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【きまぐれ】紅苺【リレー小説】

1 木野 :2008/02/28(木) 21:58:43
ルール:
めんどいので順番とか関係なし。基本木野がこのスレの小説をきまぐれで
かいてく。
※乱入有り
【木野が書いてる途中でストーリーに割り込む事は可能。というかOK。
その場合はあらかじめ前もって宣言用のスレに宣言しておく。
基本早い者勝ち順。おそらく一回入ったっきりのキャラはスルーしていく可能性は大。】
※乱入できるキャラは基本1人だけ。
メール欄にそのキャラの特徴(OR,設定ページ)を書くといいとおもう。
※システム上1000スレ以内で終われるようにがんばろーうん。
※木野が飽きたり挫折したら終了する可能性があります
※ルールは適当に変わる可能性があります

他の話でスレを立てるのは自由ですが立てすぎ注意。適当にまとめて
UP場所にUPしておくなりして自己削除推奨

2 木野 :2008/02/28(木) 22:26:21
-----------------------------------------------------------------

赤子はその赤い果実に興味を示した
少女はその汁のような甘いささやきに耳を貸した
青年はその実の赤さのような血を求めた
母親はその種の数の如く子供が生まれるのを望んだ
老人はその皮の内側の水の潤いを渇望した
死人はその腐った果実の味を知ることは無かった
赤子はその赤い果実を手に取り握りつぶした

------------------------------------------------------------------

【・・・・・黄色い髪をフサフサとさわりながら、本を寝ながら読んでいる青年が大きく
あくびをした。勉強の合間にヒューマ街から取り寄せた詩でも読んで休憩しようかと思った
のだが、これなら外で鶏と戯れていた方がだいぶ気がまぎれる・・・そんな小難しい内容の
本だった。】
イサム「字は国内共通だけれども、意味はさっぱりだな・・・」
【シャユウ街に住む剣士の見習い・・・イサムは、「えいっやっ!」と剣を振る動作を
しながら本を机の上に放り投げた。】
イサム「・・・ハヤハも狩りの時期だからいないし・・・暇だなぁ・・」
【いつもなら外に出て剣を振り回し特訓しているところなのだろうが、あいにくの雨。
鶏の羽もしっとりとしているだろう。】
イサム「・・・・・」
【ベッドの上で背伸びしているうちにまぶたが重くなってきた。雨の音が子守唄のごとく
乱れたリズムを刻んでいく・・・】

<ギィ・・・>
【ドアが重くゆっくりと開いた。そこには・・・・

3 木野 :2008/03/01(土) 00:18:10
【ドアが静かに開いた。が、そこには誰の人影も見えずに冷たい風雨が振り込むだけ
だった。】
イサム「・・・?誰かのイタズラか・・にしてもこんな天気の中でわざわざわ・・・」
【吹き込む冷たい雨風で目が覚めたイサムは、ベットから立ち上がるとドアの方へと
近づいていく。そしてピタリと止まった】

イサム「・・・そこにいるのは誰だ?」

4 MaRk :2008/03/01(土) 18:45:26
返事はなかった。

静寂の中、ただ聞こえるのは雨の音のみ。
イサムは外の様子を見ようとドアから足を出すが、
固い地面に降りるはずの足には
何故か柔らかい感触が伝わって来た。
不思議に思ったイサムは足元を見る。そして、
「…イサ……ムさ、……重い………」
不快な感触の正体が人間だと分かった途端、
驚いたイサムは咄嗟に足を退けた。

雨具を羽織った水色の髪の女がうつ伏せに倒れている。
彼女のそばにはカゴが横たわっており、
中には焼き菓子と野イチゴが入っているようだった。

5 木野 :2008/03/01(土) 21:15:08
イサム「わっ・・・大丈夫か!?」
【ぬかるんだ地面に倒れていたミューラルから足をどかし、おそるおそる聞く、
イサム「君は・・・?」
【その珍しい水色の髪には見覚えがあった。前に鶏が泥まみれになって困っていた時に
通りかかった彼女が泡で鶏を真っ白にしてくれたのだ。
(・・・その鶏は茶鶏だったが問題はないだろう。)
しかし、お礼をいう間も無く彼女はいなくなっていた・・・
いや、正確には鶏と一緒に自分も泡にまみれていて泡から脱出した時には彼女の姿が
なかっただけなのだが。】
イサム「とにかく、中へ。このままじゃあ風邪を引いてしまう。」

【遠くの方で雷の音が聞こえた。そんな気がした。】

6 くされめし :2008/03/01(土) 22:58:26
「イサムさん」
寒気がした
「うわあああああ!!」
久しぶりかとおもう大声をあげ、イサムは大きく振り向き退いた。

