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復讐

1熊猫:2010/01/20(水) 09:02:05 ID:ZHtQ.ojc0

――くそっ、あの女め。いきなりなんてこと言いやがるんだ。

 数秒前まで元最愛の女性の声が聞こえてきていたケータイを床に叩きつける。
復讐してやる。絶対許すもんか。
怒りに任せ、ネットで検索。検索クエリは「復讐」。

すると検索窓の下に、「復讐 代行」や「復讐 合法」、「復讐 方法」などの候補が現れた。
「復讐 方法」を選ぶ。
簡単 後遺症が残るように復讐する方法。や、超強烈な復讐方法教えてください。などのサイトが検索結果に現れた。
俗にスニペットと言われるサイトを説明する語句を読むと、いまいちしっくりこない。
命まで直接奪うまでは行かないが、それに近い、レイプとか半死ぐらいがちょうどいい。
別れ際にとんでもない言葉を吐く女は数多いと聞く。だが、相手の人格や人生全てをも否定するような言葉を吐く女はコイツくらいのものだろう。

下へスクロールしていくと、検索結果ページの一番下に「復讐.com」というサイトが見つかった。
通常、このようにクエリにどんぴしゃのサイト名の場合、検索上位に来るはずなのだが、しょぼいサイトなのだろうか?
スニペットを見ると、「このサイトが検索結果にでたということは、あなたは復讐を考えていますね。このサイトは、あなたの思い通りの復讐ができます」とある。
興味を引く書き方だ。いわゆるスパムといわれるクオリティの低いサイトなのだろうか?
しかし、思い通りの復讐ができる。という煽り文句は惹かれるものがある。
他にめぼしいサイトもないようなので、これにしようか。

 サイトを開いたが、真っ白の画面が出た。
ん?おかしいな。繋がらないのかな?
そうおもった瞬間、画面上部にブルーのラインが現れ、その下に、
「西辺 遼平さん。ようこそ復讐.com へ」
の文字が現れた。
「えっ…!?」
 思わず絶句した。なぜ自分の名前が書いてあるんだ。
自分の西辺という苗字はとてもめずらしく、今まで親戚以外に同じ苗字のヤツにあった事がない。
何故だ。どうしてだ。
 よくIPアドレスなんかを取得・表示して、あなたの個人情報はすでに手に入れていますよ。だから、お金払え。
というサイトを良く見るが、IPアドレスみたいに簡単に誰でも取得できるような情報ではない。
すこし目をそらした隙に、画面は変わっていて、個人情報を入力する画面が出ていた。
その上には、「あなたの復讐したい相手の個人情報をわかる限りで入力してください」と出ている。
「名前は、刑部 蓉子。年齢22歳。住所は…」
 わかる限りで入力していく。意外と、入力できない項目が多いのに気付く。結局俺は蓉子の事を何もわかってなかったのか?
一番下の「次へ進む」ボタンをクリック。

 左側に身体メニューや、精神メニューなどのメニューアイコンが出て、中央に3Dの女性が現れた。
その女性は、次第に形を変えていき、蓉子そっくりの格好になった。
3D蓉子の足の下辺りに、3Dモデルとリアルモード、リアルタイムビューの3つのボタンがある。
3Dモデルのボタンが灰色になっており、リアルモード、リアルタイムビューにそれぞれ黄色と青色の色がついている。
現在画面に表示されているのは3Dモデルということか。
だが、これでどうやって復讐しろというのか。まさか、このネットの中で復讐しろという事なのか!?
一番下のinformationと書かれた下の部分に、文字が現れ始めた。

<西辺さん。慌てないで下さい。確かにあなたはこの画面で復讐を行っていただきますが、実際に刑部蓉子さんの身に降りかかります>
<その様子は、リアルタイムビューで観察できますし、リアルモードで実際に西辺さんが復讐を行って頂く事も可能です>
<まずは、左の身体メニューか精神メニューから、復讐メニューをお選びください>
 
 何だこのサイトは。俺は夢でも見ているのか。しかし、蓉子への復讐の思いが数段勝っていた。
リアルタイムビューにしておいてから、身体メニューを開く。
頭 肩 腕 など身体の部位が表示され、その下にさらに微痛や鈍痛、激痛やかゆみなどが表示されている。

 何にしようか?
とりあえず、胸の激痛を選択。継続時間を20秒と入力した。

2熊猫:2010/01/20(水) 09:20:00 ID:ZHtQ.ojc0
 先ほどから画面上には、ベッドに座り、憮然とした様子の蓉子が表示されていた。
ケータイから誰かに電話をかけているようだった。
第一声から、大親友と言っていたマユミという女であることがわかる。
パソコンのスピーカーからは、先ほどまでケータイから聞こえてきた憎っき女の声が流れる。
 
 蓉子は、大親友のマユミに今起きた事を涙ながらに語っていた。
しかし、自分が振ったことになっており、今までの事も有ること無い事というよりは、有ること無い事無い事ない事
といったふうに、かなり誇張して喋っていた。
何だコイツは。俺はこんなヤツを愛していたのか。いっそう復讐の念が強まる。

復讐実行ボタンを押すと画面上の蓉子は、ケータイを持ってない左手で胸を押し、苦しそうに後ろへ倒れた。
かなり苦しそうに、身体を丸め、右へ左へのた打ち回っている。
かすかに、マユミの困惑した、心配した声が漏れ聞こえる。
動作が大きかったからか、ベッドからずり落ち、床に転げまわる。
「んっ…。はぁ、はぁあ…。ごめん、マユミ。大丈夫。急に胸が痛くなっちゃって」
 画面上の蓉子は息も荒く、今起こった事をマユミに話している。

 これは現実に起こった事なのか?
ためしに電話を掛けてみたが、話中になっている。
現実なのか…?

3熊猫:2010/01/28(木) 00:00:48 ID:Cn6yU2T.0
 まさしく、ありえない事の連続であったが、復讐の念も強く、
また、ありえなさが、限度を超していたので、現実かどうか判断が付かない。

 とりあえず、復讐は始まったばかりだ。これからだ。
リアルにしろ、パソコンの中だけにしろ、これだけ凝ったつくりになっているので、復讐は果たせると言える。
画面の中の蓉子は、マユミとの電話を切ったようである。
ケータイの画面を見て、一瞬、顔をゆがめたが思い直したように、どこかへ電話をかけたようだった。

 数回の呼び出し音の後、先ほど、床に叩きつけたケータイが振動しながら、着信音を鳴らした。
その着信音は、間違えようの無い、最愛の女性用に設定した曲だった。
「…はっ。マジか!?」
 タイミングが良すぎる。今度こそ、本当に仕返しをしてやる。今までの人生の中で、言った事も無いような呪いの言葉を吐いてやる。
「もしもし…?さっき、電話かけた?」
 ケータイから聞こえたのは、毎日待ち焦がれ、電話を切るのが惜しかった声のはずだが、
今は何の感情も湧かなかった。いや、怒りだとか、殺意だとか、どすぐろい感情が湧き上がる。
「………」
「チッ…。フーーゥ…」
 こっちが何の声も出さずに沈黙を守っていると、
舌打ちが聞こえ、ケータイの受話口に息がかかる音がした。
とっさに、パソコンの画面に目をやると、画面の中の蓉子はいつの間にかタバコに火をつけ、気だるそうに吸っていた。

 あれほど、タバコが嫌いだと。自分の前では、タバコは吸うなと。まるで天敵を目にしたかのように、眉を吊り上げ、
自分には絶対に吸わせなかったのに。
「何なのよ。まったく。私は忙しいんだからね。切るよ」
 耳に届くのは、最愛の女性の声ではなかった。何かがブチ切れる音がした。
「ふぅん、忙しいのか。マユミの後は誰だ。カオリか。ノゾミか。あと、誰に俺の無いこと、ない事くっちゃべってないんだ!?」
「なっ…、えっ…??」
 電話の相手は声も出せないようだった。ただ、ただタバコの吸う間隔が短くなる。
「忙しいところ、ジャマしたな。もう、ジャマする事も無いだろうから、安心して、くっちゃべってくれ」
 冷たく言い放ち、ケータイの電源を落とした。

 画面に目をやると、画面の中の蓉子は、まだケータイを持ったまま、タバコの灰が服に落ちるのも気付かず、呆けていた。
ケータイを持った左手が、だんだんと下がっていき、自分の太ももを打ったとき、やっとタバコの灰に気が付いたようだった。
「ああっ、もう!」
 苛だたしげに、服を払い、服の上に落ちたタバコの灰を床に落とした。

 −これは、リアルかもしれない。

 だんだんと、漠然としたものが、確定に変わる。
もう一度、身体メニューを開き、全身にチェックを入れ、かゆみを選択。時間は5秒くらいでいいだろう。
<復讐、了解しました。実行します>
 インフォメーション欄に文字が現れ、すぐに消えると、
四つんばいになって、ベッドの上にこぼれた灰を床に落としている蓉子が、全身をくねらせ、体中をかきむしり始めた。
ベッドの上で、まるで胎児のように体を丸めて、息も荒く、あえいでいる。
続いて、精神メニューを開き、睡眠の項目があったので、眠ってもらう事にした。
時間は選択できないようで、選択欄が灰色に塗りつぶされている。

 蓉子の息がだんだんと緩やかになり、スースーと寝息を立てて、眠り始めた。
その時、ふとリアルモードを選択していない事に気がついた。
マウスを、黄色いリアルモードのボタンへ持っていくと、インフォメーション欄には、
<実際に蓉子さんの元へ行って、復讐してもらいます。身体メニュー・精神メニュー共に選択可能です。>
と出ている。試してみようか。

4熊猫:2010/03/19(金) 08:06:44 ID:ouIWEV7k0
 黄色のボタンを押してみる。
強い光がディスプレイから放たれ、思わず目をつぶった。
次に目を開けると、満天の星空に放り込まれたような、360度星が煌いていた。
やがて、星たちはかなりの速さで後ろへと流れていった。

2、3秒後、再び強い光が俺の目を射抜いた。
思わず目をつぶる。次に目を開けると、先ほどまでディスプレイの中にあった蓉子の部屋の中にいた。
見つかるとヤバイので、身を隠せる場所を探す。タンスの陰とかがよさそうだ。

