■掲示板に戻る■ ■過去ログ 倉庫一覧■

二次キャラ聖杯戦争・伍

1 : ◆3vWdxvBXv. :2013/07/13(土) 12:45:46 w0JmLAIU0
◆.OpF6wOgZ2氏が不在ですので代理でスレ立て

No.1 天野雪輝 未来日記 キャスター タマモ Fate/EXTRA
No.2 ゼフィール ファイアーエムブレム 覇者の剣 ライダー アシュナード ファイアーエムブレム 蒼炎の軌跡
No.3 衛宮士郎 Fate/stay night セイバー アルトリア・ペンドラゴン Fate/stay night
No.4 鳴上悠 ペルソナ4 ランサー クー・フーリン Fate/stay night
No.5 天海陸 ワールドエンブリオ セイバー イスラ・レヴィノス サモンナイト3
No.6 枢木スザク コードギアス 反逆のルルーシュ バーサーカー ランスロット Fate/Zero
No.7 花村陽介 ペルソナ4 ランサー アレックス ARMS
No.8 遠坂凛 Fate/stay night キャスター 蘇 妲己 藤崎竜版 封神演義
No.9 鹿目まどか 魔法少女まどか☆マギカ アーチャー DIO ジョジョの奇妙な冒険
No.10 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア コードギアス 反逆のルルーシュ セイバー ガウェイン Fate/EXTRA
N0.11 名無鉄之介 私の救世主さま キャスター リインフォース 魔法少女リリカルなのはA's
No.12 衛宮切嗣 Fate/Zero ライダー 門矢士 仮面ライダーディケイド
No.13 園崎詩音 ひぐらしのなく頃に バーサーカー 美樹さやか 魔法少女まどか☆マギカ
No.14 金田一一 金田一少年の事件簿 ライダー 太公望 藤崎竜版 封神演義
No.15 近藤剣司 蒼穹のファフナー セイバー セリス FINAL FANTASY�
No.16 泉こなた らき☆すた ライダー 火野映司 仮面ライダーOOO/オーズ
No.17 ジョン・バックス 未来日記 アサシン ファニー・ヴァレンタイン ジョジョの奇妙な冒険
No.18 間桐雁夜 Fate/Zero アサシン トキ 北斗の拳
No.19 匂宮出夢 戯言シリーズ アサシン “壊刃”サブラク 灼眼のシャナ
No.20 アシュヒト=リヒター エンバーミング セイバー テレサ クレイモア
No.21 間桐慎二 Fate/stay night ライダー ラオウ 北斗の拳
No.22 羽瀬川小鳩 僕は友達が少ない キャスター ゾルフ・J・キンブリー 鋼の錬金術師
No.23 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン Fate/stay night ランサー 本多忠勝 戦国BASARA
No.24 金城優 ベン・トー セイバー エンジェロイド・タイプΔアストレア そらのおとしもの
No.25 我妻由乃 未来日記 アーチャー ジョン・ドゥ エンバーミング

まとめwiki
ttp://www55.atwiki.jp/2jiseihaisennsou/

二次聖杯したらば(議論スレなど)
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15853/


"
"
2 : 名無しさん :2013/07/13(土) 22:20:16 8ApaxodI0
>>1
スレ立て乙です。
主催陣営の話に入りつつあるのを見てるとしみじみする
もう二次聖杯も佳境か…最後まで見届けたいですわ


3 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:41:49 HI.iEiU.0
完成したので投下します


4 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:42:42 HI.iEiU.0
「……何、で?」
「………」

呆然とした少女、泉こなたの呟きが漏れる。
横に立つライダーのサーヴァント、火野映司の表情は苦渋の色合いが強い。
それほどまでに、彼らの眼前に突き出された真実は無情で残酷だった。



図書館でサーヴァントのデータを一通り調べ、これから遠坂邸に向かおうとした矢先。
行く前に映司の提案でもう一度脱落者の名前が書かれた掲示板に目を通した。
そこには、二人にとって最も載っていてはいけない名前が新しく載っていた。

天海陸。つい先ほどお互いの無事を祈って衛宮士郎の援護に向かったこなたと同じ一般人。
勇気を振り絞って鉄火場に赴いた彼はもういないのだと、無機質な掲示板だけが雄弁に語っていた。

「…どうして?だって、だって柳洞寺には士郎君がいるのに…」
「…すまないこなたちゃん、今から俺が言うことを落ち着いて聞いてくれないか?」

苦悶の表情はそのままに、こなたの肩に手を置いた映司が意を決して語りかける。

「今陸君と一緒に出たこの蘇妲己というのが柳洞寺にいたキャスターだと思う。
つまりキャスター自身は確実に倒されたはずなんだ。そして士郎くん達はまだ生きている。
名前が出た順番から言ってキャスターが倒された後で陸くんとセイバーがやられた事は間違いない。
だとしたら、陸くんたちを殺したのは―――」
「士郎君…ってこと?」

震えた声のこなたの問いに映司は沈黙した。
それこそがこれ以上なく明確な答えだった。

「で、でも何で?だって士郎君達はみんなのためにキャスターを倒しに行ったんだよ?
あ、もしかしてキャスターに操られたとか?確かキャスターは人を操る力があるって―――」
「…こなたちゃん、俺はその可能性は低いと思う。
セイバーさんは元より士郎くんは魔術師なんだ。
キャスターのやり口が分かった上で引っかかるとは考えにくい。
考えたくはないけど陸くん達を殺したのが彼らだとしたら、それは自分の意思でやった事だと思う」

やや俯きながら話す映司は、まだ尚も迷っている風だった。
この推論を今のこなたに話して良いのか、少しの沈黙の後迷いを振り切って続きを話すことにした。


5 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:43:42 HI.iEiU.0

「結論から先に言うよ、こなたちゃん。
推測だけど、陸くんとセイバーは俺達を騙していた、多分凛ちゃんを殺したのもあの二人だ。
柳洞寺に行ったのもキャスターと士郎くんの口を封じるためだったのかもしれない」
「ちょ、ちょっと待ってよ映司さん。全然意味わかんないよ!
だって映司さんも見てたでしょ!?操られてたNPCの人とか、りっくんがルルーシュ君の魔術で色々喋らされてたとことか!
それなのにどうやったら私達に嘘なんてつけるの!?」

信じられない、という表情で訴えるこなたの言葉にも映司の顔色は変わらない。
それでも視線はこなたから逸らすことなく、話を続けた。

「さっきのネットカフェで俺が言ったことを覚えてるかい?
陸くんのセイバーはキャスターに近い性質を持ってるっていう話だ。
今にして思えば、彼なら事前に魔術への対策が打てても全くおかしくない。
ルルーシュくんの魔術がどんなに強力だったとしても、サーヴァントが対策すれば防げないはずはないんだ。
もしそうだとすれば、陸くんが魔術をかけられたから何も嘘はつけないっていう大前提は崩れることになる」
「それは…で、でも何で!?何でいきなりりっくんとセイバーさんを悪く言うの!?」
「陸くんの隣に出た名前を見てくれ、イスラ・レヴィノスという名前があるだろう?
俺達サーヴァントにはムーンセルから一定の知識が与えられている。
だからこのイスラという人物の正体や略歴も簡単にだけどわかるんだ。
不死の呪いを解くために、あらゆる組織に接触して、嘘をつき続けて裏切りを重ねたいわゆる反英雄なんだ」



衝撃の事実に絶句しながらも、こなたは何とか冷静に考えようとする。
聖杯にかける願いを持たない自分には同じ願いを持たない映司がサーヴァントとして与えられた。
そして陸のセイバー、イスラ・レヴィノスはあの誠実な人柄からは考えにくいがいわゆる嘘つきであるらしい。
マスターとサーヴァントは相性の良い者同士が選ばれる、と仮定すると陸も―――


"
"
6 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:44:26 HI.iEiU.0

「じゃあ…じゃあ全部嘘だったってこと?」
「…もちろん生前が反英雄だったからといってサーヴァントとしても悪人だなんて決めつける気はないよ。
でも、そう考えないと士郎くんとセイバーさんが陸くんたちと殺し合う理由がない。
騙し討ちをしようとして失敗したのか、それ以外の何かがあったのか。
とにかく、陸くんたちの嘘がバレて怒った士郎くんとセイバーさんに殺された可能性が高い」

映司がここまで陸とイスラが嘘をついていると断じるのは、この他にもいくつか根拠あってのことだ。

実は映司は先ほどルルーシュらと初対面の際、イスラに対してごく僅かな違和感を抱いていた。
最初にキャスターに襲われた時の負傷の治癒に加え、こなたに対して行なった治療。
これらを自身の貯蔵魔力だけで賄おうとすれば相当な消耗を強いられるはずである。

ところが先ほどオーズに変身した際に感じたイスラの魔力は、枯渇するどころか充実しているようにすら感じられた。
元々貯蔵魔力に優れたサーヴァントだとしても、マスターが一般人ならそう余力が残るとは考えにくい。
そもそもそこまで魔力量に優れているのなら自らを最弱などと言い切るものだろうか?
そして自前の魔力でないとすれば、一体どこから魔力を調達してきたのか?

凛が殺害されて以降、陸とイスラは常にこなたや映司と行動を共にしてきた。
NPCから魔力を調達するような様子も時間的余裕もなかったはずだ。



キャスターに襲撃された時、映司が陸を救出するために喫茶店を離れていた間を除けば、だが。



とはいえその時点での映司はまだ陸とイスラをほぼ全面的に信用していた。
なので状況が落ち着いてからこの疑問について個人的にイスラと話そうと思っていた。
結果的にはその前に陸とイスラの方が死んでしまったが。



それだけではない、最初に喫茶店で自分達を襲撃してきたサーヴァントの正体。
遠坂凛のサーヴァントの特徴に衛宮切嗣とキャスター、蘇妲己の内通の真偽。
これらのほとんど全てが陸かイスラの言質によって真実として認識されていたものだ。



だがもし彼らの証言そのものが疑わしいとなれば―――?



映司個人の感情だけで言えばまだ陸とイスラを信じたい。
しかし彼らはもう映司やこなたの手の届かないところへ行ってしまった。
それならばせめて士郎やセイバーに会って真実を確かめたい。


7 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:45:15 HI.iEiU.0
仮に彼らが凶行に走っていたのだとしても、その理由だけでも知りたいとは思う。
だが―――



「こなたちゃん、ここは一度凛ちゃんの家に向かおう。
俺達も色々なことがあって気が動転してる、まずは落ち着ける場所に行かないと」
「映司さん、それは……」

映司が口にしたのは本心とは真逆の提案だった。
こなたから見ても映司の顔にはありありと苦々しさが滲み出ている。
彼が何を思ってこんな事を言うのか、それがわかるからこそこなたには反論することが出来ない。



こなたと映司には士郎とセイバーに対して負い目がある。
ルルーシュが陸に対してギアスを使った際、こなたは陸を庇う発言をした。
そして自分達は凛が死んだ後もずっと陸やイスラと行動を共にし、彼らの言動を全面的に支持してきた。

もし陸とイスラが凛を殺し、それが士郎とセイバーにバレて彼らが殺されたのだとすれば。
知り合いを殺された立場である士郎とセイバーは果たして冷静でいられるだろうか?
状況から言って、こなたと映司も共犯と見倣されている可能性は否定できないのではないか?



今士郎とセイバーに会って、果たして彼らは冷静に話し合ってくれるのか?
仮に問答無用で襲いかかられた場合、彼らと本気で戦えるのか?
そして何よりも―――そんな状況に陥った時、こなたを守りきれるのか?

映司が何より恐れているのはこなたを守れないことだ。
端的に言って、映司がセイバーに負けないよう戦うだけなら問題ない。
だが士郎は別だ、彼がその気になればこなたなど簡単に殺されてしまうだろう。
最初に襲ってきたアサシンのマスターの攻撃からも、こなたを完全に守ることは出来なかったのだ、楽観など出来ない。



普段の映司ならここまで消極的な、保守的な提案は決してしなかっただろう。
しかしここまでの道中での出来事が映司の自信を大きく削ぎ落としていた。

最初のアサシン、トキに対しての苦戦。向こうが正々堂々と戦ってくれるなどの好条件が無ければストレート負けを喫していた。
次のキャスター―――今となっては陸とイスラによる自作自演の可能性が浮上したが―――の襲撃。
その際に軽はずみな行動を取ってしまった事で凛を死なせてしまった事実は映司に大きな影を落としている。


8 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:46:23 HI.iEiU.0
そして先ほどのディケイドとの思いがけない再会と戦闘。
ディケイドのマスターである衛宮切嗣の策にまんまと嵌ってしまい、士郎やルルーシュの仲間を守れなかった。



自分はこの戦いで、何一つとして守れてなどいないのではないか―――?
今の映司は本気でそう考えるほどに弱気になっていた。
多少知識面でのアドバンテージがあるとはいえ庇護対象でしかないこなたがそんな映司にかける言葉は見つからなかった。
重い、重い沈黙の中、二人は会話もなくルルーシュ達が乗ってきた乗用車で遠坂邸を目指した。









まるで物語に出てくるような幽霊屋敷。
それが遠坂邸に着いてすぐに花村陽介が思い浮かべた率直な感想である。

「いやー…何つうか、色々予想以上だな。
ってか、これから拠点にするんだよな、ここ?
何か雰囲気が怖ええし、ツタとか張ってるんですけど!?」
「おいおい何ビビってんだよ花村?
デカいのは良い事じゃん、さっさと入ろうぜ」

現実では滅多とお目にかかれない屋敷の威容に若干尻込みする陽介を尻目に鉄之助が真っ先に門を潜ろうとする。
ほとんど修学旅行に来た学生のテンションと変わらない。


「待て、マスター!」


が、能天気に中に入ろうとする鉄之助をリインフォースが制止した。
彼女は一行の前に出ると何故か警戒した様子で魔力探知を始めた。

「え、いきなりどったのリインちゃん?」
「…やはり間違いない、この屋敷には魔力の残滓がある。
それもここまで強烈な残り香、恐らくキャスターがここを根城にしていたんだろう」
「ちょっ、それヤバいだろ!?」
「いや、どうもここは既に破棄された後のようだしサーヴァントの気配もない。
ただ何らかのトラップが残っている可能性は捨てきれない。
私が先行しよう、アレックスはマスター達を頼む」
「了解した」






結論から言って、屋敷と周辺に罠らしきものは存在しなかった。
陽介らを先導しつつサーチャーを飛ばして索敵したが、拍子抜けするような結果だった。
一応リインフォースが引き続きサーチャーで調査を行いつつ、一行は広い居間のような場所で休息することになった。


「いやあ…やっと一息つけたって感じだよな。
教会出てからこっちずっと移動したり戦ったりだったから、どっと疲れが来たわ」


9 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:47:06 HI.iEiU.0
「まあ、振り返って考えればかなりの強行軍だったのは事実だろうな。
そう思えば傷を負うことなく拠点を得られたのは大きな収穫だ。
いつまた敵の襲撃が無いとも限らん、今のうちに身体を休めておけマスター」

ソファーにもたれた陽介をぶっきらぼうに労りつつもアレックス自身はある作業を行なっている。
ホームセンターで購入した大量のカメラを屋敷のあちこちに設置しているのである。
人外の力を持つサーヴァント相手に民生品のカメラがどこまで通じるかは怪しいが無駄ではないと信じる他ない。
それに現状索敵を一手に引き受けているリインフォースの負担を少しでも抑えなければならない。
自分達のチームの戦略部分の柱は彼女が担っているも同然なのだから。

「なあアレックス、もっとこう…攻撃的なトラップとか置いた方が良いんじゃねえか?
そりゃサーヴァントには無意味でもマスター相手ならちっとは役に立つかもしれねえじゃんか。
カメラばっかりじゃいざって時ヤバいんじゃねえか?
「では聞こうマスター、お前やお前の友人ならトラップの仕掛けられた屋敷をどう攻略する?」
「え?そりゃ生身で行くのがキツいならペルソナ使って…あ、そういうこと」
「そういうことだ、常人ならいざ知らず異能の力を持つマスター相手に攻撃的な罠など仕掛けても効果は期待できん。
せめて軍事兵器を購入できれば話は別だったのだがな、ホームセンターで手に入るような物品では話にならん。
ならば少しでも監視の目を増やし、有事の際に正確な情報で全員が即応できる体制を整えるべきだ」

幸いにも陽介や鉄之助は戦闘力のあるマスターだ、危機的状況への対応力も悪くないものがある。
それならチャチなトラップに過度の期待を寄せるよりチーム全体の動きを良くする方向性で行くべき。
これがアレックスとリインフォースが話し合いの末に出した結論であった。



「お前というやつは!毎度毎度!一体何をやっているんだ!!!」

二階から突然リインフォースの声らしき怒号が響いてきた。
そして直後にバインドで簀巻きにされた鉄之助が転がってきた。
バインドの魔力光から女性用の下着がはみ出しているあたり何をしていたか丸わかりである。

「名無エ……」


10 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:47:41 HI.iEiU.0
「…毎度のことながらブレない男だ、マスターもあの能天気さをほんの少しは見習っても良いのではないか?」
「…うん、時々あいつが羨ましいと思う時はあるよ。
でもあいつにだけは絶対なりたくねえ……」

ある意味驚異的なバイタリティを持つ鉄之助に呆れる陽介とアレックス。
そんな二人に気付いているのかいないのか、鉄之助が縛られたままモゾモゾと近づいてきた。


「なあなあ、腹減ったし何か出前でも頼もうぜ。
折角のカードなんだしさ、高級寿司でもどうよ?」
「…お前、さっきレストランで散々食いまくった記憶をどこに置いてきたんだよ。
でもまあ、実際色々あって疲れたし腹も減ったもんな。腹が減っては戦はできぬって言うし。
よし、じゃあ俺は大トロ予約な!一度で良いから思いっきり食ってみたかったんだよな!」
「それならいっそ思いきって大トロ五十貫とかどうよ?」
「食えねえよ!?脂っこいネタばっかりそんなに入らねえからな!?
お前はもうちょいバランス考えろよ、バランスを!
あ、玉子も頼んどくか。寿司屋の実力は玉子でわかるってどっかで聞いた気がするし」

会話しつつ、注文するネタを律儀に大学ノートにメモしていく。
こうした気配りや手回しの良さにかけては陽介はかなりのものだ。
もっとも、それが行き過ぎてかえって空回りすることも多いのだが。


「それは良いがマスター、店の電話番号もわからないのにどうやって注文する気だ?」
「いや、携帯サイトでちょっと調べたら普通に出てきたぜ?
…あれ?ってことはこの世界でもインターネットはあるってことだよな?
バーチャル世界でネット使うってのも考えてみりゃ変な話だよな」
「そのあたりは深く考えても仕方あるまい、ムーンセルはよほど我々に文明的な殺し合いをさせたいのだろうよ。
しかしインターネットか、どうにかこれを戦略に組み込む方法はないか…?」


アレックスの何気ない一言に陽介もしばし手を止め考え込む。
例えばパソコンを使って人探しのようなサイトを立ち上げるとする。
そうすれば先ほどの明らかに時代錯誤な風体のマスターのように目立つマスターを探す手掛かりにならないだろうか?

(でもよく考えたらネットの情報ってアテにならないことも多いしなあ…。
大体それをやるんなら業者呼んでパソコン設置してもらわなきゃだし、どんだけ時間かかるんだよ。
…やっぱ時間的にキツいか、ちんたらしてたらどんどん殺し合いが進んじまう)


11 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:48:29 HI.iEiU.0


嘆息しつつ、内心で浮かび上がったアイデアを却下した。
時間、これが今陽介らを焦らせる大きな要因になっている。
実際のところ、民間で売られている製品でも攻撃的なトラップを作ることは可能だ。
先ほど学園で例に挙げた某映画などはまさにその代表例なのだから。


しかしそれにはどうしてもある程度の時間が必要になる。
殺し合いが始まってから半日強で多くの参加者が脱落したという事実が鉄之助以外の全員に大なり小なり焦りを齎している。
それ故に即物的な効果を見出しにくい方策を取ることに躊躇を覚えているのだ。
一応トラップに関してはカメラの他に呼び子を設置するなどもしてはいるが。





「あー食った食った。もう一生分くらいの寿司を食った気がするわ」
「だよなー、マジクレジットカード様々だわ。
エロ本も沢山買えるし、俺聖杯戦争に参加して良かったかも」
「お前ってやつはとことん本能だけで生きてるのな……」

数時間後、注文した寿司を食べ尽くした陽介と鉄之助はやや気怠げに感想を漏らした。
調子に乗って特上寿司三人前に加えて単品で注文したウニ、大トロなどもあって相当な量が運ばれてきた。
だが食べ盛りの男子学生の食欲はそんな障害などものともせずあっという間に全て平らげた。


と、そこにずっと二階にいたリインフォースが降りてきた。
何やら緊張した面持ちである。何かを感じたアレックスが「敵が来たか?」と尋ねると難しい表情で答えた。

「…敵かどうかはまだわからない、サーチャーで見た限り車でこちらに近づいてきている。
方向が一致しているだけかとも思ったが、明らかにここを目指しているマスターとサーヴァントがいる」

その言葉に鉄之助でさえ表情が真剣、いや緊張感を帯びたものになる。
当然だ、陽介と鉄之助はここまでお互い以外に出会った全ての参加者から問答無用で攻撃されているのだから。
今までは何とか生き残ってこれたが今度はどうなるかわからない。

だがもし交渉の、仲間になってくれる余地のある人間ならば。
二組だけで行動する事に限界を感じつつある陽介らにとってはこの上ない希望にもなり得る。
そんな期待と不安の入り交じった空気を察したのか察していないのか、鉄之助がニッと笑ってみせた。


12 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:49:29 HI.iEiU.0

「花村も旦那もリインちゃんも、なーに固くなっちゃってんだよ。
仮にゲームに乗ってるような奴なら一回ぶちのめして頭冷やさせりゃいいじゃんか。
今までだって何とかなってきたんだしさ、もっと気楽に行こうぜ気楽に!」
「どさくさに紛れて肩に腕を回すな馬鹿者!お前はもっと緊張感を持て!」


こんな時でも変わらない鉄之助のマイペースさだが、この場に流れる緊張した空気を取り払うには十分だった。
陽介がパンと両手で頬を叩き、気合いを入れ直した。


「うっし、行こうぜ!相手がどんな奴にしろ、信じなきゃ始まんねえもんな」

その言葉に全員が頷き、臨戦態勢を取りつつ外に出る。
こちらに近づいてくる乗用車はもうすぐそばまで来ていた。






「子供……か?」

全員で車に近づき、車から降りてきた二人の男女を見たリインフォースの第一声がそれだった。
マスターらしき少女はどう見ても小学生にしか見えない。しかし鉄槌の騎士のような例もあるので油断はしないが。
陽介と鉄之助もあまりの意外さに目を丸くしており、唯一アレックスだけが戸惑う様子を見せていない。


「待ってください!俺達は殺し合いには乗っていない!
こんな状況だし信じてもらえないかもしれないけど、せめて話だけでも聞いてくれませんか!?」


サーヴァントと思しき青年が少女を庇うように前に出て声を張り上げる。
少女の風貌に呆気にとられていた陽介らも待ち望んでいた言葉を聞いて我に返った。

「…え?あ、ああ、俺らもこんな殺し合いには乗ってないっす!
ええと、もし良かったら中に入って話を…」
「泉!無事か!?」
「えっ!?」

突然横合いから声とともに現れた新たな人物にその場の全員が振り向く。
白を基調とした仰々しい服装の端正な顔の青年に、同じく純白の鎧を纏ったいかにもな騎士のサーヴァントだった。

「うわっ、イケメンが出やがっ……うおお!?何だこのステータス!?」
「何という威圧感だ……!」

マスターに与えられた透視能力で見えた能力値は何と全てがランクEX。
自然と陽介らの警戒は新たに現れた青年と騎士に向けられる。

「ルルーシュ君!?」

泉と呼ばれた少女が驚きの声を発する。どうやらこの二人は知り合いらしい。
ステータスが読み取れない少女のサーヴァントと相まって、アレックスとリインフォースの警戒は一段と高まる。
そんな従者のピリピリとした空気を真っ先に感じ取った陽介が半ば強引に話を切り出した。


13 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:50:01 HI.iEiU.0

「と、とにかくさ。ここにいるみんなやる気は無いってことで良いんだよな?
だったらここで立ち話ってのも何だし、自己紹介とかは家ん中に入ってからにしようぜ、な?」



陽介の必死な様子が伝わったのか、少女と青年らも多少警戒しつつも無言で頷いた。
恐らく事を構えるような事態になっても二組なら切り抜けられるという考えあってのことだろう。
しかしそれでも構わない、陽介や鉄之助は本当に仕掛ける気は全くないのだから。
ホッとするのはまだ早いのだろうが、ようやく出会えた比較的友好的な参加者に一筋の希望が見えた気がした。











居間に案内されたこなたとルルーシュが最初に見たのは空になった寿司桶だった。
それらを大慌てで片付ける陽介と鉄之助にやや脱力しつつもややあって全員で自己紹介と情報交換を行う流れになった。



「…………」
「……りっくん」


居間に沈鬱な空気が流れる。とりわけ陽介とこなたが発するその空気は一際重い。
その場にいる全員、鉄之助でさえ言葉を紡ぐことが出来ずにいる。


各々の自己紹介とサーヴァントの簡単な紹介(真名は除く)を終えた後、まずこなたと映司が彼らの視点でこれまでの出来事を語った。
最初に出会ったマスターとサーヴァント・アサシンに襲撃された事。
この遠坂邸の本来の主である遠坂凛にその場を助けられた事。
その後すぐに天海陸とセイバーが現れ三組で行動を共にした事。
レストランで敵の襲撃を受け、凛が死亡した事。
その後は陸らと行動し、ルルーシュとアルトリアに発見され、陸がギアスによる尋問を受けた事。

尚、この時隠しきれないと判断したルルーシュがギアスについて説明し、一時場が騒然となった。
特にアレックスとリインフォースからはかなり強い疑惑の目を向けられることになった。
何故なら士郎や一に自発的にギアスの存在を明かした時とは状況が異なるからだ。
こなたは最初にルルーシュに会った時にギアスを使うところを目にした。
つまり今回の場合必要に迫られてギアスについて説明せざるを得なくなったということ。
これでは自発的にギアスについて話したことを誠意の証であるとは言えないのだ。
一応映司や陽介がアレックスとリインフォースを宥めてその場は丸く収まったが。
閑話休題。

そして衛宮切嗣と仮面ライダーディケイドの襲撃を受けたこと。
それから学園で調べ物を終えてここに向かって来た、というところまで話した。
だが、こなたが図書室でもらったコピー用紙に記した脱落者の一覧を見せた時、顔色を変えた人物がいた。


14 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:50:48 HI.iEiU.0






「おい…こなたちゃん、これ何かの間違いだろ……?
あいつが、悠が、死んじまう、わけが……」


信じ難いという表情で縋るように問いかける陽介に、こなたは沈黙で返す事しかできない。
その様子には真実味しかなく、陽介は嗚咽を漏らしながら俯いてしまった。

「この並び、どうやら死亡した順になっているようだな。
我々はアシュナードと鳴上悠のランサー、双方と新都方面で交戦した。
そして奴らは間違ってもそう簡単に落ちるほど軟弱な敵ではない。
にも関わらずほとんど同時としか思えないタイミングで両方死んだという事は…」
「私達が新都から離れた後にこの二組が戦い、結果相討ちになった、と…?」
「その可能性が高いだろうな……。
アシュナードは恐るべき強敵だがあのランサーの正体はクー・フーリンだ。
それほどの英霊が相討ち覚悟で戦えば十分有り得る結果だ」

主人に代わってアレックスとリインフォースの二人が状況を分析する。
クー・フーリンに殺されかけたルルーシュとガウェインもやや複雑な心境でそれを聞いていた。

(俺達の置かれた状況を思えば喜ぶべきなのだろうが…花村の手前そんな事は口に出せんな。
それに俺でいえばスザクに死なれたようなものだからな)


衛宮士郎はこれを吉報と取るか知人の仇を討てなかったと嘆くだろうか、それはわからない。
いずれにせよ時間が惜しい、陽介は今は放っておくしかないだろう。


「補足も兼ねて次は俺が話そう。泉、お前には辛い話になるだろうが…」


次に話し始めたのはルルーシュだった。
最初に学園で調べ物をしてから衛宮邸で士郎と出会い、行動を共にした事。
その後すぐに柳洞寺にいた金田一と太公望から同盟を持ちかけられチームを組んだ事。
ランサーとそのマスター、鳴上悠とクー・フーリンに士郎の知人が殺され、一時は自分達も全滅寸前まで追い込まれた事。
この時ランサー相手に効果の無いギアスを使ってしまった事と太公望が太極図を使わざるを得ない状況になってしまったのが悔やまれる。
今にして思えば衛宮切嗣は何らかの方法であの戦闘を監視した上で太公望を排除する策を立てたのだろう。

それから柳洞寺に蘇妲己を迎え入れ、こなたと陸の捜索に向かった。
切嗣の襲撃までの出来事に関しては既にこなたと映司が語ったので割愛した。
問題はその後、アルトリアとの電話で得た情報。即ち天海陸の正体と真意である。

曰く、キャスター・蘇妲己は真実遠坂凛のサーヴァントであり何故か最期は士郎達に協力する素振りを見せた。
数々の状況証拠と太公望が遺したというレコーダーから陸を怪しみ、一計を案じて正体を看破した。


15 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:51:30 HI.iEiU.0

ちなみにレコーダーには脱出に繋がる考察もあったらしいがルルーシュは敢えてそれを聞かなかった。
魔術師でありながら機械や兵器の扱いに長けた衛宮切嗣を警戒してのことだ。
もし万が一電話を盗聴され、脱出の情報をあの男が手に入れてしまえばどんな行動に出るかわかったものではない。
こちらが思いもしない手で殺し合いからの脱出を阻まれる可能性は極力減らすべきだ。
そのあたりは士郎らと合流してから直接聞くつもりでいる。
閑話休題。

陸の正体にこなたも最初は信じられないと言わんばかりの態度だったが、ある情報が決め手になった。
レストランに現れたマスターらしき怪人と正体を現した天海陸の変身した姿の外見情報が一致したのである。
この情報とアルトリアが話した反魔の水晶なるアイテムの存在によって陸とイスラの自作自演は決定的となった。


「俺があの時…陸くんを取り押さえることが出来ていれば……」

意気消沈してしまったこなたに加え、映司までもが悔しげに俯いてしまった。
情報交換の場で何故こうも精神的にボロボロになる人間が続出するのか。
思わず嫌味の一つも言いそうになってしまったが、先ほどまでの自身の醜態を思い出して踏みとどまった。

(いかんな。他人を指揮するのではなく協調する以上もっとコミュニケーションに気を遣わなければな。
どうやら俺は聖杯を破壊する前にまず真人間にならなければならないようだ)



生前の自分を振り返ると他人との意思疎通が相当に疎かになっていたのは否めない。
特にギアスという、過程を無視してお手軽に他人を従わせる力を手にしてからこの傾向に拍車がかかっていたのだと今ならわかる。
ギアスによって得られた奇跡のような結果があったからこそ、ルルーシュは黒の騎士団で様々な強権を振るうことが出来た。
最低限以下のコミュニケーションでも強引に組織を維持し、引っ張っていけたのだ。

だがその一方、水面下では確実に歪みが生じていたのも事実だ。
特にブラックリベリオンの前、藤堂や四聖剣が参入したあたりでゼロ、ルルーシュへの不信感は表面化し始めていた。
せめてそのあたりで何かしら対策を打っていれば、後の一部幹部の背信行為やあの裏切りも防げたかもしれない。

ルルーシュ自身はシュナイゼルの口車に乗せられて自分を裏切った騎士団幹部を恨んではいない。
ナナリーが死んだ(と思い込んだ)ショックで盛大に醜態を晒した直後のあの状況では誰もが疑心暗鬼になっても仕方ない。


16 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:52:07 HI.iEiU.0
そもそも以前からゼロへの不信感という下地は十分すぎるほど整っていた。



王の力は人を孤独にする。だが孤独のままでは聖杯戦争を打破するなど夢のまた夢。
もしこれが英霊という存在を交えないただの人間同士の殺し合いであったなら。
ルルーシュは生前と同じようにあくまで他人を利用し切り捨てて目的を達成しようとしただろう。

だがこの戦いには全てのマスターにサーヴァントという歴戦の強者がついている。
ともすればルルーシュ以上の見識と絶大な武力、ギアスを受け付けない抗魔力を持つ存在だ。
そのような超越者に対して生前のような傲慢な振る舞いは通用しない。
というか通用しないから太公望には頭が上がらずイスラと陸には出し抜かれたのだ。
だからこそ今後はギアスに頼らず自らの一挙手一投足、一言一句に気を配らなければならない。


「ともかくだ、俺が話せるのはこれだけだ。
名無、今度はお前達の話を聞かせてくれ」
「えっ!?ここで俺に振ってくるの!?」
「お前以外に一体誰がいると言うんだ。
今の花村に説明させるのは酷だろう」
「お、おう…。つっても花村と会ったのは教会だからなあ。
旦那、そこらへんの説明は任した!」
「…まあ仕方あるまい」



まずは名無から。エロ本を大量に買い漁って教会に向かった、以上。



「…………おい」
「すまない、気持ちはわかるがこれが事実なんだ。
頭の悪いマスターに代わって深く謝罪しよう」
「ちょっ、リ…じゃなくてキャスターひでえ!」
「よし説明は終わったな、お前はもう引っ込んでいろ。恥の上塗りだ」
「…何か俺の扱いがぞんざいになってきてる気がする」



その後未だに立ち直れない陽介に代わってアレックスが事情を説明する事になった。
まず新都のコンビニで買い物をした後、教会前でアーチャーとキャスターに襲撃された。
殺さないよう手加減して二騎とも上手く無力化したが、直後にアサシンの奇襲で二組とも殺されてしまった。
時間帯から言って脱落者の一覧に最初に載っている天野雪輝と我妻由乃がそうなのだろう。

教会で名無鉄之助と出会って意気投合し、共に行動し始めた。
それからアシュナードや鳴上悠らとの戦闘を経て深山町の月海原学園に移動。
図書室で調べた情報からアサシンは“壊刃”サブラク、鳴上悠を洗脳したのはDIOと判明した。
その後別のアサシンに鉄之助が襲撃されたもののこれを撃破、そのまま遠坂邸まで移動して今に至る。



「………いや待て、何か妙だぞ」
「…どうした?」

一通り事情を聞いたルルーシュの表情が曇る。何かを見落としている気がする。


17 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:52:57 HI.iEiU.0
陽介とこなたがメモした脱落者一覧を交互に見つめ、数秒後にルルーシュとアレックスの目が同時に大きく見開かれた。


「アレックス、お前達が戦ったアサシンは何か拳法を修めた者特有の動きをしていたか?
もしそうなら泉が調べたラオウという人物のみ襲撃者に該当し得るが…」

この中で唯一真名のみを名乗ったサーヴァントに問いかける。
だがアレックスは即座に首を横に振った。彼もまた違和感に気付いたのだ。

「いや、奴は拳銃とイメージを具現化させる能力を使っていた。
しかも身体能力そのものは非常に低かった、拳法の使い手など有り得ん。
そしてその他の脱落者は我々が学園に来る前に死んだかこちらで正体や脱落した時間がわかる者ばかり。
つまりアサシンは生きている。我々は奴に嵌められたという事か、忌々しい!」

ペルソナ、とは言及しなかった。一応許可なく主人の能力を明かさない気遣いぐらいはアレックスにもある。

「いや、でも旦那。あいつは確かに旦那が倒したじゃん。
サーヴァントって致命傷喰らったらおしまいじゃなかった?」
「恐らく蘇生タイプの宝具を持っているか、俺が倒したあの男が囮のようなものだったかのどちらかだろう。
サーヴァントが二騎いるところへ仕掛けた時点で疑問に思うべきだったのだ。
感謝するぞルルーシュ、そして泉。お前達と出会わなければ我々はいずれ奴に敗れていたかもしれん。
それに奴は自分の能力をD4Cとか呼んでいたな、学園で調べれば正体に迫れるかもしれん」

倒したと思い込んでいた敵が健在である、これが判ったのは大きな成果だ。
それがアサシンであれば尚更だ、折を見て学園で調べてみるべきだろう。





「一通り情報は出揃ったが…取り急ぎ対策が必要なのは衛宮切嗣という男だな。
特に警戒するべきは奴らの諜報能力の高さだ。サーヴァントがライダーにも関わらずこれは異常といっていい。
キャスター、蘇妲己との内通という線は衛宮士郎のセイバーの証言で消えた。
にも関わらず奴らはルルーシュのギアスに加え柳洞寺にいた各サーヴァントの能力をも把握していた。
さらに衛宮士郎を襲撃したことから考えて多方面を継続的に監視する手段を有しているのは疑いない」
「俺もそう思います。クウガのペガサスフォームなら索敵にうってつけでしょうけどディケイドもサーヴァントなんです。
いくら何でもクラスの適性を無視した能力、それも宝具を継続的に使えるなんて考えられない。
ならマスターの方が何か町を監視する手段を持ってるはずです」


18 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:53:47 HI.iEiU.0

映司とアレックスの意見を聞いたガウェインが暫し黙考した後、何かを閃いたらしく口を開いた。

「恐らく使い魔(ファミリア)を駆使して情報を得ているのでしょう。
旧来の魔術師(メイガス)の間では非常にポピュラーな魔術ですから。
キャスター、索敵の際に周囲の動物を注視していただけますか?
使い魔は動物を媒介に用いるのが基本、上手くすれば何かしらの発見が得られるかと」
「ああ、わかった」


話を聞きながらマルチタスクでサーチャーを操作していたリインフォースが頷いた。
しばらく後、何か反応があったのか彼女の表情が変わった。

「これは…何か機械を括りつけているのか?
すまない皆、これを見て意見を聞かせてほしい」

そう言うや、全員の目の前に突然モニターが現れ外の風景らしきものが見えた。
サーチャーが撮影した映像を夜天の書に蒐集された魔法の一つを使って他の人間にもわかるよう出力しているのだ。
映像には鳩らしき動物が小型の機械を足に括りつけて飛び回っている様子が映されていた。
今のところサーチャーに気付いている様子はなさそうだ。
これに真っ先に反応したのは元軍人であるアレックスだった。

「これはどうやら小型のカメラのようだな。
それも民間では出回っていない型、恐らく軍用の小型カメラだ。
確実に参加者の持ち込んだ私物だ、ここでは軍用の兵器は購入できないからな」

生前、アメリカの特殊部隊の指揮官だったアレックスには使い魔が括りつけているカメラに見覚えがあった。
同じくルルーシュもゼロとして暗躍し、機械に詳しくなったという経験からアレックスの意見に同調した。
二人の意見を聞いたリインフォースは頷くと、何やら足元に魔方陣らしきものを浮かべた。
全員が訝しげに見ていたその時、映像に変化が訪れた。
空を飛び回っていた件の鳩が何もないところから突然現れた魔力弾に撃ち落とされ、木っ端微塵になった。


「お、おい!何だ今のは…!?キャスター、お前の仕業なのか?」
「次元跳躍魔法だ、これも私の宝具に記録された魔法の一つだとだけ言っておこう」


次元跳躍魔法。これもまた夜天の書に蒐集された魔法である。
本来異なる次元世界に存在する対象を狙い撃つこの魔法ならば、同一の世界に存在する使い魔を撃墜する事など造作もない。


19 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:54:32 HI.iEiU.0
とはいえこの技にも攻撃する直前の魔力反応がわかりやすいという欠点がある。
使い魔ならいざ知らず魔術師やサーヴァントにはとてもではないが命中させられる代物ではない。

「リ、じゃなくてキャスター。いきなりとかちょっと過激すぎじゃね?
俺らみたいに殺し合いに乗ってない奴の使い魔だったら…」
「では聞こうマスター。殺し合いに乗らない人間性の者がわざわざ軍事用のカメラを私物として持ち込んだのか?」
「あー…確かに。乗ってる奴じゃなきゃそんなもん持ってくるわけねえか」
「そういうことだ、それに衛宮切嗣という男は質量兵器の扱いに長けているのだろう?
今の使い魔はこの深山町を飛んでいた、奴の用意したものである可能性は高い」



何故リインフォースのサーチャーだけが一方的に使い魔を補足することが出来たのか。
その理由はサーチャーに高度なステルス性を付与しているからだ。
例えサーヴァントでも監視されている事を前提に入念に索敵しなければ補足できないだけの性能がある。
元々魔力で生成された端末であるサーチャーは魔力資質の無い者には視認できない。
当然、使い魔とはいえ元はただの野生の鳩でもそれは同様だ。
また、次元世界で流通している機械類より技術面で遅れている地球産のカメラでは魔力反応は検知も視認もできない。

鳩を放っていた術者、衛宮切嗣が如何に異端であろうと所詮は現代の魔術師に過ぎない。
元軍人であるアレックスらの知恵を借り、本気になったリインフォースを出し抜くなど到底不可能だ。
この二人は衛宮切嗣の策謀を見抜くにあたって最良の組み合わせであるといえる。








「キャスター」

リインフォースが背後から掛けられた声に振り向くと、ルルーシュとガウェインがいた。
先ほどの話し合いの後、陽介とこなたの状態を慮って場を一時解散させたのである。

「どうした、休んでおかなくて良いのか?」
「いや、その前にお前の力を見込んで一つ頼みがある。
もっとも、セイバーが言い出したことなのだがな」
「?」

やや困惑するリインフォースにガウェインはあるデータフォルダらしきものを手渡した。
中身は何かのプログラムであるらしい、その詳細を一目で読み取ったリインフォースの表情が驚愕に染まった。

「このプログラムは…セイバー、もしやお前の真名は……」
「はい、私はかつてアーサー王の下に集いし円卓の騎士が一人、ガウェインです。
私が見たところ貴女のキャスターとしての能力は霊子ハッカーに似通っている。
貴女にはこの術式を私と貴女で発動出来るよう改良してほしいのです」


20 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:55:15 HI.iEiU.0
「これを使わねばならない相手…仮面ライダーディケイドか?」

話に聞いた彼らの経緯を考えればそう考えるのは自然なことだった。
だがガウェインは否定こそしなかったが、一瞬複雑そうな面持ちになった。

「ええ、それもありますが…他にも我が手で決着を着けねばならない英霊がいます。
彼が我が主の道を阻むのなら、私は今度こそ私心なき剣として彼を討つ。
そのためにこそ貴女の力が必要なのです、キャスター」

迷いを強引に振り切るかのような力強い一言に並々ならぬ決意を感じ取った。
結局拒否できず、データを受け取った後ルルーシュとガウェインは立ち去っていった。



「私は…何をやっているんだ……」

誰にでもなく呟いた言葉は虚空に溶けていく。
元々リインフォースにはささやかだが願望器で叶えたい願いがあった。
だが名無鉄之助というマスターに引き当てられ、花村陽介に出会ってからズルズルとここまで来てしまった。
聖杯を破壊する。チームの行動方針はリインフォースの願いとは真っ向から相反する。
だというのに正面切って方針に反対することもせず、気付けば彼らに積極的に協力してしまっている。
そして何より情けないのはそんな状況に安心感を覚えている自分自身だ。
そして安心を覚える理由も既に見当はついている。

「殺し合いの果てに聖杯に至ったとして、主はやてや守護騎士に私は胸を張って会えるのか…?」

それがリインフォース、祝福の風と名付けられた彼女が抱える迷いの正体。
わかってはいたのだ、自らの願望を叶えるにはどうしようもなく間違った手段であることは。
これは矛盾だ、願いのために人を殺める事を過ちと認識したままで勝ち抜けるはずがない。
かといって主が自分に込めた想いを汚す行為にはどうしても踏み切れない。
結論を出さなければならない、ただ状況に流されるのではなくリインフォース自身の聖杯戦争そのものに対する答えを。


21 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:55:47 HI.iEiU.0


【深山町・遠坂邸/夕方】

【泉こなた@らき☆すた】
 [令呪]:3画
 [状態]:精神的疲労(大)、深い悲しみ
 [装備]:携帯電話
※ルルーシュ、陽介達と情報交換をしました

【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:健康、強い後悔と無力感

【花村陽介@ペルソナ4】
 [令呪]:3画
[状態]:精神的疲労(大)、悲しみと喪失感
[持ち物]:ミネラルウォーター@現実、カロリーメイト@現実・医薬品一式@現実
 大学ノート@現実・筆記用具一式@現実・電池式充電器@現実・電池@現実
 携帯電話*携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
 予備の服@現実・食料@現実・スパナ@現実
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)
※ルルーシュ、こなた達と情報交換をしました

【ランサー(アレックス)@ARMS】
 [状態]:健康、ARMSの進化(進行度小)
※アサシン(ヴァレンタイン)が生存していることに気付きました

【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:3画
[状態]:健康
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)
※ルルーシュ、こなた達と情報交換をしました

【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康、自らの行動に迷い
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※深山町を飛んでいた衛宮切嗣の使い魔を破壊しました
※遠坂邸に工房を作成しました
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園を中心に索敵しています
※ガウェインからある術式の改良を依頼されました

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
 [令呪]:1画
 [状態]:健康
 [装備]:携帯電話、ニューナンブ
※柳桐寺付近にNPCにギアスをかけました【柳桐寺に近づく奴がいたら連絡する】
※アルトリアから別れてから今までに起こったことの詳細を聞きました
※こなた、陽介達と情報交換をしました

【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
 [状態]:健康
※リインフォースにある術式の改良を依頼しました


22 : ◆cp3jCCSc7M :2013/07/14(日) 13:56:54 HI.iEiU.0
以上で投下を終了します。
リインフォースが使った魔法に関しては原作を参照してこのぐらいなら出来るだろうという判断で出しました。
タイトルは「情報交換をしよう」でお願いします。
感想、ご指摘等お待ちしております。


23 : ◆WMyP5RHbA6 :2013/07/14(日) 14:21:55 9fGBpX820
投下乙です。色々と情報が交換されたり陣地が整備されたり。
うん、これで対主催チームの態勢が整って来ましたね。
えっと、主催者全然関係ない話なんですが予約って駄目なんですかね?
可能なら、名無、リイン組のみを予約したいのですが。


24 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/14(日) 18:59:55 AephPiLI0
投下乙です
西の対主催、中央のスザク達、東のマーダー群ときれいに色分けされた感じになりましたね
ガウェインがリインに頼むと言ったらやっぱりアレなのかな……?

>>23
話し合いをいつするかまだ決まってないので構わないと思います


25 : 名無しさん :2013/07/14(日) 19:20:30 Q601SSck0
投下乙で御座い
このチーム、鯖のクラスもばらけてていい感じだよね
マスターも近接戦の名無、味方が増えるほど有利なバランサーの陽介、ギアス&頭脳戦のルル、おいしいごはんが作れるこなたとバランスもなかなかだし
しかし、碌に損傷を負っていないにも拘らず陽介とこなたは移動する度にベコベコに凹まされているなぁw


26 : 名無しさん :2013/07/14(日) 20:01:37 7djcjG8Q0
投下乙です
大きな対主催チームができたけど、テンション下がっちゃったり葛藤したりと一筋縄ではいかない状況
こんな状況で他の参加者と遭遇した時にどのような科学反応が起こるのか
そして名無・ルル・ガウェ・アレックスがどのようにフォローするのか、楽しみですね


27 : ◆2shK8TpqBI :2013/07/14(日) 20:08:50 LuOlKOlY0



28 : ◆2shK8TpqBI :2013/07/14(日) 20:12:24 LuOlKOlY0
投下乙です
対主催サイドがぞくぞくと集まって来ましたね
数も良い感じに拮抗してるし面白いです

予約に関しては、今予約しているのが投下したら話し合うと認識してたのですが…
個人的には先に話し合う方が良いかとは思います


29 : ◆3vWdxvBXv. :2013/07/14(日) 21:15:11 2TRpCyjU0
話し合う日時決めなきゃ(使命感)


30 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/15(月) 00:00:53 96vcOJ9s0
まず何人参加するかですが、今のところ
◆l3N27G/bJU氏、◆2shK8TpqBI氏、◆3vWdxvBXv氏、◆cp3jCCSc7M氏、◆wYNGIse9i6氏、それから私◆QSGotWUk26が確定でしょうか。

◆WMyP5RHbA6氏は既に一作投下されておられますが、◆NI3AerqnLA氏の投下は初めてです
日時を決めるとしても、現在予約されている◆NI3AerqnLA氏の投下が終わってからでないと全員の都合は合わせられないと思います

◆WMyP5RHbA6氏の予約は特に主催者関連ではないということですのでこの段階で予約しても問題ないと思うのですが、どうでしょうか?


31 : ◆WMyP5RHbA6 :2013/07/15(月) 02:23:36 bC6iRNYI0
とりあえず、先に話し合う方がという書き手様がいるので予約は一旦取り下げで。
日程さえ合えば、話し合いには参加します。


32 : ◆XL.nOGsA4g :2013/07/15(月) 07:20:00 8YS.Wyo2O
遅ればせながら投下乙です!
対主催が全員集合といった感じですが、精神的に疲弊したメンバーがどう壁を越えるかが今後の課題ですね
それから私も話し合いの件には異論ありません、日程が合えば参加させていただきたいと思います


33 : 名無しさん :2013/07/15(月) 12:40:11 dcYdlbrk0
こうして見ると何だかんだで二次聖杯は書き手多いなw
嬉しきことです


34 : 名無しさん :2013/07/15(月) 13:33:47 SKGV2i3U0
> 1000 名前:名無しさん[sage] 投稿日:2013/07/15(月) 13:20:05 ID:yPQ9X9Ck0
> >>1000ならホロウ化

…この聖杯戦争のメンツをか?


35 : 名無しさん :2013/07/15(月) 13:53:48 T8SF2DXoO
>>34
お遊び回としてやれといいこと…なのか?


36 : ◆3vWdxvBXv. :2013/07/15(月) 15:07:24 sokHsP8Q0
日時提案が全く無いw
今月の20日、21日、27日、28日のいずれかでどうでしょう。全部土日です。
時間は流石に一人じゃ決められないのですが…


37 : 名無しさん :2013/07/15(月) 15:46:45 hYQ0tdvg0
不躾な物言いになりますが、◆NI3AerqnLA氏の投下がもし不可能ということになれば参加人数は変動します
延長を含めた◆NI3AerqnLA氏の予約期限2013/07/25(木)以降のほうがいいと思います


38 : ◆NI3AerqnLA :2013/07/15(月) 17:21:01 n6v8Ce2s0
失礼いたします。期限前ではございますが、どうやら私めの投下日時が話し合いの日程を左右するようですので顔を出しに参りました。
現在の状況では完成度四割ほど、といったところなのですが、おそらく延長をすることになると思います。私の都合でご迷惑をおかけし申し訳ありません。


39 : ◆2shK8TpqBI :2013/07/16(火) 07:46:44 Q5NgZNpQ0
日時についての提案です。
氏の投下してからの2日後はどうでしょう。
修正案が出るかもしれないので、直後よりは良いとは思うのですが。
時間は自分は19時以降なら話し合いに参加できます
また他の意見があったら教えてください


40 : 名無しさん :2013/07/16(火) 18:21:00 DWP.Qsms0
名無しが相変わらずなのは何か安心するw
切嗣の使い魔は厄介だよな
相性的にサブラクくらいしか出し抜けないかと思ってたが、上手くコンビで対処できそう
そして術式ってことはあれかー!


41 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/16(火) 19:04:58 OxhT4NDI0
27日なら参加可能です
それ以外ですと現時点ではわからないので8月に入ってからのほうがありがたいですが

あと方法ですが、Whocares?の無料チャットではどうでしょうか
月報チャットなどでも使われているところで、ここでよければレンタルしてきますが


42 : 名無しさん :2013/07/16(火) 21:14:57 dzYZQMpo0
専用したらばあるのでそこで議論でいいんじゃないですかね。
他の住人にどうしても見られたくない場合はスレごと消去してもらえますし。
特に何も準備が必要ないのがメリットです。

暫定的に27日が最大候補ですね。


43 : 名無しさん :2013/07/16(火) 21:57:32 ivkC334o0
>>42
今後の内容に関わることなんだし、流石にしたらばは良くないのでは
一先ず話し合いの方針は書き手の方々に委ねて読み手は口を出さぬべきだと思われます


44 : 名無しさん :2013/07/16(火) 22:50:03 DWP.Qsms0
それに掲示板でリアルタイム会話は結構しにくいのでおすすめはしませんよー


45 : ◆3vWdxvBXv. :2013/07/17(水) 14:04:21 qOEOL/wY0
ああ酉つけて発言しますね。>>42は私です。
正直話し合いに参加とは言ったものの、全員が同じ時間に集まるのは
難しそうだと思ったから掲示板式をオススメしたんです。
どうしても文字数が多くなりそうだなーというのが私の予測です。


46 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/17(水) 14:21:43 OIMZ4X5U0
ttp://sample1.chatx.whocares.jp/

ここのチャットは退室後でもログを残せますので、都合のいい時に入ってログを見て発言できますし、テキストにして保存もできます
したらばでは不特定多数の人に見られる以上、黒幕など重要な話し合いをするのは不向きかと
パスをかければ特定の人以外は入室できないよう設定もできるようですし

そもそもここを使う場合は特定の日に集まる必要はないかもしれませんね
「27日から一週間ほど意見を募集します」というようにするのがもっとも参加しやすいのではないでしょうか


47 : ◆l3N27G/bJU :2013/07/17(水) 21:18:07 /XjIT8Yw0
今月は忙しいので、特定の日よりも時間の空いたときに参加できるほうが助かります。
チャットだと参加できる人はそれこそ毎日入って他の書き手と話せますしいいんじゃないでしょうか


48 : ◆NI3AerqnLA :2013/07/18(木) 10:44:58 9r8d.Y2o0
申し訳ありません、予約延長します


49 : 名無しさん :2013/07/18(木) 15:29:59 ayJbaKig0
延長はともかく、このままの勢いで完結しそうでよかった。
ロワが未完で終わるのなんてよくあることだし、これでこそ脱落したキャラが報われるってものだよな。
まぁ雑談スレでソッコー復活してどっか行った参加者もいるが。
あれぞ番長マジックかw


50 : ◆wYNGIse9i6 :2013/07/18(木) 22:06:45 92wSruSA0
チャットに賛成です
今のしたらばで円滑な話し合いができるとは思えませんので

ついでにと言っては何ですが、そろそろ目に余るので言っておきます
読み手の方が反省会などしていただかなくても結構です
そんなにここが気に入らないならどうぞ自分たちで別スレを立ててそちらでやってください


51 : 名無しさん :2013/07/19(金) 19:07:33 q5zs09iQO
気ぃ悪くしたらゴメンだけど、本スレでもない雑談にまで口挟まんでも


52 : 名無しさん :2013/07/19(金) 20:04:22 3Adk9khQ0
見過ごせるという限度を越えたんでしょ


53 : 名無しさん :2013/07/19(金) 21:30:08 kjeFU6kA0
>>51
雑談でもやり過ぎるのはどうかと


54 : 名無しさん :2013/07/19(金) 22:55:39 sCJ5L/4U0
結果的に死者スレが誕生したという話。


55 : 名無しさん :2013/07/20(土) 09:20:23 Y1Epg/Yw0
まぁ終わってもいないのに読み手同士で勝手に反省会始めちゃえば流石にな
そして生まれる死者スレ


56 : 名無しさん :2013/07/20(土) 15:25:55 o7yxGABA0
反省して次回に活かそうというのは悪いことじゃないんだけどね。
終わってないにも関わらず、行うのはあまりに書き手さんの事を考えてないと言わざるを得ない。
まあ、人気のあるロワだけに色々な人間が集まるから仕方無いのかもしれないが。


57 : ◆l3N27G/bJU :2013/07/23(火) 07:29:08 omwW3Opo0
話し合いは結局どうなるんでしょう
◆NI3AerqnLA氏の予約が来てからですかね?


58 : 名無しさん :2013/07/24(水) 15:52:59 mIC820O20
期限は明日ですしその方がよさそうですね


59 : 名無しさん :2013/07/25(木) 14:21:12 NtFFww8k0
新作こない…


60 : 名無しさん :2013/07/25(木) 14:37:29 h6w.UJKo0
落ち着け、きっとまだ慌てるような時間じゃない。
たぶん夜中ぐらいまではセーフ。


61 : 名無しさん :2013/07/26(金) 02:23:39 pMlj0Fn.0
日付変わってるのにこないな……。
こりゃ、ダメかな……?


62 : 名無しさん :2013/07/26(金) 09:36:55 crFNZy1w0
これはもうダメかも分からんね


63 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/26(金) 14:07:18 861z2yho0
期限から一日経ちましたしたので、残念ですが◆NI3AerqnLA氏の予約は破棄していただく他ないかと

チャットを借りてみました
ttp://2jiseihaisennsou.chatx.whocares.jp/

設定はトリップ10桁対応、PM許可、IDのみ表示、携帯からの入室可、未入室閲覧禁止にしています
日時はいつと具体的には決まっていませんでしたので、とりあえず当初の予定通り明日土曜日27日の19時以降からではどうでしょうか


64 : ◆3vWdxvBXv. :2013/07/26(金) 14:36:07 wvk883FU0
異論ございません。
使い方よくわかりませんけど何とかします。


65 : ◆2shK8TpqBI :2013/07/26(金) 15:23:43 GeMyBS0Q0
了解しました
ひょっとしたら使い方を聞くかもしれませんのでよろしくお願いします。


66 : ◆XL.nOGsA4g :2013/07/26(金) 16:10:17 /zbn3zXEO
遅れてしまいましたが話し合いとチャットの日時の件、私も了解しました


67 : 名無しさん :2013/07/27(土) 02:41:44 j63OjWR20
ついに完結編の話し合いが始まるのか…
色々あったけど、終わりが近づくのはやっぱり物悲しいな


68 : ◆2shK8TpqBI :2013/07/27(土) 21:53:34 aM0F4B4Y0
すみ


69 : ◆2shK8TpqBI :2013/07/27(土) 21:56:52 aM0F4B4Y0
すみません何処にチャットがあるかよく分かりません
行き方と入り方を良ければ教えてもらえませんか?


70 : 名無しさん :2013/07/27(土) 22:02:44 q78Wmcdo0
ttp://2jiseihaisennsou.chatx.whocares.jp/

↑ん、このリンクから飛べるのでは?
ページの上の「入室」って所を押せば名前を入力する欄があるのでそこを入れて入室ボタンを押せば入れますよ


71 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/27(土) 22:06:03 xVWEB3y60
>>69
ttp://2jiseihaisennsou.chatx.whocares.jp/  です
入室する際、ここと同じようにトリップキーを入力すればトリップ使えます


72 : ◆2shK8TpqBI :2013/07/28(日) 02:06:32 e/YSfabw0
うーん、どこ探しても入室ボタンが見つからない・・・
Whocares?ていうところには行けたんだけどそれからどうしていいかわからないです
探し方が悪いのかな?


73 : ◆3vWdxvBXv. :2013/07/28(日) 13:42:16 pqSIOIbk0
すみません昨日のログ読みたいんですけどどうやって読むんでしょうか?


74 : ◆FTrPA9Zlak :2013/07/28(日) 14:48:42 la7FX9wo0
連絡入れられなくてすみません
自分も昨日は諸事情で参加できなかったので可能ならログを見せていただきたいのですが


75 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/28(日) 15:24:56 a/seyS8A0
今チャットに入っていただけたらお渡しします
ただ16時から外出しますのでそれまでに入っていただくか、明日18時以降なら私がまた入っておきますのでそのときに来ていただけますでしょうか


76 : ◆3vWdxvBXv. :2013/07/29(月) 01:35:44 K.EsvQjo0
常に閲覧できるというわけではないのですね。
実は土曜22時以降に急に人が集りだしたのでそこも読みたいのですがログありますか?


77 : 名無しさん :2013/07/29(月) 20:36:37 KrsPW/jo0
予約も話し合いの進行報告も無いから、イマイチ盛り上がらないな…


78 : ◆QSGotWUk26 :2013/07/29(月) 23:50:53 Gew9O0Eg0
最初のチャットから一週間、つまり八月三日まで話し合いを続ける予定です
なにか意見がある書き手の方は>>71のリンクからお願いします


79 : ◆Mti19lYchg :2013/07/30(火) 00:17:49 nyjXm1tk0
ジョン・バックス、アサシンを予約します。


80 : ◆Mti19lYchg :2013/07/30(火) 00:19:23 nyjXm1tk0
連投失礼。話し合いの途中で予約はまずいので取り消します。


81 : 名無しさん :2013/08/02(金) 03:47:38 GhbG77AM0
保守


82 : 名無しさん :2013/08/02(金) 18:32:51 0kmISSdQ0
このしたらばで落ちることはないから保守の必要はないんじゃないか?w


83 : 名無しさん :2013/08/02(金) 21:15:09 BKnpYKx.0
つい癖でやっちゃったんじゃねw


84 : ◆QSGotWUk26 :2013/08/03(土) 20:15:10 dAFiSrJA0
現在チャットにて話し合いの最終意見確認を行なっております
ご意見のある書き手は>>71のリンクまで


85 : 名無しさん :2013/08/04(日) 00:36:36 Z0o5CyEY0
8月4日になったけど、投下も始まるかな?


86 : ◆QSGotWUk26 :2013/08/04(日) 00:38:39 81rdary20
先ほど書き手間の話し合いが終了しました。
今夜から予約解禁となります。
また、予約制度も一部変更します。


以降は一度でもここで書いたことのある書き手の予約のみを受け付けることとし、新規の書き手の予約は締め切らせて頂きます。


企画完結に向けて、今後ともよろしくお願いします。


87 : 名無しさん :2013/08/04(日) 00:59:57 9jZYKU6.0
完結が見えてきたか……感慨深いな


88 : ◆Mti19lYchg :2013/08/04(日) 20:29:06 LE/1R7/w0
改めてジョン・バックス、アサシンを予約します。


89 : 名無しさん :2013/08/06(火) 00:31:53 Jxz5SJzc0
キター!


90 : 名無しさん :2013/08/07(水) 22:44:16 i5f//Fwg0
やっぱり制限つけたから、前ほどの勢いがないな・・・


91 : 名無しさん :2013/08/07(水) 23:06:17 xDzRpiy.0
>>90
は?(威圧)


92 : 名無しさん :2013/08/07(水) 23:11:06 CaBZsCbs0
排他的とは言われてもしゃーないっしょ


93 : 名無しさん :2013/08/08(木) 02:08:51 avLZb3Dc0
結末というか主催サイドの話が現在いる書き手間で決まった以上、これからは新規入り込みづらいし仕方無いな
しかしもう終盤近いってことなんだよなぁ…
なんともしみじみする、この企画は見届けたい


94 : ◆QSGotWUk26 :2013/08/08(木) 12:46:56 CllG584s0
投下します。


95 : The Zero ◆QSGotWUk26 :2013/08/08(木) 12:47:41 CllG584s0



 天野雪輝、キャスター/タマモ――死亡。

 我妻由乃、アーチャー/ジョン・ドゥ――死亡。

 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン、ランサー/本多忠勝――死亡。

 遠坂凛、キャスター/蘇妲己――死亡。

 近藤剣司、セイバー/セリス・シェール――死亡。

 金城優、セイバー/アストレア――死亡。

 アシュヒト・リヒター、セイバー/テレサ――死亡。

 間桐雁夜、アサシン/トキ――死亡。

 園崎詩音、バーサーカー/美樹さやか――死亡。

 金田一一、ライダー/太公望――死亡。

 天海陸、セイバー/イスラ・レヴィノス――死亡。

 間桐慎二、ライダー/ラオウ――死亡。

 鳴上悠、ランサー/クー・フーリン――死亡。

 ゼフィール、ライダー/アシュナード――死亡。







 無機質な文字列がモニターをスクロールしていく。
 ムーンセル・オートマトンが構築した霊子虚構世界“SE.RA.PH”での戦い、“聖杯戦争”が始まって、はや半日と数時間。
 この戦いで14組、人数に直すと28人のマスターとサーヴァントが散った。
 一万飛んで5848回目にして初めてと言えるこの大規模な戦いも、ようやく佳境と言ったところだ。

「――まだ続ける気か?」

 不意に、背後からの問いかけがあった。以前にも聴いた問いだ。
 あの時は答えたが、今度は答えなかった。その必要性を感じない。
 今も戦いは続いている。無意味な揶揄に応じる意味は無い。


96 : The Zero ◆QSGotWUk26 :2013/08/08(木) 12:48:20 CllG584s0

「クックッ、そう無下にするな。ここにお前以外の話相手はおらんのだ。少しくらい付き合っても罰は当たるまい」

 言われ、男は改めて今在る場所を意識する。
 ここはSE.RA.PHではない。言うなれば、“月の裏側”――ムーンセルの支配及ばぬ虚数空間である。
 古めかしい家屋を模したこの旧校舎にて、自分たちは聖杯戦争の進行を見守っている。

「この見世物。最初はくだらんと思ったものだが、存外楽しめるものだ」

 ここには自分以外にもう一人、黄金の鎧を纏う英霊が在る。
 その手には呆れた事に綺羅びやかに輝く酒杯、傍らにはこれまた黄金の酒瓶。
 まるでスポーツでも観戦するような体で、

「寝過ぎて夢も見ぬほどに退屈していたからな。常ならば一笑に付すところだが、此度は許そう。褒めてやるぞ、雑種」

 彼は尊大にふんぞり返る。彼を見つけたのは、正直に言って偶然以外の何物でもない。
 ムーンセルを改竄するため手頃な場所へと腰を落ち着けようとした先に、先客がいた。ただそれだけの事。
 彼もまた聖杯戦争に召喚されるサーヴァントの一柱ではあるのだが、何故こんな辺鄙な場所にいたかと訊けば、

「結果の見えている勝負ほど詰まらぬ物はあるまい」

 と、言ってのけた。
 確かに、どんな凡百なマスターであろうと彼を使役するのならば負けは有り得ない。
 参戦すれば優勝という結果が確定してしまう。マスターの魂の質を問うこの聖杯戦争に於いて、ある意味では彼ほど無価値なサーヴァントも他にいないだろう。
 故に、彼はムーンセルに封印された。まかり間違ってもマスターに召喚されないように、この月の裏側の奥底へと。
 だが本人はそれを不満とも思わず、この虚数空間にどうやってか自己の領域を確保し、無限とも思える時間を微睡みとともに過ごしていた。

「“拳王”、そして“狂王”が墜ちたか。だが“騎士王”は健在……フフン、そうでなくてはな」

 どうやらこのサーヴァントは、“王”という存在に一家言あるらしい。
 殊に、今のお気に入りは騎士王――セイバー、アルトリア・ペンドラゴンである。
 セイバーと知り合いなのかと問えば、彼は否定した。

「逢った事はない。もしかしたらどこぞの世界では違うのかもしれんが。
 しかしあのセイバー。金髪碧眼、小柄な体躯、にじみ出る高潔さ。容姿はまさに我の好みドストライクだ。
 だが傍にいる小僧が気に入らんな。どうもアレを見ているとこう、セイバーの美点が解消されていくような……」

 あの細い身体では到底支えきれぬ理想に押し潰される様は、きっと美しいモノであろうに、とブツブツ不満を口にする。
 その意見に同意するかはともかく、セイバーとそのマスターは自分にとっても有望株だ。
 思想的に決して男とは相容れないであろうが、彼らの魂の純度はこの戦いにおいて一層輝きを増す事だろう。


97 : The Zero ◆QSGotWUk26 :2013/08/08(木) 12:49:45 CllG584s0

「雑種、貴様はどうだ。コレ、と言う一押しはおらんのか」

 肩を竦めて、答えない。
 誰が勝利するのが重要、なのではない。最後に残った者がいる、それこそが必要なのだ。
 それが誰であろうと構わない。最後に残るという事は必然的にそれだけの強さを得た、つまりは闘争の中で魂を成長させたという証明なのだから。
 身を預けていた椅子から立ち上がり、部屋の出口へと向かう。

「無愛想な奴よ。まあいい、我はもうしばらくここで眺めている事とする」

 それきりこちらに興味を失くし、黄金のサーヴァントは豪奢な椅子に背を預け、酒を舐めつつモニターに見入いり始めた。
 何も言わず部屋を出る。扉を閉じると、かのサーヴァントが発散していた金色の王気もまた遮断された。
 コツコツと廊下を歩む。はたしてあの黄金のサーヴァントとはどういう関係になるのだろうか。
 同志ではない。彼はこちらの目的に賛同も反対もしない。
 彼はただ、楽しむだけだ。聖杯戦争という争いの過程、そこに生じる様々な人の生き様を見て、肴とする。
 彼自身と同じく“王”を名乗る男を不遜と憤るのが、本来の彼の在り方だろう。
 だが、男が名乗る王とはもはや記号以上の意味を持たない。

「眠気覚ましに道化が踊る様を見るのも悪くはない。良かろう、貴様の遊戯に付き合ってやる。
 貴様が集めた雑種共の中には我の財に無いモノを持っている奴もいる事だしな。
 そして何より、貴様の下らぬ願いの果てに何があるのか……見届けるのも一興よ」

 だからなのか、雑種と嘲りつつも敵対的な態度を取らず、あっさりと彼は男に助力する事を決めた。
 しかし協力を依頼したとはいえ、あるいは彼の出る幕はないかもしれない。
 彼の力を必要とする事態とはつまり、男の前に現れるマスターが多数である場合を指す。
 最後に残った勝者を求める男の望みとは食い違う事態、そうなった時の修正力として彼はいる。

 彼がSE.RA.PH内に出向けば、遠からず聖杯戦争は彼の勝利という形で決着する。
 だがそんな結末は、男も、そして彼も望んでいない。
 望んでいるのは勝利ではなく、勝者。だからこそ、最終的には彼もまた打ち倒されなければならない。
 彼とぶつかれば、いかに相手が複数のサーヴァントといえど苦戦は必至だ。彼もまた消滅するだろうが、幾人かはそこで脱落する事になるだろう。
 だからこそ。彼という強大な壁を乗り越えた者は、一層強靭な刃となって男へと到達する。いわば彼は最後の試練だ。
 それらを正直に話したところ、

「構わん。本来我はそのような者たちに倒される側の存在であるからな。
 が、我を舞台に上げる以上、我の眼前に立つ者は真の英雄でなくてはならぬ。我を失望させるなよ、雑種」

 と、彼は意外にも敗北を了承した。結果より過程を楽しめればそれでいいという事なのだろう。
 サーヴァントである彼は、SE.RA.PH内で消滅したとしても存在が抹消される訳ではない。
 だからという訳ではないだろうし、たとえ存在が消えるとしても彼の態度は変わらなかっただろうが……と、男は思う。
 無論、順当に参加者たちが殺し合い、最後の一組となって男の元へと到達するなら、彼の出番は無いが。
 とにかく、彼が自らSE.RA.PH内に出向く事は無い。そしてそれは己も同様だ。
 看過できないイレギュラーが発生しない限りは、参加者たちの意志のままにこの聖杯戦争を進行させる方針である。
 自らの意志で前進するからこそ、その魂は強く光り輝くのだ。


98 : The Zero ◆QSGotWUk26 :2013/08/08(木) 12:50:48 CllG584s0

 校舎の一室、自分専用に誂えた個室で、男はモニターに目をやる。
 今も戦いは続いている。

 ある者は、願いを叶えるために。
 ある者は、戦いを止めるために。
 ある者は、聖杯そのものを砕くために。

 方向こそ違えど、どれも強い意志を持つ者である事に変わりはない。
 あの中で一体誰が勝ち抜いて、男の前に辿り着くのか。
 かつて魔王と呼ばれた見識を以ってしても、一向に見当はつかない。
 しかし――それこそを望んでいる。

 混沌の中から這い上がる様。
 死という停滞を拒み、苦難に満ちた生を掴もうと必至に手を伸ばす姿。
 その砕け得ぬ意志を、求めている。

 男がかつて存在した世界では、ついに手に入れられなかった。
 最愛の妹も、無二の親友も、全てが遠い過去に去ったあの世界。
 不老不死の身である自分だけが唯一変わらぬ存在として在り続け、どれだけの時が過ぎただろうか。
 男は使命を果たし続けた。
 世界は混沌で活性化し、世界には明日も命があふれていくはずだった。
 だが、気付けば世界は停滞していた。

 永い間生き過ぎたのだ。世界が男の存在を核に存在してしまうほどに。
 同じ波形で起こる混沌とは、すなわち停滞である。
 いつの間にか、男自身が世界の明日を阻害する存在になってしまっていたのだ。
 一つの世界の停滞は、やがて全ての可能性宇宙に伝播するだろう。

 だから男は、自らの滅びを求めた。
 古きが滅び新しきを迎えることで変化が生まれる。
 この役割を次代の魔王へと引き継がせ、世界を再び混沌で活性化させるために。
 だが、生半な素質ではとても魔王を任せられない。否、任せる以前に自分を滅ぼせすらしない。
 この不朽の身を滅ぼせるのは、男と同等かそれ以上の力を目覚めさせた者だけ。
 男が求める器は、停滞した世界では望むべくもなかった。

 やがて男は世界を渡った。そして辿り着いたのが、このムーンセル・オートマトンが存在する世界だ。
 そこにいた一人の死人――トワイス・H・ピースマンにより、男は聖杯戦争を知った。
 そして思った。その戦いを生き残った勝者こそ、次代の魔王を担うに相応しいのではないか、と。
 男は聖杯戦争へ介入するために、ムーンセルへのハッキングを開始した。ピースマンは、男の行動を邪魔しなかった。
 どうも彼の望みと男の目的にはよく似た点があったらしい。
 男の願いが成就すればそれでもいいのか、あるいは男の願いが決して叶わぬ無駄な物だと見切っていたのか。

 自分と同じく別の世界から願いを持つ者を招き、争わせ――勝ち残った者を判定する。
 試行に試行を続け、そして一万飛んで5847回、失敗した。
 誰一人として、魔王の役割を預けるに足る者は現れなかった。通常のやり方では、男が望む勝者は決して生まれないと悟った。
 ならばとこの月の裏側へ訪れ、改竄のしやすい虚数領域からムーンセルへのハッキングを強めて聖杯戦争のシステム自体を歪めた。
 常に自身を安全圏に置いていたこれまでと違い、今はムーンセル中枢に最接近している。
 ムーンセルへの支配力はこれまでになく強い物となったが、さすがに中枢を守護する最終防衛プログラムは抜けなかった。
 現在こそ安定しているものの、仕損じれば異物としてこの世界から弾き出されてしまう可能性は否定出来ない。
 後が無いのは男も同じ。故にこれが最後の機会。


99 : The Zero ◆QSGotWUk26 :2013/08/08(木) 12:52:04 CllG584s0

 一万飛んで5848回目にして、聖杯戦争はかつて無い様相を見せている。
 14組28人の魂が淘汰され、残った者たちは手を取り合い、あるいは牙を研いでいる。
 ムーンセルの演算を以ってしてもこの先の予想はつかない。

 男は頭部を覆う仮面を外した。
 現れたのは、モニターに移る黒髪の青年、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアと瓜二つ――否、全く同一の素顔。
 さもあらん。
 彼こそはSE.RA.PHに存在するルルーシュとは別世界のルルーシュ・ヴィ・ブリタニア、その人なのだから。

 しかし彼は、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアという名を捨てた。
 今の彼の名は、ゼロ――人呼んで“魔王ゼロ”である。
 漆黒の仮面とマントに身を包む黒き魔王。正義と革命の象徴であったゼロではなく、世界に混乱と戦火を拡げる魔人。
 かつて“魔王C.C.”と名乗った彼だが、その名は次代の魔王に引き継がれるべき名だ。
 故に彼は、再び“ゼロ”を名乗る。

「混沌の中からこそ、明日への希望は生まれる」

 その希望が別世界の自分自身、ルルーシュなのか。
 あるいは、無二の友と同一の存在たる、別世界の枢木スザクなのか。
 どちらでも構わないし、また別の人間であっても構わない。
 現時点での素質になど意味は無い。最後に生き残った者こそ次代の魔王に相応しい。
 48人の魂を糧に成長したその魂は、間違いなく最強の“ギアス”を発現させる事だろう。
 古き魔王、このゼロを滅ぼし得るほどの、強力な力を。

 ゼロを滅ぼした最後の勝者はエデンバイタルに遣わされた新しき魔王となり、同時にムーンセルへのアクセス権を得る。
 エデンバイタルと、ムーンセル。2つの全能なる力を統べた者は、おそらくゼロを超える強大な魔王となる。
 その人物の思想など関係無い。力持つ者は、ただ存在するだけで周囲に影響を与えていくのだから。
 今はただ、待つ。
 この月の裏側で、無限の生の終着点と、新たな混沌の産声を、ただひたすらに待ち続ける。
 誰が勝者として魔王の前に立つのか。誰が次代の魔王の器なのか。誰がこの身を滅ぼすのか。





「其を見届ける者。すなわち我、魔王ゼロなり――」





【月の裏側】

【魔王ゼロ@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
【ギルガメッシュ@Fate/EXTRA CCC】

.


100 : 名無しさん :2013/08/08(木) 12:52:58 CllG584s0
投下終了です。
まとめwikiにステータスのページも作成しておきます。


101 : 名無しさん :2013/08/08(木) 13:18:58 Ws.oSX5E0
投下乙です!
我様自重しろwww


102 : 名無しさん :2013/08/08(木) 13:42:08 /kwUIX2Y0
我様が戦ったら普通に負ける相手が結構いたんだが
DIO様以外全部死んじゃったんだよね。あと攻撃届きそうなの大統領だけじゃないのか。


103 : 名無しさん :2013/08/08(木) 13:48:58 Ws.oSX5E0
あ、アヴァロンあればワンチャン(震え声)


104 : 名無しさん :2013/08/08(木) 15:57:13 Ey7HJc9k0
投下乙です
魔王と英雄王のコンビとか主催者陣がやば過ぎるw


105 : 名無しさん :2013/08/08(木) 16:41:46 avLZb3Dc0
投下乙です!
主催陣営がとんでもないコンビの件についてww
彼らの下に到達出来るのは一体誰になるのか…!?


106 : 名無しさん :2013/08/08(木) 18:50:58 JC/Xa70kO
投下乙です。

ガウェイン対ガウェインが見てみたい。


107 : 名無しさん :2013/08/08(木) 19:04:07 mH2DtcawO
聖人の遺体があればD4Cがラブトレになるのにな〜


108 : 名無しさん :2013/08/08(木) 19:07:44 Ws.oSX5E0
ん、もしかしてバビロン超強化?
ここの鯖全員の原典持ち?弓と矢とかヤバすぎる気配もするけど


109 : 名無しさん :2013/08/08(木) 19:18:29 /kwUIX2Y0
>>107
まどっちで代用できる可能性アリ。
というか我様正直このロワ面子の中では特別強いってワケじゃないんだよね。


110 : 名無しさん :2013/08/08(木) 19:30:40 1GKiH5AY0
チートな我様以上のチートなマスター、魔王ゼロがキター!
魔王継承が目的かぁ、ほとんどの人が拒否しそうだな(それでもゼロは強制で継承するだろうが)


ただしまどか、テメーはだめだ(混ぜるな危険的な意味で)


111 : 名無しさん :2013/08/08(木) 19:41:48 /kwUIX2Y0
まどか「キュゥべぇと契約して聖杯戦争がなかったことにする」
魔王ゼロ「えっ」
まどか「全部なかったことにする」
魔王ゼロ「やめて!」
まどか「さあ、叶えてよ!インキュベーター!」
魔王ゼロ「こんなの絶対おかしいよ!」


112 : 名無しさん :2013/08/08(木) 19:44:18 z8pQ4bn.0
ゼロは名前的にもギアス=願い的にも確かに笛Exには似合うかもなw
しかもこの英雄魔王コンビはいい具合に生き残りとの関係性も多いからナイスチョイスw


113 : 名無しさん :2013/08/08(木) 19:52:09 z8pQ4bn.0
しかしこれ、サブラクと出夢からすればおかしな話、願ってもない死亡フラグだなw
最強の絶対者×2って
しかもサブラク相手に使ってくれなさそうだけどエヌマ・エリシュに超弱いしw


114 : 名無しさん :2013/08/08(木) 20:11:09 AshVF2C20
>>111


         ,, _
       /     ` 、
      /  (_ノL_)  ヽ
      /   ´・  ・`  l    インキュベーターは死んだんだ
     (l     し    l)    いくら呼んでも帰っては来ないんだ
.     l    __   l    もうあの時間は終わって、君も絶望と向き合う時なんだ
      > 、 _      ィ
     /      ̄   ヽ
     / |         iヽ
    |\|         |/|
    | ||/\/\/\/| |


115 : 名無しさん :2013/08/08(木) 20:40:07 Ey7HJc9k0
ゼロのギアスって鯖にも効くのかな?


116 : 名無しさん :2013/08/08(木) 21:04:24 cdfNLlZU0
投下乙です
マッチョな方のゼロと英雄王、黒幕には申し分ない大物だ
CCC出典ってことはあの公式チートな宝具も再現されるのかな


117 : 名無しさん :2013/08/08(木) 23:03:45 z8pQ4bn.0
>>115
ナナナは未把握だけどWIKIの登録記事の扱い的にマスターというよりもサーヴァントよりみたいだしね
ステータスもあったし
効いてもおかしくないかと


118 : 名無しさん :2013/08/08(木) 23:05:33 z8pQ4bn.0
ムーンセルのハッキングとかもしているしBB枠みたいなもんだと思っていいんじゃないかな


119 : 名無しさん :2013/08/09(金) 23:10:20 2oZE86qQO
魔王ゼロのギアスって何だっけ、なんか一般のKMFの動力止めたりしてたあれ?


120 : 名無しさん :2013/08/09(金) 23:21:38 2oZE86qQO
つかWikiに書いてたな、連レス失礼


121 : 名無しさん :2013/08/10(土) 21:17:36 CNyFRMEE0
タイガー道場やアレックスの項目が更新されないな(チラッ)


122 : ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:45:54 RhUbYQ3o0
遅ればせながら投下乙です! 魔王ゼロに加えてギルガメッシュとは実に強力なコンビです。
でもこの二人って「普段は最強だけど追い詰められると結構もろい」チーム?(笑)
それでは今より投下します。


123 : Power Age  ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:46:51 RhUbYQ3o0
夏の土用の丑の日にはうなぎ、とは平賀源内のセールスによるものと伝えられているが、実際の夏場のウナギは一年で一番不味い時期に当たるという。
だが、脂ののった身と栄養素は夏場のスタミナ食としては十分である。ムーンセルが舞台として用意した「SE.RA.PH」に季節感は無いが。
そのうな重をバックスは3杯も食べていた。

どうやらこの聖杯戦争では、魔術回路が無い一般人には体力を魔力に変換するエミュレータが、アバターに備わっているらしい。
本来摂食を必要としない仮初の肉体ではあるが、食事によって体力、ひいては魔力を回復できるようだ。
バックスは栄養ドリンクの摂取、及び昼食でその事を突き止めた。

空になった重箱を片付けさせ、さらに栄養ドリンクのキャップを開けようとした時、アサシンが音もなく表れた。
なぜか巨大な大剣、もしくは槍を肩に担いで。

「まだ疲労はとれていないようだが、気力は萎えていないな。これならわたしの報告にも耐えられるだろう」
悠々とした態度と口調のヴァレンタインにバックスはじろり、と睨んだ。疲労困憊なのはとりもなおさず、このサーヴァントのせいではないか。
報告や事件の処理だけでもてんてこ舞いだというのにその上大量の魔力を持って行っているのだから。

型に背負った武器の石突を床について立てた後、ヴァレンタインは報告を始めた。
「ゼフィール達が殺られた。バーサーカーもどきのランサー達と相打ちになった」
「そうか……」
早いな、とバッカスは呟いた。
静かで、淡々とした口調だったが、ヴァレンタインはその奥にある焦りを見てとった。
あまりにも急激な展開に、感情の置き所が掴めないのだろうとヴァレンタインは推測した。

バックスの脳内では現状生存しているマスターとその戦力の考察、今後とるべき戦略の構築のためにめまぐるしく回転している。
ヴァレンタインの報告から確認できるだけで死亡者は19人。バックスの想像よりハイペースだ。
この聖杯戦争ではマスターかサーヴァントのどちらかが死亡すれば、片割れも自動的に消滅する。例外が一人いたようだが。
現在把握している死亡者数に間桐邸、衛宮邸、柳洞寺周辺の報告を考慮に入れると、生き残ったマスターは半数以下、下手をすれば一桁の可能性すらある。
事ここに至ればある程度のチームが結成され、単独で行動しているマスターはまずいないとみて良い。
それでも尚誰とも組まないマスターがいるとすれば、かなり強力なサーヴァントを有しているか、他者との共闘に妥協する余地がないマスターくらいだろう。
この考察を正しいと仮定した上で自陣を顧みると、最早中盤を過ぎたといえる現状で、主従共に強力だったゼフィール達が殺られたのはかなり厳しい。
ヴァレンタインの宝具は決まれば確実に相手を葬れるが、その状況に持っていくのが難しいのだ。
では、改めて誰かと同盟を結ぶか? その為に我々が必要なものは何か?
「予定通りにいかないのは当然だが、こうも期待を裏切られるとはな」
バックスは眉間にしわを寄せた。
市長の地位を生かした他のマスターに対する優位と強力な同盟者で敵の弱点を突き、楽に敵の数を減らしていけるはずだった。
ところが同盟者は早々と退場。気付けば現状は目立つ地位で身動きが取れず、燃費が悪いサーヴァントは単体では暗殺さえ困難だ。


124 : Power Age  ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:47:54 RhUbYQ3o0

「陰で糸を引いていたのはアーチャーだ。どうやら奴は他人を支配、というより邪教の教祖にあこがれるような気持ちへと精神を操作する宝具を持っているらしい。
 ランサーのマスターの行動は、まるで食われるのを喜ぶ、己の肉の味に賞賛を求める生贄の羊のようだった」
栄養ドリンクを飲み干しながら思考を進めるバックスに、ヴァレンタインが口をはさんだ。
「ならば、彼と共闘の可能性は全くあり得ない、というわけか」
実に不気味な表現だ、とバックスは思った。それだけランサーのマスターの行動は異常だったようだ。
そしてそのような行動をとらせるアーチャーの、底知れない悪意と非情さ、ある種の強いカリスマ性も脅威なのだろう。

バックスは同盟の相手としてアーチャーもあり得ると考えてはいた。戦争ならば次の戦いのために、敵と一時的な和睦を結ぶということはよくある。
極端な話、この聖杯戦争の場合、チームの誰かを最終的な勝者とし、チームメンバー全員の願いを叶えさせるという方法もあるのだ。
あの神父は勝者が全てを叶える事が出来るとは言ったが、それが一つの願いだけとは一言も言っていないのだから。

だが、この選択を取るチームはまずいないだろう。理由はこの方法が確実である保証はないから。そして何より他者への絶対的な信頼を条件とするからだ。
この聖杯戦争に参戦したマスター達はあらかじめ戦いの意思を問われている。他人を蹴落としても自らの願望を叶えるための強い意思を。
そんな連中が敗北に際して願いを他人に託すか? いや是が非でも叶えたい執念はあるだろうが勝者はそれを受け入れるだろうか? 叶えられるのは一つの願いのみという可能性の方が高いのに?
ましてやアーチャーの様に精神を操作される可能性さえある。これではとても現実味のある方法ではない。
バックスは脳内でアーチャーと同盟する策を放棄し、逆に倒すための策を考え始めた。

「市長。異なる考え、価値観を持つ人間が結束するためには、何が必要だと思う?」
バックスの思考と感情がある程度落ち着いたとみたヴァレンタインは、一つの質問をした。
バックスは腕を組んで考え込み、数秒後、得心がいったとばかりに微笑んだ。
「……なるほど、『共通の敵』か」
ヴァレンタインは頷いた。
「古い東洋の国では外敵に対し盟を結ぶ時、生贄の牛から主催者が耳を切り、流れた血を器に盛り出席者たちに回し飲みさせる儀式を行うという」
言いながらヴァレンタインはデスクの上に手を置いた。椅子に座っているバックスと正面から相対している。
「中国の『覇者』のエピソードだな」
「先の主催者は領土のラインを決め、和平を結び、他者を凌ぐ力を手に入れた。なぜか? その者ならば必ず敵から国を守ってくれると信じられていたからだ。
 平和とは『平等なる者同士の固い握手』ではなく『絶対的優位に立つ者が治める』ことで成り立つのが、この人の世の現実!」
ヴァレンタインはみしり、と音が鳴るほどにデスクを掌で押し付けた。
聖杯戦争とはかけ離れた話になっていったが、バックスにそれを指摘することはできなかった。ヴァレンタインの態度に圧倒されていたのだ。
「これが『社会』だ。常に社会は決めた者によって動かされている。均衡した状態で全員が動くのは『最初にナプキンを取れる者』が決めているからだ。
 そしてナプキンを取れるものは万人から尊敬されていなくてばならない。例えばイエス様がキャメロット城の円卓に座ったなら、アーサー王でさえ先に動くわけにはいかないだろう。
 人種、知性、文化、国家。あらゆる障害を越え『敬意を払われる』。それこそが『真の力』だ。他人を宝具で洗脳するなど暴君の所業だ」
ヴァレンタインの鋭い眼光がバックスの顔に突き刺さる。語る声色は力強く、熱を内包していたが自己陶酔の響きは無く、口調は平静で確信に満ちている。
まるで修道僧の説法と科学者の論文発表を同時に、違う言葉の同じ内容を聞かされるようだ。バックスは内心の奇妙な感覚をそう表現した。

バックスは未だにヴァレンタインの言う『ナプキン』の意味は掴めなかったが、単なる『権力』や『地位』でないことは理解していた。
それは恐らくバックスが目指す『神』の座とは似て異なる、この世の仕組みを決定する象徴をそう表現しているのだろうと。


125 : Power Age  ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:49:04 RhUbYQ3o0
「柳洞寺、遠坂邸に潜伏するマスターやその他出会ったマスターにアーチャーの情報を流そう。奴らは他のマスターを洗脳し、捨て駒として利用する非道な連中だとな。
 ああ、もちろん宝具、スタンド能力もだ」
ヴァレンタインが実際の具体的な策を示し、バックスもまた思考を聖杯戦争の戦略に戻す。
「しかし、この情報で他のマスターは動くだろうか?」
バックスが問題点を提示する。
情報を聞かされたマスター、サーヴァントが思うところは一つだろう。奴は互いに争わせて漁夫の利を得るつもりだ、と。
利用すると言われてわざわざ動くお人よしがこの聖杯戦争でマスターとして参加しているものか?

動く、と断言したのはヴァレンタイン。
「一対一であのサーヴァントに勝てる者は数少ない。特に真っ向勝負だと同じ時間停止能力を持つサーヴァントしか太刀打ちできないだろう。
 勝てるチャンスは多対一で襲い掛かれる今の内だけだ。複数でアーチャーを誘い、アーチャーかそのマスターを暗殺する。死人が出る事を前提とした戦術だが、それでもこのままでは勝機は皆無になる。
 その利害を説き、さらに私が思うところを正直に語ろう。この先誰が聖杯を手中にするとしても、他人を洗脳するような『敬意』する気持ちを踏みにじる男、己の欲得だけを考えるクズに渡すわけにはいかない、と」
「成程」と、バックスが頷いたのはヴァレンタインが語った前半部分の論理に対してである。
残ったマスター達は既に自分が最終的な勝利を掴むため思案しているはずだ。では、その具体的な思惑とは何か。
「今、どのマスター、サーヴァントを殺せば、最終決戦で有利に戦えるか」
ヴァレンタインが語ったように他者の洗脳と時間停止などという反則的な能力を持つアーチャーは、一対一の対決ではほぼ無敵に近い。
この聖杯戦争はどんな経過をたどっても、最後の一人が聖杯を手中にするルールだから、最終的には必ず一対一になる。
ならば同盟を組んだマスター達は数的に優位な今の内に強力なサーヴァントを倒しておきたいところだろう。ましてアーチャーは現在マスターと2人のみと推測されるのだから。

「なるほど、それに多くのマスターが動けば、それを暗殺の好機とみて背後から襲うマスターも期待できるな」
「それは我々がやるということか?」
「いや、以前その謀略を使った知人がいてね。既に死んでしまったが」
バックスは思い出す。未来日記のサバイバルゲームで、1st『天野雪輝』、2nd『我妻由乃』が8th『上下かまど』と手を組みバックスを襲おうとして、その実8thを裏切った時のことを。
まだ1週間もたっていないというのに、随分と昔の回想の様に語ったものだ。バックスは自分の言葉にユーモアを感じたのか少し可笑しくなった。
「そんなマスターがいれば、あわよくば狙われたマスターを保護できれば、我々の信頼は高まるというわけだ。
 おまけにアーチャーを首尾よく始末できたなら、次はそいつを標的とした同じ作戦が出来ると」
バックスの笑みにつられて、ヴァレンタインの唇の端も吊り上がる。
「そういうわけだな」


126 : Power Age  ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:52:13 RhUbYQ3o0

「次の作戦は私の安全確保だ。今から私は極度の疲労で倒れ、入院することにする。
 ただし、入院するのは彼だ」
バックスが指を鳴らすと、一人の男、否、NPCが会釈して、入ってきた。ヴァレンタインは知らないが、彼はバックスが本来いる世界で秘書を務めていた男だ。
秘書のNPCにバックスはバックアップのスパコン「HORON」のサポートで本来居るはずだったNPC「氷室道雪」のパーソナルデータを上書きした。容姿までは改竄できなかったが。
この「氷室道雪」を他のNPCが冬木市市長として認識するよう改竄。さらにバックスの命令に従うよう思考ルーチンを組み上げ、市の業務、危機管理はこの『氷室道雪』に任せるよう部下に指示した。
さらにこれから先警察、消防署より通報された情報はバックスと同時にこの「氷室道雪」にも報告させるように命令した。
「彼が救急車で搬送されると同時に裏口から抜け出し、部下のNPCの運転で隠れ家まで移動する。
 場所は新都の南の外れにある通称『幽霊洋館』。ゼフィール達に地図を用意された時、セーフハウスの候補地として目を付けていた」
この場所は市販されている冬木市の地図には記載されていない。バックスは地図を取り寄せその事実に気づいた。事前のハッキングによる正確な地理知識の賜物だ。
「お前が病院についた時点でアサシンの彼を一人付けておく。そのままベッドの上で休んでいろ。マスコミ、部下の対応は任せる」
かしこまりました、と秘書は返答し会釈した。
ところで、とバックスはかねてよりの疑問を聞くことにした。
「お前に改めて尋ねる。お前は聖杯戦争で私の命令にどの程度従える? 例えばマスターと戦うとかは」
「それはできません。NPCは普段通りの生活を営み、戦闘が起これば逃げ、あるいは見物し、後始末も行うが直接聖杯戦争に関わるのを禁じられています。
 セラフより聖杯戦争の管理を任されている上級AIなら、ある程度マスターに関わるのを許されていますが」
「では、警察、消防署からの情報を、お前を通じてアサシンに伝えるのも無理か?」
「それなら可能です。寄せられた情報は必ずしも聖杯戦争のそれとは限りませんから。例えそうだとして警察が通報を取り下げても、その情報は伝達できますし、判断はマスターに委ねられます」
「アーチャーを犯罪者として指名手配できるか?」
「可能です。ただし手配や報道は出来ますが、実際の逮捕やそれに類似する行動は出来ません」
「そういえば、部下のNPCがゼフィール達に自動車と衣服を届けに行ったが、あれは聖杯戦争に関わる行動に含まれないのか?」
「いえ、あれは我々が我々NPCに届けるのと同じ行為と判断しました」
バックスは少し考え込み、今までの質問から得られた結論を口に出した。
「つまり、こういうことか? NPCが聖杯戦争に関われないのは『闘争』と『聖杯戦争それ自体の情報』に限られると」
「はい。『直接』とは『戦闘行為』と『自らマスターの生死を左右する行為』、『マスターから聖杯戦争それ自体を探られる行為』と定義され、我々は各自の解釈、判断で行動しています」
あの時、冬木教会の監視を拒否したのは他のどこでもない、監督役がいる冬木教会だったからか、とバックスは納得した。
「じゃあ、こうして聖杯戦争においてお前たちがどこまでやれるのかを聞くのは、『聖杯戦争それ自体を探られる行為』じゃあないのか?」
と、口を挟んだのはヴァレンタイン。
「違います」
「それはどういうことだ? 具体的に言え」
「拒否します」
「『聖杯戦争それ自体を探られる行為』とは例えば『黒幕はいるのか』とか『なぜ役に立たない監督役を置く必要がある』とか質問することか?」
「お答えできません」
以降、何度ヴァレンタインが聖杯戦争に尋ねても、秘書は回答を拒否しつづけた。


127 : Power Age  ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:52:37 RhUbYQ3o0
「これではっきりしたな、市長。黒幕の実在が」
「そいつはまだ聖杯を完全に掌握できていない事もな」
バックスとヴァレンタインは、互いの顔を見合わせ、頷いた。
バックスが思考ルーチンを改竄したとしても、情報を隠すにしては喋りすぎるし、開示するにしては根本に迫ると曖昧になる。あまりにも中途半端だ。
「そして、黒幕は何を望むかは分からないが、マスターに対し『闘争』を望んでいる」
「半端な支配と、戦わせるためのコントロールが、NPCが曖昧な行動をする原因か」
顧みれば、あの神父は最初に『戦う意思の有無』を問うていた。願いの強さも有無も関係ない。まず『戦い』。これこそが黒幕が最初に臨むものだったのか。
それがたった半日と少しでマスターがほぼ半減する事態を招いたのか。そして現状のチート行為が見過ごされているのも、戦いを邪魔しないどころか促進しているからか。

「待て。じゃあ、病院に行っても治療してもらえないという事か?」
バックスは秘書に顔を向け尋ねた。『自らマスターの生死を左右する行為』が禁止ならそうなる。
「はい、ただし一部の上級AIなら可能です」
「そうか、道理で私が倒れても誰も医者か救急車を呼ばなかったわけだ」
バックスはそう言い、ため息をついた。

「現在生き残っているマスターは私を含め、多くて15人だとする。単独で行動しているアーチャー達と私達を除けば、我々が把握できていないチームは2から4組というところか」
遠坂邸を拠点としたマスターが2人、柳洞寺のマスターは目撃情報から最低3人、アーチャーのマスターが単独として、バックスを入れると計7人。
減ったマスターの人数は死亡者だけと仮定すると、最大8人のマスターがどこかに潜んでいる。
その内単独行動をとるマスターは最早いないと仮定したうえで、チームに出来る組み合わせは4,4。2,3,3。2,2,2,2の3通りだ。
「今まで警察に寄せられた通報で、空白地帯なのは冬木港と深山町中部。この近辺に未だ我々が発見できていないマスター達がいるとみていい」
「町から離れたアインツベルン城は?」
と、指摘したのはヴァレンタイン。確かにここに引きこもり、他者が潰しあうのを待つマスターがいる可能性はゼロではない。
「ここはもう私達だけでは探れまい。一番近い柳洞寺のマスター達に指摘し、任せた方が良い」
「それでは……」「待て、待て待て!」
手にしたエッケザックスを自分の体に押し当てようとしたヴァレンタインに、バックスは慌てて止めようとした。
「いくらなんでもこれ以上の召喚は、私の身がもたんぞ!」
「心配するな。現在君の魔力供給は普段より多いし大丈夫だろ。 たぶん」
「いま小さく『多分』ってつけくわえなかったか!? 『たぶん』!?」
「大丈夫だ。連れてくる私の魔力を戦闘できないほど極力減らせば問題ない。 きっと」
「きっとッ!?」
焦りのあまり、バックスは馬鹿みたいに言葉をくりかえす。
「どジャアァァ〜〜〜ん」
バックスの努力もむなしく、エッケザックスがヴァレンタインに向かって倒れこみ、ヴァレンタインの姿が床に消えていった。

数秒後、いきなりデスクの引き出しが飛び出し中からまるで抱き合うように、否、身体が融合し重なり合った三人のヴァレンタインが現れた。

「確かにさっきよりはましだが、それでもきついぞ……」
バックスは膝に手をかけ、力を込めて立ち上がりながら悪態をついた。


主のいない部屋で、ヴァレンタインのスタンド『D4C』が両手に持ったエッケザックスを一振りし、デスクを両断した。
「先に行ってくれ。わたしはこの剣を手になじませたい」
そう言ってヴァレンタインは残ったのだ。


128 : Power Age  ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:53:23 RhUbYQ3o0

部屋を出るべく市長室のドアに身体を向けたヴァレンタインはつかつかと歩み、ドアに一歩前のところでデスクに振り返った。
最早使われる事はないであろう市長室で、ヴァレンタインは自身のマスターについて思いを巡らす。

思えばジョン・バックスという人間は、常にあらかじめ敗北の可能性を限りなく低くした上で、勝つための計略を練っている。
未来日記のサバイバルゲームでは「The watcher」という他の未来日記を閲覧できる能力を自身のものとして、中盤以降まで動こうとせず、さらに市長の地位を使って他のプレイヤーを追い詰めた。
この聖杯戦争ではハッキングで冬木市市長の座を手に入れ、NPCをコントロールし、有利な状況を作り出してから参戦している。
そして今、アーチャーとの共同戦線を張る前に、セーフハウスに身を隠そうとしている。
それらは戦略として正しい、とヴァレンタインも認めるが。

「バックス。君は策を練る時、いつも身の安全から図るな。だが戦争の指揮官とは、たとえポーズでも命を懸けてみせないと、誰もついてこないものだぞ」

生前のヴァレンタインが戦った男達、ジャイロ・ツェペリにもジョニィ・ジョースターにも、勝利のためなら僅かな希望でも命を張る覚悟があった。
浅はかな自己犠牲の精神ではない。先にある希望をただ夢見て手を伸ばすのではなく、ゆるぎない自信と理論的な意味ある裏付けを携えて。
それはディエゴ・ブランド―にも。思い返せばあのアーチャーはディエゴ、否、『Dio』とどこか似た面影があった。

ヴァレンタインは後ろ手でドアノブを持ち、壁に寄りかかりドアを引きつけ、壁とドアに身体を挟み込ませた。
壁とドアがぶつかる鈍い音がなり、反動でドアが壁から離れた時、ヴァレンタインは既に消えていた。

誰もいなくなった部屋は、揺れるドアで丁番の擦れる音がわずかに鳴り響いていたが、やがてそれも絶えた。


129 : Power Age  ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:54:56 RhUbYQ3o0
【新都・冬木センタービル内、冬木市庁舎市長室(最上階)/午後】
【ジョン・バックス@未来日記】
 [状態]:疲労(大)・冬木市市長・残令呪使用回数3回
 [装備]:「The watcher」
 [道具]:なし
 基本行動方針:最後の一人になり、ムーンセルを必ず手に入れる。
 1.病院まで移動後、「双子館(東)」に移る。
 2.アサシンから送信された映像を「The watcher」で確認。サーヴァントのステータスを読み取る。
 ※ムーンセルへのハッキング工作により、冬木市市長の役職を得ています。
 また、聖杯戦争に関するある程度詳細な情報を得ています。
 ※冬木市市長の名義をNPCの「氷室道雪」に移動しました。
 ※警察署、消防署に部下のNPCを配置。情報を入手できます。
 ※聖杯戦争の推測:このムーンセルは並行世界の情報処理システムとリンクしたグリッド・コンピューティングでは?
 そのシステムを構築するためにデウスと接触を図ったのでは?
 並行世界を移動できる何者かが黒幕にいる?

