したらばTOP ■掲示板に戻る■ 全部 1-100 最新50 | |

一時投下スレ3

337寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/07(月) 14:17:07 ID:???

F・Fは二つ返事で了承する。
申し出を断る理由はどこにもなかった。

ダービーの身体が崩れ落ち、中から剥き出しの『フー・ファイターズ』が姿を現す。
そしてアナスイを殺さぬよう細心の注意を施しながら、ゆっくりと身体に侵入していく。
アナスイの身体に奇妙な感覚が広がっていく。
それは気味が悪くもあり、また心地よくもある不気味な感覚だった。


―――これでついに、俺も人間をやめちまったってことになるのかな……
だが、そんなことは大して問題にならないな………
どうせ俺はあと数時間で死んじまうんだからな……………
そう、徐倫以外の人間はすべて……死ぬ運命なんだからな――――――――――


アナスイとF・Fとの『融合』が完了した。
背格好も、肌の色も、見た目は元のアナスイの何も変わっていなかった。
だが、中身はまるっきり別物……

アナスイが指に力を集中させる―――
すると、指は形を変え、人差し指の先に銃口が生まれる。
2〜3発試射―― コンクリートの塀に穴が開いた――――――
F・F弾、使用可能――――――

花京院から受けた傷口に力を集中させる―――
体内のF・F細胞が働き、傷口は静かに塞がっていく。
肉体の再生、可能――――――

スタンド『ダイバー・ダウン』を発現させ、その拳をコンクリートの地面に向けて振り下ろす。
すると衝撃と同時に地面は形を変え、足元には巨大なクレーターのような跡が残った。
『ダイバー・ダウン』、大幅なパワーアップ――――――
『ダイバー・ダウン』に『フー・ファイターズ』のパワー、上乗せ可能――――――

338寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/07(月) 14:18:02 ID:???
(すごい……なんてパワーだ………これならあのエシディシとも対等に戦える……)
(これからどう動くべきか……どちらにしろ徐倫に出会うのはマズイ……)
(花京院を探すことにするか? アナスイが『乗っている』事は、現時点では奴しか知らない……)
(いや、それより後数分で放送が始まる…… 安全な場所で放送を聞く準備をした方がいい…… 徐倫の安否も確かめられる……)
(それがいい、コロッセオなんてどうだろうか…… 中は身を隠すところは多いし、俺がさっき覗いた時は無人だった…… ここからの距離も近い……)

まるで自分の脳内で二つの人格が会話をしている、そんな妙な気分だった。
どっちのセリフがアナスイで、どっちのセリフがF・Fなのかもよくわからない。
アナスイは人間をやめてしまった。
人間の肉体と、プランクトンの知性と、最強のスタンドを携えた寄生獣に変貌していた。


北の空に、隕石が落ちるのが見えた。
ウエストウッド看守は死んだはずだから、あれは誰かが奴からDISCを奪ったということだろうか?
あれを見たら、徐倫は北へ向かうだろうか?
だとしたら北へは行けないな……
これで放送後の目的地も決まった。
ダービーの記憶に見た、ナチス研究所のエシディシと、決着をつける。
恐らく、この殺し合いで一番の危険人物……
徐倫を殺してしまうかもしれない、最も危険なこの世の悪魔だ……

必ず打ち砕いてみせる………
俺の……私の………
『ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ』で…………!!



【音石明 死亡】
【虹村億泰 死亡】
【F・F 便宜上死亡?】

【残り 15名】

339寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/07(月) 14:18:53 ID:???
【F-3北西部/1日目 真夜中】

【ナルシソ・アナスイ with F・F】
【スタンド】:ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ
【時間軸】:アナスイ…「水族館」脱獄後、F・F…DアンG抹殺後
【状態】:健康、全身にF・Fの細胞が寄生し、共存している。
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×5、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー2つ(スイッチOFF)、ラング・ラングラーの不明支給品(1〜3。把握済)、テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け
※基本支給品はアナスイ、ラングラー、ティム、ヴェルサス、音石の五人分です。
 音石の水はF・Fが回復に利用しました。その他食料、水がどれだけ残っているかは不明です。
【思考・状況】
基本行動方針:空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる。そのために、徐倫いがいの全ての参加者を殺害する。
0.F・Fと融合し、人間をやめた。もう恐れるものは無い、皆殺しにするだけだ。
1.コロッセオに隠れ、第4回放送で徐倫の安否と残り人数を確認する
2.放送後、ナチス研究所に向かい、エシディシと決着をつける。
3.アナスイがゲームに乗っていることを知る花京院を始末する。
  しかし、どこへ行ったかはわからないので後回し。
4.徐倫には会いたくない。
【備考】
融合前のアナスイの情報
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※ポルナレフが得た情報について知りました。
※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。
※ティム・ヴェルサス二人分の支給品を回収しました。

融合前のF・Fの情報
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます。
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いていません。
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました(ジョルノの情報はアレッシーの記憶よりこちらを優先)
※ダービー兄とアレッシーの生前の記憶を見たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
※ダービー弟の生前の記憶を見たので、ゲーム前半の荒木の動向、ナチス研究所に集まっているリゾットたちやエシディシの情報を把握しました。
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、若返らず、太陽光に弱く、スタンドを使えると認識しました。 (太陽光が致命傷になることも把握)
※自分の能力について制限がある事に気がつきましたが詳細は把握していません。
※ディアボロの能力を『瞬間移動』と認識しています。
※FFが捨てた支給品(デイパック×2、壊れた懐中電灯、加湿器、メローネのマスク、カップラーメン)がF−3南部に落ちています。
※第三回放送を聞きました。徐倫とアナスイの名前が呼ばれていないこと、プッチの名前が呼ばれたことだけは確認しています。

融合後の情報
※アナスイ、F・Fの人格が融合しました。
 基本はアナスイですが、今後どうなっていくかはわかりません。
※F・F弾や肉体再生など、原作でF・Fがエートロの身体を借りてできていたことは大概可能です。
※『ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ』は二人の『ダイバー・ダウン』に『フー・ファイターズ』のパワーが上乗せされた物です。
基本的な能力や姿は『ダイバー・ダウン』と同様ですが、パワーやスピードが格段に成長しています。
 普通に『ダイバー・ダウン』と表記してもかまいません。
※その他、アナスイとF・Fがどのようなコンボが可能かは後の作者様にお任せします。
※ジョナサンの『プラネット・ウェイブス』による隕石を北の空に目撃しました。
 徐倫が向かっているかもしれないので、しばらくコロッセオの北には向かうつもりはありません。


※【F-3 住宅地】の地面の一角に『ザ・ハンド』によって開けられた人間一人分が通れる穴が開いています。
 穴は真下を通る地下鉄のトンネルにつながっています。
※億泰、音石、テレンスの遺体のそばに、怪物だったものの肉片とF・Fの携帯電話、地図、名簿の残骸が落ちています。

340寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/07(月) 14:23:35 ID:???





「あぁ……億泰さん……音石さん………っ!!」

何の変哲もない杜王町住宅地の一角で、空へ上っていく魂を見つめ、杉本鈴美は涙を流す。
この数時間は、鈴美にとって地獄のような時間だった。
そんな彼女の悲しみを煽るように、背後から語りかけるのは、荒木飛呂彦。

「ふっふっふ…… 鈴美さん、残念だったねえ………
岸辺露伴に川尻早人、片桐安十郎に山岸由花子、そして今回の虹村億泰に音石明……
君のこの町の住人が立て続けに6人も………
これで杜王町の住人は全滅かな? ……いや、まだ一人残っていたかッ!
君の大好きな、吉良吉影くんがねッ!! ハ――ッハッハッハッハッ!!!!!!」

高笑いする荒木飛呂彦を睨みつけたい衝動を堪え、杉本鈴美は視線をそむける。
荒木は、人が苦しんでいる顔を見ることを楽しんでいる。
自分が荒木に怒りをぶつけても、荒木はそれを喜ぶだけなのだ。

露伴ちゃん、由花子さん、早人くん、億泰さん………
みんな死んでしまった。
これで自分のことを、この『場所』を知る者が誰一人いなくなってしまった。
ここはダービーズ・アイランドと同じ、荒木の隠れ家の一つに過ぎない。
しかし、この場所を知っている人がいれば、逆転の一手につながるかもしれなかったのに……

鈴美が館の中へ戻っていく。
元々自分の家があったそこには、趣味の悪い洋館がそびえ立っている。
どうせこの路地から出ていくことはできない。
しかし、このままここで荒木飛呂彦の雑談に付き合うことだけはご免だった。


「あれ?部屋に帰っちゃうのかい? 外の方が、殺しの空気を生で感じられて心地いいのにな……
それにしても、こんな結末を迎えるとは思わなかったなあ……
首輪のないF・Fをいつまで特例で生かしておくか考えていたが、放置しておいて正解だった。
彼らは自分から、運命をより面白い方向へ動かしていく。いやいや、実に面白いよ。
彼ら二人組が生き残ったあかつきには、二人を優勝者として認めてあげよう。
もっとも、彼らは優勝する気なんてさらさらないみたいだけどね……」

荒木飛呂彦はやんちゃな子供のように腰かけていたポストから飛び降りた。
面白いのは何もF・Fやアナスイたちだけではない。
つい今しがた決着のついたジョースター家とツェペリ家の因縁をかけた最期の戦いも見物だったし、エシディシたちやディオ吉良ディアボロ組だって、面白いことになっている。
もうじき6時間ぶりの放送の仕事もあるし、荒木のテンションは上がる一方であった。

「やべっ 踏むとこだった!」


杜王町の忘れられた一角に、子供のような性格をした、悪魔のような男が一人、たたずみ笑っていた。


【F-4 杉本鈴美の幽霊の小道/1日目 真夜中】

※現在、荒木はここから会場全体を観戦しています。
※侵入不可。脱出不可。
 杉本鈴美はゲーム開始時からこの路地に閉じ込められて、自由に出ることができません。(たとえ振り返らなくとも)
※旧杉本邸のかわりに不気味な洋館がそびえ立っています。
※ここはダービーズ・アイランドと同じで荒木のアジトの一つに過ぎません。
 他にいくつのアジトがあるかはわかりません。
 少なくともここに宮本輝之助(エニグマの少年)はここにはいないようです。
※荒木はF・Fを便宜上死亡とし、放送でも名前を呼ぶつもりです。
 しかし、F・Fの『知性』は文字通りまだ滅んでいません。

341 ◆vvatO30wn.:2011/02/07(月) 14:28:52 ID:???
以上です。
投下は>>321から始まっています。
色々思うところはあり、自分でも書き終えた感想を書きたいところですが、本投下まで我慢します。
誤字脱字や、矛盾点、表現がおかしいところやアドバイスなど、なんでも指摘お待ちしています。
特に気になる所は、融合関連、鈴美関連、幽霊の小道関連です。
特に融合は長いパロロワの歴史においても異例の出来事なんじゃないでしょうか?
二人の参加者が一人に融合するなんて……
ですが、私が今回一番書きたかったことがこのシーンですし、今後の展開も見込めると思うのでご容赦いただけたらと思います。
融合は、ドラゴンボールで例えるならネイルや神様を吸収したピッコロみたいな感じだと思ってください。
主人格はあくまでアナスイ、しかしF・Fの面影もある。みたいな……
鈴美や小道関連は私なりの鈴美の処遇についての解釈が入っています。
他の方の意見を聞いて、結論を決めたいの思っています。
(ぶっちゃけ杜王町の住民(善)の全滅を鈴美に嘆かせたかっただけです。
荒木のアナスイF・Fについてのフォローのついでなので、ぶっちゃけなくても話自体に問題はありません)
あと、吉良うんぬんの記述は現在予約中の◆0ZaALZil.A氏の内容次第で加筆、修正を行う可能性があります。

342 ◆vvatO30wn.:2011/02/07(月) 14:59:04 ID:???
うわあああああなんてこった!!!!!!!!
盛り上がるシーンで一レス飛んでるorz
ごめんなさい!!!!!!

>>333 と >>334 の間に次の本文が入ります
こんなミスをするなんて……… 信じられない………
本当に申し訳ないですorz


「う……うわぁぁぁ!!!『チリ・ペッパー』ァァァァ――――――!!!!!」

銃口を向けられた音石がスタンドを発現させ身を守ろうとする。
しかし、『チリ・ペッパー』は現れない…… 当然である。
『チリ・ペッパー』は電源が近くに無ければ発言できないスタンドなのだ。
地下鉄はとっくの昔に通り過ぎてしまい、二台しかない地下鉄がもう一度近くを通るのは、まだまだ先の話である。
当然、他に電気を帯びた物質は存在しない。
音石がこの場所でスタンドが使えたのは、真下を地下鉄が通過する、その一瞬だけだったのだ。


「悪あがきをするな…… いま…『楽』にしてやる……」

ダービーの腕からF・F弾が撃ちだされた。
音石は今度こそ、自分の最期を悟り、目をつぶって覚悟を決めた。



しかし――その弾が音石に命中することは無かった。


「……行けッ!! 逃げるんだ………音石………ッ!
こいつは……俺が……引き受ける………!」

音石が目を開けると、そこにはダービーの体にしがみつき、抑え込もうとしている『ザ・ハンド』の上半身。
そして、その傍らには最期の力を振り絞りスタンドを操っている、腰から下の無い虹村億泰の姿があった。
傷口からは肝臓や小腸……内臓器官がはみ出し、膨大な量の出血をしていた。


「貴様ッ!! まだ生きていたのかッ!!! チクショウ、離れろッ!!!」

必死に億泰を引っぺがそうとするダービー。
その隙をついて、音石が負傷した腹を押さえながら全力で逃げ出した。
億泰の最期の、本当に最期の根性が、ダービーから音石を逃がすことに成功した。
ダービーに掴みかかっても、その体が削り取られることは無かった。
それだけ、億泰のパワーは弱り切っている。
しかし、それでも、たとえ自分が死んでも、一度喰らいついたスタンドは解除しなかった。


「なんて奴だッ…… こいつ、脳天にトドメの一撃をくらわせてやるぜッ……!!!」

ダービーが億泰の額に銃口を向ける。
億泰はここで死ぬ……しかし、億泰は満足していた。
今まで誰一人助けることができなかった……
しかし、最期の最期で億泰は音石明を……、『仲間』を助けることができた。


悔いはねえ…… これでよかったんだ………
俺なんか死んでも変わりはいる…… だが、音石は違う………
音石は『首輪解除』ができるかもしれない俺たちの切り札だ…………
荒木に抗うためには、音石の命は欠かせない……
ここで俺が死んでも、音石がリゾットにさえ再会できれば……みんな助かるかもしれねえ……
俺は音石を……助けられたんだ………


すでに体は動かない。
億泰は、最期の力を振り絞り、鉄のように重たい瞼を持ち上げた。
そして、音石が走り去って行った方へ、視線を向けた。

343ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/07(月) 17:47:27 ID:tirRRNmY
投下乙です。上げますね。
指摘というか意見を。F・Fは肉体を失いましたが知性を失った訳ではなく、いわゆるディアボロとドッピオ状態になっている訳ですよね。
1stでは両名の名前が名簿に載せられており、死亡したのもそれぞれ別のタイミングでした。
体は1つですが死亡扱いはどちらかの精神が消滅した時で良いのではないでしょうか。
(F・Fがアナスイを完全に乗っ取る、フー・ファイターズのDISCを抜かれる、等)

344ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/07(月) 17:52:14 ID:???
投下乙です 感想は本投下の時に…
一読み手として、最近の展開は荒木じゃないけどテンション上がりまくりです

>融合関連、鈴美関連、幽霊の小道関連
どれも大丈夫だろうなと思ったのですが、書き手の皆様の判断にお任せします
あと、自分もFFは死亡扱いじゃなくてもいいかも、と思いました

以下誤字の指摘です

>>328
>自分の命を狙うゲロ以下臭いが
→自分の命を狙うゲロ以下の臭いが

>>329
>リゾットにつかった
→リゾットに見つかった

>>330
>言葉の真意は分りかねなかったが
→言葉の真意は分りかねたがor言葉の真意は分からなかったが

>>336
>『フー・ファーターズ』
→『フー・ファイターズ』

345ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/07(月) 20:19:03 ID:???
投下お疲れ様です。感想は投下時に。

まず誤字・脱字の指摘から
>>325
怪物の体は吹き飛ばされ、体中の」傷口から血が噴き出し、
>>327
チ……クショウ…… ただの化け物だと思っていたらが……

内容について
小道・鈴美・融合どれも問題ないと思います。
F・Fは死亡扱いにしなくていい、に賛成です。

346ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/07(月) 21:12:40 ID:???
投下乙です
お茶目なミスなどお気になさらずにw
感想が喉から出掛かっていますが、我慢して堪えます

指摘は他の方がだいたいしていて他には特になかったと思います
FFの死亡扱いについてですが、私はどちらでもいいかな?
人数が減っていることには変わらないんだし、今後また変化があるときはその時考えたらいいんじゃないかと思います。
作者さんの好きにするのがいいのかも?

347ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/07(月) 21:19:28 ID:???
投下乙です。
>>329
>音石は今日の午後以降の時間は見張りのため、ほぼ休みなしに飛行機を飛ばしており、その充電は底を尽きかけていた。
187話『Resolution』にて、音石は一度スピットファイヤーを帰還させています。
底を突くほどエネルギーがなくなっているのなら、さすがにそのときに充電していたのでは?

>俺の手持ちにもう電気を帯電したものはねえし、コロッセオに近いこの場所じゃあ、街中の電気も流れていないと来たッ…!!
懐中電灯に電池が、ノートパソコンにバッテリーが搭載されていると思います。どちらも電力はたかが知れているので加筆で十分だと思いますが。

あと気になったのは、アナスイ(FF)の首輪がどうなってるかですね。

ついでにこれは余談ですが
>二人の参加者が一人に融合する
双子の兄弟が合体するロワなら過去にありました

348ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/08(火) 01:49:46 ID:???
もう一つ気になったので、指摘を。
ちょっとこの辺には詳しくないのですが、
地下鉄の鉄道は電車単体のエネルギーで動いてた、ってことなんでしょうか?

104話『イエスタディを聴きながら』にて、
>数ある送電線の一本が切断され、カーズがぶちまけた薬品の溜まりに飛び込んで電流を流していた。
とありました。この描写から、おそらく架線(パンタグラフで電力を供給する電線)があるので、
音石はそこから電力吸収すれば、別に電車来るの待たなくていいじゃん、と思ったんですが。

349ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/08(火) 18:33:19 ID:???
ご意見ありがとうございました。
脱引きももりしましたw
二度とこんな失敗や恥さらしはしないようにします。

>融合、鈴美、幽霊の小道について
問題がないようなので、このままで以降と思います。

>F・Fの死亡扱いについて
残り人数自体は減る、荒木が「アナスイが生き残った場合優勝扱いにする」、
ディアボロドッピオたち(二つの人格が別々に存在している)とは違い二つの人格が一つに融合しているイメージである、
などの理由で死亡扱いとしたのですが、早計だったでしょうか?
まあ便宜上のことなので結果はどちらでも変わらないと思うのですが……
本投下までに結論は出しておきます。

>誤字脱字
修正いたします。

>>347
スピットファイヤーはF・Fが手首を復活させた直後の銃撃でバッテリーごと大破したというように変更します。
懐中電灯、ノートパソコンは電力が小さすぎてパワーが弱すぎることを補足しています。
アナスイの体に外見的変化はないので、アナスイ自身の首輪がそのまま残っています。
F・F(怪物)には首輪はついていませんでした。(マイクと婦人の首輪は多分その辺に転がってます)

>双子の兄弟が合体するロワ
その時、死亡扱いや残り人数などはどうなっていましたか?

>>348
>地下鉄の鉄道は電車単体のエネルギーで動いてた、ってことなんでしょうか?
まさにそうだと思って書いていました。
完全に読み込みが不足していました。
一応地下鉄の電線でも億泰に穴を掘らせて電力供給の流れは作れるんですが、
一瞬を利用した逆転劇、音石がリゾットと一緒に居た時間の活用、F・F再逆転後の反撃不可、地下鉄登場時のインパクトなど、
やはり地下鉄を絡ませた方が流れ的にうまく収まるんですよね……
なにかいい解決策かアドバイスがあればお願いします。

350>>349 ◆vvatO30wn.:2011/02/08(火) 18:34:09 ID:???
今度は付いてないwwwww

351ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/08(火) 19:02:15 ID:???
>>349
地下鉄を絡ませた逆転法と言うと、やはりひき逃げアタック!
どうやってFFを落とすかが課題ですが。

>双子の兄弟が合体するロワ
すまない、第2次スパロワにおけるロボットの合体のことなんだ……。冗談のつもりで言った、今は反省している
あと自分が知る限りでは、参加者の融合は
・漫画ロワのDIOとシェリス(一時的なもの)
・戦隊ロワのナイとメア(名簿では、合体後のバンキュリア一人という扱い。融合とはちょっと違うかもしれませんが)
があったと記憶しています。残り人数はお好きなようにしていただければ。

352ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/08(火) 19:22:06 ID:???
論理で流れが崩れかけると、結構直しづらくてきついですよね…。

自分も「ひき逃げ」しかないかなって気がします。
列車が来るというそのインパクトに勝るものなし。
穴を掘らないと電力を吸収できないということには変わりないので
電車に引かせて半身吹っ飛ばして、残ったほうに「10まんボルト」とか…。
億泰を殺さずにF・Fを落とせればいいんですが、
あくまで「引き寄せる能力」だから億泰が地下に下りて引き寄せると、億泰が死んでしまうしw
いい案が浮かばなくて申し訳ない。

353ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/08(火) 20:05:42 ID:???
電気補給して超スピードになったレッチリが電線かラジコンの配線を
F・Fの足と電車に結びつけてそのまま引きずられーの擦り下ろされーの
なんてどうだろうか

354351:2011/02/08(火) 20:42:12 ID:???
しまった、融合した参加者の中に、ライダーロワのドラスと麻生さんを入れ忘れてた(融合というより吸収ですが)
このときは、取り込まれた麻生さんは、放送では死亡扱いでした。

355ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/08(火) 22:12:51 ID:???
吸収ならロボロワのドラスもそうだぜ! 
ちなみに吸収されたナタクは死亡扱いだった
まーそこら辺は放送書く書き手さんに任せちゃっていいんじゃね?

356ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/08(火) 23:25:48 ID:???
ひき逃げアタックだと話の展開が変わりすぎて書き手さんの負担が大きくなりすぎる気がするなあ
俺は単純に荒木ワールドのご都合主義で、「コロッセオ付近の地下鉄には電線が通ってない」でいいと思うけどな
>>322の「コロッセオに近いこの場所じゃあ、街中の電気も流れていないと来たッ…!!」
ていうのも過去の音石の状態表にあった
「電線が所々繋がっていないのに電気が流れているこの町は何なんだッ!? あやしすぎて怖えー! 」
からきてるのでしょうし、地下にもそれを採用したらいいんじゃないか?

あと、F・Fの死亡も別にそのままでいいと思う
あくまで便宜上死亡?と表記してありますし、今後変化があればその時また考えればいいでしょう
そんなに深く考える必要もないと思う

357ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/09(水) 13:27:16 ID:???
確かに>>356の修正で十分だな
音石にしてみればわざわざ轢き逃げにする意味もないし
ただでさえ無茶苦茶な地図なんだから、電線が途切れていても不思議じゃない

358 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:03:44 ID:???
地下鉄関連の議論がまだ残っているようですが、
花京院典明 仮投下します。

359 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:04:31 ID:???


こうしていて、何時間経ったのだろう。
あるいは数分のことだったのかもしれない。

物音がしたとか、気配を感じたとかそういうことはなかった。
ただ、水面に気泡が浮かぶように『自分はなにをしているんだろう』そんな疑問が頭をもたげて……、
僕はようやく顔を上げた。

ひどく投げやりな気分で辺りを見回す。
『敵が近くにいたなら、僕はとっくに死んでいる』
皮肉っぽく笑うもう一人の自分をどこか頭の隅のほうに押しやって、周囲に誰もいないことを確認する。
人の気配はおろか、鳥の声も虫の音も聞こえない。
自分が死んだんじゃないかと、錯覚してしまうような静けさだった。

夢にありがちな、どこか現実と乖離した不自然さに、そうであって欲しいと願ってしまう。
『血』と『臓物』の匂いに支配されたこの空間が単なる『悪夢』だったなら、どんなに良かっただろう。
あのときのように、誰かが僕を起こして、ひどくうなされていたと言葉をかけてくれたら、どんなに………。



「       」


地面に突っ伏す前に、一度呼んだ名前だ。
反応はない。わかりきっている。

それならばどうしてこんなに喉の奥が痛い。
冷えた夜風に頬が撲たれ、世界はぼんやりと滲む。
僕は風邪でもひいたのか?


「       」


『逃げろ』という声に従って、がむしゃらに走った。
わずかに残った理性と、不安に押しつぶされそうな本心が交錯して、ナチス研究所を目指していたように思う。
禁止エリアに足を踏み込みかけて引き返し、冷静になれと何度も自分に言い聞かせて、
辿り着いたのは目的の場所じゃなかった。


「       」

360 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:05:05 ID:???
特別な感情を抱いていたわけではなかった。
一緒にいて心がなごむことも、誇らしい気持ちになることもなく、
敵意を持たずに接してくれた一人の女性としか思っていなかった。
それすらも、貴重な存在だったと今は思うけれど。

その『友達』が自分を盾にしたと気付いたときには、心底失望した。

…でも声を聴いたときに心配で、いてもたってもいられなくなったのは事実だった。
誤解を解けばすんだ仲間より彼女を追いかけることを優先したのは僕の意志だ。
その結果また裏切られた形になったけれど、放送でその名が告げられなくて、安堵したのも本心だった。
―守れる可能性のあった人達―、そこに彼女が列せられなくて良かったと確かに思ったんだ。

僕は、小心者の彼女に、自分を重ねていたのかもしれない。
孤独ぶって、他人を信じられず、過ちを犯した自分を。
彼女もそうだと、過ちを犯しても前を向くことができると、信じたかったのかもしれない。
あんなに非力で、不安定な女性に勝手な思い込みを押し付けて、
あてがはずれ彼女に裏切られたなら、それは弱い彼女のせい。僕が罪悪感に苛まれることもない。
そんな都合のいい善意を強要して……、その結果が…………。


「あのときあなたに、命をかけても守るといった……、本当に、そう、思っていたんですよ」


彼女でもいい、誰かに命を奉げて生きていたら、後悔の涙など流さずに死ねただろうか。
こんな風にただ惨めに地面を拳で打ちつけて、その行為に意味などありはしないのに。

彼が、アナスイが羨ましい。悩みも後悔も断ち切った彼が。
それほどに強い意志を持ちえた彼が。


僕はどうだ?


あの時、荒木に喧嘩を売りさえしなければ、
グェスさんは危険な目にあわずに済んだ?
フーゴは涙を見せずに済んだ?

あの時、もっと警戒できていれば、
フェルディナンド博士は謎の死を遂げずに済んだ?
フーゴにトニオさんを殺させずに済んだ?

あの時、ちゃんと立ち回れていれば、
ポルナレフの信頼を失わずに済んだ?

あの時、余計なことをしなければ、
ティムさんは死なずに済んだ?
アナスイは彼を、友を殺さずに済んだ?

自分がもっと、もっと、しっかりしていれば、
アヴドゥルさんも、ジョースターさんも、承太郎も、イギーも、失わずに済んだ?


あの時、信じきることができたなら…………

361 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:05:56 ID:???
僕にはもう、なにも……、なにも………、残っていない……
友情も、自分が生きたという証も、なにも………


ナチス研究所を目指したのも、フーゴやフェルディナンド博士に演説をぶったのも
誰かに肯定して欲しかったんだ。
あなたは悪くない。正しいことをしたと。
そのおかげで助かったと、言って欲しかったんだ……。

良心に因る行為が、正義に違いないと、
仲間達と共に見た輝く意志は、継いでいくことができると、信じさせて欲しかったんだ。


その結果がこれか。

……なにもできず、誰も傷つけずにいられたなら良かった。

ぜんぶ、僕のせいだ。

僕のせいで死んでしまった人、傷ついた人はもう片手じゃ足りない。
僕の中途半端な行為のせいで二次的な被害を受けた人は、きっと両手でも足りない。


ぜんぶ、ぜんぶ、僕が悪かったんだ………。


何が足りなかったなんて考えたくもない。
すべては遅かった。
起きてしまった事柄はどうあがいても、変えようがない。

笑いがこみあげるほど……、なんて愚かなんだろう。




ヒヤリ、とスタンドの手が首輪の感覚を伝える。




―――これを引き抜こうとしてしまえば、これ以上苦しまずに、誰にも迷惑をかけずにすむ………




そのままスタンドへ命じた。 『力をかけてしまえ』と。

362 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:06:58 ID:???











しかし、爆発は起こらなかった。

起こせなかった。


「クソッ……」


噛んでいた唇から血が滴り、地面に黒いドットが描かれる。

わかっている。これは逃げだと。
だから、もう一つの我身は力をかけようとしなかった。

一瞬で苦しまないで死ねる、なんて僕に許された選択肢じゃない。

わかってるんだ。傷つけた人達に償いをしなきゃいけないって。
それが終わるまで、僕はもがき続けなきゃいけない。


「『救い』なんてありませんよ」


守られるべき弱者も、守るべき強者も等しく死んでいく。
そこには正義も悪も存在しない。
ただ、強すぎる意志が絡み合い、もつれ合い、失われていくだけだ。

僕はもう自分が正しい行いをしているという自信がない。
一人の女性に無私の愛を奉げる行為を尊くすら思ってしまう。
『正義』や『道徳』、僕が大切だと思っていたものはすべて僕自身のエゴだったのかと疑ってしまう。
ティムさんとの約束がなければ、この厄介な脳はもう身体から離れていただろう。

アナスイの心の闇を晴らすことを『救い』というのなら、僕になんかできるはずがない。
信頼しあっていたティムさんに不可能だったことを、部外者の僕がどうして行える?

かといって、徐倫さんを再び巻き込むつもりはない。
娘を危険な目にあわせたなんて知れたら、承太郎は怒るだろうな。
無神経なように見えて、人一倍優しいから。


「必ず、僕が彼を止めます。 彼の闇がこれ以上誰かを引きずり込まないように」


ティムさんはアナスイがこれ以上人を殺めることを絶対望んでいないから、それだけはやり遂げなければ。
それが一度殺されかけた僕にできるせいいっぱいの行動。
誰もその結末を望んでいないかもしれないけれど。



そして、横たわった二人……。
お互いに傷つけあった末にこうなったとは考えがたく、
確実なのは、どちらかに殺意を向けた人間がいるということ。
どちらが先かはわからないが、相打ちというには少年が甚振られすぎている。
もしも瀕死の少年が彼女を撃ったなら、ここにはその銃がない。

363 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:08:42 ID:???
彼女がトチ狂って少年を痛めつけ、駆けつけた第三者が彼女を撃ったのかもしれないが、
それは真実ではないと信じたい。

もしも、生きてアナスイを止めることが出来たなら、銃とナイフを所持した『誰か』を捜そうか。


(けれど、『仇』を討つ、それは正しい『償い』なんだろうか……)


『償い』も自分の心を楽にしたいだけなのかもしれない。
取り返しの付かない失敗が誰に許されるわけもないのに、
『償い』だ『救い』だなんだといって、結局僕は自己保身に躍起になっている。


僕が、これ以上ないというほど苦しんで、血反吐を吐きながら死んでいったら、みんな、満足してくれるだろうか。



人目の付かない場所へ、二人の身体を運ぶ。
あまりに惨い状態の少年の身体はハンカチで覆ってやった。
そんなことをしても、彼の傷が癒えたりするはずがないけれど、
それでも自分は人として、気遣いや憐みの感情を捨てはしないと、自分に誓うための行為だった。

人として、生きて、果て、その行為が正しかったと心から思えたならば
正しい方向へ導いてくれた人たちに感謝して、僕はその瞬間にも笑っているだろう。



はるか遠く、死んだ星の光に願った。
ずっと僕を照らしていて欲しい、と。

364 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:09:33 ID:???
【G-2 やや南部/1日目 真夜中】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(極大)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、激しい自己嫌悪
[装備]:なし
[道具]:ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木
0.自分のせいで傷ついた人達に『償い』をしたい。けれど『償い』とはなに?
1.アナスイを止める。おそらく殺さざるを得ない。
2.ポルナレフとの再会、誤解を解く。
3.ナチス研究所に行き自分の知る情報を伝えたい。でもそれは自分を肯定して欲しいだけかもしれない。
4.打倒荒木、巻き込まれた参加者の保護、が正しい行動だと信じたい。
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。

365 ◆4eLeLFC2bQ:2011/02/09(水) 21:14:47 ID:???
以上です。タイトルは「何もない明日が来る瞬間は」です。

予約入れた段階で展開の予想付いた方が多いんじゃないかと……。
vv氏の作品でアナスイが死なないか不安でしたが、斜め上をいかれました。
あんな化け物(褒め言葉)に勝てる人間がいるんでしょうか?w

366ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/09(水) 21:43:14 ID:???
投下乙です! 指摘は特にありません
二人の遺体が誰だか分かった時うわあああああと思いましたが詳しくは本投下時の感想に書きます

367 ◆vvatO30wn.:2011/02/09(水) 22:20:21 ID:???
投下乙です。
感想は本投下時に。
本文読めば分かる事ですが、いちおう状態表に、
「グェスと早人の遺体を発見した」という事を明言しておいた方がいいと思います。

ついでに業務連絡です。
ひき逃げの方も考えてみましたが、とりあえず>>356様の意見を採用して、
コロッセオ付近のため地下鉄も電線が通っていない、で本投下してみようかと思います。
F・Fも『便宜上』死亡扱いのまま通そうかと思います。

未投下の作品もまだ2つ残ってますし、少し早いかもしれませんが、明日の正午ごろに本投下しようかと思います。
お暇な方は支援していただければうれしいです。

368ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/10(木) 13:27:40 ID:???
投下乙!
短いSSですし、指摘も特にありません。
これくらいの作品なら仮投下せず直接本投下でもよかったのでは?

369寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 15:59:40 ID:???
やっぱりモンキー食らったんだよぉジョジョォォォォォ――――ッ!!
どなたか代理お願いします。



けたたましい轟音はどんどん大きくなり、ついに億泰の掘り進んだ落とし穴の真下を、その巨大の物体が通過した。
そう、その物体の正体は『地下鉄』。
そしてこの地下トンネルの正体は『地下鉄のトンネル』だったのだ。
『コロッセオ』と『ナチス研究所』の間を地下鉄が通っている事はリゾットによって聞かされていた。
そして現在地はその二つの施設のちょうど中心近く…… この真下を地下鉄が通っている事は明確であった。
直前に音石が確認したリゾットのメモには、ナチス研究所に到着する地下鉄の時刻表が記されていた。
リゾットの配下につき見張りをしていた際、彼から渡されたものだった。
ナチス研究所に訪れる者は、何も地上からだけではない。
地下鉄の駅がある以上、そこからの訪問者に備え時刻表を確認しておくのは至極当然のことだ。(もっとも実際に地下鉄の駅を見張っていたのはペッシだったが…)
そしてその時刻表を見れば、研究所のすぐ近くであるこの場所を地下鉄が通る時間もだいたいの見当がついた。
そして運よく、今現在の時刻がその地下鉄の通りすぎる数分前だったのだ。

「来た、来た、来た、来たァァァァッッ!!!!!! こいつを待ってたんだッ!!!
『レッド・ホット・チリ・ペッパー』……最大出力(フルパワー)だァァァ!!!!!!」

そして、その地下鉄には当然、莫大なエネルギーを携えた電源が備わっている。
本当は地下トンネルに備わっていたはずの送電ケーブルを使う事ができればよかったのだが、コロッセオ付近の為か、ここには地下ですら電力は通っていなかった。
しかし、日中動きまわっている地下鉄になら、いつ、どこであっても必ず巨大な電源が備わっているはずなのだ。
地下鉄が億泰の開けた穴の真下を通る一瞬の間に、音石は『レッド・ホット・チリ・ペッパー』を発現させ、そのパワーを最大限まで引き上げた。
これは、現世で億泰と戦ったとき、億泰の『ザ・ハンド』に地下の電気のケーブルを掘らせた音石だからこそ……
そして、今日の午前中ジョセフたちと行動を共にし、地下鉄を利用した経験のあった音石だからこそ……
さらに、リゾットたちの仲間になり、地下鉄の動きを把握していた音石だからこそ、辿り着いた唯一の打開策であった。

つい先程は錆びついたよう鉄クズのように黒ずんでいた『チリ・ペッパー』の体が、黄金の輝きを放ち、復活した。
落とし穴の側面に避難した億泰の傍を通り抜け、地上に出た『チリ・ペッパー』が怪物の上空に舞い上がった。

370寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:00:46 ID:???
「GI……GYAAAAAAAAA!!!!」

上空に舞い上がった『チリ・ペッパー』目がけて、こちらもありったけのF・F弾の散弾を乱射する怪物……
しかし、この『チリ・ペッパー』は、さっきまでの『チリ・ペッパー』とはわけが違う。

「俺のスタンドは…… 充電すると強いぜ……!!」

猛烈なスピードで怪物の散弾を全て回避する『チリ・ペッパー』……
その速度は『ザ・ハンド』はおろか、もしかしたら『スター・プラチナ』を超えるかもしれない亜光速の超スピード……ッ!!
ましてや、F・F弾などというチャチな飛び道具をくらうようなアクビが出るスピードでは決してない。
そして――――――


「てめーの正体が『水』だってことはとっくに分かっているんだッ!! そして、俺のスタンドは何だァ…!?
ガキでも知ってるぜ? 特に今年(1999年)に新作が発売予定の『ポケモン』やったことがあるガキならよォ!!!
『水』に『電気』は、『効果はバツグン』なんだぜぇぇぇぇ!!!!!!」

そして猛スピードで怪物に接近する『チリ・ペッパー』のスタンド!!
地下鉄が通り過ぎてしまえばまた電源を失い、『チリ・ペッパー』のエネルギーは小さくなってしまう。
一両編成の地下鉄など、通り過ぎるのは一瞬だ。
だが、その一瞬で事は既に足りた。
『チリ・ペッパー』は一瞬のうちに怪物の体内に侵入し、そして充電したエネルギーを炸裂させた!

「くたばれッ!! 化け物がァァァァ―――――――ッ!!!!!」





パァァァァァ――――――――z___________ン!!!!!!




怪物の肉の塊が四散し、弾け飛んだ。
残ったのは死肉に戻った肉片たちと、体内に隠し持っていたであろう携帯電話や地図や名簿の残骸のみ……
怪物に復活の気配は感じられない。
音石のスタンドが勝ったのだ。

371寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:01:58 ID:???
「やったのか……音石の野郎………」

『ザ・ハンド』に引きずられ、自らが掘った穴から這い出た億泰が、そこらじゅうに飛び散った肉片という結果をみる。
音石のスタンドが強力なのは把握していたが、これほどまでとは思っていなかった。
そして、さらに複雑な気分である。
自分の兄の仇として忌み嫌っていた音石に命を救われ、さらにはその音石の力によって得体の知れない怪物を討伐するに到ったのだ。

「よぉ億泰、無事かよ……! あの化け物なら…、へへ……、不甲斐ねえお前の代わりに…、俺が『爆殺』してやったぜ……!!」

腹の傷を押さえながら、音石が億泰の元へゆっくりと歩いてきた。
その音石の姿は、すでに自分の忌み嫌っていた『兄貴の仇』ではなかった。
それはまるで、仗助や康一たちみてぇな、俺の守るべき仲間の姿だった。
これからも俺と共に戦っていく、共通の目的を掲げて共に戦う『仲間』のようだった。


『必死で生きてきた俺たちの誇りをッ! ボスの野郎は踏みにじったッ!』
『そんなボスから俺は伝言を預かった。 内容は協力を申し出るものだった。』
『俺たちはアイツの犬じゃないッ!』

今更、別れ際のリゾットの言葉を思い返す。
露伴や早人の話を聞く限り、組織のボスのディアボロとかいう奴はそんな吐き気を催す邪悪じゃあなかった。
恐らく、ディアボロは変わったのだ。
この殺し合いを通じて、変わったのだ。
そして今の音石も同じように、クソ以下のにおいがするゲスではなく、俺たちの仲間に変わりつつあるのだ。
もちろん、だからといって、俺は音石を許しはしない。
多分、リゾットの奴もそうなのだろう。
だが、今は…… 少なくとも今のこいつは、敵じゃあねえ……
音石は…… こいつは味方だ………!!


「フ……、やれやれだぜ………」

億泰は足を庇いながら、音石が差し出した手を取り、立ち上がろうとした。





















ドスッ―――





しかし、億泰はその手を受け取ることはできなかった………
億泰の胴体を、背後から忍び寄ったテレンス・T・ダービーの右腕が貫いた。





372寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:03:06 ID:???



「な………んだと……!!!」
「ダ……ダービー………貴様…何故ッ……!!!」

腹から別の腕を生やした億泰は吐血し、その激痛に苦しむ。
何が起こったのか分らない音石をよそに、ダービーは恐るべき怪力で億泰の体を両腕でまっぷたつに引き裂き、億泰は上半身と下半身を分断させられる。
そしてバラバラになった億泰の体は地面に打ち付けられ、ダービーは億泰の血にまみれた両腕を、先ほどの怪物と同じように銃口を作り音石に向けて構える。

「フウ……、やっとまともに会話ができるな…… こいつの記憶によると…貴様の名は音石明…か?
私の名は『フー・ファイターズ』……… いや、既に名前など捨てた只のプランクトンの戦士だ……
さっきの身体……あれは駄目だな…… まるで『知性』が感じられない………
継ぎ接ぎの身体で神経伝達が上手くいかずに動きはノロイし、言葉も話せない…… 脳も死んでいたからまともな思考も行えない……
おかげで、何度も死ぬ思いをした……… いやはや…貴様らは強敵だったよ……」

『チリ・ペッパー』が復活したとき、上空に打ち上げられたF・F弾の散弾……
あれは『チリ・ペッパー』を攻撃するために撃ったものでは無い。
仮初めの怪物の肉体から、『フー・ファイターズ』の『司令塔』を逃がすための撃ち出したもの……
復活した『チリ・ペッパー』が『電気のスタンド』であることを悟り、真っ向勝負で戦っても勝ち目がないと判断したF・Fが、隙をついて反撃するために行ったこと……
『フー・ファイターズ』は何にも寄生していない露出した体でも、30秒から1分ほどなら活動することができる。
それだけの時間があれば辿り着ける……
つい数分前に殺害した、そこいらに転がっているはずの、このテレンス・T・ダービーの死体にまで……


「ま…… 懲罰房でケンゾージジイに電気イスを喰らったっていう『思い出』が活きたってところか……
あれがなけりゃあ、貴様のスタンドが『電気』だっていう発想は生まれなかった……
あと一瞬……司令塔の脱出が遅れていたら、私がやられていたよ………」


こんなことをいまさら言っても仕方ないことではあるが、億泰と音石の二人の心には、どうしようもない決定的な油断が存在していたのだ。
それは、目の前の敵は鈍重で愚かな『怪物』であり、得体の知れない『化け物』であるという認識だった。
これまで『フー・ファイターズ』の事を『怪物』と表現し、億泰たちは彼のことを『化け物』と呼称していた。

しかし、事実はそうではない。
彼…… ――『フー・ファイターズ』―― は、殺すためには策を練り、生き延びるためには自分の身体をも捨て、そして守るべきヒトのためには手段を選ばない……
『フー・ファイターズ』は、怪物でも化け物でもない、『知性』を持った一人の『戦士』なのである。

373寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:04:04 ID:???
「う……うわぁぁぁ!!!『チリ・ペッパー』ァァァァ――――――!!!!!」

銃口を向けられた音石がスタンドを発現させ身を守ろうとする。
しかし、『チリ・ペッパー』は現れない…… 当然である。
『チリ・ペッパー』は強い電源が近くに無ければ発現できないスタンドだ。
地下鉄はとっくの昔に通り過ぎてしまい、二台しかない地下鉄がもう一度近くを通るのは、まだまだ先の話である。
当然、他に強い電気を帯びた物質は存在しない。
音石がこの場所でスタンドが使えたのは、真下を地下鉄が通過する、その一瞬だけだったのだ。


「悪あがきをするな…… いま…『楽』にしてやる……」

ダービーの腕からF・F弾が撃ちだされた。
音石は今度こそ、自分の最期を悟り、目をつぶって覚悟を決めた。




そして、とどめの一発が音石の額に命中――――しない!?


