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18
:
勇者の誇り/怪物の保身/悪党の美学
:2008/07/28(月) 20:33:56 ID:s.1uCwig0
――――よくあることだ。
そう、よくあること。
逆らった星に人工太陽を打ち上げたり、40万を超える人が住む星を宇宙の塵とした連邦ならやるだろう。
あたしは知っている。
あの特徴的な顔と口調は間違いなく連邦のカメダ大臣だ。
恐らく、我威亜党という組織はでっち上げ。
曲がりなりにも『連邦が殺し合いを強制させた』などという実績は残したくないのだろう。
そのために我威亜党という組織をでっち上げたのだ、名前さえ明かさなければいくらでも情報操作は出来る。
あたしはある宇宙船のキャプテンと数人の仲間達と共に連邦に歯向かっていた。
巨大で圧倒的な連邦に歯向かうというその先には死しかない行為。
そんな無駄な事をやるなら素直に金儲けをしていた方が何倍も賢い、そう考えるぐらいにはあたしも現実的だ。
しかし、万に一つ、勝機があった。
連邦から引き受けたある依頼、そこで進入した宇宙船でブラックが解析したその宇宙船の構造。
『アレ』なら連邦のデスパレスを打ち砕く事が出来る。
そう思い、その宇宙船のキャプテンと手を組んだ。
だけどそれももうお仕舞い。
桜散る、だ。
この遠隔操作が可能な首輪と、あのパワードスーツと、恐らく外に備えているであろうデスパレス。
この3つが揃っていてどうやって倒せというのだ。
全員を皆殺しにして生き残ることは容易い。だが、皆殺しにしたからと言って生きて帰れる保証はない。
だからと言ってカメダに、いや、連邦に逆らう気にもなれない。
『デスパレス』という、何時でも何回でも切ることの出来るジョーカーを持っている相手に勝てるわけがない。
しかも、こちらには『キャプテンの宇宙船』というジョーカーに唯一対抗できるエースがないのだ。
既に詰んでいる、チャックメイトだ。どう動こうが先にあるのは『死』だけだ。
あたしはそのことを正しく理解し、ほとんど諦めていた。
それほどまでにデスパレスは圧倒的なのだ。
――あらゆるものを破壊する絶対無敵弾、全周をカバーする二千門のプラズマ砲。
そして一万を超えるビーム兵器とシールド。
まず勝てない。
近づけば死ぬ、跡形も無く。遠ざかっても死ぬ、跡形も無く。
そんなデスパレスが後ろに控えているのだ、脱出できるわけがない。
仮にこの首輪を解体し、この星――恐らく連邦に略奪された星だろう――から外に出ることが出来ても、そこで死ぬ。
19
:
勇者の誇り/怪物の保身/悪党の美学
:2008/07/28(月) 20:34:54 ID:s.1uCwig0
『シルバー?』
「え、何ゴールド?」
『さっきから返事もしないし、動きもしないから……ひょっとしてどこか痛めたの?』
そんな風に考えていると頭の中でゴールドの声が響いた。
その声に慌てたように返事をするものの、それは声が聞こえたことにではなく単純に驚いたからだけだ。
「あ、ゴメンゴメン。ちょっと考え事しててさ」
『……殺し合いのこと?』
「うん、どうやったら効率よく皆殺しに出来るかなーって」
あたしの頭の中で響くゴールドの声は不満そうな声色で話しかける。
『本当にやるの?』
「生き残る確立が高い選択をするのは当然じゃない。
少なくとも絶対に勝てないとわかってるのに逆らうなんて馬鹿な真似、あたしはやりたくない」
『でもやっぱり気が進まないわ。戦闘中に言ったことは謝るけど』
「ゴールドだってブラックやキャプテンたちともう一度会いたいでしょ?
