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(*`Д´)ノ!!!スレ的オリジナル・ネット小説販売所

1 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:27:24 ID:ORiTd2es
ここは(*`Д´)ノ!!!スレ的オリジナルネット小説を販売しております。ベンツくん関連・余談雑談・東亜等々から湧き出た小説など、貴方のオリジナル溢れる作品を発表し、読者が購入していく場所です。こちらの通貨は、感想やレスが代金となっております。皆様、よろしゅう。楽しんでね♪

※その他のルールは、サブ板ルールに準じます。
※人の嫌がること、ダメダメダメヨー。
※コテさんを登場させるときは、あらかじめ、そのコテさんに了解を得ましょう。それがきっかけでトラブルになった場合、本人同士で解決ヨロ。解決の自信が無い方は、設定を変えましょうネ。
※エロを投稿する場合は、題名や冒頭に【エロ注意】など入れて下さい。エロの基準がわからない場合は、その旨表記。
※ネット小説のオススメなどは、小説スレでご紹介お願いします。
こちらは、オリジナル作品発表となっています。

じゃんじゃんバリバリ書くんだよ(*`Д´)ノ!!!

2 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:27:55 ID:ORiTd2es
(*`Д´)ノ!!!スレ的オリジナル小説の代表といえば
(*`Д´)ノ!!!コレなんだよ!!!

o(・_・=・_・=`∇´ )o<【SEX!!!】
屋良内科先生のまらすじ
http://www63.atwiki.jp/kaiben100/pages/81.html

3 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:28:22 ID:ORiTd2es
3 名前: ミセスリーフ :2015/02/06(金) 14:11:30 ID:16dff2888 [sage]
過去スレ掲載作品です。お恥ずかしいですがw


<逃亡記・想う女>

もうここに来てどれくらいの月日が経っているのだろう
偽装された身分証 着なれぬ服装 話しにくい言葉
自分を偽り続けることには慣れているが
命の危険をここまで感じて 逃げ回るのは 
初めてかもしれない

我が身だけではなく 人を守りながらのこの任務
覚悟は決めている
けれど 揺らぐ一片の花びらが 隙間の風で はらはらと

―――祖国
この言葉の重みをここまで噛みしめたことはない
胸の奥や身体の芯まで染み込んでいる任務の重さと我が信条
歴史と私の気持ちを込めたその言葉は
私を形づくる、真ん中に位置している

だからこそ 許せない奴らがいる
その言葉を 無下に扱い 己の欲と地位の為に使う
有象無象の連中
何人と何千と見た
「人権とは誰の人権だ 言ってみろ」

それ以上の台詞を つばと共に 侮蔑を込めて 毒を吐き
祈りの言葉を胸に 任務に準じる毎日

その気持ちや意思、任務への使命感が揺らいだことは 1度もない
だが、ふっと 心に吹いた 暖かい風 何かが運んだ その前触れ
気付くとそこに そう あの人がいた

o(`∇´ )o<【SEX!!!】

出会ったのは 運命だった
電波の波がさすらう 華麗衆の社交場
私の心を掴んで離さないあの人

もう一度 あの人の あの叫びを聞くまでは
この命 散らすわけにはいかない

忘れないでと つぶやく彼女
忘れないわと 決意の彼女

彼女の独り言は 風に乗って 遠いあの地の あの人へ
届け あの人へ

こうして、彼女は今も屋良さんを想い続けるのであった・・・・・・

〜〜〜おしまい

4 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:28:52 ID:ORiTd2es
4 名前: ミセスリーフ :2015/02/06(金) 14:15:26 ID:16dff2888 [sage]
続けて投稿。過去に載せました上記の逃亡記の番外編。
きっかけは、時報さんが私へのご褒美に
パン×ハムを腐らせていいとおっしゃってたので
(※腐らせるとは、カップリングとして成立させ、愛の物語に発展させること。基本、腐という言葉に象徴されるように物語に登場する対象は、オトコ×オトコとして成立しているが、細かい事には気にせず、対象の特性を生かした愛の物語が要求されることが多い。)

その腐らせるという思考も取り入れた、逃亡記番外編。
無生物同士のエロ(???)あり。


ヘリボーン逃亡記・「想う女」番外編 とある喫茶店の情事

――――とある喫茶店の厨房にて、朝も早くから情事が始まっていた。
客の注文が入り、必ず厨房で展開される、情事。清潔に保たれている厨房で、むせ返るような愛の劇場が今、幕を開ける。

最強のモテ男、パン。
不幸な事に、どこぞの世界大統領と同じ名称だが、その人物とは大違いで、今も昔も、広く愛されている小麦でできているイカしたあいつだ。
そのあいつが、今まさに、ハムと合体しようとしていた。しかし、パサつくパンの肌に、ハムが馴染まず、拒否反応が起きてしまう。
「すまない。このまま続ければ、ハム。君の美しいピンク色の肌を傷つけてしまう」ハムは、パンの優しい思いやりに応える様に
そっと、彼を紹介した。その男は、なんとマーガリン!パンの声は震えた。「マーガリン、なぜハムと一緒なんだ・・・?」

マーガリンが答える。「パン。俺は、お前と共に歩んできた。3Pでも4Pでも耐えてきた。全てはパン、お前のために」
無言で、マーガリンの切なそうな声を聞く、パン。ハムは、何かを悟ったように、隣りの部屋に移動した。
「パン。俺は、お前がどんな相手といようと、どんな相手を挟んでも、気にしなかった。たとえ、俺が・・・相手との潤滑油に使われても
 他の相手と交えてのプレイは、俺は嫌いじゃない・・・嫌いじゃない。いつも、お前のフォローもあることだし・・・だけど・・・」

「マーガリン・・・」パンはたまらず、マーガリンへとその手を伸ばした。「・・・触らないでくれ」「・・・なぜなんだ?」
「俺は聞いてしまったんだ・・・ハムからすべてを・・・パン、お前、この前マヨネーズと合体したんだってな」
「あ、ああ・・・だが、それは・・・」「言い訳はいい!!」強い口調で、マーガリンはハムの手を叩いた。

「ただのマヨネーズなら、それもよかったさ。卵とマヨネーズのハーモニーは最高なのは、俺も知ってる。だけど・・・だけど・・・」
「・・・」マーガリンの目から、悔し涙が伝い落ちる。パンは、はねのけられた、行き場のない手を握りこぶしにするしかなかった。

「マヨネーズを俺の代りに使って、なおかつ、そのうえから、からしだと?!からしを塗るなんて・・・お前、どうかしちまったのか?!」
「それは・・・・・・」「ハムから聞いて、驚いたんだ。もう、俺の居場所はないのかな、と。マヨネーズさえいればいいのかな、と」
「それはちがう」「え?」
「俺には、マーガリン。お前が必要だ」「今さら、そんなこと言ったって・・・」

「今、わかった。こんなに熱く固くなった俺を癒せるのは、マーガリン、お前しかいない」
「なっ・・・!?なに、言ってんだ!俺は、お前のことなんて、もう!!」
強い口調でパンを拒絶する、マーガリン。だが、その口は塞がれる。熱く、求められるパンの腕からは逃れられない。

「こんなに熱く、お前に焦がれたことはない。俺の上で、思いっきり溶けるがいい!!」
「はあああああんん!!パアアアアアアン!!」


「お客様、お待たせしましたー。ハムサラダとトーストのセットでしたね。コーヒーもこちらに置かせていただきます♪」
とある場所の喫茶店。指令が入る、ノートパソコンを華麗に打ち込む彼女は、今できたばかりの厚く切られた、かりっとした歯ごたえのある
トーストを手に取った。小麦の匂いが香ばしく、焦げ目が食欲を誘う。絶妙なマーガリンとの塩加減が、パンの甘さと融合している。
険しい彼女の顔をほころばせるには、十分だ。

「うん・・・うまい。なんだか久しぶりだな。食べ物が旨く感じるのは・・・・・・」
パソコンから手を話し、手元の携帯の待ち受け画面にふと目をやると、そこに開かれていた掲示板には
o(`∇´ )o<【SEX!!!】の文字が躍っていた。

「久しぶりに、この文字を見たからかもな・・・」

ヘリボーン・逃亡記 「想う女」番外編 喫茶店の情事
おしまい

5 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:29:14 ID:ORiTd2es
5 名前: 辛抱堪らん@久々の外出 :2015/02/06(金) 14:15:34 ID:b11098a52
私、読み専門なので、お支払はたっぷりさせていただきます。
(*`Д´)ノ! ! !
(*`Д´)ノ! ! !

6 名前: 名無しさん@ベンツ君 :2015/02/06(金) 14:20:28 ID:16dff2888
>>5
辛抱さん
嬉しい言葉、感無量なんだよ(*`Д´)ノ!!!
アリガトウゴザイマスw

7 名前: アマデ :2015/02/06(金) 14:23:12 ID:040eee44b [sage]
「想う女シリーズ」
これこれ(*>ш<*)
好きなんですよ(*^_^*)買います!!
つ⑳⑳⑳$

8 名前: ミセスリーフ :2015/02/06(金) 14:33:15 ID:16dff2888 [sage]
>>7
お買い上げアリガトゴザイマスww

ここだけの話。
『想う女』はブックさんですが、他の女性陣にもそれぞれ
設定だけつけて、放置してますww

6 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:29:37 ID:ORiTd2es
9 名前: アマデ :2015/02/06(金) 14:52:37 ID:040eee44b [sage]
面白くてつい忘れてましたm(__)m
開店おめでとうございます!
    .。☆.゚。.。
  。:☆・。゚◇*.゚。
  ・◎.★゚.@☆。:*・.
 .゚★.。;。☆.:*◎.゚。
  :*。_☆◎。_★*・_゚
  \ξ \  ζ/
   ∧,,∧\ ξ
   (´・ω・`)/
   /  つ∀o
   しー-J
気が乗りましたら、放置してる物もリクエストします(*^_^*)

10 名前: 桃(柊改め) :2015/02/06(金) 15:03:01 ID:fe1a5d3db
新スレ立ておめでとうございます(^0^)∠※PAN!。.:*:・'゚☆。.:*:・'゚★゚'・:*
楽しみにしています♪♪

アマデさん、早速お買い上げ…60ドルも払うなんて、太っ腹なんだよ(*`Д´)ノ!!!

11 名前: 名無しさん@ベンツ君 :2015/02/06(金) 15:08:49 ID:16dff2888
(*`Д´)ノ!!!スレ主は名無しなんだよw
皆が参加して、皆が楽しむんだよw

お祝い、ありがとなんだよ(*`Д´)ノ!!!
気軽に投稿して下されm(_ _)m
お頼み申し上げまするm(_ _)m
みなさんの文章も読みたいのもあって、立てマシタ
(*`Д´)ノ!!!

活用してね☆

12 名前: イザベル :2015/02/06(金) 17:41:23 ID:3fb883167
さっき、帰宅途中
「パンと具の話」もっかい読みたいな〜
どこらへんに載ってたっけ?
とか思ってたんだよ(*`Д´)ノ !!

自分でもビックリなんだよ( ゚д゚)

あらいぐまさん、
これがシンクロニシティとかいうこと(・◇・。)?

7 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:30:00 ID:ORiTd2es
13 名前: アライグマ犬Jr. :2015/02/06(金) 18:54:33 ID:4a2148525
うん、それもありなんだけど。

例えば、皆が何かをやりたいとか強く思っていると、それが現実化するとかね。
この間、氷柱さんが言ってたのはそれ。

悪い方向にも、よい方向にも向けられる。

ブラジルで蝶が羽ばたくと〜って話を聞かない?
あれは無意識なんだけど、意識したらどうなるか、という話。
14 名前: ミセスリーフ :2015/02/06(金) 19:52:48 ID:16dff2888 [sage]
>>12
イザベルさん
あら。シンクロニシティ??何かに背中を押されたのでしょうか??w
読みたいと思って下さって嬉しいです、ありがとうございますw

>>13
バタフライ効果ですね。
あえて意識させたら、どうなるかという話もあるのしょうね。

「大きなものを生み出し得る小さなものの象徴」なので、蝶に例えたそうで。

15 名前: アライグマ犬Jr. :2015/02/06(金) 20:20:05 ID:4a2148525
>>14
そう。
やたら文献はあるのに、後世の学者達が切り張りして、やたら変なものができてる感じw

でも、調べるとオカルトとの関係が色々出てきて。
で、覗いているうちにオカルトも面白そうだと。

変な繋がりw

16 名前: みく :2015/02/06(金) 22:09:01 ID:66a414439
新スレおめでとうございます(*^□^*)♪

素敵なお話に出会えることを楽しみにしています(o>ω<o)

17 名前: 名無しさん@ベンツ君 :2015/02/06(金) 22:22:52 ID:16dff2888 [sage]
>>16
ありがとん。
貴女の執筆もお待ちしておりますw

8 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:31:01 ID:ORiTd2es
18 名前: 偽アカヒ(´◎ω◎) :2015/02/10(火) 15:36:42 ID:799f7a89a
まぁ、ちょっと、ネタで書いてみました。

ベンツ物語。

9 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:32:05 ID:ORiTd2es
19 名前: 偽アカヒ(´◎ω◎) :2015/02/10(火) 15:37:06 ID:799f7a89a
ベンツ物語。

「寒いなぁ……」
 とぼやきながら23歳、在日朝鮮人のベンツ君は、枯れ落ち葉を踏みしめながら仕事先のパチンコ店を後にする。
 社会人一年生として彼は昨年からパチンコマルハンの店員となった。重いパチンコ玉を運ぶ辛い肉体労働の仕事ではあったが、自分の父親が経営する在日朝鮮系の企業で、憎い日本人から金を搾取できるという、優越感を味わえるという点で彼はこの仕事に就いた。
 しかも、彼は最近テヨンという、まるで絵にかいた女優みたいな容姿を持つ彼女もできて今、社会人として順風満帆の人生を送っている。
 季節は十二月。町はクリスマスイルミネーションの化粧をして、見る人に少し気の早いクリスマスを感じさせる。
 具体的に言えば、リア充の方にはクリスマス、ジングルベルへの期待と楽しみを、非リア充の奴らにはシングル ヘルの嘆きと絶望を!
 ……そして、ベンツ君は勝ち組、つまり、前者の方だった。
(冬のボーナスは結構貰ったなぁ。クリスマスは彼女と豪華に過ごせるぞ!)
 ベンツ君13号は、彼女ができたことが初めてで、彼女がいるというだけで、毎日が楽しく、こんなにも幸せなこととは想像もできなかった。彼女との楽しい日常の日々を思いだし、クリスマス共に聖夜を過ごすことを思いながら、鼻歌交じりに0時の深夜、人が全くいない街灯とイルミネーションが照らす道を歩く……その時!
「待っていたぞ! ベンツ君13号よ!」
 途端に、どこからか良には聞きなれぬ男の声が鼓膜を打った。
「だ、誰なんだよ!?」
 辺りを見回すが誰もいない。
「馬鹿め! お前の後ろだ!」
 声を聞き、良は後ろを向く。
「あんぎゃぁああああああ!! な、なんなんだよ!? お前らは!?」
ベンツ君は悲鳴にも似た声をあげた。しかし、それも無理はなかった。
そこには寒さが厳しくなっていく十二月の夜風がどこ吹く風かと長い褌をなびかせているマッスルダンディが立っていた。
さらにその男の後ろには、控えるように赤、青、黄色、緑、黒の褌のこれまた屈強な男達が五人いた。その男達の鍛え抜かれたボディービルダーのような体からオーラのような湯気を発し、体に油を塗っているのか、イルミネーションの光でテカテカしている。あからさまにただ者でない事をまざまざと感じさせる。というか、相当にやばい連中だと感じさせた。
「ふふふ、われわれの事か? 知りたければ教えてやろう!」
 ベンツ君は知りたくなかった。聞かずにさっさと逃げ出したかった。が、ベンツ君にその考えを抱かせる前に男達は口を開く。
「我々は貴様ら在日朝鮮人を韓国に徴兵する為に派遣された、ベトナム戦争を生き残ったエリート朝鮮兵士、枯れ葉部隊!!」

10 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:32:29 ID:ORiTd2es
チュドーン!!
 六人全員が叫び各々の奇妙キテレツなポーズをとった。と同時に背後に謎の爆発。まるで戦隊ヒーローの登場のような演出だった。そして、決めては、その誰もが笑顔がまぶしくポーズも決まって絵になっていたことだった。
「なっ……な」
 驚きのあまりに声も出ないベンツ君。どうして褌一丁?? どうして爆発?? 色々と訳が分からなった。
「ベンツよ!貴様が恐るべきパンチョッパリである事は我々の情報網に筒抜けだ。誇り高きコリアンが日本の生活にうつつを抜かすなど笑止千万! 我々が貴様の日章旗にコリアン魂を注入し、めくるめく徴兵の世界を教えてやろう!」
「教えてやろう!!」
 先頭の褌男と後ろの五色の褌の男達が叫び、全員、褌を脱ぎ捨てた。
「あんぎゃあああああああああ!!」
 ベンツ君の目に映る六種類の一〇㎝満たないウインナーソーセージ。それは遠くからでも分かる禍々しさと、恐るべき悪臭を放っていた。
「さぁ、まず、我らが祖国へ連れて行く前に、貴様の日章旗にコリアン魂注入の儀式だ!!」
「儀式だ!!」
 その儀式が何を物語っているか、頭の悪いベンツ君も察することができた。つまり、この男達に捕まると……。ベンツ君の体中から一斉に鳥肌が噴火する。
「うわぁあああああああ!! テヨン!! 助けてぇー!!」
 悲鳴を上げて、ベンツは脱兎のごとく逃げる。だが!
「逃がさん! とう!」
「とう〜!!」
 不意に、ベンツ君は背中を照らしていた月の光が届かなくなったことに気がついた。
 逃げればいいのに、お馬鹿なベンツ君は止まって後ろを振り返ってみた……そして、その時、初めて振り返るのではなく、走って逃げれば良かったと後悔した。
 鍛え抜かれた体のすっぽんぽんの男達が、月の逆光に油ギッシュの体をテカらせ上空に回転している。そして、彼らの体は空中で弓なりの弧の形を取り、下半身のウインナーをベンツ君の顔めがけて照準がセットし急降下しだしたのだった。
「釜山産ポークウインナーをめ・し・あ・が・れ❤」
「あいごぉおおおおおおおおお!!」
 そして、ベンツ君は……徴兵されたのだった。

 韓

11 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:32:54 ID:ORiTd2es
20 名前: 偽アカヒ(´◎ω◎) :2015/02/10(火) 15:55:49 ID:799f7a89a
(´◎ω◎)ノ
>>19の訂正なんだよ!!

ベンツ物語。

「寒いなぁ……」
 とぼやきながら23歳、在日朝鮮人のベンツ君は枯れ落ち葉を踏みしめながら仕事先のパチンコ店を後にする。
 社会人一年生として彼は昨年からパチンコマルハンの店員となった。重いパチンコ玉を運ぶ辛い肉体労働の仕事ではあったが、自分の父親が経営する企業で、憎い日本人から金を搾取できるという、優越感を味わえるから彼はこの仕事に就いた。
 しかも、彼は最近テヨンというまるで絵にかいた女優みたいな容姿を持つ彼女もできた。結婚の約束もしている。
今、彼は社会人として順風満帆の人生を送っている真っ最中だった。
「もうそろそろ、クリスマス。今年はテヨンと一緒に……性夜でぺろぺろなんだよ!!」
 季節は十二月。町はクリスマスイルミネーションの化粧をして、見る人に少し気の早いクリスマスを感じさせる。
 具体的に言えば、リア充の方にはクリスマス、ジングルベルへの期待と楽しみを、非リア充の奴らにはシングル ヘルの嘆きと絶望を!
 ……そして、ベンツ君は勝ち組、つまり、前者の方だった。
(冬のボーナスは結構貰ったなぁ。クリスマスは彼女と豪華に過ごせる! ホテルはスイート! 夜もスイート! そして、俺様の人生、日本ですいすいとスイートに生きるんだよ!!)
 ベンツ君は、彼女ができたことが初めてで、彼女がいるというだけで、毎日が楽しく、こんなにも幸せなこととは想像もできなかった。彼女との楽しい日常の日々を思いだし、クリスマス共に聖夜を過ごすことを思いながら、鼻歌交じりに0時の深夜、人が全くいない街灯とイルミネーションが照らす道を歩く……その時!
「待っていたぞ! ベンツよ!」
 途端に、どこからか良には聞きなれぬ男の声が鼓膜を打った。
「だ、誰なんだよ!?」
 辺りを見回すが誰もいない。
「馬鹿め! お前の後ろだ!」
 声を聞き、彼は後ろを向く。
「あんぎゃぁああああああ!! な、なんなんだよ!? お前らは!?」
ベンツ君は悲鳴にも似た声をあげた。しかし、それも無理はなかった。
そこには寒さが厳しくなっていく十二月の夜風がどこ吹く風かと長い褌をなびかせているマッスルダンディが立っていた。
さらにその男の後ろには、控えるように赤、青、黄色、緑、黒の褌のこれまた屈強な男達が五人いた。その男達の鍛え抜かれたボディービルダーのような体からオーラのような湯気を発し、体に油を塗っているのか、イルミネーションの光でテカテカしている。あからさまにただ者でない事をまざまざと感じさせる。というか、相当にやばい連中だと感じさせた。
「ふふふ、われわれの事か? 知りたければ教えてやろう!」
 ベンツ君は知りたくなかった。聞かずにさっさと逃げ出したかった。が、ベンツ君にその考えを抱かせる前に男達は口を開いたのだった。
「我々は貴様ら在日朝鮮人を韓国に徴兵する為に派遣された、ベトナム戦争を生き残ったエリート朝鮮兵士、枯れ葉部隊!!」
チュドーン!!

12 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:33:15 ID:ORiTd2es
 六人全員が叫び各々の奇妙キテレツなポーズをとった。と同時に背後に謎の爆発。まるで戦隊ヒーローの登場のような演出だった。そして、決めては、その誰もが笑顔がまぶしくポーズも決まって絵になっていたことだった。
「なっ……な」
 驚きのあまりに声も出ないベンツ君。どうして褌一丁?? どうして爆発?? 色々と訳が分からなった。
「ベンツよ!貴様が恐るべきパンチョッパリである事は我々の情報網に筒抜けだ。誇り高きコリアンが日本の生活にうつつを抜かすなど笑止千万! 我々が貴様の日章旗にコリアン魂を注入し、めくるめく徴兵の世界を教えてやろう!」
「教えてやろう!!」
 先頭の褌男と後ろの五色の褌の男達が叫び、全員、褌を脱ぎ捨てた。
「あんぎゃあああああああああ!!」
 ベンツ君の目に映る六種類の一〇㎝満たないウインナーソーセージ。それは遠くからでも分かる禍々しさと、恐るべき悪臭を放っていた。
「さぁ、まず、我らが祖国へ連れて行く前に、貴様の日章旗にコリアン魂注入の儀式だ!!」
「儀式だ!!」
 その儀式が何を物語っているか、頭の悪いベンツ君も察することができた。つまり、この男達に捕まると……。ベンツ君の体中から一斉に鳥肌が噴火する。
「うわぁあああああああ!! テヨン!! 助けてぇー!!」
 悲鳴を上げて、ベンツは脱兎のごとく逃げる。だが!
「逃がさん! とう!」
「とう〜!!」
 不意に、ベンツ君は背中を照らしていた月の光が届かなくなったことに気がついた。
 逃げればいいのに、お馬鹿なベンツ君は止まって後ろを振り返ってみた……そして、その時、初めて振り返るのではなく、走って逃げれば良かったと後悔した。
 鍛え抜かれた体のすっぽんぽんの男達が、月の逆光に油ギッシュの体をテカらせ上空に回転している。そして、彼らの体は空中で弓なりの弧の形を取り、下半身のウインナーをベンツ君の顔めがけて照準がセットし急降下しだしたのだった。
「釜山産ポークウインナーをめ・し・あ・が・れ❤」
 六種類のポークウインナーがベンツ君に迫る! そして!!
「あいごぉおおおおおおおおお!!」
 ベンツは……徴兵されたのだった。

 


13 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:33:42 ID:ORiTd2es
21 名前: V3 :2015/02/10(火) 16:58:29 ID:aa99e451f
wwww
映画「変態仮面」のスタッフで、実写化希望ww
最後の「韓」がまた、いい味出してるww




ポークビッツを遠くから視認出来るって、モンゴル人並の目の良さですね、ベンツ君(*`Д´)ノw
ご先祖の血が、視覚性能に出てるのかな?(*`Д´)ノww

22 名前: ミセスリーフ :2015/02/10(火) 17:19:52 ID:4ae2a13b5 [sage]
>>19
>>20

偽アカヒさん
投稿ありがとうございまーす!!
(・∀・)イイヨイイヨーニッ(*´∀`*)コリ つ ⑩⑩⑩⑩


個人的には、六種類のポークビッツ描写がハマりました。
いや、お下品だからじゃなくて、このスピード感がw

ああ、ベンツくん!!君に会いたいww

                |
                |
                |
               ∧便∧ ))
     /V\    (( <`∀´  >
    /◎;;;,;,,,,ヽ
 _ ム::::(;;゚Д゚)::| ジー
ヽツ.(ノ::::::::::.:::::.:..|)
  ヾソ:::::::::::::::::.:ノ
   ` ー U'"U'

14 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:34:02 ID:ORiTd2es
23 名前: アマデ :2015/02/10(火) 18:00:55 ID:3108e9e12 [sage]
偽アカヒさん
あ〜ベンツ君なんだか懐かしいとさえ思えますぅ(´;ω;`)
>「とう〜!!」
にツボってしまいましたww
>め・し・あ・が・れ♡
ww最高です♪
つ⑳⑳$
24 名前: 桃 :2015/02/10(火) 18:35:02 ID:be4b69603
偽アカヒさん、お疲れ様でした〜ノシ

ところで、
ねえ、どうして悪臭を放っているの!?
悪い病気を持っているの!?

視覚より、嗅覚の方がダメージが大きいと思うのですw

25 名前: みく :2015/02/10(火) 20:32:48 ID:5a6f36e40
偽アカヒさん
枯れ葉戦隊は読むと面白いけど、実際にはあったら……ひぃ((((;゜Д゜)))
泣く子だけでなくベンツ君も黙る!
枯れ葉6人組、誰が何色だか考えはしませんが((((;゜Д゜)))


そういえば昔
萌え戦隊なるものを思いつき、とある場で発表したのを思い出しました
私の黒歴史ふふふ(//∀//)

26 名前: ミセスリーフ :2015/02/10(火) 21:00:58 ID:4ae2a13b5 [sage]
>>25
ふふふ。
どうぞ、ここでも。萌え戦隊。
ベンツくんに萌える女子チームで作ると、スゴイことになりそうw

27 名前: えみる :2015/02/10(火) 21:43:54 ID:242004e9d
とっても遅くなりましたが・・・・

新スレおめでとうございます〜〜♪♪♪

まだ、スレ追えてませんが、まずはご挨拶までww

文才のない私はROM専になるとか思いますが
楽しませてもらいますww

15 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:34:29 ID:ORiTd2es
28 名前: 名無しさん@ベンツ君 :2015/02/10(火) 22:48:18 ID:4ae2a13b5 [sage]
>>27
ご訪問、ありがとうございますw

ゆっくり時間があるときに、感想も載せてくださいますと
書き手たちが、非常に喜びますので、よろしくお願いしますw

29 名前: ミセスリーフ :2015/02/11(水) 00:28:42 ID:7ee28c45f
>>28
の名無しは私ですw

16 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:34:50 ID:ORiTd2es
30 名前: V3 :2015/02/15(日) 19:01:36 ID:391dd0b24 [sage]
小説スレで吉田茂の話が出たので、以前書いた小ネタを思い出し、こちらにコソーリ投下w
※ナマモノにつき、閲覧やや注意(*`Д´)ノw


『邂逅』

「よう、久しぶりだな」
「タロさん、待ってたよ」
にこやかに歩み寄った二人の男は、互いを抱きしめ嬉しそうに背中を叩きあった。
「お疲れ様でした」
待っていたと告げた男が、深々と頭を下げる。
「よせやい。昭ちゃんほど頑張れたかは分かったもんじゃねえんだからよ」
「俺は途中退場しちゃったから。総理退任したあと、副総理兼財務大臣として世界を相手に死力を尽くしたタロさんには遠く及ばないよ。ここから、全部見てたよ。本当に、お疲れ様でした」
手放しの賛辞を旧友に述べられた男は、ふへへと笑い、照れ臭そうに鼻を擦った。
石も無い場所なのに、小石を蹴るかのように足を繰る。まるで、昔の漫画に出てくるやんちゃな小学生のような姿だが、不思議なくらいこの男はそんな仕草が似合っていた。

「まぁよぅ。全然、足りなかったかもしんねぇけど、俺たちゃそれなりにそこそこ踏ん張ったよな?」
「そう思いたいよね」
思い残しも確かにあった二人の男は、多少の苦さを含めながらも、それでも明るく互いを労った。
「さあ、そろそろ行こうタロさん。あっちにはタロさんのお祖父さんも居らっしゃるよ」
「かぁ〜!あのジジィ、こっちに居やがんのかよ!俺ぁてっきり、地獄に行ったかと思ってたぜ!それとも、ここが地獄なのか?」
清々しい空気に満ちた、光溢れる世界を二人はゆっくりと見回した。
「…まぁ、天国でも地獄でも、どっちでもいいやな。昭ちゃんが居たら、また面白い事がありそうだからな」
「変わらないなぁ。でも、俺も、同じ気持ちだよ。さあ、行こう。皆が待ってる」
「おう」

これは、力を尽くして旅立った者達が、誰にも聞こえない場所で交わした言葉。
そんな、夢のお話。

【終】

17 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:35:20 ID:ORiTd2es
31 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/15(日) 21:36:24 ID:90384d280 [sage]
>>30
まだ死んじゃやだ!!!www

とまあ、叫びつつw
投稿ありがとうございます!!
いつもとガラっと変わりますね♪
漫画を目指してたのは、わかるかなー。
台詞がイキイキしてますね。

つ⑩⑲⑲⑩⑩

一緒にお酒を酌み交わしたりするんでしょうか。
笑いあった写真を見たことがありますが、あの笑顔で
語り合うのかと思うと・・・胸にきます。

32 名前: V3 :2015/02/15(日) 23:39:57 ID:391dd0b24 [sage]
勝手に頃してすみません(;^_^A
まあ、今から数十年後の夢物語ということでw

「惜しい人を亡くした」と言い合っていた友人宛てに、メールで送った小ネタです
まさか、よそ様にお見せする日が来るとは思わなんだw

お粗末様でしたm(_ _)m

33 名前: イザベル :2015/02/16(月) 18:19:14 ID:2601a9250
(´;ω;`)
m(_ _)m⑩⑩⑩⑩

34 名前: V3 :2015/02/16(月) 18:37:58 ID:e9c48d327 [sage]
>>33
JBさんですか?
IDが違うので、もし別の方でしたらすみません(;^_^A

お読み頂き、有り難うございました(*`Д´)ノ♪♪♪

35 名前: ポール :2015/02/16(月) 19:47:45 ID:a5b3bb007
まだまだ頑張るぞ(*`Д´)ノ
とタロさんが言っておりますw

36 名前: 名無しさん@ベンツ君 :2015/02/16(月) 20:13:35 ID:2601a9250
>>34
>>35のポールの知り合いのイザベルですw

37 名前: ミセスリーフ :2015/02/16(月) 20:23:20 ID:4150fd795 [sage]
>>34
サブスレは、スレごとにID変わるよ〜
なので、小説スレとここのIDは違うの〜

38 名前: V3 :2015/02/16(月) 20:29:39 ID:e9c48d327 [sage]
おお、辛抱マッカートニーまでw

しかし、ヒントしか書いていないのにすんなりと「あの二人のことだ」と分かって下さるので嬉しい限り(*`Д´)ノ♪
流石、ベンツ君スレの住人さんだと改めて思いましたm(_ _)m

39 名前: V3 :2015/02/16(月) 20:33:55 ID:e9c48d327 [sage]
>>37
∑(゚Д゚) 知らなかった!

