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ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所7
1
:
管理人
◆h6U6vDPq/A
:2010/11/22(月) 01:35:24 ID:gSDUXmjI
ここはストライクウィッチーズ百合スレ避難所本スレです。
●前スレ
ストライクウィッチーズでレズ百合萌え 避難所6
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1279636474/
●Janeで避難所を見る場合
・板一覧を右クリックして「新規カテゴリを追加」をクリック(板一覧が無い場合は「表示」→「板ツリー」→「板全体」で表示できる)
・カテゴリ名を入力してOKをクリックする(例:「したらば」)
・作成したカテゴリにカーソルを合わせて右クリックし、「ここに板を追加」をクリック
・板名を入力してOKをクリックする(例:「百合避難所」)
・URLに「
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/12483/
」を入力してOKをクリックする。
2
:
管理人
◆h6U6vDPq/A
:2010/11/22(月) 01:36:54 ID:gSDUXmjI
規制について
★改行規制
避難所スレについて、投稿本文の文字制限は4096byte(全て全角文字の場合は2048文字)、
投稿本文の最大行数は100です。
★連投規制
今のところありません。
★スレの容量
管理人が500KB超えに気付いた時点でスレストを掛けます。
3
:
名無しさん
:2010/11/22(月) 04:54:32 ID:FdT0I9Ug
>>1
乙です。
4
:
名無しさん
:2010/11/22(月) 10:58:16 ID:TelSK.Ao
>>1
乙ナンダナ。
前スレ
>>446
GJ!これは良いアメリーヌ。毎回乙!
講演会のレポート見たけど、これは映画に期待せざるを得ない。
何になるかは分からないけど。
5
:
mxTTnzhm
◆di5X.rG9.c
:2010/11/22(月) 22:10:47 ID:Qi2rflrM
前スレ
>>442
Hwd8/SPp様
GJ! ヘルマが毎回ハイテンションですね。
続き待ってます。
前スレ
>>446
5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
埋め乙&GJ! 素敵なアメリーヌを有り難う御座います。
いい娘なアメリー&ちょっと大人?なペリーヌがとても良いですね。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
新スレ祝いに一本書いてみました。
今回は保管庫No.981「music hour」のシリーズです。
ではどうぞ。
6
:
wanna be strong 01/02
:2010/11/22(月) 22:11:48 ID:Qi2rflrM
ハ〜イ今夜も「STRIKE TALKING RADIO」始まりマシタ〜。
DJ兼MC、パーソナリティのエイラ・イルマタル・ユーティライネンでス。皆聴いてるカナ?
この番組ハ、サーニャのレーダー魔導針を通しテ、全世界の悩めるウィッチに秘密のラジオとしてお伝えしているンダナ。
夜間哨戒のついでじゃないカラナ? さて今夜は……何とニパが居ないンダナ。珍しい事も有るもんだナ。
だからサーニャと久しぶりに二人っきりダー! ヤッター! イヤッホオオオ!!
「エイラ、はしゃぎ過ぎ」
ご、ゴメン、サーニャ。つい興奮し過ぎて叫んダ。
「エイラの、ばか……」
ご、ごめんナ、サーニャ。嬉しくテ。
「私も……たまには」
サーニャ……。
「ねえエイラ、始めないと。ラジオ」
そ、そうダナ。さて、今夜もサーニャと二人で、久しぶりにまったり進行ダゾ。
早速お便り来てるンダナ。まず一人目は502JFWの「ついてないひと」
……。
「……」
と、とりあえず、読むゾ。
『イッル聞いてくれよ! ただ命令に従っただけなのに、何で理不尽な仕打ちをされないといけないんだよ!?
だいたい大尉はおかしいって言うかここの奴等みんなおかしいんだ! 何で私がこんな目にっ!!!! うわあやめr』
「……ニパさんに何があったんだろうね、エイラ?」
私も全然状況が分からないゾ。
まあ、とりあえず言っておこウ。
どーにもならン。
「エイラ、物凄い投げっぱなし」
だって、この文面だけじゃ何が起きたのかさっぱり分からないから答えようが無いヨ。
まあ、近々こっちに来るだろうからその時詳しく聞けばいいサ。
「エイラ、いつになくなげやり」
大丈夫、ニパだからナ。
「エイラって、ニパさんの事を信頼してるのかそうでないのか、たまに分からなくなる……」
な、何だヨ。
意味深な目つきは止めてくれヨ、サーニャ……。
7
:
wanna be strong 02/02
:2010/11/22(月) 22:14:23 ID:Qi2rflrM
さて、お便り二人目。
匿名希望のウィッチさん(小隊長役)って書いてあるナ。
じゃあ匿名さんって事で読むゾ。
『私は某部隊で小隊の戦闘指揮を任されています。日々の訓練、そして実戦と頑張っていますが、
いつも部隊の隊長から「戦術をもっと柔軟に考えろ」と言われました。
勿論私なりに真剣に考えていますが、「お前の戦術はセオリーすぎるから敵に裏をかかれる。
あとお前の緊張っぷりが僚機にまで伝わるから困る」とまで言われました。
戦術の事で頭がいっぱいで、しかも緊張感を出さない様に考え過ぎて、なんか吐きそうです。
緊張感を表に出さないようにする方法を、エイラさん、是非教えて下さい。
どうしたら良いですか?』
さて匿名希望さん、ズバリ言うゾ。
まず戦術はあくまで基本、あとはその場の柔軟な判断が大事ダゾ。
「エイラ、珍しく真面目な答え」
珍しいって、酷いじゃないカー。私はいつだって真面目ダゾ。
「でもあんまり具体的じゃないけど……」
うーん。「柔軟」ってひとくちに言っても、本当にその場その場で判断が分かれるカラ、
こればっかりは実戦を積んで経験していくしか無いヨ。
「……それでエイラ、もうひとつの質問は?」
あ、ああ。緊張を表に出さない方法ってヤツか。
ズバリ、言わせて貰うゾ。
目線を無闇にキョロキョロさせない! これダナ。
「エイラ、索敵の時は絶えず色々な方向を向いてないと……」
うーん。サーニャ、それとはまた違うんだナ。
確かに全方向への見張りはとっても大事だけド、緊張から来る目の動きっテ、それとは違うと思わないカ?
例えば目が泳いだりしてないカナ? 他にも肩肘張り過ぎてないカナ? そう言う事ダヨ。
「目が、泳ぐ……」
そうそう。だからじっと見据える位の、どんと構えてた方が僚機は安心するもんダゾ。
勿論見張りや索敵は大事だから周囲をくまなく見張るのは大事だけど、緊張し過ぎは良くないゾ。
「エイラ。珍しく真面目ね」
酷いなサーニャ。私はいつだって真面目にやってるゾ?
「じゃあエイラ、ひとつ聞いて良い?」
うん、何?
「エイラって何でニパさんと居るとテンション上がるの?」
……。
「目そむけないでエイラ。今のエイラ、目が泳ぐどころじゃないと思うけど」
ちっ、違うんだサーニャ! 誤解ダ! これには訳ガ……
「詳しく聞かせて欲しいな」
わ分かった、すぐ帰って話をシヨウ! じっくりと二人っきりデ!
さテ、では用事を思い付いたので今夜はこの辺で。
最後に、「サーニャのうた」を聴きながらお別れデス。
……占いコーナー? 今回はパスっ! 次回に乞うご期待ッ!
「エイラ、それどころじゃないって顔してる」
さ、サーニャぁ……。
end
8
:
名無しさん
:2010/11/22(月) 22:16:59 ID:Qi2rflrM
以上です。
ラジオシリーズ! と言う事で一本。
ちなみにニパさんが502で大変な目に遭っていると言う事(元ネタ)については
http://twitter.com/
#!/shin_kyogoku/status/4963793104797696
http://twitter.com/
#!/shin_kyogoku/status/5324888952807424
http://twitter.com/
#!/shin_kyogoku/status/6395631488729088
この辺りをご参照下さい。ニパさんモテモテですね!
京極先生の素敵なニヤニヤを(勝手に)拝借しました。お詫びと御礼を……。
ではまた〜。
9
:
名無しさん
:2010/11/24(水) 16:58:08 ID:Oe6VMCOU
>>8
GJ!このシリーズ毎回楽しみにしてます〜!
ほんとニパがモテすぎだな(笑)
10
:
名無しさん
:2010/11/24(水) 17:04:54 ID:PPhDXDx.
ニパはエーリカ並に全方位愛されガールだからな
11
:
名無しさん
:2010/11/24(水) 22:00:12 ID:ZiTMSBFA
501が大好きだー!
12
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 01:08:40 ID:dOj2R9PI
映画化も決まり、最近またこのSSまとめサイトやがSSスレが賑やかになってくれて嬉しいかぎりです(^^)
13
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 07:08:59 ID:reSvAyz.
(記録集3巻を見て)ふぅん、マリアのフルネームってマリア・ピア・ディ・ロマーニャなのか
↓
Σ(゚∀゚) 第5話「私のロマーニャ」
↓
つまり私のロマーニャとは「マリアは私のもんだかんね!」というルッキーニの言明だったんだよ!!!!(AA略)
14
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 10:20:18 ID:JvcJreL6
>>13
ΩΩΩ(・)(・)<ナンダッテー
15
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 13:12:31 ID:g/DZWw5U
>>13
ΩΩΩ<な、なんだってー!
新説現るw
ブックレットの503も早くビジュアル化してくれないかなー
熱い戦いじゃないか503は!
フミカネ先生マダー?
16
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 22:05:39 ID:AM28S3Yw
>>13
!! 王女と兵士という、全く新しいストライク百合誕生の瞬間!
あのイケメンルッキであれば、マリアが恋におちてもおかしくないですね。
17
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 23:28:58 ID:qI1g.sLc
こんばんは、Hwd8/SPpです。
良いですねえ、「私の」ロマーニャ!
どう話にマリアを出すのか難しいかもしれませんが、もし成功したら…面白いかもですね!
いつもの「ヘルマの発情」シリーズを投下したいと思います。
【ヘルマの失態】
私は…もちろん!お酒はまだ飲めない年齢であります!士官学校でも、決して飲める年齢になっても溺れるな!と念入りに言われたであります。
今回のお話は、その「お酒」にまつわる話であります………って!?何でストーリーテラー気取りをしてるでありますか??!!
***
チュンチュン...
さわやかな朝がやってきたであります!…が、私が目を覚ますと何故か頭がズキズキしていたであります。
「んっ…」
ものすご〜く頭が痛いであります…なんかこう…ガンガンと…するような?
「…あれっ」
な〜んか…何か違和感を感じる私!?
落ち着けヘルマ・レンナルツ!!こう見えても若干13歳ながら、空軍でも中高位のベテランエースが顔を揃える第131先行実験隊に異例の抜擢を受けたんであります!!!
…あれ、服は?一応、下着類は着けてるけれど…。
でっ、でも…デジャヴュが………。
恐る恐る、隣にある物体に手をかけたであります…
「あ、あの〜ぅ…」
「んんっ………今、何時?」
はあああああああ…っ...
また…またやってしまったでありますか??!!
ヴィルケ中佐だけでなく、今度はシュナウファー大尉と!?
…落ち着けヘルマ・レンナルツ、こう見えても若干13歳ながら、空軍でも(ry
シュナウファー大尉が寝返りを打つと…擬音にすると「ぷる〜ん」と胸を揺らしながらこっちを向いてきたであります。
「………(ゴクリ」
「…どこ見てるの?」
「いっ、いえ私はそんなっ!!」
「ヘルマって…ヴィルケ中佐と一夜を共にしたんでしょ?」
「ななななっ!!??」
「どうにかならないのかなあ…」
「へっ???」
「寝言。寝言よ!何で食堂のメニューを全て暗記してるの、そしてそれを寝てる時に言うの?!」
「あの…まったく記憶にございません;;;」
「極めつけは『代打、ガルべス』…なんで野球選手よ?!はあ…あとそれに」
「そもそも、何故に私はここに…?」
すると大尉は無言でテーブルを指差したであります…
「そっからは本題よ」
「あ〜…そうでありましたね…」
テーブルの上には開けたワインの瓶3本と、食べかけのチーズとソーセージ。
あ、言っておくでありますがもちろん私は未成年なので断ったでありますよ?!