そこには青い髪の少女がたっていた
「・・・・・・」
少女は目を見開き、少し怯えているようだ。
「・・・・・・キャド」
イサムは微笑む、それにつれてキャドも安堵の笑みを浮かべる
イサムは少し恥ずかしくなり、顔をうつむいて言う
「どうした、どこかいってたのか」
「はい、少し苺を」
手元にもっている大き目のかごに苺がはいってる、そんなに量は多くない
「雨がふってしまいまして、ここにきたら、イサムさんが」
「そうか・・・」
「ところで」
キャドは周りをキョロキョロしながら一回下を向き、またイサムを見る
「先ほどは誰と話していたのでしょうか?」
「は?」
先程というと水色の髪の女の子である。
浮気もなにもないがすこしあわてた。
「いや、さっきの子は・・・その」
「子?」
「はい?」
「いや、先程から一人で話していたようなので」
イサムは眉をひそめた
ついでになんか汗をかいた
「おまえいつからいた」
「あの、えと・・・君は・・のくだりから」
雷の音がまた聞こえた気がした
気がつけばキャドの苺が一個落ちていた
「とりあえず、雨が強くなってきました。」
イサムの横をキャドが通る
落ちた苺をイサムはそっとひろった
「・・・」
この苺は水色の少女のものだ
「・・・雨が強くなってきたな」

7 木野 :2008/03/01(土) 23:15:48




・・・オレは誰にいってるんだろうか?

ふと、机の下に広がる水溜りに目をやる。そこにはさっきまでいた・・・
そう、キャドだ。キャドがいたはずだ。
イサム「・・・ぉぃ・・キャド?どこにいったんだ?」

<ぐちゃぁ・・>


手の間から赤い汁が滴る。さっきひろった苺を無意識の内に握りつぶして
しまったようだ。
イサム「何やってんだろ・・・・オレ。」
桶の水で洗おうと思ったがいつの間にか空になっていた。仕方なくオレは
外の雨でこのべたついた手を洗い流してしまおうと思った。



「・・なのです。」


                        甘い声が聞こえた。

8 くされめし :2008/03/01(土) 23:25:32


「何だ?」
振り向く。何もない
雨はつよくなり、苺はすっかりとれたようだ
「残念なのです」
甘い声はだんだん近くなり、こんどは外のほうから聞こえた
「いったいなんなんだ・・・」
振り向いた。
そして退いた。
そこにはニヤニヤした妙な帽子をかぶったミニスカの女がたっていた
「あなたはなかなか鈍感なのです」
「なんのことだ?」
雨が強くなり風も強い。
こんな気候になることは聞いてなかったのだが・・・。
「その苺はやくふいたらどうなのです?」
そういわれて、手元を見る。
「うわ・・・なんだこれは!!」
また苺をにぎりつぶしていた。
「先程会った二人の女性。どちらも苺をもっていたのです」
「だからなんだ」
「こんな話をしっていますか?」
女性は優しい微笑みを続けながら淡々と続ける。
「これを聞けば、あなたは気付くかもしれないのです」
「何にだよ」
女性は少し楽しそうに、それとも訴えるように言った。
「苺について・・・・・・かな?」
ついに雷が落ちた。

9 Mark@Of strowberry and men :2008/03/02(日) 01:50:20
「………」
イサムのベッドの上で目覚めたミューラルは、ある違和感を感じていた。
三転屋のホーバさんの手作りクッキー、
そしてミューラルが養鶏場近くで採った野苺。
それらを全て入れたカゴが、いつのまにかなくなっていたのだ。
「…な、」
そもそも今朝ミューラルは、クッキーを街の
住民に配るようホーバさんから頼まれてきた。
雨の中を進み最初に武器屋、次に喫茶店……
と、初めは順調に配ってきたのだが。
「……な、なな」
イサムの家のドアを開けようとしたらうっかり転んでしまい、
そこから先の意識がすっかり飛んでいた。
「……なん、で」
おまけで入れた野イチゴはともかく、ホーバさんの
クッキーは無事だろうか?配らないと今月の給料がもらえない。
と言うか自分が今座っている所は何なのか。他人の……ベッド?
数秒、ミューラルがようやく自分の置かれている状況を理解すると、

