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仮投下スレ
285
:
◆7WJp/yel/Y
:2010/03/16(火) 20:14:25 ID:KpuqDs3E0
……そうでした、修正しておきますorz
大変失礼しました
286
:
>>281差し替え
◆7WJp/yel/Y
:2010/03/18(木) 18:19:30 ID:psZgvb6w0
〜〜〜〜〜〜〜♪
諸君、天を見上げたまえ!
お天道様が諸君らの生を称えるかのように燦然と輝いているであろう!
生を実感出来る喜びを存分に噛みしめつつ、二回目の放送である!
まずは定例通り禁止エリアの発表。
あ〜れほど言ったのに引っかかた間抜けが居たであるの巻。
吾輩、自分の言葉を無視されるのはあまり好きではない性質ではないである。
もちろん、だからどうしろと言うわけではないであるよ?
諸君らも好き好んで禁止エリアに突っ込むわけがないであるし。
我輩たち我威亜党は、禁止エリアを減らす、なんてことをする気はさらさらないである。
故に吾輩に出来ることなんてこうして注意をうながすことだけであるからな。
……それではこれより一時間後、『午後一時』より禁止エリアとなるエリアの発表である。
メモの準備は出来てるであるな? それでは、発表する!
B-4
F-4
G-1
以上の三つである!
良いであるか、例によって一時間後であるぞ?
くどいように思えるかもしれんが命に関わることであるからな!
おおっと、今回は無駄口を叩きはせんさ。
さて、それでは皆がお待ちかねとなっている死者の発表であるな。
知り合いは死んでおらんと良いなあ、まあ結局殺さなければならないであるがな!
では、いくであるぞ。
東優
九条英雄
黒野鉄斎
進藤明日香
二朱公人
野丸太郎
浜野朱里
芳槻さら
この七人、たったの七人である。
この結果は誠に遺憾であるなぁ、最初の滑り出しと比べて半数にも減っているである。
とは言え、着実に人数が減っているという点は評価できるである。
逆に言えばそこだけしか評価出来ないとも言えるであるがな。
まあ、吾輩から言えるのはたったひとつだけ。
精々最後の一人まで頑張ることである!
それでは第二回放送、終了であーる!
287
:
◆7WJp/yel/Y
:2010/03/18(木) 18:26:45 ID:psZgvb6w0
では、日付が変わる前にはスレを立ててきます
288
:
◆7WJp/yel/Y
:2010/03/18(木) 23:50:34 ID:psZgvb6w0
立てました
ttp://schiphol.2ch.net/test/read.cgi/pokechara/1268923277/
289
:
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:28:17 ID:.7HYPnDgO
本スレに書き込めない(たぶん携帯だから)
のでこちらに投下します。
290
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:30:03 ID:.7HYPnDgO
レッドは己の情けなさに腸を煮えくり返らせながら、来た道を引き返して東に向かっていた。
神社にいた者達は皆、野丸太郎も銀髪の女とピンク髪の女の二人組も芳槻さらも見ていないと言っていた。
人に向かってロケットランチャーやマシンガンをぶっ放つような連中が人の集まりそうな施設を避ける理由はない。進んで近づいて行くはずだ。
当初、二人組が商店街の西の出入り口から出て行くのを見たため、二人組は西に向かったと判断したが、
消防署には誰もおらず、七味達も襲われてないとすると、連中は商店街から西ではない別の方角に向かった可能性が高い。
つまり二人組は西の出入り口から出て西に向かったように見せかけて別の方角、
おそらく真逆の東に向かったのだとレッドは考えた。
そう判断して、今ならまだ間に合うと思い、一度東に戻ることにした。
「クソっ!俺はまた判断ミスをっ!
こうしている間にも連中がまた人殺しをしているかもしれないのに!
その場合、それは判断を過った俺のせいだ!クソっ!」
誰に言い聞かせるわけでもなくレッドは呟く。
しかし言葉に出してみると、より一層自分が情けなく感じられ、その事により一層腹が立つ。
………レッドは気づいていない。この判断こそが間違いであることに。
レッドの追いかける4人中3人、白瀬芙喜子と愛、野丸太郎はレッドの当初の判断通り商店街から西に向かったことに。
そしてその内の1人、野丸太郎はレッドが神社で情報交換をしている間に神社の北を西に向かって突っ切り、禁止エリアに突っ込んだことに。
更に残る2人、白瀬芙喜子と愛はレッドが神社に行く途中にも、神社から戻る途中にもその前を通った消防署にいたことに。
何故レッドは白瀬達と出会うことができなかったのか?
レッドが白瀬達と出会うチャンスは行きと帰りで2回あった。
白瀬達は何回か消防署を出たり入ったりしていたのだが、レッドが消防署の前を通った時、白瀬達は2回とも消防署の中にいたのだ。
1回目は白瀬達が時間軸について話し終わった時。
その時は白瀬達がうまく気配を消していたため、レッドは気づかなかった。
2回目は白瀬達が野丸太郎及び、巨大殺人クワガタと戦闘した後、これからのことについて消防署の中で話し合っている時。
この時は1回目に消防署には誰もいないと判断したために、特に見向きもせずスルーしてしまった。
291
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:31:31 ID:.7HYPnDgO
それに、もっとレッドの目を引きつけるものがあった。
巨大殺人クワガタの死体と戦闘の跡である。
戦闘の跡は状況から見て恐らくクワガタとのものだろう。
問題は何故こんなバケモノがいるのかということと、誰がこのバケモノを倒したのかということだ。
しかし気にはなったものの、何より優先すべきことがあるためその場は後にした。
☆ ☆ ☆ ☆
商店街より東の市街地には、役場、映画館、港がある。市街地を外れれば学校と野球場がある。
レッドは東に戻りながら、商店街より東のどの施設に行くかを考え、結論を出し、その場所にたどり着いた。
そこは学校。
市街地から出たのは、市街地と神社の往復でかなりの時間を潰してしまったため、
あの二人組がまだ市街地にいると考えるのは甘いと考えたからだ。
レッドは早速学校のグラウンドに足を踏み入れる。
レッドには時間がない。
危険分子の抹殺というヒーローとしての使命を一刻も早く完遂させるため、今は一分一秒が惜しいのだ。
学校に何もなければ危険分子が他に害をなす前に別の場所に移動しなくてはならない。
レッドはグラウンドを見渡した。すると部室棟横の木の下に人を2人確認した。
292
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:33:37 ID:.7HYPnDgO
☆ ☆ ☆ ☆
「ふぅ〜
30分あればできると思ったが、なかなか骨が折れる」
ヘルガと夏目准は部室棟横の記念樹の下に二朱公人の墓穴を掘ることにした。
やはり埋葬するからには、それらしい場所にしたい。
しかし成人男性1人が収まる穴を掘るのはかなりの重労働である。軍人で体を鍛えているヘルガをもってしてもだ。
スコップが1本しかなかったため交代で掘っていたが、2人ともそろそろ腕が疲れてきていた。
(そろそろ30分か……)
十波典明が芳槻さらを説得、保護しに校舎に入ってからまもなく30分経つ。
30分経っても十波が戻らないことから何かあった、おそらく芳槻さらと接触できたことは間違いない。
約束ではヘルガたちも十波のところに駆けつけなければならない。
さらを説得する過程で問題が起きた可能性、あるいはまったく別の問題が起きた可能性があるからだ。
「夏目、そろそろ30分だな」
「……そうですね」
二朱の埋葬に固執していた准だが、約束は約束である。
それに学校に来た本来の目的は芳槻さらの保護だ。
(もう少し待ってて下さいね……二朱さん)
准は心の中で二朱にそう伝えると、ヘルガと共に校舎に向かって歩き出そうとした。
しかし
「お前たち、そこで何やってる!?」
2人の前にレッドが立ちはだかった。
293
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:34:48 ID:.7HYPnDgO
☆ ☆ ☆ ☆
木の下の2人に近づいていくにつれ、俺は木の下には2人ではなく3人、いや2人と1人だったものがいることに気づいた。
1人だったものは木に背を預け座っている体格のいい男。目と胸から血を流して死んでいるのが一目でわかる。
そしてすぐ側でスコップで穴を掘っている軍服を着た女とその様子を見守るメイド服の女の2人だ。
おそらく2人はあの男を殺し、あげくの果てに埋めてしまう気だ。
俺はグッと奥歯を噛み締めた。
(この島にはどうしてこんなに悪がはびこっているんだ!)
怒りが沸々とこみ上げてくる。
(目の前の人間が悪なら答えはただ一つ、倒すのみ!
それが正義のヒーローだ!)
2人がこちらを向いた。
「お前たち、そこで何やってる!?」
軍服の女が銃を構えてきた。
きっとあの銃で男を殺したに違いない。
「貴様ぁ!!」
俺は軍服の女との距離を詰めるべく足を踏み込んだ。
294
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:35:44 ID:.7HYPnDgO
軍服の女は俺の動きに驚いたようだった。
俺にそんな脅しが通じるとでも思ったのだろうか?
俺は踏み込んだ足で地面を蹴ると軍服の女との距離を一気に詰め、銃を持った手を蹴り上げる。
軍服の女の手から銃がこぼれ落ち、腕が跳ね上げられる。
そして腕が上がったことでがら空きになった左わき腹に右アッパーをいれた。
軍服の女の身体がくの字に曲がる。感触から言って、あばらを1、2本もらった。
女は膝をついてせき込んでいる。しばらくは動けないだろう。
ここで止めをさしてもいい。だが敵は1人ではない。もう1人、メイド服の女がいる。
俺はメイド服の女の方に向き直った。
女は軍服の女が取りこぼした銃を構えていた。自分の頭に向かって。
俺は驚かされた。
(どういうつもりだ!?)
さすがに手が止まる。女のやってることの意味がわからない。
女が引き金を引いた。しかしあるはずの銃声がしない。
「モデルガンよ」
「モデルガン……だと?」
295
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:36:42 ID:.7HYPnDgO
☆ ☆ ☆ ☆
ヘルガたちはレッドに事情を説明した。
二朱公人はもともと仲間で、30分ほど前に襲撃されて殺されてしまったこと。
それで、二朱を埋葬しようと穴を掘っていたこと。
反射的にモデルガンを構えたのはこの島の状況では仕方なくて、最初から交戦の意志は無かったことを話した。
「本当にすまない!」
「いや、私たちも誤解されてもおかしくないことをしてたんだ。すまなかったな。
私はヘルガ。そっちが夏目准だ。殺し合いには乗っていない」
「俺はレッド。正義のヒーローだ。
もちろん殺し合いには乗っていない」
レッドはヘルガたちから話を聞いて素直に謝った。
誤解とはいえ殺し合いに乗っていないヘルガを負傷させたのだからばつが悪かった。
「本来ならここで情報交換の一つでもしたいのだが、
私たちには芳槻さらを保護しに行った十波典明のところに駆けつけるという約束があってな。
時間がないんだ」
「芳槻さら……だと?」
レッドの身体が強ばった。
「あぁ、私たちが学校に来た目的は芳槻さらの保護だ
今は十波という男が1人で芳槻を探して校舎に入っている。
30分経っても戻らないから芳槻と接触できたことはたぶん間違いないが、
何か問題が起きた可能性がある」
「ふざけるな!!お前たちは知らないかもしれないが、
芳槻さらは俺の仲間だった甲子園児を殺した危険人物なんだぞ!
そんな奴を保護だと?そんな甘い考えは今すぐ捨てろ!
奴は倒すべき悪だ!」
「それは違うよ」
2人の会話に准が割って入った。
この島で准はさらを助けるために行動してきた。
レッドは甘い考えと言うが、准にとっては甘い考えではないし、捨てるつもりもない。
「たしかにあの子は私のお腹を刺したり、私の知り合いのピエロさんを殺したり、
あなたの言う甲子園児って人を殺したかもしれない。
でもね、私はあの子を悪だとは思わない。
こんな島にさえ来なければあの子は普通の女子高生だと思う。
私はあの子をこの島のひどい状況から救ってあげたいの」
「だがしかし、奴は悪となった!もとがどうだったかは関係ない!
悪は悪だ!そして悪は倒さなければならない!」
296
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:38:19 ID:.7HYPnDgO
「あの子は好きで殺しをして悪になったんじゃない。
殺さなきゃ殺されるっていう状況がそうさせたの。
誰もがあなたみたいにこんな状況でも自分を見失わないほど強いわけじゃない。
事実、私も二朱さんに会わなかったら自分がどうなっていたかわからない。
あの子みたいに殺しをしていたかもしれない。
でも二朱さんに会ったから私は私でいれたの。
出会いで人は変われる。それはあの子も例外じゃない」
「変われるだと?その考えが甘いと言うんだ。
例え変わったところで奴は殺人という罪を犯したんだ!
その罪は死をもって償わなければならない!」
「死ぬことが罪を償うことだと私は思わない。
ごめんねって謝ってくれたら私はあの子を許すつもり。だってこの状況じゃ仕方ないから。
でも死んじゃったら謝ることもできなくなるんだよ?」
「芳槻さらが謝れば貴様は奴を許すかもしれん。
だが俺は許せない!奴が謝ったところで甲子はどうなる?
