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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第107話☆
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代わりに、送られてきたデバイスを起動させてみる。
それは、レイジングハートと同じ外見をした、ストレージデバイスだった。
成る程、あの男はあの頑固なインテリジェントが折れないことを見越して、これを寄越したのだ。
全く根回しがいいことだ―――これは、かなり助けになる。
体裁だけを整えるなら、これで十分だろう。
高町なのはのスタイルというものを使ってみたくもあったが、どの道本当に危急が迫ったなら私のスタイルで戦うつもりだったのだ。
さて、リハビリと試し撃ちだ。
高町なのはは理論より感覚重視で魔法を組み立てるタイプの魔導師だが、それでも記憶を真似れば誤魔化すぐらいはできるだろう。
とりあえず、ディバインバスターの真似事辺りはできるようになっておこう。
◆
そして、私は空を飛んだ。
空飛ぶことを望んで肉の体に戻った筈なのに、気負いも感慨もなく、ふらりと散歩にでも立つような気安さで、私の体は宙に舞っていた。
そうだった。高町なのはにとっても、私にとっても飛ぶというのはこういう事だった。
容易の思い出せる。私が/高町なのはが、初めて空を飛んだ日のことを。
あの日感じた高揚や熱狂は、最早私の中には無い。
私にとっても高町なのはにも、空を飛ぶなど、歩くのと何ら変わらない容易い事である。
特に―――高町なのはなど、デバイスを握ったその日に空に飛び立ち実戦を経験しているのだ。
勿論、本来ヒトの身で見ることの出来ぬ景色、生物としての設計をまるで無視した魔力を用いた高速機動の心地良さは無類だ。
髪が宙にはためき、この身が風を切って翻る。何度繰り返そうが、その恍惚の感触は決して劣化することは無いだろう。
この感覚に、快感と、人の身で空を飛ぶことに対する畏れを抱くことのできない者は、空戦魔導師たる資格は無い。
当然私も、肌が粟立つような風の感触に、空を往くものとして当然の快感と感謝は抱いている。
だが、それだけ。
ただ、それだけ。
私の望んでいた、『その先の、得体の知れない何か』は何も見つけることが出来なかった。
私は、何を探したいのだ?
私は、何を感じたいのだ?
得たいものが茫漠とし過ぎていて、考えが纏まらない。
『貴女は飛びたいのです。再び空を。そして、飛ぶべきなのです、貴女の願うままに、大空を』
そう言って、あの狂人は嗤った。
……私は、それに頷いたのだ。私は、空を飛びたかった。それは、確かな筈だ。
飛んで、飛んで、その先にあるものへと辿り着きたかった。
だが、それは一体何なのだ?
距離も方位も解らぬものを目指して飛ぶなんていう無為を行うほど、私は酔狂ではない。
深い徒労と、落胆を感じた。
慰みとなったのは、空を飛ぶ、それ自体の快楽だ。
子供が波打ち際で漣に手をつけて遊ぶように、私は高速機動の初等訓練のように、その空域を縦横無尽に駆け巡った。
燕のように、蝶のように、蜻蛉のように。水面を跳ねる鯔のように。
―――落胆はいつしか薄れ、私の口元には軽い笑みが浮かんでいた。
探し物は、また今度でいいか。もう一度肉を纏って空を飛べる、今はその感触を楽しむだけで、十分ではないか。
私は考えることを止め、飽きることなくイルカの子供が戯れるように空を舞い続けた。
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