 忍び足でタンスへと近づく。その時、床に落ちていたぬいぐるみを蹴ってしまった。
幸い、大きな音はたたず、蓉子はまだこちらには気付いていないようだった。
『大丈夫ですよ。西辺さん。あなたは現在、ステルスモードになっています。
 誰からもあなたの存在を気付かれる恐れはありません』
 天上から渋い中年男性の声が響く。いかにも執事といった風情だ。
気づかれる事は無いのか。じゃあ、隠れてコソコソとする必要は無いな。
『それから、先ほどまでパソコンで操作されていた復讐メニューはすべて、お手にはまっている時計型の装置で操作できます』
 天上からの声はなおも続く。
時計?いつの間にか左手に腕時計がはまっている。自分は普段腕時計をしない。
時間を見るのもだいたいケータイで事足りるからだ。見たところ、Gショックタイプの普通の腕時計に見える。

 ケータイの着信音が響く。
蓉子のケータイのようだ。せっかく眠らせたのにすぐに起きてしまった。

5熊猫:2010/03/19(金) 08:41:50 ID:ouIWEV7k0
電話の相手はマユミのようだった。蓉子は眠たげな声で応対している。
「えっ!?大丈夫だって。ホント、大丈夫。来なくていいよ。もう収まったし」
 蓉子がとたんに素っ頓狂な声を出す。どうやら、マユミが蓉子を心配して部屋に来ると言っているらしい。
蓉子はベッドから起きだし、玄関のマジックアイを覗く。どうやら、マユミは部屋の前まで既に来ているらしいが、
蓉子は大丈夫を繰り返して、マユミを部屋に入れようとしない。別にいいじゃん。親友なんだし。

 しょうがないので、俺が開けてやるか。蓉子の横をすりぬけ、玄関のノブを掴む。よしっ、掴めた。そのまま、ドアを開けてやる。
ドアの向こうには、蓉子と同じくらいの年恰好をした女性が立っていた。これがマユミか。けっこう美人だな。
「もう〜っ。この、ツンデレめ。さっさと開けてよ〜」
「えっ…。あ、う、うん。そだね」
 蓉子は混乱を隠せないでいるようだ。そりゃあ、ビックリもするだろ。玄関のドアが勝手に開くなんて。
「んでさ、胸、大丈夫?かなり痛がってたけど」
 マユミはそのままずかずかと部屋まで入り込み、ベッドのへりに腰掛けた。
「うん、大丈夫。もう、収まった」
「あの…、誰だっけ。蓉子のカレシが振られた腹いせに、呪いでもかけたんじゃないの」
 そんなことするか。でも、ちょっと鋭いな。だいたいあってる。
「そんな勇気ないよ。それに、カレシじゃなくて、元カレ。あんなやつ、カレシにしないで」
 結構強い口調で否定する蓉子。なんかムカツク。
また、何か復讐してやろうか。しかし、この時計でどうやって、復讐メニューを起動するんだろうか。
Gショックなら、Gの文字がある辺りが赤く光りだした。これを押せということか?どんだけ親切設計なんだよ。
まあ、押してみようか。

 赤いボタンを押すと、時計のフタがパカッと開き、緑色の光が出てきた。そのあと、光は姿を変え、緑色の四角形を空中に描いた。
『これで、復讐メニューを実行できます。空中に浮かんでいる選びたいメニューのところを押すだけで、実行できます』
 なるほど。まるで映画の中にある未来の秘密兵器みたいだな。
「ごめん、ごめん。元カレシね…。憎さ余って…。っと、電話だ。ごめん。カレシから電話だわ」
 何か言いかけたようだったが、嬉しそうに部屋の端っこへと移動するマユミ。カレシの声は聞こえないけど、かなり仲がいいようだ。
ふと、蓉子に目をやると、苦虫を噛み潰したような、形容しがたい苦〜い顔をしている。ふふ、いい気味だぜ。

 どうやら、マユミは彼氏との電話に夢中らしい。あちこち移動しながら、顔が緩みっぱなしだ。ちょっと羨ましいな。
おっと、忘れるところだった。これは復讐の絶好の機会到来だな。
ええっと、どれどれ。まだやっていない復讐がいいな。身体メニューに支配という項目が増えている。
『支配メニューでは、復讐相手の身体を支配して、どんな行動でもとらせることができます』
 ほう、どんな行動でもか…。どんな行動をとらせようかな。とりあえず、支配メニューを起動する。
蓉子の体が、急速に自分の方へ近づいて来るような気がした。軽い衝撃の後、なんだかさっきとは違う感じがする。
『支配メニューを解除したい時は、メニュー解除。と念じると解除する事ができます』
 なるほど。すでに支配メニューが実行されているのだな。
ためしに、右手を上げてみる。上げられた右手は、白くて細い手だ。今度は左手を上げてみる。左手も、白くて指が長い。どうやらこれで、蓉子の行動を支配できるらしい。

 何してやろうか…。よし、ひらめいた。

6熊猫:2010/03/19(金) 08:45:12 ID:ouIWEV7k0
幸い、マユミはまだこちらに背を向けて、彼氏との会話に夢中だ。
マユミは結構巨乳だ。だぼっとしたAラインのワンピースを着ているが、胸の辺りは はち切れんばかりに突き出していて、服がそこだけ窮屈そうだ。
 こっそりとマユミの真後ろまで近づき、手を胸の前まで持っていく。
そのまま、胸を揉む。両手には収まらない、マシュマロのようなやわらかい感触がする。感触まで感じるのか。これはすごいな。
「ぅんんっ…、な、あっ、何…?」
 突然の事にマユミは反応しきれないでいる。何が起こったのかもすぐにはわからないようだ。
「ぅんっ…、あっ、ぁはっ、んっんん…。なっ、ぁあ…、何、でもないっっ…よぉ、んっ…、」
 電話の向こうでカレシが心配してるらしい。喋ろうとするたび、力を入れて揉むので、中々言葉にならない。
「んっ…、はっあ、ぁん。あっ、はぁっ、あん、ぅんん…」
 マユミも次第に感じてきたようだ。だんだんと声が荒くなり、もはや言葉にならず、あえぐばかりである。
ガシャン。大きな音がして、マユミのケータイが手から滑り落ちる。もはや、立っていることも ままならないようで、がっくりとひざを落とし、大きく息をしている。

 もうそろそろ潮時かな。別に、マユミに罪は無い。ただ、蓉子に支配メニューを試してみたかったのと、ひと際目立つ巨乳がそこにあっただけの話だ。
「はぁ…、んっ、ああぁ…。ん、ちょっと蓉子。何してるの。そんなに揉みたいのなら、自分のを揉めばいいじゃない。せっかく、慰めに来てあげたのに。もう、知らない。私帰る!」
 息を整えてから、落としたケータイを引っつかみ、言い終わらないかの内に、大きな音で玄関が閉まった。
どうやら怒らしてしまったようだ。マユミには悪いことをしたが、手にはまだおっぱいの感触が残っていた。

 たしか、念じるだけで解除できたよな。じゃあ、支配メニュー解除。念じてみる。
先ほどとは変わって、蓉子の体が急速に離れていく感じがする。
『支配メニュー解除されました』
 よし、解除できたようだ。これは、面白い機能だな。何でも出来そうだ。
蓉子は、音を立てて閉まった玄関の前で、依然立ち尽くしていた。前方に突き出したままの両の手のひらを愕然と見つめている。
次はお前の番だ。どうせなら、最後までやってやりたい。立ったままだと不便だろうから、ベッドに追い込むか。
辺りを見回すと、先ほど、蹴ってしまったぬいるみが目に付いた。さすがに女の子の部屋だな。いたる所にぬいぐるみが置いてある。その中の一つを手にとって、まるで腹話術士のように構える。ぬぐるみの小さな手で、蓉子の肩を叩く。

7熊猫:2010/04/16(金) 22:49:31 ID:d0fuCWVs0
 思わず振り向いて、一番のお気に入りのぬいぐるみが空中に浮いているのを見て、とたんに認識できなかったようだが、すぐに顔が恐怖の表情を作り出す。
声も出せないぐらいびっくりしたようで、金魚のように口をパクパクさせているが、口から悲鳴は出てこない。
そして、まるで弾かれたように、部屋の反対方向へと逃げ出した。
 よし、今度は、反対側にある時計を掴み、蓉子に投げつける。
当たりはしなかったが、足を止め、四方を見回し、逃げ場所を探しているようだった。

 そうして数分間の格闘の後、ベッドの上へと追いやった。
ベッドの真ん中で体育座りのまま、枕を頭の上で盾のように構えている。
可哀そうに恐怖のあまりがくがくと振るえ、歯もかみ合わない。へへ、いい気味だぜ。
 ちょうど、蓉子の後ろには小さい子供くらいはありそうな特大サイズのクマのぬいぐるみが笑顔を見せて座っている。
これを使うか。クマの手を持ち、すぐ後ろまで近づく。手のひらでクマの手の部分を包み込むようにし、蓉子の胸を揉む。
「いやぁああーーー。んっ…、あっ、ぁあ、はっ、ぅんん…、は、はぁん…」
 最初は恐怖に駆られていた蓉子だったが、次第に快感のほうが勝ってきたようだ。
目は虚ろになり、頭の上で構えていた枕はベッドへと落ちる。
「…はっあ、ぁん。あっ、はぁっ、あん、ぅんん…、あっ、はっあぁあ…」
 次第に力が抜けて、ぐったりとなってきた。完全に体重をクマ(とオレ)に預けている。
クマの手は、ドラえもんのように円形になっていたが、先端は肉球の意味なのか、布があてられていて、少し硬くなっている。
その硬い部分がちょうど乳首に当たっていて、強く揉むたびにひと際大きな嬌声を上げた。どうやら、乳首が性感帯らしい。
 クマを持ち上げると、そのまま後ろ向きに倒れこんだ。

