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人 間

430NAME:2018/06/02(土) 00:36:46
 ■忘れられない、還暦パーティーでの表情

 3年前、秀樹の還暦パーティーに出て、サプライズでケーキを持ってステージに出させていただいたときの秀樹のびっくりした顔、今でも忘れられません。
 遡ること44年前、1974年。この年、僕が「甘い生活」でレコード大賞歌唱賞を取れると下馬評だったけど、君の「傷だらけのローラ」が受賞。もちろん君は欲しかった賞だし、当然うれしかったと思う。でも君は僕の前では喜んだりしなかった。僕を気遣ったんだと思う。

 ■抱擁したとき、秀樹は全体重を僕にかけてきた

 それから2年後、二人で受賞した。そのときは握手して、二人で抱き合った。
 そして40年後、還暦パーティーで僕が「抱いていいか」。「何だよ〜」って言われたけど、僕はそんな君を抱きしめた。そのとき、君は僕のことを一瞬、抱きしめ返そうとした。その瞬間に君の体の全体重が僕にかかった。それは僕にしか分からない。心の中で「秀樹、大丈夫だよ。僕は大丈夫だからね」。そう思った。

 それと同時に僕の全身が震えた。「こんなぎりぎりで立っていたのか。こんな状態でファンのみなさんの前で立っていたのか。そこまでして立とうとしていたのか。なんてすごいやつだ」。彼の大きさに驚いて、一瞬、頭が真っ白になって、彼のコンサートなのに、サプライズで来ている僕が「西城秀樹です」って、秀樹のファンのみなさんに彼を紹介してしまった。
 秀樹ほど天真爛漫という言葉がぴったりな人に、僕はこれまでに会ったことがない。何事にもまっすぐで、前向きで、おおらかで。出会う人すべてを魅了する優しさと、すべてを受け入れる潔さとたくましさ。そんな君を慕う後輩がどれだけたくさんいたことか。僕はうらやましかったよ。

 ■おまえの分も歌い続けるから

 僕もひろみも秀樹の代わりにはなれないけれど、まだしばらくは頑張って歌うからね。お前の分も歌い続けるからね。そして君を慕ってくれた後輩たちとともに、僕らの愛した秀樹の素晴らしさを語っていこうと思います。何よりも君を愛し、支え続けたファンの方々とともに。
 秀樹、お疲れさま。そして、ありがとう。
 もうリハビリしなくていいからね。もう頑張らなくていいから。
 君のかわいい子供たち、家族をいつも見守ってあげてほしい。そしてお前の思うラブソングを天国で極めてくれ。
 秀樹、お疲れさま。そして、ありがとう。
 平成30年5月26日 野口五郎。

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