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](4人目)・魔力消費(中)・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話・エッケザックス@ファイヤーエムブレム 覇者の剣
 [思考・状況]
 基本行動方針:ムーンセルは誰にも渡さない。わたしが手に入れる。
 1.桐柳寺に行き様子を探る。
 2.マスターと接触、『Dio』の情報を流し、共闘を持ちかける。
 3.未だ消息不明のマスターを深山町中部を中心に探索。マスターを発見したら接触を図り、『Dio』の情報を流して共闘を持ちかける。

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](5人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話
 [思考・状況]
 基本行動方針:ムーンセルは誰にも渡さない。わたしが手に入れる。
 1.遠坂邸に居ると思われるマスター達に接触し、『Dio』の情報を流して共闘を持ちかける。
 2.その後、未だ消息不明のマスターを、新都港を中心に探索。マスターを発見したら接触を図り、『Dio』の情報を流し、共闘を持ちかける。
 3.同時に『Dio』の動向をチェックする。

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話
 [思考・状況]
 基本行動方針:ムーンセルは誰にも渡さない。わたしが手に入れる。
 1.病院までNPC「氷室道雪」に付き添う。
 2.その後、NPC「氷室道雪」のサーヴァントとして振る舞う。
 3.同時に『Dio』の動向をチェックする。


130 : ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:55:38 RhUbYQ3o0
以上です。誤字脱字や矛盾点があれば報告をお願いします。


131 : ◆Mti19lYchg :2013/08/11(日) 11:58:40 RhUbYQ3o0
といった先から誤字発見。アーチャーとの共同戦線じゃDIOと一緒に戦うって意味だろww
対アーチャーの共同戦線に収録時修正します。


132 : 名無しさん :2013/08/11(日) 13:01:22 bXLjhtAc0
細かいことですが、バックスがバッカスになっているところが一つ。
あと、残存チームの組み合わせとしては5、3や6、2等も有り得るのではないでしょうか
乙でしたー!市長組、寺組、DIO組の三つ巴か……教会組の動向に掛かってるな


133 : 名無しさん :2013/08/11(日) 14:45:01 gxfmTRMw0
投下乙!
単独で黒幕への推測も重ねられてるし、策略を張り巡らせて対DIO共同戦線への布石を作ってるし
権力を利用してマスターの身の安全の確保もしっかり行ってるからこのチームはやっぱり相当厄介かつ優秀なんだよなぁ…
ただジャイロの如し「多分」「きっと」の下りとか何か妙にシュールなのがww
3人に分身して動き回る大統領の成果は果たして…!?


134 : 名無しさん :2013/08/11(日) 14:57:13 K1npx1/g0
大統領が学園にいたのが午前だから市長が分かる脱落者は朝までの全員と番長達の計21人じゃない


135 : 名無しさん :2013/08/11(日) 18:46:52 o/vTBaawO
投下乙です。

アーチャー組は、グループ作らないだろうなあ。
まどかからしたら「最後に裏切るけど、手伝ってください」って言うようなもんだし。


136 : 名無しさん :2013/08/11(日) 22:24:55 isODHQHwO
当方に救済の覚悟ありとはいえまどかの性格でバレないように嘘吐くなんて土台無理だしなぁ、今更マスターが少女だからと油断する奴もいないだろうし不意討ちも厳しい


137 : 名無しさん :2013/08/11(日) 23:13:00 CL9nUongO
それでも名無なら、名無ならきっと全力で油断してくれる・・・!


138 : 名無しさん :2013/08/12(月) 01:46:58 2DbOfK060
名無なら油断しそうだが、如何せん回りがなぁ…
展開によってはまどか陣営詰みか?


139 : 名無しさん :2013/08/12(月) 01:48:34 65SwZDUI0
まどかの顔さえ割れれば詰みかな。
まどかの方から話しかけてもバレないんじゃないのか。


140 : 名無しさん :2013/08/12(月) 02:16:10 kYHuTwxI0
むしろ教会組にはDIO様の悪名の方が大きすぎるよなぁ…番長使い潰したし
これは本格的に市長組の計画通りになるのではないですかねぇ…(震え声)


141 : 名無しさん :2013/08/12(月) 06:46:34 xgf.z7zo0
実際まどか組は現時点で(自分達除いて)過半数の陣営から敵対視されてるからな…
展開によってはというか、普通にここに士郎組が加わる可能性も高い
これが本当の魔女狩りってやつか…


142 : ◆XL.nOGsA4g :2013/08/12(月) 12:29:39 n2xmKm02O
投下乙です!
半ばネタキャラ化していた市長ですが何だかんだで大統領に合わせられる貴重な人ですね
今回の策略を見ても伊達に原作でボスキャラ張ってたわけではないことがわかります
それと泉こなた&ライダー、衛宮切嗣&ライダー、衛宮士郎&セイバー、枢木スザク&バーサーカー、名無鉄之助&キャスター、匂宮出夢&アサシン、羽瀬川小鳩&キャスター、花村陽介&ランサー、ルルーシュ&セイバーで予約します


143 : 名無しさん :2013/08/12(月) 12:43:34 kYHuTwxI0
すごい大ボリュームの予約…w


144 : 名無しさん :2013/08/12(月) 16:14:55 Qxd7XT8.0
完結編になってから話がスムーズに進むな…
魔女狩りと大混戦?でどう転がるのやら


145 : 名無しさん :2013/08/12(月) 19:00:44 vzHcWkA.0
ケリィ狩り大同盟?期待!


146 : 名無しさん :2013/08/12(月) 22:05:53 uo2BIwXQ0
小鳩ちゃんもいいかげんどうするのか、どうなるのか気になりますw


147 : 名無しさん :2013/08/13(火) 23:27:06 S15gYHdoO
ケリィよ、これが親父狩りだ。ターンエンド


148 : 名無しさん :2013/08/13(火) 23:46:07 sQtI3n660
ケリィ「だが!しかし!まるで全然!この僕を狩るには程遠いんだよねぇ!」


149 : 名無しさん :2013/08/14(水) 09:41:52 Omj8fX6A0
>>148
???「その程度のパワーで俺を倒せると思っているのか?」


150 : 名無しさん :2013/08/14(水) 13:33:03 WfEvkSIg0
最後の市長と大統領面白すぎwwwwww


151 : 名無しさん :2013/08/15(木) 00:29:44 NGCHuQGY0
アニメ版の後日談だと市長はネタキャラだしギャグ展開もこなせるんだよな


152 : 名無しさん :2013/08/15(木) 13:07:30 WIIq/p4k0
大統領オールスターバトル参戦おめでとう
ttp://www.youtube.com/watch?v=OEm249qoc40&feature=player_detailpage&t=193


153 : 名無しさん :2013/08/15(木) 20:22:42 UThNqqh20
50前後なのに若々しい声、これがD4C


155 : 名無しさん :2013/08/17(土) 23:50:42 GnPFTy7E0
ようやく大統領にも声優が


156 : ◆XL.nOGsA4g :2013/08/18(日) 18:21:24 u34ZWQVsO
すみません、延長お願いします


157 : 名無しさん :2013/08/19(月) 23:09:19 GQH7CR2w0
正直、このロワで1番の犠牲者はラスボスのポジを奪われたピースマンだと思うの


158 : 名無しさん :2013/08/20(火) 06:11:23 QmavhLuY0
正直平和男さんってラスボス臭がしないよね


159 : 名無しさん :2013/08/21(水) 21:36:12 X7scyxvo0
バトルリーグ決勝が承太郎対DIOだと聴いて


160 : 名無しさん :2013/08/21(水) 21:39:05 FDsRBDmc0
なにそのロマン


161 : 名無しさん :2013/08/22(木) 16:38:15 hOHgtpQc0
そろそろ出損ねたセイヴァー候補の誰かさんの項目消していいかな。
このロワに全く関係ないよね。


162 : 名無しさん :2013/08/23(金) 01:47:59 F90PdHv60
彼は結局何だったのか


163 : 名無しさん :2013/08/23(金) 01:55:31 rYBcAatY0
いずれわかるさ、いずれな
たぶん月の裏側に封印されてたサーヴァントだろ(適当)
まあ中スレのラスボスにでもなるさ


164 : 名無しさん :2013/08/25(日) 18:05:56 0Nr/L6Sc0
アーチャー(脚)でアイザックさん…マスターのがいいかな。


165 : 名無しさん :2013/08/25(日) 18:08:08 dk8Q0rpM0
セイバーで究極生命体……人の遺伝子もあるからイケる(確信)


166 : ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:23:06 9pH0cwhA0
完成したので投下します


167 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:24:50 9pH0cwhA0
1 魔術師殺しは策謀を巡らせ蠢動する

「――――――っ!?」

新都をトラックで走り回っている最中、衛宮切嗣は突然訪れた痛覚に顔を顰めた。
マスターの些細な様子の変化を鋭敏に感じ取ったのであろう、傍らで霊体化しているライダーが怪訝そうな声音で声を掛けた。

「おい、どうしたマスター?何かあったのか?」
「…僕は大丈夫だ、それよりも一瞬で良い。ペガサスフォームを使ってくれ。
探る場所は深山町の大橋前だ、説明している時間が惜しい」

ライダーとしては今はディケイドライバーの修復に全力を注ぎたいのだが、切嗣は恐らくそれを踏まえた上で言っているのだろう。
ともかく指示に従ってペガサスフォームで索敵を行なったところ、今までは見られなかった異常を発見した。

「こいつは…何かが飛び回っているな。何かまでは分からないがどうも“見られている”、そんな気がするな。
俺の勘だが多分これは街を監視するためのものなんだろうさ、十中八九キャスターのサーヴァントの仕業だな」

ライダーが捉えたものの正体はキャスター・リインフォースが街中に飛ばしたサーチャーである。
ステルス性能が高められたサーチャーもペガサスフォームによって強化された超感覚ならば問題なく補足できるのだ。
ただしそれ以外の形態では注意していても察知するのは難しいとしか言えないのだが。
閑話休題。


ほんの数秒足らずの索敵を終えて変身を解除、再度霊体化したライダーの分析を聞いた切嗣の表情が露骨に曇った。

「実はさっき深山町からこちらに移動させていた使い魔が破壊された。
君に探ってもらったのも使い魔が落とされたあたりだ、やったのは…まあ言うまでもなくキャスターあたりのサーヴァントだろう」
「タイミングから考えれば偶然って事はないだろうな、何せあんたが使い魔を放ってからもう半日近く経っている。
もしキャスターが最初から深山町に網を張っていたならもっと前に使い魔が落とされているはずだ」
「ああ、まず要点を省いて結論だけを言うならば…君の言う殺し合いの打破を狙う連中にキャスターが新たに加わった可能性が出てきた。
事実だとすればはっきり言って想定する限り最悪の状況だ。理由は言わずとも理解しているだろう?」
「………」


168 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:25:36 9pH0cwhA0

現状の深刻さを理解しているのかライダーは沈黙を保っている。
だが黙っていても事は進展しない、切嗣は構わず話を続ける。

「今まで僕らが他の参加者を相手に優位に立ち回れていたのは事前に敵マスターとサーヴァントの情報を入手し、その上で常に奇襲を仕掛けていたからだ。
柳洞寺のライダーを始末した時点である程度はこちらの情報が漏れる事は覚悟していたが、それでも僕は問題ないと思っていた。何故だかわかるか?」
「さっきのセイバーとそのマスターを倒した後で他の奴らを各個撃破する気だったから、か?」
「それもある、しかし一番の理由じゃない。最大の理由は連中のサーヴァントは全て騎士系のクラスだったからだ。
多少こちらの情報を得たところで向こうが取れる手段は少ない。何しろ搦手を使おうにも使えないんだからね。
だがキャスターがここに加わるとなると話は変わる。君の言う通り今になって使い魔が破壊されたという事は即ちキャスターが動き出してからそう時間は経っていないということだ。
にも関わらず簡単に使い魔は補足された。オーズのマスターかルルーシュか、とにかく僕の流儀を多少なりとて知っている者の助言があった可能性が否めない」

一息に捲し立てるように話し終え、一旦言葉を切る。
切嗣らしくない饒舌さをライダーは当人も自覚しきれていない焦りの表れだろう、と心中で評した。
恐らくだが以前にも参加したという聖杯戦争でもここまで戦略レベルで多勢に追い詰められた経験が無かったのだろう、あっても困るが。

「それだけじゃないな、オーズとそのマスターは学園に向かい、オーズは俺のことを知っていた。
今頃俺の能力は全て奴らに暴かれているだろうな、もしキャスターと手を結んだのがオーズだとすると…」
「…今後はこちらの弱点を執拗に狙われることになるだろう、僕から見ても君に弱点が無いわけじゃない」


ライダーのプライドを傷つけるような発言だが当のライダーは動じない。
本人も自分を絶対無敵の存在などと自惚れてはいない。

まずライダーのサーヴァント・門矢士には本来騎士クラスに備わっているべき対魔力スキルが無い。
響鬼のように防御力に優れた形態はあるものの、それとて専用の防御スキルや宝具を持つ者と比較すれば大きく見劣りする。
またカードを装填することで多種多様な戦術を展開するという独自の戦い方も状況次第では弱点になり得る。

ライダーカードを使用することで能力を扱うということは、特殊能力を使用あるいは他の形態に変身する際は必ずカードをバックルに装填するという工程が必要になるということ。
また、カードは手にしたライドブッカーから取り出して装填する。つまり、腕と腰のバックルのどこか一箇所でも損傷を負えばそれだけで特殊能力の発動が困難になってしまうのである。
先のセイバー戦ではこの点を突かれて敗走を余儀なくされた。敵の情報を得ているのはこちらだけと思い上がった結果が宝具にして生命線たるディケイドライバーの破損である。
総じて攻撃力と機動力に優れる反面防御面では過信できるだけの性能が無いのが仮面ライダーディケイドなのだ。


169 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:26:26 9pH0cwhA0

「しかもこちらは索敵の手段を一つ潰されディケイドライバーが直るまではペガサスフォームによる索敵も満足にできない。
キャスターが実際に連中と手を結んだかどうかは未確定だが常に最悪の状況を想定しておいた方が良い。
こちらで戦力を整えるまでは深山町に戻るべきじゃないだろう、袋叩きにされるのがオチだ」
「それで?あんたはわざわざ現状を嘆くためだけにこんな話を振るようなタマじゃないだろう。
あんたがこんな話をするってことは必ず何かしら打開策を用意している、違うか?」

渋面を作りながら問いかけるライダーに切嗣は無言で首を縦に振って応じる。
確かに状況は加速度的に悪化の一途を辿っているが既に後戻りなど出来はしないのだ。

「魔術の基本原則のひとつは己に足りないものを他から補うことだ。
ちょうど今僕らが動けない分を補ってくれる人間がいる、今までに比べれば確実性に欠ける策なのは否めないがね」

そう言うや切嗣は裏路地に車を走らせ路肩に停車させると懐から携帯電話を取り出した。
迷いのない手つきで先ほどこちらに掛けてきた番号を入力していく、相手は無論枢木スザクだ。
二回目のコール音が鳴ったあたりで相手が出たようだ。

『枢木です、衛宮さんですか?』
「ああ、こちらも一段落したところでね。今話せるかい?」
『はい、むしろ待ちかねていたところです』

電話越しのスザクの声音には意欲、あるいは闘志めいたものが含まれている。
恐らくスザクの置かれている状況は逼迫したものではなくある程度打って出るだけの戦力的余裕があるということだろう。

(やはり枢木には協力者がいる可能性が高いな。そうでなければこれほどの強気は有り得ない。
ライダーから奪った武装を破壊する程の実力者と交戦してたった半日で巻き返す…相当の実力者を引き入れたのか?
だからこそ弱者を気にかける余裕も生まれる、そう考えると奴の動かせる戦力は少なくともサーヴァント3騎以上ということになりかねない)

実際切嗣の推測はかなり的を射たものであった。スザクの何気ない一言や言葉の端々に込められたニュアンスから少なくない判断材料を得ているのである。
しかしそれらは判断材料であっても確定事項ではない、故にここで推測と事実の誤差を少しでも埋めておく必要がある。

「まず最初に聞いておきたい事がある。僕は先ほどまで君は脱落したものだと思っていた。
君のバーサーカーが僕のサーヴァントから強奪した宝具が消滅した事をこちらで感知した時点でそれほどの強敵に襲撃されたものと判断して君の生存を諦めていたからだ。
にも関わらず君はこうして立ち直った。鳴上悠と協力でもしたのか?」
『彼に関しては…そうですね、僕のミスです。あの後お互いに別行動を取っていたのですがいつの間にか行方をくらませていました。
正直に白状すると彼に令呪を一画使わせてランサーがバーサーカーに攻撃できないようにさせてはいたのですが……』
「行動自体は制限しなかったせいで逃げられた、と。言いたくはないが詰めが甘いな」

切嗣の指摘にスザクはしばらく沈黙した。その正直な反応に若さ、あるいは未熟さを感じた。
最初に戦闘に介入してきた時は強かという印象を抱いたものだがその考えはどうやら間違っていたらしい。
だがそれはそれで構わない。指揮官たるマスターが未熟な方がこちらで操縦しやすいというものだ。


170 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:27:30 9pH0cwhA0

『ともかく、僕がこうして復帰できたのは別の協力者のおかげです。無論、詳しい素性やサーヴァントについては教えられませんが。
少なくとも僕に協力者がいるという事実はこうして貴方に連絡を取れた事である程度証明されたと思っています。これが僕から貴方に提供できる一つ目の情報です』

要するに「自分には協力者がいるから妙な事は考えるな」という牽制なのだろう。
まあ言われるまでもなく状況的にスザクが協力者を得ている可能性は高いと考えてはいたし、今は敵対する気もないので特に気にはしない。

『僕の方からもいくつか聞きたいことがあります。まず柳洞寺の攻略についてはどうされるつもりですか?
鳴上悠は抜けましたが僕と貴方、そして僕の協力者なら攻め落とす事は不可能ではないでしょう。
特に宝具を無効化するライダーはできるだけ早期に排除するべきだと―――』
「枢木、悪いがそのライダーならこちらで既に排除したよ」
『………え?』

電話越しから聞こえる間抜けな声から察するにスザクの持つ情報はかなり古い段階で止まっているのだろう。
同時にスザクが戦線に復帰して間もなく、まだ十分な情報を仕入れていないことが窺える。
この男は情報というものが生ものであり、少しの時間で古くなるということを理解しているのだろうか。

(しかしこれはこれで利用価値がある)

スザク側の情報が乏しく古いということはこちらで提供する情報での誘導がしやすいということだ。
現状では数少ない味方であると同時に目の上のたんこぶでもある陣営がわざわざ自分達の弱点を晒してくれたのは望外の喜びである。

『…そ、そうですか。衛宮さんも誰か協力者を得たのですか?』
「いや、あいにくこちらは一人だ。現在の情勢にも関わる事だからその時の状況を君にも話しておこう」

内心でほくそ笑みながら切嗣は柳洞寺のライダーを排除した経緯とそこから今までの状況を説明した。
尚この時オーズの事も教えたが、その途端霊体化しているライダーから刺すような視線を浴びせられたが無視した。

確かにスザクのバーサーカーの能力を鑑みれば自身のライダー同様オーズもバーサーカーに対して相性が悪い可能性は高い。
もしオーズがバーサーカーに倒されるようなことがあれば折角ある程度修復されたライダーとの関係も再び悪化するのは火を見るより明らか、さらにオーズの力を取り込み戦力を強化するという目論見も水の泡になるだろう。
だが切嗣が考えるにオーズの情報は隠し立てできるものではない。
独特すぎる外見から一度見ればライダーとの関係性を看破されるのは確実であり、教えなかった場合こちらの信用を損ねる結果になりかねない。


171 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:28:29 9pH0cwhA0
『……そうでしたか。しかし、まさかルルーシュが出し抜かれるなんて…』
「…?君の知り合いか?」
『…ええ、まあ。彼は元の世界では革命家のリーダーとして戦っていました。
正直に言ってギアスを抜きにしても相当な智謀の持ち主なのですが…』
「成る程ね、革命家と聞いて得心がいったよ。ルルーシュはギアスと奇策頼みの無能マスターだったというわけだ」
『なっ……!?』
「奴はガウェイン卿の能力を活かさず他人のサーヴァントを連れ歩いた。
恐らくここぞというところで令呪を使うのと、柳洞寺を守る門番としての役目を期待したのだろうが僕に言わせれば上手くない策だ。
奇策とは正攻法が活きてこそ役に立つ。正面戦力を疎かにした奇策など手品同然だよ。
はっきり言って指揮官としては二流、よくても一流半だな。ギアスさえ警戒していればどうということのない相手だと思うがね」

これは嘘偽りの無い切嗣の正直な感想である。
所謂傭兵である切嗣が言えた事でもないが基本的に戦争の必勝法は正攻法である。
相手以上の戦力を揃えて戦う。極端な話戦争はこれを徹底するだけで大抵勝利できる。
奇策というものは多くの場合正攻法に付随して展開されるべきもの、それだけに頼れば少しの計算違いで脆くも崩れる事となる。
あのルルーシュの状況への対処能力の低さとギアス頼みな醜態を鑑みれば、第四次聖杯戦争で戦ったロード・エルメロイの方がまだしも歯応えがあったぐらいだ。

『……いえ、そうですね。聖杯戦争に適応できないのなら元の世界でどれだけ有能でも意味はない。
それで、僕にこんな事を話したという事は何かしらの見返りか働きを求めているのでしょう?
貴方が意味もなく僕に情報を与えるだけとは考えていません、違いますか?』

前半の部分はどこか自身に言い聞かせるようであった。あるいはスザクとルルーシュは浅からぬ関係なのかもしれない。
それはともかく予想通りスザクはこちらの伝えた情報の裏にある意図を見抜いてくれた。
これでようやく切嗣にとっての本題に入ることが出来る。

「ああ、とはいえ君にとっても有用な話だと思っているよ。
今柳洞寺にはセイバー陣営一組だけが陣取っている。君、いや君たちには奴らの討伐を頼みたい。
もう知っているかもしれないが柳洞寺はこの冬木で最大の霊地、サーヴァントの魔力を回復させるのに最も適している。
確か君のサーヴァントはバーサーカーだったと記憶しているが?」
『そして僕達が柳洞寺を占拠したところを貴方が裏を掻いて撃滅する、そういうシナリオですか?
今の貴方の物言いで確信しました。衛宮さん、貴方はこの聖杯戦争以外の、どこか別の聖杯戦争に参加したことがある。
そしてその時の会場は地上に実在した冬木市で、僕のサーヴァントとも面識がある』

やはり気付いていたか、と内心で一人ごちる。とはいえ別に隠し立てしようと思っていたわけでもないが。


172 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:29:39 9pH0cwhA0

「ああ、その通りだ。しかしそれを反則と言いたいのならお門違いだな。
僕自身今回の聖杯戦争の舞台が模倣されたものとはいえ冬木市だとは思いもよらなかった。
第一全ての参加者は最初に教会に集められている、事前に会場の詳細を知る術など誰にも無かったさ」
『…確かにそうですね、失礼しました。しかしこの依頼、やはり僕達に厄介払いをさせようとしているとしか思えません。
他にも何かしらの見返りが無ければ素直に頷くことは出来ませんね』

相変わらずスザクの態度は硬いが、それはある種当然のことだ。
同盟を組んでいるとはいっても最終的には敵対する間柄、こちらの狙いを警戒するのは至極当然だ。

―――だが、その言葉すらも魔術師殺しの予想の範疇を出ない。

「それならば柳洞寺攻略に有用な情報をいくつか提供できる。
まずあそこに陣取っているセイバーは以前の聖杯戦争で僕が使役していたサーヴァントだ」
『―――!』
「だからサーヴァントとしての能力は全て把握している。何なら真名を含めた全ての情報を開示しても良い。
何しろ今となっては敵でしかない存在だからね、その能力を君に明かしたところで僕の懐は一切痛まない。
それからセイバーのマスターの能力についてもこちらである程度は把握している、勿論信じる信じないは君次第だが」

恐らく予想外の返答だったのだろう、電話越しのスザクは暫し押し黙った。
ややあってこの依頼を受けることとセイバーの真名とスキル、宝具に加えマスターの能力の開示を求めてきた。
それに対して切嗣は偽ることなく明確な情報全てを話した、特にセイバーの対城宝具やマスターが有する投影魔術と狙撃及び白兵戦能力の高さ、何より土地から魔力を吸収する紅剣に関しては念入りに説明した。
切嗣にとってスザクは今のうちに出来るだけ消耗させたい難敵ではあるが、かといってあまりにもあっさり壊滅されてはルルーシュやオーズらに利するだけ。
スザクには出来る限り深山町の敵勢力を掻き回し、合流を阻止してもらいたいのだから。

『情報の裏付けはこちらで取ります、もし貴方が開示した情報に明確な偽りがあればその時は―――』
「無論、理解しているさ。それに今の段階で無意味に敵を増やす気もない。
少なくとも今話した敵サーヴァントの能力に偽りが無いことは保証するよ」
『それもこちらで確認します。ああ、それと一つ朗報がありますよ。
―――どうやら鳴上悠とランサーが脱落したようです』
「何……?いや、なるほどそういう事か。
君のバーサーカーの右足の負傷はランサーにつけられたものだった、というわけか。
しかし解せないな、なら何故あの時介入した?君からすれば少し待っていればバーサーカーの傷を消せただろうに」
『ランサーの戦闘能力を買ったまでのことです、まあその前に逃げられてしまいましたが。
ともかく返礼というわけではありませんが、これが僕から貴方に渡せるもう一つの情報です。
これで鳴上悠が万が一にも貴方を恨んで攻撃を仕掛けてくるという可能性は消えましたね』

確かにそれは現時点での懸念事項の一つではあった。
コンテンダーを失いライダーも弱体化している今の段階で鳴上悠に発見されれば流石に劣勢を免れない。
午前までならいざ知らず、多くの参加者に敵視された現状では娘の仇などと言っていられる状況でなかったのは事実だ。
そういう意味では確かに意味ある情報ではあるだろう。

「わかった、情報の提供に感謝しよう。競争相手にこう言うのも何だが武運を祈っているよ」
『ええ、今貴方に倒れられるのは僕としても少々困ります。それではまた』

そう言ってスザクは通話を切った。携帯電話をしまい、代わりに煙草を取り出して火をつける。


173 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:30:14 9pH0cwhA0
すると傍で霊体化していたライダーが突如実体化した。その表情はこの聖杯戦争で何度となく見てきた、魔術師殺し・衛宮切嗣に対する侮蔑のそれだ。
薄々感じてはいたが、どれほど孤高であってもこの男は根本的に善良さを捨てきれないのだろう。

「随分悪どい真似をするんだな、キャスターの事を伏せたのもそうだが…さっき俺が言った事を忘れたわけじゃないんだろ?」
「…同盟者に対して誠実さを通しただけさ、キャスターの存在もほぼ確実というだけで証拠は無いしセイバーの件にしても同じ事だ。
確証の無い推測で味方を惑わすわけにもいかないだろう?」

そう、切嗣はスザクに対して二つ話さなかったことがある。
一つは先ほど使い魔を破壊したと思しきキャスターの存在。
そしてもう一つは先ほどセイバーと交戦したライダーが漏らした所感である。

ライダーと交戦中、令呪の援護と膨大な魔力供給を得たセイバーは間違いなく戦力を増大させた。
それ自体はこれといって不思議なことではない。マスターとサーヴァントの合意によって発動された令呪はサーヴァントに比類なき力を齎すのだから。

だが同時にライダーの直感はそれだけではないのではないか、という警鐘を鳴らしていた。
ライダー自身確かな事は何も分からない、だが令呪による一時的なブーストだけでは説明しきれない何かがあの時のセイバーからは感じられたのだ。

だが結局その正体を確かめることは出来なかった。何故ならサーヴァントにはマスターに与えられるような透視能力は備わっていないのだから。
そしてマスターである切嗣も令呪の援護を受けた後のセイバーを目視していない以上、何かしらの変化があったかどうかは掴めていない。

どちらも場合によっては柳洞寺の攻略に影響が出かねない情報である、しかし切嗣はスザクにそれらを伝えることをしなかった。
確かにスザクに簡単に脱落されては困るが、だからといって柳洞寺攻略を躊躇されても切嗣の思い描く戦略に支障が出る。

即ち士郎やルルーシュらとスザクを喰い合わせ、タイミングを見計らって切嗣らで敵を処理していくという図式である。
スザクが穴熊を決め込み深山町の戦況が膠着するのは戦力の乏しい切嗣にとって望ましくない展開だ。
バーサーカーを従えるスザクにとって魔力の補充手段の確保は間違いなく死活問題であり、その点を刺激するよう切嗣も話を誘導したが念には念を入れておくべきだ。

この件についてこれ以上話すことは何もないとばかりに切嗣は再び軽トラックのアクセルを踏み、表通りに向けて車を走らせた。
ライダーもまたそれ以上何も口出しはしなかった。彼にとってもスザクらは自分の力の一端を奪った怨敵、同情の余地は微塵も無い。

目指すは警察署、敵情視察の前に武装の補充をするべく魔術師殺しは静かに動き出した。

【新都/夜】

【衛宮切嗣@Fate/zero】
 [令呪]:1画
 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
 [装備]:ワルサー、キャレコ 、携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)
 ※携帯電話には枢木スザクの番号が登録されています。
 ※深山町内に放っていた使い魔が撃墜されました
 ※トンプソン・コンテンダーが破壊されました。少なくとも自力での修復・復元は不可能です

【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド】
 [状態]:ダメージ(小)、魔力消費(中)、隠蔽能力再発動まであと約一時間半、ディケイドライバー損傷
 ※ライダーカード≪龍騎≫の力を喪失(コンプリートフォームに変身するだけなら影響なし)。
 ※ライダーカード≪電王・モモタロス≫破壊(コンプリート フォームに変身するだけなら影響なし)。
 ※ライダーカード≪キバ≫の力を喪失(コンプリートフォームに変身するだけなら影響なし)。
 ※ステータス隠蔽能力には以下の制約があります。
 ・コンプリートフォームを発動したか否かに関係なく真名を知ったマスターには一切効果を発揮しない
 ・最後にコンプリートフォームを発動してから六時間経過するまで隠蔽能力は消失する
 ※アタックライド・イリュージョン再使用不可
 ※ディケイドライバーが損傷しています。それに伴い魔力生成機能が一時的に停止しています。修復が完了すると同時に再び稼働します
















2 動き出す騎士

衛宮切嗣との通話を終え電話をしまうと、いつの間に起きていたのか出夢がすぐ近くにいた。


174 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:31:15 9pH0cwhA0
「ん?おにーさん、電話する程の仲の奴なんていたっけ?」
「ああ、しばらく前に色々あってね。一応は同盟関係にある人だよ」
「ふーん、ま、どのぐらいの仲かはおにーさんを助けに来なかった時点でお察しだわな」

ばっさりと同盟者を切るような発言に苦笑しつつスザクは話を切り出した。

「確かに油断できない人ではあるね。ただその人からかなり重要な事を聞かされたんだ。
そこで君やアサシンの意見を聞かせてほしい。俺一人では何かしら陥穽があっても気づけていないかもしれない」

そう言ってスザクは切嗣との電話の内容を出夢とすぐ近くにいるであろうアサシンに話した。
話を聞き終えた後、真っ先に口を開いたのは意外なことにアサシンだった。

「ふむ、最大の霊地にたった一組で篭るマスターとサーヴァントか。
とはいえその情報、簡単には鵜呑みに出来んな。マスター、俺は真偽を確かめるために偵察に行かせてもらうぞ。
殺戮と戦闘の時間制限は了承したが偵察や工作活動まで制限された覚えは無いのでな」
「んー…ま、しゃーねーか。旦那も旦那の事情があるんだし」

やや不承不承といった体で出夢もアサシンの提案に頷いた。
出夢と違ってアサシン、サブラクには勝利するという意思がある。その意思を無碍にしない程度の器量は出夢にもある。

「ありがとう、アサシン」

スザクの礼には応えず暗殺者の英霊は姿を消し、陽が沈み始めた深山町へと躍り出た。
これで衛宮切嗣が齎した情報の真贋がハッキリするだろう。

(しかし衛宮さんのあの言いよう…彼は聖杯戦争においてはルルーシュ以上の策士かもしれない。
俺だけでは彼にいいように使われて終わっていたかもしれない、出夢とアサシンには本当に感謝してもしきれないな)

スザクは自分がさほど頭脳労働に向いていないという自覚はある。
だからこそこれまで多くの失策を重ねてきてしまった。本来なら自分は間桐慎二に一矢も報いること叶わずに朽ち果てていたはずだ。
故にこそこれから先は今までと同じ鐵を踏まないよう細心の注意を払わなければなるまい。

(それに―――)

ベッドに寝かせられ、未だ目を覚ます気配の無い少女、羽瀬川小鳩を見やる。
彼女の処遇、目を覚ました後の意思確認も避けては通れない問題だ。
もし小鳩が錯乱し、こちらに牙を剥くならば―――スザクと出夢は彼女を殺さざるを得ない。

いや、殺さざるを得ないなどと考えている時点で自分の中には未だ甘さと迷いが残っているのは明白。
それこそ出夢なら、どれだけ同情する余地ある相手であろうと一切の迷いなく殺せるだろう。
スザクに欠けているのはギアスの呪いに依らない意思の強さだ、牙があっても誰も殺せないとあっては話にならない。
実際、自分とバーサーカーは勝利を目指しながら未だ誰一人として殺せていない。


175 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:32:10 9pH0cwhA0


「戻ったぞ、情報通りだな。柳洞寺の階段あたりで様子を窺ったが山奥から感じられるサーヴァントの反応は一体だけだ。
好機と言いたいところだが少々面倒なことにもなっている。まず近くにいるNPC共の動きが妙だ、通常のルーチンから外れたように柳洞寺の周囲を歩き回っている者が複数人いる。
加えて柳洞寺の近くを魔力で構成された物体が飛び回っている、俺の推測だがキャスターが生み出した監視手段の一つかもしれん。
あるいは柳洞寺にいる敵がキャスターとも手を組んだのかもしれん、攻め入るなら時間はかけられんぞ」

いきなり傍で話しかけられ仰天するとそこにはついさっき偵察に出たはずのアサシンがいた。
しかも頼んでもいなければ心の準備も出来ていないのに饒舌に成果を話している。

「は、早かったねアサシン」
「旦那仕事早いなー、汚ないさすがアサシン汚い」
「何しろ柳洞寺の様子を探るだけだったからな。行って帰るだけならば時間はかからん」

何でもないことのように語るアサシンに強い頼もしさを覚える。
バーサーカーはこうした偵察などが出来ないのが難点だった。間桐慎二に付け入る隙を与えてしまったのもこのあたりにある。
ともかく情報の裏付けは取れた。問題は攻めるかどうか、そしてどう攻めるかだ。

「およ、おにーさんもしかしてやる気?わかってると思うけど僕は行かねえよ?」
「ああ、勿論それはわかってる。しかしアサシン、君はどうなんだ?」

スザクが矛先を向けたのは出夢ではなくサーヴァント・アサシンだった。
出夢が自らに課した殺人の制限時間は当然のようにアサシンにも課されている。
が、それにアサシンが心底から従っているかといえばそうとも言い切れない。実際今までも軽口程度の不平不満なら何度か口にしている。
第一アサシンは出夢と違って勝利を求めている。そして出夢もアサシンの意思をある程度は尊重している。

切嗣の齎した情報が確かなら柳洞寺という土地とセイバーのマスターが持つ魔力を吸収する剣は是が非でも手に入れたいものだ。
だが同時にスザクと腕と右足を直したとはいえ未だ万全には遠いバーサーカーだけで柳洞寺にいるセイバー主従を討ち取るのはさすがに困難。
ここにスザクと小鳩の治療を優先したために未だ負傷したままのキャスターを加えてもまだまだ確実とはいえない。
さらには柳洞寺周辺にはルルーシュのギアスがかかっているかもしれないNPCやキャスターと思しきサーヴァントによる仕掛けもある。
スザクにとってどうあってもアサシンの助力は必須なのである。敵の罠を破壊し、間諜に長けた者の存在が。

「…マスター、俺個人としては枢木が柳洞寺を攻めるなら協力しても良いと思っている。
ああ、そう睨むな、令呪を翳すな。お前の課した殺人の制限時間を破る気はない。
つまり条件付きの協力だ。俺は不足の事態が発生しない限り殺人と直接戦闘、大規模な破壊工作には関与しない。
代わりに柳洞寺周辺のNPCを無力化し、キャスターの仕掛けを壊し退路を確保する。
そして協力すること自体にも条件を付けさせてもらう。枢木が一定以上の勝算のある策を立てることだ。
聞く限りセイバーとそのマスターは容易に倒せるとは思えんし勝ててもこちらの損害が大きいとあっては意味がない、早い話が勝算の無い戦いには協力出来ないという事だ」

相変わらずの饒舌さで乗り気とも言える提案を出すアサシンに出夢もやや考え込む様子を見せた。
魔力消費の多さという問題を抱えているのは何もスザクとバーサーカーだけではない。


176 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:33:30 9pH0cwhA0
サーヴァントとしては規格外のスケールと霊格の高さを併せ持つサブラクにとっても魔力を効率よく回復出来る拠点は喉から手が出るほど欲しいものだ。



そも魔術の世界において魔力とは生命力と同義であり、この聖杯戦争に参加した魔術師でない者の多くは自らの生命力で以ってサーヴァントに魔力供給を行なっている。
その点に則って言うならば匂宮出夢や枢木スザクは非常に強靭な生命力を持っており、それからサーヴァントに齎される供給は決して少ないわけではないのだ。

が、狂化が施されたランスロットと紅世の王たるサブラクに対する供給としてはそれでもあまりに不足だった。
バーサーカーとして現界していることや、あまりにも霊格が高いことからマスターに要求される能力水準が高すぎるのである。
これがスザクらの陣営が抱える弱点の一つ。サーヴァントの魔力消費の多さから来る深刻な継戦能力の不足である。

サーヴァントというマシンのスペックが如何に高くともそれを駆動させる燃料たる魔力が足りないとあっては意味がない。
さらにスザクの場合は生命の危機において発動するギアスの呪いでバーサーカーへの供給を意図せず断ってしまう危険があり、アサシンは自身の魔力貯蔵量がそのままサーヴァントとしての生命力に直結しているという他のサーヴァントに無いハンデまで抱えている。
条件付きと言いながらその実アサシンが乗り気な物言いをしたのもこうした問題に起因する。
これから先どういう戦略を取るにせよ、サーヴァントたる自身の魔力が尽きればまともに行動する事すらままならないのだから。



「んー、何かおにーさんも旦那も焦りすぎじゃね?ぶっちゃけどう考えても切嗣とかいう奴の思惑通りって気がすんだけど。
それにさあ、あと何時間かしたら僕もまた戦うし、そこまで待っても良いんじゃねえの?」

珍しく慎重論を唱える出夢。口の軽さから人によっては頭が悪いという印象を受けるが実際は決してただの馬鹿ではない。
自分達を厄介な敵にぶつけようとする衛宮切嗣の思惑をしっかり読み取っていた。
だがスザクにはスザクなりの考えがあったようで、首を横に振った。

「待っていてルルーシュやオーズというサーヴァントのマスターと合流されたら余計に苦しくなるよ。
それにランサーの話と地理から考えて柳洞寺は防衛拠点にもうってつけだ。彼女、羽瀬川小鳩を守るという意味でも奪える機会を見逃すべきじゃない。
何より今回は君に彼女を守っていてほしいんだ、さすがに全員がここを出払うのは色々まずい」

今もベッドに眠る少女、羽瀬川小鳩はいつ目を覚ますかわからない。
そして先ほど調べたところ、彼女はまだ令呪を二つ残している。誰かが監視していなければ何をするかわからない危うさもある。
その点で出夢はまさにうってつけの人材だった。マスターでも随一と言えるほどの戦闘能力を有し、かつ魔力を持たないことからサーヴァントの索敵で感知されにくいときている。
そもそも出夢は一日一時間しか戦えないのだ、確実に勝てる戦闘で無闇に時間を使うわけにもいかない。
もっとも、こうした判断が小鳩の処遇に関する決断を先延ばしにしたいが為の一種の逃避であることにスザクは気付いていない。

衛宮切嗣の思惑に乗せられている、という自覚は無論スザクにもある。しかしお互いの利害が一致しているのなら何も問題はない。
それにあの男が何を企んでいようとサーヴァント同士の相性は覆らないし、何よりこちらにはアサシンと出夢がいる。罠にかけようとしても容易く返り討ちにできる。

とどめに標的であるセイバー、アーサー王の能力は今や切嗣の情報提供によって完全に丸裸になった。
鳴上悠から聞いていたのは基本ステータスだけだったのでこれは作戦を立案するにあたって非常に大きい。
そしてしばらく後、スザクは顔を上げてその場の全員を見渡した。

「皆、聞いてくれ。今までの情報から考えてみた作戦なんだが―――」















3 数の暴力

沈みゆく夕陽、訪れようとする夜。
セイバーのサーヴァント、アルトリア・ペンドラゴンは柳洞寺の山門から時の移ろいをただ静かに見守っていた。


177 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:34:18 9pH0cwhA0

「じきに日は暮れ、人の行き来も絶える。戦いの時間が近い―――」

呟く言葉は風に溶けて消えていく。
セイバーの表情は硬い。マスターは未だ目を覚まさず、参加者たちがより活発に動き出す時間が刻一刻と近づいている。
良くない状況だ。完全に日が暮れれば要地であるここを目指してくる者が現れる可能性は跳ね上がる。
それが一組ならばセイバーのみで撃退してのける自信はある。しかし当たり前のように徒党を組む陣営が多いこの聖杯戦争で単独で動くマスターなどもういないのではないか。
いたとしてもそれは衛宮切嗣のように場数を踏み、奸智に長けた者だけだろう。明確な根拠があるわけではないが、セイバーが楽に戦えるような隙だらけの陣営はもう大方淘汰されている、そう思えてならないのだ。

「いや違う、私が危惧するのは―――」

脳裏に浮かぶのはかつてのマスターである衛宮切嗣。つい先ほど撃退したにも関わらずセイバーの中でまだあの男に対する危機感は強く残っている。
切嗣のサーヴァント、仮面ライダーディケイドの宝具に損傷を与えた以上彼ら自身はしばらく攻勢には出られないだろう。
しかし、だからといってあの切嗣がこのまま手を拱いていることなど有り得るだろうか。

(私は既に相手の真名を知っている、そしてシロウは切嗣を退けることが出来た。
しかしこれが意味するのは我々が切嗣の陣営の能力と弱点を全て把握したという事。
切嗣がこれを放置するはずはない、ならば次に彼が打つ手はやはり―――)

その時だった。僅かに、しかし確かに空気の色が変わった。
季節を感じさせた風は今や鋭さを帯びたものに代わり、獣じみた殺気が周囲を支配していた。

「この感覚は―――」

武装を身に纏い、剣を執る。戦闘態勢に移ったセイバーだがその表情は硬く、険しい。
この感覚を知っている。私はこの気配を、その正体を知っている。
士郎を連れて逃げるか。いや、恐らく間に合わない。彼の敵はもうそこまで迫っている。
背中を見せて生還出来るような生温い相手ではない、私はそれを知っているのだ。



疾走する黒影。音速で階段を駆ける襲撃者は両手に一振りずつの剣を握る。
それらは本来宝具にはなり得ないただの剣。しかし侮るなかれ、その男が握れば例え木の枝であろうと即席の業物へと変貌する。


「■■■■■■■■―――――!!!」


理性も知性もかなぐり捨てた狂戦士の絶叫。闘争本能と妄執の命ずるままに繰り出された剣戟はしかし、剣の英霊の不可視の刃によって食い止められる。

「来るか―――サー・ランスロット!」

この騎士との戦いは第四次聖杯戦争から数えてこれで四度目。半ば宿命と化した騎士王と狂乱の檻に囚われた湖の騎士との一騎討ちの幕が上がる。








「始まったみたいだな…」

バーサーカーの疾走より一分ほど遅れて枢木スザクとキャスターが柳洞寺の階段に到着した。
彼らの周囲には手足を切り落とされたNPCが数人のたうち回っている。ルルーシュがギアスで柳洞寺に近づく者がいれば電話するようにと命じていた者たちである。
そしてスザクとキャスターの前にこの凶行の下手人たるアサシンが姿を現した。


178 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:35:21 9pH0cwhA0

「ふむ、四方八方から例のキャスターの仕掛けがここ目掛けて殺到しているな。
これはキャスターがセイバーらと組んでいる可能性が高いな、だとすれば時間は掛けられんぞ。
手筈通り俺は敵の妨害と足止めに専念する、何度も言うが敵マスターやサーヴァントを仕留めるのはお前たちの領分だ。
これは我々の命運を占う重要な一戦だ、しくじるなよ」

そう言い残してアサシンは闇に消えた。
スザクとキャスターもまた、セイバーに気取られぬよう慎重に階段を登っていく。



作戦を実行するにあたっての最初の懸念事項はバーサーカーの運用だった。
バーサーカーは理性が無い故に味方との協調行動を取ることが出来ない。
それどころか味方を認識出来ないために最悪同士討ちの危険すら孕んでいた。

そこでスザクは最初にアサシンにギアスにかかっていると思われるNPCや敵キャスターの監視装置を破壊してもらいつつ魔力で生み出した剣をわざと落とし、然る後それを拾ったバーサーカーを単騎で突貫させる。
如何にバーサーカーといえども気配遮断スキルを持つアサシンに向かっていくことは無く、無事にセイバーの方へ向かっていってくれた。

気がかりと言えばセイバーに問答無用で対城宝具を使われることだったが、その可能性は低いと進言したキャスターの読み通り状況はバーサーカーとセイバーによる剣戟に移っている。
まず衛宮切嗣から聞いたセイバー、アーサー・ペンドラゴンの索敵範囲は半径約二百メートルほど。
さらにセイバーが所持するあまりにも有名な聖剣、エクスカリバーは発動に溜めが必要だという。
これらを踏まえた結果、ランクにしてA+という俊敏さを誇るバーサーカーならば宝具を撃たせることなく接近出来ると考えた。



階段を登っていくと剣戟の音も徐々に近づいてくる。木陰に身を隠しつつスザクは身を寄せていた民家にあった双眼鏡を手に取り戦況を確認する。
たかが双眼鏡と侮るなかれ、実際の戦場で得られる視覚情報一つが生死を分けることもあるのだ。

「な、に……!?」
「どうかしましたかスザク?…いや、成る程これは……」

驚愕の声音を宿したスザクに怪訝なものを感じ取ったキャスターが誰何の声を上げる。
そして山門の前で激しい剣戟の応酬を繰り広げる二人の円卓の騎士の姿を目の当たりにし、ある種の納得を示した。
もっともその光景は二人が望んでいたものとは程遠いものでしかなかったのだが。




かつて完璧な騎士と称されたサー・ランスロットはサーヴァントとしても強力な存在である。
元々高い基本スペックに狂化処理が施されていることもあり、適性の低いスザクがマスターであってもトップクラスのステータス値を誇る。
さらに狂化によって著しく低下するはずの技量は無窮の武練のスキルによって生前同様に保たれ、武器と認識したあらゆるものを低ランクながら宝具化できる異能までをも有している。

敵手もまた現在のブリタニアにも大きな影響を与えている常勝の王。伝え聞いた能力値は平凡そのものだがスザクはその脅威を軽視はしていなかった。
されどその王を上回るとされる技量を誇り、なおかつステータスにおいても圧倒的に優越しているのがランスロットだ。
階段の上という、地形の利を抑えられているとはいえバーサーカーの力を以ってすればアロンダイトを抜かずとも十分押し込めると踏んでいた。

無論完全に倒しきるとなればかなりの消耗を強いられるのは間違いない。
だが何も馬鹿正直にセイバーを倒しに行く必要性はない。敵マスターを殺せばセイバーもまた消える。
バーサーカーでセイバーを足止めし、スザクとキャスターが柳洞寺に乗り込んで敵マスターを討つという策である。


179 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:35:54 9pH0cwhA0

とはいえ他にも問題はあった。
柳洞寺に元々張られていた結界によりサーヴァントは正面から階段を通って山門を潜るという過程を経なければ能力値を落とされてしまうのである。
地上の第五次聖杯戦争においてアサシン、佐々木小次郎が門番の役として成立していた理由もここにある。

つまりスザクはともかくキャスターはセイバーがいる山門を通らなければペナルティを被ってしまうのだ。
永続的なペナルティというわけではないが、敵マスターの能力を鑑みればただでさえ低いステータスを更に落とした状態で戦うのは流石に危険が大きい。
キャスターよりさらに弱いスザクが単身で宝具を操る敵マスターに挑むのはもっと論外だ。

だからこそバーサーカーという存在が活きる。バーサーカーの力でセイバーを押し込み、山門から寺への道を開きキャスターを突入させる。
言わばセイバーという門を打ち破る破城槌。それが今回バーサーカーに与えられた役目だった。



―――そう、その筈だったのだ。



「■■■■■■―――――!!」

バーサーカーが二刀による嵐の如き斬撃を見舞う。その剣捌きたるやこの騎士が元より二刀流の担い手であったかと見紛うほどだ。
武装の質ではセイバーに劣るがそれは手数と速さで対に抗するまで、それを可能にするほどの武技をバーサーカーは有している。

だが、相対するセイバーは二刀の猛攻に晒されてなお対等以上の戦いを演じていた。
いや、傍目にはバーサーカーに対して防戦一方を強いられているようにも見えるだろうが、内実はそうではない。
狂化によって底上げされた暴力的な膂力で以って振るわれるバーサーカーの双刀を時に華麗に、時に力強く受け止め捌きいなす。
城塞の如き守りに対してバーサーカーは未だに一歩たりともセイバーを押しやることが出来ていない。
その光景はスザクが聞いていた事前情報からは決して生じ得ない、あってはならない均衡であった。
その不可解な状況に対する答えは既に枢木スザクの脳裏にしかと映り込んでいる。



(何だ、あのステータスは……!?)

遠目に双眼鏡を構えて戦況を見守るスザクが見たセイバーのステータス値は鳴上悠から聞いていたそれよりも遥かに高いものだった。
大方の能力がAランク、なおかつCランク以下の能力は一つもない。最優に相応しいステータスであることを認めざるを得ない。
身体能力関連では未だバーサーカーがやや優越しているものの、総合力では狂化による補正が働いているバーサーカーとほとんど同等だ。



(鳴上悠が嘘をついていたのか?しかしあの時の彼は完全に憔悴しきっていた。
ルルーシュぐらい演技が上手いのでもない限り嘘を言える状態だったとは思えない。
大体基本ステータスなんて誰が見てもすぐわかる事で嘘をつく意味がないじゃないか。
何かがあったというのか、俺が知らない何かが……!?)

あまりにも予想外な敵戦力の強大さに焦燥に駆られながらも懸命に状況を分析する。
突発的な事態への対処能力にかけてスザクはルルーシュの数段上を行く。計算違いが起こったからといって思考停止に陥るような無様は晒さない。

(しかしどうしてなんだ、どうしてバーサーカーはああも簡単にあしらわれるんだ…!?
そうそう有利を取れないのは仕方ない、しかし能力値ならまだバーサーカーが上回っているはずなのに……!)

が、そもそも知らない事柄に対して十分な対処は出来ない。
今も山門前でセイバーと斬り結ぶバーサーカーだが戦況はお世辞にも芳しいとは言えない。
二対の剣による猛攻を仕掛け、手数においては間違いなく圧倒している。
戦闘の素人が見ればバーサーカーがセイバーを押しているようにしか映らないだろう。


180 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:36:51 9pH0cwhA0
(…でも駄目だ、あれでは)

だが枢木スザクは違う、幼い頃から武術を修めKMF“ランスロット・コンクエスター”のデヴァイサーとして多くの戦場を駆けたスザクの常人離れした動体視力はトップクラスの英傑同士の剣戟とその推移を辛うじて視認し、理解することが出来た。
魔術や異能力の類を一切用いることなくそれが出来るというのがどれほどの異常か、当の本人は全く自覚していない。



「はぁあああっ……!」

裂帛の気合いと共に繰り出されたセイバーのカウンター。双刀で受け止めたバーサーカーだがしかし、大きく押され後退する。
そう、身体能力を強化されたバーサーカーが、である。彼我の筋力の差を思えば足場の不利を計算に入れても不条理な結果にしか見えない。
だがそれは、見方を変えればスザクが知らない、あるいは知っていても意味を十分に咀嚼出来ていない事実が存在しているということに他ならない。

そう、スザクは知らなかったのだ。サーヴァント同士の白兵戦においては魔力の供給ないし残存量が火力の差となって生じる場合があることを。
傷の修復に回したせいで魔力が十分とは言えず、切り札も封印したバーサーカーに対してセイバーは先ほど紅の暴君を用いた円蔵山という霊脈からの莫大な魔力供給を得たばかり。
このため現在のセイバーが保有する魔力はおよそ彼女が貯蔵し得る限界まで蓄積されている。

さらに同じ手段で何度も膨大な供給を得られるセイバーは魔力の出し惜しみをする必要性が一切ない。
駄目押しにセイバーが有するスキルはAランクの魔力放出。彼我の身体能力のステータス差を埋めるには十分を通り越してお釣りが来るほどだ。

こうした見落としを避けるためにスザクはキャスターとアサシンに意見を求めたのだがアサシンはまだしもキャスターは刀槍を用いた白兵に関してはほとんど門外漢である。
またアサシンもあくまで本業は暗殺者であるため有効な助言をすることが出来なかった。

そしてもう一つ。スザクは外見が少女剣士であることから敵を技巧派の剣士と無意識のうちに認識し、それ故同じタイプのバーサーカーならば有利に戦えると考えていたがそれは決定的な誤りである。
本来セイバーは剣士としては一撃重視のパワーファイターに分類される。山門という一箇所を防衛する今の彼女は自身の強みだけを一方的に押し付けられる状態にある。
詰まるところスザクは作戦立案において最も重要な敵戦力の見積もりを誤ったのである。



また、スザクとしては敵マスターの宝具による狙撃を警戒して身を隠しながら戦況を見守っているのだが、それがセイバーの警戒を煽る一因になっている事に気付いていない。
このためセイバーは亀の如く山門に張り付き、バーサーカーに対して決して過剰な攻め気を出そうとしない。

(もしこの敵襲が切嗣の差し金であるならば―――これだけで終わるはずはない。
私の能力と性格を知り尽くした切嗣なら必ず何かを仕込んでいる、あるいは敵マスターに何かを仕込ませている)

衛宮切嗣がセイバーを知るように、セイバーもまた衛宮切嗣を知る。
あるいは敵として距離を置いたからこそ改めて冷静に切嗣の打つ手を読めたのかもしれない。

かつての友と斬り合いながらもセイバーは周囲にも神経を張り巡らせていた。
特に未だ姿を現さない敵マスターへの警戒心から僅かな異変も見逃さないよう注力している。
無論それは並大抵で出来ることではない。魔力量の多寡、足場の有利、切り札を使わないランスロット。
これだけの優位性があり、なおかつ攻めに意識を割かずに防戦に徹しているからこそ辛うじて周囲の警戒もしていられるのだ。



(…このままじゃ不味い、ここは一度撤退するべきだろうか?
いや駄目だ、こっちが逃げ腰になれば向こうは絶対に対城宝具に訴えてくる。サーヴァントが消えればマスターも死ぬことはあっちも把握しているはずだ。
しかしどの道敵の援軍が来てしまえばこちらは危うい、ならどうする……?)


181 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:37:47 9pH0cwhA0

こちらが圧倒的優位を誇っていたはずがいつの間にやら抜き差しならない状況に陥ってしまっている。
切り札を、ランスロットが誇る最大の宝具を発動させるしかないのかもしれない。だがそれにマスターたる己自身が耐えられるのか、それが問題だ。

もしまたギアスの呪いが発動し、バーサーカーへの供給を抑えてしまったら。今度こそバーサーカーは討ち取られてしまうかもしれない。
だがこの状況がズルズルと続けばそれこそアロンダイトを解放する機会すら失ってしまう。
今でさえ急激に魔力、あるいは生命力を急激に吸い上げられる圧迫感に必死に耐えているのだから。

(…他に方法はない、か。そもそもこんな状況になったのは俺のせいだ。
ここで決断できないようならこの先バーサーカー、いやランスロット卿と戦い抜く資格などない―――!)

決然と顔を上げ、今も山門で戦うバーサーカーに思念を送る。
念じる言葉はたった一つ、―――“無毀なる湖光(アロンダイト)を、貴方の誇る唯一無二の武装を解放してくれ”―――と。

無論令呪のような強制力など無い、余分な令呪などそもそも残っていない。
だがスザクは信じている、対話を経て分かりあった彼にならば必ずこの想いは通じると―――。



「■■■■、■■■■■■■―――ッ!!!!」

変化は直後に起こった。
双刀を捨て跳躍し、後退したバーサーカーがその聖剣、いや魔剣を手にした途端狂戦士の全身を覆っていた霧が晴れた。
それは完璧な騎士と謳われたランスロットのみが帯刀を許されたセイバーのエクスカリバーと対を成す至高の聖剣。
同胞の血を吸い魔剣へと変質して尚その剣には一切の曇りなく、鈍い輝きを放ち続ける。

(ついにそれを抜いたか、サー・ランスロット―――!)

セイバーの表情が一気に強ばる。彼の聖魔剣は竜の因子を宿す彼女にとって致命となる特性を有するが故に。
それだけではない、この剣を抜いたことによりバーサーカーのあらゆる能力は底上げされる。
今までセイバーが誇っていた優位性はここに消えて失せた、故にここからが真の正念場。



―――だが彼女はすぐに知る。正念場などという考え自体があまりに甘かったことを。



「―――っ!?」

バーサーカーが剣を構えると同時、セイバーの左右から潜んでいたスザクとキャスターが同時に飛び出す。
示し合わせたわけではない、ただ戦場の空気をよく知る両者のタイミングが偶然一致しただけの話。
スザクは超人的な身体能力で塀を、キャスターはセイバーとバーサーカーを抜けて門を目指す。

(もう一体のサーヴァント…!こういう事だったのか、切嗣……!!)
「■■■■■■■■■■――――――!!!!」

敵の狙いをようやく掴んだセイバーだったが時すでに遅し。
迫り来る黒の騎士は今や全身全霊全力で迎え撃たねば即座に致命となる。
先ほどまでのように周囲に気を配りながら戦う余裕はもうない、それでも――――――

「ここは通さない、通りたくば―――私の屍を越えるがいい!!」

剣に纏わせた不可視の風を解放する。
セイバーが行おうとしているのは風王鉄槌の応用―――というよりはこれ以上なく単純な解放。
即ち―――全方位へ無差別な暴風を放ち敵を追い散らすことだ。


182 : Memento mori(前編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:38:42 9pH0cwhA0

当然このような手段で解放すれば使い手であるセイバー自身も無事ではすまない。
加えて敵マスターと新たに現れたサーヴァントはともかく真価を開帳したバーサーカーは暴風など手にした聖魔剣で容易く切り裂くだろう。
しかしもはや他に方法は無い。例え傷を負うことを避けられないとしても動けない士郎を狙うことだけはさせてはならない。

覚悟を決めバーサーカーの剣を受けつつ風を放とうと魔力を込めた直後、更なる異変に襲われた。
斬り結ぶ形となったセイバーとバーサーカーを囲うように無数の刀剣が降り注いだ。
膠着した戦況に業を煮やしたアサシンが駆けつけ援護射撃を行なったのである。

「馬鹿なっ……!?」

セイバーも三体目のサーヴァントの存在までは予見出来ず、ほんの一瞬だが気を取られてしまった。
出鼻をくじかれ、今やバーサーカーの猛攻を受けきるだけで精一杯。その隙を突きキャスターがついにセイバーの横を抜け、山門に到達した。
これが数の力。如何に最優の英霊と言えど三対一とあってはどうすることも出来まい。



(一時はどうなる事かと思いましたが上手くいきましたね)

無事山門を突破したキャスターは心中で安堵しながら柳洞寺を見渡した。
敵マスターは何故かこの段階になっても現れない。策があって隠れているとすれば些か遅きに失している。
となれば何らかの事情で動けない、という可能性が考えられる。セイバーがあれほど死にもの狂いで山門を守っていた事もそう考えれば合点がいく。

「しかしこの状況でマスターを探し出すのは手間ですね…ならば」

キャスターが得意とするは錬金術。それも“紅蓮”の二つ名を与えられるほどの爆発の使い手である。
広大な寺院といえどキャスターの手にかかれば一瞬で破壊し尽くせる。
とはいえマスターが一般人の小鳩であることを考慮すればそれだけの能力行使はキャスターにとって無視できない消耗になる。

しかし何事にも例外はある。キャスターが保有する秘蔵の宝具“賢者の石”はそれ自体が強力な魔力炉である。
これによりキャスターはこの聖杯戦争に招聘されたサーヴァント全体でもトップクラスの低燃費を誇る。
評価規格外の道具作成スキルと併せて(性格を除けば)所謂「初心者向け」と言えるサーヴァントなのだ。
その代わり他のクラスはおろかキャスタークラスの中でも戦闘面において力不足が否めないのだが。



残忍な笑みを浮かべながら両手の錬成陣を地面に向けたが次の瞬間、異変を感じ取った。
巨大な魔力反応。何故だ、ここにはセイバー以外のサーヴァントはいないはず。
やがて光が晴れ、そこに現れたもの、いや“者たち”を視認したキャスターの顔が驚愕に染まる。

「そんな馬鹿な……」

驚きの感情を声に出して表したのはキャスターではなく数秒遅れて塀を乗り越えその場に到着した枢木スザクだった。
スザクの表情は驚愕とそして―――絶望に染まりきっている。だがそれを一体誰が責められようか。



そこにいたのは八人の男女だった。内四人は唯人では有り得ぬ気配、即ち英霊たちである。
そしてその全員が戦闘態勢を既に整えている。

「そんな、馬鹿な……」

純白の鎧を纏い煌めく聖剣を手にした輝ける騎士がいた。
騎士とは対照的な漆黒の装いの見目麗しい銀髪の少女がいた。
衛宮切嗣のサーヴァントに酷似した仮面の戦士がいた。
眼光鋭い軍人風の出で立ちの男がいた。
この場に集いし綺羅星の如き将星たち、それが意味するは―――敵の援軍。



「そんな馬鹿なぁぁあああああああああああっっ!?」

平時ならば絶対に有り得ない無様な絶叫が柳洞寺に響きわたる。
枢木スザクが思い描いた展開の、その根元が完膚なきまでにへし折れた瞬間だった。


183 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:39:44 9pH0cwhA0
4 集う者達

時を暫く遡る。
遠坂邸の居間にてサーチャーを介して哨戒を行なっていたリインフォースだったが突如異変に襲われた。

「サーチャーが……!?」

ルルーシュの頼みで柳洞寺周辺に飛ばしていたサーチャーの悉くが一瞬にして破壊されたのだ。
ステルス性能を高めていたはずのそれらを見抜き、一瞬で破壊し尽くす。
そんな事が可能なのは自分と同じキャスターかあるいは間諜に長けたアサシン、若しくは視野と射撃能力に秀でたアーチャーか。

「どうした、キャスター?」

ふと横で書斎にあった地上の聖杯戦争に関する資料を読んでいたルルーシュが声を掛けてきた。
それにリインフォースも今起こった異変を正直に話した。柳洞寺にいるマスターはルルーシュの仲間なのだから当然のことだ。

「何だと…?」

話を聞いたルルーシュは携帯電話を開いたが―――着信はゼロ。
NPCにギアスをかけていた事を考慮すればこれは異常だ。ギアスを上回る暗示をかけられたかそもそも物理的に電話できない状態に陥ったか。
ともかくここから考えられる可能性はただ一つ―――柳洞寺が敵の襲撃に晒されている。

「…緊急事態だ。キャスター、皆をここに集めてくれ」

極めて深刻な面持ちになったルルーシュの言葉に無言で頷きリインフォースは遠坂邸にいる仲間全員に念話―――通常のマスターとサーヴァントの間で可能なものではなく次元世界の魔法である―――を送った。





「全員揃ったな。急に呼び立ててすまない、どうやら柳洞寺が敵の攻撃を受けている可能性が高い。
今もサーチャーを送り込んでいるが全て死角から破壊されてしまっている」

数分後、居間に揃った全員を見渡しながらリインフォースが重々しく事実を告げた。
己がマスターである名無はいつもの調子だが、先の情報交換から未だ精神的ショックが抜けていない者もいた。
ライダーのサーヴァント、火野映司は仲間とマスターを守らねばならない使命感からかいくらか持ち直したようだが花村陽介と泉こなたの二人の表情にはまだ大きな影が差している。
そんな二人の様子を見て取ったアレックスが半ば相棒と化しつつあるリインフォースに疑問を投げる。

「柳洞寺にいるセイバーにこちらの事、少なくともルルーシュが遠坂邸に向かった事は伝わっているのだろう?
無論救援は必要だろうが、あちらが自己判断でここに辿り着ける可能性は十分あるのではないか?」

しかしルルーシュはやや焦燥を見せながら首を横に振った。

「いや、その可能性は低い。キャスターのサーチャーを破壊しながらセイバーとの戦闘や衛宮の暗殺を同時に出来るとは考えにくい。
それにサーチャーを壊せば姿は晒さずに済むだろうが破壊したという事実自体が襲撃者の情報を教える材料になる。
つまり柳洞寺を襲っている敵は少なくとも二組以上ということだ。セイバーと衛宮が自力で脱出、あるいは切り抜けられる可能性は低いと言わざるを得ないだろうな」
「ちょ、おい!それってヤバいんじゃねえのか!?」


184 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:40:37 9pH0cwhA0

慌てた様子を見せる名無を手で制しながらアレックスが次なる質問をぶつける。

「となると早急に救援を送る必要があるか…。だがここから柳洞寺まではそれなりに距離がある。
全員で足並みを揃えていてはとても間に合わんぞ、その点はどうするつもりだ?」
「…俺が先行します。多分俺がこの中で一番早く柳洞寺に辿り着けるはずです」
「映司さん…」

決然とした表情で告げるライダー。元々彼とこなたは士郎とセイバーに負い目があった。
特にライダーは今、士郎らを放って遠坂邸に向かった事を強く後悔していた。

自分は逃げていた。こなたの存在を言い訳にして士郎やセイバーと向かい合うことから逃げ出した。
既に多くのものを取りこぼした自分だが、それでもまだ守れるものはあるはずだ。

強い意気込みを見せるライダーを見て何かを感じたのか、リインフォースもまた僅かに思案した後提案を切り出した。

「それには及ばない。私の魔法ならここにいる全員を柳洞寺に転送することが出来る。
とはいえ転移した先は恐らく戦場真っただ中だ。だから強制はしない、場合によってはサーヴァントだけを送り込むという方法もあるからな」

それはこの状況においてあまりに魅力的で、しかし同時に危険も大きい提案だった。
当たり前だ、何しろサーヴァントの守護があるとはいえいきなり鉄火場に放り出されるようなものなのだから。

「俺は行くぞ。セイバー、お前も良いな?」
「無論。どこまでもお供いたします」

この状況でまず最初に名乗りを上げたのはルルーシュとガウェインだった。
王が動かねば部下はついてこない、という彼独自の哲学に則ったわけではないがこうして名乗りを上げれば追従する者もいるのではないかと期待してのことである。
そしてルルーシュの期待通りすぐに追従する者が現れた。

「もちろん俺も行くぜ、美少女騎士の危機を放っておけるかっての!」

決してぶれない不純な目的を掲げた名無鉄之助である。これにはリインフォースもため息しか出ない。

「…俺も行く、アレックスも良いか?」
「構わんが…お前自身は平気なのかマスター?」

やがて花村もやや覇気に欠けるものの同行を申し出た。
アレックスの大丈夫なのか、という意味の問いかけに視線を逸らさず応じた。

「…全っ然平気じゃねえよ、むしろ今でも頭ん中ぐっちゃぐちゃだ。
けどさ、今動かなくて余計後悔するようなことはしたくねえ。仲間になってくれる奴を見殺しとか絶対有り得ねえだろ」

無二の親友である鳴上悠の死は今も花村の心に大きな澱みを作っている。
しかしそれでも、今為すべきことから逃げ出すことだけはしない。その決意の表れだった。
最後の一人となったこなたもまた、やがて勇気を振り絞って顔を上げた。

「…みんなずるいよ、ここで私だけ行かなかったら本当に子供みたいじゃん」

やや自棄じみた物言いだが、その表情はどこか晴れやかですらあった。あるいは常時馬鹿丸出しの名無に感化されているのかもしれない。
どこまでも無力な一般人、それがどうした。亡くなった士郎やルルーシュの仲間は一般人であるにも関わらず最期の時まで出来ることを模索し実行した。
ならばこの場にいるマスターで一番年上の自分が何もしないでどうするというのか。



「結局は全員か。まあ誰かが居残って留守中の心配をするよりは良いかもしれないが。
…では行くぞ、皆。戦闘準備を整えておくんだ、すぐ戦いになるぞ」


185 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:41:26 9pH0cwhA0

やや呆れ気味に嘆息しながら転送魔法「トランスポーター」の準備を始めたリインフォースの言葉に全員が頷いた。
先んじて花村が補助魔法であるマハスクカジャをかけて全員の俊敏さを底上げし、ライダーは仮面ライダーオーズへの変身を済ませ名無は槍王を構えた。
そして全ての用意が終わったことを確認し、一行は柳洞寺へと飛ぶ。転移先は座標計算にて場所を割り出した柳洞寺の境内だ。














そして現在に至る。
柳洞寺にルルーシュら一行が転移した瞬間青年の絶叫が響き渡った。
その声はルルーシュにとってあまりに馴染みのありすぎる声だった。

「……スザク!?」

絶望をありありと表情に貼り付けた旧友の姿をルルーシュは見落とさなかった。
しかしおかしい。手足が機械化しているのも十分異常だがそれはまだ良い、これは殺し合いなのだから戦いで手足を失って義手を手に入れたと考えれば別段不思議なことでもない。
問題はスザクの服装である。ルルーシュの認識ではスザクはゼロという英雄であることを受け入れゼロレクイエムを共に遂行した。
が、今目の前にいるスザクはどういうわけかナイトオブセブン時代の騎士服を着込んでいる。
状況も忘れて事実を問いただそうとしたルルーシュだが、そこに邪魔が入った。

「スザク、退却です!」

声を張り上げたサーヴァント、ゾルフ・J・キンブリーが地面を媒介にして発動させた爆弾が盛大に爆発し、視界を遮った。

「ワイドエリアプロテクション!」

すかさず展開されたリインフォースの広域防御魔法によって爆発が彼らを襲うことは無かったが、煙が晴れた時には敵は既に撤退を始めていた。

「逃しません!」

これに真っ先に反応したのはガウェインだった。
手にした聖剣に魔力を込めると内蔵された擬似太陽が連動し、刀身が大きく伸びた。
そのまま突き出された剣は過たずキャスター、キンブリーに命中した。急所こそ避けたものの右胸に突き刺さり、その勢いのままセイバーとバーサーカーがいる位置を越えて吹き飛ばされ階段を転げ落ちていった。

「ガウェイン、何故ここに!?それに彼らは一体……」

大きな魔力を感知し、隙を見て境内に後退したセイバーにガウェインは「話は後です」と応じた。
するとそこに状況が見えていないかのようにバーサーカーが突撃してきた。
スザクは必死で撤退指示を送っているのだが全く聞く耳を持たない。

これがバーサーカーのクラスにあるサーヴァントが抱える欠点の一つ。
魔力消費の増大に加えてマスターによる制御が困難なのである。
魔術の知識に乏しくマスター適性も低いスザクがアーサー王に固執するバーサーカーを制御出来ないのは実に当然の帰結であったと言えよう。
鳴上悠とランサーを相手に無断で宝具を開帳した時点でこうした欠点に気付くべきだったのだが、スザクは別行動を取った自分の責任だと自己完結してしまったためこの瞬間までバーサーカーは制御が困難な存在であるという事実を知らなかった。


186 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:42:20 9pH0cwhA0

「ランスロット卿――――――!!」

セイバーに襲いかかるバーサーカーの姿を見咎めたガウェインは怒りを露に渾身の力で斬りかかる。
スクカジャによって上乗せされた敏捷性によって一気に距離を詰め、炎熱を纏った聖剣を振り下ろす。
受け止めたバーサーカーだがセイバーに固執し視野が狭まっていたために僅かな隙が生まれた。

「う、おおおおっ!」

そして援護を受けたセイバーはその隙を見逃さなかった。
鎧を捨てて風王結界を加速に回し、その矮躯を最大限に活かして瞬時にバーサーカーの懐に潜り込んだ。
そのパワーとスピードたるや通常時の実に六割増し。下段からの斬り上げがバーサーカーの右腕を捉え、アロンダイトを持った腕ごと切り飛ばした。

「■■■■■■■■■■■■■■――――――ッ!!!!!」
「穿て、ブラッディ・ダガー!!」

激痛で大きく仰け反ったバーサーカーに更なる追い討ちが文字通り降り注ぐ。
上空に移動していたリインフォースが放った物理的破壊力を備えた二十一の弾丸に滅多打ちにされ、兜と上半身の鎧が粉々に砕け散り無様に階段を転げ落ちていった。



これが数の力。三騎のサーヴァントという戦力を揃えたスザクだったが五騎ものサーヴァントを敵に回してはどうすることも出来ない。



階段でピクピクと痙攣するバーサーカーを何とか霊体化させ撤退を試みるスザクだったがそうは問屋が卸さない。
軍服姿の男、アレックスが猛然と突進してきたのである。

「くそっ、こんなところで……!?」

もはやこれまでか、そう観念しかけたスザクだったが突然アレックス目掛けて剣と炎が襲い掛かり、アサシンがその場に降り立った。

「アサシン……!?」
「…早く行け、俺としては見捨ててしまいたかったがマスターに令呪を使われてしまってな。
全く視覚共有をしたわけでもあるまいにどういう勘の鋭さをしているのやら。
俺もお前たちが逃げ延びたら切り上げて退却する、わかったら早く行け」
「……すまない、俺のせいで」

一言詫びの言葉を告げてスザクは霊体になったバーサーカーとどうにか立ち上がったキャスターを連れて出口へとひた走る。
残されたアサシンはアレックスに態勢を立て直す暇を与えず再び剣と炎による追撃を見舞う。
初撃のみは絶対に感知されない気配遮断から繰り出された奇襲に続く追撃。アレックスが耐久性に優れたサーヴァントであることは以前の偵察でわかっているがそれでも充分な威力だという自負がある。

だが次の瞬間、アサシンは爆炎の向こうから伸びた太い金属質の腕に首根っこを掴まれていた。
アレックスの姿はいつの間にか全身をARMS化させたものに変わっていた。

「何なんだ今のは?」
「………っ!!」

驚愕すべきことにアレックスは無傷だった。
アサシンの気配遮断は確かに初撃に限り完全な察知不可能状態にする。そう、“初撃に限り”だ。
この場に集ったサーヴァントの中で唯一アレックスだけはアサシンの奇襲を目の当たりにしていた。
故にアレックスにとってアサシンの奇襲はもはや初撃にあらず。だからこそ直前で察知し咄嗟に全身をARMS化させることが出来たのだ。

魔力を帯びているとはいえ宝具ですらない剣でケイ素金属で出来たアレックスの身体を傷つけることは不可能。
さらにアレックスは先のキャスター、玉藻の前から高純度の神秘を帯びた火炎を何度も浴びている。
これにより火炎攻撃への強力な耐性が身につき、玉藻の前のそれより劣る神秘のアサシンの炎を無傷で凌いでみせた。
対象の傷口を広げるアサシンのスティグマも傷を負っていない相手の傷口を広げることは流石に出来ない。


187 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:43:17 9pH0cwhA0

「消え失せろ」

そう言って、両腕で掴んだままブリューナクの槍を零距離で発射。アサシンの総身は瞬く間に爆発四散した。
汚い花火だ、と思いながらアサシンが消えたのを見届けたアレックスは人間形態に戻った。

「終わったな…所詮クズはクズなのだ」





―――だが、アサシンは死んでなどいない。
規格外の巨体を持つアサシンにとって今アレックスに殺されたアサシンなどは総体のほんの一部でしかない。
死を装いアサシンは再び人形を形作りマスターの下へと帰還する。






「―――と、言うとでも思ったか?」

甘い考えだった。
アレックスという死神から逃れたと確信した次の瞬間、アサシンは魔力で構成された鎖にその身体を縛られた。

「な、にっ……!?」
「残念だったな、貴様の頑強さは既にお見通しだ。
これで幕だ、以前の借りを返させてもらうぞ紅世の王」
「…………っ!!」

そう、アサシンの真名は既にアレックスらに調べられ露見していたのだ。その略歴と特徴から能力も(多少は)既に把握していた。
上空から様子を伺っていたリインフォースは剣と炎による攻撃から敵が“壊刃”サブラクであると判断、周囲に無数のサーチャーを放ち再生したアサシンをサーチャーの物量に物を言わせて見事発見した。

さらにそれと平行して可能な限りの魔力と緻密に構成された拘束魔法「チェーンバインド」で姿を現したアサシンを瞬時に拘束しガウェインにも念話でアサシンの正体を伝えた。
対魔力スキルを有さないアサシンではこの強力な拘束からは逃れられない。

追い討ちをかけるようにセイバー、ガウェインが山門の前に出てきておりアレックスも二人の横に並んだ。ライダーは万一に備えマスター達の護衛に徹している。
直後、周囲の風景の色が変わった。リインフォースが念話で封時結界なる特定の空間を切り取り時空信号をずらす魔法を使ったと話した。
要約すると―――この結界内ではどのような破壊も通常空間に影響を与えないということ。



この状況は当然マスター達も見ていた。人の死に慣れたルルーシュを除く全員がこれからサーヴァントを、引いてはマスターである人間を殺すことを認識し、息を呑んだ。
花村はふと未だ一画も消費されていない令呪に手をかけた。震えが止まらない、例え直接手を下すのでないとしても人を殺すという行為は花村にとって一種のトラウマになっている。

これを使えば少なくともアレックスは止められる。敵マスターは死なずに済むかもしれない。
だがそれは―――逃げではないのか。あのアサシンに殺された四人の姿が脳裏を過ぎる。
今ここで凶行を行なった者を見逃して後の禍根を残すことは本当に正しいのか。
今ここにいる面子を見やる。鳴上悠に続き彼らまでをも失う痛みと恐怖に自分は耐えられるのか。

「頼むアレックス………やって、くれ」

どこか掠れた声で、震えながら花村陽介は人を殺せという指示をサーヴァントに下した。
優先したのは―――顔も知らない敵マスターたちではなく仲間たちだった。




「咎人に滅びの光を。星よ集え、全てを撃ち抜く光となれ」

リインフォースの詠唱と共に彼女の目の前に巨大な魔力球が作られ、なお肥大化していく。
これより放つは未来のエースオブエースが切り札とした収束砲撃魔法。自身の魔力に加えて周囲に撒かれた魔力素をも取り込んで放つという、規模に対して燃費に優れた必殺魔法だ。
昼間の令呪で操られたガウェインの暴走に始まり幾度もの戦闘が起こったこの柳洞寺には既に十分すぎるほどの魔力素が満ちている。

そしてリインフォースの眼下にいる三騎のサーヴァントも持てる全ての火力をアサシンにぶつけるべく宝具を開封する。
敵は強大な紅世の王。ここまでしなければ取り逃がす可能性があることを全員が認識するが故に。



「貫け閃光。スターライト―――」
「―――“転輪する(エクスカリバー)
「―――“約束された(エクス)」

星を砕く光が顕現する。
太陽の聖剣が日輪の如き光輝を放つ。
星の聖剣が比類なき極光を生み出す。


188 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:44:12 9pH0cwhA0
最大まで充填された荷電粒子砲が牙を剥く。

そして、その瞬間は訪れた。目を覆わんばかりの光が周囲を覆う。
各々の持つ最強の攻撃がこの切り離された異空間に解き放たれる。



「ブレイカー!!!」
「勝利の剣”(ガラティーン)!!!」
「勝利の剣”(カリバー)――――――!!」
「消し飛べえっ!!!」



それは世界の終わりを想起させるほどの破壊であり光の奔流だった。封時結界もこの大破壊を受け止めただけで脆くも崩れ去った。
紅世の王、“壊刃”サブラクの人形と本体を諸共に消し去るには十分、いやあまりに十分すぎた。

消えていく、消えていく。身動きも取れぬまま魔力で形作られた身体が、存在が消えていく。
だが、何故だか悔しさや無念は無かった。どこかでわかってはいたのだ、匂宮出夢がマスターである限り己に勝利する未来は訪れないのだと。
これを諦観というのだろう。ただ、果たせなかった約束が、未練だけが最期に脳裏を過ぎった。



「ああ蝶よ、俺は――――――」

その先を口にすることはなかった。四対の光がサブラクの存在全てを貪り破壊し尽くしたから。


【アサシン(“壊刃”サブラク@灼眼のシャナ) 消滅】












5 残る者、散る者、目覚める者

負けた、敗退した、敗北した。
その単純な言語の羅列が枢木スザクの心を埋め尽くす全てだった。

「どうして……」

万全とまではいかないにせよ、出来うる限りの準備と策を用意したはずだった。
いや、それも言い訳に過ぎないのだろう。真に作戦が完璧であったのならこんな結果は有り得ない。
結果は全てに優先するが、そこに至る過程を蔑ろにすればやがて歪みを生み出す。
そういう意味で、スザクが辿った過程には少なからぬ過ちがあったのだろう。
それでも。

「どうしていつもこうなるんだ………!!」

バーサーカーの行使で全身を蝕む疲労感などお構いなしとばかりにスザクの慟哭が夜の住宅街に木霊する。
叫ばずにはいられなかった。そうでもしなければ狂ってしまいそうだった。
それでも足を止めずセーフハウスにしている民家へ戻ろうとするのはせめて果たさねばならない事があるからだ。



「よーうおにーさん、思ったよりは元気そうじゃん。
またぞろ手か足でももぎ取られたかと思ったぜ、ぎゃははは!」

不意に、スザクが今最も会わなければならないと思っていた人物が姿を現した。
その人物―――匂宮出夢は留守番を務めているはずだったが、何故かスザクに会いに来たとばかりにここに現れた。
いや、何故かなど考えるまでもなかったか。何しろお互いにもういくらも時間が無いのだから。



―――出夢を構成するアバターはもう半ばが崩れ消えていた。



「出、夢……」
「いやあもう間に合わねえかと思ったぜ。さすがの僕も手足が消えちまったら動けねえ。
今まで色んな奴らを殺してきたけどさ、こんな死に方するのは僕も含めた聖杯戦争の参加者ぐらいだろうな」

軽口を叩きながら出夢は力なく近くの電柱に座り込んだ。そしてその直後、出夢の両足が崩れ落ちた。
いや、足だけではない。スザクの前に姿を見せた時点で幾多の獲物を葬った自慢の長い腕は右も左も削げ落ちていた。
これが聖杯戦争の敗者に須らく訪れるFate(運命)。サーヴァントを失った匂宮出夢は間もなく死亡する。


189 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:44:42 9pH0cwhA0

「…どうしてなんだ?どうしてアサシンを殿に使ってくれたんだ、出夢?
俺は君に無理を言ってアサシンを借り受けたのに、なのにどうしてそこまで…」

スザクがわからないのはそれだった。あの状況なら出夢はアサシンを即座に撤退させるべきだった。
いや、アサシンの方は自己判断でそうしようとしたのだろう。だが出夢は令呪を行使してまでアサシンにスザクを守らせた。
当然の疑問に当の出夢は何を言ってるんだこいつは、と言わんばかりの調子で応じた。

「ん?そりゃあおにーさんが僕のクライアントだからに決まってんだろ?
殺し屋が自分の流儀に固執してクライアント死なせちゃ本末転倒じゃねえか。まあ旦那を巻き込んじまったのはさすがに申し訳ねえなとは思ってるけどさ」

出夢は自らの戦闘時間を一日一時間と規定し、アサシンにもそうするよう命じた。
それは今回の戦闘でも変わらない。だからこそ負けたのだ、様子を見ていたわけではないが出夢は直感で敗因を理解していた。

「僕の流儀で旦那を縛ってなけりゃ負けはなかったはずだ、だって旦那は僕より強いしな。
奇襲暗殺戦闘、何でもござれのスーパーマン。そいつを変に縛り付けたのが敗因だったんだ。
だからまあ、うん。おにーさん、あんたはちっとも悪くねえよ。悪いとすればこの僕だけだ」

ぎゃはは、といつもの調子で笑いながら出夢はスザクを励ます。出夢とて理解はしていたのだ、こんな縛りプレイをしている自分では決して最後まで残れはしないと。
だがその縛りに他人、それも自分に依頼をした人間を巻き込み死なせたとあっては殺し屋の名折れだ。
だからこそ匂宮出夢は枢木スザクの代わりに果てる道を選んだ。それだけだった。

「出夢、すまない……俺は、俺は君に何も………!」
「いや別に、おにーさんからのお返しなんて最初っから期待してねーよ?
あんた見るからに甲斐性なさそうだし、“起源:傍迷惑”って臭いがプンプンするし」

スザクの謝罪にも出夢は変わらない軽口で返す。
しかしそれも終わり。いよいよ出夢の全身、最後の一部分が消え去ろうとしていた。

「じゃあ、うん。おにーさん、負けんなよ」

最期の瞬間まで人を喰ったような笑みを絶やさぬまま匂宮出夢、敗北を求めて電子の海に迷い込んだ少女の魂は微塵も残さず分解された。
もう涙は出なかった。ただ、心に刻んだ死者の中に匂宮出夢が加わった。


【匂宮出夢@戯言シリーズ 死亡】






「…残念ですね」

不意にキャスターが実体化した。ガウェインから受けた傷は深く、外装こそ繕ったが未だダメージは大きい。
キャスターにとっても最有力の乗り換え先だった出夢の死は巨大な痛手だった。
もっとも、感傷になど浸らず痛手で済ませるのがキャスターの性格だが。

「これからどうされますか、スザク?我々の行く手に新たに五組もの敵が現れましたがまだ戦う気概は残っていますか?」

どこか試すような口ぶりで問うキャスター。恐らく彼の意に沿わない答えを返せば即殺す気でいるのだろう。
何しろ今のバーサーカーは再び宝具を失い実体化すら困難な有り様。寝首を掻くのはあまりに容易だ。

「…決まっているだろう、キャスター。俺は戦う、戦い続けなければならないんだ。
出夢は俺が軽率だったせいで死んだ、ならばせめて聖杯を掴むことで報いるしかない」

しかしそんなことは関係ない。今の枢木スザクに戦いを降りるという選択肢は存在しない。
まだ身体は動く。戦う意志が残っている。それだけで十分なのだと彼女が教えてくれた。
キャスターにとっては良い返答だったのだろう、満足気に唇を歪めた。

「そうですか、それは何より。では私から一つ戦力の不足を解決する提案があります」

そう言ってキャスターは口から鶉の卵ほどの大きさの石を出した。
その石からは隠しようもない血の臭いがした、少なくともスザクにはそう思えた。

「これは私のとっておきの宝具である“賢者の石”。これ自体が強力な魔力炉になっているのです。
見たところ貴方のバーサーカーはそこらの武器を宝具に変え、他の宝具を支配下に置く能力を持っている。
つまりこれをバーサーカーに与えれば魔力不足は解消され貴方も真に全力で戦えるというわけです。
…私の推理は間違っていますか、スザク?」


190 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:45:57 9pH0cwhA0
「……ああ、間違ってはいない。それで引き換えに何を望むんだ、キャスター?」
「無論、今までと変わらず私とマスターの安全です。出夢が欠けた今貴方とバーサーカーまでが戦えないとなっては困ります。
それにあれほど強大な敵を確認した以上、今後我々は今まで以上に連携していく必要がありそうですからね」
「……わかった、その提案を受け入れよう。くれぐれも妙な事は考えるな」
「勿論ですとも。とはいえまずは私自身の治癒をしてからということになりますが」

やはりこのキャスターは食えない男だが今のところ利害は一致している、使えるものは使うだけだ。
ともかく戦力補充の目処は立った。失ったものは多く、得たものは少ない。
だがそれでも立ち止まることだけはしない、諦めることもしない。

(こうなれば衛宮さんと合流するしかないか。情報提供の件でも疑わしい点はあるが背に腹は代えられない。
アロンダイトは…今取り戻すのは難しいか。今後はもうあれには頼れない、そのぐらいの気持ちでいなければならないかもしれないな)

生き残るために、そして勝利するためにやるべきことはいくらでもある。
幾度もの苦汁を舐めさせられて尚、枢木スザクの闘志は消えてはいない。

【深山町・住宅街/夜】

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[令呪]:1画
[状態]:疲労(特大)、義手・義足を機械鎧化
※衛宮切嗣と情報交換を行いました。ただし一部の情報は伏せられています

【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】
[状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊、宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失
※極度の魔力消費により負傷及び鎧の修復が始まっていません
※ランサー(クー・フーリン)から受けた傷が回復しました

【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(大)、全身ダメージ(小)、右胸貫通
※宝具“賢者の石”により魔力の急速な回復が可能です












「何とか戻ってこられたな」

再び転送魔法で遠坂邸に戻ってきた一行の心情を代弁したアレックスの第一声がそれだった。
あの後アサシンの攻撃により発生した山火事から逃れるべく一行は士郎とセイバーを加えて遠坂邸に転移した。
ちなみに驚くべきことに士郎はまだ目を覚ましていない。「肝心な時までは役に立たない男だ」とはルルーシュの弁である。
現在は一番良い寝具がある凛の部屋に寝かされており、セイバーが傍についている。



「………」
「ん?どったのリインちゃん?」
「…真名で、呼ぶなと、何度言えばわかる……」

何故か苦しそうな様子を見せるリインフォースに、名無が心配そうに声を掛けた。
思わずぎょっとする。リインフォースはその身体がうっすらと消えかけていた。


191 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:47:59 9pH0cwhA0

「魔力を、使いすぎたな…。あの寺院の結界を突破して転移するのにかなり持っていかれたらしい。何とかペナルティは受けずに済んだがこれは辛い、な…。
…いや、どうも転送魔法の使用自体にかかる消費が増しているようだな。
ああ、心配しなくともこの土地から魔力を蒐集する術式を組んでいるからすぐに良くなる……」

リインフォースの世界では魔術工房ないしそれに類似したものを造るという慣習が一般的に存在しない。
このため彼女の持つ陣地作成スキルも蒐集魔法を応用した土地からの魔力吸い上げに特化しており特別な防御効果は得られない。
とはいえこれによりリインフォースはより大きな供給先を手に入れ、以前に比べて魔法の出力は大幅に増しかなり生前に近づいた。
なので、実際放っておいてもやがて回復はする。しかし―――



「だが断る。リインちゃん、こいつで回復しろ!」

目の前の馬鹿にそんな理屈は関係なかった。一切の躊躇なく使用した一画の令呪。
それによりリインフォースの内に瞬く間に魔力が充填された。

「なっ…お前というやつは本物の馬鹿か!?貴重な令呪を何でこんな事に使う!」
「俺にとっちゃこんな事で十分なの。苦しんでる女の子を放置なんて有り得ねえっての」

が、当の名無は反省するどころかドヤ顔で自信満々に言い返した。
だが何故だろう、その馬鹿さ加減に逆に安堵している自分がいた。







「セイバー」

凛の部屋で士郎の護衛をしていたセイバーにルルーシュが声を掛けた。
後ろには実体化したガウェインもいる、何となくだが用件は分かっている。
セイバーは部屋に置かれた紅剣と聖魔剣を複雑な気持ちで一瞥してから二人に応じた。

「…ランスロットと彼のマスターのことですか?」
「……ああ、そうだ。さっきの義手と義足を付けた男が話に出した枢木スザクだ」

苦悩と焦燥がないまぜになったような、苦渋そのものといえる声音だった。
無理もない、共に戦えるかもしれないと思っていた友人がどんな手品を使ったか複数のサーヴァントを従え殺し合いに乗っていたのだから。

「…俺としては何とかしてあいつを探し出して話したい、説得したい。
いくつか気になることもあったからな。ガウェイン、それにセイバー、お前達英霊は時空を超えて召喚される存在だったな?」
「はい、どうやら今回は変り種の英霊も少なからずいるようですが」
「では、マスターもまた時空を超えてこのムーンセルに招かれたという可能性はあるのか?」
「…!それは…いえ、有り得るかもしれない。切嗣やイリヤスフィールが参加した理由もそう考えれば辻褄は合う。
数多の並行世界から参加者が集められたこの聖杯戦争、もし何らかの方法でどこかの並行世界の、“まだ死んでいない”彼らを招いたとすれば……」

それは恐ろしい仮説だった。そんな事が可能だとすれば影の主催者の力はどれほどのものなのか。
自身が厳密にはまだ生きているセイバーだからこそ指摘されてすぐに気付けたのかもしれない。

「…そうか、やはりそうなのか。スザクが着ていたのはあいつがナイトオブセブンだった頃の騎士服だ。
俺の知っているスザクなら今さらあんな服を着ているはずがない、だとすればここにいるあいつが死んでも俺の世界に影響は無いのかもしれない、だが……!」

「それでも俺はあいつを殺したくない」、そうルルーシュの表情が語っていた。
気持ちはわかる、人間は論理と感情を完全に切り離して達観できる生き物ではないのだから。


192 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:49:11 9pH0cwhA0

「…それでルルーシュ。貴方は“また”独断専行に走るつもりですか?」
「………!!」

だがそれでもここは心を鬼にしなければならない。
セイバーの鋭い視線が動揺を見せるルルーシュに突き刺さる。ガウェインは何も言わない。

「もし貴方が全体の利益を考慮した上で友人との和睦を考えているのであれば私から何も言うことはありません。
ですが先ほどリクに早々とギアスを使ったように、貴方個人の理由“だけ”でシロウや彼らを危険に晒すのであれば―――」

その時はマスターと全員のためにガウェイン諸共切り捨てる、とセイバーは言い切った。
衛宮士郎を守れなかった事、彼に刃を向けた事。それが制限の解除によってセイバーが思い出した第五次聖杯戦争での未練であり、今回士郎の下に召喚された理由だった。

勿論これが極めて個人的な理由であることはセイバーも否定はしない。
だが先ほど半ば暴走と言って差し支えないルルーシュの独断との明確な違いは集団の利益と合致しているか否かだ。
あるいはそれは、第四次聖杯戦争でルルーシュと同じような理由で無断でマスターを危険に晒した自身への訓戒でもあるかもしれない。

「…わかっている、俺は既に仲間を死なせているからな。迂闊な事はしないと約束する。
すまんが一度考えをまとめたい、邪魔をしたな」
「ええ、シロウもそうですが貴方も色々な事が起こって混乱しているようだ。
心境を整理する時間が必要でしょう、この場に集った誰にとっても」

やや覚束ない足取りで部屋を出たルルーシュを見届けてからセイバーは未だ目を覚まさない士郎を見据える。
今ここにいるセイバーは地上のカムランの丘で聖杯を求めるアルトリアとは切り離された存在だ。
当然だ、今回彼女は聖杯を求めて召喚に応じたわけではなくそもそも月の聖杯では過去の改変は不可能。
だからここで起こったあらゆる出来事は地上の彼女に何らの影響も齎さない。

「シロウ、私は必ず貴方を地上へ返す。サクラや大河のもとに、必ず。
そのために、私は如何なる咎も罪業も背負う。この身は貴方を守る一振りの剣であればそれで良い」

全ては泡沫の夢、それで良い。それでも戦うと決めた。
例えかつての友と殺し合うことになろうと、かつてのマスターを斬ることになろうとも。



―――それでも、戦うと決めたのだ。


193 : Memento mori(後編) ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:49:48 9pH0cwhA0

【深山町・遠坂邸/夜】

【泉こなた@らき☆すた】
 [令呪]:3画
 [状態]:精神的疲労(中)、深い悲しみ
 [装備]:携帯電話

【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:健康、強い後悔と無力感、新たな決意

【花村陽介@ペルソナ4】
 [令呪]:3画
[状態]:精神的疲労(大)、悲しみと喪失感
[持ち物]:ミネラルウォーター@現実、カロリーメイト@現実・医薬品一式@現実
 大学ノート@現実・筆記用具一式@現実・電池式充電器@現実・電池@現実
 携帯電話*携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
 予備の服@現実・食料@現実・スパナ@現実
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)

【ランサー(アレックス)@ARMS】
 [状態]:魔力消費(中)、ARMSの進化(進行度小)
※アサシン(ヴァレンタイン)が生存していることに気付きました

【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:2画
[状態]:健康
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)

【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:魔力消費(小)、自らの行動にやや迷い
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園を中心に索敵しています
※ガウェインからある術式の改良を依頼されました
※転送魔法の使用にかかる魔力消費が本来より増大しています

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
 [令呪]:1画
 [状態]:健康 、焦燥と迷い
 [装備]:携帯電話、ニューナンブ
※枢木スザクが参加していることを知りました
※マスター達は時空を超えて集められたのではないかと考えています

【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
 [状態]:魔力消費(大)、ランスロットへの怒り
※リインフォースにある術式の改良を依頼しました

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(中)、魔術回路への負荷(小)、気絶中
[装備]:携帯電話、ICレコーダー
※紅の暴君の投影に成功しました。
柳洞寺から魔力を汲み出すことが出来ますが、伐剣覚醒を始めとした魔剣の力による恩恵は一切受けられません
また、破壊されたり破却した場合は再度投影し、土地に剣を突き立てる必要があります

【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[状態]:魔力消費(大)
[道具]:紅の暴君(投影)@サモンナイト3 、無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate Zero
※ムーンセルに課せられていた能力制限が解除されました
※ムーンセルから得られる知識制限が解除されました













――――――そして、最後の役者が目を覚ます。

「ん……」

――――――その目覚めは、誰のものか。

【深山町・民家/夜】

【羽瀬川小鳩@僕は友達が少ない】
 [令呪]:2画
 [状態]:重症は大体回復、精神崩壊?、目を覚ました


194 : ◆XL.nOGsA4g :2013/08/25(日) 18:50:43 9pH0cwhA0
これにて投下を終了します。
今回一番不幸なのは確実にサブラクです。
士郎が寝たままなのは半ばご都合主義です。自分でもちょっと無理矢理かとは思ったのですが起きたらスザク側の被害がもっと酷くなってしまいますので。
タイトルは「気絶黙示録シロウ」にしようかとも思いましたがあんまりにもあんまりな題名なので没にしました。
それとリインフォースが今回使ったトランスポーターは原作ではユーノが使っていた魔法ですが、恐らく一般に普及していて夜天の書にも載っているであろうと判断して出しました。
感想、ご指摘等ありましたらよろしくお願いします。


195 : 名無しさん :2013/08/25(日) 19:25:07 0Nr/L6Sc0
トランスポーター系はダメかなーって話が前に出てたけど
令呪使わなきゃダメってレベルまで制限かかってるなら良いと思います。


196 : ◆cp3jCCSc7M :2013/08/25(日) 19:43:35 URUsK8Ww0
投下乙です
出夢とサブラクはここで退場ですか、サブラクは実に苦労人かつ貧乏くじ担当でしたね…
トランスポーターに関しては確か妲己の具体的な能力が不明だから彼女はワープ系能力を使えないという話が出ていたと記憶しています
リインフォースというかリリカルなのはシリーズは転送系魔法について具体的な描写があるのでリインフォースが使えるのは問題ないかと
実際他の魔法行使と併せて名無が令呪使うほど疲弊していて消費も増しているとのことですのでバランスはある程度取れていると思います
そもそも時間停止とか並行世界移動とかやっている人達もいるわけですしね
tもかくもう一度投下乙でした!