結構な数のスレを横断して書いてる癖に、自分のIDとか全く気にした事が無いので気がつかなかった(*`Д´)ノw
注意力散漫な性格が暴露てしまいましたね(;^_^A

18 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:35:46 ID:ORiTd2es
40 名前: イザベル :2015/02/16(月) 21:03:38 ID:2601a9250
>>38
マッカートニーとちゃう(´;ω;`)
ちなみにに>>36もわたし。
わたしらそんなに有名人ちゃうで。
名前入れるの忘れたのごめん。

41 名前: ポール ニューマン :2015/02/16(月) 21:37:36 ID:35e072983
ニューマン やでw
sageられますと 私 気付けないので、せめて
投稿の際は ageてください(*`Д´)ノ

42 名前: ミセスリーフ@スマホ :2015/02/16(月) 21:46:37 ID:9ed88c1c4
書き手は恥ずかしがり屋がおおいのです(*`Д´)ノ!!!

43 名前: アライグマ犬Jr. :2015/02/16(月) 21:52:29 ID:4219a6be2
あれ、小説スレだっけ、ここw
いつもの面子、揃ってるわw

44 名前: ポール :2015/02/16(月) 22:03:24 ID:35e072983
アンナの気遣いに応えるべく、
爺は重い腰を上げたのだよw
あげてね(*`Д´)ノ

45 名前: ミセスリーフ :2015/02/16(月) 22:27:32 ID:9ed88c1c4
了解(*`Д´)ノ!!!
小説スレ民はテキストスキーですから(*`Д´)ノ!!!

46 名前: V3 :2015/02/16(月) 22:39:38 ID:e9c48d327
ポール違いでしたごめんちゃい(*`Д´)ノw

サゲたのは、実は照れ屋さんだからです(;^_^A
おばちゃんとなってかなり図太くはなったのですが、創作に関しては未だモジモジ…w
人間の本質って、年を取ってもそんなには変わらないんだなぁと実感(*`Д´)ノ!

47 名前: ポール :2015/02/16(月) 23:41:55 ID:35e072983
人間の本質って....
確かに変わらないでしょうね、でも人生を左右するような
事象に出会うたびに、強くなる人間と弱くなる人間がいます。
モニカはどっちだ?(*`Д´)ノ

48 名前: V3 :2015/02/17(火) 00:18:29 ID:e216f93d1
>>47
強いか弱いかは、実は余り気にしてません(;^_^A
自分自身や家族、世の中の為に役に立つか立たないかが、一番大事かなと思っております
(なので、「役に立つ」と自信が持てない創作に関しては、昔のナイーヴな自分に戻ってしまうのですよね〜w)

49 名前: ミセスリーフ :2015/02/17(火) 21:05:34 ID:28a1495ec [sage]
>>48
創作に関しては、V3さんもナイーブなんですね。
役に立つかどうかでいくと、私の小説なんて・・・ボソw

しかし、ここは強引にいかせていただきマス!!
創作は、生きるためのトリガーなんだ(*`Д´)ノ!!!
情熱のボタン、意欲のスイッチ!!
(ジャジャーン ここの効果音の文字は太めで強調)

君の情熱、君の意欲、確かに受け取った!!
(ゴオオオ・・・・・・!!ここで火柱が熱く燃え盛る)

この君の熱さが、他人を熱くさせ、前を向かせる!!
(炎に包まれ、拳を握る人物がシャウトしている)

ということで、役に立ってますw
またのご投稿、お待ちしてマースw

19 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:36:12 ID:ORiTd2es
50 名前: ミセスリーフ :2015/02/17(火) 23:21:01 ID:28a1495ec [sage]
いつぞや、本スレに貼ったことがある、数字同士の愛の物語。
あれを保存しておくのを忘れていた。あう。
なんか、続きをたくさん書いた気がするんだけど
テキストがない。むーん。

7はテクニシャンだのなんだの、続編を書いたのになあ。
需要あるんだろうか??
たぶん、そんなミニストーリーより、ヘリボーン女性陣の逃亡編とか書いた方が楽しむ人、多そうだよねw

51 名前: V3 :2015/02/17(火) 23:59:30 ID:e216f93d1 [sage]
>>49
創作に関しては、魂を裸にして皆さんにご覧頂く行為だと思ってますので(;^_^A

大した話は書いてませんが、それでも自分の価値観や恥部をえぐり取って、お見せ出来る形に整えませんと、書いてる当人すら面白がる事は出来ないかと

だからこそ、非常にスリリングでもあり、惹きつけて止まない行為が創作だと思ってます


あと、上のレスの補足ですが、創作に関して「役に立つかどうか」は、「面白がって貰えるかどうか」という意味でした(*`Д´)ノ

52 名前: イザベル :2015/02/18(水) 08:12:00 ID:cefbc2203 [sage]
紫式部の妄想と小説スレ婦人部の妄想とのあいだに
ちがいがあるか?いや、無い(`・ω・´)
と思っちゃった「散華 紫式部の生涯」(杉本苑子中公文庫)
でした。
下巻の398あたり〜417頁で「書く」という行為について熱く
語られています。式部の声か杉本さんの声かもはやわからないw

53 名前: アマデ :2015/02/20(金) 17:42:13 ID:c908f21ab [sage]
Σ(|||▽||| )今気が付いた(´;ω;`)

V3さん
面白かった\(^o^)/
タロさんにはもう少し頑張って欲しい・・・けどこんな感じになるんでしょうね〜〜
つ⑳⑳⑩$

しかしV3さんの文章はいきいきとしてステキですね(*^_^*)
次の作品も期待して待ってます(^O^)/

20 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:36:33 ID:ORiTd2es
54 名前: V3 :2015/02/22(日) 21:01:54 ID:1881437e6
>>53
アマデさん、有り難うございますm(_ _)m

調子に乗って、本スレでも触れられた東京マラソンに出現したイングラムについてのお話を投稿しますので、宜しければ読んで下さい(*`Д´)ノ♪

『イングラム、出動許可願います』

警備局の上司は、企画書をざっと見ただけでぎゅっと眉根を寄せて言下に却下した。
「映画の番宣で東京マラソン大会当日に実物大ロボットを街頭に配置する許可願いだと!?何馬鹿なこと言ってるんだ。只でさえテロ対策で警備が大変なんだぞ!これ以上人を集めて警備の手間を増やしてどうするんだ!却下だ却下、こんなもん!警備上の問題ありと、断れ!」
頭の固い上司のこの反応は予想していたので、すかさず用意しておいた説得文句を並べる。
「お言葉ですが、実物大ロボット配置によるテロリストへの心理的圧迫効果がかなり期待出来るという観点があります。ことに、ISILのテロリストが仮に潜伏したとして、彼等は日本のサブカルチャーに詳しい訳ではないでしょう。なので、この人型ロボットが実際に日本の警察の装備だと誤解し、テロを諦める可能性もあるのです。要は、ハッタリですよ。日本語が分からない外国人でも、このロボットを見たらギョッと縮み上がる可能性が高いので、配置はテロ防止に大変有効だと自分は思います!外国人には消防車にしか見えない高圧放水車を配置するより、威嚇効果は絶大だと思いませんか?DJポリスによる拡声警戒、ランニングポリスによる警備拡充に加え、左派系マスコミだ左派政党だのに難癖つけられ難い威嚇効果です。これを逃す手は無いと思いませんか?是非とも、許可して下さい!」
「…むぅ」

鼻歌交じりに自分のデスクに戻った男は、部下にイングラム配置の許可が出た旨を告げ、関係者に知らせるよう言いつけた。そして、イングラムを配置する周辺に配備する警察官を増やす計画書の作成に取り掛かる。いつもは面倒な書類作成も、今日はキーボードを打つ指も軽い。
(勇介の奴、俺がイングラムと一緒に写った写真を見たらどんな顔するかな)
まだ疑うことを知らない、幼い我が子の頬を紅潮させて驚く顔を想像してみる。その様子を思うだけで、口元がニヤニヤと弛む。
(パパ凄い、凄いと大騒ぎすんだろうな。自分もロボットに会いたかったと駄々を捏ねて大泣きすっかな?…でも、銀座の混雑に呼ぶ訳には行かないからそこは無理だな。大泣きしても宥めて俺が寝かしつけないと、芙美に文句言われちまうわな)
すっかりぬるくなったコーヒーをズズッと啜り、東京マラソン大会に思いを馳せる。
勿論、ISILなどのテロリストへの厳重な警戒を怠ってはならない。先程上司を説得した視覚による威嚇効果を期待というのも、半分は本気である。
ただ、長年警察官として世間を見て来た身の皮膚感覚として、日本でイスラム系のホーム・グロウン・テロリストは生まれないような気がしている。迂闊なことを言うと自身や警察の評判にも関わるので、この予想は本当に気の置けない友人にしか話をしていないが。
(ホーム・グロウン・テロリストを生んだアメリカや欧米と日本では、社会的背景が全く違う。なんせ俺達日本人自身がその昔は、黄色い猿と蔑まれていたんだからなぁ。有色人種を蔑むような気質は持ち合わせちゃいないっての。イスラムの人間だって、日本で楽しそうに暮らしてるのが大勢いるし。下手な真似して、日本人から敵視されるようなことにはしたくないだろうよ)
責任が持てる話ではないので、滅多な相手には言えないが、それでも不思議な程の確信があった。確信という名の、希望なのかも知れないが。

エンターキーを押し、プリントアウトを待つ。時計を見たら8時を過ぎていた。
(そろそろ上がるか。勇介が起きてる時間に間に合うか?)
間に合わなければ、残念だが仕方ない。寝顔を見て我慢するとしよう。
(…したら、パトレイバーの読み直しでもすっかな。いやいや、全ては東京マラソンを無事に終わらせる為だから)
誰に言い訳してるのかと、自分でも少しおかしくてクスッと笑ってしまう。
いたずらっ子のようなその笑いは、幼い息子にそっくりだと妻は常日頃言うのだが、自分では首を傾げるばかりだ。
「お先」
残業をする同僚に声を掛け、男は職場を後にした。
(誰に写真撮って貰うかなあ。下手な奴に頼むと上に報告されちまうからな。うむ、人選は慎重にやらないと)

動かぬロボット一つで、妙にウキウキと仕事に精を出す警察官の、とある一日のこと。

21 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:36:56 ID:ORiTd2es
55 名前: 辛抱堪らん :2015/02/22(日) 21:16:52 ID:4f05e8b76
アゲ てくれましたね、ありがとう(*`Д´)ノ
感想は後ほど(^∇^)w

56 名前: ミセスリーフ :2015/02/22(日) 23:25:06 ID:b0edcc88d [sage]
投稿嬉しいんだよ(*`Д´)ノ!!!

同じく、感想は明日以降になりますw
待ってて(*`Д´)ノ!!!

57 名前: イザベル :2015/02/23(月) 09:42:26 ID:8e64a3a9d [sage]
(*`Д´)ノ ⑩⑩⑩⑩

ほのぼので始まり、ほのぼので終わるのかと思いきや、
中間部にボストンマラソンテロ想起をからめてクレバーな意見を
挿入(^.^)
最前線で体を張る人々の無事を祈らない日々はない今の日本。
悲惨な現実に目をそらすな、それはわかる。
でも片目でその現実を見据え、
もう片方の目でその現実の対極にあるともいえる
「全身遊び心でできた日本人生活」
を愛でることをどうかお許し願いたい(*`Д´)ノ

そう思わせられた作品でした。

緊張感の中で時にゆるゆるうひゃを楽しむプロフェッショナル達!

このコンセプトでシリーズ化希望します(`・ω・´)

58 名前: ミセスリーフ :2015/02/23(月) 10:55:30 ID:6b50c20b2 [sage]
⑩⑩⑩⑩⑩⑩

パパの気持ちが痛いほどわかりますよ(*`Д´)ノ!!!
ちなみにイングラムは、スーパーロボット大戦という
「どのロボットが一番強いか選手権」的なゲームには登場しません。

そうなのです。
闘う、戦うことが使命ではないのです。
よって最弱なんだそうです。ゆうきまさみさんが言ってましたw

22 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:37:22 ID:ORiTd2es
59 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/23(月) 11:36:35 ID:6b50c20b2 [sage]
うーむ。公開してるばかりのもので、すみませぬ。
小説スレで書いた、「永久童貞、永久処女」です。
少し変えてます。小説スレをさかのぼると、私だけでなく他の方が
書いた「永久童貞、永久処女」の小説を読む事ができますよw

興味をもたれた方は、是非、小説スレの過去ログもお読みになってみてくださいw


「永久童貞・永久処女」


「そちの願い、叶えよう。
 5回ほど肉体をもち、満願するその時まで足掻くがよい。
 その間のこちらの留守は、わらわが守る。
 何、ほんの瞬き2つの間の事。
 そち自身の本来の運命の人生に比べれば、詮無きこと。
 満願成就を祈っておるぞ。」


俺の記憶などは、曖昧なものだ。
ただ、はっきり覚えているのは、3つ。
笑われるだろう。嗤ってくれていい。

俺は太陽だった。
空に輝き、幾度と爆発と燃焼を繰り返すエネルギー体。
太陽そのもの。
そんな俺が自身の炎よりも、焦がれてやまない存在を見つけた。

地中の土竜。
俺の姿を見ることが叶わないそうだ。
風が伝え、大気が教えてくれた。
俺に恋い焦がれてやまないそうだ。
月が教えてくれた。

俺は、俺は。
その地中の土竜に会いたくなってしまったんだ。
彼女には御印があるという。会えばわかり、向こうも俺をわかるという。
出会うことさえ、叶えば・・・・・・叶えば、俺はどうするのだろう。
答えは決まっているのだが、いざ考えると、現実的でないことを知る。

俺の光は、彼女を焼く。
炎の中で、添い遂げたとしても何も残りはしない。
愛しき人を抱きながら、消えゆく魂を愛おしむ趣味は俺にはない。

「されば、満願のその時まで足掻くがよい。」

その声の主が語る内容も覚えている。
愛しき土竜、その人に会うまでの5度の肉体。
我が記憶にとどめるのは、本当の自分と、愛しき土竜と、5回の肉体。

その3つを心に、今の世を生きている。
その3つを忘れてしまうほど、この世はあまりにも退屈すぎる。

そして、時は流れる。

神護景雲。東の国の日が昇る、緑豊かな水青し美しやの国。

そして、今の世での我が名は道鏡。

地上の楽園は、我が為にあり、我が身の為に存在す。
権力なぞ、くそくらえと思って生きてきて、ここまで
上りつめた。

すべての法を治めても、彼の女性(ひと)に会えぬことを思うと
全てがむなしい。
欲するものを知り、欲するところを知っている。
それゆえに。
その目的に、かすりもしない、この世の生に
腹立たしい。
生きる目的がはっきりしているがゆえに。
腹立たしく。

そして、無性に渇く。
この身は渇いてたまらぬ。
男も女もかき抱いても、満たされぬ。
むしろさらに渇望し、満たされることはなく、げに恐ろしきや。
果てることもなく、止む時も知らず。
相手の果てが、終焉の時。

藍染の夜に浮かぶ月の、虚しく響く生(せい)の音。
相手が果てるのは、全て戯れの最中のため、俺のものは一度も
誰のものも、貫通することなく、己の性技で果てる毎日。

「姫には会えぬのか・・・・・・・」
見上げる空には、月が白く嗤っている。
語りかけても、返ってこない。
いつまで、この地獄を巡らなくてはいけないのか。
白い杯に、決して酔う事ができない、酒を注ぎ、道鏡も嗤った。

つづく?

23 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:37:46 ID:ORiTd2es
60 名前: ミセスリーフ :2015/02/23(月) 23:37:02 ID:6b50c20b2 [sage]
訂正。

スーパーロボット大戦にイングラム出てたーw
ワイヤー捕縛ですが・・・・。
http://srw-oe.suparobo.jp/character/26.php

うーむ。ドヤ顔で語って、恥ずかしぃw

61 名前: アマデ :2015/02/24(火) 14:50:35 ID:814bb849d
上げてみるww
>>54
V3さん
これは本スレ見て思いついたんですか?Σ(゚∀´すごい・・・
なんかの小説の抜粋のような
(既存の小説という意味ではありません)
このお話の前後が読みたいっていうか、この小説読みたいですd(^o^)b ィィんえ
つ⑳⑳⑳⑩$
>>59
リーフさん
このテーマで女神にぞっこんラヴな快○氏のお話をリクエストしてみたいです(*′艸`)
(伏字にする必要があるのかしら??ww)

62 名前: 快便100面相 ◆tTmPcUasmA :2015/02/24(火) 15:05:22 ID:1b7338187
>>61
最近、マシになりましたが諸症状は続いておりますwww
魂から湧き出て来る感じで、たまに爆発しますwww

63 名前: アマデ :2015/02/24(火) 15:38:22 ID:814bb849d [sage]
爆発っ!!!∑(゚Д゚ノ)ノ
やり場のない思いに身を焦がし・・焼き尽くされるまで・・・
女神に恋煩いは大変そうですね(^▽^;)
いっそ○○さんに媚薬を分けて貰って・・・ってこれじゃ屋良大先生のお話みたいになるかな?σ(^_^;)アセアセ...
リーフさんお願いしますm(__)m
(何故伏字にしてしまうのだろう?ww)

64 名前: 快便100面相 ◆tTmPcUasmA :2015/02/24(火) 15:42:01 ID:1b7338187
>>63
密かに、そのコテに前から反応してたのはナイショwww

65 名前: アマデ :2015/02/24(火) 15:52:05 ID:814bb849d
リーフさ〜んV3さ〜ん(  ̄0 ̄)Ψオォーーイ!!
女神への恋に身を焦がし、○○さんへの嫉妬に身もだえるお話を〜〜
プリーズ.+゜*。:゜+(人*´∀`)+゜:。*゜+

24 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:38:18 ID:ORiTd2es
66 名前: V3 :2015/02/24(火) 22:51:14 ID:6f8ece9a1
アマデさんのリクエストにお応えして、ラブストーリーに挑戦(*`Д´)ノ!
私が消息不明になったら、どなたかの怒りに触れて消されたものと思って下さい…w


『いつか、きっと』


ぱんぱんと勢い良く両手を打ちならし、男は太陽に向かって頭を下げた。
(お早うございます、天照様。今日もお美しいお姿を拝見出来まして、誠に嬉しく存じます。何卒、今日一日、日本を明るく照らして下さいますようお願いします。そして、出来ればわたくしの夢に、ほんの少しでも構いませんので、お出まし頂きますよう、併せてお願い致します)
祈りが終わると、男はんっと伸びをした。
「っしゃ、ご挨拶終り!さて、飯でも食うかね。…っと、その前にスレの点検、点検」


「ほんにまぁ、かあいらしいこと。あの者、天照様への恋心を自覚して以降、あのように毎日の挨拶を欠かしておりませぬ。天照様、健気なものとお思いになりませぬか?」
天宇受賣命(アメノウズメノミコト)がコロコロと笑いながら、傍の高座に優美な姿で座っている天照大御神に話しかけた。
「何が健気じゃ。朝日に向かって挨拶するならまだしも、今はもう昼時ぞ。こんな時間にお早うなどと挨拶する者があるか。無精者め」
「まぁ、情のこわいこと。あの者、日々の暮らし向きが他の者たちと同じではないのですから、それは致し方ございませんでしょうに」
「それが何じゃ。妾に会いたい、恋しいなどと公言しておるのじゃ。せめて、修行僧のような精進潔斎をし、時を守って挨拶をするのが筋というものじゃ」
美しい頤をつんと上げて、女神は無情に切り捨てた。
だが、そんな天照大御神の様子を見て、天宇受賣命は心密かにおかしみを堪えていた。
(口ではあんなつれない事を仰るが、本当は少しあの者が気になっておられるのじゃ。天照様のご気性では、目にも入らぬ者については厳しいことなど仰りはせぬ。一瞥もくれず、忘れるだけのこと)
長い付き合いのこと、それは天宇受賣命が遠の昔から良く知っている天照大御神のやりようであった。

とは言え、それを口に出してあまり天照大御神をからかうのは決して得策ではない。本質的には大変気が長く、和魂を発揮してくれる有り難い女神であるが、時として意固地になり、殻に閉じこもってしまう事があるのだ。
大昔の騒動を思い出し、天宇受賣命はそっと口元を抑えた。
(まあ、雷を落として怒りを表す神々も沢山居らっしゃるのだから、天照様のやりようなど大変お優しいというものだけど)
しかし太陽が長期に渡って隠れてしまうと、草木も農作物も死ぬ場合があるので、被害は甚大、結果的に人間にも動物達にも大いなる被害が及ぶので、由々しき事態となり得るのだ。

雷でふと、かの大神を思い出し、天宇受賣命は話の矛先を変えた。
「そう言えば天照様、先だってもゼウス様が来られましたが、求愛をお受けになられるのですか?随分と熱心なご様子ですし、大神でもあられますし、あまりつれない態度を取られますと、もしやして何か不穏な騒ぎになるやもと、少々心配しております」
人間の懸想とは違い、神界でも大変大きな力を持つゼウス神からの求愛を無下に断ると、どんな災いが日の本に降りかかるか分かったものではない。
気分を害したというだけで、その怒りのエネルギーが大変な事態を巻き起こす可能性は十分あるので、天宇受賣命の心配は当然であった。

25 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:38:39 ID:ORiTd2es
しかし、安心させるかのように天照大御神は小さく笑うと、かぶりを振った。
「心配せんで良い。ゼウス殿は我が邦でいたずらに力を振るったりするお方ではないからしての。それに、私への求愛など戯れ言に過ぎぬ。ゼウス殿の心は、いつだって奥方たるヘラ殿に捧げられておる。確かに女(おなご)好きで、幾度も騒ぎを起こしておられるようじゃが、いつも最後にはヘラ殿の元へと帰っておられる。ゼウス殿に取って、他の女(おなご)に手を出す行為は、ヘラ殿の気を惹く為なのかも知れぬよ」
クスッと苦笑しながら天照大御神は先を続けた。
「夫婦仲を一層強固にする為に、当て馬のように扱われるのはお断りじゃ。第一、妾がそんな立場に立ったら、妾を慕ってくれる日の本の民達へ申し訳が立たぬよ。もし、まだゼウス殿が妾に求愛して来るのなら、正妻以外はお断りじゃと申し伝えるまでのこと。ヘラ殿を追い出してまで妾を迎えようなどとは、ゼウス殿も夢にも思わぬであろうから、その場で諦めて下さることじゃろうて」
「はぁ、そんなものでございましょうか…」
「そんなものじゃ。妾に求愛するのも、直ぐに靡かぬ故、面白がっておいでのことだろうと思うわ。本気とは程遠い、戯れ言の一つよ」
「でも天照様は、大変お美しゅうございます。心惹かれる殿方も多く、ゼウス様もそこに偽りはないのではございませんか?こう申してはなんですが、天照様はご自分がどれほど殿方を惹きつけてやまないか、もう少しご自覚なされた方が宜しいように存じます。善き方ばかり惹きつける訳ではなく、先日も妖魔に狙われて危うい目にお遭いになられたばかりではございませんか。私は心配でございます」
過日、人間の少女に戻って霊界を巡っていた天照大御神を、妖魔が襲って来た事があった。
大した力を持つ妖魔ではなかったので暫くは好きにさせておいたのだが、そんな天照大御神を助けに入った者が居た。人間の男であった。
(あれなるおのこ、確かあやつの管理するベンツスレッドとやらに集うおのこであったな。確か、氷柱とかいう仮の名を名乗っておった。霊界で力を発揮するなど、人間の身としてはかなりの力を持つ能力者。なかなか、先行きが楽しみなおのこじゃ)
天照大御神は、決死の力を振るって自分を助けた人間に思いを巡らせた。
あのような人間が善き人生を全うし、転生を繰り返した後、宝玉のような魂となった暁には、神界の仲間となる事もある。仲間が増えることはいつだって嬉しいことなので、楽しみなのだ。

ふと、その顔が曇る。
(…それに比べて、あやつは霊界を覗き見る力すら持ってはおらぬ。そんな身で妾に懸想などと、一体どんないたずら者じゃ。大体、あやつの名前は何じゃ。か、快便などと、おなごの身で口にすることも敵わぬ下品な名前を名乗りおってからに。いくら仮の名とは言え、他に幾らでも名乗りようがあっただろうに。あの名前で出向く場所で妾への思いを公言などと以ての外じゃ。まったく、不愉快極まりないわ。痴れ者め)


「あれ〜?ちょっとヤバくない?本曇りになって来てるっぽいぞ」
天照大御神に罵られてるとも知らず、久方ぶりに友人達と都合を併せて海釣りに来た件の男は、見る見る間に拡がる灰色の雲を見上げて友人達に声を掛けた。
隣の友人が笑う。
「誰だ、日頃の行い悪男は!天気予報じゃ夜まで持つ筈だっぞ!」
「俺じゃね〜よ。俺は晴れ男だもん。◯◯、お前だろ犯人は!」
名指しされた件の男は、笑いながら反論した。
「失礼だな君達!品行方正、清廉潔白、生真面目真面目大真面目な私を捕まえて、日頃の行い悪男とか!名誉毀損に該当するので、謝罪と飯の賠償を要求するニダ!」
韓国人と言えば謝罪と賠償ばかり要求してくる厄介な人種と今時の日本人には広く周知された認識なので、ニダという語尾でちゃんとその意図が伝わって、どっと笑いが湧く。
一部の人間達が必死にレッテル貼りをして矮小化させようと必死だが、韓国嫌い、朝鮮人嫌いは最早日本の一般社会人の間でもデフォルトとなりつつあるのだ。

26 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:39:00 ID:ORiTd2es
件の男は、自分がベンツ君スレの管理人だと二人の友人達には打ち明けてはいない。彼らは実社会で知り合った友人であるし、自分程ヘビーなネットユーザーでもないので、打ち明けてどうするという気持ちが先に立つ。
本スレが半年ばかり続いた時期に、自分ながらに「これは、只事ではないのかも知れない。もしかしたら、友人にも教えた方が良いのか?」と思った事もあったが、ふとした思いつきでサブ板を整え、そのサブ板が思いも寄らぬ方面に発展し始めた辺りから、打ち明ける事を完全に諦めた。
(オカスレだけでなく、色々本気で書き込んでるからな〜。コイツ頭おかしいとか言われたら、流石にメゲる自信がある。うん)

そうこうするうち、パラパラと雨粒が三人を打った。
「あ、こりゃもう無理だ。本格的に降って来るぞ。仕方ない、撤収だ」
隣の友人が宣言し、竿をしまいだした。
件の男も残る一人もその宣言に従い、帰り支度を始める。ろくな釣果が無かった上に急な雨だ。今日は余り運が良い日ではないらしいと、三人はそれぞれの度合いで気落ちした。
三人共海釣りは長年の趣味でもあるので、こんな日は今日が初めてではない。過去に何度もあった経験だ。
しかし、現在、自分が本気で某女神に焦がれている事を認識している件の男としては、友人達とは違って何やら本気で憂鬱な気分となってしまう。
(うぅ。これってもしかして、天照様が俺の事を嫌ってるとかってこと?…いやいや、事案さんも誰も、まだそんな事言ってないし!まだだ、まだ諦めんよ!諦めたらそこで試合終了だよ!)
色々ごちゃ混ぜになった台詞で自分を鼓舞しながら、件の男は手早く帰り支度を整えた。
駐車場へと走り、車に乗り込もうとした時。
「あ、晴れて来た」
友人が空を見て呟く。
その声につられて男が空を見上げると、確かに雲間から光が射し込んでいた。
そして。
「おっ、虹だ!随分はっきりとしたヤツだな!」
三人が見上げた空の彼方に、大きな虹が、地上から雲間に掛けられた橋のようにくっきりと浮かんでいた。
「久しぶりに見たな」
大の男達が、嬉しそうに虹を見上げた。
「…って、おい!?どうしたんだよ、泣いてんのかお前!?」
件の男が滂沱の涙を流していたのだ。
男は、ハッとして慌てて涙を拭う。
「いや、さっきの雨だよ。泣く訳なんてないじゃん?」
ヘラヘラと笑い、訝しそうな友人を誤魔化した。
「雨止んだからどうする?もう少し続けるか?」
空模様を見ながら、三人は相談した。件の男が口を開く。
「…いや、今日はもう止めよう。どうせ夜には降るっていうし、早目に飯食って帰ろうよ。今日は、俺が奢る。好きなモン食っていいぞ」
「お、何だよ珍しいな。雨でも降るんじゃって、もう降ったか」
「俺、鰻食いてぇ!特上鰻重!」
「乗った!それでもいいか?」
「へいへい、結構ですよ。俺の奢りを有り難く噛み締めながら、頂いて下さいってんだ」
「豪気だねぇ、旦那。何かいい事でもおありで?それとも、今日の釣果が散々だからヤケになったとか?」
「こまけ〜こたぁい〜んだよ!しつこいと奢ってやんないぞ!分かったら、さっさと店探して運転しやがれ!」
「は〜い先生、大人しく言うこと聞きま〜す」
大人二人が片手を上げてから、嬉しそうにスマホを取り出した。いそいそと帰り道沿いの鰻店を探す。
そんな様子を苦笑しながら見つめた男は、首を巡らし、眩しそうに目を眇めて虹を見上げた。
(この虹は、俺に見せてくれる為に掛けて下さったんですよね?違ってても、もう遅いです。俺はそう受け止めましたんで。待ってて下さいね、天照様。いつか、どうやってか知らないけど、いつか絶対その虹を駆けてあなたの下へ参りますんで。その日までどうか、待ってて下さいね)
本当は、両手を口に当てて、力一杯その思いを空に向けて叫びたかったが、友人達の手前、ぐっと堪えた。
代わりに、万感の思いを込めて空を見つめる。
(いつか、きっと…)

その熱い瞳を、確かに天照大御神は見た。しかし。
(意気地なしめ。思いの丈すら叫べぬようでは、まだまだじゃ。妾の下へ来ようなどと、千年早いわ)
辛辣な駄目出しと共に、天照大御神の口元に笑いが浮かぶ。
けれどもそれは、天照自身が思うよりずっと優しく、艶やかな笑みであった。

【終】

27 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:40:18 ID:ORiTd2es
67 名前: ポール :2015/02/24(火) 23:12:57 ID:5c3899ec4
モニカ 面白いよ(*`Д´)ノ

68 名前: イザベル :2015/02/24(火) 23:14:07 ID:98fc9ba26
カイベンさん、おめでとうございますなんだよ(*`Д´)ノ

69 名前: アマデ :2015/02/24(火) 23:18:27 ID:814bb849d
きゃ〜♪〜(*´∀`*)〜〜(*´∀`*)〜♪
ありがとうございます゚+。:.゚ヽ(*´∀`)ノ゚.:。+゚
想いはかなうのかな?全く脈なしではないところが。゚+.(・∀・)゚+.゚イイ!!
だからこそ焦れる快○さん♪
そして意外なライバルが・・・うまいな〜〜(o^-')b
つ⑳⑳⑳⑳⑩$
(ぜひ女神様にも読んでいただきたいですが、お怒りになられたらリクエストした私をお叱りくださいますようお願い申し上げますm(__)m)
70 名前: モニカことV3 :2015/02/24(火) 23:19:47 ID:6f8ece9a1
ポール、イザベル、有り難うなんだよ(*`Д´)ノ♪

オカスレ読んでない方には何が何やらなのに、それでも面白いと言って下さって、とっても嬉しいんだよ(*`Д´)ノ♪♪♪

71 名前: V3 :2015/02/24(火) 23:27:30 ID:6f8ece9a1
>>69
ご期待に沿えましたでしょうか?(;^_^A

取り敢えずまだ書き込めますので、お怒りにはなられていないと受け止めて良いのかしら?w
(いや、夜だから反応が無いだけかも???)