8熊猫:2010/05/07(金) 22:31:53 ID:Fv3GstWg0

 クマと一緒に、蓉子に馬乗りになる。クマの手で、引き続き、胸を揉ませながら、ジーンズの上から股間を刺激する。
「……んっ、っふぅん…、んんっ、ぅんっ、ふぁあ、ふんっ、んんっ……」
 かなりエロいヤツだ。ぬいぐるみのクマに犯されているというのに、顔を真っ赤にして、腰を振り、嬌声を上げている。
こんなにエロいヤツにはご褒美をあげないとな。ジーンズを引き降ろし、パンティも引き剥がす。急いで自分のズボンのジッパーも下ろす。
 すでにパンツの中はぱんぱんにテントを張っていて、やりにくい。
急いで、ジーンズとパンツを一緒に引き下ろす。すでに蓉子の股間は濡れ濡れだった。
「……ぁんっ、はっ、ぁあんっ。んんっ…、ふぁあん、ふぁっ、あっ、ぁあん…」
 一気に奥まで貫く。これだけですでに出そうだが、出してはいけない。本能に任せ、腰を動かす。
最初は、蓉子の動きとあわず、外に出てきてしまう事もあったが、次第に慣れてきて、外に出てきてしまう事はなくなった。
「んっ、はっあ、ぁん。あっ、はぁっ、あん、ぅんん…、んぅん…」
 蓉子の体がびくんと痙攣し、動かなくなった。どうやら、絶頂を迎えたらしい。しかし、こっちはまだなので、引き続き腰を動かす。
しばらくして、細かく痙攣した後、そのまま蓉子の中に出した。

 少し休憩して、また再開。もう精子が出なくなる頃には空が明るんできていた。ふう、疲れた。もう、帰って寝よ。
腕時計の赤いボタンを押して、復讐メニューを起動。
一番下にパソコンで見たのと同じ、リアルタイムビューに切り替える黄色のボタンがあるので、それを選択。

 今度は逆に星空が俺を追い越して行く。
パソコンの電源を切ろうとモニタに目をやると、身体メニューの下に新たに妊娠メニューが加わっていた。一番上から順に選んでいこうか。
 一番上の情報ボタンを選択すると、画面一面に妊娠情報が現れた。
蓉子は現在、妊娠2時間らしい。さっきの何回目かで受胎したようだった。
 情報ボタンの下に、設定変更ボタンがある。
胎児の数、胎児の大きさなどが主にプルダウンメニューで選べる形になっている。
その下には、巨大児・逆子・羊水過多・羊水欠少などの選択ボタンが表示されている。
 さらにその下には、レバーがあり、妊娠期間と出産の難易度とつわりの酷さが選べ、
それぞれレバーを動かすと、出産時の週数と、超安産・安産・普通・難産・超難産などと表示が変わっていく。

 設定を双子、巨大児で難産に変更した。出産の時期は…、どうしようかな。
まあ、保留にしておこう。レバーの下に、無限大というチェックボックスがあるので、それをチェックしておく。
これで蓉子は永遠に妊婦のままだ。大きなお腹を抱えて、苦しむがいい。
 続いて、その他設定ボタンだな。
ここでは、特別なオプションを選べるようだった。その中で、検査不可視と流産不可にチェックを入れる。
これで、どんな検査をしても、妊娠していることが検知されず、流産も出来なくなる。
 あー、マジで眠い。そろそろ寝るかな。明日は朝からバイトだし。

9熊猫:2010/05/20(木) 10:11:24 ID:AcVcDezw0

 三日間ほど、バイトやらレポートの提出やらで、復讐.comにアクセスできなかったが、どうなっているんだろう?
お気に入りから、復讐.comを開いてみる。
ちゃんと繋がった。やっぱりあれは夢ではなかったんだな。
ということは、蓉子は今、俺の子を妊娠しているばかりか、本人はその事を知らないわけだ。
どうしてやろうかな。流産不可にチェックを入れておいたので、どんなことをしても、流産する事は無い。
検査不可視にもチェックを入れておいたので、どんな精密検査をしたところで、妊娠の診断が下される事は無い。
しかも、出産時期を保留にしておいたので、こちらから新たに日時を設定しなければ、蓉子は永遠に妊娠し続ける事になる。

 最初につないだ時と同じ、ブルーのラインから、下にウインドウが現れる。
<おはようございます、西辺さん。あれで復讐は完了したのかと思いましたよ>
 頭に、リアルタイムビューモードで、蓉子の部屋に行ったときに聞こえた いかにも執事然とした渋い声が響く。
うるさい。余計なお世話だ。バイトやら、レポートで忙しかったんだよ。ケータイでチェックできればと思ったんだが、ケータイでは検索にヒットしなかったんだよ。
<申し訳ありません。今現在、携帯電話には対応しておりません。対応していたとしても、西辺さんの携帯電話では、とてもじゃないですが、表示できかねると思いますが>
 うるせえ。どうせ俺のケータイは、旧型だよ。FOMAでもねえよ。
心の中で悪態を付いている間に、画面は見慣れた復讐メニューに変わっていた。
画面の中の蓉子は、まだ寝ていた。たしか、休みの日は昼まで寝ているって言ってたっけな。
よし、とっておきの悪夢を見せてやるぜ。

 黄色ボタンを押し、リアルタイムモードに切り替える。
まばゆい光の後、眼を開けると、蓉子の部屋にいた。左腕には腕時計型の装置がはまっている。
ベッドのヘリまで行き、顔に向けて、フッと息を吹きかけてみる。前髪が心なしかそよいだぐらいで、
蓉子は起きる様子も無い。よし、今度も大丈夫のようだな。

 とりあえず、おっぱいだな。
腕を伸ばし、軽く揉んでみる。それでも蓉子は起きない。もっと強く揉んでみる。
うーんと軽く唸り、反対側へ寝返りを打っただけで、起きないばかりか、特に反応も無い。
たぶんこれがいけないんだな。最近また寒さがぶり返したせいか、すこし分厚い掛けふとんを着ているせいで、揉んだ気がしない。
 一気に腰の辺りまでふとんをめくる。すると、寒いのか、体をエビみたいに丸めだした。
「ぅん…?んん…」
 軽く呻いた後、薄目を開ける。やべっ、起こしてしまったようだ。
ぶるっと軽く身震いした後、もぞもぞとふとんを元の位置に戻し、また目を閉じた。
 
 ふぅー。びっくりさせやがって。まあ、また眠ったようなので、復讐を続けるか。
そう思った瞬間、蓉子の目がぱっと見開かれる。気付かれたか!?
 蓉子は、自分でふとんをめくると口を押さえながら、よたよたしながら、駆けてゆく。
ベッドから抜け出したところで、俺とぶつかったが気付いていないようだった。
そのまま、洗面所へと走る。

「…おぇ…。おおぉ…っ。う゛、ヴェぇ……」
 慌てて後を追うと、蓉子は便器の前にしゃがみながら、げーげーと吐いていた。
昨日食べたものだろうか。唾液交じりの白い液を吐いている。やがて、吐くものがなくなったのか、黄色い胃液しか出てこない。それでもまだ蓉子は、えづいている。
「もぉ…、何なのよ…」
 吐き気は収まったのか、レバーを押して水を流しながら、誰とも無く毒づく蓉子。それはつわりってもんだぜ。
何せ、おまえは俺の子を妊娠してるからな。まだ気付いていないようだが。
少し厚めのパジャマを着てるせいか、腹部のふくらみはまだわからない。まあ、じきに目立ってくるんだろうが。

 そのままフラフラとベッドに戻って来た。ベッドに寝転がり、少し、ごろごろと寝返りを打っていたが、
寝付けないのか、身を起こし、ベッドサイドに置いてある本を読み出した。

10熊猫:2011/05/20(金) 08:05:56 ID:1ktS7T420
 ヒマになってきたので、何か復讐メニューを実行しようかな。
復讐メニューを起動し、身体メニューから、くしゃみを選択。回数は…どうしようっかな。
あ、やべっ。適当にバーをスライドさせていたら、決定されてしまったようだ。
 中空に、
<復讐了解しました。実行に移します>
というメッセージが出てしまった。ま、いいか。
「…へ、へ…、くゅちゅっ。くしゅっ、ぁ、あくしゅっ、へっ…、へきゅちゅ…」
 すぐさま、蓉子がくしゃみを連発しだした。
確かだいぶ前に、パンダがクシャミ連発する動画を見た記憶があったが、それに通じるものがあるな。
まあ、コイツはパンダほど可愛いくは無いわけだが。

 そのまま、数分間くしゃみは停まらなかった。一体何回の設定にしてしまったんだ!?
「あ゛ーっ、もう。何なのよ。」
 蓉子は胸の辺りを押さえながら、独り毒づいている。胸が痛いのか。じゃあ、さすってやらんといけないな。
後ろに回り、胸をもんでやる。
「ひゃぁっ…。えっ、んっ、んんっ、はっ、ぁあん…、」
容子は急なおっぱいへの刺激にビックリしたようだが、次第に快楽へと溺れていった。
読んでいた本が、音をたてて床に転がった。

 力を入れておっぱいを揉むごとに、ビクビクと体を反らし、俺にもたれかかる。
「あっ、あふっ…、あぁぁっ…!いっ、いいぃぃ。くふっん、あぁぁ、ひゃうぅっっ…!」
 乳首を弄るとより、体が反った。そういえば、乳首が弱かったな。
「ひゃぁっ…、んんぅっ…、はぁ、はぁっ、くふあぁっ…」
 少し厚めのパジャマの上からでもわかるほど、容子の乳首はいきり立っていた。
「くうぅぅ…、んんッッ、んぅぅ…っ!あ…、あぁんっ!ひゃあああぁぁぁ…っ!」
 あまりにも強く、激しく弄りすぎたか。どうやらイッてしまったようだ。
まるで俺の手から逃れるように、体を大きく反らしたあと、力が抜けたように俺に倒れてきた。
「うおぉっ!」
 思わず悲鳴にも似た声が俺の口から漏れた。
俺の息子は、限界近くまでギンギンに勃っており、衝撃に耐えられなかったのだ。
くそぅ。まぁ、俺のせいっちゃ、俺のせいなのだが…。
ホントに、俺ももう我慢できなくなったぞ。
 グッタリと凭れかかっている容子をそのまま、肩を押し、押し倒す。
パジャマのズボンを強引にずり下げ、ギンギンにいきり立った息子を押し込む。