生き返るのか?生き返るわけないだろう!
奴が犯した罪は謝罪の言葉だけで許せるものじゃないんだ!
悪いが俺は貴様の考えは理解できない!
俺は何と言われようと悪を倒すという自分の正義を貫く!」
レッドはそう言い切ると校舎に向かって歩き出した。
しかし准が先回りしてレッドの前に両手を広げて立ちふさがる。
「悪を倒すだけが正義じゃない!
悪から弱い人を守って、救い出すのも正義だって私は思う!」
「確かにそうだ。だがな、芳槻さらは悪だ!悪に差し伸べる手はない!
そこをどけ、夏目!」
レッドの怒号に准はレッドを睨みつけることで返す。
正直、准はレッドが怖い。
レッドがヘルガに繰り出したパンチは素人の准から見ても強烈なものだった。
あのパンチが准にレッドに対する恐怖心を植えつけていた。
しかし、准にとって一番怖いのはこの島で二朱と共にやってきたことが無駄になること。
さらが殺されること。
このままレッドを通せば間違いなくそうなる。そんなのは絶対にイヤだ。
その意地が准の勇気を駆り立てる。
だがレッドにしてみれば准は自分の正義を邪魔する障害物でしかない。
「どうしてもどかないと言うなら……」
レッドは准の鳩尾に拳を叩き込んだ。
「かはっ」
准の腹部には刺し傷がある。幸いにも傷が開いたということはなかったが、
激痛が走り、准の意識を刈り取った。
准は膝をつきそのままうつ伏せに倒れ込んだ。
297
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:40:52 ID:.7HYPnDgO
「貴様……」
今まで状況を見守っていたヘルガが声を上げる。ここまでする必要があるのかというのがヘルガの本音だ。
「ヘルガ、俺が芳槻さらを倒しに行っている間、夏目を頼む」
「待て!芳槻さらの保護は死んだ二朱の願いでもあるんだぞ!」
「俺に悪を助ける道理はない。
強いて言うなら、これ以上悪事を働けないように息の根を止める。
それが俺なりの慈悲だ」
そう言い残すとレッドは校舎に向かって走って行った。
悪を倒す為に。
【F-3/学校/グラウンド/一日目/昼】
【レッド@パワプロクンポケット7表】
[状態]:殺人者に対する激しい怒り
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、ナオのリボン@パワポケ10表、超人ライダーボトルキャップ、ゴーカート@パワポケ7表
[思考・状況]
1:校舎に行き芳槻さらを殺す
2:1のあと野丸or2人組(白瀬、愛)を追い、仲間に害を為す前に殺す
3:2のあと病院に向かう
4:黒野鉄斎の保護
5:レッドとして反省し、ブラウンの分も悪を倒す
6:東やほるひすを守る
7:余裕があれば第3放送前後にホテルに寄る
298
:
迷走ヒーロー
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:41:49 ID:.7HYPnDgO
【夏目准@パワプロクンポケット9】
[状態]:気絶中
腹部に刺傷(立ち上がれる程度には回復)、深い悲しみ
[装備]:スコップ
[道具]:支給品一式×2、スパナ、拡声器、不明支給品0〜4個
[思考・状況]
1:さらを助けてあげたい
2:レッドに対して不信感
3:二朱さん……
4:九条さんに会いたい。
5:十波がさらを救えるか少し不安。
【ヘルガ@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:右肩に怪我
左わき腹の肋骨の1本にひび
(走ったりなど激しい運動に支障をきたします)
[装備]:モデルガン、ナイフ、軍服
[道具]:ラッキョウ一瓶、支給品一式
[思考・状況]
基本:亀田という悪を育てるために亀田に立ち向かう。
1:あまりにも亀田に対抗する戦力が大きくなってきた場合はそれを削る。
2:レッドに対して不信感
3:十波を少し信頼。
299
:
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 00:46:40 ID:.7HYPnDgO
投下終了です。
誤字脱字、矛盾などの指摘をお願いします。
あと、何方か本スレに代理投下していただければ嬉しいです。
300
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2010/03/24(水) 14:01:41 ID:kDycZ6L20
代理投下完了しました
301
:
◆jnvLTxNrNA
:2010/03/24(水) 23:55:03 ID:.7HYPnDgO
>>300
代理投下+感想ありがとうございます!
そして未だ規制巻き込まれ中……orz
302
:
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:11:40 ID:maYFPN9E0
規制中なので、こちらに仮投下させて頂きます
303
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:13:17 ID:maYFPN9E0
紫杏が放送を聞いたのは、学校を出た直後の事だった。
放送が嘘を言っていない限り、芳槻さらはやはり死んでしまった事になる。
ひょっとしたらまだ生きているのでは…という淡い期待も、結局は捨てる羽目になってしまった。
眩しいほどに緑が輝く周囲の風景も、今に限っては何だか嘘っぽく感じた。
紫杏に自然を愛でる趣味は無いが、それを空虚などと思ったことは一度も無かったのに。
(…やっぱり、動揺してるのかな)
多分、いや、きっと動揺しているのだろう。
何故だろう。自身の将来を思えば、他人の死の一つや二つで思い悩んでなどいられないはずなのに。
紫杏がまだ、小心者で弱い自分を捨て切れないせいだろうか?
例えジャジメントの指揮官という立場になろうとも、自ら手を下すことはないと高を括っていたせいだろうか?
顔と名前を知っている程度だとは言え、知人をこの手で殺めてしまったせいだろうか?
「…紫杏、これ回収しといたで」
後ろを歩いていたカズが、いきなり口を開いた。
その手に握られているのは、学校の屋上で放たれたレーザーライフル。もちろん、紫杏に手渡す素振りはなかったが。
あのまま十波の傍に放置しておくのは危険だということは、紫杏にも痛いほどよく分かる。
だが、それでも今は一番見たくない物だった。隠しきれない歪んだ表情が紫杏の顔に浮かぶ。
「堪忍してや…いつかは見せなあかんのやから」
「あまり気にしないでくれ、カズ。私は怒っちゃいない」
304
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:14:02 ID:maYFPN9E0
少しの沈黙。カズは話題を変える。
「…あのな、全然関係ない話なんやけど…
十波、めっちゃ泣いとったやろ?」
紫杏の返答を待っているのか、カズは話を続けない。
仕方なく、ああ、と気の無い返事を返す。
「紫杏…お前は辛ないんか?
…いや、紫杏だけやない。
ウチも辛いし、十波も辛いやろうし、一緒におったあの子も辛いはずや」
紫杏は押し黙ったまま答えない。
辛い、と答えてしまうのは簡単だ。憔悴し切ったような表情をそこに添えるのも簡単だ。
紫杏は今まで、ずっとそうして生きてきたのだから。
ただ、安易な「辛い」という言葉に逃げたくはなかった。
それは偽善でも使命感でもない。
そんなことでは、将来に幾度となく訪れるだろう“死”の度に同じ感情を覚える事になってしまう気がしたからだ。
ここであえて苦しい道を選ぶのも悪くない――そう思っていたのだ。
結局、悪いとは思いながらも答えは返さなかった。
会話は途切れ、重苦しい雰囲気が辺りを包む。
ただ、気まずい空気の中で会話を続けるよりはずっと気が楽だった。
カズも恐らくは同じような気持ちを抱いているのだろう。
数分ほど経つと、視界の隅に何かの施設が現れた。
整然とした並びで座席が連なり、その合間を縫うようにして照明器具が見える。
その施設が何なのか、紫杏にはすぐに見当がついた。
(……野球場、か)
とりあえず優先すべきは、混乱した頭にゆっくりと整理をつけることだろう。
湧きあがってくる様々な感情にはひとまず蓋をして、紫杏は入口をくぐった。
305
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:15:14 ID:maYFPN9E0
● ● ●
「御来客、みたいですよ」
手元の探知機に視線を落としながら、あやかが呟く。
「へーぇ」
杖を弄る手は止めずに、プレイグが返事を返す。
「これはまた分かりやすい返事ですね、プレイグさん」
「いや、あのなぁ。
どうせまた、何や面倒臭いことせなあかんのやろ?」
二人が寛いでいるこの場所には長椅子もあり、一息入れるには最適の場所だった。
もしも接近している二人組が何らかの休息を目的としている場合、十中八九ここへ訪れる事になる。
それだけに、このまま手をこまねいて待つわけにはいかないはずだ。
どうせ変身だの魔法だの要求されるに決まってんねん――プレイグの質問からは、半ば諦めのようなものも感じられた。
だが、あやかの返答は予想外のものだった。
「いえ、今回ばかりは必要ありません。
…と言うのもですね、今回の二人は『安全』だからです」
「安全?」
「はい。一人は正義感あふれる自治会長。まあ、かなり疑り深いきらいはありますけどね。
もう一人も特殊な能力を持ってはいますが、性格からして無抵抗の人間に襲いかかるような事はないでしょう」
楽観的すぎる、ととれないこともない。
プレイグはさすがに危うさを感じ、聞き返す。
306
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:16:02 ID:maYFPN9E0
「いやいや、そんなに上手く行くかいな?
そんなん言うてて油断して殺されました、じゃ下手なシャレにもならんで」
あやかの顔に微笑が浮かぶ。分かってないですね、という表情が露骨に読み取れた。
「おやおやプレイグさん、何か私を見くびっているようですね。
私だって、裏付けもなしにこんな事を言ったりしませんよ?」
それに、読みが外れたら外れたで面白いじゃないですか――続けようとした言葉は辛うじて呑みこんだ。
納得しかねたような顔をしたプレイグがまた何か言おうとしたその時。
カチャリ、とドアが開いた。
ほんの数メートルの間を置いて、ドアを開けた張本人・紫杏とあやかの目が合う。
「…失礼、邪魔をしてしまいました」
再びドアを閉めかけた紫杏を、あやかは呼び止めた。
「いえいえ、一向に構いませんよ。
それより貴女、かなりやつれてますね?
何なら私達が他へ行きますから、ここで休んではどうです?」
「…お気持ちは有難いですが、結構です」
そう言い残し、紫杏はその場を立ち去ろうとする。
しかしあやかは構わず、紫杏の背中に再度言葉を投げかけた。
「まあ、大方の見当はつきますよ。
貴女が気に揉んでいるのは、『芳槻さら』の死――ですね?」
紫杏の背中が、ピクリと揺れた。
307
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:16:46 ID:maYFPN9E0
● ● ●
(…何者なんだ、この女?)
芳槻さら、死、神条紫杏。
目の前に居る女は、この三つをいとも簡単に結びつけて見せた。
放送だけではどう転んでも出来ない芸当だ。
初めて女を見た時に覚えた直感が、より一層強さを増すのが感じられた。
すまない、少し一人で頭を整理したいんだ――野球場に入って間もなく、紫杏はそう言ってカズと別れた。
そして単身入ったサロンのような場所。
女を目にした途端、普通ではない雰囲気を感じた。
だから紫杏は、交渉に持ち込む事もなく部屋を後にしようとしたのだ。
立ち去れ、逃げ出せ。紫杏の理性は今も叫んでいる。
話の運び方からして、女は紫杏を何らかの形で「壊そう」としているのは明白だ。
だが――いや、だからこそ、逃げ出すことに抵抗を感じる。
紫杏が自らに課した「苦しい道を選ぶ」という宿題が、いつしか自分自身を縛ることになっていたのかもしれない。
「おっと、自己紹介が遅れましたね。
私は黒羽根あやか――いえ、ここはあやか伯爵と名乗っておきましょうか」
「…伯爵、ですか?」
爵位。どこかで聞いたことがある。
「ふふ。お気づきのようですね。
ご想像の通り、私はこの場でジョーカーという役回りを務めさせてもらってます。
もっと月並みな言い方をすれば、『スパイ』という所でしょうか」
真偽のほどは分からないが、にわかに興味深い話が舞い込んできた。
下手な相槌を打って話が逸れるくらいなら、喋るだけ喋らせるのが吉だろう。
308
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:18:00 ID:maYFPN9E0
「そういう立場上、私は色々と利点を得ているわけです。
なかなか優秀な探知機も支給されていますし、参加者の方々についてもある程度は把握済みです」
なるほど探知機があれば、放送と関連付けてさらと紫杏を線で結ぶ事が出来る。
よりによって学校の辺りを見ていたのも、決して偶然とは言い切れない。
学校には比較的人が集まっていたし、位置もここからならかなりの近場だ。
暇つぶしがてら観察しておくにはうってつけの場所だろう。
「と、前置きはこの位にしておきまして…
芳槻さらを殺したのは誰か、それは私にも解りません」
一呼吸置いて、続ける。
「ただ、貴女に罪の呵責を感じさせる事はできます。
何故止められなかったのか。
あるいは、何故殺してしまったのか」
そろそろ、か。
紫杏は唇を噛みしめ、覚悟を決める。
「あまり隠しだてするのは好きではないので、率直に言いましょう。
私が把握している限りの情報では、芳槻さら、十波典明、この二人は相思相愛と言っても差支えないでしょう」
嘘だとは考えにくい。目の前の女がジョーカーだと言う事も、この情報も。
それだけに、怖い。
何を知っていて何を言いたいのか、それが掴めない。
「それに、一つ興味深い点がありましてね。
十波という少年は、どういうわけか芳槻さらが『死んでいた』と思っていたらしいのです。
つまり――」
紫杏の理性は、なおも大音響で叫ぶ。耳が痛いほどに。
「…失礼します」
結局、紫杏は音をあげた。
あやかが言わんとする事は、紫杏にも理解できた。
それを今となってはどうしようもないんだと割り切れるほど、紫杏は強くない。
改めて、自分が捨てきれない、情けないほどの弱さを感じた。
309
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:19:10 ID:maYFPN9E0
十波とさらとの間に横たわる矛盾と、病院で一笑に付したタイムマシンの話。
もし紫杏が平静を保っていれば、この二つを結んで気休め程度でも自分を慰める事もできただろう。
だが、紫杏は余りにも疲れ過ぎていた。
頭の整理をつける間もなく、次々と追い詰められてきたせいで。
今はただ、何も考えまいと必死だった。
【G−3/野球場/1日目/日中】
【神条紫杏@パワプロクンポケット10】
[状態]:脱力感、両ひじ、背中に軽いうちみ
[装備]:バット(デイパックの中)
[道具]:支給品一式、詳細名簿、ノートパソコン(バッテリー消耗小)、駄菓子数個
[思考]?????
