レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。
リリカルなのはクロス作品バトルロワイアル13
-
「馬鹿め!」
しかし、それでも動じない。
始の持つ最高火力のコンボを前にしても、黄金のキングは避けようともしない。
素早く腰部へと伸ばした手を、そのまま投擲のようにして振るう。
回転する始の視界の片隅で、きらん、と黄金が光った気がした。
瞬間。
「っ!?」
ずどん――と爆音。
次いで、がくん、と身を襲う違和感。
足元で爆ぜた衝撃と熱量が、スピニングダンスに急激なブレーキをかける。
スピンの勢いが相殺され、回転軸が僅かにぶれた。
それがギラファアンデッドの腰部に備え付けられた、鋏型の爆弾であった時には既に遅く。
「ォオオオオオアァッ!」
揺らぐ視線の先には、光り輝く双剣を構える金居の姿があった。
気合いと共に襲いかかる、二閃。
妖しき光を纏ったヘルターとスケルターが、飛来するカリス目掛けて突き出される。
瞬間、世界が炸裂した。
轟、と響いた衝撃音と共に、強烈な極光が世界を照らした。
「があぁぁっ!」
眩い闇を切り裂いたのは、今まさに必殺の一撃を放たんとしていたはずの始の悲鳴。
呻きと共に弾かれた漆黒の鎧が、もんどりうって床を転がる。
てらてらと水溜まりを作る緑色の血と、足から立ち上る黒煙が、そのダメージの大きさを物語っていた。
ダイヤのカテゴリーキング――ギラファアンデッドの双刃には、ブーメラン状の光弾を放つ能力が備わっている。
本来なら射撃武器として用いられるのだが、敵はそれを刀身に留め、斬撃の破壊力を強化したのだ。
いかにカリスのスペックがジョーカーに劣るといえど、その最大必殺技をまともに受けては、さすがの金居もひとたまりもない。
しかし、あらかじめ爆弾を命中させ勢いを殺したところに、
120パーセント以上のパワーを込めた斬撃を当てれば、このようにして対処可能。
それでも、一瞬でも爆弾を投げるタイミングが遅ければ、反撃に転ずる前に殺られていた。
それを難なくこなしてのけたのは、さすがは最上級アンデッド屈指の切れ者といったところか。
「随分といい台詞を言うじゃないか。感動的だな」
鎧の表面から立ち上る陽炎の奥で、黄金の異形が口を開く。
挑発的な口調と共に、勝ち誇ったギラファが言葉を紡ぐ。
「だが無意味なんだよ。御大層な理想を口にしても、それを叶えるための実力が伴ってないようじゃあ、な」
こんなところで俺に倒されるようでは、誰一人として救えはしないぞ、と。
「くっ……」
ああ、確かにその通りだ。
傷などは戦っているうちに治る。だが、問題はそこではない。
必殺の覚悟で放ったコンボだったが、今のを防がれたことで、AP残量が相当に厳しいことになってしまったのだ。
スピニングダンスの消費APは3600。
さらにヘッドチョップの発動で600マイナス。
初期APの7000からそれらを引くと、残されたAPは既に2800しかない。
スピニングアタック――否、スピニングウェーブを使った時点で、ほぼカード1枚分のAPしか残らなくなる数値である。
つまり、これほどの敵を相手にしていながら、カリスは完全に決め手を欠いた状態で戦わなければならないということだ。
その程度のAPで勝てるほど、カテゴリーキングは脆弱な存在ではない。
「さて……そろそろお前との因縁にもケリをつけようか」
じゃきん、と双剣が引き抜かれる。
かつり、かつりと歩み寄ってくる。
どうする。どうやって対処する。
一度変身を解いてAP消費をリセットするか? 否、変身制限の設けられたこの舞台では、その戦法は実行できない。
ジョーカーへと変身して戦うか? 否、それではまず間違いなくスバルを巻き込んでしまう。
ならばスバルへと撤退を促すか? 否、あれが逃げろと言われて逃げるタマとは思えない。
何か手を考えろ。
残されたAPと10枚のカードで、この男を倒す方法は――
「これで終わりだ」
瞬間。
振りかざすヘルターとスケルターと共に。
黄金と白銀の煌めきと共に。
ギラファアンデッドの剛腕が、最後の死刑宣告を口にした刹那。
「!?」
猛烈な轟音と烈光が、両者の間に割って入った。
|
|
掲示板管理者へ連絡
無料レンタル掲示板