でも、此処は軍。必要以上に上官命令を断ると私の昇進が…。
「…そもそもヴィルケ中佐と肉体関係がある時点で昇進はないわね」
「なぜ心の声を?!」
一応、私もジェットストライカーのお陰ではありますが大型ネウロイの撃墜数が多い事から新世代のエース候補と期待されてるですよ?
「でも、ヴィルケ中佐と肉体関係…」
「だからなぜ心の声が!?」
同じ過ちを2回を犯すだなんて…はああああ…
「ヘルマ…大変だったんだからね」
「へっ?!何がですか??!!」
「ベッドの上で暴れて暴れて…」
「………」
「私、今夜の哨戒行けるかなあ…」
「あの…全く記憶にないんで、話して頂けますか…?」
18
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 23:29:38 ID:qI1g.sLc
>>17
の続き。
***
昨日の話。
「一杯…どう?」
大尉は自慢げにワインボトルとグラスを私に見せてきたであります
「わっ、私はまだ未成年であります!!カールスラント軍人は規律に則るべきだと思います!」
「そんな堅い事言わないでさ…私のお酒に付き合ってよ?」
「あのですね、1に規律2に規律、3に規律で…」
「あ、この前言ってたマルセイユ大尉の話…ちょっとしたコネが出来たんだけど」
「本当でありますか??!!」
「もしかしたら会えるかもよ〜」
「ぜひお願いします!!!」
「じゃっ」
…ボトルを私に渡す大尉。
これって………
「あ、強要じゃないわよ?あくまでも自分の意思で注いで、自分の意思で飲むんだもんね?」
「…これってパワハラ!?」
「こんなやらしい事言いたかないけど…私って、この軍で結構重要なポジションに就いてるのわかるわよねえ?撃墜数ベースによる四強って言われてるほどの」
「これって職権乱用じゃないですかぁ!!」
「別に嫌だったら飲まなくても良いわよ?でも…明日から肩身の狭い思いをすると思うわよ〜」
「ううっ…ズルいであります…」
この方には逆らえない!と思い、グラスにワインを注ぐ自分…。
それにしてもこのワイン、綺麗であります…!
「綺麗な白ワイン…」
「でしょ?撃墜数がどうとかで、お偉いさんからもらったの。結構高いらしいわよ」
ここはポジティブシンキン!!
いつもは孤独で戦ってる大尉、でも私を巻き込んで飲むだなんて何かあるハズ!!
カチャン...
「乾杯」
「乾杯…であります」
ワインをチビチビと喉に通すであります…
「…ヴェーダディコレー」
「何、そのどっかで聞いたことのあるようなフレーズ;;」
「にっ、苦いであります〜!!ゴホッ」
「あらら…そんな?このワイン…甘くて有名なんだけど」
「やっぱり私にワインは…」
「じゃあこうしたらどう?」
…と何処からかオレンジジュースの入った瓶を持ってくる大尉。
「ワインをね…オレンジジュースで割るの」
あっと言う間に白ワインの色は消え、オレンジ一色に。
「さ、飲んでみて」
ゴクッゴクッ...
「…あ、これは!!」
美味しい!美味しいであります、さっきと違って飲みやすいでありますね!
色はオレンジ一色でありますが、白ブドウとオレンジの香りが…!
「美味しい…であります」
「でしょう?これはサングリアって言うの」
「サンガリア?あのラムネとか作ってる…」
「サングリア!ヒスパニアの方の飲み方なの」
19
:
名無しさん
:2010/11/28(日) 23:30:16 ID:qI1g.sLc
>>18
の続き。
飲みやすさが手伝い、いつの間にか私は何杯も…
「大尉!もう一杯!!」
「ヘルマ…飲み過ぎよ、それにあなた午前中に実験があるんでしょう?」
「へへへ〜…そんなの知りませ〜んであります!」
「もうやめなさいって」
「大尉の好きな体位はなんですかぁ〜?ふへへへ」
「ダメだ、完全に酔ってる…;;もう良い加減、自分の部屋に帰りなさい!」
「…大尉、そこに正座!」
「………はぁ??!!」
「私はですねえ…ひっく、カールスラントのクマさんになるであります!」
「カールスラントのクマさん?」
「502部隊のアレクサンドラ大尉ですぅ!そんな事も知らないのでありますか、このおっぱい眼鏡!」
「おっ、おっぱい眼鏡…?」
「私だって…エースになりたいであります…ひっく」
「はあ?」
「いつか…いつかハルトマン中尉の記録を破って、いつかバルクホルン大尉と肩を並べる…いや、認められるエースになりたいんです…」
「はあ…」
「そのためには…撃墜数を稼いで、そしてどっかの中隊の隊長になってですねえ………」
「…で?」
「………すーすー」
「寝ちゃった…」
そのまま寝てしまったそうです、私;;
運んで行くわけにもいかないから、大尉がそのままご自分のベッドに寝かせてくれたそうなのですが…
「………気持ち悪い」
「わっ!ビックリしたぁ!…え、なんだって??」
「気持ち悪い…であります…」
「ちょっと…!!」
一応、本能かとっさにベッドから降りたらしい私。
急いで部屋の扉を開け、廊下まで行って………
「おぇぇぇぇぇぇ…」
「…やっちゃったか」
「大尉ぃ…おえっ…助けてくださいぃ…」
***
チュンチュン...
「…って事があったのよ」
「もう廊下は…悲惨だったわね…匂いとか。思わずもらいそうになったし…」
「すみません…と言う事は清掃等は…?」
「もちろん私がやったわよ!!!!」
「ごっ、ごめんなさいであります…」
「まあ廊下は大丈夫だったんだけど、服が…ね?」
「服に全てを…」
「………」
「服に全てを…?」
「察しなさいよ!!」
「はいぃ!!」
かろうじて「朝チュン」では無かったものの、それよりもタチの悪い………はああ。
軍服をクリーニングに出す必要上、飲酒は大尉の手で揉み消してもらって一応、食あたりで気分が悪くなった…という表向きの理由にしてもらったであります。
この日の実験の前にウルスラ・ハルトマン中尉からラッパのマークのお薬をもらったりしたであります…。もっと言えば、私の体調を考慮してこの日の実験は中止。
この日。自室にて使い魔の黒猫を抱きながら反省をする一日を送っていたであります…。
「色んな人に迷惑かけちゃったでありますねえ…」
どうやってお詫びするでありますか…?
とりあえず今度休暇を取って、百貨店へ行って迷惑をかけた関係各所へ商品券を買いに求めるでありますか。
大尉には新しいワインを………あれっ?
「大尉って15歳じゃあ…?」
ちなみにカールスラントは16歳以上から飲酒OK。
大尉は…ギリギリアウトでありますねっ;;
お酒は楽しく適量を、そして飲酒可能な年齢になってから!
ヘルマ・レンナルツからのお願いでであります!
【つづく】
20
:
名無しさん
:2010/11/29(月) 01:53:22 ID:WeLOHTJM
ペリーヌとエイラの秘め声いいなぁ
仲いい感じが
21
:
名無しさん
:2010/11/30(火) 00:27:00 ID:FTdECyhE
>>20
やっぱ501って何だかんだで皆仲良いのね。
シャーゲルと言い、聴いて初めて分かる部分が有る。
22
:
名無しさん
:2010/12/01(水) 19:28:19 ID:pXAlPYPM
ヘルマの発情シリーズは、なんといってもハデマリーたちが楽しそうにしているとこが好きです
肝心のお姉ちゃんが誰のことが一番好きか気になる
23
:
mxTTnzhm
◆di5X.rG9.c
:2010/12/01(水) 22:42:47 ID:ky.zo9OM
>>19
Hwd8/SPp様
GJです。ヘルマが常にハイテンションで良いですね。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
ちょっと思い付いたネタを短めに。
保管庫No.0450「ring」シリーズ続編と言う事でよしなに。
ではどうぞ。
24
:
normal breakfast 01/02
:2010/12/01(水) 22:43:29 ID:ky.zo9OM
朝の501。珍しく皆が揃って食事を取る。所々で雑談やたわいもないお喋りが繰り広げられる中、
一緒に座って黙々と朝食を食べていたエーリカが不意に呟いた。
「ねえトゥルーデ」
「どうしたエーリカ」
トゥルーデは黒パンをかじり、よく噛んで飲み込むと、ちらりと声の主を見る。
「何で私達って一緒に居るんだろうね」
そう言って気怠そうにシチューを一口食べるエーリカ。
「いきなり何を言い出すかと思えば……」
「トゥルーデは分かる?」
「分かるかと聞かれてもな。まずは、職務上一緒に居た方が都合が良いから」
言い終わると、小皿のサラダを一気に食べ尽くすトゥルーデ。エーリカもちまちまと野菜をつつく。
「今日は私達、非番だけどね」
「うーん。あとは、訓練に、食事に、風呂に。寝た後は朝お前を起こし……待てよエーリカ」
何かに気付いたのか、トゥルーデは手にしたスプーンの動きを止めた。
「どしたの?」
「思い返すに、エーリカ、お前の世話ばかりしている気がするんだが」
「んー、気のせい気のせい」
わざとらしく首を振って、黒パンをちぎって食べるエーリカ。ぽろぽろとパン屑がこぼれ、トゥルーデがナプキンでそっと拭く。
「何だかんだであれこれ世話を……と言うより介護っぽくないか?」
「私、別におばあちゃんじゃないよ」
平然と返され、言葉を失う。ゆっくりとナプキンを畳んでテーブルの隅に置く。
しばしの沈黙。
二人同時にシチューを一口食べたところで、トゥルーデが呟いた。
「……何だか納得がいかない」
「そう? 気にしちゃダメだって」
「いや、ここはきちんと朝から順序立てて考えてみようじゃないか」
「トゥルーデ、探偵じゃあるまいし……」
「まず、朝はエーリカを起こす事から始まって……」
「はいストップ」
いきなり唇を人差し指で押さえられ、どきっとするトゥルーデ。
「な、なんで止める」
「だから。考えてもしょうがないじゃん」
ふふ、と笑うエーリカ。
「さては、何か自分に不利な事でも有りそうな言い草だな、エーリカ」
「そーかな? 例えばトゥルーデ、私がいつまで経っても起きない時『じゃあチューしたら起きる』って私が言うと……」
「うわあ! 分かったもう言うな!」
がたん、と思わず席を立つトゥルーデ。
一瞬、隊員全員の視線を浴び、ごくりと唾を飲み、椅子に座り直す。
「トゥルーデ、顔真っ赤」
「うっうるさい! 何で私が……」
「理由知りたいの? 好きだから、じゃないの?」
「何? 誰が、誰を」
「トゥルーデが私を。そして、私がトゥルーデを。それでいいんじゃない?」
エーリカはそう言って残った黒パンを食べ、シチューを一口すくった。
「う、うん……まあ。確かにそれは……」
「素直じゃないなあ、トゥルーデ。あんまし素直じゃないと、みんなの前で『お姉ちゃん』とか呼んじゃうよ?」
「それこそ止めろ! 誤解されるだろ」
「今更誤解も何も無いと思うけどね」
「……とりあえず、早く食べないと」
トゥルーデは最後の一口を口に持って行く。それをぱくりと食べたのはエーリカ。
「あっ、私のとっておきが」
「ごちそーさま、トゥルーデ」
「おい」
もぐもぐしてごくりと飲み込んだエーリカは、笑顔で言った。
「じゃあお裾分け」
そう言って、スプーンを持ったままのトゥルーデと唇を重ねる。
ほんのり、シチューの味が口に残った者同士が交わすキス。
最初に唇が触れあうインパクト、そして後からじわりと味覚を感じる。絶えず変化する五感に、一瞬酔いしれるトゥルーデとエーリカ。
そっとトゥルーデから顔を離すエーリカ。ふふっと笑う。
「トゥルーデ、スキだらけだよ」
「なっ……」
「だからかな」
エーリカはそう言うといつの間に食べ終えたのか、空の食器を持って席を立った。トゥルーデも食器を片付け、慌てて席を立つ。
「だから、ってどう言う事だ?」
「私がトゥルーデを好きな理由」
「何だか話がループしている様な……」
「トゥルーデ、今度は哲学者モード? 難しい事は考えずに、さ、行こうよ」
「あ、ああ……」
エーリカに腕を引っ張られる。食器を厨房に置くと、二人は腕を組んで食堂から去っていった。
25
:
normal breakfast 02/02
:2010/12/01(水) 22:43:57 ID:ky.zo9OM
「あのさあ、少佐」
「どうしたシャーリー」
「良いんですかね、あの二人」
カールスラントのバカップルとその所業を横目で見ていたシャーリー。呆れ顔で美緒に問う。
何故か他の隊員達は「私は何も見ていない」と言ったオーラを出している。
「……良いんじゃないか。二人はエースとしてよくやっているからな」
「はあ」
控えめな答えの美緒、何となく納得いかないシャーリー。
「そうそうシャーリー、細かいこと気にしちゃダメ!」
膝の上でころころと笑うルッキーニを見る。
「まあ……いいか」
人のことは言えないかも、とシャーリーは呟き、ルッキーニの頭を撫でた。
厨房では、そんな食堂の様子を、ひそひそと話し合うリーネと芳佳の姿が。
二人の頬が紅く染まっていた。
501の朝は、こうして気怠く過ぎて行く。
end
--
以上です。
のんびり朝食、と言うシチュエーションを考えていたら
こんな感じになりました。
何か前のと似た感じになってしまいましたが……。
ではまた〜。
26
:
名無しさん
:2010/12/01(水) 23:10:17 ID:uLZVNGJQ
うおおお、1ヶ月ぶりのエーゲルだー!
