::::::::::::| | | / >―< | .! |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ 言えるかもな。
/ 介ー==∠| |√≡≡≡≡≡≡ ll | \二二二二二二二>
/ / l |!  ̄‐‐- 乂 -‐‐ l |l ヽヾ |
| .| | | \ \ | l | | !
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ (( >>866の話と重なるが、
-、 .| (● ) (● ) | ノ' 「この太平の世で、兵法はどうあるべきか」という問いに対し、
ヤ ', | (___人___) .| ,i' 二人の考えを並べると、こうなる。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::.
', j / / .| ____/./ 【太平の世に於いて、兵法はどうあるべきか?】
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 宗矩 : 太平の世を守るために用いるべし。
. l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` { .武蔵 : いざという時、存分に働くために修めるべし。
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\ 「有事に備えるべき」という心がけは同じでも、
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ その方向性が異なるのがわかるな。
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ 宗矩のそれは、太平を維持する事に主眼があるな。
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', つまり、状況に対して能動的だ。
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 逆に、武蔵のそれは、戦や立ち合いがいつ起きても対応できるように、というものだ。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、| 状況に対しては受動的と言える。
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ この違いは、説かれた相手の立場の違いによるものだな。
/ / / ! \| | ./! ! | 天下の安定に対し、権限と責任を持つ「天下の主」である家光と
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、 そうではない一般の武士、どちらに向けて説かれたかによる違いだ。
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ 兵法を用いる主体が誰であるかによって、
| ( ●)(●) 「大なる兵法」と「小さき兵法」とに分けて考えるべきことは
| (__人__) 二人とも伝書の中で述べている通りだが、
| `⌒´ノ 少なくとも、宗矩の「大なる兵法」は相応にリアリティがあると言えるな。
| }
ヽ } ( そもそも、家光に出されたものであるし、
_ヽ ノ`ヽ、_ ) そこで納得が得られないようなら、
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ ( ここまで評価されることもなかっただろうしな。
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁 それに規模は小さいとはいえ、宗矩自身、領主なんだし、
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉| これは宗矩自身の実感も伴ってのものだろうさ。
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 武蔵はその点、一貫して「客分」だったからな…。
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 待遇は相応だったが、支配者の立場になったことはないし、
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| だからこそ、一般の武士を基準にした話になったのだろうが。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ _,ノ `⌒ 個人的にポイントになると思うのは、
| .( ●)(●) 二人が「大なる兵法」…特に統治について語る際、
. | (___人__) 宗矩は、家光の立場を踏まえ、かなり具体的に述べているのに対し、
| ノ .武蔵は、大工などの例え話で済ませているところだな。
.| |
人、 | これは、直接の政治の現場、それも現に天下を支配している
,イ:. ト、ヽ、 __ ,_ ノ 幕府中枢に近い立場にいた宗矩と、
,. -ーー -‐ ´:::::::::::::::::::::::::::::7 .あくまで客分であった武蔵とでは、
/..:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ト、 .政治に対する実感がまるで違ったのが理由と言えるだろう。
.::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.. \、_
::::::::::.\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::..... ヽ その意味では、武蔵が「大なる兵法」に言及したのは、
:::::::::::::...ヽ:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::...ヘ、 .あくまで自身の兵法の普遍性を強調することが
:::::::::::::::::...ヽ::::::、-─────- 、_,. --──ー、 メインだったのかもしれんな。
::::::::::::::::::::::::::::// ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ー´ ̄ ̄ ̄ ̄/
:::::::::::::::::::::::::// / / /
:::::::::::::::::_//__ ./ / /l _
:::::::::::::::{ _____ `ヽ / / /:::.l / /
::ー::::::{ _____}`'ー'´ ./ / // ~""''' ‐- ...,,__/ /
:::::::::/ _____} ./ / // // /
、::::/ ____} / / // // ,/´)
:::::/ ̄ ̄ ̄ヽ ./ / // // L,.-'´}
/ ヽ─-、./ /,.ー// // ,.-'´ ./
l ヽ:::::::::::::::::::// // / ̄ ̄ ̄ヽ
ヽ::::::::::::::// //,./ ヽ
ヽ::::::::// ,.</ l
ヽ ̄~""''' ‐- ...,,__< // /
____ それを言うと、
/ \ 「武蔵は家伝書の内容を忠利から聞かされていて、
/ _ノ ヽへ\ そこで自分も大なる兵法とか言い出して云々」
/ ( ―) (―) ヽ とかいう話になりそうなので、ちょっと微妙だお。
.l .u ⌒(__人__)⌒ |
\ ` ⌒r'.二ヽ< つか、家伝書の方が成立年代が先な上に、
/ i^Y゙ r─ ゝ、 内容的にも共通するところがある分、
/ , ヽ._H゙ f゙ニ、| 何かと五輪書の解説で家伝書が引用される事が多いけど、
{ { \`7ー┘! .微妙な引用のされ方が多いのは勘弁して欲しいお…。
-
/ ̄ ̄ \ (
/ ⌒´ ⌒ ノノ 少し話を戻すと、>>862で述べた構の役割の違いについて、
| ( ●)(●)(,ヽ、 (( 宗矩は「切られないため」とし、武蔵は「切るため」と正反対だったが、
.| (___人__) r__i____ ノ これも、「誰に説いたか」を踏まえて考えれば、一目瞭然の話になる。
| √丶丶丶┬─'"'
| | ) j 戦に於いて、大将が切られたら、いくら戦に勝っても意味がないし、
.人、 ヽ´ ,/ 兵である武士たちが、戦場で敵を切らなければ、戦で勝ちが得られない。
_,/::ヽ、.,ヽ., __ ( r
_, 、 -一 ''"::::::::::::\::::::::ー-- r / ⌒ヽニ- 、. 平時に於いては、人を切るのは良くない事だが、
/;;;;;;::゙:':、:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::V/....., ̄ v,;,ヽ 襲われたなら、切られぬために身を守る必要はあるし、
丿;;;;;;;;;;;:::::i:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;( ;;;;:::::::::::... ',;;;;| 主命などで止むを得ない場合は、やはり切らなければならない。
i ;;;;;;;;;;;;;;;;;:::|;;;:::::::::::::::::::::::::::::::::::;;;;;;ハ :;;;;;;:::::::::.. ',;;
/ ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;::::!;;;;;;;;;;:::::::::::::::::::::::::;;;;;;;;;;;ハ ::;;;;;;;;::::::::. ', まあ、そういう話だな。
-―─- 、 【構の目的が違う理由】
/ \ ・宗矩が「切られない事」を構の目的としたのは?
′ ⌒ ⌒ , ⇒大将が切られたら、戦に負けるから。
i ( ―) (― ) i
| (__人__) | ・武蔵が「切る事」を構の目的としたのは?