197 : 名無しさん :2013/08/25(日) 22:25:31 8SDTL3yo0
投下乙です


198 : 名無しさん :2013/08/25(日) 23:41:06 QwRu/PqoO
投下乙です。これは酷いオーバーキルを見たw


199 : 名無しさん :2013/08/26(月) 00:12:31 prkLVKjE0
投下乙です
そしてすみません、リインちゃんが魔力不足と聞いて(ry
ちょっとSLB喰らってきます


200 : 名無しさん :2013/08/26(月) 00:56:58 Jn.9OW5k0
投下及び長編執筆乙です!
あのコンビはついに脱落か…面白いコンビだっただけに寂しいな
サブラクさんは出夢がマスターだった時点でもはや望みは敵わないようなものだったのだろうか…
オーバーキルっぷりは凄かったけどw
着々と合流する対主催、そして現状を把握出来てるのか疑わしいこばとちゃんの今後やいかに!?


201 : 名無しさん :2013/08/26(月) 03:37:46 w8EvfVU.0
サブラクさんは浸透による使い魔やNPCへの介入が見れなかったのだけは残念だなw
あいつと出夢なら探偵と壊し屋コンビ擬似再現もできたんだが


202 : 名無しさん :2013/08/26(月) 03:43:02 w8EvfVU.0
あ、後一応
サブラクの初撃に限り、ってのは、原作的にはその戦闘における最初の攻撃は、って意味だから
そこは勘違いされているかと
内容的にはアレックスはサブラクの攻撃見ていることと、データ調べてることもあって予想や対処できるのは問題ないのですが
明らかに捉え間違われてるのでそこだけは修正お願いします


203 : 名無しさん :2013/08/26(月) 04:07:41 w8EvfVU.0
そこは確かに気になった。
サブラクのあれはバックアタックらの絶対先制攻撃をできる、とでもフェイト風に言えばいいのか。
シャナ本編でも一度見ていた面子も自分に予防の術はかけて防げても不意打ち自体は防げなかったし。
リーンとアレックスなら術や得ていた知識で防げるし、なにより不意打ちに相性のいいセイバーの直感もあるから修正は楽だろうけど。


204 : 名無しさん :2013/08/26(月) 04:09:27 Uh82Yo.Y0
自演乙と言いたいけど内容への文句ではないか


205 : 名無しさん :2013/08/26(月) 04:29:04 j6kWp7OU0
書き手も指摘感想募集はいいけど、自分でご都合主義とか、キャラ不幸とか言わない方がいいよ
正直聞いていて気分のいいもんでもないし
そんなの投下するなと腹立つから
堂々と胸を張っておけばいいんだよ


206 : ◆XL.nOGsA4g :2013/08/26(月) 06:33:47 uANjISQIO
ご指摘ありがとうございます
サブラクの初撃に関する描写は確かに見返すと問題がありました
この点に関してはWikiに載せる際アレックスがサブラクの存在を元々警戒していたことと、網を張っていたリインフォースや直感で察知したセイバーが直前で警告していたなどのいくつかの要素が重なって対処できた、という形に修正したいと思います


207 : 名無しさん :2013/08/26(月) 21:44:17 6RIUTBCs0
wikiの小ネタを見返してみると、当時と今の状況が違うのが何となく分かる気がする
優勝候補とされて七陣営が今じゃ三陣営しか残ってなかったりとか


208 : 名無しさん :2013/08/26(月) 23:42:50 sIz0bk1.O
投下乙です。

聖剣の二重奏だけでも酷いのに、星の光を壊すものと荷電粒子砲まで。
まあでもサブラクの能力知ったら、どれだけのダメージなら消滅するのか判らないしな。

肝心なときまで役立たず。
何という主人公体質!


209 : ◆XL.nOGsA4g :2013/08/27(火) 00:16:26 SHXbPb62O
一部を修正したものをwikiに収録しました


210 : 名無しさん :2013/08/27(火) 01:38:34 ocFoUcGE0
修正乙です


211 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 20:14:43 jGKtHeFI0
衛宮士郎&セイバーで予約します


212 : 名無しさん :2013/08/27(火) 20:51:21 GL313WIM0
おろ?士郎組だけの予約ってことは、アレでもやるのかな?


213 : 名無しさん :2013/08/27(火) 21:10:27 gcIjL6gs0
アレって剣の稽古か?


214 : 名無しさん :2013/08/27(火) 21:19:58 xwFK/B7Y0
主人公来た!これで勝てる!


215 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/27(火) 22:49:50 zng6uGko0
投下乙です
出夢…好きなキャラだけだっただけに残念…
まあ最後まで残るとは思わなかったですけどね
オーバーキルっぷりは凄かった

鹿目まどか&アーチャー予約します


216 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:39:29 9lkDFeAk0
投下します


217 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:39:54 9lkDFeAk0

《A》



撿撿夢を見ていた。

撿撿それは終わらない戦いの夢だ。

撿撿幾多の戦士が剣を槍を手にして走って行く。

撿撿誰も彼も血走った目をしていて、殺意を漲らせている。

撿撿誰もが敵を求めて戦場へと踊り込んでいく。

撿撿斬る。刺す。突く。射る。打つ。撃つ。払う。焼く。

撿撿あらゆる武器が激しく打ち合わされ、その度に誰かが倒れる。

撿撿炎が燃え盛り、雷が閃き、風が荒れ狂い、光が降り注ぎ、闇が押し寄せる。

撿撿魔術なのだろうか。色とりどりの現象があちらこちらで炸裂し、ヒトをボロ屑のように加工していく。

撿撿中には、武器を持たない者もいた。

撿撿膝をつき、頭を垂れ、必死に命だけは、と嘆願している。

撿撿そいつ らの前に、剣が放られた。生きたければ戦えと、誰かが言った。

撿撿そいつらは、拒んだ。差し出された剣を取らず、ただただ命だけはと繰り返した。

撿撿頭上から、剣が落ちる。断ち割られた頭蓋からは血と脳漿が撒き散らされた。

撿撿それを見た他のやつらは怯え惑い、散り散りに逃げ出した。


218 : 名無しさん :2013/08/27(火) 23:40:07 cPhgiYqc0
はやっ!?


219 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:42:03 9lkDFeAk0

《A》



――夢を見ていた。

――それは終わらない戦いの夢だ。

――幾多の戦士が剣を槍を手にして走って行く。

――誰も彼も血走った目をしていて、殺意を漲らせている。

――誰もが敵を求めて戦場へと踊り込んでいく。

――斬る。刺す。突く。射る。打つ。撃つ。払う。焼く。

――あらゆる武器が激しく打ち合わされ、その度に誰かが倒れる。

――炎が燃え盛り、雷が閃き、風が荒れ狂い、光が降り注ぎ、闇が押し寄せる。

――魔術なのだろうか。色とりどりの現象があちらこちらで炸裂し、ヒトをボロ屑のように加工していく。

――中には、武器を持たない者もいた。

――膝をつき、頭を垂れ、必死に命だけは、と嘆願している。

――そいつ らの前に、剣が放られた。生きたければ戦えと、誰かが言った。

――そいつらは、拒んだ。差し出された剣を取らず、ただただ命だけはと繰り返。

――頭上から、剣が落ちる。断ち割られた頭蓋からは血と脳漿が撒き散らされた。

――それを見た他のやつらは怯え惑い、散り散りに逃げ出した。


220 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:43:05 9lkDFeAk0

――また、誰かが言った。



         踏み潰せ。



――鬨の声がした。血に飢えた獣たちは嬉々として武器を持たない人々に襲いかかった。

――血飛沫が舞う。瞬く間に視界は地獄と化した。

――傍らに、何か巨大なものが降りてくる。



         楽しいだろう?



――巨大なものに乗った誰かに問われた。

――ああ。



         楽しいな。



――俺は、笑ってそう答えた。

――そいつもまた、笑った。



――……ぞ…………楽し……――



――最後の言葉は、聞こえなかった――


221 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:44:05 9lkDFeAk0

《B》


夢を、見ていた。

でも夢から醒めた瞬間、どんな夢を見ていたのか忘れてしまった。
こんな状況でも夢を見る。
それだけ深い眠りに落ちていた、疲労していたということだ。

「気が付きましたか、シロウ」

傍らにはセイバーが――衛宮士郎の剣であるアルトリア・ペンドラゴンがいた。
それだけでひどく安心できた。
夢を見ていたことなど綺麗さっぱり忘れるくらいに。

「セイバー、ここは一体――」
「シロウ、まだ起き上がらない方がいい。ここはリンの屋敷です」

飛び起きようとした士郎を制して、セイバーはこれまでの経緯を順番に説明した。
切嗣との戦いで昏倒した士郎が知らない、新たな仲間と敵のこと――そして、その間に死んだ者たちのこと。
「――そうか、天海が俺たちを騙してたってことは、泉も気付いていたか」
「ええ。おかげで諍いなく彼らの助力を得ることが出来ました。目下、我々はこの聖杯戦争における最大戦力と言って差し支えないでしょう」

衛宮とセイバー、ルルーシュとセイバー、こなたとライダー、花村とランサー、名無とキャスター。
総勢十人もの戦力が志を同じくして集っている。
強力なサーヴァントであるバーサーカー・ランスロットの襲撃すら、損害なく撥ね退けるほどに。

「シロウ、その、シンジのことは――」
「――ああ。遠坂だけじゃなくあいつもいたなんてな。なんか実感が沸かないよ。あいつが生きてて、でもまた死んだなんて」
「辛いでしょうが、気を強く持ってください。戦いは まだ終わってはいない」
「大丈夫だよセイバー。殺し合ってるんだ、仕方のないことさ。もし会ってたら、戦うことになったかもしれないしな」
「シロウ?」
「それより、イリヤを殺したランサーのマスター――鳴上悠だっけ?そいつとその花村ってやつは友達だったんだろ?そっちこそ大丈夫なのか?」
「――ええ、彼にはランサーがついています。それに何というか――キャスターのマスターですが。彼のおかげで救われているところもありますね」
「そっか。セイバー、じいさん――いや切嗣は?」
「健在です。今もこちらを攻撃する隙を伺っていると見て間違いないでしょう」
「そう、か。じゃあ俺も、覚悟を決めないとな――」

ぼんやりと呟く士郎に、セイバーはなにかたとえよ うもない違和感を感じた。
数時間前まではなかった違和感。


222 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:44:52 9lkDFeAk0



「シロウ、あなたは」
「枢木スザク、だっけ?ルルーシュの友達ってやつは」
「――ええ、そうですが」
「そっか。じゃあルルーシュには悪いけど、次にその枢木って奴が襲ってきたら」

セイバーが疑問を声に出そうとする前に、士郎に遮られる。
士郎と慎二、鳴上と花村のように、この場には関係性の深い者たちも多くいる。
ルルーシュとスザクもまた、親友同士だという。
慎二と鳴上は既に死んだ。
が、枢木スザクはまだ生きている。
その事実を認識し、士郎は調子を確かめるように軽く拳を開閉する。



「ちゃんと、殺さないとな」



「――え?」

何気なく、ごく自然に、士郎の口から飛び出てきた言葉を、セイバーは一瞬理解すること ができなかった。

「シロウ? あなた、今なんと」
「よし、じゃあ俺も寝てる場合じゃないな。みんなに挨拶しとかないと。それにセイバーも腹が減ってるだろ?なにか作ってやるよ」

士郎はベッドから立ち上がり、しっかりした足取りで部屋から出て行く。
その様子に不審なところはない。

「――――」

襲ってくる敵を倒す、振りかかる火の粉を払うのは決して悪なる行為ではない。
士郎とて聖杯戦争を生き抜いた戦士だ。
敵を殺さずに済むと思っているほど甘い覚悟で戦っているのではない。
しかし、決して無闇に命を奪うことを是とする人間でもなかった。
先ほどの言葉を口にしたとき、士郎は――

「――いや、見間違いだ。シロウに限ってそんなことはありえな い」

笑っていたように――見えたのだ。
漠然とした不安をかぶりを振って押し殺し、セイバーは士郎の後を追う。
預けられた紅の暴君の柄が妙に熱く、重たく、感じられた。


223 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:45:37 9lkDFeAk0

《C》


――時は、遡る。



衛宮士郎が衛宮切嗣と対峙する数時間前。
柳洞寺から遙か東の地にて、一つの戦いが終結した。

勝ち抜いた者は、因果を司る少女と吸血鬼の帝王。
命を拾った者は、街を治める男と大国を統べる大統領。
散ったのは、絆に翻弄された少年とケルトの大英雄、大陸に乱を巻き起こした覇王と狂王。

本来、この戦いは衛宮士郎には何の関係もないものだった。
命を落とした敗者である鳴上悠とクー・フーリンには浅からぬ縁があれど、その死が直接士郎に影響を与えることはなかった。
覇王ゼフィールと狂王アシュナードにいたっては存在すらも知らない。
後から仲間に話を聞いて、そんなやつがいたのかと戦慄する――その程度の関係だったはずだ。

だが、士郎は紅の暴君を投影して柳洞寺に突き立て、魔力を吸い上げた。


SE.RA.PH内で死んだマスターやサーヴァントはムーンセルによって解体され、その魔力はSE.RA.PHを運営するリソースへと回される。
通常の聖杯戦争のおよそ七倍の数のサーヴァントが参加しているため、SE.RA.PHを稼働させるリソースは常に逼迫している。
魔術師やサーヴァントが放出する魔力を循環・再利用させてこのSE.RA.PHは成り立っている。

未明には、天野雪輝とタマモ 我妻由乃とジョン・ドゥが死んだ。
黎明には、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンと本多忠勝、遠坂凛、近藤剣司とセリス・シェール、金城優とアストレア、アシュヒト・リヒターとテレサが死んだ。
朝には、間桐雁夜とトキ、園 崎詩音と美樹さやかが死んだ。
昼には、金田一一と太公望、蘇妲己、佐々木小次郎が死んだ。
午前には、間桐慎二とラオウが死んだ。
日中には、鳴上悠とクー・フーリン、ゼフィールとアシュナードが死んだ。
アサシン、ファニー・ヴァレンタインが生み出した異世界の自分も何度か殺害されたが、それらもまた分解されてSE.RA.PHに取り込まれた。

彼らを構成していた魔力はSE.RA.PHの空気に溶け、同化し、冬木市を巡る霊脈に乗って循環する。
つまり、士郎が投影・紅の暴君で吸い上げた魔力には、死亡したマスターとサーヴァントらの残滓が含まれている。
分解されたその残滓に生前の彼らの意思はない。
ただの資源以上でも以下でもない、純粋な魔力――


224 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:46:47 9lkDFeAk0









――ふしゅうぅぅぅうううう………………――







――では、なかった。

ランサー、狂王アシュナードは、クー・フーリンのゲイ・ボルクによって貫かれた瞬間、所有する最後の宝具を開放していた。
すなわち、エルランのメダリオン――邪神の魂を封じたとされる、アシュナードの切り札。
真名を開放すれば狂化と対魔力スキルを得て、さらに一度だけ傷を癒す効果を持つ。
アシュナードはこの宝具を持って窮地を脱しようとしたが、爆発的に増大した魔力負荷はマスターを失ったアシュナードには致命的だった。
ゼフィールから魔力を供給されていれば、もう少しは存在を保てただろう。
だがサーヴァントであるアシュナードと違い、 ゼフィールは大陸でも屈指の武人であれどただの人間。
心臓を貫かれ、命を永らえることは出来なかった。
アシュナードの傷は癒やされたが、逆に魔力が枯渇した。
迫り来る死を何秒か先延ばしにしただけで、結末は変えられなかった。
――だが、残るものはあった。


刹那の時間とはいえ、アシュナードは確かにメダリオンを開放していたのだから。


エルランのメダリオンは、開放すれば持ち主の【負】の気――すなわち悪性に満ちた魔力を暴走させる。
戦闘能力の向上と引き換えに理性を失くす諸刃の剣である。
アシュナードだけは例外的に理性を保ったままメダリオンを開放することができたが――
データに還ったアシュナードだが、彼の魔力は全て【負】の気に反転してい た。
とはいえそれもいずれはムーンセルにより浄化され、無色の魔力として落ち着いていただろう。


しかし。
繰り返す。
衛宮士郎は、【紅の暴君を投影して柳洞寺に突き立て、魔力を吸い上げた】。


225 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:50:29 9lkDFeAk0



紅の暴君とは、強大な存在を封じ込めるために創生されたサモナイト石の剣。
本来は適格者と呼ばれる存在にしか扱えない、呪われた魔剣である。
イスラ・レヴィノスは適格者であり、この聖杯戦争ではただ一人紅の暴君を完全に使いこなせる存在だったといえる。
とはいえ士郎が投影した紅の暴君は所詮贋作であり、イスラが所持していた紅の暴君のように内部に巨大な意志は宿っていなかった。

だが――魔力を吸い上げる力は再現されていた。
狂王アシュナードが撒き散らした【負】の気に満ちた魔力を、存分にその刀身に【封印】してしまったのだ。

ただ単に【負】の気を浴びる――という程度なら、どうということはなかっただろう。
強い意志の持ち主ならば意 にも介さない程度のものだ。
だが、士郎は投影した魔剣を通してその魔力を体内に取り込んだ。
魔力回路の隅々まで、アシュナードの【負】の気を行き渡らせてしまった。


衛宮士郎の魂は――汚染されてしまったのだ。


今、衛宮士郎の内には狂王アシュナードから生まれた【負】の気が色濃く脈づいている。
士郎本人の意志はそこには介在しない。
意思や思想ではなく、彼の在り方そのものが歪められてしまったのだから。
本来の適格者であるイスラやもう一人の適格者でさえ、魔剣の支配から完全に逃れることはできなかった。
士郎が切嗣との戦いの直後に倒れたのは、疲労もあるがこの【負】の気に一気に呑み込まれたことが原因である。
士郎の体が【負】の気に馴染んだ― ―変質が終わったからこそ、士郎は目を覚ました。
皮肉なことに、対魔力スキルを持つセイバーは士郎から供給される魔力から【負】の気だけを弾き出して魔力を受け取れたため、士郎の変質に気付けなかった。




それは――イスラ・レヴィノスとアシュナード、二人の反英雄が遺した最後の悪意。
聖杯に呪いあれ。
絶命の際に置いて願う末期の夢。



闘争を【負】の気が満ちる場所とすれば、平穏は【正】の気が治める場所であるといえる。
平穏の中にいる今でこそ士郎の中に芽吹いた種は大人しくしているが、いざ闘争を迎えればどうなるか。
その答えを――士郎はまだ、知らずにいた。


226 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:51:43 9lkDFeAk0

8











――良いぞ。実に良い――



――さあ、貴様も地獄を楽しむがいい――















【深山町・遠坂邸/夜】


【衛宮士郎@Fate/stay night】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(中)、魔術回路への負荷(小)、精神汚染
[装備]:携帯電話、ICレコーダー
※紅の暴君の投影に成功しました。
 柳洞寺から魔力を汲み出すことが出来ますが、伐剣覚醒を始めとした魔剣の力による恩恵は一切受けられません
 また、破壊されたり破却した場合は再度投影し、土地に剣を突き立てる必要があります
※アシュナードの【負】の気を取り込んだため、魂が変質しました。
 術法による状態異常ではない不可逆の変質のため、魔術・宝具ではキャンセルできません。
 戦いなど【負】の気が満ちる場所に身を置くと変質は更に進行します。

【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[状態]:魔力消費(大)
[道具]:紅の暴君(投影)@サモンナイト3 、無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate Zero
※ムーンセルに課せられていた能力制限が解除されました
※ムーンセルから得られる知識制限が解除されました


227 : ◆wYNGIse9i6 :2013/08/27(火) 23:55:01 9lkDFeAk0
投下終了です。
217はうまく表示できてなかったので無しで
タイトルは西尾維新の刀語から
「猛毒刀与」です


228 : 名無しさん :2013/08/27(火) 23:56:32 GxhqyKVs0
精神汚染ktkr


229 : 名無しさん :2013/08/28(水) 00:04:04 /vZWPhl20
速筆の投下乙です。
クロスオーバーすげぇ、なんという混ぜちゃった危険
タイトルもこれまたニクイぜ


230 : 名無しさん :2013/08/28(水) 00:04:38 FvW31aPY0
投下乙です!
作中で解放されることなく終わったと思われたメダリオンが紅の暴君によってここで影響を及ぼすとは…!
安定極まりなかった対主催チームにまさかの不安要素が紛れ込んだな
一気にアカンフラグが立った士郎の運命やいかに…!?


231 : 名無しさん :2013/08/28(水) 00:07:25 O0dRsskw0
毎回士郎がロワで即死するのは死んだほうがマシだからか。


232 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/28(水) 00:39:44 XyaBg/PU0
投下乙です
以外な展開になりましたね
魂の変質ですが敵味方の区別はつくのですかね?
ちょっと疑問に思いまして。
果たして対主催チームはどうなるのか!?


233 : 名無しさん :2013/08/28(水) 00:52:32 ek6019as0
アニ2ではやることやっていい感じに死んだだろ!いいかげんにしろ!


234 : 名無しさん :2013/08/28(水) 01:22:31 Wwxh3SsU0
投下乙です。
士郎まさかの悪落ち。対主催はどうなってしまうんだ…。
それよりも正と負の気。最後の言葉はまさか…(いや…もう少し様子を見よう。俺の予感だけでみんなを混乱させたくない)。


235 : 名無しさん :2013/08/28(水) 10:17:53 wvQJu1xIO
>>231
だって考えなしの鉄砲玉とか下手なマーダーより迷惑ですしおすし


236 : 名無しさん :2013/08/28(水) 12:15:06 45oiBOLo0
ルルーシュや士郎みたいなタイプってサラマンダーよりよっぽど死者増やすからな。
生存フラグ増やせるタイプってすごく希少。


237 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/28(水) 15:59:41 vjsRrS1w0
短いですが投下します。







ハイアットホテルの一室で向かい合って座る二人の男女。
そのうちの一人は人間ではない。
齢百年以上を生き世界を支配しようとした吸血鬼。
そして死後にも絶大な影響力を与え世界と契約し、守護者となった者。悪の帝王DIO

そんな彼に臆することなく向かい合うのは彼のマスター、鹿目まどか
莫大の因果律を宿すが、今はまだどこにでもいる少女でしかない。しかしその瞳は強い意志を宿していた。


「さてマドカよ、これからのことを話し合おうか。」
「はい、ディオさん。」

どこから取り寄せたのか血のように紅いワインを飲みながら、ディオは話を切り出す

「聖杯の破壊を目指す我々だが、他の参加者とは協力は難しい。これは先にも話したとおりわかっていると思う。
そのため最後の一人になるため勝ち残ることを決めたが、まどかよ。次に決めなくてはならないのは方針だ。」
「方針?」
「そう、方針だ。私の能力は、自惚れではなく正面からの一対一なら無敵という自負がある。対抗できるのは私と同じ能力を持つものだが、そんなやつは滅多にいない。いたとしても勝てる自信が私にはある。」
「えっと、それなら問題ないんじゃ?」
「それがあるのだよマドカ。いかに私としても複数のサーヴァントに襲われては少々厄介だ。もしくは私にサーヴァントをぶつけている間にマスターの方が君を狙っていたら私としてもどうしようもない。」

それはまどかにもわかった。現にディオさんが戦っている間に詩音さんともう一人マスターが自分の方に襲ってきたのだから。
そのときは詩音さんが身代わりになってくれたおかげでこうして無事でいられるが、あの時そのまま攫われていてもおかしくなかったのだから。
自分はディオさんにとって弱点以外何者でもないのだ。

「そう、残酷なことをいうようだがそれが事実なのだよ。ゆえに我々は君の存在を可能な限り隠さなくてはならない。なので君には此処にいて隠れていてもらいたい。他の参加者は私がすべて引き受けよう。」

それが最善な行動なのは理解できた。自分がいても役に立つどころか足を引っ張ってしまうだろう。令呪の援護ができるとはいえ、ただの中学生の自分ができることなどたかが知れている。
しかし、それでも・・・


238 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/28(水) 16:00:29 vjsRrS1w0


「それはいやですディオさん。聖杯を壊すと願ったのは私の意志です。あなたはサーヴァントはただの剣でそれを振るうのはマスターだと言いました。だからこそ私は、きちんと自分の願いの結果を見届けなければいけません。」

そう力強く答えるマスターの答えに、どこか予感していたディオはただ「そうか」とだけ返した。


「わかった・・・ならば私から離れないようしてくれ。」
「ごめんなさいディオさん。それと、ありがとうございます。」
「気にしないでくれまどかよ。では具体的にこれからのことを話そうか。」


そういって今までに得た情報を元に自らの考えを述べる。

「まず参加者の総数は25組。私たちが接触したのは5組、このうち脱落が確認できているのは3組で、鳴上悠によって得られた参加者の情報は10組で、そのうちの3組は脱落。」
そういいながら紙に纏め上げていく。

「現在私たちは脱落した者を除けば9組の参加者の情報を手に入れている。特に鳴上悠が接触し私たちとは面識のない7組の情報を私たちは一方的に持っている。これは大きなアドバンテージだ。」

話をしながらも筆を止めることなく次々と書き写していく。

「さらにこの中でチームを組んで殺し合いに乗っているのはセイバー2組とライダー1組計3組6人の柳洞寺チーム。鳴上悠と同盟を組んでいたとバーサーカー主従、ただしこれはバラバラに行動していたらしい。」

同盟を組んですぐに鳴上悠をこちら側に引き入れてしまったため、詳しい行動方針の情報は悠自身も持っていなかった。こればかりはどうしようもないとあきらめていた。

「そして最後にハナムラヨースケというマスターと軍服姿のサーヴァント、それにキャスター主従の2組4人のチーム。彼らについては殆ど情報が無い。ただキャスターは私の宝具の一つを解除できるらしいので要注意だ。」

ハナムラヨースケというマスターが悠の親友という情報は伏せておいた。わざわざマスターを動揺させる必要は無いと判断したためだ。

「そして最後に私が戦ったアサシンじみた能力をもつセイバーとアサシン。そして悠が敗北したというライダーの主従。彼らはチームを組んでおらず単独で行動しているようだ。」

そこで一旦話を止めワインを呷る。マドカも備え付けてあったジュースを飲みながら続きを促す。

「セイバーについてはたいしたことは無い。問題は奴のマスターだ。おそらく単独でもある程度戦えるのだろう。」

その言葉にあのときの光景がよみがえる。
なにもできず震え、詩音が連れ去られてしまったあの時を。

「進めるぞマドカ。アサシンもある程度の実力は把握した。恐れるに足らんな。ライダーについては底が見え無い。いくつもの能力を隠しているようだ。マスターの方も危険人物だ。」

そうしてすべての情報をまとめ上げマドカに手渡す。


239 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/28(水) 16:02:47 vjsRrS1w0


「この中で私たちが優先して排除しなければならないのは柳洞時のマスターたちとアサシン、そしてセイバーだ。もっとも柳洞時のマスターたちはさすがに私一人では無理だ。よってこれは一度おいておく。よってまずはセイバーとアサシンを片付ける。」
「それはいいのですがディオさん。柳洞時の方はどうするんですか?」
「数の力には数の力だマドカよ。先に排除するといったセイバーとアサシンは殺すのではない。私と『トモダチ』になってもらうのだよ。できるならライダーともね。」

戦ったセイバーもアサシンも一対一なら必ず肉の芽を植えつけることができるという確信があった。サーヴァントにできなくてもマスターのほうは確実だ。そしてクー・フーリンのように令呪で支配してしまえばいい。
ライダーについては未知数だがマドカさえ狙われなければ最悪逃げるだけならできる。

「まずは新都を中心に動こうマドカ。まだ私たちが把握してない参加者と接触して私たちと『トモダチ』になってもらい柳洞時攻略に協力してもらう。」

すでに魔力は十分に回復した。外の景色は陽が落ち夜の帳が下りている。
マドカの方も食事と休息を終え問題ない。


「じゃあ早速出ましょうディオさん。この戦いを、終わらせるために。」
「もちろんだマドカよ。夜は吸血鬼の独壇場だ。私の世界だ。全ての参加者を屠り、屍の頂で聖杯を手に入れよう。」


そうして、少女と吸血鬼は動き出す。
異なる目的を持ちながら、求めるものは同じ。ただ聖杯をこの手に・・・





しかし彼らは見落としていたことがある。
こちらが敵を知るように、敵もこちらを知っている可能性。
一方的にアドバンテージを持っているのが彼らだけでないことを。そして彼らが手に入れた情報は些か時間が経ちすぎていたこと。
これについては一箇所に留まっていた彼らのどうしようもなかったデメリットだろう。
これが彼らにどう影響を及ぼすのか。今の彼らには知る由も無かった。



【新都・住宅街/夜】


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:健康、令呪残り2画
[装備]:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)
 ※行動方針:聖杯を破壊するために戦う



【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:魔力消費(小) 、令呪(まどかの戦いに力を貸す)
[装備]:封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣、携帯電話


240 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/28(水) 16:05:23 vjsRrS1w0
以上で終わりです。繋ぎみたいな感じなので短いです。
タイトルは「始動する吸血鬼」でお願いします。
誤字脱字、意見感想お待ちしております。


241 : 名無しさん :2013/08/28(水) 16:11:38 45oiBOLo0
あれ、封印の剣ってもしかしてアロンダイトの上位相k(r


242 : 名無しさん :2013/08/28(水) 17:34:13 FvW31aPY0
投下乙!
さりげなく四面楚歌のまどか組、ついに西へ動き出すか
しかし現状まともに同盟を組めそうな相手は殆どいない…!
鯖としては間違いなく上位に位置するとはいえ、彼らの命運はどう転がるか


243 : 名無しさん :2013/08/28(水) 21:14:57 el1hVC4Q0
???「バトルリーグ覇者は承太郎ではないッ!このDIOだッ!!」


244 : 名無しさん :2013/08/28(水) 21:50:08 A5udSa/E0
WIKIも色々更新乙
Hungry Spiderは泣ける曲で俺も好きだ


245 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/29(木) 17:40:48 n7qR2iWc0
投下したばかりですが対主催チーム予約してもいいですか?


246 : 名無しさん :2013/08/29(木) 18:50:20 J09TLw3Q0
いいと思いますよ


247 : 名無しさん :2013/08/29(木) 19:04:50 hw2w341oO
>>241
ぼ、防御補正だけだし(震え声)


248 : ◆2shK8TpqBI :2013/08/30(金) 00:03:31 vL.Pba5U0
特に反対がなさそうなので衛宮士郎&セイバー(アルトリア) ルルーシュ&セイバー(ガウェイン) 泉こなた&ライダー 花村陽介&ランサー 名無鉄之介&キャスター
予約します


249 : 名無しさん :2013/08/30(金) 21:18:17 RnPZ1mhA0
らじゃ


250 : 名無しさん :2013/08/30(金) 21:18:35 RnPZ1mhA0
らじゃ


251 : 僕はね、名無しさんなんだ :2013/08/31(土) 10:10:05 FK90WsTM0
ちょっと遅いが、士郎の精神汚染の件。セイバーの対魔力で負の魔力を
弾けるのに、魔術や宝具ではキャンセル不可能っておかしくない?

五次キャスターも汚染された聖杯を正常なものとして使えるし、
キャスタークラスの魔術師なら呪いを排除する事も可能だと思うけど


252 : 名無しさん :2013/08/31(土) 11:34:53 FDp1vzHIO
もしくは紅の暴君やメダリオンよりランクが上で治癒や回復に適した宝具とかはどうなんだろう?


253 : 名無しさん :2013/08/31(土) 12:15:09 /CA1/Yz20
まあ精神干渉の肉の芽が除去可能だしね、メダリオンの元のランクの高さを考慮してリインの全力に令呪ブーストでないと解除不可、とかでいいかも


254 : 名無しさん :2013/08/31(土) 15:28:49 qtVwH23o0
セイバーのアヴァロンとかでも浄化出来そう


255 : 名無しさん :2013/08/31(土) 19:52:41 FDp1vzHIO
というか、今気付いたが投影した宝具の担い手になれる士郎が負の気を取り込んだ自覚すらないのはかなり無理があるのでは?しかもアンリマユを目の当たりにしたり一時期紅茶の腕に魂を侵食された経験があるならその手の現象にはむしろ敏感なはずたが・・・


256 : 名無しさん :2013/08/31(土) 20:46:49 wyr3KQAg0
無理矢理に士郎復活させようとしなくていいです。


257 : 名無しさん :2013/08/31(土) 20:55:11 C7FnyWWA0
このロワ今日見つけてここまで読んできたけど、面白いですね!
小鳩ちゃんは散々な目に遭って可哀そうだから生き残って欲しいなぁ


258 : 名無しさん :2013/08/31(土) 21:29:39 zgWJuUeo0
小鳩ちゃんは本当にワカメに目ぇ付けられたのが運のツキかと思いきや
何だかんだで此処まで生きたからな…ww


259 : 名無しさん :2013/08/31(土) 21:55:51 zzGTzfNI0
スタンス別にちょっとまとめてみた

対主催
ルルーシュ、陽介、こなた、鉄之介


危険人物
スザク、小鳩、まどか


危険人物(ステルス)
士郎

マーダー
市長、切嗣

対主催の崩壊が目に見えるというか何と言うか…
あと、死に方が地味にえげつないのが多いな。焼死とか斬首とか頚椎破壊とか。


260 : ◆cp3jCCSc7M :2013/08/31(土) 23:04:48 YqSzYKdc0
すみません、リアルが忙しくここしばらくスレを見れてませんでした
wYNGIse9i6氏の投下された「猛毒刀与」に関して申し訳ないのですがいくつか疑問点があります
メダリオンによって発生した呪いですが、>>251で触れられている通り現状では「対魔力スキルで弾けるがいかなる宝具や魔術でもキャンセル不可能な不可逆の呪い」という些か不自然なものとなっているように見受けられます
また、作中で提示された精神汚染の理由は「アシュナードが死に際にメダリオンを発動した」、「死亡した参加者の魔力は会場内を循環し、再利用されて柳洞寺に行き着く」、「アシュナードによって発生した負の気が士郎に伝わった」とあります。
これらは殆ど全て「猛毒刀与」で初めて出た後付けの設定であり、これらを核として士郎の精神汚染を不可逆、解除不可とまでしてしまうのは極端に感じ、個人的に賛同しかねます

加えて指摘をさせていただきますと、「Fate/Extra」では128組ものマスターとサーヴァントが聖杯戦争に参加しており、25組程度でリソースが逼迫するというのは説得力に欠けるかと
また、ムーンセルの聖杯戦争は原則マスターの意志が重視されており、かつ(例外はありますが)ムーンセルは管理の怪物とまで呼ばれるほど不正な要素を容赦なく消去しています
この点から鑑みて死亡した一参加者のランクEXですらない宝具の力でで生存している他の参加者の思考が容易に捻じ曲げられるのはやや説得力に欠ける印象を受けます
wYNGIse9i6氏、並びに現在予約をされている2shK8TpqBI氏には申し訳ないのですが精神汚染の部分を手段によっては軽減・解除可能というレベルまで修正していただいてほしいというのが私の正直な意見です


261 : 名無しさん :2013/08/31(土) 23:14:34 JIE3zEb60
聖杯戦争だから士郎詰ませちゃ駄目ってルールでもあるの?
悪いけど士郎復活させたいがために無理やり難癖つけてるように見える


262 : 名無しさん :2013/08/31(土) 23:22:51 FDp1vzHIO
詰ませ方が唐突で説得力に欠けるから異論が出るんじゃないの?
いずれにせよ書き手さんを含めた複数の人間が待ったをかけてる以上問題なしとは言えないだろう


263 : 名無しさん :2013/08/31(土) 23:32:25 BuhzchVk0
でもその理屈がありなら無理に士郎を詰ませようとしてる風にもとれるよ?
破棄しろって言ってる訳じゃ無いから目くじらたてなくても…


264 : 名無しさん :2013/08/31(土) 23:39:36 wyr3KQAg0
これもし士郎が死亡する話が投下されたりしたらどうなるんでしょうね。


265 : 名無しさん :2013/08/31(土) 23:50:43 /CA1/Yz20
書き手の判断に委ねろよそんなの。


266 : 名無しさん :2013/08/31(土) 23:54:40 zzGTzfNI0
これ以上の議論はしたらばの議論スレでやって、どうぞ


267 : 名無しさん :2013/09/01(日) 00:44:53 L6IrWc4g0
ちょっとスレ荒れてきてんよ〜
喧嘩腰のコメするのは控えてオナシャス!


268 : 名無しさん :2013/09/01(日) 00:51:45 Y3p3xNAY0
確かにその通りですね
すみません、反省反省


269 : 名無しさん :2013/09/02(月) 01:33:30 36w/AJY.0
議論スレも悪い雰囲気になってるな…
これが今後の進行に影響しなきゃいいんだけど


270 : 名無しさん :2013/09/03(火) 14:45:20 XTnemWvQ0
正直あんだけ士郎無双してりゃどっかでバランス取らなきゃならんと思うんだが。
ケリィ無双や番長無双よりひどいんじゃないか今の状況。


271 : 名無しさん :2013/09/03(火) 14:49:10 JgllGqJQ0
語尾に。付けてる人、しつこい
議論スレ行け


272 : 名無しさん :2013/09/03(火) 16:25:10 EiopPZVU0
何かあればいつぞやの番長を引き合いに出す風潮
何故かその惨劇と同格にされるケリィの風潮


273 : 名無しさん :2013/09/03(火) 16:29:38 x/iphMUE0
士郎の人柄的にそんなことやらない、ってのはなんか違うんだよなぁ
「それができる状況」、可能性を生み出しただけでアウトなんだよ!ってやつ


274 : 名無しさん :2013/09/03(火) 19:29:48 j41aoKMIO
やたら回復力が高くてランクEX宝具をバンバン使えるDIO様はセーフで士郎組がアウトって何の冗談だよ
どっちみち名無しのお前にずっと前に通った書き手さんの作品を侮辱する資格はないで


275 : 名無しさん :2013/09/03(火) 21:51:09 EiopPZVU0
まぁそもそもバランスうんぬんは今回の論点じゃないしね
問題なのは展開に矛盾や疑問点が浮かんでる所だろうし


276 : 名無しさん :2013/09/03(火) 22:33:40 wg0S9A460
>>273
皆が魔力不足でひいひい言ってるならわかるが実際そうじゃないからなあw
便利能力の数々を引っ提げたディケイドも自前で魔力補給できるし本当に今さらだわ

つうか陸に苦戦してラッキーでケリィを撃退しただけの士郎が無双だったらアレックスなんてどうなるんだよ


277 : 名無しさん :2013/09/03(火) 23:13:24 IBCxktyw0
他のキャラ出すのはやめよーや


278 : 名無しさん :2013/09/04(水) 20:26:20 s5MWDDAE0
議論スレは決着ついたのに何でこっちはまだこんななんや…


279 : 名無しさん :2013/09/04(水) 20:42:36 GykSnZlYO
これが魔王の目指すカオスなのか…?


280 : 名無しさん :2013/09/05(木) 15:44:30 SvB37OS60
住人同士による聖杯戦争は既に始まってるんだよ


281 : 名無しさん :2013/09/05(木) 16:54:57 1wQ08B/s0
このロワの進行そのものが、ゼロの掌で動いていた…?


282 : ◆2shK8TpqBI :2013/09/05(木) 20:30:25 w.xMyTcc0
すみません予約延長お願いします
あとあまり関係無いですが士郎っていま歳いくつでしたっけ? こなたより下でしたかね?


283 : 名無しさん :2013/09/05(木) 20:32:09 mSeIvnZo0
このゲームの登場人物は全員18歳以上です


284 : 名無しさん :2013/09/05(木) 20:41:33 N0W/EBqk0
キンダニとか番長は明らかに18歳未満なんですがそれは・・・


285 : 名無しさん :2013/09/05(木) 20:42:23 N0W/EBqk0
ってFateキャラだけの話?だったらすまん。


286 : 名無しさん :2013/09/05(木) 21:33:56 BZnLjNHg0
17じゃなかった?


287 : 名無しさん :2013/09/05(木) 21:45:35 /FAMmcu60
五年前の冬木大災害のせいで年齢不詳、とか?
勝手な想像ですが


288 : 名無しさん :2013/09/05(木) 21:46:31 D9UpJkTA0
エロゲ主人公だから高2だろうと高1だろうと18才以上ってことに


289 : 名無しさん :2013/09/05(木) 22:03:32 SvB37OS60
士郎は多分学年的に16~17前後だよね
二次聖杯のこなたは大学生以降っぽいし、こなたのが年上のはず


290 : 名無しさん :2013/09/05(木) 22:53:38 L83i9OPY0
十七だろ
後輩にさくらが居る以上高一はあり得ないし
アーチャールートもとい凛ルートラストの卒業式の描写を見てる限り三年生でもない


291 : 名無しさん :2013/09/06(金) 21:28:03 NnKGF2AQ0
修正版の投下は何時になるんですかね…?


292 : ◆wYNGIse9i6 :2013/09/08(日) 15:57:19 Q4iffNSg0
wikiの該当ページを修正しました。


293 : ◆cp3jCCSc7M :2013/09/08(日) 20:58:41 QUfz40e20
遅れてしまいましたが修正乙です
極端だった部分が概ねバランス良く修正されたと思います
ただ二点ほど指摘を、士郎は桜ルート終了後からの参戦なので正義の味方志望ではなくなっています
あとガウェインは柳洞寺で一回士郎が作った朝食を食べていますよ


294 : ◆l3N27G/bJU :2013/09/12(木) 06:53:33 3JcLi/Y.0
ジョン・バックス&アサシン
衛宮切嗣&ライダー
枢木スザク&バーサーカー
羽瀬川小鳩&キャスター
鹿目まどか&アーチャー

以上予約します


295 : 名無しさん :2013/09/12(木) 12:57:22 0w3INutI0



296 : 名無しさん :2013/09/12(木) 18:47:53 yJdT63c2O
>>294
あーあ、(詰みかけな二組が)出会っちまったか…


297 : 名無しさん :2013/09/12(木) 19:31:09 gjzVVNkE0
さて誰が残るやら
DIOまどかと市長大統領、小鳩キンブリー組あたりはしぶとそうだが……


298 : 名無しさん :2013/09/12(木) 19:40:32 03K0jg/k0
情報格差の底辺が響くか、幸運EXで乗り切るか…まどか組の運命やいかに!

え?こばとちゃんが底辺?いやいや彼女は情報の絶島ですよ


299 : 名無しさん :2013/09/12(木) 19:54:04 nK7Fw3isO
一見するとヤバそうなのは新都にいてまどか組の情報Zeroなケリィ組だが・・・
大統領がまどか組の情報を拡散して回る気でいるからわからんね
あと予約が綺麗に対主催とマーダーに分かれてるな


300 : ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 00:04:22 3vwJdShk0
すみません投下が一時間ほど遅れます。 ご迷惑おかけしてスミマセン。


301 : 名無しさん :2013/09/13(金) 00:05:54 sICoFriE0
了解です


302 : 名無しさん :2013/09/13(金) 00:07:20 hZBN152U0
いえいえ、お疲れさまです


303 : ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:01:02 8vY4pSkA0
お待たせしました。
予約分投下します


304 : 去り行く人と残された絆  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:03:49 8vY4pSkA0

「はあっ……」


遠坂邸の与えられた一室に,リインフォースはサーチャーで索敵を行いながらもどこか上の空だった。
同じ部屋に名無がソファーに寝そべりながらエロ本を読みふけっていても怒るどころか気にも留めない様子は、二人の関係を知るものがいれば目を疑うような光景だった。


「さっきからどったのリインちゃん?お腹すいた?」

気になったのか一旦エロ本を置き近づく名無。
真名で呼ぶなと注意するがその声はいつものように覇気がない。


「ほんとにどうしたんだよリ…キャスター。まだ調子がもどんねえの?令呪もう一個使う?」
「やめろ、魔力は十分に回復した。・・・お前のおかげでな。―――それとは別の事情だよ」
「別の事情って?・・・はっ!?もしやついに俺に惚れたか!いやっほう!!」
「ねーよ。」


荒れた口調で即答するがやはり元気がない。
さすがにおかしいと心配になる。やや逡巡したがやがて意を決して問いかける。


「あのさリインちゃん。何か悩みがあるなら話してくれよ。―――そりゃ俺はほかの奴等みたいに頭良くないけどさ、ひょっとしたら力になれるかもしれないぜ?」


口調こそはいつものようにへらへらしたものだったが、その表情は真剣だった。
わずかに驚きながらリインフォースは――――




「いや、別にいい」


あっさりと返した。


305 : 去り行く人と残された絆  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:04:41 8vY4pSkA0
「えーとつまり・・・要約すると、殺し合いはしたくないけど願いは叶えたい・・・って事で合ってる?」
「え?あ、うん・・・すごい要約したな」


間違ってはいない・・・むしろこれ以上ないほど端的に判り易い答えだったが、大切な所をスッパリと省略された気持ちになってくる。


「つーかそれって悩むことか?普通に聖杯ほしいでいいじゃん」
「そうもいかないだろう・・・ルルーシュも泉も衛宮も、聖杯の破壊を目的に行動しているんだ。そうなれば必ず衝突が起きる」


なにしろ叶えたい願いがあった花村ですら、聖杯の破壊に動いているのだから・・・


「大体聖杯を手にするということは、今一緒に行動している花村たちを裏切るとゆうことだぞ。お前はそんなことを出来る様な人間じゃあ―――」
「いやいやだからさ」

名無は話す途中で割り込みあっけらかんとこう言った。


「全員で聖杯にたどり着いてさ、聖杯壊す前に――――





横から掠め取っちゃえばいいじゃない」



「・・・・・・・」


何言ってんだコイツ・・・



「何言ってんだコイツ・・・」
「口に出てるぜリインちゃん」


いやだって・・・


306 : 去り行く人と残された絆  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:05:34 8vY4pSkA0
「不可能だろうそんなことは・・・他の奴等が許しは―――」
「なんで?花村も衛宮もルルーシュもこなたちゃんだって聖杯いらないんだろ?掠め取るっていうのは無理でも使わしてもらうくらいいいじゃん。どうせ壊すんだし」


あっけらかんと話す名無、その内容は完全に自分の想像を超えた内容だった。
ぶっ飛んだ内容と言い換えても良いかもしれないが・・・

「だいたい槍王の力だってぶっちゃけ掠め取ったみたいなもんだしなー」
「そうだったのか・・・」


おそらく偶然手に入れた力だろうとは思っていたがまさかそんなオチだったとは予想外だった。


「だからさリインちゃん。もっと欲張ってもいいと思うぜ。殺し合いをせずに願いを叶える―――それでいいじゃん。俺だってそのつもりで行動してるしな」
「だけど、でも・・・」
「なんだよまだ心配なのかよ・・・あ、じゃあこうゆうのはどうだリインちゃん」


そういって名無は私の正面に座り目を合わせる。


「もし他の奴等がリインちゃんの敵になってもさ・・・俺は最後までリインちゃんの味方でいる。なにが起こっても、ずっとリインちゃんの心を支えてやる」
「お前・・・・」
「だからさ、あきらめないでよリインちゃん。きっと大丈夫・・・あきらめなければまた出会えるさ!」
「また・・・出会える・・・・」


もう一度・・・もう一度はやて達に・・・


「信じろよリインちゃん。皆の協力があれば絶対大丈夫だ」


そういって私の手を握る名無の目を、なぜか見ることは出来なくて


「お前の癖に生意気だ」
「アイタ!?」


振り払いデコピンを当てる。手加減したとはいえサーヴァントの力でぶつけられたおでこは赤くなっていた。
その様子に少しスッキリしながら、ソッポを向いてぶっきらぼうに言い放つ。


「でもまぁ―――――ありがとう・・・・マスター」


そう言うと名無はまじまじとリインフォースの顔を見つめた。よく見ると頬がわずかに赤くなっていた。
名無はとても驚いた表情をした後、満面の笑みを浮かべ―――――



「リインちゃんがデレた!!」
「な!!?デレてない!!」


荒れた口調で反論するがまったく聞いていない名無はいやほぉぉう!と部屋を跳ね回る。
いっそバインドで拘束してやろうかと魔力を手に集めたときにドアからノックの音が響いた。
目を向けるのと同時に扉が開かれる。


「こなたとライダー?どうした、何かあったのか?」
「うん、あのね、士郎君が目を覚ましたから皆居間に来てほしいってルルーシュ君が」
「わかった。すぐに行くぞマスター・・・いい加減おちつけ!」

今だ飛び回るマスターにバインドを放ち、泉たちと一緒に名無を引きずるようにして向かった。


307 : 去り行く人と残された絆  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:06:27 8vY4pSkA0



「みんなごめん、迷惑かけた。えっとそれと始めまして衛宮士郎です。よろしく」

全員集まった居間で目を覚ました衛宮士郎は頭を下げた。隣にはセイバーが座っている。
すでに顔見知りのルルーシュと泉には申し訳そうに、初対面の花村と名無には礼儀よく挨拶する。

「まったく休みすぎだ。」
「まあまあルルーシュくん。士郎くんも大変だったんだしさ。」
あきれたように返すルルーシュに苦笑しながら宥めるこなた。


「士郎君、セイバーさん。俺はあなた達に謝らなきゃいけない事がある。」

こなたの傍らにいたライダーは士郎とセイバーの方に近づき頭を下げた。


「俺は凛ちゃんを守れなかった。凛ちゃんを殺してしまった陸くんを止められなかった。陸くんが犯人だとわかっていても、士郎くん達と向き合うことから逃げていた。謝って許される事じゃないけどそれでも―――」
「違うよ!映司さんは悪くないよ!元はといえば私が気絶したから助けを呼べなかったんだし、それにりっくんが疑われたとき私がかばったんだよ。悪いのは私のほうだよ。―――ごめんなさい士郎くん。セイバーさん」
「そんな・・・泉やライダーは悪くないだろ。悪いのは全部天海たちだし天海たちだって理由があって殺し合いに乗っていたんだ。二人が責任を感じる事はない」
「士郎の言うとおりです。リクもセイバーも他者を蹴落としても叶えたい願いがあったのでしょう。無論リンを殺したのは許せませんが、どの道もうすでに終わったことです」


士郎とセイバーはそういって二人を慰める。しかしライダーはそれでも申し訳無かった。
本来加害者である天海陸すら、できるなら助けたかったと思っているのだから。
暗くなりそうな空気を払拭するように名無が間に入り声をだす。


「あのさ、せっかくだから改めて自己紹介しないか?特に俺ら衛宮のことよく知らないし」

努めて明るくしようとする名無の意見を、珍しくもルルーシュが賛成した。

「そうだな、衛宮は俺の事はともかく他の奴等とちゃんと自己紹介していないしな。知っておいた方がこれから一緒に行動する上では悪くない案だ」

周りの人間関係をできる限り円滑に進めようとする姿は、ルルーシュを良く知る朽木スザクが見れば驚くだろう。
閑話休題



「じゃあ私からね。泉こなたです。こう見えて大学生なんだよ」

胸をそらし主張するその姿に士郎は―――


308 : 去り行く人と残された絆  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:07:29 8vY4pSkA0

「え!年上!?」
「事実だ。俺も最初驚いた」
「失礼しちゃうなー」
驚き思わず大声を出す士郎に、そんな反応に慣れているのかマイペースに答えるこなた。
実際はある種の自己暗示である。きちんと士郎たちと向き合ったとはいえ、いまだ天海陸の裏切りと死はこなたの心に大きな影を落としている。
こればかりは実際にリクと向き合うか時間が経たねば解決できない問題である。なのでできる限り日常と同じ行動や言動を取ることで平静さを保っていた。


「次は俺なー。名無鉄之介!美少女ハーレムを作るイケメンだ!こっちはマイスウィートハニーのり・・・キャスターだ」

そういってキャスターの肩に手を回そうとする直前、魔力を込めて強化された肘打ちが脇腹に突き刺さり床に突っ伏した。
周りの反応を見る限りいつもどおりのようで士郎以外ノーリアクションだ。

「不本意ながらコイツのサーヴァントのキャスターだ。よろしく」

差し出された手を握り返し軽く握手をすると復活した名無が再び抱きつこうとしていたが、顔面に裏拳を叩き込まれ再びダウンした。
乾いた笑みを浮かべる士郎の前に、ずっと暗い顔でうつむいていた少年―――花村陽介が席から立ち上がり士郎の前で止まった。
その様子に周りの人間・・・明るい名無ですら緊張感を帯びたものに変わった。
そんな周囲の空気に気づいていないのか、あるいは判っていてもそれでも行動を起こしているのか、花村は緊張した面持ちで切り出した。


「花村、陽介・・・です」

途切れ途切れになりながらも、花村は言葉を止めずに―――


「あんたの、いや・・・衛宮の家族を殺した――――鳴上悠の・・・親友だ・・・」

そして辛そうな顔色で。いや、実際に辛いのだろう。顔は青ざめて苦しげに立っていた。
周りの者も心配げに、(花村のサーヴァントだけ特に変わっていなかった)花村と士郎を交互に見ていた。



「あんたはっ、憎んでいるか・・・相棒を、あんたの家族を殺した悠のことをっ・・・・・憎んでっ・・・いるか・・・」
「花村、お前・・・」



「相棒を止めれなかった俺をっ・・・怨んでは・・・いないか・・・・っ」

声を絞り出すように問いかける花村。その視線を逸らさずに向き合う。


「なあ花村。なぜ鳴上はこの戦争に参加したんだ?人を殺してでも叶えたい願いがあったのか?」
「――――あった・・・俺は持っていたし悠にもあった。いや、俺以上に悠は願いを叶えたかったはずなんだ。」
「何なんだ、その理由とは」

黙って話を聞いていたルルーシュが間に入ってくる。
殺されかけた身としては理由くらい知っておきたいのが心情なのかもしれない。




「――――俺は、・・・いや、俺達は――――――――――人を殺したんだ―――――」




それからポツポツと当時の状況の説明を始めた。
連続殺人事件―――シャドウとペルソナ、自称特別捜査隊。増えていく仲間、連れ去られた奈々子。ついに捕まえた犯人。そして――――奈々子の死と犯人への断罪―――




「だから俺達はあの時、犯人を・・・生天目をテレビの中に突き落として・・・殺した・・・殺しちまった・・・っ」


辛いことを思い出すように。いや、実際は辛いのだろう。トラウマと化している出来事を話しているのだから。それでも花村は話を続けた。



「それ以来俺達はバラバラになった・・・。何やっても楽しくなくて、顔を合わせたら辛くて、あの日のことを今でも夢に見る・・・。だから俺はあの日をやり直したくて・・・・・・聖杯戦争に参加したんだ」
「やり直しを望んだのですか・・・」

セイバーは複雑そうな面持ちで見ていた。他の皆も声を失っている。


309 : 去り行く人と残された絆  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:09:02 8vY4pSkA0
「そんなこと考えなきゃよかった・・・逃げずに立ち向かっていたらっ・・・俺達は聖杯で願いを叶えようなんてきっと思わなかった・・・」

ああ・・・ほんとに・・・

「無くしてから気がつくなんてほんとに馬鹿だッ・・・!俺たちだけじゃねえ、衛宮さんたちにも取り返しのつかないことを――――」
「マスター!!」

どんどんとマイナスに陥っておく心を無理やり止めるようにアレックスが話を止めた。

「落ち着けマスターよ。今は他に為すことがあるはずだ。それにお前がそうしてても死者が戻ってくるわけでもない」

なんとか気持ちを落ち着かせるべく慣れない説得をするがあまり効果がみられない
このままでは戦うことも出来なくなるとアレックスが内心焦りを覚えていると――――




「それなら会わせてやろうか・・・」
「―――――え?」

突然言われた提案。
その内容をだれもが理解できずにいると・・・


「下です士郎!」

セイバーの忠告と同時に床一面に魔法陣が敷かれ、そこから現れた触手状の物に全員が捕まるとそのまま陣の中に引きずり込まれていった・・・・






「ちょっとリインちゃんどうしたの!?皆どこ行っちまったんだよ!」
「・・・心配するな、害があるようなものじゃ無い。全員時間が立てば戻ってくる」
「・・・そっか。わかった」

それだけいうと携帯を取り出し何か調べていた。
あまりにもあっさりした態度に逆にこちらが面喰い尋ねる。

「聞かないのかお前は。私が嘘を言っているかもしれないぞ?」
「いいよ。リインちゃんのこと信じてるから」

至極当然のように返しどこかに電話を掛ける名無

「・・・冗談だ。あいつ等は無事だよ・・・今頃自分の傷に向き合っているさ」

それだけ伝えると発動した魔法の制御と索敵の同時進行に意識を集中した。



















「ここはいったい・・・」


そこは辺り一面暗闇で覆われていた。
上下左右全てが黒に染まっていて自分が立っているのか浮いているのかそれさえ分からなかった。
周りを見ると名無とキャスター以外全員いて同じように困惑を隠しきれない表情を浮かべていた。

「ガウェイン、これはいったいなんだ」
「おそらく固有結界の一種かと思われます。すでに我々はキャスターの術中に捕らわれているかと・・・」
「脱出する術は?」
「申し訳ございません・・・私には何とも」
「衛宮、お前たちは何か解らないのか?」
「術者のキャスターを倒すか時間が経てば消える・・・とは思うけど・・・」

現時点ではどうすることも出来ない。そう理解すると全員で現状把握に取りかかった。
仮にこれがキャスターの裏切り行為だとしてもタイミングがおかしい。
いくらキャスターが裏切りのクラスとはいえこの場面で裏切るのはあり得ない。
最良なのは衛宮切嗣のような危険人物を全て打破した後自分たちを罠にかけるのが一番賢い選択だ。
ならば他に何か理由があるのか?あるならそれはいったい何なのか?
気になったのが直前にキャスターが言った一言

「それなら会わせてやろうか・・・そう言ってたよな」
「どういう意味なんだろ。普通なら私たちを同じ目に合わせるって意味に取れるけど」
「だけどこなたちゃん。俺たちはまだ全員生きている。仮にキャスターさんが俺たちを殺すつもりならとっくに殺されているはずだよ」
「それならば一体どのような理由なのでしょう。まさか本当に死者に会えるわけが・・・」


310 : 去り行く人と残された絆  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:10:07 8vY4pSkA0



コツン・・・コツン・・・

その時サーヴァントが全員戦闘体勢に入り音がした方へ意識を向ける。
マスターたちの方も警戒をし何があっても動けるように集中した。

近付いてくる足音・・・やがてその姿が見え始めたとき、驚きに思考停止に陥るものが現れた。


そこに現れたのは3人の男女だった。
黒い髪をサイドに纏め赤いコートを羽織っていた、気の強そうな少女いた
赤い少女とは対照的に、雪のように白い肌と髪をし、赤い瞳の少女がいた
まるで海藻を思わせるウェイブがかかった髪型をし、意地の悪い笑みを浮かべる少年がいた


「遠坂・・・イリヤ・・・慎二・・・」


驚愕の表情を浮かべる衛宮士郎に答えるように笑みを浮かべる、冬木の御三家がそこにいた


311 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:19:34 8vY4pSkA0



「お前たち、なんで・・・だってイリヤは俺の目の前で・・・え・・・?」


混乱する頭で思い当った可能性―――彼らは実は死んでいなかった可能性―――

「みんな、本当は生きて―――」
「いいえ違うわ士郎、私たちは確かに死んだわ。死んでムーンセルに分解されて、消え去るだけの運命だった。今ここにいるのはキャスターのおかげなの」
「それって、どういう・・・」

未だ働かない思考で答えを出す前に遠坂凛が前にでる

「キャスターが分解されてただのデータになった私たちを再構築したのよ。といってもムーンセルは管理の怪物。不正データは消去される。だからあまり時間が残されてないわ」

だから早く済ませましょ

そういって凛は泉とライダーに近付いていく

「凛ちゃん・・・」
「泉さん。よかった、無事だったのね
それとごめんなさい。あなたの所に危険な参加者を残すことになってしまって・・・」
「なんで・・・なんで凛ちゃんが謝るの!?凛ちゃんは何も悪くないよ!私の方が・・・足引っ張って・・・」
「私が死んだのは私が天海陸を信用した結果。いってしまえば私の判断ミスよ。泉さんが気にすることはないわ。」
「でも―――!」
「泉さん、それに火野さんも聞いて。自分が選んだ選択は自分だけが責任をとるものよ。他の誰かが肩代わりするものじゃ無い」

だから―――

「あなた達が責任を感じる必要はないわ。あなた達は何も―――悪くない」
「凛ちゃんっ・・・!」
「それからもう一つだけ、お願いがあるわ泉さん。必ず無事に家に帰って頂戴。家族が一人ぼっちになるのは、とても悲しい事だから・・・」

そういってどこか寂しげにほほ笑むその姿は、どこか儚く思えた。

「約束するよ!だから凛ちゃんも・・・一緒にっ・・・一緒に帰ろうよ!」
「・・・ありがとう。でもごめんなさい、それはできないの。
火野さん、泉さんをしっかりと守ってあげて。それだけが、あなたにするたった一つのお願いよ」
「・・・わかったよ凛ちゃん。必ず彼女を無事に送り届ける」


その答えに満足した凛はまた元の位置に戻り、イリヤスフィールの背をそっと押した。


「ごめんね士郎、悲しい思いをさせて。弟を泣かせて悪いお姉ちゃんだね。」
「イリヤっ・・・俺は・・・」
「でもね、私たちの死を引きずらないで。士郎にはまだ会いたい人が、帰らなきゃいけない場所があるはずよ」

その言葉に士郎が思い浮かべたのは最愛の女性―――
切嗣から受け継いだ「正義の味方」の夢を捨ててでも守ると誓った愛しい恋人―――

「だから士郎。必ず生きて帰って。それともう一つだけ、切嗣を・・・お父さんをお願い・・・」

そして今度は花村の方へ向き直る

「ランサーのマスターのお友達なんですってね」

ビクリッと動揺する花村とそれを庇う様に前に出るアレックス

「俺、イリヤさんに・・・なんてお詫びしたらいいか・・・」

ごめんなさいっ・・・と謝る花村にイリヤは少しだけほほ笑みを浮かべると

「私を殺したあのマスターを許せるといえば嘘になるわ。だけど私は恨まない。だからあなたも前を向きなさい」

強い眼差しでそれだけを告げるとまた士郎の方へ向きなおる。
よく見ると三人のアバターは崩れ始めていた

「お前らっ!」
「そろそろ時間みたいね・・・じゃあね衛宮君。桜のことよろしくね・・・」
「士郎、好きな子泣かせたらだめよ。ちゃんと無事に帰ってね・・・」

三人の体にノイズが走る。
三人の色さえももう識別することが難しくなった。
それでも彼女たちは笑みを浮かべながら、友人と家族の無事を願いながら消えていった。


312 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:24:52 8vY4pSkA0







2探偵と皇帝


「セイバー、死者を蘇らせるなど可能なのか?」
「地上では不可能に近いことですがここは電子世界。おそらくキャスターは何らかの方法で分解された彼女たちのデータを再構築したのでしょう」
「なるほど、さっきお前が言っていたウィザードに近い性質を持っていたあのキャスターだから出来る芸当だと」


となると目的はキャスターの言葉どうりで精神的ショックを受ける原因となった遠坂凛とイリアス・フォン・アインツベルンを衛宮士郎と泉こなた、そして花村陽介に合わせる事だったのだろう。
だがそれならそろそろ戻ってもいいはずだ。
それとも他にまだあるのかと思考を巡らせると、再び近づいてくる影
その姿を確認すると、今度はルルーシュとガウェインが衝撃を受ける番だった。


それはルルーシュにとって自分のミスで死ぬことになった仲間―――


「おまえは、金田一・・・」
「金田一殿!」

ボサボサの髪を纏め上げた同年代の少年。自分たちのチームの中核を支えていたライダーのパートナー。
金田一一がそこにいた。


「衛宮さん、ルルーシュさん、セイバーさん。また会えて嬉しいよ」
「金田一・・・すまなかったな」
「いいんだルルーシュさん。それよりも皆が無事でよかった。手遅れにならずに済んでホッとした」
「・・・お前は、なぜ責めないんだ?俺がお前を殺したようなものなのだぞ」
「あの時はどうしようもなかったことだから。それにルルーシュさんを恨むのは筋違いだよ。ルルーシュさんもガウェインさんも悪くない・・・」
「金田一・・・お前・・・」
「だから俺が言うのは恨み言じゃなくてお願いだよルルーシュさん。そのために、こうして会いにきたんだ」
「お願い・・・?」
「ああ・・・聖杯を破壊して地上に戻る事が出来たらさ・・・。出来たらでいいんだ、俺の両親と美雪・・・俺の幼馴染に伝言を・・・今までありがとう、それとごめんなって伝えてほしいんだ」
「それはっ・・・」


それはとても難しい注文だった。
仮に聖杯が破壊でき地上に帰ることが出来ても、金田一がいた世界に行くことが出来るとは限らない。
そもそもルルーシュはもしかしたら地上に戻れば死んでしまうかも知れない体だ・・・
だが、それでも・・・

「いいだろう金田一。その願い、確かに請け負った・・・」
「・・・ありがとう。ルルーシュさん」

そして満足気に笑って・・・

「衛宮さん、ルルーシュさん。それから他の皆さんもどうか、無事に地上に帰ってください。絶対にだれも死んだりなんかしないでください・・・」



それじゃあ・・・さようなら・・・



その言葉を最後に・・・名探偵は先の三人と同じく分解され消えていった。


313 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:29:31 8vY4pSkA0



そして、次の役者が現れる・・・



3嘘吐き少年と正義の味方



分解されデータとなり電子の海をさ迷っていた中、天海陸は突然体を引っ張られる感覚に襲われ、気づけば元の体のアバターになっていた。
混乱する頭の中突如入ってきた情報、そして唐突に理解した。
死んだはずの自分がなぜこうして立っているかを―――



「りっくん・・・」
「天海・・・お前も何か伝えたいことがあるのか?」

目の前には会いたくもない奴ら
自分を見てそんな希望を押し付けるのに、ひどくイライラした。
そんな事―――

「「・・・伝えたいこと―――――



 ―――――そんなもの無いよ・・・」」


ある筈なんて無い。



「「伝えたい事どころか、話すことすら俺にはないよ。一体なんで俺まで生き返らせたのか意味がわからない・・・」」
「りっくん・・・」
「「ああでも衛宮達からしたら殺しても殺したりない奴だからか?それとも騙された腹いせに泉達が殺すかな?どっちでもいいけど」」
「・・・陸君、どうして殺し合いに乗ったのか理由を聞かせてくれないか?」
「「理由?願いを叶えたかったからに決まってるだろ。そのために遠坂が邪魔だったんだよ。
それにあいつ嫌いなタイプな人間だったし魂喰いに丁度良かったからさ、それ以外に理由なんて―――」」
「それはさ陸君。凛ちゃんを殺した理由であって殺し合いに乗った理由じゃないよね」
「―――――――――」

うるさいなあ、関係ないだろ。

「そうだぞ天海。俺達が知りたいのは聖杯戦争に参加した動機だ。魔術師じゃないお前がどうして人を殺して願いを叶えようとしたんだ」
「あんたも・・・俺や悠みたいに追い詰められてこの戦争に参加したのか?」
「何か、理由があるんだよねりっくん。そうだよね・・・?」
「君は本当は人殺しが出来るような子じゃ――――」
「るっせんだよっ!!」


ガンッ!っと刃旗を地面に突き刺した
これ以上こいつらの声を聞いていたくなくて、わけも分からず怒鳴った。


「黙って聞いてりゃどいつも知ったように語ってんじゃねえよ!見下してんじゃねえっ!何手前勝手な同情してんだっ!お前ら俺の事なんか何も知らないじゃねえかっ!ざけんじゃねえ!」
「天海、おまえ・・・」

一度外れた感情のタガをコントロール出来ず、衝動のまま叫んだ。


314 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:31:13 8vY4pSkA0


「俺だってなぁ!こんなはずじゃなかったんだ!俺だって意味不明だよっ!どうしてこうなったかなんてわかんねえよ、おかしいんだよ、でもしょうがないだろがっ!いーんだよっ!どうでもいいんだよっ!」

その勢いのまま火野さんの胸倉をつかんだ。
それでも火野さんは静かな瞳で俺を見て、それが余計に腹ただしかった。

「だいたいなあっ!人を騙すなんてこれが初めてじゃないんだっ!今まで俺の嘘で何人死んだか!何人犠牲になったか知らないだろうがっ!今更そこに一人増えたぐらいで何も感じるもんかっ!」

思っていたこと。言えなかったこと。心の奥に溜め込んでいたこと。
すべてをぶちまけた。
「遠坂だってさぁ!気に食わなかったしさぁ!あいつ見てると嫌いな奴思い出すんだよっ!死んでせいせいしたよっ!」
「りっくん・・・」
「煩い!黙れ喧しいっ!馴れ馴れしいんだよアンタっ!何も争いがない平和ボケした世界にいる奴がっ!俺の何が分かるってんだっ!俺は・・・俺はアンタみたい奴が一番嫌いだっ!」


怒りが、俺を支配する。
こいつらの言葉に怒っているのか?
自分でも頭の中がぐちゃぐちゃでわけが分からなくなる。

「火野さん、あんたもだよっ!救いたかったなんてっ、手を伸ばしたかったなんて偉そうにしやがってっ!希望煽った責任ちゃんと取れんのかよ!気持ち悪いよそういうのっ!駄目な奴はずっと駄目なんだっ!」

人を信じろだなんて。
仲間を頼れだなんて。
したかったよ本当は。
でも、出来なかったんだ。
もう、いいんだ・・・


「遠坂が死んだって知るもんかっ!俺はそんな人間なんだっ!火野さんだってほんとは俺のこと軽蔑してるんだろっ!嫌いになっただろう!もうこのまま放っておいて―――」
「陸君」

火野さんががし、と胸倉をつかんでいた腕を外し・・・




そのまま勢い良く顔面をぶん殴られた。
あまりの光景に周りの人間は唖然としている。
もちろん殴られた俺も殴られた体勢のまま火野さんを見上げる。
そして火野さんはこちらにズンズンと近づいて無理やり立たせた。

「いい加減にしろっ!君がどんな人生を歩んでどんな悲惨な出来事に巻き込まれたか俺には分からないけどなっ!まともに人と向き合わなかった奴の言葉なんて誰の心に響かない!そうやって誤魔化して生きるのはさぞ楽なんだろうけどな!それじゃ駄目なんだよ!なぜそれが分からない!」
「ひ、火野さん―――」
「君が今までどれだけ嘘をついて何人騙して何人裏切ってどれだけ人を死なせたかっ!そんな事俺達には分からない!けれどっ!」



「どうして君が凛ちゃんの死を悲しんじゃいけない理由になるんだ」

「・・・・・・・・・・」


ストンっと何かが落ちた気がした。
今まで自分を縛っていた鎖が、とても脆弱で貧弱なものに思えてきた。

「凛ちゃんが死んで悲しかっただろう」
「悲しく・・・なんか―――」
「それは嘘だよりっくん!だってあの時、凛ちゃんが死んだあの時っ!りっくん本気で泣いてた!例え全部が嘘だったとしても、それだけは本物だった!」

そういって泉は涙を流した。
キラキラと、とても綺麗な涙を・・・
ああそうか、そういうことだったんだ・・・
嘘ついて誤魔化すことじゃなかったんだ・・・
俺が本当にやらなきゃならなかったことは・・・



「りっくんっ!」
「あ・・・・」

だけどもう時間切れだった。
体を構成するアバターが端から崩れていく。
もう時間が無い。伝えなきゃ、これだけは伝えなきゃ!

「火野さん、泉さん、ごめんなさい。信じてくれたのに、手を伸ばしてくれたのに裏切ったりしてごめんなさい。もし、もしもさ―――」

すでに下半分のアバターが消え両腕も消えてしまった。
もう少しだけ、あと少しでいいんだっ!


「もし次があるのなら・・・もう一度やり直せる機会があったらさ、今度は人を信じる事から始めるよ。火野さんたちが教えてくれたみたいにさ。嘘つかないで、誤魔化さないで、熱を込めた言葉で本気でぶつかってみるっ」
「陸君―――」

そのときはあの嘘吐きな相方ともキチンと向き合おう。アイツはなんて言うかな。
また皮肉を言うかな。驚くかな。それとも案外本音で話てくれるかな。

もう殆ど分解されてしまったけれど、不思議と怖くはなかった。
最後は精一杯の笑顔で別れよう。


「ありがとう。とても優しい、正義の味方・・・」


その言葉と一筋の涙を最後に、天海陸は再び消え去った。
嘘の仮面をかぶり続けた少年は、最後に大切なモノを思い出し、電子の世界へと退場した。


315 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:36:54 8vY4pSkA0



4相棒


「ライダー、あんたは最後に・・・天海を救ったんだな」
「そうかな・・・俺はほんとに陸君を助けられたのかな?」
「助けられたよ映司さん。だって、りっくん最後はあんなに笑顔だったんだもん」
「こなたちゃん・・・うん、ありがとう」

泣き目を腫らしながらも微笑むこなたに、少しだけ勇気づけられる。

「おしゃべりはそれ位にしておけ。おそらく次で最後になる」

遠坂凛 イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 間桐慎二 金田一一 天海陸
今まで現れたのは此処にいるマスターとサーヴァントに縁があるマスターだった。

ならば次に現れる可能性があるマスターは一人しかいない。
それが分かるのか花村は緊張した面持ちで前を見ていた。


やがて人影が現れた。
銀髪に眼鏡、高い身長に花村と同じ学生服
ここにいる殆どの者と浅からぬ因縁があるマスター
鳴上悠が立っていた。



「悠・・・お前―――」
「すまない陽介。少しだけ待ってくれ」

今にも溢れそうな涙腺を堪え、悠に近づくがその前に片手で制される。
そのまま悠は衛宮さんの前に立ち・・・・


深々と頭を下げた。


「すまない・・・俺があなたの家族を殺した。家族を殺される痛みは・・・一番分かっているのに・・・自分の願いの為に踏みにじった」
「お前っ・・・」
「謝って済む問題ではないことは分かっている。何なら俺を好きなようにしてくれていい。だから・・・お願いだ、陽介を責めないでくれ・・・」
「悠っ!お前は何を言っているんだ!?お前はっ、お前は操られていただけで―――」
「確かに俺はDIOに操られていた。でもそれはあのランサーのマスターを殺した後のことだ。あの少女は、俺の意思で殺した」
「悠っ・・・」
「どうしても・・・どうしても取り戻したいものがあったんだ。そのために、俺は殺し合いに乗った。そして・・・敗北した・・・だから俺が死んだのは自業自得なんだ。」

だから・・・

「だからこいつは関係ないんだ。ランサーも俺に付き合ってくれただけだ。恨むなら、俺だけにしてくれ・・・」
「あんた・・・」
「俺の罪を、こいつに背負わせないでくれ・・・」
「・・・顔あげろよ」

衛宮さんの言葉に、ゆっくりと顔を上げる悠。
そのまま二人は見つめあい、やがて衛宮さんの方から言葉を切り出した。

「アンタのしたことは許せない。アンタがどう言ったところでイリヤは帰ってこない。俺はそれを許すことはしない」

けれど・・・

「イリヤは花村を恨まないと言った。だから俺も、お前も花村も責めることも恨むこともしない。セイバー、それでいいよな?」
「はい士郎。その選択はきっと間違いではありません」
「・・・ありがとう」
「礼なんか言うな。それより、花村と話さなくていいのか」
「・・・そうだな」


316 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:42:44 8vY4pSkA0



そうしてこちらに振り向き、暗い表情でお互い向き合った。

「悠・・・」
「ごめんな陽介、俺は失うのが怖かったんだ。絆がなくなったままは耐え切れなかったんだ。もう一度あの時に戻れるなら、俺はどんな事でもしようって思ったんだ。どんな罪でも背負おうと思ったんだ」

やっぱり悠も、俺と同じ願いを持って参加したのか。

「でもだめだな。一人じゃ何も出来ないくせに一人で戦った挙句、何も出来ないまま終わったんだから。やっぱり俺は、皆がいなきゃ駄目みたいだ」
 
そんなの、そんなの俺だって同じだっ・・俺一人じゃ何も出来なかった
俺が今までがんばってこれたのはっ・・・これたのはっ・・・


「お前ともっと早く会えていたら、こうはならなかっただろうな・・・けど、もう俺の戦いは終わってしまった・・・最後にお前に会えて――――」
「最後なんて言うなっ!」

吃驚した表情で俺を見る悠。
だけどそんなことは気にならない。

「死んだお前にこうしてまた会えたっ!だったら、聖杯に願えばお前とまたっ―――」
「駄目だよ陽介。それは違う鳴上悠だ・・・今此処にいる俺とは違う。これが俺だ、お前にサヨナラする俺なんだ・・・」
「そんなこというなよぉ・・・小西先輩も、奈々子ちゃんも死んでっ・・・その上お前まで死ぬなんてそんなのっ・・・」
「陽介・・・」
「まだ俺達、やりたい事やってないんだぞっ。春にはさ、弁当持って皆で花見に行こう・・・夏には海にまた行こうぜ!車の免許取ってさ、少し遠くに行くんだっ!」

そうだ、まだやり残した事は沢山あるっ!

「秋は文化祭にお前を招待してさ、またミスコンやろうぜ!あ、お前の学校の文化祭に行くのもいいかもな。都会の学校だからやっぱすげえだろうな!」
「花村・・・」「陽介くんっ・・・」
「冬にはさ、スキーに行こう!連休使って泊まりでさ、きっといい思い出になるっ!そんで今年も楽しかったなって、また来年だねってそんな風に・・・笑い合えるような・・そんな・・・未来ならっ・・・」

突然、視界が暗くなった。そして今俺は、抱きしめられてるんだと理解した。


「死んでごめん」


ポツリっと零される相棒の言葉に、涙が溢れてくる。

「う、ううう――――」
「陽介、ちゃんとサヨナラをしよう」

くそっ・・・こんなこと女の子にやれっていっただろっ。
こいつって本当にっ・・・

「陽介、今からお前が特捜隊のリーダーだ。皆のこと、頼んだ」
「ふざけんなっ、お前がちゃんと最後までやれよっ・・・」
「お前にしか頼めないことなんだっ!」

力強い言葉と共に目を合わせられる
ああ、ちくしょう―――わかってるんだよ、やらなきゃいけないことは。

「わかった。任せとけよ相棒、お前の分もしっかりとやってみせる!だからっ・・何も心配するなっ・・・」
「・・・よかった、安心した。」

これを・・・と何かのファイルのような物を渡される。
もう悠の体は崩れ始めていて、すでに侵食は胴体近くまで進んでいる。
残された時間は少ない。

「じゃあな悠。・・・お前のことは忘れない。絶対に、忘れないっ!」

もう侵食は顔にまで到達した。そして悠は最後に、とても綺麗な笑顔を浮かべて・・・

「陽介、お前に会えてよかった・・・おれの、最高の相棒っ!」

跡形もなく消え去った


317 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:48:52 8vY4pSkA0





5残されたもの


「お帰り」

いつの間にか元の居間に戻ってきたルルーシュたちを迎えたのはキャスターの出迎えだった。


「ちゃんと向き合えたようだな」
「キャスター、お前・・・いや、なんでもない」
「ありがとうキャスターさん。凛ちゃんやりっくんと、もう一度話しをさせてくれて・・・」
「ふん、別にお前達のためにやったわけじゃない。いつまでも落ち込んでられたら戦いに支障が出るからやっただけだ」
「それってつまりは俺達のためだよね。ありがとうキャスターさん」

にこにことお礼を言うライダーにグッと息を詰まらせるキャスター
その様子をニヤニヤとみる名無がキャスターに近づき・・・

「あれーリ、・・・キャスターひょっとして照れてる〜」
「・・・フンっ!」「グハッ!」

そしていつも通りのやり取りが始まる。
そんな二人に花村が近づく。
「キャスター、ありがとう。おれはもう一度だけ悠に会えた。別れもした。もう俺は立ち止まらない、あいつの分まで俺は進むよ」
「・・・そうか」

その答えが聞けたなら、魔力も無駄にならずにすんだ。

「時間はあまり経っていないようだな。少し休んだら作戦会議を―――」
「ちょーーとまったあ!」

ルルーシュの意見に待ったをかける名無

「作戦会議?ノンノンだめだめわかってないっ!お別れもして、いざこざも無くなったらすることは一つにきまってんだろ!」
「それは一体なんです?」

セイバー(青)もわからないのか名無に問いかける。そして名無はふっと笑うと高らかに宣言した。

「そんな事決まってる・・・それは――――


――――――宴会に決まってんだろぉ!」

そして鳴り響くチャイム。そして次々に運ばれる様々な料理。
寿司・肉・オードブルなどざっと十数人分ほどある


「お前いったい何を考えて―――」「・・・いいかもな、俺も何か作るよ」
「衛宮っ!?」「腹ごしらえも必要ですよルルーシュ」「そのとおりです」
「そういえば私お昼から何も食べてないや」「俺も、泣いたら腹減ったな」
「じゃあまずは皆でご飯だね」「・・・まぁ悪くあるまい」




それからはドンちゃん騒ぎだった。
名無が予め頼んだ料理に加え、衛宮とこなたの二人が作った料理を手当たり次第食べるダブルセイバー
それを呆れながら見るルルーシュに苦笑いのライダー
我関せずに酒を飲むアレックス、セクハラをして殴り飛ばされていく名無に運悪く巻き込まれた花村
皆この平和なひと時を楽しんだ。


大切なこの時を・・・噛み締めた・・・


318 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:52:43 8vY4pSkA0






「隣いいか花村?」「勿論、好きに座れよ衛宮」

お互い最初の気まずさは無くなり敬語も取って普通に話すようになった。
周りを見ると皆少しずつ打ち解けていっているように見える。

「名無はすごいな。まさか宴会をするとは思わなかった」
「あいつ本能で生きてるけど気遣いも出来るんだよな。いや、もしかしてあいつがやりたかっただけか?」
「・・・もう大丈夫なのか?」「・・・全然平気っ!・・・てわけにもいかないけど、でもまあ吹っ切れた」

そう言ってジュースを片手に宙を見上げる。

「俺さ、悠に会えてほんとに良かったって思ってる。嫌なことも辛い事もあったけどさ。それ以上に楽しかった」
だから死んで悲しかったけどさっとポツリと零す。
「俺はもう迷わない。あいつが大切にした絆の力で、俺は相棒の分まで戦う。それがおれの覚悟だっ」
「いいんじゃないか。逝ってしまった人の意思をついで戦う。アリだよそれ」
「・・・サンキュ」「おう、」


見守ってくれ悠、俺は必ず帰る。
今度は逃げずに皆と向き合おう・・・そして守ろう、お前が守りたかった絆(コミュニティ)を・・・



「―――――っ!」



我は汝、汝は我。

汝、真なる絆と強き覚悟を得たり。

強き決意と覚悟・・・それ即ち新たな力成り・・・
今こそ、汝には見ゆるべし。
“スサノオ”の汝が内に目覚めんことを・・・・




「新しいペルソナ・・・」「どうした花村?」

衛宮には見えなかったのか。それもそうか、これは俺の心のうちに起こったことだ。
これは絆の力、悠がくれた力だ。


「ありがとう。悠」



いつかまた・・・どこかで・・・





【深山町・遠坂邸/夜中】


【泉こなた@らき☆すた】
 [令呪]:3画
 [状態]:健康、
 [装備]:携帯電話


【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:健康、新たな決意


【花村陽介@ペルソナ4】
 [令呪]:3画
[状態]:健康、強い覚悟と決意
[持ち物]:ミネラルウォーター@現実、カロリーメイト@現実・医薬品一式@現実
 大学ノート@現実・筆記用具一式@現実・電池式充電器@現実・電池@現実
 携帯電話*携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
 予備の服@現実・食料@現実・スパナ@現実
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)
※ジライヤがスサノオに転生しました。
※鳴上悠からデータファイルを渡されました(現時点では詳細はわかりません)


【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:2画
[状態]:健康
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)


319 : 去り行く人と残された絆(後編)  ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:53:18 8vY4pSkA0


【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
 [令呪]:1画
 [状態]:健康 、焦燥と迷い
 [装備]:携帯電話、ニューナンブ
※枢木スザクが参加していることを知りました
※マスター達は時空を超えて集められたのではないかと考えています


【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
 [状態]:魔力消費(大)、
※リインフォースにある術式の改良を依頼しました


【衛宮士郎@Fate/stay night】
[令呪]:2画
[状態]:健康、精神汚染(極小)
[装備]:携帯電話、ICレコーダー
※紅の暴君の投影に成功しました。
柳洞寺から魔力を汲み出すことが出来ますが、伐剣覚醒を始めとした魔剣の力による恩恵は一切受けられません
また、破壊されたり破却した場合は再度投影し、土地に剣を突き立てる必要があります
※アシュナードの【負】の気を取り込んだため、魂が変質しました。
 戦いなど【負】の気が満ちる場所に身を置くと変質は更に進行します。


【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[状態]:魔力消費(大)
[道具]:紅の暴君(投影)@サモンナイト3 、無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate Zero
※ムーンセルに課せられていた能力制限が解除されました
※ムーンセルから得られる知識制限が解除されました





「あれは一体なんだったのだ?」

居間から離れた廊下の隅にアレックスとリインフォースは佇んでいた。

「あれは私の宝具に記載されている魔法を電子世界用に改造した物だ」
「電子世界用に?」
「あれは本来なら術式の中に捕らえた人物の記憶を元に人物の再現を行う」
「つまりは、あれは偽者だったと?」
「いや、中でどんな会話をしたかはしらないが、再会した奴らの言葉は紛れもない本人の言葉だ」


リインフォースが今回行った魔法の元となったのは闇の書の夢
この術式を改造し、死んだ人間の分解されたデータを拾い集め、NPCにインストールにアバターを書き換えたもの
これが蘇りの正体である
無論、ムーンセルは管理の怪物。ムーンセルの修正力により効果は30分程度で消費する魔力は膨大。
燃費の割りに効果が割に合わないのである

「とはいえ、今回は役に立ったようだがな。正直ムーンセルにアクセスする実験の側面が強かったのだがな」
「上手くいきそうなのか?」
「いや、もっと中枢に近づかないと無理だな。やはり会場の脱出が急務だな」

ふとアレックスが面白そうに笑っている
「なんだ?」
「いや、随分とマスターに感化されているようだと思ってな」「なっ!?」
「いいのではないか。名無の力でお前の悩みも晴れたのだろう?」
「・・・ああ、そのとおりだよ。私は決めた。殺し合いをせずに聖杯を手に入れる。そして胸を張ってはやてに会うんだ」

それがリインフォースが決めた答え

「そうか、ならばその意思を貫け。強い意志は道を切り開く力になる。それがお前の進むべき道を作るはずだ」

そういってアレックスは再び居間に戻っていった。
残されたリインフォースは、外に出て星を見上げた。

「はやて、これでいいよね。私は絶対諦めないから待ってて。はやてほどじゃないけど、そこそこ頼りになるマスターがいるからさ。きっとまた会える。信じていれば、必ず・・・」



【ランサー(アレックス)@ARMS】
 [状態]:魔力消費(中)、ARMSの進化(進行度小)
※アサシン(ヴァレンタイン)が生存していることに気付きました



【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:魔力消費(大)回復中、強い決意
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園を中心に索敵しています
※ガウェインからある術式の改良を依頼されました
※転送魔法の使用にかかる魔力消費が本来より増大しています


320 : ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 01:54:43 8vY4pSkA0
以上となります。期限に間に合わず申し訳ありません。
ご意見、ご感想、修正案などお待ちしております


321 : 名無しさん :2013/09/13(金) 02:15:53 c7MVUDfk0
投下乙です


322 : 名無しさん :2013/09/13(金) 13:12:48 uTp2bVPY0
投下乙です!
傷心してるメンツもいて不安要素の強かった対主催チームだったけど
死んでいった皆と向き合えたことで強固な結束と決意を得られたな…良かった
そしてジュネスのペルソナ進化きたか…!
とはいえ、精神汚染士郎や暗躍する大統領もいることだし今後はどうなることか…


323 : 名無しさん :2013/09/13(金) 21:00:17 hZBN152U0
乙でしたー!
RPGの決戦前みたいな高揚感


324 : ◆2shK8TpqBI :2013/09/13(金) 23:39:47 .Nqx3Pzo0
すみません今読み返して見たら2〜3行抜けてるの有りましたわ。
Wiki に乗せるとき追加してもいいですか?


325 : 名無しさん :2013/09/14(土) 12:44:04 PsCWC7Tk0
大丈夫かと思われます


326 : 名無しさん :2013/09/14(土) 21:52:48 UdjEchdg0
おお、こうやって未解消で流れていったあれこれを拾うとは!
本編でフェイトが体験したやつだよね
あれなら確かに死んだ人たちと会話できるのも納得だw
まさかだったけどナイスな展開でした!


327 : 名無しさん :2013/09/14(土) 22:44:17 LSwihfuoO
>>326
ああ、夜天の書の中に張った結界に飛ばしたってあれか。今回のはそれにムーンセル内故のご本人さん登場が叶ったって感じになるか?


328 : ◆2shK8TpqBI :2013/09/15(日) 00:17:39 qcmBG6NA0
最悪だ…訂正して編集したのにタイトル間違えた…
誰か訂正できる人いません?