で、今の内に開き直って…
快便さん、ご感想をお待ちしてます(*`Д´)ノw

72 名前: アマデ :2015/02/24(火) 23:47:06 ID:814bb849d
>>71
かなりマジで面白いですよ。゚+.(*`・∀・´*)゚+.゚イィジャナ〜イ!!!!
すごい才能ですね(*^ヮ^*)羨ましいです(*^ヮ^*)

73 名前: 快便100面相 :2015/02/24(火) 23:49:51 ID:1b7338187
>>71
妙にリアルな感じw

後で現実に戻って、ため息ついても良いから
少女マンガ的展開を期待してたwwwww

おおー、アマ・・・

74 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/25(水) 00:20:38 ID:aa87d36a8
>>73
快便さん、重症や!(*`Д´)ノ!!!www
名前も言えないほどとは・・・wおまけに、アマデウスから取った
アマデさんのコテに注目とは・・・恐れ入りましたm(_ _)m

28 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:40:41 ID:ORiTd2es
75 名前: V3 :2015/02/25(水) 00:22:17 ID:16d9ea477
>>73
ご感想、有り難うございますm(_ _)m

夢オチであろうとも、私がイメージする天照様はこんな感じなので、残念ながら快便さんがムフフな思いをする成り行きにはならないと思います(;^_^A
大体、夢オチだったとしても快便さんのキャラクターではため息なんぞつかないと思ふ(*`Д´)ノw
「うひょ〜ひゃっほ〜、来てくれた〜(*`Д´)ノ♪♪♪」とばかりに、益々テンション上がるっていうのが、私の快便さんイメージw

甘々な展開は、リーフさんにリクエストされる方が確かだと思います(;^_^A

76 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/25(水) 00:24:07 ID:aa87d36a8
>>66
V3さん

(*`Д´)ノ!!!⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩⑩

すごいわ!!
このリアルな感じが、快便さんの恋心を如実に表現していて
すごいですぞ。しかも、なんだか女神さまがおっしゃりそうな
台詞までw

もしかして、温めてた???ww
この短時間で、このクオリティは、さすがです。すごいww

私は、次の覚醒ぐらいで、距離が縮まった快便さんを
書こうと思ってましたw

77 名前: 快便100面相 :2015/02/25(水) 00:24:12 ID:be89d01e2
>>74
天・照・アマなどに反応してしまいますwww

78 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/25(水) 00:26:26 ID:aa87d36a8
>>75
なんだか無茶ぶりキターwww

甘々な展開かあ・・・失礼のないように、なおかつ
快便さんが望むような少女マンガ的な展開とは・・・・・・www
ハードル高いなーwww

79 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/25(水) 00:28:06 ID:aa87d36a8
>>77
快便さん、お伊勢さん行ったらどうなるの(*`Д´)ノ!!!ww

80 名前: 快便100面相 :2015/02/25(水) 00:31:51 ID:be89d01e2
>>79
そのうち行こうかとは思ってますw
でも、まだ感じないし、見えないし、話せないし(つд;*)

81 名前: V3 :2015/02/25(水) 00:46:58 ID:16d9ea477
>>76
温めていた訳ではないのですが、アマデさんにリクエスト頂いたら、これまでオカスレなどで色々考えてた事が一気に形になりましたw
快便さんの釣り趣味や、日常生活に支障を来たしてるなどの書き込みもヒントになってますw

>>80
ご存知のように、特A級の鈍感な私ですが、それでも伊勢神宮に詣でた時、「確かに、神様が居る」と感じましたよ(*`Д´)ノ♪
内宮に入った時ですが、不思議な静けさに満ちていて、大いなる存在を確かに感じました
いつか出会えるその日の前に、ご挨拶に行かれてみても良いのではないでしょうか(*`Д´)ノ?

29 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:41:02 ID:ORiTd2es
82 名前: 偽アカヒ(´◎ω◎) :2015/02/25(水) 20:22:57 ID:77f78b41a
ベンツ物語
第二話 ベンツ君2号編
「あんぎゃあああああ!!」
絶叫と共にベンツ君2号はベッドから起き上がった。彼の額には玉粒の汗が群がるようについている。そこから彼の見ていた悪夢の恐ろしさを物語っていた。
「あ、あれ? 夢?」
ベンツ君2号は辺りを見渡し、視覚、触覚、嗅覚を総動員し現実である事を認識する。自分のいる場所。そこは彼の愛すべき我が家。レオパレスの303号室のロフトのベッドの上だった。
「……なんだよ。夢だったのか!! てか、何て夢をみるんだよ!!」
安堵の溜息アンド夢に対する文句を口から吐き出した。
彼は夢の中で恐るべき褌マッチョ達の手によって韓国に徴兵されたという悪夢を見たのだ。
ベンツ君2号は改めて周りを見る。あの恐るべきミニマムちん○の筋肉マッチョはいない。
そして、もう一度、現実を噛みしめるために部屋の空気を吸い込んだ。その味わいは夢の苦い後味を洗い流す極上の物だった。
「ふぅ。それにしても、俺様、どうしてあんな夢をみたんだろう? 俺様。何も悪い事をしていないのに……ああ! もう、これも2ちゅんねるの掲示板に在日は徴兵されるというデマを書きこんだネトウヨのせいなんだよ!! 気分が悪いんだよ!!」
 昨日、彼は一日を2ちゃんねるの書き込みにおける戦いに費やした。
「生活保護を貰って生きる在日コリアンは帰国しろ」「兵役義務を果たさない事で本国が怒っている」「犯罪者民族、朝鮮人」「薔薇の神殿から徴兵部隊が来るぞ」など、様々に在日を悪く言う書き込みがベンツ君2号のパソコンの画面から彼を攻撃した。
 その結果、火病を発症させ掲示板に大量の反論を書きこんで応戦し、結果、惨敗したのだった。
「あぁ、もう、ムカつくんだよ! こう言う時は……昨日、たっぷり入ってきた生活保護金で、高級風俗店、萌ちゅんねるにぺろぺろしに行くんだよ!!」
 そう叫び、ベンツ君2号は生活保護費を蓄えて買ったベンツに乗り込み、風俗店、萌ちゅんねるへと向かったのだ。

「いらっしゃいませ」
萌チュンネルに入ると頭の禿げた愛想のいい老人が客であるベンツ君2号(以下ベンツ君)に挨拶した。
ベンツ君はこの店は初めてだった。一回、十万円の高級風俗店、萌チュンネル。店の中は広く、まるでギリシャのパルテノン神殿を彷彿させる豪華絢爛さだった。
入った瞬間、ベンツ君はその圧倒的な装飾にたじろいだ。このような高級風俗店に初めて入ったのだから。
「おじさん。この店で一番可愛い子を指名するんだよ!」
 ベンツ君は動揺しているそぶりを必死に隠し、大声で言った。その態度を見て、店員はベンツ君が動揺していることを察っする。
「お客様。こう言う店は初めてですか?」
「あん? 初めてのわけないだろ! 俺様はバリバリこう言う風俗店に通い慣れているんだよ!! お金は沢山持っているんだよ。昨日生活保護で三十万程、貰ったんだからな!!」
「三十万!? 生活保護でそこまで? そんなはずは……」
「バーカ! 俺達、在日コリアンは選ばれた民だから、日本人の三倍も四倍もナマポを貰えるんだよ!! ナマポで家を建てた奴もいる。日本は俺達コリアンに酷い事をした! 当然の特権なんだよ!!」
「……そうでしたか在日朝鮮人の方でしたか。失礼ですが。あなた様はベンツ君の称号をお持ちでは?」
「良く分かったな! 俺様はベンツ君2号なんだよ!!」
「……それでしたら、あなた様にピッタリな超豪華、特別プレイルームが当店にはございます」
「あん? 特別プレイルーム?」
「はい、きっと、お気に入りになると思います。これを体験された方は嵌って抜け出せない程の、まさに薔薇色の快楽が!!」
「そ、それで、頼むなんだよ!!」
ベンツ君は鼻息を荒げてお願いした。
「はーい。ブックちゃん。在日コリアン一名様。特別ルーム。ごあんなーい!!」
「かしこまりましたー。お客様。こちらへ」
ベンツ君は案内嬢に連れられてエレベーターに乗った。これが、ベンツ君2号の地獄の始まりだった。

30 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:41:24 ID:ORiTd2es
83 名前: 偽アカヒ(´◎ω◎) :2015/02/25(水) 20:24:01 ID:77f78b41a
ベンツ君が通されたのは、建物の地下。
先ほどの豪華絢爛さとは打って変わり、暗くじめじめした雰囲気で、まるで、幽霊が出てくる廃墟を思わせるような空間だった。その空間の壁に、木でできた、見程に禍々しい気を放っている。
「あ、あの……ほ、本当にここなの?」
ベンツ君はこの扉の前に連れてきたブックと呼ばれた女性に尋ねた。
「はい、さようでございます」
彼女はにっこりとほほ笑む。
「で、でも」
「では、中にゴージャスな子達がまっていますのでごゆっくり」
そうブックは言って、エレベーターの中に消えて行った。
「……な、なんだよ。でも、ゴージャスな子達って……もしかして、複数プレイ……なのかな?」
 桃色の妄想を頭に思い浮かべても、目の前の扉が放つ禍々しいオーラに打ち消される。
 目の前に立つ恐ろしい扉。それは、決して開けてはいけない、パンドラの箱、ならぬ、パンドラの扉のようにベンツ君は感じられた。
やっぱり、プレイをキャンセルして帰ろうかなぁと考え込んでいると……その時だ!!
 バリバリバリバリバリ!
 一斉に無数の手がパンドラの扉から生えてくるように破って出てきた。
「あんぎゃぁああああ!!」
 叫ぶ間もなく無数の手がベンツ君の体をつかむ。そして、ベンツ君は部屋の中に引きずり込まれ、部屋の中に投げ出されたのだった。
「ぎゃぉ!!」
ベンツ君は地面を転がり大の字に倒れる。そして、起き上がり顔をあげると!!
「あんぎゃぁああああ!!」
 再び、ベンツ君は悲鳴を上げる。
 そこにはボディービルダーも真っ青の筋肉を持つ、油ギッシュなスキンヘッドの白、赤、青、緑、黄、黒の褌を纏った六人の男達が、異様なオーラを放ちベンツ君を見下ろしていたのだった。
そして、恐るべきことに、その男達は今朝見た悪夢のマッチョメンの男達の姿そのものだったという事だ。
 これは夢? そう思い、ベンツ君は触覚、嗅覚、視覚を総動員し確かめる。そこにはまぎれもなく恐ろしくまずい、現実と言う名のテイストが彼の全感覚を駆け巡ったのだった。 
「在日朝鮮人専用の特別プレイルームへようこそ。ベンツ君2号よ。我々は君の徴兵志願を激しく受け入れてやろう!!」
「な、何だ、お前らは!! そ、それに徴兵って!! 訳が分からないんだよ!!」
「ふふふ、そうか、我々の事を知りたいか。ならば説明してやろう」
 リーダーと思われる白い褌の男の目がと輝きだした。
「良く聞け!! ベンツ2号よ! 我々は! 徴兵、納税義務を怠り、日本でナマポを貰い快適なライフを送っている貴様ら、在日朝鮮人どもを確保し……(以下、健全な青少年に悪影響を及ぼすような変態的な恐ろしい内容が長々と語られる)……という制裁を散々味あわせた後に朝鮮半島へ送り届け、徴兵させる事を目的とした恐るべき戦隊なのだぁあああああああああああ!!」
「あんぎゃぁああああ!!」」
ベンツ君は鳥肌を立てて絶叫する。
「そして良く聞くがいい! ベンツ君2号よ! 貴様は!! 韓国空軍!! 合格だぁあああああああああああ!! 薔薇の儀式を行った後、明日にも貴様は褌を身につけ朝鮮半島へ出荷だぁあああ!!」
「なんだってぇえええええええええええええ!!」
薔薇の儀式。それが何を意味するか、馬鹿なベンツ君もすぐに理解した。受付の爺さんが言った薔薇の意味とはこのことだったのかと、ベンツ君は体中に虫が這うような幻覚を覚える。
「そして、自己紹介をしよう!! 私こそベトナム戦争で沢山の男を強姦した英雄!! 褌ホワイトだぁあああああああああ!!」
両腕で力瘤を作り、眩しい笑顔を浮かべる。瞬間、ベンツ君の気のせいか? 彼の目に神々しい光が見えた。
「ハイル! 褌ホワイト!! グレイテスト! 褌ホワイト!!」
他の五色の褌マッチョが右手を上げて敬礼する。白い褌のマッチョは他の五人にとって神にも等しい存在だった。
「そして、この私につき従う、五人の戦士!」
「とう!!」
褌ホワイトの後ろに控えている男達が空中で美しくムーンサルトを舞いホワイト
の前に並んだ。そして、各々、決めポーズを付けて名乗り始める。
「褌レッド!」
「褌ブルー!」
「褌イエロー!」
「褌グリーン!」
「褌ブラック!」
「我ら、褌ホワイトに従う、五人の男色強姦戦士! その名も、枯れ葉戦隊、リー腐レンジャー!!」
チュドーン!!

31 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:41:49 ID:ORiTd2es
 五人の後ろで戦隊シリーズおなじみの爆発が起こった。
 ベンツ君2号。1号と同じで、訳が分からないという表情を取る。だが、映画や、マンガでは味わえない恐ろしい物の片鱗を見た気がしたのだった。
「決まった……って後ろに英雄、褌ホワイト様がいたのではなかったか!?」
「なに!」
 レッドのこの言葉に触発されて残りの四色の褌男が後ろを振り返る。
 するとそこには爆発に巻き込まれた褌ホワイトがぷすぷすと煙を上げて倒れていた。
「褌ホワイト様――――!」
 慌てて褌レンジャーが泣きながら褌ホワイトに駆け寄る。すると、勢いよく褌ホワイトが起き上がり怒りの形相を出す。
「この馬鹿者どもがぁ!! 私の前でカッコつけて爆発を起こすなと何度も教えただろうが!!」
 ドガ! バキ! ゴキャ! グキャ! ドン!
「あーーれーーー!!」
 褌レンジャーのカッコを付けた五色はホワイトに殴られてことごとく宙を舞った。
「な、なんだか知らないが……揉めている今のうちに逃げよう」
 男の筋肉の雨が降り終わるのを呆れた顔で見届けるとベンツ君は駆けだし、壊された扉のある出口へと向かって逃げた。
「逃さんぞ、ベンツ君2号よ!! みんな、起き上がってベンツ君を追うのだ!! コリアンブースターで追うのだ!!」
「オーケー!! コリアンブースター!! スタンバイ!!」
五人のリー腐レンジャーが起き上がると、褌を脱ぎ捨て、汚らしいポークびっツを晒した。
そして、中腰になり、力みだす。すると!!
「ジェット噴射!! GO!!」
 ブォオオオオオオ!
 五人のけつがキュッと引き締まり、一斉に己がメタンガスを放つ。それはまるでスペースシャトルがうち上がるような勢いだった。
 四人の男たちは宙に浮かび上がりスーパーマンさながらに空を駆け逃げ出したベンツ君の後を追った。
 しかし、一人の男だけその場に取り残された。理由は彼のロケットガスの放出音がブリリリリ! だったからである。
「あうぅう……ぐす、ぐす……」
 褌ブラックは自分の責務を果たせなかったために、さめざめと泣いたのだった。褌ブラック、涙のリタイア!
 ちなみに、褌ホワイトは四人のガスをもろに浴び、さらに褌ブラックのトンスルを直に受け、その強大な悪臭の痛恨の一撃により、鼻の粘膜が崩壊。その場で昏倒したのだった。

さてさて、ベンツ君2号は無事、リー腐レンジャーから逃げのびることができるのだろうか?

続く。

32 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:42:11 ID:ORiTd2es
84 名前: 偽アカヒ(´◎ω◎) :2015/02/25(水) 20:25:51 ID:77f78b41a
重いつきで書くと、誤字脱字が多いなぁ。
ごめん。構成していないです。後で、構成しよう。

85 名前: V3 :2015/02/26(木) 00:11:40 ID:7b53f37b3
あんぎゃあああああああああああああああ!!!
偽アカヒさんが戻って来てくれて本当に嬉しいんだよ(*`Д´)ノ!!!

続きを楽しみに待ってますんで、宜しくお願いしますね(*`Д´)ノ♪♪♪

86 名前: 桃 :2015/02/26(木) 01:35:24 ID:66d196da1
偽アカヒさん、才能ある〜〜o(*^▽^*)o

しかし気のせいか、オースティン・パワーズを思い出したわ〜(・∀・)

勢いは大事ですよ〜(〃´∀`)
どんどん続きを書いて下さいね〜(o⌒0⌒o)b

87 名前: 桃 :2015/02/26(木) 01:47:50 ID:66d196da1
>>66
V3さん、天照様も面白いと誉めていらっしゃった様で、良かったですね♪
V3さんの描く天照様は、生き生きとしていらっしゃって、素敵です♪
良かったら、続きが読みたいな〜( ノ∀`*)

快便さんの想いが、天に届きますように〜ヾ(o´∀`o)ノ

88 名前: V3 :2015/02/26(木) 20:55:48 ID:7b53f37b3 [sage]
>>87
遅くなってすみませんでしたm(_ _)m
読んで来ました
余りの喜びに、テンションMAXでございます(*`Д´)ノ♪♪♪

天照様についてはヒントを色々頂いてたので、人物像については特に悩むことも無く、ああいう感じになりました
前半の狂言回し役は、弟神の月読の尊様にお出まし願おうかしらとも思ったのですが、女性同士の恋バナというムードの方が読み易いかなということで(*`Д´)ノw
(一応、あれでも恋バナなんですよ(;^_^A 才能の限界で、甘さや華やかさに欠ける会話となりましたが、ひとえに私の責任です。色気が乏しいのが、私の書く話の特徴でして…orz)

89 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/26(木) 23:45:24 ID:895efbaa9 [sage]
偽アカヒさん
投稿ありがとうございます(*`Д´)ノ!!!⑩⑩⑩⑩
すごく楽しんで書いたのが伝わってきます!!
面白かったです。

ただ、一点よかですか?
いえ、リー腐レンジャーとしての名前を出されたことは
何も気にしていないんですがw

ガチムチさんというキャラが存在しているので
出してあげて(*`Д´)ノ!!!
彼は彼なりに、住民に飽きられつつも、頑張ってた(*`Д´)ノ!!!www

と思ったのでしたw

90 名前: アマデ(はてな改め) :2015/02/27(金) 16:56:15 ID:e12923da5 [sage]
偽アカヒさん
わ〜いo(^-'o)♪☆(o^-^)o〜♪
あのころのベンツ君には物語がありましたよね〜
最近は小物ばかりで(´;ω;`)
つ⑳⑳⑳⑳$
続きが楽しみです(⌒∇⌒)

33 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:43:20 ID:ORiTd2es
91 名前: V3 :2015/02/27(金) 20:42:56 ID:71a8b641a
先日の『イングラム、出動許可願います』の後日談を投稿します
色々詰め込み過ぎて長くなってしまい、分割投稿です(;^_^A



『祭りのあと』

ガツッと互いのジョッキを軽く打ち合わせて、二人の男は小さな宴を始めた。
「じゃ、無事にミッションコンプリートっつー事で、お疲れ様でした」
「お疲れ様でした」

東京マラソンが恙無く終了した次の日の夜、混雑が予想される街頭に実写映画用に作られた人型ロボットの設置を渋る上司を舌先三寸で説き伏せた警察官が、後輩一人を飲みに誘った。
部署全体の打ち上げは週末にやるのだが、その前に個人的な打ち上げをやっておきたかったのだ。

「無理言って悪かったな。お陰でいい写真が撮れた。チビがもう大興奮してた。『熱でも出たらどうするの!?』って嫁さんに叱られたけど、熱が出る程嬉しい思いなんてそうそう出来ないんだから、やっぱ写真撮って貰って正解だったよ」
とか何とか、仕事の合間にこっそりと自分とイングラムが写る写真を目の前の後輩に撮って貰った礼を述べる男のその顔も、喜色満面である。
ごっごっごっと喉を鳴らして流し込む生ビールも、さぞや美味く感じているのだろう。

「男の子はやっぱ、ロボットに興奮しますよね。前に、お台場ガンダム見に家族で行きましたが、上の娘は怯えて自分にしがみついてましたよ。下のボウズはテンションMAXってな様子ではしゃいでたんスけどね」
自分より早く結婚した後輩は、今やニ児の父親である。下の息子も男の息子より三歳上だ。

シュボッとライターに火を着け、煙草を吸う。
突き出しの白和えを摘まんでいた後輩も自分の煙草を取り出し、先輩に合わせたように火を着けた。
「しかしまあ、何事も無くて良かったよ。不審者一人出なかったんだから、仕事の甲斐があるってもんだ」
「職質も、大した数じゃ無かったッスね。中東系を中心に外国人には要注意でと会社からお達し出てましたが、自分が見たところ、中東系は疑われる事を予め予想してたみたいで、家族連れで来てるのが殆んどでした。欧米系もチェックしましたが、街頭で立ち止まっている人間達は顔つきが明るくて、およそヤバイ奴らには思えませんでしたし、実際何もありませんでしたし」
頼んでいた焼き鳥が来たので、早速ぱくつきながら二人は会話を続けたが、無論、周囲を憚って所々ヒソヒソ声となる。
警察官だと知られると聞き耳を立てられたりするので、隠語も多用するのが彼らの習わしであった。

「今後は分かんないけどさ、取り敢えず暫くは大丈夫な気がすんだよな」
「自分も、そう思うっス」
二人は暗黙の了解で、互いが「何に対して、大丈夫な気がしているのか」を確認した。
この日本では、イスラム系のホーム・グロウン・テロリストは生まれないだろうという、認識のことである。

34 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:43:46 ID:ORiTd2es
国外からの流入という場合も、まずは地域的に本拠地から遠いという壁があり、指名手配に掛けられていない人間達の選抜という壁がある。そして、日本国内で協力者を探さねばならないという壁もあるのだ。
協力者無しでテロを日本で起こそうとする場合、外から来たテロリストが独自にテロ工作材料を調達せねばならず、工作自体も自力でやる必要がある。
ツーリストが確保出来る、電源使用可能で安全な居場所など、日本にはホテル等しか有り得ないので、ツーリストにも関わらず長時間部屋に篭っている段階で、地域警邏の網に引っかかるだろう。
工作につきものの騒音だけでも通報対象になるのが、日本の宿泊所である。
音を立てずに済む劇薬などの場合は、日本では協力者無しには入手不可能と言っていい。国外からの持ち込みも絶望的と言っていいほどに、難しいだろう。
何年か前に靖国神社に放火して捕まった韓国人が居たが、国内に協力者が居たに違いないと捜査関係者は皆思っている。
日本の闇と言っていい部分に踏み込む話なので、政治的思惑も介入して背後関係は曖昧に誤魔化されてしまい捜査員達は歯噛みをしたと聞くが、その闇はイスラムとは全く関係が無いので、イスラム系のテロリストが模倣出来る話では無かった。

そして、日本の治安の良さは世界的に知れ渡っている。
海外に比べ殺伐とした事件が少ないのは、日本人の徳性という面も確かにあるだろうが、治安関係者の目から見れば一番の理由は日本の治安維持体制が優秀であるからだと見做されており、それが証拠に、日本の交番というシステムが治安維持に効果が高いと、様々な国が取り入れているのだ。日本の警察機構そのものに対する羨望も熱く、各国の警察関係者が研修に来ている。
恐らくは、テロリストの目から見てもほぼ似たような分析されている事であろう。その時点で、日本でテロを起こすという野望を挫いている観点もある。
そして何より、今話題のテロリスト集団、ISILが日本に乗り込んで来てまでテロを起こす必然性が、実は殆ど無いのだ。
立ち位置としては、同盟を組むアメリカ側、すなわちISILが憎悪する欧米側に立つ日本ではあるが、日本の歴史的成経緯を知る中東の人々は少なくない。
小さな島国の有色人種でありながら、強大な白人諸国連合に真っ向から戦争をし勇敢に戦った誇り高い民族であると、イスラム教徒達からも少なからず尊敬の念を集めている。
アメリカと同盟は組んでいても、自衛隊がテロリスト達に直接攻撃を加えた事は無く、日本を強く恨む理由が見当たらない。
アメリカと組む国は全て敵だと口上を述べてはいるが、実際に本拠地から遠い国々に出向きテロを起こした事例は未だない。
ボストンマラソンやフランスなどで起きたテロは全て、その国内に居住している者達による犯行であった。所謂、ホーム・グロウン・テロリストだ。

日本に居住しているイスラム教徒達も特に差別などされずに平和に暮らしているので、彼等からの情報が祖国などにも好意的に拡まっているという点も、テロ防止に役立っているのだろう。
「日本にも差別はある、欧米で暮らしていた彼等に特別な差別体験は無かった」などと、有識者や有識者然としたタレントなどはしたり顔で警告するが、欧米人の差別意識の根深さを彼等は知らないか、知らないフリをしているかのどちらかだ。
白人以外は動物に等しい存在と信じている人間達はまだまだ多い。簡単に表に出さなくなっただけの話だ。
表に出せなくなった分深く凝ったレイシズムが、有形無形の差別を生み、人間扱いされていないと絶望する人間を生み出す土壌となる。
日本にも問題は山積しているが、そうした人種差別の土壌は欧米に比べれば殆んど無いと言っていいのが実情だ。

最近流行りの「日本賛美番組」などで、手放しで日本を褒めてくれる外国人は沢山居るが、中東系の人々の好意は、特に熱いように男は感じている。
彼等の信じる教義が説く平和に近いものを日本人が実現しているからだとその口々でいい、見習いたいと日本社会そのものの勉強をしたいと言う人々も少なくはない。
こうした人々が日本に住む中東系の多数を占めているようなので、今のところはホーム・グロウン・テロリストが生まれてはいないのだろう。
浅草寺でお地蔵様を破壊した不届き者のイスラム教徒が一人いたが、警察関係者からすれば、説教と罰金で済む程度のテロリストなど子供の悪戯と同類項だ。