「……行けッ!! 逃げるんだ………音石………ッ!
こいつは……俺が……引き受ける………!」

音石が目を開けると、そこにはダービーの体にしがみつき、抑え込もうとしている『ザ・ハンド』の上半身。
そして、その傍らには最期の力を振り絞りスタンドを操っている、腰から下の無い虹村億泰の姿があった。
傷口からは肝臓や小腸……内臓器官がはみ出し、膨大な量の出血をしていた。


「貴様!! まだ生きていたのかッ!!! チクショウ、離れろッ!!!」

必死に億泰を引っぺがそうとするダービー。
その隙をついて、音石が負傷した腹を押さえながら全力で逃げ出した。
億泰の最期の、本当に最期の根性が、ダービーから音石を逃がすことに成功した。
ダービーに掴みかかっても、その体が削り取られることは無かった。
それだけ、億泰のパワーは弱り切っている。
しかし、それでも、たとえ自分が死んでも、一度喰らいついたスタンドは解除しなかった。


「なんて奴だッ…… こいつ、脳天にトドメの一撃をくらわせてやるぜッ……!!!」

ダービーが億泰の額に銃口を向ける。
億泰はここで死ぬ……しかし、億泰は満足していた。
今まで誰一人助けることができなかった……
しかし、最期の最期で億泰は音石明を……、『仲間』を助けることができた。


悔いはねえ…… これでよかったんだ………
俺なんか死んでも変わりはいる…… だが、音石は違う………
音石は『首輪解除』ができるかもしれない俺たちの切り札だ…………
荒木に抗うためには、音石の命は欠かせない……
ここで俺が死んでも、音石がリゾットにさえ再会できれば……みんな助かるかもしれねえ……
俺は音石を……助けられたんだ………


すでに体は動かない。
億泰は、最期の力を振り絞り、鉄のように重たい瞼を持ち上げた。
そして、音石が走り去って行った方へ、最後の視線を向けた。

374寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:05:27 ID:???
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」



億泰が最後に見たものは、逃がしたはずの音石明が頸動脈から血の雨を降らし倒れる姿だった。
億泰が最期に聞いたものは、助けたはずの音石明の無残な断末魔だった。
億泰が最期に感じたのは、音石明の傍に立つもう一つの別の気配だった。
億泰が最期に理解したことは、自分は結局、音石明の命を助けることもできなかったという現実だった。


別の……敵……か………ッ!!
チクショウ……結局、こういう結末かよ………ッ!!
最期まで……俺は誰も守れなかった……情け……ねえぜ………

兄貴……すまねえ………
音石……露伴………、すまねえ………
…康一…………、仗……助……………、………………


――――奇妙な銃声と共に、億泰の脳髄は破壊され、心臓が鼓動を停止した。







375寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:06:41 ID:???



「ようF・F……だいたい8時間ぶりぐらいか? あんな小物を取り逃がしちまうなんて、らしくないな……
前とずいぶん姿が変わったようだが、そのせいでもあるのか?」

音石明を一瞬で仕留めた男、ナルシソ・アナスイが軽口を叩きながらF・Fに語りかける。
音石は間一髪で自分を逃がした億泰の方に意識が偏り、後方を気にしながら逃走していた。
前方不注意の音石明の首筋を『ダイバー・ダウン』で切り裂くなど、正面から不意に現れたアナスイには造作もないことだ。

「そいつの力じゃあない、こっちの不良野郎の『諦めの悪さ』にしてやられただけさ……
それに『変わった』……といっても、こいつは前の俺の身体だった奴の弟らしいぜ……
しかも、ついさっきまで荒木の所にいた『途中参加者』だそうだ……
『途中参加者』がいるなんて聞いてなかったが、どちらにしてもこいつに対した情報は『記憶』に無いみたいだけど……」

そして、億泰にとどめを刺したテレンス・T・ダービーの身体を操る者、F・Fも、アナスイに対し軽口で返す。
それぞれ人を一人ずつ殺した後の会話とはとても思えない。
しかし、彼らにとってはごく当たり前の会話だった。
F・Fは徐倫を優勝させるために修羅となり殺人を繰り返しているが、その徐倫自身には敵視されていた。
このアナスイは今のF・Fにとって、唯一等しい目標を持った『仲間』なのだ。
しかし、それにしても、アナスイの様子は以前と変わっていた。

「……『変わった』……と言うならアナスイ、お前もじゃあないのか?
お前は徐倫の為に人を殺すかという問いに「保留だ」と答えていたと思うが……?」

今、音石明への問答無用の一撃を繰り出したアナスイは、明らかに数時間前の彼とは別人であった。
少なくとも以前の彼は、無差別に殺人を行って回るような存在ではなかった。
そう、自分とは違って………

376寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:07:12 ID:???

「あー、そのことなんだが、考えが変わったんだよ………
俺だって、まだ「荒木を倒す手段が無い」と決め付けたわけじゃあ無いんだがな……
ただ、『確率』の問題なんだ――――――」

徐倫と拳を交えたことや花京院との一件があって、嫌ってほど思い知ったのだ。
この町にいる『徐倫の敵』は、なにも荒木だけじゃあない。
本気で優勝を狙っている凶悪な殺人鬼がいくらでも存在する。
荒木を倒すために行動することは間違っちゃあいない。
まかり間違って、荒木を倒す方法が見つかるかもしれない。
何とかして荒木を倒し、正義を志す人間たちが何人も脱出できることができるかもしれない。

―――だが、その時まで徐倫が生き残っているという保証がどこにある?
もし脱出に成功したとしても、その場に徐倫がいなければ、その大団円は何の意味も為さない。
そこに、アナスイたちの『勝利』は存在しない。

花京院との一件や、ティムを殺してしまったことが引き金になったのは確かだ。
だが、遅かれ早かれアナスイは、同じ結論に達していただろう。
いや、これでも遅すぎるくらいだ。
つまるところ、徐倫はアナスイの全てであり、徐倫が死んでしまってはアナスイは存在する価値が無い。
徐倫が生き残るには、確率の薄い脱出に懸けるより、徐倫を優勝させる方が最善で確実。
たとえそれが自分の死を意味するとしても、アナスイにはなんの後悔も残りはしない。

そして、多くは語らずとも、F・Fはアナスイの決意を理解する。
F・Fもまた、アナスイと同じ考えを持っているからだ。

377寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:10:53 ID:???
「なるほど……。……いいだろう、わかった…………」

F・Fは二つ返事で了承する。
申し出を断る理由はどこにもなかった。

ダービーの身体が力無く倒れ、中から剥き出しの『フー・ファイターズ』が姿を現す。
そしてアナスイを殺さぬよう細心の注意を施しながら、ゆっくりと身体に侵入していく。
アナスイの身体に奇妙な感覚が広がっていく。
それは気味が悪くもあり、また心地よくもある不気味な感覚だった。


―――これでついに、俺も人間をやめちまったってことになるのかな……
だが、そんなことは大して問題にならない………
どうせ俺はあと数時間で死んじまうんだ……………
そう、徐倫以外の人間はすべて……もうすぐ死ぬ運命なんだからな――――――――――


アナスイとF・Fとの『融合』が完了した。
背格好も、肌の色も、見た目は元のアナスイの何も変わっていない。
だが、中身はまるっきり別物……


アナスイは軽く手のひらを何度か握り、首の骨を鳴らしてみる。
さらに軽くダッシュ、ストップ、簡単な動作を繰り返す――――
基本的な動作に問題は無い。
むしろ基本身体能力は飛躍的に向上している。
この身体なら生身でも2メートルの壁を助走なしで飛べそうだ――――


アナスイが指先に力を集中させる―――
すると、指は形を変え、人差し指の先に銃口が生まれる。
2〜3発試射―― コンクリートの塀に穴が開いた――――――
F・F弾、使用可能――――――


水分を補給し、花京院から受けた傷口に力を集中させる―――
体内のF・F細胞が働き、傷口は静かに塞がっていく。
肉体の再生も、可能――――――


スタンド『ダイバー・ダウン』を発現させ、その拳をコンクリートの地面に向けて振り下ろす。
すると衝撃と同時に地面は形を変え、足元には巨大なクレーターのような跡が残った。
『ダイバー・ダウン』、大幅なパワーアップ――――――
『ダイバー・ダウン』に『フー・ファイターズ』のパワー、上乗せ可能――――――

378寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:11:26 ID:???
(すごい……なんてパワーだ………これならあのエシディシとも対等に戦える……)
(これからどう動くべきか……どちらにしろ徐倫に出会うのはマズイ……)
(花京院を探すことにするか? アナスイが『乗っている』事は、現時点では奴しか知らない……)
(いや、それより後数分で放送が始まる…… 安全な場所で放送を聞く準備をした方がいい…… 徐倫の安否も確かめられる……)
(それがいい、コロッセオなんてどうだろうか…… 中は身を隠すところは多いし、俺がさっき覗いた時は無人だった…… ここからの距離も近い……)

まるで自分の脳内で二つの人格が会話をしている、そんな妙な気分だった。
どっちのセリフがアナスイで、どっちのセリフがF・Fなのか、自分でもよくわからない。
アナスイは完全に、人間をやめてしまった。
人間の肉体と、プランクトンの知性と、最強のスタンドを携えた寄生獣に変貌していた。


少し前に、北の空に隕石が落ちるのが見えた。
ウエストウッド看守は死んだはずだから、あれは誰かが奴からDISCを奪ったということだろうか?
あれを見たら、徐倫は北へ向かうだろうか?
向かうだろうな……、彼女はそういう人間だ。
だとしたら、あまり北へは行けないな……
よし、これで放送後の目的地も決まった。
ダービーの記憶に見た、ナチス研究所のエシディシと、決着をつける。
恐らく、この殺し合いで一番の危険人物……
徐倫を殺してしまうかもしれない、最も危険なこの世の悪魔だ……
エシディシさえ始末してしまえば、徐倫が生き残る確率が格段に上昇する。

必ず打ち砕いてみせる………
俺の……私の………
『ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ』で…………!!



【音石明 死亡】
【虹村億泰 死亡】
【F・F 便宜上死亡?】

【残り 15名】

379寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:12:18 ID:???
【F-3北西部/1日目 真夜中】

【ナルシソ・アナスイ with F・F】
【スタンド】:ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ
【時間軸】:アナスイ…「水族館」脱獄後、F・F…DアンG抹殺後
【状態】:健康、全身にF・Fの細胞が寄生し、共存している。
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×5、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー2つ(スイッチOFF)、ラング・ラングラーの不明支給品(1〜3。把握済)、テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、ノートパソコンの幽霊
※基本支給品はアナスイ、ラングラー、ティム、ヴェルサス、音石の五人分です。
 音石の水はF・Fが回復に利用しました。その他食料、水がどれだけ残っているかは不明です。
【思考・状況】
基本行動方針:空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる。そのために、徐倫以外の全ての参加者を殺害する。
0.F・Fと融合し、人間をやめた。もう恐れるものは無い、皆殺しにするだけだ。
1.コロッセオに隠れ、第4回放送で徐倫の安否と残り人数を確認する
2.放送後、ナチス研究所に向かい、エシディシと決着をつける。
3.アナスイがゲームに乗っていることを知る花京院を始末する。
  しかし、どこへ行ったかはわからないので後回し。
4.徐倫には会いたくない。

380寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:12:49 ID:???
【備考】
融合前のアナスイの情報
※マウンテン・ティム、ティッツァーノと情報交換しました。
 ブチャラティ、フーゴ、ジョルノの姿とスタンド能力を把握しました。
※ラバーソールとヴェルサスのスタンド能力と容姿を知りました。
※首輪は『装着者が死亡すれば機能が停止する』ことを知りました。
 ダイバー・ダウンを首輪に潜行させた際確認したのは『機能の停止』のみで、盗聴機能、GPS機能が搭載されていることは知りません。
※ヴェルサスの首筋に星型の痣があることに気が付いていません。
※F・Fが殺し合いに乗っていることを把握しました。
※ポルナレフが得た情報について知りました。
※マウンテン・ティムと改めて情報を交換し、花京院の持っていた情報、ティムが新たに得た情報を聞きました。
※ティム・ヴェルサス二人分の支給品を回収しました。

融合前のF・Fの情報
※リゾットの能力を物質の透明化だと思いこんでいます。
※リゾットの知るブチャラティチームの情報を聞きましたが、暗殺チームの仲間の話は聞いていません。
※リゾットから聞いたブチャラティチームのスタンド能力についての情報は事実だと確信しました(ジョルノの情報はアレッシーの記憶よりこちらを優先)
※ダービー兄とアレッシーの生前の記憶を見たので三部勢(少なくとも承太郎一派、九栄神、DIO、ヴァニラ、ケニーG)の情報は把握しました。
※ダービー弟の生前の記憶を見たので、ゲーム前半の荒木の動向、ナチス研究所に集まっているリゾットたちやエシディシの情報を把握しました。
※エシディシは血液の温度を上昇させることができ、若返らず、太陽光に弱く、スタンドを使えると認識しました。 (太陽光が致命傷になることも把握)
※自分の能力について制限がある事に気がつきましたが詳細は把握していません。
※ディアボロの能力を『瞬間移動』と認識しています。
※FFが捨てた支給品(デイパック×2、壊れた懐中電灯、加湿器、メローネのマスク、カップラーメン)がF−3南部に落ちています。
※第三回放送を聞きました。徐倫とアナスイの名前が呼ばれていないこと、プッチの名前が呼ばれたことだけは確認しています。

融合後の情報
※アナスイ、F・Fの人格が融合しました。
 基本はアナスイですが、今後どうなっていくかはわかりません。
※F・F弾や肉体再生など、原作でF・Fがエートロの身体を借りてできていたことは大概可能です。
※『ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ』は二人の『ダイバー・ダウン』に『フー・ファイターズ』のパワーが上乗せされた物です。
基本的な能力や姿は『ダイバー・ダウン』と同様ですが、パワーやスピードが格段に成長しています。
 普通に『ダイバー・ダウン』と表記してもかまいません。
※アナスイ本体自身も、スタンド『フー・ファイターズ』の同等のパワーやスピードを持ちました。
※その他、アナスイとF・Fがどのようなコンボが可能かは後の作者様にお任せします。
※ジョナサンの『プラネット・ウェイブス』による隕石を北の空に目撃しました。
 徐倫が向かっているかもしれないので、しばらくコロッセオの北には向かうつもりはありません。


※【F-3 住宅地】の地面の一角に『ザ・ハンド』によって開けられた人間一人分が通れる穴が開いています。
 穴は真下を通る地下鉄のトンネルにつながっています。
※億泰、音石、テレンスの遺体のそばに、怪物だったものの肉片とF・Fの携帯電話、地図、名簿の残骸が落ちています。



381寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:13:35 ID:???





「あぁ……億泰さん……音石さん………っ!!」

何の変哲もない杜王町住宅地の一角で、空へ上っていく魂を見つめ、杉本鈴美は涙を流す。
この数時間は、鈴美にとって地獄のような時間だった。
そんな彼女の悲しみを煽るように、背後から語りかけるのは、荒木飛呂彦。

「ふっふっふ…… 鈴美さん、残念だったねえ………
岸辺露伴に川尻早人、片桐安十郎に山岸由花子、そして今回の虹村億泰に音石明……
君のこの町の住人が立て続けに6人も………
これで杜王町の住人は全滅かな? ……いや、まだ一人残っていたかッ!
君の大好きな、吉良吉影くんがねッ!! ハ――ッハッハッハッハッ!!!!!!」

高笑いする荒木飛呂彦を睨みつけたい衝動を堪え、杉本鈴美は視線をそむける。
荒木は、人が苦しんでいる顔を見ることを楽しんでいる。
自分が荒木に怒りをぶつけても、荒木はそれを喜ぶだけなのだ。

露伴ちゃん、由花子さん、早人くん、億泰さん………
みんな死んでしまった。
これで自分のことを、この『場所』を知る者が誰一人いなくなってしまった。
ここはダービーズ・アイランドと同じ、荒木の隠れ家の一つに過ぎない。
しかし、この場所を知っている人がいれば、逆転の一手につながるかもしれなかったのに……

鈴美が館の中へ戻っていく。
元々自分の家があったそこには、趣味の悪い洋館がそびえ立っている。
どうせこの路地から出ていくことはできない。
しかし、このままここで荒木飛呂彦の雑談に付き合うことだけはご免だった。


「あれ?部屋に帰っちゃうのかい? 外の方が、殺しの空気を生で感じられて心地いいのにな……
それにしても、こんな結末を迎えるとは思わなかったなあ……
首輪のないF・Fをいつまで特例で生かしておくか考えていたが、放置しておいて正解だった。
彼らは自分から、運命をより面白い方向へ動かしていく。いやいや、実に面白いよ。
彼ら二人組が生き残ったあかつきには、二人を優勝者として認めてあげよう。
もっとも、彼らは優勝する気なんてさらさらないみたいだけどね……」

荒木飛呂彦はやんちゃな子供のように腰かけていたポストから飛び降りた。
面白いのは何もF・Fやアナスイたちだけではない。
つい今しがた決着のついたジョースター家とツェペリ家の因縁をかけた最期の戦いも見物だったし、エシディシたちやディオ吉良ディアボロ組だって、面白いことになっている。
もうじき6時間ぶりの放送の仕事もあるし、荒木のテンションは上がる一方であった。

「やべっ 踏むとこだった!」


杜王町の忘れられた一角に、子供のような性格をした、悪魔のような男が一人、笑っていた。

382寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:14:14 ID:???