11熊猫:2011/08/04(木) 05:15:00 ID:PzwET9fY0
「ひゃぅんっ。ふぁあっ…、ぁああぁん」
 すでに蓉子はヌレヌレになっているらしく、容易に奥まで挿入できた。
「……んっ、ぁん。あっ、はぁっ…。んんっ、ぅんんっ……」
 本能の赴くままに、ピストン運動を続ける。
すでにおっぱいで一度イッているので、蓉子の反応はいい。
「いっ、いやぁあ。なぁっ、はあぁっ、なに…?いいぃい、ふぁああっ…。んんっ…、ひいっん、あふぅっ、あぁぁあっ…」
 押し寄せる快感に耐え切れなくなったらしい。両腕はすでに自分の体重を支えきれなくなり、
頬をまるでシーツにこすりつけるようによがっている。
ちょっと休憩。腰が動かなくなってきた。
「ふぅんっ…、ぅんん…、へぇっ…?も、もっとぉ。はぁあっ、ぁあ…。な、っなんでやめるの。たかしィ…」
 タカシって誰やねん?
くそっ。そのタカシとやらにぶち込まれている夢でも見ているのか。
だったら、とびきりの悪夢を見せてやるぜ。

 一度引き抜いてから、蓉子の肩を押し、仰向けにさせる。
そして、復讐メニューを起動させ、身体メニューを開く。
股間があった。絶対こういう時に使う用だよな。
さっそく股間を選択し、性的刺激を選択。感度は最大。期間は…そうだな。一時間ぐらいにしとくか。
「ひいぃっ、あぁっ、ふぁああっ…。イッ…、ひっあぁぁっ、はぁあああんぅ…!!」
 いきなりイッたらしい。一際大きな嬌声を上げて、腰をヒクつかせている。
「ひゃあああぁぁぁ…。はぁっ、ううぅんん…イッ、イいぃ…。い、イクぅゥううッ…」
 感度を最大にしてあるので、絶頂が一時間続くことになる。
今までにない快感のためか、白目を向き、口からは泡を吹いている。
死ぬんじゃないか?大丈夫なのか?

<大丈夫でございます。復讐メニューにより、死ぬことはありません。
 所謂、半死以上になると、自動的にメニューを停止させます>

 なるほど、半死以上にはならないわけだ。
じゃあ、安心だな。
「…いっ、いいぃぃ。んんぅっ…、はぁ、はぁっ、あぁぁ、ひゃうぅっっ…!」
 ほんとに大丈夫なのか?
顔を真っ赤にしながら、白目を向き、すでに身体はケイレンに近く小刻みに動く。
例え死んだってどうって事ないが、目覚めが悪い。

「…ひぅぅっ、あひっ、あぁんぅぅっ…。イッ、いいいぃいい…」
 なんか萎えてきた。…もういいや。後は勝手によがってろ。
ベッドで快感のあまりのた打ち回る蓉子を背に、帰ろうとボタンを押しかけたその時、
「いいィ…。ひゃぁっうぅ…。うッ、…ッぅんんっ。おおぉ…っ。う゛、ヴェぇ……」
 こいつ最悪だ。吐きやがった。
小刻みに痙攣しながら、口から茶色いアイスクリームのようなドロッとした物を吐き出している。
そのドロッとしたものは、小刻みに震える蓉子の顔を汚していく。
 息できてんのか、あれ。
顔いっぱいにドロッとした物が覆いかぶさり、かろうじて、口と鼻のところだけ、
小さい孔が空いている。
まあいいや。せいぜい苦しめ。俺は眠い。帰って寝るか。

 リアルモード解除。そう念じると、部屋に戻ってきていた。
なんかこの前よりも簡略化してないか?
そんなことどうでもいいや。ヤバい…。眠い…。
そのままベッドへ倒れこんだ――。

13熊猫:2011/12/23(金) 12:36:45 ID:pYPTU.3g0

 ギュルルルーーーー

「くそっ…」
 あわててトイレへと戻る。
まったく何を食べたんだか。ここ3日ぐらいずっとトイレに籠りきりだ。

 ふぅ…。
ほとんど這うようにして、イスに座る。
ブラウザを立ち上げ、お気に入りから復讐.comをクリック。
リアルタイムビューモードで起動する。
 どうやら蓉子は、ファミレスにいるようだ。マユミも一緒だな。向かいに座っている二人の顔は見たことないな。
別にタイプでもないし、まあいいか。
「だから、そん……だって!」
 ヒソヒソ話をしているようで、声が聞き取りにくいな。
「だって…。……でしょ?しょうが……」
 肝心なところが全然聞きとれん。
リアルタイムモードで実際に行ってみてもいいのだが、お腹の調子が悪いので、トイレの近くにいたほうがいいな。
 ボリュームを上げてみるか。パソコンのボリュームを上げたのだが、やはり途切れ途切れにしか聞こえない。
ムカついたので身体メニューの中に、下痢を発見した。お前も、トイレとお友達になるがいい。

 何とか会話を聞ける方法はないものか?
あちこちを触っている内、マユミらが写っているディスプレイの下にスライドバーがあるのに気づいた。
スライドバーを動かしてみると、マユミらがまるでビデオの巻戻しをしているかのように、
後ろ向きに歩き、ファミレスから入ってきた。
なるほど。これで巻戻しできるのか。

<先日のアップデートで、巻き戻し機能が追加されております。24時間のみですが>
 スピーカーから、執事然とした年老いた男の声が流れる。
それは便利だな。とりあえず、蓉子とマユミらが合流した辺りからだな。
適当にスライドバーを動かし、後は微調整。

 蓉子が渋々といった感じで、ドアを開けている。
ドアを開けた先には、マユミが心配そうな顔で立っている。
 ここらへんかな。
スライドバーからマウスを離すと、自動的に再生された。

「もう、どうしたのよ。みんな心配してるよ」
 部屋に来たときはいつもそうしているのか、ずかずかと入り込み、ベッドのヘリに腰をかけるマユミ。
「…うん。ちょっとね…」
 マユミの後を渋々といった感じで付いていく蓉子。
この前、部屋に行った時と同じパジャマを着ている。一着しかないのかよ。
「何で大学来ないのよ。単位ヤバイよ。大澤が怒り狂ってた」
 マユミの横にちょこんと座った蓉子に顔を向けて、マユミが切り出す。 
大澤って誰だ?友達か何かか?
「いいのよ。大澤は元々嫌いだったし、講義もチンプンカンプンだし」
 ああ。大学の教授か。
だいたいどこの大学にもいるよな。めっちゃ嫌われ者の教授。ウチにもいる。
 いや、そんなことどうでもいいんだよ。さっさとファミレス行けよ。
尺余ってるわけじゃないんだよ。この後もいろいろあるんだよ。

「なにか来たくない理由でもあるの?大澤以外に」
 大澤教授めっちゃ嫌われてる…。逆に見てみたいな。どんな顔してんだ。
「うん…。ううん、何も無いけど…」
 一旦言いかけた言葉を飲み込むように、はっきりしない蓉子。

 グギュゥグルグルギゥーー

14熊猫:2012/01/20(金) 21:32:53 ID:fnsIXXwk0
 なんだこの音…。
辺りを見回すが、音の発生源になりそうなものはどこにもない。
 まさかと思って、ディスプレイを見る。
ディスプレイの中では、蓉子を凝視したまま固まったマユミと、顔を真っ赤にしてうつむく蓉子が写っている。

 スライドバーを少し戻してみる。

「うん…。ううん、何も無いけど…」

 グギュゥグルグルギゥーー

 お前か!
 まったく人騒がせな。っていうか、なんて音鳴ってんだ。お前の腹には妖怪でも住んでるのか。
まあ、妊娠しているからな。双子の胎児合わせて三人分なんだ。腹も減るだろ。
 さらに、双子の巨大児に設定してあるから、腹が減るスピードも尋常じゃないだろうさ。
まあ、そんなことを知っているのは俺だけなんだけどな。
「アッ、ハッハハ…。ハァーハッハハ…」
 一瞬固まった後、マユミは笑い転げていた。そりゃ、笑うさ。
「…はっはは。はぁあー、苦しい。はぁー…。よし、飯食いに行くか」
 しばらく笑い転げた後、まだ笑いが残る声でマユミが言う。
いや、笑いすぎだろ。いくらなんでも失礼だろ。まあ、蓉子だからいいけども。

 しかし、蓉子は顔を真っ赤にしたまま首を横に振る。
なんでそんなに外に出たくないんだ?
「最近…。最近私おかしいの。外に出た時にあんなことになったら…」
 やさしく髪を撫でるマユミに、ぽつりぽつりと話しだす蓉子。
「大丈夫。蓉子に何があっても私は親友だから。ほら、行こ。私も、笑いすぎてお腹空いちゃったよ」
 マユミ…。何てイイやつなんだ。ただの巨乳だと思っていたけど、いい巨乳にレベルアップだな。
「で、でも…。着れる服がないんだよ。お腹ポッコリ出ちゃって…」
 そう言って手をやったお腹は確かに、ぽっこりと出ていた。
もともと痩せ型のせいか、お腹の膨らみは目立った。
 そういえば、蓉子は自分のプロポーションに自信を持っていて、身体にフィットした服しか着て来なかったな。
お出かけ用というのか、デート用というのか。気張った服だけかと思ったけど、そんな服しか持ってなかったんだな。

「じゃあ、私の服貸したげるよ。これなら、お腹も目立たないんじゃない?」
 マユミは自分の服をちょっとつまんでみせた。
マユミは今日も、だぼっとしたAラインのワンピースを着ている。
「ほら、早く着替えよ。どれにしようかなぁ〜」
 ベッドから起き上がり、クローゼットを物色するマユミ。
これなら着れそう。とつぶやいて、自分に当ててみせる。マユミはスタイルがイイからなに着ても似合うな。
 さっさと着替えて、自分が着ていた服を投げてよこすマユミ。
渋々といった感じで、マユミの服を着てみる蓉子。
まったくこの妊婦は。人の好意を、そうやって無下にしやがって。いつか天罰がくだるぞ。

 着替え終わった蓉子は、恐る恐るといった感じで、お腹に手を這わせる。
下腹に手がいったときは、さすがに膨らみが目立つが、普段は目立たない。
 一方、マユミは、胸のすぐ下にベルトがあるタイプのミニワンピースなので、
より一層胸のふくらみが目立つ。俺のムスコもむくむくと目立ってきた。
ヤバイ。下手なAVよりも興奮するぞ。これは…。
 そんなオレの気持ちを知ってか知らずか。カメラは、下ナメ気味にマユミにズームする。

