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【脱出】Story of unhappy happy girl 【ホラー】

8 Markkku :2011/06/01(水) 21:31:21


少年はこの場にいる者全員を見渡す。
扉の前では30人ほどの人間で賑わっていた。
視線を外し、エントランス中を見渡すと、それより多い人数が散らばる。
正確な数は不明だが――
「100人くらいね」
隣のメモリーが呟いた。

「……わかるんですか?」
「おおざっぱに。声の数でね。あとは喋ってない人を人数に入れて、それくらい」
「こんなにたくさんの人が……」
「あと、動いてる物の移動音を聞けばだいたいその位置がわかったり」
「あの子はなんのために僕たちを……」
「ちょっと、すごいくらい言ってよ〜」
メモリーはムスッとする。
しばらく少年とにらみ合っていたが、やがて元の表情に戻る。
「そういえば、……ディエゴ君、大丈夫かな?」
「あの獣人さんですか?」
「うん、だいぶヘトヘトに見えた。  ……ここに来る前運動でもしてたのかなぁ」



装飾の施されたドアの前には様々な服を着た男女が入り乱れているが、作業着姿の割合が多かった。
ディエゴはその中にまぎれ、作業着を着ている男たちの内のひとりと話していた。
「その服、マシネスカンパニーだろ」
「……まぁ、そうです。力仕事が多いのが幸いしまして」
作業員は照れくさそうに鼻をかく。ディエゴは何気なくドアを押してみるが、びくともしなかった。
「仲間も一緒だったのはいいのか悪かったのか……」
「ドアが開いたんだから、よかったじゃねぇか」
「そうでしょうか……」
「プラス思考で考えな。所で、あんたの名前は?」
そう言われ男は言葉に詰まり、視線を反らした。
周りに集まる者達もみな似た表情だ。戸惑っている。
「……それが」
「なんだ?」
「全然……思い出せないんです。仲間も、そうみたいで、……そいつの名前も、すっかり頭から抜け落ちてて」
「そいつは酷いな……」
「……ディエゴさんはまだ自分の名前がある。俺らはあだ名考えるのに必死ですけど、あなたは、ちゃんと自分の事大事にしてくださいね」
「勿論さ」
会話はそこで途切れ、二人は人だかりの隙間からドアの向こうを見る。
薄暗いエントランスとは違い、長い廊下は穏やかな灯りで満ちていた。
「全部の部屋がこんな感じだったらいいんですけどね……」
一直線に伸びる廊下の奥は広間となっており、大きなテーブルらしきものが見える。
「……もしそうだったら俺は願い下げだ」


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