「なんですかこれはーッ!!?」
自然と出た大声が、イサムと女性の間に漂う空気を引き裂いた。

10 くされめし :2008/03/02(日) 10:02:10
「・・・・・・どういうことだ・・・その話は」
「さぁ、自分で確かめてみるがいいです」
「なんですかこれはーッ!!?」
突然聞こえた大声にイサムは身をすくめた。
女は平然として声の方向を向く。
バンと寝室の扉が開く。
「イサムさん!!!!」
顔を真っ赤にしたミューラルがこちらに向かってくる
「ここここ・・・これは一体どういうことなのですか!!」
「ど・・・どれだ」
「私を突然気絶させたことです?」
「気・・・気絶!?」
「それで・・・私をベッドに・・・どういうことですか!」
どうやら勘違いをしているようだ。
「お・・・落ち着け!お前はとt・・・」
イサムはミューラルの手元を見た。
イサムは目を見開いた。そんな馬鹿な。
「オイ・・・」
「・・・はい!?」
ミューラルは少し落ち着いてきたようだ。肩で息をしながら聞き返す。
「おまえのその指・・・どういうことだ?」
「はい?」
ミューラルは自分の指を見る
「こ・・・これは・・・」
イサムは微笑む女性を振り向く
「ね?本当でしょう?さてどうします??」
嫌な予感がする。先程の話を思い出す。
「あの・・・この指いったい・・・」
イサムは今自分でも収集がつかぬほど混乱していた。
先程の話を思い出す。

11 木野 :2008/03/02(日) 12:03:11
キャド「どうしたんですか?イサムさん・・・」
イサム「指が・・・・」

【そういいかけて、ふと違和感に気づく。俺は誰と話していた?キャドか?
・・・・指が・・・どうしたっていうんだ?】
イサム「・・キャド、指を見せてくれないか?」
キャド「・・・ぇ・・・」
【ぎゅっと、手袋を胸元によせ拒否のそぶりをみせる。】
キャド「どうしたんですか?イサムさん・・・・コワイですぅ・・」
イサム「・・・・・ふぅ。」
【深呼吸をして落ち着きをとりもどそう。オレは目を閉じた・・・・】



「・・なのです」


                    また、あの甘い声が

12 くされめし :2008/03/02(日) 12:18:03
「紅苺なのです」
先程の話と同じ台詞を女は言った。
二人の女性の指を見てみる
そこには苺がダイヤのようについた指輪がはめてあった。
「いい加減にしろよてめぇ」
「怖いですね・・・すこし落ち着いたらどうです?」

「紅苺という話をしってますか?」
「紅苺?」
イサムはすこし息を飲んだ。あまりにも張り詰めた空気だ。
「ある小さな村の母親の話なのですが・・・。一人子を身ごもっておりまして
母親は苺の農園を開いていました。」
母親は苺の種のように多くの子どもがほしかった。
その最初の一人をみごもっていたのだ。
しかし母親に異変が起きた。
ある少年が母親の腹を刺したのである。
その理由はわからない。何故少年が母親を刺したのか
ただ母親は呪った。我が子のひたすら謝り運命を呪った。
腹の中の子どもは女の子で、その手には苺をにぎりつぶしていた。
「・・・・脈絡のない話だ」
「でも呪いの季節になったのです」
イサムは目を細め、できるかぎり怖く睨んだ。
「どういうことだ?」
「指に苺のリングを女性がはめたとき・・・それは」



「魔女の子となるのです」

その女性が魔女だとは聞いていなかったぞ!!

イサムはキャドとミューラルを見た。

13 木野 :2008/03/02(日) 13:57:40
【二人の顔色がおかしい・・・まるで体中の血が奪われたようだった。】
イサム「!・・・どうしたんだっ・・大丈夫か・・!?」
【イサムの問いかけに二人は反応しなかった。】
イサム「・・・・指が!?」

「どうやらはじまったようなのです。」
【女は不敵な笑みを見せた。いや、実際には見ていないがその声から十分に伝わってきた。】
【キャドとミューラル・・・二人の指に赤く大きな実が・・・
真っ赤な苺が腫れ物のように脈打ち、鼓動を始めていた。】
イサム「二人になにをした・・・。おいっ!!」
【腰の剣に手をかける。女は動かない。】
「いったはず・・魔女の子になるのです。
もっとも母親のいない子など、もろい壁に根をはってしまった紅苺と同じなのです。」
【その言葉の意味することは、魔女の子となるかわりにその命を失うということだった】
イサム「何で・・・何でこんなことをっ!」


「・・・真っ赤に実った紅苺はとてもおいしいのですよ?」
【女は笑った。その口は今まで何個もの紅苺を喰らいつくしたかのように真っ赤に見えた】

14 くされめし :2008/03/02(日) 23:30:28

イサムは窓の外をみた。
まるで呪いをあおるような天候だ。
「・・・どうしたらいい」
イサムは顔を下に向けた。
手には握りこぶしをつくっていた。
女性はすこし機嫌が悪そうに言った。
「どうするもなにもないですよ」
女性は懐から一つの札を出した。