 ふぅ…。

 どうやら、マユミらはタクシーに乗って、ファミレスに着いたようだった。
どうやらというのは、カメラはずっとマユミのアップだったし、俺は忙しかった。
 他の友だちも先に着いていたらしく、案内しようとするウエイトレスを断り、
ずんずんと中へと入ってく。
 禁煙席の奥。窓に面した真ん中辺りの席に腰を下ろす。
注文を聞きに来たウエイトレスに、幾つか注文をしている。

 ヒソヒソと喋っているせいか、やっぱり声までは聞こえないな。
顔を真っ赤にしてうつむく蓉子以外の三人は、笑い転げているのを見ると、さっきの話をしているらしいが。

15熊猫:2012/03/19(月) 22:05:24 ID:CZ0vIw8k0
  さて、どうしようか。胃の中のものをすべて出してしまったらしく、もう出ることはなさそうだし、
出陣と行きますか。 青色のボタンを押し、リアルタイムモードを起動。

 蓉子らのテーブルの目の前に出た。
座っているせいか、横から見ると蓉子のぽっこりお腹は隠せてはいない。
 もっと隠せていないのが、蓉子の向かいに座るマユミのおっぱいだな。
テーブルに肘を付く姿勢のせいで、おっぱいがまるごとテーブルの上にどんと乗っかっている。
さっき出したばっかりなのに、またムスコがむくむくと元気になっていた。
 テーブルに乗っかったおっぱいに手を伸ばしかけたその時、
『西辺様。対象が違うようですよ。あなたが復讐なさりたいのは、向かいの方ではないですかな』
 中空から声が響く。
わかってるよ。でも、今俺がなさりたいのは、このおっぱいを揉むことなんだよ。
『復讐メニューを実行する気がないのでしたら、復讐終了ということでよろしいですかな』
 ったく。しょうがないな。
 でも、蓉子のは、妊娠して大きくなったとはいえ、まだまだマユミクラスではない。
揉みたい気が起きないなぁ。下痢は実行したしな。かゆみとか痛みとかにするかなぁ。
同じ事してもつまらんしなぁ。ここは18禁エロ小説板だしな。エロメニューしかないよな。
 そんな事を思いながら、しゃがみ込む。
そのまま這っていって、蓉子の前にたどり着いた。

 ぽっこりお腹がジャマをするのか、見えていないと安心しきっているのか、蓉子の足はだらしなく開いている。
四つん這いの恰好のまま、手を伸ばし、スカートの中へと手を入れる。
だいたいココらへんかなとアタリをつけ、手を動かしてみる。
「……ん、ぅふうんッ…。ケホケホ…」
 ビクンと身体を震わし、素っ頓狂な声を上げる。そしてむせる。
「ちょっと蓉子。大丈夫?」
 聞いたことない声だな。窓際に座っている友達の一人だろう。
「…ぅうん。大丈夫。ちょっとむせた…」
 平静を装いながら、かろうじて答える蓉子。
こっちは全然大丈夫じゃない。このアマ。とっさに足を閉じやがった。
ちょうど膝のあたりに、こめかみが挟まり、痛いじゃないか。
 くそぅ…。あまりにムカついたので、パンティーをずらし、浣腸の要領で、手をそのまま奥へと突っ込む。
「ひゃうんっ…。んっ…、ふぁああ…! ゲッホゲホ、ケホッ…!」
 勢いをつけすぎたせいか、手のひら全部入っちまったな。
そして蓉子は、派手にむせてやんの。いいザマだぜ。

16熊猫:2012/05/29(火) 23:42:46 ID:lu8r6r6s0

 それはいいとして、どうにかして、マユミのあのおっぱいを揉む方法はないものか…。
すっぽりと中に入ってしまった手のひらを動かしながらそんな事を考える。
あのおっぱいを目の前にして、何もせずにいるのは、おしい。

 まぁ、執事に止められたしな。とりあえずはやめとくか。
それより、ちょっとノドが渇いたな。
一気に手のひらを引き抜く。手のひらにはベッチャリと液体が付いていた。
ばっちいな。スカートの裾で拭いておこう。

 そのままの恰好のまま、後ろへ下がり、テーブルの下から脱出する。
おっ、ちょうどウエイトレスがビールを持ってこっちにやってくるぞ。
ファミレスでビールって注文できたんだな。ちょっと意外だ。
 まあ、いいや。ちょいと拝借。ウエイトレスが目の前を通り過ぎる瞬間をねらって、ひょいとグラスを持ちあげる。
一気に飲み干してから、向かいのテーブルに置いておいた。
ぷはーっ。一仕事終えたあとのビールはやっぱうまいな。

 ウエイトレスは、気付かずにそのまま向こうへ行きかけたが、オロオロしながら戻ってきた。ちょっと泣きそうな顔になっている。
別にSではないと思うのだが、この泣きそうな顔ってのはいいね。さらに、いじめたくなっちゃうぜ。
後ろから抱きついてみる。なかなかいい身体つきじゃないか。
「ひゃあっ…!」
 思わず叫び声をあげてしまい、周りの客たちの視線が気になるのだろう。
耳が真っ赤になっている。見えはしないが、おそらく顔まで真っ赤になっているのだろう。

 そのまま手を上に、ボリュームのある胸まで持っていこうと思ったその時、
背中にドンという衝撃を感じ、よろめいた。ウエイトレスも、押し出される格好になって、向かいのサラリーマンのテーブルに突っ伏した。
 くそっ、誰だよ!こんな大事な時に…
後ろを振り返ると、蓉子が腹と口を押さえながら、入口の方へ走って行くところだった。何なんだ!?
急いでいるとはいえ、人とぶつかったら、ごめんなさいだろうが。どういう教育を受けたんだか。

 チャンスだ。追いかけよう!
天井付近を見やると、トイレの案内板がぶらさがっている。ああ、トイレか。さっき下痢に設定したからな。

 トイレは、入口付近のレジを越えたところにあった。ちょうど団体客が勘定しているらしく、人が多い。
団体客の波をかき分けるようにして、先へと進む。
トイレに通じる廊下まで来たところで、ドシンと何かがぶつかるような大きな音がした。


 慌てて音のした方へ駆け寄ると、そこには蓉子とスーツ姿の女が倒れていた。どうやら、出合い頭にぶつかってしまったみたいだ。
 スーツ姿の女は、すぐに立ち上がったが、蓉子は立ちあがる気配はない。大丈夫か?頭でも打ったか?
よく観察してみると、足元には茶色いドロッとした液体が流れており、えらく くさい。
少しめくれ上がったクリーム色のスカートからは、未だにその茶色い液体がしみ出ている。
衝撃で出ちゃったのかなぁ。

17熊猫:2012/08/02(木) 23:15:14 ID:FXhR2hlk0


「大丈夫ですか!?どこもケガないですか?」
 ぶつかった相手の女性が、蓉子を心配そうに声をかける。
何ていい人なんだ。それにくらべ、この女は。ばっちいぞ。
「…は…い。だいじょ……ぶ、です…」
 幾度かの呼びかけの後、蓉子は目を覚ましたが、頭を左右に振りながら、しぼり出すような声で答える。

 スーツの女性は手を差し伸べ、蓉子を助け起こそうとした。
「とりあえず、起きましょうか。着替えなきゃいけないしね」
 蓉子は黙ってその手を取る。今にも泣きそうな顔をしている。
 
 よっぽど恥ずかしいのだろうな。
下半身からすべてカレーまみれになっているし、異臭もする。自分が前方不注意でぶつかったのに、
この女性は文句ひとつ言わず、微笑みをたたえ自分を助けてくれる―――。
 まあ、自分だったら死んでしまいたいぐらい恥ずかしいな。

 蓉子は、スーツ姿の女性につかまりながら、なんとか身を起こそうとしている。
不謹慎と言えば、不謹慎だが、ちょっとムラッと来てしまった。
 その女性は、しゃがみ込み、上から覗き込むような格好で蓉子に手を差し延べている。
蓉子の後ろにいる俺からは、ブラウスに窮屈そうに収まっている巨乳が丸見えだった。
この惨状を見て、萎えていた俺のムスコは俄然元気を取り戻していた。

 カレーを踏まないように気をつけながら、そおっと回りこむ。
タイミングを見計らいながら、がしっと掴む。
「ひゃぁっ…。なっ、なぁ、ああん…!」
 やべー。声まで色っぺー。これは最期までヤるしか無いでしょ。

 べしゃあ。

 蓉子が漏らしたカレーのせいで、滑りやすくなっていたようだが、
俺がかなり力を入れておっぱいを揉み込んだせいで、手が離れてしまった。
支えを失った蓉子の体が、スローモーションのようにゆっくりカレーの海へ落ちていく。
女性の頭の上から、その様子は一望できた。
お尻から、頭、手の順でカレーの海にダイブする。
茶色い飛沫が飛び散る。
 蓉子は全体的に白っぽい服を着ていたはずだが、全身チョコレート色に染められていた。

19熊猫:2012/11/07(水) 09:47:48 ID:g1V20jf60

 やべえ。もう我慢できない。
できたらこの場でヤりたいところではあるが、そうもいかないだろう。
俺は透明人間化しているけれど、このOLはそうも行かない。
 周りを見渡してみると、すぐ横が女子トイレだ。よし、こっちに連れ込もう。
おっぱいを掴んだまま、後ずさるようにして、女子トイレへと導く。
幸いにも、女子トイレの中には誰も居ない様だった。個室の中に連れ込んでからカギをかける。
 おっぱいを揉まれて感じてきたのと、一度掴んだ蓉子の手を離してしまったショックで、
茫然自失状態になっている女性を便器に座らせる。
マグロ状態で犯しても、面白く無いからな。ほおをペチペチと叩くと、気が付いたようだ。

 よし。では、充分堪能しますか。
太ももの辺りにまたがり、間近に迫ったおっぱいを凝視してみる。
ブラウスはとても窮屈そうだ。ベルトできつくウエストを絞ってあるので、よりおっぱいの膨らみが強調されてる。
マユミよりもデカイな。今まで見てきた中で、一番デカイおっぱいかもしれん。
 まずは先ほどと同じように、ブラウスの上から軽く揉んでみる。
「…うッ。ああぁ…!ふぅん…!」
 やべっ。感度良好。
まるで付きたてのモチように、柔らかくて、弾力があって、あったかい。
夢中でしゃぶりついた。
「ふぁあん!ひゃぁッッ…!!ぁあん。ぅうんんッ!!」
 その女性は、おっぱい全部が性感帯なのか、力を入れて揉む度、甘い喘ぎ声をあげる。