、 ノ ⇒戦場で兵が敵を切らなければ、戦に勝てないから。
⊂⌒ヽ > <_/⌒つ
\ 丶′ 7 事情を踏まえてみれば、簡単な話だお。
\ ノ ト、_/ 「誰が使うかが違うから、目的も違う」ってだけだお。
/ / / ´ {ミ丶 ヽ
,' / / / }ミ、 ヽ '.
|, 〃 , ´ ̄ `ヽ '. そもそも、宗矩を召抱えた家康自身、
| / ネ.π '. } l
, - ―<! { 木又 } i! {⌒ヽ .「家臣が周囲にいる貴人には、
/___ | ≧ェ.、 rィェ彡 i! '. \ .最初の一撃から身を守る剣法は必要だが、
/´. -‐- 、`ヽ.| | ト ! i! .l 丶 .相手を切る剣術は不要である」
' , ´ ヽ | |〈__ ー|‐`, } i! .|、 }ヽ
, -/ / } rくWWW/ ハ i! .|ヾ:、 ノ } と言っておる訳だからな。
{ ' ' ノ .i! 、ト、` ̄ ' イ/リ |ヽ、`¨´ / 家光に教授するなら、まず守りを主眼とするのは当然だろうよ。
| { { / ハ ト、 T77´,//ハ !'//`Y´
| i! '. / イ '. |ヽ }/ i !// // |///∧
|人 `ー一 イヽノ l .K ///リ/,イ// !////ハ
-
___
,,.-''"´ ` .、 あと、冒頭(>>853)で話に挙がった
/ ヽ 宗矩が「無刀」を説き、武蔵が「二刀」を説いたのも、
./ ', 目的の違いを考えれば、どうして違うかわかるだろ?
l l
/ l 【兵法家伝書】
〈`ヽ、 | 『無刀とて、必ずしも人の刀をとらずしてかなはぬと云ふ儀にあらず。
|ミ=-  ̄ ̄`ヽ / 又刀を取りて見せて、是を名誉にせんにてもなし。
l ミ=-‐ .′ わが刀なき時、人に斬られじとの無刀也』(活人剣・無刀之巻)
l/ ヽ ,'
( __ 人 ) { 【五輪書】
/ // )ニ=''´ ./ .| 『一命を捨つる時は、道具を残さず役にたてたきもの也。
ツ二二二/ ./__ ./ | 道具を役にたてず、こしに納めて死する事、本意に有るべからず。
/ / /''"__,ノ ′ .| (中略)
/ / / /,.-''")_ _,,-''´ / ヽ__ .此一流において、長きにても勝ち、短きにても勝つ。
,' /'´,,..-''´| / _ \/`ヽ、 .故によって太刀の寸をさだめず、
_ ´l / ./ | ´ / / \ .何れにても勝つ事を得る心、一流の道也』(地之巻)
,,..-''" | .l ./ / イ / / \
____
/ \
/ \ , , / \ 「切られない事」を重視するなら、
/ (●) (●) \ .刀がない時、不意を打たれた時にでも
| (__人__) | .身を守るための「無刀」が説かれるのも当然だし、
\ ` ⌒ ´ / 「切る事(勝つ事)」を重視するなら、
| | 手持ちの武器を存分に使うための「二刀」を説くのも
|| / | また当然、ということかお。
|| ト||
<三三三三三三| |(_) …確かに、これは技術というより、兵法観の違いの話だお。
ヽ |/ レ
>__ノ;:::......
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ そもそも、単に二刀というだけなら、
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 宗矩も二刀を用いる場合の教えを説いておるしな。
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 【月之抄】
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| 『老父云、二つハひとつ也。二つ一度に打事なし。
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ 一ツハタテニ用、一つを遣心持也。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ .うち物と手利剣ヲ思ふへし。身ノかゝり、二寸五分ノ心得専也。
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | かけめの心持ニテまつ一方打ふサキ、仕をふさぐ心持専也。
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、 脇差・小刀・サヤ・ハナ紙・道具ニ取テハ、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、 リウシケン・サンクワウ・車ヒシ・野ロマエなとゝ云ものも、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ ナゲ出し、敵の気ヲちらして可勝、ハかり事也。
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉 所作に気ヲトラレヌヤウ専也』(二刀仕掛之心持之事)
-
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ まあ、この件については、こんなところか。
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', .随分長く掛かったが、二人の兵法観の違いが、
, ' / / //ヽ、_ゝ イ_ノ| | 立場や経歴に大きく左右されていたことはわかった。
//イ / /::::、 '´ ` '|| | .しかし、これだけ違いが出るとはな…。
/ /イ / |::::::| / _┗' イ 、|
/ / |::::::| │ r---ヽ:;/ | |ヽ γY⌒ヽ 特に宗矩の家伝書に於ける兵法観構築の経緯は
/ / ,イ ,' | ハ:::::| / ;|/ | |\ 乂 ) 面倒なものだな。
/ / / ! \| | ./! ! | ゝ、_ノ
, / / / |┐ \ `─彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
/ ̄ ̄\ ( ;;;;(
/ ._ノ ヽ、\) ;;;;)
| (●)(●)/;;/ まあ、面倒なのは仕方ないだろ。
| (__人__)l;;,´| いつの時代も、偉いさんの相手は面倒になるもんだ。
| ./´ニト━・' .l
| .l _ニソ } むしろ、開き直って「役に立たなくてもいいんだよ!」とか言って、
/ヽ、_ノ / .既存の兵法を押し付けるよりは、ずっと誠実だと思うぜ。
__/ / ノ__ .単に立ち合うための兵法で済ませば、新しく考える必要もないから、楽なのに。
/ / / `ヽ.
/´ ./ ,. ヽ. . まあ、その場合、柳生家改易待ったなしだっただろうけど。
ト、_,/. |、 ヽ
| |/ /
____
/_ノ ヽ\ しかし、
/ ( ●) (●)、 いざ、兵法を語るについて、
/::::::::⌒(__人__)⌒\ .片や兵法に対して無条件に近い肯定感を持ち、
| |r┬-| | 片や一度否定を経てからの肯定という形を取るってのは
\ `ー'´ / 確立の経緯からして正反対なのも合わせて、面白いもんだお。
⊂⌒ヽ 〉 <´/⌒つ
\ ヽ / ヽ /
\_,,ノ |、_ノ
-
,ノ ,, -‐
/ _ -‐
,/ , '´
/ ,/
/ / , -───-= 、
/ /. __ / \
l ノ. / .ヽ / \
/ / l. ', / ヽ
./ / .,-‐、 l _ _ } i 丶
; / ∠,,,,,.」 -‐、 ! l 、 l
!;_,, -‐''"", .-‐'⌒ヽT l l _ノ'′ `、 | そうだな。
ゞ-‐''"/ __ノ l ! i .(● ) "ー-- / でも、二人の思想面において
γ / ! ', l (● ) / 相違点ばかり挙げたが、共通点もあるんだぜ?
ヽ ´L_⊥ -―---' - 、 ; j /
l i ,) _,.、 -‐' ヽ-‐'"ヽ. ) /
ゝ , -― ' ´ ̄ ̄  ̄ ヽ:.:.:.:..:.:. j ` ー-`ー-一'′ /、
ノl _ _, イ.:.:.:.:.:.:.:.:. ヘヾ /ノ.:.\
/.:.:.!l、 _ -‐' ´ ! /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. iヘ ,//.:.:.:.:.:.:.\
/.:.:.:.l l \.´ ! j/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:. /`i -= - /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
___
/ \
iニーヽ /─ ─ \ えっ?
iニ_  ̄ ̄/(●) (●) \ 技法的なところではともかく、
⊂ノ ̄ ̄| (__人__) u | 思想的には正反対と言っていいくらいだったのに?