【F-4 杉本鈴美の幽霊の小道/1日目 真夜中】

※現在、荒木はここから会場全体を観戦しています。
※侵入不可。脱出不可。
 杉本鈴美はゲーム開始時からこの路地に閉じ込められて、自由に出ることができません。(たとえ振り返らなくとも)
※旧杉本邸のかわりに不気味な洋館がそびえ立っています。
※ここはダービーズ・アイランドと同じで荒木のアジトの一つに過ぎません。
 他にいくつのアジトがあるかはわかりません。
 少なくともここに宮本輝之助(エニグマの少年)はここにはいないようです。
※荒木はF・Fを便宜上死亡とし、放送でも名前を呼ぶつもりです。
 しかし、F・Fの『知性』は文字通りまだ滅んでいません。

383寄生獣 ◆vvatO30wn.:2011/02/10(木) 16:15:13 ID:???
以上、投下終了です。
代理投下の方、ありがとうございます。

384 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:38:08 ID:???
投下します

385天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:40:15 ID:x6zpMM.6
(一回10秒――4分なら、16回が限度か。単純に計算すれば)

首輪越しに忠告された、制約。
意味することをおおむね理解し、逆算する。
しかし、6分――同じように概算した場合、36回――も時を飛ばした思えはない。

(『エピタフ』の発動も、含まれているのだろう)

しかし、『時を飛ばす』という原理では、墓碑銘が示す未来予知も同じカテゴリーに当てはまる。
施された呪縛は相当に厳しいものである。
それでも、荒木の囁きはディアボロの心変わりを誘発するものではない。

(だが、それ以前に俺はおそらく――)

懸念は別にあった。

「吉影。お前が前衛、俺は後衛だ」
「偉そうに言うなよ、貴様」
「左手の無い俺を前に出すのか? 正気とは思えんな」

ディオが鼻で笑う。
左手を爆破し、ディオが積極的に出れない原因を作りだしたのは吉影だ。
遠まわしに非難する言い回しなのは明らかだが、吉影は自省などするものかといった含みを持たせてディオを睨み、舌を鳴らす。

「臆病風に吹かれて、途中で逃げるんじゃあないぞ」
「まさか」

激昂して殴りかかりなどすれば、非を認めたことになる。
吉影がディオに強い言葉を投げかけても、どこ吹く風と聞き流す。

奇妙な光景だ。
時代ごとの因縁の発端、その三者が異なる胸の内を秘め、集おうとは。
ディオに継承された、悪意の宿る純白の大蛇を含めれば、四者四様の邪悪の本流が場を同じくすることとなる。
それも奇妙だが、しかし。

それ以上におかしな光景が、ディアボロの目の前にある。
弾丸軌道の『過程』を吹き飛ばして『結果』を残したのだから、死体が二つ出来あがっていてもおかしくないのに。
ジョナサンが掃射した弾丸による傷跡は、いずれも急所を外れ、大した出血もないのだ。

(銃創があると言うのに俄然元気だ。奴らが特別、丈夫だからか? そんなはずはない)

特に痛みに悶えたり、傷口を抑えたりする様子もない。弾丸が当たる『結果』を残したはずなのに。
ディアボロは理解している。

(弾丸が当たるという『結果』は、リゾットの時のように完全に命中した後の『結果』ではなかった。ゆえに、二人に対処する時間が生まれた)

飛ばす時間が、僅かに短かったから。
現前した『結果』は、二人に弾丸が命中する直前だったために、致命傷を与えることはなかった。
無論、ディアボロは能力発動の際、手を抜いていない。

(分かっている。俺には仲間が出来た。早人、露伴、億泰、シーザー、そして、ポルナレフやジョセフ)

従え、意のままに動かす部下と、志を共にし、歩む仲間は違う。
悠久の死罪を迎える以前も最中も、決して得られなかったもの。
永らく孤独と辛苦しか味わえなかった彼の心に、仲間は間違いなく救いをもたらしただろう。

386天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:40:51 ID:???
(かつてとは、変わりすぎた)

だが、その出会いに、ディアボロは影響され過ぎた。
『キング・クリムゾン』は、真に未来へ突き進むことを恐れるディアボロの本分が生み出したもの。
仲間を手に入れ、前を見ることに対して怖れを無くしたディアボロの変化は、絶大なものだった。

(『キング・クリムゾン』が、俺のか弱い精神から生まれたのであれば……俺はいずれ)

スタンド能力を、変容させるほどに。弱体化させるほどに。
荒木が手を施すまでもなく、『キング・クリムゾン』は、王という不相応なメッキがはがれて行くだろう。
『エピタフ』で都合の悪い未来を読み取れれば。『時を吹き飛ばす能力』で都合の悪い未来をかき消すことができれば。
その望みは、能力云々ではなく、単純に未来を長く見据えた場合に関しては、ディアボロ自身によって否定された。
彼は不都合な未来を恐れなくなってしまったから。仲間を心の拠り所とすることが出来るようになったから。

人の成長は、未熟な過去に打ち勝つことだ。
では、未熟な過去から生まれ出づる『力』は、未熟を克服したときどこへ向かう。
解の一部を、ディアボロは証明した。

(時を、飛ばせなくなるだろうな)

拡声器による少女の叫びを聞きつけてから、ポルナレフとの邂逅から逃走を経た際、何度か時を飛ばした。
その後の疲労は、スタンドの変化の予兆だったのだろう。
行きつく先は、おそらくスタンド能力の喪失。
『シアーハートアタック』の爆発から逃れられたのは、ギリギリで対応できたという運の良さがあったから。
そんな幸運、長く続くはずがない。このままでは、苦戦は避けられまい。

ディアボロは、それを良しとするだろうか。
強さに裏付けられた弱さを、受け入れるだろうか。
あるいは、弱さに裏付けられた強さを、肯定するだろうか。


  ★


ラバーソールの支給品は、こと実戦に於いてほとんど役に立たないものばかりだった。
戦術や戦略の構築に貢献するか、という面での評価では、CCDカメラは大いに役立ったと言えるだろう。
しかしあえて、もっと原始的なところに立ち戻ってみる必要もある。

バトル・ロワイアルの最大鉄則として、何より、他人に死傷を与えなければならない。
ラバーソールの支給品にそれが出来るとは、お世辞にも言い難い。

ギャンブルチップ20枚はどうか。小型で、少量なら携帯も余裕。『キラークイーン』の手札に加えることが真っ先に考えられる。
しかし、爆弾にするなら油断を誘えるうえ、ある程度の加工が出来る分、角砂糖の方が利用価値は上だろう。
吉影が所持することになったが、多用することはないだろうと、ほとんどデイパックにしまっている。
アイアンボールボーガンはどうか。当たり所が悪ければ、致命傷は与えられるだろう。
しかし、スタンドを用いなければ反動に悩まされる。ディオに至っては片手で扱わなければならず、取り回しが利かない。
さらに、連射が出来ないというのも痛い。鉄球を爆弾の媒介にするのも、二発限りでは気が引ける。
体格的にはジョナサンに渡すのが最善だったろうが、マシンガンを持っている相手にその提案は通るまい。
吉影に必要性はないと判断し、ボウガン、弾丸ともにディオが所持することに。
剃刀と釘のセットはどうか。刃物と言う面では役に立ちそうではある。
しかし、いかんせんスタンドを超えるメリットがないに等しい。手裏剣のように投げ飛ばすなら、射程距離の面でボウガンに利がある。
ディオが全て所持しているが、この分配はギャンブルチップを総取りした吉良に対する不公平感をなくすための措置でしかない。
二分間睡眠薬はどうか。
もはや論外。吉影の持つ紅茶に混入するのが有効だが、見敵必殺の方針なら呑気にお茶会を開いている場合ではない。
裏切りを警戒してか、吉影が持つことに。

残る武器は。

「ディオ、提案したからには働いてもらうぞ」
「当然だ。武器からしてもそれが順当だからな」

ディオが肩に掛けている、サブマシンガン。
残弾も十分にあり、取り回しは容易。ラバーソールの所有物の中では、間違いなく主力の兵装だ。

387天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:41:27 ID:???
「おそらく奴の能力は物質転移に近い何かだ。下手に当てようとするとこちらに返されるかもしれん。足下を狙え」

『シアーハートアタック』の爆発の一件は、認識がぽっかり抜けたために考察が困難。
ジョナサンの銃撃が通り抜けたことから、能力を考察するしかなくなる。
時間を飛ばす、という解釈に至るには、たった一回の時間跳躍では名探偵でもなければとてもじゃあないが辿り着けない。

だが、弾幕を張るという行動は正解だ。
ディオは片手、どう考えたって精密射撃は無理。ならいっそのこと、撒き散らす。
『キング・クリムゾン』は見た目通り、数ある中でもとびきり近距離型のスタンドなのだから、接近しなければロクな攻撃を行えなくなる。
ただばら撒かれただけで、防戦一方、打つ手なしだ。
石やら枝やら投擲しようにも、絶え間ない鉛の雨を掻い潜っての反撃は至難。

回避に専念できるなら、まだいい。サイドに控える吉影が、ただ命令して棒立ち、などということがあるか。
兆弾音が闇夜に響くなか、ディアボロの回避運動を見計らい、吉影が角砂糖を放る。

「『キング・クリムゾン』!」

掻い潜るのは無理と見るや、出し惜しまずに、時を飛ばす。

瞬く間に、世界は砂糖菓子のように脆く決壊、王宮への扉が開かれた。
墨を溶かしたように黒く染まる世界にて、あらゆる弾道がスローモーションと化す。
難なくかわし、吉影に側立って挙動を注視する。
ただ角砂糖を投げたとは考え難い。能力の媒介であるとの見方が妥当。
観察を続けていると、吉影がシャープペンシルの芯を出すように、親指をグッと人差し指に押し付けた途端、角砂糖が四散した。

(能力は把握した。奴が投げる物に警戒する必要があるな)

この時間跳躍の成果は大きい。後は、残された時間をどう活かすか。
いかに全ての動きに対応できると言っても、流れゆく時間は、二人を相手にしているという事実は変わらない。
一先ず血の眼つぶしをしてしまうか――そう考えているさなかで、崩れ落ちた世界が復元し始める。

(やはり短くなっている!)

時は再始動。
目と鼻の先にいる以上、そのままというわけにもいかず、咄嗟に吉影を殴る。
だが悪手だ。止めを刺すことなく、吹き飛ばしてしまってはまた攻撃が当てづらくなる。
不完全な不意打ちにより、吉影がガードに成功したのも痛い。

撃ち飛ばされた吉影が、その勢いのままディオにぶつかって両者転げる。
吉影は即座に膝立ち、服に付いた土ぼこりを払って臨戦態勢を整える。
しかしながらディオは、うつ伏せてからというものの、その手に握られた短機関銃を見つめたまま。
吉影が怪訝な顔を向けた頃にむくりと起き上がったディオがディアボロに向けた顔は、勝利が約束されていると物語るかのように、得意げだった。

「時間を飛び越える能力、か?」

その一言でディアボロと吉影、両者の視線が集うのと同時に、ディオはサブマシンガンを空砲のように上方に向ける。
トリガーを二度三度引いて見せたが、銃口からは何も出てこない。

「俺が気づく前に、いつの間にか弾切れしていた。物質転移なら、この現象が説明できない」

マシンガン内の弾丸を転移したと言う結論に達するわけがない。
時間の無駄だ。そんな暇があるならとっとと殴ればいい。ならば弾はどこへ消えた。
消えたのではない、『ある』のだ。掃射していた場所に、全て。熱を保ちながら。

「認識をおいてけぼりにして時間だけ経過させる、ということか?」
「おそらくな」

残弾が都合よく切れたという不運もあったが、ヒントを与え過ぎた。
ことスタンドバトルにおいて、能力が割れているのといないのとでは、雲泥の差がある。
ディアボロも吉影の能力をおおよそ把握し、ディオの方もDISCを投げつけたことから推測材料はある。
それでもなお、ハンディは残る。

388天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:42:14 ID:???
「再びその能力を使う気か? 一人倒したところで残った一人にやられるのが関の山だろうに」

戦力差は、どうあがいても埋めることができない。
時に干渉する上、連続で発動できないのは『スター・プラチナ』と一緒であると、吉影は経験則から学んでいる。
このタイプ、タイマンならば圧倒的だが、2対1では能力解除後の隙を狙われやすい。

「私の平穏のため、踏み台になる覚悟は出来たか?」

怯えろ、すくめ、絶望せよ。
騒乱が必然と歴史が証明するのなら、弱者の淘汰も、また。

「覚悟とは、諦めの精神ではない」

されど、吉良吉影は『覚悟』を履き違えた。
今こそ言おう。命を安く見ていた頃の自分には見いだせなかった教訓を。
今こそ言おう。彼の誇り高き精神から学んだことを。

「暗闇の荒野に進むべき道を切り開く、その心こそ覚悟なんだ!」

鎮まることのない魂が彷徨う、死と言う名の無限回廊――抜けた先、暗闇の荒野を切り開いて見せたのは、一人の男の覚悟だった。
絶望の淵に立たされようと、犠牲でも、諦めでもない姿勢を貫いた。
彼から託された志、その意味を、履き違えたりなぞするものか。

「無駄口を叩いたな」

ディアボロの高説に賛辞も嘲笑も挟まず、突如、ディオが口を開く。

茂みより飛びかかる、大男の影。
いや、遠隔操作でディオから広く離れた『ホワイトスネイク』だ。
ディアボロを羽交い絞めにしようと、掴みかかるも。

「抑えられるとでも!」

距離が離れれば離れるほどパワーが弱くなる、と言うのはスタンドを扱う上での大前提だ。
吹き飛ばされたという不運があったとはいえ、いかんせん距離が離れすぎた。
更に、左手首を喪失しているのでは拘束は緩くなる。

「抑えてもらうさ!」

それでも、吉影がその僅かな隙を見過ごすわけでもなく、ディアボロ目掛け角砂糖を弾く。
ディアボロは、自身の能力への対策を即席で組み立てた敵の順能力に歯噛みする。
時を飛ばしたところで、身動きできなければ何の意味もない。
いかに縛りがやわなものでも、振りほどくより先に心臓一直線に迫る凶弾がディアボロに到達するだろう。
来るべき『結果』は、三者誰にでも予想できるもの。

「チィッ!」

ディアボロの右足が、股関節を中心に縦の半円を描く。
爆裂音。
白煙発するは、消し飛んだつま先。噴き出す鮮血が地表に染みわたる。

「足を犠牲に!?」
「犠牲ではない!」

振り上げた勢いのまま、元の軌道を辿り、振り子のように足を振り下ろす。
『ホワイトスネイク』のすねに『キング・クリムゾン』の踵が直撃。
ディオがたまらず呻き声上げるも、近距離は『キング・クリムゾン』の独壇場、ここで終わるわけがない。

「勇気だ!」

距離の条件が互角だったとしても、その敏捷性は他の追随を許さない。
『キング・クリムゾン』が『ホワイトスネイク』の鳩尾に肘打ち、たたらを踏んだところで追撃の裏拳。
『ホワイトスネイク』がもんどり打つのに合わせ、ディオもまた、馬力の違いに地面に背を滑らせる他なかった。

「何をしているッ! この役立たずが!」

盛大に舌を打ち、癇癪を起した吉影。
腹部を抑えてうずくまるディオは、見返すことさえ出来ずに悶え、地べたを這うのが限界だった。
目論見外れたあげく戦力が減ったとなれば、いかに紳士を演じるのに慣れた吉影でも、ささくれだつのは無理もない。
にもかかわらずディアボロは、先の一言に違和感を払拭できず、間合いを詰められずにいた。
確かに、ロクに拘束を行えなかったのは事実だろう。
焦りがあるなら、射程距離の事情など忘れていてもおかしくはない。

では、相方を罵る割に、唇端が僅かに吊り上っているとはどういうことか。

389天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:42:45 ID:???
「ぐッ!」

突如背後から感じた重みに、頭部ががくんと上下に揺れた。ディアボロが膝をつく。
『ホワイトスネイク』の手には、鉄球既に放たれたアイアンボールボウガン。茂みに隠していたもの。
パワー不足で反動をもろに受け、狙いがぶれたため、頭頂部をかすめる程度しか当たらなかったが。

ディアボロは咄嗟に上目遣い、視線の高度を元の位置に戻そうとするも。

(上が……見えないッ!)

ずるりと這い出た弾力ある薄板が、ディアボロの視界を妨げる。

吉影の一言は、フェイク。
頭部からはみ出すスタンドDISCは吉影にも見えており、そこからディオの作戦が見て取れたようだ。
銀板が顔を覗かせていても、パワーでは押しきれず取り出すのはさすがに難儀する。だが、ちょいと衝撃を加えればずり落ちる。
そうなればしめたもの、低い姿勢に持ち込めば帽子のつばを下げたみたいに邪魔になる。
『ホワイトスネイク』はディアボロに触れ続けるため守りの体勢が取れず、ディオは攻撃をもろに食らうことになったが。
アイアンボールボウガンを射るのが精一杯だったが、勝敗は間もなく、決する。

「次の爆弾で終わりにしてやるッ!」

スタンドの脚力を借り、吉影がゆうに5メートルはジャンプする。頭上はディアボロにとって完全な死角。
時間がない。取れる行動は限られる。
時を飛ばしたところで、アクティブに動けないのなら動かないのと同じ。爆弾が放たれ、ディアボロに接触すれば終わりだ。

ディアボロは、瞬時にデイパックに手を伸ばし、目当てのものを引き当てた。

「上に跳んだというのならッ!」

天に放つは、電源をつけ、秘めたる輝きを露わにした懐中電灯。
その光輝、暗闇に慣れた目にはつらいものがあり、自然、吉影は怯み角砂糖の投下位置がずれる。
まさに好機。

「くっ、だがしかし! 目を潰したからって、どうなるわけでもないだろう!」

それでも、文字通り上下の構図が入れ替わるわけではない。
このまま吉影が重力に従い馬乗りにでもなれば、勝敗は決する。
ディアボロは自らに近在する半身を格納。

「懐中電灯は、お前の目を潰すためだけに投げたわけじゃあないッ!」

普通、見たいのに遮蔽物によって前が見えないのなら策を弄してでも見ようとするだろう。
敵が肉薄し、対処しなければならないのなら、なおさら視界を取り戻さなければならない。
しかし、ディアボロが見たのは足下。

「俺の『目』にするためだッ!」

ディアボロが見たのは、懐中電灯を通して移る、吉影の影。互いの距離。
吉良吉影は天から泥を見た。ディアボロは泥から星の光を通して天を見た。
影が自分に重なる瞬間。

(「2……メートル」!)

信頼を置いた、元部下の声がした。
二つの声が重なるように、思考が融合したかのように。

(そうだな、ドッピオ……『友』である、お前もいた)

ディアボロは己の右腕で、空切るように天を突く。
その勢いのまま、スタンドヴィジョンを腕のみ発現し、拳から伸ばした。

「届けェェェェェッ!」

自分の身長に、伸長させた腕2メートルを加えることで、ヴィジョンを出したままの吉影の射程を上回る。
その技、ジョナサン・ジョースターがウィル・A・ツェペリから受け継いだ技のように。
その形、文字通り人類を喰い散らかす、吸血鬼という巨悪を打ち砕くため織り成されてきた技のように。

――ズームパンチのように!

390天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:43:26 ID:???
「グアアァァァッ!」

アッパーカットで不意食らった吉影が、後方にグルンと一回転して地面に叩きつけられる。
歩み寄るディアボロ。しかし、踏み込んだ足下に角砂糖。
策を警戒し、接触型ではなく着弾点火式にしたのが幸いした。
これはチャンスとばかりに、サムズアップするも。

「オラァッ!」

起爆より早く、『キング・クリムゾン』が垂直に拳を振り下ろす。
打突された『キラークイーン』の右手が、脆くなったガラス細工のようにひび割れた。

「うぐぅあっ!」
「スイッチは砕いた……。もう……押させるものか!」

吉影、『キラークイーン』の左手を支えにして起き上がる。
だが、身を起こしたところで地に足は付いた。重力のまま大地に立っているのなら見えている。ディアボロには見えている。

「この……このクソカスがあああああ!」
「『キング・クリムゾン』!」

ディアボロ、再びスタンドの全身像を発現。吉影の胸ぐらをつかんで持ち上げる。
前が見えない? 前には居るのだから、そう深刻に捉える必要はない。
数を撃てば当たるのだ。

「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル」

いざ放たれん、断罪の流星群。
数百、数千、数万と叩きこむ。

「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル」

吉影の右手より溢れる血しぶきがベタリとかかろうとも。
骨が軋み、折れる音が響き渡ろうとも。
タコの吸盤のように、四肢、胴体、顔面各所がボコボコとへこもうとも。
叩いては引き、叩いては引きの連撃はめまぐるしく、途切れることなく。

「ヴァオール・インフェルノ(地獄に行け)」

静かなる宣告。最後の一撃で、吉影は宙へ舞い上がる。
それを見届けるディアボロは、仁王立ち。
まだ、倒れるわけにはいかない。背後に控えているであろうスタンドの対処を行わなければならない。

その必要はなかった。
ディオは『ホワイトスネイク』のヴィジョンを既に戻し、吉影をキャッチさせていたのだから。
残る敵の対処に追われるのはディオとて同じ。

「ここは、退け……!」
「怖気づいたか!」
「策なら、ある……」

『ホワイトスネイク』に引き寄せられ、ディオの耳元で囁いた吉影に対し、偉そうに、と悪態付くディオ。
吉影はまだ生きていた。前が見えなかった分、乱打が半分ほどしか当たらなかったと言う僅かばかりの幸運が働いた。
無論、ディアボロにとっては不幸なのだが。

「……なるほどな」

息巻いていたディオは、しかし、暫時を挟んだのち、ぼそりと低語の声で了承しすぐさま退却する。
すぐさまと言っても、ディオ本人の動きは決して速いものとはいえない。未だ癒えぬ内臓の痛みに腹部を抑えている。
重しにしかならないサブマシンガンは投げ捨てたが、全力疾走とはお世辞にも言えず。

ただちに追走すれば、背を向けていることもあり決着はすぐに付くだろう。
そう思いディアボロが前に駆けようとするも、つま先の激痛により立ち止まるほかなくなる。

「足を潰された以上、追撃はさすがに無理……か」

立ち去る二人の背が小さくなったころ、ディアボロが腰を下ろす。
危ないところだった。傍目には華麗なる逆転劇だったかもしれないが、消耗戦ではこちらが不利だったろう。
シーザーの無事を確かめたいが、激戦を終えた今は休む必要がある。動こうにも、足の処置が急務だ。

391天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:43:58 ID:???
「いや、こっちが先だ」

頭部から伸びた、ゴム板のような何かに触れる。
何かが頭の中で滑るような感触がしたんだが、と呟くものの、主観ではどうなっているか分からない。
抜け落ちるように滑ったのだから、逆方向に入れてやればいいのか? と、単純な考え方で押し込む。
奇妙な事に、それで元通りになった。擦って、継ぎ目一つない、元の額の丸みを確認する。
視界が開け、ふと、封じられていた反動からか上を向く。

「綺麗な星空だ」

溜息をつく。
一つ一つが煌びやかで、作り物のプラネタリウムとは思えないくらいに。
恒久地獄に心身を削られた記憶しかない頃の夜とは、こうも違う。夜闇の中に光を見いだせるのだから。
暗闇の中にある光明は、得てして人を落ち着けるらしい。天の光は全て星。ディアボロは、その片鱗を見た。

だが、まだ見るべき光がある。

川尻早人は、フーゴに人質として捕らわれた際シーザーに『僕に構わずこいつを倒せ』と言った。
だがディアボロは、フーゴに引導を渡すのに抵抗を感じ、とどめを刺せないまま選択をブチャラティたちに譲る。
ディアボロには足りない。早人のように、善悪を超越した意思が。『漆黒の意思』が。
受け身の対応者であり続ければ、おそらく繰り返される。

己の意志以外全てをなげうってでも遂行すべきことがあるのなら、ディアボロは再び時を飛ばせるようになるだろう。
だが、元通りになることが真の強さとは限らない。取り戻した時、再び悪に堕ちないという保証はない。
本当に力を失うことが本望なら、受け入れるほかないだろう。
力尽きるその時まで。


  ★


「この私が……なんて無様なッ!」

なんてスピードだったんだ……! 空条承太郎みたいに速すぎるッ!
パワーのあるスタンドのラッシュなんぞ、そう何度も経験したくはなかったと言うのに!
寝転がって楽な体制を取っても体の節々が痛む……ああ、血も出てるし、涙も流れてきた!
どいつもこいつも邪魔ばかりしやがって! だがあいつは重大なミスを犯したッ!