 不意に物音が聞こえ、行為を中断する。
「…はぁ、はあ。……っうぅん。はっ、はぁ、はああ…」
 OLは、まるで全力疾走した後のように大きく息をしている。
たかがおっぱい揉んだだけで大丈夫なの?これからあまりの快感に死んじゃうよ?
 足音の多さから察するに、複数のようだ。
話しながら歩いてくるが、その内容までは聞き取れない。
 さっきの喘ぎ声聞かれたかな?
まあ、いいや。俺は透明人間化して誰にも見えてはいない。
仮に、ロックしてあるドアをぶち破って、入ってきても、この女性がオナニーしているふうにしか見えないだろう。

21熊猫:2012/11/19(月) 20:23:39 ID:OicE9PqE0

 どうやら、先ほどの人たちは隣の個室に入っていったみたいだ。
ドアの開く音が一つしかしなかったのと、
話し声が同じ方向から聞こえるところを見ると、いっぺんに同じ個室に入ったらしい。
 まだ内容までは聞き取れないが、マユミっぽい声がする。
蓉子を発見して、個室に連れ込んだのかな?
可能性はありそうだな。

  ボックスタイプのトイレットペーパー入れに足をかけ、隣を覗いてみる。
「…ケイコたちは、服とか買ってきて。サトミは、こっっちを手伝って」
 やっぱり。隣の個室には、蓉子がいた。マユミもいる。
蓉子は、チョコレートまみれのまま、便器に座らされている。
おそらくマユミが介抱したのだろう。マユミの服にも、ところどころチョコレート色のシミが着いている。
 蓉子はぐったりとし、気を失っているようだ。マユミが服を脱がせているのに、抵抗すらしてない。
次第に蓉子の白い肌が、この頃少し大きくなったおっぱいが、露になる。
結構興奮するシチュだな。
 おっと、こんなコトしてる場合じゃない。
こっちに、もっと魅力的なおっぱいがあったんだった。

 俺のムスコは、我慢の限界らしく、ジーンズが苦しそうなほどテントを張っている。
計画変更。
ズボンをずり下げ、女性の足を大きく開かせ、ショーツを脱がせる。
すでに、ぐっしょりと濡れている。
 こっちもすでに準備万端整ってるんだ。
すでに限界までギンギンにいきり立った剛直を股間にねじ込む。
「…ぅうんんっ!っはぁッ…、あふぅん…!あふぁッ…!ああああッ!!」
  やけに感度よくないか。それと、声大きい。
隣にいるマユミらに、絶対に聞こえてるよな。
「…ッ。ふぅんん…、あっ、はぁっ、は、はぁッ…。ひゃあんん…」
 ま、そんなコト気にしたら負けだよな。
目の前に、こんなすばらしいおっぱいがあるんだ。揉まなきゃ悪いよな。
 ピストン運動の勢いを利用して、でかいおっぱいを揉みしだく。
おっぱいは、自分の掌から逃げ惑うように、ぐにゃぐにゃと形を変える。

 ヤバい、もう出る…。ガマンの限界…。

ドピュドピュドビュピュ…!!

 ふぅ…。

 やっぱ中出しは気持ちいいな。透明人間になった今、いろいろと気にしなくていいしな。
さて、どうしようか。マユミらも気になるが、この目の前の爆乳に敵いはしない。
荒い息を吐いて、仄かに紅く染まった肌はとてもエロチックだ。
呼吸のたびに上下する爆乳が、俺を誘っているようだった。
 そんなことを考えていると、むくむくとまたムスコが大きくなってきた。
我ながら、回復の早いやつだ。
 爆乳をこねくり回している間に、たちまちさっきのサイズに戻っちまった。

 あわてて、いきり立った剛直を女の中へ押し込む。
 カタンカタン、カタガタタン…。
ピストン運動に合わせ、便座が音を立てる。
「…あんっ、はぁああん。…っぁあン、ふぅン、あ、ぁあン…、ぅうン…」
 ピチャン、ポタァン、ピチャピチャ…。
女の中に溜まった愛液が、便器の中に吸い込まれ、音を立てる。

22熊猫:2013/01/02(水) 17:53:01 ID:Z05PN2bI0
 ガタン、ガタン。
 …ポタァン、ピチャピチャ。
「…あ゛、はああぁ…、ああ゛ぁ…」
 便器がたてる音。垂れ落ちる女の愛液。女がたてる嬌声。
3つのハーモニーが、俺をたまらなく興奮させる。

 ヤバイ、もう出る。
ドピュ、ドピュッ、ドピュドビュピュ…!!

 ふぅ…。

 女の中に先程よりも大量の精液を放った瞬間、隣のドアが開く音がし、何人か入ってきたようだ。
複数の声が聞こえ、バタバタと騒々しい。
耳を澄ますと、とぎれとぎれだが声が聞こえてきた。
「…あ、とり…ヨウ…までおく……くね。ケイ………る?」
 なんだろう。ばたばたと慌ただしい音が聞こえてくる。
パンツ履いて、先ほどと同じように、トイレットペーパーホルダーに足をかけ、覗いてみる。
蓉子のお着替えは完了したようだ。
マユミが肩を貸し、蓉子を立たせている。
お帰りのようだ。名残惜しいが仕方ない。
 おっぱいを一揉みしてから、俺も帰るとするか。


 やばい。ひと揉みのつもりが、目一杯堪能してしまった。
なんておっぱいだ。けしからんな。
マユミたちは、もう出て行ってしまったようで、隣からは全く音が聞こえない。
 慌てて、蓉子らが座っていた席に戻る。
先ほどとは違うウエイトレスが、片付けているところだった。
レジの辺りに一団が見える。おっといけねえ。

 慌ててその後を追う。
マユミらは、俺が外に出るのと同時ぐらいにちょうど止まったタクシーに乗り込むところだった。
一緒に乗り込もうとしたが、間に合わず、俺の前で非情にもドアが閉まってしまった。
まあ、俺の姿は見えていないから、しょうがないよな。
 とぼとぼと、ファミレスへと戻る。
目で先ほどの可愛いウエイトレスを探すが、見つからない。
ぐるっとひと回りしてみたが、見つからなかった。
 しょうがない。俺も帰るか。
黄色のボタンを押し、リアルタイムビューに切り替える。
ハラ減ったな。俺もメシにするか。

23熊猫:2013/01/02(水) 17:55:58 ID:Z05PN2bI0
 ささっとメシを作って戻ってみると、
マユミらは、すでに蓉子の家に着いているようだ。
ちょうど、マユミが蓉子の服を脱がし、スウェットに着替えさせているところだった。
蓉子はまだ目を覚まさないらしく、何の抵抗もしない。
 マユミは、そんな蓉子を心配そうに見つめている。
髪をかき上げてやる仕草は、姉というか、母のように神々しい。

 足元あたりに無造作に固まっている掛け布団を蓉子に掛けてあげようとした時、
マユミの手がふと止まった。何かに気付いたらしい。
 マユミの目線が、ぽっこりと膨らんだお腹で止まる。
ファミレスに行く前、大学にも出ず、外に出たくないと言っていた理由。
―― まあ、本当は蓉子は俺の子を妊娠してるからなんだが、二人はまだその事を知らない。
 マユミが蓉子の膨らんだお腹を撫ぜる。
その瞬間、マユミがビクッと体を震わせる。
お腹に置いていた手を離し、
訝しげな表情を浮かべながら、頭を近づけ、耳を蓉子の腹に当てた。
 マユミはしばらくそうやっていた。妊娠に気づいたかな。
気づいたなら気づいたでいいや。どうせ、検査には現れないし、堕胎も出来ない。

24静丸:2013/01/24(木) 22:52:39 ID:pgvTncz20
 蓉子が目覚めたのは、それから二時間ぐらい後だった。
俺は、メシも食い終わり、課題に取り掛かっているところだった。
 課題もそろそろ終わろうという頃、最小化し、音声だけ再生していた俺は、
蓉子の声が聞こえたので、課題を中断し、復讐メニューを画面に表示させた。

 どうやら蓉子は、頭を打ったせいか軽い記憶喪失になっているようだった。
マユミが経緯を説明している。
トイレでの一件は言わずに、食べている途中で突然倒れた。
食べ物が服につき、着替えさせた。ということにしたらしい。
マユミは頭いいな。俺でも、本当のことを言われたら発狂したかもしれなしな。
この豆腐メンタル女だったら、暴れだすかもしれないな。

「蓉子、本当のことを言って欲しいんだけど…。そのぉ…、もしかして妊娠してるんじゃない?」
 あらかた説明し終わり、互いに気まずい沈黙に包まれた後、マユミが突如口を開いた。
マユミが口を開いたと同時に、マユミの頭上に、まるでマンガのようなフキダシと?がぴょこっと現れた。
「うわっ、…何だこれ…?」
 思わず声を上げてしまった。聞こえるハズがないのはわかっているはずなのに、口を押さえてしまう。
当たり前だが、蓉子らには聞こえていないようだ。