35 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:44:12 ID:ORiTd2es
(だが、それも程度問題だわな)
四半世紀ほど前、バブル期の労働者不足を理由にイランから労働者を大量に招いた事があるが、彼等はイランに帰った後も、日本で滞在した思い出を楽しそうに語ると言う。
(池上彰の番組で見た時ゃ、正直複雑だったけどな)
苦笑いの代わりに、煙草の煙を吐き出す。
(当時、イラン人と言えば麻薬の売人という印象が強かった。あの番組に出て、ニホン大好キ、コニチワなんてニコニコ笑ってたおっさん達の中にも、一人や二人は怪しげな事に手を染めた奴はいただろう)
モヤモヤする気分にケリをつけるかのように、灰皿にギュッと煙草を押し付けた。

今のところは日本に居住するイスラム系外国人は上手く馴染んでいるようだが、これ以上数が増えたら、きっとこのままという訳には行かなくなるのだろう。
その時は、日本でもイスラム系のホーム・グロウン・テロリストが生まれる可能性は十分あるのだ。
経済界からの要請で日本でも移民の導入が模索されているが、治安担当者としては正直なところ勘弁して欲しいというのが本音だ。
日本語が通じない雑多なルーツの人間達を多く抱えてしまうと、必ず日本の治安は乱れる。それはもう、必定だ。
移民を大量に呼び込んだ欧米諸国の惨状が、何よりの証拠である。
(まぁでも、ISILの日本人殺害で、移民導入は後退するだろうな。先導してる人間達も、日本国内でテロが起きた時責任取りたくないから、矢面に立つ勇気は無いだろうさ。皮肉なもんだが、あの人質殺害が日本の治安にとって神風となるのかもしれない。禍福はあざなえるなんとやらってヤツだ)

36 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:44:34 ID:ORiTd2es
「生、お代わり貰いますか?」
物思いに沈んでいる内に、気が付けばジョッキは空になっていた。
「あ、うん、貰う」
「お姉さーん!中生二つ!」
後輩が高らかに注文し、ささっと空のジョッキを二つともテーブル脇に避ける。相変わらず気の利く奴だ。見た目は到底、そうは見えないメタボ気味のおっさんだが。
「先輩、実際のところ、パトレイバーって実現すんすかね?」
徐に質問を投げ掛けられ、結構真面目に答えてしまう。考え考え、個人的見解を披露する。
「…無理だな。平時に人型ロボットをうちが運用したとして、万が一の被害に対する保障の予算が覚束ない。つーかま、絶対無理だ。仮に、漫画みたく工業用にレイバーが導入されたとして、テロ対策としてまずは雁字搦めの法律を作るのが役所の仕事だ。市街に被害を齎すような事態になれば、搭乗者や雇用主、下手したら製造元までしょっぴくような法律が作られると思う」
生卵をつくねで崩しながら、後輩は我が意を得たりとウンウンうなづいた。
「そうッスよね〜。漫画は漫画、あんな風に街中でロボットがドンパチやるとか、日本の法律では絶対無理ッスよね〜。外国への流出もヤバいですし。中国なんかに持たれたら、近い国はエラい目に遭うでしょうし」
生卵が実は苦手な男は、唐辛子をパラリと振りかけただけのつくねにかぶり付きながら、軽く残念そうな様子の後輩のテンションを上げそうな話題を振る。
「人型ロボットはまあ、うちの会社じゃまず導入は無いだろうが、なんだっけ、アレ。パ、パ…」
「パワードスーツ?」
「そうそう、それ。パワードスーツなら、装備として導入するかも知れないぞ?そう思わないか?」
二杯目の生を半分程飲んだ後輩が、訝しげに呟いた。
「…うちに、そんな金あるッスかね?うちより早く、市ヶ谷に回せって、皆言うんじゃないッスか?」
市ヶ谷とは、無論、防衛省の事である。
東日本大震災発生と、様々な応援団の活躍により、近年自衛隊は組織が発生してから初めてと言っていいくらい、世間の人気を集めている。
テレビバラエティで自衛隊を特集する番組なども増え、タレント達の中にも自衛隊好きを公言する者は珍しくなくなった。
自衛隊を長年タブー視して来たテレビ界も、視聴率という最大の餌に飛びついてタブーを蹴り飛ばした形だ。実際、特集した番組はどれも高視聴らしい。
ロボットを見ると興奮する子供のように、兵器に興奮する男達も決して少なくはない。大きなもの、強いものカッコいいものに心惹かれるのは、男の性と言っていいのかも知れない。その性に応えるに、自衛隊という組織は打って付けだ。
ビシッと統制された集団とキビキビ喋る自衛隊員の姿も、今時の日本社会では中々見られない清しい男として、忘れていた何かを思い出させていたりもするのかもしれない。
テレビ業界以外でも、自衛隊応援団筆頭格と言っていいとある女性作家が、恋愛という撒き餌を散りばめた作品群で「私より公に命を賭ける男達、その男を慕う女達」を、様々なシチュエーションで色鮮やかに描き多くの女性ファンを獲得したことで、昨今の自衛隊員達は、所謂、婚活相手としても相当に人気が高いという。
長年のデフレ経済により公務員人気が元々高まっていた折に、自衛隊員の男らしさ頼もしさなどのイメージが、クローズアップされたが故の現象であろう。また、フィクションの持つ力で、国防に尽くす自衛隊員は恋愛にも誠実そうだとの、女性陣の夢を膨らませた美しき誤解もあるに違いない。
二本目の煙草に火を着けながら、とりとめのない思いを吐く。
「…まぁさ、あっちは色々派手だから、俺らはどうしても後ろに回る宿命なんだわ。実際のところ、現場で生き死にを味わうのはうちのがずっと多いと思うけど、あっちはドラマだ映画、あと、漫画とかで「報われない立場だけど、それでも必死に国の為に尽くしてる」ってな感じで、色々脚色されてっからなあ。シビアな仕事なのは本当の事だし」

37 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:44:55 ID:ORiTd2es
92 名前: V3 :2015/02/27(金) 20:44:17 ID:71a8b641a
「もつ煮こみ、お待ちどうさまで〜す!」
茶髪の女の子が、ふんわり湯気を立てている旨そうな煮込みをトンとテーブルに置いた。
すかさず、後輩がササッと七味を振りかける。
「ドラマとかなら、うち系のドラマこそずっと人気ッスけどね」
低い声で、後輩が呟く。
それは、自分が憧れてその身を投じた世界が、世間からは大して羨望の的となってはいないという現実に抗う、小さなつぶてだったのかも知れない。
その気持ちは自分こそが一番良く分かると思いながら、後輩を諭すように宥める。
「うちのドラマは定番中の定番だからな〜。目新しい自衛隊員の葛藤ってヤツに、世間が飛びつくのは、ま、しゃあねいわ」
実際のところ、自衛隊の葛藤などその来歴を知る者にとっては今更な話なのだが、今時のメディアを通じて良いところ、綺麗なところだけ抜粋されて世間に提供されると、その眩しさにだけ心惹かれて、熱を上げる人々も少なくはない。

「空自を舞台にしたテレビドラマもありましたよね。女房が観てたらしいんスが、すっげぇ面白かったらしいッス」
「そのドラマのお陰か知らんが、航空祭に行く人間がどっと増えたらしいぞ。マニアがボヤいてたよ」
「震災のこともあるんでしょうけど、やっぱドラマの影響デカいッスよね〜」
二杯目の生をもう半分程飲んだ後輩がチラッと店員の方へ目をやる。三杯目を頼むタイミングを図ってるようだが、相変わらずペースが早いと密かに感心する。
決して褒められた話ではないのだが。

38 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:45:16 ID:ORiTd2es
「ロボットはあっちに持ってかれるとして、パワードスーツはせめて同時期には欲しいっスよね〜。チョッキじゃ全身カバー出来ないから正直ヤられ損みたいなとこあるし、アメさんみたくこっちじゃバンバン現場で始末とか出来ないし」
「あいつらもいい加減だよな!欧米じゃ『死刑は非人道的』だとか言って日本のこと後進国扱いしやがる癖に、事件があればすぐズドンで平気な顔しやがって。あんな雑な真似してる癖に、何が人道だってぇの」
「フランスでもテロリストが射殺されてましたよね。逮捕歴あるヤツだったみたいッスが、何の為に泳がしてたんだか。殺しちまったら泳がす意味無くないっスか?」
「と、思うけどな。あっちはホラ、リベラリストさん達の本場だから、法律も色々ややこしくて現場や世間はジレてんじゃね〜の?」
「日本もそうッスけど、あいつら何がしたいんスかね?日本のリベラルって、拉致問題とか全然興味無いじゃないッスか?蓋を開けてみりゃ正体はアッチの奴等ってことは承知してますが、生粋の日本人だって沢山関わってる癖に、まるっきり無視してるところが本気で理解出来ないッスよ。おねえさん、生おかわり!先輩は、ウーロンハイにしますか?」
「お前、ペース早えよ」
苦笑しながら窘めるが、そんな自分も二杯目が殆ど空である。
もういい年に差し掛かっているので暴飲は体に悪いと分かっているのだが、気を使わずに済む相手と飲む時にはついつい杯が重なる。
相手から情報を引き出したり、本音を探るような場合の酒とは違い、心許した身内との酒は実に旨いのだ。
胸に沈殿する澱を、洗い流してくれるかのようだ。
「うん、俺ウーロンハイね」

新たな煙草を取り出し、火を着ける。
「ま、さ。理解出来ないから俺らはこっち側で、あいつらはアッチ側なんだろって話。若い内にこっち来られて良かったと思うよ、実際」
三杯目の生を三分の一程飲んでから、後輩がククッと笑う。
「コッチもコッチで厄介だし、滅多な事じゃ抜け出せないっつー、何つーんスかね、見えない縛りがギュウギュウなとこでもあるッスけどね。拉致問題なんかも実際、色々あるし」
法規内でしか警察は行動出来ない。しかし、法規内だけで行動していると全ては後手に回り、治安の維持が危うくなるという遣る瀬無い現実がある。
そのアンビバレンスの狭間で溺れてしまう警察官も、少なくないはないのだ。
精神の均衡が崩れて、酒や女に走り、人生がめちゃくちゃになった警察官の話など、掃いて捨てるほどある。

39 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:45:44 ID:ORiTd2es
「俺らが縛られてなきゃ、世の中回らないとでも考えるしかないだろ?実際、人間誰しもなんかかんかに縛られてやっと生きて行かれるってな面もあんだしよ。自分達だけが貧乏クジ引いてるとか思ったら、それこそ市ヶ谷にドヤされっぞ」
「キュージョーの壁、突破出来ますかね?」
少し声を落として、後輩が真面目な表情で尋ねる。
「どうだろうな?官邸はやりたいだろうが、前段の国民投票の壁を突破出来るか分からないと思うよ。徴兵制徴兵制って、反対派は若いの脅してるだろ?でもって、信濃町のお願い聞いて選挙年齢下げるらしいから、影響は結構あると思うぜ」
ふっと煙を吐き出しながら、後輩が呟く。
「徴兵制なんて、実現しないっての」
「断言出来る話じゃないと思うぞ?俺の前でならいいけど、迂闊に漏らすなよ?」
「分かってます。女房や子供達には、コストの話をちゃんとしてから、可能性の話として徴兵制は実現しないだろうって教育してますよ」
何をやるにも金が掛かるのが社会の現実で、徴兵制など莫大な金が必要とされるのだが、諄々と説いて聞かせねば金銭との相関性を理解出来ない人間達が、日本にはまだまだ多い。
徴兵制でろくに使えない兵士を量産するより、軍用機や軍艦を増やした方が余程安全保障に資する話なのだと、考えたことすらない人間達のなんと多いことか。
戦争というキーワードが全ての理性を恐怖で凍りつかせ、思考停止状態に陥ってしまうのだろうか?


「揚げ出し豆腐とアスパラベーコン、お新香盛り合わせでえ〜す」
にこやかに注文した品をテーブルに置いて去って行く彼女も、恐らくはそうした人間達の一人だろう。
(…まあ、若い娘が国防だ安全保障だのに精通してたらしてたで、問題あるけどな)
アスパラベーコンを頬張りながら、後輩が話題を変えた。
「自分の知り合いのイスラムですが、豚を平気で食う奴も居て、『日本までアッラーの目は届かない』とかヘラヘラしてますよ」
もう俺は肉はいいやとお新香を摘みながら、返す。
「あれらしいぞ。イスラムっつっても、実はよそでは無理して教義を守らなくてもいいってな教えがちゃんとあるらしい」
「そうなんスか?合理的ッスね。…ちょっと、イスラムの勉強してみようかな?考えてみりゃ、殆んど知らないかもしれない」
「おう、勉強しとけ。これから必要になるかも知れないしな。…で、後で俺に要点だけコッソリ教えて」
ぶはっと、後輩が吹き出す。
笑いながら快諾してくれる気のいい後輩に謝意を示すように軽く杯を掲げてから、ウーロンハイを流し込んだ。

【終】

40 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:46:07 ID:ORiTd2es
93 名前: アマデ :2015/02/27(金) 21:26:08 ID:e12923da5
V3さん
力作ですね〜d(゚-^*) ナイス♪
居酒屋に行った時、目つきの鋭い人見かけたら聞き耳立ててしまいそう(*・∀-)b
本当にシリーズ化して欲しい
この警察官の自分の周りの人を大事にしている感じと、どこか飄々としている感じが好きですv(^∀^*)
つ⑳⑳⑳⑳⑳$

94 名前: イザベル :2015/02/27(金) 21:35:18 ID:ab5d6007b
(*`Д´)ノ ⑩⑩⑩⑩

「会社」とか「信濃町」とかニンマリ(^.^)
有川ファン魂を入れてきましたねw
警察と自衛隊は従来あまり仲がおよろしくないと聞いたりもしましたが、うまく連携願いたいです。
拉致被害関係者、日本国内のイスラム系の人々へのV3さんの配慮が
伝わってきました。

95 名前: ポール :2015/02/27(金) 21:43:22 ID:120e56022
流れから察するに、
まだまだ終われませんね(^.^)
長文ご苦労様でしたが、続編を期待します。
どう纏めるか(*`Д´)ノ♫
96 名前: V3 :2015/02/27(金) 22:04:36 ID:71a8b641a
>>93
>>94
>>95
ご感想、有り難うございますm(_ _)m

最初は一括で投稿するつもりでしたが、サブ板で初めて字数制限に弾かれました(;^_^A
もう少しコンパクトに出来れば良かったのですが、アレコレと書きたいことをこの際だとばかりに詰め込んだのでこの始末w

世相を語らせるのに使い勝手が良さそうですので、もしかしたらまた登場するかもしれません
その節はまた、どうぞよしなに(*`Д´)ノw

97 名前: ポール :2015/02/27(金) 22:14:19 ID:120e56022
┃; ゚д゚)ノ …… モニカ ガンバレ!

サッ
┃彡

98 名前: V3 :2015/02/27(金) 22:42:45 ID:71a8b641a
┃*`Д´)ノ .。oO(ネタが下りて来てくれたら…w)


サッ
┃彡
99 名前: ミセスリーフ :2015/02/28(土) 00:25:06 ID:c1f339714
V3さん

お疲れ様でしたwサブで投稿制限かあw私でもなったことないw
けど、長さが気にならない力のある内容で読んでいて
ワクワクしました(*`Д´)ノ!!!

小説は、フィクションを織り交ぜながら、作者の心の琴線に
触れたり、思想の糸を辿る事ができると常々思ってますが
V3さんの小説の内容でも感じました。

ところで、ネタになるかどうかわかりませんが。
防衛省編集協力のMAMOR(マモル)という雑誌はご存じですか?
自衛隊のみならず、国防についての記事がライトに編集されてて
ネタの宝庫かもしれません。

よければ、是非w

41 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:46:34 ID:ORiTd2es
100 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/02/28(土) 01:45:45 ID:c1f339714
>>66のV3さんに続いて、私もラブストーリーを。
>>80の快便さんの顔文字の切なさが
ほぼ影響している気がしますがw

甘々かどうかは、わからないですが、かなり考え抜きました(*`Д´)ノ!!!どうか、どなたにも失礼無き様に祈るばかりです!!



「数百年経っても 愛してる」〜快便さんの恋物語〜


仕事ではなく、休日にその地に行こうと思ったのは、本当に久しぶりだった。
今では希少な存在となっている禁足地。
もちろん、ここは政府管轄の土地で、おいそれと立ち入ることはできない。
だが、この土地の管理関係者や土地の木材を生かして、各神社の遷宮を担当している宮大工にしたら
立ち入ることは、少々工夫がいることだったが、入る事は可能だった。

入口で、所定の手続きを済ませ、中へと進む。未整備の土が見える道が、懐かしい。
昨日の雨のせいか、生い茂る木々や群生する植物たちの息吹が立ち上る。
生きとし生けるものの、熱気を感じる。
黙々と歩き続けて40分ぐらい経ったところで、男は道を外れて光が届かない暗闇の、木々の間を
すぅっと、進んでいった。
入口で感じた植物や生物の息吹が消え、ひっそりと静寂と冷気のみが肌をまとわりつく。
男は、何も考えてないのか。目的があるのか。
わずかな木漏れ日を頼りにしているのだろう。
あっという間に森の奥深くへ溶け込んでいった。

「やっとなんだよな」
誰に聞こえるとはなし、男はつぶやく。
「やっと感じることができたんだ」

男の予感は、昨晩から続いていた。熱に浮かされたような、足が宙に浮くような感覚。
初めは風邪でも引いたのかと、何度も体温計とにらめっこをするが、熱もなく、風邪の兆候も見当たらない。
そして、夢を見た。
何かはっきりとした筋立てがあるわけではない。いくつもの映像や文字がめまぐるしく駆け巡るような。
自身の前世の記憶のかけらから、映像が拾われ、それを見せられている。

男の前世のかけらの中に、燦然と輝く、ひとつの欠片。
その欠片は、彼の心の支柱になっている。

42 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:46:58 ID:ORiTd2es
そう、彼女の記憶。
長い黒髪の、太陽のような明るさを全身に秘め、笑顔が可愛らしい彼女。だが、可愛らしく幼いのは
表情や仕草だけで、胸に秘めたる意思の力強さは、瞳の色でわかる。
名前は天照。まぎれもない、ここ日本国の大神だ。
姿は直接見たことがなく、前世で教えてもらった数々の情報を頼りに、
必死に想像し、慕っている彼女の記憶。
自分の必死な思いと、彼女への止むに止まれない恋情が記憶の中で、いや、記憶だけではない。
すでに、今の世の彼の気持ちとしても、大きく占めている。

人によっては、前世の恋を現世に持ち込むのは、ナンセンスだという。しかも、肉体のない神に。
だが、それは現世だけの話だ。

男の中には、かけらがある。
そのかけらは、立体パズルのピースのように、複雑な形状で、どの部分にはめるべきものなのか
さっぱりわからないが、ピースに違いないことは、間違いない。

男と、一般人との感覚の違いなのだろう。
前世の記憶と世界を俯瞰し、現世の肉体に馴染みながら、生をまっとうしなければならない義務感を、男は常に感じている。

現世の生をまっとうすること。
当たり前の道徳と、倫理観は、どの民族にも言える真理なのかもしれない。
男の感覚は、その義務感だけではなく、次の世があることも確信していた。

次の世の自身に引き継がれ、世界を俯瞰する感覚が終わり、自身のあるべき姿とあるべき視点で
眺めることができる・・・・男は、自然とその状態になることを「覚醒」と呼び、本来の自身に戻る事だと理解していた。
そして、覚醒することで彼女に出会えることも。

昨日の夢の中で、ひときわ欠片が輝き、支柱が揺れた。
それは何かの知らせのように。振動し、熱を帯びるような感覚。
居ても立ってもいられない。だが、時と場所を選ぶべきだ、と。

彼は、その知らせのまま、今、行動している。

静寂の筆で、描かれた広場が男の前に現れ、思わず佇立する。
辺りを見回すと、来た道さえもわからぬ、薄闇のベールが覆っている。ただ不思議なことに、広場のような空間があるのは
知覚することができていた。
その中央の、大きな切株の上で、女性が座っていることも。

「ああああ・・・・・あああ・・・・」

男はその場で号泣した。溢れてくる涙に、戸惑うことはなかった。ただ、その涙の勢いと同じように、足早に彼女へと近づく。

『そんなに号泣する奴があるか。快便。初めましては、変だな』
柔らかな声に、透き通るような笑み。快便、とそう呼ばれた男は、自分の袖で涙と鼻水をぬぐった。
『なんじゃ、ハンカチの一枚もないのか。慌て者』

快便は、自身が幼子になったような気分でいた。拭っても拭っても、涙は止まらず、身体の核の部分から溢れる気持ちのまま
泣き続けた。
『ええい。もう、これで拭け。返さずともよいっ!!』
白い柔らかなハンカチを差し出される。一瞬、受け取るか迷った快便だが、彼女の強い口調に押されて受け取る。

『いっとくが、ただの布きれだ。アイテムではない。そして、それは涙を拭くためのものだ。今、ここで使え』
「えええ!!そんなもったいない!!って、俺の気持ち、見透かされてます?」
『何を今さら』

少し、面倒くさそうな感じで笑われた気がして、快便は落ち込んだが、おそるおそる受け取ったハンカチを顔にあて、涙をぬぐった。
自分の中の核の動揺が、静まる。
同時に涙も鼻水もピタリと収まった。不思議に思うことだが、何も不思議ではない。

『落ち着いて話もできんのう』

「いやいやいやいや、そんなことはないです!!はいっ!!」
『そうかのう?』
「はい。もうなんなりと!」
『その態度自体が、落ち着かないというのに。とりあえず、座れ。私を見下ろしているのは失礼であろう』
「うわあああ、は、はい!!!」

快便は促されて、初めて気づく。
切株の大きさは、二人が座るには少々小さい気がした。こんな大接近をしてもよいのか、と一瞬迷ったが
こんな時でもないと、隣りに座ることはできないと即決し、遠慮なく隣りに座った。

彼女の袖の、柔らかな感触が、同じく自分の袖を通して伝わってくる。
思わず、その幸せに眩暈を起こしながら、深呼吸をした。
前世でも、今世でも、今日のこの日までずっと・・・御姿も、声も聞くことが叶わなかった彼女が・・・・今

(俺の隣りにいる)

その隣りにいる彼女は、笑っているのだろう。ちらっと横目で彼女を見ると、どこを見るともなく
形のよい唇を動かしながら、男に話しかけていた。

43 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:47:17 ID:ORiTd2es
『お主、今世では宮大工で、今度の遷宮に初参加か』

快便は、生まれた時から、すでに自分の職業を決めていた。
昔から特別な職として認識されている宮大工だが、機械文明が進んだ今の世では
尚の事、特殊な職業となっていた。

「・・・・・・初参加というか、前からちょくちょく携わっていたのですが」
『知っている。ただ、本格的には初めてなんだろう?』
「はい。日頃からやっていることを、さらに集中してやるだけです」
『ふ』
彼女の形の良い唇が、ゆるみ、声にもならないような柔らかな笑い声を聞き漏らすわけがなかった。

「なにか?」
『いや、なんでもない。現世でも変わらないのだ、と思っただけだ』
「前世の私も含めて見て下さってるんですね。でも、今は貴方の目の前にいるのが、今の俺です。今の俺を見   てください」
『ドヤ顔だのう?』
「必死なんです!!」
『ふふふふ』

ヨシっ!!
快便は、ガッツポーズをした。
想い人が笑顔を見せてくれる。こんな嬉しいことはない。
この時間が永遠に続けばいい。隣りに座る彼女に、顔を向ける。ふと思うと、肩と肩が触れ合える
距離にいる。

『そろそろ時間かのう。快便。覚醒はまだ見たいじゃが・・・今回は我の気まぐれみたいなものだ』
「え?」
『わざわざ聞き返すな。説明はせん。では、な』

快便は、聞き返したわけではなく、この最上の時間がもう終わってしまうことに驚いていただけだが
彼女からは、意外な台詞が返ってきたのだ。

『我の気まぐれ』『説明はしない』

快便の心の中のみならず、頭の中、いや、身体中に光と喜びが駆け抜け、星がきらめき、太陽が頭上に輝く。
勘違いか。いや、勘違いじゃない。いや、勘違いでもいい。いや、この言葉の通りだ。
彼女の言葉通りに、ただただ、受け止めよう。そう、快便は思った。

どこからか、鈴の音。
快便と呼ばれた男は、我に返った。夢でも見ていたのか、と思うほど
時間が経っていたように感じる。そして、一人で切株に座っていることを確認した。
深いため息をつくと、右手に違和感があった。ハンカチか?と思い、拳をゆるめると
そこには、可愛らしい鈴がひとつ。ちりんと、ひとつ。
赤い紐が結び付けられていた。

「これは・・・・・・」
鈴を振ってみると、優しい軽やかな音がする。
心の中が、祝福で満たされるような、そんな音色。
男は、再度、鈴を握りしめた。リ、リ、リンと鈴は鳴り響く。

周囲の薄闇のベールをはがすように、木々の間から陽光が差し込み、辺り一面が明るくなった。
春に近い陽気を感じる光にも、彼女の面影を感じる。
鈴を胸ポケットに大事にしまいこむと、男はまた来た道を歩いて行った。
今までと同じように、迷いなく。



終わり

44 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:47:40 ID:ORiTd2es
101 名前: 快便100面相 :2015/02/28(土) 02:02:12 ID:9faac8465
>>100
ありがとーw
実はさっき私のところに来て頂いた(らしい)ので、
何だか予言書みたいな感じに思えたw

とりあえず、ちょっと森の奥深くに行って来ます!!!ε=ε=┏(・_・)┛

102 名前: ポール :2015/02/28(土) 07:06:46 ID:514257392
アンナ、
文章に愛があるw

103 名前: アライグマ犬Jr. :2015/02/28(土) 08:37:41 ID:a0efcd026
V3さん、朝から気持ちいい文章をありがとう。
遊び人のビンさんも、落ち着くかな?w

104 名前: JB :2015/02/28(土) 10:04:50 ID:21ab77396
リーフさん、(*`Д´)ノ ⑩⑩⑩⑩

宮大工カイのものがたり。
(快便さんを”カイ”さんに変換して読みました(*`Д´)ノ )
式年遷宮を取り入れる!
なるほどとヒザをうちました。
アマテラス様に全身全霊でご奉仕できる一生に一度かもしれない機会。静謐な出だし、途中くすっと笑わせてまさかまさかこのまま大爆発か?・・・と思わせておいて、ふたたび穏やかに幕を閉じました。

「春に近い陽気を感じる光にも、彼女の面影を感じる。」

いま神道関係の本を読んでいますが、
「かげ」という言葉の持つ意味について読んでいるところです。
まだ頭の中が整理できていませんがorz
「かげ」は「かが」「かぐ」とも関係のある語。
「影」「陰」は光に照らされてますます輝きをます人間の姿であると。まさに「おかげさまで」であると。
「鈴」は「すずし」と関連あり。
「すずし」ほどよく冷たく、さわやかで、澄んでいる。
神霊を招き、神霊を慰め、邪気をはらい、心を澄ませる。
かきちらしてすいません(ノ´∀`*)
「すずし」アマテラスさまのイメージにぴったり。
105 名前: アライグマ犬Jr. :2015/02/28(土) 11:02:16 ID:24d436371
ありゃ、リーフさん作でしたか。
間違えた、すまん。

時々見てますよ。


106 名前: V3 :2015/02/28(土) 14:10:05 ID:c41754680
>>100
記念すべきキリ番に最高のLOVEストーリーを掲載とは、流石リーフさん(*`Д´)ノ♪♪♪

快便さん、会えて良かったですね( ´ ▽ ` )ノ
鈴が残されたというくだりも、鈴の音の余韻のようで心地良い読後感を感じました
設定そのものにとても工夫がされてて、リーフさんが真剣に取り組まれてたんだなと分かります
快便さんにエールを贈る為、ここまでやられるとは、快便さんは果報者ですよ(*`Д´)ノ♪


防衛省の広報誌、知っておりました
「有川浩の本を読んで、予備自になりました!」なんて女の子の紹介記事もありましたっけw
(結構、居るらしいです)
迷彩柄のグッズ販売ページに、密かに心惹かれたことは内緒だ(*`Д´)ノw

107 名前: V3 :2015/02/28(土) 17:09:03 ID:c41754680
>>101
>実はさっき私のところに来て頂いた(らしい)ので

kwsk!
創作上の、大きなヒントになりますので(*`Д´)ノ♪♪♪

108 名前: 快便100面相 ◆tTmPcUasmA :2015/02/28(土) 17:48:32 ID:d212e5e4b
>>107
どうやら、アの方が来られると涙が出るみたいですw

45 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:48:00 ID:ORiTd2es
109 名前: ミセスリーフ :2015/02/28(土) 18:07:41 ID:c1f339714
みなさんお読みくださって、嬉しいんですよ(*`Д´)ノ!!!

>>101
快便さん
一番にお読み頂いて嬉しいですw
こちらこそ、創作の機会をありがとうございます♪♪♪
森奥深くは、だいたい電波が届かないので、スレ進行時には
お気をつけてw
天照さまとの一時を、快便さんの口から伺えるのを
楽しみにしてますよ(*`Д´)ノ!!!♪♪♪

>>102
ポールさん
「愛」を感じて下さって嬉しいです(*`Д´)ノ!!!
何よりも、そこが大事です。愛は素晴らしい(*`Д´)ノ!!!

>>103
>>105
アライグマさん

ありがとうございますw
お名前間違いは気になさらず(*`Д´)ノ!!!
小説の内容を気持ちがいいって言ってもらえて、何より
嬉しいです。ありがとうございますm(_ _)m

>>104
イザベルさん
ありがとうございます(*`Д´)ノ!!!♪♪
細かい設定にも着目していただいてる上に、神道のお話も
絡めて下さるとはw実は、その辺りも配慮しつつw

伊勢神宮で買い求めることができるお守りには、鈴がついてます。
また、内宮の中に流れ、禊を推奨される五十鈴川にも鈴の字がついており、天照様と鈴の関係は深いのですw

また、これまでは、何も見ることも感じることも聞くことも
叶わなかったのに、赤い糸ならぬ紐が結び付けられている鈴を
手にした事で、さらに前進していく応援歌にしたかったのです(*`Д´)ノ!!!ww
宮大工・カイさんは、今後どのような人生を歩み、次の生まれ変わりではどうなるのか、空想が広がりますw

>>106
V3さん
ありがとうございますm(_ _)m
正直、ドキドキしながら書きましたwww
会えることがどれほど嬉しいことなのか。
もう、この1点に尽きる気がするのですw
フレーフレー快便さん(*`Д´)ノ!!!