⊂ ヽ∩ `ー´ _/
'、_ \ ) …何が同じなんだお?
\ \ / /|
|\ ヽ / |
-
/ ̄ ̄\
/ ノ \ \ 「兵法上達のための心得」だよ。
| .(●)(●) | 要は、
. | (__人__) |
| `⌒´ | ) ;;;;) 「強くなるためにどうすればいいか?」
. | | .) ;;;;)
. ヽ } /;;/ という話だ。
ヽ ノ .l;;,´
. / ∩ ノ)━・' なお、宗矩の言については、今回は家伝書よりも、
( \ /|_ノ ヽ 「葉隠」と「柳生家家憲」の方が分かりやすいのでそちらを引用した。
. \ "" /_ノ | .前にも書いた通り、家憲自体は石舟斎の著だが、葉隠の記述を見るに、
\ /___/ ..宗矩は兵法修行の心得として、石舟斎同様の言を用いたと考えていいと思う。
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 【葉隠】
| |葉| | ._ .|_| 『柳生殿の、「人に勝つ道は知らず、我に勝つ道を知りたり」と申しされ候由。
| |隠| | |柳| .|_| 昨日よりは上手になり、今日よりは上手になりして、一生日々仕上ぐる事なり。
|.  ̄ | |生| .|_| これも果はなきといふ事なり」と』(聞書第一)
| . | |家| .|_|
| . | |家| .|_| 【柳生家の家憲(天正十七年)】(※石舟斎著)
| .| |憲| .|_| 『一文は無文の師、他流勝つ可きに非ず。きのふの我に、今日は勝つ可しと分別し、
|___ | . ̄ .|_| 上手奇妙は、稽古鍛錬工夫上成ると』
└── |________|_|
.└───────┘
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_| 【五輪書】
| ._ .|_| 『此一書の内を一ケ条一ケ条と稽古して敵とたたかひ、次第々々に道の利を得て、
| |五| . |_| .不断たえず心に懸け、いそぐ心なくして、折々手にふれては徳を覚え、
| |輪| . |_| いづれの人とも打合ひ、其心をしつて、千里の道もひと足宛ずつはこぶなり。
| |書| .|_| 緩々と思ひ、此法をおこなふ事、武士のやくなりと心得て、
|.  ̄ .|_| けふはきのふの我にかち、あすは下手にかち、後は上手に勝つとおもひ、
|. .|_| 此書物のごとくにして、少しもわきの道へ心のゆかざるやうに思うべし。
|. .|_| (中略)
|________.|_| 千日の稽古を鍛とし万日の稽古を錬とす。能々吟味有るべきもの也』(水之巻)
└───────
-
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \
(●).(● ) |. 少し長めの引用になったが、
(__人___) .| 特に似通っている箇所をいうと、
'、 |
| | 『昨日よりは上手になり、今日よりは上手になりして、
,. -ーー| /レ、 .一生日々仕上ぐる事なり』(葉隠)
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ 『けふはきのふの我にかち、あすは下手にかち、後は上手に勝つとおもひ、
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ (中略)千日の稽古を鍛とし、万日の稽古を錬とす』(五輪書)
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j この辺りになるな。
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: /
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: /
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: /
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: /
____
/ _ノ ヽ_\ 「昨日よりも今日、今日より明日、
. / (●) (●)\ 強くなるために毎日稽古しろ。
l^l^ln ⌒(__人__)⌒ \ これに果てなんかないぞ」
ヽ L |r┬-| |
ゝ ノ `ー‐' / ってことかお。
/ / \ …なんか当たり前過ぎて、共通点っていわれても、
/ / \ ピンと来ない感じだお。
. / / -一'''''''ー-、.
人__ノ (⌒_(⌒)⌒)⌒))
-
/ ̄ ̄ \ )ノ だから、だよ。
/_,ノ ヽ、,__\ (( 兵法の意義や目的について、あれだけ対極の主張をし、
-、 .| (● ) (● ) | ノ' そこに至る経歴も、それを語った状況も全く違う二人が、
ヤ ', | (___人___) .| ,i'
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::. 「じゃあどうやれば(兵法は)上達するんだ?」
', j / / .| ____/./
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 という問いについては、
. l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` {
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _ 「毎日稽古しろ」
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ という同じ回答を返してるんだ。
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l つまり、将軍だろうが、一般の武士だろうが、
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l 上達したければ、毎日稽古するしかない、という話だな。
_____
/ ― \ でも、宗矩は、心法をやれば上達するって
/ノ ( ●) \ 家光に言ってなかったかお?(※)
. | ( ●) ⌒) |
. | (__ノ ̄ / ※【徳川実紀】
. | / 『宗矩いまは聞えべき法はみなつきぬ。
\_ ⊂ヽ∩\ この上は御心にてをのづからその妙をば得させ給ふべし。
/´ (,_ \.\ ただし宗矩若かりしとき禅僧にちなみ、悟道の要旨を聞て
. | / \_ノ .頓に道にすすみたりと覚えし事の候』(正保三年五月二八日)
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ 家伝書を読む限り、
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ', 心法は、更に上達するための手段に過ぎん。
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| |
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 『病をさるに初重・後重の心持あること』
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、|
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ という家伝書の記述を見れば分かる通り、
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\ 心法を修めるにも、また日々の修行が必要で、
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! | .聞いて悟って即上達、というような話ではない。
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、 .それに、あれは沢庵和尚と家光を引き合わせるための
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ .方便的な面があったからな…。
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
.___
/ ヽ また、二人とも「奥義」や「秘剣」の類を
./ ヽ ほぼ否定している点も共通しているな。
ハ、_ 丶
ヽ( ●) .\ .┌────────、 極意の類があること自体は否定していないが、
ヘ ヽ, \へ........... | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ..「それを出せば勝てる技」の類としては扱っていないし、
': '、_/ ./::::ノ:::::::::::::::::::: | | ,.-、 .| むしろ特別なものではないという扱いだな。
:. //\ /::::/::::::::::::::::::::::ノ| | / /'} .|
''" \__/\/::::/:::::::::::::::::::::::/ .| |/ / ,ハ |
〈::::::::::::::::::::::::::::::::::::ノ、/ / / .ノ |
___/:::::::::::::::/:::::::::::::/ / イ .|
./...:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::/ / ノ .|
/ .::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::} / |
_,,、....... --........,,,
,/゙,.. -―ー ,, `'''-、、
/ / 、,,, .`'-、 \
/ / .ll殺i_、 .ヽ. ..ヽ
/ . / " ,i"< .ヽ 家伝書における「平常心」や「無刀」はその典型だな。
/ . i',, ,, ;;ソー'''ッ', \
,' l;:;:,゙;;iii- 、 ,i.l二rミ';;./ i', `ー .【兵法家伝書】
. ! ,!;|,'..,;{゙l_,/./ .`''T゙゙´ " .| .『ならひをわすれ、心をすてきつて、
! .!゙"  ̄゛ ′ ,...! 一向に我もしらずしてかなふ所が、道の至極也。
.,! .! _,,,,,. /´;:;:| 此一段は、習より入りてならひなきにいたる者也』(殺人刀)
.l゙ .l'ー、 .、 ゙‐'ニ>-, .l .|;:;:;:;:|
.l .|;:;:', !', /ニ',;;二ニコ;.l.,l} .!;:;:;:;:} 『無刀は、当流に、是を専一の秘事とする也。
.! !;:;:.! .',゙ゞ゙'";:;:;:;:;:;:`゙;:;:;〈. :!;:;:;:;:l゙ 身構、太刀構、場の位。遠近、うごき、はたらき、つけ、かけ、表裏、
| .l;:;: l l';:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;_,,;:l''、.l !;:;:;:;| 悉皆無刀のつもりより出る故に、是簡要の眼也』(活人剣・無刀之巻)
| .!;:;:;',.|;:l',;:./''''''"゛ `| l;! .|;:;:;:;|
.| .l;:;: ! l}',′ │ ゙l .l;:;:,i| どちらも、「至極」「秘事」と称されてはいるが、
.! . l;:;:;l │ヽ ._,,,./ ゛ .l./ .! .前者は修行の上での理想の境地のことであるし、
| .',-.l ′ `゙´ / ! 後者はむしろ土台となるべき心得だからな。
l l \、 . ,/ !
