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バトル・ロワイアル 〜狭間〜
319
:
闇夜に秘めし刃
◆2zEnKfaCDc
:2021/01/06(水) 20:50:51 ID:0QnhVMjw0
「覚悟っ!」
ㅤマミの手元に鈴乃を撃退できる支給品はない。そして組み付きの技術ならば、対人戦に慣れた鈴乃の側に理があるのは必然。腕から肩にかけてミニミ機関銃で撃ち抜かれたマミを、鈴乃は一瞬の内に押し倒し――
「――悪いわね。」
――直後、口角を上げて笑うマミの顔を見た。
「なあっ!?」
ㅤしゅるる、と衣が擦れる音がしたかと思えば、次の瞬間にはマミの腰を取り巻くリボンが鈴乃の体を包み込む。
「くっ……!」
ㅤそのリボンは瞬く間に両の腕を縛り上げ、辺りの木々により固定する。
「こんなの、警戒もできなかったでしょ?」
ㅤソウルジェムを身に付けておらず、和装に身を包んだ鈴乃の姿は、魔法少女のそれとことごとくかけ離れている。それ故に、魔法少女のチカラを知らないとマミは判断し、罠をかけたのだ。
「私たち魔法少女はね、鍛錬すれば痛みも消せちゃうのよ。後学のために覚えておきなさい。次があれば、だけど。」
ㅤ撃たれた腕を平然とぶん回し、一周させる。痛がるフリをして武器を落とすことで、鈴乃の接近を誘ったのだ。
ㅤそして腰元のリボンを腕ごとぐるりと経由したマミの手には、一本のマスケット銃。その銃口の向く先は当然、拘束された鈴乃である。
ㅤ魔法少女について知らなかったことが、鈴乃が拘束を受けた理由だった。マミの指先が、トリガーに掛かる。
「それじゃあ、さようなら。」
ㅤそして、当然――マミもまた、鈴乃の、エンテ・イスラの魔力のことなど知り得ない。マスケット銃が撃たれる直前ギリギリまで、マミに勝利を確信させ――
――タァンッ!
ㅤ銃声と同時、解き放つ――
「――武身鉄光!」
ㅤ首から提げたロザリオが、突如として巨大な大槌と化し、放たれた銃弾を弾いた。
「えっ……!」
ㅤ鈴乃と一緒に拘束していたロザリオの体積を一気に増すことで、リボンによる拘束を振り払う。
ㅤそして大地に降り立った鈴乃の目の前には、突然の出来事に呆然とし、すでに弾丸の篭っていないマスケット銃のみを手にしたマミ。武器ではないものを瞬時に武器と化するその技は、マミの扱う魔法と酷似している。もしかして鈴乃も魔法少女なのか、と。この状況下においては限りなく"無駄"な思考に戦場での貴重な一瞬を注ぎ込んでしまった。そのために、マスケット銃を持ち替えることを失念していた。
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