広報誌、ご存じでしたかw
予備自の訓練内容なども特集されていて読み応え抜群ですw
毎号じゃなくて特集内容によっては、面白いなあと思ってますw

46 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:48:24 ID:ORiTd2es
110 名前: ミセスリーフ :2015/02/28(土) 18:12:18 ID:c1f339714
>>108
快便さん
なんとw涙はやっぱりキーワードなんですねww
予言めいてるとはww
でも確かに、昨日のうちに投稿しなくては!!
書いている間は、かなり視界も明るかったのですw

頑張る快便さんに応援歌が届けられたのかもしれませんw

111 名前: アマデ :2015/02/28(土) 18:57:45 ID:b55935ef7
>>100
リーフさん
さすがです、すごいです、艶っぽいです(゚∇^d) グッ!!
カイさんの左目(かな?)から涙がこぼれる時鈴の音が・・・ってなことを思いながら
つ⑳⑳⑳⑳⑩$
112 名前: V3 :2015/03/01(日) 17:45:15 ID:f25b5b8cf
>>109
本屋へ行ったついでに、MAMORUを立ち読みして来ましたw
(以前は、うちの近所では置いて無かったのですが、数年前から見かけるように。時代の要請という所でしょうか?)

結構好きなのがミリキャラ占い(*`Д´)ノw
生年月日から、どの部隊かを当てはめて占うというページですが、私のタイプは音楽隊でしてw
………(~_~;)
それってつまり、軍隊で一番要らない子だよねといつも微妙な気持ちに(ぼそっ

113 名前: 桃 :2015/03/01(日) 20:25:14 ID:2d2369c2e
>>100
遅くなりまして。
何やら文章が流れるようで、柔らかさを感じますね♪
リーフさんの女性らしいたおやかさが、作品に滲み出てる感じでしょうか♪
しっとりした大人の女の情緒、大人の恋愛感とはこのようなものか、と考えさせられます♪

う〜ん、やはり私には無いものを沢山お持ちの方ですね〜♪
参りましたww

114 名前: ミセスリーフ :2015/03/01(日) 23:22:16 ID:9cbdabdbf [sage]
>>111
アマデさん
お読み頂きありがとうございますm(_ _)m
恋の初めのドキドキ感を思い出しながら書きましたw
もっと精進しますw

>>112
自衛隊に絡めた占いがあるんですよねwそうそうw
音楽隊は大事ですよ。人に潤いをもたらし、気持ちを
変えてくれるんですから。いらない部署はありません(*`Д´)ノ!!!

>>113
桃さん
ありがとうございますm(_ _)m

うわあ・・・そ、そこまで褒められると恥ずかしくなります。
ありがとうございます。くー、思い切って書いてよかったです。
人の批判や、自分の未熟さを思い知るのが嫌だったりで
人に読んでもらうのを避けていた自分をやめて
これからは、積極的に発表していこうかと思いました。
いえ、ここばかりではなくw

ちょっと頑張ってみます(*`Д´)ノ!!!いろいろw
みなさん、ありがとうございますm(_ _)m

47 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:48:45 ID:ORiTd2es
115 名前: V3 :2015/03/07(土) 13:59:59 ID:958745dff [sage]
『イングラム、出動許可願います』『祭りのあと』に続く、同じ警察官モノで新作を投稿します
(取り敢えず、『名もなき警察官シリーズ』とでも呼ぼうかなと)
宜しければ、お読み下さいm(_ _)m



『正義の味方は、間に合わない』

「勇介、寝た?」
妻の芙美が、頭にタオルを巻いた姿で風呂から戻るなり息子の様子を尋ねた。
「ああ。絵本読んでやってたらものの五分も立たないうちにコテンと寝たよ』
二本目の発泡酒を、缶のまま飲みながら夫は答えた。

「公園で一杯遊んだから疲れたのね。あなたが休みで一緒だと、体使って遊んでくれるから助かるわ。家事の合間だとどうしても思い切り走らせるとか無理だし」
ストンと、テーブル脇に座る。
ソファーも一応あるのだが、何故か床に直に座ってしまうのは昭和世代の性なのだろうか?

今日、息子の勇介を男は公園に連れ出し、目一杯体を動かして来た。
ゴムボールで遊んだり駆けっこをしたりと、普段忙しい父親に構って貰える喜びも合間って、幼児は力の限り躍動し、父を喜ばせた。
「すごいな〜!よし、もういっちょっ!」
「お〜、早い早い!パパに追いつけるかな〜?」
などと、おだてながら息子を励まし、男も結構な運動をしてリフレッシュ出来た。
ブランコに二人乗りし、結構なスピードで漕いで息子を大喜びさせたことは「ママには内緒」だったが。

「…遼太さんの遺体発見現場には今日も沢山の花などが供えられており、人々の哀しみが大きいことを伺わせます」
見るともなく見ていたテレビニュースが、最近起きた痛ましい事件の続報を伝えていた。
画面には、何百という花束や様々な品が写っており、僅か13歳という幼さで暴力の果てに殺された子供に対し、胸を痛めている人間達が多いことを静かに伝えていた。

48 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:49:04 ID:ORiTd2es
男は徐に煙草を手に取り、火を着けてからベランダへ移動した。
家の中で煙草を吸う時は、ベランダに行くか換気扇の下に移動する。結婚した時に、自発的に始めた習慣だった。
上着を着た方が良かったかなと一瞬後悔するほど、外は寒かった。三月初旬にもなろうというのに、今年はまだまだ風が冷たい。
だが。
(もっと寒かった時に、裸にされて散々ボコられて殺されちまったんだよな…)
先程流れたニュースの、被害者少年の事が頭を過る。
事件発覚当初から、街に設置された監視カメラの映像などからすぐに犯人は割れる筈だと、捜査関係者でなくても多くの人間が予測していた。
中学生の交遊関係などたかが知れており、実際に行動を共にするほどの親しい仲であれば、プロが捜査をすれば二、三日もしないうちに殆んど全ての交遊関係は特定出来る。
現役警察官たる男も当然のようにこう予測し、案の定、犯人は割合早く捕まった。
ただ、当初から予想出来たように、犯人達もまた未成年である事が今回の事件をフラストレーションの高いものに仕立てていた。
殺された被害者の詳細な個人情報は散々曝され、加害者達の詳細な情報はテレビや新聞が殆んど報道しない。少年法が分厚い壁となり、言論の自由などどこ吹く風と一斉にマスメディアが黙り込む。
その姿勢に強い不満を覚える世間が、ネットで反旗を翻すかのように様々な情報を調べあげ、素人探偵よろしく真偽不明な加害者情報を次から次へと公開して行く。
一部週刊誌がそんな世間のガス抜きをするかのように加害者情報をスッパ抜き、多少の溜飲を下げさせる。
それに対し、いつものあの組織がギャーとばかりに抗議をして、更に世間との溝を深め、怒りを煽る。
イデオロギーに囚われ過ぎたのか、はたまた愚民には分からぬと高慢な誤解をしているのかは知らないが、今のあの組織は完全に世論から遠く離れてしまっている。
当人達は、選ばれし者の孤独とでも自分達を慰めているのだろうか?
犯罪に対して、自分達が利益を受けるステークホルダーだという事実を、完璧に脇へ追いやる厚顔さはある意味羨ましいような気もしないではないが、あそこまで行ってしまったら人として終わりだとも感じる。
「…ふぅ」
煙を吐く息に声が混じったことに、男は少し驚いた。
思わず、苦笑する。
(煙草はいいよな。すっかり嫌われモノになっちまったが、溜息を誤魔化せるもんな)

49 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:49:27 ID:ORiTd2es
子供時代、正義の味方に憧れて一番近いと信じた警察官という職業に着いた。
交番勤務を経て内勤となり、やがては刑事となった。
様々な人間達と出逢い、色々な事件にぶつかった。
職務経験が長くなるにつけ、警察という組織の闇の深さも知るようになり、垣間見る度に愕然とし、耐え難い苦さを噛み締めた。
それでも。
それでも警察官を辞めなかったのは、何故か。
時折ふと、そんな青臭いとも言える自問をする事がある。
ことに、こんな夜には。
とっくの昔に擦り切れてしまった筈の何かが、乾ききってしまった筈の何かが、胸に溢れ出しそうになるこんな夜には。

夜空には灰色の雲が拡がっており、切れ目から幾つかの星が煌めいているのが見えた。
マンションの四階から見える街の風景には、数多の灯が点灯し、無数の人間達の存在を、その営みをひそやかに告げている。
(…俺は、人を助ける為に警察官になったんだ。それなのに、助けてやれなくてごめんな。痛かったよな。苦しかったよな。怖かったよな。ごめんな。本当に、助けてやれなくてごめんな)
星が、滲んだ。

「うわ、寒い!」
ベランダのガラス戸を開けて、妻の芙美が小さな悲鳴を上げた。
「馬鹿ねぇ!こんな寒いならお勝手で吸えば良かったじゃない。勇介も寝たんだし、そこまで気を使わなくていいわよ。風邪引かれる方がよっぽど迷惑!」
キツい物いいで、優しい気遣いをする。
「ああ、もう中に戻る」
目を瞬かせて、滲みを追い払った。
お茶入れるわねと、先に座った妻が夫に尋ねるというより強制するかのように焙じ茶を勧めた。
茶で体を温めろとの命令に近い気遣いであろう。
寒かったのは確かだったので、出されたお茶を有り難く飲む。
視界はすっかりクリアーだった。

「…川崎で殺されちゃった子、少しだけ勇介に似てると思わない?」
小さな呟きだったが、男の今一番痛い所を突いた。
実際、被害者少年のあどけない笑顔の写真を見た時、男が真っ先に感じたのは自分の息子に少し似ているということだった。だからこそ、一層胸を抉る。もし、我が息子だったらと微かに想像するだけで、身震いしそうな恐怖が走った。
あどけない笑顔のその先に、似たような悲劇が、もしも我が息子にも待ち受けていたら…。

50 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:50:21 ID:ORiTd2es
だが、事件が事件なので誰にも話したことはない。無論、妻にもだ。
しかし、父親である男が感じたように、母親である妻もやはり同じように感じていたのだ。
「お前もそう思った?実は俺も、少しそう感じてた」
勘の鋭い妻相手にトボけても無駄なので、なるべく軽い調子で白状する。こんな時に下手な偽証は拗れるモトだ。
煙草に手が伸び、二本目を吸う。
「やな事件よね。ホントに、やな事件」
軽く眉を顰めて、妻の芙美は続ける。正直なところ、余りこの話題には触れたくないのが男の本音だが、制止するのも器が小さいような気がして、黙って頷くしかない。
「どうせアレでしょ?そんなに長くかからないで犯人のコ達は外に出て来ちゃうんでしょ?それで、『名前がバレちゃってるからまともに生きて行かれない、更生する為にも名前を変更させて』とかいって、裁判所も許可しちゃって、何食わぬ顔して生きて行くんでしょ?それとも、形だけ別の人間の養子になったりとかして、名字も別にしちゃうとか」
「…よく知ってるじゃん」
苦笑しながら、男は妻の予測を否定しなかった。大方、そのように推移するのだろう。
「そりゃ、警察官の妻ですからね。これでもそれなりには知ってるのよ。少しは勉強したんだもの」
「へえ?」
からかうように返事をすると、妻は少しムキになったように答えた。
「だって、あなたが警察官だって知ってる知り合いには、色々尋ねられたりするのよ?『奥さんなら知ってるかもしれないと思って』とかって。最初の内は知らないって突っぱねてたけど、そのうち、『ご主人の仕事のこと、全然知らないみたい。夫婦仲が良くないのかも』なんて噂されて!」
初耳だった。
「おいおい、そんな話、聞いたことないぞ?何で今まで黙ってたんだ?」
妻が、そんな苦労をしていたとは。
「あなたに言う程の事じゃないと思ったのよ。その頃、あなたすごく忙しくしてて毎日遅かったじゃない?朝だって疲れた顔してて。そんな下らない悩みで、煩わせたく無かったの。それに、そんな事言ってた奥さんは引っ越しちゃったから、後はそんな変なこと言う人居ないし」
男が忙しいのは毎度の事なので、いつの頃を言っているのかはっきりとは分からなかったが、部署が変わる前の話かなとボンヤリと推測した。
確かにあの頃は勤務地自体が今より遠く、仕事内容も込み入っていた為、しんどい日々が続いていたような気がする。
自分もお茶を啜りながら、なんでもなさそうな顔をして妻は続けた。
「話を聞かれると言っても、ややこしい相談は無かったから心配しないでね。法律的にどうこうなんて本格的な話は直に警察に行ってと答えてたから。そもそも、警察官の妻と言っても私は単なる主婦に過ぎないんだから、訊く方が無茶なのよ」
とはいえ、近所付き合い、ママ友付き合いの手前というものもあったのだろう。
「余計な苦労かけて悪かったなぁ。全然、気がつかなかったよ」
「苦労と言うか、私も少しカチンと来たから見返してやるつもりで自分なりに勉強してみたってわけ。わからない所はさりげなくあなたに確認したりして。うふふ、気がつかなかったってことは、私には聞き込みの才能があるってことかしら?プロに不信感持たれなかったんだものね〜」
「アホ抜かせ」
軽口を交わす間に、いつもの調子を男は取り戻していた。
もう一缶、飲もうかな。

「勇介、守って行こうね?」
真摯な瞳で、妻に同意を求められた。
「ああ」
間髪いれずに即答する。
ほうっと、柔らかな笑みで妻は爆弾を投げて来た。
「そう来なくちゃ。もう一人増えるんだから。頼りにしてるわ、陽一さん」
一瞬、何を言われたのか理解に遅れた。
「…え?それってつまり」
「うん。今日、あなたが勇介と遊んでる時に受診して来た。三ヶ月だって」
「あ、ああ…」
言葉と表情を探しているうちに、涙腺がいきなり決壊し、男はボロボロと大粒の涙を溢し始めた。
そのことに、男自身が驚愕する。
「え?なんで涙…、ハハ、ちょっと待て」
慌ててティッシュに手を伸ばし、目元をゴシゴシと擦る。
妻がそっと手を伸ばし、男の腕を優しく叩いた。

一人の少年の死に、密かに慟哭した直後に天からの授かりものを知らされた。心情のアップダウンが激し過ぎて、分別盛りの筈の男が気持ちの整理をつけられない。
大喜びして妻に感謝する場面だと理性では分かっているのに、言葉と気持ちが追いつかない。ただひたすら、拭っても拭っても溢れる涙に困惑するばかりだ。
「…ちょ、ゴメン。なんか変だな、ハハ」
そんな男の様子を優しい目で見つめながら、妻は駄目押しをした。

51 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:50:40 ID:ORiTd2es
「赤ちゃんて、親を選んで生まれて来るんだって。陽一さんと私の子供に生まれたいって、勇介だけじゃなくもう一人の子が願って来てくれた。あなたをパパに、私をママにって。…守って行こうね、勇介もこの子も」

ついさっき自分の無力さに嘆息したばかりなのに、そんな俺を父親にしたいと選んでくれたのか。
願ったことを叶える力が殆んど無い情けない自分を、それでもいいと命を預けてくれるのか。
様々な思いがモザイク画のように胸の中を乱舞して、どうにも収集がつかない。
男は泣き止むことを諦めた。
嗚咽が漏れる。

正義の味方は、いつだって間に合わない。
数多の命が儚く消えて、何もかも終わった後に駆けつけるのが関の山だ。
それが、世界の真理だ。
だが。
だが、しかし。
それでも。

妻の手が、男の腕を優しくさする。
その手を取り、男はぎゅっと握りしめた。
それは、無言の誓いだった。

【終】

52 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:51:06 ID:ORiTd2es
116 名前: イザベル :2015/03/07(土) 14:37:30 ID:86750f11d [sage]
(*`Д´)ノ ⑩⑩⑩⑩
正義の味方は本当に間に合わないのか?
いやちがう。
間に合うときもあるんだよ。
間に合っているときは無意識なんだよ。
だからカウントされないんだよ。
そういうことなんだよ。
それも真理。

117 名前: アマデ :2015/03/07(土) 14:45:07 ID:c384d1fda [sage]
>>115
V3さん
「警察官は青いくらいがちょうどいい」
以前ドラマだったか映画だったかそんな台詞がありました
そういう警察官への応援ですね
くだらないことにばかり頭が回るのは悲しいことですが早く法整備が必要です。15で大人だった時代から子供は何も変わってないのですから
腹立たしく切ないです
つ⑩⑩⑩⑩⑩$

118 名前: V3 :2015/03/07(土) 16:30:17 ID:958745dff [sage]
イザベルさん
ご感想、有り難うございますm(_ _)m
仰るように、間に合った場合も多々あるのでしょう
しかしそれは、決してドラマティックではないのでは?
当事者たる警察官にも強い実感と自負を与えてくれはしないのかも、とも想像します
神様にしか分からない、活躍なのかも知れません


アマデさん
これは、私なりの応援歌であり、亡き少年に捧げる鎮魂歌でもあります

この作品は、遼太君に捧げます

お読み頂き、有り難うございましたm(_ _)m

119 名前: ポール :2015/03/07(土) 22:40:24 ID:a6b4a1eb6
私も娘たちに言われたのです。
私達夫婦の子供になりたくて生まれて来たんだよ、
って。
思い出して涙しました。
ありがとう(*`Д´)♫

120 名前: V3 :2015/03/07(土) 23:14:06 ID:958745dff [sage]
ポールさん、読んで下さって有り難うございますm(_ _)m

素敵な娘さん達ですね
それはきっと、真っさらな魂をポールさんと奥様が大事に大事に育てたから
その思いに育まれ、すくすくと伸びやかに育つ事が出来たから
どうぞ、目の前の宝物を大事になさって下さいm(_ _)m
その思い自体、宝物なのでしょう

121 名前: ミセスリーフ :2015/03/08(日) 23:59:25 ID:3adb0bc94 [sage]
V3さん

亡くなった命への悲しみは、計り知れませんね・・・。
しかも、情報が後から後から出てくるわ・・・なんだわで
この事件は、もう、なんともはや・・・。

そんなダークなグレーな状況に振り回されることなく
事実と、命は尊いという真理をぶれることなく直球で小説に織り交ぜ伝える貴女が好きだ(*`Д´)ノ!!!

パトレイバーの後藤隊長の
「警察の仕事っていうのは、全て起こってしまってからなんだ」
という一連の野明との会話を思い出しましたよ(*`Д´)ノ!!!
122 名前: V3 :2015/03/09(月) 13:43:59 ID:eb3f7e500 [sage]
リーフさん
有り難うございますm(_ _)m

もう少しは寝かした方がいいかしらと思ったりもしましたが、私自身の気持ちの吐き出しの為に投稿してしまいました
やるせない、ただただ、やるせない事件ですね

不思議なタイミングと言ったら変ですが、ここで誕生したオリジナルキャラが丁度子持ちの警察官だったので、彼に想いを託してみました
表面的な人物像しか描いていなかったキャラですが、内容が内容ゆえに、その魂に触れる形となり、私も少し驚いたりしてます
伴侶たる妻の性格は、もう少しおっとりとしたイメージだったのですが、書き始めたらアラ不思議、結構強気な性格でしたw
母親となり、段々強くなっていく過程なのかしら?



沢山の花束達の横に、見えない花としてこの作品を献花したいと思いますm(_ _)m

53 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:51:26 ID:ORiTd2es
123 名前: イザベル :2015/03/26(木) 23:00:53 ID:7b2009821 [sage]
『ちびミリオタ発進』

「お父さん、ヒロくんに絶対聞いといてよ!」
「わかった、わかったから車には気をつけて、おじいちゃんに付いて行き・・・」
と振り返ったときには、いって〜きま〜すの声だけが響いてリュックを背負った小さな姿はもう玄関扉の向こうにあった。
戦車には気をつけろと言うべきだったか。
10式戦車をこよなく愛し、自衛隊祭りには必ず孫同伴のオヤジ、書道塾講師の嫁の愛用の文鎮は戦艦大和型だし、ケータイの待受画面は「ひるがえる旭日旗のもと遠くにみゆる護衛艦くらま。
なるべくしてこうなったか。
いやいやいや。やっぱりアイツだ。アイツのせいだよな。

「さっすが私の子だわ。もう平仮名もカタカナもバッチリだもん。簡単な漢字も。まあ、ヒロくんのおかげもあるかしらね」と嫁。
「やっぱりワシの孫だ。物覚えが早い。でもヒロくんの功績はたしかに大きいな」とオヤジ。

ヒロくんとは。
俺の長年の友人、いわゆる“ミリオタ”である。
彼がうちの子3歳の誕生日祝に贈ってくれたのはカラー写真満載「世界の戦艦」「海自のすべて」だった。
「ありがたいけど、これ大人向け、いやオタク向けじゃないか」
「だいじょうぶ、だいじょうぶ。写真のほうが多いくらいだからさ」
ふつうはオモチャかなんかくれると思う・・・あ、あいつ自分のオモチャくれたのか。

ところが、だ。
うちの子お気に入り本になってしまったのである。オヤジという読み聞かせ担当までいるものだから、あれよあれよというまにチビミリオタの出来上がり、であった。

宿題は仕上げとかないと父親として面子が立たない。メールするか。奴め暇だといいけど。

おひさ有川
教えてください
なぜ海自艦の名前は山とか川とか雪とか風の名前だったりする?
うちの子がよその国の艦はプリンスオブウェールズとかジョージワシントンとかだったりするのになんで?と聞いてきます

ぐぐれかす

そういわずに教えてお願い

艦は沈没することありなのに人名つけるのはいかがなものか気にするエライ人がいたんだよさっすが日本人

くわしく

俺今横須賀多忙 フミ君によろしく

ヒロ君フミ君仲のいいこってすな

妬くな


さらに調査が必要なのか、あ〜大変だわ。
「あの子、ちゃんと短冊書いてってくれたのかな」
もう、どこよ、と言いながら嫁がうろうろ探し回っている。
ねえ、よくきくイイ話あるでしょ、お父さんのお嫁さんになれますようにとか・・・
「うちもイイ味だしてるわよね」
と言いながら嫁が俺にみせてくれた町内会主催の七夕祭りの短冊にはこう書いてあった。

「ヒロくんのおよめさんになれますように ふみよ」

おわり

54 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:51:51 ID:ORiTd2es
124 名前: イザベル :2015/03/26(木) 23:02:05 ID:7b2009821 [sage]
初投稿です(ノ´∀`*)
おてやわらかにお願いいたしますm(_ _)m

125 名前: ポール :2015/03/26(木) 23:21:20 ID:1c3aada3d [sage]
無茶振り返しを受けてから書いたのですか?
小説スレ内の話題満載ですね(^∇^)
イザベルも書ける人だったんだねw
おわり じゃなく つづく にしましょう(^∇^)
そして次は恥じらいを棄てて、
本領発揮だ(*`Д´)ノ♫

126 名前: モニカV3 :2015/03/26(木) 23:45:52 ID:288449b2c [sage]
そう来たか〜〜〜(*`Д´)ノ!♪♪♪

最後のオチ、全く読めてませんでした!w
艦名由来を、こうした手法で取り上げたのも目から鱗でしたし、ほのぼの一家の可愛らしいエピソードに上手く絡んでいて、とても読み易かったです♪
有川浩の名前まで出て来てるしで、大変美味しゅうございましたm(_ _)m

ポールの言う通り、これって続きが書ける仕立てですよね(チラッ
次回作、期待しちゃいます(*`Д´)ノ♪

127 名前: イザベル :2015/03/27(金) 07:25:32 ID:42f417205 [sage]
>>125
ほんとはもっとストイックなのにしたかったんですけど
なにせ知識がないもので安易なホームドラマに走ってしまいました。
ご感想ありがとうございましたm(_ _)m

128 名前: イザベル :2015/03/27(金) 07:28:44 ID:42f417205 [sage]
>>126
最後の一行までオチを察知されないようにしていたら嫁のセリフが陳腐になってしまってorzです。
つづきは・・・ワカリマセンw
ご感想ありがとうございましたm(_ _)m

129 名前: アマデ :2015/03/27(金) 14:46:51 ID:270264184 [sage]
イザベル
面白いです(^_-)-☆
ほのぼのとした家族の一幕なのに様々な妄想を掻き立てられるというか・・
ヒロなんで忙しい?なんか事件?いやまさに今艦名を決める会議かなんかがあって?爺さん大活躍?・・・とかテヘヘッ(*゚ー゚)>

モニカさんの警察官物語ともリンクしそうな予感ェ・)チラッ
つ⑳⑳⑩$

皆さん文才がおありになって・・羨ましいですぅo(*^▽^*)o~♪

130 名前: イザベル :2015/03/27(金) 15:50:54 ID:42f417205 [sage]
>>129
ヒロ君の職業(・◇・。)
まあ、どうにでもなるか・・・いや、もとい、つづく・・・のか?

つたないモノを文才といわれて恐縮でございます。
お読みくださいましてありがとうございましたm(_ _)m

131 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/03/31(火) 23:23:22 ID:e4e123f76 [sage]
イザベルさん

(*`Д´)ノ!!!⑩⑩⑩⑩⑩⑩
たのしい感じが伝わってきましたww
肝心の話題になっている小説群を読んでいなくても
小説スレを読んでいるだけで、なんとなくわかってくる
味わい深い物語。
堪能しましたwありがとうございます(*`Д´)ノ!!!

132 名前: イザベル :2015/04/01(水) 09:02:19 ID:ee083c23c [sage]
>>131
リーフさん、ご感想ありがとうございます。
関西人ゆえ
オチをつけないと気がすまないところがあります(ノ´∀`*)
静謐なお話にも精進したいところです。

お読みくださいましてありがとうございましたm(_ _)m

55 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:52:14 ID:ORiTd2es
133 名前: イザベル :2015/04/07(火) 13:10:40 ID:3d18d7fd8 [sage]
《オオヤマトトヨアキヅシマ日記》
日本を出発して約一週間が経つ。目的地に到着した今も緊張が解けない。
緊張にも2種類ある。
あきらかに挑発的攻撃的な対象との衝突を想定した緊張。
そしてもうひとつは・・・。

出航前の俺のケータイメールは着信万来状態だった。

妹「あきつしまて日本そのものだたのか〜」
まえにも説明しただろ。さらにつづく。
「にいちゃんレディの扱いも身についとらんのにマジ心配」

母「もっと行儀作法をみっちり仕込むべきだったどうしようもう間に合わない」

父「一般参賀自慢話ができんようになるやないかお前のほうが近いなんて口惜しい」

いよいよ今日。お越しになるのだ。この「あきつしま」へ。
俺にできる最高の警護とおもてなしを両陛下に。
パラオの海と土に眠る英霊たちがきっと見守ってくれる。

明朝のご朝食は「あきつしまの皆と同じものを」ご所望だという。
厨房担当はこの俺である。そのことを知らされたときには頭の中は真っ白。
御献立、御献立どうする?どうしたらいいの?
「米飯、焼き魚、味噌汁、豆腐、香の物」いつもこれなんですけど?

それでいいのです、とのことだった。

無事ご到着ご乗船の無線連絡を海上警備中に受ける。ほっとする。
しかし明日の朝の準備を考えるとまた緊張が・・・。
とにかく本船へ戻らなくては。

操舵室へ集合せよとの指令あり。
急ぎ向かうと「あきつしまの皆にあいさつを」との両陛下のご希望だという。
心の準備ができていない。
ひとりひとり簡単な担当任務の説明とともに紹介されていく。
「彼が明日のご朝食をご用意させていただきます」
それを聞いてお優しく、まあ、という表情をお浮かべになる両陛下。
「楽しみにしていますよ」

ご出発の慌しさもひと段落し、心地よい虚脱感が全身を覆っている。
あとで聞いた。警備上全員がいちどに持ち場を離れるのは無理ということで、両陛下は三度に分けてあきつしまの全乗組員と会ってくださったのだという。

両陛下からのお言葉
「あきつしまの皆へ、世話になりました。美味しい朝餉をありがとう」

「楽しみにしていますよ」
「美味しい朝餉をありがとう」
両陛下から俺への言葉。かみしめる。
豊葦原の瑞穂の国がわが故郷。
蜻蛉とぶ豊秋津洲がわがふるさと。

おわり

56 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:52:41 ID:ORiTd2es
134 名前: ポール :2015/04/07(火) 13:21:59 ID:e1ee0a571 [sage]
Oh!イザベル
お前は可愛いだけじゃないんだね。
日本語がシ・ボン。
ありがとう、メルシーボク(*`Д´)ノ

135 名前: アマデ :2015/04/07(火) 13:42:09 ID:ed62954a6
イザベルさん
両陛下のお人柄がにじみ出るお話ですね
本当にあきつしまの乗員の方々は大変でしょうね
その大変さも両陛下はお分かりになってらっしゃると思うんです
そのへんのところもちゃんと押さえてるところがサスガです!(o^-')b グッ!
つ⑳⑳⑳⑳$
(もう少し膨らみそうなお話・・・続きある予感w[壁]_・)チラッ)
136 名前: アマデ :2015/04/07(火) 13:43:36 ID:ed62954a6 [sage]
あげちゃったww
ごめんなさいm(_ _;)m

137 名前: V3 :2015/04/07(火) 13:59:19 ID:68bc49792
イザベル、ひゃっほう〜〜〜い(*`Д´)ノ♪♪♪

リーフさんのリクエストに応えられたのですね!
主人公の緊張と感動が、ヒシヒシと伝わってきました♪
こんな僥倖に恵まれたら日本人なら震えますよね
そして、奮起しちゃう♪

両陛下から滲み出る高貴な穏やかさも、実に「らしかった」です
両陛下って、存在してるだけで周囲に安寧という空気を醸し出す奇蹟の存在ですよね
そんな存在の側近くに行く事が出来、お言葉を直に賜ったりしたら、そりゃもう、この作品の主人公のようになるでしょう
身近に起きた小さな奇蹟、とても読後感の良いお話でしたm(_ _)m

138 名前: イザベル :2015/04/07(火) 14:47:20 ID:3d18d7fd8 [sage]
ポール
アマデさん
V3さん
ありがとうございます(ノ´∀`*)

昭和天皇は行幸の際、訪問先のご昼食はつねに「カレー」をご所望。
用意する側の事情を考慮したお気遣いとききました。
皇太子であった今上陛下も受け継いでおられたと聞きました。
でもご高齢の両陛下にカレーというのも・・・ですし、
あきつしまではきっとご朝食を召し上がるだろうと想像しました。

「あきつしまの皆」というフレーズに気持ちをこめて3回使いました。「国民の皆」と同じです。
それにしても文章にするだけでもなんだか緊張しました( ゚д゚)

お読みくださいましてありがとうございましたm(_ _)m

139 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/07(火) 15:35:24 ID:ace0df621
イザベルさん、ひゃっはー♪♪
早速リクエストに応えてくださってありがとうございますm(_ _)m

自分の中で映像が浮かんでくる短編でした♪♪
すごく満足しています。
自衛官の方のご家族まで登場させて、主人公の感動をより一層
深い物になっていて、楽しいです。

よい短編をありがとうございました♪♪

140 名前: V3 :2015/04/07(火) 16:01:54 ID:68bc49792 [sage]
(リーフさん、あきつしまは海保の巡視船ですヨ)

141 名前: イザベル :2015/04/07(火) 16:04:53 ID:3d18d7fd8 [sage]
>>139
リーフさんお読みくださいましてありがとうございます。
ご希望の乗組員間の会話にはなりませんでしたが。
ちなみに海自ではなく海保ですw
海自カレーにひきずられてしまわれたかな(^.^)

142 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/07(火) 16:44:42 ID:ace0df621 [sage]
失礼しました〜〜

記述ミスです。ここのところ間違えると、エライことですよね。
失礼しましたw

143 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/10(金) 13:03:45 ID:19303e136 [sage]
昨夜、両陛下が無事にお戻りになられたニュースを見て、ほっとしたのは私だけじゃないはず(*`Д´)ノ!!!