GJです
27
:
mxTTnzhm
◆di5X.rG9.c
:2010/12/02(木) 20:59:56 ID:7vjanvVA
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
またも、思い付いたネタを短めに。
ではどうぞ。
28
:
normal breakfast II
:2010/12/02(木) 21:00:53 ID:7vjanvVA
その日の504の食堂はのんびりとしていた。
隊員達はだらだらと席に着き、食事当番は少ない補給から得た食料を何とかやりくりして調理し、皆に行き渡らせる。
ジェーンは皿とスプーンを二つ持って、ドミニカの前に座った。
「はい大将、今日の朝ご飯はリゾットですよ」
「食べられれば何でも良い」
「そんな事言わないでくださいよ。ちゃんと食べないと元気出ませんよ」
「リゾット、か……」
504が陣取るロマーニャは土地柄、魚介類が豊富に獲れる。今朝のリゾットも海鮮風味。
湯気と共にほのかに漂う潮の香りが、ロマーニャと扶桑、ヒスパニアのウィッチには好評だ。
しかし、魚介類に慣れない地域出身のウィッチには「それ程でも……有れば食べるけど」と言った感じだった。
案の定、気怠そうにリゾットを一口、スプーンですくっては皿に戻す仕草を続けるドミニカ。
ジェーンは暫くその様子を見ていたが、やがて我慢出来なくなったのか、やおら立ち上がるとドミニカの手からスプーンをふんだくった。
「もう、大将!」
「何するんだジェーン。私のスプーン……」
“相棒”をぽかんとした目で見上げるドミニカ。見られている当の本人は、気にせず叱りつけた。
「今日は竹井さんがわざわざ作ってくれたんですよ! そんなぞんざいにして失礼じゃないですか!」
「熱々なのは苦手だ。単に少し冷ましてるつもりだったんだが」
「そうなら言ってくださいよ。……食べたくないのかと思いましたよ」
「冷ましてただけだ。料理が嫌いって訳じゃない」
「大将の行動は誤解されますよ」
ジェーンはスプーンを持ったまま、椅子に座り直した。
ドミニカは、そんな“恋女房”を眺めていたが、ふと思い付いた願望を口にする。。
「ならジェーン。見本を頼む」
「えっ……」
ジェーンは一瞬固まった。
何をどうしようか迷っている様だった。
しかし意を決したらしく、顔を赤くし、一口すくうとふーふーして、ドミニカの口元に持って行った。
「はい、どうぞ」
「随分と強引だな、ジェーン」
「こうでもしないと大将食べないでしょ?」
「まあ……」
ドミニカはちらりと周囲を見回した。
基本的に我関せずと言った様子のパティとアンジー。
こっちをチラチラ見ながら何やらひそひそ話しているロマーニャ娘三人組。
扶桑陸軍のウィッチ二人は「私見てません!」と言うオーラを全身から出しながらこっそり視界には捉えている様だった。
ドミニカはおもむろにぱくっ、とジェーンの差し出したスプーンをくわえる。もぐもぐと噛み、飲み込む。
「うん。悪くない」
「大将……厨房から竹井さんが見てますよ?」
「笑ってるな」
「そりゃ、まあ……」
「続き」
「えっ?」
「ジェーンの冷まし方は完璧だな。幾らでも食べるぞ」
「そ、そうですか……じゃあ。……あーん」
「あーん。……ん。うまい」
「美味しいなら美味しいと最初から言って下さいよ大将。竹井さんせっかく作ってくれたんだし」
「ソイソースの匂いが微かにするな。流石、竹井らしい味付けだ。単純なロマーニャ風ではない所が良い」
「味の分析とかもう良いですから……ほら、あーん」
「ん。うまい」
「もう、竹井さん向こうで苦笑してますよ?」
「そうか」
ジェーンの言葉を聞き、何故か、小さく笑うドミニカ。
暫くジェーンに食べさせて貰った後、ドミニカはジェーンの手を取った。
「大将?」
「ジェーンも食べろ。冷めると美味しくない」
「えっ、でも」
「私があーんしてやる。ほら、来い」
ジェーンをぴったりと横に座らせ、スプーンをジェーンの手ごと握って、リゾットをすくって少しふーふーして、ジェーンの前に差し出す。
「大将……あむっ。おいひい……」
「ジェーンだからな。美味いさ」
「意味がよく分かりませんよ大将……」
「じゃあ、分かるまでもう一口」
「えっ……あーん」
お互いひとつのスプーンで食べさせ合う、その行為は延々と続いた。
そんなリベリオン夫婦の様子を見せつけられていたパティは、横に座るアンジーに問い掛けた。
「なんか“おしどり夫婦”って言うより、バカップルって感じだけど、どう思うアンジー?」
「わりとどうでもいい」
「あ、やっぱり……」
何故か同時に出る溜め息。
504の朝は気怠く過ぎていく。
end
29
:
名無しさん
:2010/12/02(木) 21:01:41 ID:7vjanvVA
以上です。
ドミジェンはもうちょっとスマートと言うか、
さらっとしてると言うか、
ツーカーな感じな二人の筈なんですが
書いているうちにどうしてこうなった……。
ではまた〜。
30
:
名無しさん
:2010/12/02(木) 23:23:30 ID:sv2DCr82
>>28
大尉二人してなにやってんすかwww バカップルすぎるwww
心の底からニヤニヤしました!GJ!
31
:
名無しさん
:2010/12/05(日) 06:08:20 ID:PQotDoZY
申し訳ありませんがどうしても見つからない作品があるので質問させて下さい
使い魔とエイラの行動がそっくりというオチの作品です
もし御存知の方がいればタイトルを教えて頂けないでしょうか?
32
:
名無しさん
:2010/12/05(日) 22:40:08 ID:nAnSJM6Y
避難所2の一番最初の「エイラーニャでエーゲル」ってやつでしょうか?
間違っていたらすみません。
33
:
名無しさん
:2010/12/06(月) 02:14:10 ID:9zpuEGQo
>>32
ありがとうございます
探していた作品で合っていました
本当にありがとうございました
34
:
名無しさん
:2010/12/06(月) 21:37:16 ID:a1qDQ.es
まとめサイト
http://lilystrikewitches.rejec.net/
って先週末から落ちていませんか?
IPアドレスが変わってDNSが反映していないのかとも思いましたが、3日たって
3つのISPで試してみましたが相変わらずタイムアウトになり接続できません。
35
:
名無しさん
:2010/12/06(月) 22:48:14 ID:cDt4SVlg
鯖落ちらしいですね…
36
:
5uxL6QIl
◆x.rTSKEoE2
:2010/12/06(月) 22:51:46 ID:4G7Wc9Yw
>>17
Hwd8/SPp様
いつも楽しく拝見させて頂いてます。
「このおっぱい眼鏡!」で腹筋が壊れました。
>>23
&
>>27
mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
501と504のおしどり夫婦可愛すぎです。
2組とも脇目もふらず、ずっとイチャイチャしてて貰いたいです。
こんばんは。今日はドミニカ大将の誕生日ということで短いですがドミジェンで一本書いてみました。
ではどうぞ
37
:
Magic Box 1/1
:2010/12/06(月) 22:53:08 ID:4G7Wc9Yw
「ドミニカ、起きてる?」
「起きてるなら開けてほしいな」
時刻は零時を少し過ぎた頃、部屋の扉をトントンとノックする音が私の耳に響く。
扉の向こうからはマルチナとパティの声。
一体、こんな時間に私に何の用だろう?
私が部屋の扉を開けると同時に、クラッカーの音が鳴り響いた。
「「ドミニカ、誕生日おめでとう!」」
と、朗らかな笑みで微笑むマルチナとパティ。
そうか、今日はもう12月6日――私の誕生日だったな。
「はい、これぼく達からのプレゼントだよ」
そう言って私に、人が1人入れそうな程大きい箱を差し出してくれるマルチナ。
「2人ともこれをわざわざ私のために?」
「うん。ドミニカならきっと気に入ると思うよ。じゃ、そういうことで」
「ごゆっくり〜」
「お、おい」
私が礼を言う前にパティとマルチナは、その場を去ってしまった。
まぁ礼なら明日、食堂で会った時に言えばいいか。
そんなことを考えながら私は、プレゼントの箱を抱え上げベッドの上に乗せる。
……意外と重いな、何が入っているんだ?
飾りのリボンを解き、箱を開けると中には――
「大将! 誕生日おめでとうございます!!」
軍服の上からリボンをぐるぐる巻きにしたジェーンの姿があった。
参ったな。まさか本当に人が、それも私の最愛の人が入ってるとは。
「……フ」
リボンに身を包んだジェーンがあまりにも可愛らしくて私も思わず笑みがこぼれる。
「ちょっと! 笑わないでくださいよ〜。これでも私、大将に何をプレゼントするかこの1週間ずっと悩んでたんですからね。
ボクシンググローブは去年のプレゼントだったし、時計は一昨年のプレゼントだったし……そこで、今年はパティさん達に
協力してもらって、私自身が大将のプレゼントになろうと思ったんです!」
と、可愛い顔して大胆な事を言うジェーン。
全く、そんな事言われたらこっちだってスイッチ入っちゃうじゃないか。
「最高の誕生日プレゼントだ、ジェーン」
私は箱の中のジェーンを抱え上げ、彼女をそのままベッドに押し倒す。
「大将……んっ」
ジェーンの唇に口付けを落としながら、リボンを解き、彼女の服を一枚一枚脱がしていく。
「……明日は竹井やドッリオ達に怒られるかもな」
「へ? それってどういう……」
「言葉通りの意味さ」
私は、もう一度ジェーンに深い口付けを落とす。
「大将っ……んんっ」
私も服を脱ぎ捨て、お互いに一糸纏わぬ姿で抱き合った。
さて、今夜は長い夜になりそうだ。
〜Fin〜
――――――――
以上です。大将誕生日おめでとう!