「しかし、私の勝ちだ! 私の能力をちょっぴり封じ、調子に乗ったようだが、あのクソカスの命運は尽きた!」

触れたものは何であろうと爆弾に変えられる。だが爆弾に出来るのは一度に一つだけ。
だから私は、角砂糖を起爆する前に爆弾化を解除、タコ殴りにされてる間『私の右手から出る血しぶき』を爆弾に変えた!
あの一撃、手加減なんざまるでしなかったんだろうが、出血量が増えてむしろ好都合というもの。
東方仗助……お前は実に厄介な奴だったが、あの時の戦闘で得たものは決して無駄じゃあなかった。
何せ、自分の血液を武器にするという発想はお前譲りのものだからな。
かつてないほどに心の平和を乱した貴様のおかげで、私は勝利する。『命』を『運ぶ』と書いて『運命』とは言ったものだ。
奴の五体が既に爆弾! 接触型だとこちらに被害が出る恐れがあったので、着弾点火式のな!
手首を切断しなかったのがお前の甘さだ! さあ発火してやる。何が起こったのか分からないままあの世に送ってやろう!

「スイッチを……押すんだ。スイッチを……」

せっ……せっ……せっ……押せ……押せ……押せぇっ……!

全神経を集中させても、左手を添えても、かじかんだかのように震えが止まらない……だと?
奴め、手の甲が砕けるぐらいに強く殴りやがってッ! 関節が折れ曲がって、上手く握ることが出来ない!
ただ握りこぶしを作って、親指を人差し指にくっつけるだけで起爆するというのに!
ここまで来て……ここまで来たと……いうのにッ!

「上手く動かないようだな。『右手のスイッチを押せ』と、DISCで命令するか?」

隣に座るディオが提案する。
その声、冗談めかしたり、調子こいて見下したり、嘲る類のもの、いずれでもない。
確かに『参加者を殺して回る、この過程において、我々は絶対に協力し合う』とは言ったが、戦闘前の皮肉と言い、こいつは私を確実に恨んでいる。
いやに協力的なその言葉、信用すべきか?

「貸し借りなど気にするな。邪魔者は減らさなければならないからな。それより、察したあいつがこちらに向かうのは避けたい」
「た、頼む……」

392天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:46:13 ID:???
そうだ。気に食わないが、右手どころか全身こうなってしまった以上、結局は怪我の処置だってこいつに頼らねばならんのだ。
くだらないプライドなんぞ気にしていられるか。平穏を手にする犠牲としては些細なものじゃあないか。
即決。

ぬるりとした感触で、脳に盤が挿入されるのがわかった。

左手が胸元を探る。
無意識下の行動だったが、何をしようとしているか理解した。必要なモノは普段はここに入れているからな。
胸元を離れた左手がズボンのポケットから取り出したのは、角砂糖。無論、甘いのを欲しているわけではない。使うのは、入れ物となっていたハンカチだ。
右手に巻きつけ、左手と口を使って縛る。強引にではあるが、拳の形は出来た。
布が巻かれていなければ直視できないであろうグチャグチャな握り。ハンカチが鮮赤に染まり、溢れ、収まりきらず滴るのがわかる。
DISCなしではきっと悶え苦しんでいただろうが、まるで痛みはない。
来る勝利に向けて鼻歌の一つでも歌ってやりたい気分だ。

「ハハッ……これで、私の平穏は、また一歩、近付く……」

あの日々を、争いの無い日常を取り戻す。
このクソゲーム、深夜からの馬鹿騒ぎで寝つく暇なんぞありゃしなかった。
夜8時には仕事を切り上げ帰宅する、11時には床に就く――平穏どころか、こんな簡単な日々の習慣まで崩されてしまったじゃあないか。
天井を見上げる目が霞む。ああ、日課を語ってしまうほどに、私は眠りを欲している。ここにきて、積もり積もった疲労が一気に圧し掛かってきたのだろう。
睡眠に移るにしてはいつもと違う。何だか体が強張る。そうだった、銃創やらなんやらが痛むのもあるが、寝る前には柔軟体操をするのが日課だったな。
布団で暖まるのも重要だが、人肌に温めたミルクを飲んで、胃を通し内部から体を温めるのも大切な事だ。
しかも、牛乳に含まれるトリプトファンとかいうアミノ酸は、脳内でセロトニンという睡眠物質をつくる材料となるらしい。
そうやって疲労やストレスを残さない安眠を確保していく。日々の細やかな努力が健康を生み出すというのに、何故乱されなければならん。
そうだ、私が何をした? 争いを好まず、あまつさえ健康にも気を配れる、社会人の鏡みたいなもんじゃあないか。
性癖がどうした。秘密の一つや二つ、人間なら持って当たり前だろうに。むしろ、処理の仕方を誤らない私が自制の効かないクズと一緒くたにされてたまるか。
闘争が新たな闘争を生むのは自明なのに、わきまえず、ひたすらに欲を満たそうとしてキリの無い、虚しい行為に身を投じる奴らが私は嫌いだ。
……眠りを欲しているとか何とか言っていたわりに、もうギンギンに目が覚めてしまった。
今現在の就眠を妨げるのはストレス要因だけではない。DISCで命令されても負傷は堪えられないのか、手の震えが止まらない、というのもある。
だが、眠れないのはかえって好都合なのかもしれないな。私はまだ、眠るわけにはいかない。ここでしばらく眠ったってあの朝はやってこない。
頬どころか全身痛むんだ、覚めない以上これは現実、夢じゃあないというのは腹立たしいほど理解している。
……そうは言っても、平和が恋しい。ここで眠って、悪夢が覚めて、昔に帰れればいいのに。
目覚めた先が何一つ変わりないいつも通りの朝なら、朗らかな陽光を浴び心地よくなったところで、しのぶがウェッジウッドのハンディングシーンで朝の紅茶を――

――何故、ここで川尻しのぶが出てくる?

まあ、いいさ。
ここの参加者や、正体を知る早人を始末するのが重要で、川尻家は後から考えればいいし、どうとでもなる。
無事戻ったところで元の世界では騒ぎを起こしてしまったんだし、下手な事は出来ない。川尻しのぶの『手』はしばらく我慢せざるを得ないだろうな。
もう父も母もいない……二人だけ、夫婦揃って仲良く生活、か。

悪くないかもしれない。

こんな掃き溜めみたいな惨めな環境よりは、よっぽどな。

カチリ。


  ★

393天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:47:11 ID:???
ポン、と、誕生日パーティーで鳴らすクラッカーのような破裂音が鳴り響いた。
被害者はきっと、何が起こったか認識することも、反射で認識を超越することも出来ない。痛みは一瞬だ。
命を奪う音にしては静かで、淡白で、それがまた残酷だった。

「俺のように爆発を食らった感想はどんなものなんだろうな?」

ディオは明日の天気を尋ねるぐらいに軽々しく、質問した。
命を奪ったにしては――などとまた続けてしまうと、人の命は重いのかと、哲学的な方面へ持っていくみたいで野暮だ。
ディオにしてみれば命は軽い。ディオの見据える肉塊に、かつて命の重さがあったとしてもだ。

「まあ、聞くだけ無駄か。恨むなよ。規約通り、俺は直接手を下しちゃあいない。それに今のは、参加者を減らすための共同作業だ」

視線の先には、口から赤黒い液体を吐き散らした躯、吉良吉影。

ディオは嘘をついた。DISCに命じたのは『右手のスイッチを押せ』ではない。
下した命令は――『自分の心臓を爆弾に変えて起爆しろ』。

『参加者を殺して回る、この過程において、我々は絶対に協力し合う』――ディオと吉影は、協力して吉影を絶命させた。
『各々、最後まで同盟者には手を出さない』――止めを刺したのは吉影自身。
ディオは、あくまで規約に則り、吉影を不帰の道へと突き落とした。
誰が文句を言えようか。少なくとも、同盟者の誰からも、非難を受けることはない。
吉影が地獄の底から抗議しようと、規約を立てた者自身が規約に殺されたのだと言われたら、返す言葉があるだろうか。

「俺が『参加者を殺して生き残る事を目的としている』、と判断したようだが……ただの思い込みだ。
 ジョージが死に、遺産の継承がほぼ確実となった今、俺から積極的に殺しに行く理由はない。お前が片手を消し飛ばしたこともあるしな。
 なんにせよ、ボロ雑巾のようになったお前なんぞ、数を減らすには一番の邪魔者だ」

吉良吉影は思い出せなかったのか。
止めを刺したのは由花子とはいえ、空条承太郎を殺害する御膳立てをしたのは自分だということを。
敵対する者同士が手を組む、その結果を自身が体現したことに気が付かなかったのか。
吉良吉影はかつて空条承太郎がそうであったように、透き通る薄氷を渡り、踏みぬいた。
前例を知っていながら同じ轍を踏んだのだ、なおさらタチが悪い。

「ジョナサンは離れ、御し難い殺人鬼どもは行方知れず。盾になるものが近くにいなくなった今、同盟のメリットは消え失せる」

意のままに働いてくれる者が必要だった。その点、殺ししか眼中にない彼らはミスマッチ。
自分から探しに行くのは割に合わない。ハイリスク・ローリターンだ。
では、自分の思うままに動くというわがままを聞き届けてくれる慈悲深い人々とはどのような人物か。
ディオは、破裂した吉影の心臓目掛け、支給品の一つ、アイスピックを突き刺す。

「取り入るべきは、荒木に仇為す者どもだ。未来の汚名は懸念されるが、今の俺なら自然に出来る。吉影の死体とジョージの首輪を使えば、な」

394天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:47:57 ID:???
このゲームを脱出しようといきがっている正義のミカタが徒党を組んで襲ってきたらどうすると、吉影は迫ったことがある。
簡単な話だ、最初から敵対しなければいい。
右手を見せしめに脅され、協力せざるを得なかったが、隙を見て心臓を突き刺し、離反したとでも言っておけば争わずに済む。
デイパックにジョージの首輪を入れておけば、なおさら信じ込むだろう。
スタンドを手に入れるまでは襲われる立場だったし、先の戦闘は吉影の同盟のせいにでもしてしまえばいい。
ジョージを除けばディオは、殺しに消極的な者を殺していないのが功を奏した。
唯一であるジョージ殺しさえも、吉影に罪を被せてしまえるのだ。もはや、客観的には未来の罪しか糾弾する要素がない。
しかもディオが知る限り、右手を復元できる能力者はジョルノしかいないのだ。
脱出派である彼の生死が知れない今、殺しに積極的になるのは得策ではない。

「荒木の下に辿り着くには可能性は広げておきたい。いざとなればスタンドで従わせる」

『ホワイトスネイク』の能力は、従える集団がいてこそ威力を発揮する。
最後の一人になろうと野望をぎらつかせる連中より、協力を前提とする者の方が命令は容易。
正義感が邪魔になるのならDISCで上書きすればいいが、優勝狙いは同盟を結んだところで警戒心からそうそう挿入させてはくれないだろう。
能力のアドバンテージを最大限生かすには、闇雲に殺して優勝を狙うのは愚策。
手駒を増やす必要がある。勝負を有利に進めるために。
殺し合いが成立しなくなれば荒木が出向くしかない。いや、集団を形成し、早急に出向かせるのがディオの目的。

「覚悟は諦めではない、とは、実に良い言葉じゃあないか。ああそうだ、ユカコもだが、俺はまだ荒木に何の復讐も果たしちゃあいない!
 俺に不利なルールに流されるまま従って、ただ一人生き残って荒木に許しを請うなどと! 諦めたも同じ!」

荒木の仕打ちは、到底、黙認できそうにない。
参加者のほとんどがスタンド使いの中、貴様はただの人間だと、添え物程度の扱いだと馬鹿にされた。
明らかに不利な状況からのスタート。未来の信望などほとんど頼りにならず、策略に使われることさえあった。
スタンドは何のために受け継がれた? 帝王になるためだ。反目する者どもを根絶やしにし、意のままに従う軍団率いる帝王に。
荒木と決着をつける前にただ一人生き残った、では帝王の名折れ。

「小競り合いはやめだ。俺が上に立つためにも、復讐のためにも、必ずや荒木を引きずりだしてやる!」

しかし、ディオが荒木に勝利しようとする理由は何か。単なる怒りならばいずれは冷めるだろうに。
正義に感化された? 邪悪の化身、百余年に渡る因縁の発端が?
否、否、否。
優勝も脱出も眼中にない。彼の願いは、欲望は、際限なく。



「そしてゆくゆくは……荒木のスタンドを手に入れてみせるッ!」



欲するは、望むは、人が持つには過ぎた力。
ならば問おう。その言葉、人間としての言葉か。人間を止めたものとしての言葉か。



【吉良吉影 死亡】
【残り 13名】

395天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:48:39 ID:???
【C-5 西部/1日目 真夜中】
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:右つま先に爆発によるダメージ。頭部に軽い打撲。強い決意。恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.天の光は、こうも美しいものだったのか。
2.別行動を取った露伴たちが心配。無事ジョルノに『伝言』が伝わればいいが……
3.恐怖を自分のものとしたい。
4.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
5.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※キング・クリムゾンの制限は『吹き飛ばせる時間に限りがある』でした(『エピタフ』含む)。これを破ると首輪が爆発します。
※↑の制限とは関係なく、精神状態の変化から時を飛ばせる時間が少なくなっています。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は『迷える奴隷』参照。
※荒木を倒し全てが終わった後、露伴に『記憶を読ませる』という約束をさせられました。
※ポルナレフのデイパックも確認しました。DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しましたが、DISCの用途に今回の戦闘で気が付いたかは不明です。



【D-5 北部/1日目 真夜中】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:内臓の痛み、右腕負傷、左腕欠損(波紋と、ジョナサンが持っていた包帯で処置済み)、軽度の銃創、左足負傷、
    ジョルノ、シーザー、由花子(と荒木)への憎しみ
[装備]:『ホワイトスネイク』のスタンドDISC
[道具]:ヘリコの鍵、ウェザーの記憶DISC、アイアンボールボウガンの鉄球、剃刀&釘セット(約20個)、基本支給品×2(水全て消費)、
    不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:なんとしても生き残って、荒木のスタンドを手に入れる。
0.とりあえず放送まで休む。方針は放送次第で決定。
1.ジョージ殺しの罪を吉良になすりつけることで集団に入りやすくする。
2.吉良を殺せてスッキリ。ジョナサンにも殺意。
3.荒木のスタンドDISC生成の時間稼ぎのために、スタンド使いを『上に立って従わせる』。
4.ジョルノ、由花子に借りを返す
5.ジョナサンには最終的には死んでほしい
6.ジョルノが……俺の息子だと!?
[備考]
※見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
※ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
 ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
※ラバーソールと由花子の企みを知りました。
※『イエローテンパランス』、『キング・クリムゾン』の能力を把握しました。
※『ホワイトスネイク』の全能力使用可能。頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。


※吉良吉影の死体の胸元にアイスピックが突き刺さっています。吉良吉影の最後の支給品でした。
※【C-5西部 民家】吉良吉影の死体の近くに、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、
 クリップ×2 、ディオの左手、 ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×3、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×5、
 ポケットサイズの手鏡×2、支給品一式×2、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(1/4ダース)、ボールペン二本、
 CCDカメラの小型モニター、ギャンブルチップ20枚、二分間睡眠薬×1 が放置されています。
※【D-4 北部】に支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)が放置されています。
※【C-5 西部】にサブマシンガン(残弾なし)、巨大なアイアンボールボウガン、ボウガンの鉄球が放置されています。
※ヨーロッパ・エクスプレスはDIOの館を離れました。どこに行ったのかは不明です。

396天の光は全て星 ◆0ZaALZil.A:2011/02/13(日) 12:57:11 ID:???
以上です。
誤字脱字、矛盾点などあれば指摘お願いします。ないようでしたら規制中のため、どなたか代理投下を。

◆vvatO30wn. 氏へ
連絡のとり方が分からず、ここで聞くのも自分から展開ネタバレしてるみたいな気がしたので、SS中、氏に無断でラッシュの掛け声を使ってしまいました。
さすがに決め手があれだけだと見栄えに欠けるので、つい欲が出ました。事後になりますがお詫び申し上げます。
まずいようでしたら修正しますので、その際はご連絡を。

397ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/02/13(日) 15:54:41 ID:???
投下乙です
感想は本スレにて書きたいと思います

指摘としましては、
FFは特殊な数え方をするようなので、
残りは12(13)人ですね

398 ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:40:16 ID:???
大変長らくお待たせいたしました。
本スレが落ちているので、一先ずこちらに投下いたします。

399君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:41:56 ID:???
赤く彩られたナチス研究所を囲む庭園の一角は、まさに絶対零度の空間と形容すべき痛々しい沈黙が支配していた。
いや実際には、この血なまぐさい情景には不釣り合いな程に優雅なクラシックと
荒木の愉快そうな、それでいてどこか間延びした放送が流れていたのだけれど。

誰も言葉を発しない。顔を見合わせもしない。呼吸音すらも聞こえない。
どうしてこうなった?何故報われない?救われやしない?
最善を尽くした筈だ。尊い犠牲も伴った。神はこれ以上何をしろと仰せなのか。
傍から見ればほんの一瞬、それでいて永遠とも思える、独りよがりな押し問答が堂々巡りする。
そして止まった時間は再び動き出し、どうしようもなく非情な現実が訪れる。
結末はいつだって残酷だ。だからこそ甘美で、数多の人間を魅了して止まないのである。


◇   ◆   ◇


思えば、アンラッキーな要素が重なり過ぎていた。
やっとの思いで倒した怪物がまだ死んでいない?このタイミングで放送が始まった?それだけではない。
ブチャラティの性格だ、自らの身に起きた『異変』に気付くや否や、彼は迷わず死を選んだに違いない。
だが彼の身体全体を縛る強い力に阻まれ、それでも彼は仲間にとって最良の策は何であるのかを理解した。
そして自己崩壊の恐怖と諦念を必死に押し殺しながら、リゾットに『助けてくれ』ではなく『殺してくれ』と嘆願したのだ。

ブチャラティの悲しいまでの覚悟は、皮肉にもギャング達を少しばかり躊躇させてしまった。
エシディシの息の根を止めるのに、これ以上のチャンスは無い。むしろ今を逃せば、多大なる犠牲と苦労は全て水泡に帰す。
分かっていた。ブチャラティがそれを真に望んでいる事も。しかし、彼らとて所詮は人間だった。
ほんの眇眇たる感情の揺らぎ、されども新たなる惨劇への引き金としては充分だった。

「殺させやしねーッ!!まずはてめーら全員地獄に叩き落としてやるッ!!グシャシャシャシャアーッ!」

『運命の車輪』は確実に回転していく。悪夢はまだ、終わらない。



我に返ったジョルノが、ゴールド・エクスペリエンスの拳を振り上げた時にはもう手遅れだった。
コキリ、と首を鳴らすブチャラティ。その狂気に囚われた面様にボコボコと血管が浮かび上がる。
声色は最早エシディシのそれであり、すっかり散瞳した目には何も映っていない。
と思う間もなく、ジョルノの顔面に鮮やかなカウンターがヒット。
運悪く背後に立っていたフーゴもろとも、彼の体はまたしても壁面へと殴り飛ばされた。

「なんて執念だ……エシディシ…。」

失神したジョルノを庇いながら、フーゴはブチャラティをぼんやり見つめる。
自分にはどうしようもない何かに押し流されていく感覚に、フーゴはただただ戦慄するのみだった。

「そういうセリフは、終わってから言うもんだぜ。」
「MU?」

リゾットは既に動いていた。
エシディシがジョルノに気を取られている隙に『メタリカ』を発動、ブチャラティの心臓部に鋏を作り出す。
瀕死のエシディシが完全にプッツンしている今の内に手を下さねば、いずれ取り返しのつかない事態に発展する。
手段は選ばない。『メタリカ』で奴の心臓をくり抜き、余分に持っている首輪で粉微塵に爆破する。
いくら究極の生物だろうと、唯一残った貴重なパーツにそんな真似をされれば、今度こそ復活は出来まい。

「てめーの次のセリフは『残念だったな。お前は既に出来上がっている』だ!」
「残念だったな。お前は既に出来上がっている…ハッ!?」

だが、功を焦り冷静さを失っていたのはむしろリゾットの方だった。
初っ端から急所を叩く見え見えの攻撃など愚策も愚策。むしろ逆に武器を与えてしまったも同然。
エシディシは大切な心臓へ乱暴に手を突っ込み、ためらい無く胸部から鋏を引き抜く。
拳によって空けられた大穴は、エシディシの細胞が盛り上がり即座に埋めてしまった。
まるでコイン貫通マジックでも見ている様だ。ほんの数分の間にここまでブチャラティの体を浸食するとは。
やはりブチャラティの意識がある内に心臓を潰せなかったのが致命的だったと、リゾットは痛感した。

「俺の心臓を狙ってんのはバレバレなんだよォ!このチンボコ野郎!」

留め金を壊し二本のメス状にした刃を構えるエシディシ。その片手がピクリと動くのを見たリゾットは、
超人的な反射神経で後ろにのけ反った。彼の鼻先を銀色の光が一閃し、背後で鋭い刺突音が響く。
頭巾と一緒に額を浅く切られただけで済んだが、彼でなければ眉間に深々と刃が喰い込んでいただろう。
無理な動きに体勢を保てず尻餅をついたリゾットを一瞥すると、
エシディシはサボテンや西部劇に出てきそうな植物達が群生する茂みの中へと消えて行った。

400君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:42:45 ID:???
何の事は無い。体の大半を失い大幅に弱体化したエシディシが三人のスタンド使いを相手にするなど、土台無理な話だ。
事にリゾットの能力は、人間となった身には尚更相性が悪い。彼の狙いは最初から逃亡だったのだ。
あの殺気立った口ぶりに騙されたリゾットが、完全にエシディシに一本取られてしまった形となる。

「クソ………ッ!!」

悔しそうに顔を歪めるリゾット。不味い事になった、ここでエシディシを見失えば、
最低でも俺達を簡単に蹴散らせる程度に回復するまで、決して姿を現さないだろう。
だが、あのプライドの高い柱の男が無様にも、餌以下の存在である人間に尻尾を巻いて逃げた。
つまり奴はちょっとでも押せば倒れてしまう、相当に追いつめられた状態と言う訳だ。
深追いは禁物などと悠長な事は言ってられない。草の根を分けてでも探し出し、奴をここで始末する!