「有罪なのです」


「何がだ」
「これは彼女達だけへの呪いだとでもお思いですか?」
振り向けばミューラルとキャドは何も言えずにたたずんでいる。

「のろいをとくのはあなたしだいじゃないですか?」

冷たい言葉だ。もうこんな季節なのに、寒気がする。


「どうすればいい!!」


イサムは床を強く叩いた。
女性はただただ冷たい笑みをおくっていた。

15 Mark@腰の剣は差したまま :2008/03/03(月) 12:08:20
雨の勢いが強くなって行く。
外の枝は大きく揺れ、風がと雨が家の窓を叩いた。
イサムは床に突っ伏したまま動かない。
笑顔の女は自分からは何もせず、ただそんなイサムをじっと見下ろしている。

雨水か汗か分からない雫がイサムの髪をゆっくり伝う。
その間、イサムの目が笑顔の女を見た。
視線は水色の髪の女へ移り、それからキャドにたどり着く。
その後、キャドを通り過ぎた反対側のドアを捉えると、
いつのまにか雫は髪の先で停滞していた。
やがて雫が髪から離れ床に溶けたとき。
それを合図にしたのように、突然イサムが立ち上がった。
イサムは二人の冷たい手を取った。
「キャド、外に行こうか。それと、……君も一緒に来てくれ」
それからイサムは女性に振り向く。
「安心してくれ。すぐ戻ってくる」
女は笑顔を作ったまま、何も答えなかった。

16 木野 :2008/03/03(月) 12:45:02
一人、イサムの家に残った女はイサムを待つ間椅子に座っていることにした。
「あの人がどうするか・・・楽しみなのです。」
【どちらを選ぶか・・・そう、あのときの少年もそうだった・・・



「オレ、まほうつかいになるんだ。」
【少年は私の前でそう宣言した。彼は別にまほうつかいの子でもなんでもないただの
無力な子供。そして私はただの彼の知り合い。それだけの関係だった。】
「そう・・・素敵な夢なのですね。」
【普通の人間がどうあがいても魔法使いにはなれない。それを知っていた私は
彼の願いを「夢」といったのだ。】
「へへっ・・・」
【彼は照れくさそうに笑った。穢れを知らない綺麗な瞳だった】




【そして、少年は魔法使いになった。
 禁断の魔力を果実化する紅苺を彼は持っていたのだった。
 彼は一人の母親にその実を飲み込ませ、指に実る魔力の紅苺を喰らったのだ。
 ただ、彼が予想外だったのが・・・・・

 
                 その実が胎児に宿っていたことだった。】

17 くされめし :2008/03/03(月) 21:55:01

「どうするつもりですか?」
少年の後ろに女性は立つ。
少年はおそろしくゆっくり後ろを向く。
「・・・・・・」
小刻みに震え。唇が微小に動く。
もはやその瞳の中にはかつての夢の色はなくなっていた。
「どういうことだよ」
少年は小さく言った。
「魔法使いになったのでしょう。それでいいことなのです。」
「そうじゃない!!!」
少年は剣呑な叫びをあげた。
女性は少し訝しげな顔をする。
「俺は・・・俺は・・・」
女性はふっと微笑む。
やはりこの子もか・・・。
「いまさら何を悔いるのです。」
少年は目をひんむいて女性のほうをむく。
「あなたは魔法を手に入れた。その代わりに。母親と、その子が死ぬだけです」
「何だよそれ・・・」
「おめでとうございます。あなたはこれで魔法使いですよ。」


「ヒトヲフタリモコロシタクロマジュツシナノデス」





少年の最期の行動は恐怖によって支配されたものだった。
結局自分の罪を呪い、二人を殺した。哀れな少年。

「私も嫌な性格なのです。」
女性は微笑む。微笑みながらも、少し唇をかむ。
「あの金髪の子はどうするでしょうね」



大雨の中、イサムはキャドとミューラルを連れて走り続けていた。

18 木野 :2008/03/05(水) 01:38:22
「ハァ・・ハァ・・・・・・・」
【ただただ荒い息の音とぬかるみを走る足音だけが聞こえる。
 どれだけ走っただろうか。走り続けている間の沈黙が怖かった。
 後ろを振り返ることも出来ずにただ、握った手の感触が存在を告げた。】
「・・・・・・・・っ!?」
【ふと、立ち止まる。
 片手でずっとつれてきたこの手はどっちの手だ?
 オレは無意識の内に一人を選んでいたのか・・・?】
「・・・・・・・」
【後ろで掴んでいる手から何かがつたってくる。
 それは降り注ぐ雨とは違うべっとりとして熱いものだった。】
「・・・」

【オレは振り返った。気がつけば雨があがり、暗い空が終わろうとしていた・・・】

「」

19 謎人 :2008/03/05(水) 03:56:03
 イサムは振り返った先で右目はキャドと左目はミューラルを見た。
 彼は今、片手で2人を連れているのである。