.,! .l `''ー----‐'´ l
.! ! ゙
! ."
-
__
//
//
//
// そういえば、「進履橋」でも
___ // 『右の数々を能々習ひ得て、此中より、
/⌒ ⌒\ // 千手万手をつかひ出すべし』とも書いてたお。
/( ●) (●)//
/:::::⌒(__人__) // ヽ 【”秘剣発動” 効果:相手は死ぬ】じゃなくて、
.| |r┬-|.// | 逆に、その時々に応じて習い覚えた技を使いこなせ、
\ `ー"// ノ ということだお。
( i__ .i⌒L_丿
`ヽ、 ⌒)
 ̄ ̄`"''"
_,,、- -
._-ー ̄:;:;:;:;:;:/ \
_ y‐':;:'゙;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:/ /
, __ _ _∠;:;:_;:;:;:;;::;;:ィ‐'Ⅳ / 武蔵の場合はもっと率直に、
,/ `ヽ , ' \ ̄ ∠ / .極意や秘伝の類はあるにせよ、
.∠ \_∠/三Y三ヽ \ ._|\/ それを特別視する必要性などないと、はっきり言ってるな。
l / ∠ ̄ ヽ ヽヘ__」  ̄
∟_ ___ | ,′ 殺 ヘl||_____________,_,,-l^! !^l_ハ
ゝ |二|二厂|二|l||ゞ> <・ゝ||l|二|二二|二二|二二|二二|二二|二二。≡゜=。|
.l |二|二厂|二|l||ヘ ヽ ハ||l|二|二二|二二|二二|二二| r-、 |ニニ゜≡。=゜ |
.| ∠二二二二 ハ|l | トエイ | |l|二二二 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| l从仆厂介介√
.| ,/'////////// lゝ _ ∠l|ヘ //////`ヽ l! ハ l
∠′ ヽ---―--Ⅵ|l|「ニニニニ」|!l||Ⅵ---―-ィ ゞ;;;;;;;;;;ィ
.\ / /;;;;;;;;;;;;Ⅵ! l|l ト`丁 ' | | |Ⅳヽ;;;;;;;;;;;;;;;;\ /;;;;;;;;;;;;/ 【五輪書】
∠∧ ./;;;;;;;;;;;;∧ `ヽ ヽヽl l | ∧;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ /;;;;;;;;;;;;/ 『兵法の事において、
∠三三/;;;;;;;;;;;;/,' ヽ ! ト 仆 |. \;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ ./;;;;;;;;;;;;/ .いづれを表といひ、何れを奥といはん。
∠ 三三 /;;;;;;;;;;;;/ l |\ | \| l√ \;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ /;;;;;;;;;;;;;/ 芸により、ことにふれて、
∠三三三/;;;;;;;;;;;;/ | l \ \ | |ヘ ∧ 丶;;;;;;;;;;;;;;;;个;;;;;;;;;;;;/ 極意・秘伝などいひて、奥口あれども、
.∠ 三 三三/;;;;;;;;;;;;/ 三| \ ヽ ┤ l三三|゛ ヽ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;/ 敵と打合ふ時の利においては、
∠三三三三/;;;;;;;;;;;;/三三.ヽ \| | /三三ヘ \;;;;;;;;;;;;;;/ 表にてたゝかひ、奥をもってきると
. .∠三三三三 !;;;;;;;;;;;;;;|三三 ゝ‐‐‐‐‐人‐‐‐‐‐‐∠三三三ヘ -ー′ いふ事にあらず』(風之巻)
-
, -───-= 、
{:.:.. ヽ / \
ヽ..:.⌒ヽ、、 ノ / \
`ー⌒ヾ( / ヽ
_.,..::::..ノ.:)i ',
.:.:::"´....:.:.:.:..:′l 、 l まあ、新陰流にせよ、二天一流にせよ、
.i;;;;;:"´ l _ノ'′ `、 | .○○剣とか××斬というような、
\\ ,. -‐'fフ i .(● ) "ー-- / 必殺技的なものはないからな。
\\r‐´r‐、 l (● ) /
ノ \\」 .l; j / アクション的には実に見栄えのしない話だし、
i _ _ .) ,'‐' ヽ-‐'"ヽ. ) / .創作では扱いづらかろうがね。
! `{ ノ:.:. j ` ー-`ー-一'′ /、
| ー ― 、}:.:.:.:.:. ヘヾ \,r'⌒ヽ /ノ.:.\
l ,.-r /.:.:.:.:.:.:. iヘ (´ `) /.:.:.:.:.:.:.\
/i! 〕〈.:.:.:.:.:.:.: /`i -=- ゝ,__,ノ´/.:.:.:.:.:.:.:.:.:..\
____
/ \ ハハッワロス。
/ ─ ─\ 別に創作で使われるために技がある訳じゃないから、
/ ⌒ ⌒ \ そんなもん気にする必要ないお。
| ,ノ(、_, )ヽ |
\ トェェェイ / いざとなればビームでも出しゃいいんだお。
/ _ ヽニソ, く
-
__
/厂`
( {_}三≧、
.\ /\| , '´ ̄`<二ニニァ
..\\ // \三/_____
. \\/) // , }\三三彡く
X/yヘ、 // /} } \\ ノ| \二二ミ辷ー‐'
└{ヽ'´_'_'`y'イli Х | i i| l ヽ ∨ 、\  ̄`ヽ えー。
`Y´:// / レ笊ミ、| i\ i| | }/ 、 \\ ビーム撃つ剣技とか嫌ですよ。
. }:(:: / l l/んリ l l ̄▽∀=‐- | i \ i⌒ヽ
. |: /レ1 | } `´ノ ∨ イ7ぅ=ァ\./ i| i i \厂: ̄: ̄: ̄: ̄>ァ
. ∨:::::|│∧ _ ヽゞイ i| | | i\}: : : : : : : : : //
\И/}.∧ `廴ァ // // ∧l| | | }: : : : : : : : : //
∨ Иrへ -‐<// // / 从人{∨: : : : :: : :/ /
∨::::// : :∧ /イノiル'´ ̄:{ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ /
}: //: : // }/: : : : : : : : : |________/
V/: : / {/: : : : : : : : : -‐、: :\
//: : :{/ : : : : : : /:; : : : : \: :.\
// : /: : : : : : :./ : /: : : : : : : \: : ',
トヽ、 ,ィ'⌒`ヽ. ./;;;;;;;;;:/
,、 __......_ ヘ◇>'ィ::`!i::: ∧. /;;;;;;;;;:/
| `ヽ、_,ィニ´.....::::::::::::::`ヾ∨<.__j !:::: ∧. /;;;;;;;;;:/
.ト---.、i!ト、 . :::::::‐=三三メ∧ヾ、´::::::: ∧/;;;;;;;;;:/
.∨、.:::::i||ili!. 、 . :|:::::彡".:::::;彡"ノ:ハ:、\:::::: ∧;;;;;;;:/ まったくだ。
∨、::::i|!ili!. .ヽ ::i!::;':::::;彡':::::彡':;i:i:i:::ヽ':::::::: ∧/ ああいうものは雅さに欠ける。
. ∨ヽ|!'"´ヘ ,.:. :::|::::::‐=彡'.::::彡;i:i::|:、:::::::::::::: ∧
! :::゙i ∨_;::. ::∨:;ゝ、彡'::::;:':/;:::!;;∨:::::::::::: ∧
∨::| ,ィ='´、 :::.:::::∨´';ヽ::/::/::/:'ノ;;;: ∨::::::::::: ∧
