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ジョジョ×東方ロワイアル 第八部

342黄金へ導け紫鏡之蝶 ──『絆』は『夢』 ──:2018/09/14(金) 21:02:50 ID:lQG/D5qE0


「問いを返します。DIO……貴方の閉じられた闇の視界に、『天国』とやらは映ってますか?」


 完全に右眼球を抉り取られた白蓮とは違い、DIOの右目の傷は深くはない。放ってもすぐに治癒が始まるだろう。
 だが一秒が命取りとなる戦闘においては、あまりに長過ぎる暗黒の時間。
 一時的に視覚不全となったDIOの鼓膜に、安らぎへ誘うような温和な声が鳴り響く。

「極楽浄土を目指すには、貴方はあまりに独善で、邪悪すぎる。身の程を知り、悔い改めなさい」
「また説法のつもりか……? 田舎のお香臭い坊主如きが、オレによくぞ垂れたものだ」

 右目が埋まっていた場所を空洞とさせながら、それでも白蓮は堂々と構える。
 傍から見れば、不気味極まる光景だ。
 苦を受け入れんとする格好が、視界を手放したDIOの瞼の裏にも焼き付くようだった。

 男は考える。
 この女は果たして……停止した時の中を『何秒』動けるのか?
 DIOの現在の限界停止時間は『8秒』。つい先程覚醒した奴の潜在速度がそれ以上とは思えないが、確かめねばならない。


「ザ・ワールド! 時よ止まれッ!」

「───スカンダの脚」


 時間停止。それは確実に成功した。
 それでも聖女の脚は止まることなく、DIOの門を蹴破ってきた。
 貫通不可の『世界』を盾にしようが、瞬間移動の如きスピードですり抜けてくる技はまさに疾風迅雷。
 塞がれた視界の中、縦横無尽に動き回る獣を捕らえるのは容易ではない。
 数発の鈍痛が、身体中の神経を一度に駆け回った。白蓮のあまりに疾すぎる乱打が、まるで時間の静止が一気に解放されたかのようにDIOの肉体を襲撃する。

「が……ッ!」

 視覚は無い。だが血の匂いや気配で分かる。
 気付けば、女は背後にまで回っていた。一瞬の間の後、肺の中の空気が暴発し吐き出される。
 刀の達人が対象を斬り付け、数瞬の硬直の後に血が噴出し両断されるという描写をよく見るが、アレと同じだとDIOは感じた。
 痛覚すらもタイムラグに置く打撃。彼女が通り去った空間には真空すら発生し、そのスキマを埋めようと周囲の空気が引き寄せられ、軽い乱気流をも産んだ。

 またも吹き飛ぶ吸血鬼の体。
 もはや単純な接近戦において白蓮の体術は、『世界』を弄べる領域にまで至りかけている!


『いい加減にしろ……暴れ過ぎだ』


 分厚い本棚をまるで障子紙か何かのように破って奥まで吹き飛んだDIOを追撃せんと、力を込める白蓮の背後より不気味な声が響く。

 全身におぞましい文様を貼り付けた、白い人型のスタンド。
 古明地さとりより話には聞いていたが……!

「……プッチ神父!」
「『ホワイトスネイク』!」

 先の果樹園での交戦により、その能力の一端は想像出来る。
 恐らく『遠隔操作』の類だが、肝心のプッチ本体の姿は見えない。あの負傷だ。騒ぎに紛れ身を隠したのだろう。
 即座に五感を研ぎ澄まし、隠れた本体を察知するべきだが、既にスタンドの腕は白蓮の額へと迫っていた。

 反射的に防御し、カウンターを企むが……

「しま……ッ!」

 防御の腕を透過し、ホワイト・スネイクの指が眼前に突っ込んでくる!
 スタンドはスタンドでしか干渉できない。ついぞ先程告げられたルールが急遽脳裏に浮かんだ白蓮は、咄嗟に首を後方へ逸らすも。
 白蛇の指先が白蓮の喉元を通過し、一回り小さいサイズの円盤がそこから生えた。

 白蓮の肉体に半端な物理攻撃など大して通じない事は散々思い知らされた。
 であるならば、プッチの『ホワイト・スネイク』は、ある意味では『ザ・ワールド』よりも上等な攻撃力を持つ。
 頭部のDISCさえ奪えれば、問答無用で相手を無効化出来るのだ。いわば、防御無視の効力を持つプッチならば、白蓮と戦うには『向いている』。


『記憶DISCとまではいかなかったが……奪ってやったぞ』


 一撃狙いのDISC化はギリギリで回避されたが、白蓮の喉を通ったホワイトスネイクは、僅かばかりの功績を挙げた。

「〜〜〜〜っ!? ───っ! ───っ!」

 懸命な様子で、白蓮は何やら喉元を必死に抑える。
 スタンドの指がちょっと掠った程度の接触。その鋼の肉体には全く傷にもならない筈。
 事実、抑えた箇所に異常は見られない。

 そこから失われた小さな円盤の正体は。


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