任務にあたられた海保の方々も
きっと…とちょっと妄想してしまいました♪♪

144 名前: V3 :2015/04/10(金) 19:20:11 ID:6b1431884 [sage]
>>143
妄想の成果を、是非ここで(*`Д´)ノ♪♪♪

145 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/16(木) 23:51:37 ID:117a9a79a [sage]
>>144
やー、無理かもw
時間の問題というよりも、文書にするだけの知識量がない・・・ToT

57 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:53:03 ID:ORiTd2es
146 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/16(木) 23:54:25 ID:117a9a79a [sage]
ちょうど1年前ぐらいに投稿して落選した作品があります。
とても短いのと、小説スレで『塩の街』が盛り上がったこともありまして、載せてみますw
過去の自分の文章、ハズカシーというわけですが
感想を聞きたくて。ちなみに、「塩の街」を読んでいません。
読んで書くことになったら、また違うのかも?

147 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/16(木) 23:58:06 ID:117a9a79a [sage]
前置きその2。

投稿したところの条件としては、『クロライドに沈む』という
ボーカロイドが歌う動画を見て、短編小説を執筆すること。でした。
この『クロライドに沈む』の設定がモロ『塩の街』を受けてます。
ご本人はそこには触れていませんがw

『クロライドに沈む』
https://www.youtube.com/watch?v=XAKWq8wOrII

という動画を見て書いた作品です。
では、以下、作品。

58 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:53:26 ID:ORiTd2es
148 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/17(金) 00:00:46 ID:ee8c8bc96 [sage]
[◆圭介の場合]

降り始めた雪は、しょっぱいらしい。
自分は、舐めなかったが、数歩先の人の口の中に入り込んだのだろう。
俺は、その呟きを聞き逃さなかった。

しょっぱいものが、降ってきた→  や  ば  い  ことの始まりだ!

短絡的だろう。
そして、身体が反射的に逃亡へと切り替わる辺りは、どんな行動力なんだと
自分でも呆れ果てる。
だが、それでいい。
その時は、それが最善と思っていた。

避けるために考えたのは、地下道に逃げ込むこと。
降ってくる雪を避けながら、どうにか逃げ込んだ地下道は、すぐに人がいっぱいになることが、瞬間的にわかった。
別の入り口から、俺と同じように駆け込んできた人達を視認したからだ。

だから、俺は地下道から入り込める、地下街の中心に向かって走ったんだ。
そこの地下街の中心は、地下鉄のホームになっている。
地下街は、いつもの地下街だった。
だが、数秒後には、今まで聞いたこともない、人々の怒号が響き渡る。


そこからは、よく覚えてない。
気が付くと、駅のホームの
普段なら絶対に入らない、ホーム下の隙間にいた。
よくうっかり、線路に落ちてしまったときには、その隙間に逃げ込めば助かるなーとか考えていた、あの隙間だ。
場所がよかったのか、目を開けた時に広がってる光景は、いつも通りというか、
今にも駅員が俺の存在に気が付いて、声でもかけてきそうな、そんな雰囲気だったんだ。
ホームの上を見なければ。
いや、ホームの上よりも前に、左右の確認をしなければよかったんだ。
いや、もっと言えば、目が覚めたら、病院の天井だった、的な光景がよかった。
地下なのに、線路には白い雪が積もっていた。
5センチぐらいか。ところによっては、盛り上がり、雪像のように、何かの形を成している。
その何かがなんであるか。
その光景が意味していることは、もうわかっていた。
駅の建造物は、変わりがなく、繰り返される駅のアナウンスは、定刻通り響き渡る。
時刻になっても、電車が来ないのも、理解できた。
人が、雪に変わっている現実。

59 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:53:45 ID:ORiTd2es
人が、雪に変わるメカニズムがわからない。
そもそも、ソレは雪なのか。
しょっぱい雪?
しょっぱい白い物体?

「・・・・・・塩?」
久しぶりに自分の声を聞いた。
口がカラカラに乾いてて、声はしゃがれた、かすれた小声。
でも、塩なら。
普通の塩なら、人体に触れただけで、人体を同じ物質に変えるのか?
答えは、NOだ。
今、俺がもっている知識だけで、判断するなら。
無知が憎いのではなく、高名な学者でも、理解不能な状況が起きているとしたら

天災なのか。
化学兵器テロとかで、人災なのか。

公共の機関は当てにならないかもしれない。
つまりは、当てにするべきは、自分自身。

「とりあえず、ここから逃げるか。」
でも、どこへ。
それは、後から決めよう。
雪に触らないように、この場を離れよう。
しかし、そのためには、道を作る・・・道具か。

人が持っていた持ち物は、雪に埋もれてわからないだけなのか。
それとも、物さえも、白くなるのか。
俺は、自信過剰な奴だけど
長所と信じて疑わなかった、短絡的思考も、理解が早いのも、頭の回転の早さも
ただ、ただ、ただ一人、己だけが自信に溺れ、
俺だけの、俺ののやり方に俺自身が賞賛し、生き残ることが勝ちと思ったけれど
生き残ったことが最善ではないらしい。

最悪だ。

足跡ひとつない、白いホームと、線路にまばらに積もる白い恐怖を
踏み越えなければ、現状を変えることができない。
閉じ込められたも同然。
身動きとれない。
ここで、衰弱。

俺らしい、短絡な結論だった。

60 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:54:04 ID:ORiTd2es
149 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/17(金) 00:01:20 ID:ee8c8bc96 [sage]
[◆雪子の場合]

私らしさってなんだろうって、ずっと考えてた気がする。
過去の自分を変えずに、そのまま生きていくことなのか、と思ったり
それでは成長がないだろう、と思ったり。

中学の頃は、そのあたりを考えすぎていて、時間を無駄に使ってしまった気がする。
高校になると、毎日が忙しくて、だんだんそのこと自体、考えなくなった。

その時、その時の自分の気持ちを大切にしていこうと考えて・・・・・・以前から、興味のあった和装のことを調べ始めた。
私は着物が好きだ。
動きは制限されるし、手入れも大変だし、必ず人目につくし、気が抜けないものだけど
一度、着てしまえば、こんな楽しいものはないと思っている。
古めかしい、自分の名前と同じように。

慣れてしまえば、どうということはなし。

どうということはなし、というものは、自然と馴染み、愛着が持て
いつの間にか、かけがえのないものに変わっている、ということだ、と。
 最近では、その板についた状態や、馴染んだ状態のもののことを《自分らしさ》と呼んでいいと、
やっと結論できた。
着物関連に仕事を得ることができ、
たとえ、酷暑と呼ばれる日でも着物を着なくてはいけない現実でも、私はそう思っている。

「雪子さん」
 外の灼熱地獄から解放され、快適な、そう、まさに天国。
反物や浴衣の展示などがされた、冷房の効く涼しい着物店「いつきや」の応接間で、
よく冷えた麦茶を頂いているところに、店主の田中さんが、改まって、私の名を呼んだ。


「折り入って、お願いがあるのですが・・・・・・」

よくよく聞くと、今日、田中さんの奥さんが店に訪れるということで、道に迷っているらしかった。
いつきやは、大通りに面した店で、迷うことが少ないように思えるが、
どうも地下鉄を利用して、地下街を抜けて、地上への出口の番号を間違えたらしい。

「地図も渡したのに、なぜ迷うんですかね。いつもこうなんですよ」
「ご主人の田中さんがしっかりされてるからなのかもしれませんよ」
「そういうもんですかねえ」

61 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:54:26 ID:ORiTd2es
「それで、私が迎えに伺えばよろしいのですか?」
「滅相もない。実は、店番を30分ほどお願いしたいのです」
「わかりました。接客などもしてよろしいのですか?、」
「いえいえ。店は軽く閉店状態にいたしますが、あくまで軽くなので・・・・・・」
「わかりました。閉店状態の店の金庫番をいたします」
 軽く、敬礼の形をとってみたら、田中さんが同じように軽く笑ってくれた。

いつきやの店主、田中さんとの付き合いは、10年ほどになる。
まだ、私が着物に興味を示していない頃に、たまたま通りがかった時に引き込まれるように入った店だった。
私の着物好きを指南してくれたのも、田中さんだった。
おかげで、私は、帯留めや帯紐などを手掛けたり、販売したりする、
今の職業に就くことができている。
世の中、どこに縁が落ちているのかわからない。

実は、店番をするのは、今日が初めてではない。
奥さんの迷子が理由なのは、今回が初めてだが、
田中さんが所用で留守にするときなんかは、快く引き受けている。

「表の扉は、カギをかけました。ショーウィンドウにはブラインドをかけてないので、
 お客さんが入ってくるかもしれませんが・・・たぶん、大丈夫。裏の勝手口も、カギをかけていきます。一応、スペアは いつものところにあるので」
「何が大丈夫なのかわかりませんが、わかりました。気を付けていってらっしゃい」

 私も田中さんも、いつものようにやりとりして、いつものように、
勝手口兼非常口の、重く閉められる音を聞いて、見送った。

「さて、奥様がいらっしゃる前に、組紐や帯留めを用意しておこうかなあ」

 今日、私が田中さんに呼ばれたのは、他でもない。
 田中さんの娘さんのためのものだそうで、
古くてよいものだけではなく、今の世代も喜びそうなものも押さえておきたいという
奥様のたっての願いで、納品しにきたのだ。

「自分の娘の着物一式を、夫婦で考えられるなんて、なんて幸せなんだろう」
 自分には、まだそんな予定はないが、夫婦というもの、家庭というものへの憧れが湧き上がる。
「誰かと、そんなご縁を結びたいなあ」

62 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:54:47 ID:ORiTd2es
150 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/17(金) 00:03:39 ID:ee8c8bc96 [sage]
[◆おわりのシロ、はじまりのシロ]


 短絡的な結論を出したわりに圭介は、絶望した状況で、衰弱死する道を選ばなかった。
レールに横たわる枕木をどうにか外して、枕木を駆使し、慎重に搔き分けて、
ホームの端にある、掃除用具が入っていそうな道具入れから、
モップなど使えそうな道具に持ち替えた。
 そこから、さらに、雪に似た物質を搔き分けて、地上を目指すことにしたのだった。
 たとえ助けが来ても、地下の捜索は後回しになると踏んだのだ。

 災害の元である、雪が降り続いている可能性もあるが、
 なんにせよ、地下にいるのは危険だと思ったのだ。
 慎重に、しょっぱい雪に触らないように、搔き分ける。
 粒子は、さほど細かくなく、風などで舞う危険性はなかったため、
 多少、おおざっぱに搔き分けても良かったのが救いだろう。
 途中、搔き分けるのが面倒になったのはもちろんそうだが、面倒になるわけにもいかなかった。
 何度も手にした道具を捨て去り、走り出したい衝動にかられた。

幻聴なのか、それとも息絶える間際なのか。
人の、人々のうめき声やすすり声や、つぶやきが聞こえてきた時には
たまらず、嗚咽した。
その場にうずくまり、白い世界に同化してしまいたい衝動に駆られた。
・・・・・・だが、それはいつでもできる。
今できることは、動くこと。
この場から動くこと。
その思いが、圭介をここまで連れてきた。

地下街から抜ける階段にたどりつき、地上の出口へあと数メートル。
夕暮れが感じられる、紅い日差しが圭介の額に落ちる。
 顔を上げると、白い雪が積もった街に、夕焼けの、オレンジが見えた。
ああ・・・・・・。
安堵を感じる色だった。
白と灰色と、地下の闇。
そこから解放される瞬間の暖かさを感じる色。
現実は、絶望だらけだ。
今この瞬間は、小さな目標が達成されることを、喜びたい。
安堵の目に映る、出口近くの、人の形をした塩の塊が二つ、隅にひっそりと佇んでいる。
塊の形は、おそらく男性と女性。ちょっと大きめのものは、まだ、人としての意識があるようで、声が聞こえる。
男性の隣にある、女性であろう撫で肩の、
曲線や長い髪の毛らしき陰影を落としている塊の方向からは何も聞こえない。

63 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:55:05 ID:ORiTd2es
 おそらく、もう。


男性は、女性に話しかけているのか。はっきりと聞き取れる声がする。

 圭介は、耳をふさごうか、少し迷った。
 今まで通ってきた中で、あまりにも聞くに堪えないものに関しては、
声が聞こえなくなるまで耳をふさぎ、じっと佇んだのだ。
 聞くに堪えないもの。それは、無念とか恨みつらみの類だった。

 圭介自身に気づいて、襲ってくる可能性も捨てきれない。
 死者や死を直面した者が、道連れに生者を襲ってくることなんていうのは、不変の事象だ。
 圭介は、それが何よりも恐ろしかった。

 今、目にしているように、恋人同士など、自身の大切な人と共にいるものに関しては、
あまり警戒せずに進んできた。家族、恋人同士、夫婦。その人たちの会話、
後に残された人の悲しみの言葉などは、また別の意味で、聞くに堪えない辛さだったが、
心の中で手を合わせながら、進むことができる内容だった。

 その時、初めて自分の、天涯孤独の身を、喜んだ。

 まだそういった恋人、家族、夫婦がいないおかげで感情移入せずに済んでいる。。
 父母は、10年前の成人した時に鬼籍になり、そこからは文字通り、独り身で生きてきた。
 気の毒に思いつつ、気を狂わせずに来れたのは、そういう身の上だからこそのような気もする。
 今までと同じように、残された片方の言葉を聞きながら、心の中で手を合わせる。[newpage]


     男性のかすれた声は、続いている。
「ここを抜けたら、テレビ塔が見えてさ、君が言ったんだよ。ずっと一緒にいようって」

彼の言葉と、圭介の、雪を搔き分ける作業音だけが響く。

「やっとさ、地元に帰ってきてさ、暑いね、暑いねって言って
 こうして、思い出の場所に来て、あの景色を見ようってさ」

「君の白の、サマーワンピース、好きだった。よく似合うなって」
「でも、さ。そんなに、白くなるなんてさ。」
「なあ、ずっと一緒に、ずっと一緒にさ」

「・・・・ずっと、一緒だから・・・」

最後の声の主は、誰なのか。声は、そこで途絶えた。
 圭介は、頬につたう、汗なのか、涙なのか。それを拭った。

64 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:55:26 ID:ORiTd2es
 
静寂が訪れる。
空から降り落ちる雪は、止んでいるようだった。
地上への出口に立ち尽くしていた、白の塊、ふたつは、ちょうど圭介のいる場所の斜め前だった。
恋人同士は、意識のある間に、通行の邪魔にならないように、端に移動したのか。
その、愛し合っていただろう、思いあっていただろう、
塊ふたつは、音もなく、崩れ落ちる。
そして塊の、ほんのひとかけらが、階段を転げおち、弧を描いて、
半そでを着ている圭介の腕をかすめ、落下していき、影に溶けた。

「あーあ。」
 圭介は、しゃがれた声で深いため息をついた。
 油断したな。そうとも思った。
 迷惑な話だ。そうとも思った。
自責の念や、他責の念を交互に繰り返して、最終的には思考を停止させた。
「仕方ねえ。とにかく地上にあがろう」
 今まで共にしていた、道具を捨て去り、圭介は普通に歩き出した。
もう、雪に触れてしまったのだ。しかたない。


 しかたない、仕方ない・・・・。
 どういうメカニズムで、自分がこの白の世界に溶けていくのか・・・・・・
 恐怖も湧き上がるが、それよりも今は、何も気にせずに歩けることが嬉しい。
 自由だ。
「あー、身体があちこちバキバキいってら・・・・・・」
 肩や腕や首を回し、緊張の連続で酷使した筋肉をほぐす。階段を上がり終えて、出口を抜けると、夕日はすでに落ち、オレンジの光だけを空に残し、夜になろうとしていた。

 今にして思えば、雪に触れずに地上まで出て、どうする気だったのか。
 数分前の必死な自分を振り返って、圭介は苦笑した。
木の上や街灯、電線。頭上にあるもの全てに、塩の雪は降り積もり、万有引力の法則に従って、落下する。
それらを避けて進むなんて、なんて無理ゲー。
 圭介は、ゼロに近いMPとHPを補充するために、
手始めに近くにあった自販機に硬貨を入れて、ジュースを2本買う。
あっという間に飲み干した。

「それでも、あそこで衰弱するよりは、マシだから、俺よしとしよう・・・・・・」

65 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:56:10 ID:ORiTd2es

 体全体に染み渡ったジュースの味と潤いに、生きた心地を取り戻す。
 いつ、崩れ落ちるかもわからぬ我が身なのに、今まで感じたことのない喜びを感じている。
 ふうーと、一息つくと、身体の力が抜けていくような感覚に襲われた。
異様な事態に対応した疲れが一気に出たのだろう。抗えない眠気が襲ってきた。

「うわ・・・やべえ。このまま、眠ったら、俺、起きねえな」

 くらくらする頭を抱えて、圭介は歩き始めた。
 圭介が歩いている通りは、銀行や洋服の店が多い通りだった。
 もう少し行くと、食べ物屋やコンビニなどがあり、眠気を覚ますための「何か」を口に入れることが可能だが、
そこまで歩き続けることができるのか。
 そもそも、人がいて、販売している状態なのかもわからなかった。
「とりあえず、どうするかな」

 くらくらする頭を、ショーウインドウに押し当て、考えた。
 昼間の、うだるような暑さは和らいでいるが、期待しているような涼しさはないのが、残念な気温だ。
 雪景色となんら変わらない街は、冷ややかで涼しげに見えるというのに。
 感じられるのは、体温と同じような、生温さだった。
 昼間の灼熱を、街全体が抱えこんで放出しているようだった。
 皮肉なものだ。
 無機質な建物たちが、生気の塊である熱を帯び、有機物であり、
生気の塊である人間たちが無機物に変わっている現実。

 現実か。

圭介は、ふとショーウィンドウの中身を眺めた。
そこには、きらびやかな刺繍や染めが施された着物が展示してある。
いつどんな時に着る物なのか、圭介には判断つかない。

「着物の店かあ。俺の人生には、何も関わり合いなかったなあ・・・・・・」
 圭介は、顔をあげた。
 そこには、赤色の染めが見事にグラデーションされ、金の刺繍の鶴や亀などがいる着物を着た、黒髪の人・・・・・・なのか、マネキンなのか。まるで、生きているかのように動き、片手に携帯電話を持って、圭介を凝視していた。


「生きている・・・・・・人がいる!!!」

66 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:56:33 ID:ORiTd2es
151 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/17(金) 00:04:45 ID:ee8c8bc96 [sage]
 ショーウインドウの中にいた、雪子は思わず叫んだ。
 外にいた圭介も同じようなことを叫んだにちがいない。
ただ、かなりの疲労がたまっているのか、窓越しに見える彼は、
立ちくらみを起こして、ショーウインドウにもたれかかり、座り込んだ。
 雪子は咄嗟に、外に出て、圭介を店の中に入れることを考えた。


 生きている人がいる!生きている人がいる!!
 助けたい!!

 それは、雪が降り始めて7時間余りが経ち、ラジオなどで外界の様子を知り、室内からわかる限りで確認してきた・・・・・・現実の中で、一番うれしいことだった。
 ガツン
ショーウインドウから音がする。硬い物が当たる音だ。
座り込んだ圭介の右手に携帯電話が握られていて、その画面には電話番号が表示されている。
その行動の意味するところを悟り、自分でも行動を起こした。
 何回かのかけ直しの後、やっと繋がる。パンク状態だった回線が復活しているためなのか、それとも他の理由か。
 時間が経過するごとに、電話もかかりやすくなっているようだった。

「・・・・・・もしもし」
「あ、えっと、何ていえばいいのかわかんねえけど」
「はい」
 雪子は、数時間ぶりに聞く人の肉声に感動を覚えた。
「俺、圭介っていうんだ。あなたは?」
「雪子って言います。今、扉を開けて、あなたを中に・・・」
 普通は苗字を名乗るべきなのかもしれないが、思わず下の名前を名乗る。
続けて、自分がこれからする行動を話した。

「だめだ。」
 きっぱりと、拒絶された。
「いや、でも」
「だめだよ。どうやら、この雪に触れると、同じようになっちゃうみたいでさ。」
「・・・・・・」
「知らなかった?」
「いいえ。ラジオとか、友達や家族のメールで、少しは・・・・・・」

67 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:56:56 ID:ORiTd2es
「今って、どんな状況?」
「政府からの避難指示とかは出てなくって・・・・・・録音なのかしら、
 同じ内容のニュースが繰り返されてる状態で・・・・・・」
「うかつなことが言えないのかな。よくわかってないのか。他の国とか、
 地域のこととかはどうなんだろう・・・・・・」

「この地区一帯だけみたいなんでしょうけど、時間が経ってからは、よくは・・・・・・」
「・・・・・・そっか。じゃあ、まあいいや」
 圭介は、これ以上、雪子に情報を聞き出すことはやめた。
 どうも自分が持っている情報と雪子が持っている情報に変わりはなく、世の中にもなんら動きがないようだ、ということがわかったのだ。
 そして、それは同時に、すぐに助かる術もわからないということだった。

「俺さ。雪、触っちゃってさ。」

 雪子は、声にならない、声を飲み込んだ。圭介の言葉の意味は、もうわかっていた。
 さきほどの圭介の話だけじゃなく、家族や友人から来た、何通ものメール。
 それらの最後の文章などから察するに、圭介自身も、雪子の大切な人達と同じようになるのだということを。
 地下街から上がってきた圭介が、今、ここで雪になるということは、地下街の様子自体も予想できる。
 おそらく、雪子に店番を頼んだ田中も、その妻も、きっと地下街で同じようになっているのだろう。
 願わくば、二人が落ち合っていることを祈るだけだが、真相は雪子にはわからない。


 圭介は、雪子の沈黙の意味を推し量りながら、言葉を続ける。


「もちろん、触らないようにここまで来たんだけど、さっき地下街からの出口でさ、
 若いっていっても、俺とおんなじぐらいなんかな。恋人同士がさ、崩れ落ちちゃって。
 そのかけらが俺に落ちてきてさ」

「・・・・・・ええ」
「なんかさ、ごめん。聞いてもないのに、しゃべっちゃって。」
「いいえ」
 雪子は、しゃくりあげながら、必死に答えた。
「わ、私、たった一人になるんでしょうか・・・・・・」



 圭介は、しまった、と思った。

 そして、同時に、さっき崩れ落ちた恋人同士の、最後に残った男性の言葉を思い出していた。
 恋人同士なら、一緒に逝けて本望なのかもしれない。でも、他人同士は。
いや、他人同士でも、恋人同士でも、誰かの最後を看取るなんて、辛すぎるだろう。

 しまったな、と、圭介はまた思った。

68 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:57:18 ID:ORiTd2es
「雪子さん、年、いくつ?」
 話を変えるために、なんでもないこと聞いた。
「26です」
「ええ???!!俺より年下?!!俺、29だよ。まいったなあ」
 圭介は、心底驚いた。和装は、大人びた雰囲気を人に装わせるのか。
 雪子の洋服姿を見ていたら、もっと違う反応なのかもしれない。

「なんで私の方が年上に見えたんですか?」
「着物のせいかなあ。落ち着いている女性に見えるからさ。
 実際、落ち着いている人でしょ?俺なんか落ち着きなくてさ。彼氏さんと全然違うでしょ。」
「・・・・・・彼氏さんなんかいません。・・・・・・そうだ!圭介さんの彼女さんは」
「彼女さんなんかいません。」
「え・・・・・・でも」
「29でもいないもんはいないんです。それを言うならさ」
「26でもいないもんはいないんです」
 雪子は、圭介の口ぶりを真似た。二人は、少し笑いあった。

「でも、なんか、俺、よかった」
「え?」
「俺さ、20の時に両親亡くしてて。親しい人、あんまいなくてさ。」
 圭介は、ぽつりぽつりと話し始める。
「友達も、彼女もいなくって。それで、いや、さっきから考えてたんだよ。
 結局、俺、死ぬじゃん?どう死ぬかなーって。
 喉がカラカラに乾いてて、ジュース飲んで幸せーで死んでもいいかなーって思ってたけど」


「私は、嫌です」
「何が?」
「私は、もうこれ以上、人が死ぬとこ、見たくないです・・・・・・」


「だよね。ごめんね。それは、ほんと、ごめん」

 君に会えて、誰かと話せてから死ねるなんて、よかった。
 君みたいな綺麗な子に出会えてさ、というらしくないセリフは、きっと言えない、
 
 自己満足なセリフを飲み込んだ。

 そうだよな。
 脳裏にさっきの恋人同士の言葉が浮かぶ。
 愛し合っている者同士っていうのは、普段から築き上げてるものが違うのだろう。
 先に逝く覚悟も、看取る覚悟も。
 それらをすべて超えたところで、なお、一緒にいたいと思うものなのかもしれない。


 圭介は、力なく笑った。
 耳に流れ込んでくるのは、哀しみにつぶされそうになっている、
 今出会ったばかりの女性だ。しかも彼女は、人の死に目に合いすぎて、かなり疲労してる。
 自分は、何ができるのか。・・・・・・何がしたいのか、考えてみた。
 圭介は、しゃがみこんでいる足を道路に投げ出す形に、ベタすわりをした。
 足や尻にかけてアスファルトの感覚が、ズボンから伝わってこなくなっている。
 全身のけだるさを感じながら、目を閉じた。雪子との会話に集中するために、目を閉じたのだ。

69 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:57:39 ID:ORiTd2es
「雪子さん」
「はい」
「生きてね」
 その言葉の重みに、雪子はまた泣く。

「辛かったら、どうしても辛かったら、雪に触れるといいけど」

 雪子は、目の前の圭介の腰付近に目をやった。
 少し、白くなってきているのが見てわかる。
 雪子は、小さな悲鳴を飲み込んで、その場にへたりこんだ。
 雪子のそんな様子を感じながらも、圭介は話し続けた。
「見送るのって辛いじゃん。残されるのっていやだよな。でも、俺、今わかったわ」
 一呼吸おく。

「先にいくのも、嫌なもんだな」

「もっと雪子さんと、話したかったな。雪子さんの話、聞きたかったよ。
 なんで着物着てるのとかさ、着物の魅力とかさ・・・・・・一緒に生きたいなって思ってる」

「泣いちゃうこと、言わないでください。そう思うなら、まだいかないでください」
「うれしいねえ。女の子にそんな風に言われるの、初めてだ」
 圭介は、また一呼吸おいた。

「言ってほしいセリフ、リクエストしちゃおうかな」
「・・・・・・当店は、そんなサービスはしておりません」
「いいね、いいね。なんか、俺、生きてたいってかなり思えてきた」

「好きだよ」
 圭介は、必死に声を振り絞った。
「こんな状況だからとか、余計なこと思わないで。素直に思ったんだ。
 好きだ。だから生きてほしい。いや、生きて」

 雪子は、圭介の声を、言葉を逃さないように、聞き入った。
 圭介は、なおも言葉を続ける。


「ありがと。・・・・・・マジで。」
「・・・・・・いいね、まずは1週間は生き延びることを考えて。
 店の中の食べ物とか探して。外に出ちゃだめだよ。雪に触れちゃ、だめだ。
 そこで、情報をまずは、集めて・・・。パソコンとか、いろいろ探すんだよ」

 がさっ

 たぶん、外ではそんな音が聞こえたのかもしれない。
 圭介の、電話を持っていない腕が白い雪となって、地面へと落ちた。
 電話からの声は、まだ、続いている。



どうか生きて。
ここで会ったのは偶然だけど
こんな恐怖と絶望の白で埋め尽くされた場所に、
残していく君に言うことじゃないかも
それでも
君の幸せを祈らずにいられない
どうか
俺にとっての恐怖の白が
君にとっては「ひかり」の白でありますように

君にとっては、はじまりの白でありますように。



 圭介の声は、もう聞こえない。
 どこからかの、交差点の音が、携帯から聞こえる。
 雪子は、その携帯の音を聞きながら、店の奥にある給湯室に向かい、
ポットの中のお湯を確認すると、急須にたっぷりの茶葉を入れ、熱い緑茶を入れた。

 また、そのお湯を小さなボウルにためて、白い清潔なミニタオルを浸し、
 しっかりしぼると、顔にのせたり、首筋を拭いたりした。

 ふう、と一息つく。

 緑茶の熱さと、タオルの熱さに雪子は安堵を覚えた。
 そして、店の展示してある、小物のところから、白い香炉と香木を持ち出し、
携帯が置いてある場所に、そっと置いた。
 煙は、ショーウィンドウにあたる。白い煙が、外のもたれかかるように、積もった雪に消えていくようだった。
 携帯は、まだつながっているようで、外の音を拾っているようだ。

「圭介さん、あなたの好きな香り、聞いとけばよかったな」

 そう、雪子はつぶやくと、親指に思いっきり力を込めて、通話ボタンを切った。
「切っちゃって、ごめん。・・・・・・でも、さ。情報収集するから」

 雪子は、長い髪の毛をひとまとめにし、携帯を持ち、店の奥に進んだ。

「さて、はじめよう」


  了

70 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:58:51 ID:ORiTd2es
152 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/17(金) 00:05:54 ID:ee8c8bc96 [sage]
以上です(*`Д´)ノ!!!