329 : 名無しさん :2013/09/15(日) 12:59:13 fM89NgZA0
ページを消したりページ名変えるのはメンバー権限以上ある人だけだからな……
もしいなければ、仕方ないんで正しいページ名で作りなおして、間違ったページヘのリンクはしないよう気をつけるくらいかと


330 : ◆l3N27G/bJU :2013/09/17(火) 04:25:17 .Wg11o3s0
延長申請します


331 : 名無しさん :2013/09/18(水) 01:04:33 A9RxXkx60
あげ


332 : 名無しさん :2013/09/19(木) 21:38:41 h5aTJG5g0
あげ


333 : ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:15:15 FJlnjz6w0
最初に謝罪します
予約したもののどうにも手が回らず、切嗣・ライダー、まどか・アーチャー、市長・アサシンが書き切れませんでした
よってこれらの予約を破棄、投下するのはスザク・バーサーカー、小鳩・キャスターの四名となります
長期間のキャラ拘束申し訳ございません

では、投下します


334 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:16:11 FJlnjz6w0

それは、夏の暑い日だった。
ぎらぎらと照りつける太陽の下を、小鳩は歩いている。
隣には兄がいた。三つ年上の、高校二年生。
小鳩と兄は夏休みの貴重な一日を冷房の効いた家ではなく蜃気楼が見えそうな道路の上で過ごしていた。

「あんちゃ…」

あまりの暑さに設定を忘れ素が出そうになる。
兄が振り返る前にごほんと咳払いし、

「ククク…我が眷属よ…貴様に我の足となる光栄を授けよう…」
「もう疲れたのかよ…家出て五分だぞ」
「うう…だって暑…ククク、こ、この煉獄の饗宴はもはや飽いた。
 貴様に我を興じさせる権利をやろうというのだ」
「俺だって暑いんだからおんぶなんて勘弁してくれ。
 だからゴスロリやめて薄着にしろって言ったろうが」
「わ、我が闇の力が具現化したこのドレスを脱ぎ捨てるなど…!貴様は我ら夜の血族の証をなんだと」
「お、自販機だ。なんか飲むか小鳩」
「ペプツ!ペプツ買って!」

設定は消し飛んだ。

「この自販機コカしかないわ」
「…コカでええと」

小鳩はペプツ派だが、トマトジュースよりはコカのほうがいい。
兄に買ってもらったコーラで涼を取り、さらに歩く。
流れる汗はもはや滝のようであり、小鳩の端正な顔立ちも色々と台無しだ。
なんでこんな辛い思いをしてまで学校に向かっているかといえば、いつもどおり部活動に参加するためだ。
兄は最近部活に入り、小鳩にあまり構ってくれなくなった。
今日こそ逃がさないと兄にくっついて家を出てきたのだが…

「…あんちゃん、帰ろう。うち疲れた」
「だから出る前にやめとけって…ここからだと学校と家、多分学校のほうが近いぞ」
「そ、そーゆうことじゃな…うう〜っ。もういいっ。あんちゃんのあほーっ!」

気がついたら、小鳩は兄に背を向けて走りだしていた。
前は小鳩の頼みを何でも聞いてくれたのに、最近の兄は冷たい。
兄を憎んだわけではない。
ただ、もう少し小鳩に優しくしてほしいと思って、小鳩はYESと答えてしまった。
ある夜、夢の中、真っ黒な仮面を被った見たこともない男の――叶えたい願いがあるか、という問いに。


335 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:16:42 FJlnjz6w0


 ◇ ◆ ◇


「…キャスター、それは何をしているんだ?」
「仕込みですよ。私は【キャスター】のクラスですからね」

柳洞寺での敗戦の傷もまだ癒えぬ夜半、枢木スザクとキャスターは深山町を歩いていた。
バーサーカーの傷は未だ癒えず、実体化もままならない。いるのはスザクとキャスターだけ。
そのキャスターは、さっきから自身の治療もそこそこにNPCとすれ違うたびに彼らの肩に手をおいていく。

「私なりの陣地作成…とでも申しましょうか。次の戦のための下準備といったところですよ」

キャスターはそう言うが、歩き去っていくNPCたちにはどこも変わった点は見られない。
キャスターに触れられたことさえその瞬間に忘却しているようだ。

「スザク、はっきり言っておきましょう。彼らは強大です。
 おそらくこの聖杯戦争で最大の勢力と言って間違いないでしょう」
「だろうな。五人のマスター、五騎のサーヴァント。
 そのうち二騎が最優のクラスであるセイバーで、さらに三騎士の一角ランサー。
 ライダーが機動力を補い、キャスターが後方から支援する。
 数だけじゃなく、質を見ても…隙がない」
「対して、私達は死にかけのバーサーカーとキャスター。
 先ほどあなたが話していた衛宮切嗣…ライダーを入れても三騎。
 どれほど策を練ったところで、正面からぶつかれば容易く蹴散らされる」

淡々とキャスターは言う。
改めて考えれば絶望的な戦力差だ。
かつてナイトオブセブンとして世界中の戦場を駆け巡っていたスザクも、ここまで辛い戦場を経験したことはなかった。

「仮にあなたのバーサーカー――サー・ランスロットでしたね。
 敵方にはかの同じ円卓の騎士が二人もいる。騎士王アーサー、そしてガウェイン。
 並み居るセイバーの英霊全体で考えても、五指に入る強者でしょう」

キャスターにはバーサーカーの真名を知られてしまった。
無論、手を組んだ今どうこうされることはなくともスザクはやはり不快だ。

「私の賢者の石で仮にランスロット卿が万全の状態になったとしましょう。
 彼がアーサー王とガウェイン卿を抑えたとする…これもかなりの楽観論ですが。
 向こうのライダーはこちらのライダーが、キャスターは私が…さて、ランサーが残りますね。
 これはどうしようもない。
 いかにあなたが出夢に匹敵する身体能力を備えていたとしても、さすがにランサーの前では赤子も同然。
 私のようなキャスターが相手なら話は別ですがね」
「わかっているさ。それにキャスターが相手だしても、決して優勢には成り得ない」
「可能ならマスターを仕留めたいところですが…」
「それも難しい。なにせ、向こうはサーヴァントの数で勝る。
 一騎をマスター五人の護衛にあてておけば、それで事は足りるわけだからな」

そして、ルルーシュはスザクの戦闘能力を知悉している。
彼の仲間のマスターがどれだけの力を持っているにせよ、ルルーシュはマスターにスザクの相手をさせはしないだろう。


336 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:17:23 FJlnjz6w0

「打つ手なし…か」
「我々だけでは、そうですね。兎にも角にも戦力が必要です。
 この仕込みも戦況を逆転できるほどのものではない。
 最終的に必要になるのはやはり純粋な武力なのだから」

キャスターは流れ作業的にNPCへ干渉していく。
その行為そのものはさほど魔力を消費しないらしい。
キャスターが道すがら自らスザクへ明かした手の内を信じるなら、キャスターの戦闘力そのものは決して高くない。
なにせ出夢に競り負けたほどだ。純粋な戦闘力で言うなら下から数えた方が早い。
が、セイバーやバーサーカーと違い、キャスターの真髄は戦闘力ではない。
陣地作成、道具作成といった、戦へ至る前の準備の段階で絶大なアドバンテージを得る、それがキャスターのクラス。
罠を仕掛けるならキャスターの右に出るものはない。
敵にもキャスターはいるが、あれともタイプは違うようだ。
このキャスターの本分は錬金術師。
物質の組成を組み換え、望むままに再構成する。
派手な光線や転移はできないが、スザクの義肢のような武装を作成することも可能だ。
彼一流のその技能を活かすのなら、やはり強力な前衛が必要となる。

「キャスター、バーサーカーが使う武器を作れるか?」
「できますよ。とはいえ、さすがに英霊の振るう宝具と何度も打ち合えるほどではありませんが。
 基本的には使い捨てることになるでしょうね」

今のバーサーカーは切り札であるアロンダイトを失っている。
元々莫大な魔力を消費するため気軽に扱えるシロモノではないが、丸腰であるよりかはマシだ。
その切り札がない以上、新たなカードを用意しておく必要がある。

「少なくとも、セイバーの剣に対抗出来るだけのものが必要だ」
「それは弱りましたね。作れるとは言っても、剣製は私の専門ではない。
 鋼の錬金術師ならばそういうのも得意なのでしょうが…」

キャスターの専門は爆発物である。
単純なナイフや爆弾ならともかく、長剣となるとさすがに門外漢だ。
他から武器を調達するにしても、さすがに敵の握る剣を奪うのは現実的に不可能。
衛宮切嗣と戦ったは、あのライダーの呼び出した龍を支配することができた。
もしあのライダーが龍以外の宝具を多数備えているなら、それをバーサーカーが借り受けて戦えるのだが。
さすがに剣の宝具なんてないだろうな…とスザクが考えている間に、二人は目的地についた。
出夢とキャスターのマスター、羽瀬川小鳩が隠れているセーフハウスだ。
そしてもう、出夢はいない。
改めて突きつけられた現実を噛み締め、スザクは唇を噛む。


337 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:17:44 FJlnjz6w0

「…おや、これは」
「どうした?」
「私のマスターが…目覚めたようですよ」

キャスターから告げられた言葉に、スザクの目が鋭く絞られる。
未だまともな意思疎通ができていないキャスターのマスター――ことによってはここでの交戦もありうる。
スザクは瞬時にキャスターから間合いを取り、ようやく掴んできた魔力の流れを制御してバーサーカーに注ぎ込む。
スザクのギアスがキャスターから危険を感知すれば、僅かな時間ならバーサーカーを呼び出せる。
それでキャスターを仕留められるかは賭けだが、スザクの目に後退の意志はない。
これ以上難敵を増やすくらいなら――というスザクの決意を見て取ったか、キャスターはひらひらと手を振る。

「落ち着いてください、スザク。まだあなたと敵対すると決まったわけではありませんよ。
 少し前に言ったでしょう。私はまだ、マスターとろくに話しもしていないと。
 まずは私に、マスターと話させてください。
 私からも現状を説明しますのでいきなりあなたを始末しろと命じられることはないはずですよ」

キャスターはそう言い、無造作に民家へと入っていく。
臨戦態勢を崩さぬまま、スザクも続く。
キャスターが小鳩のいる部屋へ入り、スザクはその少し前で止まり、会話を伺うことにした。

「お目覚めですか、マスター」
「っ…だ、誰?マスター?」
「あなたのサーヴァントですよ。お目にかかるのは…そうですね、実に一日ぶりです。
 覚えていらっしゃいませんか?我らは主従の契約を結んだのですよ。
 とはいえ、すぐにあの間桐慎二によって蹂躙されてしまいましたがね」
「慎二…あ、い、い…いやぁあああああああ!あああぁあああぁあああああ――――!」

その名を聴いた途端、小鳩は絶叫した。
慎二――スザクにとっても忘れられない、怨敵の名だ。
畜生にも劣る彼の所業の犠牲者はスザクだけではなかったようで、泣き叫ぶ小鳩の声が胸を痛ませる。

「落ち着いてください、マスター。
 あなたの苦しみは察するに余りある…守れなかった私が言うのも何ですがね。
 とにかく、間桐慎二は死にました。もうあなたを傷つける者はいませんよ」
「いや、いやぁ…もうやだ…あんちゃん…あんちゃんどこぉ…?」


338 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:18:16 FJlnjz6w0

なだめるキャスターの声も、小鳩には届いていない。
彼女には兄がいるのか、とスザクは嘆息した。
妹という存在に良い思い出はない。
ユーフェミアはルルーシュの手で葬られ、ナナリーはスザクが放ったフレイヤの光に飲み込まれたのだから…

「弱りましたね。間桐慎二の残したトラウマですか…」

キャスターは小鳩を置いて部屋を出る。
そしてスザクに目配せし、民家の外へと連れ出した。

「ご覧のとおりです。私のマスターはもはや戦えません。
 いえ、最初からそうだったのでしょうね。彼女が聖杯戦争に参加したのは何かの間違いだと確信しますよ。
 あれは闘争を経験したことのない羊の眼です」

スザクにしろルルーシュにしろ出夢にしろ、聖杯戦争に参加する前から戦場に身を置いていた人間ばかりだ。
慎二は戦士とは到底思えないが、魔術師としての知識があったゆえにスザクやキャスターを手玉に取れた。
しかし、小鳩は違う。
彼女には何もない。魔術も、鍛えた肉体も、戦う覚悟すらも。
本当の意味での一般人、民間人だ。

「どうするんだ、キャスター。
 お前はマスターが目覚めるまでの安全を買いたいと言った。
 だが肝心のマスターに戦う意志がなければどうしようもないぞ」

スザクの問いに、キャスターはしばし黙考し…
やがて、考えをまとめ顔を上げた。

「スザク。不躾ですが、ここでもう一度確認させていただきたい。
 あなたの意志は…他のすべてのマスターを皆殺しにして、聖杯を獲るというあなたの意志は変わりませんか?」
「…ああ。もう退くつもりはない。
 ここで折れれば出夢とアサシンの死が無駄死にになる。
 俺は…聖杯を獲る。何を捨てても、誰を殺しても、絶対にだ」

唐突なキャスターの問いかけだが、スザクは一瞬の迷いもなく答えた。
敵がどれだけ強大だろうと関係ない。
ルルーシュがその中にいるとしてもだ。
罪を償うためにより大きな罪を犯す。
矛盾しているとはわかっていても、今さらこの道を違えることはできない。
スザクが聖杯に掛ける願い――それは有り体に言えば世界平和だ。
祖国の解放だけではない。これまでスザクが殺めてきた多くの人々の願いも共に。
ブリタニアが支配する世界を武力で破壊するのではなく、もうこれ以上誰の血も流れない革命を。
人の手では決して不可能なその願い。
聖杯ならば、可能だ。


339 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:19:02 FJlnjz6w0

「今さらそれを聞いてどうする、キャスター。俺を殺して誰かに寝返るか?」
「フフフ…まさか。
 自らの願いのために他者を屠る…人としてあるまじき傲慢、強欲。
 ですがその欲望、その意思こそが人間!そう…それなのですよ、中心にあるべきなのは。
 意思を貫く人間を、私は好みます。それは敵であれ味方であれ…ね」
「何が言いたい?」
「スザク、私はね…聖杯などどうでもいい。
 私を満足させてくれる結果を見せてくれるならば、勝ち負けは問題ではないのです。
 そして、枢木スザク。
 あなたという人の皮を被った外道が、聖杯に至ったとき何を得て何を失うのか。
 私はそれを見届けたくなったのですよ」

キャスターはスザクの返答を聞き、意を得たとばかりに嗤う。

「残念ながら私のマスターには私の望む意志はない。
 今回は縁がなかったとしてこのまま座に帰っても構わないのですが…。
 しかし、あなたがいる。人の身では到底抗えない高き壁に、自らの愚かさを知ってなお挑もうとするあなたがね。
 ならば私は…サーヴァントとしてではなく、一個人としてあなたに協力してもいい。
 そう思っているのですよ」
「お前のマスターはそう思っていないのにか?」
「一個人、と言いましたよ。
 協力するのは私だけです。マスターは関係ない」
「…キャスター、貴様」

キャスターの言わんとすることを理解し、スザクの眼に嫌悪が広がる。
だが、それはスザクにも染み付いているもの…嫌悪する資格など、最初からスザクにはない。

「さあどうします枢木スザク。私はすべてあなたに委ねましょう。
 バーサーカーをただ一人の供にして最期まで孤独な戦いを続けるか。
 それともこの私、キャスターの助力を得るか。
 さあどうするのです、枢木スザク」

キャスターが差し伸べた手を、じっと見る。
ルルーシュがC.C.と契約しギアスを得たときとよく似ている。
その手は決して善意からくるものではなかっただろう。
破滅を約束されるものに間違いない。


340 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:19:31 FJlnjz6w0

だとしても――あのときのルルーシュは躊躇わなかっただろうし、スザクとてそうだ。
今さら失うものなど何もない。
騎士の誇りも、人間性も、すべてを捨てて勝利を掴むと決めたのだから。
スザクは迷わずキャスターの手を掴んだ。

「いいだろう…結ぼう、その契約。
 キャスター、マスターを裏切り、俺に力を貸せ!」

それはスザクが新たな力を手に入れたということであり、同時にキャスターの現マスター…羽瀬川小鳩の運命を摘み取ったということでもある。
マスターは二人もいらない。
キャスターがスザクに協力することを決めたのならば――キャスターに命令を下す令呪を持つ小鳩は邪魔なだけだ。

「お待たせしました、マスター。
 確認させていただきます…あなたの願いは、この聖杯戦争からリタイアして家族の元へ帰ること。
 それでよろしいですね?」
「…帰れるん?」
「ええ。本当はルール違反なのですが…マスターがそうしたいと言うなら仕方ありません。
 私もこれ以上の苦痛をあなたに強いるのは心苦しい。
 ですからマスター…あなたはもう、お帰りなさい。ここはあなたのいるべき場所ではない」
「帰、る…帰れる…あんちゃんのところに…?」
「ええ。ここでのことは、悪い夢だった。目が覚めればすべて忘れている、そんな夢です。
 もう誰も、あなたを傷つけたりはしませんよ…」

キャスターが、スザクを呼んだ。
部屋に入ってきたスザク――慎二を連想させる青年男性を見て小鳩がまた怯えるが、キャスターは優しく小鳩の頭を撫でる。

「心配しないでください、マスター。彼はこの聖杯戦争の監督役でしてね。
 彼に令呪を渡せば、あなたは晴れてこの聖杯戦争から離脱することができますよ」
「え…ほ、ほんとに…?」

キャスターの嘘をまるで疑わない小鳩の視線が痛い。
ただ単に命を奪うのではなく、小鳩の心をも弄べと、キャスターは教唆している。
あるいはそれがスザクを試す最終試験か。

(手を汚せと言いたいのか、キャスター。俺に、この子の心を裏切れと…)

だが、地獄のような体験をすべて忘れられるのならば――それはきっと幸せなことなのだろう。
せめて最期くらいは穏やかな気持ちで眠らせてやるのもいい。
どうせスザクは裏切りの騎士と呼ばれた存在だ。
いまさら一つ非道を重ねたところで、何が変わるわけでもない。


341 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:20:05 FJlnjz6w0

「…ああ、そうだ。君の持つ令呪を一つ、僕に渡してくれればいい。
 それで君を…争いのない、平和な…世界、へ…!」

こみ上げてくる自分への怒り、嫌悪を無理やりにせき止めた。

「…君の兄が待つ、いつもの日常へと、帰してあげるよ。約束する」

スザクからすれば醜い、どす黒いエゴの込められたこの約束は――小鳩にとっては甘い果実だった。
小鳩は無心にスザクへと手を伸ばす。
ただこの悪夢を終わらせたい、その一心で。
かつては慎二に消費させられた令呪は二画であり、今自分の手にある二画の令呪の矛盾に気付きもせず。
羽瀬川小鳩は枢木スザクへ一画の令呪を移譲した。

「これで…帰れるん? あんちゃんのとこへ…」
「ああ…おやすみ、羽瀬川小鳩。目が覚めた時、きっと君の隣にお兄さんがいるよ」

スザクは小鳩の細い首筋に触れ、そっと締め上げた。
小鳩の意識はあっさりと霧散し、スザクは崩れ落ちる小鳩の体を抱き留めた。

「上出来ですよ、スザク。あなたはやはり最低の人間だ。この私と同じにね」
「…どうするんだ、キャスター。本当に彼女は聖杯戦争から逃げ出せるのか?」
「まさか。あなたも無理だとわかっていてああ言ったのでしょう。
 マスターには私の一部となっていただきますよ」

キャスターは民家の庭に魔法陣を描き、その中心に小鳩を横たえた。
いかにキャスターとて魔力供給源のマスターを失っては長時間の現界は不可能だ。
だが例外はある。
かつてあるキャスターが令呪一画を消費して地域そのものをマスターとして消滅を免れた。
無論このキャスターはそんなことは知らないが、ただ己の知識と術を駆使すれば可能であると理解していた。
その術とはすなわち。

「マスターの肉体と令呪をもって、賢者の石を練成します」


342 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:20:25 FJlnjz6w0

 ◇ ◆ ◇


キャスター――真名、ゾルフ・J・キンブリー。
人とホムンクルスとの生存競争において、ホムンクルスの側に立ち人間と対立した狂気の錬金術師。
その生涯は味方としたホムンクルスに殺害、取り込まれるという形で幕を閉じた。
ホムンクルスの核である賢者の石は人間の魂を凝縮して作られる。
キンブリーが自己を認識したとき、彼の周りは生きたまま魂を抽出された者達の怨嗟の声で溢れていたが…

(怨嗟の声など、私には子守唄に等しい)

キンブリーを食ったホムンクルス――プライドが人間に敗北した時、キンブリーの魂もまた解き放たれた。
しかし何の因果かこうしてサーヴァントとしてキンブリーはまた存在している。

(あれはあれで、貴重な体験と言えるでしょうかね)

最終局面、プライドは人体錬成や賢者の石の構築式を知っている錬金術師を食った。
中には先にキンブリーもいたのだから、いわばキンブリーと同化したようなものだ。
故にキンブリーは賢者の石の錬成方法を知っている。
キャスターとして召喚され、賢者の石を宝具として携えているのもそれが理由の一つなのだろう。
キンブリーはその知識に従い、マスターである羽瀬川小鳩を賢者の石へと練成する。
ただし、それは殺害と同義ではない。
正規のマスター以外を仮のマスターにした場合、パラメータの低下は避けられない。
だが令呪を持つ正規のマスターを殺さず、生きたまま賢者の石にしたのならば。
マスターから魔力を供給されているという点では、マスターが生きている時と何も変わりはしない。
つまりマスターを勝手に動かない魔力を供給させる装置、生きた魔力炉とするのだ。
マスターに対する忠誠心をキンブリーは持ち合わせてはいない。
その行動に一切の後悔はない。
かつてキンブリーはホムンクルスの側。圧倒的強者の側にいて敗れた。
今の状況で言えば、強者とはすなわち敵の集団だ。
枢木スザクがあの鋼の錬金術師のように、鋼の心と手足を武器に運命を覆せるだろうか。
結末がどうであれ、彼の旅路はキンブリーを楽しませるに違いない。
物質と化していくかつてのマスターに少しばかりの同情と大いなる感謝を込めて、キンブリーは術式を完了させる。
生成された小さな赤い石――出会ったときのマスターの右目のような真紅の、紛れもない賢者の石だ。

「では、さようならマスター。私の中で幸せな夢を見続けてください、ずっと…ね」

キンブリーはその石を、ごくんと飲み込んだ。


343 : 夢見るように眠りたい ◆l3N27G/bJU :2013/09/26(木) 05:21:24 FJlnjz6w0

 ◇ ◆ ◇


帰ったらどうしようか。
まずは兄に大好物のとんこつラーメンを作ってもらおう。
ペプツコーラもつけて。
プールに連れて行けとせがむのもいい。
炎天下を歩くのは辛いが、水泳は大好きだ。
クーラーの効いた部屋でだらだらするのもいい。
部活に行くと言い出したら思い切り泣いて困らせてやろう。
それでも小鳩を放っておくなら…そう、今度こそ兄についていって。
兄をたぶらかす昼の眷属どもを成敗してやろう。

「あんちゃん…うち、すぐ帰るから…」

でも、すごく眠い。
夢から覚めないといけないのに、まぶたが下りてきてしまう。
いっそ寝てしまおうか…
起きたらきっとふかふかのベッドの上だ。
それでリビングに行けば、いつものように兄が食事を作って待っているはずだ。
兄の料理は大好きだ。
食べると幸せな気持ちになる。

「あん…ちゃ…ん…」

起きたらきっと大好きな兄が傍にいる。
そう信じて、小鳩は…覚めることのない、永遠の眠りについた。


【羽瀬川小鳩@僕は友達が少ない   石化】


【深山町・民家/夜】

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(特大)、義手・義足を機械鎧化
 ※衛宮切嗣と情報交換を行いました。ただし一部の情報は伏せられています

【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】
[状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊
     宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失
 ※極度の魔力消費により負傷及び鎧の修復が始まっていません

【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(大)、全身ダメージ(小)、右胸貫通
[装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石
 ※宝具“賢者の石”により魔力の急速な回復が可能です
 ※小鳩は厳密には死亡していない訳ため、マスター不在によるパラメータの低下は起こりません

※不特定多数のNPCに「仕込み」がされました。


344 : 名無しさん :2013/09/26(木) 05:22:40 FJlnjz6w0
投下終了です
熊本弁難しい…


345 : 名無しさん :2013/09/26(木) 08:05:07 S/aFTlsI0
投下乙です
このロワに救いは無いね。仕方ないね


346 : 名無しさん :2013/09/26(木) 10:02:43 Riu0e5u.0
投下乙です!
ワカメに散々嬲られて、ようやく救い出されたかと思ったのも束の間
最終的に自分のサーヴァントに騙されて魔力供給の道具化…最期まで踏んだり蹴ったりだったね


347 : 名無しさん :2013/09/26(木) 10:57:52 OdddqlEQ0
投下乙です。
マスターを騙した挙げ句に「殺すの勿体無いから魔力炉にしよう」ってところが清々しい外道っぷりで素敵だわw


348 : ◆2shK8TpqBI :2013/09/26(木) 12:18:32 LLEDO4yE0
投下乙です
小鳩熊本弁だったのか…
前の話で普通に標準語にしちゃった…

それと一つだけ気になったのがアレックスがランサーってどうやって気づいたのかなと思いました


349 : 名無しさん :2013/09/26(木) 16:00:51 7cnEPE4g0
ブリューナクが武器って聞いたからじゃね?


350 : 名無しさん :2013/09/26(木) 16:43:48 9LcQyXcI0
そんな事聞いてないはず


351 : 名無しさん :2013/09/26(木) 17:14:40 JUoke8kk0
そもそもあいつのブリューナク荷電粒子砲だからなあ……w
いや、某ランチャーさんいるから、むしろ、それでランサーと気づいた可能性もry

投下乙でした!
え、えげつねええええ
まさか生かさず殺さず搾り取るとは
この手法は錬金術師ならではで、やっちゃうのはキンブリーならではだなー。すげー


352 : 名無しさん :2013/09/26(木) 17:53:39 k3pg7aWw0
投下乙でしたー!
賢者の石、人を使った錬成陣、町を覆いかねない規模……まさか


353 : ◆wYNGIse9i6 :2013/09/26(木) 19:25:50 W/WG7O2Y0
投下乙です
小鳩はやっぱり救われなかった
慎二の影に隠れてたけどキンブリーも結構な外道なんだよなぁ

その他のキャラの予約は破棄ということですので、改めて

ジョン・バックス&アサシン
衛宮切嗣&ライダー
枢木スザク&バーサーカー
キャスター
鹿目まどか&アーチャー で予約します

ランサーのクラスについては修正されるかどうかは◆l3N27G/bJU氏にお任せします


354 : 名無しさん :2013/09/26(木) 19:27:19 LLEDO4yE0
投下乙です
なんていうか最後まで踏んだり蹴ったりだったな小鳩…
出夢生きてたら庇ったりしたのかなとちょっと妄想

少し気になったのが賢者の石って複数の命使ってやっと1個じゃなかったっけ?
記憶違いならスマン


355 : 名無しさん :2013/09/26(木) 20:47:28 hqmamCu20
人間そのもの単体を賢者の石にする事は可能(豆もやってた)
大きさに関しては多分小鳩ちゃんじゃなくて令呪分だと思う


356 : 名無しさん :2013/09/27(金) 08:16:02 IcSwE5RI0
ハガレンは旧作アニメしか知らんけどキンブリーって愉悦部員なのか?


357 : 名無しさん :2013/09/27(金) 09:44:49 2KbOlyB.0
最初は小鳩をだまくらかして第四次キャスター討伐クラスの大騒ぎを起こし、
小鳩の情報を流しまくって取り返しがつかなくなってからマスター乗り換えとか
そういう愉悦とか平気でやらかすんじゃないかと思っていたのだが。
…まあ、そうくるよなやっぱり。だが、殺すよりひでえ。
サーヴァントは在り方としては悪霊に近いんだから、手綱を握れる人間でないと
文字通り食い殺されるという良い例かと。

いやあー。良いもの読ませていただきました!


358 : 名無しさん :2013/09/27(金) 19:45:34 8i0St.ZA0
そもそもアーチャークラスとキャスタークラスはマスターの制御がガバガバなクラスだからね。
仕方ないね。


359 : 名無しさん :2013/09/27(金) 21:34:13 fSoLRvO.O
つうか直前の話がリインの感動話だったもんだから比較するとまた・・・w
小鳩がリイン引いてたら何か変わってたのだろうか


360 : 名無しさん :2013/09/28(土) 00:39:40 oDiyJT9U0
その場合リインちゃんとラオウのガチバトルになってたわけで…

あれ?以外といけるのか?
空飛んで一方的にビーム撃つシーンが思い浮かぶぞ?
バリア張っとけば小鳩無事だっただろうし…
やばくなったら空飛んで逃げれるし…


361 : 名無しさん :2013/09/28(土) 00:48:35 ap1OzUA20
魔法少女リリカル小鳩がいたかもね(´;ω;`)


362 : 名無しさん :2013/09/28(土) 00:50:39 9252Nn0s0
拳王様対魔力Dだから本当に何とか出来そうで困るw
そして寺に逃げればほぼ安泰だっただろうな


363 : 名無しさん :2013/09/28(土) 01:09:30 G/KRzu0I0
リインって実は物凄い当たり鯖だったのか


364 : 名無しさん :2013/09/28(土) 01:13:20 57iy3JAY0
牽制に使える飛び道具複数、高火力の砲台持ち、拘束・探知・転移と補助魔法も揃っているし
夜天の書の恩恵でやれることはかなり多いよね 当人の性格も鯖としては比較的扱い易い方だし
ただ狂王と相対した時を見る限りちょっとメンタル弱めなのが玉に傷か


365 : 名無しさん :2013/09/28(土) 01:15:34 ap1OzUA20
勝負強い性格のマスターなら優勝を狙える程度には
魔法中年リリカルケリィあたりが最強候補だったかね
もしくは魔法少女まどか☆マギカ降臨させてしまうかどうか


366 : 名無しさん :2013/09/28(土) 01:37:29 G/KRzu0I0
ぶっちゃけキャスターって時点で当たりにはなれないと思ってた


367 : 名無しさん :2013/09/28(土) 02:25:04 YNUF2b5YO
だってリインフォースってここでこそキャスターだけど原作じゃ基本的に殴り合い空で魔法は時々思い出したかのように大技ばっかドーンな超が付くパワーファイターですし


368 : ◆l3N27G/bJU :2013/09/28(土) 07:01:48 S3XH4UHM0
感想どうもです
ランサーについてですが、確かにこれと確定できる要素はありませんでしたね
なのでスザクたちが小鳩のいる家に戻る前に学園の図書館に寄って情報を得ていたという感じに修正します
サブラクは「全てを呑み込んで熱を帯びていく」で花村とランサーの戦闘を観察していて
アレックスという呼び名も聞いているので組んでいたスザクも当然知っているはずだし
ある程度時間かかりますので、夜から夜中にずらします


369 : 名無しさん :2013/09/28(土) 15:15:49 s4GmLj.60
>>368
了解です
ただ、その場合、スザクたちはアレックスの持つアームズの耐性についての情報は得られなかったということにしておいたほうがよろしいかと。
そうでないと、サブラクの死亡が情報得ていたのに対策していなかったというスザクたちの間抜けな落ち度になってしまうので


370 : 名無しさん :2013/09/28(土) 15:41:07 9252Nn0s0
というかサブラク視点だと普通にそこまでアレックスの能力がわかったわけではない気がする
マスターが戦闘の様子見てれば透視能力でスキルがわかるかもだけどあの時サブラク単独行動だったし


371 : 名無しさん :2013/09/28(土) 18:20:03 aoKA0xFs0
アレックスって名前はあくまで本名ってだけで英霊としての真名はキース・シルバーの筈だよな
クーフー・リン兄貴だって本名と真名が違うし


372 : 名無しさん :2013/09/28(土) 18:55:01 oDiyJT9U0
知名度の違いですね分かります
てことはアレックスって弱点や宝具知るのかなり難しいのか?

どちらかといえば反英霊に近いのにアルトリアやガウェインがスルーしてるし…


373 : 名無しさん :2013/09/28(土) 19:41:24 iHC/2/s6O
それにアレックスって欧米とかじゃものすごくありふれた名前だったはず
その他の情報も何かやたらタフな身体とか両手からビームっていうふわふわした特徴しかわかってないしな
調べたところで普通に検索件数ヒットしまくりで絞り込めませんでしたってなるかと


374 : 名無しさん :2013/09/28(土) 20:06:59 NB0pPvmc0
そういうのを見越して自分をアレックスと呼べって言ってたし
簡単に分かったらアレックスは間抜けという事にもなる


375 : 名無しさん :2013/09/28(土) 23:12:33 oDiyJT9U0
鯖「真名が分かったよマスター!」鱒「早速学校で調べよう!」
検索結果…500件
鱒「………」鯖「………」
こうですか分かりません!!


376 : 名無しさん :2013/09/29(日) 00:16:41 UnxUWpHgO
アレックスさんマジ偽装の達人
ガッカリ王子には過ぎた鯖だぜ


377 : 名無しさん :2013/09/29(日) 01:16:44 thGvWsyQ0
もしかしてアレックス 主人公(笑)ではありませんか?


378 : 名無しさん :2013/09/29(日) 02:00:06 kHFYa1ncO
たったザク一機相手に相討ちで破壊されたガンダムかもしれない


379 : 名無しさん :2013/09/29(日) 05:20:42 2ua6ONNw0
欧米の映画とかドラマじゃアレックスって名前めちゃくちゃ多いしな


380 : 名無しさん :2013/09/29(日) 12:17:03 RQW4fcu20
バーニィーーーーー!
もう聖杯戦争をしなくてもいいんだーーーー!


381 : 名無しさん :2013/09/29(日) 14:12:49 J0herEhkO
>>380
ウェイバー「忘れないよ、バーニィ…」


382 : 名無しさん :2013/09/29(日) 16:59:58 q6J/Swc20
馬鹿、お前らスパロボOEのアレックスさんめちゃくちゃ強いんだぞ!


383 : 名無しさん :2013/09/30(月) 00:01:18 qS5pJaRs0
旧スパロボでザクオタにされ、fと完結編で戦力外通告を受けたバーニィさん


384 : 名無しさん :2013/09/30(月) 10:26:02 dYL60O/2O
アームストロング少佐も「アレックス」だもんな
あと種のアスランの偽名w

そういや騎士王って本名アルトリア・ペンドラゴン、真名同じ、通称アーサー王ってことになるんだっけ?


385 : 名無しさん :2013/10/02(水) 07:54:30 BEe120jE0
だって……アーサーなんだぜ……


386 : ◆wYNGIse9i6 :2013/10/02(水) 20:57:48 fSwDj7QE0
延長します


387 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/03(木) 18:14:02 V0.NjhfU0
遅ればせながら修正しました

>ちなみに、陽介は最初に出会った時から一貫してアレックスを真名で呼び続けているが、アレックスの方も特に訂正する気は無かった。
>通常、サーヴァントはクラス名を用いて真名を秘するのが聖杯戦争の暗黙のルールだが、アレックスの宝具や戦闘スタイルは、槍兵のクラスにはそぐわない特殊なものだ。
>故に、敢えて真名を晒して敵の油断を誘い、クラスを隠蔽する方が戦略的に有効だとアレックスは判断した。(彼自身、自らの真名を知られるリスクに頓着していないというのもあるが)

色々言われてますがランサーの真名は上記のようにキース・シルバーではなくアレックスだと「全てを呑み込んで熱を帯びていく」で言及されており
「下準備」にて
 アシュナードが一度の戦闘と真名で宝具情報が解禁されている
 DIOとサブラクが実際に戦っていないのに僅かな情報だけで真名とある程度の素性、スキルを割り出されている
という前例がありますので
真名がわかっていて知名度がありすぎるセイバー二人と、真名がわかっていて戦闘時の情報もあるランサーの情報はすべて調べられたということにさせていただきます

◆wYNGIse9i6氏にはおまたせしたことをお詫びします


388 : 名無しさん :2013/10/03(木) 19:46:55 hoII7GrYO
修正乙です
ただディケイドも真名がわかったなら能力が判明した、としても良いと思います
少なくともディケイドは真名バレたらステ隠蔽が無効になるとされてるので
オーズは言及されてないのでわからないですけど


389 : 名無しさん :2013/10/03(木) 20:21:31 ZbKjCScc0
そういえば学園行ったらリインフォースの監視に引っかかるんじゃないの?


390 : 名無しさん :2013/10/04(金) 00:17:41 DwFc7Rnc0
監視には引っかかってるけど術の途中で手出しが出来ないとかじゃない?
少なくともリインにはばれてるでしょ。情報が漏れた事。
最悪跡をつけられて拠点バレ+キンブリーの子鳩賢者の石化とかね


391 : 名無しさん :2013/10/04(金) 00:49:28 J2xo19rQ0
最悪というかまず間違いなく跡つけられるだろうけど
それだと居場所分かるスザク達放って宴会やってたという事に…


392 : 名無しさん :2013/10/04(金) 00:59:19 7DVBdG9g0
空気読んで後から言おうとしたとか?
いやわかんないけど…


393 : 名無しさん :2013/10/04(金) 16:17:13 VoRsRvaYO
さすがに敵が学園に現れてるのをずっと黙ってるというのは…
何のために監視してるのって事にもなるし


394 : 名無しさん :2013/10/04(金) 18:03:50 Q8XUKdSo0
この辻褄を合わせるはなし


395 : 名無しさん :2013/10/04(金) 19:00:35 7DVBdG9g0
≫394合わせる話?
合わせるは無し?


396 : 名無しさん :2013/10/04(金) 19:33:43 4yFps.yU0
キンブリーが何とかしたってことでいいと思うけど
そもそも柳洞寺から逃げてる立場なんだから追撃されるのをかわすために気配を抑える魔術なり道具なりを使ったほうが自然で
夜中はちょうどリインフォースがムーンセルに干渉する魔術使ってるときだからサーチに集中してたわけでもないだろうしね


397 : 名無しさん :2013/10/04(金) 19:50:11 j2AdXAP6O
でも金鰤ってその手の能力とか道具なんて持ってたっけ?
生前出来なかったことは基本鯖になっても出来ないんだが


398 : 名無しさん :2013/10/04(金) 20:12:33 cGQ28ulU0
>>395
恐らく「この辻褄を合わせる話の投下で、本編の進行がまた遠のく」と書きたかったのでは


399 : 名無しさん :2013/10/04(金) 20:27:39 4yFps.yU0
変装用の道具を作るとか、顔の形を変えるくらいなら確実にできる
スザクは魔術師じゃないから見た目変えてしまえばNPCに紛れることはできるんじゃない
DIOとまどかの登場話でもそんな感じのあったし


400 : 名無しさん :2013/10/04(金) 21:22:10 J2xo19rQ0
変装してもランスロと金鰤の魔力反応で結局バレバレだと思う


401 : 名無しさん :2013/10/04(金) 21:32:51 7DVBdG9g0
ステータス隠蔽できても魔力は隠せないもんね謎スロットさん
魔力隠す道具でも錬成したのかな。


402 : 名無しさん :2013/10/04(金) 21:34:49 4yFps.yU0
サーヴァントと別行動すればいいんでは?
戦闘時でなければバーサーカーにもおおまかな指示はできるようだし


403 : 名無しさん :2013/10/04(金) 21:56:24 j2AdXAP6O
いや謎スロさんの状態的に狩られ放題だろ
そもそも最初に別行動して失敗した上についさっき暴走したばかりってこと考えたらリスクがでかいとかいうレベルじゃねえぞ
あとあんまりこの話題が長引くようなら議論スレでやった方が良いかもしれんね


404 : 名無しさん :2013/10/04(金) 22:22:28 VoRsRvaYO
スザク的にはわざわざ別行動する必要性もないしねえ


405 : 名無しさん :2013/10/04(金) 23:16:02 cOGNqQ6Q0
つーか読み手間で議論したところでねぇ…


406 : ◆cp3jCCSc7M :2013/10/05(土) 15:21:34 kyK4e6RU0
対主催チームで予約します


407 : 名無しさん :2013/10/05(土) 16:21:39 c/YOgbW20
ぶっちゃけスザク達が学園行かなければ全部片付くんじゃ


408 : ◆2shK8TpqBI :2013/10/05(土) 18:57:32 SN9db15E0
予約されてる書き手もいますし上手く修正やつじつま合わせが出来ると思います
それでも矛盾や無理やりだった場合書き手同士で議論スレに行けば大丈夫と思います
長々失礼しました


409 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/06(日) 14:45:32 YGw/B9ao0
再度修正しました


410 : ◆wYNGIse9i6 :2013/10/06(日) 18:41:01 jgL.OwAU0
これで十分です


411 : ◆XL.nOGsA4g :2013/10/06(日) 19:45:47 CIYErpt2O
再度の修正乙です


412 : ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:06:44 kckc.l5I0
すみません、遅れました。
投下します


413 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:08:17 kckc.l5I0

《A》


「市長。緊急の連絡だ」
「どうした、アサシン」
「君が市長に仕立てあげたNPCから連絡が入った。先ほど、新都の警察署から多数の銃器が紛失したそうだ」

日は沈み、夜。
新都の外れに位置する双子館で、ジョン・バックス市長はサーヴァントであるアサシンから報告を受けた。

「――サーヴァントの仕業か?」
「おそらく。拳銃と弾薬、それに狙撃銃が一挺持ち出されている。霊体化して忍び込み銃を物色した後、壁を壊して堂々と逃げたらしい。
 もちろん監視カメラには何の痕跡も残っていないがね」
「日本の警察の装備、施設をある程度熟知している者の仕業か――足取りは終えるか?」
「NPCでは無理だろう。私が直接出向けば可能だろうが」
「ふむ――」

市長は黙考する。
おそらくアーチャーのマスターではないだろう。
確認できる限りアーチャーとそのマスターはこの戦いが始まってからずっと新都にいるが、銃器が必要なら初日から行動を起こしているはずだ。
冬木市には警察署は新都にしかないため、犯人は深山町からこの新都に移動してきた別のマスターの公算が高い。

「どうする?私が確認に向かおうか」
「そうだな。深山町に向かった君たちはどうしている?」

柳洞寺と遠坂邸に向かった二人の分身は、それぞれマスター達を発見していた。
遠坂邸にいる四組と、柳洞寺で戦っていた四組。
遠坂邸にいた集団はその後キャスターの魔術で柳洞寺に転移し、攻め寄せていたバーサーカーたちを撃退したのを確認している。
その場から逃げ延びたのはバーサーカーとそのマスター、そして帯同していたキャスター。
彼らを逃がすため殿に残ったアサシンであろうサーヴァントは集中攻撃を受けて撃破された。

「難航している、としか言えん。予定では遠坂邸にいるマスター達と接触するつもりだったが――数が多すぎる。
 五人ものマスターが手を組んだのは予想外だった。あれでは、共闘を持ちかけても我々を受け入れる理由がない」

当初、市長とアサシンはアーチャーを敵として生き残ったマスター達に認知させるつもりだった。
アーチャーの脅威は時間停止能力を始めとする、単独戦闘能力の高さだ。
一対一、あるいは二体のサーヴァントで同時に向かったとしてもあのアーチャーを打ち破るのは難しい。
時間を止められている間に急所を攻撃、あるいはマスターを狙われれば為す術はないからだ。
しかし五人ものサーヴァントがいれば話は別。
アーチャーもサーヴァントである以上、魔力は有限、永遠に時間を止められるわけではないし、また魔力消費も膨大なはずだ。
チームを分け、一人がアーチャーに挑み、残りの仲間が遠距離から援護すれば、いかに時間を止めようとも凌ぎ切れるものではない。
時間を止める宝具の連続使用、そのタイムラグを突く。
数を揃えたものだけに許される、正攻法にして強引極まりない力技だ。
その戦術を取れるチームを相手に共闘を持ちかけたとて、アサシンの力を必要としていないのだから受諾される可能性は低い。
何せその中には全ての能力が評価規格外という化物のようなセイバーがいるのだから、それ以上の戦力は必要ではない。
むしろ彼らの中にはアサシンと以前交戦した者がいるため、敵対する可能性の方が遙かに大きい。


414 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:09:41 kckc.l5I0

「状況は激変した。ゼフィールらが脱落した今、我々には協力者がいない。
 アーチャーももちろん脅威だが、この柳洞寺に集った集団はそれ以上だ。
 もし彼らが同じ目的の元に団結しているのならば――我々は駆逐される側にいることになる」
「彼らとアーチャーを潰し合わせることは可能か?」
「それが理想的な展開だが、ただアーチャーをぶつけるだけでは苦もなく排除されるだろう。
 ある程度拮抗した戦力をぶつけなければ、我々が横から掠め取る余地が発生しない」
「では、柳洞寺から逃げたマスターというのは?今も監視しているのだろう」
「ああ。名前は枢木スザク、バーサーカーのマスター。
 キャスター並びにアサシンと同盟を結んでいるようだが、言った通りアサシンは討たれた。
 今は月海原学園に向かって移動している。柳洞寺のサーヴァントたちの情報を集めるつもりだろう」
「ふむ――暗殺は?」
「可能だが、推奨しない。深山町にはキャスターが放ったであろう使い魔が飛び回っている。
 向こうの私が隠形を解けば瞬時に発見されるだろう」

柳洞寺周辺にいるアサシンは分身体であるため、倒されてもアサシン自体は存続する。
が、当然次の分身を生み出すにはバックスの魔力を消費するため、無駄に浪費できるものではなかった。

「それに――見て回った限り、深山町にいるマスターは柳洞寺の集団と、この枢木だけだ。
 キャスターのマスターはまだ発見できていないが、おそらくこれ以外はいないのだろう」

どこかに潜伏して時が経つのを待っているようなマスターがいれば話は別だが、今はそちらに手を割く余裕はない。
柳洞寺の五組、枢木とキャスター組、アーチャー、警察署を襲った者、そして市長自身。
現状聖杯戦争の盤面にいるのはこの十組だけと考えていいだろう。

「枢木を削っては柳洞寺組並びにアーチャーを始末する手駒が不足する」
「そうだな、今は手を出さないでおいてくれ。それに彼が得る情報は私達にとってもプラスになる」

騎乗に広げた地図を睨み、バックスは考えを巡らせる。
西と東の二つの脅威。
それに含まれない第三戦力。
同盟者のいない自分たち。


415 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:11:55 kckc.l5I0

「――大統領。さっき、アーチャーとの共闘は有り得ないと言ったが、あれは撤回する」
「というと――アーチャーと組み、柳洞寺の集団を相手取るのか?」
「そうだ。だが、アーチャーを信用する訳ではない――盤面を単純にするんだ。
 今生き残っていて一番大きな勢力は柳洞寺組だ。次に、枢木スザクとキャスター組。
 そして単独であるアーチャー、我々、警察署を襲った――仮にAとしよう。このAの三組。
 柳洞寺組を一つの意思に統制されたまとまった集団とするならば、これに対抗するには同じくまとまった集団をおいて他にない」
「我々、アーチャー、枢木、キャスター、そしてAを一つのチームにする――と?」
「私自身、状況の推移がここまで早いとは想像できなかった。が、この機を逃せばいずれ我々は柳洞寺組に各個撃破されるのは明白だ。
 同等の戦力を築き上げ、激突させ――双方の一切合財を失わせる。
 この聖杯戦争の山場はここだと確信したよ」

今いる場所に合わせて柳洞寺組を西軍、それ以外を東軍とでも言うべきか。
それぞれ思惑があるマスター達に柳洞寺組という共通の敵を示すことにより、一時的に団結を促す。
彼らにしろ単独では柳洞寺組に敵わないから、門前払いを受けるということはないはず。
共通の敵――その存在はアーチャーから柳洞寺組にすり替わったが、やることは同じ。
厄介な敵を潰し合わせ、最終的に漁夫の利を得る。
理想は情報だけ渡してアーチャーたちを裏から操ることだが、こればかりはアサシンも参加せねば他のマスター達をうまく誘導できない。
そして参加する全てのサーヴァントが脱落するなど都合よくもいかないだろう。
だが、仮に柳洞寺組の半数が落ち、こちらはアーチャーが倒れる――といった展開ならば、やりよう次第で望みはある。
そうすれば残りはアサシン単独でも何とかやれる可能性が出てくる。
聖杯戦争を一気に決着させる一手になるだろう。

「枢木スザクを監視する一体を残して、君の分身を引き上げさせてくれ。
 アーチャーとAを接触する。ああ、君本体は接触しないでくれよ。万が一ということもある」
「了解だ」

指示を受けたアサシンが部屋を出ていこうとする直前、市長は無意識にアサシンを呼び止めていた。

「どうした、市長?」
「いや、なんとなくだがな。
 ――これが最後の夜になる、そんな気がするんだ」
「成り行き次第ではそうなるだろう。だが、最終的に生き残るのは――」
「――ナプキンを取るのは我々だ、だろう?わかっているよ、大統領」

市長の言葉に頷き、アサシンは館を出て行った。
残された市長はすっかり馴染みの味となったドリンクをまた一本開ける。
来たるべき東軍結成の交渉に向けて、市長は思索に耽っていった。


416 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:14:13 kckc.l5I0

《B》


「驚いたな。マスター、アサシンが出てきたぞ」

ふと告げられたライダーの言葉に衛宮切嗣は耳を疑った。
警察署から装備を調達した後、人気のない港で狙撃銃の調整を終えて市街に戻ってきた時だった。

「どこだ?距離は?」
「遠くない。市街のど真ん中だ。気配を消さずに姿を晒していやがる」

低いステータス、姿を表すまでまったく存在を感知できなかった隠形の技はアサシンそのもの。
同時に隠密を旨とするアサシンからは絶対にありえない行動を、切嗣は即座に罠と判断しライダーを変身させた。

「ライダー、宝具の修復は終わったか?」
「もうほぼ問題ない。仕掛けるのか?」
「いいや、まず様子を見る。何か裏があるのは間違いない――」
「待て、マスター。あのアサシン、魔力をちらつかせて――何だこの波長?」

怪訝そうなライダーの視界に同調し、切嗣自身の目でアサシンの様子を確認する。
白人男性のアサシンが発している魔力光の波長はごく単純なものだった。ただのモールス信号だ。

「戦闘の意思はない・情報を持っている・接触を求む――?」
「なんだそれは。あのアサシン、俺達や他のマスターを呼び集めてるってのか」
「あのサインを額面通りに信じるならな」

切嗣は辺りを見回し、電線にとまっていた鳩に目をつけた。
先ほどキャスターに破壊された使い魔の代わりを作成し、アサシンの元へと飛ばす。

「そいつで様子を探るのか」
「ああ。ライダー、周囲を警戒してくれ。背後から別のサーヴァントが襲ってこないとも限らない」

切嗣は使い魔に意識を集中させる。
やがて鳩はアサシンの目前へ移動したが、アサシンからは攻撃行動はない。

「ほう、使い魔とはな。マスターは魔術師か」
「誘ったのはそちらだ。何の真似だアサシン」
「説明する。だがもう少し待て――来たな」

アサシンは切嗣の使い魔とは違う方向を見て言った。
使い魔をそちらに向けると、上空からまた別の人物が降って来た。
大柄で金髪の男。ステータスが読み取れることからサーヴァントに相違ない。


417 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:16:39 kckc.l5I0

「来てやったぞアサシン。この私を呼びつけるとはいい度胸をしているではないか」
「ようこそアーチャー。先ほどはよくもやってくれた、と言っておこう」

アサシンとアーチャーが対峙する。
両者の目には隠し切れない敵意が覗いている。

(こいつらは以前に戦っている――?ならば何故こうして再び対面させた)
「そこで覗き見ているのはまた別のマスターか。アサシンよ、一体何の魂胆があって我らを集めたのだ?
 下らぬ用件であったならば――今度こそ貴様は再起不能になると覚悟しておけ」

切嗣の疑問を、アーチャーが代わりに尋ねた。彼にとっても不可解な事態のようだ。

「アーチャー、私もお前には色々と借りがあり、恨みもある。
 だが今はそんな些事に構っている場合ではない――西の深山町に強力なサーヴァントの集団が出現した。
 私の確認した限り、セイバーが二人、キャスターが一人、そしてクラス不明のサーヴァントが二人。
 合計五人のサーヴァントが徒党を組んでいる」

アサシンが淡々と告げた言葉に、切嗣は思わず声を漏らしかけた。
間違いなくアーサー王を筆頭とする集団だ。
知っているのはアーサー、ガウェイン、オーズの三人だったがさらにキャスターともう一名が合流したらしい。
スザクをぶつけさせて戦力を減らすどころか、恐ろしいほどに増強されている。

「五人――だと?」
「どれもがAクラス以上の強力無比なサーヴァントたちだ。先ほどバーサーカー、キャスター、アサシンが仕掛けたが容易く撃退された。
 特にセイバーの片方は全てのステータスがEXという化物だ」
「ガウェイン、か」
「ほう、お前はやつらを知っていたか。ならば言わずともどれだけの脅威かわかるだろう」
「――ああ。太陽の騎士と称されるガウェイン、騎士王アルトリア・ペンドラゴン。名高い円卓の騎士が二人も雁首を並べている」
「太陽の騎士――?」

泰然と構えていたアーチャーの鉄面皮が割れる。
態度の大きそうなサーヴァントだがさすがに衝撃だったようだ。

「なるほど、お前が僕達をこうして呼び集めたのは――」
「お察しの通りだ。この前代未聞の敵に対抗するために、一時休戦し共闘をしたい――と、私と私のマスターは考えている」
「共闘だと――この私と貴様らゴミカス共が?冗談ではないな」
「だが、お前一人で倒せる相手でもないということはわかっているだろう」


418 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:17:23 kckc.l5I0

アサシンの切り返しに尊大なアーチャーも反論できない。
どれほど強力なサーヴァントだとしても、五人という数の壁はそうそう覆せない。
一人二人倒したところで、その隙を残った者に狙われればどうしようもない。

「無論、私とて思うところがないわけではない。殺し合った敵と手を組むなど本来ならばあり得んことだ。
 だが私は聖杯に賭ける願いがある。お前たちも同じだろう。
 このまま駆逐されるのを待つより、少しでも勝利に近い道を選ぶ――私はそうするだけのこと。
 お前たちはどうだ?」

このアサシンの問いに、切嗣は傍らで聞いているライダーに意見を求めた。
アサシンとアーチャーには聞こえないように使い魔との接続を一部カットする。

「正直業腹だが――マスター、俺はこの誘いに乗るべきだと思う。
 俺と枢木のバーサーカーだけでは奴らには太刀打ち出来ん。
 せめて数の上だけでも互角に持ち込まないとな」
「戦力的に必要なのは僕も同意見だ。だが奴らを信用できるか?」
「こいつらだって聖杯を狙う以上、オーズたちを排除しなきゃならないのは俺達と同じだ。
 奴らとこいつら、どっちが与し易いかといえば間違いなくこっちだし、向こうにとってもそうだろう。
 少なくともオーズたちをどうにかするという目的そのものには嘘はないと思う」
「仮に組んでうまくオーズたちを排除できたとして――」
「そこからは即、背中の狙い合いだな。こいつらは決して味方じゃない」

オーズたちの同盟を全滅もしくは半壊に追い込めたら、次の敵は当然組んでいたこのアサシン達になる。
ただ一組の優勝を目指すのだから、いずれの激突は不可避だ。

「――タイミングがシビアだな。オーズたちを全滅させられたならいいが、そうでなかった場合残敵とアサシン達、両方を相手取ることになる」
「そこからは乱戦だな。だが、首尾よくオーズを破壊できれば俺の力は増す。ある程度の無茶は利かせられるぞ」
「とにもかくにも、オーズたちの頭数を減らさないことには道は開けないということか――」


419 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:19:43 kckc.l5I0

「――いいだろう。僕はその話に乗る」
「ほう、話の分かるマスターで助かる。ではこちらに来てくれないかな?
 マスターが来いとはいわん、私のようにサーヴァントの姿を見せてくれ」
「それはそこのアーチャー次第だ。乗るとは言ったが、組むのがアサシンお前だけでは戦力的に旨みはない。
 アーチャーも参加するなら僕も。それが条件だ」

アーチャーに水を向ける。
黙っていたアーチャーがゆらりと構えを解き――

「――いいだろう。私のマスターも了承した。
 五組のサーヴァントを排除するまで、限定であるが――貴様らと組んでやろうではないか」
「では――二人とも了承ということで構わないな?」
「待て、こちらにまだ宛てがある。バーサーカーのマスターだ」
「バーサーカー?そんな弱兵が役に立つものか」
「いや、そのバーサーカーは理性こそないが戦闘能力そのものは極めて高い。使い方次第では戦力になるだろう」
「バーサーカー、もしや枢木スザクか」
「知っているのか?」

スザクの名前を出してきたアサシンに驚く。
が、随一の諜報力を持つアサシンならば別におかしくはない。

「私はついさっきまで深山町にいたのでな。彼は今こちらに向かっているはずだが」
「なら僕が呼び出そう」
「助かる。では場所を移すとしようか――」

切嗣がスザクを呼び出し、簡単に事のあらましを告げてホテルに来るように伝えた。
通話を切り、切嗣はライダーを実体化させてアサシン達のもとに向かわせる。

「僕のサーヴァントはライダーだ」
「ライダー――ふん、なるほど。お前が悠の言っていたやつか」
「悠――鳴上悠か?あいつを知っているのか」
「色々とあったのだよ。まあ、後で話してやるさ。情報の共有は大切だものな。
 ところで、話を詰めるにせよ――枢木とやらのサーヴァントはバーサーカーなのだろう。
 まさか話し合いの場に狂兵を寄越す気ではあるまいな」
「それについては問題ない。枢木はキャスターのマスターと組んでいるそうだ。
 従って、ホテルに来るのはキャスターということになる」
「キャスター――ほう、では我々の陣営はライダー、バーサーカー、キャスター、アサシン、そして私アーチャーということになるか」
「対して敵はセイバー二人、ライダー一人、キャスター一人、そしてクラス不明が一人。
 最優のセイバーが二人もいるというのがやや気がかりだが、戦力的にはほぼ互角だな」


420 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:20:54 kckc.l5I0

三人のサーヴァントが夜の街を飛んで行くのを見送って、切嗣は懐からタバコを取り出した。
交渉はライダーを通して行う。
やがて――ライダーからキャスターが到着したという連絡があった。
タバコを吐き捨てて火を踏み消す。
これから戦略を詰めて、おそらくそう間を置かずにセイバー達との戦いに突入するだろう。

「――なんとなく、これが最後の夜になる、そんな気がするな」

数十分前に市長が呟いた言葉を、切嗣もまた零したのだった。


421 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:24:44 kckc.l5I0

《C》


(五人ものマスター――それだけの人数が組むということはつまり、マドカと同じく聖杯を壊そうとしているのだろうな)

アーチャー、DIOはマスターである鹿目まどかとの同調を断って交渉の場に赴いている。
建前は何とでもなった。
未熟なまどかでは百戦錬磨のマスターたちを相手に主導権を握れない、交渉に集中するためにこの場は任せてほしい。
そう言えば荒事には慣れていないまどかはそれ以上食い下がりはしなかった。

(もし敵がマドカと同じ目的であることを知れば、マドカは戦おうとはしない――どころか、彼らと協力しようと言い出すだろう。
 それは困る――集団に飲み込まれれば、いかに私とて最期に聖杯を奪取するのは難しい)

DIOは自分を最強のサーヴァントだと自負しているが、決して無敵だなどと自惚れてはいない。
空条承太郎に敗れた時も、ある意味では花京院やジョセフらの援護があったからこそ敗北したのだ。
だからDIOはアサシンの話に乗った。
効率よく敵を減らし、その目的をマスターに知らせず葬るために。

(今のマドカは不安定だ――覚悟を決めたとて、いつ転ぶかわからん。不安定な要素は少しでも排除していかねばな)

内憂外患とはこのことか。
マスターを信用しきれないのは正直なところ苛立たしいが代わりがいない以上放り出すわけにも行かない。

(まあ、いい。今はアサシン共を利用して、徒党を組んだカスどもを叩き潰す。
 アサシン共はその後だ。うまくすれば今夜中に聖杯戦争を終わらせられるだろう――)


【新都・ハイアットホテル/夜中】


【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド】
 [状態]:ダメージ(小)、魔力消費(中)

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](5人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話

【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(大)、全身ダメージ(小)、右胸貫通
[装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石

【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:魔力消費(小) 、令呪(まどかの戦いに力を貸す)
 [装備]:封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣、携帯電話


422 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:25:18 kckc.l5I0

《D》


スザクが新都入りしたのを見届けて、5人目のアサシンは遠坂邸へと引き返した。
柳洞寺組が柳洞寺から遠坂邸へと拠点を移したためだ。
アーチャー、ライダーらとの会談に出席するのはNPCに付き添っていた6人目のアサシンになる。
深山町にはキャスターのサーチャーが飛び回っているためあまり近くには接近できないが、五人ものサーヴァントが固まっていればその気配は大きなものになる。
発見、監視はさほど難しくない。
市長はここまでは概ね計画通りに事が進んで言うことを確認し、何本目かわからなくなった栄養ドリンクの蓋を開けた。



【深山町・遠坂邸付近/夜中】

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


【新都・双子館/夜中】

【ジョン・バックス@未来日記】
 [状態]:疲労(小)・冬木市市長・残令呪使用回数3回
 [装備]:「The watcher」
 [道具]:なし

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](4人目)・魔力消費(中)・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話・エッケザックス@ファイヤーエムブレム 覇者の剣


423 : 白と黒の世界 ◆wYNGIse9i6 :2013/10/10(木) 20:26:09 kckc.l5I0

【新都/夜中】


【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [状態]:健康、令呪残り2画
 [装備]:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)


【衛宮切嗣@Fate/zero】
 [令呪]:1画
 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
 [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃
      携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)


【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(特大)、義手・義足を機械鎧化

【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】
[状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊
  宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失


424 : 名無しさん :2013/10/10(木) 20:27:30 kckc.l5I0
投下終了です


425 : 名無しさん :2013/10/10(木) 22:47:02 yUAUVGiEO
投下乙です!
聖杯大戦ktkr


426 : 名無しさん :2013/10/10(木) 23:09:23 GAr.8aS.0

ぶつけようとした陣営がでかすぎるという理由で包囲網突破w
さすがDIO様強運だな


427 : 名無しさん :2013/10/10(木) 23:11:53 841x9ESk0
だってDIO様の天敵ジョースターしかいないし……


428 : 名無しさん :2013/10/10(木) 23:36:58 T24zfYsc0
投下乙です!
対主催チーム対抗のマーダー連合結成、面白くなってきたなw
いよいよ大決戦か…!?


429 : 名無しさん :2013/10/11(金) 10:37:36 YQrPqNBU0
投下乙です!
王道パワータイプvs外道トリッキータイプか、どんな大乱闘になるか気になる!


430 : 名無しさん :2013/10/11(金) 12:35:35 uMMs1bLIO
投下乙です、だが市長いつまで飲んでんだw


431 : ◆cp3jCCSc7M :2013/10/11(金) 15:16:44 m3TC5or60
投下乙です!
アポクリファを彷彿とさせるチーム戦になりそうだw
それと予約を延長します


432 : 名無しさん :2013/10/11(金) 16:05:45 Y2Mp/QBg0
投下乙です
東と西で綺麗に分かれたなあ
かつてない大乱戦になりそうだ


433 : 名無しさん :2013/10/11(金) 16:46:21 /LFPa/jE0
市長良いペースで飲んでるから
アサシンが動こうとしたら疲労とカフェイン中毒で死ぬわ多分


434 : 名無しさん :2013/10/13(日) 02:04:18 yl9hzf820
用語集の聖杯大戦の項目、一理あるな


435 : 名無しさん :2013/10/13(日) 19:01:57 grgJd2QoO
投下乙です。

これは、まどかの因果がDIOにも及んでるな。
やはり世界の帝王はDIOなのか!?


436 : 名無しさん :2013/10/13(日) 19:34:42 W3bqzbog0
DIOの企みが最後まで上手く行く所が想像出来ない


437 : 名無しさん :2013/10/13(日) 20:28:21 AgacjwpYO
>>436
そもそもあんな超ハズレマスター引いてここまで生き残れてるのがまず奇跡。原作からしてシロウレベルの死亡率だぜ?


438 : 名無しさん :2013/10/13(日) 20:33:55 UBDpcHo.0
DIO様、そもそも単独行動スキルが無かったらここまで好きにやれなかっただろうな…
覚悟を決めた今でも純粋な戦力としては最弱レベルだし


439 : 438 :2013/10/13(日) 20:34:39 UBDpcHo.0
まどかが、ね


440 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/15(火) 00:26:27 Y5qMaQDM0
投下乙です
いよいよ大詰めですね
市長はこの先生きのこれるのか

ジョン・バックス&アサシン 枢木スザク&バーサーカー キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)
衛宮切嗣&ライダー 鹿目まどか&アーチャー    で予約します


441 : 名無しさん :2013/10/15(火) 08:09:22 cGdUzOakO
士郎が負の気に呑まれたら、エミヤオルタになるのか


442 : 名無しさん :2013/10/15(火) 15:47:29 UCxDwP/Y0
>>441
???「冷凍食品、缶詰、インスタント、レトルト……手抜き料理もいい加減にしてください!」


443 : 名無しさん :2013/10/15(火) 17:55:27 opoO7eqQ0
セイバーはいじめて何ぼだからね。ちかたないね


444 : 名無しさん :2013/10/15(火) 18:31:18 sHHRCLq6O
エミヤオルタってあれか、セイバーオルタ好みなのしか作らなくなるのかw


445 : 名無しさん :2013/10/15(火) 21:49:17 opoO7eqQ0
士郎とセイバーがオルタ化すれば夫婦円満で解決するはず


446 : 名無しさん :2013/10/16(水) 14:05:17 7TQtPhOQ0
そして黒桜が愛人ポジなんですね分かります


447 : 名無しさん :2013/10/18(金) 22:50:23 Wo5yUsJ.0
聖杯大戦が1対1で実現したら対決構図はアルトリア対DIO(シンボル?同士)
ガウェイン対ランスロット(因縁の対決)
アレックス対ヴァレンタイン(二次聖杯での因縁の対決)
リインフォース対キンブリー(キャスター対決)
映司対士(ライダー対決)になるんだろうか?


448 : 名無しさん :2013/10/19(土) 01:56:07 UG3bTvcA0
マーダー連合のメンツが
「過程や 方法なぞ どうでもよいのだァーーー!」
という感じだからまともに一対一になるか怪しいがな


449 : 名無しさん :2013/10/19(土) 04:26:07 81i..cw.0
それもまたよし……それがまたよし……!


450 : 名無しさん :2013/10/19(土) 04:40:22 8DyyAa4I0
>>445
士郎オルタ「こんなものは食べられないよ」


451 : 名無しさん :2013/10/19(土) 10:18:36 wSaamg/.0
実際キャスターとかアサシンとかいるし、全員手段選ばないタイプだからな…w
一対一とは言わず卑怯な手もガンガン使いそう


452 : ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:25:27 Jew2.Omw0
ギリギリになりましたが投下します


453 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:26:54 Jew2.Omw0
「ここが、月海原学園…」
「シロウ、決して気を抜かないように」
「我々が護衛についていますが、既に敵地同然と思っていて下さい」

深夜の月海原学園。
衛宮士郎、アルトリア、ガウェインの三人は半ば臨戦態勢でそこに踏み入った。
ちなみに移動にはこなたや映司が乗っていた乗用車を使った。
目的の場所へ向かおうとしたところで士郎の携帯電話が鳴った。



『衛宮、学園に着いたか?』
「ああ、掲示板を確認したら図書室に行く。
…けどルルーシュ、いくら何でもここまで回りくどいやり方をする必要なんてあるのか?
そりゃ泉を直接行かせるよりは安全かもしれないけどさ」
『馬鹿を言え、別行動中に衛宮切嗣に嵌められた事をもう忘れたのか。
あの時も最善を尽くしたはずが敵に上回られた、いくら慎重にしてもやりすぎということはない』

電話の相手はルルーシュである。
これから学園で調べ物をするにあたって、こなたと交代で指示を出す手筈になっている。
士郎とルルーシュが使っている携帯電話は花村陽介と名無鉄之助が使っているものだ。
盗聴対策になるかはわからないが、一度も衛宮切嗣と接触していない二人の電話の方が安全度が高いと判断した。








一体何故彼らはただの調べ物にこれほどの用心を払っているのか?
以前別行動中にチームが瓦解するほどの打撃を受けたといっても明らかに過剰反応だ。
この行動の理由を語るにはしばらく時間を遡らなければならない。








士郎やルルーシュ達がリインフォースの魔法で死者達と向き合っていたちょうどその頃。
月海原学園では枢木スザクが交戦したサーヴァントの情報収集を行なっていた。
無論彼はキンブリーの錬金術を用いた変装で他のNPCと完全に同一の姿になっていた。
一見すればサーチャーを走査させていてもスザクであることを看破するのは不可能に思える。

しかしそれは変装したスザクの姿だけを見た場合に限った話だ。
変装したスザクの残した足跡は彼本人であることをリインフォースらに疑わせるには十分すぎた。

そもリインフォースのサーチャーは学園のどのあたりを飛び回っていたのか。
簡潔に言えば正門、裏門、玄関、掲示板前、図書室前の五箇所である。
情報を集められる重要施設であるため他より多くのサーチャーが細かく配されていた。
それらの映像を記録し保存した後、多角的な視点で分析出来る者が遠坂邸には何人もいた。
これはスザクらの視点では決して考慮に入れることが出来ない点であったに違いない。



宴会を終えた後、リインフォースはメンバー達の前でこの時の記録を公開した。
彼女だけでは判断がつきかねる部分もあったからだ。
ルルーシュが何かを言いたげにしていたがすぐ飲み込んだようで彼の見解を告げた。


454 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:27:46 Jew2.Omw0

「…やはり怪しいな、この男子生徒。
運営NPCがまっすぐ図書室を目指して十数分もかけてから退出しそのまま校門から出た。
タイミングから考えてもあまりに不自然だ、キャスター、これはやはり…」
「ああ、この男子生徒が学園に入った時間は私達が枢木スザクの一党と交戦してからおよそ四十分後だ。
普通に考えて枢木スザク本人か奴の仲間のマスターのどちらかだろう。
仮にそうだとすればこいつは変装したマスターということになる」
「違和感ならば他にもあるぞ、こいつの歩法、正中線にまるでブレが無い。
我々が朝学園に行った時にこんな歩き方をするNPCなど一人もいなかった」
「いずれにせよ彼が変装したマスターであり、我々の情報を調べていたという前提で事を進めるべきでしょう。
蘇妲己に天海陸、衛宮切嗣と我々は何度も敵の奸計に苦汁を飲まされてきました。
ここからは常に最悪のパターンを想定しておくべきかと」

ガウェインの若干憂いを帯びた言葉に士郎、アルトリア、ルルーシュが特に強く頷く。
本来守るべき人間である金田一一の犠牲の上に今の彼らがある、この反応も至極当然だ。

「すまないがこの時私は索敵に集中していたわけではなかったものでな。
この男子生徒が学園を出た後の動向や拠点の場所までは特定できなかった」
「いや、十分だ。…それにこれがスザクだったとしても、あいつは恐らく……」
「ルルーシュ…」

沈み込むルルーシュの気持ちが陽介には痛いほどよく分かる。
スザクがルルーシュの無二の友であることを士郎や陽介らもつい今しがた遅れて聞かされたところだ。

それ以前にルルーシュが元の世界でのスザクとの関係を話したのはガウェインの他にはアルトリアのみ。
士郎を含めた他の仲間は柳洞寺でのルルーシュの反応から知り合いであることがわかっていた程度だ。
とはいえルルーシュもうっかりしていて話し忘れたわけではない、敢えて話さなかったのだ。



午前中天海陸を詰問した時脳裏にはスザクともう一度手を組めるかもしれないという考えがあった。
だがそれが結果として焦りを生み、最悪の場面でのギアスの行使と失敗につながった。
そしてその時の失敗がその後何を齎したか。


455 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:28:41 Jew2.Omw0



天海陸とイスラ・レヴィノスにはよりつけ入る隙を与えてしまった。
反魔の水晶によるギアス対策も事前情報から決して予測出来ないことではなかったはずだ。
何故なら金田一は最初からイスラの能力の低さに疑問を呈していた。
そこから少しでも想像を膨らませていれば十分防げた筈の事態だった。
ギアスを使うとしても自分達のホームグラウンドである柳洞寺に着いてからで良かった筈だ。

加えてルルーシュの失敗をフォローするためにアルトリアの真名を陸に教える羽目になった。
しかも後にはその状態で士郎とアルトリアが陸やイスラと戦わなければならない状況に陥った。
彼らが陸たちを打倒出来たのはたまたま相性が良かっただけだ、もしアルトリア対策を練られていれば結果は逆だっただろう。

さらにその時の自分はといえば衛宮切嗣の策で金田一と太公望を死なせたショックから勝手な別行動の最中。
それが原因で士郎らを二度も三度も生命の危険に晒してしまった。
先ほど救援が間に合ったのもリインフォースが偶然転移魔法を有していたからでしかない。
そうでなければ救援に向かったとしても相応の痛手を被っただろう。
あれほど簡単に敵を蹴散らせたのは転移を用いたことによる奇襲効果あってこそだ。
一度見られた以上今後数の有利に胡座をかくような事は絶対にあってはならない。



いるかもわからない友人を気にして身近な仲間を死なせる愚はもう犯せない。
そう考えたルルーシュはスザクの存在が確定するまで彼のことを他人に話さないようにしていた。







「あの怪しい男子生徒がスザク本人かその仲間であるという前提で話を進めるぞ。
あいつが図書室に篭っていた以上こちらのサーヴァントの情報はいくつか漏れたと考えて良い。
問題は誰の情報がどこまで漏れたか、ということだ」
「いや、俺達とあいつらは今まで一回も接触してなかったんだぞ?
その枢木スザクのサーヴァントはバーサーカーだったなら偵察にも向かないはずだ。
切嗣じゃあるまいし、こっちの情報を知るチャンスがあったとは思えないぞ」
「いーや、一緒にいたアサシンの野郎は最初に俺達が戦ってる時に横槍を入れて人を殺しやがった。
少なくともそいつから俺とアレックスの事は聞いてると思うぜ」

士郎や陽介が意見を交わす中退屈そうにしていた鉄之助が何かを閃いたのかずいっと前に出てきた。

「あのさー、俺ちっと気になったんだけど。
あの枢木ってやつ、何でセイバーちゃんっていうか柳洞寺を狙ったんだ?
何つうかこう…俺馬鹿だからよくわかんねえけど出来すぎな気がするんだよな」


456 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:29:23 Jew2.Omw0
「良いところに気がつきました、テツノスケ。
恐らくというか、彼らは間違いなく切嗣と繋がっていると思いますよ」
「えっ!?」

さらりと返答したアルトリアにこなたや映司、士郎らが驚いた様子で食いつく。
動じていないのはこの中ではルルーシュとガウェインだけだ。

「彼らは私とシロウだけでいる時を狙ったかのように襲撃してきました。
しかも私が山門を守りきれなくなったと同時に伏せていたマスターとサーヴァントが動いた。
さらに後方にアサシンも伏せていたことを考えるとルルーシュやコナタの援軍に備えていた可能性が高い」
「そしてそれだけの情報量に一致する人物が他に一人だけいる、衛宮切嗣だ。
花村や名無の存在までは知らなかったというのも共通すると見ていい。
だからこそあの時スザクはあそこまで驚いたのだろう」
「なるほどな、衛宮切嗣は自分達の戦力情報を知った敵を始末したい。
バーサーカーを従える枢木スザクは柳洞寺という陣地が欲しい。
奴らの間で利害が一致していたというわけだな」
「勿論アサシンが情報収集を行なっていた可能性もありますが、その線は考えにくい。
あのサブラクは当初新都で活動し、私達が鳴上悠と交戦した時彼はランスロットの剣を持っていた。
この事から枢木スザクは最初は深山町のどこかにいた可能性が高い。
であればスザクとサブラクのマスターが手を結んだのはある程度時間が経ってからのはずです。
何よりもしサブラクが深山町に長時間いたなら切嗣とディケイドが必ず気付く。
敵のアサシンを放置して我々に矛先を向けるとは思えない」
「逆に俺達や衛宮を襲った時点でスザクやアサシンと組んでいればそれを活かさないわけがない。
だとすればあいつらは組んで時間が経っていないかそもそも同盟関係そのものが希薄なのか…」

アルトリアらの推論を聞く士郎の表情に陰りが募る。
切嗣がいよいよ自分達を本気で殺すつもりでいることを嫌でも実感できてしまうからだ。


「じゃあ…セイバーさんやガウェインさんの事はもう知られちゃってるよね。
切嗣さんと情報交換でもしてたら映司さんの事もきっと…」
「うん、間違いなく調べられたと思う。
それに彼らが調べた事は切嗣さんに伝わったと考えて動いた方が良い」


457 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:30:25 Jew2.Omw0



ともかくどの程度の情報が漏れたかは大体目星がついた。
アルトリア、ガウェイン、映司は真名まで含めてほぼ確実。
アレックスもこれまで見せた戦闘情報から能力を知られた可能性が否めない。
しかしリインフォースだけは正体の核心に迫る情報を見せていないので真名を知られていないと考えて良いという結論になった。



「スザクがこちらの情報を手に入れた以上俺達も残る敵の情報と正体を探る必要がある。
具体的な作戦を決める前に誰かに学園のデータベースを調べてもらおうと思う。
…まあ、人選についてはもう決まっているわけなんだがな」
「それって私のことだよね?
うん、少しぐらい年長らしく頑張って情報集めてくるよ!」
「いいや泉、お前は駄目だ」
「えっ!?な、何で!?」

せっかく良いところを見せる機会を理由なく奪われてはたまったものではない。
長身のルルーシュに精一杯目線を上げて食い下がるこなただがルルーシュは気にも留めない。
代わりに視線を向けた先にいるのは士郎だった。

「…え、もしかして俺か?」
「そのまさかだ、現状を考えるとお前に行ってもらうのがベストなんだ」

そう言われても何故ベストなのか全くわからない。
先ほどこなたにはサーヴァントの情報を詳しく調べる力があると聞いている。
それならばサーヴァントの護衛をつけてこなたに学園に行ってもらう方が良いはずだが。
その点を指摘するとルルーシュは陽介が使っている大学ノートを取り出した。
めくったページに書いてあるのは脱落者の情報だ。



「アサシン、サブラクを倒した今生き残っている参加者は十組二十人。
そして俺達は五組十人で手を組んでいてスザク達にもそれは知れただろう。
サーチャーの映像にサーヴァントは映っていなかったが密かに掲示板ぐらいはチェックしていたはずだ。
では、それを踏まえて奴らはこれからどう動くと思う?」

険しい表情で語るルルーシュに士郎もようやく自分達の現状に気付いた。
生き残っている他のマスターはほぼ全て優勝を狙っていることだろう。
そういったマスターの目に五組で徒党を組む自分達は果たしてどう映るか。
そこまで考えれば次に敵が取る行動も自ずと読める。

「残ったマスター同士で本格的に手を組んで俺達を排除しようとする…よな、どう考えても。
最悪残ったマスター全員で手を組むなんてこともあるかもしれない」


458 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:31:01 Jew2.Omw0
「最悪だのかもしれない、では危機意識がまるで足りないぞ衛宮。
成功するかはともかく、必ず、死にもの狂いでその手を実現させるというぐらいに考えるべきだ。
何しろ残るマスター全員で同盟してもこちらを数で上回ることが出来ないのだからな。
同時に勝つためにいよいよ手段を選ばなくもなるはずだ、例えスザクであってもな」

ルルーシュの言は非常に正しい。
士郎の心にはどこかで最大勢力になった自分達なら大抵の相手はどうにかなる、という意識があった。
が、それは明らかに増長であり傲慢であり致命的な隙だ。
間違っても二度とそんなことは考えるまいと心に誓った。

「言いたいことはわかったけどさ、それと俺が学園に行くのがどう関係するんだ?」
「ああ、大いに関係ある。
お前は見ていないだろうが、さっきスザクと一緒にいたサーヴァントが問題だ。
能力の低さとさっきのマスターの変装という状況証拠から考えてキャスターだろうな。
となれば少しでも勝率を上げるために何かの仕込みは絶対にしていると思っていい。
そして真っ先にその対象になるのは―――NPCだ」
「!そうか―――確かにそうだ。
あの蘇妲己だってNPCを操ってたんだ、絶対に何かはやってる」
「そういうことだ、となればこれから先マスターが外出するだけでも危険が伴う。
中でも戦う力がない俺と泉はこの集団のアキレス腱だ、機会があればまず狙われる。
この中で唯一まともな魔術師であるお前にしか頼めないことなんだ」
「別に俺は普通の魔術師ってわけじゃないんだけどな…でもわかった」

今まで休んでいたのだからここは自分が働くべき時だろう。
頷いて準備をする士郎にルルーシュはアルトリアとガウェインを連れていくように言った。
最高の対魔力と直感を併せ持つアルトリアと魔術戦の素養があるガウェインがこの任務に適しているからだ。
こうして三人は車で月海原学園に向かった。












そして現在、士郎たち三人は図書室の扉を開けて中に入った。
受付にはいつも通り案内役の間目智識がいた。

「あ、マスターさんいらっしゃーい!
って一人は前にも会ったサーヴァントさんじゃん」
「一日ぶりですね、早速ですが士郎殿に端末の使い方を教えていただきたい」

お安い御用、と言って案内をしてくれる間目智識に従って端末を起動する。
士郎は魔術師としては比較的機械への理解があるがパソコンなどを自由に使いこなせるほどではない。


459 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:31:37 Jew2.Omw0



「やっぱり変な感じだよな…」
「?どうかした、マスターさん?」
「あ、いや何でもないぞ」

この異質な聖杯戦争にも大分慣れたつもりだったがやはりこれは違和感が拭えない。
普段通学している学園が似て非なる建物に変わりそれが重要施設として扱われている。
以前の聖杯戦争では基本的に戦闘には関係ない場所だっただけに複雑な気分だ。
しかし感慨に耽ってばかりもいられない、携帯電話を出してルルーシュに掛けた。

「端末を起動したぞ、ルルーシュ」
『わかった、ではすぐに泉に代わる。
とりあえず名無たちが交戦したアサシンから、“D4C”という単語で検索してくれ』
「ああ、やってみる」

キーボードで「アサシン D4C」と入力する。
その結果「スタンド能力“D4C”」と出た、これがアサシンの能力なのだろうか。

『士郎くん、どんな感じ?』
「ああ、今ちょうどアサシンの能力を検索してるところだ」

こなたと会話しながら能力を読み込んでいく。
スタンド能力“D4C”。
精神の力の具現であるスタンド能力の一つでD4Cは第23代アメリカ合衆国大統領ファニー・ヴァレンタインのスタンドである。
同じ場所に隣同士の世界を同時に存在させたり、平行世界へと身体を移動させることが出来る。
何らかの物体の隙間(「扉と壁の間」「国旗と地面の間」等)に挟まれることで発動する。
大統領は隣の世界へと移動することで、どんな重傷を負おうと「隣の世界の自分」と交代して無傷の状態で復活することが出来る。



「こ、これは…」
「何だよこれ、完全に第二魔法の領域じゃないか」
『スタンド…これも何か知ってる気がする…』

本当にアサシンなのかと疑いたくなる規格外の能力だ。
アレックスらが撃退できたことから勝ち目が無いわけではないようだが。
驚いていても仕方ない、続きに目を通していく。

どうやらこの能力は宝具であることから使用には魔力消費を伴うらしい。
ランクや規模の大きさからいって決して気軽に使える能力ではないだろう。
しかし事実上の分身やスタンドヴィジョンによる格闘能力は厄介だ。
何より並行世界の同一人物同士を接触させ殺害する力は反則的だ、防ぐ手立てが無い。
鉄之助に対して使われなかった事から無条件で使えるわけではなさそうなのが救いか。

「…でも、これで相手の真名はわかった」

端末で「アサシン ファニー・ヴァレンタイン」と入力する。
するとマスター名と共にアサシンの詳細なデータが表示された。
ステータスやスキル、それとこの聖杯戦争では封印されている宝具についてもわかった。


460 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:32:13 Jew2.Omw0

「このステータス欄の宝具Aって詐欺じゃないか?
ランクEXの宝具しか持ってないのに何かおかしい気がするんだけど」
「マスターによるマイナスの補正が働いているのかもしれません。
魔力供給が十全でないが故に本来の性能を出し切れていないのでしょう」



得られた情報をしっかりとノートに書き写していく。
書き終えたところでこなたに電話を掛けた。

「アサシンの方はしっかり調べられたぞ、次はDIOだったっけ?
確か花村たちはまだ何か隠された能力があるかもしれないって言ってた気がするけど手掛かりがなあ…」
『手掛かり、手掛かり………あっ!
士郎くん、スタンドで検索して!“DIOのスタンド”で、早く!』
「えっ?あ、ああ、わかった」

何か思いついたのか興奮した調子で言うこなたの指示に従って検索ワードを入力する。
すると「スタンド能力“世界(ザ・ワールド)”と表示された。
これがDIOの隠された能力なのだろうか、とにかく説明文を読むことにする。
だが、そこに書かれた想像を絶する力にすぐに絶句することになった。



「時を止める、だと…?」
「………」
「冗談だろ、こんな……」

DIOのスタンド“世界(ザ・ワールド)”。
上級サーヴァントに匹敵するスタンドヴィジョンの格闘能力も凄まじいがそれさえ霞んで見える超級の異能。
それが時間停止、約十秒もの間世界の時を止める圧倒的に過ぎる超能力だ。
しかも生前の特性故か例え単独行動中であろうと数回の発動が可能な異様な燃費。
あの鳴上悠やランサーが敗北するはずだ、まともに戦う権利すら得られないとあっては勝てるはずがない。



『…諦めちゃ駄目だよ士郎くん、とにかくちょっとでも情報を集めよう、ね?』
「…ああ、そうだな」

空元気だろうが励ましがあるだけでも有難い。
こなたの指示に従って改めてDIOの逸話を丁寧に調べていく。
その過程でわかったことだが、驚くべきことにDIOのクラスはアーチャーらしい。
小道具をよく使った逸話からナイフをピックアップしたところクラスと投擲スキルの存在が明らかになった。
ただ未来の士郎自身である英霊エミヤも固有結界が宝具扱いされているので異質なのはお互い様かもしれないが。



DIOの能力を詳細にノートに書き写した後はランスロットとキャスターを調べた。
ランスロットの方は手にした武器を宝具化する異能や元は変装能力であるステータス隠蔽技能などがわかった。
逸話から派生して後天的に宝具化された能力が判明したのは地味ながら大きい進歩だ。


461 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:33:05 Jew2.Omw0

ただキャスターに関しては具体的な情報が少なすぎて絞り込むことが出来なかった。
サーチャーに映っていた変装したマスターからしてそれなり以上の道具作成能力を有しているのは間違いないと思うのだが。



「はぁ……」

情報収集そのものは上手くいったが、正直ため息しか出ない。
残る敵サーヴァント、特にDIOのあまりの反則さには打開策が浮かぶ気がしない。
よしんばDIOに対処出来たとしても切嗣とディケイドもいる、あちらもあちらで頭抜けた能力を保有している。

「シロウ、落ち込んでいても事態は何も好転しません。
まずは一度遠坂邸に戻り、対策を練りましょう。
全員で話し合えば活路も見えてくるはずです」
「…そう、だな。悪いセイバー、深刻に考えすぎたみたいだ」
「ええ、この聖杯戦争は前回とは違う。
私達だけで全てを考え、全ての敵と戦う必要はない」

優しげなセイバーの激励に強く頷き席を立つ。
そうだ、元より衛宮士郎に出来ることなどそれほど多くはなかった。
だがそれがどうしたというのか、周りには支えてくれる仲間が何人もいる。
士郎自身に策が思いつかないなら素直に彼らを頼れば良いだけだ。



「失礼します」
「――――――え?」

扉が開き、女性の声が聞こえてきた。
その声に耳を疑い全身が固まった。





―――待て、この声は。
―――ここで聞こえてはならない声ではないのか。
―――どうして、彼女が。





「マスターの衛宮士郎さん、ですよね。
お呼び止めしてすみません、重要なお話があるので保健室に来ていただけませんか?」
「――――――さく、ら」



間桐桜。
衛宮士郎にとって何より大切な少女がそこにいた。












「ごめんなさい、お忙しい中呼び止めてしまって」
「あ、いや、いいんだ。
それでその…話って一体?」

数分後、四人は学園一階の保健室に場所を移していた。
桜の姿を見て愕然としていた士郎だったが即座にガウェインが注釈を行なった。
曰く、目の前にいる少女はこの学園の健康管理を司る上級AIである間桐桜。
地上にいる桜をモデルにして用意されただけの別人であるという。

言われてみれば確かに明確な相違点があった。
今ここにいる桜はあまりにも髪が長すぎる。
この長さは地上にいる桜のサーヴァント、メドゥーサに近い。
それに言動もどことなく機械的な面がある、AIというのは本当だろう。
どちらにしても心臓に悪いことには変わりないのだが。


462 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:33:39 Jew2.Omw0



「はい、率直に言うと現在衛宮さんの霊子体、アバターの魂を司る部分に異常が発生しています。
私はムーンセルから衛宮さんが学園を訪れた時にこの情報を公開するよう指示されました」
「なっ……!?」

さらりととんでもないことを口にした。
士郎自身も身に覚えがない、一体いつの間にそんな事になったのか。
それに他にも不可解な点がある。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。
わからない単語もあるけど、要は魂に異常が起きてるってことで良いんだよな?
一体何時、どこでそんな事になったっていうんだ?」

士郎には魂に異常が発生するような事態には二つ覚えがある。
一つは英霊の身体、その一部分の移植だ。
かつて士郎は左腕を失った際代わりにアーチャーの腕を移植された事がある。
衛宮士郎と英霊エミヤは起源を同じくする者、それ故最も適合率の高い移植だった。
しかし如何に同一人物とはいえ人間と英霊では根本的に魂の比重が異なる。
魔力を抑える聖骸布で移植された腕を覆っても徐々に士郎の魂は侵食されていった。

もう一つは地上の大聖杯に巣食っていた“この世全ての悪(アンリマユ)”。
第五次聖杯戦争を混沌の坩堝に叩き落とした原因だ。
この悪性情報から漏れ出た泥は強大な自我を持つ英霊の属性すら反転させる。



「戦闘のログをチェックしましたが、衛宮さんは昼間に宝具“紅の暴君”を投影されていますよね?
その時柳洞寺の地脈から吸い上げた魔力に強力な悪性情報が混じっていたんです」
「なっ!?」
「…それは、吸い上げた魔力が汚染されていたということですか?
しかし何故?このムーンセルにアンリマユなど存在しないはずです」

一見冷静に見えるがただならぬ表情で桜に詰め寄るアルトリア。
それを当事者でないが故にこの場で最も冷静なガウェインが静かに宥める。
サーヴァントのプレッシャーから解放された桜がほっと一息ついてから質問に応じた。

「原因は今日の日中に脱落したライダーのサーヴァント、アシュナードさんです。
彼が消滅する直前に発動した宝具“エルランのメダリオン”の力で消滅した彼の魂は悪性情報に満ちていたんです。
この冬木市の魔力の流れは全て柳洞寺に行き着くように造られています。
そしてこの聖杯戦争で脱落したマスターとサーヴァントの魔力はこの冬木市の管理・運営に回されます。
衛宮さんはアシュナードさんの残した悪性情報を取り込んでしまったんです」
「なんだって……!?」


463 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:34:19 Jew2.Omw0

陽介らから話には聞いていた最強クラスの実力者であり最も凶悪なサーヴァント。
その名がこんなところで出てきたことに驚きを隠せない。
しかしガウェインは腑に落ちないのか桜への懐疑的な視線を崩さない。

「お待ちを、何故貴女はそれを我々に教えるのですか?
極めて間接的なものとはいえ、士郎殿の魂が汚染されたのはあくまで参加者間のやり取りによるもの。
この事象について貴女が我々に事実を教えることは禁則事項にあたるのでは?」
「はい、本来なら参加者同士で起こった事をNPCが伝えるのは禁止されています。
ですが今回の衛宮さんの魂の異常が起こった本当の原因は別にあるんです。
それが私が衛宮さんに事実を伝えることが出来る理由になっています」



桜の表情は非常に申し訳なさそうな、深刻そのものといった風情だ。
やや間を空けてから意を決したように再び口を開いた。

「ごめんなさい、今回の事は私達運営側の不手際が原因だったんです。
SE.RA.PHには脱落者の負の魔力や想念といった悪性情報を解体・浄化するシステムがあります。
ですが今回の場合そのシステムの出力不足からアシュナードさんの悪性情報を浄化しきれなかった。
本来の想定通りシステムが稼働していれば衛宮さんが悪性情報の影響を受けることは無かったはずなんです。
サーヴァントの悪性情報の解体に二時間以上もかかるなんて本来あってはいけない遅れなんです」
「要するにシステムの不備が参加者に本来有り得ない悪影響を与えてしまった、ということですか」
「はい、付け加えると原因になった情報をこれだけ開示できるのはアシュナードさんが既に脱落しているからでもあります。
脱落した参加者の情報公開についてはムーンセルからの規制が大幅に緩和されますから」

伏し目がちに話す桜を見ているだけでどうもこちらが申し訳ない気持ちになってしまう。
だがそんな事はお構いなしにアルトリアがずいと前に出て桜に詰め寄った。

「マスターの異常を知らせてくれたことには感謝します。
ですが回復出来ないのでは片手落ちだ、この件で学園サイドでの治療はしていただけるのですか?」
「…その、ごめんなさい。
この聖杯戦争では運営側による参加者の治療には強力な規制がかかっているんです。
それでもこういう特例の時には許可が降りるんですがこれは私の権限ではどうすることも……」
「いや、いいんだ。教えてくれただけですごく助かったぞ」

健康管理AIというからには治療が出来るかもしれないと思ったがそう上手くはいかないらしい。
とはいえこちらはそもそも気付いてもいなかったのだから知らせてくれただけ十分に有難い。
こうまで下手に出られてはアルトリアも引き下がるしかなかった。


464 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:35:12 Jew2.Omw0






余談だが月の聖杯戦争では参加するマスターの意志こそが最重要視される。
とはいえ参加者同士の接触による精神干渉などには本来さほどの制約はない。
どのように戦い、勝ち進むかは各マスターの意志と裁量に委ねられているからだ。

だが今回の場合は何の接触もないにも関わらず衛宮士郎にアシュナードの最期の足掻きが大きな影響を及ぼした。
本来想定された参加者同士の接触や闘争以外のところでマスターの意志をねじ曲げる事態が発生した。
しかしこれが参加者にのみ原因があるならば運営AIが士郎に事実を教えるなどということは許可されない。
ムーンセル側の不備が招いた不測の事態であるからこそ士郎が学園を訪れるという条件付きで事実を伝えるという判断がなされたのだった。
閑話休題。






「で、ですが今回のような事が二度と起こらないようにシステムの改善は進めています!
他の上級AIの皆さんと協議した結果柳洞寺に集積する魔力の浄化システムを強化しています。
リソースにも大分余裕が出てきましたから他の部分に悪影響が出ることもありません」

自分達運営の信用に関わると思ったのか慌てた様子で弁解する。
士郎は特に気にしないがアルトリアとガウェインはそうではなかったようだ。
二人とも公正かつ真っ当な運営をお願いしますと言って保健室を出た。

「あー…その、多分これから戦いが激しくなるから気をつけてな、桜」

士郎もそう言い残して保健室を出た。
我ながら不器用な物言いだと思ったが、恋人と似て非なる少女に他に何をどう言えば良いのか思いつかなかった。
とはいえ動揺もようやく落ち着いてきた、とりあえずは遠坂邸に一度戻るべきだろう。












「ういっす、おかえりー」

遠坂邸に帰り着くと真っ先に気がついた陽介が出迎えてくれた。
続いてルルーシュやこなた、アレックスらも待ちかねていたのかそれぞれすぐ居間に集合した。
ちなみに鉄之助だけは熟睡しておりリインフォースに叩き起こされる羽目になった。



そして数分後、居間にサーヴァントを含め全員が集まった。
進行役に選ばれたルルーシュが軽く咳払いしてから口火を切った。

「衛宮が持ち帰ってくれた情報は貴重なものだ。
衛宮の魂が汚染されているという事も含めてな、本当に大丈夫か?」
「…ああ、今のところは大丈夫だ。
似たような事なら前にも経験があるから慣れてるし」


465 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:36:00 Jew2.Omw0
「シロウ、慣れていることと大丈夫なことは全く意味が異なる。
無理を通して悪化した、では元も子もありませんよ」

陽介やこなたらも気遣うような視線を士郎に向けている。
ちなみに昼に投影した“紅の暴君”は真っ先に破却した。
解析したところ剣自体に負の魔力が染み付いてしまっていたのだ。
それが士郎には辛い、またしても仲間に迷惑をかけてしまっている。

「本当にごめん、長い間休んでた上にこんな事になっちまって…」
「士郎君、それは違う。
君とセイバーさんが俺達に代わって戦ってくれていたからこうして皆で集まって手を取り合うことが出来たんだ」
「ライダーの言う通りだ、お前達が天海を倒して俺達が来るまで耐えてくれていたからこそ今がある。
むしろ俺の方こそお前達に謝らなければならないぐらいだ。
俺があの時、勝手な別行動などせずに共に蘇妲己の討伐に行っていれば…。
いや、それが無理でもすぐに柳洞寺に引き返していれば防げたはずの事態だ、本当に済まなかった」
「ルルーシュくん……」



予想外のところで生じていた仲間の危機にルルーシュが臍を噛む。
士郎が衛宮切嗣との戦闘中に“紅の暴君”を使わざるを得なくなったのは不可抗力だったと言えよう。
だがその状況を誘発したのは他ならぬ自分だとルルーシュは認識している。

あの時の自分は役立たず同然だったがガウェインはそうではない、万全の状態だった。
すぐ柳洞寺に戻っていれば士郎がそこまで追い込まれることもなかった筈だ。
いやそこで衛宮切嗣を仕留めることも出来たかもしれない、そうすれば後のスザクの襲撃も無かったかもしれないのだ。



「過ぎたことを悔やんだところでどうにもなるまい。
異常が起きてしまったなら治療する術を探せばいい、やる事が一つ増えただけだ」
「だな、にしてもあいつら厄介なもん残しやがって…。
なあキャスター、あんたなら衛宮を治してやったり出来ねえか?」

陽介が視線を向けるもリインフォースはすまなそうに首を横に振った。

「私の扱う魔法は神秘を極める魔術とは対極に位置する科学寄りの技術なんだ。
すまないがこういった事は専門外だ、力にはなれそうにもない」
「マジかよ…じゃあ打つ手なしってことか?」
「今のところはそうなってしまうだろうな…。
花村達が調べたデータによればメダリオンは負の気を爆発的に増大させる宝具らしいな。
これに基づいて考えるなら精神が不安定になったり戦場に出た場合に症状が進行する可能性が高い。
衛宮、くれぐれも気をしっかり持っておくようにな。
お前自身のためにも、俺達の安全と脱出のためにも」


466 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:36:47 Jew2.Omw0



初めて会った時からは考えられない気遣いを見せるルルーシュの言葉に士郎も強く頷いた。
それを見たルルーシュもやや安心したのか本来の本題を切り出した。

「予想外のアクシデントで少し話が逸れたが今から本格的な作戦会議を始めるぞ。
まずこれからの行動方針だがさしあたって目指すのはただ一つ、この会場からの脱出だ。
今キャスターに会場内の構造を調査してもらっている、その中から少しでも隙のある部分を探し出す。
そういった点を見つけ次第転送魔法でここから脱出する」
「賛成だな、殺し合いなどはやりたい者だけにやらせておけば良い。
我々がここから脱出した後残った奴らがどうなるかはわからんが…そんなことは知ったことではないな」
「ですがルルーシュ、先ほども言っていましたが残る五組のマスター達は必ず我々を排除しようとするはずです。
こちらにキャスターがいることが知れた以上そう間を置かずに攻め込んでくるでしょう」
「ああ、わかっている。奴らは何としてでも数を揃えてこちらに対抗しようとするだろう。
それに対して俺達が取るべき手段はただ一つ、専守防衛だ。
残る敵サーヴァントの正体と能力を考えればバラバラに戦っていては勝てない」

士郎が調べてきたサーヴァントのデータが載ったノートは既に全員が回し読みを済ませている。
しかしその表情はいずれも渋い、敵には評価規格外の宝具を持つ者が複数いるのだから当然だ。
これらの強力なサーヴァントに少しでも対抗するには団結をもって当たるしかないとわかってはいるのだが。
とはいえ黙っていても話は進まない、率先して士郎が切り出した。

「ヤバいのは切嗣のディケイドとDIOだよな。
超加速や時間停止なんて使われたら、いや使われただけであっさり有利を取られちまうぞ」
「ああ、私もサーチャーに平行して魔力探知も強化はしているが使われるのを止めることは流石に出来ない。
そいつらが先陣を切って能力を使ってくれば容易く攪乱されてしまう」
「しかもディケイドは透明化に狙撃なんて真似が出来てDIOは鳴上を洗脳した肉の芽があるんだろ?
どうしろってんだよ、さすがの鉄之助様でもお手上げだぜ……」

一度は盛り上がった場の空気が一気にお通夜ムード一歩手前まで落ちてしまった。
現在遠坂邸に集っているサーヴァントの戦力は確かに強大ではある。


467 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:37:45 Jew2.Omw0
対魔力に優れた騎士クラスが四人も揃っていて個々の戦闘力も非常に強大だ。
正面から戦えばどれほど強力な敵も打ち破れる布陣であることは疑いようもない。

が、敵にはそんな常識の通用しない次元違いの能力を持つ者が複数存在する。
アサシンやバーサーカーは強力ではあるがまだマシな部類ではある。
能力や性質、魔力消費など明確な穴が存在しているので十分対抗策を用意できる。
しかしDIOとディケイドはあまりにも強く、そして反則的だ。
時を止める異能とスタンド及び吸血鬼のパワーによる正面からの戦闘能力を併せ持つDIO。
クラス特性を明らかに無視した馬鹿げた汎用性とクロックアップなどの超加速能力を有するディケイド。
最初から対抗策など思いつかせる気がないのではとすら思えてしまう。



「……こうは考えられないか?
DIOとディケイドは最初から私達のような殺し合いに積極的でない者を刈り取るために用意された存在だったと。
クラスの枠を無視して再現された能力の数々も全ては私達へのカウンターだったんじゃないのか?」

悲痛な声で絞り出すように話すリインフォースの言葉を誰も無視は出来なかった。
もしや自分達は最初から絶対に勝てないゲームをさせられていたのではないのか?
今の今までそうと気付かなかったというだけで。





「いいや、まだだ」




だが、泰然と、当然のように否定する者がいた。
この状況でも一切表情の動かないアレックスだ。

「俺が思うに人が真に敗北するのは戦う意志を失った時だけだ。
どれほど絶望的で、困難ばかりが立ち塞がる状況であろうとも、戦う意志が残っている限りはまだ負けではない」

いつものように淡々と告げる言葉には生前の強敵への敬意が込められていた。
勿論それはこの場の誰も詳しくは知らないことだ。
それでもこの場に漂う暗い空気を払う効果はあったらしく、ルルーシュが追従する。

「アレックスの言う通りだ、泉たちは知らないだろうが死んだ一のサーヴァントは宝具を無効化する宝具を持っていた。
これはDIOとディケイドの天敵になり得る宝具だった。
どれだけ強力に見えるサーヴァントにも必ず相性の悪い者や撃破する手段は存在するということだ」
「自慢にもならないけどさ、俺なんてサーヴァントがいないのにサーヴァントと戦わなきゃならない時があったんだ。
その時も遠坂やイリヤが手を貸してくれたから戦い抜くことが出来た。
これだけ味方がいるんだ、何も方法が無いなんてことは無いはずだ」


468 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:38:20 Jew2.Omw0

士郎は思い出す、アルトリアが聖杯の泥に飲まれ敵に回った時の絶望的状況を。
それに比べれば今の状況は遥かに恵まれている、やりようはあると信じている。



「…そう、だな。済まない、弱気になりすぎたようだ」
「しょうがねえよ、俺だって今回ばっかりはビビッたし」

謝罪するリインフォースを鉄之助が優しく励ます。
その光景を見届けたアレックスが微かに笑みを浮かべた後、すぐ真剣味を帯びた顔に戻った。

「対DIOに関しては私に秘策がある、恐らくマスターの令呪が必要だろうがな」
「え、マジでか!?」
「ああ、簡単な話だ。ARMSの学習能力をDIOの時間停止に適用させればいい。
奴の攻撃手段は対人に特化していて貫徹力の高い技は少ない。
つまり時間停止さえ無効化し、かつ一対一なら十分な勝機があるというわけだ」

陽介のみならず、士郎や鉄之助の表情も一気に明るくなる。
こなたに至っては興奮すらした様子でアレックスの案を猛烈に支持した。

「アレックスさん、それいけるよ!
確かDIOって宿敵に時間停止を破られて負けたはずだよ」
「なるほど、我々英霊にとって死因になった伝承を再現されるのは極めて致命的。
逆に言えば敵に対してそれを行えば勝利は確実と言えましょう」
「おお、何だかいけそうな気がしてきたぜ!
…あれ?けど何でそれで俺の令呪が要るんだ?」

アレックスの表情がやや渋くなった。
まるで自分の力不足を恥じるような、そんな様子だった。

「宝具のランクの問題だ、俺の“帽子屋”はランクAであちらは評価規格外。
普通に戦って“帽子屋”が時間停止に耐性を得られる可能性は業腹だが低いと言わざるを得ない。
だがお前の令呪と、俺の意志を合一しかつ時間停止の打破に特化した命令ならば可能性は跳ね上がる」

言われて陽介は自分の左手の甲を見やる、そこには何の欠損もない三画の令呪。
これまで使う機会が巡ってこなかったこの絶対命令権を行使する時がそこまで迫っているということ。

「…正直に言えば、お前がどこかで短気を起こして無駄に令呪を使う可能性はかなり高いと思っていた。
しかし結果としてそうはならなかった、マスターの忍耐がこの機会を呼び寄せたのだ」

静かに語るアレックスはひどく穏やかな表情だった。
生前の強敵たちが宿していた人間の強さと弱さを今生のマスターに見出していた。
それを理解したというわけでもないが、陽介もまた無言で強く頷いた。



「ですが問題はあります、そう都合良く一騎討ちの状況に持ち込めるのですか?」
「だからこそのキャスターの転移魔法だ、敵の存在をキャッチした時点で最も相性の良い者を転移させる。
これ自体はバレているだろうが、それでも手札を有効活用しない手はない」


469 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:39:01 Jew2.Omw0

それは士郎やルルーシュらが敵に対して持つ明確なアドバンテージの一つだ。
リインフォースのサーチャー、魔力探知による索敵と併せれば戦場をある程度こちらでコントロールすることが可能。



「キャスターには最後方で俺達マスターの防衛と念話による司令塔に専心してもらいたい。
それと今から全員で地下室に移動するぞ、ここからは臨戦態勢で臨むべきだ」
「地下?それと臨戦態勢って…一体どういうことだよ?」
「そうか、切嗣の狙撃を警戒しているんだな、ルルーシュ」

納得を得た士郎の発言に「ああ」と頷き返した。
アルトリアから切嗣が狙撃銃を所持していることは既に聞いている。
どこから狙われるかわからない以上対策は打っておくべきだ。

「付け加えればアサシンやディケイドへの対策でもある。
狙撃や建物自体を狙った爆撃は邸宅に篭る俺達には最も効果的な攻撃になる。
だがそれらは地下室に潜ってしまえば無効化できる。
見たところこの家の地下室は魔術工房を兼ねているせいかかなり頑丈なようだ。
そこにキャスターの障壁を併せれば砲撃でいきなり死者が出るということはあるまい」
「はあ、なるほど…色々考えてんだなあんた。
…ってあれ?ちょっと待てよ、戦いになった時俺らはずっと引き篭ってろってこと?
援護とか何かこう…出来ることとかあるだろ」
「確かにお前や名無、衛宮の戦力はサーヴァントの援護にうってつけだが流石に今回はな。
何しろ最大十騎ものサーヴァントが入り乱れる大きな戦いになる。
そこにマスターが割って入るのは自殺行為だ、それならマスター全員で固まって後方にいた方がいい。
むしろこれは俺達マスターが敵から逃げ回る戦いになるかもしれん」

地下室への階段を降りながらルルーシュは説明を続ける。
仲間に対して懇切丁寧に作戦を説明する姿は生前からは考えられないものだ。

「転移の恩恵を受けられるのは何もサーヴァントだけじゃない。
他の敵サーヴァントをこちらで引きつけた後キャスターと俺達マスターが転移すればアサシンの暗殺も無効化できる。
そして転移先として最も有力なのが柳洞寺地下大空洞だ。
あそこは衛宮以外誰も知らなかった地図にも無い場所だからな」
「…いや、ちょっと待てルルーシュ。
切嗣は第四次聖杯戦争にアインツベルン陣営として参加していた。
もしかしたら地下大空洞のことを知ってる、かもしれない」

士郎の指摘にルルーシュがふむ、と考え込む。
聞いた話ではアインツベルンは御三家の中で聖杯を用意する役割を担っていたという。
そしてそのアインツベルンのマスターとして聖杯戦争に臨んだ衛宮切嗣なら確かに地下大空洞を知悉していてもおかしくはない。


470 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:39:50 Jew2.Omw0

だがあの場所が絶好の防衛拠点であることは変わらない。
何しろ入口はたった一つ、さらに洞窟の奥までは完全な一本道。
こちらが最初から奥に転移してしまえば、敵が侵入したとしても有利な条件で迎撃出来る。

「キャスター、柳洞寺のサーチャーを一基増やしてくれないか?
地下大空洞に続く道の偽装を抜けたあたりだ、万が一の待ち伏せや工作があれば早めに察知しておきたい」
「わかった、衛宮、すまないが後で場所を教えてほしい」
「ああ、わかった」

サーチャーには視覚妨害に対して弱いという欠点がある。
だがその反面気配の感知などに依らない機械的な監視故の利点も存在する。
アサシンなどが持つ気配遮断は決して完璧なものではない。
姿そのものが消えるわけではなくあくまで気配を断って身を隠すだけの技能だ。
つまりサーチャーを工夫して用いればアサシンの発見すら可能とするということ。
事実先の戦闘では気配を断って逃走を図ったサブラクをサーチャーで発見することが出来た。



アクシデントがありながらも防衛戦の準備は着々と進んでいる。
陽介が鳴上悠から託されたというデータファイルも今はガウェインが解析を進めている。
だがルルーシュの表情は優れない、対DIOの策に大きな穴が存在することに気付いているからだ。

(アレックスの情報が漏れている以上対人特化のDIOが素直にアレックスと一対一で戦うものか?
仮に上手くいったとしても速さと手数に優れるディケイドならば容易に戦いに割り込める。
DIOに勝つには一対一でディケイドを押さえ込めるサーヴァントが必要不可欠だ。
普通に考えてディケイドの能力を相殺できるオーズが適任と言えるのだが……)

当然それは切嗣らに読まれている、どころか相手はその状況こそを望んでいる節すらある。
思えばあのディケイドは仮面ライダーであるオーズに執着している様子だった。
ディケイドが破壊した仮面ライダーの力を取り込めるからなのだろうが。

(それにオーズ、火野映司はディケイドに対して非情になりきれない。
泉は令呪を温存しているが、一般人のあいつに的確な令呪使用を期待するべきじゃない。
何より相手を撃つ覚悟がある者と無い者が戦えば、結果は火を見るより明らかだ)

完全に否定するわけではないが、なるべくオーズとディケイドの一対一の対決は避けた方が良いかもしれない。
チーム全体に流れる空気は大きく改善された、だが差し迫る危機への備えが十分とは言い難い。


471 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:40:39 Jew2.Omw0

(最善策で満足していては奴らを上回ることは出来ないだろう。
この上は何かを捨てる覚悟で挑まなければ多くの犠牲は避けられない。
衛宮、花村、名無、泉は生者で俺だけが死人。
それにスザク、お前が最も殺し合いに乗りやすい時期を考慮すれば説得になど応じないのだろうな…。
ならばこの状況で捨て去るものは――――――)

自分の左手を見やる、そこにはただ一画となった令呪が鈍い輝きを発していた。


【深山町・遠坂邸地下室/深夜】

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[令呪]:2画
[状態]:健康、精神汚染(極小)
[装備]:携帯電話、ICレコーダー
※紅の暴君は破却しました
※アシュナードの【負】の気を取り込んだため、魂が変質しました。
 戦いなど【負】の気が満ちる場所に身を置くと変質は更に進行します
※魂の変質を自覚しました

【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[状態]:魔力消費(大)
[道具]:無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate Zero
※ムーンセルに課せられていた能力制限が解除されました
※ムーンセルから得られる知識制限が解除されました

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
 [令呪]:1画
 [状態]:健康
 [装備]:携帯電話、ニューナンブ
※枢木スザクが参加していることを知りましたが説得を断念しました
※マスター達は時空を超えて集められたのではないかと考えています
※枢木スザクが自分より過去(第二次トウキョウ決戦前後?)から参戦していると考えています

【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
 [状態]:魔力消費(大)
※リインフォースにある術式の改良を依頼しました

【泉こなた@らき☆すた】
 [令呪]:3画
 [状態]:健康
 [装備]:携帯電話

【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:健康、新たな決意

【花村陽介@ペルソナ4】
 [令呪]:3画
[状態]:健康、強い覚悟と決意
[持ち物]:ミネラルウォーター@現実、カロリーメイト@現実・医薬品一式@現実
 大学ノート@現実・筆記用具一式@現実・電池式充電器@現実・電池@現実
 携帯電話*携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
 予備の服@現実・食料@現実・スパナ@現実
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)
※ジライヤがスサノオに転生しました。
※鳴上悠からデータファイルを渡されました。
このファイルの中身を現在ガウェインが解析しています


472 : 作戦会議をしよう ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:41:19 Jew2.Omw0

【ランサー(アレックス)@ARMS】
 [状態]:魔力消費(中)、ARMSの進化(進行度小)
※アサシン(ヴァレンタイン)が生存していることに気付きました

【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:2画
[状態]:健康
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)

【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:魔力消費(大)回復中、強い決意
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園、柳洞寺地下大空洞前を中心に索敵しています
※ガウェインからある術式の改良を依頼されました
※転送魔法の使用にかかる魔力消費が本来より増大しています


※今まで月海原学園で調べたサーヴァントデータの内容を全員が共有しています
アーチャー(DIO)、アサシン(ヴァレンタイン)、ライダー(門矢士)、バーサーカー(ランスロット)のデータは詳細に把握しましたが、キャスター(キンブリー)の情報はごく一部に留まっています
※円蔵山の魔力集積地に蓄積していた悪性情報(負の魔力)は完全に浄化されました
また悪性情報の浄化機能が大幅に強化されています


473 : ◆cp3jCCSc7M :2013/10/19(土) 11:42:22 Jew2.Omw0
以上で投下を終了します
感想、ご指摘等ありましたらよろしくお願いします


474 : 名無しさん :2013/10/19(土) 12:46:44 wSaamg/.0
投下乙です
敵の情報も集まって、対主催陣営も大決戦に向けていい感じに固まってきてるね
しかし数を束ねてもDIOやディケイドは宝具からしてやっぱり相当厄介な敵なんだよな
向こうも数を連ねている以上、ルルーシュも疑問に抱いてる通りアレックスの策も上手く行くのか不安だな…
そしてルルーシュ、まさか…?