38
:
名無しさん
:2010/12/06(月) 22:59:58 ID:ZyPXkdR2
>>37
GJです。おおう、何と言う誕生日プレゼント!
大将も504も大胆ですなw 良いニヤニヤをありがとうございました。
39
:
名無しさん
:2010/12/06(月) 23:13:30 ID:rUsLzwVU
まとめサイト見れない…
40
:
mxTTnzhm
◆di5X.rG9.c
:2010/12/07(火) 21:52:42 ID:XpRqMOTA
>>37
5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ! プレゼントがジェーンそのものって504もジェーンも凄いw
素敵な誕生日SSありがとうございました。大将ウハウハですね。
>>39
様
保管庫のサーバのトラブルらしいですね。
避難所の
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/otaku/12483/1236773034/
こちらなどをご参照下さい。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
某所で思い付いたネタをざっと書いてみました。
「実験的」と言えば聞こえは良いですが……お察し下さいorz
ではどうぞ。
41
:
inception II 01/04
:2010/12/07(火) 21:55:27 ID:XpRqMOTA
リーネの挙動が乱れストライカーに被弾し、くるくると回る独楽の様に、ぽちゃりと海に墜落した。
すぐさま他のウィッチ達に助けられ、基地に後送され、治療が開始された。
「リーネちゃんは大丈夫なんですか」
目を閉じたまま動かないリーネの横で、芳佳が担当の女医に聞いた。
「問題無いわ。怪我そのものは貴方の治癒魔法で完治していますから。ただ……」
「ただ?」
ごくりと唾を飲み込む芳佳、言葉を続ける女医。
「被弾した時のショックで……落ち込んだり、ヒステリックになったりするかも知れないですね」
「えっ、そんな……」
「大丈夫だとは思うけど……どうかしら」
目を覚ましたリーネは「大丈夫だよ芳佳ちゃん、問題無いから」と笑って見せたが、
その後のトレーニングでミスを連発、食事当番でもお鍋を焦がしてしまったりと良い所がない。
「大丈夫だから、ちょっと疲れてるのかな……」
と気丈に振る舞うリーネ。しかし、大皿を割ってしまった時のリーネは……明らかに震えていた。
指がかじかんだ様に小刻みに震え、やがて腕にも伝播する。
「リーネちゃん?」
心配してリーネの肩を持つ芳佳。びくりと震えたリーネは、芳佳をどーんと突き飛ばした。
「離してっ!」
厨房の端まで転がる芳佳。壁に頭を打ち付け、いたた……と呟く。額の横が切れたらしく、僅かに出血している。
異変に気付いた隊員達が、厨房に集まった。
「おい何だ今の騒ぎは!? 宮藤、大丈夫か?」
「わ、私は……その、リーネちゃんが」
シャーリーとエーリカがすぐさま芳佳を抱き起こし、トゥルーデがハンカチで芳佳の血を拭う。
「な、なんでも……ないんです」
涙目のリーネ。
芳佳は衝撃でふらっと来たのか、だらしなくシャーリーの胸に顔を埋めた。
「宮藤、大丈夫か!」
「一体何の騒ぎですの?」
「芳佳ぁ、大丈夫?」
訳が分からないといった感じのペリーヌ。ルッキーニも心なしか心配そうだ。
「何でもないなら、何故宮藤を投げ飛ばす?」
立ち上がり、詰問するトゥルーデ。
「リーネ、どうした。何があっ……」
「いやああああああああああああああああああああああああああああ」
美緒の問いを、リーネの悲鳴が切り裂いた。
睡眠薬を無理矢理飲まされ、静かに眠るリーネ。
「やっぱりね……」
女医は溜め息混じりに、リーネの様子を聞き取り、診断カルテに何かを書き込む。
「それで先生、リーネちゃんは」
したたかに頭を打ち付けた芳佳は、大事を取って包帯で額を巻かれていた。
「リーネさんは、恐らく戦闘によるストレス、いわゆる精神的なダメージね……それを受けていると思います」
「リーネちゃんが? 私の治癒魔法で治せますか?」
「宮藤さんの治癒魔法は主に外傷や疾病だと思うから……精神的なものは難しいんじゃないかと」
「そんな……リーネちゃん」
「ねえ、芳佳ちゃん」
芳佳の傍らに立ったのは、サーニャ。
「私、前、エイラの夢の中に、魔法を使って入った事が有るの。それを応用すれば、何とか……なりませんか、先生?」
サーニャの提案を受けた女医は戸惑ったが、カルテと分厚い医学事典を睨めっこしたあと、小さく頷いた。
「難しいと思うけど……やってみる価値は有るかも知れないですね」
芳佳とサーニャは、ベッドに横になり手を繋ぐ。そして横に居る、寝たきりのリーネの手をそっと繋いだ。
「良い、芳佳ちゃん? 何が有っても動揺しない事。もしどうしようもなくなった時の“目覚め”の合図は……」
「うん、さっき聞いたよ。分かってる」
真剣な表情で、芳佳は頷いた。
「では、行きます……」
「サーニャぁ……無事に帰って来いヨ」
「エイラ、貴方が側に居てくれれば大丈夫よ」
サーニャはふと微笑んだ。そして静かに魔力を発動させ、魔導針が輝く。
ぶうん、と魔導針の光が増幅される。
手を繋いだサーニャと芳佳は、横になり、目を静かに閉じた。
42
:
inception II 02/04
:2010/12/07(火) 21:55:57 ID:XpRqMOTA
ここは何処?
芳佳は辺りを見回した。
ブリーフィングルームでもない、石造りの巨大な部屋。いや、回廊と言った方が正しいか。その位の奥行きが有った。
陽の光は無く、部屋の隅に掲げられた巨大なキャンドルが整然と並び、ぼんやりと周囲を照らす。
横にサーニャが居る。眠りから目覚めた様に、目を擦る。
「サーニャちゃん」
「芳佳ちゃん。……よかった、すぐに会えて」
「うん。リーネちゃんを捜しに行こう」
「大丈夫、すぐ見つけるから」
サーニャの魔導針が光る。
「こっち」
サーニャが芳佳の手を取り、進む。
しかし「大回廊」は行けども行けども先が見えず……流石に立ち止まってしまう。
「サーニャちゃん、何でこんなにこの部屋長いの?」
「リーネちゃんの意識の中だから……」
「そっか。リーネちゃん」
「大丈夫、すぐそこに」
サーニャが手を伸ばすと、ぶわっと一瞬のうちに周りの景色が動き、どこからともなく大きな扉が現れた。
「外に何か有る。気を付けてね、芳佳ちゃん」
「うん」
閂を外す。お互い手をぎゅっと握ったまま、扉に力を込め、開ける。
そこは地平線の彼方まで広がる農場。
眩しい程の陽の光に満ち、作物はたわわに実り、鳥が鳴き動物がうたう、長閑で平和過ぎるシーンだった。
「芳佳ちゃん、あそこに」
サーニャが指し示す方向に、リーネが居た。
ブルーベリー畑で、摘み取り作業をしている。
「リーネちゃーん!」
「あ、芳佳ちゃん! サーニャちゃんも!」
「リーネさん、元気そうで良かった」
「私は元気。大丈夫だよ? ほら見て、今年のブルーベリーは豊作だよ! 美味しいんだから」
リーネは採れたてのブルーベリーを数粒、芳佳に分け与えた。
「へえ、すごい!」
笑顔の芳佳、リーネ。そして一人浮かない顔のサーニャ。
「リーネさん」
「どうしたのサーニャちゃん?」
「帰りましょう、元の世界……私達のあるべきところに」
「何を言ってるのサーニャちゃん? ここ、私の実家だよ?」
「あなたは第501統合戦闘航空団『ストライクウィッチーズ』の狙撃手です。リーネさん。農場主では無い筈です……今は」
さっと表情が変わるリーネ。
「違うの……これは違うの。夢なんかじゃないの。本当なの」
「今私達が通ってきた回廊……本当は私達に来て欲しくなかったから、あんな……」
「そんな事、無い!」
空の色がさっと変わる。
それまでの澄んだ青空が一変、燃え盛る大地から障気が沸き立つ、どす黒く染まる赤い戦火の渦巻く風景が現れる。
一瞬にしてブルーベリー畑が燃え盛る。
芳佳が手にしていたブルーベリーの粒は、血の色をした液体に変わって手からこぼれ落ちた。どろっとした生々しい感触。
空を劈く無数のネウロイ、撃ち出されるビーム。
それをかわしながら突き進む、無数の、見た事もないウィッチ達。
「サーニャちゃん、これは……」
「大丈夫、リーネちゃんの夢だから」
「でも、ネウロイがこっちに……」
「大丈夫」
リーネ、サーニャ、芳佳の頭上で、間も無く激しい戦闘が開始された。
辺りは銃弾とビームが交錯し、次々と小型ネウロイが撃破され、
またひとり、ひとりとウィッチが大型ネウロイの集中打を浴び、墜落していく。
「また、汚れちゃった……私の居場所」
「リーネちゃん」
「もう来ないでっ!」
刹那、世界がぴたりと止まった。
ネウロイも、ウィッチも、全員が芳佳とサーニャの方を向いた。全ての銃口が向けられる。
放たれるビームと、銃弾。
芳佳は咄嗟に魔法でシールドを展開した。ぽんと肩を叩くサーニャ。
「どうしたの、サーニャちゃん?」
「ここは何処か、忘れたの?」
「リーネちゃんの、夢……」
「じゃあ、無駄に魔力を使うのは止めて。シールドをしまって」
「そんな事したら、皆死んじゃう!」
「良いから、私の言う通りに」
「ええっ」
サーニャが芳佳の手を取った。思わずシールドが切れる。
サーニャを、芳佳を、そしてリーネに、無数の銃弾が降り注ぎ、ビームが浴びせられる。
シールドと言う「抵抗」を失った三人の身体。
間も無くぼろ切れの如く、血にまみれ、四肢が吹き飛び、原形を留めなくなる。
「大丈夫」
サーニャの言葉が響く。
そうだ……芳佳は思い出した。そして、顔の見えぬウィッチが放った銃弾が、芳佳の眉間を貫いた。
43
:
inception II 03/04
:2010/12/07(火) 21:56:29 ID:XpRqMOTA
気が付くと、身体も服も元に戻り、全く別の場所に立っていた。
「ここは?」
周りを見る。
「あれ、ここ、ブリタニアの基地?」
基地の廊下らしい。てくてくと歩いて行くと、見えた。リーネの部屋だ。
「あ、でもその前にサーニャちゃんを捜さないと」
「私ならここに居るよ」
ふっと芳佳の頭上から降ってくるサーニャ。
「さすがだねサーニャちゃん、夢の中だから何でもアリだね」
「芳佳ちゃんだってやろうと思えばすぐ出来るんだから」
「いや、サーニャちゃん、なんか慣れてるなって……やっぱりエイラさんと?」
顔を真っ赤にしてうつむくサーニャ。
「芳佳ちゃんの……バカ」
「ああ、ごめんねサーニャちゃん、そんなつもりじゃ」
「行こう」
リーネの扉の前に立つ。
「まさか夢の中にブリタニアの基地が出てくるなんて……」
芳佳は笑って扉を開けた。
どどっと扉の向こうから大量の熱々ご飯が雪崩れ込んでくる。
「な、なにこれっ熱っ! 窒息するっ!」
「玄関開けたら2tのご飯……」
サーニャはいつ抜け出したのか、熱々のご飯の上に立っていた。
そしてご飯まみれになった芳佳をよいしょ、と引き揚げた。
「リーネちゃんの部屋だよね、何でこんな事に?」
「それは、芳佳ちゃんの主食がご飯だから?」
「どう言う事?」
「とにかく、行こう」
サーニャは芳佳の手を取り、ご飯の中を歩く。
割れる海の如く、ご飯が廊下の中央をずばっと空間を作り、目指す扉がもう一度見えた。
「今度はお味噌汁とか、無いよね?」
「大丈夫……だと思う」
そっと扉を開ける。
ベッドの上で泣いているリーネ。
