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時を操る少女と吸血鬼(さすらいの物書き)

1序章(人が恐れし者):2004/04/21(水) 23:23
人は自分が理解出来ない物を忌み嫌いそして恐れる
もちろんそう言った力を持った者に対して恐怖し・・・
そして迫害して自分たちの元から遠ざけようとする
時の歯車が見える少女・・・その歯車を止める事が出来る
本来なら存在するはずもないような者・・・人は恐れそして迫害していく
いつしか彼女は人を信じる事を諦め・・・そして人外の者と交わるようになっていった

21章(赤き悪魔との出会い):2004/04/21(水) 23:25
彼女の名は十六夜 咲夜、時を操りし者・・・

私の15歳の孤独な誕生日、突然私の前に現れた赤い悪魔
私は本能的にその存在を恐れてそして十字架を彼女の前に掲げたっけ・・・
ふふ、おかしいよね私だって周りの人間から恐れられてたっていうのに

そんな私に赤い悪魔が語りかけてきたの
「私の名はレミリア・スカーレット貴方の名は?」
おずおずと・・・れも十字架を掲げるのを忘れずに私は答える
「さ・・・咲夜、十六夜 咲夜よ」
すっとレミリアが私の方に近づいてくる
「ちっ・・・近づかないで!」
私は何かにすがるように十字架を彼女の前に突き出す
レミリアが微笑みながら私にまた語りかけてくる
「貴方は知っていて?なぜ吸血鬼が十字架を見ると怯むのか」
「じゅっ・・・十字架は神の宿りし聖なる御印、魔の者が触れると浄化されてしまうからじゃないかしら」
と私は答える
レミリアはふっと笑いながら
「では私の胸にある者は何かしらねぇ」
といって胸元から十字架を取り出した
咲夜は驚きで目を見開く・・・吸血鬼は十字架に弱いのではないのか?
だけど目の前にいる赤き吸血鬼は平然とそれを胸元に付けている

32章(十字架と吸血鬼):2004/04/21(水) 23:26
レミリアは静かに私に向かって語りはじめる
「私たちの始祖ブラド=ツェペシュ・・・彼は自らの領民を惨殺された事に怒り狂い、敵国の捕虜を皆打ち首にした
 その血は堀を埋め尽くし敵国の兵士はそれに恐怖し彼を呪った・・・
 でもいちばん苦しんでいたのは当のブラド本人・・・彼は敬虔なクリスチャンでありそしてとても優しい方だった
 自らの下した処罰それに苦しみ・・・そしてその罪の重さから人を捨てそして血を求める吸血鬼となった
 十字架は犯した罪を思い起こさせる物、魔として生きる道を選びでもそれでも神を信じ続ける彼の苦悩
 愚かな人間はそれを見て十字架が魔を払うだなんて言っているらしいけどね」

43章(私が信じる物って?):2004/04/21(水) 23:27
十字架を掲げる咲夜・・・それを見下ろすようにレミリアがさらに一歩前に足を進める
「貴方は神の何を信じているのかしら?ただ盲目的に信じるだけなら誰でも出来るわ、だけど貴方はそれす
 ら無いように見える、そんな十字架で私が怯むとでも思って?貴方には信じる物がないとでも言うのかしら?」

咲夜は深く考える・・・自分が本当に信じる物そしてそれを証明する方法・・・
・・・ふと心の中から出てくる感じ、そしてそれを確かめたい
「私が信じる物それは貴方と戦わなければ伝えられない・・・」
毅然とした表情でレミリアに向かう咲夜、そして未だ余裕のほほえみを崩さないレミリア
「ふふ、それが貴方の出した答えであるならば・・・全力で向かってきなさい」

54章(戦いだけが全てを物語る):2004/04/21(水) 23:56
空気が張りつめていく、冬でもないのに凍り付きそうな感じ
「さあ来なさい、せめて悔いを残さないように!」
レミリアがそう叫ぶと同時に私は時の歯車を全ての感覚を使って感じ取っていく
さっと投げナイフとクナイを水平方向に放出
そして時に感覚を同調させそして一気にその歯車を止めていく
「時・・・それは流れでもありそして空間でもある」
静かに私がつぶやく
「貴方の時間は奪わせてもらったわ!さあ時よ彼女を埋め尽くしなさい」
”ザ・ワールド”
そう真空を呼びカマイタチを呼ぶ術、あれは空気が媒質だが私の場合は時が媒質
しかも”空間”の分こっちの方が流れが強い
吸い込まれるようにレミリアの元へ全ての物が押し寄せてくる
「仕留めた!」
と私が思った時彼女はもう空に舞いあがっていた
「嘘・・・あれをかわすなんて・・・」
レミリアが空から私を見下している
「ふふっ、大空を自由にかける私にそんな狭い攻撃が当たると思って?
 私も見くびられたものね」
彼女の手が月に向かってかざされていく・・・そして月が真紅に変わっていく
「さて、今度は私の番かしら?」
”スカーレットマイスタ”流暢な詠唱・・・まるで賛美歌を歌っているかの如く
でもその反面・・・残酷で容赦がない雪崩のような赤き魔弾・・・

必要最低限の動きで私はそれをかわす
そしてかわした反動を利用して空へと舞い上がる
そして今度は全方位に私が出せるだけのナイフとクナイを召還して分散させる
そして今度は完全にレミリアの周り・・・そしてレミリア自身の時を奪い取る

”殺人ドール”かわしようがない全方向攻撃、まるでマリオネットのように刃物がレミリアに吸い込まれていく
「これが私が信じるもの・・・私は時と共に生きる者」
伝わったかどうかは解らない・・・だけど伝わったとしても・・・その時には跡形もなく消え去っている・・・
咲夜はふと目を閉じる・・・レミリアがずたずたに引き裂かれ消え去るのは一瞬・・・だけどその瞬間は・・・見たくなかった
「違った出会いをしていれば・・・」
と静かにそして悲しげに呟く

65章(彼女が信じるもの):2004/04/21(水) 23:58
・・・目を開いた時に咲夜が見たのは
塵と化したナイフとクナイの残骸
そして強力な魔法防壁で身を包んだレミリアの姿だった
流石に全ては防ぎきれなかった様で所々傷を負っているが致命傷には居たっていない・・・

咲夜はほっとしたような、でもあきらめを込めた口調で
「私の負けのようね・・・でも信じているものは伝えられた気がする・・・悔いはないわ、後は貴方の好きになさい」
と言いそして体の力を抜いて地面に横たわった

「そうね・・・なら好きにさせてもらうとするわ」
と言い咲夜の血を少々吸血する
そして優しく言う
「知っていて?私が血を吸い尽くしてそして貴方に血を分け与えない限り貴方が吸血鬼になる事がないって
 私は小食だから貴方が魔の者となる事はないわ、安心なさい」

「殺さないの?」
不思議そうに咲夜が言う
「それがお望みならばいつでも殺してあげるわ、だけど貴方言ってたじゃない」
にやりと笑って咲く夜を指さす
「違った出会いをしていればってね」
そして咲く夜に背を向け
「気が向いたら私の屋敷へいらっしゃい、メイドを束ねるような力のある者をちょうど探していたの・・・
 私に傷を負わせるぐらいなんだからなかなか見込みがあると思うわ」
そして・・・赤い悪魔は咲夜の前から姿を消した

月はいつの間にか真紅からもとの青白に戻っている
地面に横たわりながら咲く夜は呟く・・・
「もう一つだけ信じられるものがあるわ・・・私を必要としてくれる貴方がね」

咲夜が紅魔館を訪れ、そしてメイド長になったのはそれから数日後の事であった


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