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悪魔憑きバトルロワイアル

167IDENTITY CRISIS ◆ejQgvbRQiA:2020/01/14(火) 00:49:10 ID:rS5n0Bxc0
「......」

シレーヌは考える。

(開始数分で本拠地に殴り込みに行く。そんなタブー中のタブーを犯したこいつがなぜ五体満足で放り出された?)

サイコジェニーの話が本当ならば、アキラの身体にはもっと怪我があるはずだ。
それが今のアキラの身体には湿布ひとつすらない。わざわざ治療までしたのか。
なぜか。国会議事堂の恐ろしさを伝え、踏み入る輩を減らすためだろう。
確かに、アモンのように死なば諸共、あるいは考えなしで国会議事堂に攻め込む輩も他にいるかもしれない。
そう考えれば、アモンほどの悪魔でもなすすべも無かったという広告塔にはうってつけだ。

(あるいはそうせざるを得なかった、か。奴らはあくまでも殺し合いを見たがっている。極力、禁止エリアに踏み込んで自爆、なんて展開は望まないだろうよ)


シレーヌは、傍らで失神しているアキラにチラ、と視線を移した。

「アモン、お前は変わらんな。昔も今も衝動に任せて暴れるばかりで、自分が勝てる戦を作ろうともしない」

アキラの目元は赤く腫れ、涙の痕が微かに残っている。
彼が無謀にも主催の本部に殴り込みをかけたのは、つまりはそういうことなのだろう。

「だが、そのままじゃ誰と何べん戦おうがなにも守れんぞ。一度アタマ冷やすんだね。...さよなら」

シレーヌはアキラのデイバックに手をつけず、かといって彼を起こすのでもなく、自分の荷物だけを纏めて背中を向けた。
アモンと協力は難しいだろう。恐らくアモンはこの殺し合いに元老院が絡んでいると思い込んでいる。
いまの奴の状態で冷静に話し合うなど、とても出来たものじゃない。
だから、放っておき好きにやらせておけばいい。その果てに途中で力尽きるも自分と決着を着けるのも、一人で決めさせればいい。

「殺し合い、か」

シレーヌは己の首に手をあて、ぽつりとひとりごちる。

首輪を嵌められてのこの殺し合い。数多の殺戮と虐殺を経験してきた彼女にとっても気に入らないものだ。
自分の意思でなく、顔も知らない誰かさんの命令で殺す。そんなもの気分がいい筈がない。
無論、己の命が脅かされるようなら殺し合いに乗ることも辞さない。が、結論を出すにはまだ早い。
アモンのお陰で主催側にも相応の戦力が揃っているのがわかった。神子柴含む主催陣を殺すにしても、今回ばかりは一人では不可能だろう。

優勝か、主催の打倒か。

なんにせよ、彼女の方針で確かなものはひとつ。

―――生き残るのは、私だ。


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