475 : ◆XL.nOGsA4g :2013/10/19(土) 13:03:36 2knh2pyYO
投下乙です!
対主催側の準備も整ってきていよいよ決戦間近といったところでしょうか
学園サイドによる精神汚染バレ、確かに環境整備の不足が招いた事態であるなら納得です
良い意味で予想を外されました、改めまして投下乙です!


476 : 名無しさん :2013/10/19(土) 13:29:15 CfrTfwJ.0
投下乙です
寺組壊滅以来見向きもされなかった大空洞に新たな使い道が生まれるとは…!
こういう形で回収されなかったフラグを拾うのは良いですね
紅の暴君は破棄か、ちょっともったいないけど汚染されてるなら仕方ないね


477 : 名無しさん :2013/10/20(日) 05:08:54 rX6ZDkww0
投下乙
あとは各サーヴァント、マスターの駆け引き次第だな。
特に頭脳バトルとなるとJOJO出身のアーチャーとアサシンが強いが
(DIOは慢心と最高にハイ!さえなければ・・・)


478 : 名無しさん :2013/10/20(日) 08:32:39 P1wSWWFQ0
いくら令呪使っても、時間停止の無効化というのは少し疑問を感じます。
時を止められた状態でも殴られ続ければ、マッドハッターは進化してThe Worldでも傷一つつかなくなるでしょうし、それで十分な気が。


479 : 名無しさん :2013/10/20(日) 10:08:26 VP6Ef5fg0
時間停止無効化に関してはあくまで可能性の話だし、令呪使っても「出来るかもしれない」って話だしなぁ
結果は後々実戦で出るんだし、別に一先ず話進めてもいい気が


480 : 名無しさん :2013/10/20(日) 11:04:52 KkKQE3jAO
>>477
なんかそういう部分も含めてアーチャーになったんだなって思うw


481 : 名無しさん :2013/10/20(日) 11:48:15 Z7ZI96fQ0
アチャーwww


482 : ◆XL.nOGsA4g :2013/10/20(日) 16:11:40 v4A9nRpIO
すみません、この作品が通しであるなら泉こなた&ライダー、衛宮士郎&セイバー、名無鉄之助&キャスター、花村陽介&ランサー、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアで予約しても構わないでしょうか?
あまり時間を進めるような展開にはしませんので…


483 : 名無しさん :2013/10/20(日) 19:39:19 /qvxaCKg0
オーズのスーパータトバはどうなんでしょう、wikiのステータスにはなかったけどあれの方が時間停止には強いと思うのですが。


484 : 名無しさん :2013/10/20(日) 20:24:51 Z7ZI96fQ0
魔力ソースの差で負けてる…令呪使ってもこなたが干物になりかねん


485 : 名無しさん :2013/10/20(日) 20:39:17 Rc.1Q96s0
スーパータトバは燃費良いというか安定度高かったはず


486 : 名無しさん :2013/10/21(月) 00:33:37 KioenW3MO
消耗ないのにまともに使えない宝具とか生前の時点で使えないんじゃね


487 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/21(月) 20:13:50 R//ADWzw0
延長します


488 : 名無しさん :2013/10/21(月) 23:18:29 x/Lrhtno0
ものすごく今さらなんだか名無のしたの名前って鉄之介じゃなかったっけ?
この話だけじゃなかくて他の作品でも鉄之助になってる…

まあどっちでもいいっちゃいいけど


489 : 名無しさん :2013/10/21(月) 23:43:02 cwQvSKeU0
結局通しなのかな?
このままだと氏が予約できないままになってしまうけど


490 : 名無しさん :2013/10/22(火) 00:10:20 MfihM3Ys0
開戦したら何事も無かったかのようにオーズが出てってDIOと戦う…
駄目か


491 : 名無しさん :2013/10/22(火) 00:25:09 shaZdC6I0
まっさきにこなたが死ぬじゃないですかーやだー


492 : 名無しさん :2013/10/22(火) 00:32:37 MfihM3Ys0
何で?


493 : 名無しさん :2013/10/22(火) 07:30:42 exDT3eOs0
>>490
ご都合主義もいいところだろ…


494 : 名無しさん :2013/10/22(火) 11:56:12 H1ROPG2UO
全盛期=プトティラがまだある頃なら時期的にスーパーとの両立は…宝具ってそこら辺の扱いどうなんだっけ?


495 : 名無しさん :2013/10/22(火) 12:05:58 rK9gqyvQ0
件の話でDIOとディケイドが明確に「クラスを無視した異常な能力」扱いされてる上でオーズには特に触れられてないし
多少の制限はある…のかもしれない


496 : 名無しさん :2013/10/22(火) 12:21:24 kkPaDLYY0
DIOはクラスを無視してるというより元々しっくりくるクラスが無いというか
実際のクラスも一番条件が適当なアーチャーだし


497 : 名無しさん :2013/10/22(火) 12:53:58 t1Q6OdjQO
オーズの最強形態ってスーパーだったような


498 : 名無しさん :2013/10/22(火) 12:54:15 tRya9oyw0
ロードローラーやタンクローリー使えるライダーがよかったかい(震え声)


499 : 名無しさん :2013/10/22(火) 19:13:12 5vwXnKsg0
extraのランチャーさんが鎧と槍を両立させてる(鎧脱がないと槍はつかえないけど)からいいと思うのですが


500 : 名無しさん :2013/10/22(火) 19:17:57 TkcDAodQ0
ファニーヴァンプで各時代のDIOの良いとこ取りを……
うん、ダメだな(震え声)


501 : 名無しさん :2013/10/22(火) 23:07:43 EL5ay/Is0
>>499
鎧脱いでるやんあれ


502 : 名無しさん :2013/10/23(水) 20:19:23 9AXw3gcY0
結局、予約はどうなったんだ?


503 : 名無しさん :2013/10/23(水) 20:33:49 Q5RWcSz60
ウィキ見たかぎり予約はされている


504 : 名無しさん :2013/10/23(水) 21:27:40 x8lcEuIs0
wikiなんて誰でも編集出来るし


505 : 名無しさん :2013/10/24(木) 08:17:41 /6370r9g0
仮にこのロワが終わったら、続編は
作られるのだろうか?


506 : 名無しさん :2013/10/24(木) 11:17:23 el7juG0A0
そんなことよりディオ様倒す方法考えようぜ!


507 : 名無しさん :2013/10/24(木) 12:17:07 EXFNGj8EO
>>506
まずまどかが残念で迂闊な前線行きをします。


508 : 名無しさん :2013/10/24(木) 19:23:39 8z7Rm0oU0
オーズのラトラーターコンボで熱線出せばいいんじゃね?


509 : 名無しさん :2013/10/24(木) 21:13:42 Ik1uacfc0
ガタキリバ:問答無用の50人分身
ラトラーター:超スピード走行、熱線放射、太陽拳
サゴーゾ:重力操作
タジャドル:火炎攻撃、超音速飛行、ギガスキャン
シャウタ:水中潜行、液状化
プトティラ:飛行、凍結能力

改めて見ると新都連合軍の鯖に有効そうな能力を結構持ってるオーズが鍵になる
可能性があるかも。
まあコンボの多用→効果:こなたが死ぬ なので序盤は亜種コンボでつなぐしか
ないだろうがw


510 : 名無しさん :2013/10/24(木) 21:25:11 SqD/Df1I0
ブラカワニ「…」


511 : 名無しさん :2013/10/24(木) 22:11:59 7JS.N6qI0
>>506
1、ガウェインを出します
2、寺で回復しながらガラティーン点滅
3、さようなら


512 : 名無しさん :2013/10/24(木) 23:42:38 V9..Fafo0
そういや今回の聖杯大戦、面子考えると虚淵vsきのこ大戦みたいだよな

遠坂邸同盟
・きのこキャラ(士郎、アルトリア、ガウェイン)
・キャスター(おっぱい枠)
・映司の境遇が士郎っぽい
・マスター同士割と仲がいい

新都連合軍
・虚淵キャラ(切嗣、ランスロット、まどか)
・キャスター(狂人、サイコパス枠)
・平行世界移動(大統領)+時間停止(DIO)=ほむほむ
・ディケイドは本人が鎧武(虚淵ライダー)と共演
・マスター間に蠢く策略、疑心、裏切りの空気


513 : ◆XL.nOGsA4g :2013/10/26(土) 12:55:31 O1gBPRTUO
延長したいんですが予約が消されている…この状態で延長しても大丈夫でしょうか?


514 : ◆2shK8TpqBI :2013/10/26(土) 14:52:29 GjueRLPw0
大丈夫と思います。


515 : 名無しさん :2013/10/26(土) 15:34:27 UtwCilrk0
>>513
wikiに予約再表記+延長しておきました


516 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:55:28 /UFxqM9s0
投下します


517 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:55:53 /UFxqM9s0

時刻は深夜、冬木ハイアットホテルの一室にて、四人の男たちが向かい合っている。
一人は英国人、アーチャー・DIO。マスターは鹿目まどか。
一人はアメリカ人、アサシン・ファニー・ヴァレンタイン。マスターはジョン・バックス。
一人はアメストリス人、キャスター・ゾルフ・J・キンブリー。マスターは羽瀬川小鳩。
一人は日本人、ライダー・門矢士。マスターは衛宮切嗣。
いずれも人間ではなく、サーヴァントと呼ばれる魔力で構成された過去の英霊たちである。
彼らは今、ある一つの目的を達成するために一時的に協力関係にあった。

「…以上が、僕が学園で取得した敵の能力です」

そして、ここにはいない人物の声がテーブルに置かれた携帯電話から漏れた。
その声の主は枢木スザク。同じく不在のバーサーカー・ランスロットのマスターである。
バーサーカーを代理で会合に出席させることは不可能なので、彼だけはこのような方法で参加している。

「ある程度予想はしていたが、なんともでたらめなメンツだな」
「戦闘力に特化したセイバーが二騎、再生・ダメージ耐性能力持ちのランサー、多彩な能力を持つライダーとキャスター。
 そして戦闘力に優れたマスターが三人。ふん、癪だがまさに鉄壁の布陣というわけか」
「対してこちらはアーチャー、ライダー、アサシン、キャスター、そしてバーサーカー。
 純粋な戦力で劣る上に安定性にも欠ける。やれやれ、分の悪い勝負になりそうですねぇ」
「やはりネックはセイバー二騎だな。こっちの陣営で奴らと正面から対峙できるのは…おそらくバーサーカーだけだろう」
「バーサーカーか…私は以前別のバーサーカーと遭遇したが、奴は紛れもなく弱兵であったぞ。
 元々バーサーカーというクラス自体、能力で劣った英霊を何とか使い物にしようとひねり出されたようなものだ。
 はたしてそこまで期待できるものか?」
「それについては俺が保証しよう。魔力の供給さえ対処できれば、やつの戦闘能力は一級品だ」

DIOはマスターの親友であったらしい美樹さやかというバーサーカーを思い出す。
あれも再生能力を持ってはいたが…戦闘能力の点で言えばお粗末もいいところだった。
弱い英霊をいくら強化したところで、絶対なる強者には太刀打ちはできないとDIO自身がたやすく証明してみせた。

「加えてあのバーサーカーには他人の宝具を支配する力がある。俺との相性は最高だろう」
「ほう…? ライダー、お前は自分の能力を我々に明かすのか?」
「組む以上はある程度の能力の開示はマスターから許可されている。さすがに真名を明かす気はないがな」

実のところスザクはライダーの真名はもう知っていたのだが、それをこの場で明かすのは避けた。
切嗣との関係をいたずらに悪化させる必要はないし、当の切嗣にしてもスザクがライダーの真名を掴んでいることは察していた。
なにせ敵のライダー、仮面ライダーオーズの情報をスザクに漏らしたのは切嗣自身だ。
同じ仮面ライダーである以上、そこから仮面ライダーディケイド・門矢士に辿り着くのは難しくない。
スザクが真名を明かさなかったため、切嗣も士もそれ以上は触れなかったが、もし暴露されていれば取るべき作戦も少し変わっていただろう。
士がディケイドの能力をざっと話す。もちろん本当の切り札や弱点は伏せておいたが。


518 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:56:20 /UFxqM9s0

「当然、お前たちの能力も聞かせてもらうぞアーチャー、アサシン、キャスター」
「無論だ、ライダー。向こうは間違いなく情報を共有し、完璧な連携を取ってくるだろう。
 ならば我らがお互いの手の内を知らぬまま向かっていったところで蹴散らされるのが道理だ」

ヴァレンタインが士に同意した。ヴァレンタインもまた、ジョンからある程度の能力開示の指示を受けている。
D4Cの詳細を他者に知られると色々と不都合ではあるが、アサシンというクラスの性質上直接の戦闘能力は低い。
にも関わらず能力を秘匿するのは、集団に属するにおいて完全にマイナスに働く。
役に立たない、いつ裏切るかもしれない駒を置いておく理由はないのだから。
ヴァレンタイン自身がこの集団になにか貢献する要素を提示しないと、敵と戦う前に味方に排除されかねない。

「私の能力は…見てもらったほうが早いな」

その時、部屋のドアをノックする音が響いた。
立ち上がりかけたサーヴァントたちを手で制して、ヴァレンタインは自ら来訪者を出迎えに行く。

「初めまして、と言うべきかな。私もアサシンだ」

そして入ってきたのは、今まさにドアを開けたアサシンと瓜二つ…ではなくまさに同一人物のアサシンだった。

「分身か?」
「ここまでまったく私達に気配を感じさせなかったということは、分身もまた気配遮断スキルを保有しているということですか。
 驚きましたね…いや、アサシンにはうってつけの能力ですが」
「…過去にもそういうアサシンはいたと俺のマスターが言っているが。やれやれだな」
「群体型…いや、違うな。本体と全く同じ姿、独立した意思を持ち、別個に活動する…ふん、なるほど。貴様のスタンドはそういうタイプか」

ヴァレンタインはあえて詳しい説明は避け、見たままを理解させることにした。
分身が可能である・その分身にも気配遮断スキルはある、ということだけ理解させれば戦力としては十分なはずだ。
だがDIOは二人のヴァレンタインを見て、どういうタイプのスタンドなのかおおよそ察しがついていた。
かつて戦った時は間違いなく近距離パワー型のスタンドを備えていた。
にも関わらず本体が二人いる、ということは…

「本体を複製する能力…では、『本当の本体』はどちらだ?」
「そこまで言う気はないな。特にアーチャー、お前にだけは」
「ふっ…まあ、よかろう。見当は付いている」
「それはこちらも同じことだ。アーチャー、貴様の能力…それは『時間停止』に間違いないな?」

ヴァレンタインの言葉に士、キンブリーの顔色が変わる。電話・念話の向こうのスザクと切嗣も同様だ。
ただ一人、当のDIOだけは泰然とヴァレンタインの言葉を受け止めていた。

「やはり貴様も見破っていたか。まあ、同じスタンド使いだものな…当然か」
「お前が私の能力を見切ったのと同じことだ。アーチャー、いやサーヴァントとしても規格外のその能力…
 この集団で最も強力だといえるだろう。中核となるのはお前だ」

いかに強力なサーヴァントであっても、時間を止めてしまえば無防備だ。
かつて猛威を振るったクー・フーリンでさえも、DIOの前になすすべなく敗れたくらいなのだから。


519 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:56:36 /UFxqM9s0

「ということは…アーチャー一人でも勝てるのでは?いかにセイバーなどが揃っていても、時間を止められるのなら敵ではないでしょう」
「あいにくそうもいかん。私とて所詮サーヴァント…契約と魔力という鎖に縛られる身だ。
 一度に止められる時間は決まっている。もし初撃で敵全員を仕留め切れなければ、目も当てられん事態になる。
 いくら時間を止めても、さすがに五騎のサーヴァントを一気に始末するのはいささか荷が重い」
「では、せいぜい一騎…いや二騎くらいまでなら問題ではないと?」
「無論だ。が…一人、敵には私とすこぶる相性の悪い者がいる。ガウェイン――太陽の騎士と名高い、円卓の騎士三番手だ。
 こいつを前にしては私の能力はほぼ無効化されると言っていい」
「ほう…何故だ?ガウェインが規格外に強力なのは認めるが、今の時間だと全力を発揮できるわけじゃない。時間を止めれば勝てない相手じゃないだろう」
「宝具の相性の問題だ。私の真名に関わることなので詳細は言えんが、弱体化していても私はこいつとは戦えん」

DIOの宝具はザ・ワールドというスタンドだが、DIO本体の身体は吸血鬼という生物である。
本来の吸血鬼とはまた違った種別なのだが、太陽光――紫外線が天敵だということに変わりはない。
そして件のガウェインの宝具は、内部に擬似太陽を収めているという。
いかに時間を止めてガウェインの心臓をぶち抜いたとしても、時間が動き出した瞬間太陽光に灼かれてDIOもまた滅びる。
さすがにこの情報だけはDIOも開示しなかった。
いかにヴァレンタインとてスタンド能力と全く関係のない吸血鬼の情報までは入手していない。
戦略的に意味のない弱点をわざわざ教えてやる義理はDIOにはない。

「ガウェインと戦いたくないから嘘をついている…って訳でもなさそうだな」
「口を慎め、ライダー。貴様ごときならこのコーヒーを飲み干す片手間に縊り殺してやれるのだぞ」
「おっと、そいつは悪かったな。だがそうなるとあんたを宛てにするのは不可能ってことだな。なんせ向こうはセイバーを前に出してこない理由がない」
「そうなるな。なんとかガウェインを無力化するか、引き離せば私が一気にカタをつけてやるのだが」
「ふむ…まだ検討の余地はあるが。では次、キャスター。君について聞かせてもらおう」

ヴァレンタインが促すと、キンブリーは飲んでいたコーヒーカップをテーブルに置いた。
そして、指を三本立てる。

「3、2、1…」

キンブリーがすべての指をたたむと同時に、ボンッと音を立ててカップは弾けた。
ごく弱い爆発だったので破片はさほど飛び散るわけでもなく、サーヴァントたちに被害はない。

「とまあ、これが私の能力です。簡単に言えば、爆発物の作成ですね」
「爆弾か。迎え撃つ戦法が信条のキャスターらしい能力であると言えなくはないが」
「敵のキャスターとはかなりタイプが違うようだな。向こうは転移やサーチなど色々できるようだが、お前はどうなんだ?」
「残念ながら、私の本分は錬金術…等価交換を原則とする学問です。魔導の方面にはさほど明るくありませんね」
「魔術師のクラスではあるが錬金術師、か。破壊には適していそうだが」
「ああ、必要なら武器の作成も致しますよ。さすがに宝具と対等とまでは言いませんが、ある程度の品質は保証します」
「なら俺と同じでバーサーカーとの相性はいいってことだな」
「ふむ…ならば私も頼もうか。キャスターよ、例えばそうだな…ナイフを作ったとしよう。
 そのナイフを敵に突き刺した後、先ほどのように爆発させることは可能か?」
「強度と威力の両立ですか。まあできるでしょう。基本的には使い捨てになりますがね」


520 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:56:53 /UFxqM9s0

キンブリーが作成した武器を敵に投げ、刺さるか弾くかされた瞬間に爆発させる。
原理的には衛宮士郎の『壊れた幻想』と全く同一だ。
爆発させるのは宝具でこそないが、こちらは純正のサーヴァントが作成しているだけに威力は折り紙つきである。

「では私とキャスターの役割は後方援護ということになるな。キャスターが作った武器を私が投げ、前衛を援護する」
「なら前衛は俺とバーサーカーだな。ん…ああ、わかった」

DIOに続いて発言した士だが、急にマスターである切嗣から指示が入った。
同調させた視覚から、二人目のアサシンが持ってきていた大剣を見咎めたのだ。

「アサシン、その剣は何だ?」
「ああ、これか。これは以前あるマスターが持っていた剣でな…だがこいつも宝具のようだ。
 よほど神格が高いのだろうな、マスターの所持品とはいえサーヴァントをも殺し得る一品だ」
「あのランサーのマスターの剣か。そういえば私も持っているな」

ヴァレンタインが持ってきたエッケザックス、DIOがアサシンと接触する前に適当な場所に切り札として隠しておいた封印の剣。
ともにライダー・アシュナードのマスターであるゼフィールの剣である。
ヴァレンタインが言った通り、この二振りは宝具であるのでたとえマスターが振るったとしてもサーヴァントを傷つけられる。

「剣…剣の宝具がそこにあるんですか?」

反応したのはスザクだった。
彼は音声で室内の状況を把握しているため、どうしても一歩遅れてしまう。

「もし剣の宝具があるなら、僕のバーサーカーに使用させてもらいたい。
 生半可な武器ではセイバーとは打ち合えないが、元が宝具ならばバーサーカーが使えば十全に威力を発揮できる」
「そいつはいいな。なんせその辺の鉄柱で俺やランサーと渡り合ったんだ、剣の宝具を使えばどっちのセイバーを相手にしても見劣りしないだろうよ」

スザクと士の声が明るくなる。スザクは求めていた剣が見つかり、士は自分のライダー能力を使う必要がなくなるからだ。

「ってわけだ、アーチャー、アサシン。その剣を渡してもらおうか」
「と言ってもな。あの剣は私が苦労して手に入れたものだ。いかに必要であるとはいえただでくれてやることはできんな」
「そう来るか。だがな、この同盟がイーブンな関係で成り立っているとするなら、現在の状況は少し気に入らん。
 俺とバーサーカーのマスターは名前も知られているが、アーチャー、アサシン、お前らは違う。
 何ならそこの枢木のように実際に電話に出てもらうのがスジが通っているんじゃないか?」
「それを言うならキャスターもだが?」
「キャスターは武器を提供するだろ。お前らと違って宝具じゃなく、そいつが作ったものだが」

士の言葉に、DIOとヴァレンタインは押し黙った。
切嗣とスザクは元々協力関係にあったためお互いを知っているが、DIOとヴァレンタインのマスターは未だ不明のまま。
まどかにしろジョンにしろ、切嗣とスザクほど戦闘に長けていない。どんな些細な情報も漏らす訳にはいかないのだ。
キンブリーはマスターである羽瀬川小鳩とほぼ一体化しているという、言うに言えない事情があったが。
どのみちキャスターごときなら相手ではないと士は思っていた。だからこそキャスターをダシにして残り二人を揺さぶったのだ。

「わかった、くれてやる。どうせ私が持っていても投げる以外には使わんしな」
「こちらも了承だ。私とアーチャーが使う武器ならキャスターが作るもので事足りるだろう」
「私の方はある場所に隠しているのでな。後で取ってくる」


521 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:57:18 HpgVvhCM0

ヴァレンタインからキンブリーが大剣を受け取る。後でスザクを通じバーサーカーに渡すためだ。
その間、DIOはアシュナードを撃破した時のことを話した。食いついたのは切嗣と士だ。

「つまり、その剣には竜を封じる力があると?」
「見ただけだから断定はできんがな。相当強力な封印であることは間違いないだろう」
「なら、女のほうのセイバーには効果が期待できるらしいぞ。あいつは竜の因子とやらを持っているそうだからな」

封印の剣は竜を封印することに特化した剣。
完全な竜ではないセイバーを瞬時に封印することはできないだろうが、バーサーカーが振るうことにより切り札となり得る。
またここにいる誰もが知らないことだが、エッケザックスにも竜に対する追加ダメージという特殊効果があった。

「が、武器があろうとバーサーカーの魔力消費の問題はどうするのだ。数合打ち合って力尽きては何の意味もないぞ」
「そこは私にお任せを。バーサーカーの稼働時間を伸ばす方法は用意してあります」

DIOの疑問にはキンブリーが答えた。
元々持っていた患者の石をバーサーカーに与えれば、魔術師ではないスザクの魔力供給問題は問題なくクリアできる。
ちょうど一つ『予備』が手に入ったため、一つ分け与えてもキンブリーには何の影響もない。

「これでバーサーカーが真価を発揮できるわけですが、さて敵の前衛に彼一人で対抗できるでしょうか」
「敵のライダーは俺が対処する。キャスターはアサシン、全体の援護をアーチャーとキャスターがやるとして…奴一人でセイバー二騎とランサーの相手はさすがに無理だろうな」
「セイバー二騎だけならこちらも剣が二振り、私が援護すればまあ不可能ではないかもしれんがな」
「ネックはランサーか。ある意味こいつが一番厄介だな」
「再生・進化する能力か…」

ランサーの能力はほぼ詳細に把握できている。問題は一度受けたダメージに耐性を持つということである。

「一撃で殺し切れればいいが、そういった宝具を持つものはいるか?」
「セイバーのエクスカリバーのような、か。残念ながらあそこまでの威力の武器はないな」
「私が時間を止めたとて、そのコアとやらの位置がどこにあるかわからんからな。通常のサーヴァントなら首をはねるか心臓をぶち抜くかすればいいだけだが」
「バーサーカーとは逆に、私とライダーは相性が悪いようですね。いかに武器を作ろうとも、一度耐性を作られてしまえばもう通じない」
「…それについて、私のマスターが提案があるそうだ」

手詰まりになりかけた一同を、ヴァレンタインが止めた。

「このランサーの再生能力はナノマシンに由来するもの…魔力で構成されたサーヴァントとて、ここに変化はない」
「ナノマシン? なんだそれは」

ナノマシンとは0.1〜100nmサイズの機械装置の名称である。最近や細胞よりもなお小さい、最先端技術の結晶だ。
残念ながらここに集まったものの中にはそういった知識を持つものはいなかったが、ヴァレンタインのマスターであるジョン・バックスは違う。
彼は現代に生きる桜見市市長であり、未来日記というオーバーテクノロジーの創造主であり、国内第三位のスーパーコンピュータ・HOLONⅢを手中に収める者である。
当然、ナノマシンについても理解があった。


522 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:57:50 HpgVvhCM0

「機械の細胞と理解すればいいらしい。重要なのはこの機械という点でな。
 ランサーは全身をこの増殖する機械細胞で構成することにより、無類の再生能力を真価能力を備えているのだそうだ」
「いわゆる…サイボーグというやつか?」
「それとはまた違うのだろうな。なにせ英霊だ、機械の細胞を人の意志で強靭に支配しているのだろう。
 生前は、いわば新人類とでも呼ばれていたんじゃないか」
「で、それがどうしたのです?機械ならなにか有効な手があると?」
「いかに人の意志で制御していると言っても、機械であることには変わりない。
 ならばそこにウイルス――病原菌を流しこんでやればいい、というのが我がマスターの秘策だ」

ジョンはすでにHOLONのサポートを得て対ランサー用のウイルスを開発させていた。
スザクが入手してきた情報、ヴァレンタインが提供したサーヴァントの基礎構成情報、それらを統合した特別製の猛毒(ヴェノム)だ。

「もちろん急拵えで作るのだから、ランサーを打倒できるほどではないだろうが…能力の低下は見込めるはずだ」
「ウイルスか…だがどうやって奴に流し込む?まさかランサーに直接コードを繋げると言う訳じゃないだろう」
「それについてはキャスター頼りだな。一度我がマスターがプログラムの素体を作り、それをキャスターに再構成してもらう。それならばサーヴァントにも通じるはずだ」
「プログラム、ですか…やったことはありませんが、私がまずランサーの身体を貫ける武器を作り、その武器にプログラムを刻むという形ならできると思いますよ。
 あるいは、まず私がナノマシンを作ってそこに直接プログラムを刻み込むか。そのナノマシンの原理と組成さえわかれば、錬成は可能です」
「ではその方向で準備を進めよう。また強力な電磁波を浴びせることもナノマシンには有効だそうだ。残念ながらこちらはすぐには実現できんがな。
 そして私からは、この進化という点、ここを突くことを提案する」

進化とは環境に適応することだ。
だがかつて、ある一人の天才少年はこう言った――『ARMSの進化は急激すぎる』と。

「バーサーカーが狂化して能力を底上げするのと同じだ。進化すれば確かに強大な力は手に入るだろう。
 だが我らはあくまでサーヴァント…サーヴァントが力を増せば増すだけ、マスターの負担は大きくなる。
 情報にもあったな。このランサーの宝具…『マッドハッター』は制御できなくなると己自身をも飲み込んで巨大なエネルギーと化すと」
「なるほど…暴走を加速させる、というわけか」
「うまくすればこのランサーを用いて敵を一網打尽にすることも可能かもしれないが、まあ案の一つ程度に留めておいてくれ」

そして、ランサー――ARMS・マッドハッター/キース・シルバーは、かつて際限なく暴走する能力を抑えきれずに敗北した。
また、ナノマシンを侵食するウイルスプログラムはかつてオリジナルARMS・ジャバウォックを機能停止寸前にまで追い込んだ一手。
いわば逸話の二重再現だ。
一通りの作戦と戦術を確認し終わったとき、キンブリーが手を挙げた。

「ああ、もう一つ報告することがあります。実は私、ここに来るまでに色々と仕込みをしてきましてね。それも作戦の一つに加えてもらえますか」
「仕込み?」
「ええ…」

ここでキンブリーはニタリと笑った。
その様は邪悪そのもの…ここに集った誰にも劣らない、醜悪な笑みだった。














「この冬木市に、血の紋を刻むのです」










.


523 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:58:22 /UFxqM9s0

 ◇ ◆ ◇


鹿目まどかはホテルから離れた民家に身を隠していた。
サーヴァントであるDIOはこの家のNPCを始末した後、他のマスター達との会合の場へ出席している。
DIOとは、会合に集中したいということで念話は繋がっていなかった。
無論、令呪で命じた以上、何かあればすぐ呼びかけることは可能だが…まどかはそうはしなかった。
まどかはDIOを信じていたし、またDIOが言うことならそれにはきちんと理由があるのだろうと思っているからだ。
まどか自身、自分が他のマスターに比べ著しく劣っていることは自覚している。DIOの足を引っ張りたくはなかった。

「私、どうすればいいのかな。聖杯を壊すって決めたのに…」

どうすることが聖杯を壊すことに繋がるのか、それをまどかは決めかねていた。
DIOがまどかに敵の正体を教えなかったのは、まどかが彼らに取り込まれるのを防ぐためだ。
適当に見繕った鞄の中には詩音が持っていた銃があるが、まだこれを構える覚悟はない。
もう少しすればDIOが戻ってきて、決戦に赴く。
その時がきっと、まどかにとっても決断の時になろうだろう。




また、別の場所で。
深山町を見張っている5人目のヴァレンタイン、会合に出席している4人目と6人目のヴァレンタインと同じ顔の男が、街を徘徊していた。
会合に出発する前にD4Cを有するヴァレンタインが残していった、7人目のヴァレンタインである。
ジョンがウイルスを作成する間、7人目に与えられた役割は『索敵』――ジョンに迫る敵がいないかの確認と。

「さて――そうそう見つかるとも思えんが」

ジョン・バックス、衛宮切嗣、枢木スザクに続く第四、第五の人物、アーチャーとキャスターのマスターの捜索であった。
正直、これについてはさほど期待はしていない。見つかれば儲けものというくらいだ。
なにせこの時間にサーヴァントの護衛も付けず外をうろつく奇特な者はいない。
とはいえ何もしないよりはマシだ。万が一本体が殺された時の保険にもなる。
ジョンに差し入れの食事と栄養ドリンクを届けた後、7人目のヴァレンタインは音もなく夜の闇に消えていった。


524 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:58:38 HpgVvhCM0

【新都・ハイアットホテル/夜中】

【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド】
 [状態]:ダメージ(小)、魔力消費(中)

【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
 [状態]:疲労(中)、魔力消費(大)、全身ダメージ(小)、右胸貫通
 [装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石、エッケザックス@ファイヤーエムブレム 覇者の剣

【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:魔力消費(小) 、令呪(まどかの戦いに力を貸す)
 [装備]:携帯電話 、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](4人目)・魔力消費(中)・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話



【深山町・遠坂邸付近/夜中】

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](5人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


525 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:58:51 /UFxqM9s0

【新都・双子館/夜中】

【ジョン・バックス@未来日記】
 [令呪]:3画
 [状態]:疲労(小)、魔力消費(小)、冬木市市長
 [装備]:「The watcher」
 [道具]:栄養ドリンク(箱)


【新都/夜中】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [令呪]:2画
 [状態]:健康
 [装備]:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)

【衛宮切嗣@Fate/zero】
 [令呪]:1画
 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
 [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃
  携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
 [令呪]:2画
 [状態]:疲労(特大)、義手・義足を機械鎧化

【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】
 [状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊
      宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


526 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/28(月) 15:59:10 /UFxqM9s0
投下終了です


527 : ◆QSGotWUk26 :2013/10/28(月) 16:12:56 WgydkLkI0
投下乙です
東の陣営も着々と作戦を練って決戦の準備は整いつつありますね
大統領もしれっと七人目が出てきて裏をかく気満々
市長がHOLONで対ARMSのウイルスを作るっていうのは盲点でした。そういえばスパコンのサポート受けてるんだっけ

ジョン・バックス&アサシン
枢木スザク&バーサーカー
キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)
衛宮切嗣&ライダー
鹿目まどか&アーチャー

早速ですが以上予約させていただきます


528 : 名無しさん :2013/10/28(月) 16:49:34 kOd0PZVo0
投下乙です
対主催チームの作戦会議に続いてマーダー連合の作戦会議来た!
しかし対ARMS用のウイルスを作り出すとは…時間停止か、ARMSか、はたしてどちらが先に破られるか…
少しずつ不気味な動きを見せ始めたキンブリーに虎視眈々と動き出す大統領といいやはりマーダー組は今後が気になる


529 : 名無しさん :2013/10/28(月) 18:14:46 5DP8QRrA0
投下乙です。
西も東も着々と戦いの準備が整いつつありますね。

誤字の報告で、剣を持ってたのはランサーのマスターじゃなくてライダーのマスターでは?

それと細菌が最近になってますよ。


530 : 名無しさん :2013/10/28(月) 18:28:09 Stb4BSGkO
投下乙です。市長はそろそろ栄養ドリンクの過剰摂取で破裂しそうだなw


531 : 名無しさん :2013/10/28(月) 20:22:09 mTskG8qM0
投下乙です

凄くキンブリーが輝きだし始めているな
武器生成やバサカのサポート、更には血の紋までやるつもりとは…
そして対ARMSを考えた市長は凄い、のだがそれより体調の方が物凄く心配ww決戦まで持つか?

あと賢者の石が患者の石になっているところがありました>>521


532 : 名無しさん :2013/10/28(月) 21:15:43 f1LawJBw0
投下、乙です。
自分の見落としなら悪いんですけども
話の題名ありましたっけ?


533 : 名無しさん :2013/10/29(火) 01:52:50 KOWfTr7.0
キャスターは準備が整い始めるとやりたい放題できるからなw
ガチ戦闘は苦手だけど、大規模儀式などそれ以外の手を使わせると強い。


534 : ◆l3N27G/bJU :2013/10/29(火) 05:40:42 N/NkIm0w0
wiki収録+修正しました
またタイトル抜けてました、「茶会〜マッド・ティー・パーティ〜」です


535 : 名無しさん :2013/10/29(火) 17:05:35 x77c80Js0
でも本当に血の紋やったらムーンセルにしばかれそう


536 : 名無しさん :2013/10/29(火) 18:09:46 ca7RKej60
死因:自滅のキャラが生まれてしまうのか、胸が(ry


537 : 名無しさん :2013/10/30(水) 00:55:39 aeWFqSrY0
何だかんだでDIOは規格外扱いされるんだな


538 : 名無しさん :2013/10/30(水) 01:08:48 lIKHUnUw0
そりゃ悪の帝王にして吐気をもよおす邪悪ですから


539 : 名無しさん :2013/10/30(水) 01:11:28 Nv11.PK20
低燃費で強力な時間停止能力に加えてアーチャーなのに高い近接戦闘能力まで兼ね備えてるからな
サーヴァントとしては実際規格外
しかし金鰤がいい感じに吐き気を催す邪悪っぷりを見せてくれそうで気になるw


540 : 名無しさん :2013/10/30(水) 17:16:52 Ex.oZG2EO
原作のアーチャー並みには規格外だな。


541 : 名無しさん :2013/10/30(水) 18:45:51 Bis0Odco0
むしろまともに弓を使わないから正統派のアーチャー


542 : 名無しさん :2013/10/30(水) 18:46:38 qq/PTtW.0
夜でもそれなりに戦えるガウェインと違って日中は地下か屋内限定だから


543 : 名無しさん :2013/10/30(水) 21:07:45 kkq9ThecO
>>541
ちゃんと弓兵やったら邪道呼ばわりされた緑茶ェ…


544 : ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:03:47 7jy0xjjU0
泉こなた&ライダー、衛宮士郎&セイバー、名無鉄之助&キャスター、花村陽介&ランサー、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア投下します


545 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:05:22 7jy0xjjU0
ここは地獄だ。
炎が舞い、瓦礫が散乱し、一帯にはむせかえるような血の臭い。
その地獄を作り出したのは自分であり相棒であり、目の前の敵だった。

「小僧よ、これで終わりだ。貴様はここで潰える」

目の前に立つ敵、この地獄をものともしない絶対王者が放つ冷たい宣告。
確かにそうだ、自分は力及ばず精魂尽き果てここに屍を晒そうとしている。
自分を導いてくれた男の援助を以ってして尚この覇者には一矢報いるのが精一杯だった。

ここで終わりか、そんな弱音をまるで他人事のように心中で吐き出した。
チリチリと脳が刺激される。さあ終わらせろ、お前には最後の牙があるだろう、と。
これを使えば自分は死ぬ、代わりに全身と心を苛む苦痛からも逃れられる、天国へ行けるのだ。
ああ、それは何と甘美な誘惑だろうか。



――――――それで良いのか。



心のどこか、意識さえしていない声が聞こえる。
誰の声なのか、あるいは自分自身の声なのか、それすらも判然としない。
だがほんの刹那思い出した、あの暖かで充実した日々を、ここにいる友の事を。
自分があの男に敗れれば、その牙は友へと向けられる。
それだけは――――――


「…俺は…終わる。でも…終わらない」


友情と忠誠、恐怖と信仰が心の中で入り交じる。
何となくだが、自分は今笑っているだろう。
何に対して、そもそもどうしてこの状況で笑えるのか自分でも最早判然とはしないのだが。

己の結末は変わらない、心の弱い自分では脳髄を刺激する命令(コマンド)には抗いようもなく、その気にもならない。
それでも、この末期の足掻きが遺す足跡が少しでも友の運命を変えられるのならば。
あの王者を勝利という栄光から引き摺り下ろすことが出来るのなら。







「勝つのはお前でも…俺でもない。勝つのは… …だ」

















1 最後の絆

「ルルーシュ」

地下室の魔術工房の扉を開けようかというところでガウェインが耳打ちをしてきた。
どうやら鳴上悠が花村に渡したデータファイルの中身の解析と解凍に成功したらしい。

「わかった、ならば先に皆の前で公開した方が良いだろうな」
「よろしいので?」
「それが筋というものだろう」

有益なものとは限らないが花村に贈られたものである以上ルルーシュやガウェインが先に中身を見るべきではないだろう。
作戦会議がまだ終わっていない以上後回しにしても良いことかもしれないが、時には心の整理が論理を上回ることもある。


546 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:06:57 7jy0xjjU0
仲間たちにも話したところまずそのファイルの中身を見てみようという運びになった。

「解析に時間がかかってしまい申し訳ありませんでした。
このファイルには二種類のフォルダが格納されており、一つは大容量のメディアファイルでした」
「なあガウェインさん、それってここで再生出来るのか?」
「ええ、すぐにでも。キャスター、手伝っていただけますか?」
「わかった」



「始めるぞ」

ガウェインが手渡したデータファイルをキャスターが魔法で変換し、宙空にウィンドウを出現させるとノイズの走った映像が流れ始めた。
やがてノイズは少しずつ小さくなり鮮明な映像が映し出され、まるで誰かの視点を映しているような、誰かに抱えられているのかどこかを飛び回っているような光景が広がった。
ふと視点が動いた。この映像の視点の主が見上げた先にあったのは既に脱落した蒼い槍兵の姿だった。
その貌は狂気に染まってはおらず、理性ある歴戦の戦士のそれだった。

「なっ…ランサーだって!?」
「じゃあもう一人は、悠、なのか……!?」

士郎、花村の動揺を余所に映像の再生は続いた。
突然ランサーが悠(らしき人物)を道路に降ろし、どこからか飛来した光弾を手にした朱槍で打ち払った。
無数の弾幕を事も無げに全て切り払っていくが、ランサーの視線は既に光弾ではなくその奥を見据えているようだった。

『見えてねえとでも思ったか、間抜けが』

嘲りながら構えるランサーの眼前に現れたのは士郎らにとって因縁のある敵、ライダーのサーヴァントである仮面ライダーディケイドだった。
どうやらランサーはディケイドの存在をどのタイミングでかはわからないがキャッチしていたらしい。
銃を剣に変形させ迫るライダーに対処するべくランサーが前進する。

『ペルソナ!』

悠の叫びと共に、黒い人影が顕現した。間違いなくイザナギだろうと士郎は結論付けた。
悠がイザナギにアロンダイトを手渡す。どうやら時間的に士郎やルルーシュらと一戦交えた後と考えて間違いなさそうだ。

『マハタルカジャ、マハラクカジャ!』

「あれ、あいつのペルソナってあんな感じだったっけ…?
何か俺と戦った時とビミョーに違うような気がするんだけど……」
「そういやあれって悠が最初に使ってたペルソナだったっけか。
しばらく見ねえなと思ってたら、いつの間にか滅茶苦茶強くなってたんだよな」

補助魔法の恩恵を受けたランサーの槍撃がライダーの装甲を削っていく。
ライダーは時折反撃を繰り出すも大英雄クラスのサーヴァントに通じる筈もなく簡単に捌かれていく。
圧倒的なランサーの攻勢。だが直接刃を交えたセイバーやもう一人のライダー、火野映司には違和感を抱かせる光景でしかなかった。

「おかしい、ディケイドがこうも考えなしな戦い方をするとは思えない…」
「同感です、それに切嗣の姿が見えないということは……」


『決めるぞ、ランサー!』

悠がイザナギをライダーの背後に回り込ませ、ランサーと共に挟撃する。


547 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:07:58 7jy0xjjU0
先行したイザナギが矛とアロンダイトを振るう。仮面ライダーの装甲といえど宝具による一撃は無視できないのかライドブッカーで攻撃を弾く。
そこへ飛来するランサーの一撃。組んで数時間とは思えない連携から繰り出された必殺の槍は防げるものではない。



――――――と思うようならば、仮面ライダーディケイドを甘く見ているとの謗りを免れまい。



イザナギの攻撃を受け止め態勢を崩されたにも関わらずライダーはそのままカードを取り出し腰のバックルに装填する。
恐らく直感のスキルによって自身がカードを装填する刹那の隙を見出したのだろう。
閃光。しかしその程度でランサーが追撃の手を緩めるはずもない、朱槍がライダーに直撃する。
しかしライダーも然る者、カブトに変身した事で装甲が増し命を刈り取るはずの槍撃を寸でのところで受け流すことに成功した。

『なんだ、このサーヴァント?』
『アーチャーかと思えば剣を振るい、更に姿まで変えるとは。面白い英霊もいたもんだな』

事前情報が無ければ驚愕に値するライダーの戦法にもランサーは怯む様子が無い。
むしろライダーが凌いだ事実を喜んでいる節すらあった。

『大した防御力だ。だが……遅い!』

しかしそれでも形勢は変わらない、むしろ悪化したと言ってもいい。
ランサーと悠の猛攻を凌ぐべく装甲の厚い形態を選んだライダーだが俊敏さが落ちている。
例え装甲が増したとしてもそれを貫く一撃を放てばいい、ランサーは手数を抑えて僅かな隙を見つけて溜めを作り、より強力な槍撃を見舞っていく。
また牽制の攻撃は全て肘などの関節部に向けて放っている。重装甲と動きの柔軟さは決して同居できないことをランサーは知っているのだろう。
更にイザナギも再びライダーの背後に回り挟撃の構えを取る。

だが。

乾いた銃声。その直後、映像の視界が大きく揺れた。
それを見てセイバーがやはり、と零した。切嗣が遠方から狙撃したのだろう。

「あっ……!!」


『悠ッ!』

花村の動揺と映像のランサーの叫びは同時だった。
誰もが鳴上悠の死を感じた次の瞬間、再び視界が大きく動き、狙撃手が映像に映った。

『切り札を使うまでも――』
『イザナギッ!』

悠の怒声に呼応してイザナギが狙撃手・衛宮切嗣目掛けて猛然と突進する。
切嗣は仕留めたことを確信していたのだろう、動揺が顔に表れている。

『っ……蘇生しただと!?』


「ちょっと待て!あいつ、一体どうやって立ち直ったんだ!?
蘇生魔術なんてものすごく高位の魔術じゃないか!」
「あ、思い出した!あいつ前にもやられたと思ったら当たり前のように飛び起きた事があったわ!」


『Time alter――double accel!』

しかし切嗣は我流魔術、固有時制御の加速でイザナギの剣戟から逃れキャレコを発砲し反撃する。
が、イザナギには傷の一つもつかない、銃弾の大半をアロンダイトと矛で切り払っているのもそうだがたまに命中しても効いている様子を見せない。
イザナギに物理耐性など無いが、単純にペルソナ自体の耐久性が銃弾の威力を遥かに超えているからだ。
だが、それでも尚切嗣はイザナギの攻撃を固有時制御を駆使して巧みに回避していく。

『マハ……ジオ!』

膠着した戦況に痺れを切らしたのか悠が属性魔法に訴えてきた。
どんなに速く動けようとも攻撃の範囲でカバーすれば良いと考えたのだろう。
それ自体は決して間違いではない、人間の身体は基本的に電撃に耐えられるように出来てはいないのだから。
だが士郎には一見妙手に見えるそれが完全な悪手であることがわかっていた。

切嗣が両手に持った銃を放り捨て一梃の拳銃をイザナギに向ける。
発砲、そして命中。たったそれだけのことであれほどの精強さを誇ったイザナギは影も形もなくなった。
あまりの事態に花村は勿論ルルーシュや名無ですら開いた口が塞がらないといった様子だ。

『……イザナギ?…っ、ペルソナ!出ない!? ぺ……ペルソナ!』

必死にペルソナを出そうとする悠の声も虚しくイザナギが再び顕現する様子はない。
そうこうしているうちに切嗣は余裕を持って放り捨てた銃を拾い、悠との距離を詰めていく。
にも関わらず悠が動く様子はない、そのまま眼前に迫った切嗣に短機関銃の銃把で殴られ映像の視界が大きく動いた。

『がぁっ……』


548 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:08:54 7jy0xjjU0
『悠!』
『おっと、お前の相手は俺だ』

ふと、視点の主が変わった。ランサーのものだろう視界の中で、一瞬の隙を突きライダーがバックルにカードを装填する。
次の瞬間ライダーの装甲が弾け飛び鈍い音とともに視界が揺れた、どうやら背後から攻撃されたらしい。
ランサーも懸命に反撃するが今のライダーには全く通用しない。
補助魔法の効力が失われたせいだろうがそれにしても動きに精彩を欠いている、明らかに本来の力を出せていない。

「何だこれは?ディケイドが速いのは認めるが明らかにランサーが弱くなっているぞ」
「…多分今の切嗣の弾丸で魔力供給を絶たれたんだ、あれは撃たれた相手の魔術回路に意図的にフィードバックを起こして暴走させる効果がある。
鳴上に外傷が無かったのは普通の魔術師とペルソナ使いじゃ勝手が違ったってことだと思う」


『さっきは好き放題やってくれたな。今度は俺の番だろ?』
『てめえ、どきやがれ!』

サーヴァントの性能はマスターからの魔力供給あってこそ発揮される。
例えカタログスペックが優れていようとマスターからの供給が乏しければすぐに魔力は欠乏し加速度的に力は落ちていく。
今のランサーはまさにそれ、供給元を絶たれればさしものクー・フーリンも十分な力は出せない。
例えペルソナの補助が無くなったとしても魔力供給さえ健在ならばこうまで一方的にはならない。


『ペルソナ! イザナギ! 出ろ、出ろ……イザナギッ!
ペルソナ、ペルソナ! ペルソナ……! どうして……!? 俺の……イザナギィッ!』
『無駄だよ。君はもう、空っぽなのさ』

再び視点が悠に戻る。壊れた機械のように呪文を紡ぐ悠に誰もが同情と憐憫の念を禁じ得なかった。
特に花村などは信じ難いといわんばかりだ、彼にとっての鳴上悠とはいついかなる時でも頼れるリーダーだったからだ。
あの空間での会話で悠が何を思ってこの戦いに参加したか知ってはいても、心を折られる瞬間を見せつけられて動揺するなという方が酷であろう。

『失ったものは戻らない。死んだ人間はもう帰ってこない。君の魔術は、もう使えない』
『から、っぽ……?』
『そうさ。僕と同じだ』
『戻らない……もう、いない……俺の、ペルソナ……』


「爺さん…」
「っ………!!」
「目を逸らすなマスター、これは我々にも起こり得たもう一つの未来だ」


『空っぽ……俺は……俺には……何も、ない……。
違う……俺は……! 空っぽじゃない! 俺には、まだ……!』
『違わないさ。その幻を抱いて……溺死しろ』
「あ……ゆ、悠!!」

銃弾の装填を終えた切嗣が悠に照準を合わせている。
だが悠に動く様子はない、ショックからまだ立ち直れていないのだ。
無意味と分かっていて花村が立ち上がった、まさにその瞬間の事だった。


『避けろ、マスターッ!』

ライダーには似つかわしくない切迫した叫び声。
すると悠の視界の向こう側、切嗣の背後につい先ほど相対したばかりの人物が飛び込んできた。
左腕の肘から先が消えていて、先ほど見た奇妙な義肢も無いがそれは紛れもなく枢木スザクその人だった。

「スザクだと!?このタイミングで何故……そうか!」


『Time alter――double accel!』

ルルーシュの呟きを余所に事態は加速していく。
切嗣は固有時制御を発動して急速に後退、スザクがその後を追っていく。
それ以上は悠の視界を通している映像故に何もわからなかった。


再びランサー視点。映像にはいつの間にかバーサーカー、ランスロットが参入しランサー、ライダー、バーサーカーによる膠着状態が形成されていた。
ふと映像の外から放られたアロンダイトをバーサーカーが受け取る。
それを隙と見たかライダーが二体を同時に相手取るための一手を打つ。

カメンライド《龍騎》――ファイナルフォームライド≪リュウキドラグレッダー≫。
この場に集う面々は知識として知っている赤竜をバーサーカーに差し向け自身はランサーへと向かっていく。
だが同時にこれがこれ以上ない悪手であることもまたここにいる全員にとって周知の事実であった。


549 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:10:26 7jy0xjjU0
僅か数秒後、突如としてライダーの形態が龍騎から元のディケイドに戻った。
動揺している様子からそれが意図して起こったものでないことは明白だった。

『俺の力を……!?』

ランサーの眼を借りた映像の視界が動くとそこにはドラグレッダーを支配し、そこらの鉄柱を即席の宝具に変えたバーサーカーの姿があった。
ライダーが立ち直るより早くバーサーカーが赤竜ならぬ黒龍、ドラグブラッカーに漆黒の火炎を浴びせかける。
跳躍して躱したライダーの動きを読んでいたかの如く眼前に移動したバーサーカーの鉄柱がライダーを打ちつけ地に叩き落とす。

『貴様か……ハッ、二度は逃さんぞ!』

バーサーカーがライダーを攻撃したその間隙をランサーが見逃すはずがない。
隙を突いた状態ならば弱体化した彼でも戦えると考えたのだろうが現実は非情である。
狂っているとは思えないほどの武技の前に数合で敗れ吹き飛ばされる。
これはセイバーの予想だが供給途絶による弱体化さえなければ渡り合うぐらいのことは出来ただろう。
ライダーには無理だがランサーにはそれが可能なだけの技量が本来あるのだ。


『借り物の力で……調子に乗るなよッ!』
『待て、ライダー! それは……』
『バーサーカー!』

頭に血が上っているのか怒りの赴くまま切り札―――恐らくコンプリートフォーム―――を解き放とうとするライダーにそれを制止する切嗣の声を尻目にスザクは地面に這い蹲った悠を担いでドラグブラッカーに乗り逃走を図る。
映像の視界を見る限りランサーも追いかけようとはしたようだがすぐにランサーの跳躍力でも飛び乗れない高度に達してしまった。
弱体化がここでも尾を引く形になったらしい。


『退く……のか?』
『逃がすかよ! 龍騎だけでも取り返す!』

切嗣とライダーがバーサーカーに気を取られランサーへの注意が疎かになっている。
怨敵を仕留めるためか、バーサーカーよりもまずは切嗣へと襲いかかる。
目に見えて動きが速くなっている様子からして供給の途絶から立ち直りつつあるのかもしれない。

『いただく――』
『させ……るかああぁッ!』
『でぃぃぃやっ!』
『俺! 参じょう……あれ?……な……なんだこりゃぁぁっ!?』

それは一瞬の出来事だった。
ランサーの槍が切嗣を捉えたと誰もが思った次の瞬間ランサーの前にライダーとファイナルフォームライドで召喚されたと思しきモモタロスが現れ、そして朱槍に胸を穿たれていた。
この映像からは死角になっているが恐らくライダーがクロックアップで先回りしたのだろう。

『凌いだだと……!ここまでか……ライダー、この勝負預けておくぞ!』

防がれたランサーだがその後の行動は迅速だった。
一瞬でその場を離れ探知のルーンと思しき魔術を使ってバーサーカーの後を追っていく。
そして、またも視界が入れ替わった。



『…あ、あんたは?』
『僕は枢木スザクだ、わかっているだろうがここにランサーが来られるとは思わないことだ』

そこは街の上空だった。恐らく強奪したドラグブラッカーの上に乗っているのだろう。
声音からして完全に憔悴している悠だが状況を理解していないわけではなかったらしい、腕を翳して令呪を使おうとする。

『ラ、ランサー……!』
『待て、やめろ!態度次第だが君をここで殺すつもりはない。
もしそうならこんな回りくどい真似をせずに君を殺している。
君に聞きたいことがある、君らは僕のバーサーカーと交戦したな?
その時の右足の傷が治らないのはどういうことか教えてくれ』

言い方こそ穏当だが誰がどう見ても拒否が出来る状態ではない。
状況のせいか、あるいは精神状態のせいかはたまた両方か、悠はバーサーカーとの交戦からこの時点までの出来事を不必要なまでに詳細に話した。
あるいは話しても良い情報とそれ以外の区別さえつかなくなっていたのかもしれないが。

『…お、俺にどうしてほしいんだ?』


550 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:11:09 7jy0xjjU0
『僕らと共闘してほしい、いくら君らが強くても柳洞寺にいる敵とまともに戦えないことぐらいもうわかっているだろう?
数に対抗するにはこちらも数を作るしかない、それに同盟することでそれ以外の敵にも対処しやすくなる、悪い話ではないと思うが?』
『それは…確かにそう、だけど……いや、わかった』
『ただし条件は付けさせてもらう、ランサーに令呪で“現在より四十八時間、鳴上悠のサーヴァントは枢木スザクとそのサーヴァントに対し攻撃を禁ずる”と命じてもらう』
『なっ……!?そんなこと、出来るわけ……』
『ならこう付け加えるのはどうだ?“ただし、枢木スザクとそのサーヴァントから攻撃を受けた場合は、以上の誓約を一方的に破棄する事ができる”と』

ルルーシュから見ればかなり甘い条件を付けられても悠は何とも言わない。
痺れを切らしたのかスザクはやおら悠の胸倉を掴んだ。

『無理だというならそれでも構わない、ここで死んでもらうだけだ。
そもそもこちらの都合とはいえ命を助けてもらって何の対価も支払わずに済むとでも本気で思っているのか?
ああ、令呪でランサーを呼んでも別に良い。そうしたところで今の君らに僕とバーサーカーが敗北する可能性など万に一つもないし仮に僕らから逃げられても君はやはり令呪を一画失うだけだ。
そしてそうなれば君らは単独で、弱ったまま僕やさっきのマスターと戦わなければならないというわけだ、ここまで言ってもまだどちらが得かわからないか?』
『うっ……わ、わかった』

スザクの迫力に押されたか悠は承諾の意思を示し、そこから徐々にノイズが濃くなっていった。
これで映像は終わりかと思ったがガウェインとキャスターは首を横に振る、どうやらまだ続きはあるらしい。


「やっぱり…切嗣はイリヤが死んだから後戻り出来なくなっちまったんだな」
「…そうですね、彼が敵マスターに対してここまで饒舌になったところは私も見たことがない」

もし切嗣を説得出来る可能性を持つ者がいるとすれば、それはイリヤスフィール・フォン・アインツベルン以外に有り得ない。
彼女が死に、その事実を切嗣が認知した時点で言葉で切嗣を止める術は永遠に失われた、そう悟らざるを得なかった。
しかし、だとしても今の士郎には決して死を受け容れるわけにはいかない理由がある。
大切な人がいる、帰らなければならない場所がまだあるから。


――――――裏切るのか。


怨嗟の声が聞こえた。多くの人々の声だった。
在りし日の、幼い日々を共に過ごした切嗣がいた。あの大火災で見殺しにした人々がいた。
自らと起源を同じくする赤の弓兵がいた。桜を救うために見捨てた人々がいた。


――――――お前は贖罪もせず、またのうのうと生き残る道を選ぶつもりなのか。この裏切り者が。


「―――ああ、裏切るとも」

目を閉じ、あの日のように衛宮士郎はまた彼らを切り捨てた。
誰かを愛し守るということは他の誰かを救わないということ、この瞬間士郎の中で初めて衛宮切嗣は明確に乗り越えるべき対象に、倒すべき敵となった。
衛宮士郎は間桐、いや遠坂桜をこれからも守っていくために衛宮切嗣という正義の味方を切り捨てた。
目を開けた時にはもう声も、誰かの幻影も消えていた。





「それにしてもおかしくないか?枢木がディケイドの龍を奪ってたなら何でさっきの戦いで使ってなかったんだ?」
「だよなあ、大体あいつと切嗣っておっさん、本当に同盟なんかしてるのかよ。
あんなの俺が見たって敵にしかならなさそうに見えるんだけど」
「いや、これがバトルロイヤルである以上接触したという事実こそが重要なのであってその過程自体は…まあどうでも良いとまでは思わないが利害の一致を超えることはそうないだろう。
それに今の映像でスザクは柳洞寺にいた俺達を敵と見倣し鳴上悠と同盟を結んだ。
だがこれだけでは片手落ち、恐らくだがこの後鳴上とランサーの戦力を盾に衛宮切嗣にも共闘を持ちかけ、いいや迫っただろうな」

しかし、とルルーシュは同時に考える。
この映像が真実でスザクが切嗣とも同盟していたのならば何故昼間に切嗣は完全に単独で仕掛けてきたのか。
何故それまでの間自分達は放置されていたのか、数秒のうちに十通り以上のパターンを考え出した。


551 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:11:52 7jy0xjjU0

「だが結局三者同盟による柳洞寺攻略は為されなかった、いや出来なかったんだ。
衛宮切嗣にとって鳴上悠が仇敵である以上同盟の主軸はスザクになるしかない。
要するに―――この後すぐにディケイドから奪った黒龍も生身だった手足も失うほどの事態に見舞われた、というわけだ」

そしてそれだけの事を可能にし、かつ深山町で活動していた可能性の高いチームは限られる。
最も可能性の高いのは冬木の御三家の出である間桐慎二とそのサーヴァントである拳王ラオウだ。
推測だが拳法使いならば武器を宝具化するバーサーカーに対して有利に戦えるかもしれない。

「映像を見る限りスザクが鳴上を脅していたのは上空、しかも巨大な黒龍に乗って魔力の塊である令呪まで使わせた。
…これで他陣営のサーヴァントに補足されないと考える方がどうかしている、見つけてくれと言っているようなものだ」

旧友の考えがあるのかないのかよくわからない行動に頭を抱えながらそう結論づける。


「キャスター、そもそも鳴上はどうやってこの映像をデータファイルに残したんだ?
お前が魔法で何か細工でもしたのか?」
「いや、いくら私でもそこまではさすがに出来ない。
恐らく鳴上と、皆の前には姿を見せなかったようだがランサーも協力したんだろう、自分を構成する情報からこちらに有益なあの映像をピックアップして形にして残したんだ。
…恐れ入るよ、あと僅かで完全に消えてしまうという時に誰かのためにそこまで出来るんだからな」

感慨深げに話すキャスターが見つめる先には花村がいる。
鳴上悠は親友が自分の二の舞にならない事を願ってこのデータを託したのだろう。
そう思っていた時、再びノイズが薄れ映像が鮮明になりだした。





もうすぐ陽が昇ろうとする時間帯、映像の視界は上下に大きく揺れている。
視界の主は鳴上悠なのだろう、顔を上げた先には傷ついたランサーがいる。
先ほどのような余裕はもうない、サーヴァント全員から見てただ脇目も振らずに飛んでいっているように見えた。


『…ランサー、本当にこれで良いのか?
今あいつらから逃げたって、他の敵に見つかったらどうしようも…』
『あのな、このまま素直に言うこと聞いたところで体よく使い捨てられて終わりだろうが。
しかもこっちはオレの真名まで知られてるってのに向こうのサーヴァントは真名はおろかステータス一つわからんときた。
あのバーサーカーのマスターがオレらを自由にするなんて間抜けを晒した今しか逃げ切る機会はねえんだよ』

映像の悠はよほど酷い顔をしているのだろうか、ランサーの声音はどこか張り詰めている。
恐らくこれまでもこうして迷っているマスターを叱咤してきたのだろう。


『とにかくだ、朝までどうにか逃げ続ければ襲われる可能性は相当減るはずだ。
こっちは神秘の秘匿なんて原則があるわけでもないが、進んで目立つ真似をしたがる酔狂なマスターはそういねえだろう。
動くのはその後でいい、今のお前さんには一旦落ち着いて考える時間が必要だ』

ランサーの言葉の直後に視界が微かに揺れる、どうやら悠が無言で頷いたらしい。
だが花村をはじめとしたこの場の面々の表情は暗い。
何故なら彼らはこの後の悠とランサーの辿る路を知っているのだから。


552 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:12:41 7jy0xjjU0
と、彼らの横を何かが通り過ぎた、自動車だった。


『ラ、ランサー!!』
『チッ、言ったそばからこれか!オレの運の悪さも大したもんだな…っと!』

ランサーが朱槍を一閃し、車を両断した。
しかし車は無数に飛んでくる、埒があかないと判断したのかランサーは悠を抱えたまま道路へと降り立つ。

『悠、一度地下に潜るぞ。当然奴さんは追いかけてくるだろうからお前は隠れてろ』
『あ、ああ…』

何者かが投げつけた自動車が飛び交う中ランサーは俊敏な動きで地下街に入っていく。
そして立ち入り禁止区画のドアの鍵を壊し、そこに悠を押し込みそのままランサーは立ち去った。
ペルソナを失っている今の悠ならば魔力探知で発見はされないという読みがあったのだろう。

『お、俺、は…俺は…空っぽ、なんかじゃ……!』

もしランサーに誤算と呼べるものがあったとすれば、それはランサーが思うより悠の心の傷が深かったことだろう。
間もなく悠は飛び出し、脇目も振らず走っていく。
恐らくだがランサーとのレイラインを辿っているのだろう、その動きには一切の迷いがない。
なまじ戦う力があっただけに無力な自分に耐えられないか、という感想をアレックスが心中でのみ漏らした。



『ほォう——殊勝ではないか。私を迎え撃とうというのか、ランサーよ。
マスターを隠して一騎打ちとは——古風ではないか。見た目通りの騎士ということか」
『そういうキサマはマスターを伴っておらんな——そして先程の攻撃——なるほど、アーチャーか』

地下の広場、サーヴァントが存分に戦うに相応しい闘技場でランサーと襲撃者ことアーチャーが対峙していた。
二人とも隠れて様子を覗き見る悠に気付いた様子はない、それだけ目の前の敵に神経を集中しているのだ。
と、突然こなたが天啓を得たかのように立ち上がった。

「ああ!この人だよ、この金髪の人がDIOだよ、うん、絶対間違いない!」
「マジか!?ってことはこいつが……!」

握り拳を作り怒りに身を震わせる花村にかける言葉を誰も持たなかった。
知り合いを殺される辛みは士郎やルルーシュには特によくわかる。

『ンン——気に入らんな。ランサーよ、キサマは今この私を——この悪の帝王を見下したか?」
『はっ、自分で帝王だなんて名乗ってりゃ世話ねぇな。キサマはせいぜい裸の王様というところだろうぜ』
『——よかろう、ランサーよ。キサマは——八つ裂きにして犬の餌にしてくれる!』

お互いに挑発の応酬、やがて―――アーチャーが先に仕掛けた。

『そォら!』

五指に握ったナイフを一斉に投げ放つ。
だが矢よけの加護を持つランサーに対して効果はない、容易く突破されランサーが逆襲の刺突を放つ。

『ヌ——!』
『これで——』
『——勝ったと思ったか、ボケがッ!』

アーチャーの心臓目掛けての突きを身体を捻って回避、しかし完全にとはいかず胸板に一条の傷がつく。
この機を逃さずランサーが追撃を仕掛けるが、それは虚空より出現したペルソナに酷似した筋肉質の虚像によって阻まれた。
だが、ここにはその虚像を視認できた者とできなかった者がいた。

「何だ、槍が急に止まっただと?」
「おいおい何言ってんだよ、思いっきりスタンドっぽいやつが槍を止めてるじゃねえか」
「あ、やっぱ花村にも見えてんだなあれ、衛宮はどうよ?」


553 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:14:09 7jy0xjjU0
「ああ、俺にも見えてるぞ」
「うー…私は見えないや、これが一般人と超能力者の差か、はっきりわかんだね」

サーヴァントには揃ってスタンドの姿が見えているがマスターに関してはまばらだ。
花村、名無、士郎の三人には見えているがルルーシュ、こなたには見えていない。

『ザ・ワールド——』
『こいつは——!?』
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァァァァァ——!』
『ぐうっ——!』

アーチャーのスタンド「世界」はクロスレンジの格闘戦を得意とする。
至近距離にまで踏み込んだランサーに対しての奇襲としてはこれ以上ない効果を発揮し、数十発もの拳打を命中させて彼方に吹き飛ばした。
だがランサーは怯まない、あるはずの激痛を感じさせない動きで立ち上がった。

『テメエ——本当にアーチャーか? 格闘戦に対応した心象具現化とはな。
 まったく、俺が会うアーチャーは変な奴ばかりだぜ』
『むう——血が止まらん。 ランサー、キサマのその槍。
 そして私のナイフをすべて躱すとは——』

両者は互いの力について不可解なものを感じたようだがそれで怖じ気付くはずもない。
むしろ様子見は終わったとばかりに再度対峙した。

『ナイフ——違うな。察するなら飛び道具を無効化するスキルでも備えているか。チィ、生意気な』
『手負いと思って油断したか? だがアーチャー、キサマは俺と相性が悪いようだ——
 二度も同じ手は食わん。その首、いただくぞ』
『首——首か。面白い冗談だ、ランサー。この私の首を取るだと? だが、あいにく——』

アーチャーが再び「世界」を具現化させるもランサーは構わず突っ込む。
「世界」のスペックを一度で見切ったが故の行動だろうが、士郎や花村たちマスターには映像に映るアーチャーのステータスが見えている。
明らかに上級クラスの能力値を誇るアーチャーがたかがナイフを投擲するだけに終わる筈がない、「世界」を左に回り込ませ自身は右に跳んでランサーを挟撃する。

『フン、小癪な真似を。だがキサマ、生身でこの俺に敵うと——』
『無駄無駄無駄無駄——』
『む!?』
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄————』
『き、キサマ——!?』
『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄——————』

そう、アーチャーのサーヴァント、DIOは吸血鬼。
例え生身といえど常人を遥かに超越した身体能力を有するアーチャーに本体を叩くというスタンド使いの戦いのセオリーは通用しない。
生身のアーチャーの力を侮ったランサーの槍撃をごく短時間食い止めるだけならば決して不可能ではない、両手の五指に握ったナイフでランサーの槍を捌く。
そして一瞬で倒されることさえなければ事足りるのだ。
「世界」がランサーの背後から迫り、次の瞬間映像を見ていた―――恐らくは戦いを肉眼で見ていた鳴上悠にとっても―――信じ難い現象が起こった。

『——ふるえるぞハート! 凍りつく ほどクール!
 WRYYYYYYYYYYYYYYYYYY!! 刻んでやろうッ! ザ・ワールドのビートッッ!!』

DIOがそう口にした直後、全身を痛めつけられ崩れ落ちるランサーの姿があった。
戦闘続行のスキルにも限界が存在することをもう一人のアーチャー、ジョン・ドゥと戦ったアレックスは知っている。

『——そして時は動き出す』
『なん……だと……? 』
『すまんな、ランサーよ。このDIO、今のボディを捨てる気はないのでな。首をとられるわけにはいかんのだよ』


「これが時間停止、わかってはいたが凄まじいものだな」
「一対一では敗北は必死、しかし向こうが数で攻めてくる以上多数で囲む戦法も使えないか…」
「………」

この場にいるもう一人のライダー、火野映司が歯を食いしばり拳を握り締めている様をこなたが複雑な面持ちで見ている。
生前仮面ライダーオーズが使用できた未来の技術を用いたコンボ・スーパータトバ。
スーパータカ、スーパートラ、スーパーバッタのコアメダル三枚からなるこの形態はオーズが持つ他の形態を超える力に時間停止能力さえ持っている。
だがその力をこの聖杯戦争で振るうことは有り得ない。

今回の聖杯戦争においてスーパータトバに変身するためのコアメダルを持ち込むことが叶わなかったからだが、しかしてその制約は当然のものでもあった。


554 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:14:54 7jy0xjjU0
ただでさえも多数の形態と能力を保有しコアメダルの力による低燃費まで併せ持つ彼がスーパータトバの力まで行使できるとあってはもはやゲーム自体が成立せず、マスターの資質や人格を無視して容易にほとんど全てのサーヴァントを打倒出来てしまうからだ。
アーチャー、DIOも時間停止能力を有してはいるがあちらには日光という明確な弱点が存在する上にオーズほどの汎用性もない。
月の聖杯戦争においてマスターを添え物同然にして勝ち進むサーヴァントは必要とされない。
もしオーズがスーパータトバに変身するためのメダルを所持したままなら、彼は英雄王ギルガメッシュと同じように月の裏側に封印される憂き目に遭っていただろう。


『よくやったと言ってやろう、ランサーよ。まさかここまで私を手こずらせるとはな。だが——』
『ランサァァァ——!』


「あっゆ、悠っ!?」

視界が動く、ランサーを救うためか鉄パイプを拾った悠が無謀な特攻を仕掛けた。
だが当然にしてサーヴァントに通用するはずもなく、あっさりと受け止められ鉄パイプがぐにゃりと曲がる。

『ほう、ランサーのマスターか。サーヴァントの危機にいてもたってもいられず——というところかな?』
『あ——ああ——』
『無謀だったな、ランサーのマスターよ。
 だが心意気は買おう——その眩しいほどの勇気に免じて』
『何を——してやがる! アーチャァァァ— —!』
『私が君を——天国に連れて行ってやろう』
『や、やめ——あぁっ!』

悠の抵抗をものともせずアーチャーが悠然と吸血鬼の牙を首筋に突き立て血液を吸い上げる。
だが悠は死亡しなかった、不可思議そうな表情のアーチャーがすぐに牙を放したからだ。

『——Um? これはなんだ——マスターだからか? いや、違う——まさか——』
『うあぁっ!?』
『ほほう、これはこれは——なるほど——』

二度三度と血液を舐めた後、何か得心を得たのか破顔した。

『ふ——フハハハハハ! なるほどなるほど、そういうことか! スタンド使いは惹かれ合う——』
『あ——え?』
『私と君は! ここで出会う運命だったのだな! ハハ、ハハハハハハハ!』
『な、何を言ってやがる——?』
『ランサーよ、喜ぶがいい! 私はお前を殺しはせん。
 君のマスターは——これから私の友人 となるのだからな! フハハハハハハハハハ!』

悠の後ろにいると思われるランサーにアーチャーがニッコリと微笑む。
そしてアーチャーの掌からボコリ、という嫌な音とともに肉の塊―――間違いなく肉の芽―――が生み出される。

『悠——!』
『ロードローラーだッ!』
『おおおおおおおおぉぉっ!』

悠の背後では轟音と共にアーチャー、いや「世界」とランサーの応酬が繰り広げられているのだろうがそれは悠の視点では見ることが出来ない。
そしてそうしている間にアーチャーは悠然と肉の芽を悠の額に埋め込んだ。

「悠っ!悠ぅぅぅっ!!」
「ええい、落ち着けマスター!これは過去に起こった事だ、もう変えることなど出来ん!」
「わかってるよ!わかってっけど…ちくしょう!!」

画面に手を伸ばそうとする花村をアレックスが羽交い締めにして取り押さえる。
あまりの形相にキャスターが一旦映像の再生を中断しなければならなかったほどだ。
しばらくしてようやく落ち着いたものの、やはり顔色は優れない。

「大丈夫かよ花村?」
「辛いのならば最後まで見る必要はありません、それを咎められる者などここには一人もいない」
「…いや、大丈夫なんかじゃねえけど最後まで、見るよ。
あいつが遺してくれたものなんだ、どんなにキツくたってそこから目を逸らすなんて死んでも御免だ」

花村の様子が不安ではあるがだからといっていつまでも中断しているわけにもいかない。
心配そうに見ていたキャスターだが心を鬼にして再度映像を再生する。


555 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:17:59 7jy0xjjU0

『悠——?』
『悠、というのか、君は——もっと君のことを知りたいな。教えてくれないか?』
「はい、DIO様。俺の名前は鳴上悠です」

わかっていたことだがそこには残酷な現実があった。
肉の芽の洗脳が完了した悠はさも親しげにアーチャーと手を取り合っている。
花村のみならず、ここにいる全てのマスターとサーヴァントにとって吐き気すら覚える光景だった。

『槍を向けるな、ランサー。我らはもう敵ではない』
『何を言ってやがる! 悠、そいつに何をされた!?』
『落ち着け、ランサー。もういいんだ。戦う必要なんてない』

映像の中で最も正常であろうランサーの叫びこそがまるで場違いなものであるかのような異質な状況だった。
怒り猛るランサーにアーチャーが勝者の余裕そのものの笑みを持って答える。

『うん? これが疑問かランサー。これはな、私の体の一部だ。
 こいつで少し、脳を押してやるとだな——なんと! 私と友人になれるのだよ!』
『そうなんだ、ランサー。DIO様は敵じゃない。DIO様は俺たちを天国へと連れて行ってくれるんだ』
『なに——言ってるんだ? 悠?』
『ランサー、俺たちは間違ってたんだ。DIO様に歯向かうなんてどう かしてた。
 こんな戦いで優勝しなくたって、DIO様が俺たちの願いを叶えてくれるんだよ』


「悠…、くそっ、あの野郎……!!」

悠の視点であるために映像の彼がどんな表情をしているのか正確にはわからない。
けれどランサーの顔を見れば容易に想像できる、恐らく新都で会った時のような、洗脳されていることに何の疑問も抱いていない微笑を浮かべているのだろう。
少なくとも確実に言えるのはこの肉の芽で洗脳された者は心の底からアーチャーを友と認識してしまうということだけだ。
あのサーヴァントは断じてマスターに近づけてはならない、というのがこの場の全サーヴァントの総意であることは言うまでもない。

『悠を——支配しやがったのか——!』
『人聞きが悪いな、ランサー。なあ悠、私と君は——友達だよな?』
『はい、DIO様。あなたの言うとおりです』
『なあ、悠——私は疲れた。少し休みたいのだが——
 この街は人が多くて騒がしい。そうは思わないか?』
『その通りです、DIO様。俺が——俺とランサーが、他のマスターを間引いてきます』
『ユウゥ——君は素晴らしいな。私の望みを、口にせずとも察してくれる。
 君こそ私の親友、いや心の友だ』

あまりにも白々しいアーチャーと悠の会話だがランサーを絶望させ、その怒りを買うには十分すぎるほどの効果があったらしい。
今やランサーの視線は常人はおろかそこらの達人さえ眼だけで殺せそうなまでの憎悪を湛えていた。
だがアーチャーに動じた様子はない、そればかりかさらにランサーを煽ってみせる。

『アーチャー、許さねえ——キサマ、必ずこの俺が——!』
『ランサー、一つ忠告しておこう。この肉の芽は——私を殺しても外すことはできんぞ』
『な、に?』
『この肉の芽は私の魔力をエネルギー源としている。私を殺せば——                  魔力を絶たれた肉の芽は、新たな餌を求めて宿主を食らう——わかるか?
暴走、するのだよ。脳に留まっていた肉の芽は全身にその触手を伸ばす——
さて、そうなったらどうなると思う?
死ねるのならまだ運がいい。記憶も、思い出も、すべて失って——
哀れな、ブタ以下の獣になる。ランサー、君はマスターを獣に貶めたいのか?』
『——キサマ』

そう、肉の芽の凶悪な部分はそこだ、例え本体たるアーチャー自身を倒したとて宿主を解放することは決して出来ない。


556 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:18:45 7jy0xjjU0
そればかりか人間ですらない怪物へと変貌してしまう悪魔の如き異能の力だ。
当然こんな話を聞かされてランサーが賭けに出られるはずもない。

『まあ、この聖杯戦争には高ランクの対魔力宝具を持つサーヴァントもいるかもしれん 探してみるかね?
それもいい。だが——悠。君は肉の芽——
私との絆がなくなることを願うだろうか? だとしたら、私は悲しい——』
『DIO様、それはありえません。俺はDIO様の部下——
この肉の芽は誇りです。手放すことなんて決してありえない』
『フ——安心したよ、悠。
 ならば君の忠誠に——私も報いねばならないな』

何を考えたかアーチャーが再度悠の手を取る。
するとそこには花村と名無らにとって見覚えのある虚像が出現した。

『——イザナギ!』
『それが君のスタンド——いや、ペルソナ、か。 やはり私の感じた通り——君と私は惹かれ合う運命だったようだ』
『DIO様——感謝します。この力で、俺は——』


「ああ、あいつだ!俺らと戦った時のあいつのペルソナ!」
「やっぱりあのアーチャーの仕業かよ…クソッタレが!!」

普段非常に温厚な花村からは想像できない罵倒に誰もがこの時同意した。
見れば誰にでもわかる、あれは悠とアーチャーの間にある絆、そのマガイモノの結晶なのだと。
とはいえその力そのものは悠の中に眠っていたものに違いなく、また肉の芽には宿主本来の力を忠誠心と引き換えに弱めてしまう効果もある。
それでいてあれほどの脅威だったのだから悠の潜在能力の高さがよくわかるというものだ。
そして悠の言葉と共に映像には再び濃いノイズが走りだした。



「……お、おい花村、本当に大丈夫かお前?」

普段はどこまでもマイペースな名無が恐る恐るといった様子で花村を気遣う。
事前にわかっていた事とはいえさすがにこれは堪えたのではないだろうか、と。
花村もしばし険しい表情を作っていたが、やがて両手でパンと顔を叩いて真顔で全員へと向き直った。

「悪い、心配かけた。けど俺はもう大丈夫だ。
ただ…アーチャーは絶対に俺とアレックスにやらせてくれ」
「同感だマスター、奴の相手だけは他の誰にも譲れん」
「ああ、勿論だ。だが花村、皆の輪を乱して前線に出るようなことは―――」
「わかってるって、そこまで馬鹿な真似はしねえさ」

いつも通りとまではいかないまでも単なる怒りや空元気ではない確かな意志を持って強く頷いた。
目には見えない一つの大きな壁を乗り越えた者の顔だった。

「ともあれこれでDIOのデータは基本ステータス、対魔力スキルのランク、容姿や声に具体的な戦闘スタイルまで含めて全て揃ったな。
これは極めて大きい、まさかつい一日前に殺されかけた相手に感謝する時が来るとはな」
「ああ、少なくともあいつが花村を想ってこれを遺したんだってことは俺にもわかる」
「ところでキャスターさん、これにはまだ続きがあるんですか?」
「ああ、どうやらそのようだ。見ろ、そろそろノイズが晴れる頃だ」





映像に映ったのは昼間の新都の街並みだった、先ほどの映像から随分と時間が経過している。
視界の主は鳴上悠か、激しい息遣いの音から息を切らせながら走っているようだ。
ふとランサーが実体化する。その貌は既に凶相に染まっておりどこかで令呪が行使されたことを示唆していた。

『ランサー、あそこだ!やれ、やるんだ!!』

焦燥と必死さを帯びた怒声が狂ったランサーを衝き動かす。
雄叫びをあげながら上空へと跳躍し前方を走る高級車目掛けて朱槍を投げ放った。
車を突き刺すと思われた投槍だが傍を走っていたバイクの動きに妨げられ地面に突き刺さるが、本能に染み付いた動きかランサーは槍の目の前に着地し即座に己の得物を拾う。
バイクに跨っていた大男がヘルメットを外しスーツ姿から戦装束に変化、それは紛うこと無きライダーのサーヴァント、狂王アシュナードその人であった。

『逃すなランサー、追え!!』


「あのオッサン、間違いねえ……!」


557 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:19:28 7jy0xjjU0
「ああ、アシュナードだな。だとすれば恐らくこれが鳴上悠の…」

余裕がないのかがなり立てる悠に従いランサーは狂化により増した俊足を持って敵ライダー、狂王アシュナードを追って駆けていく。

『嫌だ…DIOさん、陽介、俺、俺は――――――!』

ブツブツと不気味な呟きを発する悠。肉の芽の支配と本来の友情との間で揺れていることが容易に想像できた。
数分後、ランサーとアシュナードのものと思しきけたたましい金属音と爆音とが聞こえてきた。
そして悠の視界に入った高級車からゴルフバッグを持った男、アシュナードのマスターが降りてきた。
その強烈な存在感から一目でマスターと見抜いたのかはたまた別の理由か悠は何の躊躇も迷いもなくペルソナを顕現させた。

『ジオンガァ!!』

以前士郎が受けたものより範囲は狭いが数段鋭く強烈な雷光が車を貫き爆発させる。
が、アシュナードのマスターには傷一つなく二振りの剣を油断なく構えている。

『またペルソナとやらか』
『やれ…伊邪那岐!』

伊邪那岐が突進し長刀をアシュナードのマスターへ振り下ろすが、一歩動かすことすら適わず交差させた剣によってあっさり受け止められた。
王者、覇者を体現したかの如き男の威容は一分の乱れすらも見られず、そこらのマスターではそれだけで身が竦んで動けなくなることだろう。

『問おう。小僧よ、貴様があのランサーのマスターか』
『…アギラオ!』

アシュナードのマスターの問いを悠は無視し、伊邪那岐が長刀の先端から火炎属性の中級魔法を発射し浴びせかける。
だがその炎は男が構え炎を纏わせた剣―――紛れもなく宝具級の逸品―――によって呑み込まれ逆にペルソナを燃え上がらせた。

『ぐああああ!』
『その程度の炎などこのわしには通じぬ。この身を焼きたくば火竜の息吹をもってこい』
『くっ…ジオンガ!』
『ふん。小僧、今度はわしの番だ』

それでも悠は怯まない。車の破壊にも用いた電撃属性の中級魔法を撃ち放つ。
男は避けようともせず二振りの剣を交差させた後奇妙な構えを取り、勢いをつけて全身を回転させた。

『王者の劫渦(バシリオス・ディーネ―)!』

先の花村との戦いでは様子見の体を残していたために使わなかったベルンの覇王ゼフィールが誇る不敗の剣技。
全てを蹂躙し尽くす覇王の進撃は伊邪那岐の電撃を弾き掻き消し咄嗟の防御すら突破し伊邪那岐の長刀を弾き飛ばした。
そしてペルソナ自体にも傷をつけたものの結果としてそれが致命傷になることは無かった。

『イザナギ、戻れ!』

紙一重のところで悠の操作が間に合い伊邪那岐を呼び戻したために致命傷は避けられたのだ。

『治癒の力を持つか。だがその程度の力でわしを討ち取れると思うな』
『負けない…俺は負けない。俺は空っぽじゃない…』

映像越しでさえ伝わってくる男のプレッシャーだが悠はそんなものを意にも介していないように見受けられる。
真っ当な人間には作用する恐怖による威圧もただ一つを盲信する狂信者には意味を為さない。

『サーヴァントが狂っているなら、マスターも同じか。
 だが容赦はせん。消えるがいい』
『ガルーラ!』

再び迫り来る魔の進撃、悠は疾風の魔法を以って押し止めようと試みる。

『ぬぅぅん!』

だが暴君の蹂躙はその程度では止まらない、暴風など最初から存在していなかったかの如き勢いで風を切り裂き吹き散らした。


558 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:20:12 7jy0xjjU0
花村のペルソナと違い伊邪那岐には属性魔法の威力を増大させる技能がなく、それ故突破力や耐久力が桁違いの敵とは相性が悪いのである。

『炎に雷、そして風までも操るか。
 しかしその風、花村とかいう小僧には及ばんな。
 しょせんは子供だましよ』
『花…村?陽介…陽介のことか…』
『やつも遠からず切って捨てるが、まずは貴様だ。
 我がバシリオス・ディーネーで冥府へ落ちよ!』

ふと、悠がしゃがみこんだのか映像の視界が急に下へと落ちた。
当然敵がその隙を逃すはずもない、回転する剣舞が立ちはだかった伊邪那岐の長刀を粉砕し片腕をもぎ取った。

『がああああ!』
『ふん、この程度…やつの方がまだ骨があったわ。
 それに比べて貴様は期待外れだ』
『俺は…死…花村…違う…』


「ゆ、悠……」
「妙だな、てっきり鳴上はこいつらと相討ちになったと思っていたのだが…我々の考えが間違っていたというのか?」

半ば錯乱しているかのような悠を仕留めるべく男が必殺の構えを取る。
このままでは相討ちにもならずに悠が倒されるだろう。

『俺は…菜々子…花、村…………』
『バシリオス・ディーネー!』
『…………DIO…』

悠を討ち取ると思われた剣は命中せず頭上を通り過ぎていく。
それは偶然ではない、伊邪那岐が咄嗟に放った氷結魔法が男の足元を凍てつかせ踏み込みを狂わせたのだった。
生存本能によるものか、それ以外の要因によるものかは誰にもわかりはしないが。

『む!?』
『ガルーラ!』

さらに悠は自身に疾風魔法をぶつけることで死の旋風から逃れ距離を取ることに成功した。
通常ならば自殺行為、しかし今となっては誰も知らないことだが伊邪那岐には破魔と呪殺、万能を除く全ての属性攻撃に対する耐性が備わっている。
それ故に自身に魔法を当てたところでさしたる問題にはなり得ないのだった。

『氷…か。わしの踏み込みを狂わせたか。
よく凌いだ。だが二度はないぞ』

男が持つ剣のうち一本が神秘的な炎を纏う、あれがあの剣本来の力か。
セイバーは何故か表情を強ばらせ食い入るように剣を見ている。
ともあれ、あれほどの炎ならばペルソナの氷結魔法も瞬時に溶かせるだろう。
仮に対抗できるとすれば特定のペルソナのみが体得出来る最強の氷結魔法のみだろう。

『これで最後だ…バシリオス・ディーネー!』
『死なない…俺は…帰る…いや…行くんだ!
 DIOさんの教えてくれた…天国へ!』

迫り来る暴力の大渦を前にして伊邪那岐が再度生み出した長刀を投擲、そして即座に破砕された。
あまりにも劣勢な状況、あと一秒と経たず鳴上悠の命運は尽きるだろう。
だが―――

『コンセントレイト…メギドラぁぁぁぁぁあああ!』

立て続けに発動した二つの魔法、攻撃魔法の威力を底上げする補助魔法と耐性に威力を左右されずあらゆる敵を打ち砕く中級万能魔法がついに無双の剣戟を押しとどめた。

『ぬうう…消えぬ…!ぬあああああっ』
『伊邪那岐いい!』

剣と魔法の衝突を制したのは悠だった、大男を弾き飛ばし二振りの剣の一つを掠め取った。
見れば男もそれなりの手傷を負い地に片膝をついている、致命傷には程遠いものでしかないが。

『はあ、はあ、はあ…』
『…見事だ。ここまでやるとはな。
 エッケザックスと封印の剣がなければ、わしは消し飛んでいただろう』

しかし魔法の乱用によって悠は大幅に消耗しているようだった。
狂化したランサーを維持しながらこれだけの魔法を連発すれば当然の帰結であった。
それに対して敵は未だ健在、地力の差がありすぎたのだ。

『はあ、はあ、はあ…!』


559 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:21:01 7jy0xjjU0
『あれだけの魔法を放てば、消耗もしよう。
 ならば…わしの勝ちだな』

男がゆっくりと立ち上がり今度こそ悠にとどめを刺そうとする。
悠が奪った剣を伊邪那岐に持たせ投擲するが―――狙いが外れ男の傍らを通り過ぎていった。
伊邪那岐が徐々に消えていく、魔力を使い切ってしまったのだろう。

『…くっ』
『もはや傀儡を維持する力もないか。存外手間取ったが、これまでだ』
『まだだ!』


「あいつ、額に手を…?」
「確か肉の芽は本体から魔力を送り込めるはずだったな。
そして今鳴上に魔力が供給されているとすれば…なるほどな、この戦いの構図が読めてきた」


『コンセントレイト』
『ぬう…バシリオス…!』
『遅い!メギドラぁぁ!』

今ここに互いの優劣は逆転した。
傷のために動きが鈍った男が剣舞の構えを取るも間に合わない。
剣と魔法、至近距離では剣が勝るが距離を詰められない状況ならば魔法を使う悠が勝つ。



パァン



だが一発の銃声が男の危機を救った。
銃弾を浴びたらしい悠の視界が揺れ、間もなく地に倒れ伏した。

「悠!まさか、これで死んじまったのか…!?」
「いや、そうではないらしいぞ、見てみろ」


『ガルーラぁ!』
『む…まだ生きて…!?』

悠はまだ生きていた。疾風魔法が高級車の残骸を吹き飛ばした先にいたのは肩まで伸ばした髪をカールさせた白人、アサシンのサーヴァントであるファニー・ヴァレンタインその人であった。

「ふん、やはり生きていたようだな」

『アサシンか』
『ほう、あのときのやつばらか。生きていたとはな』

男の傍にアシュナードが、悠の傍にランサーが戻り場は一転して膠着状態になった。
が、悠にとって好機であるはずのこの状況は悠自身の判断ですぐに破られた。

『ランサー、行け!』

ランサーがアシュナード目掛けて突貫し、それをグルグラントで受け止めるアシュナード。
アサシンをもまとめて相手取るつもりかアシュナードはランサーに対応しつつ周囲の瓦礫を破壊し隠れ潜むアサシンも同時に狩り立てていく。
そして訪れるのは先ほどと同じ状況、悠とアシュナードのマスターの一騎討ちである。

『小僧よ、これで終わりだ。貴様はここで潰える』
『…俺は…終わる。でも…終わらない』

誰もが口を閉じ、沈鬱な表情で映像に見入っていた。
今度こそ、これが鳴上悠の終焉だと誰もが内心で悟っているが故に。



『勝つのはお前でも…俺でもない。勝つのは… …だ』


「……え?」

そしてその瞬間は訪れる。映像の悠が右手を翳し最期の命令を発しようとする。
その動きには何の疑問も躊躇も見られなかった。

『小僧、何を』
『令呪を持って…命じる』
『貴様…まさか!』
『ランサー、宝具――刺し穿つ死棘の槍(ゲイ・ボルク)を使い、ライダーのマスターを殺せ』

令呪を発動した証である強烈な赤光が輝きを放つ。


560 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:21:44 7jy0xjjU0
鳴上悠をこの霊子虚構世界に繋ぎ止める最後の命綱、それがたった今消えて失せた。
致命的にして決定的、確実に鳴上悠はここで死ぬ。

『ライダー、騎竜を従え馳せ参じよ!』

令呪に対抗できるものは令呪をおいて他にない。
マスターの命令に従い転移したアシュナードが騎龍を従え己がマスターを連れて空へと駆けていく。
この結末がどうなるのかを士郎らは既に知っている、最も凶悪なあの主従は因果を覆すこと適わずこの地に散ったという結果は最初から出ている。
アシュナードを狙ったものならばまだ応じようはあっただろう、しかしマスターへの攻撃は狂王の鎧が如何に強固でも防ぎようがない。
だからこの二組の主従はこれで終わり、鳴上悠とランサーは令呪を全て失ったことで、二人の王者は魔槍にその身を貫かれたことでこの戦いから脱落した。



『………』

悠の身体が崩れ、黒いノイズに侵食されていく。
これが聖杯戦争に敗北した脱落者に待つ結末、衛宮士郎にとっては金田一に続いて二度目となる光景だ。
誰もが押し黙る中、ルルーシュだけが冷徹に自らの見解を述べていく。

「…この展開、何から何まで出来すぎているな。
そもそも錯乱した鳴上と狂ったランサーがあのライダーたちを先に補足出来るはずがない。
第三者からの情報提供―――それこそDIOの指示でもない限りはな。
それに最後の令呪にしても自滅覚悟なら最初から使っておけばそれで済んだはず。
そうしなかったのは途中でそういう指示があったからだろうな」

誰の、などとはもう口にするまでもないことだった。
そして事実だとすればそんな自爆特攻じみた命令が下される理由もただ一つ―――蜥蜴の尻尾切り。

「私が、肉の芽を解除しようとしたせいなのか…?
それがDIOに露見したから使い捨てられた、これではそうとしか…」
「おい何言ってんだリインちゃん!頼んだのは俺だ、誰かが悪いってんなら俺しかいねえよ!
リインちゃんは俺の無茶振りに応えてくれただけだ、そうだろ!?」

青ざめた様子で自虐するキャスターの肩を掴んで叫ぶ名無の顔は今までにないほど真剣だった。
全ては結果論、それはキャスターとて頭では理解していたが早期から共に行動していた仲間の友人を間接的にとはいえ死なせたという事実は彼女にとってあまりに重い。

『…、…け』

消えゆく間際、悠が何かを口にしようとする。
身体の大半が消え去り映像の視界も暗くなっていく中最期に何を言い残そうとしているのか、花村は涙を堪えて見届けようとしている。