 どういうことか説明すると、2つの空間で二つの物語が同時に進行しているのである。
 一方はキャドが魔女の子にされそうになり命を落とそうとしている。
 一方はミューラルが魔女の子にされそうになり命を落とそうとしている。
 そして、イサムはその二つの物語に一度に進行していることになる。
 また、紅苺について語ったあの女もまた二つの物語に一度に姿を現していることになる。

 あいかわらず状況の飲み込めないイサムであったが、2人を連れてきていることに気づくと、ふたたび前を向いた。その顔は勇気に満ち溢れている。

 キャドが弱った調子で言った。
 「これから…どうするの…?」
 そう、イサムはこれからどうするつもりなのか。
 イサムは言った。
 「これが黒魔術なら、反言する白魔術が存在するはずだ。それを見つけないと。」
 イサムの握っている手に二人の手に実った紅苺の潰れた汁が伝った。
 はたして、そんなに都合のいい白魔術が存在するのか。イサムの胸にはただ重く不安だけが圧し掛かるのであった。

20 くされめし :2008/03/05(水) 23:04:42

街に入った。
雨は今は少し弱まったが、それでもブロックがしきつめられた地面は、すべりやすい。
雨が岩を打ちつける音が微小だが聞こえ、それがせかしているようだった。
「教会!!」
イサムは大声をあげて歩いていく。
あまり手は強くにぎれない。潰れるかもしれないからだ。
それはあまり守れなくなるようで、不安になる。
「イサムさん」
キャドがつぶやいた。イサムは後ろを向く。
「そんなに焦らなくても大丈夫ですよ、私信じてますから」
キャドはそういうとすこし苦しそうだが笑ってみせた。
ミューラルも少し笑ったかと思うと
「あーあー。お給料もらえないかもなー。せっかく苺をつんだのになー」
随分リラックスした発言だが、それはイサムをもリラックスさせた。
そうだ焦らなくてもいい、俺は二人を助けられる。
そんであの女の笑顔を憤怒でぬってやろうじゃないか
「苺?」
イサムは決意とともにミューラルの言葉に食いつく
黒魔術が苺なら、白魔術も、苺かもしれない。
相反する苺、あってもおかしくない
ただ
「どこにあるっていうんだよ」
ここで立ち止まっている暇はない。
イサムはつぶやくとまた二人をつれて歩き出した。
キャドとミューラルは顔を向き合わせて笑う。
「とりあえず教会だ、そこにいって何か聞いてみよう」
教会に白魔術がある、安直な発想だが、いまはやってみよう。
イサムは二人にそういうと、また歩き始めた。

雨がまたよわくなっていく、それもまた、焦りを少しずつ消していった。

21 木野 :2008/03/05(水) 23:23:03
 そんな・・・・!



【炎上する教会。その炎の前に立つ女性。】
「少し遅かった・・・残念なのです。」
【そういいほほえむ女性。炎の逆光でその表情は見えなかったが怪しく光る
瞳が笑っていた。】

「くっ・・・そぉお!!」
【わずかな希望さえも潰された。その絶望はイサムを深く怒らせた。】
「なぜ・・・この娘らを・・・!」
「・・・誰だってよかったのです。その紅苺を宿せるれば・・・」


「そして、その実はみのったのです。お別れなのです。」


【・・・オレは間に合わなかったのか?何もできなかったのか?どちらも救うことが
できなかったのか・・・っ!?】

オレはここであきらめてうなだれているべきなのだろうか。それともあきらめずに後ろを振り向き
二人を救おうとあがき続けるべきなのだろうか。  甘い苺の匂いで吐きそうだ・・・

22 くされめし :2008/03/07(金) 23:17:54

雨がふらなくなった。炎は消えずにただ燃え上がる。
周りの住民が騒いでいる。今から消防隊がくるようだ。男性陣が指揮をとっている。
いまここでこの二人の腕をみせるわけにはいかない。混乱をさそうだけだ。
イサムは自分のマントで二人の腕を隠す。この季節なのに、少し寒い。
他の人には見えていないようだが、イサムはしっかりと女性を見据えた。
「どういうことだ?」
イサムの目には冷静さが戻っていた。
「何故紅苺を宿らせる?」
その質問に、女性はすこし喉を鳴らした。
「そうですね、言うならば実験でしょうか」
「どういうことだ?」
「様々な罪のケースがあるということです。」
イサムは後ろをチラリとみる。二人はポカンとしている。今はそれでいい。
「罪のケース?」
「先程の話のように少年が起こしたことが『本当に有罪かどうか』ですよ」
「そうか・・・」
イサムはあごにてをあてて、下を向く。その矢先、上をすばやく見上げる。
「違うだろ」
女性は眉をひそめた。笑顔はできるかぎり、作っている。
イサムはその顔を逃さなかった。その顔だけじゃない、あの『紅苺』の話をしているときもだ。
女性の顔はどこか苦しそうだった。笑顔だが、心のそこからのものではなかった。
「その紅苺の話はよくわからん。だが、お前が何か関係しているんじゃないのか?」
「回答しかねますね」
後ろの二人。キャドはおろおろしていて、ミューラルは一緒に話を聞いているようだ。
「そうか、じゃぁいい。だが俺にはこう見えるぞ」
イサムは少し言葉を選んで、決めた。