∨`y'ィ'_,,メ.::::::::::ヘ、 /.:':::/::::::// ∨::::::::::: ∧
. !::ノ ヽ:::::::::::トヘ、:::::::::::/. ∨::::::::::: ∧
. |/ ヽ::::::::::l ゛゙ヾソ;、 ∨::::::::::: ∧
!`ヽ、,._, |!:::::::::l ヘ、___ ∨::::::::::: ∧
| . ::::`、 |!::::::::::| _,,..=='‐―‐| ∨::::::::::: ∧
| : :::: ハ__,.'´!:::::::::::l´: : : : : : : : :,;,;|_ ∨::::::::::: ∧
| : :::: |;;;;;:/,;i!:::::::::::!: : : : : : :,;,;ィ、:::::ヽ._ ∨::::::::::: ∧
;: ::: |/ |i:.|!:::::::::ノ: : : : : : : : ヘ∨::::::.\. ∨::::::::::: ∧
|
| ̄ ̄\
| _ノ \\ 唐突に出てきたなオイ。
|(●)(●)i 誰だアンタら。
|.(__人__) i
| .` ⌒´ |. ̄ ̄\
| . . ノ_ノ ヽ、.\ ぶっちゃけ
|. . / (●) (●)ヽ アンタらの秘剣もビームと大して変わらないから
| ヽ (__人__)' i お帰りはあちらで、どうぞ(迫真)
| | `⌒´ /
-
<ちぇっ、つまんないですね…。
<うむ。
___
/ \
iニーヽ /─ ─ \ …変な横入りがあったけど、
iニ_  ̄ ̄/(●) (●) \ こうして見ると、立場や経歴を離れた「一兵法者」としては、
⊂ノ ̄ ̄| (__人__) u | .二人とも、あまり考えに差がないような気がしてきたお。
⊂ ヽ∩ `ー´ _/
'、_ \ ) 他にも共通点ってあったりするかお?
\ \ / /|
|\ ヽ / |
/ ̄ ̄ \
_,.ノ `⌒ \ そうだな…他に共通点としては、宗矩も武蔵も、自身の兵法に、
(●).(● ) |. 確たる自信を得たのは五十歳を過ぎてから、と言ってるんだな。
(__人___) .| .無論、それまでも兵法を修めてはいたが、
'、 | 自分が納得できる境地に達したのはその頃だという訳だ。
| |
,. -ーー| /レ、 【兵法家伝書】
/:::::::::::::::: ヽ__、____,. "/::::)- 、._ 『予人と成り、手に刀柄を握つて父の業を継ぐと雖も、未だ嘗て自由ならず。
l:::::::r/::::::::::::::「二二二 :::::::/::::::::ノ:::::..ヽ 漸く知命(50歳)の年を過ぎ、此の道の滋味を得たり』(家伝書後書)
|::::::::_,,. -‐、.:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧
::ニニニニ/,. -‐ \::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::.∧ 【五輪書】
// ノ -‐ V:::::::::::::::::::::::::::::,′::::::::::::::::: j 『我、三十を越えて跡をおもひみるに、兵法至極してかつにはあらず。
`-iノI_ノく__ヽ `7ヽ::::::::::::::::::::l::::::::::::::::::::: / おのづから道の器用有りて、天理をはなれざる故か。
|:::::l::::::::::::::へ___/:::::/:::::ヽ、::/:::::::::::::::::::: / .又は他流の兵法、不足なる所にや。
/::::::::l::::::::::::::::::ヽー::::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::: / .其後、なほもふかき道理を得んと、朝鍛夕錬して見れば、
/:::::::::::l:::::::::::::::::::::ヽ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::: / おのづから兵法の道にあふ事、我五十歳の比也』(地之巻)
_,.-'"´ 三ミ、ー-、
/ / ィ /⌒`⌒ヽ\
/ / / / 殺 | ヽ
/ / イ´^ー、 ,.. 、)、 ',
, ' / / //ヽ、 ゚ゝ イ ゚ノ| | 宗矩が「父の業を継ぐ」と言えるタイミングとしては、
//イ / /::::、 '´ ` ̄'|| | 柳生家の家督を継ぎ、秀忠の指南役となった慶長六年…
/ /イ / |::::::| / _┗' ,イ 、| つまり31歳の頃という見方もできるから、
/ / |::::::| ┃r=━┫;:/ | |ヽ その意味でも、似てると言えるかもしれんな。
/ / ,イ ,' | ハ:::::| /!ー-、K ;:/ | |\
/ / / ! \| | |::::::::::|! /! ! |
, / / / |┐ \ `━彡' | !ヾー-、
/ /イ | ハ! |==、  ̄乙/{,川ハ! `ヽ、
, ' / イ 川ハ、o | `='"oネ、リヾ、 ヽ
/ 人 リヾ `ー、_,彡'"|,リ' ヽ _,. ' 〉
-
/ ̄ ̄\
/ .\, 、/\ _,, さて、ここまで宗矩と武蔵の兵法観について、
| (●) (●) .| l;l 同じだったり、違っていたりと、色々な事項を挙げたが、
. | (__人__) .| _,_,|,|_, 最後に、根本的なところで二人が共有している価値観を話そう。
| `⌒´ |, ト-=y 丶 むしろ、そこが共通するからこそ、比較が成り立つ。
. | } ヽ `i, ̄‐^l
. ヽ } ヾ~ ` i, 宗矩と武蔵、ふたりの根底で共通するのは…
ヽ ノ _ ヽ、 ;i,
,,_,i y,ソト,,__ ヽ、 ;i,
,/r-'"j / / ii, `ヽ、-x,,゜r ;i
,,/'/__.L、 /ヾ、"i `ヽ `;i i,
,/ /_iーヘ,ヽ、 , /i" ヽ、 i `、'i iヽ、
_,) ヽ " ネメ、_ii"~ _Yri l, ヽ、
_,,,>t 、ヾ、 ゞ;;/ / ,¬ V⌒l
,y`;,,__ ,i /ii' / r-/| l l
_/^,,, ヘ l /iil / l"v' y } l
v=4⌒ヽ、 j --,,,if /iii| ,, 〈-ヘ_,、 <、 / i|
ヽ, ,, i、 _,,tv /iiiii ム、 / / ヽ、ヽ、_x--ー‐- 、
__,,,l ii Yi___,lk / }iiiiil ヘ __,,,,,,___/ `x'"^ ,,,,, \
^ ̄⌒ヽ ヘ、 ,ノiiiii|、__,,,y,,_,,,/ ヽ、 ,/ ,,,-‐‐ `',, ヘ,、
,,,_ \ ヽ `>- liiiiiiil ¬">-- ヽ ヽ i i/ _,, / } i
"- ,, } / /iiiiiiil / l l l lK ^~' / |
\ーヾ /iiiiiiiil / i i | |i`'ヽーミ_/ /
-
, |
,,..イ |
γ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ l _,,,...イ´ | |
| 「自身が兵法者であるという自覚」と | .ヽ、ヽ __,,..-t''"´:::::::::::| l |
乂_______________ノ .| ヽ:::::::::::::ノ / .|
ヽ、  ̄ / |
` |
|
|
ヽ |
| |
.人 / |
ミミミミミミミミi ヽ ヾミツ''' ヘ彡ヽ リ/
ミミミ/ ̄ヾツ ヽ ヽ ) |三キ´((ミ、_ノ
ミミ/:::::::::: \ i | |、 ヾヽ
