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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第109話☆
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デートの待ち合わせ場所でノーヴェは、晴れと告げた天気予報を信じて傘も差さずに立っていたのだから。
冬の寒空の下、降り行く雪を身に受けながら、少女は恋人を待ち続けた。
純粋な厚意や、またはノーヴェの容姿に下心を覚えた者達が何度も声を掛けて来たが、彼女はその悉くを拒絶した。
肌を刺すような寒さを耐え忍び、ノーヴェはひたすら愛する男を待ち続けた。
さながら某世界の忠犬が如き健気さである。
しかし、待てども待てども、彼は来なかった。
午後六時の待ち合わせ時間を遥かに過ぎ、結局ノーヴェがびしょ濡れで家に帰ったのは夜中の二時だった。
さて、以上の事があり、現状は混迷を極めるものとなる。
クリスマスの埋め合わせとして二人は今日デートする事になったのだが、無論そうなればあの日に何があったか説明する義務が発生する。
最初こそ理性で感情を抑えて彼の謝罪と説明を聞いていたノーヴェだが、当日病院で共に夜を過ごした相手が女性と知るや……切れた。
主に堪忍袋の緒、的な意味で。
怒ったノーヴェは恐ろしい。
普段は不機嫌そうにしつつも、その実彼女のそれは単なる虚勢であったり、照れ隠しだ。
真の意味での怒りではない。
ノーヴェが本当に怒った時、そこに激情はないのだ。
あるのは……極寒の凍気。
表面的に見える感情の揺らぎは皆無でありながら、瞳の奥には地獄の業火。
さながら存在自体が人を責める罰のような様と化す。
青年は、心の底から罪悪感を感じた。
普段は照れて恥らいながらも甘えん坊な彼女が、こんなにも凍て付いた怒りに身を染めるとは。
全ては自分のまいた種だった。
「あのさ、ノーヴェ……その……」
言葉を探す。
何か彼女を慰める言葉はないか、何か彼女に投げかけられる謝罪の言葉はないか。
いつもはノーヴェを少しからかったりしている彼だが、この日ばかりは軽口や冗談を出せる空気ではない。
青年が言葉に迷う中、ふと、少女の顔が俯く。
そして次の瞬間出たのは、想像もしていなかった言葉だった。
「……ごめん、なさい」
と。
ノーヴェの震える唇が、静かに言葉を紡いだ。
理解できない。
何故怒っているノーヴェがそう言うのか。
青年は呆けたような顔で問い返す。
「な、なんでノーヴェが謝るんだよ。悪いのは俺で……」
「違う」
静かだが、断固たる意思を持つ言葉が遮る。
そしてさらなる言葉が連なる。
「ごめん」
顔を上げたノーヴェは、冷たい怒りの中に寂しさを溶かしたような、切ない目で彼を見た。
「デートに来れなかった理由も、メール届かなかったのも、あたし以外の女の人と一緒だったのも……全部悪くないって分かってる……偶然で、どうしようもない事だったって……でもさ」
つぅ、と、少女の白い頬を一筋の雫が伝う。
呟くような声音が、告げられる。
「でも……それでも、許せないとか、怒っちゃうのとか……止められない……こんなのダメだよね。あたし彼女なのに、信じてあげなきゃいけないのに……」
青年は絶句した。
ノーヴェの怒りは本物である。
だがその中で、冷静に物事を判断できる彼女の理性は己の怒りすら恐れていた。
言葉の裏にある感情を青年は理解した。
それは恐怖だ。
彼女は恐れている。
制御しきれない怒りを発露し、それで自分に嫌われてしまう事を。
それを理解した瞬間、胸が締め付けられた。
こんな良い子に愛された事に、そして自分には彼女を幸せにする義務がある事にだ。
「……ぁ」
少女の唇から漏れた、声にもならぬ呟きが漏れる。
いつの間にか、テーブルの上に置かれていたノーヴェの手に彼の手が重なっていた。
温もりが伝わり、ギュッと握られる。
視線を上げれば、熱意と愛情を孕む彼の眼差しが金色の瞳を捉えた。
「ノーヴェは悪くないよ。悪いのは、全部俺だから」
「……あたしのこと、嫌いになったりしてない?」
「するわけないだろ。絶対にない」
そっと手が伸びる。
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