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☆魔法少女リリカルなのは総合エロ小説_第101話☆

962Lyrical StrikerS 第9話その2①:2010/01/27(水) 22:01:51 ID:rFRoD3QI
第9話 「たいせつなこと」B-part




レジアス・ゲイズ中将による査察を無事に乗り切ったその日の夜、陸士108部隊より一本の報が機動六課へと届けられた。
かねてより内偵していた密輸組織のもとに、先日のホテル・アグスタ襲撃事件で強奪された物らしき物品が運び込まれたというものだ。
地上本部の首魁とも言うべきレジアス中将の迫力から解放され、気を緩ませていた機動六課の面々に取って、それは正に青天の霹靂であった。
更に間の悪いことに、部隊長である八神はやては夕方から外出していて不在。
主戦力であるフォワード部隊も、スターズ分隊が半ば機能停止状態にあるという有様であった。
部隊が稼働してから初となる不完全な状態での緊急出動。そのような状況の中、臨時の総責任者を担うグリフィスの判断は早かった。
彼ははやてとの通信が繋がるのを待たず、本来ならば休息中である交替部隊に緊急の招集をかけたのだ。
そして、交替部隊の隊長であるシグナムとレリック事件捜査主任であるフェイトと共に出動させ、
現地の陸士108部隊の捜査員と合流させて密輸組織を急襲することを選んだのである。

「急げ、テスタロッサ。作戦は一刻を争う」

「はい、シグナム」

シグナムに急かされ、フェイトは両足のストライドを広げて自分の先を逝く同僚の跡を追う。
午前中の訓練でスターズの3人が抜け、部隊長であるはやても不在な今、最高階級である自分がしっかりとしなければ、
隊員達に入らぬ不安を与えることになる。だというのに、フェイトの胸中は穏やかではなかった。
寧ろ、上手く立ち回らねばならないという思いが強過ぎて、気持ちだけが空回っている。
これではいけないと頭を振るが、持って生まれた気質はどうすることもできず、さざ波を打つ鼓動を鎮めようと
握り締めたバルディッシュの鋭い痛みがジンワリと右手に広がるだけだった。

「あ、フェイトさん、副隊長」

ヘリポートへと続く渡り廊下へと差しかかったところで、訓練着に身を包んだエリオと出くわした。
家族同然の少年の登場にフェイトは思わず足を止めてしまい、先行していたシグナムがそれに気づいて踵を返す。
怒られるかとフェイトは身構えたが、シグナムは非難の目で一瞥を暮れただけでエリオに向き直り、
エリオの汗ばんだ赤い髪に手を添えて詫びの言葉を漏らした。

「すまないな、約束していた稽古は明日に延期だ。テスタロッサ、先に行くからすぐに済ませろ」

含みのある言葉を残し、シグナムはヘリポートへと駆けて行く。
小さくなっていく好敵手の背中を見送ったフェイトは、どこか気恥しげにエリオの矮躯へと視線を向けた。
空き時間を利用して自主練習でもしていたのか、頬はほんのりと紅く染まっていて、シャツが汗ばんでいる。
これから出動することを気遣って遠慮がちに距離を取っているが、こちらを見上げる表情には目に見えてわかるくらい、
気恥ずかしい喜びの笑みが浮かんでいた。

「気を使わせちゃったみたいだね。エリオ、自主練してきたの?」

「はい、少しでも早く、一人前になりたくて…………………」

語尾が弱まり、朗らかだった笑みが陰りを見せる。
何かを思い詰めるような表情。
何かを言いたそうにしているが、エリオはフェイトを見上げたまま口を小さく開閉させるだけで、その先を口にしようとしない。
そうしている間にも刻一刻と時間は過ぎていき、フェイトの胸中の焦りは増していく。
彼に一言謝って、シグナムの後を追うか。
柄にもなくそんな思考すら頭を過ぎった瞬間、エリオは上擦った声でフェイトに懇願した。

「フェイトさん。今夜の出動、僕も同行させてもらえませんか?」

「えっ?」

唐突に切り出された要望に面食らい、フェイトは目を白黒させる。
今回の出動でスクランブルがかかっているのは自分と交替部隊だけで、エリオ達は有事に備えて隊舎で待機していなければならない。
スターズ分隊が機能していない今、ガジェットが出現した際に迅速な対応を行う為だ。
聡明なエリオならばそれを理解しており、いつもならば文句も言わずに持ち場で待機しているはずである。
こんな風にわがままを言うのは、彼と出会って初めてのことだ。




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