傍らには、投げ捨てられたボーイズ対戦車ライフル。
リーネの横にはボロボロになったストライカーユニットが転がっている。
「リーネちゃん」
「私のせいで、みんなが」
「私は大丈夫だよ。みんなも。誰だって一度くらい墜落するって、ハルトマンさんもバルクホ……」
「芳佳ちゃんは」
言葉を遮って、虚ろな目をしたリーネが芳佳の顔を見る。顔が青白く精気がない。
瞬間移動したかの如く、芳佳の眼前にリーネの顔が見えた。
「どうしてそんなにしつこいの? どうしてそんなに諦めないの?」
「どうしてだろうね。私……リーネちゃんが好きだから」
「芳佳ちゃん、ゴメン。私、芳佳ちゃんに応えてあげられそうに……」
「リーネちゃん!」
ふわふわした感触のリーネを、芳佳はぎゅっと掴んだ。
「私、私は絶対に諦めない。リーネちゃんと一緒に帰るまで」
その時、ターン、と乾いた銃声が響く。
44
:
inception II 04/04
:2010/12/07(火) 21:56:57 ID:XpRqMOTA
芳佳は音の所在を確かめた。立ちこめる硝煙の臭い。
自分の腹を、リーネが拳銃で撃ち抜いたのだ。
「ほら、無理だよ。芳佳ちゃん」
どくどくと流れ出る血流。
「今、芳佳ちゃんの命を奪ってあげる」
意識が混濁しかける芳佳。
「大丈夫」
横に居るサーニャが呟くと、不思議と痛みが戻る。
「さっきから、サーニャちゃんも何?」
リーネが向けた拳銃を握り、銃口を明後日の方に向ける。ぱんぱん、と乾いた音が続く。
部屋の調度品が割れ、粉々になる。
やっとの思いで拳銃を払い除けた芳佳は、リーネをぎゅっと抱きしめ、言った。
「リーネちゃん。私は、リーネちゃんの命を、魂を、リーネちゃんの恐怖心から奪い返す!」
「何バカな事言ってるの芳佳ちゃん……証拠は?」
「証拠は、私とリーネちゃん。この身体の熱さ、分かる?」
流れが止まらない血の中……ベッドの中央に広がる血溜まりの中で、芳佳は続けた。
「私は、既にリーネちゃんを抱きしめてる。これからも、ずっと。だって、リーネちゃんが好きだから」
芳佳は、狼狽えるリーネに、そっと口吻をした。
動きが止まるリーネ。
「ね、リーネちゃん。私、リーネちゃんと何処までも一緒だよ? 愛してる」
「何処までも……?」
「そう。何処までも」
「本当に?」
「勿論、本当だよ」
「じゃあ、一緒に……」
「うん。帰ろう?」
笑顔の芳佳に、リーネは涙ながらに笑顔を見せ、もう一度キスをした。
キスをした二人。
その瞬間を逃さず、サーニャはぱちんと指を鳴らす。
二人の動きが、固まる。
サーニャは手にした拳銃で芳佳とリーネのこめかみを撃ち抜く。
サーニャはぱちんと指をもう一度鳴らした後、自身のこめかみにまだ硝煙くすぶる銃口を当て、引き金を引いた。
「あれ、ここ何処?」
リーネはゆっくり起き上がり、ぼんやりとする視線で辺りを見た。
501の隊員が全員で、リーネを見ている。
「えっ、これは一体」
「うーん……リーネちゃん」
ごろりと転がり、リーネに抱きつく芳佳。
「ちょ、ちょっと芳佳ちゃん、皆の目の前だよっ!」
「あ、あれ? もう終わり?」
眠たそうに目を開ける芳佳。横ではエイラが一人騒いでいた。
「オワ!? サーニャも目覚めタ! サーニャ、大丈夫かサーニャ?」
「エイラ……ただいま」
「お帰リ、サーニャ」
美緒は、サーニャ、芳佳、リーネの三人を魔眼でじっと見ていた。
「どう?」
ミーナの心配そうな顔。美緒は眼帯で目を覆うと、ゆっくりと頷いた。
「大丈夫だ、問題無い」
その後サーニャは魔力を消耗し過ぎたと言う事で、エイラと一緒に寝室に戻った。
「しかし、本当に夢の中に入れるなんて、凄いのね」
驚く女医。眠りから目覚めたリーネと芳佳を診て、二人共大丈夫そう、と診察した後カルテに何か書いている。
「リーネさんは、暫くは実戦には出さず、トレーニングと日常生活で問題が無いかチェックします」
ミーナは女医からの報告を受け、告げた。
「ええ、そうして下さい。でも、彼女はもう大丈夫だと思います」
「そうですか……良かった。本当に」
ミーナはほっと息をついた。
「ありがとう、芳佳ちゃん。私、また芳佳ちゃんのお陰で……」
「ううん、リーネちゃんの為だもん」
「これ、夢じゃないよね?」
「もちろん!」
無邪気に笑い合う二人。
「しかし、本当に夢の中に入れるなんて、凄いのね」
女医は余程感心したのか、全く同じ言葉を繰り返した。美緒は笑った。
「ウィッチに不可能は有りませんから」
end
45
:
名無しさん
:2010/12/07(火) 21:57:37 ID:XpRqMOTA
以上です。
お分かりの通り「“目覚め”の合図」は
その夢の中で「銃で頭を撃ち抜く」事です。
某ペル●ナ3みたいですが、お気になさらず……。
「夢の中へ〜」と言うネタそのものは某映画からヒントを得ましたが
そのタイトルは言うまでもありません……orz
ではまた〜。
46
:
名無しさん
:2010/12/10(金) 00:37:31 ID:NLKuTd4M
ラジオ、今月いっぱいで終わるのか…
47
:
名無しさん
:2010/12/10(金) 20:58:30 ID:GixI4qWc
>>46
え、それマジで? ソース希望。
48
:
名無しさん
:2010/12/12(日) 17:52:40 ID:9zBRbtGM
>>47
ソースも何も放送聞いてみるといいですよ
49
:
カカシ
:2010/12/12(日) 23:14:17 ID:VRtjYe3Q
まとめサイトっていつ復活するの?
50
:
名無しさん
:2010/12/12(日) 23:17:55 ID:zPI1qPpQ
鯖の復旧は年末以降になるっぽいね
51
:
名無しさん
:2010/12/13(月) 02:14:55 ID:NCteKEVs
マジで?
どこから聞いたの?
52
:
名無しさん
:2010/12/13(月) 02:24:23 ID:WiM.lfJY
ソースは元鯖サイト
53
:
名無しさん
:2010/12/13(月) 18:37:56 ID:NCteKEVs
そうですか
ありがとうございます
54
:
名無しさん
:2010/12/13(月) 22:33:59 ID:zyhQrpe6
年末まで読みかけの続きはお預けか…待ち遠しいな。
55
:
5uxL6QIl
◆x.rTSKEoE2
:2010/12/13(月) 23:46:10 ID:w8Ubk0wU
>>40
mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです、素晴らしい芳リーネをありがとうございます。
美緒の締めの一言もいいですね。
こんばんは、マルちゃんの誕生日ということで伯爵×マルちゃんで一本書いてみました。
といっても、伯爵は直接出てきませんが……
では、どうぞ
56
:
Ein Brief 1/2
:2010/12/13(月) 23:47:01 ID:w8Ubk0wU
「相変わらず、凄い量ですね」
昼食のトレーを抱えたマミが、私のテントに入るや否や驚嘆の声をあげる。
今日は12月13日、毎年この日になると大小様々な箱や、手紙が私のもとに贈られてくる。
早い話が全部私への誕生日プレゼントというわけだ。
「厚意はありがたいんだが、こうも多いと一つ一つチェックするのも面倒だな」
マミから昼食のトレーを受け取りながら、私は思わず溜息をつく。
正直、空でネウロイと戦っていたほうがよっぽど気は楽だ。
「人気があるのは良いことじゃないですか。よかったら手伝いましょうか?」
「ああ、そうしてくれると助かる」
――それからしばらくの間、私とマミとマティルダとで届いたプレゼントを一つ一つ見ていった。
アフリカでは中々手に入らない酒のプレゼントがあったのは特にありがたかった。
最も、私への想いが延々と綴られている反応に困るような手紙も中にはあったりしたが……
「マルセイユ大尉、第502統合戦闘航空団のヴァルトルート・クルピンスキー中尉からも手紙が届いてますよ」
「伯爵から?」
マミからその手紙を受け取り、封を開く。
確かに、JG52時代の同僚、伯爵ことクルピンスキーの癖のある字だ。
私は、その癖のある字にどこか懐かしさを覚えながら、2通ある手紙の1通目を読み進めていった。
『拝啓 ハンナ・ユスティーナ・ヴァーリア・ロザリンド・ジークリンデ・マルセイユ殿←本当に長い名前だね』
「余計なお世話だ」
『久しぶりだね。元気にしてるかい? アフリカは良いところだよね。行ったことないけど』
「相変わらず適当な奴だ」
人はそう簡単には変わらないか、そんなことを考えながら私は手紙の続きを読んでいく。
『君に報告したいことがあるんだ。実はこの度、ボクとロスマン先生は結婚することになったんだ』
「な!? ロスマンの奴、血迷ったか!?」
1枚目の手紙に添えられた写真には、ウェディングドレスに身を包んだロスマンの姿があった。
伯爵とロスマンが結婚だと? あまりの衝撃的な出来事に私は口に含んでいた牛乳を思わず吹き出してしまった。
「大丈夫ですか?」
牛乳で汚れたテントを拭きながら、マティルダが私に問いかけてきた。
「あ、ああ大丈夫だ。悪いな、マティルダ」
私は気を落ち着かせ、2通目の手紙を読み進めていった。
『……なんてね。冗談だよ、冗談。まぁ君がこんな話にまんまと騙されるわけないとは思うけど。
先生のウェディングドレス姿、中々似合ってるだろ?』
「あ、あいつら……!」
まんまと騙された。ロスマンの奴、この為だけにわざわざウェディングドレスを用意したんだろうか。
考えてみれば戦闘時以外のあいつは、伯爵以上の享楽家だったな。
私は手紙を破りたい衝動をなんとか抑え、続きを読んでいった。
57
:
Ein Brief 2/2
:2010/12/13(月) 23:48:06 ID:w8Ubk0wU
『君が501でフラウとやり合ったっていう話はこっちにも届いているよ。是非見てみたかったなぁ。
バルクホルンはきっと、落ち着きがなかったんだろうね。あっ、そうそう。バルクホルンといえば、
この前、彼女の妹のクリスちゃんのお見舞いに行ったんだけど、その時に君のサインが入ったブロマイドを
嬉しそうに見せてくれたよ。君って確かサインはしない主義だったよね、何かいいことでもあったのかな?』
「……ふん」
その文を読んで、私はこの前の501での出来事を思い出す。
ハルトマンとはいつか必ず決着をつけてやる。
『最後になるけど、ティナ、誕生日おめでとう。君と離れてから随分経つけど、今でもボクにとって君は、
かけがえのない戦友で仲間だからね。もちろん、ロスマン先生やラル隊長、バルクホルン達も。
いつかまた、みんなで笑って語り合える日がくるといいね。それじゃ、お元気で
変わらぬ友情を込めて ヴァルトルート・クルピンスキー』
手紙の最後の文を読み終わって、私は思わず笑みがこぼれた。
伯爵は一見いい加減そうに見えてその実、仲間想いの良いヤツだ。
あいつのそういった面も変わってなくて、少しだけ安心感を覚える。
「マルセイユ大尉、クルピンスキー中尉からプレゼントも届いてますよ」
「プレゼント?」
私はマミから伯爵のプレゼントが入った箱を受け取る。
その箱に入っていたのは……
「な、なんだこれは!」
中に入っていたのは、私にはおよそ似合わないピンク色のワンピースだった。
伯爵の奴、私にこんなものを贈ってくるなんて一体何を考えているんだ?