基本:どのようにも動ける様にする。
1:どこかで頭を整理したい。
2:生きて帰って平山の言葉を伝える。
3:出来ることならカズと十波には死んでほしくない。が、必要とあらば……
[備考]
※この殺し合いをジャジメントによる自分に対する訓練か何かだと勘違いしています。
※島岡の荷物は、島岡を殺害した者に持ち去られただろうと判断しました。
※小波走太一行とは情報交換を行っていません。
【大江和那@パワプロクンポケット10】
[状態]:全身打撲、疲労(中)
[装備]:六尺棒、レーザーライフル
[道具]:支給品一式×2、不明支給品0〜1、携帯電話、塩素系合成洗剤、酸性洗剤、油、ライター
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める。
1:紫杏!?
2:病院へと戻る。
【備考】
※重力操作にかけられた制限の存在に漠然と気付きました。
※桧垣東児特性しあわせ草エキスは一本きりです。
310
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:20:08 ID:maYFPN9E0
● ● ●
「…なかなか逃げませんでしたね」
ドアが完全に閉まったのを確認した後、あやかは言った。
「なんや、早う逃げてほしかったんかい?」
プレイグは、解りやすい驚愕の表情を浮かべて問い返す。
「ええ、気分としてはそうでしたね。
食事も終わって満ち足りた気分でしたから、さすがに面倒になってきまして」
「ほんなら最初っから止めへんかったらええやないか。
なにもあの姉ちゃんが自分から留まってたわけやないで?」
理解できない、といった面持ちでプレイグはあやかを見つめる。
それを横目で見ながら、あやかはこともなげに言い放つ。
「だって、それじゃあまりにもあんまりでしょう?
それに、私は何度も逃げる機会は作ってあげましたよ。
あそこまで聞いたのは、私ではなく彼女の意志です」
「…まったく、ホンマに食えん女やな」
賛美とも軽蔑ともつかない口調。
あやかの考え方には、基本的に今でもついていけない。
ただ、あやかのやり口、獲物のとらえ方、そんな諸々を少し楽しみにしているのも事実だった。
そんな自分に何より驚いたのはプレイグ自身ではあったが。
「…と言うか、最後まで逃げへんかったらどうするつもりやったんや?
あの姉ちゃんがトラウマ背負ってたから良かったようなものの、よう考えたらあんまり大した事は言うてへんで」
あやかの口元に微笑が浮かぶ。
まだ私という人間を理解していないんですね、とでも言うように。
「それはそれで、面白いと思いませんか?」
311
:
未来の束縛
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/05(木) 22:20:47 ID:maYFPN9E0
【G−3/野球場内部サロン/1日目/日中】
【黒羽根あやか@パワプロクンポケット7裏】
[状態]:歓喜、満腹、テンション↑
[装備]:妖刀ムラマサ@パワプロクンポケット7裏、日本刀
[道具]:支給品一式、高性能型探知機、充電器、タオル数個
[思考・状況]
基本:殺し合いを円滑に進めるために動く。方法は問わない。
1:とりあえず今は満足。
2:ゲームに乗っていない人間は殺す、マーダーに出来そうだったらする。
3:名探偵は、今度こそこの手で………
[備考]
1:参加者全員の顔と詳細情報についての知識を持っています。
2:探知機はあやかには反応しません。
【プレイグ@パワプロクンポケット4裏】
[状態]:健康、満腹
[装備]:ハヅキの杖@パワプロクンポケット4裏
[道具]:支給品一式、カレー調理用セット(食材三人前、包丁鍋フライパンスプーン皿、いずれも汚れてる)
[思考・状況]
基本:『殺し合い』に乗り、優勝を目指す。
1:あやかについては保留。とりあえず今は殺さない。
2:もっとまともな杖が欲しいでホンマ……
[備考]
※杖がなくとも呪文を唱える事に支障はありません。精神的にほんの少し落ち着かないだけです。
312
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2010/08/05(木) 22:23:57 ID:maYFPN9E0
以上で投下終了です。
誤字脱字、矛盾点などありましたら指摘お願いします。
問題が無いようでしたら、どなたか代理投下お願いします…
313
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2010/08/06(金) 07:26:35 ID:KkZKrqgQO
久々の投下乙です!
ところで紫杏たちは誰にも会わずに学校から出たのでしょうか?
正門から出たとすれば、ヘルガあたりと出くわしそうなものですが…
314
:
◆1WZThYdb3Q
:2010/08/06(金) 22:30:18 ID:x/GZQkyM0
>>313
特にこれといった理由を決めていたわけではありませんが、
・紫杏や和那からすればヘルガ達と話している場合ではないですし、
ヘルガ・准としても、レーザーライフルを持っている和那達にわざわざ声をかけたりはしないのでは?
・ヘルガや准が墓を掘っていた場所によっては、そもそも出会わなかった?
・紫杏が正門からは出なかった?
などといった理由は考えられるかと思います。
展開縛りになる恐れもあり、私としても決めかねたので特に描写はしませんでしたが…いかがでしょうか?
315
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2010/08/06(金) 23:52:01 ID:KkZKrqgQO
なるほどです。
そういうことでしたら問題ないと思います。
今さらですがGJです!
316
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2010/08/07(土) 21:34:54 ID:jekfwCQY0
投下乙ですぜー
代理投下行ってきますー
317
:
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:15:54 ID:tmBSW2QgO
お待たせしました。
投下します。
318
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:17:42 ID:tmBSW2QgO
『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』
【〜prologue〜】
「ふぅ〜」
部室棟横の記念樹の下で私は完成した二朱公人の墓を見つめて、1人ため息をついた。
墓としてはかなり粗末なものだがそれは仕方ない。目を閉じて二朱に黙祷して冥福を祈ると同時に謝罪をする。
私は二朱の願いを果たすことができなかった。
芳槻さらは死んでしまったのだ。
私はレッドを追わなかった。否、追えなかった。
気絶した夏目准を1人置き去りにするわけにはいかなかったからだ。
仕方なく夏目を記念樹横の部室棟の野球部の部室に寝かせ、墓穴掘りを再開することにした。
そしてレッドが去ってから数分後、放送で芳槻さらの名が呼ばれた。
レッドが殺したのか、それとも十波典明が接触した時点で手遅れだったのかはわからないが、事実として芳槻さらは死んでしまった。
事実として二朱と夏目、それから十波の願いは叶わなかった。
いくら悔やんでも悔やみきれないだろう。
しかし、だからこそ『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』というのが私の持論だ。
『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』からこそ、死は悔しくて、やるせないのだ。
『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。
例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』
亀田は死者の蘇生も可能なのかもしれない。
なにしろ亀田は『永遠の命』を叶えられるらしいのだ。死者を蘇らせることなどわけないだろう。
ハッタリの可能性もあるが亀田の持つ技術力を考えるとハッタリに聞こえない。
今考えると、私はあの処刑場で一度死んでいて、蘇生された後この殺し合いの放り込まれたのかもしれない。
まぁ、蘇生した人間を殺し合いに放り込む意味がわからないが……
はっきり言ってこの可能性が本当であるとは考えたくない。
何度でも言う、『死は絶対で、安易に打ち消されるようなものであってはならない』のだ。
安易に打ち消されないから人は死を恐れ、生きようとする。
死は絶望であり、生きることは死に対をなす希望なのだ。
319
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:19:42 ID:tmBSW2QgO
もし、亀田が死者を蘇らせる力を持っていれば、死は絶望でなくなることになり、同時に生きることが希望でなくなることになる。
そんなことはあってはならない。この世界には希望が必要なのだ。
しかし……
視線を二朱の墓から部室棟に移す。
『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。
例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』
この言葉に希望を求めるならそれもありなのかもしれない。
希望の形など人それぞれなのだから……
◆ ◆ ◆ ◆
墓を作り終え、空き部室に戻ると夏目が目覚めていた。
「芳槻さんはどうなりましたか?」
私が夏目の身体を心配する前に夏目の方から私に質問を投げかけた。どうやら放送は聞いてないらしい。
私は1枚の紙を夏目に手渡した。
「これは?」
「夏目が気を失っている間に流れた放送のメモだ。第2回放送までに死んだ全ての人間の名と禁止エリアを書いておいた」
夏目はメモを受け取り、目を通し、そして私の予想通り、動揺を顔に表した。
無理もない。
芳槻さらの死は夏目がこの島で二朱と共にやってきたことが無駄になったことを意味するのだから……
「夏目、私は言ったはずだ。
死は恐ろしいんだ、絶対なんだ。簡単に怯えを失ってはいけない。死は、恐れるものなんだと。
もう夏目はこれから強くなるしかないんだと。」
「…………」
今回ばかりはダメージが大きいらしい。
夏目はメモを見たまま動けなくなっている。
「……私は校舎から十波が出てこないか見ておく。
十波が出てくるまでにできるだけ気持ちを整理するんだ」
だから私は夏目に時間を与えることにした。
気休めにしかならないだろうが、気休めでも、それで夏目が立ち直れるならそれでいい。
私は夏目に背を向けて、部室棟から出ようとした。
320
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:21:59 ID:tmBSW2QgO
◆ ◆ ◆ ◆
【願い事1つだけ〜夏目准の場合〜】
(なんで…?)
准はヘルガの予想通り動揺した。
(なんで…なんで…?)
“ある人物”が死んだからだ。
(なんで…なんで…なんで…?)
しかし“ある人物”が誰であるかまではヘルガの予想通りではなかった。
(なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…?)
ヘルガの予想は芳槻さら。
しかし、実際は違う。
(なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…なんで…?)
その“ある人物”の名は……
(なんで、あんたが死んでるのよ!?)
“九条英雄”
メモに書かれたこの名を見た瞬間、准の視界は真っ暗になった。
(九条さんが死んだら維織さんはどうなるのよ!?)
准の大切な親友、野崎維織の大切な人。
維織は九条と出会ってから本当にいろんな顔をするようになったと准は思う。
准の知ってる中であれほどお似合いなカップルはいない。
その大切な親友の大切な人が死んだ。
321
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:23:05 ID:tmBSW2QgO
そして……
(九条さんが死んだら私はどうなるのよ!?)
准も少なからず想いを寄せた人が死んだ。
(嫌だ……)
もう二度とあの日常には戻れない。
あの喫茶店での日常には、准が九条をからかい、九条がそれにツッコミを入れ、維織がその傍らで本を読むという日常には二度と戻れない。
(こんなの嫌だよ……)
『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。
例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』
准の脳裏にふと亀田の言葉がよぎる。
(そうだ…!この殺し合いに優勝して九条さんを生き返らせてもらえれば…!)
それは甘い誘惑。
(あの眼鏡に頭を下げるのは癪だけど、あの日常を取り戻せるなら…!)
その誘惑に心が揺れる。
あの日常を取り戻せるなら、あの日常を取り戻せる方法があるならそれにすがりたい。
たとえそれが人殺しという許されざる方法だとしても。
それほどまでに准にとっては愛おしい日常なのだ。
(なんてね。そんなことできるわけないじゃない……)
でも准はわかっていた。そんな方法で九条を生き返らせたとしても、九条も維織も喜んでくれないであろうことを。
(遠前町に帰ったら、まず維織さんに謝ろう。九条さんと一緒に帰ってこれなくてごめんって謝ろう。
維織さん、絶対悲しむよね……)
だから強くなろうと准は決心する。
九条の死という悲劇からから立ち直れる程に。
大切な親友、維織を悲しみから守れる程に。
そう決心すると真っ暗だった准の視界に光が射した。
322
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:25:01 ID:tmBSW2QgO
◆ ◆ ◆ ◆
【願い事1つだけ〜十波典明の場合〜】
さらは死んだ。
同じ親切高校の神条紫杏にライフルで撃たれた。
さらを撃った紫杏も許せなかったが、二度もさらを助けることができず、二度もさらを死なせてしまった自分自身が何よりも許せなかった。
できるならいつもの夢だと思いたい。
いつもの夢よりちょっと質が悪いだけだと思いたい。
でも、さっきの放送と握ったさらの手がどんどん冷たくなっていくリアルな感覚が、俺にこれが現実であることを突きつけてくる。
俺は空を見上げた。屋上に出たときと変わらない青空。でもさっきまでの気持ちよさではなく、今はただ虚しさを感じる。
『私は十波君を……信じます』
『……十波…君……大……好……き……』
さらの最期の言葉が頭に響く。
誰も信じられないと言ったあの時と違って、俺を信じると言ってくれた。
俺の告白に大好きだと答えてくれた。
そういう意味では、俺はさらを変えることができたのかもしれない。
でも……救うことはできなかった。
さらにはこれから先、ずっと俺の隣を歩いて欲しかった……
なぁ、さら……
俺がもっと早くさらの所に駆けつけていたらこの結末は違ったのか?