「お前は『自分が有罪かどうか』を知りたいんじゃないか?」

女性の顔つきがかわった。笑顔が一瞬くずれたようにみえた。
「言い換えれば『自分を救ってほしい』そんな感じだ」
この女。正直最悪だ。最悪だが、どこかで善の部分がある。そんな感覚。

「さぁ・・・よくわからないのです」

女性は姿を消した。炎とともに燃えるようにか、煙とともに風に消されるように。
とにかく今の顔をみて確信した。
「白魔術はある」
「本当ですか!?」
いままでポカンとしていたキャドが大声をあげた。
その顔は安堵につつまれて、今にも泣きそうだ。
ミューラルはただ、うんうんとうなずいている。
「本当だ。行くぞ」
イサムはキャドを見る。心配しないでと言ったのに、やはり不安だったに違いない。
これが終わったら、なにかしてやらないと
「教会燃やしたってことは、教会になにかがあるんですね」
ミューラルはイサムの顔を覗いた。イサムはすこし顔を退ける。
「・・・そうだ」
イサムたちは教会にむかう。さっきよりかはしっかりした歩調だ。

救ってほしいけど、自分の悪がそうさせない。
その気持ちは一体どんなものなのだろうか、想像がつかない。
イサムはもう一度そっと二人の手を握った。大丈夫だという表れだった。

23 木野 :2008/03/14(金) 01:27:05
レンガの焼け焦げる匂い・・・教会だった場所は全て炎に包まれ、崩れ去ってしまっていた。

「・・・・ここに、白魔法があるのでしょうか・・」
ミューラルは心配そうにいう。かなり苦しそうだ。キャドの方はもはやぐったりしていて
オレに残された時間はわずかしかないようだ。
だが、ここにこの二人を救える白魔法があるかは確かではない。それでもオレはココへ来た。
鎮火しおえた人々が解散していくのと入れ替わるように黒焦げたレンガの中へと進んでいく。

「・・・・どうなさいましたか?」
後ろを振り向くと一人の老人がいた。その格好からして教会の人間なのだろうか。
「・・・ここに、白魔法があると聞いて探しに来ているんだ。」
「白魔法ですか・・・見ての通りこの教会は全て焼け焦げ、魔法の書物も全て灰となっていまった・・・・
あなたは何を治癒しようというのでしょうか。」

<ドサッ>
そのときキャドがイサムのマントから地面へと倒れこんだ。あわててミューラルも出てきてキャドを抱え込む。
「・・・・その指は・・っ!!」
老人が二人にかけよる。その老人の目は苺の様に赤く鮮やかだった。

24 腐れ飯 :2008/07/08(火) 22:47:37
「…紅苺ですか。」
なにやら老人は深く考え込むと、立ち上がる。
「…治せないのか?…やはり。」
老人はなにも答えない。キャドとミューラルは息を荒げていた。衰弱が更に進んでいる。
「どうにかならないのか!!頼む!」
イサムは座ると膝をそろえ、頭を強く打ち付けた。
「こいつらを死なせたくないんだ!でも今の俺には何もできない!頼む!何か方法を!」
「こんな昔話をご存知ですか?」
老人は乾いた声で話し始める。イサムはそれを聞くにつれ、表情を濁らせた。
「なんだそれは?」
「どこかで聞きましたかな?」
「子供が親の腹を刺す話なんて、めったに二度も聞かないものだが、聞いた。」
老人は首を振った。
「私の目が何故赤いか知っていますか?」
老人は目を開く。赤い。まるで、苺そのものだった。
「………。」
「私は、呪った。自分を呪った。そして気付けば老いていた。その話は決して
昔話ではない。黒魔術を覚えた私は私を呪い、自らの体内に苺をやどり、成長させ
私の生命力をすわせた。」
イサムの脳内に腹を刺した少年がよぎる。みたことはないが、確かによぎった。
「お前…」
老人の顔は優しかった。

25 木野 :2008/07/08(火) 23:27:35
老人の眼が紅く光る。しかし、それはキャドとミューラルの指の紅苺の指輪とは
違い暖かい輝きであった。
「・・・その眼は、その紅苺は白魔法なのか!?それでこの二人は助かるのか?」
老人にしがみつくイサム。老人はゆっくりと枯れた声で答えた。
「・・・紅苺は血の色で染まった紅の魔法。その力は血が通うものが手に入れ、そして・・・」
老人は二人に指を片手づつでつつみこんだ。暖かい光が二人をつつむ。
「・・・血の通うもののために使われるのだ。」
老人はガクリと頭を垂れた。息は荒くなり、眼の紅い色が褪せていく・・・