『おれ、と…お、なじに…ならな…い、でくれ……』


「………!!」

その言葉を最後に映像は今度こそ本当に幕を閉じた。
限界だった、堰を切ったかのように花村は大声で涙を流した。
かつてランサーが他者に伝えること叶わじと諦め絶望したアーチャー、DIOの正体と戦術。
それらは時を越え形を変えて――――――今、確かにここに届いた。
しばらく咽び泣いていた花村だがやがて落ち着きを取り戻した。

「さっき悠が令呪を使う前…大分掠れた声だったけど、“勝つのは陽介だ”って、そう聞こえたような気がすんだ。
自分でも有り得ねえって思うんだけどさ…それでも、やっぱり……」
「いや、俺にもそう聞こえたな。皆はどうだ?」

真っ先に肯定したルルーシュの問いに全員が頷いた。
勿論中には上手く聞き取れなかった者もいるが、キャスターを含め誰にも迷いはなかった。
つまりそういうことだった。

「はは、ありがとな、皆」

花村は思う。もし教会で名無とキャスターに出会えていなければ自分はきっとどこかで潰れてしまっていただろう。
この場において自分と悠は同じだった、彼も親身になって止めてくれる人間と出会えていれば違う道があったかもしれない。
自分がそうであれなかったのは確かに辛く悲しい。


561 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:22:34 7jy0xjjU0
だが、だからこそそれらを呑み込んで前に進もう、それが親友であり相棒だった男が望んでいたことなのだから。

「………?」

ふと違和感を感じポケットを探ると見覚えのない鍵が入っていた。
一見何の変哲もない鍵だが不思議と惹かれるものがある。
この鍵が何なのか、誰が使っていたものなのか、花村はまだ知らない。

















2 いつか蘇る王

映像が終わり、皆が絶対に負けられないと決意を新たにしていた時ルルーシュがふと思い出したようにガウェインに問いかけた。

「そういえばガウェイン、フォルダは二種類あると言っていたがもう一つは何だったんだ?」
「それが…何者かの記憶フォルダのようなのですが、ロックが掛かっているのか詳細はよく分かりません。
この中の誰かの記憶であるならば反応を示すかもしれませんが……」
「そうか……」

記憶フォルダ、というのがどうにも引っかかる。
そもそもこのデータフォルダは鳴上悠が花村陽介に渡したもの、だとすれば先の映像だけで十分過ぎるように思える。
つまりこの記憶フォルダが花村のものであるとはどうにも考えにくい。
接した時間は短いが花村に記憶が欠損しているようには全く思えないからだ。

「まあいい、一人一人に試してみて反応すれば儲けものぐらいに捉えておけば良いだろう。
これから戦略もさらに詰めていかなければならないんだ、時間を無駄には出来ん」

ガウェインからキューブ状のフォルダを受け取る。
花村を除けば一番怪しいのはこなただろう、例の知識の出どころは本人にもわかっていないらしいとなればこのフォルダが鍵になるかもしれない。
ちなみにやはりと言うべきかルルーシュには何の反応も示さなかった。
フォルダをこなたに渡してみたが―――反応はなかった。

「ああ、駄目かあ…」
「ふむ、泉が一番有り得ると思ったのだが…」

この後も士郎、名無、そして花村の順に渡していったがいずれにも反応しなかった。
マスターに全く反応しないというのは一体どういう事なのだろうか。

「ねえルルーシュ君、せっかくだから映司さんたちにも渡して試してみたら?
ほら、駄目で元々っていうしもしかしたらとんでもない秘策の鍵になるかもしれないよ」
「その可能性が高いとは思えないがな……、?いや、待て」

そういえばと思い出したことがあった、士郎のセイバーである。
奴の能力にだけ不自然な制限が掛かっていたのは何故なのか、殆どのサーヴァントのデータが揃った今思い返しても制限しなければならない特段の事情があるような性能とは考えにくい。
弱いというわけではない、むしろ各方面に偏りなく高い力を持っている優れたサーヴァントではあるだろう。

だがそれを言えばこの聖杯戦争にはより反則的なオンリーワンの力や宝具を持つ者が何人もいた。
アーチャー、DIOや仮面ライダーディケイドは言うに及ばず太公望や蘇妲己、サブラクに狂王アシュナードなど強力な英霊は確かにいたのである。
確かに宝具の火力においてセイバーと並び立つサーヴァントは―――それこそ自分のガウェインも含めて―――この聖杯戦争には存在しないだろうがそれは理由として弱すぎるように思えてならない。
結局この謎については今もってはっきりとはわかっていないのである。

「セイバー、まずお前だ。サーヴァントの中ではお前が一番可能性がある…かもしれん」
「はあ…今さら何かがあるとも思えませんが」

若干嘆息しながらキューブを受け取ったセイバーだがしかし、直後に予想に反した変化が起こった。


562 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:23:09 7jy0xjjU0

「な」

驚きの声は一瞬だった。
セイバーの掌に収まったキューブは高速で唸りをあげながら回転し眩いまでの輝きを放つ。
永遠とも一瞬とも思える光の奔流が消え去った後、彼女の記憶を司るキューブは跡形もなく消えていた。

「ああ―――」

誰もが呆然とする中、ただ一人セイバーだけがどこか穏やかな、郷愁を感じさせるような声音を発した。
誰かが疑問の声を発するよりも早くセイバーは右腕を突き出しある物を具現化させた。

「あ…」
「叔父上、それは…!?」

それは衛宮士郎にとって初めて目にするはずの、しかし決して目を逸らせない懐かしさを抱かせるものだった。
ガウェインの誰何の声すら耳に入らない、ただひたすらに目の前のそれを凝視し続けていた。

「シロウ」

セイバーが士郎の眼前まで近づきそれを翳す。
担い手の魔力を込められたそれは暖かな光を発し、衛宮士郎の肉体、より正確にはその魔術回路に巣食った不浄を消し去っていく。
先ほど間桐桜に告げられ自身の身体を精査して漸く気付いた負の澱み、それらが痛みもなく取り払われていくのを確かに感じた。




「セイバー、それは」
「ええ、これもまた私の宝具の一つです。
まったく、このような方法で封印されているとは思いもしなかった。
世界から切り離されて召喚されたこの月でならこれもまた再現されて然るべきだったというのに、今まで使えないことに疑問さえ抱かなかった」

左手に黄金の聖剣を顕現させ右手に持ったそれに剣を収める。
口にせずとも誰もがそれで理解した、これこそがセイバーの持つ聖剣の本来の正しい在り方なのだと。



――――――それは彼女がいつか辿り着く妖精郷。
伝承においてアーサー王に不死の力を授けた星の聖剣と対になる最終宝具。
その名を“全て遠き理想郷(アヴァロン)”。
所有者に加護を与え呪いや概念を跳ね除け活力を与える最強の聖剣を収めるに相応しい鞘である。

神秘はそれを超える神秘によって打ち払われる。
メダリオン、より正確には負の女神ユンヌが齎す負の魔力の残滓はこの黄金の鞘の加護により一切残らず除去された。
とはいえもし士郎が負の魔力を異常と認識出来ないほど肉体に馴染んでしまえば鞘の力を以ってしても取り返しのつかない事態に陥っていたかもしれない。

本来この聖杯戦争において世界との契約から切り離されたセイバーは最盛期の伝承を再現され、この鞘を最初から使用出来るはずだった。
剣と鞘の関係上セイバーのクラスの枠に反する宝具では有り得ないのだから当然だ。
しかしその強力さを警戒した何者かの手によって他の能力制限とは別個に取り上げられていた。


563 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:24:43 7jy0xjjU0
とはいえ英霊の持つ宝具そのものを本体から完全に切り離すことなどムーンセル本体以外に出来はしない。
故にセイバーが地上の聖杯戦争の記憶を有しているという事実を利用し「現在鞘を所持している」という記憶を抹消することで事実上鞘を保有していない状態に貶めていたのである。
その没収されていた記憶が今戻ったことによって鞘の存在を思い出し装備し使用することが可能になったのだった。

「けど何だって悠がそんなのを持ってたんだ?
俺も悠もここに来るまでサーヴァントだの聖杯戦争だのなんて知りもしなかったしましてあんたの宝具の事なんて……」

怪訝そうに話す花村を見てセイバーは静かに首を振る。
その顔は解けなかった謎が解けたような晴れやかさをも帯びていた。

「この記憶フォルダにはメッセージが添付されていました。
“シロウを守って”と。私の鞘の存在を知り得てなおかつこんな真似が出来る人物は一人しかいない」
「まさか…イリヤだっていうのか、セイバー?」

セイバーは無言で肯定した。
イリヤスフィール・フォン・アインツベルンには小聖杯としての機能がある。
そしてキャスターが先の魔法で行なったのはムーンセルへのアクセスによる脱落者のデータ再現だ。

そしてセイバーの推測通り、データを掘り起こされるにあたってムーンセルが保有する数多の情報に触れたイリヤスフィールは果たせなかった未練を果たすべくある一つの事を願った。

―――“シロウを守れるものを渡してあげたい”

聖杯であるイリヤスフィールには自身の魔力の範疇で過程を無視して結果を得る力を持っていた。
無論データをごく僅かな時間再現されただけの彼女にはほとんど力など残っていなかったが―――同時に全くの絶無でもなかった。
膨大な情報の海の中に分解されて放り捨てられたセイバーの鞘の記憶、それらを自身の残された力で再度組み立て鳴上悠が花村に渡したデータファイルに密かに紛れ込ませていた。
騎士王の鞘の存在を知る、異なる可能性世界からこの聖杯戦争に参加していた彼女だからこそ出来た離れ業だった。
様々な偶然の重なりがセイバーが再び鞘を手にするという奇跡を生み出した。
ここに来てようやく彼女は今回の聖杯戦争における衛宮士郎のサーヴァント・セイバーとして正常な状態に立ち戻った。

「俺、またイリヤに助けられたんだな…何もしてやれなかったっていうのに。
いや、イリヤだけじゃない。学園で桜にメダリオンの事を教えてもらわなかったらきっと気付きもしなかった」
「ええ、確かに。私達はここで出会った多くの人間に助けられ、生かされている」

金田一一とライダー、太公望はセイバーが当初持ち得なかった月の聖杯戦争の知識と情報を補ってくれた。
遠坂凛は死に行く自身を顧みずサーヴァント、キャスターを柳洞寺に向かわせ士郎を助けようとした。
当のキャスター、蘇妲己はとんだ食わせものだったわけだがそれでも結果的に、最終的には蘇妲己の助言が天海陸とセイバー、イスラを撃破する切っ掛けになった。
学園の上級AI、間桐桜は士郎が知らぬうちに取り込んだ負の魔力の存在と正体を教えてくれた。
そしてイリヤスフィールはセイバーの鞘を取り戻す鍵を齎した。
自分達だけで戦っていればとうの昔に志半ばで脱落していたことだろう。



「しかし残滓とはいえあのアシュナードの宝具による汚染を消し去ったのか。聖剣の鞘の名に恥じない凄まじい力だな」
「いえアレックス、それだけではありません。
この鞘の真名を解放することで私はあらゆる攻撃、交信を絶つことが出来る。
それは魔法の領域にあるDIOの時間停止とて例外とはなり得ない」
「何だと!?セイバー、それは本当か?」

驚愕するルルーシュの問いにセイバーは自信を持って頷いた。
アヴァロンはその真価を発揮させることで数百のパーツに分解してセイバーの周囲に展開、この世界とは異なる世界、「妖精郷」に身を置きありとあらゆる干渉を遮断する。
その力は現存する魔法さえ寄せ付けず、衛宮士郎が生きる世界において時間旅行、時間操作にあたる第五魔法もそれは同様。
例え世界を支配する力である帝王DIOのスタンドであろうとも異なる世界にいる者に対して干渉することは出来ない。

「おいおいすげえな、ってことはディケイドに超加速されてもへっちゃらなんじゃねえの?
どんなに速くても攻撃が効かないんならどうってことねえんだし」


564 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:25:28 7jy0xjjU0
「勿論直感で先読みしてタイミングを合わせて発動しなければ意味はありませんが、それは必ず何とかしてみせましょう。
何しろ今の我々には負けられない理由が多過ぎる」
「ああ、そうだな。これで条件はクリアされた、DIOとディケイドの両方に対抗できる力が揃った!」

無論、これはあくまで敵の反則的能力に対抗できるようになったというだけだ。
確かに鞘を取り戻した今のセイバーは他のほとんど全てのサーヴァントを寄せ付けない強さを誇る。
聖剣の鞘による加護は応用次第で攻撃にも転用できる、まさに評価規格外の宝具だ。

しかしアーチャーとライダーは数少ない、今のセイバーさえ殺し得る例外中の例外、規格外の強敵だ。
サーヴァントの域を逸脱した加速能力と世界を支配するに相応しい時間停止。
ごく僅かでも鞘を展開するタイミングを過てば即座に致命となるだろう。
実際に彼らを倒せるかどうかは戦術とサーヴァントの運用に懸かっているといえる。



「花村、それにアレックス」

二人に向き直ったルルーシュの表情はどこか強ばっている。

「頼みたいことがある。場合にもよるが、お前達には対DIOから外れてもらうことになるかもしれない」
「待てルルーシュ、それは」

語気を強めたアレックスを遮ってルルーシュが深く頭を下げた。
生前の彼を知る人間ならば誰もが疑うに違いない光景だった。

「だから頼んでいるんだ。奴らを相手に最もやってはならない事は一つの対策だけを用意してそれに満足してしまうことだ。
それにアレックス。お前の情報は既に漏れているんだ、搦手と狡猾さに秀でる奴らが何の対策も講じないとは思えない」
「俺がDIOに向かっていく、それ自体が罠だとでも言うのか?
我々がDIOの能力を知れたのは泉こなたの知識と鳴上悠が齎したデータがあればこそだ。
それを見越した対策をあちらが打てるとは思えんがな」

それでもルルーシュは首を縦には振らない。

「しかし進化の能力が時間停止に適用される可能性を警戒ぐらいはされているだろう。
それに、だ。お前の力は対バーサーカーやディケイドにも有効に働く。
気持ちはわかるがもう一度頼む。怒りに身を任せて視野を狭めないでくれ」

改めてルルーシュが二人に頭を下げた。
切実な誠意が込められているのが付き合いの短い彼らにも感じられる。

確かにアレックスの能力はアーチャー以外の敵にも有効に働く。
ライダーに対しては負傷を度外視して特殊能力の発動を阻害することに専心するという戦術を取れる。
以前は脅威だった数多の武装・能力による初見殺しの数々も今やその全てが余さず明らかになった。
アレックスに対して有効な攻撃のみに注意し、無理に倒そうとしなければ安定して足を止めることが出来るだろう。

バーサーカーもその点は同じだ、あの狂騎士の異能は手にした武器を宝具化するものであって宝具であれば無条件に支配できるわけではない。
武器と認識できないものは宝具であっても支配することは出来ないという限界が存在することが学園のデータベースで明らかになった。
アレックスは宝具の力で稼働するサーヴァントだが、目の前にいる敵を武器と認識できるのはそれこそ仮面ライダーディケイドぐらいのものだろう。

それにこの点に留意しておけばこちらのライダー、オーズでもバーサーカーの封殺は十分可能だ。
単純な話、わかりやすい武器以外の能力で戦えば相手の強みを発揮させずに済むからだ。
空を飛べるタジャドルコンボや超高速で動くラトラーターコンボならば容易く優位を奪える。

「言いたいことはわかるがな…」
「いや、アレックス。ここはルルーシュのが正しいと思う」

なおも渋るアレックスを制したのはマスターたる花村だった。

「良いのか?」
「心の底から納得できたわけじゃねえけどさ、でも悠は敵討ちを望んでたわけじゃなかった。
ちっと熱くなりすぎてたみてえだ。ありがとなルルーシュ、おかげで目が覚めたわ」

無理を言ったにも関わらず花村は笑顔すら浮かべて承諾してくれた。


565 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:26:20 7jy0xjjU0
逆にルルーシュの方が申し訳ない気持ちになるぐらいだ。
この戦いは誰かが感情的になって勝てる戦いではない、ルルーシュの必死さを見てそれを花村も再認識したのだった。



「しかし…まだ足りないな。セイバーの鞘にしても発動にはかなりの魔力が必要なんじゃないのか?」
「ええ、鞘を装備したことで私の魔力は増しましたが敵は燃費にも優れている。
鞘の真名解放は規模の違いからエクスカリバーほどの消耗はありませんがそれでも軽くはない。
長期戦になった時に持ちこたえられるかどうか…」
「魔力、か…。ってそういえばセイバー、さっきから俺から持っていく魔力が少なくなってないか?」
「何?」

士郎の指摘にルルーシュが怪訝そうにセイバーを見る。
それに対してセイバーは神妙な顔で答えた。

「ええ、それに関しては心配ありません。私の魔術回路も今は正常に稼働していますから」
「今は?以前は違ったというのか」
「…はい、日中の切嗣との戦いで本調子に戻るまで私の魔術回路は極端に出力を制限されていました。
シロウの供給に対して全く釣り合わない魔力しか生み出せなかったのです」

元来サーヴァントは魔術回路を備えるが自力ではほとんどそれを駆動させることが出来ない。
そこでマスターから供給される魔力を用いて魔術回路を動かし活動のための魔力を生成する、これがマスターからサーヴァントへの魔力供給のシステムの正体である。
真にサーヴァントがマスターから送られた魔力のみで活動しているなら人智を超えた力を発揮することなど到底不可能なのだから。

竜の因子を与えられて生まれたセイバーの魔術回路は他の並みいるサーヴァントと比較してなお規格外、それは最早魔術回路ではなく魔術炉心とでも形容すべき魔力を生み出す工場だ。
本来セイバーは魔力消費が多い代わりにこの魔術炉心によって魔力の生成量にも優れたサーヴァントなのである。
だがこの聖杯戦争の開始当初は魔術炉心の機能に強力なロックを掛けられ第五次の時よりは改善されたとはいえ十全な状態とはいえなかった。
セイバーの基本ステータスの低下はこの炉心の出力制限に起因するものだった。
制限が解除され炉心への火入れが行われた今では以前よりも少ない負担でより多くの魔力を生成できるようになっている。

「鞘が戻ったのでエクスカリバーを含めて数回は宝具も使用できますが何しろ今回の戦いは勝手が違う。
五体もの強敵を相手にして魔力が保つかどうかは未知数としか言えません。
生前同様に回路を動かせれば私の力もより戻るのですが…それは言っても仕方ありませんね。
私に限らずサーヴァントである以上は生前ほどの魔力を生み出すなどよほど外れた手段でも用いない限りはまず不可能なのですから」
「そうだよな…。今からもう一回柳洞寺に行って“紅の暴君”を刺して戻ってくる時間なんてないし……」

嘆息する士郎とセイバーを前にルルーシュが暫し考え込む。
これまでのセイバーの情報を頭の中で整理し組み立てていく。
やがて何かを思いついたか、確信めいた笑みを浮かべた。

「ならば、令呪で一時生前と同じ状態に戻すことは可能か?
そう、例えば―――魔術回路を生前同様に機能させろ、といった具合にその一点に絞って令呪の力を注ぎ込めばどうだ?」
「!それは―――確かにそれならば十分可能です。
魔術回路の機能が戻れば当然振るえる力も生前と同じになり魔力の回復量も格段に増す」



それはセイバー、アルトリア・ペンドラゴンだからこそ策として成立する令呪の使い道だった。
凡百のサーヴァントに同じ使い方をしたところでそう上手くはいかない。
サーヴァントといえど魔力保有量にさほど優れない者も珍しくはない、それならば単純な強化などに使った方がよほどに有効なのだ。
だが他の英雄とは桁違いの魔術炉心を有し、魔力放出によって人外の力を発揮するセイバーだけはその方法が極めて有効に機能する。
加えて今度の戦いは団体戦、長期戦が予想される状況下では有用性はさらに増す。



「お前、もしかして俺以上にセイバーの事を把握してないか?」
「戦力という意味ではその通りだと言っておこう、一たちと同盟した時から性能を活かすための策を考え続けていたんだからな」

士郎は確かに前回の聖杯戦争参加者としての経験を持ち合わせるが、ルルーシュもまたギアスを得て以来ゼロとして常に限られた物資や戦力を活かす算段を練り続けてきた。


566 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:26:58 7jy0xjjU0
今あるものを活かして戦うという点においては一日の長がある。





ルルーシュがセイバーの戦力を最大限活かす策を考えている一方でガウェイン、キャスターらも厄介な敵への対処を考えていた。

「アサシンや敵のキャスターもまた相当の難敵ですね…。
キャスターは隠形に優れない以上貴女と同じく後方から支援を行う可能性が高い。
あるいはこちらの防備を突き崩す策を用意している事も考えられます。
そしてアサシン、スタンド能力の特性を考慮すればどこから現れ奇襲を仕掛けても全く不思議ではない」
「対アサシンに関しては私の方で既に奴に対して有効な魔法をいくつかピックアップしてある。
ただバーサーカーの宝具を奪還されると不味いことになる、誰かが持っておく必要があるがあるだろうな」

現状のバーサーカー、ランスロットは先の戦いで与えたダメージに加えて最強宝具アロンダイトを失っているために弱体化している。
このため伝承において敗北したガウェインであっても善戦できる程度には戦力差は埋まっている。
しかし隠密行動に秀でたアサシンがアロンダイトを奪還してくる可能性がある以上油断は出来ない。
全員が地下室に移動したため無人の邸内に侵入されないよう屋敷にもサーチャーを飛ばしておりオーズもカンドロイドを放つなど協力してくれている。

「それと先ほど依頼した術式に関しては?」
「そちらもほぼ改造は済んだ、上手く使えば敵に逃げ場を与えず倒せる」

ガウェインが依頼した術式は一対一の決闘に特化したもの。
活用出来れば機動力に優れるライダーや隠密性に優れるアサシンの長所を封殺することも可能だ。

「戦わずしてここから脱出出来るのが一番の理想なんだがな……。
残念ながら脱出ポイントの割り出しにはもうしばらく時間が必要そうだ」
「やはり戦いは避けられないでしょうね……。
キャスター、くれぐれもご自愛を。貴女が倒れれば我々の脱出の可能性はそこで潰えてしまうのですから」
「ああ、わかっている」

そう、この戦いは極力犠牲を避けて勝利しなければならないのだ。
影の主催者が戦力を有している可能性は低くはない以上可能なら一人の犠牲も出すべきではない。
中でもキャスターはこの空間から脱出する鍵となる存在、名無共々絶対に死なせてはならない。
こちらは敵マスターの居所がわからないのに敵には狙われるという厳しい戦いになるのは想像に難くない。
救いがあるとすればこちらは必ずしも敵を殲滅する必要はなく、こちら側への攻撃を不可能にするだけの打撃を与えて撃退すれば良いという点ぐらいであろうか。



そしてもう一つ、ガウェインは悲観的な妄想ではなく確信していることがある。
ルルーシュのマスター適性はさほど高くなく、当然にして魔力供給も多くはない。
泉こなたはルルーシュよりも適性で劣るが彼らは魔力と令呪を未だ十分に温存しており、自分達とは違う。



ほぼ間違いなく次の戦いで我々は力を使い果たす、もしこの集団の中に切り捨てるべきものがあるとすればそれは――――――


567 : Last Phantasm ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:27:43 7jy0xjjU0
【深山町・遠坂邸地下室/未明】

【衛宮士郎@Fate/stay night】
[令呪]:2画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話、ICレコーダー
※紅の暴君は破却しました
※体内の負の魔力が除去されました

【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[状態]:健康
[道具]:無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate Zero
※ムーンセルに課せられていた能力制限が解除されました
※ムーンセルから得られる知識制限が解除されました
※宝具「全て遠き理想郷(アヴァロン)」が使用可能になりました
またこれに伴い魔力量が大幅に増大しています

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
[令呪]:1画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話、ニューナンブ
※枢木スザクが参加していることを知りましたが説得を断念しました
※マスター達は時空を超えて集められたのではないかと考えています
※枢木スザクが自分より過去(第二次トウキョウ決戦前後?)から参戦していると考えています

【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
[状態]:魔力消費(中)
※リインフォースにある術式の改良を依頼しました

【泉こなた@らき☆すた】
[令呪]:3画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話

【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:健康、新たな決意
※遠坂邸内にカンドロイドを放っています
※この聖杯戦争ではスーパータトバコンボは原則使用できません

【花村陽介@ペルソナ4】
[令呪]:3画
[状態]:健康、強い覚悟と決意
[持ち物]:ミネラルウォーター@現実、カロリーメイト@現実・医薬品一式@現実
 大学ノート@現実・筆記用具一式@現実・電池式充電器@現実・電池@現実 、契約者の鍵@ペルソナ4
 携帯電話*携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
 予備の服@現実・食料@現実・スパナ@現実
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)
※ジライヤがスサノオに転生しました。
※契約者の鍵@ペルソナ4を入手しました

【ランサー(アレックス)@ARMS】
[状態]:魔力消費(小)、ARMSの進化(進行度小)
※アサシン(ヴァレンタイン)が生存していることに気付きました

【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:2画
[状態]:健康
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)

【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:魔力消費(小)回復中、強い決意
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園、柳洞寺地下大空洞前を中心に索敵しています
※ガウェインから依頼された術式が完成しました
※転送魔法の使用にかかる魔力消費が本来より増大しています


※今まで月海原学園で調べたサーヴァントデータの内容を全員が共有しています
アーチャー(DIO)、アサシン(ヴァレンタイン)、ライダー(門矢士)、バーサーカー(ランスロット)のデータは詳細に把握しましたが、キャスター(キンブリー)の情報はごく一部に留まっています
※円蔵山の魔力集積地に蓄積していた悪性情報(負の魔力)は完全に浄化されました
また悪性情報の浄化機能が大幅に強化されています
※鳴上悠が渡したデータファイルの中身は「oath sign」、「It's just like OVER HEAVEN」、「Hard luck dance」の戦闘記録(悠及びランサー視点)とアルトリアの宝具「全て遠き理想郷(アヴァロン)」の記憶データでした


568 : ◆XL.nOGsA4g :2013/11/03(日) 14:28:53 7jy0xjjU0
以上で投下を終了します


569 : ◆cp3jCCSc7M :2013/11/03(日) 15:29:35 TccxOVvo0
投下乙です!
以前描写不足と言われていた番長組視点の戦いがこんな形で補完されるとは…!
自分達のデータから用意したものなら確かに不可能ではなさそうですね
むしろDIOの存在を考えると自然なチョイスだと思います

そしてここでアルトリアのアヴァロン解禁ですか
この段階で士郎の負の魔力が消えるとは思っていませんでしたがこれはこれでアリかと
団体戦の様相を呈してきたこの状況では必ずしも対主催に火種が必要とも言えなくなってきていましたし
それにしてもアヴァロンあっても勝てるとは限らないあたり本当にDIOと士は規格外ですね
移動要塞とはいえアヴァロン展開してる間はアルトリアも相手に攻撃は当てられないわけで…


570 : 名無しさん :2013/11/03(日) 16:26:25 d4CcXRXQO
投下乙
オーズはスーパータトバは使えないのか
まあ本人の項目で使えるメダルの種類も枚数も決まってるから仕方ないね


571 : 名無しさん :2013/11/03(日) 16:51:42 b1ZwkEcI0
項目にないけど使える真タトバ…


572 : 名無しさん :2013/11/03(日) 18:19:31 8uEO69ag0
投下乙です
ここでアヴァロン復活、DIOやディケイド対策がいい感じに固まってきたね
しかし対主催陣営にとって未だ未知数かつ血の紋を刻むことを目論むキャスターの影響がどう出ることか…


573 : 名無しさん :2013/11/03(日) 18:55:25 TT6aX5XEO
投下乙です。

アヴァロン展開時って、移動はできるの?
身動きとれなかったら、承太郎がよくやられるナイフ包囲をされそうだけど。


574 : 名無しさん :2013/11/03(日) 19:16:04 ADKRiDPI0
投下乙でしたー!
できたと思うが、仮に無理でもナイフごときじゃ傷付かないんじゃね?>セイバー


575 : 名無しさん :2013/11/03(日) 19:21:49 KqvT2FRQO
投下乙です
能力者ならスタンド見えるならルルーシュにもスタンドは見えるのでは


576 : 名無しさん :2013/11/03(日) 19:31:03 ADKRiDPI0
スタンドと同類の、精神の力で起動する能力か否かじゃね?


577 : 名無しさん :2013/11/03(日) 19:39:34 b1ZwkEcI0
ギアスこそ精神の力で起動するだろ


578 : 名無しさん :2013/11/03(日) 19:53:47 ktcpa4GY0
どっちかっつうと
スタンド(精神具現の『宝具』)が見えるマスター=魔術的な力の持ち主じゃないの


579 : 名無しさん :2013/11/03(日) 20:17:22 gKgrctgY0
投下乙です
スーパータトバの能力って「時間停止の無効」じゃなかったけ?劇場でも「何故時間が止まらない」って言ってたし。


580 : 名無しさん :2013/11/03(日) 20:24:23 8U0VVoLA0
というか詩音がすでにスタンド見てるという


581 : 名無しさん :2013/11/03(日) 20:30:08 ktcpa4GY0
>>580
実際スタンド視認に関しては市長と大統領の話で出てきた後付け設定だからなぁ
もうそのルールが守られてる以上その方向なんだろうけどね


582 : 名無しさん :2013/11/03(日) 23:08:01 HDRbJTbk0
投下乙です
これは面白かった!!番長視点とそれを見る陽介に泣ける…
そしてまさかここでイリヤによるアヴァロン解禁とは…イリヤはセイバールートだからこそ出来た奇跡に胸熱です!

そしてさりげに親友にdisられてるスザク…


583 : 名無しさん :2013/11/03(日) 23:23:13 w2QtpRAg0
投下乙です

>>580
症候群でなんとか説明を……


584 : 名無しさん :2013/11/03(日) 23:52:19 PSyWuSIo0
投下乙です

>>573
無理
ジークフリートの悪竜の鎧のような常時発動型じゃないし


585 : 名無しさん :2013/11/04(月) 00:19:35 fPAUJ9Vk0
展開しながら移動してギルぶった切ってる


586 : ◆QSGotWUk26 :2013/11/04(月) 12:43:29 ubJvO2Vo0
延長します


587 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/04(月) 12:56:37 JdFP1pZY0
投下乙です
いろんな伏線が回収されるみたいで面白かったです。
この話が通ったら遠坂邸同盟の人達を予約します。


588 : 名無しさん :2013/11/04(月) 13:31:16 Nw7KDRSk0
これ以上西側の時間進めると夜の内に決戦を行うという東側の目論見が成り立たなくなるんでは…
朝が近くなるとDIOは絶対参加できないし、そうすると決戦自体ご破算になりそう


589 : 名無しさん :2013/11/04(月) 14:29:18 LTe7wo/E0
まぁ流石にそれは書き手の方々も空気読むと思うけどね
流石に東西陣営の作戦会議と共に積み上げてきた決戦フラグをおじゃんにするなんてことはないだろうし


590 : 名無しさん :2013/11/04(月) 16:54:41 fPAUJ9Vk0
バーサーカーさんは夜の内に参加出来るんですかね…


591 : 名無しさん :2013/11/05(火) 18:01:31 5jKEjFIU0
足手まといになる未来が見える


592 : 名無しさん :2013/11/05(火) 18:38:25 7ztd9XHw0
い、一応円卓最強の騎士だから…(震え声)


593 : 名無しさん :2013/11/05(火) 18:54:39 Ucpu7.FMO
>>590
いくら良い武器持たせたところであっさり取られて敵に塩を送ることになる未来しか


594 : 名無しさん :2013/11/05(火) 19:16:58 7ztd9XHw0
け、賢者の石も貰って魔力供給マシになったんだし何とか…なんとか…?


595 : 名無しさん :2013/11/05(火) 19:34:29 top/hpDIO
それ以前の問題として賢者の石もらったところで決戦までに傷治るの?
金鰤に治療してもらおうにもランスは敵味方の区別もつかないし


596 : 名無しさん :2013/11/06(水) 01:15:16 KuOXPBYU0
>>595
アルトリア見つけたら勝手に突っ込んでくから問題ない


597 : 名無しさん :2013/11/06(水) 01:26:29 JUHKKtvE0
まぁ最悪、令呪使えば多少なりとも回復は出来ると思うけどね
一応スザクもう一つ使えるし


598 : 名無しさん :2013/11/06(水) 09:02:31 9N6XIeNs0
>>596
特攻したところを狙われる気がする


599 : 名無しさん :2013/11/06(水) 09:12:04 d1s8wTZU0
むしろチーム戦でのバーサーカーの運用って敵陣突っ込んで前衛で囮するくらいしかない気がしないでもない


600 : 名無しさん :2013/11/06(水) 18:23:28 nmYeYRzc0
仮に万全になれたとしてもセイバーに突っ込んだ所を他の4人に横から爆殺される未来しか見えない
原作からしてそんなんばっかだし


601 : 名無しさん :2013/11/06(水) 18:42:58 iZG/z2/I0
というかむしろセイバーだけで十分過ぎる
竜特攻もアヴァロンの加護が戻った以上機能するかも怪しい
ステを底上げできるアロンダイトが無い以上ジリ貧の可能性大


602 : 名無しさん :2013/11/07(木) 09:54:53 Lh7E9ebUO
結局対主催の予約はどうなったんだ?


603 : 名無しさん :2013/11/07(木) 14:17:16 5aydF0X.0
普通に通しだろうし予約中なのでは


604 : 名無しさん :2013/11/07(木) 19:31:13 pT/AoGLE0
黎明2巡目とかにならなければ大丈夫だと思う


605 : 名無しさん :2013/11/07(木) 23:55:29 Pl3ujWKQ0
なんか雑談振り返ったらちょこちょこ預言者がいてワロタ
特に陽介関連
番長も死んでからは正統派に輝いてるし、やっぱ優遇されてるな


606 : 名無しさん :2013/11/08(金) 01:22:06 pdizfi5A0
スーパータトバの能力って時間停止と時間停止無効化のどっちが正しいんだ?


607 : 名無しさん :2013/11/08(金) 01:30:18 0vKclzPA0
ググッた限りではたぶん時間操作の方だと思う、それの効果で相手の時間停止に対抗したっぽいし
どちらにせよここじゃ使えないけど


608 : 名無しさん :2013/11/08(金) 07:49:50 uQC.nlsQO
まあ使えなくて正解だね
ここに来て仮面ライダーにまた項目に無い能力が追加されたらそっちの方が文句出ただろう
ここは制限が緩いだけで無いわけじゃないのを忘れちゃいけない


609 : 名無しさん :2013/11/08(金) 10:10:25 jDY1.OHUO
>>605
だから死んだようなもんだけどな…人気すぎたが故に過労死


610 : 名無しさん :2013/11/08(金) 11:32:48 I/2V/P/AO
ステータス隠しや魔力回復に文句でるのは原作にないし似合いもしない能力だからだろ
実際真タジャドルの追加は何も言われてないし


611 : 名無しさん :2013/11/08(金) 12:25:44 ye9vz6AI0
もしやイリュージョンも魔力回復とかがなくて長時間使いにくい仕様なら一話で使い潰されなかった可能性が微レ存…?


612 : 名無しさん :2013/11/08(金) 12:53:40 5aSGqP4M0
まさかとは思うけどアタックライド・てれびくんは流石に出ないよな?


613 : 名無しさん :2013/11/08(金) 12:57:00 b2LgyLeE0
決戦前なんだからネタ潰しになりかねない雑談はやめよう
今現在二人の書き手氏が予約してるんだから


614 : 名無しさん :2013/11/08(金) 16:05:50 G0WckbXU0
弱体化してるキャラ達見てると
燃費悪化してるとはいえDIOの時間停止強化はますますどうなのよって感じになる


615 : 名無しさん :2013/11/08(金) 17:30:34 iTaTVo9sO
>>611
キリツグがドリンク腹になるとかな。


616 : 名無しさん :2013/11/08(金) 17:35:55 uQC.nlsQO
>>614
それで何度も躓いたりしてるならまだしも案の定全体通して九割方絶好調だもんな
魔力は魂喰いしてるとはいえあっという間に回復するわ情報も労せず最新のものが手に入ったってあんた…


617 : 名無しさん :2013/11/08(金) 18:02:20 0vKclzPA0
こんなの一時期の番長に比べればかわいいもんだよ


618 : 名無しさん :2013/11/08(金) 18:47:07 uQC.nlsQO
いや、没になった番長無双を指して言ってるならともかく本編描写だけで番長以下はない
逆に番長無双を指しているのならわざわざ没作品を引き合いに出すのはおかしいよね?


619 : 名無しさん :2013/11/08(金) 19:59:32 7LK4gXzU0
まぁDIOは一応マスターが貧弱という弱点はあるけどな


620 : 名無しさん :2013/11/08(金) 21:51:27 vri15HC.0
DIO様、マスターが一般人に殺されかねないほど脆弱だけど魔力は豊富だし、妥当なところじゃない?
あとアーチャーのクラススキルの単独行動が作用してるし


621 : 名無しさん :2013/11/08(金) 23:16:10 ye9vz6AI0
まあ今や対主催にはデータから外見から戦法まで全部漏れてるし
そこまで含めればバランス取れてると言えないこともない
アヴァロンセイバーですら初見じゃ厳しいからなDIO様


622 : 名無しさん :2013/11/08(金) 23:27:58 gvlSvieo0
というか、初見でDIOに勝てるような奴はほとんどいないだろ。
時間停止は最悪の初見殺し。

弱点と言えば、能力(スタンドと吸血鬼としての力)が対人に特化している所為で一定以上の火力がでないことかな。
5次バーサーカーみたいな相手には詰みそう。


623 : 名無しさん :2013/11/08(金) 23:32:10 d3HkpTqw0
普通に時間停止スタンドラッシュ一回で殺しきれそうだと思うけどな…
時間停止中に12回殺されれば耐性もつくまい


624 : 名無しさん :2013/11/09(土) 00:00:11 khCpOHb.O
しかし初見で11個も命のストックあるとわからずに詰んで仕方なくマスター狙うDIOが容易に想像できる

あとサブラクならスタンドラッシュ程度は余裕で生き残れるから有利かと思ったが肉の芽が怖いな…


625 : 名無しさん :2013/11/09(土) 00:57:01 Ftgfc8Do0
他には近接特化だから空爆が得意な相手も苦手かな
つまり堅い防御と空爆能力を両立する上洗脳もついてくる妲己が天敵


626 : 名無しさん :2013/11/09(土) 00:58:25 MDWR.RuU0
何か知らないけどDIO様、性格面でも翻弄されそうな気がする…w>ダッキちゃん


627 : 名無しさん :2013/11/09(土) 01:04:42 LlGSt8xQ0
妲己ちゃんは勝ち逃げしつつ消滅、DIOは負けつつ生き残るってイメージ


628 : 名無しさん :2013/11/09(土) 07:28:01 IZZx1usA0
>>625
機動武士ホンダム…


629 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/11(月) 00:00:04 E/ZbiSQE0
予約の延長お願いします


630 : ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:11:18 k9VBkSCI0
投下します


631 : Stardust Conquistas ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:13:43 k9VBkSCI0

 冬木市、新都、ハイアットホテル。
 日付が今日から明日に変わった後も暫く、会合は続いていた。
 アーチャー、ライダー、キャスター、アサシン、そしてマスター二人が参加する、西の敵対勢力を撃滅する為の軍議だ。

「――さて、これで大体詰めるべきは詰めたというところかな?」
「やれるだけの準備はした。後は行動するだけだ」

 アーチャーの言葉をライダーが引き継ぐ。
 誰もが己の手札を許容できる際の際まで曝け出し、作戦戦術を練りに練った。
 磐石の態勢を整えたと言えるが、勝率はおそらく五分には届かない。
 それでも、誰も臆する事無く――この場に在る全員が、勝ちに往くのだという自信を漲らせている。

「――では、最後にもう一度確認しておこう。我々の目的は何か?」
「深山町に存在する強力な敵性集団の撃退だ」
「ここにいる俺達は、本来なら誰もが最後の一人になるまで戦う敵同士」
「しかし、敵集団はあまりに強力過ぎる。私達が単独で当たれば各個に撃破されるだけ」
「然り。故に、我らはこうして集い、目的を同じくした」
「敵軍の排除……しかし、それで“おしまい”ではないな。
 元来我らは、各々願うところあってこの聖杯戦争に参陣した身。
 奴らを排除し、さあ我々で聖杯を分かち合おうか……ふん、そんな事にはならん。絶対にな」
「もし我々が勝利したとしても、その後は通常通りの聖杯戦争に戻るだけ。何の矛盾も無い」

 ここに居る面々は、間違っても信頼や信用といった関係で結ばれてはいない。
 これから始まる一大決戦でさえも、唯の通過点でしかない。
 寸前まで肩を並べていた者は、詰まるところは聖杯を阻む障害に他ならないのだから。

「奴らを排除した後、俺達は改めて“敵”となる……異存はない。
 だがどこでその排除したという線引をするかだな。さすがにあいつらの戦力を削がない内に抜け駆けするような奴はいないだろう」
「望ましいのは殲滅だが、最低でもセイバー二騎の排除だ。これさえ成せば後は手を組まずともどうにでもなる」

 敵の情報はかなりの確度で出揃っている。
 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアとガウェインについてはスザクが。
 衛宮士郎とアルトリアについては切嗣が。
 オーズについてはライダーが……オーズのマスターについては詳細は入手できていないが、言動を見るに魔術師ではないのは明らかだ。
 キャスターとランサーは、アサシンが一度交戦したらしい。そしてアーチャーが手駒としていた鳴上悠からも彼らの情報を得た。
 同時に彼らは、敵もまたこちらの陣営の情報を得ているという前提で対策を立てていた。楽観的な要素は極力排除するためだ。
 敵の主戦力はやはり、最優のクラスであるセイバーだろう。


632 : Stardust Conquistas ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:14:14 k9VBkSCI0

「では、セイバー二騎を排除したら後は自由にやっていいという事だな?」
「残るはランサーとライダー、そしてキャスターですか。確かにセイバーよりは与し易いでしょうが」
「セイバーを打倒した時点で我々もかなりの消耗を強いられているはずだ。その状況で決着を着けようとするのは利口とは思えんな」
「フ……理解しているさ。何もいきなり襲いかかろうというのではない。セイバーを排除した後は撤退に移らせてもらうというだけだ。
 残党を始末したいのならば残った者が好きにすればいい」
「まあ、その辺りが落とし所だろうな。俺達の協力関係は」

 可能ならば敵を全滅させるのが理想だが、深追いし過ぎて味方に背中から撃たれたのでは本末転倒だ。
 アーチャーとしては、時間停止が通じないであろうアルトリアと吸血鬼の天敵であるガウェインの排除こそが絶対条件であり、それ以上の消耗は余計でしかない。
 ライダーは敵のライダー、オーズを破壊・吸収できれば欠けたカードを補って余りある力を得られる。他人に譲る訳にはいかない。
 バーサーカーは奪われた“無毀なる湖光”をアルトリアから取り戻さねばならず、それを抜きにしてもアルトリアを目前にすれば制御は効かない。
 アサシンとキャスターは命題めいたものは持ち合わせていないが、それ故にいつ裏切るかわからないスタンスでもある。
 結果、敵の主力であるセイバーを打倒した後は同盟を解散、という結論が最善であると皆が判断した。

「では、解散だな。襲撃はいつ決行するのだ?」
「各々準備もあるだろう。今より二時間ほど後ではどうかな。場所と始めるタイミングは私が知らせよう」

 切嗣とスザクは元より、アーチャーもまた鳴上悠より携帯電話を入手していた。
 気配遮断スキルを持つアサシンが標的の位置を確認し、メールの一斉送信で開戦を告げる手筈だ。
 こうして、一夜限りの茶会は終わる。
 おそらくはこの聖杯戦争の趨勢を決定づけるであろう一大決戦。
 その開戦の時を待ち、サーヴァント達は夜の闇に散っていく。


633 : Stardust Conquistas ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:14:47 k9VBkSCI0

              ◆


「俺達はどう動く?」
「概ね、先ほどの会合通りで構わない。だが今回ばかりはオーズよりもセイバーを討つ事に集中してくれ」
「わかってる。いかにオーズの力を得ても、今のセイバーとフルスペックのガウェイン相手じゃ分が悪いのは変わらんだろうしな」

 ライダー、門矢士は切嗣から施された回復魔術によって大体の傷を回復させた。
 ディケイドライバーの損傷も修復が完了し、何とか全力で戦える状態にまで復帰したと言える。

「だがアーチャーの言った通り、セイバーを排除した後は俺も好きにやらせてもらう。
 もし誰かにオーズを倒されでもしたら、残った奴らを片付けるのは難しくなるからな」
「それは任せるよ。できれば、オーズをどこか遠くに引き離して誰の邪魔も入らない所でやってくれ
 今回は複数のサーヴァントが入り乱れる乱戦になる。僕も近くで見ているって事はできないだろうからね」

 切嗣は背中の狙撃銃を指す。どこかのビルに潜伏して戦場を窺う腹積もりだ。

「敵のマスターも前線には出てこないだろう。正真正銘、サーヴァント同士の決戦になる」
「望む所だ。今度こそ奴らとケリを着けてやる」

 ライダーが持てる能力を全て開放し、バーサーカー・アーチャーと連携すれば、その力は何倍にも増す。
 切嗣はサポートに徹する事になる。無論、敵のマスターを狙う機会があれば、狙撃を躊躇うつもりは無いが。
 気掛かりといえば、あの衛宮士郎という少年だ。

(僕と同じ衛宮の姓……だが、“衛宮”には有り得ない投影魔術と、騎士王のサーヴァント。
 僕に覚えはない。父の隠し子という線も無いだろう。なら、あいつは何者なんだ……?)

 未来で切嗣が出会うはずの、いずれ養子とする少年――当然、今の切嗣が知る由はない。
 排除すべき、油断のならない敵。切嗣にとって衛宮士郎はそれ以上でも以下でもなかった。

(起源弾は奴には通じなかった。それが奴の魔術か、何らかの霊装の効果か。
 いずれにしろ、今回の戦いでは顔を合わせる事は無いだろうが……)

 多数のサーヴァントが激突する戦場に乱入してくるマスターなど、よほど気が触れたマスターでもなければ有り得ない。
 ライダー達が首尾よくセイバーを討ち取ってくれればそれで済む話だ。
 だが、もし衛宮士郎が切嗣の射界内に現れたならば――今度こそ、銃弾を脳天に叩き込む。
 魔術師殺しと世界の破壊者は、来たるべき時をただ静かに待つ。


【新都/深夜】

【衛宮切嗣@Fate/zero】
 [令呪]:1画
 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
 [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃
  携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)

【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド】
 [状態]:魔力消費(中)


634 : Stardust Conquistas ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:15:35 k9VBkSCI0

              ◆


「――さて、終わりましたよスザク。調子はどうですか?」
「ああ、問題ない。これなら敵の魔術師とも十分渡り合えると思う」

 キャスターは枢木スザクの左腕・両脚を機械鎧へと錬成した。そして今、更に強化改造を施したところである。
 両脚はスザクの脚力と得意の蹴りを活かすために、炸薬を仕込んで爆発的な加速を得られるようにした。
 左腕には掌から銃弾を発射できるオーソドックスなタイプの戦闘用機械鎧に。
 そして取り回しの良いブレードを数本、動きを阻害しない程度に装備する。
 道具作成スキルを持つキャスターの手による物であるため神秘を帯びているとはいえ、これらの武装はサーヴァントには辛うじて通じるという程度。
 だが人間のマスター相手なら十分。鳴上悠と同じペルソナ使いの花村陽介、分身のアサシンと渡り合ったという名無という男、そして衛宮士郎。
 この三者と相対しても、互角程度には渡り合えるはずだ。

「あなたがこれらの武装を使う機会があるかわかりませんが、やれるだけはやりましたよ。健闘を祈ります」
「感謝する、キャスター。だが……次の戦い、本当に参加するのか? お前にとってはさして意味は無いはずだ」
「まあ、そうですがね。どうせ死ぬなら楽しんでからの方がいいでしょう。
 あなたは観察に値する対象だ。あなたの結末を見届けたいというのが今の私の願いなのでね。この戦いくらいは付き合ってあげますよ」

 本心かどうかわからないが、だからと言って切り捨てられるほど今のキャスターが占める位置は小さくない。
 出夢ほど信用する事はできないが、少なくとも切嗣やアーチャーほど危険でもない。
 もしスザクが最後まで勝ち残れば、このキャスターは一体どうするのか。
 兎にも角にも、次の戦いを勝ち残らねば先を考える意味もない。
 キャスターが自身の治療を始めたのを潮に、スザクは頭を振って体を休める。
 数時間後には、間違いなく、無二の友であり宿敵でもあるルルーシュと雌雄を決する事になる。
 彼を手に掛ける事にもはや躊躇いは無い。油断すれば駆逐されるのは自身であると骨身に染みて理解している。

(俺はルルーシュを……憎んではいない。俺にはもうその資格は無い。
 でも……君はどうだ、ルルーシュ。ナナリーを奪った俺を、君は俺を憎んでいるか?)

 この枢木スザクは第二次東京決戦の直後に聖杯戦争に参加している。
 故に、エリア11総督であるナナリー・ヴィ・ブリタニアの生存を知らず、犯した罪の清算を聖杯に求めている。
 数時間後に対峙するであろうルルーシュが、厳密な意味ではスザクの知っているルルーシュとは?人である事など知る筈もない。
 その程度の齟齬を解消する会話さえできないまま、彼らは決定的に道を違えてしまった。
 テロリストとして活動していたルルーシュと、ブリタニアの騎士として反乱を鎮圧していたスザク。
 聖杯を破壊するべく同志を集めるルルーシュと、聖杯を手に入れるべく殺戮を目論むスザク。
 皮肉な事に、かつてとは立場が真逆になった。今のスザクを肯定してくれる者など誰もいないのに対し、ルルーシュは正しく正義の味方と言える立ち位置だ。
 一体どんな心境の変化が彼に起きたのか、興味はあるがもはや知る術は無い。


635 : Stardust Conquistas ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:17:33 k9VBkSCI0

(もし、この聖杯戦争が始まってすぐ、君に会えていれば……俺達は、昔のように手を取り合えていたのだろうか)

 ルルーシュの智と、スザクの武。
 力を合わせればできない事は無いと思っていたし、事実、彼ら二人が世界全てを制圧した未来もあった。
 だがもう、その未来にはたどり着けない。
 事ここに到っては、どちらかがどちらかを淘汰するしか先へ進む道は無いのだ。

(君にガウェインという新たな剣があるように、俺にもランスロットという剣がある。
 俺達が彼らを引き寄せた時点で、対立は決まっていたのかもしれないな)

 今も遠くに待機させているバーサーカーからは、焦げ付くような戦意が強烈に吹きつけられてくる。
 バーサーカーも、次の戦いがセイバーと決着を着ける舞台であると感じ取っているのかもしれない。
 キャスターの“賢者の石”をバーサーカーに与えれば、もはや彼がスザクの拙い魔力に縛られる事は無くなる。
 それ自体が魔力炉である賢者の石を直接取り込めば、圧倒的な魔力が急速に充填されてバーサーカーの傷も癒えるだろう。
 実力を存分に発揮できる剣の宝具も手に入れた。
 湖の騎士、その本当の意味での全力を遠慮なく発揮できるはずだ。

(……決着を着けよう、ルルーシュ。俺達はもうお互いに、引き返せない所まで来た。
 なら、君を殺すのは俺であり、俺を殺すのは君でなくちゃいけない。俺達は……友達、だからな)

 憎しみからではなく、ただ目の前に立つ障害を排除するために。
 枢木スザクは開戦の時を待つ。


【新都/深夜】

【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
 [令呪]:2画
 [状態]:疲労(大)、義手・義足を機械鎧化
 [装備]:キャスターが制作したブレード(複数)
 [道具]:エッケザックス@ファイヤーエムブレム 覇者の剣、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣

【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】
 [状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊
      宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失

【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
 [状態]:疲労(小)、魔力消費(小)、全身ダメージ(小)
 [装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石


636 : Stardust Conquistas ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:19:31 k9VBkSCI0

              ◆


 市長が開発していた対ランサー用のプログラムは滞り無く完成し、キャスターの手によって弾丸の形状に錬成された。
 これを使用するのは気配遮断スキルを持つアサシンが適任である。

「よくやってくれた、市長。ここからは私の仕事だ」
「信じているよ、大統領。私にできるのはここまでだ」

 突貫でプログラムを仕上げたジョン・バックスはさすがに疲労困憊だった。
 とはいえ、その苦労に見合うだけのものはできた。あとは実戦でその仕上がりを確かめるのみ。
 バーサーカーとライダー、そしてアーチャーがセイバー二騎と敵のライダーを。そしてアサシンがランサーを。
 これがとりあえずの受け持ちである。双方にいるキャスターは全体の援護といった所だ。

「深山町にいる私からも、敵が動いたという情報はまだ無い。少しは休めるぞ」
「だといいが……ああ、アーチャーのマスターを探させていたな。そっちはどうだ?」
「芳しくないな。まあ、あまり期待はしないでくれ」

 決戦までにアーチャーのマスターを発見するのは難しいかもしれない。、
 単独行動スキルを有するアーチャーならマスターを伴わず戦場に現れる事が可能だからだ。
 それでも、確実に戦況を把握するならやはりマスターの存在は必須だ。

「捜索は引き続き続ける。君はとりあえず休んでいてくれ。場合によってはまた私を増やしてもらう事になるかもしれん」
「なぜだろうな、私は一度も戦闘に出ていないのにやたらと消耗している気がするぞ……」

 ブツブツと呟きながらも横になった市長を見下ろし、アサシンは窓の外に目を向ける。
 実のところ、一つ、アーチャーのマスターをおびき出す手が無いではない。

(あのアーチャーはディエゴ・ブランドーに瓜二つだ。しかし奴のスタンドは恐竜化するものであり、時間を止めるなどという強力な物ではなかった。
 別世界のディエゴ……? いや、それにしても少し違う気がする……無関係ではないのだろうが)

 ディエゴ・ブランドーはアサシン、ファニー・ヴァレンタインも関与していたスティール・ボール・ランに参加していた騎手の一人だ。
 とにかく、アーチャーとディエゴは似ているという点が重要だ。それこそ一見しただけでは見間違うくらいに。
 ディエゴをD4Cの能力でこの世界に“連れて来る”。
 そして適当に痛めつけておき、決戦が始まったら後方で監視している者たちの前に放り出す……それでアーチャーのマスターが何らかの動きを見せる、かもしれない。

(まあ、まずは西の連中の排除だ。奴らを打ち崩すまではあのアーチャーは必要だからな)

 その名の如く、アサシンは闇に気配を溶け込ませていく。
 開戦まで、もう少し。
 その鐘を響かせるのは、他でもなくこのファニー・ヴァレンタインである。


【新都・双子館/深夜】

【ジョン・バックス@未来日記】
 [令呪]:3画
 [状態]:疲労(中)、魔力消費(小)、冬木市市長
 [装備]:「The watcher」
 [道具]:栄養ドリンク(箱)

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](4人目)・魔力消費(中)
 [装備]:拳銃、対ランサー用プログラム弾
 [道具]:携帯電話

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し
 [装備]:拳銃、対ランサー用プログラム弾
 [道具]:携帯電話


【新都/深夜】

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


【深山町・遠坂邸付近/深夜】

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](5人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


637 : Stardust Conquistas ◆QSGotWUk26 :2013/11/11(月) 16:21:41 k9VBkSCI0

              ◆


 道中で補給がてら“食事”をしつつ、アーチャーは思考する。
 封印の剣はスザクに譲渡したため、今のアーチャーは無手だ。
 決戦の直前に、キャスターから彼が作成した多数の投擲武器を受け取る手筈になっている。

 吸血鬼であるアーチャー、DIOにとって、最大の敵はやはりガウェインだ。
 固有スキル“聖者の数字”はこの時間帯なら発動しない。
 だからこそなんとしても、今夜中にガウェインを始末する必要がある。
 そして、もう片方のセイバー、アルトリアもまた逃せない敵となった。

 “騎士王”アルトリア=ペンドラゴンと、“太陽の騎士”ガウェイン。
 この二者は共に高い対魔力スキル、対軍宝具を持ち、ステータスも全体的に高い次元でまとまっている。
 だが幸いと言うべきか、こちらの陣営には純粋な魔術を行使するサーヴァントは存在しない。
 キャスター――ゾルフ・J・キンブリーの扱う業は魔術ではなく錬金術。
 神秘でありながら物理現象の側面を持つ紅蓮の錬金術は、セイバーの対魔力スキルを以てしても無効化しきれない。
 無論、致命傷を与えられる程ではないが、僅かでも“通じる”のならば価値はある。
 対魔力スキルに任せてキャスターの攻撃を無視する、という事ができないからだ。
 バーサーカーが正面から猛攻を掛け、後方からアーチャーがキャスターの作成した武器を投擲するという戦法が十二分に通じるのである。
 しかし、ダメージ耐性のスキルを持つランサーにはやや不安要素が残るが。

 セイバーの脅威として避けて通れないのはやはり、彼らが有する超級の宝具である。
 “約束された勝利の剣”、そして“転輪する勝利の剣”。進行方向にある物全て薙ぎ払う、攻勢においてこれ以上は無い必殺宝具だ。
 アーチャーはガウェインに近づけないと言ったが、それは何もアーチャーに限った事では無い。
 残念ながらこちらの陣営にはこの二つの超宝具を防ぐ術が無いのだ。
 時間を止めるなり超加速するなりで回避する事自体は可能なはずだが、受け止める事は論外だ。
 だが敵がこちらの情報を得ているとすれば、本当の脅威はこの対軍宝具ではない。
 アルトリアが有するEXランクの結界宝具、“全て遠き理想郷”。これこそが最大の難関。
 自身を妖精郷に置き、六次元までの交信を遮断する最上級の守護を与える宝具だ。
 いかにアーチャーが時間を止められるとしても、同じEXランクであるこの鞘を展開したセイバーには確実に通じない。
 ガウェインが吸血鬼の天敵であるとするなら、アルトリアはザ・ワールドの天敵であるのだ。
 とはいえ、逆に言えばアルトリアはザ・ワールドに対応するためにおいそれと対軍宝具を使えないということでもあるのだが。
 “約束された勝利の剣”と同時に時間を止められてしまえば、セイバーの敗北は必至。
 故に、アーチャーがそこにいるというだけである程度はセイバーの行動を縛れるとも言える。

(バーサーカーとライダーがどこまでガウェインとオーズとやらを抑えられるかが勝負の分かれ目か)

 そして問題がもう一つ。アーチャーはマスターである鹿目まどかをどうすべきか、考えあぐねていた。
 別に魔力を供給するだけなら念話で指示すれば問題ない。だが今のまどかは、厄介な事に自身の選択の結果を自分の目で見届けたいと言う。
 力を貸すと令呪で誓約した以上、その申し出を拒絶してはアーチャーの能力が減衰する可能性がある。

(厄介な事だ。仮にまどかがあのアサシンにでも発見されれば、一転して私は窮地に陥る)

 戦局が決しないままアサシンが仕掛けてくるとも考え辛いが、可能性はゼロではない。
 そうなればどうするか……

(……“最悪の展開”も、視野に入れておかねばならんな)

 幸い、アーチャーのクラススキルには単独行動がある。マスターを失ってもすぐに消滅する訳ではない……。
 脳裏に幾つもの方策を思い描きながら、アーチャーはまどかが待つ民家へと足を踏み入れた。



【新都/深夜】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [令呪]:2画
 [状態]:健康
 [装備]:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)

【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:令呪(まどかの戦いに力を貸す)
 [装備]:携帯電話


638 : 名無しさん :2013/11/11(月) 16:23:39 k9VBkSCI0
投下終了です


639 : 名無しさん :2013/11/11(月) 17:43:54 6RJ.415E0


最悪の展開……
DIO、まさか貴様ー!


640 : 名無しさん :2013/11/11(月) 21:55:31 NoqrvloQ0
投下乙です


641 : ◆wYNGIse9i6 :2013/11/11(月) 23:27:24 /htwGm0w0
投下乙です
西と違って東は不穏な関係で繋がってますね
続いて東側チーム予約します


642 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/12(火) 19:47:04 3PxYMR3g0
すみません今書いてる作品の展開で、予約には入っていないアサシンの四人目(遠坂邸を見張っているやつ)の状態が変わるのですが、もし<641さんが構わなければ追加して大丈夫ですか?
延長しておきながら勝手かと思いますが返信を戴きたいです。
(無理でしたら構いません)


643 : 名無しさん :2013/11/13(水) 16:13:39 GpVFxpkE0
遠坂邸近辺にいるのは五人目のアサシンでは?


644 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/13(水) 18:59:35 TWQsCf3s0
失礼しました。
5人目のアサシンでお願いします。


645 : ◆wYNGIse9i6 :2013/11/13(水) 20:19:39 2VFfDzjI0
こちらの書き方も悪かったようです。東側というより東側の陣営ごと全員と書くべきでした
従って屋敷を監視している五人目も含まれます。申し訳ありませんが


646 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/13(水) 21:45:09 TWQsCf3s0
分かりました。
ご迷惑おかけしてスミマセン。


647 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 01:53:53 YFc6Br060
投下します。







遠坂邸の地下室に集まった10人の男女。
彼らは来るべき戦いに備える為、作戦の最終調整を話し合っていた。


「DIOとディケイドの対策はある程度固まってきたが、出来る事ならもう一手なにかほしいな。気休めでも何でも少しでも手札が必要だ」
「でもこれ以上はどうしようも無いんじゃないかな?私たち皆お互いの能力を知ったうえで対策立てたんだからさ、さっきのセイバーさんみたいに急に新しい能力に目覚めることも無理だし・・・」
「だよなぁ・・・。それにサーヴァントって修行しても能力は変化しないんだろ?よく分かんないけど」
「ええ。経験を積むという意味では無意味ではありませんが、生前の力を取り戻すことはありませんし、なにより新たな力を得るのは不可能です。それこそディケイドのような能力を持っていない限りは・・・」



こればっかりはどうしようもないと諦めていた時、ずっと何か考えていたルルーシュが顔を上げた。

「キャスター聞きたいことがある。お前の魔法は宝具に記載されたものを使い改良することも出来るのだったな。どれくらいの事が出来るんだ?いやはっきり聞こう、お前の宝具はなんだ」
「そういえばキャスターの宝具だけよく知らないな。花村達は知ってるのか?」
「いいや、真名はまあ不慮の事故みたいなもんで聞いちまったけど宝具までは聞いてねえよ」


他の皆、それこそマスターである名無ですらキャスターの宝具については知らなかった。
無論キャスターも言い忘れていたわけではない、言い出せなかったのだ。


キャスターは他のサーヴァントと違い真名を敵に知られても、それほどデメリットを負わない。
勿論わざわざ自分に何のメリットが無いのに真名を敵に知られるヘマはしないが、クー・フーリンを代表するような生前の死因を突く事はできない。
また自身の宝具も、ディケイドやオーズ達とは違いばれても対策が取れない部類の宝具にあたる。

けれど今の今までリインフォースは、仲間達に自身の真名や宝具を明かさなかった。
それは生前の自分の逸話を味方に知られる事を恐れたからだ。


リインフォースは生前多くのマスターと世界を滅ぼした反英霊に分類される。直接的にも間接的にも殺した数を数えれば、それこそ最凶の主従、ゼフィール・アシュナードすら足元に及ばない。
無論それはリインフォースが望んで行なった事ではないが、ありのままの事実を話す勇気は持ち合わせてなかった。


敵に知られるのは構わないが仲間には知られたくない。

その後ろめたさが仲間や名無に話すことが出来なくした。


しかし――――


648 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 01:55:00 YFc6Br060




「そうだな。いずれは話さねばと思っていた。今がその時なのだろうな・・・」


だが同時に話さなくてはならないこともリインフォースは理解していた。
敵は強大、全力を出し切らねば勝つことが不可能ということを。
だからこそありのままを話し、その結果信頼を失おうと戦おうと決意した。


「私の真名はリインフォース、だがそれとは別にもう一つ名が私にはある。いやむしろこちらが私の本当の名に当たるのだろうな・・・」

どこか悲しそうに呟くリインフォースは、逡巡したが意を決すると秘密を告白した。


「私は生前闇の書と呼ばれた融合型デバイスの管理人格(マスタープログラム)、闇の書の意思と呼ばれるもの、それが私の正体だ。マスター私はな、人間じゃないんだ・・・」


「そっか・・・ありがとなリインちゃん。キチンと話してくれて・・・。ひょっとしたら最後まで話す気がないかと思ったぜ」
「お前驚かないのか・・・騙したといわれてもおかしくない事だぞ」
「んーなんていうか、ぶっちゃけ知ってたんだよね。ただリインちゃん言いたくなさそうだったから黙ってた」

あまりにもあっさりと告げられた事に全員が目を開く。

「おいちょっとまてよ名無、いったいいつそんな事知ったんだ。図書室で調べてたのか?」
「いやなんか夢に見てさ。最初なんだかわからなかったけど、何回もみるうちにリインちゃんの事だって解って」
「私と暎司さんの時と同じだ・・・」
「それに俺は逢儚ちゃん―――リインちゃんとよく似た女の子を知ってる。だから黙ってた理由も分かるからさ、騙されたなんて思わねえよ」


あの不思議な空気を出していた可愛い女の子を名無は覚えている。
弓樹に恋したあの少女も、リインフォースと同じ「救世のススメ」と呼ばれる本の意思とも呼べる存在だった。
人間じゃない。多くの人や世界を滅ぼした。
それがどうした。彼にとっては例え世界を救う巫女でも、世界を滅ぼす魔女でも、全て愛でるべき対象だ。

「リインちゃんはリインちゃんだろ。いまさら嫌うなんてするかよ」
「だよなあ。キャスターが悪いやつじゃないのはもう皆知ってるしな」
「我々はお前に何度も助けられた。ここにいる誰もが、お前を疑うような奴はいない」

名無の言葉に花村・アレックスと初期からずっと行動を共にしていた二人が続く。
それに賛同するように他の全員も意見を同じくした。

「お前ってやつはホントに・・・お前になら使ってもいいかもしれんな―――マスター、ステータスを確認しろ。私の最後の宝具が記載さえているはずだ」

マスター全員が改めてリインフォースのステータスを目視する。



「ユニゾン」
ランク:A 種別:対人(自身)宝具
主と肉体・精神の融合を果たすことで主の魔法の手助けとなる「融合型デバイス」としての機能を発揮し、
主の能力を底上げする。また、主は夜天の書を介して魔法を使うことができる。



「これがキャスターの切り札・・・」
「私のこの宝具はマスターの能力を底上げする。これを使えばマスターでもサーヴァントとも互角に戦うことが―――」
「合体キターーーーーー!!」
「・・・は?」
「やっべこれヤバクね!?リインちゃんからこんな大胆なアプローチ受けるとは!ああごめんよ皆・・・一足先に大人の階段登ります!」


シリアスから一変。奇声を上げながら喜びまわる名無に周囲の者はドン引きしている。
カッコいい名無かとおもった?残念、ガッカリマスターでしたー!


649 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 01:55:42 YFc6Br060


「マジで生きててよかった・・・神様ありがとうございます!さあリインちゃん、一緒に夜のアバンチュールを!うは、マジサイコウ!最高にCOOL!!!」
「いい加減おちつ―――こいつ力強っ!」

よく見てみたら無意識に槍王の力を解放して身体能力を向上していた。
仮にもDランクの筋力を持っているのにまったく振りほどける気がしない。
本格的に身の危険を感じはじめる。

「テツノスケ落ち着きなさい。キャスターが困っています」
「断る!むしろセイバーちゃんも来い!その小さな胸を大きく・・・いや何でもない。セイバーちゃんのその控えめなところも素敵だよ?」
「どいてくださいシロウ、叩き切ります!」
「落ち着けセイバー斬ったらだめだ!」
「怖!般若の顔になってる!」


身を挺してセイバーを押しとどめる士郎と陽介と暎司。
三人がかりで押さえつけられ流石に思うように動けずにいる。

「大体大きい胸のどこがいいのです!?あんなものはただの脂肪です!」
「大丈夫だよセイバーさん。貧乳はステータスだよ!」
「何の慰めにもなっていませんコナタ!」

「くっ・・・まさか修羅が降臨するとは・・・だが負けんっ!俺は生きてリインちゃんとセイバーちゃんの胸を揉みしだいてやるんだ!」
「なんでお前は二重の意味で死に急いでるんだよ!」


一気に混沌としてきた空間にルルーシュは米神を押さえる。

「なんなんだ此れは・・・」








その後何とかルルーシュ、アレックス、ガウェインの三人がかりで沈静化し改めて会議を進行する。


「無駄な時間を使ったがキャスター、お前の宝具の詳細を聞きたい。ユニゾンは名無にしか使えないのか?それとも他のマスターやサーヴァントにも適用されるのか?」
「サーヴァントには無理だな。だが鉄之介以外のマスター、衛宮や花村や泉にも発動は可能だ」
「え!それって魔法少女リリカルこなたの誕生!?」
「いや泉、見た目はともかくお前の年齢で魔法少女を名乗るのはいささか無理が―――」
「こら衛宮!シっ!」
「・・・続けるぞ。その場合魔力の供給などはどうなる。二人分のサーヴァントの供給が必要なのか?」
「私自身の魔力貯蔵量が多いのでその点は問題ない。むしろ私の魔力をそのまま使えるので魔法を放ちながら膨大な魔力量の供給が可能だ」
「それはたとえば泉にユニゾンを使ったとしよう。その場合は消耗を度外視してコンボの乱発が可能になるということか?」
「できるがあまり効率がいいとはいえないな。実際に前線に出て戦うならともかく、供給目的なら私の魔力をお前たちに通してそれをサーヴァントに流したほうが無駄がすくない」
「実際に使った場合どれくらいのことが可能だ?俺や泉がサーヴァントと戦えるようになるということか?」
「可能だ。私が長年収集してきた魔法を使うことが可能だからな。それを改造することも出来るがそれは一から組みなおさねばならんがな」
「ふむ・・・その収集した魔法の一覧を見れるか?」
「少し待っていろ。戦闘に関係ない魔法もあるからな」


マルチタスクになにやら打ち込んでいると、キャスターの手の中に辞書位の厚みがあるファイルが人数分出てきた。
それを全員に配る。


650 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 01:56:42 YFc6Br060


「これはいいな。設置型の魔法を地雷のように使うこともできるのか。超長遠距離からの砲撃、特定の対象以外を入れない結界、広範囲にわたる殲滅魔法に肉体強化や障壁、探知にジャミング・・・」
「なあこのSランクオーバーの魔法ってセイバーの対魔力でも防げないってことなのか?バリア貫通の魔法もあるって」
「組み方しだいでは相手を封殺できそうですね。ネックは消費も大きいところでしょうか」
「魔力さえ豊富なら敵が近づく前に一気に殲滅するのだが・・・。そうするとこの陣地とマスターの供給だけでは不足でな。柳桐寺に行けばある程度の大技でもいける・・・はず」
「仕留め切れるならいいが失敗したときのリスクがでかいな。キャスターが戦えなくなればこちらが一気に不利になるぞ」


リインフォースは決して弱いサーヴァントではない。
むしろ瞬間的な火力ではこの聖杯戦争ではアルトリア、ガウェインに続き第3位にあたる。
その分消費する魔力も馬鹿にならないのでサポートに徹していたわけだが。
十分な供給先を得たリインフォースの魔法に正面から対処できるのは、此度の聖杯戦争では聖者の数字発動時のガウェイン、太公望の四不象戦闘形態(スープーシャンバトルモード)、セリス・シェールの魔封剣だけなのである。
閑話休題。


「では今から罠を仕掛けよう。セイバーとガウェインにアレックス、お前たちの知恵も借りたい。それからキャスター、転移魔法はどれくらい使用可能だ」
「先程使ったときは寺の結界を強引に突破した上に予想以上の消費で危なかったがな、あれから術式は改造済みだ。戦闘をすると仮定した上で使えるのは五回といったところだ。
それ以上の使用は戦いに影響が出るな。使うときは私の戦力がダウンすると思ってくれ」
「いつの間にそんなこと・・・」
「並列思考は魔道師の必須技術でな。一度に複数の術式使用など造作もない」
「ならば捕縛用の魔法と・・・このスフィア盤を町中に設置できるか?可能ならステルス性も付与してくれ」
「設置はできるがステルスとなるとな・・・発射すれば流石に気づかれるぞ」
「構わない。発射のタイミングはオートと任意の二つ用意してくれ」
「一箇所に集めて砲撃するのかルルーシュ?向こうもそれに気づくんじゃないのか?」
「それが理想なのだがな。いくつか複数の戦略を用意する。
 今衛宮が言ったように纏めて仕留めるプラン1。
 それとは逆に敵戦力を分散させて一騎ずつ倒すプラン2.
 敵戦力の消耗と時間稼ぎを目的とするプラン3.大まかにはこんなところだ」


こんなときに輝く金田一のライダー太公望を想いつつルル−シュはライダーの分まで戦略を練る。
幸いにも此方には常勝の王である騎士王アルトリア、その右腕の太陽の騎士ガウェイン、アメリカの特殊部隊の司令官だったアレックスがいる。
彼らの力を借りれば自分は以前のような失態は犯さない。
そう心に誓い着実に戦略を練り上げていく。

「あとは――――」
「ねえルルーシュくん。ちょっと思いついたことがあるんだけどさ」
「どうしたんだ泉?」

今まで見ていたこなただったが何か考えが浮かんだのか手を上げて発言する。

「このキャスターさんの魔法でさ、NPCの人たちを町から離せないかな?NPCの人たちが町から居なくなればこっちも有利になると思うんだよね」
「なぜそう思ったのか聞かせてもらえるか」
「うんあのね、まず思ったのがセイバーさんの宝具やキャスターさんの魔法で巻き込んじゃうからさ。単純に嫌なのもあるけどペナルティを受ける可能性を消すのと。
それとさっき言ってた相手のキャスターがNPCに何か仕掛けを施してたらさ、それを未然に防げるんじゃないかと思って。
それに町中から人がいなくなってたら切嗣さんやスザクくんも見つけやすいと思うんだよね」

なるほど理にかなった案だと納得した。
敵の補給や戦略を断ち索敵の確率を上げさらにはこちらの強みである火力を存分に発揮できる。
反対の理由などだれもなかった。


651 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 01:57:22 YFc6Br060


「わかった、それでいこう。キャスター頼めるか」
「分かった。冬木大橋の手前くらいまで張っておくぞ」


言葉と同時に封時結界を発動し深山町一帯の空間信号をずらしNPCの姿を消した。
また同時に指定されたポイントにスフィア盤や設置型の魔法を次々に作ってゆく。


「結界の強度は?」
「対軍宝具クラスまでならぎりぎり防げる。敵方のキャスターの存在がネックだが空間魔法に精通しない限り力ずくでは破れない」
「なるほど、とりあえずはこれでいいだろう。後決めなくてはいけないことは敵の割り当てだな」
「一番難しい問題だな。幸いなのは最悪でも日の出まで耐え抜けばDIOは排除できることだな」


DIOとディケイドは言わずもがなどの敵も一癖も二癖もある奴ばかりだ。
あらゆる事を想定して動かねばならない。対抗する術がいくつかあるのが幸いなところだろう。

「鳴上が残した映像に移っていたライダーのマスターの剣、あれは宝具だ。それも高い神秘と竜殺しの属性がついたとんでもないやつだ」
「仮にあれが敵の手に渡ったとしたらおそらくバーサーカーに使用させるな。アロンダイトを失った以上代わりとなる武器が必要なはずだ」
「じゃあセイバーをバーサーカーの相手をさせるわけにはいかないな。アヴァロンがある以上すぐに封印されることは無いと思うけどわざわざ危険を冒す必要は無い」
「ならばランスロット卿の相手は私がしましょう。生前の過ちは犯しません」
「ならおれは当初の予定通りアーチャーの相手をさせてもらう」
「万が一のことがあればすぐに下がってもらうぞ」
「かまわん。それとキャスター、俺とアーチャーが接触したら転移魔法で一対一にしてもらえるか。場所は商店街の離れの公園だ。あそこなら遮蔽物がないうえに周りの被害を気にせず戦える」
「では私はディケイドの相手をしましょう。何度も戦っていますし手の内もコナタのおかげで分かりました。今度は確実に勝ちます」
「それならアレックスに何かあった場合は転移魔法でアレックスとセイバーの位置を入れ替えてくれ。アレックスはそのままディケイドの相手を頼む」

静かに闘志を燃やすガウェインとアレックス。その二人とは対照的に瞳に闘志を燃やし意気込むセイバー。

「ライダー、前衛の援護を頼む。ただしディケイドには気をつけろ、お前の力を狙っているからな。キャスターは後方でマスターの護衛と念話での司令塔そして全体の援護を頼む」
「任せてルルーシュくん」「了解した」

短いが頼もしさを覚える返事を返す暎司とリインフォース。
アサシンとキャスターについては暎司とリインフォースが臨機応変に対応することに決まった。
また万が一敵のマスターが攻めてきて逃げ切れないと判断した場合、鉄之介が前衛で押さえ込み陽介がペルソナでサポート、士郎が後衛で援護する陣形で挑むことに決まった。
士郎と陽介は起源弾と相性が悪いため、スザクと同等かそれ以上の身体能力を持つが経験と技術が未熟な鉄之介のサポートに徹する事になった。
また陽介のスキルのデカジャは、固有時制御を無効化できるため鉄之介と組めば切嗣の能力をほぼ封殺できる。
さらにリインフォースの蒐集スキルを使えば、衛宮切嗣が所有する魔術を習得でき一時的にライダーを弱体化させられる可能性があるので機会があれば狙ってみると決まった。
アロンダイトは陽介が持つことに決まった。これで戦えるマスター3人全員がサーヴァントに対抗できることになった。





作戦会議が終わり皆思い思いに休息をとっていた。リインフォースがマスターに魔力を分け、それを通してサーヴァントも万全の状態を整えた。
こなたは仮眠を取り体調をベストの状態に整えている。
ルルーシュは作戦に穴がないかギリギリまで確認作業に徹し、士郎は投影の出来を確かめ戦いに向けて意識を集中させている。
鉄之介はなぜかエロ本を体中に巻きつけ僅かながらの防弾対策をしていた。それを見た陽介は微妙そうな顔をしたが、エロは全てを救う!と自信満々に話す鉄之介に何も言えなくなった。
サーヴァント達もこれからおこる戦いに向け意識を高めつつ自分が戦う相手に思いを馳せていた。


652 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 01:57:50 YFc6Br060





ディケイド、かつてのマスターである切嗣に配られたサーヴァント。今まで苦渋を飲まされ続けた因縁の相手。
間違いなく強敵だ、さらには勝つためには手段を選ばない非道さも持ち合わせている。
けれど、同時に根底にある善性もまた感じ取っていた。ならばこそ騎士として、そしてなによりマスターのためにも必ず勝つ。
鞘に納まれた聖剣を掲げ誓いを立てた。




ランスロット卿、肉親の仇であり王を裏切った裏切りの騎士。
生前は怒りからくる確執をとる事が出来ずに国を崩壊に追いやってしまった。
皮肉なものだと思う。ルルーシュと朽木スザク、私とランスロット卿と同じかつては友でありながら敵対する道を選んでしまった。
似ているとも思う。境遇も立場もあり方も、だからこそお互いに選ばれるべくして選ばれたのかもしれない。
けれど自分に迷いは無い。今度こそ私は、ただ我が王の為に剣を振るう。
ランスロット卿、決着をつけましょう。
必ず、我が王に勝利を・・・・




DIO・・・奴のあり方は俺と似ていると感じた。
かつては人間でありながら怪物となり最後はヒトによって倒された反英霊。
だがその根底は真逆だ。奴は人間であることに耐えれず怪物に成る事を望み、俺は怪物として生きようとして結局は怪物に耐え切れず人間になることを最後に願って死んだ。
だからこそ、奴にだけは負けるわけにはいかない。マスターの友の仇であり決して自分とは相容れないモノとは・・・
だが一つアレックスは懸念があった。もしも生前と敵が自分用に対策を練ってきていて、その結果また進化を抑えれずに暴走したらと不安があった。
だからこそ戦いのときに回りに誰もいない場所を選んだ。万が一のときはDIOだけでも道ずれにするために。
そのとき心配なのは自分のマスターの事・・・
お人よしで無鉄砲なマスターは自分から助けに向かいかねない。
流石にマスターを巻き込むのは心が痛むと生前では考えもしなかったことが頭によぎった。
幸い衛宮には契約を解除する宝具があるらしい。最悪の場合手首を切り落とすようキャスターに頼んだ。
マスターの能力なら自分がいなくても足手まといにはならない。
もしその時が来たら俺は・・・





嫌な戦いだ・・・
火野暎司は素直にそう思った。自分は出来るなら誰も殺したくないし誰も傷つけたくないと思っている。
けれど、今から戦う敵はそんな甘いことを言っていられない奴らばかりだ。
俺が一番怖いのはこなたちゃんを守れないことだ。
凛ちゃんも士郎君たちの仲間だった金田一君も、それに陸君だって、おれは助けられなかった。
もうこれ以上、仲間を失うわけにはいかない。
何を守るべきか、何を一番に優先するべきなのか。
本当ならこんな考えは好きでは無い。けれど全てを救うなんて自惚れてはいない。
その代わり俺は手の届くものを守り抜きたい。
そのためならディケイド、君と戦うことも迷わない。




思えば随分可笑しなことになったものだ。
最初は優勝しようかと考えていたのに、鉄之介をマスターに引き花村たちと行動するようになってズルズルと来て・・・
今では聖杯戦争を止めるために戦っている。変わったんだと思う。それはきっとマスターのせいなのだろう。
けれど、そんな変化が心地よく思っている。
私の一番のマスターは八神はやてだ。それは変わらない。けれど、気がつけばいつの間にか鉄之介の事を考えている。
スケベで、馬鹿で単純で何も考えていなくて、はやてとは天と地ほど差がある。
けれどたまに見せる真剣な表情が、最後まで味方だと笑ったあの笑顔が、私を守るためにアシュナード相手に立ち向かったあの背中が、頭を離れない。
この感情が分からなくて頭にくるけれど、だけどどこか悪くないと思う。
私は、彼と最後まで戦う。


653 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 01:59:05 YFc6Br060



【深山町・遠坂邸地下室/未明】


【衛宮士郎@Fate/stay night】
[令呪]:2画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話、ICレコーダー
※紅の暴君は破却しました
※体内の負の魔力が除去されました


【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night】
[状態]:健康
※ムーンセルに課せられていた能力制限が解除されました
※ムーンセルから得られる知識制限が解除されました
※宝具「全て遠き理想郷(アヴァロン)」が使用可能になりました
またこれに伴い魔力量が大幅に増大しています


【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
[令呪]:1画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話、ニューナンブ
※枢木スザクが参加していることを知りましたが説得を断念しました
※マスター達は時空を超えて集められたのではないかと考えています
※枢木スザクが自分より過去(第二次トウキョウ決戦前後?)から参戦していると考えています


【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
[状態]:健康
※リインフォースにある術式の改良を依頼しました


【泉こなた@らき☆すた】
[令呪]:3画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話


【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:健康、新たな決意
※遠坂邸内にカンドロイドを放っています
※この聖杯戦争ではスーパータトバコンボは原則使用できません


【花村陽介@ペルソナ4】
[令呪]:3画
[状態]:健康、強い覚悟と決意
[道具]:無毀なる湖光(アロンダイト)@Fate Zero
[持ち物]:ミネラルウォーター@現実、カロリーメイト@現実・医薬品一式@現実
 大学ノート@現実・筆記用具一式@現実・電池式充電器@現実・電池@現実 、契約者の鍵@ペルソナ4
 携帯電話*携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
 予備の服@現実・食料@現実・スパナ@現実
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)
※ジライヤがスサノオに転生しました。
※契約者の鍵@ペルソナ4を入手しました


【ランサー(アレックス)@ARMS】
[状態]:健康、ARMSの進化(進行度小)
※アサシン(ヴァレンタイン)が生存していることに気付きました


【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:2画
[状態]:健康
[装備]エロ本(体中に巻きつけてあります)
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)


【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:健康
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園、柳洞寺地下大空洞前を中心に索敵しています
※ガウェインから依頼された術式が完成しました
※転送魔術の術式を改造しました。5回までなら戦闘に支障を出さずに使用できます




※今まで月海原学園で調べたサーヴァントデータの内容を全員が共有しています
アーチャー(DIO)、アサシン(ヴァレンタイン)、ライダー(門矢士)、バーサーカー(ランスロット)のデータは詳細に把握しましたが、キャスター(キンブリー)の情報はごく一部に留まっています
※深山町一帯に結界が張られNPCの姿が消えました。ただし一部の上級AIは存在します。範囲は冬木大橋手前までです
※深山町のいたるところにスフィア盤と設置型のトラップが配置されました。ステルス性が付与されているため発射されるまでは気づきにくいです


654 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/17(日) 02:01:42 YFc6Br060
投下完了です。
タイトルは最終確認をしようでお願いします。
リインフォースの魔法は原作を参考に此れくらいなら出来るだろう判断しました。
ご意見・ご感想・修正案などお待ちしております。


655 : 名無しさん :2013/11/17(日) 11:43:53 yL4Zu13U0
投下乙です
ここまでリインちゃんユニゾン使われてなかったけど、決戦で解放フラグか

そして
>敵方のキャスターの存在がネックだが空間魔法に精通しない限り力ずくでは破れない
金鰤、魔術防御突破出来るんだよなぁ…果たしてこの策はどうなることか


656 : 名無しさん :2013/11/17(日) 13:44:14 yL4Zu13U0
連発失礼、金鰤さすがに結界は無理そうか


657 : 名無しさん :2013/11/17(日) 15:31:34 Bmog4BLk0
投下乙です
さすがにサーヴァント同士のユニゾンは無理かー
士郎アーチャー腕みたいな融合に近いし、名無や士郎がユニゾンしたらアサシンくらいなら殴り合えそう
最終確認ってことは、この次が決戦かな……ついに


658 : 名無しさん :2013/11/17(日) 18:55:10 LE3SFgWkO
投下乙です。

NPC排除。
まどかがピンチ!


659 : 名無しさん :2013/11/17(日) 19:03:20 3E56QCBQ0

槍王の力で身体能力ガン増しの名無
ペルソナによる能力強化でシャドウとも生身で殴り合える陽介
魔力が続く限り投影で宝具ぶっぱ&格闘戦も出来る士郎
そしてユニゾン

改めて見返すとなんだこの魔法少年軍団w


660 : 名無しさん :2013/11/17(日) 20:25:25 Iwhc0Cjg0
女性マスター各陣営1人ずつしか
もう残ってないんだな(しかも両方非戦闘員)

ともあれ投下乙でした
名無がなぜリインを引き当てたのか
今回の話でようやく分かった気がする
最近原作見つけて読んだけど、名無ほんと普通に友達思いなイケメンだな
(最終決戦で自分から槍王奪った敵方の友人を主人公から庇ったり)
もっとギャグキャラっぽいのを想像してたのに…


661 : ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:25:38 WxVC3P8g0
投下します


662 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:26:25 WxVC3P8g0

うん?
市長、今なんと言った?
私のスタンド…D4Cについて、質問があると?
そうだな、別に今さら君に隠してもしょうがないことだし…ここらで一度、D4Cについて詳しく説明しておこうか。
戦力を理解しておくことは重要だしな。

D4C…正式な名称はDirty Deeds Done Dirt Cheap。
訳するなら『いともたやすく行われるえげつない行為』というところか。
…いや、私の能力を説明する前に、まずはスタンドというものについても詳しく話しておこう。

スタンドとは…そう、端的に表すなら『パワーを持った像』。
私のD4Cは人型をしているが、これは別に人間型に限った事ではない。
かつての私の部下には『実像を持たずに現象だけを起こす』タイプもいたし、敵には『自分の爪を回転させて発射する』やつなんかもいた。
わかりやすく言うなら『超能力が形になった存在』、でいい。
直接的な破壊に優れているものもいれば、諜報や暗殺に秀でたもの、一見何の役にも立たないように見えても使い方次第で強力な戦闘手段となるもの…様々だ。
この能力は発現させたスタンド使い各々によって違う。
似ている能力こそあれど、同じスタンドは基本的に存在しない…はずだ。
だが、この場には私以外にもう一人スタンドを持つものがいる。
あのアーチャーだ。ヤツについてもあとで話そう。

とにかく…だ。
私たちが生きているこの人間世界には厳しい現実がある。
新しい時代の幕開けの時には、必ず立ち向かわなくてはならない『試練』がある。
そして『試練』には必ず 『戦い』があり『流される血』がある。
その試練に『立ち向かう』ための力…それがスタンドだと、私は考えている。


663 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:27:55 WxVC3P8g0

ここからはD4Cについて話そう。
私のD4Cの能力は、『隣りの世界へと干渉できる』ことだ。
現代の言葉なら平行世界、パラレルワールド、と言うらしいな。
今いるこの世界とよく似ているが、少しだけ違う…そんな世界を渡り歩くことができる、それがD4Cの能力。
発動条件は物と物の間に挟まること。これは布でも壁でも、何なら液体だって構わない。
この性質上、殴られたり押し潰されたりという攻撃は私には通用しない。
敵のサーヴァントはセイバーやビームを撃つランサーなので、あまり有利には働かないかもしれんがな。

既に君も経験していることだが、隣の世界から『私』を何度か連れてきたな。
あんなふうに私は自分を複製…正確には異なるのだが、とにかく自分を増やすことができる。
ただし連れてきた私がこの私と全てにおいて同等かというとそうでもない。

この『私』と違う『私』…差異はただひとつ、D4Cを有しているかどうかだ。
私はいくらでも増えることができるが、D4Cは唯一無二…すべての世界に一つしか存在しない。
そしてアサシン、ファニー・ヴァレンタインとしての本体はむしろD4Cであると言っていい。
D4Cが破壊されない限り『私』は何度でも隣の世界から『私』を召喚する…連れて来ることができる。
逆に言えば、どれだけ『私』が残っていようとD4Cを破壊されてしまえば『私』は無力化されるということだ。

具体的に説明しようか。
まず、一つ。D4Cを持つ基本の『私』と、D4Cを持たない『私』たちについてだ。
仮に、いま遠坂邸に張り付いている『私』が何者かに殺害されたとしても、ここにいる『私』と君にはさほど影響もない。
D4Cが魔力を喰らうのは能力を発動した時であって、既に連れて来られている『私』は独立した一個のサーヴァントだ。
D4Cを持たない『私』は非力ではあるが、その分君に掛かる負担も少ない。
場合によってはマスターにすら遅れをとるが…諜報員としてなら十分だろう。
仮に、いま君の眼の前にいるこの『私』が、突如気の触れたアーチャーなりライダーなりに襲撃されたとしよう。
純粋な戦力では私は彼らには及ばない。
正面からではまあ、十中八九敗北するだろう。
しかし、死の瞬間に違う『私』を隣の世界から連れてきてD4Cを引き継がせることができたなら、『私』は存続する。
今はここが『基本の世界』だ。
D4Cさえ無事ならやり直しが効く。


664 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:29:12 WxVC3P8g0

だが、もしD4Cを次の『私』に引き継がせる前に葬られるとどうなるか。
この『私』とD4Cは失われ、残ったのは隣の世界から連れてきた『D4Cを持たない私』だけ…。
本体がD4Cだとは言っても、それはあくまで能力に限った話。
契約上の形態としては、『ファニー・ヴァレンタイン』が存続していれば、君がサーヴァント不在のマスターとしてムーンセルに処理されるということはないだろう。
しかし、D4Cを失った私に何ができるかと言うとな。
気配遮断スキルを持ち合わせているとはいえ、残っているのは百戦錬磨の強者達ばかりだ。
そうなったらまあ…諦めてくれ。
ここで問題なのは、D4Cの引き継ぎについてだ。
D4Cの射程はさほど長くない。
遠く離れた地にいる『私』にD4Cだけを向かわせる、という真似はできないんだ。
つまり、引き継がせるにはその場にもう一人、別の『私』を用意する必要がある。
既に連れてきている者か、あるいは新たにその場に連れて来るか…いずれにしろ、この瞬間を狙われると弱い。
令呪を用いればD4Cだけを別の私に転写することもできるかもしれないが、それならその『私』を直接転移させてくれれば済む話だ。

二つめ、D4Cの能力について。
先程も言ったが、D4Cは物と物に挟まれることによって発動する。
どれだけでかいハンマーだろうと戦車だろうと、それが私を壁や物質と挟む形になる限り、確実な回避が可能だ。
なにせその瞬間、私は違う世界に行っている。
どれだけ強力であろうと、次元の壁を超えるような攻撃でない限り私には届かない。
幸いというべきか、ここにはジャイロ・ツェペリもジョニィ・ジョースターもいない。
いかに時間を止めるアーチャーであっても、一度私が違う世界に行けば追い縋っては来れないだろう。
だが、例外はある。
私を挟まない…『斬り裂く』『抉り取る』といった攻撃に関して、D4Cは発動させられない。
ゆえに剣を振るうセイバーとは相性が悪い。
ああ、『消滅させられる』ことも同様だ。
あのビームを放つという訳の分からないランサーだな。
広範囲を一気に吹き飛ばすような攻撃を受けては、挟む物ごと私も消し飛ばされるだろう。
無論、そんな堂々と宝具を使えるような状況に身を晒す気はないがな。


665 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:30:24 WxVC3P8g0

攻撃面では、D4Cは残念ながらさほど優秀とはいえない。
あのアーチャーのスタンドはセイバーやランサーといった三騎士と互角にやりあえるほど高い格闘能力を持っていた。
D4Cの本領は能力にこそあるため、やつほどの攻撃力はない。
だがアサシンらしく、一撃で敵を葬る手段はある。
別世界から連れてきた人物を対象に接触させることだ。
同じ世界に同じ人物は二人存在できない。
それが許されるのは、D4Cを所有するこの私だけだ。
出会った同じ人物は身体が徐々に崩壊し、死ぬ。
タイムパラドックス? さあ、その辺の詳しい理屈はわからんな。
だがたとえセイバーだろうとランサーだろうと、違う世界から同じやつを連れて来ればその時点でそいつの死は確定する。
連れてきたやつを殺しても助からない。たとえ死体にしても、そいつが同じ存在だということは変わらないからだ。

…ああ、すまない市長。
喜ばせて悪いがこの方法は使えないんだ。
なんで?
うむ、考えてみてくれ。
『別世界のお前を殺害したいので、一緒に私の世界について来てくれないか』。
こんな事言われてついてくるアホなサーヴァントなどいるはずがないだろう。
なら力ずくで連れて来ればいいじゃないかって?
おいおい、私はアサシンだぞ。
連れて来るのが同じサーヴァントである以上、まずそいつを無力化しなくてはならない。
どうやって?
サーヴァントが強くて正攻法では殺せないから同じサーヴァントをぶつけて消滅させたいのに、同じ強さのそのサーヴァントをどうやって無力化すると言うんだ。
…理論的には可能だが、現実的に達成するのは不可能。そういう方法なんだ。
自分を殺したがっている、そんな奇特なサーヴァントがいれば話は別なのだがな。

まあこの話はこのへんにしておこう。アサシンの真髄は破壊力ではないことだしな。
そうそう、私の気配遮断スキルはアサシンというクラスを得たものが備えるスキルであり、D4Cとは関係がない。
だからD4Cのない別の『私』も隠密性に優れている。
そこにD4Cを加えるとさらに優れた隠形が可能になる。
何のことはない、『違う世界に行って移動する』んだ。
世界を行き来できるのが私だけである以上、この私に侵入できない場所はない。
違う世界に行って目的地に到達し、その後この基本の世界に戻る…それだけで私はどこにでも行けるからだ。
別の『私』による正確な現在地の観測があれば、西の陣営のやつらの目前に現れることも可能だ。
もちろん、D4Cを発動させた瞬間は気配遮断も解けて袋叩きにあうからやらんがな。
だがこの後の決戦では、この方法も使うことになるだろうな。


666 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:32:51 WxVC3P8g0

市長、おそらく君にはこのスタンドという言葉、現象は馴染みがないものだろう。
私と君は違う世界の人物、まったく関わりない世界からそれぞれ連れて来られているからな。
もちろん私も君の未来日記とやらは知らない。
だからこそ、異質なのだ。
あのアーチャー…やつのあれは紛れもなくスタンド。
理屈ではない、感じるのだ。
スタンド同士が惹かれ合うというのか…
ディエゴ・ブランドーの面影があるという点を差し引いても、奴がスタンド使いであることは疑いない。
だが、私はヤツを知らない。
あれほど強力なスタンドを使うものであるなら、間違いなくレースに参加して『遺体』を狙ってきたはず…
しかし、ヤツを見たことはない。やつも私を知らない。
別世界のディエゴであるなら私の顔を知っているはずだが、そんな素振りもなかった。
つまりやつは…『私と同じスタンド使いである』が『私とは別の世界から来た』そういう存在であるということだ。

私もやつも、スタンドの能力を開放する際はその真名を明かさねばならない。
私であれば『D4C』。そしてあのアーチャーは『ザ・ワールド』だったか。
スタンド使いにとっては名前を知られるくらいは別に問題ないが、ことサーヴァントである今の我々では少し違う。
なにせ宝具の真名だ。ムーンセルのデータベースにアクセスすれば、おそらく我々の素性はある程度詳らかになることだろう。
強力さの代償というわけでもあるまいが、我々の能力はほぼ完全に的に看破されていると見て間違いない。

ところで一つ、ここで気になることがある。
私のスタンドにして宝具、D4Cはスペック上はEXランクに分類される。
これは宝具としては最上級…評価規格外ということだ。
だがな、私はこれについてやや疑問を感じざるを得ない。
スタンドは確かに強力な力だ。
違う世界に干渉する私のD4C、時間を止めるアーチャーのザ・ワールド。
どちらも桁外れに強力な力ではあろうだろう。
だが…EXランク、というのは明らかに高すぎる。
セイバーの…アヴァロン、と言ったか。
妖精郷のとか、そういった神代からの聖遺物ならわかる。
だがスタンドとは個人に発現するものであり、古き神秘と呼べるほどの歴史を持てるものはないだろう。
ならばなぜ、スタンドだけがこうまで高い神秘の影をまとっているのか…


667 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:36:50 WxVC3P8g0

私には思い当たる点がある。
私のD4Cは、ある聖人の『遺体』と接触して発現した。
説明は省くが、この聖人の『遺体』…あれは、聖遺物としてはセイバーの鞘など比較にならん神秘だ。
聖杯に匹敵すると言っていい…それほどに価値のある、聖なるものであった。
『遺体』を全て集めた時、D4Cは進化した。それこそ、世界の中心にあるかのような…
あの能力は今や失われている。
さすがにムーンセルも『遺体』をエミュレートすることはできなかったのだろう。
だが、紛れもなくあれはD4Cの『先にある』能力。
『世界を支配できる』可能性そのものを神秘とするなら、私のD4CがEXランクの宝具であることは必然であるといえる。

ならば、あのアーチャーはどうか。
やつが『遺体』と関係がないのならば、それ以外の方法で同じくらいの神秘を有することになる。
あるいは、奴のスタンドが更に成長して…『遺体』に匹敵するエネルギーを持つ可能性があるから、なのか。
案外、生前の奴は本当に時間を止めて世界を支配した…書き換えたのかもしれんな。
それならばEXランクのスタンド能力もうなずけるというものだ。

やはりあのアーチャー、能力が危険というだけではない。
放置すれば、かつて私が『遺体』を得て新たな力に目覚めたように…やつもまた進化を遂げるかもしれない。
アーチャーだけは、この戦いで必ず、西のセイバーらともども抹殺しなければならない。
ライダー、バーサーカーはこの際後回しでいいだろう。

ディエゴ・ブランドー。
アーチャーに似たディエゴをこの場に召喚し、アーチャーのマスターを引きずり出す…
無論、この聖杯戦争の場にディエゴを召喚するのは容易ではないが、令呪の支援があれば可能だ。
相手がサーヴァントでなければ制圧して連れて来るのはたやすいしな。
セイバーどもを打ち破った後、機を見てアーチャーに仕掛ける。


668 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:37:59 WxVC3P8g0

ふむ、こんなところか。
話が長くなったが、これで君も私とD4Cについては深く理解してくれたと思う…そこでだ。
君に、『私』たちの総括を頼みたい。
いざ戦闘が始まれば『私』たちは悠長に電話で連絡を取り合う訳にはいかないだろう。
だが『私』たちは、同じ存在であるとはいえ独立したサーヴァント同士、念話で繋がることができない。
ゆえに逐一君に状況を報告し、君からの指示で動くことになるだろう。

ここにいる『私』が二人、遠坂邸にいる『私』、新都を捜索中の『私』…都合四人。
まずこの『私』念話を送る。
それを、遠坂邸にいる『私に』転送する…どうだ、処理できそうか?
…よし、大丈夫のようだな。
このように、我らが集めた情報は一旦君を経由して全員に共有される。
君は後方に待機しているが、同時に前線指揮官でもある。
これで我らは離れていながらも迅速な作戦行動が可能となる。
ここまで温存してきた令呪も、さすがに次の戦いではいくつか使うことになるだろう。
転移による撤退か、急速な魔力の充填か、はたまた暗殺か…いずれにしろ、君の判断がカギを握るということだ。

聖杯は、私たちが獲る。
私と君は人種も思想も何もかも違うが…聖杯を得て『民を幸福に導く』、その目的だけは一致している。
だからこそムーンセルは君と私を引き合わせたのだろう。
聖杯は、誰にも渡さない…自分の欲望でしか考えないゲスどもになど、渡してはならない。
死してサーヴァントに成り果てたこの私でも、聖杯さえあれば未来永劫、我が国民の安全を守っていくことができる。
我が『国家』を、永久に繁栄させていくことができるのだから。







…そろそろ時間だ。
ライダー、アーチャー、枢木スザクに連絡…よし、全員準備はできているようだ。
冬木大橋の手前で集合、各自手筈通りに。

市長。
私は一度口にして誓ったことは必ず実行する。


「聖杯は、私たちが獲る」


必ずな。
では、行ってくる。


669 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:39:53 WxVC3P8g0

【新都・双子館/未明】

【ジョン・バックス@未来日記】
 [令呪]:3画
 [状態]:疲労(中)、魔力消費(小)、冬木市市長
 [装備]:「The watcher」
 [道具]:栄養ドリンク(箱)
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](4人目)・魔力消費(中)
 [装備]:拳銃、対ランサー用プログラム弾
 [道具]:携帯電話
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し
 [装備]:拳銃、対ランサー用プログラム弾
 [道具]:携帯電話

【新都/未明】
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


【深山町・遠坂邸付近/未明】
【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 並行世界)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態](5人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
 [装備]:拳銃
 [道具]:携帯電話


670 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:41:07 WxVC3P8g0

【新都/未明】
【衛宮切嗣@Fate/zero】
 [令呪]:1画
 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
 [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃
  携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)
【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド】
 [状態]:魔力消費(中)

【新都/未明】
【枢木スザク@コードギアス 反逆のルルーシュ】
 [令呪]:2画
 [状態]:疲労(大)、義手・義足を機械鎧化
 [装備]:キャスターが制作したブレード(複数)
 [道具]:エッケザックス@ファイヤーエムブレム 覇者の剣、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣
【バーサーカー(ランスロット)@Fate/Zero】
 [状態]:ダメージ(特大・戦闘行動に支障あり)、魔力消費(極大・実体化困難)、右腕欠損、兜及び上半身の鎧破壊
      宝具“無毀なる湖光(アロンダイト)”喪失

【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
 [状態]:疲労(小)、魔力消費(小)、全身ダメージ(小)
 [装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石


【新都/未明】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
 [令呪]:2画
 [状態]:健康
 [装備]:鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)@エンバーミング 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)
【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
 [状態]:令呪(まどかの戦いに力を貸す)
 [装備]:携帯電話


671 : The Patriot ◆wYNGIse9i6 :2013/11/18(月) 23:42:08 WxVC3P8g0
投下終わりです


672 : ◆QSGotWUk26 :2013/11/18(月) 23:42:25 Pu3C./CA0
投下乙です!
決戦前にD4Cの説明か
メンガーのスポンジはサーヴァントには利かない。たしかに素直についてきてくれるサーヴァントなんていなさそうだ
士郎と赤アーチャーでも多分拒否されそう

籐カゴ早速ですが、通しなら主催者以外の全員を予約します


673 : 名無しさん :2013/11/19(火) 00:03:02 drTRVuDU0
投下乙です!
D4Cの解説回、こうゆう能力をクローズアップする話は興味深くていいね
そんで、流石に鯖相手にメンガー仕掛けるのはきついよなぁ…ただでさえ戦闘力で劣っている時点で
アーチャーとは序盤から因縁が続いてるが、果たしてどちらが上を行くのか…

そしてついに全員予約…!?