ミ/::::::: ,ァェ三ミミミャ、 ヽ .i l / ri》ミニミャ、、 γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
゙:::::::: ' ヾミッ、,, 丿i::i i ./,ッ彡ノ‐-─、ヽヽ、 | 「己の兵法に対する強い矜持」だ |
:::::::::::: ‐-、__、ヽヾミミ彡ノノ彡'_ノミミミヽ-彡ヾ、 乂_______________ノ
ヽ:::::::::. ` `‐-',‐`ゝ、゙' /-‐'´)ミミミ=-`´ヽ ヽ
:::::i-、:::::  ̄ノ ..:ヽ !ヽ | ヾミミヽ
::: |:::::ヽ ::: /´/ ..:::::::_i i ::/ミ==-
:::..ヽ::::__ノ 、 ( ` )/ミヾ))
:ヽ、>´: ! i ⌒ ''´/ミ<ハ
:::::::ヽ:::: ヽ ,/,二ニ'フ/!i|川 リ
::::::::::ヽ:::: ) , =ニ、_'ー-' .i'-‐┴‐-=、_
:::::::::.. ヽ、_ヽ `ー‐,';;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;`ヽ、
`'ヽ‐::::: ゙ヽ、:: /ヽ、, /;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;ヽ、
;;;;;;;;\ ヽ、;::.... ノ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;i
-
/ ̄ ̄ \ )ノ
/_,ノ ヽ、,__\ ((
-、 .| (● ) (● ) | ノ' 自分の兵法が、単なる小手先の技術に留まらぬ、
ヤ ', | (___人___) .| ,i' 武士が修めるに足る「法」であり「道」だとする強い誇りだ。
i. l ,.-、 | ` ⌒ ´ | .::.
', j / / .| ____/./ どの時期に、どんな立場で、誰に向けて、何を重視して…、
ノ_..ヽ-、′,' ', (____././ニ`、 と、兵法を語るに際しての状況の違いはあったにせよ、
. l .___ ヽノ __ jハ. __ 、__ノ__,. -、 ` { その根底にあるのは、間違いなく、
Y )ハ.‐ ' ´ ..::ヽ:::::::::::::: ノ,. - トー- 、 _ 「自分の兵法に対する自信と矜持」であったろうよ。
ト.  ̄ ̄ 〕y:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::i ャ '!,:::::::::::..\
ハヽ 一ニイ::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::'ヽ_〉 i,::::::::::::::::..ヽ そうでなければ、こんな記述はないさ。
/ .::::::::::::::::: 〉:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::八 /`x--、:::::::: l
/ .:::::::::::::::: /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::〉::::/:::::::::::::::\:::: l
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【兵法家伝書】
| |兵| . |_| 『此の一巻を進履橋と云ふ事は、
| |法| . |_| 張良、かつて石公に履をすすめて、
| |家| .|_| 兵道を伝へて後、張良がはかりごとにより、
| |伝| .|_| 高祖天下を治め、漢家四百年を保ちし也。
| |書| .|_| 是によりて、其心を取りて進履橋と名付けたるなり。
|.  ̄ .|_| 此の一巻を橋となして兵法の道をわたるべしと也』(進履橋)
|________.|_|
└───────
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄~|_|
| ._ .|_| 【五輪書】
| |五| . |_| 『夫兵法といふ事、武家の法なり。
| |輪| . |_| 将たるものは、とりわき此法をおこなひ、
| |書| .|_| 卒たるものも、此道を知べき事なり。
|.  ̄ .|_| (中略)
|. .|_| 武士の兵法をおこなふ道は、何事においても、人にすぐるゝ所を本とし、
|. .|_| 或は一身の切合にかち、或は数人の戦に勝ち、主君の為、我身の為、
|________.|_| 名をあげ身をたてんと思ふ。是、兵法の徳をもつてなり』(地之巻)
└───────
-
, -───-= 、
/ \
、 / \
, / ヽ
_ ノ i ',
( ( l 、 l 大仰な前置きだけなら他の伝書でも珍しくもないが、
) l _ノ'′ `、 | 伝書本文が、書いた人間の心が観えてくる程のものだからこそ、
,、,、 .i .(● ) "ー-- / この前置きを置いた、二人の自信と矜持が浮かび上がってくる訳だ。
\\ l (● ) /
\\ /) j / 宗矩と武蔵──。
,.、 -‐>、丶/)-、 ) / 立場も経歴も違い、おそらく直に会ったことすらなかったにせよ、
/.:.:.:./,.=゙''"/'⌒`ー-一'′ /、 .同じ時代を生きた兵法者として、
/.:.:.:.:.:.i f ,.r='"-‐'つ /ノ.:.\ .相通ずるものがあったのだろうと、俺は思うよ。
/.:.:.:.:.:./ _,.-‐'~ ,//.:.:.:.:.:.:.\
./.:.:.:.:.:.:,i ,二ニ⊃ -= - /.:.:.:.:.:.:.:.:.:.\
,, -‐‐‐‐‐‐‐-- 、
/ \
/ -─‐ ー‐-.\ 沢庵和尚が、宗門の違いを説いた話で、
/ ( ● ) (●) ';
/' / \ '; 『分けのぼる 麓の道はかわれども、同じ雲居の月を見るかな』
/ ( 人 ) i
| `'''''゙´ `'゙´ ! と歌ったけど、それに近い感じだお。
'、 / …そういえば、二人の伝書は「近世武道書の二大巨峰」と並び称されてるおね。
\ <
/ ゙゙̄'''‐‐‐----- \
___
∠三 / 三`ヽ
/三三 | 三三 ヘ
/ ,''"´ ̄ ̄`ヽ`l ヘ 「兵法」という山を、違う道から登った二人が、
/ ,' ! ヘ それぞれが着いた頂から、同じ高みを眺めて、
,′l∨_ 殺 _ ∨i !ヘ その思いを伝書として後世に残したという訳か。
∧ |ヾ -ゝ ハ∠-丿|| | ヘ
_,.-‐─‐-气 / |ィ  ̄ | ィ|| ! ヾ\ …随分と詩的なものだな。
/::::::::::::::::::::::::::::::弋l| ∧ | //| |ヾヾ\
/:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| |/| | .ト──イ |//| |ヾハ-‐二ニニニ弋
\::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::| l | ヽ  ̄ /l/ | |::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヽ
``-圦::::::::::::::::::::::::| | | / >―< | .! |:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ
/ 介ー==∠| |√≡≡≡≡≡≡ ll | \二二二二二二二>
/ / l |!  ̄‐‐- 乂 -‐‐ l |l ヽヾ |
| .| | | \ \ | l | | !