「・・・!」
イサムは気づいた。いや、わかっていたが気づかないつもりでいたのだ。
紅苺の力を使えば確実にこの老人は・・・・命を枯らすということを。
しかし、止めることはできなかった。二人を助ける方法は他に見つからない。
今もただ何もできずに見ているだけしかできないのだった。


ぐしゃり。
                       老人の眼がつぶれる音が聞こえた。

26 腐れ飯 :2008/07/24(木) 17:04:51


「…老人は罪を償ったのですか?」
女性の声が、教会に響く。老人は動かない。
「昔話を聞く限り、黒魔術を覚えた少年は死んだような印象がありますが
そんなことはない。彼は自分を呪い、こんな醜い姿になり、必死で覚えた
一つの白魔術があるそうです。それがこの…」
「うるせえんだよ!!」
マリアは止まる。イサムは、その潰れた目から溢れる。苺のにおいがする血を
手ですくうと、キャドとミューラルに飲ませた。
「……その老人は有罪でよかったのです。そうじゃなければ、彼女達は死んでいたのですよ?」
イサムは何も答えない。
「そしてあなたはどうなんでしょう?もう少しで間に合わなかったので、軽い刑ということでしょうか?」
「もういいんじゃない?あんた」
イサムはそっと、立ち上がり、振り返る。その目は、戦う気が感じられない。
「本当の事を言ったらどうだ?あんた、自分をどうしたいんだよ。」
「………」
イサムはすっと息を吸う。苺のにおいがするが、もうどうでもいい。苺はうんざりだ。
「そんな迷っているような顔してんじゃねえよ!!」
イサムの声は教会に大きく響いた。

27 木野 :2008/07/25(金) 19:05:29
「お前は有罪だの無罪だの・・・人を裁くことしかできないのか!?」
イサムはマリアに向かって叫ぶ。吼える。猛る。
二人の女性を危険にさらし・・・一人の老人の命が散った。怒りだった。
「・・・ワタシはただ見ているだけ、人に裁きを与えるだけなのです。」
「それでいいのか!?見ているだけで何もできなくて本当にそれでいいのか!?」
「・・・・・・・」
視線を横たわる老人に落とすマリア。しばしの沈黙の中でイサムはこの二人の女性が
苦しむのをただ見ているしかできなかったことを思い出していた。

「子供が苺を摘み取るのは悪いことなのですか?」
マリアの質問にイサムは一瞬何を聞いているのかと思ったが、それが老人の話のことだと気づいた。
「子供はとてもおいしい苺を欲していました。その苺を食べられなければその子供は苺の甘さで
満たされないまま老人になっていたのです。」
「その苺を採るために人を殺したんだ・・・悪いにきまっ・・・」
そういいかけてイサムは自分の手についた紅い血を見る。

子供は魔力が欲しくて苺を手にした。
オレは二人を助けたくて苺を手にした。

「裁く側はつらいのですよ。裁きに中立はない、有罪か。無罪か。
難しい裁判ではどちらかに決めれば誰かに文句を言われる。
誰もが納得なんてできないのですよ。」
マリアは老人に近づき、血でそまった眼に手を添えまぶたを閉じさせた。
溢れた紅い血が涙のように老人の頬を伝った。
「そして、裁くものは手をだせない。手をだしたら公平でなくなるから。
だからワタシは裁きを告げることしかできないのです。」

マリアは協会のドアに手をかけ、開けた。明るい光が教会内に差し込む。
イサムは何も言えずにマリアを見送った。キャドとミューラルはぐっすりと
眠っていて元気そうだ。イサムは老人の死体を埋めるために担ぎ上げた。
・・・・あの甘ったるい苺の匂いは消えていて、ただ人の死の匂いしか
しなかった。

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28 腐れ飯 :2008/07/31(木) 23:42:37

爽やかな香りがする。もう昼かもしれない。

イサムはうんと背伸びをする。ついこの間のことで、たった一日のことだったのに、
なぜこうも長く、そして、昔にあったような気がするのか。

「イサムさーん。」
コンコンと、扉を叩く音がする。イサムはあくびをすると、扉を開けた。
「…キャドか。」
「はい、あっ…なにか取り込み中でしたか?」
寝ることしかしていなかったが…
「いや、特になにもないさ。上がってくれ。」