「ジョルノ、フーゴ!いつまでも寝てんじゃあないッ!!ホルマジオとブチャラティが死を賭して作り出したチャンス、
断じて無駄には出来ん!ここでエシディシを取り逃がせば、俺たちに勝ち目は無い。すぐ追うぞッ!!」

僕達を叱咤激励しつつ、ディパックを担いで駆け出したリゾットを見送りながら、僕は渋々身を起こした。
全く…。簡単に言ってくれますね。あと少しで喉元に喰らい付けるって所で引き下がる訳にいかないってのは
重々承知してますが。こっちは顔面に二発もいいのを貰って脳震盪を起こしかけてるんですよ。
それにブチャラティだって…ああいけない。ちょいと投げ遣りになっていましたね、僕らしくもない。

「ジョルノ、意識はあるか?手を…。」

すっとフーゴが手を差し出す。とにかく感傷に浸っている場合ではありません。
僕はしばらく戦えないかも知れないが、生きている限り能力は有効です。仲間の負傷を手当てし、
ブチャラティの血液を基にしたあの鋏を使ってエシディシを追跡する事も可能だ。
命が尽きるその時まで精一杯、与えられた役割をこなす事がギャングの宿命ですからね。やれやれです…。

一応礼を言おうとフーゴの顔を見上げた僕は、掴みかけていた手をはたと止めた。
僕を無表情に見下ろすその瞳は、マンホールの底に似た空虚で吸い込まれそうな闇を湛えていた。
彼が何を考えているのか全く読めない。一切の喜怒哀楽が取り払われたその顔つきを、僕は能面みたいだなと思った。
唐突に不安に襲われました。仲間であるフーゴに言い知れぬ恐怖を感じたのは、きっとこれが最初で最後だったでしょう。

――――フーゴ、何故そんな顔をしているのですか?…そうか、フーゴ。君は

401君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:43:36 ID:???
◇   ◆   ◇


「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

灼熱地獄と化したナチス研究所内で蠢く一つの影。
中央には体の半分近くが欠損した、B級ホラー映画の小道具そっくりの死体が寝転がされている。
その屍骸に誰かが指を突き立てていた。と、瞬く間に死人の体がミイラ状にしぼみ、
逆に片膝をついて血を絞り取るその怪物にみるみる血色が戻り、負傷が癒えてゆく。

「切断面が塞がれている…。なかなか気の利いた心遣いじゃあないか、ジョルノ。」

ニタリ、と笑うエシディシ。先程まで力強く拍動していた胸部の肉塊はもう影も形も無い。
禁止エリアに消えた元の体への執着は捨て、ブチャラティの体をベースに失った部分を補う事にした
エシディシは、心臓を細胞レベルにまで分解し、あちこちの組織に付着し代謝機能を支配。
そして癌細胞の如く増殖し、力を取り戻しつつあった。エシディシが単なる柱の男であったのなら、
臓器の一つや二つを人間に乗り移した所で、血液を沸騰させその体もろとも爆散する程度が精々だが、
今の彼は身一つであらゆる生物を創造する究極生物。この位なら造作もなかった。


「とはいえ、これっぽちの屍ではまだまだ足りないか…。もっと新鮮で大量の血を吸う必要がある。」

呟きつつ目を瞑り、精神を集中させる。と、体から黄色のスライムがウジュリと吹き出し、全身が覆い包まれる。
彼の本体は遥か遠くのエリアに流され最早回収の術は無いが、共に水流の藻屑となったホルマジオごと、
その体にイエローテンパランスのDISCが取り込まれている。
司令塔とも言うべき今の体にDISCが差しこまれていない分、自由自在にとはいかないだろうが、
だいぶコントロールに慣れた黄の節制を再び呼び戻し、身に纏わせる事だけは上手くいったようだ。

エシディシには、カーズのような卓越した頭脳も、ワムウのような天才的な戦闘のカンも無い。
しかし、自らの性格を把握し、精神をどん底に追い込まれてもすぐにスイッチを切り替えられる沈着さ、
誇りを捨てても、醜いと罵られてでも生きようとする執念深さは、裏を返せば強い精神力の現れだと言える。

人間も吸血鬼も、柱の男すらぶっちぎりで超越した究極生命体が、ギャング五人ごときに敗北を喫したのは何故か。
エシディシには『覚悟』が足りなかった。手足をもがれても、とびっきりの苦痛を伴った死を目前にしても、
標的を仕留める為なら厭わない究極の自己犠牲の精神を、死の危険と無縁の彼は持ち合わせていない。
エシディシは油断していた。悲願である究極生物化の実現に舞い上がり、図らずもゲームすら念頭から消え、
更に荒木を含めた参加者全員を、クソカス以下と決めつけ調子に乗ってしまったのだ。

「認めよう…。俺は貴様らよりも『劣って』いた。貴様らにあって俺には無い強みとは一体何か。
それは身体能力でもスタンドや流法でもない。あらゆる困難に立ち向かい、打ち勝つ『黄金の意志』!」

スタンドも復活し、不死身さに拍車をかけたかに見えるエシディシだが、実際は心臓一つから全てのパーツを
再生するには膨大なエネルギーが必要となる。バラバラに分裂した手前、この体からはもう脱出不可能であるし、
もしブチャラティの体が死ねば、彼もまた再起不能に陥ってしまう。むしろ不安要素の方が大きかった。

402君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:44:21 ID:???

「俺の精神はまだまだ未熟だった。この醜態は、自らの愚かさが招いた罰として受け入れよう。
この屈辱はいずれ晴らす。そして次こそは、真の究極生物として貴様らの前に対峙してみせる!」

エシディシは心身共にズタボロで、人間ごときに死の一歩手前まで追いやられた敗北感に打ちひしがれていた。
だがそれが必ずしもマイナスであるとは言えない。今は単なる妄執だけで命を繋いでいるが、
この闘いによって確実にエシディシは成長し、その心には新たなる強さの片鱗が芽吹いた。
この崖っぷちの危機を見事乗り越えた時こそ、彼は世界を思うままに操る『神』として君臨するに違いない。
しかしながらここは殺し合いの場。その時が来るかどうかは、また別の話であるが。


◇   ◆   ◇


「(奴はまた建物内に戻ったのか?とはいえ、俺が探れる範囲はここまでだ。)」

敢えて奇襲を警戒せず、懐中電灯でエシディシの血痕や踏み折られた草木を辿っていたリゾット。
鉄分を纏って透明化した所で柱の男には無意味であるし、奇襲に怯えてなどいられない、
むしろ深手を負わされようが、刺し違えてでもお前の喉に喰らい付き、ジョルノ達の前に引きずり出して見せる。

ところでジョルノとフーゴは一体何をしているのだろう、やけに遅い。
エシディシの件を抜きにしても、この放送で20人もの死者が告げられ、加えてこの場所が禁止エリアに指定された。
最期の闘いは最早すぐそこだ。のんびり怪我を治療している余裕は無いと言うのに。

背後に人の気配を感じた。
矢庭に振り返ったリゾットの目の前に立っていたのは、血走った目でリゾットの脳天に鋏を振り下ろすエシディシ
…ではなく、幽鬼の如く虚ろに佇むフーゴだった。

「な・・・・フー・・・ゴ・・・?」

フーゴは敵ではない。にも拘らず、リゾットの顔色がさっと青ざめる。
考えたくない事だった。常に頭の片隅で懸念はしていた。だがこの状況、タイミングでまさか
そんな早まった真似はしないだろうと、楽観的に捉えていた部分もあった。

「・・・・予想外、でしたか・・?」

隣に居なければならない筈のジョルノは、どういう訳かフーゴの腕の中にすっぽりと収まっていた。
彼のトレードマークとも言える前髪の三つのカールはフーゴに鷲掴まれ見る影も無く、更に血と脳漿まで滴り落ちていた。
最期の一時は苦悶に満ちていただろうに、どこか安らかな死に顔を見せるジョルノに、首から下の胴体は無かった。


くらくらとする頭を抱えながらも、あの時ジョルノはしっかりと放送を聞いていた。
ペッシ、ジョージ・ジョースター1世、岸辺露伴、グェス、川尻早人、ホルマジオ、リンゴォ・ロードアゲイン…。
彼らの死は聞くまでもなく知っている。悼む気持ちはあったが、今更後悔しても無駄だと半ば割り切っていた。

だがテレンス・T・ダービー、シーザー・アントニオ・ツェペリ、音石明、虹村億泰、吉良吉影…。
次々と連ねられてゆく死者達の名に、ジョルノはひたすら絶句していた。
僕達がやった事に一体何の意味があったのだろう。何がいけなかったのか、良かれと思って取った別行動が
完全に裏目に出てしまった。僕達の仲間はあと何人残っている?そもそもこの人数でどう荒木に対抗する?
勇敢かつ頭の回転が速いジョルノだが、今度ばかりは悲嘆に暮れるよりほかなかった。

フーゴも同様だった。
ナチス研究所には、ここで殺されるかも知れないなと半ば覚悟しつつ足を踏み入れた。
だがブチャラティはそんな彼を目の当たりにして、怒りを見せるどころか共に闘う申し出を受け入れてくれた。
フーゴが犯した罪を知りつつも、いずれ制裁を与えると宣言しつつも、部下である彼を信頼し背中を預けてくれたのだ。
だから再び忠誠を誓った。命を懸けて怪物に立ち向かった。

403君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:45:48 ID:???
しかし結果を見てみろ、ああなってしまった以上ブチャラティはもう助からないだろう。彼は心の中で確信していた。
その瞬間、フーゴの中で微かに輝いていた何かが完全に消え失せた。
目の前にいるのは、敵対チームのリーダーと、どんな音楽が好みなのかも知らない浅い付き合いの新人ギャングだけ。
この同盟にもう価値は無い。あの時もフーゴの参入に肯定的だったのはブチャラティだけだった。
こうなってはいつ寝首をかかれたっておかしくないだろう。ならば殺られる前に殺るしかないのだ。

結局のところ、フーゴには残りの参加者と一つしかない椅子を巡り殺し合う運命以外残されていなかった。
フーゴは荒木の恐ろしさを嫌と言うほど知っている、対峙するなぞもっての他だし、
ボスに敵視された以上、パッショーネに戻る事も叶わない。組織を乗っ取るまでは行かなくとも、
ディアボロ含めた全員を殺して優勝しなければ、裏切り者のフーゴが生き抜く術は無いのだ。
たった一人でエシディシやディアボロ、全ての生き残り達を倒す事が出来るのか?やれるかではなくやるしかない。
勝率は限りなくゼロだとしても、フーゴは立ち止まれない。茨の道を死ぬまで歩み続けなければならない。

パープル・ヘイズに首を締められ銃口を向けられても、ジョルノは力なく項垂れるのみだった。
ブチャラティはもういない、元の世界で仲間だったフーゴにすら裏切られた。
フーゴの真意を悟ったジョルノは精神的にすっかり参っていた。立ち直るには如何せん時間が足りない。
ジョルノの心の中にも、フーゴと同じく深い闇が巣食っていた。既にフーゴの狂気を跳ね除ける力は残っていなかった。

…そうか、フーゴ。君は絶望しているんですね。

僕と同じに。


仲間との決別、優勝への殺戮を選んだフーゴ。仲間の解放、荒木への挑戦を選んだリゾット。
二人の道は今、完全に別たれた。彼らの道が再び交わる事はもう無い。


【F-2 ナチス研究所 庭/2日目 深夜】

【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:『メタリカ』
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左耳と左手の小指消失(止血済)、額に切傷、身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大)
[装備]:フーゴのフォーク、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(2/15)
[道具]:デイバッグ&基本支給品(リゾット、ホルマジオ、ブチャラティ、ジョルノ、億泰、テレンスのもの そのうち一食だけ水と食料なし)
    不明支給品残り0〜1(億泰のもの)、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
    首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置
    ペッシの首輪、重ちーが爆殺された100円玉(一枚)、ジョルノの『探知機』となっている小石
    紫外線照射装置、、承太郎のライター、シャーロットちゃん、スージーの首輪、ワンチェンの首輪
    包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器、不明支給品0〜2(確認済:ジョルノのもの)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.嘘だろ、フーゴ…!?
1.エシディシの息の根を止め、ブチャラティを呪縛から解放する。
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる。
3.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※リゾットの情報把握
 承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
 F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)

404君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:46:36 ID:???
※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない→この線は薄い
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

【以下ブチャラティのメモの写し】
①荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービーにもいることが確実。
②首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
③参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから


【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大)
[装備]:ナランチャのナイフ、S&W M19(1/6)
[道具]:基本支給品×4、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
    鳩のレターセット、メサイアのDISC、ジョルノの『探知機』となっている小石
    S&W M19の予備弾薬(30/30)
[思考・状況]
基本行動方針:未熟な過去に打ち勝ち、新しい自分となる
1.完全にゲームに乗った、優勝の為ならどんな汚い手も辞さない。
2.単身でディアボロとエシディシに勝てるかは分からないが、立ち向かわなければならない。
3.優勝したら、組織の手が届かない何処か遠い所で新たな人生を歩もう。
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。

405君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:47:25 ID:???
◇   ◆   ◇


ほぼ同時刻、ナチス研究所から数百メートル離れた空き地に二人の男が佇んでいた。
放送で告げられた死者の多さに愕然とし、憂いを含んだ表情を浮かべる学生服の少年、花京院典明は
やや離れた所から様子を窺う中性的な顔立ちの男、ナルシソ・アナスイに気付いていない模様だ。

背中がガラ空きだぜ?花京院。
さっきの放送でどれだけショックな内容を言われたのか知らないが、
「ポルナレフ」とか「たったの12人」だのブツブツ言いながら歩き回るザマはどう見てもアブナイ奴だぞ。
生き残りの12人が心配みたいだが、後ろで俺に狙われている事にも気付けないんじゃあ世話ないな。
さっきはティムの野郎が邪魔して仕留め損ねたが、同じ目的地に向かっていたのがお前の運の尽きだぜ。
悪く思うなよ。じゃあな、花京院。

勝利を確信し、口角を上げ余裕たっぷりで指先を花京院の後頭部にポイントする。
『おい!!』と大声を出して花京院の絶望に満ちたツラを拝んでやるのも面白いかもな。などと考えていた矢先、

ドゴォッ!!

花京院の姿をしっかりと捉えていたはずの視界は暗転し、
頭部を熟れたトマトの如く弾けさせるつもりだったF・F弾は虚しく地面を穿つ。
何が起きたのか把握するのに少しだけ時間がかかった。どうやら俺は今地べたに這いつくばっている。
何故なら後ろからタックルをかましやがったクソ野郎に組み伏せられ、腕と頸動脈の辺りを押さえられているからだ。
何て事だ!花京院をブチ殺すのに夢中で、俺自身が狙われてるだなんて夢にも思わなかった!
それだけじゃない…。こいつ、俺の動きを抑えたかったんじゃない。俺の血を・・・吸ってやがる・・・!

「クソッ!!離れやがれこのダボがァ!!」
「…チィッ!」

関節を無理矢理外し、俺に圧し掛かる吸血野郎にF・F弾を放つ。
苦しい姿勢からだが、ダイバー・ダウンのパワーが上乗せされた弾丸なら野郎を突き飛ばすのに充分だった。
すぐさま体勢を立て直し、首筋の傷穴をプランクトンで埋める。横をちらりと見やると、
流石にこちらに気付いたらしい花京院がぽかんと口を開けて俺を見ていた。

「何してやがる!早くここから逃げろ!そのままナチス研究所へ向かえ、俺の仲間がいる!」

人の血を吸うだなんてえげつない真似をしておきながら、至極真っ当な台詞を吐くんだな。
ん?こいつ…。暗がりでよく見えなかったが、ブローノ・ブチャラティじゃないか?
こいつ、吸血鬼だったのか?いや、あのジッパーを操るスタンドが傍らに居ないし、何だか様子がおかしい。
F・F弾に抉られた脇腹の傷がグジュリグジュリと治り、しかも撃ち込んだフー・ファイターズ達が悉く死滅している。

「フン、ちっぽけな人間風情が、大人しく眠っていろ。」

ブチャラティの目の色が急に変わり、声もまるで別人の如く低くなった。
俺の中で警鐘が鳴り響く。この声を、身に纏う絶対的な強者のオーラを、俺は知っている。
突然、体のあちこちに焼け付く痛みを感じた。慌てて自らをよく見渡すと、
吸血してる隙にくっついたのだろう、黄色いスライムが俺の肉をほうぼうで貪り喰らっていた。

「第三ラウンドを始めようじゃあないか。え?それとも最終ラウンドか?フー・ファイターズよ。」

406君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:48:13 ID:???
【F-2 やや北東/2日目 深夜】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(極大)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、激しい自己嫌悪
[装備]:なし
[道具]:ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木
1.ブチャラティの指示通りナチス研究所に行くか、それとも此処に留まり戦いに加わるか悩んでいる。
2.結局ポルナレフには会えなかった。僕は無力な人間だ…。
3.本当にナチス研究所に仲間が居るのだろうか?それは僕の味方なのか?
4.打倒荒木、巻き込まれた参加者の保護、をするにはもう遅いのかもしれない。
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。


【ナルシソ・アナスイ with F・F】
【スタンド】:ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ
【時間軸】:アナスイ…「水族館」脱獄後、F・F…DアンG抹殺後
【状態】:貧血、首に指先を突き立てられた傷(プランクトンで処置済み)、黄の節制に食われている、全身にF・Fの細胞が寄生し、共存している。
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×5、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー2つ(スイッチOFF)、ラング・ラングラーの不明支給品(1〜3。把握済)、テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、ノートパソコンの幽霊
※基本支給品はアナスイ、ラングラー、ティム、ヴェルサス、音石の五人分です。
 音石の水はF・Fが回復に利用しました。その他食料、水がどれだけ残っているかは不明です。
【思考・状況】
基本行動方針:空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる。そのために、徐倫以外の全ての参加者を殺害する。
0.お前、エシディシなのか!?
1.エシディシと決着をつけ、花京院を始末する。
2.ナチス研究所にも参加者がいると確定したので、そちらも始末する。
3.徐倫には会いたくない。

407君の心に希望はあるか ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 04:49:29 ID:???