-
╋━━━━━╋
┃ .最後に. ┃
╋━━━━━╋
さて、それじゃあ、 ■ >>1から見た宮本武蔵 ■
まとめと行こうか。 「生まれる時代が遅かった兵法者。
.ただし、早く生まれても、結局兵法だけやって過ごしてただろうし、
| .そもそも遅く生まれたからといって、別に不遇だった訳でもない。
| .割とイイ感じに人生満喫してたよね、この人(´・ω・`)」
/ ̄ ̄\
/ _ノ \. ■ 宗矩と武蔵の兵法観比較 ■
| ( ●)(●)
. | ⌒(__人__) ・技法的な面では共通点多し(修行観も似ている)
| `⌒´ノ
. | }. 。 ・運用面での思想はほぼ対極
. ヽ } / ⇒状況と経歴の違いが主な理由。
ヽ ノ ./ また、想定している対象が違う(「統治者」と「一般の武士」の差)
/ lヽ介/lヽ、 ,rE)
. | | ~ヾ/~ |. ソ◇' ・根本の共通項
| | ゚| |\/ ⇒自分が兵法者であることの自覚と矜持。
_ | | ゚| |______E[]ヨ____________________________
|\  ̄ヽ⌒ヽ⌒ヽ \
|\\ ⌒ ⌒ 甘 \
| \| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
-
____
/ \ なんかいい感じに〆たと思ったのに、
/ ─ ─ \ 武蔵像の紹介、ちょっとぶっちゃけすぎじゃないかお?
/ -=・=- -=・=- \ .つか、.顔文字とかねーお。
| (__人__) U |
\ ` ⌒´ /
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ こんな好き放題生きたおっさん、どう言えってんだよ。
| ( ●)(●) もうちょい頭悪かったら、このおっさんのAA宛てちゃうぞ。
. | (__人__) (既に善鬼役で使ってるけど)
| ` ⌒´ノ ,r'゛ヾ
.l^l^ln } `‐= ) …まあ、ここまで頭悪かったら途中で死んでただろうけどな。
. ヽ L } ゝ-´ );;;;;;)
ゝ ノ ノ .) ;;;;)
/ / \ ./;;/
/ / \ .l;;,´
. / / |ヽ、二⌒)━・'
ヽ__ノ
=【もうちょい頭悪い版の武蔵の図】====================
,ィli,,ィ:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;ミ、
/l:;:;:;:;:レl/"'`ヘ/lVマヘ:ヘ |\ /\ / | // /
メ:;:;:;:;メ,沙ミキi"';ヽ-,,,,,ヾハ _| \/\/ \/\/ |∧/ ///
`彡:;:;:/ィ、ミニラ'/,,,;;;;;、kヽl'lハ \ /
ゞ彡:;:;l/:;:;:;/_ニヾ;;;;;ィ_ヘ´:ハ:;ミ、 ∠ エンジョイ&エキサイティング! >
、彡':;:;:;:;:;:;l//〈<ィ T T Ti、ヘ:;:;l:;ミ /_ _ \
、_マ彡:;:;:;:;:;:;ヘ:.:.:.、ヽ二二二二ラ/i:;:;ミ,,  ̄ / /∨| /W\ /\|\ .|  ̄
≧彡:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;メ:;:;:;:;:;:;:.:.:.:.:.:.:.:/:.:.i:;:;:;彡 // |/ \/ \|
>≧/彡コ  ̄ ̄` ヽ:;:;:;:;ヽ‐-:.:.:._///l:;:;:;彡
/:.:. ̄ ヽ ノ'):;:;:;:;ゝミヽ>ミ、:;:;:;:;彡
:.:.:. :.:.l _ -‐彡 ィ、:;:;:;:;:;:;:;ヾ、`ヽ、ミl:;:;:;:;彡,,,
:;:;:;:.:.;:;;lィ''´‐'''"_,,, >',ィ:;:;:;:;:;:;:;:;:;ト,,ヽ 、 ヾ:;:;:;:;:ベ
===================================
-
/ ̄ ̄\
/ _ノ \ まあ、それはともかく
| ( ●)(●) 随分掛かったが、武蔵のついての話はここまでだ。、
| (__人__) そして、この補足編も終わりになる。
| `⌒´ノ
| } …いよいよ、「次の話」だ。
ヽ } (
_ヽ ノ`ヽ、_ )
. _/|\ ` 、,__ 、小 L  ̄ ヽ (
_, ハ \ ` ァ、 /ヘ,レ―‐‐、__i__,)
. , -‐ ´ ,ゝ \/ _ 又/ ,ヽ\丁
/ ヾ. \ , イ{`< _ ,ィ 〉〉〉|
. / `゙ヾ\ ヽ/ ヽ\`く´ / `ー(/ |
. ! ´⌒` ヽ / `ーヲ`〈 i !
_..-''" ̄ ゙̄''---- ,,,,
/ `'‐、
/ `'、
/ ゙l,
/ !
| . ___、 |
l ., ‐'"゛ '''''''、 |
l . / l |
,' / . 、 ! !
/ / 、 l.殺´! .,! | 虎は死して皮を残す。
/ ./ l .f゙'‐.,i', ,! |
/ .l ゙l \ ! l゙ 和尚は死んだが、教えを残した。
./ !.ゞ \ .ヽ l゙ !
./ | .`ッ', .,r‐/ ! .武蔵も死んだが、兵法を残した。
./ .! ゛ ./;:;:;l |
./ .r .! ゙‐''''} l
.-'´ . l l、 .、 i ..,,、 | l ──そして、宗矩にも”その時”が来る訳か。
/ .!', .!、 `―" ! 、 !
! }.l l-二― ......,,.. | | .|
.| .l l .l;:;:;:;:;:`゙゙''''/ ,! ! |
.l │.,、.ヽ .ゝ ....,,,__./ ! |
! !.〈,,, ゙'-..____,,..-'"l゙ /
! /.、 `''-,,. ,..l゙ ./
', .,' `'、 `''" ̄ ̄ .,! /
! .i', ゙'y. .._.. ! /
| ./ ヽ ゙',゙'---ッ'" ! /
| / ..l. ..l, / .l ./
l ,i', l .li′ .! ./
// \ .! ! l ./
〃 ヽ. ! ! :! . /
l′ ヽ| .l | ./
.゛ ! ! /
l′
-
,,.: ''''""~""'''‐..
