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孤空の月〜崩れゆく廃坑〜

125 腐れ飯〜memory2〜 :2011/05/07(土) 23:26:36

「やー…珍しいな、お前がここまで深手を負うなんて」
ヨナタンはユエの肩に手をかざす。すると傷がどんどん癒えていった。
「ん……あぁ…」
石に座り、すこし眠りかけていたユエは、ゆっくりと目を開けて、どこか気の抜けた返事をした。
「オイラの魔法でも時間かかるぜーこれ。……あいつらその間にこないといいな」
「それはないから大丈夫だ。全員死にかけだ。…それとその喋り方なんとかならないのか?」
「まぁそういうなって。癖なんだよ」
ヨナタンは先ほどユエが引きずって来た女を横目で見る。女と言われればそうだが、そう言われなければ
男にしか見えなかった。
「なるほどな…お前が好きそうだ。」
「………」
「血は吸ったのか?…まぁ、聞くまでもないか」
そういって今度は、大きなルビーの前に足音を鳴らしながらゆっくり近づき、そっと触れる。
「オイラもさっき一人すごい奴こんなかに入れたよ。なんていうか勇者エネルギーに溢れてる奴。ルビーが
好きそうなやつ」
ユエは、ルビーに目をうつす。相変わらず美しい。
「……勇者…か…」

まどろみの中に流れた記憶の映像が、水位があがるようにまた現れ始めた。

ヨナタンは焦点が何処にも会っていないユエの目の前で手を振る。

「おいおい…大丈夫か?」
「いや…すまない。貧血かもしれないな」
「吸血鬼が貧血て…」
それより聞いてくれよ!とヨナタンはルビーに向き直り大きく手を広げ、洞窟の天井を仰いだ。
「もうすぐオイラの研究の成果が実践に使えそうなんだ!随分と長い年月がかかっちまったが、終に終わりが近づいたんだよ!」
ユエは、一応聞き耳は立てたが、正直どうでもよさが心の中で渦巻いていた。反響する声が耳障りにも感じた。
「この力があればあの王国も潰せる………なぁユエ」
相変わらず無反応だ。
「そのためには、ここのルビー、結構いるんだよ」
「……その話、何回されたかな」
「何回もしたけどな…」
「じゃぁ僕も、何回も断ったな」
ユエはゆっくりと腰をあげる。重く冷たい沈黙が訪れるが、ユエは何事もなかったかのように口を開いた。
「まぁ、とりあえず回復したらあいつらに止めをさしてくる。話の続きは、その後だ。」
ヨナタンは、嫌らしく微笑む。両手の人差し指をピンと伸ばし、自分の胸の中心をトントンと叩いた。
「そんな弱点むき出し状態。鎧を作って、回復もするとしたらどのくらいかかるだろうな?」
「知らないな」
「あいつらに逆に、返り討ちにあったりしてな」
「妙だな…」
ユエの眼は、深く薄暗かった。

「まるで死んで欲しいみたいな言い方だ」

ヨナタンは、一瞬瞳孔を大きく開くが、すぐに歯の隙間から息をもらし、ハッハと短く笑う。

「そんな馬鹿な話があるかよ。お前が心配なんだ。この洞窟でのたれ死なないか」
ユエは、ヨナタンが持ってきた荷物のほうへ歩き、回復道具を何個か取り出した。そのままセイスイの方へ
近づき、一つを傍に置いた。
「僕は死なないよ…このルビーの輝きが増すと考えると特にね。この女の回復も頼むよ。僕は残りの回復道
具で応急措置するから」
ヨナタンは言われるとおりにセイスイのほうへ近づき、しゃがみ込む。

この洞窟で死ぬ…

それもまた運命かもしれない。

「いや…」
違うな。とユエは首を振った。
僕はこのルビーを守らなければいけない。自分の心に住む大切な人を生かさねばならない。
それを守り抜いてこそ、本当の勇者なんだ。

そうだろう?新之……


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