674 : 名無しさん :2013/11/19(火) 00:03:13 HSeO92hM0
投下乙です。
自身の経験からDIOが進化・覚醒する可能性を考え付くとは…流石ジョジョのラスボス
そしてDIOの進化・覚醒というと…ザ・ワールドの時間停止が長くなるということか?

そして、ついに、聖杯大戦の幕開けか…!!


675 : 名無しさん :2013/11/19(火) 00:14:38 A1EafB3k0
投下乙です。
D4Cのスポンジはサーヴァント相手だとほぼ無理か。
マスター相手なら何人かいけそうではあるが・・・


676 : 名無しさん :2013/11/19(火) 00:23:48 l.nDXqnI0
投下乙です
遂に最終決戦の時が来たか。後ウィキが所々ボロボロになってる…


677 : 名無しさん :2013/11/19(火) 00:36:31 vjde9nZEO
投下乙です。

聖人の遺体なんて、聖遺物なんて目じゃない神秘だよな。

世界が成長した先。
宇宙を一巡させ、二週目の世界、パラレルワールド、新世界を創り出す能力。
確かに神秘強い。


678 : 名無しさん :2013/11/19(火) 00:42:19 SiANRNA20
聖人の遺体相応の参加者がいらっしゃる…!
ラブトレインとメイドインヘブン、両方この上なく面倒なんですが


679 : 名無しさん :2013/11/19(火) 01:07:25 efLqQ6PE0
投下乙です。

原作でもザ・ワールドを有したディエゴはD4Cの能力で死んでるからなぁ。
パラレルワールドのよく似た別人だと言えども、DIOにとっての最大の難敵は
擬似太陽炉を有したガウェインじゃなくて大統領なのかもしれないな。


680 : 名無しさん :2013/11/19(火) 01:16:32 DCMoiKqs0
ランス筆頭に連合軍は全員少なからず消耗してるが大丈夫か?

まともなのはdioとキンブリーぐらいなんですが…


681 : 名無しさん :2013/11/19(火) 04:25:04 OvY4JMSk0
乙でしたー!
ラブトレインとメイドインヘブン、俺だけの時間の可能性すらあるディエゴ……全く今後の想像がつかんな


682 : ◆cp3jCCSc7M :2013/11/19(火) 10:18:31 7STMSAWg0
投下乙です!
大統領の考察、確かに聖人の遺体と関係しているならランクの高さも納得です
マスター相手ならスポンジは成功しそうですがどうなることか…

◆QSGotWUk26氏
意欲があるのは良いのですがさすがに予約するのが早すぎます
◆wYNGIse9i6氏の投下終了宣言から17秒後は異常です、早押しクイズじゃないんですから
氏の発言には私を含め他にも予約をしたい書き手がいる、ないしいるかもしれないという配慮を感じることは出来ませんでした
申し訳ありませんが書き手の一人としてこの段階での予約宣言は容認いたしかねます


683 : ◆QSGotWUk26 :2013/11/19(火) 11:19:31 qYTyNeig0
◆cp3jCCSc7M氏

予約が早かったのはリアルタイムで投下を見ていたからですし、またこの二次聖杯には特に予約時間に関するルールはなかったはずです
他の書き手に配慮と言われましても……
こういう話を書きたいと思ったから予約するのであって、他の書き手に配慮して待った結果予約されて書けないというのは本末転倒です

仮にこの仮称聖杯大戦を書くにあたり、もし書き手間でコンセンサスを取る必要があったならば事前にここなりチャットなりで言ってあったならともかく
それもなく、配慮が足らないから予約が認められない、などと言われてもその、困ります


684 : 名無しさん :2013/11/19(火) 11:29:27 B9zJnMyY0
正直もう会議パートはいいから聖杯大戦に持っていってほしい感はある


685 : ◆XL.nOGsA4g :2013/11/19(火) 11:53:38 q8SP1tzU0
投下乙です
市長組の準備も整いいよいよ決戦、というところですね

◆QSGotWUk26氏
私はリアルの都合で今見たところなのですが、貴方の言い分は少々暴論気味というか極端に感じられます
こういう話を書きたいと思ったから予約する、というのは確かに書き手として当然の考えだとは思います
ですが限度というものがあります、リアルタイムで見ていたと仰るのなら他の書き手含む住人の反応を半日でも待つことはできなかったのですか?
予約をしたいという願望が先行しすぎて暴走しているように見受けられます
書き手として節度ある判断をしていただきたかったというのが本音です
それと貴方は先に予約することさえできれば共にこの企画を運営する書き手一同への配慮など一切必要ないと自分で言い切ったことに気付いていますか?


686 : 名無しさん :2013/11/19(火) 13:37:29 0RhkCQzg0
まーた書き手間で不穏な流れになるのか


687 : ◆wYNGIse9i6 :2013/11/19(火) 14:57:42 9dQc2V0Y0
感想ありがとうございます
誤字が結構あるのでまた折を見て修正しときます

予約の容認かどうって話ですが
企画発案者の1氏以外の書き手がそんなこと言っても強制力はないでしょう
自己リレーでもないわけだし


688 : ◆cp3jCCSc7M :2013/11/19(火) 15:34:23 7STMSAWg0
>>683
この物語はリレー小説です。
みんなでひとつの物語をつくっている、ということを意識しましょう。一人で先走らないように。
(2chパロロワ事典@Wiki、書き手&読み手の心得の項目より抜粋)

ルールでなくともパロロワ企画の一つである以上マナーや暗黙の了解というものがあるでしょう
氏の一連の発言を見て一人で先走っていないと判断出来る材料は何一つ見受けられません
私が言いたいのは氏が予約をする事自体容認できないということではありません
他の方の意見、感想を待たずに投下から一分未満で予約するという行為が容認しかねると言っているのです
「通しであれば」と前置きをしておけば何でも許されるわけではないでしょう?

とはいえ予約時間に関する厳密なルールはないのは事実です
◆wYNGIse9i6氏もどうやら予約に関しては容認されているようなので「今回は」これ以上何も言いません
ですが次が無いことを祈っています


689 : 名無しさん :2013/11/19(火) 15:47:11 B9zJnMyY0
こうゆうカリカリした流れは苦手だなぁ
大荒れの末に追放された某書き手の時を思い出すわ


690 : 名無しさん :2013/11/19(火) 16:33:58 aRJRKNwc0
もう予約に関するルールをちゃんと設けた方が良いね


691 : 名無しさん :2013/11/20(水) 00:04:28 Vq75o1d.0
まどっちはまど神になることで新世界を創造できる可能性がある

世界創造=神
しかしまどっちはQBとはまだ未契約なので、あくまで神になれる可能性のある人間
後々神になる=神の子

神の子=聖人


まどっちを取り込むことで、D4Cがラブトレインに
ザ・ワールドがメイドインヘブンに進化する可能性が微粒子レベルで存在する……?


692 : 名無しさん :2013/11/20(水) 00:22:03 qHMgQiMAO
>>691
神の前存在。
即ち、少神。


693 : 名無しさん :2013/11/20(水) 00:30:32 q2zrBnc.0
因果律だけは救世主レベルらしいしいけるんじゃない?
どう取り込むつもりだと聞く必要が歩けども


694 : 名無しさん :2013/11/20(水) 00:50:51 NyP8DQzg0
DIOがメイドインヘブン使ったら日光で自滅するんじゃないのか


695 : 名無しさん :2013/11/20(水) 00:59:35 Vq75o1d.0
光の速度<<<<<メイドインヘブンによる加速だから問題ない


696 : 名無しさん :2013/11/20(水) 01:20:25 q2zrBnc.0
光が追いつかなくなるんだよなぁ…


697 : <削除> :<削除>
<削除>


698 : 名無しさん :2013/11/20(水) 10:39:33 zogkbcF60
>>697
何で火に油を注ぐんですかね…


699 : 名無しさん :2013/11/20(水) 11:02:16 D/g4sxVs0
※この話題は過労死寸前の市長が権力を用いて鎮火しました※


700 : 名無しさん :2013/11/20(水) 11:47:50 CYNrouug0
>>699
市長ォォォーーーッ!!

まああれだ、何か発言するときはもっと言葉を柔らかくしようぜ
今後は大きな展開となるSSを予約したい時には周りにも意見を聞いてみたり、
何か問題点があったとしても言葉を荒くしない、そういう配慮を皆でしていこう


701 : 名無しさん :2013/11/20(水) 12:12:36 6vSFBvtA0
※慇懃な言葉遣いをすれば棘が隠れるというものではありません。


702 : 名無しさん :2013/11/20(水) 12:50:16 ziR68MK20
>>699
もしかして市長がこのロワ唯一の癒しだった……!?


703 : 名無しさん :2013/11/20(水) 12:52:26 uMGQaoCg0
最後の最後で本当に市長が過労死したら住人が腹抱えて笑うと思う


704 : 名無しさん :2013/11/20(水) 13:03:34 qHMgQiMAO
>>693
キンブリーに石化してもらおう。


705 : 名無しさん :2013/11/20(水) 13:09:56 D/g4sxVs0
完結編の死亡者リスト
ジョン・バックス 死因:過労


706 : 名無しさん :2013/11/20(水) 13:15:09 ziR68MK20
ファニー・ヴァレンタイン 死因:自業自得
になっちゃうじゃないですかやだー!


707 : 名無しさん :2013/11/20(水) 13:37:23 Vq75o1d.0
大統領「喜べ市長…ついに聖杯を手に入れた。私たちがナプキンを取ったのだ!」
大統領「おい…どうした市長?少しは喜んだらどうなのだ?」
大統領「まさか……市長……市長ォー!?」


708 : 名無しさん :2013/11/20(水) 13:44:47 ziR68MK20
やめたげてよぉwwwwww


709 : 名無しさん :2013/11/20(水) 15:38:08 FG/AFgvg0
>>704
膨大な魔力で金鰤がパー└(^o^)┘ーンするかもしれんぞww


710 : <削除> :<削除>
<削除>


711 : 名無しさん :2013/11/20(水) 19:19:48 ziR68MK20
(話蒸し返すなよ……)


712 : 名無しさん :2013/11/20(水) 19:28:18 oi8iOZpY0
スレの空気悪くなるだけだし話を蒸し返すなっての
権力を用いたもみ消しを繰り返し市長忙殺のお知らせ


713 : 名無しさん :2013/11/20(水) 20:06:45 vQCwsbUI0
予約や投下のやり方だとか慣習なんて各ロワで違うものだしね
ここまで早い予約はこのロワでは例がなかったし反発覚える人もいるってことでしょ
決戦パート書きたい書き手さんが複数いたからギスギスした空気になっちゃったんだと思うよ
ただ◆QSGotWUk26氏も事前に周りに確認を取っておけば良かったかもね


714 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/20(水) 20:26:51 4ZibRsK20
皆さん仲良くしませんか?
あまり空気が悪いと皆困るでしょうし…

終わった話ならもういいでしょう?
これ以上揉めるなら議論スレでも移ればいいのでは?
と長々失礼しました。 市長の話でも続けましょう。


715 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/20(水) 20:31:32 4ZibRsK20
…って<713さんがフォローしてくれてました。
恥ずかしい…前の発言忘れてください。


716 : 名無しさん :2013/11/20(水) 20:32:02 ziR68MK20
これ以上市長を苛めろというのかwww


717 : 名無しさん :2013/11/20(水) 20:50:38 NyP8DQzg0
ぶっちゃけ死ぬ死ぬ詐欺になりつつあるのが今の市長


718 : 名無しさん :2013/11/20(水) 21:03:03 oi8iOZpY0
オワタ…→まだ生きてる…→もう勘弁してやれよ…→ついに助かった…→金鰤「賢者の石に錬成します」(キリッ)
死ぬ死ぬ詐欺を起こす市長と違って華麗な転落人生だな


719 : 名無しさん :2013/11/20(水) 21:05:14 iWOXz2cA0
…あの子、なんでこんなところに来ちゃったんだろうな…


720 : 名無しさん :2013/11/20(水) 21:28:45 cv4BBPbA0
ロリ枠確保の為とか?


721 : 名無しさん :2013/11/20(水) 21:30:02 It0NwkwU0
ゆとり教育の弊害です>こばとちゃん

ネタ抜きに考えると、実際には 死因:魔力枯渇 ではないだろうか>市長
だって行政業務から解放されたから過労の心配もないれす!


722 : 名無しさん :2013/11/20(水) 21:56:37 vQCwsbUI0
せめてスタート地点が間桐邸じゃなければな…
つってもハジメちゃんのいる寺以外安全そうな場所なんてないけど


723 : 名無しさん :2013/11/20(水) 22:02:36 ww.xvrZc0
終わった話って言ってるけど
◆cp3jCCSc7M氏と違って ◆XL.nOGsA4g氏はまだそんな意見表面してないからあんまり雑談で流さない方がいいんじゃない。意見書きづらくなるからさ
別々の書き手なんだから◆ XL.nOGsA4g氏も「今回は」なにも言わないってことはないだろうしね


724 : 名無しさん :2013/11/20(水) 23:04:09 cv4BBPbA0
>>723
議論スレでやって、どうぞ


725 : 名無しさん :2013/11/20(水) 23:21:12 ww.xvrZc0
◆XL.nOGsA4g氏が納得してない以上雑談で流すべきじゃないでしょ
◆QSGotWUk26氏の予約認めないって言ってるんだからこのままじゃ◆QSGotWUk26氏にも影響出る


726 : 名無しさん :2013/11/20(水) 23:29:40 oi8iOZpY0
ウィキじゃもうとっくに予約扱いになってるけどね


727 : 名無しさん :2013/11/21(木) 00:02:41 4Y6w91Hc0
という事はwikiの予約を消せば予約されてない扱いになるのか


728 : 名無しさん :2013/11/21(木) 00:37:10 o8PGPtwM0
それやった所で混乱しか招かないんだよなぁ


729 : 名無しさん :2013/11/21(木) 18:30:21 7z3rNqxY0
もうダメだ…おしまいだ…


730 : ◆2shK8TpqBI :2013/11/21(木) 22:31:16 QoyF2udY0
えっとすみません。一度議論スレで書き手同士で話し合った方がいいんですかね?
私はこのロワが書き手初なので他のロワのセオリーやマナーの理解がまだ不十分な所がありまして。
個人的な意見を言わせてもらうなら、予約のスピードは速いもの勝ちでよろしいのでは?
確かに速いとは私も思いましたが、それを言ったら投下して十分で予約した方もいますし。
気持ちは分かりますが厳格にルールが定まってないなら、シビアにいっていいと思います。
あくまで書き手素人の意見なので、他の書き手・読み手方の意見も伺いたいです。
念のため議論スレに載せておきますね。
長々と失礼しました。皆さんで楽しくやれたら嬉しく思います。


731 : 名無しさん :2013/11/21(木) 22:44:03 .TL4VBoI0
色々言われてたけど予約に関してはどっかで
「投下後その話が通った後」っていうのがあったと思うんだけど…
問題点が出て大幅な修正を余儀なくされる事は稀に良くある事だし
「修正するから予約破棄しろ」という事を防ぐためにも。
マナー云々ではなく円滑に進めるシステムとしてある程度の予約自重はありますね

ところで逐一コテ入れたほうが良いのですか?


732 : ◆XL.nOGsA4g :2013/11/21(木) 23:23:10 fETaAe2cO
お騒がせして申し訳ありません
私としては今回の◆QSGotWUk26氏の予約に関しては心底からの納得はしかねますがさりとて予約自体を認めない、とまで言うつもりはありません
他の書き手諸氏も言われていますがこのあたりに関するルールがありませんので

ただあまりにも予約を早く出来てしまうと修正、破棄議論になった際に予約をしているから修正に制限が生まれるということが有り得ます
私としてはある程度多くの人が作品を閲覧出来たであろうという一つの目安として予約は投下終了から少なくとも二十四時間後、かつ書き手トリップ付きの修正、破棄要求のレスがついていない場合に予約が可能という案を考えています
他にも何かしら意見や提案がある方がいれば是非お願いします


733 : ◆wYNGIse9i6 :2013/11/21(木) 23:37:08 zXLsTInw0
過去の話になりますけど

3スレ目の591、トリップ変わってますが◆2shK8TpqBI氏の作品の「教会組・行動開始!」が投下された後、一時間後に◆WMyP5RHbA氏の予約入ってますよね
時間は平日の深夜二時前、おそらくほとんどの書き手や読み手は寝静まってる頃だと思います
容認出来ないといった書き手お二人の論理に沿えば◆WMyP5RHbA氏もまた他の書き手に配慮していないということになってしまいますね
ですが特段この予約について異論は出ていません
なのに今回の予約に「だけ」何故ここまで過敏な反応するのか甚だ不思議ではありますね

以前番長が追加予約された時、訳がわからない理屈で書き手に噛み付いていた名無しの人もいましたが
個人の解釈によって如何様にも変化す る暗黙の了解や明文化されていないマナーを盾にルール上問題ない行為を非難するのはどうなんでしょうかね

と、◆XL.nOGsA4g氏がこちらに書き込んでたので倣いましたがこれ以上意見が出るようなら議論スレに移動するのは賛成です


734 : ◆wYNGIse9i6 :2013/11/21(木) 23:49:34 zXLsTInw0
失礼、記憶違いをしておりました
追加予約されたのは番長ではなくDIO様でしたね
それと拙作をwikiに収録してくださった方、この場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました


735 : 名無しさん :2013/11/22(金) 00:17:28 xJSMTz4kO
「通しであれば」ってのが、余計だったんじゃない?


736 : 名無しさん :2013/11/22(金) 01:31:26 u8huUMxo0
重要なパートでみんな書きたかった所に悪く言えば抜け駆け気味に予約されたから
加えて書き手が遠坂派と新都派で綺礼に分かれててどっち派の人が書くかで結果もある程度予測出来てしまうから殴り合いになってる、んじゃないか?


737 : 名無しさん :2013/11/22(金) 13:23:49 Rscwf44QO
どうしてこう好戦的な書き手が多いんだ


738 : 名無しさん :2013/11/22(金) 13:29:33 riD80JqA0
戦争やし(ドヤ顔


739 : 名無しさん :2013/11/22(金) 14:44:29 envfvDLA0
悲しいけどこれ、戦争なのよね


740 : 名無しさん :2013/11/22(金) 22:49:00 .FXEMQ/I0
流れを変えるためにキャラの登場話数をまとめてみた
1位・・・アルトリア(16話)
2位・・・士郎、ランスロット、こなた、映司(15話)
3位・・・スザク、ルルーシュ(14話)
4位・・・陽介、アレックス、DIO、ガウェイン、ヴァレンタイン、キンブリー(13話)
5位・・・まどか、鉄之助、リインフォース、切嗣、士(12話)
6位・・・バックス(10話)


741 : 名無しさん :2013/11/22(金) 23:50:18 dOGacyNU0
集計乙
さすが最優、とは違うけどまさか騎士王が一番登場しているとは驚き
ランスロットさんはワカメと一緒にいたから


742 : 名無しさん :2013/11/22(金) 23:54:44 riD80JqA0
まどかそんなに出てたのか……
一歩も動いてない市長が6位ってどういうことだwww


743 : 名無しさん :2013/11/23(土) 00:00:59 Zd/zU/ME0
           ,ィ
           /,    ,,ィ ´  ̄  `  、
            { {、 イ           `
            ヽ v´               \
             /       、   、      ハ
           / /    , .、  \   ヽ、    l
        / /   / ∧_ヽ,   ヽ,ニニ.、、 |   !
        | /! /  | /´ ヽ` \ ヽ.,__ヽ ! .!  !
        ヽ | ト、 | ト .z=ミ  ` 〃 ̄` / イ、  !
             l ! ヽl !〃     ,   ///Yノヽ、 .!     企画開始2周年おめでとうなの
          ヽ  ヽ!/// 、   __f    !  ` |
.          /   ヽ  ノ  ̄   `   /     \      ついでに美希の事祝って欲しいな
         /     > ,,_    _,,<        \
        / /      .}  ̄ .{        ヽ、_.`__
      /イ´/  ,..ニニ,,..ノ´`ー "ヽーr― - 、   \
        /  /   ./_/  __ ,>‐-=.、 .',       \
      `ー,   ,  .,.r´ィニ弌|::::::::::::にニニ、ヽ  !  ` ー―`
   、_ /   !  | ´ ,.-―ヲ!::::::::::::ヒ―- 、 !  !    ` ‐- ,,_


744 : 名無しさん :2013/11/23(土) 00:02:41 ULyxyhWw0
みすった
さすが最優、とは違うけどまさか騎士王が一番登場しているとは驚き
次点のランスロットさんはワカメと一緒にいたから多いのね…
ギアス勢は別々に行動しているのに同じ話数、やっぱり親友だね(棒読)
単独行動やマスター不在が多いDIO、大統領、金鰤がマスターより登場しているのね…
意外に登場話数が多くなかったケリィ組、やっぱり外道の数々がインパクト大きくて印象深いんだね
そしてあまり活発な行動をしていないのに疲労と多忙で住人から心配されている市長…今後の活躍に期待しよう


745 : 名無しさん :2013/11/25(月) 00:25:32 GGa2tDcU0
連合軍側で戦闘可能なマスターってスザクとキリツグだけなんだよな。
キリツグは遠距離からの不意打ちを狙いそうだけどスザクの場合、接近戦がメインだから
士郎たちと戦闘になったら大変だよね。
一対一なら負ける姿が想像できないけど・・・
市長は・・・俺のリポビタンDもあげるから頑張ってくれ。

あと、キリツグのツグが変換できない。


746 : 名無しさん :2013/11/25(月) 00:42:21 JSSHYkZk0
スザクは距離詰めなきゃ勝負にならないからなぁ…
遠距離攻撃できる士郎と陽介には軒並み不利だし名無にも身体能力だけならタメ張られるから一対一でも厳しいものがある。


747 : 名無しさん :2013/11/25(月) 03:49:50 dQg/Hdso0
>>745
「嗣(し)」で変換できるよ


748 : 名無しさん :2013/11/25(月) 06:23:28 o0TShH3o0
士郎に至ってはキロ単位の距離からの狙撃も可能だし(エミヤ的な意味で)
銃弾を余裕で避ける身体能力があっても赤原猟犬だけはどうしようもねぇ…


749 : 名無しさん :2013/11/25(月) 10:30:22 PNp6sKLY0
士郎は魔力といい戦闘力といい此処じゃさりげに文句なしで最強格のマスターなんだよな…w
太刀打ちできるのはペルソナ組やゼフィールとかくらいなのでは…


750 : 名無しさん :2013/11/25(月) 10:37:43 HTE37Hwk0
その上で陽介がいると命中精度上がるとかw


751 : 名無しさん :2013/11/25(月) 11:15:49 74gIePSA0
くずきテンテーやコトミーみたいな化け物戦闘力で押せるマスターいないかと思ったが
いずむ君既に死んでた
なんで鯖と戦い出すんやあの子……


752 : 名無しさん :2013/11/25(月) 12:24:27 QJD2XIrQO
出夢相手でも改良暴飲暴食されない限りは生き残れそうだから困るんだよな
士郎はよく似た動きをする五次ライダーを知ってるからその要領で瞬殺は避けられそう


753 : 名無しさん :2013/11/25(月) 14:35:05 L2ehwULU0
登場話数を全員分まとめてみた

1位・・・アルトリア(16話)
2位・・・士郎、ランスロット、こなた、映司(15話)
3位・・・スザク、ルルーシュ(14話)
4位・・・陽介、アレックス、DIO、ガウェイン、ヴァレンタイン、キンブリー(13話)
5位・・・まどか、鉄之助、リインフォース、切嗣、士(12話)
6位・・・悠、クーフーリン、バックス(10話)
7位・・・小鳩(8話)
8位・・・ゼフィール、アシュナード、春香さん、イスラ(7話)
9位・・・詩音、さやか、金田一、太公望、出夢、サブラク、慎二、ラオウ(6話)
10位・・・妲己(5話)
11位・・・雁夜、トキ(4話)
12位・・・綺礼、雪輝、タマモ、凛、剣司、セリス、アシュヒト、テレサ、イリヤ、忠勝、金城、アストレア、由乃、死体(3話)
13位・・・ピースマン、小次郎(2話)
14位・・・ゼロ、ギルガメッシュ(1話)

やっぱり3話と6話が生存ライン的なものになってる感があると思った


754 : ◆QSGotWUk26 :2013/11/25(月) 19:31:20 vSw.PmME0
延長します


755 : 名無しさん :2013/11/25(月) 20:02:43 tO0vgrG20
>>753
陸君が別の天海にすり替えられるw


756 : 名無しさん :2013/11/25(月) 23:11:48 HTE37Hwk0
春香さんじゃねーよw


757 : 名無しさん :2013/11/26(火) 17:40:13 UrYuPbBgO
>>753
こう見ると市長は超ギリギリでセーフなんだなぁって思う

…そもそもまどかみたいにバッタリ遭遇とかもしてないのになんでこんな綱渡りな雰囲気なんだろうなこの人w


758 : 名無しさん :2013/11/26(火) 18:42:22 XgWEmplA0
バッタリ遭遇どころか自分の鯖以外と殆ど顔すら合わせてもいないのにな


759 : 名無しさん :2013/11/26(火) 18:47:14 DLNzJ8cE0
序盤から終盤まで様子見や諜報に徹して姿隠してるって意味ではある意味未来日記の原作通りだなw


760 : 名無しさん :2013/11/27(水) 13:49:06 jx1iKDBc0
>>753
市長と並んでいる番長と兄貴すごいな
完結編入る前の脱落なのに10話も登場だなんて…これも番長マジックの一つなのかっ!
てか彼らの方が過労死の危険があったな(しかも市長とは違う、聖杯戦争的な意味で)


761 : 名無しさん :2013/11/27(水) 14:17:51 CQN5bafA0
しかも死後も登場の機会に恵まれてるというね


762 : 名無しさん :2013/12/01(日) 23:30:38 eVnm8RYI0
そういえば番長と出夢とゼフィールってタイマンなら誰が一番かな?
やっぱじゃんけんみたいな感じなのかな?
ゼフィールと出夢なら出夢が勝ちそうだけど番長と出夢なら番長勝ちそうじゃない?


763 : 名無しさん :2013/12/02(月) 16:01:37 ol2h79tg0
それは完結編終了後のifストーリー的なものに期待しよう
そして今日、聖杯大戦が投下されるのか…


764 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:43:52 HC4/wA0E0
投下します


765 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:44:54 HC4/wA0E0

バーサーカーが駆ける。
無人の深山町の中心へと、凄まじい速度で侵入していく。
瞬間、狂戦士の目前の何もない空間が歪み、銀に輝くスフィア盤が出現。同時に外敵たるバーサーカーへと迎撃の魔法を叩き込む。
その砲撃の威力は決して侮れる物ではない。並のサーヴァントが無防備で受け続ければ深手も負うだろう。
だが、ここにいるのは円卓の騎士随一と呼ばれた騎士。
バーサーカーが両手に構えた剣を竜巻の如く旋回させると、四方から放たれた魔力砲撃はひとつ残らず弾き散らされた。

「……見えたか、アーチャー」
「フン、誰に言っているのだアサシン」

そこから遥か彼方、バーサーカーの侵攻を眺めていた三つの影――アーチャーとアサシン、そしてキャスター。
理性なきバーサーカーと歩調は合わせられないため、まずバーサーカーを先行させ敵の手の内を見る作戦だ。

「自動迎撃用のトラップを兼ねた結界魔法の子機ですね。我々の侵攻は予測されていましたか」
「敵にもキャスターがいるからな。そうそう先手は取れんだろう」

敵の本陣を監視していたアサシンの分身から、深山町の異変は報告されていた。
突如NPCの姿が消え、町は動く者のない時の止まったような世界と化したと。
NPCを用いた策を考えていたキャスターに対し、この一手は妙手であると言えた。

「……いけませんね、私が細工をしたNPCも反応が掴めません。破壊された訳ではないようですが」
「敵のキャスターは転移魔法の使い手だ。という事は空間操作にも精通していてもおかしくはない。NPCを根こそぎ移動させたか、あるいは……」
「我々に認識できなくしているか、だな。小癪な事だが、打つ手はないでもない」

バーサーカーを砲撃したスフィア盤はステルス性を付加されていたようだが、砲撃を行えばその位置は丸裸だ。
そしてその隙を見逃すアーチャーではない。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」

キャスターが瞬時に錬成した手のひら大の砲弾をアーチャーに投げ渡し、スタンド“世界”が剛力を込め天に放り投げた。
砲弾は放物線を描いて落下、何もない空間を擦過し――“視覚的に隠蔽されているが実体としてはそこに在る”スフィア盤を貫いた。
次の瞬間、ナイフは内側から爆散する。“紅蓮の錬金術”の真髄。
ある程度の耐久力を持つスフィア盤といえど、ナイフによる物理破壊と爆発による魔力破壊、二面同時攻撃を受けては一溜まりもない。
バーサーカーを砲撃したスフィア盤はひとつ残らず撃ち落とされ、駆逐された。


766 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:46:06 HC4/wA0E0

「……NPCが戻らんな。結界はまだ解けていない……他にまだ隠蔽された迎撃魔法があるという事か」
「結界が機能している限りは私の策は使えませんねぇ。何せ起爆剤となるNPCがいないのでは」
「先程のバーサーカーのように、指定したエリアを通過した者を自動で砲撃する魔法が設置されているようだな。
 順当に考えるなら他にも我らの足止めをするトラップがあると見るべきか」
「小賢しい真似をする。私やアサシンはともかく、キャスター。お前達はあの罠の中に踏み込むのはやめておけ」
「言われずとも。なに、せっかくああやってバーサーカーが敵の罠を露出させてくれているのです。私は暫く、彼が暴いた罠を掃除する事にしますよ。
 あの子機がNPCを隠蔽する結界を維持しているのなら、ある程度破壊すれば敗れるでしょう」
「待て、私のマスターから連絡だ。ほう……ご丁寧な事だ。
 ライダーがこの周辺をサーチしてくれたらしい。隠れているトラップの位置がざっとだがわかったぞ」

同じく異変を察したライダー――ディケイドが、ペガサスフォームへと変身して深山町をサーチした結果、無数のスフィア盤がそこかしこに設置されているのがわかった。
判明した限りの位置をマスターである衛宮切嗣に伝え、切嗣がジョン・バックスに連絡し、市長からアサシンへ。
流れるような情報伝達が軍を有効に機能させる。

「ふむ、これだけわかれば十分でしょう。トラップは私に任せてください」
「では私は予定通り敵の本陣へ赴く。ランサーは別の私が担当するが、切り札を打ち込む隙を作るのはアーチャー、そちらの役割だぞ」
「理解している。フフフ……では、始めようではないか!」

ライダーに示されたスフィア盤を片っ端からアーチャーが狙い撃つ。
これが開戦の狼煙となった。
キャスターは下準備のために町内を回り、ライダーは用は済んだとばかりに上空を突撃していく。
気配を遮断しゆっくりと進軍するアサシンは不敵に笑う。

「さて……」
『始まったか、大統領?』
「ああ、市長。全ては予定通りだ」

新都から深山町に移動する間、既に令呪を使って別世界のディエゴ・ブランドーは確保しておいた。
別に生かしておく必要はないので、発見と同時に殺害してスタンドを使う暇も与えなかったが。
その死体は新都を捜索していた七人目の自分に持たせ、後方に控えさせている。

「ディエゴの死体を使う時が正念場だ。市長、君には何度も念話を中継してもらう事になる。頼むぞ」
「ああ、わかっている。我々が聖杯を獲るために、何としてもこの戦いで邪魔者を一掃しなければな」
「そう、遺体に代わる“”尊いもの――聖杯は誰にも渡してはならない」

漆黒の殺意を胸に、D4Cを持つ四人目のアサシンが御山町を進む。五人目のアサシンが監視する敵の本陣、遠坂邸を目指して。


767 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:47:50 HC4/wA0E0

              ◆



「来た……奴らだ!」

スフィア盤の破壊を感知したキャスターが、戦いの始まりを告げる。
サーチャーが戦場の光景を映し出す。
まっすぐにこの遠坂邸へと向かってくるのは数時間前に交戦したバーサーカーだ。
だがあの時とは違う。手にした二刀は宝具であり、操るバーサーカーの力強さも段違いだ。あの時与えた傷も全快している。

「バーサーカー……ランスロット卿!」
「な、なあ。なんかあいつ、さっき戦った時よりめちゃくちゃ強そうじゃね?」
「おそらく……今までの彼は私と同じように十分な魔力が供給されていなかったのでしょう。
 それが何らかの方法で魔力を確保し、十全に力を発揮できる状態になったと……」
「でもあいつの宝具はこっちにあるんだろ? じゃあそんなにビビる事もないんじゃ」
「いえ、彼の宝具“無毀なる湖光”は確かに強力な宝具ですが、ランスロット卿の強さとはその剣に頼ったものではありません。
 狂化していてもあの武芸の冴えは全く衰えていない……そしてあの宝具。
 十分な魔力の供給が成されているのならば、むしろ魔力の消費を抑え長期戦に対応できる今の状態の方が脅威であると言えます」

立ち上がったセイバーは、戦意を漲らせ屋敷を出ていこうとする。
その前にガウェインが立ち塞がった。



「叔父上、彼は私が引き受けます。貴方は予定通りディケイドを討ってください」
「ガウェイン。しかし……」
「わかっています。ランスロット卿の手に“無毀なる湖光”がないとはいえ、私もまた“聖者の数字”を発動できない。
 おそらく勝つ事はできないでしょう。しかし“負けない”だけならばやりようはあります」

生前、ガウェインはランスロットと戦った。
その時のガウェインは“聖者の数字”を発動し、ランスロットも“無毀なる湖光”を手にしていた。
結果はしかし、ガウェインの敗北だ。
能力では圧倒的に勝っていたが、ランスロットの巧みな戦術と挑発によりガウェインは翻弄され、やがて日が落ちるとともに弱体化してランスロットに打ち倒された。

「あの時とは立場が逆になりましたが、彼の攻撃をひたすら凌ぎ続けるだけならば今の私でも可能です。
 その間に叔父上、ランサー。あなた達がアーチャーやディケイドを討ち取れば、我々の勝利です」

今のランスロットは能力の増したセイバーとて容易な相手ではない。
特に彼の手に竜種を害する剣が二つもある以上、一瞬の油断もできないアルトリアが対するよりはまだ、防戦に集中したガウェインの方が余裕はある。

「じゃあ、俺も手伝いますよ。タジャドルコンボで空から援護すれば牽制になりますし」
「叔父上とランサー、貴方達はアーチャーの時間停止に対抗する切り札だ。露払いは私とライダー……いえ、オーズ殿が努めましょう」


768 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:50:18 HC4/wA0E0

ライダー――仮面ライダーオーズがガウェインに賛同し、セイバーもそれならばと矛を収める。
ガウェインとオーズがランスロットを抑え、その間にセイバーがディケイドを、アレックスがDIOを倒す。
マスター達は今回地下室で状況を見つつ援護。
士郎や鉄之介、陽介など戦闘能力が高い者が揃っているとはいえ、敵には“魔術師殺し”衛宮切嗣と枢木スザクがいる。
衛宮切嗣の脅威はもはや周知の事であるし、スザクの身体能力についてもルルーシュが事細かに説明している。
発射された銃弾を魔術やペルソナ、13騎士で受け止めるのはこの三人でも可能だろう。
しかし、生身で機関砲を避け切るほどの身体能力は誰も持ち得ない。
唯一、陽介が敏捷性を上昇させる魔法を使えば可能かもしれないが、スザクはそれを素の状態でやってのけるのだ。

(加えて、もしあいつが俺の掛けたギアスを制御できる状態なら……いくらこいつらでも打ち倒される可能性は否定出来ない)

かつてルルーシュがスザクに命じた“生きろ”というギアスの呪縛。
本人の意志に関係なく死を許さないギアスは幾度もスザクを救い、また苦しめてきた。
そして苦難の果てにスザクはギアスの制御に成功する。
ギアスを強靭な精神力で抑えこみ、自我を保ったまま潜在能力を極限まで引き出す力へと昇華させたのだ。
あの状態のスザクはコンマ0.4秒という刹那の見極めすらもやってのけた。
異能の力を持たずとも、戦闘能力は今生き残っているどのマスターにも引けは取らないはずだ。

「この地下室なら衛宮切嗣の狙撃は心配ない。アサシンについても、屋敷の周囲は結界を重点的に張り巡らせている。
 対軍宝具でも叩き込まれない限り、隠密の侵入は不可能だ。
 だが……敵は何らかの方法でスフィア盤の位置を探知したようだな。罠が凄まじい勢いで破壊されている。この分だとそう長くは保たないぞ」
「もし状況が不利ならそのまま柳洞寺まで退くことになる。各々、深追いはしないでくれ」
「セイバー、令呪を使っておくか?」
「ええ、お願いしますシロウ。早い内にディケイドを倒せればそれだけ他の戦線にを援護できる」

残り二画の令呪をひとつ消費し、セイバーのスペックを上げて臨む。これもまた作戦通り。
士郎が令呪を開放し、セイバーへの魔力供給を強化する。

「……凄まじいものだな。これが最優のクラスと言われるセイバーたる所以か」
「叔父上が特別なのですよ。私ではこうは行きません」
「いや、ガウェインさんも日中は手がつけられないと思うけど」

広い地下室を満たすセイバーの潤沢な魔力に、そこに集まるほぼ全員が驚愕する。
驚いていないのは生前の彼女を知るガウェインくらいのものだ。
これならば“約束された勝利の剣”、“全て遠き理想郷”といった規格外の超宝具の連続使用も苦ではない。

「時間を止められても、スタンドの攻撃が打撃である以上一度くらいなら耐えられる。マスター、令呪を使うのはその時だ」
「わかったぜ、アレックス。任せてくれ」

陽介は常にアレックスとリンクし、彼の状態をチェックする。
もし突然アレックスが負傷すれば、その瞬間に時間を止められて攻撃を叩き込まれたという事だ。
幸い、アーチャーの攻撃能力そのものはさほど高くない。一撃でアレックスが殺害されない限り、即座の令呪で時間停止に対抗できるはずだ。

「では……ガウェイン、ランサー、オーズ。征きましょう!」

セイバーの号令を鬨の声に、サーヴァント達が出陣する。
騎士王のカリスマが集団戦の能力を高め、士気も高い。
敵を打ち破り、必ず帰還する。誰もがその想いを強く抱いて、夜の戦場へと飛び込んでいった。


769 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:51:57 HC4/wA0E0

              ◆


賢者の石から供給される有り余る魔力がバーサーカーの全身を駆け巡る。
人間数百人分の錬成から成る魔力の結晶は、生粋の魂喰らいであるバーサーカーを以ってしても生半には喰らい尽くせないほどの膨大な魔力を保有する。
これだけの魔力があれば、マスターの回復魔術に頼らずとも強引に傷を癒やす事も可能だ。
そしてその腕には二振りの剣。
片や身の丈以上の大剣、“神将器エッケザックス”。
片や現存する聖遺物、“封印の剣”。
共に、ひとつの世界において頂点を極めた剣であると言える。
英霊の所有する宝具ではないとしても、決してサーヴァントの宝具に見劣りする物ではない。
その二つの宝剣を、十分な魔力を供給された万全な状態のバーサーカーが振るうという事が何を意味するのか。

「■■■■■■■■――ッ!」
「ぐうっ……!」

その答えが、これだ。
同じ円卓の騎士であるガウェインが、一方的に翻弄されている。
ランスロットの魔力により漆黒に染まった竜殺しの双剣は、一撃一撃が必殺の威力を秘めて襲い掛かってくる。

「うおおおおっ!」

タジャドルコンボへと変身したオーズが、上空から火球の雨を降らせた。
ランスロットの闘志に呼応した封印の剣が黒き炎を纏い、叩き付けられた火球をそよ風のごとく吹き散らす。
ランスロットが片手で振るうエッケザックスを、ガウェインは両手で構えたガラティーンで何とか受け止めた。
腕一本の差があるとは思えない剛力が剣から伝わってくる。

「さすがに強いな、友よ……!」

元々のステータスの高さに加え、狂化で一段階強さが増し、そして狂化していてもその武技の冴えは衰える事はない。
生前と何ら変わらぬその技量に敬意すら感じる。

「しかし……私も負けられんのだ!」
「……ga……i……」

ランスロットは狂化していても尚、アーサー王――アルトリアに憎悪を向けた。
狂化という軛を超えるほどに強い想いは、決して打ち消せる物ではない。
そしてランスロットにとっては、ガウェインもまた、心に刻まれた盟友であり強敵でもある。


770 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:53:27 HC4/wA0E0

「Gaw……in……ッ!」

ガウェインが打ち込む度、その意志を叩き付ける度、ランスロットもまた呼応するように剣戟を返していく。
理性ではなく本能で察している。目の前の騎士が、己にとって決して逃げてはならない試練なのだと。
ガウェインにとっても同様だ。
憎んでいる訳ではない。今はただ、正しき願いを持つマスター達の障害を、排除するのみ。
少なくともアルトリアが姿を見せなければこうしてランスロットを釘付けにしていられる。

「ガウェインさん!」

タジャドルでは埒が明かないと、よりパワーのあるサゴーゾコンボに変身したオーズが降下してきた。
サゴーゾの特性・重力操作を用いランスロットの動きを封じるべく、重力波を放つ。
寸前で離脱したガウェインを追って跳ぼうとしたランスロットの脚が地表を抉る。何百倍にも増した質量が狂戦士の自由を奪った。

「……よし!」

キャスターが指示したらしく、拘束されたランスロットへと砲撃が集中して放たれる。
同時に発動した拘束用の魔法が一瞬とはたしかにランスロットの足を止め、隙が生まれた。
ガウェインは今が好機と手にした剣――“転輪する勝利の剣”の真名を開放するべく距離を取る。
目的はランスロットの足止めだが、討てる機会を逃す必要もない。
剣戟戦で勝機が見えないなら、宝具を用いて一気に決着させる――しかしガウェインの思惑は、視界の外から突っ込んできた飛行物体により打ち砕かれる。

「あれは、ディケイドの!」

ランスロットの不利を察知したディケイドが、ファイナルフォームライドのカードでクウガを変形させこちらに寄越してきたのだ。
変形したクウガ――クウガゴウラムはスフィア盤を蹴散らしながら前進、そのカブトムシの如き顎で重力波に囚われたランスロットへと激突して、手荒に救出した。
ランスロットがクウガゴウラムの身体を掴むと、瞬時に“騎士は徒手にして死せず”のスキルが発動し、ランスロットの支配下に落ちる。
クウガゴウラムの上でくるりと体勢を整えたランスロットが、封印の剣を腰へと差してエッケザックスを構え一直線にオーズへと突っ込んでいく。
大剣が竜巻のように旋回、遠心力に加え縦横に飛行するクウガゴウラムの速度を上乗せした一撃は、動きの鈍いサゴーゾのオーズを容易く両断するだろう。
ガウェインの決断は一瞬だった。

「“転輪する勝利の剣”!」

オーズを救うため、ランスロットの進路上に向けて十分な魔力を供給しないまま“転輪する勝利の剣”を解放する。
柄に埋め込まれた擬似太陽が活性化し、小規模ながらも確かに太陽の灼熱を生み出し濁流となって奔る。


771 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:54:41 HC4/wA0E0


「■■■■■■■■――ッ!」

だが苦し紛れの一撃はランスロットに読み切られていた。
寸前でランスロットがクウガゴウラムの角先を天へ向け、ガラティーンの閃光をギリギリですり抜けていく。
クウガゴウラムが回頭し、再び突撃をかけてくる。

「オーズ殿。今のは重力波の援護は助かりましたが、もう使わない方がいい。同じ手は彼には二度も通じない」

再度重力波を放とうとしたオーズを、ガウェインが止める。
サゴーゾの重力波は確かに敵の動きを阻害できるが、今のランスロットは外付けのスラスターを得ている状態だ。
ディケイドのクロックアップには、超加速状態といえどあくまでディケイド一人だけの速さだったから通じた。
仮に重力の檻に封じたとしても、クウガゴウラムを足場に跳躍――自身の脚力を全力で炸裂させるランスロットの勢いは殺しきれる物ではない。
そしてランスロットが鈍重なサゴーゾコンボのオーズに接近して叩き斬るにはその一瞬で十分なのだ。
万能型の仮面ライダーと言えど、接近戦の技量はセイバーなどの専門クラスには遠く及ばない事はアルトリアが既に証明している。

「参りましたね。あれが本気のランスロットさんですか!」
「機会があれば仕留める気でいましたが、そう甘くはないようだ。さすが、と言わざるを得ませんね」

親友の尋常ではない力量は嫌というほど知っていたのに、こうしてまた思い知らされる。
しかし同時に、彼の変わらぬ武芸の冴えを騎士として嬉しく思う心も決して否定出来ないでいた。

(友よ、私はもうあなたを憎んではいない。今はただ、こうして再び剣を交わせる事をただ喜ぼう。
 だがあなたに栄光を掴ませる事は出来ない……この戦は私が、私達が勝つ!)

決意も新たにガラティーンを握り直し、迫るランスロットを迎え撃つ。
隣に肩を並べるのは速度に優れたラトラーターコンボへと変異したオーズ。
いつ果てるともしれない高速域での激突が開始された。


772 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:57:24 HC4/wA0E0

              ◆


「僕に釣られてみる?」
「結構だ!」

口上を述べ上げると同時、青い鬼の姿をした人型は真っ二つに断ち割られた。
即席の盾を潰し、本丸を狙おうとした時にはもう遠く離れた所にいる。

「ディケイド……!」
「ウラタロスまでやられた、か。これで電王の力も半減……やってくれるな、騎士王様よ」

ランスロットをガウェインとオーズに任せたセイバー――アルトリアは、因縁あるディケイドと対峙していた。
最初に出会ったのは昼間、天海陸に謀られていた時だ。
セイバーがディケイドによって抑えられている間に、衛宮切嗣の奇策によってガウェインが操られ、仲間である金田一一とライダーを殺されている。
二度目は午後、柳洞寺にて。
襲撃してきた切嗣とディケイドを、マスターである士郎の援護を得て何とか撃退した。
二度の交戦を経てお互いの手の内はほとんど曝け出されている。
容易な相手ではないと理解していたが、やはり――

(一筋縄ではいかない、か)

コンプリートフォーム、いわゆる強化形態に変身したディケイドのスペックは全体的に高いとはいえ、セイバーを上回るほどではない。
さらに令呪で魔力供給を強化した今のセイバーなら、正面からぶつかれば優勢に戦いを進められるはずだったが、

「もうお前とまともにやりあうつもりはないんでな。悪く思うなよ」

ディケイドは徹底してセイバーと打ち合う事を避けている。
どれだけ強力になろうとも、セイバーの取れる戦術は基本的には少ない。
接近しての斬撃、“風王結界”解放による一度きりの超加速あるいは暴風の遠距離攻撃、そして光の斬撃たる“約束された勝利の剣”。
セイバーのクラスが示す通り、すべての攻撃が剣を起点に始動する物ばかりだ。
しかしディケイドは違う。
ファイナルフォームライドという召喚能力を筆頭に、カブトやファイズの超加速、狙撃、霊格への直接攻撃など。
龍騎・キバ・電王の二つの力を失っているのは確認できているが、それでも取れる戦術はセイバーとは段違いの多さだ。
特にコンプリートフォームに変身している今は、他の形態を経ずともディケイドのままで他のライダー能力を使用できる。
タイムラグなく様々な能力を発動させるため、純粋に攻めにくいのだ。
そして今のディケイドはその能力の全てを攻撃ではなく回避に傾けている。
セイバーの間合いに入ったと思った瞬間クロックアップで違う時間流に突入してするりとこちらの手の中から去っていく。
時に一度としてセイバーに接近するリスクを犯さない。
どれだけ加速していても、ただの一撃でセイバーを仕留められないのなら無意味な事だと割りきっているかのように。
キャスターが設置したトラップも、クウガペガサスというサーチに特化した力で既に見破られていたらしく、戦いながら次々に撃墜されている。


773 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/02(月) 23:59:18 HC4/wA0E0

「おっと、宝具は撃たせないぜ」

埒が明かないとセイバーが“約束された勝利の剣”を放とうとすれば、ディケイドは超加速を利用し射線上にガウェインやアレックスがいる位置に立つ。
“約束された勝利の剣”は威力が大きすぎて、ディケイドを消し飛ばしてもさほど減衰しないまま突き進んでいくだろう。
その余波が万一仲間達に当たるかもと考えると、迂闊には放てない。
ディケイドの位置より下から空に向けて使おうにも、ディケイドはそのような状況になる前に離脱してしまう。
ガウェインがランスロットに対して用いている戦術を、ディケイドはより効率的な形で実践できるのだ。

「何のつもりです、ディケイド。時間を稼げばあなたの仲間が勝つと?」
「奴らを仲間と思った事はないが、まあその通りだ。どうせもうアーチャーの能力は知ってるんだろ。
 あいつにぶつけたのはランサーだろうが……悪いな。俺達には奴を仕留める切り札がある」
「何……?」

動揺させるブラフか? そう思ったが、直感的に違うと否定する。
今の戦況はそれぞれのサーヴァントが分断された形だ。
先ほどディケイドが力のひとつをランスロットの援護に向かわせた例外はあるものの、どこにもすぐに駆けつけられるという距離ではない。

「一対一のこの状況を望んだのは、お前らだけじゃない。俺達もそうさ」

ディケイドが新たなカードを取り出し、ひらひらとセイバーをからかうように弄ぶ。
その時、ランサーがアーチャーと戦っているはずの方角に、凄まじい魔力の塊が出現した。
さほど探知能力に優れている訳でもないセイバーでもわかる、夜闇を切り裂く閃光を伴う圧倒的な魔力の放出。
対軍宝具の解放に匹敵する、この出力は――

「ランサー……!」

アーチャーでもアサシンでもランスロットでもディケイドでもない。
これだけの大出力を出せるのは、キャスター、ガウェイン、自分、そして――ランサー、この四人しか該当しない。
敵のキャスターという可能性も否定出来ないが、ディケイドの言葉と合わせて考えるにその線は薄いように思えた。

「さあ、どうする騎士王様。このままここで俺と遊ぶか?」


774 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:01:10 M5ai.kw60

揶揄するようなディケイドの軽口を、もはや問答は無用と神速の踏み込みによって黙らせる。
一閃、天も裂けよと振るわれた聖剣は果たして何者も凪ぐ事はなかった。
インビジブル――透明化のカードで寸前に回避したのだ。
しかしセイバーはそれ以上ディケイドに構わず、“風王結界”を展開・即座に解放して暴風を放ち、自身を天へと打ち上げた。
一度きりだがクロックアップやアクセルフォームに並ぶ超加速を用い、全速でランサーの安否の確認に向かう。

「行ったか。やれやれ、きついもんだな」

インビジブルの効果が切れたディケイドは、溜息を付きながらそれを見送った。
口ではああ言ったが、正直生きた心地のしない数分間だったとディケイドはひとりごちる。
コンプリートフォームの力があっても、今のセイバーの相手は容易ではない。
時間を稼ぐだけだから何とかなったものの、正面から戦ってはまず太刀打ち出来ないだろう。

「……まあ、そのための策なんだがな。さて、俺も行くか」

ここからが本番なのだ。メインイベントに遅れる訳にはいかない。
クウガをランスロットに貸し、龍騎が破壊されたため残る騎乗フォームライドはアギトとカブトだけだ。
カブトがクロックアップという命綱を司るカードである以上、軽々には使えない。
アギトトルネイダーを召喚し、ディケイドもセイバーの後を追ってアーチャー対ランサーの戦場へ飛んでいった。


775 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:03:56 M5ai.kw60

              ◆


「ほう。貴様が私の相手をしてくれるのか、ランサーよ」
「そうだ、そして俺が最後の相手だ。お前はここで滅びろ」

一人町を闊歩するアーチャーの前に現れたのは、堂々たる体躯を持つ軍服姿の男――アレックス。
キャスターに頼むまでもなく、こうして望み通りの一対一の状況ができた。
アレックスの腕が異形に変形し、魔獣の如き爪を生やす。ARMS“帽子屋”第一段階の発現だ。

「挨拶代わりだ、受け取るがいい……我がブリューナクの槍を!」

圧縮された荷電粒子を放つ。
一直線に伸びていく光線は、進路上の全てを融解させ薙ぎ払う死のラインだ。
光線は確かにアーチャーを捉え――次の瞬間、その姿は掻き消えていた。

「驚いたな……大した威力だ。いや、さすがのこの私も少しだけヒヤッとしたぞ……。
 これだけの熱量、直撃すれば半身は軽く持って行かれそうだ」

その声はランサーの後方、寸前までのアーチャーの位置からは180度反対の場所から聞こえてきた。
ゆっくりと振り向く。そこにいたアーチャーはやはり無傷だ。

「なるほど、光の槍……故にランサー。これほど型に嵌まらないサーヴァントがいたとはな」
「それはこちらの台詞だ、アーチャー。今、時間を止めたな?」
「フフフ……さすがに調べていたか。いかにも、これが世界を支配する我が能力よ」

アーチャーの隣に現れた、筋肉質な人型の像。
ARMSの生物的な意匠とは違う、人の形をしていながらどこか非人間的な印象を受けるシルエットだ。

「時間を止めてまで避けるという事は、貴様の再生能力を以ってしても我がブリューナクの槍は脅威という訳か。底が見えるな」
「ふん、言ってくれるではないか。手心を加えてやったのがわからんか? 私がその気ならお前の首はとうにすっ飛んでいるのだぞ」
「ならばやってみるがいい。その前に俺のARMSで貴様を灼き尽くしてやろう」


776 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:05:53 M5ai.kw60

挑発というほどのものでもないが、どうやらアーチャーは乗ってくるようだ。
無傷で最初の時間停止を切り抜けられた事は大きい。

(マスター、令呪の準備はいいか?)
(いつでもいいぜ、アレックス)

令呪によって“帽子屋”に無理やり時間停止の耐性を付けさせる――それがアレックスの策。
正直、成功するかどうのか確信はない。何と言ってもアーチャーの宝具はEXランク、規格外の神秘だ。
それを、令呪のブーストがあるとはいえ、Aランク止まりの“帽子屋”が凌駕できるか。

(いいや……できる。できると信じる。迷いなき確信こそが、俺のARMSを動かす力となるのだから……!)

アーチャーが両腕を広げ、魔力を高めていく。
スタンド“世界”の全身に魔力が凝縮され、今にも解き放たれようとしている。
針のように鋭くなった意識でアーチャーを観察していたアレックスの本能が、ここが勝負時だと告げた。
荷電粒子砲を発射。回避しようとしたアーチャーが時を止めるタイミングをこちらで限定させる。

(今だ! マスター、令呪を!)
(よし……令呪に命じる! “アレックス、お前の時間を止められるな”!)

その瞬間、確かに世界は止まり――



――止まった時の中、アレックスの時間は確かに動き続けていた。


777 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:07:21 M5ai.kw60

              ◆



キャスター、本名ゾルフ・J・キンブリー。
彼は生前、ホムンクルスに食われて死んだ。
魂を力として保有する賢者の石の中に取り込まれ、彼は色々な物を見続けてきた。
鋼の錬金術師を始めとする人間達と、お父様と呼ばれるフラスコの中の小人の生存競争。
中でも錬金術士として興味を惹かれたのが、自身も多少関わった超巨大な錬成陣の構築――国土錬成陣である。
国土をひとつまるごと使った錬成陣を敷き、その上で暮らす人々の魂を余すところなく蒐集、集めた巨大な力で“真理の扉”をこじ開けるための物だった。
国家錬金術師に選出されるほどの練達の錬金術士であるキンブリーだが、さすがにこの巨大な錬成陣を独力で再現するのは不可能だ
しかし、発想とイメージだけ盗んで他に流用する事は、決して難しくはない。

錬成陣を巨大化させて、効果を及ぼす範囲を拡大。
人間の魂を人の起点に用いる事で効果を増幅。
円状に魂を配置する事で力を循環させる。

キンブリーが新都の会合で同盟者達に語った、血の紋を刻むという言葉の意味――それは、この冬木市に国土錬成陣を模した巨大な錬成陣を敷くという事。
NPC達にした細工とはつまり、彼らの時限爆弾化。
キンブリーが合図を送る事で彼らは一斉に起爆し、その魂の氾濫はひとつの陣を描き出す。
すなわち――キンブリーの二つ名、紅蓮の錬金術の超巨大な増幅回路とする。

「さて……あらかた、敵のキャスターの細工は一掃できましたね」

キンブリーはライダーによって判明した敵のスフィア盤を潰して回っていた。
およそ半数を潰したのだろうか、各所で結界の綻びが見られるようになってきた。
残ったスフィア盤が結界の負担を引き受けているが、さすがに処理能力の限界を迎えつつあるのだろう。
丹念にそのほころびを見て回った結果、位相をずらして保護されていたNPCを発見する。

「おや、いましたね。ふむ、アクセスは……可能ですね。ここはもう空間の境界が曖昧なのでしょう」

キンブリー自身は転移などの空間魔法には精通していないが、壊れかけの結界の内側に入れば干渉は可能となる。
そこにいたNPC達に仕込んだ時限爆弾化のスイッチを確かめ、問題なく稼働する事を確認した。
しかし、未だ空間の向こうに隠されているNPCが多すぎる。
円で循環するとはいえ、利用できるのはおよそ半数ほどか。

「当初の予定ではこの都市錬成陣で敵の本陣を一気に潰すはずでしたが、このNPCの数ではもう望めそうもありませんね。
 ふむ……ならば目標を変えましょう。結界の綻びの中にいるNPCを起爆させ、結界そのものを破壊する」

ふと焔の錬金術師を思い出し、キンブリーが指を鳴らす。
それを合図に、キンブリーの目の前にいたNPC達が次々に爆弾化・炸裂していき――爆発は連鎖していく。
閉ざされた空間の内部からの、連鎖する自壊。

「これで結界は破壊できるでしょう。仕事は果たしましたので、後は頑張ってください、皆さん」

呟き、キンブリーは踵を返す。
後は誰が生き残るのか、高みの見物をするだけでいい。
錬金術士は、紅蓮の炎の中にゆっくりと歩み去っていく。


778 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:09:28 M5ai.kw60

              ◆



「……ほう。驚いたな……我が時の止まった世界に入門してくるとは」

全てが静止した世界で、ただ一人アーチャーだけが自由に動ける。アーチャーはコツコツとこちらに歩いてくる。
アレックスは時間の止まった世界を知覚している事を実感し、左腕の荷電粒子砲を向けようとした。
だが――動かない。
意識は鮮明に活動しているのに、身体は指一本も動かせなかった。

「令呪を使ったか? 大したものだ、よもやそこまで強力な耐性を備えているとはな。
 だが惜しい……届いていない。お前は時の止まった世界を知覚できるようになっただけだ。
 この世界の中で動く事を、まだ許されていない……」

ARMSとはナノマシンの集合体。
耐性を創りだすという事はつまり、ナノマシンがその攻撃の組成を分析し免疫を作るという事。
質量や熱などの物理に作用する攻撃には抜群の反応を示す。
しかし、物理法則の外にあるもの――時間という“概念”あるいは“法則”は、令呪を用いたとはいえ一度で分析しきれはしなかった。
かつて空条承太郎が時を止める能力に目覚めた際、最初は少しずつしか動けなかったように。
アレックスが時の止まった世界を完全に打ち破るには、ナノマシンの経験が圧倒的に不足している。

「もう一度やればわからんがな。だが、私はそんな機会を与えるほどマヌケじゃあない……」

アーチャーは懐から大振りのナイフを引き抜いた。
なまじ知覚だけができてしまうので、時の止まった世界でこれからあのナイフに刺されるとわかっていも、見ている事しかできない。

「アーチャーッ……!」
「無駄ァッ!」

アレックスの胸板に、大型のナイフが叩き込まれる。
同時に時間停止が解除――衝撃が一気に襲ってきて、アレックスは吹っ飛ばされた。

「ぐうっ……これしき……!」
(アレックス! どうした、大丈夫か!?)

時が止まっている間の事は、アレックスしか知覚できていない。
突然負傷し這いつくばったアレックスの姿に、令呪を用いたカウンターが失敗したのかと陽介が焦っている。

「マスター、もう一度だ! もう一度やれば、完全な耐性を作り出せるはずだ……!」
(大丈夫なのか、アレックス!?)
「致命傷ではない、すぐに治る。それよりも令呪を……!」


779 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:10:47 M5ai.kw60

パスン、と小さな音がした。
アーチャーではない。奴はまだ前方でにやにやとアレックスの醜態を眺めている。
顔だけ振り返らせると、そこには学園で交戦したあのアサシンがいた。

「……ッ!」

本能的に“帽子屋”を起動させ、荷電粒子をそのアサシンに浴びせ掛ける。
そいつは何の対抗もなく、至極あっさりと光の束に呑み込まれて、消えた。
天を裂く一筋の光。直撃すれば消滅は免れない、凄まじい力を秘めた光だ。

「やれやれ……大したものだな。まるで太陽の如き凄まじき力だ」

そこに音もなく忍び寄ってきたのは、今し方灰にしたばかりのアサシンと瓜二つの男だ。
あれが“D4C”で生み出された分身ならば、この男もまたそうだということになるか。

「何体いるのか知らんが、その程度の力で勝てると思ったか? この俺に舐められたものだな、アサシン」
「勝てるとは思っていないさ。そう……お前が勝手に負けるだけだ」

アーチャーを睨みながら、もう片方の腕をアサシンにつきつける。
“死”そのものである荷電粒子弾ける砲口を向けられて尚、現れた新たなアサシンは怯まない。
ならばこいつもまた分身であるのか。

「構わん、何体出てこようと消し飛ばすのみ」

アーチャーがいる以上脅威度の低いアサシンとそれ以上の問答をする気もなく、アレックスは“帽子屋”の力をに叩きつけようとした。
だが、次の瞬間――アレックスの意思に反し、荷電粒子は収束せず、拡散していく。
それだけではない。全身を構成するナノマシンが一斉にエラーを吐き出してくる!
エラーの発生源は、先ほど撃破したアサシンに撃たれた拳銃の着弾点。

「なっ、何だ……?」
「効いてきたようだな。さすがだよ、市長」

感嘆の混じるアサシンの声に、アレックスは自身が敵の策に落ちたことを理解する。
ARMSが、魔力で構成されているとはいえ生前のそれをほぼ100%再現されたARMSが体内で軋んでいく。

「これは……っ!」
「堪能してくれ、ランサー。お前のために我がマスターが手ずから作成した特別製の毒だ」


780 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:12:36 M5ai.kw60

そのアサシンがまた手にした銃でアレックスに銃弾を撃ち込む。途端、エラーの発生箇所が倍増した。
思い返せば先ほど、最初のアサシンは一体何をしたのか。
肌に何か当たる感触はしたが、ダメージというほどの物はなかった。
攻撃ではないのならば、一体何を――その瞬間、アレックスの脳裏に生前の記憶が閃いた。
かつてエグリゴリの尖兵となったガウス・ゴールがオリジナルARMS“ジャバウォック”に対し使用したとされる対ARMS用コンピュータウイルス!
埋め込まれたAIに干渉し、ナノマシンを侵食し破壊する、いわばもう一つのARMS殺しと呼べるモノ。
無限に進化・再生する“帽子屋”のその特性自体を無効化する、ARMS限定の必殺の矢だ。
かつて同じARMSである“ジャバウォック”を追い詰めた、謂わば逸話の再現。
起源を同じくする“帽子屋”にも、通用しない道理はない。

「ぐっ……ぐおおおおお……!」
「ほう、抑えこもうとしているか。強靭な精神力だが、ではこれでどうかな?」

未だ胸に刺さったままのナイフへと、アーチャーが別のスローイングナイフを投擲する。
ナイフ同士が衝突した瞬間、激しい爆発がアレックスの胸元で炸裂した。

「があっ……!」

大きく胸元が抉られた。とはいえ、これはただの爆発だ。
ARMSを以ってすればすぐに再生できる類のダメージである。ARMSが正常に稼働しているならば――の話だが。
突然ダメージを受けナノマシンは、とにかく損傷箇所を再生しようとする。
しかし“帽子屋”は今、まともに制御できていない状態である。
アレックスの全身を包む軍服が弾け飛んだ。意図していない“帽子屋”の最大稼働――完全体への変態が始まったのだ。

「アレックス……何を思って真名を秘匿せずにいたのかは知らないが、おかげで対策は容易に取れた。
 お前がどれだけ強かろうとも、こうなっては形無しだな」

今やアレックスにはアサシンの言葉など届かない。否、その存在すら気に留めている余裕が無い。
ウイルスの影響で体内のナノマシンが一斉に誤作動を起こしている。
暴れ狂う“力”を全身で押さえつける。そうせねば、今にも“帽子屋”が暴走を開始してしまうのだ。
自身の意志で制御できるはずのARMSが、まるで別物にすり替えられたような錯覚さえ覚える。
アレックスは今、内側から自身を食い破ろうとする己の力そのものに必死に抗っていた。

「弱点を突いたとはいえ、脆いものだな。だが好機は好機だ。殺らせてもらうぞ、ランサー」

ゆっくりとアーチャーが近づいてくる。実体化するスタンド“世界”。
本来ならば、如何に強力であっても単純な打撃ならARMSには通じはしない。
だが、今のアレックスの状態ではどんな攻撃も防げない。
死が迫り来る。それがわかっていても――アレックスは動けない。


781 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:14:08 M5ai.kw60

(鎮まれ、“帽子屋”……! 俺に……従え! 今戦えねば、何のために二度目の生を拾ったというのだ!)

もし少しでもアレックスが“帽子屋”の手綱を離せば、暴走はあっという間に頂点に達するだろう。
行き着く先はあの闘争の丘――“ジャバウォック”に敗れた時と同じ、際限なくエネルギーが上昇するメルトダウン。
果ては地殻に沈みミニサイズの恒星と化し、アーチャーとアサシンのみならずこの冬木市そのものを消滅させる。
無論、そうなる前にムーンセルによる介入があるだろうが、果たして間に合うかどうか。
間に合わなければ、敵も味方も全員が吹き飛ぶ。マスターである花村陽介も、目的を同じくする仲間達も。

「それ……だけは……!」

高まる熱を抑え続けるアレックスだが、自分だけではとても抗しきれない。
アーチャーが“世界”をアレックスに向け疾走させる。

「終わりだ、ランサーッ!」

“世界”の強靭な拳を以ってすれば、ARMSの稼働していないアレックスの頭蓋など簡単に砕き割られる。
そうなれば再生どころではない。過度のダメージで一気に死んでしまうと、再生のための魔力などどこからも湧いてこないからだ。
二度目の死を覚悟したアレックスだったが、“世界”の拳が着弾する寸前、突如アレックスの視界を遮る者が現れた。
それは、白銀の鎧と青の衣を纏い、黄金の剣を振りかざす騎士達の王。

「はああああッ!」
「な……なにィッッ!?」

放たれた“世界”の拳を真っ向から受け止め、弾き返す。
小柄な少女が、驚愕に立ち尽くす吸血鬼とその屈強なスタンドへ真っ向から挑みかかる。
数あるスタンドでも随一のパンチの速さを誇る“世界”が左右の拳を速射砲のように繰り出す。
目にも留まらぬ――アレックスですら目で追えない超高速のラッシュを、令呪で強化されたセイバーはことごとく受け止め、躱す。
もはや隠す意味無しとその刀身を晒した“約束された勝利の剣”が夜闇に閃く。
吹き上がる鮮血は確かに敵手であるアーチャーのものであり、セイバーが接近戦を信条とする近接パワー型スタンドに正面から打ち勝った証だった。

「チィッ……、セイバーか!」

アーチャーが後方へ飛び、間合いを取る。
肩口から袈裟懸けに切り下ろされた傷口からはシューシューと湯気が立ち、再生が始まっていた。
時刻は未明、夜の中。アーチャーの吸血鬼の特性が最も強く発揮されるこの時間、多少の傷は致命傷足り得ない。

「ランサー、無事ですか!」
「セイバー……か。すまん、助かった……」
「一体どうしたのです、その姿は?」
「奴らにウイルスを打ち込まれた……俺のARMSを……っ、暴走、させる気だろう」
「……退いてください、ランサー。キャスターに転移してもらえば」


782 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:16:19 M5ai.kw60


一目でアレックスが戦える状態ではないと判断したセイバーは、彼を逃がす事を考えた。

「駄目だ……今の俺の状態では、マスターの側に戻るわけにはいかん」

しかし、それはランサー自身が拒否した。
メルトダウン寸前の“帽子屋”を沈静化させずに生身の人間であるマスター達の元へ戻る訳にはいかない。
サーヴァントであるセイバーやアーチャー、アサシンだからこそ近くにいても耐えられるが、人間ならば放たれる熱波で死んでもおかしくはないのだ。

「では、私があなたを連れて……」
「楽しそうじゃないか。俺も混ぜろよ」
「セイバーさん、アレックスさん!」

そこに、サーフボードのように変形したアギトトルネイダーを駆ったディケイドと、タジャドルコンボへ変身したオーズが現れる。
オーズはこなたより状況を伝えられ、ディケイドはセイバーの後を追ってきたのだ。

「ライダー、あなたが来たということはガウェインは?」
「今、キャスターさんの迎撃魔法を使って何とか押し留めてます!」

その時、突然に地面が揺れたような錯覚を感じた。
地震など起こっていない。だが気のせいではない。
オーズもディケイドもアーチャーも、誰もが今の奇妙な感覚を感じていたようで、辺りを見回している。

(セイバー、まずい! 結界が破られた!)
「シロウ!? どういう事です?」
(わからない、急にキャスターの放ったスフィア盤が全部破壊され……  ……)
「シロウ? ……シロウ!」

士郎との念話が、急に断たれた。
結界が破られたという事は、本陣である遠坂邸の地下へも侵入が可能になったという事を意味する。
この場にいない敵は、キャスターとアサシン。
キャスターが結界を破ったとすれば――本陣を強襲するのは、暗殺者たるアサシンを置いて他にない。
向こうは念話もする余裕も無いほど逼迫しているのか。
まずい状況だと、セイバーは歯噛みする。
何を置いても迅速に帰還するべきだ。だが目の前には敵がいる。
キャスターの転移を頼ろうにも、おそらくアサシンが接敵している状況ではおいそれと転移魔法を行使する隙も与えてくれないだろう。
オーズならこなたの令呪を使えば転移で戻れるかもしれないが、そうすると今度は動けないランサーが危険だ。セイバー一人では護りきれない。
加えてガウェインも、いつまでもランスロットを足止めしていられないだろう。
これ以上どこかが崩される前に、敵を突破して状況を覆さなければ――


783 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:18:29 M5ai.kw60

「……オーズ、援護してください。アーチャーを仕留めます」
「セイバーさん!? でも、こなたちゃん達が」
「私達のマスターと、キャスターを信じましょう。本当に危険なら令呪で貴方を呼び戻しているはずです。
 目前にアーチャーがいる、今しかありません。撤退するにも一度彼らを叩いて、追撃の余力を削いでおかなくては。
 あなたはディケイドを抑えてほしい……頼みます」

アーチャーさえ速攻で倒してしまえば、ディケイドもオーズとの二人がかりで対処できる。
そうでなくてもオーズが本陣に戻る余裕が生まれる。
オーズを狙っているディケイドに向かわせるのには大きな危険が伴うが、逆に言えばオーズだけがディケイドの注意を惹きつけられるとも言える。
もう選択肢は他にない。

「……わかりました、ディケイドは俺が止めてみせます!」
「待ってたぜ、この時を……かかってきな、仮面ライダーオーズ!」

強化フォームとなったディケイドに対抗するために最適なのは、やはりオーズ最強のコンボであるプトティラだろう。
しかしプトティラコンボはオーズ自身の意志で発動させる事はできない。
オーズが絶対的な命の危機に瀕するか、令呪の強制がなければ使えない力なのだ。
悩んだ末、オーズが選んだコンボは機動性に優れたタジャドルコンボ。
火野映司が最も信頼する相棒、アンクの力を具現化させた形態だ。

「行くよ、アンク……おおおおっ!」

専用武器タジャスピナーにセットしたコアメダルから力を吸収し、全身に炎を纏ってディケイドへと突撃していく。
ディケイドもまたカードをライド。呼び出したライダーはブレイド。
ファイナルフォームライドでブレイドを変形させ、巨大な剣・ブレイドブレードとして構える。

「さあ、来なオーズ! お前もこいつのように破壊してやるよ!

オーズとディケイドが戦闘を開始したのを見て、セイバーは改めてアーチャーへと向き直る。
アーチャーは悠然と構えている。胸の傷は既にほぼ癒えており、吸血鬼の再生能力の高さを物語っていた。

「クー・フーリンの次はアーサー王か。つくづく私は母国の英雄と縁があるものだな」
「ランサー、あの誇り高い戦士を葬ったのは貴様だったな、アーチャー。敵討などと言うつもりはないが、覚悟してもらおう。貴様の首は私が穫る」
「やれやれ、ランサーにも言ったのだがな。あいにく誰にもこの首はやれん。
 首を落とされたくらいで死ぬ事はないが……このボディは永遠に、我が未来であり続けるものだからな」
「戯言を……!」
「そこのランサーは私の世界に押し入り、あのザマだ。私は無粋な訪問者を許さない……さあ、貴様もだセイバー。我が“世界”の前に屈するがいい!」

ランサーの時間停止破りは失敗に終わった。
だからなのか、アーチャーは自分の宝具の絶対性を微塵も疑っていない。
ならばその傲慢を打ち砕くのが、セイバーのやるべき事だ。


784 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:19:40 M5ai.kw60

「“世界”! 時よ……」
「遅いッ!」

アーチャーが時を止める直前、残像すら残す勢いで踏み込んだセイバーの斬撃が奔る。
寸前でスタンドの防御が間に合ったものの、アーチャーの前髪が数本裁ち落とされた。

「時間を止める暇など与えるものか!」

余裕を見せて近距離まで接近したのは間違いなくアーチャーの失策だ。
連続して畳み掛ける事で時間を停止させるタイミングを与えない。身体能力でアーチャーを大きく上回るセイバーだからこそできる芸当だ。
縦横無尽に振り回される聖剣の軌跡に、リーチで劣るスタンドの拳はやがて追いつけなくなっていく。

「ぬうう……調子に乗るなよ、セイバー!」

追い詰められたアーチャーが、スタンドは防御させたまま自身の顔に魔力を集中させる。

「喰らえいッ!」

“空裂眼刺驚”――吸血鬼だった時代、宿敵であるジョナサンをも葬った吸血鬼ディオ・ブランドー最後の切り札。
眼球内の体液をそのまま射出、視線がそのまま死線となる吸血鬼ならではの技。
しかしセイバーは、軽く首を傾けてこれを躱す。
元よりわざと隙を作って撃たせたのだから、余裕を持って回避できた。
返す刀で“世界”の片腕を肘から斬り上げる。
高く宙を舞い、遠くに落ちる音がする。

「GUAAAAAAAAAAAッ! き、貴様……この俺の腕を!」
「幕引きだ、アーチャー!」

時間を止めさせずに倒せるのなら、それが一番いい。
だが――

「……ッ!」

アーチャーを両断しようと振り上げた剣は、横合いから飛んできた光弾を弾くために動く。
ディケイドが押し負けそうなアーチャーを見かねて援護してきたのだ。

「今だ、アーチャー! 時を止めろ!」

その一瞬の隙だけで十分だった。
アーチャーが魔力を練り上げ、片腕のない“世界”へと注ぎ込んでいく――


785 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:21:01 M5ai.kw60

「……ここだッ!」

セイバーもまた、令呪によって増幅された膨大な魔力を余すところなく聖剣の鞘へと流し込む。
魔力量ではセイバーに軍配が上がる。始動が遅れても十分に取り戻せる!
発動はほぼ同時――否、セイバーの方が僅かに、早い。

「“全て遠き理想郷”!」
「“世界”! 時よ止まれ!」



空白の時間――
“世界”は発動し、時は止まった。

「は……ははは、どうだセイバー。ランサーと同じだ、所詮お前は我が世界では……!?」

いつも通りの世界。
勝ち誇ろうとしたアーチャーだが、ゆっくりと剣を構えたセイバーを見てその笑みは凍りつく。

「アーチャー、貴様に私の時間は止められない!」

全てが静止した世界――アーチャーだけが動く事を許される世界。
しかし今、セイバーはその世界に入門を果たした――否、“自身の世界を保ったまま押し入ってきた”のだ。
これが“全て遠き理想郷”、妖精郷に自身を置きあらゆる干渉を遮断する、この世界最強の護り。
同じEXランクの神秘であるゆえ、“世界”の時間停止さえも受け付けない、セイバーの切り札。

「馬鹿な……何の制約もなく、我が世界の中を動けるだと……!?」

アーチャー、DIOを葬った空条承太郎でさえ、時間を止められるのは数秒というところだ。
しかしセイバーはアヴァロンを展開する事で一切の干渉を撥ね退ける。
誰も傷つけられない最強の防壁――その中にセイバーはいる。
そしてその効果時間は“世界”が時を止めていられる時間よりも長い。
やがて限界を迎え、“世界”が止めた時が動き出す。

「獲ったぞ、アーチャー!」

一度時を止めれば次に止められるまで数秒の呼吸が必要となる。
しかしセイバーはその隙を与えるつもりはない。
いくら斬っても再生し、首を落としても死なないのならば、全身を消し飛ばせばいい。
セイバーの誇るもうひとつの宝具――星に鍛えられた神造兵装、騎士達の王のみが振るう事を許される、最強の幻想。
もはや躊躇う理由はない。
アーチャーの背後には友はおらず、一度時間停止を破った今、隙を突かれる心配もない。
ディケイドはオーズが抑えてくれている。
“全て遠き理想郷”の開放を収め、全ての魔力を手の中の聖剣に叩き込む。

「“約束された――”」

過去現在未来を通じ、戦場に散っていく全ての兵達が最期に抱く、“栄光”という名の祈りの結晶。
魔力を光と変えて、前に立つあらゆる全てを薙ぎ払う極光の剣。

「“勝利の――”」


786 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:22:11 M5ai.kw60















三度、時は止まる。















.


787 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:23:10 M5ai.kw60

振り上げた聖剣に束ねられた光もそのままに、セイバーの時間は完全に停止していた。
アーチャーがゆっくりと立ち上がり、怒りに満ちた視線を巡らせる。
その先にいるのは――仮面ライダーディケイド。

「何とか、間に合ったようだな」

“約束された勝利の剣”が放たれるより一瞬早く――ディケイドが、アタックライド・タイムを発動させた。

「セイバーさん!?」
「聞こえてないぜ、オーズ。あいつの時間は完全に止まったからな」

仮面ライダーブレイドが持つ、アンデッドの力のひとつ――タイムスカラベ。
任意の範囲の時間を停止させる、ディケイドがここまで切り札の中の切り札として隠し続けてきたジョーカーだ。

「ふん、話には聞いていたが……忌々しいな、私と同じ時間を操る能力とは」
「お前のほど便利じゃないんだがな」

これが、東の陣営が西の陣営を撃破するために練り上げた必殺の策。
時間停止をあえて破らせ、その後再度時間停止を仕掛ける二段構えの作戦。
ランサーには耐性を作ってしまうため通じないが、宝具の影響で回避するセイバーには必ず効くと確信してディケイド達はこの戦場を作り上げた。
アーチャーが時間停止を使ったのは、あえて一度破らせるため。
アーチャーを破ったその時こそ、もう一つの時間停止を仕掛ける好機。
セイバーは予想通り、アーチャーを完全に葬るべく“全て遠き理想郷”を解除して“約束された勝利の剣”を使おうとした。
どれだけの魔力供給があろうと、この二つの宝具を同時に行使する事は不可能だ。
その隙を狙ったディケイドの作戦は、これ以上もなくうまく炸裂した。

「ディケイドォッ!」

無論、オーズと戦いながらスカラベタイムを発動させたディケイドもまた無傷ではない。
タジャドルコンボの火炎をまともに喰らい、その左腕は焼け焦げている。
だがこの負傷と引き換えにしただけの成果はあった。

「アーチャー、もういいか?」
「構わん、動かすがいい」


788 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:24:53 M5ai.kw60

ディケイドからブレイドブレードを受け取り、アーチャーがセイバーの背後に回る。
アーチャーの時間停止と違い、スカラベタイムによって停止した対象には触れる事はできない。
完全に時が止まっているため、変質を齎すあらゆる行動はその対象には届かないのだ。
ディケイドが今までスカラベタイムを使わなかった理由もここにある。
時を止めても攻撃できないのでは意味がない。ただ単にこちらが消費するだけだからだ。
しかし、ディケイドに味方がいるなら話は別だ。
時を止められ無防備になったところを、万全の状態の味方が狙い撃つ――

「させない……!」
「無駄だライダー、無駄無駄……」

オーズがアーチャーを止めようと迫る。
だが、一歩遅い――ディケイドが止めた時が動き出す。

「――“剣”ッ!」
「“世界”ッ! 時よ止まれッ!」

そして、時が動き出した瞬間――ディケイドがスカラベタイムを解除した瞬間、アーチャーが四度、時間を止めた。
既に十分なインターバルは得た。“世界”の発動条件は満たされている。
そして今度こそ、アーチャーの他に動く者はいない。
一瞬だけ発動したセイバーの“約束された勝利の剣”は、もはや誰もいない場所へと向けられている。

「哀れなものだな、セイバー。しかし容赦はせん。このDIOの腕を奪った罪……その生命で贖うがいいッ!」


アーチャーは“世界に”構えさせたブレイドブレードを、セイバーの背後から心臓へ向けて全力で突き刺した。
刀身が鎧を砕き、セイバーの肉体へ侵入してもまだ終わらない。

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ――――――――!!」

残った片腕で柄頭をひたすらに殴りつけ、剣を埋めていく――

時を止めていられる限界まで剣を殴り続け、ブレイドブレードは完全にセイバーの胴体を貫いた。
そして時は動き出す――


789 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:25:54 M5ai.kw60

              ◆



――ルルーシュ達に、誤算があったとするならば。
彼らが月海原学園で調べ上げたディケイドの能力は、“ディケイド単体の能力”だったということになる。
もちろん、門矢士――仮面ライダーディケイドが他の仮面ライダーの力を我がものとして使えるということはわかっていた。
カブトのクロックアップやファイズのアクセルフォームなどの超加速、フォームライドによる召喚・変形など。
だがそれらはあくまでルルーシュ達が実際に交戦し、見て取った情報から得た物にほかならない。
泉こなたは何故か例外的にそれらの知識を保有していたが、それも自在に引き出せるものではなかった。

ギルガメッシュ、という英霊がいる。
古代ウルクの王、万夫不当の英雄王。
彼が所有する財宝の蔵には、やがて世界中に散逸し英雄達の無二の宝具となる武具・道具の数々が収められてきた。
その“宝具になる以前の武具”を自在に取り出し、あるいは弾丸として発射するのがギルガメッシュの闘法である。
だが――彼がいかに無数の宝具を所有していようとも、ギルガメッシュは決してそれら宝具の“担い手”ではない。
故に、喩えクー・フーリンの“刺し穿つ死棘の槍”やアルトリアの“勝利すべき黄金の剣”の元となる武器が蔵にあっても、ギルガメッシュはそれらをただの武器以上には活用できない。
その原典たる武器を宝具として昇華したのは、それらを用いて己が時代を生き抜いた英雄のみ。
だからこそ、ギルガメッシュの宝具は“王の財宝”というそれらを総称した呼び名で示される物であり、一つ一つの武具の名前ではない。

同じ事が、門矢士――仮面ライダーディケイドにも言える。
仮面ライダーディケイドとは、“ディケイド”という一人のライダーが九人の異なる仮面ライダーと絆を結び、あるいは破壊して力を取り込んだ存在。
自身に加え九人の仮面ライダーの力を自在に操る規格外のライダーである。
だが、宝具の原典を所有すれど担い手ではないギルガメッシュと同じく、ディケイドもまたその九人の仮面ライダーと同質の存在ではない。
あくまで力を借りている、あるいは奪っているだけ。クロックアップやアクセルフォームなどは“ディケイド固有の能力ではない”。
だからこそ、ディケイドが未だ伏せている“九人の仮面ライダーの力”に関して、ルルーシュ達は知り得る事ができなかった。
それを知りたいのならば、改めてそのライダー達の真名を調べ、図書館にアクセスする――“ディケイドとは別個のサーヴァントとして他のライダーを調べる”、この方法しかなかったのだ。


790 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:27:03 M5ai.kw60

ただし、それが可能かというとまた話は違う。
かつて火野映司、仮面ライダーオーズはディケイドや他のライダーと協力して戦った事がある。
クウガ、アギトなどのディケイドの力の源となるライダー達も当然知っているが、彼らと出会ったのは戦場での事。
戦士としてのライダーの名前は聞いていても、彼らの本名や素性を詳しく知っている訳ではない。
同じ事はこなたにも言えた。こなたの知識の範疇に、確かに彼らは存在している。
しかし思い出せたのは実際にディケイドが見せたファイズやキバの姿や名称と、おおまかな能力のみ。そのライダー達の真名まで引き出せた訳ではないのだ。
クウガやアギトは複数の形態に変身する、龍騎やブレイドはカードを使って能力を発揮する、など、本質を捉えてはいても全てではない。
こなたが彼らの能力を知ったある方法で、彼らが能力を全て曝け出していないのならば――こなたが知る道理も、思い出せる道理もない。

もしルルーシュ達がディケイドの持つ力、九人の仮面ライダーの力を隅々まで知っていたならば、決してディケイド達を迎撃しようなどとは考えなかっただろう。
何故なら敵にはアーチャー――時間を止める脅威のスタンド使いがいる。
ただでさえ彼に対抗できると断言できるのは“全て遠き理想郷”のあるセイバーだけなのに、さらにディケイドまで時間を止められるのならば、勝算は限りなく低くなる。
アーチャーの正体がDIO、吸血鬼という事はわかっているのだから日の出まで逃げ回ればいい。それだけでDIOは無力化できるのだから。
時間を止められるのがディケイド一人だけなら対処は容易だ。セイバーが適切な機に宝具を開放するだけでいい。
そうしなかったのは偏に、彼らが敵の能力の見積もりを誤ったからだ。

結果――

「がっ……!」

“全て遠き理想郷”、そして“約束された勝利の剣”。
二つの超宝具を連続して放つという、並の英霊では消し飛ぶ以外道はない荒業を披露しようとしたセイバーは、背後から真っ直ぐに心臓を貫かれていた。
アーチャーを確実に葬るために、持てる全ての力を“約束された勝利の剣”に注ぎ込んでいたのだ。
時間を止められ、背後から心臓を狙われてはいかに力を増したセイバーといえども防げるはずもなかった。

「せ……セイバーさん!」

心臓を貫かれれば、再生を強化する宝具やスキルでも持っていない限りはどんなサーヴァントでも即死するだろう。
セイバーがまだ死なずにいたのは、偏に強靭な生命力を有する竜の因子を保有していたからに他ならない。


791 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:29:04 M5ai.kw60

「まだ息があるとはな。アーチャー、とどめを刺せ……」

そういうディケイドの息も荒い。
オーズから負わされたダメージに加え、時間停止という強力な手札を切った代償だ。
特にそういった逸話を持たないディケイドが時間を止めるには、カードの力を借りたとしてもかなりの消耗を強いられる。
そしてアーチャーがセイバーを葬るためにブレイドブレードを酷使した結果、ブレイドもまた砕かれていた。
消耗の度合いで言えばセイバーの次に大きいのだ。

「わかっている。だが……」
「させるか……!」

そうはさせじとオーズがディケイド、アーチャーへと向かっていく。
誰もが消耗しているため、すぐには決着がつかない。
そんな中、死に瀕したセイバーは、ただ己のマスターに想った。

(シロウ……どうか、私に……)

ただ一つの願いを、成し遂げさせてくれと。


792 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:32:41 M5ai.kw60

              ◆


四人目のアサシン、D4Cを持つ本体は、遠坂邸を監視していた五人目の大統領と合流した。
持っていた対ランサー用の弾丸を渡し、六人目の援護に向かわせた。
弾丸は一発で十分な効果を持つはずが、念を入れるに越した事はない。
屋敷の間で待つこと、しばし。

「……結界が解除された。キャスターがやったか」

ならばとアサシンは地下室に侵入していく。
キャスターの監視も、結界を破壊した直後の今なら恐れることはない。
堂々と地下室に入室したアサシンは、五人のマスター、そして一人のサーヴァントと対面を果たした。

「てめえ……アサシン!」
「数時間ぶりだな、キャスターのマスター。しかし残念だが話している暇はない……」

アサシンは今しがた入ってきたばかりのドアを閉め、また開く。その行為が意味するものは――

アサシンの宝具、“D4C”。平行世界にいる自分、もしくは他人をこの世界に連れてくる能力。
違う世界の同じ人物を接触させれば、存在の矛盾によりその人物の殺害も可能だ。
しかしこの聖杯戦争において、この戦術は今まで行使できていない。
その理由はひとえに、“サーヴァントを連れてくることが不可能”だからだ。
仮に違う世界のセイバーやランサーと接触したとして、貧弱なアサシンの能力ではこちらの世界に引きずり込む事は難しい。
その場で殺されるのが落ちだ。そうなれば、敗退しなかったとしても魔力の浪費でしか無い。
マスターならば強引に拉致してくる事も可能だが、それならそれでそのマスターの詳しい情報を知らねばならない。
ディエゴ・ブランドーのように、アサシンが素性や性格を詳しく理解している人間であれば存在する世界の座標が特定できる。
だがサーヴァントと違い、マスターの情報を知る事は中々に難しい。そのため、この聖杯戦争ではD4Cの真の力は発揮できないでいた。

だが、この場にはただ一人、アサシンが素性や性格、能力を詳細に把握できる人間がいた。
それは誰あろう、ガウェインのマスターであるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアである。
親友、枢木スザクはルルーシュにまつわるほぼ全ての情報を保有している。
年齢、体格、出身、嗜好、そしてギアスという能力。
それだけの情報があれば、D4Cでルルーシュがいる世界を特定し連れて来ることは令呪を使わずとも容易だった。

今、その成果が曝き出される。
アサシンがドアに挟んだ手から引っ張りだしたもの――それは紛れもなくルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。
ただしそれは、別世界のルルーシュであると誰もが認識している。
アサシンに乱暴に突き飛ばされた別世界のルルーシュは、冷たい床に投げ出されて目を白黒させる。


793 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:34:23 M5ai.kw60

「痛っ! なんだ、一体何が……」

平然としているのはその行為を行ったアサシンただ一人。
アサシンの能力は既に開示されている。つまり別世界のルルーシュ以外の全員が、彼がこの場に存在することの意味を知っている。
“ひとつの世界に同じ人物は存在できない”。
花村、名無、士郎、こなた、そしてキャスターが一斉に振り返る。
視線の先にいるのは――もうひとりの自分に向かって拳銃を構えたルルーシュ。

「ルルーシュ!?」
「自分を撃つ事になるとはな……!」

連続する銃撃音。
ルルーシュは躊躇いなくもうひとりの自分に向かって銃を乱射した。

「が……は……!?」

別世界のルルーシュも、基本的には生身の人間だ。
魔術師でもペルソナ使いでも13騎士の使い手でもない彼は、ただの銃弾であっさりと死に至る。
かつてゼロレクイエムの仕上げとして自分を枢木スザク扮するゼロに討たせたルルーシュではあったが、今度は自分で自分を殺す事になってしまった。
崩れ落ちたもう一人のルルーシュが果たして何を考え、何を願っていたのか。知る術はもうない。
それほどまでに一瞬の――誰も何も口を挟む暇もない、一瞬の自殺劇。

(だが、俺がやらねばならなかった事だ……)

喩え別世界の、今の自分とは異なる自分といえど、優しい仲間達はきっとそのルルーシュを殺せない。
ならば幕を引くのは他でもない、この世界の自分だけだとルルーシュは判断し、撃った。
考えてみればこの聖杯戦争が始まって、ガウェインに令呪で命じた事を除けば人に手を下したのは初めてだ。
それも相手は別世界の自分。誰かが誂えたような皮肉な展開だ。

「ほう、まさか自分で自分を始末するとはな。この状況を予測していたか?
 ……だが、残念だな。我が“D4C”の能力は、“殺したくらいでは収まらんぞ”」

しかし、必殺の策をあっさりと破られた側であるアサシンは寸毫も動じていない。
別世界のルルーシュを呼び込んだ目的は、彼らを動揺させるためというのが一つ。
もう一つは――

「ぐ……ぐあぁぁぁあああああっ!」

絶叫が地下室に谺する。
ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを構成する人体の各所から、手のひら大の四角い肉片が続々とせり出されていく。
“細切れのスポンジのように崩れていって”いるのだ。


794 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:35:12 M5ai.kw60

「違う世界のルルーシュが死んでも、アサシンの能力は解除できないのか!?」
「ルルーシュっ! まだだ、スサノオ……ディアラマ!」

陽介が、進化したペルソナでであるスサノオを召喚し、回復魔法をルルーシュへとかける。
押し出されてきた肉塊が再び体内へと押し込まれていき――すぐにまた、ぐいぐいと引きずり出されてくる。

「がああああ……!」
「回復しない? なんでだよ!」
「肉体が崩壊するスピードの方が早いんだ! これではいくら回復魔法を掛けても……!」
「“同じ世界”に“同じ二人”が存在する事はどんな者だろうと出来ない……この私の、スタンド能力以外はな」

陽介に続き、キャスターもルルーシュへと回復魔法を連続して掛ける。
だが、一時的に肉体の損傷が回復してもすぐに何処か別の部位が崩れていく。
その度にルルーシュは激痛で絶叫し、のたうち回る。噴き出る鮮血にこなたが思わず顔を覆った。
別世界のルルーシュの“死体”をアサシンが拾い上げ、スタンドの手刀でその首を切断――尊い物を得たかのように頭上へと掲げる。

「セイバーのマスター、お前に敬服を示そう。この状況で瞬時に自分を撃てるお前には、確かに“覚悟”があった。
 撃っていいのは撃たれる覚悟がある者だけだ。だが、“射殺する”のでは足りなかった。
 知っているのだろう? 我が“D4C”の能力を解除する、たったひとつの方法を」
「別世界の人間を、殺すのではなく“別世界に送り返す”……!」

アサシンの言葉を士郎が引き継ぐ。
殺すのではなく、この世界から追い出す。それこそが確実な死を齎すパラドックスから逃れるたった一つの方法。

「さあ、どうする。前線で戦っているサーヴァント共を呼び戻すか? それともキャスター、お前が私と戦うか?
 どちらでも構わんぞ。だが……今サーヴァントを呼び戻せば、我らの勝利が確定するだけだがな」

告げるアサシンの言葉に、ルルーシュの回復にかかりきりのキャスターと陽介以外のマスター達がそれぞれのサーヴァントの状態を確認する。
陽介が時間停止に対抗する令呪を行使した瞬間にアサシンが突入してきたため、確認している暇がなかったのだ。

こなたのサーヴァント、オーズから前線の状況が詳しく伝えられる。
アサシンの攻撃によりアレックスのARMSが暴走し、ほぼ無力化された。
アレックスを護るためセイバーが駆け付け、同じくディケイドとオーズも集結した。
ガウェインは離れた所でバーサーカーを引き付けているため、現地にはアレックス、セイバー、オーズ、ディケイド、アーチャーが入り乱れている事になる。


795 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:35:49 M5ai.kw60

「キャスター、転移でランサーをこっちに戻せないのか!?」
「駄目だ! あんな魔力と熱量を放射している状態でここに転移させれば、お前達が耐えられない!」
「じゃあどうすれば……!」

ディケイドとアーチャーそして敵のキャスターは動けないアレックスを狙って攻撃を仕掛けているため、セイバーとオーズは彼らへの攻撃よりもアレックスの護衛を優先せざるを得ない。
この状況でアサシン迎撃のためにどれかのサーヴァントを呼び戻せば、残った者が蹂躙されるだけだ。

「……リインちゃん、さっきのユニゾン……確か俺以外のマスター相手でも出来るって言ったよな?」

その時、静かに……名無がキャスターに向けて問いかけた。
彼の手には槍がある。13騎士のひとつ、槍王イルバーン――宝具にすら匹敵する、名無鉄之介の“力”が。

「あ、ああ……可能だが」
「じゃあ、リインちゃん! ほんとはさせたくないしむしろ俺がやりたいんだけどそうも言ってられないし悔しいけど涙を呑んで命令するぜ……“ルルーシュとユニゾンしろ”!
 身体が内側から崩れていくって言うなら、融合したリインちゃんなら崩壊を押し留められるはずだ!」