紅茶の香りが、イサムのところまで届いた。時計を見ると、昼は随分と過ぎていた。
すこしの休息のつもりが、寝すぎたらしい。イサムの頭はグワングワンと重くなっていた。
「はい、できましたよ。」
キャドが、可愛らしくエプロンをして紅茶を運んできてくれた。イサムは何かを手伝おうとしたが、
どうにも中々動けない。結局ペコペコと頭を下げてしまった。
「あっ。お茶菓子ですが…。」
キャドは再び台所に戻る。数秒たったかとおもうと、トテトテとスリッパを鳴らして戻ってきた。
「はい。」
イサムは自分の顔が引きつっていることに気が付いた。
「これは?」
「イチゴのタルトです。」
「何故」
「旬だからです…。苦手ですか?」
この前のことをもう忘れたかのように、不思議そうに、不安そうにイサムのほうをじぃっと見つめる。
イサムは、フルフルと頭を振った。そして「いや、そうじゃなくて」と呟いた。
「…やっぱり…気にしてますか?」
イサムはギョッとして、下げていた首を上げた。目を細め、まじまじとキャドを見た。
キャドは、フッと笑うと、紅茶に砂糖を二個ほど入れてすすると、「熱」と口を手で押さえて、紅茶を置く。
「…悲しいですね。人を呪って、自分を呪って、そしてそれが自分の所為ではないのに、裁かれるなんて。」
イサムは、あの老人のことを思い出す。彼は元々「魔法使いになりたい」という純粋な夢を持っていた。
ただその純粋な夢が、誰かの手によって、曲がった方向に進んでしまうとしたら。
絶望という言葉はふさわしいだろう。
「人を呪ってしまっただけなら、まだ大丈夫さ。だけど自分も呪ってしまったら、それはもう自分の所為だろう。」
「イサムさんは自分を呪いそうになりましたか?」
キャドと、ミューラルを呪いにかけられ、それを救えなかった自分は、自分を呪っただろうかという質問だった。
イサムは、あの女はそれを試したいという気持ちもあったのかもしれないと、気付いた。
イサムは紅茶に砂糖も何もいれずに飲み、「熱」と呟くと、紅茶を置いた。
「最初からお前等を助けられると信じていたからな。そんな気持ちはなかったさ。」
「よかった。」
キャドは嬉しそうにそう笑うと、タルトを手に持って、食べずにフニフニともてあそんでいる。
「イサムさん。そのことで悩んでいたらどうしようと思ったんです。自分の罪を攻めているんじゃないかと
思ったんです。でも、イサムさんは最初から、自信があったんですよね。」
うん。とは答えづらかった。完璧に自信があったといえば強がりだ。
あの詐欺師のようによく笑う女は「裁くものは手をだせない。手をだしたら公平でなくなるから。」
と言っていた。無罪にしたくても有罪にしてしまうその気持ちの中には、俺に対する期待も
あったのかもしれない。

   まぁ もう過ぎたことだ。 イサムはタルトをほお張る。

「有罪か無罪かなんて知るか。俺が正しくなくても、それでお前等が助かるならよかったのさ。」
「おいしいですか?」
結構キメたことを言ったつもりだったのだが、流された。少しイサムはイラついたが、「うまい」と一言。
「ところで、ミューラルさんですが、ありがとうと言っていましたよ。」
「そういえば、いないな。話の一つでもしたかったが。」
「何でも今度はさくらんぼ狩りに行ったらしいです。」
赤桜桃とかいう呪いはなかろうなとイサムは考えたが振り払った。

「…キャド。すまなかったな。怖い思いをさせた。」
「いや、いいんです。私、イサムさんがいてくれて安心しました!」
「そうか。」
「イサムさんと、こうしてまた会えて、うれしいです。」
沈黙。二人は黙々と紅茶を飲んでいた。そして、顔も赤かった。
イサムが紅茶をカタリと置くと、口火を切った。
「そ、そうだ。今度あれだ、慰安のような感じといったら少々違うが、温泉にでもいかないか。」
「そ、そうですね。いいですね温泉。ミューラルさんも誘いますか?」
「まぁ連絡をとってみるさ。…あと」
「何ですか?」
イサムは、何故か笑えてきた。やっぱりこう感じれるのは、終わったからに違いない。
「うまいな、イチゴ」
「………はい!」

窓から春のにおいがした。




終わり

29 腐れ飯 :2008/07/31(木) 23:43:16
上げるのわすれた。
あげなくてもよかったかな?

30 木野 :2008/08/01(金) 05:14:58
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赤子はその果実で赤を知ることができた
少女はその汁の甘さで幸せを感じることができた
青年はその実を己の血肉として生かすことができた
母親はその種の数だけ愛するものが増えた
老人はその皮の内側から渇きを潤すことができた
死人はその腐りゆく果実と共に墓に埋められた
赤子はその赤い果実を手に取り母親に渡した

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