25熊猫:2013/01/24(木) 22:53:53 ID:pgvTncz20
<先日のアップデートで、巻き戻し機能と同時に、人物の心情がわかる『フキダシ機能』が追加されております>
 久しぶりに執事の声が響く。
なんか、えらいことになってるな。人物の考えていることも表示できるのか。
 さっそく、表示させてみようか。
マユミの頭上にあるフキダシ。たぶん、これをクリックすればいいんだな。
クリックすると、マユミの声が聞こえてきた。
『絶対、妊娠してる。お腹もぽっこり膨らんでるし、さっき、お腹に耳あてた時に、なんか聞こえた…』
 しかし、ディズプレイの中のマユミは口を開いていない。
なるほど。さっき、蓉子のお腹に手を当てて、さらに耳を当てていたっけ。
その時に心音でも聞こえたのかな。
 そう言えば、蓉子の頭上にもフキダシがあるな。こっちは?じゃなくて、「……」になっている。
話したくないということか?
クリックしてみよう。
『確かに、妊娠してるかも。まだ生理も来てないし。
 でも、もし妊娠してたら、あの時の…、熊五郎との子になってしまう…!そんなのありえないわ。
 でも、最近お腹もぽこっと出てきたし…。』
 画面の中の蓉子は、俯き加減にお腹の辺りに手を這わせている。
なるほど。あの時、俺は透明人間化していたから、クマのぬいぐるみにヤられたと思っていたわけか。
『何より、クマのぬいぐるみに襲われたなんて、口が裂けても言えない。誰が信じるもんか。私だって信じないわよ。
 麻弓はああ見えて、ゴシップ好きだ。明日には大学中に広まっているだろう。 
 それに、ずけずけと人のキモチに土足で上がりこんでくる。あれがイヤだ。
 私より、おっぱいも大きいし、彼氏はイケメンだし…。あぁ…、考えるだけでムカムカしてきた…』
 おおぉ…。ついに本性を現したな。
他人からは、仲が良さ気に思えてても、心の中ではこんな事を思っていたのか…。女ってのは、恐ろしいな…。
「…まあ、いきなりでビックリしたでしょ。とにかく、あの食欲は異常よ。明日病院へ行こ。私も付いて行ってあげるから」
 マユミはいいやつだな。それにしてもこの女は…。
せっかくの好意も、おせっかいに思うらしい。どんだけ心が歪んでんだか…。
「……とにかく、今日はもう寝ましょ。泊まっていってもいいわよね。久しぶりに、じっくり話がしたいわ」
 俯いたまま黙っている蓉子に、取り直すように優しく口を開く。
それでも黙ったままの蓉子に、否定ではないと受け取ったのか、マユミはせっせと寝る準備をし始めた。
 クローゼットに行き、パジャマを取り出し、自分に当ててみる。

 そりゃあ、部屋にはマユミと蓉子の二人しかいないけどさ。ここにもう一人いるんだが。
マユミは、――当然だが、そんな事は気にせずに、ベルトを外し、ミニワンピースを脱ぎ始めた。
 盗撮物のAVを見ているようで、何か興奮するな。

 俺がここでそんな事を思っているとはお構いなしに、二人はベッドに寝っ転がり、他愛もない話をし始めた。
だいたいは、蓉子が来なくなってからの大学の様子や、マユミの周りに起こった出来事などだ。
マユミの話は面白く、思わず引きこまれそうになるが、蓉子は黙って、時折肯くのみだ。
 今度は、フキダシ機能を使わなくても蓉子が何考えているかわかるぞ。
蓉子は、マユミをうっとおしく思っている。早く、出ていって欲しいって思っているに違いない。

26熊猫:2013/02/01(金) 08:58:22 ID:4oUMaZcE0
 いいことを思いついた。
 リアルタイムモードを起動。続いて、身体メニューの支配を選択。
一瞬の光の後、マユミの顔がアップになった。
 デビューした時の宇多田ヒカルのような太い眉毛と、くるくると表情を変える眼が目の前にある。
ちょっと下に眼を移すと、視界いっぱいにおっぱいが広がる。
 マユミが選んだのは、胸元の大きく開いたネグリジェで、巨乳が半分ほど飛び出している。
無いハズの俺のムスコが、ギンギンにいきり立つ。その感触があった。

 マユミが何かしゃべっているが、内容までは頭に入ってこない。
頭の中は、視界いっぱいに広がるおっぱいだけだ。
ダメだ。もう我慢できん。
 分厚い掛け布団の中、手を伸ばす。ゆっくり、ゆっくり。気付かれないように…
まるでモチのような柔らかい感触。
「…ちょ、蓉子。どうしたの?…んんッ、はあぁん」
 マユミが何か言ったようだが、知ったこっちゃあない。
蓉子が揉んでいるのだ。俺じゃない。
「…ちょ、ちょっ…、ひぅうん。んんっ…、はぁあ、あぁあん…」
 しばらくこの素晴らしいおっぱいを堪能する。
マユミは気持ちよくなってきたらしく、抗議する声も上ずった声になっている。
よし、このまま。このまま…。
「もぅ、何やってんのよ。いくら寂しいからって、私じゃないでしょ!」
 おっといけね。ふと手を緩めたスキに、我に返ってしまったらしい。
それでも、まだおっぱいは我が目前にある。我慢しようって我慢できるもんじゃない。
尚も手を伸ばし、そのおっぱいを揉もうとすると、ピシャリと手を叩かれた。
「ふざけるのもいい加減にして!本気で心配してるのに…。勝手にしたらいいわ!」
 あらら。怒らせてしまった。眼の前にあったおっぱいが…
いや、マユミはベッドから離れ、ソファーの方へ足音荒く離れていく。

 もうちょっとイケると思ったんだけどな。
でも、やっぱいい感触のおっぱいだな。
昼間のOLさんのおっぱいには、量も柔らかさも負けるけれども。
あぁ。なんかムラムラしてきた。
くそぅ、面白くない。
 支配メニューを解除し、ついでにリアルタイムモードも解除。
ふて寝するとしよう。

27熊猫:2013/02/28(木) 19:51:04 ID:3Fl1GvnU0
 翌朝、二人は病院へ行くって言ってたな。
検査不可視にチェックを入れてあるので、どんな精密な検査をしても、妊娠していることはバレないはずだ。
でも、ちょっと気になる。気になって、いつもより早く起きてしまったぞ。

 今日は講義もないし、一日中張り付いていられる。 
パソコンを立ち上げ、復讐メニューも起動する。
二人はどうやらすでに病院に到着していて、順番待ちのようだ。
結構早い時間なのに、いっぱい並んでるな。
 産婦人科らしく、お腹がかなり目立つ女性から、全然目立たない人もいる。
蓉子は端っこの席に座り、マユミはその横で突っ立ってるな。
蓉子は不安そうに下を向いているが、マユミは興味津々といった感じで辺りをキョロキョロと見渡している。
まあ、自分が妊娠でもしない限りはこんなとこ来ないからな。
 しばらくして、蓉子が呼ばれたようだ。
蓉子が診察室へ消えていっても、マユミはその場を動こうとはしない。
 蓉子の後ろに座っていた女性。お腹も全然目立たないので、ごく初期なのだろう。
かなり具合が悪そうで、顔も真っ青だ。手で口とお腹の辺りを抑えている。
つわりってやつか。大変そうだな。
…っと。ついに我慢できず吐いてしまった。
隣にいる、たぶん旦那さんなんだろうな。男性が、サッとビニール袋を差し出したので、
床にぶちまけることはなかったが、何人か心配そうに見ているし、一気に具合が悪くなった人もいる。
これは一種のテロだな。
 そんな事を思いながら、ふとマユミの方を見ると、マユミの様子がおかしい。
手で口とお腹の辺りを抑え、顔が険しい。
うッ…。と短く呻きながら、何やら怪しげな動き。
さっきの女性と同じ動きだ。
 女性と違って、吐くことはなかったものの、何回もえずいて苦しそうだ。
それを見た男性。サッと席をたち、マユミに席を譲る素振りを見せた。
紳士だな。俺もああなりたいもんだ。
しかしマユミは作り笑顔で、手を振り断っている。
どうやら、自分は妊婦ではないので、座るのが申し訳ないと言っているようだ。
先ほどの、明らかにつわりのような吐き気に訝しがりながらも、席へと戻りかける男性。

 そこへ蓉子が診察が終わって出てきた。
どうだった?と聞くマユミに、黙って首を横に振る蓉子。
おい、態度悪いぞ。後でみっちり反省させるからな。
まあ、検査で陽性は出なかったらしいな。当然なんだけど、ちょっとホッとした。

 その後、蓉子らはタクシーで一旦蓉子の部屋へと戻り、マユミはすぐに帰っていった。
さあ、反省のお時間だ。
何してやろうか。
 復讐メニューでまだ実行してないのってあったっけな?
上から順に見ていく。
う〜ん。だいたいやったなぁ…。
やってないとすれば、精神メニューの辺りなんだけど、どうも面白く無い。
蓉子の心のなかで作用するので、外からは見えにくい。
支配メニューを使えば、蓉子の心の動きまでクリアにわかるんだけど、自分もダメージを受けてしまう。
 また熊五郎に活躍してもらうか。
熊五郎は、ベッドの上の定位置から追われ、どっかに行っていた。
蓉子が熊五郎を恐れ、どっかに隠したらしい。
リアルタイムモードで探してみるが見つからない。どっかに捨てちゃったのかな?
 まあいいか。
なんか他に適当なのはないかな…。
あった。これにしよう。
俺は……

31熊猫:2013/04/24(水) 08:15:55 ID:JRkXM2ZM0
 それから、2週間ぐらい経った。
俺はといえば、相変わらず復讐メニューを使い蓉子に中出し続けた。
 街中すっかりクリスマスモードだ。
人目をはばからずくっついてイチャつくカップルが羨ましい。
くそっ、リア充爆発しろ。死ね。
 復讐メニューを使って、色々したいところだが、ターゲットは一人までしか選べないらしい。
しょうがないな。俺は蓉子で我慢してやるか。
家に帰り着くとまずパソコンの電源をつけ、復讐メニューを起動。
 リアルタイムモードにして、蓉子の部屋の中へと移動する。
最近蓉子の変わり様には驚くばかりだ。
お腹はさらに大きくなって、コートを着てても、ふくらみがわかる程度になった。
そして、胸も大きくなり、マユミサイズに肉薄してきている。
どうせ部屋の中、誰も見てやしないと思っているのか、部屋着はそのままのサイズなので、
身体のラインがはっきりと出るようになっている。
 未だに蓉子は妊娠を疑い、検査薬を買ったり複数の病院に検査しに行っているが、
もちろん妊娠している結果は出なくて、健康体と太鼓判押されて帰ってくるのでおかしくて仕方ない。

32熊猫:2013/07/11(木) 09:05:53 ID:EHlAm8R60
 それから正月は実家へと帰った。
おせちをたらふく食って、久しぶりに同級生と会って酒を飲んだ。
食っちゃ寝生活のお陰で、5キロも太っちまった。
 自分の部屋に帰って来て、荷物を整理する。
ふとパソコンに目が止まった。
そう言えば、蓉子やマユミはどうしているだろう。
2週間ぐらい全然様子を見てないな。
 パソコンの電源をつけ、復讐メニューを開いてみる。
ちょうど蓉子が誰かに電話しているところのようだ。
 マユミに電話しているらしい。
まるで妊婦のようにお腹が大きくなってしまったが、妊娠しているはずはない。
医師からも妊娠でも、どんな病気でもない。健康体と太鼓判押されている。
どうしたらいいかと相談しているようだ。
 2週間ぐらいしか経っていないはずなのに、蓉子はどっからどう見ても妊婦そのものになっている。
ベッドの上に座っているからそう見えるのかもしれないが、
おっぱいの下からこんもりと盛り上がったお腹は、大きく前にせり出し、
受胎後2ヶ月目とはとてもじゃないが思えない。どうみても、半年以上経っているかのようだ。
無意識なんだろうが、ケータイを持っていない左手でしきりにお腹をさすっているのも妊婦みたいだ。
 しかし、どんな精密な検査をしようとも妊娠の結果が出ることはない。
妊娠していると検知されないのだから、堕胎のしようがない。
また、民間療法でよくあるお腹に圧力を加えたりといったどんな方法を試したところで、流産もしない。
復讐メニューでそういうふうに設定したからだ。