/ \
/ ─‐ ── \
/ ( ● ) (●) `、
./ / \ ', ──とうとう来るのかお。
i ( 人 ) ',
! `゙'´ `゙'''''´ |
\ ,.'
> /
/ -----‐‐‐'''"~ \
/ ̄ ̄\
/ _ノ \
|:::::: (● ) ) そうだな。
. |::::::::::: (__人) とうとう来るんだ。
|:::::::::::::: `⌒´ノ ....,:::´, .
. |:::::::::::::: } ....:::,, ..
. ヽ:::::::::::::: } ,):::::::ノ .
ヽ:::::::::: ノ (:::::ソ: .
/:::::::::::: く ,ふ´..
|:::::::::::::::: \ ノ::ノ
|:::::::::::::::|ヽ、二⌒)━~~'´
-
.
,__ , _ 、 _, .._ 、
_....j|lllll_|lllll_|lョ__ _j|lll|l|llll|:ョ 、
__uョllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll亡uョllllllllllllllllllllllllョllllllllllllllllョョu_
_ullllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllF]lllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllョ_
,,,ョlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllll〔ョlllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllllL_
 ̄ ̄ ̄’ ̄ ̄lll ̄ ̄”'lテ ̄"匸 二 ̄""'lllll_ ̄lllll"、lllll" ̄_]ll厂゙゙"ア''llllllll'、
゙゙ゞlll_ _____llll′"lllllL_ `゙lllllj リlr 'lllll!_ョll厂 __llll广
__;]lllllテllll′ ゙゙''lllllョj ]lllllョェ__,三ニ_jllll广′
ulll广 ゙lllll ´~~~~`lllll~~゙lllllニ
~~ ゙゙
── 柳生宗矩の、死が ──
【やる夫で学ぶ柳生一族(その67補足2):「宮本武蔵という人物&宗矩と武蔵、その兵法観」】 完
-
てなところで、終了でアリマス。
えらく長く掛かってしまいましたが、どうにかこうにか終わってやれやれと。
今回もお付き合いくださり、ありがとうございました&お疲れ様でした>>ALL
前からやりたかった宗矩と武蔵の兵法観比較の話が、
ようやく出来たのは良かったものの、いざやってみると、
全然違う経歴を歩んできた二人の著作を見比べながら書いていくのは、
予想よりも随分骨が折れたなーと。
結論だけ書くなら、割と楽なのですけど、
「どうしてそうなのったのか」という説明を入れていくと、途端に手間が増えて、おおうと。
結果、随分掛かってしまい、申し訳ない限りです、ハイ。
とはいえ、兵法家伝書と五輪書の比較自体は割とあるものの、
五輪書解説の際に、家伝書(&不動智)を引用する程度のものが多くて、
二つを同程度に並べた比較というのは存外に少ないのが、
前からちと不満だったので、自分でやってみたのですが、
ともかく仕上がって満足でアリマス。
あと、宮本武蔵という御仁について、
今回の補足含め、本文中ではかなり軽い感じに書いてますけど、
世間における武蔵のイメージが、どうも必要以上にドギツいのが多いので、
その反動の部分が割とあったかなーと。
何の悩みもなかったとか、苦労一つしてないとか、そういうことは決してなかったでしょうけど、
いちいち世間に鬱屈を溜めてたり、求道だけの人生だったり、はたまた戦闘狂だったりというのは、
どうも違うなというのがあったので、もうちょい現実的なラインで見た方がよかろうなーと。
さて、次回はとうとう「その68」であり、いよいよ第二部最終回となる「柳生宗矩の死」です。
ここまで来るのに随分掛かってしまいましたが、ようやく辿り着いたので、もう一頑張りしまする。
(まあ、第三部もあるんですが)
次回からは次スレで始めますので、この後、適当に雑談なりで埋めて頂ければ幸いでアリマス。
【次スレ:やる夫で学ぶ柳生一族(やる夫板Ⅱ版11)】
http://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12973/1431259094/l50
なお、次回解説役は、>>505である通り、
ジャンヌと赤王様の、セイバー顔コンビになる予定です。
それではではー。
-
乙!
-
乙乙。
30過ぎて魔法剣士とか言ってた宗矩もついに退場か・・・
あれだけ苦労すりゃ胃痛が進んでかめ腹にもなるわなw
-
乙
-
武蔵はどうしても吉川英治パターン(孤高の求道者)かそのアンチ(狷介で鬱屈した剣士)かに偏りがちで、
技術的にも実際の著作に基づいた話が書かれないから、実際の話をするとその辺の解説からする必要があって難儀だ。
宗矩の死というとそろそろ宝蔵院が訪ねてくるんですな(石川賢版)
-
転生前に引っ張り出された石川版と
魔法老人マジカル・むねりんと化したせがわ版とどっちが幸せだったろう。
なお映画版は若富が演じてて、比較にすらないレベルで扱いが良かった模様。
・・・・そのぶん、リメイク版ではまるっとカットされたがな!
-
投石は、兵法で防げてない気もw
-
乙
武蔵は生まれが遅ければ実際にある程度出世して上の立場になれたかもしれんけど
その場合は兵法者からは脱却していただろうなあとも思う
-
乙でした
こうして比較してみると明確ですねえ
武蔵に関してはもうちょっと史料増えれば良いんでしょうが
-
乙
-
乙です。
-
_ _
\ / | / | \ /
,/ .ノ / 弋、 \、 /
`'-、 /. /`'-、 / \ .\、
゙ゝ、 l l´ \ / / `l l
`'-、 | | `'、, / / l |
.`'-、 | ∧ ここで俺達が先(>>1000)を取る! ./ ,/ / .| 審議はご勘弁だお!
/ ̄ ̄\  ̄´'''‐. ,,_ \ / / _,,. .‐'''` ̄ / ̄ ̄ \ 次スレもよろしくだお!!
/ ノ \ ヘ 〝‐..._ `'、、 / /_..‐″ / \ / ヽ
|(●).(●) 、'´ _ `'‐、. \ / r‐'´ _ `'、 (●) (●)|
| (_人_)/ __メ‐ー''´ ,ニニ \, \ / ,/ ニニ、`''ー‐弋__ \(_人_)ノ
弋_/ // / ∧ ゛'- ._ \__ \ ./ __/ _.. -'" / ヽ \\ \
./ / / / ..亠ト ゙i. `‐〟 \ \ / / ., ‐´ / .イ亠、 \ \ \ \
/ / | ,/ / ヽィ`'-、 \, \ ` ./ ,/゛ `イ \ \、 | \ \
/ /_ \__/ `'-、 ゛'-.._ \ ./ _..-'" \__/ _\ \_
Lニ(_メ//三三三三三三三三ヲ `'-、 \,\ /,/ 弋三三三三三三三三\\弋__ノニコ
 ̄ / ゙i__l l__/ \  ̄
/ \
/ /`'-、 `-、
/ .,/ .`'-、 \
/ ,/ `'-、 .\
/ . / `-、 \
/ ./ \ `'-、
/ ./ `'-、 \
/ / ゙ゝ、 .`'、、
/ / `'-、 .\
/ ./ `''-、 .\
/ / `'-、 `'-、
/ / `'-、. \
/ ./ `'-、 \
■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■