この青空も、この屋上から見える景色も違って見えたのか?
さらがまたいなくなって、俺はまたひとりぼっちだよ……
天道を倒して甲子園に行ったこと、岡田を倒して日本一になったこと、プロ野球選手になったこと、
他にもさらがいなくなってからも嬉しいことや楽しいことはいっぱいあった。
でも、さらが隣にいないとそんな嬉しいことや楽しいことも、どこか虚しいんだ。
嬉しいことや楽しいことはさらと分かちあわないとその喜びは半分になってしまうんだ。
さらを変えるなんてこと言っときながら、変わったのは俺の方がだったのかもしれない。
いや、変わったんだ。俺はさらが好きになったから。
さらしか信じることができなくなったから。
さら以外の全てを信じられなくなったから。
結局この世界で信じられるのはさらだけだったんだ。
こんな世界に、さらのいない世界に、信じるもののない世界に俺の生きる意味はあるか?
俺にはわからないんだ。
なぁ、さら。教えてくれよ。
俺はこれからどうやって生きていけばいい?
323
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:26:26 ID:tmBSW2QgO
何を理由に生きていけばいい?
『殺し合いの優勝に見合う『賞品』として、特別に願いを一つだけ叶えてあげるでやんすよ。
例え願いの内容が巨万の富でも、巨大な力でも、永遠の命でも、自分自身の国でも、何でも叶えてあげるでやんす』
突然、俺の頭にあの荷田くんみたいな奴の言葉が響いた。
俺は気づく。そう、そうだよ。この殺し合いに優勝すればいいんだ!
優勝してさらを生き返らせてもらえばいいんだ!
あの荷田くんみたいな奴は願いを1つ、何でも叶えてくれるって言ってたじゃないか!
悪魔の囁きってのはこういうのを言うんだろうな……
でもそれでさらが帰ってくるなら……
あの荷田くんみたいな奴にお願いするのはちょっとムカつくけど、それでさらが帰ってくるなら……
進む道が人殺しという修羅の道でも、それでさらが帰ってくるなら……
俺は鬼にでも、悪魔にでも、何にでもなって………!
なれるわけないよな……さら……
どこか満たされたようなさらの顔を見て俺は先程までのバカな考えを捨てた。
さらは最期の最期で他人を信じることができるようになった。一歩前に進んだ。
なら、彼氏の俺が何時までも過去にすがって立ち止まってちゃいけないよな。
過去を振り返ることは悪いことじゃない。でも、すがっちゃいけないんだ。
過去は過去として受け入れて俺は前に進まないといけないんだ。
殺し合いに優勝してさらを生き返らせようなんて、思いっきり過去に後退する行為だ。
その根源には『あの頃に戻りたい』という念があるからだ。
それに俺はさらと約束したじゃないか。
俺は野球を頑張るって、それでさらは俺のことを応援するって最期に約束したじゃないか。
その約束を果たすためにも、さらに相応しい彼氏であるためにも、俺は前に進む。進み続ける。
まずは他人を信じてみよう。その人達とこの殺し合いをぶっ壊そう。
そんでもってあの荷田くんみたいな奴を倒して、この馬鹿げた島から出る。
もとの生活に帰ったら野球を頑張る。いろんな所に行く。いろんなものを見る。いろんな人に出会う。いろんな話を聞く。
さらが見聞きできなかったことまで俺が見て聞く。
そして俺がおじいちゃんになってあの世に行ったら、あの世でさらと再会する。
さらと再会したらそれまで見聞きしたことを全部さらに話す。
324
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:28:16 ID:tmBSW2QgO
うん、我ながら見事な将来設計図だ。
「よし、そうと決まれば前に踏み出そうか」
俺は声に出して自分に言い聞かせるとさらのデイパックの中身を自分のデイパックに詰め込み、
さらの頭からリボン解いて、それを自分の左腕に巻きつけた。
まぁ、リボンは形見ってやつかな。過去に戻りたいってわけじゃないけど、でも何時でもさらを傍に感じていたいんだ。
次に傍らに転がっていた機関銃を回収する。
殺しはもうしたくないけど、相手が殺る気なら仕方ない。俺はさらの分も生きないといけないからな。
できればこの引き金を引くことがないようにと祈りながら俺は機関銃の持ち手を握る。
最後にさらを背中に担ぐ。下ではヘルガさんと夏目さんがお墓を掘っているはずだから一緒に埋葬してもらおう。
(ヘルガさんたちに謝らなきゃなぁ……)
そんなことを考えながら俺は前に歩き始めた。
◆ ◆ ◆ ◆
「やっぱり、ダメだった、か……」
光を取り戻した准の視界に飛び込んできたのは、
頭部を原形がわからないほどまで破壊されて、足元に倒れ伏せたヘルガと血まみれのスパナ、
それを握る自分の手、返り血で赤く汚れたメイド服だった。
「はぁ〜、これじゃ維織さんやあいつに会わす顔がないなぁ……でも私が優勝すれば……」
維織と九条の日常は取り戻せる。そこに准の姿はなくても構わない、と准は思った。
維織と九条が喜んでくれなくても構わない。准は維織の悲しむ顔が見たくない、と思った。
こんなことをして維織が悲しまないわけがないことはわかっている。
でもその悲しみの穴は九条が埋めてくれる、と思った。
でも……
「九条さんがいなくなってできた維織さんの悲しみの穴は、大きすぎて私には埋められないよ……
それに、維織さんの傍に九条さんがいないなんて想像できないよ……」
できるならあの3人の日常に戻りたい。でもそれは叶わぬ願いなのだ。
325
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:29:14 ID:tmBSW2QgO
だが維織と九条の2人の日常を取り戻す、という叶えられる願いもある。
だから准は強くなろうと決心する。
せめて叶えられる願いだけでも叶えられる程に。
せめてこの殺し合いに優勝できる程に。
准は荷物をまとめて学校を後にした。
(こんなことはきっと間違ってるんだろうなぁ)
維織を悲しませることに戸惑いを感じていないわけじゃない。
このメイド服を血で汚すことがどういうことかもわかっている。
(でもこの足は、もう止まらない……!)
◆ ◆ ◆ ◆
俺がグラウンドに出るとヘルガさんも夏目さんもいなかった。
ただ完成した二朱さんっていう人のお墓だけがあった。
「スコップがないんじゃさらのお墓が作れないじゃないか」
俺はそんなことを愚痴りながらさらを記念樹にもたれかけさせた。
わかってる。俺はヘルガさんたちとの約束を破ったんだ。
下手すると俺のことをさらを殺した殺人鬼と思ってるかもしれない。
殺人鬼から逃げるのは当たり前だ。だからヘルガさんたちはもう学校にいない。
でも俺はそれでいいと思う。事実、俺はさらを救えなかったのだから。
確かに俺は前に進むと決めた。だけど、だからといってさらを救えなかった罪が消えたわけじゃない。
さらは許してくれるだろうけど、俺自身が許せない。
この罪は俺が一生背負っていくことになるものだ。
だけど俺は前に進むと決めた。この消せない罪を全部背負って前に進むと決めた。
326
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:31:30 ID:tmBSW2QgO
その先にはさらがいるから。
俺はさらと二朱さんっていう人に黙祷した。
さらには、すぐには会えないけどいつか必ず会いに行く。だから待っていてくれという願いを。
二朱さんは生前ヘルガさんや夏目さんとさらを助けようと行動していたらしい。
だから二朱さんには、そのこと対する感謝とさらを救えなかったことに対する謝罪を、それぞれ黙祷で伝えた。
「さぁ、行くか!」
手始めに、この殺し合いをぶっ壊す。
◆ ◆ ◆ ◆
「ふぅ〜」
私は視線を部室棟から再び二朱の墓に移すと二度目となるため息をついた。
完全に油断だった。
夏目があんな暴挙にでる可能性ぐらい容易に予想できたはずなのに、あの時私はその可能性を失念していた。
後ろで夏目が立ち上がる音がしたので、もう立ち直ったのかと思い振り向いた。
しかし私の目に映ったのは立ち直った夏目ではなく、目の前にまで迫ったスパナだった。
もはや回避は不可能だった。私はその痛烈な一撃をまともに受けて、意識を失ってしまった。
そして、次に気がつくと私の足元には私自身の死体があった。
二朱はきっと夏目がこんな暴挙を起こして何も思わないはずはないだろう。きっと止めようとしたはずだろう。
私はもう一度目を閉じて二朱に謝罪する。夏目を止められなくてすまなかった、と。
隣では十波が私と同じように黙祷をしている。
その左腕には芳槻のものと思わしきリボンが巻き付けてある。
この男は本当に芳槻のことを大切に想っていたんだなと思う。
黙祷を終えると十波は学校から出て行った。その顔は希望に輝いてるように見えた。
私はその顔見て、この世界もまだ捨てた物じゃないと思った。
この世界にはまだ希望が残っているとわかったから。
さぁ、そろそろ行こうか、地獄とやらに……
【ヘルガ@パワプロクンポケット6裏 死亡】
【残り33名】
327
:
願い事1つだけ
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:32:17 ID:tmBSW2QgO
【夏目准@パワプロクンポケット9】
[状態]:腹部に刺傷(立ち上がれる程度には回復)、深い悲しみ
[装備]:スパナ、モデルガン
[道具]:支給品一式×3、スコップ、拡声器、ナイフ、ラッキョウ一瓶、不明支給品0〜4個
[思考・状況]
1:九条さんを生き返らせる
2:レッドに対して不信感
3:二朱さん……
【十波典明@パワプロクンポケット10】
[状態]:「人を信じる」という感情の復活
右上腕に怪我
[装備]:機関銃
[道具]:支給品一式×2、バタフライナイフ、青酸カリ、スペツナズ・ナイフ
[思考・状況]基本:この殺し合いをぶっ壊す!
[備考]
1:さらルート攻略中に他の彼女ルートにも手を出していた可能性があります。
2:たかゆきをタケミの作ったロボットだと思っています。
3:タケミを触手を出す事の出来る生き物で、殺し合いに乗っていると思っています。
4:高坂茜とメカ亀田の名前を知りません。
5:ヘルガの死に気づいてません。
328
:
◆jnvLTxNrNA
:2010/08/15(日) 21:34:30 ID:tmBSW2QgO
投下終了です。
誤字脱字、矛盾などの指摘をお願いします。
329
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2011/03/21(月) 10:05:51 ID:2PoWfJNQ0
あれ?終わり?
330
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2011/07/09(土) 21:11:36 ID:mIeolBig0
流石にもうこないのかな
ずっと見続けてたから残念だな
331
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2011/07/29(金) 18:06:03 ID:iie2GwYA0
あぁ、静かだ・・・・
332
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2011/10/24(月) 17:27:15 ID:AEIoXntY0
続き読みたいな・・・
333
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2011/12/24(土) 21:13:21 ID:hgkGZElY0
つづきがでると信じている
334
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/03/09(金) 22:38:35 ID:FRg/LzGE0
こうなっちゃった以上、昔の書き手・読み手集めてチャットとかやってみたいな
人いなさすぎて告知すらできないけど・・・
335
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/05/24(木) 20:02:28 ID:lG4ps7060
ttp://jbbs.livedoor.jp/otaku/15311/
いつの間にかここでパワポケバトロワリスタートの議論がされているようです
336
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/06/24(日) 23:07:53 ID:uu4BclFw0
リスタートは本当ですか?
