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魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話

471Cursed Lily:2009/07/01(水) 00:56:46 ID:e9cJceL6
 曖昧に笑うヴィヴィオの口は重たかった。今日の夕食があまり食べられない事。それをどう切り出せば良いの
か。いつ切り出せばいいのか。そのタイミングを計りかねていた。
 アイナの料理だからと蔑ろにするつもりは決してなかった。きちんと理由を言って、ちゃんと翌日に食べるつ
もりだった。だが、せっかく早く帰宅した母の料理となると、やはりどうしても別物に感じてしまう。
 今日友達と寄り道をして、ケーキ食べちゃったからご飯はあまり食べられない。たったそれだけを言う事が難
しかった。
 更にヴィヴィオが言葉を紡げない理由である、テーブルに並んでいる料理の数々。
 中心で存在を主張しているサラダと、その周りで小分けにされているおかず達。その全てがヴィヴィオの食べ
やすいようにと小さめにカットされていた。
 見た目にもアイナの作るものとは全然違う、母の料理。……無理やりにでも食べようと思った。

「……ママの料理、美味しそうだね」
「そう? 良かったぁ。今日はママお料理頑張ったんだ。ほらっ、もう夜遅いから早く食べないと。あっ、ちゃ
んと手洗ってからだからね」

 言われたとおりに手を洗い、フォークを持つ手が止まりそうになるのを無理やり動かして、ぎこちなくもヴィ
ヴィオが母の料理を口に運ぶ。
 母の料理は何も今日が初めてじゃない。起動六課にいた時も、まれだったけれど時間が空いた時に何度か食べ
た事がある。今の家に住むようになってからはもっと多く。
 それでも緊張はするものなのか、肩に力をいれたまま母はじっとこちらを見続けていた。
 自分の言葉に一喜一憂する母の姿。見続けられる事も相まって、食べづらさは増していく。出来るだけ食べら
れる内に食べてしまおうと、いつも以上に急いで手を動かした。慌てなくても良いよと母が笑う。それに益々何
も言えなくなって、いつしかヴィヴィオは完全に無言となっていた。
 味はあまり良く分からない。一口食べるたびに、腹が痛くなってくる感覚。母が気づかない筈も無かったのに。

「美味しくなかったら、無理して食べなくていいんだからね」
「そ、そうじゃなくて……ママの料理美味しいよ……?」
「だから無理しないでって。やっぱり、アイナさんのご飯の方がヴィヴィオは好きかな?」

 駄目だった。これ以上嘘を吐き続けも意味はなかっただろうし、嫌だった。

「友達と、みんなで帰りにケーキ食べちゃって……それで――」
「そっか」
「ごめんなさい」
「いいよ。そんな謝らなくたても。友達の方が大事だもんね。でも、遅くなるなら連絡してくれるとママ嬉しかっ
たかなぁ。ヴィヴィオがお腹壊しちゃう方が大変なんだから」
「……うん」

 頷いて、ヴィヴィオはフォークを置いた。
 母はすぐに手際よくラップをかけ始めた。その大部分が冷蔵庫に仕舞われるが、持ちそうにないものは次々と
ゴミ箱に捨てられていく。捨てられているのは、全てが見た目で分かる程に手の込んでいたものばかり。

「明日はちゃんと食べるからっ」
「だからいいって。そんなに気にする事じゃないんだよ? ね、それよりお風呂入っちゃおう、ヴィヴィオちょっ
と汗臭いし。汚い子は友達にも嫌われちゃうんだから」

 申し訳なさに気持ちは沈んだまま。
 やけに元気な母に背を押され、バスルームへと連れられる。半ば強引にブラウスを脱がされ、母がブラウスに
鼻を押し当て苦笑い。あまり気にならなかったけれど、走った後だったからだろう。そう理解してしまうと、途
端顔は熱を持ち始めてしまう。
 ブラウスを取り返そうと、母に手を伸ばした。それを届かない位置に持ち上げて、母が意地悪く笑う。
 どうにも出来ず、それを黙って見ている事も出来なかった。頬を膨らませた様子でヴィヴィオがバスルームへ。
いつの間にか暗い気分はどこかに消えてくれていたけれど、ヴィヴィオ自身は全く気づいていなかった。
 遅れてバスルームへ入った母が、全く気持ちのこもっていない謝罪を繰り返す。それを知らないと突っぱねた
ところへ襲い掛かってきたのは突然のシャワーの水流だ。




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