【ブローノ・ブチャラティ with エシディシ】
【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]: 瀕死、意識昏迷状態、エシディシに全身を乗っ取られている
[装備]:ジョルノの『探知機』となっている小石、スージーの指輪
[道具]:メタリカの鋏の欠片
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
0.・・・(気絶中)
1.自分はきっと助からないので、せめてエシディシを巻き込む形で自殺したい。なるべく花京院を遠ざけたい。
[備考]
※代謝機能を持続させる為だけにエシディシに生かされています。今後どうなるかは分かりません。
※基本的に体の主導権をエシディシに握られていますが、ほんの一瞬だけ意識を取り戻す事もあります。
※極端に衰弱しており、もうスティッキー・フィンガーズは使えません。またエシディシの細胞に浸食されているので意識があっても体を満足に動かせません。

【エシディシ】
[スタンド]:『イエロー・テンパランス(仮)』
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:ブチャラティと同化、少しずつ能力を取り戻しつつある。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:精神力が人間より劣っていたと認め、リゾット達に再起を誓う。力を取り戻し、究極生物として荒木をも超越する。
1.F・Fと決着をつけ、花京院の血を吸って身体の回復を図る。
2.まだブチャラティの体が馴染んでいないので、もっと人間の血を吸う必要がある。
3.いずれリゾット達にリベンジを果たす。もう慢心はしない。
[備考]
※現在ブチャラティの体の30%程度はエシディシの細胞であり、今なお増殖中です。
※イエロー・テンパランスの能力の一部が使えます。これはDISCよりもエシディシに芽生えたスタンドの才能による部分が大きいです。が、コントロールには疲労を伴います。
※ブチャラティの体を乗っ取っている状態なので、あくまでも人間が出せる限界+αの身体能力しかありません。具体的に言えば吸血鬼と同程度といったところです。

【ジョルノ・ジョバァーナ 死亡】
【残り 11(12)名】

408 ◆SF.flmxVNo:2011/03/22(火) 05:08:30 ID:???
投下は以上です。
三週間近い時間を頂いただけの作品に仕上がっているかどうか自信はありませんが、ご指摘をお待ちしております。

以前も申し上げたとおり、震災の影響で自分の住んでいる地域は多大な損害を被りました。
ラッキーな事に自宅まで津波が押し寄せず損壊を免れ、ガス以外は既に復旧しましたが、
相変わらず物資が不足しており、身近な人を津波で亡くしました。何度か投下を諦めようとも思いました。
そんな大変な状況の中で暢気にssを書いているのは同じ被災者の方々に失礼な事かもしれませんが、
自分の中でジョジョロワは生活の一部に組み込まれており、例え一時でも色んな方々に作品を読んで頂き
感想を貰ったりする事が励みになっていましたし、また他の書き手さんが投下した作品を読むのがこの所の生きがいになっていました。

御託はさておき、どうにか投下に踏み切れて心底ホッとしてます。
今のところ書き手チャットに参加できるかどうかは分かりませんが、今後ともよろしくお願いします。

409ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/03/22(火) 19:33:24 ID:???
投下乙です。ご無事でなによりです。規制されてなければスレ立ててきます
指摘は特にありませんが、イエテンのDISCが外れたのに使えてもいいんだろうか、と少し疑問に思いました

410ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/03/23(水) 02:01:27 ID:???
投下乙です
アナスイがブチャラティ知ってたっけ?って思ったけど、
ダービー弟→F・F→アナスイ ですね
指摘は特にありません(イエテンのDISCについてはちょっと分かりませんが…

感想は本スレが立って本投下されたら書きたいです
書き手チャット楽しみですね

411ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/03/24(木) 23:06:24 ID:???
投下乙です。

原作でエシディシがスージーQを乗っ取った時は心臓ではなく脳が取りついてたはずなんですが……乗っ取れるんですか?
スタンドDISCもエシディシの肉体がパープルヘイズの毒に侵された以上、外れなかったとしても消失しているのでは?

412 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:37:03 ID:???
すいません。リアルの状況が変わりネットが使えなくなるかも知れません。
手直し版を投稿するのでどなたか代理投下と出来ればwiki掲載をお願いできないでしょうか。

イエテンの件ですが、プッチ神父がF・Fに挿したDISCが分裂したフー・ファイターズにも能力を与えていたので
プランクトンに出来るなら究極生物にも出来るだろって強引な解釈です。何でも究極生物に不可能はないで片付けるのもどうかと思いますが。
ぶっちゃけガチで闘ったらアナスイF・Fが有利過ぎるのでハンデを付けたかったのですが…駄目でしょうか?

413 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:38:12 ID:???
耳鳴りがする。

ナチス研究所を囲む庭園の一角は、絶対零度の空間と形容すべき痛々しい沈黙に支配されていた。
いや実際には、この血なまぐさい情景には不釣り合いな程に優雅なクラシックと
荒木の愉快そうな、それでいてどこか間延びした放送が流れていたのだけれど。

誰も言葉を発しない。顔を見合わせもしない。呼吸音すらも聞こえない。
どうしてこうなった?何故報われない?救われやしない?
最善を尽くした。尊い犠牲も伴った。神はこれ以上何をしろと仰せなのか。
傍から見ればほんの一瞬、それでいて永遠とも思える、独りよがりな押し問答が堂々巡りする。

そして止まった時間は再び動き出し、どうしようもなく非情な現実が訪れる。
結末はいつだって残酷だ。だからこそ甘美で、数多の人間を魅了して止まないのである。


◇   ◆   ◇


思えば、アンラッキーな要素が重なり過ぎていた。
怪物がまだ生きている?放送が始まった?それだけではない。
ブチャラティの性格だ、自らの身に起きた『異変』に気付くや否や、迷わず死を選んだに違いない。
だが彼の身体全体を縛る強い力に阻まれ、それでも彼は仲間にとって最良の策は何であるのかを理解した。
そして自己崩壊の恐怖と諦念を必死に押し殺しながら、リゾットに『助けてくれ』ではなく『殺してくれ』と嘆願したのだ。

エシディシを倒すのにこれ以上のチャンスは無い。むしろ今を逃せば、多大なる犠牲と苦労は全て水泡に帰す。
分かっていた。ブチャラティがそれを真に望んでいる事も。しかし、彼らとて所詮は人間だった。
ブチャラティの悲しい覚悟は、皮肉にもギャング達をほんの少しだけ躊躇させてしまった。

「殺させやしねーッ!!まずはてめーら全員地獄に叩き落としてやるッ!!グシャシャシャシャアーッ!」

『運命の車輪』は確実に回転していく。悪夢はまだ、終わらない。



我に返ったジョルノがゴールド・エクスペリエンスの拳を振り上げるも、既に手遅れだった。
コキリ、と首を鳴らすブチャラティ。その狂気に囚われた面様にボコボコと血管が浮かび上がる。
声色は最早エシディシのそれであり、すっかり散瞳した目には何も映っていない。
と思う間もなく、ジョルノの顔面に鮮やかなカウンターがヒット。
運悪く背後に立っていたフーゴもろとも、彼の体はまたしても壁面へと殴り飛ばされた。

「なんて執念だ……エシディシ…。」

失神したジョルノを庇いながら、フーゴはブチャラティをぼんやり見つめる。
自分にはどうしようもない何かに押し流されていく感覚に、フーゴはただただ戦慄するのみだった。

414 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:39:00 ID:???
「そういうセリフは、終わってから言うもんだぜ。」
「MU?」

リゾットは既に動いていた。
瀕死のエシディシが完全にプッツンしている今の内に手を下そうと、直ちに『メタリカ』を発動、
ブチャラティの心臓部に鋏を作り出した。そのまま心臓をくり抜き余分に持っている首輪で消し飛ばせば、
いくら究極の生物とてひとたまりもない筈だ。まさに完璧な作戦である、不可能という点に目を瞑れば。

「てめーの次のセリフは『残念だったな。お前は既に出来上がっている』だ!」
「残念だったな。お前は既に出来上がっている…ハッ!?」

だがむしろ、功を焦り冷静さを失っていたのはリゾットの方だった。
初っ端から急所を叩く見え透いた攻撃など愚策も愚策。それどころか逆に武器を与えてしまったも同然。
エシディシは大切な心臓へ何のためらいもなく手を突っ込むと、いとも簡単に鋏を引き抜いた。
拳が空けた大穴はエシディシの細胞が即座に塞ぎ、さながら世にもグロテスクなコイン貫通マジックといった所か。

「俺の心臓を狙ってんのはバレバレなんだよォ!チンボコ野郎!」

暗殺者の勘が成せる業だろうか、超人的な反射神経で後ろにのけ反ったリゾットの鼻先を、銀色の光が一閃する。
留め金を壊しメス状になった刃が頭巾と額を浅く裂き、背後で鋭い刺突音が響く。
エシディシは無理な体勢に尻餅をついたリゾットを一瞥し、この機を逃さんとばかりに
西部劇に出てきそうな植物達が群生する茂みへとバックステップし、その姿を眩ました。

何の事は無い。体を殆ど失い大幅に弱体化したエシディシが三人のスタンド使いを相手にするなど、土台無理な話だ。
事にリゾットの能力なら、人間の脆い体など簡単に破壊されるだろう。彼の狙いは最初から逃亡だったのだ。

「クソ………ッ!!」

悔しそうに顔を歪めるリゾット。あの殺気立った口ぶりに完全に騙されてしまった訳だ。
ここでエシディシを見失いダメージを回復されれば、次に俺達が勝てる見込みはもう無い。
深追いは禁物などと悠長に言ってられない。奴はちょっとでも押せば倒れる、
草の根を分けてでも探し出し、エシディシをここで始末する!



「ジョルノ、フーゴ!いつまでも寝てんじゃあないッ!!ホルマジオとブチャラティが死を賭して作り出したチャンス、
断じて無駄には出来ん!ここでエシディシを取り逃がせば、俺たちに勝ち目は無いぞッ!!」

僕達を叱咤激励しつつ草むらへ飛び込んだリゾットを見送りながら、僕は渋々身を起こした。
全く…。簡単に言ってくれますね。あと少しで喉元に喰らい付けるって所で引き下がる訳にいかないってのは
重々承知してますが。こっちは顔面に二発もいいのを貰って脳震盪を起こしかけてるんですよ。
それにブチャラティだって…ああいけない。ちょいと投げ遣りになっていましたね、僕らしくもない。

「ジョルノ、意識はあるか?手を…。」

すっとフーゴが手を差し出す。とにかく感傷に浸っている場合ではありません。
僕はしばらく戦えないかも知れないが、生きている限り能力は有効です。仲間の負傷を手当てし、
ブチャラティの血液を基にしたあの鋏を使って、エシディシを追跡する事だって可能だ。
命が尽きるその時まで精一杯、与えられた役割をこなす事がギャングの宿命ですからね。やれやれです…。

一応礼を言おうとフーゴの顔を見上げた僕は、掴みかけていた手をはたと止めた。
僕を無表情に見下ろすその瞳は、マンホールの底に似た空虚で吸い込まれそうな闇を湛えていた。
彼が何を考えているのか分からない。一切の喜怒哀楽が取り払われたその顔つきを、僕は能面みたいだなと思った。
唐突に不安に襲われました。仲間であるフーゴに言い知れぬ恐怖を感じたのは、きっとこれが最初で最後だったでしょう。

――――フーゴ、何故そんな顔をしているのですか?…そうか、フーゴ。君は

415 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:39:46 ID:???
◇   ◆   ◇


「フゥゥゥゥゥゥゥゥゥ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!」

灼熱地獄と化したナチス研究所内で蠢く一つの影。
中央には体の半分近くが欠損した、B級ホラー映画の小道具そっくりな死体が寝転がされている。
その屍骸に誰かが指を突き立てていた。と、瞬く間に死人の体がミイラ状にしぼみ、
逆に片膝をついて血を絞り取るその怪物にみるみる血色が戻り、負傷が癒えてゆく。

「切断面が塞がれている…。なかなか気の利いた心遣いじゃあないか、ジョルノ。」

ニタリ、と笑うエシディシ。彼が単なる柱の男であったのなら、人間に臓器の一つや二つが取り憑いた所で
血液を沸騰させ、その体もろとも爆散する程度が精々だ。しかし今の彼は身一つであらゆる生物を創造する究極生物。
先程まで力強く拍動していた胸部の肉塊を細胞レベルにまで分解し、あちこちの組織に付着して代謝機能を支配。
そしてブチャラティの体内で栄養を摂取し癌細胞の如く増殖、同時に失った部分を再生しつつあった。

「とはいえ、これっぽちの屍ではまだまだ足りないか…。もっと新鮮で大量の血を吸う必要がある。」

呟きつつ目を瞑り、精神を集中させる。と、体から黄色のスライムがウジュリと吹き出し、全身が覆い包まれる。
彼の本体は遥か遠くのエリアに流され最早回収の術は無いが、共に水流の藻屑となったホルマジオごと
取り込まれたDISCが、黄の節制を再び呼び戻した。身に纏う程度ならコントロールも可能らしい。
もっとも司令塔とも言うべき今の体にDISCが差しこまれていない分、自由自在にとはいかないだろうが。

エシディシには、カーズのような卓越した頭脳も、ワムウのような天才的な戦闘のカンも無い。
しかし、自らの性格を把握し、精神をどん底に追い込まれてもすぐにスイッチを切り替えられる沈着さ、
誇りを捨てても、醜いと罵られてでも生きようとする執念深さは、裏を返せば強い精神力の現れだと言える。

人間も吸血鬼も、柱の男すらぶっちぎりで超越した究極生命体が、ギャング五人ごときに敗北を喫したのは何故か。
エシディシには『覚悟』が足りなかった。手足をもがれても、とびっきりの苦痛を伴った死を目前にしても尚、
標的に一矢報いようとする究極の自己犠牲の精神を、死の危険と無縁の彼は持ち合わせていない。
エシディシは油断していた。悲願である究極生物への到達、それで全てが終わりではない。
忘れてはならない、所詮参加者達を奮起させる駒として、いいように荒木に踊らされている事実を。

「認めよう…。俺は貴様らよりも『劣って』いた。貴様らにあって俺には無い強みとは一体何か。
それは身体能力でもスタンドや流法でもない。あらゆる困難に立ち向かい、打ち勝つ『黄金の意志』!」

スタンドも復活し、不死身さに拍車をかけたかに見えるエシディシだが、
ブチャラティの体をあらかた喰らい尽くすまでは、柱の男ならではの身体能力も当然失われたままだ。
この不便な体で再生の為のエネルギーを集めなければならないのは、むしろ不安要素の方が大きかった。

「俺の精神はまだまだ未熟だった。この醜態は、自らの愚かさが招いた罰として受け入れよう。
この屈辱はいずれ晴らす。そして次こそは、真の究極生物として貴様らの前に対峙してみせる!」

416 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:40:37 ID:???
エシディシはまだ勝負を捨てていない。
更なる高みへと辿り着き、頂点に返り咲くその時まで決して諦めようとはしない。
誇りなぞ知った事か!俺は雪辱を果たし、最後の一人まで勝ち残って見せる。
せいぜい楽しみにしていろ荒木、次に血祭りにあげるのは貴様の首だ!フハハハハッ!!


◇   ◆   ◇


「(奴はまた建物内に戻ったのか?とはいえ、俺が探れる範囲はここまでだ。)」

リゾットに残された時間はあと僅かだった。
この放送で20人もの死者と、ナチス研究所の禁止エリア指定まで宣告された。
首輪解除に必要な人員と設備は露と消え、このままでは荒木の悪趣味な遊戯をぶち壊すどころの話ではない。
エシディシの件を抜きにしても、最悪のシナリオはもう目の前だ。
一刻も早く決断を下さねばならない。ところでジョルノとフーゴは一体何をしているのだろう、やけに遅い。

背後に人の気配を感じた。
矢庭に振り返ったリゾットの目に映ったのは、血走った目のエシディシが脳天に鋏を振り下ろす瞬間
…ではなく、幽鬼の如く虚ろに佇むフーゴの姿だった。

「な・・・・フー・・・ゴ・・・?」

リゾットの顔色がさっと青ざめた。
考えたくない事だった。常に頭の片隅で懸念はしていた。だがこの状況、タイミングでまさか
そんな早まった真似はしないだろうと、楽観的に捉えていた部分もあった。

「・・・・予想外、でしたか・・?」

隣に居なければならない筈のジョルノは、どういう訳かフーゴの腕の中にすっぽりと収まっていた。
トレードマークとも言える前髪の三つのカールは鷲掴みにされ見る影も無く、
滴り落ちる血と脳漿が金色の髪と見事なコントラストを形成している。
粗雑な切り口から鮮血をぼたぼたと垂らし、首だけになったジョルノはどんよりとリゾットを見つめていた。
動悸が高まる。苦しい、ひどく息苦しい。


くらくらとする頭を抱えながらも、しっかりと放送を聞いていたジョルノ。
ペッシ、ジョージ・ジョースター1世、岸辺露伴、グェス、川尻早人、ホルマジオ、リンゴォ・ロードアゲイン…。
彼らの死は聞くまでもなく知っている。悼む気持ちはあったが、今更後悔しても無駄だと半ば割り切っていた。

だがテレンス・T・ダービー、シーザー・アントニオ・ツェペリ、音石明、虹村億泰、吉良吉影…。
次々と連ねられてゆく死者達の名に、ジョルノはひたすら絶句していた。
僕達の行動に意味はあったのだろうか?別行動を取った仲間達はこれで悉く死んだ。この人数でどう荒木に対抗する?
勇敢かつ頭の回転が速いジョルノだが、今度ばかりは悲嘆に暮れるよりほかなかった。

フーゴの心境も同様だった。
ナチス研究所には、ここで殺されるだろうなと半ば覚悟しつつ足を踏み入れた。
だがブチャラティはそんな彼を目の当たりにして、怒りを見せるどころか共に闘う申し出を受け入れてくれた。
フーゴが犯した罪を知りつつも、いずれ制裁を与えると宣言しつつも、彼を部下として信頼し背中を預けてくれたのだ。
だから再び忠誠を誓った。命を懸けて怪物に立ち向かった。

しかし結果を見てみろ、ああなってしまった以上ブチャラティは助からないだろう。
疑惑が確信に変わった瞬間、フーゴの中で微かに輝いていた何かが完全に消え失せた。
残っているのは敵対チームのリーダーと、どんな音楽が好みなのかも知らない浅い付き合いの新人ギャングだけ。
この同盟にもう価値は無い。あの時もフーゴの参入に肯定的だったのはブチャラティだけだった。
結局僕には、一つしかない椅子を巡って殺し合う運命がお似合いって訳だ。結構な事じゃないか。

417 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:41:19 ID:???

フーゴは荒木の恐ろしさを嫌と言うほど知っている、対峙するなぞもっての他だし、
ボスに敵視された以上、パッショーネに戻る事も叶わない。組織を乗っ取るまでは行かなくとも、
ディアボロ含めた全員を殺して優勝しなければ、裏切り者のフーゴが生き延びる術は無いのだ。
勝率は限りなくゼロだとしても、フーゴは立ち止まれない。茨の道を死ぬまで進み続けなければならない。

パープル・ヘイズに羽交い絞めにされ銃口を向けられても、ジョルノは力なく項垂れるのみだった。
ブチャラティはもういない、元の世界で仲間だったフーゴにすら裏切られた。
フーゴの狂気を跳ね除ける力は残っていなかった。心に巣食った底無しの闇の中に、ジョルノは深く堕ちて行った。

…そうか、フーゴ。君は絶望しているんですね。

僕と同じに。


仲間との決別、優勝への殺戮を選んだフーゴ。仲間の解放、荒木への挑戦を選んだリゾット。
二人の道は今、完全に別たれた。彼らの道が再び交わる事はもう無い。


【F-2 ナチス研究所 庭/2日目 深夜】

【リゾット・ネエロ】
[スタンド]:『メタリカ』
[時間軸]:サルディニア上陸前
[状態]:頭巾の玉の一つに傷、左耳と左手の小指消失(止血済)、額に切傷、身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大)
[装備]:フーゴのフォーク、ミスタがパくった銃【オートマチック式】(2/15)
[道具]:デイバッグ&基本支給品(リゾット、ホルマジオ、ブチャラティ、ジョルノ、億泰、テレンスのもの そのうち一食だけ水と食料なし)
    不明支給品残り0〜1(億泰のもの)、参加者詳細データ集、『ザ・ワールド』のスタンドDISC
    首輪の設計図(ジョセフが念写したもの)、ダービーズ・チケット、妨害電波発信装置
    ペッシの首輪、重ちーが爆殺された100円玉(一枚)、ジョルノの『探知機』となっている小石
    紫外線照射装置、、承太郎のライター、シャーロットちゃん、スージーの首輪、ワンチェンの首輪
    包帯、冬のナマズみたいにおとなしくさせる注射器、不明支給品0〜2(確認済:ジョルノのもの)
[思考・状況]
基本行動方針:荒木を殺害し自由を手にする  
0.嘘だろ、フーゴ…!?
1.エシディシの息の根を止め、ブチャラティを呪縛から解放する。
2.首輪を外すor首輪解除に役立ちそうな人物を味方に引き込む。
  カタギ(首輪解除に有益な人材)には素性を伏せてでも接触してみる。
3.荒木に関する情報を集める。他の施設で使えるもの(者・物)がないか、興味。
[備考]
※リゾットの情報把握
 承太郎、ジョセフ、花京院、ポルナレフ、イギー、F・Fの知るホワイトスネイク、ケンゾー(ここまでは能力も把握)
 F・F(能力は磁力操作と勘違いしている)、徐倫(名前のみ)、サウンドマン、山岸由花子(名前のみ)

418 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:42:02 ID:???
※リゾットのメモには以下のことが書かれています。
[主催者:荒木飛呂彦について]
荒木のスタンド → 人間ワープ…見せしめの女の空中浮遊、参加者の時間軸の違い(並行世界まで干渉可能)
        → 精密機動性・射程距離 ともに計り知れない
開催目的 → 不明:『参加者の死』が目的ならば首輪は外れない→この線は薄い
           『その他』(娯楽?)が目的ならば首輪は外れるかもしれない 
※荒木に協力者がいる可能性有り

【以下ブチャラティのメモの写し】
①荒木飛呂彦について
 ・ナランチャのエアロスミスの射程距離内にいる可能性あり
  →西端【B-1】外から見てそれらしき施設無し。東端の海の先にある?(単純に地下施設という可能性も) →G-10の地下と判明
 ・荒木に協力者はいない?(いるなら、最初に見せつけた方が殺し合いは円滑に進む) →協力者あり。ダービーにもいることが確実。
②首輪について
 ・繋ぎ目がない→分解を恐れている?=分解できる技術をもった人物がこの参加者の中にいる?
 ・首輪に生死を区別するなんらかのものがある→荒木のスタンド能力?
  →可能性は薄い(監視など、別の手段を用いているかもしれないが首輪そのものに常に作用させるのは難しい)
 ・スティッキィ・フィンガーズの発動は保留 だか時期を見計らって必ず行う。
③参加者について
 ・知り合いが固められている→ある程度関係のある人間を集めている。なぜなら敵対・裏切りなどが発生しやすいから
 ・荒木は“ジョースター”“空条”“ツェペリ”家に恨みを持った人物?→要確認
 ・なんらかの法則で並べられた名前→国別?“なんらか”の法則があるのは間違いない
 ・未知の能力がある→スタンド能力を過信してはならない
 ・参加者はスタンド使いまたは、未知の能力者たち?
 ・空間自体にスタンド能力?→一般人もスタンドが見えることから


【パンナコッタ・フーゴ】
[時間軸]:ブチャラティチームとの離別後(56巻)
[状態]:身体ダメージ(極大)、 身体疲労(極大)
[装備]:ナランチャのナイフ、S&W M19(1/6)
[道具]:基本支給品×4、ダービーズチケット、ディアボロのデスマスク、予備弾薬37発(リボルバー弾7発、オートマチック30発)
    鳩のレターセット、メサイアのDISC、ジョルノの『探知機』となっている小石
    S&W M19の予備弾薬(30/30)
[思考・状況]
基本行動方針:未熟な過去に打ち勝ち、新しい自分となる
1.完全にゲームに乗った、優勝の為ならどんな汚い手も辞さない。
2.単身でディアボロとエシディシに勝てるかは分からないが、やるしかない。
3.優勝したら、組織の手が届かない何処か遠い所で新たな人生を歩もう。
[備考]
※荒木の能力は「空間を操る(作る)」、もしくは「物体コピー」ではないかと考えました(決定打がないので、あくまで憶測)
※空条承太郎、東方仗助、虹村億泰、山岸由花子、岸辺露伴、トニオ・トラサルディー、ジョセフ・ジョースターの能力と容姿に関する大まかな説明を聞きました。
※吉良吉影の能力(爆弾化のみ)を把握しました。しかし、一つしか爆弾化できないことや接触弾、点火弾に関しては聞いていません。
 また、容姿についても髑髏のネクタイ以外には聞いていません
※花京院とその仲間(ジョセフ・ジョースター、J・P・ポルナレフ、イギー、空条承太郎)の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※アヴドゥルとフェルディナンドの考察から時代を超えて参加者が集められていることも知りました。
※デスマスクの男の正体がボス=ディアボロであること、その能力などに気づきました。

419 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:42:50 ID:???
◇   ◆   ◇


ほぼ同時刻、ナチス研究所から数百メートル離れた空き地に二人の男が佇んでいた。
放送で告げられた死者の多さに愕然とし、憂いを含んだ表情を浮かべる学生服の少年、花京院典明は
やや離れた場所から様子を窺う中性的な顔立ちの男、ナルシソ・アナスイの気配に気付いていなかった。

背中がガラ空きだぜ?花京院。
さっきの放送でどれだけショックな内容を言われたのか知らないが、
「ポルナレフ」とか「たったの12人」だのブツブツ言いながら歩き回るザマはどう見てもアブナイ奴だぞ。
生き残りの12人が心配みたいだが、後ろで俺に狙われている事にも気付けないんじゃあ世話ないな。
さっきはティムの野郎が邪魔して仕留め損ねたが、同じ目的地に向かっていたのがお前の運の尽きだぜ。
悪く思うなよ。じゃあな、花京院。

思わず口角が緩む。指先を花京院の後頭部にポイントし、どんな死に様を用意してやろうかと思いを馳せる。
『おい!』と大声を出して花京院の絶望に満ちたツラを拝んでやるのもいいかもな。などと考えていた矢先、

ドゴォッ!!