そうでないなら書き手やってみたいんですけど……
337
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:26:44 ID:ioesAd0o0
投稿します
一度も締め切りを守れずすみません
あとアドバイスをお願いします
338
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:28:02 ID:ioesAd0o0
「三橋君が殺し合いに乗った」
この事実は私が殺し合いに乗る、十分すぎる理由だった。
だから私は殺し合いに乗った。そして今からダイナマイトをこの病院に仕掛ける。
そもそも私は初めから三橋君の都合に良いように活動すると決めていたのだ。
ホテルに人を集めて、それからホテルを爆発させるプランを立ててはいたが、確実に人が集まるという保証はなく神条のように途中で方針を変える人間も出るかもしれない。また、5人という大人数を直接手にかけずに葬り去れるという事実もその思考を加速させた。
全ては三橋君を生かすために。
そうと決まれば早いはずだった。ただ私は何もできなかった。
なぜか。先程、つまり支給品の確認をみんなでしたときデイバックの中には確かにダイナマイトが5本あったはずだった。しかしデイパックからでできたのはガラクタ。もちろん、それだけなら問題ない。森の中で探知機を壊されて、その残骸はまだデイパックの中に入っていたからだ。しかしそのガラクタは探知機を思わせるものではなくダイナマイトを思わせるものだった。
(またなの……)
支給品が壊れたのはこれで二回目。どちらも偶然だと信じたいがどちらにせよ支給品が全てなくなっているのが痛い。しかもデイパックの中から嫌な予感が漂っている。背中に伝う嫌な汗の量も確実に増えている。こんな状況じゃあとても人殺しなんてできそうにない。
それを考えると、作戦を考え直す必要がありそうだ。だからデイパックを持っておもむろに立ち上がった。
339
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:28:39 ID:ioesAd0o0
(またなの……)
支給品が壊れたのはこれで二回目。どちらも偶然だと信じたいがどちらにせよ支給品が全てなくなっているのが痛い。しかもデイパックの中から嫌な予感が漂っている。背中に伝う嫌な汗の量も確実に増えている。こんな状況じゃあとても人殺しなんてできそうにない。
それを考えると、作戦を考え直す必要がありそうだ。だからデイパックを持っておもむろに立ち上がった。
「ちょっとトイレに行ってくるわ」
返答はない。先ほどの神条の事があり空気が重くなったのだろう。私が単独行動をとろうとしたと誰かに釘を刺されると思ったがそれもなかった。
トイレの個室の中の中に入り、デイパックをひっくり返す。
時計、コンパス、地図そしてダイナマイトだったガラクタ……
支給されたどおりの物がででくる。
ふと、時計に目をやると正午五分前。放送のための準備も必要らしい。
そう考えメモを探していると見つけてしまった。
い た ち の 人 形
それを見たとたん、私は人形をトイレの窓から投げつけていた。
そして思わず私はその場所にうずくまっていた。我威亜党の連中がやっていることもありえないことではある。しかし私の目前でおきていることはそれをも凌駕していた。
そしてそんなとき放送がこの会場に鳴り響いた。
これを聞き逃すのは本当にまずい。私は恐怖を抑えてペンを握った。
340
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:29:14 ID:ioesAd0o0
◆ ◆ ◆
「二朱 公人」
九条や黒野の名前が呼ばれるのを聞いて、彼らには悪いことをしたなと思った。恐らくここから出て凡田と顔を合わせれば間違いなく文句を言われるだろう。しかし、これまた彼らには悪いが「二朱」という名前を聞いた途端そんなことはどうでも良くなってしまった。紀香さんがダーリンと称する男性を失った。このことを考えるだけで私の中に快感としかいえないような感覚が湧き上がってくるのを感じた。情けない。紀香さんへの嫉妬がここまでだなんて思わなかった。
しかしこのことで私は理性を取り戻せた。
私は三橋君を生かすと決めたのだ。そのことについて検討しないと。
まず死亡人数だ。三橋君を生かすことを考えればこの人数は明らかにまずいだろう。
ペースの落ちが予想以上だ。
恐らく私たちのように徒党を組んで活動しているのが大半なのだろう。
そして禁止エリアの把握。幸い、ホテルPAWAを含むG−7は禁止エリアになっていなかった。近くで禁止エリアになったところもない。この点に関しては問題なさそうだ。
私は改めて状況の整理をしダイナマイトがない今、どう動くべきかを考えようとした。少なくとも、大量殺害は不可能だろう。
と、そのとき。支給品の中に見慣れないものがあるのに気づいた。
「何よ、これ……」
直っていた。もう使えないと思っていた探知機はいつの間にかそのものが持つ本来の形を取り戻し、その画面にはいくつかの点が示されていた。
341
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:29:57 ID:ioesAd0o0
――まずい。
これらはどう考えてもあのイタチの所為だ。気持ち悪いし、こんな道具は使いたくない。
しかしこれは便利だし、画面のある一点を見たとたん、
そこには「灰原」という文字が躍っていた。私との距離で推測すると、入り口に入ったところだろう。あの八神が危険だといっていた男だ。
徒党を組めるような相手なのだろうか……。
【F-6/病院の女子トイレ/一日目/正午】
【四路智美@パワプロクンポケット3】
[状態]:嫌な汗が背中に伝わっている。
[装備]:拳銃(ジュニア・コルト)、バット
[道具]:支給品一式、探知機(エネルギー100%)、充電器
[思考・状況]基本:二度と三橋くんを死なさない。
1:灰原をどうするべきか。
2:三橋くんのために殺し合いにのり人数を減らす。
3:十波典明の言葉を丸っきり信用するわけではないが、一応警戒。
4:亀田の変貌に疑問?
[備考]
※メカ亀田を危険人物だと判断しました。
※ピンクのパーカーを着た少女を危険人物と判断、作業着を着た少女を警戒。
※ダイナマイト5本は呪いの人形に壊されました。また、探知機が正しく作動しているかは次の書き手さんにお任せします。
342
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/07/26(木) 00:31:51 ID:ioesAd0o0
一応投下終了です
タイトルは「彼女の決意とイタチの気まぐれ」
でお願いします
あと本投下、どうします?
343
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/08/06(月) 18:25:47 ID:zh0dx3O.0
応援しかできない自分が情けないです・・・
344
:
◆14dLV14i9g
:2012/11/06(火) 19:19:48 ID:4PI5RsZ.0
tes
345
:
管理人★
:2012/11/06(火) 19:21:33 ID:???0
tes
346
:
管理人★
:2012/11/06(火) 19:22:11 ID:???0
遅れてしまい大変申し訳ありません
wikiに収録させていただきました
347
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/11/20(火) 00:35:55 ID:jK7hSv0w0
◆YCsZPcr8k2氏の作品『彼女の決意とイタチの気まぐれ』
の「(またなの……)から立ち上がった。」の部分が二回書かれていて
更に「トイレの個室の中の中に」と中が一つ多いです
こちらからだとwikiの編集ができないので修正お願いします
348
:
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/28(水) 00:09:12 ID:aLrR5IgM0
すみません、なんか第二回放送前っぽいSSになっちゃいました……
349
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 16:57:06 ID:LB8Y67kE0
ぎりぎりパソコンが復旧しました
今から、投下します
350
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:04:36 ID:LB8Y67kE0
ことの発端はわん子がトイレに行きたい、
と言い出したことだった。
「タツヤさん、トイレに行ってくるワン」
「それじゃあ私もついていきますね」
「ああ、分かった」
トイレは消防署の二階にある。つまり上川の手元からわん子が離れるということだ。が、催眠術をかけたうえ信頼を勝ち取っている上川はそのことにすら気づいていなかった。椿についても同様だ。
「それで兄ちゃん、あの我威亜党とかいう連中をどう思うよ」
そんな議論を耳にして二人はトイレに向かった。
「まずいですね…」
実をいえば天本は椿の身から離れる気はさらさらなかった。彼からはまだまだ十分搾り取れる。少し距離を置いてこれからの行動方針を考えたいな、程度のことしか考えていなかったのだから。
「天本さんは椿さんのことをどう思っているわん?」
「彼は私を怪しいおじさんから救ってくれたんですよ。だからそれなりに信頼してます」
そんな会話をしつつトイレの中に入った。
「それじゃあ、少し待ってて欲しいワン」
そしてわん子はそのまま個室の中に入った。そして、彼女の欲しかった一人で考える時間ができる。
その時。何気なく半開きになっている窓から様子を見、彼女は取り戻した笑い顔を再び取り崩した。
――白瀬が茂みの中にいた。
351
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:14:00 ID:LB8Y67kE0
あの女がまだこの場にいる。見たのがわん子だったら危なかった。静かに危機を知らせるどころかアプローチをして私たちを危険にしかねない。死ぬかもしれなかった?もっとも、白瀬がさっきした話は本当かもしれない。しかし、常に最悪を想定しないといけないのは分かっている。
なぜなら天本の最終目的はあくまで優勝。最終的には椿も白瀬も敵なのだ。後ろ盾を失って
だから彼女は念のため持ってきていた二人分の支給品が入ったデイパックからあるものを取り出した。
「わん子さん、ここから温泉に行きません?」
「なんでだワン?タツヤさんがいるワン」
「たくさん動き回って疲れたでしょう?上川さんに迷惑をかけないためにも少し疲れを取りましょう」
「分かったワン」
「それじゃあ、屋上に来てください」
屋上で天本がデイパックから取り出したのはとぶやつ。しかし、青野に支給されたそれとは大きさが違う。説明書には「あのバトルディッカーも運べます」と書いてある。
バトルディッカーなる単語に思い当たりは無かったがそれでもこの場を切り抜けるには十分だ。
「このロケットに乗るんですよ」
「すごく、大きいワン!」
「そうですね、手を離さないでくださいね?」
二人はつわものの巣靴、消防署から抜け出す事に成功する。
そして5分ほどで目的地である温泉のある山頂にたどり着いた。
しかし自分でも強引だったな、とは思う。
何故一人で良かったのにわざわざ芽森わん子も連れ出したのか。言いくるめるのが面倒だったのもあるが、1番は芳槻さらなる女子高生が危険人物だという話を聞いたからだ。自分と同じ女子高生が殺し合いに乗っている。この事実を知った参加者は自分のことを簡単に信じないだろう。だから小学生であるわん子を連れた。
そのわん子は山頂の温泉につくや否や温泉に飛び込んだ。
「気持ちいいワン!」
その言葉を聞きながら天本は考える。
わん子はあまり頭が良くないのは見て分かる。だが、流石にこのままこの場にとどまらせるのは至難の技だ。どうするべきだろう?
だが、やらなきゃいけない。
日の出島に帰るために。
ピンポンパンポン〜♪
352
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:14:47 ID:LB8Y67kE0
【E-4/温泉/一日目/昼すぎ】
【天本玲泉@パワプロクンポケット4】
[状態]:健康、暖かい
[装備]:なし
[道具] 支給品一式、
[思考・状況]
基本:日の出島に帰る。
1:一応は芽森を利用して協力者を探してみる。
2:人を結果的に殺すが、今は様子見。
3:第3放送前後にホテルに行く?
【とぶやつ@パワプロクンポケット10】
基本的には青野に支給されたものと同じ。
しかしディッカー用であるため人が3人乗った状態で、エリア2個分移動し
かつ往復が可能なエネルギーを有している。
その分サイズも4倍。
エネルギーを注入できれば再利用できるだろう。
説明書には「バト(ry」
【芽森 わん子@パワポケダッシュ】
[状態]:疲労小、暖かい。
[装備]:ヒーローのスカーフ@パワポケ7、モップ@現実
[参戦時期]:わん子ルート、卒業直後
[道具]:支給品一式(食料はキムチと何か)、ヒーローの衣装セット@パワポケ7、ヒーローのスカーフ四個@パワポケ7
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する。
1:天本さんに付いていって温泉に入る。
2:帰ってきたらタツヤさんと行動。
3:走太君を探したい。
4:いつかタツヤさんに自分の正体を伝えたい。
一方。消防署の中で襲撃のときを待ちかえている愛。彼女にもまた選択の時、そう放送が近づいていた。彼女には選択肢が3つあった。白瀬を殺すか消防署の中の5人を殺しに行くか、それか
…逃げるかだ。なぜ今頃逃げるという選択肢が出てくるのか?愛に予想外が二つあったからだ。一つめは白瀬が予想外に大人数を連れて来たこと。二つめは白瀬が消防署の中に帰ってこなかったところ。どちらも「自分が死ぬ」というリスクが大分高まるものだった。愛の最終目的はあくまで生存だ。その過程である優勝のために無理をして死んでしまっては意味がない。
(白瀬、悪かったわね。裏切らせてもらうわ)
信頼が薄ければ裏切るのも容易い。愛は慎重に消防署の後ろに回り一気に駆け出した。
愛は日頃から風賀の国を走り回っている忍者だ。そのため身を隠すのも移動するのも一人ならお手の物、彼女は一気に神社まで移動した。
ちなみに神社に移動したのは愛が森を得意とする忍者だからである
そして鳥居に飛びのったその時、2回目の放送が鳴り響いた。
次々と死者の名前が告げられていく。
それを一応メモはするが彼女の頭にあったのはこの前、城をせめられたとき逃げ出したことだった。あの時は彼女の父、野々村の活躍で事なきをえたが愛はずっと後悔していた。
「お父さん……」
鳥居から見えたのは月ではなく太陽だった。
353
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:15:28 ID:LB8Y67kE0
【C-2/神社/一日目/昼】
【愛@パワプロクンポケット5裏】
[状態]右脇腹に傷(応急処置済み)
[装備]ウージー
[道具]支給品一式×3(不明支給品0〜2)、ベレッタM92(6/15)、ベレッタの予備弾倉×5、煙幕×2
[思考] 基本:自分が生き残ることが第一。
1:とりあえず休む。
2:生き残るためなら、他の人間を殺すのもやむをえない。
3:白瀬は死んでくれているとありがたい。
[備考]
※参加者はそれぞれ違う時間から誘拐されたと何となく理解しました。
◆ ◆ ◆
「兄ちゃん、あの二人はどこに行った?」
ちょうどとぶやつを使って天本とわん子が消防署から抜け出して20分。椿は2人がいなくなったことに気づいた。
「トイレ……にしては遅すぎるな。さっきの白瀬って女が潜んでいてやられたのか?」
「いや、ピンク髪の女って奴の方が怪しいな。白瀬も怪しいことには変わらないが、あいつは。どちらにせよ見に行く必要があるだろう。どちらがいく?」
「俺が行こう」
手を挙げたのは椿だった。すぐに猟銃を手にし、上川が何かいう前に消防署の2階に登っていった。
残された上川はデイパックから紙とペンを取り出し放送の準備をした。
正直なところわん子から絶大な信頼を受けてはいたが上川自身、もう椿に乗り換えたほうがいいのではという気もしていた。椿の連れもいないようだしこのまま2人でチームを組んだほうが便利だろう。仲間がいるらしいしそいつらと合流できればもうわん子に用はない。裏切りの可能性もあるがそれはお互い様だ。
……そろそろカネオに催眠術をかけるころかな。
そう思いカネオのほうを見やると食べものを食べて眠くなったのか奥の方で眠っていた。
ピンポンパンポン〜♪
354
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:16:18 ID:LB8Y67kE0
【D-2/消防署/一日目/昼】
【上川 辰也@パワプロクンポケット8】
[状態]:疲労中、走力+5
[装備]: 走力5@パワポケ3、ヒーローのスカーフ@パワポケ7、拳銃(麻酔弾)予備カートリッジ×3@パワポケ8
[参戦時期]美空生存ルート、ルナストーン引き渡し後
[道具]:支給品一式、レッドローズの衣装@パワポケ8、ヒーローのスカーフ三個@パワポケ7、本@パワポケ8裏、『人間の潜在能力の開発』に関する資料@パワプロクンポケット4、黒い板@パワポケロワオリジナル
[思考・状況]
基本:殺し合いからの脱出
1:とりあえず放送を聴く。椿とチームを組みたい。
2:首輪を詳しく調べたい。
3:放送の後に港へ向かい、脱出方法が無いかを調べる?