短くなかった・・・すごい長かった・・・m(_ _)m
気が向いた方だけお読みくだされ(*`Д´)ノ!!!

153 名前: イザベル :2015/04/17(金) 07:49:38 ID:9cdda1fc3 [sage]
一気読み(^.^)
またのちほど(*`Д´)ノ

154 名前: ポール :2015/04/17(金) 08:49:33 ID:977ae53f4 [sage]
恐れ入谷の葉葉母神
塩にはこんな恐怖は入っていなかったよ...
お見事です(*`Д´)ノ

155 名前: イザベル :2015/04/17(金) 09:50:29 ID:9cdda1fc3 [sage]
雪の切片が思いがけなく唇にはりついたときの
ひんやりと心地良いあの感触・・・どころじゃない!
経口感染じゃないのん?
皮膚感染もあるのん?
服の上からでもあかんのん?
鉄は錆びるだろうけど綿100パーセントならおk・・・じゃない!
ケータイを握っていない手がばさっと落ちて、ケータイの声はまだ続く((((;゚Д゚)))))))
ガクブル状態に目がいきがちですが、ここはやはり圭介と雪子の最初で最期の出会いに思いを馳せなければ。

ケータイの番号を窓ガラス越しに見せるというシーンは良いですね(^.^)おぉ、と思いました。
虚無的に自分のことだけ考えて生きてきた圭介が、最期に考えたのは雪子さんのこと。
「先に逝くのも嫌なもんだなと今わかった」という箇所で自分を残して先に逝った両親(事情は妄想済みw)を許し、他者をいたわるという気持ちを思い出したようです。
「どうしても辛くなったら雪に触ればいい」という逃げ道も示しておくところに圭介らしい優しさが現れていると思います。
「白」は虚無的であると同時に清新さも感じさせる不思議な色ですね。
色と呼んでよいのかわかりませんがw
HP、MPがわからない華麗種(´・_・`)
血糖値的なこととは思うのですが・・・
156 名前: ポール :2015/04/17(金) 12:08:03 ID:977ae53f4 [sage]
でもね、女の怖さというか逞しさまで表現されているよねw
アンナの強さかもしれないけど...
塩の遼一と海月の部分では
遼一はどういう行動を取りましたか?
ある意味、男は純だね(*`Д´)ノ

71 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:59:23 ID:ORiTd2es
157 名前: アマデ :2015/04/17(金) 12:19:28 ID:66616ac90 [sage]
自信過剰で短絡的、頭がいいんだ俺は。そう自分を評価している男
自分がどういう人間かよくわからず、ゆっくり確かめながら生きてきた女

2人が出会った時、自分の評価と違う一面を認識するところがなんとも切なくて・・・
携帯のやりとりはバッチリですね(*^_^*)
イザベルさんと同様におぉその手があった!!と思いました
おそらくはその携帯で幾人かの最後を看取ったかもしれないなぁと・・

原因が何かわからないままの恐怖もたっぷり
ちょっと白の世界が怖くなったかも∑(゚∇゚|||)

158 名前: イザベル :2015/04/17(金) 12:26:02 ID:9cdda1fc3 [sage]
>>156
ポール、「塩の街」ではくらげ(海月)も出てくるの(・◇・。)?

159 名前: アマデ :2015/04/17(金) 12:26:21 ID:66616ac90 [sage]
>>155
イザベルさん
HPはヒットポイント、MPはマジックポイント
ゲームのライフゲージだった思いますよ(*^_^*)
私も詳しくはないですが(;^_^A

160 名前: ポール :2015/04/17(金) 12:30:21 ID:977ae53f4 [sage]
名前だけだよw みつきちゃん
すでに塩になっているんだけど、
きっとかわいい娘だったんだろうな,
と思わせる。 純な私は涙したのだ(*`Д´)ノ
161 名前: V3 :2015/04/17(金) 12:57:25 ID:cf061a5b7
不思議なご縁ですね
有川浩の「塩の街」自体は読んでいないリーフさんが、まさかその派生作品に感化されて小説を書かれていただなんて…

この作品は、正に塩害が起きた時、数多遭ったエピソードの一つだとストレートに受け止めました


リーフさん、是非、「塩の街(全作品収録の文庫本)」を、読んで見て下さい
運命的なモノすら感じるかも知れません
(私は、感じてしまいました)

もっと詳しくリーフさんの力作の感想を書きたいのですが、「塩の街」のネタバレになりかねないのでグッと堪えておきます(;^_^A

162 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/04/18(土) 01:32:47 ID:349adf5b1 [sage]
>>154
辛抱さん
さっそくお読み頂いてありがとうございます(*`Д´)ノ!!!
読むの、早くてびっくりしましたw
塩の街を読んだら、また色々変わってくるのかもしれません。

>>155
イザベルさん
ありがとうございます。
恐怖の白を、ここまで読み取ってくださるとは。感無量でございます(*`Д´)ノ!!!
HPMPは、HPが体力MPが精神力みたいなニュアンスです。
ゲーム用語を出すことで、圭介たちの年齢を表したかったため出しました。

>>156
いやはや、私が現れてますかね・・・?テレテレ
切り替えていかなきゃ!というのが、最後の雪子ですね。ああ、生き延びて何かを掴んでほしい・・・。

>>157
アマデさん
お読みいただき、ありがとうございます。
わあ、ここまで読み取って頂くとは・・・・もう本当に素直に嬉しい。頑張っちゃうw
触れずに出会うにはどうすれば・・・?と考え抜いたんですよねえ。ええ。

>>161
V3さん
お読み頂きありがとうございます。いやはや、お恥ずかしい。
正直言うと、小説スレで塩の街の話が出るたび、ドキドキしていました。
私のこの作品を、V3さんたちに読んでいただきたい・・・とドキドキしてました。
そして、その後、塩の街を読み、小説談義に参加したい(*`Д´)ノ!!!なんて勝手に順序を考えてましたw

塩の街を読みますので、是非またV3さんの私の作品の詳細な感想をお聞かせくださいませm(_ _)m

72 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 10:59:44 ID:ORiTd2es
163 名前: イザベル :2015/04/27(月) 09:57:47 ID:427e16cb0 [sage]
《R barにて》

ふと目にとまった、あるレトロなビルの一角にその場所はあった。
オーク材の美しい扉に引き寄せられたからだと説明するしかないだろう。事務所にはみえない。看板の類も一切無い。しかしその美しい木目の扉に立ち去りがたい魅力を感じ、そっとなでてみる。真鍮の握り手の横にある小さな金属の板には「R bar」と刻印されていた。通りから眺めるだけでは気づかない。なにせ立派なオークの扉があるだけの店構えなのだから。扉の小さなすりガラス窓の向こうは明るい。一瞬の迷い。のぞいてみようか。おそるおそる、身体が半分入るくらい扉を開けてみる。同時に流れ出てくるピアノの音。

「いらっしゃいませ」

ピアノの音色とゆたかなバリトンの声に誘われて、気がつけば足を踏み入れていた。

そこは天井までオーク材がふんだんに使用された落ち着いた佇まいの、カウンターのみのバーだった。オークの褐色以外にほとんど目に付く色は無い。英国小説によく描かれる紳士クラブとはこのような感じなのだろうか。比べるには少し狭すぎるが、雰囲気はまさにそのとおりだ。「いらっしゃいませ」ふたたび柔らかなバリトン。声の主に目を向けるとバーテンダーと思われる男性がひとり。立ち姿も面差しもすっきりとした30代くらいの、白く清潔な上着にネクタイを締めた男性がカウンター越しに柔らかい微笑みとともに迎えてくれた。その微笑みに、いちどに緊張がほぐれる。

手触りのよいモールスキンの品書きを手に取る。
ワイン、ビール、ブランデー、ウィスキー、そして正統派のカクテル類。
料理はイタリア風のものが多い。バーの品書きにしては頁数が多いなと感じながらさらにページをめくっていくと・・・。

数学・・・物理学・・・化学・・・?!

品書きを手に固まってしまった私に優しく声がかかる。
「あいにく本日はわたくしだけですので物理学のみの対応となります。ご了承くださいませ」
物理?混乱する頭であわてて再び品書きに目を落とす。難しい単語の羅列。
その中でただひとつ・・・「フレミングの法則」にぼんやりと記憶がよみがえる。

「フ、フレミングの法則をお願い・・・します」
「承知いたしました。その前に、お飲み物はいかがいたしましょう」
あぁそうだった。まだ混乱する頭であわてて考える。カクテルは苦手なのだ。
「し、白ワインをグラスで」「トスカーナの白が本日はおすすめでございます」「お願いします。それから鰯のフリットとカプレーゼサラダも」「承知いたしました」

レモンと塩が添えられ、からりと揚がったイワシとよく冷えた白ワイン。はやくも心地よく酔いがまわってくる。カプレーゼも絶品だ。店内に流れるピアノの音が途切れ、バーテンダーは慎重な手付きで取り替えたレコードに針を落とす。吐息をもらすようにひそやかに音楽が始まる。やがてわたしはチェロの深い響きに全身を包みこまれた。

「そろそろフレミングの法則になさいますか」
目の前の、バリトンの彼は微笑んだ。
「お・・・願いします」さらにワインをひとくち、どうにでもなれという気分。
「では」と彼は私の目の高さにすっと手を差し出した。

「・・・以上でございます」
白状しよう。手品師のようにしなやかに動く細長い指先にみとれるばかりで話の半分も理解できていなかった。

「ごちそうさまでした。あの・・・」
まさか初対面の男性の手の美しさを誉めるわけにもいかず、あわてて話題を探す。
「店に入ったときにかかっていたピアノ曲は何ですか」
「バッハの平均律です」
「チェロの曲は?あの、ワインを出していただいたときのあの曲がとても心地よくて」
あぁ、そうでしょうとも、という表情で微笑む。
「バッハのプレリュードのことをおっしゃっているのでしょう。無伴奏チェロ組曲第一番。
ウイスキーのお客様もブランデーのお客様も同じようなことをいわれます」

「おやすみなさいませ。お気をつけて」
静かにオークの扉が閉まった。扉を背にしたまま、わたしは呆然と立つ。
不思議な店。
てっきり、日本料理店の板前が身につけている白い上着を着ているのだとばかり思っていた。バーテンダーがドアのところまで見送ってくれたときにはじめて気がついたのだ。

裾が膝下まで長い、つまり、白衣だった。

======================

73 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:00:05 ID:ORiTd2es
164 名前: ポール :2015/04/27(月) 10:32:19 ID:f801b0186 [sage]
イザベル
いいね。
雰囲気もイザベル(?)の緊張までもが伝わってくる。
さぁ、躊躇は要らない、続編行ってみようか
(。ー@д@)ノ...

165 名前: アマデ :2015/04/27(月) 15:50:37 ID:1d89092c4
すばらしい(*゚▽゚ノノ゙☆パチパチ
この店どこにありますか??
せひ行ってみたい・・・

都会の?隠れ家のようなバーって憧れるし
バーなら異次元の雰囲気のあるのがサイコーだと(思ってるだけなのですがww)
おいしいお酒、おつまみ、洒落た会話・・・なにより(イケメン)バリトンのバーテンダーとくればもう何話してんのか解らなくてもおk(*^▽^*)oエヘヘ!

続きがすごく気になる・・・
じっくり考えていただきたいけど・・早く読みたいです+(0゚・∀・) + ワクワクテカテカ +

166 名前: イザベル :2015/04/27(月) 16:19:04 ID:427e16cb0 [sage]
>>165
アマデさん、ありがとうございます。
法則を
身近な何かにたとえて説明できるバリトンの彼(*`Д´)ノ
そのような設定ですが、いかんせん私の理解力が足りん(´;ω;`)
物理呪文と思ってください。
雰囲気に酔えれば良し!ということで(^.^)

74 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:00:28 ID:ORiTd2es
167 名前: イザベル :2015/04/28(火) 10:31:04 ID:35def9310 [sage]
第2回《幻 まぼろし》

オークの扉のすりガラス窓の向こうに灯りはみえない。
定休日なのだろうか。足に羽が生えたかと思うほどうきうきとした気分でたどりついただけに落胆は大きい。

あの日、定休日の確認をし忘れたことに帰宅してから気づき舌打ちをしたくなったのだが、大丈夫いまは便利な時代なのである。
ところがだ、いくら検索しても見つからないのだ。
不思議に思いながらも、自分自身を納得させることにした。
あのお店を見つけたことをわたしは他人に教えるだろうか?
情報が無いことに、かえって踊りだしたいほどの高揚感を覚えたのである。

ため息とともにうなだれて、扉の握り手に目がいったときに気がつく。
「R bar」と刻印された真鍮の板が、無かった。

今日も行ってみる。たしかにあの場所。あのドア。
しかし「R bar」と刻印された真鍮の板は無い。
灯りももれていない。次の日も、その次の日も。
なんとなくこのまま帰るのもためらわれて未練がましくビルのまわりを一周してみることにした。そして妙なことに気がついたのだ。ビル一階のかなりの部分を占めていると思われるのに、どうしてカウンターだけの店?
これでは調理場が広すぎる計算になってしまう。
==============================
168 名前: ポール :2015/04/28(火) 10:43:28 ID:6d25b3f27 [sage]
予想外の展開...
イザベルは救われるのか
(。ーOдO)ノ

169 名前: イザベル :2015/04/28(火) 10:57:05 ID:35def9310 [sage]
>>168
妄想の翼はどこまでも〜です(^.^)

170 名前: ポール :2015/04/28(火) 11:01:59 ID:6d25b3f27 [sage]
ワシはやっぱりオオカミか...

171 名前: アマデ :2015/04/28(火) 17:15:23 ID:a0d531249 [sage]
えっ???r(・x・。)アレ???
ミステリアスな展開+(0゚・∀・) + ワクワクテカテカ +

店の半分は○○○なの??
いやー楽しみぃヾ(〃^∇^)ノ

172 名前: V3 :2015/04/28(火) 17:30:56 ID:4ba8f57cd [sage]
おお、幻想譚?
続きが非常に楽しみです(*`Д´)ノ♪♪♪

173 名前: イザベル :2015/04/28(火) 20:37:30 ID:35def9310 [sage]
アマデさん、V3さん、
読んでくださってありがとうございます。
勝手気ままに妄想中で(ノ´∀`*)どうなることやらw
とりあえずはアタマの中のものを徐々に吐き出すことにしますw

75 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:00:49 ID:ORiTd2es
174 名前: イザベル :2015/05/03(日) 20:37:36 ID:c696b03da [sage]
《R barにて》第二夜

今日で最後にしよう。
もともと閉店予定だったのかもしれないし。
他にもバーは星の数ほどあるのだし。
本当に今日で最後。
あきらめと期待がない交ぜになった気持ちのまま扉の前に立つ。

「R bar」の板はあり、灯りはともっていた。

扉を開けるとまず目に飛び込んできたのは、正面の壁に額縁をかけようとしている白衣の後姿だった。「いらっしゃいませ」と振り返ったのは眼鏡をかけた青年。先日のバーテンダーよりはかなり若いようだ。人懐こい笑顔を浮かべている。カウンターに座った私は相手の若さにたじろぎ、願いがかなって嬉しくもあり、ずいぶんと待たされて腹立たしくもあり、照れ隠しで少し攻撃的な態度に出たくなった。
「あのですね」
「はい?」
「何度もお店の前まで来たのです。でもいつも真っ暗。いったいどういうことなのですか」
「え〜と、営業日はいつ?とおたずねくださるほうが、と言いたいけどそれも難しいな」
「はあ?」
「ほぼ週に一度は開店しています。はい」私の非難がましい口調に、あわてて彼は答えた。
「ほぼ?」
「学会とかフィールドワークとかあるので・・・すみません」とさして申し訳なくもなさそうに答える。本物の白衣を着る人なのか、と一瞬納得しかけるが、いや待てそんなほぼ週一バーなんて許されるのかとか、そもそも研究者バーテンダーなんて嘘だろうとか心の中で首をふりつつ意地悪な質問をする。
「研究者というからには企業や大学などに勤務しておられるのでしょう?副業は禁止されているのではありませんか」
「この店で報酬は受け取っておりません」
「趣味か道楽だとおっしゃるのですか」
返事のかわりに人懐こい笑顔。脱力して攻撃の手を緩めざるをえなかった。
もう、おいしくて楽しければなんでも良しとするか。

「どうしてわざわざ白衣なのですか」
「オーナーが個性的なひとで、人にも店にもクセがあるほうがいいとかなんとか・・・ところでご注文は何になさいますか」
「・・・ワインがいいです」
「本日のおすすめはラングドックの軽めの赤ですね。白ならオルビエートがあります」
「では赤をグラスで。牛ほほ肉の赤ワイン煮とスペイン風オムレツもお願いします」

軽めの赤ワインの酔いはじわじわとやって来る。
カウンターには先日は見かけなかった木彫りのキツツキ。キツツキの黒と赤がオークの褐色以外にほとんど色の無い店の中で目立っていた。ふと思い出して彼が壁にかけていた額縁に目をやる。ふくろうのリトグラフだった。店内に流れる音楽はギター曲。
「この音楽はなんですか」
「ジプシーキングスのインストゥルメンタルです。ヴォーカルのも流したいけどアクが強すぎるという人もいるから。僕はあの潮がれ声好きなんだけどなあ」
「かっこよくていい感じですね」
「そうでしょう?じゃあ、ヴォーカルのも鳴らしていいですか?」
ちょうどオムレツをほおばっていた私はうなづいた。青年はうれしそうにCDを取り替えた。流れてきたのは早口の渋い声のスペイン語。
「バー」が「バル」に早変わりだ。

「あの、お店の名前についてききたいのですけど。“アールバー”ってどういう意味なのですか」
「“あるバー”ってことですよ」
「え?」
「すいません。冗談です。ええとですね、“理科バー”あるいは“リカヴァー”の略です。あ、bとvの違いは見逃してください」

「理科バー」はわかる。そのままだ。でも「リカヴァー」は?
彼いわく、そのままの意味だという。研究疲れから復活するという意味。
飲み客の相手をすることで疲労が取れるのか疑問だが、彼の話によると、専門的な内容を素人相手に噛み砕いて説明し、相手が起こす反応で思いがけず研究開発のヒントが得られることもあるとか。
よくわからないが、もうおいしくて楽しければいいやという気持ち。
白のおすすめワインも当たりのようだし。

「外からみるとカウンターだけじゃなくてもっと広そうな印象ですね」
「えぇと、厨房や倉庫はゆったりとしたつくりですね。これもオーナーの主義です」
理科系の人間が好きな、商売っ気の無いオーナー?
これまたよくわからないが、もうどうでもいい。そろそろお願いしてみようかな。

「それで、あなたのご担当分野は何なのですか」
「僕は、鳥です」
まじめな顔で、彼はくいっと人差し指で眼鏡をなおしながら言った。
==============================

76 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:01:16 ID:ORiTd2es
175 名前: ポール :2015/05/03(日) 20:49:39 ID:b7e4a1ec8
イザベル
やっぱりお客は君かな^^?
今日のバーテンダーは誰かな、と思わせつつも
次回は彼に鳥を語らせるという...
展開も流れが出てきてとてもいいですね。
待った甲斐があったし次回が楽しみです
(。ー@д@)ノ...

176 名前: V3 :2015/05/03(日) 20:54:37 ID:41fbe8972 [sage]
>飲み客の相手をすることで疲労が取れるのか疑問だが、彼の話によると、専門的な内容を素人相手に噛み砕いて説明し、相手が起こす反応で思いがけず研究開発のヒントが得られることもあるとか。


そう来ましたか!
BARの存在理由、ビタリと嵌まって目から鱗です!
成る程と、唸ってしまいました(*`Д´)ノ♪♪♪

続き、楽しみにしてます( ´ ▽ ` )ノ

177 名前: イザベル :2015/05/03(日) 21:09:44 ID:c696b03da [sage]
>>175
ポール読んでくれてありがとう。
ちゃんとフクロウもだしましたよ。
なんてったって”願望小説”ですから。
好きなモノだけで出来ています(`・ω・´)

178 名前: イザベル :2015/05/03(日) 21:13:14 ID:c696b03da [sage]
>>176
V3さん読んでくれてありがとう。
存在理由はもうひとひねり考えているところです(^.^)

179 名前: アマデ :2015/05/05(火) 09:29:08 ID:4a9d29115
趣味でやってるサークルみたいですねww
ん〜どうなるんでしょう??
萌えるの?ねぇ萌える??

オーナーってもしや?あの人ですか??
続きがたのしみぃぃぃぃぃぃ♪ゝ(▽`*ゝ)(ノ*´▽)ノワーイ♪
180 名前: イザベル :2015/05/05(火) 09:45:13 ID:ea22da348 [sage]
>>179
アマデさん、読んでくれてありがとうございます
わたくしは常に萌えながら書いておりますw
このお話はすべて私のひとりよがりの萌えから成っております

「パリは燃えているか」
いや
「読者は萌えているか」

ともに萌えていただければ幸甚でございますm(_ _)m

77 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:01:36 ID:ORiTd2es
181 名前: イザベル :2015/05/05(火) 19:17:21 ID:ea22da348 [sage]
《R barにて》第二夜 オークの扉のそれぞれの向こう側

「あぶないところだった。勘の良い女性だな」
「だから言ったじゃありませんか。もっと外観に偽装を凝らしたほうがいいって」
「きょうはもう閉店にしよう。読みたい本もあるし」
「じゃあスペイン風オムレツの残り、みんなで食べてもいいですか?」
「いいよ。お疲れさま」
「お先に奥でくつろがせてもらいます」
「フクロウとキツツキも連れていくの忘れないで」


週末に双眼鏡を買いに行こう。まずは近くの公園からはじめるといいらしい。
さらさらの砂のグラウンドの端っこにある、楕円のお椀形のような窪みを探しに行こう。

「鳥見に興味ありますか」
「トリミ?」
「あ、すみません。野鳥観察のことです」
「特に興味ないですけど。まあ、スズメはときどきながめたりしますね。歩いてると自然に目に飛び込んできますし」

彼は満面の笑顔になって言った。
「自然に目に飛び込んでくるというのは、とても、素晴らしいことです。道を歩くほとんどの人は小鳥の存在なんて気にもしていませんからね」

「鳥の名前を聞いたことがあっても実物がどんなものだかは知らないことがほとんどです。残念ながら」
「鳥の立場からすれば名前なんて人間が勝手に付けたものだけど、やはり知ると楽しいものですよ。分類して名前をつけたがるのが人間のクセですね」
「“ものさし鳥”という鳥がありまして、まあだいたいスズメ・ハト・カラスの3種類が基本かな。この地域だとムクドリなんかも加えたらいいかなあ。この鳥たちを観察して、鳥の見分けをするときのヒントにします。スズメよりは大きいがムクドリよりは小さいとかいうふうにね」
「なるほど、ものさし、ですか」
「歩き方も鳥によってちがいますよ。ハトはウォーキングタイプ。ハトがぴょんぴょん跳ねているところ見たことないでしょ?スズメはホッピングタイプ。スズメがのこのこ歩いてませんよね。カラスは器用なやつらで、両方できるんだよなあ。ムクドリもセキレイものこのこタイプだな。ヒヨドリなんかは滅多に地上に降りませんね」

いわれてみると確かにその通りだ。

「足の長い小鳥は地上生活が多く、短い鳥は樹上生活が多い。一般的にですが」
「飛び方もハトは直線的だし、カラスはふわふわ上下にゆれる。セキレイは波型です」

えっと、つまんないですか。
いえ、とんでもない。ワインのおかわりをお願いします。
あ、これは気がつかなくてすみません。赤?白?
白で。オルビエート以外にありますか?3杯も飲むなんてめずらしいわ。

「観察方法の説明ばかりするのもなんですし、とっておきのをお見せしましょう」
そう言って彼はカウンターの下からファイルのようなものを取り出した。
「これひょっとして、ご自分で撮影なさったのですか」
「そうです」くいっとメガネを直しながら彼は答えた。
「どの鳥もみなそれぞれに美しいと僕は思っているけれど、まずは女性に人気の青い鳥」
「綺麗ですね!オオルリという名前は聞いたことありますが、意外に顔が黒い。
ルリビタキには黄色い部分があるのですね。コルリは白い部分が多くて青色とのコントラストが美しいです」
彼は、じゃあ赤い鳥、次は黄色い鳥、と次々にページ繰って見せてくれた。

「派手な色に目がいきがちですけど、これはどうですか」
といって最後にみせてくれたのはスズメが翼を広げて羽づくろいをしているところ。その美しい茶色のグラデーションにしばしみとれた。
野生のものはすべて美しいのです、と彼は微笑んだ。

ごちそうさまでした。とても楽しかったです。
それはよかった。ところでスズメの水浴びはみたことありますか?
あ、ときどき道にできた水溜りでやってますね。
じゃあ、砂浴びは?
砂浴び?
公園の、さらさらした砂のあるところでこんな形の窪みを見つけて、ときどき通うといいことあるかもしれません、そう言って彼は両手の親指と人差し指で楕円形をつくった。
==============================

78 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:01:56 ID:ORiTd2es
182 名前: ポール :2015/05/05(火) 19:33:56 ID:60a67a570 [sage]
イザベルワールドに入って来ましたねw
まだ全体像が語られていないところをみますと、
かなり続きますね^^
楽しみはこれからだ(*`Д´)ノ
かな(。ー@д@)

183 名前: イザベル :2015/05/05(火) 19:42:14 ID:ea22da348 [sage]
ポール読んでくれてありがとう。
オーナーを一瞬出演させました(^.^)

184 名前: ポール :2015/05/05(火) 19:53:32 ID:60a67a570 [sage]
オーナーだったのかw
若い感じがしたなぁ( ゚д゚)

185 名前: JB :2015/05/05(火) 20:22:52 ID:ea22da348
>>184
あちゃ、オーナーとわかりませんでしたか。
私の筆力の無さですorz

186 名前: イザベル :2015/05/05(火) 20:26:15 ID:ea22da348 [sage]
あう、イザベルになってなかった(´;ω;`)
二重のorz

187 名前: モニカV3 :2015/05/05(火) 23:23:54 ID:cbeb55ab7 [sage]
ついに幕を開けましたね(*`Д´)ノ♪

イザベル的理科バー、どんな貌を見せるのか、とても楽しみです( ´ ▽ ` )ノ

188 名前: アマデ :2015/05/06(水) 11:44:48 ID:569bc6669 [sage]
何が始まったのでしょう?
偽装?なんのための?
すごい気になります(゚▽゚*)▽゚*)▽゚*)▽゚*)▽T*)ニパッ♪

189 名前: イザベル :2015/05/06(水) 21:09:22 ID:b9705e1e9 [sage]
モニカV3さん、アマデさん、
読んでくれてありがとう。
いや、ちょっと、「偽装」という言葉は刺激的すぎたorz
そんなたいした構成じゃないんだ・・・(´;ω;`)
なまあたたかく見守ってくださいm(_ _)m
とりあえず突っ走りますw

79 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:02:19 ID:ORiTd2es
190 名前: イザベル :2015/05/08(金) 07:22:35 ID:7a7b1fd8b [sage]
《R barにて》第二夜 フェロールーム

小説、哲学、歴史、音楽の本を中心に天井までぎっしりと本・本・本
アナログレコード・CDの専用棚
食卓、書き物机、工作机、ローテーブル
長椅子、肘掛け椅子、揺り椅子、書架の前にも小さな椅子・・・

フェロールーム鉄の掟三か条
部外者を入れるな
飲食の後始末をせよ
「そのとき」が来たら速やかに撤収せよ


「オムレツ3人分もってきました。オーナーの焼くオムレツ、絶品ですよね」
「あれ、もう閉店?」
「読みたい本あるらしくて」
「あの人も気まぐれだな。あんたは何読んでんの?またバッハ関連?」
「バッハの無伴奏チェロ組曲、弾いてみたいんですよね。ここにチェロ置かせてくれと言ったらオーナー許してくれますかね」
「オーナーが許してもおれが許さん。音程の狂った弦楽器は聴いてられん!」
「ぼくも嫌ですよ。チェロってそんなに簡単に弾けるもんすか?」
「バイオリンやってきたから、独学で弾けるようになるかもと思ってるんだけどやっぱり無理かな」
「ヘッドフォンでサイレントチェロなら許す。いや、それより耳よりな情報をやるよ。こないだバッハのチェロ組曲バイオリン版の楽譜を発見した。これで解決」
「え、サノ書店で?!おおおお、明日さっそく行ってきます!」
「キツツキに色塗ったのか。それらしくなったな。木彫ってそんなに楽しいか?」
「バード・カーヴィングっていい加減覚えてくれたらうれしいっす」
「いま彫ってるちっちゃいのはなんていう鳥?」
「これはシマエナガ。きょうは野鳥観察講座にしました。バイオ工学なんか話しても退屈させるかなと思って。一応鳥に関してはセミプロの自覚あるし。そうそう、きょうの女性客から鋭く指摘されました。外から見た感じだともっと広そうなのに、って不思議そうに言われちゃった。テキトーに誤魔化したっす」
「べつに怪しい実験室があるわけじゃなし、バレても構わないんじゃありませんか」
「だめ。ここは紳士クラブだぞ」
「そういえば、どうして女性研究者がここにはいないのですかね」
「女性は男性よりも気分転換が上手いからこんなクラブ必要ないんだって、オーナーが言ってたっす」
==============================

80 名無しさん@おーぷん :2015/05/12(火) 11:02:41 ID:ORiTd2es
191 名前: ポール :2015/05/08(金) 08:13:22 ID:279de1eda [sage]
バックヤードが明かされていく。
イザベルの妄想は尽きることなく膨らむ予感( ゚д゚)
しかし、大学の研究室の雰囲気が漂うのは妄想だけじゃないね
(o。゚д゚)ノ
192 名前: アマデ :2015/05/08(金) 12:47:55 ID:28b885876 [sage]
こんなバックヤードになってたんですねo(*^▽^*)o~♪

研究に憑かれた男たちの趣味の部屋?
秘密基地ってやつですね?
覗いてみたいわ〜〜(o^∇^o)ノ

193 名前: ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/05/08(金) 15:51:19 ID:931f49757 [sage]
なんという素敵なバー・・・うっとり・・・

イザベルさん、遅くなりましたが、読みましたw
ああ、オークの扉、美味しいオムレツ、鳥談義と弦楽器に花が
咲く理系の男前たち。
わかります、すごくわかります。萌え〜〜。
続きがすごく楽しみです。

女性は、男性たちの楽しみに自然と溶け込んでいくのか
掟どおり、こつ然と姿を消すのか
wwわくわくww

194 名前: イザベル :2015/05/08(金) 18:15:50 ID:7a7b1fd8b [sage]
>>192
アマデさん、ありがとう
ライバルからも家族からも恋人からもちょっと離れて
自分たちの時間を楽しむのです(^.^)

>>193
リーフさん、ありがとう
理知的な男たちがゆっくりと疲れを癒し息を吹き返す場所
萌えますやろ(^.^)

195 名前: V3 :2015/05/08(金) 20:26:44 ID:09d5a7a8b [sage]
遅参しました(;^_^A

男性陣の生き生きとした様子がいいですね〜♪
ウエイターとして登場した時の抑制的な感じが剥がれたら、こんな感じなのですね♪

会話の内容は教養高いものですが、楽し気な様子は男の子そのものって感じが、またイイw
好きな事に全力な理系男子達

多くの女性を虜にすること、請け合いですね(*`Д´)ノ♪♪♪

196 名前: JB :2015/05/08(金) 20:57:43 ID:7a7b1fd8b
>>195
V3さん、ありがとう(^.^)
世間にきっとこんな場所はあると思います
小人になって誰かのポケットの中から観察してる気分で妄想w

81 ミセスリーフ ◆8d/HDubVr. :2015/05/12(火) 11:03:53 ID:ORiTd2es
以上がお引越し内容になります♪♪

引き続き、じゃんじゃんバリバリ書き込みお願いしますm(_ _)m

82 V3 :2015/05/12(火) 13:38:15 ID:Eeqqmv9I
お疲れ様でしたm(_ _)m

こちら、字数制限がキツいみたいですね
一レス、千字位なのかしら?