ひょっとすると皆殺しにすれば生きて帰れるかもしれないじゃない」
結局、あたしはそれに賭けた。
皆殺しにしたところで生きて帰れるとは限らない。
だけど帰れる可能性だって0ではない、はずだ。
そしてあたしだけならまだしもゴールドが居るのだ、なおさら博打にもならない神風特攻をするわけにはいかない。
あたしは服を鼻に近づけクンクンと臭いをかぐ。
やはりというか当たり前というかツンと女として我慢出来ない匂いがする。
「うーん、やっぱり臭うなあ」
『ゴミの山ですもの』
「とりあえずお風呂に入ろうか。
多分病院かレジャービルにあるでしょ。民家見つけたらそこで入れば良いし」
出来ればレジャービルかな。多分着替えもあるだろうし。
でもさっさとお風呂に入りたいから民家があったらそこに直行ね。
『シルバー……』
「さ、頑張ろうか。生きて帰るために、ね」
20
:
勇者の誇り/怪物の保身/悪党の美学
:2008/07/28(月) 20:35:24 ID:s.1uCwig0
ひょいと足元に落ちていたシノハラのデイバックを拾う。
シノハラと同じほど痛みを感じているはずなのにあたしの動きは軽快だ。
何故ならこんな痛みは慣れっこだから。
あたし、いや、ゴールドは15年前人間に生み出された人造の生命体だ。
『ペラへブン』というお金こそが絶対とされる金の亡者の溜まり場。
そのペラへブンが新商品として目を着けたのが『究極の兵士』。
遺伝子をいじくって、反射神経、耐久力に優れた知的生命体を作る褒められた事ではない研究だ。
でも、ほとんどの実験体は失敗に終わった。
何故だか実験体はみんな凶暴で攻撃的な制御の出来ない性格になったのだ。
その時は誰も原因がわからずに、そのうち細胞が暴走して姿まで怪物に成り果てて処分される。
仕方がないから薬を投与すれば、知性がまったくなかったり、戦闘力が人間並みになってしまったりした。
研究員が頭を抱えた結果、生み出されたのが試作402号、ゴールドだ。
ゴールドに行った試みは画期的なものだった。
それは、あたし、シルバーという完成された精神で肉体をコントロールするというものだ。
……実験は成功した。
あたしが寄生してみてわかったけど、実験体が暴力的になってしまったのは痛みが原因だった。
ゴールドの身体では骨も肉も常に別のものに変化しようとして細胞が代謝している。
おまけに神経は敏感すぎて空気の動きにすら痛みを感じてしまう。
そんな激しい痛みに生まれたばかりの幼い精神が耐えられるわけがなかった。
つまりは生まれながらに痛風を患っているのだ。
目に付く全てを壊したいと思っても全く不思議ではない。
それを考えればある程度は我慢できる。……ある程度は、だが。
だから、興奮する事、楽しい事は大好きなのだ。
痛みを忘れられる、もちろんそれを抜きにしても好きなのだが。
ホールにはあのオーブールの忍者もいた、クローンかオリジナルかはわからないが。
そして、シノハラのような手強い敵も大勢いるだろう。
我慢しているこの痛みを忘れられるぐらいには興奮できそうだ。
果てさて、どれだけ楽しみな敵がいることやら。
勇者を、忍者を、どれだけ殺せるだろうか。
ああ、楽しみだ。本当に、本当に楽しみだ。
21
:
勇者の誇り/怪物の保身/悪党の美学
:2008/07/28(月) 20:37:58 ID:s.1uCwig0
【E−7/一日目/深夜】
【シルバー@パワプロクンポケット9裏】
[状態]:全身に打撲、疲労、刺すように鋭い痛み
[装備]:なし
[参戦時期]本編途中
[道具]:支給品一式×2、デイバック×2、煙幕4個、ランダム支給品1〜3個
[思考・状況]
基本:参加者を皆殺しにして帰る
1:どこかでお風呂に入る
2:シノハラ(四ノ原)に興味と激しい期待
[備考]
※ゴミの山に突っ込んだので服が臭います
※いつもよりも体が非常に重く、痛みも増しています
※身体能力が大きく制限されています
※シルバーは心臓が数個あると思っていますが制限で少なくなっている可能性が大です
※詳しい制限についてはお任せします
※主催がデスパレスを所用していると信じて疑っていません
【ゴールド@パワプロクンポケット9裏】
[状態]:精神体、健康
【思考】
1:とりあえず皆殺しにすることには反対しない
22
:
勇者の誇り/怪物の保身/悪党の美学
:2008/07/28(月) 20:38:47 ID:s.1uCwig0
投下終了
……黒野博士パートまでは完成してたんだよなあ
何で最後と推敲を連休でやろうと思ったのに急用はいるかな
改めて見直すと長いし3話に分けれるしで問題点多いなー、投下しなくて良かった
23
:
名無しさん
:2008/07/31(木) 22:42:08 ID:baMdJWg6O
今更ながら投下乙です。
氏のSSを見ると、無性にシルバーや4裏主のロワでの活躍が見たくなるから困るww
没にするにも勿体ないと思わせる文章を書けるというのは、羨ましいものです
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