4:そろそろカネオに催眠術をかける?
【カネオ@パワプロクンポケット9裏】
[状態]:疲労(小)、睡眠中
[装備]:なし
[道具]リュックサック、ヒーローのスカーフ@パワポケ7
[思考]
1:まだまだ食べ足りないんだな〜
2:弟たちを探す。
3:春香に会ったら、『おしおき』をする。
[備考]
※参戦時期は9裏主人公の戦艦に最初に乗り込んできた後です。
※春香の名前は知りません。また春香の見た目に関する情報も、暗かったために曖昧です。
※テレポートをすると疲れが溜まる事を認識しました。
テレポートの移動距離に関する制限は認識していません、またテレポートの制限の度合いは以降の書き手にお任せします。
※名簿は見ていません。
◆ ◆ ◆
椿が二階に上がるのと同じタイミングで白瀬もまた行動を開始していた。
彼女は天本に見られたことに気づいていた、当たり前だ。そしてすぐに椿に自分の位置を知らせるだろうと思って、逃げ出す準備をしたとき。流石の彼女でも予想できなかったことが起きる。屋上から天本ともう一人の女が巨大なロケットを使い南のほうに飛んでいったのだ。銃を持っていれば打ち落とすこともできたが無いものねだりはできない。そもそも問題はそこではない。問題は天本が椿たちに自分の存在を伝えたかどうかだ。
もし伝えたなら猟銃を担いでいた椿に殺される可能性が高い。消防署から立ち退かずこの場所に身を潜めていること自体もうおかしいことなのだから。
伝えて無かったならチャンスだ。まさか二回から人間が現れるとは思ってないだろから隙ができる。愛はそれなりにやってくれるだろし、勝てる!
(チャンス到来ね……)
天本の行動は4人の狡猾な人間の運命を大きく狂わせた。
調和の糸はもう存在しない。
運命の放送が――来る。
355
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:20:49 ID:LB8Y67kE0
【D-2/消防署/一日目/昼】
【椿@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康
[装備]:鉈、ムラタ銃
[道具] 支給品一式×2、不明支給品1〜4
[思考・状況]
基本:生き残るのに手段は選ばない。
1:とりあえず二階のトイレを確認。
2:天本とともに行動。
3:一応は協力者or黒野鉄斎を探してみる。
4:天本を利用してゲームを有利に進める。
5:第3放送前後にホテルに行く。
【白瀬芙喜子@パワプロクンポケット8】
[状態]左肩に刺し傷
[装備]ソード@パワプロクンポケット9裏
[道具]支給品一式、さおりちゃん人形@パワポケ6裏、ケチャップ(残り1/4程度)
[思考]基本:優勝する
1:戦力増強のため弱者から倒す、強者は後回し。
2:放送と同時に椿を殺す。
3:八神を最優先で殺す。
4:愛と行動するが、灰原と合流できそうならば愛から灰原に乗り換える。
5:過去の人間が居るってことは……未来の人間も居るってことかしらね?
[備考]
※未来や過去から集められてるのではないかと思っています。
※灰原に関しては作り直したのか、過去から浚ったかのどちらかだと思っています。
356
:
見下された女の行動〜調和〜
◆YCsZPcr8k2
:2012/11/29(木) 17:25:18 ID:LB8Y67kE0
投下完了です
時事列は放送直前でお願いします
死者は出てないんで大丈夫ですかね?
あと、駄文にひどい展開すみません
今回は特にひどくて泣けてくる……
357
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2012/12/09(日) 18:20:29 ID:33p4yFo.0
激しく乙
358
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2013/02/02(土) 21:01:18 ID:mW.vyBXY0
復活したと聞いて。投下乙です!
359
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:18:43 ID:0N6lyOoY0
お久しぶりです、即投下に近い形になりますが予約していた
カネオ、上川辰也、白瀬芙喜子、椿
を投下します
360
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:20:09 ID:0N6lyOoY0
殺すと決めてからの行動は速かった、白瀬は放送でチバヤシの言葉が聞こえた瞬間に駆け出す。
音が多少出るのは承知のうえで白瀬は走りつつ、五感の全てをフルに集中させる。
先ほど飛び立った二人を除けば、この場に居るのは三人。
忍び込んでいるはずの愛とともにならば全員を問題なく殺せる。
(とにかく、いかに死なずに殺せるか……そこがポイントよね)
電撃的に襲いかかり一人でも多く殺し、残りはウージーを持った愛が背後から殺す。
猟銃を持った男が気がかりだが、同時にその男を殺せば銃器がまた一つ増えるということだ。
それに、狭い室内ならば銃器もそれほど大きなアドバンテージを持たない。
『B-4
F-4
G-1』
(B-4、F-4、G-1……B-4、F-4、G-1……)
疾走する白瀬を無視するように響き渡る放送。
白瀬は脳内で禁止エリアを呟きながら、消防署の中を駆け巡った。
(二階……それともひょっとしてこの場にいな……いやッ?!)
一階ではなく二階に居るのではないかその中から一つ、物音を含めた人の気配を感じた。
迷わずに扉を蹴破り、ソードを起動させる。
光の剣が筒から生まれ、白瀬はソードの刀身から決して低くはない熱を感じ取った。
白瀬が乗り込んだ瞬間もまだ放送は続いている。
「なんだッ……なっ、そんな、お前は……!?」
瞬時に室内の様子を観察すると、男が二人ほど居て、片方は眠っている。
白瀬はソードを翻して最も近くに居た、眠っていた男、カネオへと襲いかかる。
「むー……? むーん!?」
騒がしさから睡眠から目を覚ましたカネオは、無表情で迫る白瀬に驚いてテレポーテーションが発動する。
突然の出来事のあまりに遠くへのテレポートではなく、白瀬の背後へと短くテレポートを行なっていた。
「よし、そのまま拘束しろ!」
上川はカネオが背後に回ったことを確認すると声を張り上げる。
上川は白瀬の正体を気づいていた。
忘れるわけがない、目の前の女、白瀬は上川を殺そうとした張本人なのだから。
対してカネオは、寝起きの頭脳はまともに働かないために上川の言葉を素直に従おうと白瀬へと被りかかる。
361
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:21:15 ID:0N6lyOoY0
「ありがと、逃げないでくれて」
だが、そのカネオの行動は悪手だった。
テレポーテーションは白瀬にとっても未知の技術であるが、白瀬に焦りはなかった。
上川の言葉と背後から感じた吐息でカネオの位置を把握し、ソードを背後へと突き刺す。
「ム〜ン!?」
カネオは腹部に激しい痛みを覚え、わめき声を上げる。
そして、上空へと向かって思い切り振り上げると、カネオの身体は真っ二つに両断された。
そもそもとして、襲われたその瞬間にまともな武器を持たないカネオは逃げるべきだったのだ。
逃げるという選択肢を取らなかっただけで、カネオは死んだ。
ちょうど白瀬が突入してから一分半が経った時点での出来事であった。
【カネオ@パワプロクンポケット9裏 死亡】
ソードを翻し、次の行動に移ろうと素早く振り返る。
目の前の男を観察しながら、マルチタスクのように白瀬の頭にある考えがよぎる。
(……まさか、あの女)
未だに襲いかからない愛に僅かに動揺し、同時に愛がこの場から離れたことにすぐさま感づく。
(裏切ったのね、ったく想定はしていたけどムカつく……!)
心中で悪態をつき、舌打ちを鳴らすがそれ以上のアクションは取らない。
どうせいつかは殺し合う相手だ、別れるのが早くなっただけだ。
ウージーを手に入れた時点で裏切るタイミングとしては上々だ、次に会えば殺し合いだろう。
(殺すときは脳みそを焼ききってやる!)
白瀬は脳内で愛を惨殺するイメージを描き、つま先にかかったカネオの死体を蹴り飛ばす。
「うおっ!?」
上川は驚愕の声を上げる。
女性のそれとは思えない強烈な蹴りによって、六十キロは超える巨大な肉の塊が宙に舞う。
普通の人間ならば出来ないことだが、特殊な訓練と特殊な肉体を持った白瀬ならば出来るのだ。
そして、瞬時に上川との距離を詰めてソードを一閃させる。
362
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:22:08 ID:0N6lyOoY0
「!」
「へぇ、これを避けるの……面倒ね、アンタッ!」
上川は横一閃に薙ぎ払われたソードを素早く屈み込んで回避する。
白瀬は褒め称えたが、上川にとっては精一杯の回避行動だった、二度同じことが出来るかと問われればノーだ。
そんな上川の事情も知らず、白瀬は続けざまに攻撃を行おうとする。
だが、白瀬は視界の隅に銃を構えている椿の姿を捉えた。
「ホールドアップだ、姐ちゃんよぉ!」
椿は白瀬へと銃口を向けたまま、睨みつける。
消防署に響く物音に感づき、すぐさま踵を返してきたのだ。
白瀬が椿へと注意を向けたその瞬間、上川は懐から拳銃を取り出す。
「ああ、もう! 私も銃が欲しいっていうのに!」
白瀬の言葉を無視して上川は銃を発砲するが、その銃は麻酔弾であり殺傷性は低い。
しかし、その事実を知らない白瀬は致命傷を防ぐために机を横倒しにして盾とする。
(これはもう撤退ね……!)
白瀬はすぐさまに背中を向けて消防署から逃れようとする。
銃を二つ持った二人組となると、明らかに分が悪い。
どちらかが相手を気遣わずに乱射してくれば、死の可能性はぐっと高まるからだ。
(かかった!)
だが、その逃げようとする白瀬を見て上川はほくそ笑む。
こちらを殺しにかかるつもりがないのならば、上川は催眠に集中できる。
体内に備えた催眠装置を白瀬へと向かってフル稼働させた。
ミュンミュンミュン――――!
「ナッ………アアアアアア!?」
催眠装置は即効性自体は薄い。
わんこのようにこちらを信じたいと思っているのならば催眠は容易だ。
元々の『信じたい』という気持ちに付け込み、後は口で気持ちを誘導していけば良い。
363
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:23:54 ID:0N6lyOoY0
(だが、今回は別だ……!)