私の小説は長文傾向にあるので、お手間取らせてしまいましたね(;^_^A
ご面倒おかけして、すみませんでしたm(_ _)m

83 V3 :2015/05/13(水) 22:10:52 ID:52nUka1Q
ここに書くのは筋違いなのは百も承知で…

リーフさん、良かった(*`Д´)ノ!
実はずっと、気になってました
でも、引っ越しがきっかけになったようで、取り敢えずおめでとうです!

ひとまず、これだけw

84 ミセスリーフ :2015/05/16(土) 22:20:25 ID:KFoVlWTk
V3さん
引っ越し、楽しかったです。
このスレは誤爆なく、引っ越し終えてよかったですww
みなさんの文章をお預かりしている気分でしたw

自分の過去分が掲載されているあの部屋も、いつのまにやら
引っ越しが終わってました。エルミタージュ図書館には小人さんが
多数いらっしゃるみたいで。またもしかしたら、図書館だけでなく
サブ全体にいらっしゃるのかもしれませんがw
助かりましたよ。小人さんたち、ありがとう〜〜。

V3さんが気にかけていらっしゃるのは、ずっとわかってました。
ありがとうございます。
ただ、以前と違って私は、時間的に厳しい状況なので
以前のように文章を読み込むことや交流する等、できないので・・・。
そういた理由もあるので、あまり深読みせずにV3さんも
また気にかけて下さる方々も、
ご心配なさらずに♪♪

こちらでもよろしくお願いします(*`Д´)ノ♪♪♪

85 イザベル :2015/05/18(月) 17:00:40 ID:sUgA2xno
《R barにて》 鳥とバッハと

ゴルトベルク変奏曲。本日の散歩のお供。不眠に悩む貴族のためにバッハが作曲したという。最近のお気に入りだ。今まで興味が持てなかったことが信じられないくらいに今はバロック音楽に浸りきってしまっている。

実は公園のとある場所についに見つけたのだ。“楕円のお椀形のような窪み”を。

公園にある遊具の鉄棒。その支柱の根元付近にその窪みはあった。そばを通りかかったときに数羽の雀がいっせいに飛び立ったので気がついたのだった。それはまるで小さなすり鉢のような逆円錐形の窪み。しばらく様子を見ようと少し離れたベンチに腰掛けてみたものの、あいにく子供達が遊びにきてしまった。しばらく去りそうにもない様子。その日は時間つぶしの一冊の本すら持ってきていなかった。

きょうは本を一冊忘れずに持参した。三浦しをん作「仏果を得ず」。この小説を選んだ理由は、面白いことがわかっていて、そして、もう既に2回読了しているから。だから雀たちが来たことに気づいたらすぐに中断できる。そして耳に流れるはゴルトベルク変奏曲。全曲聴くとほぼ1時間。ピアノ版ではなくヴァイオリン・ヴィオラ・チェロの弦楽三重奏版にした。

鉄棒の近くに子供たちは見当たらない。しかし小鳥たちの姿もどこにもない。“雀のお風呂”に詰まった葉っぱを取り除いておく。ベンチに腰かける。あせる必要はどこにもない。ただ音楽を聴きに来ただけ。鳥見するときに重要な事、それは“何気なさ”だ。

美しい織り物を織り上げていくかのような変奏曲。第17変奏にさしかかったころ、視界の端に何かが動いた。数羽の雀。本を閉じてそっとイヤホンをはずす。まるで、だるまさんがころんだ、をしているかのように雀たちは徐々に円をせばめるように“窪み”に近づいてくる。その用心深さには感心せざるをえない。

86 イザベル :2015/05/18(月) 17:02:02 ID:sUgA2xno
一羽の雀が窪みにすぽりと入り、4、5回羽ばたきを繰り返した。その羽音は私の耳にも聞こえてくるほど意外に力強いものだった。細かい砂が羽ばたきを繰り返す雀の周囲に散る。いれかわりたちかわり雀たちは“入浴”を繰り返す。軽やかなその羽ばたきに思わず私は両手のひらでお椀形をつくり、その中にすっぽりと雀がおさまったところを想像する。
ぱるるる〜、ぱるるる〜、ほんのりと温かくてくすぐったい手触りなのだろうか。

子供達が歓声をあげながらこちらに向かって走ってくる。雀たちはまだ随分と距離があるというのに用心深く、さっと飛び去っていった。
==============================

87 イザベル :2015/05/18(月) 17:03:22 ID:sUgA2xno
《R barにて》第三夜

オークの扉を開けると、今夜は美しいクラリネットの音色が流れ出した。
「こんばんは」
「いらっしゃいませ」
30代後半くらいの浅黒い肌の少し無愛想な雰囲気の男性がひとり。
なんとなく緊張しながら、品書きを見る。
「エゾ鹿肉の赤ワイン煮と、リヨン風じゃがいものグリルをお願いします」
「承知いたしました。お飲み物は?」
「ワインのおすすめはありますか」
「店のおすすめはモンテプルチアーノダブルッツォの赤ですけれども・・・」
「・・・?」
「個人的にはタウラージを推したいですね」
その皮肉っぽい微笑みに少し反発を感じながらも、そのバーテンダーの薦めに従うことにした。

タウラージはかなり濃厚な味で、鹿肉とよく合った。酔いがまわるうちに私の緊張もほぐれてきた。口重な感じのその人にも負けない気がしてくる。
「これはクラリネットですね」
「ええ、モーツァルトのクラリネット五重奏曲です」
その後横たわる沈黙。
「ご専門は何ですか」
「医療関係です」
「わたしが日常生活で一番会う機会のある白衣の人ですね」
「まあ、ぼくは研究のほうですけどね。店のルールでは専門の話をする事になってますが、おいしいものを食べたり飲んだりするときに病気や怪我や細菌や薬の話なんか誰も聞きたくないでしょう?医療相談を受けるわけにはいかないし、いい病院紹介してくれとおっしゃるお客様もおられますが、それも困るし、あんまり期待しないでください。すみません、まるで予防線張るみたいな言い方ですね」
頭をかきながら必死で言い訳するその姿に親しみを感じ、酔いも手伝ってますます余裕が出てきた。
「では、趣味のお話なんてどうでしょうか」
「趣味ですか。う〜ん山かなあ」
「登山?わたしは高校生以来、していませんね」
「まあ、わざわざしんどい思いをして何が楽しいのかとはよく言われます」
「ではわたしもお尋ねします。何が楽しいのですか」

88 イザベル :2015/05/18(月) 17:04:07 ID:sUgA2xno
その人は苦笑しながらこう言った。
「登った者にしか見ることの許されない景色、と言いたいですが、天気が悪ければ何にも見えない。でも別に不満を感じるわけでもない。また今度来るからと思うだけ。登っている途中辛くなってくると、家でビール飲んでるほうが良かったなあ、と思うこともしばしば。さっき下ったばかりなのになんでまた登るんだよとやるせなくなったり。ほんとになんで登るんですかね。でもつい下を向きがちな視線のなかに好きな高山植物を見つけたり、いち早い紅葉を見つけたりなんかしたときに一瞬で気分が変わって疲労が消し飛ぶこともあります。“山とは人生だ”と言う人がいますが、ぼくはそんな大げさな事は思いませんが、天候不良による停滞も含めて全行程を楽しんでいるのは確かです」
「世間では百名山が人気ですけど」
「あれは個人が好きに選んだ山々だし、ぼくは興味ないです。北アルプスに行くことが多いですね。大学の夏休み中はほぼずっと信州入りしてます。診療所手伝って合間に登ったりしています。夏は登山者も多いので結構忙しいですけど」
「私でも北アルプスで登山できますか」
「行き先にもよりますが、経験者と共に行動すべきですね。それと山道具は充実させたほうがよいでしょう。安全のために」
「山道具というと?」
「まずは登山靴が最優先かな。だいたい山にハマった人が道具に凝るのは靴、ザック、レインウェアの順といわれています」
「高校生の頃に使ったリュックサックしか持ってません」
「北アルプスへ行くならテント泊か山小屋泊になりますよ。山小屋で1,2泊なら最低40リットルのザックが必要です」
「リットル?」
「ザックの容量表示はリットルです。山道具専門店へ行けばわかります」
「山小屋泊ってどんな感じですか」
「小屋によっていろいろですよ。旅館並みの設備の小屋もあればせいぜい雨がしのげるだけの避難小屋もあります。風呂は期待できない、石鹸・歯磨き粉の類は使えない、トイレは有料、これは当然と思わなくてはいけません。最近、不満を言う登山客が増えているみたいですが、ちょっと僕には理解できませんね。小屋の従業員達は遭難事故発生時の救助にも入ってくれるのです」
「やっぱり私には無理そうです」
その人は軽快に笑いながら言った。
「無理に行く必要はまったく無いところです。ぼくには昔からやってみたいことがあって。北アルプスを一週間散歩してみたい。島々宿から入山して徳本峠・蝶ヶ岳・常念・大天井・槍・大キレット・北穂・涸沢岳・奥穂・前穂、岳沢経由して上高地へ下山。空中漫遊散歩です。今年こそはと毎年思うのですが、好天が続かないことには難しいです。一週間風呂無し。女性なら近づきたくもないような風体になりそうですね」

山に興味など無い。登ってみようという気にもならない。それなのに、なぜあんなに楽しい気分で山の話に耳を傾けることができたのだろうか。
==============================

89 イザベル :2015/05/18(月) 17:05:13 ID:sUgA2xno
《R barにて》第三夜 フェロールーム

「おつかれさん。朝比奈玉露はいったよ」
「あれ、オーナーが閉店後に顔見せるなんてめずらしいっすね。しかもとっておきの玉露をふるまってもらえるなんて」
「残念なお知らせだよ。どうも“そのとき”がきてしまったみたいなんだな。最近、電話の問い合わせも急に増えてきて」」
「あぁ、ついに。どうして皆ブログにいろいろ書いちまうんだ?そんなことして何が面白いんだか」
「店の名前や場所やら完全に隠してくれればいいのに。それじゃ情報発信にならないですから不満なんでしょうね」
「店内の撮影禁止は徹底できても、外観撮影は止められないっすからね。「隠れ家」的な場所が好きなんだろうけど、人に教えてどうすんのって感じっす」
「おれたちの隠れ家も終わりか。最高の居心地だったのにな」
「まあ、しばらく辛抱してよ。またそのうち面白い場所みつけて再開するから」
「サイレントチェロ、明日買いに行こうと思ってたところなんですよ」
「オーナー、最近姿見せないけどあのおもちゃメーカーのエンジニアの人、あの人にも連絡取らないと。お客さんからすごいヒントもらえるってホクホク顔で接客してたからな。オレたちみたいにフェロールームでうだうだするのだけが目的じゃなかったよ。彼は」
==============================

90 イザベル :2015/05/18(月) 17:06:10 ID:sUgA2xno
《幻 一期一会》 

「それで、夕べ行ってみたら影も形も無かったというわけね」
「店の扉に貸し物件の張り紙がありました」
ため息が出るばかり。先生がだしてくれた大好物のサブレの味もわからないくらいに気分は落ち込んでいる。
「で、どのバーテンダーが好みだったの?わたしはバリトンバッハ君が気になるわね。ウチには居ないタイプだもの」
「別にそういうつもりじゃ・・・」
「じゃあ、眼鏡のトリミ君?」
「せっかく見つけた別世界。私なんかが一生出会わないだろう人達でした」
「私なんか、とか言うのやめたほうがいいよ。それにしてもどうして誘ってくれなかったのよ。ちょっと行ってみたかったわ、その“理科バー”とやらに」

たった一度出会って会話をしただけだったとしても、街角で彼らとすれ違ったら私は絶対に彼らに気がつくだろう。でも彼らが私に気づくことは無い。
語るべき“何か”をわたしも持っていられればよかったのに。
先生のように自分の世界を持っていたらよかったのに。

「あなたの書く仮名の線、品があってきれいよね。でも今日は気合を入れる意味で漢字の楷書にしましょうか。4文字がいいかな」
「一期一会・・・」
「ちょっと、ため息つくのやめなさいよ」
「二度と会うことがないかもしれない出会い、もっと大切にしたらよかった」
「あのねえ。一期一会というのは“天から降ってきたような人との出会いを大切にせよ”という意味じゃないと思うよ。しょっちゅう会っている人でもその瞬間は一度きりだから真心を尽くしましょう、って意味よ。よし、景気づけに今日は特別に貸してあげる、ハイ、これ」
「・・・・・」
「なによ、要らないなら無理に使わなくてもいいわよ」
「あ、いえ、ありがたく使わせていただきます」
断ったらバチがあたる。これを貸してくれるのは先生の最大の好意の証しなのだ。
わたしは戦艦大和型文鎮を、丁寧に半紙のうえに置いた。
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91 イザベル :2015/05/18(月) 17:07:02 ID:sUgA2xno
《杉の板戸のそれぞれのむこう側》

「フェローさん達、元気にしてるかしら」
「“フェロー”という単語やっと覚えたね」
「ご隠居生活でのんびり、と思ってたら急にこんなこと始めるんだもの」
「のんびり関西暮らし、できてるじゃないか」
「まあ、そうだわね」
「好きなお茶飲んで、奥さん手作りの和菓子食べて、本読んで、ちょっと人と話できればいいと思ってたんだけどね。あの三人と会うまでは。日本の技術者や研究者はもっと厚遇されていいはずなんだよ。彼らの疲れを癒して、自分も楽しめるなにか目新しい事をやってみたかったんだな」
「おもちゃ開発の人以外、仕事に役立った話は聞かないわね」
「いいんだよ、それで。きょうのお菓子はなに?」
「もうすぐ6月だから紫陽花と水無月」
「店の前掃除してくるよ」



「今日は良い料紙が手に入ったわ。最近伝統的で上品な柄が少なくなってきたからね」
「紙を選ぶのがこんなに楽しいとは、わたし知りませんでした」
「急に上手くなってきたわよ。なんというか筆運びに自信が出てきた感じよ」
「ほんとですか。書の歴史関係や和歌の本を読んだり、博物館へ行って古筆を見たりしていたら楽しくなってきて」
ふ〜ん、エライわねえ、と言いながら先生は地図本を広げてなにか調べている。
「先生はいつも地図を持ち歩いてるんですか」
「そういうわけじゃないけど。たまに普段と違う道を通るといい事にぶつかったりするのよね」
そう言って、先生は勝手に歩き出した。

「あら、このお宅の引き戸、すてきだと思わない?」
北山杉かしら、とつぶやきながら先生はつかつかとその家の玄関へ近寄った。
つられて近づいたわたしもその木目の美しさに感心しつつ、感じていた。なんだろう、この既視感は・・・。
「ここお店なのかな。だってこの表札みてよ」
梟庵、と透かし彫りされた美しい表札。
近づいてじっくり眺めないと読み取れないような・・・。
そのとき、いきなり引き戸が開き、箒を手にした袴姿の上品な男性が現れた。
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92 イザベル :2015/05/18(月) 17:16:33 ID:sUgA2xno
《梟庵にて》 あらたな予感 What a Wonderful World

嬉野 八女 知覧 宇治 伊勢 ・・・
季節の和菓子 紫陽花 水無月

「こんなところに日本茶専門店があったとは知りませんでした。うちのお義父さんも連れてこようかしら。きっと喜ぶわ」
ひっそりとやってましてね、と袴姿の物静かな店主は微笑みながら答えた。
「わたしは八女の玉露と紫陽花にするわ。あなたは?」
「嬉野茶と紫陽花にします。嬉野という地名、昔から好きなんです」
定休日は?何時から開店ですか?と矢継ぎ早に質問する先生に私は思わず言った。
「先生、このお店はあんまり人に言わないでくださいね。消えちゃうといやだから」
物静かな店主は二人の会話を楽しそうにききながら、週二日の開店であること、ごらんのとおりの小さな店だからあまりお客さんが押し寄せて来てくれるのも困りますので、と言った。

「今度の夏休み、ひさしぶりに山行くのよ」
「先生が山登りするとは知りませんでした」
「そうだ、あなたもどう?人生変わるかもよ。すてきなところなんだから。そこへたどりつくと夫がいつもくちずさむのは“What a Wonderful World”。私はベートーベンの「田園」が頭の中でぐるぐるしてる。お義父さんはチャイコフスキーが流れるらしいわ」
“人生変わるかも”魅力的な言葉だ。でも・・・。
「山登りなんて高校生以来ですが、そんな私でも大丈夫ですか」
「ふつうの体力と根性があれば登れるところよ。フミも貴方なら大歓迎よ」
「フミちゃんは山が好きなんですか」
「あの子、海上自衛隊と山岳救助隊が大好きなの。夏休みの間は登山指導所があってね、長野県警山岳救助隊が常駐してるのよ。涸沢ってとこなんだけど、夏山診療所も休み中は開設されるからなにかと安心よ」
「今なんて?」
「フミの好きな山岳救助隊が常駐・・・」
「そのあとです!」
「え〜と、夏山診療所?」
「どこの夏山診療所って?」
「涸沢だけど?」
「涸沢岳という山ですか?」
「涸沢岳は涸沢からザイテングラートという急なルートを登って穂高連邦の稜線上に出てからさらに登ってやっとたどりつくのよ。私たちは行かないわよ。子供を連れて行くには危険なところだから」
「ぜひご一緒させてください。夏までにできるだけ身体を鍛えておきます」
「どうしたの?急に登る気満々になっちゃって」
ひょっとしたら、ひょっとしたら。新たな予感。
「もういちど、一期一会を大切にしたい。それだけです」
そういってふと顔を上げて気づいた。その上品な茶庵の店主が微笑みを浮かべながら、わたしを優しく見つめていてくれたことに。

おわり

93 辛抱三郎 :2015/05/18(月) 18:08:11 ID:toS7CipA
全く別の世界かと思っていたことが、運命の糸で結ばれている。
日々の新たな出会いを大切にしていると、いつの日にかすべてが繋がる、
そんな予感、恋の予感(?)

DNAの増幅装置のことを「PCR」といいます。
PはともかくCRとは,チェイン・リアクションの略です。
まさに「IWCR」だね、次回作にも大いなる期待を持ちます(o。゚д゚)ノ

94 イザベル :2015/05/18(月) 18:41:13 ID:sUgA2xno
>>93
辛抱三郎さん、読んでくださってありがとうございます
ふたつのお話をつなごうと思ったのは途中からですw
いきあたりばったりですw
音楽にしても、山にしても、
自分の好きなものをふんだんに詰め込みました
研究者や技術者がもっと報われるべきだという事は
以前からずっと私自身が感じていることです
そして北ア涸沢岳には私は3回登ったことがあります
槍ヶ岳も大キレットも見渡せる、美しくも怖いトコロです
その涸沢岳の頂上で実際に空中漫遊散歩中の男性登山者に
遭遇しました
話を聞いて実際にそんなことができるものなんだと驚愕しました
その達成にはとにもかくにも天候が良好であることが必須です
一週間天気が持ちそうなので決行したと言ってました
その登山者と別れたあとも2,3日は好天は続いたので
きっと無事に彼は北ア一周を果たしたと思われます

95 V3 :2015/05/18(月) 21:34:52 ID:p9rqiz2g
芳醇なワイン、心地良い音楽、湯気を感じる食事、知的な会話、素敵な男性達、謎めいた背景
徐々に変わりゆくヒロイン、日本的美意識、お茶の深み、山の風


堪能しましたm(_ _)m

あ〜、面白かった(*`Д´)ノ♪♪♪

96 イザベル :2015/05/18(月) 22:45:35 ID:sUgA2xno
>>95
V3さん、ありがとうございました
願望全開小説
全部吐き出して今スッカラカンです( ゚д゚)
またどこかからひっぱりだしてこないとw

97 アマデ :2015/05/19(火) 09:33:30 ID:AZGOPHMQ
ヴゥラバァ〜〜〜イザベルなんだよ(*`Д´)ノ♪

どう袴喫茶と結びつくのか?ワクテカしてたら関西移住までからんで・・・
素晴らしいの一言(*`Д´)ノ♪

この話、どこかの誰かが映像化してくれないかしら??

98 イザベル :2015/05/19(火) 10:58:24 ID:/b38k35E
アマデさん、ありがとうございます
楽しんでいただけたようでなによりです(^.^)
梟庵の和菓子職人はもちろん○○○様ですw
○○○様、ご本人は掲示板にはいっさい登場なさらないのに
存在感たっぷりでおわしますw

99 イザベル :2015/06/02(火) 22:48:32 ID:Le7nnNhc
《アヒル道場からの招待状》
たまには請求書と投げ込みチラシ以外のものが見てみたいわ。
そうひとりごちるJBの指は郵便受けの中に少し厚みのある封筒を探り当てた。
ひょっとして。
キタ〜ッ
見覚えのある毛筆による達筆。ひっくり返せばアヒル印の封蝋。
キタキタキタ〜ッ
半年ぶりですよ、先生!
ちぎり絵の紫陽花に彩られたメッセージカードにはこうあった。
〜初夏のお誘い〜
JBさん、アマデさん、お元気でお過ごしですか
初夏のお菓子を試作しました
味見がてら遊びにいらっしゃいましな  
アヒルより
(追伸)合言葉は覚えてらっしゃるわね

アマデちゃんに電話だ!
急いで電話をかけるJB。
10回コールしてもアマデは出ない。留守?
「お待たせしました〜。アマデDEナイトのリハーサル準備中だったの。JBさんおひさしぶり」
「アヒル様からの招待状来た?」
「来た来た!」
=============================

梟庵の前に立つふたり。定休日のため表札は出ていない。呼び鈴もない。
ケータイを取り出すJB。くすくす笑いだすアマデ。
「しかたないやん。アヒル様の鉄の掟には誰も逆らえん。何事も決まりごとは大事にせな
あかんの」
梟庵の番号にかけるJB。
「梟庵は本日定休日です。またのお越しをお待ち申し上げます」
あきらかに自動音声ではない声。
JB「こちら、風林火山ロードショー」
アヒル「泰然自若スクリーン、入ってよし」
=============================

あの佇まいからなぜこんな合言葉を思いつくのか。
まったく、アヒル様というお方は・・・。軽く首を振ってJBは引き戸を開けた。
「よくいらっしゃいました。JBさん、アマデさん、元気だった?」
出迎えた道場主は爽やかな藍色の紬に紫陽花柄の帯、福福しい顔に童女のような屈託のない笑顔を浮かべていた。
アヒル道場というのはJBが勝手につけた名前である。
アヒル様自身はほんの試食会、茶話会と認識しているにちがいない。そうにはちがいないのだが、JBもアマデもこのお方からいつも、なにかを学んで帰るのである。
=============================
「外は暑かったでしょう。まずは冷茶でほっと一息ついてちょうだいな」
アヒル様はそう言って切子ガラスの器に淹れた冷茶を二人の前に置いた。
「あぁおいしい。汗がすぅ〜っとひいていきます、先生」とJB。
あなたがたどうして私のこと先生と呼ぶのかしらね、まあ細かいことはいいのだけど、と言いながらアヒル様は釜に火を入れた。
「おもてなしの仕方を学ばせて頂いてます。この冷茶はふつうに淹れたお茶を冷やしただけではないようですね」とアマデ。
「アマデさん、さすがね。これは氷で淹れたお茶ですよ。茶葉をザルにおいてその上に氷をのせて時間をかけて淹れたものです」
甘みがぎゅっと凝縮された冷茶。客をもてなすのに手間を惜しまないその姿勢。

「さてと、こちらが初夏のお菓子、紫陽花です。お湯もいい具合だわ。点てているあいだにどうぞ召し上がれ」
会津塗の菓子皿に薄青・薄紫・白のきんとん。餡はしろ。黒文字できって頂く。
「・・・・ほっとする。おいし」「ほんと」
しゃらしゃらと茶筅の音。萩焼の器でお薄をいただく。
「日本人でよかったねえ」「ほんとだねえ」
なんともおいしそうに食べてくれるわね、とアヒル様は微笑んだ。
「先生、きょうのお着物も帯も素敵ですね」
「あら、ありがとう。これをはじめて着たのはね・・・」
はじまった。ここからが“道場”なのだ。

100 イザベル@ :2015/06/02(火) 22:50:52 ID:Le7nnNhc
「何年前だったかしら。ちょうど今頃の季節よ。京都と奈良へ主人と旅行したときに着たのよ。マイカー旅行だったから着物も帯も何枚か持参したの。うふふ。着物で古都めぐり、がしたくてね。宿の手配も食事の店も着物で行動することを考えて主人がぜんぶ企画してくれたの。着物姿で京都そぞろ歩き、楽しいわよ。奈良公園の鹿にも会いたくてね。二月堂のあたりの鹿はおとなしめなのが多いらしい、と主人が調べてくれて。子供みたいにはしゃいじゃった。夫が私の両肩を急にさっと掴むもんだから、あらどうしたの?って訊いたら何でもないって言うんだけど、どうも鹿の頭突きを私の代わりに受け止めてくれたみたい。あとで腰さすってたわ。ひょっとして着物を守っただけかしら?あら、二人ともそんな顔しないで。もちろんわかってるわよ。主人のエスコートにいつもぬかりはないの」
=============================
さあ、次はお煎茶にするわね、どのお茶碗にしようかしら、と先生は奥へ入っていった。
JB「すごいね」
アマデ「ほんとだね」
JB「妻の我侭に付き合うのは夫の歓び・・・」
アマデ「JBさんとこはどう?」
JB「まあ、私も無理は言わない性分だから、たいていは付き合ってくれるけど。
  そのあとがね」
アマデ「あとって?」
JB「きょうは○×△へ行ったから〜ができなかったな、とかあとで言うのよ」
アマデ「それはいやだな」
JB「でしょ?本人は客観的事実を言っただけで他意は無い、とか言うんだけどね」
アヒル様のご主人は最後までスキをみせないのだろうか、とJBは思った。

水まんじゅうと水羊羹、どちらにする?と訊かれ、「どちらも」と答えるJBとアマデ。
お煎茶は唐津焼の器が選ばれたようだ。
アヒル様のお話は続く。
「ふたりとも、私のわがままに夫が付き合ってると思っているかもしれないけど、お出かけの誘いはいつも夫から提案があるのよ。私は家に居るのが好きなほうなので私を引っ張り出すのにいろいろ工夫を凝らしてくれるの。だから私も楽しかった気持ち、感謝の気持ちを表現するのに手抜きはしませんよ。素直に言葉で伝えることにしています。これは大事な事よね」
=============================
感謝の言葉で封じ込め作戦でいくか、とJBは思った。
わかってはいても忘れがちな事を気づかせてくれたアヒル先生に感謝。
「先生、次にご招待くださったときに3人ほど連れてきてもかまいませんか」
「そうねえ。どんな方たちかしら」
「同好の士です(腐の人、情熱のコラムニスト、縦笛名人)」と声をそろえるJBとアマデ。
「まあ、おふたりのお友達なら・・・。JBさんが例の合言葉をその人達の前で言うのが恥ずかしくないなら構わないわよ」
梟庵、いやアヒル道場を後にするJBとアマデ。
「JBさん、JBさん側の合言葉はわかるけど、アヒル先生はなんて言ってるのか教えてよ」
「それは絶対にナイショ」

おわり


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