33熊猫:2013/07/11(木) 09:10:44 ID:y06uq6co0

 どうやら、電話越しではラチがあかないので、直接マユミがこの部屋に来ることになったらしい。 
マユミが来るまでの間、蓉子は苛つきながらタバコを吹かしていた。
 吸い終わると吸殻を捨て、部屋中に消臭スプレーをまき散らしている。
ったく、お前は…。親にバレたくない高校生か。
そこまでするのなら、吸わなきゃいいのに。まったくおかしなヤツだぜ。

 部屋にノックの音が響き、マユミが入ってくる。
入ってくるなりコートを脱いだマユミに、俺は生唾を飲み込んだ。
相変わらずの大きなおっぱい。またサイズが大きくなってないか?
 蓉子が初めて病院に検査しに行った日以来だから、1ヶ月以上見てないことになるな。
この前見たようなベルトで縛ってないので、胸からストンと生地がそのまま下に落ちている。
マユミのほうがより妊婦っぽいぞ。
 あぁ、ダメだ。我慢できなくなってきた。
黄色のボタンを押し、リアルタイムビューモードに切り替える。
「そんな大きなお腹になっても、まだ否定するの?明らか妊婦じゃん」
 たしかにマユミのとおりだ。
蓉子は、暖かそうなセーターの上から半纏のようなものを着込んで入るが、
そこからちらりと覗くお腹は、明らかに膨らんでいて、妊娠じゃなきゃ説明がつかないほどだった。
「だから、違うんだって。お医者さんにも行ったけど、妊娠でもないし、何かの病気でもないって言われたんだもん」
 必死に弁解する蓉子。
腕を振り、身体を揺らすたび、おっぱいとお腹がぷるんと揺れる。
その様子はどことなく扇情的だ。
 でもまだマユミにはかなわないな。
相変わらず、身体のラインが出ないようなダボッとした服装をしているが、おっぱいの辺りがはちきれそうになってるし、
歩くだけで揺れるおっぱいに、それだけでイキそうになる。
むぅ…。考えただけで、股間が熱くなるな。一回だけ揉んでみようか。

34熊猫:2013/09/01(日) 12:30:51 ID:eyF2Gj960

<なりませんぞ。遼平殿の目的は、蓉子殿への復讐のはず。
 最近、復讐っぽいことをしておられないので、後一回で権利剥奪になりますぞ>
 頭の中に執事然とした年老いた男の声が聞こえる。
ちぇ。わかったよ。復讐すればいいんだろ。
 腕時計型の復讐メニューから、どれがいいか探してみるか。
って言っても、だいたい既にやったんだよな。やってないのがいいけれど…。
 蓉子たちの話し合いは、だんだんヒートアップしてきたようで、甲高い声が思考を邪魔する。
考え事をするにはタバコが一番だ。ポケットの中を弄るが、部屋においてきてしまったようだ。
何だよ、もう。
 そう思ったのだが、カチカチカチッとライターを弄る音がする。
そうそう。イライラしていると、なかなか火がつかないんだよな。
…って、幻聴まで聞こえるようになったか。俺もついにニコチンの奴隷になっちゃったか。
いや、かすかにタバコの臭いがする。
おかしいと思い、臭いのもとをたどってみると、蓉子だった。
そう言えばコイツも吸うんだっけ。ちょっと一本拝借しようかな。
「ちょっと、妊婦がタバコ吸っちゃダメでしょ。それに、仮にあなたがそうじゃないとしても、ここにもう一人妊婦がいるのよ」
 マユミのその言葉に、空気が凍りつく。時が停まる。
え?今なんて言った?妊婦が、もう一人……?
蓉子もびっくりしたらしく、フゥ〜と煙草臭い息を吐いた後、タバコを持つ手が中空で止まってしまっている。

35熊猫:2013/09/01(日) 12:33:22 ID:eyF2Gj960
「……え?今なんて……?」
 しばらく後に蓉子が口を開いた。しなった灰が蓉子のベッドの上に落ちる。それにも気付いていないようだ。
「私、妊娠してるの。もう12週目になったわ。だから、私の前では吸わないでちょうだい」
 すこしトゲがあるイライラした口調で答えるマユミ。
そのまま手を伸ばし、蓉子の手にあるタバコを奪い取り、灰皿でもみ消した。
ああ、もったいない。ほとんど吸ってないのに…。
「そのお腹に赤ちゃんがいるの…?」
 信じられないといった口調で、マユミのお腹の辺りを凝視する蓉子。
たしかに、マユミのお腹は目立ってない。大きなおっぱいに隠れてしまっているということもあるんだろうけど、
12週…ってことは、4ヶ月ぐらいか。まだ目立たないのかもしれないな。そういうのはよくわからないけど…。
「信じないのなら、触ってみれば。もしかすると、胎動を感じるかもよ」
 そう言って、マユミは手を胸のすぐ下と下腹のあたりに当てた。
まるでマジックを見ているようだった。手の間からは、ぽっこりと突き出たお腹が現れていた。
蓉子も心底びっくりしたようだ。
口をあんぐりと開け、突如現れたマユミのぽっこりお腹を凝視している。
 しびれを切らしたマユミは、蓉子の手を取って自分のお腹に当てた。
俺も俺も。妊婦のお腹に触ってみたかったんだよね。
 マユミと蓉子の手の横。ちょうど脇腹のあたりに手を這わせる。
ふにふにじゃない。固く張った皮膚がそこにあった。
でも、胎動ってのは感じないな。と思った瞬間、ビクビクッって動いた…。
 蓉子もマユミも感じたらしい。
蓉子は目をもっと大きく見開き、マユミを見上げる。
つられて俺もマユミを見上げてしまった。
マユミは、ほら言ったでしょ。と言わんばかりの得意げな眼が、俺達を見下ろしていた。
「わ、私も妊娠したからお腹がこんなになったって思ってるんでしょ。じゃあ、確かめてみれば?」
 マユミから手を離した蓉子が、今度は自分の番とばかりに、両手を胸の下と下腹のあたりに置いた。
マユミの時のように、今まで隠れていた膨らみが現れた。と言う事にはならなかった。
元々、ざっくりとした白いセーターからでも明らかな膨らみが真正面からでも見て取れる。
「そうね」
 マユミは短く呟いてから、蓉子のお腹へと手を伸ばす。
俺も俺も。1ヶ月ぐらい蓉子に触ってなかったな。
マユミは手を蓉子のお腹の真ん中らへんに置いている。
俺は、ベッドに乗り、後ろから手を伸ばす。ちょうど蓉子の腰の辺りだな。
 とたんに、マユミの目が大きく開かれ、驚いた様子で手を放す。
俺には感じなかったが、胎動があったようだ。
「……。ほら…「妊娠じゃないもん! してないったら…!!」」
 ほら言ったじゃない。と言おうとしたのだろう。
場の空気がビリビリと振動するような、蓉子のわめき声によって、マユミのセリフはかき消された。
 マユミを守るため、慌てて蓉子の身体を後ろから羽交い締めにする。
こうでもしないと、今にも飛び掛からんばかりの勢いだった。
しかし、俺の行動は少し遅かったのかもしれない。
 身体を傾がせながら、手足をバタつかせ、蓉子は暴れる。
手が灰皿に当たると、それをあろうことか、マユミに向かって投げつけた。
低い弾道を描いて飛んでった灰皿は、カランカラと派手な音を立て、床を転がる。
マユミは、身体を捻って避けたみたいだ。

36熊猫:2013/10/06(日) 08:23:38 ID:0iMyrd0M0
 ん?
低いうめき声のような声が聞こえる。
俺の上に覆いかぶさった蓉子の身体を跳ね除け、ベッドから起き上がる。
その拍子に蓉子が短い悲鳴を上げて、ベッドの端から転げ落ちたがそんなの知ったこっちゃない。
 マユミの方を見やると、お腹の辺りを抑え、跪いていた。
灰皿が当たったのかな。
声にならないようなうめき声をあげるマユミの足の間から、赤い線がつつーっと流れ落ちる。
大変だ、血だ!
 救急車呼ばなきゃ!
と、思ったが、俺は今はモノに触れたり、操ることができても、声を出せない状態だ。
マユミ以外で声が出せるものは、蓉子以外にない。
 あいつはどこいった?
大して広くない部屋を見渡す。
蓉子は、ベッドの縁の近くで四つん這いになって腰の辺りをさすっていた。
 何やってんだ。こんな時に。
怒りで体が熱くなる。
お前が投げた灰皿が当たったせいで、マユミの赤ちゃんがどうにかなったら、どうすんだよ。
ベッド脇に置いてあったケータイを蓉子の方へ放り投げる。
おっと…、頭を直撃したようだ。ざまあみろ。
「痛ッ…!?」
 何が起こったか理解できてないようだった。
頭を抑え、ようやくマユミの方を見て、状況に気づいたようだった。
「ちょっと、マユミ!どうしたの?お腹痛いの?何で?どうして…?」
 いいから早く救急車呼べよ。ケータイは手の横にあるだろ!
と思うのだが、蓉子もパニックになったらしく、オロオロするだけで、役に立たない。
 ったくもう!
しびれを切らした俺は、ケータイをひっつかみ、119をダイヤル。
俺も慌ててるのか、110をダイヤルしそうになったのは秘密だ。
「火事ですか?救急ですか?」
 落ち着いたトーンのオペレーターの声を漏れ聞きながら、ケータイを蓉子の耳へ押し当てる。
しかし、蓉子はマユミに取りすがり、よく聞き取れない悲鳴にも似た声を放つのみ。
まったく、肝心なときにも役に立たないな。


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