叫び、名無自身は槍王イルバーンを振り回してアサシンへと向かっていく。
キャスターにルルーシュとユニゾンさせるという事は、キャスターの援護なしでアサシンに立ち向かうという事だ。
だが、ルルーシュの状況を改善するには、アサシンが持つルルーシュの首を何とかして別世界に送り返さねばならない。
名無は躊躇いなくその死線へと飛び込んでいく。そうしなければルルーシュは助からないのならば。
大切な友を救うために身体を張る、それが名無鉄之介という男。

「うおおおおイケメンなんて死ねって思ってたけど実際死なれると寝覚め悪いだろコンチクショーがああああ!」

サーヴァントすら傷つけ得る、槍王イルバーンによる一撃。
さすがにまともに受けてはいられないと、アサシンが後退する。

「……キャスター、名無は俺が援護する! ルルーシュを助けてやってくれ!」

士郎が双剣を投影し、名無の後を追う。
だが如何に戦闘に向いた魔術師と槍王を持つ者といえど、サーヴァントと直接戦闘するのは危険すぎる。


796 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:37:32 M5ai.kw60

「俺からも頼む! ルルーシュが回復すれば、俺も手が離せる……アレックスを令呪で援護できる! だから、頼むキャスター……!」

この場は一刻も早くルルーシュを救い、状況を改善させねばならない。
ルルーシュが回復すれば陽介が令呪でアレックスを暴走状態から復帰させ、前線の状況を五分に戻す事ができる。
あるいはそのまま彼らを帰還させ、この場から転移で撤退する事も可能だ。

「ルルーシュの意識が混濁している今、私が主導するしかない……やれるか……?」

這いつくばるルルーシュの手を取り、キャスターが真名開放の呪言を唱えていく。
本来は装着する本体側からのアクセスが必要だが、正当な夜天の書の主以外とのユニゾンを想定して術式を改良したため不可能ではない。

「我が名は祝福の風、リインフォース――セットアップ!」

瞬間、キャスターを構成する魔力が解けて渦となり、ルルーシュを包み込む。
渦巻く魔力光がルルーシュの身体に吸い込まれ、物質化し、外敵を払う鎧――騎士甲冑となる。
かつてのゼロを彷彿とさせる漆黒の衣。
夜に溶け込む黒いマントが棚引き、魔術師然とした印象を与える。
しかしゼロとの違いは明白だ。その顔を飾るものは偽りの仮面ではなく、白銀に輝く髪。

「こ……これは……?」
「意識を保て、ルルーシュ! これよりお前の肉体の修復を始める!」

何とか意識を取り戻したルルーシュへ、融合したリインフォースが治療を開始する。
これでひとまずルルーシュは安心だと、陽介は令呪を解放してアレックスへと願いをかけた。

「令呪に命じる、アレックス……負けるな! 頑張れ!」


797 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:38:41 M5ai.kw60

              ◆


「令呪に命じる、アレックス……負けるな! 頑張れ!」

遠く離れていても、令呪は効果を発揮する。
具体的な命令ではない、ただの願い。
それでもその願いは、確かにアレックスへと届いた。
全ての可能性は願う事よりまず生まれる。
そして、その純粋な願いこそ――ARMSを動かす原動力。

「……う、む……?」

全身を苛んでいた痛みが嘘のように引いていく。
ナノマシンがアレックスの制御下に戻る。
令呪を用いた花村の願いによって強化された“帽子屋”がウイルスを克服したのだ。

「マスター、世話を掛けたな……俺がこのザマでは、申し訳が立たん……!」

ARMSの暴走によるメルトダウンは回避された。
だが――

「くそ……身体が動かん」

今のアレックスは体内の魔力を全て放出しきってしまっていた。
高まり続ける“帽子屋”の熱量、それを抑えるために必死に魔力を体表の冷却に回し――結果、魔力が枯渇してしまっていたのだ。
これではしばらくは魔力消費の大きい荷電粒子砲はおろか、完全体への変態も不可能だ。
令呪も既に二度行使してしまい、回復は望めそうにない。
アレックスはただ、目前で行われる戦闘を見守るしかなかった。

やがて――アレックスはセイバーが討たれた瞬間を目の当たりにする。
ディケイドとアーチャー、二人の強敵を前に――騎士王は崩れ落ちた。

「……そんな……」

しかし、そこで戦いは終わらなかった。
アレックスは確かに見た。
心臓を貫かれ、崩折れていたセイバーが――聖剣を支えにしっかりと立ち上がり、走り出していく姿を。


798 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:40:23 M5ai.kw60

              ◆


士郎が投擲した双剣をD4Cが叩き落としたが、同時に名無もイルバーンを振り下ろしていた。
さすがにこれは片手では防げないと、アサシンが別世界のルルーシュの頭部を放り出して防御の体勢を取る。
頭部は士郎が受け止めたが、そのためにイルバーンを受け止めたアサシンの横を、ひとつの影が通りすぎたのを止められなかった。
影は、アサシンの影に隠れ奇襲の機会を伺っていた枢木スザクだった。

「てめっ……!」

イルバーンで迎撃しようにも、がっちりとアサシンの“D4C”に掴まれていて動かない。
スザクの脚が閃き、名無の腹に深く打ち込まれる。

「げっ……!」
「マスター!?」

動きの止まった名無を、さらにアサシンのスタンドが殴打。完全に意識を奪い去った。

「よし、退くぞ枢木」
「わかってる」
「ま……待て、スザク!」

意識のない名無を担ぎ上げ、スザクが地下室を出ていこうとする。
まだキャスターはルルーシュの治療から離れられない。

「ルルーシュ……追ってくるといい。僕らのサーヴァントと一緒に、決着を着けよう」

そう言い残し、スザクとアサシンは姿を消した。
陽介がはっと我に返り、

「……そうだ、まずはルルーシュだ! 衛宮、ルルーシュの頭部を……?」

士郎に促す。
が、士郎は呆然と、自分の手を見詰め続けていた。


799 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:42:41 M5ai.kw60

「悪い、花村……お前がやってくれないか」

その手は既に黒く染まり始めている。
サーヴァントを失ったマスターに執行される、ムーンセルのデータ消去だ。

「ま……まさかセイバーが……?」
「そうらしい……今、念話で頼まれたんだ。最後の令呪を、使ってくれって……」

心臓を破壊されては、如何に“全て遠き理想郷”があっても十分な魔力を供給できず使用できない。
今から士郎が“全て遠き理想郷”を投影して、戦場に届けるのも――もう間に合わない。
セイバーの命はあと数秒、あるかどうかだ。

「悪い、陽介、ルルーシュ、泉。名無の事、頼んだ」
「おい、待て衛宮!」

陽介が必死に制止してくる。
当然だ、目の前で友人が死にかけているのだから。
申し訳ないとは思う――しかし、それ以上に、セイバーの最期の願いを果たしてやりたいという想いの方が強かった。

(じいさん……悪いな。俺、最期までじいさんと、わかりあえなかったよ……)

衛宮切嗣、そしてディケイド。
彼らを止めるのは自分達の役目だと、セイバーは願った。
ならば――

「令呪を以って命じる。セイバー――立ち上がり、ディケイドを討て」

この命令だけは、士郎が下さねばならないものだ。


800 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:44:05 M5ai.kw60

              ◆


「……何?」

間の抜けた声は、ディケイドが漏らしたものだった。
オーズの猛攻を何とか凌ぎ、アーチャーとともに反撃に転じようとした所――ディケイドの身体は、背後から聖剣によって貫かれていた。
何とか後ろへ首を回すと、そこには全身のデータを黒く消去されながらも聖剣を構え、身体ごとディケイドに体当りしてきたセイバーの姿があった。

「きさ……ま……!」
「シロウ……ありがとう」

反撃の必要もない。
ディケイドが少し身じろぎしただけで、令呪で強引に動いたセイバーの身体は魔力となって霧散した。
倒れるディケイド。セイバーと同じく、もう助かる術はないだろう。

「ディケイド……?」
「ほう、これは意外な展開だ。まさかライダー、お前もここで脱落とはな」

呆然とするオーズと対照的に、アーチャーは愉快そうに笑っている。
目の前で起こったことが信じられないのは、ディケイドも同様だ。

セイバーを討ったと思ったら、そのセイバーの最期のあがきで致命傷を負わされている。

「くそ……こんな……俺が……こんな事で……!」
「苦しかろう、ライダー。ではとどめを刺してやろう」

組んでいても、決して信頼できる味方ではない。
ディケイドが弱ったと見るや、アーチャーはすぐさま牙を剥こうとした。

「む……何!?」

しかし――アーチャーの拳がディケイドへ振り下ろされる事はなかった。
アーチャーの姿は一瞬で消え去ったからだ。

「消えた……なんで?」

残されたのは、オーズと消え行くディケイドのみ。
灼熱の戦場は、一転して静寂に包まれた。


801 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:45:52 M5ai.kw60

「……ディケイド」
「くっ……これが俺の旅の、終わりかよ……」
「ディケイド、君は何を求めて戦っていたんだ?」

ディケイドとは一度話してみたいと思っていたが、こんな状況だとは思いもしなかった。
しかしオーズは――火野映司は知りたかった。ディケイドを突き動かしていたものが何だったのか。

「……さあな。忘れちまったよ……俺は世界を破壊して旅をする、そんな存在なんだからな……」
「旅……?」
「とどめを刺せよ、オーズ……これ以上、お前にこんな姿を見られるのは屈辱だ。俺を破壊して……さっさと前に進めよ」

ぶっきらぼうに言うディケイドを、オーズはしばし眺めていた。
それ以上の会話を拒否する姿は、痛ましいものだ。
オーズはじっと考えこみ、やがて――

「ディケイド」

オーズはディケイドの側にしゃがみ込み、消えかけている手を取った。

「いつか……いつかまた、どこかで。旅の途中で出会う事があったなら」

力ないディケイドの手を、オーズは力強く掴む。
今回は届かなかったかもしれない。
でもいつか――この手が、彼に届く事を信じたい。

「その時は、一緒に戦おう」

何度だって手を伸ばす。
オーズ、火野映司はかつて、ライダーは助け合いだと言った。
その想いは今も変わる事はない。
たとえ敵として出会い、幾度もぶつかり合ったとしても。
同じ仮面ライダーならば、必ず肩を並べて戦えるはずだ。

「オーズ、お前……」

ディケイド、門矢士はその言葉に目を瞬かせる。
不意に懐かしさを感じた。
かつて共にいた、仲間と呼んだ者達を思い出させられ――ディケイドは小さく笑った。


802 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:48:03 M5ai.kw60

「これだから、仮面ライダーってやつは……馬鹿ばっかりだ、まったく」
「かもね。でも、君もそうだろう?」
「……ああ、そうだな」

薄れ、消えてゆく自分の手を見つめたディケイドは、もう片方の手でおもむろにカードを引き抜いた。
しかしオーズは動かない。攻撃のためにカードを抜いたのではないと直感的に悟っていたからだ。
果たして、ディケイドが指先をくるりと回し見せたカードの絵柄は――誰あろうオーズ自身の姿が刻印されている。

「俺?」
「最後の最後で……こんなカタチで、お前の力を得るとはな。まあ、それも悪くない……」

仮面の奥で門矢士がどんな表情をしているのか、火野映司にはわからない。
だけどきっと、それは暖かいものだろうと――

「ちょっと……くすぐったいぞ」

ディケイドが、オーズのカードをオーズ自身へと触れ合わせる。
瞬間、カードを通じてディケイドの力がオーズに流れ込んできた。
他のライダーの力を取り込み、融合し、時に高め合う。
“世界の破壊者”仮面ライダーディケイド、全てを破壊し全てを繋ぐ存在――その起源が、オーズの眠れる力を呼び覚ます。

「これは?」
「はあ……俺もヤキが回ったな……」

ディケイドへの変身が解け、門矢士の生身の肉体が露となる。
最後の力をオーズへと受け渡し、今度こそ“仮面ライダーディケイド”は消滅するのだ。

「あのアーチャーは強いぜ……せいぜい、気をつけるんだな。最後の……仮面、ライ……ダ……」

握った手を最期の瞬間まで離さず――門矢士は消えていった。
仇敵であるはずのオーズに何かを託して逝った。
オーズは、数秒前までディケイドの手を握りしめていた掌をゆっくりと開く。
そこにあったのは、本来ありえるはずのない、オーズ最強にして究極のコンボを発動させるメダル――未来で開発された三枚のスーパーメダル。
他の仮面ライダーを最強フォームへと進化させるディケイドの能力が、オーズの欠けていた力を補ったのだ。

「……受け取ったよ、ディケイド。俺はこの力で、俺の護りたいものを護る……必ず」

戦い、憎み合い、一度も共に戦う事のなかったディケイドという仮面ライダー。
それでも最後に絆は結べたのだと――火野映司はそう、信じる事にした。
手にしたメダルは炎のように熱かった。


803 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:49:33 M5ai.kw60

              ◆


「……っ、なんだ、一体何が……」

ディケイドとオーズにとどめを刺そうとしていたアーチャー――DIOは、瞬間的な転移で移動させられた。
彼が目にしたもの、それはマスターである鹿目まどかと自分によく似た顔の死体、そして――這いつくばっているのはキャスターのマスター、名無鉄之介だった。

「何だ……マドカ? 一体どういう事なんだこれは」
「DIOさん……」

顔を上げたまどかの瞳には、DIOに対する強い怒りが現れていた。

「約束、したのに……聖杯を壊すために一緒に戦ってくれるって約束したのに……私に嘘、ついてたんですね……?」
「何を言っているんだ、マドカ。そのマスターに何か吹きこまれたのか?」
「ふざけんな、まどかちゃん騙してたのはテメーの方だろ!」

そもそも何故このマスターがここにいる?
こいつはアサシンが始末しに行ったはず――

「……そうか、アサシンの仕業か。私を始末するためにマドカをおびき寄せ……こいつに引き合わせたと」

ただまどかを殺すだけでは、単独行動スキルを持つDIOを即死させるには至らない。
だからこそ、マスターであるまどか自身に行動の方針を転換させ、令呪で死を命じる――その辺りだろうか。

「マドカ、アサシンやそいつに何を言われたか知らないが、私は」
「この人達も聖杯を壊すために戦ってるって……そのために手を取り合ってるって、そう聞きました。
 DIOさん、それを知ってて……知ってて、私を騙したんですね?」

まどかの語気は強い。同じ思いを抱いた者達と敵対した、しかもDIOに騙されて……という事が許せないようだ。
アサシンの思惑通りにまどかは誘導されたようだ。そのためにキャスターのマスターを攫ってきたのだとしたら大した策謀家である。

「……そうだ、だったらどうする? どの道私は彼らの仲間を殺害していたのだ。そんな私を従える君を、彼らが受け入れたと思うのか?」
「わかりません、わかりません……けど、こんな風に戦う事はなかったじゃないですか! 誰かが死ぬなんて事……」
「マドカ、ならばどうする。今からでもそいつに頭を下げて許しを請うのか?
 私はついさっき、そいつの仲間を一人殺したぞ。それでも受け入れられると思うか?
 ……無理だ、マドカ。こうなってはもう、私達が勝ち残るしか道はないんだ」
「……いいえ、まだ選べる道はあります」


804 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:52:54 M5ai.kw60

と、まどかは最後に残った令呪をDIOへと突きつける。

「ちょ、まどかちゃん? 何する気……ちょ、ちょっと落ち着いて!」
「名無さん、本当にごめんなさい……でも、私があなた達にできる償いはもう、これしかないって思うんです。
 こんな事頼める立場じゃないのはわかってるけど、どうか……聖杯を壊してください。お願いします」
「待て、マドカ! 何をする気だ!?」

決意に満ちたまどかの瞳に、言い知れない恐怖を感じる。
あれは、覚悟を決めた眼だ――かつて何度も見た、ジョースターの血統もまたああいう目をしてDIOの前に立ち塞がったのだ。

「最後の令呪で、DIOさん……あなたを殺します」
「正気か、マドカ! 私が死ねばお前もまた死ぬのだぞ!?」
「わかってます。でもこれDIOさんが生きていたら、きっともっと悲しい事が起こる。
 それは半分、私のせいでもあるんです。だから……!」
「ま、まどかちゃん! 待つんだ、それは駄目だ!」
「名無さん、ごめんなさい。こんな事で責任が取れるとは思わないけど……それでも私は……!」

DIOがまどかへと走り寄ろうとする。
度重なる戦闘を経て、まどかの側から完全に魔力供給を絶たれたこの状況で時間を止める事は出来なかった。
スザクとD4Cに攻撃された名無もまだ回復しておらず、まどかを止める力はなかった。


「お願い、私の令呪……DIOさんを」

殺して。
最後の、たった四文字の言葉は、紡がれる前に塗り潰された。
甲高く鳴り響いた、一発の銃声に。

「……マドカ?」

死を齎す令呪は発動しなかった。
命令が下される前に、まどかの頭は吹き飛ばされていたからだ。
振り向く。遥か彼方のビルの上、そこには一人の男がいた。
その男の名は衛宮切嗣。
まどかの頭を狙撃してふっ飛ばした、ライダーのマスター――衛宮切嗣。


805 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:54:00 M5ai.kw60

「聞こえるな、アーチャー!」

いつの間にか舞い降りてきた、一羽の鴉がその男の声を中継する。魔術師の使い魔だ。

「お前のマスターは死んだ――僕と契約しろ! 急げ!」

見れば、切嗣の全身は黒く染まり、消去されかかっている。
アーチャーは一瞬まどかの亡骸を見やり――

「ここにいればアサシンが迫ってくる。迷っている時間はないか……!」

名無にとどめを刺す暇もなく、アーチャーは跳躍した。
切嗣のもとに辿り着くなり、

「お前は今、はぐれサーヴァントだ。僕がライダーとの契約を破棄すれば、問題なく契約できる。そうだな?」
「……ええい、マドカを殺したことは後だ! ライダーが死んで貴様がムーンセルに消去される前に……急げ!」

切嗣は今回、サポートに徹していた。
新たに放った使い魔で周囲の索敵をしていたため、アサシンがキャスターのマスターと幼い少女を出会わせる所も観測していたのだ。
そしてセイバーの不意打ちを受けた瞬間、切嗣はディケイドを切り捨てる事を決意した。
アーチャーが突如少女の前に現れたことから彼女をアーチャーのマスターだと判断し――切嗣は撃った。
そして今。切嗣は一方的にディケイドとの契約を破棄し、DIOと再契約を果たした。

「……言いたいことは色々あるだろう。僕もそうだ。だが今は」
「わかっている。まずはあのキャスターのマスター、そしてアサシンを始末する。話はその後だ」

それ以上言葉を交わすこともなく、切嗣とDIOは再び跳躍していった。
戦いはまだ、終わってはいない。


806 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:56:39 M5ai.kw60

              ◆


ガウェインとランスロットと戦い続けている。
二人はまだ、共に王と仰いだ者の死を知らない。

アレックスは一人、己の無力を噛み締めていた。
オーズはディケイドから託された力を手に、仲間の元へと急ぐ。

スザクは名無をアサシンに預けた後、ランスロットの元へと急ぐ。ガウェインと戦っている以上、ルルーシュも必ずここに来るはずだと信じて。
キンブリーはスザクの行末を見届けるため、前線より離れた。

ルルーシュは頭部を陽介がドアに挟んで送り還した事により、何とか一命を取り留めた。
陽介とこなたは、目前で士郎が死んだ衝撃からまだ立ち直れていない。

大統領は、やや予定が狂ったが、名無にキャスターを呼ばせて再契約を果たしたアーチャーとぶつけさせるつもりでいる。
ジョンは一人離れた所にいるが、魔力の消費にのたうち回りながらもアサシン達を指揮し続けている。

名無はまどかの遺体を沈痛な面持ちで眺め、唇を引き結んでいる。
リインフォースは連れ去られたマスターを奪還すべく、サーチャーを飛ばして索敵を急いでいた。

切嗣は再契約の感慨など何もなく、切り捨てたディケイドの事もただの損害としてしか数えていない。
DIOはある意味厄介なマスターを交代できたと、新たなマスターを値踏みしながら内心ではやや安堵していた。


脱落者は四名。
戦いはまだ、終わっていない。
この戦いは、聖杯戦争の趨勢を決める、聖杯大戦――その序章に過ぎないのだから。






【衛宮士郎@Fate/stay night  死亡】
【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night  死亡】

【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド  死亡】

【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ  死亡】

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 5人目)@ジョジョの奇妙な冒険  死亡】


807 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 00:59:37 M5ai.kw60

【深山町・遠坂邸地下/黎明】

【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】
[令呪]:1画
[状態]:疲労(極大)
[装備]:携帯電話、ニューナンブ

【花村陽介@ペルソナ4】
[令呪]:1画
[状態]:健康、強い覚悟と決意
[装備]:スパナ@現実
[道具]:ミネラルウォーター、カロリーメイト、医薬品一式、大学ノート、筆記用具、電池式充電器、電池、予備の服、食料@現実
     契約者の鍵@ペルソナ4
※携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました(意図的に隠された情報があるかもしれません)。
※ジライヤがスサノオに転生しました。

【泉こなた@らき☆すた】
[令呪]:3画
[状態]:健康
[装備]:携帯電話

【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA's】
[状態]:魔力消費(小)
※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です
※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます
※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園、柳洞寺地下大空洞前を中心に索敵しています
※ガウェインから依頼された術式が完成しました
※転送魔術の術式を改造しました。5回までなら戦闘に支障を出さずに使用できます


808 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 01:00:23 M5ai.kw60

【深山町/黎明】

【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】
[状態]:疲労(中)
※リインフォースにある術式の改良を依頼しました

【バーサーカー(ランスロット)@Fate/zero】
[状態]:疲労(中)、賢者の石の魔力残量残り80%
[装備]:エッケザックス、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣


【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(中)
[装備]:スーパータカメダル、スーパートラメダル、スーパーバッタメダル
 ※ディケイドのファイナルフォームライドにより、スーパータトバコンボが解放されました。


【ランサー(アレックス)@ARMS】
[状態]:疲労(極大)、魔力消費(極大)、ARMSの進化(進行度・中)


【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】
[状態]:疲労(中)、魔力消費(大)
[装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石


【名無鉄之介@私の救世主さま】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(小)
[装備]エロ本(体中に巻きつけてあります)
[持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード
※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました
(意図的に隠された情報があるかもしれません)


809 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 01:01:04 M5ai.kw60

【衛宮切嗣@Fate/zero】
[令呪]:1画
[状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大)
[装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃
     携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの)
     鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム) 、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕(アイゼン・デア・アルム)
 ※アーチャー(DIO)と契約しました。

【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、片腕切断
[装備]:携帯電話
 ※衛宮切嗣と契約しました。


【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態](4人目)・魔力消費(大)
[装備]:拳銃
[道具]:携帯電話

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
[装備]:拳銃
[道具]:携帯電話

【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】
[状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断
[装備]:拳銃
[道具]:携帯電話


【新都・双子館/黎明】

【ジョン・バックス@未来日記】
[令呪]:2画
[状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、冬木市市長
[装備]:「The watcher」
[道具]:栄養ドリンク(箱)


810 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 01:03:36 M5ai.kw60
投下終了です
タイトルは「開幕、聖杯大戦」です


811 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/03(火) 01:14:18 NFfiurcc0
投下乙です。
最後までどうなるか分からずドキドキしながら読めました。
士郎とアルトリアはここで脱落ですか…なんか悲しいですね
そして仮面ライダー同士の最後の会話は胸にくるものがありますね。

改めて投下乙でした!


812 : 名無しさん :2013/12/03(火) 01:17:34 gnI3NbhQO
これはあかん…
オーズは素で時間停止は不可とされてて理由もはっきり書かれてるのにオーズより汎用性が高いディケイドが時間停止は駄目でしょう…
消耗を重くすれば良いってもんじゃないしそもそも魔力リジェネがある時点で説得力も皆無としか

それにセイバーがアレックスを助けた時点でアヴァロン使わなかったのは何で?
真名解放じゃなくても普通に翳せばアレックスは全快するはず
そうすればもっと余裕を持って戦えたはずだと思います

こう言っては失礼ですけど氏は前にも「割れる円卓」の投下時に度を越したディケイド無双を書きましたよね?
いくらあの時の作品が修正されたと言ってもこれで二回目ですよ?
申し訳ありませんがこれは乙とは言えないです


813 : 名無しさん :2013/12/03(火) 01:29:44 cvyEbQVI0
まーた読み手様か。嫌だったら予約して書けばいいのに


814 : 名無しさん :2013/12/03(火) 01:32:44 f6yN5JH.0
細かいことわからんけど、すげーおもしろかったわ


815 : 名無しさん :2013/12/03(火) 01:36:58 hzQM3PIA0
>>812
くっせえなおまえ(苛立ち)


816 : 名無しさん :2013/12/03(火) 01:39:22 X.wyRot60
それでも俺は乙と言うぞ!
登場人物全員が力と頭脳を総動員して戦ってて凄くドキドキした

スーパータトバも許していいのでは?


817 : 名無しさん :2013/12/03(火) 01:42:29 oNdqgCzM0
投下乙です。
必殺と謀略渦巻く決戦は良いですね。
読んでいて手に汗握りました。

戦場に一切顔出ししてないのにその惨状が目に浮かぶ市長はこの決戦の癒やしですね。


818 : 名無しさん :2013/12/03(火) 02:15:50 f9gSQDiE0

仮面ライダー知らないけどオーズとディケイドいいなぁ


819 : 名無しさん :2013/12/03(火) 04:35:32 o3j5WM9wO
ま た 市 長 かwアサシンを新生ケリィ組が見付けたらもう死んでたとかありそうで困るw


820 : 名無しさん :2013/12/03(火) 06:12:34 5ZzJ03Hg0
投下乙です!面白かったです!
これぞ聖杯大戦、先の読めない激しい攻防は凄く良かった
しかしやっぱり多くの脱落者も出たなぁ…オーズとディケイドの最後の会話は印象的
士郎と騎士王まで脱落するとは
まどかもあっさり殺されちゃったけど、DIOにとってはむしろ手段を選ばないケリィのがまだやりやすそうだよねw
虎視眈々と不気味な動きで策謀を練る大統領、金鰤の今後も気になるな…


821 : 名無しさん :2013/12/03(火) 06:18:00 5ZzJ03Hg0
あと

>ジョンは一人離れた所にいるが、魔力の消費にのたうち回りながらもアサシン達を指揮し続けている

想像して不覚にもワロタ


822 : ◆cp3jCCSc7M :2013/12/03(火) 12:07:56 JxP80BTY0
投下乙です
手に汗握る大乱戦に予想外の展開の連続、これは面白かった!
ここではそこまで絡みのなかったオーズとディケイドも最後に心を通わせたあたり、やはり二人とも仮面ライダーだと思いました

ただこの作品、単体では非常に面白いんですがリレー作品としては問題があるかと
既に指摘されていることでもありますがディケイドが時間停止能力を行使出来るのはアウトでしょう
◆XL.nOGsA4g氏の「Last Phantasm」においてオーズがスーパータトバになれない理由はゲームバランス上の問題だと明記されています
この例に照らせば汎用性が高く致命的な弱点が無いというオーズと似た特性のディケイドが時間停止を使用出来ると完全なバランスブレイカーということになります
他の書き手が既に上記のような描写を行いそれが通っている以上ディケイドの時間停止使用はそうした展開、描写を覆す行為に相当します
よって申し訳ありませんがこの点につきましては修正をお願いしたいと思います
あとディケイドがカメンライド抜きで他のライダーの能力を行使出来るのはコンプリートフォームではなく激情態のみです
ここに関しては捉え間違いをしているかと


823 : 名無しさん :2013/12/03(火) 13:38:21 3S7sBStg0
オーズ、陸君に続いてディケイドもデレさせるとは、次の攻略対象はケリィかな?


824 : 名無しさん :2013/12/03(火) 13:46:01 GHRhgIig0
タイムスカラベは令呪ブースト有りならいいんじゃないだろうか
同盟内から譲り受けるとか何とかして


825 : 名無しさん :2013/12/03(火) 14:24:19 nW2nAm/k0
正直面白けりゃ細かいことはどうでもいい
原作Fateからしてそんな感じだし


826 : 名無しさん :2013/12/03(火) 14:27:04 GHRhgIig0
一理ある


827 : 名無しさん :2013/12/03(火) 14:34:54 O1SFYUfM0
正直当人のディケイドが死んだからもうどうでもいい感はあるけど
確かにまぁ話の都合で唐突に使用可能になった感は否めないかな
修正するなら令呪くらいの理屈で事足りそうだけどな


828 : 名無しさん :2013/12/03(火) 16:32:31 dmDvPm760
投下乙です
オーズの台詞になにか覚えがあるなと思ったらウィザード最終回でディケイドがウィザードに言った言葉だった
ディケイドが言われる側だとなんか感慨深いな…
切嗣とDIOは同じ時間に干渉する魔術同士だから性格はともかく相性は良さそう


タイムスカラベは最強フォームのス撿パータトバと違ってブレイドの基本フォーム能力のひとつだし、使えないほうがおかしい
強力すぎるとか言うなら、イリュージョン制限した時にこっちも制限されてるってことにしとけばよかったわけで
あれだけ会議パートやっておいて一度もタイムスカラベのこと話題にしてないくせに、いざ使われたら文句言う方がどうかと


829 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/03(火) 18:19:26 NFfiurcc0
令呪ブースト有りで時間停止使えるならスーパータトバも有りにしないと公平ではないのでは?時間停止は強すぎるから使えないと前の話しで決まった事ですし…
スーパータトバも有りにするなら前の話しの内容もかわりますし、どうなのかなと思いました。
誤解しないでもらいたいのは話自体はとても面白かったです。
これ以上のクオリティの作品作るのは自信ないですし前の感想でも書きましたが楽しんで読めました。


830 : 名無しさん :2013/12/03(火) 18:42:19 qdj5rT.Q0
使えない理由が要は汎用性高くなり過ぎるからだからフォーム云々は関係無い


831 : 名無しさん :2013/12/03(火) 22:55:49 cC0CdRBcO
まどかの死亡のところ見るとプロシュート兄貴の殺したなら使っていい!の名言思い出すな。切嗣は待ってくれないからな〜


832 : 名無しさん :2013/12/03(火) 23:27:40 UTdjsK2o0
タイムスカラベは対象をストップさせる、物理干渉できない
スーパータトバは他が止まってる中動ける、物理干渉できる、最強フォーム
と結構違うからある程度仕方ないんじゃないかな
今回も止まってるのはセイバーだけでオーズは普通に動けてるし


833 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/03(火) 23:33:32 M5ai.kw60
感想ありがとうございます
それと花村の状態表にアロンダイトが抜けていましたので後ほど修正しておきます

>>822
時間停止がどうしても駄目というならカブトのハイパークロックアップを使う方向に修正します
結果は変わりませんし


834 : 名無しさん :2013/12/04(水) 07:12:18 7e2Cz4H20
何とも雑な


835 : ◆cp3jCCSc7M :2013/12/04(水) 07:35:15 bS3NJFMk0
>>833
いや、あの、発言の趣旨を理解していただけていなかったのでしょうか…?
結果が変わらないぐらい強力な能力では結局バランスブレイカーなのは変わりませんよね?
そもそもハイパークロックアップはディケイドでは使用できません
コンプリートフォームでハイパーカブトは呼び出せますがあれは必殺技を使うだけです

そもそもハイパークロックアップ自体がある意味時間停止より凶悪な能力なんですが…
それこそオリジナルの天道やリイマジライダーのソウジが参加していたとしても制限確実or封印確定レベルでしょう
あとディケイドコンプリートフォームはカメンライドなしで他ライダーの能力は使えないという部分はどうなさるおつもりでしょうか?
作中描写を見る限りタイムラグなしで能力が使えることが前提でアルトリアから逃げ回ったりオーズを出し抜いていたように見えるんですが…


836 : 名無しさん :2013/12/04(水) 08:13:19 ldTmsxjY0
相変わらず面倒くさい議論が続くロワだなぁ
聖杯戦争のルールは普通のロワの制限と比べてもバランスまで要求される時点で輪を掛けてややこしいというか
ツッコミも尤もだけど
なんかディケイド死んだからもうどうでもいい、って感じ


837 : 名無しさん :2013/12/04(水) 09:26:21 N/r2e29Q0
正直完全なバランスなんてとりようが無いんだからこのままでもいい気がするがな。
原作からして聖杯戦争は令呪とサーヴァント与える以外は公平性なんてないんだし


838 : 名無しさん :2013/12/04(水) 10:57:16 UiHtWItU0
まぁ今までだってバランス取れてたとはいいがたいしなぁ


839 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/04(水) 11:53:35 Apcvs9TA0
でもそれだと何でもありになっちゃいますし、ダメだって言われていたのなら修正は必要だと思いますよ。
ルール上問題ない市長と違って設定上問題あるって事ですから…
普通のクロックアップじゃダメですかね?

あと関係ないけどリインにルルーシュとユニゾンしろと命令した名無のシーンは凄く名無らしいと思いました。


840 : ◆wYNGIse9i6 :2013/12/04(水) 12:02:59 qUpotOOc0
結果を変えろというのはつまりこの作品を破棄しろと言ってることに等しいのですが

「オーズはスーパータトバを保有していない」というのはオーズを出した書き手氏が企画開始当初から決定していたことであり、◆XL.nOGsA4g氏はそれに理由付けをしただけでしょう
「オーズが時間停止を使えないのだからバランスをとるためにディケイドも同様にする」というのなら、別個のキャラである以上それは別にディケイドを予約してそちらで描写するべきことです
もしくは事前に図書館で得た情報で時間停止が禁止されている、と明言しておくなどの措置が必要であったはずです
wikiを検索してみたところ今まで一度もタイムスカラベといった用語は出ておらず、ディケイドが時間を停止できるといっ た予想はされていません
特に◆cp3jCCSc7M氏は以前にディケイドのイリュージョンを制限していたのですからその機会はあったはずです
ハイパークロックアップにしても、何故事前にそういった描写をせずに作品が投下されてからバランスが崩れると過剰に拒否反応を示すのでしょうか

あとディケイドの能力について、公式サイトで
>各ライダー達の最強ォームの能力や必殺技を自在に引き出し自身の身に体現して、同等に使いこなすことが出来るようになる
>カメンライドで呼び出した力を使用する際にはヒストリーオーナメントのカード全てが、呼び出された仮面ライダーの姿に感応して変じ、力や技を等しく自分に還元して扱いこなすことが出来るようになる。
とあります
当然ハイパーク ロックアップも使えますし、今回のケースも事前にブレイドを呼び出しているので何の矛盾もしてないと思いますが


841 : 名無しさん :2013/12/04(水) 12:16:59 WypUo.5.0
>>840
禿同なんだよなぁ


842 : 名無しさん :2013/12/04(水) 16:01:49 BuuD5Ixo0
正論なんだよなあ


843 : ◆cp3jCCSc7M :2013/12/04(水) 16:48:41 bS3NJFMk0
>>840
いや、どっちみちバランスブレイカーっていう問題が残るんですが…
そもそもタイムスカラベやハイパークロックアップが使えるとなると過去話すら矛盾が生じてしまいます
代表的な例で言えば同じく◆QSGotWUk26氏が執筆された「割れる円卓」ですね
ハイパークロックアップが使えるならそもそも時間稼ぎする必要性も太公望をピンポイントで狙う必要もありません
何故ならハイパークロックアップ一回発動して捕捉した人間全て皆殺しで事足りるからです
オーズの力もそこで手に入りますし太極図も恐れる必要さえありません
情報漏れもすぐに変身解除して逃げに徹すれば気配で見つかる危険も最小限で済みます
加えて真名の露見すらディケイドにとっては深刻な問題になり得ません
氏の描写を通しとするならばこなたと映司の裏技的組み合わせですらディケイドの情報全てはカバー出来ないことになります
つまりこのロワに参加しているどの陣営もディケイドの手の内全てを暴くのはほぼ100パーセント不可能ということになります

ところでこれってロワ企画であり聖杯戦争でしたよね?
サーヴァントは基本的に英霊の型落ち品という設定だったはずですよね?
◆QSGotWUk26氏並びに◆wYNGIse9i6氏は本当に上記の状態が問題ないとお考えなのでしょうか?
念のためもう一度ご返答をお願いします


844 : 名無しさん :2013/12/04(水) 17:16:03 /rl4FN.M0
もう本当に企画者さん戻ってきてほしかった
終盤になってもやっぱり何かある度にお互い一歩も引かない水掛け論めいた議論が始まるのかよ
どっちでもいいから譲歩してよ、リレー企画なのに書き手同士の協調性皆無ってどうなんだよ


845 : 名無しさん :2013/12/04(水) 17:23:50 7P25dgks0
読み手も読み手なら書き手も書き手だったという事だね
このロワはもうダメかも分からんね


846 : 名無しさん :2013/12/04(水) 17:29:10 THe0/8M.0
ここまで来たからせめて完結してほしいんだけどね
だからこそこの流れがもどかしいんだよなぁ


847 : 名無しさん :2013/12/04(水) 18:03:01 GtH8AzgI0
せっかく面白い話だったのにもったいない
せめて破棄だけは止めて欲しいな


848 : 名無しさん :2013/12/04(水) 18:18:27 bRIpDQSs0
ここまで来たならもう完結させてからwikiで辻褄合わせすれば良いんじゃね?


849 : 名無しさん :2013/12/04(水) 19:06:38 Rgv9JSLw0
時間の流れを操る強敵DIOに対抗して、オーズも時間の流れを操る能力を得ました。これで条件は五分だぜ
という話ではないのか…(困惑)


850 : 名無しさん :2013/12/04(水) 19:10:07 a42WA7bI0
ディケイドから託されためだるで


851 : 名無しさん :2013/12/04(水) 19:11:42 a42WA7bI0
すまん途中送信してしまった

ディケイドから託されたメダルでオーズの最後の能力解放は消滅前の会話も相まって普通に超アツい展開なんだよなぁ


852 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/04(水) 19:26:46 Apcvs9TA0
すみませんレス読み返したら書き方というか言い方がおかしかったです。
私が言いたかったのは設定や前の話しで決まったものが、令呪ブースト使えばいいといった ご都合主義みたいなのが嫌なのであって、使えてもおかしくないもの(ハイパークロックアップなど)に関しては反対しません。
不愉快に感じられましたら謝罪します。 バランス云々はおまかせします。


853 : 名無しさん :2013/12/04(水) 19:43:32 KdhraDho0
一応ZEROで雁夜が令呪で「己が栄光の為でなく(フォー・サムワンズ・グロウリー)」を本来の使い方で使わせているからありじゃね?


854 : ◆XL.nOGsA4g :2013/12/04(水) 19:46:23 6m8ONLBwO
個人的にハイパークロックアップだの時間停止は一切なし、使うなら通常のクロックアップやファイズアクセルまでですね
そもそも通常のクロックアップの時点で敏捷Aのクー・フーリンを一方的に殴れるのにさらにその上があっては聖杯戦争が成り立ちません

士郎組の生死に直結している以上今回死亡したからそれで済む話ではないと思います
やるならハイパークロックアップや時間停止を用いない他の作戦でセイバーを倒す方向に修正すれば良いのではないでしょうか?
無論激情態でもないのにカメンライドなしで他ライダーの能力使用というのも大問題ですが


855 : 名無しさん :2013/12/04(水) 19:47:54 bRIpDQSs0
もう令呪ブーストでいいじゃない……


856 : 名無しさん :2013/12/04(水) 20:05:34 50F4AFww0
でもケリィは令呪残り一画だぜ…
同盟相手から譲って貰うなんても有り得ないし…


857 : 名無しさん :2013/12/04(水) 20:07:09 bRIpDQSs0
まどかから奪取……うーむ、無理か……?


858 : 名無しさん :2013/12/04(水) 20:25:04 am2LVAy60
結構な読み手がさっさと議論終わらせて通しにしろよオーラ醸し出してて正直笑う
肝心の投下話の氏の反応待ちかぁ…つーかホントここは勢いを殺してでも規律やルールを守ろうとするのね


859 : 名無しさん :2013/12/04(水) 21:29:54 9vkVo.uY0
令呪があれば令呪で激情態へ、エクスカリバーはコンファインベントorフリーズベントで防ぐとか考えたんだけど駄目か?


860 : 名無しさん :2013/12/04(水) 21:39:51 XTjrQxJE0
スタバやラブトレインとかも解禁されるから駄目


861 : 名無しさん :2013/12/04(水) 21:43:10 lsBdfN/Y0
>>858
今更なんだよなぁ…


862 : 名無しさん :2013/12/04(水) 22:19:42 lDHx/rUk0
聖杯戦争の成立のために時間停止は厳禁と聞いて
ならばDIOがポンポン使ってたアレは一体なんなのだろうかという疑問が


863 : 名無しさん :2013/12/04(水) 22:43:32 6cCPnhmk0



             /)
           ///)
          /,.=゙''"/   
   /     i f ,.r='"-‐'つ____こまけぇこたぁいいんだよ!!
  /      /   _,.-‐'~/⌒  ⌒\
    /   ,i   ,二ニ⊃( ●). (●)\
   /    ノ    il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
      ,イ「ト、  ,!,!|     |r┬-|     |
     / iトヾヽ_/ィ"\      `ー'´     /


864 : 名無しさん :2013/12/04(水) 22:48:49 bfUM0Aug0
>>862
時間停止がどうこうっつうより前の話と矛盾するのとバランスブレイカーだってのが問題なんじゃね?
DIOって時間停止があるから問答無用で最強!ってほどスペック高くないし


865 : 名無しさん :2013/12/04(水) 23:01:43 5Y9vnUYQ0
最強格ではあっても、能力は対人向けだし、性格にも難点があるしな。

バランス云々の言い分は分かるんだけども、本家の聖杯戦争ですらヘラクレスや
ギルガメッシュみたいな規格外はいくらでもいるしなぁ。


866 : 名無しさん :2013/12/04(水) 23:31:50 9vkVo.uY0
バランス云々より「これといって弱点もなく汎用性があるのに時間停止もできるのは強すぎる」という理由でムーンセルがオーズに制限かけたのに全く同じディケイドにムーンセルが制限かけないのはなんで?っていうのが問題じゃないんですか?


867 : 名無しさん :2013/12/04(水) 23:55:27 Zybx26Qg0
なんかもうせっかくの面白い話が台無しなのが悲しい
私はタイムスカラベのままで修正しなくてもいいと思いますけどね
問題があると主張してるのは流れを見る限り二人の書き手だけのようですし
前の猛毒投与のときも同じ人たちでしたが・・・


868 : ◆5DZJBQZg7Q :2013/12/04(水) 23:58:10 Zybx26Qg0
酉忘れてました


869 : ◆5DZJBQZg7Q :2013/12/04(水) 23:58:35 Zybx26Qg0
間違い、こちらです


870 : ◆isCOR9PjLc :2013/12/04(水) 23:59:18 Zybx26Qg0
度々失礼しました


871 : ◆isCOR9PjLc :2013/12/05(木) 00:01:25 bgl/iWZs0
あ、キー間違ってるかな


872 : 名無しさん :2013/12/05(木) 00:09:11 zSWcp4xM0
正直タイムスカラベは使用しても相手に直接攻撃できないし消費もでかいのでそこまで規格外だとは思わんけどな・・・


873 : ◆l3N27G/bJU :2013/12/05(木) 00:17:04 bgl/iWZs0
他のトリップ検索サイトだと出るんだけどどうかな


874 : 名無しさん :2013/12/05(木) 00:17:40 VNrMkUk60
正直面白い話に水を差された風にしか感じないんだよなぁ
結局水掛け論でお互い平行線のまま空気悪くなってるだけだし


875 : ◆l3N27G/bJU :2013/12/05(木) 00:18:33 bgl/iWZs0
ああ、出た。>>867-871は私です
失礼しました


876 : 名無しさん :2013/12/05(木) 00:20:48 VNrMkUk60
>>873
何度も鳥ミスってて誰かと思ったらハードラックダンスや小鳩錬成の話の人かw


877 : 名無しさん :2013/12/05(木) 01:52:44 Pql6ahRM0
まあどんな内容だったとしても
こんな雰囲気になることはわかってました


878 : 名無しさん :2013/12/05(木) 02:12:08 M6MMVEgE0
実は問題があると言ってる書き手は、アルトリアと士郎の脱落を認めたくないだけなんじゃ
「主人公とヒロインがこんな簡単に落ちるはずがない。そうだ!ディケイドに責任転換すれば(ry」


879 : 名無しさん :2013/12/05(木) 04:08:58 LIzBQt120
そしてついにレッテル張りまできたか
残念


880 : ◆wYNGIse9i6 :2013/12/05(木) 05:04:19 I942P84U0
今まで使ってなかったからと言って、制限されて使えないなどとは一言も書かれてないでしょう
仮にハイパークロックアップが使えたとして、宝具をキャンセルする太公望やオールEXランクのガウェインの二人に挑む方がおかしいって常識的に考えたらわかると思いますが
タイムスカラベに至っては仲間がいないと使う意味はないとまで言われています

繰り返しますがバランス崩壊だというなら何故あらかじめそれを書かなかったんです?
イリュージョンを制限したときや能力を調べたときにハイパークロックアップやタイムスカラベについて何も言及しなかった以上、「バランス崩壊だからNG」なんて言われても妄想以外の何物でもありません
1氏が作成したルールになく、登場話を書いた書き手も設定しておらず、また作中で追加されたわけでもない
他人同士が行うリレー小説であるからこそ、暗黙の了解とかマナーのような個々人で解釈の違う尺度ではなく実際に書かれた文章にのみ従うべきと思うのですがね


881 : ◆cp3jCCSc7M :2013/12/05(木) 07:08:12 tlD6BZF.0
私は「割れる円卓」、つまりガウェインがその場にいない状況の話をしていたのですが…
そもそも聖杯戦争はマスターとサーヴァントの二人で戦うバトルロワイアルです
タイムスカラベの場合敵サーヴァントだけ動きを止めて切嗣と共同でマスターを倒せば無問題です
例えルルーシュと聖者の数字ガウェインだろうと問題にもなり得ません
通常のバトルロワイアルならともかくここではやはり規格外の能力だと言わざるを得ません

能力の下調べについては一書き手に過ぎない私が一話でディケイドの能力をあまりにも数多く制限するのはそれはそれで問題ありと考えていました
これが手落ちであるということであれば返す言葉はありません、申し訳ありませんでした
ですが今回の場合タイムスカラベやハイパークロックアップを使用出来ることによって過去話の描写(それも複数)に明確な矛盾が生まれます

具体例の一つは「oath sign」です
この場合最初からクー・フーリンの動きだけ止めて切嗣で悠を仕留めればわざわざ戦闘をやる必要性がありません
二つ目は「Stardust Conquistas」です
ハイパークロックアップが使えるならアルトリア相手に分が悪いというのは有り得ないでしょう
三つ目が先にも挙げました「割れる円卓」です
ハイパークロックアップならアルトリア、イスラ、オーズの三人を索敵範囲外から奇襲して一瞬にして全員葬れます
ガウェインすらその後駆けつけて来るまでの間にルルーシュを切嗣が仕留めれば脅威になりません
太公望はもはや言うに及ばず、太極図なんて使う間も与えず簡単に料理できます

過去に通った話と矛盾が生じるならばそのまま通しは良くないでしょう
太公望やランスロットと相性が悪いという描写すら覆りかねませんし
やはり私としては引き続き修正を求めたいと思います


882 : ◆l3N27G/bJU :2013/12/05(木) 07:59:22 bgl/iWZs0
そういうこと言い出すとDIOの時止めでマスター狙わないのは、とかアサシンの気配遮断で一気にマスターを、とかそういう話になるんですが
物語なんて可能不可能よりある程度話の面白さを優先して描写するものなのに、ちょっと支離滅裂すぎるんじゃないですかね

ていうか、さすがにもうドン引きなんですけど・・・


883 : 名無しさん :2013/12/05(木) 08:35:09 H6kO5GfsO
リレー小説なのに完璧な統合性を求められてもなあ
それにフォローの度に反対じゃキリがない
反対してる人は自分の望む落としどころ(具体的な修正案、または破棄)を提示して、そこから話し合った方がいいんじゃないかな?


884 : 名無しさん :2013/12/05(木) 08:51:39 VNrMkUk60
>物語なんて可能不可能よりある程度話の面白さを優先して描写するもの

同意なんだよなぁ…
話としての面白味を殺してまで目くじら立てて厳しくツッコミ入れられても、って感じ
ある程度演出を優先しての話の展開もあるのに過去話までもってきて矛盾指摘しまくるのは流石に興醒めだよ、もうここで書き手やる気はないからいいけど
上で言われてる通り、ここまで反対するならいっそその人が妥当な修正案出してほしい


885 : 名無しさん :2013/12/05(木) 09:26:26 fMJ6Q32s0
死してなおスレの雰囲気を破壊するとは……おのれディケイド!!


886 : 名無しさん :2013/12/05(木) 09:39:57 ./NBeM/k0
聖杯論争も佳境かな?やっぱりルーラーがいないと難航するね


887 : 名無しさん :2013/12/05(木) 09:52:52 5hxwZ8Gw0
おのれディケイド!お前のせいでスレの空気が悪化してしまった!


888 : ◆wYNGIse9i6 :2013/12/05(木) 12:27:07 I942P84U0
初代スレでまだ◆.OpF6wOgZ2氏がいた頃のログを漁ってみました。
過去ログで直接リンクが貼れないので、少々長くなりますが引用させていただきます。あとIDや日付は冗長になるので削りました

いくつかのキャラに制限の話は何度か出ていますが、対象とされているキャラは大統領のラブトレインやサブラクであり、ディケイドについては一切触れられていません
◆.OpF6wOgZ2氏は一度ディケイドを執筆されてますので能力を知らないということはまず有り得ないですね
その上で◆.OpF6wOgZ2氏は

109 名前:マーボー ◆.OpF6wOgZ2
馬鹿が来た! 美少女引き連れて馬鹿が来た!切嗣と士のダーティコンビも気になるところ。制限の無い分、今後が期待できますねw

474 名前:マーボー ◆.OpF6wOgZ2
wikiを何人か更新しておきましたが、パラメーターだけを取れば、間違いなく聖者の数字発動時のガウェインが最強のサーヴァントになってしまいます。
ですが、これにもきっちりと弱点は設定されており本当の意味で無敵のサーヴァントなど存在しません。そこまで細かい事は求めずに気楽に構えてやりましょうw

432 名前:マーボー ◆.OpF6wOgZ2
繰り返しますが、こちらにおけるサーヴァントのステータスは趣味に近いものとなっております。
本当に駄目だと判断したものには私から忠告を致しますので色々と不満はあるでしょうがご了承下さい。
大事なのはあくまで宝具とそれをどうやって攻略するかを皆さんで考え楽しんでいく事です。
こういった事で揉めるのは本意ではありませんのでどうか宜しくお願いいたします。

438 名前:マーボー ◆.OpF6wOgZ2
この企画において現状の参加者は全て私が有りだと認識したものです。
無理は無いと判断したものなので出来れば議論ではなく企画に参加する形で皆様にも望んでいただけると有り難いです。

こう言われています
1氏の意向に反してまでガチガチに制限を課したいのであれば話の流れの中で実際に描写するべきであり、
今回のように脈絡なく課そうとするのは「発起人でもない一書き手」の分を弁えない越権行為以外の何物でもありません


889 : ◆wYNGIse9i6 :2013/12/05(木) 12:28:21 I942P84U0

また◆cp3jCCSc7M氏は「サーヴァントは基本的に英霊の型落ち品」とおっしゃっていますし、原作Fateでもそうなのかもしれませんが


235 名前:マーボー ◆.OpF6wOgZ2
 今回に限った事ではありませんが、なお、マスター側とのサーヴァントの戦力差はほぼ0<10だと認識してください。
 同様の実力であったキャラでも英雄補正で強化されてると思って下さい。

760 名前:La Danse Macabre ◆.OpF6wOgZ2
(疾いッ!? クソッ、単純なスピードは奴の方が上か。
 如何する、もう一度『世界』を発動するか?
 だが、これ以上は私の魔力だけでは補いきれん)

一種の固有結界と呼べる『世界(ザ・ワールド)』の発動効率は実の所、あまり良くはない。
むしろ、生前の頃の方が自由に発動できていたとさえ言ってしまってもいい。
英霊として召喚された事でその能力は強化されたが、
逆にそれが仇となってしまっているのである。
DIOの単独の魔力では良くてあと1,2回が限度である。



マーボー ◆.OpF6wOgZ2氏は「英雄補正で強化される」「英霊として召喚されたことで能力自体は強化された」と明言されています
「この企画での他作品キャラは英霊になって強化される場合がある」という設定が発起人のマーボー ◆.OpF6wOgZ2氏によって定められているのです

たとえ◆.OpF6wOgZ2氏が不在であってもここは◆.OpF6wOgZ2氏の俺ロワです
これを否定されるのであれば、もうこの企画に参加されるのをやめて、ご自分で厳格に制限を決めた別の聖杯戦争スレを立ててそちらに移られた方がよろしいかと存じます
意見に賛同する書き手がお一人いるようですし、そうした方が誰にとっても後腐れなく決着がつくと思いますけど
多分空気も今よりは良くなるでしょうし…


890 : 名無しさん :2013/12/05(木) 12:41:50 icLBRp0c0
↑まぁ正論だわな


891 : 名無しさん :2013/12/05(木) 12:49:21 2dcqacwY0
こうしてみると当初の企画者氏の意向と不在後の流れは完全に相反してるのか…(白目)
本当にもっと緩いルールで空気よくなってほしいわ


892 : ◆2eROFx7acs :2013/12/05(木) 14:07:53 uqE620mM0
◆wYNGIse9i6氏
確かに過去ログを読み返すとそのような記述になっていますね
私は制限なしのディケイドは強すぎると思いますが◆.OpF6wOgZ2氏の意向であれば私は従いたいと思います
お騒がせして申し訳ありませんでした

ただコンプリートフォームでカメンライドなしの他ライダーの能力使用だけは要修正かと
こちらに関しては制限以前の問題として明確な設定矛盾であり本人の項目でも激情態に変身可能とは書かれていませんので


893 : ◆iPyb7/qkiE :2013/12/05(木) 14:08:59 uqE620mM0
あれ?酉おかしいな


894 : ◆jS0nqISPOk :2013/12/05(木) 14:12:04 uqE620mM0
何度も失礼しました


895 : ◆2eROFx7acs :2013/12/05(木) 14:13:38 uqE620mM0
キーが間違ってるのかな


896 : 名無しさん :2013/12/05(木) 14:15:23 2dcqacwY0
>>892
これで落とし前つけていいと思う
つかそろそろ執筆した氏にも顔出してほしい


897 : ◆Ke/YBbH/Ok :2013/12/05(木) 14:17:10 uqE620mM0
これでどうかな


898 : ◆wYNGIse9i6 :2013/12/05(木) 14:20:10 I942P84U0
どちろの書き手か知りませんが、本当に自分に都合の悪いレスは見えないようですね
公式サイトでコンプリートフォームは
他のライダーの力や技を扱いこなせると>>840で説明したはずですが
事前にブレイドを呼び出している描写がある以上、あなたの言ってることは難癖でしかありませんよ


899 : 名無しさん :2013/12/05(木) 14:23:48 uqE620mM0
申し訳ない、正しい酉をど忘れしてしまったので後から携帯で再度書き込ませていただいてもよろしいでしょうか?
リアルの都合で今日中に再度パソコンから書き込めないので…
駄目でしたら先ほどの発言は無効でも構いません
一応私は「真実と憎悪の果てに」とかを書いた者です


900 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/05(木) 14:28:11 U8pUtCFE0
ごめんなさい少しいいですか?
ふと思った妥協案というか修正案というか一つ思い付いたんですけど、タイムスカベラなりハイパークロックアップとかは聖杯戦争では一度しか使えないとかにしたらいかがでしょうか?
そうすれば何で前の話しに使わなかったかにも、序盤のうちに使いたくなかったみたいな理由付けにもなります。
お互いある程度のところで妥協しないと平行線ですし、他の方も居心地が悪いでしょうからいかがですか?
勿論書いたご本人が良ければですが。
あとルーラーって何ですか?


901 : 名無しさん :2013/12/05(木) 14:31:37 2dcqacwY0
ルーラー:Fate/Apocryphaで登場する聖杯戦争の運営の役割を担うサーヴァント


902 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/05(木) 14:32:07 U8pUtCFE0
ってすでに解決してるみたいですね。リロッてなかったから気づきませんでした忘れてください。
あとついでに議論スレにのせてる予約に関する事で意見あったら書いてください。
もし何もないようでしたら出た案のなかで多数決でも取らせていただきたいと思います。そろそろ決めないといけませんので…


903 : ◆XL.nOGsA4g :2013/12/05(木) 14:47:00 roN4F3/EO
携帯からすみません、>>892から>>897は私です

◆wYNGIse9i6氏
私が言っているのはその前のセイバーとのタイマンの部分です


904 : ◆cp3jCCSc7M :2013/12/05(木) 14:51:38 tlD6BZF.0
大変申し訳ありません、過去スレの>>1氏の発言は完全に見落としておりました
過去にそう発言されている以上私も>>1氏の意向に従おうと思います
皆様多大なご迷惑をおかけして本当に申し訳ありませんでした


905 : 名無しさん :2013/12/05(木) 15:19:40 zPwQUmhk0
イリュージョンの制限とはなんだったのか


906 : 名無しさん :2013/12/05(木) 18:16:57 U8pUtCFE0
セイバーの制限と同じでしょ?


907 : 名無しさん :2013/12/05(木) 18:52:05 DKWW9TzgO
>>831
DIOの言い訳聞く気無いんだから、呼び出さずに殺せば良かったんだもんな。


908 : ◆l3N27G/bJU :2013/12/05(木) 19:45:11 p.NHyFoM0
ちょっと気になったんですけど
これは結局◆cp3jCCSc7M氏と◆XL.nOGsA4g氏は過去ログにろくに目を通しておらず、勘違いで◆QSGotWUk26氏の作品に修正要求を出していたということですよね?
しかも具体的な修正案は一度も出さず、強力すぎるからバランス崩壊だからと駄目の一点張り
他にも過去作の矛盾つついたり色々失礼な発言されてますけど、これってちょっと謝ったらそれで終わることなんですか?

予約のときに「◆QSGotWUk26氏は他の書き手に配慮してない」「書き手として節度ある判断をしていただきたかった」とまで言い放ったお二人が、いくらなんでもちょっと無責任すぎではないでしょうか
別スレ立てて出て行けとまでは言いませんが、番長のときの問題のように予約を自重されるなどする気はなかったのでしょうか

100レス近くも荒れさせておいて、いざ自分に非があるとなっても責任を取る気がない、というのでは非常に言葉が軽い人たちに思えてなりません


909 : 名無しさん :2013/12/05(木) 20:16:42 H6uk/e4A0
(え、やっと段落ついたと思ったらまた追求が始まるの…?)


910 : 名無しさん :2013/12/05(木) 20:23:38 5uj52L720
もういいだろう、解決したんだから


911 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/05(木) 20:25:48 gefia55A0
ちなみにお聞きしたいのですか具体的にどうすれば?
私も見落として意見を出した口なので私にも責任があるのかなと。


912 : 名無しさん :2013/12/05(木) 20:32:52 VNrMkUk60
もういいよこれ以上の追究は
こうゆう論議は水掛け論のまま停滞するんだから住人が面倒臭がってたんだし
自分的にも「いいからロワ進めろよ」としか思わない


913 : ◆wYNGIse9i6 :2013/12/05(木) 20:41:32 I942P84U0
やっぱり不快に感じる方もいらっしゃいますよね
私自身当事者でもないのに、私情で感情的になって火種を大きくしたといえば否定できません
予約が解禁され次第この話の続きを書きたいと思ってましたが、ここまで荒れた以上は予約は自重します
◆QSGotWUk26氏となんとか仲裁しようとされた◆2shK8TpqBI氏、住民の方々には本当に申し訳ありませんでした


914 : 名無しさん :2013/12/05(木) 20:53:25 VNrMkUk60
予約自重かぁ…続き予約する予定もあったとなると残念だし寂しいな、氏が決めた以上仕方無いけど
度々似たような揉め事は起こるけど、本当に書き手間でも読み手間でもこうゆう流れは今回で最後にしてほしい
あと正直◆2sh氏はスレの和を保とうとしてくれてたから嬉しいし有り難い


915 : 名無しさん :2013/12/05(木) 22:01:57 zSWcp4xM0
正直責任取るなら面白い話を書いて投下してくれた方がいいけどな


916 : 名無しさん :2013/12/06(金) 06:28:02 Es5O61os0
次回から修正要求する奴は「ぼくのかんがえたさいきょうのしゅうせいわ」持ってきてからにしろ。


917 : ◆QSGotWUk26 :2013/12/06(金) 14:03:08 bLRIYZME0
誤字の修正やwikiへの収録、完了しました。
今回は拙作のことで住民の皆様にご迷惑をお掛けした事を謝罪します。
特に◆2shK8TpqBI氏と◆wYNGIse9i6氏には多大な御心労をおかけしてしまい、申し訳ございませんでした。

指摘のあったディケイドの能力については、
激情態がコンプリートフォームではなく通常形態の強化であることから、Cフォームでも同じ特性があると解釈しております。
他のライダーの能力を使うのにいちいちコンプリートフォームから通常形態に戻るというのも間が抜けていますので。


918 : 名無しさん :2013/12/06(金) 17:42:30 ZLRwFOrU0
コンプリと激情の違いって
コンプリ 最強フォームの力を使えるようになるがカメンライドが必要なのは変わらずサブライダーの力も使えない
激情   ↑の逆
こんな感じじゃないの?


919 : 名無しさん :2013/12/06(金) 20:36:54 ZLDNVWGk0
もうその話はいいよ
ディケイド死んだのになんの意味があるんだ


920 : 名無しさん :2013/12/06(金) 21:17:57 mSYF6na.O
>>907
結局まどかは最後まで覚悟が足りなかったんだよなぁ


921 : 名無しさん :2013/12/06(金) 21:28:13 4w4HZVmE0
ゲイ・ボルクが当たらないとか、膨大な魔力でパー┗(^o^)┛ーンとか、ピンクのラスボスとか、
何かと誇張(というよりネタに)されがちだったけど、ここではただの少女でしかなかったね


922 : 名無しさん :2013/12/06(金) 21:47:43 jGJp4twE0
死体がさっさと消えてくれないのが遺体フラグになりそうでこわい


923 : 名無しさん :2013/12/06(金) 22:04:40 jjdEKV5o0
まどか、覚悟決めたり何故かラスボス扱いされたりはしたけど
結局はDIOの手綱を操り切れなかった無力な女の子に過ぎなかったからなぁ


924 : 名無しさん :2013/12/06(金) 22:13:39 Ou19lVVI0
まぁ、まどかはイデに見捨てられたカララみたいなものだったし


925 : 名無しさん :2013/12/06(金) 23:49:08 PJdiO4RM0
なんでまどかがDIO呼び出したのか今回の話でDIO糾弾してるの見てようやく気付けたわ。
ここのまどかプッチ神父と同じタイプなんだ。
すごく独善的というか自分の黒さや身勝手さにまったく気がついてない。


926 : 名無しさん :2013/12/07(土) 00:09:08 b/3W83s20
キャラアンチはよそでやって、どうぞ


927 : 名無しさん :2013/12/07(土) 00:10:12 AdfQGozw0
自分が悪だと気付かない「最悪」か・・・


928 : 名無しさん :2013/12/07(土) 00:37:59 fNx7Uc.60
同じタイプって言っただけでアンチと思われる神父wwwww
しゃーない


929 : 名無しさん :2013/12/07(土) 01:11:22 5h8lqzS.0
途中からかなりちぐはぐなスタンスで動いてたよな
それが却ってこの聖杯戦争に於いての、まどかというキャラクターの味になっていた所もあるけど


930 : 名無しさん :2013/12/07(土) 01:14:26 b/3W83s20
どっかで見たスレだとジョジョのラスボスで神父が一番不人気だとか


931 : 名無しさん :2013/12/07(土) 02:37:53 LzwBjU3E0
別に神父は不人気でもないだろ、癖の強いキャラではあるけど
何にせよまぁこの話題はスレ違いか

まどかは独善的ってワケでもないとは思うんだけどなぁ
聖杯破壊のスタンスに至ったのだって鯖と化したさやかとの別れがきっかけだしね
DIOを糾弾したのだって令呪抜きにしても「まどかに従う」って態度を見せといて結局は全く従う気ゼロで誰かを傷つけてたからなんだし
まぁ何にせよまどかは無力すぎたね


932 : 名無しさん :2013/12/07(土) 03:21:10 qXn8.SpQ0
まどかの結末は理性ではなく、感情を優先させてしまった結果だと思うな。
良くも悪くも状況に流されるだけの普通の女の子だった。
状況に流され続けたのはDIOが強力で狡猾な上に単独行動のできるサーヴァントだったせいなんだろうが。


933 : 名無しさん :2013/12/07(土) 03:23:51 lZluXcgY0
セイバーとライダーがそれぞれ最後の一人になったからあとダブってるのはキャスターだけか


934 : 名無しさん :2013/12/07(土) 09:56:40 LzwBjU3E0
まどかちゃん、度胸や意思はあったからなぁ
DIOからも敬意を払われて、最後は宿敵の姿を重ねられたし
ただとことん無力で肝心なところをDIOに任せざるを得なかったせいで独断行動を止められなかったのが痛かったね
最期もDIOを従わせるんじゃなくて自分を犠牲にしてでもDIOを止めようとしたのが彼女らしいけど、どちらにせよケリィに見つかった時点で終わりなんだよなぁ


935 : 名無しさん :2013/12/07(土) 11:27:08 TKd8YcrM0
>>930>>931
ここで神父と聞くとことみーの事かと錯覚てまうw
自分の悪徳を理解した上で愉悦しているから、ある意味プッチとは真逆…かな?


936 : 名無しさん :2013/12/07(土) 17:09:37 qXn8.SpQ0
プッチは全世界の幸福の為に行動してたから、タイプ的には言峰よりも切嗣なんだよな。
ただ、その目的が独善的な上に自分のトラウマを乗り越えれなかった事に起因しているという。


937 : 名無しさん :2013/12/07(土) 17:58:37 m1pxgJQc0
ケリィの目的が独善的ではなく自分のトラウマを乗り越えているとでも言いたげだな


938 : 名無しさん :2013/12/08(日) 00:14:12 dy9augWw0
突発的に思いついたネタ
新作が投下されるまでの暇つぶし程度に読んでください。



ねえ知ってる?
最近流れたこんな噂・・・真夜中の12時に電源をつけてないテレビを一人で見ると、運命の人が映るんだって。






とある民家の一室


深夜12時。聖杯を破壊しようと一致団結したマスターたちが地下室に移り、聖杯を手にするため一時的に手を組んだマスターたちが一度きりの茶会を開いているときに、ソレは流れた。
電源の入っていないテレビに突如砂嵐が流れ、徐々に、徐々に映像が鮮明に映っていった。
マヨナカテレビと呼ばれるその都市伝説は、このムーンセルの仮想世界でも流れ出す。
意味のあるものかもしれないし、主催者ですら予測していなかった事態なのかもしれない。
けれど、そんなことは関係なしに番組は冬木の町に流れ出す。


誰も見るものがいなくとも、番組は放送される。











今宵!最強のマスターが決定する!





「聖杯がほしいかぁー!」


オオオォーーー!!!

「ならば闘争の意思を示すがいい!!」


主なマスターの入場です!!



主人公力45万!!
主人公補正と即死体質をもって俺は来た!!エロゲ界代表 衛宮士郎だ!!!

強いのに回復と補助しかしない!!攻撃?何のことです?
新ジャンル!僧職系男子 花村陽介だァーー!!!

ギアスと知略でこの戦いを制覇する!!
ブリタニアのマホウツカイ!! ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアぁーーー!!!

幸運とオタク知識を武器に生き残るっ!!!
ラッキースター 泉こなたの登場だ!!!

もうネタキャラなんて呼ばせない!!!モテナイ男たちの願いを背負ってこの男が立ち上がる!!!
意外とイケメン 名無鉄之介!!!

かませの本場は今やこの男にある!!!考えるな、感じるんだ!!!
朽木スザクだ!!!

外道ぉぉぉぉーーーーーッ説明不要!!!
衛宮切嗣だ!!!

わたしはマスター最弱ではない ロワ界で最弱なのだ!!!
ゆとり教育の弊害! 羽瀬川小鳩!!!

膨大な因果をもってこの少女がやってきた!!!もう何も怖くない!!!
魔法少女候補! 鹿目まどか!!!

何もしてないのに死にかける!!!最大の死亡フラグは自分のサーヴァントだ!!!
聖杯戦争の癒しキャラ! ジョン・バックスの登場だ!!!



戦えッ!!!たった一つの生き残りの座をかけて!!!


聖杯大戦!!!今宵開幕!!!



「実況は私、愉悦部顧問の言峰綺礼と、解説に愉悦部マネージャー英雄王ギルガメッシュ。特別ゲストに間桐桜がお送りします」


939 : 名無しさん :2013/12/08(日) 00:17:31 PeKUyJ360
>>938
もしかして枢木の変換できないから毎回朽木になってたり?


940 : 名無しさん :2013/12/08(日) 09:25:41 zqJU8zyE0
DIO「エフッ エフッ」


941 : 名無しさん :2013/12/08(日) 21:54:57 bvyvuweYO
そういえば、まどかって原作アニメで何でほむらに私を助けてあげてって言ったんだ?てっきり私はいいからさやか達を助けてって言うと思ったんだけど・・・


942 : 名無しさん :2013/12/09(月) 20:14:52 PA/Z2cdsO
>>941
自分を犠牲にすると、ほむらの願いを侮辱する事になるからじゃない?


943 : 名無しさん :2013/12/10(火) 23:31:07 ORCAwU2s0
次の予約は何時頃ですかね…


944 : 名無しさん :2013/12/11(水) 12:21:09 eu25lask0
このスレはJaneでも大丈夫かな


945 : 名無しさん :2013/12/11(水) 12:28:19 bHwCYVJ.O
>>942
それが回り回ってまどかがいなくなる=ほむらの願いは永久に叶わない結末にって皮肉だよな。まあ映画じゃそのツケが…


946 : 名無しさん :2013/12/12(木) 10:48:05 .i5Ny4Lo0
たった1話でここまで雰囲気が変わるとは


947 : 名無しさん :2013/12/12(木) 11:41:26 9Y8zmBM.0
スレの勢いがとまるぐらいなら予約自重された書き手の方に書いてもらいたい


948 : 名無しさん :2013/12/12(木) 12:37:50 iDmgH2Ig0
これぐらいの停滞なんて普通でしょ、書き手からの音信も途絶えた訳ではないし
それにこの間のような議論にならないようにするためにも時間をとって話し合いした方がいいかと


949 : 名無しさん :2013/12/12(木) 19:47:50 Gb.cu9dI0
数多くのロワが月単位で停滞しているんだし別にこれくらいの沈黙はまだマシな方だから(良心)


950 : 名無しさん :2013/12/12(木) 19:57:30 9e1EoMww0
FFDQロワ「半年以内に投下来るってペースいいね」


951 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/13(金) 11:41:58 rKItZvJU0
お知らせ

現在議論スレで話し合っている予約に関するルールですが、あまり集まらず進んでおりません。
今現在出ている案が
①投下してから24時間立った後早い者勝ち
②予約する前に修正要請が出た場合、そのキャラの予約禁止
③wikiに収録されてから早い者勝ち
④仮投下スレを作る
⑤大きな矛盾やご都合主義がない限り書いたご本人の意見を最優先
以上となっています。

何か他に案が有りましたら議論スレまでお願いします。
なおあまり集まりがないようでしたらこの中から多数決をとりたいと思っております

ちゃんと話し合いで決めるべきだ、といった意見がございましたら議論スレまでお願いします。

勝手かと思いますがそれでも集まりが悪い場合、あまり時間をかけすぎても進みませんので、何日までと締め切りを決めて多数決で決めようと思います。

書き手、読み手の皆様のご理解とご協力をどうかよろしくお願いします。


952 : 名無しさん :2013/12/13(金) 13:33:13 li7Lp5Ng0
1でいいよ


953 : 名無しさん :2013/12/13(金) 16:46:15 iiuCKe2k0
議論提起してから結構な日数が経過している以上、いま出ている意見から決を採って問題はないと思います
意見してない以上はどんな結果が出ても従うということでしょう


954 : 名無しさん :2013/12/13(金) 17:23:40 CEPapYok0
完結編の話し合い時に決めればよかったと思うのですがそれは
とにかく、これだけ当初の企画者氏の意向と不在後の流れは完全に相反してるの見れば、企画者も放置したくなりますわな


955 : 名無しさん :2013/12/13(金) 17:33:12 0GcgrYCM0
決まらなかったからこうして決めようとしてるんだろ
このことがきっかけで書き手間で揉め事に発展したんだし
あと企画者が放置してるっていうか、企画者が姿を消してから徐々に荒れだしたんだろ…


956 : 名無しさん :2013/12/14(土) 06:42:38 nmTiA66YO
企画者の意向ってそもそも最初の頃からちょくちょく無視されてる気がする


957 : 名無しさん :2013/12/14(土) 23:39:48 WYMRH.r20
こんだけ荒れてりゃ企画者も今更顔出し辛いだろ


958 : 名無しさん :2013/12/15(日) 00:26:58 TdCkLFK60
どうしてこうなった


959 : 名無しさん :2013/12/15(日) 13:42:40 rrkVDjjI0
とはいえ、折角話し合いで黒幕まで決めて終盤まで来たんだからせめて完結はしてほしいね
二次キャラ聖杯戦争自体は凄く好きなパロロワ企画だし


960 : 名無しさん :2013/12/17(火) 00:48:47 HhQEbLis0
話し合いはまだ終わらないのか…


961 : 名無しさん :2013/12/17(火) 00:53:59 as0CGEEM0
関係ない書き手からすると、いつまでたっても予約できないからいい迷惑だと思うんだけどな。


962 : 名無しさん :2013/12/19(木) 19:05:10 KRbjXOMg0
明日やっと話し合いが終わるらしい
でも今更ルール改定して人が戻ってくるんだろうか


963 : 名無しさん :2013/12/19(木) 21:07:06 nW2SfrDY0
そもそもこんな終盤でルール改定とか意味あるんですかね…?


964 : 名無しさん :2013/12/19(木) 21:32:23 dq.ODWfU0
ないと思うなら酉つきで議論所へどうぞ


965 : 名無しさん :2013/12/20(金) 09:19:04 Khem4myA0
議論所では書き手以外の意見を受け付けてないんですがそれは
やっぱり読み手と書き手に壁があるような…


966 : 名無しさん :2013/12/20(金) 15:26:04 ZOsmWI660
読み手が書き手同士のルール制定に文句付けてどうするの…
話の矛盾点等は読み手も指摘すべきだし、書き手も聞き入れるべきだが
書き手用のルールに読み手が関わっても仕方がないですよ


967 : ◆2shK8TpqBI :2013/12/21(土) 00:11:27 3dneETeo0
皆様大変長らくお待たせしました。
投票が終わりましたので、予約解禁を宣言させていただきます。
早い者勝ちですので悪しからずお願いします。


968 : ◆l3N27G/bJU :2013/12/21(土) 00:25:42 Iq4XcGo.0
では全員予約します


969 : 名無しさん :2013/12/23(月) 11:33:43 zF26rKfw0
また議論起きなきゃ良いけど


970 : 名無しさん :2013/12/23(月) 12:42:16 YSz9eJfQ0
企画者が不在なんだし議論を重ねるのが悪いとは思わない
結果として今後の方針がまた決まったんだし


971 : ◆l3N27G/bJU :2013/12/24(火) 05:50:20 53iSuwpQ0
先に延長しておきます


972 : 名無しさん :2013/12/27(金) 10:07:03 suWbh50.0
コミケやら何やらでしばらく人がいなくなりそう


973 : 名無しさん :2013/12/27(金) 15:01:13 s.xZXkOE0
まぁ年末だしある程度はしゃーない


974 : 名無しさん :2013/12/28(土) 06:04:39 2ilfv5fg0
最近のそらのおとしものが最終回が近いのもあって、衝撃展開連発してるけど(ニンフ、アストレアが*ぬ)このロワもそんな感じで行くのかな?


975 : 名無しさん :2013/12/30(月) 19:50:02 2Ck4eAOI0
このロワルールの元ネタである作品の主人公であり
ここでも主人公らしい扱いだから書き手達は殺す気無いだろうと予想してたが、また士郎死んだのか
もうこいつが生き残れるロワ無いんじゃね?


976 : 名無しさん :2013/12/30(月) 20:56:19 LwXu2bpk0
しかも今回は(多少の無茶はしたが)特に無謀な行動は取ってないんだぜ…?
他ロワと違って生存第一に行動しても死ぬとか本当にもうどうしようもねえ


977 : 名無しさん :2013/12/30(月) 23:02:42 wlqtOM520
>>975
パラロワじゃまだ生存してるから(震え声)


978 : 名無しさん :2013/12/31(火) 00:04:27 f5yqxVj60
だから封印解除だの強化だのは死亡フラグだってあれほど序盤に言われてたじゃないですかァー!!!


979 : 名無しさん :2013/12/31(火) 00:23:14 uKS.anl.0
弱体化してた事になったのは中盤以降だけどな


980 : 名無しさん :2013/12/31(火) 00:25:06 373DSEj.0
>>978
オーズ「えっ」


981 : 名無しさん :2013/12/31(火) 00:30:59 f5yqxVj60
というよりロワの定石でマーダー以外は基本的に強化はしないんだよね
理由は簡単、強化したら揺り戻しが発生してそいつが死ぬから
マーダーはマーダー補正があるのでそうでもないけど


982 : 名無しさん :2013/12/31(火) 06:50:34 eywbirwEO
>>975
まぁ、原作からしてBAD突き抜けてDEADの圧倒的多い方ですし


983 : 名無しさん :2013/12/31(火) 12:24:51 pw.3i7iQO
>>977
時限爆弾点火してるじゃないですかー


984 : 名無しさん :2013/12/31(火) 15:58:28 NdfD2bq.0
???「そろそろ次スレの時期ですよ、プロデューサーさん」


985 : 名無しさん :2014/01/03(金) 10:48:02 /bRmmk2.0
仮投下スレは誰が作るんだろう?


986 : 名無しさん :2014/01/03(金) 13:55:22 d6xJ4ny.0
それより早く新作をだね


987 : ◆l3N27G/bJU :2014/01/03(金) 18:22:59 zHXEb9Es0
すみません、少し用事ができたので投下するのが少し遅れそうです


988 : ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:36:23 NN.Kf9EU0
大幅に遅れてしまって申し訳ありません、投下します
それと新スレです。このスレが埋まった後はこちらに投下します

ttp://jbbs.shitaraba.net/bbs/read.cgi/otaku/12648/1388781267/


989 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:37:48 NN.Kf9EU0





時は、待たない。
すべてを等しく、終わりへと運んでゆく。


限りある未来の輝きを、守らんとする者よ。


汝に与えられた時は間もなく尽きる。
逃れ得ぬ滅びを前にしてもなお、運命に屈さぬ意思があるならば。





その願いは、必ず――――――





.


990 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:38:14 NN.Kf9EU0

 ◇ ◆ ◇


名無鉄之介は慟哭していた。
彼の手の中にはたった今命を奪われた幼い少女の亡骸がある。

「ちくしょう…っ!」

少女の名は鹿目まどか。
彼女はアーチャーのマスターだったが、そのアーチャーはまどかが死んだと見るやどこかに去っていった。
そして名無は、何もできなかった。
何がモテない男たちの救世主だ、何が13騎士だ。
たった一人の少女も救えない、口だけは達者なクズ野郎だ。

「あ、の…野郎……!」

まどかを殺した犯人を、名無は直接目撃したわけではない。
だが鴉の使い魔から聞こえてきた声は、鳴上悠のデータファイルを再生した時に聞いた覚えがあった。
衛宮切嗣。
ライダーのマスター。
衛宮士郎の養父。
セイバー(アルトリア)の前のマスター。
魔術師殺し。
その衛宮切嗣こそが、鹿目まどかを撃ち殺した。

「なんでなんだよ…まどかちゃんはまだ中学生で…こんなとこで死んでいい子じゃないだろ…」

名無がまどかと言葉を交わした時間は少ない。
アサシンに拉致されたあと気がついたらいまいる場所に放置されていて、そこにまどかがやってきたのだ。
まどかの手にある令呪を見て敵のマスターと一瞬で気付いたが、
名無は女の子を問答無用で攻撃するような腐れ外道ではなく、
まずは誰のマスターなのか、できれば戦いたくはない…といったことを説明しているうちに、
まどかは実は名無たちと同じく聖杯を破壊するために行動しているのだと知った。
そしてまどかのサーヴァントDIOがまどかの願いと反した行動をとっているということもわかった。
そこから先はもう、止める間もない出来事だった。
まどかが令呪でDIOを呼び出して、さらに令呪で自殺を命じようとして、切嗣に撃たれた。
もっとうまくまどかを説得できていれば、
切嗣が狙っていることに気付いていれば、まどかは助かったかもしれない。
悔恨は涙となって名無の頬を濡らしていく。


991 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:38:33 NN.Kf9EU0

「…良かった、間に合ったな」

そんな、名無の前に…ついさっき、ここから消えたばかりのDIOと、切嗣が現れた。

「て、てめえら…!」
「キャスターのマスター、いまはおまえに用はない。どけ」

片腕のないDIOのスタンドが名無を殴りつける。
とっさに出したイルバーンで受けたが、
ザ・ワールドのパンチの威力は凄まじく名無は紙のように吹き飛んだ。

「何をする気だ、アーチャー?」
「新たなマスターよ、私も先ほどの戦いでかなりの消耗をした。
 ここらで一度補給をせねば、残ったやつらとは戦えん」

名無はDIOの言葉で状況を理解した。
つまりこの吸血鬼は、まどかを殺した切嗣にマスターを乗り換えたのだ。
地面に這いつくばる名無が見たのは、DIOが消えかかっているまどかを拾い上げ、
長く鋭く伸びた牙でまだデリートされていない首筋に噛み付いた瞬間だった。

「おお、これは素晴らしい。力がみなぎる…NPCとは比べ物にならん…!」
「て…てめえええええっ!
 まどかちゃんに何してやがる!
 てめえのマスターだった子だろ!?」

名無はDIOのしていることが信じられなかった。
ついさっきまで自分のマスターだったまどかが死に、DIOはあっさりとマスターを交代した。
よりにもよって、まどかを殺した犯人である衛宮切嗣にだ。
そして、DIOはまどかの血を吸っている。
寸前まで自分のマスターだった少女から何の躊躇いもなく。
DIOの全身の傷からしゅうしゅうと煙が吹き出し、見る見るうちに治癒していく。

「何をしているだと?
 ふん、お前たちは既に私がどういう存在か知っているんだろう」
「吸血鬼…!」

DIO、その正体はスタンド使いの吸血鬼。
血を吸うことによってすさまじい再生力を発揮する化外の存在。

「マスターの血肉は私にとっては燃料そのものだ。
 一般的なサーヴァントの霊核は脳と心臓にある。
 それはサーヴァントの大本である人間も同様だ。つまり…」


992 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:39:30 NN.Kf9EU0

そういってDIOはまどかの首から牙を抜くと、まどかの遺体を片腕で上に放り投げた。

「な、なにを…」
「マドカよ…一時は君は私の友になれるかもと思ったこともあったが…
 やはり最後の最後はこのDIOの礎になる存在だったようだ!」

DIOが残った片腕の指先を伸ばし…落ちてきたまどかの胸を、貫いた。

「…あ……………あああああああああ!
 てめえ…DIOっ!」
「マスターの血はNPCのとは比べ物にならない魔力を秘めている…
 ならば、霊核を内包するマスターの心臓を喰らったならば、どうなる?」

DIOは抉り出したまどかの心臓を握りしめ、無造作に腕を振ってまどかの遺体を振り払う。
頭部を失い、いままた無残にも胸に大穴を開けられた
まどかの遺体は見るに耐えない凄惨な有り様だった。
DIOは大きく口を開け、血に濡れるまどかの小さな心臓を…飲み込んだ。

「WRYYYYYYYYYYYYYY!
 予想通りだ…かつて老いぼれジョセフの血を吸った時のように!
 力が、魔力が溢れてくるのを感じるぞ!」

戦闘で失った魔力を補って余りある膨大な魔力がDIOの全身に駆け巡る。
その魔力はDIOの吸血鬼の特性を遺憾なく発揮させる。
セイバーとの戦いで失った腕が断面から新たに生え出てくる。
本体であるDIOが回復したため、
精神のヴィジョンであるスタンド・ザ・ワールドもまた五体満足な状態に回復していく。

「まどかちゃんを騙して…まどかちゃんを踏みにじって…許さねえ!
 てめえは絶対にぶっ殺してやる!」

サーヴァントがマスターを裏切る…
マスターを乗り換えたとはいえ、何の躊躇いもなくその遺体を傷つけるDIO。
名無の怒りはここにきて頂点に達した。
絶対にこの吸血鬼を消してやると決意するが、しかし現実は非情である。
イルバーンを使えばアサシンとは何とか渡り合えたが、
それは相手が直接戦闘が苦手なアサシンだったから。
三騎士のクラスであるアーチャー、しかも例外的に接近戦を得意とするDIOの一撃は、
アサシンとは比べ物にならない威力を名無しに叩きつけた。
イルバーンは破壊されなかったものの、名無の身体は痺れて言うことを聞かない。


993 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:40:38 NN.Kf9EU0

「フフフフ…そういきりたつな、小僧。
 そら、令呪でキャスターを呼ぶがいい。そのくらいなら待ってやるぞ?」

DIOに挑発され、令呪でリインフォースを呼び出そうとして…名無はふと我に返る。
今までずっと黙っていた切嗣が、凄まじい目つきでDIOを睨んでいたからだ…名無ではなく。

「…アーチャー、お前は…吸血鬼なのか?」
「ん?そうだが、それがどうかしたか、新たなマスターよ」

DIOの答えを聞いて、切嗣は殺気に満ちた視線を新しいサーヴァントに投げかける。
それは決して生死を共にする相棒に向けるものではない。
まるで百年追い続けてきた仇を見るような…そんな目だった。

「もしやマスター、お前はなにか吸血鬼に恨みでもあるのか?
 たしかに我々は人間に仇なす存在であるが」
「…お前には関係ない」

切嗣が懐から煙草を取り出す。
だが名無は見ていた。
切嗣のその手が震えていることを。
激しく暴れている自分の中の感情を、必死に押さえつけているような…

「…まあ、いい。どういう思惑があるにせよ、今の我々は一蓮托生だ。
 聖杯を得るまでは私はお前を裏切らんし、お前も私を裏切らないことだ。
 なにせセイバーを討ったいま、もはや私を止められるサーヴァントなどおらん…
 名実ともに私が最強のサーヴァントなのだからな」

DIOの言葉で名無はセイバーが敗れたこと…つまり、対DIOの作戦が失敗したことを悟った。
DIOがキャスターを呼べといったのは、キャスターが連れて来る他の仲間をも始末してやるという宣言なのだ。
アヴァロンで時間停止に対抗できるセイバーが負けたのなら、もうDIOを倒せるサーヴァントは存在しない。
だからここで一気に敵を片付けようとしているのだろう。

DIOも名無も、切嗣も知らない。
切嗣が最初のサーヴァントであるライダーを切り捨てたあと何が起こったか。
仮面ライダーオーズに託された新たな力…
それを知っていれば彼らは何よりも優先してオーズを倒しに向かっただろう。
だが彼らは知らない。
ゆえにDIOは自分が頂点であると疑わない。


994 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:41:40 NN.Kf9EU0

「アーチャー、命令だ。そのマスターを殺せ。
 アーサー王を討ってもまだガウェインがいる。
 吸血鬼というならやつとは相性が悪いはずだ」
「ふん、もはややつとて恐るるに足らん。
 聖者の数字とやらは一度傷を受ければ発動しなくなるのだろう。
 あのバーサーカーを相手に無傷でいるなどあり得んしな」
「それでもだ。
 この戦いは何が起きるかわからない。
 少なく見積もってもまだ十人は敵がいる。
 さっきみたいに足をすくわれたくはないだろう?」

まどかが射殺されたのはDIOにとっても予想外だ。
この戦いは、そういう予想外がいつどこでどれだけ起こるか全く想像できない。

「ふん、この私に慢心を捨てろというのか。
 …よかろう、たしかに貴様の言うことも一理ある。
 遊びは終わりとしようか」

かつてDIOは慢心した結果ジョースターの血統に敗れた。
同じ轍は踏むまいと、DIOは名無にゆっくりと近づいてくる。

「ザ・ワールド…光栄に思うのだな、キャスターのマスター。
 マドカと同じ所に送ってやろう!」

名無の目の前でDIOのザ・ワールドが拳を振り上げる。
ダイヤモンドをも砕くそのパンチが名無の頭を粉々に打ち砕く寸前…名無は光を見た。

「…リインちゃん!?」
「真名で呼ぶなと言っているだろう、マスター」

思わず口にした名無を振り返るキャスター…リインフォースが現れた瞬間を。


995 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:42:10 NN.Kf9EU0

 ◇ ◆ ◇


アサシンとスザクが去った遠坂邸の地下。
リインフォース、ルルーシュ、こなた、陽介が見守る前で…衛宮士郎は消えた。
セイバーに最後の命令、ディケイドを倒せと命じて。
あとに残ったのは彼が持っていた携帯電話とレコーダーだけ。

「…そうだ、ルルーシュの頭を…」

呆然とする一同の中で、最初に動き出したのは陽介だった。
かっと目を見開いた別世界のルルーシュの頭…
なるべく視線を合わせないようにして、
陽介は頭と身体を入口のドアのところにまで引っ張ってきて挟んだ。

「…どうだ、ルルーシュ?」
「ああ…もう、大丈夫だ。キャスター、離れていいぞ」

別世界のルルーシュが自分の世界に戻されたため、アサシンのD4Cの能力が解除された。
ユニゾンでルルーシュの身体の崩壊を防いでいたリインフォースが離れる。
ルルーシュが隣を見れば、こなたは青ざめた顔でへたり込んでいた。

――無理もない。
泉は人が死ぬのを見るのはおそらくこれが初めてだ。
天海のときは別行動だったし、遠坂凛の場合は気がついた時にはもう終わっていたらしいしな。
花村にしても、慣れているというわけではあるまい。
人は簡単に死ぬ。
最後に何かを言い残したり、物を残したりすることもあれば、何も残さず消えることもある。
衛宮士郎は何を残したか。
それは俺を…ルルーシュを助けてやってくれという一言だけだった。
それだけで…衛宮士郎は消えてしまった。

「…みんな、すまない。私はマスターの元へ行く」

静かな空気を破ったのはリインフォースだった。
忘れていたわけではないが、士郎以外に名無もまたここからいなくなっているのだ。
スザクとアサシンにさらわれて。


996 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:42:31 NN.Kf9EU0

「マスターはまだ生きている。今探している…見つけ次第転移で追う」
「なら俺達も…」
「よせ、花村。サーヴァントのいない俺達がいっても足手まといにしかならん」

アサシンが名無をさらったのは、
おそらくこうやって追ってくるキャスターや他のサーヴァントを一網打尽にするためだろう。
ましてセイバーが死んだ今、もうDIOを止められるのは誰も居ない。
可能性があるとすれば、吸血鬼の天敵であるガウェインか、時止めへ耐性を得たアレックスだが…
ガウェインはいまだスザクのランスロットと戦っていて、アレックスは極度の消耗で動けない。
唯一健在なのはこなたのライダー・オーズだが、オーズはいまアレックスを守るためにここにはいない。
こなたがオーズを令呪で呼び戻してしまうと敵地に残されたアレックスが危険だ。
時間はかかるがオーズが直接連れてくるしかない。
しかし敵の襲撃を警戒しながらなので足はかなり遅くなるはずだ。
彼らを待っている時間に余裕はない。

「キャスター、お前が行ってもアーチャーには勝てんぞ」
「わかっている。だが、マスターを助けだして逃げるだけならできるはずだ。
 お前たちは柳洞寺に転移させる。ここはもう危険だからな」

サーチャーを飛ばしつつ、リインフォースは転移魔法を起動させる。
柳洞寺にマスターを隔離してしまえば、ひとまずアサシンなどの脅威は防げるだろう。
逆にルルーシュたちがついていけば、それだけ転移魔法を駆使するリインフォースに負担がかかる。
名無を救出してすぐに撤退するのなら、リインフォース一人で行くのがもっとも迅速で確実だ。

「…泉、火野を呼び戻してくれ。アレックスを連れて来るようにな。
 合流すれば花村のペルソナで傷だけは回復させられる」
「う、うん…」
「私もマスターを確保したら、ガウェインを拾ってすぐに戻る。
 セイバーが倒れた今、体勢を立て直さなければ…」
「おやおや、お取り込み中でしたか?」

緊迫した空気に割り込んできたのは、
アサシン達が去った出口から入ってきた白いコートの男…敵のキャスターだった。

「貴様…キャスターか!」
「おっと、お待ちなさい。私は戦いに来たのではありませんよ」

転移魔法を中断し迎撃しようとしたリインフォースに、
キンブリーは両手を上げて戦う気がないことをアピールした。


997 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:42:50 NN.Kf9EU0

「私はメッセンジャーですよ。
 そこのあなた…ルルーシュさん?
 あなたを迎えに来たのです」
「俺を?どういう意味だ」
「私は枢木スザクの使いです。
 彼が貴方と決着を付けたいというので…道案内を努めようと思いましてね」

ついさっき相まみえたスザクは、ルルーシュの知るスザクではなかった。
ゼロレクイエムを遂行したナイトオブゼロになる前のスザク…ルルーシュと敵対していた頃の顔だった。

「彼はどうしてもあなたと決着を付けたいようでしてね。
 ちょうどあなたのサーヴァントであるセイバーとバーサーカーも戦っていることですし、
 あなたもスザクに言いたいことがあるでしょう?」
「ふざけんなよ!どう考えても罠じゃねーか!」

花村が食って掛かる。
それもそのはず、敵のキャスターとルルーシュを二人っきりにできるはずがない。

「おやおや…信用していただけませんか。
 しかしですね、放っておけばあのセイバーはバーサーカーに討ち取られますよ?
 見たところ使える令呪も残っていない様子。
 彼を助けたいならマスターであるスザクを倒すしか他に方法はないと思いますがね」
「どういうつもりだ?仲間であるスザクを売るというのか」
「私はただ、彼がどういう結果を迎えるのか見てみたいだけなんですよ。
 勝とうと負けようとどちらでも構わないのです」

キンブリーの笑みにルルーシュの背筋が冷たくなる。
――こいつは狂人だ。
自分が狂っていると自覚した上で、なお正気と狂気を使い分けることができる…
今まであったことのないタイプの人種だ。

「それに、そちらのキャスターのマスターが危険なのでしょう?
 私と争っている暇はないと思いますが」
「…お前の誘いを俺が断ったら?」
「その場合は…そうですね、残念ですがあなた方の邪魔をさせていただきます。
 転移魔法は少し干渉されるだけで失敗する非常にデリケートなものでしょう。
 私は魔術は疎いのですが、壊すことだけは得意でしてね」


998 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:43:13 NN.Kf9EU0

キンブリーは落ちていた瓦礫を拾い上げ、壁際に放る。
するとその瓦礫は壁にあたった瞬間炸裂し、大きな穴を開けた。
爆発物を生み出す速度はリインフォースよりはるかに早く、威力もかなりのものだ。
全力を発揮できる広い空間ならともかく、この狭い地下室ではリインフォースよりもキンブリーに分がある。

「転移魔法は失敗、あなたのマスターはアサシンに殺され、
 あなたがいなくなればこの場にいる三人のマスターは私に殺される。
 そちらのお嬢さん、あなたは令呪が残っているようだ。
 ライダー、唯一無事な彼を呼び戻しますか?
 そうするとあのランサーはアーチャーあたりに殺されるでしょうけどね」

しまったとルルーシュは唇を噛んだ。
場を完全に掌握されている。
こちらは一刻も早く名無を救出に向かいたいのに、キンブリーに邪魔をされては動けない。
名無が死ねば自動的にキャスターも死ぬ。そうなればもうこの場はキンブリーの独壇場だ。
キンブリーの言うとおり、オーズを戻せばこの状況は打開できる。
が、戦場に取り残されたアレックスは確実に死ぬ。
通常の時ならともかく、いまのアレックスはアサシンにすら歯がたたないだろう。

「…お前の用件は俺をスザクの元へ案内すること、それだけか?」
「おい、ルルーシュ!」
「この場は任せてくれないか、花村。
 …こいつらに危害を加える気はないんだな?」
「それはお約束しますよ。
 ついでに言うと、あなたとスザクの戦いに手を出すつもりもありません。
 一方的にスザクが勝つのも面白くありませんからね」

キンブリーが本当のことを言っているか、ゼロとして世界を騙してきたルルーシュでさえ読み切れない。
ルルーシュたちを殺すつもりなら、こうして声をかけてくること自体がおかしい。
何故わざわざこんな接触をしてきたのか。
キンブリーの言っていることが嘘ではないとしたら…他に方法はない。

「…みんな、俺はスザクのところに行く。
 キャスター、花村と泉を転移させてくれ。
 ライダーはランサーを確保させて呼び戻すんだ。
 名無を救出できたら合流しよう」
「ルルーシュくん、駄目だよ!離れたら危ないって!」
「だが、ここで手をこまねいていては全員が危険だ。
 それに…」

ルルーシュは目を伏せた。
それに、スザクが待っているのなら、行かなければいけない。
スザクが…決着を望んでいるのなら。


999 : 零れ落ちる砂のように誰も時間止められない ◆l3N27G/bJU :2014/01/04(土) 05:43:44 NN.Kf9EU0

「花村。鳴上悠のことをどう思っている?」
「えっ、なんだよ急に」
「答えてくれ。
 あいつは自分の願いを叶えるために人を殺した。
 キャスターのおかげで本心を知れたとはいえ、あいつが人殺しであることには変わりない。
 あいつを憎いと思うか?」

ルルーシュの問いが冗談ではないと花村も悟る。
これはきっと必要な問いかけなのだ。
悠が殺したイリヤという少女は士郎の家族であり、切嗣の娘だったという。
あの時点で悠は二人の人間からかけがえの無いものを奪っていた。

「…いや。身内を殺された士郎や襲われたお前には悪いが、どうしても俺は悠を憎めねえ。
 たとえ人殺しであっても…いいや、
 あいつが人を殺してしまったからこそ、俺だけはあいつを赦してやりたい。
 あいつは俺の…相棒、だから。
 世界中の誰もあいつのやったことは赦してくれないと思う。
 だから、俺だけは…あいつは間違ってたけど、それでも一緒にいてやりたいって思うんだ」

嘘偽りのない花村の本心だった。
一年に足りない数ヶ月しか共にいなかったが、
それでも鳴上悠は花村陽介の親友…相棒だと、胸を張って言い続けられる。
それだけが、もういない相棒へ花村ができるただひとつの弔いだろう。

「…そうか。済まないな、花村。辛いことを聞いて。
 だが、俺もそうなんだ。
 俺にとってもスザクはただ一人の友…だからこそ、あいつが俺を呼んでいるのなら、
 俺と向き合おうとしているのなら、俺は行かないといけない」
「でも、あいつはお前を殺そうとしてるんだぜ?」
「それでもだ。俺だって和解できると思ってるわけじゃない。
 いや、きっと殺しあうことになるだろう。
 それでも…あいつが間違っていて、止まる気がないのなら…」

かつてルルーシュはゼロとしてスザクと戦った。
再会した時からスザクはブリタニアに所属していて敵だったが、
対立を決定的にしたのは間違いなくあの時…ルルーシュがユーフェミアを殺した時だ。
命を奪うだけでなく、その尊厳すらも踏みにじって。
あの瞬間、きっとルルーシュとスザクの道は分かたれた。
そしてスザクはブリタニアの白い死神とまで呼ばれる苛烈な騎士となった。
スザクを決定的に歪めたのは間違いなくルルーシュだ。


1000 : 名無しさん :2014/01/04(土) 07:30:10 1Ofq6Q6o0
1000ならサルファのイデエンド再現


"
"

■掲示板に戻る■ ■過去ログ倉庫一覧■