私が箱の底を覗いてみると、そこには伯爵の字でこう書かれていた。
『ボクからのプレゼント、気に入ってくれたかい? この服、バルクホルンがクリスちゃんにプレゼントしたものと
同じものなんだ。これを着た写真を撮って、ボクに贈ってくれると嬉しいな』
ふざけるな! なんで私がバルクホルンの奴が、妹にプレゼントした服と同じものを着ないといけないんだ。
こんなものを着るくらいなら、裸のほうがマシだ。
少しでもあいつのことを見なおした私が馬鹿だった。
「ティナ、隊長が呼んでるけど……って、何その服?」
「ラ、ライーサ、これはその……」
そこに何とも間の悪いタイミングでライーサが私のテントを尋ねてきた。
「すごく可愛らしい服ね。着るの?」
「き、着るわけないだろ!」
「「……っ!」」
「お、おい! マミもマティルダもさり気なく笑うな!」
――その後、私はケイに無理矢理このワンピースを着せられ、写真を撮らされた。
後日、その写真は伯爵たちのもとに贈られることになるが、それはまた別の話。
〜Fin〜
――――――――
以上です。マルちゃん、誕生日おめでとう!
保管庫の復旧は年末以降になるんですね、なんだか寂しいです。
ではまた
58
:
名無しさん
:2010/12/14(火) 01:59:06 ID:h3ARV0FY
おお、珍しい組み合わせだなぁ
伯爵×マルちゃんか…なんか二人で並ぶと凄く眩しい気がする
JG52時代の話が見てみたい
59
:
名無しさん
:2010/12/14(火) 23:04:38 ID:HqOWi2hs
>>57
GJ!いい加減伯爵ワロタ
手紙と服ひとつでマルセイユを翻弄するとはまさに伯爵w
面白かったです!
60
:
名無しさん
:2010/12/15(水) 16:44:33 ID:GW3N6NH.
>>56
さすが伯爵!そこにシビれるあこがれるゥ!!
つかロスマン先生なにやってんのwwww
61
:
名無しさん
:2010/12/15(水) 17:46:17 ID:idUPe8SE
マルピンスキーとは新しくていいね
伯爵が劇場版に出たらカールスラント組との過去話とか聞けるのにな
62
:
名無しさん
:2010/12/15(水) 22:34:59 ID:iG3FUtt2
特に絡みなんかも無い筈なのに、何故か色んな所でこの組み合わせ見るなw
63
:
名無しさん
:2010/12/15(水) 23:59:04 ID:lETw9nqo
元同僚という接点はあるぞ
エーリカやバルクホルンとの関係もあるしな
64
:
名無しさん
:2010/12/16(木) 00:16:27 ID:8T2CmcXg
それはそうだけど、逆に言えばそれだけじゃない?
何の描写も無いところが妄想心をくすぐるんだろうか
65
:
名無しさん
:2010/12/16(木) 00:39:00 ID:n5t0t2Ag
クルセイユいいな
66
:
名無しさん
:2010/12/17(金) 00:40:36 ID:zwCxFUJc
ラジオ、残すところあと二回か。
今年最初の木曜日に始まって今年最後の木曜日に終わるんダナ。
67
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 12:17:50 ID:Igoe74FM
ラジオ終わるしファンブックもキャラソンも延期だし、年末は寂しくなりそーだぜ…
68
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 22:33:12 ID:bJwM9RbM
ttp://sukima.vip2ch.com/up/sukima004783.jpg
隊長自重しr・・・いいぞ、もっとやれ
69
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 22:36:09 ID:R31D9u8M
どうも、「ヘルマの発情」シリーズのHwd8/SPpです。
まとめサイト…早く復旧して欲しいですねえ;;でも何が原因で鯖が落ちたんでしょうか…?;;
あ、亀レスですが
>>22
様。ありがとうございます、肝心のお姉ちゃんは誰が好きなのか…?う〜ん、それは全く考えてなかったです!
シリーズを展開させていく時に改めて考えていきたいと思います!個人的にはシャーゲルが一番好きなんですがね〜!
今回は「ヘルマの〜」シリーズではなく、忘年会シーズンって事でスオムスいらん子中隊の忘年会について書きました!
読んで頂ければな…と思います!
【いらん子中隊の忘年会】
12月20日。
カウハバ基地近くのスナック「ふきでもの」にて、
スオムス義勇独立飛行中隊こと「スオムスいらん子中隊」の忘年会が催されたのである…。
「えと皆さん…2時間まで飲み放題だそうです!」
「何ここ…汚い店ねえ」
「中尉ぃ〜私と飲みましょう?」
「こんな小娘より成熟した私と一緒に?」
「パスタ准尉はあっち行っててください!シッシッ!」
「マンマミーア!あなた私より位は下でしょ?!」
「そんなのお酒の席じゃ関係ないんですぅ〜!」
「だぁっ!!もう!!!!うるさいわよアンタ達っ!!!」
「あ、あの〜ぅ…」
必死に頑張って仕切るエルマ…だが、誰も聞いていない様子である。
「飲み物だけでも注文を…」
「飲み物?そうねえ…」
「スコッチを頼む」
「バドワイザーはあるかー?」
「じゃあ私は扶桑酒かな」
「じゃあ私も!」
「私もっ!!!」
「…オレンジジュース」
「じゃあ私もオレンジジュースで…」
一通り注文をし終えた一同。
だが………
「Oh!何言ってるねー、今日は一年のしめくくりねー!!いっぱいお酒飲むねー!!」
「え…でも私は…」
「…じゃあオレンジジュースとナポリタン大盛」
「ナポリタンはお酒じゃ…;;;」
「そうねえ…ウルスラはわかるとして、エルマ!あなた何か飲みなさい!!」
「えぇっ?!」
「隊長命令…だわよ?」
「はいぃ…」
急いでお酒のメニューを見始めるエルマ。
すると横に居たビューリングは、
「なんだ、飲めないのか?」
「お恥ずかしながら…」
「だったらカシスオレンジだな」
「美味しいんですか?」
「まあ…始めはこうゆう、甘いのから入ると良いぞ」
「ありがとうございます!じゃあ…カシスオレンジ!」
***
70
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 22:37:10 ID:R31D9u8M
>>69
の続き。
【1時間後】
智子の扶桑酒を注いでるキャサリン
「ストップ!ストップ、ストップひばりくん!…ケッケッケ」
「トモコー、明らかに飲み過ぎねー」
「さっきから親父ギャグ連発なんですよ…」
「ねえ中尉、世界四大文明と言ったら?」
「えと…エジプト文明とメソポタミア文明と黄河文明…加納典明!ケッケッケ」
「もうパスタ准尉!トモコ中尉で遊ばないでください!」
「ケッケッケ…まだ飲み足りないわ〜っ!!」
そんな騒いでる集団とは打って変わり、店の角のソファーではエルマ、キャサリン、ウルスラの3人が静かに飲んでいた。
「大丈夫か?」
「はい…お酒って…美味しいですね」
「そうか…」
「…飲み過ぎには注意」
「大丈夫です、智子中尉みたいには…ならないと思います…あ、ジントニックを!」
***
【さらに1時間後】
「…ジントニック…トニック無しで」
「エッ、エルマ…どうしたねー?;;」
エルマの目が完全に据わっていた...
「あん?」
「ジントニックのトニック無しじゃただのジンだな」
とタバコを吹かし始めるビューリング。
「そこぉ!何か言いましたぁ?」
「だからジントニックのトニック無しじゃ」
「うるさい!もっと短く言ってください!!!!」
「え…?」
「ったくぅ…この隊は全く、規律がなってないんですよぉ規律がぁ」
いつの間にかエルマは度数の強い酒の瓶を持ち、空のコップに注いでいる...
「ちょっとエルマ!飲みすぎねー;;」
「うっさい、黙ってろおっぱいバカ」
「お…おっぱいバカ…?」
「そこのパッツン小娘」
「…へ???」
エルマに指ざしで指名されるハルカ
「ちょっとこっち来い」
「えと…エルマ中尉…??」
「良いから隣に座れってんだぁ!!!」
「はいぃ!!」
すぐさまハルカはエルマの座っているソファーへ移動し、隣に移動する。
「…おい、そこのパスタも!」
「はい…」
エルマが怖いのか、珍しく若干怯えているジュゼッピーナも呼ばれる…。
「あ、あの…智子中尉は呼ばなくて大丈夫なんですか???」
「あぁん?」
智子は既にソファーにて寝ていた
「よ〜しよしよし…」
「ひぃぃぃぃ!!!」
「こここ今度晩御飯のおかず…一品差し上げますからお許しをぉ!!」
「ねえぱっつん小娘とパスタ〜♪」
「は、はいぃぃぃ?」
恐る恐るハルカがエルマの方を向くと、満面の笑みが広がる…
そしていつでもキスが出来るじゃないか?と言う距離で…
ゴンッ☆
71
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 22:37:46 ID:R31D9u8M
>>70
の続き。
「キャアアアアアア!!!!」
なんとハルカはエルマによって頭突きされたのであった…
そしてハルカは気絶。
「ちょっと…中尉、どうしたんです?」
「あれぇ〜?パッツン小娘、額から血が出てるぅ〜あはははは」
「ヤバい…逃げるねー!」
キャサリンは未だ本を読んでいるウルスラを無理やり引っ張ろうとすると…
「あはは〜!そうはさせるもんですかぁ〜!!!!」
***
チュンチュン...
「あれ…っ?私ってば…」
エルマが朝起きると、医務室のベッドの上に居たのだ…。
「…気がついたか」
「ビューリング大尉…おはようございます」
「あぁ、おはよう」
「あの…昨日、私…?」
シャーッ!!
すると突然、ベッドを囲っていたカーテンが開かれる。
「エルマ・レイヴォネン中尉!あなたは…あなたはなんて事を…っ!!!!」
「ハッキネン大尉!!??」
「貴官に10日間の自室禁固、そして7日間の社会貢献活動を命じます!」
「…へ???」
「本当は営倉入りにしようとも思ったんですが…」
「え…?えと…よく話が見えないのですがぁ…;;;」
するとビューリングは無言で立ちあがり、どこからかテレビを持って来て電源を付けた。
72
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 22:38:40 ID:R31D9u8M
>>71
の続き。
「………」
映像の内容は、密かにビューリングが昨夜の忘年会を16mmカメラで撮影したもので、それを編集したものだ。
内容としてハルカに頭突きを決めた後の様子が生々しく映し出されていたのだ
例えば、必死に逃げようとするキャサリンとウルスラに向かって客がキープしてあったボトルの数々を投げつける。
必死にそれを止めようとするジュゼッピーナに対し、チョークスリーパーホールドを決める。
そして寝てるのを良いことに、智子を全裸にしそしてそのまま体上につまみとして出されたチーズやサラミを盛りつける…いわゆる「女体盛り」をしたのだ…。
動画は『劇終』という文字と、銅鑼の音と共に終了した。
「どうだ?」
「わあ…ジャッキー・チェンの映画のエンディングみたいですねぇ、NGシーンが流れるみたいで」
「そんな冗談言ってられるのか?」
「………そそそそそんなわけないじゃないですかぁ!!!!どうしましょぉ〜ビューリング大尉ぃ〜!!私、とんでもない事をみなさんにぃ〜(泣)」
「そうだな…こればかりは、謝るしか」
「そうですよねぇ、そうですよねぇ…(泣)」
そして必死に謝ったが、キャサリン以外(彼女は「しょうがないねー、エルマもストレスが相当溜まってたのねー」と許してくれたが)は口を聞いてくれず、
もっと言えば智子の訓練においてエルマだけ厳しくなったり、ハルカとジュゼッピーナは全然気にしてませんよと言いつつ地味な嫌がらせを数日間受けたエルマであった…。
エルマが虐げられてるのを見て、ウルスラはこう呟いた…。
「酒は飲んでも…飲まれるな…」
みなさんもほどほどに。
【おわれ】
73
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 22:41:39 ID:bJwM9RbM
>>69
GJです、ところでビューリングって大尉ではなく少尉では?