だが、白瀬はこちらを問答無用で殺そうと襲い掛かってくるため、そうした言葉での誘導が出来ない。
また、催眠術では動きを急停止させられるほどの強力な催眠を一発でかけることは出来ない。
なにかしら、急ブレーキを連想させる取っ掛かり、いわゆる『フック』が必要となるのだ。
そこで上川は銃声を『フック』にして、白瀬に銃弾が頭に命中したと勘違いさせたのだ。
白瀬がCCRのエージェントであることを上川はよく知っている、なにせ上川を一度は追い詰めた相手なのだから。
当然、エージェントである白瀬は死線をくぐり抜けてきた実績がある。
つまり、痛みについて熟知しているということであり、それは催眠装置を仕込んだ上川にとってはこれ以上無い幸運であった。
痛みを連想させる『フック』として、銃の発砲音を使ったのだ。
「なんだ……おい、何が起こってんだ?」
上川は白瀬が今までに体験した痛みを一瞬だけでもフラッシュバックさせ、動きを止めさせたのだ。
だが、その事実を知らない椿は不可解に顔を歪め、猟銃の引き金に指をかけようとしない。
「何でもいい、さっさと撃て! アイツはヤバイんだよ!」
「あん?」
白瀬の動きが止まるのも一瞬だけ、すぐに脳が誤解に気づいて白瀬は動き始める。
CCRのエージェントとは戦闘用サイボーグですら刈り取る最高の猟犬である。
その猟犬を逃がすことはあまりにも悪手、次は顔を見ることすらなく暗殺される可能性もある。
そのために上川の心には焦りしかなく、猟銃を持っている椿をはやし立てる。
364
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:24:38 ID:0N6lyOoY0
「……まあ、いいさ」
椿は僅かに考えこんだが、すぐに猟銃を構え直した。
銃口は頭へと向いており、そこから銃弾が飛び出せば死は免れない。
たとえ吸血鬼であるあやかであろうとも、戦闘用サイボーグである灰原であろうとも。
頭蓋を打ち砕けるほどの威力ならば猟銃は持っていた。
「しかしよ、幾らなんでも油断し過ぎじゃねえか?」
「なに?」
椿の言葉に応えたのは上川だった。
白瀬へと銃口を向けたまま、椿は上川の側へと歩み寄る。
「俺にばかり喋らせてよ、そっちはニヤニヤ笑って……おまけに女が消えちまった。
ああ、糞、最後はてめえが原因じゃないが、イラつきはするんだよ。
それになんだ、そいつはよ……お前、こいつに何したんだ?」
椿の顔は、苛立ちに染まっていた。
銃口が、その向きを変える。
「なんというか、手札はホイホイと切るもんじゃねえぜ」
「……………おい?」
椿はライターをつけるような気軽さでトリガーを絞った。
猟銃からは銃弾が発砲され、至近距離からの銃撃は『アンドロイドである上川』の頭を撃ちぬいた。
「ドゥヨアビジネス、損得勘定だけは得意でな」
白瀬が突入して、三分が経とうとしていた。
椿は、上川を裏切った。
【上川辰也@パワプロクンポケット8 死亡】
365
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:25:32 ID:0N6lyOoY0
椿は銃口から上がる煙に、ふぅ、と息を吹きかける。
なぜ椿が上川を裏切ったのか?
それは一言で言ってしまえば、上川の手に持っていたカードがあまりにも『不気味』だったからだ。
突然、白瀬を苦しめたのは上川以外にあり得ない。
あまりにも不可思議な、椿の常識からすれば魔法とも言ってしまえるほどの御業。
その正体が掴めない。
ならば、椿は切り捨てることが出来るうちに上川を切り捨てておいた方が得策だと考えたのだ。
同時に上川を殺すことによって、様々な要因を配慮した上で、椿は完全に『殺し合いに乗る』ことを決めた。
その決意は天本玲泉の突然の疾走と、あからさまに殺し合いに乗っている白瀬の存在も大きい。
「おい、そこの姐ちゃん!」
催眠術によって引き起こされた頭を撃たれたという偽りの痛みが抜けきった白瀬へと言葉を投げつける。
椿の表情を苛立ちに支配されており、だがそれでも会話を行うという理性的な行動を取る余裕は残っていた。
「……あんた」
「そっちも言いたいことは色々あるんだろうがな、こっちも聞きたいことが山ほどあんだよ。
まずはその物騒な筒を手放してくれるか?」
椿はポリポリと不潔な頭をかきながら、白瀬へと銃口を向ける。
白瀬は無表情のまま、しかし椿の言葉に従ってソード、椿の言う物騒な筒を地面へと投げ飛ばした。
「まずはクエスチョンワンだ。お前、いったい何者だ?」
「……政府のエージェントよ、戦闘用サイボーグって知ってる?」
「まあな、外国じゃそいつら使ってドンパチやるのが流行ってるそうじゃねえか」
「そいつらは日本じゃ違法だから、そういう奴を捕まえる仕事よ」
「ははぁん、なるほどね」
椿は戦闘用サイボーグについて深い知識はない。
だが、目の前の女が訓練された面倒な相手であることはしっかり理解していた。
そして、椿の表情から苛立ちが僅かに消えた。
知識とはすなわち安心であるため、目の前の白瀬の情報を仕入れることで椿は安心したのだ。
「んじゃあ、クエスチョンツーだ。
こいつと知り合いなのか? あ、いや、知り合いかどうかなんて別にどうでもいいか。
俺が聞きたいのは、こいつはお前になにをしたいのか、ってことだからな」
「……恐らく、催眠装置ね。
人の意識を誘導する装置を内部に仕込んだサイボーグが居るって情報は手に入れていたもの」
「催眠! ケッ、こいつはまた面倒な切り札持ってやがったのかよ」
椿は自身が頭を射抜いて殺した上川の死体を思い切り蹴りつける。
もちろん、椿の力では白瀬がカネオの死体でしたように宙に浮くほどの衝撃はない。
椿は、ふぅ、と息を吐いて肩を撫で下ろし、その鋭い瞳で白瀬を射抜いた。
「なーんか、面倒なことになっちまってな……一度、リセットしようと思ってよ。
幸い、こいつは今まで誰も会ってなかったみたいだからな」
コツン、と椿はそのつま先で上川の死体を蹴りつける。
苛立ちなどの感情は収まっており、椿は冷えきったその脳で生存への道を描いていた。
そして、導き出した答えは一つ。
「俺と組もうじゃねえか、姐ちゃんよ」
「…………へぇ」
白瀬は取ってつけたような、それほど感情のこもらない声を漏らす。
元々、椿が上川を殺したその時から予想はしていた持ちかけだったからだ。
366
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:26:08 ID:0N6lyOoY0
「なら、その銃を下ろしてくれない?」
「まあ、待てよ。順序ってもんがあんだろ?」
椿は慎重な男だ。
白瀬という人間を掴めていない以上、警戒を解くわけがない。
椿は銃口を白瀬に向けたまま、椿も軽口を叩き続ける。
「なんつうか、な。そろそろ半分が死んでいてもおかしくねえ状態だろ?
もういっそ乗っちまおうか……そう思ってよ」
「そう……そういうこと」
「まあ、少なくともアンタと一緒にやったほうが次のアクションは楽みたいだしな」
「次のアクション?」
白瀬はその言葉で椿の言いたいことを理解し始める。
椿はその『次のアクション』を取る相棒を必要としている。
その『次のアクション』までの間だけの期間限定のコンビを組まないか、そう持ちかけているのだ。
「ここで知り合った奴らが居るんだよ、第三回放送辺りでホテルに待ち合わせしている」
「それで?」
「……あんまりそういうのは言わせんなよ」
椿はボロボロの帽子を持ち上げる。
「一緒にぶっ殺そうぜって話だ、わかんだろ?」
その中にある鋭い瞳は、悪意に染まっていた。
「……やらなきゃ殺せちゃうわね」
「よく言うぜ」
肩をすくめながらおどけるように言う白瀬に対して、椿は苦笑する。
椿はそこでようやく銃口を下げ、更に言葉を続けた。
「実はよ、利用するつもりだった女には逃げられたみたいで意外と手詰まりなんだよ。
……ったく、予想外だぜ。あの女、なにか企んでとはな。
逃げ出したそいつの処理も頼みたいんだよ」
「あの屋上から逃げていた二人かしら?」
「あん?」
白瀬の言葉に反応し、椿は疑念の視線を向ける。
白瀬は特に隠す必要もないと考え、放送直前に見た屋上から飛び立つ二人について語る。
「逃げた……そうか、逃げたか」
「あの子も殺し合いに乗ってるんじゃない?」
「……うん、そう来るか」
椿は猟銃を肩にかけ、静かに考えこむ。
そして、一分ほど考え込んだ後に白瀬へと言い放った。
「放っておくか」
「へぇ?」
「減らしてくれるんなら万々歳だろ、弾だって無限にあるわけじゃねえんだ。
こっちが殺したところも見られてないのなら好都合。追いかける必要もなくなったしな」
椿はそれだけを言うと上川とカネオの死体に近づく。
そして、支給品を拾い直すと机の上に広げた。
「まっ、今はお話をしようじゃねえか。ビジネスの時間だ」
367
:
The Killing Fields 3 Minutes
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:26:54 ID:0N6lyOoY0
【D-2/消防署/一日目/昼】
【椿@パワプロクンポケット9】
[状態]:健康
[装備]:鉈、ムラタ銃
[道具] 支給品一式×3、不明支給品1〜4、レッドローズの衣装@パワポケ8、ヒーローのスカーフ三個@パワポケ7、本@パワポケ8裏、『人間の潜在能力の開発』に関する資料@パワプロクンポケット4、黒い板@パワポケロワオリジナル
[思考・状況]
基本:生き残るのに手段は選ばず、殺し合いに乗る。
1:白瀬とともに殺し合いに乗る。
2:天本はひとまず放っておく。
3:第3放送前後にホテルに行き、白瀬とともに全員を殺す。
4:一応は協力者or黒野鉄斎を探してみる。
【白瀬芙喜子@パワプロクンポケット8】
[状態]左肩に刺し傷
[装備]ソード@パワプロクンポケット9裏、拳銃(麻酔弾)予備カートリッジ×3@パワプロクンポケット8
[道具]支給品一式、さおりちゃん人形@パワプロクンポケット6裏、ケチャップ(残り1/4程度)、ヒーローのスカーフ@パワプロクンポケット7
[思考]基本:優勝する
1:戦力増強のため弱者から倒す、強者は後回し。
2:八神を最優先で殺す。
3:椿と協力するが、灰原と合流できそうならば椿から灰原に乗り換える。
4:あとで愛を殺す。
5:過去の人間が居るってことは……未来の人間も居るってことかしらね?
[備考]
※未来や過去から集められてるのではないかと思っています。
※灰原に関しては作り直したのか、過去から浚ったかのどちらかだと思っています。
※走力5@パワポケ3は上川の死体に装備されたままです。
368
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/04(月) 23:28:29 ID:0N6lyOoY0
投下終了です。
369
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:37:33 ID:QXVhZmyA0
タケミ、メカ亀田を投下します。
370
:
Only My Life
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:38:20 ID:QXVhZmyA0
「……そんな」
ちょうど放送が始まった瞬間、タケミはまるで人形のように覇気を失っていた。
こんな殺し合いの場に連れて来られた状況で明るくなど振る舞えるわけがない。
だが、その事情を考慮しても今のタケミは今までのタケミと比べても明らかに気落ちしている。
呆然と立ち尽くすタケミに向かい、メカ亀田は疑問を投げかける。
「……どうしたでやんすか? 知り合いはもう居ないんじゃなかったでやんすか?」
だが、メカ亀田に対して言葉を返す気力も沸かず、タケミは無言で立ち尽くすだけだった。
それでも、どうにか唇を震わせて声を出す。
動揺を隠すことすら出来ない。
「さっきの、放送……」
「ああ、そう言えばお前は前の時には気絶してたでやんすね。
あれは亀田の手下でやんす、チバヤシ公爵とか言ってたでやんす」
タケミは第一回放送の際に気を失っており、先ほどの第二回放送が初めて耳にする放送であった。
つまり、タケミはチバヤシ公爵の行う放送を始めて聞いたことになるのだ。
「チバヤシ……そう、チバヤシ……」
肉声ではない上に、その姿を見たわけではない。
だが、タケミの記憶にあるものと同一だった。
名前も、声も。
かつて、タケミの側に居た男と同一のものだった。
かつて、タケミと笑ってくれた男と同一のものだった。
――――世界を救える力を持っているのに救わないのは罪ですぞ!