花京院の姿をしっかりと捉えていたはずの視界は暗転し、
頭部を熟れたトマトの如く弾けさせるつもりだったF・F弾は虚しく地面を穿つ。
状況を把握するのに少しだけ時間がかかった。どうやら俺は地べたに這いつくばっている。
何故なら後ろからタックルをかましやがったクソ野郎に組み伏せられ、腕と頸動脈の辺りを極められているからだ。
何て事だ!花京院をブチ殺すのに夢中で、周囲の警戒を怠っていたとは!
それだけじゃない…。こいつ、俺を押さえつけながら…血を吸ってやがる……!

「クソッ!!離れやがれこのダボがァ!!」
「…チィッ!」

関節を無理矢理外し、凄まじい力で俺に圧し掛かる吸血野郎にF・F弾を放つ。
苦しい姿勢から撃った弾丸はダイバー・ダウンのパワーが上乗せされ、野郎を簡単に吹き飛ばした。
すぐさま体勢を立て直し、首筋の傷穴をプランクトンで埋める。横をちらりと見やると、
流石にこちらに気付いたらしい花京院がぽかんと口を開けて俺を見ていた。

「何してやがる!早くここから逃げろ!そのままナチス研究所へ行くんだ、俺の仲間がいる!」

人の血を吸うだなんてえげつない真似をしておきながら、至極真っ当な台詞を吐くんだな。
ん?こいつ…。暗がりでよく見えなかったが、ブローノ・ブチャラティじゃないか?
こいつ、吸血鬼だったのか?いや、あのジッパーを操るスタンドが傍らに居ないし、何だか様子がおかしい。
F・F弾に抉られた脇腹の傷がグジュリグジュリと治り、しかも撃ち込んだフー・ファイターズ達が悉く死滅している。

「フン、ちっぽけな人間風情が、大人しく眠っていろ。」

ブチャラティの目の色が急に変わり、声もまるで別人の如く低くなった。
俺の中で警鐘が鳴り響いた。この声を、身に纏う絶対的な強者のオーラを、俺は知っている。
突然、体のあちこちに焼け付く痛みを感じた。慌てて自らをよく見渡すと、
吸血してる隙にくっついたのだろう、黄色いスライムが俺の肉をほうぼうで貪り喰らっていた。

「第三ラウンドを始めようじゃあないか。え?それとも最終ラウンドか?フー・ファイターズよ。」

420 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:43:38 ID:???
【F-2 やや北東/2日目 深夜】

【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(極大)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、激しい自己嫌悪
[装備]:なし
[道具]:ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木
1.ブチャラティの指示通りナチス研究所に行くか、それとも此処に留まり戦いに加わるか決めかねている。
2.結局ポルナレフには会えなかった。僕は無力な人間だ…。
3.ナチス研究所に本当に仲間が居るのだろうか?それは僕の味方なのか?
4.打倒荒木、巻き込まれた参加者の保護、をするにはもう遅いのかも知れない。
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。


【ナルシソ・アナスイ with F・F】
【スタンド】:ダイバー・ダウン・フー・ファイターズ
【時間軸】:アナスイ…「水族館」脱獄後、F・F…DアンG抹殺後
【状態】:貧血、首に指先を突き立てられた傷(プランクトンで処置済み)、黄の節制に食われ中、全身にF・Fの細胞が寄生し、共存している。
【装備】:なし
【道具】:基本支給品×5、点滴、クマちゃん人形、双眼鏡、ラング・ラングラーの首輪、トランシーバー2つ(スイッチOFF)、ラング・ラングラーの不明支給品(1〜3。把握済)、テイザー銃(予備カートリッジ×2)、杜王町三千分の一地図、牛タンの味噌漬け、ノートパソコンの幽霊
※基本支給品はアナスイ、ラングラー、ティム、ヴェルサス、音石の五人分です。
 音石の水はF・Fが回復に利用しました。その他食料、水がどれだけ残っているかは不明です。
【思考・状況】
基本行動方針:空条徐倫を生存させるために彼女を優勝させる。そのために、徐倫以外の全ての参加者を殺害する。
0.お前、エシディシなのか!?
1.エシディシと決着をつけ、花京院を始末する。
2.ナチス研究所にも参加者がいると確定したので、そちらも始末する。
3.徐倫には会いたくない。

421 ◆SF.flmxVNo:2011/03/24(木) 23:44:21 ID:???
【ブローノ・ブチャラティ with エシディシ】
【ブローノ・ブチャラティ】
[スタンド]:『スティッキー・フィンガーズ』
[時間軸]:護衛指令と共にトリッシュを受け取った直後
[状態]: 瀕死、意識昏迷状態、エシディシに全身を乗っ取られている
[装備]:ジョルノの『探知機』となっている小石、スージーの指輪
[道具]:メタリカの鋏の欠片
[思考・状況]
基本行動方針:打倒主催、ゲーム脱出
0.・・・(気絶中)
1.自分はきっと助からないので、せめてエシディシを巻き込む形で自殺したい。
[備考]
※代謝機能を持続させる為だけにエシディシに生かされています。今後どうなるかは分かりません。
※基本的に体の主導権をエシディシに握られていますが、ほんの一瞬だけ意識を取り戻す事もあります。
※極端に衰弱しており、もうスティッキー・フィンガーズは使えません。またエシディシの細胞に浸食されているので意識があっても体を満足に動かせません。

【エシディシ】
[スタンド]:『イエロー・テンパランス(仮)』
[時間軸]:JC9巻、ジョセフの“糸の結界”を切断した瞬間
[状態]:ブチャラティと同化、少しずつ能力を取り戻しつつある。
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:リゾット達に再起を誓う。力を取り戻し、究極生物として荒木をも超越する。
1.F・Fと決着をつけ、花京院の血を吸って力の回復を図る。
2.ブチャラティの体を馴染ませる為、もっと人間を捕食したい。
3.いずれリゾット達にリベンジを果たす。もう慢心はしない。
[備考]
※現在ブチャラティの体の30%程度はエシディシの細胞であり、今なお増殖中です。
※イエロー・テンパランスの能力の一部が使えます。これはDISCよりもエシディシに芽生えたスタンドの才能による部分が大きいです。が、コントロールには疲労を伴います。
※ブチャラティの体を乗っ取っている状態なので、あくまでも人間が出せる限界+αの身体能力しかありません。具体的に言えば吸血鬼と同程度と言った所です。

【ジョルノ・ジョバァーナ 死亡】
【残り 11(12)名】

422ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/03/26(土) 21:41:29 ID:???
>>412
フー・ファイターズは水分で分裂、増殖するのがそもそもの能力であり、言うならば生物とスタンドの特徴を伏せ持った存在ですので一概には言えないかもしれませんが、
DISCを持つ個体からある程度離れるとまともに活動できなくなります(SO10巻参照)。
このことから、DISCを持っているほうが本体とされ、能力は失われると解釈した方が自然なのではないでしょうか。

423 ◆SF.flmxVNo:2011/03/27(日) 13:32:14 ID:???
>>422
あらゆる生物の遺伝情報を知っていて何にでも変身する究極生物なら、プランクトンと同じ事が出来ても不思議はありません。
離れていると言ってもせいぜい2、3kmと言った所で、ここまで離れたら能力は使えない、という描写がある訳でもありません。
〜が自然というのはあくまで憶測に過ぎません。明確な根拠があり完全な矛盾やミスだと認めざるを得ないならまだしも、
グレーゾーンである以上わざわざ修正するべき箇所ではないと思います。

424ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/03/28(月) 17:50:51 ID:???
F-2で見るとナチス研究所は西寄りに位置するので、花京院が北東にいるのは違和感を感じます。
研究所の火事のせいもあるのでしょうが、なぜ北東方面に向かったか(場合によっては同じく研究所に向かっていたアナスイも)補足的な説明を入れるべきでは。

425 ◆SF.flmxVNo:2011/03/28(月) 23:45:25 ID:???
>>424
そこまでは考えてませんでした…。自分の読み込み不足です。
フーゴの銃も一発撃ったのを直し忘れてました。機を見て修正します。

どなたか『君の心に希望はあるか』の代理投下と出来ればwiki掲載をお願いします。
プライベートな事情で申し訳ありませんが、仕事の関係で家をあけており、携帯で本投下するのはちょっと無理なもので。

426ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/04/02(土) 13:11:37 ID:ZbB1DkB6
修正前の本投下&wiki掲載でいいの?
そろそろ急がないと次話の投下に間に合わないよ

427ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/04/03(日) 12:21:40 ID:???
規制食らってたのでwikiだけやっときました

428 ◆0ZaALZil.A:2011/04/10(日) 21:15:49 ID:???
お待たせいたしました

ttp://www1.axfc.net/uploader/Sc/so/223381
パスはjojorowa2nd

指摘がありましたらロダに。

429 ◆Y0KPA0n3C.:2011/04/10(日) 22:33:20 ID:???
まったく問題ない、行け

と私の中のDIO様が宣言されてます。
本投下を楽しみに待ってます。

尚自分のほうの予約分なのですが、思いのほか執筆が滞ってます。
短い話なのですが、リアルのほうも忙しく、完成させる気ではいますがもしかしたら間に合わないかもしれません。
その時は予約スレにてしっかりと破棄宣言するので、ネタがある方はよろしくお願いします。

430 ◆0ZaALZil.A:2011/04/12(火) 19:57:55 ID:???
特に指摘がないようでしたら、明後日に投下してよろしいでしょうか?
皆さん忙しい時期でしょうし

431ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/04/12(火) 20:23:05 ID:???
よしやっちまえ

432 ◆0ZaALZil.A:2011/04/14(木) 20:44:20 ID:???
【F-1 /2日目 深夜】
【花京院典明】
[時間軸]:ゲブ神に目を切られる直前
[状態]:精神消耗(極大)、身体ダメージ(中)、右肩・脇腹に銃創(応急処置済)、全身に切り傷、激しい自己嫌悪
[装備]:なし
[道具]:ジョジョロワトランプ、支給品一式
[思考・状況]
基本行動方針:打倒荒木
1.一体あの光は?
2.結局ポルナレフには会えなかったし、研究所にも誰もいなかった。僕は無力な人間だ…。
3.打倒荒木、巻き込まれた参加者の保護、をするにはもう遅いのかも知れない。
[備考]
※荒木から直接情報を得ました。
「脅されて多数の人間が協力を強いられているが根幹までに関わっているのは一人(宮本輝之助)だけ」
※フーゴとフェルディナンドと情報交換しました。フーゴと彼のかつての仲間の風貌、スタンド能力をすべて把握しました。
※マウンテン・ティムと情報を交換しました。お互いの支給品を把握しました。
※アナスイの語った内容については半信半疑です。その後アナスイがティムに語った真実は聞いていません。



【D-5 北西部/1日目 深夜】
【王s(オーズ)】
【ディオ・ブランドー】
[時間軸]:大学卒業を目前にしたラグビーの試合の終了後(1巻)
[状態]:首輪解除済み。内臓の痛み、右腕負傷、左腕欠損(波紋と、ジョナサンが持っていた包帯で処置済み)、軽度の銃創、左足負傷、
    ジョルノ(と荒木)への憎しみ
[装備]:『ホワイトスネイク』のスタンドDISC
[道具]:首に巻く布、ヘリコの鍵、ウェザーの記憶DISC、アイアンボールボウガンの鉄球、剃刀&釘セット(約20個)、
    基本支給品×2(水全て消費)、不明支給品0〜1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:参加者の首輪を解除して、対主催軍団の頂点に。荒木のスタンドを手に入れる。
0.荒木め、一体何を。今は徐倫を追うほかないが。
1.ジョージ殺しの罪を吉良になすりつけることで集団に入りやすくする。
2.荒木のスタンドDISC生成の時間稼ぎのために、スタンド使いを『上に立って従わせる』。
3.ジョルノに借りを返す
4.ジョルノが……俺の息子だと!?
[備考]
※見せしめの際、周囲の人間の顔を見渡し、危険そうな人物と安全(利用でき)そうな人物の顔を覚えています
※ジョルノからスタンドの基本的なこと(「一人能力」「精神エネルギー(のビジョン)であること」など)を教わりました。
 ジョルノの仲間や敵のスタンド能力について聞いたかは不明です。(ジョルノの仲間の名前は聞きました)
※ラバーソールと由花子の企みを知りました。
※『イエローテンパランス』、『キング・クリムゾン』の能力を把握しました。
※『ホワイトスネイク』の全能力使用可能。頭部を強打されればDISCが外れるかもしれません。

433 ◆0ZaALZil.A:2011/04/14(木) 20:44:58 ID:???
【ディアボロ】
[時間軸]:レクイエムジョルノに殺された後
[状態]:首輪解除済み。右つま先に爆発によるダメージ(応急処置済み)。頭部に軽い打撲。強い決意。恐怖。
[装備]:なし
[道具]:支給品一式(水は全消費)、巨大なアイアンボールボーガン(弦は張ってある。鉄球は1個)、首に巻く布、
    ポルナレフのデイパック(中身は確認済み):空条承太郎の記憶DISC、携帯電話
[思考・状況]
基本行動方針:ジョセフの遺志を継ぎ、恐怖を乗り越え荒木を倒す。
1.ひとまず徐倫を追いかける。
2.だが、ディオ・ブランドー……信用できるのか?
3.無事ジョルノに『伝言』が伝わっていればいいが……
4.恐怖を自分のものとしたい。
5.『J・ガイルを殺す、花京院に謝る』。2つのポルナレフの遺志を継ぐ。
6.駅にあるデイパックを回収したい。
[備考]
※音石明の本名とスタンドを知りました。
※参加者が時を越えて集められたという説を聞きました。
※『恐怖を自分のものとして乗り越える』ために生きるのが自分の生きる意味だと確信しました。
※アレッシーとの戦闘により、『エピタフ』への信頼感が下がっています。
※精神状態の変化から時を飛ばせる時間が少なくなっています。
※サンドマンのメッセージを聞きました。
※露伴たちと情報交換をしました。内容は『迷える奴隷』参照。
※DISCに描かれている絵が空条承太郎であることは把握しました。DISCの用途を知りましたが、記憶DISCか、スタンドDISCかの判別は付かなかったようです。

※ディオとの情報交換は禁止エリア内で行われました。
※道中シーザーとジョナサンの死体を目撃しています。



【C-4 南東/1日目 深夜】
【空条徐倫】
【時間軸】:「水族館」脱獄後
【状態】:身体ダメージ(大)、体中縫い傷有り、上半身が切り傷でボロボロ、火傷(小)
【装備】:エリナの指輪、大型スレッジ・ハンマー
【道具】:基本支給品一式 、サブマシンガン(残り弾数70%)、不明支給品1〜5(確認済)、ジャイロの鉄球、メリケンサック、
     エリナの首輪、ブラフォードの首輪、
【思考・状況】
基本行動方針:荒木と決着ゥ!をつける
0.荒木を屈服させ、すべてを元通りにさせる。そのためにも南下。
1.そのためならばどんなゲスでも利用してみせる。アナスイももちろん利用する。だがディオの誘いに乗るべきか?
2.自分達を襲った敵を見つける。
3.インディアン(サンドマン)と情報交換。
[備考]
※ホルマジオは顔しかわかっていません。名前も知りません。
※最終的な目標はあくまでも荒木の打倒なので、積極的に殺すという考えではありません。
 加害者は問答無用で殺害、足手まといは見殺し、といった感じです。
※アナスイから『アナスイが持っていた情報』と『ポルナレフが持っていた情報』を聞きました。
※花京院から支給品一式を返してもらいました。
※居間で行われていた会話はすべて聞いていません。

434 ◆0ZaALZil.A:2011/04/14(木) 20:46:03 ID:???
※【C-5西部 民家】吉良吉影の死体の近くに、ティッシュケースに入れた角砂糖(爆弾に変える用・残り4個)、携帯電話、折り畳み傘、
 クリップ×2 、ディオの左手、 ハンカチに包んだ角砂糖(食用)×3、ティッシュに包んだ角砂糖(爆弾に変える用)×5、
 ポケットサイズの手鏡×2、支給品一式×2、緑色のスリッパ、マグカップ、紅茶パック(1/4ダース)、ボールペン二本、
 CCDカメラの小型モニター、ギャンブルチップ20枚、二分間睡眠薬×1 が放置されています。
※【D-4 北部】に支給品一式 ×5(内一食分食料と方位磁石消費)が放置されています。
※【C-5 西部】にサブマシンガン(残弾なし)が放置されています。
※ヨーロッパ・エクスプレスはDIOの館を離れました。どこに行ったのかは不明です。



【G-10 ダービーズアイランド/1日目 深夜】
【並行世界の荒木飛呂彦】
[状態]:健康、超絶最高にハイ
[装備]:無し
[道具]:日記
[スタンド]:『メイド・イン・ヘブン』
[思考・状況]
基本行動方針:運命そのものになる=宇宙を一巡させ、他の生物の運命を固定、自分だけ運命から解き放たれる。
0.僕は皆の運命になりたい。そのためにも運命を覆せる世界を手にする!
1.バトルロワイアルは可能な限り続行。生き残りは出来るだけ絞りたい。

※一度『バトルロワイアル』を完結出来ず敗北した世界から、荒木によってこちらに連れてこられたようです。
※DIOの意志が融合し、星型の痣が出来た影響で、ジョースター家の気配を何となくではありますが察知することが出来ます。また、察知もされます。
※荒木飛呂彦死亡後、徐々に会場の崩壊が始まりましたが、現在、会場の維持は何とかできているようです。
 目に見えての変化は今のところありません。
※現在、時は加速させていません。仮に加速させた場合、バトルロワイアルの会場の崩壊も加速します。
 崩壊までの時間、会場の崩壊後どうなるかは不明です。

※『ザ・ワールドのスタンドDISC』は、緑色の赤ちゃんを誕生させたことで消滅しました。

---------------------------------------------------------------------------

さるさんにつき、どなたか代理投下をお願いします

435ゲロ以下のにおいがプンプンする名無しさん:2011/04/14(木) 21:01:58 ID:???
代理投下完了しました。

436 ◆0ZaALZil.A:2011/04/14(木) 21:10:25 ID:???
ありがとうございます。支援の方も感謝いたします


新着レスの表示


名前: E-mail(省略可)

※書き込む際の注意事項はこちら

※画像アップローダーはこちら

(画像を表示できるのは「画像リンクのサムネイル表示」がオンの掲示板に限ります)

掲示板管理者へ連絡 無料レンタル掲示板