74
:
名無しさん
:2010/12/19(日) 23:48:59 ID:0imLA2i2
>>69
です。
>>73
様。
あ!今、まとめwiki見たら少尉でしたね〜('A`)
すみません;;;
75
:
名無しさん
:2010/12/20(月) 03:25:45 ID:.S4y8eNc
ウルスラに被害がなかったのはビューリングが匿ってたからだな
ウルスラがちょっと震えながらビューリングの服とかをギュッと掴んでるといいと思う
76
:
名無しさん
:2010/12/21(火) 12:46:33 ID:P6eVDfDc
>>68
丈の長い服を着ているということはつまりミーナとリーネが結婚したということですね俺得です
77
:
名無しさん
:2010/12/22(水) 17:19:36 ID:EbAN2ATY
百合スレまとめサイト消えちゃったの?
78
:
名無しさん
:2010/12/22(水) 18:30:42 ID:rMNsiQRU
http://rejec.net/
元サーバが物理的に故障しちゃったらしい
対応は早くても年末年始以降になるとか
79
:
名無しさん
:2010/12/22(水) 19:04:50 ID:EbAN2ATY
>>78
oh…
残念だ
サンクス
80
:
名無しさん
:2010/12/22(水) 20:41:09 ID:kULvG7sc
キャラソンCD発売中止ってマジか…
嘘だと言ってよバーニィ…
81
:
名無しさん
:2010/12/23(木) 01:02:25 ID:0bjPmq4w
先生に怒られたいがために色んなウィッチに手を出しまくる伯爵って電波をいまさっき受信したんだな
82
:
mxTTnzhm
◆di5X.rG9.c
:2010/12/23(木) 01:25:46 ID:5gr1RUbg
>>57
5uxL6QIl ◆x.rTSKEoE2様
GJ!伯爵が手紙でも暴走w と思ったらロスマン先生までw
ホント、みんな良いキャラですよね。面白かったです。
>>69
Hwd8/SPp様
GJ! 賑やかないらんこ中隊良いですね。
面白かったです。
こんばんは、mxTTnzhmでございます。
そう言えば冬至だなー、と思い付いたネタを短くざっと書いてみました。
キャラ間の呼称については、フミカネ先生のSSを元に
「こうだろうな」と言う感じで書いていますのでご容赦を。
83
:
citrus
:2010/12/23(木) 01:27:22 ID:5gr1RUbg
504基地の片隅に設置された扶桑式の風呂。隊員達の憩いの、そして癒しの場。
浴槽に浮かぶ黄色い物体をひとつ取り、ドミニカは不思議そうな顔をジェーンに向けた。
「何で柑橘類を風呂に入れるんだ?」
「これって扶桑の風習だそうですよ。このユズとか言うのと一緒に風呂に入ると風邪ひかないとか」
扶桑の風習はよく分からん、と呟くドミニカ。恐らく醇子辺りが、錦と天姫の為に本国から取り寄せたんだろうと推測する。
でも、こうして皆ものんびり入ってると言う事は彼女なりの……、なるほど。とドミニカは軽く頷いた。
一人柚子を持って頷いているドミニカを見て、不思議そうな顔をするジェーン。
ぽたり、と天井から結露した雫が垂れる。
「ひっ、冷た! 大将、早く入りましょうよ」
言われたドミニカは振り返って言った。
「ジェーンは入らなくても大丈夫だな」
「何でですか大将」
「アレは風邪ひかないって言うだろ……いたた」
「馬鹿なのは大将です!! さっさと入るです!」
ジェーンに掴まれ、どぼんと肩まで湯に浸かる。
誰かが握り潰したのか、柚子の残骸が幾つか湯の底に沈んでいる。
しかしほのかな香り、少しだけひりっとした感触の湯は思ったよりも心地良く、身体を温める。
「美容にも良いらしいって、さっきフェルが言ってた」
先に風呂に入っていたパティが柚子を指して言った。横でぼんやりと柚子を眺めていたアンジーもパティの声に反応する。
「隊長は真っ先に入ってたけど……そんなに効果が有るんだろうか」
「ま、竹井の言う事だから案外効果あるんじゃない?」
「らしい……か」
つんつんと湯に浮かぶ柚子をつつく。
「皮と実から出るオイルとかエキスが良いんだって。もっと綺麗になったら私ホレちゃうかもね〜」
ニヤニヤしながらアンジーを見るパティ。
「こ、こら! 私をそんな目で見るな! 可愛いとか関係無いだろ!」
「やだもうアンジーったら、可愛いんだから」
「……もう出る」
顔を真っ赤にして浴槽から立ち上がるアンジー。照れか湯の火照りかは分からない。
「もうちょっとだけ一緒してよ、アンジー、お願いだから」
パティにすがりつかれ……アンジーはやれやれと言った顔でもう一度ゆっくり浴槽に腰を下ろした。
「仕方ない」
そんな二人のやり取りを見ていたドミニカ。
「大将、どうしたんです?」
「美容に良いらしい」
「さっきアンジェラさんとパトリシアさんが言ってたじゃないですか」
「ひとつ貰っていくか」
「へっ?」
周りに浮いていた柚子の中でも特に色艶の良いのをひとつ掴むと、ざばあとドミニカは立ち上がる。
「さ、出るぞジェーン。一つ試したい事が出来た」
「それは何です?」
「まあ、来れば分かるさ。じゃあお先に」
ドミニカは、浴槽から出たばかりのジェーンを引っ張り、風呂から去っていった。
そんな“おしどり夫婦”を見ていたパティは、アンジーの脇をちょちょっと突いて言った。
「ねえ、どう思う? あの二人?」
「……割とどうでもいい」
「やっぱり……」
湯気がほのかに香り、水蒸気となって窓や天井に付着し、雫となり、垂れ、落ちる。
ぽたりと、一滴アンジーの頭に落ちた。
「つめたっ」
「水も滴る……ってね」
「風呂だぞ」
「そう言えばそうね」
それきり何も言わず、ただそっと寄り添い、風呂を楽しむ二人。
のんびりと、冬至の夕暮れは過ぎて行く。
end
84
:
名無しさん
:2010/12/23(木) 01:27:41 ID:5gr1RUbg
以上です。
504もフミカネ先生のご活躍で、
だいぶキャラが固まってきた感じですかね?
502と合わせて先が楽しみです。
ではまた〜。
85
:
LWqeWTRG
:2010/12/23(木) 04:36:18 ID:aB5UY9eA
>>84
GJです。
504も濃いい面子が揃ってますよね。
いろいろ暴れてくれそうで楽しみです。
もうそろそろ早朝という時間ですが眠れないので投下します。
幼稚園児ネタとかいうイミフな電波を受信して書いてしまったので変なものになってます。
それでもよろしければどうぞ。
2レスえいらにゃです。
86
:
名無しさん
:2010/12/23(木) 04:37:21 ID:aB5UY9eA
「ねええいらちゃん」
「なあにさーにゃちゃん」
「なにしてるの?」
「たろっとのれんしゅー」
「たろっと?」
「ひとのうんせいをうらなうんだよ」
「へー、すごいねー」
「ねええいらちゃん」
「なあにさーにゃちゃん」
「わたしのもうらなえる?」
「さーにゃちゃんのうんせい?」
「うん」
「いいよっ、うらなったげる! こっちきて!」
「うんっ!」
「こほん、それではさーにゃちゃんのうんせいをうらないます」
「はーい」
「…えっとね、まずはかーどまぜて……、これをこうして……」
「わくわく」
「あれ?」
「え?」
「う」
「どうしたの?」
「えへへ…、まちがえちゃった……」
「そっかぁ…、つぎはがんばってね」
「ねえさーにゃちゃん」
「なあにえいらちゃん」
「ねむたくなあい?」
「うん、だいじょうぶ」
「おなかすいてなあい?」
「だいじょうぶ」
「そっかぁ」
「ねむたくなったらえいらちゃんといっしょにおひるねする」
「…うんっ!」
「ねえさーにゃちゃん」
「なあにえいらちゃん」
「ぴあのひいて?」
「うん、いいよ」
87
:
名無しさん
:2010/12/23(木) 04:38:12 ID:aB5UY9eA
「♪」
「わたし、さーにゃちゃんのピアノだいすきなんだ」
「ふぇっ?」
「きれいで、あたたかくって、すっごくすてき!」
「や、やだ、えいらちゃんってば…」
「だってほんとのことだもん。わたしさーにゃちゃんだいすき!」
「!?」
「さーにゃちゃん…?」
「あ、あの…えっとね…?」
「うん…」
「しあわせに、してください…」
「え? うん」
「ほんと!?」
「う、うん」
「じゃあ、わたしえいらちゃんのおよめさんだねっ」
「ええっ!?」
「わたしたちけっこんするんじゃないの…?」
「えええっ!? なんで!?」
「ふぇ…してくれないの…?」
「うぇぇっ!? いやっ、ちがっ、…する! けっこんする!」
「…ほんと?」
「ほんとほんと! わたしがさーにゃちゃんをまもってあげる!」
「えへへ…、ありがと」
「けっこんするならちかいのきすしなくちゃ」
「きす?」
「ちゅーするの」
「!!?」
「どうしたの?」
「ちゅーしたら、あかちゃんできちゃう!」
「え?」
「わわわわたしたちにはまだはやいよさーにゃちゃん!」
「だいじょうぶよ、えいらちゃん」
「?」
「えいらちゃんのあかちゃん、きっとかわいいから!」
END
88
:
名無しさん
:2010/12/23(木) 04:41:21 ID:aB5UY9eA
以上です。
ひらがなばかり読みづらくて申し訳ないです。
タイトルは「ほしぞら幼稚園」です。
それでは失礼します。
89
:
名無しさん
:2010/12/23(木) 08:58:53 ID:u5yfEDQg
>>88
なんとロリロリしい…
ともかくGJです
90
:
名無しさん
:2010/12/23(木) 21:37:30 ID:qvOHhkJg
>>88
これは素晴らしい!頭身低いエイラーニャ可愛い過ぎる
GJ!
91
:
名無しさん
:2010/12/24(金) 00:00:56 ID:QV3JTF0c
キャラソンCDって延期になったんですか?それとももう発売されないんですか?
