したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |
レス数が1スレッドの最大レス数(1000件)を超えています。残念ながら投稿することができません。

魔法少女リリカルなのは総合エロ小説第99話

466Cursed Lily:2009/07/01(水) 00:45:35 ID:e9cJceL6
 帰りのホームルームを経ての一日の大半を過ごす学校の終わりは、朝以上に活気に溢れていた。
 ある者はやっとの事で解放されたと、チャイムと同時に担任への別れの言葉だけを残して教室を飛び出してい
く。またある者はそのまま教室へ残り、同じ様に残っている友人達と談笑を始めている。他にも家に真っ直ぐ帰
る者や、これから塾へと向かい更に己を高める者。子供達の数だけ、様々な光景がそこにはあった。
 ザンクド・ヒルデ魔法学院――そこで学業に勤しむヴィヴィオはと言うと、大まかには教室に残り友人達と談
笑する方へと分けられるだろう。より細かく言うならば、放課後の予定を決めるための相談中だ。

「これから?」
「うん。これからみんなでケーキでも食べに行きたいなって。それでヴィヴィオちゃんも良かったらなんだけど」
「え、えっと……どうしよう……」

 入学式での一件以来友人となったエクジェスが、ヴィヴィオよりもほんの少しだけ高い位置にある瞳を向けな
がら問うてくる。
 ヴィヴィオにとっては願ってもない事で、拒否の言葉なんて思いつかない程に嬉しい事。だがその意思に反し
て今すぐにでも頷かないのは、我が家の家長であり母親の高町なのはの厳しい言葉があったから。

「都合、悪いかな? もしかして塾とか? あっ、もしヴィヴィオちゃんに予定あったら今度にしようかって話
してたから遠慮なく言ってね」
「塾はないけど、寄り道しちゃ駄目ってママが……」
「家、厳しいんだ。そう言えばヴィヴィオちゃんのママって――」
「あっ、うん! あのねっ、時空管理局の教導官なの。すっごい強くて優しいの」

 母の事を聞かれ、ヴィヴィオは自然と胸を張っていた。
 時空管理局の教導隊と言えば、ミッドチルダでなくとも有名だ。母が頑なに隠すために実際には見た事は無い
が、雑誌にも載った事があるとか。きっと、エース・オブ・エースの称号は伊達ではないのだ。
 加えて、子供達の中には武装隊入りを目指す様な子もいる。そんな子供達には武装局員に指導を行う教導官は、
雲の上の存在と言っても言いすぎではない。一瞬にして皆の視線を集めてしまうのも当然だった。
 そんな思わぬところで話題に上がってしまった母の話によって、放課後の相談の名目だった雑談はそれぞれの
家族の話に変わっていく。
 話の中で分かったのは、エクジェスの父親が武装局員で、その父親の事をエクジェスがとても好きであるとい
うこと。
 休日の休みに遊びに行った事や、家に帰った後に一緒にゲームをする事等。父親との思い出を語る友人の表情
には柔らかい笑みがあった。
 だが、ヴィヴィオも負けてはいない。一体何に張り合うのかはよく分からないが、基本は母の自慢。スペック
ならば、エクジェスの父親を遥かに凌駕しているだろう。それから毎日一緒に風呂に入り、手を繋いで寝ている
事。母は怒ると厳しいけれど、とても優しい事。執務官であるフェイトを加えて、母が二人もいる事などなど。
 ヴィヴィオとエクジェス。お互いに好きな人の事を離す表情は誇らしげで、あまりに感情を込めてしまってい
る所為か揃って頬がほんのりと赤く染まっていた。

「あーうるさい! 二人ともパパとママが好きなのはよーく分かったから、そこでストップ!」
「あ、ぅ……」
「ご、ごめん……!」

 否定は出来ない。二人揃って顔を更に真っ赤にし、唇を引き結ぶのが何よりの肯定だった。
 エクジェスはいいもん、と指摘した友人から顔を逸らし頬を膨らませる。その反応を面白がり、声を出して
笑う友人達にエクジェスは強引に話題を戻そうとしていた。
 戻す話題とは、ヴィヴィオが母の話をする直前。つまりケーキのお誘いだ。
 しかし、ヴィヴィオはまだ答えを出せていなかった。分かっている。ケーキはかなり魅力的だ。母のお叱りと、
ケーキの誘惑。怒った母は非常に怖い。想像するだけで、天秤は問答無用に真っ直ぐ帰宅する方向に傾いてしま
いそうになる。それを無理やりにでもケーキの方へ傾ける為の材料は、先日何かあった時の為にと持たせてくれ
たお小遣いとこれが友人からの誘いであるという事。
 ついでに悪魔の囁きのオマケ付きだ。そう、断れなかったと上手く言い訳できれば問題ないのだ。




掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板