「ッ……」
チバヤシの声が脳内に響く。
この場では機械としか行動を共にしていないが、タケミは人を癒す力を持っている。
触手を操るだけでなく、天使という名のバケモノのタケミにはそのような力もあるのだ。
「ねぇ」
「ん?」
かつて、タケミはチバヤシとともにその力で身近な人を助けていた。
慈善事業のように、無償で人々を救っていた。
気のおけない仲間とともに、身近の人を助けて、ただ笑う。
タケミはそれでいいと思っていたし、穏やかなその生活を気に入っていた。
「力があったら、その力の分だけ頑張らなきゃいけないのかな?」
ただ、側に居たチバヤシはそうじゃなかった。
タケミは今のままで良かったのに、チバヤシはそうじゃなかった。
もっと多くの人を、もっと広い世界を。
タケミの、エンジェル様の力ならば世界を救えると信じていた。
「力の持ち腐れは好きじゃないでやんすね、無意味に遊ばせるのは勿体無いでやんす」
「……そか」
メカ亀田はタケミの問いかけに対して義務的な口調で応える。
ただ、それは一つの組織のリーダーとしての答えだ。
メカ亀田という一個の存在の答えではない。
「ただ、まあ……それはあくまで他人だったらって場合なだけでやんすね」
メカ亀田の声の調子が少しだけ変わったようにタケミは聞こえた。
相変わらず空虚な瞳を宙に向けながら、しかし、どこか感情を匂わせる声でメカ亀田は言葉を続ける。
「所詮は自分だけの人生なら、自分のやりたいことをやるのが一番でやんす。
世の中、そんなことも出来ない奴のほうがずっと多いんでやんすから」
それは嫉みと妬みに汚された言葉だったが、プログラムの0と1の思考の間に生まれたメカ亀田の本音だった。
ここに居ない相手を傷つける刃物のような、作られた偽物だからこそ生まれるむき出しの言葉だった。
「……そっか」
だからこそ、タケミは少しだけ気持ちが軽くなったように気がした。
タケミも、メカ亀田と同じ造りものなのだから。
371
:
Only My Life
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:39:15 ID:QXVhZmyA0
【D−7/一日目/日中】
【タケミ@パワプロクンポケット10裏】
[状態]:疲労(小)、メカ亀田に対する複雑な感情
[装備]:作業着、コンパス、時計、シールド@パワプロクンポケット3
[道具]:支給品一式、爆弾セット(残り5個)、ラブスコープ@パワプロクンポケットシリーズ、工具箱
[思考]基本:殺し合いには乗らない、首輪を外すために行動する。
1:出来るだけ戦いたくないが、どうしようも無ければ戦う。
2:メカ亀田は気に入らない。
[備考]
※モンスターとしての力は短時間、疲労大の条件の下、発動可。
※十波典明、高坂茜の名前を知りません。
【メカ亀田@パワプロクンポケット6裏】
[状態]:損傷なし、上機嫌
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、PX-001(たかゆき)、ドリル
[思考]
基本:『殺し合い』を失敗させた後に亀田を殺す。
1:ジャミング用の機械と実験用の首輪を見つける。
2:サングラスの男を探すために、東へと向かう。
3:脱出のために役立ちそうな人間を優先して仲間にする。
[備考]
※参加時期は不明。
※メカ亀田は灰原の名前は知りません。
※自動追尾ミサイルとバリアーは没収されています。
※青野の情報は全部嘘だと思っています。
※十波典明、高坂茜の名前を知りません。
372
:
Only My Life
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/05(火) 23:39:50 ID:QXVhZmyA0
投下終了です
373
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:29:53 ID:5YcxkcWQ0
予約していた愛を投下します
374
:
月光潜伏
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:30:33 ID:5YcxkcWQ0
忍者。
忍者とは戦国の世を影から支えた隠密存在である。
しかし、彼らは一つにまとまることがなく、同じ忍者同士の戦争により疲弊する時を過ごしていた。
そして、その隙に一人の将軍が乱世を収め、やがて歴史から姿を消した。
忍者の存在は忘れされる。
やがて、世界が電子ネットワークが覆い尽くしサイバネ技術が普遍化した未来。
その人々が巻き込まれた質の悪いジョークのような、殺し合いという悪夢。
数百年の時を超えて現れた殺し合いの闇へと招きこまれたのだ。
375
:
月光潜伏
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:31:24 ID:5YcxkcWQ0
◆ ◆ ◆
(……少し、休憩)
愛は放送を聞き終えると、安堵の息を吐きながら目を閉じる。
先ほどの放送ではここは禁止エリアにはならなかった。
六時間は休憩を取れる。
(幸い、食料も水も残っている……その上で武器も十分と恵まれた状況だわ。
ひとまず、傷が癒えるまでは籠城ね)
愛は神社に引きこもり、籠城を決め込んだ。
十分な武器を手に入れた今、愛が焦る理由はなくなった。
下手に動いて裏切った白瀬と遭遇し、殺し合いになるデメリットのほうが大きい。
それに、白瀬が生き延びていれば他の参加者を減らしてくれる可能性も高い。
ならば今は走り回る時ではない、そう愛は判断した。
長期戦を覚悟して、英気を養う時なのだ。
(お父さん……)
愛の心にあるのは故郷と、家名と、誇りと、名高い父の存在。
人は死んでしまえば、もはや次はない。
生命を奪い合う世界で生きてきたからこそ、愛はそれを悔しいほどに知っている。
それでも愛は人を殺すことを決意した。
全ては家のため、『月光』のため、そして、自らの誇りのため。
力を手に入れるために、すべてを犠牲にする覚悟を持っている。
「ふぅー………!」
腹部に溜まった邪念と力を、長い息とともに吐き出す。
精神統一の準備である。
(…………)
愛は思考を消していき、五感を研ぎ澄ませる。
誰かが『神社』という愛の領域に足を踏み入れた時、素早く反応できるように。
その時、他者を閃光のように殺せるように。
月は、まだ太陽が隠している。
【C-2/神社/一日目/日中】
【愛@パワプロクンポケット5裏】
[状態]右脇腹に傷(応急処置済み)
[装備]ウージー
[道具]支給品一式×3(不明支給品0〜2)、ベレッタM92(6/15)、ベレッタの予備弾倉×5、煙幕×2
[思考] 基本:自分が生き残ることが第一。
1:とりあえず休む。
2:生き残るためなら、他の人間を殺すのもやむをえない。
3:白瀬は死んでくれているとありがたい。
[備考]
※参加者はそれぞれ違う時間から誘拐されたと何となく理解しました。
376
:
月光潜伏
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 07:31:38 ID:5YcxkcWQ0
投下終了です
377
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:34:50 ID:5YcxkcWQ0
天本玲泉、芽森わん子、投下します
378
:
あるいは裏切りという名の犬
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:36:23 ID:5YcxkcWQ0
温泉に浸かるわん子を置いて、脱衣所で天本はメモを取っていた。
メモの内容は放送で発表された禁止エリアの内訳と死者の名前である。
天本はそのメモを眺めながら考え込んでいた。
付近に禁止エリアは存在しないため、温泉に居られる時間は長い。
死者の発表では知り合いが一人だけ呼ばれた。
同郷の黒野鉄斎という怪しげな研究をしている怪しげな老人だ。
「十六人から八人……」
天本は黒野の死を、どこか遠い出来事のように感じながら呟いた。
決意を鈍らせないためにも、意識的に感傷を覚えないように務めているのだ。
十六人から八人、ペースは明らかに落ちている。
合計で二十四人が死んだということは、残り三十四名。
「……」
天本に提示された選択肢は二つだ。
既定路線通りわん子とともに行動するか、逆にここでわん子を殺してしまうか。
いつ誰が来るかわからない状態での殺人は危険とも言える。
「まだ、早いですね……」
言葉になったかも定かではないほどの小さな声でつぶやく。
先ほどの放送で七原や布具里、七味に春香、そして椿と言った殺し合いの場で知り合った人間の死が述べられ、
さらに、総数が残り十五人を切っているという段階ならば一歩踏み出せたかもしれない。
だが、現実にはまだ残り人数も多く、知り合い、つまり利用できる人間の誰も死んでいない状況。
わん子とともに行動をして、人数が減るのを待つしかない。
となると、一つだけ問題が生まれる。
椿のことだ。
「どう説明しましょうか……」
潜伏していた白瀬を発見し、背筋に嫌な予感が走った。
率直に死の予感と言っても良い。
そこからは本能的に逃げる形でわん子を連れてここまで来たのだ。
そこで問題となることは後々に椿と再開した時だ。
どうして椿たちへ何も言わずに逃げたのか、そこを説明しなければいけない。
「椿さんが乱暴を……駄目ですね、上川さんたちも残っていますし。
単純に怖くなった、そう押し通すしか……」
頭が痛い。
と言っても、あの場から衝動的に逃げたこと自体は後悔していない。
あのままでは死が近かった。
こちらは確かに猟銃を持った椿が居るが、逆に言えば椿しか満足な武器を持っていない状態だった。
下手をしたら天本の命はなくなっていた可能性はある。
大体、あの場に居ても邪魔になるだけなのだ。
そのため、単純な戦力の低下とはならない。
あるとすれば、二人の少女という肉の盾が減ったということだけ。
379
:
あるいは裏切りという名の犬
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:37:02 ID:5YcxkcWQ0
「……あら?」
「さっぱりしたワン!」
そんな物騒なことを考えていると、わん子が脱兎の如く浴場から飛び出してくる。
わん子の姿を見て、天本は反射的に笑顔を作る。
笑顔の仮面を作ることは得意だ。
そのため、わん子には天本の張り詰めた表情をしていた事実を見ることが出来なかった。
「もういいって……まだ十分も経っていませんよ?」
「お風呂はもういいワン!」
そもそもとして、犬の転身体であるわん子にとって風呂とは水浴びの延長でしかない。
さっぱりと暖かなお湯に浸かればそれだけで満足なのだ。
「湯船に浸かっただけじゃないですか……駄目ですよ」
「わわっ……!?」
「ちゃんと身体は綺麗にしないと、女の子なんだから」
天本は本心半分、打算半分でわん子を浴場へと押し戻す。
ここで親身になることでわん子の信頼を勝ち取ろうという腹積もりである。
メモを脱衣所に残したまま、浴場へと足を踏み入れる。
そして、桶でお湯を掬ってわん子の背中にゆっくりと流す。
薄い、子供の背中だった。
思えば誰かとともに風呂に入るなど、天本の人生で初めての経験だった。
そう思うと、目の前の少女に妙な愛情を覚え始めた。
もっとも、それはペットへと向ける愛玩の感情に近いが。
「うぅ……!」
「ほら、暴れないで」
わん子は石鹸の泡から逃げるようにじたばたと暴れ始める。
特別鍛えてもいない天本でも簡単に押さえつけられる程度の、どこか遠慮をした弱々しい暴れ方だった。
軽く押さえつけて、優しく髪を撫でる。
僅かに身じろぎした後、やがておとなしくなり天本の手に身を任せる。
天本は意識してわん子の柔らかい体にタオルを滑らせていく。
(震えている……)
石鹸を嫌う無意志的な動きとは別に、わん子の身体が震えていることに気づいた。
それが恐怖によるものだと天本はすぐに感づいた。
自分もまた殺し合いに対して恐怖を覚えているからだ。
380
:
あるいは裏切りという名の犬
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:38:16 ID:5YcxkcWQ0
「帰りたいですか?」
自分自身に問いかけるように、わん子へと問いかけた。
「……ワン」
天本は情が移りそうになる自身の心をはっきりと自覚する。
わん子の身体を撫でながら、何度も何度も非情になるべきだと言い聞かせる。
出来るはずだ、そう自分を励ましながら天本はわん子と接する。
いざとなったら殺す相手に、親身になって言葉を投げかける。
「本当は消えるはずだったから、そういう心の準備はできてたワン……」
「消える?」
「でも、それでも、帰りたい……」
天本が不思議そうに聞き返す。
だが、わん子は聞こえていないのか、それ以上はなにも口にしない。
天本の心中に単純な好奇心が生まれるが、下手に警戒心を与えてしまうことを嫌って追求はしなかった。
ただ、頭を撫でるようにわん子の髪を梳かしていく。
「くぅん……♪」
嬉しそうに喉を鳴らすわん子はその名の通り犬のようだった。
少女と犬の可愛らしさを併せ持ったわん子の挙動に、天本の胸がズキリと痛む。
髪を梳かし終えると、天本は静かにわん子の首に手をかける。
細い首だった。
華奢な天本の腕力でも殺せそうな、あまりにも弱々しい細い首。
このまま両手に力を込めれば殺せそうな、そんな首筋だった。
瞬間、人を殺すという道徳的な嫌悪感により胃の中で胃液が暴れ始める。
天本はその嫌悪感を呑み込み、わん子に悟らさせないように心がける。
殺そうと考えだけでこんな有様だ、これで本当に人を殺せるのだろうか。
そんな不安が天本へと襲いかかる。
「……帰りたいですね」
それでも同時に胸に過ることは、愛しい人との生活だった。
雲に遮られ続けていた人生の中で唯一光に思えたあの時間を、もう一度体験したい。
「……帰りたいですね」
「ワン……私も、帰りたい……」
「私は、絶対帰ります」
―――貴女を、殺して。
.
381
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:38:35 ID:5YcxkcWQ0
投下終了です
382
:
◆7WJp/yel/Y
:2013/02/07(木) 22:38:58 ID:5YcxkcWQ0
失礼しました、状態表が抜けていました
【E-4/温泉/一日目/日中】
【天本玲泉@パワプロクンポケット4】
[状態]:健康、暖かい
[装備]:なし
[道具] 支給品一式、不明支給品0〜2
[思考・状況]
基本:日の出島に帰る。
1:一応は芽森を利用して協力者を探してみる。
2:人を結果的に殺すが、今は様子見。
3:第3放送前後にホテルに行く?
【芽森 わん子@パワポケダッシュ】
[状態]:疲労小、暖かい。
[装備]:ヒーローのスカーフ@パワポケ7、モップ@現実
[参戦時期]:わん子ルート、卒業直後
[道具]:支給品一式(食料はキムチと何か)、ヒーローの衣装セット@パワポケ7、ヒーローのスカーフ四個@パワポケ7
[思考・状況]
基本:殺し合いから脱出する。
1:天本さんに付いていって温泉に入る。
2:帰ってきたらタツヤさんと行動。
3:走太君を探したい。
4:いつかタツヤさんに自分の正体を伝えたい。
383
:
名無しのバットが火を噴くぜ!
:2013/02/15(金) 20:45:23 ID:wBZukylQ0
投下おつです!!面白いです!!
384
:
管理人★
:2013/02/20(水) 01:48:55 ID:???0
tes
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