92
:
名無しさん
:2010/12/24(金) 06:10:51 ID:Wmffo2Fk
>>81
なにそれ素敵
93
:
5uxL6QIl
◆x.rTSKEoE2
:2010/12/25(土) 01:59:36 ID:00EtlIPc
>>69
Hwd8/SPp様
GJ! 面白かったです。
酔っ払ったエルマさん、鬼畜w
>>82
mxTTnzhm ◆di5X.rG9.c様
GJです。ドミジェンは鉄板として
パティ×アンジーの雰囲気もいいですね。
>>85
LWqeWTRG様
GJです。ちびエイラーニャが可愛すぎて悶えました。
他のキャラVerもぜひ見てみたいです。
こんばんは、2時間近く遅れてしまいましたが、ルッキーニの誕生日SSが出来たので投下していきます。
シャッキーニ(むしろルッキーニ×シャーリーかな?)で2レスお借りします。
ではどうぞ
94
:
ゴニョゴニョするの 1/2
:2010/12/25(土) 02:00:27 ID:00EtlIPc
「う〜ん、どうしよっかなー」
商品棚に並んである可愛らしいぬいぐるみを見ながら、あたしはぽつりと呟く。
ここはローマのとあるお店。
以前、ルッキーニや宮藤と一緒に買い出しに来たこともあるこのお店であたしが何を探しているのかと言うと……
「あら、シャーリー大尉じゃない」
「ん? その声は……」
聞き覚えのある声に呼ばれ、振りかえるとそこにいたのはフェルナンディア、マルチナ、ルチアナの3人。
504の赤ズボン隊の面々だ。
「おう、ティナにルチアナ。それに、フェルニャニュデュ……」
「フェルナンディアよ。わざとやってるでしょ」
あたしがわざとらしく名前を噛んだことにむっとして、頬を膨らませるフェル。
怒ってる表情も可愛らしい奴だな。
「ごめんごめん、ほんの冗談だよ。それで、フェル達はどうしてここに?」
「物資の補給です。ここには大抵のものが揃ってますから」
「そう言うシャーリー大尉こそ、どうしてここに?」
「実はさ、ルッキーニへの誕生日プレゼントを買いに来たんだ。まぁ、まだ何を買うかは決めてないんだけど」
「へぇ〜、ルッキーニちゃんってもうすぐ誕生日なんだ? 何日生まれなの?」
「24日だよ」
今日は12月21日、ルッキーニの誕生日が3日後に迫ってるというのにあたしはと言えば、まだ彼女へのプレゼントを決めていなかった。
いっそのこと、出かける前にルッキーニにそれとなく何が欲しいのか聞いとくべきだったな。
「クリスマスイブに誕生日だなんてなんだが素敵ですね」
と、目をきらきらさせながら言うルチアナ。
「そうかなぁ? クリスマスプレゼントと誕生日プレゼントを一緒にされそうだし、ぼくは嫌だな……あっ、そうだ!
良いこと思いついたよ。フェル、ルチアナ、ちょっと耳貸して。ごにょごにょ……」
ティナがニヤリと笑いながらフェルとルチアナにこっそりと耳打ちをする。
一体何の話をしてるんだ?
「あら、それは名案ね。シャーリー大尉、ちょっと来てもらえるかしら?」
「へ?」
――数分後、パンタローニロッシグッズ、いわゆる赤ズボン隊のグッズが置いてあるコーナーにあたしは連れてこられていた。
「こ、これをあたしがルッキーニにプレゼントするのか?」
「そうよ。可愛いでしょ」
猫の模様が入った赤いズボンをあたしに見せながら、フェルは微笑む。
確かに、赤ズボン隊のグッズが売ってるっていう話は前に聞いたけど、まさか赤ズボンそのものが売ってるとは。
なんでもロマーニャではこの赤ズボンをクリスマスにプレゼントする習慣があるのだとか。
「それで、シャーリーはルッキーニにこれをプレゼントして、こう言えばいいんだよ。ごにょごにょ……」
ティナが今度はあたしにそっと耳打ちをしてきた。
「な!? あたしがそれをルッキーニに言うのか!?」
「うん。そうすればきっと、シャーリー達は素敵なクリスマスを過ごせると思うよ」
満面の笑みをあたしに向けながらそう言うティナ。
可愛い顔して随分と大胆なことを言う奴だ。赤ズボン隊、恐るべし。
95
:
ゴニョゴニョするの 2/2
:2010/12/25(土) 02:00:54 ID:00EtlIPc
――そして、ルッキーニの誕生日当日
「じゃじゃーん! みんな、見て見て〜」
クリスマスパーティー兼ルッキーニの誕生会が終わり、みんなが談話室で談笑しているところに、
ルッキーニがあたしがプレゼントした赤いズボンを身に付けて入ってきた。
……やばい、可愛すぎる。
今のルッキーニにはいつもの縞々のズボンを穿いてる時とはまた違う可愛らしさがあって、なんだかすごく胸がドキドキしてくる。
お、落ちつけシャーリー。ここでドキドキするのはまだ早いぞ。
「わぁ、ルッキーニちゃん、可愛い〜」
「でしょでしょ? 芳佳、もっと褒めて〜。ねぇシャーリー、どう? 似合ってるかな?」
「ああ、似合ってるぞ。なぁ、ルッキーニ」
「なに、シャーリー?」
いよいよだ、いよいよ3日前、ティナに耳打ちされたことをルッキーニに言う時が来た。
あたしの胸の鼓動は先ほどより一層高鳴りを増す。
「実はさ、そのズボン、誕生日プレゼントじゃなくてクリスマスプレゼントなんだ」
「へ? それってどういう意味?」
「誕生日プレゼントが別にあるってことさ」
「え、本当!? どこにあるの?」
ルッキーニが目をきらきらさせながら、あたしの方を見てくる。
あたしは、そんな純粋なルッキーニの唇にそっと口付けを落とす。
「んっ……シャーリー?」
「……ルッキーニ、あたしを誕生日プレゼントに貰ってくれないか?」
「え?」
談話室に少しの間、沈黙が流れた。
その場にいた全員が、顔を真っ赤にしながらあたし達のことを見ていた。
最も、ハルトマンと坂本少佐は半分ニヤついていたけど。
「……それってつまり、あたしがシャーリーのことを好きにしてもいいってこと?」
沈黙を最初に破ったのはルッキーニだった。
心なしか彼女の目はさっきより一層輝いてるように見えた。
「ああ。なんてったってあたしはルッキーニの誕生日プレゼントだからな」
「ぱふぱふやゴニョゴニョもOK?」
「ああ、もちろん」
あたしがそう応えると、ルッキーニが今日一番の笑顔で笑ってくれた。
「やたっ! ぱふぱふし放題〜。じゃ、行こっシャーリー」
あたしはルッキーニに腕を引っ張られながら、談話室を後にする。
なぁ、みんな。
もしあたしがルッキーニにぱふぱふやゴニョゴニョされて明日の朝起きれなくて、
寝坊したとしても大目に見てくれよ。
〜Fin〜
96
:
5uxL6QIl
◆x.rTSKEoE2
:2010/12/25(土) 02:02:27 ID:00EtlIPc
以上です。ルッキーニ、誕生日おめでとう! それと遅れてごめん。
ちなみに、イタリアでは本当にクリスマスに赤い下着をプレゼントする習慣が
あるようです。
ではまた
97
:
名無しさん
:2010/12/25(土) 10:25:27 ID:bqArtca6
>>96
GJ!シャーリーお持ち帰りキタコレ
クリスマスに素晴らしいSSをありがとうございました。
98
:
名無しさん
:2010/12/25(土) 20:04:02 ID:eHNSsd9A
こんばんは、DXUGy60Mです。
クリスマスということで、クリスマスSSを投下致します。
最後までお読み頂けたら幸いに思います。
99
:
Nacht vergangener Seelen
:2010/12/25(土) 20:07:28 ID:eHNSsd9A
「騒がしいものだな、サトゥルヌス祭というものは」
「はい」
金と銀。好対象の髪を持つ二人は、窓の外の喧騒に目を遣る。
表では数人のウィッチが来たるサトゥルヌス祭のために色とりどりの飾り付けをしていた。
「街のほうでは、もっと賑やかみたいですよ」カップを持った両手を膝に揃えるようにしながら、
ハイデマリー・W・シュナウファーは右に視線を送る。
「まぁ、1年に1度の楽しみであるからな」
ムダの無い、スラリとした足を組み直しながら、ハインリーケ・プリンツェシン・ツー・
ザイン・ウィトゲンシュタインはカップの中の黒い液体を身体に流し込んだ。
「楽しい・・・んでしょうね」
「ん? まるでサトゥルヌス祭を楽しんだことの無いような口振りではないか?」
ハイデマリーがボソリとつぶやいた言葉を、ハインリーケは聞き逃さなかった。
「いえ・・・楽しかった思い出はあります。でも・・・それは・・・」
「それは?」
ハインリーケはカップを傾けながらも視線だけは、ハイデマリーを見据えていた。
「その・・・幽霊とサトゥルヌス祭を過ごしたんです」
何度かお話ししたことがあると思いますけど、私は小さい頃は魔力を上手く制御できなく
て、家からは一歩も出られなかったんです。部屋には暗幕が垂らされて、光源は小さな豆電球が一つ。
ただ、それっぽっちの光でも私には十分過ぎる光でした。
いつも部屋は白っぽい光で満たされていましたけど、私の心はそれ以上に暗く沈んでいました。
誰とも会えない部屋で、いつ終わるかわからない時間を過ごす。
楽しみといえば本を読むことばかり。
ただ・・・物語の主人公のイキイキとした姿を見る度に、私は・・・こんなところで何をしているんだろう。と自分の境遇が怨めしくなりました。
そして、囚われのお姫様が救い出される度に、誰かが私をここから連れ出してくれるのでは、と淡い希望を抱きました。
でも、外の世界では私は生きられない、外の世界の光が・・・私から光を奪う。
どうしようもない現実の壁はちっぽけな私の希望を閉じ込めました。
現実の世界にも虚構の世界にも私の行くあてなんか無かったんです。
私には、本当に何も無かった。
何もせず。ただ時間が過ぎるのを待つ日々が増えていきました。
・・・でも、両親は健在でした。カーテンを閉め、僅かなロウソクを立てての夕食。
これが私にとって唯一世界と繋がる方法で、生きている喜びを感じられる瞬間でした。
その日は、七面鳥やケーキが並べられていました。サトゥルヌス祭のお祝いでした。
当然、きらびやかな飾りなんかはありませんでしたけど。
夕食を終えて、プレゼントの本を抱えながら部屋に戻りました。
そしたら・・・無性に寂しくなりました。
サトゥルヌス祭のお祝いをしてくれたのは嬉しかったけど・・・楽しくはなかったんです。
本当は本に描かれたきらびやかなパーティーをしてみたかった。
たくさんの友達を招いて、皆でおしゃべりをして、歌を歌いたかった。
友達なんて一人もいはしなかったんですけど。
私は、ベッドにもぐりながら窓をじっと見つめていました。
もしかしたら、サトゥルヌス神が窓を叩いて私を連れ出してくれるんじゃないかなって。でも、いつまでたってもサトゥルヌス神は現れませんでした。
そんなことはわかりきっていたことですけど、それでも私は窓辺に近づき、普段開くことのない暗幕を開きました。
その時でした。
私の目の前には、窓の外の世界には、淡い月の光を受け、白く輝く幽霊たちがいたんです。彼らは無言でした。
でも、ゆらゆらと楽しげに空を舞う姿を見ながら、私は気がつくと涙を流していました。
そこにある世界が、夜の闇の中でしか生きられず、そこでしか輝くことのできない彼らの世界こそ、私が生きるべき世界なんだ。
私はそう思いました。
そして、彼らがいなくなるまで私は、その時間、空間を幸せな気分で過ごしていたんです。
100
:
Nacht vergangener Seelen
:2010/12/25(土) 20:17:22 ID:eHNSsd9A
「で、それで終わりか?」
「は・・・はい」
「だらだらと長い話の終わりがそれか、下らぬ」
ハインリーケは酷く長いため息をつく。
ハイデマリーはこうなることを予期してか、表情を変えることなく俯く。
いや、そもそも表情のバリエーションが少ないのかもしれない。その心情を表情から察することは出来ない。
「幽霊たちと過ごしたと言うから何事かと思えば、そんなものはただの雪であろう。雲間
からの月の光が雪に反射したものを、当時のそなたの目の夜間視能力によってその淡い光を
多く取り込み過ぎた。それが幽霊のように見えた。ただそれだけであろう」
「はい、恐らく」
「長い時間を費やしてこれだけか」
ふぅ、と再びため息をつきながらはハインリーケ立ち上がった。
「わらわは部屋に戻る」そう言いながら立ち去ろうとしたがふと向き直ると、
ハイデマリーを指差し「そうだ、そんなに友人が欲しいのなら、靴下に入れておいてもら
えるようにサトゥルヌス神にでも頼んでおいたらどうだ」
言い終わると、皮肉めいた微笑を残して、スラリとした肢体を反転させさ、その場を去った。
ハイデマリーはその姿を見ながら、ハインリーケの言った通りにすべきなのかもしれないと、またも俯いてしまった。
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