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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第114話☆

479闇と時と本の旅人 ◆UKXyqFnokA:2012/09/08(土) 21:07:30 ID:gtBsnxKU
「過去に、そういった結末を迎えた主は」

「さすがに記録は少ない。仮にそういった主がいたとしても、発見は遅れる。
旅の途中で行き倒れになったのか、本当に書に吸い尽くされて干からびたのかの区別はつかない」

 前を走る車の中で、三列シートを後ろに向けて談笑しているリンディやフェイトたちの姿が見える。
 直射日光を防ぐための薄いスモークフィルムが張られたリヤガラス越しに、彼女たちの姿はシルエットになっている。
 フェイトも、だいぶリンディになつき、笑顔を見せるようになった。

 闇の書。

 その秘める力はジュエルシードの比ではない。
 しかも、自己戦闘能力を持ち、いってしまえば単なる魔力結晶でしかないジュエルシードと違い自律的な行動能力がある。
 そして、闇の書が主に選ぶものとは、まぎれもない人間である。
 人間対人間の戦いをしなくてはならなくなる。

 時の庭園にあったのは、機械でできた傀儡兵だけだった。
 フェイトが戦ったのは、高町なのはを相手にしたのみだった。

 彼女に、人間を撃たせることが果たしてできるのか……。
 嘱託魔導師として迎えるにしろ、あてがう任務は考慮しなければならない。

「闇の書の主に選ばれた人間……もし彼を──彼女かもしれませんが──不用意に扱えば、その魔力だけではない、守護騎士たちの刃が僕らに向けられる」

 ハンドルを握るアインスの手指を見やる。
 その思いはきっと深く秘められている。

「第97管理外世界は魔法技術のない世界だ。少なくとも、主自身が戦闘魔法を習得している可能性は低い」

「主を説得すれば」

「そのためには闇の書の事実を教える必要がある。自分の死が避けられない運命だと知って自暴自棄になる可能性もある──
そうすれば、守護騎士はもはや統制の取れない狂った戦闘マシーンと化すだろう。主が死ねば、われわれの追跡もやり直しだ」

 アルカンシェルでさえも闇の書に対しては効果が薄い。一時しのぎにはなるが、それはあくまでも先送りに過ぎない。
 このことから、グレアムは闇の書に対する攻撃方法として凍結魔法を選択した。
 物理的に破壊するだけでは意味がなく、重要なことは、闇の書の動作そのものを止めてしまうことである。
 デバイス内部にあるプログラムの走行を止めてしまえば、転生もできなくなる。
 少なくとも、第97管理外世界で活動している端末が凍結されているという情報がネットワーク全体に伝播するには相当の時間を要することになる。

 通常の魔法攻撃では闇の書は倒せない。
 ネットワークを制御している術式プログラムを破壊し、自壊させる必要がある。そうでなければ、魔導書端末をいくら破壊しても他の残ったネットワークから再生してきてしまい攻撃が追いつかない。
 魔力を炎や電気といった一般的な攻撃力へ変換する攻撃魔法ではなく、術式を改変し、デバイスの制御を奪取する手段が必要になる。
 攻撃魔法でデバイスに直接ダメージを与える方法では、闇の書の防御を破れない。
 魔法を用いたクラッキングとなると、さすがのクロノでも専門外となってくる。

「あいつに聞いてみるしかないか……」

 今のところ、デバイス制御の分野でクロノがもっている伝手となると限られる。
 第97管理外世界で共に戦った、スクライアの少年の顔をクロノは思い出していた。

「どのような手段を用いるにしろ、まずは闇の書の主へ慎重にコンタクトをとり、書にアクセスするルートを確保することが必要だ」

「ええ……」

 攻撃プログラムを送り込むには闇の書に触れなくてはならない。
 正規の手段でアクセスできればいいが、そうでない場合、デバイスの制御をハイジャックし権限奪取を行う必要がある。
 そうなると難易度も危険性も格段に高まる。
 こういった侵入攻撃に対しても闇の書は防御機構を備えており──古代ベルカ時代の技術レベルではほとんど未解明だった分野である──、不正アクセスに対する検出システムを持っている。
 闇の書の主以外の者による操作を受け付けないばかりか、自律反撃をも行うと報告されていた。
 現代型デバイスでも、ユーザー認証機能の搭載にあたってはいわゆる攻性型の防衛術式プログラムは業界団体により自粛されているほどのものである。

 また、いかに闇の書の主といえども、書の全機能を把握しなければ自壊指令を出せない可能性もある。
 主がそのような命令を下さないよう守護騎士が防御するかもしれない。
 それらをかいくぐり、闇の書の主に接触を持つのは至難の業である。




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